Production in invitro of transplantable cartilage tissue

申请号 JP2000602000 申请日 2000-02-29 公开(公告)号 JP4237415B2 公开(公告)日 2009-03-11
申请人 ラッシュ−プレズビテリアン−セント ルークス メディカル センター; 发明人 マスダ コーイチ; ヒジャナ マイケル; ジェイ−エム.エイ.ソナー ユージン;
摘要 The present invention is directed to a transplanter cartilage matrix (40), and a method for its in vitro production.
权利要求
  • 軟骨形成細胞を分離すること、
    軟骨形成細胞を、軟骨形成細胞関連基質の形成を可能にするのに有効な時間培養すること、
    前記細胞関連基質を有する軟骨形成細胞を回収すること、および 前記細胞関連基質を有する軟骨形成細胞を、成長因子の存在下、半透膜上で、軟骨基質の形成を可能にするのに有効な時間培養すること を含むことを特徴とする、可移植性軟骨基質の製造方法。
  • 軟骨形成細胞をアルギン酸塩培地で培養することを特徴とする請求項1に記載の可移植性軟骨基質の製造方法。
  • 軟骨形成細胞関連基質が、アグリカンと、II型、IX型、およびXI型コラーゲンと、ヒアルロナンを含むことを特徴とする請求項1に記載の可移植性軟骨基質の製造方法。
  • 軟骨形成細胞関連基質中のアグリカンとヒアルロナンの比が少なくとも約10:1より大きいことを特徴とする請求項3に記載の可移植性軟骨基質の製造方法。
  • 半透膜の孔径が約5ミクロン未満であり、孔密度が少なくとも1cm 2当たり約8×10 5個であることを特徴とする請求項1に記載の可移植性軟骨基質の製造方法。
  • 成長因子が、骨原性タンパク質−1、骨形態形成タンパク質、形質転換成長因子β、インスリン様成長因子、およびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の可移植性軟骨基質の製造方法。
  • 軟骨基質が、アグリカンと、II型、IX型、およびXI型コラーゲンと、ヒアルロナンを含むことを特徴とする請求項1に記載の可移植性軟骨基質の製造方法。
  • 軟骨基質中のアグリカンとヒアルロナンの比が少なくとも約10:1より大きいことを特徴とする請求項7に記載の可移植性軟骨基質の製造方法。
  • 軟骨形成細胞を分離すること、
    軟骨形成細胞を、軟骨形成細胞関連基質の形成を可能にするのに有効な時間培養すること、
    前記細胞関連基質を有する軟骨形成細胞を回収すること、および 前記細胞関連基質を有する軟骨形成細胞を、成長因子の存在下、半透膜上で、凝集性軟骨基質の形成を可能にするのに有効な時間培養すること を含む方法によって製造されることを特徴とする凝集性軟骨基質。
  • 軟骨形成細胞をアルギン酸塩培地で培養することを特徴とする請求項9に記載の凝集性軟骨基質。
  • 軟骨形成細胞関連基質が、アグリカンと、II型、IX型、およびXI型コラーゲンと、ヒアルロナンを含むことを特徴とする請求項9に記載の凝集性軟骨基質。
  • 軟骨形成細胞関連基質中のアグリカンとヒアルロナンの比が少なくとも約10:1より大きいことを特徴とする請求項11に記載の凝集性軟骨基質。
  • 半透膜の孔径が約5ミクロン未満であり、孔密度が少なくとも1cm 2当たり約8×10 5個であることを特徴とする請求項9に記載の凝集性軟骨基質。
  • 成長因子が、骨原性タンパク質−1、骨形態形成タンパク質、形質転換成長因子β、インスリン様成長因子、およびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の凝集性軟骨基質。
  • 凝集性軟骨基質が、アグリカンと、II型、IX型、およびXI型コラーゲンと、ヒアルロナンを含むことを特徴とする請求項9に記載の凝集性軟骨基質。
  • 凝集性軟骨基質中のアグリカンとヒアルロナンの比が少なくとも約10:1より大きいことを特徴とする請求項15に記載の凝集性軟骨基質。
  • 少なくとも約5mg/cc 3のアグリカンと、
    II型、IX型、およびXI型コラーゲンと、ヒアルロナンを含む凝集性軟骨基質であって、
    アグリカンとヒアルロナンの比が約10:1から約200:1であり、アグリカンとコラーゲンの比が約1:1から約10:1であることを特徴とする凝集性軟骨基質。
  • 基質の厚さが約2mm未満であることを特徴とする請求項17に記載の凝集性軟骨基質。
  • 说明书全文

    【0001】
    本発明は、関節軟骨の欠損部分に充填し、あるいは損傷しまたは変性した軟骨の代用を目的とした、ヒトの関節への外科移植用の軟骨組織を製造する方法に関する。
    【0002】
    (発明の背景)
    軟骨損傷および修復:
    ヒトの関節表面は、関節軟骨、すなわち機械的なを分配し、かつその下にある骨を保護する低摩擦の耐久性ある材料で覆われている。 関節軟骨の損傷はよくあることであり、特に膝に生じ易い。 疾病管理センター(CDC)および臨床研究のデータは、米国で1年当たり約100,000件の関節軟骨損傷が生じていることを示唆している。 そのような損傷は、若年の活動的な人々に最もよく生じており、痛みや腫れを引き起こし、関節運動に支障をきたす。 損傷を受けた関節軟骨は治癒しない。 一般に、時間が経つにつれて、損傷していない周囲の軟骨に変性が生じ、慢性の痛みが生じ、障害が出てくる。 したがって軟骨損傷は、しばしば生産的な労働年齢の著しい損失につながり、患者の娯楽および生活様式に与える影響が非常に大きい。
    【0003】
    関節表面の損傷は、軟骨層に限定されると考えられ、または軟骨下骨に至ると考えられる。 これらのタイプの損傷の自然史は様々である。 軟骨下骨に侵入しない軟骨損傷は、その治癒能力が限られていた(1)。 これは、組織に固有の性質に起因する。 関節軟骨のほぼ95パーセントは、その内部全体に分散している軟骨細胞によって産生され維持される細胞外基質(ECM)である。 ECMによって、組織の機械的な完全性が得られる。 周囲の細胞の限られた数の軟骨細胞は、外傷によって失われたECMに取って代わることができない。 基質成分は、局所的な軟骨細胞によって簡単に過剰産生されることが観察されたが(2)、その反応は、臨床上問題とされる欠損を修復するのに不十分である。 純然たる軟骨損傷では、脈管系からの細胞移行が発生せず、外部からの修復は臨床上無意味である。
