FDCAのデヒドロゲナーゼ触媒による生産

申请号 JP2017538354 申请日 2016-02-17 公开(公告)号 JP2018504904A 公开(公告)日 2018-02-22
申请人 ピュラック バイオケム ビー. ブイ.; 发明人 ルイゼナース, ハラルド ヨハン;
摘要 本発明は、5−ヒドロキシメチル−2−フランカルボン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドを発現する細胞と、フラン化合物輸送能 力 を有するポリペプチドを発現する細胞に関する。本発明はまた、本発明の細胞を2,5−フラン−ジカルボン酸(FDCA)のフラン前駆体の 酸化 に使用する、FDCAを生産する方法に関する。【選択図】なし
权利要求

HMFCAの存在下で、好ましくは細胞によってHMFCAの酸化を促進する条件下で、細胞をインキュベートするステップを含む、5−ヒドロキシメチル−2−フランカルボン酸(HMFCA)を5−ホルミル−2−フロ酸(FFA)に酸化させる方法であって、 前記細胞が、配列番号1〜11のアミノ酸配列のうちのいずれか1つと少なくとも45%の同一性を有するアミノ酸配列を有するデヒドロゲナーゼをコードしているヌクレオチド配列を発現するための発現構築物を含み、 前記発現構築物が前記細胞において発現可能であり、前記デヒドロゲナーゼの発現が、前記発現構築物を欠損している対応する野性型細胞と比べ、HMFCAをFFAに酸化させる能を前記細胞に付与する又は前記細胞において増大させる、 方法。1つ又は複数のFDCAのフラン前駆体を含む培地中で、好ましくは細胞によるFDCAのフラン前駆体のFDCAへの酸化を促進する条件下で、細胞をインキュベートするステップと、任意選択で、FDCAを回収するステップとを含む、FDCAを生産する方法であって、 前記細胞が、配列番号1〜11のアミノ酸配列のうちのいずれか1つと少なくとも45%の同一性を有するアミノ酸配列を有するデヒドロゲナーゼをコードしているヌクレオチド配列を発現するための発現構築物を含み、 前記発現構築物が前記細胞において発現可能であり、前記デヒドロゲナーゼの発現が、前記発現構築物を欠損している対応する野性型細胞と比べ、HMFCAをFFAに酸化させる能力を前記細胞に付与する又は前記細胞において増大させ、 FDCAの少なくとも1つのフラン前駆体が、HMF、2,5−ジヒドロキシメチルフラン(DHF)、HMFCA、FFA及び2,5−ジホルミルフラン(DFF)からなる群から選択されるのが好ましく、そのうちHMFが最も好ましく、 FDCAのフラン前駆体が、好ましくは酸触媒による脱によって、1つ又は複数のヘキソース糖、好ましくはリグノセルロースバイオマスから得られる1つ又は複数のヘキソース糖から得られる、 FDCAを生産する方法。前記FDCAが、酸又は塩沈澱、続いて冷却結晶化及び/又は溶媒抽出を含む方法によって、培地から回収される、請求項2に記載のFDCAを生産する方法。a)請求項2又は3に記載の方法においてFDCAモノマーを調製するステップと; b)a)で得られたFDCAモノマーからポリマーを生産するステップと を含む、1つ又は複数のFDCAモノマーからポリマーを生産する方法。1種又は複数のフラン前駆体をFDCAに生体内変換するための細胞の使用であって、 FDCAの少なくとも1つのフラン前駆体がHMF、DHF、HMFCA、FFA及びDFFからなる群から選択されるのが好ましく、そのうち、HMFが最も好ましく、 前記細胞が、配列番号1〜11のアミノ酸配列のうちのいずれか1つと少なくとも45%の同一性を有するアミノ酸配列を有するデヒドロゲナーゼをコードしているヌクレオチド配列を発現するための発現構築物を含み、 前記発現構築物が前記細胞において発現可能であり、前記デヒドロゲナーゼの発現が、前記発現構築物を欠損している対応する野性型細胞と比べ、HMFCAをFFAに酸化させる能力を前記細胞に付与する又は前記細胞において増大させる、 細胞の使用。配列番号1〜11のアミノ酸配列のうちのいずれか1つと少なくとも45%の同一性を有するアミノ酸配列を有するデヒドロゲナーゼをコードしているヌクレオチド配列を発現するための発現構築物を含む細胞であって、 前記発現構築物が前記細胞において発現可能であり、前記デヒドロゲナーゼの発現が、前記発現構築物を欠損している対応する野性型細胞と比べ、HMFCAをFFAに酸化させる能力を前記細胞に付与する又は前記細胞において増大させ、 前記細胞が、 a)フランアルデヒドを対応するフランカルボン酸に酸化させるアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性であって、前記細胞が、アミノ酸配列の配列番号24、25、26、27、28、29及び30のうちのいずれか1つと少なくとも45%の同一性を有するアミノ酸配列を含むアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードしているヌクレオチド配列を発現するための第2の発現構築物を含むのが好ましく、前記第2の発現構築物が前記細胞において発現可能であり、前記アルデヒドデヒドロゲナーゼの発現が、前記第2の発現構築物を欠損している対応する野性型細胞と比べ、i)5−ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)をHMFCAに酸化させる能力、ii)DFFをFFAに酸化させる能力、及びiii)FFAをFDCAに酸化させる能力のうちの少なくとも1つを前記細胞に付与する又は前記細胞において増大させる、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性と; b)フラン化合物を前記細胞内及び/又は細胞外に輸送する能力であって、前記細胞が、少なくともHMFCAを細胞内に輸送する能力を有するポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列を発現するための第3の発現構築物を含むのが好ましく、前記ポリペプチドが、アミノ酸配列の配列番号17、31、32、33及び34のうちのいずれか1つと少なくとも45%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記第3の発現構築物が前記細胞において発現可能であり、前記ポリペプチドの発現が、前記第3の発現構築物を欠損している対応する野性型細胞と比べ、少なくともHMFCAを前記細胞内に輸送する能力を前記細胞に付与する又は前記細胞において増大させる、輸送する能力 のうちの少なくとも1つをさらに有する、 細胞。前記細胞が生物細胞であり、前記細胞が、カンジダ(Candida)、ハンゼヌラ(Hansenula)、クリベロミセス(Kluyveromyces)、ピチア(Pichia)、サッカロミセス(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、ヤロウイア(Yarrowia)、アクレモニウム(Acremonium)、アガリクス(Agaricus)、アスペルギルス(Aspergillus)、アウレオバシディウム(Aureobasidium)、ミセリオフトーラ(Myceliophthora)、クリソスポリウム(Chrysosporium)、コプリナス(Coprinus)、クリプトコックス(Cryptococcus)、フィリバシジウム(Filibasidium)、フザリウム(Fusarium)、フミコラ(Humicola)、マグナポルテ(Magnaporthe)、ムコール(Mucor)、ミセリオフトーラ(Myceliophthora)、ネオカリマスティクス(Neocallimastix)、ニューロスポラ(Neurospora)、ペシロミセス(Paecilomyces)、ペニシリウム(Penicillium)、ピロミセス(Piromyces)、パネロカエテ(Panerochaete)、プロイロータス(Pleurotus)、シゾフィラム(Schizophyllum)、タラロミセス(Talaromyces)、サーモアスカス(Thermoascus)、チエラビア(Thielavia)、トリポクラジウム(Tolypocladium)、及びトリコデルマ(Trichoderma)からなる群の属から選択される酵母又は糸状菌細胞であるのが好ましく、クリベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、サッカロミセス・セルビシエ(S.cerevisiae)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・フォエティダス(Aspergillus foetidus)、アスペルギルス・ソジェ(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、タラロミセス・エメルソニ(Talaromyces emersonii)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、ミセリオフトーラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)、及びペニシリウム・クリゾゲヌム(Penicillium chrysogenum)からなる群の種から選択される酵母又は糸状菌細胞がより好ましく、或いは、 前記細胞が、エシェリヒア(Escherichia)、アナベーナ(Anabaena)、エアリバチルス(Aeribacillus)、アネウリニバチルス(Aneurinibacillus)、バークホルデリア(Burkholderia)、ブラジリゾビウム(Bradyrhizobium)、コーロバクター(Caulobacter)、カプリアビダス(Cupriavidus)、デスルホトマクルム(Desulfotomaculum)、デスルフリスポラ(Desulfurispora)、グルコノバクター(Gluconobacter)、ロドバクター(Rhodobacter)、ペロトマクルム(Pelotomaculum)、シュードモナス(Pseudomonas)、パラコッカス(Paracoccus)、バチルス(Bacillus)、ゲオバチルス(Geobacillus)、ブレビバチルス(Brevibacillus)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、リゾビウム(Rhizobium)(シノリゾビウム(Sinorhizobium))、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、クレブシェラ(Klebsiella)、エンテロバクター(Enterobacter)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、ラクトコッカス(Lactococcus)、メチロバクテリウム(Methylobacterium)、ラルストニア(Ralstonia)、ロドシュードモナス(Rhodopseudomonas)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、及びストレプトミセス(Streptomyces)からなる群の属から選択される細菌細胞であるのが好ましく、エアリバチルス・パリダス(A.pallidus)、アネウリニバチルス・テラノベンシス(A.terranovensis)、バチルス・スブチリス(B.subtilis)、バチルス・アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)、バチルス・コアグランス(B.coagulans)、バチルス・クリベンシス(B.kribbensis)、バチルス・リケニフォルミス(B.licheniformis)、バチルス・プンチス(B.puntis)、バチルス・メガテリウム(B.megaterium)、バチルス・ハロデュランス(B.halodurans)、バチルス・プミルス(B.pumilus)、バチルス・サーモルーバー(B.thermoruber)、バチルス・パナチフミ(B.panacihumi)、カプリアビダス・バシレンシス(C.basilensis)、デスルホトマクルム・クズネツォビイ(D.kuznetsovii)、デスルフリスポラ・サーモフィラ(D.thermophila)、ゲオバチルス・カウストフィルス(G.kaustophilus)、グルコノバクター・オキシダンス(G.oxydans)、コーロバクター・クレセンタス(Caulobacter crescentus)CB15、メチロバクテリウム・エキストロクエンス(Methylobacterium extorquens)、ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)、ペロトマクルム・サーモプロピオニカム(Pelotomaculum thermopropionicum)、シュードモナス・ゼアキサンチニファシエンス(Pseudomonas zeaxanthinifaciens)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、パラコッカス・デニトリフィカンス(Paracoccus denitrificans)、大腸菌(E.coli)、コリネバクテリウム・グルタミクム(C.glutamicum)、スタフィロコッカス・カルノーサス(Staphylococcus carnosus)、ストレプトミセス・リビダンス(Streptomyces lividans)、シノリゾビウム・メリオティ(Sinorhizobium melioti)、及びリゾビウム・ラジオバクター(Rhizobium radiobacter)からなる群の種から選択される細菌細胞であるのがより好ましい、 請求項6に記載の細胞。配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも81.65%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、HMFCAデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチド。a)請求項8で定義したHMFCAデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列; b)配列番号12又は13に示されているヌクレオチド配列; c)長さが10、15、20、30、50又は100ヌクレオチドである、(a)又は(b)で定義したヌクレオチド配列の断片; d)遺伝コードの縮重によりb)又はc)のヌクレオチド配列の配列と配列が異なるヌクレオチド配列;及び、 e)a)〜d)で定義したヌクレオチド配列の逆相補体であるヌクレオチド配列 のうちの少なくとも1つを含む核酸分子であって、 ベクターであるのが好ましい、 核酸分子。請求項8で定義したポリペプチド、及び請求項9で定義した核酸分子のうちの少なくとも1つを含む細胞であって、 培養細胞であるのが好ましい、 細胞。少なくともHMFCAを細胞内に輸送する能力を有するポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列を発現するための発現構築物を含む細胞であって、 前記ポリペプチドが、配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも86.5%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、 前記発現構築物が前記細胞において発現可能であり、前記ポリペプチドの発現が、前記発現構築物を欠損している対応する野性型細胞と比べ、少なくともHMFCAを前記細胞内に少なくとも輸送する能力を前記細胞に付与する又は前記細胞において増大させ、 前記細胞がHMFをFDCAに変換するための酵素をさらに含み、 HMFをFDCAに変換するための前記酵素が、 a)HMFCAをFFAに酸化させるアルコールデヒドロゲナーゼ及びフランアルデヒドを対応するフランカルボン酸に酸化させるアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性;並びに、 b)HMF、2,5−ジヒドロキシメチルフラン、HMFCA、FFA及び2,5−ジホルミルフランのうちの1種又は複数をFDCAに酸化させるオキシドレダクターゼ、並びに任意選択で、フランアルデヒドを対応するフランカルボン酸に酸化させるアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性 のうちの少なくとも1つを含むのが好ましい、 細胞。前記細胞が微生物細胞であり、前記細胞が、カンジダ、ハンゼヌラ、クリベロミセス、ピチア、サッカロミセス、シゾサッカロミセス、ヤロウイア、アクレモニウム、アガリクス、アスペルギルス、アウレオバシディウム、ミセリオフトーラ、クリソスポリウム、コプリナス、クリプトコックス、フィリバシジウム、フザリウム、フミコラ、マグナポルテ、ムコール、ミセリオフトーラ、ネオカリマスティクス、ニューロスポラ、ペシロミセス、ペニシリウム、ピロミセス、パネロカエテ、プロイロータス、シゾフィラム、タラロミセス、サーモアスカス、チエラビア、トリポクラジウム、及びトリコデルマからなる群の属から選択される酵母又は糸状菌細胞であるのが好ましく、クリベロミセス・ラクチス、サッカロミセス・セルビシエ、ハンゼヌラ・ポリモルファ、ヤロウイア・リポリティカ、ピチア・パストリス、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・アワモリ、アスペルギルス・フォエティダス、アスペルギルス・ソジェ、アスペルギルス・フミガーツス、タラロミセス・エメルソニ、アスペルギルス・オリゼ、ミセリオフトーラ・サーモフィラ、トリコデルマ・リーゼイ、及びペニシリウム・クリゾゲヌムからなる群の種から選択される酵母又は糸状菌細胞であるのがより好ましく;或いは、 前記細胞が、エシェリヒア、アナベーナ、エアリバチルス、アネウリニバチルス、バークホルデリア、ブラジリゾビウム、コーロバクター、カプリアビダス、デスルホトマクルム、デスルフリスポラ、グルコノバクター、ロドバクター、ペロトマクルム、シュードモナス、パラコッカス、バチルス、ゲオバチルス、ブレビバチルス、ブレビバクテリウム、コリネバクテリウム、リゾビウム(シノリゾビウム)、フラボバクテリウム、クレブシェラ、エンテロバクター、ラクトバチルス、ラクトコッカス、メチロバクテリウム、ラルストニア、ロドシュードモナス、スタフィロコッカス、及びストレプトミセスからなる群の属から選択される細菌細胞であるのが好ましく、エアリバチルス・パリダス、アネウリニバチルス・テラノベンシス、バチルス・スブチリス、バチルス・アミロリケファシエンス、バチルス・コアグランス、バチルス・クリベンシス、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・プンチス、バチルス・メガテリウム、バチルス・ハロデュランス、バチルス・プミルス、バチルス・サーモルーバー、バチルス・パナチフミ、カプリアビダス・バシレンシス、デスルホトマクルム・クズネツォビイ、デスルフリスポラ・サーモフィラ、ゲオバチルス・カウストフィルス、グルコノバクター・オキシダンス、コーロバクター・クレセンタスCB15、メチロバクテリウム・エキストロクエンス、ロドバクター・スフェロイデス、ペロトマクルム・サーモプロピオニカム、シュードモナス・ゼアキサンチニファシエンス、シュードモナス・プチダ、パラコッカス・デニトリフィカンス、大腸菌、コリネバクテリウム・グルタミクム、スタフィロコッカス・カルノーサス、ストレプトミセス・リビダンス、シノリゾビウム・メリオティ、及びリゾビウム・ラジオバクターからなる群の種から選択される細菌細胞であるのがより好ましい、 請求項11に記載の細胞。配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも86.5%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、少なくともHMFCAを細胞内に輸送する能力を有するポリペプチド。a)請求項13で定義した、少なくともHMFCAを細胞内に輸送する能力を有するポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列; b)配列番号18に示されているヌクレオチド配列; c)長さが10、15、20、30、50又は100ヌクレオチドである(a)又は(b)で定義したヌクレオチド配列の断片; d)遺伝コードの縮重によりb)又はc)のヌクレオチド配列の配列と配列が異なるヌクレオチド配列;及び、 e)a)〜d)で定義したヌクレオチド配列の逆相補体であるヌクレオチド配列 のうちの少なくとも1つを含む核酸分子であって、 ベクターであるのが好ましい、 核酸分子。請求項13で定義したポリペプチド、及び請求項14で定義した核酸分子のうちの少なくとも1つを含む細胞であって、 培養細胞であるのが好ましい、 細胞。

