消化酵素を含む組成物の溶出試験の方法

申请号 JP2014524476 申请日 2012-08-08 公开(公告)号 JP6004549B2 公开(公告)日 2016-10-12
申请人 アプタリス ファーマ リミテッド; APTALIS PHARMA LIMITED; 发明人 ラティーノ,マッシモ; ジドルシ,ルイージ; オルテンツィ,ジョヴァンニ;
摘要
权利要求

パンクレリパーゼ固形組成物から溶出溶媒中に放出される消化酵素の量を測定する方法において、前記組成物から前記溶出溶媒中に放出される消化酵素の前記量を測定するために蛍光分光法を使用するステップを含むことを特徴とする方法。請求項1に記載の方法において、前記パンクレリパーゼ固形組成物は腸溶性パンクレリパーゼ組成物であることを特徴とする方法。請求項1又は2の方法において、前記溶出溶媒は、HCl溶液、人工胃液、緩衝液、人工腸液、少なくとも1種の界面活性剤を含む水溶液または緩衝液であることを特徴とする方法。請求項1、2又は3に記載の方法において、(a)前記固形パンクレリパーゼ組成物から前記消化酵素を前記溶出溶媒中に放出させるステップと、b)前記蛍光を読み取り前記溶媒中の消化酵素の前記量を測定するステップとを含むことを特徴とする方法。請求項1、2、3又は4に記載の方法において、前記溶出溶媒は経時的に用いられる少なくとも2種の溶媒からなることを特徴とする方法。請求項5に記載の方法において、a)前記固形パンクレリパーゼ組成物を第1の溶出溶媒に加えるステップと、b)前記懸濁液を第2の溶出溶媒に移すステップと、c)前記消化酵素の前記放出を引き起こすステップと、d)溶出溶媒のアリコートをサンプリングするステップと、e)346nmで蛍光を読み取るステップと、f)放出された消化酵素の前記量を算出するステップとを含むことを特徴とする方法。請求項6に記載の方法において、前記第1の溶出溶媒はpH約1〜約4.5を有する水性溶媒であり、前記第2の溶出溶媒は約5を超えるpHを有する水性緩衝液であることを特徴とする方法。請求項6又は7に記載の方法において、前記第1の溶出溶媒はpH約1〜約2を有する水性溶媒であることを特徴とする方法。請求項6、7又は8に記載の方法において、前記第2の溶出溶媒はpH約5.5〜約6.8を有する水性緩衝液であることを特徴とする方法。請求項6、7、8又は9に記載の方法において、前記第1の溶出溶媒はpH約1.2を有する水性溶媒であり、前記第2の溶出溶媒はpH約6を有する水性緩衝液であることを特徴とする方法。請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10に記載の方法において、前記パンクレリパーゼ組成物は合計で約750USPリパーゼ単位、約3,000USPリパーゼ単位、約4,200USPリパーゼ単位、約5,000USPリパーゼ単位、約6,000USPリパーゼ単位、約10,000USPリパーゼ単位、約10,500USPリパーゼ単位、約15,000USPリパーゼ単位、約16,800USPリパーゼ単位、約20,000USPリパーゼ単位、約21,000USPリパーゼ単位、約24,000USPリパーゼ単位、もしくは約25,000、もしくは約40,000USPリパーゼ単位またはこれらの倍数、あるいは約5,000PhEurリパーゼ単位、もしくは約10,000PhEurリパーゼ単位、もしくは約15,000PhEurリパーゼ単位もしくは約20,000PhEurリパーゼ単位もしくは約30,000PhEurリパーゼ単位、もしくは約40,000PhEurリパーゼ単位またはこれらの倍数を有することを特徴とする方法。腸溶性(gastroresistance)試験と組み合わせた請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9,10又は11に記載の方法において、腸溶性が水性溶媒中の前記組成物の残存リパーゼ活性を特定のリパーゼアッセイ法で決定することにより測定されることを特徴とする方法。請求項12に記載の方法において、前記水性溶媒はpH約1〜約2を有することを特徴とする方法。請求項12に記載の方法において、前記水性溶媒はpH約1.2を有することを特徴とする方法。請求項13又は14に記載の方法において、前記固形組成物から溶出溶媒中に放出される消化酵素の量の蛍光分光法による前記測定は、前記腸溶性(gastroresistance)試験の前あるいは後に行われることを特徴とする方法。請求項13、14又は15に記載の方法において、前記固形組成物から溶出溶媒中に放出される消化酵素の量の蛍光分光法による前記測定は、経時的に使用される少なくとも2種の溶媒からなる溶出溶媒中で行われることを特徴とする方法。請求項16に記載の方法において、前記第1の溶出溶媒は酸性pH約1〜約4.5を有する水性溶媒であることを特徴とする方法。請求項16又は17に記載の方法において、前記第1の溶出溶媒はpH約1〜約2を有する水性溶媒であることを特徴とする方法。請求項16、17又は18に記載の方法において、前記第2の溶出溶媒は約5を超えるpHを有する水性緩衝液であることを特徴とする方法。請求項16、17、18又は19に記載の方法において、前記第2の溶出溶媒はpH約5.5〜約6.8を有する水溶液であることを特徴とする方法。請求項16、17、18、19又は20に記載の方法において、前記第1の溶出溶媒はpH約1.2を有する水性溶媒であり、前記第2の溶出溶媒はpH約6を有する水性緩衝液であることを特徴とする方法。請求項12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21に記載の方法において、前記パンクレリパーゼ組成物は合計で約750USPリパーゼ単位、約3,000USPリパーゼ単位、約4,200USPリパーゼ単位、約5,000USPリパーゼ単位、約6,000USPリパーゼ単位、約10,000USPリパーゼ単位、約10,500USPリパーゼ単位、約15,000USPリパーゼ単位、約16,800USPリパーゼ単位、約20,000USPリパーゼ単位、約21,000USPリパーゼ単位、約24,000USPリパーゼ単位、約25,000USPリパーゼ単位、もしくは約40,000USPリパーゼ単位またはこれらの倍数、あるいは約5,000PhEurリパーゼ単位、もしくは約10,000PhEurリパーゼ単位、もしくは約15,000PhEurリパーゼ単位もしくは約20,000PhEurリパーゼ単位もしくは約30,000PhEurリパーゼ単位、もしくは約40,000PhEurリパーゼ単位またはこれらの倍数を有することを特徴とする方法。

说明书全文

本発明は、固形組成物から溶出溶媒中に放出される消化酵素の量を蛍光分光法により測定する方法を対象とする。本発明はさらに、パンクレリパーゼを含む固形組成物の溶出および腸溶性(gastroresistance)の両方を測定するための組み合わせた方法も対象とする。

錠剤またはカプセル剤などの固形医薬組成物または剤形は一般に、活性成分(単数または複数)と賦形剤(単数または複数)との混合物からなる。経口投与後の固形組成物からの活性成分(薬剤)の吸着に関する再現性は、生理条件下での組成物からの薬剤の放出、および薬剤の溶出または可溶化などいくつかの因子によって決まる。組成物からの薬剤の放出、および薬剤の溶出または可溶化は決定的な性質であるため、溶出試験はインビボでの薬剤の性能を予測するのに非常に意義がある。FDAおよびEMAなどの薬剤承認機関は、多くの場合、承認を得るために新しい医薬組成物の薬物放出特性を判定するように製薬会社に要求する。また、これらの試験は、製品の承認、生物学的同等性の要件の免除、または推奨要件以外の生物学的同等性要件の要求の立証を目的として、医薬組成物のバッチ間の品質を評価するUSP品質パラメーターとしても要求されることがある。

インビトロ溶出試験を行うための様々なプロトコルが開発されており、製品開発および品質管理の両方に日常的に応用されている。薬剤溶出試験は主に、米国薬局方および欧州薬局方、たとえばUSP34<711>およびEP7.2、2.9.3などの推奨されるコンペンディアの方法および装置を用いて行われる。こうした試験に典型的に使用される溶出溶媒は、たとえば、およびリン酸塩緩衝液またはクエン酸塩緩衝液などの緩衝液である。様々な撹拌方法に基づき様々な種類の溶出装置が市販されており、コンペンディアの方法により認められている。こうした装置として、パドル、バスケット、フロースルー、およびreciprocating cylinderが挙げられる。厳密な手順(プロトコル)および装置は異なるが、薬剤の溶出試験の方法はすべて医薬組成物または剤形を溶出溶媒に加え、試験中の薬剤の崩壊および溶出を促すため溶出溶媒にある程度の撹拌を施すことを含む。

