グルコース脱水素酵素 |
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| 申请号 | JP2013551486 | 申请日 | 2012-12-28 | 公开(公告)号 | JPWO2013099294A1 | 公开(公告)日 | 2015-04-30 |
| 申请人 | 有限会社アルティザイム・インターナショナル; | 发明人 | 早出 広司; 広司 早出; 一茂 森; 一茂 森; | ||||
| 摘要 | Sclerotinia sclerotiorumおよびAspergillus niger由来のグルコース脱 水 素酵素において、特定のアミノ酸変異を導入することにより、大腸菌における生産性が顕著に高まった改変型グルコース脱水素酵素を得ることができる。本発明のグルコース脱水素酵素は、キシロースに対して反応性が低い。 | ||||||
| 权利要求 | 配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質、または配列番号2で表されるアミノ酸配列において1またはそれ以上のアミノ酸残基が欠失、置換または挿入されており、かつグルコース脱水素酵素活性を有する蛋白質において、E195K、Q196X(XはE、D、またはRである)、Y524F、P526X(XはG、V、I、F、Y、S、T、C、M、HまたはQである)、N368K、T522S、またはこれらの組み合わせのアミノ酸変異を有する蛋白質。配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質において、E195K/Q196X(XはE、DまたはRである)、E195K/Q196E/G73A、E195K/Q196E/S75G、E195K/Q196E/G73A/S75G、E195K/Q196E/S69E/N70D/G73A、E195K/Q196E/Y524F、E195K/Q196E/P526X(XはG、V、I、F、Y、S、T、C、M、HまたはQである)、E195K/Q196E/G73A/Y524F、E195K/Q196E/G73A/P526X(XはI、F、SまたはMである)、E195K/Q196E/G73A/S75G/Y524F、E195K/Q196E/G73A/S75G/P526X(XはI、F、Y、SまたはMである)、N368K/T522S、およびN368K/T522S/E195K/Q196Eからなる群より選択されるアミノ酸変異を有する蛋白質。E195K/Q196E/G73A/S75G/P526M、E195K/Q196E/Y524F、E195K/Q196E/P526X、E195K/Q196E/S69E/N70D/G73A、E195K/Q196E/G73A/S75G、E195K/Q196E/S75GおよびE195K/Q196E/G73Aからなる群より選択されるアミノ酸変異を有する請求項2に記載の蛋白質。配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質において、そのN末端配列から20残基が除去されており、21番目のAla残基がMetに置換されている、請求項1−3のいずれかに記載の蛋白質。配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質において、そのN末端配列から26残基が除去されており、Met-Thr-Asp-Ser-Thr-Leu-Asn、あるいはMet-Asn-Thr-Thr-Thr-が付加されている、請求項1−3のいずれかに記載の蛋白質。配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質、または配列番号1で表されるアミノ酸配列において1またはそれ以上のアミノ酸残基が欠失、置換または挿入されており、かつグルコース脱水素酵素活性を有する蛋白質において、S529G,N191X(ただしXはK、S、R、あるいはE)、G69X(ただしXがA、H、N、C、D、F、K、L、M、N、あるいはR),またはこれらの組み合わせのアミノ酸変異を有する蛋白質。さらに、Y70FあるいはM,G71S,A73X(ただしXがE、P、M、TまたはC),M112CあるいはL,A113FあるいはS,Y521F,S523P,F525WあるいY、P527X(ただしXはM、I、Q、V、あるいはY)、A182R,S505P,V571C,N46E,N240E,N274E,N275K,N370KあるいはE、からなる群より選択される1またはそれ以上の変異を有する、請求項6記載の蛋白質。配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質において、N191K/S529G、N191S/S529G,N191R/S529G,N191E/S529Gからなる群より選択されるアミノ酸変異を有する蛋白質。配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質において、N191K/S529G/G69X(ただしXがA、H、N、C、D、F、K、L、M、N、あるいはRである)、N191K/S529G/Y70F、N191K/S529G/F525Y、N191K/S529G/P527Y、N191K/S529G/P527V、N191K/S529G/P527Y、N191K/S529G/F525Y/P527Y,N191K/S529G/F525Y/P527Y/G69A、N191K/S529G/S505Pからなる群より選択されるアミノ酸変異を有する蛋白質。配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質において、N191K/S529G/S505P/N46E,N191K/S529G/S505P/N240E,N191K/S529G/S505P/N274E,N191K/S529G/S505P/N275E,N191K/S529G/S505P/N370K,N191K/S529G/S505P/N370E,からなる群より選択されるアミノ酸変異を有する蛋白質。配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質において、そのN末端配列から16残基が除去されており、17番目のSer残基がMetに置換されている、請求項6−10のいずれかに記載の蛋白質。配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質において、そのN末端配列から23残基が除去されており、Met-Thr-Asp-Ser-Thr-Leu-Asn、あるいはMet-Thr-Asp-Ser-Thr-Leu-Asn、あるいはMet-Asn-Thr-Thr-Thr-、あるいはMet-Ala-Pro-Glu-が付加されている、請求項6−10のいずれかに記載の蛋白質。請求項1−12のいずれかに記載の蛋白質をコードする遺伝子。請求項13に記載の遺伝子を含有する組み換えベクター。請求項14に記載の組み換えベクターで形質転換した形質転換体または形質導入体。請求項15に記載の形質転換体を培養して、該培養物からグルコース脱水素酵素を採取することを特徴とするグルコース脱水素酵素の製造方法。請求項1−12のいずれかに記載の蛋白質を用いて試料中のグルコース濃度を測定することを特徴とするグルコース分析方法。請求項1−12のいずれかに記載の蛋白質を含むことを特徴とするグルコースのアッセイキット。請求項1−12のいずれかに記載の蛋白質が電極表面に固定化されている酵素電極。作用極として請求項19に記載の酵素電極を用いることを特徴とするグルコースセンサー。配列番号1または2で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質、または配列番号1または2で表されるアミノ酸配列において1またはそれ以上のアミノ酸残基が欠失、置換または挿入されており、かつグルコース酸化酵素活性を示さずかつグルコース脱水素酵素活性を有し、キシロースに対する反応性がグルコースに対する反応性の20%以下であることを特徴とするグルコース脱水素酵素を用いる、溶存酸素の影響を受けないグルコース計測用のバイオセンサー。 |