HMFCAの存在下で、好ましくは細胞によってHMFCAの酸化を促進する条件下で、細胞をインキュベートするステップを含む、5−ヒドロキシメチル−2−フランカルボン酸(HMFCA)を5−ホルミル−2−フロ酸(FFA)に酸化させる方法であって、 前記細胞が、配列番号1〜11のアミノ酸配列のうちのいずれか1つと少なくとも45%の同一性を有するアミノ酸配列を有するHMFCAデヒドロゲナーゼをコードしているヌクレオチド配列を発現するための発現構築物を含み、 前記発現構築物が前記細胞において発現可能であり、前記HMFCAデヒドロゲナーゼの発現が、前記発現構築物を欠損している対応する野性型細胞と比べ、HMFCAをFFAに酸化させる能力を前記細胞に付与する又は前記細胞において増大させる、 方法。1つ又は複数のFDCAのフラン前駆体を含む培地中で、好ましくは細胞によるFDCAのフラン前駆体のFDCAへの酸化を促進する条件下で、細胞をインキュベートするステップと、任意選択で、FDCAを回収するステップとを含む、FDCAを生産する方法であって、 前記細胞が、配列番号1〜11のアミノ酸配列のうちのいずれか1つと少なくとも45%の同一性を有するアミノ酸配列を有するHMFCAデヒドロゲナーゼをコードしているヌクレオチド配列を発現するための発現構築物を含み、 前記発現構築物が前記細胞において発現可能であり、前記HMFCAデヒドロゲナーゼの発現が、前記発現構築物を欠損している対応する野性型細胞と比べ、HMFCAをFFAに酸化させる能力を前記細胞に付与する又は前記細胞において増大させ、 FDCAの少なくとも1つのフラン前駆体が、HMF、2,5−ジヒドロキシメチルフラン(DHF)、HMFCA、FFA及び2,5−ジホルミルフラン(DFF)からなる群から選択されるのが好ましく、そのうちHMFが最も好ましく、 FDCAのフラン前駆体が、好ましくは酸触媒による脱水によって、1つ又は複数のヘキソース糖、好ましくはリグノセルロースバイオマスから得られる1つ又は複数のヘキソース糖から得られる、 FDCAを生産する方法。前記FDCAが、酸又は塩沈澱、続いて冷却結晶化及び/又は溶媒抽出を含む方法によって、培地から回収される、請求項2に記載のFDCAを生産する方法。a)請求項2又は3に記載の方法においてFDCAモノマーを調製するステップと; b)a)で得られたFDCAモノマーからポリマーを生産するステップと を含む、1つ又は複数のFDCAモノマーからポリマーを生産する方法。1種又は複数のフラン前駆体をFDCAに生体内変換するための細胞の使用であって、 FDCAの少なくとも1つのフラン前駆体がHMF、DHF、HMFCA、FFA及びDFFからなる群から選択されるのが好ましく、そのうち、HMFが最も好ましく、 前記細胞が、配列番号1〜11のアミノ酸配列のうちのいずれか1つと少なくとも45%の同一性を有するアミノ酸配列を有するHMFCAデヒドロゲナーゼをコードしているヌクレオチド配列を発現するための発現構築物を含み、 前記発現構築物が前記細胞において発現可能であり、前記HMFCAデヒドロゲナーゼの発現が、前記発現構築物を欠損している対応する野性型細胞と比べ、HMFCAをFFAに酸化させる能力を前記細胞に付与する又は前記細胞において増大させる、 細胞の使用。配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも81.65%の同一性を有するアミノ酸配列を有するHMFCAデヒドロゲナーゼをコードしているヌクレオチド配列を発現するための発現構築物を含む細胞であって、 前記発現構築物が前記細胞において発現可能であり、前記HMFCAデヒドロゲナーゼの発現が、前記発現構築物を欠損している対応する野性型細胞と比べ、HMFCAをFFAに酸化させる能力を前記細胞に付与する又は前記細胞において増大させる、細胞。前記細胞が、 a)フランアルデヒドを対応するフランカルボン酸に酸化させるアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性であって、前記細胞が、アミノ酸配列の配列番号24、25、26、27、28、29及び30のうちのいずれか1つと少なくとも45%の同一性を有するアミノ酸配列を含むアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードしているヌクレオチド配列を発現するための第2の発現構築物を含むのが好ましく、前記第2の発現構築物が前記細胞において発現可能であり、前記アルデヒドデヒドロゲナーゼの発現が、前記第2の発現構築物を欠損している対応する野性型細胞と比べ、i)5−ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)をHMFCAに酸化させる能力、ii)DFFをFFAに酸化させる能力、及びiii)FFAをFDCAに酸化させる能力のうちの少なくとも1つを前記細胞に付与する又は前記細胞において増大させる、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性と; b)フラン化合物を前記細胞内及び/又は細胞外に輸送する能力であって、前記細胞が、少なくともHMFCAを細胞内に輸送する能力を有するポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列を発現するための第3の発現構築物を含むのが好ましく、前記ポリペプチドが、アミノ酸配列の配列番号17、31、32、33及び34のうちのいずれか1つと少なくとも45%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記第3の発現構築物が前記細胞において発現可能であり、前記ポリペプチドの発現が、前記第3の発現構築物を欠損している対応する野性型細胞と比べ、少なくともHMFCAを前記細胞内に輸送する能力を前記細胞に付与する又は前記細胞において増大させる、輸送する能力 のうちの少なくとも1つをさらに有する、 請求項6に記載の細胞。前記細胞が微生物細胞であり、前記細胞が、カンジダ(Candida)、ハンゼヌラ(Hansenula)、クリベロミセス(Kluyveromyces)、ピチア(Pichia)、サッカロミセス(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、ヤロウイア(Yarrowia)、アクレモニウム(Acremonium)、アガリクス(Agaricus)、アスペルギルス(Aspergillus)、アウレオバシディウム(Aureobasidium)、ミセリオフトーラ(Myceliophthora)、クリソスポリウム(Chrysosporium)、コプリナス(Coprinus)、クリプトコックス(Cryptococcus)、フィリバシジウム(Filibasidium)、フザリウム(Fusarium)、フミコラ(Humicola)、マグナポルテ(Magnaporthe)、ムコール(Mucor)、ミセリオフトーラ(Myceliophthora)、ネオカリマスティクス(Neocallimastix)、ニューロスポラ(Neurospora)、ペシロミセス(Paecilomyces)、ペニシリウム(Penicillium)、ピロミセス(Piromyces)、パネロカエテ(Panerochaete)、プロイロータス(Pleurotus)、シゾフィラム(Schizophyllum)、タラロミセス(Talaromyces)、サーモアスカス(Thermoascus)、チエラビア(Thielavia)、トリポクラジウム(Tolypocladium)、及びトリコデルマ(Trichoderma)からなる群の属から選択される酵母又は糸状菌細胞であるのが好ましく、クリベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、サッカロミセス・セルビシエ(S.cerevisiae)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・フォエティダス(Aspergillus foetidus)、アスペルギルス・ソジェ(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、タラロミセス・エメルソニ(Talaromyces emersonii)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、ミセリオフトーラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)、及びペニシリウム・クリゾゲヌム(Penicillium chrysogenum)からなる群の種から選択される酵母又は糸状菌細胞がより好ましく、或いは、 前記細胞が、エシェリヒア(Escherichia)、アナベーナ(Anabaena)、エアリバチルス(Aeribacillus)、アネウリニバチルス(Aneurinibacillus)、バークホルデリア(Burkholderia)、ブラジリゾビウム(Bradyrhizobium)、コーロバクター(Caulobacter)、カプリアビダス(Cupriavidus)、デスルホトマクルム(Desulfotomaculum)、デスルフリスポラ(Desulfurispora)、グルコノバクター(Gluconobacter)、ロドバクター(Rhodobacter)、ペロトマクルム(Pelotomaculum)、シュードモナス(Pseudomonas)、パラコッカス(Paracoccus)、バチルス(Bacillus)、ゲオバチルス(Geobacillus)、ブレビバチルス(Brevibacillus)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、リゾビウム(Rhizobium)(シノリゾビウム(Sinorhizobium))、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、クレブシェラ(Klebsiella)、エンテロバクター(Enterobacter)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、ラクトコッカス(Lactococcus)、メチロバクテリウム(Methylobacterium)、ラルストニア(Ralstonia)、ロドシュードモナス(Rhodopseudomonas)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、及びストレプトミセス(Streptomyces)からなる群の属から選択される細菌細胞であるのが好ましく、エアリバチルス・パリダス(A.pallidus)、アネウリニバチルス・テラノベンシス(A.terranovensis)、バチルス・スブチリス(B.subtilis)、バチルス・アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)、バチルス・コアグランス(B.coagulans)、バチルス・クリベンシス(B.kribbensis)、バチルス・リケニフォルミス(B.licheniformis)、バチルス・プンチス(B.puntis)、バチルス・メガテリウム(B.megaterium)、バチルス・ハロデュランス(B.halodurans)、バチルス・プミルス(B.pumilus)、バチルス・サーモルーバー(B.thermoruber)、バチルス・パナチフミ(B.panacihumi)、カプリアビダス・バシレンシス(C.basilensis)、デスルホトマクルム・クズネツォビイ(D.kuznetsovii)、デスルフリスポラ・サーモフィラ(D.thermophila)、ゲオバチルス・カウストフィルス(G.kaustophilus)、グルコノバクター・オキシダンス(G.oxydans)、コーロバクター・クレセンタス(Caulobacter crescentus)CB15、メチロバクテリウム・エキストロクエンス(Methylobacterium extorquens)、ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)、ペロトマクルム・サーモプロピオニカム(Pelotomaculum thermopropionicum)、シュードモナス・ゼアキサンチニファシエンス(Pseudomonas zeaxanthinifaciens)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、パラコッカス・デニトリフィカンス(Paracoccus denitrificans)、大腸菌(E.coli)、コリネバクテリウム・グルタミクム(C.glutamicum)、スタフィロコッカス・カルノーサス(Staphylococcus carnosus)、ストレプトミセス・リビダンス(Streptomyces lividans)、シノリゾビウム・メリオティ(Sinorhizobium melioti)、及びリゾビウム・ラジオバクター(Rhizobium radiobacter)からなる群の種から選択される細菌細胞であるのがより好ましい、 請求項7に記載の細胞。配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも81.65%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、HMFCAデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチド。a)請求項9に記載のポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列; b)配列番号12又は13に示されているヌクレオチド配列; c)遺伝コードの縮重によりb)のヌクレオチド配列の配列と配列が異なるヌクレオチド配列;及び、 d)a)〜c)で定義したヌクレオチド配列の逆相補体であるヌクレオチド配列 のうちの少なくとも1つを含む核酸分子であって、 ベクターであるのが好ましい、 核酸分子。

说明书全文

本発明は、酵素学、分子遺伝学、生体内変換及び発酵工学の分野に関する。特に、本発明は、5−(ヒドロキシメチル)−2−フロ酸を5−ホルミル−2−フロ酸に酸化するデヒドロゲナーゼ、及びこうしたデヒドロゲナーゼをコードしているポリヌクレオチド、及びヒドロキシメチルフルフラールの2,5−フランジカルボン酸への生体内変換におけるそれらの使用に関する。

2,5−フランジカルボン酸(FDCA)は、極めて経済的影響のあるポリエステルの生産に適用し得るモノマー化合物である。この分野における非常に重要な化合物は、テレフタル酸(PTA)及びエチレングリコールから生産されるポリエチレンテレフタレート(PET)である。FDCAはポリエステルPET中のPTAに置き換えることができ、その場合には、ポリエチレンフランジカルボキシラート(PEF)が得られる。PEFは、大きなポリエステル市場においてPETに代わる有効な可能性を有している。PEFは、PETと比べた場合に優れた特性があるだけでなく、再生可能な供給原料から得ることができるからである。FDCAは、糖から、化学的に(De Jong et al 2012.In: Biobased Monomers,Polymers,and Materials; Smith,P.,et al.; ACS Symposium Series; American Chemical Society: Washington,DC)、又は化学的−生物学的な併用経路(Wiercks et al 2011. Appl Microbiol Biotechnol 92:1095−1105)のいずれかで生産することができる。後者の場合には、グルコース又はフルクトースなどのモノマー糖は、5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒド(HMF)に化学的に変換され、これは続いて酵素によってFDCAに酸化され得る。

FDCAをHMFから生産する生物学的経路は、カプリアビダス・バシレンシス(Cupriavidus basilensis)HMF14のHMF分解株の単離に基づいて開発されている(Wierckx et al 2010.Microbial Technology 3:336−343)。カプリアビダス・バシレンシス HMF14におけるHMF分解経路に関与する酵素をコードしている遺伝子のクラスターは同定され、関連遺伝子がシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)株において異種発現されており(Koopman et al 2010.PNAS 107:4919−4924)、それにより、HMFを代謝する能を獲得された。分解経路の第1の酸化ステップは、5−(ヒドロキシメチル)−2−フロ酸(HMFCA)の形成を含んでおり、これは、次いで、5−ホルミル−2−フロ酸(FFA)、及びさらにFDCAに酸化された。その後の研究において(Koopman et al 2010. Bioresource Technology 101:6291−6296;及び国際公開第2011/026913号)、酵素HMFオキシドレダクターゼをコードするカプリアビダス・バシレンシスHMF14のhmfH遺伝子のみがシュードモナス・プチダに導入された。オキシドレダクターゼは、主としてHMFCAでオキシダーゼとして作用するが、HMF又はFFAも酸化させることができる。hmfH遺伝子のみの異種発現によって、シュードモナス・プチダはHMFからFDCAを生産することができる。さらなる最適化の研究において(Wierckx et al 2011、前掲;及び国際公開第2012/064195号)、それぞれ未知の特性を有するHMFCAトランスポーター及びアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする、2種の追加の遺伝子がシュードモナス・プチダにおいて発現された。

しかし、FDCAをHMFから生産するためのオキシダーゼ触媒経路には、デヒドロゲナーゼ触媒経路と比べると、少なくとも毒性H2O2の生成、酸化ステップからのエネルギー獲得の不足、及びO2に対する親和性不足、及びシステムに関連する酸素の高需要などを含む、いくつかの固有の不都合な点がある。したがって、本発明は、HMFなどのフラン前駆体からFDCAを生産するための新規デヒドロゲナーゼ触媒経路に関する手段及び方法を提供することによって、並びに、このような方法において新規HMFCAトランスポーターを使用するための手段及び方法を提供することによって、これらの不都合な点に対処することを目的とする。

第1の態様において、本発明は、配列番号1〜11のアミノ酸配列のうちのいずれか1つと少なくとも45%の同一性を有するアミノ酸配列を有するデヒドロゲナーゼをコードしているヌクレオチド配列を発現するための発現構築物を含む細胞であって、上記発現構築物が上記細胞において発現可能であり、上記デヒドロゲナーゼの発現が、上記発現構築物を欠損している対応する野性型細胞と比べ、5−ヒドロキシメチル−2−フランカルボン酸(HMFCA)を5−ホルミル−2−フロ酸(FFA)に酸化させる能力を上記細胞に付与する又は上記細胞において増大させる、細胞に関する。上記細胞は、a)フランアルデヒドを対応するフランカルボン酸に酸化させるアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性であって、上記細胞が、アミノ酸配列の配列番号24、25、26、27、28、29及び30のうちのいずれか1つと少なくとも45%の同一性を有するアミノ酸配列を含むアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードしているヌクレオチド配列を発現するための第2の発現構築物を含むのが好ましく、第2の発現構築物が上記細胞において発現可能であり、上記アルデヒドデヒドロゲナーゼの発現が、第2の発現構築物を欠損している対応する野性型細胞と比べ、i)5−ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)をHMFCAに酸化させる能力、ii)DFFをFFAに酸化させる能力、及びiii)FFAをFDCAに酸化させる能力のうちの少なくとも1つを上記細胞に付与する又は上記細胞において増大させる、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性と;b)フラン化合物を細胞内及び/又は細胞外に輸送する能力であって、上記細胞が、少なくともHMFCAを細胞内に輸送する能力を有するポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列を発現するための第3の発現構築物を含むのが好ましく、上記ポリペプチドが、アミノ酸配列の配列番号17、31、32、33及び34のうちのいずれか1つと少なくとも45%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、上記第3の発現構築物が上記細胞において発現可能であり、上記ポリペプチドの発現が、第3の発現構築物を欠損している対応する野性型細胞と比べ、少なくともHMFCAを上記細胞内に輸送する能力を細胞に付与する又は細胞において増大させる、輸送する能力をさらに有するのが好ましい。

別の態様において、本発明は、少なくともHMFCAを細胞内に輸送する能力を有するポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列を発現するための発現構築物を含む細胞であって、上記ポリペプチドが、配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも86.5%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、上記発現構築物が上記細胞において発現可能であり、上記ポリペプチドの発現が、発現構築物を欠損している対応する野性型細胞と比べ、少なくともHMFCAを細胞内に少なくとも輸送する能力を細胞に付与する又は細胞において増大させ、上記細胞がHMFをFDCAに変換するための酵素をさらに含み、HMFをFDCAに変換するための上記酵素が、a)HMFCAをFFAに酸化させるアルコールデヒドロゲナーゼ及びフランアルデヒドを対応するフランカルボン酸に酸化させるアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性;並びに、b)HMF、2,5−ジヒドロキシメチルフラン、HMFCA、FFA及び2,5−ジホルミルフランのうちの1種又は複数をFDCAに酸化させるオキシドレダクターゼ、並びに任意選択で、フランアルデヒドを対応するフランカルボン酸に酸化させるアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、のうちの少なくとも1つを含むのが好ましい、細胞に関する。

