選択マーカーを含まないクローン化された非ヒト動物

申请号 JP2016226816 申请日 2016-11-22 公开(公告)号 JP6227747B2 公开(公告)日 2017-11-08
申请人 リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド; REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.; 发明人 ゴン グオチュン; カ−マン ビーナス ライ; デイビッド エム. バレンズエラ;
摘要
权利要求

非ヒト動物の、遺伝子改変された多能性幹細胞を作製するための方法であって、 (a)核酸コンストラクトを、非ヒト動物の分化体細胞内に導入し、遺伝子改変されたゲノムを形成することであって、 前記核酸コンストラクトは、ES細胞特異的プロモーターに作用可能に連結した部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を含む自己切断型リコンビナーゼ発現カセットを含み、 前記リコンビナーゼ発現カセットには、前記カセットが前記部位特異的リコンビナーゼの存在下で切断され得るように、同じ方向で配向した第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接し、 前記ES細胞特異的プロモーターは、前記分化体細胞ではなく、未分化多能性幹細胞において前記部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の転写を駆動し、前記ES細胞特異的プロモーターは、Oct−3/4プロモーター、Sox2プロモーター、Nanogプロモーター、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、遺伝子改変されたゲノムを形成することと、 (b)(a)の遺伝子改変されたゲノムを、多能性幹細胞内に導入して、遺伝子改変された多能性幹細胞を作製することとを含む、方法。前記多能性幹細胞が、 (a)非ヒト動物のES細胞;または (b)誘導多能性幹細胞(iPS細胞) である、請求項1に記載の方法。前記自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、前記第1および第2の組み換え部位の間に位置する選択マーカー遺伝子を含み、前記選択マーカー遺伝子は、プロモーターに作用可能に連結しており、好ましくは、前記選択マーカー遺伝子に作用可能に連結した前記プロモーターは、構成的プロモーターである、請求項1に記載の方法。(a)前記自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、選択マーカー遺伝子を含まず、前記選択マーカー遺伝子は、前記体細胞のゲノム内の別の遺伝子座に位置し、前記選択マーカー遺伝子には、前記選択マーカーが前記部位特異的リコンビナーゼの存在下で除去され得るように、互いに対して同じ方向に配向した第3および第4の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接しているか、 (b)前記体細胞は、前記ゲノム内に条件付きノックアウト対立遺伝子を含み、前記条件付きノックアウト対立遺伝子には、前記条件付き対立遺伝子が前記部位特異的リコンビナーゼの存在下で除去され得るように、前記第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接しているか、 (c)前記核酸コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の少なくとも1つのエクソンに相同性のヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列には、前記第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接しており、好ましくは、前記プロモーターは、構成的プロモーターであるか、 (d)前記核酸コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の少なくとも1つのイントロンに相同性のヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列には、前記第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接しているか、 (e)前記核酸コンストラクトは、プロモーターに作用可能に連結した選択マーカー遺伝子を含むか、あるいは (f)前記部位特異的リコンビナーゼは、Cre、Flp、およびDreリコンビナーゼからなる群から選択される、 請求項1に記載の方法。前記構成的プロモーターが、Ubcプロモーター、hCMVプロモーター、mCMVプロモーター、EF−1プロモーター、Pgk1プロモーター、ベータ−アクチンプロモーター、およびROSA26プロモーターからなる群から選択される、請求項3または4に記載の方法。前記選択マーカーが、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neor)、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ(hygr)、ピューロマイシン−N−アセチルトランスフェラーゼ(puror)、ブラストサイジンSデアミナーゼ(bsrr)、キサンチン/グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(gpt)、および単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV−k)からなる群から選択される、請求項3または4に記載の方法。前記核酸コンストラクトが、内在性遺伝子全体が相同性組み換えにより前記核酸コンストラクトと置き換えられ得るように、内在性遺伝子の開始コドンの上流側の5’−非翻訳領域(UTR)、および前記内在性遺伝子の停止コドンの下流側の3’−非翻訳領域(UTR)を含む、請求項1に記載の方法。前記核酸コンストラクトが、標的化されている内在性遺伝子の改変された配列をさらに含み、前記改変された配列は、前記第1および第2の組み換え部位が隣接した領域外に位置する、請求項7に記載の方法。(a)前記改変された配列が、前記内在性遺伝子の少なくとも1つのエクソンのノックイン対立遺伝子であるか;または (b)前記改変された配列が、前記内在性遺伝子全体のノックイン対立遺伝子である、請求項8に記載の方法。前記ノックイン対立遺伝子が、前記対立遺伝子を含有する動物に対し、改善された耐病性、より大きなサイズまたはより大きな筋肉量等の所望の特性を付与する対立遺伝子である、請求項9に記載の方法。前記核酸コンストラクトが、導入遺伝子配列をさらに含み、前記導入遺伝子配列は、前記第1および第2の組み換え部位が隣接した領域外に位置する、請求項7に記載の方法。(a)前記導入遺伝子配列がヒトタンパク質をコードするか;または (b)前記導入遺伝子配列が治療薬剤をコードする、 請求項11に記載の方法。前記ヒトタンパク質が、インスリン、アルファ−ラクトアルブミン、トランスフェリン、ヒト血清アルブミン、ヒト成長ホルモン、または血液凝固因子である、請求項12に記載の方法。前記治療薬剤が治療抗体である、請求項12に記載の方法。前記改変された配列が、内在性遺伝子のノックアウト対立遺伝子である、請求項8に記載の方法。前記ノックアウト対立遺伝子がレポーター遺伝子を含み、前記レポーター遺伝子の転写が、前記内在性遺伝子の発現を駆動する内在性プロモーターにより開始され得、前記内在性遺伝子の転写が無効化され得るように、前記レポーター遺伝子の5’は、前記内在性遺伝子の開始コドン(ATG)の直前の上流側のヌクレオチド配列を含む、請求項15に記載の方法。(a)前記レポーター遺伝子が、前記第1の組み換え部位の上流側に位置するか;または (b)前記レポーター遺伝子が、アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、ベータ−グルクロニダーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、DsRedおよびZsGreenからなる群から選択されるレポータータンパク質をコードする、 請求項16に記載の方法。

说明书全文

関連出願の相互参照 本出願は、2012年11月28日出願の米国非仮特許出願第61/730,771号であり、参照により全ての目的においてその全体が組み込まれる。

選択マーカー遺伝子およびリコンビナーゼ遺伝子を含まない遺伝子改変およびクローン化された非ヒト動物。ES細胞特異的プロモーターに作用可能に連結した部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を含む自己切断型リコンビナーゼ発現カセットを含有するように遺伝子操作された、非ヒト動物の分化体細胞であって、ES細胞特異的プロモーターは、分化体細胞ではなく、未分化多能性肝細胞において部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の発現を駆動する、分化体細胞。選択マーカーおよび部位特異的組み換え遺伝子を含まない、遺伝子改変およびクローン化された非ヒト動物を作製するための組成物および方法。

遺伝子改変技術、例えば遺伝子導入、ノックイン、ノックアウト、挿入突然変異、および欠失は、遺伝子改変の成功を確認するために、宿主ゲノムへの選択マーカー遺伝子の挿入を不可避的に必要とする。しかしながら、宿主ゲノム内に残留する選択マーカー遺伝子は、遺伝子改変の成功が確認されたら不要となり、選択マーカーを含有する動物から得られた製品の使用に関して安全性の懸念が生じ得る。

これらの理由から、遺伝子改変後に宿主細胞または宿主動物から選択マーカーおよびリコンビナーゼ遺伝子を除去するための取り組みが、数多くなされてきた。例えば、組み換え部位、例えばloxPまたはFRTが隣接する選択マーカー遺伝子を除去するために、リコンビナーゼ遺伝子は、例えば、マイクロインジェクション、トランスフェクション、またはウイルス粒子を使用した形質導入により、ES細胞または受精卵内に導入される。代替として、選択カセットを保持する動物が、同じ効果を達成するために部位特異的リコンビナーゼを発現する削除系統に飼育される。しかしながら、これらの技術は、ES細胞における低レベルのトランスフェクション効率、長期in vitro培養に起因するES細胞多能性の低下、ならびに余分な飼育ステップのための追加的な人的資源および財源の必要性を含む、多くの欠点を有する。

したがって、遺伝子改変された動物から選択マーカーおよびリコンビナーゼ遺伝子を効果的に除去するための組成物および方法が必要とされている。

選択マーカー遺伝子および部位特異的組み換え遺伝子を含まない、遺伝子改変およびクローン化された非ヒト動物を作製するための組成物および方法。

選択マーカー遺伝子および部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を含まない、遺伝子改変およびクローン化された非ヒト動物、例えばミニブタおよびウシが提供され、遺伝子改変およびクローン化された非ヒト動物のゲノムは、ES細胞特異的プロモーターに作用可能に連結した部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を含有する自己切断型リコンビナーゼ発現カセットを含むように操作された体細胞、例えば線維芽細胞から導入されている。ES細胞特異的プロモーターは、分化体細胞ではなく、ES細胞特異的転写因子が発現され活性である胚盤胞期胚の内部細胞塊内の未分化多能性肝細胞、例えばES細胞において部位特異的リコンビナーゼの転写を駆動する。したがって、遺伝子改変中に導入された選択マーカー遺伝子およびリコンビナーゼ遺伝子は、クローン化胚の発生中に多能性幹細胞のゲノムから除去され得る。

自己切断型リコンビナーゼ発現コンストラクトを含有するように遺伝子改変された非ヒト動物の分化体細胞が提供され、体細胞は、ES細胞特異的プロモーターに作用可能に連結した部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を含み、コンストラクトには、リコンビナーゼ遺伝子が部位特異的リコンビナーゼの存在下で切断され得るように、互いに対して同じ方向に配向した組み換え部位が、上流側および下流側で隣接し、ES細胞特異的プロモーターは、分化体細胞ではなく、未分化多能性肝細胞、例えばES細胞において部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の発現を駆動する。分化体細胞の遺伝子改変されたゲノムを、ES細胞特異的転写因子が発現され活性である除核宿主卵母細胞内または多能性幹細胞内に導入することにより、選択マーカーおよびリコンビナーゼ遺伝子は、発生中のクローン化胚内の多能性幹細胞から、または、多能性(例えば誘導多能性(iPS細胞))となるように再プログラム化された体細胞を含む任意の多能性幹細胞から除去され得る。

選択マーカー遺伝子およびリコンビナーゼ遺伝子を含まない、遺伝子改変およびクローン化された非ヒト動物を作製するための方法であって、(a)核酸コンストラクトを、非ヒト動物の分化体細胞内に導入し、遺伝子改変されたゲノムを形成することと、(b)(a)の遺伝子改変されたゲノムを、除核宿主卵母細胞内に導入すことと、(c)(b)の卵母細胞を融合および活性化させて、人工的接合体を形成することと、(d)接合体が胚盤胞胚形成期に発達するまで、(c)の人工的接合体をin vitroで培養することと、(e)(d)の胚盤胞を代理母の子宮内に移植し、選択マーカー遺伝子および部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を含まない遺伝子改変およびクローン化された非ヒト動物を形成することとを含み、核酸コンストラクトは、ES細胞特異的プロモーターに作用可能に連結した部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を含む自己切断型リコンビナーゼ発現カセットを含み、リコンビナーゼ発現カセットには、部位特異的リコンビナーゼが部位特異的リコンビナーゼの存在下で切断され得るように互いに対して同じ方向に配向した組み換え部位が、上流側および下流側で隣接し、ES細胞特異的プロモーターは、分化体細胞ではなく、未分化多能性幹細胞において部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の転写を駆動する方法が提供される。したがって、分化体細胞の遺伝子改変されたゲノムが除核宿主卵母細胞内に導入され、人工的に形成された接合体が胚に発達させられると、選択マーカーおよびリコンビナーゼ遺伝子は、ES細胞特異的転写因子が発現され活性である、発生中のクローン化胚内の多能性幹細胞のゲノムから除去される。このようにして、本発明は、選択マーカーおよびリコンビナーゼ遺伝子を除去するために必要な、ES細胞の操作または任意の余分な飼育ステップを回避することができる。様々な実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化コンストラクトである。一実施形態において、標的化コンストラクトは、ノックアウト対立遺伝子を含む。一実施形態において、標的化コンストラクトは、ノックイン対立遺伝子を含む。一実施形態において、核酸コンストラクトは、導入遺伝子を含む。