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| 说明书全文 | 関連する出願 本出願は,日本特許出願2011−288830(2011年12月28日出願)に基づく優先権を主張しており,この内容は本明細書に参照として取り込まれる。 技術分野 本発明はフラビンアデニンジヌクレオチドを補酵素とするグルコース脱水素酵素(FAD−GDH)、その製造、およびグルコースの定量におけるその使用に関する。 血中グルコース濃度は、糖尿病の重要なマーカーである。これまで、グルコース濃度を測定するために、グルコースオキシダーゼ(GOD)、グルコース6リン酸脱水素酵素(G6PDH)、ピロロキノリンキノンを補酵素とするグルコース脱水素酵素(PQQGDH)などを用いる酵素法が用いられてきた。しかしながら、GODは電子受容体として酸素を必要とするため、被検試料中の溶存酸素の値が測定値に影響を及ぼすという欠点があり、G6PDHでは反応系に補酵素であるNAD(P)を添加しなければならず、検出系が複雑になるという問題点があった。また、PQQGDHはグルコースに対して高い酸化活性を有しており、電子受容体として酸素を必要としないという利点をもつが、グルコースに対する選択性が低く、マルトースに対しても高い活性を示すことが問題であった。したがって、グルコースセンサーの認識素子として用いることができる新たな酵素が求められている。さらに、キシロース吸収試験の実施中であっても血糖値を正確に測定できるよう、キシロースに対する反応性が低いことが望ましい。 真菌がグルコース脱水素酵素を有することは古くから知られている(例えば、Biochim biophys Acta. 139(2), p.265-276, 1967)。また、アスペルギルス属やペニシリウム属由来のグルコース脱水素酵素およびこれを用いるグルコース濃度の測定は、例えば以下の特許文献に開示されている(特開2007-289148、特開2008-178380、特開2008-035748、特開2008-035747、WO2007/11610、WO2004/058958、WO2006/101239、WO2007/139013)。しかし、真菌由来の酵素はその多くは糖蛋白質であり、機能発現には糖鎖修飾が必要である。特にグルコース酸化酵素などの細胞外分泌酵素においては糖鎖修飾が高度に行われていることから、これらの真菌由来の糖蛋白質を大腸菌を用いて組み換え生産することは極めて困難であった。真菌由来グルコース脱水素酵素も細胞外分泌蛋白質であることから、真菌由来グルコース脱水素酵素を大腸菌で組換え発現させることが難しく、発現できたとしてもその生産性が低いために、培養物単位容量あたりの酵素の収率がきわめて低いことが問題であった(例えばBiotechnol. Lett. Volume 33, Number 11, p.2255-2263, 2011)。 本明細書において引用される参考文献は以下のとおりである。これらの文献に記載される内容はすべて本明細書に参照として取り込まれる。 特開2007-289148 特開2008-178380 特開2008-035748 特開2008-035747 WO2007/11610 WO2004/058958 WO2006/101239 WO2007/139013
Rolke et al.,Mol Plant Pathol. 5(1), p.17-27, 2004 Biotechnol.Lett. Volume 33, Number 11, p.2255-2263, 2011
本発明は、従来のグルコース脱水素酵素と比較して、さらに高い生産性を有する新たな酵素を提供することを目的とする。 本発明者は、Sclerotinia sclerotiorum由来グルコース脱水素酵素およびAspergillus niger由来グルコース脱水素酵素の遺伝子を単離し、さらにその特定のアミノ酸残基を置換することにより、大腸菌での組換え発現の生産性が顕著に高まることを見いだした。 すなわち、本発明は、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質、または配列番号1で表されるアミノ酸配列において1またはそれ以上のアミノ酸残基が欠失、置換または挿入されており、かつグルコース脱水素酵素活性を有する蛋白質において、S529G,N191X(ただしXはK、S、R、あるいはE)、G69X(ただしXがA、H、N、C、D、F、K、L、M、N、あるいはR),またはこれらの組み合わせのアミノ酸変異を有する蛋白質を提供する。好ましくは、本発明の蛋白質はさらに、Y70FあるいはM,G71S,A73X(ただしXがE、P、M、TまたはC),M112CあるいはL,A113FあるいはS,Y521F,S523P,F525WあるいY、P527X(ただしXはM、I、Q、V、あるいはY)、A182R,S505P,V571C,N46E,N240E,N274E,N275K,N370KあるいはE、からなる群より選択される1またはそれ以上の変異を有する。特に好ましくは、本発明の蛋白質は、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質において、N191K/S529G、N191S/S529G,N191R/S529G,N191E/S529Gからなる群より選択されるアミノ酸変異を有する蛋白質である。さらに好ましくは、本発明の蛋白質は、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質において、N191K/S529G/G69X(ただしXがA、H、N、C、D、F、K、L、M、N、あるいはRである)、N191K/S529G/Y70F、N191K/S529G/F525Y、N191K/S529G/P527Y、N191K/S529G/P527V、N191K/S529G/P527Y、N191K/S529G/F525Y/P527Y,N191K/S529G/F525Y/P527Y/G69A、N191K/S529G/S505Pからなる群より選択されるアミノ酸変異を有する蛋白質である。また好ましくは、本発明の蛋白質は、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質において、N191K/S529G/S505P/N46E,N191K/S529G/S505P/N240E,N191K/S529G/S505P/N274E,N191K/S529G/S505P/N275E,N191K/S529G/S505P/N370K,N191K/S529G/S505P/N370Eからなる群より選択されるアミノ酸変異を有する蛋白質である。 さらに本発明は、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質において、そのN末端配列から16残基が除去されており、17番目のSer残基がMetに置換されている、上記のいずれかに記載の蛋白質を提供する。また、本発明は配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質において、そのN末端配列から23残基が除去されており、Met-Thr-Asp-Ser-Thr-Leu-Asn、あるいはMet-Thr-Asp-Ser-Thr-Leu-Asn、あるいはMet-Asn-Thr-Thr-Thr-、あるいはMet-Ala-Pro-Glu-が付加されている、上記のいずれかに記載の蛋白質を提供する。 別の観点においては、本発明は、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質、または配列番号2で表されるアミノ酸配列において1またはそれ以上のアミノ酸残基が欠失、置換または挿入されており、かつグルコース脱水素酵素活性を有する蛋白質において、E195K、Q196X(XはE、D、またはRである)、Y524F、P526X(XはG、V、I、F、Y、S、T、C、M、HまたはQである)、N368K、T522S、またはこれらの組み合わせのアミノ酸変異を有する蛋白質を提供する。