E1酵素変異体およびその用途

申请号 JP2014534774 申请日 2012-10-05 公开(公告)号 JP2015502137A 公开(公告)日 2015-01-22
申请人 ミレニアム ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッドMillennium Pharmaceuticals, Inc.; ミレニアム ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッドMillennium Pharmaceuticals, Inc.; 发明人 ベンジャミン ストーン アミドン,; ベンジャミン ストーン アミドン,; ジェイムズ ブラウネル,; ジェイムズ ブラウネル,; ジェイムズ エム. ギャビン,; ジェイムズ エム. ギャビン,; エリック エム. コーニッグ,; エリック エム. コーニッグ,; マイケル ディー. シンチャック,; マイケル ディー. シンチャック,; ピーター ジー. スミス,; ピーター ジー. スミス,;
摘要 本発明は、UBA3、UAE、もしくはUBA6と名付けられた単離核酸分子、または新規のE1酵素変異体タンパク質をコードする他のE1酵素変異体核酸分子、を提供する。本発明は、アンチセンス核酸分子、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の核酸分子を含有する組み換え発現ベクター、前記発現ベクターが導入されている宿主細胞、および非UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体遺伝子が導入または撹乱されているヒト遺伝子導入動物も提供する。本発明は、単離したUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質、融合タンパク質、 抗原 ペプチドおよび抗UBA3、抗UAE、もしくは抗UBA6 抗体 、または他のE1酵素変異体に対する抗体もさらに提供する。【選択図】図1
权利要求
  • a) 配列番号1の変異体を含む核酸分子であって、前記変異体がヌクレオチド531、532、533、621、622、623、630、631、632、633、634、635、645、646、647、651、652、653、702、703、704、705、706、707、765、766、767、933、934、935、951、952、953、960、961、962、989、990、および991からなる群から選択される塩基の変異を有する、核酸分子;
    b) 配列番号1のヌクレオチド配列の少なくとも20ヌクレオチドの断片を含む核酸分子であって、前記断片がヌクレオチド531、532、533、621、622、623、630、631、632、633、634、635、645、646、647、651、652、653、702、703、704、705、706、707、765、766、767、933、934、935、951、952、953、960、961、962、989、990、および991からなる群から選択される塩基の変異を有する、核酸分子;
    c) 配列番号2のアミノ酸配列の変異体を含むポリペプチドをコードする核酸分子であって、前記変異体がアミノ酸残基171、201、204、205、209、211、228、229、249、305、311、314および324からなる群から選択されるアミノ酸の変異を有する、核酸分子;並びに d) 配列番号2のアミノ酸配列の変異体を含むポリペプチドの断片をコードする核酸分子であって、前記断片が配列番号2の少なくとも15個の連続アミノ酸を含み、且つ断片がアミノ酸残基171、201、204、205、209、211、228、229、249、305、311、314および324からなる群から選択されるアミノ酸の変異を有する、配列番号2のアミノ酸配列の変異体を含むポリペプチドの断片をコードする核酸分子、
    からなる群から選択される単離核酸分子。
  • 請求項1に記載の変異体に特異的に結合し、その野生型核酸分子には結合しない試薬。
  • ベクター核酸配列をさらに含む、請求項1に記載の核酸分子。
  • 異種ポリペプチドをコードする核酸配列をさらに含む、請求項1に記載の核酸分子。
  • 請求項1に記載の核酸分子を含む、培養宿主細胞。
  • 哺乳類宿主細胞である、請求項5に記載の宿主細胞。
  • 請求項1に記載の核酸分子を発現する、培養哺乳類宿主細胞。
  • a) 配列番号1の変異体のヌクレオチド配列を含む核酸分子にコードされるポリペプチドであって、前記変異体がヌクレオチド531、532、533、621、622、623、630、631、632、633、634、635、645、646、647、651、652、653、702、703、704、705、706、707、765、766、767、933、934、935、951、952、953、960、961、962、989、990、および991からなる群から選択される塩基の変異を有する、ポリペプチド;
    b) 配列番号2のアミノ酸配列の変異体を含むポリペプチドであって、前記変異体がアミノ酸残基171、201、204、205、209、211、228、229、249、305、311、314および324からなる群から選択されるアミノ酸の変異を有する、ポリペプチド;並びにc) 配列番号2のアミノ酸配列の変異体の断片を含むポリペプチドであって、前記断片が配列番号2の少なくとも15個の連続アミノ酸を含み、且つ断片がアミノ酸残基171、201、204、205、209、211、228、229、249、305、311、314および324からなる群から選択されるアミノ酸の変異を有する、ポリペプチド、
    からなる群から選択される単離ポリペプチド。
  • 異種アミノ酸配列をさらに含む、請求項8に記載のポリペプチド。
  • 配列番号2のアミノ酸配列の変異体に結合する抗体であって、前記変異体がアミノ酸残基171、201、204、205、209、211、228、229、249、305、311、314および324からなる群から選択されるアミノ酸の変異を有する、抗体。
  • a) 配列番号1の変異体のヌクレオチド配列を含む核酸分子にコードされるポリペプチドであって、前記変異体がヌクレオチド531、532、533、621、622、623、630、631、632、633、634、635、645、646、647、651、652、653、702、703、704、705、706、707、765、766、767、933、934、935、951、952、953、960、961、962、989、990、および991からなる群から選択される塩基の変異を有する、ポリペプチド;
    b) 配列番号2のアミノ酸配列の変異体を含むポリペプチドであって、前記変異体がアミノ酸残基171、201、204、205、209、211、228、229、249、305、311、314および324からなる群から選択されるアミノ酸の変異を有する、ポリペプチド;並びにc) 配列番号2のアミノ酸配列の変異体の断片を含むポリペプチドであって、前記断片が配列番号2の少なくとも15個の連続アミノ酸を含み、且つ断片がアミノ酸残基171、201、204、205、209、211、228、229、249、305、311、314および324からなる群から選択されるアミノ酸の変異を有する、ポリペプチド、
    からなる群から選択されるポリペプチドを作製するための、
    核酸分子が発現される条件下で請求項5に記載の宿主細胞を培養することを含む、
    方法。
  • 試料中の請求項8に記載のポリペプチドの存在を検出するための方法であって、
    a) 試料を請求項8に記載のポリペプチドに選択的に結合する化合物と接触させ;
    b) 化合物が試料中のポリペプチドに結合するかどうかを決定すること、
    を含む、方法。
  • ポリペプチドに結合する化合物が抗体である、請求項12に記載の方法。
  • 請求項8に記載のポリペプチドに選択的に結合する化合物および使用説明書を含む、キット。
  • 試料中の請求項1に記載の核酸分子の存在を検出するための方法であって、
    a) 試料を核酸分子に選択的にハイブリダイズする核酸プローブまたはプライマーと接触させ;
    b) 核酸プローブまたはプライマーが試料中の核酸分子に結合するかどうかを決定する、
    ステップを含む、上記方法。
  • 試料がmRNA分子を含み、核酸プローブと接触せられる、請求項15に記載の方法
  • 請求項1に記載の核酸分子に選択的にハイブリダイズする化合物および使用説明書を含む、キット。
  • 請求項8に記載のポリペプチドに結合する化合物を同定するための方法であって、
    a) 請求項8に記載のポリペプチド、または請求項8に記載のポリペプチドを発現する細胞を、試験化合物と接触させ;
    b) ポリペプチドが試験化合物に結合するかどうかを決定する、
    ステップを含む、上記方法。
  • 以下からなる群から選択される方法によって、試験化合物のポリペプチドへの結合が検出される、請求項18に記載の方法:
    a) 試験化合物/ポリペプチド結合の直接検出による結合の検出;
    b) 競合結合アッセイを用いる結合の検出;
    c) NAE経路活性についてのアッセイを用いる結合の検出。
  • 請求項8に記載のポリペプチドの活性を調節するための方法であって、請求項8に記載のポリペプチド、または請求項8に記載のポリペプチドを発現する細胞を、前記ポリペプチドの活性を調節するのに充分な濃度の、前記ポリペプチドに結合する化合物と接触させることを含む、上記方法。
  • 請求項8に記載のポリペプチドの活性を調節する化合物を同定するための方法であって、
    a) 請求項8に記載のポリペプチドを試験化合物と接触させ;
    b) ポリペプチドの活性に対する試験化合物の効果を判定し、それによってポリペプチドの活性を調節する化合物を同定すること、
    を含む、上記方法。
  • 試験化合物が細胞の薬剤耐性を調節するかどうかを決定するための方法であって、
    a) 試験化合物存在下での細胞内のUBA3変異体配列の発現または活性のレベルを測定し;
    b) 試験化合物非存在下での細胞内の耐性配列の発現または活性のレベルを測定し;
    c) 試験化合物存在下での細胞内のUBA3変異体配列の発現または活性のレベルが、試験化合物非存在下での細胞内のUBA3変異体配列の発現レベルと異なる場合に、前記化合物を細胞の薬剤耐性の調節剤として同定すること、
    を含む、上記方法。
  • 試験細胞が薬剤耐性表現型を有するかどうかを決定するための方法であって、
    a) 細胞内での、
    i) 配列番号1の変異体を含む核酸分子であって、前記変異体がヌクレオチド531、532、533、621、622、623、630、631、632、633、634、635、645、646、647、651、652、653、702、703、704、705、706、707、765、766、767、933、934、935、951、952、953、960、961、962、989、990、および991からなる群から選択される塩基の変異を有する、核酸分子;
    ii) 配列番号2のアミノ酸配列の変異体を含むポリペプチドであって、前記変異体がアミノ酸残基171、201、204、205、209、211、228、229、249、305、311、314および324からなる群から選択されるアミノ酸の変異を有する、ポリペプチド、
    からなる群から選択されるUBA3変異体配列の発現または活性を測定し;
    b) ステップa)で測定されたUBA3変異体配列の発現または活性を、薬剤耐性表現型を有さない対照細胞内での耐性配列の発現または活性と比較し;
    c) 試験細胞内のUBA3変異体配列の発現または活性が、対照細胞内のUBA3変異体配列の発現または活性と比較して異なる場合に、試験細胞が薬剤耐性表現型を有することを決定すること、
    を含む、上記方法。
  • 対象が薬剤耐性腫瘍を有するかどうか、またはそれを発達させる危険性があるかどうかを決定するための方法であって、
    a) 対象から得られた腫瘍細胞を含む生物試料内の上方制御されたまたは下方制御されたUBA3変異体mRNAの発現を測定し;
    b) ステップa)で測定されたmRNAの発現を、薬剤耐性ではない対照生物試料内のmRNAの発現と比較し;
    c) 患者から得られた生物試料内の上方制御されたmRNAの発現が、対照生物試料内の上方制御されたmRNAの発現よりも高い場合、または、患者から得られた生物試料内の下方制御されたmRNAの減少された発現が、対照生物試料内の下方制御されたmRNAの発現よりも低い場合、患者が薬剤耐性腫瘍を有する、またはそれを発達させる危険性があることを決定すること、
    を含む、上記方法。
  • 患者における薬剤耐性腫瘍を治療するための方法であって、患者内の前記腫瘍の薬剤耐性を低減させるのに効果的なある量の上方制御されたタンパク質のアンタゴニストまたは下方制御されたタンパク質のアゴニストを前記対象に投与すること、を含む、上記方法。
  • 薬物療法が患者において継続されるべきかどうかを決定するための方法であって、
    a. 患者から腫瘍細胞を含む生物試料を取得し;
    b. 患者試料内のUBA3変異体配列の発現レベルを測定し;
    c. ステップ(b)で決定された発現レベルを、薬剤感受性生物試料内のUBA3変異体配列の発現と比較し;
    d. 患者試料内のUBA3変異体配列の発現レベルが、薬剤感受性試料内のUBA3変異体配列の発現と比較して変化している場合に、治療を中止すること、
    を含む、上記方法。
  • UBA3変異体配列が上方制御された配列であり、前記配列の発現が薬剤感受性試料内の前記配列の発現と比較して増加している場合に治療が中止される、請求項26に記載の方法。
  • UBA3変異体配列が下方制御された配列であり、前記配列の発現が薬剤感受性試料内の前記配列の発現と比較して減少している場合に治療が中止される、請求項26に記載の方法。
  • 薬物療法が患者において継続されるべきかどうかを決定するための方法であって、
    a. 腫瘍細胞を含む第一患者生物試料および腫瘍細胞を含む第二生物試料を入手し、ここで第一試料は第二試料の前に入手され;
    b. 第二試料内のUBA3変異体配列の発現レベルを測定し;
    c. 第一試料内のUBA3変異体配列の発現レベルを測定し;
    d. ステップ(b)で決定されたUBA3変異体配列の発現レベルを、ステップ(c)における耐性配列の発現レベルと比較し;
    e. 第二試料の発現レベルが第一試料内の耐性配列の発現レベルと異なる場合に治療を中止すること、
    を含む、上記方法。
  • 耐性配列が上方制御された配列であり、第一試料内の前記配列の発現と比較して第二試料内の前記配列の発現が増加している場合に治療が中止される、請求項29に記載の方法。
  • 耐性配列が下方制御された配列であり、第一試料内の前記配列の発現と比較して第二試料内の前記配列の発現が減少している場合に治療が中止される、請求項29に記載の方法。
  • 患者における薬剤耐性腫瘍を治療するための方法であって、
    a) 配列番号1の変異体のヌクレオチド配列を含む核酸分子にコードされるポリペプチドであって、前記変異体がヌクレオチド531、532、533、621、622、623、630、631、632、633、634、635、645、646、647、651、652、653、702、703、704、705、706、707、765、766、767、933、934、935、951、952、953、960、961、962、989、990、および991からなる群から選択される塩基の変異を有する、ポリペプチド;
    b) 配列番号2のアミノ酸配列の変異体を含むポリペプチドであって、前記変異体がアミノ酸残基171、201、204、205、209、211、228、229、249、305、311、314および324からなる群から選択されるアミノ酸の変異を有する、ポリペプチド;並びにc) 配列番号2のアミノ酸配列の変異体の断片を含むポリペプチドであって、前記断片が配列番号2の少なくとも15個の連続アミノ酸を含み、断片がアミノ酸残基171、201、204、205、209、211、228、229、249、305、311、314および324からなる群から選択されるアミノ酸の変異を有する、ポリペプチド、
    からなる群から選択されるタンパク質の活性を低減する化合物を患者に投与することを含む、上記方法。
  • a) E1酵素の変異体を含むポリペプチドであって、前記E1酵素が、残基121に変異を有する配列番号27の変異体、残基548に変異を有する配列番号28の変異体、残基580に変異を有する配列番号29の変異体、残基185に変異を有する配列番号30の変異体、残基187に変異を有する配列番号31の変異体、残基573に変異を有する配列番号32の変異体、残基544に変異を有する配列番号33の変異体、残基480に変異を有する配列番号34の変異体、残基134に変異を有する配列番号35の変異体および残基131に変異を有する配列番号36の変異体からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、ポリペプチド;並びにb) a)における変異型E1酵素の断片を含むポリペプチドであって、前記断片が変異したアミノ酸を含むE1酵素の少なくとも15個の連続アミノ酸を含む、ポリペプチド、
    からなる群から選択される、単離ポリペプチド。
  • 請求項33に記載のポリペプチドの活性を調節する化合物を同定するための方法であって、
    a) 請求項33に記載のポリペプチドを試験化合物と接触させ;
    b) 前記ポリペプチドの活性に対する試験化合物の効果を決定し、それによって前記ポリペプチドの活性を調節する化合物を同定すること、
    を含む、上記方法。
  • 患者における薬剤耐性腫瘍を治療する方法であって、E1酵素変異体への耐性を克服する治療有効量の薬剤を患者に投与すること、を含む、上記方法。
  • 说明书全文

    関連出願の相互参照 本出願は、2012年2月8日に出願された米国仮特許出願番号61/596,420および2011年10月7日に出願された米国仮特許出願番号61/544,843に対する優先権を主張するものである。 上記米国仮特許出願の内容全体が参照によって本明細書に組み入れられる。

    配列表
    本願は、本明細書と一緒に提出される配列表を電子的に読み取り可能な形式で含む。 配列表ファイルは2012年10月3日に作成されたもので、「sequencelisting.txt」という名称で、135kb(138,289バイト)である。 このsequencelisting. txtファイル内の配列表の内容全体が、この参照によって本明細書に組み入れられる。

    ユビキチン様分子(ubl)によるタンパク質の翻訳後修飾は細胞内の制御プロセスであり、細胞分裂、細胞情報伝達および免疫応答を含む多くの生物学的プロセスの調節に関わっている。 Ublは、ublのC末端グリシンとのイソペプチド結合を介して標的タンパク質上のリジンに、協調的な一連の酵素の作用によって共有結合している小タンパク質である。 ユビキチン様分子は標的タンパク質の分子表面を変化させ、標的のタンパク質間相互作用、酵素活性、安定性および細胞局在等の特性に影響を与え得る。

    ublを標的タンパク質に結合させる一連の酵素を調節する治療の開発により、細胞分裂および細胞情報伝達の完全性の維持に関わる種々の生化学的経路を干渉する機会が得られた。 従って、これらの酵素の阻害、およびubl結合の下流効果の結果として生じる阻害は、細胞分裂、細胞情報伝達、および疾患機序に重要な細胞生理のいくつかの側面の完全性を干渉する方法を表すものである。 この干渉のいくつかは腫瘍細胞のアポトーシスによる死をもたらし得る。

    がん治療のため等の化学療法は、通常、一種または複数種の細胞傷害性薬物または細胞分裂阻害剤を患者に投与することを含む。 がんの化学療法の目的は、形質転換細胞を含む腫瘍を個体の身体から根絶すること、または腫瘍の成長を抑制もしくは減弱することである。 がん化学療法の別の目的は、罹患した個体の健康状態の安定化(臨床管理)である。 いくつかの腫瘍は化学療法に最初は反応性を示す場合があるが、多くの場合、その最初の化学療法による治療計画は有効性が下がるか、または腫瘍成長を妨害しなくなる。 表現型または遺伝子型の特性が、いくつかの腫瘍細胞が化学療法剤の作用に抵抗することを可能にする。 アミノ酸置換の発生は、イミタニブ(imitanib)、ゲフィチニブおよびエルロチニブを含むチロシンキナーゼ阻害剤等の抗がん剤に対する一般的な耐性形態として記載されている(Shah et al., 2002, Kobayashi et al., 2005, Pao et al., 2005)。 より最近の例としては、EML4−ALK転座を有するがん患者において起こった、クリゾチニブ治療に続く未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)内のアミノ酸置換が挙げられる(Choi et al., 2010)。 クリゾチニブに対する感受性を低減したALK内の変異は、EML4−ALKがんにおいて生じ得るという予測をもたらした、NPM−ALK転座モデルを用いる前臨床研究において最初に記述された(Lu et al., 2009)。 これらのデータにより、これらの薬剤の酵素標的ががんを「駆動」すること、および阻害剤の活性が標的の阻害によるものであることが確認される。

    腫瘍細胞または病原性微生物が化学療法に抵抗することを可能にする変異体の同定は、その耐性に対処する治療の開発に役立ち得る。

    本発明は、E1酵素、および特定の薬剤に対する感受性が低減した変異体の分野に関する。 本発明は、E1酵素阻害剤に対する感受性が減少したE1酵素変異体、およびその低減した感受性を克服する阻害剤を同定する方法に関する。 本発明はまた、E1酵素遺伝子に少なくとも1つのヌクレオチド変異を含む単離E1酵素変異体、例えば、前記ヌクレオチド変異によりE1酵素タンパク質内に少なくとも1つのアミノ酸変異(例えばアミノ酸置換)が引き起こされている変異体に関する。 一つの態様では、E1酵素はNEDD8活性化酵素(NAE、APPBP1/NAEαおよびUBA3/NAEβから構成される)である。 別の態様では、E1酵素はUBA1である。 別の態様では、E1酵素はUBA6である。

    本発明はまた、UBA3遺伝子に少なくとも1つのヌクレオチド変異を含む変異UBA3変異体、例えば、前記ヌクレオチド変異によりUBA3タンパク質内に少なくとも1つのアミノ酸変異(例えばアミノ酸置換)が引き起こされている変異体に関する。 本発明は、NAE阻害剤(例えば、1−置換メチルスルファメート(図1参照)に対する感受性が低減したUBA3変異体に関する。さらに、本発明は、阻害剤に対する腫瘍試料の感受性、並びにUBA3遺伝子内の変異を検出するための方法および/またはアッセイに対する腫瘍試料の感受性を診断する分野に関する。

    一つの態様では、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素は、薬剤耐性腫瘍細胞内で発現されるヌクレオチド配列(薬剤耐性配列)を含む。 耐性配列(例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体配列)の発現は、対照細胞(すなわち、非薬剤耐性細胞)または低薬剤耐性腫瘍細胞内の発現と比較した場合、特定の腫瘍細胞において増加(配列の上方制御)または減少(配列の下方制御)している。 薬剤耐性配列には、例えば、薬剤耐性細胞(例えば、がん細胞)の同定に関連する診断法において有用な、核酸およびポリペプチドが含まれる。 耐性配列(すなわち、耐性遺伝子、耐性mRNA、耐性cDNA、耐性ポリペプチド、および耐性タンパク質または上記いずれかの断片)は、特定の細胞型または複数の細胞型の薬剤耐性を調節(増加または低減)することができる化合物の同定を目的としたスクリーニング法においても有用である。

    UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の核酸配列に対応する単離核酸が提供される。 例えば、単離ポリ核酸は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素遺伝子内に少なくとも1つのヌクレオチド変異を含む。 ヌクレオチド変異はさらに、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素タンパク質内に少なくとも1つのアミノ酸変異(例えば、置換および/または欠失)をもたらし得る。 UBA3ヌクレオチド変異を含むポリ核酸内のヌクレオチド変異は、発現されることでUBA3変異体タンパク質の少なくとも断片を含むポリペプチドを生成する可能性があり、NAE阻害剤(例えば1−置換メチルスルファメート)に対する感受性の低減をもたらす可能性がある。 さらに、変異体ポリヌクレオチドに対応するアミノ酸配列も包含される。 ヒトUBA3をコードする野生型cDNAのヌクレオチド配列は配列番号1に示され、野生型ヒトUBA3ポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号2に示される。 具体的には、本発明は、変異型UBA3ポリペプチドをコードする変異型UBA3ヌクレオチド配列(例えば、配列番号2に示されるアミノ酸配列の変形)を含む単離核酸分子を提供する。 これらの単離ポリ核酸からの、および本明細書に記載の核酸分子によってコードされる変異型アミノ酸配列を有するUBA3ポリペプチドまたはその断片への、発現産物がさらに提供される。

    配列表に記載のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列と実質的に相同である核酸分子およびポリペプチドが、本発明に包含される。 さらに、ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列の断片および実質的に相同な断片が提供される。

    関連する態様において、本発明はさらに、本明細書に記載のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の核酸分子を含む核酸構築体を提供する。 いくつかの実施形態では、本発明の核酸分子は天然または異種の制御配列に作動可能に連結している。 本発明は、本明細書に記載の核酸分子を組み換え発現するためのベクターおよび培養宿主細胞、並びにそのようなベクターおよび宿主細胞の作製法、並びに組換え技術により本発明のポリペプチドまたはペプチドを生成するためのそれらの使用法も提供する。 関連する態様において、本発明は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体ポリペプチド以外に作動可能に連結することで融合タンパク質を形成する、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体ポリペプチドまたは断片を提供する。

    本発明のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体分子は、細胞成長、細胞周期的増殖(cell−cycle proliferation)および細胞間情報伝達を調節するのに有用である。 UBA3変異体分子は、異常な細胞成長および細胞増殖、細胞周期進行または異常なシグナル伝達(例えばNAE調節物質への耐性)が存在する障害の診断および治療に有用である。 従って、一つの態様では、本発明は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のタンパク質またはその生物学的に活性な部分をコードする単離核酸分子、並びにUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体をコードする核酸の検出または単離に適したプライマーまたはハイブリダイゼーションプローブとしての核酸断片を提供する。 別の態様では、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体をコードする核酸分子に対してアンチセンスである単離核酸分子が提供される。 さらに、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体核酸、その断片または相補体は医薬組成物に組み込むことができ、その医薬組成物は所望により薬剤的に許容できる担体を含む。

    本発明の別の態様は、例えば、NAE関連障害または他の障害の治療および診断に適用可能なアッセイにおける試薬または標的として有用な、単離されたまたは組換え型のUBA3変異体タンパク質およびポリペプチド、並びにその生物学的に活性な、または抗原性の断片に関する。 別の実施形態では、本発明はUBA3変異体活性を有するUBA3ポリペプチドを提供する。 ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、少なくとも1つのATP結合ポケット、NEDD8結合ポケット、ThiFファミリードメイン、UBA_e1_チオールCysドメイン、UBACTドメインまたはE2結合ドメインを含み、且つ、所望により、UBA3活性(例えば、本明細書に記載のUBA3活性)を有する、UBA3変異体タンパク質である。 いくつかの実施形態では、UBA3変異体タンパク質およびポリペプチドは、野生型UBA3タンパク質が有する少なくとも1つの生物活性を有する。 他の実施形態では、UBA3変異体タンパク質は、野生型UBA3タンパク質と比較して、一つまたは複数のドメインの活性に変化を有する。 UBA3変異体タンパク質は、ドメインの活性が減少、低減または消失されるように変化したドメインを有し得る。 さらに、UBA3変異体タンパク質(UBA3変異体遺伝子にコードされるタンパク質)またはその生物学的に活性な部分は医薬組成物に組み込むことが可能であり、その医薬組成物は所望により薬剤的に許容できる担体を含む。

    UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体ポリペプチドおよび断片と反応する(例えば、特異的または選択的に結合する)抗体および抗体断片が提供される。 抗体またはその断片は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体ポリペプチドと、野生型UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素タンパク質とを区別することができる。

    別の態様では、本発明は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体ポリペプチドまたは核酸の発現または活性を調節する化合物のスクリーニング法を提供する。 一般的に、発現を調節する化合物のスクリーニングは、試験化合物の存在下および非存在下におけるUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の発現を測定し、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の発現を変化させる化合物を同定すること、を含む。 測定されたUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の発現は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体の核酸、またはUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のポリペプチドの発現であり得る。 一般的に、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の活性を調節する化合物の同定法は、試験化合物の存在下および非存在下におけるポリペプチドの生物活性を測定し、ポリペプチドの活性を変化させる化合物を同定すること、を含む。 具体的には、本発明の、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素酵素またはポリ核酸または発現産物または組成物は、変異型UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素の発現または活性を調節する少なくとも1つの薬剤を選択するためのプロセスにおいて使用される。

    本発明は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体ポリペプチドに結合する化合物を同定するための方法に関する。 これらの方法には、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体ポリペプチドを試験化合物と接触させるステップ、および次にそのポリペプチドが試験化合物に結合するかどうかを決定するステップが含まれる。 これらの方法の種々の実施形態において、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体ポリペプチドへの試験化合物の結合は、試験化合物のポリペプチドへの直接的な結合を測定するアッセイを用いて、または競合結合アッセイを用いる間接的な結合を測定するアッセイを用いて、検出される。

    別の態様では、本発明は、生物試料を、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の配列の活性の指標を検出することができる薬剤と接触させることによって、その活性の存在が生物試料中で検出される、生物試料中の耐性(resistance)の活性または発現の存在を検出するための方法を提供する。 例えば、本発明には、試料中のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体ポリペプチドの存在を検出するための方法が含まれる。 この方法は、試料をポリペプチドに選択的に結合する化合物と接触させるステップ、および次にその化合物が試料中のポリペプチドに結合するかどうかを決定するステップを特徴とする。 いくつかの場合、ポリペプチドに結合する化合物は抗体である。 別の態様では、本発明は、生物試料を、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の活性の指標を検出することができる薬剤と接触させることによって、その活性の存在が生物試料中で検出される、生物試料中のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の活性または発現の存在を検出するための方法を提供する。 本発明は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のmRNA(試料中のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質をコードするmRNA)の存在を検出するための方法にも関する。 この方法は、試料を、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のmRNAに選択的にハイブリダイズする核酸プローブまたはプライマーと接触させるステップ;および次にその核酸プローブまたはプライマーが試料中の核酸分子に結合するかどうかを決定するステップ、が含まれる。

    さらなる態様では、本発明は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素のポリペプチドまたは核酸分子における遺伝子変化の有無を検出するためのアッセイ(例えば疾患診断用)を提供する。 本発明は、(i)UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素タンパク質をコードする遺伝子の異常な調節または変異;(ii)UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素タンパク質をコードする遺伝子の誤制御;(iii)異常なRNAスプライシング;および(iv)UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素タンパク質の異常な翻訳後修飾、のうちの少なくとも1つにより特徴付けられる遺伝子損傷または遺伝子変異の有無を確認するための診断検査も提供し、ここで、前記遺伝子の野生型形態は正常なUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素の活性を有するタンパク質をコードする。

    別の態様では、本発明は複数のアドレス(address)を有する二次元アレイに関しており、それら複数のアドレスのそれぞれはそれら複数のアドレスの他のそれぞれと位置的に区別可能であり、それら複数のアドレスのそれぞれは独特な捕捉プローブ(例えば、核酸またはペプチド配列)を有している。 それら複数のアドレスのうち少なくとも1つは、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の分子を認識する捕捉プローブを有する。 一実施形態では、捕捉プローブは核酸(例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の核酸配列に相補的なプローブ)である。 別の実施形態では、捕捉プローブはポリペプチド(例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のポリペプチドに対して特異的な抗体)である。 試料を前記配列に接触させ、配列への試料の結合を検出することにより、試料を解析する方法も提供される。

    UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のポリペプチドまたは核酸に選択的に結合する化合物および使用説明書を含むキットも、本発明に含まれる。 そのようなキットを使用することで、生物試料(例えば、患者から得られた細胞の試料)内の特定の細胞型または細胞が薬剤耐性であるかどうかを決定することができる。

    細胞内のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の配列(例えば、mRNAまたはポリペプチド)の発現または活性を測定し、この発現または活性を対照細胞における発現または活性と比較することにより、細胞が薬剤耐性表現型を有するかどうかを決定する方法も、本発明に含まれる。 対照細胞と比較した場合の、細胞内の上方制御されたUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の配列またはその産物の発現または活性の増加は、その細胞が薬剤耐性表現型を有することを示している。 対照細胞と比較した場合の、細胞内の下方制御されたUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の配列、その産物またはその経路内の遺伝子群の発現または活性の減少は、その細胞が薬剤耐性表現型を有することを示している。

    この方法の一実施形態では、薬剤耐性はUBA3変異体配列を測定することにより(例えば、変異した残基を特徴とするエピトープと結合する抗体を用いて、本明細書に記載の変異を有する配列番号2等の、上方制御されたまたは下方制御されたUBA3変異体タンパク質を測定することにより)決定される。 別の実施形態では、UBA3変異体配列の発現は、UBA3変異体タンパク質をコードするmRNAまたはUBA3変異体タンパク質をコードする遺伝子のコピー数を定量化することにより、測定される。 別の実施形態では、UBA3変異体配列の活性は、UBA3変異体タンパク質の生物活性を定量化することが可能なあらゆるアッセイを用いて、測定される。

    さらに別の態様では、本発明は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体の配列の発現またはUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のタンパク質の活性を測定することを含む、対象が薬剤耐性腫瘍を有するかまたはそれを発達させる危険性があるかどうかを決定するための方法を提供する。

    別の態様では、本発明は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のタンパク質の活性を調節(阻害または刺激)する、または、例えば、本明細書に記載のスクリーニングにおいて同定された化合物を用いて、細胞内のUBA3変異体の活性もしくは発現が調節されるように発現を調節(阻害または刺激)する薬剤と、細胞を接触させることを含む、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質の活性を調節するための方法を提供する。 この方法は、ポリペプチドまたはポリペプチドを発現する細胞を、ポリペプチドの活性を調節するのに充分な濃度の、ポリペプチドに結合する化合物と接触させるステップが含まれる。 一実施形態では、薬剤は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質に特異的に結合する抗体である。 別の実施形態では、薬剤は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のタンパク質をコードする遺伝子の転写、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のmRNAのスプライシング、またはUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のmRNAの翻訳を調節することにより、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の発現を調節する。 さらに別の実施形態では、薬剤は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のmRNA、またはUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のタンパク質をコードする遺伝子に対してアンチセンスであるヌクレオチド配列を有する核酸分子である。

    本発明には、細胞内のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の発現または活性を調節することにより、細胞の薬剤耐性を調節するための方法も含まれる。 従って、一実施形態では、細胞内の上方制御されたUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の配列の発現を低減する分子(例えば、アンチセンス核酸分子またはsiRNA)と細胞を接触させることにより、細胞の薬剤耐性が低減される。 別の実施形態では、細胞内の下方制御されたUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の配列の発現を増加させる分子と細胞を接触させることにより、細胞の薬剤耐性が低減される。

    一実施形態では、本発明の方法を使用することで、異常なUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の配列の発現(例えば、タンパク質または核酸の発現)または活性を特徴とする障害(例えば、薬剤耐性がんまたは感染)を有する、または有することが疑われる対象を、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の調節物質である薬剤(例えば、治療有効量の化合物)をその対象に投与することにより、治療する。 一実施形態では、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の調節物質は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質である。 別の実施形態では、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の調節物質は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の核酸分子(例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の配列の発現を変化させる分子)である。 他の実施形態では、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の調節物質は、ペプチド、ペプチド模倣薬、または他の小分子である。 異常なまたは欠損したNAEの機能または発現を含む障害の例としては、限定はされないが、細胞増殖性および/もしくは細胞分化性の障害、感染症(例えば、寄生虫感染)、免疫性(例えば、炎症性)の障害または神経変性障害が挙げられる。

    本発明の別の態様は、薬剤耐性腫瘍性細胞の存在に関連する障害を有する哺乳動物に対する化学療法の有効性を改善させる方法である。 この方法では、化学療法剤、および上方制御されたUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体の配列の発現を低減させる、または下方制御されたUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体の配列の発現を増加させる分子を、哺乳動物に同時投与することができる。

    本発明の方法で試験される薬剤は、単剤であってもよいし、薬剤の組み合わせであってもよい。 例えば、本発明の方法を使用することで、単一の化学療法剤(例えばNAE阻害剤)を使用してがんを治療できるかどうか、または2つ以上の薬剤の組み合わせを使用することができるかどうかを決定することができる。

    本発明は、患者における薬剤耐性腫瘍を治療するための方法も提供し、該方法は、患者における前記腫瘍の薬剤耐性を低減させるのに有効なある量の耐性配列のアンタゴニストまたはアゴニストを前記対象に投与することを含む。 別の態様では、本発明は、患者における薬剤耐性腫瘍を治療するための薬剤を製造するための、耐性配列の発現の阻害剤、またはその薬剤的に許容できる塩、またはいずれかの物質(entity)を含有する医薬組成物の用途を提供する。

    別段の定めがない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者により通常理解されるのと同じ意味を有する。 本明細書に記載のものと類似のまたは等価の方法および材料を本発明の実施または試験に使用することができるが、方法および材料の例を本明細書に記載する。 本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、それらの全体が参照によって組み入れられるものとする。 さらに、材料、方法、および例は例示説明に過ぎず、限定されることを意図するものではない。 一つまたは複数の本発明の実施形態の詳細が添付図面および以下の記述に記載される。 本発明の他の特徴、目的および利点は、発明を実施するための形態、配列表、図面および特許請求の範囲から明らかとなる。

    1−置換メチルスルファメートの一般構造である。 G

    は−O−または−CH

    −であり;G

    は−Hまたは−OHであり;G

    は−Hまたは−OHであり;G

    は−NH−、−O−または共有結合であり;G

    は置換ヘテロアリールである。

    ユビキチンまたはユビキチン様タンパク質で基質タンパク質を修飾するための一般経路(例としてユビキチン(Ub)経路を用いる)である。 E1:活性化酵素はUbのC末端グリシンを活性化するのにATPを用いる。 E2:複合体化酵素はSH基転移反応を介してE1からUbを受け取る。 E3:リガーゼはE2と協働してUbを基質タンパク質中のリジン残基に移す。 Ublは基質への単一付加であってもよいし、ポリ−Ubl鎖であってもよい。

    ヒトUBA3配列番号2(アイソフォーム1)の複数種の相同タンパク質との多重アラインメントである。 配列を配列番号2のBLAST検索の結果から取得し、Clustal W(バージョン1.83、ゲノムクエスト社(GenomeQuest, Inc.)(マサチューセッツ州ウエストボロー)製のソフトウェアを介して実行)で整列させた。 配列は、マーモセット(配列番号9);イヌ(配列番号10);マウス(配列番号11);ラット(配列番号12);ウシ(配列番号13);ヒトUBA3アイソフォーム2(配列番号14);ブタ(配列番号15);アフリカカエル(African frog)(配列番号16);サケ(配列番号17);ネッタイシマカ(配列番号18);コガタハマダラカ(配列番号19);コロモジラミ(配列番号20);ショウジョウバエ(配列番号21);クロカビ(配列番号22);肺カビ(lung mold)(配列番号23);酵母j. (yeast j.)(配列番号24);酵母p. (yeast p.)(配列番号25);酵母c. (yeast c.)(配列番号26)である。 配列番号2とのBLASTアラインメントの同一性パーセントをアラインメントの最初の部分に示す。 アラインメントの上の小文字は、UBA3配列番号2内で耐性に関して変異している残基の印である:a=A171、b=G201、c=E204、d=G205、e=N209、f=R211、g=Y228、h=P229、i=V305、j=P311、k=A314、l=C324。

    ヒトUBA3配列番号2(アイソフォーム1)の複数種の相同タンパク質との多重アラインメントである。 配列を配列番号2のBLAST検索の結果から取得し、Clustal W(バージョン1.83、ゲノムクエスト社(GenomeQuest, Inc.)(マサチューセッツ州ウエストボロー)製のソフトウェアを介して実行)で整列させた。 配列は、マーモセット(配列番号9);イヌ(配列番号10);マウス(配列番号11);ラット(配列番号12);ウシ(配列番号13);ヒトUBA3アイソフォーム2(配列番号14);ブタ(配列番号15);アフリカカエル(African frog)(配列番号16);サケ(配列番号17);ネッタイシマカ(配列番号18);コガタハマダラカ(配列番号19);コロモジラミ(配列番号20);ショウジョウバエ(配列番号21);クロカビ(配列番号22);肺カビ(lung mold)(配列番号23);酵母j. (yeast j.)(配列番号24);酵母p. (yeast p.)(配列番号25);酵母c. (yeast c.)(配列番号26)である。 配列番号2とのBLASTアラインメントの同一性パーセントをアラインメントの最初の部分に示す。 アラインメントの上の小文字は、UBA3配列番号2内で耐性に関して変異している残基の印である:a=A171、b=G201、c=E204、d=G205、e=N209、f=R211、g=Y228、h=P229、i=V305、j=P311、k=A314、l=C324。

    ヒトUBA3配列番号2(アイソフォーム1)の複数種の相同タンパク質との多重アラインメントである。 配列を配列番号2のBLAST検索の結果から取得し、Clustal W(バージョン1.83、ゲノムクエスト社(GenomeQuest, Inc.)(マサチューセッツ州ウエストボロー)製のソフトウェアを介して実行)で整列させた。 配列は、マーモセット(配列番号9);イヌ(配列番号10);マウス(配列番号11);ラット(配列番号12);ウシ(配列番号13);ヒトUBA3アイソフォーム2(配列番号14);ブタ(配列番号15);アフリカカエル(African frog)(配列番号16);サケ(配列番号17);ネッタイシマカ(配列番号18);コガタハマダラカ(配列番号19);コロモジラミ(配列番号20);ショウジョウバエ(配列番号21);クロカビ(配列番号22);肺カビ(lung mold)(配列番号23);酵母j. (yeast j.)(配列番号24);酵母p. (yeast p.)(配列番号25);酵母c. (yeast c.)(配列番号26)である。 配列番号2とのBLASTアラインメントの同一性パーセントをアラインメントの最初の部分に示す。 アラインメントの上の小文字は、UBA3配列番号2内で耐性に関して変異している残基の印である:a=A171、b=G201、c=E204、d=G205、e=N209、f=R211、g=Y228、h=P229、i=V305、j=P311、k=A314、l=C324。

    配列番号2の残基171周辺の領域と相同な残基を含む領域における、UBA3と構造的または機構的類似性を有する酵素の多重アラインメントである。 「^」は、全酵素間で保存されている残基の位置の印であり、「*」は、UBA3のA171Tの位置の印である。 配列記号の説明:UBA3:配列番号2の残基165〜182;SAE2:配列番号27の残基115〜132;yUAE:配列番号28の残基542〜559;hUAE:配列番号29の残基574〜591;UBA4:配列番号30の残基179〜196;UBA5:配列番号31の残基181〜198;UBA6:配列番号32の残基567〜584;UBA7:配列番号33の残基538〜555;ATG7:配列番号34の残基474〜491;moeb:配列番号35の残基128〜145;thif:配列番号36の残基125〜142。

    MLN4924耐性細胞株クローンである。 HCT−116細胞および耐性クローンをDMSOまたは種々の濃度のMLN4924で96時間処理し、細胞生存率をATPliteアッセイで評価した。

    MLN4924耐性細胞株クローンである。 A. Calu−6細胞およびB. NCI−H460細胞および耐性クローンをDMSOまたは種々の濃度のMLN4924で96時間処理し、細胞生存率をATPliteアッセイで評価した。

    HCT−116細胞および耐性クローンをDMSOまたは種々の濃度のA. ボルテゾミブ、B. ドキソルビシンまたはC. SN−38で96時間処理し、細胞生存率をATPliteアッセイで評価した。

    HCT−116細胞および耐性クローンをDMSOまたは種々の濃度のA. ボルテゾミブ、B. ドキソルビシンまたはC. SN−38で96時間処理し、細胞生存率をATPliteアッセイで評価した。

    排出阻害剤での細胞の処理である。 A. HCT−116 WT(野生型)細胞、B. HCT−116.1 A171T細胞およびC. HCT−116.4 C324Y細胞をDMSOまたは種々の濃度のMLN4924で96時間処理し、細胞生存率をATPliteアッセイで評価した。 最も高い非毒性濃度での種々の薬剤排出阻害剤との共インキュベーション試験を行った。 ジピリダモール(diypridamole)(10μM)、MK571(10μM)、GF918(1μM)、KO143(1μM)またはLY5979(5μM)をDMSOまたはMLN4924と同時に添加し、96時間インキュベートし、細胞生存率をATPliteアッセイで評価した。

    排出阻害剤での細胞の処理である。 A. HCT−116 WT(野生型)細胞、B. HCT−116.1 A171T細胞およびC. HCT−116.4 C324Y細胞をDMSOまたは種々の濃度のMLN4924で96時間処理し、細胞生存率をATPliteアッセイで評価した。 最も高い非毒性濃度での種々の薬剤排出阻害剤との共インキュベーション試験を行った。 ジピリダモール(diypridamole)(10μM)、MK571(10μM)、GF918(1μM)、KO143(1μM)またはLY5979(5μM)をDMSOまたはMLN4924と同時に添加し、96時間インキュベートし、細胞生存率をATPliteアッセイで評価した。

    UBA3の構造である。 A. 細胞および異種移植片内で検出されたNAEβ変異の位置および頻度の略図。 拡大された配列は配列番号2のアミノ酸残基148〜171および201〜229である。 B. UBA3変異を強調した、NEDD8−MLN4924付加体が結合したNAEの結晶構造(PDBエントリー3GZN、Brownell et al., 2010)。

    UBA3の構造である。 A. 細胞および異種移植片内で検出されたNAEβ変異の位置および頻度の略図。 拡大された配列は配列番号2のアミノ酸残基148〜171および201〜229である。 B. UBA3変異を強調した、NEDD8−MLN4924付加体が結合したNAEの結晶構造(PDBエントリー3GZN、Brownell et al., 2010)。

    MLN4924処理細胞の経路タンパク質のウエスタンブロットである。 A. HCT−116 WT、B. HCT−116.1 A171T、C. HCT−116.5 G201V。 細胞をDMSOまたは種々の濃度のMLN4924で24時間処理した。 ウエスタンブロットをNEDD8−カリン、NEDD8−NAEβ、NEDD8−Ubc12、NEDD8−MLN4924付加体、CDT1、NRF2およびチューブリンについてプローブした。

    MLN4924処理細胞の経路タンパク質のウエスタンブロットである。 A. HCT−116 WT、B. HCT−116.1 A171T、C. HCT−116.5 G201V。 細胞をDMSOまたは種々の濃度のMLN4924で24時間処理した。 ウエスタンブロットをNEDD8−カリン、NEDD8−NAEβ、NEDD8−Ubc12、NEDD8−MLN4924付加体、CDT1、NRF2およびチューブリンについてプローブした。

    MLN4924処理細胞の経路タンパク質のウエスタンブロットである。 A. HCT−116 WT、B. HCT−116.1 A171T、C. HCT−116.5 G201V。 細胞をDMSOまたは種々の濃度のMLN4924で24時間処理した。 ウエスタンブロットをNEDD8−カリン、NEDD8−NAEβ、NEDD8−Ubc12、NEDD8−MLN4924付加体、CDT1、NRF2およびチューブリンについてプローブした。

    細胞周期解析である。 A. HCT−116 WT細胞、B. HCT−116.1 A171T細胞およびC. HCT−116.5 G201V細胞を、DMSO(上段)または1μMのMLN4924(下段)で24時間処理し、その後細胞をヨウ化プロピジウムで染色し、細胞周期解析を行った。

    細胞周期解析である。 A. HCT−116 WT細胞、B. HCT−116.1 A171T細胞およびC. HCT−116.5 G201V細胞を、DMSO(上段)または1μMのMLN4924(下段)で24時間処理し、その後細胞をヨウ化プロピジウムで染色し、細胞周期解析を行った。

    細胞周期解析である。 A. HCT−116 WT細胞、B. HCT−116.1 A171T細胞およびC. HCT−116.5 G201V細胞を、DMSO(上段)または1μMのMLN4924(下段)で24時間処理し、その後細胞をヨウ化プロピジウムで染色し、細胞周期解析を行った。

    処理細胞中のCRL基質のウエスタンブロットである。 A. Calu−6 WT細胞、B. Calu−6.1 N209K細胞、C. NCI−H460細胞およびD. NCI−H460.2 A171D細胞をDMSOまたは種々の濃度のMLN4924で24時間処理した。 ウエスタンブロットをNEDD8−カリン、NEDD8−NAEβ、NEDD8−Ubc12、NEDD8−MLN4924付加体、CDT1、NRF2およびチューブリンについてプローブした。

    処理細胞中のCRL基質のウエスタンブロットである。 A. Calu−6 WT細胞、B. Calu−6.1 N209K細胞、C. NCI−H460細胞およびD. NCI−H460.2 A171D細胞をDMSOまたは種々の濃度のMLN4924で24時間処理した。 ウエスタンブロットをNEDD8−カリン、NEDD8−NAEβ、NEDD8−Ubc12、NEDD8−MLN4924付加体、CDT1、NRF2およびチューブリンについてプローブした。

    HCT−116異種移植片における耐性活性である。 A. HCT−116異種移植片を有する免疫無防備状態のヌードラットに、180mg/kgのMLN4924を、21日間サイクルの1、4、8、11日目に、3サイクル投与した。 腫瘍を処理の終わりに解析用に回収し、NAEβの変異状態を決定した。 B. アラニン171がトレオニンに変異した腫瘍をヌードラットにおいて再度確立し、180mg/kgのMLN4924で、21日間スケジュールの1、4、8、11日目に処置した。 WT(親)腫瘍の応答を比較のためにグラフに示す。 HCT−116親異種移植片またはA171T異種移植片を有するヌードラットに単回投与量180mg/kgのMLN4924を投与し、腫瘍を表示時間に切除し、NEDD8−カリン複合体レベル(C)、Cdt−1レベル(D)、切断型カスパーゼ−3レベル(E)およびNEDD8付加体レベル(F)について測定した。

    HCT−116異種移植片における耐性活性である。 A. HCT−116異種移植片を有する免疫無防備状態のヌードラットに、180mg/kgのMLN4924を、21日間サイクルの1、4、8、11日目に、3サイクル投与した。 腫瘍を処理の終わりに解析用に回収し、NAEβの変異状態を決定した。 B. アラニン171がトレオニンに変異した腫瘍をヌードラットにおいて再度確立し、180mg/kgのMLN4924で、21日間スケジュールの1、4、8、11日目に処置した。 WT(親)腫瘍の応答を比較のためにグラフに示す。 HCT−116親異種移植片またはA171T異種移植片を有するヌードラットに単回投与量180mg/kgのMLN4924を投与し、腫瘍を表示時間に切除し、NEDD8−カリン複合体レベル(C)、Cdt−1レベル(D)、切断型カスパーゼ−3レベル(E)およびNEDD8付加体レベル(F)について測定した。

    HCT−116異種移植片における耐性活性である。 A. HCT−116異種移植片を有する免疫無防備状態のヌードラットに、180mg/kgのMLN4924を、21日間サイクルの1、4、8、11日目に、3サイクル投与した。 腫瘍を処理の終わりに解析用に回収し、NAEβの変異状態を決定した。 B. アラニン171がトレオニンに変異した腫瘍をヌードラットにおいて再度確立し、180mg/kgのMLN4924で、21日間スケジュールの1、4、8、11日目に処置した。 WT(親)腫瘍の応答を比較のためにグラフに示す。 HCT−116親異種移植片またはA171T異種移植片を有するヌードラットに単回投与量180mg/kgのMLN4924を投与し、腫瘍を表示時間に切除し、NEDD8−カリン複合体レベル(C)、Cdt−1レベル(D)、切断型カスパーゼ−3レベル(E)およびNEDD8付加体レベル(F)について測定した。

