Cancer profile

申请号 JP2003558209 申请日 2003-01-09 公开(公告)号 JP2005532036A 公开(公告)日 2005-10-27
申请人 祐輔 中村; 保行 大西; 豊雅 片桐; 理化学研究所; 发明人 祐輔 中村; 保行 大西; 豊雅 片桐;
摘要 本発明は、遺伝的プロフィールおよび癌のマーカーに関し、特定の患者および癌のタイプに有効である薬物をスクリーニングするための系および方法を提供する。 特に本発明は、個々の癌にカスタマイズされた個人化された治療を提供する。
权利要求
  • a)癌であると診断された被検者からの試料を提供する段階;および
    b)該試料についての薬物感受性プロフィールを作成する段階を含む方法であって、該薬物感受性プロフィールを作成する段階が、
    からなる群より選択される2つ以上の薬物感受性遺伝子の発現レベルを検出することを含む方法。
  • 薬物感受性プロフィールが、1つまたは複数の薬物の薬物感受性スコアを含む、請求項1記載の方法。
  • 薬物が癌化学療法薬である、請求項2記載の方法。
  • 薬物が、5FU、ACNU、ADR、CPM、DDP、MMC、MTX、VCR、およびVLBからなる群より選択される、請求項3記載の方法。
  • 薬物感受性プロフィールの作成に基づいて治療行動方針を決定する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
  • 治療行動方針が、被検者への投与のための癌化学療法薬の選択を含む、請求項5記載の方法。
  • 1つまたは複数の薬物感受性遺伝子の発現レベルを検出することが、該薬物感受性遺伝子から発現されるmRNAのレベルを検出することを含む、請求項1記載の方法。
  • 薬物感受性遺伝子から発現されるmRNAのレベルを検出することが、該mRNAを該mRNAに相補的な核酸プローブに曝露することを含む、請求項7記載の方法。
  • 薬物感受性遺伝子から発現されるmRNAのレベルを検出することが、INVADERアッセイ法を行うことを含む、請求項7記載の方法。
  • 1つまたは複数の薬物感受性遺伝子の発現レベルを検出することが、薬物感受性遺伝子から発現されるポリペプチドのレベルを検出することを含む、請求項1記載の方法。
  • 薬物感受性遺伝子から発現されるポリペプチドのレベルを検出することが、該ポリペプチドを該ポリペプチドに特異的な抗体に曝露すること、および該ポリペプチドに対する該抗体の結合を検出することを含む、請求項10記載の方法。
  • 被検者がヒト被験者を含む、請求項1記載の方法。
  • 試料が腫瘍組織を含む、請求項1記載の方法。
  • 被検者の癌を特徴分析するためのキットであって:
    a)
    からなる群より選択される2つ以上の薬物感受性遺伝子の発現レベルを特異的に検出することができる試薬;並びに
    b)該被検者の癌を特徴分析するための該キットを使用するための説明書。
  • 試薬が、薬物感受性遺伝子から発現されるmRNAに相補的な核酸プローブを含む、請求項14記載のキット。
  • 試薬が、薬物感受性遺伝子から発現されるポリペプチドに特異的に結合する抗体を含む、請求項14記載のキット。
  • 説明書が、インビトロ診断製品に使用するために、米国食品医薬品局によって要求される説明書を含む、請求項14記載のキット。
  • 化合物をスクリーニングする方法であって、
    a)i)既知の薬物感受性プロフィールを含む癌試料であって、該薬物感受性プロフィールが、
    からなる群より選択される2つ以上の薬物感受性遺伝子の発現レベルを含む、癌試料;および、
    ii)複数の試験化合物を提供する段階;並びに
    b)該癌の治療における該試験化合物の有効性を決定する段階を含む方法。
  • 癌の治療における試験化合物の有効性が、該試験化合物が腫瘍の増殖を遅らせる能力を含む、請求項18記載の方法。
  • 癌の治療における試験化合物の有効性が、該試験化合物が該癌の転移を防止する能力を含む、請求項18記載の方法。
  • 試験化合物が既知の癌化学療法薬である、請求項18記載の方法。
  • 試験化合物が癌治療薬候補である、請求項18記載の方法。
  • 癌試料中の1つまたは複数の薬物感受性遺伝子の発現レベルに対する試験化合物の効果を決定する段階をさらに含む、請求項18記載の方法。
  • 1つまたは複数の薬物感受性遺伝子の発現レベルを検出する段階が、該薬物感受性遺伝子から発現されるmRNAのレベルを検出することを含む、請求項23記載の方法。
  • 薬物感受性遺伝子から発現されるmRNAのレベルを該検出することが、該mRNAに相補的な核酸プローブに該mRNAを曝露することを含む、請求項24記載の方法。
  • 薬物感受性遺伝子から発現されるmRNAのレベルを検出することが、INVADERアッセイ法を行うことを含む、請求項24記載の方法。
  • 1つまたは複数の薬物感受性遺伝子の発現レベルを検出する段階が、薬物感受性遺伝子から発現されるポリペプチドのレベルを検出することを含む、請求項23記載の方法。
  • 薬物感受性遺伝子から発現されるポリペプチドのレベルを検出する段階が、該ポリペプチドに特異的な抗体に該ポリペプチドを曝露すること、および該ポリペプチドに対する該抗体の結合を検出することを含む、請求項27記載の方法。
  • 说明书全文

    本出願は、2002年1月9日に出願された米国特許仮出願第60/346,952号の優先権を主張し、その全体が本明細書に参照として組み入れられる。

    発明の分野 本発明は、癌の遺伝子プロフィールおよびマーカーに関連し、特定の患者に有効な薬物および癌のタイプをスクリーニングするために系および方法を提供する。

    発明の背景 抗癌薬の有効性は、個々の患者の間で広く変化する。 大部分の癌患者は、化学療法の副作用に苦しむが、腫瘍退縮に関して有効な反応を示さない。 ER陽性の乳癌患者のためのタモキシフェン治療などのわずかな例外はあるが、現在、治療前の有効性の予測を行うことができない。 多くの研究者が、化学感受性を予測するための診断法を確立することを試みており、わずかなマーカーが同定されている(Furukawaら、Clin Cancer Res. 1: 305-11 [1995]; Salongaら、Clin Cancer Res. 6: 1322-7 [2000]; Uedaら、J Biol Chem. 262:505-8 [1987]; Turtonら、Oncogene. 20: 1300-6 [2001])。 しかし、癌細胞の性質は、癌細胞の中に発現される全ての遺伝子産物の複雑な相互作用によって決定され、アポトーシス、DNA修復、並びに薬物の代謝および解毒に関与する酵素を含む多くのタンパク質が個々の反応に影響を及ぼすことは確かである。 それゆえに、治療を始める前に非応答者から応答者を区別するために、すなわち、より有効な化学療法の「個人化された」プログラムを提供するために、更に、不必要な副作用から患者を救うために、遺伝子のより大規模なセットを、正確な予測的なマーカーとして役立つように同定するべきである。

    発明の概要 本発明は、癌の遺伝子プロフィールおよびマーカーを提供し、特定の患者に有効な薬物および癌のタイプをスクリーニングするための系および方法を提供する。

    したがって、一部の態様において、本発明は、癌であると診断された被検者からの試料を提供すること;および該試料についての薬物感受性プロフィールを作成すること;を含む方法を提供する。 一部の態様において、薬物感受性プロフィールを作成することは、1つまたは複数の薬物感受性遺伝子の発現レベルを検出することを含む(たとえば、

    を含むが、限定されない)。 一部の態様において、薬物感受性プロフィールは、1つまたは複数の薬物の薬物感受性スコアを含む。 一部の態様において、薬物は、癌化学療法薬である(たとえば、5FU、ACNU、ADR、CPM、DDP、MMC、MTX、VCR、およびVLBを含むが、限定されない)。 一部の態様において、本方法は、薬物感受性プロフィールに基づいて治療行動方針を決定する段階をさらに含む。 一部の態様において、治療行動方針は、被検者に対して投与するための癌化学療法薬の選択を含む。 一部の態様において、1つまたは複数の薬物感受性遺伝子の発現レベルを検出することは、薬物感受性遺伝子から発現されるmRNAのレベルを検出することを含む。 一部の態様において、薬物感受性遺伝子から発現されるmRNAのレベルを検出することは、mRNAに相補的な核酸プローブにmRNAを曝露することを含む。 その他の態様において、薬物感受性遺伝子から発現されるmRNAのレベルを検出することは、INVADERアッセイ法を行うことを含む。 さらなる一部の態様において、1つまたは複数の薬物感受性遺伝子の発現レベルを検出することは、薬物感受性遺伝子から発現されるポリペプチドのレベルを検出することを含む。 一部の態様において、薬物感受性遺伝子から発現されるポリペプチドのレベルを検出することは、ポリペプチドに特異的な抗体にポリペプチドを曝露すること、およびポリペプチドに対する抗体の結合を検出することを含む。 一部の態様において、被検者はヒト被験者を含む。 特定の態様において、試料は、腫瘍組織を含む。

    本発明は、加えて、被検者の癌を特徴分析するためのキットであって、1つまたは複数の薬物感受性遺伝子の発現レベルを特異的に検出することができる試薬;および、被検者の癌を特徴分析するためにキットを使用するための説明書を提供する。 一部の態様において、薬物感受性遺伝子は、

    を含む群より選択されるが、これらに限定されない。 一部の態様において、試薬は、薬物感受性遺伝子から発現されるmRNAに相補的な核酸プローブを含む。 その他の態様において、試薬は、薬物感受性遺伝子から発現されるポリペプチドに特異的に結合する抗体を含む。 一部の態様において、説明書は、インビトロ診断製品に使用するために、米国食品医薬品局によって要求される説明書を含む。

    本発明は、化合物をスクリーニングする方法であって、既知の薬物感受性プロフィールを含む癌試料を提供すること;複数の試験化合物;および癌の治療における試験化合物の有効性を決定することを含む方法をさらに提供する。 一部の態様において、薬物感受性プロフィールは、1つまたは複数の薬物感受性遺伝子の発現レベルを含む(たとえば、

    を含むが、これらに限定されない)。 一部の態様において、癌の治療における試験化合物の有効性は、試験化合物が腫瘍の増殖を遅らせる能を含む。 その他の態様において、癌の治療における該試験化合物の有効性は、試験化合物が癌の転移を防止する能力を含む。 一部の態様において、試験化合物は、既知の癌化学療法薬である。 その他の態様において、試験化合物は、癌治療約候補である。 一部の態様において、本方法は、癌試料中の1つまたは複数の薬物感受性遺伝子の発現レベルに対する試験化合物の効果を決定する段階をさらに含む。 一部の態様において、1つまたは複数の薬物感受性遺伝子の発現レベルを検出することは、薬物感受性遺伝子から発現されるmRNAのレベルを検出することを含む。 一部の態様において、薬物感受性遺伝子から発現されるmRNAのレベルを検出することは、mRNAに相補的な核酸プローブにmRNAを曝露することを含む。 その他の態様において、薬物感受性遺伝子から発現されるmRNAのレベルを検出することは、INVADERアッセイ法を行うことを含む。 さらなる一部の態様において、1つまたは複数の薬物感受性遺伝子の発現レベルを検出することは、薬物感受性遺伝子から発現されるポリペプチドのレベルを検出することを含む。 一部の態様において、薬物感受性遺伝子から発現されるポリペプチドのレベルを検出することは、ポリペプチドに特異的な抗体にポリペプチドを曝露すること、およびポリペプチドに対する抗体の結合を検出することを含む。

    本発明の一般的な説明 癌化学療法に関して解決されるべき最も重要な問題のうちの1つは、個々の患者に対する抗癌薬の有効性または毒性を予測するための方法を確立する必要があることである。 化学感受性に関与する遺伝子を同定するために、本発明の方法では、9種のヒト器官に由来する85の癌異種移植片のパネルで発現プロフィールを解析するために、23,040の遺伝子を表すcDNAマイクロアレイ(たとえば、Rossら、Nat Genet. 24: 227-35 [2000]; Scherfら、Nat Genet. 24: 236-44 [2000]を参照されたい)を使用した。 異種移植片をヌードマウスに移植して、9種の抗癌薬(VLB、ビンブラスチン;VCR、ビンクリスチン;CPM、シクロホスファミド;5FU、5-フルオロウラシル;MMC、マイトマイシン;ADR、アドリアマイシン;MTX、メトトレキセート;ACNU、3-[(4-アミノ-2-メチル-5-ピリミジル)メチル]-1-(2-クロロエチル)-1-ニトロソウレアヒドロクロリド;およびDDP、シスプラチン)に対する感受性を検査した。 発現レベルが化学感受性と有意に相関したことが同定された1578の遺伝子のそれぞれの薬物に対する感受性について、腫瘍の遺伝子発現プロフィールを比較し;これらの遺伝子のうちの333個は、2つ以上の薬物と有意な相関を示し、32個が、6または7つの薬物と相関した。 これらのデータは、個々の患者のために「個人化した化学療法」の選択を提供する薬物感受性についての予測的なマーカーを同定するための、並びに化学剤に対する腫瘍細胞の後天性の抵抗性を克服するための新たな薬物の開発のための、有用な情報を提供する。

    個々の腫瘍の化学感受性を予測する分子マーカーを同定するために、9種の抗癌薬のうちの1つでそれぞれのマウスを処理した後に、ヌードマウスにおいて85人のヒト癌異種移植片の遺伝子発現プロフィールを解析した(Tashiroら、Cancer Chemother Pharmacol. 24: 187-92 [1989]; Inabaら、Jpn J Cancer Res. 79: 517-22 [1988]; Maruoら、Anticancer Res. 10: 209-12 [1990];Inabaら、Cancer. 64: 1577-82 [1989])。 抗癌薬の代謝および輸送は、両方の種で必ずしも同じであるというわけではないが、マウスのモデルでは、検査した全てのマウスにおいて同様の濃度で薬物の有効性を調査することができる。 さらに、臨床的な場合では不可能であるが、異種移植片モデルでは、反復および再現性実験を行うことができる。 たとえば、薬物療法を伴うか、または伴わない、同じ異種移植された腫瘍を比較することによって特定の薬物の有効性についての情報を得ることができる。 他方、臨床的な場合には、腫瘍の大きさの変化に基づいて抗癌薬の有効性を推測しなければならないが、腫瘍の増殖速度は、患者間で有意に変化するために、時に判断することが非常に困難である。 蓄積された証拠では、異種移植片での化学感受性が臨床成績とよく一致することを示し(Tashiroら、Cancer Chemother Pharmacol. 24: 187-92 [1989]; Inabaら、Jpn J Cancer Res. 79: 517-22 [1988])、遺伝子発現と比較して化学感受性に関して情報を得るために、動物モデルは優れた効果を有する。

    本発明の開発の経過の間に行った実験では、非小細胞癌および胃癌に由来する異種移植片が多くの枝に分布されることを示した。 臨床病理学的な特徴に関して、非小細胞肺癌腫に由来する11の異種移植片は、7つの大細胞型癌腫、2つの扁平上皮癌(QG56、Lu61)、および2つの乳頭腺癌(LC11,LC17)からなっていた。 遺伝子発現に基づいて樹状図を構築したときに、乳頭腺癌および肺の扁平上皮癌に由来する全ての異種移植片が、同じ枝にクラスター形成していたが、大細胞型肺癌腫由来の7つの異種移植片のうちの4つは、非小細胞肺癌腫と同じ枝にクラスター形成しており、その他は点在していた。 同様に、胃癌に由来する異種移植片は、異なるいくつかの枝にあることから、大細胞型肺癌および胃癌の臨床病理学的な特徴は、比較的不均質であることを示唆する(Tahara, Cancer. 75: 1410-7 [1995];Mackay ら、Ultrastruct Pathol. 13: 561-71 [1989])。 遺伝子発現に基づいた腫瘍試料のクラスター形成解析により、個々の癌を詳細に診断することができる。 さらに、現在、多数の癌組織を探索することによる遺伝子発現に基づいた新しいタイプの分類法を認識し、したがって癌治療の現在の方法を改善することができる(Alizadeh, Nature 403: 503-11 [2000])。

    多くの研究者が、癌細胞の化学感受性に関連した調節因子の可能性のあるものを報告しているが(Chenら、Cell. 47: 381-9 [1986])、利用できる情報は、非常に制限されたままである。 本発明の開発の間に行ったピアスン相関分析により、85の異種移植片での抗癌薬に対する感受性と関係した何百もの候補遺伝子を同定した。 また、表2に一覧を示したいくつかの遺伝子は、その他のものによる化学感受性とこれらが関係することを示しており、解析の信頼性を支持している。 たとえば、別の研究では、アドリアマイシンの分子標的であるトポイソメラーゼII-α(TOP2A)の発現レベルが、その薬物に対する感受性とポジティブに相関することを示しているが(Kawanamiら、Oncol Res. 8: 197-206 [1996];Ramachandranら、Biochem Pharmacol. 45: 1367-71 [1993]);本発明のデータも、85の異種移植片の間で、TOP2Aの発現とアドリアマイシンに対する感受性との間にポジティブな相関(r=0.44、p<0.001)を示した。 同様に、5-FUを5-フルオロ-dUMPに不活性化するチミジル酸合成酵素(TYMS)の多量の発現は、5-FUに対する大腸癌細胞の抵抗性と相関することが報告された(Johnstonら、Cancer Res. 55: 1407-12 [1995])。 本発明のデータは、TYMSの発現レベルと5FUに対する感受性との間に一貫してネガティブな相関を示した(r=-0.29、p<0.01)。 加えて、腫瘍細胞のCPMに対する抵抗性に関与するアルデヒド脱素酵素1(ALDH1)は、以前の報告(Chen および Waxman, Biochem Pharmacol. 49: 1691-701 [1995])と一致して、CPM(r=-0.5、p<0.001)に対する感受性にネガティブに相関した。 また、本発明を使用して得られたデータにより、特定の器官の癌での化学感受性と関係した遺伝子を同定した(表1)。

    2つ以上の抗癌薬との相関を示す遺伝子の中で、32個が、6または7種の薬物に感受性と相関しており;このような多くの関連は、1〜5種の薬物に相関を示したその他の遺伝子のものよりも意味がある可能性が高く、これらの32個の遺伝子またはこれらの産物は、化学感受性の診断のための有用な分子であり、並びに化学剤に対する腫瘍細胞の後天性の抵抗性を克服するための新規薬物の開発のための好適な標的となるはずである。 リストに載っている32個の遺伝子の中で、いくつかはすでに化学感受性と関係することが示されている。 たとえば、VLBを除く、ここで試験した全ての薬物のネガティブ調節因子である主要円蓋タンパク質(MVP)は、正常な円蓋構造に必須である。 本発明によって得られたデータと一致して、Kitazonoら(Kitazonoら、J Natl Cancer Inst. 91: 1647-53 [1999])は、MVPがアドリアマイシン、ビンクリスチン、VP-16、タキソール、およびグラミシジンDに対する抵抗性に関与することを示し;このタンパク質は、SW-620ヒト大腸癌細胞株の核と細胞質との間のアドリアマイシン輸送において重要な役割を有すると思われる(Kitazonoら、J Natl Cancer Inst. 91: 1647-53 [1999]; Schroeijersら、Cancer Res. 60: 1104-10 [2000];Schroeijersら、Am J Pathol. 152: 373-8 [1998])。 チトクロームP450サブファミリー3A(ヘム-チオレートモノオキシゲナーゼ)のメンバーのCYP3A5は、NADPH依存的な電子伝達経路に関与する。 この遺伝子の産物は、種々の生体異物を酸化し、これらの解毒に関与している(Huangら、Drug Metab Dispos. 24: 899-905 [1996]; Schuetzら、Mol Pharmacol. 49: 311-8 [1996])。 また、CPT-11の代謝においても役割を果たしている(Santosら、Clin Cancer Res. 6: 2012-20 [2000])本発明は、特定の機構に限定されない。 実際に、本発明の機構の理解は、本発明を実施するために必要とされない。 それでもなお、CYP3A5の発現増加が抗癌薬の解毒および失活を増強し、癌細胞に対して薬物抵抗性を与えるかもしれないことが想定される。 UGT1A1に関して、CPT-11解毒経路におけるその意義が報告されている(Innocentiら、Drug Metab Dispos. 29: 596-600 [2001])。 本発明の開発の間に得られたデータは、その他の抗癌薬の代謝経路におけるUGT1A1の重要な役割を支持する。 ガレクチン4(LGALS4)は、接着接合部の構築および消化系のいくつかの癌の悪性潜在性の増加(Kondohら、Cancer Res. 59: 4990-6 [1999]; Lotanら、Carbohydr. Res. 213: 47-57 [1991])に関与する。 LGALS4の発現は、対応する原発腫瘍よりも、転移巣で非常にアップレギュレートされる(前記Lotanら)。 加えて、TNFRSF14、ラミニン、β3(LAMB3)、ギャップ結合タンパク質、β1(GJB1)、およびCD74抗原(CD74)などの細胞表面受容体または細胞接着分子をコードする遺伝子は、薬物抵抗性を克服するための新規薬物の開発のための標的となることが考えられる。 多剤抵抗性タンパク質が多種多様な抗癌薬に対する抵抗性に関係することが示唆されている(Borstら、J Natl Cancer Inst. 92: 1295-302 [2000])。 本発明のcDNAマイクロアレイは、ABC結合カセット(サブファミリーB(MDR/TAP))に属する7つの遺伝子を含む。 これらの中で、MDR4の発現レベルは、5FUおよびVLB(p<0.01)に対する感受性に有意に相関し、MDR3の発現レベルは、5FU(p<0.01)に対する感受性に相関し、また、MDR9の発現レベルは、MMC(p<0.05)に対する感受性に相関した。