溶出溶媒と、溶出溶媒中に放出された薬剤の量を判定する検出方法とは、薬剤の化学的性質によって異なり(選択され)、適切な選択を行うには、物理的考察および安定性に関する考察も非常に重要である。

パンクレリパーゼ遅延放出カプセルなどの経口投与形態の医薬品から放出される消化酵素の判定に関するpancrelipase Delayed Release Capsule,USP Monographに含まれる試験は、リパーゼ活性の特定の測定に基づく。こうした方法は長い解析時間を必要とし、いくつかの欠点による影響を受ける。主な欠点は溶出溶媒における、より正確には腸溶性段階緩衝液(pH6.0)溶出溶媒におけるマーカー−リパーゼの不安定性である。リパーゼ分解の程度を確認し、その後、溶出の算出に補正係数を導入して試験中のリパーゼ活性の損失を説明する必要がある。さらに、方法の複雑さ(試薬/基質の調製と定量分析との両方)により、結果の変動性が非常に大きくなり、実験室内/実験室間の結果の再現性も低下する。さらに、リパーゼアッセイは直線性範囲も狭く(8〜16USP単位/mL)、これは、このアッセイが6,400〜12,800USP UI/カプセルの範囲のカプセルの価しかカバーせず、したがって単一ユニットの試験アプローチを実施できないため、大きな制約となる。本方法の長い解析時間により、多点溶出プロファイルの判定に本方法を使用する可能性が限定される。

固形組成物からの消化酵素の放出を判定する際のこれらの欠点を克服する方法について記載した方法/手順は存在しない。

パンクレリパーゼおよび他の膵酵素製剤(PEP)などの消化酵素は膵外分泌不全(EPI)に罹患している患者に投与してもよく、消化酵素補充剤を投与すると、患者はより効率的に食物を消化することができる。

FDAによれば200,000人を超える米国人が罹患していると推計される膵外分泌不全(EPI)は、膵臓で作られる消化酵素の欠乏により食物を適切に消化できない生理的障害を伴う。こうした消化酵素の欠乏は栄養素の消化不良および吸収障害などの障害をきたし、栄養不良およびその結果それに関連する他の望ましくない生理的状態に至る。これらの障害は、嚢胞性線維症(CF)および膵臓の外分泌機能を損なっている他の状態、たとえば膵癌、膵切除および膵炎の人によく見られる。栄養不良は、特に乳児およびCF患者の場合、未治療で放置すると生命を危うくする恐れがあり、本障害は、成長障害、免疫応答の低下および平均余命の短縮につながることがある。

消化酵素、たとえばパンクレリパーゼおよび他の膵酵素製剤(PEP)を投与すれば、EPIの少なくとも一部を治療することができる。投与された消化酵素により、患者はより効率的に食物を消化することができる。

失われた消化機能を補うためEPIの処置に使用されてきた膵酵素は、60年を超えて使用されている。膵酵素の使用は最近まで、安全性と有効性と製造管理とに基づき薬剤の承認を規定する現在の規制ガイドラインの対象ではなかった。このほど、膵酵素補充療法剤は、米国および欧州の規制当局の取り組みの対象になった。この取り組みは、市販の膵酵素製剤の商業的取引を引き続き行うためには、現在の医薬品承認審査を経るように要求するものである。Zenpep(登録商標)、Creon(登録商標)およびPancreaze(登録商標)は、FDAが定めた審査を通過し、米国での販売が承認された3つの製品である。やはり同様の取り組みが進行中であるか、または今のところ実施していない他の地域/国では、依然として種々の膵酵素製剤を入手することができる。

パンクレリパーゼなどの消化酵素を含むカプセル剤は、経口投与用に開発されてきた。しかしながら、患者がカプセル剤を嚥下できない場合、各カプセル剤を開けて、内容物を少量の食物、通常軟らかい酸性食物(たとえば市販されているアップルソース)にふりかけて、スプーンで患者に経口投与してもよい。あるいは、こうした薬は、シリンジ装置により投与しやすい溶媒に懸濁した内容物を含むシリンジ装置を使用して乳児および小児に経口投与してもよい。

パンクレリパーゼ製品は一般に、3つの酵素クラス、リパーゼ、アミラーゼおよびプロテアーゼを含むものとして表示され、そのレベルまたは力価が記載される。これらの酵素は、脂肪のグリセロールおよび脂肪酸への加水分解、デンプンのデキストリンおよび糖への加水分解、およびタンパク質のアミノ酸および誘導物質への加水分解を触媒する。消化は一方で、正しい消化機能に寄与し、かつ様々な消化産物を作る多くの他の酵素および基質が関与する複雑なプロセスである。パンクレリパーゼに含まれる他の酵素としては、特にトリプシン、カルボキシペプチダーゼ、エラスターゼ、ホスホリパーゼおよびコールエステラーゼ、ならびに様々な補助因子およびコエンザイムが挙げられる。これらの物質は、膵臓で自然に作られ、正しい消化機能にも寄与する。

パンクレリパーゼは典型的には、ブタの膵腺から調製されるが、他の供給源、たとえば各々その全体をあらゆる目的において本明細書に援用する米国特許第6,051,220号明細書、米国特許出願公開第2004/0057944号明細書、米国特許出願公開第2001/0046493号明細書、および国際公開第2006044529号パンフレットに記載されたものを使用してもよい。

膵酵素は、中性に近い若干アルカリ性の条件下で最適な活性を示す。胃条件下では、膵酵素は不活化し、結果として生物活性を失うことがある。したがって、外部から投与される酵素は一般に胃の不活性化を防止し、胃から十二指腸への移動の間に未変化の状態が続く。よって、膵酵素をコーティングすると望ましい。膵リパーゼは胃の不活性化に対して最も感受性があり、吸収障害の処置に重要な酵素である。リパーゼ活性は典型的には、リパーゼを含む酵素組成物の安定性を判定するためにモニターされる。Ortenzi et al.に付与された米国特許第7,658,918号明細書の内容全体は、明示的にその全体をあらゆる目的において援用する。そこには安定な消化酵素組成物が記載されており、経口投与されるある種の微粒子薬物が患者の胃を通過し、その後腸内に放出されるように設計されること説明している。こうした微粒子薬物の患者、特に乳児および小児への適切な投与量の投与は、可能な限り正確であるべきである。

残念ながら、固形医薬組成物または剤形から放出される消化酵素の量を優れた精度および高感度で測定し、かつ異なる実験室間ですぐに行える方法は、記載されていない。

本発明は、固形組成物から溶出溶媒中に放出される消化酵素の量を蛍光分光法により測定する方法を対象とする。本発明はさらに、パンクレリパーゼを含む固形組成物の溶出および腸溶性(gastroresistance)の両方を測定するための組み合わせた方法も対象とする。

パンクレリパーゼビーズ(Zenpep(登録商標)ミニ錠剤)−プロテアーゼアッセイの溶出プロファイル(平均曲線)である。

パンクレリパーゼビーズ(Zenpep(登録商標)ミニ錠剤)−リパーゼアッセイの溶出プロファイル(平均曲線)である。

蛍光分光法によるパンクレリパーゼビーズ(Zenpep(登録商標)ミニ錠剤)−総タンパク質アッセイの溶出プロファイル(平均曲線)である。

パンクレリパーゼビーズ(Zenpep(登録商標)ミニ錠剤):酵素特異的測定と総タンパク質量の蛍光定量の溶出プロファイルである。

パンクレリパーゼビーズ(Zenpep(登録商標)ミニ錠剤):リパーゼアッセイと総タンパク質量の蛍光定量の溶出プロファイルである。

パンクレリパーゼビーズ(Zenpep(登録商標)ミニ錠剤):プロテアーゼアッセイと総タンパク質量の蛍光定量の溶出プロファイルである。

パンクレリパーゼ組成物(Zenpep(登録商標)およびCreon(登録商標))の溶出プロファイルである。

本発明は、固形組成物から溶出溶媒中に放出される消化酵素の量を蛍光分光法により測定する方法を対象とする。その量は、固形組成物または剤形または単一ユニット形態から放出される消化酵素の%として測定する。

