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不可逆的に阻害されたCYP450ミクロソーム、及び代謝経路の酵素の表現型決定におけるその使用

申请号 JP2016536753 申请日 2014-12-05 公开(公告)号 JP2017501693A 公开(公告)日 2017-01-19
申请人 レ ラボラトワール セルヴィエ; レ ラボラトワール セルヴィエ; 发明人 カラデック,ファブリス; パルマンティエ,ヤニック; ポティエ,コリーヌ;
摘要 本発明は、不可逆的に阻害されたシトクロムP450(CYP450)を含有する、単離されたミクロソームを調製するための方法に関する。単離されたミクロソームは、そのシトクロムP450が不可逆的な阻害剤によって不可逆的に阻害されていることを特徴とする。本発明はまた、薬物候補の酵素反応の表現型を決定するための方法における、本発明に記載の単離されたミクロソームの使用にも関する。
权利要求

以下の工程: a)シトクロムP450の不可逆的な阻害; b)ミクロソームタンパク質の濃縮 を含むことを特徴とする、不可逆的に阻害されたシトクロムP450(CYP450)を含む単離されたミクロソームを調製する方法。1回以上の洗浄工程を含むことを特徴とする、請求項1記載の方法。洗浄工程又は工程群が、ミクロソームタンパク質の濃縮前及び/又は濃縮後に置かれることを特徴とする、請求項2記載の方法。ミクロソームの濃縮が、濾過/遠心分離又は超遠心分離によって得られることを特徴とする、請求項1記載の方法。ミクロソームが、10mg/ml〜30mg/mlの濃度まで濃縮されることを特徴とする、請求項1記載の方法。保存の最終工程を含むことを特徴とする、請求項1記載の方法。保存工程が凍結であることを特徴とする、請求項6記載の方法。ミクロソームがヒト肝ミクロソームであることを特徴とする、請求項1記載の方法。不可逆的に阻害されたシトクロムP450が、CYP1、CYP2及びCYP3ファミリーから選択されることを特徴とする、請求項1記載の方法。シトクロムP450が、以下のシトクロムのリスト:CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A4から選択されることを特徴とする、請求項9記載の方法。シトクロムP450が不可逆的に阻害されていることを特徴とする、単離されたミクロソーム。不可逆的に阻害されたシトクロムP450が、CYP1、CYP2及びCYP3ファミリーから選択されることを特徴とする、請求項11記載の単離されたミクロソーム。不可逆的に阻害されたシトクロムP450が、以下のシトクロムのリスト:CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A4から選択されることを特徴とする、請求項12記載の単離されたミクロソーム。凍結によって保存されることを特徴とする、請求項11〜13の一項記載のミクロソーム。本発明の請求項1〜10のいずれか一項記載の調製法に従って得られることを特徴とする、単離されたミクロソーム。以下の工程: −活性成分と一緒の請求項11〜14に記載の単離されたミクロソームのインキュベーション; −活性成分の代謝に関与する不可逆的に阻害されたシトクロムP450の寄与の測定 を含むことを特徴とする、活性成分の代謝に関与する酵素反応の表現型を決定する方法。−請求項11〜14に記載の単離されたミクロソーム; −対照ミクロソーム を含むことを特徴とする、表現型決定用のキット。

说明书全文

本発明は、製品の研究及び開発の分野、並びに、新薬の場合には薬物相互作用の評価法に存する。本発明は、特定のヒトシトクロムP450(CYP450)について不可逆的に阻害された単離されたミクロソームを調製する方法に関し、該ミクロソームは、活性成分の代謝に対する該酵素の寄与を定量するために使用される。

薬物の効及び毒性は、別の化合物、すなわち薬物、環境汚染物質、食糧の投与によって改変され得る。これらは、薬物相互作用(DDI;薬物間相互作用)である。様々な種類の相互作用機序が存在し、最も重要なのは、薬物動態相互作用のグループに属する代謝相互作用である。

薬物代謝相互作用は、とりわけ、薬物Aが、共投与された薬物Bの代謝を、Bの代謝を加速(活性化又は誘導)することによって又はBの代謝を減少(阻害又は抑制)させることによってのいずれかによって改変し得るという事実であると理解されている。この薬物代謝相互作用は、新薬の開発計画において、一方では活性成分の代謝に関与する酵素の同定を、他方では該活性成分の可能性ある阻害剤又は誘導物質の同定を必要とするだろう。

肝臓は、薬物代謝のための主要な部位である。肝細胞は、シトクロムP450(CYP450)をはじめとする、代謝のために必須な酵素を含有している。したがって、シトクロムP450は、薬物相互作用の予測における主要な標的をなす。

薬物相互作用のリスクを予測するために、活性成分の代謝に対する各酵素の寄与を同定及び決定することが必要であり;これが、酵素反応の表現型の決定である。

活性成分の代謝に対する各酵素の寄与を推定するために、代謝経路の表現型を決定する様々な方法を使用することができる。

特徴付けられたヒト肝ミクロソームのバンクの使用は、活性成分の代謝に関与する酵素の同定を支援し得る。この方法は、ヒト肝から得られた少なくとも15個の個々のミクロソームのバッチから、主要なCYP450の酵素活性を事前に特徴付けることを必要とする。15個のバッチのミクロソームの各々を活性成分と共にインキュベートして、その代謝速度と同ミクロソームの各シトクロムP450の活性との間の相関を決定する。しかし、ミクロソームバンクの使用は、関与する酵素の定量的な決定を可能としないので、相関付けるのは困難である。

活性成分の代謝に対する各シトクロムP450の相対的寄与を推定するために組換え酵素も使用される。組換え系におけるシトクロムP450の発現レベルは異なっており、しばしば天然のヒト肝ミクロソームと比較して非常に上昇しているので、ヒトミクロソームと比較して組換えミクロソームにおける各CYP450の寄与を推定するために補正係数を取り入れることが必要である(補正係数=相対活性係数)。この補正係数は、第一に天然ヒトミクロソームの存在下で、第二に組換えミクロソームの存在下で試験された各CYP450の酵素活性の実験による測定によって計算されなければならない。このアプローチにより、選択的かつ半定量的に、活性成分の代謝に対する各酵素の相対的寄与を間接的に評価することが可能となる。しかし、これらの組換え酵素は、その固有の特徴から、肝ミクロソームに見られる酵素とは異なる(切断短縮されたタンパク質配列、異なる膜環境、シトクロムb5とP450との間の共役が異なっていること、様々なCYP450との間の競合が存在しないこと)。

活性成分の代謝の定量的な推定のために、活性成分とヒト肝ミクロソームとの共インキュベート後に、酵素に対するモノクローナル抗体などの生物学的阻害剤が使用される(これに対して、抗体を含まない対照)。しかし、使用されるかなりの数の抗体が、特異性及び阻害力の欠如を示す。最後に、この技術は、代謝経路の表現型を決定するために使用するには面倒である。

CYP450の化学的阻害剤は、阻害が試験された酵素に対して完全かつ特異的である場合には、活性成分の代謝阻害率を用いて、各シトクロムP450の寄与を直接決定することを可能とする。該阻害剤は、酵素に可逆的に又は非可逆的に結合し得る。該組成剤は、活性成分とヒト肝ミクロソームとの共インキュベーション又はプレインキュベーションに使用され(阻害剤を含まない対照条件と比較して)、これは、活性成分の酸化的代謝経路のインビボ状況の代表的モデルである。

競合型の可逆的阻害剤(最も多い型)に伴う阻害レベルは、インキュベーション条件、例えばインキュベーション時間及び基質の濃度などに依存する。さらに、表現型決定試験のために一般的に使用されるCYP450の多くの阻害剤は、単一のCYP450に対して特異的ではない(例えばケトコナゾール、ケルセチンなど)。結果として、可逆的阻害剤は、シトクロムP450の表現型の決定には適していない。

そうした方法の欠点を是正するために、インビボ条件を表現する堅固な定量法を得るために非可逆的又は不可逆的な阻害剤を使用する。阻害は、酵素がその活性を二度と回復しない場合に不可逆的であると言われ;「自殺」阻害を指す。非可逆的阻害剤は、シトクロムP450によって酸化されて中間代謝物を形成し、これが酵素に不可逆的に結合する。この過程はMBIと呼ばれ、これは機序に基づく抑制(Mechanism-Based Inhibition)を意味する。なぜなら、出発化合物は阻害性ではないが、酵素に共有結合する反応性代謝物へと活性化される前に、少なくとも1回の該酵素の触媒サイクルを必要とするからである。MBI阻害は、試験されたシトクロムP450の不可逆的な阻害によって特徴付けられ、基質の濃度には依存しない。これらの阻害剤は、以下の定数を有する一次速度式に従う:kinactは最大酵素不活性化速度に相当し、KIは、最大不活性化速度の半分における阻害剤の濃度に相当する。

