Cell culture

申请号 JP2011155433 申请日 2011-07-14 公开(公告)号 JP2011250791A 公开(公告)日 2011-12-15
申请人 Yen Choo; チョー,イェン; 发明人 CHOO YEN;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide improved technologies for regulating cell processes such as culturing, proliferating, differentiating, metabolic activity and expression of phenotype, etc., of the cells.SOLUTION: This method for obtaining differentiated cells from stem cells in vitro comprises (a) a step of proliferating the stem cells attached to micro-carriers or beads, or enclosed or captured in a medium penetrable barrier in a culturing medium, (b) a step of moving the micro-carriers of the cells in the step (a) from one culturing medium to another culturing medium, (c) a step of repeating the step (b) as necessary by an optional selection, and (d) a step of obtaining the differentiated cells.
权利要求
  • (a)培養培地においてマイクロキャリアーまたはビーズに接着され、培地透過性バリアーに閉じ込められているか、または捕捉された幹細胞を増殖させるステップと、
    (b)ステップ(a)の細胞を、ある培養培地から別の培養培地に移動させるステップと、
    (c)任意選択により、必要であればステップ(b)を反復するステップと、
    (d)分化した細胞を得るステップとを含む、インビトロにおいて幹細胞から分化した細胞を得る方法。
  • 分化した細胞が、マイクロキャリアー又はビーズからの酵素的脱着によって単離される請求項1に記載の方法。
  • 分化した細胞が、マイクロキャリアーの消化によって単離される請求項1または2に記載の方法。
  • (a)培地透過性バリアー内で、マイクロキャリアーまたはビーズに幹細胞を播種するか、または幹細胞を捕捉するステップと、
    (b)培地透過性バリアー内に閉じ込められ、マイクロキャリアーまたはビーズに接着された、または捕捉された前記細胞を増殖させるステップとを含む、インビトロにて幹細胞を増殖させる方法。
  • (a)細胞がマイクロキャリアーまたはビーズに接着され、培地透過性バリアーに閉じ込められているか、または捕捉された細胞ユニットを形成するステップと、
    (b)一連の細胞培養条件に細胞ユニットを段階的に曝露するステップと、
    (c)細胞プロセスを誘導するステップとを含む、インビトロで細胞において細胞プロセスを誘導する方法。
  • マイクロキャリアーまたはビーズに接着され、培地透過性バリアーに閉じ込められているか、または捕捉された幹細胞及び幹細胞に由来する分化した細胞を増殖させることを含む、幹細胞及び幹細胞に由来する分化した細胞を培養する方法。
  • 前記細胞が、選択された培養条件に曝露される請求項6に記載の方法。
  • 前記細胞が、少なくとも1つの培養条件の変化を受ける請求項7に記載の方法。
  • 培養条件の前記変化が、培地の変化を含む請求項8に記載の方法。
  • 細胞のプールが作られ、反復してサブ分割される請求項6〜9のいずれか1項に記載の方法。
  • (a)異なる条件で増殖された一以上の細胞培養物を組み合わせるステップと、
    (b)共通の条件で細胞を培養するステップとを含む請求項6〜10のいずれか1項に記載の方法。
  • (a)細胞培養物をインキュベートするステップと、
    (b)前記細胞培養物を2以上の細胞の群に分割するステップと、
    (c)前記細胞の群を2以上の異なるセットの培養条件で培養するステップとを含む、請求項6〜11のいずれか1項に記載の方法。
  • マイクロキャリアーが、プラスチック;ポリマー;セルロース、デキストラン、アガロースまたはアクリルアミドのような高分子;またはガラスのような無機材料を含む請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  • 細胞が、DEAE、TLC、QAE、TEAEのようなセルロース繊維中、またはセラミックカートリッジ中に捕捉される請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  • 細胞が、多能性細胞である請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  • 说明书全文

    本発明は、細胞培養、特に、初代培養細胞、細胞系、多能性細胞、全能性細胞、および幹細胞の培養、および細胞培養条件の調整を通じてのそれらの種々の細胞プロセスの調節に関する。 本発明は細胞経路を調整するための複数の条件下における複数培養ステップの使用に関し、増殖、分化および代謝活性のような細胞プロセスに対する種々の複数培養ステップ処方の効果を決定する方法を提供する。

    近年、細胞培養はライフサイエンスにおいて核心的な技術となった。 細胞培養は、「BasicCell Culture」OxfordUniversity Press(2002)Ed. J. M. Davis;および「AnimalCell Culture' Oxford University Press(2000)Ed.John R.W.Mastersに記載されている。両文献は、本明細書に参照することにより組み込む。細胞培養は細胞の生存性、表現型、遺伝子型、増殖および分化のような細胞プロセス、生物学的分子、中間体および産物の形成を研究するための基礎を提供する。また、単離された状態におけるか、または全トランスジェニック動物におけるかを問わず、これらのプロセスの、遺伝子レベルから、個々のタンパク質分子のレベルへの調節を調べる手段も提供する。現在の生物学の状態に対するその多大な貢献にもかかわらず、多くの点で、細胞培養は、遺伝子治療および組織エンジニアリングの可能性を究極的には提供する著しく活発な科学であるにもかかわらず、開発原理に止まっている。

    細胞培養の重要な目標は、広く種々の細胞をインビトロで増殖することができることである。 培養で増殖させることができる異なる細胞型のリストは広く存在し(AmericanType Culturecollection,http://www.atcc.org;EuropeanCollection ofCell Cultures,http://www.ecacc.org.uk;DeutscheSammlung vonMikroorganismen und Zellkulturen GmbH,http://www.dsmz.de)、ほとんどの細胞型の代表的なものを含み、より多くの培養条件が発見するに従って益々増加しつつある。 この分野における定常的な進歩にもかかわらず、新しい細胞型のための適当な培養条件を決定する方法は全く経験的なものに止まっており;増殖条件はほとんど常に試行錯誤による。 出発点の選択は、しばしば、以前に同様な細胞について他者によって何が用いられたか、または、異なる細胞について現在実験室で何が用いられつつあるかに基づいている。 これらは単に完全に不適切であることが何度もあるであろうし、試行錯誤のプロセスが新しく始まるに違いない。 新しい培養条件が成功した場合でさえ、以前のプロトコルの適合は歴史的なバイアスを実験に導入してしまうであろうということを明記しておくのは重要である。 例えば、初期の組織培養実験の多くは線維芽細胞を盛んに使用し、今日まで、ほとんどの標準的な細胞培養条件は、中胚葉(線維芽細胞、内皮細胞、筋芽細胞)に由来する細胞の増殖に好都合である。 これらの条件に基づく上皮および他の細胞型に対する選択的培養培地の開発は挑戦であった。 これらの細胞型のいくつかについては、今日、血清(中胚葉細胞のための多くの培養培地の通常の成分である)は、現実には増殖を阻害する。 本明細書中に記載した本発明の1つの態様は、特定の細胞型の生存性、増殖または成長、およびその表現型の保持を可能とする適当な培養条件を開発する方法である。

    細胞増殖に好都合である条件とは別に、現代の組織培養における特に重要なステップは、細胞の分化を特定の表現型に向けて制御または指令することができることである。 細胞系の増殖は細胞数が増加することを必要とするので、最大細胞増殖に好都合なように、非常に多数の培養条件が開発されてきた。 これらの条件は、細胞分化を導かず、細胞増殖はしばしば限定されるか、または増殖しなくなりさえするのは驚くべきことではない。 細胞増殖に好都合な条件は、一般に、低い細胞密度、低いCa 2+濃度、および表皮細胞成長因子(EGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)および血小板由来成長因子(PDGF)のような成長因子の存在である。 他方、サイトスタシス(細胞増殖抑制)および分化は、高い細胞密度、高いCa 2+濃度、およびホルモン(例えば、ヒドロコルチゾン)、パラクリン因子(例えば、IL−6、KGF、NGF)、レチノイド、およびジメチルスルホキシド(DMSO)のような平面極性化合物のような分化インデューサーの存在の条件において促進される。 よって、異なる条件が特定の細胞系の増殖および分化に必要とされ、勿論、これらの各々の条件は異なる系の細胞の間で異なるであろう。 本明細書中に記載の本発明の第二の態様は、細胞の選択的分化を可能とする適当な培養条件を発見する方法である。

    細胞培養において依然として直面するいくつかの共通の問題は、初代培養細胞系の限定された寿命、継代に伴う細胞系の特徴の変化、および興味深い細胞特徴の喪失に伴うそれらの形質転換である。 これらの効果は、実験またはアッセイ、例えば、後に記載する細胞ベースのアッセイで用いられる培養細胞の利用性をひどく限定する。 初代培養細胞、すなわち、新たに組織から単離された細胞は、断然、ほとんどの正確な細胞培養モデルを提供する。 というのは、初代培養細胞は、その起源の組織に広く似た挙動をするからである。 顕著なことには、初代培養細胞を培養する信頼できる方法は、依然として開発されておらず、その結果、これらの細胞はインビトロにおいて限定された寿命を呈する。 これは、例えば、初代培養を増殖させようと試みる場合、あるいは長期実験を行おうと試みる場合に、ひどい技術的な制限となる。 初代培養の使用に関連するさらなる問題は、それが一定の新鮮な単離を必要とするので、特に、ヒトからの初代培養材料を源とするのは困難であり、また、合致して挙動する系を得るのは困難であることである。 本発明の第三の態様は、従って、寿命の延長した生きた培養物を得るための初代培養細胞の培養方法である。

    初代培養がインビトロにて延長された期間維持されれば、それは、初代培養は、細胞の大部分が死滅する危機を受けるが、生存する細胞はより長く生き、無限に培養できる。 これらの継続的細胞系のほとんどは、細胞のほとんどが、無傷動物組織で見出されているような普遍的に貧弱な提示である。 この1つの理由は、細胞が不滅状態となるのを可能とするプロセスもまた細胞の特徴に影響を与えるという事実である。 例えば、ほとんどの確立された細胞培養物は、組織特異的遺伝子の発現を停止させ、その代わり、細胞培養において継続的増殖に必要なハウスキーピング遺伝子を発現するに過ぎず−その結果、元来源とした組織よりも、ほとんどのそのような細胞系同士で相互に似ている。 例えば、ほとんどの肝細胞系は、通常、それを薬物毒性のテストのための興味深いツールとなる薬物代謝酵素の発現を停止してしまっている。 本明細書中に記載の本発明のさらなる態様は、それが組織のより正確なモデルを提供するように細胞を培養する方法である。 これは、今度は、細胞ベースの実験およびアッセイの信頼性および予期能を改良するであろう。

    細胞を培養するための改良された技術、および増殖、分化、代謝活性、および表現型表現のような細胞プロセスの調節のためのそのような技術を発見し、それを実施する方法に対する要望が存在する。

    Basic Cell Culture」Oxford University Press(2002)Ed. J. M. Davis Animal Cell Culture' Oxford University Press(2000)Ed. John R. W. Masters

    本発明は、細胞培養が、所望の効果を達成するための規定された順序で実行される一連の培養ステップを含む動的なプロセスとして良好にアプローチされるという概念に基づく新規な細胞培養技術を提供する。 本発明は、選択された薬剤に対する系列的暴露を開発して、細胞プロセスを調整し、従って、従来の技術によって従来は達成できなかったこれらを超える制御のレベルを達成することができることを認識する。

    本発明は、複数のステップおよび薬剤に関連する細胞培養技術が、もし、試行錯誤を伴う従来の実験によって決定するのが不可能であれば、現実面では困難である問題に立ち向かう。 慣用的な細胞培養の面倒な性質のため、複雑な多工程手法による組織培養条件の経験的な決定は、膨大な仕事の負荷を伴うため、現実には可能ではない。