    急性骨髄性白血病異種移植片およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫異種移植片である。 A. THP−1 AML異種移植片を有するCB. 17 SCIDマウスに、90mg/kgのBIDを、21日間サイクルの1、4、8、11、15、18日目に、5サイクル目まで投与した。 腫瘍を処理の終わりに解析用に回収し、NAEβの変異状態を決定した。 B. アラニン171がトレオニンに変異した腫瘍をCB. 17 SCIDマウスにおいて再度確立し、90mg/kgのBID MLN4924で、21日間サイクルの1、4、8、11、15、18日目に処置した。 WT(親)腫瘍の応答を比較のためにグラフに示す。 THP−1親異種移植片またはA171T異種移植片を有するCB. 17 SCIDマウスに単回投与量90mg/kgのMLN4924を投与し、腫瘍を表示時間に切除し、NEDD8−カリン複合体レベル(C)、Cdt−1レベル(D)、および切断型カスパーゼ−3レベル(E)について測定した。 F. OCI−Ly10 DLBCL異種移植片を有するCB. 17 SCIDマウスに、90mg/kgのBIDを、21日間サイクルの1、4、8、11、15、18日目に、5サイクル目まで間投与した。 腫瘍を処理の終わりに解析用に回収し、NAEβの変異状態を決定した。 G. グルタミン酸204がグリシンに変異した腫瘍をCB. 17 SCIDマウスにおいて再度確立し、90mg/kgのBID MLN4924で、21日間サイクルの1、4、8、11、15、18日目に処置した。 WT(親)腫瘍の応答を比較のためにグラフに示す。

    急性骨髄性白血病異種移植片およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫異種移植片である。 A. THP−1 AML異種移植片を有するCB. 17 SCIDマウスに、90mg/kgのBIDを、21日間サイクルの1、4、8、11、15、18日目に、5サイクル目まで投与した。 腫瘍を処理の終わりに解析用に回収し、NAEβの変異状態を決定した。 B. アラニン171がトレオニンに変異した腫瘍をCB. 17 SCIDマウスにおいて再度確立し、90mg/kgのBID MLN4924で、21日間サイクルの1、4、8、11、15、18日目に処置した。 WT(親)腫瘍の応答を比較のためにグラフに示す。 THP−1親異種移植片またはA171T異種移植片を有するCB. 17 SCIDマウスに単回投与量90mg/kgのMLN4924を投与し、腫瘍を表示時間に切除し、NEDD8−カリン複合体レベル(C)、Cdt−1レベル(D)、および切断型カスパーゼ−3レベル(E)について測定した。 F. OCI−Ly10 DLBCL異種移植片を有するCB. 17 SCIDマウスに、90mg/kgのBIDを、21日間サイクルの1、4、8、11、15、18日目に、5サイクル目まで間投与した。 腫瘍を処理の終わりに解析用に回収し、NAEβの変異状態を決定した。 G. グルタミン酸204がグリシンに変異した腫瘍をCB. 17 SCIDマウスにおいて再度確立し、90mg/kgのBID MLN4924で、21日間サイクルの1、4、8、11、15、18日目に処置した。 WT(親)腫瘍の応答を比較のためにグラフに示す。

    急性骨髄性白血病異種移植片およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫異種移植片である。 A. THP−1 AML異種移植片を有するCB. 17 SCIDマウスに、90mg/kgのBIDを、21日間サイクルの1、4、8、11、15、18日目に、5サイクル目まで投与した。 腫瘍を処理の終わりに解析用に回収し、NAEβの変異状態を決定した。 B. アラニン171がトレオニンに変異した腫瘍をCB. 17 SCIDマウスにおいて再度確立し、90mg/kgのBID MLN4924で、21日間サイクルの1、4、8、11、15、18日目に処置した。 WT(親)腫瘍の応答を比較のためにグラフに示す。 THP−1親異種移植片またはA171T異種移植片を有するCB. 17 SCIDマウスに単回投与量90mg/kgのMLN4924を投与し、腫瘍を表示時間に切除し、NEDD8−カリン複合体レベル(C)、Cdt−1レベル(D)、および切断型カスパーゼ−3レベル(E)について測定した。 F. OCI−Ly10 DLBCL異種移植片を有するCB. 17 SCIDマウスに、90mg/kgのBIDを、21日間サイクルの1、4、8、11、15、18日目に、5サイクル目まで間投与した。 腫瘍を処理の終わりに解析用に回収し、NAEβの変異状態を決定した。 G. グルタミン酸204がグリシンに変異した腫瘍をCB. 17 SCIDマウスにおいて再度確立し、90mg/kgのBID MLN4924で、21日間サイクルの1、4、8、11、15、18日目に処置した。 WT(親)腫瘍の応答を比較のためにグラフに示す。

    UBA3変異体の阻害剤による回復である。 NAEβ変異体をMLN4294または化合物1で阻害し、精製し、複合体を1mMのATPを含むSH基転移反応に加えて、酵素活性の回復を測定した。 A. WT UBA3、B. A171T UBA3、C. N209K UBA3、D. E204K UBA3、E. G201V UBA3。

    UBA3変異体の阻害剤による回復である。 NAEβ変異体をMLN4294または化合物1で阻害し、精製し、複合体を1mMのATPを含むSH基転移反応に加えて、酵素活性の回復を測定した。 A. WT UBA3、B. A171T UBA3、C. N209K UBA3、D. E204K UBA3、E. G201V UBA3。

    UBA3変異体を用いた細胞内の経路活性の回復である。 HCT−116の(A)WT細胞、(B)A171T細胞または(C)G201V細胞を、1μMまたは10μMのMLN4924で1時間処理し、化合物を洗い流し、細胞を薬剤を含有しない培地中でインキュベートし、表示時間に回収した。 タンパク質可溶化液を、NEDD8−カリン、NEDD8−NAEβ、NEDD8−Ubc12、NEDD8−MLN4924付加体、CDT1、NRF2およびチューブリンについて、ウェスタンブロッティングでプローブした。

    UBA3変異体を用いた細胞内の経路活性の回復である。 HCT−116の(A)WT細胞、(B)A171T細胞または(C)G201V細胞を、1μMまたは10μMのMLN4924で1時間処理し、化合物を洗い流し、細胞を薬剤を含有しない培地中でインキュベートし、表示時間に回収した。 タンパク質可溶化液を、NEDD8−カリン、NEDD8−NAEβ、NEDD8−Ubc12、NEDD8−MLN4924付加体、CDT1、NRF2およびチューブリンについて、ウェスタンブロッティングでプローブした。

    UBA3変異体を用いた細胞内の経路活性の回復である。 HCT−116の(A)WT細胞、(B)A171T細胞または(C)G201V細胞を、1μMまたは10μMのMLN4924で1時間処理し、化合物を洗い流し、細胞を薬剤を含有しない培地中でインキュベートし、表示時間に回収した。 タンパク質可溶化液を、NEDD8−カリン、NEDD8−NAEβ、NEDD8−Ubc12、NEDD8−MLN4924付加体、CDT1、NRF2およびチューブリンについて、ウェスタンブロッティングでプローブした。

    UBA3変異体による細胞内の経路活性の回復である。 NAEβ抗体を用いて免疫沈降(immunoprecipiation)アッセイを行い、得られた単離物を、NAEβ、NAE1およびNEDD8−MLN4924付加体抗体を用いてプローブした。 免疫沈降アッセイからのフロースルー(flow through)を、NEDD8−MLN4924付加体抗体を用いてプロ―ブした。

    UBA3変異体による細胞内の経路活性の回復である。 NAEβ抗体を用いて免疫沈降(immunoprecipiation)アッセイを行い、得られた単離物を、NAEβ、NAE1およびNEDD8−MLN4924付加体抗体を用いてプローブした。 免疫沈降アッセイからのフロースルー(flow through)を、NEDD8−MLN4924付加体抗体を用いてプロ―ブした。

    UBA3変異体による細胞内の経路活性の回復である。 HCT−116の(A)WT細胞、(B)A171T細胞または(C)G201V細胞を、種々の濃度の化合物1で4時間処理し、タンパク質可溶化液をUbc10、ユビキチンK48鎖、NEDD8−カリン、NEDD8−NAEβ、NEDD8−Ubc12、CDT1およびチューブリンについてウェスタンブロッティングでプローブした。

    腫瘍細胞の中には、治療的投与計画の阻害効果の影響を受けにくい変異型遺伝子を有するものがある。 あるいは、腫瘍細胞の中には化学療法剤での処置により、腫瘍細胞子孫にその薬剤への耐性を付与する変異および酵素遺伝子変異体を生じるものがある。 これらの変異型遺伝子は、治療介入があったとしても、腫瘍細胞またはそれらの子孫が生存および/または増殖することを可能にし、腫瘍が存続または成長することを可能にする。

    本発明は、特定の薬剤に対し低減した感受性を示すNAE変異体の発生または存在をモニタリングすること、並びに新規の治療レジームにおいて自身を有用とするのに適した特性を有する他の薬剤をスクリーニングおよび/または開発および/または設計すること、に関する。 本発明に従い、発明者らは、NAE阻害剤(例えば、1−置換メチルスルファメート)に対するNAEの感受性を低減する変異をUBA3遺伝子に有するNAE変異体を同定した(図1)。 いくつかの実施形態では、前記変異体は、一つまたは複数の他の薬剤、例えば、限定はされないが、プロテアソーム阻害剤(例えばボルテゾミブ)、アントラサイクリン(例えばドキソルビシン)またはトポイソメラーゼI阻害剤(例えばイリノテカン代謝産物、SN−38)に対しては感受性である。

    ユビキチンおよび他のublは、ublのC末端グリシンとのアシルアデニル酸中間体の形成を触媒する特定の酵素(E1酵素)により、活性化される(図2参照)。 次に、活性化されたublはチオエステル結合中間体の形成を通じてE1酵素内の触媒作動的システイン残基に転移する。 E1−ubl中間体およびE2が結合することによりチオエステル交換が起こり、ここでublはE2の活性部位であるシステインに転移される。 ublは次に、標的タンパク質内のリジン側鎖のアミノ基とのイソペプチド結合形成を介して、直接的に、またはE3リガーゼと共同して、標的タンパク質に結合する。 NEDD8(Neural precursor cell−Expressed Developmentally Downregulated 8)と名付けられたublは、ヘテロ二量体のNEDD8活性化酵素(NAE、またAPPBP1−UBA3、UBE1C(ユビキチン活性化酵素E1C)としても知られている)により活性化され、2種のE2複合体化酵素(ユビキチン担体タンパク質12(ubiquitin carrier protein 12:UBC12)およびUBC17)のうちの1つに転移し、最終的に、ユビキチン(E3)リガーゼのカリン−RINGサブタイプにより、カリンタンパク質へのNEDD8のライゲーションが起こる。 NEDD化の機能は、多くの細胞周期タンパク質および細胞情報伝達タンパク質(例えばp27およびI−κB)の代謝回転に関与するカリン型ユビキチンリガーゼの活性化である。 Pan et al. , Oncogene 23:1985−97 (2004)を参照されたい。 NAEの阻害は、カリン−RINGリガーゼ介在性タンパク質代謝回転を撹乱させ、細胞(例えば、腫瘍細胞または病原性微生物(例えば寄生虫)の細胞)にアポトーシスによる死をもたらし得る。

    E1活性化酵素はubl結合経路の第一段階で機能するため;E1活性化酵素の阻害は、ubl修飾のその下流の生物学的事象を特異的に調節する。 NAEは制御因子および触媒サブユニットから成るヘテロ二量体のE1活性化酵素である。 NAE1(NAEα、アミロイドβ前駆物質タンパク質−結合タンパク質1、AppBp1、主なアイソフォームはGeneBank受託番号NM_003905、GenPept NP_003896、配列番号3を有する)は調節サブユニットであり、UBA3(ユビキチン活性化酵素3、NAEβ、より長いアイソフォームはGeneBank受託番号NM_003968、配列番号1、GenPept受託番号NP_003959、配列番号2)は触媒サブユニットである。 NAEはUBC12へのNEDD8の結合を触媒する。 UBC12は次にNEDD8を、タンパク質基質上への転移のために、カリン型ユビキチンリガーゼに転移させる。

    NAEは、まずNEDD8およびATPの結合を触媒してNEDD8−AMP中間体(+遊離ピロリン酸)を生成することにより、UBC12へのNEDD8の結合を触媒する。 次に、NEDD8がUBA3(配列番号2)のC237とチオエステル結合を形成するときに、AMPが遊離する。 第二のNEDD8がUBA3上のNEDD8−AMP中間体に混合されると、UBA3は次に最初のNEDD8をUBC12上に転移させる。

    本明細書で使用される場合、用語「E1」、「E1酵素」、または「E1活性化酵素」は、標的分子へのユビキチンまたはユビキチン様(まとめて「ubl」)結合の活性化または促進に関与する、あるファミリーの関連ATP依存性活性化酵素のいずれか1つを指す。 E1活性化酵素はアデニル化/チオエステル中間体形成を介して機能し、SH基転移反応を介して適切なublを各E2複合体化酵素に転移させる。 得られる活性化型ubl−E2は標的タンパク質へのublの最終的な結合を促進する。 細胞情報伝達、細胞周期、およびタンパク質代謝回転に関与する種々の細胞タンパク質は、E1活性化酵素(例えば、NAE、UAE、SAE)を介して制御されるubl結合のための基質である。 文脈により特に示されない限り、用語「E1酵素」は、あらゆるE1活性化酵素タンパク質を指すことが意図されており、例えば、限定はされないが、NEDD8活性化酵素(NAE(APPBP1/Uba3))、ユビキチン活性化酵素(UAE(Uba1))、sumo活性化酵素(SAE(Aos1/Uba2))、UBA4、UBA5、UBA6、UBA7、ATG7、またはISG15活性化酵素(Ube1L)である。

    用語「E1酵素阻害剤」または「E1酵素の阻害剤」は、本明細書で定義される構造を有する化合物を示すのに使用され、該阻害剤はE1酵素と相互作用しその酵素活性を阻害することができる。 E1酵素活性を阻害するということは、基質ペプチドまたは基質タンパク質へのユビキチン様(ubl)結合(例えば、ユビキチン化、NEDD化、SUMO化)を活性化するE1酵素の能を低減させることを意味する。 種々の実施形態において、E1酵素活性のそのような低減は、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%である。 種々の実施形態において、E1酵素活性を低減させるのに必要なE1酵素阻害剤の濃度は、約1μM未満、約500nM未満、約100nM未満、約50nM未満、または約10nM未満である。

    本明細書で使用される場合、用語「NAE阻害剤」は、1−置換メチルスルファメートを意味し、例えばMLN4924である。 全体が参照によって本明細書に組み入れられ、そのPCT出願がWO07/092213として出願されたLangston S. et al. 、米国特許出願番号11/700,614は、E1活性化酵素の効果的な阻害剤である化合物(例えば、NAE)を開示している。 これらの化合物は、インビトロおよびインビボでのE1活性阻害に有用であり、細胞増殖障害(例えば、がん)、およびE1活性と関連する他の障害(例えば、病原性感染および神経変性障害)の治療に有用である。 Langston et al. に記載されている化合物の1種は、4−置換((1S,2S,4R)−2−ヒドロキシ−4−{7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル}シクロペンチル)メチルスルファメートである。

    いくつかの実施形態では、そのような阻害は選択的である、すなわち、E1酵素阻害剤は、別の無関係の生物学的効果を生むのに必要な阻害剤の濃度よりも低い濃度で、一つまたは複数のE1酵素(例えば、NAE、UAE、またはSAE)の、基質ペプチドまたは基質タンパク質へのubl結合を促進する能力を低減させる。 いくつかのそのような実施形態では、E1酵素阻害剤は、異なるE1酵素の酵素活性を低減させるのに必要な阻害剤の濃度よりも低い濃度で、1種のE1酵素の活性を低減させる。 他の実施形態では、E1酵素阻害剤は、別のE1酵素、例えばがんに関与する経路の制御に関わるE1酵素(例えば、NAEおよびUAE)の酵素活性も低減させる。

    MLN4924(((1S,2S,4R)−4−{4−[(1S)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イルアミノ]−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル}−2−ヒドロキシシクロペンチル)メチルスルファメート)は、カリン−RINGリガーゼが介在するタンパク質代謝回転を混乱させることで、細胞タンパク質の恒常性を乱すことによる、ヒト腫瘍細胞におけるアポトーシス死をもたらす(Soucy et al. (2009) Nature 458:732−736)。 細胞および腫瘍の異種移植片試験におけるMLN4924の評価は、2つの異なる作用機序を明らかにした。 1つ目は、MLN4924が介在するCRL1 SKP2およびCRL4 DDB1基質Cdt−1の調節不全による、DNA再複製、DNA損傷および細胞死の誘導である(Milhollen et al., 2011)。 p53の状態はDNA再複製の誘導に影響を与えないが、適切な遺伝的背景に基づいて、細胞にアポトーシスまたは老化をより起こし易くさせ得ることが示されている(Milhollen et al., 2011, Lin et al., 2010aおよびLin et al., 2010b)。 2つ目の機序は、主に、CRL1 βTRCPが介在するリン酸化IκBαの代謝回転の調節不全による、NF−κB依存性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫におけるNF−κB経路活性の阻害である(Milhollen et al., 2010)。 さらに、急性骨髄性白血病(AML)の前臨床モデルは、Cdt−1調節不全、NF−κB阻害および活性酸素種の誘導に関連する機構によって、細胞株および初代患者芽細胞の両方においてMLN4924阻害に対し感受性が高い(Swords et al., 2010)。

    MLN4924はNAEの機構に基づいた阻害剤であり、酵素により触媒される、共有結合性のNEDD8−MLN4924付加体を生成する(Brownell et al. (2010) Mol. Cell 37:102−111)。 NEDD8−MLN4924付加体は、NAE反応サイクルにおける第一中間体であるNEDD8アデニル酸塩と類似しているが、続く酵素内反応においてさらに利用することができない。 NAE活性部位内でのNEDD8−MLN4924付加体の安定性により酵素活性が遮断されることで、MLN4924によるNEDD8経路のタンパク質阻害が引き起こされる。

    MLN4924による選択圧後の、がんの細胞株および異種移植モデルにおけるNAEのNAEβ(UBA3)サブユニット内の変異の発生が、本明細書に記載される。 いくつかの実施形態では、変異はヘテロ接合性である。 他の実施形態では、変異は大きく分けて、UBA3(NAEβ)のATP結合領域またはNEDD8結合領域に影響を与える2つの種類に分類することができる。 生化学的研究により、両変異が、NEDD8−MLN4924付加体の形成速度の低減、および該付加体のより速い解離の促進等による機構を介して、化合物の作用強度を低減させ得ることが示されている。 培養細胞および異種移植片における証拠により、阻害後の、経路阻害の低減、UBA3(NAEβ)結合型NEDD8−MLN4924付加体の減少、および経路活性のより速い回復が示されている。 フレームワークは、NAE阻害剤(例えば、1−置換メチルスルファメート)、変異酵素に対する活性を有するMLN4924類似体等のE1酵素阻害剤を設計するために与えられる。 フレームワークは、E1酵素阻害剤(例えばNAE阻害剤(例えば、1−置換メチルスルファメート、MLN4924))の処置に最初は応答するが、最終的には再発し、NAEβ内の変異による耐性を克服してしまう、患者を再処置する可能性を与える。

    本発明の一態様は、UBA3遺伝子内に少なくとも1つのヌクレオチド変異を含む、単離されたNAE変異体に関する。 ヌクレオチド変異はさらに、少なくとも1つのアミノ酸変異(例えばアミノ酸置換)をUBA3タンパク質内にもたらし得る。 ヌクレオチド変異は、NAE阻害剤(例えば1−置換メチルスルファメート)に対する感受性の低減をもたらし得る。 UBA3変異体は、少なくとも1つのアミノ酸変異(例えば、配列番号2のUBA3タンパク質の残基171におけるアラニンのアミノ酸置換)をもたらす、少なくとも1つのヌクレオチド変異を含み得る。 一実施形態では、このアラニンはトレオニン(A171T)に変異され得る。 別の実施形態では、このアラニンはアスパラギン酸(A171D)に変異され得る。 さらに別の実施形態では、このアラニンはバリン(A171V)に変異され得る。 他の実施形態では、このアラニンはグルタミン酸(A171Eまたはセリン(A171S)に変異され得る。UBA3変異体は、少なくとも1つのアミノ酸変異(例えば、配列番号2のUBA3タンパク質の残基201におけるグリシンのアミノ酸置換)をもたらす、少なくとも1つのヌクレオチド変異を含み得る。一実施形態では、このグリシンはバリン(G201V)に変異され得る。UBA3変異体は、少なくとも1つのアミノ酸変異(例えば配列番号2のUBA3タンパク質の残基204におけるグルタミン酸のアミノ酸置換)をもたらす、少なくとも1つのヌクレオチド変異を含み得る。一実施形態では、このグルタミン酸はリジン(E204K)に変異され得る。別の実施形態では、このグルタミン酸はグリシン(E204G)に変異され得る。UBA3変異体は、少なくとも1つのアミノ酸変異(例えば、配列番号2のUBA3タンパク質の残基205におけるグリシンのアミノ酸置換)をもたらす、少なくとも1つのヌクレオチド変異を含み得る。一実施形態では、このグリシンはシステイン(G205C)に変異され得る。UBA3変異体は、少なくとも1つのアミノ酸変異(例えば、配列番号2のUBA3タンパク質の残基209におけるアスパラギンのアミノ酸置換)をもたらす、少なくとも1つのヌクレオチド変異を含み得る。一実施形態では、このアスパラギンはリジン(N209K)に変異され得る。別の実施形態では、このアスパラギンはアスパラギン酸(N209D)に変異され得る。UBA3変異体は、少なくとも1つのアミノ酸変異(例えば、配列番号2のUBA3タンパク質の残基211におけるアルギニンのアミノ酸置換)をもたらす、少なくとも1つのヌクレオチド変異を含み得る。一実施形態では、このアルギニンはグルタミン(R211Q)に変異され得る。UBA3変異体は、少なくとも1つのアミノ酸変異(例えば、配列番号2のUBA3タンパク質の残基228におけるチロシンのアミノ酸置換)をもたらす、少なくとも1つのヌクレオチド変異を含み得る。一実施形態では、このチロシンはヒスチジン(Y228H)に変異され得る。別の実施形態では、このチロシンはシステイン(Y228C)に変異され得る。UBA3変異体は、少なくとも1つのアミノ酸変異(例えば、配列番号2のUBA3タンパク質の残基229におけるプロリンのアミノ酸置換)をもたらす、少なくとも1つのヌクレオチド変異を含み得る。 一実施形態では、このプロリンはグルタミン(P229Q)に変異され得る。 UBA3変異体は、少なくとも1つのアミノ酸変異(例えば、配列番号2のUBA3タンパク質の残基305におけるバリンのアミノ酸置換)をもたらす、少なくとも1つのヌクレオチド変異を含み得る。 一実施形態では、このバリンはアラニン(V305A)に変異され得る。 UBA3変異体は、少なくとも1つのアミノ酸変異(例えば、配列番号2のUBA3タンパク質の残基311におけるプロリンのアミノ酸置換)をもたらす、少なくとも1つのヌクレオチド変異を含み得る。 一実施形態では、このプロリンはセリン(P311S)に変異され得る。 一実施形態では、このプロリンはトレオニン(P311T)に変異され得る。 UBA3変異体は、少なくとも1つのアミノ酸変異(例えば、配列番号2のUBA3タンパク質の残基314におけるアラニンのアミノ酸置換)をもたらす、少なくとも1つのヌクレオチド変異を含み得る。 一実施形態では、このアラニンはプロリン(A314P)に変異され得る。 UBA3変異体は、少なくとも1つのアミノ酸変異(例えば、配列番号2のUBA3タンパク質の残基324におけるシステインのアミノ酸置換)をもたらす、少なくとも1つのヌクレオチド変異を含み得る。 一実施形態では、このシステインはチロシン(C324Y)に変異され得る。 UBA3変異体は、少なくとも1つのアミノ酸変異(例えば、配列番号2のUBA3タンパク質の残基249におけるシステインのアミノ酸置換)をもたらす、少なくとも1つのヌクレオチド変異を含み得る。 一実施形態では、このシステインはチロシン(C249Y)に変異され得る。 本発明のUBA3変異体は、NAE阻害剤(例えば、1−置換メチルスルファメート)に対し、低減した感受性を示し得る。

    UBA3変異体遺伝子内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、配列番号1の531〜533におけるGCCコドンにおいて変異したヌクレオチドを含み得、その結果アラニンをコードしていない。 UBA3変異体遺伝子内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、配列番号1の変異したヌクレオチド531、532および/または533を含み得る。 一実施形態では、ヌクレオチド531はアデニン、チミンまたはシトシンであり得る。 ヌクレオチド531のグアニンをアデニンに変化させる変異は、配列番号2のアミノ酸171を、野生型UBA3におけるアラニンの代わりに、UBA3変異体ではトレオニンにさせ得る。 ヌクレオチド531のグアニンをチミンに変化させる変異は、配列番号2のアミノ酸171を、野生型UBA3におけるアラニンの代わりに、UBA3変異体ではセリンにさせ得る。 別の実施形態では、ヌクレオチド532はグアニン、アデニンまたはチミンであり得る。 ヌクレオチド532のシトシンをアデニンに、ヌクレオチド533のシトシンをアデニンまたはグアニンに変化させる変異は、配列番号2のアミノ酸171を、野生型UBA3におけるアラニンの代わりに、UBA3変異体ではグルタミン酸にさせ得る。

    UBA3変異体遺伝子内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、配列番号1の621〜623におけるGGGコドンにおいて変異したヌクレオチドを含み得る。 UBA3変異体遺伝子内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、配列番号1の変異したヌクレオチド621、622および/または623を含み得る。 一実施形態では、ヌクレオチド621はアデニン、チミンまたはシトシンであり得る。 ヌクレオチド621のグアニンをチミンに変化させる変異は、配列番号2のアミノ酸201を、野生型UBA3におけるグリシンの代わりに、UBA3変異体ではバリンにさせ得る。 別の実施形態では、ヌクレオチド622はアデニン、チミンまたはシトシンであり得る。 ヌクレオチド622のグアニンをシトシンに変化させる変異は、配列番号2のアミノ酸201を、野生型UBA3におけるグリシンの代わりに、UBA3変異体ではアラニンにさせ得る。

    UBA3変異体遺伝子内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、配列番号1の630〜632におけるGAAコドンにおいて変異したヌクレオチドを含み得る。 UBA3変異体遺伝子内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、配列番号1の変異したヌクレオチド630、631および/または632を含み得る。 一実施形態では、ヌクレオチド630はアデニン、チミンまたはシトシンであり得る。 ヌクレオチド630のグアニンをアデニンに変化させる変異は、配列番号2のアミノ酸204を、野生型UBA3におけるグルタミン酸の代わりに、UBA3変異体ではリジンにさせ得る。 別の実施形態では、ヌクレオチド631はグアニン、シトシンまたはチミンであり得る。 ヌクレオチド631のアデニンをグアニンに変化させる変異は、配列番号2のアミノ酸204を、野生型UBA3におけるグルタミン酸の代わりに、UBA3変異体ではグリシンにさせ得る。 別の実施形態では、ヌクレオチド632はチミンまたはシトシンであり得る。 ヌクレオチド632のアデニンをシトシンに変化させる変異は、配列番号2のアミノ酸204を、野生型UBA3におけるグルタミン酸の代わりに、UBA3変異体ではアスパラギン酸にさせ得る。

    UBA3変異体遺伝子内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、配列番号1の633〜635におけるGGTコドンにおいて変異したヌクレオチドを含み得る。 UBA3変異体遺伝子内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、配列番号1の変異したヌクレオチド633、634および/または635を含み得る。 一実施形態では、ヌクレオチド633はアデニン、チミンまたはシトシンであり得る。 ヌクレオチド633のグアニンをチミンに変化させる変異は、配列番号2のアミノ酸205を、野生型UBA3におけるグリシンの代わりに、UBA3変異体ではシステインにさせ得る。 別の実施形態では、ヌクレオチド634はアデニン、シトシンまたはチミンであり得る。 ヌクレオチド634のグアニンをアデニンに変化させる変異は、配列番号2のアミノ酸204を、野生型UBA3におけるグリシンの代わりに、UBA3変異体ではアスパラギン酸にさせ得る。

    UBA3変異体遺伝子内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、配列番号1の645〜647におけるAATコドンにおいて変異したヌクレオチドを含み得る。 UBA3変異体遺伝子内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、配列番号1の変異したヌクレオチド645、646および/または647を含み得る。 一実施形態では、ヌクレオチド645はグアニン、チミンまたはシトシンであり得る。 ヌクレオチド645のアデニンをグアニンに変化させる変異は、配列番号2のアミノ酸209を、野生型UBA3におけるアスパラギンの代わりに、UBA3変異体ではアスパラギン酸にさせ得る。 別の実施形態では、ヌクレオチド646はアデニン、チミンまたはシトシンであり得る。 ヌクレオチド646のグアニンをシトシンに変化させる変異は、配列番号2のアミノ酸209を、野生型UBA3におけるアスパラギンの代わりに、UBA3変異体ではアラニンにさせ得る。 別の実施形態では、ヌクレオチド647はアデニンまたはグアニンであり得る。 ヌクレオチド647のチミンをアデニンまたはグアニンに変化させる変異は、配列番号2のアミノ酸209を、野生型UBA3におけるアスパラギンの代わりに、UBA3変異体ではリジンにさせ得る。

    UBA3変異体遺伝子内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、配列番号1の651〜653におけるCGGコドンにおいて変異したヌクレオチドを含み得る。 UBA3変異体遺伝子内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、配列番号1の変異したヌクレオチド651、652および/または653を含み得る。 一実施形態では、ヌクレオチド651はグアニンまたはチミンであり得る。 ヌクレオチド651のシトシンをグアニンに変化させる変異は、配列番号2のアミノ酸211を、野生型UBA3におけるアルギニンの代わりに、UBA3変異体ではグリシンにさせ得る。 別の実施形態では、ヌクレオチド652はアデニン、チミンまたはシトシンであり得る。 ヌクレオチド652のグアニンをアデニンに変化させる変異は、配列番号2のアミノ酸211を、野生型UBA3におけるアルギニンの代わりに、UBA3変異体ではグルタミンにさせ得る。

    UBA3変異体遺伝子内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、配列番号1の702〜704におけるTATコドンにおいて変異したヌクレオチドを含み得る。 UBA3変異体遺伝子内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、配列番号1の変異したヌクレオチド702、703および/または704を含み得る。 一実施形態では、ヌクレオチド702はグアニン、アデニンまたはシトシンであり得る。 ヌクレオチド702のアデニンをシトシンに変化させる変異は、配列番号2のアミノ酸228を、野生型UBA3におけるチロシンの代わりに、UBA3変異体ではヒスチジンにさせ得る。 別の実施形態では、ヌクレオチド703はグアニン、チミンまたはシトシンであり得る。 ヌクレオチド703のアデニンをグアニンに変化させる変異は、配列番号2のアミノ酸228を、野生型UBA3におけるチロシンの代わりに、UBA3変異体ではシステインにさせ得る。

    UBA3変異体遺伝子内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、配列番号1の705〜707におけるCCAコドンにおいて変異したヌクレオチドを含み得る。 UBA3変異体遺伝子内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、配列番号1の変異したヌクレオチド705、706および/または707を含み得る。 一実施形態では、ヌクレオチド705はアデニン、グアニンまたはチミンであり得る。 ヌクレオチド705のシトシンをアデニンに変化させる変異は、配列番号2のアミノ酸229を、野生型UBA3におけるプロリンの代わりに、UBA3変異体ではトレオニンにさせ得る。 別の実施形態では、ヌクレオチド706はアデニン、チミンまたはグアニンであり得る。 ヌクレオチド706のシトシンをアデニンに変化させる変異は、配列番号2のアミノ酸229を、野生型UBA3におけるプロリンの代わりに、UBA3変異体ではグルタミンにさせ得る。

    UBA3変異体遺伝子内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、配列番号1の933〜935におけるGTAコドンにおいて変異したヌクレオチドを含み得る。 UBA3変異体遺伝子内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、配列番号1の変異したヌクレオチド933、934および/または935を含み得る。 一実施形態では、ヌクレオチド933はアデニン、シトシンまたはチミンであり得る。 ヌクレオチド933のグアニンをアデニンに変化させる変異は、配列番号2のアミノ酸305を、野生型UBA3におけるバリンの代わりに、UBA3変異体ではイソロイシンにさせ得る。 別の実施形態では、ヌクレオチド934はアデニン、グアニンまたはシトシンであり得る。 ヌクレオチド934のチミンをシトシンに変化させる変異は、配列番号2のアミノ酸305を、野生型UBA3におけるバリンの代わりに、UBA3変異体ではアラニンにさせ得る。

    UBA3変異体遺伝子内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、配列番号1の951〜953におけるCCTコドンにおいて変異したヌクレオチドを含み得る。 UBA3変異体遺伝子内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、配列番号1の変異したヌクレオチド951、952および/または953を含み得る。 一実施形態では、ヌクレオチド951はアデニン、グアニンまたはチミンであり得る。 ヌクレオチド951のシトシンをアデニンに変化させる変異は、配列番号2のアミノ酸311を、野生型UBA3におけるプロリンの代わりに、UBA3変異体ではトレオニンにさせ得る。 ヌクレオチド951のシトシンをチミンに変化させる変異は、配列番号2のアミノ酸311を、野生型UBA3におけるプロリンの代わりに、UBA3変異体ではセリンにさせ得る。 別の実施形態では、ヌクレオチド952はアデニン、チミンまたはグアニンであり得る。 ヌクレオチド952のシトシンをアデニンに変化させる変異は、配列番号2のアミノ酸311を、野生型UBA3におけるプロリンの代わりに、UBA3変異体ではグルタミンにさせ得る。

    UBA3変異体遺伝子内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、配列番号1の960〜962におけるGCTコドンにおいて変異したヌクレオチドを含み得る。 UBA3変異体遺伝子内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、配列番号1の変異したヌクレオチド960、961、および/または962を含み得る。 一実施形態では、ヌクレオチド960はアデニン、シトシンまたはチミンであり得る。 ヌクレオチド960のグアニンをシトシンに変化させる変異は、配列番号2のアミノ酸314を、野生型UBA3におけるアラニンの代わりに、UBA3変異体ではプロリンにさせ得る。 ヌクレオチド961のシトシンをアデニンに変化させる変異は、配列番号2のアミノ酸314を、野生型UBA3におけるアラニンの代わりに、UBA3変異体ではアスパラギン酸にさせ得る。 別の実施形態では、ヌクレオチド962は、アデニン、シトシンまたはグアニンであり得る。

    UBA3変異体遺伝子内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、配列番号1の765〜767におけるTGTコドンにおいて変異したヌクレオチドを含み得る。 UBA3変異体遺伝子内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、配列番号1の変異したヌクレオチド765、766および/または767を含み得る。 一実施形態では、ヌクレオチド765は、グアニン、アデニンまたはシトシンであり得る。 ヌクレオチド765のチミンをアデニンに変化させる変異は、配列番号2のアミノ酸249を、野生型UBA3におけるシステインの代わりに、UBA3変異体ではセリンにさせ得る。 別の実施形態では、ヌクレオチド766はアデニン、チミンまたはシトシンであり得る。 ヌクレオチド766のグアニンをアデニンに変化させる変異は、配列番号2のアミノ酸249を、野生型UBA3におけるシステインの代わりに、UBA3変異体ではチロシンにさせ得る。 別の実施形態では、ヌクレオチド767はグアニンであり得る。 ヌクレオチド767のチミンをグアニンに変化させる変異は、配列番号2のアミノ酸249を、野生型UBA3におけるシステインの代わりに、UBA3変異体ではトリプトファンにさせ得る。

    UBA3変異体遺伝子内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、配列番号1の989〜991におけるTGTコドンにおいて変異したヌクレオチドを含み得る。 UBA3変異体遺伝子内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、配列番号1の変異したヌクレオチド989、990および/または991を含み得る。 一実施形態では、ヌクレオチド989はグアニン、アデニンまたはシトシンであり得る。 ヌクレオチド989のチミンをアデニンに変化させる変異は、配列番号2のアミノ酸324を、野生型UBA3におけるシステインの代わりに、UBA3変異体ではセリンにさせ得る。 別の実施形態では、ヌクレオチド990はアデニン、チミンまたはシトシンであり得る。 ヌクレオチド990のグアニンをアデニンに変化させる変異は、配列番号2のアミノ酸324を、野生型UBA3におけるシステインの代わりに、UBA3変異体ではチロシンにさせ得る。 別の実施形態では、ヌクレオチド991はグアニンであり得る。 ヌクレオチド991のチミンをグアニンに変化させる変異は、配列番号2のアミノ酸324を、野生型UBA3におけるシステインの代わりに、UBA3変異体ではトリプトファンにさせ得る。

    UBA3変異体遺伝子内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、アミノ酸変化をもたらさない部位に変異した遺伝子型パターンを含み得る。 そのような変異は、そのタンパク質構造においては「サイレント」であるが、ヌクレオチド構造に対しては効果を有し得る。 一実施形態では、UBA3変異体は、少なくとも1つのアミノ酸変異(例えば、アミノ酸置換)をもたらさない少なくとも1つのヌクレオチド変異を含み得る。 ヌクレオチド962のチミンをシトシンに変化させるUBA3変異体内の変異は、配列番号2のアミノ酸314をアラニンから変化させない。 本実施形態では、変異はUBA3タンパク質の発現変化をもたらし得るか、または、NAEヘテロ二量体の別の部分(例えば、NAE1またはUBA3内の別のアミノ酸)における変異を伴い得る。

    UBA3変異体遺伝子内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、NAEの他の部位(例えば、E1酵素阻害剤(例えばNAE阻害剤(例えば、1−置換メチルスルファメート(例えば、MLN4924)))に対する耐性を付与しない部位)に、変異した遺伝子型パターンをさらに含み得る。 そのさらなる変異はサイレントであり得るか、またはNAEヘテロ二量体の別の部分(例えば、NAE1)における変異を伴い得る。

    従って、UBA3変異体核酸内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、配列番号1のヌクレオチド531、532、533、621、622、623、630、631、632、633、634、635、645、646、647、651、652、653、702、703、704、705、706、707、765、766、767、933、934、935、951、952、953、960、961、962、989、990、および991からなる群から選択される。 一実施形態では、UBA3変異体核酸内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、配列番号1のヌクレオチド765、766および/または767に変化を含まない。 本実施形態では、UBA3変異体核酸内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、配列番号1のヌクレオチド531、532、533、621、622、623、630、631、632、633、634、635、645、646、647、651、652、653、702、703、704、705、706、707、933、934、935、951、952、953、960、961、962、989、990、および991からなる群から選択される。 UBA3変異体核酸内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、配列番号2のアミノ酸残基171、201、204、205、209、211、228、229、249、305、311、314および324からなる群から選択される残基にアミノ酸変化をもたらし得る。 一実施形態では、UBA3変異体核酸内の少なくとも1つのヌクレオチド変異は、配列番号2のアミノ酸249に変化を含まない。 本実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸変化は、配列番号2の残基171、201、204、205、209、211、228、229、305、311、314および324における変化からなる群から選択される。

    さらなる実施形態では、本発明は、配列番号1のヌクレオチド531、532、533、621、622、623、630、631、632、633、634、635、645、646、647、651、652、653、702、703、704、705、706、707、765、766、767、933、934、935、951、952、953、960、961、962、989、990、および991からなる群から選択される配列番号1における2つ以上のヌクレオチド変異を含むことで、UBA3タンパク質内に2つ以上のアミノ酸置換を引き起こしている、変異UBA3変異体にまで及ぶ。 例えば、配列番号2の残基171における変化は、耐性に寄与してもしなくてもよい、さらなる残基における変化を伴い得る。 一実施形態では、UBA3内の変化はヘテロ接合性である、すなわち、細胞内のUBA3対立遺伝子にのみ存在する。 別の実施形態では、UBA3内の変化はホモ接合性である。 他の実施形態では、変化の組み合わせは、配列番号2の残基171、201、204、205、209、211、228、229、249、305、311、314および324における変化からなる群から選択される、あらゆる2以上のアミノ酸であり得る。 あるいは、変化の組み合わせは、細胞内のUBA3の一方の対立遺伝子上における少なくとも1つの変化、および細胞内のUBA3のもう一方の対立遺伝子における別の変化を含み得る。 そのような細胞では、各変異体はヘテロ接合性であるが、野生型UBA3は細胞内に存在しない。

    UBA3は門および種の間で高度に保存されている。 図3のアラインメントは、配列番号2のアミノ酸残基171、201、204、209、228、229、305および324が、哺乳動物(ヒト、マーモセット、イヌ、ラット、マウス、雌ウシ、ブタ)、鳥類および魚の間で保存されていることを示している(全体として、配列番号2と85%を下回らず同一であった)。 残基201、204、205および311は上記に列挙された種の間でのみ保存されているだけではなく、無脊椎動物、カビおよび酵母においても保存されている(全体として、配列番号2と40%を下回らず同一であった)。 図2の1種の酵母種だけが、配列番号2のA171に対応する位置にアラニン以外の残基、R211に対応する位置にアルギニン以外の残基、C249に対応する位置にシステイン以外の残基、またはA314に対応する位置にアラニン以外の残基を有する。 N209のような対応する残基にアスパラギン以外の残基を有する配列の中で、保存的置換のみが存在する(グルタミン、カビおよび2種の酵母種;ヒスチジン、3番目の酵母種)。 無脊椎動物におけるY228に対応する残基でチロシンの保存的置換が存在し、カビのみがC324に対応する残基でシステインの置換を示す。 従って、本明細書に記載のヒトUBA3変異体が介在する耐性は、複数の門および種、例えば、脊椎動物、例えば、哺乳動物、および無脊椎動物、例えば、霊長類(例えば、ヒト、マーモセット)、げっ歯類(マウス、ラット)、有動物(ウシ)、(魚)(カエル)(鳥類 無脊椎動物(蚊、シラミ)(カビ)(酵母)に対して、考慮され得る。それらの酵素を標的とする薬剤への耐性を克服する化学療法剤等の、阻害剤に関するアッセイは、図3中の酵素の各残基における変異体を使用することができる。図3中の家畜への用途は、疾患(例えば、がん)の治療に関連し得る。図3中のげっ歯類および無脊椎動物の酵素を標的とする薬剤への耐性を克服する阻害剤に関するアッセイは、有害生物駆除製品を開発するのに使用することができる。

    171位のアラニンは、さらなる酵素または二量体酵素のサブユニット、例えば、E1活性化酵素、例えば、Sumo活性化酵素(SAE2)(配列番号27)、UBA1(配列番号28(酵母)、配列番号29(ヒト))、MOCS3(UBA4、配列番号30)、UBA5(配列番号31)、UBA6(配列番号32)、UBA7(配列番号33)、およびATG7(配列番号34)、並びに、E1酵素に構造的および機構的に関連している、すなわち、活性部位システインを有し、それらの活性化の過程で基質とのチオエステル結合を形成する他の酵素(例えば、細菌酵素のmoeb(配列番号35)およびthif(配列番号36))において保存されている(図4参照)。 ヒトUBA3のアラニン171は、SAE2(配列番号27)における残基121のアラニン、酵母UBA1(配列番号28)における残基548のアラニン、ヒトUBA1(配列番号29)における残基580のアラニン、MOCS3(UBA4、配列番号30)における残基185のトレオニン、UBA5(配列番号31)における残基187のアラニン、UBA6(配列番号32)における残基573のアラニン、UBA7(配列番号33)における残基544のアラニン、ATG7(配列番号34)における残基480のセリン、moeb(配列番号35)における残基134のバリンおよびthif(配列番号36)における残基131のトレオニンに対応している。 それらの酵素を標的とする薬剤への耐性を克服する化学療法剤等の阻害剤に関するアッセイは、配列番号2のA171に対応し、配列番号27では残基A121、配列番号28ではA548、配列番号29ではA580、配列番号30ではT185、配列番号31ではA187、配列番号32ではA573、配列番号33ではA544、配列番号34ではS480、配列番号35ではV134、および配列番号36ではT131である、残基における変異体を使用することができる。 それらの酵素を標的とする薬剤への耐性を克服する抗生物質等の阻害剤に関するアッセイは、配列番号35においては残基V134であり配列番号36においてはT131である、残基における変異体を使用することができる。

    本発明の一態様は、UBA1遺伝子に少なくとも1つのヌクレオチド変異を含む単離UBA1変異体に関する。 ヌクレオチド変異はさらに、UBA1タンパク質に少なくとも1つのアミノ酸変異(例えばアミノ酸置換)をもたらし得る。 UBA1遺伝子内のヌクレオチド変異は、E1酵素阻害剤(例えばNAE阻害剤(例えば1−置換メチルスルファメート))に対する感受性の低減に繋がり得る。 UBA1変異体は、少なくとも1つのアミノ酸変異(例えば、配列番号29のUBA1タンパク質の残基580におけるアラニンのアミノ酸置換)をもたらす少なくとも1つのヌクレオチド変異を含み得る。 一実施形態では、このアラニンはトレオニンに変異され得る(A580T)。 別の実施形態では、このアラニンはアスパラギン酸に変異され得る(A580D)。

    本発明の別の態様は、UBA6遺伝子に少なくとも1つのヌクレオチド変異を含む単離UBA6変異体に関する。 ヌクレオチド変異はさらに、UBA6タンパク質に少なくとも1つのアミノ酸変異(例えばアミノ酸置換)をもたらし得る。 UBA6遺伝子内のヌクレオチド変異は、E1酵素阻害剤(例えばNAE阻害剤(例えば1−置換メチルスルファメート))に対する感受性の低減に繋がり得る。 UBA6変異体は、少なくとも1つのアミノ酸変異(例えば、配列番号32のUBA6タンパク質の残基573におけるアラニンのアミノ酸置換)をもたらす少なくとも1つのヌクレオチド変異を含み得る。 一実施形態では、このアラニンはトレオニンに変異され得る(A573T)。 別の実施形態では、このアラニンはアスパラギン酸に変異され得る(A573D)。

    ヒトUBA3は、配列番号1のオープンリーディングフレーム(およそ塩基21〜1412)の翻訳から生じ、以下の領域または他の構造的特徴を含有し得る(PFAM識別子、PS接頭辞およびPF接頭辞ドメイン識別番号に関する一般的な情報については、Sonnhammer et al. (1997) Protein 28:405−420;Pfam:Finn et al. (2010) Nuc. Ac. Res. 38:D211−222、およびウェルカムトラスト・サンガー研究所(Wellcome Trust Sanger Institute)(イギリス、ケンブリッジ、ヒンクストン)により維持されているウェブサイト;ProSite:Sigrist et al. (2010) Nuc. Ac. Res. 38:161−166、およびスイスバイオインフォマティクス研究所(Swiss Institute of Bioinformatics)、スイス、ローザンヌ)により維持されているExPASyプロテオミクスサーバーのウェブサイトを参照):配列番号2のおよそアミノ酸残基69〜211に位置するThiFドメイン(PFAM受入番号PF00899);配列番号2のおよそアミノ酸残基216〜262に位置するUBA_e1_チオールCysドメイン(PFAM受入番号PF10585);配列番号2のおよそアミノ酸残基270〜334に位置するUBACTドメイン(PFAM受入番号PF02134);配列番号2のおよそアミノ酸残基374〜462に位置するE2_結合ドメイン(PFAM受入番号PF08825);配列番号2のおよそアミノ酸残基235〜243に位置するProSiteユビキチン活性化酵素特徴的配列(PrositePDOC00463)。 触媒作用的システイン残基(例えば、NEDD8結合用)は、配列番号2の残基237であり得る。 ATP結合ポケット、例えば、配列番号2のおよそアミノ酸残基148〜およそ171;NEDD8結合ポケット、配列番号2のおよそアミノ酸残基201〜およそ229;触媒作用的Cysドメイン、配列番号2のおよそ残基229〜309。

    一実施形態では、UBA3変異体内の少なくとも1つの変異はATP結合ポケットに存在し得る。 従って、このATP結合ポケット変異は、分子(例えば、NAE阻害剤(例えば、1−置換メチルスルファメート(例えば、MLN4924)))、またはヌクレオチド(例えば、ATP、ADP、ATPγS、デオキシ−ATP)、AMP−PNP、AMP−アミデートおよび/または分子(例えば、ヌクレオチド(例えば、ATP、ADP、ATPγS、デオキシ−ATP))の加分解物の結合性に影響を与え得る。 あるいは、ATP結合ポケット変異は、あるNAE阻害剤(例えば、1−置換メチルスルファメート(例えば、MLN4924))の結合性に影響を与え得るが、野生型UBA3と比較して、変異体に対するIC50の間に2、3もしくは4倍またはそれ未満の差異を有する別のNAE阻害剤(例えば、アデノシンスルファメート)または化合物(例えば、1−置換メチルスルファメート)の結合には影響を与えない。 いくつかの実施形態では、UBA3変異体は、表13中のいくつかの化合物に対して耐性であり得るが、表13中の他の化合物に対しては耐性ではない。