不可逆的阻害剤を使用してCYP450の完全阻害を得るためにはいくつかの条件を複合させなければならない: 1)十分な濃度の非可逆的阻害剤を使用する必要がある(そのKIに依存して); 2)そのkinactに依存して、肝ミクロソームと阻害剤のプレインキュベーション時間は、十分な触媒不活性化サイクルをもたらすのに十分なものでなければならない; 3)プレインキュベーション時間は、自殺阻害剤の枯渇をもたらすことによってその濃度が低くなりすぎてP450を完全に阻害することができなくなるようなものであってはならない。

CYP450の阻害が完全かつ特異的(他のP450は全く阻害されない)である場合、それ故、活性成分の代謝における各シトクロムP450の関与を定量的に決定することが可能である。そこで、使用される実験体系は以下の通りである。

上記の利点にも関わらず、この実験体系に記載のMBIの使用は、その利点を制限する一定数の制約を有する: −一方で、試験される活性成分のインキュベーション条件は、非可逆的な阻害剤のプレインキュベーションのための最適な条件(ミクロソームタンパク質の濃度、有機溶媒の比率)に依存する。実際に、活性成分の代謝阻害率を正確に測定するために、該活性成分をいわゆる初期の条件下(時間とタンパク質濃度の関数としての代謝速度が直線性であること;溶媒比率は一定のレベルを超えてはならないこと)でインキュベートしなければならない。この直線性の実験体系で最大かつ特異的な阻害を得るために、阻害剤はそれ自体、活性成分のインキュベーションと適合性であるタンパク質濃度又は溶媒濃度のインビトロ条件下で事前にインキュベートされなければならない。

−他方で、プレインキュベーション時間は、インビトロで約70〜90分間の半減期を有する、ミクロソームのCYP450の酵素活性を変化させる。例えば、30分間のプレインキュベーションの場合には、26%以下の、40分間のプレインキュベーションでは35%以下の、60分間のプレインキュベーションでは46%以下のCYP2D6酵素活性の減少が観察される。結果として、実験体系によって課されたMBIのプレインキュベーションと候補薬物のインキュベーションとを連続した順序で続けることは、それ故、ミクロソームのCYP450のインビトロでの半減期には適合しない。

−最後に、あるCYP450に対する不可逆的阻害剤は、1つ以上のCYP450に対する可逆的な阻害も示す場合が多い(例えば、CYP1A2のMBI阻害剤は、CYP2C19の競合的阻害剤でもあり、CYP2B6のMBI阻害剤はCYP2A6及び3A4の競合的阻害剤でもある)。よって上記の直線状の実験体系は、インビトロにおける表現型決定の試験において、他のCYP450に対して競合的に作用することのできる、残留している遊離阻害剤の一部を満足に排除することができない。プレインキュベート液の希釈は遊離阻害剤の濃度を減少させることができ、その結果、非特異的で可逆的な阻害は少なくなるが、これはミクロソームタンパク質の濃度を事実上減少させ、よってインキュベーション中の活性成分の代謝が弱くなりすぎて検出することができなくなるであろう。

結果として、インキュベーション条件を一方では不可逆的阻害剤に適合させ、他方では活性成分に適合させることは困難であるので、そのような直線状の実験体系を使用することは殆ど不可能である。

さらに、そのような直線状の実験体系の場合、阻害剤の効果を検証する陽性対照として試験されるCYP450の特異的基質と共に、2つの一連の追加のインキュベーション(不可逆的阻害剤の存在下及び非存在下)を加えることが必要である。それ故、これは、活性成分の定量だけでなく、全ての特異的な基質の定量を必要とし、これは、試験しようとしている数だけのCYP450について該当し、これにより実験はかなり面倒なものとなる。

活性成分の代謝に関与する酵素反応の表現型決定法のそれぞれの欠点の観点から、インビトロでの酵素反応の該表現型決定試験は、様々な前記された方法の欠点が克服されることを必要とする。

それ故、本発明の目的は、単離され不可逆的に阻害されたミクロソームの使用によって、活性成分の代謝に関与する酵素反応の表現型決定試験を実施する際の固有の問題を克服することを可能とする、代替的な戦略を提案することである。

本発明は、不可逆的に阻害されたシトクロムP450(CYP450)を有し、以下の工程: −シトクロムP450の不可逆的な阻害; −ミクロソームタンパク質の濃縮 を含む、単離されたミクロソームを調製する方法に関する。

非可逆的阻害剤、不可逆的阻害剤、MBI阻害剤、不可逆的阻害、又は自殺阻害は、酵素に共有結合することのできる阻害剤を指すと理解され;そのように阻害された酵素は、その最初の機能的活性を取り戻すことができない。より具体的には、MBI(機序に基づく抑制)阻害剤は、酵素と直接的に不可逆的な結合を形成するのではなく、むしろ、その反応中間体の代謝物の1つが酵素に共有結合する。

本発明に記載の濃縮の目的は、一方では、調製物に存在する他の産物、特に遊離したままである過剰な不可逆的阻害剤及び溶媒からミクロソームタンパク質を濾別することであり、他方では、プレインキュベーション工程によって希釈されたミクロソームを濃縮することである。

本発明に記載のミクロソームタンパク質の濃縮は、濾過、次いで遠心分離によって得ることができる。濃縮工程における濾過機能は、10,000ダルトンから40,000ダルトン、好ましくは30,000ダルトンのカットオフ閾値を有する膜から始めることで得られる。濃縮工程における濃縮機能は、濃縮を可能とするシステム、例えば、3000g〜4000gで60〜90分間、好ましくは80分間の遠心分離にかけられるセントリコン(登録商標)システムによって行なわれる。その工程の終了時に、セントリコン(登録商標)をひっくり返し、800〜1000gで2〜10分間、好ましくは5分間遠心分離にかける。

ミクロソームタンパク質の分離及び濃縮を改善するために、以下の80,000g〜150,000gで約60分間という条件下での超遠心分離という追加の工程を行なってもよい。

ミクロソームタンパク質の濃縮はまた、上記の一連のもの(濾過、次いで濃縮)を少なくとも2回繰り返すことによって改善され得る。

本発明に記載のミクロソームタンパク質の濃縮工程はまた、連続的な超遠心分離によってももたらすことができる。以下の80,000g〜150,000gで60〜90分間という条件下での少なくとも2回連続した超遠心分離が必要である。

本発明は、1回以上の洗浄工程が加えられた、単離され不可逆的に阻害されたミクロソームを調製する方法に関する。単離されたミクロソームを調製するこの方法は、ミクロソームタンパク質の濃縮工程の前及び/又は後に据えられた洗浄工程を含む。例えば、本発明に記載の方法は、以下の工程: −シトクロムP450の不可逆的阻害; −洗浄; −ミクロソームタンパク質の濃縮; −ミクロソームタンパク質の洗浄 を含む。

本発明に記載の方法はまた、以下の工程: −シトクロムP450の不可逆的阻害; −ミクロソームタンパク質の濃縮; −ミクロソームタンパク質の洗浄; 又は以下の工程: −シトクロムP450の不可逆的阻害; −洗浄; −ミクロソームタンパク質の濃縮 を含み得る。

洗浄は、濯ぎ、そして非ミクロソーム画分を除去する工程を意味すると理解される。洗浄工程はまた、ミクロソーム濃縮液をトリスHCl緩衝液(pH7.4)中に取り入れることからなり得る。

本発明に記載の単離され不可逆的に阻害されたミクロソームの調製法の終了時に、ミクロソームは、10mg/ml〜30mg/ml、より具体的には17mg/ml〜25mg/ml、好ましくは20mg/mlの濃度であり、ミクロソームタンパク質は5〜15倍濃縮されている。

本発明に記載の単離され失活させたミクロソームの調製法は、ミクロソームの保存という最終工程を含む。ミクロソームの保存工程は好ましくは、あらゆる生物学的活性を保留するために、単離され精製されたミクロソームを凍結保護溶液の存在下又は非存在下で非常に低い温度(約−196℃)まで冷却することからなる凍結保存工程からなる。この保存工程の目的は、本発明に記載の失活させかつ単離されたミクロソームの即時使用を容易にするためである。単離されたミクロソームのこの使用は、その調製から数日後から数か月後に行なってもよい。保存工程は、ミクロソームの構造的特性及び機能的特性を少しも変化させない。好ましくは、保存工程は凍結工程である。不可逆的に阻害されかつ単離されたミクロソームの凍結は−80℃で行なわれる。

調製法の経緯に使用されるミクロソームは、ヒト、ラット、マウス、ブタ、又はサルの肝ミクロソームである。ミクロソームは好ましくは、全てのP450酵素を含有しているヒト肝から得られる。個体間のばらつきを考慮するために、ミクロソームはいくつかのドナーに由来し、これによりミクロソームのプールが形成される。