    第一の態様において、本発明は、
    (a)各々が1以上の細胞を含む細胞ユニットの群の第一の組を提供し、前記群を所望の培養条件に暴露するステップと、
    (b)前記群の1以上をサブ分割して、細胞ユニットの群のさらなる組を作るステップと、
    (c)前記さらなる群をさらなる所望の培養条件に暴露するステップと、
    (d)任意選択により、必要に応じて、ステップ(b)〜(c)を繰り返し反復するステップと、
    (e)細胞が暴露された培養条件の所与の細胞ユニットに対する効果を評価するステップとを含む、細胞に対する複数の培養条件の効果を決定する方法を提供する。

    有利には、本発明による細胞の群はプールであり、引き続いて分割される。 従って、好ましい実施形態において、本発明は、
    (a)各々が1以上の細胞を含む細胞ユニットの群の第一の組を提供し、前記群を所望の培養条件に暴露するステップと、
    (b)前記群の2以上をプールして、少なくとも1つのプールを形成するステップと、
    (c)前記プールをサブ分割して、細胞ユニットの群のさらなる組を作るステップと、
    (d)前記さらなる群を所望の培養条件に暴露するステップと、
    (e)任意選択により、必要に応じ、ステップ(b)〜(d)を繰り返し反復するステップと、
    (f)細胞が暴露された培養条件の所与の細胞ユニットに対する効果を評価するステップとを含む、細胞に対する複数の培養条件の効果を決定する方法を提供する。

    本発明は、表現型、遺伝子型、分子生産、生存率、および細胞の増殖および分化を含む全ての細胞プロセスに取組む。 好ましくは、本発明を用いて、細胞分化をもたらす条件を同定する。 例えば、細胞を適当な培養条件に付すことによって、細胞を誘導して所望の分化経路に沿って分化させることができる。 また、培養条件の変化のタイミングを開発して、細胞の開発プログラムを良好に規定する。

    培養条件は、増殖培地、増殖培地に存在する化学的、分子的、および高分子的薬剤、温度処方、基質、雰囲気条件、物理的細胞取扱を含む。

    コンビナトリアル細胞培養、またはスプリットプール培養として知られた本発明の前記方法は、細胞が、系統的にまたは高度に生産的に、一連の培養条件に供され、および培養培地中の一連の薬剤に暴露されるのを可能とする。

    分割およびプーリングの反復周期をかなり効率的に用いることができるが、コンビナトリアル・ケミストリープロトコルと同様に、必要なプロセッシングパワーを仮定すれば、(再度プーリングすることなく)少なくとも2つの順次のスプリッティング工程を含むプロトコルを使用することができる。 そのようなプロトコルの不利は、種々に扱われてきた非常に多数の別々の試料を迅速に生じさせることができることである。 しかしながら、利点は、各々の試料が面倒なデコンヴォルージョン(deconvolution)を必要としないことである。 というのは、そこでの細胞ユニットは条件の1つの組に暴露されたに過ぎないからである。 従って、安定な試料取扱施設を仮定すれば、スプリッティングアプローチは迅速な結果を生じさせることができる。

    本発明は細胞ユニットを使用する。 そのような細胞ユニットは単一の細胞とすることができるが、有利には、2以上の細胞のコロニーであり、これは、それらがスプリットプール培養手法の間においてさえ破壊に対して抵抗性であるように配置される。 例えば、細胞は後にさらに詳細に記載するようにビーズのような固体基材上で培養することができる。

    有利には、細胞ユニットは標識される。 標識は、細胞が暴露された培養条件の以下のもの、または異なる培養条件に暴露されるような細胞ユニットの以下のものを可能とする。 従って、いずれかの所与の細胞ユニットは、それがどのようにして開始細胞プールまたは培養に由来したかを判断するために、読まれるその標識を有することができる。 標識は核酸標識、放射線周波数暗号化タグ、蛍光または光学的タグ、および表面またはマトリックス表面の細胞ユニットの空間的暗号化を含む、種々の分子または物理的形態のいずれかを取ることができる。

    本発明の方法は、数千または数百万の細胞培養条件および試薬が、多重ハイスループットアッセイでテストされて、いずれかの細胞プロセスに関する所望の結果を達成するのに必要な条件を決定することを可能とする。

    従って、本発明は、
    (a)各々が1以上の細胞を含む細胞ユニットの群の第一の組を提供し、前記群を所望の培養条件に暴露するステップと、
    (b)前記群の1以上をサブ分割して、細胞ユニットの群のさらなる組を作るステップと、
    (c)前記さらなる群をさらなる所望の培養条件に暴露するステップと、
    (d)任意選択により、必要に応じ、ステップ(b)〜(c)を繰り返し反復するステップとを含む、種々の細胞培養条件に細胞を暴露する方法を提供する。

    好ましい実施形態においては、前記したように、プーリング手法を使用する。 そのような実施形態においては、本発明は、
    (a)各々が1以上の細胞を含む細胞ユニットの群の第一の組を提供し、前記群を所望の培養条件に暴露するステップと、
    (b)前記群の2以上をプールして、少なくとも1つの第二のプールを形成するステップと、
    (c)第二のプールをサブ分割して、細胞ユニットの群のさらなる組を作るステップと、
    (d)前記さらなる群を所望の培養条件に暴露するステップと、
    (e)任意選択により、必要に応じ、ステップ(b)〜(d)を繰り返し反復するステップと、
    (f)それが暴露された培養条件の所与の細胞ユニットに対する効果を評価するステップとを含む、細胞に対する複数の培養条件の効果を決定する方法を提供する。

    さらなる態様において、本発明は、
    (a)本発明の前記態様に従い、細胞ユニットに対する1以上の培養条件の効果を測定するステップと、
    (b)前記培養条件に暴露する場合の前記細胞ユニットにおける遺伝子発現を分析するステップと、
    (c)所望の培養条件下で差異的に発現される遺伝子を同定するステップとを含む、細胞プロセスに影響する遺伝子を同定する方法を提供する。

    有利には、用いる培養条件は細胞プロセスの変化を引き起こすものであり、これらの培養条件は遺伝子発現が分析される細胞の生産について選択される。 遺伝子発現は、便宜には、PCRベースの技術、遺伝子発現の系列的分析(SAGE)、またはAffymetrixのような供給業者から広く入手可能なアレイ技術を含む、いずれかの比較発現モニタリング技術を用いて分析することができる。

    もう1つの態様において、本発明は、前記遺伝子を同定し、次いで、核酸合成または生物学的複製によって前記遺伝子の少なくともコード領域を製造することを含む、細胞プロセスに影響する遺伝子産物をコードする核酸の製造方法を提供する。

    さらなる態様において、
    (a)本発明に従った細胞プロセスに関連して差異的に発現される1以上の遺伝子を同定するステップと、
    (b)前記1以上の遺伝子の細胞における発現を調整するステップとを含む、細胞において細胞プロセスを誘導する方法が提供される。

    細胞における遺伝子の発現は、例えば、それが一過性または永久に過剰発現されるようにトランスフェクトし、またはそうでなければ遺伝子を細胞に導入することによって調整することができる。 あるいは、内因性遺伝子の発現は、標的化エンハンサーの挿入、または遺伝子の発現の増加(例えば、余剰のインデューサー)または減少(例えば、アンチセンス、RNAi、転写因子)を引き起こす外因性薬剤の投与によるなどして変化させることができる。 さらに、遺伝子産物はそれ自体細胞に投与され、あるいは細胞に導入されて、その活性の増加を達成することができる。 さらに、遺伝子産物の活性を増加または減少させる薬剤(例えば、競合的および非競合的阻害薬剤、薬物、医薬)を細胞に投与することができる。

    なおさらなる態様において、本発明は、
    (a)前記した細胞プロセスに関連して差異的に発現される1以上の遺伝子を同定するステップと、
    (b)細胞における前記1以上の遺伝子の発現の調整を検出し、それにより、前記細胞における細胞プロセスの状態を判断するステップとを含む、細胞において細胞プロセスの状態を同定する方法を提供する。

    有利には、この分析で使用する遺伝子は、例えば、イムノアッセイによって検出できる細胞マーカーをコードする。 あるいは、遺伝子産物は、蛍光測定、色測定、放射線測定または他の方法で活性についてアッセイすることができる酵素であり得る。

    本発明は、さらに、
    (a)本発明の前記態様に従って、細胞ユニットに対する1以上の培養条件の効果を測定するステップと、
    (b)細胞プロセスの変化を行う培養条件に細胞を暴露するステップと、
    (c)所望の細胞を単離するステップとを含む、細胞プロセスを調節する方法を提供する。

    従って、本発明は、本発明の前記態様に従って、二能性、多能性、または全能性先祖から分化した細胞を生産する方法を提供する。 分化した細胞、特に部分的に分化した多能性細胞、または発生的に決定されたが未分化の先祖細胞は、薬物発見、細胞治療、および規定された系列の細胞が必要とする他の手法で有用である。

    また、
    (a)本発明の前記態様に従って、細胞ユニットに対する1以上の薬剤の効果を測定するステップと、
    (b)細胞ユニットにおいて所望の細胞プロセスを誘導する薬剤を同定するステップとを含む、細胞プロセスを誘導することができる薬剤を同定する方法が提供される。

    本発明に従って同定された薬剤は従来の化学的、生化学的または他の技術によって合成することができ、例えば本明細書中に記載の細胞において特定の細胞プロセスを調節する方法で用いられる。

    本発明は、さらに、広く、マイクロキャリアーまたはビーズのような固体キャリアーに接着された細胞を培養する方法を提供する。 そのようなキャリアーは、セルロース、デキストラン、アガロースまたはアクリルアミドのような高分子、あるいはガラスのような無機材料より構成することができる。 キャリアーの表面は、さらに、所望の電荷または他の所望の特徴を持つ分子体の吸着または共有架橋結合のような物理的または化学的処理によって修飾することができる。 あるいは、キャリアーは、細胞より小さいサイズの材料の灌流を可能とするマトリックス内にカプセル化された細胞または複数細胞よりなることができる。 マイクロキャリアー培養は、培養のスケールアップを含むかなりの利点を有し、所望の細胞プロセスを引き起こすのに必要な選択された培養条件に細胞ユニットを便宜に暴露させるのを可能とする。 従って、最も広い実施形態において、本発明は、マイクロキャリアーまたはビーズに接着した細胞を増殖させることを特徴とするインビトロで細胞を培養する方法を提供する。

    有利には、細胞は培養条件の少なくとも1つの変化に供される。 好ましくは、それらは2、3、4、5、6、7、8、9または10以上の異なる培養条件に供される。 好ましくは、培養条件の前記変化は培地の変化を含む。

    本発明は、さらに、細胞を培養する方法を提供し、本発明のこれまでの実施形態について記載されたように、細胞のプールが作られ、サブ分割される。 従って、1つの態様において、
    (a)異なる条件下で増殖された細胞の1以上の培養を合わせるステップと、
    (b)前記細胞を通常の条件下で培養するステップとを含む、インビトロにて細胞を培養する方法が提供される。

    さらなる実施形態において、
    (a)細胞培養をインキュベートするステップと、
    (b)前記培養を細胞の2以上の群に分割し、培養条件の2以上の異なる組下で細胞の前記群を培養するステップとを含む、インビトロで細胞を培養する方法が提供される。

    好ましくは、細胞を3、4、5、6、7、8、9、10以上の異なる培養条件に暴露する。 用いる培養条件は、有利には、培地の変化を含む。 本発明は、さらに、広く、ビーズのようなマイクロキャリアーに接着された、インビトロにて幹細胞、および幹細胞に由来する分化された細胞を培養する方法を提供する。 マイクロキャリアー培養は、培養のスケールアップを含むかなりの利点を有し、所望の増殖および/または分化条件を得るのに必要な選択された培養条件に幹細胞のユニットを暴露するのを可能とする。 従って、1つの実施形態において、本発明は、マイクロキャリアーまたはビーズに接着された前記細胞を増殖することを含むインビトロにて幹細胞、および幹細胞に由来する分化された細胞を培養する方法を提供する。