    本発明の開発の間に行った実験により、その発現の減少が癌細胞の化学的抵抗性を誘導する可能性が高い2つの遺伝子として、サイクリンB1(CCNB1)およびベンズイミダゾールによって阻害されない発芽1、beta(budding uninhibited by benzimidazole1:BUB1B)を選択した。 両遺伝子の発現は、細胞周期依存的であり、G2/M相で検出可能である(Sugiyamaら、Cancer Res. 59: 4406-12., [1999]; Davenportら、Genomics. 55: 113-7 [1999])。 多くの抗癌薬が、G2/Mでの停止を誘導するが(BarlogieおよびDrewinko, Eur J Cancer. 14: 741-5 [1978]; RaoおよびRao, J Natl Cancer Inst. 57: 1139-43 [1976])、これらの2つの遺伝子の発現の減少による細胞周期停止の抑止により、抗癌薬によって引き起こされるストレスに癌細胞が生き残ることができるかもしれないと考えられる。 発現レベルが2つ以上の薬物に対する感受性に有意な相関を示した遺伝子のリストには、生物学的におよび医学的に興味深いものを含む。 5つの薬物と有意な関連を示したGPX2は、クロランブシルおよびメルファランから癌細胞を保護することが報告された(Leyland-Jonesら、Cancer Res. 51: 587-94 [1991])。 DNA修復に関連した遺伝子のMSH6(Mut-S相同体6)およびBARD1(BRCA1結合RINGドメイン1)、または細胞周期の調節に関与するサイクリンD1(CCNDI)およびE1(CCNE1)も、DNA損傷または薬物感受性に対する応答に関係していた(Kornmannら、Cancer Res. 59: 3505-11 [1999]; Smith および Seo, Anticancer Res. 20: 2537-9 [2000])。

    一部の態様において、本発明は、それぞれの抗癌薬に対する感受性に関連した数百の遺伝子の発現レベルの値(表1)を使用して「薬物感受性スコア」を算出するためのアルゴリズムを提供する。 本明細書に示されたデータは、化学感受性の診断における使用が見られる遺伝子を提供する。 一部の態様において、薬物感受性スコアは、「個人化した医薬用製剤」または個々の癌の場合に対する適切な治療での使用に利用される。 臨床的な調査では、腫瘍の薬物抵抗性を克服するための分子標的をさらに定義する。 したがって、本発明は、より有効であり、かつより有害でない抗癌薬による「個人化した化学療法」を提供する方法、および薬物抵抗性に関係する薬物の調節を介して治療の有効性の改善を提供する。

    定義 本発明の理解を容易にするために、多くの用語および表現を下記に定義する:

    本明細書に使用される「エピトープ」という用語は、特定の抗体との接触を行う抗原のその部分をいう。

    タンパク質またはタンパク質の断片が宿主動物を免疫するために使用されるときに、タンパク質の多くの領域は、タンパク質の所与の領域または三次元構造に特異的に結合する抗体の産生を誘導でき;これらの領域または構造を「抗原決定基」と称する。 抗原決定基は、抗体に対する結合について、無処理の抗原(すなわち、免疫応答を誘発するために使用される「免疫原」)と競合してもよい。

    「特異的な結合」または「特異的に結合する」という用語は、抗体とタンパク質またはペプチドの相互作用について言及するために使用される場合、相互作用が、タンパク質上の特定の構造(すなわち、抗原決定基またはエピトープ)の存在に依存的であること意味し;換言すれば、抗体は、一般にタンパク質ではなく特異的なタンパク質構造を認識して結合する。 たとえば、抗体がエピトープ「A」に特異的な場合、ラベルされた「A」を含む反応にエピトープA(または、フリーのラベルされていないA)を含むタンパク質および抗体が存在すると、抗体に結合されるラベルされたAの量が減少すると考えられる。

    本明細書において使用されるものとして、「非特異的な結合」および「バックグラウンド結合」という用語は、抗体とタンパク質またはペプチドの相互作用に関して使用される場合、特定の構造の存在に依存的でない相互作用をいう(すなわち、抗体は、一般にエピトープなどの特定の構造ではなく、タンパク質に結合する)。

    本明細書において使用されるものとして、「被検者」という用語は、特定の治療のレシピエントであるヒト、非ヒト霊長類、齧歯類などを含む任意の動物(たとえば、哺乳類)をいうが、これらに限定されない。 典型的には、「被検者」および「患者」という用語は、本明細書において、ヒト被験者に関して交換可能に使用される。

    本明細書において使用されるものとして、「被検者の癌を特徴分析する」という用語は、良性の、前癌性の、または癌性の組織の存在、癌の段階、および被検者の予後を含む、被検者の癌試料の1つまたは複数の性質を同定することをいうが、これらに限定されない。 癌は、本明細書に開示した薬物感受性遺伝子を含む1つまたは複数の癌マーカー遺伝子の発現を同定することによって特徴分析してもよいが、これに限定されない。 一部の態様において、癌を特徴分析することは、癌の薬物感受性プロフィールを決定することをさらに含む。

    本明細書において使用されるものとして、「薬物感受性プロフィール」という用語は、たとえば癌または腫瘍の薬物感受性プロフィールに関して、1つまたは複数の薬物(たとえば、化学療法剤)に対する癌の感受性をいう。 好ましい態様において、薬物感受性プロフィールは、癌または腫瘍の治療に一般に使用される多剤についての薬物感受性の情報を含む。 一部の態様において、薬物感受性プロフィールは、特定の遺伝子(たとえば、「薬物感受性遺伝子」)の発現レベルを測定することによって決定される。

    本明細書において使用されるものとして、「薬物感受性遺伝子」という用語は、その発現レベルが、単独で、またはその他の遺伝子と組み合わせて、化学療法薬(たとえば、薬物感受性プロフィール)に対する癌の感受性に相関する遺伝子をいう。

    本明細書において使用されるものとして、「発現レベルを特異的に検出する試薬」という用語は、1つまたは複数の遺伝子(たとえば、本発明の癌マーカー含むが、これに限定されない)の発現を検出するために使用される試薬をいう。 適切な試薬の例は、関心対象の遺伝子に特異的にハイブリダイズすることができる核酸プローブ、関心対象の遺伝子を特異的に増幅することができるPCRプライマー、および関心対象の遺伝子によって発現されるタンパク質に特異的に結合できる抗体含むが、これらに限定されない。 その他の非限定の例は、以下の記述および実施例において見出すことができる。

    本明細書において使用されるものとして、「該被検者の癌を特徴分析するために該キットを使用するための説明書」という用語は、被検者由来の試料において、癌の特徴付け(たとえば、薬物感受性プロフィールの決定)のためのキットに関与する試薬を使用するための説明書を含む。 一部の態様において、説明書は、インビトロ診断製品にラベルすることが米国食品医薬品局(FDA)によって要求されている使用目的の記載をさらに含む。 FDAは、インビトロ診断薬を医療用具として分類し、これらは、510(k)の手続きで承認される必要がある。 情報は、510(k)の適用下では、以下のことが要求される:1)商標または商標名、一般名または慣用名、および装置の分類名を含むインビトロ診断製品名;2)製品の用途;3)適用できる場合、510(k)提出を提出する所有者または操作員の確立された登録番号;インビトロ診断製品がFD及びC法の513項の下に置かれる分類、その適切なパネルが既知であるか、または所有者もしくは操作員が、そのように分類されないと判断した場合は、その判断の陳述およびインビトロ診断製品がこのような節の下に分類されなかったと判断するための根拠;4)インビトロ診断製品、その用途、および用途のための説明書を記載するために十分な、提案されたラベル、ラベリング、および広告。 該当する場合には、写真または工学技術図面を供給するべきである;5)装置が、米国での商業的な流通において匹敵するタイプのその他のインビトロ診断製品と同じおよび/または異なることを示す陳述、陳述をサポートするためのデータが添付される;6)510(k)の実質的に同等である判断の基礎とされる安全性および有効性のデータの概要;または文書による要請の30日以内に任意の人が利用できると考えられる実質的に同等のFDAの所見をサポートする510(k)の安全性および有効性の情報;7)提出者の知識の及ぶ限りで、提出者が市販前通知の中で提出した全てのデータおよび情報が、真実でかつ正確であり、および重大な事実が省略されていないと考える旨の陳述;8)FDAが実質的に同等の判断を行うために必要であると要請した、インビトロ診断製品に関する任意のさらなる情報。 さらなる情報は、米国FDAのインターネット・ウェブ・ページで利用できる。

    本明細書において使用されるものとして、「癌発現プロフィールマップ」という用語は、特定のタイプの癌における遺伝子の発現レベルの提示をいう。 マップは、グラフ図(たとえば、紙またはコンピュータスクリーンで)、物理的な表現(たとえば、ゲルまたはアレイ)またはコンピュータメモリに保存されたものなどのデジタル表現として示されてもよい。 それぞれのマップは、癌の特定のタイプ(たとえば、薬物抵抗性または薬物感受性の癌または腫瘍)に対応し、したがって、患者試料と比較するための鋳型を提供する。 好ましい態様において、マップは、同じタイプの癌の複数の患者に由来する癌の試料を含むプールされた試料から作成される。

    本明細書において使用されるものとして、「コンピュータメモリ」および「コンピュータメモリ装置」という用語は、コンピュータプロセッサによって読み込み可能な任意の記憶媒体をいう。 コンピュータメモリの例は、RAM、ROM、コンピュータチップ、デジタルビデオディスク(DVD)、コンパクトディスク(CD)、ハードディスク装置(HDD)、および磁気テープを含むが、これらに限定されない。

    本明細書において使用されるものとして、「コンピュータ読み取り可能な媒体」という用語は、コンピュータプロセッサに情報(たとえば、データおよび説明書)を貯蔵し、提供するための任意の装置または系をいう。 コンピュータ読み込み可能な媒体類の例は、DVD、CD、ハードディスク装置、磁気テープ、およびネットワークを通じた媒体類のストリーミングのためのサーバを含むが、これらに限定されない。

    本明細書において使用されるものとして、「プロセッサ」および「中央処理装置」または「CPU」という用語は、交換可能に使用され、コンピュータメモリ(たとえば、ROMまたはその他のコンピュータメモリ)から、プログラムを読み込むことが可能で、プログラムに従った一連の段階を行う装置をいう。

    本明細書において使用されるものとして、「予後を提供する」という用語は、被検者の将来の健康(たとえば、癌の特定の療法の予想される罹患率または死亡率または応答性)に対する癌の存在(たとえば、本発明の診断法によって決定されるもの)の影響に関する情報を提供することをいう。

    本明細書において使用されるものとして、「癌であると診断された被検者」という用語は、試験されて、癌細胞を有することが見出された被検者をいう。 癌は、生検、X線、血液試験、および本発明の診断法を含む(しかし、これらに限定されない)、任意の適切な方法を使用して診断されるであろう。

    本明細書において使用されるものとして、「初診」という用語は、最初の癌診断(たとえば、癌細胞の有無)の結果をいう。 初診は、癌の段階または癌の薬物感受性プロフィールについての情報を含まない。

    本明細書において使用されるものとして、「非ヒト動物」という用語は、齧歯類、非ヒト霊長類、ヒツジ、ウシ、反芻動物、ウサギ、ブタ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、鳥類、その他などの脊椎動物を含む(しかし、これらに限定されない)、全ての非人間動物をいう。

    本明細書において使用されるものとして、「核酸分子」という用語は、DNAまたはRNA分子を含む任意の核酸をいうが、これらに限定されない。 本用語は、以下のものを含む(しかし、これらに限定されない)既知のDNAおよびRNAの塩基類似体のいずれかを含む配列を包含する:4-アセチルシトシン、8-ヒドロキシ-N6-メチルアデノシン、アジリジニルシトシン、プソイドイソシトシン、5-(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5-フルオロウラシル、5‐ブロムウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルアデニン、1-メチルプソイドウラシル、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-メチルアデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、β-D-マンノキュエオシン、5'-メトキシカルボニルメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸、オキシブトキソシン(butoxosine)、プソイドウラシル、キュエオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、N-ウラシル-5-オキソ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキソ酢酸、プソイドウラシル、キュエオシン、2-チオシトシン、および2,6-ジアミノプリン。

    「遺伝子」という用語は、ポリペプチド、前駆体、またはRNA(たとえば、rRNA、tRNA)の産生のために必要なコード配列を含む核酸配列(たとえば、DNA)をいう。 ポリペプチドは、全長または断片の所望の活性または機能的な性質(たとえば、酵素活性、リガンド結合、シグナル伝達、免疫原性、その他)が保持される限り、全長をコードする配列によって、または任意の部分をコードする配列によってコードされることができる。 また、本用語は、遺伝子が全長mRNAの長さと一致するように、構造遺伝子をコードする領域および5'および3'末端のいずれかから約1kb以上離れて、両末端のコード領域に隣接して位置した配列を包含する。 コード領域の5'に位置し、mRNAに存在する配列を5'非翻訳配列と称する。 コード領域の3'または下流に位置し、mRNAに存在する配列を、3'非翻訳配列と称する。 「遺伝子」という用語は、遺伝子のcDNAおよびゲノムの両形態を含む。 非コード配列で中断されるコード領域を含む遺伝子のゲノムの形態またはクローンは、「イントロン」または「介入領域」または「介在配列」と呼ばれる。 イントロンは、核RNA(hnRNA)に転写される遺伝子の部分であり;イントロンは、エンハンサーなどの調節エレメントを含んでもよい。 イントロンは、核または一次転写産物から除かれ、または「スプライスアウト」され;したがって、イントロンは、メッセンジャーRNA(mRNA)転写産物には存在しない。 mRNAは、翻訳の際に新生ポリペプチドのアミノ酸の配列または順序を特定する機能がある。

    本明細書において使用されるものとして、「異種遺伝子」という用語は、その天然の環境に存在しない遺伝子をいう。 たとえば、異種遺伝子は、1つの種から別の種に導入された遺伝子を含む。 また、異種遺伝子は、何らかの方法で変えられた(たとえば、変異され、多数のコピーに付加され、非天然の制御配列に結合され、その他)生物体に天然の遺伝子を導入することを含む。 異種遺伝子は、異種の遺伝子配列が、一般的に染色体中の遺伝子配列と天然に結合されたことが見出されないか、または天然で見出されない染色体の部分(たとえば、遺伝子が通常発現されない座位で発現された遺伝子)と結合されたDNA配列に連結されているという点で、内在性の遺伝子から区別される。

    本明細書において使用されるものとして、「遺伝子発現」という用語は、遺伝子の「転写」を介して(すなわち、RNAポリメラーゼの酵素の作用を経て)、遺伝子内にコードされた遺伝情報をRNA(たとえば、mRNA、rRNA、tRNA、またはsnRNA)に、およびタンパク質をコードする遺伝子については、mRNAの「翻訳」を介してタンパク質に転換する過程をいう。 遺伝子発現は、その過程において多くの段階で調節することができる。 「アップレギュレーション」または「活性化」とは、遺伝子発現産物(すなわち、RNAまたはタンパク質)の産生を増大する調節をいうが、「ダウンレギュレーション」または「抑制」は、産生を減少させる調節をいう。 アップレギュレーションまたはダウンレギュレーションに関与する分子(たとえば、転写制御因子)は、それぞれ「活性化因子」および「リプレッサー」と呼ばれることが多い。

    イントロンを含むことに加えて、遺伝子のゲノム形態は、また、RNA転写物に存在する配列の5'および3'末端の両方に位置する配列を含んでいてもよい。 これらの配列は、「隣接」配列または領域(これらの隣接配列は、mRNA転写産物に存在する非翻訳配列の5'または3'に位置する)と称する。 5'の隣接領域は、プロモーターなどの制御配列および遺伝子の転写を制御する、または影響を増強させるエンハンサーを含んでいてもよい。 3'の隣接領域は、転写の終結、転写後の切断、およびポリアデニル化を導く配列を含んでいてもよい。

    「野生型」という用語は、天然に存在する供与源に由来する単離された遺伝子または遺伝子産物をいう。 野生型遺伝子は、集団の中で最も頻繁に観察され、したがって、任意に「正常型」または「野生型」の遺伝子形態を示す。 対照的に、「修飾された」または「変異体」という用語は、野生型の遺伝子または遺伝子産物と比較したときに、配列および/または機能的な性質(すなわち、変化した特徴)に修飾を示す遺伝子または遺伝子産物をいう。 天然に存在する変異体を単離することができ;これらは、野生型遺伝子または遺伝子産物と比較して、これらが変化した特徴(変化した核酸配列を含む)を有するという事実によって同定される点に留意されたい。

    本明細書において使用されるものとして、「コードする核酸分子」、「コードするDNA配列」、および「コードするDNA」という用語は、デオキシリボ核酸の鎖に沿ったデオキシリボヌクレオチドの順序または配列をいう。 これらのデオキシリボヌクレオチドの順番によって、ポリペプチド(タンパク質)鎖に沿ったアミノ酸の順番が決定される。 したがって、DNA配列は、アミノ酸配列をコードする。

    本明細書において使用されるものとして、「遺伝子をコードするヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチド」および「遺伝子をコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド」という用語は、遺伝子のコード領域または換言すれば遺伝子産物をコードする核酸配列を含む核酸配列を意味する。 コード領域は、cDNA、ゲノムDNA、またはRNA形態で存在してもよい。 DNA形態で存在するときに、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、一本鎖であるか(すなわち、有意鎖)、または二本鎖である。 エンハンサー/プロモーター、スプライス部位、ポリアデニル化シグナル、その他などの適切な調節領域は、一次RNA転写産物の転写および/または適切なプロセシングの適当な開始を必要に応じて可能にするために、遺伝子のコード領域の近辺に配置されてもよい。 または、本発明の発現ベクターに利用されるコード領域は、内在性のエンハンサー/プロモーター、スプライス部位、介在配列、ポリアデニル化シグナル、その他、または内在性および外因性の調節領域の両方の組み合わせを含んでもよい。

    本明細書において使用されるものとして、「オリゴヌクレオチド」という用語は、長さの短い一本鎖ポリヌクレオチド鎖をいう。 オリゴヌクレオチドは、一般的に200残基未満の長さ(たとえば、15〜100の間)であるが、本明細書に使用されるものとして、本用語は、より長いポリヌクレオチド鎖を含むことも企図される。 オリゴヌクレオチドは、これらの長さによって呼ばれることが多い。 たとえば、24残基のオリゴヌクレオチドは、「24mer」と称する。 オリゴヌクレオチドは、自己ハイブリダイズすることにより、またはその他のポリヌクレオチドにハイブリダイズすることにより、二次及び三次構造を形成することができる。 このような構造は、二重鎖、ヘアピン、十字部、ベンド、および三重鎖を含み得るが、これらに限定されない。

    本明細書において使用されるものとして、「相補的」または「相補性」という用語は、塩基対合則によって関係付けられる参照ポリヌクレオチド(すなわち、ヌクレオチドの配列)に関して使用される。 たとえば、配列「5'-AGT-3'」については、配列「3'-TCA-5'」に相補的である。 相補性は、いくつかの核酸の塩基のみが塩基対合則に記載のいずれかに整合する「部分的」であってもよい。 または、「完全な」もしくは「全体の」相補性が、核酸の間にあってもよい。 核酸鎖間の相補性の程度は、核酸鎖の間のハイブリダイゼーションの効率および強度に対して有意な効果を有する。 これは、増幅反応、並びに核酸間の結合に依存する検査法において特に重要である。

    「相同性」という用語は、相補性の程度をいう。 部分的な相同性または完全な相同性(すなわち、同一性)であってもよい。 部分的に相補的な配列は、完全に相補的な核酸分子が、「実質的に相同的な」標的核酸にハイブリダイズすることを少なくとも部分的に阻害する核酸分子である。 標的配列に対して完全に相補的な配列のハイブリダイゼーションの阻害は、低ストリンジェンシー条件下でのハイブリダイゼーションアッセイ法(サザンまたはノーザンブロット、溶液ハイブリダイゼーションなど)を使用して検査してもよい。 実質的に相同的な配列またはプローブは、低ストリンジェンシー条件下での、完全に相同的な核酸分子の標的に対する結合(すなわち、ハイブリダイゼーション)と競合し、阻害する。 低ストリンジェンシー条件は、非特異的な結合ができるような条件であり;低ストリンジェンシー条件は、2つの配列のお互いに対する結合は、特異的(すなわち、選択的)な相互作用であることが必要であることは言うまでもない。 非特異的な結合の非存在は、実質的に非相補的な(たとえば、約30%の同一性未満の)第2の標的を使用することによって試験されてもよく;非特異的な結合が存在しないと、プローブが非相補的な第2の標的にハイブリダイズされないと考えられる。

    cDNAまたはゲノムクローンなどの二本鎖核酸配列に関して使用されるときに、「実質的に相同的な」という用語は、上記の通りの低ストリンジェンシー条件下で二本鎖核酸配列のいずれかまたは両方の鎖にハイブリダイズすることができる任意のプローブをいう。