好ましくは、本発明は、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質において、E195K/Q196X(XはE、DまたはRである)、E195K/Q196E/G73A、E195K/Q196E/S75G、E195K/Q196E/G73A/S75G、E195K/Q196E/S69E/N70D/G73A、E195K/Q196E/Y524F、E195K/Q196E/P526X(XはG、V、I、F、Y、S、T、C、M、HまたはQである)、E195K/Q196E/G73A/Y524F、E195K/Q196E/G73A/P526X(XはI、F、SまたはMである)、E195K/Q196E/G73A/S75G/Y524F、E195K/Q196E/G73A/S75G/P526X(XはI、F、Y、SまたはMである)、N368K/T522S、およびN368K/T522S/E195K/Q196Eからなる群より選択されるアミノ酸変異を有する蛋白質である。特に好ましくは、本発明の蛋白質は、E195K/Q196E/G73A/S75G/P526M、E195K/Q196E/Y524F、E195K/Q196E/P526X、E195K/Q196E/S69E/N70D/G73A、E195K/Q196E/G73A/S75G、E195K/Q196E/S75GおよびE195K/Q196E/G73Aからなる群より選択されるアミノ酸変異を有する。 さらに本発明は配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質において、そのN末端配列から20残基が除去されており、21番目のAla残基がMetに置換されている、上記いずれに記載の蛋白質を提供する。また、本発明は、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質において、そのN末端配列から26残基が除去されており、Met-Thr-Asp-Ser-Thr-Leu-Asn、あるいはMet-Asn-Thr-Thr-Thr-が付加されている、上記いずれかに記載の蛋白質を提供する。 また別の観点においては、本発明は、本発明のグルコース脱水素酵素をコードする遺伝子、該遺伝子を含有する組み換えベクター、ならびに該組み換えベクターで形質転換した形質転換体または形質導入体を提供する。本発明はまた、本発明のグルコース脱水素酵素をコードする遺伝子を含有する組み換えベクターで形質転換した形質転換体を培養して、該培養物からグルコース脱水素酵素を採取することを特徴とする、グルコース脱水素酵素の製造方法を提供する。 さらに別の観点においては、本発明は、本発明のグルコース脱水素酵素を用いて試料中のグルコース濃度を測定することを特徴とするグルコース分析方法を提供する。本発明はまた、本発明のグルコース脱水素酵素を含むことを特徴とするグルコースのアッセイキットを提供する。本発明はまた、本発明のグルコース脱水素酵素が電極表面に固定化されている酵素電極、ならびに該酵素電極を作用極として用いることを特徴とするグルコースセンサーを提供する。 さらに別の観点においては、本発明は、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質、または配列番号2で表されるアミノ酸配列において1またはそれ以上のアミノ酸残基が欠失、置換または挿入されており、かつグルコース酸化酵素活性を示さずかつグルコース脱水素酵素活性を有し、キシロースに対する反応性がグルコースに対する反応性の20%以下であることを特徴とするグルコース脱水素酵素を用いる、溶存酸素の影響を受けないグルコース計測用のバイオセンサーを提供する。 スセロチニア・スレロチオラム由来FAD−GDH 本発明においては、Sclerotinia sclerotiorum(スセロチニア・スレロチオラム由来グルコース脱水素酵素(GenBank XP_001584680))を組み換え発現させる酵素として発明の対象とした。同酵素のアミノ酸配列は配列番号1に示される。スセロチニア・スレロチオラムのゲノム配列は公開されている。 アスペルギラス・ナイジャー由来FAD−GDH 本発明においては、(Aspergillus niger(アスペルギラス・ナイジャー由来グルコース脱水素酵素(GenBank XP_001394544))を組み換え発現させる酵素として発明の対象とした。同酵素のアミノ酸配列はは配列番号2に示される。アスペルギラス・ナイジャーのゲノム配列は公開されており、また、同酵素の組み換え生産についてはBiotechnol. Lett. Volume 33, Number 11, p.2255-2263, 2011において記載されており、同蛋白質がグルコース脱水素酵素(GDH)であると報告されている。 グルコース脱水素酵素(GDH)は、グルコースオキシダーゼ(GOD)と異なり、グルコース測定において溶存酸素の影響を受けないため、グルコース計測用のバイオセンサーの認識素子として有用である。配列番号1で示されるアミノ酸配列は、既知の真菌由来グルコース脱水素酵素のアミノ酸配列と約30〜60%の配列同一性を有し、例えば、アスペルギルス・オリゼTI株由来グルコース脱水素酵素(GenBank ACW04779.1)とは約57%のアミノ酸同一性を有する。 本発明においては、SscとはSclerotinia sclerotiorum由来グルコース脱水素酵素(GenBank XP_001584680)をさす。本発明ではSscを大腸菌で効率よく組み換え発現させるために、Ssc-n1,Ssc-n2,Ssc-n3,あるいはSsc-n4のアミノ酸配列をコードする遺伝子を作成した。SscのN末端配列の違いによる呼称として、本明細書では以下の4種類を用いる。 Ssc-n1 ゲノムデータベース記載のSscの一次構造(Sclenotinia sclerotiorum; GenBank XP_001584680)、配列番号1に記載)のN末端配列から16残基が除去されており、17番目のSer残基がMetに置換されているSsc蛋白質をさす。 Ssc-n2 ゲノムデータベース記載のSscの一次構造(Sclenotinia sclerotiorum; GenBank XP_001584680)、配列番号1に記載)のN末端配列から23残基を除去し、Met-Thr-Asp-Ser-Thr-Leu-Asnを付加したSsc蛋白質をさす。 Ssc-n3 ゲノムデータベース記載のSscの一次構造(Sclenotinia sclerotiorum; GenBank XP_001584680、配列番号1に記載)のN末端配列から23残基を除去し、Met-Asn-Thr-Thr-Thr-を付加したSsc蛋白質をさす。 Ssc-n4 ゲノムデータベース記載のSscの一次構造(Sclenotinia sclerotiorum; GenBank XP_001584680,、配列番号1に記載)のN末端配列から23残基を除去し、Met-Ala-Pro-Glu-を付加したSsc蛋白質をさす。 本発明においては、AngとはAspergillus niger由来グルコース脱水素酵素(GenBank XP_001394544)をさす。本発明ではAngを大腸菌で効率よく組み換え発現させるために、Ang-n1,Ang-n2,あるいはAng-n3のアミノ酸配列をコードする遺伝子を作成した。AngのN末端配列の違いによる呼称として、本明細書では以下の3種類を用いる。 Ang-n1 ゲノムデータベース記載のAngの一次構造(Aspergillus niger; GenBank XP_001394544、配列番号2に記載)のN末端配列から20残基が除去されており、21番目のAla残基がMetに置換されているAng蛋白質をさす。 Ang-n2 ゲノムデータベース記載のAngの一次構造(Aspergillus niger; GenBank XP_001394544、配列番号2に記載)のN末端配列から26残基を除去し、Met-Thr-Asp-Ser-Thr-Leu-Asnを付加したAng蛋白質をさす。 