    【0004】
    軟骨下骨板に達する骨軟骨性損傷は、骨髄からの修復性細胞の流入が原因となって治癒する可能性がある(1)。 しかし、非常に数多くの研究によれば、正常な軟骨の機能に必要なECMの複雑な分子配列は、発生反復しないことが示された。 修復反応は、線維軟骨、硝子軟骨および線維組織の混合物の形成を特徴とする。 線維軟骨は関節軟骨の耐久性に不十分であり、結局、関節を正常に使用している間に劣化する。 多くの骨軟骨性損傷では、2次変性が生じる前の2、3年から数年というある期間、臨床上は無症状になる。 しかし、孤立性の軟骨性損傷と同様に、これらの損傷は最終的に関節機能を不十分にし、痛み、および障害をもたらす。
    【0005】
    ECMの分子構成:
    関節軟骨の物理的性質は、II型コラーゲンおよびアグリカンの分子構造に密接に関係している。 ヒアルロナンやIX型コラーゲンなどのその他の分子は基質の構成に重要な役割を果たす。 II型コラーゲンは、引張り強さおよび剪断強さの大きい組織をもたらす3次元網状構造またはメッシュを形成する(3)。 アグリカンは、大型の親性の分子であり、これは、最大200×10 6ダルトンから300×10 6ダルトンの複合体に凝集することができる(4)]。 アグリカン分子は、多数の硫酸基およびカルボン酸基を含有するグリコサミノグリカン鎖を含有する。 したがってグリコサミノグリカン鎖は、生理的なpHで大きく負に帯電している(5)。 アグリカン複合体は、軟骨内で、コラーゲン網状構造に捕えられる。 ドナンの平衡が確立され、硫酸基およびカルボン酸基によって生み出された電気的な力によって、小さいカチオンが保持される(6)。 次に、水は、組織内の多数の小さいカチオンによって生成された浸透圧の力によって保持される。
    【0006】
    関節に機械的な負荷がかかると、水の運動によって、電気化学的な平衡に乱れをもたらされる。 この負荷が除去されると、ドナンの平衡が再度確立され、組織はその負荷がかけられる前の状態に戻る(7)。 関節軟骨の物理的性質は、II型コラーゲンおよびアグリカンの分子構造に密に関係している。 ヒアルロナン(8)やIX型コラーゲン(9)などのその他の基質分子は、基質の構成に重要な役割を果たす。 ECMの正常な分子配列の回復が失敗すると、修復組織としての線維軟骨の長期性能が不十分であることによって実証されるように、時間が経つにつれて修復組織が破壊される(10)。
    【0007】
    ECM内には別個の区画が示されていた。 これらは基質巨大分子の組成および代謝に関して異なっている。 各軟骨細胞のすぐ周りには、基質成分の比較的速い代謝を特徴とする、ECMの薄いシェルがある(11)。 この領域は、細胞周囲基質(11)と呼ばれる。 細胞周囲基質の周りには、軟骨小腔周囲基質がある。 さらにその細胞の周りには、軟骨小腔周囲間基質がある(11)。 基質巨大分子の代謝は、細胞周囲基質内および軟骨小腔周囲基質内よりも、軟骨小腔周囲間基質内のほうが遅い(11)。 組織を機能させる際にこれらの様々な区画が演じる役割は、全体的に不確かである。 しかし、関節軟骨の修復という観点から見ると、それらは損傷した組織の回復において考慮しなければならないより高いレベルの基質構成を意味している。
    【0008】
    関節軟骨損傷の外科治療:
    現行の関節軟骨の外科的回復法は、3つのカテゴリに分類され、すなわち(1)線維軟骨修復の刺激と、(2)骨軟骨移植と、(3)自己軟骨細胞移植に分類される。 線維軟骨は、その機械的性質が比較的劣っているにもかかわらず、関節軟骨に一時的な症状の緩和をもたらすことができる。 軟骨損傷領域で線維軟骨の形成を促進させるために、いくつかの外科的技法が開発された。 これらの技法には、軟骨下骨の穿孔、剥離、およびマイクロフラクチャが含まれる。 これらの手順の概念は、軟骨下骨への侵入によって、骨髄からの軟骨前駆細胞が欠損部分に移行し、修復を行うことができることである。 このタイプの治療の臨床上の成功率を算定することは難しい。 発表された一連の研究では、2年では70%程に高い成功率が報告されているが、その結果は時間と共に悪くなっている。 治療後5年で、患者の大多数に症状が出る。
    【0009】
    骨軟骨移植では、関節軟骨を軟骨下骨層と共に採取し、関節の欠損部分に移植する。 宿主への移植片の固定は、宿主に移植骨が癒合することによって実現される。 この技法の主な利点とは、移植された軟骨が正常な関節軟骨の機械的性質を有し、したがって、周期的な負荷に耐えることができることである。 主な欠点とは、ドナー部の罹患(自己移植の場合)と、疾患の伝染の危険性(同種移植の場合)である。 さらに、同種移植の場合、組織拒絶が生じて、手術の結果を損なう可能性がある。 骨軟骨自己移植(モザイク移植)は、短期間では臨床上成功したことが実証された。 長期での有効性は知られていない。 骨軟骨同種移植は、移植後10年で評価したときに症例の約65%で成功しているが、一般に、軟骨下骨内に深く延びる、より広い損傷領域を残している。
    【0010】
    自己軟骨細胞移植は、分離した軟骨細胞を使用する軟骨修復法である。 臨床上この方法は2段階治療であり、最初に軟骨生検を行い、次いでex vivo処理の期間が過ぎた後、培養した軟骨細胞を欠損部分に導入する(12)。 ex vivo処理中にECMが除去され、軟骨細胞は、細胞分裂が促進する条件下で培養される。 適切な数の細胞が産生したら、その細胞を関節の欠損部分に移植する。 宿主軟骨の周りに縫合された骨膜のパッチによって、封じ込めが行われる。 細胞は、欠損部分の壁に取着し、その位置で細胞外基質を産生する。 この方法の主な利点とは、自己組織を使用し、細胞集団を拡大できることである。 この技法によって関節軟骨を回復させる際の難点は3つのカテゴリに分類され、すなわち細胞接着と、形質転換と、ECM産生に分類される。
    【0011】
    細胞接着 。 個々の細胞(ECMなし)の移植の成功は、欠損床に付着する細胞に極めて大きく左右される。 軟骨ECMは、小さいプロテオグリカン、デルマタン硫酸、およびヘパラン硫酸によって与えられたと考えられている反接着性を有することが示されてきた。 正常な軟骨細胞は、II型コラーゲン(13)およびヒアルロナン(11)に対する細胞表面受容体を有するが、機能性のあるこれらの基質分子に対してex−vivo操作された細胞がどの程度まで受容体を有するかは明らかでない。 ECMに結合する軟骨細胞のin vitro研究は、相互作用が弱いことを示唆している。 ウサギでのin vivo研究は、移植した軟骨細胞のわずか8%だけが移植後に欠損床に残っていることを示唆している。