本発明による細胞は、細菌、酵母又は糸状菌細胞などの微生物細胞であるのが好ましい。本発明の酵母又は糸状菌細胞は、カンジダ(Candida)、ハンゼヌラ(Hansenula)、クリベロミセス(Kluyveromyces)、ピチア(Pichia)、サッカロミセス(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、ヤロウイア(Yarrowia)、アクレモニウム(Acremonium)、アガリクス(Agaricus)、アスペルギルス(Aspergillus)、アウレオバシディウム(Aureobasidium)、ミセリオフトーラ(Myceliophthora)、クリソスポリウム(Chrysosporium)、コプリナス(Coprinus)、クリプトコックス(Cryptococcus)、フィリバシジウム(Filibasidium)、フザリウム(Fusarium)、フミコラ(Humicola)、マグナポルテ(Magnaporthe)、ムコール(Mucor)、ミセリオフトーラ(Myceliophthora)、ネオカリマスティクス(Neocallimastix)、ニューロスポラ(Neurospora)、ペシロミセス(Paecilomyces)、ペニシリウム(Penicillium)、ピロミセス(Piromyces)、パネロカエテ(Panerochaete)、プロイロータス(Pleurotus)、シゾフィラム(Schizophyllum)、タラロミセス(Talaromyces)、サーモアスカス(Thermoascus)、チエラビア(Thielavia)、トリポクラジウム(Tolypocladium)、及びトリコデルマ(Trichoderma)からなる群の属から選択される酵母又は糸状菌細胞であるのが好ましく、クリベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、サッカロミセス・セルビシエ(S.cerevisiae)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・フォエティダス(Aspergillus foetidus)、アスペルギルス・ソジェ(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、タラロミセス・エメルソニ(Talaromyces emersonii)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、ミセリオフトーラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)、及びペニシリウム・クリゾゲヌム(Penicillium chrysogenum)からなる群の種から選択される酵母又は糸状菌細胞が最も好ましい。本発明の細菌細胞は、エシェリヒア(Escherichia)、アナベーナ(Anabaena)、エアリバチルス(Aeribacillus)、アネウリニバチルス(Aneurinibacillus)、バークホルデリア(Burkholderia)、ブラジリゾビウム(Bradyrhizobium)、コーロバクター(Caulobacter)、カプリアビダス(Cupriavidus)、デスルホトマクルム(Desulfotomaculum)、デスルフリスポラ(Desulfurispora)、グルコノバクター(Gluconobacter)、ロドバクター(Rhodobacter)、ペロトマクルム(Pelotomaculum)、シュードモナス(Pseudomonas)、パラコッカス(Paracoccus)、バチルス(Bacillus)、ゲオバチルス(Geobacillus)、ブレビバチルス(Brevibacillus)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、リゾビウム(Rhizobium)(シノリゾビウム(Sinorhizobium))、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、クレブシェラ(Klebsiella)、エンテロバクター(Enterobacter)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、ラクトコッカス(Lactococcus)、メチロバクテリウム(Methylobacterium)、ラルストニア(Ralstonia)、ロドシュードモナス(Rhodopseudomonas)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、及びストレプトミセス(Streptomyces)からなる群の属から選択される細菌細胞であるのが好ましく、エアリバチルス・パリダス(A.pallidus)、アネウリニバチルス・テラノベンシス(A.terranovensis)、バチルス・スブチリス(B.subtilis)、バチルス・アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)、バチルス・コアグランス(B.coagulans)、バチルス・クリベンシス(B.kribbensis)、バチルス・リケニフォルミス(B.licheniformis)、バチルス・プンチス(B.puntis)、バチルス・メガテリウム(B.megaterium)、バチルス・ハロデュランス(B.halodurans)、バチルス・プミルス(B.pumilus)、ブレビバチルス・サーモルーバー(B.thermoruber)、ブレビバチルス・パナチフミ(B.panacihumi)、カプリアビダス・バシレンシス(C.basilensis)、デスルホトマクルム・クズネツォビイ(D.kuznetsovii)、デスルフリスポラ・サーモフィラ(D.thermophila)、ゲオバチルス・カウストフィルス(G.kaustophilus)、グルコノバクター・オキシダンス(G.oxydans)、コーロバクター・クレセンタス(Caulobacter crescentus)CB15、メチロバクテリウム・エキストロクエンス(Methylobacterium extorquens)、ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)、ペロトマクルム・サーモプロピオニカム(Pelotomaculum thermopropionicum)、シュードモナス・ゼアキサンチニファシエンス(Pseudomonas zeaxanthinifaciens)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、パラコッカス・デニトリフィカンス(Paracoccus denitrificans)、大腸菌(E.coli)、コリネバクテリウム・グルタミクム(C.glutamicum)、スタフィロコッカス・カルノーサス(Staphylococcus carnosus)、ストレプトミセス・リビダンス(Streptomyces lividans)、シノリゾビウム・メリオティ(Sinorhizobium melioti)、及びリゾビウム・ラジオバクター(Rhizobium radiobacter)からなる群の種から選択される細菌細胞であるのがより好ましい。

さらなる態様において、本発明は、上記の態様で定義したHMFCAデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドを調製する方法、及び/又は上記の態様で定義したフラン化合物輸送能力を有するポリペプチドを調製する方法に関する。本方法は、ポリペプチド(複数可)の発現を促進する条件下で、上記態様で定義した細胞を培養するステップと、任意選択で、ポリペプチド(複数可)を回収するステップとを含むのが好ましい。

別の態様において、本発明は、HMFCAの存在下で、好ましくは、細胞によるHMFCAの酸化を促進する条件下で、上記態様のうちのいずれか1つに従って細胞をインキュベートするステップを含む、HMFCAをFFAに酸化させる方法に関する。

さらに別の態様において、本発明は、1つ又は複数のFDCAのフラン前駆体を含む培地中で、好ましくは細胞によるFDCAのフラン前駆体のFDCAへの酸化を促進する条件下で、上記態様のうちのいずれか1つに従って細胞をインキュベートするステップと、任意選択でFDCAを回収するステップを含む、FDCAを生産する方法であって、FDCAの少なくとも1つのフラン前駆体がHMF、2,5−ジヒドロキシメチルフラン(DHF、又はHMF−OH)、HMFCA、FFA及び2,5−ジホルミルフラン(DFF)からなる群から選択されるのが好ましく、そのうちHMFが最も好ましく、FDCAのフラン前駆体が、好ましくは酸触媒による脱によって、1つ又は複数のヘキソース糖、好ましくはリグノセルロースバイオマスから得られる1つ又は複数のヘキソース糖から得られ、FDCAが酸又は塩沈澱、続いて冷却結晶化及び/又は溶媒抽出を含む方法によって培地から回収されるのが好ましい、FDCAを生産する方法に関する。

さらなる態様において、本発明は、a)上記態様に記載の方法においてFDCAモノマーを調製するステップと;a)で得られたFDCAモノマーからポリマーを生産するステップとを含む、1つ又は複数のFDCAモノマーからポリマーを生産する方法に関する。

本発明はまた、1種又は複数のフラン前駆体をFDCAに生体内変換するための上記態様のいずれかに記載の細胞の使用に関し、FDCAの少なくとも1つのフラン前駆体はHMF、DHF、HMFCA、FFA及びDFFからなる群から選択されるのが好ましく、そのうち、HMFが最も好ましい。

他の一態様において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも81.85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、HMFCAデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドに関する。この態様において、本発明はまた、a)ポリペプチドが配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも81.85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、HMFCAデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列;b)配列番号12又は13に示されているヌクレオチド配列;c)長さが10、15、20、30、50又は100ヌクレオチドである、(a)又は(b)で定義したヌクレオチド配列の断片;d)遺伝コードの縮重によってb)又はc)のヌクレオチド配列の配列とは配列が異なるヌクレオチド配列;及び、e)a)〜c)で定義したヌクレオチド配列の逆相補体であるヌクレオチド配列、のうちの少なくとも1つを含む核酸分子であって、ベクターであるのが好ましい、核酸分子に関する。この態様において、本発明は、さらに、この態様のポリペプチド及びこの態様の核酸分子のうちの少なくとも1つを含む細胞であって、培養細胞であるのが好ましい、細胞に関する。

最後の態様において、本発明は、配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも86.5%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、少なくともHMFCAを細胞内に輸送する能力を有するポリペプチドに関する。この態様において、本発明はまた、a)配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも86.5%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、少なくともHMFCAを細胞内に輸送する能力を有するポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列;b)配列番号18に示されているヌクレオチド配列;c)長さが10、15、20、30、50又は100ヌクレオチドである、(a)又は(b)で定義したヌクレオチド配列の断片;d)遺伝コードの縮重によってb)又はc)のヌクレオチド配列の配列とは配列が異なるヌクレオチド配列;及び、e)a)〜d)で定義したヌクレオチド配列の逆相補体であるヌクレオチド配列、のうちの少なくとも1つを含む核酸分子であって、ベクターであるのが好ましい、核酸分子に関する。この態様において、本発明は、さらに、この態様のポリペプチド及びこの態様の核酸分子のうちの少なくとも1つを含む細胞であって、培養細胞であるのが好ましい、細胞に関する。

シュードモナス・プチダCA2046によるHMFの生体内変換(シュードモナス・プチダ;白抜きの円:HMF(5−ヒドロキシメチルフルフラール);白抜きの正方形:HMFCA(5−ヒドロキシメチルフロン酸);塗潰しの菱形:FDCA(2,5−フランジカルボン酸);塗潰しの灰色円:OD600)。

シュードモナス・プチダCA2101によるHMFの生体内変換;白抜きの円:HMF(5−ヒドロキシメチルフルフラール);白抜きの正方形:HMFCA(5−ヒドロキシメチルフロン酸);塗潰しの菱形:FDCA(2,5−フランジカルボン酸);塗潰しの灰色円:OD600。

カプリアビダス・バシレンシスHMF14由来のAldh及びHmfT1をYiaYと共発現する、シュードモナス・プチダCA2111によるHMFの生体内変換;白抜きの円:HMF(5−ヒドロキシメチルフルフラール);白抜きの正方形:HMFCA(5−ヒドロキシメチルフロン酸);塗潰しの菱形:FDCA(2,5−フランジカルボン酸);塗潰しの灰色円:OD600。重複培養の平均を示す。

カプリアビダス・バシレンシスHMF14由来のAldh及びHmfT1をYiaYと共発現する、シュードモナス・プチダCA2112によるHMFの生体内変換;白抜きの円:HMF(5−ヒドロキシメチルフルフラール);白抜きの正方形:HMFCA(5−ヒドロキシメチルフロン酸);塗潰しの菱形:FDCA(2,5−フランジカルボン酸);塗潰しの灰色円:OD600。重複培養の平均を示す。

バチルス・クリベンシスDSM17871由来のYiaYとカプリアビダス・バシレンシス由来のAldh及びHmfT1を共発現する、シュードモナス・プチダCA21780によるHMFの生体内変換。HMF−OHは、本明細書において「DBF」とも呼ばれる、ジヒドロキシメチルフランである。

アネウリニバチルス・テラノベンシスDSM18919由来のYiaYとカプリアビダス・バシレンシス由来のAldh及びHmfT1を共発現する、シュードモナス・プチダCA21781によるHMFの生体内変換。HMF−OHは、本明細書において「DHF」とも呼ばれる、ジヒドロキシメチルフランである。

ブレビバチルス・パナチフミW25由来のYiaYとカプリアビダス・バシレンシス由来のAldh及びHmfT1を共発現する、シュードモナス・プチダCA21783によるHMFの生体内変換。HMF−OHは、本明細書において「DHF」とも呼ばれる、ジヒドロキシメチルフランである。

定義 用語「相同性」、「配列同一性」などは、本明細書では同義的に使用される。配列同一性は、本明細書において、配列を比較することにより決定する場合、2つ以上のアミノ酸(ポリペプチド若しくはタンパク質)配列又は2つ以上の核酸(ポリヌクレオチド)配列間の関係として定義される。当技術分野において、「同一性」はまた、場合によっては、こうした配列のストリング間のマッチによって決定する場合、アミノ酸配列又は核酸配列間の配列相関性の程度を意味する。2つのアミノ酸配列間の「類似性」は、1つのポリペプチドのアミノ酸配列及びその保存されたアミノ酸置換を第2のポリペプチドの配列と比較することにより決定される。「同一性」及び「類似性」は、公知の方法によって容易に計算することができる。

「配列同一性」及び「配列類似性」は、グローバルアラインメントアルゴリズム又はローカルアラインメントアルゴリズムを使用し、2つの配列の長さに基づいて、2つのペプチド配列又は2つのヌクレオチド配列のアラインメントによって決定することができる。類似の長さの配列は、全長にわたって配列を最適に配列比較する、グローバルアラインメントアルゴリズム(例えば、Needleman Wunsch)を使用し配列比較するのが好ましいが、実質的に異なる長さの配列は、ローカルアラインメントアルゴリズム(例えば、Smith Waterman)を使用し配列決定するのが好ましい。次いで、配列が(例えば、デフォルトパラメーターを使用してプログラムGAP又はBESTFITによって最適に配列比較した場合)、配列同一性(下記で定義したとおりである)の少なくともある特定の最小パーセンテージを共有する場合、配列は、「実質的に同一の」又は「本質的に類似した」と称することができる。GAPは、Needleman and Wunschグローバルアラインメントアルゴリズムを使用して2つの配列をそれらの全長(完全長)にわたって配列比較し、マッチの数を最大限にし、ギャップの数を最小限にする。グローバルアラインメントは、2つの配列が類似の長さを有する場合の配列同一性を決定するために適切に使用される。一般に、GAPデフォルトパラメーターは、ギャップ生成ペナルティー=50(ヌクレオチド)/8(タンパク質)、及びギャップ伸長ペナルティー=3(ヌクレオチド)/2(タンパク質)で使用される。ヌクレオチドの場合、使用されるデフォルトスコアマトリックスはnwsgapdnaであり、またタンパク質の場合、デフォルトスコアマトリックスはBlosum62である(Henikoff & Henikoff,1992,PNAS 89,915−919)。配列同一性パーセントに関する配列アラインメント及びスコアは、例えば、Accelrys Inc.,9685 Scranton Road,San Diego,CA 92121−3752 USAから入手可能な、GCG Wisconsin Package、バージョン10.3コンピュータプログラムを使用し、又はオープンソースのソフトウェア、例えば、EmbossWINバージョン2.10.0においてプログラム「needle」(グローバルNeedleman Wunschアルゴリズムを使用)又は「water」(ローカルSmith Watermanアルゴリズムを使用)を使用し、上記GAPと同じパラメーターを使用し、或いはデフォルト設定(「needle」及び「water」の両方、並びにタンパク質アラインメント及びDNAアラインメントの両方について、デフォルトGap開始ペナルティーは10.0であり、デフォルトgap伸長ペナルティーは0.5である;デフォルトスコアリングマトリックスは、タンパク質についてはBlossum62であり、DNAについてはDNAFullである)を使用することにより決定することができる。配列が実質的に異なる全長を有する場合、ローカルアラインメント、例えば、Smith Watermanアルゴリズムを使用するのが好ましい。

或いは、類似性又は相同性パーセンテージは、アルゴリズム、例えば、FASTA、BLASTなどを使用し、公的データベースに対して検索することにより決定することができる。したがって、本発明の核酸配列及びタンパク質配列は、例えば、他のファミリーメンバー又は関連の配列を同定するための公的データベースに対して検索を実施する「照会配列」としてさらに使用することができる。このような検索は、Altschul,et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403−10のBLASTn及びBLASTxプログラム(バージョン2.0)を使用して実施することができる。BLASTヌクレオチド検索は、本発明のオキシドレダクターゼ核酸分子と相同なヌクレオチド配列を得るために、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12で実施することができる。BLASTタンパク質検索は、本発明のタンパク質分子に相同なアミノ酸配列を得るために、BLASTxプログラム、スコア=50、ワード長=3により実施することができる。比較目的でギャップアラインメントを得るために、Altschul et al.,(1997)Nucleic Acids Res.25(17): 3389−3402に開示されているようにして、Gapped BLASTを利用することができる。BLASTプログラム及びGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、BLASTx及びBLASTn)のデフォルトパラメーターを使用することができる。http://www.ncbi.nlm.nih.gov/の米国バイオテクノロジー情報センターのホームページを参照されたい。

任意選択で、アミノ酸類似性の程度を決定する際に、当業者はまた、当業者には明らかな、いわゆる「保存的」アミノ酸置換も考慮に入れることができる。保存的アミノ酸置換とは、類似の側鎖を有する残基の互換性を意味する。例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸の基は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン及びイソロイシンであり;脂肪族−ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸の基は、セリン及びスレオニンであり;アミド含有側鎖を有するアミノ酸の基は、アスパラギン及びグルタミンであり;芳香族側鎖を有するアミノ酸の基は、フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファンであり;塩基性側鎖を有するアミノ酸の基は、リジン、アルギニン及びヒスチジンであり;硫黄含有側鎖を有するアミノ酸の基は、システイン及びメチオニンである。好ましい保存的アミノ酸置換基は、バリン−ロイシン−イソロイシン、フェニルアラニン−チロシン、リジン−アルギニン、アラニン−バリン、及びアスパラギン−グルタミンである。本明細書に開示されているアミノ酸配列の置換変異体は、開示されている配列の少なくとも1つの残基が除去され、異なる残基がその場所に挿入されたものである。アミノ酸変化は保存的であるのが好ましい。それぞれの天然のアミノ酸に対する好ましい保存的置換は以下のとおりである:Alaからser;Argからlys;Asnからgln又はhis;Aspからglu;Cysからser又はala;Glnからasn;Gluからasp;Glyからpro;Hisからasn又はgln;Ileからleu又はval;Leuからile又はval;Lysからarg;gln又はglu;Metからleu又はile;Pheからmet、leu又はtyr;Serからthr;Thrからser;Trpからtyr;Tyrからtrp又はphe;及びValからile又はleu。