Ang-n3 ゲノムデータベース記載のAngの一次構造(Aspergillus niger; GenBank XP_001394544、配列番号2に記載)のN末端配列から26残基を除去し、Met-Asn-Thr-Thr-Thr-を付加したAng蛋白質をさす。 本明細書において用いる場合、大腸菌における生産性が高い酵素とは、大腸菌を宿主として組換え発現させて、その培養物から酵素を単離したときに、培養液単位容量あたりに得られる酵素の活性(U/L)が高いことを特徴とする酵素分子を意味する。生産性が高ければ、より小さい培養装置でより低いコストで、酵素を組換え製造することができる。酵素の生産性には、その酵素が有するアミノ酸配列に基づき、蛋白質としての水溶性の違い、フォ-ルディング効率の違い、さらには単位蛋白質量あたりの酵素活性の違い、酵素の安定性の違いなどが総合的に反映される。さらに、培養液単位容量あたりの宿主における組換え発現の速度、インクルージョンボディを形成のしやすさ、菌体内および精製工程における酵素の安定性などにも当該酵素のアミノ酸配列が関与している。 スセロチニア・スレロチオラム由来改変型FAD−GDH 本発明者は、配列番号1で表されるアミノ酸配列のN191K、S529Gの変異、またはN191K/S529Gの二重変異を有する改変型FAD−GDHが、野生型FAD−GDHと比較して大腸菌における高い生産性を示し、特にN191K/S529Gの二重変異を有する改変型FAD−GDHは、高い生産性とともに高い酵素活性を示すことを見いだした。なお、本明細書においては、スセロチニア・スレロチオラム由来FAD−GDHのアミノ酸配列中のアミノ酸変異の位置は、配列番号1のアミノ酸配列の1番目のMetを1として番号付けする。また、本明細書においては、アミノ酸の変異ないし置換は、元のアミノ酸残基とアミノ酸の位置と置換後のアミノ酸残基とをこの順序で示すことにより表記し、例えば、「S529G」とは、529番目のSerがGlyに置き換えられていることを示す。二重またはそれ以上の変異の組み合わせは「/」の記号で表す。 さらに、スセロチニア・スレロチオラム由来改変型FADG−GDHにおいて、S529G,N191X(ただしXはK、S、R、あるいはE)、G69X(ただしXがA、H、N、C、D、F、K、L、M、N、あるいはR),またはこれらの組み合わせのアミノ酸変異を有する蛋白質が好ましい。さらに、Y70FあるいはM,G71S,A73X(ただしXがE、P、M、TまたはC),M112CあるいはL,A113FあるいはS,Y521F,S523P,F525WあるいY、P527X(ただしXはM、I、Q、V、あるいはY)、A182R,S505P,V571C,N46E,N240E,N274E,N275K,N370KあるいはEからなる群より選択される1またはそれ以上の変異を有することが好ましい。これらの多重変異のうち、好ましいものは、N191K/S529G、N191S/S529G,N191R/S529G,N191E/S529Gからなる群より選択されるアミノ酸変異を有する蛋白質である。さらに好ましい多重変異としては、N191K/S529G/G69X(ただしXがA、H、N、C、D、F、K、L、M、N、あるいはRである)、N191K/S529G/Y70F、N191K/S529G/F525Y、N191K/S529G/P527Y、N191K/S529G/P527V、N191K/S529G/P527Y、N191K/S529G/F525Y/P527Y,N191K/S529G/F525Y/P527Y/G69A、N191K/S529G/S505Pからなる群より選択されるアミノ酸変異を有する蛋白質である。さらに、好ましい多重変異として、N191K/S529G/S505P/N46E,N191K/S529G/S505P/N240E,N191K/S529G/S505P/N274E,N191K/S529G/S505P/N275E,N191K/S529G/S505P/N370K,N191K/S529G/S505P/N370E,からなる群より選択されるアミノ酸変異を有する蛋白質が挙げられる。 さらにこれらの改変型FAD−GDHは、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質において、そのN末端配列から16残基が除去されており、17番目のSer残基がMetに置換されている蛋白質、あるいは配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質において、そのN末端配列から23残基が除去されており、Met-Thr-Asp-Ser-Thr-Leu-Asn、あるいはMet-Thr-Asp-Ser-Thr-Leu-Asn、あるいはMet-Asn-Thr-Thr-Thr-、あるいはMet-Ala-Pro-Glu-が付加されている蛋白質においてこれらの変異および多重変異が施されている蛋白質が好ましい。 また、これらのスセロチニア・スレロチオラム由来改変型FAD−GDHは、アスペルギルス・オリゼTI株由来のFAD−GDHと比較して、キシロースに対するグルコースの選択性がより高かった。 アスペルギラス・ナイジャー由来改変型FAD−GDH 本発明者は、配列番号2で表されるアミノ酸配列のE195K、Q196E,N368K,T522Sの変異、またはE195K/Q196E、あるいはN368K/T522Sの二重変異を有する改変型FAD−GDHが、野生型FAD−GDHと比較して大腸菌における高い生産性を示し、特にE195K/Q196Eの二重変異を有する改変型FAD−GDHは、高い生産性とともに高い酵素活性を示すことを見いだした。なお、本明細書においては、アスペルギラス・ナイジャー由来FAD−GDHのアミノ酸配列中のアミノ酸変異の位置は、配列番号1のアミノ酸配列の2番目のMetを1として番号付けする。また、本明細書においては、アミノ酸の変異ないし置換は、元のアミノ酸残基とアミノ酸の位置と置換後のアミノ酸残基とをこの順序で示すことにより表記し、例えば、「E195K」とは、195番目のGluがLysに置き換えられていることを示す。二重またはそれ以上の変異の組み合わせは「/」の記号で表す。 さらに、アスペルギラス・ナイジャー由来改変型FADG−GDHにおいて、E195K、Q196X(XはE、D、またはRである)、Y524F、P526X(XはG、V、I、F、Y、S、T、C、M、HまたはQである)、N368K、T522S、またはこれらの組み合わせのアミノ酸変異を有する蛋白質が好ましい。好ましい多重変異としては、E195K/Q196X(XはE、DまたはRである)、E195K/Q196E/G73A、E195K/Q196E/S75G、E195K/Q196E/G73A/S75G、E195K/Q196E/S69E/N70D/G73A、E195K/Q196E/Y524F、E195K/Q196E/P526X(XはG、V、I、F、Y、S、T、C、M、HまたはQである)、E195K/Q196E/G73A/Y524F、E195K/Q196E/G73A/P526X(XはI、F、SまたはMである)、E195K/Q196E/G73A/S75G/Y524F、E195K/Q196E/G73A/S75G/P526X(XはI、F、Y、SまたはMである)、N368K/T522S、およびN368K/T522S/E195K/Q196Eが挙げられる。特に好ましい多重変異は、E195K/Q196E/G73A/S75G/P526M、E195K/Q196E/Y524F、E195K/Q196E/P526X、E195K/Q196E/S69E/N70D/G73A、E195K/Q196E/G73A/S75G、E195K/Q196E/S75GおよびE195K/Q196E/G73Aである。 さらにこれらの改変型FAD−GDHは配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質において、そのN末端配列から20残基が除去されており、21番目のAla残基がMetに置換されている、あるいは、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質において、そのN末端配列から26残基が除去されており、Met-Thr-Asp-Ser-Thr-Leu-Asn、あるいはMet-Asn-Thr-Thr-Thr-が付加されている蛋白質においてこれらの変異および多重変異が施されている蛋白質が好ましい。 