    【0012】
    形質転換 。 in vitroで細胞集団を増殖させるプロセス中、軟骨細胞は、通常形質転換しまたは脱分化する(14)。 形態上、この細胞は線維芽細胞に似ている。 II型コラーゲンおよびアグリカンの合成は低減し、線維軟骨を代表するI型コラーゲンの合成は増大する。 移植の後に細胞がその位置で再分化するという論旨を支持するための限られたデータが存在する。 表現型が線維芽細胞性である細胞によって作られた組織は関節軟骨の代用としての機能が不十分であるので、修復プロセスの成功には軟骨細胞表現型を再度定着することが極めて重要である。
    【0013】
    ECM産生 。 移植前に、培養した軟骨細胞から酵素でECMをなくす。 この細胞を、懸濁液として欠損床に注入する。 移植片の構成は負荷に耐えることができず、数週間から数ヵ月間、加えられる負荷から保護しなければならない。 最終的に産生されるECMの品質に関し、限られたデータが存在する。 このECMは、移植後2年の2次関節鏡検査でヒアリン様組織であるとして特徴付けられた[Petersen,L. 、口コミで]。 この形態の治療による全体的な回復期間は9〜12ヵ月である。 移植後2年では、大腿顆損傷の約85%で良好なまたは優れた臨床結果が実現される。 しかし、この臨床結果がより長い追跡期間を通して維持されるかどうかは明らかでない。
    【0014】
    組織製作:
    現行の軟骨修復法のそれぞれには相当な制限がある。 その結果、軟骨組織をin vitroで製造するといういくつかの実験室的手法が提案されている。 これらの手法は一般に、培養細胞(軟骨細胞または多分化能性幹細胞のどちらか)を生物学的なまたは合成の骨格に接種することを含む。 このタイプの手法の主な欠点とは、(1)軟骨細胞表現型を入手しまたは維持することが困難であること、(2)骨格材料が、移植された軟骨細胞または生来の軟骨細胞とその他の関節組織とに及ぼす生物学的影響が知られていないこと、および(3)製作された組織構成の欠損床への取着が限定されることである。
    【0015】
    本発明は、移植可能な軟骨組織の製造を含む。 その調製方法および組成物は、現行の軟骨修復技法で直面する主な問題に対処するものである。 本発明の主な利点および特徴は、以下の記述および上述の特許請求の範囲を考慮することによって、より明らかになるであろう。
    【0016】
    (発明の概要)
    本発明は、可移植性軟骨基質とその製造方法に関する。 この方法によって製造される軟骨組織は、培養の際に時間と共に、天然の細胞関連ECMと同様の性質を有するようになる。 再移植のとき、軟骨組織の基質は高代謝率を有する(すなわち代謝が活性である)。 これは軟骨に特異的なアグリカンプロテオグリカンに富み、これらアグリカン分子の全てが非常に大きいサイズの大型の凝集体を形成することが可能になる十分に長いヒアルロナン鎖を含有しているが、コラーゲンピリジニウム架橋は比較的少ない。 これらの性質により、組織の移植可能性が高まり、移植後に続けて行われるその位置での組織の成熟が強化され、それによって、宿主との一体化が得られる。
    【0017】
    本発明の方法によれば、軟骨細胞は、軟骨形成細胞を含有する組織から分離される。 分離された軟骨形成細胞は、軟骨形成細胞関連基質の形成を可能にするのに有効な時間、アルギン酸塩培養で培養される。 本発明の重要な態様では、細胞関連基質がアグリカンを少なくとも約5mg/cc 3有し、アグリカンとヒアルロナンの比(mg/mg)が約10:1から約200:1の間であり、アグリカンとコラーゲンの比(mg/mg)が約1:1から約10:1の間である。
    【0018】
    それぞれが細胞周囲基質を有する軟骨形成細胞を回収し、血清、または外部から添加した成長因子を含有する血清の存在下、半透膜系上で培養する。 細胞関連基質を有する軟骨形成細胞を、付着性軟骨基質の形成に有効な時間培養する。
    【0019】
    重要な態様では、本発明は、軟骨損傷の外科的修復におけるそのようなin vitroで製造した関節組織の使用法に関する。 そのような損傷には、急性の、部分層および全層の軟骨損傷、骨軟骨損傷、および変性突起が含まれると考えられる。 外科治療には、開放性外科技法(関節切開術)と、in vitroで製造した軟骨性組織の関節鏡による適用/挿入が含まれる。
    【0020】
    (詳細な説明)
    本発明の概略的なプロセスを図1に示す。 本発明によれば、軟骨細胞を分離してアルギン酸塩中で培養する。 得られた軟骨細胞は、それぞれが細胞関連基質を有するものであり、それらを回収し、次いで半透膜上でさらに培養する。 次いで得られた軟骨組織を移植に利用する。
    【0021】
    軟骨細胞/軟骨形成細胞の分離本発明の実施に有用な軟骨形成細胞は、本質的に軟骨形成細胞を含有するどの組織からも分離することができる。 本明細書で使用する「軟骨形成細胞」という用語は、適当な刺激に曝されたとき、軟骨組織に特有の成分を産生し分泌することが可能な細胞に分化することができる任意の細胞を意味すると理解される。 軟骨形成細胞は、既に存在している軟骨組織、例えば硝子軟骨や弾性軟骨、線維軟骨から直接分離することができる。 具体的には、軟骨形成細胞は、関節軟骨(荷重関節または非荷重関節から)、肋軟骨、鼻軟骨、介軟骨、気管軟骨、喉頭蓋軟骨、甲状軟骨、披裂軟骨、および輪状軟骨から分離することができる。 あるいは、軟骨形成細胞は、骨髄から分離することができる。 例えば、その開示を参照により本明細書に組み込む米国特許第5,197,985号および第4,642,120号とWakitani他(1994)のJ. bone Joint Surg. 76:579〜591を参照されたい。
    【0022】
    軟骨細胞、細胞関連基質を産生するためのアルギン酸塩中での培養本発明によれば、組織から分離した軟骨細胞/軟骨形成細胞は、少なくとも約10 4細胞/mlの密度でアルギン酸ナトリウム溶液中に再懸濁させる。 細胞を、その球状形態を維持するのに有効な条件下で培養するが、この形態は、軟骨細胞膜上で、in vivoで見出されるものと同様の細胞関連基質を産生することにつながるものである。 重要な態様では、細胞関連基質を形成することができるように、軟骨細胞を少なくとも約5日間アルギン酸塩中で培養する。 使用される培地は、細胞関連基質の産生を高めるためにウシ胎児血清などの刺激剤を含有することができる。