シトクロムP450は、18個のサブファミリーから構成されるイソ酵素の巨大なファミリーである(CYP1、CYP2、CYP3、CYP4、CYP5、CYP7、CYP8、CYP11、CYP17、CYP19、CYP20、CYP21、CYP24、CYP26、CYP27、CYP39、CYP46、CYP51)。本発明は、不可逆的に阻害されたシトクロムP450がシトクロムファミリーCYP1、CYP2、CYP3及びCYP4から選択される、単離されたミクロソームの調製法に関する。

不可逆的に阻害されたシトクロムP450は、CYP1A1、CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP2J2、CYP3A4、CYP3A5及びCYP4F2から選択される。

不可逆的に阻害されたシトクロムP450は好ましくは、CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1及びCYP3A4から選択される。

本発明に記載のミクロソーム調製法に使用される非可逆的阻害剤の中には以下が挙げられ得るが、説明のためであって限定する意味はない:

本発明はまた、不可逆的に阻害されたシトクロムP450を含む、それ自体単離されたミクロソームに関する。

本発明に記載された単離されたミクロソームは、シトクロムファミリーCYP1、CYP2、CYP3及びCYP4から選択された不可逆的に阻害されたシトクロムを含む。

本発明は、以下のリストから選択されたシトクロムが不可逆的に阻害されている、単離されたミクロソームに関する:CYP1A1、CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP2J2、CYP3A4、CYP3A5及びCYP4F2。

より具体的には、本発明は、以下のリストから選択されたシトクロムが不可逆的に阻害されている、単離されたミクロソームに関する:CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1及びCYP3A4。

本発明に記載の単離され不可逆的に阻害されたミクロソームは、好ましくは凍結保存又は凍結保護されている。

本発明はまた、解凍後の即時使用のための、凍結形の単離され不可逆的に阻害されたミクロソームに関する。

単離されたミクロソームは、本特許出願に記載の調製法に従って得られる。

本発明は、評価しようとする活性成分の代謝に関与する酵素反応の表現型決定における、単離され不可逆的に阻害されたミクロソームの使用に関する。

本発明はまた、活性成分の代謝に関与する酵素反応の表現型を決定する方法にも関する。この表現型決定法は以下の工程を含む: −本発明に記載の単離され不可逆的に阻害されたミクロソームを、評価しようとする活性成分と共にインキュベーション; −活性成分の代謝に関与する不可逆的に阻害されたシトクロムP450の寄与の測定。

インキュベーションは、活性成分の存在下で、一方では、本発明に記載の単離され不可逆的に阻害された肝ミクロソームと共に、他方では、本発明に従って調製された阻害されていない単離された肝ミクロソーム(対照)と共に行なわれる。インキュベーションを、インキュベーションの最終時点で、又は動態的に、すなわちいくつかのインキュベーション時点でモニタリングする。

インキュベーションの各時点において、活性成分及び/又はその代謝物を定量する。

活性成分の代謝活性(A)は、阻害された条件(活性Ai)及び阻害されていない条件(活性Aを有する対照)の2つの条件下で、固有代謝クリアランス(反応速度測定の場合)を介して、又は、未変化の活性成分の消失速度若しくは代謝物の出現速度(インキュベーションの最後の時点が選択された場合)を介してのいずれかで測定される。

活性成分の代謝活性の阻害率は以下のように算出される:阻害率=(A−Ai)/A。算出された阻害率は、活性成分の代謝に関与する不可逆的に阻害されたシトクロムP450の寄与に直接対応する。

最後に、本発明は、 −本発明に記載の単離され不可逆的に阻害されたミクロソーム; −対照ミクロソーム を含む、表現型決定用のキットに関する。

対照ミクロソームは、不可逆的阻害剤の非存在下で本発明に記載の調製法にかけられているミクロソームであると理解される。

好ましくは、表現型決定用のキットは、一方では、不可逆的に阻害されかつ凍結保存されている単離されたミクロソーム、及び他方では、これもまた凍結保存されていてもよい対照ミクロソームを含む。

本発明は、以下の図面及び実施例によって説明されるが、これによって制限されるわけではない。

CYP1A2が不可逆的に阻害されたミクロソームにおけるシトクロムP450活性の阻害率。各CYP450について試験された特異的活性は、フェナセチン−O−デアセチラーゼ活性(CYP1A2、4.5μMのフェナセチンのインキュベーション)、クマリン−7−ヒドロキシラーゼ活性(CYP2A6、2μMのクマリンのインキュベーション)、ブプロピオン−ヒドロキシラーゼ活性(2B6、50μMのブプロピオンのインキュベーション)、パクリタキセル−6α−ヒドロキシラーゼ活性(2C8、4μMのパクリタキセルのインキュベーション)、ジクロフェナク−4’−ヒドロキシラーゼ活性(2C9、4μMのジクロフェナクのインキュベーション)、オメプラゾール−5−ヒドロキシラーゼ活性(2C19、5μMのオメプラゾールのインキュベーション)、デキストロメトルファン−O−デメチラーゼ活性(2D6、5μMのデキストロメトルファンのインキュベーション)、クロルゾキサゾン−6−ヒドロキシラーゼ活性(2E1、40μMのクロルゾキサゾンのインキュベーション)、並びにテストステロン−6β−ヒドロキシラーゼ活性、ミダゾラム−1’−ヒドロキシラーゼ活性及びニフェジピン−レダクターゼ活性(3A4、30μMのテストステロン、0.5μMのミダゾラム、10μMのニフェジピンのインキュベーション)に対応する。阻害率は、フラフィリンによって不可逆的に阻害されたミクロソームにおけるP450活性と、対照ミクロソームにおけるP450活性の比較によって得られる。

ヒト肝ミクロソームに対する、及びCYP1A2についての組換えミクロソームに対する、5μM及び10μMのフラフィリンの影響。

CYP3A4が不可逆的に阻害されたミクロソームにおける、シトクロムP450活性の阻害率。各CYP450について試験された特異的活性は図1に記載のものに対応する。阻害率は、アザムリンによって不可逆的に阻害されたミクロソームにおけるP450活性と、対照ミクロソームにおけるP450活性の比較によって得られる。

CYP3A4及びCYP3A5(組換えミクロソーム)によるニフェジピン及びミダゾラムの代謝。

CYP3A4が不可逆的に阻害されたミクロソームにおける、Km及びVmaxにおけるミダゾラムによる活性の阻害率。

CYP2C8が不可逆的に阻害されたミクロソームにおける、シトクロムP450活性の阻害率。各CYP450について試験された特異的活性は、図1に記載のものに対応し、これにアモジアキンヒドロキシラーゼ(2C8、0.5μMのアモジアキンのインキュベーション)が加えられている。阻害率は、ゲムフィブロジルグルクロニドによって不可逆的に阻害されたミクロソームにおけるP450活性と、対照ミクロソームにおけるP450活性の比較によって得られる。

CYP2C8が不可逆的に阻害されたミクロソームにおける、2C8依存性のアモジアキンヒドロキシル化反応のKm及びVmaxに対応する濃度でインキュベートされたアモジアキンによる活性の阻害率。

CYP2C9が不可逆的に阻害されたミクロソームにおける、2C9依存性ジクロフェナク−4’−ヒドロキシル化反応のKm及びVmaxに対応する濃度でインキュベートされたジクロフェナクによる活性の阻害率。

CYP2C9が不可逆的に阻害されたミクロソームにおける、シトクロムP450活性の阻害率。各CYP450について試験された特異的活性は、図1に記載のものに対応する。阻害率は、チエニル酸によって不可逆的に阻害されたミクロソームにおけるP450活性と、対照ミクロソームにおけるP450活性との比較によって得られる。

CYP2D6が不可逆的に阻害されたミクロソームにおける、シトクロムP450活性の阻害率。各CYP450について試験された特異的活性は、図1に記載のものに対応する。阻害率は、パロキセチンによって不可逆的に阻害されたミクロソームにおけるP450活性と、対照ミクロソームにおけるP450活性の比較によって得られる。