    有利には、前記培養は培養条件の少なくとも1つの変化に供される。 好ましくは、それらは2、3、4、5、6、7、8、9または10以上の異なる培養条件に供される。 好ましくは、培養条件の前記変化は培地の変化を含む。

    本発明は、さらに、幹細胞を培養する方法を提供し、本発明のこれまでの実施形態について記載されたように、幹細胞のプールが作られ、サブ分割される。 従って、1つの態様において、
    (a)異なる条件下で増殖された細胞の1以上の培養を合わせるステップと、
    (b)通常の条件下で細胞を培養するステップとを含む、インビトロにて、幹細胞、および幹細胞に由来する分化された細胞を培養する方法が提供される。

    さらなる実施形態において、
    (a)幹細胞培養をインキュベートするステップと、
    (b)前記培養を幹細胞の2以上の群に分割し、2以上の異なる組の培養条件下で前記幹細胞の群を培養するステップとを含む、インビトロにて、幹細胞、および幹細胞に由来する分化された細胞を培養する方法が提供される。

    好ましくは、細胞は3、4、5、6、7、8、9、10以上の異なる培養条件に暴露される。 用いる培養条件は、有利には、培地の変化を含む。

    有利には、細胞または幹細胞は細胞ユニットで培養され、各細胞ユニットは1以上のそのような細胞を含む。 例えば、細胞ユニットは単細胞であり得る。

    しかしながら、各細胞ユニットは、マイクロキャリアーまたはビーズのような固体基材に接着された、または結合した1以上の細胞または幹細胞を含むことができる。 さらなる固体基材はウェルまたは培地浸透性バリアーを含む。

    本発明による細胞または幹細胞を培養する方法は、適当なバイオリアクターにおいてスケールアップすることができる。 例えば、本発明の方法は50g乾燥重量を超えるマイクロキャリアーを用いて実施することができる。

    3ラウンドにわたって行われた分割プール細胞培養の例を示す。 細胞ユニットの群は、所与の条件下で増殖させることによって得られる。 細胞ユニットは球として描かれ、細胞ユニットの群はフラスコ中に示される。 細胞ユニットは3つのアリコットに分割され、これは、A、B、Cで示される異なる増殖条件下で2日間培養する。 細胞ユニットは引き続いてプールされ1回以上3つのアリコットに分割され、これは条件D、EまたはF下で増殖される。 2ラウンドのこのプロトコルの後、種々の細胞群は細胞培養条件の全ての可能な組合せに暴露することが理解される。

    分割プール細胞培養のさらなる例を示す。 この場合、実験は3つの群A、BおよびCで始まる。 試料は第1の工程でプールされ、引き続いて、群D、EおよびFに分割される。

    分割プール方法の変形を示し、ここに、群A、BおよびCからの試料は先立ってのプーリングなしで群D、EおよびFに直接分割される。 個々の細胞群の分割はランダムであってよく、あるいは所定のものであってよい。

    分割プールのさらなる変形を示し、そこでは細胞群A、BおよびCは細胞群D、EおよびFに先立ってのプーリングなしで分割され、他方、第2の工程においては、細胞群D、EおよびFはプールされ、引き続いて細胞群G、HおよびIに分割される。

    第1の工程を含む分割―分割プロトコルを示し、ここに、細胞群Aは分割されて、細胞群B、CおよびDを形成し、および第2の工程を示し、そこでは細胞群B、CおよびDは分割され、細胞群E〜Mを形成する。

    分割−分割工程を含む分割プールプロトコルを示す。 2ラウンドの分割およびプーリングの後、細胞群A、BおよびCは先立ってのプーリングなしで分割され、その結果細胞群A、BまたはCに種々に由来する3つの細胞群系統が得られる。 分割−分割工程を含むことを用いて、細胞効果を生じさせるにおいて細胞培養条件の役割を推定することができるのを注意されたい。 例えば、もし細胞効果が系統Aのみから誘導された細胞ユニットで観察され、系統A、BおよびCの多様性に引き続いての種々の細胞グループ分けでアッセイされた細胞培養条件が同一であると仮定すれば、分岐点における細胞群Aの培養の条件は細胞効果に対して必須であるに違いない。 また図1〜6で示した方法は多数の組合せで用いることができるのにも注意されたい。

    プロトンマイクロキャリア―(Cytopore2,AmershamBiosciences)に付着したキメラTau−緑色蛍光タンパク質を発現する多能性胚様幹細胞を示す。

    パネルA〜Hは、グリア細胞マーカーGFAPの発現用の抗体染色によって測定される分化を受けるTau−緑色蛍光タンパク質(GFP)融合タンパク質を発現するES細胞および多孔性マイクロキャリアーCultispherGを含む細胞ユニットを示す。 パネルA〜Dは位相顕微鏡(A)下で、および細胞核がDAPI(B)を用いて青色に染色され、(赤色マーカー)GFAP(C)および(緑色)GFP(D)が明らかである蛍光下で、40×対物レンズを用いて観察された細胞ユニットを示す。 パネルCおよびDは、ニューロン突起を包むグリア細胞を思わせる細胞の直線アレイ(白色矢印)であるように見えるものを示す。 パネルE〜Hは、一次抗GFAP抗体が省略された対照細胞ユニットを示す。 パネル1は、非多孔性マイクロキャリアー(Cytodex3、AmershamBiosciences)上で増殖する分化した胚様幹細胞を示す蛍光顕微鏡によって得られた複合イメージを示す。 前記細胞はTau−GFPを発現し、ニューロン特異的タンパク質β−チューブリンIIIに対して生起された蛍光抗体で免疫科学的に赤色に染色される。 黄色着色は、同時の赤色および緑色染色を示す。

    非多孔性マイクロキャリアー(Cytodex3、Amesham Biosciences)に付着したHepG2細胞を含む細胞ユニットの位相(パネルA、C、E)および蛍光(パネルB、D、F)顕微鏡写真を示す。 パネルA/B:エトキシレソルフィンの赤色蛍光生成物の変換を示す陽性対照細胞ユニット;パネルC/D:同様であるが、エトキシレソルフィンは添加せずに培養した陰性対照細胞ユニット;パネルE/F:P450インデューサーβ−ナフトフラボンで処理された、いくつかの細胞ユニットは高いレベルのP450を有し、蛍光生成物へエトキシレソルフィンを迅速に変換することができ(パネルF)、他方、分割プール培養に供された他の細胞ユニットは、高レベルのP450を発現しない多数の細胞が存在する(例えば、パネルEの底部右側で明らかな細胞ユニット)ことを示す、分割プール実験に続いての細胞ユニット。

    RFIDを用いる細胞ユニットの標識を示す。 パネルA:ガラスカプセル化高周波数トランスポンダID100−A(Trovan);パネルB;ガラスカプセル化高周波数トランスポンダのまっすぐなエッジで増殖するTau−GFP融合タンパク質を発現するマウス胚様幹細胞(光学顕微鏡、頂部;蛍光顕微鏡、底部;合わせたイメージ、中央);(C)はガラスカプセル化高周波数トランスポンダの丸い端部で増殖するGFPを発現する胚様幹細胞を示す(光学顕微鏡、頂部;蛍光顕微鏡、底部;合わせたイメージ、中心)。

    マウスES細胞の分割プール培養に続いての分化遺伝子発現を示す。 ES細胞は1μMLiCl(レーン2、5、8、11)または1μMレチノイン酸(3、6、9、12)を加えた、または加えない(レーン1、4、7、10)、ES培地(A)、CDM(B)、またはDMEM(C)中のCytopore2マイクロキャリアーで増殖された。 cDNAは細胞から調製し、等量を、対照遺伝子グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(G3PDH)のためのオリゴヌクレオチドプライマー、および未分化ES細胞のマーカー(Oct4)、ニューロン前駆体(ネスチン)、および内胚葉細胞(HNF3β)を用いるPCRに供した。 写真は、塗りつぶしていないブラケットによって示されるPCR産物の臭化エチジウム−染色アガロースゲルのものである。 「PD」はプライマー−ダイマー産物を示す。

    マイクロキャリアーの標識を示す。 パネルA〜D:ストレプトアビジン−FITCで染色し、位相(A、C)および蛍光(B、D)顕微鏡下で観察されたビオチン化抗コラーゲン抗体と共に(C、D)または(A、13)なしでインキュベートされたCytodex3マイクロキャリアー。 パネルE〜H:ストレプトアビジン−被覆1μM直径赤色蛍光ビーズで染色され、位相(E、G)および蛍光(F、H)顕微鏡下で観察された架橋ビオチン部位を持つ(G、H)または持たない(E、F)CultispherGマイクロキャリアー。

    細胞ユニットの標識を示す。 tau−GFP融合タンパク質を発現するES細胞でシードされたCytodex3ビーズを赤色蛍光ラテックスビーズで標識し、30分後(A〜C)、または24時間後(D〜F)で調べた。 マイクロキャリアーは位相顕微鏡(A、D)を用い、およびフィルターで観察して、緑色(B、E)または赤色(C、F)蛍光を検出した。

    2つの異なる蛍光標識でのマイクロキャリアーの2つの集団の標識を示す。 Cytodex3マイクロキャリアーは赤色または緑色ストレプトアビジンラテックスビーズで別々にインキュベートし、次いで、1:1比率で混合した。 それらは位相顕微鏡(A)を用いておよびフィルターで観察して緑色(C)または赤色(D)蛍光を検出した。 BはC+Dの合わせた写真である。 双方の標識は容易に検出され、有意な標識の移動は検出されなかった。

    2つの異なる蛍光標識でのマイクロキャリアーの二重標識を示す。 Cytodex3マイクロキャリアーを赤色および緑色ストレプトアビジンラテックスビーズの1:1混合物と共にインキュベートした。 それらは位相顕微鏡(A)下でおよびフィルターで観察して、緑色(C)または赤色(D)蛍光を検出した。 BはC+Dの合わせた顕微鏡写真である。 各マイクロキャリアーは二重に標識される。

    位相(パネルA)または蛍光(パネルB)顕微鏡を用いる、細胞プロセスを呈する細胞ユニットの検出を示す。 Tau−GFP融合タンパク質を発現する細胞ユニットは蛍光顕微鏡(B)を用いてバックグラウンドから容易に区別することができ、混合物から手動で単離することができる。

    COPAS Select(UnionBiometrica Inc.,Somerville,MA)機器を用いるマイクロキャリアーおよび細胞ユニットの自動分析からのデータを示す。 パネルAおよびB:PBSで懸濁したCytodex3マイクロキャリアーをソーターを通し、サイズ(時間飛行;TOF)対光学散乱(消光;Ext)[A]について、および緑色蛍光(FLU1)対赤色蛍光(FLU2)[B]についてモニターした。 パネルCおよびD:Ext対TOFのプロット[C]、および蛍光[D]を示す赤色蛍光ラテックスビーズで標識されたCytodex3マイクロキャリアーの分析;パネルBおよびDの比較は、マイクロキャリアーの標識はそれらの赤色蛍光シグナルの増加をもたらすことを示す。 パネルEおよびF:Cytox3、およびTau−GFPトランスジーンを発現するES細胞を含む細胞ユニットの群の分析。 Ext対TOFを示すプロットにおける増大した散乱[E]および広い範囲の緑色蛍光(FLU1)[F]は、細胞数に基づいて分類できる細胞ユニットを明らかにする。