選択マーカー遺伝子およびリコンビナーゼ遺伝子を含まない非ヒト動物の、遺伝子改変およびクローン化された多能性幹細胞を作製するための方法であって、(a)核酸コンストラクトを、非ヒト動物の分化体細胞内に導入し、遺伝子改変されたゲノムを形成することと、(b)(a)の遺伝子改変されたゲノムを多能性幹細胞内に導入し、選択マーカー遺伝子およびリコンビナーゼ遺伝子を含まない遺伝子改変およびクローン化された多能性幹細胞を作製することとを含み、核酸コンストラクトは、ES細胞特異的プロモーターに作用可能に連結した部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を含む自己切断型リコンビナーゼ発現カセットを含み、リコンビナーゼ発現カセットには、部位特異的リコンビナーゼが部位特異的リコンビナーゼの存在下で切断され得るように、互いに対して同じ方向に配向した組み換え部位が、上流側および下流側で隣接し、ES細胞特異的プロモーターは、分化体細胞ではなく、未分化多能性ES細胞において部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の転写を駆動する方法が提供される。様々な実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化コンストラクトである。一実施形態において、標的化コンストラクトは、ノックアウト対立遺伝子を含む。一実施形態において、標的化コンストラクトは、ノックイン対立遺伝子を含む。一実施形態において、核酸コンストラクトは、導入遺伝子を含む。

組み換え部位が隣接した選択マーカーおよびリコンビナーゼ遺伝子は、分化体細胞の遺伝子改変されたゲノムを、ES細胞特異的転写因子が活性である多能性幹細胞または多能性となるように再プログラム化された任意の体細胞内に導入することにより、多能性幹細胞のゲノムから除去され得る。

一態様において、自己切断型リコンビナーゼ発現カセットを含有するように操作された非ヒト動物の分化体細胞が提供され、自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、ES細胞特異的プロモーターに作用可能に連結した部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を含み、リコンビナーゼ発現カセットには、選択マーカー遺伝子およびリコンビナーゼ遺伝子が部位特異的リコンビナーゼの存在下で切断され得るように、互いに対して同じ方向に配向した第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接し、ES細胞特異的プロモーターは、分化体細胞ではなく、未分化多能性幹細胞において部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の転写を駆動する。

一実施形態において、分化体細胞は、皮膚細胞、血液細胞、神経細胞、筋細胞、骨細胞、肝細胞、および脂肪細胞からなる群から選択される。

一実施形態において、分化体細胞は、線維芽細胞である。一実施形態において、線維芽細胞は、マウス、ラット、ウサギ、トリ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、およびロバからなる群から選択される非ヒト動物から得られる。一実施形態において、線維芽細胞は、ブタから得られる。さらに具体的な実施形態において、ブタは、ミニブタである。一実施形態において、線維芽細胞は、ウシから得られる。

一実施形態において、ES細胞特異的プロモーターは、Oct−3/4プロモーター、Sox2プロモーター、Kif4プロモーター、c−Mycプロモーター、Nanogプロモーター、Lin28プロモーター、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。

一実施形態において、ES細胞特異的プロモーターは、胚盤胞期胚のES細胞において部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の転写を駆動する。

一実施形態において、核酸コンストラクトは、第1および第2の組み換え部位の間に第2の発現カセットを含み、第2の発現カセットは、プロモーターに作用可能に連結した選択マーカー遺伝子を含む。一実施形態において、選択マーカー遺伝子は、部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の上流側に位置する。別の実施形態において、選択マーカー遺伝子は、部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の下流側に位置する。

一実施形態において、選択マーカー遺伝子に作用可能に連結したプロモーターは、構成的プロモーターである。一実施形態において、構成的プロモーターは、Ubcプロモーター、hCMVプロモーター、mCMVプロモーター、EF−1プロモーター、Pgk1プロモーター、ベータ−アクチンプロモーター、およびROSA26プロモーターからなる群から選択される。

一実施形態において、選択マーカーは、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neor)、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ(hygr)、ピューロマイシン−N−アセチルトランスフェラーゼ(puror)、ブラストサイジンSデアミナーゼ(bsrr)、キサンチン/グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(gpt)、および単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV−k)からなる群から選択される。

一実施形態において、自己切断型リコンビナーゼ発現コンストラクトは、選択マーカー遺伝子を含まず、選択マーカー遺伝子は、分化体細胞のゲノム内の別の遺伝子座(例えばトランス)に位置し、選択マーカー遺伝子には、選択マーカーが部位特異的リコンビナーゼの存在下で除去され得るように、互いに対して同じ方向に配向した第3および第4の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している。一実施形態において、分化体細胞は、ゲノム内に条件付きノックアウト対立遺伝子を含み、条件付きノックアウト対立遺伝子には、条件付き対立遺伝子が部位特異的リコンビナーゼの存在下で除去され得るように、第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している。一実施形態において、条件付きノックアウト対立遺伝子は、第1および第2の組み換え部位の間に選択マーカー遺伝子をさらに含む。

一実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の少なくとも1つのエクソンに相同性のヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列には、第1および第2の組み換え部位が隣接している。より具体的な実施形態において、エクソンは、内在性遺伝子の第1のエクソンである。

一実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の少なくとも1つのイントロンに相同性のヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列には、第1および第2の組み換え部位が隣接している。

一実施形態において、核酸コンストラクトは、内在性遺伝子全体が相同性組み換えにより核酸コンストラクトと置き換えられ得るように、内在性遺伝子の開始コドンの上流側の5’−非翻訳領域(UTR)、および内在性遺伝子の停止コドンの下流側の3’−非翻訳領域(UTR)を含む。

一実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の改変された配列をさらに含み、改変された配列は、第1および第2の組み換え部位が隣接した領域外に位置する。一実施形態において、改変された配列は、内在性遺伝子の少なくとも1つのエクソンのノックイン対立遺伝子である。一実施形態において、改変された配列は、内在性遺伝子全体のノックイン対立遺伝子である(すなわち、「遺伝子交換ノックイン」)。ノックイン対立遺伝子は、対立遺伝子を含有する動物に対し、改善された耐病性またはより大きなサイズ(例えばより大きな筋肉サイズ)等の所望の特性を付与する対立遺伝子となり得る。一実施形態において、核酸コンストラクトは、導入遺伝子配列をさらに含み、導入遺伝子配列は、第1および第2の組み換え部位が隣接した領域外に位置する。一実施形態において、導入遺伝子配列は、ヒトタンパク質(例えば、インスリン、アルファ−ラクトアルブミン、トランスフェリン、ヒト血清アルブミン、ヒト成長ホルモン、血液凝固因子等)をコードする。一実施形態において、導入遺伝子配列は、治療薬剤(例えば、治療抗体)をコードする。

一実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の改変された配列をさらに含み、改変された配列は、内在性遺伝子のノックアウト対立遺伝子である。一実施形態において、ノックアウト対立遺伝子は、レポーター遺伝子を含み、レポーター遺伝子の転写が、内在性遺伝子の発現を駆動する内在性プロモーターにより開始され得、内在性遺伝子の転写が無効化され得るように、レポーター遺伝子の5’は、内在性遺伝子の開始コドン(ATG)の直前の上流側のヌクレオチド配列(すなわち、5’非翻訳領域(5’−UTR))を含む。

一実施形態において、レポーター遺伝子は、第1の組み換え部位の上流側に位置する。

一実施形態において、レポーター遺伝子は、アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、ベータ−グルクロニダーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、DsRedおよびZsGreenからなる群から選択されるレポータータンパク質をコードする。

一実施形態において、自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、分化体細胞のゲノム内の転写活性遺伝子座に位置する。一実施形態において、転写活性遺伝子座は、ROSA26遺伝子座である。一実施形態において、転写活性遺伝子座は、CH25h遺伝子座である。

一実施形態において、部位特異的リコンビナーゼは、Cre、Flp、およびDreリコンビナーゼからなる群から選択される。

一実施形態において、部位特異的リコンビナーゼは、Creリコンビナーゼである。

一実施形態において、Creリコンビナーゼは、イントロン配列を含む。一実施形態において、Creリコンビナーゼは、核局在化シグナル(NLS)を含む。一実施形態において、Creリコンビナーゼは、イントロン配列および核局在化シグナル(NLS)の両方を含む。

一実施形態において、第1および第2の組み換え部位は、loxP、lox511、lox2272、lox66、lox71、loxM2、lox5171、FRT、FRT11、FRT71、attp、att、FRT、およびDre部位からなる群から選択される。

一態様において、選択マーカー遺伝子およびリコンビナーゼ遺伝子を含まない、遺伝子改変およびクローン化された非ヒト動物を作製するための方法であって、

(a)核酸コンストラクトを、非ヒト動物の分化体細胞内に導入し、遺伝子改変されたゲノムを形成することと、

(b)(a)の遺伝子改変されたゲノムを、除核宿主卵母細胞内に導入することと、

(c)(b)の卵母細胞を融合および活性化させて、人工的接合体を形成することと、

(d)接合体が胚盤胞胚形成期に達するまで、(c)の人工的接合体を培養することと、

(e)(d)の胚盤胞を代理母の子宮内に導入植し、選択マーカー遺伝子およびリコンビナーゼ遺伝子を含まない遺伝子改変およびクローン化された非ヒト動物を形成することとを含み、

核酸コンストラクトは、ES細胞特異的プロモーターに作用可能に連結した部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を含む自己切断型リコンビナーゼ発現カセットを含み、リコンビナーゼ発現コンストラクトには、部位特異的リコンビナーゼが部位特異的リコンビナーゼの存在下で切断され得るように、互いに対して同じ方向に配向した第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接し、ES細胞特異的プロモーターは、分化体細胞ではなく、未分化多能性幹細胞において部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の転写を駆動する方法が提供される。分化体細胞の改変されたゲノムが除核宿主卵母細胞内に導入され、人工的に形成された接合体が、ES細胞特異的転写因子が多能性幹細胞内で活性であるクローン化胚に発達させられると、選択マーカーおよびリコンビナーゼ遺伝子は、クローン化胚のゲノムから除去される。

一実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化コンストラクトである。一実施形態において、標的化コンストラクトは、ノックアウト対立遺伝子を含む。一実施形態において、標的化コンストラクトは、ノックイン対立遺伝子を含む。一実施形態において、核酸コンストラクトは、導入遺伝子を含む。

一実施形態において、ES細胞特異的プロモーターは、Oct−3/4プロモーター、Sox2プロモーター、Kif4プロモーター、c−Mycプロモーター、Nanogプロモーター、Lin28プロモーター、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。

様々な実施形態において、自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、第1および第2の組み換え部位の間に位置する第2の発現カセットを含み、第2の発現カセットは、プロモーターに作用可能に連結した選択マーカー遺伝子を含む。一実施形態において、選択マーカーは、部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の上流側に位置する。別の実施形態において、選択マーカーは、部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の下流側に位置する。