CYP2B6が不可逆的に阻害されたミクロソームにおける、シトクロムP450活性の阻害率。各CYP450について試験された特異的活性は、フェナセチン−O−デアセチラーゼ活性(CYP1A2、200μMのフェナセチンのインキュベーション)、クマリン−7−ヒドロキシラーゼ活性(CYP2A6、20μMのクマリンのインキュベーション)、ブプロピオン−ヒドロキシラーゼ活性(2B6、100μMのブプロピオンのインキュベーション)、アモジアキン−デエチラーゼ活性(2C8、20μMのアモジアキンのインキュベーション)、ジクロフェナク−4’−ヒドロキシラーゼ活性(2C9、200μMのジクロフェナクのインキュベーション)、S−メフェニトイン−ヒドロキシラーゼ活性(2C19、60μMのS−メフェニトインのインキュベーション)、デキストロメトルファン−O−デメチラーゼ活性(2D6、100μMのデキストロメトルファンのインキュベーション)、クロルゾキサゾン−6−ヒドロキシラーゼ活性(2E1、200μMのクロルゾキサゾンのインキュベーション)、並びにテストステロン−6β−ヒドロキシラーゼ活性、ミダゾラム−1’−ヒドロキシラーゼ活性及びニフェジピン−レダクターゼ活性(3A4、75μMのテストステロン、50μMのミダゾラム、50μMのニフェジピンのインキュベーション)に対応する。阻害率は、チオテパによって不可逆的に阻害されたミクロソームにおけるP450活性と、対照ミクロソームにおけるP450活性の比較によって得られる。

−80℃での様々な保存時間の関数としての、CYP1A2活性の阻害率。

単離され、CYP1A2(A)、3A4(B)、2D6(C)が不可逆的に阻害されたミクロソーム、及びその対照(n=3)の存在下における、ミルタザピンの消失動態。

単離され、CYP1A2(A)、3A4(B)、2D6(C)が不可逆的に阻害されたミクロソーム、及びその対照(n=3)の存在下における、ミルタザピンの消失動態。

単離され不可逆的に阻害されたミクロソームのキットの存在下における、その相同な対照と比較した、ミルタザピンの固有クリアランスの阻害率。

単離され3A4(A)及び2C8(B)がそれぞれ不可逆的に阻害されたミクロソーム並びにその相同な対照(n=3)の存在下における、ロペラミドの消失動態。

単離され不可逆的に阻害されたミクロソームのキットの存在下における、その相同な対照と比較した、ロペラミドの固有クリアランスの阻害率。

単離され2B6が不可逆的に阻害されたミクロソーム及びその相同な対照(n=3)の存在下における、ブプロピオンの消失動態。

単離され不可逆的に阻害されたミクロソームのキットの存在下における、その相同な対照と比較した、ブプロピオンの固有クリアランスの阻害率。

単離され2C9が不可逆的に阻害されたミクロソーム及びその相同な対照(n=3)の存在下における、イブプロフェンの消失動態。

単離され不可逆的に阻害されたミクロソームのキットの存在下における、その相同な対照と比較した、イブプロフェンの固有クリアランスの阻害率。

単離され2C9が不可逆的に阻害されたミクロソーム及びその相同な対照(n=3)の存在下における、セレコキシブの消失動態。

単離され不可逆的に阻害されたミクロソームのキットの存在下における、その相同な対照と比較した、セレコキシブの固有クリアランスの阻害率。

単離され2C8が不可逆的に阻害されたミクロソーム及びその相同な対照(n=3)の存在下における、ピオグリタゾンの消失動態。

単離され不可逆的に阻害されたミクロソームのキットの存在下における、その相同な対照と比較した、ピオグリタゾンの固有クリアランスの阻害率。

単離され3A4が不可逆的に阻害されたミクロソーム及びその相同な対照(n=3)の存在下における、ボルテゾミブの消失動態。

単離され不可逆的に阻害されたミクロソームのキットの存在下における、その相同な対照と比較した、ボルテゾミブの固有クリアランスの阻害率。

単離され2C8が不可逆的に阻害されたミクロソーム及びその相同な対照(n=3)の存在下における、レパグリニドの消失動態。

単離され不可逆的に阻害されたミクロソームのキットの存在下における、その相同な対照と比較した、レパグリニドの固有クリアランスの阻害率。

単離され2B6が不可逆的に阻害されたミクロソーム及びその相同な対照(n=3)の存在下における、セルトラリンの消失動態。

単離され不可逆的に阻害されたミクロソームのキットの存在下における、その相同な対照と比較した、セルトラリンの固有クリアランスの阻害率。

実施例1:単離された不可逆的に失活させたミクロソームの調製 ・生物学的材料 ミクロソームは、全てのP450酵素を含有しているヒト肝から得られる。それらは個体間のばらつきを考慮するためにいくつかのドナーから得られているので、ミクロソームのプールに由来する。

・ミクロソームのインキュベーション 不可逆的に阻害されたミクロソームのバッチの各々の調製のために、対照バッチは、不可逆的阻害剤が等容量の溶媒によって置き換えられているという差を有する同じ条件下で調製される。

試験されるシトクロムP450の非可逆的阻害剤(又は、対照バッチでは溶媒)を、ミクロソームと共に、トリス/HCl緩衝液(pH7.4)及びMgCl2中で37℃で撹拌しながらインキュベートする。調製物を一般的に5〜10分間予熱し、次いでNADPHを加えて酵素反応を開始する。tの時点で、反応混合物を数分間氷に入れ、その後、濃縮工程へと進む。共有結合によって接続された酵素/阻害剤の複合体は、ミクロソームを不可逆的阻害剤と共にインキュベーションする経過において形成される。試験されるシトクロムP450は、不可逆的に、完全に、特異的に阻害される。

・不可逆的に失活させたミクロソームの濾過及び濃縮 ミクロソームを、シトクロムP450の非可逆的阻害剤と共にインキュベーションすることから得られた試料を濾過する。このタンパク質濾過工程を、10,000〜40,000ダルトンのカットオフ閾値を有する膜を使用して行なうことができる。セントリコン(登録商標)システムを使用して、この濾過工程を行なう。

1回以上の洗浄工程が、時には、遊離したままである不可逆的阻害剤の除去を促進するために必要である。試料を3000g〜4000gで80分間、次いで800〜1000gで5分間遠心分離にかける。試料は連続的な遠心分離を受けることにより、ミクロソームタンパク質の濃縮を最適化させることができる。

適切な場合には、ミクロソームの濃縮試料をその後、超遠心分離にかけて、タンパク質の濃縮をさらに向上させる。超遠心分離は80,000gで4時間から150,000gで45分間、好ましくは100,000gで1時間という一連の条件下で行なわれる。

タンパク質濃縮液をトリス/HCl緩衝液(pH7.4)にとり、次いで分注し、−80℃で凍結させる。

この調製の終了時に、活性成分の代謝に関与する酵素反応の表現型決定のために即時に使用することのできる、単離された不可逆的に失活させたミクロソームが得られる。

実施例2:主なシトクロムP450の阻害の条件、及び、シトクロムP450の特異的基質上で不可逆的に阻害されたミクロソームの検証 ・CYP1A2 フラフィリンは、シトクロムCYP1A2のMBI阻害剤の1つである。CYP1A2上でのフラフィリンによる最大のMBI阻害のための実験条件は以下の通りである: −2mg/mlのミクロソームタンパク質; −10μMのフラフィリン; −30分間のプレインキュベーション時間。

4.5μM(そのKmより低いか又はそれに等しい濃度)のCYP1A2の特異的基質であるフェナセチンを、上記の条件下で事前に阻害されたミクロソームと共にインキュベーションした後、フェナセチンデアセチラーゼ活性(CYP1A1依存性/CYP1A2依存性)の阻害率は83%である(図1)。残りの17%の代謝は、CYP1A1に関連したフェナセチンデアセチラーゼ残留活性に起因し、CYP1A2の阻害の欠乏に起因するものではないことを注記する。実際に、不飽和条件下(5μM未満)でインキュベートされたフェナセチンは、大半がCYP1A2によって代謝され、一部がCYP1A1によって代謝されることが知られている。

ヒト組換えCYP1A2と共に30分間プレインキュベートされた5μM〜10μMのフラフィリンは、フェナセチンの純粋なCYP1A2活性の100%の阻害をもたらし、これにより、選択された条件下でのその最大の阻害力が証明される(図2)。

フェナセチンを、CYP1A2に対するそのKmよりも非常にはるかに高い濃度で、上記の条件下で調製された不可逆的に阻害されたミクロソームの存在下及び対照バッチの存在下でインキュベートする場合、フェナセチンデアセチラーゼ活性(CYP1A1依存性/CYP1A2依存性)の阻害率は依然として約80%である。この結果は、フラフィリンによるCYP1A2の阻害が、過剰の基質によって影響を受けず、競合型の阻害は全く検出できないことを証明する。

他の主要なCYP450(CYP2A6、2B6、2C8、2C9、2C19、2D6、2E1、及び3A4)の特異的な基質を、フラフィリンによって不可逆的に阻害されたヒト肝のバッチの存在下、及び上記に定義されている対照バッチの存在下でインキュベートして、フラフィリンの特異性を実証した。他の主要なCYP450の活性は依然として未変化であることが観察される。

これらの全ての結果は、本発明に従って単離されCYP1A2に関して不可逆的かつ特異的に阻害されたミクロソームを、活性成分又は薬物候補の代謝に対するCYP1A2の寄与を測定するために有益に使用することができることを示す。