また、これらのアスペルギラス・ナイジャー由来改変型FAD−GDHは、アスペルギルス・オリゼTI株由来のFAD−GDHと比較して、キシロースに対するグルコースの選択性がより高かった。 FAD−GDHの製造方法 本発明のFAD−GDHは、当該技術分野においてよく知られる手法を用いて組換え発現により製造することができる。スセロチニア・スレロチオラムおよびアスペルギラス・ナイジャー由来の天然のFAD−GDHをコードする遺伝子の配列は、それぞれ配列番号1および2に記載されるアミノ酸配列に基づいて容易に決定することができる。FAD−GDHをコードする遺伝子は、スセロチニア・スレロチオラムおよびアスペルギラス・ナイジャーのゲノムからクローニングしてもよく、一連の化学合成されたオリゴヌクレオチドを用いてPCRにより製造してもよく、または自動化DNA合成機などを用いて全合成してもよい。遺伝子配列は、用いる宿主生物においてより高い発現レベルが達成されるようにコドンを選択して、適宜設計または改変することが望ましい。特定の宿主生物におけるコドン使用の特徴は、当該技術分野においてよく知られている。 本発明の改変型FAD−GDHをコードする遺伝子は、天然のFAD−GDHをコードする遺伝子において、置換すべきアミノ酸残基をコードする塩基配列を、所望のアミノ酸残基をコードする塩基配列に置換することにより構築することができる。このような部位特異的塩基配列置換のための種々の方法は、当該技術分野においてよく知られており、例えば適切に設計されたプライマーを用いるPCRによって行うことができる。あるいは、改変型のアミノ酸配列をコードする遺伝子を全合成してもよい。 本発明のFAD−GDHにおいては、所望のグルコース脱水素酵素活性を有する限り、さらに他のアミノ酸残基の一部またはそれ以上が欠失または置換されていてもよく、また他のアミノ酸残基が付加されていてもよい。さらに、そのような改変型FAD−GDHは好ましくは天然のFAD−GDHと少なくとも80%の配列同一性を有する。好ましくは、配列同一性は少なくとも85%であり、より好ましくは少なくとも90%であり、さらに好ましくは少なくとも95%である。 このようにして得た遺伝子を適当な発現のベクターに挿入し、これを適当な宿主(例えば大腸菌)に形質転換する。外来性蛋白質を発現させるための多くのベクター・宿主系が当該技術分野において知られており、宿主としては例えば、細菌、酵母、培養細胞などの種々のものを用いることができる。糖鎖が結合したグルコース脱水素酵素の製造が望ましい場合には、真核生物細胞を宿主として用いる。得られた形質転換体を定法にしたがって培養し、細胞または培養液からFAD−GDHを回収することができる。 本発明の1つの好ましい態様においては、大腸菌の形質転換体をF. William Studier et.al., Protein Expression and Purification (2005)にZYP brothとして記載されている培地(以下A培地)にて培養する。すなわち、一般的に大腸菌の培地に用いられるLB培地にさらに0.5% グリセロール、0.05% グルコース、0.2% アルファ−ラクトース、25mM (NH4)2SO4、100mM KH2PO4、100mM NaHPO4、1mM MgSO4を加えた培地である。 A培地で、15℃から25℃、好ましくは約20℃で培養して、組換え蛋白質を発現させる。このことにより、慣用のIPTG誘導法を用いた場合よりも、高い生産性を得ることができる。さらに、本発明の変異酵素を、蛋白質のフォールディングを促進することが知られているシャペロンGroELおよびGroESと共発現させることにより、さらに高い生産性を得ることができる。シャペロンとの共発現は、例えば、本発明の変異酵素をコードする遺伝子を含む発現ベクターを、GroELおよびGroES遺伝子をアラビノース誘導下に発現するベクター(例えば市販のシャペロンベクターpGro7、TaKaRa)とともに大腸菌に導入して培養し、形質転換体がある程度増殖した後にアラビノースを加えてシャペロンの発現を誘導することにより行うことができる。 このようにして得られた組換えFAD−GDHは、例えば、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、濾過、限外濾過、塩析、溶媒沈殿、免疫沈殿、ゲル電気泳動、等電点電気泳動、透析などの当該技術分野において知られる精製手法の任意のものを用いて精製することができる。 酵素活性の測定方法 本発明のFAD−GDHは、FADを補酵素として、グルコースを酸化してグルコノラクトンを生成する反応を触媒する作用を有する。本発明のFAD−GDHのグルコース脱水素酵素活性は、脱水素酵素によるグルコースの酸化に伴って還元されるFADの量を、酸化還元色素の呈色反応により定量することができる。呈色試薬としては、例えば、PMS(フェナジンメトサルフェート)、DCIP(2,6−ジクロロフェノールインドフェノール)、フェリシアン化カリウム、フェロセンなどを用いることができる。また、本発明のFAD−GDHのグルコース酸化活性測定は、脱水素酵素と基質の反応により生成する過酸化水素を定量することにより行うことができる。過酸化水素の測定は、例えば、ペルオキシダーゼ及びトリンダー試薬(TODB)、4-アミノアンチピリンを用いて、生成する色素の吸光度の経時変化を測定することにより行うことができる。 グルコースに対する選択性 本発明のFAD−GDHのグルコースに対する選択性は、基質として、マンノース、ガラクトース、キシロース、ラクトースおよびマルトース等の各種の糖を用いて上述のように酵素活性を測定し、グルコースを基質としたときの活性に対する相対活性を調べることにより評価することができる。 本発明のFAD−GDHはグルコースに対する選択性が高く、特にマルトースおよびガラクトースに対する反応性は測定限界以下であった。したがって、本発明のFAD−GDHを用いて作成されたアッセイキットあるいは酵素センサーはグルコース測定に関して選択性が高く、被検試料にマルトース等の他の糖が含まれているかその可能性がある場合にも、高感度でグルコースが検出できるという利点を有する。 さらに、本発明のFAD−GDHはキシロースに対して反応性が低いという特徴を有する。このことは、キシロース吸収試験を実施している場合においても血糖値が正確に測定できるという利点を提供する。 グルコースアッセイキット 本発明はまた、本発明に従うFAD−GDHを含むグルコースアッセイキットを特徴とする。本発明のグルコースアッセイキットは、本発明に従うFAD−GDHを少なくとも1回のアッセイに十分な量で含む。典型的には、キットは、本発明のFAD−GDHに加えて、アッセイに必要な緩衝液、メディエーター、キャリブレーションカーブ作製のためのグルコース標準溶液、ならびに使用の指針を含む。本発明に従うFAD−GDHは種々の形態で、例えば、凍結乾燥された試薬として、または適切な保存溶液中の溶液として提供することができる。 グルコースセンサー 本発明はまた、本発明に従うFAD−GDHがその表面に固定化されている酵素電極、ならびにこの酵素電極を用いるグルコースセンサーを提供する。電極としては、カーボン電極、金電極、白金電極などを用い、この電極上に本発明の酵素を固定化する。これらの電極はカーボン電極であればスクリーンプリント印刷等によって作成される電極、および金、白金電極であればスパッタリングにより作成される電極でもよい。固定化方法としては、架橋試薬を用いる方法、高分子マトリックス中に封入する方法、透析膜で被覆する方法、光架橋性ポリマー、導電性ポリマー、酸化還元ポリマーなどがあり、あるいはフェロセンあるいはその誘導体に代表される電子メディエーターとともにポリマー中に固定あるいは電極上に吸着固定してもよく、またこれらを組み合わせて用いてもよい。典型的には、グルタルアルデヒドを用いて本発明のFAD−GDHをカーボン電極上に固定化した後、アミン基を有する試薬で処理してグルタルアルデヒドをブロッキングする。 グルコース濃度の測定は、以下のようにして行うことができる。