    遺伝子は、一次RNA転写産物のディファレンシャルスプライシングによって作製される多くのRNA種を生じるであろう。 同じ遺伝子のスプライスバリアントであるcDNAは、配列同一性または完全に相同的な領域(同じエキソンまたは両方のcDNA上の同じエキソンの部分の存在を表す)および完全に非同一性の領域(たとえば、エキソン「A」に対してcDNA1の存在を表し、そのかわりにcDNA2は、エキソン「B」を含む)を含む。 2つのcDNAは、配列が同一の領域を含むので、これらは両方とも、両方のcDNA上に見出される配列を含む全ての遺伝子または遺伝子の部分に由来するプローブにハイブリダイズされる;したがって、2つのスプライスバリアントは、実質的にこのようなプローブに対して、および互いに対して相同である。

    一本鎖核酸配列に関して使用されるときに、「実質的に相同的な」という用語は、上記の通りの低ストリンジェンシー条件下で一本鎖核酸配列にハイブリダイズさせることができる(すなわち、これは相補的である)任意のプローブをいう。

    本明細書において使用されるものとして、「ハイブリダイゼーション」という用語は、相補的な核酸の対形成に関して使用される。 ハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションの強度(すなわち、核酸間の結合の強度)は、核酸間の相補性の程度、関係する条件のストリンジェンシー、形成されたハイブリッドのTm、および核酸内のG:C比などの因子による影響を受ける。 その構造内に相補的な核酸の対形成を含む単一の分子は、「自己ハイブリダイズされる」といわれる。

    本明細書において使用されるものとして、「Tm」という用語は、「融解温度」に関して使用される。 「融解温度」は、二本鎖核酸分子の集団が一本鎖に分離されて半分になる温度である。 核酸のTmを算出するための方程式は、当該技術分野において周知である。 標準的な参照によって示されるように、Tm値の簡単な評価は、核酸が1MのNaCl水溶液中にあるときに、方程式:Tm=81.5+0.41(%G+C)によって算出されるであろう(たとえば、AndersonおよびYoung, Quantitative Filter Hybridization, in Nucleic Acid Hybridization [1985]を参照されたい)。 その他の参照には、構造上の並びに配列の特性をTmの計算の考慮に入れたより高度な計算を含む。

    本明細書において使用されるものとして、「ストリンジェンシー」という用語は、核酸ハイブリダイゼーションが行われる条件下での、温度、イオン強度、有機溶剤などのその他の化合物の存在の条件に関して使用される。 「低ストリンジェンシー条件」下では、関心対象の核酸配列は、その正確に相補的なもの、一塩基ミスマッチの配列、密接に近縁する配列(たとえば、90%以上の相同性を有する配列)、および部分的な相同性のみを有する配列(たとえば、50〜90%の相同性を有する配列)にハイブリダイズされると考えられる。 「中程度のストリンジェンシー条件」下では、関心対象の核酸配列は、その正確に相補的なもの、一塩基ミスマッチの配列、および密接に近縁する配列(たとえば、90%以上の相同性を有する配列)のみにハイブリダイズされると考えられる。 「高ストリンジェンシー条件」下では、関心対象の核酸配列は、その正確に相補的なもの、および(温度などの条件に応じて)一塩基ミスマッチの配列のみにハイブリダイズされる。 換言すれば、高ストリンジェンシー条件下では、一塩基ミスマッチの配列に対するハイブリダイゼーションをなくすために、温度を上昇させることができる。

    「高ストリンジェンシー条件」は、核酸ハイブリダイゼーションに関して使用されるときに、長さが約500ヌクレオチドのプローブを使用される場合、5×SSPE(43.8g/lのNaCl、6.9g/lのNaH 2 PO 4 H 2 O、および1.85g/lのEDTA、NaOHでpH7.4に合わせた)、0.5%のSDS、5×デンハート試薬、並びに100μg/mlの変性サケ精液DNAからなる溶液中で42℃においての結合またはハイブリダイゼーション、続く0.1×SSPE、1.0%のSDSを含む溶液中での42℃における洗浄と同等の条件を含む。

    「中程度のストリンジェンシー条件」は、核酸ハイブリダイゼーションに関して使用されるときに、長さが約500ヌクレオチドのプローブを使用される場合、5×SSPE(43.8g/lのNaCl、6.9g/lのNaH 2 PO 4 H 2 O、および1.85g/lのEDTA、NaOHでpH7.4に合わせた)、0.5%のSDS、5×デンハート試薬、並びに100μg/mlの変性サケ精液DNAからなる溶液中で42℃においての結合またはハイブリダイゼーション、続く1.0×SSPE、1.0%のSDSを含む溶液中での42℃における洗浄と同等の条件を含む。

    「低ストリンジェンシー条件」は、長さが約500ヌクレオチドのプローブを使用される場合、5×SSPE(43.8g/lのNaCl、6.9g/lのNaH 2 PO 4 H 2 O、および1.85g/lのEDTA、NaOHでpH7.4に合わせた)、0.1%のSDS、5×デンハート試薬[500mlあたりに:5gのフィコール(タイプ400、Pharamcia)、5gのBSA(画分V;Sigma)を含む50×デンハート]、並びに100μg/mlの変性サケ精液DNAからなる溶液中で42℃においての結合またはハイブリダイゼーション、続く5×SSPE、0.1%のSDSを含む溶液中での42℃における洗浄と同等の条件を含む。

    当業者には、低ストリンジェンシー条件を含むために多くの同等の条件が使用されてもよいことが周知であり;プローブの長さおよび性質(DNA、RNA、塩基組成物)、並びに標的の性質(溶液の中に存在するまたは固定された、DNA、RNA、塩基組成物、その他)、並びに塩およびその他の成分(たとえば、ホルムアミド、デキストラン硫酸、ポリエチレングリコールの有無)の濃度などの因子が考慮され、またハイブリダイゼーション溶液を変えて、上記に一覧を示した条件とは異なる低ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件を作製してもよい。 加えて、当業者には、高ストリンジェンシー条件下で、ハイブリダイゼーションを促進する条件(たとえば、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄段階の温度を増大すること、ハイブリダイゼーション溶液にホルムアミドを使用すること、その他)が既知である(上記「ストリンジェンシー」の定義を参照されたい)。

    「増幅」は、鋳型特異性を含む核酸複製の特別の場合である。 非特異的な鋳型複製と対照をなす(すなわち、鋳型依存的であるが、特定の鋳型に依存的でない複製)。 鋳型特異性は、本明細書において、複製の忠実度(すなわち、適切なポリヌクレオチド配列の合成)およびヌクレオチド(リポまたはデオキシリボ)の特異性とは区別される。 鋳型特異性は、「標的」特異性に関してたびたび記載されている。 標的配列は、これらがその他の核酸と区別しようとするという意味で「標的」である。 増幅技術は、主にこの識別のためにデザインされた。

    鋳型特異性は、酵素の選択によって大部分の増幅技術で達成される。 増幅酵素は、これらが使用される条件下で、核酸の不均一混合物の中の特異的な核酸配列だけを処理する酵素である。 たとえば、QBレプリカーゼの場合、MDV-1 RNAは、レプリカーゼの特異的な鋳型である(Kacianら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA69:3038 [1972])。 その他の核酸は、この増幅酵素によって複製されない。 同様に、T7 RNAポリメラーゼの場合、この増幅酵素は、それ自体のプロモーターにストリンジェントな特異性を有する(Chamberlinら、 Nature 228: 227 [1970])。 T4 DNAリガーゼの場合、本酵素は、ライゲーション結合においてオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの基質と鋳型との間にミスマッチがある場合、2つのオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを結合しない(WuおよびWallace, Genomics 4: 560 [1989])。 最後に、TaqおよびPfuポリメラーゼは、これらが高温で機能するという能力によって、結合した配列に高い特異性を示し、したがってプライマーによって定義されることが見出されており;高温では、標的配列とプライマーハイブリダイゼーションに有利であり、非標的配列とはハイブリダイゼーションしない熱力学的条件を生じる(HA Erlich (ed.), PCR Technology, Stockton Press [1989])。

    本明細書において使用されるものとして、「増幅可能な核酸」という用語は、任意の増幅方法によって増幅されるであろう核酸に関して使用される。 「増幅可能な核酸」は、通常「試料鋳型」を含むことが想定される。

    本明細書に使用されるものとして、「試料鋳型」という用語は、「標的」の存在を解析する試料から生じる核酸をいう。 対照的に、「バックグラウンド鋳型」は、試料の中に存在するか、または存在しないかもしれない試料鋳型以外の核酸に関して使用される。 バックグラウンド鋳型は、多くの場合故意ではない。 持ち越し汚染の結果であるか、または試料から分離して精製しようとした核酸混入物が存在するためであろう。 たとえば、検出されるもの以外の生物体に由来する核酸は、試験試料中のバックグラウンドとして存在するであろう。

    本明細書において使用されるものとして、「プライマー」という用語は、精製された制限消化物として天然に存在するか、または合成的に産生したオリゴヌクレオチドであって、核酸鎖に対して相補的なプライマー伸張産物の合成が誘導される条件下(すなわち、ヌクレオチドおよびDNAポリメラーゼなどの誘導剤の存在下、および適切な温度およびpH)に置かれたときに、合成の開始点として作用することができるヌクレオチドをいう。 プライマーは、増幅の際に最大の効率にするために、好ましくは一本鎖であるが、代わりに二重鎖でもよい。 プライマーは、二重鎖であるならば、伸張産物を調製するために使用する前に、最初にその鎖を分離するための処理がなされる。 プライマーは、オリゴデオキシリボヌクレオチドであることが望ましい。 プライマーは、誘導剤の存在下で伸張産物の合成を開始するほどに十分に長くなければならない。 プライマーの正確な長さは、温度、プライマーの供与源、および使用方法を含む多くの因子に依存するであろう。

    本明細書において使用されるものとして、「プローブ」という用語は、精製された制限消化物として天然に存在するか、または合成的か、組換えか、もしくはPCR増幅によって産生されたオリゴヌクレオチド(すなわち、一連のヌクレオチド)であって、関心対象の少なくとも一部の別のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドをいう。 プローブは、一本鎖でもよく、または二本鎖であってもよい。 プローブは、特定の遺伝子配列の検出、同定、および単離に有用である。 本発明に使用される任意のプローブは、任意の「リポーター分子」によってラベルすることが想定されるので、酵素(たとえば、ELISA、並びに酵素に基づいた組織化学的なアッセイ法)、蛍光性、放射性、および発光性の系を含む(しかしこれらに限定されない)、任意の検出系で検出可能である。 本発明がいずれかの特定の検出系またはラベルに限定されることは、企図されない。

    本明細書において使用されるものとして、「一部」という用語は、ヌクレオチド配列(「所与のヌクレオチド配列の一部」のもの)に関して、その配列の断片をいう。 断片は、4ヌクレオチドから全ヌクレオチド配列引く1ヌクレオチド(10ヌクレオチド、20、30、40、50、100、200、その他)の大きさの中で変動してもよい。

    本明細書において使用されるものとして、「標的」という用語は、プライマーによって囲まれている核酸の領域をいう。 したがって、「標的」は、その他の核酸配列と区別されることが要求される。 「部分」は、標的配列内の核酸領域として定義される。 本明細書において使用されるものとして、「ポリメラーゼ連鎖反応法」(「PCR」)の用語は、KB Mullis米国特許第4,683,195号、第4,683,202号、および第4,965,188号(参照によって本明細書に組み込まれる)の方法をいい、これには、クローニングまたは精製をせずに、ゲノムDNAの混合物中の標的配列部分の濃度を増大するための方法が記載してある。 標的配列を増幅するためのこのプロセスは、所望の標的配列を含むDNA混合物に、大過剰の2つのオリゴヌクレオチドプライマーを導入し、続くDNAポリメラーゼの存在下での正確な順序の温熱サイクリングからなる。 2つのプライマーは、二重鎖の標的配列のこれらのそれぞれの鎖に対して相補的である。 増幅を行うためには、混合物を変性させ、次いでプライマーを標的分子内のこれらに相補的な配列にアニールさせる。 アニーリングに続いて、1対の新たな相補鎖を形成させるためにプライマーをポリメラーゼによって伸張させる。 変性、プライマーのアニーリング、およびポリメラーゼ伸張の段階を何度も繰り返して(すなわち、変性、アニーリング、および伸張で1つの「サイクル」を構成し;多くの「サイクル」にすることができる)、所望の標的配列の増幅部分を高濃度で得ることができる。 所望の標的配列の増幅部分の長さは、互いに関してプライマーの相対的な位置によって決定され、したがって、この長さは、制御可能なパラメータである。 プロセスの反復する側面によって、本方法は、「ポリメラーゼ連鎖反応法」(以下に「PCR」)と称される。 標的配列の所望の増幅部分が混合物中において支配的な配列(濃度に関して)になるので、これらを「PCR増幅される」という。

    PCRにより、種々の異なる方法(たとえば、ラベルされたプローブとのハイブリダイゼーション;ビオチン化されたプライマーの組み込みに続く、アビジン酵素結合検出;dCTPまたはdATPなどの32Pラベルされたデオキシヌクレオチド三リン酸の増幅部分への組み入れ)によって検出可能なレベルにゲノムDNA中の特異的な標的配列の単一コピーを増幅することができる。 ゲノムDNAに加えて、任意のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列を、適切なプライマー分子のセットによって増幅することができる。 特に、それ自体、PCRプロセスによって作製される増幅部分は、次のPCR増幅のための効率的な鋳型である。 本明細書において使用されるものとして、「PCR産物」、「PCR断片」、および「増幅産物」という用語は、変性、アニーリング、および伸張のPCR段階の2つ以上のサイクルが完了した後の、結果として生じる化合物の混合物をいう。 これらの用語は、1つまたは複数の標的配列の1つまたは複数の部分の増幅があった場合を含む。

    本明細書において使用されるものとして、「増幅試薬」という用語は、プライマー、核酸鋳型および増幅酵素を除く増幅のために必要な試薬(デオキシリボヌクレオチド三リン酸、緩衝液、その他)をいう。 典型的には、その他の反応成分とともに増幅試薬が、反応容器(試験管、マイクロウェル、その他)に配置され、含まれる。

    本明細書において使用されるものとして、「制限エンドヌクレアーゼ」および「制限酵素」という用語は、そのそれぞれが特定のヌクレオチド配列で、またはその近くで二重鎖を切断する細菌の酵素をいう。

    「使用可能な組み合わせで」、「使用可能な順序で」、および「使用可能に結合され」という用語は、本明細書に使用されるものとして、所与の遺伝子の転写および/または所望のタンパク質分子の合成に向けることができる核酸分子が産生されるような方法での核酸配列の結合をいう。 また、本用語は、機能的なタンパク質が産生されるような方法でのアミノ酸配列の結合をいう。

    「単離された」という用語は、「単離されたオリゴヌクレオチド」、または「単離されたポリヌクレオチド」と同様に核酸に関して使用されるときに、これがその天然の供与源中で通常結合している少なくとも1つの成分または混入物から同定され、分離された核酸配列をいう。 単離された核酸は、これが天然に見出されるものとは異なる形態または状況に存在する。 対照的に、DNAおよびRNAなどの核酸として単離されていない核酸は、これらが天然に存在する状態で見出される。 たとえば、所与のDNA配列(たとえば、遺伝子)は、宿主細胞染色体上で隣接した遺伝子に近接して見出され;特異的なタンパク質をコードする特異的mRNA配列などのRNA配列は、多くのタンパク質をコードする多くのその他のmRNAとの混合物として細胞内で見出される。 しかし、所与のタンパク質をコードする単離された核酸は、たとえば、核酸が天然の細胞のものとは異なる染色体の位置にあるか、またはそうでなければ、天然に見出されるものとは異なる核酸配列に隣接して位置する場合、所与のタンパク質を通常発現する細胞内のこのような核酸を含む。 単離された核酸、オリゴヌクレオチド、またはポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖の形態で存在してもよい。 単離された核酸、オリゴヌクレオチド、またはポリヌクレオチドがタンパク質を発現するために利用されるときに、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、センス鎖またはコード鎖を最小限含むと考えられるが(すなわち、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、一本鎖であってもよい)、センス鎖およびアンチセンス鎖の両方を含んでもよい(すなわち、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、二本鎖でもよい)。

    本明細書において使用されるものとして、「精製される」または「精製する」という用語は、試料からの成分(たとえば、混入物)の除去をいう。 たとえば、抗体は、混入する非免疫グロブリンタンパク質を除去することによって精製され;これらは、また、標的分子に結合しない免疫グロブリンを除去することによって精製される。 非免疫グロブリンタンパク質の除去および/または標的分子に結合しない免疫グロブリンの除去により、試料中の標的反応免疫グロブリンの割合が増大する。 もう1つの例において、組換えポリペプチドは、細菌宿主細胞中で発現され、ポリペプチドは、宿主細胞タンパク質の除去によって精製され;これにより、組換えポリペプチドの割合は、試料中で増大される。

    「アミノ酸配列」および「ポリペプチド」または「タンパク質」などの用語は、詳述されたタンパク質分子と関係する、完全な、天然のアミノ酸配列にアミノ酸配列を限定することは意味されない。

    「未変性タンパク質」という用語は、本明細書に使用されるものとして、タンパク質が、ベクター配列によってコードされるアミノ酸残基を含まないこと;すなわち、未変性タンパク質は、それが天然に存在するタンパク質中に見出されるアミノ酸のみを含むことを示す。 未変性タンパク質は、組換え手段によって産生されてもよく、または天然に存在する供与源から単離されてもよい。

    本明細書において使用されるものとして、「一部」という用語は、タンパク質(「所与のタンパク質の一部」のもの)に関していう場合、そのタンパク質の断片をいう。 断片は、4アミノ酸残基から全アミノ酸配列引く1アミノ酸までの大きさで変動してもよい。

    「サザンブロット」という用語は、大きさにしたがってDNAを分画し、続いてゲルからニトロセルロースまたはナイロン膜などの固体担体にDNAを転写することによってアガロースまたはアクリルアミドゲル上でDNAを解析することをいう。 次いで、固定されたDNAをラベルされたプローブによってプローブし、使用したプローブに相補的なDNA種を検出する。 DNAは、電気泳動法の前に制限酵素によって切断されてもよい。 電気泳動法に続いて、固体担体に転写の前に、またはその際に、DNAを部分的に脱プリン化し、および変性させてもよい。 サザンブロットは、分子生物学者の標準的なツールである(J. Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, NY, pp 9.31-9.58 [1989])。

    「ノーザンブロット」という用語は、本明細書に使用されるものとして、大きさにしたがってRNAを分画するためにアガロースゲル上でRNAの電気泳動をし、続いてゲルからニトロセルロースまたはナイロン膜などの固体担体にRNAを転写することによってRNAを解析することをいう。 次いで、固定されたRNAをラベルされたプローブによってプローブし、使用したプローブに相補的なRNA種を検出する。 ノーザンブロットは、分子生物学者の標準的なツールである(前記J.Sambrookら、pp7.39-7.52 [1989])。

    「ウエスタンブロット」という用語は、ニトロセルロースまたは膜などの担体上に固定されたタンパク質(類)(または、ポリペプチド)の解析をいう。 タンパク質は、アクリルアミドゲル上を泳動してタンパク質を分離し、続いてゲルからニトロセルロースまたはナイロン膜などの固体担体にタンパク質を転写する。 次いで、固定されたタンパク質を、関心対象の抗原に対して反応性を有する抗体に曝露する。 抗体の結合は、種々の方法によって検出してもよく、放射標識した抗体の使用を含む。

    「導入遺伝子」という用語は、本明細書に使用されるものとして、たとえば、外来遺伝子を新しく受胎した卵子または初期胚に導入することにより、生物体に入れられる外来遺伝子をいう。 「外来遺伝子」という用語は、実験操作によって動物のゲノムに導入される任意の核酸(たとえば、遺伝子配列)をいい、導入された遺伝子が、天然に存在する遺伝子と同じ位置にない限り、その動物中で見出される遺伝子配列を含んでいてもよい。

    本明細書で使用されるものとして、「真核生物」という用語は、「原核生物」とは区別できる生物体をいう。 本用語は、核膜(その中には染色体がある)によって囲まれている真核の存在、膜結合型の細胞小器官の存在、およびその他の真核生物で観察される共通の特徴などの、真核生物の通常の特徴を示す細胞を有する全ての生物体を含むことが企図される。 したがって、本用語は、真菌、原生動物、および動物(たとえば、ヒト)などの生物体を含むが、これらに限定されない。