・CYP3A4 アザムリンは、シトクロムCYP3A4のMBI阻害剤の1つである。CYP3A4の存在下におけるアザムリンによる最大のMBI阻害のための実験条件は以下の通りである: −2mg/mlのミクロソームタンパク質; −5μMのアザムリン; −15分間のプレインキュベーション時間。

上記に詳述されている条件下で調製された不可逆的に阻害されたミクロソームの存在下、及び対照バッチの存在下で、CYP3A4の特異的基質である0.5μMのミダゾラム、30μMのテストステロン、及び10μMのニフェジピン(基質のKmよりも低いか又は等しい濃度)をインキュベーションした後、ミダゾラム−1’−ヒドロキシラーゼ、テストステロン−6β−ヒドロキシラーゼ及びニフェジピン−レダクターゼ(CYP3A4依存性/CYP3A5依存性)の活性の阻害率は、それぞれ81%、96%、及び83%である(図3)。残りの19%、4%及び17%の代謝は、CYP3A5活性に起因するものであり、CYP3A4の阻害の欠如に起因するものではないことを注記する。実際に、3つの特異的な基質(より具体的にはニフェジピン及びミダゾラム)は、主に、CYP3A4によって代謝されるが、CYP3A5によっても代謝されることが知られている。図4は特に、組換えミクロソーム(バクトソーム)CYP3A4及びCYP3A5によるニフェジピンの代謝を示す。ヒト組換えCYP3A4と共に15分間プレインキュベートされた5μMのアザムリンは、ミダゾラムの純粋なCYP3A4活性の約92%の阻害をもたらし、選択された条件下でのその最大阻害力を証明する。CYP3A4の特異的基質(ミダゾラムの例を使用)を、CYP3A4に対するそのKmよりも非常にはるかに高い濃度で、本発明に従って事前に調製されたミクロソームと共にインキュベートする場合、CYP3A4依存性活性の阻害率は依然として未変化である(図5)。この結果は、アザムリンによるCYP3A4の阻害が過剰の基質によって影響を受けず、競合型の阻害は全く検出できないことを証明する。

他の主要なCYP450(CYP1A2、CYP2A6、2B6、2C8、2C9、2C19、2D6及び2E1)の特異的基質を、アザムリンによって不可逆的に阻害されたヒト肝ミクロソームのバッチの存在下、及び上記に定義された条件下の対照バッチの存在下でインキュベートし、アザムリンの特異性を実証した。図3は、他の主要なCYP450の活性が、不可逆的に阻害されたヒトミクロソームのバッチと対照バッチとの間で依然として未変化であることを示し、このことはアザムリンが実際にCYP3A4活性に対して特異的であることを実証する。

これらの全ての結果は、本発明に従って単離されCYP3A4に関して不可逆的かつ特異的に阻害されたミクロソームを、活性成分又は薬物候補の代謝に対するCYP3A4の寄与を測定するために有益に使用することができることを示す。

・CYP2C8 ゲムフィブロジルグルクロニドは、シトクロムCYP2C8のMBI阻害剤の1つである。CYP2C8の存在下におけるゲムフィブロジルグルクロニドによる最大のMBI阻害のための実験条件は以下の通りである: −2mg/mlのミクロソームタンパク質; −30μMのゲムフィブロジルグルクロニド; −30分間のプレインキュベーション時間。

本発明に従って調製された不可逆的に阻害されたミクロソームの存在下、及び対照バッチの存在下において、CYP2C8の特異的基質である、0.5μMのアモジアキン又は4μMのパクリタキセル(CYP2C8の2つの基質のKmよりも低いか又は等しい濃度)をインキュベーションした後、アモジアキン−ヒドロキシラーゼ(CYP2C8)及びパクリタキセル−ヒドロキシラーゼ(CYP2C8依存性)の活性の阻害率はそれぞれ88%及び100%(図6)である。

アモジアキンを、CYP2C8に対するそのKmより非常にはるかに高い濃度で、上記したのと同じ条件下でインキュベートする場合、アモジアキンヒドロキシラーゼ活性の阻害率は依然として未変化である(図7)。この結果は、アモジアキンによるCYP2C8の阻害が、過剰の基質によって影響を受けず、競合型阻害は全く検出できないことを証明する。

ゲムフィブロジルグルクロニドの特異性を実証するために、他の主要なCYP450の特異的基質を、上記に定義された条件下でインキュベートした。図6は、他の主要なCYP450の活性は、不可逆的に阻害されたヒトミクロソームのバッチと対照バッチとの間では、CYP2C19が僅かに阻害されていることを除いて、依然として未変化であることを示し、このことは、ゲムフィブロジルグルクロニドが、実際にCYP2C8活性に対して特異的であることを実証する。

これらの全ての結果は、本発明に従って単離されCYP2C8に関して不可逆的に阻害されたミクロソームを、活性成分又は薬物候補の代謝に対するCYP2C8の寄与を測定するために有益に使用することができることを示す。

・CYP2C9 チエニル酸は、シトクロムCYP2C9のMBI阻害剤の1つである。CYP2C9の存在下におけるチエニル酸による最大のMBI阻害のための実験条件は、以下の通りである: −2mg/mlのミクロソームタンパク質; −10μMのチエニル酸; −20分間のプレインキュベーション時間。

CYP2C9の特異的基質である、4μM(CYP2C9に対する基質のKmよりも低いか又は等しい濃度)及び100μM(CYP2C9に対するそのKmよりも非常にはるかに高い濃度)のジクロフェナクを、本発明に従って調製された不可逆的に阻害されたミクロソームの存在下及び対照バッチの存在下でインキュベートした後、ジクロフェナクヒドロキシラーゼ(CYP2C9依存性)活性の阻害は、ほぼ完全であり、すなわちそれぞれ92%及び88%である(図8)。この結果は、CYP2C9の阻害が完全であるだけでなく、それは過剰の基質によっても影響を受けず、競合型阻害は全く検出できないことを証明する。

チエニル酸の特異性を実証するために、他の主要なCYP450の特異的基質を、上記に定義された条件下でインキュベートした。図9は、他の主要なCYP450の活性は、不可逆的に阻害されたミクロソームのバッチと対照バッチとの間で依然として未変化であり、このことは、チエニル酸が実際にCYP2C9活性に対して特異的であることを実証する。

これらの全ての結果は、本発明に従って単離されCYP2C9に関して不可逆的に阻害されたミクロソームを、活性成分又は薬物候補の代謝に対するCYP2C9の寄与を測定するために有益に使用することができることを示す。

・CYP2D6 パロキセチンは、シトクロムCYP2D6のMBI阻害剤の1つである。CYP2D6の存在下におけるパロキセチンによる最大のMBI阻害のための実験条件は以下の通りである: −2mg/mlのミクロソームタンパク質; −50μMのパロキセチン; −30分間のプレインキュベーション時間。

CYP2D6の特異的基質である、5μM(基質のKmよりも低いか又は等しい濃度)及び50μM(CYP2D6に対するそのKmよりも非常にはるかに高い濃度)のデキストロメトルファンを、本発明に従って調製された不可逆的に阻害されたミクロソームの存在下及び対照バッチの存在下でインキュベートした後、デキストロメトルファン−O−デメチラーゼ(CYP2D6依存性)活性の阻害はほぼ完全であり、すなわち96%阻害である(図10)。この結果は、CYP2D6の阻害は完全であり、それは過剰な基質によって影響を受けず、競合型阻害は全く検出できないことを証明する。

パロキセチンの特異性を実証するために、他の主要なCYP450の特異的基質を、上記に定義された条件下でインキュベートした。図10は、全ての他のCYP450活性の中で、CYP2D6の他に、CYP2B6のブプロピオンヒドロキシラーゼ依存性活性のみが91%阻害されることを示し、このことはパロキセチンがCYP2D6活性に対して完全に特異的ではないことを実証する。

これらの全ての結果は、本発明に従って調製されたミクロソームが、CYP2D6活性を完全かつほぼ特異的に阻害することを可能とすることを示す。それ故、それらを新薬候補の代謝に対するCYP2D6/CYP2B6の寄与を測定するために使用することができる。

・CYP2B6 チオテパは、シトクロムCYP2B6のMBI阻害剤の1つである。CYP2B6の存在下におけるチオテパによる最大のMBI阻害のための実験条件は以下の通りである: −2mg/mlのミクロソームタンパク質; −15μMのチオテパ; −30分間のプレインキュベーション時間。

CYP2B6の特異的基質である100μMのブプロピオンを、本発明に従って調製された不可逆的に阻害されたミクロソームの存在下及び対照バッチの存在下でインキュベートした後、ブプロピオンヒドロキシラーゼ(CYP2B6依存性)活性の阻害は、ほぼ完全であり、すなわち92%阻害である(図11)。この結果は、CYP2B6の阻害が完全であり、それは過剰の基質によって影響を受けず、競合型阻害は全く検出できないことを証明する。

