Method for producing lymphocytes |
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申请号 | JP2007530976 | 申请日 | 2006-08-10 | 公开(公告)号 | JP4929174B2 | 公开(公告)日 | 2012-05-09 |
申请人 | タカラバイオ株式会社; | 发明人 | 裕章 佐川; 隆宏 円居; 彰子 加藤; 郁之進 加藤; 信子 村木; 竜嗣 榎; 衣子 長嶺; | ||||
摘要 | |||||||
权利要求 | (a) 配列表の配列番号13で表されるアミノ酸配列からなる組換えフィブロネクチン フラグメント 、(b)CD3リガンド、及び(c)CD28リガンドの存在下に拡大培養を行なう工程を包含することを特徴とする、リンパ球の製造方法。 CD3リガンドが抗CD3抗体である請求項1記載の製造方法。 CD28リガンドが抗CD28抗体である請求項1記載の製造方法。 リンパ球がリンフォカイン活性化細胞である請求項1記載の製造方法。 リンパ球に外来遺伝子を導入する工程をさらに包含する請求項1記載の製造方法。 外来遺伝子をレトロウィルス、アデノウィルス、アデノ随伴ウィルス、レンチウィルスまたはシミアンウィルスを用いて導入する請求項 5記載の製造方法。 (a) 配列表の配列番号13で表されるアミノ酸配列からなる組換えフィブロネクチン フラグメント 、(b)CD3リガンド、及び(c)CD28リガンドが固定化された固相。 固相が細胞培養プレート、シャーレ、フラスコ、バッグ、ビーズ、メンブレンまたはスライドガラスである請求項 7記載の固相。 |
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说明书全文 | 本発明は、医療分野において有用なリンパ球を取得する方法に関する。 生体は主として免疫応答により異物から守られており、免疫システムはさまざまな細胞とそれが作り出す可溶性の因子によって成り立っている。 なかでも中心的な役割を果たしているのが白血球、特にリンパ球である。 このリンパ球はBリンパ球(以下、B細胞と記載することがある)とTリンパ球(以下、T細胞と記載することがある)という2種類の主要なタイプに分けられ、いずれも抗原を特異的に認識し、これに作用して生体を防御する。 T細胞は、CD(Cluster of Differentiation)4マーカーを有し、主に抗体産生の補助や種々の免疫応答の誘導に関与するヘルパーT細胞(以下、T Hと記載することがある)と、CD8マーカーを有し、主に細胞傷害活性を示す細胞傷害性T細胞〔T C :細胞傷害性Tリンパ球(cytotoxic T lymphocyte)、別名:キラーT細胞、以下、CTLと記載することがある〕に亜分類される。 腫瘍細胞やウィルス感染細胞等を認識して破壊、除去するのに最も重要な役割を果たしているCTLは、B細胞のように抗原に対して特異的に反応する抗体を産生するのではなく、標的細胞膜表面上に存在する主要組織適合複合体〔MHC:ヒトにおいてはヒト白血球抗原(HLA)と称することもある〕クラスI分子に会合した標的細胞由来の抗原(抗原ペプチド)を直接認識して作用する。 この時、CTL膜表面のT細胞レセプター(以下、TCRと称す)が前述した抗原ペプチドおよびMHCクラスI分子を特異的に認識して、抗原ペプチドが自己由来のものなのか、あるいは、非自己由来のものなのかを判断する。 そして、非自己由来と判断された標的細胞はCTLによって特異的に破壊、除去される。 近年、薬剤治療法や放射線治療法のように患者に重い肉体的負担がある治療法が見直され、患者の肉体的負担が軽い免疫治療法への関心が高まっている。 特にヒト由来のリンパ球から目的とする抗原に対して特異的に反応するCTL等のリンパ球を生体外(ex vivo)で誘導した後、もしくは誘導を行わず、前記リンパ球を拡大培養し、患者へ移入する養子免疫療法の有効性が注目されている。 例えば、動物モデルにおいて養子免疫療法がウィルス感染および腫瘍に対して有効な治療法であることが示唆されている(例えば、非特許文献1および2)。 この治療法ではCTLの抗原特異的傷害活性を維持もしくは増強させた状態でその細胞数を維持あるいは増加させることが重要である。 上記のような養子免疫療法において、治療効果を得るためには一定量以上の細胞数の細胞傷害性リンパ球を投与する必要がある。 すなわち、ex vivoでこれらの細胞数を短時間に得ることが最大の問題であるといえる。 CTLの抗原特異的傷害活性を維持および増強するためには、CTLについて抗原に特異的な応答を誘導する際に、目的とする抗原を用いた刺激を繰り返す方法が一般的である。 しかし、通常、この方法では最終的に得られるCTL数が減少し、十分な細胞数が得られない。 次に、抗原特異的なCTLの調製に関しては、自己CMV感染線維芽細胞とIL−2(例えば、非特許文献6)、あるいは抗CD3モノクローナル抗体(抗CD3mAb)とIL−2を用いて、それぞれCMV特異的CTLクローンを単離ならびに大量培養する方法(例えば、非特許文献7)が報告されている。 さらに、特許文献1にはREM法(rapid expansion method)が開示されている。 このREM法は、抗原特異的CTLおよびT Hを含むT細胞の初期集団を短期間で増殖(Expand)させる方法である。 つまり、個々のT細胞クローンを増殖させて大量のT細胞を提供可能であり、抗CD3抗体、IL−2、並びに放射線照射により増殖性をなくしたPBMC(peripheral blood mononuclear cell、末梢血単核細胞)とエプスタイン−バールウィルス(Epstein−Barr virus、以下EBVと略す)感染細胞とを用いて抗原特異的CTL数を増加させることが特徴である。 また、特許文献2には改変REM法が開示されており、当該方法はPBMCとは区別されるT細胞刺激成分を発現する分裂していない哺乳動物細胞株をフィーダ細胞として使用し、PBMCの使用量を低減させる方法である。 CTL以外の疾病の治療に有効なリンパ球としては、例えば、リンフォカイン活性化細胞(例えば、非特許文献3)、高濃度のインターロイキン−2(IL−2)を用いて誘導した腫瘍浸潤リンパ球(TIL)(例えば、非特許文献4および5)が知られている。 リンフォカイン活性化細胞は、リンパ球を含む末梢血液(末梢血白血球)や臍帯血、組織液等にIL−2を加えて、数日間試験管内で培養することにより得られる細胞傷害活性を持つ機能的細胞集団である。 リンフォカイン活性化細胞の培養工程において、抗CD3抗体を加えることにより、さらにリンフォカイン活性化細胞の増殖は加速する。 さらに当該培養工程において、抗CD3抗体のみではなく抗CD28抗体を加えて共刺激することで、さらに細胞増殖率が向上することも知られている(例えば、非特許文献8)。 このようにして得られたリンフォカイン活性化細胞は非特異的にさまざまながん細胞やその他のターゲットに対して傷害活性を有する。 フィブロネクチンは動物の血液中、培養細胞表面、組織の細胞外マトリックスに存在する分子量25万の巨大な糖タンパク質であり、多彩な機能を持つことが知られている。 そのドメイン構造は7つに分けられており(以下、第1図参照)、またそのアミノ酸配列中には3種類の類似の配列が含まれており、これら各配列の繰返しで全体が構成されている。 3種類の類似の配列はI型、II型、III型と呼ばれ、このうち、III型はアミノ酸残基71〜96個のアミノ酸残基で構成されており、これらのアミノ酸残基の一致率は17〜40%である。 フィブロネクチン中には14のIII型の配列が存在するが、そのうち、8番目、9番目、10番目(以下、それぞれIII−8、III−9、III−10と称する)は細胞結合ドメインに、また12番目、13番目、14番目(以下、それぞれIII−12、III−13、III−14と称する)はヘパリン結合ドメインに含有されている。 また、III−10にはVLA(very late activation antigen)−5結合領域が含まれており、このコア配列はRGDSである。 また、ヘパリン結合ドメインのC末端側にはIIICSと呼ばれる領域が存在する。 IIICSには25アミノ酸からなるVLA−4に対して結合活性を有するCS−1と呼ばれる領域が存在する(例えば、非特許文献9〜11)。 リンフォカイン活性化細胞や細胞傷害性リンパ球の製造において、フィブロネクチンやそのフラグメントを使用することによる細胞増殖率の向上作用、細胞傷害活性の維持作用については、既に本発明者らにより検討されてきた(例えば、特許文献3、4および5)。 しかしながら、養子免疫療法への実用化を考えた場合、上記文献の方法では決して満足できるものではなく、さらに細胞増殖率が高いリンパ球の拡大培養方法が求められている。 本発明の目的は、医療への使用に適した、効率的なリンパ球の製造方法を提供することにある。 本発明の第1の発明は、(a)フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物、(b)CD3リガンド、及び(c)CD28リガンドの存在下に拡大培養を行なう工程を包含することを特徴とする、リンパ球の製造方法に関する。 本発明の第1の発明において、CD3リガンドとは抗CD3抗体が、CD28リガンドとは抗CD28抗体が例示される。 