恒温セルに緩衝液を入れ、メディエーターを加えて一定温度に維持する。メディエーターとしては、フェリシアン化カリウム、フェナジンメトサルフェート、ルテニウム錯体、などを用いることができる。作用電極として本発明のFAD−GDHを固定化した電極を用い、対極(例えば白金電極)および必要に応じて参照電極(例えばAg/AgCl電極)を用いる。カーボン電極に一定の電圧を印加して、電流が定常になった後、グルコースを含む試料を加えて電流の増加を測定する。標準濃度のグルコース溶液により作製したキャリブレーションカーブに従い、試料中のグルコース濃度を計算することができる。 本発明のFAD−GDHは、血糖値のアッセイ装置において用いるのに特に有用である。アッセイ装置は、一般に市販されている血糖値測定用のアンペロメトリーバイオセンサーテストストリップと同様の構造とすることができる。一例として、アッセイ装置は、絶縁体上に装着された2つの電極(作用極および参照極)、試薬ポートおよびサンプル受容部を有する。試薬ポートには、本発明のFAD−GDHおよびメディエーターを入れる。血液サンプルなどのサンプルをサンプル受容部に加えると、サンプル中に含まれるグルコースがFAD−GDHと反応して電流が生じ、この電流の値から血中グルコース濃度(血糖値)を求めることができる。電気化学的検出の他、光学センサーを用いてグルコースを測定することもできる。 本明細書において用いる場合、「・・・を含む(comprising)」との表現により表される態様は、「本質的に・・・からなる(essentially consisting of)」との表現により表される態様、ならびに「・・・からなる(consisting of)」との表現により表される態様を包含する。 本明細書において明示的に引用される全ての特許および参考文献の内容は全て本明細書に参照として取り込まれる。 以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 実施例1 スセロチニア・スレロチオラム由来グルコース脱水素酵素(Ssc)およびアスペルギラス・ナイジャー由来グルコース脱水素酵素(Ang)の組換え遺伝子の調製 スセロチニア・スレロチオラム由来グルコース脱水素酵素のアミノ酸配列は配列番号1に示される。N末端から16番目まではシグナルペプチドであると推定できる。例えば、シグナル配列切断部位を予測するための方法としてフリーアクセスサーバSignalP 3.0 Server(http://www.cbs.dtu.dk/services/SignalP-3.0/)を活用できる。このサーバは,The Center for Biological Sequence Analysis at the Technical University of Denmark において運営されており、以下に記す論文に記載された方法論に基づき、任意のアミノ酸配列に対して、シグナル配列の存在の可能性を検索し、その切断部位を予想する。Identification of prokaryotic and eukaryotic signal peptides and prediction of their cleavage sites. Henrik Nielsen, Jacob Engelbrecht, Soren Brunak and Gunnar von Heijne. Protein Engineering, 10:1-6, 1997。SignalP 3.0 Serverを用いる予測にしたがえば、N末端から16番目まではシグナルペプチドであると推定されるので、開始メチオニンの下流に17番目のSerをMetに置換した配列を有するアミノ酸配列をコードし、大腸菌による組み換え生産に適したコドンをもつ遺伝子配列を設計して、全合成した(Ssc−n1)。あるいはN末端配列から23残基を除去し、Met-Thr-Asp-Ser-Thr-Leu-Asnを付加した配列を有するアミノ酸配列をコードし、大腸菌による組み換え生産に適したコドンをもつ遺伝子配列を設計して、全合成した(Ssc−n2)。あるいはN末端配列から23残基を除去し、Met-Asn-Thr-Thr-Thr-を付加した配列を有するアミノ酸配列をコードし、大腸菌による組み換え生産に適したコドンをもつ遺伝子配列を設計して、全合成した(Ssc−n3)。あるいはN末端配列から23残基を除去し、Met-Ala-Pro-Glu-を付加した配列を有するアミノ酸配列をコードし、大腸菌による組み換え生産に適したコドンをもつ遺伝子配列を設計して、全合成した(Ssc−n4)。 アスペルギラス・ナイジャー由来グルコース脱水素酵素(Ang)のアミノ酸配列は配列番号2に示される。N末端から20番目までは上記と同様に予測してシグナルペプチドであると推定できる。SignalP 3.0 Serverを用いる予測にしたがえば、N末端から20番目まではシグナルペプチドであると推定されるので、開始メチオニンの下流に21番目のAlaをMetに置換した配列を有するアミノ酸配列をコードし、大腸菌による組み換え生産に適したコドンをもつ遺伝子配列を設計して、全合成した(Ang−n1)。あるいはN末端配列から26残基を除去し、Met-Thr-Asp-Ser-Thr-Leu-Asnを付加した配列を有するアミノ酸配列をコードし、大腸菌による組み換え生産に適したコドンをもつ遺伝子配列を設計して、全合成した(Ang−n2)。あるいはN末端配列から26残基を除去し、Met-Asn-Thr-Thr-Thr-を付加した配列を有するアミノ酸配列をコードし、大腸菌による組み換え生産に適したコドンをもつ遺伝子配列を設計して、全合成した(Ang−n3)。 組換え生産の宿主としては大腸菌BL21(DE3)[F-, ompT, hsdSB(rB- mB-), gal(λcI 857, ind1, Sam7, nin5, lacUV5-T7gene1), dcm(DE3);Novagen]を用いた。遺伝子発現ベクターとしてはpET30c[kan, lacI;Novagen]を、シャペロン共発現用ベクターとしてはpGro7[GroEL, GroES;TaKaRa]をそれぞれ用いた。 実施例2 酵素活性の測定 本発明のFAD−GDHのグルコース脱水素酵素活性は、脱水素酵素と基質の反応により還元されるDCIP(2,2’−ジクロルジイソプロピルエーテル)の退色を600nmでの吸光度の経時変化を定量することにより行った。反応条件は断りの無い限り以下の条件で行った。酵素溶液を含む反応溶液(10mM リン酸カリウム(pH7.0)+0.6mM PMS+0.06mM DCIP濃度は全て終濃度)に基質を加えることで反応を開始し、600nmの吸光度変化を測定した。基質には終濃度50mMグルコースを用い、1μmolのDCIPを還元させる酵素量を1Unitとし、以下の式より活性値を算出した。DCIPのpH7.0におけるモル吸光係数は16.3mM-1cm-1とした。 ユニット/ml=ΔABS/min×1/16.3×10 本発明のFAD−GDHのグルコース酸化活性測定は、脱水素酵素と基質の反応により生成する過酸化水素を、ペルオキシダーゼ及びトリンダー試薬(TODB)、4-アミノアンチピリンを用いて、生成する色素の546nmにおける吸光度の経時変化を測定することにより行った。反応条件は断りの無い限り以下の条件で行った。酵素溶液を含む反応溶液(10mM リン酸カリウム(pH7.0)+1.5mM 4-アミノアンチピリン+1.5mM TODB+2U/ml ペルオキシダーゼ、濃度は全て終濃度)に基質を加えることで反応を開始し、546nmの吸光度変化を測定した。基質には終濃度50mMグルコースを用い、1分間に1μmolの過酸化水素を生成する酵素量を1Unitとした。TODBのpH7.0におけるモル吸光定数には38mM-1cm-1を用いた。以下に吸光度変化から活性値を算出する式を示す。 ユニット/ml=ΔABS/min×2/38×10 ユニット/mg=Unit/ml/蛋白質mg/ml 実施例3 A培地を用いるGDHの生産及び粗精製酵素標品の調製 A培地を用いるSsc,Angあるいはこれらの改変型酵素の生産を行った。