本明細書で使用する場合、「選択的にハイブリダイズする(selectively hybridizing)」、「選択的にハイブリダイズする(hybridizes selectively)」及び同類の用語は、相互に少なくとも66%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、よりさらに好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%相同であるヌクレオチド配列が、相互にハイブリダイズされた状態を典型的に維持するハイブリダイゼーション及び洗浄の条件を記載することを意図している。言い換えると、このようなハイブリダイズする配列は、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、よりさらに好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%の配列同一性を共有し得る。

こうしたハイブリダイゼーション条件の好ましい非限定例では、約45℃で、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でハイブリダイゼーションを行い、続いて約50℃、好ましくは約55℃、好ましくは約60℃、さらにより好ましくは約65℃で、1×SSC、0.1%SDS中で1回又は複数回洗浄する。

高ストリンジェント条件としては、例えば、約68℃で、5×SSC/5×Denhardt溶液/1.0%SDS中でハイブリダイズし、室温で、0.2×SSC/0.1%SDS中で洗浄することが含まれる。或いは、洗浄は42℃で実施することができる。

当業者は、ストリンジェント条件及び高ストリンジェントハイブリダイゼーション条件に関してどのような条件を適用するべきかがわかっている。こうした条件に関するさらなる手引きは、当技術分野においては容易に入手可能であり、例えば、Sambrook et al.,1989,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,N.Y.;及びAusubel et al.(eds.),Sambrook and Russell (2001)“Molecular Cloning:A Laboratory Manual (3rd edition),Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York 1995,Current Protocols in Molecular Biology,(John Wiley & Sons,N.Y.)がある。

もちろん、ポリA配列(mRNAの3’末端ポリ(A)トラクトなど)又はT(若しくはU)残基の相補的ストレッチに対してのみハイブリダイズするポリヌクレオチドは、ポリ(A)ストレッチ又はその相補体(例えば、実際には任意の二本鎖cDNAクローン)を含有する任意の核酸分子にもハイブリダイズするため、本発明の核酸の一部に特異的にハイブリダイズさせるために使用される本発明のポリヌクレオチドには含まれない。

「核酸構築物」又は「核酸ベクター」は、本明細書においては、組換えDNA技術を使用することによって得られる人工の核酸分子を意味すると理解されたい。したがって、用語「核酸構築物」は、天然の核酸分子を含まないが、核酸構築物は、天然の核酸分子(の一部)を含み得る。用語「発現ベクター」又は「発現構築物」とは、こうした配列と適合する宿主細胞又は宿主生物中の遺伝子の発現を達成することができるヌクレオチド配列を意味する。これらの発現ベクターは、典型的には、少なくとも適切な転写制御配列を含み、任意選択で、3’転写終止シグナルを含む。発現の達成に必要な、又は有用であるさらなる因子、例えば、発現エンハンサーエレメントなども存在し得る。発現ベクターは適切な宿主細胞に導入され、宿主細胞のインビトロ細胞培養においてコード配列の発現を達成することができる。発現ベクターは、本発明の宿主細胞又は生物における複製に適している。

本明細書で使用する場合、用語「プロモーター」又は「転写制御配列」とは、1つ又は複数のコード配列の転写を制御するように機能し、コード配列の転写開始部位の転写の方向に関して上流に位置している核酸断片を意味し、DNA依存性RNAポリメラーゼに関する結合部位、転写開始部位、並びに限定するものではないが、転写因子結合部位、抑制因子及びアクチベータータンパク質結合部位を含む別の任意のDNA配列、並びに、プロモーターからの転写量を制御するために直接的又は間接的に作用することが当業者に知られているヌクレオチドの別の任意の配列の存在によって構造的に同定される。「構成性」プロモーターは、ほとんどの生理学的及び発生的条件下で、ほとんどの組織において活性であるプロモーターである。「誘導性」プロモーターは、例えば、化学誘導物質を適用することによって、生理学的又は発生的に制御されるプロモーターである。

用語「選択可能マーカー」は、当業者によく知られている用語であり、本明細書においては、発現された場合に、選択可能マーカーを含有している1個又は複数の細胞を選択するために使用することができる、任意の遺伝子実体を記載するために使用されている。用語「リポーター」とは、可視マーカー、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)などを意味するために主として使用されるが、マーカーと同義的に使用され得る。選択可能マーカーは、優性又は劣性又は双方向であってよい。

本明細書において使用する場合、用語「作動可能に連結されている」とは、機能的関係におけるポリヌクレオチドエレメントの連結を意味する。核酸は、別の核酸配列との機能的関係に置かれている場合、「作動可能に連結されている」。例えば、転写制御配列は、コード配列の転写に作用する場合、コード配列に作動可能に連結されている。作動可能に連結されているとは、連結しているDNA配列が典型的には連続的であり、必要な場合、2つのタンパク質コード領域に、連続的にリーディングフレーム内で結合されていることを意味する。

用語「タンパク質」又は「ポリペプチド」は同義的に使用され、特定の作用機序、サイズ、3次元構造又は起源に関係なく、アミノ酸鎖からなる分子を意味する。

用語「遺伝子」は、適切な制御領域(例えばプロモーター)に作動可能に連結されている、細胞においてRNA分子(例えばmRNA)に転写される領域(転写領域)を含むDNA断片を意味する。遺伝子は、通常、数種類の作動可能に連結されている断片、例えば、プロモーター、5’リーダー配列、コード領域及びポリアデニル化部位を含む3’−非翻訳配列(3’−末端)を含む。「遺伝子の発現」とは、適切な制御領域、特にプロモーターに作動可能に連結されているDNA領域が、生物学的に活性である、すなわち、生物学的に活性であるタンパク質又はペプチドに翻訳され得る、RNAに転写されるプロセスを意味する。用語「相同体」とは、所定の(組換え)核酸又はポリペプチド分子と所定の宿主生物又は宿主細胞との間の関係を示すために使用される場合、本質的に、核酸又はポリペプチド分子が宿主細胞又は同種の生物、好ましくは同一系統又は同一株の生物によって産生されることを意味するものと理解されたい。宿主細胞に対して相同体である場合、ポリペプチドをコードしている核酸配列は、典型的には(しかし必須ではない)、別の(異種性)プロモーター配列に作動可能に連結され、適用可能な場合、その天然環境の場合よりも別の(異種性)分泌シグナル配列及び/又はターミネーター配列に連結される。制御配列、シグナル配列、ターミネーター配列などもまた、宿主細胞に対して相同体であり得ることを理解されたい。これに関連して、「相同体」配列エレメントのみの使用は、「自己クローン化」遺伝子組換え生物(GMO)を構築することができる(自己クローニングは、本明細書においてはEuropean Directive 98/81/EC Annex II)のとおり定義する)。2つの核酸配列の相関性を示すために使用する場合、用語「相同体」とは、1つの一本鎖核酸配列が相補的な一本鎖核酸配列にハイブリダイズし得ることを意味する。ハイブリダイゼーションの程度は、配列間の同一性の量、並びにハイブリダイゼーション条件、例えば、後で論じるような温度及び塩濃度などを含む多数の要因に依存し得る。

用語「異種性」及び「外因性」とは、核酸(DNA若しくはRNA)又はタンパク質に関して使用する場合、存在する生物、細胞、ゲノム又はDNA若しくはRNA配列の一部として天然には生じない核酸又はタンパク質を意味するか、或いは、細胞又はゲノム若しくはDNA若しくはRNA配列における1つ又は複数の位置で天然に確認されるものとは異なることが確認される核酸又はタンパク質を意味する。異種性及び外因性の核酸又はタンパク質は、導入される細胞に対して内因性ではないが、別の細胞から取得されたか、又は合成的に若しくは組換えにより産生された。一般的には、必ずしもそうではないが、こうした核酸は、通常、DNAが転写又は発現される細胞によって産生されないタンパク質、すなわち、外因性タンパク質をコードする。同様に、外因性RNAは、外因性RNAが存在する細胞において通常発現されないタンパク質をコードする。異種性/外因性の核酸及びタンパク質はまた、外来核酸又はタンパク質と呼ぶこともできる。発現される細胞に対して外来性として当業者が認識する任意の核酸又はタンパク質は、異種性又は外因性の核酸又はタンパク質という用語によって本明細書に包含される。異種性及び外因性という用語はまた、核酸配列又はアミノ酸配列の非天然の組合せ、すなわち、少なくとも2つの組み合わせた配列が相互に外来である組合せにも適用される。

酵素の「比活性」とは、本明細書では、通常、全宿主細胞タンパク質のmg当たりの酵素単位活性で表される、全宿主細胞タンパク質の量当たりの特定酵素の活性量を意味するものと理解されたい。本発明の関連において、特定酵素の比活性は、(さもなければ同一の)野性型宿主細胞におけるその酵素の比活性と比べ、増加又は低減され得る。

「フラン化合物」とは、本明細書では、2,5−フラン−ジカルボン酸(FDCA)、並びに、FDCAに酸化され得るフラン基を有する任意の化合物であると理解するものとし、後者は、本明細書において、「FDCAの前駆体」又は「FDCAのフラン前駆体」として言及されている。FDCAの前駆体としては、少なくとも、5−ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)、2,5−ジヒドロキシメチルフラン(DHF若しくはHMF−OH)又は2,5−ビス(ヒドロキシメチル)フラン(BHF)、5−ヒドロキシメチル−2−フランカルボン酸、又は5−ヒドロキシメチル−2−フロ酸又は(HMFCA)、5−ホルミル−2−フロ酸(FFA)、及び2,5−ジホルミルフラン(DFF)が挙げられる。「フラン化合物」において、フラン環又は任意の若しくはその置換可能な側鎖基は、任意の利用可能な位置のフラン環において、例えば、環状基を含む、OH、C1〜C10アルキル、アルキル、アリル、アリール又はRO−エーテル部分で置換され得ることをさらに理解されたい。

本明細書における公開配列データベースにアクセス可能なヌクレオチド又はアミノ酸配列へのいかなる言及も、この文書の出願日に入手可能な配列のエントリーバージョンを意味する。

HMFCAデヒドロゲナーゼを発現する細胞 第1の態様において、本発明は、5−ヒドロキシメチル−2−フランカルボン酸(HMFCA)を5−ホルミルフロ酸(FFA)に酸化させる能力を有する細胞に関する。HMFCAをFFAに酸化させる能力は、HMFCAをFFAに酸化させる能力を有するデヒドロゲナーゼをコードしているヌクレオチド配列を含む核酸構築物で細胞を形質転換することによって細胞に付与する又は細胞において増大させるのが好ましい。デヒドロゲナーゼは、アルコールデヒドロゲナーゼであるのが好ましい(すなわち、EC1.1活性を有する)。したがって、細胞は、HMFCAをFFAに酸化させる能力を有するデヒドロゲナーゼをコードしているヌクレオチド配列を発現するための発現構築物を含む細胞であるのが好ましい。本発明の好ましい細胞において、発現構築物は細胞において発現可能であり、デヒドロゲナーゼの発現は、発現構築物を欠損している対応する細胞、例えば野性型細胞と比べ、HMFCAをFFAに酸化させる能力を細胞に付与する又は細胞において増大させるのが好ましい。HMFCAをFFAに酸化させる酵素の比活性は、発現構築物を欠損している対応する細胞と比べ、少なくとも1.05、1.1、1.2、1.5、2.0、5.0、10、20、50又は100倍、細胞において増大させるのが好ましい。

HMFCAをFFAに酸化させる能力を有するデヒドロゲナーゼは、したがって、HMFCAデヒドロゲナーゼ活性を有するアルコールデヒドロゲナーゼである。ポリペプチドがHMFCAデヒドロゲナーゼ活性を有するか否かについては、HMFCAをFFAに酸化させることができない適切な宿主細胞中でポリペプチドを発現させ、ポリペプチドの発現がHMFCAをFFAに酸化させる能力を細胞に付与するか否かを検出することによってアッセイすることができる。HMFCAデヒドロゲナーゼ活性は、本明細書の実施例IVに記載しているようにアッセイされるのが好ましく、それによって、HMFCAデヒドロゲナーゼ活性についてアッセイされるポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列がpBT’hmfH−adhのカプリアビダス・バシレンシスhmfH遺伝子(国際公開第2012/064195号に開示されている)と置き換わり、その後、HMFCAデヒドロゲナーゼ活性についてアッセイされるポリペプチドのコード配列を含むプラスミドが、pJNNhmfT1(t)を含有するシュードモナス・プチダKT2440Δgcd(国際公開第2012064195号に開示されている)に導入される。HMFCAデヒドロゲナーゼ活性についてアッセイされるポリペプチドを発現するシュードモナス・プチダ形質転換体をHMFとインキュベートし、FDCAを分析するため試料を一定間隔で得る。HMFCAデヒドロゲナーゼ活性(及びhmfH遺伝子)についてアッセイされるポリペプチドを欠損している対応するシュードモナス・プチダ形質転換体と比べた場合のFDCA生産の増加は、ポリペプチドがHMFCAデヒドロゲナーゼ活性を有することを示唆しているものと考えられる。

本発明の細胞において発現されるHMFCAデヒドロゲナーゼは、アデニンジヌクレオチドから選択される補因子に依存するデヒドロゲナーゼ、例えば、NADH又はNADPH、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、フラビンモノヌクレオチド(FMN)、及びピロロキノリンキノロン(PQQ)などであるのが好ましい。

本発明の細胞において発現されるFEVIFCAデヒドロゲナーゼは、別のフランアルコール、好ましくは2位にヒドロキシ基を有するフランアルコールを対応するアルデヒドに酸化させる能力を(さらにまた)有するアルコールデヒドロゲナーゼであるのがさらに好ましい。したがって、FEVIFCAデヒドロゲナーゼは、5−ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)を2,5−ジホルミルフラン(DFF)に酸化させる能力を有するのが好ましい。

一実施形態において、FEVIFCAをFFAに酸化させる能力を有するデヒドロゲナーゼをコードしているヌクレオチド配列は、 (a)ポリペプチドが配列番号1(エアリバチルス・パリダス)、配列番号2(バチルス・クリベンシス)、配列番号3(ゲオバチルス・カウストフィルス)、配列番号4(アネウリニバチルス・テラノベンシス)、配列番号5(ブレビバチルス・サーモルーバー)、配列番号6(ブレビバチルス・パナチフミ)、配列番号7(バチルス属の種FJAT−14578)、配列番号8(デスルホトマクルム・クズネツォビイ)、配列番号9(デスルフリスポラ・サーモフィラ)、配列番号10(バチルス属の種.L1(2012))、及び配列番号11(ペロトマクルム・サーモプロピオニカム)のうちのいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、81.65、81.7、81.8、81.85、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、FEVIFCAデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列; (b)その相補鎖が(a)のヌクレオチド配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列;並びに、 (c)その配列が遺伝コードの縮重により(b)のヌクレオチド配列の配列とは異なるヌクレオチド配列 からなる群から選択される。

したがって、本発明の好ましいヌクレオチド配列は、バチラス目(Bacillales)又はクロストリジア目(Clostridiales)の細菌から得ることができる(又は天然の)FEVIFCAデヒドロゲナーゼのアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を有するFEVIFCAデヒドロゲナーゼをコードしている。好ましい一実施形態において、細菌は、バチルス科(Bacillaceae)の細菌であり、細菌がエアリバチルス属、ゲオバチルス属及びバチルス属の細菌であるのがより好ましく、そのうち、エアリバチルス・パリダス、バチルス・クリベンシス、ゲオバチルス・カウストフィルス、アネウリニバチルス・テラノベンシス、バチルス属の種FJAT−14578、及びバチルス属の種L1(2012)が最も好ましい。別の好ましい実施形態において、細菌は、パエニバチルス科(Paenibacillaceae)の細菌であり、アネウリニバチルス及びブレビバクテリウム属の細菌がより好ましく、そのうち、アネウリニバチルス・テラノベンシス、ブレビバチルス・サーモルーバー、及びブレビバチルス・パナチフミの種が最も好ましい。さらに別の好ましい実施形態において、細菌は、ペプトコッカス科(Peptococcaceae)の細菌であり、細菌がデスルホトマクルム、デスルフリスポラ及びペロトマクルム属であるのがより好ましく、そのうち、デスルホトマクルム・クズネツォビイ、デスルフリスポラ・サーモフィラ、及びペロトマクルム・サーモプロピオニカムの種が最も好ましい。