チオテパの特異性を実証するために、他の主要なCYP450の特異的基質を、上記に定義された条件下でインキュベートした。図11は、全ての他のCYP450活性の中で、CYP2B6の他に、CYP2A6のクマリンヒドロキシラーゼ依存性活性のみが64%阻害されることを示し、このことは、チオテパがCYP2B6活性に対して完全に特異的ではないことを実証する。

これらの全ての結果は、本発明に従って調製されたミクロソームが、CYP2B6活性を完全かつほぼ特異的に阻害することを可能とすることを示す。それ故、それらを新薬候補の代謝に対するCYP2B6/CYP2A6の寄与を測定するために使用することができる。

実施例3:単離され、不可逆的に阻害され、凍結によって保存されていたミクロソームにおけるシトクロムP450の阻害の安定性 本発明に従って濃縮され−80℃で保存されている、CYP1A2に関して不可逆的に阻害された単離されたヒト肝ミクロソームを1mg/mLで、CYP1A2の特異的基質であるフェナセチン(4.5μM)と共に15分間インキュベートする。本発明に従って得られ、−80℃で48時間、1か月間、及び1.5か月間保存されたミクロソームについての阻害率を測定した(図12)。濃縮及び凍結/解凍の工程は、フラフィリンによるCYP1A2のMBI阻害には影響を及ぼさないことが観察される。

凍結及び解凍の工程は、シトクロムP450の不可逆的阻害の安定性に影響を及ぼさない。

実施例4:生体異物の代謝経路の酵素表現型を決定するための不可逆的に阻害された単離されたミクロソームのキット 9個の活性成分(ミルタザピン、ロペラミド、ブプロピオン、イブプロフェン、セレコキシブ、ピオグリタゾン、ボルテゾミブ、レパグリニド、セルトラリン)を、9個の該生体異物の代謝経路の酵素表現型を決定するために、本発明に記載の不可逆的に阻害された単離されたミクロソームのキットで試験した。9個の活性成分は、以下の工程を含む本発明に記載の酵素反応の表現型を決定する方法による試験であった: −本発明に従って単離され不可逆的に阻害されたミクロソームを、評価しようとする活性成分と共にインキュベート; −活性成分の代謝に関与する不可逆的に阻害されたシトクロムP450の寄与の測定。

5mMのMgCl2の添加されたトリス/HCl緩衝液(0.1mM、pH7.4)中0.1μMの、それぞれの活性成分を、一方ではCYP450 1A2、2B6、2C8、2C9、2D6及び3D4について不可逆的に阻害された単離された肝ミクロソームの存在下で、他方では、本発明に従って調製された単離された阻害されていない肝ミクロソーム(相同な対照)の存在下で37℃でインキュベートした。反応を、1mMのNADPHの添加によって開始する。インキュベーションは動態形でモニタリングする。7分間、17分間、30分間、次いで60分間のインキュベーション時点で、インキュベーションのアリコート(100μL)をサンプリングし、そのアリコートに、10分間氷に入れたある容量の溶媒(メタノール 100μL)を添加することによって酵素反応を停止する。

インキュベーションの各時点で、活性成分を、質量分析(MS)と連動させた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって定量する。

活性成分の代謝活性(A)は、阻害された条件(活性Ai)及び阻害されていない条件(活性Aを有する対照)という2つの条件下における未変化の活性成分の固有代謝クリアランスを介して測定される。算出された阻害率(阻害率=(A−Ai)/A)は、活性成分の代謝に関与する不可逆的に阻害されたシトクロムP450の寄与に直接相当する。

・ミルタザピン ミルタザピンを、その固有クリアランスの最適な測定を可能とする2mg/mlの濃度のミクロソームタンパク質と共に、以前に記載された条件下でインキュベートした。対照ミクロソーム(阻害されておらず、本発明に従って調製された)の存在下で、3.9〜7.8ml/分/g(タンパク質)の固有クリアランスが測定された。対照ミクロソームと比較して、CYP450 1A2、2D6、及び3A4についてそれぞれ不可逆的に阻害された単離された肝ミクロソームの存在下で、ミルタザピンの固有クリアランスの41%、36%、及び24%の阻害が判明した(図13及び14)。CYP450 2B6、2C8、2C9について不可逆的に阻害された単離された肝ミクロソームの存在下では、ミルタザピンの固有クリアランスの有意な阻害は全く観察されなかった。有意な阻害とは、25%未満の固有クリアランスであると理解され、この比率は、肝ミクロソームでのクリアランスの測定値に観察されたばらつきの閾値を示す。結果として、ミルタザピンの酸化的代謝には、それぞれ41%、36%及び24%のレベルでCYP450 1A2、2D6及び3A4が関与する。

主要なヒトのCYP450を過剰発現している組換えミクロソームの存在下で2.5〜1000μMのミルタザピンをインキュベートした後、及び、このような各々のCYP450に適した補正係数を測定した後、Stoermer et al.(Metabolism of the antidepressant mirtazapine in vitro: contribution of cytochromes P-450 1A2, 2D6 and 3A4. Drug Metab Dispos. 2000; 28(10): 1168-1175)は、CYP450 1A2、2D6及び3A4が、それぞれ、ミルタザピンの代謝に41%、39%及び23%関与していることを示した。本発明に従って単離され不可逆的に阻害されたミクロソームのキットを用いて得られた結果は、Stoermer et al.によって得られた結果によって確証される(表1)。

本発明に記載のキットは、ミルタザピンの酸化的代謝におけるCYP450の関与を、CYP450について不可逆的に阻害された単離された肝ミクロソームの存在下における固有クリアランスと、対照ミクロソームの存在下における固有クリアランスとの単純な比較によって推定することを可能とする。

これに対し、ミルタザピンの酵素経路の表現型の決定のための、ヒトCYP450を過剰発現している組換えミクロソームの使用は、一方ではミルタザピンの存在下で、他方では特異的な基質の存在下で、第一にヒトCYP450を過剰発現している組換えミクロソームにおいて、第二に補正係数を測定するためのヒト肝ミクロソームにおいて、各々のCYP450活性を特徴付けることを必要とする、間接的な測定を必要とする。

表1:本発明に従って単離され不可逆的に阻害されたミクロソームのキットから出発して得られた、及びヒト組換え酵素を用いて得られた(Stoermer et al.)、ミルタザピンの酸化的代謝におけるCYP450の関与率

・ロペラミド ロペラミドを、その固有クリアランスの最適な測定を可能とする2mg/mlの濃度のミクロソームタンパク質と共に、以前に記載された条件下でインキュベートした。対照ミクロソームの存在下では(阻害されておらず、本発明に従って調製された)、14.5〜17.2ml/分/g(タンパク質)の固有クリアランスが測定された。対照ミクロソームと比較して、それぞれCYP450 3A4及び2C8について不可逆的に阻害された単離された肝ミクロソームの存在下において、53%及び40%のロペラミドの固有クリアランスの阻害が判明した(図15及び16)。CYP450 1A2、2B6、2C9、2D6について不可逆的に阻害された単離された肝ミクロソームの存在下においては、ロペラミドの固有クリアランスの有意な阻害は全く観察されなかった。有意な阻害とは、25%未満の固有クリアランスであると理解され、この比率は、肝ミクロソームでのクリアランスの測定値に観察されたばらつきの閾値を示す。結果として、ロペラミドの酸化的代謝には、それぞれ53%及び40%のレベルでCYP450 3A4及び2C8が関与する。

健康な試験志願者の試験は、CYP2C8の阻害剤であるゲムフィブロジル 600mgの経口投与が、経口で共投与されたロペラミド 4mgに対する曝露(AUC)を2.2倍増加させることを示す(Niemi et al. Itraconazole, gemfibrozil and their combination markedly raise the plasma concentrations of loperamide. Eur J Clin Pharmacol. 2006; 62: 463-472)。このような曝露の増加は、ロペラミドの全身クリアランスにCYP2C8が55%関与していると推定されていることに対応する。この同じインビボでの試験において、CYP3A4の阻害剤であるイトラコナゾール 100mgと、ロペラミド 4mgの共投与は、3.8倍の曝露の増加を示し、これは、ロペラミドの全身クリアランスの約74%に相当する。

さらに、Tayrouz et al.(Ritonavir increases loperamide plasma concentrations without evidence for P-glycoprotein involvement. Clin Pharmacol Ther. 2001 Nov;70(5):405-14)は、健康な試験志願者において、CYP3A4の阻害剤であるリトナビル 600mgと、ロペラミド 16mgの共投与が、2.65倍の曝露の増加を引き起こし、これは、ロペラミドの全身クリアランスの62%に相当する。

