Fermentative production of the four-carbon alcohol

申请号 JP2008537902 申请日 2006-10-25 公开(公告)号 JP5276986B2 公开(公告)日 2013-08-28
申请人 ビュータマックス・アドバンスド・バイオフューエルズ・エルエルシー; 发明人 ドナルドソン,ゲイル・ケイ; エリオツト,アンドリユー・シー; フリント,デニス; マツジオ−ホール,ロリ・アン; ナガラジヤン,バサンサ;
摘要 Methods for the fermentative production of four carbon alcohols is provided. Specifically, butanol, preferably isobutanol is produced by the fermentative growth of a recombinant bacterium expressing an isobutanol biosynthetic pathway.
权利要求
  • i)ピルビン酸からアセト乳酸へ(経路ステップa)、
    ii)アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸へ(経路ステップb)、
    iii)2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸からα−ケトイソ吉草酸へ(経路ステップc)、 および
    iv)α−ケトイソ吉草酸からイソブチルアルデヒドへ(経路ステップd)
    基質から産物への変換を触媒するポリペプチドをコードする、 異種 DNA分子を含んでなる組換え微生物宿主細胞であって 、前記微生物宿主細胞がイソブタノールを生成する組換え微生物宿主細胞 において、
    a)ピルビン酸からアセト乳酸への基質から産物への変換を触媒するポリペプチドがアセト乳酸シンターゼであり、
    b)アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸への基質から産物への変換を触媒するポリペプチドが、アセトヒドロキシ酸イソメロレダクターゼであり、
    c)2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸からα−ケトイソ吉草酸への基質から産物への変換を触媒するポリペプチドが、アセトヒドロキシ酸デヒドラターゼであり、そして
    d)α−ケトイソ吉草酸からイソブチルアルデヒドへの基質から産物への変換を触媒するポリペプチドが、分枝α−ケト酸脱炭酸酵素である、
    ことを特徴とする組換え微生物宿主細胞
  • i)ピルビン酸からアセト乳酸へ(経路ステップa)、
    ii)アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸へ(経路ステップb)、
    iii)2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸からα−ケトイソ吉草酸へ(経路ステップc)、 および
    iv)α−ケトイソ吉草酸からイソブチリル−CoAへ(経路ステップf)、
    v)イソブチリル−CoAからイソブチルアルデヒドへ(経路ステップg)
    基質から産物への変換を触媒するポリペプチドをコードする、 異種 DNA分子を含んでなる組換え微生物宿主細胞であって 、前記微生物宿主細胞がイソブタノールを生成する組換え微生物宿主細胞 において、
    a)ピルビン酸からアセト乳酸への基質から産物への変換を触媒するポリペプチドがアセト乳酸シンターゼであり、
    b)アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸への基質から産物への変換を触媒するポリペプチドが、アセトヒドロキシ酸イソメロレダクターゼであり、
    c)2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸からα−ケトイソ吉草酸への基質から産物への変換を触媒するポリペプチドが、アセトヒドロキシ酸デヒドラターゼであり、
    d)α−ケトイソ吉草酸からイソブチリル−CoAへの基質から産物への変換を触媒するポリペプチドが、分枝ケト酸デヒドロゲナーゼであり、そして
    e)イソブチリル−CoAからイソブチルアルデヒドへの基質から産物への変換を触媒するポリペプチドが、アシル化アルデヒドデヒドロゲナーゼである、
    ことを特徴とする組換え微生物宿主細胞
  • i)ピルビン酸からアセト乳酸へ(経路ステップa)、
    ii)アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸へ(経路ステップb)、
    iii)2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸からα−ケトイソ吉草酸へ(経路ステップc)、
    iv)α−ケトイソ吉草酸からバリンへ(経路ステップh)、
    v)バリンからイソブチルアミンへ(経路ステップi)、 および
    vi)イソブチルアミンからイソブチルアルデヒドへ(経路ステップj)
    基質から産物への変換を触媒するポリペプチドをコードする、 異種 DNA分子を含んでなる組換え微生物宿主細胞であって 、前記微生物宿主細胞がイソブタノールを生成する組換え微生物宿主細胞 において、
    a)ピルビン酸からアセト乳酸への基質から産物への変換を触媒するポリペプチドがアセト乳酸シンターゼであり、
    b)アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸への基質から産物への変換を触媒するポリペプチドが、アセトヒドロキシ酸イソメロレダクターゼであり、
    c)2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸からα−ケトイソ吉草酸への基質から産物への変換を触媒するポリペプチドが、アセトヒドロキシ酸デヒドラターゼであり、
    d)α−ケトイソ吉草酸からバリンへの基質から産物への変換を触媒するポリペプチドが、アミノ基転移酵素であり、
    e)バリンからイソブチルアミンへの基質から産物への変換を触媒するポリペプチドが、バリン脱炭酸酵素であり、そして
    f)イソブチルアミンからイソブチルアルデヒドへの基質から産物への変換を触媒するポリペプチドが、ωアミノ基転移酵素である、
    ことを特徴とする組換え微生物宿主細胞
  • さらに、イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの基質から産物への変換(経路ステップe)を触媒するポリペプチドをコードする、異種DNA分子を含んでなり、前記ポリペプチドが、分枝アルコールデヒドロゲナーゼである請求項1〜3のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  • 細胞が、細菌、シアノ細菌、糸状菌、および酵母よりなる群から選択される請求項1 3のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  • 細胞が、クロストリジウム(Clostridium)、ザイモモナス(Zymomonas)、エシェリキア(Escherichia)、サルモネラ(Salmonella)、ロドコッカス(Rhodococcus)、シュードモナス(Pseudomonas)、バシラス(Bacillus)、乳酸桿菌(Lactobacillus)、腸球菌(Enterococcus)、アルカリゲネス(Alcaligenes)、クレブシエラ(Klebsiella)、パエニバシラス(Paenibacillus)、アルスロバクター(Arthrobacter)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)、ピチア(
    Pichia)、カンジダ(Candida)、ハンゼヌラ(Hansenula)、およびサッカロミセス(Saccharomyces)よりなる群から選択される属の一員である請求項 に記載の宿主細胞。
  • 細胞が大腸菌(Escherichia coli)、アルカリゲネス・ユートロファス(Alcaligenes eutrophus)、バシラス・リチェニホルミス(Bacillus licheniformis)、パエニバシラス・マセランス(Paenibacillus macerans)、ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、枯草菌(Bacillus subtilis)、ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、エンテロコッカス・ガリナラム(Enterococcus gallinarum)、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)およびサッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)よりなる群から選択される請求項 に記載の宿主細胞。
  • アセト乳酸シンターゼが、配列番号2、配列番号178、および配列番号180よりなる群から選択されるアミノ酸配列を有する請求項 1〜3のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  • アセトヒドロキシ酸イソメロレダクターゼが、配列番号43、配列番号181、配列番号183、および配列番号185よりなる群から選択されるアミノ酸配列を有する請求項 1〜3のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  • アセトヒドロキシ酸デヒドラターゼが、配列番号6、配列番号186、配列番号188、および配列番号190よりなる群から選択されるアミノ酸配列を有する請求項 1〜3のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  • 分枝アルコールデヒドロゲナーゼが、配列番号10、配列番号199、配列番号201、配列番号203、および配列番号204よりなる群から選択されるアミノ酸配列を有する請求項 に記載の宿主細胞。
  • 分枝α−ケト酸脱炭酸酵素が、配列番号8、配列番号193、配列番号195、および配列番号197よりなる群から選択されるアミノ酸配列を有する請求項 に記載の宿主細胞。
  • 分枝ケト酸デヒドロゲナーゼが4つのサブユニットを含んでなり、前記サブユニットのアミノ酸配列が、配列番号214、配列番号216、配列番号218、配列番号220、配列番号210、配列番号208、配列番号206、および配列番号212よりなる群から選択される請求項 に記載の宿主細胞。
  • アシル化アルデヒドデヒドロゲナーゼが、配列番号222、配列番号224、配列番号226、配列番号228、および配列番号230よりなる群から選択されるアミノ酸配列を有する請求項 に記載の宿主細胞。
  • アミノ基転移酵素が、配列番号232、配列番号234、配列番号236、配列番号238、および配列番号240よりなる群から選択されるアミノ酸配列を有する請求項に 記載の宿主細胞。
  • バリンデヒドロゲナーゼが、配列番号242および配列番号244よりなる群から選択されるアミノ酸配列を有する請求項 に記載の宿主細胞。
  • バリン脱炭酸酵素が配列番号246で示されるアミノ酸配列を有する請求項 に記載の宿主細胞。
  • ωアミノ基転移酵素が、配列番号248、配列番号250、配列番号252、および配列番号254よりなる群から選択されるアミノ酸配列を有する請求項 に記載の宿主細胞。
  • 宿主細胞が通性嫌気性菌である請求項1 〜3のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  • 1)請求項1〜 19のいずれか1項に記載の組換え微生物宿主細胞を提供するステップと、
    2)イソブタノールが生成される条件下において発酵培地中で上記の宿主細胞を発酵性炭素基質と接触させるステップとを含む、イソブタノールの製造方法。
  • 発酵性炭素基質が、単糖類、オリゴ糖類、および多糖類よりなる群から選択される請求項 20に記載の方法。
  • 炭素基質が、グルコース、スクロース、およびフルクトースよりなる群から選択される請求項 20に記載の方法。
  • それによってイソブタノールが生成される条件が嫌気性である請求項 20に記載の方法。
  • それによってイソブタノールが生成される条件が微好気性である請求項 20に記載の方法。
  • 宿主細胞を最少培地中で炭素基質に接触させる、請求項 20に記載の方法。
  • 請求項 1〜19のいずれか一項に記載の組換え微生物宿主細胞を含むイソブタノール含有発酵培地。
  • 说明书全文

    関連出願の相互参照

    本出願は、米国特許法第119条に基づき、2005年10月26日に出願された米国仮特許出願第60/730290号明細書からの優先権を主張する。

    本発明は、工業生物学分野およびアルコールの生成に関する。 より具体的には、組換え微生物の工業発酵を通じてイソブタノールが生成される。

    ブタノールは重要な工業化学物質であり、燃料添加剤として、プラスチック工業における原材料化学物質として、および食物および香料工業における食物等級抽出剤として有用である。 毎年、100〜120億ポンドのブタノールが石油化学的手段によって生産され、この汎用化学物質に対する需要は増大すると思われる。

    オキソ合成法、一酸化炭素の触媒的素付加(非特許文献1)、およびメタノールとn−プロパノールとのゲルベ縮合(非特許文献2)などのイソブタノールの化学合成法が知られている。 これらの方法は石油化学物質に由来する出発原料を使用し、一般に高価であり環境を損なう。 植物由来原料からのイソブタノール生成は、温室効果ガス排出を最小化して当該技術分野における進歩に相当する。

    イソブタノールは、酵母発酵の副産物として生物学的に生成される。 これは「フーゼル油」の構成要素であり、この真菌群によってアミノ酸の不完全な代謝の結果として形成される。 イソブタノールは具体的には、L−バリンの異化作用から生成される。 L−バリンのアミン基を窒素源として収集した後に得られるα−ケト酸は、いわゆるエールリッヒ経路の酵素によって脱炭酸されてイソブタノールに還元される(非特許文献3)。 飲料発酵中に達成されるフーゼル油および/またはその構成要素の収率は、典型的に低い。 例えばビール発酵中に生成するイソブタノール濃度は、百万分の16未満と報告されている(非特許文献4)。 発酵への外来性L−バリンの添加は、(非特許文献3)で述べられるようにイソブタノール収率を増大させ、発酵中に濃度20g/LのL−バリンを提供することで、3g/Lのイソブタノール収率が得られると報告されている。 しかし原材料としてのバリンの使用は、工業規模でのイソブタノール生産にはけた違いの費用がかかる。 糖からの直接のイソブタノールの生合成は経済的に実行可能であり、当該技術分野における進歩に相当する。 イソブタノールを生成するようにデザインされた組換え微生物は、報告されていない。

    「ウルマンの工業化学百科事典(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry)」、第6版、第5巻、716〜719頁、Wiley−VCH Verlag GmbH and Co. 、ワインハイム(Weinheim)、ドイツ、2003年 カルリーニ(Carlini)ら、J. Mol. Catal. A:Chem. 220:215〜220頁、2004年 ディキンソン(Dickinson)ら、J. Biol. Chem. 273(40):25752〜25756頁、1998年 ガルシア(Garcia)ら、Process Biochemistry 29:303〜309頁、1994年

    したがって単一産物としてのイソブタノールを生成するための、環境的に責任を持てる、対費用効果の高い方法に対する必要性が存在する。 本発明は、イソブタノール生合成経路を発現する組換え微生物産生宿主の提供を通じて、この必要性に対処する。

    本発明は、改変されたイソブタノール生合成経路を有する組換え微生物を提供する。 改変された微生物をイソブタノールの商業的生成のために使用してもよい。 したがって一実施例で、本発明は、
    i)ピルビン酸からアセト乳酸へ(経路ステップa)、
    ii)アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸へ(経路ステップb)、
    iii)2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸からα−ケトイソ吉草酸へ(経路ステップc)、
    iv)α−ケトイソ吉草酸からイソブチルアルデヒドへ(経路ステップd)、およびv)イソブチルアルデヒドからイソブタノールへ(経路ステップe)
    よりなる群から選択される、基質から産物への変換を触媒するポリペプチドをコードする少なくとも1つのDNA分子を含んでなる組換え微生物宿主細胞を提供し、少なくとも1つのDNA分子は前記微生物宿主細胞に対して異種であり、前記微生物宿主細胞はイソブタノールを生成する。

    別の実施態様では、本発明は、
    i)ピルビン酸からアセト乳酸へ(経路ステップa)、
    ii)アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸へ(経路ステップb)、
    iii)2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸からα−ケトイソ吉草酸へ(経路ステップc)、
    iv)α−ケトイソ吉草酸からイソブチリル−CoAへ(経路ステップf)、
    v)イソブチリル−CoAからイソブチルアルデヒドへ(経路ステップg)、およびvi)イソブチルアルデヒドからイソブタノールへ(経路ステップe)
    よりなる群から選択される基質から産物への変換を触媒するポリペプチドをコードする、少なくとも1つのDNA分子を含んでなる組換え微生物宿主細胞を提供し、
    少なくとも1つのDNA分子は前記微生物宿主細胞に対して異種であり、前記微生物宿主細胞はイソブタノールを生成する。

    別の実施態様では、本発明は、
    i)ピルビン酸からアセト乳酸へ(経路ステップa)、
    ii)アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸へ(経路ステップb)、
    iii)2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸からα−ケトイソ吉草酸へ(経路ステップc)、
    iv)α−ケトイソ吉草酸からバリンへ(経路ステップh)、
    v)バリンからイソブチルアミンへ(経路ステップi)、
    vi)イソブチルアミンからイソブチルアルデヒドへ(経路ステップj)、およびvii)イソブチルアルデヒドからイソブタノールへ(経路ステップe)
    よりなる群から選択される、基質から産物への変換を触媒するポリペプチドをコードする少なくとも1つのDNA分子を含んでなる組換え微生物宿主細胞を提供し、
    少なくとも1つのDNA分子は前記微生物宿主細胞に対して異種であり、前記微生物宿主細胞はイソブタノールを生成する。

    別の実施態様では、本発明は、
    1)i)ピルビン酸からアセト乳酸へ(経路ステップa)、
    ii)アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸へ(経路ステップb)、
    iii)2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸からα−ケトイソ吉草酸へ(経路ステップc)、
    iv)α−ケトイソ吉草酸からイソブチルアルデヒドへ(経路ステップd)、およびv)イソブチルアルデヒドからイソブタノールへ(経路ステップe)
    よりなる群から選択される基質から産物への変換を触媒するポリペプチドをコードして、少なくとも1つのDNA分子を含んでなる組換え微生物宿主細胞を提供するステップと、
    2)イソブタノールが生成される条件下において発酵培地中で(i)の宿主細胞を発酵性炭素基質と接触させるステップとを含んでなり、少なくとも1つのDNA分子が前記微生物宿主細胞に対して異種である、イソブタノールの製造方法を提供する。

    別の実施態様では、本発明は、
    1)i)ピルビン酸からアセト乳酸へ(経路ステップa)、
    ii)アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸へ(経路ステップb)、
    iii)2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸からα−ケトイソ吉草酸へ(経路ステップc)、
    iv)α−ケトイソ吉草酸からイソブチリル−CoAへ(経路ステップf)、
    v)イソブチリル−CoAからイソブチルアルデヒドへ(経路ステップg)、およびvi)イソブチルアルデヒドからイソブタノールへ(経路ステップe)
    よりなる群から選択される基質から産物への変換を触媒するポリペプチドをコードする、少なくとも1つのDNA分子を含んでなる組換え微生物宿主細胞を提供するステップと、
    2)イソブタノールが生成される条件下において発酵培地中で(i)の宿主細胞を発酵性炭素基質と接触させるステップとを含んでなり、少なくとも1つのDNA分子が前記微生物宿主細胞に対して異種である、イソブタノールの製造方法を提供する。

    別の実施態様で、本発明は、
    1)i)ピルビン酸からアセト乳酸へ(経路ステップa)、
    ii)アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸へ(経路ステップb)、
    iii)2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸からα−ケトイソ吉草酸へ(経路ステップc)、
    iv)α−ケトイソ吉草酸からバリンへ(経路ステップh)、
    v)バリンからイソブチルアミンへ(経路ステップi)、
    vi)イソブチルアミンからイソブチルアルデヒドへ(経路ステップj)、およびvii)イソブチルアルデヒドからイソブタノールへ(経路ステップe)
    よりなる群から選択される基質から産物への変換を触媒するポリペプチドをコードする、少なくとも1つのDNA分子を含んでなる組換え微生物宿主細胞を提供するステップと、
    2)イソブタノールが生成される条件下において発酵培地中で(i)の宿主細胞を発酵性炭素基質と接触させるステップとを含んでなり、少なくとも1つのDNA分子が前記微生物宿主細胞に対して異種である、イソブタノールの製造方法を提供する。

    代案の実施態様では、本発明は、本発明の方法によって生成されるイソブタノールを含有する発酵酵培地を提供する。

    配列説明 本願明細書の一部を形成する次の詳細な説明および添付の配列説明によって、本発明をより完全に理解できるであろう。

    以下の配列は、37C. F. R. 1.821〜1.825(「ヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列開示を含む特許出願の要件−配列規則」)を満たし、世界知的所有権機関(WIPO)標準ST. 25(1998年)およびEPOおよびPCTの配列表要件(規則5.2および49.5(aの2)、および実施細則第208号および附属書C)に一致する。 ヌクレオチドおよびアミノ酸配列データのために使用される記号およびフォーマットは、37C. F. R. §1.822で述べられる規則に従う。

    配列番号11〜38、40〜69、72〜75、85〜138、144、145、147〜157、159〜176は、ここで述べられる実施例で使用されるオリゴヌクレオチドクローニング、スクリーニングまたは配列決定プライマーのヌクレオチド配列である。

    配列番号39は、実施例16で述べられるcscBKA遺伝子クラスターのヌクレオチド配列である。

    配列番号70は、実施例13で述べられるグルコースイソメラーゼプロモーター1.6GIのヌクレオチド配列である。

    配列番号71は、実施例13で述べられる1.5GIプロモーターのヌクレオチド配列である。

    配列番号76は、実施例17で述べられるGPDプロモーターのヌクレオチド配列である。

    配列番号77は、実施例17で述べられるCYC1ターミネーターのヌクレオチド配列である。

    配列番号79は、実施例17で述べられるFBAプロモーターのヌクレオチド配列である。

    配列番号81は、実施例17で述べられるADH1プロモーターのヌクレオチド配列である。

    配列番号82は、実施例17で述べられるADH1ターミネーターのヌクレオチド配列である。

    配列番号84は、実施例17で述べられるGPMプロモーターのヌクレオチド配列である。

    配列番号139は、スクロース加水分解酵素(CscA)のアミノ酸配列である。

    配列番号140は、D〜フルクトキナーゼ(CscK)のアミノ酸配列である。

    配列番号141は、スクロースパーミアーゼ(CscB)のアミノ酸配列である。

    配列番号142は、実施例20で述べられるプラスミドpFP988DssPspacのヌクレオチド配列である。

    配列番号143は、実施例20で述べられるプラスミドpFP988DssPgroEのヌクレオチド配列である。

    配列番号146は、実施例20で述べられるpFP988Dssベクター断片のヌクレオチド配列である。

    配列番号177は、実施例21で述べられるpFP988組み込みベクターのヌクレオチド配列である。

    配列番号267は、実施例21で述べられるプラスミドpC194のヌクレオチド配列である。

    本発明は、組換え微生物を使用したイソブタノール生成方法に関する。 本発明は、いくつかの商業的および工業的ニーズを満たす。 ブタノールは多様な用途がある重要な汎用工業化学物質であり、燃料または燃料添加剤としてのその可能性は特に顕著である。 四炭素のみのアルコールでありながら、ブタノールはガソリンに類するエネルギー含量を有してあらゆる化石燃料と混合できる。 ブタノールを標準内燃機関内で燃焼させるとCO のみが生じ、微量または皆無のSO またはNO しか生じないないので、それは燃料または燃料添加剤として好まれている。 さらにブタノールは、今までのところ最も好ましい燃料添加剤であるエタノールよりも腐食性が低い。

    生物燃料または燃料添加剤としてのその有用性に加えて、ブタノールは、新興の燃料電池産業における水素流通問題に影響を及ぼす可能性を有する。 今日の燃料電池は、水素輸送および流通に関連した安全性への懸念に悩まされている。 ブタノールはその水素含量を容易に改善でき、既存の給油所を通じて、燃料電池または車両のいずれかのために必要な純度で流通させることができる。