一実施形態において、選択マーカー遺伝子に作用可能に連結したプロモーターは、構成的プロモーターである。一実施形態において、構成的プロモーターは、Ubcプロモーター、hCMVプロモーター、mCMVプロモーター、EF−1プロモーター、Pgk1プロモーター、ベータ−アクチンプロモーター、およびROSA26プロモーターからなる群から選択される。

一実施形態において、選択マーカーは、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neor)、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ(hygr)、ピューロマイシン−N−アセチルトランスフェラーゼ(puror)、ブラストサイジンSデアミナーゼ(bsrr)、キサンチン/グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(gpt)、および単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV−k)からなる群から選択される。

一実施形態において、自己切断型リコンビナーゼ発現コンストラクトは、選択マーカー遺伝子を含まず、選択マーカー遺伝子は、分化体細胞のゲノム内の別の遺伝子座(例えばトランス)に位置し、選択マーカー遺伝子には、選択マーカーが部位特異的リコンビナーゼの存在下で除去され得るように、互いに対して同じ方向に配向した第3および第4の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している。一実施形態において、分化体細胞は、ゲノム内に条件付きノックアウト対立遺伝子を含み、条件付きノックアウト対立遺伝子には、条件付き対立遺伝子が部位特異的リコンビナーゼの存在下でゲノムから除去され得るように、第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している。一実施形態において、条件付きノックアウト対立遺伝子は、第1および第2の組み換え部位の間に選択マーカー遺伝子を含む。

一実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の少なくとも1つのエクソンに相同性のヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列には、第1および第2の組み換え部位が隣接している。一実施形態において、エクソンは、内在性遺伝子の第1のエクソンである。

一実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の少なくとも1つのイントロンに相同性のヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列には、第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している。

一実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化コンストラクトであり、標的化コンストラクトの標的化アームは、内在性遺伝子全体が相同性組み換えにより標的化コンストラクトと置き換えられ得るように、内在性遺伝子の開始コドンの上流側の5’−非翻訳領域(UTR)、および内在性遺伝子の停止コドンの下流側の3’−非翻訳領域(UTR)を含む。一実施形態において、標的化アームは、内在性遺伝子の開始コドンの直前の上流側の5’−UTR領域を含む。一実施形態において、標的化アームは、内在性遺伝子の停止コドンの直後の下流側の3’−非翻訳領域を含む。

一実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の改変された配列をさらに含み、改変された配列は、第1および第2の組み換え部位が隣接した領域外に位置する。一実施形態において、改変された配列は、少なくとも1つのエクソンのノックイン対立遺伝子である。一実施形態において、改変された配列は、遺伝子全体のノックイン対立遺伝子である(すなわち、「遺伝子交換ノックイン」)。ノックイン対立遺伝子は、対立遺伝子を含有する動物に対し、改善された耐病性またはより大きなサイズ(例えばより大きな筋肉サイズ)等の所望の特性を付与する対立遺伝子となり得る。一実施形態において、核酸コンストラクトは、導入遺伝子配列をさらに含み、導入遺伝子配列は、第1および第2の組み換え部位が隣接した領域外に位置する。一実施形態において、導入遺伝子配列は、ヒトタンパク質(例えば、インスリン、アルファ−ラクトアルブミン、トランスフェリン、ヒト血清アルブミン、ヒト成長ホルモン、血液凝固因子等)をコードする。一実施形態において、導入遺伝子配列は、治療薬剤(例えば、治療抗体)をコードする。

一実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の改変された配列をさらに含み、改変された配列は、内在性遺伝子のノックアウト対立遺伝子である。一実施形態において、ノックアウト対立遺伝子は、レポーター遺伝子を含み、レポーター遺伝子の転写が、内在性遺伝子を駆動する内在性プロモーターにより開始され、内在性遺伝子の転写が無効化されるように、レポーター遺伝子の5’は、内在性遺伝子の開始コドン(ATG)の直前の上流側のヌクレオチド配列(すなわち、5’非翻訳領域(5’−UTR))を含む。

一実施形態において、レポーター遺伝子は、第1の組み換え部位の上流側に位置する。一実施形態において、レポーター遺伝子は、緑色蛍光タンパク質(GFP)、高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、DsRed、ZsGreenおよびlacZからなる群から選択されるレポータータンパク質をコードする。

一実施形態において、分化体細胞の遺伝子改変されたゲノムは、体細胞核移植技術(SCNT)により除核宿主卵母細胞内に導入される。

一実施形態において、分化体細胞の遺伝子改変されたゲノムは、除核宿主卵母細胞の囲卵腔(すなわち、透明帯と細胞膜との間の空間)内に顕微注入される。

一実施形態において、発現コンストラクトは、プロモーターに作用可能に連結した選択マーカー遺伝子を含む。一実施形態において、プロモーターは、構成的プロモーターである。一実施形態において、構成的に活性なプロモーターは、Ubcプロモーター、hCMVプロモーター、mCMVプロモーター、EF−1プロモーター、Pgk1プロモーター、ベータ−アクチンプロモーター、およびROSA26プロモーターからなる群から選択される。

一実施形態において、選択マーカー遺伝子は、部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の上流側に位置する。一実施形態において、選択マーカー遺伝子は、部位特異的リコンビナーゼの下流側に位置する。

一実施形態において、選択マーカーは、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neor)、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ(hygr)、ピューロマイシン−N−アセチルトランスフェラーゼ(puror)、ブラストサイジンSデアミナーゼ(bsrr)、キサンチン/グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(gpt)、および単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV−k)からなる群から選択される、薬物耐性遺伝子である。

一実施形態において、部位特異的リコンビナーゼは、Cre、Flp、およびDreリコンビナーゼからなる群から選択される。

一実施形態において、部位特異的リコンビナーゼは、Creリコンビナーゼである。

一実施形態において、Creリコンビナーゼは、イントロン配列を含む。一実施形態において、Creリコンビナーゼは、核局在化シグナル(NLS)を含む。一実施形態において、Creリコンビナーゼは、イントロン配列および核局在化シグナル(NLS)の両方を含む。

一実施形態において、第1および第2の組み換え部位は、loxP、lox511、lox2272、lox66、lox71、loxM2、lox5171、FRT、FRT11、FRT71、attp、att、FRT、およびDre部位からなる群から選択される。

一態様において、遺伝子改変されたウシまたはブタを作製するための方法であって、多能性細胞内で活性であるプロモーターにより駆動されるリコンビナーゼ遺伝子、およびリコンビナーゼ部位が隣接する選択遺伝子を含む自己切断型カセットを含むように、ブタまたはウシの体細胞を遺伝子改変して、遺伝子改変されたブタまたはウシゲノムを形成するステップと、遺伝子改変されたゲノムを好適な卵母細胞内に導入し、卵母細胞を胞胚期まで培養し、好適な代理母内で胚盤胞を懐胎させ、胚盤胞を遺伝子改変された子孫に発達させるステップとを含む方法が提供される。

一態様において、分化体細胞からの遺伝子改変されたゲノムを含む、非ヒト動物のクローン化卵母細胞であって、遺伝子改変されたゲノムは、部位特異的リコンビナーゼ遺伝子がES細胞特異的プロモーターに作用可能に連結した自己切断型リコンビナーゼ発現カセットを含有する核酸コンストラクトを含み、リコンビナーゼ発現カセットには、部位特異的リコンビナーゼが部位特異的リコンビナーゼの存在下で切断され得るように、互いに対して同じ方向に配向した組み換え部位が隣接している、クローン化卵母細胞が提供される。

一実施形態において、非ヒト動物は、マウス、ラット、ウサギ、トリ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、およびロバからなる群から選択される。

一実施形態において、分化体細胞は、皮膚細胞、血液細胞、神経細胞、筋細胞、骨細胞、肝細胞、および脂肪細胞からなる群から選択される。

一実施形態において、分化体細胞は、線維芽細胞である。一実施形態において、線維芽細胞は、マウス、ラット、ウサギ、トリ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、およびロバからなる群から選択される非ヒト動物から得られる。一実施形態において、線維芽細胞は、ブタから得られる。さらに具体的な実施形態において、ブタは、ミニブタである。一実施形態において、線維芽細胞は、ウシから得られる。

一実施形態において、ES細胞特異的プロモーターは、Oct−3/4プロモーター、Sox2プロモーター、Kif4プロモーター、c−Mycプロモーター、Nanogプロモーター、Lin28プロモーター、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。

一実施形態において、核酸コンストラクトは、第1および第2の組み換え部位の間に第2の発現カセットを含み、第2の発現カセットは、プロモーターに作用可能に連結した選択マーカー遺伝子を含む。一実施形態において、選択マーカー遺伝子は、部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の上流側に位置する。別の実施形態において、選択マーカー遺伝子は、部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の下流側に位置する。

一実施形態において、選択マーカー遺伝子に作用可能に連結したプロモーターは、構成的プロモーターである。一実施形態において、構成的プロモーターは、Ubcプロモーター、hCMVプロモーター、mCMVプロモーター、EF−1プロモーター、Pgk1プロモーター、ベータ−アクチンプロモーター、およびROSA26プロモーターからなる群から選択される。

一実施形態において、選択マーカーは、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neor)、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ(hygr)、ピューロマイシン−N−アセチルトランスフェラーゼ(puror)、ブラストサイジンSデアミナーゼ(bsrr)、キサンチン/グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(gpt)、および単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV−k)からなる群から選択される。

一実施形態において、自己切断型リコンビナーゼ発現コンストラクトは、選択マーカー遺伝子を含まず、選択マーカー遺伝子は、分化体細胞のゲノム内の別の遺伝子座(例えばトランス)に位置し、選択マーカー遺伝子には、選択マーカー遺伝子が部位特異的リコンビナーゼの存在下で除去され得るように、互いに対して同じ方向に配向した第3および第4の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している。一実施形態において、分化体細胞は、ゲノム内に条件付きノックアウト対立遺伝子を含み、条件付きノックアウト対立遺伝子には、条件付き対立遺伝子が部位特異的リコンビナーゼの存在下で除去され得るように、第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している。一実施形態において、条件付きノックアウト対立遺伝子は、第1および第2の組み換え部位の間に選択マーカー遺伝子をさらに含む。

一実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の少なくとも1つのエクソンに相同性のヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列には、第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している。より具体的な実施形態において、エクソンは、内在性遺伝子の第1のエクソンである。

一実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の少なくとも1つのイントロンに相同性のヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列には、第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している。

一実施形態において、核酸コンストラクトは、内在性遺伝子全体が相同性組み換えにより核酸コンストラクトと置き換えられ得るように、内在性遺伝子の開始コドンの上流側の5’−非翻訳領域(UTR)、および内在性遺伝子の停止コドンの下流側の3’−非翻訳領域(UTR)を含む。

一実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の改変された配列をさらに含み、改変された配列は、第1および第2の組み換え部位が隣接した領域外に位置する。一実施形態において、改変された配列は、内在性遺伝子の少なくとも1つのエクソンのノックイン対立遺伝子である。一実施形態において、改変された配列は、内在性遺伝子全体のノックイン対立遺伝子である(すなわち、「遺伝子交換ノックイン」)。ノックイン対立遺伝子は、対立遺伝子を含有する動物に対し、改善された耐病性またはより大きなサイズ(例えばより大きな筋肉サイズ)等の所望の特性を付与する対立遺伝子となり得る。一実施形態において、核酸コンストラクトは、導入遺伝子配列をさらに含み、導入遺伝子配列は、第1および第2の組み換え部位が隣接した領域外に位置する。一実施形態において、導入遺伝子配列は、ヒトタンパク質(例えば、インスリン、アルファ−ラクトアルブミン、トランスフェリン、ヒト血清アルブミン、ヒト成長ホルモン、血液凝固因子等)をコードする。一実施形態において、導入遺伝子配列は、治療薬剤(例えば、治療抗体)をコードする。