    細胞ユニットを標識するのに用いられるタグの同定を示す。 パネルA〜D:ビオチンで修飾された(A、B)またはそれらの天然未処理状態の(C、D)Cultispherマイクロキャリアーのストレプトアビジン−FITC標識。 パネルE〜G:各々、GFP−標識細胞および赤色蛍光タグを可視化するための位相顕微鏡(E)下、および緑色(F)および赤色(G)エピ蛍光オプティックス下で観察された、Tau−GFP融合タンパク質を発現するES細胞およびストレプトアビジン被覆赤色−蛍光、1μmラテックスビーズ(Sigma)で標識されたビオチン化CultispherGマイクロキャリアーを含む細胞セル。 パネルH〜K:特徴的な前方および側方散乱パラメーター(H;ボックス領域)およびFL3蛍光チャネルにおける特徴的な蛍光強度(I)を示す1μm赤色−蛍光ラテックスビーズ(Sigma)の対照試料を用いるFACSのギャリブレーション。 1μm赤色−蛍光ラテックスビーズ(Sigma)で標識された単一のタンパク質分解により消化された細胞ユニットのFACS分析は、タグについての以前に決定されたサイズパラメーターについてゲーティングし(J;ボックス領域)、続いて、タグに特徴的なFL3チャネル強度の検出によって行うことができる(K)。

    マイクロキャリアーを標識するのに用いられる多数のタグの同定を示す。 パネルA:対照タグで設定された前方/側方散乱パラメーターを用い、4.4μm(ゲートR1)、5.5μm(ゲートR2)、および1μm(ゲートR3)ビーズについてのサイズゲートを提示した。 パネルB〜D:標識されたマイクロキャリアーのタンパク質分解消化のFACS分析は、BangsLabsからの緑色蛍光4.4μmビーズ組no. 5(パネルB);BangsLabsからの緑色蛍光5.5μmビーズ組no. 1(パネルC)、およびSigmaからの1μm赤色蛍光ビーズ(パネルD)に対応するタグの存在を明らかにする。

    <定義>
    <培養条件>
    本明細書中で用いるように、用語「培養条件」とは、細胞の増殖または分化を促進するために細胞が置かれ、または暴露される環境をいう。 従って、前記用語は、細胞の増殖および/または分化に影響し得る培地、温度、雰囲気条件、基材、攪拌条件などをいう。 さらに詳しくは、前記用語は、培養培地に取り込むことができ、細胞の増殖および/または分化に影響し得る特定の薬剤をいう。

    <細胞>
    本明細書中でいう細胞は、全てが半透性細胞膜または細胞壁によって囲まれた、1以上の核、細胞質および種々のオルガネラよりなる、独立して機能することができる生物、または単細胞生物の最も小さな構造ユニットと定義される。 前記細胞は原核生物、真核生物または古細菌であり得る。 例えば、細胞は真核生物細胞であり得る。 哺乳動物細胞、特にヒト細胞が好ましい。 細胞は天然のものであるか、あるいは遺伝子操作または培養における継代によるなどして修飾して所望の特性を達成することができる。 幹細胞は後により詳細に定義され、その1を超える分化した細胞型を生じることができる全能性、多能性または複能性細胞である。 幹細胞はインビトロで分化した細胞を生じ、これはそれ自体が複能性であるか、または終末的に分化させることができる。 インビトロで分化した細胞は、細胞分化を促進する1以上の薬剤に幹細胞を暴露することによって人工的に作られた細胞である。

    <細胞プロセス>
    細胞プロセスは、細胞に起こるか、あるいは細胞に観察されるか、あるいは細胞に帰すことができる、いずれかの細胞内または細胞外の特徴的な機能、プロセス、事象、原因または効果である。 細胞プロセスの例は、限定されるものではないが、生存率、老化、死滅、多能性、形態学、シグナリング、結合、認識、分子生産または破壊(分解)、突然変異、タンパク質フォールディング、転写、翻訳、触媒、シナプス伝達、小胞輸送、オルガネラ機能、細胞周期、代謝、増殖、細胞分裂、分化、表現型、遺伝子型、遺伝子発現、またはこれらのプロセスの制御を含む。

    <細胞ユニット>
    細胞の群であり、1つの群であってもよい。 細胞ユニットのプールは、細胞ユニットが細胞のコロニーとして挙動し、細胞ユニットにおける各細胞が同一の培養条件に暴露されるように、細胞ユニットそれ自体を実質的に解離させることなく分類し、サブ分割し、取り扱うことができる。 例えば、細胞ユニットは、細胞の群に接着するビーズを含むことができる。

    <全能性>
    全能性細胞は、生物において見出された体細胞または生殖細胞のいずれかのタイプに分化する能力を持つ細胞である。 従って、いずれの所望の細胞も、何らかの手段で、全能性細胞に由来することができる。

    <多能性>
    多能性細胞は、1を超えるが、全てではない細胞型に分化することができる細胞である。

    <標識>
    本明細書中で用いる標識またはタグは、細胞ユニットを同定し、および/または細胞ユニットが暴露された培養条件、または培養条件の配列を決定するための手段である。 従って、標識は標識の群であってもよく、各々は特異的な培養ステップに添加され;または細胞ユニットが暴露された培養ステップに従って修飾された、あるいは初期に、あるいは前記ステップの間に追跡された実験の間に添加された標識であり;または用いられる培養工程が推定できるようにする単純に位置的な参照である。 また、標識またはタグは、いずれか1つの時点で細胞ユニットの位置または同一性を報告し、または記録し、あるいは細胞ユニットに独特なアイデンティファイアーに割り当てるデバイスであってもよい。 標識またはタグの例は独特な配列、構造または質量の分子;あるいはビーズのような蛍光分子または物体;あるいは放射線周波数および他のトランスポンダ;またはユニークなマーキングまたは形状を持つ物体である。

    <培養条件への暴露>
    細胞が培地と接触するように置かれるか、または細胞の増殖、分化または代謝状態のような1以上の細胞プロセスに影響する条件下で増殖された場合、細胞は培養条件に暴露される。 従って、もし培養条件が細胞を培地中で培養することを含めば、細胞はそれが効果を有するのに十分な長さの時間培地に入れられる。 同様に、もし条件が温度条件であれば、細胞は所望の温度で培養される。

    <プーリング>
    細胞ユニットの1以上の群のプーリングは、1を超えるバックグラウンドの細胞ユニットを含み、すなわち、培養条件の1を超える異なる組に暴露された単一の群またはプールを作り出すための群の混合物を含む。 プールはさらにランダムにまたはランダムではなく群にサブ分割され;そのような群は本発明の目的ではそれ自体は「プール」ではないが、それ自体は、例えば、培養条件の異なる組への暴露の後に組合せによってプールされる。

    <増殖>
    細胞成長および細胞増殖は、ここでは、異なる細胞型または細胞系譜への分化なしで細胞の数の大きさを示すのに相互交換的に用いられる。 換言すれば、前記用語は生きた細胞数の増加を示す。 好ましくは、増殖は表現型または遺伝子型の認識可能な変化は伴われない。

    <分化>
    細胞分化は、異なる細胞型の、細胞型からの発生である。 例えば、二能性、多能性、または全能性細胞は中性細胞に分化することができる。 分化には増殖が伴うことができ、あるいはそれとは独立していてもよい。 用語「分化」は、一般には、発生的にはあまり定義されていない細胞型からの成熟細胞型、例えば、ニューロン、またはリンパ球の表現型の獲得をいうが、トランス分化を排除せず、それにより、1つの成熟細胞型はもう1つの成熟細胞型に変換することができ、例えば、ニューロンはリンパ球に変換することができる。

    <分化の状態>
    細胞の分化の状態は、細胞が特定の経路または系譜に沿って分化されたレベルである。

    <細胞プロセスの状態>
    細胞プロセスの状態は、細胞プロセスが起こりつつあるか、またはそうでないかをいい、複雑な細胞プロセスでは、その細胞プロセスにおける特定のステップまたは段階を示すことができる。 例えば、細胞における細胞分化経路は不活性であるか、あるいは誘導されており、酵素または中間体の特徴的な組の存在によって特徴付けられるシグナリング事象のような区別されるステップまたは成分の数を含むことができる。

    <遺伝子>
    遺伝子は、それがポリペプチドまたはRNA遺伝子産物であるかを問わず遺伝子産物をコードする核酸である。 本明細書中で用いるように、遺伝子は遺伝子産物をコードするコード配列を少なくとも含み;それは、所望により、コード配列の転写および/または翻訳に必要な1以上の調節領域を含むことができる。

    <遺伝子産物>
    遺伝子産物は、典型的には、慣用的方法で遺伝子によってコードされるタンパク質である。 しかしながら、前記用語は遺伝子によってコードされるリボ核酸のような非ポリペプチド遺伝子産物も含む。

    <核酸合成>
    核酸は、いずれかの入手可能な技術に従って合成することができる。 好ましくは、核酸合成は自動化される。 さらに、核酸は、当分野で公知の手法に従って、細菌または真核生物細胞におけるクローニングおよび複製によるような、生物学的複製によって生産することができる。

    <差異的な発現>
    細胞培養条件に応答した異なるレベルで発現される遺伝子は、当分野で知られた方法によって、遺伝子アレイ上のような遺伝子発現分析によって同定することができる。 差異的に(differential)発現された遺伝子は、総じて遺伝子発現レベルに対して、別の条件下よりもテスト条件下で細胞におけるmRNAまたは遺伝子産物のより大きなまたはより小さな量を呈する。

    <トランスフェクション>
    遺伝子は、いずれかの適当な手段によって細胞にトランスフェクトすることができる。 前記用語は、ここでは、例えば、リン酸カルシウムを用いる従来のトランスフェクションを意味するように用いられるが、形質転換、ウイルス導入、電気穿孔などを含む、核酸を細胞に導入するための他の技術も含む。

    <調整>
    前記用語調整は、調整されるべきパラメーターの増加および/または減少を意味するように用いられる。 従って、遺伝子発現の調整は、遺伝子発現の増加および遺伝子発現の減少を共に含む。

    <細胞ベースのアッセイ>
    細胞ベースのアッセイは現代の生物医薬科学の重要な一部であり、細胞が用いられる工程を含むいずれかのアッセイを含む。 細胞ベースのアッセイを、薬物発見および開発プロセスのほとんど全ての段階にわたって用いることができ、どのようにして化合物が単離された潜在的薬物標的と相互作用するかについてではなく、どのようにして化合物が生物学的系で相互作用するかについての情報を提供するのに貴重である。

    例えば、細胞ベースのアッセイを用いて、潜在的薬物標的を同定し、確認することができる。 病気プロセスに関与する遺伝子または細胞経路を同定するのに、標的遺伝子の機能を判断するのに、あるいはある種の遺伝子またはそれらの産物の活性化に際して誘導することができる表現型の変化を決定するのに用いることができる細胞ベースのアッセイが開発されている。

    細胞ベースのアッセイは、リード化合物の発見、選択および最適化のための薬物発見で用いることができる。 伝統的なハイスループットスクリーニングアッセイでしばしば用いられる生化学アッセイとは異なり、細胞ベースのアッセイは、吸収、浸透性、選択性、特異性および代謝のような薬物特性に関連する情報を提供することができる。 その結果、細胞ベースのスクリーニングの後に選択されるリード化合物は良好に特徴付けられており、価値あるリードをより提供するようであって、薬物発見プロセスの引き続いてのフェーズでより排除されないようである。

    細胞ベースのアッセイの主な適用は毒性スクリーニングである。 薬物の発見および開発の非常に重要な部分は、副作用を引き起こす化合物を排除するための薬物候補のスクリーニングである。 しかしながら、現在の方法は大いに不適切であり、特に、毒性スクリーニングのための動物モデルの使用は費用がかかり、時間を消費するものである。 加えて、動物モデルは信頼できない。 なぜならば、これらのモデルにおける結果は、どのようにして化合物がヒトで実行されるかを常には正確に予測しないからである。 従って、ヒト細胞ベースのスクリーニングが好ましい。