    最後に本発明は、植物由来炭素源からイソブタノールを生成し、ブタノール生成のための標準石油化学法に関連する環境への悪影響を回避する。

    次の定義および略語が、特許請求の範囲および明細書の解釈のために使用される。

    「発明」または「本発明」という用語は、ここでの用法では非限定的用語であり、特定の発明のいかなる単一実施態様を指すことも意図されず、明細書および特許請求の範囲で述べられるような全ての可能な実施態様を包含する。

    「イソブタノール生合成経路」という用語は、イソブタノールを生成する酵素経路を指す。

    「アセト乳酸シンターゼ」および「アセト乳酸合成酵素」という用語は、ここで同義的に使用され、ピルビン酸からアセト乳酸およびCO への変換を触媒する酵素を指す。 好ましいアセト乳酸シンターゼは、EC番号2.2.1.69(「酵素命名法(Enzyme Nomenclature)」Academic Press、San Diego、1992年)で知られている。 これらの酵素は、枯草菌(Bacillus subtilis)(ジェンバンク番号CAB15618(配列番号178)、Z99122(配列番号78)、NCBI(国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information))アミノ酸配列、NCBIヌクレオチド配列、それぞれ)、炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)(ジェンバンク番号AAA25079(配列番号2)、M73842(配列番号1))、およびラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)(ジェンバンク番号AAA25161(配列番号180)、L16975(配列番号179))をはじめとするが、これに限定されるものではない、いくつかの供給源から入手できる。

    「アセトヒドロキシ酸イソメロレダクターゼ」および「アセトヒドロキシ酸レダクトイソメラーゼ」という用語は、ここで同義的に使用され、電子供与体としてNADPH(還元ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)を使用して、アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸への変換を触媒する酵素を指す。 好ましいアセトヒドロキシ酸イソメロレダクターゼはEC番号1.1.1.86で知られ、配列は、大腸菌(Escherichia coli)(ジェンバンク番号NP_418222(配列番号4)、NC_000913(配列番号3))、サッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)(ジェンバンク番号NP_013459(配列番号181)、NC_001144(配列番号80))、メタノコッカス・マリパルディス(Methanococcus maripaludis)(ジェンバンク番号CAF30210(配列番号183)、BX957220(配列番号182))、およびバシラス(Bacillus). subtilis(ジェンバンク番号CAB14789(配列番号185)、Z99118(配列番号184))をはじめとするが、これに限定されるものではないありとあらゆる微生物から入手できる。

    「アセトヒドロキシ酸デヒドラターゼ」という用語は、2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸からα−ケトイソ吉草酸への変換を触媒する酵素を指す。 好ましいアセトヒドロキシ酸デヒドラターゼは、EC番号4.2.1.9で知られている。 これらの酵素は、大腸菌(E.coli)(ジェンバンク番号YP_026248(配列番号6)、NC_000913(配列番号5))、S. セレヴィシエ(cerevisiae)(ジェンバンク番号NP_012550(配列番号186)、NC_001142(配列番号83))、M. マリパルディス(maripaludis)(ジェンバンク番号CAF29874(配列番号188)、BX957219(配列番号187))、および枯草菌(B.subtilis)(ジェンバンク番号CAB14105(配列番号190)、Z99115(配列番号189))をはじめとするが、これに限定されるものではない、ありとあらゆる微生物から入手できる。

    「分枝α−ケト酸脱炭酸酵素」という用語は、α−ケトイソ吉草酸からイソブチルアルデヒドおよびCO への変換を触媒する酵素を指す。 好ましい分枝α−ケト酸脱炭酸酵素はEC番号4.1.1.72で知られ、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)(ジェンバンク番号AAS49166(配列番号193)、AY548760(配列番号192);CAG34226(配列番号8)、AJ746364(配列番号191)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)(ジェンバンク番号NP_461346(配列番号195)、NC_003197(配列番号194))、およびクロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)(ジェンバンク番号NP_149189(配列番号197)、NC_001988(配列番号196))をはじめとするが、これに限定されるものではない、いくつかの供給源から入手できる。

    「分枝アルコールデヒドロゲナーゼ」という用語は、イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの変換を触媒する酵素を指す。 好ましい分枝アルコールデヒドロゲナーゼはEC番号1.1.1.265で知られているが、その他のアルコールデヒドロゲナーゼに分類されてもよい(具体的にはEC1.1.1.1または1.1.1.2)。 これらの酵素は電子供与体として、NADH(還元ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)および/またはNADPHを利用し、S. セレヴィシエ(cerevisiae)(ジェンバンク番号NP_010656(配列番号199)、NC_001136(配列番号198);NP_014051(配列番号201)NC_001145(配列番号200))、大腸菌(E.coli)(ジェンバンク番号NP_417484(配列番号10)、NC_000913(配列番号9))、およびC. アセトブチリカム(acetobutylicum)(ジェンバンク番号NP_349892(配列番号203)、NC_003030(配列番号202);NP_349891(配列番号204)、NC_003030(配列番号158))をはじめとするが、これに限定されるものではない、いくつかの供給源から入手できる。

    「分枝ケト酸デヒドロゲナーゼ」という用語は、電子受容体としてNAD (ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)を使用して、α−ケトイソ吉草酸からイソブチリル−CoA(イソブチリル−補酵素A)への変換を触媒する酵素を指す。 好ましい分枝ケト酸デヒドロゲナーゼは、EC番号1.2.4.4で知られている。 これらの分枝ケト酸デヒドロゲナーゼは4つのサブユニットを含んでなり、全サブユニットからの配列は、枯草菌(B.subtilis)(ジェンバンク番号CAB14336(配列番号206)、Z99116(配列番号205);CAB14335(配列番号208)、Z99116(配列番号207);CAB14334(配列番号210)、Z99116(配列番号209);およびCAB14337(配列番号212)、Z99116(配列番号211))およびシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)(ジェンバンク番号AAA65614(配列番号214)、M57613(配列番号213);AAA65615(配列番号216)、M57613(配列番号215);AAA65617(配列番号218)、M57613(配列番号217);およびAAA65618(配列番号220)、M57613(配列番号219))をはじめとするが、これに限定されるものではない、ありとあらゆる微生物から入手できる。

    「アシル化アルデヒドデヒドロゲナーゼ」という用語は、電子供与体としてNADHまたはNADPHのどちらかを使用して、イソブチリル−CoAからイソブチルアルデヒドへの変換を触媒する酵素を指す。 好ましいアシル化アルデヒドデヒドロゲナーゼは、EC番号1.2.1.10および1.2.1.57で知られている。 これらの酵素は、クロストリジウム・ベイジリンキ(Clostridium beijerinckii)(ジェンバンク番号AAD31841(配列番号222)、AF157306(配列番号221))、C. アセトブチリカム(acetobutylicum)(ジェンバンク番号NP_149325(配列番号224)、NC_001988(配列番号223);NP_149199(配列番号226)、NC_001988(配列番号225))、P. プチダ(putida)(ジェンバンク番号AAA89106(配列番号228)、U13232(配列番号227))、およびサーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)(ジェンバンク番号YP_145486(配列番号230)、NC_006461(配列番号229))をはじめとするが、これに限定されるものではない複数の供給源から入手できる。

    「アミノ基転移酵素」という用語は、アミン供与体として、アラニンまたはグルタミン酸のどちらかを使用して、α−ケトイソ吉草酸からL−バリンへの変換を触媒する酵素を指す。 好ましいアミノ基転移酵素は、EC番号2.6.1.42および2.6.1.66で知られている。 これらの酵素はいくつかの供給源から入手できる。 アラニン依存酵素の供給源の例としては、大腸菌(E.coli)(ジェンバンク番号YP_026231(配列番号232)、NC_000913(配列番号231))およびバシラス・リチェニホルミス(Bacillus licheniformis)(ジェンバンク番号YP_093743(配列番号234)、NC_006322(配列番号233))が挙げられるが、これに限定されるものではない。 グルタミン酸依存酵素の供給源の例としては、大腸菌(E.coli)(ジェンバンク番号YP_026247(配列番号236)、NC_000913(配列番号235))、S. セレヴィシエ(cerevisiae)(ジェンバンク番号NP_012682(配列番号238)、NC_001142(配列番号237))およびメタノバクテリウム・サーモオートトロフィカム(Methanobacterium thermoautotrophicum)(ジェンバンク番号NP_276546(配列番号240)、NC_000916(配列番号239))が挙げられるが、これに限定されるものではない。

    「バリンデヒドロゲナーゼ」という用語は、電子供与体としてNAD(P)Hを使用し、アミン供与体としてアンモニアを使用して、α−ケトイソ吉草酸からL−バリンへの変換を触媒する酵素を指す。 好ましいバリンデヒドロゲナーゼはEC番号1.4.1.8および1.4.1.9で知られ、ストレプトミセス・コエリカラー(Streptomyces coelicolor)(ジェンバンク番号NP_628270(配列番号242)、NC_003888(配列番号241))および枯草菌(B.subtilis)(ジェンバンク番号CAB14339(配列番号244)、Z99116(配列番号243))をはじめとするが、これに限定されるものではない、いくつかの供給源から入手できる。

    「バリン脱炭酸酵素」という用語は、L−バリンからイソブチルアミンおよびCO への変換を触媒する酵素を指す。 好ましいバリン脱炭酸酵素はEC番号4.1.1.14で知られている。 これらの酵素は、例えば、ストレプトミセス・ビリディファシエンス(Streptomyces viridifaciens)(ジェンバンク番号AAN10242(配列番号246)、AY116644(配列番号245))などのストレプトミセス属(Streptomycetes)に見られる。

    「ωアミノ基転移酵素」という用語は、アミン供与体として適切なアミノ酸を使用して、イソブチルアミンからイソブチルアルデヒドへの変換を触媒する酵素を指す。 好ましいωアミノ基転移酵素はEC番号2.6.1.18で知られ、アルカリゲネス・デニトリフィカンス(Alcaligenes denitrificans)(AAP92672(配列番号248)、AY330220(配列番号247))、ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha)(ジェンバンク番号YP_294474(配列番号250)、NC_007347(配列番号249))、シュワネラ・オネイデンシス(Shewanella oneidensis)(ジェンバンク番号NP_719046(配列番号252)、NC_004347(配列番号251))、およびP. プチダ(putida)(ジェンバンク番号AAN66223(配列番号254)、AE016776(配列番号253))をはじめとするが、これに限定されるものではない、いくつかの供給源から入手できる。

    「イソブチリル−CoAムターゼ」という用語は、ブチリル−CoAからイソブチリル−CoAへの変換を触媒する酵素を指す。 この酵素は補助因子として補酵素B 12を使用する。 好ましいイソブチリル−CoAムターゼはEC番号5.4.99.13で知られている。 これらの酵素は、ストレプトミセス・シナモネンシス(Streptomyces cinnamonensis)(ジェンバンク番号AAC08713(配列番号256)、U67612(配列番号255);CAB59633(配列番号258)、AJ246005(配列番号257))、S. コエリカラー(coelicolor)(ジェンバンク番号CAB70645(配列番号260)、AL939123(配列番号259);CAB92663(配列番号262)、AL939121(配列番号261))、およびストレプトミセス・アベルミティリス(Streptomyces avermitilis)(ジェンバンク番号NP_824008(配列番号264)、NC_003155(配列番号263);NP_824637(配列番号266)、NC_003155(配列番号265))をはじめとするが、これに限定されるものではない、いくつかのストレプトミセス属(Streptomycetes)に見られる。

    「通性嫌気性菌」という用語は、好気性および嫌気性環境の双方において生育できる微生物を指す。

    「炭素基質」または「発酵性炭素基質」という用語は、本発明の宿主生物によって代謝されることができる炭素源を指し、特に単糖類、オリゴ糖類、多糖類、および一炭素基質またはそれらの混合物よりなる群から選択される炭素源を指す。

    「遺伝子」という用語は、特定のタンパク質として発現されることができ、場合によりコード配列に先行し(5'非コード配列)および後続する(3'非コード配列)制御配列を含む核酸断片を指す。 「天然遺伝子」とは、それ自体の制御配列と共に天然に見られる遺伝子を指す。 「キメラ遺伝子」とは、天然には一緒に見られない調節およびコード配列を含んでなる、天然遺伝子でないあらゆる遺伝子を指す。 したがってキメラ遺伝子は、異なる供給源に由来する制御配列およびコード配列を含んでもよく、または同一供給源に由来するが、天然に見られるのとは異なる様式に配列された制御配列およびコード配列を含んでなってもよい。 「内在性遺伝子」とは、生物のゲノム中のその自然な位置にある天然遺伝子を指す。 「外来性遺伝子」または「異種遺伝子」とは、常態では宿主生物中に見られないが、遺伝子移入により宿主生物中に導入される遺伝子を指す。 外来性遺伝子は、非天然生物中に挿入された天然遺伝子、またはキメラ遺伝子を含んでなることができる。 「導入遺伝子」とは、形質転換手順によってゲノム中に導入される遺伝子である。

    ここでの用法では「コード配列」という用語は、特定のアミノ酸配列をコードするDNA配列を指す。 「適切な制御配列」とは、コード配列上流(5'非コード配列)、その中、または下流(3'非コード配列)に位置するヌクレオチド配列を指し、それは関連したコード配列の転写、RNAプロセシングまたは安定性、または翻訳に影響する。 制御配列はプロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位、およびステムループ構造を含んでもよい。

    「プロモーター」という用語は、コード配列または機能性RNAの発現を制御できるDNA配列を指す。 一般にコード配列は、プロモーター配列に対して3'に位置する。 プロモーターはその全体が天然遺伝子に由来してもよく、または天然に見られる異なるプロモーターに由来する異なる要素から構成されてもよく、または合成DNAセグメントを含んでなってもよい。 当業者は、異なる組織または細胞タイプにおいて、または異なる発生段階において、または異なる環境的または生理学的条件に応じて、異なるプロモーターが遺伝子の発現を指示してもよいことを理解する。 ほとんどの場合にほとんどの細胞タイプで遺伝子の発現を引き起こすプロモーターは、一般に「構成的プロモーター」と称される。 ほとんどの場合、制御配列の正確な境界は完全に画定されていないので、異なる長さのDNA断片が同一のプロモーター活性を有してもよいこともさらに認識される。

    「作動的に結合する」という用語は、一方の機能が他方の機能によって影響される、単一核酸断片上の核酸配列のつながりを指す。 例えばプロモーターはコード配列の発現に影響できる場合、そのコード配列と作動的に結合する(すなわちコード配列がプロモーターの転写調節の下にある)。 コード配列は、センスまたはアンチセンスオリエンテーションで制御配列に作動的に結合できる。

    「発現」と言う用語は、ここでの用法では、発明の核酸断片から誘導されるセンス(mRNA)またはアンチセンスRNAの転写および安定した蓄積を指す。 発現はまた、mRNAのポリペプチドへの翻訳を指してもよい。

    ここでの用法では「形質転換」とは、遺伝的に安定した遺伝形質をもたらす宿主生物への核酸断片の転移を指す。 形質転換された核酸断片を含有する宿主生物は、「遺伝子導入」または「組換え」または「形質転換」生物と称される。

    「プラスミド」、「ベクター」、および「カセット」という用語は、細胞の中央代謝の一部ではない遺伝子を運ぶことが多く、通常、環状二本鎖DNA断片の形態である染色体外要素を指す。 このような要素は、一本鎖または二本鎖DNAまたはRNAの直鎖または環状の自律的に複製される配列、ゲノム一体化配列、ファージまたはヌクレオチド配列であってもよく、それはその中で適切な3'非翻訳配列と共に、選択された遺伝子産物のためのプロモーター断片およびDNA配列を細胞中に導入することができる独自の構成に、いくつかのヌクレオチド配列が結合または組換えされるあらゆる供給源に由来する。 「形質転換カセット」とは、外来性遺伝子を含有し、外来性遺伝子に加えて特定の宿主細胞の形質転換を容易にする要素を有する特定のベクターを指す。 「発現カセット」とは、外来性遺伝子を含有し、外来性遺伝子に加えて外来性宿主におけるその遺伝子の促進された発現を可能にする要素を有する、特定のベクターを指す。

    ここでの用法では「コドン縮重」という用語は、コードされるポリペプチドのアミノ酸配列に影響することなく、ヌクレオチド配列の変更を可能にする遺伝コードにおける性質を指す。 当業者は、任意のアミノ酸を特定化するためのヌクレオチドコドンの利用において、特定の宿主細胞によって示される「コドンバイアス」を十分承知している。 したがって宿主細胞中での改善された発現のために遺伝子を合成する場合、コドン使用頻度が宿主細胞の好ましいコドン使用頻度に近くなるように、遺伝子をデザインすることが望ましい。

    「コドン最適化」と言う用語は、様々な宿主の形質転換のための遺伝子または核酸分子のコーディング領域について言及する場合、DNAによってコードされるポリペプチドを改変することなく、宿主生物体の典型的なコドン使用を反映させる、遺伝子中のコドンまたは核酸分子のコーディング領域の改変を指す。

    ここで使用される標準リコンビナントDNAおよび分子クローニング技術は当該技術分野で周知であり、サムブルック(Sambrook),J. 、フリッチュ(Fritsch),E. F. 、およびマニアティス(Maniatis),T. 、「分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)」、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、1989年(以下「Maniatis」);シルハビー(Silhavy),T. J. 、ベンナン(Bennan),M. L. およびエンクイスト(Enquist),L. W. 、「遺伝子融合実験(Experiments with Gene Fusions)」、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY、1984年;およびオースベル(Ausubel),F. M. ら、「分子生物学現代プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」、Greene Publishing Assoc. and Wiley−Interscienceによる出版、1987年、で述べられている。

    イソブタノール生合成経路 炭水化物利用微生物は、中心的代謝経路として、エムデン−マイヤーホフ−パーナス(EMP)経路、エントナー−ドウドロフ経路、およびペントースリン酸回路を用いて、生育および維持のためのエネルギーおよび細胞前駆物質を提供する。 これらの経路は共通して中間体グリセルアルデヒド−3−リン酸を有し、究極的にピルビン酸が直接に、またはEMP経路と組み合わさって形成される。 引き続いてピルビン酸は多様な手段を通じて、アセチル−補酵素A(アセチル−CoA)に転換される。 アセチル−CoAは、例えば脂肪酸、アミノ酸、および二次代謝産物を発生させる上で、重要な中間体の役割を果たす。 ピルビン酸への糖変換反応の組み合わせは、エネルギー(例えばアデノシン−5'−三リン酸、ATP)および還元等価物(例えば還元ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、NADH、および還元ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、NADPH)を生じる。 NADHおよびNADPHはそれらの酸化形態(それぞれNAD およびNADP )に再生されなくてはならない。 無機電子受容体(例えばO 、NO 、およびSO 2− )の存在下で還元等価物を使用してエネルギープールが増強されてもよく、あるいは還元炭素副産物が形成されてもよい。

    本発明は、図1に示すような4つの完全な反応経路を提供することで、組換え微生物による炭水化物源からのイソブタノールの生成を可能にする。 経路の3つは、一連の酵素的ステップを通じたピルビン酸からイソブタノールへの変換を含んでなる。 好ましいイソブタノール経路(図1のステップa〜e)は、
    a)例えばアセト乳酸シンターゼによって触媒される、ピルビン酸からアセト乳酸への、
    b)例えばアセトヒドロキシ酸イソメロレダクターゼによって触媒される、アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸への、
    c)例えばアセトヒドロキシ酸デヒドラターゼによって触媒される、2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸からα−ケトイソ吉草酸への、
    d)例えば分枝ケト酸脱炭酸酵素によって触媒される、α−ケトイソ吉草酸からイソブチルアルデヒドへの、およびe)例えば分枝アルコールデヒドロゲナーゼによって触媒される、イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの基質から産物への変換を含んでなる。

    この経路には、バリン生合成(ピルビン酸からα−ケトイソ吉草酸)およびバリン異化作用(α−ケトイソ吉草酸からイソブタノール)の良好に特徴づけられた経路に関与することが知られている酵素が組み合わされる。 多くのバリン生合成酵素は、イソロイシン生合成経路中で類似反応もまた触媒するので、遺伝子源を選択する上で基質特異性が主な検討材料である。 この理由から、アセト乳酸シンターゼ酵素のための関心のある主要な遺伝子は、バシラス(Bacillus)(alsS)およびクレブシエラ(Klebsiella)(budB)からのものである。 これらの特定のアセト乳酸シンターゼは、これらの生物中でブタンジオール発酵に関与することが知られており、ピルビン酸に対してケト酪酸よりも大きい親和性を示す(ゴロップ(Gollop)、J.Bacteriol.172(6):3444〜3449頁、1990年;ホルツクロウ(Holtzclaw)ら、J.Bacteriol.121(3):917〜922頁、1975年)。 経路の第2および第3のステップは、それぞれアセトヒドロキシ酸レダクトイソメラーゼおよびデヒドラターゼによって触媒される。 これらの酵素は、例えば大腸菌(E.coli)(チャンドル(Chunduru)ら、Biochemistry28(2):486〜493頁、1989年;フリント(Flint)ら、J.Biol.Chem.268(29):14732〜14742頁、1993年)などのいくつかの供給源から特徴づけられている。 好ましいイソブタノール経路の最後の2つのステップは、窒素源としてバリンを使用できる酵母で生じることが知られており、その過程でイソブタノールが分泌される。 α−ケトイソ吉草酸は、例えばピルビン酸脱炭酸酵素などのいくつかのケト酸脱炭酸酵素によって、イソブチルアルデヒドに転換できる。 ピルビン酸をイソブタノール生成からそらすのを防止するために、ピルビン酸に対する低下した親和を有する脱炭酸酵素が所望される。 これまでにこのような2つの酵素が、当該技術分野で既知である(スミット(Smit)ら、Appl.Environ.Microbiol.71(1):303〜311頁、2005年;デラプラザ(de la Plaza)ら、FEMS Microbiol.Lett.238(2):367〜374頁、2004年)。 どちらの酵素もラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)株からのものであり、ケトイソ吉草酸に対してピルビン酸の50〜200倍の選択性を有する。 最後に、いくつかのアルデヒド還元酵素が酵母中で同定されており、多くに重複する基質特異性がある。 これらは、どちらも電子供与体としてNADPHを使用する、アルコールデヒドロゲナーゼVI(ADH6)およびYpr1p(ラロイ(Larroy)ら、Biochem.J.361(Pt1):163〜172頁、2002年;フォード(Ford)ら、Yeast19(12):1087〜1096頁、2002年)をはじめとするが、これに限定されるものではない分枝基質をアセトアルデヒドよりも好むことが知られている。 分枝基質に対する活性があるNADPH依存還元酵素YqhDもまた、最近大腸菌(E.coli)中で同定されている(ズルツェンバッハー(Sulzenbacher)ら、J.Mol.Biol.342(2):489〜502頁、2004年)。