    別の実施形態では、UBA3変異体内の少なくとも1つの変異は、NEDD8結合ポケット内に存在し得る。 従って、このNEDD8結合ポケット変異は、ubl(例えば、NEDD8)のUBA3への結合性、および/もしくはNEDD8のUBA3とのチオエステル形成、および/もしくはNEDD8のアデニル化、および/もしくは1−置換メチルスルファメート(例えば、アデノシンスルファメートまたはMLN4924)のNEDD8とのチオエステル形成に影響を与え、並びに/またはNEDD8−NAE阻害剤(例えば、NEDD8−1−置換メチルスルファメート付加体)の結合性に影響を与え得る。 別の実施形態では、UBA3変異体内の少なくとも1つの変異は、NAE1に結合するための領域内に存在し得る。 従って、この変異は、ヘテロ二量体形成およびその後の酵素活性に干渉し得る。

    本明細書で使用される場合、「ThiFドメイン」という用語には、長さが約135〜145アミノ酸残基であり、配列番号4のThiFドメインコンセンサス配列に対する配列の有意なアラインメントを有する、アミノ酸配列が含まれる。 ThiFドメインはUBA3へのATP結合を介在し得る。 ThiFドメイン(HMM)は、PFAM受入番号PF00899を割り当てられており、配列番号2のおよそアミノ酸残基69〜およそ211に存在し得る。

    本明細書で使用される場合、「UBA_e1_チオールCysドメイン」という用語には、長さが約40〜50アミノ酸残基であり、配列番号5のUBA_e1_チオールCysドメイン(HMM)コンセンサス配列に対する配列の有意なアラインメントを有する、アミノ酸配列が含まれる。 UBA_e1_チオールCysドメインは、NEDD8結合およびチオエステル結合を媒介し得、配列番号2のおよそアミノ酸残基235〜243にユビキチン活性化酵素特徴的配列(PrositePDOC00463)を有する。 この特徴的配列は、配列番号2のおよそアミノ酸残基237に活性部位システインを含む。 UBA_e1_チオールCysドメインには、Prositeユビキチン活性化酵素特徴的配列PS00865(P−[LIVMG]−C−T−[LIVM]−[KRHA]−x−[FTNM]−P、配列番号6)、またはそれに相同な配列が含まれ得る。 上記特徴的配列、および本明細書に記載の他のモチーフまたは配列において、アミノ酸には標準的なIUPAC1文字表記が使用される。 パターン内の各要素はダッシュ(−)によって隔てられ;括弧([ ])はその位置で許容される特定の残基を示し;xはいかなる残基もその位置で許容されることを示している。 UBA_e1_チオールCysドメイン(HMM)は、PFAM受入番号PF10585を割り振られており、配列番号2のおよそアミノ酸残基216〜およそ260に存在し得る。

    三次元空間において、UBA3 ATP結合部位は、配列番号2の残基およそ99〜124およびおよそ146〜174を含み得る。 三次元空間において、UBA3 NEDD8C末端(残基71〜76)結合部位は、配列番号2の残基約78〜81、165〜172、201〜229および310〜344を含み得る。

    本明細書で使用される場合、「UBACTドメイン」という用語には、長さが約60〜70アミノ酸残基であり、配列番号7のUBACT ドメイン(HMM)コンセンサス配列に対する配列の有意なアラインメントを有する、アミノ酸配列が含まれる。 UBACTドメインはNEDD8結合を介在し得る。 UBACTドメイン(HMM)はPFAM受入番号PF02134を割り振られており、配列番号2のおよそアミノ酸残基270〜およそ334に存在し得る。

    本明細書で使用される場合、「E2_結合ドメイン」または「E2結合ドメイン」という用語には、長さが約80〜95アミノ酸残基であり、配列番号8のE2_結合ドメインコンセンサス配列に対する配列の有意なアラインメントを有する、アミノ酸配列が含まれる。 E2_結合ドメインは、UBA3のE2酵素(例えば、UBC12またはUBE2F)との結合を介在し得る。 UBA3(例えば、ヒトUBA3ポリペプチド)のE2_結合ドメインは、配列番号2のおよそC末端に位置し得る。 E2_結合ドメイン(HMM)はPFAM受入番号PF08825が割り振られており、配列番号2のおよそアミノ酸残基374〜およそ462に存在し得る。

    UBA3変異体タンパク質は、以下のUBA3活性のうちの一つまたは複数を有し得る:(1)ヌクレオチド(例えばアデノシン三リン酸(ATP)、アデノシン5'−二リン酸(ADP)、アデノシン5'−[γ−チオ]三リン酸(ATPγS)、デオキシ−ATP)、アデノシン5′−(β,γ−イミド)三リン酸(AMP−PNP)、AMP−アミデート、1−置換メチルスルファメート(例えば、MLN4924)と結合する能力;(2)ヌクレオチド(例えばATP、ADP、ATPγS、デオキシ−ATP)を加水分解する能力;(3)ピロリン酸(PPi)と結合する能力、(4)NEDD8またはNEDD8−アデニレート類似体(例えば、アデノシル−ホスホ−NEDD8(APN))と結合する能力;(5)NEDD8をアデニル化する能力;(6)NEDD8との共有結合性チオエステル結合を形成する能力;(7)E2酵素(例えば、UBC12またはUBE2F)と結合する能力;(8)NEDD8のE2(例えば、UBC12)へのSH基転移を触媒する能力;(9)NAE1と結合する能力;(10)NAE阻害剤−NEDD8付加体と強く結合する能力。

    あるいは、UBA3変異体タンパク質は、UBA3活性のうちの一つまたは複数を実行する能力がない、またはその能力が低減している可能性がある。 一実施形態では、UBA3変異体タンパク質は、MLN4924−NEDD8付加体と結合するおよび/またはそれを形成する能力が、野生型UBA3の該付加体と結合する能力と比較して、低減している可能性がある。 この変異型機能を有するNAE変異体の例は、ATP結合ポケット(例えば、配列番号2のアラニン171において、もしくはその付近で異なる)および/またはNEDD8結合間隙(例えば、配列番号2のグリシン201、グルタミン酸204、アスパラギン209、および/またはシステイン324において、もしくはその付近で異なる)に変異を有する変異体である。 別の実施形態では、UBA3変異体タンパク質(例えば、チロシン228において、もしくはその付近で異なる)は、NEDD8のC末端をアデニル化ドメイン内に固定する能力が低減されており、NEDD8をアデニル化する能力が低減している可能性がある。 別の実施形態では、UBA3変異体タンパク質(例えば、配列番号2のシステイン249において、もしくはその付近で異なる)は、NAE1とのヘテロ二量体を形成する能力が低減している可能性がある。

    UBA3変異体について、「減少した」または「低減した」感受性への言及は、E1阻害剤に対する完全なまたは相当な耐性、および該阻害剤に対する野生型の感受性と比較しての部分的な耐性を含み、包含する。 UBA3変異体がUBA3活性を実行する能力における低減のレベルは、野生型UBA3と比較して、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、10倍、15倍、20倍、35倍、50倍、100倍またはそれ以上であり得る。 NAE阻害剤(例えば、MLN4924)の活性、例えば、IC50(反応速度を50%低減させるのに必要な阻害剤の濃度)は、野生型UBA3を含むE1酵素(例えば、NAE)と比較して、UBA3変異体を含むE1酵素(例えば、NAE)に対して、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、10倍、15倍、20倍、35倍、50倍、100倍またはそれ以上低減され得る。 別の実施形態では、野生型UBA3のみを含む(例えば、ホモ接合である)細胞(例えば腫瘍細胞)を殺傷するのと比較して、UBA3変異体を含む細胞(例えば、腫瘍細胞)を殺傷するには、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、10倍、15倍、20倍、35倍、50倍、100倍またはそれ以上のNAE阻害剤(例えば、MLN4924)が必要となり得る。

    UBA3活性は、間接的な活性、例えば、NEDD化タンパク質のカリン環リガーゼとの相互作用により媒介される細胞シグナル伝達活性でもあり得る。 例えば、UBA3変異体は、以下の間接活性のうちの一つまたは複数を有し得る:1)カリン環リガーゼの基質の代謝回転を媒介する能力;2)タンパク質の恒常性に関与する能力;および3)腫瘍の細胞生存を支援する能力。 間接的なUBA3活性は、E1酵素阻害剤(例えば、NAE阻害剤(例えば、MLN4924))の存在下で阻害または低減され得る。 UBA3変異体は、E1酵素阻害剤(例えば、NAE阻害剤(例えば、MLN4924))の存在下で間接的なUBA3活性を有し得る。

    「約」という用語は、およそ、辺り、大まかに、または前後を意味するように、本明細書では使用される。 用語「約」は、数値範囲と共に使用される場合、境界を記載の数値の上下に拡張することにより、その範囲を修飾する。 一般的に、用語「約」は、数値を記載値の上下に10%だけ変動させて修飾するために、本明細書では使用される。

    本明細書で提供される全タンパク質の受入番号は、国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)(メリーランド州ベテスダ)により管理されるEntrez Proteinデータベース、またはUniprotコンソーシアム(欧州バイオインフォマティクス研究所(イギリス、ケンブリッジ、ヒンクストン)、スイスバイオインフォマティクス研究所(スイス、ジュネーブ)およびタンパク質情報リソース(Protein Information Resource)(ワシントンDC))により管理されるUniProtデータベースを参照する。

    「一つまたは複数の変異」または「少なくとも1つの変異」という表現は、本明細書で使用される場合、安定性およびコドンの実行可能性(codon feasibility)の条件が満たされているという条件で、本明細書に記載の変異型ヌクレオチドまたはアミノ酸残基の数に応じて可能な1から最大数までの変異と等しいある数の変異を指す。 特に明記しない限り、核酸配列またはアミノ酸配列中の所望により変異した位置は、配列のそれぞれの変異可能な位置において変異を有していてもよく、UBA3変異体は同じであっても異なっていてもよい。 本明細書で使用される場合、用語「独立して選択される」は、同じまたは異なる値が、単一の変異体における所与の変数の複数の例に選択されてもよいことを意味する。

    「ハイブリダイゼーション」は、実質的に相同な相補的ヌクレオチド配列が互いにアニーリングするプロセスである。 ハイブリダイゼーションプロセスは、完全に溶液中で(すなわち両方の相補的核酸は溶液中に存在する)起こり得る。 そのようなプロセスに依る分子生物学的手段としては、PCR、サブトラクティブハイブリダイゼーションおよびDNA配列決定が挙げられる。 ハイブリダイゼーションプロセスは、磁気ビーズ、セファロースビーズまたはあらゆる他の樹脂もしくは一種のビーズ等のマトリックスに固定化した、相補的核酸の一方と起こすこともできる。 そのようなプロセスに依る分子生物学的手段としては、ポリ(A )mRNAの単離が挙げられる。 ハイブリダイゼーションプロセスは、さらに、ニトロセルロースもしくはナイロン膜、スライドガラスもしくは石英ガラス(石英)スライド(後者は核酸アレイもしくはマイクロアレイとして、または核酸チップとして知られている)、金膜、ポリピロールフィルム、光ファイバー、または例えばポリアクリルアミドゲル中もしくはマイクロプレートのウェル中等の固相に固定化した相補的核酸の一方と起こすこともできる。 そのようなプロセスに依る分子生物学的手段としては、RNAおよびDNAゲルブロット解析、コロニーハイブリダイゼーション、プラークハイブリダイゼーション、リバースハイブリダイゼーション並びにマイクロアレイハイブリダイゼーションが挙げられる。 ハイブリダイゼーションを起こすことを目的として、核酸分子は通常、二重鎖を2本の単鎖に融解させるために、および/または一本鎖核酸からヘアピンもしくは「分子ビーコン(Molecular Beacon)」プローブ(単一の二重標識)もしくは他の二次構造を除去するために、熱的に、化学的に(例えばNaOHにより)または電気化学的に変性される。

    本明細書で使用される場合、用語「低ストリンジェンシー、中度のストリンジェンシー、高度のストリンジェンシー、または非常に高度のストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする」は、ハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件を説明するものである。 ハイブリダイゼーション反応を行うための手引きは、Current Protocols in Molecular Biology (1989) John Wiley & Sons, N. Y. , 6.3.1−6.3.6(参照により組み入れられる)にて見出すことができる。 水系および非水系の方法がその参考文献中に記載されており、どちらも使用することができる。 本明細書で示される具体的なハイブリダイゼーション条件は以下の通りである:1)約45℃の6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、続く、少なくとも50℃の0.2×SSC、0.1%SDSにおいての2回の洗浄(洗浄の温度は、低ストリンジェンシー条件においては、55℃まで上昇させることができる)における、低度ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件;2)約45℃の6×SSC、続く60℃の0.2×SSC、0.1%SDSにおいての一回または複数回の洗浄における、中度のストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件;3)約45℃の6×SSC、続く65℃の0.2×SSC、0.1%SDSにおいての一回または複数回の洗浄における、高度のストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件;並びに、4)65℃の0.5Mリン酸ナトリウム、7%SDS、続く65℃の0.2×SSC、1%SDSにおいての一回または複数回の洗浄における、非常に高度のストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件。 いくつかの実施形態では、非常に高度のストリンジェンシー条件が特に断りがない限りは使用される。

    本明細書で使用される場合、「自然発生的な」核酸分子とは、天然に生じる(例えば、天然タンパク質)ヌクレオチド配列を有するRNA分子またはDNA分子を指す。

    本明細書で使用される場合、用語「遺伝子」および「組換え遺伝子」とは、完全長タンパク質(例えば、哺乳類UBA3タンパク質)をコードするオープンリーディングフレームを含み、さらに非翻訳制御配列およびイントロンも含み得る、核酸分子を指す。

    「単離された」または「精製された」ポリペプチドまたはタンパク質は、前記タンパク質が由来する細胞源または組織源に由来する細胞性物質または他の混入タンパク質を実質的に含まないか、あるいは化学合成される場合の化学前駆物質または他の化学物質を実質的に含まない。 一実施形態では、「実質的に含まない」という表現は、UBA3変異体以外のタンパク質(「混入タンパク質」とも呼ばれる)、または化学前駆物質もしくはUBA3変異体以外の化学物質を、約30%未満、20%未満、10%未満または5%未満(乾燥重量)しか有さない、UBA3変異体タンパク質の調製を意味する。 UBA3変異体タンパク質またはその生物学的に活性な部分は、組換えで生成される場合、培地を実質的に含まない場合もある(すなわち、培地は前記タンパク質調製物の体積の約20%未満、約10%未満、または約5%未満である)。 本発明には、乾燥重量で少なくとも0.01、0.1、1.0、および10ミリグラムの単離または精製された調製物が含まれる。

    本発明はさらに、配列番号1に示されるヌクレオチド配列とは異なる核酸分子も包含する。 そのような差異は、遺伝暗号の縮重によるものであり得、(本明細書で開示されるヌクレオチド配列にコードされるもの様な、同じUBA3変異体タンパク質をコードする核酸を生じる。別の実施形態では、本発明の単離核酸分子は、配列番号2に示される、少なくとも1つの、ただし5未満、10未満、20未満、50未満、または100未満のアミノ酸残基だけ異なるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を有する。

    「非必須」アミノ酸残基は、生物活性を消失させることなく、またはそれを実質的に変化させることなく、UBA3の野生型配列またはUBA3変異体(例えば、配列番号2の配列)から変化させることができる残基であり、一方「必須」アミノ酸残基はそのような変化をもたらす。 例えば、本発明のポリペプチド間で保存されているアミノ酸残基、例えば、種の間で最も高い程度の保存性(すなわち、高い同一性)を示す図3および図4中の残基は、必須であり、酵素活性(例えば、UBA3の活性)のうちの一つまたは複数にとって不可欠である。 種の間で高い、または中程度に高い同一性を示すアミノ酸残基は、酵素活性に重要であるが、必須ではない場合がある残基である。 そのような残基における変異は、UBA3の一つまたは複数の活性を損なうかまたは低減する可能性があるが、いくつかの実施形態では、変異した酵素の一つまたは複数の活性は、変化を受けた(例えば、低減された)程度に、未だに機能する。 そのような残基は、野生型酵素の構造および機構用に設計されている阻害剤に抵抗するUBA3変異体において変異している残基であり得る。 いくつかの実施形態では、酵素活性(例えば、UBA3活性)にとって不可欠または重要な残基は、UBA3の一つまたは複数のドメイン(例えば、ATP結合ドメイン、ATP結合ポケット、NEDD8結合ポケット、ThiFドメイン、UBA_e1_チオールCysドメイン、UBACTドメイン、E2_結合ドメイン)内に存在する場合があり、それらの残基は保存的であると予測される、すなわち、概して変化を受けにくい。 非必須アミノ酸は種の間で高い変動性を示し、変動する残基よりも、酵素機構に関連する構造的特徴の間(例えば、ドメイン(例えば、ATP結合ドメイン、ATP結合ポケット、NEDD8結合ポケット、ThiFドメイン、UBA_e1_チオールCysドメイン、UBACTドメイン、E2_結合ドメイン))の間に存在する可能性が高い。 非必須アミノ酸残基の変異は、「サイレント」であり、UBA3活性に影響を与えない可能性がある。

    「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基と置換される置換である。 類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野において定義されている。 これらのファミリーとしては、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐鎖側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が挙げられる。 従って、UBA3変異体タンパク質内の予測非必須アミノ酸残基は、同じ側鎖ファミリーとは別のアミノ酸残基と置換される。 あるいは、別の実施形態では、UBA3変異体のコード配列の全体または部分に沿って、飽和突然変異誘発等によって、変異を無作為に導入することができ、得られる変異タンパク質(例えば、少なくとも1つのアミノ酸置換を有するタンパク質)を、UBA3生物活性についてスクリーニングすることで、活性を保持している変異体を同定することができる。 配列番号1の変異誘発の後、コードされるタンパク質を組換え的に発現させることができ、そのタンパク質の活性を決定することができる。

    本明細書で使用される場合、UBA3変異体タンパク質の「生物学的に活性な部分」には、UBA3変異体分子およびUBA3変異体以外の分子の間の相互作用に関与する、UBA3変異体タンパク質の断片が含まれる。 UBA3変異体タンパク質の生物学的に活性な部分には、UBA3変異体タンパク質のアミノ酸配列、例えば、完全長UBA3変異体タンパク質よりも少ないアミノ酸を含み、UBA3変異体タンパク質の少なくとも1つの活性を示す一つまたは複数の本明細書に記載の変異体を有する、配列番号2に示されるアミノ酸配列と充分に相同な、またはそれに由来するアミノ酸配列を含むペプチドが含まれる。 典型的に、生物学的に活性な部分は、UBA3変異体タンパク質の少なくとも1つの活性(例えば、ヌクレオチドと結合する能力、ヌクレオチドを加水分解する能力、NEDD8と結合する能力、NEDD8をアデニル化する能力、NEDD8とチオエステル共有結合を形成する能力、E2酵素と結合する能力、NEDD8のE2へのSH基転移を触媒する能力、またはNAE1と結合する能力)を有するドメインまたはモチーフを含む。 UBA3変異体タンパク質の生物学的に活性な部分は、例えば、10、25、50、100、200またはそれ以上のアミノ酸長のポリペプチドであり得る。 UBA3変異体タンパク質の生物学的に活性な部分は、E1酵素阻害剤(例えば、NAE阻害剤(例えば、1−メチルスルファメート(例えば、MLN4924)))の存在下で、UBA3変異体介在性活性(例えば、ヌクレオチドと結合する能力、ヌクレオチドを加水分解する能力、NEDD8と結合する能力、NEDD8をアデニル化する能力、NEDD8とチオエステル共有結合を形成する能力、E2酵素と結合する能力、NEDD8のE2へのSH基転移を触媒する能力またはNAE1と結合する能力)を調節する薬剤を開発するための標的として、使用することができる。

    配列間の相同性または配列同一性の計算(「相同性」および「同一性」という用語は本明細書では同義的に使用される)は、以下の通りに行われる。

    2つのアミノ酸配列、または2つの核酸配列の同一性パーセントを決定するために、配列は最適な比較を目的として整列される(例えば、最適なアラインメントのために、第一および第二のアミノ酸配列または核酸配列の一方または両方に、ギャップを挿入することができ、比較のために非相同配列を無視することができる)。 一実施形態では、比較を目的に整列される参照配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、または少なくとも70%、80%、90%、100%である(例えば、463個のアミノ酸残基を有する配列番号2のUBA3変異体アミノ酸配列に対して第二の配列を整列させる場合、少なくとも139、少なくとも185、少なくとも232、少なくとも278、少なくとも324、370、または417個のアミノ酸残基が整列される)。 対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置にあるアミノ酸残基またはヌクレオチドが次に比較される。 第一配列におけるある位置が、第二の配列における対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドで占められている場合、その分子はその位置において同一である(本明細書で使用される場合、アミノ酸または核酸の「同一性」はアミノ酸または核酸の「相同性」と等しい)。 2つの配列間の同一性パーセントは、配列間で共有される同一な位置の数の関数であり、2つの配列の最適なアラインメントのために導入することが必要なギャップの数および各ギャップの長さを考慮している。

    2配列間の配列比較および同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを用いて達成することができる。 一実施形態では、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアパッケージ(カリフォルニア州サンディエゴアクセルリス社で入手可能)中のGAPプログラムに組み込まれているNeedleman and Wunsch (1970) J. Mol. Biol. 48:444−453のアルゴリズムを用い、Blossum62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれか、並びにギャップウェイト(gap weight)=16、14、12、10、8、6、または4、およびレングスウェイト(length weight)=1、2、3、4、5、または6を用いて決定される。 さらに別の実施形態では、2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラムを用い、NWSgapdna. CMPマトリックス、並びにギャップウェイト=40、50、60、70、または80およびレングスウェイト=1、2、3、4、5、または6を用いて決定される。 1つのパラメーター設定は、ギャップペナルティ(gap penalty)=12、ギャップエクステンドペナルティ(gap extend penalty)=4、およびフレームシフトギャップペナルティ(frameshift gap penalty)=5を用いるBlossum 62スコアリングマトリックスである。

    2つのアミノ酸配列間またはヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれているMeyers and Miller ((1989) CABIOS, 4:11−17)のアルゴリズムを用い、PAM120ウェイト残基表(weight residue table)、ギャップレングスペナルティ(gap length penalty)=12、およびギャップペナルティ=4を用いて決定することができる。

    3つ以上の配列の間の保存アミノ酸配列を同定するには、マルチプルアラインメントプログラムが有用であり得る。 1つのマルチプルアライメントプログラムは、Clustalプログラム(1988(Higgins and Sharp Gene 73:237−244)にて最初に記載され、長年に亘る様々なバージョンにおいて改良された(例えば、Thompson et al. (1994) Nucleic Acids Research 22:4673−4680を参照)である。保存残基は、各横列中の同じ位置に見ることができ、マルチプルアライメント中のそれらの位置と関連する縦列において同一であると考えることができる。本明細書の図3はClustalアラインメントの一例である。

    本明細書に記載の核酸配列およびタンパク質配列(protein sequence)を「問い合わせ配列」として使用することで、例えば、他のファミリーメンバーまたは関連配列を確認するために、公開データベースに対して検索を行うことができる。 そのような検索は、Altschul et al. (1990) J. Mol. Biol. 215:403−10のNBLASTプログラムおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)を用いて行うことができる。 NBLASTプログラム、スコア(score)=100、ワードレングス(wordlength)=12を用いてBLASTヌクレオチド検索を行うことで、本発明のUBA3変異体核酸分子と相同なヌクレオチド配列を得ることができる。 XBLASTプログラム、スコア=50、ワードレングス=3を用いてBLASTタンパク質検索を行うことで、本発明のUBA3変異体タンパク質分子と相同なアミノ酸配列を得ることができる。 比較を目的にギャップの入ったアラインメントを得るために、Altschul et al. , (1997) Nucleic Acids Res. 25:3389−3402に記載の通りに、Gapped BLASTを利用することができる。 BLASTプログラムおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、各プログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)の初期パラメータを使用することができる。 (国立バイオテクノロジー情報センター、メリーランド州ベテスダにより管理されるウェブサイトを参照されたい。)

    ヌクレオチド配列に関して、用語「実質的に同一な」は、第一の核酸配列が、第二の核酸配列中の整列されたヌクレオチドと同一な、充分または最小限の数のヌクレオチドを含有し、その結果、第一および第二のヌクレオチド配列が、共通の機能活性を有するポリペプチドをコードする、または共通の構造的ポリペプチドドメインまたは共通の機能的ポリペプチド活性をコードすることを指すために本明細書では使用される。 例えば、配列番号1に対して、少なくとも約60%、または65%の同一性、可能性が高くは75%の同一性、さらに可能性が高くは85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するヌクレオチド配列が、実質的に同一であるとされる。

    「誤発現(misexpression)または異常な発現」とは、本明細書で使用される場合、RNAレベルまたはタンパク質レベルにおいて野生型と異なる遺伝子発現パターンを指す。 誤発現または異常な発現には、以下が含まれる:野生型と異なるレベルでの発現(すなわち、過剰または過小発現);遺伝子が発現される時間または段階の点から野生型と異なる発現パターン(例えば、所定の発生期間または発生段階における発現増加または発現減少(野生型と比較));所定の細胞型または組織型における発現減少(野生型と比較)の点から野生型と異なる発現パターン;発現されたポリペプチドの、スプライシングサイズ、アミノ酸配列、翻訳後修飾、または生物活性の点から野生型と異なる発現パターン;遺伝子の発現に対する環境刺激または細胞外刺激の影響(例えば、刺激の強さに増加または減少がある状況下での発現増加または発現減少のパターン(野生型と比較))の点から野生型と異なる発現パターン。

    「薬剤耐性表現型」とは、この表現型を有さない細胞と比較した場合の、特定の用量の化合物(例えば、NAE阻害剤(例えば、1−置換メチルスルファメート(例えば、MLN4924)))へ暴露した後の生存率の増加に関連する、細胞の表現型を指す。 「薬剤耐性細胞」とは、この表現型を示す細胞を指す。 薬剤耐性は、細胞集団または腫瘍が曝されている薬剤に対して、および曝されていない他の薬剤に対して比較的耐性となる、多剤耐性として生じ得る。

    「対象」とは、本明細書で使用される場合、哺乳動物(例えば、霊長類、ヒト)、または実験動物(例えば、非ヒト霊長類、マウス、ラット、ウサギ)、または疾病モデル(例えば、腫瘍異種移植片を有する免疫無防備状態の動物)を指し得る。 対象は非ヒト動物(例えば、ウマ、雌ウシ、ヤギ、または他の家畜)であってもよい。

    「精製された細胞調製物」とは、本明細書で使用される場合、植物細胞または動物細胞の場合では、細胞のインビトロ調製物を指し、完全に無処置の植物または動物は指さない。 培養細胞または微生物細胞の場合では、精製された細胞調製物は、少なくとも10%または少なくとも50%の対象細胞の調製物から成る。

    単離核酸分子 一つの態様では、本発明は、本明細書に記載のE1酵素変異体ポリペプチド(例えば、完全長UBA3、UAE、UBA6)、または他のE1酵素変異体タンパク質またはその断片(例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質の生物学的に活性な部分)をコードする、単離または精製された核酸分子を提供する。 ハイブリダイゼーションプローブとしての使用に適した核酸断片も含まれ、これは、例えば、本発明の変異体ポリペプチド(例えばUBA3、UAEまたはUBA6変異体)をコードする核酸分子を同定するのに使用することができる。 さらに、プライマー(例えば、核酸分子を増幅または変異させるためのPCRプライマー)としての使用に適した核酸断片も含まれる。 本明細書で使用される場合、用語「核酸分子」には、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)およびRNA分子(例えば、mRNA)、並びにヌクレオチド類似体を用いて生成されるDNAまたはRNAの類似体が含まれることが意図される。

    「単離された」核酸分子は、該核酸の天然源に存在する他の核酸分子から分離された核酸分子である。 一実施形態では、「単離された」核酸は、該核酸が由来する生物のゲノムDNA中の核酸(すなわち、核酸の5'末端および3'末端に位置する配列)に天然では隣接している、配列(例えば、タンパク質コード配列)を含まない。 例えば、種々の実施形態では、単離された耐性核酸分子は、該核酸が由来する細胞のゲノムDNA中の核酸に天然では隣接している約5kb未満、4kb未満、3kb未満、2kb未満、1kb未満、0.5kb未満または0.1kb未満のヌクレオチド配列を含有し得る。 さらに、「単離された」核酸分子(例えば、cDNA分子)は、組換え技術によって生成される場合では他の細胞性物質または培地を実質的に含まない場合があり、あるいは、化学合成される場合では化学前駆物質または他の化学物質を実質的に含まない場合がある。 単離核酸分子は、天然の体液および/もしくは組織、またはその天然環境では存在しないものからの、少なくとも1つの精製ステップを経ている場合がある。 あるいは、変異体は、単離された体液および/もしくは組織中で維持されてもよく、またはポリ核酸形態で存在していてもよい。 典型的に、このことは、UBA3変異体またはポリ核酸が、少なくとも1つの宿主タンパク質および/または宿主核酸を含まないことを意味している。 一般的に、変異UBA3変異体またはポリ核酸は、インビトロ環境中に存在する。 「単離された」は、UBA3変異体またはポリ核酸が、精製された、または均一でなければならないことを意味するものではないが、尤も、そのような調製も該用語の範囲に含まれる。 「単離された」は、単純に、特許請求の範囲から、天然物および偶然の先行技術(accidental anticipation)を除外するのに必要とされる程度にまで、ある程度の純度まで上昇されることを意味する。 「単離された」には、対象(例えばヒトまたは動物)から直接得られた、または精製(濃縮)後の、あらゆる生体物質が含まれることが意図される。 「生体物質」は、例えば、あらゆる種類の痰、気管支洗浄液(broncheolavage)、血液、皮膚組織、生検、精液、リンパ球性血液培養物質(lymphocyte blood culture material)、コロニー、液体培養物(liquid culture)、糞便試料、尿等であってもよい。 「生体物質」は、人工的に形質移入された(例えば、組換え型の)細胞培養物またはその液相であってもよい。

    一実施形態では、本発明の単離核酸分子には、配列番号1で示されるヌクレオチド配列の変異体、またはこのヌクレオチド配列のいずれかの部分が含まれる。 一実施形態では、核酸分子には、ヒトUBA3変異体タンパク質(すなわち、配列番号1の塩基21〜1412のような、配列番号1の「コード領域」の変異体)、並びに5'非翻訳配列(配列番号1のヌクレオチド1〜20)および3'非翻訳配列(配列番号1のヌクレオチド1413〜2136)をコードする配列が含まれる。 あるいは、核酸分子は、配列番号1の変異体(例えば、本明細書に記載の少なくとも1つのヌクレオチド変異を有する)のコード領域のみを含む場合があり、例えば、対象配列に通常は付随するフランキング配列は含まない。 別の実施形態では、核酸分子は、本明細書に記載の変異体UBA3内に少なくとも1つのアミノ酸変異(例えば、アミノ酸置換)をもたらす少なくとも1つのヌクレオチド変異を含む変異体タンパク質の変異体断片に対応する配列をコードする。 一実施形態では、単離核酸分子は、配列番号1に対して約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%の同一性を有し、本明細書に記載の変異体UBA3中に少なくとも1つのアミノ酸変異(例えばアミノ酸置換)をもたらす少なくとも1つのヌクレオチド変異を含む。 そのような実施形態では、変異体は、本明細書に記載の少なくとも1つの変異に加えて、非必須アミノ酸残基をコードし得る。

    本発明の別の態様は、上記発現産物の断片に関し、この断片は、上記アミノ酸変異(例えば、1−置換メチルスルファメートおよび/または他のE1酵素阻害剤に対する感受性の低減に繋がる置換)を含む。

    一実施形態では、核酸断片は、少なくとも1つの変異を含む、例えば、本明細書に記載の変異型のドメイン、領域、または機能部位をコードする、例えば、変異体アミノ酸残基、例えば、アミノ酸変異、例えばアミノ酸置換をコードする、配列を含み得る。 そのような変異体断片の例としては、配列番号2の変異体ThiFドメインのおよそアミノ酸69〜およそ211、またはその断片、例えば、配列番号2のおよそ99〜124およびおよそ146〜174の変異体ATP結合部位を含む断片、または配列番号2およそアミノ酸148〜およそ171の変異体ATP結合ポケットを含む断片、配列番号2のおよそアミノ酸201〜およそ229の変異体NEDD8結合ポケットを含む断片、または配列番号2のおよそアミノ酸残基270〜およそ334の変異体UBACTドメインを含む断片が挙げられる。 核酸断片は、本明細書に記載の特定のドメインもしくは部位またはその断片、特に、少なくとも10、20、30、40、60、80、100、120または140のアミノ酸長であるその断片をコードし得る。 そのような核酸断片は、UBA3変異体内に存在することによってE1酵素阻害剤への耐性がもたらされる変異体アミノ酸残基をコードし得る。 断片には、上記の特定のアミノ酸配列またはその断片をコードする核酸配列も含まれる。 核酸断片は、本発明より前に開示されている場合がある断片を含むと解釈されるべきではない。

    本発明で使用するための核酸分子、例えば、配列番号1のヌクレオチド配列の変異体を有する核酸分子、またはその相補体は、標準的な分子生物学的技術および本明細書で提供される配列情報を用いて単離することができる。 配列番号1の核酸配列の全て、または変異型ヌクレオチドを含むその部分、またはこれらのヌクレオチド配列のいずれかの相補体をハイブリダイゼーションプローブとして使用することで、UBA3変異体核酸分子は、標準的なハイブリダイゼーションおよびクローニング技術(例えば、Sambrook et al., eds., Molecular Cloning: A Laboratory Manual . 2nd, ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989に記載されている)を用いて単離することができる。

    本発明の核酸は、cDNA、mRNAまたはゲノムDNAを鋳型および適切なオリゴヌクレオチドプライマーとして使用して、標準的なPCR増幅技術に従って、増幅することができる。 そのようにして増幅された核酸は、適切なベクター中にクローン化し、例えば、実施例に記載されるDNA配列解析によって特徴付けすることができる。

    別の実施形態では、本発明の単離核酸分子には、配列番号1に示されるヌクレオチド配列の変異体の相補体、または変異体ヌクレオチド配列の一部の相補体である核酸分子が含まれる。 他の実施形態では、本発明の核酸分子は、当該技術分野において公知の、または本明細書に記載の条件下で、配列番号1に示される変異体ヌクレオチド配列とハイブリダイズすることで、安定な二重鎖を形成することができる程に、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して充分に相補的である。

    本明細書に記載の耐性UBA3タンパク質(すなわち、耐性遺伝子)をコードするUBA3変異体ヌクレオチド配列は、他の細胞型(例えば、他の組織由来)における耐性相同体、並びに他の種(例えば、哺乳動物、昆虫または真菌)由来の耐性核酸相同体および相同分子種の同定および/またはクローニング用に設計される、プローブおよびプライマーの生成を可能にする。 プローブ/プライマーは、典型的に、少なくとも5もしくは10、または200未満、100未満、もしくは50未満の塩基長である、実質的に精製されたオリゴヌクレオチドを含む。 オリゴヌクレオチドは、典型的に、配列番号1のセンス配列またはアンチセンス配列(例えば、変異型ヌクレオチドを含む一部)の少なくとも約12、約20、約25、約50、75、100、125、150、175、200、またはそれ以上の連続ヌクレオチドと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、ヌクレオチド配列の領域を含む。 さらに、UBA3ポリ核酸またはその断片中で、変異したアミノ酸残基をコードする配列を識別することができるオリゴヌクレオチドの例を、表2および表3に記載する。

    耐性ヌクレオチド配列をベースとするプローブを使用することで、同じまたは同一の(same or identical)タンパク質をコードする転写物またはゲノム配列を検出することができる。 前記プローブは、それに結合した標識基(例えば、放射性同位元素、蛍光化合物、酵素、酵素補因子、化学発光剤、比色分析色素、リン光色素もしくは赤外色素、または表面増強ラマン標識もしくはプラズモン共鳴粒子(plasmon resonant particle:PRP))を含み得る。 そのようなプローブは、UBA3変異体および本発明の耐性タンパク質の相同分子種を同定するために、対象から得た細胞試料中の耐性タンパク質をコードする核酸のレベルを測定する等により、例えば、耐性mRNAレベルを検出することにより、またはゲノム耐性遺伝子が変異もしくは欠失されているかどうかを決定することにより、耐性配列を誤発現している細胞または組織を同定するために、診断検査キットの一部として使用することができる。

    オリゴヌクレオチドは、ヌクレオチド配列増幅法によって、インビトロで作製することができる。 そのような増幅されたオリゴヌクレオチドが二重鎖である場合、所望の一本鎖オリゴヌクレオチドがエキソヌクレアーゼ活性から保護されているならば、一本鎖分子の変換は適切なエキソヌクレアーゼによって達成することができる。 あるいは、オリゴヌクレオチドは、必要であれば、適切なヌクレアーゼを使用時に後者をクローン化プラスミドから切断し、それらを例えば分子量による分画によって回収することで、対応するヌクレオチド配列を含むインサートを含む組換えプラスミドから得られる。 本発明のオリゴヌクレオチドは、例えば、自動DNA合成装置を用いる、例えば、従来のホスホトリエステル法またはホスホラミダイト法を適用することによって、合成することもできる、すなわち、化学的に合成することができる。 オリゴヌクレオチドはさらに、固相オリゴヌクレオチド合成またはフォトリソグラフ合成によりスライドガラス上でインサイツ合成することができる。

    本発明の核酸は、特定の発現系用に調整されているコドンを有することで選択され得る。 例えば、核酸は、配列が大腸菌、酵母、ヒト、昆虫、またはCHO細胞内での発現用に最適化されるように、少なくとも1つのコドン、または少なくとも10%、もしくは20%のコドンが変化されている核酸であり得る。

    耐性ポリペプチドをコードする単離核酸分子は、一つまたは複数のアミノ酸変異(例えば、置換、付加または欠失)がコードタンパク質に導入されるように、一つまたは複数のヌクレオチド変異(例えば、置換、付加または欠失)を耐性核酸(配列番号1の変異体)のヌクレオチド配列に導入することによって、作製することができる。 変異は、標準的な技術(例えば、部位特異的変異誘発およびPCRによる変異誘発)によって導入することができる。 いくつかの実施形態では、変異によって本明細書に記載のアミノ酸変化がもたらされる。 他の実施形態では、保存的アミノ酸置換は、変異時に耐性を生じることが報告されている一つまたは複数の予測アミノ酸残基において為される。

    アンチセンス核酸分子、リボザイムおよび改変型UBA3変異体核酸分子 別の態様では、本発明は、E1酵素変異体(例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6)、または本明細書に記載の他のE1酵素変異体に対しアンチセンスである単離核酸分子に関する。 「アンチセンス」核酸には、例えば、二本鎖cDNA分子のセンス鎖に対して相補的な、またはmRNA配列に対して相補的なタンパク質をコードする「センス」核酸に対し相補的であるヌクレオチド配列が含まれ得る。 アンチセンス核酸は、UBA3変異体センス鎖の全体に対して、またはその一部(例えば、本明細書に記載の変異型ヌクレオチドを含む一部)のみに対して、相補的であり得る。 別の実施形態では、アンチセンス核酸分子は、UBA3変異体をコードするヌクレオチド配列のセンス鎖の「非コード領域」(例えば、5'および3'非コード領域)に対してアンチセンスである。

    アンチセンス核酸は、UBA3変異体mRNAのコード領域全体に対して相補的であるように設計することができ、あるいは、アンチセンス核酸は、UBA3変異体mRNAのコード領域または非コード領域の一部のみに対して相補的なオリゴヌクレオチドであり得る。 例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、UBA3変異体mRNAの翻訳開始部位の周囲の領域(例えば、目的の標的遺伝子ヌクレオチド配列の‐10〜+10の領域)に対して相補的であり得る。 別の例では、アンチセンス核酸は、本明細書に記載の変異を含む配列番号1の一部に対して相補的であり得る。 アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、約7、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、またはそれ以上のヌクレオチド長であり得る。

    本発明のアンチセンス核酸は、当該技術分野において公知の手順を用いる化学合成および酵素的ライゲーション反応を用いて、構築することができる。 例えば、アンチセンス核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、自然発生的なヌクレオチド、または分子の生物学的安定性を増加させるように、もしくはアンチセンス核酸およびセンス核酸間で形成される二本鎖の物理的安定性を増加させるように設計された様々に改変されたヌクレオチドを用いて、化学的に合成することができ、例えば、ホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドを使用することができる。 アンチセンス核酸は、核酸がアンチセンス配向にサブクローニング化されている発現ベクターを用いて生物学的に生成することもできる(すなわち、以下の小節でさらに説明されるが、挿入された核酸から転写されるRNAは目的の標的核酸に対してアンチセンス配向である)。

    本発明のアンチセンス核酸分子は、典型的には、UBA3変異体タンパク質をコードする細胞性mRNAおよび/またはゲノムDNAにハイブリダイズまたは結合することで、例えば、転写および/または翻訳を阻害することにより、該タンパク質の発現を阻害するように、対象に投与されるか(例えば、組織部位への直接注射によって)、またはインサイツで生成される。 あるいは、アンチセンス核酸分子は、選択された細胞を標的とするように改変した後に全身投与することができる。 全身投与に関して、アンチセンス分子は、例えば、アンチセンス核酸分子を細胞表面受容体または抗原に結合するペプチドまたは抗体に連結することによって、選択された細胞表面上に発現された受容体または抗原に特異的にまたは選択的に結合するように、改変することができる。 アンチセンス核酸分子は、本明細書に記載のベクターを用いて細胞に送達することもできる。 アンチセンス分子の充分な細胞内濃度を達成するために、アンチセンス核酸分子が強力なpolIIプロモーターまたはpolIIIプロモーターの制御下に置かれ得るようにベクターは構築される。

    UBA3変異体mRNAに相補的な核酸は、例えば、UBA3変異体の発現を妨げるように設計することができる。 そのような核酸は、転写後の遺伝子制御のRNA干渉(RNAi)法を利用することができる。 RNAiは、低分子二本鎖RNA(dsRNA)分子によって誘導される(Fire et al. (1998) Nature 391:806−811)。 dsRNA分子の例は、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)およびミクロRNA(miRNA)である。 これらの低分子dsRNA分子は、一ヌクレオチドの分解まで、siRNAと配列相同性を共有するメッセンジャーRNA(mRNA)の破壊を引き起こす(Elbashir S M et al. (2001), Genes Dev, 15: 188−200)。 siRNAおよび標的mRNAがRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に結合し、それが標的mRNAを切断し、siRNAを再利用し得ると考えられている。 siRNAは、センスRNA鎖および相補的アンチセンスRNA鎖を含む。 3'オーバーハング、すなわち、一方または両方のRNA鎖の3'末端から約1〜6ヌクレオチド伸びている少なくとも1つの不対ヌクレオチドが存在し得る。 siRNAを設計するための技術は、例えば、siRNA試薬の提供者(例えば、サーモサイエンティフィック社のダーマコン(Dharmacon)部門(コロラド州ラフィエット)またはアプライドバイオシステムズ社のアンビオン(Ambion)部門(テキサス州オースティン))が管理するウェブサイト上等で、広く利用可能である。 UBA3変異体発現を標的とするsiRNAは、ヌクレオチド531、532、533、621、622、623、630、631、632、633、634、635、645、646、647、651、652、653、702、703、704、705、706、707、765、766、767、933、934、935、951、952、953、960、961、962、989、990、および991からなる群から選択される塩基に変異を含む配列番号1の一部に対して相補的である。 いくつかの実施形態では、siRNAは、約15ヌクレオチド長〜約50ヌクレオチド長、約19〜約30ヌクレオチド長、または約20〜25ヌクレオチド長である。 siRNAは、例えば、腫瘍または寄生虫感染を有する対象に直接的に投与することができ、例えば、リポソーム中の、または膜可溶性分子に結合した、もしくはエンドソームに内部移行する分子に結合した、例えば、標的mRNAを含む細胞内に侵入できる形態の、siRNA分子として送達されるか、あるいはsiRNAは、例えば、ベクターの形態で、またはウイルス性因子中にカプセル化された形態で提供され得、これは、細胞内で発現し、切断されることでsiRNAを形成することができる。

    さらに別の実施形態では、本発明のアンチセンス核酸分子はαアノマー核酸分子である。 αアノマー核酸分子は、通常のβユニットとは反対に、鎖が互いに平行している、相補RNAと特殊な二本鎖ハイブリッドを形成する(Gaultier et al. (1987) Nucleic Acids. Res. 15:6625−6641)。 アンチセンス核酸分子は、2'−o−メチルリボヌクレオチド(Inoue et al. (1987) Nucleic Acids Res. 15:6131−6148)またはキメラRNA−DNA類似体(Inoue et al. (1987) FEBS Lett. 215:327−330)も含み得る。

    さらなる別の実施形態では、本発明のアンチセンス核酸はリボザイムである。 UBA3変異体をコードする核酸に対し特異性を有するリボザイムは、本明細書で開示されるUBA3変異体cDNAのヌクレオチド配列(すなわち、配列番号1の変異体)に相補的な一つまたは複数の配列、およびmRNA切断に関わる公知の触媒作用的配列を有する配列を含み得る(米国特許第5,093,246号またはHaselhoff and Gerlach (1988) Nature 334:585−591参照)。 例えば、活性部位のヌクレオチド配列が、UBA3変異体をコードするmRNA中の切断されるヌクレオチド配列に相補的な、テトラヒメナ属(Tetrahymena)L−19 IVS RNAの誘導体を構築することができる。 例えば、Cech et al. 、米国特許第4,987,071号;およびCech et al. 、米国特許第5,116,742号を参照されたい。 あるいは、UBA3変異体のmRNAを使用することで、特異的なリボヌクレアーゼ活性を有する触媒RNAを、RNA分子のプールから選択することができる。 例えば、Bartel and Szostak (1993) Science 261:1411−1418を参照されたい。

    UBA3変異体の遺伝子発現は、UBA3変異体の調節領域(例えば、UBA3変異体のプロモーターおよび/またはエンハンサー)に相補的なヌクレオチド配列を標的とし、標的細胞内のUBA3変異体遺伝子の転写を阻害する三重らせん構造を形成させることで、阻害することができる。 一般的には、Helene (1991) Anticancer Drug Des. 6:569−84; Helene (1992) Ann. N. Y. Acad. Sci. 660:27−36;およびMaher (1992) Bioassays 14:807−15を参照されたい。 三重らせん体形成のための標的となり得る有望な配列は、いわゆる「スイッチバック」核酸分子の作製によって増加させることができる。 スイッチバック分子は、二重鎖の最初の一方の鎖と塩基対合させ、その後もう一方と塩基対合させ、プリンまたはピリミジンが二重鎖の一方の鎖に大量に存在する必要を排除するような、5'−3'、3'−5'交互方法において合成される。

    UBA3変異体の核酸分子は、塩基部分、糖部分またはリン酸塩骨格に修飾することで、例えば、分子の安定性、ハイブリダイゼーション、または溶解性を向上させることができる。 例えば、核酸分子のデオキシリボースリン酸骨格を修飾することで、ペプチド核酸を生成することができる(Hyrup et al. (1996) Bioorganic & Medicinal Chemistry 4: 5−23参照)。 本明細書で使用される場合、「ペプチド核酸」または「PNA」という用語は、デオキシリボースリン酸骨格が擬ペプチド骨格に置き換えられ、4つの天然核酸塩基のみが保持されている、核酸模倣体(例えば、DNA模倣体)を指す。 中性のPNA骨格は、低イオン強度の条件下での、DNAおよびRNAへの特異的なハイブリダイゼーションを可能にし得る。 PNAオリゴマーの合成は、上記Hyrup et al. (1996);Perry−O'Keefe et al. (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. 93: 14670−675に記載される、標準的な固相ペプチド合成プロトコルを用いて行うことができる。

    UBA3変異体核酸分子のPNAは、治療的および診断的な応用に使用することができる。 例えば、PNAは、例えば転写もしくは翻訳の停止を誘導するかまたは複製を阻害することにより、遺伝子発現を配列特異的に調節するための、アンチセンスまたは抗原作用剤として使用することができる。 UBA3変異体核酸分子のPNAは、遺伝子の一塩基対変異の解析に(例えば、PNA特異的PCRクランピング法(PNA−directed PCR clamping)による);他の酵素(例えば、S1ヌクレアーゼ(上記Hyrup et al. (1996)))と組み合わせて使用される場合には「人工制限酵素」として;またはDNA塩基配列決定法もしくはハイブリダイゼーション用のプローブもしくはプライマーとして(上記Hyrup et al. (1996);上記Perry−O'Keefe)、使用することもできる。

    本発明には、UBA3変異体核酸の存在を定量化するのに分子ビーコンが有用となるような、本発明のUBA3変異体核酸に対し相補的な少なくとも1つの領域、一方がフルオロフォアを有しもう一方が失活剤を有する2つの相補的領域を有する、分子ビーコンオリゴヌクレオチドのプライマー分子およびプローブ分子も含まれる。 分子ビーコン核酸は、例えば、Lizardi et al. 、米国特許第5,854,033号;Nazarenko et al. 、米国特許第5,866,336号、およびLivak et al. 、米国特許第5,876,930号に記載されている。

    単離したE1酵素変異体のポリペプチド 別の態様では、本発明はE1酵素変異体、例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体ポリペプチドを提供する。 一実施形態では、本発明のUBA3変異体のポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列の変異体と実質的に同一なアミノ酸配列を有し得る。 アミノ酸配列に関連して、用語「実質的に同一な」とは、第一のアミノ酸が、第二のアミノ酸配列中の整列されたアミノ酸残基と、i)同一である、またはii)保存的置換である、充分なまたは最小限の数のアミノ酸残基を含有し、その結果、第一および第二のアミノ酸配列が共通の構造ドメインおよび/または共通の機能活性を有し得ること、を指すために本明細書では使用される。 例えば、本明細書に記載の配列番号2の変異体に対して少なくとも約75%の同一性、85%の同一性、90%の同一性、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する共通の構造ドメインを含有するアミノ酸配列は、実質的に同一であるとされる。