一実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の改変された配列をさらに含み、改変された配列は、内在性遺伝子のノックアウト対立遺伝子である。一実施形態において、ノックアウト対立遺伝子は、レポーター遺伝子を含み、レポーター遺伝子の転写が、内在性遺伝子の発現を駆動する内在性プロモーターにより開始され得、内在性遺伝子の転写が無効化され得るように、レポーター遺伝子の5’は、内在性遺伝子の開始コドン(ATG)の直前の上流側のヌクレオチド配列(すなわち、5’非翻訳領域(5’−UTR))を含む。

一実施形態において、レポーター遺伝子は、第1の組み換え部位の上流側に位置する。

一実施形態において、レポーター遺伝子は、アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、ベータ−グルクロニダーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、DsRedおよびZsGreenからなる群から選択されるレポータータンパク質をコードする。

一実施形態において、自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、分化体細胞のゲノム内の転写活性遺伝子座に位置する。一実施形態において、転写活性遺伝子座は、ROSA26遺伝子座である。一実施形態において、転写活性遺伝子座は、CH25h遺伝子座である。

一実施形態において、部位特異的リコンビナーゼは、Cre、Flp、およびDreリコンビナーゼからなる群から選択される。

一実施形態において、部位特異的リコンビナーゼは、Creリコンビナーゼである。

一実施形態において、Creリコンビナーゼは、イントロン配列を含む。一実施形態において、Creリコンビナーゼは、核局在化シグナル(NLS)を含む。一実施形態において、Creリコンビナーゼは、イントロン配列および核局在化シグナル(NLS)の両方を含む。

一実施形態において、第1および第2の組み換え部位は、loxP、lox511、lox2272、lox66、lox71、loxM2、lox5171、FRT、FRT11、FRT71、attp、att、FRT、およびDre部位からなる群から選択される。

一実施形態において、ES細胞特異的プロモーターは、クローン化卵母細胞内で活性ではない。一実施形態において、ES細胞特異的プロモーターは、リガンドの非存在下ではES細胞特異的プロモーターの活性がオフとなるが、好適なリガンド、例えばテトラサイクリンの投与後、およびES細胞特異的転写因子の存在下ではプロモーター活性がオンとなるような様式で、リガンド誘導性プロモーター、例えばテトラサイクリン(tet)オン/オフ系に結合される。

一態様において、選択遺伝子を有さないF0世代の遺伝子改変されたブタまたはウシを作製するための方法であって、多能性細胞内で活性であるプロモーターにより駆動される部位特異的リコンビナーゼ遺伝子、およびリコンビナーゼ部位が隣接する選択遺伝子を含む自己切断型カセットを含むように、ブタまたはウシの体細胞を遺伝子改変して、遺伝子改変されたブタまたはウシゲノムを形成するステップと、遺伝子改変されたゲノムを好適な卵母細胞内に導入し、卵母細胞を胞胚期まで培養し、好適な代理母内で胚盤胞を懐胎させ、胚盤胞を遺伝子改変された子孫に発達させるステップとを含む方法が提供される。

一態様において、ウシまたはブタの分化体細胞のゲノムを改変するための方法であって、(a)(i)ES細胞特異的プロモーターに作用可能に連結した部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を含有する自己切断型リコンビナーゼ発現カセットを含む第1の核酸コンストラクトと、(ii)ES細胞特異的転写因子をコードする遺伝子を含む第2の核酸コンストラクトとを含む組成物を、ウシまたはブタの分化体細胞内に導入することを含み、

リコンビナーゼ発現カセットには、部位特異的リコンビナーゼが部位特異的リコンビナーゼの存在下で切断され得るように、互いに対して同じ方向に配向した組み換え部位が隣接し、

ES細胞特異的転写因子はES細胞特異的プロモーターを活性化することができる方法が提供される。

一実施形態において、ES細胞特異的転写因子は、Oct−3/4、Sox2、c−Myc、Kif4、Nanog、およびLin28からなる群から選択される少なくとも1つである。一実施形態において、少なくとも1つのES細胞特異的転写因子は、分化体細胞を多能性幹細胞に再プログラム化することができる。

一実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化コンストラクトである。一実施形態において、標的化コンストラクトは、ノックアウト対立遺伝子を含む。一実施形態において、標的化コンストラクトは、ノックイン対立遺伝子を含む。一実施形態において、核酸コンストラクトは、導入遺伝子を含む。 本発明は、例えば、以下の項目を提供する。 (項目1) 胚性幹(ES)細胞特異的プロモーターに作用可能に連結した部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を有する自己切断型リコンビナーゼ発現カセットを含む、非ヒト動物の遺伝子改変された体細胞であって、 前記部位特異的リコンビナーゼカセットには、前記カセットが前記部位特異的リコンビナーゼの存在下で切断され得るような様式で、互いに対して同じ方向に配向した第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接し、 前記ES細胞特異的プロモーターは、前記遺伝子改変された体細胞ではなく、未分化多能性幹細胞において前記部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の転写を駆動する、体細胞。 (項目2) 前記体細胞は、皮膚細胞、血液細胞、神経細胞、筋細胞、骨細胞、腎細胞、肝細胞、および脂肪細胞からなる群から選択される、項目1に記載の遺伝子改変された体細胞。 (項目3) 前記体細胞は、線維芽細胞である、項目1に記載の遺伝子改変された体細胞。 (項目4) 前記線維芽細胞は、ブタから得られる、項目3に記載の遺伝子改変された体細胞。 (項目5) 前記ブタは、ミニブタである、項目4に記載の遺伝子改変された体細胞。 (項目6) 前記線維芽細胞は、ウシから得られる、項目3に記載の遺伝子改変された体細胞。 (項目7) 前記ES細胞特異的プロモーターは、Oct−3/4プロモーター、Sox2プロモーター、Kif4プロモーター、c−Mycプロモーター、Nanogプロモーター、Lin28プロモーター、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目1に記載の遺伝子改変された体細胞。 (項目8) 前記ES細胞特異的プロモーターは、胚盤胞期胚のES細胞において前記部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の転写を駆動する、項目1に記載の遺伝子改変された体細胞。 (項目9) 前記自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、前記第1および第2の組み換え部位の間に選択マーカー遺伝子をさらに含み、前記選択マーカー遺伝子は、プロモーターに作用可能に連結している、項目1に記載の遺伝子改変された体細胞。 (項目10) 前記選択マーカー遺伝子に作用可能に連結した前記プロモーターは、構成的プロモーターである、項目9に記載の遺伝子改変された体細胞。 (項目11) 前記自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、選択マーカー遺伝子を含まず、前記選択マーカー遺伝子は、前記体細胞のゲノム内の別の遺伝子座に位置し、前記選択マーカー遺伝子には、前記選択マーカーが前記部位特異的リコンビナーゼの存在下で除去され得るように、互いに対して同じ方向に配向した第3および第4の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している、項目1に記載の遺伝子改変された体細胞。 (項目12) 前記体細胞の遺伝子改変されたゲノムは、条件付きノックアウト対立遺伝子を含み、前記条件付きノックアウト対立遺伝子には、前記条件付き対立遺伝子が前記部位特異的リコンビナーゼの存在下で除去され得るように、前記第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している、項目1に記載の遺伝子改変された体細胞。 (項目13) 前記リコンビナーゼ発現カセットは、標的化されている内在性遺伝子の少なくとも1つのエクソンに相同性のヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列には、前記第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している、項目1に記載の遺伝子改変された体細胞。 (項目14) 前記リコンビナーゼ発現カセットは、標的化されている内在性遺伝子の少なくとも1つのイントロンに相同性のヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列には、前記第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している、項目1に記載の遺伝子改変された体細胞。 (項目15) 前記自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、前記体細胞のゲノム内の転写活性遺伝子座に位置する、項目1に記載の遺伝子改変された体細胞。 (項目16) 前記部位特異的リコンビナーゼは、Cre、Flp、およびDreリコンビナーゼからなる群から選択される、項目1に記載の遺伝子改変された体細胞。 (項目17) 選択マーカー遺伝子およびリコンビナーゼ遺伝子を含まない、遺伝子改変およびクローン化された非ヒト動物を作製するための方法であって、 (a)核酸コンストラクトを、非ヒト動物の分化体細胞内に導入し、遺伝子改変されたゲノムを形成することと、 (b)(a)の遺伝子改変されたゲノムを、除核宿主卵母細胞内に導入することと、 (c)(b)の卵母細胞を融合および活性化させて、人工的接合体を形成することと、 (d)前記接合体が胚盤胞胚形成期に達するまで、(c)の人工的接合体を培養することと、 (e)(d)の胚盤胞を代理母の子宮内に移植し、前記選択マーカー遺伝子および前記リコンビナーゼ遺伝子を含まない前記遺伝子改変されたクローン化非ヒト動物を形成することとを含み、 前記核酸コンストラクトは、ES細胞特異的プロモーターに作用可能に連結した部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を含む自己切断型リコンビナーゼ発現カセットを含み、 前記リコンビナーゼ発現カセットには、前記カセットが前記部位特異的リコンビナーゼの存在下で切断され得るように、同じ方向で配向した第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接し、 前記ES細胞特異的プロモーターは、前記分化体細胞ではなく、未分化多能性幹細胞において前記部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の転写を駆動する方法。 (項目18) 前記ES細胞特異的プロモーターは、Oct−3/4プロモーター、Sox2プロモーター、Kif4プロモーター、c−Mycプロモーター、Nanogプロモーター、Lin28プロモーター、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目17に記載の方法。 (項目19) 前記自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、前記第1および第2の組み換え部位の間に位置する選択マーカー遺伝子を含み、前記選択マーカー遺伝子は、プロモーターに作用可能に連結している、項目17に記載の方法。 (項目20) 前記選択マーカー遺伝子に作用可能に連結した前記プロモーターは、構成的プロモーターである、項目19に記載の方法。 (項目21) 前記自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、選択マーカー遺伝子を含まず、前記選択マーカー遺伝子は、前記体細胞のゲノム内の別の遺伝子座に位置し、前記選択マーカー遺伝子には、前記選択マーカーが前記部位特異的リコンビナーゼの存在下で除去され得るように、互いに対して同じ方向に配向した第3および第4の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している、項目17に記載の方法。 (項目22) 前記体細胞は、前記ゲノム内に条件付きノックアウト対立遺伝子を含み、前記条件付きノックアウト対立遺伝子には、前記条件付き対立遺伝子が前記部位特異的リコンビナーゼの存在下で除去され得るように、前記第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している、項目17に記載の方法。 (項目23) 前記核酸コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の少なくとも1つのエクソンに相同性のヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列には、前記第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している、項目17に記載の方法。 (項目24) 前記核酸コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の少なくとも1つのイントロンに相同性のヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列には、前記第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している、項目17に記載の方法。 (項目25) 前記核酸コンストラクトは、プロモーターに作用可能に連結した選択マーカー遺伝子を含む、項目17に記載の方法。 (項目26) 前記プロモーターは、構成的プロモーターである、項目23に記載の方法。 (項目27) 前記部位特異的リコンビナーゼは、Cre、Flp、およびDreリコンビナーゼからなる群から選択される、項目17に記載の方法。 (項目28) 分化体細胞からの遺伝子改変されたゲノムを含む、非ヒト動物のクローン化卵母細胞であって、前記遺伝子改変されたゲノムは、ES細胞特異的プロモーターに作用可能に連結した部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を有する自己切断型リコンビナーゼ発現カセットを含み、前記自己切断型リコンビナーゼ発現カセットには、前記カセットが前記部位特異的リコンビナーゼの存在下で切断され得るように、互いに対して同じ方向に配向した第1および第2の組み換え部位が隣接している、クローン化卵母細胞。 (項目29) 前記非ヒト動物は、マウス、ラット、ウサギ、トリ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、およびロバからなる群から選択される、項目28に記載のクローン化卵母細胞。 (項目30) 前記分化体細胞は、皮膚細胞、血液細胞、神経細胞、筋細胞、骨細胞、肝細胞、および脂肪細胞からなる群から選択される、項目28に記載のクローン化卵母細胞。 (項目31) 前記分化体細胞は、線維芽細胞である、項目28に記載のクローン化卵母細胞。 (項目32) 前記線維芽細胞は、ブタから得られる、項目31に記載のクローン化卵母細胞。 (項目33) 前記ブタは、ミニブタである、項目32に記載のクローン化卵母細胞。 (項目34) 前記線維芽細胞は、ウシから得られる、項目31に記載のクローン化卵母細胞。 (項目35) 前記ES細胞特異的プロモーターは、Oct−3/4プロモーター、Sox2プロモーター、Kif4プロモーター、c−Mycプロモーター、Nanogプロモーター、Lin28プロモーター、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目28に記載のクローン化卵母細胞。 (項目36) 前記ES細胞特異的プロモーターは、胚盤胞期胚のES細胞において部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の転写を駆動する、項目28に記載のクローン化卵母細胞。 (項目37) 前記自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、前記第1および第2の組み換え部位の間に選択マーカー遺伝子を含み、前記選択マーカー遺伝子は、プロモーターに作用可能に連結している、項目28に記載のクローン化卵母細胞。 (項目38) 前記選択マーカー遺伝子に作用可能に連結した前記プロモーターは、構成的プロモーターである、項目37に記載のクローン化卵母細胞。 (項目39) 前記自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、選択マーカー遺伝子を含まず、前記選択マーカー遺伝子は、前記体細胞ゲノム内の別の遺伝子座に位置し、前記選択マーカー遺伝子には、前記選択マーカーが前記部位特異的リコンビナーゼの存在下で除去され得るように、互いに対して同じ方向に配向した第3および第4の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している、項目28に記載のクローン化卵母細胞。 (項目40) 前記体細胞は、ゲノム内に条件付きノックアウト対立遺伝子を含み、前記条件付きノックアウト対立遺伝子には、前記条件付き対立遺伝子が前記部位特異的リコンビナーゼの存在下で除去され得るように、前記第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している、項目28に記載のクローン化卵母細胞。 (項目41) 前記自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、標的化されている内在性遺伝子の少なくとも1つのエクソンに相同性のヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列には、前記第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している、項目28に記載のクローン化卵母細胞。 (項目42) 前記自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、標的化されている内在性遺伝子の少なくとも1つのイントロンに相同性のヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列には、前記第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している、項目28に記載のクローン化卵母細胞。 (項目43) 前記自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、前記体細胞ゲノム内の転写活性遺伝子座に位置する、項目28に記載のクローン化卵母細胞。 (項目44) 前記部位特異的リコンビナーゼは、Cre、Flp、およびDreリコンビナーゼからなる群から選択される、項目28に記載のクローン化卵母細胞。