    <幹細胞>
    幹細胞はStem Cells:ScientificProgress andFuture ResearchDirections. Department of Health and Human Services. June 2001. http//www. nih. gov/news/stemcell/scireport. htmに詳細に記載されている。 参照することにより前記報告の内容を本明細書に組み込む。

    幹細胞は、分化して少なくとも1つの、時々は多くの特殊化した細胞型を形成することができる細胞である。 幹細胞から形成することができる異なる細胞のレパートリーはあますところがないと考えられている;すなわち、生物を作り上げる異なる細胞型の全てを含む。 幹細胞は生物の寿命を通じて、それが比較的豊富である初期の胚から、それが比較的稀である生体まで存在する。 生体動物の多くの組織に存在する幹細胞は正常な組織の修復およびホメオスタシスで重要である。

    これらの細胞の存在は、それが、ヒトに移植されて、病気組織において死滅したまたは非機能細胞を置き換えることができる特殊化機能細胞を作り出す手段を提供する。 これが治療を提供することができる病気のリストはパーキンソン病、糖尿病、脊髄負傷、発作、慢性心臓病、末期腎臓病、心疾患および癌を含む。 細胞置換療法が幹細胞において少なくとも2つの主な大進歩において可能となるためには、研究が必要である。 第一に、細胞の治療的に関連する用量を製造することができるように開発される必要がある十分な数まで幹細胞を増殖させるための条件。 理想的には、大規模な培養が可能であり、複数患者を治療するための材料を提供する。 第二に、動物に移植された未分化幹細胞はしばしば腫瘍を生起するので、幹細胞のより特殊化された細胞への分化は細胞置換療法の必要条件であり、従って、異なる病気に必要な幹細胞の特に特殊化された細胞型への分化のための条件を発見する必要がある。

    これらの障害を克服するための鍵は、幹細胞およびそれらの誘導体のための細胞培養の適当な方法を工夫することにあるのは明らかである。 しかしながら、前記で説明した理由のため、すなわち、細胞培養技術の進歩に関与する試行錯誤の労力のかかるプロセスのため、前記仕事は特に困難である。 よって、本明細書中に記載の本発明の適用の1つは、幹細胞の増殖および分化のための技術の解明である。

    <幹細胞のタイプ>
    何が幹細胞を構成するかについては依然としてかなりの論争があるが、この議論の目的では、鍵となる特徴は異なる細胞型に分化する能力である。 幹細胞の例を以下に掲げる。

    異なる幹細胞は種々の細胞型を形成する異なる能力を有する。 天然では精子のみを生じるため、精原細胞幹細胞は単能性である一方で、造血幹細胞は多能性であって、胚性幹細胞は全ての細胞型を生起させることができると考えられるからであり、全能性または多能性であるといわれる。

    今日、3つのタイプの哺乳動物多能性幹細胞が単離されている。 これらの細胞は胚の3つの生殖細胞層(内胚葉、中胚葉および外胚葉)に通常は由来する細胞型を生起することができる。 幹細胞の3つのタイプは精巣腫瘍に由来する胚性癌腫(EC)細胞;着床前胚(通常は、胚盤胞)に由来する胚性幹(ES)細胞;および着床後胚に由来する胚性生殖(EG)細胞(通常は、生殖腺の一部となる運命にある胎児の細胞)である。 これらの細胞は、正確にはそれらが多能性であるので、分化を指令する努力において特別の注意を受ける。

    成体生物は幹細胞も存在する。 成体幹細胞は分化した(特殊化された)組織で生じ、自身を新しくし、分化してより特殊化された細胞を生じることができる未分化細胞である。 最近、成体幹細胞は可塑性となることができることが示されており、すなわち、それらは分化して、それが存在する組織の特徴的を持たず、また、その組織が由来する生殖細胞層ではない細胞型を生じさせることができる。 例えば、(中胚葉に由来する)血液幹細胞は(通常は、外胚葉に由来する)ニューロンに分化することができることが示されている。 Tomaet al. ,(2001,NatureCell Biol.3,p778−784)は、最近、皮膚の真皮に由来する幹細胞の新しいタイプの同定および単離を記載した。 これらの幹細胞は皮膚由来前駆体(SKP)細胞と呼ばれた。 前記SKP細胞は、ポリリシン上で培養し、培養基中の血清の濃度を変化させることによって分化するように誘導することができた。 血清の非存在においては、それらはニューロンおよびグリア細胞に分化し;3%血清の添加では、それらは平滑筋細胞に分化し;血清を10%まで増加させると、SKP細胞が脂肪細胞に分化するのを引き起こす。 成体幹細胞は、これまでに、組織において、神経系、骨髄および血液、肝臓、骨格筋、皮膚および消化系と同程度に多様であると報告されている。

    成体幹細胞に加えて、多数のタイプの先祖または前駆体細胞がある。 これらの細胞は、その分化能力が部分的に制限されており、身体の組織の恐らくは全てで生じる細胞であり、それは分化できるが、そのレパートリーが広くない点で、および自己更新できない定義によって幹細胞とは異なる。

    最近の証拠は、分化した細胞型が表現型を変化できることを示唆さえしている。 トランス分化といわれる現象は、介在細胞分裂の有っても無くても、1つの分化した細胞型からもう1つの分化された細胞型への変換である。 以前、一般には、最終分化状態は固定されていると認められていたが、今日では、分化は時々逆行し、または改変できることが明らかである。 細胞系をトランス分化まで誘導することができるインビトロプロトコルが今日では利用できる(Shen,Slack& Tosh,2000,NatureCell Biol,vol2,p.879−887;Horb et al.,2003,Current Biol.Vol 13,p105−115)。 最後に、脱分化して、さらに細胞型に分化する能力を持つ幹様細胞を生じさせることができる特殊化された細胞タイプの報告があった。

    <幹細胞の増殖および分化>
    幹細胞の重要な特性は培養において対称的に分裂するその能力であり、由来する幹細胞の正確なコピーである2つの娘細胞を生じる。 これは、幹細胞がその未分化状態で培養において拡大培養できることを可能とし、生物学的研究または細胞療法のための十分な材料を生じる。 幹細胞がこれをなすことができる手段は、理解されることには、精力的な研究の主題であるが、幹細胞更新を促進する因子は少数しか知られていない。 典型的には、多能性幹細胞系が線維芽細胞の細胞分裂的には不活性なフィーダー層、またはそのような細胞によるコンディション培地で維持される。 フィーダー細胞は培養基からいくつかの未知の因子を除去し/中和し、および/またはそれは、分化を抑制し、幹細胞の自己複製を促進する因子を提供すると考えられている。 1つのそのような因子は白血病阻害因子(LIF)、すなわち、フィーダー細胞の非存在下でマウスE3細胞自己複製を促進できる、IL−6に関連するサイトカインファミリーのメンバーである。 フィーダー細胞(および/またはLIF)の非存在下で増殖された幹細胞は、しばしば、自然発生的に、および偶然に分化し、分化した細胞型の混合物を生じる。

    幹細胞自己複製に影響する因子は刺激的または阻害的であってもよく、細胞外または細胞内で機能してもよい。 分泌された因子LIFの場合には、その細胞外受容体はgp130であり、このタンパク質の活性化はマウスES細胞分化を阻害するのに十分であることが知られている。 細胞内では、非常に重要なgp130の下流エフェクターはシグナルトランジューサーおよび転写−3のアクチベーター(STAT−3)である。 幹細胞多能性を維持するのに特に重要なもう1つの分子は転写因子Oct−4であり、これは、ダウンレギュレートされた場合に、人工的に、ES細胞またはマウスにおける多能性状態の喪失に導く。 マイトジェン−活性化タンパク質キナーゼのような天然にES細胞自己更新を阻害する他のシグナリング分子もまた解明されている。 幹細胞研究の主な目標は、天然および合成因子、薬物、ポリペプチド、遺伝子、オリゴヌクレオチド、組織培養培地および条件、特別な条件培地、フィーダー細胞、および前記拡大を促進し、種々のタイプの幹細胞の分化能力を保有する効果を有する他の刺激の発見である。 これは、生体幹細胞を含み、これは、現在、細胞培養では認識可能には拡大されていない。

    幹細胞研究の第二の大きな挑戦は、機能的であり、種々の病気状態で細胞喪失を置き換えることができ、ポジティブな臨床結果をもたらす特定の細胞型への幹細胞の分化を指令することである。 分化を開始するための幹細胞をコアクスすること(coaxing)は、現実には、かなり直接的なプロセスである。 例えば、フィーダー培養から取り出され、接着性基材上で密集するまで増殖されたES細胞は自然発生的に分化を開始する。 同様に、フィーダー培養から取り出され、非接着性基材上で増殖されたES細胞は胚様体、すなわち、全ての3つの生殖細胞層からの未分化および部分的に分化した細胞の塊を形成する。 これらの細胞は引き続いて解離し、単層で平板培養し、指令された分化を促進する因子に暴露される。 これらの因子に暴露された培養物は、多くの異なる細胞型の混合物を含む細胞を分化する胚様体または未処理培養と比較して、より少ないタイプの分化細胞によってより占められるようである。 それにもかかわらず、もしいずれかの条件が工夫されたとしても、実質的に純粋な分化細胞の培養を生じるのはほとんどない。 加えて、幹細胞分化のために工夫されたプロトコルのいずれかは、細胞置換療法に適当な細胞を生じるかは明らかでなく、細胞は必要な正確な表現型に最終的には分化されず、分化された細胞はもはやインビボでは生存しないであろう。

    幹細胞の指令された分化を誘導するのに用いられてきた因子は、レチノイン酸、上皮成長因子(EGF)、骨形態形成タンパク質(BMP)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、アクチビン−A、トランスフォーミング成長因子β−1(TFGβ−1)、肝細胞成長因子、神経成長因子、ソニックヘッジホッグ(SHH)、インターロイキン−3(IL−3)、インターロイキン6(IL−6)、顆粒細胞マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、エリスロポエチン、ビタミンD3、デキサメタゾン、β−メルカプトエタノール、ブチル化ヒドロキシアニソール、5−アザシチジン、DMSO、インスリン、甲状腺ホルモン(T3)、LIF、胎児ウシ血清、血管内皮成長因子(VEGF)、スティール因子、酸素濃度の変化、アスコルビン酸、β−グリセロホスフェート、ニコチンアミド、血小板由来成長因子(PDGF)、cAMP、種々の細胞接着分子および基質およびその他を含む。 これらの規定された因子に加えて、コンディション培地、ヒトおよび動物組織ホモジェネートのような規定されていない抽出物、または植物抽出物を用いて、幹細胞分化を用いることができる。 これらの規定されていない抽出物の進歩的な画分により、活性な画分、または高い能力を持つ純粋な成分でさえ生じさせることができる。 これらの因子は、単独、または組み合わせて、または実験結果に対して非常に重要な規定された順番で、特別な実験で用いる増殖培地に添加することができる。

    インビトロにて幹細胞の分化のために工夫された多くの系は複雑な多段階手法であり、ここに、種々の工程の正確な性質、ならびに種々の工程の年代学が重要である。 例えば、Leeet al. (2000,NatureBiotechnology,vol.18,p.675−679)は、マウスES細胞からドーパミン作動性ニューロンを誘導するのに五段階プロトコルを用いた。 1)未分化ES細胞はLIFの存在下でES細胞培地上でゼラチン被覆組織培養表面で拡大培養され;2)胚様体をES細胞培地中で4日間懸濁培養で生じさせ;3)ネスチン陽性細胞は、組織培養表面で平板した後ITSFn培地で8日間胚様体から選択された;4)ネスチン陽性細胞は、bFGF/ラミニンを含有するN2培地で6日間拡大培養され;5)最後に、拡大培養されたニューロン前駆体細胞は、ラミニンを含有するN2培地からgFGFを除去することによって分化するように誘導された。