また、フィブロネクチンのフラグメントとしては、配列表の配列番号1〜8で表されるアミノ酸配列を少なくとも1つ含んでなるポリペプチド(m)であるか、または前記いずれかのアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは付加したアミノ酸配列を少なくとも1つ含んでなるポリペプチドであって、前記ポリペプチド(m)と同等な機能を有するポリペプチド(n)が例示される。 また、フィブロネクチンのフラグメントとしては、細胞接着活性および/またはヘパリン結合活性を有するものが例示される。 また、フィブロネクチンのフラグメントとしては、配列表の配列番号9〜21で表されるいずれかのアミノ酸配列を有するポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1つのポリペプチドが例示される。 また、本発明の第1の発明において、リンパ球としてはリンフォカイン活性化細胞が例示される。 また、本発明の第1の発明は、リンパ球に外来遺伝子を導入する工程をさらに包含する、リンパ球の製造方法も提供される。 外来遺伝子の導入方法としてはレトロウィルス、アデノウィルス、アデノ随伴ウィルス、レンチウィルスまたはシミアンウィルスを用いて導入する方法が例示される。 本発明の第2の発明は、本発明の第1の発明により得られるリンパ球に関する。 また、本発明の第3の発明は本発明の第2の発明を有効成分として含有する医薬に関する。 本発明の第4の発明は、酸性条件下で、抗CD3抗体、抗CD28抗体、フィブロネクチン及びそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つと固相を接触させることを特徴とする、抗CD3抗体、抗CD28抗体、フィブロネクチン及びそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つが固定化された固相の製造方法に関する。 本発明の第4の発明において、固相としては細胞培養用担体が例示される。 本発明の第5の発明は、(a)フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物、(b)CD3リガンド、及び(c)CD28リガンドが固定化された固相に関する。 本発明の第5の発明において、固相としては細胞培養プレート、シャーレ、フラスコ、バッグ、ビーズ、メンブレンまたはスライドガラスが例示される。 本発明により、効率的なリンパ球の製造方法が提供される。 当該製造方法は細胞増殖率が高く、極めて有用な方法である。 従って、本発明により得られるリンパ球は、例えば、養子免疫療法に好適に使用されることから、医療分野への多大な貢献が期待される。 本発明は、(a)フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物、(b)CD3リガンド、及び(c)CD28リガンドの存在下にリンパ球の拡大培養を行なう工程を包含することにより、極めて細胞増殖率が高くなることを見出し、完成するに至ったものである。 なお、本明細書においてリンパ球の製造とは、当該細胞の拡大培養の工程を包含する操作を指す。 また、本発明のリンパ球の製造を、リンパ球の培養とも称する。 以下、本発明を具体的に説明する。 (1)本発明に使用されるフィブロネクチン、およびそのフラグメント 本明細書中に記載のフィブロネクチンおよびそのフラグメントは、天然から得られたもの、または人為的に合成されたもののいずれでもよい。 フィブロネクチンおよびそのフラグメントは、例えば、ルオスラーティ E. ら〔Ruoslahti E. ,et al. 、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、第256巻、第14号、第7277〜7281頁(1981)〕の開示に基づき、天然起源の物質から実質的に純粋な形態で製造することができる。 ここで、本明細書に記載された実質的に純粋なフィブロネクチンまたはフィブロネクチンフラグメントとは、これらが天然においてフィブロネクチンと一緒に存在する他のタンパク質を本質的に含有していないことを意味する。 上記のフィブロネクチンおよびそのフラグメントは、それぞれ単独で、もしくは複数の種類のものを混合して本発明に使用することができる。 なお、フィブロネクチンは多くのスプライシングバリアントの存在が知られているが、本発明に使用されるフィブロネクチンとしては、本発明の所望の効果を発現するものであれば、いずれのバリアントも使用することができる。 例えば、血漿由来のフィブロネクチンの場合、細胞結合ドメインの上流に存在するED−Bと呼ばれる領域や細胞結合ドメインとヘパリン結合ドメインの間に存在するED−Aと呼ばれる領域が欠失していることが知られているが、このような血漿由来のフィブロネクチンも本発明に使用することができる。 本発明に使用できるフィブロネクチンフラグメント、ならびに該フラグメントの調製に関する有用な情報は、キミヅカ F. ら〔Kimiduka F. ,et al. 、ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(J.Biochem.)、第110巻、284〜291頁(1991)〕、コーンブリット A. R. ら〔Kornbrihtt A. R. ,et al. 、EMBO ジャーナル(EMBO J.)、第4巻、第7号、1755〜1759(1985)〕、およびセキグチ K. ら〔Sekiguchi K. ,et al. 、バイオケミストリー(Biochemistry)、第25巻、第17号、4936〜4941(1986)〕等より得ることができる。 また、フィブロネクチンをコードする核酸配列又はフィブロネクチンのアミノ酸配列については、Genbank Accession No. NM_002026、NP_002017に開示されている。 本発明において、フィブロネクチンフラグメントとしては、例えば、III−8(配列表の配列番号1で表されるアミノ酸配列)、III−9(配列表の配列番号2で表されるアミノ酸配列)、III−10(配列表の配列番号3で表されるアミノ酸配列)、III−11(配列表の配列番号4で表されるアミノ酸配列)、III−12(配列表の配列番号5で表されるアミノ酸配列)、III−13(配列表の配列番号6で表されるアミノ酸配列)、III−14(配列表の配列番号7で表されるアミノ酸配列)、およびCS−1(配列表の配列番号8で表されるアミノ酸配列)のいずれかの領域を構成するアミノ酸配列を少なくとも1つ含んでなるポリペプチド(m)(第1図参照)や、前記いずれかのアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは付加したアミノ酸配列を少なくとも1つ含んでなるポリペプチドであって、前記ポリペプチド(m)と同等な機能を有するポリペプチド(n)が例示される。 フラグメントの長さとしては、例えば、アミノ酸の数として20〜1000が好ましく、100〜800がより好ましい。 なお、本明細書において、複数個とは数個を含む概念であり、2〜12個が好ましく、2〜10個がより好ましく、2〜8個がさらに好ましく、以下においても同様である。 また、当該フラグメントとしては、細胞接着活性および/またはヘパリン結合活性を有するものが好適に使用できる。 細胞接着活性は、本発明で使用されるフラグメント(その細胞結合ドメイン)と細胞との結合を公知の方法を使用してアッセイすることにより調べることができる。 例えば、このような方法には、ウイリアムズ D. A. らの方法〔Williams D. A. ,et al. 、ネイチャー(Nature)、第352巻、第438〜441頁(1991)〕が含まれる。 当該方法は、培養プレートに固定化したフラグメントに対する細胞の結合を測定する方法である。 また、ヘパリン結合活性は、本発明に使用されるフラグメント(そのヘパリン結合ドメイン)とヘパリンとの結合を公知の方法を使用してアッセイすることにより調べることができる。 例えば、上記のウイリアムズ D. A. らの方法において、細胞に換えてヘパリン、例えば標識ヘパリンを使用することにより、同様の方法でフラグメントとヘパリンとの結合の評価を行うことができる。 さらにフィブロネクチンのフラグメントとしては、C−274(配列表の配列番号9で表されるアミノ酸配列)、H−271(配列表の配列番号10で表されるアミノ酸配列)、H−296(配列表の配列番号11で表されるアミノ酸配列)、CH−271(配列表の配列番号12で表されるアミノ酸配列)、CH−296(配列表の配列番号13で表されるアミノ酸配列)、C−CS1(配列表の配列番号14で表されるアミノ酸配列)、およびCH−296Na(配列表の配列番号21で表されるアミノ酸配列)からなる群より選択されるポリペプチドが例示される。 上記のCH−271、CH−296、CH−296Na、C−274、C−CS1の各フラグメントはVLA−5に結合する活性を有する細胞結合ドメインを有するポリペプチドである。 また、C−CS1、H−296、CH−296、CH−296NaはVLA−4に結合する活性を有するCS−1を有するポリペプチドである。 さらに、H−271、H−296、CH−271、CH−296およびCH−296Naはヘパリン結合ドメインを有するポリペプチドである。 なお、CH−296Naは血漿由来のフィブロネクチンにおける細胞結合ドメインからCS−1までを含むポリペプチドである。 本発明においては、上記の各ドメインが改変されたフラグメントも使用することができる。 