本発明の方法の別の実施形態では、固形組成物はパンクレリパーゼを含む製剤であり、より詳細には固形組成物は薬学的に不活性な賦形剤を含む腸溶性パンクレリパーゼ組成物である。

別の実施形態では、本方法は、(a)固形パンクレリパーゼ組成物から消化酵素を溶出溶媒中に放出させるステップと、(b)蛍光を読み取り溶媒中の消化酵素の量を測定するステップとを含む。

本発明の別の実施形態では、溶出溶媒は水、HCl溶液、人工胃液、緩衝液、人工腸液、または少なくとも1種の界面活性剤を含む水溶液もしくは緩衝液である。

別の実施形態では、溶出溶媒は経時的に用いられる少なくとも2種の溶媒からなる。また、本方法を用いて2段階の溶出試験を行ってもよい。第1の段階は酸性段階であり、溶出溶媒は酸性pH、たとえばpH約1〜約4.5もしくは約1〜約2の範囲、またはpH約1.2の水性溶媒である。第2の段階は、5を超えるpH、またはpH約5.5〜約6.8、またはpH約6の水性緩衝液である第2の溶出溶媒を用いて行う。

本発明による方法では、組成物から溶出溶媒中に放出される消化酵素の検出に使用する技術は蛍光分光法である。

分子は、エネルギー準位と呼ばれる様々な状態を有する。蛍光分光法は主に電子状態および振動状態と関係している。一般に、調査される化学種は基底電子状態およびより高エネルギーの励起電子状態を有する。これら各々の電子状態において様々な振動状態がある。蛍光分光法では、化学種が最初に光子を吸収して、その基底電子状態から励起電子状態における様々な振動状態の1つに励起する。その後分子は基底電子状態の様々な振動準位の1つに再び戻り、この過程で光子を放出する。分子が基底状態におけるいくつかの振動準位のいずれか戻ることができると、放出された光子は異なるエネルギーを有し、したがって異なる周波数を有する。タンパク質の蛍光反応は、芳香族部分(トリプトファン、チロシンまたはフェニルアラニン)を含むアミノ酸の存在による。タンパク質の蛍光反応は一般に励起波長280nmを用いて測定する。蛍光発光の大部分は、トリプトファン残基の励起によるものであり、チロシンおよびフェニルアラニンがわずかに寄与している。

本明細書に開示される蛍光測定法は、消化酵素(パンクレリパーゼ、API)を含む組成物または剤形から溶出溶媒中に放出される前記酵素の総タンパク質量の測定に基づく。本明細書に使用する「総タンパク質」という語句は、薬剤製品により放出される全タンパク質、すなわちリパーゼ、プロテアーゼおよびアミラーゼなど出発固形組成物中に存在する全タンパク質を表す。放出されたAPIの値を直接得るには、試験される薬剤製品と同じロットを用いる一方、これを粉砕し、同じ溶出溶媒に注ぎ100%溶出APIを得て、本方法に使用するのが好ましい標準を調製する。試験されるバッチの溶出は、標準に対する比率(%)として測定される。

本発明の方法は、薬学的に不活性な賦形剤を含んでもよいパンクレリパーゼ固形組成物、たとえば、消化酵素を含む任意の好適な経口剤形に適用することができる。好適な剤形の非限定的な例としては、錠剤、カプセル剤、サッシェ剤または単一ユニット剤が挙げられる。特定の実施形態では、剤形はカプセル剤である。各剤形は、API(薬剤)の消化酵素ビーズ(ユニットともいう)を含む。本発明では、消化酵素ビーズは任意の種類の微粒子である。「ビーズ」という用語は、顆粒、粒子、錠剤、球体、ミニ錠剤、マイクロ錠剤、微小粒子、マイクロスフェア、ミニマイクロスフェア、マイクロカプセルおよびマイクロペレットを含む、。ビーズは、特に約50〜約5,000μmの範囲の大きさを有する任意の好適な粒度または形状であってもよく、より詳細にはビーズは、約2〜約5mmの範囲、または約2mm未満、たとえば約1〜2mmの公称(たとえば、平均)粒子直径を有する。「ミニマイクロスフェア」は最小メジアン径が1.15mmであり、あるいは「マイクロ錠剤」は最大径2.63mmであり、これらも本方法に好適である。ビーズは、約800μm未満、好ましくは500μm未満、好ましくは約400μm〜約600μmまたは約250μm〜約500μmの平均サイズを有してもよい。これらのビーズは、400μm以上の体積粒径(d(v,0.1)(体積分布の10%がこの値未満であり、90%がこの値より大きい直径と定義される)で、900μm以下の体積粒径d(v,0.9)、(体積分布の90%がこの値未満であり、10%がこの値より大きい直径と定義される)を有してもよい。

医薬品の調製に好適なすべての消化酵素ビーズ、より詳細にはパンクレリパーゼ酵素ビーズは、腸溶層でコーティングしてもよい。パンクレリパーゼ素錠を腸溶コーティングで囲む実施形態では、コーティングがバリアとして働き、薬剤を胃の酸性環境から保護し、薬物が小腸に到達する前の薬物の放出を実質的に防止する。腸溶コーティング組成物と他のコーティング組成物との好適な組み合わせを用いて、薬物放出または治療効果に対して所望の種類の制御を得てもよい。腸溶コーティングは少なくとも1つの腸溶性ポリマー、およびさらに賦形剤を含む。「腸溶性ポリマー」という語句は、消化酵素を胃内容物から保護するポリマー、たとえば酸性pHで安定であるが、より高いpHで速やかに分解し得るポリマー、あるいは、胃腸管の他の部分と対照的に胃内にとどまっている間は胃内容物と消化酵素との接触が相対的に小さくなるように、水和または腐食の速度が十分に緩慢であるポリマーを意味する。腸溶性(gastro−resistant)ポリマーの非限定的な例として、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ポリビニルアセテートフタレート、メタクリル酸のコポリマー、メチルメタクリレートのエステルおよびセラックが挙げられる。これらのポリマーは以下のような様々な商品名で市販されている:Cellacefate(登録商標)(セルロースアセテートフタレート)、Eudragit(登録商標)L100、S100、L30D、FS30D、L100−55(メタクリル酸のコポリマー)、Aquateric(登録商標)(セルロースアセテートフタレート)、Aqoat(登録商標)(ヒドロキシプロピルメチルセルロアセテートスクシネート)、HP55(登録商標)(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート)。好ましくは腸溶コーティングは、10〜20wt.%の少なくとも1つの腸溶性ポリマーを含む。前記各wt.%はコーティングされた粒子の総重量に基づく。コーティングは、親油性作用物質、たとえば脂肪族カルボン酸およびアルコールから選択されるC6〜C30親油性低分子量分子、好ましくはC14〜C18カルボン酸またはアルコール、たとえばステアリン酸、ミリスチン酸、ミリスチン酸アルコールまたはステアリルアルコールをさらに含んでもよい。コーティングの他の任意成分としては、可塑剤、滑沢剤(たとえばタルク、ステアリン酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素およびこれらの組み合わせ;さらに任意に低粘度エチルセルロース)がある。好適な可塑剤の非限定的な例として、トリアセチン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、フタル酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ヒマシ油、アセチル化モノ−およびジ−グリセリド、セチルアルコール、ミリスチルアルコールおよびこれらの混合物が挙げられる。好ましい可塑剤は、非フタル酸系可塑剤またはその混合物である。

コーティングされた安定化消化酵素粒子は、その後カプセル剤として製剤化してもよい。特定の安定化消化酵素粒子の剤形は、腸溶性パンクレリパーゼ酵素ビーズの入ったカプセル剤である。約6wt%以下の含水量を有する、たとえばより詳細には約4wt%以下の含水量を有する、さらに詳細には約2wt%以下の含水量を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる腸溶性コーティングパンクレリパーゼ酵素を含むカプセル剤は、製剤の特定の実施形態である。