一実施形態において、本発明の好ましいヌクレオチド配列は、中温細菌、すなわち、適温において、典型的には20〜45℃の間で最も増殖する細菌由来のHMFCAデヒドロゲナーゼをコードする。本発明のヌクレオチド配列は、20〜45℃の範囲において最適な活性及び安定性を有する中温性HMFCAデヒドロゲナーゼをコードするのが好ましい。このような中温性デヒドロゲナーゼの例は、例えば、バチルス・クリベンシス(30℃)、アネウリニバチルス・テラノベンシス(40℃)、ブレビバチルス・サーモルーバー(45℃)、ブレビバチルス・パナチフミ(30℃)、バチルス属の種FJAT−14578(30℃)、及びバチルス属の種L1(2012)(30〜50℃)由来のデヒドロゲナーゼ、並びにこれに関連するデヒドロゲナーゼである。

一実施形態において、本発明の好ましいヌクレオチド配列は、高温細菌、すなわち、比較的高温において、典型的には45℃と122℃の間の高い温度で最も増殖する細菌由来のHMFCAデヒドロゲナーゼをコードする。したがって、本発明のヌクレオチド配列は、45℃と122℃の間の高い温度の範囲において最適な活性及び安定性を有する好熱性HMFCAデヒドロゲナーゼをコードするのが好ましい。このような好熱性デヒドロゲナーゼの例は、例えば、エアリバチルス・パリダス(55℃)、ゲオバチルス・カウストフィルス(55℃)、デスルホトマクルム・クズネツォビイ(60℃)、デスルフリスポラ・サーモフィラ(50℃)、ペロトマクルム・サーモプロピオニカム(55℃)、及びバチルス属の種L1(2012)(30〜50℃)由来のデヒドロゲナーゼ、並びにこれに関連するデヒドロゲナーゼである。

一実施形態において、本ヌクレオチド配列は、天然に存在するような、例えば、野性型供給源生物から単離され得るような、HMFCAデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする。或いは、本ヌクレオチド配列は、上記で定義したHMFCAデヒドロゲナーゼのいずれかの操作された形態をコードし、対応する天然のHMFCAデヒドロゲナーゼと比べて1つ又は複数のアミノ酸置換、挿入及び/又は欠失を含むが、本明細書において定義した相同性又は類似性の範囲内にあり得る。したがって、一実施形態において、本発明のヌクレオチド配列は、HMFCAデヒドロゲナーゼをコードし、そのアミノ酸配列がそれぞれの不変位置(表2において「*」で示される)に、不変位置に存在するアミノ酸を少なくとも含む。アミノ酸配列はまた、高度に保存された位置(表2において「:」で示される)に、強度に保存された位置に存在するアミノ酸のうちの1つを含むのが好ましい。アミノ酸配列はさらにまた、それほど高度に保存されていない位置(表2において「.」で示される)に、それほど高度に保存されていない位置に存在するアミノ酸のうちの1つを含むのがより好ましい。これらの不変位置及び保存位置の外側のアミノ酸置換は、HMFCAデヒドロゲナーゼ活性に影響する可能性は低い。

HMFCAデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードしている本発明のヌクレオチド配列は、当技術分野でそれ自体が周知であるヌクレオチド配列の単離方法を利用して、真菌、酵母又は細菌のゲノム及び/又はcDNA、例えば、上述の供給源生物と同じ門、クラス又は属に属するものから得ることができる(例えば、Sambrook and Russell(2001)“Molecular Cloning: A Laboratory Manual(3rd edition),Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New Yorkを参照)。本発明のヌクレオチド配列は、例えば、a)(保存アミノ酸配列に基づいて設計された)縮重PCRプライマーを適切な生物のゲノム及び/又はcDNAに使用して、HMFCAデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列の一部を含むPCR断片を生成する;b)a)で得られたPCR断片をプローブとして使用し、生物のcDNA及び/又はゲノムライブラリーをスクリーニングする;並びに、c)HMFCAデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含むcDNA又はゲノムDNAを産生する、方法で得ることができる。

本発明のHMFCAデヒドロゲナーゼが本発明の形質転換細胞において十分なレベルで、活性形態で発現される可能性を高めるために、これらの酵素をコードしているヌクレオチド配列、並びに本発明の他の酵素(下記を参照)は、それらのコドン使用を当該宿主細胞の使用に最適化するように構成されるのが好ましい。ポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列の宿主細胞のコドン使用に対する適応構成性(adaptiveness)は、コドン適応構成指数(CAI(codon adaptation index))として表すことができる。コドン適応構成指数は、本明細書において、特定の宿主細胞又は生物における高度発現遺伝子のコドン使用に対する遺伝子のコドン使用の相対的な適応構成性の測定値として定義される。それぞれのコドンの相対的適応構成性(w)は、同じアミノ酸に関する最も豊富なコドンの使用に対する、それぞれのコドンの使用比率である。CAI指数は、これらの相対的な適応構成性値の幾何平均として定義される。非同義コドン及び終止コドン(遺伝コードに依存する)は除外される。CAI値は0〜1の範囲であり、高い値は最も豊富なコドンが高い割合であることを示す(Sharp and Li,1987,Nucleic Acids Research 15:1281−1295を参照;また、Jansen et al.,2003,Nucleic Acids Res.31(8):2242−51も参照)。適応構成されたヌクレオチド配列は、少なくとも0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8又は0.9のCAIを有するのが好ましい。シュードモナス・プチダ細胞における発現に対して最適化されたコドンであった、配列番号13又は14に記載されている配列が最も好ましい。

本発明のHMFCAデヒドロゲナーゼをコードしているヌクレオチド配列を発現するための核酸構築物で形質転換される宿主細胞は、原則として、本HMFCAデヒドロゲナーゼ発明が、好ましくは機能的に、すなわち活性型で適切に発現され得る、任意の宿主細胞であり得る。本発明の宿主細胞は、フラン化合物の細胞内及び細胞外への能動輸送又は受動輸送が可能な宿主であるのが好ましい。本発明の好ましい宿主細胞は、カルボキシル化されたフラン化合物、例えば、特にHMFCA、FFA及びFDCAを脱カルボキシル化する検出可能な活性を欠損しているか、有していない。このような宿主細胞は、カルボキシル化されたフラン化合物を脱カルボキシル化する能力を自然に欠損しているのが好ましい。

宿主細胞は、培養細胞、例えば、発酵プロセスにおいて、好ましくは液中発酵において培養することができる細胞であるのが好ましい。

一実施形態によれば、本発明に記載の宿主細胞は、真核宿主細胞である。真核細胞は、哺乳動物、昆虫、植物、真菌又は藻類の細胞であるのが好ましい。好ましい哺乳動物細胞としては、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、COS細胞、293細胞、PerC6細胞、及びハイブリドーマが挙げられる。好ましい昆虫細胞としては、例えば、Sf9細胞及びSf21細胞、並びにそれらの誘導体が挙げられる。

しかし、宿主細胞は微生物細胞であるのが好ましい。細胞は、真核微生物細胞、好ましくは真菌細胞、例えば、酵母又は糸状菌細胞であり得る。好ましい酵母宿主細胞としては、例えば、カンジダ、ハンゼヌラ、クリベロミセス、ピチア、サッカロマイセス、シゾサッカロミセス及びヤロウイアなどの属の酵母細胞が挙げられる。クリベロミセス・ラクチス、サッカロミセス・セルビシエ、ハンゼヌラ・ポリモルファ、ヤロウイア・リポリティカ及びピチア・パストリスなどの種の酵母がより好ましい。好ましい糸状菌細胞としては、例えば、アクレモニウム、アガリクス、アスペルギルス、アウレオバシディウム、ミセリオフトーラ、クリソスポリウム、コプリナス、クリプトコックス、フィリバシジウム、フザリウム、フミコラ、マグナポルテ、ムコール、ミセリオフトーラ、ネオカリマスティクス、ニューロスポラ、ペシロミセス、ペニシリウム、ピロミセス、パネロカエテ、プロイロータス、シゾフィラム、タラロミセス、サーモアスカス、チエラビア、トリポクラジウム属、及びトリコデルマ属などの属の糸状真菌細胞が挙げられる。アスペルギルス、ミセリオフトーラ、ペニシリウム、ミセリオフトーラ、タラロミセス又はトリコデルマの属の種に属する糸状真菌細胞が好ましく、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・アワモリ、アスペルギルス・フォエティダス、アスペルギルス・ソジェ、アスペルギルス・フミガーツス、タラロミセス・エメルソニ、アスペルギルス・オリゼ、ミセリオフトーラ・サーモフィラ、トリコデルマ・リーゼイ及びペニシリウム・クリゾゲヌムから選択される種であるのが最も好ましい。

また微生物宿主細胞は原核細胞であってよく、細菌細胞が好ましい。用語「細菌細胞」には、グラム陰性微生物及びグラム陽性微生物の両方が含まれる。適切な細菌は、エシェリヒア、アナベーナ、エアリバチルス、アネウリニバチルス、バークホルデリア、ブラジリゾビウム、コーロバクター、カプリアビダス、デスルホトマクルム、デスルフリスポラ、グルコノバクター、ロドバクター、ペロトマクルム、シュードモナス、パラコッカス、バチルス、ゲオバチルス、ブレビバチルス、ブレビバクテリウム、コリネバクテリウム、リゾビウム(シノリゾビウム)、フラボバクテリウム、クレブシェラ、エンテロバクター、ラクトバチルス、ラクトコッカス、メチロバクテリウム、ラルストニア、ロドシュードモナス、スタフィロコッカス、及びストレプトミセスの属から選択することができる。細菌細胞は、エアリバチルス・パリダス、アネウリニバチルス・テラノベンシス、バチルス・スブチリス、バチルス・アミロリケファシエンス、バチルス・コアグランス、バチルス・クリベンシス、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・プンチス、バチルス・メガテリウム、バチルス・ハロデュランス、バチルス・プミルス、バチルス・サーモルーバー、バチルス・パナチフミ、カプリアビダス・バシレンシス、デスルホトマクルム・クズネツォビイ、デスルフリスポラ・サーモフィラ、ゲオバチルス・カウストフィルス、グルコノバクター・オキシダンス、コーロバクター・クレセンタスCB15、メチロバクテリウム・エキストロクエンス、ロドバクター・スフェロイデス、ペロトマクルム・サーモプロピオニカム、シュードモナス・ゼアキサンチニファシエンス、シュードモナス・プチダ、パラコッカス・デニトリフィカンス、大腸菌、コリネバクテリウム・グルタミクム、スタフィロコッカス・カルノーサス、ストレプトミセス・リビダンス、シノリゾビウム・メリオティ、及びリゾビウム・ラジオバクターからなる群の種から選択されるのが好ましい。シュードモナス・プチダ種のうち、シュードモナス・プチダS12株及びシュードモナス・プチダKT2440株が好ましい。

本発明による宿主細胞において生産される化合物の特定の使用において、宿主細胞の選択はこうした使用に従って行われ得る。例えば、本発明による宿主細胞において産生される化合物が食品用途において使用される場合、宿主細胞は、サッカロミセス・セレビシエなどの食品等級生物から選択することができる。特定の使用としては、限定するものではないが、食品、(動物用)飼料、医薬品、作物防除など農業、及び/又はパーソナルケアでの使用が挙げられる。

本発明のHMFCAデヒドロゲナーゼをコードしているヌクレオチド配列を発現するための発現構築物は、構築物で形質転換された宿主細胞に対して異種性又は外因性である発現構築物であるのが好ましい。構築物は、本明細書においては、構築物が宿主細胞中に天然に存在しない少なくとも1つの配列又は配列エレメントを含む場合、及び/又は構築物が組合せにおいて少なくとも2つの配列エレメントを含む場合、及び/又はエレメントがそれ自体宿主細胞中に天然に存在していても、宿主細胞中で天然に存在しない生じない命令を含む場合に、構築物を含む宿主細胞に対して異種性又は外因性であると理解されたい。

適切な宿主細胞における本発明のHMFCAデヒドロゲナーゼをコードしているヌクレオチド配列を発現するためのベクター及び発現構築物は、以下の本明細書において、より詳細に記載する。

本発明のHMFCAデヒドロゲナーゼを発現する形質転換細胞は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する(すなわち、EC1.2活性を有する)のがさらに好ましい。アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性は、フランアルデヒドを変換することができることが好ましい。アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性は、フランアルデヒドを対応するフランカルボン酸に酸化させることができることがより好ましい。より詳細には、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性は、i)HMFをHMFCAに酸化させること、ii)2,5−ジホルミルフラン(DFF)を5−ホルミル−2−フロ酸(FFA)に酸化すること、及びiii)FFAをFDCAに酸化すること、のうちの少なくとも1つを可能にし得ることが好ましい。こうしたフランアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性は、細胞の内因性活性であってもよく、又は細胞へ付与される外因性活性であってもよい。フランアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性は、第2の発現構築物で細胞を形質転換することによって、細胞に付与する又は細胞において増大させるのが好ましい。本発明の好ましい細胞において、第2の発現構築物は細胞において発現可能であり、フランアルデヒドデヒドロゲナーゼの発現は、発現構築物を欠損する対応する細胞、例えば野性型細胞と比べ、i)HMFをHMFCAに酸化させること、ii)DFFをFFAに酸化させること、及びiii)FFAをFDCAに酸化させること、のうちの少なくとも1つの酸化させる能力を細胞に付与する又は細胞において増大させるのが好ましい。フランアルデヒドデヒドロゲナーゼの比活性は、発現構築物を欠損する対応する細胞と比べ、少なくとも1.05、1.1、1.2、1.5、2.0、5.0、10、20、50又は100倍、細胞において増大させるのが好ましい。第2の発現構築物は、 a)i)HMFをHMFCAに酸化させること、ii)DFFをFFAに酸化させること、及びiii)FFAをFDCAに酸化させること、のうちの少なくとも1つの能力を有し、 b)配列番号24、25、26、27、28、29及び30のうちのいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、ポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含むのが好ましい。

i)HMFからHMFCA、ii)DFFからFFA、及びiii)FFAからFDCAのうちの少なくとも1つを酸化させるポリペプチドの能力は、例えば、国際公開第2012/064195号の実施例IVに記載されているようにして、シュードモナス・プチダ宿主細胞、好ましくはシュードモナス・プチダKT2440宿主細胞において、ポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列を、カプリアビダス・バシレンシスHMF14由来のHmfH及びHmfT1遺伝子と一緒に共発現させ、10mMのHMF中でシュードモナス・プチダ細胞をインキュベートし、ポリペプチドを発現しない対応するシュードモナス・プチダ細胞と比較し、蓄積FDCAの増大を検出することによってアッセイすることができる。ポリペプチドがHMFをHMFCAに酸化させる能力はまた、Koopman et al 2010, PNAS(前掲)によってアッセイすることもできる。カプリアビダス・バシレンシスHMF14由来のHmfT1遺伝子を発現する株は、本明細書においては、配列番号31のアミノ酸配列を有する遺伝子産物を発現すると理解されたい。

本発明のHMFCAデヒドロゲナーゼを発現する形質転換細胞は、フラン化合物を細胞内及び/又は細胞外に輸送する能力を有するのがさらに好ましい。細胞は、FDCAの前駆体であるフラン化合物を細胞内に輸送する能力を有しているのが好ましく、FDCAを細胞外に輸送する能力を有しているのが好ましい。こうしたフラン化合物の輸送能力は、細胞の内因性能力であり得、及び/又は細胞に付与される外因性能力であり得る。したがって、本発明の好ましい細胞は、フラン化合物輸送能力を有するポリペプチドを発現する。細胞は、HMFCA輸送能力を有するポリペプチドを発現するのがより好ましい。HMFCA輸送能力は、HMFCAを細胞内に輸送する能力を少なくとも含むものと理解されたい。HMFCA輸送能力を有するポリペプチドの発現は、HMFCAの細胞内への輸送を増大させ、これはFDCAへの細胞内変換の利用可能性を増大させる。したがって、HMFCA生物変換が改善され得る。

フラン化合物を細胞内及び/又は細胞外に輸送する能力は、第3の発現構築物で細胞を形質転換することによって、細胞に付与する又は細胞において増大させるのが好ましい。本発明の好ましい細胞において、第3の発現構築物は細胞において発現可能であり、フラン化合物トランスポーターの発現は、発現構築物を欠損する対応する細胞、例えば野性型細胞と比べ、少なくともHMFCAを細胞内へ輸送する能力を細胞に付与する又は細胞において増大させるのが好ましい。第3の発現構築物は、 a)少なくともHMFCA輸送能力を有し; b)配列番号17、31、32、33及び34のうちのいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、 ポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含むのが好ましい。

ポリペプチドがフラン化合物、特にHMFCAを細胞内に輸送する能力は、例えば、国際公開第2012/064195号の実施例IVに記載されているようにして、トランスポーターポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列を、シュードモナス・プチダ宿主細胞、好ましくはシュードモナス・プチダKT2440宿主細胞において、カプリアビダス・バシレンシスHMF14由来のHmfH遺伝子、及び(国際公開第2012/064195号の配列番号19のアミノ酸配列を有する)カプリアビダス・バシレンシスHMF14由来のHMF分解オペロンに関連するフランアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードしている遺伝子と一緒に共発現させ、10mMのHMF中でシュードモナス・プチダ細胞をインキュベートし、トランスポーターポリペプチドを発現しない対応するシュードモナス・プチダ細胞と比較し、蓄積FDCAの増大を検出することによってアッセイすることができる。