Ssc,Angあるいはこれらの改変型酵素をコードする遺伝子を挿入した発現ベクターpET30cを用いて大腸菌BL21(DE3)を形質転換した。得られた形質転換体BL21(DE3)/pET30c(GDH)を3mL LB培地に植菌し、一晩37℃で振とう培養した。その後、下記A培地(Km 50μg/mL)100mLに前培養液1mlを植菌し、20℃で坂口フラスコを用いて、120rpmで振とう培養を行なった。 A培地: LB培地+0.5% グリセロール、0.05% グルコース、0.2% α-ラクトース、25mM (NH4)2SO4、100mM KH2PO4、100mM NaHPO4、1mM MgSO4(ZYP培地;F. William Studier et.al., Protein Expression and Purification (2005)を改変)。 培養中、任意の時間ごとに培養液300μlを回収し、集菌した菌体に60μlのBugBuster Reagentを加え、20分間、4℃で振盪し、菌体を溶菌させた。10mM リン酸カリウムを60μl加え、遠心(16,000×g、4℃、20分間)して上清を回収し、その上清を粗精製酵素標品としてその活性を測定した。 Ssc,Angあるいはこれらの改変型酵素はGDH活性を有する水溶性酵素として発現された。A培地で培養することにより得られたSsc,Angあるいはこれらの改変型酵素の粗精製酵素標品の酵素活性を測定した結果、グルコース脱水素酵素活性のみが確認され、グルコース酸化酵素活性は検出されなかった。 実施例4 基質特異性の評価 上記実施例3のA培地を用いて得られた酵素について、グルコース、マルトース、キシロースおよびガラクトースを基質として基質特異性を測定した。その結果、基質濃度5mMにおいてグルコースを100%とした時のSsc,Angあるいはこれらの改変型酵素の脱水素酵素活性はマルトース、ガラクトースでは検出できず、キシロースでは10%程度であった。同じ条件でのこれまで報告されているFADGDHではグルコースを100%とした時のキシロースの脱水素酵素活性は21%であった。よってSsc,Angあるいはこれらの改変型酵素は既に報告されているGDHよりキシロースに対する酵素活性が低いことが示された。 実施例5 Ssc,およびAngへの変異導入 部位特異的変異導入はQuikChange(登録商標)法により行った。QuikChange(登録商標)法では、実施例1で作製した遺伝子をテンプレートとし、変異導入用プライマーによりPCR増幅を行った。続いてPCR後の試料にDpnIを加え37℃、60分間インキュベートすることでテンプレートDNAのみを消化し、この試料を用いて大腸菌DH5αを形質転換した。LB寒天培地(50μg/mlカナマイシン)により一晩培養後、任意に選んだクローンからプラスミドを抽出し、シークエンス解析により目的の変異が導入されていることを確認した。得られたPCR断片をNdeI、HindIII消化(37℃,2時間)し、同制限酵素消化したpET30cとライゲーションし、この試料を用いて大腸菌BL21(DE3)を形質転換した。LB寒天培地(50μg/mlカナマイシン)により一晩培養後、任意に選んだクローンからプラスミドを抽出し、シークエンス解析により変異導入を確認した。 このようにして、以下のSsc変異酵素を発現する形質転換体を得た: S529G,N191X(ただしXはK、S、R、あるいはE)、G69X(ただしXがA、H、N、C、D、F、K、L、M、N、あるいはR)。さらに、Y70FあるいはM,G71S,A73X(ただしXがE、P、M、TまたはC),M112CあるいはL,A113FあるいはS,Y521F,S523P,F525WあるいY、P527X(ただしXはM、I、Q、V、あるいはY)、A182R,S505P,V571C,N46E,N240E,N274E,N275K,N370KあるいはEからなる群より選択される1またはそれ以上の変異を有する多重変異酵素。また、N191K/S529G、N191S/S529G,N191R/S529G,N191E/S529G多重変異酵素。さらにN191K/S529G/G69X(ただしXがA、H、N、C、D、F、K、L、M、N、あるいはRである)、N191K/S529G/Y70F、N191K/S529G/F525Y、N191K/S529G/P527Y、N191K/S529G/P527V、N191K/S529G/P527Y、N191K/S529G/F525Y/P527Y,N191K/S529G/F525Y/P527Y/G69A、N191K/S529G/S505P多重変異酵素。さらに、N191K/S529G/S505P/N46E,N191K/S529G/S505P/N240E,N191K/S529G/S505P/N274E,N191K/S529G/S505P/N275E,N191K/S529G/S505P/N370K,N191K/S529G/S505P/N370E多重変異酵素を構築した。 また、以下のAng変異酵素を発現する形質転換体を得た: N368K,T522S,E195K,Q196X(XはE、DまたはRである)、N368K/T522S,E195K/Q196X(XはE、DまたはRである)、N368K/T522S/E195K/Q196E、E195K/Q196E/G73A、E195K/Q196E/S75G、E195K/Q196E/G73A/S75G、E195K/Q196E/S69E/N70D/G73A、E195K/Q196E/Y524F、E195K/Q196E/P526X(XはG、V、I、F、Y、S、T、C、M、HまたはQである)、E195K/Q196E/G73A/Y524F、E195K/Q196E/G73A/P526X(XはI、F、SまたはMである)、E195K/Q196E/G73A/S75G/Y524F、E195K/Q196E/G73A/S75G/P526X(XはI、F、Y、SまたはMである)、N368K/T522S、およびN368K/T522S/E195K/Q196E。 実施例6 変異酵素の生産および活性測定 各変異酵素を発現する形質転換体BL21(DE3)を前培養した。300mlバッフル付きフラスコを用いA培地60mlに対し1%量殖菌し、20℃、28時間、125rpmの条件で振とう培養を行った。培地50mlを集菌後、湿菌体1gに5mlの割合でBugBuster(登録商標)蛋白質抽出試薬(Novagen)を加え懸濁し、ゆるやかに振とうしながら室温で15分間インキュベートを行った。遠心(15Krpm/4℃/20分間)により不溶性分画を除去後、得られた上清を20mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.5)で4℃で一晩透析した。透析終了後に遠心を行い、その上清を粗精製酵素標品とした。不溶性分画は、懸濁液2ml分の不溶性分画に対し20mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.5)を1mの割合で懸濁した。 いくつかの多重変異酵素については、小スケールの発現系を用いた。各変異酵素を発現する形質転換体BL21(DE3)を前培養し、A培地3mlに1vol%量を殖菌した。37℃で4時間振とう培養後、20℃で20時間振とう培養を行った。培養後2mlの培地を集菌し400μlのBugBuster(登録商標)を加え懸濁後に室温で15分間振とうした。その後、遠心(15000rmp/4℃/20分間)を行い、得られた上清を粗精製酵素標品とした。 GDH活性測定はDCIP(0.3mM)/PMS(0.6mM)系で緩衝液は20mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.5)を使用し、基質としてグルコース(Glc;1,2,4,10,20,40mM)、キシロース(Xyl;4,40mM)を使用した。 また、熱安定性試験は次のようにして行った。45℃にした20mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.5) 800μlに上記粗精製酵素標品を200μl 加え混和し、すぐに、予め45℃に加熱しておいた20mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.5) 100μlに対して100μlを加えた(終濃度10倍希釈)。添加後、45℃で2、5、10、15、20、25、または30分間のインキュベーションを行った。所定時間経過後、速やかに氷中で冷却した。GDH活性測定は、DCIP(0.3mM)/PMS(0.6mM)系で緩衝液は20mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.5)を使用し、基質はGlc(40mM)を使用した。 Ssc変異酵素の評価の結果を表1から表6に示す。表中の数値は、比活性(U/mg)および生産性(U/L)は40mMのグルコースを基質として、同一条件で行った数回分のデータの平均値である。また得られた粗精製酵素を用いて、基質(グルコース;1,2,4,10,20,40mM)濃度と活性との相関を観察し、そこから求められる飽和曲線から得られるミカエルリス・メンテン定数(Km値)およびみかけの最大活性(Vmax)を求めた。