    別の態様では、本発明は、単離されたUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質、またはその断片に関する。 一実施形態では、変異UBA3変異体タンパク質、またはその断片は、例えば、結合部位または結合ドメイン、例えば、ThiFドメイン、UBA_e1_チオールCysドメイン、ユビキチン活性化酵素特徴的配列、ATP結合部位、UBACTドメイン、NEDD8結合間隙もしくはNEDD8結合部位、またはE2_結合ドメイン等の、UBA3の1つ以上の部分を含む、生物学的に活性な部分であり得る。 UBA3変異体タンパク質の生物学的に活性な部分の用途の一例は、1つ以上の特定の機能を解析用に単離する生化学分析である。 そのような単離生化学分析の例は、ヌクレオチド結合アッセイ、例えばATP結合アッセイ、ヌクレオチド加水分解アッセイ、ピロリン酸結合アッセイ、ピロリン酸交換アッセイ、NEDD8結合アッセイ、NEDD8アデニル化アッセイ、NEDD8チオエステル結合アッセイ、E2酵素結合アッセイ、NEDD8のE2酵素へのSH基転移を検出もしくは測定するためのアッセイ、NAE1結合アッセイ、または結合の堅固さもしくはNAE阻害剤−NEDD8付加体に対する結合の結合解離速度を測定するためのアッセイである。 別の実施形態では、単離されたUBA3変異体タンパク質、またはその断片は、抗UBA3変異体抗体を産生させるまたは試験するための(または、より一般的には結合させるための)免疫原または抗原としての、約8〜約150アミノ酸の保存的配列部分(例えば、8、10、15、20、50、70、100またはそれ以上のアミノ酸)であり得る。 これらの実施形態では、UBA3部分または断片を含むポリペプチドは、変異残基(例えば、E1酵素阻害剤への感受性または耐性の低減をもたらす変異残基)を含み得る。 UBA3変異体タンパク質またはその断片は、標準的なタンパク質精製技術を用いて細胞源または組織源から単離することができる。 UBA3変異体タンパク質またはその断片は、組換えDNA技術により生成するか、または化学的に合成することができる。

    本発明のポリペプチドには、複数の遺伝子、選択的転写イベント、選択的RNAスプライシングイベント、並びに選択的な翻訳および翻訳後イベントの存在の結果生じるポリペプチドが含まれる。 一実施形態では、単離ポリペプチドは、配列番号2に対して約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%の同一性を有し、本明細書に記載の少なくとも1つのアミノ酸変異(例えばアミノ酸置換)を含む。 そのような実施形態では、変異は、本明細書に記載の少なくとも1つのアミノ酸変異(例えば、アミノ酸置換)に加えて、変異、例えば、非必須アミノ酸残基へのアミノ酸置換であり得る。 ポリペプチドは、ポリペプチドが天然細胞で発現される場合に存在する、実質的に同一の翻訳後修飾をもたらす系(例えば、培養細胞)、または、天然細胞には存在する翻訳後修飾(例えば、グリコシル化または切断)の変化もしくは欠落をもたらす系において、発現させることができる。

    本発明には、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素遺伝子内に少なくとも1つのアミノ酸変異(例えば、アミノ酸置換および/または欠失)を含む発現産物も含まれる。 例えば、本発明は、本明細書に記載のアミノ酸変異(例えば、アミノ酸置換)を含む発現産物に関する。 本発明には、本明細書に記載の変異または置換に加えて、さらに、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素にアミノ酸変異(例えばアミノ酸置換)を含む発現産物も包含される。 本明細書に記載のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素に少なくとも2つのアミノ酸変異(例えば、置換)を含む発現産物も包含される。 いくつかの実施形態では、発現産物は、配列番号2のアミノ酸残基171におけるアラニンの1つの置換、および本明細書に記載の少なくとも1つのさらなる置換を含む。

    E1酵素変異体キメラまたは融合タンパク質 別の態様では、本発明は、E1酵素変異体、例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のキメラタンパク質もしくは融合タンパク質を提供する。 本明細書で使用される場合、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」には、非変異ポリペプチドに連結された、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のポリペプチドまたはその変異体部分も含まれる。 「非変異ポリペプチド」とは、変異した(例えば、置換された)アミノ酸残基(例えば、本明細書に記載の変異アミノ酸残基)を含まないタンパク質またはタンパク質の一部に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドを指す。 非変異ポリペプチドは、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体、またはその変異部分と異なっており、同じまたは異なる生物に由来する、タンパク質、例えば、タンパク質または選択可能なその部分で有り得る。 非変異ポリペプチドは、アミノ酸変異(例えば、置換)を含まないE1酵素の一部、例えば、野生型UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素の一部であり得る。 そのような実施形態では、アミノ酸変異(例えばアミノ酸置換)を含むE1変異酵素の一部(例えば、結合部位または結合ドメイン)は、野生型E1酵素の異なる部分(例えば、結合部位または結合ドメイン)に融合することができる。 一実施形態では、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の融合タンパク質は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質の少なくとも1つ以上の生物学的に活性な部分を含む。 非変異ポリペプチドは、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体ポリペプチドのN末端またはC末端に融合することができる。

    融合タンパク質は、非変異ポリペプチドのように、リガンドに対する高親和性を有する部分を含み得る。 例えば、融合タンパク質は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の配列がGST配列のC末端に融合している、GST−UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体融合タンパク質であり得る。 そのような融合タンパク質は、組換えUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の精製を容易にすることができる。 あるいは、融合タンパク質は、そのN末端の、gp67バキュロウイルスエンベロープタンパク質、メリチンおよびヒト胎盤型アルカリフォスファターゼの分泌配列、phoAまたはプロテインAの原核生物性分泌シグナル等を用いる、異種シグナル配列を含有するUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質であり得る。 ある特定の宿主細胞(例えば、哺乳類宿主細胞)では、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の発現および/または分泌は、異種シグナル配列の使用により増加させることができる。

    E1酵素変異体の融合タンパク質は、例えば、非変異ポリペプチドとして、血清タンパク質の全てまたは一部、例えば、免疫グロブリン(例えば、IgG、IgA、またはIgE)の一部、例えば、免疫グロブリンまたはヒト血清アルブミンのFc領域並びに/またはヒンジC1およびC2配列を含み得る。

    別の実施形態では、融合タンパク質はさらに、異種エピトープ標識を含み得る。 異種エピトープ標識の例としては、His 標識、FLAG標識、c−myc標識、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)標識、赤血球凝集素(HA)標識、T7遺伝子10標識、V5標識、HSV標識、およびVSV−G標識が挙げられる。

    本発明のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の融合タンパク質は、医薬組成物に組み入れて対象にインビボ投与することができる。 UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の融合タンパク質を使用することで、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の基質の生物学的利用能に影響を与えることができる。 UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体融合タンパク質は、例えば、(i)UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素タンパク質をコードする遺伝子の異常な修飾または変異;(ii)UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の遺伝子の誤制御;および(iii)UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体タンパク質の異常な翻訳後修飾によって引き起こされる障害の治療に、治療上有用であり得る。

    さらに、本発明のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体−融合タンパク質を免疫原として使用することで、抗UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の抗体を対象内で産生させること、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のリガンドを精製すること、並びに、スクリーニング検査において、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体と、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の基質との相互作用を阻害する分子、すなわちE1酵素阻害剤を同定することができる。

    融合部分(例えば、GSTポリペプチド)が既にコードされている発現ベクターは市販されている。 UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体をコードする核酸は、融合部分がUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質にインフレームで連結されているように、そのような発現ベクターにクローン化することができる。

    E1酵素タンパク質の変異体 E1酵素タンパク質の変異体は、アゴニスト活性またはアンタゴニスト活性について、E1酵素タンパク質の変異体(例えば、切断変異体)のコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることにより同定することができる。 いくつかの実施形態では、変異体は、システイン残基またはグリコシル化された残基を付加または欠失させることから生じる。

    Ei酵素変異体のタンパク質コード配列の断片(例えば、N末端断片、C末端断片、または内部断片)のライブラリーは、スクリーニングおよびその後のE1酵素タンパク質の変異体の選択のための様々な断片群を作製するのに用いることができる。 例えば、コード配列断片のライブラリーは、耐性タンパク質コード配列の二本鎖PCR断片をニッキングが1分子につき約1回のみ生じる条件下でヌクレアーゼ処理し、その二本鎖DNAを変性させ、DNAを再生させることで異なるニック入り産物由来のセンス/アンチセンス対を含み得る二本鎖DNAを形成させ、一本鎖部分をS1ヌクレアーゼによる処理で再形成された二本鎖から除去し、得られた断片ライブラリーを発現ベクターに連結することによって、作製することができる。 この方法により、様々なサイズの耐性タンパク質のN末端のおよび内部断片をコードする発現ライブラリーを得ることができる。

    選択された特性を有する遺伝子産物を求めて、点変異または切断により作製されるコンビナトリアルライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングするための方法、およびcDNAライブラリーをスクリーニングするための方法は、当該技術分野において公知である。 ライブラリー内の機能変異体の頻度を増加させる技術であるリカーシブアンサンブル変異誘発(recursive ensemble mutagenesis:REM)をスクリーニング検査と組み合わせて使用することで、E1酵素変異体を同定することができる(Arkin and Yourvan (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:7811−7815; Delgrave et al. (1993) Protein Engineering 6:327−331)。

    細胞系アッセイを利用することで、様々なE1酵素変異体ライブラリーを解析することができる。 例えば、E1酵素変異体の部分またはその生物学的に活性な部分を含む発現ベクターのライブラリーを、細胞株(例えば、基質依存的にE1酵素活性に通常は応答する細胞株)にトランスフェクトすることができる。 トランスフェクト細胞を次に、基質と接触させ、E1酵素基質によるシグナル伝達に対する変異体の発現の効果を検出することができ、例えば、チオール転移した(transthiolated)、例えば、ユビキチン化した、SUMO化した、またはNEDD化したタンパク質とE3リガーゼ(例えば、カリン環リガーゼ)との相互作用により媒介される細胞間情報伝達活性を測定することができる。 例えば、E1酵素変異体(例えば、UBA3変異体)の活性は、1)カリン環リガーゼの基質の代謝回転を媒介する能力;2)タンパク質恒常性に関与する能力;および3)腫瘍細胞生存を支援する能力によって、またはより具体的にはE2酵素結合もしくはNAE1結合を測定することによって、同定し測定することができる。 その後、プラスミドDNAを、E1酵素阻害剤(例えば、MLN4924)の存在下でのE1酵素基質によるシグナル伝達の阻害、あるいは、相乗作用をスコア化する細胞から回収することができ、個々のクローンをさらに特徴付けすることがでできる。

    別の態様では、本発明は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体ポリペプチド(例えば、自然発生的なUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体ポリペプチド(例えば、自然発生的なUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体ポリペプチド)の非野生型活性、例えば、アンタゴニスト、アゴニスト、またはスーパーアゴニスト(super agonist)を有するペプチド)を作製するための方法に関する。 前記方法には、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体ポリペプチドの配列を変化させること(例えば、非保存領域の一つまたは複数の残基、本明細書で開示されるドメインまたは残基の置換または欠失によって配列を変化させること)、およびその変化したポリペプチドを所望の活性について試験することが含まれる。

    別の態様では、本発明は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体ポリペプチドの断片または類似体を作製する方法、自然発生的なUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体ポリペプチドの生物活性に関する。 前記方法には、配列を変化させること(例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体ポリペプチドの一つまたは複数の残基の置換または欠失によって、例えば、非保存領域または本明細書に記載のドメインもしくは残基の配列を変化させることによって)、および所望の活性について変化したポリペプチドを試験することが挙げられる。

    抗E1酵素変異体抗体 別の態様では、本発明は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体に対する抗体を提供する。 「抗体」という用語は、本明細書では、最も広い意味で使用され、具体的には完全長モノクローナル抗体、免疫グロブリン、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの完全長抗体から形成される多特異的抗体(例えば二重特異性抗体)、および個々の抗原結合断片、例えば、dAbs、scFv、Fab、F(ab)' 、Fab'、例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体および非ヒト種由来の抗体、組換え抗原結合形成体(例えば、モノボディおよびダイアボディ)が包含される。 抗体はエフェクター機能を有する場合があり、補体を固定することができる。 抗体は毒素、検出可能な標識またはイメージング剤に結合させることができる。 キメラ抗体、ヒト化抗体、または完全ヒト抗体は、反復投与、例えば、ヒト患者の治療的処置を含む適用、およびいくつかの診断的適用に有用である。

    用語「モノクローナル抗体」とは、本明細書で使用される場合、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体、すなわち、その集団を構成する個々の抗体が同一である、および/または同一のエピトープと結合する抗体を指すが、ただし、モノクローナル抗体の産生中に生じ得る可能な変異体は除外され、そのような変異体は通常少量しか存在しない。 様々な決定基(エピトープ)を対象とする様々な抗体を典型的に含むポリクローナル抗体製剤とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基を対象とする。 修飾語句「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体集団から得られているという抗体の特性を示すものであり、いかなる具体的な方法によってもその抗体の作製が必要とされていると解釈されるべきではない。 例えば、本明細書で使用されるモノクローナル抗体は、Kohler et al. , Nature, 256:495 (1975)により最初に報告されたハイブリドーマ法で作製されてもよく、あるいは組換えDNA方法(例えば、米国特許第4,816,567号)によって作製されてもよい。 「モノクローナル抗体」は、例えばClackson et al. , Nature, 352:624−628 (1991)およびMarks et al. , J. Mol. Biol. , 222:581−597 (1991)に記載される技術を用いて、ファージ抗体ライブラリーから単離されてもよい。

    完全長のUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のタンパク質、またはUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体の抗原ペプチド断片は免疫原として使用することが可能であり、あるいは、他の免疫原(例えば、細胞、細胞溶解液、膜標本等)を用いて作製されたUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体に対する抗体を同定するのに使用することが可能である。 UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の抗原ペプチドは、E1酵素変異体アミノ酸配列の少なくとも8個のアミノ酸残基(例えば、配列番号2、29または32)を含むべきであり、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のエピトープを含むべきである。 いくつかの実施形態では、抗原ペプチドは、少なくとも10個のアミノ酸残基、少なくとも15個のアミノ酸残基、少なくとも20個のアミノ酸残基、または少なくとも30個のアミノ酸残基を含み、本明細書に記載の、変異した(例えば、置換された)アミノ酸残基(例えば、E1酵素阻害剤に対する感受性または耐性の低減させる残基)を含む。 いくつかの実施形態では、抗原ペプチドは、配列番号2のアミノ酸残基171、201、204、205、209、211、228、229、249、305、311、314または324、配列番号27のアミノ酸残基121、配列番号28のアミノ酸残基548、配列番号29のアミノ酸残基580、配列番号30のアミノ酸残基185、配列番号31のアミノ酸残基187、配列番号32のアミノ酸残基573、配列番号33のアミノ酸残基544、配列番号34のアミノ酸残基480、配列番号35のアミノ酸残基134または配列番号36のアミノ酸残基131を含み、ここで、このアミノ酸残基はそれぞれの配列番号における野生型残基と置換されたものである。

    あるいは、変異体のドメインまたは結合部位(例えばThiFドメイン、UBA_e1_チオールCysドメイン、ユビキチン活性化酵素の特徴的配列、ATP結合部位、UBACTドメイン、ユビキチンもしくはNEDD8結合間隙もしくは部位、またはE2_結合ドメイン)を含むUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の断片を使用することで、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質の変異体領域に対する抗体を作製することができる。 いくつかの実施形態では、本明細書に記載のアミノ酸変異(例えばアミノ酸置換)を含むドメインまたは結合部位は、UBA3変異体において抗体を作製するための免疫原として有用であり、配列番号2のおよそアミノ酸残基69〜およそ211の、およそアミノ酸残基235〜243、アミノ酸残基およそ216〜およそ260、残基およそ99〜124およびおよそ146〜174、およそ78〜81、165〜172、201〜229およそ310〜344、およそアミノ酸残基270〜およそ334、またはおよそアミノ酸残基374〜およそ462を含み得る。

    いくつかの実施形態では、抗原ペプチドに含まれるエピトープは、タンパク質表面に位置するUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の領域(例えば、親水性領域および高い抗原性)を有する領域である。 例えば、ヒトUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質配列のEmini法による表面露出率解析(surface probability analysis)を用いることで、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質表面に位置している可能性が特に高く、それ故抗体産生を標的化するのに有用な表面残基を組成する可能性が高い領域を示すことができる。

    いくつかの実施形態では、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体に対する抗体は、本明細書に記載のアミノ酸変異(例えばアミノ酸置換)を含むUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素の一部に選択的に結合することができる。 例えば、抗体結合性は、変異した(例えば、置換された)残基を含むUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素に対しては選択的であり、野生型残基を含むUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素ポリペプチドに対しては選択的ではないであろう。 いくつかの実施形態では、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体に対する抗体は、配列番号2の残基171にトレオニン、アスパラギン酸、バリン、グルタミン酸もしくはセリンを有するUBA3変異体、配列番号2の残基201にバリンを有するUBA3変異体、配列番号2の残基204にリシンもしくはグリシンを有するUBA3変異体、配列番号2の残基205にシステインを有するUBA3変異体、配列番号2の残基209にリシンもしくはアスパラギン酸を有するUBA3変異体、配列番号2の残基211にグルタミンを有するUBA3変異体、配列番号2の残基228にヒスチジンを有するUBA3変異体、配列番号2の残基229にグルタミンを有するUBA3変異体、配列番号2の残基305にアラニンを有するUBA3変異体、配列番号2の残基311にセリンもしくはトレオニンを有するUBA3変異体、配列番号2の残基314にプロリンを有するUBA3変異体、配列番号2の残基324にチロシンを有するUBA3変異体、配列番号2の残基249にチロシンを有するUBA3変異体、配列番号29の残基280にトレオニンを有するUAE変異体、または配列番号32の残基573にトレオニンもしくはアスパラギン酸を有するUBA6変異体と結合することができる。

    いくつかの実施形態では、抗体は、動物(例えば、マウス、ラット、ニワトリ、ウサギ、ヒツジまたはヤギ)を、精製したUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体抗原、またはその断片(例えば、本明細書に記載の変異した(例えば、置換された)アミノ酸残基を含む断片)、膜関連抗原、組織(例えば、組織粗調製物)、細胞全体(例えば、生細胞)、溶解細胞、または細胞画分(例えば、サイトゾル画分、核画分または膜画分)で免疫することにより作製することができる。 上記のこれらの領域のいずれか、または本明細書に記載の他の領域もしくはドメインに対して、反応性、または特異的もしくは選択的である抗体が提供される。 本発明のタンパク質の断片等の小分子ペプチドに対する抗体の場合、前記ペプチドは一般的には動物の免疫化の前に担体タンパク質に結合される。 そのようなタンパク質担体としては、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)、オボアルブミンおよび破傷風トキソイドが挙げられる。

    ヒト部分および非ヒト部分の両方を含むキメラモノクローナル抗体、ヒト化モノクローナル抗体および霊長類化モノクローナル抗体は、標準的な組換えDNA技術を用いて作製することができる。 そのようなキメラモノクローナル抗体およびヒト化モノクローナル抗体は、当該技術分野において公知の組換えDNA技術により、例えば、Robinson et al. 、国際出願番号PCT/US86/02269;Akira, et al. 、欧州特許出願184,187;Taniguchi、欧州特許出願171,496;Morrison et al. 、欧州特許出願173,494;Neuberger et al. 、PCT国際公開第WO86/01533号;Cabilly et al. 、米国特許第4,816,567号;Cabilly et al. 、欧州特許出願125,023;Better et al. (1988) Science 240:1041−1043; Liu et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:3439−3443; Liu et al. (1987) J. Immunol. 139:3521−3526; Sun et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:214−218; Nishimura et al. (1987) Canc. Res. 47:999−1005; Wood et al. (1985) Nature 314:446−449;およびShaw et al. (1988) J. Natl. Cancer Inst. 80:1553−1559)に記載されている方法を用いて、作製することができる。

    ヒト化抗体または相補性決定領域(CDR)を移植した抗体は、ドナーCDRで置換された、少なくとも1つまたは2つの、しかし通常は3つ全ての、(重鎖および/または軽鎖免疫グロブリン鎖の)レシピエントCDRを有する。 抗体は、非ヒトCDRの少なくとも一部またはCDRのうちのいくつかのみで置換されていてもよく、非ヒトCDRで置換されていてもよい。 ヒト化抗体がUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体またはその断片に結合するのに必要なCDRの数が置換されてさえいればよい。 一実施形態では、ドナーは、げっ歯類抗体(例えば、ラット抗体またはマウス抗体)であり、レシピエントはヒトフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークである。 典型的に、CDRを提供する免疫グロブリンは「ドナー」と呼ばれ、フレームワークを提供する免疫グロブリンは「アクセプター」と呼ばれる。 一実施形態では、ドナー免疫グロブリンは非ヒト(例えば、げっ歯類)である。 アクセプターフレームワークは、自然発生的な(例えば、ヒト)フレームワークもしくはコンセンサスフレームワーク、またはそれに対し約85%またはそれより高い(例えば、90%、95%、99%またはそれ以上)同一性を有する配列である。

    本明細書で使用される場合、用語「コンセンサス配列」とは、関連配列のファミリーにおいて最も頻繁に生じているアミノ酸(またはヌクレオチド)から形成される配列を指す(例えば、Winnaker, (1987) From Genes to Clones(出版社(Verlagsgesellschaft)、ドイツ、ワインハイム)を参照されたい)。 あるタンパク質ファミリーにおいて、コンセンサス配列中の各位置は、ファミリーの中でその位置で最も頻繁に生じているアミノ酸により占有されている。 2つのアミノ酸が等しい頻度で生じている場合、いずれもコンセンサス配列に含むことができる。 「コンセンサスフレームワーク」とは、コンセンサス免疫グロブリン配列中のフレームワーク領域を指す。

    抗体は、当該技術分野において公知の方法によりヒト化することができる。 ヒト化抗体は、抗原結合に直接的に関与していないFv可変領域の配列を、ヒトFv可変領域に由来する等価な配列と置換することによって作製することができる。 ヒト化抗体の一般的な作製方法は、Morrison (1985) Science 229:1202−1207, by Oi et al. (1986) BioTechniques 4:214、およびQueen et al. 、米国特許第5,585,089号、同第5,693,761号および同第5,693,762号によって提供されており、その全ての内容は参照によって本明細書に組み入れられたものとする。 それらの方法は、重鎖または軽鎖の少なくとも一方からの免疫グロブリンFv可変領域の全てまたは部分をコードする核酸配列を単離、操作、および発現することを含む。 そのような核酸の供給源は当業者に周知であり、例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体ポリペプチドまたはその変異体断片に対する抗体を産生するハイブリドーマから得てもよい。 ヒト化抗体またはその断片をコードする組換えDNAは、次に適切な発現ベクターにクローン化することができる。

    ヒト化抗体またはCDR移植抗体は、免疫グロブリン鎖の1、2、または全てのCDRを置換可能なCDR移植またはCDR置換により、作製することができる。 例えば、米国特許第5,225,539号;Jones et al. (1986) Nature 321:552−525; Verhoeyan et al. (1988) Science 239:1534; Beidler et al. (1988) J. Immunol. 141:4053−4060; Winter、米国特許第5,225,539号を参照されたい(その全ての内容は参照により本明細書に明示的に組み入れられたものとする)。 Winterによって、本発明のヒト化抗体を作製するのに用いてもよいCDR移植法が説明されており(1987年3月26日に出願された英国特許出願GB2188638A;Winter、米国特許第5,225,539号)、その内容は参照によって明確に組み入れられたものとする。

    特定のアミノ酸が置換、欠失または付加されているヒト化抗体も、本発明の範囲内である。 いくつかの実施形態では、抗原への結合性を向上させる等のために、ヒト化抗体はフレームワーク領域内にアミノ酸置換を有する。 例えば、ヒト化抗体は、ドナーフレームワーク残基、またはレシピエントフレームワーク残基とは別のアミノ酸と同一のフレームワーク残基を有する。 そのような抗体を作製するために、ヒト化免疫グロブリン鎖の選択された少数のアクセプターフレームワーク残基を、対応するドナーアミノ酸で置換することができる。 有用な置換位置としては、CDRに隣接するアミノ酸残基、またはCDRと相互作用可能なアミノ酸残基(例えば、米国特許第5,585,089号)が挙げられる。 ドナーからアミノ酸を選択するための判断基準は、米国特許第5,585,089号、例えば、米国特許第5,585,089号のカラム12〜16、例えば、米国特許第5,585,089号のカラム12〜16に記載されており、その内容は参照によって本明細書に組み入れられたものとする。 抗体をヒト化するための他の技法は、1992年12月23日に公開されたPadlan et al. 、EP519596A1に記載されている。

    いくつかの実施形態では、完全ヒト抗体がヒト患者の治療的処置を目的に作製される。 用語「ヒト抗体」には、ヒト生殖系免疫グロブリン配列由来の配列を有する抗体が含まれる。 例えば、Lonberg and Huszar (1995) Int. Rev. Immunol. 13:65−93);並びに米国特許第5,625,126号;同第5,633,425号;同第5,569,825号;同第5,661,016号;および同第5,545,806号。 ヒト抗体の例としては、ヒト免疫グロブリン遺伝子を有する遺伝子導入マウス(例えば、XENOMOUSE遺伝子改変マウス(アブジェニクス社、カリフォルニア州フリーモント)、HUMAB−マウス(登録商標)、KIRIN TCマウス(商標)トランスクロモソーム(transchromosome)マウス、KMMOUSE(登録商標)(メダレックス社、ニュージャージー州プリンストン))、ヒトファージディスプレイライブラリー、ヒト骨髄腫細胞、またはヒトB細胞から得られた抗体が挙げられる。

    選択されたエピトープを認識する完全ヒト抗体は、「誘導選択(guided selection)」と称される技術を用いて作製することができる。 このアプローチにおいて、選択された非ヒトモノクローナル抗体(例えば、マウス抗体)が、同一のエピトープを認識する完全ヒト抗体の選択を誘導するために使用される。 この技術はJespers et al. (1994) Bio/Technology 12:899−903)に記載されている。

    UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体に対する抗体は、一本鎖抗体であり得る。 一本鎖抗体(scFV)は、例えば、Colcher et al. (1999) Ann. N Y Acad. Sci. 880:263−80;およびReiter (1996) Clin. Cancer Res. 2:245−52に記載の通りに操作することができる。 一本鎖抗体を二量体化または多量体化することで、同一標的のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質の異なるエピトープに対する特異性を有する多価抗体を作製することができる。

    一実施形態では、抗体はFc受容体と結合する能力が低減しているか、またはその能力を持たない。 例えば、抗体は、アイソタイプまたはサブタイプ、断片または他の変異体であり、Fc受容体への結合を支持せず、例えば、Fc受容体結合領域が変異されているかまたは欠失している。

    抗体(またはその断片)は、細胞毒、治療薬または放射性イオン等の治療的部分に結合していてもよい。 細胞毒または細胞性剤には細胞に有害なあらゆる薬剤が含まれる。 例としては、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、エチジウムブロマイド、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テニポシド(tenoposide)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン(colchicin)、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、糖質コルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、アウリスタチン(auristatin)(例えば、Doronina et al., Nature Biotech., 21: 778−784 (2003); Hamblett et al, Clin. Cancer Res., 10: 7063−7070 (2004); Carter and Senter, Cancer J., 14 154−169 (2008);米国特許第7,498,298号;同第6,884,869号;同第7,091,186号;同第7,837,980号;同第7,659,241号;または米国特許出願公開第20080300192号を参照)、メイタンシノイド、例えば、メイタンシノール(米国特許第5,208,020号参照)、CC−1065(米国特許第5,475,092号、同第5,585,499号、同第5,846,545号を参照)およびその類似体または相同体が挙げられる。 治療薬としては、限定はされないが、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルダカルバジン(5−fluorouracil decarbazine))、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオテパ(thioepa)クロラムブシル、CC−1065、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびシス−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(正式には(formerly)、ダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(正式には(formerly)、アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))、および有糸分裂阻害剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、タキソール、アウリスタチン(auristatin)およびメイタンシノイド)が挙げられる。 放射性イオンとしては、限定はされないが、ヨウ素、イットリウムおよびプラセオジムが挙げられる。

    本発明の結合体は所与の生物学的反応を修飾するのに使用することができ;その治療的部分は古典的な化学治療薬に限定されると解釈されるべきではない。 例えば、治療的部分は、所望の生物活性を有するタンパク質であってもポリペプチドであってもよい。 そのようなタンパク質としては、例えば、毒素(例えば、アブリン、リシンA、緑膿菌外毒素、またはジフテリア毒素);タンパク質(例えば、腫瘍壊死因子、α−インターフェロン、β−インターフェロン、神経成長因子、血小板由来増殖因子、組織プラスミノーゲン活性化物質);または、生物学的応答調節物質(例えば、リンホカイン、インターロイキン−1(「IL−1」)、インターロイキン−2(「IL−2」)、インターロイキン−6(「IL−6」)、顆粒球マクロファージ(macrophase)コロニー刺激因子(「GM−CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G−CSF」)、または他の増殖因子を挙げることができる。

    あるいは、米国特許第4,676,980号におけるSegalによる記述のように、抗体を第二の抗体に結合することで、抗体ヘテロ結合体を形成させることができる。

    UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体に対する抗体(例えば、モノクローナル抗体)を用いることで、アフィニティークロマトグラフィーまたは免疫沈降等の標準的な技術によって、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体を単離することができる。 さらに、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体に対する抗体を用いることで、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質(例えば、細胞溶解液中または細胞上清中)を検出して、タンパク質の存在量および発現パターンを評価することができる。 UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体に対する抗体を診断用に用いることで、臨床検査手順の一部として組織内のタンパク質レベルをモニターすることができ、それにより、例えば、所与の治療計画の効能を決定することができる。 抗体を検出可能な物質に結合(すなわち、物理的に連結)すること(すなわち、抗体標識)により、検出を促進することができる。 検出可能な物質の例としては、種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、および放射性物質が挙げられる。 適切な酵素の例としては、西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが挙げられ;適切な補欠分子族複合体の例としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが挙げられ;適切な蛍光物質の例としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリトリンが挙げられ;発光物質の一例としてはルミノールが挙げられ;生物発光物質の例としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンが挙げられ、適切な放射性物質の例としては、 125 I、 131 I、 35 Sまたは Hが挙げられる。

    UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質に対する抗体に依存する有用な手段としては、タンパク質ゲルブロット解析、遺伝子同定を可能にする発現ライブラリーのスクリーニング、タンパク質定量法、例えばELISA(酵素結合免疫吸着測定法)、RIA(放射性免疫測定法)およびLIA(ライン免疫検定)、タンパク質の免疫親和性精製、タンパク質の免疫沈降、並びにタンパク質の免疫学的局在決定が挙げられる。

    天然のUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のタンパク質とのみ結合する抗体、変性したもしくは非天然のUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のタンパク質とのみ結合する抗体、または両方と結合する抗体は、本発明の範囲内である。 直鎖状または立体構造のエピトープを有する抗体も本発明の範囲内である。 立体構造エピトープは、天然であるが変性はしていないUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質に結合する抗体を同定することにより、同定できる場合がある。

    組み換え発現ベクター、宿主細胞および遺伝子改変細胞 別の態様では、本発明には、本明細書に記載のポリペプチドをコードする核酸を含有するベクター(例えば、発現ベクター)が含まれる。 本明細書で使用される場合、用語「ベクター」とは、それに連結されている別の核酸を輸送することができる核酸分子を指し、プラスミド、コスミドまたはウイルスベクターが含まれ得る。 ベクターは自律増殖することができ、あるいは宿主DNAに組み入れることができる。 ウイルスベクターとしては、例えば、複製欠陥レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルスが挙げられる。

    ベクターには、宿主細胞内での核酸の発現に適した形態の、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の核酸が含まれ得る。 いくつかの実施形態では、組み換え発現ベクターは、発現される核酸配列に作動可能に連結した一つまたは複数の制御配列を含む。 「制御配列」という用語には、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現調節領域(例えば、ポリアデニル化シグナル)が含まれる。 制御配列は、ヌクレオチド配列、並びに組織特異的な制御および/または誘導性配列の恒常的発現を指示する配列を含む。 発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベル等の要素に依存し得る。 発現はさらに、一過性発現でも安定発現でも、あるいは制御可能な発現であってもよい。 制御可能な発現は、例えば、テトラサイクリン調節可能プロモーター、ストレス誘導性プロモーター(例えば、ヒトhsp70遺伝子プロモーター)、メタロチオネイン(methallothionine)プロモーター、糖質コルチコイドプロモーターまたはプロゲステロンプロモーターを用いる誘導発現を含む。 プロモーターにはさらに、コアプロモーター等のHBVプロモーターおよびサイトメガロウイルス(CMV)最初期(IE)プロモーター等の異種プロモーターが含まれ得る。 本発明の発現ベクターを宿主細胞に導入することで、本明細書に記載の核酸にコードされるタンパク質またはポリペプチド(例えば、融合タンパク質またはポリペプチド)(例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質、融合タンパク質等)を生成することができる。

    本発明の組み換え発現ベクターは、原核細胞または真核細胞内でのUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体タンパク質の発現用に設計することができる。 例えば、本発明のポリペプチドは、大腸菌、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現ベクターを使用)、酵母細胞または哺乳類細胞内で発現させることができる。 適切な宿主細胞は、Goeddel, (1990) Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, CAにおいてさらに論じられている。 あるいは、組み換え発現ベクターは、例えば、T7プロモーター制御配列およびT7ポリメラーゼを用いて、インビトロで転写および翻訳することができる。

    原核生物におけるタンパク質の発現は、ほとんどの場合、融合タンパク質または非融合タンパク質のいずれかの発現を指示する恒常的プロモーターまたは誘導性プロモーターを含有するベクターを有する大腸菌において行われる。 融合ベクターは、それにコードされるタンパク質に、通常は組換えタンパク質のアミノ末端に、いくつかのアミノ酸を付加する。 そのような融合ベクターは典型的には3つの目的を果たす:1)組換えタンパク質の発現の増加;2)組換えタンパク質の溶解性の増加;および3)親和性精製における、リガンドとして作用することによる、組換えタンパク質の精製の促進。 多くの場合、融合タンパク質の精製後に組換えタンパク質の融合部分からの分離を可能にするために、融合部分および組換えタンパク質の接合部にタンパク質切断部位が導入される。 そのような酵素、およびそれらの同族の認識配列としては、例えば、活性化第X因子、トロンビンおよびエンテロキナーゼが挙げられる。 典型的な融合発現ベクターとしては、グルタチオンS−転移酵素(GST)、マルトースE結合タンパク質、またはプロテインAをそれぞれ標的組換えタンパク質に融合する、pGEX(ファルマシア・バイオテク社;Smith and Johnson (1988) Gene 67:31−40)、pMAL(ニュー・イングランド・バイオラボ社(New England Biolabs)、マサチューセッツ州ベバリー)およびpRIT5(ファルマシア社、ニュージャージー州ピスカタウェイ)が挙げられる。

    精製した融合タンパク質は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の活性アッセイ(例えば、以下に詳細に記述される、直接アッセイまたは競合アッセイ)に使用することができ、あるいは、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質に対して特異的または選択的な抗体を作製するのに使用することができる。 一実施形態では、本発明のレトロウイルス発現ベクター中の発現される融合タンパク質を使用することで、照射を受けたレシピエントにその後移植される骨髄細胞を感染させることができる。 十分な時間が経過した後(例えば、6週間)、対象レシピエントの病態が次に検査される。

    大腸菌内の組換えタンパク質発現を最大にすることはために、組換えタンパク質をタンパク質分解により切断する能力が障害された宿主細菌内でそのタンパク質を発現する(Gottesman (1990) Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, California 119−128)。 別の戦略は、各アミノ酸に対する個々のコドンが大腸菌内で優先的に利用されるコドンとなるように、発現ベクター中に挿入される核酸の核酸配列を変化させることである(Wada et al., (1992) Nucleic Acids Res. 20:2111−2118)。 本発明の核酸配列のそのような変化は、標準的なDNA合成技術によって実行することができる。

    UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の発現ベクターは、酵母発現ベクター、昆虫細胞内での発現用ベクター(例えば、バキュロウイルス発現ベクター)、または哺乳類細胞内での発現に適したベクターであり得る。

    哺乳類細胞で使用する場合、発現ベクターの制御機能は、ウイルス調節タンパク質要素によりしばしば与えられる。 例えば、一般的に使用されるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルスおよびシミアンウイルス40から得られる。

    別の実施形態では、組換え型哺乳類発現ベクターは、特定の細胞型で優先的に、核酸の発現を指示することができる(例えば、組織特異的制御エレメントが核酸の発現に用いられる)。 適切な組織特異的プロモーターの非限定例としては、アルブミンプロモーター(肝臓特異的;Pinkert et al. (1987) Genes Dev. 1:268−277)、リンパ系特異的プロモーター(Calame and Eaton (1988) Adv. Immunol. 43:235−275)、具体的には、T細胞受容体のプロモーター(Winoto and Baltimore (1989) EMBO J. 8:729−733)および免疫グロブリン(Banerji et al. (1983) Cell 33:729−740; Queen and Baltimore (1983) Cell 33:741−748)、ニューロン特異的プロモーター(例えば、神経フィラメントプロモーター;Byrne and Ruddle (1989) ProC.Natl. Acad. Sci. USA 86:5473−5477)、膵臓特異的プロモーター(Edlund et al. (1985) Science 230:912−916)、および乳腺特異的プロモーター(例えば、ミルクウェイ(milk whey)プロモーター;米国特許第4,873,316号および欧州特許出願公開第264,166号)が挙げられる。 発生学的に調節されているプロモーターも包含され、例えば、マウスhoxプロモーター(Kessel and Gruss (1990) Science 249:374−379)およびαフェトプロテインプロモーター(Campes and Tilghman (1989) Genes Dev. 3:537−546)が挙げられる。

    本発明はさらに、アンチセンス配向で発現ベクターにクローン化された本発明のDNA分子を含む、組み換え発現ベクターを提供する。 種々の細胞型においてアンチセンスRNAの恒常的発現、組織特異的発現または細胞型特異的発現を指示する、アンチセンス配向でクローン化された、核酸に作動可能に連結した制御配列(例えば、ウイルス性のプロモーターおよび/またはエンハンサー)が選択され得る。 アンチセンス発現ベクターは組換えプラスミド、ファージミドまたは弱毒ウイルスの形態で存在し得る。 アンチセンス遺伝子を用いた遺伝子発現の調節に関する議論については、Weintraub et al. , (1986) Reviews − Trends in Genetics 1:1を参照されたい。

    ベクターまたは発現ベクターはさらに、宿主細胞内で自律増殖可能であってもよく、あるいは組込み型のベクター(すなわち、完全または部分的に、且つ安定に、宿主細胞のゲノムにくみこまれたベクター)であってもよい。 いかなる他の第二のDNA断片(例えば、宿主細胞のゲノム)への、いかなる第一のDNA断片(例えば、ベクターまたはその断片)の組込みも、前記第一のDNA断片が例えば部位特異的組換え部位、またはトランスポゾンに典型的な反復配列に隣接していれば、可逆的である。 あるいは、前記部位特異的組換え部位またはトランスポゾン反復配列は、前記第二のDNA断片中に含まれており、前記第一のDNA断片に隣接している。 別の態様では、本発明は、本明細書に記載の核酸分子、例えば、組み換え発現ベクター内のUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体の核酸分子、または、宿主細胞のゲノムの特定の部位への相同組換えを可能にする配列を含有するUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体の核酸分子を含む宿主細胞を提供する。 「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」という用語は、本明細書では同義的に使用される。 そのような用語は、特定の対象細胞を指すだけでなく、そのような細胞の子孫または潜在的子孫をも指す。 変異または環境の影響により続く世代にはある種の改変が生じ得るため、そのような子孫は実際には親細胞と同一ではない場合があるが、いずれにせよ、本明細書で使用される用語の範囲内に含まれる。

    宿主細胞は、あらゆる原核細胞または真核細胞(例えば、培養液中の細胞)であり得る。 例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質は、大腸菌、昆虫細胞、酵母または哺乳類細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはCV−1 origin、SV−40(COS)細胞)等の細菌細胞内で発現させることができる。 他の適切な宿主細胞は当業者に公知である。

    従来の形質転換技術またはトランスフェクション技術により、ベクターDNAを宿主細胞に導入することができる。 本明細書で使用される場合、「形質転換」および「トランスフェクション」という用語は、外来核酸(例えば、DNA)を宿主細胞に導入するための、当該技術分野において承認されている種々の技術を指すことが意図され、例えば、(例えば大腸菌の)熱ショックによる形質転換、接合性DNA転移、リン酸カルシウム共沈もしくは塩化カルシウム共沈、DEAEデキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクション、または例えばマイクロインジェクションもしくは微粒子銃によるエレクトロポレーション直接導入、またはウイルス、ビリオンもしくはウイルス粒子による導入が含まれる。

    本発明の宿主細胞を用いることで、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質を生成(すなわち、発現)することができる。 従って、本発明はさらに、本発明の宿主細胞を用いてUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質を生成するための方法を提供する。 一実施形態では、前記方法は、本発明の宿主細胞(UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質をコードする組み換え発現 ベクターが導入されている)を、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質が産生されるような適切な培地中で培養することを含む。 前記方法では、選択マーカーを用いることにより、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体を含む細胞を濃縮することが可能である。 別の実施形態では、前記方法はさらに、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質を、培地または宿主細胞から単離することを含む。

    別の態様では、本発明は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体の導入遺伝子を含む、またはUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体を発現もしくは誤発現する、細胞または精製した細胞調製物に関する。 前記細胞調製物は、ヒト細胞、または非ヒト細胞(例えば、げっ歯類細胞(例えば、マウスまたはラット細胞)、ウサギ細胞、またはブタ細胞)から成り得る。 いくつかの実施形態では、前記1つまたは複数の細胞は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の導入遺伝子、例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の異種形態、例えば、ヒト由来の遺伝子(非ヒト細胞の場合)を含む。 UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の導入遺伝子は、誤発現(例えば、過剰発現または低発現)され得る。 UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の遺伝子を含む細胞は、培養液中で使用することができ、またはマウス、モルモットまたはラット等の動物宿主において(例えば、移植(例えば、腫瘍移植)で)使用することができる。 UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体を含む細胞の宿主内での位置は、腹腔内、皮下であるか、または散在(例えば、血流中への注射後)している場合がある。

    他の実施形態では、前記1つまたは複数の細胞は、内在性のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体を誤発現する遺伝子(例えば、その発現が混乱(例えば、ノックアウト)されている遺伝子)を含む。 そのような細胞は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の対立遺伝子の誤発現に関連する障害を研究するためのモデルとして、あるいは、薬物スクリーニング(例えば、変異体により付加された低い感受性または耐性を克服するE1阻害剤を同定するための薬物スクリーニング)で用いるためのモデルとして、機能し得る。

    別の態様では、本発明は、目的のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のポリペプチドをコードする核酸で形質転換されたヒト細胞(例えば、造血幹細胞)に関する。

    内在性UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体が、その内在性UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の遺伝子の発現を通常は制御しない制御配列の制御下にある細胞(例えばヒト細胞(例えば、ヒト造血細胞または線維芽細胞))も、提供される。 細胞(例えば、細胞株または微生物)内での内在性遺伝子の発現特徴は、挿入された制御エレメントが内在性UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の遺伝子に機能的に連結されるように、異種DNA制御エレメントをその細胞のゲノムに挿入することによって、改変する事ができる。 例えば、「転写が抑制されている」(例えば、通常に発現していない、または非常に低いレベルでしか発現していない)内在性のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の遺伝子は、その細胞内で通常発現される遺伝子産物の発現を促進することが可能な制御エレメントを挿入することによって、活性化することができる。 例えば、Chappel、米国特許第5,272,071号;1991年5月16日に公開されたWO91/06667に記載されているように、標的相同組換え等の技術を用いることで、異種DNAを挿入することができる。

    遺伝子導入動物 本発明は非ヒト遺伝子導入動物を提供する。 そのような動物は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質の機能および/または活性を研究するのに、並びにUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の活性の調節剤を同定および/または評価するのに、有用である。 本明細書で使用される場合、「遺伝子導入動物」は、非ヒト動物(例えば、哺乳動物(例えば、げっ歯類(例えば、ラットまたはマウス)))であり、その動物の細胞のうちの一つまたは複数は導入遺伝子を含んでいる。 遺伝子導入動物の他の例としては、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、雌ウシ、ヤギ、ニワトリ、両生類等が挙げられる。 導入遺伝子は、遺伝子導入動物の細胞のゲノムへの組込みまたはその中での発生が可能な、外来性DNAまたは内在性染色体DNAの再構成(例えば、欠失)物である。 導入遺伝子は、遺伝子導入動物の一つまたは複数の細胞型または組織内でのコードされた遺伝子産物の発現を指示することができ、他の導入遺伝子(例えば、ノックアウト)は発現を低減する。 従って、遺伝子導入動物は、内在性のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の遺伝子が、内在性遺伝子と、例えば、動物の発生前に動物の細胞(例えば、動物の胚細胞)に導入された外来性DNA分子との間の相同組換えによって変化している、動物であり得る。

    イントロン配列およびポリアデニル化シグナルが導入遺伝子に含まれることで、その導入遺伝子の発現の効率が増加する可能性もある。 UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質の発現を特定の細胞に指示するために、本発明の導入遺伝子に組織特異的制御配列が機能的に連結され得る。 そのゲノム内のUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体の導入遺伝子の存在、および/または動物の組織もしくは細胞内のUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のmRNAの発現に基づいて、初代遺伝子導入動物を同定することができる。 その後、初代遺伝子導入動物を用いることで、その導入遺伝子を保有するさらなる動物を繁殖させることができる。 さらに、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質をコードする導入遺伝子を保有する遺伝子導入動物は、他の導入遺伝子を保有する他の遺伝子導入動物にさらに育種することができる。

    UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のタンパク質またはポリペプチドは、遺伝子導入型の動物または植物において発現させることができる(例えば、該タンパク質またはポリペプチドをコードする核酸を、動物のゲノムに導入することができる)。 いくつかの実施形態では、核酸は組織特異的プロモーター(例えば、乳または卵に特異的なプロモーター)の制御下に置かれ、その動物により生産された乳または卵から回収される。 適切な動物はマウス、ブタ、雌ウシ、ヤギ、およびヒツジである。

    本発明には、例えば、以下に記載されるような、遺伝子導入動物から得られた細胞集団も含まれる。

    用途 本明細書に記載の核酸分子、タンパク質、タンパク質相同体、および抗体は、以下の方法のうちの一つまたは複数において使用することができる:a)スクリーニング検査;b)予測医療(例えば、診断検査、予後検査、モニタリング臨床試験、および薬理遺伝学);およびc)処置方法(例えば、治療的および予防的)。

    本発明の単離核酸分子を使用することで、例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質を発現させることができ(例えば、遺伝子治療応用における宿主細胞中の組み換え発現ベクターを介して)、さらに、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のmRNA(例えば、生物試料中)またはUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体の遺伝子における遺伝子変化を検出することができ、さらに、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の活性を調節することができ、以下でさらに記述される。 UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質を使用することで、E1酵素基質の不充分もしくは過剰な産生、またはUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体阻害物質の産生を特徴とする障害を治療することができる。 さらに、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質を使用することで、自然発生的なUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の基質をスクリーニングすることができ、さらに、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の活性を調節する薬剤または化合物をスクリーニングすることができ、さらにUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体タンパク質の不充分もしくは過剰な産生、またはE1酵素野生型タンパク質と比較して低減した、異常な、もしくは望ましくない活性を有するUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のタンパク質形態の産生を特徴とする障害を治療することができる(例えば、UBA3については、ヌクレオチドと結合する能力、ヌクレオチドを加水分解する能力、NEDD8と結合する能力、NEDD8をアデニル化する能力、NEDD8とチオエステル共有結合を形成する能力、E2酵素と結合する能力、NEDD8のE2へのSH基転移を触媒する能力もしくはNAE1と結合する能力、または発現)。 さらに、本発明のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体に対する抗体を使用することで、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質を検出および単離することができ、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質の生物学的利用能を制御することができ、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の活性を調節することができ、あるいは、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の機能または発現に関連する障害を治療することができる。

    目的のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のポリペプチドと相互作用(例えば、結合)する能力について化合物を評価する方法が提供される。 前記方法には、化合物を目的のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のポリペプチドと接触させ;目的のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のポリペプチドと相互作用(例えば、結合または複合体形成)する化合物の能力を評価することが含まれる。 この方法は、インビトロ(例えば、無細胞系)、またはインビボ(例えば、ツーハイブリッド相互作用トラップアッセイまたは疾病モデル)で行うことができる。 この方法を使用することで、目的のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のポリペプチドと相互作用する自然発生的な分子を同定することができる。 目的のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のポリペプチドの天然阻害剤または合成阻害剤を発見するのにも、使用することができる。 スクリーニング法を以下にさらに詳細に記す。

    スクリーニング検査 本発明は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のタンパク質に結合し、例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体の発現に対する、もしくはUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体の活性に対する刺激効果もしくは阻害効果を有し、または、例えば、E1酵素経路(例えば、NAE経路)において、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の基質もしくはタンパク質の発現または活性に対する刺激効果もしくは阻害効果を有する、調節物質、すなわち、候補または試験化合物または薬剤(例えば、タンパク質、ペプチド、ペプチド模倣薬、ペプトイド、小分子または他の薬剤)を同定するための方法(「スクリーニング検査」とも呼ばれる)を提供する。 このように同定された化合物を使用することで、治療プロトコルにおいて、標的遺伝子産物(例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の遺伝子)の活性を調節し、標的遺伝子産物の生物学的機能を詳細に説明し(elaborate)、またはUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体の遺伝子相互作用を撹乱する化合物を同定することができる。