    本明細書において使用されるものとして、「インビトロ」という用語は、人工の環境に、および人工の環境内で生じるプロセスおよび反応をいう。 インビトロの環境は、試験管および細胞培養からなることもできるが、これらに限定されない。 「インビボ」という用語は、天然の環境(たとえば、動物または細胞)および天然の環境内で起こるプロセスまたは反応をいう。

    「試験化合物」および「候補化合物」という用語は、疾患、疾病、または身体機能の障害(たとえば、癌)を治療するまたは防止するために使用するための候補である任意の化学的実体、医薬用製剤、薬物、などをいう。 試験化合物は、既知であり、潜在的に治療的な化合物を含む。 試験化合物は、本発明のスクリーニング法を使用するスクリーニングによって、治療的であることを決定することができる。 本発明の一部の態様において、試験化合物は、アンチセンス化合物を含む。

    本明細書において使用されるものとして、「試料」という用語は、最も広義に使用される。 ある意味では、これは、任意の供与源から得られる検体または培養、並びに生体試料および環境試料を含むことが意味される。 生体試料は、動物(ヒトを含む)から得られてもよく、液体、固形物、組織、および気体を含んでもよい。 生体試料は、血漿、血清などの血液製剤を含む。 環境試料は、表面物質、土壌、水、結晶、および産業試料などの環境物質を含む。 しかし、このような例は、本発明に適用できる試料のタイプを限定するものとして解釈されない。

    発明の詳細な説明 本発明は、癌の遺伝子プロフィールおよびマーカーに関し、特異的な患者のために有効である薬物および癌のタイプをスクリーニングするための系および方法を提供する。 特定の好ましい態様が、本発明の特徴を例示するために以下に提供される。

    I.癌マーカーの同定 一部の態様において、本発明は、癌マーカーおよび癌における薬物抵抗性とこのような癌マーカーの発現の相関の同定のための方法を提供する。

    A.マーカーの同定 後述するように、本発明の開発の経過の間に行った実験により、一連の癌マーカー群、またはその発現が9つの抗癌薬に対する種々の癌の感受性と相関した「薬物感受性遺伝子」を同定した(実施例の節を参照されたい)。 85の異種移植片を共に解析したときに、200以上の遺伝子のクラスターが、9つ全ての薬物に対する感受性と有意な相関を示すと思われた。 20の遺伝子は、2つ以上の抗癌薬と非常に相関したことが同定された。 表2には、各々の薬物に最も有意な陽性のまたは陰性のピアソン相関係数を示す20の遺伝子についてのデータを要約する。 17の遺伝子は、7つ全ての薬物と、および15の遺伝子は、6つと相関すると思われた。 本発明は、特定の機構に限定されない。 実際に、機構の理解は、本発明を実施するために必要ではない。 それでもなお、いくつかの遺伝子と多剤に対する感受性との相関は、いくつかの共通の機構が薬物反応に関与するであろうことを示唆することが想定される。

    本発明は、特定の薬物感受性遺伝子に限定されない。 以下の遺伝子を含む(しかし、これらに限定されない)、いずれの適切な遺伝子を本発明の診断方法および治療方法に利用してもよい:

    本明細書に開示されたものを含む(しかし、これらに限定されない)さらなる遺伝子が、適切な方法を使用して同定されるであろう。

    本発明は、本明細書に記載されているマーカーに限定されない。 下記の例示の実施例に記載されているものを含む(しかし、これらに限定されない)、薬物感受性と相関するいずれの適切なマーカーを利用してもよい。 また、さらなるマーカーも、本発明の範囲内であることが想定される。 本発明の方法に使用するために適した癌マーカーを同定し、かつ特徴分析するために、下記の例示の実施例に記載したものを含む(しかし、これらに限定されない)任意の適切な方法を利用してもよい。 たとえば、一部の態様において、本発明の遺伝子発現マイクロアレイ法を使用して薬物感受性と相関するものとして同定されたマーカーは、組織マイクロアレイ、免疫組織化学、ノーザンブロット解析、siRNAまたはアンチセンスRNA阻害、突然変異解析、臨床的成果を有する発現調査、並びに本明細書に開示したその他の方法を使用して、さらに特徴分析される。

    本発明の開発経過の間に行った実験の間に作成した遺伝子発現データを、感受性に関連した遺伝子の「薬物感受性スコア」を評価するために使用した。 このような薬物感受性スコアは、種々の症候および治療的な適用での使用を提供する。 このような適用の典型的な非限定の例は、下記に記載されている。

    B.個人化した医薬用製剤 一部の態様において、本発明は、癌の治療に個人化された医薬用製剤を適用するための組成物および方法を提供する。 好ましい態様において、本発明の薬物感受性遺伝子の存在または発現レベルは、特異的な癌についての薬物感受性スコアを提供するために使用される。 たとえば、高い薬物感受性スコアは、一般の化学療法に抵抗性である可能性が高く、したがって転移する可能性がより高い癌を表す。 また、提供される情報は、治療の経過を方向付けるために使用される。 たとえば、所与の癌が、他のいくつかの治療のうちの1つに抵抗性であることが見出された場合、癌が抵抗性でない治療が、治療のために選択される。 その他の態様において、高い薬物感受性スコアを有する癌を有する被検者では、これらが有効である可能性が高くなる前に(たとえば、転移の前に)、さらなる治療(たとえば、ホルモン療法または照射治療)を受けてもよい。

    本発明の個人化された治療方法は、多くの試行錯誤に依存し、一般に個々の患者にカスタマイズされていない従来の方法に勝るいくつかの利点を提供する。 治療は、癌の遺伝子発現プロフィールに対してカスタマイズされる。 これにより、治療の有効性の改善がなされ、および一部の状況では、治療費用の減少を生じる(たとえば、有効である可能性が高い薬物のみが投与される)。

    一部の態様において、本発明は、複数のマーカーの解析のためのパネルを提供する。 パネルは、薬物感受性と相関する多くのマーカーを同時解析することができる。 たとえば、パネルは、薬物感受性と相関するもの、または所与の癌に抵抗性のものとして同定されたマーカーを含んでいてもよい。 被検者に応じて、パネルは、最高のできる限りの診断および予後を提供するために、単独でまたは共に解析されてもよい。 パネルの中に含めるためのマーカーは、下記の例示の実施例に記載したものを含む(しかし、これらに限定されない)任意の適切な方法を使用して、これらの適中率についてスクリーニングすることによって選択される。

    その他の態様において、本発明は、種々の薬物感受性スコアの癌の発現プロフィールを含む発現プロフィールマップを提供する。 このようなマップは、患者の試料と比較するために使用することができる。 デジタル化されたデータのコンピュータ比較によるものを含む(しかし、これに限定されない)任意の適切な方法を利用してもよい。 比較データは、患者に診断および/または予後を(たとえば、個人化した治療を)提供するために使用される。

    C.マーカーの検出 一部の態様において、本発明は、癌マーカーの発現を検出するための方法(たとえば、薬物感受性スコアまたは薬物感受性プロフィールを決定するために)を提供する。 好ましい態様において、発現は、直接測定される(たとえば、RNAまたはタンパク質レベルで)。 一部の態様において、発現は、組織試料(たとえば、生検組織)中で検出される。 その他の態様において、発現は、体液(たとえば、血漿、血清、全血、粘液、および尿を含むが、これらに限定されない)中で検出される。 本発明は、マーカーの検出のためのパネルおよびキットをさらに提供する。

    1.RNAの検出 一部の好ましい態様において、癌マーカー(たとえば、本明細書に開示されたもの含むが、これらに限定されない)の検出は、試料(たとえば、癌組織)中の対応するmRNAの発現を測定することによって検出される。 mRNA発現は、下記に開示したものを含む(しかし、これらに限定されない)任意の適切な方法によって測定されてもよい。

    一部の態様において、RNAは、ノーザンブロット解析によって検出される。 ノーザンブロット解析は、RNAの分離および相補的なラベルされたプローブのハイブリダイゼーションを含む。

    その他の態様において、RNAの発現は、特定の構造の酵素切断によって検出される(INVADERアッセイ法、Third Wave Technologies;たとえば、米国特許第5,846,717号;第6,090,543号;第6,001,567号;第5,985,557号;および5,994,069号;を参照されたい(これらのそれぞれは、本明細書に参照として組み入れられる))。 INVADERアッセイ法は、構造特異的な酵素を使用して、オーバーラップするオリゴヌクレオチドプローブ配列のハイブリダイゼーションによって形成された複合体を切断することによって特異的な核酸(たとえば、RNA)を検出する。

    なおさらなる態様において、RNA(または対応するcDNA)は、オリゴヌクレオチドプローブに対するハイブリダイゼーションによって検出される。 ハイブリダイゼーションおよび検出のために種々の技術を使用する種々のハイブリダイゼーションアッセイ法を利用することができる。 たとえば、一部の態様において、TaqManアッセイ法(PE Biosystems, Foster City, CA;たとえば、米国特許第5,962,233号および第5,538,848号、を参照されたい(これらのそれぞれは、本明細書に参照として組み入れられる))が利用される。 本アッセイ法は、PCR反応の間に行われる。 TaqManアッセイ法は、AMPLITAQ GOLD DNAポリメラーゼの5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を利用する。 5'-リポーター色素(たとえば、蛍光色素)および3'-失活剤色素を有するオリゴヌクレオチドからなるプローブをPCR反応に含める。 プローブが、その標的に結合された場合、PCRの間に、AMPLITAQ GOLDポリメラーゼの5'-3'ヌクレオチド分解(nucleolytic)活性により、リポーターと失活剤色素との間でプローブを切断する。 失活剤色素からリポーター色素が分離すると、蛍光の増加を生じる。 シグナルは、PCRのそれぞれのサイクルによって蓄積し、蛍光計でモニターすることができる。

    さらにその他の態様において、RNAの発現を検出するために、逆転写酵素PCR(RT-PCR)が使用される。 RT-PCRでは、逆転写酵素を使用して、RNAを酵素的に相補的なDNAまたは「cDNA」に変換する。 次いで、cDNAは、PCR反応のための鋳型として使用される。 PCR産物は、ゲル電気泳動およびDNA特異的な染色での染色またはラベルされたプローブに対するハイブリダイゼーションを含む(しかし、これらに限定されない)、任意の適切な方法によって検出することができる。 一部の態様において、米国特許第5,639,606号、第5,643,765号、および第5,876,978号(これらのそれぞれは、本明細書に参照として組み入れられる)に記載されている方法の標準的な競合的鋳型の混合物での定量的な逆転写酵素PCRが利用される。

    2.タンパク質の検出 その他の態様において、癌マーカーの遺伝子発現は、対応するタンパク質またはポリペプチドの発現を測定することによって検出される。 タンパク質発現は、任意の適切な方法によって検出してもよい。 一部の態様において、タンパク質は、免疫組織化学方法によって検出される。 その他の態様において、タンパク質は、タンパク質に対して生じた抗体に対するこれらの結合によって検出される。 抗体の生成は、下記に記載されている。

    抗体結合は、当該技術分野において既知の技術によって検出される(たとえば、放射免疫アッセイ法、ELISA(酵素結合免疫吸着検定法)、「サンドイッチ」免疫アッセイ法、免疫放射測定アッセイ法、ゲル内拡散沈降素反応、免疫拡散アッセイ法、インサイチュウ免疫アッセイ法(たとえば、金コロイド、酵素、または放射性同位元素ラベルを使用する)、ウエスタンブロット、沈降反応、凝集アッセイ法(たとえば、ゲル凝集アッセイ法、赤血球凝集アッセイ法、その他)、補体結合アッセイ法、免疫蛍光検定、プロテインAアッセイ法、および免疫電気泳動法アッセイ法、その他)。

    1つの態様において、抗体の結合は、一次抗体のラベルを検出することによって検出される。 もう1つの態様において、一次抗体は、一次抗体に対する二次抗体または試薬の結合を検出することによって検出される。 さらなる態様において、二次抗体は、ラベルされる。 免疫アッセイの中の結合を検出するための多くの方法が当該技術分野において既知であり、本発明の範囲内である。

    一部の態様において、自動化された検出アッセイ法が利用される。 免疫アッセイ法の自動操作のための方法は、米国特許第5,885,530号、第4,981,785号、第6,159,750号、および第5,358,691号(これらのそれぞれは本明細書に参照として組み入れられる)に記載されているものを含む。 一部の態様において、結果の解析および提示も、自動化される。 たとえば、一部の態様において、癌マーカーに対応する一連のタンパク質の有無に基づいて、予後を作成するソフトウェアが利用される。

    その他の態様において、免疫アッセイ法は、米国特許第5,599,677号および第5,672,480号(これらのそれぞれは、本明細書に参照として組み入れられる);に記載されている。

    3.データ分析 一部の態様において、検出アッセイ法によって作成された生データ(たとえば、所与のマーカーまたはマーカーの存在、非存在、または量)を、臨床家のために適中率のデータに変換するために、コンピュータによって動作する解析プログラムが使用される。 臨床家は、任意の適切な手段使用して、適中率のデータにアクセスすることができる。 したがって、一部の好ましい態様において、本発明は、遺伝学または分子生物学の訓練がなされていない可能性が高い臨床家が、必要とする生データを理解する必要がないというさらなる利益を提供する。 データは、その最も有用な形態で直接臨床家に示される。 次いで、臨床家は、被検者の看護を最適化するために直ちに情報を利用することが可能である。

    本発明は、アッセイ法を行っている研究室に対し、およびそこから情報を受け、処理し、発信することができる任意の方法が想定され、情報を医学上の個人および被検者に提供する。 たとえば、本発明の一部の態様において、被検者から試料(たとえば、生検または血清または尿試料)を得て、世界中の(たとえば、被検者が住む国または情報が最終的に使用される国とは異なる国の)いずれかの地域に位置するプロファイリングサービス(たとえば、医学的な設備の臨床的な研究室、ゲノムのプロファイリング事業、その他で)に供し、生データが作成される。 試料が、組織またはその他の生体試料を含む場合、被検者は、得られた試料を有する医療センターを訪問して、プロファイリングセンターに送ってもよく、または被検者は、自身で試料(たとえば、尿試料)を回収して、プロファイリングセンターに直接これを送信してもよい。 試料が前もって決定された生物情報を含む場合は、情報は、被検者によって直接プロファイリングサービスに送信されてもよい(たとえば、情報を含む情報カードをコンピュータによって走査してもよく、データは、電子連絡システムを使用してプロファイリングセンターのコンピュータに発信される)。 一旦プロファイリングサービスによって受け取られると、試料を処理し、被検者のために要求される症候または予後の情報に特異的なプロフィール(すなわち、発現データ)が作製される。

    次いで、治療する臨床家による分析に適した形式でプロフィールデータを調製する。 たとえば、生の発現データを提供するよりはむしろ、調製された形式では、特定の治療オプションのための勧告とともに、被検者の診断またはリスク評価(たとえば、薬物感受性スコア)を表してもよい。 データは、任意の適切な方法によって臨床家に表示されてもよい。 たとえば、一部の態様において、プロファイリングサービスは、報告を作成し、臨床家のために印刷すること(たとえば、看護の場所で)またはコンピュータモニタ上で臨床家に表示することができる。

    一部の態様において、情報は、まず看護の場所で、または地方の設備で解析される。 次いで、生データは、さらなる解析のためにおよび/または生データを臨床家または患者に有用な情報に変換するために、中心的処理設備に送信される。 中心的処理設備は、プライバシー(全てのデータは、一様なセキュリティプロトコルを有する中心的設備内に貯蔵される)、速度、およびデータ分析の一様性において利点を提供する。 次いで、中心的処理設備は、被検者の治療に後のデータの運命を制御することができる。 たとえば、中心的設備は、電子通信系を使用して、臨床家、被検者、または研究者にデータを提供することができる。

    一部の態様において、被検者は、電子通信システムを使用してデータに直接アクセスすることが可能である。 被検者は、結果に基づいてさらなる介入またはカウンセリングを選択してもよい。 一部の態様において、データは、研究に使用するために使用される。 たとえば、データは、特定の症状または病期の有用な指標としてのマーカーの含有または排除を最適化するために、さらに使用されてもよい。

    D.キット さらにその他の態様において、本発明は、癌の検出および特徴分析のためのキットを提供する。 一部の態様において、検出試薬および緩衝液に加えて、キットは、癌マーカーに特異的な抗体を含む。 その他の態様において、キットは、mRNAまたはcDNAの検出のための特異的な試薬(たとえば、オリゴヌクレオチドプローブまたはプライマー)を含む。 好ましい態様において、キットは、全ての対照、アッセイ法を行うための説明書、および結果の解析および提示のために必要な任意のソフトウェアを含む、検出アッセイを行うために必要な構成要素の全てを含む。

    E.インビボイメージング 一部の態様において、動物(たとえば、ヒトまたは非ヒト哺乳類)の癌マーカーの発現を視覚化するために、インビボイメージング技術が使用される。 たとえば、一部の態様において、癌マーカーのmRNAまたはタンパク質は、癌マーカーに特異的な、ラベル抗体を使用してラベルされる。 特異的に結合したラベル抗体は、放射性核種イメージング、ポジトロン放出断層撮影(positron emission tomography)、コンピュータ体軸断層撮影法(computerized axial tomography)、X線または磁気共鳴イメージング法、蛍光検出、および化学発光検出を含む(しかし、これらに限定されない)インビボイメージング法を使用して、個々に検出することができる。 本発明の癌マーカーに対する抗体を作成するための方法は、下記に記載されている。

    本発明のインビボイメージング法は、本発明の癌マーカーを発現する癌の診断に有用である。 インビボイメージングは、癌を表すマーカーの存在を視覚化するために使用される。 このような技術では、不快な生検を用いずに診断することができる。 また、本発明のインビボイメージング方法は、癌患者に予後を提供するために有用である。 たとえば、薬物抵抗性である可能性が高い癌を表すマーカーの存在を検出することができる。 本発明のインビボイメージング方法は、体のその他の部分の転移癌を検出するために、さらに使用することができる。 なおさらなる態様において、インビボイメージングは、特定の遺伝子(たとえば、薬物抵抗性遺伝子)の発現に対する治療的な候補の効果を決定するために使用される。

    一部の態様において、本発明の癌マーカーに特異的な試薬(たとえば、抗体)は、蛍光ラベルされる。 ラベルされた抗体を被検者に導入する(たとえば、経口的に、または非経口的に)。 蛍光ラベルされた抗体は、任意の適切な方法を使用して(たとえば、米国特許第6,198,107号(本明細書に参照として組み入れられる)に記載されている装置を使用して)検出される。

    その他の態様において、抗体は、放射性ラベルされる。 インビボ診断のための抗体の使用は、当該技術分野において周知である。 Sumerdonら(Nucl. Med. Biol 17: 247-254 [1990])には、ラベルとしてインジウム-111を使用する腫瘍の放射免疫シンチグラフィーでのイメージングのための、最適化された抗体-キレート剤を記載してある。 Griffinら、(J Clin Onc 9: 631-640 [1991])には、再発性の結直腸癌であると疑われる患者の腫瘍を検出する際にこの薬物をの使用することが記載してある。 磁気共鳴イメージングのためのラベルとして、常磁性イオンを有する同様の薬物の使用は、当該技術分野において既知である(Lauffer, Magnetic Resonance in Medicine 22: 339-342 [1991])。 使用されるラベルは、選択されるイメージング様式に依存する。 インジウム-111、テクネチウム-99m、またはヨウ素-131などの放射性ラベルは、平面スキャンまたはシングルフォトン放射形コンピュータ断層撮影法(SPECT)に使用される。 フッ素-19などのポジトロン放射ラベルも、ポジトロン放出断層撮影(PET)のために使用することができる。 MRIのためには、ガドリニウム(III)またはマンガン(II)などの常磁性イオンを使用することができる。

    スカンジウム-47(3.5日)、ガリウム-67(2.8日)、ガリウム-68(68分)、テクネチウム-99m(6時間)、およびインジウム-111(3.2日)などの、1時間〜3.5日の範囲の半減期を有する放射性金属は、抗体に結合するために利用でき、ガリウム-67、テクネチウム-99m、およびインジウム-111は、ガンマ線カメライメージングに好ましく、ガリウム-68は、ポジトロン放出断層撮影に好ましい。

    たとえば、In-111およびTc-99mについてKhawら(Science 209: 295 [1980])によって、並びにScheinbergら(Science 215: 1511 [1982])によって記載されているように、このような放射性金属で抗体をラベルする有用な方法は、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)などの二機能性のキレート薬によるものである。 また、その他のキレート薬を使用してもよいが、1-(p-カルボキシメトキシベンジル)EDTAおよびDTPAのカルボキシ炭酸の無水物は、これらの使用により、実質的に抗体の免疫反応性に影響を及ぼすことなく結合することができるので、有利である。

    タンパク質にDPTAを結合するためのもう一つの方法は、アルブミンをIn-111でラベリングするために、Hnatowichら(Int. J. Appl. Radiat. Isot. 33: 327 [1982])によって記載されているように、DTPAの環状無水物を使用することによるものであるが、抗体のラベリングに適応させることはできない。 DPTAによるキレート化を使用せずに、Tc-99mで抗体をラベルするのに適した方法は、Crockfordら(米国特許第4,323,546号、参照として本明細書に組み入れられる)のあらかじめスズめっきする方法である。