    ピルビン酸からイソブタノールに転換するための別の経路は、
    a)例えばアセト乳酸シンターゼによって触媒される、ピルビン酸からアセト乳酸への、
    b)例えばアセトヒドロキシ酸イソメロレダクターゼによって触媒される、アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸への、
    c)例えばアセトヒドロキシ酸デヒドラターゼによって触媒される、2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸からα−ケトイソ吉草酸への、
    f)例えば分枝ケト酸デヒドロゲナーゼによって触媒される、α−ケトイソ吉草酸からイソブチリル−CoAへの、
    g)例えばアシル化アルデヒドデヒドロゲナーゼによって触媒される、イソブチリル−CoAからイソブチルアルデヒドへの、およびe)例えば分枝アルコールデヒドロゲナーゼによって触媒される、イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの基質から産物への変換を含んでなる(図1のステップa、b、c、f、g、e)。

    この経路の最初の3つのステップ(a、b、c)は、上述のものと同じである。 α−ケトイソ吉草酸は分枝ケト酸デヒドロゲナーゼの作用によってイソブチリル−CoAに転換される。 酵母が窒素源としてバリンのみを使用できるのに対して、その他の多くの生物(真核生物および原核生物の双方)はバリンもまた炭素源として使用できる。 これらの生物は、イソブチリル−CoAを発生させる分枝ケト酸デヒドロゲナーゼを有する(ソカッチ(Sokatch)ら、J.Bacteriol.148(2):647〜652頁、1981年)。 イソブチリル−CoAは、アシル化アルデヒドデヒドロゲナーゼによってイソブチルアルデヒドに転換されてもよい。 分枝基質に対するデヒドロゲナーゼ活性については、リューコノストック(Leuconostoc)およびプロピオニバクテリウム(Propionibacterium)で記述されているが、クローニングされてはいない(カザハヤ(Kazahaya)ら、J.Gen.Appl.Microbiol.18:43〜55頁、1972年;ホソイ(Hosoi)ら、J.Ferment.Technol.57:418〜427頁、1979年)。 しかし直鎖アシル−CoA(すなわちブチリル−CoA)に対して機能することが知られているアシル化アルデヒドデヒドロゲナーゼが、イソブチリル−CoAに作用することもまた可能である。 次にイソブチルアルデヒドは第1の経路について上述したように、分枝アルコールデヒドロゲナーゼによってイソブタノールに転換される。

    ピルビン酸をイソブタノールに転換するための別の経路は、
    a)例えばアセト乳酸シンターゼによって触媒される、ピルビン酸からアセト乳酸への、
    b)例えばアセトヒドロキシ酸イソメロレダクターゼによって触媒される、アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸への、
    c)例えばアセトヒドロキシ酸デヒドラターゼによって触媒される、2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸からα−ケトイソ吉草酸への、
    h)例えばバリンデヒドロゲナーゼまたはアミノ基転移酵素によって触媒される、α−ケトイソ吉草酸からバリンへの、
    i)例えばバリン脱炭酸酵素によって触媒される、バリンからイソブチルアミンへの、
    j)例えばωアミノ基転移酵素によって触媒される、イソブチルアミンからイソブチルアルデヒドへの、およびe)例えば分枝アルコールデヒドロゲナーゼによって触媒される、イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの基質から産物への変換(図1のステップa、b、c、h、i、j、e)を含んでなる。

    この経路の最初の3つのステップ(a、b、c)は、上述のものと同じである。 この経路はバリンデヒドロゲナーゼまたは適切なアミノ基転移酵素の添加を必要とする。 バリン(および/またはロイシン)デヒドロゲナーゼは還元的アミノ化を触媒し、アンモニアを使用する。 アンモニアのK 値はミリモル濃度範囲にある(プリーストリー(Priestly)ら、Biochem J.261(3):853〜861頁、1989年;バンキュラ(Vancura)ら、J.Gen.Microbiol.134(12):3213〜3219頁、1988年;ツィンク(Zink)ら、Arch.Biochem.Biophys.99:72〜77頁、1962年;セキモト(Sekimoto)ら、J.Biochem(Japan)116(1):176〜182頁、1994年)。 アミノ基転移酵素は、アミノ供与体として典型的にグルタミン酸またはアラニンのどちらかを使用し、いくつかの生物から特徴づけられている(リー−ペン(Lee−Peng)ら、J.Bacteriol.139(2):339〜345頁、1979年;ベルグ(Berg)ら、J.Bacteriol.155(3):1009〜1014頁、1983年)。 アミン基を除去する場合、このステップからのピルビン酸生成は後の経路におけるピルビン酸消費と連結できるので、アラニン特異的酵素が望ましいかもしれない(下記参照)。 次のステップは、ストレプトミセス(Streptomyces)中のバラニマイシン生合成で生じる反応である、バリンの脱カルボキシル化である(ガーグ(Garg)ら、Mol.Microbiol.46(2):505〜517頁、2002年)。 得られたイソブチルアミンを例えばω−アミノ転移酵素ファミリーの酵素によって、ピリドキサール5'−ホスフェート依存反応中でイソブチルアルデヒドに転換してもよい。 ビブリオ・フルビアス(Vibrio fluvialis)からのこのような酵素は、イソブチルアミンに対する活性を実証した(シン(Shin)ら、Biotechnol.Bioeng.65(2):206〜211頁、1999年)。 アルカリゲネス・デニトリフィカンス(Alcaligenes denitrificans)からの別のω−アミノ転移酵素はクローンされており、ブチルアミンに対するいくらかの活性を有する(ヤン(Yun)ら、Appl.Environ.Microbiol.70(4):2529〜2534頁、2004年)。 この方向では、これらの酵素はアミノ受容体としてピルビン酸を使用し、アラニンを生じる。 上述のように経路の早い時期にピルビン酸生成アミノ基転移酵素を使用して、ピルビン酸プールに対する悪影響を相殺してもよい。 次に第1の経路について上述したように、イソブチルアルデヒドを分枝アルコールデヒドロゲナーゼによってイソブタノールに転換する。

    第4のイソブタノール生合成経路は、図1のステップk、g、eで示される基質から産物への変換を含んでなる。 いくつかの生物は、ブチリル−CoA中間体を通じてブチレートおよび/またはブタノールを生成することが知られている(デューラー(Duerre)ら、FEMS Microbiol.Rev.17(3):251〜262頁、1995年;アバッド−アンダロウシ(Abbad−Andaloussi)ら、Microbiology 142(5):1149〜1158頁、1996年)。 ブチリル−CoAをイソブチリル−CoA転換できるムターゼの添加によって、これらの生物中でイソブタノール生成を改変してもよい(図1のステップk)。 補酵素B 12依存酵素であるイソブチリル−CoAムターゼの双方のサブユニットの遺伝子が、ストレプトミセス属(Streptomycete)からクローンされている(ラトナチレケ(Ratnatilleke)ら、J.Biol.Chem.274(44):31679〜31685頁、1999年)。 イソブチリル−CoAはイソブチルアルデヒドに転換され(図1のステップg)、それがイソブタノールに転換される(図1のステップe)。

    このようにして、ピルビン酸からイソブタノールへの複数の組換え経路を提供する上で、個々の変換ステップを満足させるいくつかの選択があり、当業者は公的に入手可能な配列を利用して妥当な経路を構築できる。 当該技術分野で既知でありイソブタノール生合成経路構築で有用な、代表的ないくつかの遺伝子一覧を下の表2に列挙する。

    イソブタノール生成のための微生物宿主 イソブタノール生成のための微生物宿主は、細菌、ラン藻、糸状菌類、および酵母から選択されてもよい。 イソブタノール生成のために使用される微生物宿主は、ブタノール毒性によって収率が制限されないように、好ましくはイソブタノールに耐性である。 イソブタノールの高力価レベルで代謝的に活性の微生物については、当該技術分野で周知ではない。 溶剤起源クロストリジウム(Clostridia)からブタノール耐性突然変異体が単離さているが、その他の潜在的に有用な細菌株のブタノール耐性に関する情報はほとんどない。 細菌におけるアルコール耐性の比較に関する研究のほとんどは、ブタノールがエタノールよりも毒性が高いことを示唆する(デ・カバルホ(de Cavalho)ら、Microsc.Res.Tech.64:215〜22頁、2004年;およびカベリッツ(Kabelitz)ら、FEMS Microbiol.Lett.220:223〜227頁、2003年)。 トーマス(Tomas)ら、J. Bacteriol. 186:2006〜2018頁、2004年、はクロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)中での発酵における1−ブタノールの収率が、1−ブタノール毒性によって制限されるかもしれないことを報告する。 クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)に対する1−ブタノールの主要効果は、膜機能の崩壊である(ヘルマン(Hermann)ら、Appl.Environ.Microbiol.50:1238〜1243頁、1985年)。

    イソブタノール生成のために選択される微生物宿主は、好ましくはイソブタノールに耐性であり、炭水化物をイソブタノールに転換できなくてはならない。 適切な微生物宿主選択のための判定基準としては、以下が挙げられる。 イソブタノールに対する内因的耐性、高率のグルコース使用、遺伝子操作のための遺伝的ツールの利用可能性、および安定した染色体の改変を発生させる能力。

    イソブタノールに耐性の適切な宿主株は、株の内因的耐性に基づいたスクリーニングによって同定してもよい。 イソブタノールに対する微生物の内因的耐性は、最少培地中で生育させた際に、生育速度の50%阻害(IC50)を引き起こすイソブタノールの濃度を判定することで測定してもよい。 IC50値は、当該技術分野で既知の方法を使用して判定してもよい。 例えば様々な量のイソブタノールの存在下で関心のある微生物を生育させ、600ナノメートルにおける光学濃度を測定することで生育速度をモニターしてもよい。 生育曲線の対数部分から倍加時間を計算して、生育速度の尺度として使用してもよい。 生育の50%阻害を生じるイソブタノールの濃度は、イソブタノール濃度に対する%生育阻害のグラフから判定してもよい。 好ましくは宿主株は、イソブタノールに対して約0.5%を超えるIC50を有するべきである。

    イソブタノール生成のための微生物宿主はまた、グルコースも高率で利用するべきである。 ほとんどの微生物は炭水化物を利用できる。 しかし特定の環境的微生物は炭水化物を高い効率で利用できないので、適切な宿主ではない。

    宿主を遺伝的に変性する能力は、あらゆる組換え微生物の生成に必須である。 遺伝子移入技術の様式は、電気穿孔、接合、形質導入または自然形質転換であってもよい。 広範な宿主接合性プラスミドおよび薬剤抵抗性マーカーが利用できる。 クローニングベクターは、宿主中で機能できる抗生物質抵抗性マーカーの性質に基づいて、宿主生物に合わせて調整される。

    微生物宿主はまた、炭素流動について競合する経路を不活性化するために、様々な遺伝子を削除することで操作しなくてはならない。 これは、不活性化を指示するトランスポゾンまたは染色体組み込みベクターのいずれかを利用できる必要がある。 さらに内因的イソブタノール耐性を改善する突然変異が得られるように、産生宿主は化学的突然変異誘発を容易に受け入れるべきである。

    上述の判定基準に基づいて、イソブタノール生成のための適切な微生物宿主としては、クロストリジウム(Clostridium)、ザイモモナス(Zymomonas)、エシェリキア(Escherichia)、サルモネラ(Salmonella)、ロドコッカス(Rhodococcus)、シュードモナス(Pseudomonas)、バシラス(Bacillus)、乳酸桿菌(Lactobacillus)、腸球菌(Enterococcus)、アルカリゲネス(Alcaligenes)、クレブシエラ(Klebsiella)、パエニバシラス(Paenibacillus)、アルスロバクター(Arthrobacter)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)、ピチア(Pichia)、カンジダ(Candida)、ハンゼヌラ(Hansenula)、およびサッカロミセス(Saccharomyces)属の一員が挙げられるが、これに限定されるものではない。 好ましい宿主としては、大腸菌(Escherichia coli)、アルカリゲネス・ユートロファス(Alcaligenes eutrophus)、バチラス・リチェニホルミス(Bacillus licheniformis)、パエニバシラス・マセランス(Paenibacillus macerans)、ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、エンテロコッカス・ガリナラム(Enterococcus gallinarium)、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)、枯草菌(Bacillus subtilis)、およびサッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)が挙げられる。

    産生宿主の構築 発酵性炭素基質からイソブタノールへの変換のための酵素的経路をコードする必要な遺伝子を含有する組換え生物は、当該技術分野で周知の技術を使用して構築してもよい。 本発明では、例えばアセト乳酸シンターゼ、アセトヒドロキシ酸イソメロレダクターゼ、アセトヒドロキシ酸デヒドラターゼ、分枝α−ケト酸脱炭酸酵素、および分枝アルコールデヒドロゲナーゼなどの本発明のイソブタノール生合成経路の酵素をコードする遺伝子を上述のように様々な供給源から単離してもよい。

    細菌ゲノムから所望の遺伝子を得る方法は、分子生物学の当該分野で一般的であり、周知である。 例えば遺伝子配列が既知であれば、制限エンドヌクレアーゼ消化によって適切なゲノムのライブラリーを作り出し、所望の遺伝子配列に相補的なプローブでスクリーンしてもよい。 ひとたび配列が単離されると、ポリメラーゼ連鎖反応などの標準プライマー誘導増幅方法(米国特許第4,683,202号明細書)を使用してDNAを増幅し、適切なベクターを使用した形質転換に適した量のDNAを得てもよい。 異種の宿主中での発現のためのコドン最適化ツールは、容易に入手できる。 コドン最適化のためのいくつかのツールは、宿主生物のGC含量に基づいて利用できる。 いくつかの例示的な微生物宿主のGC含量を表3に示す。

    ひとたび妥当な経路遺伝子を同定および単離したら、それらを当該技術分野で周知の手段によって適切な発現宿主に形質転換してもよい。 多様な宿主細胞の形質転換に有用なベクターまたはカセットは一般的であり、ウィスコンシン州マディソンのエピセンター(EPICENTRE(登録商標)(Madison,WI))、カリフォルニア州カールスバッドのインビトロジェン・コーポレーション(Invitrogen Corp.(Carlsbad,CA))、カリフォルニア州ラホヤのストラタジーン(Stratagene(La Jolla,CA))、およびマサチューセッツ州ベヴァリーのニュー・イングランド・バイオラブズ・インコーポレーテッド(New England Biolabs,Inc.(Beverly,MA))などの会社から市販される。 典型的にベクターまたはカセットは、関連遺伝子の転写および翻訳を指示する配列、選択可能なマーカー、および自律複製または染色体組み込みを可能にする配列を含有する。 適切なベクターは、転写開始制御を内部に持つ遺伝子の5'領域、および転写終結を制御するDNA断片の3'領域を含んでなる。 どちらの制御領域も形質転換宿主細胞に相同的な遺伝子に由来してもよいが、このような制御領域はまた、産生宿主として選択された特定の種に天然でない遺伝子に由来してもよいものと理解される。

    所望の宿主細胞において関連する経路コード領域の発現を駆動するのに有用な開始制御領域またはプロモーターは多数多く、当業者にはなじみが深い。 CYC1、HIS3、GAL1、GAL10、ADH1、PGK、PHO5、GAPDH、ADC1、TRP1、URA3、LEU2、ENO、TPI、CUP1、FBA、GPD、およびGPM(サッカロミセス(Saccharomyces)中での発現に有用);AOX1(ピチア(Pichia)中での発現に有用);およびlac、ara、tet、trp、lP 、lP 、T7、tac、およびtrc(大腸菌(Escherichia coli)、アルカリゲネス(Alcaligenes)、およびシュードモナス(Pseudomonas)中での発現に有用);amy、apr、nprプロモーターおよび様々なファージプロモーター(枯草菌(Bacillus subtilis)、バチラス・リチェニホルミス(Bacillus licheniformis)、およびパエニバシラス・マセランス(Paenibacillus macerans)中での発現に有用);nisA(グラム陽性細菌での発現に有用、アイヘンバウム(Eichenbaum)ら、Appl.Environ.Microbiol.64(8):2763〜2769頁、1998年);および合成P11プロモーター(ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)中での発現に有用、ラッド(Rud)ら、Microbiology、152:1011〜1019頁、2006年)をはじめとするが、これに限定されるものではない、これらの遺伝的要素を駆動できるあらゆるプロモーターが事実上、本発明に適する。

    終結制御領域は、好ましい宿主から産生する様々な遺伝子に由来してもよい。 場合により終結部位は不必要であってもよいが、含まれれば最も好ましい。

    特定のベクターは広範な宿主細菌中で複製することができ、接合によって転移できる。 pRK404、および3つの関連ベクターpRK437、pRK442、およびpRK442(H)の完全な注釈付き配列が入手できる。 これらの誘導体は、グラム陰性細菌中の遺伝的操作のための有益なツールであることが証明されている(スコット(Scott)ら、Plasmid 50(1):74〜79頁、2003年)。 広宿主範囲Inc P4プラスミドRSF1010のいくつかのプラスミド誘導体もまた、グラム陰性細菌中で機能できるプロモーターと共に入手できる。 プラスミドpAYC36およびpAYC37は、複数クローニング部位と共に活性プロモーターを有し、グラム陰性細菌中での異種遺伝子の発現を可能にする。

    染色体の遺伝子置換ツールもまた、広く入手できる。 例えば広宿主範囲レプリコンpWV101の熱感受性変異型が改質されてプラスミドpVE6002が構築されており、これは一連のグラム陽性細菌中に遺伝子置換をもたらすのに使用できる(モーガン(Maguin)ら、J.Bacteriol.174(17):5633〜5638頁、1992年)。 さらに生体外トランスポゾームを利用して、エピセンター(EPICENTRE)(登録商標)などの商業的供給源からの多様なゲノム中にランダム突然変異を作り出せる。

    様々な好ましい微生物宿主中でのイソブタノール生合成経路の発現については、下でより詳細に述べる。

    大腸菌(E.coli)中のイソブタノール生合成経路の発現 大腸菌(E.coli)の形質転換に有用なベクターまたはカセットは一般的であり、上に列挙した会社から市販される。 例えば実施例6および7で述べられるように、イソブタノール生合成経路の遺伝子を様々な供給源から単離して、変性pUC19ベクター中にクローニングし、大腸菌(E.coli)NM522に形質転換してもよい。

    ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)中でのイソブタノール生合成経路の発現 pRhBR17およびpDA71をはじめとするがこれに限定されるものではない、一連の大腸菌(E.coli)−ロドコッカス(Rhodococcus)シャトルベクターが、R. エリスロポリス(erythropolis)中での発現のために利用できる(コスチクカ(Kostichka)ら、Appl.Microbiol.Biotechnol.62:61〜68頁、2003年)。 さらにR. エリスロポリス(erythropolis)中での異種の遺伝子発現のために、一連のプロモーターが利用できる(例えばナカシマ(Nakashima)ら、Appl.Environ.Microbiol.70:5557〜5568頁、2004年;およびタオ(Tao)ら、Appl.Microbiol.Biotechnol.2005年、DOI10.1007/s00253−005−0064を参照されたい)。 タオ(Tao)ら(前出)およびブランズ(Brans)ら、Appl. Environ. Microbiol. 66:2029〜2036、2000年、で述べられる方法を使用して、R. エリスロポリス(erythropolis)中の染色体遺伝子の標的を定めた遺伝子中断を作り出してもよい。

    上述のようにイソブタノール生成に必要な異種の遺伝子は、最初にpDA71またはpRhBR71中でクローニングして、大腸菌(E.coli)に形質転換してもよい。 次にコスチクカ(Kostichka)ら(前出)が述べるように、電気穿孔によってベクターをR. エリスロポリス(erythropolis)に形質転換してもよい。 組換え体はグルコースを含有する合成培地中で生育させてもよく、当該技術分野で既知の方法を使用したイソブタノール生成がそれに続く。

    枯草菌(B.subtilis)中でのイソブタノール生合成経路の発現 枯草菌(B.subtilis)中での遺伝子発現および突然変異作成の方法もまた、当該技術分野で周知である。 例えば実施例8で述べられるように、イソブタノール生合成経路の遺伝子を様々な供給源から単離し、変性pUC19ベクター中にクローニングして枯草菌(Bacillus subtilis)BE1010に形質転換してもよい。 さらに実施例20で述べられるように、イソブタノール生合成経路の5つの遺伝子を発現のために2つのオペロンに分割できる。 経路の3つの遺伝子(bubB、ilvD、およびkivD)は、枯草菌(Bacillus subtilis)BE1010の染色体に組み込まれた(ペイン(Payne)およびジャクソン(Jackson)、J.Bacteriol.173:2278〜2282頁、1991年)。 残る2つの遺伝子(ilvCおよびbdhB)は、発現ベクター中にクローニングされ、組み込まれたイソブタノール遺伝子を保有するバシラス(Bacillus)株に形質転換された。