    系列的細胞培養の第二の例において、Bonner−Weir et al. [Proc. Natl. Acad. Sci. (2000)97:7999−8004]は、1)血清の存在下で固体表面での2〜4日間の選択的接着によって島細胞上の管細胞を選択し;2)引き続いて、血清を除去し、ケラチノサイト増殖因子を加えて、5〜10日間線維芽細胞上で管上皮細胞につき選択し;および3)細胞外マトリックス調製物「Matrigel」で3〜6週間細胞を重ねることによって、ヒト膵臓管細胞からインスリン生産細胞を誘導した。

    系列的細胞培養のさらなる例において、Lumelsky et al. [Science(2001)292:1389−1394]は、1)LIFの存在下でES細胞を2〜3日間拡大培養し;2)LIFの非存在下で4日間にわたって胚様体を生じさせ;3)ITSFn培地を用いてネスチン陽性細胞を6〜7日間選択し;4)B27培地補足物およびbFGFを含有するN2培地において6日間膵臓内分泌前駆体を拡大培養し;および5)bFGFを除去し、ニコチンアミドを添加することによって、インスリン分泌細胞への分化を誘導することによって、マウス胚幹(ES)細胞の指令された分化によってインスリン分泌細胞を誘導した。

    しかしながら、重要なのは、細胞分化の測定において様々な異なる因子の添加の工程またはシリーズの配列および間においてのみではない。 胚様発生は、位置情報を付与するシグナリング因子のグラジエントの作用によって調節されるので、単一シグナリング因子の濃度、および2以上の因子の相対的濃度は、インビトロおよびインビボで細胞集団の運命を特定するのに重要であると予測される。 因子の濃度は、発生の間に変化し、幹細胞は同一分子の異なる濃度に対して異なって応答する。 例えば、後期段階の胚のCNSから単離された幹細胞は、異なる濃度のEGFに異なって応答する。 低濃度のEGFは増殖せよとのシグナルを結果的に生じ、他方、EGFのより高い濃度は増殖および星状細胞の分化をもたらす。

    インビトロで幹細胞の自己複製および分化に影響することが見出されている因子の多くは天然に生じる分子である。 これは、分化は、シグナル変換経路に沿って作用する分子および受容体をシグナリングすることによって誘導され、制御されるので予測されるべきものである。 しかしながら、同一の証拠によって、多くの合成化合物は幹細胞分化に対して影響を有するようである。 シグナリングおよびシグナル変換経路(いわゆる、薬物可能標的)内の細胞標的と相互作用する高い確率を有するそのような合成化合物は、例えば、医薬会社によって薬物スクリーニングのためにルーチン的に合成される。 一旦知られると、これらの化合物を用いて、エキソビボにて幹細胞の分化を指令することができるか、あるいはインビボで投与することができ、それらの場合には、それらは患者の標的器官に存在する幹細胞に作用するであろう。

    <組織培養における共通の変数>
    特別な細胞型の成功した培養のための、あるいは細胞プロセスを達成するまたは調整するための条件の開発において、しばしば、種々の因子を考慮するのが重要である。

    1つの重要な因子は、懸濁液中で、あるいは基材に付着した単層として細胞を増殖させるか否かの判断である。 ほとんどの細胞は、基材に接着するのを好むが、形質転換された細胞、造血細胞を含むいくらか、および腹からの細胞は懸濁液で増殖することができる。

    培養物が接着細胞のものであると仮定すれば、重要な因子は接着基材の選択である。 ほとんどの研究所は、組織培養のための基材として使い捨て可能なプラスチックを用いる。 用いられてきたプラスチックはポリスチレン(最も普通のタイプ)、ポリエチレン、ポリカルボネート、Perspex、PVC、テフロン(登録商標)、セロファンおよび酢酸セルロースを含む。 いずれのプラスチックも用いることができるが、これらの多くはそれを細胞接着のために湿潤性とし、適したものとするのに処理される必要があろう。 さらに、いずれの適当に調製された固体基材も、細胞用の支持体を提供するのに用いることができ、今日まで用いられてきた基材はガラス(例えば、ミョウバン−ボロシリケートおよびソーダライムガラス)、ゴム、合成繊維、重合されたデキストラン、メタル(例えば、ステンレス鋼およびチタン)その他を含む。

    気管支上皮、血管内皮、骨格筋およびニューロンのようないくつかの細胞型は、生物学的産物を被覆した増殖基材、通常は、フィブロネクチン、コラーゲン、ラミニン、ポリリシンなどのような細胞外マトリックス材料を必要とする。 増殖基材および適用の方法(湿潤または乾燥コーティング、またはゲル化)、細胞の増殖および分化の特徴のような細胞プロセスに対して影響を有することができ、これらは、前記したように経験的に決定されなければならない。

    恐らくは、細胞培養における変数の最も明らかに重要なものは、培養基および血清のような補足物の選択である。 これらは細胞増殖に対する水性区画を提供し、そのいくつかは前記でリストされており、その他はあまり定義されていない栄養物および種々の因子と競合する。 これらの因子のいくつかは、接着に対して必須であり、その他は情報(例えば、ホルモン、マイトジェン、サイトカイン)を運ぶために必須であり、その他は解毒薬剤として必須である。 通常に使用される培地はRPMI1640、MEM/ハンクスの塩、MEM/イーグルの塩、F12、DMEM/F12、L15、MCDB153などを含む。 種々の培地はその構成要素が広く異なることができ、共通の差のいくつかは炭酸水粗ナトリウムの濃度、CaおよびMgのような二価イオンの濃度、緩衝液の組成、抗生物質、微量元素、ヌクレオシド、ポリペプチド、合成化合物、薬物などを含む。 異なる培地は選択的であることが周知であり、これは、それらがいくつかの細胞型のみの増殖を促進することを意味する。 血清、下垂体脳および他の抽出物のような培地補足物は、しばしば、培養中の細胞の増殖に対して必須であり、加えて、培養中の細胞の表現型を決定するのを担い、すなわち、それらは細胞生存を決定し、分化を指令することができる。 分化のような細胞プロセスにおける補足物の役割は複雑であり、その濃度、それらが培養に添加される時点、用いられる細胞型および培地に依存する。 これらの補足物の規定されていない性質、および細胞表現型に影響するそれらの能力は、無血清培地の開発を動機付けた。 全ての培地のように、それらの開発は、前記したように、試行錯誤によってかなり起こった。

    また、組織培養のガス相も重要であって、用いるべきその組成および用量は必要な培地のタイプ、必要な緩衝の量、培養容器が開いているかまたはシールされているか、および特定の細胞プロセスが調整される必要があるか否かに依存し得る。 共通の変数は二酸化炭素および炭素の濃度を含む。

    組織培養に対して重要な他の条件は培養容器、ヘッドスペースの量、播種密度、温度、培地変化の頻度、酵素での処理、揺動または攪拌の速度および様式を含む。

    従って、細胞培養条件の変化は、所望の細胞プロセスを達成する方法である。 本発明の1つの態様は、系列的な細胞培養条件の変動は細胞効果を達成するかなり効果的な方法であり得ることを認識している。 種々の適用において、例えば、細胞分化の実験においては、それは、しばしば、異なる組織培養条件の特定のシリーズが細胞プロセスを行うのに必要である場合である。 異なる条件は特定の時点における培地または培地の変化に/から付加または除去を含むことができる。 その例を以下に掲げるそのような条件の組は、前記した試行錯誤によって共通して開発される。

    <細胞ユニットの形成>
    本発明の重要な態様は、細胞(細胞コロニー)の群が種々の条件下で細胞培養を増殖させることができ、コロニーは、乱された場合、および他のコロニーと混合された場合、種々の条件下でその一体性を大いに維持することができることである。 そのような群またはコロニーは、本明細書では細胞ユニットという。 細胞ユニットの形成は、例示として、キャリアーのような固体基材上での接着性培養としての細胞を増殖させることによって達成することができる。 もしキャリアー上でのシーディング後に細胞増殖が起これば、娘細胞は同一キャリアー上に付着し、同一コロニーの一部を形成する。 一般には、生きた接着性細胞はその増殖基材から容易には解離せず、従って、細胞コロニーの一体性は、キャリアーのいずれかの機械的な操作、培養基の揺動、またはもう1つの組織培養系への導入にもかかわらず終始一貫して存在する。 同様に、もしいずれかの時点において、複数キャリアーが同一容器に入れられると(例えば、ビーズがプールされると)、1つのビーズからもう1つのビーズへの細胞の実質的移動はない。

    ユニットまたはコロニーにおいて細胞を増殖する1つの利点は、もしユニットが異なる組織培養培地の組で系列的に置かれると、コロニーを含む全ての細胞は、同一の順番で、かつ同一の時間同一シリーズの培養条件に暴露されたであろう。 組織培養容器に対してそれ自体が必ずしも接着性ではないユニットにおける細胞の増殖は、個々のコロニーが自由に除去でき、異なる培養容器に移すことができる利点を有する。 この方法の利点の1つは、組織培養を小型化できることであり:最小の組織培養フラスコさえと比較して、マイクロキャリアービーズ(後記参照)をコロニー化するのに必要である。 キャリアーで形成された細胞ユニットを増殖させるさらなる利点は、細胞培養をスケールアップすることができることである。 キャリアー上での幹細胞の増殖は、幹細胞療法のための十分な材料を提供するために生産をスケールアップする方法を提供する。 同等に、キャリアー上での幹細胞の分化は、分化が進行するにつれて生産をスケールアップする方法を提供し、結局は、細胞置換療法に対して十分な材料を提供する。 そのような細胞培養のスケールアップは、少なくとも50g(乾燥重量)のマイクロキャリアー、好ましくは、100g、500g、1kg、10kg以上を必要とする。

    固体基材上の細胞ユニットを形成するもう1つの重要な利点は、基材および、したがって、会合の理由による付着細胞が種々の手段によって標識することができることである。

    3mmおよび5mmのガラス球は細胞接着基材として、特に、細胞培養のスケールアップで用いられるガラスビーズバイオリアクター(例えば、MeredosGmbhによって製造されたような)で広く用いられてきた。 これらのビーズは、典型的には、パッチ培養よりはむしろ充填床で用いられて、接着性細胞に対する機械的損傷を回避する。

    対照的に、細胞をより小さなキャリアー上で増殖させた場合、それらは懸濁培養として処理することができる。 小さなキャリアー上で細胞を増殖させる通常の方法はマイクロキャリアー細胞培養という(その全体を本明細書に参照して組み込む「Microcarriercell culture,Principlesand Methods」,AA編参照,AmershamBiosciencesから入手可能(18−1140−62))。 マイクロキャリアー培養は4000リットルまでのファーメンターでの抗体およびインターフェロン生産で商業的に使用されている。 形状およびサイズがある範囲で、異なる材料で作成された種々のマイクロキャリアーが入手できる。 とりわけ、ポリスチレン(Biosilon,Nunc)、ガラス(Bioglass,SolohillEng)、コラーゲン(Biospheres,Solohill Eng)、DEAEセファデックス(Cytodex−1,Pharmacia)、デキストラン(Dormacell,Pfeifer& Langen)、セルロース(DE−53,Whatman)、ゼラチン(Gelibead,HazeltonLab)、およびDEAEデキストラン(Microdex,DextranProd.)で作成されたマイクロキャリアービーズが商業的に入手可能である。 これらのキャリアーはビーズの比重、細胞増殖で利用できる直径および表面積の点でよく特徴付けられている。 加えて、多数の多孔性(マイクロ)キャリアーは細胞増殖のためにかなり増大した表面積を持つものとして入手できる。 これらの多孔性キャリアーのさらなる特徴は、それが、足場依存性細胞の増殖に、ならびに開いた相互結合ポアのネットワークにおいて捕獲によって担持された懸濁細胞に適していることである。 多孔性キャリアーはゼラチン(CultispherG,HyClone)、セルロース(Cytocell,Pharmacia)、ポリエチレン(Cytoline1および2,Pharmacia)、シリコーンゴム(Immobasil,AshbyScientific)、コラーゲン(Microsphere,CellexBiosciences)、およびガラス(Siran,Schott Glassware)のような材料で入手可能である。 これらのキャリアーは攪拌された、液化されたまたは固定された床培養系に種々に適している。