本発明に従って単離され不可逆的に阻害されたミクロソームのキットを用いて得られた結果(表2)は、Niemi et al.及びTayrouz et al.による臨床状況に記載されたデータによって確証される。

表2:本発明に従って単離され不可逆的に阻害されたミクロソームのキットから出発して得られた、及び健康試験志願者において得られた(Niemi et al.; Tayrouz et al.)、ロペラミドの酸化的代謝におけるCYP450の関与率

・ブプロピオン ブプロピオンを、その固有クリアランスの最適な測定を可能とする、2mg/mlの濃度のミクロソームタンパク質と共に、以前に記載された条件下でインキュベートした。対照ミクロソーム(阻害されておらず、本発明に従って調製された)の存在下で、6.7〜10.6ml/分/g(タンパク質)の固有クリアランスが測定された。対照ミクロソームと比較して、CYP450 2B6について不可逆的に阻害された単離された肝ミクロソームの存在下で、89%のブプロピオンの固有クリアランスの阻害が判明した(図17及び18)。CYP2D6について不可逆的に阻害された単離された肝ミクロソームの存在下でも、84%のブプロピオンの固有クリアランスの阻害が観察された。CYP2D6のMBI阻害剤であるパロキセチンは特異的ではなく、CYP2B6も阻害するという知識から、CYP2D6の阻害は、現実にはCYP2B6の阻害に相当すると推定される。

CYP450 1A2、2C8、2C9及び3A4について不可逆的に阻害された単離された肝ミクロソームの存在下で、ブプロピオンの固有クリアランスの有意な阻害は全く観察されなかった。有意な阻害とは、25%未満の固有クリアランスであると理解され、この比率は、肝ミクロソームでのクリアランスの測定値に観察されたばらつきの閾値を示す。結果として、ブプロピオンの酸化的代謝には、89%のレベルでCYP450 2B6が関与する。

米国食品医薬品局は、ブプロピオンが、ヒトにおけるインビボでの相互作用試験においてCYP2B6の最も感受性である基質であると示唆する(医薬品開発と薬物相互作用に関する米国食品医薬品局のウェブサイト、http://www.fda.gov/Drugs/GuidanceComplianceRegulatoryInformation/Guidances/default.htm及びhttp://www.fda.gov/Drugs/DevelopmentApprovalProcess/DevelopmentResources/DrugInteractionsLabelin 1277 g/ucm080499.htm)。

本発明に従って単離され不可逆的に阻害されたミクロソームのキットを用いて得られた結果は、米国食品医薬品局によって記載されたデータによって確証される。

表3:本発明に従って単離され不可逆的に阻害されたミクロソームのキットから出発して得られた、ブプロピオンの酸化的代謝におけるCYP450の関与率

・イブプロフェン イブプロフェンを、その固有クリアランスの最適な測定を可能とする、0.25mg/mlの濃度のミクロソームタンパク質と共に、以前に記載された条件下でインキュベートした。対照ミクロソーム(阻害されておらず、本発明に従って調製された)の存在下で、31〜54ml/分/g(タンパク質)の固有クリアランスが測定された。対照ミクロソームと比較して、CYP450 2C9について不可逆的に阻害された単離された肝ミクロソームの存在下で、90%のイブプロフェンの固有クリアランスの阻害が判明した(図19及び20)。

CYP450 1A2、2B6、2D6、2C8及び3A4について不可逆的に阻害された単離された肝ミクロソームの存在下においては、イブプロフェンの固有クリアランスの有意な阻害は全く観察されなかった。有意な阻害とは、25%未満の固有クリアランスであると理解され、この比率は、肝ミクロソームでのクリアランスの測定値に観察されたばらつきの閾値を示す。結果として、ロペラミドの酸化的代謝には、90%のレベルでCYP450 2C7が関与する。

主要なヒトのCYP450を過剰発現している組換えミクロソームの存在下で3μMのイブプロフェンをインキュベートした後、及び、このような各々のCYP450に適した補正係数を測定した後、McGinnity et al.(Automated definition of the enzymology of drug oxidation by the major human drug metabolizing cytochrome P450s. Drug Metab Dispos. 2000 Nov;28(11):1327-34)は、CYP450 2C9が、イブプロフェンの代謝に90%のレベルで関与していることを示した。本発明に従って単離され不可逆的に阻害されたミクロソームのキットを用いて得られた結果は、McGinnity et al.によって得られたデータによって確証される(表4)。本発明に記載のキットは、イブプロフェンの酸化的代謝におけるCYP450の関与を、本発明に記載のミクロソームの固有クリアランスと、対照ミクロソームの固有クリアランスとの間の単純な比較によって確立することが想起されるだろう。これとは対照的に、組換えミクロソームの使用は、手順の増加を必要とする間接的な測定を必要とする。

さらに、健康な試験志願者における試験は、フルコナゾール 400mgの経口投与が、経口で共投与されたイブプロフェン 400mgに対する曝露(AUC)を83%増加させることを示す(Hynninen et al. Effects of the Antifungals Voriconazole and Fluconazole on the Pharmacokinetics of S-(+)- and R-(-)-Ibuprofen. Antimicrob Agents Chemother. Jun 2006; 50(6): 1967-1972)。Lazar et al.(Drug interactions with fluconazole. Rev Infect Dis. 1990 Mar-Apr;12 Suppl 3:S327-33)は、CYP2C9の阻害剤であるフルコナゾールが、CYP2C9に対して感受性であると認識されている基質であるトルブタミドへの109%の曝露の増加をもたらすことを示した(fm=80%、Brown et al. Prediction of in vivo drug-drug interactions from in vitrodata: impact of incorporating parallel pathways of drug elimination and inhibitor absorption rate constant. Br J Clin Pharmacol. 2005 Nov; 60(5):508-18)。イブプロフェン及びトルブタミドへの曝露の増加は、ヒトへの同阻害剤の共投与後と非常に似ているので、これらの2つの分子の代謝に対するCYP2C9の寄与は非常に似ていると結論付けることが可能である。本発明のキットを用いて得られた結果が確認され(表4)、この結果は、臨床状況と比較して、このインビトロモデルの優れた代表性を実証する。

表4:単離され不可逆的に阻害されたミクロソームのキットから出発して得られた、組換えヒト酵素の存在下で得られた(McGinnity et al.)、及び健康な被験者におけるインビボ状況において得られた(Hynninen et al., Lazar et al.及びBrown et al.)、イブプロフェンの酸化的代謝におけるCYP450の関与率

・セレコキシブ セレコキシブを、その固有クリアランスの最適な測定を可能とする、2mg/mlの濃度のミクロソームタンパク質と共に、以前に記載された条件下でインキュベートした。対照ミクロソーム(阻害されておらず、本発明に従って調製された)の存在下で、13.4〜18.9ml/分/g(タンパク質)の固有クリアランスが測定された。対照ミクロソームと比較して、CYP450 2C9について不可逆的に阻害された単離された肝ミクロソームの存在下で、81%のセレコキシブの固有クリアランスの阻害が判明した(図21及び22)。CYP450 1A2、2B6、2D6、2C8及び3A4について不可逆的に阻害された単離された肝ミクロソームの存在下においては、セレコキシブの固有クリアランスの有意な阻害は全く観察されなかった。有意な阻害とは、25%未満の固有クリアランスであると理解され、この比率は、肝ミクロソームでのクリアランスの測定値に観察されたばらつきの閾値を示す。結果として、セレコキシブの酸化的代謝には、81%のレベルでCYP450 2C9が関与する。

健康な試験志願者の試験は、フルコナゾール 200mgの反復経口投与が、経口で共投与されたセレコキシブ 200mg(新薬承認申請020998 1988−12−31、ファルマシア社)への曝露(AUC)を134%増加させることを示す。

セレコキシブに対する及び上記のトルブタミドに対する曝露の増加は(Lazar et al.)、ヒトへのフルコナゾールの共投与後に非常に似ているので、これらの2つの活性成分の代謝に対するCYP2C9の寄与は非常に似ていると結論付けることが可能である。Brown et al.は、トルブタミドにおけるCYP2C9の80%の関与を示した。本発明に従って不可逆的に阻害された単離されたミクロソームのキットを用いて得られた結果は、臨床状況と比較して、このインビトロモデルの良好な代表性を実証する(表5)。

表5:本発明に従って不可逆的に阻害された単離されたミクロソームのキットから出発して得られた、及び健康な被験者におけるインビボ状況において得られた、セレコキシブの酸化的代謝におけるCYP450の関与率(新薬承認申請020998、Lazar et al.及びBrown et al.)