    一実施形態では、アッセイによって、MLN4924よりもより堅固にUBA3と結合する化合物を同定することができる。 他の実施形態では、アッセイによって、配列番号2のアミノ酸残基171、201、204、205、209、211、228、229、249、305、311、314および324からなる群から選択される、配列番号2と異なる少なくとも1つのアミノ酸を有するUBA3変異体に結合する化合物を同定することができる。

    いくつかの実施形態では、アッセイによって、E1酵素変異体(例えば、変異、例えばアミノ酸置換を有する、例えば本明細書に記載の、E1酵素)の一つまたは複数の活性を調節する化合物を同定することができる。 いくつかの例としては、E1酵素変異体(例えば、UBA3変異体)の活性は、E3リガーゼ(例えば、カリン環リガーゼ)の基質の代謝回転を仲介する能力;タンパク質の恒常性に関与する能力;腫瘍細胞生存を支持する能力;ヌクレオチドと結合する能力、ヌクレオチドを加水分解する能力、ピロリン酸と結合する能力、UBLと結合する能力、UBLをアデニル化する能力、UBLとチオエステル結合を形成する能力、E2酵素と結合する能力、UBLをE2酵素へとチオール基転移(transthiolate)させる能力、またはE1酵素阻害剤−UBL付加体への結合の堅固さもしくは結合解離速度を測定するアッセイ、であり得る。 UBA3変異体の一つまたは複数の活性を調節する化合物を同定することができるアッセイには、ヌクレオチドと結合する能力、ヌクレオチドを加水分解する能力、NEDD8と結合する能力、NEDD8をアデニル化する能力、NEDD8とチオエステル共有結合を形成する能力、E2酵素と結合する能力、NEDD8のE2へのSH基転移を触媒する能力、NAE1と結合する能力、カリン環リガーゼの基質の代謝回転を媒介する能力、タンパク質恒常性に関与する能力、および/または腫瘍細胞生存を支持する能力が含まれる。 いくつかの実施形態では、UBA3変異体が耐性を有するE1酵素阻害剤(例えばNAE阻害剤(例えばMLN4924))の存在下で活性を有する試験薬剤の存在下でUBA3変異体の活性の比較が行われ得る。 UBA3変異体活性に関するアッセイは、実施例に記載の方法によって行うことができる。

    一実施形態では、本発明は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のタンパク質もしくはポリペプチド、またはその生物学的に活性な部分の基質である候補または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。 別の実施形態では、本発明は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のタンパク質もしくはポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分と結合する、またはその活性を調節する、候補または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。

    本発明の試験化合物は、当該技術分野において公知のコンビナトリアルライブラリー法における多数のアプローチのうちのいずれかを用いて得ることができ、該方法としては、生物学的ライブラリー(biological library);ペプトイドライブラリー(ペプチドの機能性を有するが新規の非ペプチド骨格を有する、酵素的分解に抵抗性であるにもかかわらず生理活性を維持している、分子のライブラリー;例えば、Zuckermann et al. (1994) J. Med. Chem. 37:2678−85参照);空間指定可能な固相または液相並列ライブラリー;デコンボリューションを必要とする合成ライブラリー法;「1ビーズ1化合物(one−bead one−compound)」ライブラリー法;およびアフィニティークロマトグラフィー選択を用いる合成ライブラリー法が挙げられる。 生物学的ライブラリーおよびペプトイドライブラリーのアプローチはペプチドライブラリーに限定されるが、他の4つのアプローチはペプチド、非ペプチドオリゴマーまたは化合物の小分子ライブラリーに適用可能である(Lam (1997) Anticancer Drug Des.12:145)。

    分子ライブラリーの合成法の例は、当該技術分野において、例えば:DeWitt et al. (1993) ProC. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 90:6909−13; Erb et al. (1994) ProC. Natl. Acad. Sci. USA 91:11422−426; Zuckermann et al. (1994). J. Med. Chem. 37:2678−85; Cho et al. (1993) Science 261:1303; Carrell et al. (1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2059; Carell et al. (1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2061;およびGallop et al. (1994) J. Med. Chem. 37:1233−51に見出すことができる。

    化合物のライブラリーは、溶液中(例えば、Houghten (1992) Biotechniques 13:412−421)、またはビーズ(Lam (1991) Nature 354:82−84)、チップ(Fodor (1993) Nature 364:555−556)、細菌(Ladner, USP 5,223,409)、胞子(Ladner USP '409)、プラスミド(Cull et al. (1992) Proc Natl Acad Sci USA 89:1865−1869)またはファージ(Scott and Smith (1990) Science 249:386−390; Devlin (1990) Science 249:404−406; Cwirla et al. (1990) ProC.Natl. Acad. Sci. 87:6378−6382; Felici (1991) J. Mol. Biol. 222:301−310;上記Ladner)上に存在し得る。

    UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のアッセイは、細胞アッセイであり得る。 細胞アッセイは、E3リガーゼの基質の代謝回転;タンパク質恒常性の維持;生存腫瘍細胞の数、E1酵素およびE2酵素間の相互作用量、またはE1酵素基質によるシグナル伝達量(例えば、チオール基転移した(例えば、ユビキチン化した、SUMO化した、またはNEDD化した)タンパク質とE3リガーゼとの相互作用により媒介される細胞間情報伝達活性)を測定することができる。 アッセイはインビトロアッセイであり得る。

    一実施形態では、アッセイは、UBA3変異体タンパク質またはその生物学的に活性な部分を発現する細胞が試験化合物と接触させられ、UBA3変異体の活性を調節する試験化合物の能力が決定される、細胞アッセイである。 UBA3変異体の活性を調節する試験化合物の能力の決定は、例えば、ヌクレオチドと結合する能力、ヌクレオチドを加水分解する能力、NEDD8と結合する能力、NEDD8をアデニル化する能力、NEDD8とチオエステル共有結合を形成する能力、E2酵素と結合する能力、NEDD8のE2へのSH基転移を触媒する能力、NAE1と結合する能力、カリン環リガーゼの基質の代謝回転を媒介する能力、タンパク質恒常性に関与する能力、および/または腫瘍細胞生存を支持する能力をモニタリングすることによって、達成することができる。 前記アッセイは、例えば、吸光度もしくは放射性の検出法および定量化法を用いる細胞系において、または反応時間の後に細胞を溶解し、次に細胞含有物をアッセイする系において、行うことができる。 いくつかの実施形態では、UBA3変異体が耐性を有するE1酵素阻害剤(例えばNAE阻害剤(例えばMLN4924))の存在下で活性を有する試験薬剤の存在下でUBA3変異体の活性の比較が行われ得る。 細胞は、例えば哺乳類起源(例えば、ヒト)の細胞であり得る。 他の実施形態では、前記アッセイによって、薬剤耐性の寄生虫細胞(parasitic cell)におけるUBA3に構造的または機構的に類似した酵素の変異体を調節する、試験化合物の能力を決定することができる。

    化合物、例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体の基質に結合しているUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体を調節する、またはUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体に結合する試験化合物の能力も、評価することができる。 これは、例えば、複合体における標識化合物(例えば、基質)を検出することによってUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体への化合物(例えば、基質)の結合を決定することができるように、化合物(例えば、基質)を放射性同位元素または酵素標識と結合させることによって、達成することができる。 あるいは、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体を放射性同位元素または酵素標識と結合させることで、複合体においてUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の基質に結合しているUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体を調節する試験化合物の能力をモニターすることができる。 例えば、化合物(例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の基質)は、直接的または間接的に、 125 I、 14 C、 35 Sまたは Hで標識することができる、放射性同位元素は、電波放出(radioemmission)の直接計数により、またはシンチレーション測定により、検出することができる。 あるいは、化合物は、例えば、西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはルシフェラーゼで酵素標識することができ、酵素標識は、適切な基質の生成物への変換を決定することにより検出することができる。

    相互作用物のいずれかを標識してもしなくても、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体と相互作用する化合物(例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の基質)の能力を評価することができる。 例えば、マイクロフィジオメーターを使用することで、化合物またはUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のいずれをも標識することなく、化合物と、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体との相互作用を検出することができる。 McConnell et al. (1992) Science 257:1906−1912。 本明細書で使用される場合、「マイクロフィジオメーター」(例えば、Cytosensor)は、光学指定ポテンショメータセンサー(LAPS)を用いて細胞がその環境を酸性化する速度を測定する分析機器である。 この酸性化速度の変化は、化合物およびUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の間の相互作用の指標として利用することができる。

    さらに別の実施形態では、ポリペプチド、例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のタンパク質またはその生物学的に活性な部分が試験化合物と接触させられ、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のタンパク質またはその生物学的に活性な部分に結合する試験化合物の能力が評価される、無細胞系アッセイが提供される。 いくつかの実施形態では、本発明のアッセイで使用されるUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質の生物学的に活性な部分には、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体以外の分子との相互作用に関与する断片(例えば、表面露出率(surface probability score)が高い断片)が含まれる。 化合物が、本明細書に記載の、変異(例えばアミノ酸置換)を含むUBA3変異体またはその生物学的に活性な部分を含むポリペプチドの無細胞アッセイで測定される実施形態において、該アッセイは、ポリペプチドがヌクレオチドと結合する能力、ヌクレオチドを加水分解する能力、NEDD8と結合する能力、NEDD8をアデニル化する能力、NEDD8とチオエステル共有結合を形成する能力、E2酵素と結合する能力、NEDD8のE2へのSH基転移を触媒する能力、またはNAE1と結合する能力を測定することができる。 一実施形態では、無細胞アッセイはピロリン酸交換アッセイである。 別の実施形態では、無細胞アッセイによって、UBL−試験化合物、例えば、UBL−E1酵素阻害剤(例えば、NEDD8−MLN4924、NEDD8−化合物1、NEDD8−アデノシンスルファメート、ユビキチン−MLN4924、ユビキチン−化合物1、またはユビキチン−アデノシンスルファメート)、変異体UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素上の、およびそれから遊離した付加体の結合動態が分析される。 そのようなアッセイにより、野生型E1酵素に対するこれらの特徴を試験することもできる。

    単離タンパク質(例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のタンパク質、またはその生物学的に活性な部分)の可溶性および/または膜結合型の形態は、本発明の無細胞アッセイで使用することができる。 タンパク質の膜結合型形態が使用される場合、可溶化剤を利用することが望ましい場合がある。 そのような可溶化剤の例としては、非イオン性界面活性剤(例えば、n−オクチルグルコシド、n−ドデシルグルコシド、n−ドデシルマルトシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、デカノイル−N−メチルグルカミド、TRITON (登録商標) X−100、TRITON (登録商標) X−114、THESIT (登録商標) 、イソトリデシル(isotridecy)ポリ(エチレングリコールエーテル) 、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ(amminio)]−1−プロパンスルホン酸(CHAPS)、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ(amminio)]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸(CHAPSO)、またはN−ドデシル=N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホン酸)が挙げられる。

    無細胞アッセイは、反応混合物、例えば、標的遺伝子のタンパク質(例えば、変異残基を含む、例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体またはその生物学的に活性な部分)および試験化合物の組成物を、その2つの成分に相互作用および結合させて、除去および/または検出可能な複合体を形成させるのに充分な条件下、且つそれに十分な時間をかけて、調製すること、を含む。

    2分子間の相互作用は、例えば、蛍光エネルギー移動(FET)を用いて、検出することもできる(例えば、Lakowicz et al.、米国特許第5,631,169号;Stavrianopoulos, et al.、米国特許第4,868,103号)。 第一の「ドナー」分子上のフルオロフォア標識は、それが放出した蛍光エネルギーが第二の「アクセプター」分子上の蛍光ラベルによって吸収され、次に、吸収されたエネルギーによって蛍光が発せられるように、選択される。 あるいは、「ドナー」タンパク質分子は、単純に、トリプトファン残基の天然の蛍光エネルギーを利用することができる。 「アクセプター」分子の標識が「ドナー」のそれと区別可能であるように、異なる光波長を放出する標識が選択される。 標識間のエネルギー移動の効率は分子間を隔てる距離に関連しているため、分子間の空間的関係を評価することができる。 結合が分子間で起こる状況において、アッセイでの「アクセプター」分子の標識による蛍光放出は最大となるべきである。 FET結合事象は、都合が良いことに、当該技術分野において周知の標準的な蛍光定量的な検出手段によって(例えば、蛍光光度計を用いて)、測定することができる。

    不均一時間分解蛍光(heterogeneous time−resolved fluorescence:HTRF)アッセイを用いることで、UBA3変異体の活性を測定することができる。 HTRFアッセイの例およびキナーゼリン酸化アッセイ用にHTRFアッセイを適合させる方法は、シスバイオ・インターナショナル社(CisBio International)(フランス、バニョル・シュル・セズ)の説明書に従って行うことができる。 HTRFはキナーゼ反応ステップおよび検出ステップの2ステップを含む放射分析法の代替法である。 反応ステップでは、目的の酵素は基質(例えば、ATP)、所望により試験化合物と結合させられる。 検出ステップでは、ユウロピウムクリプテート−標識抗体およびフルオロフォア結合型ストレプトアビジン(例えば、SA−XL665、シスバイオ・インターナショナル社、フランス)、または抗標識−XL665の溶液が、融合タンパク質へと複合体化する。 その2種の蛍光トレーサーが互いにすぐそばに接近したとき、蛍光(fluoresence)共鳴エネルギー転移が生じる。 得られるシグナル(例えば、XL−665特異的シグナル)は、キナーゼ基質のリン酸化の量またはレベルに比例する。 2種のトレーサーからの放出の比率を算出することで、試験化合物干渉とは独立に、測定を行うことができる。

    別の実施形態では、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質が標的分子に結合する能力の決定は、リアルタイム生体分子間相互作用解析(Biomolecular Interaction Analysis:BIA)を用いて達成することができる(例えば、Sjolander and Urbaniczky (1991) Anal. Chem. 63:2338−2345およびSzabo et al. (1995) Curr. Opin. Struct. Biol. 5:699−705を参照)。 「表面プラズモン共鳴」または「BIA」は、生体分子特異的な相互作用を、リアルタイムで、相互作用物を全く標識することなく、検出する(例えば、BIAcore)。 結合表面における質量の変化(結合事象を示す)は、表面近くの光の屈折率の変化を(表面プラズモン共鳴(SPR)の光学現象)、そしてそれによる検出可能シグナルをもたらし、そのシグナルは生体分子間のリアルタイムな反応を示すものとして用いることができる。

    一実施形態では、標的の遺伝子産物または試験物質は固相に固定される。 固相に固定された標的遺伝子産物/試験化合物複合体は反応の終わりに検出することができる。 いくつかの実施形態では、標的遺伝子産物は固体表面に固定することができ、(固定されていない)試験化合物は、直接的または間接的に、本明細書に記載される検出可能な標識で標識することができる。

    変異(例えばアミノ酸置換)を含むUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体、その生物学的に活性な部分、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体に対する抗体またはその標的分子を固定することが、一方または両方のタンパク質の非複合体形態からの複合体形態の分離を促進するために、およびアッセイの自動化を提供するために、望ましい場合がある。 候補化合物の存在下および非存在下での、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のタンパク質への試験化合物の結合、またはUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のタンパク質と標的分子との相互作用は、反応物を容れるのに適したいかなる容器の中でも達成することができる。 そのような容器の例としては、マイクロタイタープレート、試験管、および微小遠心管が挙げられる。 一実施形態では、一方または両方のタンパク質がマトリックスに結合されるのを可能にするドメインを付加する、融合タンパク質が提供され得る。 例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体の融合タンパク質、またはグルタチオン−S−トランスフェラーゼ/標的融合タンパク質は、グルタチオンセファロースビーズ(シグマケミカル社(Sigma Chemical)、ミズーリ州セントルイス)またはグルタチオン被覆マイクロタイタープレート上に吸着させることができ、次にそれに、試験化合物、または試験化合物、および吸着させていない標的タンパク質、もしくはUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のタンパク質のいずれかを結合させ、複合体形成をもたらす条件下(例えば、生理的条件の塩およびpH)で混合物をインキュベートする。 インキュベーション後、ビーズまたはマイクロタイタープレートのウェルを洗浄して結合していないあらゆる成分を除去し、ビーズの場合はマトリックスを固定化し、複合体を直接的または間接的に、例えば上記のように、測定する。 あるいは、複合体はマトリックスから解離させることができ、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の結合レベルまたは活性レベルは標準的な技術を用いて決定することができる。

    マトリックス上にUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のタンパク質または標的分子を固定化する他の技術は、ビオチンおよびストレプトアビジンの結合を利用することを含む。 ビオチン化されたUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質または標的分子は、当該技術分野において公知の技術(例えば、ビオチニル化キット、ピアスケミカルズ社(Pierce Chemicals)、イリノイ州ロックフォード)を用いてビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−スクシンイミド)から調製することができ、ストレプトアビジンコート96ウェルプレート(ピアスケミカルズ社)のウェル内に固定することができる。

    アッセイを行うために、非固定化成分を固定された成分を含有する被覆表面に加える。 反応完了後、形成した全ての複合体が固体表面上に固定されたまま維持されるような条件下で、未反応成分を除去する(例えば、洗浄により)。 固体表面に固定された複合体の検出は、いくつかの方法で達成することができる。 事前に固定化しない成分が予め標識される場合、表面に固定化された標識の検出は、複合体が形成されたことを示すものである。 事前に固定化しない成分が予め標識されない場合、間接的な標識を用いることで表面に固定された複合体を検出することができる:例えば、固定化された成分に特異的または選択的な標識抗体を用いて(抗体は、続いて、直接標識することもでき、または、例えば、標識した抗Ig抗体で間接的に標識することができる)。

    一実施形態では、このアッセイは、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のタンパク質または標的分子に対しては反応性であるが、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質のその標的分子への結合に干渉しない抗体を利用して、行うことができる。 そのような抗体はプレートのウェルに被覆することが可能で、結合していない標的またはUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のタンパク質は、抗体結合によってウェルにトラップされる。 そのような複合体を検出する方法は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質がエピトープ標識(例えば、His タグ、FLAGタグ、c−mycタグ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)タグ、赤血球凝集素(HA)タグ、T7遺伝子10タグ、V5タグ、HSVタグ、およびVSV−Gタグからなる群から選択される異種エピトープ標識)を含む場合に複合体を検出することに加え、UBA3変異体タンパク質または標的分子に反応性の抗体を用いた複合体の免疫検出、およびUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のタンパク質または標的分子と関連する酵素活性の検出に基づく酵素連結アッセイを含む。

    あるいは、無細胞系アッセイを液相で行うことができる。 そのようなアッセイでは、反応産物はいくつかの標準的な技術のいずれかによって未反応成分から分離され、例えば、限定はされないが、分画遠心法(例えば、Rivas and Minton (1993) Trends Biochem Sci 18:284−7参照);クロマトグラフィー(ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー);電気泳動(例えば、Ausubel et al., eds. (1999) Current Protocols in Molecular Biology, J. Wiley, New York.参照);および免疫沈降(例えば、Ausubel et al., eds. (1999) Current Protocols in Molecular Biology, J. Wiley, New York参照)が挙げられる。 そのような樹脂およびクロマトグラフ法は当業者に公知である(例えば、Heegaard (1998) J Mol Recognit 11:141−8; Hage and Tweed (1997) J Chromatogr B Biomed Sci Appl. 699:499−525を参照)。 さらに、好都合なことに、蛍光エネルギー移動を本明細書に記載のように利用することで、液体からの複合体のさらなる精製無しに、結合を検出することができる。

    一実施形態では、前記アッセイは、例えば、変異(例えばアミノ酸置換)を含むUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のタンパク質またはその生物学的に活性な部分を含むポリペプチドを、そのポリペプチドと結合してアッセイ混合物を形成する既知の化合物と接触させること、そのアッセイ混合物を試験化合物と接触させること、並びにUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質と相互作用する試験化合物の能力を決定すること、を含み、ここで、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質と相互作用する試験化合物の能力を決定することには、既知の化合物と比較して、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体もしくはその生物学的に活性な部分に優先的に結合する、または標的分子の活性を調節する試験化合物の能力を決定することが含まれる。

    本発明の標的遺伝子産物は、インビボで、一つまたは複数の細胞性または細胞外の高分子(例えばタンパク質(例えばNAE1、UBLまたはE2酵素))と相互作用し得る。 これを論じることを目的として、そのような細胞性高分子および細胞外高分子を「結合パートナー」と称する。 そのような相互作用を撹乱する、またはE1酵素、例えばNAE経路遺伝子の活性を撹乱する化合物は、活性を調節するのに有用であり得る。 そのような化合物には、限定はされないが、抗体、ペプチド、および小分子等の分子が含まれ得る。 本実施形態で使用するための標的遺伝子/産物は、本明細書で定義されるUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の遺伝子であり得る。 別の実施形態では、本発明は、E1酵素の下流エフェクター(例えばUBA3変異体の標的分子)の活性、例えばE3酵素(例えばカリン環リガーゼ)の活性の調節を介して、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質の活性を調節する試験化合物の能力を決定するための方法を提供する。 例えば、適切な標的に対するエフェクター分子の活性は以前に報告された通りに決定することができ、あるいは、適切な標的へのエフェクターの結合性は以前に報告された通りに決定することができる。

    標的遺伝子産物およびその細胞性または細胞外結合パートナー間の相互作用に干渉する化合物を同定するために、標的遺伝子産物および結合パートナーを含有する反応混合物が、2つの産物が複合体を形成するのに充分な条件下で、およびそれに十分な時間をかけて、調製される。 阻害剤を試験するために、試験化合物の存在下および非存在下に、反応混合物が与えられる。 試験化合物は、最初に反応混合物中に含まれ得るか、または標的遺伝子およびその細胞性または細胞外の結合パートナーの添加の後の時点で添加され得る。 対照反応混合物は、試験化合物無しで、またはプラセボと共にインキュベートされる。 標的遺伝子産物および細胞性または細胞外結合パートナー間のあらゆる複合体の形成が、その後検出される。 試験化合物を含有する反応混合物中ではなく、対照反応において複合体が形成されることは、化合物が、標的遺伝子産物および相互作用的結合パートナーの相互作用に干渉することを示すものである。 さらに、試験化合物および正常な標的遺伝子産物を含有する反応混合物内での複合体形成は、試験化合物および変異型標的遺伝子産物を含有する反応混合物内での複合体形成と比較することもできる。 この比較は、正常な標的遺伝子産物ではなく変異型の相互作用を撹乱する化合物を同定することが望ましい場合に、重要となり得る。

    これらのアッセイは、不均一または均一な形式で行うことができる。 不均一系アッセイは、固相上に標的遺伝子産物または結合パートナーを固定すること、および反応の終わりに固相に固定された複合体を検出すること、を含む。 均一系アッセイでは、全体の反応は液相において行われる。 いずれのアプローチにおいても、反応物を添加する順番を変えることで、試験している化合物についての異なる情報を得ることができる。 例えば、標的遺伝子、例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の産物、および基質または結合パートナーの間の相互作用に(例えば、競合によって)干渉する試験化合物は、試験物質の存在下で反応を行うことで同定することができる。 あるいは、事前形成された複合体を撹乱する試験化合物、例えば、複合体から成分の1つを置換するより高い結合定数を有する化合物は、複合体が形成された後に試験化合物を反応混合物に添加することにより、試験することができる。 種々の型について、以下に簡潔に記載する。

    不均一系アッセイ系において、標的遺伝子産物または相互作用的な細胞性もしくは細胞外の結合パートナーは固体表面(例えば、マイクロタイタープレート)上に固定され、固定されない種が直接的または間接的に標識される。 固定される種は非共有結合または共有結合によって固定化することができる。 あるいは、固定すべき種に対し特異的または選択的な固定化抗体を使用することで、固体表面にその種を固定することができる。

    前記アッセイを行うために、固定化された種のパートナーは、試験化合物有りまたは無しで、被覆表面に曝される。 反応が完了した後、未反応成分を除去すると(例えば、洗浄により)、形成されたあらゆる複合体は固体表面に固定されたままとなる。 非固定種が事前標識されている場合、表面に固定化された標識の検出は、複合体が形成されたことを示すものである。 非固定種が事前標識されていない場合、間接標識を用いることで、表面上に固定された複合体を検出することができる;例えば、最初の非固定種に対し特異的または選択的な標識抗体(抗体は次に、例えば標識化抗Ig抗体で、直接標識または間接標識することができる)を用いて。 反応成分の添加の順番により、複合体形成を阻害する、または事前形成された複合体を撹乱する試験化合物を検出することができる。

    あるいは、反応を試験化合物の存在下または非存在下で液相で行うことができ、反応産物を未反応成分から分離することができ、複合体を検出することができる;例えば、結合成分の1つに対し特異的または選択的な固定化された抗体を用いて、液中に形成されたあらゆる複合体を繋留し、他方のパートナーに対し特異的または選択的な標識抗体を用いて、繋留された複合体を検出する。 再度、液相への反応物の添加の順番により、複合体を阻害する、または事前形成された複合体を撹乱する試験化合物を同定することができる。

    本発明の別の実施形態では、均一系アッセイを使用することができる。 例えば、標的遺伝子産物および相互作用的細胞性または細胞外結合パートナー産物の事前形成複合体が調製され、その中で、標的遺伝子産物またはそれらの結合パートナーのいずれかが標識されているが、標識により生成されたシグナルは複合体形成によりクエンチされる(例えば、イムノアッセイにこのアプローチを利用している米国特許第4,109,496号を参照)。 事前形成複合体からの種の1つと競合し置き換わる試験物質を添加することにより、バックグラウンドを超えるシグナルの生成がもたらされる。 このように、標的遺伝子産物−結合パートナー相互作用を撹乱する試験物質を同定することができる。

    さらに別の態様では、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質は、ツーハイブリッドアッセイまたはスリーハイブリッドアッセイにおいて「ベイトタンパク質(bait protein)」として使用することで(例えば、米国特許第5,283,317号;Zervos et al. (1993) Cell 72:223−232; Madura et al. (1993) J. Biol. Chem. 268:12046−12054; Bartel et al. (1993) Biotechniques 14:920−924; Iwabuchi et al. (1993) Oncogene 8:1693−1696;およびBrent WO94/10300参照)、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体と結合または相互作用し(「UBA3−結合タンパク質」、「UAE−結合タンパク質」、または「UBA6−結合タンパク質」、または他の「E1酵素変異体−結合タンパク質」または「UBA3−bp」、「UAE−bp」、「UBA6−bp」、または他の「E1酵素変異体−bp」)、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の活性に関与する、他のタンパク質を同定することができる。 そのようなUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体−bpは、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のタンパク質、または例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体が仲介するシグナル経路の下流要素としてのUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体の標的によるシグナルの活性化剤または阻害剤であり得る。

    ツーハイブリッド法は、分離可能DNA結合ドメインおよび活性化ドメインから成る、大部分の転写因子のモジュール的な性質に基づいている。 簡潔には、前記アッセイは2つの異なるDNA構築物を利用する。 一方の構築物において、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質をコードする遺伝子が、既知の転写因子(例えば、GAL−4)のDNA結合ドメインをコードする遺伝子に融合される。 もう一方の構築物において、未同定タンパク質(「プレイ(prey)」または「試料」)をコードするDNA配列のライブラリーから得られたDNA配列が、既知の転写因子の活性化ドメインをコードする遺伝子に融合される。 (あるいは:UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質が、活性化ドメインに融合され得る。)「ベイト」タンパク質および「プレイ」タンパク質がインビボで相互作用してUBA3変異体依存性複合体を形成可能であるならば、転写因子のDNA結合ドメインおよび活性化ドメインはかなり近接することになる。 この近接により、転写因子に反応性の転写制御部位に機能的に連結する、レポーター遺伝子(例えば、lacZ)の転写が可能となる。 レポーター遺伝子の発現は検出することが可能でり、機能的転写因子を含有する細胞群体を単離し用いることで、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質と相互作用するタンパク質をコードするクローン化遺伝子を得ることができる。

    別の実施形態では、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の発現の調節物質が同定される。 例えば、細胞混合物または無細胞混合物が候補化合物と接触させられ、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のmRNAまたはタンパク質の発現が、候補化合物非存在下のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のmRNAまたはタンパク質の発現のレベルと比較して、評価される。 UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のmRNAまたはタンパク質の発現が、その非存在下においてよりも、候補化合物の存在下でより大きい場合、その候補化合物は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のmRNAまたはタンパク質発現の刺激物質であると同定される。 あるいは、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のmRNAまたはタンパク質の発現が、その非存在下においてよりも、候補化合物の存在下でより少ない(統計的に有意に少ない)場合、その候補化合物はUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のmRNAまたはタンパク質発現の阻害剤であると同定される。 UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のmRNAまたはタンパク質の発現レベルは、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のmRNAまたはタンパク質を検出するための本明細書に記載の方法により、決定することができる。 調節は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の核酸の阻害による、例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の核酸と結合することによる、直接的な調節であり得る。 そのような実施形態では、調節物質はアンチセンス核酸、RNAiまたはsiRNAであり得る。

    本発明には、第一に細胞を試験化合物と接触させ、次に、化合物に暴露した細胞における耐性配列(例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体)の発現を、化合物に暴露していない対照細胞における耐性配列の発現に対して、測定および比較することによる、細胞の薬剤耐性を調節する化合物を同定する方法も含まれる。 化合物に曝された細胞中の耐性配列の発現レベルが、化合物に曝されていない細胞中の耐性配列の発現レベルと異なる場合、化合物は薬剤耐性の調節物質として同定される。 本方法の一実施形態では、細胞は薬剤耐性表現型を有する。 別の実施形態では、細胞は哺乳類細胞(例えば、腫瘍細胞)である。 別の実施形態では、細胞は寄生生物の細胞、またはそれ由来の細胞である。 本方法は、同定された薬剤耐性調節物質の存在下で細胞の薬剤耐性を測定する任意のステップを含んでいてもよい。 上記方法において同定された耐性を調節する化合物も本発明の範囲内に含まれる。

    本発明は、a)試験化合物存在下での細胞内の耐性配列(例えば、内在性または異種のUBA3、UAE、UBA6または他のE1酵素遺伝子にコードされる耐性タンパク質)の発現レベルを測定し;b)試験化合物非存在下での細胞内の耐性配列の発現レベルを測定し;c)試験化合物存在下での細胞内の耐性配列の発現レベルが試験化合物非存在下での細胞内の耐性配列の発現レベルと異なる場合に、化合物を細胞の薬剤耐性の調節物質として特定することを含む、試験化合物が細胞の薬剤耐性を調節するかどうかを決定するための方法に関する。

    別の態様では、本発明は、本明細書に記載のアッセイの2つ以上の組み合わせに関する。 例えば、調節物質は細胞系アッセイまたは無細胞系アッセイを用いて同定することができ、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質の活性を調節する薬剤の能力は、インビボで、例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の核酸またはタンパク質を含む、または生成可能な腫瘍の異種移植片を有する免疫無防備状態のげっ歯類等の動物において、確認することができる。 別の例では、調節物質は、E1酵素阻害剤(例えば、NAE阻害剤)に抵抗性の生物による病原性感染モデルを用いて同定することができる。

    本態様に関連して、本発明は、a)耐性タンパク質(例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体、または少なくとも1つのUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体の活性を遂行するその部分を含む組成物を、試験化合物の存在下でインキュベートし;b)試験化合物が耐性タンパク質に結合するかどうかを決定し;c)耐性タンパク質に結合する試験化合物を選択し;d)薬剤耐性細胞を有する非ヒト哺乳動物にステップc)で選択した試験化合物を投与し;e)試験化合物が非ヒト哺乳動物の細胞の薬剤耐性を調節するかどうかを決定し;f)化合物がステップe)において細胞の薬剤耐性を調節する場合、試験化合物を細胞の薬剤耐性の調節物質として同定すること、を含む、試験化合物が細胞の薬剤耐性を調節するかどうかを決定するための方法に関する。

    本発明はさらに、a)試験細胞内での耐性配列の発現を測定し;b)ステップa)で測定された耐性配列の発現を、薬剤耐性表現型を有さない対照細胞内での耐性配列の発現に対して比較し;c)耐性配列が上方制御された配列であるとき、試験細胞内での耐性配列の発現が対照細胞内での耐性配列の発現よりも大きい場合に、試験細胞が薬剤耐性表現型を有することを決定すること、を含む、試験細胞(例えば、生物試料から得た細胞)が薬剤耐性表現型を有するかどうかを決定するための方法に関する。 本発明の本態様の別の実施形態では、耐性配列が下方制御された配列であるとき、試験細胞内での耐性配列の発現が対照細胞内での耐性配列の発現よりも低い場合に、ステップ(c)の試験細胞は、薬剤耐性表現型を有し得る。

    別の態様では、本発明は、a)試験細胞内での耐性配列の活性を測定し;b)ステップa)で測定された耐性配列の活性を、薬剤耐性表現型を有さない対照細胞内での耐性配列の活性に対して比較し;c)耐性配列が上方制御された配列であるとき、試験細胞内での耐性配列の活性が対照細胞内での耐性配列の活性よりも大きい場合に、試験細胞が薬剤耐性表現型を有することを決定すること、を含む、試験細胞(例えば、生物試料から得た細胞)が薬剤耐性表現型を有するかどうかを決定するための方法に関する。 別の実施形態では、耐性配列が下方制御された配列であるとき、試験細胞内での耐性配列の活性が対照細胞内での耐性配列の活性より低い場合に、ステップ(c)の試験細胞は、薬剤耐性表現型を有する。

    本発明はさらに、前述のスクリーニング検査で同定される新規の薬剤に関する。 従って、さらに、本明細書に記載の通りに同定した薬剤(例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体の調節薬、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のアンチセンス核酸分子、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体に特異的な抗体、またはUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体の結合パートナー)を適切な動物モデルで使用して、そのような薬剤を用いた処置の効能、毒性、副作用、または作用機序を決定することが、本発明の範囲内である。 さらに、前述のスクリーニング検査で同定される新規薬剤は、本明細書に記載の処置に使用することができる。

    検出アッセイ 本発明のさらなる態様は、生物試料中のUBA3変異体の存在を検出するための方法;並びに/または生物試料中に存在するUBA3変異体によるE1酵素阻害剤(例えば、NAE阻害剤(例えば、MLN4924))への耐性を検出するための方法;並びに/または配列番号1のヌクレオチド531、532、533、621、622、623、630、631、632、633、634、635、645、646、647、651、652、653、702、703、704、705、706、707、765、766、767、933、934、935、951、952、953、960、961、962、989、990、および991からなる群から選択される一つまたは複数の塩基において配列番号1と異なっている、生物試料中のUBA3変異体の核酸の存在を検出するための方法である。 他の実施形態では、アッセイによって、アミノ酸580において配列番号29と異なっているUAE変異体の存在、またはアミノ酸573において配列番号32と異なっているUBA6変異体の存在を検出することができる。

    本明細書で同定される核酸配列の部分または断片は、ポリヌクレオチド試薬として使用することができる。 例えば、これらの配列を使用することで、(i)それらの各遺伝子を染色体上にマッピングして、例えば、遺伝病に関連する遺伝子領域を位置付ける、あるいはUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体を疾患と関連付けることができ;(ii)微小生物試料から個体を同定することができ(組織適合試験);(iii)生物試料の法鑑定に役立つことができる。 これらの応用は以下の小節に記載される。

    組織適合試験 UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の配列を使用することで、例えば、制限断片長多型(RFLP)を用いて、生物試料から個体を同定することができる。 この技術では、個体のゲノムDNAが一つまたは複数の制限酵素で消化され、断片が、例えばサザンブロットで分離され、プローブされることにより、同定のためのバンドが得られる。 本発明の配列は、RFLPに対するさらなるDNAマーカーとして有用である(米国特許第5,272,057号に記載)。

    さらに、本発明の配列を用いることで、個体のゲノムの選択された部分の実際の一塩基毎のDNA配列を決定することもできる。 従って、本明細書に記載のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のヌクレオチド配列を用いることで、配列の5'末端および3'末端から2つのPCRプライマーを作製することができる。 次に、これらのプライマーを用いることで、個体のDNAを増幅し、その後それを配列決定することができる。 このようにして作製された個体由来の対応するDNA配列のパネルは、対立遺伝子の差異により各個体は一連のそのような独特なDNA配列を有するために、独特な個体同定法を提供し得る。

    対立遺伝子変化は、これらの配列のコード領域にはある程度生じ、非コード領域にはより高頻度に生じる。 本明細書に記載の各配列は、個体から得られたどのDNAが同定のために比較できるかに対する基準として、ある程度、使用することができる。 より多い数の多形が非コード領域に生じるので、個体を区別するのに必要な配列はより少ない。 配列番号1の非コード配列は、確実な個体同定(positive individual identification)に、100塩基の非コード増幅配列をそれぞれ与える、おそらくは10〜1,000のプライマーのパネルを提供し得る。 予測されたコード配列が使用される場合、確実な個体同定のためのより多くの適切な数のプライマーは、500〜2,000となるであるだろう。

    本明細書に記載のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のヌクレオチド配列から得られた試薬のパネルが、個体に対する独特な同定データベースを作製するのに使用される場合、後にそれらの同じ試薬を用いることで、その個体由来の組織を同定することができる。 独特な同定データベースを用いて、個体の確実な同定を、生死にかかわらず、非常に小さな組織試料から行うことができる。

    予測医療 本発明は、診断検査、予後検査、およびモニタリング臨床試験を予後の(予測的な)目的に用いることにより個体を治療する、予測医療の分野にも関する。

    細胞の耐性配列の、発現、特に望ましくない発現を評価する方法は有用である。 望ましくない発現(例えば、上方制御された配列の発現増加または下方制御された配列の発現減少)は、個体の組織における薬剤耐性(例えば、E1酵素阻害剤、例えば、NAE阻害剤、例えば、1−メチルスルファメート、例えば、MLN4924に対する耐性)腫瘍細胞の存在、持続または再出現を示す場合がある。 より一般的には、異常な発現は、耐性配列の発現が寄与する、有害なまたは疾患関連性の表現型の発生を示す場合がある。

    一般的に、本発明は、対象が、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体をコードする遺伝子における傷害またはその誤発現に関連する障害のリスクを有するかどうかを決定する方法を提供する。

    そのような障害には、例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の遺伝子の誤発現に関連する障害;細胞増殖性障害および/または分化性障害、感染(例えば、寄生虫感染)、免疫性(例えば、炎症性)障害または神経変性障害が含まれる。

    さらに別の態様では、本発明は、a)対象から得た(例えば、mRNAにハイブリダイズする核酸分子を用いて)生物試料中の、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の配列(例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質をコードするmRNA)の発現を測定し;b)ステップa)で測定されたmRNAの発現を、薬剤耐性腫瘍を有さない対照対象から得られた生物試料中のmRNAの発現(例えば、野生型のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素の発現)と比較し;c)患者から得られた生物試料中のmRNAの発現が、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のmRNAが上方制御された配列である場合の対照対象から得られた生物試料中のmRNAの発現よりも高い場合に、患者が薬剤耐性腫瘍を有するかまたはそれを発達させる危険性があると決定することを含む、対象が薬剤耐性腫瘍を有するかどうかまたはそれを発達させる危険性があるかどうかを決定するための方法に関する。 別の実施形態では、患者から得られた生物試料中のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のmRNAの発現が、mRNAが下方制御された配列である場合の対照対象から得られた生物試料中のmRNAの発現よりも低い場合に、患者は薬剤耐性腫瘍を有するかまたはそれを発達させる危険性がある。

    さらに別の態様では、本発明は、a)対象から得られた(例えば、NAEβ変異体タンパク質に結合する薬剤を用いて)生物試料中のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の配列の活性を測定し;b)ステップa)で測定されたUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の活性を、薬剤耐性腫瘍を有さない対照対象から得られた生物試料中のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素の野生型配列の発現と比較し;c)患者から得られた生物試料中の耐性配列の活性が、耐性配列が上方制御された配列である場合の対照対象から得られた生物試料中の耐性配列の活性よりも高い場合に、患者が薬剤耐性腫瘍を有するかまたはそれを発達させる危険性があると決定することを含む、対象が薬剤耐性腫瘍を有するかどうかまたはそれを発達させる危険性があるかどうかを決定するための方法に関する。 別の実施形態では、患者から得られた生物試料中の耐性配列の活性が、耐性配列が下方制御された配列であるときの対照対象から得られた生物試料中の耐性配列の活性よりも低い場合、患者は薬剤耐性腫瘍を有するかまたはそれを発達させる危険性がある。

    本方法には以下のうちの一つまたは複数が含まれる:

    対象の組織内で、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体の遺伝子の発現に影響を与える変異の有無を検出すること、または遺伝子の発現を制御する領域内での変異(例えば、5'制御領域における変異)の有無を検出すること;

    対象の組織内で、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素遺伝子の構造を変化させる変異の有無を検出すること;

    対象の組織内で、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の遺伝子の誤発現をmRNAレベルで検出すること、例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のmRNAの非野生型レベルを検出すること;

    対象の組織内で、遺伝子の誤発現をタンパク質レベルで検出すること、例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のポリペプチドの非野生型レベルを検出すること。

    生物試料中の耐性配列の有無を検出するための方法の一例は、試験対象から生物試料を得て(患部組織または悪性組織の可能性診断に関わる身体部位等から)、生物試料を、耐性配列(例えば、mRNA、ゲノムDNA、ポリペプチド)を検出することができる化合物または薬剤と接触させることで、耐性配列の存在を生物試料中で検出すること、を含む。 耐性配列の存在および/または相対的存在量(例えば、正常組織または同型の非薬剤耐性腫瘍と比較)は、細胞性耐性遺伝子の異常なまたは望ましくない発現を示し、薬剤耐性表現型を有する細胞のインサイツでの出現と関連がある。

    いくつかの実施形態では、本方法は、配列番号1のUBA3遺伝子内のヌクレオチド間に以下の変化のうちの少なくとも1つが存在することを確認することを含む:UBA3遺伝子からの一つまたは複数のヌクレオチドの欠失;該遺伝子への一つまたは複数のヌクレオチドの挿入;該遺伝子の一つまたは複数のヌクレオチドの点変異(例えば、置換);該遺伝子の大規模染色体再編(例えば、転座または逆位);UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の遺伝子のメッセンジャーRNA転写物のレベルにおける変化;UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の遺伝子の異常な修飾(例えば、ゲノムDNAのメチル化パターンの修飾);UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の遺伝子のメッセンジャーRNA転写物の非野生型スプライシングパターンの存在;UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質の非野生型レベル;UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素の野生型遺伝子の対立遺伝子欠失、並びに10)UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質の不適切な翻訳後修飾。 いくつかの実施形態では、本方法は、配列番号1のヌクレオチド531、532、533、621、622、623、630、631、632、633、634、635、645、646、647、651、652、653、702、703、704、705、706、707、765、766、767、933、934、935、951、952、953、960、961、962、989、990、および991からなる群から選択される一つまたは複数の塩基において配列番号1と異なるUBA3変異体の核酸を検出することを含む。

    例えば、遺伝子損傷の検出は、以下を含み得る:(i)配列番号1由来のセンス配列もしくはアンチセンス配列、またはその自然発生的な変異体、またはUBA3変異体遺伝子に天然に付随している5'もしくは3'フランキング配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列の領域を含有するオリゴヌクレオチドを含むプローブ/プライマーを提供すること、;(ii)そのプローブ/プライマーを組織の核酸に曝し;核酸へのプローブ/プライマーのハイブリダイゼーション(例えば、インサイツハイブリダイゼーション)によって、遺伝子損傷の有無を検出すること。 UBA3変異体の核酸を検出することができる試薬の例は、実施例に見出すことができる。

    いくつかの実施形態では、誤発現の検出は、以下のうちの少なくとも1つの存在を確認することを含む:UBA3変異体遺伝子のメッセンジャーRNA転写物のレベルにおける変化;該遺伝子のメッセンジャーRNA転写物の非野生型スプライシングパターンの存在;またはUBA3変異体の非野生型レベル。

    本発明の方法は出生前に用いることができ、または対象の子孫が障害のリスクを有しているかどうかを決定するのに用いることができる。

    いくつかの実施形態では、本方法は、障害のリスクを示す異常構造である、UBA3変異体遺伝子の構造を決定することを含む。

    いくつかの実施形態では、本方法は、対象から得た試料を、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質に対する抗体と接触させることを含む。 他の実施形態では、本方法は、対象から得た試料を、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素遺伝子と特異的にハイブリダイズする核酸と接触させることを含む。 これらおよび他の実施形態は以下で考察される。

    診断アッセイおよび予後アッセイ がん治療に関連して、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の配列の発現レベルは、1)がん、特に薬剤耐性のがんが、薬剤または薬剤の組み合わせによって治療可能であるかどうかを決定するために;2)がんが薬剤または薬剤の組み合わせによる治療に応答しているかどうかを決定するために;3)がんを治療するための適切な薬剤または薬剤の組み合わせを選択するために;4)進行中の治療の有効性をモニターするために;および5)新規がん治療(単剤または薬剤の組み合わせ)を特定するために、使用してもよい。 具体的には、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の配列は、適切な治療を決定するために、効能について試験されている薬剤の臨床治療およびヒト治験をモニターするために、並びに新規の薬剤および併用療法を開発する際に、マーカー(代替マーカーおよび/または直接マーカー)として使用してもよい。

    従って、本発明は、a)がん細胞の試料を得て;b)がん細胞内での耐性配列の発現レベルを決定し;c)耐性配列が薬剤耐性に関連しないレベルで発現されている場合に薬剤が有効であると同定する(例えば、上方制御された耐性配列は発現されないか、または非薬剤耐性のがん細胞と比較して比較的低いレベルで発現され;下方制御された耐性配列は比較的高いレベルで発現され得る)ステップを含む、薬剤(例えば化学療法剤、例えばE1酵素阻害剤、例えばNAE阻害剤、例えば1−メチルスルファメート、例えばMLN4924)が、がん細胞の成長速度を遅めるのに有効であるかどうかを決定するための方法を提供する。 あるいは、ステップ(c)において、薬剤は、耐性配列がその薬剤への耐性に関連するレベルで発現されてる場合に、がんを治療するのに比較的に無効であると同定され得る(例えば、非薬剤耐性細胞と比較して比較的高いレベルに上方制御された耐性配列、または下方制御された耐性配列は比較的低いレベルで発現され得る)。

    本明細書で使用される場合、薬剤は、がん細胞の成長を少なくとも50%、少なくとも75%、または少なくとも95%低減することができる場合に、がん細胞の成長速度を低減していると言われる。 そのような阻害は、生存能における低減およびがん細胞の死の割合における増加をさらに含み得る。 この決定に使用される薬剤の量は、選択される薬剤に応じて変化する。 典型的には、量は所定の治療量である。

    生物試料中のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質または核酸の存在、レベル、または不在は、試験対象から生物試料を得て、生物試料を、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質またはUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のタンパク質をコードする核酸(例えば、mRNA、ゲノムDNA)を検出することが可能な化合物または薬剤と接触させ、それによって、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質または核酸の存在を生物試料中で検出することにより、評価することができる。 「生物試料」という用語には、対象から分離された組織、細胞および生体液、並びに対象内に存在する組織、細胞および体液が含まれる。 一実施形態では、生物試料は試験対象由来のタンパク質分子を含有する。 あるいは、生物試料は試験対象由来のmRNA分子または試験対象由来のゲノムDNA分子を含有し得る。 生物試料は対象から常法により分離された末梢血白血球試料であり得る。 生物試料は血清であり得る。 生物試料は腫瘍試料であり得る。 生物試料は対象から取得されたリンパ球、感染細胞または寄生虫を含み得る。 UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の遺伝子の発現レベルはいくつかの方法で測定することができ、例えば、限定はされないが、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体の遺伝子にコードされるmRNAを測定すること;UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体の遺伝子にコードされるタンパク質の量を測定すること;またはUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の遺伝子にコードされるタンパク質の活性を測定することによるものである。

    別の実施形態では、本方法はさらに、対照対象または試験対象の非患部から対照生物試料を得て、対照試料を、耐性のタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAを検出することが可能な化合物または薬剤と接触させることで、耐性タンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの存在を生物試料中で検出し、対照試料中の耐性タンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの存在を、試験試料中の耐性タンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの存在と比較すること、を含む。 別の実施形態では、本方法はさらに、対照試料をUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のmRNA、またはゲノムDNAを検出することが可能な化合物または薬剤と接触させ、対照試料中のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のmRNAまたはゲノムDNAの存在を、試験試料中のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のmRNAまたはゲノムDNAの存在と比較すること、を含む。

    細胞内のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の遺伝子に対応するmRNAのレベルは、インサイツおよびインビトロの両方の形式で決定することができる。

    単離されたmRNAは、サザン解析またはノーザン解析、ポリメラーゼ連鎖反応解析およびプローブアレイを含むがこれらに限定はされない、ハイブリダイゼーションアッセイまたは増幅アッセイに使用することができる。 mRNAレベルを検出するための1つの診断法は、単離されたmRNAを、検出されている遺伝子にコードされるmRNAにハイブリダイズすることができる核酸分子(プローブ)と接触させることを含む。 核酸プローブは、例えば、完全長のUBA3変異体核酸、例えば、配列番号1の核酸、またはその一部、例えば、少なくとも7、15、30、50、100、250または500のヌクレオチド長の、ストリンジェントな条件下でUBA3変異体のmRNAまたはゲノムDNAに特異的にハイブリダイズするのに充分な、オリゴヌクレオチドであり得る。 診断検査での使用に適した他のプローブは、本明細書に、例えば実施例に、記載されている。