本明細書に使用する「消化酵素」という用語は、生体が摂取または吸収できるように食物の成分を分解する消化管の酵素を示す。消化酵素の非限定的な例として、パンクレリパーゼ(パンクレアチンとも呼ばれる)、リパーゼ、コリパーゼ、トリプシン、キモトリプシン、キモトリプシンB、パンクレアトペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼA、カルボキシペプチダーゼB、グリセロールエステル加水分解酵素、ホスホリパーゼ、ステロールエステル加水分解酵素、エラスターゼ、キニノゲナーゼ、リボヌクレアーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、α−アミラーゼ、パパイン、キモパパイン、グルテナーゼ、ブロメライン、フィシン、β−アミラーゼ、セルラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、イソマルターゼおよびこれらの混合物が挙げられる。これらは、膵臓または膵液からの抽出により得られるか、あるいは、膵臓以外の供給源、たとえば微生物、細菌、カビ、真菌植物または他の動物組織、遺伝子改変微生物、真菌もしくは植物から人工的に製造するかまたは得られる。

「パンクレリパーゼ」または「パンクレリパーゼ酵素」または「パンクレアチン」という用語は、アミラーゼ酵素、リパーゼ酵素およびプロテアーゼ酵素を含むいくつかの種類の酵素の混合物、または膵臓由来の酵素の混合物などを示す。パンクレリパーゼは、たとえばNordmark Arzneimittel GmbH、Scientific Protein Laboratories LLCまたはSigma Aldrichから市販されているが、ブタ、ウシまたは他の哺乳動物の供給源由来の同様の抽出物を使用してもよい。市販のパンクレリパーゼ製剤の例として、Zenpep、Viokace、Ultrase、Creon、PancreazeおよびPanzytratが挙げられる。より詳細には、経口投与用のZenpepカプセル剤は、腸溶性ビーズ(750、3,000、5,000USPリパーゼ単位の1.8〜1.9mm、10,000、15,000、20,000、25,000および40,000USPリパーゼ単位の2.2〜2.5mm)を含む。

「リパーゼ」という用語は、脂質のグリセロールおよび単純脂肪酸への加水分解を触媒する酵素を示す。本発明に好適なリパーゼの例としては、動物リパーゼ(たとえば、ブタリパーゼ)、細菌リパーゼ(たとえば、シュードモナス(Pseudomonas)リパーゼおよび/またはバークホルデリア(Burkholderia)リパーゼ)、真菌リパーゼ、植物リパーゼ、組換えリパーゼ(たとえば、微生物、細菌、酵母、真菌、植物、昆虫または哺乳動物宿主培養細胞のいずれか1つから選択される好適な宿主細胞で組換えDNA技術により製造されるもの、または天然配列と相同または実質的に同一であるアミノ酸配列を含む組換えリパーゼ、天然リパーゼをコードする核酸と相同または実質的に同一である核酸によりコードされたリパーゼ等)、合成リパーゼ、化学修飾リパーゼ、およびこれらの混合物があるが、これに限定されるものではない。「脂質」という用語は、脂肪、ワックス、ステロール、脂溶性ビタミン(たとえばビタミンA、D、EおよびK)、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドス、リン脂質等の天然分子を広く含む。

「アミラーゼ」という用語は、デンプンを分解するグリコシドヒドロラーゼ酵素、たとえば、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、γ−アミラーゼ、酸α−グルコシダーゼ、唾液アミラーゼ、たとえばプチアリン等をいう。本発明に使用するのに好適なアミラーゼには、動物アミラーゼ、細菌アミラーゼ、真菌アミラーゼ(たとえば、アスペルギルス(Aspergillus)アミラーゼ、たとえば、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)アミラーゼ)、植物アミラーゼ、組換えアミラーゼ(たとえば、微生物である細菌、酵母、真菌、植物、昆虫または哺乳動物宿主培養細胞のいずれか1つから選択される好適な宿主細胞で組換えDNA技術により製造されるもの、または天然配列と相同または実質的に同一であるアミノ酸配列を含む組換えアミラーゼ、天然アミラーゼをコードする核酸と相同または実質的に と同一である核酸によりコードされたアミラーゼ等)、化学修飾アミラーゼ、およびこれらの混合物があるが、これに限定されるものではない。

「プロテアーゼ」という用語は一般に、タンパク質のアミノ酸間のペプチド結合を破壊する酵素(たとえば、プロテイナーゼ、ペプチダーゼまたはタンパク質分解酵素)をいう。プロテアーゼは一般に、たとえば、アスパラギン酸ペプチダーゼ、システイン(チオール)ペプチダーゼ、メタロペプチダーゼ、セリンペプチダーゼ、トレオニンペプチダーゼ、アルカリまたはセミアルカリプロテアーゼ、触媒機構が不明の中性ペプチダーゼなど触媒の種類により区別される。本発明に使用するのに好適なプロテアーゼの非限定的な例として、セリンプロテアーゼ、トレオニンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ(たとえば、プラスメプシン)メタロプロテアーゼおよびグルタミン酸プロテアーゼが挙げられる。さらに、本発明に使用するのに好適なプロテアーゼとして、動物プロテアーゼ、細菌プロテアーゼ、真菌プロテアーゼ(たとえば、アスペルギルス・メレウス(Aspergillus melleus)プロテアーゼ)、植物プロテアーゼ、組換えプロテアーゼ(たとえば、細菌、酵母、真菌、植物、昆虫または哺乳動物宿主培養細胞いずれか1つから選択される好適な宿主細胞で組換えDNA技術により製造されるもの、または天然配列と相同または実質的に同一であるアミノ酸配列を含む組換えプロテアーゼ、天然プロテアーゼをコードする核酸と相同または実質的に と同一である核酸によりコードされたプロテアーゼ等)、化学修飾プロテアーゼおよびこれらの混合物があるが、これに限定されるものではない。

本発明で解析される組成物または経口剤形のパンクレリパーゼ酵素は、1種もしくは複数種のリパーゼ(すなわち、1種のリパーゼ、または2種以上のリパーゼ)、または1種もしくは複数種のアミラーゼ(すなわち、1種のアミラーゼ、または2種以上のアミラーゼ)、または1種もしくは複数種のプロテアーゼ(すなわち、1種のプロテアーゼ、または2種以上のプロテアーゼ)のほか、これらの酵素の様々な組み合わせおよび比率の混合物を含んでもよい。

本明細書の方法により解析される組成物または剤形中のリパーゼ活性は、約650〜約45,000IU(USP法)、約675〜約825IU、約2,700〜約3,300IU、約4,500〜約5,500IU、約9,000〜約11,000IU、約13,500〜約16,500IU、約18,000〜約22,000IU、約22,500〜約27,500IU、約36,000〜約44,000IU、ならびにこれらの間の範囲および部分範囲であってもよい。リパーゼ活性は、約750IU、約3,000IU、約4,200IU、約5,000IU、約6,000IU、約10,000IU、約10,500IU、約15,000IU、約16,800IU、約20,000IU、約21,000IU、約24,000IU、または約25,000IU、または約40,000IU(USP法)またはこれらの倍数の活性であってもよい。組成物または剤形中のアミラーゼ活性は、約1,600〜約6,575IU(USP法)、約6,000〜約225,000IU、たとえば約6,400〜約26,300IU、約10,700〜約43,800IU、約21,500〜約87,500IU、約32,100〜約131,300IU、約42,900〜約175,000IU、約53,600〜約218,700IU、ならびにこれらの間の範囲および部分範囲であってもよい。組成物または剤形中のプロテアーゼ活性は、約1,250〜約3,850IU(USP法)、約5,000〜約130,000IU、たとえば約5,000〜約15,400IU、約8,400〜約25,700IU、約16,800〜約51,300IU、約25,000〜約77,000IU、約33,500〜約102,600IU、約41,800IU〜約128,300IU、ならびにこれらの間の範囲および部分範囲であってもよい。酵素を組み合わせた組成物は、以下を含む:(A)リパーゼ活性が約675〜約825IUの範囲であってもよく、アミラーゼ活性が約1,600〜約6,575IUの範囲であってもよく、プロテアーゼ活性が約1,250〜約3,850IU(USP法)の範囲であってもよいもの;(B)リパーゼ活性が約2,700〜約3,300IUの範囲であってもよく、アミラーゼ活性が約6,400〜約26,300IUの範囲であってもよく、プロテアーゼ活性が約5,000〜約15,400IU(USP法)の範囲であってもよいもの;(C)リパーゼ活性が約4,500〜約5,500IUの範囲であってもよく、アミラーゼ活性が約10,700〜約43,800IUの範囲であってもよく、プロテアーゼ活性が約8,400〜約25,700IU(USP法)の範囲であってもよいもの;(D)リパーゼ活性が約9,000〜約11,000IUの範囲であってもよく、アミラーゼ活性が約21,500〜約87,500IUの範囲であってもよく、プロテアーゼ活性が約16,800〜約51,300IU(USP法)の範囲であってもよいもの;(E)リパーゼ活性が約13,500〜約16,500IUの範囲であってもよく、アミラーゼ活性が約32,100〜約131,300IUの範囲であってもよく、プロテアーゼ活性が約25,000〜約77,000IU(USP)の範囲であってもよいもの;(F)リパーゼ活性が約18,000〜約22,000IUの範囲であってもよく、アミラーゼ活性が約42,900〜約175,000IUの範囲であってもよく、プロテアーゼ活性が約33,500〜約102,600IU(USP)の範囲であってもよいもの;および(G)リパーゼ活性が約22,500〜約27,500IUの範囲であってもよく、アミラーゼ活性が約53,600〜約218,700IUの範囲であってもよく、プロテアーゼ活性が約41,800IU〜約128,300IU(USP)の範囲であってもよいもの。また、本明細書の方法により解析される組成物または剤形中のリパーゼ活性は、約5,000PhEurリパーゼ単位〜約40,000PhEurリパーゼ単位の範囲であってもよく、リパーゼ活性は約5,000PhEurリパーゼ単位でも、あるいは約10,000PhEurリパーゼ単位でも、あるいは約15,000PhEurリパーゼ単位でも、あるいは約20,000PhEurリパーゼ単位でも、あるいは約30,000PhEurリパーゼ単位でも、あるいは約40,000PhEurリパーゼ単位でもよい。