遺伝子操作およびクローン化された非ヒト動物を作製するためのステップを示す図である。

マーカーを含まない遺伝子改変された非ヒト動物を作製するための自己切断型カセットを示す図である。

選択マーカーを含まない遺伝子的操作およびクローン化された非ヒト動物を作製するためのステップを示す図である。

遺伝子改変およびクローン化された非ヒト動物を作製するためのプラットフォームを示す図である。

用語解説 「クローン化」という用語は、本明細書において使用される場合、元の生物の同一複製物を形成するプロセスを含む。

「胚幹細胞」または「ES細胞」という用語は、本明細書において使用される場合、胚の未分化内部塊細胞から得られた幹細胞を含み、これは、胚への導入後、発達する胚のいかなる組織にも寄与し得る。

「作用可能に連結した」という語句は、本明細書において使用される場合、プロモーターが、タンパク質をコードするヌクレオチド配列の発現を制御するような様式で、プロモーターをコードするヌクレオチド配列を、タンパク質をコードする別のヌクレオチド配列に接続することを含む。

「プロモーター」および「プロモーター調節要素」等の用語は、本明細書において使用される場合、その遺伝子の発現を制御する核酸断片または遺伝子内のヌクレオチド配列要素を含む。これらはまた、発現制御配列を含み得る。様々な源からのプロモーター調節要素等が、遺伝子発現を促進するために効率的に使用され得る。プロモーター調節要素は、構成的、組織特異的、発達特異的、誘導的、サブゲノムプロモーター等を含むことを意図する。プロモーター調節要素はまた、転写効率を改善または調節するある特定のエンハンサー要素またはサイレンシング要素を含んでもよい。

「構成的プロモーター」および「構成的に活性なプロモーター」という用語は、本明細書において使用される場合、ほとんどの細胞または組織において、ほとんどの時点で遺伝子の転写を誘導する調節配列を含む。

「多能性幹細胞」または「多分化能幹細胞」という用語は、本明細書において使用される場合、2つ以上の分化細胞型に発達する能を有する未分化細胞を含む。

「組み換え部位」という用語は、本明細書において使用される場合、部位特異的リコンビナーゼにより認識される、および組み換えイベントのための基質として機能し得るヌクレオチド配列を含む。

「部位特異的リコンビナーゼ」という用語は、本明細書において使用される場合、2つの組み換え部位が、単一の核酸分子内、または別個の核酸分子上で物理的に分離している「組み換え部位」間の組み換えを促進し得る酵素の集団を含む。「部位特異的リコンビナーゼ」の例は、これらに限定されないが、Cre、Flp、およびDreリコンビナーゼを含む。

「体細胞」という用語は、本明細書において使用される場合、1組の染色体(n)を有する生殖細胞を除く、2組の染色体(2n)を有する生物の体を構成する任意の細胞を含む。

「体細胞核移植」または「SCNT」という用語は、本明細書において使用される場合、ヒツジ、畜、ブタ、ヤギ、ウサギ、ラットまたはマウス等のドナー生物からの体(体性)細胞の核が、除核卵子(自身の核が除去された卵子)の細胞質に導入される技術を含む。核は、本方法により、遺伝子改変に供され得る。卵子内で、体細胞核は、卵子細胞質性因子により、接合体(受精卵)核となるように再プログラム化される。次いで、受精卵をin vitroで、例えば胞胚期まで発達させてから、典型的にはドナーと同じ種の受容動物に導入することができ、これが、受精卵からクローン的に得られた細胞を含有し、導入された核内に導入された任意の遺伝子改変を有する子孫を生み出す。哺乳動物上皮細胞、卵丘細胞、皮膚および内臓器官からの線維芽細胞、各種内臓器官細胞、Sertoli細胞、マクロファージならびに血液白血球を含む多くの体細胞型が使用され得る(例えば、Tian et al.,Reproductive Biology and Endocrinology1,1−7(2003)を参照されたい)。

自己切断型リコンビナーゼ発現カセットを含む体細胞

遺伝子改変後に宿主細胞または宿主動物から選択マーカーおよびリコンビナーゼ遺伝子を除去するための取り組みが、数多くなされてきた。例えば、組み換え部位、例えばloxPまたはFRTが隣接した選択マーカー遺伝子を除去するために、例えばマイクロインジェクション、トランスフェクション、またはウイルス粒子による形質導入により、部位特異的リコンビナーゼ遺伝子がES細胞または受精卵内に導入される。代替として、選択カセットを保持する動物が、同じ効果を達成するために部位特異的リコンビナーゼを発現する削除系統に飼育される。しかしながら、これらの技術は、ES細胞における低レベルのトランスフェクション効率、長期in vitro培養に起因するES細胞多能性の低下、ならびに余分な飼育ステップに必要な追加的な人的資源および財源を含む、多くの欠点を有する。

本発明は、分化体細胞内に、ES細胞特異的プロモーターにより駆動される自己切断型部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を導入し、続いて、分化体細胞の遺伝子改変されたゲノムを、例えば体細胞核移植(SCNT)技術により除核宿主卵母細胞内に導入することにより、遺伝子改変後の非ヒト動物から選択マーカーおよびリコンビナーゼ遺伝子を除去する新たな手法を提供する。融合および活性化後、体細胞の遺伝子改変されたゲノムを含む人工的に形成された接合体は、胞胚期に達するまでin vitroで培養され、完全発達のために代理母内に移植される(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Gong et al.,Generation of cloned calves from different types of somatic cells,Sci China C Life Sci,2004,47:470−476を参照されたい)。人工的に形成された接合体の発達中、部位特異的リコンビナーゼは、ES細胞特異的転写因子が活性である多能性幹細胞内で発現および活性となり、選択マーカーおよびリコンビナーゼ遺伝子は、クローン化胚のゲノムから削除される。このようにして、本方法は、選択マーカーおよびリコンビナーゼ遺伝子を除去するために必要な、ES細胞の操作または任意の余分な飼育ステップの必要性を取り除く。

ES細胞特異的プロモーターに作用可能に連結した部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を含む自己切断型リコンビナーゼ発現カセットを含有するように遺伝子操作された、非ヒト動物の分化体細胞が提供され、部位特異的リコンビナーゼ遺伝子は、分化体細胞ではなく、未分化多能性肝細胞、例えば胚盤胞期胚の内部細胞塊内のES細胞において発現する。

一態様において、自己切断型リコンビナーゼ発現カセットを含有するように操作された非ヒト動物の分化体細胞が提供され、自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、ES細胞特異的プロモーターに作用可能に連結した部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を含み、部位特異的リコンビナーゼ遺伝子には、リコンビナーゼが部位特異的リコンビナーゼの存在下で切断され得るように、互いに対して同じ方向に配向した第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接し、ES細胞特異的プロモーターは、体細胞ではなく、未分化多能性幹細胞において部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の転写を駆動する。

分化体細胞の改変されたゲノムが除核宿主卵母細胞内に導入され、人工的に形成された接合体が胚に発達させられると、選択マーカーおよびリコンビナーゼ遺伝子は、発達するクローン化胚のゲノムから除去され得る。

一実施形態において、分化体細胞は、これらに限定されないが、皮膚細胞、血液細胞、神経細胞、筋細胞、骨細胞、腎細胞、肝細胞、および脂肪細胞を含む。

一実施形態において、分化体細胞は、線維芽細胞である。線維芽細胞は、これらに限定されないが、マウス、ラット、ウサギ、トリ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、およびロバを含む任意の非ヒト動物から得ることができる。一実施形態において、線維芽細胞は、ブタから得られる。さらに具体的な実施形態において、ブタは、ミニブタである。一実施形態において、線維芽細胞は、ウシから得られる。

一実施形態において、ES細胞特異的プロモーターは、Oct−3/4プロモーター、Sox2プロモーター、Kif4プロモーター、c−Mycプロモーター、Nanogプロモーター、Lin28プロモーター、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。

一実施形態において、ES細胞特異的プロモーターは、胚盤胞期胚のES細胞において部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の転写を駆動する。