    キャリアーの物理的特性は周知であるので、実験で用いたキャリアーの数を計算するのは容易である。 記載されたキャリアーのいくつかおよび多くのその他のものは、正確に重量を測定することができ、引き続いて、液体培地中で膨潤させることによって調製することができる乾燥した製品として利用できる。 加えて、マイクロキャリアー培養を接種するのに用いられる細胞の数は算定し、変化させることができる。 例えば、ビーズ当たり6細胞で接種されたCytodex3(2g/リットル)の培養が、その上に4800万細胞/リットルが5×10 細胞/cm の密度にて増殖される800万マイクロキャリアーを含有する培養を与える。

    マイクロキャリアーで増殖させた細胞の収穫、またはマイクロキャリアーからの標識の遊離(後記参照)は細胞の酵素脱着によって、および/または適用可能であればキャリアーの消化によって達成することができる。 ゼラチンキャリアーはトリプシンおよび/またはEDTA、コラゲナーゼを用いるコラーゲンキャリアーおよびデキストラナーゼを用いるデキストランキャリアーによって可溶化させることができる。

    固体または多孔性マイクロキャリアーに加えて、細胞は埋め込みによってグループ化することができ、すなわち、培地浸透性バリアー内に閉じ込めることができる。 浸透性透析膜が細胞の群を保持するが、培養基およびその構成要素が内部および外部区画で自由に交換できるようにする場合、膜培養系が開発されている。 中空繊維カートリッジにおける細胞培養も開発されており、多数の繊維およびターン−キー系が(例えば、Amicon,CellexBiosciencesから)商業的に入手可能である。 細胞が吸着、共有結合、架橋またはポリマーマットリックスへの捕獲によって満たされる場合、半固体マトリックスにおける細胞カプセル化も開発されている。 用いられてきた材料はゼラチン、ポリリシン、アルギネートおよびアガロースを含む。 典型的なプロトコルはその通常の増殖培地において細胞の懸濁液と40℃の5%アガロースを混合し、等用量のパラフィン油を用いて混合物を乳化し、氷浴中で冷却することであり、80〜200μm直径の球を生じさせる。 これらの球は油から分離することができ、組織培養容器中の培地に移すことができる。

    細胞捕獲は、マイクロキャリアーまたは多孔性基材の使用と同様に、細胞の群の固定化のための簡単な方法である。 単純な技術は、(Sigmaから全て入手可能な)DEAE、TLC、QAE、TEAEのようなセルロース繊維に細胞をからませることである。 他のより巧妙な工夫は、Opticel培養系(CellexBiosciences)におけるような懸濁液細胞に適したセラミックカートリッジである。

    当業者であれば、細胞ユニットを作る前記方法に加えて、神経球または胚様体のような細胞の3D培養の形成、または組織および、事実、DrosophilaまたはC. elegansのような完全な生物の使用を含む、細胞のグループ分けを作り出す他の方法を考えるであろう。

    それらが構成される細胞ユニット、または基材は、限定されるものではないが、タンパク質、核酸または薬物のような他の化学物質を含む特定の因子と会合させることができる。 基材のプレコンディショニングは、例えば、単純に、基材を注目する因子と共にインキュベートすることによって、あるいは前記因子を基材に共有結合または非共有結合させることによって、多くの方法で達成することができる。 可溶性因子は含浸によって乾燥した材料に一体化させることができる。 この技術は可溶性因子を担う液体の急速な進入、同時に膨潤し、直ちに使用できるようになる乾燥した多孔性材料に頼る。 固体因子は、例えば、トロンビン溶液とフィブリノーゲン中の因子とを混合することによって取り込むことができ、その時点で、前記因子を含有するフィブリンクロットが形成される。 前記因子を他の細胞と一緒に含浸し、捕獲し、またはカプセル化することに加え、細胞群と因子とを会合させる多くの他の方法が考えることができる。

    細胞群と多数の異なる因子とを会合させるための方法は、引き続いて、特定の細胞群と会合される因子のプレ−フォームカクテルである。 第二の方法は多数の因子における細胞群を系列的に条件付けすることである。 その例として細胞群増殖基材の乾燥した処方を用い、この方法は、第一の因子を含有する溶液中で基材をまず部分的に膨潤させ、引き続いて、さらに第二の因子を含有する溶液中のそれを膨潤させ、その結果、双方の因子が会合するようになる基材が得られることを含む。 細胞群と異なる因子の異なる組合せとを会合させる系列的なプロトコルを工夫することによって、因子の組のいずれかの組合せの細胞群に対する効果をサンプリングすることが可能である。

    細胞ユニットを因子と共に条件付けするのに用いられる方法とは無関係に、前記因子は、その細胞ユニットを含む細胞によって取り込まれる。 増殖培地に漏れる因子は、その濃度が物理生理学的に関連する限界未満となり、それらが、暴露されたいずれかのさらなる細胞群に対して影響を有しない程度まで希釈される。 例えば、細胞ユニットの部分を形成する基材からの因子の拡散は、材料の性質および寸法、平均ポア直径、および因子の分子量および濃度のようなパラメーターによって支配される。 必要であれば、前記プロセスをキャリブレートするために、HPLC分析または標識された因子培地への放出のような物理的アッセイによって、あるいは神経栄養因子についての後根神経節外植バイオアッセイのような生物学的アッセイによって、因子放出を測定することができる。

    <細胞のコンビナトリアル系列培養>
    <スプリットプール細胞培養>
    細胞ユニット(特に、顕微鏡的細胞ユニット)の形成は、多数の組織培養条件をサンプリングするのにさらに有用である。 というのは、各細胞ユニットは、種々の細胞培養条件に暴露することができる容易に取り扱われるユニットを構成するからである。 単純のために、この議論においては、我々は、マイクロキャリアー培養において細胞を増殖することによって細胞のグループ分けが作成されると仮定しており、用語細胞ユニット、細胞群、コロニーおよびビーズは相互交換的に用いられる。 しかしながら、記載した方法はいずれの細胞ユニットにも、例えば、前記したものに同等に適用することができる。 非常に多数の細胞培養条件をサンプリングするための特に効果的な方法は、コンビナトリアル細胞培養またはスプリットプール細胞培養といい(図1および2)、1つの実施形態においては、細胞培養条件の複数の組合せをサンプリングするための細胞ユニットの群の系列的サブ分割および組合せを含む。 本発明の一つの態様において、前記方法は、細胞ユニットの初期スターター培養(または異なるスターター培養)を(各々が異なる培養条件下で別々に増殖された複数ビーズ(群/コロニー/キャリアー)を含有する)アリコットのX 数で割ることによって行われる。 所与の時間の間の細胞培養に続き、細胞ユニットは、異なるアリコットからのビーズを組合せ、混合することによってプールすることができる。 このプールはアリコットのX 数に再度分割することができ、その各々はある時間異なる条件下で培養され、引き続いてプールもされる。 細胞ユニットを分割し、培養し、およびプールする(またはプーリング、分割および培養;どこで前記周期に入るかに依存)この反復手法は、細胞培養条件の多くの異なる組合せの系列的サンプリングを可能とする。 実験に複雑性、換言すれば、テストした細胞培養条件の異なる組合せの数は各ラウンドでサンプリングした異なる条件の数の積(X ×X ×...X )に等しい。 引き続いての分割に先立って全ての細胞ユニットをプールする工程は任意とすることができ−限定された数の細胞ユニットがプールされる工程は、図3および4に示したように同一の効果を有することができることに留意のこと。 本発明は、従って、細胞ユニットの群がひとまとめで取り扱われる場合に、細胞培養条件の多数の組合せを系列的にサンプリングする多数の関連方法を具体化する。

    多様な細胞培養条件がこの手段によってサンプリングできる正確な方法とは無関係に、前記手法は効果的である。 なぜならば、多数の細胞ユニットが同一の条件下で培養される場合、単一の容器を共有することができ、それはいずれの時点においても少数の培養容器のみを用いて行うことができるからである(用いる培養容器の数は分割された試料の数と等しい)。 多くの点で、この手法の原理は、化学的な形成ブロック基の間の結合の全ての可能な組み合わせをサンプリングする(コンビナトリアル・ケミストリーとして知られた)大きな化学ライブラリーの分割合成の原理と似ている(例えば、CombinatorialChemistry,Oxford University Press(2000),Hicham Fenniri(編集者)参照)。 分割プール細胞培養は、いずれかの数のラウンドにわたって繰り返すことができ、いずれかの数の条件は各ラウンドでサンプリングすることができる。 細胞ユニット(またはこの例においてはコロニー化されたビーズ)の数が全てのラウンドにわたってサンプリングされた異なる状態の数よりも大きい、または等しく、かつ細胞ユニットの分割が全くランダムに起こると仮定する限り、実験によってサンプリングされた培養条件の種々の組合せの各々に従って培養された少なくとも1つの細胞ユニットがあると予測される。 この手法を用いて、いずれかの細胞型についての増殖または分化条件、いずれかの細胞型による生体分子生産(例えば、エリスロポエチンまたはインターフェロンの生産)の効率をサンプリングすることができる。 前記手法は反復的であるゆえに、複数の組織培養プロトコル−例えば幹細胞分化と組み合わせた前記のもののテストに理想的に適合する。 この技術を用いてサンプリングすることができる変数は細胞型、細胞グループ分け(例えば、マイクロキャリアー培養、細胞カプセル化、全生物)、増殖基材(例えば、マイクロキャリアー上のフィブロネクチン)、細胞培養ラウンドの持続、温度、(構成要素の異なる濃度を含む)異なる培養基、成長因子、条件培地、種々の細胞型(例えば、フィーダー細胞)との共培養、動物または植物抽出物、薬物、他の合成化学物質、ウイルス(トランスジェニックウイルスを含む)での感染、導入遺伝子の添加、アンチセンスまたは抗遺伝子分子(例えば、RNAi、三重らせん)の付加、(生物の場合における)感覚入力、電気、光またはレドックス刺激体などを含む。

    <分割−分割細胞培養>
    細胞ユニット上でスプリットプールプロセスを行う目的は、条件の予め規定された組合せにこれらを系統的に暴露することである。 当業者であれば、この結果を達成する多くの異なる手段を考え付くであろう。 分割プールプロセスおよびその変形に加えて、分割−分割(split−split)プロセスを軽く議論するのは価値あることである。 分割−分割プロセスは、細胞ユニットのプーリングに介入することなく、細胞ユニットの群を少なくとも2回サブ分割することを含む(図5)。 もし分割−分割プロセスが大きな数のラウンドにわたって用いられれば、生じた別々の試料の数は指数関数的に増大する。 この場合、あるレベルの自動化、例えば、ロボットプラットフォームおよび巧妙な試料トラッキングシステムの使用を用いるのが重要である。 分割−分割工程の利点は、(細胞ユニットが組み合わせられていないので)、それらの細胞培養履歴に基づいて種々の細胞ユニットの系統を分離することが可能である。 その結果、分割−分割工程を用いて、特定の細胞培養条件がいずれかの所与の細胞プロセスを担うかを推定することができ、従って、(図6で説明された、および「Determinationof culturehistory ofa cellunit」下で詳細に説明された)細胞ユニットの培養履歴を推定することができる。