フィブロネクチンのヘパリン結合ドメインは3つのIII型配列(III−12、III−13、III−14)によって構成されている。 前記III型配列のうちの一つもしくは二つを欠失したヘパリン結合ドメインを含むフラグメントも本発明に使用することが可能である。 例えば、フィブロネクチンの細胞結合部位(VLA−5結合領域、Pro1239〜Ser1515)と一つのIII型配列とが結合したフラグメントであるCHV−89(配列表の配列番号15で表されるアミノ酸配列)、CHV−90(配列表の配列番号16で表されるアミノ酸配列)、CHV−92(配列表の配列番号17で表されるアミノ酸配列)、あるいは二つのIII型配列とが結合したフラグメントであるCHV−179(配列表の配列番号18で表されるアミノ酸配列)、CHV−181(配列表の配列番号19で表されるアミノ酸配列)が例示される。 CHV−89、CHV−90、CHV−92はそれぞれIII−13、III−14、III−12を含むものであり、CHV−179はIII−13とIII−14を、CHV−181はIII−12とIII−13をそれぞれ含んでいる。 また、上記の各フラグメントにさらにアミノ酸を付加したフラグメントも本発明に使用することができる。 当該フラグメントは、例えば、上記各フラグメントに所望のアミノ酸を付加することにより製造可能である。 例えば、H−275−Cys(配列表の配列番号20で表されるアミノ酸配列)は、フィブロネクチンのヘパリン結合ドメインを有し、かつC末端にシステイン残基を有するフラグメントである。 なお、本発明に使用されるフラグメントとしては、本発明の所望の効果が得られる限り、上記に例示した天然のフィブロネクチンのアミノ酸配列の少なくとも一部を含むフラグメントと同等な機能を有する、当該フラグメントを構成するポリペプチドのアミノ酸配列に1もしくは複数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入もしくは付加を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドからなるものであってもよい。 アミノ酸の置換等は、本来のポリペプチドの機能が維持され得る範囲内で該ポリペプチドの物理化学的性状等を変化させ得る程度のものであるのが好ましい。 例えば、アミノ酸の置換等は、本来のポリペプチドの持つ性質(例えば、疎水性、親水性、電荷、pK等)を実質的に変化させない範囲の保存的なものが好ましい。 例えば、アミノ酸の置換は、1. グリシン、アラニン;2. バリン、イソロイシン、ロイシン;3. アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;4. セリン、スレオニン;5. リジン、アルギニン;6. フェニルアラニン、チロシンの各グループ内での置換であり、アミノ酸の欠失、付加、挿入は、ポリペプチドにおけるそれらの対象部位周辺の性質に類似した性質を有するアミノ酸の、対象部位周辺の性質を実質的に変化させない範囲での欠失、付加、挿入が好ましい。 なお、本発明に使用されるフラグメントを遺伝子工学的に取得した場合、例えば大腸菌などを宿主として製造する場合は、大腸菌由来のメチオニンペプチダーゼ等の影響により、N末端のメチオニンが欠失される場合があるが、このようなポリペプチドも本発明において使用することができる。 すなわち、配列表の配列番号20および21に記載のポリペプチドのN末端のメチオニンが欠失したポリペプチドも本発明においては好適に使用できる。 アミノ酸の置換等は種間や個体差に起因して天然に生ずるものであってもよく、また、人工的に誘発されたものであってもよい。 人工的な誘発は公知の方法により行えばよく、特に限定はないが、例えば、公知の手法により、天然のフィブロネクチン由来の前記領域や所定のフラグメントをコードする核酸において1もしくは複数個の塩基が置換、欠失、付加もしくは挿入された所定の核酸を作製し、それを使用して、天然のフィブロネクチン由来の前記領域や所定のフラグメントと同等な機能を有する、当該フラグメント等を構成するポリペプチドのアミノ酸配列に置換等を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを製造することができる。 また、本明細書において「同等な機能を有する」とは、比較対照であるポリペプチドが、フィブロネクチンフラグメントの有するリンパ球の拡大培養率の向上作用を有することをいう。 前記作用は後述の実施例1に記載の方法に準じて適宜確認することができる。 また、アミノ酸の置換等を有するポリペプチドからなるフラグメントとしては、細胞接着活性および/またはヘパリン結合活性を有するものが好適である。 細胞接着活性およびヘパリン結合活性は、それらの前記活性測定方法に準じて評価することができる。 アミノ酸の置換等を有するポリペプチドからなるフラグメントとして、例えば、2つの異なるドメイン間にリンカーとして1以上のアミノ酸が挿入されたフラグメントも本発明に使用することができる。 なお、フィブロネクチンについても、上記のフラグメントと同様、そのポリペプチドのアミノ酸配列に1もしくは複数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入もしくは付加を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドであって、リンパ球の拡大培養率の向上作用を有するポリペプチドを、本発明において使用することができる。 また、本発明に使用されるフィブロネクチンまたはそのフラグメントとしては、本発明の所望の効果が得られる限り、上記に例示した天然のフィブロネクチンやそのアミノ酸配列の少なくとも1部を含むフラグメントと同等な機能を有する、当該フィブロネクチンまたはそのフラグメントを構成するポリペプチドのアミノ酸配列と50%以上のホモロジーを有するポリペプチド、好ましくは70%以上のホモロジーを有するポリペプチド、より好ましくは90%以上のホモロジーを有するポリペプチド、さらに好ましくは95%以上のホモロジーを有するペプチドが使用できる。 なお、ホモロジーの算出には、例えばDNASIS Pro Ver. 2.6(タカラバイオ(株)製)を用いることができる。 本明細書中に記載のフィブロネクチンフラグメントは、例えば、米国特許第5,198,423号明細書の記載に基づいて遺伝子組換え体より組換えフィブロネクチンフラグンメントとして製造することもできる。 例えば、上記のH−271(配列番号10)、H−296(配列番号11)、CH−271(配列番号12)、CH−296(配列番号13)の各フラグメントならびにこれらを取得する方法は当該特許明細書に詳細に記載されている。 また、CH−296Na(配列番号21)とその製造方法については国際公開第2005/019450号パンフレットに記載されている。 また、上記のC−274(配列番号9)フラグメントは米国特許第5,102,988号明細書に記載された方法により得ることができる。 さらに、C−CS1(配列番号14)フラグメントは日本特許第3104178号明細書に記載された方法により得ることができる。 上記CHV−89(配列番号15)、CHV−90(配列番号16)、CHV−179(配列番号18)の各フラグメントは、日本特許第2729712号明細書に記載された方法により得ることができる。 また、CHV−181(配列番号19)フラグメントは国際公開第97/18318号パンフレットに記載された方法に準じて得ることができる。 CHV−92(配列番号17)フラグメントは、日本特許第2729712号明細書および国際公開第97/18318号パンフレットを参照し、それらの文献に記載されたプラスミドに基づいて定型的にプラスミドを構築し、該プラスミドを用いて遺伝子工学的に取得することができる。 これらのフラグメントまたはこれらフラグメントから定型的に誘導できるフラグメントは、〒305−8566日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6 独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに下記受託番号のもとで寄託された微生物を用いて製造する、あるいは各微生物の保持するプラスミドを公知の方法により改変することにより製造することもできる; フィブロネクチンは巨大な糖タンパク質であるため、天然起源のタンパク質を調製して使用することは産業上および医薬品製造上、必ずしも容易ではない。 また、フィブロネクチンは多機能タンパク質であることから、その使用の状況によっては、本発明の方法に効果を示す領域とは異なる領域に起因する不都合が起こることも考えられる。 これらのことから、本発明においては、入手、取り扱いの容易さ、安全面の観点から、好適にはフィブロネクチンフラグメント、さらに好適には前記のようにして得られる組換えフィブロネクチンフラグメントを使用することが好ましい。 また、本発明に使用されるフィブロネクチンフラグメントの分子量としては、特に限定はないが、好適には1〜200kD、より好適には5〜190kD、さらに好適には10〜180kDである。 当該分子量は、例えば、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により測定することができる。 