一実施形態において、ヌクレオチド配列は、天然に存在する場合、例えば、野性型供給源生物から単離され得る場合、HMFCA輸送能力を有するポリペプチドをコードしている。或いは、ヌクレオチド配列は、HMFCA輸送能力を有する対応する天然のポリペプチドと比較して、1つ又は複数のアミノ酸置換、挿入及び/又は欠失を含むが、それが本明細書で定義した同一性又は類似性の範囲内である、上記で定義したようなHMFCA輸送能力を有するポリペプチドのいずれかの操作された形態をコードすることができる。したがって、一実施形態において、本発明のヌクレオチド配列は、HMFCA輸送能力を有するポリペプチドをコードしており、そのアミノ酸配列はそれぞれの不変位置(表3において「*」で示されている)に少なくとも含まれ、アミノ酸は不変位置に存在する。アミノ酸配列はまた、高度に保存された位置(表3において「:」で示されている)にも含まれ、アミノ酸のうちの1つが高度に保存された位置に存在するのが好ましい。さらにまた、アミノ酸配列はそれほど高度に保存されていない位置(表3において「.」で示されている)に含まれ、アミノ酸のうちの1つがそれほど高度に保存されていない位置に存在するのがより好ましい。これらの不変位置及び保存位置以外のアミノ酸置換は、HMFCA輸送能力に影響する可能性は低い。

HMFCA輸送能力を有するポリペプチドをコードしている本発明のヌクレオチド配列は、当技術分野でそれ自体は周知であるヌクレオチド配列を単離するための方法を使用し、本発明のHMFCAデヒドロゲナーゼをコードしているヌクレオチド配列に関して上述したのと同様の方法で、真菌、酵母又は細菌、例えば、上記の供給源生物と同じ門、クラス又は属に属するもののゲノム及び/又はcDNAから取得することができる。

フラン化合物のトランスポーターを発現する細胞 第2の態様において、本発明は、フラン化合物輸送能力を有するポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列を発現する細胞に関する。本細胞は、フラン化合物輸送能力を有するポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列を発現するための発現構築物で形質転換されるのが好ましい。フラン化合物輸送能力を有するポリペプチドは、HMFCAを細胞内に輸送する能力を少なくとも含む、HMFCA輸送能力を有するポリペプチドであるのが好ましい。本細胞は、ポリペプチドが配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも86.5、87、88、89、90、91、92、93、94、95、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、少なくともHMFCAを細胞内に輸送する能力を有するポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列を発現するための発現構築物を含むのが好ましく、発現構築物は細胞において発現可能であり、ポリペプチドの発現は、発現構築物を欠損している対応する野生型細胞と比べ、少なくともHMFCAを細胞内に輸送する能力を細胞に付与する又は細胞において増大させる。ポリペプチドがフラン化合物、特にHMFCAを細胞内に輸送する能力は、上述のようにアッセイすることができる。

本発明のこの態様のフラン化合物のトランスポーターを発現する形質転換細胞は、HMFをFDCAに変換するための活性が、 a)HMFCAをFFAに酸化させるアルコールデヒドロゲナーゼ及びフランアルデヒドを対応するフランカルボン酸へ酸化させるアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性; b)HMF、2,5−ジヒドロキシメチルフラン、HMFCA、FFA及び2,5−ジホルミルフランのうちの1種又は複数をFDCAに酸化させるオキシドレダクターゼ、好ましくはオキシダーゼ、並びに任意選択で、フランアルデヒドを対応するフランカルボン酸へ酸化させるアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、 のうちの少なくとも1つを好ましくは含む、HMFをFDCAに変換するための酵素活性をさらに含むのが好ましい。

HMFCAをFFAに酸化させるアルコールデヒドロゲナーゼ、及びフランアルデヒドを酸化させるアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性は、本明細書において上記で定義したとおりであるのが好ましい。HMF、2,5−ジヒドロキシメチルフラン、HMFCA、FFA及び2,5−ジホルミルフランのうちの1種又は複数をFDCAに酸化させるオキシドレダクターゼは、国際公開第2011/026913号に開示されているように、EC1.1活性及びEC1.2活性の両方を有するオキシドレダクターゼであるのが好ましい。

別段の定めがない限り、本発明のこの態様のフラン化合物のトランスポーターを発現する形質転換細胞は、上記で定義した本発明の第1の態様のHMFCAデヒドロゲナーゼを発現する細胞の特徴をさらに有し得る。

ベクター及び構築物及び本発明のポリペプチドを発現するための方法 本発明の別の態様は、本発明のポリヌクレオチド、例えば、本発明のHMFCAデヒドロゲナーゼ若しくはトランスポーターをコードしているヌクレオチド配列、又はそれらの機能性均等物を含む、核酸構築物、例えば、クローニングベクター及び発現ベクターを含むベクター、並びに、例えば、本発明のポリペプチドの発現が生じる条件下で、適切な宿主細胞においてこのようなベクターを増殖、形質転換又はトランスフェクトする方法に関する。本明細書で使用する場合、用語「ベクター」及び「構築物」は同義的に使用され、本発明のポリヌクレオチドを含む、好ましくは輸送することができる、構築された核酸分子を意味する。

本発明のポリヌクレオチドは、複製可能な組換えベクター、例えばクローニングベクター又は発現ベクターに組み込むことができる。ベクターは、適合する宿主細胞において核酸を複製するために使用することができる。したがって、さらなる実施形態において、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを複製可能なベクターに導入し、適合する宿主細胞にベクターを導入し、ベクターの複製を生じさせる条件下で宿主細胞を増殖させることによって、本発明のポリヌクレオチドを調製する方法を提供する。ベクターは、宿主細胞から回収することができる。適切な宿主細胞は上記に記載されている。

本発明の発現カセット又はポリヌクレオチドが挿入されるベクターは、組換えDNA手順に都合よく提供され得る任意のベクターであってよく、ベクターの選択は、導入しようとする宿主細胞に多くの場合依存する。

本発明に記載のベクターは、自律複製ベクター、すなわち染色体外の実体として存在するベクターであってもよく、その複製は、染色体複製、例えばプラスミドから独立している。或いは、ベクターは、宿主細胞に導入される場合、宿主細胞ゲノムに組み込まれ、それが組み込まれた染色体(複数可)と共に複製されるものであってもよい。

1つのタイプのベクターは「プラスミド」であり、これは追加のDNAセグメントが連結され得る環状の二本鎖DNAループを意味する。別のタイプのベクターはウイルス系ベクターであり、追加のDNAセグメントがウイルスゲノムに連結され得る。特定のベクターは、導入される宿主細胞(例えば、細菌の複製開始点を有する細菌ベクター及びエピソーム哺乳動物ベクター)において自律複製が可能である。他のベクター(例えば、非エピソーム性哺乳動物ベクター)は、宿主細胞に導入される際、宿主細胞のゲノムに組み込まれ、それによって、宿主ゲノムと共に複製される。さらに、特定ベクターは、それらが作動可能に連結されている遺伝子の発現を指示することができる。こうしたベクターは、本明細書においては「発現ベクター」と呼ばれる。一般に、組換えDNA技術において有用性のある発現ベクターは、多くの場合、プラスミドの形態である。用語「プラスミド」及び「ベクター」は、プラスミドがベクターの最も一般的に使用されている形態であることから、本明細書においては同義的に使用することができる。しかし、本発明は、例えば、コスミド、ウイルス系ベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス及びアデノ随伴ウイルス)、並びに同等の機能を果たすファージベクターなどの発現ベクターのこうした他の形態を含むものとする。

本発明に記載のベクターは、例えば、RNAを産生するためにインビトロで使用され得るか、又は宿主細胞をトランスフェクト若しくは形質転換するために使用され得る。

本発明のベクターは、例えば、過剰発現させるために。2つ以上の、例えば3、4又は5つの本発明のポリヌクレオチドを含み得る。

本発明の組換え型発現ベクターは、宿主細胞における核酸の発現に好適な形態の本発明の核酸を含み、組換え発現ベクターが、発現させる核酸配列に作動可能に連結されている、発現で使用される宿主細胞に基づいて選択される1つ又は複数の制御配列を含むことを意味する。コード配列に「作動可能に連結されている」制御配列、例えばプロモーター、エンハンサー又は別の発現制御シグナルは、コード配列の発現が制御配列と適合する条件下で達成されるように配置されているか、又は、配列は意図した目的に対して共同して機能するように配置されており、例えば、転写がプロモーターで開始され、ポリペプチドをコードしているDNA配列を介して進行する。用語「制御配列」又は「調節配列」は、プロモーター、エンハンサー及び他の発現制御エレメント(例えばポリアデニル化シグナル)を含むものとする。こうした制御配列は、例えば、Goeddel; Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,CA(1990)に開示されている。用語の制御配列又は調節配列は、多くのタイプの宿主細胞においてヌクレオチド配列の構成的発現を指示するそれらの配列、及び特定の宿主細胞においてのみヌクレオチド配列の発現を指示する配列(例えば、組織特異的制御配列)を含む。

したがって、所定の宿主細胞に関するベクター又は発現構築物は、第1の発明のポリペプチドをコードしている配列のコード鎖に対して5’末端から3’末端への連続した順序で互いに作動可能に連結されている以下のエレメント:(1)所与の宿主細胞におけるポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列の転写を指示することが可能なプロモーター配列;(2)真核生物のコザックコンセンサス配列又は原核生物のリボソーム結合部位/シャイン−ダルガルノ配列などの翻訳開始配列、(3)任意選択で、所与の宿主細胞から培地へのポリペプチドの分泌を指示することが可能なシグナル配列;(4)本発明のポリペプチドの成熟化、好ましくは活性型をコードしている本発明のDNA配列;及び好ましくはまた、(5)ポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列に下流の転写を終結させることが可能な転写終結反応領域(ターミネーター)、を含み得る。

本発明に記載のヌクレオチド配列の下流には、1つ又は複数の転写終結部位を含有する3’非翻訳領域(例えばターミネーター)が存在し得る。ターミネーターの起源はそれほど重要ではない。ターミネーターは、例えば、ポリペプチドをコードしているDNA配列に天然であり得る。しかし、酵母ターミネーターは酵母宿主細胞において使用されるのが好ましく、糸状菌ターミネーターは糸状菌宿主細胞において使用されるのが好ましい。ターミネーターは宿主細胞(ポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列が発現される)に対し内因性であるのがより好ましい。転写された領域には、翻訳に関するリボソーム結合部位が存在し得る。構築物によって発現される成熟転写産物のコード部分は、最初に翻訳を開始するAUGを含み、翻訳されるポリペプチドの末端に適切に配置されている終止コドンを含む。

本発明のポリヌクレオチドの発現の強化はまた、発現宿主から目的のタンパク質の発現を増大させ、所望により分泌レベルを増加させること、及び/又は、本発明のポリペプチドの発現の誘導性調節を提供することに役立ち得る、異種制御領域、例えば、プロモーター、分泌リーダー領域及び/又はターミネーター領域の選択によっても達成することができる。

発現ベクターの設計が、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベルなどの要因に依存し得ることは、当業者には理解されよう。本発明のベクター、例えば、発現ベクターを宿主細胞に導入し、それにより本明細書に記載されているような核酸によってコードされているタンパク質又はペプチド(例えば、本発明のHMFCAデヒドロゲナーゼ又はトランスポーター、それらの変異型、それらの断片、変異体又は機能性均等物、融合タンパク質など)を産生することができる。

上述のように、用語「調節配列」又は「制御配列」は、本明細書において、ポリペプチドの発現に必要及び/又は有利であり得る少なくとも任意の成分を含めるものと定義される。任意の調節配列は、ポリペプチドをコードしている本発明の核酸配列に対して天然又は外来であり得る。このような調節配列としては、限定するものではないが、プロモーター配列、リーダー配列、最適翻訳開始配列(Kozak,1991,J.Biol.Chem.266:19867−19870に開示されている)、又は原核生物シャイン−デルガルノ配列、分泌シグナル配列、プロペプチド配列、ポリアデニル化配列、転写ターミネーターが挙げられる。最低限、調節配列は、典型的には、プロモーター、翻訳開始及び停止シグナルを含む。

安定的に形質転換された微生物は、導入された分子が増殖培養において維持、複製及び分離されるように導入された1つ又は複数のDNA断片を有しているものである。安定した形質転換は、複数又は単一の染色体組み込み(複数可)によるか、又はプラスミドベクター(複数可)などの染色体外エレメント(複数可)によるものであり得る。プラスミドベクターは、特定のDNA断片によってコードされているポリペプチドの発現を指示することが可能である。

発現は、特定のポリペプチドをコードしている機能的に関連するDNA断片の高レベルの転写を可能にする誘導性(又は抑制性)プロモーターによって構成又は調節され得る。

本発明のポリペプチドの発現に利用される正確な機序にかかわらず、このような発現は、当技術分野で公知の方法によって、これらのポリペプチドをコードしている遺伝子を別の宿主細胞に導入することによって、移入することができると思われる。本明細書で定義されている遺伝子エレメントは、関連するポリペプチドの発現を発現又は制御する、産物、例えばタンパク質、特に酵素、アポタンパク質又はアンチセンスRNAについての発現可能なコード配列を有している核酸(一般的にはDNA又はRNA)を含んでいる。発現されたタンパク質は、酵素として機能するか、又は酵素活性を抑制若しくは脱抑制するか、酵素の発現若しくは化合物、例えば代謝産物のトランスポーターとしての機能を調節することができる。これらの発現可能な配列をコードしている組換えDNAは、染色体(例えば、相同組換えによって宿主細胞染色体に組み込まれている)又は染色体外(例えば、1つ若しくは複数のプラスミド、コスミド及び自己複製可能な他のベクター)のいずれかであり得る。本発明に従って宿主細胞を形質転換するために利用される組換えDNAとしては、構造遺伝子及び転写因子に加えて、タンパク質、アポタンパク質又はアンチセンスRNAに関するコード配列の発現又は脱抑制を調節するように作用するプロモーター、抑制因子及びエンハンサーを含む発現調節配列を挙げることができることを理解されたい。例えば、このような調節配列は、宿主細胞ゲノムにおいて既にコードされている選択されたポリペプチドの過剰発現を促進するために野生型宿主細胞に挿入することができるか、或いは、染色体外でコードされているポリペプチドの合成を調節するために使用することができる。

組換えDNAは、限定するものではないが、プラスミド、コスミド、ファージ、酵母人工染色体又は宿主細胞への遺伝子エレメントの移入を介在する別のベクターを含む、任意の手段によって宿主細胞に導入することができる。これらのベクターは、ベクターの複製及びベクターによって運ばれる遺伝子エレメントを調節するシス作用調節エレメントに加えて、複製開始点を含むことができる。選択可能マーカーは、遺伝子エレメントが導入された宿主細胞の同定を補助するためベクター上に存在し得る。

宿主細胞に遺伝子エレメントを導入する手段(例えばクローニング)は、当業者に周知である。本発明に従って遺伝子エレメントを挿入するために染色体外マルチコピープラスミドベクターを利用することができる。宿主細胞への遺伝子エレメントのプラスミド担持導入は、制限酵素によるプラスミドベクターの最初の切断、続いて本発明に従って標的酵素種をコードしている遺伝子エレメントとプラスミドとの連結を含む。連結された組換えプラスミドを再環状化する際、感染(例えばλファージへのパッケージング)、又はプラスミド移入するための別のメカニズム(例えばエレクトロポレーション、マイクロインジェクションなど)を利用して、プラスミドを宿主細胞に移入する。遺伝子エレメントの宿主細胞への挿入に適したプラスミドは、当業者には周知である。

他の遺伝子クローニング方法としては、限定するものではないが、染色体への遺伝物質の直接組み込みなどが挙げられる。これは、宿主染色体の相同DNA配列に隣接している非複製プラスミドに本明細書に記載の遺伝子エレメントをクローニングすること;前記組換えプラスミドを宿主に形質転換する際、遺伝子エレメントをDNA組換えによって染色体に導入することができることを含む、様々な手段によって生じ得る。このような組換え株は、組み込んでいるDNA断片が抗生物質耐性などの選択可能なマーカーを含有する場合、回収することができる。或いは、遺伝子エレメントは、非複製プラスミドを使用することなく、宿主細胞の染色体に直接導入することができる。これは、宿主染色体の相同DNA配列をも含有している、本発明に従って遺伝子エレメントのDNA断片を合成的に産生することにより行うことができる。さらに、これらの合成DNA断片が選択可能なマーカーも含有する場合、遺伝子エレメントは宿主染色体に挿入することができる。

本発明はさらに、ポリペプチドの発現の促進する条件下で、本発明に記載の細胞を培養するステップと、任意選択で、発現されたポリペプチドを回収するステップとを含む、本発明のHMFCAデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチド及び/又は本発明のフラン化合物輸送能力を有するポリペプチドを調製する方法、並びに、こうした方法によって得られるポリペプチドに関する。

フラン化合物を酸化させる方法 さらなる態様において、本発明は、フラン化合物を酸化させる方法に関する。特に、本発明は、FDCAのフラン前駆体を酸化させる方法に関する。本発明の方法は、生成物が得られる単一の酸化反応ステップ(例えば、HMFCAのFFAへの酸化)を含み得る。或いは、本発明の方法は、複数の酸化反応ステップを含むことができ、それぞれのステップは中間体を生じ、最後の中間体は最終生成物である。HMFが連続する酸化ステップでFDCAに酸化される、このような一連のステップの例としては、例えば:1)HMFをまずHMFCAに酸化させ、これを第2のステップでFFAに酸化させ、次いで、これを最終的にFDCAに酸化させるか、或いは、Dijkman et al.(2014,Angew.Chem.53(2014)6515−8)によって記載されているとおりである、2)HMFをまずDFFに酸化させ、これを第2のステップでFFAに酸化させ、次いで、これを最終的にFDCAに酸化させる、ステップが挙げられる。したがって、本発明の好ましい方法において、FDCAの1つ又は複数のフラン前駆体は、一連のステップで最終的にFDCAに酸化される。