    Tc-99mで免疫グロブリンをラベルする好ましい方法は、血漿タンパクについて、Wongetら(Int. J. Appl. Radiat. Isot., 29: 251 [1978])によって記載されており、最近Wongら(J. Nucl. Med., 23: 229 [1981])によって、抗体ラベルに適用されてうまいった。

    特異的な抗体に結合した放射性金属の場合、その免疫源性を破壊しない程度に放射ラベルの割合を高めて抗体分子に導入することが同様に望ましい。 本発明の特異的な癌マーカーの存在下で放射ラベルを行って、抗体上の抗原結合部位が保護されていることを確実にすることによって、さらなる改善が達成されてもよい。 抗原は、ラベリングの後で分離される。

    なおさらなる態様において、インビボでのバイオフォトイメージング(in vivo biophotonic imaging)(Xenogen, Almeda, CA)をインビボイメージングのために利用する。 このリアルタイム・インビボイメージングは、ルシフェラーゼを利用する。 ルシフェラーゼ遺伝子は、細胞、微生物、および動物に組み込まれる(たとえば、本発明の癌マーカーを有する融合タンパク質として)。 活性なときに、光を放射する反応に至る。 CCDカメラおよびソフトウェアを使用してイメージを捕獲し、それを解析する。

    II.抗体 本発明は、単離された抗体を提供する。 好ましい態様において、本発明は、本明細書に記載されている癌マーカーの少なくとも5つのアミノ酸残基を含む単離されたポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体を提供する。 これらの抗体は、本明細書に記載されている診断法での使用を見出す。

    本発明のタンパク質に対する抗体は、これがタンパク質を認識することができる限り、任意のモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であってもよい。 抗体は、従来の抗体または抗血清の調製過程にしたがった抗原として、本発明のタンパク質を用いて産生させることができる。

    本発明は、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体の使用を想定する。 本明細書に開示したものを含む(しかし、これらに限定されない)本発明の方法および組成物に使用される抗体を作成するために、任意の適切な方法を使用してもよい。 たとえば、モノクローナル抗体を調製するためには、タンパク質を、それ自体または適切なキャリアもしくは希釈液と共に、抗体作成を可能にする条件下で動物(たとえば、哺乳類)に投与する。 抗体産生能を増強するために、完全または不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。 通常、タンパク質は、2週〜6週ごとに一度、全体で約2回〜約10回、投与される。 このような方法に使用される適切な動物は、霊長類、ウサギ、イヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、その他を含むが、これらに限定されない。

    モノクローナル抗体を産生する細胞を調製するためには、最終的な免疫化の2日〜5日後に、抗体価を確認した個々の動物(たとえば、マウス)を選択し、その脾臓またはリンパ節を集めて、これに含まれる抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合し、所望のモノクローナル抗体を産生する雑種細胞腫を調製する。 抗血清中の抗体価の測定を、たとえば、以下に記載したようなラベルされたタンパク質および抗血清を反応させることによって行い、および次いで抗体に結合したラベリング薬物の活性を測定する。 たとえば、細胞融合は、既知の方法、たとえば、KoehlerおよびMilstein (Nature 256: 495 [1975])によって記載された方法に従って行うことができる。 融合プロモーターとして、たとえば、ポリエチレングリコール(PEG)またはセンダイウイルス(HVJ)、好ましくはPEGを使用する。

    骨髄腫細胞の例は、NS-1、P3U1、SP2/0、AP-1などを含む。 使用される抗体産生細胞(脾細胞)の数および骨髄腫細胞の数の比率は、好ましくは約1:1〜約20:1である。 望ましくは、PEG(好ましくはPEG1000〜PEG6000)を約10%〜約80%の濃度で添加する。 細胞融合は、約20℃〜約40℃、好ましくは約30℃〜約37℃で、約1分〜10分間、両細胞の混合物をインキュベートすることによって効率的に行うことができる。

    抗体(たとえば、本発明の腫瘍抗原または自己抗体に対するもの)を産生する雑種細胞腫をスクリーニングするために、種々の方法を使用してもよい。 たとえば、抗体が直接またはキャリアと共に吸着される固相(たとえば、マイクロプレート)に雑種細胞腫の上清を添加する場合、次いで放射性物質もしくは酵素によってラベルされた抗免疫グロブリン抗体(マウス細胞が細胞融合に使用される場合は、抗マウス免疫グロブリン抗体が使用される)またはProtein Aを添加して、固相に結合したタンパク質に対するモノクローナル抗体を検出する。 または、抗免疫グロブリン抗体またはProtein Aが吸着された固相に雑種細胞腫の上清を添加し、次いで放射性物質または酵素によってラベルしたタンパク質を添加して固相に結合したタンパク質に対するモノクローナル抗体を検出する。

    モノクローナル抗体の選択は、任意の既知の方法またはその修飾に従って行うことができる。 通常、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)が加えられた動物細胞のための培地が使用される。 雑種細胞腫が増殖することができる限り、任意の選択培地および増殖培地を使用することができる。 たとえば、1%〜20%、好ましくは10%〜20%のウシ胎児血清を含むRPMI1640培地、1%〜10%のウシ胎児血清を含むGIT培地、雑種細胞腫(SFM-101、Nissui Seiyaku)の培養のための無血清培地などを使用することができる。 通常、培養は、20℃〜40℃、好ましくは37℃で、約5日〜3週間、好ましくは1週〜2週間、約5%のCO 2気体下で行われる。 雑種細胞腫の培養上清の抗体価は、抗血清中の抗タンパク質の抗体価に関して上述したものと同じ方法に従って測定することができる。

    モノクローナル抗体(たとえば、本発明の癌マーカーに対するもの)の分離および精製は、免疫グロブリンの分離および精製などの従来のポリクローナル抗体のものと同じ方法、たとえば、塩析、アルコール沈澱、等電点沈澱、電気泳動法、イオン交換体(たとえば、DEAE)による吸着および脱離、超遠心、ゲル濾過、または抗原結合性の固相、Protein AもしくはProtein Gなどの活性吸着剤によって回収し、抗体を得るために結合を分離することなどの、抗体だけを特異的に精製する方法に従って行うことがができる。

    ポリクローナル抗体は、患者から抗体を得ることを含む、任意の既知の方法またはこれらの方法の修飾によって調製されてもよい。 たとえば、免疫原(タンパク質に対する抗原)およびキャリアタンパク質の複合体を調製し、これを上記モノクローナル抗体の調製に関して記述したものと同じ方法に従って、複合体によって動物を免疫する。 抗体を含む材料を免疫された動物から回収して、抗体を分離して精製する。

    動物の免疫化のために使用される免疫原およびキャリアタンパク質の複合体として、キャリアに対して架橋され、かつ免疫化のために使用されるハプテンに対する抗体が効率的に産生される限り、任意のキャリアタンパク質並びにキャリアおよびハプテンの任意の混合比を使用することができる。 たとえば、ウシ血清アルブミン、ウシシクログロブリン、キーホールリンペットヘモシニアン、その他をハプテンに対して、ハプテンの1部につき約0.1部〜約20部、好ましくは約1部〜約5部の重量比で結合させてもよい。

    加えて、ハプテンおよびキャリアのカップリングのために、種々の縮合剤を使用することができる。 たとえば、グルタルアルデヒド、カルボジイミド、マレイミドで活性化したエステル、チオール基またはジチオピリジル基を含む活性化されたエステル試薬などは、本発明による使用がなされる。 縮合産物は、それ自体または適切なキャリアもしくは希釈液と共に、抗体産生を可能にする動物の部位に投与される。 抗体産生能を増強するために、完全または不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。 通常、タンパク質は、2週〜6週ごとに一度、全体で約3回〜約10回投与される。

    ポリクローナル抗体を、上記の方法によって免疫した動物の血液、腹水などから回収する。 抗血清中の抗体価は、雑種細胞腫培養の上清に関して上記したものと同じ方法に従って測定することができる。 抗体の分離および精製は、上記のモノクローナル抗体に関して記述したものと同じ免疫グロブリンの分離および精製法に従って行うことがができる。

    本明細書において免疫原として使用されるタンパク質は、免疫原のいずれかの特定のタイプに限定されない。 たとえば、本発明の癌マーカー(部分的に改変されたヌクレオチド配列を有する遺伝子をさらに含む)は、免疫原として使用することができる。 さらに、タンパク質の断片を使用してもよい。 断片は、遺伝子の断片を発現すること、タンパク質の酵素のプロセシング、化学合成などを含む(しかし、限定されない)任意の方法によって得てもよい。

    III.薬物スクリーニング 一部の態様において、本発明は、薬物スクリーニングアッセイ法を提供する(たとえば、抗癌薬についてスクリーニングするためのもの)。 一部の態様において、特定の薬物感受性プロフィールを有する癌の増殖および/または進行に対する薬物療法の効果を評価する。 腫瘍の成長または増殖をアッセイするための任意の適切な方法を利用してもよい。 たとえば、一部の態様において、実施例3に記載されているアッセイ法が利用される。 したがって、本発明は、所与の薬物感受性プロフィールを有する個々のために「個人化された医薬用製剤」を提供する方法を提供する。

    その他の態様において、本発明は、癌マーカー遺伝子の発現を変える(たとえば、増減する)化合物をスクリーニングする方法を提供する。 一部の態様において、候補化合物は、癌マーカーに対して向けられたアンチセンス薬物(たとえばオリゴヌクレオチド)である。 アンチセンス治療の議論については、以下の節IVを参照されたい。 その他の態様において、候補化合物は、特に本発明の癌マーカーに結合する抗体である。 なおさらなる態様において、本発明は、薬物抵抗性遺伝子の発現を変える(たとえば、減少する)化合物をスクリーニングする方法を提供する。

    1つのスクリーニング法において、候補化合物は、癌マーカーを発現する細胞と化合物を接触させ、次いで発現に対する候補化合物の能力をアッセイすることによって、これらが癌マーカーの発現を変える効果を評価する。 一部の態様において、癌マーカー遺伝子の発現に対する候補化合物の効果は、細胞によって発現される癌マーカーmRNAのレベルを検出することによってアッセイされる。 mRNAの発現は、任意の適切な方法によって検出することができる。 その他の態様において、癌マーカー遺伝子の発現に対する候補化合物の効果は、癌マーカーによってコードされるポリペプチドのレベルを測定することによってアッセイされる。 発現されるポリペプチドのレベルは、本明細書に開示されたものを含む(しかし、限定されない)、任意の適切な方法を使用して測定することができる。

    一部の態様において、本発明は、修飾因子、すなわち本発明の癌マーカーに結合するか、たとえば癌マーカーの発現もしくは癌マーカーの活性に対して阻害の(または刺激性の)効果を有し、またはたとえば癌マーカー基質の発現もしくは活性に対して刺激性のまたは阻害の効果を有する候補化合物もしくは試験化合物または薬物(たとえば、タンパク質、ペプチド、ペプチド擬態、ペプトイド、小分子、またはその他の薬物)を同定するためのスクリーニング法を提供する。 したがって、同定される化合物は、治療的なプロトコルにおいて、直接または間接的に標的遺伝子産物(たとえば、癌マーカー遺伝子)の活性を調節するため、標的遺伝子産物の生物学的な機能を産生するため、または正常な標的遺伝子の相互作用を崩壊させる化合物を同定するために使用することができる。 癌マーカーの活性または発現を阻害する化合物は、増殖性の障害、たとえば、癌、特に転移性の(たとえば、アンドロゲン非依存的な)前立腺癌の治療に有用である。

    1つの態様において、本発明は、癌マーカータンパク質もしくはポリペプチドまたはこれらの生物学的に活性な部分の基質である候補化合物または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイ法を提供する。 もう1つの態様において、本発明は、癌マーカータンパク質もしくはポリペプチドまたはこれらの生物学的に活性部分の活性を結合または調節する候補化合物または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイ法を提供する。

    本発明の試験化合物は、以下の生物学的なライブラリーを含む、当該技術分野において既知のコンビナトリアル・ライブラリー法の多くのアプローチのいずれを使用して得ることもできる;ペプトイドライブラリー(ペプチドの機能を有する分子ライブラリーであるが、新規の、非ペプチドバックボーンを有し、酵素的分解に抵抗性であるが、それにもかかわらず生理活性を有するままである;Zuckennannら、J. Med. Chem. 37: 2678-85 [1994]);空間的にアドレス指定可能な平行した固相または溶液相のライブラリー;デコンヴォルーションを必要とする合成ライブラリー法;「1ビーズ1化合物」のライブラリー法;およびアフィニティークロマトグラフィーでの選択を使用する合成ライブラリー法。 生物学的なライブラリーおよびペプトイドライブラリーアプローチは、ペプチドライブラリーに使用するためには好ましいが、その他の4アプローチは、ペプチド、非ペプチドオリゴマー、または小分子化合物のライブラリーに適用できる(Lam (1997) Anticancer Drug Des. 12: 145)。

    分子ライブラリーの合成のための方法の例は、当該技術分野において、たとえば以下の中で見出すことができる:DeWittら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6909 [1993]; Erbら、Proc. Nad. Acad. Sci. USA 91: 11422 [1994]; Zuckermannら、J. Med. Chem. 37: 2678 [1994]; Choら、Science 261: 1303 [1993]; Carrellら、Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33.2059 [1994]; Carellら、Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33: 2061 [1994];およびGallopら、J. Med. Chem. 37: 1233 [1994])。

    化合物のライブラリーは、溶液で(たとえば、Houghten, Biotechniques 13: 412-421 [1992])、またはビーズに(Lam, Nature 354: 82-84 [1991])、チップに(Fodor, Nature 364: 555-556 [1993])、細菌もしくは芽胞に(米国特許第5,223,409号;本明細書に参照として組み入れられる)、プラスミドに(Cullら、Proc. Nad. Acad. Sci. USA 89: 18651869 [1992])、またはファージに(Scott および Smith, Science 249: 386-390 [1990]; Devlin Science 249: 404-406 [1990]; Cwirlaら、Proc. NatI. Acad. Sci. 87: 6378-6382 [1990]; Felici, J. Mol. Biol. 222: 301 [1991])示されてもよい。

    1つの態様において、アッセイ法は、細胞に基づいたアッセイ法であり、その中では、癌マーカータンパク質またはこれらの生物学的に活性な部分を発現する細胞を試験化合物と接触させ、試験化合物が癌マーカーの活性を調節する能力が決定される。 試験化合物が癌マーカー活性を調節する能力の決定は、たとえば、酵素活性の変化をモニタリングすることによって達成することができる。 細胞は、たとえば、哺乳類起源であることができる。

    また、試験化合物が、化合物(たとえば、癌マーカー基質)に対する癌マーカーの結合を調節する能力を評価することもできる。 これは、たとえば、化合物、たとえば基質を放射性同位元素または酵素ラベルと結合することによって達成することができ、その結果、癌マーカーに対する化合物、たとえば基質の結合を、複合体中のラベルされた化合物、たとえば基質を検出することによって決定することができる。

    または、試験化合物が、複合体中の癌マーカー基質に対する癌マーカーの結合を調節する能力をモニターするために、癌マーカーを放射性同位元素または酵素標識に結合させる。 たとえば、直接または間接的に、化合物(たとえば、基質)を125 I、 35 S 14 C、または3 Hによってラベルし、放射線放出を直接的計数することによって、またはシンチレーション計数することによって、放射性同位元素を検出することができる。 または、化合物をたとえば、西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはルシフェラーゼで酵素的にラベルし、適切な基質から産物への変換を決定することによって酵素ラベルを検出することができる。

    任意の相互作用する物質のラベリングの有り無しで、化合物(たとえば、癌マーカー基質)が癌マーカーと相互作用する能力を評価することができる。 たとえば、微視的生理機能測定装置(microphysiometer)を使用して、化合物または癌マーカーのいずれかをラベリングせずに癌マーカーと化合物の相互作用を検出することができる(McConnellら、Science 257: 1906-1912 [1992])。 本明細書において使用されるものとして、「微視的生理機能測定装置」(たとえば、Cytosensor)は、光アドレス指定可能な電位差測定のセンサー(LAPS)を使用して、細胞がその環境を酸性化する割合を測定する分析機器である。 この酸性化の割合の中の変化は、化合物と癌マーカーとの間の相互作用の指標として使用することができる。

    さらにもう1つの態様において、無細胞アッセイ法が提供され、その中では、癌マーカータンパク質またはこれらの生物学的に活性部分を試験化合物と接触させて、試験化合物が癌マーカータンパク質またはこれらの生物学的に活性な部分に結合する能力が評価される。 本発明のアッセイ法に使用される癌マーカータンパク質の好ましい生物学的に活性な部分は、基質またはその他のタンパク質との相互作用に参加する断片、たとえば、高い表面確率スコアを有する断片を含む。

    無細胞アッセイ法は、標的遺伝子タンパク質および試験化合物の反応混合物を、2つの成分が相互作用し、かつ結合することができる条件下で、および十分な時間で、調製することにより複合体を形成させることを含み、これを除去し、および/または検出することができる。

    また、2つの分子間の相互作用は、たとえば蛍光エネルギー転移(FRET)(たとえば、Lakowiczら、米国特許第5,631,169号;Stavrianopoulosら、米国特許第4,968,103号を参照されたい;これらのそれぞれは、参照として本明細書に組み入れられる)を使用して検出することができる。 第1のドナー分子の放射される蛍光エネルギーが、第2の「アクセプター」分子の蛍光ラベルによって吸収されて、吸収されたエネルギーによって蛍光を発することができるように、フルオロフォアラベルを選択する。

    または、「ドナー」タンパク質分子は、単にトリプトファン残基の天然の蛍光エネルギーを利用してもよい。 「アクセプター」分子ラベルは、「ドナー」のものと区別されるように、異なる波長の光を放射するラベルを選択される。 ラベル間のエネルギー転移の効率は、分子を分離する距離に相関するので、分子間の空間的関係を評価することができる。 分子間で結合が生じた場合、アッセイ法における「アクセプター」分子ラベルの蛍光発光は、最大となるはずである。 FRET結合イベントは、当該技術分野において周知の標準的な蛍光定量検出手段によって(たとえば、蛍光計を使用して)便利に測定することができる。

    もう1つの態様において、癌マーカータンパク質が標的分子に結合する能力の決定は、リアルタイム生体分子相互作用解析(Biomolecular Interaction Analysis:BIA)を使用して達成することができる(Sjolanderおよび Urbaniczky, Anal. Chem. 63:2338-2345 [1991]、並びにおよびSzaboら、Curr. Opin. Struct. Biol. 5: 699-705 [1995]を参照されたい)。 「表面プラスモン共振」または「BIA」は、いずれの相互作用する物質もラベルせずに、生物特異的な相互作用をリアルタイムで検出することができる(たとえば、BlAcore)。 結合表面(結合イベントを表す)の質量の変化は、表面の近くで光の屈折率の変化を生じ(表面プラスモン共振(SPR)の光学現象)、生体分子間のリアルタイムの反応指標として使用することができる検出可能なシグナルを生じる。

    1つの態様において、標的遺伝子産物または検体は、固相上へアンカーされる。 固相上にアンカーされた標的遺伝子産物/試験化合物の複合体は、反応終了後に検出することができる。 好ましくは、標的遺伝子産物は、固体の表面上へアンカーすることができ、試験化合物(これは、アンカーされない)は、直接または間接的に、本明細書に論議した検出可能なラベルでラベルすることができる。

    タンパク質の一方または両方の非複合型の形態から複合型の分離を容易にするために、並びにアッセイ法の自動操作に対応するために、癌マーカー、抗癌マーカー抗体、またはその標的分子を固定することが望ましいであろう。 癌マーカータンパク質に対する試験化合物の結合、または候補化合物の存在および非存在下における標的分子と癌マーカータンパク質の相互作用は、反応物を含めるのに適した任意の容器中で達成することができる。 このような容器の例は、マイクロタイタープレート、試験管、およびマイクロ遠心管を含む。 1つの態様において、タンパク質の一方または両方をマトリックスに結合させることができるドメインを付加する融合タンパク質を提供することができる。 たとえば、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ-癌マーカー融合タンパク質またはグルタチオン-S-トランスフェラーゼ/標的融合タンパク質は、グルタチオンセファロースビーズ(Sigma, Chemical, St. Louis, MO)またはグルタチオン誘導体化マイクロタイタープレート上へ吸着させ、次いでこれを試験化合物、または試験化合物と非吸着標的タンパク質もしくは癌マーカータンパク質のいずれかと共に合わせて、複合体形成を行う条件下で(たとえば、生理学的条件の塩およびpHで)混合物をインキュベートすることができる。 インキュベーション後、ビーズまたはマイクロタイタープレートウェルを洗浄して、あらゆる未結合を除去し、ビーズの場合には、マトリックス固定複合体を、たとえば上記したように、直接または間接的に決定した。