    1つの型式において、mRNA(またはcDNA)は、例えば、単離されたmRNAをアガロースゲル上で泳動し、mRNAをゲルからメンブレン(例えばニトロセルロース)に転写することによって、表面に固定され、プローブと接触させられる。 別の型式において、例えば、二次元 遺伝子チップアレイでは、プローブが表面に固定され、mRNA(またはcDNA)がプローブと接触させられる。 当業者は、公知のmRNA検出法を、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の遺伝子にコードされるmRNAのレベルを検出するのに使用するために適合させることができる。

    UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の1つにコードされる試料中のmRNAのレベルは、例えば、rtPCR(Mullis (1987)、米国特許第4,683,202号)、リガーゼ連鎖反応(Barany (1991) ProC.Natl. Acad. Sci. USA 88:189−193)、自立的(self sustained)配列複製(Guatelli et al., (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:1874−1878)、転写増幅系(Kwoh et al., (1989), Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:1173−1177)、Qβレプリカーゼ(Lizardi et al., (1988) Bio/Technology 6:1197)、ローリングサークル複製(Lizardi et al.、米国特許第5,854,033号)またはあらゆる他の核酸増幅法による核酸増幅、続いて当該技術分野において公知の技術を用いた増幅された分子の検出によって、評価することができる。 本明細書で使用される場合、増幅プライマーは、遺伝子の5'領域または3'領域(それぞれ、プラス鎖およびマイナス鎖、またはその逆)にアニールすることができ、間に短い領域を含有する、一対の核酸分子であると定義される。 一般的に、増幅プライマーは約10〜30ヌクレオチド長であり、約50〜200ヌクレオチド長の領域の横に位置する。 適切な条件下で、且つ適切な試薬を用いて、そのようなプライマーは、プライマーに隣接されているヌクレオチド配列を含む核酸分子を増幅させる。

    インサイツ法において、細胞または組織試料は、調製/処理され、担体、典型的にはスライドガラス上に固定され、次に、解析されているUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の遺伝子をコードするmRNAにハイブリダイズすることができるプローブと接触させられ得る。

    「物理的検出法」は、本明細書では、先の、一つまたは複数のヌクレオチド配列多形性を含む標的DNA配列のPCR増幅は除外されないが、検出のために一つまたは複数の物理的プロセスを必要とする、ヌクレオチド配列の多形性の検出法を意味する。 物理的プロセスの例としては、電気泳動、クロマトグラフィー、分光測定(spectrometry)、光シグナル感知および分光法(spectroscopy)が挙げられる。

    様々な方法を用いて、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体にコードされるタンパク質のレベルを決定することができる。 一般的に、これらの方法は、タンパク質に選択的に結合する薬剤(例えば、抗体)を試料と接触させて、試料中のタンパク質のレベルを評価することを含む。 一実施形態では、抗体は検出可能な標識を有する。 「標識された」という用語は、プローブまたは抗体に関連して、検出可能な物質をプローブまたは抗体に結合(すなわち、物理的に連結)させることによるプローブまたは抗体の直接標識、および検出可能な物質との反応性によるプローブまたは抗体の間接標識を包含することが意図される。 検出可能な物質の例が本明細書に記載されている。

    検出法を用いることで、インビトロの生物試料中およびインビボで、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質を検出することができる。 UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質を検出するためのインビトロ法には、酵素免疫測定法(ELISA)、免疫沈降、免疫蛍光法、酵素免疫測定法(EIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、およびウエスタンブロット解析が含まれる。 UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質を検出するためのインビボ法は、対象にUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体に対する標識抗体を導入することを含む。 例えば、抗体は、標準的な画像処理技術により対象内でのその存在および位置を検出することができる放射性マーカーで、標識することができる。 これらの方法に使用することができる抗体は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素におけるアミノ酸変異(例えば、置換)と選択的に結合することができる。 例えば、抗体は、変異した(例えば、置換された)残基を含むUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素は認識し、野生型残基を含むUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素のポリペプチドは認識しないだろう。 いくつかの実施形態では、これらの方法で使用するための抗体は、例えば、配列番号2の171、201、204、205、209、211、228、229、249、305、311、314および324における残基と等しくないアミノ酸残基からなる群から選択される、野生型UBA3からの変異を含むUBA3変異体タンパク質と結合することができる

    別の実施形態では、本方法はさらに、対照試料を、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質を検出することが可能な化合物または薬剤と接触させ、対照試料中のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質の存在を、試験試料中のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質の存在と比較すること、を含む。

    本発明には、生物試料中のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の存在を検出するためのキットも含まれる。 そのようなキットを使用することで、対象が、耐性の異常な発現と関連する障害(例えば、薬剤耐性のがんの存在)に罹患しているかどうか、またはそれを発症するリスクが増加しているかどうかを決定することができる。 例えば、キットは、生物試料中のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質またはmRNAを検出することが可能な化合物または薬剤を含み得;耐性配列の量を決定するための手段は、正常レベル(例えば、標準)より高いか、またはそれより低いということである。 化合物または薬剤は適切な容器内にパッケージングすることができる。 キットはさらに、キットを使用してUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質または核酸を検出するための説明書を含み得る。

    抗体をベースとしたキットにおいて、キットは、(1)本発明のマーカーに対応するポリペプチドに結合する一次抗体(例えば、固相に付着した);および、所望により、(2)ポリペプチドまたは一次抗体に結合する、検出可能な薬剤と複合体化している様々な二次抗体を含み得る。

    さらに別の実施形態では、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体は表現型的に検出することができる、すなわち、前記UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体は、野生型残基を含むUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体と共有されない、独特なE1阻害剤感受性パターンを示し得る。 UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の表現型検出には、例えば、E1酵素阻害剤のパネルに対する、生物試料中に存在する野生型のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素からのUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の活性の感受性を決定するステップが含まれる。

    オリゴヌクレオチドをベースとしたキットにおいて、キットは、(1)UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体に対応するポリペプチドをコードする核酸配列にハイブリダイズする、オリゴヌクレオチド、例えば、検出可能なように標識されたオリゴヌクレオチド、または(2)UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体に対応する核酸分子を増幅するのに有用な一対のプライマーを含み得る。 キットは、緩衝剤、保存剤、またはタンパク質安定化剤も含み得る。 キットは、検出可能な薬剤(例えば、酵素または基質)を検出するのに必要な構成要素も含み得る。 キットは、アッセイすることができ、含有される試験試料と比較することができる対照試料または一連の対照試料も含有し得る。 キットの各構成要素は個々の容器内に封入することができ、それらの種々の容器は全て、キットを用いて行われたアッセイの結果を解釈するための説明書と一緒に、1つのパッケージ内に含むことができる。

    さらに、前記1つまたは複数のオリゴヌクレオチドが固相に付着または固定された、前記オリゴヌクレオチドをベースとしたキットが具現化される。 それに対する他の実施形態は、a. 前記生物試料中に存在する標的のUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のポリ核酸を得るための手段および/またはそのヌクレオチド配列を得るための手段;b. 適切な場合、本発明の標的のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のポリ核酸を増幅するのに適した、少なくとも1つのオリゴヌクレオチド対;c. 適切な場合、核酸を変性するための手段;d. 適切な場合、少なくとも1つの本発明のオリゴヌクレオチド;e. 適切な場合、二本鎖核酸分子または一本鎖核酸分子を修飾することが可能な酵素;f. 適切な場合、ハイブリダイゼーション緩衝液、または前記緩衝液を作製するのに必要な成分;g. 適切な場合、洗浄液、または前記溶液を作製するのに必要な成分;h. 適切な場合、部分的もしくは完全に変性したポリ核酸を検出するための手段、および/または前述のハイブリダイゼーションで形成されたハイブリッドを検出するための手段、および/または核酸の酵素による修飾を検出するための手段;i. 適切な場合、オリゴヌクレオチドを固相の既知の位置に付着させるための手段;j. 全て(h)で検出された、部分的もしくは完全に編成したポリ核酸から、および/またはハイブリッドから、および/または酵素による修飾から、並びに/または(a)で得られたヌクレオチド配列から、前記生物試料中の前記UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の存在を推量するための手段を含む、前記キットを含む。

    一般的に、変異した(例えば、置換された)アミノ酸X(Xは表示されるアミノ酸である)をコードする変異体の配列中のヌクレオチドY(Yは表示される番号である)における変異(例えば置換)の存在を核酸配列から推論することは、(i)変異した(例えば、置換された)ヌクレオチドYを含むコドンの前記核酸配列中での位置を突きとめ、(ii)変異した(例えば、置換された)ヌクレオチドYを含む前記コドンをそのコドンにコードされるアミノ酸に翻訳し、(iii)変異した(例えば、置換された)ヌクレオチドYを含む前記コドンにコードされるアミノ酸が、前記アミノ酸Xをコードするコドンと同一であるかまたは異なるかどうかを、(ii)から結論するための、いかなる技術または方法をも意味する。 前記技術には、(i)〜(iii)の全てが手動でおよび/またはコンピューターにより実行される方法が含まれ得る。 前記技術には、データベース内に含まれる得られた核酸配列の一連の核酸配列とのアラインメントおよび/または比較が含まれていてもよい。 前記技術にはさらに、紙形態である、電子形態である、またはコンピューター可読の担体もしくは媒体上に存在するレポートの形態で存在している、(i)〜(iii)の結果が含まれていてもよい。 前記技術にはさらに、(核酸および/またはアミノ酸)配列データベースの検索、および/または(核酸および/またはアミノ酸)配列アラインメントの作成が含まれていてもよく、その結果は前記レポートに含まれていても含まれていなくてもよい。

    本明細書に記載の診断法は、誤発現されたまたは異常なまたは望まれないUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の発現または活性に関連する疾患または障害を有する、またはそれを発症する危険性がある対象を特定することができる。 本明細書で使用される場合、「望まれない」という用語には、疼痛または制御されない細胞増殖等の生物学的反応に関わる望まれない現象が含まれる。

    一実施形態は、異常なまたは望まれないUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の発現または活性に関連する疾患または障害(例えば、E1酵素阻害剤への耐性)の同定を含む。 試験試料を対象から得て、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質または核酸(例えば、mRNAまたはゲノムDNA)を評価するが、ここでUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質または核酸のレベル(例えば、有無)は、異常なまたは望まれないUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の発現または活性に関連する疾患または障害を有する、またはそれを発症する危険性がある対象を診断するものである。 本明細書で使用される場合、「試験試料」とは、生体液(例えば、血清)、細胞試料(例えば、腫瘍細胞を含む試料)、または組織を含む、目的の対象から得られた生物試料を指す。

    本明細書に記載の予後検査を利用することで、対象に薬剤(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプチド模倣薬、タンパク質、ペプチド、核酸、小分子、または他の薬剤候補)を投与して、異常なまたは望まれないUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の発現または活性に関連する疾患または障害を治療することが可能であるかどうかを決定することができる。 例えば、そのような方法を用いることで、対象がE1酵素阻害剤によって効果的に治療され得るかどうかを決定することができる。

    変化は、ポリメラーゼ連鎖反応(例えば、アンカーPCR(anchor PCR)またはRACE PCR)において、または、ライゲーション連鎖反応(ligation chain reaction:LCR)において、プローブ/プライマー無しで検出することができ、後者は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の遺伝子において点変異を検出するのに特に有用であり得る。 この方法は、対象から細胞の試料を収集するステップ、その試料から核酸(例えば、ゲノム核酸、mRNAまたは両方)を単離するステップ、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の遺伝子のハイブリダイゼーションおよび増幅が(仮に存在すれば)生じるような条件下で、その核酸試料を、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の遺伝子と特異的にハイブリダイズする一つまたは複数のプライマーと接触させるステップ、並びに増幅産物の有無を検出するステップ、または増幅産物のサイズを検出するステップ、および長さを対照試料と比較するステップが含まれ得る。 PCRおよび/またはLCRは、本明細書に記載の変異の検出に使用される技術のいずれかと組み合わせて、予備的な増幅ステップとして使用されることが望ましい場合があることが予測される。 あるいは、本明細書に記載の、または当該技術分野において公知の他の増幅法を用いることができる。

    別の実施形態では、試料細胞からの、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の遺伝子における変異は、制限酵素の切断パターンにおける変化を検出することで、同定することができる。 例えば、試料および対照DNAを単離し、(所望により)増幅し、一つまたは複数の制限酵素で消化し、断片の長さ・サイズを例えばゲル電気泳動により決定し、比較する。 試料および対照DNAの間の断片の長さ・サイズにおける差異は、試料DNAにおける変異を示すものである。 さらに、配列特異的なリボザイム(例えば、米国特許第5,498,531号参照)を使用することで、リボザイム切断部位の発生または消失による、特定の変異の存在のスコア化が可能である。

    他の実施形態では、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体における遺伝子変異は、試料および対照核酸(例えば、DNAまたはRNA)、二次元アレイ(例えば、チップをベースとしたアレイ)をハイブリダイズすることによって、同定することができる。 そのようなアレイには、それぞれがその他と位置的に区別可能である複数のアドレスが含まれている。 異なるプローブが複数のそれぞれのアドレスに配置される。 アレイは高密度のアドレスを有し得る(例えば、数百または数千のオリゴヌクレオチドプローブを含有し得る)(Cronin et al. (1996) Human Mutation 7: 244−255; Kozal et al. (1996) Nature Medicine 2: 753−759)。 例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体における遺伝子変異は、上記Cronin, M. T. et al. に記載の光生成DNAプローブを含有する二次元アレイにおいて同定することができる。 簡潔には、プローブの第一のハイブリダイゼーションアレイを用いることで、試料および対照中の長いDNAを走査して、連続的な重複プローブの直線的アレイを作成することにより、これらの配列間での塩基変化を同定することができる。 このステップは点変異の同定を可能にする。 このステップの次に、検出される全ての変種または変異体に対し相補的な、より小さな特殊化されたプローブアレイを用いることで特定の変異の特徴付けを可能にする、第二のハイブリダイゼーションアレイが続く。 各変異アレイは、一方は野生型遺伝子に対し相補的なプローブで、もう一方は突然変異遺伝子に対し相補的なプローブである、平行なプローブセットから構成される。

    さらに別の実施形態では、当該技術分野において公知の種々の配列決定反応のいずれかを使用することで、試料中のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の配列を対応する野生型(対照)配列と比較することにより、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の遺伝子を直接的に配列決定し、さらに変異を検出することができる。 自動化された配列決定手順は診断検査を行う際に利用することができ(Naeve et al. (1995) Biotechniques 19:448−53)、例えば、質量分析による配列決定である。 いくつかの配列決定法に関する記述は、実施例に見出すことができる。

    UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の遺伝子内の変異を検出するための他の方法には、切断剤からの保護を利用してRNA/RNAまたはRNA/DNAヘテロ二本鎖におけるミスマッチ塩基を検出する方法が含まれる(Myers et al. (1985) Science 230:1242; Cotton et al. (1988) ProC.Natl Acad Sci USA 85:4397; Saleeba et al. (1992) Methods Enzymol. 217:286−295)。

    さらなる別の実施形態では、ミスマッチ切断反応(mismatch cleavage reaction)は、細胞の試料から得られたUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のcDNA中の点変異を検出およびマッピングするための定義された系において、二本鎖DNA(いわゆる「DNAミスマッチ修復」酵素)中の不適正塩基対を認識する一つまたは複数のタンパク質を使用する。 例えば、大腸菌のmutY酵素はG/AミスマッチでAを切断し、HeLa細胞から得られるチミジンDNAグリコシラーゼは、G/TミスマッチでTを切断する(Hsu et al. (1994) Carcinogenesis 15:1657−1662;米国特許第5,459,039号)。

    他の実施形態では、電気泳動移動度における変化が、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の遺伝子における変異を同定するために用いられる。 例えば、一本鎖DNA高次構造多型(SSCP)を用いることで、変異型核酸および野生型核酸の間の電気泳動移動度の差異を検出することができる(Orita et al. (1989) Proc Natl. Acad. Sci USA: 86:2766、Cotton (1993) Mutat. Res. 285:125−144;およびHayashi (1992) Genet. Anal. Tech. Appl. 9:73−79も参照)。 試料および対照のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の核酸の一本鎖DNA断片は変性され、再生される。 一本鎖核酸の二次構造は配列によって異なり、結果として生じる電気泳動移動度における変化は、一塩基変化の検出ですら可能にする。 DNA断片は標識プローブで標識または検出することができる。 アッセイの感度は、二次構造が配列における変化に対してより感受性が高いRNA(DNAではない)を用いることで増強することができる。 一実施形態では、主題の方法は、電気泳動移動度における変化に基づいて二本鎖のヘテロ二本鎖分子を分離するために、ヘテロ二本鎖解析を利用する(Keen et al. (1991) Trends Genet 7:5)。

    さらに別の実施形態では、変性剤の濃度勾配を含むポリアクリルアミドゲル中の変異体または野生型の断片の移動が、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法(DGGE)を用いてアッセイされる(Myers et al. (1985) Nature 313:495)。 DGGEが解析法として使用される場合、DNAは、例えば、PCRにより、およそ40bpのGCクランプである高融点GCリッチDNAを付加することによって、完全には変性していないことを保証するために、修飾される。 更なる実施形態では、対照および試料DNAの移動度における差異を同定するために、温度勾配が変性剤濃度勾配の代わりに使用される(Rosenbaum and Reissner (1987) Biophys Chem 265:12753)。

    点変異を検出するための他の技術の例としては、限定はされないが、選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、選択的増幅、または選択的プライマー伸長が挙げられる(Saiki et al. (1986) Nature 324:163); Saiki et al. (1989) Proc. Natl Acad. Sci USA 86:6230)。

    あるいは、選択的PCR増幅に基づく対立遺伝子の特異的増幅技術を、本発明と組み合わせて用いることができる。 特異的増幅のためのプライマーとして使用されるオリゴヌクレオチドは、分子の中心に(増幅をディファレンシャルハイブリダイゼーションに依存させるため)(Gibbs et al. (1989) Nucleic Acids Res. 17:2437−2448)、または適切な条件下で、ミスマッチがポリメラーゼ伸長を防止または低減し得る一方のプライマーの3'最末端に(Prossner (1993) Tibtech 11:238)、目的の変異を有し得る。 さらに、切断に基づく検出を行うために、変異の領域に新規の制限酵素認識部位を導入することが望ましい場合がある(Gasparini et al. (1992) Mol. Cell Probes 6:1)。 ある実施形態において、増幅用のTaqリガーゼを用いても、増幅を行うことができることが予測される(Barany (1991) Proc. Natl. Acad. Sci USA 88:189−93)。 そのような場合では、ライゲーションは、5'配列の3'末端に完全一致が存在し、増幅の有無を探索することによって、特定の部位にある既知の変異の存在を検出することを可能にしている場合にのみ、生じる。

    本明細書に記載の方法は、例えば、本明細書に記載の少なくとも1つのプローブ核酸または抗体試薬を含み、例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の遺伝子が関わる疾患または病気の症状または家族歴を示している患者を診断するための臨床背景において使用ことが好都合であり得る、予めパッケージングされた診断キットを利用することによって、行うことができる。

    本発明のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体分子は、薬力学的マーカーとしても有用である。 本明細書で使用される場合、「薬力学的マーカー」は、薬剤効果と特異的に相関する客観的な生化学マーカーである。 薬力学的マーカーの存在または量は、薬剤の投与対象である病状または障害に関連せず;従って、マーカーの存在または量は、対象における薬剤の存在または活性、例えば、E1酵素阻害剤が阻害効果を生んでいるかどうかを示すものである。 例えば、薬力学的マーカーは生物組織中の薬剤の濃度を示すものであり得、マーカーは、薬剤のレベルと関連して、その組織中で発現もしくは転写されるかまたは発現もしくは転写されない。 このようにして、薬剤の分布または取り込みは、薬力学的マーカーによってモニターすることができる。 同様に、薬力学的マーカーの存在または量は薬剤の代謝産物の存在または量に関連し得るため、マーカーの存在または量はインビボにおける薬剤の相対的な分解速度を示すものである。 薬力学的マーカーは、薬剤効果の検出の感度を増加させる際に、特に薬剤が低用量で投与される際に、特に有用である。 少量の薬剤でさえ何段階にもわたるマーカー(例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のマーカー)の転写または発現を活性化させるのに充分であり得るため、増幅されたマーカーは薬剤それ自体よりもより容易に検出することができる量で存在し得る。 また、マーカーはマーカーそれ自体の性質によってより容易に検出することができ;例えば、本明細書に記載の方法を用いて、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体に対する抗体は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質のマーカーに対する免疫に基づく検出系において使用することができ、あるいは、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体に特異的な放射性標識プローブは、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のmRNAマーカーを検出するのに使用することができる。 さらに、薬力学的マーカーの使用によって、可能な直接観察の範囲を超えて、機序に基づいて、薬剤処置によるリスクを予測することができる。 当該技術分野における薬力学的マーカーの使用の例としては、Matsuda et al. 米国特許第6,033,862号; Hattis et al. (1991) Env. Health Perspect. 90: 229−238; Schentag (1999) Am. J. Health−Syst. Pharm. 56 Suppl. 3: S21−S24;およびNicolau (1999) Am. J. Health−Syst. Pharm. 56 Suppl. 3: S16−S20が挙げられる。

    本発明のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体分子は、薬剤ゲノミクスマーカーとしても有用である。 本明細書で使用される場合、「薬剤ゲノミクスマーカー」は、対象における特定の臨床薬への応答または感受性と相関する、客観的な生化学マーカーである(例えば、McLeod et al. (1999) Eur. J. Cancer 35:1650−1652参照)。 「薬剤ゲノミクス」とは、本明細書で使用される場合、遺伝子配列決定、統計遺伝学、および遺伝子発現解析等のゲノミクス技術の、臨床開発中の薬剤および市販されている薬剤への応用を指す。 より具体的には、前記用語は、患者の遺伝子がどのようにして彼ら個人の薬剤に対する応答(例えば、患者の「薬剤応答表現型」、または「薬剤応答遺伝子型」)を決定しているかに関する研究を指す。 薬剤ゲノミクスマーカーの存在または量は、薬剤投与に先立つ、特定の薬剤または薬剤群に対する対象の予測応答に関連する。 対象中の一つまたは複数の薬剤ゲノミクスマーカーの存在または量を評価することによって、対象に最も適切な、または成功の程度がより高いと予測される薬物療法を選択することができる。 例えば、対象中の特定の腫瘍マーカーに対するRNAまたはタンパク質(例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質またはRNA)の存在または量に基づいて、対象中に存在している可能性がある特定の腫瘍の治療に最適な薬剤または治療コースを選択することができる。 いくつかの実施形態では、対象から得られた試料中の、例えば本明細書に記載の変異(例えば、置換)を含む、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の存在は、対象が、E1阻害剤(例えばMLN4924)による治療に対する耐性を有する、または耐性を発症する危険性があることを示唆するものであろう。 同様に、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素のDNAにおける特定の配列変異の有無は、E1酵素阻害剤への耐性と相関し得る。 従って、薬剤ゲノミクスマーカーの使用は、治療を施す必要なしに、各対象に対して最も適切な治療の適用を可能にする。

    本発明はまた、a)患者から得られた腫瘍試料中のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の耐性配列の発現を測定し(例えば、耐性mRNAにハイブリダイズする核酸分子を用いて);b)ステップa)で測定されたUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の耐性配列の発現を、対照細胞試料中のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の耐性配列の発現と比較し;c)腫瘍試料中のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の耐性配列の発現が、耐性配列が上方制御された配列である対象細胞試料中のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の耐性配列の発現よりも高い場合に、抗腫瘍処置を中止または変更すべきであることを決定すること、を含む、患者に対する抗腫瘍処置の効果をモニタリングするための方法に関する。 別の実施形態では、腫瘍試料中のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の耐性配列の発現が、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の耐性配列が下方制御された配列である対象細胞試料中の耐性配列の発現よりも低い場合に、ステップ(c)のように、抗腫瘍処置は中止または変更されるべきである。

    本発明はまた、a)患者から得られた腫瘍試料中のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の耐性配列の活性を測定し(例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の耐性タンパク質に結合する薬剤を用いて);b)ステップa)で測定されたUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の耐性配列の活性を、対照細胞試料中のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の耐性配列の活性と比較し;c)腫瘍試料中のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の耐性配列の活性が、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の耐性配列が上方制御された配列である対象細胞試料中の耐性配列の活性よりも高い場合に、抗腫瘍処置を中止または変更すべきであることを決定すること、を含む、患者に対する抗腫瘍処置の効果をモニタリングするための方法に関する。 別の実施形態では、腫瘍試料中のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の耐性配列の活性が、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の耐性配列が下方制御された配列である対象細胞試料中のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の耐性配列の活性よりも低い場合に、ステップ(c)のように、抗腫瘍処置は中止または変更されるべきであると決定される。

    薬剤ゲノミクス 本明細書に記載のスクリーニング検査により同定される、本発明のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体分子、およびUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の活性(例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の遺伝子発現)に対し刺激効果または阻害効果を有する薬剤または調節物質は、本明細書に記載されるようなアミノ酸変異(例えば、アミノ酸置換)に関連するE1酵素阻害剤への耐性を(予防的にまたは治療的に)処置するために、個体に投与することができる。 そのような処置と併せて、薬理ゲノミクス(すなわち、個体の遺伝子型および外来の化合物または薬剤に対するその個体の応答の間の相互関係の研究)は考慮され得る。 従って、本発明の別の態様は、本発明のUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体分子またはその個体の薬剤応答遺伝子型に応じたUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体の調節物質による、個体の予防的または治療的な処置を調整するための方法を提供する。 例えば、治療薬の代謝における差異は、薬理学的に活性な薬剤の用量および血中濃度の間の関係を変化させることによって、重度の毒性または治療の失敗をもたらし得る。 従って、医師または臨床医は、E1阻害剤、例えば耐性を克服する阻害剤を投与するかどうかを決定する際に、並びにE1阻害剤を用いた処置の投与量および/または治療的投与計画を調整する際に、関連する薬理ゲノミクス研究で得られた知識を適用することを考慮することができる。

    UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の核酸またはタンパク質の発現または活性(例えば、細胞の薬剤耐性表現型を調節する能力)に対する作用物質(例えば、薬剤、化合物)の影響のモニタリングは、基礎的な薬物スクリーニングにだけでなく、臨床試験にも応用することができる。 例えば、スクリーニング検査によって決定される、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体の遺伝子発現、タンパク質レベルを低減することに対する、またはUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体の活性を下方制御することに対する、作用物質の有効性は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体の遺伝子発現、タンパク質レベルの増加、またはUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の活性の上方制御を示している対象の臨床試験において、モニターすることができる。 そのようなアッセイまたは臨床試験において、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の遺伝子、および場合によっては、例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体に関連する障害と関連付けられている他の遺伝子のの発現または活性を、特定の細胞の表現型の「読み出し」またはマーカーとして使用することができる。

    例えであって限定する目的はないが、(例えば、スクリーニング検査において同定される、または本明細書に記載される)耐性配列の活性を調節する、すなわち、耐性を克服するE1酵素阻害剤(例えば、化合物、薬剤または小分子)での処理によって細胞において調節される遺伝子(例えば、耐性遺伝子)を、同定することができる。 従って、細胞増殖性障害に対する作用物質の効果を研究するために、例えば、臨床試験において、細胞が単離され、RNAが調製され、耐性配列および障害と関連付けられる他の配列(核酸またはポリペプチド)の発現レベルについて解析され得る。 発現レベル(すなわち、遺伝子 発現パターン)は、本明細書に記載のノーザンブロット解析またはRT−PCRによって、あるいは、産生されたタンパク質の量を測定することによって、本明細書に記載の方法のうちの1つによって、または耐性配列もしくはそのような配列をコードする遺伝子を含む他の配列の活性レベルを測定することによって、定量化することができる。 このようにして、遺伝子発現パターンは、作用物質に対する細胞の生理応答を示すマーカーとして役立ち得る。 従って、この応答状態は、作用物質を用いた個体の処置の前、およびその期間の様々な時点において、決定されてもよい。

    一実施形態では、本発明は、作用物質(例えば、本明細書に記載のスクリーニング検査により同定された、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプチド模倣薬、タンパク質、ペプチド、核酸、小分子、または他の薬剤候補、例えば、E1酵素阻害剤、例えば、NAE阻害剤)による対象の処置の有効性をモニタリングするための方法を提供し、該方法は、(i)作用物質の投与前に対象から投与前試料を得るステップ;(ii)投与前試料中の耐性配列(例えば、タンパク質、mRNA、またはゲノムDNA)の発現レベルを検出するステップ;(iii)対象から一つまたは複数の投与後試料を得るステップ;(iv)投与後試料中の耐性配列の発現または活性のレベルを検出するステップ;(v)投与前試料中の耐性配列と1つまたは複数の投与後試料中の耐性配列の発現または活性のレベルを比較するステップ;並びに(vi)それに応じて、対象に対する作用物質の投与を変更するステップを含む。 例えば、作用物質の投与の増加は、投与後試料で検出された耐性配列の発現または活性を超えて、上方制御された耐性配列の発現または活性を減少させるために、すなわち、作用物質の有効性を増加させるために、望ましい場合がある。

    いくつかの実施形態では、がん細胞として、急性骨髄性白血病細胞またはメラノーマ細胞が含まれる。 がん細胞としては、限定はされないが、扁平上皮癌、基底細胞癌、汗腺癌、脂腺癌、腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、未分化癌、気管支原性癌、メラノーマ、腎細胞癌、肝細胞腫−肝細胞癌、胆管癌(bile duct carcinoma)、胆管癌(cholangiocarcinoma)、乳頭状癌、移行上皮癌、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、乳癌、消化器癌、結腸癌、膀胱癌、前立腺癌、および頭頸部領域の扁平上皮癌等の癌;線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、軟骨肉腫(chordosarcoma)、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、滑膜肉腫および中皮肉腫(mesotheliosarcoma)等の肉腫;白血病およびリンパ腫(例えば、顆粒球性白血病、単球性白血病、リンパ球性白血病、悪性リンパ腫、形質細胞腫、細網肉腫、またはホジキン病);並びに神経系腫瘍(例えば、神経膠腫、髄膜腫、髄芽腫、シュワン細胞腫または上衣腫(epidymoma))が挙げられる。

    本発明の方法で使用されるがん細胞の供給源は、本発明の方法がどのように使用されているかに基づく。 例えば、本方法が患者のがんが作用物質、または作用物質の組み合わせにより治療できるかどうかを決定するために使用されている場合、がん細胞の供給源は、患者からのがん生検から得られたがん細胞であり得る。 あるいは、治療されているがん細胞株と類似型のがん細胞株がアッセイされ得る。 例えば乳がんが治療されている場合、乳がん細胞株が使用され得る。 本方法が治療プロトコルの有効性をモニタリングするために使用されている場合、組織試料(例えば、腫瘍細胞、リンパ球、神経組織または病原体感染細胞もしくは寄生虫感染細胞を含む試料)は、治療されている患者から得るれ得る。 本方法が新規治療薬または組み合わせを同定するために使用されている場合、いかなるがん細胞(例えば、がん細胞株の細胞)も使用され得る。

    当業者は、本発明の方法で使用される適切ながん細胞を、容易に選択し入手することができる。 例えば、実施例で使用される、HCT−116、Calu−6およびNCI−H460がん細胞株を使用することができる。 患者から得られたがん細胞のために、標準的な生検法(例えば、針生検)を使用することができる。

    本発明の方法において、耐性配列の発現のレベルまたは量は決定される。 本明細書で使用される場合、発現のレベルまたは量とは、耐性mRNAの発現の絶対レベルまたは耐性タンパク質の発現の絶対レベル(すなわち、発現ががん細胞内で生じているいないにかかわらない)を指す。

    選択された遺伝子の絶対発現レベルに基づいて決定を為す替わりとして、決定は正規化された発現レベルに基づいていてもよい。 発現レベルは、感受性または耐性の配列の絶対発現レベルを、その発現を感受性または耐性の配列ではない配列(例えば、恒常的に発現されるハウスキーピング遺伝子にコードされる配列)の発現に対して比較することにより、補正することによって、正規化される。 正規化に適した遺伝子としては、アクチン遺伝子等のハウスキーピング遺伝子が挙げられる。 この正規化により、ある試料(例えば、患者試料)中の発現レベルを別の試料(例えば、非がん試料)と比較すること、または異なる供給源から得られた試料間で比較することを可能にする。 あるいは、発現レベルは相対発現レベルとして得ることができる。 遺伝子の相対発現レベルを決定するために、試験対象の試料における発現レベルの決定に先立ち、その遺伝子の発現のレベルを、10以上の試料、または50以上の試料において決定する。 多くの試料においてアッセイされた遺伝子の平均発現レベルを決定し、これを、試験対象の遺伝子におけるベースライン発現レベルとして使用する。 試験試料において決定された遺伝子の発現レベル(発現の絶対レベル)を次に、その遺伝子において得られた平均発現値で除算する。 これは、相対発現レベルを与えるものであり、さらに、感受性または耐性の極端な例を特定する際に役立つ。 腫瘍細胞内の発現を測定する実施形態において、使用される正規化された試料は、類似の腫瘍から、または試験対象の腫瘍と類似した組織起源の非がん性細胞から得られる。 細胞供給源の選択は、相対発現レベルデータの用途に依存する。 例えば、平均発現スコアを得るために類似型の腫瘍を使用することは、感受性または耐性の極端な例の特定を可能にする。 正常組織で見られる発現を平均発現スコアとして使用することは、アッセイされた遺伝子が(正常細胞と比較して)腫瘍特異的であるかどうかを確認する際に役立つ。

    耐性配列の発現を変化させる化合物を投与することにより耐性配列の発現のレベルを変化させることによって、細胞の薬剤耐性を増加させるための方法も、本発明の範囲内である。 例えば、細胞における上方制御された配列の発現を増加させることによって、薬剤耐性を増加させてもよい。 下方制御された配列の発現の減少は、薬剤耐性を増加させ得る。 そのような方法は、化学療法の間の、非腫瘍性細胞の保護に有用である。

    本発明に有用な化合物は、E1酵素活性の阻害剤である。 具体的には、前記化合物はNAE、UAE、および/またはSAEの阻害剤であるよう意図されている。 阻害剤には、標的タンパク質へのubl結合におけるE1酵素の促進効果を低減させる(例えば、ユビキチン化、NEDD化、SUMO化の低減)、ubl結合を介した細胞内シグナル伝達を低減する、および/またはubl結合を介したタンパク質分解を低減させる(例えば、カリン依存性ユビキチン化およびタンパク質分解(例えば、ユビキチン−プロテアソーム経路)の阻害)、化合物が含まれることが意図される。 従って、本発明の化合物は、インビトロもしくはインビボで、または細胞もしくは動物モデルで、本明細書でさらに詳細に提供される方法または当該技術分野において公知の方法に従って、E1酵素を阻害するその能力についてアッセイされてもよい。 本化合物は、その結合能、または直接的にE1酵素活性を媒介する能力について、例えば、ピロリン酸交換アッセイにおいて、アッセイされてもよい。 あるいは、化合物の活性を、間接的な細胞アッセイを通じて、またはE1活性化の下流効果のアッセイを通じてアッセイすることで、E1阻害の下流効果の阻害(例えば、カリン依存性のユビキチン化およびタンパク質分解の阻害)を評価してもよい。 例えば、活性は、ubl結合型基質(例えば、ubl結合型E2、NEDD化カリン、ユビキチン化基質、SUMO化基質)の検出;下流のタンパク性基質の安定化(例えば、p27の安定化、IκBの安定化)の検出;UPP活性の阻害の検出;タンパク質E1阻害および基質安定化の下流効果の検出(例えば、レポーターアッセイ、例えば、NFκBレポーターアッセイ、p27レポーターアッセイ)によって、アッセイされてもよい。 活性を評価するためのアッセイは、下記の実施例において記載されている、および/または当該技術分野において公知である。

    医薬組成物 本発明の核酸およびポリペプチド、その断片、並びにUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体に対する抗体(「活性化合物」とも呼ばれる)は、医薬組成物中に組み入れることができる。 そのような組成物は典型的に、核酸分子、タンパク質、または抗体、および薬剤的に許容できる担体を含む。 本明細書で使用される場合、「薬剤的に許容できる担体」という用語には、薬剤の投与に適合する、溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤等が含まれる。 補充的な活性化合物も組成物に組み入れることができる。

    「薬剤的に許容できる担体」という用語は、レシピエントとなる対象(例えば、哺乳動物、例えば、ヒト)に適合し、作用物質の活性を停止させることなく標的部位に活性薬剤を送達するのに適した物質を指すように、本明細書では使用される。

    医薬組成物はその意図される投与経路と適合するように製剤化される。 投与経路の例としては、非経口経路(例えば、静脈内、皮内、皮下)、経口経路、経皮経路(例えば局所的)、経粘膜的経路(例えば、エアロゾルの吸入または点眼剤の吸収)、直腸内投与または移植されたリザーバーを介した投与が挙げられる。 非経口適用、皮内適用、または皮下適用に使用される液剤または懸濁剤には、以下の成分が含まれ得る:無菌希釈剤(例えば、注射用蒸留水、食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒);抗菌剤(例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン);抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム);キレート化剤(例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸);緩衝液(例えば、酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩)並びに張度調整剤(例えば、塩化ナトリウム、デキストロースまたは多価アルコール(例えば、マンニトール(manitol)、ソルビトール))。 pHは酸または塩基(例えば、塩酸または水酸化ナトリウム)で調整することができる。 非経口用調製物は、ガラスまたはプラスチック製の、アンプル、使い捨て注射器または複数回投与用バイアル中に容れることができる。

    本発明の医薬組成物は、特に従来的な造粒、混合、溶解、カプセル封入、凍結乾燥、または乳化工程等の当該技術分野において周知の方法によって、製造することができる。 組成物は、種々の形態、例えば、粒剤、沈降物、または微粒子物、散剤(例えば、凍結乾燥した、回転乾燥した、またはスプレー乾燥した散剤)、無定形散剤、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、坐剤、注射剤、乳剤、エリキシル剤、懸濁剤または液剤で、生産されてもよい。 製剤は、安定剤、pH調整剤、界面活性剤、リオプロテクタント、可溶化剤、生物学的利用能調整剤およびこれらの組み合わせを所望により含有していてもよい。

    一実施形態に従うと、本発明の組成物は、哺乳動物(例えば、ヒトまたは家畜)への医薬品投与用に製剤化される。 「非経口」という用語には、本明細書で使用される場合、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内、関節内、滑液包内、胸骨内、くも膜下腔内、肝内、病巣内および頭蓋内の、注射または点滴法が含まれる。 本発明の製剤は、短時間作用性、早期放出性(fast−releasing)、または長時間作用性となるように設計されていてもよい。 またさらに、化合物は、全身的な方法よりも局所的に(例えば、腫瘍部位への投与(例えば、注射による))投与することができる。

    医薬製剤は、液体、例えば、限定はされないが、油、水、アルコール、およびこれらの組み合わせを用いて、液体懸濁剤または液剤として調製してもよい。 シクロデキストリン等の可溶化剤が含まれていてもよい。 経口投与または非経口投与用に、薬剤的に適切な界面活性剤、懸濁化剤、または乳化剤を添加してもよい。 懸濁剤としては、油剤、例えば、限定はされないが、落花生油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油およびオリーブ油またはそれらのポリオキシエチル化型が含まれ得る。 懸濁剤調製物は、長鎖アルコール希釈剤または分散剤、例えばカルボキシメチルセルロースもしくは同様の分散剤、または脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、脂肪酸グリセリドおよびアセチル化脂肪酸グリセリドを含有していてもよい。 懸濁剤製剤物は、アルコール、例えば、限定はされないが、エタノール、イソプロピルアルコール、ヘキサデシルアルコール、およびポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、およびプロピレングリコール)およびそれに適した混合物を含んでいてもよい。 エーテル、例えば、限定はされないが、ポリ(エチレングリコール)、石油炭化水素、例えば、ミネラルオイルおよびワセリン;並びに水を、懸濁剤製剤で使用してもよい。 他の一般的に使用される界面活性剤、例えば、薬剤的に許容できる固体、液体、または他の剤形の製造に一般的に使用される、Tween、Span、および他の乳化剤または生物学的利用能賦活剤を、製剤のために使用してもよい。 化合物は、注射(例えば、ボーラス投与または持続点滴)による非経口投与用に製剤化されてもよい。 注射用の単位剤形はアンプル中または複数回投与用容器中に存在してもよい。

    注射可能な用途に適した医薬組成物には、無菌の注射剤または分散剤を即時調製するための、無菌水溶液(水溶性の場合)または分散剤および無菌散剤が含まれる。 静脈内投与用に、適切な担体としては、生理食塩水、静菌水、CREMOPHOR EL(商標)(BASF社、ニュージャージー州パーシッパニー)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)が挙げられる。 注射可能な形態では、組成物は無菌でなければならず、容易に注入できる程度に流動性であるべきである。 組成物は、製造および貯蔵の条件下で安定であるべきであり、細菌および真菌等の微生物の混入活動から保護されなければならない。 適切な流動性は、例えば、レシチン等のコーティングの使用により、分散液の場合に必要な粒径の維持により、界面活性剤の使用により、維持することができる。 微生物の活動の防止は、種々の抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等によって達成することができる。 注射可能組成物の持続的吸収は、組成物中に、吸収を遅延させる作用物質、例えば、ステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含ませることにより、もたらされ得る。

    無菌注射剤は、上記成分の1つまたはその組み合わせを含む適切な溶媒中に必要な量の活性化合物を混和し、必要ならば、その後フィルター滅菌することによって、調製することができる。 一般的に、分散液は、基礎(basic)分散媒および上記成分からの必要な他の成分を含有する無菌ビヒクル中に活性化合物を混合することによって、調製される。 無菌注射剤調製用の無菌散剤の場合、その予めフィルター無菌された溶液から、活性成分およびあらゆる所望の追加成分の粉末を生ずる調製法は、真空乾燥および凍結乾燥であり得る。

    本発明の医薬組成物は、あらゆる経口的に許容できる剤形、例えば、限定はされないが、カプセル剤、例えば、ゼラチンカプセル、錠剤、トローチ、水性懸濁剤または液剤の形態で、経口投与されてもよい。 水性懸濁剤が経口用途に必要な場合、活性成分は乳化剤および懸濁化剤と混合される。 所望であれば、ある特定の甘味剤、香味剤または着色料が添加されてもよい。 錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ等は、以下の成分、または類似する性質の化合物のいずれをも含有することができる:微結晶性セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチン等の結合剤;デンプンもしくはラクトース等の賦形剤、アルギン酸、Primogel、もしくはコーンスターチ等の崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムもしくはSterote等の滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素等の流動促進剤;スクロースもしくはサッカリン等の甘味剤;またはペパーミント、サリチル酸メチル、もしくはオレンジ香味剤等の香味剤。 ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤も典型的に添加される。 コーティングは、様々な目的に、例えば、味を付けるため、溶解もしくは吸収の場所に影響を与えるため、または薬効を延長させるために、用いられる場合がある。 コーティングをカプセル用の錠剤または顆粒状粒剤に塗布してもよい。

    吸入による投与のために、本化合物は、適切な噴霧剤(例えば、二酸化炭素等のガス)を含む圧縮容器もしくは分注器(dispenser)、または噴霧器から、エアロゾルスプレーの形態で送達される。

    全身投与は経粘膜的または経皮的手段によるものであってもよい。 経粘膜投与または経皮投与において、透過すべき障壁に適した浸透剤が、製剤中に使用される。 そのような浸透剤は当該技術分野において周知であり、例えば、経粘膜的投与のためには、界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体が挙げられる。 経粘膜的投与は経鼻噴霧剤または坐剤の使用により達成することができる。 経皮投与において、活性化合物は、当該技術分野において周知の、軟膏剤、軟膏剤、ゲル剤、またはクリーム剤に製剤化される。

    あるいは、本発明の医薬組成物は、直腸内投与用の坐剤の形態で投与されてもよい。 作用物質を、室温で固体であるが直腸の温度では液体であるために直腸内で溶けて薬剤を放出する適切な非刺激性賦形剤と混合することによって、これらを調製してもよい。 そのような物質としては、カカオ脂、蜜蝋およびポリエチレングリコールが挙げられる。

    本発明の医薬組成物は、特に、処置の標的が局所投与で容易に到達可能な領域または器官を含む場合(例えば、眼、皮膚、または下部腸管の疾患)、局所的に投与されてもよい。 適切な局所的製剤は、これらの各領域または各器官用に容易に調製される。

    一実施形態では、活性化合物は、徐放性製剤(例えば植込錠およびマイクロカプセル化送達系)等、身体からの急速な排出から本化合物を保護する担体と共に調製される。 エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸等の、生分解性生体適合性のポリマーを使用することができる。 そのような製剤の調製法は当業者には明白である。 これらの物質は、アルザ・コーポレーション(Alza Corporation)およびノバ・ファーマスーティカルズ社(Nova Pharmaceuticals, Inc)から購入することもできる。 リポソーム懸濁剤(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を用いて感染細胞に標的化されたリポソームを含む)も、薬剤的に許容できる担体として使用することができる。 これらは、当業者に既知の方法に従って、例えば、米国特許第4,522,811号に記載の通りに、調製することができる。

    本発明の医薬組成物は、本明細書に記載の障害(例えば、増殖性障害、例えば、がん、炎症性、神経変性障害または寄生虫感染)に関連する治療適用において、特に有用である。 本組成物は、E1酵素阻害剤への耐性を通じて治療されている関連障害を有する、またはそれを発症する危険性がある、またはそれの再発を経験している患者への投与用に、製剤化することができる。 「患者」という用語とは、本明細書で使用される場合、動物、哺乳動物、またはヒトを意味する。 いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、経口投与用、静脈内投与用、または皮下投与用に製剤化された医薬組成物である。 しかし、治療有効量の本発明の化合物を含有する上記剤形のいずれも、通例の実験法の十分に範囲内であり、したがって、本発明の十分に範囲内である。 ある特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、別の治療薬をさらに含んでいてもよい。 そのような他の治療薬は、通常、治療中の障害、疾患または状態を有する患者に投与される治療薬であり得る。

    経口用組成物または非経口用組成物を、投与を容易にするため、および投与量を均一にするための投薬単位形態に製剤化することが有利である。 投薬単位形態とは、本明細書で使用される場合、治療される対象に対する単位投与量として適している物理的に分離された単位を指し;各単位は、所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性化合物を、所望の医薬担体と共に含有している。

    「治療有効量」とは、単回投与または複数回投与時に、E1酵素変異体の活性および/または治療中の障害または病状の重症度において検出可能な減少を引き起こすのに充分な、化合物または組成物の量を意味する。 「治療有効量」はまた、そのような処置をしなかった場合に予測されるものよりも優って、細胞を処置する、治療中の障害または病状の進展を遅延または防止する(例えば、がんのさらなる耐性腫瘍の成長を防止し、炎症または寄生虫の耐性を防止し)、対象の障害の症状を改善する、軽減する、緩和する、または改善するのに十分な量を含むことも意図される。 必要とされるE1酵素阻害剤の量は、所与の組成物の特定の化合物、治療中の障害のタイプ、投与経路、および障害を治療するのに必要な期間に依存する。 いかなる特定の患者への具体的な投与量および治療計画も、種々の要因、例えば、使用される特定の化合物の活性、患者の年齢、体重、全体的な健康、性別、および食事、投与時期、排泄速度、薬剤の組み合わせ、治療医の判断、並びに治療中の特定の疾患の重症度に依存することも、理解すべきことである。 本阻害剤が別の作用物質と共に投与されるある特定の態様では、本発明の組成物中に存在するさらなる治療薬の量は、典型的に、唯一の活性薬剤としてその治療薬を含む組成物の中で通常投与されるであろう量を超えない。 いくつかの実施形態では、さらなる治療薬の量は、その作用物質を唯一の治療的活性薬剤として含む組成物中に通常存在する量の、約50%〜約100%の範囲である。

    そのような化合物の毒性および治療効果は、例えば、LD 50 (集団の50%に対して致死の用量)およびED 50 (集団の50%において治療効果のある用量)を決定するための、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手法によって決定することができる。 毒性効果および治療効果の間の用量比が治療指数であり、治療指数はLD 50 /ED 50の比として表すことができる。 いくつかの実施形態では、化合物は高い治療指数を示す。 毒性副作用を示す化合物が使用され得る場合、非感染細胞への潜在的損傷を最小化して、それによって副作用を低減するために、そのような化合物を患部組織の部位に標的化する送達系を設計するように注意がなされるべきである。

    細胞培養アッセイおよび動物試験から得られるデータを、ヒトで使用するためのある範囲の投与量を考案する際に使用することができる。 そのような化合物の投与量は、ED 50を含み毒性がほとんどない血中濃度の範囲内であり得る。 投与量は、使用される剤形および利用される投与経路に応じて、この範囲内で変動させることができる。 本発明の方法で使用されるいかなる化合物においても、治療効果のある用量は、細胞培養アッセイから最初に推定することができる。 細胞培養において決定されたIC 50 (すなわち、症状の最大半量阻害を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿中濃度範囲を達成するように、用量を動物モデルにおいて考案することができる。 そのような情報を用いることで、より正確にヒトにおいて有用な用量を決定することができる。 血漿中レベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定することができる。