    【0023】
    本発明の代替の態様では、軟骨細胞用の培地は外部から添加された特異的成長因子をさらに含むことができる。 特異的成長因子、例えば骨原性タンパク質−1などウシ胎児血清中に既に存在しないものを添加すると、基質形成の有効な刺激物質として作用することができる。 成長因子(ウシ胎児血清中に存在するもの以外)は、その因子がヒト組換えタンパク質として利用可能になっているので有利と考えられる。 ヒト成長因子の使用は、その因子が関節で免疫反応を引き起こしにくいものである限り、有利である(ウシ胎児血清の使用では、新たに形成された組織を移植する前に、その組織を徹底的に濯ぐ必要がある)。 本発明のこの態様では、細胞関連基質の形成をほぼ最大限に刺激する量で、成長因子を培地に添加する。
    【0024】
    本発明の別の重要な態様では、アルギン酸塩中で軟骨細胞または軟骨形成細胞を増殖させることにより、増殖が単層培養で行われるときに生じるような軟骨細胞表現型の損失を引き起こさない。 本明細書で使用する「軟骨細胞表現型」は、(i)球体形状を有し、かつ基質内に相当な量の(ii)アグリカンおよび(iii)II型コラーゲンを、(iV)基質内に有効な量のI型コラーゲンを蓄積することなく合成し蓄積する能力を有する細胞を指す。 本明細書で使用するI型コラーゲンの最小限の量は、基質内に組み込まれるようになる全てのコラーゲン分子の約10%未満を意味する。 アルギン酸塩中で培養した軟骨細胞は、その球体形状(軟骨細胞によく見られる)を保持し、かつ大量の基質を維持している。 この基質は、組織学的に硝子軟骨に似ており、アグリカンおよびII型コラーゲンに富んでいる。
    【0025】
    既に述べた3つのパラメータに加え、表現型が安定な軟骨細胞は、主要な巨大分子を軟骨様基質に有効に組み込む能力を保持しなければならない。 正常な軟骨細胞は、I型コラーゲンに関する少量のmRNAを発現することができるが、これは翻訳されないものである。 さらに、アルギン酸塩ビーズで数ヵ月間培養した関節軟骨細胞はいくつかのI型コラーゲン分子を合成することができるが、後者は形成する基質に決して組み込まれるようにはならない。 したがって、新たに合成された少量のI型コラーゲン分子が培地に出現したことが、分化の開始を必ずしも示しているとは限らない。 さらに、ヒアルロナンは、多くのその他の細胞タイプによって大量に合成されるので、軟骨細胞表現型の標識にはならない。 しかしヒアルロナンは、軟骨基質に必要不可欠な成分である。
    【0026】
    表現型が安定な細胞は、コラーゲンよりも少なくとも約10倍多い(質量ベースで)アグリカンを合成するべきである。 さらに、基質中のアグリカンとヒアルロナンの比は、常に約10を超えたままであるべきである。
    【0027】
    細胞関連基質を有する軟骨細胞アルギン酸塩中で軟骨細胞を培養することにより、2つの区画、すなわち代謝が生来の組織の細胞周囲基質および小腔周囲基質に似ている細胞関連基質区画と、(ii)代謝が生来の組織の小腔周囲間基質に似ておりさらに除去された基質区画とに分けられたECMが産生する。
    【0028】
    各軟骨細胞の周りに高度に構成された細胞関連基質を形成することは、いくつかの理由により重要である。 第1に、細胞関連基質は、アンコリンCII(コラーゲンに結合する)やCD44(プロテオグリカン凝集体のヒアルロナンに結合する)などの受容体を介して細胞に固定される。 この基質が再度定着すると、細胞はなおさら脱分化しにくくなる。 第2に、軟骨細胞は、プロテオグリカンアグリカンを代謝回転し、したがってこの基質を比較的迅速にリモデリングする。 軟骨細胞は再度除去された基質のリモデリングに対しては非常に効果が低い。
    【0029】
    本発明の重要な態様では、アルギン酸塩中で培養する間に産生したECMの細胞関連基質区画が、アグリカン(大部分の軟骨プロテオグリカン)と、II型、IX型、およびXI型コラーゲンと、ヒアルロナンを含む。 アグリカン分子は、主に、ヒアルロナン分子を介して軟骨細胞の細胞膜上の受容体(CD44を含む)に結合された凝集体に形成される。
    【0030】
    細胞関連基質中の各成分の相対的な比率は、培養時間の長さに応じて変化する。 本発明の重要な態様では、細胞関連基質はアグリカンを少なくとも約5mg/cc 3有し、アグリカンとヒアルロナンの比(mg/mg)は10:1から200:1の間であり、アグリカンとコラーゲンの比(mg/mg)は1:1から約10:1の間である。 さらに、この細胞関連基質(各細胞の周り)とさらに除去された基質(細胞同士の間)の分子組成は、培養条件の特定の変更によって変えることができる。 これらの変更には、培養系の物理的配置と様々な成長因子の適用が含まれる。 基質産生の操作と構成は、関節損傷の外科治療用関節軟骨のin vitro製作の中心をなす。
    【0031】
    本発明の重要な態様では、コラーゲンの含有量と、コラーゲンのピリジノリン架橋の含有量は、培養時間と共に増加する。 特に架橋は、2週間培養した後の濃度に劇的な増加を示す。 培養期間の長さを比較的短く保つことによって、細胞関連基質中のコラーゲン線維は過剰に架橋しなくなる。 良好な機能性を有するが架橋が比較的不十分である組織は、より硬くて架橋に富む組織よりも、成形しやすく、宿主の軟骨と一体化し易い。
    【0032】
    軟骨細胞およびその細胞関連基質の回復軟骨細胞およびその細胞関連基質の回復は、十分な培養期間後にアルギン酸塩ビーズを可溶化することによって実現される。 一手法を図2に示す。 まず、アルギン酸塩ビーズ20を既知の技法を使用して可溶化する。 次いで得られた細胞懸濁液を遠心分離し、細胞およびその細胞関連基質40(ペレット状)をさらに除去された基質30(上澄み状)の成分から分離する。
    【0033】
    半透膜上での軟骨細胞およびその細胞関連基質の培養本発明のこの態様では、上述のように分離した軟骨細胞およびその細胞関連基質を、半透膜上でさらに培養する。 本発明の半透性培養系を図3に示す。
    【0034】
    本発明によれば、プラスチックの支持フレーム60内に細胞培養インサート50を配置する。 細胞培養インサート50の周りを培地70が流動する。 本発明の重要な態様では、細胞培養インサート50は半透膜80を含む。 半透膜80によって、培地は、軟骨細胞およびその細胞関連基質90を完全に浸漬させるのに有効な量で細胞培養インサートに流入できるようになる。