一実施形態において、本発明は、少なくともHMFCAのFFAへの酸化を含む方法に関する。本方法は、細胞をHMFCAの存在下でインキュベートするステップを含む、HMFCAをFFAに酸化させる方法であって、上記細胞は、本明細書において上記で定義したHMFCAデヒドロゲナーゼを発現する細胞であるか、又はフラン化合物輸送能力を有するポリペプチドを発現し、本明細書において上記で定義したHMFCAデヒドロゲナーゼ又はオキシダーゼ活性をさらに含む細胞である、方法であるのが好ましい。上記細胞は、例えば、下記に明示しているように、細胞によるHMFCAの酸化の促進する条件下にて、HMFCAの存在下でインキュベートされるのが好ましい。

別の実施形態において、本発明はFDCAを産生する方法に関する。FDCAを産生する方法は、細胞をFDCAの1つ又は複数のフラン前駆体を含む培地でインキュベートするステップを含み、上記細胞が本明細書において上記で定義したHMFCAデヒドロゲナーゼを発現する細胞であるか、又はフラン化合物輸送能力を有し、本明細書において上記で定義したHMFCAデヒドロゲナーゼ又はオキシダーゼ活性をさらに含むポリペプチドを発現する細胞である、方法であるのが好ましい。上記細胞は、例えば、下記に明示しているように、細胞によるFDCAフラン前駆体のFDCAへの酸化を促進する条件下にて、HMFCAの存在下でインキュベートするのが好ましい。

本方法において、FDCAの少なくとも1つのフラン前駆体は、HMF、DHF、HMFCA、FFA及びDFFからなる群から選択されるのが好ましく、そのうち、HMFが最も好ましい。FDCAのフラン前駆体は、従来の方法において、好ましくは酸触媒脱水によって、例えば、酸の存在下で加熱することによって、1つ又は複数のヘキソース糖から得られるのが好ましい。フルクトースからHMFを生成する技術は十分に確立されており、堅実である(例えば、van Putten et al.,2013,Chem.Rev.113,1499−1597を参照)。グルコース高含有の供給原料も利用することができるが、HMFの熱化学的形成は、フルクトースからより効率的に生じる。したがって、追加の酵素的ステップは、グルコースイソメラーゼを使用して、グルコースをフルクトースに変換するために含めることができる。後者の方法は、例えば、加水分解デンプンからの高フルクトースコーンシロップ(HFCS)の生産に対し、食品産業において十分に確立されている。グルコースはまた、例えば、van Putten et al.(2013、前掲)に開示されているように、触媒及び溶媒の組合せを使用して、化学的にフルクトースに異性化することができる。

ヘキソース糖は、通常、バイオマスから得られる。用語「バイオマス」とは、農業(作物残留物などの植物物質及び動物物質を含む)、林業(木材資源など)並びに漁業及び水産養殖を含む関連産業などの生物学的起源由来の生物分解性画分の生成物、廃棄物及び残留物、並びに産業廃棄物及び自治体廃棄物、例えば、自治体ゴミ又は古紙などの生物分解性画分を意味するものと理解されたい。好ましい実施形態において、バイオマスは植物バイオマスであり、(発酵性)ヘキソース/グルコース/糖高含有バイオマス、例えば、サトウキビ、デンプン含有バイオマス、例えばコムギ穀粒若しくはトウモロコシ藁、又は穀類、例えばトウモロコシ、コムギ、オオムギ、又はそれらの混合物がより好ましい。フルクタンを天然に高含有する農業作物(例えばキクイモ又はチコリの根)が好ましい。

ヘキソース糖は、このようなバイオマスの加水分解によって得ることができる。バイオマスを加水分解する方法は、それ自体は当技術分野において公知であり、例えば、蒸気及び/又はグルコアミラーゼなどのカルボヒドラーゼの使用を含む。

本発明の方法において使用するための好ましいタイプのバイオマスは、いわゆる「第2世代」のリグノセルロース系供給原料であって、多量のFDCAをより持続可能な方法で生産しようとする場合に好ましい。リグノセルロース系供給原料は、例えば、耕作地周辺部で栽培される専用エネルギー作物から得ることができ、したがって、食用作物とは直接競合しない。又は、リグノセルロースの供給原料は、副生成物、例えば、自治体ゴミ、古紙、木材残留物(製材工場及び製紙工場の廃棄物を含む)として得ることができ、また作物残留物を考慮することができる。作物残留物の例としては、サトウキビからのバガス及び数種類のトウモロコシ及びコムギの廃棄物が挙げられる。トウモロコシ副生成物の場合、3つの廃棄物は繊維、穂軸及び茎葉である。さらに、林業バイオマスを供給原料として使用することができる。第二世代の供給原料を本発明の発酵産物に変換するには、単糖類としてセルロース及びヘミセルロースを遊離させる必要がある。ここには、熱化学的アプローチ(通常、前処理と呼ばれる)、酵素的アプローチのいずれか、又は2つの方法論の組合せが適用される。前処理は糖を完全に遊離させるために、又は高分子化合物をその後の酵素作用に対しより利用可能にするために役立ち得る。様々なタイプの前処理としては、液体温水、水蒸気爆発、酸前処理、アルカリ前処理及びイオン性液体前処理が挙げられる。様々な化合物の相対量は、使用される供給原料及び使用される前処理の両方に依存する。このようなリグノセルロース供給原料から単糖類の糖を遊離させるには、例えば、アラビナーゼ、キシラナーゼ、グルカナーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、グルカナーゼなどを含む、適切なカルボヒドラーゼが使用される。

本発明の方法は、FDCA又はHMFCAなどの本方法で生産された酸化生成物(複数可)を回収するステップを含むのがさらに好ましい。酸化生成物は、酸化ステップを行なう細胞をインキュベートする培地から回収されるのが好ましい。FDCA、HMFCAなどの酸化生成物は、例えば、(酸又は塩)沈殿、その後の冷却結晶化、及び結晶化した酸化生成物、例えば、結晶化FDCAの分離によって、反応混合物又は培地から回収され得る。しかし、他の回収方法、例えば、当技術分野で知られている、酸又は塩沈澱及び溶媒抽出も適切である。FDCAを回収するための塩沈澱は、例えば、二価の(金属)カチオン、例えばMg2+を使用して実施することができる。

酸化反応は、細胞に最も適した温度で行なわれるのが好ましく、含まれるオキシドレダクターゼ酵素は細胞である。したがって、好熱性細胞及び酵素の場合には、温度が、45℃以上、例えば45〜122℃の範囲、例えば50、55、60又は65℃よりも高温であるのが好ましい。しかし、好中温性生物由来の酵素を含有する中温性細胞の場合には、酸化反応は、比較的マイルドな温度、例えば10〜80℃、より好ましくは20〜45℃、最も好ましくは約25〜40℃で行なわれるのが好ましい。

酸化反応は、FDCAが中性の形態又は完全に解離された形態である場合、塩形成が制御され得るようなpHで行なわれるのが好ましい。FDCA内の2つの酸成分が存在することを考えると、2つの個別の好ましいpH領域が存在する。反応中のpHは、pH1〜6、好ましくはpH1〜4、最も好ましくはpH1〜3であり得る。或いは、反応中のpHは、pH5〜9、好ましくはpH5〜8、最も好ましくはpH5〜7であり得る。宿主細胞の要件が本方法に適したpH値の選択にも影響を及ぼすことは、当業者には理解されよう。特定の宿主細胞に適切なpH値の選択は当業者の範囲内であり、標準的なテキストブックから得ることができる。例えば、シュードモナス・プチダS12株又はKT2440株を含むシュードモナス・プチダに関しては、好ましいpH領域はpH5〜7の範囲である。

反応時間は6〜150時間であってよく、6〜18時間であるのがより好ましい。酸素は、酸素源、例えば純酸素として、若しくは空気中の分子酸素、又は水、或いはフラン酸化酵素の要件に依存する異なる酸素源から反応培地中の細胞に供給されるのが好ましい。空気は、分子酸素の供給源として都合よく使用することができる。

リアクターは、任意の適切な(通気型)バイオリアクターであり得る。リアクターは、連続的にバッチで操作することができ、供給型バッチで操作することができるのが好ましい。

フラン化合物を酸化させる本発明の方法は、供給原料からフラン化合物を除去するために有利に適用することができるが、この場合、フラン化合物は、例えば、バイオ燃料及びバイオケミカルズの生産用の発酵用供給原料に対して不都合であると考えられる。フラン化合物を酸化させる方法は、FDCAがポリエステルPETのPTAに置き換えられ、その場合、ベイオベースのポリエチレンフランジカルボキシラート(PEF)を得ることができる、ポリエステル(プラスチック)を生産するためのモノマー前駆体としてFDCAのバイオ生産に適用されるのがより好ましい。FDCAはまた、例えば、コハク酸の生産用の基質として、2,5−ビス(アミノメチル)−テトラヒドロフラン、2,5−ジヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン、2,5−ジヒドロキシメチルフラン及び2,5−フランジカルバルデヒドを含む、基質として有用な様々な化合物に使用することができる。FDCAは、コーティングの生産において、例えば、アルキド樹脂及び熱可塑性コーティングにおいて使用することができる。またこれは、バイオ燃料におけるキシレン等価物として、及び溶媒として使用することができる。FDCAはエステル化されていてもよく、エステルは可塑剤として使用することができる。FDCAは、PET様ポリエステル及びポリウレタンに使用され得るそのジオールに変換され得る。さらに、FDCAはそのジアミンに変換させることができ、ジアミンは鎖延長剤として使用することができ、またジアミンは、ポリウレタンの生産に使用することができるジイソシアネートに変換させることができる。

したがって、さらなる態様において、本発明は、a)FDCAモノマーを上述のような本発明の酸化方法において調製するステップと;b)a)で得られたFDCAモノマーからポリマーを生産するステップとを含む、1つ又は複数のFDCAモノマーからポリマーを生産する方法に関する。ポリマーは、ポリエチレンフランジカルボキシラート(PEF)であるのが好ましい。

さらに別の態様において、本発明は、1種又は複数のフラン前駆体をFDCAに生体内変換するための本発明の細胞の使用であって、前記細胞が、本明細書において上記で定義したHMFCAデヒドロゲナーゼを発現する細胞であるか、又はフラン化合物輸送能力を有し、本明細書において上記で定義したHMFCAデヒドロゲナーゼ活性若しくはオキシダーゼ活性をさらに含むポリペプチドを発現する細胞である、使用に関する。FDCAに生体内変化されるFDCAの少なくとも1つのフラン前駆体は、HMF、DHF、HMFCA、FFA及びDFFからなる群から選択されるのが好ましく、そのうちHMFが最も好ましい。

HMFCAデヒドロゲナーゼポリペプチド及びHMFCAデヒドロゲナーゼをコードしている核酸 さらなる態様において、本発明は、HMFCAデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドに関する。HMFCAデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドは、配列番号1(エアリバチルス・パリダス)のアミノ酸配列と少なくとも81.65、81.7、81.8、81.85、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有するが、それ以外は本明細書において上記で定義したとおりである、アミノ酸配列を含む、又は当該アミノ酸からなる。ポリペプチドは、単離されたポリペプチドであるのが好ましい。

本発明は、さらに、 a)ポリペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも81.65、81.7、81.8、81.85、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、又は当該アミノ酸配列からなる、HMFCAデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列; b)配列番号12又は13に示されているヌクレオチド配列 ;c)長さが10、15、20、30、50又は100ヌクレオチドである(a)又は(b)で定義したヌクレオチド配列の断片; d)遺伝コードの縮重によりb)又はc)のヌクレオチド配列の配列と配列が異なるヌクレオチド配列;及び、 e)a)〜d)で定義したヌクレオチド配列の逆相補体であるヌクレオチド配列、 のうちの少なくとも1つを含む、核酸分子に関する。

本発明の別の態様は、本セクションにおいて上記のa)〜e)で定義したヌクレオチド配列を含む、クローニングベクター及び発現ベクターを含むベクターに関し、さもなければ、それらのベクターは、本明細書において上述したとおりである。

さらに別の態様において、本発明は、i)本セクションにおいて上記で定義したHMFCAデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチド、及びii)本セクションにおいて上記に定義した核酸分子、の少なくとも1つを含む細胞に関する。上記細胞は、本セクションにおいて上記のa)〜e)で定義したヌクレオチド配列を含む細胞、又は当該ヌクレオチド配列で形質転換された細胞、又はこのようなヌクレオチド配列を含むベクターであるのが好ましい。細胞は、単離細胞又は培養細胞であるのが好ましく、さもなければ、細胞は、本明細書において上記で記載したとおりであるのが好ましく、本細胞は、本明細書において上記で記載した1つ又は複数の遺伝的修飾を含むのが好ましい。本細胞は、上記で記載した方法、過程及び使用のいずれかにおいて適用することができる。

フラン化合物トランスポーターポリペプチド及びこのようなトランスポーターポリペプチドをコードしている核酸 またさらなる態様において、本発明は、フラン化合物輸送能力を有するポリペプチドに関する。本ポリペプチドは、HMFCAを細胞に輸送する能力を少なくとも有しているのが好ましい。本ポリペプチドは、配列番号17(エアリバチルス・パリダス)のアミノ酸配列と少なくとも86.5、87、88、89、90、91、92、93、94、95、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有するが、それ以外は本明細書において上記で定義したとおりである、アミノ酸配列を含む、又は当該アミノ酸からなるのが好ましい。本ポリペプチドは、単離ポリペプチドであるのが好ましい。

本発明は、さらに、 a)ポリペプチドが、配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも86.5、87、88、89、90、91、92、93、94、95、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、又は当該アミノ酸配列からなる、少なくともHMFCAを細胞内に輸送する能力を有しているポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列; b)配列番号18に示されているヌクレオチド配列; c)長さが10、15、20、30、50又は100ヌクレオチドである、(a)又は(b)で定義したヌクレオチド配列の断片; d)遺伝コードの縮重によりb)又はc)のヌクレオチド配列の配列と配列が異なるヌクレオチド配列;及び、 e)a)〜d)で定義したヌクレオチド配列の逆相補体であるヌクレオチド配列、 の少なくとも1つを含む、核酸分子に関する。

本発明の別の態様は、本セクションにおいて上記のa)〜e)で定義したヌクレオチド配列を含む、クローニングベクター及び発現ベクターを含むベクターに関し、さもなければ、それらのベクターは、本明細書において上述したとおりである。

さらに別の態様において、本発明は、i)本セクションにおいて上記で定義したフラン化合物輸送能力を有するポリペプチド、及びii)本セクションにおいて上記に定義した核酸分子、の少なくとも1つを含む細胞に関する。本細胞は、本セクションにおいて上記のa)〜e)で定義したヌクレオチド配列を含む細胞、又は当該ヌクレオチド配列で形質転換された細胞、又はこのようなヌクレオチド配列を含むベクターであるのが好ましい。本細胞は、単離細胞又は培養細胞であるのが好ましく、さもなければ、本細胞は、本明細書において上記で記載したとおりであるのが好ましく、本細胞は、本明細書において上記で記載した1つ又は複数の遺伝的修飾を含むのが好ましい。本細胞は、上記で記載した方法、過程及び使用のいずれかにおいて適用することができる。

本明細書及びその特許請求の範囲において、動詞の「含む(to comprise)」及びその動詞の活用形は、その単語に続く項目が含まれるが、特に言及されていない項目も除外されないことを意味する、非限定的な意味で使用される。さらに、不定冠詞「1つの(「a」又は「an」)」の構成要素への言及は、構成要素の1つ、及び1つだけが存在することを状況が明白に要求しない限り、複数の構成要素が存在する可能性を排除するものではない。したがって、不定冠詞の「1つの(「a」)」又は「1つの(an)」は、通常、「少なくとも1つ」を意味する。

本明細書に引用されているすべての特許及び文献参照は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれるものとする。

以下の実施例は、単なる例示目的として提供されており、本発明の範囲を決して限定することを意図するものではない。

一般的方法論 株及びプラスミド シュードモナス−プチダS12Δgcd若しくはシュードモナス・プチダKT2440Δgcd(それぞれ、シュードモナス・プチダS12(ATCC 700801)、シュードモナス・プチダKT2440(DSM6125)のグルコースデヒドロゲナーゼ欠損変異株))、又は野性型シュードモナス・プチダS12を、エアリバチルス・パリダスCA1828株由来のyiaY遺伝子を発現するための宿主として使用した(下記を参照)。大腸菌TG90株を一般的なクローニングの目的で使用した。 エアリバチルス・パリダス遺伝子のエピソームの発現については、pBBR1MCS−由来pBT’mcs(Koopman et al.,2010a,Biores Technol 101:6291−6196)を使用した。pBT’mcsにおいて、標的遺伝子の発現は、構成性tacプロモーターから作動される。