表1は60ml培養においてSsc−n1に対して変異を導入した酵素の評価結果である。N191KあるいはS,R,Eに置換した変異酵素は天然型であるN191(358U/L)に比べ、生産性がN191K(735U/L)で2倍、N191S(1516U/L)で4.2倍、N191R(2245U/L)で6.3倍、N191E(1967U/L)で5.5倍といずれも生産性が向上した。また、S529G(1673U/L)で4.7倍と向上した。さらにこの中で、これらの変異を組み合わせることで、Ssc−n1 N191K/S529G(3409U/L)と9.5倍の生産性の大幅な向上に成功した。
表2は60ml培養におけるSsc−n2および−n3,−n4を用いた二重変異の評価結果である。N191K/S529Gの二重変異はSsc−n2,−n3,−n4のいずれの組み合わせにおいても天然型であるSsc−n1に比べて生産性が向上しているばかりでなく、Ssc−n2,−n3,−n4よりもそれぞれのN191K/S529Gの二重変異の方が高い生産性を示した。さらにSsc−n2 S529GとN191S、R,あるいはEと組み合わせた二重変異においてもSsc−n2および天然型であるSsc−n1に比べて生産性が向上していた。以上の結果から、N191K/S529Gの二重変異はSscの生産性向上にきわめて有効な変異であることが示された。
表3は60ml培養におけるSsc−n2を用いたN191K/S529GとG69A(あるいはHあるいはN)、あるいはY70F、あるいはA73EあるいはP変異との組み合わせを評価した結果である。いずれの変異も天然型であるSsc−n1に比べて生産性が向上していた。A73EとG69H以外の組み合わせはいずれもSsc−n2よりも生産性が向上していた。また、すべての変異酵素においてキシロースとの反応性は同じ濃度のグルコースに対する活性の5〜7%程度であり、野生型よりも大幅にグルコースに対する特異性が高まり、キシロースに対する活性が低下した。
表4は3ml培養におけるSsc−n2を用いたN191K/S529Gと各種変異を組み合わせた多重変異酵素の評価結果である。ここでの基準となる活性は天然型であるSsc−n1である。いずれの多重変異酵素もこの値を上回り、いずれの変異も生産性の向上に有効であることが示された。また、Ssc−n2の60mlでの評価結果と比較しても、A73M,M112CおよびA113F以外の変異との組み合わせでは、Ssc−n2よりも高い生産性が達成され、N191K/S529Gと各種変異の組み合わせが生産性の向上に有効であることが示された。この中でも特に、N191K/S529G/F525Y、N191K/S529G/P527Y,およびN191K/F525Y/S529G/P527Yにおいてきわめて高い生産性が達成された。
表5は60ml培養におけるSsc−n2を用いたN191K/S529GとF525WあるいはY、P527VあるいはY変異との多重変異酵素の評価結果である。いずれの多重変異酵素においてもSsc−n1およびSsc−n2の生産性を上回り、さらにN191K/S525G/P527YはN191K/S525Gの生産性を上回り優れた変異酵素であることが示された。
表6は3ml培養におけるSsc−n2を用いたN191K/S529Gと各種変異を組み合わせた多重変異酵素の評価結果である。いずれの多重変異酵素もSsc−n1およびSsc−n2の生産性を上回り、これらの変異の組み合わせにより生産性が向上することがわかった。この中でも特にN191K/S529G/S505Pは優れた生産性を示した。また、熱安定性が向上した変異も含まれていることが明らかとなった。 Ang変異酵素の評価の結果を表7および表8に示す。表中の数値は、比活性(U/mg)および生産性(U/L)は40mMのグルコースを基質として、同一条件で行った数回分のデータの平均値である。また得られた粗精製酵素を用いて、基質(グルコース;1,2,4,10,20,40mM)濃度と活性との相関を観察し、そこから求められる飽和曲線から得られるミカエルリス・メンテン定数(Km値)およびみかけの最大活性(Vmax)を求めた。
表7は60ml培養においてAng−n1、−n2、および−n3に対して変異を導入した酵素の評価結果である。いずれの変異酵素も天然型であるAng−n1に比べて生産性が向上した。Ang−n2を用いた変異酵素の評価では、T522SおよびN368K/T522Sの二重変異においてAng−n1およびAng−n2よりも大幅に生産性が高くなった。さらにAng−n1,Ang−n2,およびAng−n3とE195K/Q196Eとを組み合わせせることにより、大幅に生産性が向上した。また、Ang−n2とE195DあるいはRとをQ196Eと組み合わせることでも大幅な生産性の向上が達成できた。このようにこれらの変異およびその組み合わせによって作成された変異酵素は生産性が向上した変異型酵素であることが明らかとなった。
表8は3ml培養におけるAng−n2を用いたE195K/Q196Eと他のアミノ酸変異との組み合わせの評価結果である。これらの変異酵素はAng−n2よりも高い生産性を示し、有効な変異であることが明らかとなった。さらにキシロースに対する活性も低下していることが明らかとなった。特に、E195K/Q196E/G73AおよびE195K/Q196E/S75Gでは生産性が向上し、E195K/Q196E/G73A/S75Gは生産性と基質特異性が向上し、E195K/Q196E/S69E/N70D/G73Aは基質特異性が向上した。また、E195K/Q196E/Y524Fは生産性とKmが向上し、E195K/Q196E/P526Xは基質特異性が向上した。 これらのうち、特に興味深い変異体について、60mlスケールで培養し、酢酸を用いて酵素を精製して評価した。結果を表9に示す。E195K/Q196E/G73A/S75G/P526Mでは、生産性、Vmax、および基質特異性が向上していた。
実施例7 酵素センサーの作製および評価 Ssc変異酵素Ssc−n2N191K/S529GおよびAng変異酵素Ang−n2E195K/Q196Eを用いて酵素電極を作製した。5ユニットの本発明の改変型FAD−GDHにカーボンペースト20mgを加えて凍結乾燥させた。これをよく混合した後、既にカーボンペーストが約40mg充填されたカーボンペースト電極の表面だけに充填し、濾紙上で研磨した。この電極を1%のグルタルアルデヒドを含む10mM MOPS緩衝液(pH7.0)中で室温で30分間処理した後、20mMリジンを含む10mM MOPS緩衝液(pH7.0)中で室温で20分間処理してグルタルアルデヒドをブロッキングした。この電極を10mM MOPS緩衝液(pH7.0)中で室温で1時間以上平衡化させた。電極は4℃で保存した。 作製した酵素センサーを用いてグルコース濃度の測定を行った。本発明の改変型FAD−GDHを固定化した酵素センサーを用いて、0.1mM−5mMの範囲でグルコースの定量を行うことができた。 本発明は、グルコース濃度の測定、特に血糖値の測定に有用である。 |
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