一実施形態において、自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、第1および第2の組み換え部位の間に第2の発現カセットを含み、第2の発現カセットは、プロモーターに作用可能に連結した選択マーカー遺伝子を含む。一実施形態において、選択マーカーは、部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の上流側に位置する。別の実施形態において、選択マーカーは、部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の下流側に位置する。

一実施形態において、選択マーカー遺伝子に作用可能に連結したプロモーターは、構成的プロモーターである。一実施形態において、構成的プロモーターは、Ubcプロモーター、hCMVプロモーター、mCMVプロモーター、EF−1プロモーター、Pgk1プロモーター、ベータ−アクチンプロモーター、およびROSA26プロモーターからなる群から選択される。

一実施形態において、選択マーカーは、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neor)、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ(hygr)、ピューロマイシン−N−アセチルトランスフェラーゼ(puror)、ブラストサイジンSデアミナーゼ(bsrr)、キサンチン/グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(gpt)、および単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV−k)からなる群から選択される。

一実施形態において、自己切断型リコンビナーゼ発現コンストラクトは、選択マーカー遺伝子を含まず、選択マーカー遺伝子は、体細胞のゲノム内の別の遺伝子座(例えばトランス)に位置し、選択マーカー遺伝子には、選択マーカーが部位特異的リコンビナーゼの存在下で除去され得るように、互いに対して同じ方向に配向した第3および第4の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している。

一実施形態において、分化体細胞は、ゲノム内に条件付きノックアウト対立遺伝子を含み、条件付きノックアウト対立遺伝子には、条件付き対立遺伝子が部位特異的リコンビナーゼの存在下で除去され得るような様式で、第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している。一実施形態において、条件付きノックアウト対立遺伝子は、第1および第2の組み換え部位の間に選択マーカー遺伝子を含む。

一実施形態において、自己切断型リコンビナーゼ発現コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の少なくとも1つのエクソンに相同性のヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列には、第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している。より具体的な実施形態において、エクソンは、内在性遺伝子の第1のエクソンである。

一実施形態において、自己切断型リコンビナーゼ発現コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の少なくとも1つのイントロンに相同性のヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列には、第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している。

一実施形態において、自己切断型リコンビナーゼ発現コンストラクトは、内在性遺伝子全体が相同性組み換えにより標的化コンストラクトと置き換えられ得るように、内在性遺伝子の開始コドンの上流側の5’−非翻訳領域(UTR)、および内在性遺伝子の停止コドンの下流側の3’−非翻訳領域(UTR)を含む。

一実施形態において、自己切断型リコンビナーゼ発現コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の改変された配列をさらに含み、改変された配列は、第1および第2の組み換え部位が隣接した領域外に位置する。一実施形態において、改変された配列は、内在性遺伝子の少なくとも1つのエクソンのノックイン対立遺伝子である。一実施形態において、改変された配列は、内在性遺伝子全体のノックイン対立遺伝子である(すなわち、「遺伝子交換ノックイン」)。ノックイン対立遺伝子は、対立遺伝子を含有する動物に対し、改善された耐病性またはより大きなサイズ(例えばより大きな筋肉サイズ)等の所望の特性を付与する対立遺伝子となり得る。一実施形態において、核酸コンストラクトは、導入遺伝子配列をさらに含み、導入遺伝子配列は、第1および第2の組み換え部位が隣接した領域外に位置する。一実施形態において、導入遺伝子配列は、ヒトタンパク質(例えば、インスリン、アルファ−ラクトアルブミン、トランスフェリン、ヒト血清アルブミン、ヒト成長ホルモン、血液凝固因子等)をコードする。一実施形態において、導入遺伝子配列は、治療薬剤(例えば、治療抗体)をコードする。

一実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の改変された配列をさらに含み、改変された配列は、内在性遺伝子のノックアウト対立遺伝子である。一実施形態において、ノックアウト対立遺伝子は、レポーター遺伝子を含み、レポーター遺伝子の転写が、内在性遺伝子の発現を駆動する内在性プロモーターにより開始され得、内在性遺伝子の転写が無効化され得るように、レポーター遺伝子の5’は、内在性遺伝子の開始コドン(ATG)の直前の上流側のヌクレオチド配列(すなわち、5’非翻訳領域(5’−UTR))を含む。

一実施形態において、レポーター遺伝子は、第1の組み換え部位の上流側に位置する。

一実施形態において、レポーター遺伝子は、アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、ベータ−グルクロニダーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、DsRedおよびZsGreenからなる群から選択されるレポータータンパク質をコードする。

一実施形態において、自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、分化体細胞のゲノム内の転写活性遺伝子座に位置する。一実施形態において、転写活性遺伝子座は、ROSA26遺伝子座である。一実施形態において、転写活性遺伝子座は、CH25h遺伝子座である。

一実施形態において、部位特異的リコンビナーゼは、Cre、Flp、およびDreリコンビナーゼからなる群から選択される。

一実施形態において、部位特異的リコンビナーゼは、Creリコンビナーゼである。

一実施形態において、Creリコンビナーゼは、イントロン配列を含む。一実施形態において、Creリコンビナーゼは、核局在化シグナル(NLS)を含む。一実施形態において、Creリコンビナーゼは、イントロン配列および核局在化シグナル(NLS)の両方を含む。

一実施形態において、第1および第2の組み換え部位は、loxP、lox511、lox2272、lox66、lox71、loxM2、lox5171、FRT、FRT11、FRT71、attp、att、FRT、およびDre部位からなる群から選択される。

遺伝子改変およびクローン化された動物の作製

本発明は、特定の遺伝子座でES細胞特異的プロモーターにより駆動される自己切断型リコンビナーゼ発現カセットを提供するように、非ヒト動物の分化体細胞、例えば線維芽細胞を遺伝子改変する戦略を使用する。選択カセット除去のためにES細胞をin vitroで操作する代わりに、遺伝子改変された体細胞の核は、除核宿主卵母細胞内に導入され、クローン化胚の発達中にゲノムの再プログラム化および多能性幹細胞内の選択カセットの削除を誘導する。このようにして、遺伝子改変された体細胞からクローン化された、選択マーカーを含まない非ヒト動物が、ES細胞を操作する必要性、または部位特異的リコンビナーゼを発現する削除系統に選択カセット含有動物を飼育する必要性なしに作製され得る。

本発明の方法は、任意の遺伝子改変およびクローン化された非ヒト動物の作製において使用され得る。非ヒト動物の非限定例は、げっ歯類(例えば、マウス、ラット)、ウサギ、トリ(例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、カモ、ガン等)、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、およびロバを含む。好ましい実施形態において、非ヒト動物は、ブタまたはウシである。

一態様において、選択マーカー遺伝子およびリコンビナーゼ遺伝子を含まない、遺伝子改変およびクローン化された非ヒト動物を作製するための方法であって、

(a)標的化コンストラクトを、非ヒト動物の分化体細胞内に導入し、遺伝子改変されたゲノムを形成することと、

(b)(a)の遺伝子改変されたゲノムを、除核宿主卵母細胞内に導入することと、

(c)(b)の卵母細胞を融合および活性化させて、人工的接合体を形成することと、

(d)接合体が胚盤胞胚形成期に達するまで、(c)の人工的接合体をin vitroで培養することと、

(e)(d)の胚盤胞を代理母の子宮内に移植し、選択マーカー遺伝子およびリコンビナーゼ遺伝子を含まない遺伝子改変およびクローン化された非ヒト動物を形成することとを含み、

標的化コンストラクトは、ES細胞特異的プロモーターに作用可能に連結した部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を含む自己切断型リコンビナーゼ発現カセットを含み、リコンビナーゼ発現コンストラクトには、部位特異的リコンビナーゼが部位特異的リコンビナーゼの存在下で切断され得るような様式で、同じ方向に配向した第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接し、ES細胞特異的プロモーターは、分化体細胞ではなく、発達中のクローン化胚内の未分化多能性幹細胞において部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の転写を駆動する方法が提供される。

一実施形態において、未分化多能性幹細胞は、胚盤胞期胚の内部細胞塊(ICM)内のES細胞である。

一実施形態において、ES細胞特異的プロモーターは、Oct−3/4プロモーター、Sox2プロモーター、Kif4プロモーター、c−Mycプロモーター、Nanogプロモーター、およびLin28プロモーターからなる群から選択される。

自己切断型組み換え発現カセットを分化体細胞内に導入するために、これらに限定されないが、化学ベーストランスフェクション(例えば、リン酸カルシウム、リポフェクチンまたはリポフェクタミン等のカチオン性脂質、およびDEAE−デキストランまたはデンドリマー等のカチオン性ポリマー)、物理的トランスフェクション技術(例えば、マイクロインジェクション、遺伝子銃等のバイオリスティック粒子送達、脂質ベーストランスフェクション、エレクトロポレーション、ソノポレーション、磁性ナノ粒子、およびレーザ照射)、ならびに、自己切断型リコンビナーゼ発現カセットを保有するウイルス粒子等の生物学的作用物質による形質導入を含む、様々な遺伝子導入技術が使用され得る。エレクトロポレーションは、特に標的化コンストラクトのサイズが大きい場合に、遺伝子導入を達成するために広く使用される。遺伝子導入技術は、例えば、参照により組み込まれるKim&Eberwine(2010),Anal.Bioanal.Chem.397:3173−78において説明されている。いくつかの実施形態において、ウイルス粒子は、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、SV−40、Epstein−Barrウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、バキュロウイルス、コロナウイルス、単純ヘルペスウイルス、ポリオウイルス、Semliki Forestウイルス、Sindbisウイルス、およびVaccinaウイルスからなる群から選択される。

分化体細胞の遺伝子改変されたゲノムを含有する核は、当該技術分野において知られている任意の方法を使用して、除核宿主卵母細胞内に導入され得る(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Gong et al.,Generation of cloned calves from different types of somatic cells,Sci China C Life Sci,2004,47:470−476を参照されたい)。一実施形態において、体細胞の遺伝子改変されたゲノムは、体細胞核移植技術(SCNT)により除核宿主卵母細胞内に導入される。

様々な実施形態において、自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、第1および第2の組み換え部位の間に位置する第2の発現カセットを含み、第2の発現カセットは、プロモーターに作用可能に連結した選択マーカー遺伝子を含む。一実施形態において、選択マーカーは、部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の上流側に位置する。別の実施形態において、選択マーカーは、部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の下流側に位置する。

一実施形態において、選択マーカー遺伝子に作用可能に連結したプロモーターは、構成的プロモーターである。一実施形態において、構成的プロモーターは、Ubcプロモーター、hCMVプロモーター、mCMVプロモーター、EF−1プロモーター、Pgk1プロモーター、ベータ−アクチンプロモーター、およびROSA26プロモーターからなる群から選択される。

一実施形態において、選択マーカーは、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neor)、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ(hygr)、ピューロマイシン−N−アセチルトランスフェラーゼ(puror)、ブラストサイジンSデアミナーゼ(bsrr)、キサンチン/グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(gpt)、および単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV−k)からなる群から選択される。

一実施形態において、自己切断型リコンビナーゼ発現コンストラクトは、選択マーカー遺伝子を含まず、選択マーカー遺伝子は、分化体細胞のゲノム内の別の遺伝子座(例えばトランス)に位置し、選択マーカー遺伝子には、選択マーカーが部位特異的リコンビナーゼの存在下で除去され得るように、互いに対して同じ方向に配向した第3および第4の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している。一実施形態において、分化体細胞は、ゲノム内に条件付きノックアウトまたはノックイン対立遺伝子を含み、条件付きノックアウトまたはノックイン対立遺伝子には、条件付きノックアウトまたはノックイン対立遺伝子が部位特異的リコンビナーゼの存在下でゲノムから除去され得るように、第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している。一実施形態において、条件付きノックアウトまたはノックイン対立遺伝子は、第1および第2の組み換え部位の間に選択マーカー遺伝子を含む。