    B. リチェニホルミス(licheniformis)におけるイソブタノール生合成経路の発現 プロトプラスト形質転換または電気穿孔のどちらかによって、B. リチェニホルミス(licheniformis)を形質転換するのに、枯草菌(B.subtilis)中で複製されるプラスミドおよびシャトルベクターのほとんどが使用できる。 イソブタノール生成に必要な遺伝子をプラスミドは、pBE20またはpBE60誘導体中でクローニングしてもよい(ナガラージャン(Nagarajan)ら、Gene 114:121〜126頁、1992年)。 B. リチェニホルミス(licheniformis)を形質転換する方法は当該技術分野で既知である(例えばフレミング(Fleming)ら、Appl.Environ.Microbiol.、61(11):3775〜3780頁、1995年、を参照されたい)。 枯草菌(B.subtilis)中での発現のために構築されたプラスミドは、B. リチェニホルミス(licheniformis)に形質転換されて、イソブタノールを生成する組換え微生物宿主を生じてもよい。

    パエニバシラス・マセランス(Paenibacillus macerans)中でのイソブタノール生合成経路の発現 上述のように枯草菌(B.subtilis)中での発現のためにプラスミドを構築し、プロトプラスト形質転換によってパエニバシラス・マセランス(Paenibacillus macerans)に形質転換し、イソブタノールを生成する組換え微生物宿主を生成してもよい。

    アルカリゲネス・ユートロファス(Alcaligenes eutrophus)((ラルストニア・ユートロファス(ラルストニア・ユートロファス(Ralstonia eutrophus))中でのイソブタノール生合成経路の発現 アルカリゲネス・ユートロファス(Alcaligenes eutrophus)中での遺伝子発現および突然変異発生の方法は、当該技術分野で既知である(例えばタガビ(Taghavi)ら、Appl.Environ.Microbiol.、60(10):3585〜3591頁、1994年、を参照されたい)。イソブタノール生合成経路のための遺伝子を上述の広宿主範囲ベクターのいずれかの中でクローニングし、電気穿孔してイソブタノールを生成する組換え体を発生させてもよい。アルカリゲネス(Alcaligenes)中のポリ(ヒドロキシブチレート)経路については詳細に記述され、アルカリゲネス・ユートロファス(Alcaligenes eutrophus)ゲノムを変性する多様な遺伝的技術が知られており、イソブタノール生合成経路を操作するためにこれらのツールが応用できる。

    シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)中でのイソブタノール生合成経路の発現 シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)中での遺伝子発現のための方法は、当該技術分野で既知である(例えば参照によって本明細書に援用するベン−バサット(Ben−Bassat)らに付与された米国特許第6,586,229号明細書を参照されたい)。 ブタノール経路遺伝子をpPCU18中に挿入してもよく、このライゲーションしたDNAをエレクトロコンピテントなシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)DOT−T1C5aAR1細胞中に電気穿孔して、イソブタノールを生じる組換え体を発生させてもよい。

    サッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)中でのイソブタノール生合成経路の発現 サッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)中での遺伝子発現のための方法は、当該技術分野で既知である(例えばクリスティン・ガスリー(Christine Guthrie)およびジェラルドR.フィンク(Gerald R.Fink)編、「酵素学における方法(Methods in Enzymology)」、第194巻、「酵母の遺伝学と分子および細胞生物学ガイド(Guide to Yeast Genetics and Molecular and Cell Biology)」(パートA)、Elsevier Academic Press、San Diego,CA、2004年、を参照されたい)。 酵母中での遺伝子発現は、典型的にプロモーターとそれに続く関心のある遺伝子、および転写ターミネーターを必要とする。 イソブタノール生合成経路をコードする遺伝子のための発現カセットを構築する上で、構成的プロモーターFBA、GPD、ADH1およびGPM、および誘導性プロモーターGAL1、GAL10、GAL1t、CYC1、およびADH1をはじめとするが、これに限定されるものではない、いくつかの酵母プロモーターを使用できる。 例えば適切な転写ターミネーターとしては、FBAt、GPDt、GPMt、ERG10t、およびGAL1tが挙げられるが、これに限定されるものではない。 イソブタノール生合成経路の適切なプロモーター、転写ターミネーター、および遺伝子は、実施例17で述べられるように大腸菌(E.coli)−酵母シャトルベクター中にクローニングしてもよい。

    ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)中でのイソブタノール生合成経路の発現 乳酸桿菌(Lactobacillus)属は乳酸桿菌科(Lactobacilales)に属し、枯草菌(Bacillus subtilis)および連鎖球菌(Streptococcus)の形質転換で使用される多くのプラスミドおよびベクターを乳酸桿菌(Lactobacillus)のために使用してもよい。 適切なベクターの非限定的例としては、pAMβ1およびその誘導体(ルノー(Renault)ら、Gene 183:175〜182頁、1996年、およびオサリバン(O'Sullivan)ら、Gene 137:227〜231、1993年);pMBB1およびpHW800、pMBB1誘導体(ワイコフ(Wyckoff)ら、Appl.Environ.Microbiol.62:1481〜1486頁、1996年);pMG1、接合性プラスミド(タニモト(Tanimoto)ら、J.Bacteriol.184:5800〜5804頁、2002年);pNZ9520(クレールベゼム(Kleerebezem)ら、Appl.Environ.Microbiol.63:4581〜4584頁、1997年);pAM401(フジモト(Fujimoto)ら、Appl.Environ.Microbiol.67:1262〜1267頁、2001年);およびpAT392(アーサー(Arthur)ら、Antimicrob.Agents Chemother.38:1899〜1903頁、1994年)が挙げられる。 ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)からのいくつかのプラスミドもまた報告されている(例えばバンクラーネンブルクR、ゴーリックN、ボンジャースR、レールRJ、デボスWM、シーゼンRJ、クレールベゼムM.(van Kranenburg R、Golic N、Bongers R、Leer RJ、de Vos WM、Siezen RJ、Kleerebezem M)、Appl.Environ.Microbiol.;71(3):1223〜1230頁、2005年3月)。 例えばラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)中でのイソブタノール生合成経路の発現については、実施例21で述べられる。

    エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、エンテロコッカス・ガリナラム(Enterococcus gallinarum)、およびエンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)中におけるイソブタノール生合成経路の発現 腸球菌(Enterococcus)属は乳酸菌科(Lactobacillales)に属し、乳酸桿菌(Lactobacillus)、枯草菌(Bacillus subtilis)、および連鎖球菌(Streptococcus)の形質転換において使用される多くのプラスミドおよびベクターが、腸球菌(Enterococcus)のために使用できる。 適切なベクターの非限定的例としては、pAMβ1およびその誘導体(ルノー(Renault)ら、Gene 183:175〜182頁、1996年、およびオサリバン(O'Sullivan)ら、Gene 137:227〜231、1993年);pMBB1およびpHW800、pMBB1誘導体(ワイコフ(Wyckoff)ら、Appl.Environ.Microbiol.62:1481〜1486頁、1996年);pMG1、接合性プラスミド(タニモト(Tanimoto)ら、J.Bacteriol.184:5800〜5804頁、2002年);pNZ9520(クレールベゼム(Kleerebezem)ら、Appl.Environ.Microbiol.63:4581〜4584頁、1997年);pAM401(フジモト(Fujimoto)ら、Appl.Environ.Microbiol.67:1262〜1267頁、2001年);およびpAT392(アーサー(Arthur)ら、Antimicrob.Agents Chemother.38:1899〜1903頁、1994年)が挙げられる。 ラクトコッカス(Lactococcus)からのnisA遺伝子を使用したE. フェカーリス(faecalis)のための発現ベクターもまた使用してもよい(アイヘンバウム(Eichenbaum)ら、Appl.Environ.Microbiol.64:2763〜2769頁、1998年。さらにE.フェシウム(faecium)染色体中での遺伝子置換のためのベクターを使用してもよい(ナラパレディ(Nallaapareddy)ら、Appl.Environ.Microbiol.72:334〜345頁、2006年)。例えばエンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)中でのイソブタノール生合成経路の発現については、実施例22で述べられる。

    発酵培地 本発明における発酵培地は、適切な炭素基質を含有しなくてはならない。 適切な基質としては、グルコースおよびフルクトースなどの単糖類、乳糖またはスクロースなどのオリゴ糖類、デンプンまたはセルロースなどの多糖類、またはそれらの混合物、および乳清透過液、コーンスティープリーカー、甜菜モラセス、および大麦の麦芽などの再生可能原材料からの未精製混合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。 さらに炭素基質は、重要な生化学的中間体への代謝転換が実証されている二酸化炭素、またはメタノールなどの一炭素基質であってもよい。 メチロトローフ生物体はまた、一または二炭素基質に加えて、代謝活性のためにメチルアミン、グルコサミン、および多様なアミノ酸などのいくつかのその他の炭素含有化合物を利用することが知られている。 例えばメチロトローフ酵母菌は、メチルアミンからの炭素を利用してトレハロースまたはグリセロールを形成することが知られている(マレル,J.コリン(Murrell,J.Collin)、ケリー,ドンP.(Kelly,Don P.)編、第7回国際シンポジウム、ベリオン(Bellion)ら、「C1化合物上における微生物の生育(Microb.Growth C1 Compounds)」、415〜32頁、1993年、Interceptによる出版、Andover,UK)。 同様に様々なカンジダ(Candida)種がアラニンまたはオレイン酸を代謝する(サルター(Sulter)ら、Arch.Microbiol.153:485〜489頁、1990年)。 したがって本発明で用いられる炭素源は多種多様な炭素含有基質を包含してもよく、生物体の選択によってのみ制限されることが考察される。

    前述の全ての炭素基質およびそれらの混合物は、本発明で適切であることが考察されるが、好ましい炭素基質はグルコース、フルクトース、およびスクロースである。

    適切な炭素源に加えて、発酵培地は、適切な無機物、塩、補助因子、緩衝液、および培養の生育とイソブタノール生成に必要な酵素的経路の促進に適した、当業者に既知のその他の構成要素を含有しなくてはならない。

    培養条件 典型的に細胞は、約25℃〜約40℃の範囲の温度で適切な培地中で生育させる。 本発明における適切な増殖培地は、ルリア・ベルターニ(LB)ブロス、サブローデキストロース(SD)ブロスまたは酵母培地(YM)ブロスなどの一般的で商業的に調製された培地である。 その他の合成(defined)または合成(synthetic)増殖培地もまた使用してもよく、特定の微生物生育に適した培地は、微生物学または発酵科学当業者に知られている。 例えば環式アデノシン2':3'−一リン酸などの、異化産物抑制を直接または間接的に調節することが知られている作用物質の使用もまた、発酵培地中に組み込んでもよい。

    発酵に適したpH範囲はpH5.0〜pH9.0の間であり、pH6.0〜pH8.0が初期条件として好ましい。

    発酵は好気性または嫌気性条件下で実施してもよく、嫌気性または微好気条件が好ましい。

    発酵培地中に生成するイソブタノールの量は、例えば高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)またはガスクロマトグラフィー(GC)などの当該技術分野で既知であるいくつかの方法を使用して判定できる。

    工業的バッチおよび連続発酵 本法はバッチ発酵法を用いる。 古典的なバッチ発酵は閉鎖システムであり、そこでは培養液の組成が発酵の初めに設定され、発酵中に人為的変化を受けない。 したがって発酵開始時に培養液に所望の生物体または生物体群を接種して、システムには何も添加せずに発酵を生じさせる。 しかし典型的には「バッチ」発酵は、炭素源の添加に関してバッチであり、pHおよび酸素濃度などの因子の調節が試みられることが多い。 バッチシステムでは、システムの代謝産物および生物体量組成は、発酵を停止させる時点まで常に変化する。 バッチ培養内で細胞は、静的な遅滞期から高い対数増殖期へ、そして最後に成長率が減退または停止する静止期へ調節される。 処置を施さない場合、静止期にある細胞はやがて死滅する。 一般に対数期にある細胞が、最終生成物または中間体の生成の大部分を担う。

    標準バッチシステムのバリエーションが、流加バッチシステムである。 流加バッチ発酵プロセスも本発明において適切であり、発酵の進行と共に基材がステップ的に添加されること以外は、典型的なバッチシステムを含んでなる。 流加バッチシステムは、異化代謝産物抑制が細胞の代謝を阻害する傾向があって、培地中に限定量の基材を有することが望ましい場合に有用である。 流加バッチシステム中の実際の基材濃度の測定は困難であるので、pH、溶存酸素、およびCO などの排ガス分圧などの測定可能因子の変化に基づいて推定される。 バッチおよび流加バッチ発酵は当該技術分野で一般的で周知であり、実例は参照によってここに援用するトマスD. ブロック(Thomas D.Brock)、バイオテクノロジー:工業微生物学テキストブック(Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology)、第2版、Sinauer Associates,Inc. 、Sunderland,MA. 1989年;またはデシュパンデ,ムカンドV(Deshpande,Mukund V.)、Appl. Biochem. Biotechnol. 、36:227頁、1992年、にある。

    本発明はバッチ様式で実施されるが、方法は連続発酵法に適応できることが考察される。 連続発酵は開放系であり、合成発酵培地がバイオリアクターに連続的に添加されて、同時に処理のために当量の熟成培地が除去される。 連続発酵は、一般に細胞が主として対数生育期にある一定の高密度に培養を維持する。

    連続発酵は、細胞生育または最終産物濃度に影響する1つの要因またはいくつもの要因を調節できるようにする。 例えば一方法は炭素源または窒素などの制限的栄養物質のレベルを定率に維持して、その他の全パラメーターを加減できるようにする。 その他のシステムでは、培地濁度によって測定される細胞濃度を一定に保ちながら、生育に影響するいくつかの要素を連続的に改変できる。 連続システムは定常状態生育条件を維持することを目指すので、培地が抜き取られることによる細胞損失は、発酵中の細胞生育速度に対して均衡を保たなくてはならない。 連続発酵法のために栄養素および成長因子を調節する方法、ならびに生成物形成速度を最大化する技術については工業微生物学の当該技術分野で周知であり、多様な方法が前出のブロック(Brock)で詳述されている。

    バッチ、流加または連続法のいずれかを使用して本発明を実施してもよく、あらゆる既知の発酵様式が適切であることが考察される。 さらにホールセル触媒として基質上に細胞を固定化し、イソブタノール生成のための発酵条件に置いてもよいことが考察される。

    発酵培地からのイソブタノール単離法 生物生産されたイソブタノールは、当該技術分野で既知の方法を使用して、発酵培地から単離してもよい。 例えば遠心分離、濾過、デカンテーションなどによって、固形物を発酵培地から除去してもよい。 次に蒸留、液体−液体抽出、または膜ベースの分離などの方法を使用して、上述のように固形物を除去するように処理された発酵培地からイソブタノールを単離してもよい。 イソブタノールは水と低沸点の共沸混合物を形成するので、蒸留は、混合物がその共沸性組成物になるまで分離するためにのみ使用できる。 蒸留を別の分離方法と組み合わせて使用して、共沸混合物周辺での分離を得てもよい。 イソブタノールを単離し精製するために組み合わせて使用してもよい方法としては、デカンテーション、液体−液体抽出、吸着、および膜ベースの技術が挙げられるが、これに限定されるものではない。 さらにイソブタノールは、共留剤を使用した共沸蒸留を使用して単離してもよい(例えばドハーティ(Doherty)およびマロン(Malone)、「蒸留システムの概念設計(Conceptual Design of Distillation Systems)」、McGraw Hill、New York、2001年、を参照されたい)。

    イソブタノール−水混合物は不均一共沸混合物を形成するので、デカンテーションと組み合わせた蒸留を使用して、イソブタノールを単離し精製してもよい。 この方法では、イソブタノール含有発酵ブロスを共沸組成物近くまで蒸留する。 次に共沸性混合物を濃縮し、デカンテーションによってイソブタノールを発酵培地から分離する。 デカントした水相を還流として第1の蒸留カラムに戻してもよい。 第2の蒸留カラム中での蒸留によって、イソブタノールに富む有機相をさらに精製してもよい。

    イソブタノールはまた、蒸留と組み合わせた液体−液体抽出を使用して発酵培地から単離してもよい。 この方法では、適切な溶剤での液体−液体抽出を使用して、イソブタノールが発酵ブロスから抽出される。 次にイソブタノール含有有機相を蒸留して、イソブタノールを溶剤から分離する。

    発酵培地からイソブタノールを単離するために、吸着と組み合わせた蒸留もまた使用してよい。 この方法では、イソブタノール含有発酵ブロスを共沸組成物近くに蒸留し、次に分子ふるいなどの吸着材の使用によって残留水を除去する(アデン(Aden)ら、「トウモロコシまぐさのための並流希釈酸前加水分解および酵素的加水分解を使用したリグノセルロース生物由来資源からのエタノール加工設計および経済学(Lignocellulosic Biomass to Ethanol Process Design and Economics Utilizing Co−Current Dilute Acid Prehydrolysis and Enzymatic Hydrolysis for Corn Stover)」、NREL報告/TP−510−32438、国立再生可能エネルギー研究所、2002年6月)。

    さらに浸透気化法と組み合わせた蒸留を使用して、発酵培地からイソブタノールを単離、精製してもよい。 この方法では、イソブタノール含有発酵ブロスを共沸性組成物近くまで蒸留し、次に親水性膜を通じた浸透気化法によって水を除去する(グオ(Guo)ら、J.Membr.Sci.245、199〜210頁、2004年)。

    続く実施例で本発明をさらに定義する。 これらの実施例は、本発明の好ましい実施態様を示しながら、例証のためにのみ提供されるものとする。 上の考察およびこれらの実施例から、当業者は本発明の必須の特徴を見極められ、その精神と範囲を逸脱することなく、様々な用途および条件に適合するように本発明の様々な変更および修正ができる。

    一般法 実施例で使用される標準リコンビナントDNAおよび分子クローニング技術は当該技術分野で周知であり、サムブルック(Sambrook),J. 、フリッチュ(Fritsch),E. F. 、およびマニアティス(Maniatis),T. 、「分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)」、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor,NY、1989年、(マニアティス(Maniatis));およびT. J. シルハビー(Silhavy)、M. L. ベンナン(Bennan)、およびL. W. エンクイスト(Enquist)、「遺伝子融合実験(Experiments with Gene Fusions)」、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor,N. Y. 、1984年;およびオースベル(Ausubel),F. M. ら、「分子生物学現代プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」、Greene Publishing Assoc. and Wiley−Interscienceによる出版、1987年、で述べられている。

    細菌培養の維持および生育に適した材料および方法は、当該技術分野で周知である。 以下の実施例で使用するのに適した技術については、次で述べられる。 フィリップ・ゲアハルト(Phillipp Gerhardt)、R. G. E. マレー(R.G.E.Murray)、ラルフN. コスティロウ(Ralph N.Costilow)、ユージーンW. ネスター(Eugene W.Nester)、ウィリスA. ウッド(Willis A.Wood)、ノエルR. クリーグ(Noel R.Krieg)、およびG. ブリッグス・フィリップス(G.Briggs Phillips)編、「一般微生物学方法マニュアル(Manual of Methods for General Bacteriology」、米国微生物学会、Washington,D.C.、1994年;またはトーマスD.ブロック(Thomas D.Brock)、「バイオテクノロジー:工業微生物学テキストブック(Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology)」、第2版、Sinauer Associates:Sunderland,MA、1989年。細菌細胞の生育および維持のために使用される全ての試薬および材料は、特に断りのない限りウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals(Milwaukee,WI))、メリーランド州スパークスのBDダイアグノスティックス・システムズ(BD Diagnostics Systems(Sparks,MD))、メリーランド州ロックビルのライフ・テクノロジーズ(Life Technologies(Rockville、MD))、またはミズーリ州セントルイスのシグマケミカル(Sigma Chemical Company(St.Louis,MO))から得た。

    微生物の株は、特に断りのない限りバージニア州マナッサスの米国微生物系統保存機関(ATCC)から得た。

    以下の実施例で使用するオリゴヌクレオチドプライマーを表4に示す。 全てのオリゴヌクレオチドプライマーは、テキサス州ザ・ウッドランズのシグマジェノシス(Sigma−Genosys(The Woodlands,TX))によって合成される。

    培養液中のイソブタノール濃度を判定する方法 培養液中のイソブタノール濃度は、当該技術分野で既知であるいくつかの方法によって判定できる。 例えばどちらもマサチューセッツ州ミルフォードのウォーターズ、コーポレーション(Waters Corporation(Milford,MA))から購入される、ショウデックス(Shodex)SH−Gガードカラム付きショウデックス(Shodex)SH−1011カラムと共に、屈折率(RI)検出を利用した特定の高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)法。 クロマトグラフィーの分離は、流速0.5mL/分の移動相として0.01MH SO を使用してカラム温度50℃で達成した。 イソブタノールは、使用した条件下で46.6分間の滞留時間を有した。 代案としては、ガスクロマトグラフィー(GC)方法が利用できる。 例えばデラウェア州ウィルミントンのアジレント・テクノロジーズ(Agilent Technologies(Wilmington,DE))からのHP−イノワックス(INNOWax)カラム(内径30m×0.53mm、フィルム厚1μm)と共に水素炎イオン化検出器(FID)を利用する特定のGC法。 キャリアガスは、一定の上部圧力下、150℃における測定で流速4.5mL/分のヘリウムであり、注入器スプリットは200℃で1:25であり、オーブン温度は45℃で1分間、10℃/分で45から220℃、および220℃で5分間であり、FID検出を26mL/分のヘリウム補給ガスと共に240℃で用いた。 イソブタノールの滞留時間は4.5分間であった。