    本明細書で定義されるように、タンパク質またはポリペプチドの治療有効量(すなわち、有効投与量)は、約0.001〜30mg/kg体重、約0.01〜25mg/kg体重、約0.1〜20mg/kg体重、または約1〜10mg/kg、2〜9mg/kg、3〜8mg/kg、4〜7mg/kg、または5〜6mg/kg体重の範囲である。 タンパク質またはポリペプチドは、約1〜10週間、2〜8週間、約3〜7週間、または約4、5、もしくは6週間、週1回投与することができる。 ある特定の要因、例えば、限定はされないが、疾患または障害の重症度、種々の処置、対象の全体的な健康および/または年齢、並びに他の疾患の存在が、対象を有効に治療するために要求される投与量およびタイミングに影響を与え得ることは、当業者に理解される。 さらに、本明細書に記載の非結合型または結合型の、治療有効量のタンパク質、ポリペプチド、または抗体での対象の処置は、単回処置を含むこともあれば、一連の処置を含むこともある。

    抗体について、投与量は0.1〜20mg/kg体重(一般的には、3mg/kg〜10mg/kg)であり得る。 抗体が脳で作用することとなっている場合、50mg/kg〜100mg/kgの投与量が適切であり得る。 一般的に、部分ヒト抗体および完全ヒト抗体は、他の抗体よりも長い、ヒトの体内での半減期を有する。 従って、より低い投与量およびより低頻度の投与が可能であり得る。 脂質化等の修飾を用いることで、抗体を安定化させ、取り込みおよび組織透過性(例えば、脳への)を増強することができる。 抗体を脂質化するための方法は、Cruikshank et al. ((1997) J. Acquired Immune Deficiency Syndromes and Human Retrovirology 14:193)に記載されている。

    本発明は、発現を調節する作用物質も包含する。 作用薬剤は、例えば、小分子であり得る。 例えば、そのような小分子としては、限定はされないが、約10,000グラム/モル未満(例えば、5,000、1,000または500グラム/モル)の分子量を有する、アミノ酸、アミノ酸類似体、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド類似体、dsRNA分子、ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、有機化合物または無機化合物(すなわち、ヘテロ有機(heteroorganic)化合物および有機金属化合物を含む)、並びにそのような化合物の塩、エステル、および他の薬剤的に許容できる形態が挙げられる。

    用量の例としては、対象または試料重量の1キログラムあたりミリグラム量またはマイクログラム量の小分子(例えば、約1マイクログラム/キログラム〜約500ミリグラム/キログラム、約100マイクログラム/キログラム〜約5ミリグラム/キログラム、または約1マイクログラム/キログラム〜約50マイクログラム/キログラムが挙げられる)。 さらに、小分子の適切な用量が、調節されるべき発現または活性ごとに、その小分子の作用強度に依存することも、理解される。 本発明のポリペプチドまたは核酸の発現または活性を調節するために、これらの小分子のうちの一つまたは複数が動物(例えば、ヒト)に投与されることとなる場合、医師、獣医師、または研究者は、例えば、比較的低い用量を最初に処方し、その後、適切な応答が得られるまでその用量を増加させていくことができる。 さらに、いかなる特定の動物対象への具体的な服用レベルも、種々の要因、例えば、使用される特定の化合物の活性、対象の年齢、体重、全体的な健康、性別、および食事、投与時期、投与経路、排泄速度、任意の薬剤の組み合わせ、並びに調節すべき発現または活性の程度に依存することが、理解される。

    本発明の核酸分子は、ベクター中に挿入して遺伝子治療ベクターとして使用することができる。 遺伝子治療 ベクターは、例えば、静脈内注射、局所投与によって(米国特許第5,328,470号参照)、または定位的注射(例えば、Chen et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:3054−3057参照)によって、対象に送達することができる。 遺伝子治療ベクターの医薬製剤は、許容できる希釈剤中に遺伝子治療ベクターを含むことができ、あるいは、遺伝子送達ビヒクルが埋め込まれた徐放性マトリックスを含み得る。 あるいは、完全な遺伝子送達ベクターを組換え細胞からインタクトに産生できる場合(例えば、レトロウイルスベクター)、医薬製剤は遺伝子送達系を産生する一つまたは複数の細胞を含み得る。

    医薬組成物は、容器、パック、または分注器中で、投与のための説明書と共に、含まれ得る。

    処置方法 本発明は、障害のリスクを有する(またはそれに罹患し易い)、または異常なまたは望まれないUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体の発現若しくは活性に関連した障害(例えば、E1酵素阻害剤への耐性または感受性低下)を有する対象の、予防的および治療的な処置方法の両方を提供する。 本明細書で使用される場合、「処置」という用語は、疾患、病徴もしくは疾患への素因を治療、治癒、軽減、緩和、変化、修復、寛解、改善するまたはそれに影響を与えることを目的として、疾患、病徴もしくは疾患への素因を有する患者への治療薬の適用もしくは投与、またはそのような患者から単離した組織もしくは細胞株への治療薬の適用もしくは投与と定義される。 治療薬としては、限定はされないが、小分子、ペプチド、抗体、リボザイム、dsRNA分子およびアンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば、E1酵素阻害に対する耐性を克服できる作用物質が挙げられる。 いくつかの実施形態では、耐性を克服できる作用物質の例には、本明細書に記載のスクリーニング検査で同定された作用物質、A271T/WTのIC50比が約4倍以下であるとして表13に列挙される作用物質、UBLとの付加体形態(例えば、NEDD8−MLN4924付加体)である場合に変異型E1酵素に堅固に結合し得るE1酵素阻害剤、または巨大なN6置換(すなわち、嵩のある基、例えば、ヘテロアリールのアミノ置換基から遊離したインダン(例えば、プリン)))を持たないアデノシンスルファメート様阻害剤が含まれ得る。

    予防的および治療的な処置方法の両方に関して、そのような処置は、薬理ゲノミクス分野から得られた知見に基づいて、具体的に調整または調節することができる。 薬剤ゲノミクスにより、臨床医または医師は、予防的または治療的な処置を、その処置から最も恩恵を受ける患者に標的化することが可能となり、毒性薬剤に関連する副作用に陥る、または処置に応答しないもしくはそれに耐性である患者にはこの処置を提供しないことが可能となる。

    一つの態様では、本発明は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体、またはUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体の発現、もしくは少なくとも1つのUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体の活性を調節する作用物質を対象に投与することによって、対象において、異常なまたは望まれないUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の発現または活性に関連する疾患または状態を予防するための方法を提供する。 異常なまたは望まれないUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の発現または活性によって引き起こされる、またはそれが寄与する疾患のリスクを有する対象は、例えば、本明細書に記載のあらゆる、または組み合わせた診断検査または予後検査によって、特定することができる。 予防薬の投与は、疾患または障害が予防、または、その進行が遅延されるように、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の異常を特徴とする症状が発現する前に、行うことができる。 例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の異常のタイプに応じて、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のアゴニスト、またはUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のアンタゴニスト作用物質が対象を処置するために使用され得る。 適切な作用物質は、本明細書に記載のスクリーニング検査に基づいて決定することができる。

    本発明の別の態様は、治療を目的として、耐性核酸またはタンパク質の発現または活性を調節する方法に関する。 例えば、化学療法の有効性は、細胞内の耐性配列の発現を減少させることによって効果がより弱くなるであろう化学療法剤の細胞毒性効果に対する、形質転換細胞の脆弱性を修復または改善することによって、「増強」(強化)される。 本発明の調節法は、細胞を、細胞に関連する耐性タンパク質活性のうちの一つまたは複数の活性を調節する作用物質と接触させることを含む。 耐性タンパク質の活性を調節する作用物質は、本明細書に記載の作用物質、例えば、核酸またはタンパク質、耐性タンパク質の自然発生的な同起源リガンド、ペプチド、耐性ペプチド模倣薬、または他の小分子であり得る。 一実施形態では、作用物質は、耐性タンパク質の生物活性のうちの一つまたは複数を刺激する。 そのような刺激性作用物質の例には、活性耐性タンパク質および細胞に導入されている耐性タンパク質をコードする核酸分子が含まれる。 そのような作用物質は、薬剤耐性細胞において下方制御された耐性核酸またはタンパク質の発現または活性を増加させるのに特に有用である。 別の実施形態では、作用物質は、耐性タンパク質の生物活性のうちの一つまたは複数を阻害する。 そのような阻害剤の例としては、アンチセンス耐性核酸分子、dsRNA分子および抗耐性タンパク質抗体が挙げられる。 これらの調節法は、インビトロ(例えば、細胞を作用物質と一緒に培養することによって)、または、インビボ(例えば、作用物質を対象に投与することによって)、実施することができる。 そのような作用物質は、薬剤耐性細胞において上方制御された耐性核酸またはタンパク質の発現または活性を低減させるのに特に有用である。 従って、本発明は、耐性配列分子の異常な発現または活性を特徴とする疾患または障害に罹患した個体を処置する方法を提供する。 一実施形態では、本方法は、耐性の発現もしくは活性を調節(例えば、上方制御または下方制御)する、作用物質(例えば、スクリーニング検査により同定された、または本明細書に記載の作用物質)、または作用物質の組み合わせを投与することを含む。 別の実施形態では、本方法は、低減されたまたは異常な耐性の発現または活性を補う治療として、耐性配列分子(例えば、核酸またはタンパク質)を投与することを含む。

    本発明の一実施形態は、試料を、本発明の化合物、または本発明の化合物を含む組成物と接触させることを含む、試料中のE1酵素活性を阻害または低減する方法に関する。 試料としては、本明細書で使用される場合、限定はされないが、精製されたまたは部分的に精製されたE1酵素、培養細胞または細胞培養物の抽出物;哺乳動物から生検した細胞もしくは体液、またはその抽出物;および体液(例えば、血液、血清、唾液、尿、糞便、精液、涙)またはその抽出物、を含む試料が挙げられる。 試料中のE1酵素活性の阻害は、インビトロまたはインビボ、インセルロ(in cellulo)、またはインサイツで行ってもよい。

    別の実施形態では、本発明は、患者に本発明の化合物または医薬組成物を投与することを含む、障害、障害の症状を有する、障害の再発を発症する危険性があるまたはそれを経験している患者を処置するための方法を提供する。 処置は、障害、障害の症状または障害への素因を治療、治癒、軽減、解放、変化、修復、寛解、緩和、改善するまたはそれに影響を与えるものであり得る。 理論に束縛されることを望むものではないが、処置は、インビトロまたはインビボにおいて細胞もしくは組織の成長の阻害、切除、もしくは殺傷を引き起こすこと、または障害(例えば、本明細書に記載の障害(例えば、増殖性疾患、例えば、がん、炎症性疾患または寄生虫感染))を媒介する細胞もしくは組織(例えば、異常細胞、患部組織)の能力を低減することと考えられる。 本明細書で使用される場合、細胞または組織(例えば、増殖性細胞、腫瘍組織)の「成長を阻害する」または「成長の阻害」とは、その成長および転移を遅延、中断、抑止または停止させることを指し、必ずしも成長の完全な排除を表すものではない。

    本発明は、薬剤耐性細胞の存在に関連する障害を有するされる哺乳動物を処置する方法にも関する。 本方法は、哺乳動物が薬剤耐性細胞の存在に関連する障害(例えば、薬剤耐性がんまたは寄生虫感染)を有するかどうかを決定するステップ、および例えば、上方制御された耐性配列の活性または発現を十分に変化させる化合物をその哺乳動物に投与して、障害に関連する細胞の薬剤耐性を調節する(すなわち、低減させる)ステップを含む。 下方制御された耐性配列の場合、哺乳動物に投与される化合物は、配列の活性または発現を増加させることで、薬剤耐性を調節(すなわち、低減(reducing))させる。

    本発明はまた、a)化学療法化合物を患者に投与し;b)患者において上方制御された耐性配列の発現を低減させる化合物を投与することを含む、薬剤耐性の新生細胞、病原性細胞または寄生中細胞の存在に関連する障害に罹患している患者における、化学療法化合物の有効性を増加させる方法に関する。 本発明はさらに、a)化学療法化合物を患者に投与し;b)患者において下方制御された耐性配列の発現を低減(reduce)させる化合物を投与することを含む、薬剤耐性の新生細胞の存在に関連する障害に罹患している患者における、化学療法化合物の有効性を増加させる方法に関する。

    本発明は、耐性配列が上方制御された耐性配列である場合に、薬剤耐性細胞内の耐性配列の活性または発現を低減させる化合物を哺乳動物に投与することを含み、その低減が薬剤耐性細胞の薬剤耐性を低減させるのに充分である、薬剤耐性細胞の存在に関連する障害を有するとされる哺乳動物を治療する方法に関する。 別の実施形態では、本発明は、耐性配列が下方制御された耐性配列である場合に、薬剤耐性細胞内の耐性配列の活性または発現を増加させる化合物を哺乳動物に投与することを含み、その低減が薬剤耐性細胞の薬剤耐性を低減させるのに充分である、薬剤耐性細胞の存在に関連する障害を有するとされる哺乳動物を治療する方法に関する。

    適用される疾患(disease application)には、E1酵素活性の阻害が異常細胞または組織の生存および/または増殖に有害であるような障害が含まれる(例えば、細胞はE1阻害に感受性が高く;E1活性の阻害は疾患機序を撹乱し;E1活性の低減は疾患機序の阻害剤であるタンパク質を安定化させ;E1活性の低減は疾患機序の活性化因子であるタンパク質の阻害をもたらす)。 適用される疾患には、E1酵素活性(例えば、NAE、UAE、UBA6の活性)を低減させることにより制御することができる、効果的なカリンおよび/またはユビキチン化活性を必要とする、いかなる障害、疾患または状態も含まれることが意図される。

    例えば、本発明の方法は、細胞増殖が関わる障害、例えば、限定はされないが、病状の維持および/または進行のために、効率的なカリン依存性ユビキチン化およびタンパク質分解経路(例えば、ユビキチンプロテアソーム経路)を必要とする障害の治療に有用である。 本発明の方法は、E1活性(例えば、NAE活性、UAE活性、SAE活性)によって調節されるタンパク質(例えば、NFκB活性化、p27 Kip活性化、p21 WAF/CIP1活性化、p53活性化)により媒介される障害の治療に有用である。 関連疾患としては、増殖性疾患(例えば、がん)および炎症性疾患(例えば、関節リウマチ、炎症性腸疾患、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、変形性関節症、皮膚病(例えば、アトピー性皮膚炎、乾癬)、血管増殖性疾患(vascular proliferative disorder)(例えば、アテローム性動脈硬化症、再狭窄)、自己免疫疾患(例えば、多発性硬化症、組織および器官拒絶));並びに感染に関連する炎症(例えば、免疫応答)、神経変性障害(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、運動ニューロン疾患、神経因性疼痛、トリプレットリピート病、星状細胞腫、およびアルコール性肝疾患の結果としての神経変性)、虚血傷害(例えば、脳卒中)、並びに悪液質(例えば、様々な生理的および病理的状態(例えば、神経損傷、空腹、発熱、アシドーシス、HIV感染、がん罹患、およびある特定の内分泌疾患)に伴う筋肉タンパク質分解の促進)が挙げられる。

    本発明の化合物および医薬組成物は、がんの治療に特に有用である。 本明細書で使用される場合、「がん」という用語(また、用語「過剰増殖性」および「新生」と同義的に使用される)とは、制御されないもしくは調節不全の細胞増殖、細胞分化の減少、周辺組織に浸潤する不適切な能力、および/または異所に新生物を確立する能力を特徴とする、細胞の障害を指す。 がんの病状は、病理的な、すなわち、病状を特徴付けするまたは構成する病状(例えば、悪性腫瘍の成長)として分類されてもよいし、あるいは非病理的な、すなわち、正常から逸脱しているが病状には関連していない病状(例えば、創傷修復に伴う細胞増殖)として分類されてもよい。 この用語には、侵襲性病理組織学的なタイプもしくは段階にかかわりなく、あらゆるタイプのがん性増殖もしくは発癌プロセス、転移性組織、または悪性形質転換した細胞、組織、もしくは器官も含まれることが意図される。 「がん」という用語には、限定はされないが、固形腫瘍および体液または血液に由来する腫瘍、すなわち、血液または他の体液中の細胞懸濁液が含まれる。 「がん」という用語は皮膚、組織、器官、骨、軟骨、血液、および血管の疾患を包含する。 「がん」という用語はさらに、原発性がんおよび転移性がんを包含する。

    いくつかの実施形態では、がんは固形腫瘍である。 本発明の方法により治療することができる固形腫瘍の例としては、限定はされないが、膵がん;膀胱がん;結腸直腸がん;乳がん(例えば、転移性乳癌);前立腺がん(例えば、アンドロゲン依存性およびアンドロゲン非依存性の前立腺がん);腎がん(例えば、転移性腎細胞癌);肝細胞がん;肺がん(例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)、細気管支肺胞上皮癌(BAC)、および肺腺癌);卵巣がん(例えば、進行性上皮性または原発性の腹膜がん);子宮頸がん;胃がん;食道がん;頭頸部がん(例えば、頭頸部の扁平上皮癌);メラノーマ;神経内分泌がん(例えば、転移性神経内分泌腫瘍);脳腫瘍(例えば、神経膠腫、退形成乏突起膠腫、成人多形神経膠芽腫、および成人未分化星状細胞腫;骨がん;並びに軟部肉腫が挙げられる。

    他のいくつかの実施形態では、がんは造血器腫瘍である。 造血器腫瘍の例としては、限定はされないが、急性骨髄性白血病(AML);慢性骨髄性白血病(CML)(例えば、加速性CMLおよび急性転化期CML(CML−BP));急性リンパ芽球白血病(ALL);慢性リンパ球性白血病(CLL);ホジキン病(HD);非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、濾胞性リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫);B−細胞リンパ腫;T細胞リンパ腫;多発性骨髄腫(MM);ワルデンストローム・マクログロブリン血症;骨髄異形成症候群(MDS)(例えば、不応性貧血(RA)、環状鉄芽球を伴う不応性貧血(refractory anemia with ringed siderblast)(RARS)、芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB)、および移行期の芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB−T));並びに骨髄増殖性症候群が挙げられる。

    いくつかの実施形態では、本発明の化合物または組成物は、結腸直腸がん、卵巣がん、肺がん、乳がん、胃がん、前立腺がん、および膵がんからなる群から選択されるがんを有する、またはそれを発症もしくは再発する危険性がある患者を治療するために使用される。 ある特定の実施形態では、がんは、肺がん、結腸直腸がん、卵巣がんおよび血液のがんからなる群から選択される。

    治療されるべき特定の障害または状態に応じて、いくつかの実施形態では、本発明のE1酵素阻害剤は、追加の治療薬または作用物質と共に投与される。 いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、治療されるべき障害または状態を有する患者に通常投与される。 治療薬である。 本明細書で使用される場合、特定の障害または状態を治療するために通常投与される追加の治療薬は、「治療されるべき障害または状態に適した」ものとして知られている。

    さらに、耐性遺伝子の発現を阻害するポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド(例えば、アンチセンス、dsRNA、またはリボザイム)分子を本発明において用いることで、耐性遺伝子発現の発現レベルを低減させ、それによって耐性遺伝子の活性レベルを効果的に低減させることができる。 またさらに、標的遺伝子の活性レベルを低減させる際に三重らせん体分子を利用することができる。 例えば、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド医薬組成物(または、上方制御された耐性配列に標的化されたポリヌクレオチドもしくはオリゴヌクレオチドを、一つもしくは複数の他のポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドと共に含む混合組成物)を、化学療法剤の投与に先立って、充分に個体に投与することで、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド組成物が、個体の組織、特に根絶されるべき形質転換細胞を含む組織に浸透することが可能となり;形質転換細胞によって内部移行されることが可能となり;耐性(例えば、上方制御された)配列の発現を妨げることが可能となる(例えば、耐性mRNAの発現および/または耐性タンパク質産生の妨げ)。

    アンチセンス、リボザイム、および/または三重らせん体分子を用いて変異遺伝子発現を低減または阻害することで、正常な標的遺伝子対立遺伝子により生成されるmRNAの転写(三重らせん体)および/または翻訳(アンチセンス、リボザイム)も低減または阻害され、それにより、存在する正常な標的遺伝子産物の濃度が正常な表現型であるために必要な濃度よりも小さくなることが起こり得る。 そのような場合、正常な標的遺伝子活性を示す野生型UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素遺伝子のポリペプチドをコードし発現する野生型核酸分子を、遺伝子治療法によって、細胞に導入することができる。

    UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の発現を特徴とする疾患を治療または予防するのに核酸分子が使用され得るもう1つの方法は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質に特異的なアプタマー分子を使用することによるものである。 アプタマーは、タンパク質リガンドに特異的または選択的に結合することを可能にする三次構造を有する核酸分子である(例えば、Osborne et al. (1997) Curr. Opin. Chem Biol. 1: 5−9; and Patel (1997) Curr Opin Chem Biol 1:32−46)。 多くの場合、治療的タンパク質分子よりも、核酸分子が標的細胞に導入されることの方がより都合が良いため、アプタマーは、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質活性を、多能な作用を有し得る薬剤または他の分子を導入することなく特異的に低減することができる方法を提供する。

    標的遺伝子産物に対し特異的であり、且つ、標的遺伝子産物の活性を低減する抗体を作製することができる。 そのような抗体は、従って、負の調節技術がUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の障害の治療に適している場合に投与され得る。 抗体に関する記載については、上記の抗体の節を参照されたい。

    抗体産生を促すためのUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質またはエピトープの動物対象またはヒト対象への注射が対象にとって有害である場合、抗イディオタイプ抗体を用いることにより、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体に対する免疫応答を起こすことが可能である(例えば、Herlyn (1999) Ann Med 31:66−78;およびBhattacharya−Chatterjee and Foon (1998) Cancer Treat Res. 94:51−68参照)。 抗イディオタイプ抗体が哺乳動物またはヒト対象に導入される場合、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のタンパク質に対して特異的であるはずの、抗イディオタイプ抗体に対する抗体の産生が刺激されるはずである。 UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の発現を特徴とする疾患を対象とするワクチンは、この様に作製することもできる。

    標的抗原が細胞内に存在し抗体全体が使用される場合、抗体を内部移行させることが有用であり得る。 リポフェクションまたはリポソームを用いることで、標的抗原に結合する抗体またはFab領域断片を細胞の中に送達することができる。 抗体断片を用いる実施形態では、標的抗原に結合する、分子量が最も小さな阻害性断片を使用することができる。 例えば、抗体のFv領域に対応するアミノ酸配列を有するペプチドを使用することができる。 あるいは、細胞内標的抗原に結合する一本鎖中和抗体も投与することができる。 そのような一本鎖抗体は、例えば、一本鎖抗体をコードするヌクレオチド配列を標的細胞集団内で発現させることにより、投与することができる(例えば、Marasco et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:7889−7893参照)。

    標的遺伝子の発現、合成および/または活性を阻害する、同定された化合物は、治療有効量で患者に投与することで、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の障害を予防、治療または改善することができる。 治療有効量とは、障害の症状の改善をもたらすのに充分な化合物の量を指す。 そのような化合物の毒性および治療効果は、上記の標準的な薬学的手法によって決定することができる。

    細胞培養アッセイおよび動物試験から得られるデータを、ヒトで使用するための、投与量範囲を考案する際に使用することができる。 そのような化合物の投与量は、ED 50を含み毒性がほとんどない血中濃度の範囲内であり得る。 投与量は、使用される剤形および利用される投与経路に応じて、この範囲内で変動させることができる。 本発明の方法で使用されるいかなる化合物においても、治療効果のある用量は、細胞培養アッセイから最初に推定することができる。 細胞培養において決定されたIC 50 (すなわち、症状の最大半量阻害を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿中濃度範囲を達成するように、用量を動物モデルにおいて考案することができる。 そのような情報を用いることで、より正確にヒトにおいて有用な用量を決定することができる。 血漿中レベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定することができる。

    個体に対する有効量決定の別の例は、試験対象の血清中の「遊離型」化合物および「結合型」化合物のレベルを直接的にアッセイする能力(ability)である。 そのようなアッセイでは、分子インプリンティング技術により作製された抗体模倣体および/または「バイオセンサー」を利用することができる。 UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の活性を調節することができる化合物は、重合可能なモノマーを触媒試薬によってそれらの重合の前に空間的に組織化するための鋳型、または「インプリンティング分子」として使用される。 後にインプリンティングされた分子を除去することで、化合物の反復した「ネガティブイメージ」を含有し、生物検定の条件下で分子と選択的に再結合することができるポリマーマトリックスが残る。 この技術に関する詳細な総説は、Ansell et al (1996) Current Opinion in Biotechnology 7:89−94およびShea (1994) Trends in Polymer Science 2:166−173において見出すことができる。 そのような「インプリンティングされた」アフィニティーマトリックスは、固定化されたモノクローナル抗体成分が適切にインプリンティングされたマトリックスで置換される、リガンド結合アッセイに適している。 そのようなマトリックスをこのように使用する一例は、Vlatakis et al (1993) Nature 361:645−647において見出すことができる。 同位元素標識の使用により、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の発現または活性を調節する化合物の「遊離型」の濃度を、容易にモニタリングすることができ、IC 50の算出に用いることができる。

    そのような「インプリンティングされた」アフィニティーマトリックスは、標的化合物の局所的および選択的な結合時に光子放出能が測定可能に変化する蛍光基を含むように設計することもできる。 これらの変化は、適切な光ファイバー装置を用いてリアルタイムで容易にアッセイすることができ、その後、試験対象における用量をその個々のIC 50に基づいて迅速に最適化することができる。 そのような「バイオセンサー」の基本例は、Kriz et al (1995) Analytical Chemistry 67:2142−2144に記載されている。

    併用療法で使用される場合、本発明のE1阻害剤は、単一剤形において、または別々の剤形として、他の治療薬と共に投与されてもよい。 別々の剤形として投与される場合、他の治療薬は、本発明のE1阻害剤の投与に対して前、同時、後に、投与されてもよい。

    いくつかの実施形態では、本発明のE1酵素阻害剤は、増殖性疾患およびがんの治療に適した細胞毒、放射線療法剤(radiotherapy)、および免疫療法剤(immunotherapy)からなる群から選択される治療薬と組み合わせて投与される。 本発明のE1酵素阻害剤と組み合わせての使用に適した細胞毒の例としては、限定はされないが、代謝拮抗剤(例えば、カプシタビン(capecitibine)、ゲムシタビン、5−フルオロウラシルまたは5−フルオロウラシル/ロイコボリン、フルダラビン、シタラビン、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン、およびメトトレキサート);トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシド、テニポシド、カンプトテシン、トポテカン、イリノテカン、ドキソルビシン、およびダウノルビシン);ビンカアルカロイド類(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン);タキサン(例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル);白金系薬剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、およびオキサリプラチン);抗生物質(例えば、アクチノマイシンD、ブレオマイシン、マイトマイシンC、アドリアマイシン、ダウノルビシン、イダルビシン、ドキソルビシンおよびペグ化リポソームドキソルビシン;アルキル化剤(例えば、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、チオテパ、イホスファミド、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン(decarbazine)、およびシクロホスファミド);例えば、CC−5013およびCC−4047;タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、メシル酸イマチニブおよびゲフィチニブ);プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、サリドマイドおよび関連類似体);抗体(例えば、トラスツズマブ、リツキシマブ、セツキシマブ、およびベバシズマブ);ミトキサントロン;デキサメタゾン;プレドニゾン;およびテモゾロミドが挙げられる。

    本発明の阻害剤を組み合わせてもよい作用物質の他の例としては、抗炎症剤(例えば、副腎皮質ステロイド類、TNF遮断剤、Il−1 RA、アザチオプリン、シクロホスファミド、およびスルファサラジン);免疫調節剤および免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシン、ミコフェノール酸モフェチル、インターフェロン類、副腎皮質ステロイド類、シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキサート、およびスルファサラジン);抗細菌剤および抗ウイルス剤;並びにアルツハイマーの治療剤(例えば、ドネペジル、ガランタミン、メマンチンおよびリバスチグミン)が挙げられる。

    他の実施形態 別の態様では、本発明は複数の捕捉プローブを解析する方法に関する。 前記方法は、例えば、遺伝子発現を解析するのに有用である。 前記方法は、それぞれが互いに位置的に区別可能であり、それぞれが独特な捕捉プローブ(例えば、核酸またはペプチド配列)を有し、その捕捉プローブはUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体を発現する細胞もしくは対象由来である、またはUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体が媒介する反応が誘発されている細胞もしくは対象由来ゆらいである複数のアドレス有する二次元アレイを提供し;そのアレイを、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体の核酸(例えば、精製された)、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体のポリペプチド(例えば、精製された)、またはUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体に対する抗体と接触させ、それによって複数の捕捉プローブを評価することを含む。 複数のアドレスにおける捕捉プローブとの結合(例えば、核酸の場合は、ハイブリダイゼーション)は、例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の核酸、ポリペプチド、または抗体に結合された標識から発せられるシグナルによって検出される。

    捕捉プローブは、選択された試料、例えば、対照または非誘導組織または細胞から得られた核酸の試料から得られる一連の核酸であり得る。

    前記方法は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の核酸、ポリペプチド、または抗体を、複数の捕捉プローブを有する第一のアレイおよび異なる複数の捕捉プローブを有する第二のアレイと接触させることを含み得る。 それぞれのハイブリダイゼーションの結果を比較することで、例えば、第一および第二の試料の間の発現における差異を解析することができる。 第一の複数の捕捉プローブは、対照試料(例えば、野生型の、正常な、または非疾患の、非誘導の、試料(例えば、生体液、組織、または細胞試料))から得ることができる。 第二の複数の捕捉プローブは、実験試料、例えば、変異型の、リスクを有する、疾患の状態もしくは障害の状態にある、または誘導された、試料(例えば、生体液、組織、または細胞試料)から得ることができる。

    複数の捕捉プローブは、そのそれぞれがUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の対立遺伝子と特異的にハイブリダイズする複数の核酸プローブであり得る。 そのような方法を使用することで、対象を診断することができ、例えば、疾患または障害のリスクを評価することができ、対象の選択された治療の適合性を評価することができ、対象がE1酵素阻害剤への耐性を特徴とする疾患または障害を有するかどうかを評価することができる。

    別の態様では、本発明は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体を解析する方法、例えば、構造、機能、または他の核酸もしくはアミノ酸配列との関連性を解析する方法に関する。 前記方法は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の核酸またはアミノ酸配列を準備し;UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の配列を、配列の集合(例えば、核酸またはタンパク質の配列データベース)から得られる一つもしくは複数の、または複数の配列と比較し;それによってUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体を解析すること、を含む。

    前記方法は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の配列と、データベースの配列の間の配列同一性を評価することを含み得る。 前記方法は、例えば、インターネットで、2つ目のサイトのデータベースにアクセスすることによって、行うことができる。 データベースの例としては、GenBank(商標)(国立バイオテクノロジー情報センター)およびSwissProt(スイスバイオインフォマティクス研究所)が挙げられる。

    別の態様では、本発明は、例えば、一塩基変異多型を同定するのに有用な、またはUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の特定の対立遺伝子を同定するのに有用な、一セットのオリゴヌクレオチドに関する。 セットには複数のオリゴヌクレオチドが含まれ、そのそれぞれは、照合位置、例えば、SNPまたは変異部位において異なるヌクレオチドを有している。 一実施形態では、複数のオリゴヌクレオチドは、配列において互いに同一である(長さの違いを除いて)。 オリゴヌクレオチドに異なる標識が与えられることで、1つの対立遺伝子にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドは第二の対立遺伝子にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと区別可能なシグナルを与え得る。

    UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体分子の配列は、その使用を促す種々の媒体に提供される。 配列は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の分子を含有する、単離核酸またはアミノ酸分子以外の、製造物として提供され得る。 そのような製造物は、天然に、または精製された形態で存在するように、ヌクレオチド配列もしくはアミノ酸配列、またはそのサブセットの試験に直接適用できない手段を用いて、製造物を試験することを可能にする形態で、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列(例えば、オープンリーディングフレーム)を与え得る。

    UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のヌクレオチドまたはアミノ酸配列は、コンピューター可読の媒体上に記録することができる。 本明細書で使用される場合、「コンピューター可読の媒体」とは、コンピューターによって直接読み取ることができアクセスすることができる、いかなる媒体をも指す。 そのような媒体としては、限定はされないが、磁気記憶媒体(例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク記憶媒体、および磁気テープ;光学記憶媒体(例えば、コンパクトディスクおよびCD−ROM);電気的(electrical)記憶媒体(例えば、RAM、ROM、EPROM、EEPROM等);並びにこれらのカテゴリーの一般的なハードディスクおよびハイブリッド(例えば、磁気/光学記憶媒体)が挙げられる。媒体は、本発明のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の配列情報をその上に有するように適合され、形成される。

    本明細書で使用される場合、「電子装置」という用語には、データまたは情報を保存するように設計または適合された、他の機器のいかなる適切な演算装置または処理装置も含まれることが意図される。 本発明での使用に適した電子装置の例としては、独立型演算装置;ネットワーク(例えば、構内ネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN) インターネット、イントラネット、およびエクストラネット);電子装置(例えば、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、ポケットベル等);並びに局域内および分散処理システムが挙げられる。

    本明細書で使用される場合、「記録された」とは、電子装置可読媒体上の情報を保存またはコード化するためのプロセスを指す。 当業者は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の配列情報を含む製造物を作製するための、公知の媒体に情報を記録する現在公知の方法のいずれをも、容易に取り入れることができる。

    本発明のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のヌクレオチド配列またはアミノ酸配列を記録して有するコンピューター可読の媒体を作製するために、当業者は種々のデータ保存構造体を利用することができる。 データ保存構造体の選択は、一般的には、保存された情報にアクセスするために選択される手段に基づく。 さらに、種々のデータプロセッサのプログラムおよびフォーマットを用いることで、本発明のヌクレオチド配列情報をコンピューター可読媒体に保存することができる。 配列情報は、市販のソフトウェア(例えば、WordPerfectおよびMicrosoft Word)でフォーマットされた文書処理テキストファイルで表すことができ、またはデータベースアプリケーション(例えば、DB2、Sybase、Oracle等)に保存されたASCIIファイルの形態で表すことができる。 当業者は、本発明のヌクレオチド配列情報を記録しているコンピューター可読媒体を得るために、任意の数のデータプロセッサ構造化フォーマット(dataprocessor structuring format)(例えば、テキストファイルまたはデータベース)を容易に採用できる。

    コンピューターで読み取り可能な形態で本発明のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体のヌクレオチド配列またはアミノ酸配列を提供することによって、当業者は様々な目的でその配列情報に日常的にアクセスすることができる。 例えば、当業者は、本発明のヌクレオチド配列またはアミノ酸配列をコンピューターで読み取り可能な形態で用いることで、標的配列または標的構造モチーフを、データ保存手段内に保存された配列情報と比較することができる。 検索が、特定の標的配列または標的モチーフと一致する本発明の配列の断片または領域を同定するために用いられる。

    従って、本発明は、対象がUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体に関連する疾患もしくは障害、またはUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体に関連する疾患もしくは障害の素因を有しているかどうかを決定するための方法を実行するための説明書を保存するための媒体を提供し、ここで、該方法は、対象に関連しており、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の配列情報に基づく、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の配列情報を決定するステップ、その対象がUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体に関連する疾患もしくは障害を有しているかどうかを決定するステップ、および/またはその疾患、障害、もしくは罹患前状態に対する特定の治療を推薦するステップを含む。

    本発明はさらに、電子装置および/またはネットワークにおいて、対象が、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体に関連する疾患もしくは障害またはUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体に関連する疾患素因を有するかどうかを決定するための方法を提供し、ここで、該方法は、対象に関連しており、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の配列情報に基づく、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の配列情報を決定するステップ、その対象がUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体に関連する疾患もしくは障害、またはUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体に関連する疾患もしくは障害の素因を有しているかどうかを決定するステップ、および/またはその疾患、障害、もしくは罹患前状態に対する特定の治療を推薦するステップを含む。 前記方法はさらに、対象に関連する表現型の情報を受け取るステップ、および/または対象に関連する表現型の情報をネットワークから入手するステップを含んでいてもよい。

    本発明はまた、ネットワークにおいて、対象がUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体に関連する疾患もしくは障害、またはUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体に関連する疾患もしくは障害の素因を有しているかどうかを決定するための方法を提供し、前記方法は、対象からのUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体の配列情報および/またはそれに関する情報を受け取るステップ、対象に関連する表現型の情報を受け取るステップ、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体に対応する、および/またはUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体に関連する疾患もしくは障害に対応し、表現型の情報、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の情報(例えば、配列情報および/またはそれに関する情報)、およびその得られた情報のうちの一つまたは複数に基づく情報をネットワークから入手するステップ、その対象がUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体に関連する疾患もしくは障害、またはUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体に関連する疾患もしくは障害の素因を有しているかどうかを決定するステップを含む。 前記方法はさらに、その疾患、障害、もしくは罹患前状態に対する特定の治療を推薦するステップを含んでいてもよい。

    本発明はまた、対象がUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体に関連する疾患もしくは障害、またはUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体に関連する疾患もしくは障害の素因を有しているかどうかを決定するためのビジネスモデルを提供し、前記モデルは、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体に関する情報(例えば、配列情報および/またはそれに関する情報)を受け取るステップ、対象に関連する表現型の情報を受け取るステップ、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体に関連する、および/またはUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体に関連する疾患もしくは障害に関連し、表現型の情報、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の情報、およびその得られた情報のうちの一つまたは複数に基づく情報をネットワークから入手するステップ、その対象がUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体に関連する疾患もしくは障害、またはUBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体に関連する疾患もしくは障害の素因を有しているかどうかを決定するステップを含む。 前記方法はさらに、その疾患、障害、もしくは罹患前状態に対する特定の治療を推薦するステップを含んでいてもよい。

    本発明には、本発明のUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の配列を含むアレイも含まれる。 アレイを用いることで、アレイにおける一つまたは複数の遺伝子の発現をアッセイすることができる。 一実施形態では、アレイを用いることで、組織における遺伝子発現をアッセイして、アレイにおける遺伝子の組織特異性を確認することができる。 このようにして、最大で約7600個の遺伝子を発現について同時にアッセイすることができ、そのうちの1つをUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体にすることができる。 これにより、一つまたは複数の組織において特異的に発現される一連の遺伝子を示すプロファイルを作成することが可能となる。

    そのような定性的な情報に加え、本発明は遺伝子発現の定量化を可能にする。 従って、組織特異性だけでなく、確認できるのであれば、組織内の一連の遺伝子の発現レベルもである。 従って、遺伝子は、それらの組織内発現それ自体、および組織内の発現レベルに基づいて分類され得る。 これは、例えば、その組織における遺伝子発現の関連性を確認する際に有用である。 従って、ある組織を混乱させ、第二の組織における遺伝子発現に対するその影響を決定することができる。 これに関連して、生物学的刺激に応答しての、ある細胞型の別の細胞型に対する影響を決定することができる。 これに関連して、生物学的刺激に応答しての、ある細胞型の別の細胞型に対する影響を決定することができる。 そのような決定は、例えば、遺伝子発現レベルでの細胞間相互作用の影響を知るために有用である。 作用物質が、ある細胞型を処置するために治療的に投与され、別の細胞型に対して望ましくない影響を有する場合、本発明は、望ましくない影響の分子基盤を決定するアッセイを提供し、それによって、相殺的な作用物質を同時投与する、または望ましくない影響を治療する機会を提供する。 同様に、単一細胞型の中であっても、望ましくない生物学的効果は、分子レベルで決定することができる。 このように、標的遺伝子以外の発現に対する作用物質の影響は、確認および相殺が可能である。

    別の実施形態では、アレイを用いて、アレイにおける一つまたは複数の遺伝子の経時的な発現をモニタすることができる。 これは、種々の生物学的な関連において、本明細書に記載されるような、例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体に関連する疾患もしくは障害の発症、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体に関連する疾患または障害の進行、およびUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体に関連する疾患または障害に伴う細胞形質転換等のプロセスを生じ得る。

    アレイはまた、同一の細胞または異なる細胞における、ある遺伝子の発現の他の遺伝子の発現に対する影響(例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の発現の他の遺伝子の発現に対する影響の確認)を確認するのに有用である。 これは、例えば、最終的または下流の標的を制御することができない場合に、治療介入のための替わりとなる分子標的の選択を与える。

    アレイはまた、正常細胞および異常細胞における、一つまたは複数の遺伝子の発現差異パターンを確認するのにも有用である。 これにより、診断または治療介入のための分子標的として機能し得る一連の遺伝子(例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体)が提供される。

    本明細書で使用される場合、「標的配列」は、6以上のヌクレオチドまたは2つ以上のアミノ酸から成る、あらゆるDNAまたはアミノ酸配列であり得る。 標的配列が長くなるほど、標的配列がデータベースに偶発的に発生する可能性が低くなることは、当業者には容易に理解され得る。 標的配列の典型的な配列長は約10〜100アミノ酸または約30〜300ヌクレオチド残基である。 しかし、商業上重要な断片(例えば、遺伝子発現およびタンパク質プロセシングに関わる配列断片)がより短い長さであってもよいことは、周知である。

    当業者が、解析および他の配列との比較のために、コンピューター可読媒体中に提供される配列情報にアクセスすることを可能にするコンピュータソフトウェアは、公的に利用可能である。 様々な公知のアルゴリズムが公開されており、検索手段を実行する様々な市販ソフトウェアが、本発明のコンピューターに基づくシステムにおいて、使用され、使用可能である。 そのようなソフトウェアの例としては、限定はされないが、MacPattern(EMBL)、BLASTNおよびBLASTX(NCBI)が挙げられる。

    従って、本発明は、コンピューター可読のマトリックス上に配列を記録することを含む、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の配列のコンピューター可読の配列記録を作成する方法に関する。 一実施形態では、前記記録には以下のうちの一つまたは複数が含まれる:ORFの同定;ドメイン、領域、または部位の同定;転写開始の同定;転写ターミネーターの同定;タンパク質の完全長アミノ酸配列、またはその成熟型;コード領域の5'末端。

    別の態様では、本発明は配列を解析する方法に関する。 前記方法は、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体の配列、またはコンピューターで読み取り可能な形態の記録を提供し;第二の配列をUBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の配列と比較し;それによって配列を解析することを含む。 比較には、配列同一性について配列を比較すること、またはある配列がその他の配列の中に含まれているかどうかを決定すること、例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、または他のE1酵素変異体の配列が比較されている配列を含むかどうかを決定すること、が含まれ得る。 一実施形態では、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体、または第二の配列は、第一のコンピューター(例えば、第一のサイト)に保存され、第二のコンピューター(例えば、第二のサイト)で比較が実行、読み出し、または記録される。 例えば、UBA3、UAE、もしくはUBA6、もしくは他のE1酵素変異体、または第二の配列は、あるコンピューターにおける公的なまたは私有のデータベースに保存することができ、実行された比較の結果は、第二のコンピューターに読み出しまたは記録することができる。 一実施形態では、前記記録には以下のうちの一つまたは複数が含まれる:ORFの同定;ドメイン、領域、または部位の同定;転写開始の同定;転写ターミネーターの同定;タンパク質の完全長アミノ酸配列、またはその成熟型;コード領域の5'末端。

    本発明がより完全に理解されるために、以下の調製例および試験例を記載する。 これらの例は例示のみが目的であって、いか様にも本発明の範囲を限定していると解釈されるべきではない。

    実施例1
    MLN4924に耐性を有する癌化細胞株のクローン選択

    細胞株培養物を、ATCCにより推奨されており、以前に報告されている(Soucy et al., 2009, Milhollen et al., 2010)適切な細胞培地を用いて維持した。 耐性細胞株を得るために、HCT−116細胞、Calu−6細胞およびNCI−H460細胞を、高濃度のMLN4924(EC 90濃度以上、HCT−116、Calu−6は1μMおよびNCI−H460は10μM)と共に4日間インキュベートし、その後、残った細胞を取り出し、単一細胞クローンとして播種し、薬剤を含まない培地中で培養した。 細胞生存アッセイを、以前に報告されたように(Soucy et al., 2009)、96時間のATPliteアッセイ(パーキンエルマー社)を用いて、完了した。

    薬剤排出阻害剤実験
    ジピリダモール(diypridamole)(シグマ社)、MK571(トクリス社(Tocris))、GF918、KO143(トクリス社)およびLY5979を、示された商業的供給源から入手した。 各薬剤の最も高い非毒性濃度を、ATPlite生存アッセイで決定して、用量を漸増させる(a dose titration of)MLN4924と共に共インキュベーションアッセイに使用した。

    定量RT−PCR
    cDNA合成および定量RT−PCRを、ABI遺伝子発現アッセイ、試薬、およびABI PRISM(登録商標)7900HT Sequence Detection System(アプライドバイオシステムズ社、カリフォルニア州フォスターシティ)を使用して、以下のサイクル条件を用いて行った:AmpErase UNG活性化のために50℃に2分間固定し、次にDNAポリメラーゼ活性化のために95.0℃に10分間固定し、次に95.0℃で15秒間および60.0℃で1分間の2つの部分からなるサイクルを40回実行した。 dCtを、制御遺伝子B2M(Hs99999907_m1)およびRPLPO(Hs99999902_m1)の平均Ctを用いて算出した。 mRNA相対発現の定量化を、比較Ct法(アプライドバイオシステムズ社)を用いて導いた。 mRNA発現の倍率変化値を、各親細胞株および対応する耐性クローンの比較から作成した。

    結果
    NAE阻害に応答してDNA再複製を起こすことが示されている3つの固形腫瘍細胞株(HCT−116 結腸直腸腫瘍細胞株、NCI−H460肺腫瘍細胞株、Calu−6肺腫瘍細胞株)を選択して、MLN4924に対する耐性の潜在的機序を研究した(Soucy et al., 2009)。 これらの細胞株はMLN4924誘導性細胞毒性に対して異なる感受性を有し、HCT−116細胞、Calu−6細胞およびNCI−H460細胞それぞれのEC 50値(細胞生存アッセイ)は46nM、80nMおよび1070nMであった。 高濃度のMLN4924(EC 90濃度以上)への4日間の暴露により、ほぼ完全な細胞死滅がもたらされる。 5種の耐性クローンを得た。 1種のHCT−116クローンはMLN4924に対して10倍感受性が低いことが判り、4種は10μMより大きいEC 50値を有した(図5)。 同様に、2種のNCI−H460クローンおよび1種のCalu−6クローンを単離したところ、10μM超のEC 50値を有することが判った(図6A〜B)。 MLN4924耐性HCT−116細胞クローンは他の化学療法剤(ボルテゾミブ、SN−38およびドキソルビシン、図7A〜C)に対して感受性のままであり、これにより、耐性機序が他の薬剤と共有されていないことが示唆された。

    NEDD8経路における変化によりMLN4924耐性が説明できるかどうかを決定するために、細胞を、遺伝子転写物レベルの変化またはNAEβ、NAE1、NEDD8もしくはUbc12におけるDNA変異の存在について評価し、NEDD化(nedd化)についてプライマリーE2(primary E2)を評価した。 NEDD化経路遺伝子のmRNAレベルに有意な変化は見られなかった(表1参照)。

    ABC輸送タンパク質のmRNAレベルに変化が観察されたが;MLN4924活性は薬剤排出阻害剤との共インキュベーションにより影響を受けていなかった(図8A〜C)。

    高濃度のMLN4924への短期間暴露(4日)の後に、耐性細胞株を選択した。 全ての細胞株をクローン集団として単離し、MLN4924に対して耐性であり、他の化学療法剤(例えば、プロテアソーム阻害(ボルテゾミブ)、アントラサイクリン(ドキソルビシン)およびトポイソメラーゼI阻害剤(SN−38))に対してなお感受性であることを示した。 これらのクローンのRT−PCR分析により、いくつかの細胞株において、薬剤排出機序の上昇、並びにPgPおよびBCRPのmRNAの検出増加が示された。 しかし、いくつかのPgp阻害剤、BCRP阻害剤およびMRP2阻害剤と共に細胞を同時処理しても細胞のMLN4924(ジピリダモール(Shalinsky et al., 1993)、MK519(Gekeler et al., 1995)、GF120918(Hyafil et al., 1993)、K0143(Allen et al., 2002)およびLY5979(Dantzig et al., 1993)に対する感受性が増加しなかったことから、薬剤排出の上昇は耐性に大きく寄与していないように思われる。このデータ、およびNAEβにおける変異の存在は、耐性が標的酵素における変異により決定されることを示している。

    実施例2.
    MLN4924耐性の癌化細胞株はNAEβに変異を有する。

    耐性cDNA配列の単離および特徴付け

    ゲノム単離およびDNA塩基配列決定法
    細胞および異種移植片のDNA単離を、DNAeasy(キアゲン社)を用いて行った。 RNA単離を、MegaMax(アムビオン社(Ambion))を用いて行った。 ゲノム単離を製造業者の推奨プロトコルに従って行った。 NAE1、NAEβ、UBC12およびNEDD8の配列決定を下記の通りに行った。

    SANGER配列決定法
    PCR増幅(下記参照)を、遺伝子−エクソン毎に最適化されたサイクリング条件を用いて行った。 プライマー伸長配列決定を、アプライドバイオシステムズ社製BigDye(バージョン3.1)を用いて行った。 次に、反応をアプライドバイオシステム社製3730xl DNA Analyzer上で実行した。 配列決定による塩基判定(sequencing base call)を、KBTM Basecaller(アプライドバイオシステムズ社)を用いて行った。 体細胞突然変異判定(somatic mutation call)をMutation Surveyor(ソフトジェネティクス社(SoftGenetics))により決定し、Seqman(DNASTAR社)を用いて配列決定データを対応する参照配列と整列させることにより手動で確認した。