なお、本発明のフィブロネクチンフラグメントを構成するポリペプチドのアミノ酸配列において、天然由来のフィブロネクチンフラグメントを構成するポリペプチドのアミノ酸配列以外のアミノ酸配列部分は、本発明の所望の効果の発現を阻害しない限り任意であり、特に限定されるものではない。 (2)リンパ球の製造方法 以下、本発明のリンパ球の製造方法について具体的に説明する。 本発明の方法は、(a)前述のフィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物、(b)CD3リガンド、及び(c)CD28リガンドの存在下にリンパ球の拡大培養を行なう工程を包含することを特徴とする、リンパ球の製造方法である。 以下、上記の(a)前述のフィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物、(b)CD3リガンド、及び(c)CD28リガンドを本発明の有効成分と称することがある。 本明細書においてリンパ球とはリンパ球を含有する細胞群を意味する。 本発明のリンパ球の製造方法においては、該方法に供する細胞の種類や、培養の条件等を適宜調整することにより、例えばex vivoでのリンパ球の拡大培養が行なわれる。 本発明の製造方法により得られるリンパ球としては、特に限定するものではないが、例えばリンフォカイン活性化細胞、細胞傷害性T細胞(CTL)、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、NK細胞、ナイーブ細胞、メモリー細胞等のこれらのうち少なくとも1種の細胞を含む細胞集団等が挙げられる。 なお、本明細書においてリンフォカイン活性化細胞とは、リンパ球を含む末梢血液(末梢血白血球)や臍帯血、組織液等にIL−2を加えて、数日間試験管内で培養することにより得られる細胞傷害活性を持つ機能的細胞集団を示す。 このような細胞集団のことを一般的にリンフォカイン活性化キラー細胞(LAK細胞)と称することがあるが、当該細胞集団には細胞傷害性を有さない細胞も含まれていることから、本願明細書においては当該細胞集団をリンフォカイン活性化細胞と称することとする。 本発明において、リンパ球の製造に使用される細胞としては、末梢血単核球(PBMC)、NK細胞、ナイーブ細胞、メモリー細胞、造血幹細胞、臍帯血単核球等が例示される。 また、血球系細胞であれば本発明に使用できる。 これらの細胞は生体から採取されたもの、あるいは生体外での培養を経て得られたものをそのままもしくは凍結保存したもののいずれも使用することができる。 なお、本発明のリンパ球の製造方法では、前記細胞を含有する材料、例えば、末梢血液、臍帯血等の血液や、血液から赤血球や血漿等の成分を除去したもの、骨髄液等を使用することができる。 さらに本発明の製造方法により、CTLを製造する場合は上記のような細胞に抗原刺激を付与して誘導されたCTLや、生体由来のCTLを使用することもできる。 本発明のリンパ球の製造方法は、本発明の有効成分の存在下に拡大培養する工程を包含するリンパ球の製造方法であり、当該培養はリンパ球の培養の全期間、もしくは任意の一部の期間において行われる。 すなわち、リンパ球の製造工程の一部に前記工程を含むものであれば本発明に包含される。 本発明において、CD3リガンドとしては、CD3に結合活性を有する物質であれば特に限定はないが、例えば抗CD3抗体が例示され、好適には抗CD3モノクローナル抗体が例示され、特に好適にはokt3が例示される。 CD3リガンドの培養液中の濃度としては、特に限定はなく、例えば抗CD3モノクローナル抗体を使用する場合は、例えば0.001〜100μg/mLが好適であり、0.01〜100μg/mLがより好適である。 また、本発明において、CD28リガンドとしては、CD28に結合活性を有する物質であれば特に限定はないが、例えば抗CD28抗体、B7−1、B7−2、CD80が例示され、特に好適には抗CD28モノクローナル抗体が例示される。 CD28リガンドの培養液中の濃度としては、特に限定はなく、例えば抗CD28モノクローナル抗体を使用する場合は、例えば0.001〜100μg/mLが好適であり、0.01〜100μg/mLがより好適である。 本発明において、フィブロネクチン、そのフラグメント、またはそれらの混合物の培養液中の濃度としては、特に限定はなく、例えば0.001〜500μg/mLが好適であり、0.01〜500μg/mLがより好適である。 本発明のリンパ球の製造方法において使用される培地は、特に限定はなく、リンパ球の拡大培養に必要な成分を混合して作製された公知の培地を使用することができ、たとえば市販の培地を適宜選択して使用することができる。 これらの培地はその本来の構成成分以外に適当なタンパク質、サイトカイン類、その他の成分を含んでいてもよい。 好適には、IL−2を含有する培地が本発明に使用される。 IL−2の培地中の濃度としては、特に限定はないが、例えば、好適には0.01〜1×10 5 U/mL、より好適には0.1〜1×10 4 U/mLである。 また、この他、レクチン等のリンパ球刺激因子を添加することもできる。 当該成分の培地中の濃度は、所望の効果が得られれば特に限定されるものではない。 さらに、リンパ球の拡大培養において、培地中に血清や血漿を添加することもできる。 これらの培地中への添加量は特に限定はないが、0容量%〜20容量%が例示される。 なお、本発明者らは、国際公開第2005/019450号パンフレットにも記載されているとおり、フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物の存在下でリンパ球の製造を行なうことにより、培地中における血清及び血漿の総含有濃度が0容量%以上5容量%未満という低濃度であっても、高い拡大培養率を維持したリンパ球の製造が行なえることを見出している。 すなわち、本発明においても同様に、培地中における血清及び血漿の総含有濃度は、安全面や患者への負担を軽減させるという観点から、0容量%以上5容量%未満が好適であるが、本発明はこれに限定されるものではない。 なお、血清又は血漿の由来としては、自己(培養するリンパ球と由来が同じであることを意味する)もしくは非自己(培養するリンパ球と由来が異なることを意味する)のいずれでも良いが、好適には安全性の観点から自己由来のものが使用できる。 なお、ここで血清及び/又は血漿の総含有濃度が0容量%とは、血清や血漿を培地に添加しないことを意味する。 本発明の方法において、リンパ球の製造、すなわちリンパ球の拡大培養は、通常、本発明の前記有効成分の存在下に、所定の成分を含む培地中で行なわれる。 本発明において使用される培養開始時の細胞数としては、特に限定はないが、例えば1cell/mL〜1×10 8 cells/mL、好適には1cell/mL〜5×10 7 cells/mL、さらに好適には1cell/mL〜2×10 7 cells/mLが例示される。 また、培養条件に特に限定はなく、通常の細胞培養に使用される条件を使用することができる。 例えば、37℃、5%CO 2等の条件で培養することができる。 また、適当な時間間隔で細胞培養液に新鮮な培地を加えて希釈するか、培地を交換するか、もしくは細胞培養用器材を交換することができる。 本発明のリンパ球の製造方法において使用される細胞培養用器材としては、特に限定はないが、例えば、細胞培養プレート、シャーレ、フラスコ、バッグ、大型培養槽、バイオリアクター等を使用することができる。 なお、バッグとしては、細胞培養用CO 2ガス透過性バッグを使用することができる。 また、工業的に大量のリンパ球を製造する場合には、大型培養槽を使用することができる。 また、培養は開放系、閉鎖系のいずれでも実施することができるが、好適には得られるリンパ球の安全性の観点から閉鎖系で培養を行うことが好ましい。 なお、本発明に使用される(a)フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物、(b)CD3リガンド、及び(c)CD28リガンドは培地中に溶解して共存させる他、適切な固相、例えば細胞培養プレート、シャーレ、フラスコ、バッグ等の細胞培養用器材(開放系のもの、および閉鎖系のもののいずれをも含む)、またはビーズ、メンブレン、スライドガラス等の細胞培養用担体に固定化して使用してもよい。 それらの固相の材質は細胞培養に使用可能なものであれば特に限定されるものではない。 該成分を、例えば、前記器材に固定化する場合、培地を該器材に入れた際に、該成分を培地中に溶解して用いる場合の所望の濃度と同様の割合となるように、器材に入れる培地量に対して各成分の一定量を固定化するのが好適であるが、当該成分の固定化量は所望の効果が得られれば特に限定されるものではない。 前記担体は、細胞培養時に細胞培養用器材中の培養液に浸漬して使用される。 前記成分を前記担体に固定化する場合、該担体を培地に入れた際に、該成分を培地中に溶解して用いる場合の所望の濃度と同様の割合となるように、器材に入れる培地量に対して各成分の一定量を固定化するのが好適であるが、当該成分の固定化量は所望の効果が得られれば特に限定されるものではない。 また、本発明の別の態様として、(a)フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物、(b)CD3リガンド、及び(c)CD28リガンドが固定化された固相が提供される。 当該固相とは、前述の固相、好適には細胞培養プレート、シャーレ、フラスコ、バッグ、ビーズ、メンブレン、スライドガラス等が例示される。 