    または、複合体は、マトリックスから解離させることができ、癌マーカーの結合または活性のレベルは、標準的な技術を使用して決定することができる。 マトリックス上に癌マーカータンパク質または標的分子を固定するためのその他の技術は、ビオチンおよびストレプトアビジンの結合を使用することを含む。 ビオチン化された癌マーカータンパク質または標的分子は、当該技術分野において既知の技術(たとえば、ビオチン標識キット、Pirce Chemicals, Rockford, EL)を使用するビオチン-NHS(N-ヒドロキシ-スクシンイミド)から調製することができ、ストレプトアビジン被覆した96穴プレート(Pierce Chemical)のウェル中に固定することができる。

    アッセイを行うために、非固定成分を、アンカーされた成分を含むコーティング表面に添加する。 反応が完了した後、形成された複合体がいずれも固体の表面上に固定されたままであるような条件下で(たとえば、洗浄によって)、反応していない成分を除去する。 固体の表面上にアンカーされた複合体の検出は、多くの方法で達成することができる。 あらかじめ、非固定成分をプレラベルした場合は、表面上に固定されたラベルの検出は、複合体が形成されたことを示す。 あらかじめ、非固定成分をプレラベルしていない場合は、表面上にアンカーされた複合体を検出するために、間接的なラベルを使用することができ;たとえば、固定された成分に特異的なラベルされた抗体を使用する(次に、抗体は、直接ラベルすることができ、またはたとえばラベルされた抗IgG抗体によって間接的にラベルすることができる)。

    このアッセイ法は、癌マーカータンパク質または標的分子と反応するが、癌マーカータンパク質のその標的分子に対する結合を妨げない抗体を利用して行われる。 このような抗体をプレートのウェルに対して誘導体化して、未結合の標的または癌マーカータンパク質を抗体結合によってウェルにトラップすることができる。 このような複合体を検出するための方法は、GST固定化複合体について上記したものに加えて、癌マーカータンパク質または標的分子と反応する抗体を使用する複合体の免疫検出、並びに癌マーカータンパク質または標的分子に関係する酵素活性を検出することに依存する酵素結合アッセイ法を含む。

    または、無細胞アッセイ法は、液相中で行うことがができる。 このようなアッセイ法では、以下を含む(しかし、これに限定されない)多くの標準的な技術反を使用して、生成物を反応していない成分から分離させる:分画遠心分離(たとえば、RivasおよびMinton, Trends Biochem Sci 18: 284-7 [1993]を参照);クロマトグラフィー(ゲル濾過クロマトグラフィー(イオン交換クロマトグラフィー);電気泳動法(たとえば、Ausubelら、eds. Current Protocols in Molecular Biology 1999, J. Wiley: New York.を参照);および免疫沈降(たとえば、Ausubelら、eds. Current Protocols in Molecular Biology 1999, J. Wiley: New Yorkを参照)。このような樹脂およびクロマトグラフィー技術は、当業者に既知である(たとえば、Heegaard J. Mol. Recognit 11: 141-8 [1998]; Hageand Tweed J. Chromatogr. Biomed. Sci. Appl 699: 499-525 [1997]を参照されたい)。さらに、溶液から複合体をさらに精製することなく結合を検出するために、本明細書に記載されているように、蛍光エネルギー転移も便利に利用してもよい。

    アッセイ法は、癌マーカータンパク質またはこれらの生物学的に活性な部分を、癌マーカーに結合してアッセイ混合物を形成する既知の化合物と接触させること、試験化合物とアッセイ混合物を接触させること、および試験化合物が癌マーカータンパク質と相互作用する能力を決定することを含み、試験化合物が癌マーカータンパク質と相互作用する能力を決定することは、試験化合物が癌マーカーまたはこれらの生物学的に活性な部分に優先して結合する能力、または標的分子の活性を調節する能力を、既知の化合物と比較して決定することを含む。

    癌マーカーが、インビボで1つもしくは複数の細胞またはタンパク質などの細胞外巨大分子と相互作用することができる範囲では、このような相互作用の阻害剤は、有用である。 阻害剤を同定するために、同種アッセイ法を使用することができる。

    たとえば、標的遺伝子産物またはこれらの結合パートナーのいずれかがラベルされるが、ラベルによって生じるシグナルは、複合体形成によってクエンチされないように、標的遺伝子産物および相互作用する細胞または細胞外結合パートナー産物の予め形成された複合体を調製する(たとえば、免疫アッセイのためにこのアプローチを利用する米国特許第4,109,496号(本明細書に参照として組み入れられる)を参照されたい)。 予め形成された複合体に由来する種のうちの1つと競合し、および置換する検体の添加により、バックグラウンド以上のシグナルを生じると考えられる。 このような方法で、標的遺伝子産物-結合パートナーの相互作用を崩壊させる検体を同定することができる。 または、癌マーカータンパク質は、癌マーカーに結合するか、または相互作用し、および癌マーカー活性に関与するその他のタンパク質(「癌マーカー結合タンパク質」もしくは「癌マーカーbp」)を同定するために、ツーハイブリッドアッセイ法もしくはスリーハイブリッドアッセイ法の「ベイトタンパク質」として使用することができる(たとえば、米国特許第5,283,317号;Zervosら、Cell 72: 223-232 [1993]; Maduraら、J. Biol. Chem. 268.12046-12054 [1993]; Bartelら、Biotechniques 14: 920-924 [1993];Iwabuchiら、Oncogene 8: 1693-1696 [1993];およびBrent国際公開公報第94/10300号;(これらのそれぞれは、本明細書に参照として組み入れられる)を参照されたい)。 このような癌マーカー-bpsは、癌マーカータンパク質によるシグナルの活性化因子または阻害剤であるか、またはたとえば、癌マーカーを媒介したシグナリング経路の下流のエレメントの標的であることができる。

    また、癌マーカー発現の修飾因子を同定することができる。 たとえば、細胞または無細胞の混合物を候補化合物と接触させて、癌マーカーのmRNAまたはタンパク質の発現を、候補化合物の非存在下で癌マーカーのmRNAまたはタンパク質の発現レベルと比較して評価する。 癌マーカーのmRNAまたはタンパク質の発現が、候補化合物の不存在下よりも存在下において多いときは、候補化合物は、癌マーカーのmRNAまたはタンパク質発現の刺激物として同定される。 代わりに、癌マーカーのmRNAまたはタンパク質の発現が、候補化合物の不存在下よりも存在下においてより少ない(すなわち、統計学的に実質的に少ない)ときは、候補化合物は、癌マーカーのmRNAまたはタンパク質発現の阻害剤として同定される。 癌マーカーのmRNAまたはタンパク質発現のレベルは、癌マーカーmRNAまたはタンパク質の検出のために本明細書に記載されている方法によって決定することができる。

    調節剤は、細胞に基づいたアッセイ法または無細胞アッセイ法を使用して同定することができ、薬物が、癌マーカータンパク質の活性を調節する能力は、インビボで、たとえば疾患の動物モデルなどの動物(たとえば、前立腺癌または転移性の前立腺癌の動物)で;または動物(たとえば、ヒト)由来の前立腺癌の異種移植片、または前立腺癌の転移(たとえば、リンパ節、骨、または肝臓に)によって生じた癌に由来する細胞、または前立腺癌株化細胞に由来する細胞を有する動物で確認することができる。

    本発明は、さらに上記のスクリーニングアッセイ法によって同定される新規薬物にも関する(たとえば、以下の癌治療の記述を参照されたい)。 したがって、このような薬物による治療の有効性、毒性、副作用、または作用機序を決定するために、適切な動物モデル(本明細書に記載されているものなどの)において、本明細書に記載されたように同定された薬物(たとえば、癌マーカー調節剤、アンチセンス癌マーカー核酸分子、siRNA分子、癌マーカー特異抗体、または癌マーカー結合パートナー)を使用することも、さらに本発明の範囲内である。 さらに、上記スクリーニングアッセイ法によって同定される新規薬物は、たとえば、本明細書に記載されているように治療のために使用することができる。

    IV.癌治療 一部の態様において、本発明は、癌の治療(たとえば、本発明の薬物スクリーニング法を使用して同定される個人化された治療)を提供する。 一部の態様において、治療は、癌マーカーまたは薬物抵抗性遺伝子を標的とする。

    A.アンチセンス治療 一部の態様において、本発明は、癌マーカーの発現(たとえば、薬物抵抗性癌に過剰発現される薬物感受性遺伝子)を標的とする。 たとえば、一部の態様において、本発明は、本発明の方法を使用して同定された癌マーカーまたは薬物抵抗性遺伝子をコードする核酸分子の機能を調節することに使用されるオリゴマーアンチセンス化合物、特にオリゴヌクレオチド(たとえば、上記した薬物スクリーニング方法で同定されたもの)を含む組成物を使用する。 これは、特に癌マーカーまたは薬物抵抗性遺伝子をコードする1つまたは複数の核酸とハイブリダイズするアンチセンス化合物を提供することによって達成される。 オリゴマー化合物とその標的核酸の特異的なハイブリダイゼーションは、通常の核酸の機能を妨げる。 標的核酸に特異的にハイブリダイズする化合物による標的核酸の機能のこの調節は、「アンチセンス」といわれる。 妨害されるDNAの機能は、複製および転写を含む。 妨害されるRNAの機能は、たとえば、タンパク質翻訳部位へのRNAの転位置、RNAからのタンパク質の翻訳、1つもしくは複数のmRNA種を産生するRNAのスプライシング、およびRNAに関与するか、またはRNAによって促進されるであろう触媒活性などの、全ての生命の機能を含む。 このような標的核酸機能の妨害による全体的な効果は、本発明の癌マーカーの発現の調節である。 本発明に関して、「調節」は、遺伝子の発現の増加(刺激)または減少(阻害)を意味する。 たとえば、腫瘍増殖を強力に防止するために、発現を阻害してもよい。

    アンチセンスのための特異的な核酸を標的とすることが好ましい。 本発明に関して、特定の核酸にアンチセンス化合物を「ターゲティング」することは、多段階のプロセスである。 本プロセスは、通常、その機能が調節される核酸配列の同定から始める。 これは、たとえば、その発現が特定の障害もしくは疾病状態と関係する細胞遺伝子(もしくは遺伝子から転写されるmRNA)、または感染因子に由来する核酸分子であってもよい。 本発明において、標的は、本発明の癌マーカーをコードする核酸分子である。 また、ターゲティングのプロセスは、所望の効果、たとえばタンパク質の発現の検出または調節が生じるように、アンチセンス相互作用を生じさせるためのこの遺伝子内の部位を決定することを含む。 本発明に関する範囲内で、好ましい遺伝子内の部位は、遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)の翻訳開始または終止コドンを含む領域である。 翻訳開始コドンは、典型的には5'-AUG(転写されたmRNA分子中のもの;対応するDNA分子中では5'-ATG)であるので、翻訳開始コドンは、「AUGコドン」、「開始コドン」、または「AUG開始コドン」ともいわれる。 少数の遺伝子では、RNA配列5'-GUG、5'-UUG、または5'-CUGを有する翻訳開始コドンを有し、および5'-AUA、5'-ACG、および5'-CUGは、インビボで機能することが示されている。 したがって、それぞれの例において、開始アミノ酸は、典型的にはメチオニン(真核生物において)またはホルミルメチオニン(原核生物において)であるが、「翻訳開始コドン」および「開始コドン」という用語は、多くのコドン配列を含むことができる。 真核生物および原核生物の遺伝子は、2つ以上の代わりの開始コドンを有してもよく、その内のどれでもが、特定の細胞種または組織における翻訳開始のために、または特定の条件設定の下で優先して利用されてもよい。 本発明に関して、「開始コドン」および「翻訳開始コドン」は、このようなコドンの配列(群)に関係なく、本発明の腫瘍抗原をコードする遺伝子から転写されるmRNA分子の翻訳を開始するためにインビボで使用されるコドンをいう。

    遺伝子の翻訳終止コドン(または「終止コドン」)は、3つの配列のうちの1(すなわち、5'-UAA、5'-UAG、および5'-UGA;それぞれに対応するDNA配列は、5'-TAA、5'-TAG、および5'-TGAである)を有してもよい。 「開始コドン領域」および「翻訳開始コドン領域」という用語は、いずれかの方向(すなわち、5'または3')で、翻訳開始コドンから約25〜約50の隣接するヌクレオチドを含むこのようなmRNAまたは遺伝子の部分をいう。 同様に、「終止コドン領域」および「翻訳終止コドン領域」という用語は、いずれかの方向(すなわち、5'または3')で、翻訳終止コドンから約25〜約50の隣接するヌクレオチドを含むこのようなmRNAまたは遺伝子の部分をいう。

    また、オープンリーディングフレーム(ORF)または「コード領域」は、翻訳開始コドンと翻訳終止コドンの間の領域をいい、効果的にターゲットされるであろう領域である。 その他の標的領域は、翻訳開始コドンから5'方向のmRNAの部分を指す5'非翻訳領域(5'UTR)を含み、したがって、5'キャップ部位とmRNAの翻訳開始コドンまたは対応する遺伝子上のヌクレオチドとの間のヌクレオチドを含み、かつ翻訳終止コドンから3'方向のmRNAの部分をいう3'非翻訳領域(3'UTR)を含み、したがって、翻訳終止コドンとmRNAの3'末端または遺伝子上の対応するヌクレオチドとの間を含む。 mRNAの5'キャップは、5'-5'三リン酸結合を介してmRNAの5'の末端残基に接続したN7-メチル化グアノシン残基を含む。 mRNAの5'キャップ領域は、5'キャップ構造自体並びにキャップに隣接した最初の50ヌクレオチドを含むものとみなされる。 キャップ領域は、また、好ましい標的領域であろう。

    一部の真核生物のmRNA転写産物は直接翻訳されるが、多くは、「イントロン」として知られる1つまたは複数の領域を含み、これが翻訳される前に転写産物から切除される。 残りの(したがって、翻訳される)領域は、「エキソン」として知られ、共にスプライスされて連続したmRNA配列を形成する。 また、mRNAのスプライス部位(すなわち、イントロン-エキソンの接合部)は、好ましい標的領域であろうし、疾患に異常なスプライシングが関係する場合、または特定のmRNAスプライス産物の過剰産生が疾患に関係する場合に特に有用である。 また、再配列または欠失による異常な融合結合は、好ましい標的である。 また、イントロンが有効であり得ることも見出され、したがって、たとえばDNAまたはプレmRNAにターゲットされるアンチセンス化合物のための標的領域が好まれる。

    一部の態様において、アンチセンス阻害のための標的部位は、商業的に入手可能なソフトウエアプログラムを使用して同定される(たとえば、Biognostik, Gottingen, Germany; SysArris Software, Bangalore, India; Antisense Research Group, University of Liverpool, Liverpool, England;GeneTrove, Carlsbad, CA)。 その他の態様において、アンチセンス阻害のための標的部位は、米国特許第WO0198537A2(本明細書に参照として組み入れられる)に記載されているアクセス可能部位方法(accessible site method)を使用して同定される。

    一旦1つまたは複数の標的部位が同定されると、所望の効果を与えるために、標的に対して十分に相補的な(すなわち、十分満足に、かつ十分な特異的にハイブリダイズさせる)オリゴヌクレオチドが選択される。 たとえば、本発明の好ましい態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、開始コドンに、またはその近くにターゲットされる。

    本発明に関して、アンチセンス組成物および方法に関して「ハイブリダイゼーション」は、相補的ヌクレオシドまたはヌクレオチド塩基との間のワトソン-クリック、Hoogsteenまたは逆Hoogsteen水素結合であろう水素結合を意味する。 たとえば、アデニンおよびチミンは、水素結合の形成を介して対となる相補的な核酸塩基である。 アンチセンス化合物の配列は、特異的にハイブリダイズされるためには、その標的核酸に対して100%の相補性は必要でないことが理解される。 標的DNAまたはRNA分子に対する化合物の結合が、標的DNAまたはRNAの通常の機能を妨げて有用性の損失を引き起こすときは、アンチセンス化合物は、特異的にハイブリダイズ可能であり、かつ特異的な結合が要求される条件下(すなわち、インビボでのアッセイ法または治療的な処置の場合の生理学的な条件、およびインビトロアッセイ法の場合には、アッセイが行われる条件下)において、非標的配列に対するアンチセンス化合物の非特異的な結合を避けるのに十分な程度の相補性がある。

    アンチセンス化合物は、研究試薬および診断薬として共通に使用される。 たとえば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、特異的に遺伝子発現を阻害することが可能であり、特定の遺伝子の機能を解明するために使用することができる。 たとえば、アンチセンス化合物は、生物学的経路の種々のメンバーの機能間を区別するためにも使用される。

    また、アンチセンスの特異性および感受性は、治療的な用途に適用される。 たとえば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、動物およびヒトの疾病状態の治療の治療成分として使用されている。 アンチセンスオリゴヌクレオチドは、問題なく、および効果的に、ヒトに投与され、多くの臨床試験が現在進行中である。 したがって、オリゴヌクレオチドは、細胞、組織、および動物、特にヒトの治療のために治療法に有用なように構成することができる有用な治療様式であることが確証される。

    アンチセンスオリゴヌクレオチドは、アンチセンス化合物の好ましい形態であるが、本発明は、以下に記載したものなどのオリゴヌクレオチド擬態も含む(しかし、これらに限定されない)その他のオリゴマーアンチセンス化合物も包含する。 この発明によるアンチセンス化合物は、好ましくは約8〜約30の核酸塩基(すなわち、約8〜約30の結合した塩基)を含むが、より長い配列およびより短い配列のいずれでも、本発明における用途が見出されるであろう。 特に好ましいアンチセンス化合物は、アンチセンスオリゴヌクレオチドであって、より好ましくは約12〜約25核酸塩基を含むものである。

    本発明に有用な好ましいアンチセンス化合物の具体的な例としては、修飾されたバックボーンまたは非天然のヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを含む。 この明細書において定義したように、修飾されたバックボーンを有するオリゴヌクレオチドは、バックボーン中にリン原子を保持するもの、およびバックボーン中にリン原子を有しないものを含む。 この明細書における目的では、これらのヌクレオシド間バックボーン中のリン原子を有しない修飾されたオリゴヌクレオチドも、オリゴヌクレオシドであるとみなすことができる。

    たとえば、好ましい修飾されたオリゴヌクレオチドバックボーンは、ホスホロチオネート、キラルなホスホロチオネート、ホスホロジチオアート、ホスホトリエステル,アミノアルキルホスホトリエステル、3'-アルキレンホスホンネートおよびキラルホスホネートを含むメチルおよびその他のアルキルホスホネート、ホスフィナート、3'-アミノホスホラミダートおよびアミノアルキルホスホラミダートを含むホスホラミダート、チオノホスホラミダート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、および通常の3'-5'結合、これらの2'-5'結合類似体を有するボラノホスフェート、並びに逆の方向性を有するものであって、ヌクレオシド単位の隣接した対が3'-5'から5'-3'に、または2'-5'から5'-2'に結合したものを含む。 種々の塩、混合塩、および遊離酸の形態も、含まれる。

    その中にリン原子を含まない好ましい修飾されたオリゴヌクレオチドバックボーンは、短鎖アルキルまたはシクロアルキルヌクレオシド間の結合によって、ヘテロ原子およびアルキルまたはシクロアルキルヌクレオシド間の結合によって、または1つもしくは複数のヘテロ原子もしくは複素環式ヌクレオシド間結合によって形成されるバックボーンを有する。 これらは、モルホリノ結合(ヌクレオシドの糖部分から一部が形成されたもの);シロキサンバックボーン;スルフィド、スルホキシド、およびスルホン・バックボーン;ホルムアセチルおよびチオホルムアセチルバックボーン;メチレンホルムアセチルおよびチオホルムアセチルバックボーン;アルケンを含むバックボーン;スルファメートバックボーン;メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノバックボーン;スルホナートおよびスルホンアミドバックボーン;アミドバックボーン;並びに混合したN、O、S、およびCH 2構成要素を有するその他のものを有するものを含む。

    その他の好ましいオリゴヌクレオチド擬態において、ヌクレオチド単位の糖およびヌクレオシド間の結合(すなわち、バックボーン)の両者は、新たな基によって置換される。 適切な核酸標的化合物とのハイブリダイゼーションのために、塩基単位は維持される。 そのようなオリゴマー化合物は、優れたハイブリダイゼーション特性を有することが示されているオリゴヌクレオチド擬態であり、ペプチド核酸(PNA)と称する。 PNA化合物では、オリゴヌクレオチドの糖バックボーンは、バックボーン、特にアミノエチルグリシンバックボーンを含むアミドによって置換される。 核酸塩基は、保持されており、バックボーンのアミド部分のアザ窒素原子に直接または間接的に結合される。 PNA化合物の標品を教示する代表的な米国特許は、米国特許第5,539,082号;第5,714,331号;および第5,719,262号(それぞれは本明細書に参照として組み入れられる)を含むが、これらに限定されない。 PNA化合物のさらなる教示は、Nielsenら、Science 254: 1497 (1991)で見出される。