    【0035】
    本発明の重要な態様では、半透膜80によって、軟骨細胞が栄養源に連続的に接触できるようになり、それと同時に細胞付近からの老廃物の拡散が可能になる。 この態様で、膜は、その孔を通って軟骨細胞が移行した後で膜に固定されるのを防止するのに有効な孔径を有するべきである。 本発明のこの態様で、孔径は、約5ミクロン以下であるべきである。 さらに、利用される膜は、その膜を縮ませることなく培養フレームから除去できるように十分な強度を有し、かつ膜上の組織を操作してその所望のサイズに切断することができるように十分な強度を有する膜を提供するのに有効な孔密度を有するべきである。 本発明のこの態様で、膜の孔密度は少なくとも孔が約8×10 5個/cm 2である。 膜は、培養での使用に適する任意の材料で作製することができる。 適切な膜系の例には、(i)Falcon Cell Culture Insert[ポリエチレンテレフタレート(PET)膜、孔径0.4ミクロンまたは3.0ミクロン、直径12mmまたは25mm];(ii)Coaster Tranwell Plate[ポリカーボネート膜、孔径0.1、0.4、3.0、または5.0ミクロン、直径12mmまたは24.5mm];(iii)Nunc Tissue Culture Insert[ポリカーボネート膜インサート:孔径、0.4ミクロンまたは3.0ミクロン、直径10mmまたは25mm);Millicell Culture Plate Insert(PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)膜、ポリカーボネート、孔径0.4ミクロンまたは3.0ミクロン、直径27mm))が含まれるがこれらに限定されない。
    【0036】
    まず、軟骨細胞を含有するビーズを、20%のウシ胎児血清(Hyclone、Logan、UT)、約25μg/mlのアスコルビン酸塩、50μg/mlのゲンタマイシン、または別の抗生物質(Gibco)を含有する等量部のダルベッコ変性イーグル培地およびHam′s F12培地で培養する。 代替の手法では、結果的に培養の際に軟骨細胞を維持することになる別のタイプの培地でビーズを培養する。 代替の手法では、培地を連続的に送出することが可能な閉じたチャンバ内でビーズを培養する。 重要な態様では、培地は少なくとも約10ng/mlの濃度で内因性インスリン様成長因子−1を含有するウシ胎児血清を含有する。 この用法では、ウシ胎児血清も成長因子と考えることができる。 細胞関連基質の形成が最大限に刺激されるように培地に外部から添加することができる適切な成長因子には、骨原性タンパク質−1(OP−1)、骨形態形成タンパク質−2およびその他の骨形態形成タンパク質、形質転換成長因子β、およびインスリン様成長因子が含まれるがこれらに限定されない。
    【0037】
    本発明の別の態様では、細胞およびその再定着させた細胞関連基質を、凝集性軟骨基質の形成が可能になるのに有効な時間、半透膜上の培地でさらに培養する。 培養時間は、一般に標準の培養条件下で少なくとも約3日になる。 移植前、基質の成熟が部分的に抑制されることは、成熟した軟骨ほど堅くはないが取扱い中にその形状および構造を保持するのに十分な引張り強さを有する基質を提供する際に、重要である。 このような組織は、欠損部分にぴたりと圧着させるのに十分な展性を有するべきである。
    【0038】
    本発明の重要な態様では、軟骨組織を膜上で培養する時間を延長しまたは短縮することによって、軟骨基質の機械的性質を制御することができる。 培養時間が長くなると、架橋密度が増大することになる。
    【0039】
    軟骨基質本発明の重要な態様では、半透膜上に形成する軟骨基質のアグリカンの濃度が少なくとも約5mg/cc 3である。 軟骨基質は、新たに合成された全ての分子をプロテオグリカン凝集体に組み入れることができるようにするのに有効な量の、ヒアルロナンを含有する。 膜上で形成された組織の基質は、凝集したアグリカン分子を5mg/cc 3以上の濃度で含有し、アグリカンとヒアルロナンの比は約10:1から約200:1であり、アグリカンとコラーゲンの比は約1:1から約10:1である。 さらに、培養期間を短くすることによって、ピリジニウム架橋の濃度は確実に、組織をin vivoでモデル化しなおすことができるように十分に低い状態であり続けるが、しかしその組織を整形外科医が容易に取り扱うことができるように十分高い状態であり続ける。
    【0040】
    重要な態様では、膜上に形成される軟骨基質の厚さは約2mm未満であるべきであり、その理由はより厚いシート内に細胞があると、栄養源に容易に接触しにくくなるからである。 軟骨基質は一般に膜に適合する円板様構造を有するが、この軟骨基質は円板様構造である必要はない。 本発明のこの態様で、軟骨基質の形状は、整形外科医が組織(円板またはシートのいずれか)を取り扱いかつその組織を欠損部分に圧着させるのに必要なサイズに切断することができるように、有効なものであるべきである。 軟骨基質のサイズは、一般に欠損部分のサイズよりもわずかに大きくなる。
    【0041】
    以下の実施例は本発明を実施するための方法を示すものであり、上述の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲の例示であってそれに限定されるものではないことを理解されたい。
    【0042】
    実施例実施例1
    方法
    軟骨細胞
    以下に述べるように、若いウシの関節軟骨軟骨細胞を使用して、実現可能性の調査を行った。 同様の手法を使用して、ヒト成人関節軟骨細胞により軟骨基質の形成を促進させることができる(できた)。
    【0043】
    培養条件