当該固相への上記(a)〜(c)の固定化量は、当該固相を本発明のリンパ球の製造方法に使用した際に所望の効果が得られれば特に限定されるものではなく、例えば、本発明の方法に使用される前記培地中の有効成分等の含有量に準じて、所望により、適宜、決定することができる。 また、上記(a)〜(c)の固定化方法については、好適には後述する酸性条件下での固定化を実施することが固定化効率の向上という観点からは好ましい。 CD3リガンドおよびCD28リガンドとして、抗CD3抗体および抗CD28抗体を使用する場合、これらの抗体やフィブロネクチン、そのフラグメントの固相への固定化方法としては、特に限定はないが、例えば、適当な緩衝液の中でこれらの抗体やフィブロネクチン、またはそのフラグメントを固相と接触させることにより固定化することができる。 特に好適には、後述の実施例2および3に記載のとおり、酸性条件下で固定化を行なうことにより、より効率的にこれらの抗体やフィブロネクチン、そのフラグメントの固定化を行なうことができる。 なお、これらの抗体やフィブロネクチン、そのフラグメントの固定化を酸性条件下で行なうことについては、本発明において初めて明らかになった知見である。 すなわち、本発明の別の態様として、酸性条件下で、抗CD3抗体、抗CD28抗体、フィブロネクチン及びそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つと固相を接触させることを特徴とする抗CD3抗体、抗CD28抗体、フィブロネクチン及びそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つが固定化された固相の製造方法も提供する。 ここで酸性条件としては、好適にはpH1〜6.5、より好適には4〜6.5が例示される。 また、固相としては、好適には前述の細胞培養用担体等が例示され、これらの担体は材質や表面処理の有無にかかわらず使用できる。 また、フィブロネクチンのフラグメントの固相への固定化については、国際公開第97/18318号パンフレット、ならびに国際公開第00/09168号パンフレットに記載の方法によっても固定化を実施することができる。 前記の種々の成分や、本発明の有効成分を固相に固定化しておけば、本発明の方法によりリンパ球を得た後、該リンパ球と固相とを分離するのみで、有効成分等と該リンパ球とを容易に分離することができ、該リンパ球への有効成分等の混入を防ぐことができる。 さらに、国際公開第02/14481号パンフレットに記載された、抗原特異的な細胞傷害活性を有する細胞傷害性T細胞の培養に有効な酸性多糖、酸性オリゴ糖、酸性単糖およびそれらの塩からなる群より選択される化合物や、国際公開第03/016511号パンフレットに記載された下記(A)〜(D)から選択される物質を前記成分と共に用いてもよい。 前記CD44に結合活性を有する物質としては、例えばCD44リガンドおよび/または抗CD44抗体が例示される。 CD44リガンドがCD44に結合することにより発せられるシグナルを制御し得る物質としては、例えば各種リン酸化酵素および脱リン酸化酵素の阻害剤又は活性化剤が挙げられる。 成長因子の成長因子レセプターへの結合を阻害し得る物質としては、例えば成長因子に結合活性を有し、成長因子と複合体を形成することにより成長因子が成長因子レセプターに結合するのを阻害する物質、もしくは成長因子レセプターに結合活性を有し、成長因子が成長因子レセプターに結合するのを阻害する物質が挙げられる。 さらに、成長因子が成長因子レセプターに結合することにより発せられるシグナルを制御し得る物質としては、例えば各種リン酸化酵素および脱リン酸化酵素の阻害剤又は活性化剤が挙げられる。 これらの成分の培地中の濃度は、所望の効果が得られれば特に限定されるものではない。 また、これらの成分は培地中に溶解して共存させる他、前記のような適切な固相に固定化して使用してもよい。 なお、上記の各種物質は単独で、もしくは2種以上混合して用いることができる。 本発明において、国際公開第02/14481号パンフレットや国際公開第03/016511号に記載された前記成分は、リンパ球の拡大培養を行なう際にその機能を発揮し得る状態で存在させることができ、その存在状態は特に限定されるものではない。 例えば、有効成分を使用する培地に溶解させるかもしくは適切な固相に固定化して使用される。 培養液中における前記成分の含有量は、所望の効果が得られれば特に限定するものではないが、例えば、好ましくは0.0001〜10000μg/mL、より好ましくは0.001〜10000μg/mL、さらに好ましくは0.005〜5000μg/mL、さらに好ましくは0.01〜1000μg/mLである。 また、本発明の方法により培養されたリンパ球をクローン化することにより、安定したリンパ球として維持することもできる。 また、本発明の方法により得られたリンパ球を用いて、さらに本発明の方法や公知の方法により、さらに拡大培養することでリンパ球を得ることもできる。 本発明の方法により得られるリンパ球集団には細胞傷害活性を有するリンパ球が含まれており、当該リンパ球は所望の標的細胞を認識する能力を有し、例えば標的となる細胞を、その細胞傷害活性により破壊する。 この細胞傷害性リンパ球の細胞傷害活性は公知の方法により評価できる。 例えば、放射性物質、蛍光物質等で標識した標的細胞に対する細胞傷害性リンパ球の細胞傷害活性を、細胞傷害性リンパ球により破壊された標的細胞に由来する放射活性や蛍光強度を測定することによって評価できる。 また、細胞傷害性リンパ球や標的細胞より特異的に遊離されるGM−CSF、IFN−γ等のサイトカイン量を測定することにより検出することもできる。 その他蛍光色素等によって標識された抗原ペプチド−MHC複合体の使用によって直接確認することもできる。 この場合、例えば細胞傷害性リンパ球を細胞傷害性リンパ球特異性抗体とカップリングさせた第1蛍光マーカーと接触させた後に第2蛍光マーカーとカップリングさせた抗原ペプチド−MHC複合体を接触させ、そして二重標識細胞の存在をフローサイトメトリーで分析することにより細胞傷害性リンパ球の細胞傷害活性を評価することができる。 さらに、本発明者らは国際公開第03/080817号パンフレットに記載のとおり、フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物の存在下でリンパ球の製造を行なうことにより、低細胞数から培養を開始することが可能であることを見出している。 すなわち、本発明の製造方法においても、少量の細胞量より開始された場合でも細胞培養用器材の大きさに関わらず、高い拡大培養率で培養を行うことができ、本発明の方法によれば、1つの細胞培養用器材を用いた培養操作により、換言すれば、1つの培養系により、充分なリンパ球の拡大培養を行なうことができる。 よって、本発明の方法により、細胞培養液を希釈する工程を要しないリンパ球の製造方法を実現することができる。 例えば、本発明のリンパ球の拡大培養を細胞培養用器材中で低細胞数から開始する場合、培養開始時において、下記(X)および(Y)から選択される条件を満たす低濃度もしくは低密度の細胞量を使用して行うことができる。 また、本発明の方法においては、細胞培養液の希釈操作の工程を要しない、リンパ球の拡大培養を1つの培養系で行なう方法が例示される。 また、本発明の方法は、少量のリンパ球からの拡大培養にも適していることから、CTLのクローン化にも有用である。 すなわち、選択された少ない細胞数のCTLを増殖する際にも、本発明の方法を好適に使用することができる。 さらに本発明者らは、国際公開第2005/019450号パンフレットに記載のとおり、フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物の存在下でリンパ球の製造を行なうことにより、高細胞数での培養を行うことも可能であることを見出している。 すなわち、リンパ球の製造を細胞培養用器材中で行なう方法であって、培養途中に、少なくとも1回の、細胞培養液を新鮮な培地で希釈する工程、培地を交換する工程、もしくは細胞培養用器材を交換する工程を包含する場合、これらの工程直後の細胞培養液中の細胞濃度を高濃度(例えば、細胞培養液中の細胞の濃度が2×10 5 cells/mL〜1×10 8 cells/mL、好適には2×10 5 cells/mL〜5×10 7 cells/mL、さらに好適には2×10 5 cells/mL〜2×10 7 cells/mL)もしくは細胞培養液中の細胞数と細胞培養用器材における培養面積との比率を高密度(例えば、細胞培養液中の細胞数と細胞培養用器材における培養面積との比率が1×10 5 cells/cm 2 〜1×10 8 cells/cm 2 、好適には1×10 5 cells/cm 2 〜5×10 7 cells/cm 2 、さらに好適には1×10 5 cells/cm 2 〜2×10 7 cells/cm 2 )に設定した場合においても、良好な拡大培養率を実現することができる。 本発明の高細胞数での培養とは、このような培養途中における細胞濃度や細胞密度の設定時において細胞培養液中の細胞の濃度が、2×10 5 cells/mL〜1×10 8 cells/mL、もしくは細胞培養液中の細胞数と細胞培養用器材における培養面積との比率が1×10 5 cells/cm 2 〜1×10 8 cells/cm 2という高濃度又は高密度な条件に設定されるリンパ球の製造をいう。 なお、ここでいう細胞培養液を新鮮な培地で希釈する工程直後、培地を交換する工程直後、もしくは細胞培養用器材を交換する工程直後とは、培養開始時を包含するものではない。 