本発明の別の実施形態ではさらに、本手順を用いて上記のアミラーゼ活性の一部を含む単一ユニットを解析してもよい。

本発明の別の実施形態ではさらに、本方法を用いて上記のアミラーゼ活性の一部を含む単一ユニットを解析してもよい。

組成物または剤形中のアミラーゼ活性/リパーゼ活性比は、約1〜約10、たとえば約2.38〜約8.75(酵素アッセイはUSPに従って行う)の範囲であってもよい。この比は、約1〜約8、たとえば約1.86〜約5.13(酵素アッセイはUSPに従い行う)の範囲であってもよいし、あるいはその比は、約1でも、約2でも、約3でも、約4でも、約5でも、約6でも、約7でも、約8でも、約9でも、あるいは約10でもよい。

製品の不活性成分として、クロスカルメロースナトリウム、水素添加ヒマシ油、コロイド状二酸化ケイ素、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロースフタレート、タルクおよびクエン酸トリエチルが挙げられる。Aptalis Pharmaの調製物を1回分服用すると、非常に安定な製剤であるため患者および医師は、一定量の主要な膵酵素リパーゼ、プロテアーゼおよびアミラーゼが得られる。個別に用量を調整するためカプセル剤を開けて中身を分けてもよい。

本発明の別の実施形態、本方法は、(a)固形パンクレリパーゼ組成物から消化酵素を溶出溶媒に放出させるステップと、(b)蛍光を読み取り酵素を検出し、溶媒中の消化酵素の量を測定するステップとを含む。溶出試験は、コンペンディアのUSP法またはEMA法に記載された溶出装置を用いて、または当該分野の専門家に知られ利用されているそうしたすべての装置およびプロトコルを用いて行う。溶出溶媒は、総タンパク質の溶出試験に好適な様々な溶液、たとえば水、HCl溶液、人工胃液、緩衝液、人工腸液、界面活性剤を含む水溶液もしくは緩衝液の中から選択される。緩衝液は、たとえばリン酸塩緩衝液でも、あるいはクエン酸塩緩衝液でもよい

特定の実施形態では、溶出溶媒は、経時的(2段階)に使用される少なくとも2種の溶出溶媒からなる。第1の溶出溶媒は、酸性pH約1〜4.5、特に約1〜約2、より詳細にはpH約1.2を有する水性溶媒であり(酸性段階)、第2の溶出溶媒は、約5.0を超えるpH、特にpH約5.5〜約6.8、より詳細にはpH約6を有する水溶液である(緩衝腸溶性段階)。

本発明の別の実施形態では、第1の溶出溶媒は、pH約1〜約4.5を有する水性溶媒であり、第2の溶出溶媒は、約5を超えるpHを有する水性緩衝液である。

別の実施形態では、第1の溶出溶媒は、pH約1〜約4.5を有する水性溶媒であり、第2の溶出溶媒は、pH約5.5〜約6.8を有する水性緩衝液である。

本発明の別の実施形態では、第1の溶出溶媒は、pH約1〜約2を有する水性溶媒であり、第2の溶出溶媒は、約5を超えるpHを有する水性緩衝液である。

本発明の別の実施形態では、第1の溶出溶媒は、pH約1〜約2を有する水性溶媒であり、第2の溶出溶媒は、pH約5.5〜約6.8を有する水性緩衝液である。

本発明の別の実施形態では、第1の溶出溶媒は、pH約1.2を有する水性溶媒であり、第2の溶出溶媒は、pH約6を有する水性緩衝液である。

さらなる実施形態では、本方法は、a)固形パンクレリパーゼ組成物を第1の溶出溶媒に加えるステップ(酸性段階)と、b)懸濁液を第2の溶出溶媒に移すステップ(腸溶性段階)と、c)消化酵素の放出を引き起こすステップと、d)溶出溶媒のアリコートをサンプリングするステップと、e)346nmで蛍光を読み取るステップと、d)放出された消化酵素の量を算出するステップとを含む。算出は、実施例に報告するように行う。

薬剤製品を溶出試験に供する際に、USPでは「Q」値の算出を求めている。このQ値は表示された力価に相関するものであり、現在の許容基準は、表示されたリパーゼ活性の75%に固定されている。

本発明の蛍光測定法は、酵素活性の測定に専用のものでなくても、酵素溶出プロファイルに十分な相関性を示すもので、したがって総タンパク質の放出が酵素の放出に厳密に相関することが立証される。よって本方法の「Q」値は、以下のように算出することができる:蛍光測定による溶出法のQ」値: 式中、溶出率(%)は放出されたAPIの%であり、分析手順に示したように算出され;バッチリパーゼアッセイはバッチリパーゼ活性であり;表示リパーゼ活性は、薬剤製品のラベルに表示されたリパーゼ活性である。

本明細書に開示された蛍光測定法は、パンクレリパーゼ組成物の緩衝腸溶性段階の溶出試験を行っている間、酵素活性の測定と十分な相関を示し、したがってリパーゼ活性酵素試験を代用する方法と考えられるが、この方法は、リパーゼアッセイの場合と同様に、総タンパク質の蛍光測定が酸の膜透過による影響を受けないので、酸性段階で溶出中に起こる腸溶性(gastroresistance)の問題をまったく検出することができない。リパーゼ活性は、酸性液が保護膜を透過した場合に強く低下する。現在のUSP試験(リパーゼ活性測定)では、酸性段階で乏しいと考えられる腸溶性(gastro−resistance)の作用を、緩衝腸溶性段階で起こるリパーゼの溶出現象および分解現象と共に、緩衝腸溶性段階の溶出の終了時に積算する。

したがって、本発明の別の実施形態は、腸溶性(gastroresistance)試験と組み合わせた蛍光分光法により固形パンクレリパーゼ組成物から溶出溶媒中に放出される消化酵素の量(%)を測定する方法であって、酸性溶媒曝露(酸性段階)後に特定のリパーゼアッセイ法で製品の残存リパーゼ活性を判定することにより腸溶性(gastroresistance)を測定する方法である。この実施形態では、2つの試験(溶出FL試験および腸溶性GR試験)を各々順番に行ってもよい。