    略語の意味は次のとおり。 「s」は秒間を意味し、「min」は分を意味し、「h」は時間を意味し、「psi」は平方インチあたりポンドを意味し、「nm」はナノメートルを意味し、「d」は日を意味し、「μL」はマイクロリットルを意味し、「mL」はミリリットルを意味し、「L」はリットルを意味し、「mm」はミリメートルを意味し、「nm」はナノメートルを意味し、「mM」はミリモル濃度を意味し、「μM」はミクロモル濃度を意味し、「M」はモル濃度を意味し、「mmol」はミリモルを意味し、「μmol」はマイクロモルを意味し、「g」はグラムを意味し、「μg」はマイクログラムを意味し、「ng」はナノグラムを意味し、「PCR」はポリメラーゼ連鎖反応を意味し、「OD」は光学濃度を意味し、「OD 600 」は波長600nmで測定される光学濃度を意味し、「kDa」はキロダルトンを意味し、「g」は、重力定数を意味し、「bp」は塩基対を意味し、「kbp」はキロ塩基対を意味し、「%w/v」は重量/容積%を意味し、「%v/v」は容積/容積%を意味し、「IPTG」はイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノイシドを意味し、「RBS」はリボソーム結合部位を意味し、「HPLC」は高性能液体クロマトグラフィーを意味し、「GC」はガスクロマトグラフィーを意味する。 「モル濃度選択性」という用語は消費された1モルの糖基質あたり生成した産物のモル数であり、%で報告される。

    実施例1
    アセト乳酸シンターゼのクローニングおよび発現 本実施例の目的は、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)からbudB遺伝子をクローンし、それを大腸菌(E.coli)BL21−AI中で発現することであった。 PCRを使用して、budB遺伝子を肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)ATCC25955株ゲノムDNAから増幅し、1.8kbpの生成物を得た。

    ミネソタ州ミネアポリスのジェントラ・システムズ・インコーポレーテッド(Gentra Systems,Inc.(Minneapolis,MN))からのジェントラ・ピュアジーン(Gentra Puregene)キット(カタログ番号D−5000A)を使用して、ゲノムDNAを調製した。 それぞれ配列番号11および12で示されるプライマーN80およびN81(表2参照)を使用して、PCRによって、budB遺伝子を肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)ゲノムDNAから増幅した。 その他のPCR増幅試薬は、例えばマサチューセッツ州ベヴァリーのニュー・イングランド・バイオラブズ・インコーポレーテッド(New England Biolabs,Inc.(Beverly,MA))からのフィンザイムス・フュージョン(Finnzymes Phusion) TM高性能PCRマスターキット(カタログ番号F−531)などの製造業者のキット中で提供され、製造業者のプロトコルに従って使用した。 カリフォルニア州フォスター・シティのアプライド・バイオシステムズ(Aplied Biosystems(Foster city,CA))からのDNAサーモサイクラーGeneAmp 9700内で増幅を実施した。

    発現研究のために、カリフォルニア州カールスバッドのインビトロジェン・コーポレーション(Invitrogen Corp.(Carlsbad,CA))からのゲートウェイ(Gateway)クローニング技術を使用した。 エントリーベクターpENTRSDD−TOPOは定方向性クローニングを可能にし、関心のある遺伝子のためのシャイン−ダルガノ(Shine−Dalgarno)配列を提供した。 目的ベクターpDEST14は、タグのない遺伝子の発現のためにT7プロモーターを使用した。 順方向プライマーには翻訳開始コドンに隣接する4つの塩基(CACC)が組み込まれて、インビトロジェン(Invitrogen)からのpENTRSDD−TOPO中への定方向性クローニングを可能にし、プラスミドpENTRSDD−TOPObudBを発生させた。 製造業者の推奨に従って、pENTRコンストラクトをインビトロジェン(Invitrogen)からの大腸菌(E.coli)Top10細胞に形質転換して播種した。 形質転換体を一晩生育させ、製造業者の推奨に従ってカリフォルニア州バレンシアのキアゲン(Qiagen(Valencia,CA))からのキアプレップ(QIAprep)スピン・ミニプレップキット(カタログ番号27106)を使用して、プラスミドDNAを調製した。 クローンを配列決定し、遺伝子が正しい方向挿入されたことを確認して配列を確認した。 この遺伝子の読み取り枠(ORF)のヌクレオチド配列、および酵素の予測されたアミノ酸配列は、それぞれ配列番号1および配列番号2で示される。

    発現クローンを作り出すために、遺伝子組換えによってbudB遺伝子をpDEST14ベクター中に転移して、pDEST14budBを発生させた。 pDEST14budBベクターをインビトロジェン(Invitrogen)からの大腸菌(E.coli)BL21−AI細胞に形質転換した。 形質転換体を50μg/mLのアンピシリンを添加したルリア・ベルターニ(LB)培地に接種して、一晩生育させた。 一晩培養物のアリコートを使用して、50μg/mLのアンピシリンを添加した50mLのLBに接種した。 培養を振盪しながら、OD 600が0.6〜0.8に達するまで37℃でインキュベートした。 培養を2つの25mL培養物に分割し、フラスコの1つにアラビノースを添加して最終濃度を0.2%w/vにした。 負の対照フラスコはアラビノースで誘導しなかった。 フラスコを振盪しながら37℃で4時間インキュベートした。 細胞を遠心分離によって収集し、細胞ペレットを50mMのMOPS緩衝液(pH7.0)中に再懸濁した。 細胞を超音波処理によって、またはフレンチ・プレッシャー・セル(French pressure cell)を通過させることで破壊した。 ホールセル溶解産物を遠心分離すると、上清または無細胞抽出物およびペレットまたは不溶性画分が生じた。 各画分のアリコート(ホールセル溶解産物、無細胞抽出物、および不溶性画分)をインビトロジェン(Invitrogen)からのSDS(MES)ローディング緩衝液中に再懸濁し、85℃で10分間加熱してSDS−PAGE分析(インビトロジェン(Invitrogen)からのニューページ(NuPAGE)4〜12%ビス−トリスゲル、カタログ番号NP0322Box)を行った。 核酸配列から推定されたような約60kDaの予想された分子量のタンパク質が誘導培養中に存在したが、非誘導対照中には存在しなかった。

    バウエル(Bauerle)ら、Biochim. Biophys. Acta 92(1):142〜149頁、1964年、で述べられる方法を使用して、無細胞抽出物中のアセト乳酸シンターゼ活性を測定する。

    実施例2(予測的)
    アセトヒドロキシ酸レダクトイソメラーゼのクローニングおよび発現 本予測的実施例の目的は、どのようにilvC遺伝子を大腸菌(E.coli)K12からクローンし、それを大腸菌(E.coli)BL21−AI中で発現するかについて述べることである。 ilvC遺伝子はPCRを使用して、大腸菌(E.coli)ゲノムDNAから増幅する。

    ilvC遺伝子は、実施例1で述べられるbudB遺伝子と同じ様式でクローンし、発現する。 大腸菌(E.coli)からのゲノムDNAは、ミネソタ州ミネアポリスのジェントラ・システムズ・インコーポレーテッド(Gentra Systems,Inc.(Minneapolis,MN))からのジェントラ・ピュアジーン(Gentra Puregene)キット(カタログ番号D−5000A)を使用して調製する。 それぞれ配列番号13および14で示されるプライマーN100およびN101(表2参照)を使用して、PCRによってilvC遺伝子を増幅し、1.5kbpの生成物を作り出す。 順方向プライマーには翻訳開始コドンに隣接する4つの塩基(CCAC)が組み込まれ、インビトロジェン(Invitrogen)からのpENTR/SD/D−TOPO中への定方向性クローニングを可能にして、プラスミドpENTRSDD−TOPOilvCを発生させる。 クローンを配列決定して遺伝子が正しく挿入されたことを確認し、配列を確認する。 この遺伝子の読み取り枠(ORF)のヌクレオチド配列および予測された酵素のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号3および配列番号4で示される。

    発現クローンを作り出すために、遺伝子組換えによってilvC遺伝子をインビトロジェン(Invitrogen)からのpDEST14ベクターに移動させ、pDEST14ilvCを発生させる。 pDEST14ilvCベクターを大腸菌(E.coli)BL21−AI細胞に形質転換し、アラビノース添加によってT7プロモーターからの発現を誘導する。 核酸配列から推定される約54kDaの予期された分子量のタンパク質が誘導培養中に存在するが、非誘導対照中には存在しない。

    無細胞抽出物中のアセトヒドロキシ酸レダクトイソメラーゼ活性は、アルフィン(Arfin)およびアンバーガー(Umbarger)、J. Biol. Chem. 244(5):1118〜1127頁、1969年)で述べられる方法を使用して測定される。

    実施例3(予測的)
    アセトヒドロキシ酸デヒドラターゼのクローニングおよび発現 本予測的実施例の目的は、どのようにilvD遺伝子を大腸菌(E.coli)K12からクローンし、それを大腸菌(E.coli)BL21−AI中で発現するかについて述べることである。 ilvD遺伝子は、PCRを使用して大腸菌(E.coli)ゲノムDNAから増幅する。

    ilvD遺伝子は、実施例1で述べられるbudB遺伝子と同じ様式でクローンし、発現する。 大腸菌(E.coli)からのゲノムDNAは、ミネソタ州ミネアポリスのジェントラ・システムズ・インコーポレーテッド(Gentra Systems,Inc.(Minneapolis,MN))からのジェントラ・ピュアジーン(Gentra Puregene)キット(カタログ番号D−5000A)を使用して調製する。 それぞれ配列番号15および16で示されるプライマーN102およびN103(表2参照)を使用して、PCRによってilvD遺伝子を増幅し、1.9kbpの生成物を作り出す。 順方向プライマーには翻訳開始コドンに隣接する4つの塩基(CCAC)が組み込まれ、インビトロジェン(Invitrogen)からのpENTR/SD/D−TOPO中への定方向性クローニングを可能にして、プラスミドpENTRSDD−TOPOilvDを発生させる。 クローンを配列決定して遺伝子が正しく挿入されたことを確認し、配列を確認する。 この遺伝子の読み取り枠(ORF)のヌクレオチド配列および予測された酵素のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号5および配列番号6で示される。

    発現クローンを作り出すために、遺伝子組換えによってilvD遺伝子をインビトロジェン(Invitrogen)からのpDEST14ベクターに移動させ、pDEST14ilvDを発生させる。 pDEST14ilvDベクターを大腸菌(E.coli)BL21−AI細胞に形質転換し、アラビノース添加によってT7プロモーターからの発現を誘導する。 核酸配列から推定される約66kDaの予期された分子量のタンパク質が誘導培養中に存在するが、非誘導対照中には存在しない。

    無細胞抽出物中のアセトヒドロキシ酸デヒドラターゼ活性は、フリント(Flint)ら、J. Biol. Chem. 268(20):14732〜14742頁、1993年、で述べられる方法を使用して測定される。

    実施例4(予測的)
    分枝ケト酸脱炭酸酵素のクローニングおよび発現 本予測的実施例の目的は、どのようにkivD遺伝子をラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)からクローンし、それを大腸菌(E.coli)BL21−AI中で発現するかについて述べることである。

    L. ラクティス(lactis)からの分枝ケト酸脱炭酸酵素(kivD)をコードするDNA配列をニュージャージー州ピスカタウェイのジェンスクリプト(Genscript(Piscataway,NJ))から得る。 得られた配列を大腸菌(E.coli)および枯草菌(B.subtilis)の双方中での発現のためにコドン最適化し、pUC57中にクローニングしてpUC57−kivDを形成する。 コドン最適化されたこの遺伝子の読み取り枠(ORF)のヌクレオチド配列および予測された酵素のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号7および配列番号8で示される。

    発現クローンを作り出すために、NdeIおよびBamHI制限部位を利用して、pUC57−kivDからの1.7kbpのkivD断片をウィスコンシン州マディソンのノバジェン(Novagen(Madison,WI))からのベクターpET−3a中にクローニングする。 これによって発現クローンpET−3a−kivDを作り出す。 pET−3a−kivDベクターを大腸菌(E.coli)BL21−AI細胞に形質転換し、T7プロモーターからの発現をアラビノース添加によって誘導する。 核酸配列から推定される約61kDaの予期された分子量のタンパク質が誘導培養中に存在するが、非誘導対照中には存在しない。

    無細胞抽出物中の分枝ケト酸脱炭酸酵素活性は、スミット(Smit)ら、Appl. Microbiol. Biotechnol. 64:396〜402頁、2003年、で述べられる方法を使用して測定される。

    実施例5(予測的)
    分枝アルコールデヒドロゲナーゼのクローニングおよび発現 本予測的実施例の目的は、どのように大腸菌(E.coli)K12からのyqhD遺伝子をクローニングし、それを大腸菌(E.coli)BL21−AI中で発現するかについて述べることである。 yqhD遺伝子は、PCRを使用して大腸菌(E.coli)ゲノムDNAから増幅する。

    yqhD遺伝子は、実施例1で述べられるbudB遺伝子と同じ様式でクローンし、発現する。 大腸菌(E.coli)からのゲノムDNAは、ミネソタ州ミネアポリスのジェントラ・システムズ・インコーポレーテッド(Gentra Systems,Inc.(Minneapolis,MN))からのジェントラ・ピュアジーン(Gentra Puregene)キット(カタログ番号D−5000A)を使用して調製する。 それぞれ配列番号17および18で示されるプライマーN104およびN105(表2参照)を使用して、PCRによってyqhD遺伝子を増幅し、1.2kbpの生成物を作り出す。 順方向プライマーには翻訳開始コドンに隣接する4つの塩基(CCAC)が組み込まれ、インビトロジェン(Invitrogen)からのpENTR/SD/D−TOPO中への定方向性クローニングを可能にし、プラスミドpENTRSDD−TOPOyqhDを発生させる。 クローンを配列決定して、遺伝子が正しく挿入されたことを確認し、配列を確認する。 この遺伝子の読み取り枠(ORF)のヌクレオチド配列および予測された酵素のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号9および配列番号10で示される。

    発現クローンを作り出すために、遺伝子組換えによってyqhD遺伝子をインビトロジェン(Invitrogen)からのpDEST14ベクターに移動し、pDEST14yqhDを発生させる。 pDEST14ilvDベクターを大腸菌(E.coli)BL21−AI細胞に形質転換して、T7プロモーターからの発現をアラビノース添加によって誘導する。 核酸配列から推定される約42kDaの予期された分子量のタンパク質が誘導培養中に存在するが、非誘導対照中には存在しない。

    無細胞抽出物中の分枝アルコールデヒドロゲナーゼ活性は、ズルツェンバッハー(Sulzenbacher)ら、J. Mol. Biol. 342(2):489〜502頁、2004年、で述べられる方法を使用して測定される。

    実施例6(予測的)
    イソブタノール生合成経路中の遺伝子のための形質転換ベクターの構築 本予測的実施例の目的は、どのようにイソブタノール生合成経路中の5つのステップをコードする遺伝子を含んでなる形質転換ベクターを構築するかについて述べることである。 全ての遺伝子は、単一プロモーターの制御下にある単一オペロンに入れる。 後のクローニングのための制限部位を組み込んだプライマーと、最適化された大腸菌(E.coli)リボソーム結合部位(AAAGGAGG)を含有する順方向プライマーとで、個々の遺伝子をPCRによって増幅し、そのPCR産物をpCR4 Blunt−TOPOベクター中にTOPOクローニングして、インビトロジェン(Invitrogen)からの大腸菌(E.coli)Top10細胞に形質転換する。 プラスミドDNAをTOPOクローンから調製し、遺伝子配列を確認する。 マサチューセッツ州ベヴァリーのニュー・イングランド・バイオラブズ(New England Biolabs(Beverly,MA))からの制限酵素およびT4DNAリガーゼを製造業者の推奨に従って使用する。 クローニング実験のために、キアゲン(Qiagen)からのキアクイック(QIAquick)ゲル抽出キットを使用して、制限酵素断片をゲル精製する。 配列確認後、クローニングプラットフォームとして変性pUC19ベクター中に、遺伝子をサブクローニングする。 pUC19ベクターはHindIII/SapI消化によって変性し、pUC19dHSを作り出す。 MCS(複数クローニング部位)に隣接するlacプロモーターを消化除去して、ベクター中のオペロン転写を防止する。

    それぞれ配列番号19および20で示されるプライマー対N110およびN111(表2参照)を使用して、PCRによって、budB遺伝子を肺炎桿菌(K,pneumoniae)ATCC25955ゲノムDNAから増幅し、1.8kbpの生成物を作り出す。 順方向プライマーにはSphIおよびAflII制限部位およびリボソーム結合部位(RBS)が組み込まれる。 逆方向プライマーにはPacIおよびNsiI制限部位が組み込まれる。 PCR産物をpCR4 Blunt−TOPO中にクローニングして、pCR4 Blunt−TOPO−budBを作り出す。 プラスミドDNAをTOPOクローンから調製し、遺伝子配列を確認する。

    それぞれ配列番号21および22で示されるプライマー対N112およびN113(表2参照)を使用して、PCRによって、ilvC遺伝子を大腸菌(E.coli)K12ゲノムDNAから増幅し、1.5kbpの生成物を作り出す。 順方向プライマーにはSalIおよびNheI制限部位およびRBSが組み込まれる。 逆方向プライマーにはXbaI制限部位が組み込まれる。 PCR産物をpCR4 Blunt−TOPO中にクローニングして、pCR4 Blunt−TOPO−ilvCを作り出す。 プラスミドDNAをTOPOクローンから調製し、遺伝子配列を確認する。

    それぞれ配列番号23および24で示されるプライマー対N114およびN115(表2参照)を使用して、PCRによって、ilvD遺伝子を大腸菌(E.coli)K12ゲノムDNAから増幅し、1.9kbpの生成物を作り出す。 順方向プライマーにはXbaI制限部位およびRBSが組み込まれる。 逆方向プライマーにはBamHI制限部位が組み込まれる。 PCR産物をpCR4 Blunt−TOPO中にクローニングして、pCR4 Blunt−TOPO−ilvDを作り出す。 プラスミドDNAをTOPOクローンから調製し、遺伝子配列を確認する。

    それぞれ配列番号25および26で示されるプライマー対N116およびN117(表2参照)を使用して、PCRによって、kivD遺伝子をpUC57−kivD(実施例4で述べられる)から増幅し、1.7bpの生成物を作り出す。 順方向プライマーにはBamHI制限部位およびRBSが組み込まれる。 逆方向プライマーにはSaCI制限部位が組み込まれる。 PCR産物をpCR4 Blunt−TOPO中にクローニングして、pCR4 Blunt−TOPO−kivDを作り出す。 プラスミドDNAをTOPOクローンから調製して、遺伝子配列を確認する。

    それぞれ配列番号27および28で示されるプライマー対N118およびN119(表2参照)を使用して、PCRによって、yqhD遺伝子を大腸菌(E.coli)K12ゲノムDNAから増幅し、1.2kbpの生成物を作り出す。 順方向プライマーにはSaCI制限部位が組み込まれる。 逆方向プライマーにはSpeIおよびEcoRI制限部位が組み込まれる。 PCR産物をpCR4 Blunt−TOPO中にクローニングして、pCR4 Blunt−TOPO−yqhDを作り出す。 プラスミドDNAをTOPOクローンから調製して、遺伝子配列を確認する。

    イソブタノール経路オペロンを構築するために、SacIおよびEcoRIでyqhD遺伝子をpCR4 Blunt−TOPO−yqhDから切除して、1.2kbpの断片を放出する。 これをあらかじめSacIおよびEcoRIで消化されたpUC19dHSとライゲートする。 得られたクローン、pUC19dHS−yqhDを制限酵素消化によって確認する。 次にSalIおよびXbaIでilvC遺伝子をpCR4 Blunt−TOPO−ilvCから切除して、1.5kbpの断片を放出する。 これをあらかじめSalIおよびXbaIで消化されたpUC19dHS−yqhDとライゲートする。 得られたクローン、pUC19dHS−ilvC−yqhDを制限酵素消化によって確認する。 次にSphIおよびNsiIでbudB遺伝子をpCR4 Blunt−TOPO−budBから切除し、1.8kbpの断片を放出する。 pUC19dHS−ilvC−yqhDをSphIおよびPstIで消化し、SphI/NsiIbudB断片(NsiIおよびPstIは適合性末端を発生させる)とライゲートし、pUC19dHS−budB−ilvC−yqhDを形成する。 XbaIおよびBamHIで、ilvD遺伝子を含有する1.9kbpの断片をpCR4 Blunt−TOPO−ilvDから切除し、これらの同一酵素で消化されたpUC19dHS−budB−ilvC−yqhDとライゲートし、pUC19dHS−budB−ilvC−ilvD−yqhDを形成する。 最後にBamHIおよびSaCI でkivDをpCR4 Blunt−TOPO−kivDから切除し、1.7kbpの断片を放出する。 この断片をあらかじめBamHIおよびSacIで消化されたpUC19dHS−budB−ilvC−ilvD−yqhDとライゲートし、pUC19dHS−budB−ilvC−ilvD−kivD−yqhDを形成する。

    pUC19dHS−budB−ilvC−ilvD−kivD−yqhDベクターをAflIIおよびSpeIで消化し、8.2kbpのオペロン断片を放出し、それを大腸菌(E.coli)−枯草菌(B.subtilis)シャトルベクターであるpBenAS中にクローニングする。 プラスミドpBenASは、pBE93ベクターの変性によって作り出され、それはナガラージャン(Nagarajan)らの国際公開第93/24631号パンフレットの実施例4で述べられる。 pBenASを作るために、pBE93のNcoI/HindIII消化で、バシラス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)中性タンパク質分解酵素プロモーター(NPR)、シグナル配列、およびphoA遺伝子を除去する。 それぞれ配列番号29および30で示されるプライマーBenNFおよびBenASRによって、NPRプロモーターをpBE93からPCR増幅する。 プライマーBenASRには、プロモーター下流のAflII、SpeI、およびHindIII部位が組み込まれる。 PCR産物をNcoIおよびHindIIIで消化し、断片をベクター中の対応する部位にクローニングしてpBenASを作り出す。 オペロン断片をpBenAS中のAflIIおよびSpeI部位にサブクローニングして、pBen−budB−ilvC−ilvD−kivD−yqhDを作り出す。