また、本発明の方法において、特にCTLの拡大培養においては、適切なフィーダ細胞と共培養することもできる。 リンパ球をフィーダ細胞と共培養する場合には、リンパ球、フィーダ細胞の両者の維持、生育に適した培地であることが望ましい。 当該培地としては、市販の培地が使用できる。 本発明の方法に使用されるフィーダ細胞は、抗CD3抗体、抗CD28抗体と共同してリンパ球を刺激し、T細胞レセプターを活性化するものであれば特に限定はない。 本発明には、例えば、PBMCやエプスタイン−バールウィルスによって形質転換されたB細胞(EBV−B細胞)が使用される。 通常、フィーダ細胞は放射線照射のような手段で増殖能を奪ったうえで使用される。 なお、フィーダ細胞の培地中における含有量は公知の方法に従って決定すればよく、例えば、1×10 5 cells/mL〜1×10 7 cells/mLが好適である。 特に好ましい態様においては、フィーダ細胞として、非ウィルス感染細胞、例えば、EBV−B細胞以外のものが使用される。 これにより、拡大培養されたリンパ球中にEBV−B細胞が混在する可能性を排除することができ、養子免疫療法のような細胞傷害性リンパ球を利用した医療の安全性を高めることが可能となる。 本発明の製造方法によりリンフォカイン活性化細胞を製造する場合、(a)フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物、(b)CD3リガンド、及び(c)CD28リガンドの存在下、IL−2とともに末梢血単核球(PBMC)、NK細胞、臍帯血単核球、造血幹細胞もしくはこれらの細胞を含有する血液成分等をインキュベートすることにより実施される。 また、リンフォカイン活性化細胞を培養するための一般的な条件は、上記の培地を使用する点を除いては、公知の条件〔例えば、細胞工学、Vol. 14、No. 2、p223〜227、(1995年);細胞培養、17、(6)、p192〜195、(1991年);THE LANCET、Vol. 356、p802〜807、(2000);Current Protocols in Immunology,supplement 17,UNIT7.7を参照〕に従えばよい。 培養条件には特に限定はなく、通常の細胞培養に使用される条件を使用することができ、例えば、37℃、5%CO 2等の条件下で培養することができる。 この培養は通常、2〜15日程度実施される。 また、適当な時間間隔で細胞培養液を希釈する工程、培地を交換する工程もしくは細胞培養用器材を交換する工程を行っても良い。 上記のリンフォカイン活性化細胞の拡大培養と同様に、(a)フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物、(b)CD3リガンド、及び(c)CD28リガンドの存在下に培養することにより、CTL、TILの拡大培養においても高い拡大培養率を実現することができる。 本発明においては、これらの細胞の拡大培養において、(a)フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物、(b)CD3リガンド、及び(c)CD28リガンドの存在下に培養する他には特に限定はなく、前記細胞の培養に適した培地を使用して実施することができる。 (a)フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物、(b)CD3リガンド、及び(c)CD28リガンドの使用量、添加方法等については前記方法に準じて適切なものを選択すればよい。 なお、本発明の製造方法により得られるリンパ球は実施例3に記載のとおり、IL−2の産生量が非常に多いという特徴を有する。 リンパ球からのIL−2産生は、Zhou X. Y. et al. ,The jounal of immunology,Vol. 168,3847−3854,(2002)にも記載のとおり、リンパ球活性化の指標となることが知られており、例えばリンパ球の拡大培養において抗CD3抗体および抗CD28抗体の共刺激を行った場合、抗CD3抗体のみの刺激と比較して、IL−2の産生量が高いことが知られている。 すなわち、本発明の製造方法により得られるリンパ球はIL−2産生量が極めて高いことから、活性化されたリンパ球であり、養子免疫療法への使用に適したリンパ球であるといえる。 本発明の方法により製造されるリンパ球を投与される疾患としては、特に限定はないが、例えば、癌、悪性腫瘍、肝炎や、インフルエンザ、HIV等のウィルス、細菌、真菌が原因となる感染性疾患、例えば結核、MRSA、VRE、深在性真菌症が例示される。 また、後述のようにさらに外来遺伝子を導入した場合は、各種遺伝子疾患に対しても効果が期待される。 また、本発明の方法により製造されるリンパ球は骨髄移植や放射線照射後の感染症予防を目的としたドナーリンパ球輸注等にも利用できる。 本発明の別の態様として、(a)フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物、(b)CD3リガンド、及び(c)CD28リガンドを有効成分として含有するリンパ球培養用培地が提供される。 当該培地は、さらにその他の任意の成分、たとえば、公知の細胞培養に用いられる培地成分、タンパク質、サイトカイン類(好適にはIL−2)、所望のその他の成分とからなる。 当該培地中の本発明の有効成分等の含有量は、本発明の所望の効果が得られれば特に限定されるものではなく、例えば、本発明の方法に使用される前記培地中の有効成分等の含有量に準じて、所望により、適宜、決定することができる。 本発明の培地の一態様としては、(a)フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物、(b)CD3リガンド、及び(c)CD28リガンドが固定化された細胞培養用担体を含有する培地、ならびに(a)フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物、(b)CD3リガンド、及び(c)CD28リガンドが固定化された細胞培養用器材に封入して提供される培地が包含される。 さらに本発明は、上記の本発明のリンパ球の製造方法で得られたリンパ球を提供する。 また、本発明は、当該リンパ球を有効成分として含有する医薬(治療剤)を提供する。 特に、当該リンパ球を含有する前記治療剤は養子免疫療法への使用に適している。 養子免疫療法においては、患者の治療に適したリンパ球が、例えば静脈への投与によって患者に投与される。 当該治療剤は前述の疾患やドナーリンパ球輸注での使用において非常に有用である。 当該治療剤は製薬分野で公知の方法に従い、例えば、本発明の方法により調製された当該リンパ球を有効成分として、たとえば、公知の非経口投与に適した有機または無機の担体、賦形剤、安定剤等と混合することにより調製できる。 なお、治療剤における本発明のリンパ球の含有量、治療剤の投与量、当該治療剤に関する諸条件は公知の養子免疫療法に従って適宜、決定できる。 本発明のリンパ球の製造方法において、当該リンパ球に外来遺伝子を導入する工程をさらに包含することができる。 すなわち、本発明は、その一態様として、リンパ球に外来遺伝子を導入する工程をさらに含むリンパ球の製造方法を提供する。 なお、「外来」とは、遺伝子導入対象のリンパ球に対して外来であることをいう。 本発明のリンパ球の拡大培養方法を行うことにより、培養されるリンパ球の増殖能が増強される。 よって、本発明のリンパ球の製造方法を、遺伝子の導入工程と組み合わせることにより、遺伝子の導入効率の上昇が期待される。 外来遺伝子の導入手段には特に限定はなく、公知の遺伝子導入方法により適切なものを選択して使用することができる。 遺伝子導入の工程は、リンパ球の製造の際、任意の時点で実施することができる。 例えば、前記リンパ球の拡大培養と同時に、あるいは該工程の後に実施するのが、作業効率の観点から好適である。 前記の遺伝子導入方法としては、ウィルスベクターを使用する方法、該ベクターを使用しない方法のいずれもが本発明に使用できる。 それらの方法の詳細についてはすでに多くの文献が公表されている。 前記ウィルスベクターには特に限定はなく、通常、遺伝子導入方法に使用される公知のウィルスベクター、例えば、レトロウィルスベクター、レンチウィルスベクター、アデノウィルスベクター、アデノ随伴ウィルスベクター、シミアンウィルスベクター、ワクシニアウィルスベクターまたはセンダイウィルスベクター等が使用される。 特に好適には、ウィルスベクターとしては、レトロウィルスベクター、アデノウィルスベクター、アデノ随伴ウィルスベクター、レンチウィルスベクターまたはシミアンウィルスベクターが使用される。 上記ウィルスベクターとしては、感染した細胞中で自己複製できないように複製能を欠損させたものが好適である。 レトロウィルスベクターならびにレンチウィルスベクターは、当該ベクターが導入される細胞の染色体DNA中に該ベクターに挿入されている外来遺伝子を安定に組み込むことができ、遺伝子治療等の目的に使用されている。 当該ベクターは分裂、増殖中の細胞に対する感染効率が高いことから、本発明における拡大培養の工程において遺伝子導入を行なうのに好適である。 ウィルスベクターを使用しない遺伝子導入方法としては、本発明を限定するものではないが、例えば、リポソーム、リガンド−ポリリジンなどの担体を使用する方法やリン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法、パーティクルガン法などを使用することができる。 