    本発明の最も好ましい態様は、ホスホロチオネートバックボーンを有するオリゴヌクレオチドおよびヘテロ原子バックボーン、特に、上述した米国特許第5,489,677号の--CH 2 、--NH--O--CH 2 --、--CH 2 --N(CH 3 )--O--CH 2 --[メチレン(メチルイミノ)またはMMIバックボーンとして知られている]、--CH 2 --O--N(CH 3 )--CH 2 --、--CH 2 --N(CH 3 )--N(CH 3 )--CH 2 --、および--O--N(CH 3 )--CH 2 --CH 2 --[式中、天然のリン酸ジエステルバックボーンは、--O--P--O--CH 2 --として示される]、並びに上述した米国特許第5,602,240号のアミドバックボーンを有するオリゴヌクレオチドである。 また、上述した米国特許第5,034,506号のモルホリノ・バックボーン構造を有するオリゴヌクレオチドが好ましい。

    また、修飾されたオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の置換された糖残基を含んでいてもよい。 好ましいオリゴヌクレオチドは、2'位に以下のうちの1つを含む:OH;F;O、S、またはN-アルキル;O、S、またはN-アルケニル;O、S-、またはN-アルキニル;あるいはO-アルキル-O-アルキルであって、アルキル、アルケニル、およびアルキニルは、置換され、または置換されていないC 1 〜C 10アルキルもしくはC 2 〜C 10アルケニルおよびアルケニルであってもよい。 O[(CH 2n O] m CH 3 、O(CH 2n OCH 3 、O(CH 2n NH 2 、O(CH 2n CH 3 、O(CH 2n ONH 2 、およびO(CH 2n ON[(CH 2n CH 3 )] 2であって、nおよびmは、1〜約10であるものが特に好ましい。 その他の好ましいオリゴヌクレオチドは、2'位に以下のうちの1つを含む:C 1 〜C 10低級アルキル、置換された低級アルキル、アルカリール(alkaryl)、アラルキル、O-アルカリール(alkaryl)またはO-アラルキル、SH、SCH 3 、OCN、Cl、Br、CN、CF 3 、OCF 3 、SOCH 3 、SO 2 CH 3 、ONO 2 、NO 2 、N 3 、NH 2 、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換されたシリル、mRNA切断基、レポーター基、インターカレーター、オリゴヌクレオチドの薬物動態学的な性質を改善するための基またはオリゴヌクレオチドの薬力学的性質を改善するための基、および同様の性質を有するその他の置換基。 好ましい修飾は、2'-メトキシエトキシ(2'-O--CH 2 CH 2 OCH 3 、2'-0-(2-メトキシエチル)または2'-MOEとしても知られている)(Martinら、Helv. Chim. Acta 78: 486 [1995])すなわちアルコキシアルコキシ基を含む。 さらに好ましい修飾は、2'-ジメチルアミノオキシエトキシむ(すなわち、O(CH 22 ON(CH 32基)、別名2'-DMAOEおよび2'-ジメチルアミノエトキシエトキシ(当該技術分野において2'-O-ジメチルアミノエトキシエチルもしくは2'-DMAEOEをしても知られる)、すなわち2'-0--CH 2 --O--CH 2 --N(CH 22を含む。

    その他の好ましい修飾は、2'-メトキシ(2'-O--CH 3 )、2'-アミノプロポキシ(2'-OCH 2 CH 2 CH 2 NH 2 )、および2'-フルオロ(2'-F)を含む。 同様の修飾は、また、オリゴヌクレオチドのその他の位置、特に3'末端ヌクレオチドの糖の3'位に、または2'-5'結合オリゴヌクレオチドの中に、および5'末端ヌクレオチドの5'位に作製されてもよい。 オリゴヌクレオチドは、また、ペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル部分などの糖擬態を有していてもよい。

    また、オリゴヌクレオチドは、核酸塩基(しばしば、当該技術分野において単に「塩基」ともいわれる)の修飾または置換を含んでいてもよい。 本明細書において使用されるものとして、「無修飾」または「天然の」核酸塩基は、プリン塩基のアデニン(A)およびグアニン(G)、ピリミジン塩基のチミン(T)、シトシン(C)、およびウラシル(U)を含む。 修飾された核酸塩基は、5-メチルシトシン(5-me-C)、5‐ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6-メチルおよびその他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2-プロピルおよびその他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミン、および2-チオシトシン、5-ハロウラシルおよびシトシン、5-プロピニルウラシル、およびシトシン、6-アゾウラシル、シトシン、およびチミン、5-ウラシル(プソイドウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8ヒドロキシ、およびその他の8置換されたアデニン並びにグアニン、5-ハロ、特に5-ブロモ、5-トリフルオロメチル、およびその他の5置換されたウラシル並びにシトシン、7-メチルグアニンおよび7-メチルアデニン、8‐アザグアニンおよび8-アザアデニン、7-デアザグアニンおよび7-デアザアデニン、並びに3-デアザグアニンおよび3-デアザアデニンなどのその他の合成および天然の核酸塩基を含む。 さらなる核酸塩基は、米国特許第3,687,808号に開示されたものを含む。 これらの核酸塩基のいくつかは、特に本発明のオリゴマー化合物の結合能を増大するために有用である。 これらは、5-置換されたピリミジン、6-アザピリミジン、並びにN-2、N-6、およびO-6置換されたプリン(2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシル、および5-プロピニルシトシンを含む)を含む。 5-メチルシトシン置換は、0.6〜1.2℃まで核酸二重鎖の安定度を増大することが示されており、目下のところ、特に2'-O-メトキシエチル糖修飾と組み合わせたときに、好ましい塩基置換である。

    本発明のオリゴヌクレオチドのもう一つの修飾は、オリゴヌクレオチドの1つまたは複数の部分に化学的に結合すること、またはオリゴヌクレオチドの活性、細胞分布、もしくは細胞取込みを増強する結合を含む。 このような部分は、コレステロール部分、コール酸、チオエーテル(たとえば、ヘキシル-S-トリチルチオール)などの脂質部分、チオコレステロール、脂肪族鎖(たとえば、ドデカンジオールまたはウンデシル残基)、リン脂質(たとえば、ジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールまたはトリエチルアンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3H-ホスホナート)、ポリアミンもしくはポリエチレングリコール鎖またはアダマンタン酢酸、パルミチル部分、またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール部分を含むが、これらに限定されない。

    当業者には、上記の修飾を含むオリゴヌクレオチドを作成するための方法が周知である。 本発明は、上記したアンチセンスオリゴヌクレオチドに限定されない。 任意の適切な修飾または置換が利用されてもよい。

    所与の化合物の全ての位置が、一様に修飾されることは必要でなく、実際に、上述した修飾のうちの1つ以上が、単一化合物中に、またはオリゴヌクレオチド内の単一のヌクレオシドにさえ組み込まれてもよい。 また、本発明は、キメラ化合物であるアンチセンス化合物を含む。 本発明に関して、「キメラ」アンチセンス化合物または「キメラ」は、2つ以上の化学的に異なった領域を含むアンチセンス化合物、特にオリゴヌクレオチドであり、それぞれが、少なくとも1つの単量体ユニットを、すなわちオリゴヌクレオチド化合物の場合はヌクレオチドを構成する。 これらのオリゴヌクレオチドは、典型的にはオリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ分解に対する耐性の増大、細胞の取込みの増大、および/または標的核酸に対する結合親和性の増大をオリゴヌクレオチドに与えるように修飾された少なくとも1つの領域を含む。 オリゴヌクレオチドのさらなる領域は、RNA:DNAまたはRNA:RNAハイブリッドを切断することができる酵素の基質として役立ってもよい。 たとえば、RNaseHは、RNA:DNA二重鎖のRNA鎖を切断する細胞内のエンドヌクレアーゼである。 したがって、RNaseHの活性化により、RNA標的の切断を生じ、これにより遺伝子発現のオリゴヌクレオチド阻害の効率が非常に増強される。 結果的に、キメラオリゴヌクレオチドを使用したときは、より短いオリゴヌクレオチドについて、同じ標的領域にハイブリダイズするホスホノチオアートデオキシオリゴヌクレオチドと比較して、これに匹敵する結果を得られることが多い。 RNA標的の切断は、ゲル電気泳動および、必要に応じて、当該技術分野において既知の関連した核酸ハイブリダイゼーション技術によってルーチンで検出することができる。

    本発明のキメラアンチセンス化合物は、2つ以上のオリゴヌクレオチドの複合構造が上記の通りのオリゴヌクレオチド、修飾オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、および/またはオリゴヌクレオチド擬態として形成されてもよい。

    また、本発明は、後述するように本発明のアンチセンス化合物を含む薬学的組成物および製剤を含む。

    B.遺伝子治療 本発明は、本発明の癌マーカーの発現を調節に使用するための任意の遺伝子操作の使用を想定する。 遺伝子操作の例は、遺伝子ノックアウト(たとえば、組換えを使用して、たとえば染色体から癌標識遺伝子を除去すること)、誘導性プロモーターを伴うかまたは伴わないアンチセンス構築物の発現などを含むが、これらに限定されない。 細胞に対する核酸構築物のデリバリーは、任意の適切な方法を使用してインビトロで、またはインビボで行ってもよい。 適切な方法は、所望のイベント(たとえば、アンチセンス構築物の発現)が起こるように、核酸構築物を細胞に導入するものである。

    遺伝情報を細胞に運ぶ分子の導入は、任意の裸のDNA構築物の定方向注射、該構築物を充填した金粒子の照射、およびたとえばリポソーム、生体高分子などを使用する巨大分子を媒介した遺伝子移入を含む(しかし、これらに限定されない)種々の方法によって達成される。 好ましい方法は、アデノウイルス、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、およびアデノ随伴ウイルスを含む(しかし、これらに限定されない)ウイルスに由来する遺伝子デリバリー媒体を使用する。 レトロウイルスと比較してより高い効率であるため、アデノウイルスに由来するベクターは、インビボで宿主細胞に核酸分子を導入するための好ましい遺伝子デリバリー媒体である。 アデノウイルスベクターは、動物モデルの種々の固形腫瘍に、および免疫欠損マウスのヒト固形腫瘍異種移植片に、非常に効率的なインビボ遺伝子移入を提供することが示されている。 遺伝子移入のためのアデノウイルスのベクターおよび方法の例は、PCT刊行物国際公開公報第00/12738号および国際公開公報第00/09675号、並びに米国特許第6,033,908号、第6,019,978号、第6,001,557号、第5,994,132号、第5,994,128号、第5,994,106号、第5,981,225号、第5,885,808号、第5,872,154号、第5,830,730号、および第5,824,544号に記載されており、これらのそれぞれは、その全体が本明細書に参照として組み入れられる。

    ベクターは、さまざまな方法で被験者に投与されてもよい。 たとえば、本発明の一部の態様において、ベクターは、直接注射を使用して、腫瘍または腫瘍関連組織に投与される。 その他の態様において、投与は、血液またはリンパ性の循環を参照されたい)を介する(たとえば、PCT刊行物国際公開公報第99/02685号(その全体が本明細書に参照として組み入れられる)を参照されたい)。 アデノウイルスベクターの典型的な服用レベルは、好ましくは灌流液に添加されるベクター粒子が10 8 〜10 11である。

    C.抗体療法 一部の態様において、本発明は、本発明の方法を使用して同定された癌マーカーを発現する癌または薬物抵抗性タンパク質を標的とする抗体を提供する。 任意の適切な抗体(たとえば、モノクローナル、ポリクローナル、または合成物)は、本明細書に開示される治療的な方法に利用されてもよい。 好ましい態様において、癌治療のために使用される抗体は、ヒト化抗体である。 抗体をヒト化するための方法は、当該技術分野において周知である(たとえば、米国特許第6,180,370号、第5,585,089号、第6,054,297号、および5,565,332号を参照されたい;これらのそれぞれは、本明細書に参照として組み入れられる)。

    一部の態様において、治療的な抗体は、癌マーカーまたは薬物抵抗性タンパク質に対して産生される抗体であって、抗体は、細胞障害性の薬物が結合されたものを含む。 このような態様において、正常細胞を標的としない腫瘍特異的な治療薬が生成され、したがって、従来の化学療法の有害な副作用の多くが減少する。 特定の適用については、治療薬は、抗体に付着するために有用な薬物、特に細胞障害性か、または内皮細胞を死滅させ、または増殖もしくは分裂を抑制する能力を有する他の抗細胞薬として役立つであろう薬理的な薬物であることが証明される。 本発明は、抗体に結合することができ、活性型でデリバリーされる任意の薬理的な薬物の使用を想定する。 典型的な抗細胞薬は、化学療法薬、放射性同位元素、および細胞毒を含む。 本発明の治療的な抗体は、以下を含む(しかし、これらに限定されない)種々の細胞障害性の部分を含んでいてもよい:放射性同位元素(たとえば、ヨウ素131、ヨウ素123、テクネチウム-99m、インジウム-111、レニウム-188、レニウム-186、ガリウム-67、銅-67、イットリウム-90、ヨウ素-125、またはアスタチン-211)、ステロイドなどのホルモン、シトシンなどの代謝拮抗剤(たとえば、アラビノシド、フルオロウラシル、メトトレキセート、またはアミノプテリン;アントラサイクリン;マイトマイシンC)、ビンカアルカロイド(たとえば、デメコルシン(demecolcine);エトポシド;ミスラマイシン(mithramycin))、およびクロランブシルまたはメルファランなどの抗腫瘍性アルキル化剤。 その他の態様では、凝固剤、サイトカイン、成長因子、菌体内毒素、または菌体内毒素のリピドA部分などの薬物を含んでいてもよい。 たとえば、一部の態様において、治療的な薬物は、ほんの2、3の例を述べると、A鎖毒素、リボソーム不活性化タンパク質、α-サルシン(α-sarcin)、アスペルギリン、レストリクトシン、リボヌクレアーゼ、ジフテリア毒素、または、プソイドモナセクソトキシン(pseudomonasexotoxin)などの植物、真菌、細菌に由来する毒素を含む。 一部の好ましい態様において、脱グリコシル化したリシンA鎖が利用される。

    いずれにしても、これらなどの薬物は、必要に応じて既知の結合技術(Ghoseら、Methods Enzymol., 93: 280 [1983])を使用して、標的とされた腫瘍細胞の部位において血液成分に対するこれらのターゲティング、インターナリゼーション、放出、または提示が可能な方法で、必要に応じてうまく抗体に結合されてもよいことが提案される。

    たとえば、一部の態様において、本発明は、本発明の癌マーカーを標的とした免疫毒素(たとえば、薬物抵抗性の癌に過剰発現された薬物抵抗性の遺伝子)が提供される。 免疫毒素は、特異的なターゲティング薬物、典型的には毒素部分などの細胞障害性の薬物を有する腫瘍に向けられた抗体または断片である。 ターゲティング薬物は、標的とされた抗原を有する細胞に毒素を向け、これにより選択的に死滅させる。 一部の態様において、治療的な抗体は、インビボでの高い安定性を提供する架橋剤を使用する(Thorpeら、Cancer Res., 48: 6396 [1988])。

    その他の態様において、特に固形腫瘍の治療を含むものでは、抗体は、血管内皮細胞の増殖または細胞分裂を抑制することによって、腫瘍脈管構造に対して細胞障害能または別の抗細胞効果を有するように設計されている。 この攻撃により、腫瘍に局在化した血管崩壊、腫瘍細胞、特に血管から遠い腫瘍細胞の酸素および栄養源の除去が引き起こされ、最終的に細胞死および腫瘍ネクローシスに至ることが企図される。

    好ましい態様において、抗体に基づいた治療は、後述するように薬学的組成物として処方される。 好ましい態様において、本発明の抗体組成物の投与は、測定できる癌の減少(たとえば、腫瘍の減少または排除)を生じる。

    D.薬学的組成物 本発明は、さらに薬学的組成物(たとえば、上記アンチセンスまたは抗体化合物を含む)を提供する。 本発明の薬学的組成物は、局部的なまたは全身的な治療が要求されるかどうかにによって、および治療される領域により、多くの方法で投与されてもよい。 投与は、局所(眼並びに膣および直腸のデリバリーを含む粘膜を含む)、肺(たとえば噴霧器によるものを含む粉末またはエアロゾルの吸入またはガス注入によるもの;気管内、鼻腔内、上皮、およに経皮)、経口、または非経口的であってもよい。 非経口投与は、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、もしくは筋肉内の注射または注入液;または頭蓋内、たとえばクモ膜下もしくは心室内の投与を含む。

    局所投与用の薬学的組成物及び製剤には、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、ドロップ、坐剤、スプレー、液剤、および粉末が含まれ得る。 従来の薬物学的担体、水性、粉末、もしくは油性基剤、増粘剤等が必要であるか、または望ましい。

    経口投与のための組成物および製剤は、粉末または顆粒、水もしくは非水系媒体の懸濁液または溶液、カプセル、サッシェ、またはタブレットを含む。 増粘剤、香味料、希釈剤、乳化剤、分散助剤、またはバインダーも望ましい。

    また、非経口的、くも膜下腔内の、または脳室内の投与のための組成物および製剤は、透過増強剤、キャリア化合物、およびその他の薬物的に許容されるキャリアまたは賦形剤などの緩衝液、希釈液、およびその他の適切な添加剤などを含むであろう無菌の水溶液を含んでもよいが、これらに限定されない。

    本発明の薬学的組成物は、溶液、エマルジョン、およびリポソームを含有する製剤を含むが、これらに限定されない。 これらの組成物は、予め形成された液体、自己乳化する固形物、および自己乳化する半流動体を含む(しかし、これらに限定されない)種々の成分から作製されてもよい。

    本発明の薬学的製剤は、単位剤形で便利に示されてもよく、医薬品工業で周知の従来の技術によって調製されてもよい。 このような技術は、薬学的キャリア(類)または賦形剤(類)と活性成分の結合をもたらす段階を含む。 一般に、製剤は、液体担体もしくは微細に分割された固体担体または両方ともと活性成分の一様かつ本質的な結合をもたらし、必要であるならば、生成物を成形することによって調製される。

    本発明の組成物は、タブレット、カプセル、液状シロップ、軟らかいゲル、坐薬、および浣腸などの任意の多くの可能な剤形処方されてもよいが、これらに限定されない。 本発明の組成物は、また、水性、非水溶性、または混合した媒体の懸濁液として処方されてもよい。 水性懸濁液は、さらに、たとえば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、および/またはデキストランを含む、懸濁液の粘性を増大する物質を含んでもよい。 懸濁液は、また、安定剤を含んでもよい。

    本発明の1つの態様において、薬学的組成物は、泡として処方されてもよいし、使用されてもよい。 薬学的な泡は、エマルジョン、マイクロエマルジョン、クリーム、ゼリー、およびリポソームなどの製剤を含むが、これらに限定されない。 基本的に同じ性質であるが、これらの製剤では、最終産物の成分および粘稠性を変化する。

    また、細胞レベルでのオリゴヌクレオチドの取込みを増強する薬物は、本発明の薬学的およびその他の組成物に添加されてもよい。 たとえば、リポフェクチン(米国特許第5,705,188号)などの陽イオン性の脂質、陽イオン性のグリセリン誘導体、およびポリリジン(国際公開公報第97/30731号)などのポリカチオンの分子も、オリゴヌクレオチドの細胞の取込みを増強する。

    本発明の組成物は、従来法で薬学的組成物中に見出されるその他の補助成分もさらに含み得る。 したがって、たとえば組成物は、たとえば止痒剤、収斂剤、局所麻酔薬、もしくは抗炎症薬などのさらなる適合性の薬物的に活性な材料を含んでもよく、または色素、香料、防腐剤、抗酸化物、乳白剤、糊料、および安定剤などの本発明の組成物の種々の剤形を物理的に処方するために有用なさらなる材料を含んでいてもよい。 しかし、このような材料は、添加されるときに過度に本発明の組成物の成分の生物活性を妨げるべきではない。 製剤は、殺菌することもでき、必要に応じて、補助的な薬物、たとえば製剤中の核酸(類)と有害な相互作用をしない滑沢剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与えるための塩、緩衝液、染色、香料、および/または芳香薬物質などと混合することもできる。

    本発明の特定の態様は、(a)1つまたは複数のアンチセンス化合物を含む薬学的組成物および、(b)非アンチセンス機構によって機能する1つまたは複数のその他の化学療法薬を提供する。 このような化学療法薬の例は、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ナイトロジェンマスタード、クロランブシル、メルファラン、シクロホスファミド、6‐メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン(CA)、5-フルオロウラシル(5-FU)、フロクスウリジン(5-FUdR)、メトトレキセート(MTX)、コルヒチン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド、テニポシド、シスプラチン、およびジエチルスチルベストロール(diethylstilbestrol:DES)などの抗癌薬を含むが、これらに限定されない。 また、抗炎症剤は、非ステロイド性の抗炎症剤および副腎皮質ステロイドを含むが、これらに限定されず、また抗ウイルス剤は、リビビリン(ribivirin)、ビダラビン、アシクロビル、およびガンシクロビル含むが、これらに限定されず、本発明の組成物中憎み合わせてもよい。 また、その他の非アンチセンス化学療法薬も本発明の範囲内である。 2つ以上の化合物の組合せを、共にまたは経時的に使用してもよい。