FL試験:2段階(酸性および腸溶性)で行われる溶出試験。第1の酸性段階の溶出溶媒は、酸性pH約1〜約4.5、好ましくはpH約1〜約2、好ましくはpH約1.2を有する水性溶媒であり(酸性段階);第2の腸溶性段階では、溶出溶媒は、約5を超えるpH、好ましくはpH約5.5〜約6.8、好ましくはpH約6を有する水性緩衝液である(緩衝腸溶性段階)。腸溶性(gastro−resistance)試験は、酸性pH約1〜約4.5、好ましくはpH約1〜約2、好ましくはpH約1.2を有する水性溶媒で行う。蛍光試験では、腸溶性段階の終了時に放出された消化酵素(APIまたは薬剤)を測定する。許容基準のQ値は、バッチ放出リパーゼ活性/表示リパーゼ活性の比により算出することができる。

GR試験:腸溶性(gastroresistance)試験を、溶出試験の酸性段階の条件下で行い(溶出溶媒は酸性pH約1〜約4.5を有する、特にpH約1〜約2、より詳細にはpH約1.2の水溶液である、リパーゼアッセイ法を用いて酸性溶媒の曝露後の製品の残存リパーゼ活性を判定することにより腸溶性(gastroresistance)(%)を測定し、許容基準は、USPの遅延放出剤形の酸性段階に用いられる許容基準とする。

前述の説明および実験の部から、本蛍光解析法にいくつかの重要な利点があることが理解できよう。

本発明は、簡便かつ迅速な手順を提供するため、試薬調製に要する時間が大幅に短縮され、酵素アッセイに関する特定の解析の専門知識を必要としない。このため、解析法の移行が極めて容易である。提案する本方法は、リパーゼアッセイを行うより簡便かつ迅速であり、試薬調製に要する時間が大幅に短縮される。

マーカー(総タンパク質)は溶出溶媒中で安定であり、したがって、算出には分解を補正する補正係数(リパーゼアッセイ法に必要とされる)を必要としない。実際、蛍光測定でアッセイされるマーカー(総タンパク質)は、37℃、pH6の腸溶性段階の溶媒緩衝液中で30分後に3%未満の分解を示すのに対し、本方法を用いて測定されるリパーゼ酵素活性は、37℃、pH6の腸溶性段階の溶媒緩衝液中で約11%の分解を示す。

また、この新規な方法は正確であり、優れた感度を有するため、定量限界/直線性範囲は、単一ユニットの試験にも好適である。蛍光測定法は、リパーゼアッセイの使用濃度の約1/50である0.3リパーゼUSP単位、約3μgパンクレリパーゼ/mLの使用濃度に関してリパーゼ酵素アッセイより優れた性能特性を示す。直線性範囲は、使用濃度の10〜200%であり、精度は、併行精度および中間精度のどちらも2,0%以下である(パンクレリパーゼ製剤、Zenpep(登録商標)の6種のロットの溶出結果で測定)。

さらに、こうした方法を用いれば、多点(>3)試験溶出プロファイルを得ることもできる。

また、実験の部では、3つの測定方法により得られた溶出プロファイルの比較に基づき、総タンパク質量を検出する本発明の非特異的蛍光手順は、プロテアーゼ活性およびリパーゼ活性に基づく2つの酵素特異的アッセイ(現在のコンペンディアの方法)と性能に関して同等であることも示す。

上記の概要および以下の詳細な説明はどちらも、本発明の説明のためのものであるが、本発明を限定するものではないことが理解されよう。

機器、材料および方法 機器:LS 50B蛍光スペクトロメーター(Perkin Elmer)、LS 55蛍光スペクトロメーター(Perkin Elmer)、Lambda 20 UV−VISスペクトロメーター(Perkin Elmer)、786 Titrando Potentiometric Titration System(Metrohm)、VK−7025溶出槽(Vankel)、Premier 5100溶出槽(Distek)、USP Apparatus 1−バスケット(酸性段階用);USP Apparatus 2−パドル(腸溶性段階用)。

溶出試験用の試薬。酸性段階の溶媒(pH1.2):2.00gの塩化ナトリウムを800mLの精製水に加え、完全に可溶化するまで撹拌する。7mLの37%HClを加え、混合する。溶液のpHを1NのHClまたは1NのNaOHで1.20±0.05に調整する。精製水で1000mLに希釈し、pHを点検し、必要ならば1NのHClまたは1NのNaOHで1.20±0.05に調整する。

溶出試験用の試薬。腸溶性段階の溶媒(pH6.0):9.20gの一塩基リン酸カリウムおよび2.00gの塩化ナトリウムを800mLの精製水に加え、完全に可溶化するまで撹拌する。溶液のpHを1NのNaOHで6.00±0.05に調整する。精製水で1000mLに希釈し、pHを点検し、必要ならば1NのHClまたは1NのNaOHで6.00±0.05に調整する。

例はすべて、腸溶性コーティングされたパンクレリパーゼビーズ、パンクレリパーゼミニ錠剤(MT)あるいはマイクロ錠剤(MCT)を用いて行う。これらは、腸溶性ポリマーヒプロメロースフタレート(HP55)でコーティングされた、パンクレリパーゼ原料と賦形剤(たとえば、クロスカルメロースナトリウム、水素添加ヒマシ油、コロイド状二酸化ケイ素、微結晶性セルロースおよびステアリン酸マグネシウム)とのブレンドである。これらのMTおよびMCTは、HPMCカプセルに入れられ、Zenpep(登録商標)という名称で市販されている。当業者であれば、腸溶性コーティングされたパンクレリパーゼビーズに別の腸溶性ポリマーおよび賦形剤を使用してもよいことが分かるであろう。

脂肪分解活性の測定は、パンクレリパーゼのUSPモノグラフに記載されたリパーゼアッセイのコンペンディアの手順に基づく方法で行う。この手順は、pHスタット法により、基質(オリーブ油)を使用してエステル化脂肪酸の加水分解から形成される遊離脂肪酸を滴定することに基づく。それは、リパーゼがトリグリセリドの加水分解を触媒し、遊離脂肪酸(FFA)が形成されるという原理に基づく。時間に応じて形成されたFFAを滴定すると、リパーゼの酵素活性が判定され、これをユニットで表すことができ、1Uでは1分あたり1μモルのFFAが形成される。この反応は、pH値が固定値と比較して変化するとNaOH(滴定液)を加える実験系により一定のpH値を維持して行う(pHスタット法)。時間に応じて加えた滴定液の量は、トリグリセリドに対するリパーゼの作用により形成されたFFAの量に一致する。好適な量の基質を用いて酵素が安定である実験条件下で作業すれば、時間に応じたFFA形成の線形のカイネティクスを得ることができる。曲線の傾き{加えた滴定液=f(量(mL)/時間(分))}によりリパーゼ酵素活性が得られる。

タンパク質分解活性の測定は、パンクレリパーゼのUSPモノグラフに記載されたコンペンディアの手順に従って行う。

実施例1 薬剤製品の標準液の調製 標準液は、解析中の剤形の中にある薬剤製品の同じロットを用いて調製する。7,000USPリパーゼ単位に相当する量のパンクレリパーゼビーズ(Zenpep(登録商標)ミニタブまたはマイクロタブ)を乳鉢に正確に秤量する。5〜6mLの腸溶性段階の溶媒を加え、製品の完全な分散液が得られるまで粉砕する。この懸濁液を500mLのメスフラスコに移す。乳鉢を数mLの腸溶性段階の溶媒で2〜3回リンスし、液体を500mLのメスフラスコに移す。メスフラスコに腸溶性段階の溶媒を全量が最終的に500mLになるまで加え、混合物を10分間撹拌する。溶出溶媒からサンプリングするアリコートを腸溶性段階の溶媒でさらに1:50に希釈する。この希釈によりAPIの最終濃度は、約0.3USPリパーゼ単位(約3μgのパンクレリパーゼ/mL)になる。この最終希釈は、溶出試験−エンドポイントのみ、および溶出試験−多点(溶出プロファイル)で行う。