・ピオグリタゾン ピオグリタゾンを、その固有クリアランスの最適な測定を可能とする、0.2mg/mlの濃度のミクロソームタンパク質と共に、以前に記載された条件下でインキュベートした。対照ミクロソーム(阻害されておらず、本発明に従って調製された)の存在下で、43〜70ml/分/g(タンパク質)の固有クリアランスが測定された。対照ミクロソームと比較して、CYP450 2C8について不可逆的に阻害された単離された肝ミクロソームの存在下で、69%のピオグリタゾンの固有クリアランスの阻害が判明した(図23及び24)。

CYP450 1A2、2B6、2D6、2C9及び3A4について不可逆的に阻害された単離された肝ミクロソームの存在下においては、ピオグリタゾンの固有クリアランスの有意な阻害は全く観察されなかった。有意な阻害とは、25%未満の固有クリアランスであると理解され、この比率は、肝ミクロソームでのクリアランスの測定値に観察されたばらつきの閾値を示す。結果として、ピオグリタゾンの酸化的代謝には、69%のレベルでCYP450 2C8が関与する。

健康な試験志願者の試験は、CYP2C8の阻害剤であるゲムフィブロジル 600mgの反復経口投与が、経口で共投与されたピオグリタゾン 3mgへの曝露(AUC)を239%増加させることを示す(Deng et al. Effect of gemfibrozil on the pharmacokinetics of pioglitazone. Eur J Clin Pharmacol, 2005, 61, 831-6)。このような曝露の増加は、ピオグリタゾンの全身クリアランスの71%であると推定されるCYP2C8の関与に対応する。それ故、本発明に記載のキットを用いて得られた結果は、Deng et al.による臨床状況に記載されたデータを確証する(表6)。

表6:本発明に従って不可逆的に阻害された単離されたミクロソームのキットから出発して得られた、及びインビボ状況において得られた(Deng et al.)、ピオグリタゾンの酸化的代謝におけるCYP450の関与率

・ボルテゾミブ ボルテゾミブを、その固有クリアランスの最適な測定を可能とする、1.5mg/mlの濃度のミクロソームタンパク質と共に、以前に記載された条件下でインキュベートした。対照ミクロソーム(阻害されておらず、本発明に従って調製された)の存在下で、6.9〜11ml/分/g(タンパク質)の固有クリアランスが測定された。対照ミクロソームと比較して、CYP450 3A4について不可逆的に阻害された単離された肝ミクロソームの存在下で、73%のボルテゾミブの固有クリアランスの阻害が判明した(図25及び26)。

CYP450 1A2、2B6、2D6、2C8及び2C9について不可逆的に阻害された単離された肝ミクロソームの存在下においては、ボルテゾミブの固有クリアランスの有意な阻害は全く観察されなかった。有意な阻害とは、25%未満の固有クリアランスであると理解され、この比率は、肝ミクロソームでのクリアランスの測定値に観察されたばらつきの閾値を示す。結果として、ボルテゾミブの酸化的代謝には、73%のレベルでCYP450 3A4が関与する。

Uttamsingh et al.(Relative contributions of the five major human cytochromes p450, 1A2, 2C9, 2C19, 2D6, and 3A4, to the hepatic metabolism of the proteasome inhibitor bortezomib. Drug Metab Dipos 2005, 33 (11):1723-1728)は、抗CYP 3A4モノクローナル抗体が、ヒト肝ミクロソームによるボルテゾミブ(2μM)の代謝の79%を阻害することを示した。それ故、本発明に記載のキットを用いて得られた結果は、Uttamsingh et al.によって記載されたデータを確証する(表7)。

表7:本発明に従って不可逆的に阻害された単離されたミクロソームのキットから出発して得られた、及び、特異的なモノクローナル抗体によって阻害されたヒト肝ミクロソーム(Uttamsingh et al.)から出発して得られた、ボルテゾミブの酸化的代謝におけるCYP450の関与率

・レパグリニド レパグリニドを、その固有クリアランスの最適な測定を可能とする、2mg/mlの濃度のミクロソームタンパク質と共に、以前に記載された条件下でインキュベートした。対照ミクロソーム(阻害されておらず、本発明に従って調製された)の存在下で、38.4〜48.9ml/分/g(タンパク質)の固有クリアランスが測定された。対照ミクロソームと比較して、CYP450 2C8について不可逆的に阻害された単離された肝ミクロソームの存在下で、80%のレパグリニドの固有クリアランスの阻害が判明した(図27及び28)。CYP450 1A2、2B6、2D6、2C9及び3A4について不可逆的に阻害された単離された肝ミクロソームの存在下においては、レパグリニドの固有クリアランスの有意な阻害は全く観察されなかった。有意な阻害とは、25%未満の固有クリアランスであると理解され、この比率は、肝ミクロソームでのクリアランスの測定値に観察されたばらつきの閾値を示す。結果として、レパグリニドの酸化的代謝には、80%のレベルでCYP450 2C8が関与する。

健康な試験志願者の試験は、CYP2C8の阻害剤であるゲムフィブロジル(900mgまで)の経口投与が、経口で共投与されたレパグリニド 0.25mgへの曝露(AUC)を8.3倍増加させることを示す(Honkalammi J. et al. Dose-Dependent Interaction between gemfibrozil and repaglinide in humans: strong inhibition of CYP2C8 with subtherapeutic gemfibrozil doses. Drug Metab Dispos, 2011, 39, 1977-1986)。このような曝露の増加は、レパグリニドの全身クリアランスの88%であると推定されるCYP2C8の関与に対応する。本発明に従って不可逆的に阻害された単離されたミクロソームのキットを用いて得られた結果は、Honkalammi J. et al.による臨床状況に記載されたデータによって確証される(表8)。

表8:本発明に従って不可逆的に阻害された単離されたミクロソームのキットから出発して得られた、及び健康な被験者のインビボでの状況において得られた、レパグリニドの酸化的代謝におけるCYP450の関与率(Honkalammi J. et al.)

・セルトラリン セルトラリンを、その固有クリアランスの最適な測定を可能とする、0.2mg/mlの濃度のミクロソームタンパク質と共に、以前に記載された条件下でインキュベートした。対照ミクロソーム(阻害されておらず、本発明に従って調製された)の存在下で、52.5〜70.5ml/分/g(タンパク質)の固有クリアランスが測定された。対照ミクロソームと比較して、CYP450 2B6について不可逆的に阻害された単離された肝ミクロソームの存在下で、セルトラリンの固有クリアランスの58%の阻害が判明した(図29及び30)。CYP2D6について不可逆的に阻害された単離された肝ミクロソームの存在下においては、セルトラリンの固有クリアランスの64%の阻害も観察された。CYP2D6のMBI阻害剤であるパロキセチンは特異的ではなくCYP2B6も阻害するという知識から、CYP2D6の阻害は、現実にはCYP2B6の阻害に相当すると推定される。

CYP450 1A2、2C8、2C9及び3A4について不可逆的に阻害された単離された肝ミクロソームの存在下で、セルトラリンの固有クリアランスの有意な阻害は全く観察されなかった。有意な阻害とは、25%未満の固有クリアランスであると理解され、この比率は、肝ミクロソームでのクリアランスの測定値に観察されたばらつきの閾値を示す。結果として、セルトラリンの酸化的代謝には、58%のレベルでCYP450 2B6が関与する。

ヒト肝ミクロソーム及びCYP450の特異的阻害剤の存在下でセルトラリンをインキュベートした後、Obach S et al.(Sertraline is metabolized by multiple cytochrome P450 enzymes, monoamine oxidases, and glucuronyl transferases in human: an in vitro study. Drug Metab Dispos. 2005 Feb;33(2):262-70)は、主要なCYP450の中で、CYP2B6が最もセルトラリンの代謝に寄与し、その関与は15〜65%であることを示した(ヒト肝のプールにおいては60%)。本発明に記載のキットを用いて得られた結果は、Obach S et al.によって記載された結果によって確証される(表9)。

表9:単離され不可逆的に阻害されたミクロソームのキットから出発して得られた、及び、CYP450の存在下又は非存在下におけるヒト肝ミクロソームにおいて得られた(Obach S et al.)、セルトラリンの酸化的代謝におけるCYP450の関与率

得られた結果は、表現型決定用のキットを使用してインビトロで測定された、選択された活性成分の代謝に関与する酵素の寄与は、インビボデータ及び/又は他のインビトロモデルから得られたデータに基づいて推定又は測定されたものと非常に似ているか又は同一でさえあることを示す。臨床データと比較した生体異物の代謝経路の酵素の表現型決定の脈絡で、可逆的に阻害され単離され凍結保存されたミクロソームのキットの有効性の検証は、ヒトにおけるインビボでの状況と比較して、このインビトロモデルの代表性を実証する。

さらに、活性成分の代謝に対する酵素の寄与の直接的な測定がもたらされることは、時間及び解析施設の点から恩恵が得られるだけでなく、他のインビトロモデルを行なう際の操作の増加に特有の誤差を回避することも可能となる。

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