一実施形態において、標的化コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の少なくとも1つのエクソンに相同性のヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列には、第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している。一実施形態において、エクソンは、内在性遺伝子の第1のエクソンである。

一実施形態において、標的化コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の少なくとも1つのイントロンに相同性のヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列には、第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している。

一実施形態において、標的化コンストラクトの標的化アームは、内在性遺伝子全体が相同性組み換えにより標的化コンストラクトと置き換えられ得るように、内在性遺伝子の開始コドンの上流側の5’−非翻訳領域(UTR)、および内在性遺伝子の停止コドンの下流側の3’−非翻訳領域(UTR)を含む。一実施形態において、標的化アームは、開始コドンの直前の上流側の5’−UTRを含む。一実施形態において、標的化アームは、内在性遺伝子の停止コドンの直後の下流側の3’−UTRを含む。

一実施形態において、標的化コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の改変された配列をさらに含み、改変された配列は、第1および第2の組み換え部位が隣接した領域外に位置する。一実施形態において、改変された配列は、内在性遺伝子の少なくとも1つのエクソンのノックイン対立遺伝子である。一実施形態において、改変された配列は、内在性遺伝子全体のノックイン対立遺伝子である(すなわち、「遺伝子交換ノックイン」)。ノックイン対立遺伝子は、対立遺伝子を含有する動物に対し、改善された耐病性またはより大きなサイズ(例えばより大きな筋肉サイズ)等の所望の特性を付与する対立遺伝子となり得る。

一実施形態において、標的化コンストラクトは、導入遺伝子配列をさらに含み、導入遺伝子配列は、第1および第2の組み換え部位が隣接した領域外に位置する。一実施形態において、導入遺伝子配列は、ヒトタンパク質(例えば、インスリン、アルファ−ラクトアルブミン、トランスフェリン、ヒト血清アルブミン、ヒト成長ホルモン、血液凝固因子等)をコードする。一実施形態において、導入遺伝子配列は、治療薬剤(例えば、治療抗体)をコードする。

一実施形態において、標的化コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の改変された配列をさらに含み、改変された配列は、内在性遺伝子のノックアウト対立遺伝子である。一実施形態において、ノックアウト対立遺伝子は、レポーター遺伝子を含み、レポーター遺伝子の転写が、内在性遺伝子を駆動する内在性プロモーターにより開始され得、内在性遺伝子の転写が無効化され得るように、レポーター遺伝子の5’は、内在性遺伝子の開始コドン(ATG)の直前の上流側のヌクレオチド配列(すなわち、5’非翻訳領域(5’−UTR))を含む。

一実施形態において、レポーター遺伝子は、第1の組み換え部位の上流側に位置する。一実施形態において、レポーター遺伝子は、緑色蛍光タンパク質(GFP)、高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、DsRed、ZsGreenおよびlacZからなる群から選択されるタンパク質をコードする。

一実施形態において、分化体細胞の遺伝子改変されたゲノムは、宿主除核卵母細胞の囲卵腔(すなわち、透明帯と細胞膜との間の空間)内に顕微注入される。

一実施形態において、発現コンストラクトは、プロモーターに作用可能に連結した選択マーカー遺伝子を含む。一実施形態において、プロモーターは、構成的プロモーターである。一実施形態において、構成的プロモーターは、Ubcプロモーター、hCMVプロモーター、mCMVプロモーター、EF−1プロモーター、Pgk1プロモーター、ベータ−アクチンプロモーター、およびROSA26プロモーターからなる群から選択される。

一実施形態において、選択マーカー遺伝子は、部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の上流側に位置する。一実施形態において、選択マーカー遺伝子は、部位特異的リコンビナーゼの下流側に位置する。

一実施形態において、選択マーカーは、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neor)、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ(hygr)、ピューロマイシン−N−アセチルトランスフェラーゼ(puror)、ブラストサイジンSデアミナーゼ(bsrr)、キサンチン/グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(gpt)、および単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV−k)からなる群から選択される、薬物耐性遺伝子である。

一実施形態において、部位特異的リコンビナーゼは、Cre、Flp、およびDreリコンビナーゼからなる群から選択される。

一実施形態において、部位特異的リコンビナーゼは、Creリコンビナーゼである。一実施形態において、Creリコンビナーゼは、イントロン配列を含む。一実施形態において、Creリコンビナーゼは、核局在化シグナル(NLS)を含む。一実施形態において、Creリコンビナーゼは、イントロン配列および核局在化シグナル(NLS)の両方を含む。

一実施形態において、第1および第2の組み換え部位は、loxP、lox511、lox2272、lox66、lox71、loxM2、lox5171、FRT、FRT11、FRT71、attp、att、FRT、およびDre部位からなる群から選択される。

一態様において、選択マーカー遺伝子およびリコンビナーゼ遺伝子を含まない非ヒト動物の、遺伝子改変およびクローン化された多能性幹細胞を作製するための方法であって、

(a)標的化コンストラクトを、非ヒト動物の分化体細胞内に導入し、遺伝子改変されたゲノムを形成することと、

(b)(a)の遺伝子改変されたゲノムを多能性幹細胞内に導入し、選択マーカー遺伝子およびリコンビナーゼ遺伝子を含まない遺伝子改変およびクローン化された多能性幹細胞を作製することとを含み、

標的化コンストラクトは、ES細胞特異的プロモーターに作用可能に連結した部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を含む自己切断型リコンビナーゼ発現カセットを含み、リコンビナーゼ発現コンストラクトには、部位特異的リコンビナーゼが部位特異的リコンビナーゼの存在下で切断され得るように、同じ方向に配向した第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接し、ES細胞特異的プロモーターは、分化体細胞ではなく、クローン化された多能性幹細胞において部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の転写を駆動する方法が提供される。

したがって、選択マーカーおよびリコンビナーゼ遺伝子は、分化体細胞の遺伝子改変されたゲノムを、ES細胞特異的転写因子が活性である多能性幹細胞または多能性となるように再プログラム化された任意の体細胞内に導入した後に、クローン化された多能性幹細胞のゲノムから除去され得る。

一実施形態において、ES細胞特異的プロモーターは、Oct−3/4プロモーター、Sox2プロモーター、Kif4プロモーター、c−Mycプロモーター、Nanogプロモーター、およびLin28プロモーターからなる群から選択される。

一実施形態において、多能性幹細胞は、非ヒト動物のES細胞である。

一実施形態において、多能性幹細胞は、誘導多能性幹細胞(iPS細胞)である。

一実施形態において、導入するステップ(b)は、体細胞核移植(SCNT)技術により行われる。

別段に定義されていない限り、本明細書において使用されている技術的および科学的用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解されているのと同じ意味を有する。また、本明細書において説明されているのと同様または等価のいかなる方法および材料も、説明される本発明の実践または試験に使用することができるが、好ましい方法および材料が以下に説明される。本明細書において言及される全ての出版物は、出版物がそれに関連して引用される方法および/または材料を開示および説明するように、参照により本明細書に組み込まれる。

本明細書および添付の請求項において使用される場合、文脈上異なる定義が明示されていない限り、単数形は複数形の言及も含むことに留意されるべきである。本明細書において使用される全ての技術的および科学的用語は、同じ意味を有する。

本明細書において議論される出版物は、本出願の出願日前のその開示に関してのみ提供される。本明細書において、説明される本発明が以前の発明によるそのような出版物に先行する権利がないことを認めていると解釈されるものはない。さらに、記載される公開日は、独立して確認されることが必要となり得る実際の公開日とは異なる可能性がある。

説明される本発明は、その精神または本質的属性から逸脱せずに、他の具体的形態で具現化されてもよく、したがって、本発明の範囲を示すものとして、上記明細書ではなく、添付の特許請求の範囲が参照されるべきである。

以下の実施例は、本発明の方法および組成物を作製および使用する方法を当業者に説明するために提供され、本発明者が自らの発明とみなすものの範囲を限定することを意図しない。使用される数字(例えば、量、温度等)に関して正確性を確保するための努力がなされているが、ある程度の実験誤差および偏差が考慮されるべきである。別段に指定されない限り、部は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏温度であり、圧力は大気圧または大気圧近くである。 実施例1:選択マーカーを含まないヘテロ接合遺伝子改変動物の作製

ブタ、好ましくはミニブタから単離された胎児線維芽細胞において、遺伝子改変を行う。ブタ胎児線維芽細胞から単離されたゲノムDNAを使用して、細菌人工染色体(BAC)ライブラリを作製し、対象となる遺伝子またはその一部を含有する標的化ベクター(「標的化された対立遺伝子」)を設計および構築する。

この実施例において、標的化ベクターは、内在性標的遺伝子のコード領域の全てまたは一部を、レポーター遺伝子で置き換えるように設計される。標的化ベクターは、自己切断型リコンビナーゼ発現カセットを含有するように設計され、(i)構成的プロモーター(例えば、ユビキチンプロモーター)に作用可能に連結したネオマイシン耐性遺伝子、および(ii)ES細胞特異的プロモーター(例えば、Nanogプロモーター)に作用可能に連結したCreリコンビナーゼ遺伝子(Crei)の両方に、loxP組み換え部位が5’および3’で隣接している。さらに、floxリコンビナーゼ発現カセットの5’上流側において、遺伝子標的化が成功した後、レポーター遺伝子(lacZ)の転写が、内在性遺伝子の発現を駆動する内在性プロモーターにより開始され得、内在性遺伝子の転写が無効化され得るように、標的化ベクターは、標的化されている内在性遺伝子の開始コドン(ATG)の直前の上流側のヌクレオチド配列(すなわち、5’非翻訳領域(5’−UTR))に作用可能に連結したlacZ遺伝子を含有する(例えば、図3を参照されたい)。標的化ベクターの3’末端は、標的遺伝子の3’非翻訳領域(3’−UTR)(または標的遺伝子の3’−UTRに隣接するブタゲノムDNA)を含む。構成的およびES細胞特異的プロモーターの他の組み合わせが、標的化ベクターにおいて使用されてもよい。

次いで、標的化ベクターは、エレクトロポレーションまたはヌクレオフェクションにより胎児線維芽細胞内に導入され、標的化された対立遺伝子の存在が、特異的プローブおよびプライマーを使用した分析PCR(例えば、リアルタイムPCR)により確認される。

胎児線維芽細胞の遺伝子改変の成功が確認されたら、標的化された対立遺伝子の1つの複製物を含有する線維芽細胞(すなわち、標的化対立遺伝子に対してヘテロ接合)が、体細胞核移植(SCNT)により除核宿主卵母細胞内に導入される(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Gong et al.,Generation of cloned calves from different types of somatic cells,Sci China C Life Sci,2004,47:470−476を参照されたい)。融合および活性化後、クローン化された接合体は、胚盤胞胚形成期に達するまでin vitroで培養され、胚盤胞期胚は、その後、標的化された対立遺伝子に対してヘテロ接合の遺伝子標的化動物への完全発達のために、代理母内に移植される。

クローン化胚の発達中、ネオマイシン耐性遺伝子およびCreリコンビナーゼ遺伝子は、ES細胞特異的転写因子を発現する多能性幹細胞から除去される。ネオマイシン耐性遺伝子およびCreリコンビナーゼ遺伝子の不在は、特異的プローブおよびプライマーを使用した分析PCR(例えば、リアルタイムPCR)により、またはウェスタンブロットもしくはELISA分析により確認され得る。