実施例2 溶出試験 バスケット装置を備えた溶出槽の各ベッセルに800mLの酸性段階の溶媒を加え、溶出溶媒を37℃で平衡させる。11,200USPリパーゼ単位(14USPリパーゼ単位/mL)に相当する量のパンクレリパーゼビーズ(Zenpepミニタブまたはマイクロタブ)に重みを付加し、こうして6つの独立したサンプルを調製し、バスケットに入れる。装置は100rpmで動作させる。1時間後、バスケットを溶媒から取り出し、数ミリリットルの水でリンスし、各バスケットの内容物を、パドル装置を備えた溶出槽の、腸溶性段階の溶媒800mLを37℃で含む対応するベッセルに移す。装置は100rpmで動作させる。30分後、放出されたAPIを測定するため、各ベッセルの溶出溶媒のアリコートをサンプリングする。溶出プロファイルの判定する際は、腸溶性段階の溶出溶媒の2.5mLのアリコートを10分、12分、15分、18分、30分にサンプリングする。試験中に溶媒の交換は行わず、算出の際には下記の補正係数により量の減少を考慮する。

実施例3 溶出試験において放出された消化酵素(API、活性成分)の蛍光分光法による判定(総タンパク質アッセイ) 実施例2に記載されているような各バスケットからサンプリングされた溶出溶媒の各アリコートを腸溶性段階の溶媒で1:50に希釈する。以下の動作パラメーターで蛍光スペクトロメーターにて希釈溶液を読み取る:光路長1cmの石英キュベット;励起波長:280nm;発光波長(測定):346nm、励起スリット:6.0。エンドポイント:0.3USPリパーゼ単位/mLまたは約3μgのパンクレリパーゼ/mLでマーカーの標的濃度(API=パンクレリパーゼ;100%放出)を以下の計算により得る:

放出されたAPIの量は、実施例1に記載されているように調製された標準液を対象として判定した。

溶出試験−エンドポイントでは、算出は以下の式を用いて行う。

溶出試験−多点(溶出プロファイル)では、算出は以下の式を用いて行う: 式中、ESMPはサンプルのブランクを差し引いた蛍光測定値(346nmの発光);ESTDは標準のブランクを差し引いた蛍光測定値(346nmの発光);WSMPはサンプル重量(mg);WSTDは標準の重量(mg);VSMPはサンプの希釈量(mL);VSTDは標準の希釈量(mL);FCは補正係数である(表1を参照)。

実施例4 蛍光分光法による総タンパク質アッセイのバリデーション試験 溶出試験でパンクレリパーゼ組成物(Zenpep(登録商標)製剤)から放出されたAPIの総タンパク質量の蛍光定量の性能特性を以下のパラメーター:特異性、直線性、正確度、精度、定量限界、サンプルおよび標準液の安定性、標準液の調製における抽出の完全性の証明により評価し、結果を表2に要約する。

得られたバリデーションデータによりここで、パンクレリパーゼ剤形(Zenpep(登録商標)製剤)の溶出試験における総タンパク質量の判定用に提唱した蛍光測定法が目的の用途に好適であることが示される。

実施例5 3つの測定法を用いたパンクレリパーゼビーズ(Zenpep(登録商標)ミニタブの溶出プロファイル:蛍光分光法による(非特異的アッセイ)総タンパク質量、プロテアーゼアッセイ(酵素特異的アッセイ)によるタンパク質分解活性、およびリパーゼアッセイ(酵素特異的アッセイ)による脂肪分解活性 本溶出試験は、上述の方法に従い2.5mLのアリコートを10分、12分、15分、18分、30分にサンプリングすることにより行う(実施例2を参照)。試験中に溶媒の交換は行わない。f2試験によって溶出プロファイルの類似性を証明するため、3つの方法の比較をSUPACアプローチ(Guidance for Industry「SUPAC MR:Modified release solid oral dosage forms.Scale−up and postapproval changes:chemistry,manufacturing,and controls,in vitro dissolution testing,and in vivo bioequivalence documentation」 Center for Drug Evaluation and Research(CDER),September 1997)に従い行う。3つの測定法ごとに必要な数のデータを作成するため、12の独立したサンプル(サンプル=パンクレリパーゼビーズの量、11,200UIに相当するZenpep(登録商標)ミニタブ)を1回につき3サンプルの群で合計4回解析する。

実施例5.1 プロテアーゼアッセイによるパンクレリパーゼビーズ(Zenpep(登録商標)ミニ錠剤)の溶出プロファイル 試験した各時点でのそれぞれの溶出値および全体平均を表3にまとめる。平均曲線を図1に示す。

実施例5.2.リパーゼアッセイによるパンクレリパーゼビーズ(Zenpep(登録商標)ミニ錠剤)の溶出プロファイル 試験した各時点でのそれぞれの溶出値および全体平均を表4にまとめる。平均曲線を図2に示す。算出の際は溶出試験中のリパーゼ分解を補正するため補正係数1.125を使用する。

実施例5.3 総タンパク質量の蛍光定量によるパンクレリパーゼビーズ(Zenpep(登録商標)ミニ錠剤)の溶出プロファイル 試験した各時点でのそれぞれの溶出値および全体平均を表5にまとめる。平均曲線を図3に示す。

実施例5.4 3つの測定法で得られた溶出プロファイルの比較 3つのアッセイ法により各時点で測定されたパンクレリパーゼビーズ(Zenpep(登録商標)ミニ錠剤)の溶出データの平均を表6にまとめる。

3つの溶出プロファイルは、図4a〜cの比較図に示したようにほぼ完全に重なっており、特に、リパーゼアッセイおよび蛍光アッセイの平均曲線は完全に重ね合わすことができ、プロテアーゼ平均曲線が一致しないのは、値>100%を示すエンドポイントでのみである。また、一連の各データのCVも、3つの測定法でよく類似しており、蛍光アッセイの値は小さい。

変更の前後の薬剤製品の性能の同等性を評価するのに使用するSUPACアプローチ(製品の溶出プロファイルを比較するための類似性試験f2)を使用して、現在使用されているもの(リパーゼアッセイ)およびもう一方の酵素特異的測定(プロテアーゼアッセイ)と、Zenpep(登録商標)製剤の溶出試験における総タンパク質の蛍光定量のために新たに提案した方法との同等性を示す。

溶出プロファイルに関する類似性試験f2を適用するため、FDAガイドライン(Guidance for Industry「SUPAC MR:Modified release solid oral dosage forms.Scale−up and postapproval changes:chemistry,manufacturing,and controls,in vitro dissolution testing,and in vivo bioequivalence documentation」 Center for Drug Evaluation and Research(CDER),September 1997;Guidance for Industry−dissolution testing of Immediate Release Solid Oral Dosage Forms,Center for Drug Evaluation and Research(CDER),August 1997)は、以下の満たすべきいくつかの条件を示している: a.各時間間隔で両曲線の平均溶出値(n=12)を使用する、 b.1回のみの測定は、85%溶出時点より後に考慮すべきである、 c.任意のサンプリング時点での溶出プロファイル間の平均差は15%を超えないようにすべきである、 d.平均データの使用を可能にするには、初期の時点での変動係数(%)が20%を超えないようにし、他の時点では10%を超えないようにすべきである。

本溶出データでは要件a、bおよびcは満たされる。しかしながら、(d)を許容するCV値より大きなCV値が、評価対象の全測定法の最初の3つの時点(10分、12分、15分)で観察された。これらの時点で観察された高い変動性は、本溶出試験条件で製剤の100%放出が非常に短時間(30分)で得られることを考慮すれば、第1のサンプリング時間(10分)でアナライトが非常に低濃度であることと、その後の12分および15分の時点の短い範囲の経過時間における製剤の内因性の変動性とで説明することができる。

上記の判断を踏まえて、3つの測定法で観察された類似の変動性が、得られた平均曲線を大きく変更させずに、十分な重なりを示したと想定してf2試験をとにかく適用する。次いで、SUPACの要件を完全に満たすデータを用いてもf2試験に合格するかどうかを検証するため、最後の3時点(15分、18分、30分)を考慮してさらに評価を行う。

実施例5.4.1.比較:蛍光定量内容とリパーゼアッセイ 蛍光定量とリパーゼアッセイ(標準)の溶出プロファイルに関するf2試験は、全時点を考慮すると2本の曲線間で87.4%の類似性を示したのに対し、最後の3時点について算出すると類似性は83.3%であった。