    全層関節軟骨を、生後14ヵ月から18ヵ月の去勢ウシの中手指節関節から切り取り、滑液膜組織によって汚染されるのを防止するため特別な注意を払う。 軟骨切片は、5%のウシ胎児血清を含有するDMEM/F12(Gibco BRL、Grand Island、NY)において、37℃で0.4%のプロナーゼ(Calbiochem、La Jolla、CA)を用いて1時間消化し、次いでClostridium hystolyticum(ヒストリチクス菌)(Boehringer Mannheim、Indianapolis、IN)からの0.025%のコラゲナーゼPを用いて16時間消化する。 得られた消化物を40μmの細胞ストレーナ(カタログ番号2340、Beckton Dickinson、Franklin Lakes、NJ)で濾過し、軟骨細胞を回収する。 0.15MのNaClに滅菌アルギン酸塩(Kelton LV、Kelco、Chicago、IL)を溶かして1.2%の溶液としたものに、軟骨細胞を細胞4×10 6個/mlの密度で再懸濁する。 この細胞懸濁液を、22ゲージ針を通してゆっくりと絞り出し、102mMの塩化カルシウム溶液中に滴下する。 この溶液中でビーズを10分間重合させ、次いで0.15MのNaClで2回洗浄し、次いでDMEM/F12で2回洗浄する。 次いでビーズを、DMEM/F12と、10μg/mlのゲンタマイシンと、20%のウシ胎児血清と、有効な量の成長因子と、25μg/mlのアスコルビン酸(Gibco BRL)とからなる完全培地に移す(10ml中200ビーズ)。 培養物を、空気中のCO 2が5%である加湿雰囲気中で37℃に保つが、このとき培地は毎日新鮮な培地に交換する。
    【0044】
    7日間培養した後、培地を収集し、ビーズを55mMのクエン酸ナトリウム、0.15MのNaCl、pH6.8に20分間4℃でインキュベーションすることによって溶解する。 得られた細胞(およびその関連基質)の懸濁液を、4℃、100gで10分間遠心分離する。 次いで細胞およびその細胞関連基質を含有するペレットを、20%のウシ胎児血清と、有効な量の成長因子と、上述の補充物とを含有するDMEM/F12に再懸濁する。
    【0045】
    完全培地3ミリリットルを、Falcon Cell Culture Insert Companionプレート(カタログ番号3090)の各ウェルに添加し、5%CO 2の存在下、インキュベータ内で20分間37℃に保つ。 Falcon Cell Culture Insert(カタログ番号3090、0.45um、PET膜、透過性、直径23.1mm、Beckton Dickinson)を、無菌の状態で6ウェルマルチウェルプレートの各ウェル内に配置する。 2.5mlのアリコート(200ビーズ中に存在する細胞およびその関連基質に相当する)を各インサート上に置く。 培養物を、CO 2が5%の加湿雰囲気中に37℃で維持する。 さらに7日間培養した後(8〜14日間の培養とみなされる)、各インサートを組織培養プレートから取り外し、メスを使用してPET膜を切り取る。
    【0046】
    アルギン酸塩ビーズで7日間培養した後に形成された軟骨細胞および軟骨基質の特徴付け
    7日目、以前述べたように、(i)ビーズ全体と(ii)ビーズ溶解後にその細胞関連基質と共に回収された細胞の両方を固定し、切断し、位相差顕微鏡によって視覚化した。 両方の基質区画内の基質(細胞関連基質およびさらに除去された基質)を、以下に述べるように、プロテオグリカン、ヒアルロナン、コラーゲン、およびコラーゲン架橋の含有量に関して特徴付けた。
    【0047】
    アルギン酸塩ビーズで7日間培養し、その後さらに膜上で7日間培養した後に形成された、軟骨細胞および軟骨基質の特徴付け
    14日目、膜上の組織の形態的外観を組織学によって評価し、その組成を一連の生化学的アッセイを使用して決定し、軟骨細胞の代謝は培養により評価した。
    【0048】
    (i)組織構造。
    14日目、依然としてPET膜上にある組織を、パラホルムアルデヒドの4%PBS溶液を使用して固定し、パラフィンに包埋させた。 厚さ8μmの切片を切り取り、硫酸化したグリコサミノグリカンを目的としてトルイジンブルーで染色した。 電子顕微鏡法では、組織の小片を切り取って、2%のグルタルアルデヒド、0.1Mのカコジル酸ナトリウム緩衝液、10μMのCaCl 2 、pH7.4に固定した。
    【0049】
    (ii)組織の生化学的組成。
    培養期間の終わりに(14日目)組織を膜から取り出し、乾燥したガーゼにブロットし、湿潤重量を測定した。 次いで組織を凍結乾燥し、再度計量して含水量の測定値を得た。 凍結乾燥した組織を、0.1Mの酢酸ナトリウム、50mMのEDTA、5mMの塩酸システイン、pH5.53に溶かしたパパイン(20μg/ml)を用い、56℃で24時間消化した。
    DNA含有量は、標準物質として子ウシの胸腺のDNAを用いたビスベンズイミダゾール蛍光色素[Hoechst 33258(Polyscience、Warrington、PA)]法を使用して測定した。
    硫酸化したグリコサミノグリカンの全含有量は、以前述べたジメチルメチレンブルー(DMMB:Polyscience)アッセイにより決定した。
    ヒドロキシプロリンの含有量は、試料を6NのHCl中110℃で16時間加水分解した後、PICOタグ標識技法を使用した逆相HPLCにより測定した。 各試料中のコラーゲン含有量は、ヒドロキシプロリン含有量に8.2を掛けることによって推定した。
    ヒアルロナンの含有量は、コラーゲン含有量に関して前に記述しかつ報告したサンドイッチELISA技法を使用して測定した。
    【0050】
    (iii)14日間の培養で合成されたコラーゲンのタイプの特徴付け。
    培養14日目に(すなわち軟骨細胞およびその細胞関連基質を組織培養インサートの膜上に配置した7日後)、[ 3 H]−プロリンを50μCi/ml、ウシ胎児血清を200μl/ml、アスコルビン酸を25μg/ml)、およびβ−アミノプロプリオニトリル(BAPN)を10μg/mlで含有するDMEMで、その膜上の組織を16日間インキューベートし、それによって架橋形成を防止した。 次いで組織を細分し、1.0MのNaCl、プロティナーゼ阻害剤を含有する50mMのトリス(1mM N−エチルマレイミド、1mM フェニルメチルスルホニルフッ化物、5mM EDTA)を用いて4℃で一晩抽出した。 残渣を、3000rpmで15分間遠心分離することによってNaCl抽出物から分離し、1%SDSに可溶化した。 標識培地、NaCl抽出物、およびSDS画分を、蒸留水に対して透析して、組み込まれていない同位元素を除去した。 試料を0.5Mの酢酸に対してさらに透析し、0.2MのNaCl、0.5Mの酢酸に、ペプシン(100μg/ml)を溶かしたものを用い、4℃で一晩インキュベートした。 次いで各試料にNaOHを添加することによってペプシンを不活性化した結果、pHが8.6に上昇した。 試料を、0.4MのNaCl、10mMのトリス、pH7.4に対してさらに透析した。 試料のアリコートを、還元条件下、8%のアクリルアミドゲル中でSDS−PAGEにより分析した。 ゲルを、フルオログラフィにかけ、画像を走査して、以前述べたように定量化した。
    【0051】