得られた遺伝子標的化ヘテロ接合ブタの性別は、エレクトロポレーションされたブタ胎児線維芽細胞が単離されたブタの性別に依存し、雌のブタから単離されたブタ胎児線維芽細胞は、雌の遺伝子標的化ブタを形成し、雄のブタから単離されたブタ胎児線維芽細胞は、雄の遺伝子標的化ブタを形成する。

この手順は、ウシ、他の種類の畜牛、ヤギ、ヒツジ、ウサギ、ラットまたはマウス等の家畜化された哺乳動物を含む他の動物にも適合および適用され得る。 実施例2:選択マーカーを含まないホモ接合遺伝子改変動物の作製

標的化された対立遺伝子に対してホモ接合の動物を作製するために、標的化された対立遺伝子に対してヘテロ接合の動物から胎児線維芽細胞を単離する。ヘテロ接合動物を作製するために使用される標的化ベクターは、エレクトロポレーションまたはヌクレオフェクションによりヘテロ接合胎児線維芽細胞内に導入される。標的化された対立遺伝子の接合性は、特異的プローブおよびプライマーを使用した分析PCR(例えば、リアルタイムPCR)により分析および確認される。

次いで、標的化された対立遺伝子に対してホモ接合のゲノムを含有する胎児線維芽細胞は、除核宿主卵母細胞内に移される。融合および活性化後、クローン化された接合体(標的対立遺伝子に対してホモ接合である)は、胚盤胞胚形成期に達するまでin vitroで培養される。次いで、胚盤胞期胚は、標的化された対立遺伝子に対してホモ接合の遺伝子標的化動物への完全発達のために、代理母内に移植される。

クローン化胚の発達中、ネオマイシン耐性遺伝子およびCreリコンビナーゼ遺伝子は、ES細胞特異的転写因子を発現する多能性幹細胞から除去される。ネオマイシン耐性遺伝子およびCreリコンビナーゼ遺伝子の不在は、特異的プローブおよびプライマーを使用した分析PCR(例えば、リアルタイムPCR)により、またはウェスタンブロットもしくはELISA分析により確認され得る。

当然ながら、この手順は、ウシ、他の種類の畜牛、ヤギ、ヒツジ、ウサギ、ラットまたはマウス等の家畜化された哺乳動物を含む他の動物にも適合および適用され得る。 実施例3:BAC標的化ベクターを使用した遺伝子改変クローン化動物の作製

実施例1および2における遺伝子標的化ステップは、比較的短い(例えば、4kb〜8kb)5’および3’相同性アーム(すなわち、それぞれ標的挿入部位の上流側および下流側の領域と相同性である自己切断型リコンビナーゼ発現カセットに隣接する配列)を有する標的化ベクターを使用して行うことができる。そのような場合において、標的化ベクターは、典型的には、20kbまたは25kb未満のサイズである。代替として、方法は、長さが数百kbまでとなり得、より少ない無作為統合イベントおよび異常標的化イベント(例えば、遺伝子再構成および/または削除により達成される標的化イベント)をもたらす傾向を有し得る細菌人工染色体(BAC)ベースの標的化ベクターを用いて行うことができる。

BACベース標的化ベクターの使用は、参照によりその内容が本明細書に組み込まれる、Valenzuela et al.(2003),Nature Biotechnology 21(6):652−59において説明されている。簡潔には、標的遺伝子をカバーするBACが特定されたら、自己切断型リコンビナーゼ発現カセットが、細菌相同性組み換えにより標的遺伝子内に挿入される。必須ではないが、遺伝子標的の一部は、自己切断型リコンビナーゼ発現カセットの挿入中にBACから削除されることが多い。

BACが標的化ベクターを形成するように改変されたら、標的化ベクターは、実施例1に記載のように体細胞(例えば、胎児線維芽細胞)内に導入される。その大きなサイズにより、BAC標的化ベクターは、最も一般的には、エレクトロポレーションまたはヌクレオフェクションにより導入される。選択および単離後、BAC形質転換体は、標的化イベントが成功したかどうかを決定するためにスクリーニングされる。そのようなスクリーニングは、例えば、Valenzuela et al.(上記参照)において説明されているように、BAC標的化ベクターの5’および3’相同性アームが、対応する標的遺伝子配列と非同系である限り、増幅ベースの「天然対立遺伝子損失」アッセイを使用して行うことができる。

適切に標的化された体細胞が作製された後、実施例1に記載のように、体細胞核移植を使用して、標的化された対立遺伝子に対しヘテロ接合であるクローン化胚を作製することができる。さらに、実施例2に記載のように、クローン化胚からの細胞(例えば、胎児線維芽細胞)を再標的化して、標的化された対立遺伝子に対しホモ接合であるクローン化胚を作製することができる。 実施例4:経済的に有利な形質を有する遺伝子改変クローン化家畜の作製

畜産においては、異なる動物品種の有益な形質を組み合わせた動物を生み出す育種を使用することが求められている。しかしながら、動物育種は、多くの点で、特に(1)形質が密接に関連している場合、および(2)品種の1つにおける所望の形質が複雑な多遺伝子形質である場合に、不適切であることが証明されている。さらに、動物育種は、同じ種の動物に存在する形質を組み合わせるためにのみ使用され得る。したがって、これらの欠点のいずれにも影響されない遺伝子操作が、従来の動物育種技術を補うようになった。しかしながら、遺伝子操作された動物における非天然遺伝子(例えば、選択マーカー遺伝子および/またはリコンビナーゼ遺伝子)の存在は、特に動物が食品および医薬品等の人間による消費のための製品を製造するために使用されている場合、依然として懸念の源である。したがって、本発明の方法により作製される遺伝子改変されたクローン化動物は、そのような懸念を軽減するのに役立つ。

人間による消費のために維持される家畜において望ましいとみなされる形質は、例えば、耐病性、全体的サイズ、または筋肉量を含む。対象となる多くの形質のために、動物育種家は、所望の特性の原因となる、またはそれに寄与する遺伝子を特定した。一例として、ミオスタチンは、動物における筋肉成長を抑制する遺伝子である。畜牛(ならびにイヌおよびマウス)において、ミオスタチン機能を排除する突然変異の存在が、筋肉量を増加させることが示されている。例えば、McPherron et al.(1997),Nature 387(6628):83−90、Kambadur et al.(1997),Genome Res.7(9):910−6、Grobet et al.(1997),Nat.Genet. 17(1):71−4、Mosher et al.(2007),PLoS Genet.3(5):e79を参照されたい。機能喪失ミオスタチン突然変異に対してホモ接合である畜牛からの肉は、現在専門品として販売されている。しかしながら、畜牛の増強された筋肉質の体格には、特別な取り扱いおよび食事が必要であり、それらの肉は幅広いマーケティングにはあまりにも高価となる。機能喪失ミオスタチン突然変異に対しヘテロ接合である動物もまた向上した筋肉量を有するが、ホモ接合突然変異よりも程度は低い。ヘテロ接合動物の1つの利点は、ホモ接合動物が必要とする特別な取り扱いおよび食事を必要としないことである。

したがって、本発明は、増加した筋肉量を有する家畜の作製に適用され得る。ブタ、ヤギ、ヒツジ、ウサギ、および様々な種類の畜牛等の動物におけるミオスタチン遺伝子は、完全または部分的な機能喪失ミオスタチン対立遺伝子および自己切断型リコンビナーゼカセットを有する標的化コンストラクトを作製するために特定および使用され得る。標的化コンストラクトは、例えば実施例1の方法に従って、突然変異ミオスタチン対立遺伝子(例えば、機能喪失対立遺伝子)に対しヘテロ接合であるクローン化動物を作製するために使用され得る。代替として、標的化コンストラクトは、例えば実施例2の方法に従って、突然変異ミオスタチン対立遺伝子(例えば、部分機能喪失対立遺伝子)に対しホモ接合であるクローン化動物を作製するために使用され得る。動物は、さもなくば遺伝子操作に関連する選択マーカーおよびリコンビナーゼ遺伝子を含まないため、増加した筋肉量を有する家畜は、現行の遺伝子操作技術により生成される食品がもたらす懸念を回避する、優れた肉の源を提供し得る。 実施例5:操作されたミルクを生成する遺伝子改変クローン化哺乳動物の作製

ミルク、およびミルクから生成される乳製品、特にウシおよびヤギのミルクは、西洋の食生活の主要な部分を構成する。優れた栄養価を有するミルクを生成するようにそのような動物を遺伝子操作するために、有意義な研究が行われている。例えば、Magnus and Lali(2008),Veterinary World l(10):319−20を参照されたい。本発明の方法は、選択マーカーおよびリコンビナーゼ遺伝子を含まない遺伝子操作された動物からのそのようなミルクの生成を促進するために、同様に適用することができる。

例えば、実施例1の方法を使用して、ウシ(またはヤギもしくはヒツジ)は、ヒトラクトフェリンまたはヒトアルファ−ラクトアルブミンをそのミルク中に発現するように操作され得る。ヒトアルファ−ラクトアルブミンを含有するミルクは、天然のウシのミルクよりも栄養学的にバランスが取れており、乳幼児および高齢者による消費により好適である。Magnus and Lali(上記参照)を参照されたい。ヒトラクトフェリンは、免疫系の刺激、および感染に対する第一線の防御としての機能において役割を果たすため、有益である。いずれかのタンパク質をコードするヒト遺伝子は、自己切断型リコンビナーゼ発現カセットを有する本発明の標的化コンストラクト内に導入され得る。ヒト遺伝子は、ミルク特異的プロモーター(例えば、対応するウシ遺伝子のプロモーター、または代替的に乳漿酸性タンパク質プロモーター)の制御下に置くことができ、ヒト遺伝子およびリコンビナーゼ発現カセットには、ウシのゲノム内の適切な領域(例えば、対応するウシ遺伝子、または適切な導入遺伝子発現を可能とする非必須領域)と相同性の5’および3’相同性アームが隣接し得る。次いで、実施例1または2の方法に従い、標的化コンストラクトを使用して、遺伝子改変された体細胞、およびヘテロ接合またはホモ接合の遺伝子改質されたクローン化ウシ(またはヤギもしくはヒツジ)を作製することができる。

他の理由の中でも、乳腺における高いタンパク質生成速度のために、ミルク中の医薬用タンパク質の生成は、別の鋭意進行中の研究領域である。抗体、インスリン、ヒト成長ホルモン、血液凝固因子、およびヒト血清アルブミン等の重要な医薬品は、全てウシのミルク中に生成および分泌されている。Houdebine(2009),Comp.Immun.Microbiol.Infect.Dis.32:107−121を参照されたい。これらのタンパク質はそれぞれ、本発明の方法に従い作製された遺伝子改変された動物(例えば、ウシ、ヤギ、ブタ)において有益に生成され得、それにより、医薬製品に対する選択マーカーおよびリコンビナーゼ遺伝子の影響に関する、規制上および消費者の懸念が回避される。上述のように、ヒト遺伝子は、ミルク特異的プロモーター(例えば、乳漿酸性タンパク質プロモーター)の制御下に置くことができ、ヒト遺伝子およびリコンビナーゼ発現カセットには、標的動物のゲノム内の適切な領域(例えば、適切な導入遺伝子発現を可能とする非必須領域)と相同性の5’および3’相同性アームが隣接し得る。次いで、実施例1または2の方法に従い、標的化コンストラクトを使用して、遺伝子改変された体細胞、およびヘテロ接合またはホモ接合の遺伝子改質されたクローン化動物を作製することができる。

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