実施例5.4.2.比較:総タンパク質量の蛍光定量とプロテアーゼアッセイ 蛍光定量とプロテアーゼアッセイ(標準)の溶出プロファイルに関するf2試験は、全時点を考慮したときに2本の曲線間で72.3%の類似性を示したのに対し、最後の3時点について算出すると類似性は68.6%であった。一般に、f2値が50を超える(50〜100)と、2本の曲線の同一性または同等性、したがって試験の性能の同一性または同等性が保証される。よって、f2試験によって溶出プロファイルの比較で得られた結果によれば、総タンパク質量の蛍光定量は、パンクレリパーゼ製剤(Zenpep(登録商標)製剤)の溶出試験におけるAPI放出の測定において、あらゆる点で酵素特異的方法と同等であるということができる。

実施例6 バリデーションデータの比較 新しい蛍光試験と既知の認められたリパーゼ活性酵素アッセイ(USP法)と間の比較を完全なものにするため、表7を示す。

実施例7 パンクレリパーゼビーズに対する蛍光分光法による溶出試験。 さらに、異なる製剤の力価を有するCreon(登録商標)という名称で市販されている他のパンクレリパーゼ製剤を用いて上記の例に記載されているような蛍光解析法を行う。その結果をZenpep(登録商標)として市販されているパンクレリパーゼビーズで得られた結果と比較し、図5に報告する。挙動の差は、製剤の力価の差および2つの製剤(Zenpep(登録商標)、Creon(登録商標))の粒子の表面積の差と一致する。力価の異なるZenpep(登録商標)には、2つのビーズサイズが使用されており、5,000UIカプセル剤の中にはより速い溶出プロファイルを示す小さい方のサイズ(平均直径約1.8mm)が使用される一方、20,000UIカプセル剤の中には大きい方のサイズ(平均直径約2.4)が使用されている。Creon(登録商標)ビーズは、平均直径約1mmであるが、Zenpep(登録商標)ビーズより著しく不規則であり、したがってZenpep(登録商標)より速い溶出プロファイルを示すが、バッチ間の再現性が低い(Creon(登録商標)の力価はすべて同じ顆粒を使用する)。

実施例8 腸溶性試験(gastro−resistance)と組み合わせた溶出試験:FL試験とGR試験 FL試験:蛍光測定による溶出試験 バスケット装置(USP Apparatus 1−バスケット)を備えた溶出槽の各ベッセルに800mLの酸性段階の溶媒を入れ、溶出溶媒(酸性段階)を37℃で平衡させる。11,200USPリパーゼ単位(10カプセルのZenpep(登録商標)ミニタブまたはマイクロタブ)に相当する量のパンクレリパーゼビーズを秤量し、Apparatus 1の各バスケットに移す。装置は100rpmで動作させる。1時間後、バスケットを溶媒から取り出し、数ミリリットルの水でリンスし、各バスケットの内容物を、パドル装置(USP Apparatus 2)を備えた溶出槽の、腸溶性段階の溶媒800mLを37℃で含む溶出ベッセルに移す。装置は100rpmで動作させる。30分後10mL分の試験中の溶液を取り出し、試験管に移し、室温で平衡させる。腸溶性段階の溶媒でさらに希釈を行い、適切な濃度(約0.3USP単位/mL)を得る。溶液を氷水浴に保存し、読み取る前に手で振盪する。希釈溶液は、以下の動作パラメーターを用いて蛍光スペクトロメーターで読み取る:光路長1cmの石英キュベット;励起波長:=280nm;発光波長(測定)=346nm;励起スリット:=6.0。

希釈試験溶液におけるマーカー(API=パンクレリパーゼ;100%放出)の標的濃度は0.3USPリパーゼ単位/mLである。

標準液は、実施例1に記載されているように調製し、読み取るまで撹拌しながら氷水浴中に保存する。

パンクレリパーゼ固形組成物からの薬剤の放出量は、以下の通り算出する。

バルクミニタブ/マイクロタブの算出は下記式で行う。

カプセル剤の算出は下記式で行う。 式中、LCはサンプルの蛍光測定値(346nmの発光)であり;LSは標準の蛍光測定値(346nmの発光)であり;PSは標準の重量(mg)であり;PCはサンプル重量(mg)であり;USは標準の力価(リパーゼUSP単位/mg、バッチリパーゼアッセイ)であり;PMはカプセル内容物の平均重量(mg/カプセル)であり;ULは個々の投薬単位中のリパーゼの表示内容物(USP単位/カプセル)であり;VCはサンプルの希釈量(mL)であり;VSは標準の希釈量(mL)である。

GR試験:腸溶性(Gastroresistance)試験(リパーゼアッセイによる) 800mLの酸性溶媒を、バスケット装置を備えた溶出槽の各ベッセル(USP Apparatus 1−バスケット)に入れ、次いで溶出溶媒を37℃で平衡させる。11,200USPリパーゼ単位(10カプセルのZenpep(登録商標)ミニタブまたはマイクロタブ)に相当する量のパンクレリパーゼビーズを秤量し、Apparatus 1の各バスケットに移す。装置は100rpmで動作させる。1時間後、バスケットを溶媒から取り出し、4℃の冷精製水900mLを含む1,000mLのビーカーにバスケットを浸漬して短時間(約5秒間)サンプルをリンスし、リンス溶媒を交換することなく、この工程を3回繰り返す。各バスケットの内容物をセラミック乳鉢に定量的に移し、5〜6mLの冷精製水を加える。サンプルの完全な分散液が得られるまでサンプル粉砕し、定量的に200mLのメスフラスコに集め、乳鉢の窪みをリンスする。この工程を2〜3回繰り返す。最終全量になるまで精製水を加える。適切な濃度(約14USP単位/mL、製品の100%の腸溶性(gastroresistance)を想定して利用できる理論的最高濃度)を得るため冷精製水でさらに希釈を行う。サンプル溶液は、滴定の直前に調製し、撹拌しながら氷水浴中に保存する。

標準液は以下の通り調製する:6,000USP単位に相当する量のUSPパンクレアチンリパーゼRS、またはパンクレリパーゼの測定用標準に正確に重みを付加し、セラミック乳鉢に加え、約5〜6mLの精製水を加え、その後粉砕する。乳鉢の液体を500mLのメスフラスコに注ぎ、乳鉢をさらにリンスする。この作業を2〜3回繰り返す。最終全量になるまで精製水を加える。標準液は、滴定の直前に調製し、撹拌しながら氷水浴中に保存する。

標準液の最終濃度は、約12.0USP単位リパーゼ/mLである。

リパーゼアッセイの場合:30mLの基質エマルジョン(37°±0.1℃)を滴定装置のジャケット付きベッセルに注ぎ、マグネチックスターラーにより撹拌し、温度を37°±0.1℃に維持する。0.1NのNaOHを加えて電位差滴定によりpHを9.20〜9.23に調整する。1.0mLのサンプルまたは標準液を加え、続いて0.1NのNaOHを5分加えてpHを9.0に維持する。

算出は、以下の式を用いて行う: 式中、VMCはサンプルにより1分あたりに消化される0.1NのNaOHの量(mL/分)であり;AVMSは標準により1分あたりに消化される0.1NのNaOHの平均量(mL/分)であり;PCはサンプルの重量(mg)であり、PSは標準の重量(mg)であり;DCはサンプルの希釈量(mL)であり;DSは標準の希釈(mL)であり;USは標準の力価(リパーゼUSP単位/mg)であり;UCはバッチリパーゼアッセイ(USPリパーゼ単位/mg)である。

USP,<711> dissolution−Delayed Release forms(acid stage),Acceptance Table 3による許容基準は以下の通りである: レベル1許容基準:個々のユニットのGR%は90%以下である; レベル2許容基準:12ユニット(レベル1が6ユニット、レベル2が6ユニット)のGRの平均値は90%未満であり、各ユニットは75%より低い; レベル3許容基準:24ユニット(レベル1が6ユニット、レベル2が6ユニット、レベル3が12ユニット)のGRの平均値は90%未満であり、各ユニットは75%より低い。

上記に報告したすべてのデータおよび考察に基づき、パンクレリパーゼビーズの溶出試験で放出される消化酵素のマーカーとしての総タンパク質量の蛍光測定は、リパーゼ活性のアッセイに基づき現在許容されているコンペンディアの測定法に代わる、信頼性が高く有利な測定法である。

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