    実施例7(予測的)
    大腸菌(E.coli)中のイソブタノール生合成経路の発現 本予測的実施例の目的は、どのようにイソブタノール生合成経路を大腸菌(E.coli)中で発現するかについて述べることである。

    実施例6で述べられるようにして構築されたプラスミドpBen−budB−ilvC−ilvD−kivD−yqhDを大腸菌(E.coli)NM522(ATCC番号47000)に形質転換して大腸菌(E.coli)NM522/pBen−budB−ilvC−ilvD−kivD−yqhD株を得て、オペロン中の遺伝子発現をSDS−PAGE分析、酵素アッセイ、およびウエスタンブロット分析によってモニターする。 ウエスタンブロットでは、テキサス州ザ・ウッドランズのシグマジェノシス(Sigma−Genosys(The Woodlands,TX))からの合成ペプチドに対する抗体を生じさせる。

    50mLの培地を含有する250mL振盪フラスコに、大腸菌(E.coli)株NM522/pBen−budB−ilvC−ilvD−kivD−yqhDを接種し、250rpmおよび35℃で振盪する。 培地は、グルコース(5g/L)、MOPS(0.05M)、硫酸アンモニウム(0.01M)、リン酸2水素カリウム(0.005M)、S10金属ミックス(1%(v/v))酵母抽出物(0.1%(w/v))、カザミノ酸(0.1%(w/v))、チアミン(0.1mg/L)、プロリン(0.05mg/L)、およびビオチン(0.002mg/L)から構成され、KOHでpH7.0に滴定する。 S10金属ミックスは、MgCl (200mM)、CaCl (70mM)、MnCl (5mM)、FeCl (0.1mM)、ZnCl (0.1mM)、チアミン塩酸塩(0.2mM)、CuSO (172μM)、CoCl (253μM)、およびNa MoO (242μM)を含有する。 18時間後、例えば上の一般法セクションで述べられるような当該技術分野で周知の方法を使用して、イソブタノールをHPLCまたはGC分析によって検出する。

    実施例8(予測的)
    枯草菌(Bacillus subtilis)中のイソブタノール生合成経路の発現 本予測的実施例の目的は、どのようにイソブタノール生合成経路を枯草菌(Bacillus subtilis)中で発現するかについて述べることである。 実施例7で述べられるのと同じアプローチを使用する。

    実施例6で述べられるようにして構築されるプラスミドpBen−budB−ilvC−ilvD−kivD−yqhDを使用する。 このプラスミドを枯草菌(Bacillus subtilis)BE1010(J.Bacteriol.173:2278−2282(1991))に形質転換して、枯草菌(B.subtilis)BE1010/pBen−budB−ilvC−ilvD−kivD−yqhD株を得て、実施例7で述べるようにして各オペロン中の遺伝子発現をモニターする。

    50mLの培地を含有する250mL振盪フラスコに、枯草菌(B.subtilis)BE1010/pBen−budB−ilvC−ilvD−kivD−yqhD株を接種し、250rpmおよび35℃で18時間振盪する。 培地はデキストロース(5g/L)、MOPS(0.05M)、グルタミン酸(0.02M)、硫酸アンモニウム(0.01M)、リン酸2水素カリウム緩衝液(0.005M)、S10金属ミックス(実施例11で述べられるような、1%(v/v))、酵母抽出物(0.1%(w/v))、カザミノ酸(0.1%(w/v))、トリプトファン(50mg/L)、メチオニン(50mg/L)、およびリジン(50mg/L)から構成され、KOHでpH7.0に滴定する。 18時間後、例えば上の一般法セクションで述べられるような当該技術分野で周知である方法を使用して、イソブタノールをHPLCまたはGC分析によって検出する。

    実施例9
    アセト乳酸シンターゼのクローニングおよび発現 別のアセト乳酸シンターゼ発現クローンを作り出すために、budB遺伝子をベクターpTrc99A中にクローニングした。 プライマー(それぞれ配列番号31および32で示されるN110.2およびN111.2)を使用して、budB遺伝子を最初にpENTRSDD−TOPObudB(実施例1で述べられる)から増幅し、それによって5'末端にSacI、SpeIおよびMfeI部位が、3'末端にBbvCI、AflII、およびBamHI部位が導入された。 得られた1.75kbpのPCR産物をインビトロジェン(Invitrogen)からのpCR4−Blunt TOPO中にクローニングし、DNA配列を確認した(それぞれ配列番号40〜47で示される配列決定プライマーN130SeqF1〜F4およびR1〜R4を使用して)。 次にSacIおよびBamHIを使用して、budB遺伝子をこのベクターから切除し、pTrc99A(アマン(Amann)ら、Gene 69(2):301〜315頁、1988年)中にクローニングして、pTrc99A::budBを発生させた。 pTrc99A::budBベクターを大腸菌(E.coli)TOP10細胞に形質転換し、形質転換体を50μg/mLのアンピシリンを添加したLB培地に接種して、37℃で一晩生育させた。 一晩培養物のアリコートを使用して、50μg/mLのアンピシリンを添加した50mLのLB培地に接種した。 OD 600が0.6〜0.8に達するまで、培養を振盪しながら37℃でインキュベートした。 次に0.4mMのIPTGの添加によって、TrcプロモーターからのbudBmの発現を誘導した。 IPTGで誘導しない負の対照フラスコもまた調製した。 フラスコを振盪しながら37℃で4時間インキュベートした。 実施例1で述べられるようにして、無細胞抽出物を調製した。

    実施例1で述べられるようにして、無細胞抽出物中のアセト乳酸シンターゼ活性を測定した。 IPTGでの誘導の3時間後、8単位/mgのアセト乳酸シンターゼ活性が検出された。 pTrc99Aプラスミドのみを保有する対照株は、0.03単位/mgのアセト乳酸シンターゼ活性を示した。

    実施例10
    アセトヒドロキシ酸レダクトイソメラーゼのクローニングおよび発現 本実施例の目的は、大腸菌(E.coli)K12からilvC遺伝子をクローニングし、それを大腸菌(E.coli)TOP10中で発現することであった。 PCRを使用して、大腸菌(E.coli)K12株FM5(ATCC53911)ゲノムDNAからilvC遺伝子を増幅した。

    上の実施例2でilvCのクローニングおよび発現について述べたのと同じ様式で、ilvC遺伝子をクローンし発現した。 プライマーN112.2およびN113.2(それぞれ配列番号33および34)を使用して、PCRを使用し、大腸菌(E.coli)FM5ゲノムからilvCを増幅した。 プライマーは、SacIおよびAflIII部位、およびilvCの5'末端の最適RBS、および3'末端のNotI、NheI、およびBamHI部位を作り出した。 製造業者インビトロジェン(Invitrogen)のプロトコルに従って1.5kbpのPCR産物をpCR4 Blunt−TOPO中にクローニングして、pCR4 Blunt−TOPO::ilvCを発生させた。 配列決定プライマー(それぞれ配列番号48〜53で示されるN131SeqF1−F3、およびN131SeqR1−R3)を使用して、PCR産物の配列を確認した。 発現クローンを作り出すために、SacIおよびBamHIを使用してpCR4 Blunt−TOPO::ilvCからilvC遺伝子を切除し、pTrc99A中にクローニングした。 pTrc99A::ilvCベクターを大腸菌(E.coli)TOP10細胞に形質転換し、実施例9で述べられるようにしてIPTGの添加によって、Trcプロモーターからの発現を誘導した。 実施例1で述べられるようにして、無細胞抽出物を調製した。

    実施例2で述べられるようにして、無細胞抽出物中のアセトヒドロキシ酸レダクトイソメラーゼ活性を測定した。 IPTGによる誘導の3時間後、0.026単位/mgのアセトヒドロキシ酸レダクトイソメラーゼ活性が検出された。 pTrc99Aプラスミドのみを保有する対照株は、0.001単位/mg未満のアセトヒドロキシ酸レダクトイソメラーゼ活性を示した。

    実施例11
    アセトヒドロキシ酸デヒドラターゼのクローニングおよび発現 本実施例の目的は、大腸菌(E.coli)K12からilvD遺伝子をクローニングして、それを大腸菌(E.coli)Top10中で発現することであった。 PCRを使用して、大腸菌(E.coli)K12株FM5(ATCC53911)ゲノムDNAからilvD遺伝子を増幅した。

    実施例10で述べたilvC遺伝子と同じ様式で、ilvD遺伝子をクローンし発現した。 プライマーN114.2およびN115.2(それぞれ配列番号35および36)を使用して、PCRを使用して、大腸菌(E.coli)FM5ゲノムからilvDを増幅した。 プライマーは、SacIおよびNheI部位、およびilvDの5'末端の最適RBS、および3'末端のBsu36I、PacIおよびBamHI部位を作り出した。 製造業者インビトロジェン(Invitrogen)のプロトコルに従って1.9kbpのPCR産物をpCR4 Blunt−TOPO中にクローニングし、pCR4 Blunt−TOPO::ilvDを発生させた。 PCR産物の配列を確認した(それぞれ配列番号54〜61で示される配列決定プライマーN132SeqF1−F4およびN132SeqR1−R4)。 発現クローンを作り出すために、SacIおよびBamHIを使用して、ilvD遺伝子をプラスミドpCR4 Blunt−TOPO::ilvDから切除し、pTrc99A中にクローニングした。 pTrc99A::ilvDベクターを大腸菌(E.coli)TOP10細胞に形質転換し、実施例9で述べられるようにしてTrcプロモーターからの発現をIPTGの添加によって誘導した。 実施例1で述べられるようにして、無細胞抽出物を調製した。

    実施例3で述べられるようにして、無細胞抽出物中のアセトヒドロキシ酸デヒドラターゼ活性を測定した。 IPTGによる誘導の3時間後、46単位/mgのアセトヒドロキシ酸デヒドラターゼ活性が測定された。 pTrc99Aプラスミドのみを保有する対照株は、検出可能なアセトヒドロキシ酸デヒドラターゼ活性を示さなかった。

    実施例12
    分枝ケト酸脱炭酸酵素のクローニングおよび発現 本実施例の目的は、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)からkivD遺伝子をクローニングし、それを大腸菌(E.coli)のTOP10中で発現することであった。

    上の実施例10でilvCについて述べられるのと同じ様式で、kivD遺伝子をクローンし発現した。 プライマーN116.2およびN117.2(それぞれ配列番号37および38)を使用して、PCRを使用して、プラスミドpUC57−kivD(上の実施例4参照)からkivDを増幅した。 プライマーはSacIおよびPacI部位、およびkivDの5'末端の最適RBS、および3'末端のPciI、AvrII、BglII、およびBamHI部位を作り出した。 製造業者インビトロジェン(Invitrogen)のプロトコルに従って、1.7kbpのPCR産物をpCR4 Blunt−TOPO中にクローニングし、pCR4 Blunt−TOPO::kivDを発生させた。 プライマーN133SeqF1−F4およびN133SeqR1−R4(それぞれ配列番号62〜69で示される)を使用して、PCR産物の配列を確認した。 発現クローンを作り出すために、kivD遺伝子をSacIおよびBamHIを使用してプラスミドpCR4 Blunt−TOPO::kivDから切除し、pTrc99A中にクローニングした。 pTrc99A::kivDベクターを大腸菌(E.coli)TOP10細胞に形質転換し、実施例9で述べられるようにして、Trcプロモーターからの発現をIPTGの添加によって誘導した。 実施例1で述べられるようにして、無細胞抽出物を調製した。

    アルドリッチ(Aldrich)からのパーパルド(Purpald)(登録商標)試薬(カタログ番号162892)を使用して、アルデヒド反応生成物を検出および定量化したこと以外は、実施例4で述べられるようにして、無細胞抽出物中の分枝ケト酸脱炭酸酵素活性を測定した。 IPTGによる誘導の3時間後、3.7単位/mgを超える分枝ケト酸脱炭酸酵素活性が検出された。 pTrc99Aプラスミドのみを保有する対照株は、検出可能な分枝ケト酸脱炭酸酵素活性を示さなかった。

    実施例13
    分枝アルコールデヒドロゲナーゼの発現 大腸菌(E.coli)は、1,3−プロパンジオールデヒドロゲナーゼとして同定される天然遺伝子(yqhD)を含有する(米国特許第6,514,733号明細書)。 YqhDタンパク質は、推定上のNADH依存ブタノールデヒドロゲナーゼであるクロストリジウム(Clostridium)からのAdhB(adhBによってコードされる)と40%同一性を有する。 λレッド技術(ダツセンコ(Datsenko)およびワーナー(Wanner)、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.97:6640頁、2000年)を使用して、yqhD遺伝子を大腸菌(E.coli)MG1655 1.6yqhD::Cm株(国際公開第2004/033646号パンフレット)中のグルコースイソメラーゼプロモーター1.6GI(配列番号70)の変異型の構成的な発現下に置いた。 抗生物質マーカーが除去できるように、FRT−CmR−FRTカセットはMG1655 1.6yqhD::Cmを含有する。 同様に天然プロモーターを1.5GI プロモーター(国際公開第2003/089621号パンフレット)(配列番号71)によって置換してMG1655 1.5GI−yqhD::Cm株を作り出し、したがってMG1655 1.6yqhD::Cmの1.6GIプロモーターを1.5GIプロモーターで置換する。

    MG1655 1.5GI−yqhD::Cm株をLB培地中で対数中期に生育させ、実施例1で述べられるようにして無細胞抽出物を調製した。 この株は、pH7.5および35℃における340nmでの吸光度の低下を追跡して細胞抽出物をアッセイすると、NADPH依存イソブチルアルデヒド還元酵素活性を有することが分かった。

    1.5GI−yqhD::Cmを含有する第2の発現株を発生させるために、MG1655 1.5GIyqhD::CmからP1溶解産物を調製し、形質導入によってカセットをインビトロジェン(Invitrogen)からのBL21(DE3)に転移して、BL21(DE3)1.5GI−yqhD::Cmを作り出した。

    実施例14
    イソブタノール生合成経路中の最初の4遺伝子のための形質転換ベクターの構築 本実施例の目的は、イソブタノール生合成経路中の最初の4遺伝子(すなわちbudB、ilvC、ilvD、およびkivD)を含んでなる形質転換ベクターを構築することである。

    形質転換ベクターを構築するために、初めにAflIIおよびBamHIでの消化によってpTrc99A::ilvC(実施例10で述べられる)からilvC遺伝子を得て、pTrc99A::budB(実施例9で述べられる)中にクローニングし、それをAflIIおよびBamHIで消化してプラスミドpTrc99A::budB−ilvCを生成した。 次にNheIおよびPaCI(ilvD)、およびPacIおよびBamHI(kivD)での消化によって、pTrc99A::ilvD(実施例11で述べられる)およびpTrc99A::kivD(実施例12で述べられる)から、それぞれilvDおよびkivD遺伝子を得た。 これらの遺伝子を三元ライゲーションによって、初めにNheIおよびBamHIで消化したpTrc99A::budB−ilvC中に導入した。 PCRスクリーニングおよび制限酵素消化によって、最終プラスミドpTrc99A::budB−ilvC−ilvD−kivD中の全4遺伝子の存在を確認した。

    実施例15
    グルコースで生育させた大腸菌(E.coli)中のイソブタノール生合成経路の発現 大腸菌(E.coli)イソブタノール産生株を作り出すために、pTrc99A::budB−ilvC−ilvD−kivD(実施例14で述べられる)を大腸菌(E.coli)MG1655 1.5GIyqhD::Cmおよび大腸菌(E.coli)BL21(DE3)1.5GIyqhD::Cm(実施例13で述べられる)に形質転換した。 形質転換体を初めに、50μg/mLのカナマイシンおよび100μg/mLのカルベニシリンを含有するLB培地中で生育させた。 これらの培養からの細胞を使用して、それぞれ高低酸素条件に相当する50または170mLのTM3a/グルコース培地(適切な抗生物質を添加した)を含有する振盪フラスコ(総容積およそ175mL)に接種した。 TM3a/グルコース培地は(1Lあたり)、グルコース(10g)、KH PO (13.6g)、クエン酸一水和物(2.0g)、(NH SO (3.0g)、MgSO ・7H O(2.0g)、CaCl ・2H O(0.2g)、クエン酸第二鉄アンモニウム(0.33g)、チアミン・HCl(1.0mg)、酵母抽出物(0.50g)、および10mLの微量元素溶液を含有した。 pHをNH OHで6.8に調節した。 微量元素溶液は、クエン酸・H O(4.0g/L)、MnSO ・H O(3.0g/L)、NaCl(1.0g/L)、FeSO ・7H O(0.10g/L)、CoCl ・6H O(0.10g/L)、ZnSO ・7H O(0.10g/L)、CuSO ・5H O(0.010g/L)、H BO (0.010g/L)、およびNa MoO ・2H O(0.010g/L)を含有した。

    ≦0.01単位の開始OD 600でフラスコを接種し、300rpmで振盪しながら34℃でインキュベートした。 50mLの培地を含有するフラスコを0.2μmのフィルターキャップで閉じ、150mLの培地を含有するフラスコを密封キャップで閉じた。 細胞が≧0.4単位のOD 600に達したら、IPTGを0.04mMの最終濃度に添加した。 誘導のおよそ18時間後、一般法セクションで述べられるように、HPLC(屈折率(RI)検出付き)(ニューヨーク州の昭和電工アメリカ・インコーポレーテッド(Showa Denko America,Inc.(NY))からのショーデックス・シュガー(Shodex Sugar)SH1011カラム)、およびカリフォルニア州パロアルトのバリアン・インコーポレーテッド(Varian,Inc.(Palo Alto,CA))からの炎光イオン化検出(FID)付きGC(バリアン(Varian)CP−WAX58(FFAP)CB、0.25mm×0.2μm×25m)によって、ブロスのアリコートをイソブタノール含量について分析した。 イソブタノールは、pTrc99Aベクターのみを保有する対照株中には検出されなかった(結果示さず)。 pTrc99A::budB−ilvC−ilvD−kivDを保有する株によって産生されるイソブタノールのモル濃度選択性および力価を表5に示す。 低酸素条件下で生育させた培養中で、顕著により高いイソブタノール力価が得られた。

    実施例16
    スクロースで生育させた大腸菌(E.coli)中のイソブタノール生合成経路の発現 実施例15で述べられる株はスクロースで生育できなかったので、追加的プラスミドを構築してイソブタノール生成のためにスクロースの使用を可能にした。 配列番号39で示されるスクロース使用遺伝子クラスターcscBKAをATCC株13281に由来するスクロース使用大腸菌(E.coli)株ゲノムDNAから単離した。 スクロース使用遺伝子(cscA、cscK、およびcscB)は、配列番号139で示されるスクロース加水分解酵素(CscA)、配列番号140で示されるD−フルクトキナーゼ(CscK)、および配列番号141で示されるスクロースパーミアーゼ(CscB)をコードする。 大腸菌(E.coli)中のそれらの天然プロモーターから3つの遺伝子cscBKAが構成的に発現されるように、スクロース特異的リプレッサー遺伝子cscRは含まれなかった。

    スクロース使用大腸菌(E.coli)株からのゲノムDNAをBamHIおよびEcoRIで完全に消化した。 約4kbpの平均サイズを有する断片をアガロースゲルから単離し、イングランド・バイオラブズ(New England Biolabs)からのプラスミドpLitmus28にライゲートしてBamHIおよびEcoRIで消化し、インビトロジェン(Invitrogen)からのウルトラコンピテント大腸菌(E.coli)TOP10F'細胞に形質転換した。 1%スクロースおよびアンピシリン(100μg/mL)を含有するマッコンキー寒天プレート上に形質転換体を画線培養し、紫色コロニーの外観についてスクリーンした。 プラスミドDNAを紫色形質転換体から単離し、インビトロジェン(Invitrogen)からのM13 順方向プライマーおよび逆方向プライマー、およびScr1〜4(それぞれ72〜75の配列番号で示される)で配列決定した。 cscB、cscK、およびcscA(cscBKA)遺伝子を含有するプラスミドは、消化されたpScr1であった。

    イソブタノール経路プラスミド(実施例14)と適合性のスクロース使用プラスミドを作り出すために、pScr1からのオペロンをドイツ国ゲッティンゲンのモビテック(MoBitec(Goettingen,Germany))からのpBHR1中にサブクローニングした。 pScr1のXhoIでの消化によって(平滑末端を生じさせるクレノウ(Klenow)酵素でのインキュベーションがそれに続く)、次にAgeIでの消化によって、cscBKA遺伝子を単離した。 得られた4.2kbpの断片をNaeIおよびAgeIで消化してpBHR1中にライゲートし、9.3kbpのプラスミドpBHR1::cscBKAをもたらした。