培地及び培養条件 好中温性菌ミネラル塩培地(MMM)は、指定どおりに炭素源を補充して、下記を含有していた(脱イオン水1リットル当たり):15.52gのK2HPO4、6.52gのNaH2PO4、2.0gの(NH4)2SO4、0.1gのMgCl2・6H20、10mgのEDTA、2mgのZnSO4・7H20、1mgのCaCl2・2H20、5mgのFeSO4・7H20、0.2mgのNa2MoO4・2H20、0.2mgのCuSO4・5H20、0.4mgのCoCl2・6H20、及び1mgのMnCl2・2H20。

好熱性菌ミネラル塩培地(TMM)は、下記を含有していた(脱イオン水1リットル当たり):10gのBis−Tris、10mMのFeSO4・7H2O、4mMのトリシン、1.32mMのK2HPO4、9.53mMのNH4Cl、0.2gの酵母抽出物、5gのNaCl、1.47gのNa2SO4、0.08gのNaHCO3、0.25gのKCl、1.87gのMgCl2・6H2O、0.41gのCaCl2・2H2O、0.008gのSrCl2・6H2O、0.008gのH3BO3、0.90gのNaNO3、及び1mlのビタミン溶液(チアミン、0.1g/L;リボフラビン、0.1g/L;ニコチン酸、0.5g/L、パントテン酸、0.1g/L;ピリドキサミン−HCl、0.5g/L;ピリドキサール−HCl、0.5g/L;D−ビオチン、0.1g/L;葉酸、0.1g/L;p−アミノ安息香酸、0.1g/L;コバラミン、0.1g/L)。炭素源は、指定どおりに補充した。

好中温性菌の増殖用完全培地としては、Luria−Bertani(LB)ブロスを使用した:10g/lのBactoトリプトン(Difco)、5g/lの酵母抽出物(Difco)、10g/lのNaCl。プレート培養のため、LBは1.5%(w/v)の寒天(Difco)を用いて固化した。pBT’mcs由来プラスミドを担持する大腸菌、シュードモナス・プチダS12又はシュードモナス・プチダKT2440形質転換体のいずれかを選択するため、カナマイシン(Km)50μg/mlを培地に添加した。抗生物質はSigma−Aldrichから購入した。シュードモナス・プチダは30℃で培養した。大腸菌は37℃で培養した。

好熱性菌の増殖用完全培地としては、TGPブロスを使用した:17g/Lのトリプトン、3g/Lのダイズペプトン、5g/LのNaCl、2.5g/LのK2HPO4、4g/Lのグリセロール及び4g/LのNa−ピルビン酸(pH7)。プレート培養のため、TGPは1.5%(w/v)の寒天(Difco)を用いて固化した。エアリバチルス・パリダスは60℃で培養した。

アッセイ及び分析方法 細胞乾燥重量(CDW)測定: 細菌培養のCDW含量は、Biowave Cell Density Meter(WPA Ltd)又はμQuant MQX200ユニバーサルマイクロプレート分光光度計(Biotek)を使用し、平底96ウェルマイクロプレート(Greiner)を用いて、600nm(OD600)で光学密度を測定することにより決定した。1.0のOD600は、シュードモナス・プチダに関しては、0.56gのCDW/L(Biowave)又は1.4gのCDW/L(μQuant)に対応する。

HPLC分析: フラン化合物(FDCA、HMF、HMF−アルコール、HMFCA及びFFA)は、Koopman et al.(2010a,Biores Technol 101:6291−6196)によって開示されているRP−HPLCにより分析した。

化学物質 5−ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)は、Eurolabs Ltd (Poynton, UK)から購入した。FDCA及び5−ヒドロキシメチル−フロ酸(HMFCA)の分析標準は、Immunosource B.V.(Halle−Zoersel,Belgium)、Matrix Scientific(Columbia SC,USA)からそれぞれ購入した。他のすべての化学物質は、Sigma−Aldrich Chemie B.V.(Zwijndrecht,The Netherlands)から購入した。

分子及び遺伝学的技術: ゲノムDNAは、マスターピュア(MasterPure)(商標)のグラム陽性のDNA精製キット(Epicentre)を使用してエアリバチルス・パリダスCA1828から単離した。プラスミドDNAは、JETSTAR Maxiプラスミド精製キット(GENOMED,ITK diagnostics)を用いて単離した。アガロース捕捉DNA断片は、DNAクリーン&コンセントレーター(DNA Clean & Concentrator)(商標)(Zymo research)を用いて単離した。PCR反応は、Phusion Flash PCR Master Mix(Thermo Scientific)を用いて、メーカーの使用説明書に従って実施した。オリゴヌクレオチドプライマー(実施例において特定したもの)は、Sigma−Aldrichによって合成された。プラスミドDNAは、Gene Pulserエレクトロポレーション装置(BioRad)を使用して、エレクトロコンピテント細胞に導入した。他の標準の分子生物学技術は、Sambrook and Russell(2001、前掲)に従って実施した。

実施例I:HMFを代謝するエアリバチルス・パリダス株の単離 コンポスト(15g)を0.9%(w/v)のNaCl溶液15mlと混合し、750rpm及び80℃で40分間インキュベートした。得られたコンポストスラリーを、振盪フラスコに0.65g/LのHMFを補充したTMM中で、3日間、60℃及び180rpmでインキュベートした。この培養物を一定間隔で新鮮なTMM−HMFに移し、固体TMM−HMF上にプレーティングした。単一のコロニーをTMM−HMFプレート及びTGPプレート上で再度平板画線し、HMF及びまたFDCAを代謝するそれらの能力について再評価した。HMF及びFDCAの両方を代謝した2種の単離物(CA1809株及びCA1828株)は、16S rDNAを配列決定することによりエアリバチルス・パリダスであると確認され、さらなる試験について選択した。

実施例II:HMF分解性エアリバチルス・パリダス単離株おける新規なデヒドロゲナーゼ触媒によるHMF異化代謝経路の同定 エアリバチルス・パリダスCA1809株及びCA1828株のゲノムは、PacBioシークエンシングによって配列決定し、自動ORF呼び出し及び注釈付けを実施した。注釈付けされたゲノムにおいて、フロ酸分解クラスターを構成する、カプリアビダス・バシレンシスHMF14株のhmfABCDE遺伝子の相同体が同定された(Koopman et al.,2010,Proc Nat Acad Sci USA 107:4919−4924)。

HMFに加えてFDCAを代謝するCA1809株及びCA1828株の能力を考慮すると、HMFがカプリアビダス・バシレンシスHMF14株の場合のようにFDCAを介して代謝されることが強く示唆された。しかし、予想外に、FDCAを介したHMFからフロ酸への分解経路を構成する、カプリアビダス・バシレンシスHMF14株のhmfFGHクラスターの相同体は確認されなかった。この結果から、HMFをFDCAに酸化する代替経路、またおそらくは、その後のフロ酸への脱カルボキシル化がエアリバチルス・パリダス単離株に存在することが示唆された。酸化活性及び脱カルボキシル活性の両方をコードしている遺伝子を含んだ遺伝子クラスターのゲノムを採取することにより、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ及び2種のデカルボキシラーゼをコードしている遺伝子を含む推定上のHMF分解クラスターが同定された(表1A及び表1B)。まとめると、これらの遺伝子は、カプリアビダス・バシレンシスHMF14株のように、ヒドロキシメチルフロン酸(HMFCA)を介するが、オキシダーゼ活性ではなく、HMFCAのホルミルフロ酸(FFA)への酸化に関するアルコールデヒドロゲナーゼ活性が関与する、HMFからFDCAへの酸化の推定上の経路をコードしている。

実施例III:シュードモナス・プチダS12におけるエアリバチルス・パリダス由来のYiaY発現は、HMFをFDCAに酸化させる能力を付与する yiaY遺伝子は、プラスミドpKW007を産生するpBT’mcsにおいて、バチルス・コアグランスDSM1由来のPldhL1プロモーター領域を含む、1988bpの合成XbaI−SalI断片(配列番号15)としてクローニングされた。プラスミドpKW007をシュードモナス・プチダKT2440Δgcd(CA1877)に導入し、シュードモナス・プチダCA2101を得た。pBT’mcsを担持するシュードモナス・プチダKT2440Δgcd(CA2046株)を空ベクターの対照として試験した。

シュードモナス・プチダCA2101株及びCA2046株は、50mg/Lのカナマイシンを補充した10mlのMM+80mMグリセロール及び2mMグルコースを含有する100mlの振盪フラスコ内で増殖させた。細胞は、対数期の終わり(OD600で約4)に回収し、洗浄し、19.4g/LのK2HPO4、8.15g/LのNaH2PO4、80mMのグリセロール及び50mg/Lのカナマイシンを補充したMM中に再懸濁した。洗浄した細胞懸濁液(OD600で1〜2)のアリコート(10ml)を、100mlのエルレンマイヤーフラスコ中のHMFと共にインキュベートし、試料をFDCA解析用に一定間隔で採取した。図1aは、HMFが空のベクター対照でヒドロキシメチルフロ酸(HMFCA)に速やかに酸化されるが、FDCA形成は全く存在しないことを示している。YiaYが発現される場合(図1b)、蓄積されたHMFCAはゆっくりとFDCAに酸化され、これにより、HMFCAを酸化するデヒドロゲナーゼとしてのYiaYの機能が実証された。

実施例IV:エアリバチルス・パリダス由来のYiaY並びに、カプリアビダス・バシレンシスHMF14由来のAldh及びHmfT1の共発現によるHMFのFDCAへの最適酸化 エアリバチルス・パリダスCA1828のyiaY遺伝子は、リボソーム結合部位TAGGAAAGGAAGATTAACCC(配列番号21)を含め合成した。yiaY断片(配列番号16)をKpnI及びXbaIで消化し、pBT’hmfH−adh(国際公開第2012064195号)のhmfH遺伝子で置き換え、プラスミドpKW010を得た。プラスミドpKW010を、pJNNhmfT1(t)(国際公開第2012064195号)を保有するシュードモナス・プチダS12Δgcdに導入し、シュードモナス・プチダCA2111を取得し、またシュードモナス・プチダKT2440Δgcd(pJNNhmfT1(t)も保有する)に導入し、シュードモナス・プチダCA2112を得た。したがって、yiaYによってコードされているHMFCA酸化アルコールデヒドロゲナーゼは、カプリアビダス・バシレンシスHMF14由来のHMFデヒドロゲナーゼ及びHMFCAトランスポーターを共発現させることができ、HMFCA及びHMFCAの取込みに対するHMF酸化の障害を排除することができた。

シュードモナス・プチダCA2111及びCA2112を、50mg/Lのカナマイシン、30mg/Lのゲンタミシン及び100μMのサリチル酸を補充した、10mlのMM+80mMグリセロール及び2mMのグルコースを入れた100mlの振盪フラスコ中で増殖させた。細胞を対数期の終わり(OD600で約4)に回収し、洗浄し、MM50mg/Lのカナマイシン、30mg/Lのゲンタミシン及び10μMのサリチル酸に再懸濁した。洗浄した細胞懸濁液(OD600で1〜2)のアリコート(10ml)を、100mlのエルレンマイヤーフラスコ中のHMFと共にインキュベートし、試料をFDCA解析用に一定間隔で採取した。図2及び図3は、HMFがHMFCAに速やかに酸化され、それがFDCAにさらに酸化されることを示している。YiaYとAldh及びHmfT1の共発現は、HMFのFDCAへの酸化を顕著に促進することが明らかである。

実施例V:カプリアビダス・バシレンシスHMF14由来の中温性HMFCAアルコールデヒドロゲナーゼ並びにAldh及びHmfT1の共発現による、HMFをFDCAに酸化する最適化株の構築 バチルス・クリベンシスDSM17871、ブレビバチルス・サーモルーバー423、バチルス属の種FJAT−14578、及びバチルス属の種L1(2012)のyiaY相同体は、リボソーム結合部位含有スペーサーTAGGAAAGGAAGATTAACCC(配列番号21)、並びに、クローニング用の制限酵素(それぞれ、KpnI、NheI;XbaIと適合可能)認識部位(配列番号:19、36、38及び39)を含めて合成された。

アネウリニバチルス・テラノベンシスDSM18919及びブレビバチルス・パナチフミW25のyiaY相同体は、リボソーム結合部位含有スペーサーGAATTCCACATGACAAGGGGAGACCGC(配列番号40)、並びにクローニング用の制限酵素(それぞれ、KpnI、XbaI)認識部位(配列番号35及び37)を含めて合成された。バチルス・クリベンシス酵素(配列番号19)、ブレビバチルス・サーモルーバー酵素(配列番号36)及び、両バチルス属の種の酵素(配列番号38及び39)に関するコードヌクレオチド配列は、アミノ酸配列(http://www.bioinformatics.org/sms2/rev_trans.html)の逆翻訳を介し、http://www.kazusa.or.jp/codon/のシュードモナス・プチダのコドン使用表を使用して得た。アネウリニバチルス・テラノベンシス及びブレビバチルス・パナチフミ酵素に関するコードヌクレオチド配列は、アミノ酸配列の逆翻訳を介し、GeneArtの大腸菌配列最適化ツール(https://www.thermofisher.com/nl/en/home/life−science/cloning/gene−synthesis/geneart−gene−synthesis/geneoptimizer.html)を使用して得た。

バチルス・クリベンシス、ブレビバチルス・サーモルーバー、バチルス属の種FJAT−14578及びバチルス属の種L1(2012)のyiaY−相同体断片は、KpnI及びNheIで消化し(pBT’hmfH−adh中のXbaIと適合可能)、pBT’hmfH−adh中のhmfH遺伝子と置き換え(国際公開第2012064195号)、プラスミドpKW2210、pKW2212、pKW2214及びpKW2215を得た。アネウリニバチルス・テラノベンシス及びブレビバチルス・パナチフミのyiaY−相同体断片は、KpnI及びXbaIで消化し、pBT’hmfH−adhの中のhmfH遺伝子と置き換え(国際公開第2012064195号)、プラスミドpKW2211及びpKW2213を得た。

プラスミドpKW2210、pKW2211、pKW2212、pKW2213、pKW2214及びpKW2215をシュードモナス・プチダKT2440Δgcd_pJNNhmfT1(CA1965)に導入し、aldh及びhmfT1を含む、最適化された宿主バックグラウンドにおいてYiaY相同体を発現させるためのシュードモナス・プチダCA21780、CA21781、CA21782、CA21783、CA21784及びCA21785がそれぞれ得られた。性能を評価するため、シュードモナス・プチダのCA21780、CA21781、CA21782、CA21783、CA21784及びCA21785株を、50mg/Lのカナマイシン、30mg/Lのゲンタミシン及び100μMのサリチル酸を補充し、10mlのMM+80mMグリセロール及び2mMのグルコースを入れた100mlの振盪フラスコ内で増殖させた。細胞を対数期の終わり(OD600で約4)に回収し、洗浄し、MM50mg/Lのカナマイシン、30mg/Lのゲンタミシン及び10μMのサリチル酸に再懸濁した。洗浄した細胞懸濁液(OD600で1〜2)のアリコート(10ml)を、100mlのエルレンマイヤーフラスコ中のHMFと共にインキュベートし、試料をFDCA解析用に一定間隔で採取した。シュードモナス・プチダCA21780、CA21781及びCA21783に関する結果をそれぞれ、図4、図5及び図6に示す。3つのすべての形質転換株がHMFからFDCAを産生した。しかし、各種の株は、HMFCAの一過性蓄積及びHMFのジヒドロキシメチルフラン(HMF−OH又はDHF)への部分的還元において顕著な差を示した。シュードモナス・プチダCA21782、CA21784及びCA21785株では、HMFからFDCAが産生されることが確認され、HMFCA酸化酵素としての6つのすべてのアルコールデヒドロゲナーゼ機能性を示した。

実施例VI:HMFCAトランスポーターをコードしているエアリバチルス・パリダスproPを発現するシュードモナス・プチダ株の構築 proP遺伝子(配列番号18)は、プライマーproP(f)(gccgaattcATGAAGAATATCGCTAATACG;配列番号22)及びproP(r)(gccgctagcTTATTTGAGGTTTCCTTTTGTTTCC;配列番号23)を使用し、PCRによって、エアリバチルス・パリダスCA1828のゲノムDNAから増幅させた。PCR産物を、pJNNmcs(t)に1350bpのEcoRI−NheI断片(配列番号20)として導入し、pJNNproP(t)を得た。プラスミドpBT’hmfH_aldh及びpJNNproP(t)を、シュードモナス・プチダKT2440Δgcd(CA1877)に連続的に導入し、シュードモナス・プチダCA21783を得た。シュードモナス・プチダCA21783は、50mg/Lのカナマイシン、30mg/Lのゲンタミシン及び100μMのサリチル酸を補充し、10mlのMM+80mMグリセロール及び2mMのグルコースを入れた100mlの振盪フラスコ内で培養した。細胞を対数期の終わり(OD600で約4)に回収し、洗浄し、MM50mg/Lのカナマイシン、30mg/Lのゲンタミシン及び10μMのサリチル酸に再懸濁した。洗浄した細胞懸濁液(OD600で1〜2)のアリコート(10ml)を、100mlのエルレンマイヤーフラスコ中のHMFと共にインキュベートし、試料をFDCA解析用に一定間隔で採取した。HMFCAトランスポーターをコードしているproPの発現は、proPを発現しない対応する対照株と比べ、HMFのFDCAへの酸化を顕著に促進することが明白である。

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