この場合にはプラスミドDNAや直鎖状DNAに組み込まれた外来遺伝子が導入される。 本発明においてリンパ球に導入される外来遺伝子には特に限定はなく、前記細胞に導入することが望まれる任意の遺伝子を選ぶことができる。 このような遺伝子としては、例えば、タンパク質(例えば、酵素、サイトカイン類、レセプター類等)をコードするものの他、アンチセンス核酸やsiRNA(small interfering RNA)、リボザイムをコードするものが使用できる。 また、遺伝子導入された細胞の選択を可能にする適当なマーカー遺伝子を同時に導入してもよい。 前記の外来遺伝子は、例えば、適当なプロモーターの制御下に発現されるようにベクターやプラスミド等に挿入して使用することができる。 また、効率のよい遺伝子の転写を達成するために、プロモーターや転写開始部位と協同する他の調節要素、例えば、エンハンサー配列やターミネーター配列がベクター内に存在していてもよい。 また、外来遺伝子を相同組換えにより導入対象のリンパ球の染色体へ挿入することを目的として、例えば、該染色体における該遺伝子の所望の標的挿入部位の両側にある塩基配列に各々相同性を有する塩基配列からなるフランキング配列の間に外来遺伝子を配置させてもよい。 導入される外来遺伝子は天然のものでも、または人工的に作製されたものでもよく、あるいは起源を異にするDNA分子がライゲーション等の公知の手段によって結合されたものであってもよい。 さらに、その目的に応じて天然の配列に変異が導入された配列を有するものであってもよい。 本発明の方法によれば、例えば、癌等の患者の治療に使用される薬剤に対する耐性に関連する酵素をコードする遺伝子をリンパ球に導入して該リンパ球に薬剤耐性を付与することができる。 そのようなリンパ球を用いれば、養子免疫療法と薬剤療法とを組み合わせることができ、従って、より高い治療効果を得ることが可能となる。 薬剤耐性遺伝子としては、例えば、多剤耐性遺伝子(multidrug resistance gene)が例示される。 一方、前記の態様とは逆に、特定の薬剤に対する感受性を付与するような遺伝子をリンパ球に導入して、該薬剤に対する感受性を付与することもできる。 かかる場合、生体に移植した後のリンパ球を当該薬剤の投与によって除去することが可能となる。 薬剤に対する感受性を付与する遺伝子としては、例えば、チミジンキナーゼ遺伝子が例示される。 以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら限定されるものではない。 実施例1 CH−296および抗ヒトCD3抗体、抗ヒトCD28抗体共刺激によるリンパ球拡大培養における拡大培養率の測定(1)PBMCの分離と保存 インフォームド・コンセントの得られたヒト健常人ドナーより成分採血を実施後、採血液をリン酸緩衝生理食塩水で2倍希釈し、Ficol−paque(AmershamBiosciences社製)上に重層して500×gで20分間遠心分離した。 中間層の末梢血単核球細胞(PBMC)をピペットで回収、洗浄した。 採取したPBMCは90%FBS(Cambrex社製)/10%DMSO(SIGMA社製)からなる保存液に懸濁し、液体窒素中にて保存した。 リンパ球拡大培養時にはこれら保存PBMCを37℃水浴中にて急速溶解し、10μg/mL DNase(Calbiochem社製)を含むRPMI1640培地(SIGMA社製)で洗浄後、トリパンブルー染色法にて生細胞数を算出して各実験に供した。 (2)抗ヒトCD3抗体、抗ヒトCD28抗体およびCH−296のプレートへの固定化 12穴細胞培養プレート(ベクトン・ディッキンソン社製)に終濃度5μg/mLの抗ヒトCD3抗体(ヤンセン協和社製)を含む酢酸緩衝水溶液を1.9mLずつ添加した。 酢酸緩衝水溶液は、0.2M酢酸(ナカライテスク社製、00212−43より調製)と0.2M酢酸ナトリウム水溶液(ナカライテスク社製、311−19より調製)を1:4の比率(容量比)で混合し、pHが5.3になるように調製した。 この時、抗ヒトCD28抗体による刺激が行われる群には抗ヒトCD28抗体(DakoCytomation社製、RB342)を終濃度5μg/mLとなるように、CH−296による刺激が行われる群にはCH−296を終濃度25μg/mLとなるように添加した。 これらのプレートは室温で5時間インキュベートした後、抗体、CH−296を含む酢酸緩衝水溶液を吸引除去し、各ウェルをリン酸緩衝生理食塩水で2回、RPMI培地で1回洗浄し、各実験に供した。 (3)リンパ球の拡大培養 3%humanAB血清(Cambrex社製)を含むAIM−V(Invitrogen社製、以下3%AIM−Vと略す)に0.5×10 6 cells/mLとなるように実施例1−(1)で調製したPBMCを懸濁し細胞液を調整後、実施例1−(2)で調製した抗体及びCH−296固定化プレートに3%AIM−Vを2mL/ウェルで添加し、そこへ調整した細胞液を1mL/ウェルずつ加えた。 その後、抗ヒトCD3抗体単一刺激群および抗ヒトCD3抗体とCH−296共刺激群には終濃度1000U/mLとなるようにIL−2(塩野義製薬社製)を添加し(すなわち抗ヒトCD28抗体を用いて刺激を行った群にはIL−2を添加しない)、これらのプレートを5%CO 2中37℃で培養した(培養0日目)。 各群について、培養開始後4日目、7日目、11日目には、以下の方法で継代培養操作を行った。 細胞培養液を一部回収し、トリパンブルー染色法にて生細胞数を計測後、1%humanAB血清を含むAIM−Vを用いて培養液を適切な濃度に希釈し、何も固定化していない新しい12.5cm 2フラスコ(ベクトン・ディッキンソン社製、353107)に移し、終濃度500U/mLとなるようにIL−2を添加して、継代培養した(培養開始後4日目以降は全ての群にIL−2を添加している)。 なお、継代培養操作後の細胞濃度がそれぞれ、培養開始4日目では0.05×10 6 cells/mL、7日目では0.15×10 6 cells/mL、11日目では0.2×10 6 cells/mLになるように希釈を行った。 培養開始後15日目には、トリパンブルー染色法にて生細胞数を計測し、培養開始時の細胞数と比較して拡大培養率を算出した。 その結果を表1に示す。 表1はそれぞれ抗ヒトCD3抗体のみ、抗ヒトCD3抗体とCH−296、抗ヒトCD3抗体と抗ヒトCD28抗体、抗ヒトCD3抗体と抗ヒトCD28抗体とCH−296で刺激した細胞群の増殖率を示したものである。 一般に、抗ヒトCD3抗体と抗ヒトCD28抗体で同時に刺激することにより、リンパ球の増殖が促進されることが知られているが、表1に示すように、抗ヒトCD3抗体とCH−296との共刺激の方がより高い拡大培養率を示し、さらにCH−296刺激を抗ヒトCD3抗体、抗ヒトCD28抗体共刺激に加えることで、拡大培養率がより上昇することが明らかになった。 実施例2 種々のpHでの抗ヒトCD3抗体、抗ヒトCD28抗体、CH−296のプレートへの固定化効率 緩衝液として、ダルベッコPBS粉末(日水製薬社製)よりpH7.4のリン酸緩衝生理食塩水を、0.2Mリン酸二水素ナトリウム水溶液(ナカライテスク社製、317−20より調製)と0.2Mリン酸水素二ナトリウム水溶液(ナカライテスク社製、318−01より調製)を8.15:1.85の比率(容量比)で混合してpH6.2のリン酸ナトリウム緩衝水溶液を、及び0.2M酢酸と0.2M酢酸ナトリウム水溶液を1:4の比率(容量比)で混合してpH5.3の酢酸緩衝水溶液をそれぞれ調製した。 これらの緩衝液を用いて終濃度5μg/mLになるように調整した抗ヒトCD28抗体の各溶液を、96穴細胞培養プレート(ベクトン・ディッキンソン社製、353072)の各ウェルに100μLずつ添加後、室温で5時間インキュベートして各pHでの固定化を行った。 また同様に、終濃度5μg/mLに調整した抗ヒトCD3抗体の各溶液、もしくは終濃度25μg/mLに調整したCH−296の各溶液を160μLずつ添加後、同じく室温5時間での固定化を行った。 これらの固定化が終了後、抗体もしくはCH−296を含む緩衝液を除去し、リン酸緩衝生理食塩水で4倍希釈したブロックエース(大日本製薬社製、UK−B25)を300μLずつ添加して1時間室温に置きブロッキングを行った。 その後、溶液を除去し、リン酸緩衝生理食塩水で10倍希釈したブロックエース中に検出用抗体を溶解し、固定化の液量と等量だけ添加した。 検出用抗体として、抗ヒトCD3抗体および抗ヒトCD28抗体検出にはHRP−rabbit Anti−Mouse IgG(ZYMED社製、61−6520)を、CH−296の検出にはHRP標識したAnti−Human Fibronectin(Clone FNH3−8、タカラバイオ社製、M115)を使用した。 1時間の反応後、再度溶液を除去し、ABTS溶液(SIGMA社製、A1888−2Gより調製)を固定化の液量と等量だけ添加、10分間の反応の後、添加したABTSの半量の150mMのシュウ酸溶液(ナカライテスク社製、25806−74より調製)を添加して反応を停止させた。 なお各溶液を除去した際には、リン酸緩衝生理食塩水で3回の洗浄操作を行った。 反応停止後、吸光プレートリーダー(MicroReader4、Hyperion社製)で405nmの吸光度を測定した。 その結果を表2に示す。 