    (iv)14日間の培養で合成されたプロテオグリカンの特徴付け。
    培養14日目に、組織を、20μCi/mlの35 S−硫酸塩、20%のウシ胎児血清(200μl/ml)、および有効な量の成長因子を含有するDMEM/F12で、組織を4時間インキュベートした。 次いで以前述べたように、組織を、プロテアーゼ阻害剤の存在下、4Mの塩化グアニジン、0.05Mの酢酸ナトリウム、pH6.0で抽出した。 放射能標識したプロテオグリカンを、段階的な濃度勾配の塩化ナトリウムを使用してDEAEカラムクロマトグラフィにより精製した。 精製したプロテオグリカンのサイズについて、解離条件下、Sepharose CL2B(Pharmacia)上でふるいクロマトグラフィにより分析した。
    【0052】
    (v)コラーゲン特異的架橋の定量以前述べた逆相HPLCの後、蛍光検出を使用して、コラーゲン特異的架橋(ピリジノリンおよびデオキシピリジノリン)を定量した。 簡単に、試料を6NのHCL中110℃で24時間加水分解し、その水解物をCF−1セルロースカラムに付着させて、架橋アミノ酸を分離した。 結合している画分を蒸留水で溶離し、乾燥した。 C18 ODSカラム(Beckman)上で逆相HPLCにより試料を分離し、以前述べたように分光蛍光計を使用して溶離したピークの蛍光をモニタした。 架橋アミノ酸の濃度は、ピリジノリンおよびデオキシピリジノリンの外標準と同等であることが報告された。
    【0053】
    (vi)in vitroで形成された軟骨組織の機械的性質の測定可移植性の構成の圧縮性および引張り性を、標準的な方法を使用して決定した。 圧縮試験では、円板(直径6.4mm)を構成から切断し、以前述べたコンピュータによる制御下で機械試験機(Dynastat:IMASS、Cambridge、MA、米国)の一軸密閉型圧縮装置内で試験をした(15)。
    平衡負荷変位データが得られ、平衡密閉型圧縮係数を、Kwan他の定式化を使用して計算した(16)。 引張り試験では、テーパ状の試験片(ゲージ領域内の幅1mm)を構成から切断し(17)、破断するまで一定の引張り速度で延伸した。 破断時の負荷を初期断面積に対して正規化して、最終的な応力を決定した。 全ての試験において、試料を生食緩衝液中に浸漬した。
    【0054】
    結果アルギン酸塩ビーズで7日間培養した後に形成された基質の調査培養7日目に、成長因子の存在下で培養された軟骨細胞により形成された組織は、豊富で嵩高なECMを含有していた。 位相差顕微鏡によるビーズ内の細胞の検査では、細胞分裂が適度な程度に生じている証拠のみ示された。 0.9%のNaClに溶かした55mMのクエン酸ナトリウムでビーズを溶解した後、細胞およびその関連基質も視覚化した。 この細胞関連基質の構造は保存状態がよく、CD44やインテグリン、アンキリンCIIなどの細胞表面受容体を介して細胞関連基質を細胞膜に密接に結合させるという目的に適うものであった。 生化学分析にによれば、蓄積された基質は、主としてプロテオグリカンと、より少ない程度のヒアルロナンからなることが示された。 これは、培養インサートの膜上に移す直前に、比較的少量のコラーゲンを含有していた。 コラーゲン特異的架橋は、この段階ではほとんど検出することができなかった。
    【0055】
    膜上でさらに7日間培養した後に形成された基質の調査。
    8日間から14日間の間の培養で、個々の細胞およびその関連基質は、一塊の軟骨性組織に漸次組み込まれていった。 再生した軟骨性組織は、厚さが約1ミリメートルの円板様構造を有していた。 再生した軟骨は、膜を切断することによって組織培養インサートから直ちに回収した。 この組織の組織学的検査によれば、この組織は、トルイジンブルーに濃く染まり、したがってプロテオグリカンに富む軟骨様基質を含有することが明らかにされた(図4)。 この着色は、基質の小腔周囲(細胞周囲)領域で特に濃かった。 軟骨細胞のほとんどは形状が球状であった(表現型が安定な軟骨細胞から予想される通り)。 平坦化細胞(形状が、関節軟骨のほとんどの薄層に見出される軟骨細胞に類似する)の薄層が、培養表面と、組織培養インサートの膜との界面に観察された。 電子顕微鏡の検査によれば、小腔周囲領域内に薄い原線維が存在し、小腔周囲間領域内には原線維が存在しないことが示された。
    【0056】
    培養14日目の組織の生化学分析によれば、生来の関節軟骨基質として、この組織はプロテオグリカンに非常に富み、かなりの量のヒアルロナンを含有していることが明らかにされた。 それとは対照的に、コラーゲンは、軟骨の場合よりも非常に低い濃度で存在していた。 さらに、ピリジノリン架橋の濃度(18ミリモル/コラーゲン1モル)、すなわち架橋によってコラーゲン線維は原線維網状構造の再吸収をより困難にするが、その架橋濃度は関節軟骨の場合よりも非常に低かった。 この組織の剛性は正常な成人の関節軟骨の剛性よりもかなり低いが、それにもかかわらずこの組織は取扱いが容易であった。 整形外科医にとって、必要ならこの組織を関節軟骨表面の欠損部分に圧着させることが容易であるべきである。 好ましくはこの軟骨性組織は、外科医がその組織を欠損部分に圧着させることができるように、実際の欠損部分よりも0.5mm大きいサイズに切断するべきであり、そのように圧着させることによって、移植した組織は患者の軟骨に密接に接触することが可能になると考えられる。 この手法は、患者の関節組織内にその組織を最大限に一体化させる際に有用であると立証することができる。
    【0057】
    アグリカン、正常な関節軟骨の主要プロテオグリカンは、培養14日目で合成された35 S−プロテオグリカンの90%を超える量を構成し、これを基質に組み入れた。 小さい非凝集性35 S−プロテオグリカンを、非常に少ない量で組織から回収した。 新たに合成したコラーゲンの分析によれば、少量のその他の軟骨コラーゲンが検出されたが、軟骨細胞はほとんど軟骨特異的II型コラーゲンを産生することが示された。
    【0058】
    軟骨の機械的性質の測定in vivoで形成された組織は、インサート内で1週間培養した後の平衡密閉型圧縮係数が0.001MPaであり、この値は正常な全層軟骨(約0.4MPa)よりも著しく小さいことが明らかにされた。 同じ時点で、ピーク引張り応力は0.01Mpaであり、この値も正常な全軟骨よりも小さかった。 しかし、どちらの値も培養時間と共に著しく増大した。
    【0059】
    実施例II