    電気穿孔によって、スクロースプラスミドpBHR1::cscBKAを大腸菌(E.coli)BL21(DE3)1.5yqhD/pTrc99A::budB−ilvC−ilvD−kivDおよび大腸菌(E.coli)MG1655 1.5yqhD/pTrc99A::budB−ilvC−ilvD−kivD(実施例15で述べられる)に形質転換した。 形質転換体を初めに、100μg/mLアンピシリンおよび50μg/mLカナマイシンを含有するLB培地上で選択し、次にマッコンキースクロース(1%)プレート上でスクリーンして、スクロースオペロンの機能性発現を確認した。 イソブタノールの生成のために、グルコースの代わりに1%スクロースを含有するTM3a最小合成培地(実施例15で述べられる)中で株を生育させ、サンプルを誘導の14時間後に採取したこと以外は、実施例15で述べられるようにして、イソブタノール生成量について培養液を分析した。 ここでもイソブタノールは、pTrc99Aベクターのみを保有する対照株では検出されなかった(結果示さず)。 pTrc99A::budB−ilvC−ilvD−kivDを保有するMG1655 1.5yqhDによって産生されたイソブタノールのモル濃度選択性および力価を表6に示す。 類似のBL21(DE3)株と同様の結果が得られた。

    実施例17
    サッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)中のイソブタノール経路遺伝子の発現 イソブタノール経路遺伝子を発現するために、サッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)、いくつかの大腸菌(E.coli)−酵母シャトルベクターを構築した。 PCRアプローチ(ユ(Yu)ら、Fungal Genet.Biol.41:973〜981頁、2004年)を使用して、遺伝子と酵母プロモーターおよびターミネーターとを融合させた。 具体的にはGPDプロモーター(配列番号76)およびCYC1ターミネーター(配列番号77)を枯草菌(Bacillus subtilis)(配列番号78)からのalsS遺伝子に縮合し、FBAプロモーター(配列番号79)およびCYC1ターミネーターをS. セレヴィシエ(cerevisiae)からのILV5(配列番号80)遺伝子に縮合し、ADH1プロモーター(配列番号81)およびADH1ターミネーター(配列番号82)をS. セレヴィシエ(cerevisiae)からのILV3遺伝子(配列番号83)に縮合し、GPMプロモーター(配列番号84)およびADH1ターミネーターをラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)からのkivD遺伝子(配列番号7)に縮合した。 表7で示されるプライマーは、プロモーター/遺伝子/ターミネーター生成物をpRS400シリーズ(クリスチャンソン(Christianson)ら、Gene 110:119〜122頁、1992年)からの大腸菌(E.coli)−酵母シャトルベクター中にクローニングするため、そしてコンストラクト間でプロモーターを交換するための制限部位を含むようにデザインされた。 ILV5およびILV3の5'末端のためのプライマー(それぞれ配列番号95および107で示されるN138およびN155)は新しい開始コドンを生じて、これらの酵素のミトコンドリアターゲティングを排除した。

    縮合した全PCR産物を初めにインビトロジェン(Invitrogen)からのTOPOクローニング反応によってpCR4−Blunt中にクローニングし、配列を確認した(インビトロジェン(Invitrogen)からのM13 順方向プライマーおよび逆方向プライマーおよび表7で提供される配列決定プライマーを使用した)。 2つの追加的プロモーター(CUP1およびGAL1)をTOPO反応によってpCR4−Blunt中にクローニングし、配列決定によって確認した。 プライマー配列を表7に示す。 構築されたプラスミドを表8に記述する。 プラスミドをサッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)BY4743(ATCC201390)またはYJR148w(ATCC4036939)のどちらかに形質転換して、実施例1〜4および実施例9〜12で述べられる酵素アッセイを使用して、酵素特異的活性を評価した。 酵素活性の判定のために、発現プラスミドの選択に必要な、あらゆる代謝産物を欠く合成完全培地(「酵母遺伝学における方法(Methods in Yeast Genetics)」、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor,NY、201〜202頁、2005年)中で、OD 600が1.0になるまで培養を生育させ、遠心分離によって収集し(4℃において2600×gで8分間)、緩衝液で洗浄し、再度遠心分離して−80℃で凍結した。 細胞を解凍し、20mMトリス−HCl(pH8.0)に再懸濁して最終容積を2mLにして、次に1.2gのガラスビーズ(0.5mmサイズ)でビーズビーターを使用して破壊した。 各サンプルを高速で合計3分間処理した(撹拌1分毎に氷上でインキュベーションした)。 遠心分離(4℃に20,000×gで10分間)によって、抽出物から細胞残骸を除去した。

    実施例18
    組換えサッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)によるイソブタノール生成 プラスミドpRS423::CUP1−alsS+FBA−ILV3およびpHR81::FBA−ILV5+GPM−kivD(実施例17で述べられる)をサッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)YJR148wに形質転換して、YJR148w/pRS423::CUP1−alsS+FBA−ILV3/pHR81::FBA−ILV5+GPM−kivD株を生成した。 ベクターpRS423およびpHR81(実施例17で述べられる)をサッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)YJR148w(YJR148w/pRS423/pHR81株)中に形質転換して、対照株を調製した。 2%グルコースまたはスクロースのどちらかを含有するが、ウラシルおよびヒスチジンを欠いて、プラスミドの維持を確実にする、標準S. セレヴィシエ(cerevisiae)合成完全培地(「酵母遺伝学における方法(Methods in YeastGenetics)」、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor,NY、201〜202頁、2005年)上で、株を維持した。

    イソブタノール生成のために、細胞をウラシル、ヒスチジンおよびロイシンを欠く合成完全培地に移動した。 培地からのロイシンの除去は、leu2−dアレルの不良転写に起因する、pHR81ベースのプラスミドのコピー数増大をトリガーすることを意図した(エアハルト(Erhart)およびホーレンバーグ(Hollenberg)、J.Bacteriol.156:625〜635頁、1983年)。 ニュージャージー州エディソンのニュー・ブランズウィック・サイエンティフィック(New Brunswick Scientific(Edison,NJ))からのイノバ(Innova)4000恒温器内で、50mLの培地を含有する175mL容量フラスコ内で、好気性培養を30℃および200rpmで生育させた。 60mLの血清バイアルに45mLの培地を添加し、接種後に圧着キャップで密封して30℃に保ち、低酸素培養を調製した。 必要に応じて、試料採取および誘導物質の添加のために無菌シリンジを使用した。 接種のおよそ24時間後、誘導物質CuSO を0.03mMの最終濃度で添加した。 CuSO 添加なしの各株の対照培養もまた調製した。 実施例15で上述したように、CuSO 添加の18または19時間および35時間後に、GCおよびHPLCの双方によって、培養上清をイソブタノール含量について分析した。 グルコースで生育させたS. セレヴィシエ(cerevisiae)YJR148w/pRS423::CUP1−alsS+FBA−ILV3/pHR81::FBA−ILV5+GPM−kivDの結果を表9に示す。 表9で示される結果では、好気性培養からのサンプルを35時間で採取し、低酸素培養からのサンプルを19時間で採取してHPLCで測定した。

    スクロースで生育させたS. セレヴィシエ(cerevisiae)YJR148w/pRS423::CUP1−alsS+FBA−ILV3/pHR81::FBA−ILV5+GPM−kivDの結果を表10に示す。 この表の結果は18時間で採取し、HPLCで測定したサンプルによって得られた。

    結果は好気性および低酸素条件双方の下、グルコースまたはスクロースで生育させた場合、YJR148w/pRS423::CUP1−alsS+FBA−ILV3/pHR81::FBA−ILV5+GPM−kivD株が一貫して、対照株よりも高いレベルのイソブタノールを生成することを示唆した。

    実施例19
    組換えサッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)によるイソブタノール生成 プラスミドspRS425::CUP1−alsS+FBA−ILV3およびpRS426::GAL1−ILV5+GPM−kivD(実施例17で述べられる)をサッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)YJR148wに形質転換して、YJR148w/pRS425::CUP1−alsS+FBA−ILV3/pRS426::GAL1−ILV5+GPM−kivD株を生成した。 ベクターpRS425およびpRS426(実施例17で述べられる)をサッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)YJR148w(YJR148w/pRS425/pRS426株)中に形質転換して、対照株を調製した。 実施例18で述べられるようにして、株を合成完全培地上で維持した。

    イソブタノール生成のために、細胞を2%ガラクトースおよび1%ラフィノースを含有し、ウラシルおよびロイシンを欠く合成完全培地に移動する。 実施例18で述べられるようにして、好気性および低酸素培養を調製した。 接種のおよそ12時間後、誘導物質CuSO を0.5mMの最終濃度にまで添加した。 CuSO 添加なしの各株の対照培養もまた調製した。 実施例18で述べられるようにして、HPLCによるイソブタノール判定のために、CuSO 添加の23時間後に培養上清をサンプル採取した。 結果を表11に示す。 観察された、残留炭素源の定量化に関連した大幅に異なる最終光学的濃度の理由から、(モル濃度選択性の代わりに)OD 600単位あたりのイソブタノール濃度を表に提供して、イソブタノール生合成経路遺伝子を含有する株と対照との比較を可能にする。

    結果は一般に、好気性および低酸素条件の双方で、対照株と比べて、光学濃度単位あたりより高いレベルのイソブタノールが、YJR148w/pRS425::CUP1−alsS+FBA−ILV3/pRS426::GAL1−ILV5+GPM−kivD株によって生成されることを示唆する。

    実施例20
    枯草菌(Bacillus subtilis)中のイソブタノール生合成経路の発現 本実施例の目的は、枯草菌(Bacillus subtilis)中でイソブタノール生合成経路を発現することである。 イソブタノール経路の5つの遺伝子(図1の経路ステップ(a)から(e))を発現のために2つのオペロンに分割した。 それぞれアセト乳酸シンターゼ、アセトヒドロキシ酸デヒドラターゼ、および分枝ケト酸脱炭酸酵素をコードする3つの遺伝子budB、ilvD、およびkivDを枯草菌(B.subtilis)BE1010の染色体に組み込んだ(ペイン(Payne)およびジャクソン(Jackson)、J.Bacteriol.173:2278〜2282頁、1991年)。 それぞれアセトヒドロキシ酸イソメロレダクターゼおよびブタノールデヒドロゲナーゼをコードする2つの遺伝子ilvCおよびbdhBを発現ベクター中にクローニングして、組み込まれたイソブタノール遺伝子を保有するバシラス(Bacillus)株に形質転換した。

    枯草菌(B.subtilis)BE1010の染色体への3つの遺伝子、budB、ilvD、およびkivDの組み込み 3つの遺伝子、budB(配列番号1)、ilvD(配列番号5)、およびkivD(配列番号7)の染色体組み込みのために、バシラス(Bacillus)組み込みベクターpFP988DssPspacおよびpFP988DssPgroEを使用した。 どちらのプラスミドもpBR322からの大腸菌(E.coli)レプリコンと、大腸菌(E.coli)中の選択のためのアンピシリン抗生物質マーカーと、相同的組換えによってベクターおよび介在配列の組み込みを指示するバシラス(Bacillus)染色体中のsacB遺伝子に対する2つの相同性セクションとを含有する。 sacB相同性領域の間は、pFP988DssPspac上のspacプロモーター(PgroE)、またはpFP988DssPgroE上のgroELプロモーター(PgroE)、およびバシラス(Bacillus)の選択可能なマーカー、エリスロマイシンである。 プロモーター領域はまた、laCI リプレッサータンパク質による発現調節のためにlacO配列も含有する。 pFP988DssPspac(6,341bp)およびpFP988DssPgroE(6,221bp)の配列は、それぞれ配列番号142および配列番号143で示される。

    プラスミドpTrc99abudB−ilvC−ilvD−kivDからilvC遺伝子を消去して、3つの遺伝子budB−ilvD−kivDのカセットを構築した。 プラスミドpTrc99A::budB−ilvC−ilvD−kivDの構築については実施例14で述べられる。 プラスミドpTrc99A::budB−ilvC−ilvD−kivDをAflIIおよびNheIで消化し、DNAポリメラーゼのクレノウ(Klenow)断片で処理して平滑末端を作り、得られたpTrc99aベクター、budB、ilvD、およびkivDを含有する9.4kbpの断片をゲル精製した。 9.4kbpのベクター断片を自己ライゲートして、pTrc99A::budB−ilvD−kivDを作り出し、インビトロジェン(Invitrogen)からのDH5αコンピテント細胞に形質転換した。 制限酵素マッピングによって、pTrc99abudB−ilvD−kivDのクローンをilvC遺伝子欠失について確認した。 得られたプラスミドpTrc99A::budB−ilvD−kivDをSacIで消化し、DNAポリメラーゼのクレノウ(Klenow)断片で処理して平滑末端を作った。 次にプラスミドをBamHIで消化し、得られた5,297bpのbudB−ilvD−kivD断片をゲル精製した。 5,297bpのbudB−ilvD−kivD断片を組み込みベクターpFP988DssPspacのSmaIおよびBamHI部位中にライゲートした。 ライゲーション混合物をDH5αコンピテント細胞に形質転換した。 プライマーT−budB(BamHI)(配列番号144)およびB−kivD(BamHI)(配列番号145)での5.3kbpのbudB−ilvD−kivD断片のPCR増幅によって、形質転換体をスクリーンした。 正しいクローンをpFP988DssPspac−budB−ilvD−kivDと命名した。

    プラスミドpFP988DssPspac−budB−ilvD−kivDを大腸菌(E.coli)形質転換体から調製し、ドイル(Doyle)ら、J. Bacteriol. 144:957頁、1980年、で述べられるようにして調製された枯草菌(B.subtilis)BE1010コンピテント細胞に形質転換した。 コンピテント細胞を遠心分離によって収集し、細胞ペレットを少量の上清に再懸濁した。 1容積のコンピテント細胞あたり、2容積のSPII−EGTA培地(P.Gerhardtら編、「一般および分子細菌学方法(Methods for General and Molecular Bacteriology)」米国微生物学会、Washington,DC、1994年)を添加した。 アリコート(0.3mL)の細胞を試験管に分配し、次に2〜3μgのプラスミドpFP988DssPspac−budB−ilvD−kivDを試験管に添加した。 試験管を振盪しながら37℃で30分間インキュベートした後、0.1mLの10%酵母抽出物を各試験管に添加して、それらをさらに60分間インキュベートした。 二重寒天オーバーレイ法を使用して、選択のために形質転換体をエリスロマイシン(1.0μg/mL)含有LBプレート上で生育させた(一般および分子細菌学方法(Methods for General and Molecular Bacteriology)、前出)。 PCR増幅によって、N130SeqF1(配列番号40)およびN130SeqR1(配列番号44)プライマーでbudBについて、N133SeqF1(配列番号62)およびN133SeqR1(配列番号66)でkivDについて、形質転換体をスクリーンしした。 陽性組み込み体は、予期された1.7kbpのbudBおよび1.7kbpのkivD PCR産物を示した。 2つの陽性組み込み体を同定し、枯草菌(B.subtilis)BE1010ΔsacB::Pspac−budB−ilvD−kivD#2−3−2および枯草菌(B.subtilis)BE1010ΔsacB::Pspac−budB−ilvD−kivD#6−12−7と命名した。

    組み込み体枯草菌(B.subtilis)BE1010ΔsacB::Pspac−budB−ilvD−kivD#2−3−2および枯草菌(B.subtilis)BE1010ΔsacB::Pspac−budB−ilvD−kivD#6−12−7の酵素活性のアッセイは、BudB、IlvDおよび、KivDの活性が、プロモーター(Pspac)制御下で低いことを示唆した。 機能性酵素の発現を改善するために、PspacプロモーターをプラスミドpHT01からのPgroEプロモーター(ドイツ国ゲッティンゲンのモビテック(MoBitec(Goettingen,Germany))によって置換した。

    XhoIおよびBamHIでの制限酵素消化によって、配列番号146で示される6,039bpのpFP988Dssベクター断片を無関係のプラスミドから切除して、ゲル精製した。 プライマーT−groE(XhoI)(配列番号147)およびB−groEL(SpeI,BamH1)(配列番号148)で、PgroEプロモーターをプラスミドpHT01からPCR増幅した。 PCR産物をXhoIおよびBamHIで消化し、6,039bpのpFP988Dssベクター断片とライゲートし、DH5αコンピテント細胞に形質転換した。 プライマーT−groE(XhoI)およびB−groEL(SpeI,BamH1)で、形質転換体をPCR増幅によってスクリーンした。 陽性クローンは予期された174bpPgroEPCR産物を示し、pFP988DssPgroEと命名した。 プラスミドpFP988DssPgroEはまた、DNA配列によっても確認した。

    プラスミドpFP988DssPspac−budB−ilvD−kivDをSpeIおよびPmeIで消化し、得られた5,313bpのbudB−ilvD−kivD断片をゲル精製した。 budB−ilvD−kivD断片をpFP988DssPgroEのSpeIおよびPmeI部位にライゲートし、DH5αコンピテント細胞に形質転換した。 プライマーT−groEL(配列番号149)およびN111(配列番号20)で、PCR増幅によって、陽性クローンを1,690bpのPCR産物についてスクリーンした。 陽性クローンをpFP988DssPgroE−budB−ilvD−kivDと命名した。

    プラスミドpFP988DssPgroE−budB−ilvD−kivDを大腸菌(E.coli)形質転換体から調製し、上述のように枯草菌(Bacillus subtilis)BE1010コンピテント細胞に形質転換した。 PCR増幅によって、プライマーN130SeqF1(配列番号40)およびN130SeqR1(配列番号44)でbudBについて、N133SeqF1(配列番号62)およびN133SeqR1(配列番号66)でkivDについて形質転換体をスクリーンした。 陽性組み込み体は、予期された1.7kbpのbudBおよび1.7kbpのkivDPCR産物を示した。 2つの陽性組み込み体を単離して、枯草菌(B.subtilis)BE1010ΔsacB::PgroE−budB−ilvD−kivD#1−7および枯草菌(B.subtilis)BE1010ΔsacB::PgroE−budB−ilvD−kivD#8−16と命名した。

    ilvCおよびbdhB遺伝子のプラスミド発現 残る2つのイソブタノール遺伝子ilvCおよびbdhBをプラスミドから発現した。 lacO配列含有PgroEプロモーターからilvC遺伝子が発現するように、モビテック(MoBitec)からのバシラス(Bacillus)−大腸菌(E.coli)シャトルベクターであるプラスミドpHT01を使用して、枯草菌(B.subtilis)からのilvC遺伝子とPgroEプロモーターとを融合させた。 プライマーT−ilvCB. s. (BamHI)(配列番号150)およびB−ilvCB. s. (SpeI BamHI)(配列番号151)で、枯草菌(B.subtilis)BR151(ATCC33677)ゲノムDNAから、配列番号186で示されるilvC遺伝子をPCR増幅した。 1,067bpのilvCPCR産物をBamHIで消化し、pHT01のBamHI部位にライゲートした。 ライゲーション混合物をDH5αコンピテント細胞に形質転換した。 プライマーT−groELおよびB−ilvB. s. (SpeIBamHI)で、増幅PCRによって、陽性クローンを1,188bpPCR産物についてスクリーンした。 陽性クローンをpHT01−ilvC(B.s)と命名した。 PgroE−ilvC縮合断片のPCR増幅のためのテンプレートとして、プラスミドpHT01−ilvC(B.s)を使用した。

    プラスミドpBD64(ミントン(Minton)ら、Nucleic acids Res.18:1651頁、1990年)は、枯草菌(B.subtilis)中での外来性遺伝子発現のためのかなり安定したベクターであり、repB遺伝子、および枯草菌(B.subtilis)中での選択のためのクロラムフェニコールおよびカナマイシン抵抗性遺伝子を含有する。 PgroEプロモーター制御下でのilvCおよびbdhBの発現のために、このプラスミドを使用した。 PgroE−ilvC、bdhBおよびlaCIリプレッサー遺伝子をプラスミドpBD64中にクローニングするために、ワンステップアセンブリー法を使用した(ツゲ(Tsuge)ら、Nucleic acids Res.31:e133頁、2003年)。 DraIII配列(CACCGAGTG)を導入するプライマーT−BD64(DraIII)(配列番号152)、およびDraIII配列(CACCTGGTG)を導入するプライマーB−BD64(DraIII)(配列番号153)で、複製機能とカナマイシン抗生物質マーカーとを含有するrepB遺伝子を含有する、3,588bpのpBD64断片をpBD64からPCR増幅した。 DraIII配列(CACCAGGTG)を導入するT−lacIq(DraIII)(配列番号154)、およびDraIII配列(CACGGGGTG)を導入するB−lacIq(DraIII)(配列番号155)で、1,327bpのlaCIリプレッサー遺伝子をpMUTIN4(ヴァグネル(Vagner)ら、Microbiol.144:3097〜3104頁、1998年)からPCR増幅した。 DraIII配列(CACCCCGTG)を導入するT−groE(DraIII)(配列番号156)、およびDraIII配列(CACCGTGTG)を導入するB−B. s. ilvC(DraIII)(配列番号157)で、1,224bpのPgroE−ilvC縮合カセットをpHT01−ilvC(B.s)からPCR増幅した。 DraIII配列(CACACGGTG)を導入するプライマーT−bdhB(DraIII)(配列番号159)、およびDraIII配列(CACTCGGTG)を導入するプライマーB−bdhB(rrnBT1DraIII)(配列番号160)で、1.2kbpのbdhB遺伝子(配列番号158)をクロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)(ATCC824)ゲノムDNAからPCR増幅した。 DraIII認識配列の可変部中の3つの下線付き文字は、pBD64−lacI−PgroEilvC−bdhBの順で4つの断片をアセンブルするための特異的塩基対合のためにデザインされている。 両端にDraIII部位がある各PCR産物をDraIIIで別々に消化し、得られたDraIII断片3,588bpのpBD64、lacI、PgroEilvC、およびbdhBをキアゲン(QIAGEN)からのキアゲン(QIAGEN)ゲル抽出キットを使用して、ゲル精製した。 ライゲーションのために、総DNA濃度30〜50μg/100μLで、各断片を等モル濃度で含有する混合物を調製した。 次にライゲーション溶液を16℃で一晩インキュベートした。 ライゲーションは、高分子量のタンデム反復DNAを発生させた。 ライゲートした長い線状DNA混合物を上述のように調製されたコンピテント枯草菌(B.subtilis)BE1010に直接、形質転換した。 枯草菌(B.subtilis)は、円形DNAよりも長い反復線状DNA形態を優先的に取り込んで、プラスミドを確立する。 形質転換後、選択のために10μg/mLのカナマイシン含有LBプレート上に培養を播種した。 陽性組換えプラスミドをDraIII消化によってスクリーンし、3,588bp(pBD64)、1,327bp(lacI)、1,224bp(PgorE−ilvC)、および1,194bp(bdhB)の予期されたサイズの4つの断片を得た。 陽性プラスミドをpBDPgroE−ilvC(B.s.)−bdhBと命名した。