表2は抗ヒトCD3抗体、抗ヒトCD28抗体、CH−296について、pH7.4、6.2、5.3の3条件における固定化効率を、吸光度の値で比較したものである。 表2に示すように、抗ヒトCD3抗体、抗ヒトCD28抗体、CH−296のいずれについても、pHを低下させるほど固定化効率が上昇しており、pH5.3条件で固定化を行った際に最も固定化効率が高くなることが明らかになった。 実施例3 種々のpHで固定化したプレートを用いてリンパ球の拡大培養を行った際のIL−2産生量の比較 実施例1と同様の方法でリンパ球を拡大培養した。 ただし抗ヒトCD3抗体、抗ヒトCD28抗体およびCH−296の12穴細胞培養プレートへの固定化について、緩衝液としてpH5.3酢酸緩衝水溶液ではなく、pH7.4のリン酸緩衝生理食塩水とpH6.2のリン酸ナトリウム緩衝水溶液を用いた。 両緩衝液は実施例2と同様に調製した。 また培養開始時に播種する細胞数を1ウェルあたり1×10 6 cellsとした。 培養開始後4日目まで、約24時間ごとに培養上清を回収し、ELISA解析に供し、上清中のIL−2濃度を測定した。 ELISA解析はELISA Development Kit human IL−2(Genzyme/Techne社製、4904)を使用して行った。 その結果を表3に示す。 表3は抗ヒトCD3抗体、抗ヒトCD28抗体およびCH−296で細胞を刺激した際のIL−2産生量について、pH7.4のリン酸緩衝生理食塩水とpH6.2のリン酸ナトリウム緩衝水溶液を用いて固定化した場合を比較したものである。 表3に示すように、pH7.4よりもpH6.2で固定化を行った方が、IL−2産生量は上昇していた。 また同様に、pH6.2のリン酸ナトリウム緩衝水溶液とpH5.3の酢酸緩衝水溶液を用いて固定化した場合のIL−2産生量についても比較を行った。 実施例1と同様の方法でリンパ球を拡大培養した。 ただし抗ヒトCD3抗体、抗ヒトCD28抗体およびCH−296の12穴細胞培養プレートへの固定化について、緩衝液としてpH5.3の酢酸緩衝水溶液に加えて、pH6.2のリン酸ナトリウム緩衝水溶液を用いた群も設定した。 培養開始後4日目まで約24時間ごとに培養上清を回収し、ELISA解析に供し、上清中のIL−2濃度を上記と同様にして測定した。 その結果を表4に示す。 表4は抗ヒトCD3抗体、抗ヒトCD28抗体およびCH−296で細胞を刺激した際のIL−2産生量について、pH6.2のリン酸ナトリウム緩衝水溶液とpH5.3の酢酸緩衝水溶液を用いて固定化した場合を比較したものである。 表4に示すように、pH6.2よりもpH5.3で固定化を行った方が、IL−2産生量は上昇する。 また、抗ヒトCD3抗体、抗ヒトCD28抗体およびCH−296で刺激して得られた細胞は、抗ヒトCD3抗体と抗ヒトCD28抗体で刺激して得られた細胞と比較して、IL-2産生能が高いことが示された。 一般に、抗ヒトCD3抗体および抗ヒトCD28抗体共刺激によってIL−2産生が誘導されることが知られているが、表3および表4に示すように、更にCH−296刺激を加えるとIL−2産生量が増加することが明らかとなり、CH−296の新たな有効性が認められた。 また、pH5.3の条件で抗CD3抗体、抗CD28抗体およびCH−296のプレートへの固定化を行うと、最も固定化効率が高く、IL−2産生量が多くなることが明らかになった。 すなわちpH5.3の条件で固定化を行うことにより、細胞への抗体およびCH−296による刺激がより強くなり、リンパ球の増殖やサイトカイン産生などをより活性化させることが明らかとなり、CH−296を用いたリンパ球拡大培養の効率化が認められた。 なお、表3と表4において、pH6.2の固定化条件における培養4日目の細胞のIL-2産生量にみられる差は、培養開始時の細胞数の違いが影響したものと考えられる。 実施例4 抗ヒトCD3抗体、抗ヒトCD28抗体固定化ビーズとCH−296固定化ビーズを用いたリンパ球拡大培養(1)コントロールビーズとCH−296ビーズの調製 Dynabeads M−450 Epoxy(DYNAL社製、140−01)を用いて、CH−296を固定化したビーズ(以下CH−296ビーズと称する)と、抗体やタンパク質を一切固定化せずにブロッキングのみを行ったビーズ(以下コントロールビーズと称する)を調製した。 調製は製品付属のプロトコルに従って行った。 固定化はCH−296の終濃度が200μg/mLの溶液に4×10 8 beads/mLとなるようにビーズを懸濁し、5℃で18時間インキュベートすることで行った。 ブロッキングはヒト血清アルブミン(ブミネート25%、Baxter社製、7783)を用いて行った。 (2)ビーズを用いたリンパ球の拡大培養 Dynabeads CD3/CD28 T Cell Expander(DYNAL社製、111−31、以下T Cell Expanderと略す)を付属のプロトコルに従って洗浄した後、1%humanAB血清を含むAIM−V(以下1%AIM−Vと略す)に3×10 6 beads/mLとなるように懸濁し、12穴細胞培養プレートに1mL/ウェルずつ加えた。 実施例4−(1)で調製したコントロールビーズとCH−296ビーズをT Cell Expanderと同様に洗浄後、1%AIM−Vに1.9×10 6 beads/mLとなるように懸濁した。 抗ヒトCD3抗体、抗ヒトCD28抗体共刺激群にはコントロールビーズ懸濁液を、抗ヒトCD3抗体、抗ヒトCD28抗体およびCH−296刺激群にはCH−296ビーズ懸濁液を、12穴細胞培養プレートに1mL/ウェルずつ、T Cell Expander懸濁液に加える形で添加した。 実施例1−(1)で調製したPBMCを、1%AIM−Vに1×10 6 cells/mLとなるように懸濁し、ビーズ懸濁液が添加されている12穴細胞培養プレートに1mL/ウェルずつ添加した(合計3mL/ウェル)。 その後、終濃度200U/mLとなるように各ウェルにIL−2を添加し、プレートを5%CO 2 、37℃のインキュベーター内で培養した(培養0日目)。 培養開始後4日目、7日目、10日目には以下の方法で継代培養操作を行った。 細胞培養液を一部回収し、トリパンブルー染色法にて生細胞数を計測、1%AIM−Vを用いて培養液を適切な濃度に希釈し、12.5cm 2フラスコに移し、終濃度200U/mLとなるようにIL−2を添加した。 培養液の希釈は、継代操作後の細胞濃度がそれぞれ、4日目では0.05×10 6 cells/mL、7日目では0.1×10 6 cells/mL、10日目では0.15×10 6 cells/mLになるように行った。 培養開始後14日目に生細胞数を計測、培養開始時の細胞数と比較して拡大培養率を算出した。 その結果を表5に示す。 表5はT Cell Expanderとコントロールビーズ、もしくはCH−296ビーズで刺激した細胞群について、14日間の拡大培養後の増殖率を示したものである。 表5に示すように、コントロールビーズ添加群よりも、CH−296ビーズ添加群の方がより高い拡大培養率を示した。 抗ヒトCD3抗体、抗ヒトCD28抗体固定化ビーズに加え、CH−296固定化ビーズを同時に添加することで、リンパ球の増殖を更に促進させることが可能であると明らかになった。 実施例5 抗ヒトCD3抗体、抗ヒトCD28抗体およびCH−296固定化ビーズを用いたリンパ球拡大培養(1)抗ヒトCD3抗体、抗ヒトCD28抗体、CH−296固定化ビーズの調製 実施例4−(1)と同様の方法で行った。 ただし固定化は、抗ヒトCD3抗体が25μg/mL、抗ヒトCD28抗体が50μg/mL、CH−296が125μg/mLの終濃度で混在する緩衝液を用いて行った。 (2)ビーズを用いたリンパ球の拡大培養 実施例4−(2)と同様の方法で行った。 ただし培養開始時について、細胞を刺激するビーズには実施例5−(1)で調製したビーズを使用し、培地には0.5%humanAB血清と0.2%のヒト血清アルブミンを含むGT−T503培地(タカラバイオ社製、以下0.5%GT−T503と略す)を用い、細胞数は0.5×10 6 cells/ウェル、培養液量は1.5mL/ウェルとした。 ビーズ添加量は0.5×10 6 beads/ウェルと5×10 6 beads/ウェルとなる群を設定した。 また継代培養について、継代操作は培養開始後4日目、8日目、11日目に行い、継代後の細胞濃度はそれぞれ、4日目では0.02×10 6 cells/mL、8日目では0.15×10 6 cells/mL、11日目では0.3×10 6 cells/mLとなるように行った。 培地には0.5%GT−T503を使用した。 培養開始後14日目に生細胞数を計測し、培養開始時の細胞数と比較して拡大培養率を算出した。 その結果を表6に示す。 表6は、抗ヒトCD3抗体、抗ヒトCD28抗体、CH−296固定化ビーズで刺激した細胞について、0.5×10 6 beadsと5×10 6 beadsで刺激した細胞群の14日間の拡大培養後の増殖率を示したものである。 表6に示すように、抗ヒトCD3抗体、抗ヒトCD28抗体、CH−296を同時に固定化したビーズを用いて、リンパ球の拡大培養を行うことが可能であると示された。 本発明により、リンパ球の製造方法が提供される。 当該方法は細胞増殖率が高く、本発明により得られるリンパ球は、例えば、養子免疫療法に好適に使用される。 従って、本発明の方法は、医療分野への多大な貢献が期待される。 SEQ ID NO:1 ; Partial region of fibronectin named III-8. |