    in vivoの動物試験移植する組織の調製。 体重1〜1.5kgのウサギの関節軟骨を、各関節から切断し、プロナーゼおよびコラゲナーゼで順次消化した。 このように得られた軟骨細胞をアルギン酸塩ビーズ内に包封し、1週間培養した。 12週間後、クエン酸ナトリウム溶液を添加することによってビーズを溶解し、細胞およびその細胞関連基質を緩やかに遠心分離することによって回収した。 生理食塩水で洗浄した後、細胞を組織培養インサート(Falcon、カタログ番号3090)内に配置し、20%FBS、25ug/mlのアスコルビン酸、10μg/mlのゲンタマイシンが補われたDMEM/Ham F−12培地で7日間かけて培養することにより軟骨様組織を改質した。 次いで移植用の移植片を組織培養インサートから取り出し、無菌培養管に入れた。
    【0060】
    移植。 12匹のオスのウサギ(3〜3.5kg)に手術を行った。 ケタミンおよびキシロジンの後にイソフラン吸入して全身麻酔した後、ウサギを仰臥位に置いた。 適正な滅菌およびドレーピングの後、膝関節を内側傍膝蓋骨進入路により露出させた。 被膜の切開を行い、膝蓋骨を横方向に転位させた。 膝蓋溝の中心に、3.5mm全層軟骨欠損部分を作製した(生検パンチを使用して)。 次いで欠損部分を以下のように処置した。
    グループ1(対照):欠損部分の処置はしなかった。
    グループ2(軟骨性移植片):軟骨性移植片(以下に述べるように生成した)を欠損部分に置いた。
    次いで全てのケースにおいて、抗生物質を含有する滅菌食塩水で関節を数回洗浄し、層状の縫合糸で閉じた。 動物をケージ内で麻酔から回復させた。 4週間後、その動物を上述のように安楽死させ、軟骨表面の写真を撮った。
    【0061】
    結果:
    グループ1の欠損部分は、白色瘢痕組織によって一部が自発的に修復されたことを示していた。 一方、グループ2の欠損部分には透明な軟骨が充填され、その表面は正常な関節軟骨の表面に似ていた(図5)。
    【0062】
    本発明の実施に際し、本発明の前述の詳細な説明を考慮することによって、当業者なら数多くの変更例および変形例を思い浮かべることが予想される。 したがって、そのような変更例および変形例は、上述の特許請求の範囲内に含まれるものとする。
    【0063】
    PERERENCES
    1. AI Caplan, Nippon Seikeigeka Gakkai Zasshi 63,
    692-9 (1989).
    2. RG Johnson, AR Poole, Exp.Pathol. 38, 37-52 (1990).
    3. R, Mayne, in Structure and Function of Articular
    Cartilage VC Mow, A. Ratcliffe, Eds. (CRC Press,
    Inc., Boca Raton, 1993) pp. 1-48.
    4. JA Buckwalter, JC Pita, FJ Muller, J.
    Nessler, Journal of Orthopaedic Research 12, 144-148
    (1994).
    5. JR Harper, ECM. Connections. 1, 1-4 (1990).
    6. LA MacGinitie, YA Gluzband, AJ Grodzinsky,
    J Orthop Res 12, 151-60 (1994).
    7. J. Mizahi, A. Maroudas, Y. Lanir, I. Ziv, TJ
    Webber, Biorheology. 23, 311-330 (1986).
    8. CB Knudson, J. Cell Biol. 120, 825-834 (1993).
    9. JJ Wu, PE Woods, DR Eyre, J.Biol.Chem. 267,
    23007-23014 (1992).
    10. DAHendrickson, et al., J Orthop Res 12, 485-97 (1994).
    11. HJHauselmann, et al., Am J Physiol 271,C742-52 (1996).
    12. DA Grande, MI Pitman, L. Petersen, D. Menche,
    M.Klein,Journal of Orthopaedic Research 7,208-218 (1989).
    13. MP Fernandez, et al., J. Biol. Chem. 263, 5921-5925
    (1988).
    14. K. Von Der Mark, Rheumatology 10, 272-315 (1986).
    15. RMSchinagl, et al., J Orthop Res. 15: 499-506, (1997).
    16. MK Kwan, et al., J Biomech Eng. 114: 149-153, (1992).
    17. GEKempson, Biochem Biophys Acta. 1075: 223-230, (1991).

    【図面の簡単な説明】
    【図1】 本発明により可移植性軟骨基質を製造するための全体的なプロセスを概略的に示す図である。
    【図2】 細胞とその細胞関連基質を、さらに除去された基質およびアルギン酸塩ゲルから分離するための方法を示す図である。
    【図3】 半透膜上での培養法を示す図である。
    【図4】 本発明により産生したin vitro再生軟骨基質の組織学上の外観を示す図である。 ウシ関節軟骨細胞を、20%FBSと、有効な量の成長因子と、10μg/mlのゲンタマイシンと、25μg/mlのアスコルビン酸を1.2%アルギン酸塩に溶かしたものを含有するDMEM/F12で培養した。 7日間培養した後、55mMのクエン酸ナトリウム、0.15Mの塩化ナトリウム、pH6.8でビーズを溶解した。 得られた細胞とその関連基質の懸濁液を、100gで10分間遠心分離した。 ペレットを、上述のものと同じ培地に再懸濁した。 さらに7日間培養した後、各インサートを組織培養プレートから除去し、組織をトルイジンブルー染色によって組織構造調査用に処理した。
    【図5】 in vitro形成した軟骨組織の再移植後1ヵ月の、軟骨欠損の修復を示す図である。

    QQ群二维码
    意见反馈