    投薬は、重篤さおよび治療される疾病状態の応答性に応じ、数日からの数カ月の治療期間を、または治癒がなされるか、もしくは疾病状態の減少が達成されるまで継続する。 最適な投与スケジュールは、患者の体内の薬物蓄積量の測定から算出することができる。 投与する医師は、容易に最適な用量、投薬方法、および反復割合を決定することができる。 最適な用量は、個々のオリゴヌクレオチドの相対的な能力に応じて変更してもよく、一般にインビトロおよびインビボでの動物モデルで有効であることが見出されるEC 50に基づいて、または本明細書に記載されている実施例に基づいて推定することができる。 一般に、用量は、1kgにつき0.01μg〜100g体重であり、毎日、毎週、毎月、または毎年以上で与えられてもよい。 治療する医師は、測定された身体の体液または組織中の薬物の残留時間および濃度に基づいて投薬の反復割合を推定することができる。 治療成功後に、疾病状態の再発を防止するために、被検者にオリゴヌクレオチドを1kgにつき0.01μg〜100g体重の範囲の維持量で、毎日〜20年に一度ごと以上投与する維持療法を受けさせることが望ましいであろう。

    V.癌標識遺伝子を発現するトランスジェニック動物 本発明は、本発明の外来性の癌標識遺伝子または変異体を含むトランスジェニック動物およびこれらの変異体(たとえば、切り詰め型または一塩基多型)の作製を想定する。 好ましい態様において、トランスジェニック動物は、野生型動物と比較して、変化した表現型(たとえば、薬物感受性が増大または減少される)を示す。 このような表現型の有無を解析するための方法は、本明細書に開示したものを含むが、これらに限定されない。 一部の好ましい態様において、トランスジェニック動物は、腫瘍の増殖または癌の証拠の増大または減少をさらに示す。

    本発明のトランスジェニック動物は、薬物(たとえば、癌治療)のスクリーンでの使用が見出される。 一部の態様において、試験化合物(たとえば、癌を治療するために有用であると思われる薬物)および対照化合物(たとえば、プソイド薬)がトランスジェニック動物および対照動物に投与され、効果が評価される。

    トランスジェニック動物は、種々の方法を経て作製することができる。 一部の態様において、トランスジェニック動物を作製するための導入遺伝子を導入するために、種々の発生段階の胚性細胞を使用する。 胚性細胞の発生段階に応じて、異なる方法が使用される。 接合体は、微量注入のための最高の標的である。 マウスでは、雄の前核が直径約20マイクロメートルの大きさに達し、1〜2ピコリットル(pl)のDNA溶液の再現性のある注射ができる。 遺伝子移入のための標的として接合体を使用することは、ほとんどの場合において、注入されたDNAが第一卵割の前に宿主ゲノムに組み込まれるという主な利点を有する(Brinsterら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82: 4438-4442 [1985])。 結果として、トランスジェニック非ヒト動物の全ての細胞は、組み込まれた導入遺伝子を有する。 また、胚細胞の50%は、導入遺伝子を収容すると考えられるので、これは一般に、初代の子孫に対する導入遺伝子の効率的な伝達に反映される。 米国特許第4,873,191号は、接合体の微量注入のための方法を記載し;この特許の開示は、本明細書にその全体が組み込まれる。

    その他の態様において、導入遺伝子を非ヒト動物に導入するために、レトロウイルスの感染が使用される。 一部の態様において、レトロウイルスベクターは、卵母細胞の囲卵腔にレトロウイルスベクターを注入することによって、卵母細胞をトランスフェクトするために利用される(米国特許第6,080,912号、参照として本明細書に組み入れられる)。 その他の態様において、発生する非ヒト胚は、胚盤胞段階までインビトロで培養することができる。 この期間は、割球がレトロウイルス感染の標的となり得る(Janenich, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 73: 1260 [1976])。 透明帯を除去するための酵素処理によって、割球の効率的な感染が得られる(Hoganら、in Manipulating the Mouse Embryo, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY [1986])。 導入遺伝子を導入するために使用されるウイルスベクター系は、典型的には導入遺伝子を保有する複製欠損レトロウイルスである(Jahnerら、Proc. Natl. Acad Sci. USA 82: 6927 [1985])。 トランスフェクションは、ウイルス産生細胞の単層上で割球を培養することによって、容易に、かつ効率的に行われる(Stewartら、EMBO J., 6: 383 [1987])。 または、感染は、後期段階で行うことができる。 ウイルスまたはウイルス産生細胞を胞胚腔に注射することもできる(Jahnerら、Nature 298: 623 [1982])。 組み込みは、トランスジェニック動物を形成する細胞のサブセットのみで生じるので、大部分の初代は、導入遺伝子のモザイクである。 さらに、初代は、ゲノムの異なる位置に種々のレトロウイルスの導入遺伝子の挿入を含んでもよく、これが一般に子孫に分かれると考えられる。 加えて、低効率ではあるが、普通より小さい胚の子宮内レトロウイルスの感染によって、導入遺伝子を生殖系列に導入することも可能である(前記Jagnerら、[1982])。 当該技術分野において既知のトランスジェニック動物を作製するためのレトロウイルスまたはレトロウイルスのベクターを使用のさらなる手段は、レトロウイルス粒子またはマイトマイシンC処理したレトロウイルス産生細胞の受精卵または初期胚の囲卵腔への微量注入を含む(PCT国際公開公報第90/08832号[1990]、並びにHaskellおよびBowen, Mol. Reprod. Dev., 40: 386 [1995])。

    その他の態様において、導入遺伝子を胚幹細胞に導入し、胚を形成するためにトランスフェクトされた幹細胞を利用す。 ES細胞は、適切な条件下においてインビトロで移植前の胚を培養することによって得られる(Evansetら、Nature 292: 154 [1981]; Bradleyら、Nature 309: 255 [1984]; Gosslerら、Proc. Acad. Sci. USA 83: 9065 [1986];および Robertsonら、Nature 322: 445 [1986])。 導入遺伝子は、リン酸カルシウム共沈、プロトプラストまたはスフェロプラスト融合、リポフェクションおよびDEAE-デキストランを媒介したトランスフェクションを含む、当該技術分野において既知の種々の方法によるDNAトランスフェクションによって、効率的にES細胞に導入することができる。 導入遺伝子は、また、レトロウイルスを媒介したトランスフェクションによって、または微量注入によって、ES細胞に導入されてもよい。 このようなトランスフェクトされたES細胞は、その後に、胚盤胞段階の胚の胞胚腔にこれらを導入後、胚にコロニーを作り、生じるキメラ動物の生殖系列に寄与することができる(総説については、Jaenisch, Science 240: 1468 [1988]を参照されたい)。 トランスフェクトされたES細胞の胞胚腔への導入前に、トランスフェクトされたES細胞は、導入遺伝子がこのような選択のための手段を提供することを想定して、導入遺伝子を組み込んだES細胞を濃縮するための種々の選択プロトコルに供されてもよい。 または、導入遺伝子を組み込んだES細胞をスクリーンするために、ポリメラーゼ連鎖反応法を使用してもよい。 この技術により、胞胚腔に移植する前に適切な選択条件下でトランスフェクトされたES細胞を増殖させる必要がなくなる。

    さらにその他の態様において、遺伝子機能をノックアウトするために、または欠失変異体(たとえば、切り詰め変異体)を作製するために、相同組換えを利用する。 相同組換えのための方法は、米国特許第5,614,396号(参照として本明細書に組み入れられる)に記載されている。

    実験 以下の実施例は、本発明の特定の好ましい態様および側面を示し、さらに図示するために提供され、これらの範囲を限定するものとして解釈されない。

    以下の実験の開示において、以下の略語を適用する:T/C(%)(対照に関して、治療されたマウスの相対的な腫瘍体積);VLB(ビンブラスチン);VCR(ビンクリスチン);CPM(シクロホスファミド);5FU(5-フルオロウラシル);MMC(マイトマイシン);ADR(アドリアマイシン);MTX(メトトレキセート);ACNU(3-[(4-アミノ2-メチル-5-ピリミニジル)メチル]-1-(2-クロロエチル)-1-ニトロソウレアハイドロクロライド);DDP(シスプラチン);MTD(最大耐量)。

    実施例1
    方法異種移植 合計85のヒト癌異種移植を胸腺欠損BALB/c-nu/nuマウスに移植した。 異種移植は、ほぼ月に一度、右腋窩下領域(Clea Japan, Inc., Tokyo)に2×2×2mm断片の連続皮下移植によって維持した。

    抗癌薬 抗癌薬ビンブラスチン(VLB)、ビンクリスチン(VCR)、およびシクロホスファミド(CPM)(Shionogi & Co., Osaka);5-フルオロウラシル(5FU)(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO);メトトレキセート(MTX)(Lederle Japan Ltd., Tokyo);マイトマイシン-C(MMC)およびアドリアマイシン(ADR)(Kyowa Hakko Kogyo Co., Tokyo);およびNimustine(ACNU)(Sankyo Co., Ltd., Tokyo)は、使用直前に無菌の0.85%のNaClに溶解した。 シスプラチン(DDP)(Bristol-Myers Research Institute, Ltd., Tokyo)は、1%のマンニトールを含む無菌の0.85%のNaClに溶解した。 すでに記載されているように、各々のこれらの薬物の最大耐量(MTD)を決定した(Inabaら、Jpn J Cancer Res. 79: 517 [1988])。

    化学感受性についての異種移植の調査 それぞれの抗癌薬を、ヒト癌異種移植片を有するヌードマウスに対して、最大耐量(MTD)で個々に投与した。 腫瘍体積が100〜300mm 3に達したときに、所与の薬物による治療を開始した。 薬物は、5-FUおよびMTXの場合は5日間毎日の静脈内注射によって、またはその他の全ての薬物については単独投与として投与した。 それぞれの薬物で処理した6匹のマウスの平均の相対的な腫瘍体積(T/C(%))を、それぞれの異種移植について6匹の未処置の対照と比較して、所与の実験日の全てにおいて測定した。 化学感受性は、14日のT/C(%)値によって表した(Ohnishi, Y. Anticancer Drug Sensitivities of Human Tumors Transplanted in Nude Mice. In: Nomura, T., Sakurai, Y., Inaba, M., The Nude Mouse and Anticancer Drug Evaluation, pp. 219-223. Kanagawa: Central Institute of Experimental Animals, 1996)。

    RNAの抽出および生成並びにプローブの調製 総RNAは、TRIZOL試薬(GIBCO)を使用して、それぞれの異種移植片から抽出し、供給元のプロトコルに記載のmRNA生成キット(Amersham Pharmacia Biotech)を使用して精製した。 異種移植からのポリA RNAおよびClontechから購入した4種の正常ヒト組織(脳、肺、肝臓、および腎臓)からプールしたmRNAの混合物を、Ampliscribe T7 Transcription Kits(Epicentre Technologies)を使用して増幅し、すでに記載したように、それぞれCy5-dCTPおよびCy3-dCTPによってラベルした(Onoら、Cancer Res. 60: 5007 [2000])。

    cDNAマイクロアレイ バイオテクノロジー情報センター(National Center of Bioteclmology Information)のUniGeneデータベースから選択した23,040cDNAを含む「ゲノムワイド」のcDNAマイクロアレイ系を確立した。 マイクロアレイの製作、ハイブリダイゼーション、洗浄、およびシグナル強度の検出は、すでに記載してある(Onoら、Cancer Res. 60: 5007 [2000])。 腫瘍と対照の間でmRNAの量を標準化するために、52個のハウスキーピング遺伝子の平均Cy5/Cy3比が1.0であるように、それぞれの遺伝子発現についてのCy5/Cy3比を調節した。 (前記Onoら)。 カットオフ値は、それぞれのマイクロアレイスライドに対して分散分析を使用して割り当てた。 Cy3-またはCy5-のシグナル強度がカットオフ値よりも低かった遺伝子は、さらなる調査から除外した。 シグナル/ノイズ比が3未満であった遺伝子からのデータも、除外した。

    発現プロフィールのクラスター解析 遺伝子および腫瘍試料の両者について、M.Eisen(Lawrence Berkeley National LabでEisen研究室ウェブサイトで利用できる)によって記述されたウェブで利用できるソフトウェア(「Cluster」および「TreeView」)を用いて階層的な菌株群分析を行った。 再現性のあるクラスターを得るために、1)Cy3およびCy5シグナル強度の両方がカットオフ値よりも低い遺伝子;2)値が試験される試料の50%未満で得られた遺伝子;または3)2.0未満の実測値の標準偏差を有する遺伝子を除くように設計したフィルタプロトコルを通過した遺伝子のみを選択した。 クラスター形成アルゴリズムを適用する前に、それぞれのスポットについての蛍光比をまず対数に変換し、次いでそれぞれの試料についてのデータを中心にして実験的バイアスを除いた。

    抗癌薬に関連した遺伝子の同定 発現比(log 2 Cy5/Cy3)とそれぞれの薬物に対する感受性との間の相関を評価するために、以下の式によってピアソン相関係数を算出した:
    r=シグマ(X i -X 平均 )(y i -y 平均 )/ルート(シグマ(X i -X 平均2 (y i -y 平均2 )、
    式中、x iは、異種移植片iの遺伝子xの対数発現比(log 2 Cy5/Cy3)を表すと共に、y iは、異種移植片iの薬物yに対する感受性(1-T/C)を表した。 X 平均は、遺伝子xの対数発現比の平均値を表すと共に、y 平均は、薬物の感受性(1-T/C)の平均を表した。 遺伝子は、有意な相関(p<0.01)を示し、および最も感受性と最も感受性のない試料の間のT/C値の相違が一つに固定されたときに、回帰直線の傾きの絶対値が1.5よりも大きいものを選択した。

    薬物感受性スコア 抗癌薬と関係する遺伝子の相対的な発現比値(表1)を使用して、「薬物感受性スコア」を算出するアルゴリズムを確立した。 すでに記載されているように、それぞれの85の異種移植片についてのピアソン相関係数の値を乗じた遺伝子のlog 2 (Cy5/Cy3)の合計を算出した(Kiharaら、Cancer Res. 61: 6474 [2001])。

    実施例2
    85の異種移植片の遺伝子発現プロフィールのクラスター解析
    85の異種移植片の発現プロフィールを、これらの類似性を調査するために階層的なクラスター形成解析に供した。 再現性のあるクラスターは、961の遺伝子で得られ;85の異種移植片全体のこれらの発現パターンを示した。 異種移植片MC9の発現プロフィールは、独立して2回解析し、試料軸の異種移植片の間で最も近い枝分れにクラスターを形成した。 グリア芽細胞腫、神経芽細胞腫、小細胞型肺癌腫、および絨毛癌に由来する異種移植片は、単一の組織特異的な枝分れに正しく分類された。 しかし、胸部、大腸、膵臓、胃、および卵巣の癌腫並びに非小細胞肺癌腫から確立された異種移植片では、単一の枝分れにクラスター形成しなかったことから、これらの腫瘍がこれらの組織学的なおよび/または生物学的な性質の相違をより広く反映した異質発現プロフィールを有したことを示唆する。

    実施例3
    化学感受性に関連した遺伝子の同定 ヌードマウス系で検査した9つの抗癌薬(5FU、ACNU、ADR、CPM、DDP、MMC、MTX、VCR、およびVLB)の1つまたは複数の有効性と有意な関連性を有する遺伝子を同定するために、実施例1に記載されている基準によるフィルターをかけた遺伝子の発現プロフィールを解析した。 それぞれのフィルターをかけた遺伝子の発現レベル間のピアソン相関係数および85の癌異種移植片全体のそれぞれの薬物に対する化学感受性を算出した。 表1に示したとおり、85の異種移植片を共に解析した場合、200以上の遺伝子のクラスターは、9つ全ての薬物に対する感受性と有意な相関を示すように見えた。

    (表1)9つの抗癌薬に対する感受性と有意な相関を有する遺伝子の数

    組織依存的な化学感受性に関連した遺伝子を探査するために、これらの遺伝子を85の異種移植だけでなく、3種類の器官からの異種移植片でも同定した。 これらの遺伝子は、以下の基準を満たした;P値は、0.01よりも小さく、かつ回帰直線の傾きの絶対値は、1.5よりも大きい(材料および方法を参照)。

    1578の遺伝子の発現レベルが、検査した薬物の少なくとも1つに対する感受性と関係していた。 異種移植を生じた特異的な器官を基礎としてデータを別々に解析したときは、感受性と抵抗性の表現型を区別したデータが制限されたので、有意な関係を同定するための統計力が低くなった。 しかし、肺非小細胞癌、乳癌、および胃癌の異種移植片では、その他の器官に由来する異種移植よりも薬物のパネルに対して変化しやすい反応を示したので、これらの3つの組織に由来する異種移植片についての有意な関連データは、なおも得られた。 選択した遺伝子の数がより少ないと、85の異種移植片を共に使用する解析によって得られた相関よりも、これらの3つの組織において化学感受性を有するいくつかの遺伝子の発現レベルは、より有意に相関することを見いだした。 たとえば、前述の1578の遺伝子の中で、非小細胞肺癌(r=-0.94)に由来する11の異種移植片でのグルタチオンペルオキシダーゼ2(GPX2)の発現レベルと、CPMに対する感受性との間の相関値は、85の全ての異種移植片のもの(r=-0.59)よりも有意であった。 同様に、分裂促進因子活性型プロテインキナーゼキナーゼ3(MAP2K3)では、乳癌(r=-0.91、p<0.001)由来の14の異種移植での発現レベルと、VCRに対する感受性との間に、全ての異種移植片を組み合わせたもの(r=-0.29、p<0.01)よりも強い相関がみられた。 したがって、これらの2つの遺伝子は、特に肺非小細胞癌または乳癌に関しては、CPMまたはVCRの組織特異的な有効性に密接に関連しているようである。

    実施例4
    2つ以上の抗癌薬と相関する遺伝子の同定 表2には、各々の薬物に対して最も有意に陽性または陰性のピアソン相関係数を示す20の遺伝子についてのデータ、および85の全ての異種移植片からの発現プロフィールデータを基礎として算出した相関値を要約してある。 r;ピアソン相関係数、傾き;回帰直線の傾き。

    (表2)

    両者とも代謝拮抗物質である5FUおよびMTXの血漿濃度は、ヌードマウスのレベルには到達せず、臨床的な投与を受けている患者でもそうであり、これらの2つの薬物に対する腫瘍の感受性(T/C)をさらに評価することは困難である。 したがって、残りの7つの薬物の少なくとも1つに対する感受性に関与する可能性を示す1228の選択された遺伝子を、さらなる解析のために選択した。 これらの1228の遺伝子の中で、333が2つ以上の薬物と有意な相関を示したことから、一部の共通の機構が薬物反応に関与してもよいことを示唆する。 17の遺伝子は、7つの薬物の全てと相関し、15の遺伝子は、6つと相関するように見えた。 発現レベルと2つ以上の薬物に対する反応との間に相関を示した333の遺伝子のいずれも、一方の薬物からもう一方に対して逆の結果を示した;すなわち、遺伝子が1つの薬物と順相関を示す場合、他方の薬物とも順相関(類)を有し、同様に陰性相関の場合にも例外は観察されなかった。 32の遺伝子は、CCNB1およびBUB1Bを含む6または7つの薬物の有効性と共通に関係した;および895のその他では、7つの薬物(群)のうちの1つのみに対する感受性と有意な相関を示し、薬物特異的な化学感受性を反映した。

    多剤に対する反応する333の遺伝子の中で、その発現レベルが、特定の器官に由来する異種移植片において、85の異種移植片を合わせた全てよりも有意に相関するものがいくつか検出された。 たとえば、NFRSF14(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーのメンバー14)の発現レベルは、肺非小細胞癌由来の11の異種移植片で(r=-0.87、p<0.001)、85の異種移植片を合わせた全てよりも(r=-0.42、p<0.001)、ACNUに対する感受性と非常により強い相関を示した。 さらに、その他の組織由来の異種移植片の相関と比較して、TNFRSF14の発現レベルは、乳癌または胃癌に由来する異種移植片のACNUに対する感受性にほとんど関係を有さないことが明白であった。

    実施例5
    薬物感受性スコア これらの遺伝子サブセットを臨床用途に適用するために、それぞれの抗癌薬に対する感受性に関連する遺伝子の発現レベルの値を使用する、「薬物感受性スコア」を評価するためのアルゴリズムを確立した。 スコアと抗癌薬に対して種々の反応を示した85の異種移植片の中の各々の5つの抗癌薬に対する感受性との間の有意な相関が観察されたことから、一組の遺伝子を使用して、特定の抗癌薬に対する感受性を予測するためのスコアリング系を確立する可能性があることを示している。

    上記の明細書中で言及した全ての刊行物および特許は、本明細書に参照として組み入れられる。 本発明の範囲および精神から逸脱することなく、上記本発明の方法および系の各種の改変および変更は、当業者であれば明白であろう。 本発明は、特に好ましい態様と関して記載されているが、本発明は、このような特定の態様に過度に限定するべきでないことが理解されるべきである。 実際に、本発明を実施するために記載されている様式の種々の修飾は、関連分野の当業者には明らかであり、特許請求の範囲の範囲内であることが企図される。

    QQ群二维码
    意见反馈