    SEQUENOM配列決定法
    Sequenom NAEβ(UBA3)およびNEDD8アッセイを、一塩基伸長を用いるTypePLEX(登録商標)ケミストリーを使用して、設計した。 このプロセスは3つのステップから成る:1)目的のSNPを含むテキストファイルおよびフランキング配列をmysequenom. comにアップロードし、そこでウェブベースのプログラムであるProxSNPにかけ、2)ProxSNPの結果をPreXTENDにかけ、3)PreXTENDの結果を、伸長産物(extend product)の予測質量重量(mass weight)を決定するAssay Designにかけて、多重化された反応内に存在し得るピーク間の分離を確認する。

    15nlの増幅産物および伸長産物を、Nanodispenser RS1000を用いて384 SpectroCHIP IIにスポットする。 3点キャリブラントを全てのチップに加えて、Sequenom Maldi−tof小型質量分析計の適切な実行を確認する。

    SpectroCHIP IIをSequenom MALDI−TOF小型質量分析計中に設置する。 質量分析計を、384ウェルspectroCHIP上の各スポットに対して、最高9回の読み取りが行われるように設定する。 セクエノム社(Sequenom)から入手したTypePLEX GoldキットSpectroCHIP II(10142−2)を、製造業者推奨のプロトコルに従って使用する。 セクエノム社製解析ソフトウェアであるMassARRAY(登録商標)Typer Analyzer v4を用いて解析を行う。

    次世代配列決定(NGS)法
    イルミナ社(Illumina)プラットフォームを用いる標的化NGSを使用して、NAEβの低頻度変異を確認および同定した。 プライマー対を、NAEβをコードするエクソン8、9、11、および13を増幅するように設計した。 PCR産物を、PicoGreenアッセイを用いて定量化し、各試料用に等モル比に混合した。 精製産物を末端修復し、ライゲーションにより連結した。 連鎖状産物をHi−Seq2000ライブラリー作製に使用した。 連鎖状PCR産物を剪断し、多重化プール(multiplexed pool)毎に12の識別された試料から成るバーコードで識別された(barcoded)Hi−Seq2000ライブラリーを作製するのに使用した。 プールされたHi−Seq2000ライブラリーをHi−Seq2000フローセルの8つのレーン上でクラスター生成によりクローン増幅し、Hi−Seq2000上の1x100シングルエンド配列決定を用いて配列決定した。 全試料の標的塩基に対して50,00回超のカバレッジを作製した。 一次配列決定リードのヒトゲノムbuild Hg18に対する適合、およびSNP解析を、イルミナ社製CASAVAソフトウェア(バージョン1.7.1)を用いて行った。

    結果
    DNA塩基配列決定法により、NAE1、UBC12またはNEDD8内に治療誘発性DNA変異は存在しないことが明らかとなったが;全ての耐性細胞株におけるSanger配列決定によって、NAEβ内のヘテロ接合変異が検出された(表4)。

    これらの変異を、さらなる質量分析ベースの配列決定法および次世代配列決定法を用いて確認した(表5)。

    変異の位置は、ヌクレオチド結合ポケット内の、またはNEDD8がNAEβ(G201V、E204K、N209K、C324Y)に結合する能力に影響を与える際の、MLN4924結合の改変(A171TおよびA171D)と一致するであろう。 注意すべきことに、NEDD8内のヘテロ接合変異(I44T)が耐性クローンの中で維持される野生型HCT−116細胞において検出された。 しかし、このNEDD8変異体の活性は生化学分析では野生型NEDD8と同一であった(データ未記載)。

    Y228H変異はNEDD8のC末端をアデニル化ドメインに「固定」するのに重要であることが以前に示された残基と一致し、Y228の変異はNEDD8アデニル化を減少させることが以前に示されている(Walden et al., 2003)。 このことは、この変異酵素がNEDD8活性化に機能しないことを示唆するものであろう。 さらに、C324Yで検出される変異は、切断されたNEDD8結合の構造的混乱を通じてNEDD8結合にも影響を与え得るNAEβの領域に存在する(図9B参照)。 興味深いことに、171位のアラニンは大部分のE1活性化酵素(例えば、UBA1、UBA6およびSumo−活性化酵素)において保存されており、このことは、これらの酵素の選択的阻害剤が同じ耐性機序の影響を受け易い場合があることも示唆している。

    実施例3.
    変異細胞株の経路分析

    ウエスタンブロット解析
    全細胞抽出物を作製し、免疫ブロットアッセイを、以前に報告された通りに(Soucy, 2009)、下記の一次抗体を用いて行った:CDT1、NRF2、NEDD8、NAEβ、UBC12および4924−NEDD8−ADS(MIL22)(ミレニアム社(Millennium));UBC10(ボストン・バイオケム社(Boston Biochem));K48(ミリポア社);NAE1(シグマ社)およびチューブリン(サンタクルーズ社(Santa Cruz))。 抗ウサギ/マウスIgG Alexa−680標識二次抗体(モレキュラープローブス社)を適切に使用して、ブロットを、ライコア社製(Li−Cor)Odyssey Infared Imaging systemを用いて画像化した。

    細胞周期解析
    細胞周期解析を以前に報告された通りに行った(Soucy, 2009)。

    対数増殖中の細胞をMLN4924またはDMSOと共に表示される時間インキュベートした。 集めた細胞を70%エタノールで固定し、4℃で一晩保存した。 固定した細胞を遠心してエタノールを除去し、ペレットを、PBS中のヨウ化プロピジウムおよびRNaseAに、遮光した氷上で1時間かけて再懸濁した。 細胞周期分布を、フローサイトメトリー(FACS Calibur、ベクトン・ディッキンソン社)を用いて決定し、Winlistソフトウェア(ベリティ社(Verity))を用いて解析した。

    結果
    化合物の4時間インキュベーションの後にウェスタンブロッティングによる経路解析を行って、耐性クローンにおけるNEDD8経路に対するMLN4924の効果を評価した。 2種のHCT−116クローンを解析用に選択し(1種のA171TおよびG201V)、WT細胞と比較した場合に、NAEB、UBC12およびカリンタンパク質へのNEDD8結合の阻害効果の低減が示された(図10A〜C)。 NAE阻害に対する効果の低減を、2種のCRL基質(Nrf2およびCdt1)の蓄積の減少により確認した。 予測された通り、NAEβの1つの野生型コピーがまだ存在するため、NEDD8−MLN4924付加体は耐性細胞株中にまだ検出することができる。 MLN4924はHCT−116細胞内でDNA再複製を誘導するが(Milhollen et al., 2011)、MLN4924で処理されたHCT−116の耐性A171TおよびG201Vクローンの細胞周期分布は、MLN4924に対するそれらの非感受性と一貫して、ほとんど変化していない(図11A〜C)。 NEDD化経路およびCRL基質蓄積に対するMLN4924の作用強度が低減されるという同様の効果が、NCI−H460 A171DクローンおよびCalu−6 N209Kクローンで観察された(図12A〜D)。

    これらのデータは、インビトロで得たMLN4924耐性細胞株がNAEβにヘテロ接合変異を有し、結果としてNAE阻害に対する感受性が低いことを示すものである。

    実施例4.
    HCT116異種移植片はMLN4924の抗腫瘍効果に耐性となり、薬力学的効果の低減を示し、NAEβに変異を有する。

    免疫無防備状態のラットおよびマウスにおける抗腫瘍性試験
    6〜8週齢の雌NCrヌードラット(タコニック・ファーム社(Taconic Farms))の右脇腹の皮下に、10x10 個のHCT−116細胞を播種した。 デジタルノギスを使用して腫瘍成長を測定した。 平均腫瘍成長がおよそ500mm に達したら、ラットを無作為に治療群に分け、ビヒクル(20%ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン)またはMLN4924を皮下投与した。 ラットは、21日間の治療サイクルにおいて、1日1回の投与を週に2回、2週間受けた(1、4、8、および11日目)。 3サイクルの治療の後、耐性を有する腫瘍を採取した。 6〜8週齢の雌CB−17 SCIDマウス(チャールス・リバー・ラボラトリーズ社)に、2x10 個のTHP−1細胞またはOCI−Ly10細胞を、Matrigel(商標)支持体(1:1、v/v)と共に播種した。 平均腫瘍成長が200mm に達したら、マウスを無作為に治療群に分け、ビヒクル(20%ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン)またはMLN4924を皮下投与した。 マウスは1日2回の投与を週2回(1、4、8、11、15、18、22…日目)、腫瘍がおよそ500〜800mm に達するまで受けた。 次に、腫瘍を採取し、さらなる研究用に、1つの40〜50mgの腫瘍断片を、6〜8匹の無処置動物に、13ゲージ外套針を用いて皮下移植した。 さらに、腫瘍DNAを補足情報に記載の通りに変異解析用に抽出した。

    耐性cDNA配列の単離および特徴付けを実施例2の通りに行った。

    薬力学的マーカー解析
    HCT−116、THP−1またはOCI−Ly10腫瘍を有するマウスおよびラットにMLN4924を単回投与し、表示の時間に腫瘍を切除し、抽出物を作製した。 NEDD8−カリンおよびpIκBαの相対レベルを、定量的免疫ブロット解析(ライカ社製(Li−cor)Odysseyシステム)により、Alexa680標識抗IgG(モレキュラープローブス社)を二次抗体として用いて、評価した。 腫瘍切片におけるCDT1および切断型カスパーゼ−3のレベルを解析するために、ホルマリン固定したパラフィン包埋腫瘍切片を、適切な抗体で染色し、HRP標識二次抗体で増幅し、ChromoMap DAB Kit(ベンタナ・メディカル・システムズ社)を用いて検出した。 スライドをヘマトキシリンで対比染色した。 Eclipse E800顕微鏡(ニコンインストルメンツ社)およびRetiga EXiカラーデジタルカメラ(Qイメージング社(QImaging))を用いて画像を撮影し、Metamorphソフトウェア(モレキュラーデバイス社)を用いて加工した。 CDT1および切断型カスパーゼ3はDABシグナル領域の関数として表される。

    腫瘍異種移植片中のNEDD8−MLN4924付加体のレベル測定
    腫瘍異種移植片中のNEDD8−MLN4924付加体の絶対レベルを定量化するために、総タンパク質量が30μgの各溶解液試料を、0.1pmol(0.9ng)のNEDD8 −MLN4924と混合し、次にNuPAGE Bis−Tris 4−12% SDSゲル(インビトロジェン社)で分離し;NEDD8のゲル画分を切り取って、ゲル内トリプシン消化を報告(Brownell et al., 2010)の通りに行った。 消化物を、以前に報告された通りに(Brownell et al.、2010)、LC/MS/MSシステムで解析した。 各試料中のNEDD8−MLN4924付加体の量を、クロマトグラムにおけるGly−Gly−MLN4924のピーク領域のGly −Gly −MLN4924のピーク領域に対する割合から算出した。

    結果
    HCT−116細胞を免疫無防備状態のラットにおいて皮下異種移植片として増殖させ、その後、21日間の治療サイクルの1、4、8および11日目という用量スケジュールで、MLN4924の最大耐用量(150mg/kg)を皮下処置した。 重要なことに、この投与計画は、固形腫瘍および造血器腫瘍におけるMLN4924の第I相臨床研究において現在使用されているために選択された。 MLN4924処置の第一サイクルの後、腫瘍退縮が観察され、その退縮は処置の第二サイクルのほぼ全体を通して維持された(図13A)。 しかし、第三サイクルでは、MLN4924投与の存在下にあってでさえ、1つを除く全ての腫瘍が再成長を開始した(図13A)。 腫瘍を処置の終わりに採取し、NAEβの核酸配列を解析した。 10のうち8の腫瘍がNAEβのA171Tにヘテロ接合変異を含んでいることが判り、1つはY228Hにヘテロ接合変異を含んでおり、残りはNAEBについて野生型であった(図13Aおよび表6)。 興味深いことに、2つの腫瘍において2つ以上の変異が検出され、これは、複数のクローンが腫瘍集団内に発生し得ることを示すものである。 検出可能なNAEβ変異を有さない異種移植片は再成長が最も少なく、これは、NAEβ変異と耐性の関連性と一致している。 NAEαまたはUBC12に変異は検出されず、NEDD8内にはI44T変異が検出され、これは、インビトロにおける細胞増殖と一致している。

    腫瘍がMLN4924に対して安定な耐性を有していることを確認するために、A171T変異を有する1つの異種移植片をヌードラットに再移植した。 野生型異種移植片と比較した場合、MLN4924の抗腫瘍活性は劇的に低減され、1サイクルの150mg/kgのMLN4924(1、4、8、11日目)により、腫瘍成長の阻害は、野生型異種移植片において観察された94%(腫瘍退縮も含む)と比較して、たった38%だけであった(図13B)。 SangerおよびSequenom法の両方で確認したところ、A171T NAEβ変異はこの耐性異種移植モデルにまだ存在していた。 WT HCT−116およびA171T HCT−116耐性異種移植片におけるMLN4924によるNEDD8経路阻害の薬力学的解析を、150mg/kgのMLN4924の単回投与の後に行った。 NEDD8−カリンレベルの最大阻害は、A171T耐性モデルにおいての投与から8時間後と比較して、WT HCT−116異種移植片においては投与の早くも1時間後に起こった(図13C)。 NEDD8−カリンレベルに対する影響の減少と一致して、A171T HCT−116において、WT HCT−116異種移植片と比較して、Cdt1(図13D)および切断型カスパーゼ3により測定されるアポトーシス(図13E)およびNEDD8−MLN4924付加体(図13F)のレベルの減少があった。 これらのデータは、臨床的に意義のある用量スケジュールで処置された腫瘍異種移植片が、NAEβ内の変異と関連する、MLN4924に対する耐性を獲得し得ることを示している。

    NAEβ変異はこの研究における耐性の最大の原因であると思われるため、NAE阻害後の細胞の成行きに関わらず、これによりMLN4924のその標的に対する選択性が確認される。 NAEβに変異を含まないTHP−1 AML異種移植片の再成長を観察したところ、MLN4924に対する耐性の他の機構も生汁可能性が高いことが示唆された。

    実施例5.
    NAEβにおける治療誘発性変異が、急性骨髄性白血病およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫異種移植片において観察される。

    方法
    実施例4を参照されたい。

    結果
    MLN4924は急性骨髄性白血病(AML)を有する患者において臨床活性を示している(Wang et al., 2011)。 よって、適切な皮下AML前臨床モデルである、THP−1細胞を利用して、MLN4924に対する耐性がNAEβ変異によって駆動され得るかどうかを決定した。 皮下モデルを利用することで、後の解析のための腫瘍の採取を容易にした。 MLN4924を、THP−1異種移植片を有するSCIDマウスに投与したところ(90mg/kg、1日2回、週2回)、均一な腫瘍退縮が観察された(図14A)。 6種のTHP−1異種移植片がMLN4924処置期間中に再成長し、それらを解析用に採取した。 3種のTHP−1異種移植片はNAEBのA171Tにヘテロ接合変異を含み、1種はN209Dにヘテロ接合変異を含み、残り2種はNAEBについては野生型であることから、別の機序により抵抗性である可能性がある(図14Aおよび表6)。 ここでも、NAE1、UBC12、またはNEDD8に変異は見られなかった。 1種のA171T THP−1異種移植片をSCIDマウスにおいて再確立することに成功し、これは、90mg/kg、1日2回、週2回で投与された場合にMLN4924に対して耐性であることが示された(図14B)。 A171T THP−1異種移植片における薬力学的評価により、MLN4924がNEDD8−カリンレベル(図14C)の最小阻害をもたらした結果、WT THP−1異種移植片と比較して、CRL基質のpIκBαの上昇が低減され(図14D)、アポトーシス活性化が発生しなかった(図14E)ことが示された。

    活性化B細胞様びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC−DLBCL)が、恒常的活性型NF−κBシグナル伝達の阻害を通じてMLN4924に対して特に感受性になり得ることを以前に示した(Milhollen et al., 2010)。 再複製が末期的予後(terminal outcome)を促さないモデルにおいて、NAEβ変異を介したMLN4924に対する耐性が生じるかどうかを決定するために、OCI−Ly10異種移植片を有するマウスに、90mg/kgのMLN4924を1日2回、週2回、100日間より長期に亘って投与した。 以前の発見と一致して、MLN4924によりOCI−Ly10モデルにおいて腫瘍退縮が誘導された(図14F)。 1種の腫瘍のみが処置中に再成長し、続く解析により、NAEβのE204Gにおけるヘテロ接合変異が明らかにされた。 その腫瘍を再移植したところ、その他の再導入された耐性腫瘍と同様に、90mg/kg、1日2回のMLN4924処置に対して耐性であった(図14G)。 これらのデータは、MLN4924依存性の末期的予後または遺伝的背景にかかわらず、ある特定のNAEβ変異がMLN4924に対する耐性を促進し得ることを示している。

    MLN4924は再複製を介して細胞にDNA損傷を誘導するが(Milhollen et al., 2011)、このDNAの過剰複製を誘導する機構は、ランダム変異誘発の増加による耐性の発達を補助し得る。 HCT−116細胞、H460細胞およびCalu−6細胞は全てDNA再複製を起こすが、OCI−Ly10細胞は起こさない(Milhollen et al., 2010)。 OCI−Ly10モデルにおいてNAEβ変異を検出することができたが、このことは、耐性変異体はMLN4924の作用機序にかかわらず発生し得ることを示唆している。 HCT−116細胞はDNAミスマッチ修復タンパク質のMLH1が欠失しており(Taverna et al., 2000)、これによりHCT−116細胞は、ゲノム不安定性が増加することによって、耐性変異をより起こし易くなっている可能性がある。 この主張は、これらの研究で使用される、DNA修復に同じ欠失を持たない他のものと比較した、HCT−116細胞株および異種移植片において検出される変異の数によって裏付けることができる。

    実施例6.
    NAEβのヌクレオチド結合ポケットおよびNEDD8結合間隙における変異は、MLN4924付加体の形成およびNAEβからの解離に影響を与える。

    NAEβおよび変異型酵素の生化学的な特徴付け

    材料
    [32P]−PPi(カタログ番号NEX019)、[α−32P]−ATP(カタログ番号BLU003H250UC)、および[α−32P]−ATP(カタログ番号BLU002250UC)を、パーキンエルマー社(米国マサチューセッツ州ボストン)から入手した。 他の化学物質はシグマ社から購入した。 N−MDYKDDDDK−NEDD8の配列を有する、N末端にFLAGタグを付けたNEDD8を、下記の通りに発現させて精製した(Soucy et al., 2009)。 タグを付けていないNEDD8並びにN15およびC13で標識したタグを付けていないNEDD8(NEDD8 )を、同様に発現させて精製した。 N末端にGSTタグを付けたUBC12を、下記の通りに発現させて精製した(Soucy et al., 2009)。 Hisタグを付けたNAEタンパク質(NAE1およびHisタグ付加NAEβのWTおよび変異体)をRosetta(DE3)細胞にクローン化し、複合体を大腸菌への共発現によって作製した。 発現されたタンパク質をアフィニティークロマトグラフィー(Ni−NTAアガロース、キアゲン社)または通常のクロマトグラフィーで精製した。 GSTタグ付加NAEタンパク質(NAE1およびGSTタグ付加NAEβのWTおよび変異型)を、Sf9細胞の共感染によって作製した(Soucy et al., 2009)。 GST−NAEタンパク質を、アフィニティークロマトグラフィー(グルタチオンセファロース4B、GEヘルスケア社)と続くHiTrap Q HP(GEヘルスケア社)により精製した。

    アッセイ
    生化学的特徴付けおよびIC 50決定を、Bruzzese, et al. ((2009) Anal. Biochem. 394:24−29)により開発された改良型ピロリン酸交換アッセイを用いて行った。 ATP−PPi交換反応を、50mMのHEPES(pH7.5)、25mMのNaCl、10mMのMgCl 、0.05%BSA、0.01%Tween−20および1mMのDTTを含有する緩衝液中で行った。 NEDD8を、10nMのNAE、1mMのATPおよび0.2mMのPPi(50cpm/pmolの[32P]PPi)を含有する96ウェルアッセイプレートに段階希釈して、NEDD8のK を決定した。 アッセイを、50μLの最終体積において37℃で30分間インキュベートし、10mMのPPiを含有する500μlの5%(w/v)トリクロロ酢酸(TCA)を添加して停止させた。 クエンチした反応物を、記載(Bruzzese, et al., 2009)の通りに、活性炭濾紙を備えたドットブロット装置に移した。 同様のアッセイ条件下でATPを96ウェルアッセイプレート中に段階希釈して、ATPのK を決定した。 今度は、NEDD8(WT、A171T/Dについては0.16μM、N209K、E204KおよびG201Vについては2.5μM)を添加して反応を開始した。 アッセイを37℃で30分間インキュベートした。 PPi滴定を、替わりにPPiを段階希釈し、1mMのATPを用いること以外は同様の条件下で行った。

    5nMのNAE、1mMのATPおよび0.2mMのPPi(50cpm/pmol[32P]PPi)を含む96ウェルアッセイプレート中に各化合物を段階希釈することにより、IC 50を決定した。 NEDD8(WT、A171T/Dについては0.16μM、N209K、E204KおよびG201Vについては2.5μM)を添加して反応を開始させた。 アッセイを50μLの最終体積で37℃で60分間インキュベートし、前述の通りに停止させた。

    酵素可逆性アッセイを、以前に記載された(Soucy et al., 2009, Brownell et al., 2010)、FLAG−NEDD8−GST−UBC12 HTRF SH基転移アッセイにおいて実行した。 希釈後の各酵素の最終濃度は、10pM WT NAEβ、12.5pM A171T NAEβ、30pM N209K NAEβ、および33pM E204K/G201V NAEβであった。

    SPR実験をBiacore S51装置(GEヘルスケア社、米国ニュージャージー州ピスカタウェイ)上で行った。 N末端GST標識化NAE酵素調製物を、抗GST抗体捕捉法(Chen, J., et al. (2011) J. Biol. Chem. 286:40867−40877に記載)を用いてセンサーチップ表面に固定化した。 SPRデータを、25℃で、90μL/分の流速を用いて、10mMのHEPES、150mMのNaCl、0.005%P−20(界面活性剤)、0.1mg/mLのBSA含有する試料泳動緩衝液(pH7.5)中で集めた。 全てのデータ収集(二連)および後の解析は、組換えGSTを対照として用いて行った。 結合および解離速度のデータを単一指数関数的増加式または減少式に当てはめた。 平衡親和結合データを、単一部位結合結合モデル(one−site binding model)を用いて当てはめた。

    結果
    組織培養またはインビボにおいて得られるMLN4924耐性細胞で検出されるNAEβ変異は、遺伝子の2つの領域、すなわちアラニン171およびNEDD8結合間隙内部またはその近位に存在する種々の残基におけるヌクレオチド結合ポケットに生じる(図9A)。 アラニン171における変異は、検出される変異のおよそ2/3がこの残基で生じているため、「ホットスポット」であると思われる。 A171T変異体およびA171D変異体の構造レンダリングは、MLN4924のインダン基および変異NAEβ内のより嵩の大きいトレオニン残基またはアスパラギン酸残基との衝突により、MLN4924の作用強度の減少が生じ得ることを示唆している(図9B)。 対照的に、NAEβのNEDD8結合領域内に存在する変異は、NEDD8および続いてMLN4924−NEDD8付加体の親和性に影響を与えると仮定される(図9B)。 これらの領域における変異の生化学的影響を理解するために、A171T、A171D、N209K、E204KまたはG201Vを示す組換え型酵素を、2種の変異の代表として構築した。 A171TまたはA171Dの構造モデリングはATP結合に対する影響を予測しなかったが、これらの変異はATPに対する親和性を弱めた。 しかし、NEDD8に対する親和性はA171に対する変異によってあまり大きな影響を受けなかった。 対照的に、NEDD8結合間隙(N209KおよびE204K)における変異は、ATPのK に対する影響を最小にしつつ、NEDD8のK を増加させた。 興味深いことに、G201Vにおける変異はATPおよびNEDD8の両方のK を増加させる。 PPiのK はこれらの変異のいずれによっても影響を受けなかった。 さらに、A171D変異体以外、NAE反応の触媒反応速度(kcat)は、これらの変異のいずれによってもほとんど影響を受けず、実際に、G201V変異体は野生型酵素よりも触媒作用的により活性が高いと思われる。

    MLN4924が、ヌクレオチド結合部位を占有し、NEDD8およびMLN4924間で共有結合付加体を形成することによって、NAEのNEDD8−NAEβチオエステル形態を阻害することが以前に示された(Brownell et al., 2010)。 WTおよび変異型酵素に対するMLN4924の阻害活性の影響を決定するために、1mMの濃度のATPを用いてPPi−ATPアッセイを行った。 興味深いことに、A171T変異体は、WT酵素と比較して作用強度においてわずか2倍の減少で、MLN4924により阻害され得た(表7および表8)。

    MLN4924は100μMの濃度までA171Dを阻害しなかったが、このことは、ヌクレオチド結合ポケットにおいて嵩が大きいアスパラギン酸残基がMLN4924の結合を妨害していることを示している。 MLN4924は、WT酵素と比較して、NEDD8結合間隙変異体に対して、およそ10倍活性が低かった。 構造的に類似したN6置換アデノシンスルファメートである、化合物1を、MLN4924との比較用に使用した(Brownell et al., 2010)。 ATP−PPiアッセイによる化合物1の作用強度は、A171T変異体に対しては7倍減少し、A171D変異体に対しては17,000倍減少した。 作用強度における顕著な減少が、NEDD8結合ポケット変異体において、化合物1によっても観察された。

    インビトロにおける酵素阻害のIC 50は観察されたMLN4924への耐性を完全には説明していなかったため、さらなる化合物の特徴付けを行って、酵素不活性化の速度および化合物阻害の可逆性を評価した。 A171D NAEβ変異体は、MLN4924阻害に対して完全に非感受性であったため、これらの研究で使用しなかった。 酵素−阻害剤複合体である、NEDD8−MLN4924またはNEDD8−Cpd1を酵素上に予め形成させ、精製し、UBC12 SH基転移反応に添加して、酵素活性の回復を測定した(図15A〜E)。 以前に報告されたように、MLN4924−NEDD8はWT NAEβに対して堅固に結合する阻害剤であり、その酵素活性は240分間でDMSO対照レベルのおよそ30%まで回復する。 対照的に、MLN4924阻害後の酵素活性の回復は、A171T、N209K、E204KおよびG201V変異体に対するDMSO対照のそれに類似していた。 これらのデータは、NEDD8−MLN4924付加体は、変異型酵素によって形成されはするが、もはや堅固に結合する阻害剤ではないことを示している。 化合物1−NEDD8付加体は、240分において酵素活性の検出可能な回復無しに、MLN4924−NEDD8付加体よりも堅固にWT NAEβに結合する。 さらに、化合物1−NEDD8付加体は、変異型NAE酵素全てのより堅固な結合剤であると思われ、このことは、MLN4924と比較して、化合物1が細胞における変異型酵素のより強力な阻害剤であり得ることを示唆している。 (結合速度の概要については表9を、解離の半減期については表10を参照されたい)

    A171T変異体およびN209K変異体の両方についてのMLN4924による酵素の不活性化の速度も、WT酵素および変異型酵素の不活性化の速度がMLN4924よりも速かった化合物1とは対照的に、WTと比較して劇的に低速化した(表11)。

    これらのデータは、NAEβにおける変異によって付与される耐性、すなわち、NEDD8−MLN4294付加体の不活性化速度の低下および解離速度の上昇を説明するための理論的根拠を与える。 MLN4924および化合物1はアデノシン基により大きなインダンN6置換を有する。 置換がないアデノシンスルファメートはA171T UBA3変異体に対するその作用強度を失わない。 ATP結合ポケット内の保存的アラニンにおける変異は、N 置換アデノシン(andenosine)スルファメート様阻害剤に対する耐性の機構として機能し得る。

    実施例7.
    NAEβに変異を有する細胞は、より低レベルのNEDD8−MLN4924付加体を形成し、経路活性の回復を増加させる。

    細胞培養の洗浄除去および免疫沈降解析
    HCT−116野生型、A171およびG201V細胞を、1μMまたは10μMのMLN4924またはDMSOのいずれかで1時間処理した。 細胞を培地で洗浄し薬剤を除去し、新鮮な培地と交換し、洗浄除去の0時間. 0.25時間、2時間および5時間後に回収した。 以前に報告された通りに細胞溶解液を調製した(Soucy et al., 2009)。 100μgの洗浄細胞溶解液を5μgのNAEβ抗体と一緒に氷上で1時間インキュベートした。 50μlの50%スラリーProtein G agarose(アップステート社)を加え、4℃で1時間回転させた。 試料をスピンダウンし、上清を取り出して新しい管(非結合画分)およびビーズを緩衝液で3回洗浄した。 50μlの2×試料緩衝液をビーズ(結合画分)に加え、試料をSDS PAGEゲル上で分画し、示されている通りに免疫ブロットした。 非結合分画のために、2μgの4924−NEDD8−ADS(MIL22)抗体および50μlの50%スラリーProtein A agarose(ピアス社)を用いて、上記の手順を繰り返す。

    結果
    HCT116変異型細胞株(A171TおよびG201V)をMLN4924処理の間および後に評価して、経路活性の回復に対するこれらの変異の影響を決定した。 細胞を1μMまたは10μMのMLN4924で1時間処理し、その後化合物を除去し、薬剤を含有しない培地で置換し、薬剤の洗浄除去後0分、30分、2時間または5時間の時点で細胞を回収した(図16A〜C)。 以前の知見(Brownell et al., 2010)と一致して、WT細胞のウエスタンブロット解析は、洗浄除去後に少なくとも5時間、1μMおよび10μMの両方で、NEDD8−カリン、NEDD8−UBC12の不完全な回復、およびNEDD8−MLN4924付加体レベルの持続を示した。 前記洗浄除去設定における経路阻害の延長は、2つのCRL基質、NRF−2およびCdt−1の増加の継続によって実証された。 対照的に、A171T変異型およびG201V変異型の両方の細胞株は、早くも洗浄除去の30分後に経路活性のほぼ完全な回復を示した。 興味深いことに、全NAEβのレベルが同様であるように思われても、WT細胞と比較して、2つの変異型細胞株が含有するNEDD8−MLN4924付加体の量は低減していると思われる。 これは、変異型酵素における、付加体形成の速度低下および付加体の結合能弱体の生化学的所見を裏付けるであろう。 少量のNEDD8−MLN4924付加体がNAEβに結合しているかどうかを決定するために、細胞を同じ洗浄除去の条件下で処理し、ただし、NAEβとの免疫沈降アッセイに供した(図17A〜C)。 免疫沈降において同様のレベルのNAEβおよびNAE1が検出されたが、このことは、NAEヘテロ二量体が細胞溶解液から効率的に抽出されたことを示している。 次に、WTと比較して、A171T変異型およびG201V変異型と結合しているより低いレベルを検出するMLN4924−NEDD8抗体で、免疫沈降物をプローブした。 変異型酵素は付加体を形成するが、付加体と堅固に結合しないため、NAEβに結合しているNEDD8−MLN4294付加体の量は、変異型にでなくWT酵素に結合している付加体から大部分は成る可能性が高い。 WT細胞と比較して、より高レベルの非結合型付加体が変異型細胞中に存在しているかどうかを決定するために、免疫沈降物からのフロースルーを、MLN4294−NEDD8付加体抗体でプローブした。 しかし、細胞中でNAEβから放出される場合の、変異型細胞に対する、WT細胞中の、付加体のタンパク質分解によるものであり得る遊離型付加体の量においては、差がないように思われた。 これらのデータは、細胞内の変異型NAEβの阻害後、経路活性が迅速に回復し、酵素に結合しているNEDD8−MLN4924付加体の量の低下と相関することを示している。

    生化学的アッセイおよび細胞系アッセイにおけるデータにより、酵素により堅固に結合することができたNEDD8−Cpd付加体が、MLN4924治療誘発性NAE変異への耐性を克服し得ることが示されるであろう。 この仮説を試験するために、生化学分析においてMLN4924と比較して、酵素阻害速度がより速く、回復速度がより遅かった化合物1を用いた。 HCT−116のWT細胞、A171T変異型細胞およびG201V変異型細胞を、漸増濃度の化合物1に4時間暴露し、経路活性をウェスタンブロッティングで評価した(図18A〜C)。 化合物1はUBA1も阻害するため、全ての細胞におけるUBC10(ユビキチンのE2)のユビキチン化およびポリユビキチン化の同程度の阻害を示せた。 MLN4924とは対照的に(図10参照)、化合物1は、WT細胞と比較して、G201V変異型細胞においてNAEβ−NEDD8、NEDD8−カリンおよびNEDD8−UBC12の同程度の阻害を生むことができたが、WTと比較して、A171T変異型細胞には中程度の減少があった。 これは、A171T生化学分析の化合物1で見られたより速い酵素活性回復を反映したものであり得る。 これらのデータは、向上した結合親和性を有するNEDD8−化合物が、特定されたNAEβ変異において観察される耐性を克服し得ることを示唆している。

    NAEβにおける治療誘発性変異が、ATP結合ポケットおよびNEDD8結合間隙で検出され、アラニン171におけるおよそ2/3が潜在的なホットスポットである可能性が示された。 両領域内の変異は一般にATPまたはNEDD8に対する親和性の変化をもたらすものであるが、これは、NAEの触媒反応速度に劇的な変化をもたらさなかった(A171DおよびG201Vの場合を除く)。 しかし、NAEβの両領域における変異は、酵素阻害の速度低下およびもはや堅固に結合していないMLN4924−NEDD8付加体をもたらす。 MLN4924−NEDD8付加体の形成がMLN4924による強力なNAE阻害に必要であること、並びに付加体の堅固な結合性質がインビトロおよび細胞での作用強度に必要であることが以前に示された(Brownell et al., 2010)。 この見解と一致して、細胞における経路阻害の低減および細胞洗浄除去実験における化合物阻害からのより迅速な回復が示された。 非選択的E1阻害剤(化合物1)を用いて、インビトロおよび細胞におけるより強力な酵素阻害の影響を探索した。 化合物1はインビトロでNEDD8と付加体を形成し、試験されたWT酵素およそ変異型酵素において、MLN4924と比較して、酵素阻害からの回復速度の低下を示す。 これらのデータは、化合物1−NEDD8付加体が、MLN4924と比較して、WT型NAEβ酵素および変異型NAEβ酵素のより堅固な結合剤であることを示している。 実際、A171T変異型およびG201V変異型のHCT−116細胞では、化合物1はMLN4924よりも、NEDD8−カリンおよびNEDD8−UBC12チオエステルレベルをより強力に阻害することができた。 これらのデータは、変異型酵素およびWT酵素に対する高親和性を有するNAE選択的化合物−NEDD8付加体が、細胞および腫瘍異種移植片における耐性を克服するはずであるという考えを裏付けるものである。 残念なことに、阻害が生存率への影響を生じ得る他のE1酵素に対して化合物1は非選択的であるため(Brownell et al., 2010)、細胞生存率実験または異種移植片実験においてこれを試験することはできなかった。

    実施例8.
    AML、結腸またはメラノーマ腫瘍試料から得られたDNAの配列決定からは、NAEβにおける既存の変異は検出されない。

    臨床的ヒト腫瘍試験
    AML:41の独特な悪性急性骨髄性白血病(AML)患者腫瘍(21の骨髄穿刺液および20の骨髄単核細胞)を、sequenom NAEβアッセイを用いて前臨床モデルに存在する変異について遺伝子型同定し、Illumina Next Generation Sequencingアッセイにより完全長遺伝子を配列決定した。 全ての試料がNAEβにおいて野生型であることが判った。 AML腫瘍は、新たに診断された、M1〜M5の診断・分類を有する再発患者を示した。 芽細胞腫瘍は2〜94%の範囲にカウントされた。

    対応したPBMCも配列決定し、野生型であることが判った。

    結腸:
    十分に分化していない、中程度に分化した、および十分に分化した、組織中10〜100%が腫瘍である、代表的な組織像を有する、独特な粘液性、S字状結腸腺癌の50の集合を、sequenom NAEβアッセイを用いて、前臨床モデルに存在する変異について遺伝子型同定し、Sanger法配列決定により完全長遺伝子を配列決定した。 全ての試料がNAEβにおいて野生型であることが判った。

    メラノーマ:
    組織中25〜100%が腫瘍である、独特な類上皮性、紡錘細胞型メラノーマ腺癌の25の集合を、sequenom NAEβアッセイを用いて、前臨床モデルに存在する変異について遺伝子型同定し、Sanger法配列決定により完全長遺伝子を配列決定した。 全ての試料がNAEβにおいて野生型であることが判った。

    結果
    NAEβにおける変異が、がん患者において検出可能であり、よってMLN4924治療の前に存在し得るかどうかを決定するために、50の結腸およびメラノーマ腫瘍試料から得られたDNA、並びに41のAML試料を、Sanger配列決定およびSequenom配列決定に供した(表12)。

    およそ10%の感度限界を有するSequenom法での方法によっても、NAEβ変異は検出されなかった。 検出の感度を上げるため、21のAML試料を、illuminaプラットフォームを用いてNAEβの次世代配列決定にかけたが、NAEβに変異は検出されなかった。 同様に、NAEβにおける「既存」の変異は、次世代配列決定によってWT HCT−116細胞、Calu−6細胞またはNCI−H460細胞に検出されなかった。 興味深いことに、一つのヘテロ接合性NAEB変異(アミノ酸変化G>Aから生じるC249Y)が、Cosmicデータベースにおいて、卵巣がん患者で報告されている(全218の腫瘍試料が試験された。Wellcome Trust Sanger Institute(イギリス、ケンブリッジ、ヒンクストン)によって管理されるCosmicデータベースに記録されるDistribution of Somatic Mutations in UBA3を参照されたい)。 この変異は、NAE1と結合するNAEβのある領域内に存在するため(Walden et al., 2003)、ヘテロ二量体形成および酵素活性に干渉し得る。 従って、患者腫瘍、白血病芽細胞またはがん細胞株から単離されたDNA内で、NAEβに既存の変異を検出することができなかった。

    これらの研究において、NAEβにヘテロ接合変異が検出されていることにより、細胞はNAEβの1つの野生型コピーを維持している。 NAEβにおける変異が耐性を促すことを確証的に証明するための重要なモデル系は、変異型酵素のみを発現し野生型酵素は発現しない、操作された細胞株であろう。 これまでに、そのようなモデル系の開発は成功していない。 野生型酵素が成長を支持するために必要であり、細胞および異種移植片におけるMLN4924によってWT酵素が一過性阻害の下にある場合に、変異型酵素の役割がNEDD8結合を可能とさせることである可能性がある。 細胞および異種移植片の個体群におけるNAEβの変異頻度は約50%であるため、約0.5%の頻度までNAEβ変異を検出することを可能にする質量分析法および次世代配列決定法を開発した。 細胞株、異種移植片または患者腫瘍のDNA試料に既存であったNAEβにおける変異を検出することができなかったが、このことは、選択過程の間に変異が獲得されたことを示唆している。 一塩基多型データベースの検索によって、ヒト個体群において報告された変異の存在は明らかにならなかったが、変異が腫瘍においてその0.5%より低い頻度で存在するという可能性を除外することはできない。 実際に、NAEβにおける変異は、卵巣がん試料のC249Yにおいて、COSMICデータベースで報告されている。 この残基は、NAE1との結合に関わるNAEβのある領域であるため(Walden et al., 2003)、これが恐らくはヘテロ二量体形成および酵素活性に干渉しているのであろう。

    実施例9.
    WT酵素およびA171T変異型酵素に対するNAE阻害剤の活性比較検討。

    方法
    実施例6に記載のHTRFアッセイでIC50測定を行った。 各酵素に対するアッセイを、ATPに対するそれらのK (野生型においては20μM、A171T変異型においては120μM)で行った。

    結果
    下記表13は、各阻害剤についてのIC50測定値を列挙している。 A271T/WTの約4倍未満の比率をもたらすこのリスト中の阻害剤は、およそ等効力である。 特定される化合物は、開示されている国際公開および米国特許出願公開の実施例を参照している。

    実施例10.
    さらなるE1酵素変異体

    ウシ未標識ユビキチン(カタログ番号U6253)を、シグマ社(米国ミズーリ州セントルイス)から購入した。 Bac−to−Bac Expression System(インビトロジェン社)を用いて、バキュロウイルスを作製した。 野生型およびA573D/T N末端His6−UBA6をSf9細胞の単感染によって作製した。 UAE A580Tの発現コンストラクトを、生化学的研究用のバキュロウイルスおよび細胞培養研究用の哺乳類発現ベクターの両方で作製した。 発現タンパク質を、記載(Soucy et al. (2009) Nature 458:732−736)の通りに、アフィニティクロマトグラフィー(Ni−NTAアガロース、キアゲン社)または従来のクロマトグラフィーによって精製した。 変異型UAE酵素を生化学用に精製し、哺乳類発現コンストラクトを、変異体を発現するそれらの能力について確認した。 精製したNEDD8−化合物付加体を作製し、記載(Chen, J., et al. (2011) J. Biol. Chem. 286:40867−40877)の通りに精製した。

    Uba6生化学反応について、実施例6と同様のアッセイ条件を使用した。 未標識ユビキチン滴定のために、E1緩衝液(上記)中に15nMのUba6、1mMのATP、0.2mMのPPi(50CPM/pmole[ 32 P PPi)を含有する反応物を、30℃で30分間インキュベートし、その後10mMのPPiを含有する5%(w/v)トリクロロ酢酸(TCA)で停止させ、記載(Bruzzese, et al., 2009)の通りに処理した。 ユビキチンを4μMに固定した以外は同様の条件下で、ATPおよびPPi滴定を実行した。 ユビキチンはより高い濃度では阻害性であったため、阻害のトップポイントを推定K 適合から除外した。 k cat値を、1mMのATP、0.2mMのATP、4μMのユビキチンの最適条件でのPPi−ATP交換反応の速度から、[α− 32 P]ATP検量線を用いて、算出した。

    5nMのUba6、1mMのATPおよび0.2mMのPPi(50cpm/pmol[ 32 P]PPi)を含む96ウェルアッセイプレート中に各化合物を段階希釈することにより、IC 50を決定した。 4μMのユビキチンを添加して反応を開始させた。 アッセイを50μLの最終体積で30℃で60分間インキュベートし、以前に報告された通りに(Bruzzese, et al., 2009)停止および処理した。

    UBA6変異体の生化学的検討の結果を表14にまとめる。 UBA6変異体に対するE1酵素阻害剤の作用強度についてのアッセイの結果を、表15にまとめる。

    UBA3 A171置換と同様、巨大なN6置換(すなわち、嵩のある基、例えば、ヘテロアリールのアミノ置換基から遊離したインダン(例えば、プリン))を有するアデノシン−スルファメート様阻害剤(例えば、MLN4924および化合物1)は、類似の位置A573に変異を有する変異型UBA6酵素において、作用強度を失った。 巨大な置換を持たない化合物(例えば、アデノシンスルファメート)は、それ程作用強度を失わなかった。

    実施例11.
    基本手順

    E1酵素の作製
    製造会社の説明書に従って、以下のタンパク質:タグ無しNAEα(APPBP1;NP_003896.1)、N末端HisタグNAEβ(UBE1C;NP_003959.3)、タグ無しSAEα(SAE1;NP_005491.1)、N末端HisタグSAEβ(UBA2;NP_005490.1)、N末端HisタグマウスUAE(UBE1X;NP_033483)用に、Bac−to−Bac Expression System(インビトロジェン社)を用いてバキュロウイルスを作製する。 NAEα/His−NAEβ複合体およびSAEα/His−SAEβ複合体をSf9細胞の同時感染によって作製し、それを48時間後に回収する。 His−mUAEをSf9細胞の単感染によって作製し、72時間後に回収する。 標準的な緩衝液を用いるアフィニティークロマトグラフィー(Ni−NTAアガロース、キアゲン社)によって、発現タンパク質を精製する。

    E2酵素の作製
    UBC12(UBE2M;NP_003960.1)、UBC9(UBE2I;NP_003336.1)、UBC2(UBE2A;NP_003327.2)を、pGEX(ファルマシア社)にサブクローニングし、大腸菌内でN末端GSTタグ融合タンパク質として発現させる。 標準的な緩衝液を用いる従来のアフィニティークロマトグラフィーによって発現タンパク質を精製する。

    Ublタンパク質の作製
    NEDD8(NP_006147)、Sumo−1(NP_003343)およびユビキチン(最適化コドンを有する)を、pFLAG−2(シグマ社)にサブクローニングし、大腸菌内でN末端Flagタグ融合タンパク質として発現させる。 標準的な緩衝液を用いる従来のクロマトグラフィーによって発現タンパク質を精製する。

    E1酵素アッセイ
    NEDD8活性化酵素(NAE)のHTRFアッセイ

    NAE酵素反応は計50μLであり、50mMのHEPES(pH7.5)、0.05%BSA、5mMのMgCl 、20μMのATP、250μMのGSH、0.01μMのUBC12−GST、0.075μMのNEDD8−Flagおよび0.28nMの組換えヒトNAE酵素を含有する。 酵素反応混合物を、化合物阻害剤と共に、およびそれ無しで、384ウェルプレート中で、24℃で90分間インキュベートし、その後、25μLの停止/検出緩衝液(0.1MのHEPES(pH7.5)、0.05%トウィーン20、20mMのEDTA、410mMのKF、0.53nMのユウロピウムクリプテート標識モノクローナル抗FLAG M2抗体(シスバイオ・インターナショナル社)、および8.125μg/mLのPHYCOLINKヤギ抗GSTアロフィコシアニン(XL−APC)抗体(プロザイム社(Prozyme)))で停止させる。 24℃、3時間のインキュベーション後、Analyst(商標)HT96.384(モレキュラーデバイス社)でFRETの定量化を行う。

    SAE酵素反応を、UBC12−GSTおよびNEDD8−Flagがそれぞれ0.01μMのUBC9−GSTおよび0.125μMのSumo−Flagによって置き換えられ、ATPの濃度が0.5μMである以外は、NAEにおいての上記の通りに行う。 組換えヒトSAE(0.11nM)は酵素の供給源である。

    UAE酵素反応を、UBC12−GSTおよびNEDD8−Flagがぞれぞれ0.005μMのUBC2−GSTおよび0.125μMのユビキチン−Flagによって置き換えられ、ATPの濃度が0.1μMである以外は、NAEにおいての上記の通りに行う。 組換えマウスUAE(0.3nM)は酵素の供給源である。

    抗増殖アッセイ(WST)
    10%ウシ胎児血清(インビトロジェン社)を添加した80μLの適切な細胞培地(Calu6用のMEM、インビトロジェン社)中のCalu−6(2400/ウェル)または他の腫瘍細胞を、96ウェル細胞培養プレートのウェル中に播種し、組織培養恒温器内で24時間インキュベートする。 化合物阻害剤を20μL培地に含ませてウェルに添加し、そのプレートを37℃で72時間インキュベートする。 10%最終濃度のWST−1試薬(ロシュ社)を各ウェルに添加し、3.5時間(Calu6用)37℃でインキュベートする。 各ウェルの吸光度を、分光光度計(モレキュラーデバイス社)を用いて450nmで測定する。 100%生存率に設定されるDMSO対照からの値を用いて、阻害%を算出する。

    抗増殖アッセイ(ATPLite)
    Calu−6(1500細胞/ウェル)または他の腫瘍細胞を、384ウェルPoly−D−リジンコート細胞培養プレートのウェル内の10%ウシ胎児血清(インビトロジェン社)を添加した72μLの適切な細胞培地(Calu6用MEM、インビトロジェン社)中に播種する。 化合物阻害剤を8μLの10%DMSO/PBSに含ませてウェルに添加し、プレートを37℃で72時間インキュベートする。 細胞培地を吸引し、25μLを各ウェルに残す。 25μLのATPlite 1step(商標)試薬(パーキンエルマー社)を各ウェルに添加する。 各ウェルにおける発光を、LeadSeekerマイクロプレートリーダー(モレキュラーデバイス社)を用いて測定する。 100%生存率に設定されるDMSO対照からの値を用いて、阻害%を算出する。

    インビボアッセイ

    インビボ腫瘍効能モデル
    100μLのリン酸緩衝食塩水中のCalu6(5×10 細胞)、HCT116(2×10 細胞)または他の腫瘍細胞を、26ゲージ針を用いて雌Ncrヌードマウス(5〜8週齢、チャールスリバー)の右背側側腹部の皮下腔に無菌注射する。 播種から7日後から開始して、ノギスを用いて腫瘍を週2回測定する。 標準的な手順(0.5×(長さ×幅 ))を用いて腫瘍体積を算出する。 腫瘍がおよそ200mm の体積に達したら、マウスを無作為にグループ分けして、様々な投与量および投与スケジュールで化合物阻害剤(100μL)を尾静脈に静脈内注射する。 あるいは、化合物阻害剤は腹腔内注射または皮下注射または経口投与でマウスに送達してもよい。 全ての対照群はビヒクル単独を与えられる。 腫瘍のサイズおよび体重を週2回測定し、対照腫瘍がおよそ2000mm に達したら研究を終了させる。

    本明細書で参照される特許および科学文献は、当業者が利用できる知識を確立する。 別段の定めがない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者により共通に理解されるものと同じ意味を有する。 本明細書で引用される交付済み特許、出願、および参考文献は、それぞれが参照によって組み入れられたことを具体的および個々に示された場合と同じ程度に、参照によって本明細書に組み入れられる。 不一致がある場合、本開示が、定義も含めて、優先される。

    本発明のいくつかの実施形態を記載したが、提供した基本例を変更することで、本発明の化合物および方法を利用する他の実施形態を得てもよいことは明らかである。 従って、本発明の範囲が、本明細書においては例として示されており、特定の実施形態に限定することを意図したものではなく、むしろ添付の請求項によって定義されるものであることは理解されよう。

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