    枯草菌(B.subtilis)BE1010ΔsacB::PgroE−budB−ilvD−kivD/pBDPgroE−ilvC(B.s.)−bdhBによるグルコースまたはスクロースからのイソブタノール生成の実証 イソブタノール生合成経路の5つの遺伝子を発現する組換え枯草菌(B.subtilis)を構築するために、2つの組み込み枯草菌(B.subtilis)BE1010ΔsacB−PgroE−budB−ilvD−kivD#1−7および枯草菌(B.subtilis)BE1010ΔsacB::PgroE−budB−ilvD−kivD#8−16のコンピテント細胞を上述のように調製し、プラスミドpBDPgroE−ilvC(B.s.)−bdhBで形質転換して、枯草菌(B.subtilis)BE1010ΔsacB::PgroE−budB−ilvD−kivD#1−7/pBDPgroE−ilvC(B.s.)−bdhBおよび枯草菌(B.subtilis)BE1010ΔsacB::PgroE−budB−ilvD−kivD#8−16/pBDPgroE−ilvC(B.s.)−bdhBを生じさせた。

    2つの組換え株を125mLフラスコ内のカナマイシン(10μg/mL)を含有する25mLまたは100mLのグルコース培地のどちらかに接種して、それぞれ高および低酸素条件をシミュレートし、200rpmで振盪しながら37℃で好気的に生育させた。 培地は、10mMの(NH SO 、5mMのカリウムリン酸緩衝液(pH7.0)、100mMのMOPS/KOH緩衝液(pH7.0)、20mMのグルタミン酸/KOH(pH7.0)、2%のS10金属ミックス、1%のグルコース、0.01%の酵母抽出物、0.01%のカザミノ酸、および各50μg/mLのL−トリプトファン、L−メチオニン、およびL−リジンから構成された。 S10金属ミックスは、200mMのMgCl 、70mMのCaCl 、5mMのMnCl 、0.1mMのFeCl 、0.1mMのZnCl 、0.2mMのチアミン塩酸塩、0.172mMのCuSO 、0.253mMのCoCl 、および0.242mMのNa MoO から構成された。 1.0mMのイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)で、細胞を対数初期(およそ0.2のOD 600 )に誘導した。 接種の24時間後、一般法セクションで述べられるようにして、ブロスのアリコートを屈折率(RI)検出付きショーデックス・シュガー(Shodex Sugar)SH1011カラム)でのHPLCによって、イソブタノール含量について分析した。 HPLC結果を表12に示す。

    枯草菌(B.subtilis)BE1010ΔsacB::PgroE−budB−ilvD−kivD#1−7/pBDPgroE−ilvC(B.s.)−bdhB単離物はまた、本質的に上述のようにして、スクロースからのイソブタノール生成についても調べた。 組換え株を125mLフラスコ内のカナマイシン(10μg/mL)を含有する25mLまたは75mLのスクロース培地に接種して、高および中程度の酸素レベルをシミュレートし、200rpmで振盪しながら37℃で生育させた。 グルコース(10g/L)が10g/Lのスクロースで置換されたこと以外は、スクロース培地はグルコース培地と同じであった。 細胞は誘導せず、または1.0mMのイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)で対数初期期(およそ0.2のOD 600 )に誘導した。 接種の24時間後、一般法セクションで述べられるようにして、ブロスのアリコートを屈折率(RI)検出付きショーデックス・シュガー(Shodex Sugar)SH1011カラム)でのHPLCによって、イソブタノール含量について分析した。 HPLC結果を表13に示す。

    実施例21(予測的)
    ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)中のイソブタノール生合成経路の発現 本予測的実施例の目的は、どのようにラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)中でイソブタノール生合成経路を発現するかについて述べることである。 5つの酵素活性をコードするイソブタノール経路の5つの遺伝子を発現のために2つのオペロンに分割する。 ホルス(Hols)ら、Appl. Environ. Microbiol. 60:1401〜1413頁、1994年、で述べられる方法を使用して、相同的組換えによって、それぞれアセト乳酸シンターゼ、アセトヒドロキシ酸デヒドラターゼ、および分枝α−ケト酸脱炭酸酵素をコードする、budB、ilvD、およびkivD遺伝子をラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)の染色体に組み込む。 残る2つの遺伝子(それぞれアセトヒドロキシ酸レダクトイソメラーゼおよびブタノールデヒドロゲナーゼをコードするilvCおよびbdhB)を発現プラスミド中にクローニングして、組み込まれたイソブタノール遺伝子を保有する乳酸桿菌(Lactobacillus)株に形質転換する。 ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)をディフコ・ラボラトリーズからのMRS培地中で37℃で生育させ、モレイラ(Moreira)ら、BMC Microbiol. 5:15頁、2005年、で述べられるようにして、染色体DNAを単離する。

    組み込み 相同的組換えによって、合成P11プロモーターの制御下にあるbudB−ilvD−kivD((Rud)ら、Microbiology 152:1011〜1019頁、2006年)をラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)ATCC BAA−793(NCIMB8826)の染色体中にldhL1遺伝子座で組み込む。 ldhL組み込みターゲティングベクターを構築するために、ldhLと相同性があるラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)(ジェンバンクNC_004567)からのDNA断片をプライマーLDHEcoRVF(配列番号161)およびLDHAatIIR(配列番号162)でPCR増幅する。 1986bpのPCR断片をpCR4Blunt−TOPO中にクローニングして、配列決定する。 pCR4Blunt−TOPO−ldhL1クローンをEcoRVおよびAatIIで消化して1982bpのldhL1断片を放出し、それをゲル精製する。 配列番号177で示される組み込みベクターpFP988をHindIIIで消化し、クレノウ(Klenow)DNAポリメラーゼで処理して末端を平滑化する。 次に直線化プラスミドをAatIIで消化し、2931bpのベクター断片をゲル精製する。 EcoRV/AatIIldhL1断片をpFP988ベクター断片にライゲートして、大腸菌(E.coli)Top10細胞に形質転換する。 アンピシリン(100μg/mL)含有LB寒天プレート上で形質転換体を選択し、コロニーPCRによってスクリーンして、pFP988−ldhLの構築を確認する。

    一体化DNAに選択可能なマーカーを付加するために、Cm遺伝子をそのプロモーターと共にpC194(ジェンバンクNC_002013,配列番号267)からプライマーCmF(配列番号163)およびCmR(配列番号164)でPCR増幅して、836bpのCR産物を増幅する。 このPCR産物をpCR4Blunt−TOPO中にクローニングし、大腸菌(E.coli)Top10細胞に形質転換して、pCR4Blunt−TOPO−Cmを作り出す。 配列決定してPCRによるエラーが導入されなかったことを確認した後、CmカセットをpCR4Blunt−TOPO−Cmから828bpのMluI/SwaI断片として消化し、ゲル精製する。 ldhL−相同性含有組み込みベクターpFP988−ldhLをMluIおよびSwaIで消化し、4740bpのベクター断片をゲル精製する。 Cmカセット断片をppFP988−ldhLベクターにライゲートして、pFP988−DldhL::Cmを作り出す。

    最後に実施例20で述べられるpFP988DssPspac−budB−ilvD−kivDからのbudB−ilvD−kivDカセットを変性して、アミラーゼプロモーターを合成P11プロモーターで置換する。 次にオペロン全体をpFP988−DldhL::Cm中に移動させる。 プライマーP11F−StuI(配列番号165)およびP11R−SpeI(配列番号166)とのオリゴヌクレオチドアニーリングによって、P11プロモーターを構築する。 アニールされたオリゴヌクレオチドをカリフォルニア州サンディエゴのエンビ・テック(Embi Tec(San Diego,CA))からの6%ウルトラPAGEゲル上でゲル精製する。 アミラーゼプロモーターを含有するプラスミドpFP988DssPspac−budB−ilvD−kivDをStuIおよびSpeIで消化し、得られた10.9kbpのベクター断片をゲル精製する。 単離されたP11断片を消化されたpFP988DssPspac−budB−ilvD−kivDにライゲートし、pFP988−P11−budB−ilvD−kivDを作り出す。 次にプラスミドpFP988−P11−budB−ilvD−kivDをStuIおよびBamHIで消化し、得られた5.4kbpのP11−budB−ilvD−kivD断片をゲル精製する。 pFP988−DldhL::CmをHpaIよびBamHIで消化し、5.5kbpのベクター断片を単離する。 budB−ilvD−kivDオペロンを組み込みベクターpFP988−DldhL::Cmとライゲートして、pFP988−DldhL−P11−budB−ilvD−kivD::Cmを作り出す。

    外来性budB,ilvD、およびkivD遺伝子を含んでなるL. プランタルム(plantarum)ΔdhL1::budB−ilvD−kivD::Cmを形成するためのL. プランタルム(plantarum)BAA−793中へのpFP988−DldhL−P11−budB−ilvD−kivD::Cmの組み込み ニコロフ(Nickoloff),J. A. 編、「分子生物学における方法(Methods in Molecular Biology)」より、第47巻、アウクルスト(Aukrust),T. W. ら、「微生物のための電気穿孔プロトコル(Electroporation Protocols for Microorganisms)」、Humana Press,Inc. ,Totowa,NJ、201〜208頁、1995年、で述べられるようにして、L. プランタルム(plantarum)のエレクトロコンピテント細胞を調製する。 電気穿孔後、アウクルスト(Aukrust)ら(前出)で述べられるようにして、細胞をMRSSM培地(0.5Mのスクロースおよび0.1MのMgCl で栄養強化されたMRS培地)中で撹拌せずに37℃で2時間増殖させる。 電気穿孔された細胞を選択のためにクロラムフェニコール(10μg/mL)含有MRSプレート上に播種して、37℃でインキュベートする。 形質転換体を最初にコロニーPCR増幅によってスクリーンして組み込みを確認し、次に最初の陽性クローンを一群のプライマーでのPCR増幅によって、より厳密にスクリーンする。

    ilvCおよびbdhB遺伝子のプラスミド発現 L. プランタルム(plantarum)ldhLプロモーター(フェライン(Ferain)ら、J.Bacteriol.176:596〜601頁、1994年)の制御下にあるプラスミドpTRKH3(オサリバン(O'Sullivan)DJおよびクラエンハマー(Klaenhammer)TR,Gene 137:227〜231頁、1993年)から、残る2つのイソブタノール遺伝子を発現する。 プライマーPldhL F−HindIII(配列番号167)およびPldhL R−BamHI(配列番号168)を使用して、L. プランタルム(plantarum)ATCCBAA−793ゲノムからldhLプロモーターをPCR増幅する。 411bpのPCR産物をpCR4Blunt−TOPO中にクローニングして、配列決定する。 得られたプラスミドpCR4Blunt−TOPO−PldhLをHindIIIおよびBamHIで消化し、PldhL断片を放出する。

    プラスミドpTRKH3をHindIIIおよびSphIで消化し、ゲル精製されたベクター断片と、PldhL断片と、ゲル精製されたバシラス(Bacillus)発現プラスミドpBDPgroE−ilvC(B.s.)−bdhBからのilvC(B.s.)−bdhBを含有する2.4kbpのBamHI/SphI断片(実施例20)とを三元ライゲーションでライゲートする。 ライゲーション混合物を大腸菌(E.coli)トップ10細胞に形質転換し、形質転換体をエリスロマイシン(150mg/L)を含有するミシガン州デトロイトのディフコ・ラボラトリーズ(Difco Laboratories、(Detroit,MI))からの脳心臓浸出物(BHI)プレート上で生育させる。 形質転換体をPCRによってスクリーンし、構築を確認する。 上述のように電気穿孔によって、発現プラスミドpTRKH3−ilvC(B.s.)−bdhBはL. プランタルム(plantarum)ΔldhL1::budB−ilvD−kivD::Cmに形質転換する。

    エリスロマイシン(10μg/mL)を添加した50mLのMRS培地を含有する250mL振盪フラスコに、pTRKH3−ilvC(B.s.)−bdhBを含有するL. プランタルム(plantarum)ΔdhL1::budB−ilvD−kivD::Cmを接種して、37℃で振盪せずに18〜24時間生育させた後、一般法セクションで述べられるようにしてHPLCまたはGC分析により、イソブタノールを検出する。

    実施例22(予測的)
    エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)中でのイソブタノール生合成経路の発現 この予測的実施例の目的は、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)中でどのようにイソブタノール生合成経路を発現するかについて述べることである。 本実施例においてイソブタノール生合成経路の発現のための宿主株として使用されるエンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)V583株の完全なゲノム配列は、公開されている(ポールセン(Paulsen)ら、Science 299:2071〜2074頁、2003年)。 大腸菌(E.coli)/グラム陽性シャトルベクターであるプラスミドpTRKH3(オサリバン(O'Sullivan)DJおよびクラエンハマー(Klaenhammer)TR,Gene 137:227〜231頁、1993年)を1オペロン中のイソブタノール経路の5つの遺伝子(budB、ilvC、ilvD、kivD、bdhB)の発現のために使用する。 pTRKH3は、大腸菌(E.coli)プラスミドp15A複製基点、pAMβ1レプリコン、およびテトラサイクリンおよびエリスロマイシンに対する2つの抗生物質抵抗性選択マーカーを含有する。 テトラサイクリン抵抗性は大腸菌(E.coli)中でのみ発現し、エリスロマイシン抵抗性は大腸菌(E.coli)およびグラム陽性細菌の双方で発現する。 プラスミドpAMβ1誘導体はE. フェカーリス(faecalis)中で複製できる(ポイヤー(Poyart)ら、FEMS Microbiol.Lett.156:193〜198頁、1997年)。 エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)をはじめとする多様なグラム陽性細菌中でのナイシンによる遺伝子発現の効率的な制御のために使用される、誘導性nisAプロモーター(PnisA)(アイヘンバウム(Eichenbaum)ら、Appl.Environ.Microbiol.64:2763〜2769頁、1998年)を使用して、イソブタノール生合成経路の酵素をコードする5つの所望の遺伝子の発現を制御する。

    イソブタノール経路オペロン含有するプラスミドpTrc99A::budB−ilvC−ilvD−kivD(実施例14で述べられる)を変性して、大腸菌(E.coli)ilvC遺伝子(配列番号3)を枯草菌(B.subtilis)ilvC遺伝子(配列番号??)で置き換える。 さらにクロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)からのbdhB遺伝子(配列番号158)をオペロン末端に付加する。 初めにプライマーF−bdhB−AvrII(配列番号169)およびR−bdhB−BamHI(配列番号170)を使用して、pBDPgroE−ilvC(B.s.)−bdhB(実施例20で述べられる)からのbdhB遺伝子を増幅し、次にTOPOクローンして配列決定する。 AvrIIおよびBamHIでの消化とそれに続くゲル精製によって、1194bpのbdhB断片を単離する。 このbdhB断片をあらかじめAvrIIおよびBamHIで消化されたpTrc99A::budB−ilvC−ilvD−kivDとライゲートし、得られた断片をゲル精製する。 電気穿孔によって、ライゲーション混合物を大腸菌(E.coli)Top10細胞に形質転換し、アンピシリン(100μg/mL)含有LB寒天プレート上で37℃での一晩の生育に続いて、形質転換体を選択する。 次に形質転換体をコロニーPCRによってスクリーンし、pTrc99A::budB−ilvC−ilvD−kivD−bdhBを含有する正しいクローンを確認する。

    次にプライマーF−ilvC(B.s.)−AflII(配列番号171)およびR−ilvC(B.s.)−NotI(配列番号172)を使用して、ilvC(B.s.)をpBDPgroE−ilvC(B.s.)−bdhB(実施例20で述べられる)から増幅する。 PCR産物をTOPOクローンして配列決定する。 AflIIおよびNotIでの消化とそれに続くゲル精製によって、1051bpのilvC(B.s.)断片を単離する。 この断片と、AflIIおよびNotIで切断して大腸菌(E.coli)ilvCを放出したpTrc99A::budB−ilvC−ilvD−kivD−bdhBとをライゲートする(ilvC(B.s.)とのライゲーションに先だって10.7kbpのベクターバンドをゲル精製する)。 電気穿孔によってライゲーション混合物を大腸菌(E.coli)Top10細胞に形質転換し、アンピシリン(100μg/mL)含有LB寒天プレート上における37℃で一晩の生育に続いて、形質転換体を選択する。 次に形質転換体をコロニーPCRによってスクリーンし、pTrc99A::budB−ilvC(B.s.)−ilvD−kivD−bdhBを含有する正しいクローンを確認する。

    大腸菌(E.coli)/グラム陽性シャトルベクターpTRKH3にプロモーターを提供するために、プライマーF−PnisA(HindIII)(配列番号173)およびR−PnisA(SpeIBamHI)(配列番号174)で、nisAプロモーター(チャンドラパティ(Chandrapati)ら、Mol.Microbiol.46(2):467〜477頁、2002年)をラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)ゲノムDNAからPCR増幅し、次にTOPOクローンする。 配列決定後、HindIIIおよびBamHIでの消化とそれに続くゲル精製によって、213bpのnisAプロモーター断片を単離する。 プラスミドpTRKH3をHindIIIおよびBamHIで消化し、ベクター断片をゲル精製する。 直線化pTRKH3をPnisA断片とライゲートし、電気穿孔によって大腸菌(E.coli)Top10細胞に形質転換する。 エリスロマイシン(25μg/mL)含有LB寒天プレート上における37℃での一晩の生育に続いて、形質転換体を選択する。 次に形質転換体コロニーPCRによってスクリーンし、pTRKH3−PnisAの正しいクローンを確認する。

    プラスミドpTRKH3−PnisAをSpeIおよびBamHIで消化し、ベクターをゲル精製する。 上述のプラスミドpTrc99A::budB−ilvC(B.s)−ilvD−kivD−bdhBをSpeIおよびBamHIで消化し、7.5kbpの断片をゲル精製する。 7.5kbpのbudB−ilvC(B.s)−ilvD−kivD−bdhB断片を中にライゲートし、PTRKH3−PnisAベクター中にSpeIおよびBamHI部位でライゲートする。 電気穿孔によってライゲーション混合物を大腸菌(E.coli)Top10細胞に形質転換し、エリスロマイシン(25μg/mL)含有LB寒天プレート上での37℃での一晩の生育に続いて形質転換体を選択する。 次に形質転換体をコロニーPCRによってスクリーンする。 得られたプラスミドをpTRKH3−PnisA−budB−ilvC(B.s)−ilvD−kivD−bdhBと命名する。 このプラスミドを大腸菌(E.coli)形質転換体から調製し、当該技術分野で既知の方法(ニコロフ(Nickoloff),J.A.編、「分子生物学における方法(Methods in Molecular Biology)」より、第47巻、アウクルスト(Aukrust),T.W.ら、「微生物のための電気穿孔プロトコル(Electroporation Protocols for Microorganisms)」、Humana Press,Inc.,Totowa,NJ、217〜226頁、1995年)を使用して、電気穿孔によってエレクトロコンピテントE. フェカーリス(faecalis)V583細胞に形質転換し、E. フェカーリス(faecalis)V583/pTRKH3−PnisA−budB−ilvC(B.s)−ilvD−kivD−bdhBをもたらす。

    nisA調節遺伝子であるnisRとnisK、add9スペクチノマイシン抵抗性遺伝子、およびpSH71複製起点を含有する第2のプラスミドを電気穿孔によってE. フェカーリス(faecalis)V583/pTRKH3−PnisA−budB−ilvC(B.s)−ilvD−kivD−bdhBに形質転換する。 pSH71複製起点含を有するプラスミドは、E. フェカーリス(faecalis)中のpAMβ1誘導体と適合性である(アイヘンバウム(Eichenbaum)ら、前出)。 エリスロマイシン(25μg/mL)およびスペクチノマイシン(100μg/mL)含有LB寒天プレート上で37℃で生育させて、二重薬剤抵抗性形質転換体を選択する。

    酵母抽出物(0.2%)(フィシェッティ(Fischetti)ら、J.Exp.Med.161:1384〜1401頁、1985年)、ナイシン(20μg/mL)(アイヘンバウム(Eichenbaum)ら、前出)、エリスロマイシン(25μg/mL)、およびスペクチノマイシン(100μg/mL)を添加した50mLのトッド−ヒューウィット・ブロスを含有する250mL振盪フラスコに、2つのプラスミド、すなわち発現プラスミド(pTRKH3−PnisA−budB−ilvC(B.s)−ilvD−kivD−bdhB)および調節プラスミド(pSH71−nisRK)を保有する得られたE. フェカーリス(faecalis)V583B株を接種する。 フラスコを振盪せずに37℃で18〜24時間インキュベートした後、一般法セクションで述べられるようにしてHPLCまたはGC分析によりイソブタノール生成を測定する。

    4つの異なるイソブタノール生合成経路を示す。 「a」、「b」、「c」、「d」、「e」、「f」、「g」、「h」、「i」、「j」、および「k」と標識されたステップは、下で述べられる基質から産物への変換に相当する。

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