    <所定のプロトコル>
    細胞ユニットの分割および/またはプーリングは全くランダムに達成することができるか、あるいは所定のプロトコルに従うことができる。 細胞にユニットがランダムに分割および/またはプールされる場合、与えられた細胞ユニットのいずれかの群への分離は断じて所定のものであったり、妥当性を損なうものではない。 少なくとも1つの細胞ユニットが細胞培養条件の可能な組合せの1つに暴露される高い確率がもたらされるためには、テストされるべき細胞培養条件の組合せの合計数よりも大きな数の細胞ユニットを使用するのが有利である。 従って、ある種の条件下では、所定のプロトコルに従って細胞ユニットを分割しおよび/またはプールするのが有利であり、総じての効果は、偶発的な複製または省略が妨げられるということである。 細胞ユニットの所定の取扱は、所望により、予め計画し、スプレッドシートまたはコンピュータプログラム、および自動化プロトコル、例えば、ロボットを用いて実行される分割および/またはプーリング操作にログすることができる。 細胞ユニットの標識(後記参照)は多数の手段、例えば、RFIDによる標識、光学タグ付けまたは空間的暗号化のいずれかによることができる。 試料の同時性を決定し、従って、所定のプロトコルに従って試料を分割することができるロボットデバイスが記載されている(「CombinatorialChemistry Apractical Aprorch」)、OxfordUniversity Press(2000)EdH. Fenniri参照)。 あるいは、標準研究所液体取扱および/または組織培養ロボット(例えば、BeckmanCoulter Inc.Fullerton,CA;TheAutomation Partnership,Royston,UKによって製造されたような)は、多数の試料の同一性を空間的に暗号化し、予めプログラムされたプロトコルに従ってこれらを付加し、除去し、または移動させることができる。

    <細胞ユニットの分析および/または分離>
    細胞培養の各ラウンドに続き、または規定された数のラウンドの後、細胞ユニットを調べて、組織培養条件によって影響され得るいずれかの所定の細胞プロセスを観察することができる。 以下の例は説明的であって、本発明の範囲を限定する意図のものではない。

    細胞培養の各ラウンドに続き、規定された数のラウンドの後、細胞ユニットをアッセイして、増大した細胞増殖を提示するメンバーがあるか否かを決定することができる。 これは、種々の技術によって、例えば、顕微鏡下で細胞ユニットの視覚での精査によって、あるいは細胞に特徴的なマーカー産物を定量することによって達成することができる。 これは、特定のDNA配列のような内因性マーカー、あるいはリガンドまたは抗体によって検出することができる細胞タンパク質であり得る。 あるいは、緑色蛍光タンパク質(GFP)のような外因性マーカーをアッセイすべき細胞ユニットに導入して、(生きた)細胞の特定の読みを提供することができる。 生きた細胞は種々の活性な染色を用いて可視化することができるか、あるいは逆に、死滅した細胞は種々の方法を用いて、例えばヨウ化プロピジウムを用いて標識することができる。 さらに、標識された細胞ユニットは、アフィニティー精製(「パンニング」)を含む手動および自動双方の種々の技術によって、あるいは蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)または広く同様な技術によって標識されていないものから分離することができる(図17)。 適用に応じて、標準的な実験室器具を用いることができるか、あるいは特殊化機器を用いるのが有利であろう。 例えば、ある種の分析およびソ−ティング機器(例えば、UnionBiometrica Inc.,SomervilleMA,USA)は1ミリメートルまでのフロー細胞直径を有し、これは、500ミクロンまでの直径を持つビーズのフローソーティングを可能とする。 これらの機器はビーズサイズおよび光学密度ならびにGFP、YFPまたはDS−赤色のようなダグからの2つの蛍光発光波長の読みを提供する。 1時間当たり180,000ビーズのソーティングスピードおよび複数ウェルプレートへの、またはバルク受容体への分配は可能である。

    細胞培養の各ラウンドに続き、または規定された数のラウンドの後、細胞ユニットをアッセイして、特定の遺伝子型または表現型を提示するメンバーがあるか否かを決定することができる。 遺伝子型の決定はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)、DNA配列決定などのような周知の技術を用いて行うことができる。 表現型決定は、種々の技術によって、例えば、顕微鏡下での細胞ユニットの視覚精査によって、あるいは細胞に特徴的なマーカー産物を検出することによって行うことができる。 これは特定のDNAまたはRNA配列、またはリガンド、酵素基質の変換によって検出することができる細胞タンパク質、特定の表現型マーカーを認識する抗体のような内因性マーカーであり得る(例えば、StemCells:Scientific Progress and Future Research Directions Department of Health and Human Services.June 2001のAppendixE参照;本明細書に参照して付録を組み込む)。 遺伝子マーカーは外因性とすることができ、すなわち、例えば、トランスフェクションまたはウイルス導入によって細胞集団に導入されたものであり得る。 外因性マーカーの例は蛍光タンパク質(例えば、GFP)、または特定の細胞系統で正常に発現されない、またはエピトープ−修飾された、または異なる種からの細胞表面抗原である。 関連する転写制御エレメントを持つトランスジーンまたは外因性マーカー遺伝子は、内因性遺伝子に代表的なパターンを反映するように発現することができる。 これは、遺伝子を最小細胞型特異的プロモーターと会合させることによって、あるいはトランスジーンを特定の遺伝子座に組み込むことによって達成することができる(例えば、欧州特許番号EP0695351参照)。 標識された細胞ユニットは、アフィニティー精製(「パニング」)を含む手動および自動双方の種々の技術によって、あるいは蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)によって未標識のものから分離することができる。 Nishikawaet al. (1998,Developmentvol 125,p1747−1757)は、全能性マウスES細胞の分化を追跡するために抗体によって認識される細胞表面マーカーを用いた。 FACSを用い、それをその分化における種々の段階で造血系統の細胞を同定し、精製することができた。

    特定の遺伝子型または表現型の細胞ユニットを豊富化するための代替または補充的な技術は、所望の群を遺伝子的に選択することである。 これは、例えば選択マーカーを細胞ユニットに導入することによって達成することができ、選択条件下での生存率についてアッセイするためには、例えば、分化したES細胞からインスリン分泌細胞を選択するそのようなシステムを用いたSoriaet al. (2000,Diabetesvol 49,p1−6)参照。 Liet al. (1998,CurrBiol vol8,p 971−974)は、(β−ガラクトシダーゼ活性およびG418抵抗性を提供する)二官能性選択マーカー/レポーターβgeoを、マウスES細胞において相同組換えによってSox2遺伝子座に組み込むことによって神経先祖を同定した。 神経先祖の特徴の1つはSox2の発現および、従って、組み込まれたマーカー遺伝子であるので、これらの細胞は、レチノイン酸を用いる分化の誘導後におけるG418の添加によって非ニューロン系統から選択することができた。 細胞の生存率は、顕微鏡下での精査によって、あるいはβ−gal活性をモニタリングすることによって測定することができた。 適当なリガンドまたは抗体の入手可能性によって制限され得る表現型ベースの選択アプローチとは異なり、遺伝子選択はいずれかの差異的に(differentially)発現された遺伝子に適応することができる。

    <細胞ユニットの同一性または細胞培養履歴の決定>
    非常に多数の細胞ユニットを取り扱う場合、その同一性および/または細胞培養履歴(例えば、いずれかの1つの群またはユニットが暴露されたであろう一連の培養条件の年代学および正確な性質)は混乱しかねない。 例えば、細胞培養の分裂プールプロトコルは各ラウンドにおける細胞ユニットの混合を含み、それを個々のユニットに従うのを困難とする。 複数培養条件に供された細胞ユニットの混合物における細胞ユニットの細胞培養履歴の決定は、時々、細胞培養履歴の「脱回旋」と言う。 これを成す1つの方法は細胞ユニットを標識することであり、従って、細胞ユニットを標識するのは有利である。 標識は実験の開始時、実験の各ラウンドの間に行うことができ、ユニークな標識(実験の間に修飾することができるか、またはできない)、またはユニークな集合を含む一連の標識を含むことができる。 同様に標識の読みは、各ラウンドの間にまたは単純に実験の最後に行うことができる。 好ましくは、RFID標識のようなユニークな標識は各ラウンドの間に読まれ、他方、各ラウンドにおいて系列的に付加された標識は実験の最後に読まれる。

    細胞ユニットの標識は種々の手段、例えば、細胞それ自体の標識、あるいは細胞が付着した、そうでなければ会合したいずれかの物質によって達成することができる。 合成コンビナトリアルライブラリーをコードするのに用いられた化学的および非化学的方法のいずれも、この目的のために適合させることができ、これらのいくつかは、その全てを本明細書に参照して組み込むMethodsin EnzymologyVol 267(1996),「CombinatorialChemistry,John N.Abelson(Editor);Combinatorial Chemistry,OxfordUniversity Press(2000),HichamFenniri(Editor);K.Braeckmans et al.,「Scaning the code」Modern Drug Discovery(Feb.2003);K. Braeckmanset al. ,「Encodingmicrocarriers;Present and Future Technologies」;Nature ReviewsDrug Discovery,vol. 1,p. 447−456(2002)に記載されている。 標識方法のいくつかの例は以下の通りである。

    細胞ユニットを標識する1つの方法は、順次に修飾されるようになるタグと細胞ユニットとを会合させることを含む。 というのは、それを異なる培養条件に置くからである。 これは、その立体化学、配列または質量が改変されるようなタグへのさらなるユニットの付加または減算;あるいはリードライトRFトランスポンダにおけるような電子メモリの改変を含むことができる(以下参照)。

    細胞ユニットを標識するもう1つの方法は、タグの引き続いての検出および同定が、それに細胞ユニットが暴露された細胞培養条件の年代学および同一性の明確な記録を提供するように、それらが異なる条件下で培養された場合には常にユニークなタグを細胞ユニットと順次に会合させることを含む。 タグは細胞によって摂取できるか、あるいは吸着、または適当なリガンドまたは抗体によって細胞表面に付着させることができるか、あるいは吸着によるキャリアー、コロイド力または共有結合または非共有結合、例えば、ビオチン−ストレプトアビジン結合のような種々の結合によるキャリアーのような細胞会合マトリックスにコンジュゲートさせることができる。 例えば、細胞に導入することができるか、あるいは細胞に会合したマトリックスに付着させることができる1つの単純なタグは、規定された長さおよび/または配列のオリゴヌクレオチドである。 オリゴヌクレオチドはいずれかのクラスの核酸(例えば、RNA、DNA、PNA、線状、環状またはウイルス)を含むことができ、増幅用の特異的な配列(例えばPCRについてのプライマー配列)または検出用の標識(例えば、フルオロフォアまたはクエンチャー、同位体タグ)を含むことができる。 これらの検出は、例えば、オリゴ配列決定することによって、あるいはそれらを(例えば、アレイまたはチップ上の)相補的な配列にハイブリダイズさせることによって、直接的であり得るか、あるいはオリゴヌクレオチドコード遺伝子産物のモニタリング、またはヌクレオチドと細胞活性との干渉(例えば、特定遺伝子のアンチセンス阻害)によって間接的であり得る。 核酸を増幅する有利な方法は、核酸タグがRCA鋳型、伸長プライマー、または小円鋳型の環状化を助けるストルット(strut)を含むことができる場合には、ローリングサークル増幅(RCA;2002,V.Demidov,ExpertRev.Mol.Diagn.2(6),p.89−95)による。

    ペプチドタグ、着色または蛍光化合物、第二級アミン、ハロカーボン、安定な同位体の混合物などを含む、いずれの分子または高分子タグも、それが検出できる限り用いることができる。 タグは細胞ユニットに直接的に、あるいは中間物質、例えば、細胞ユニットの構成要素に対して生起された抗体を介して、あるいはビオチン−ストレプトアビジンのような相互作用対を介して細胞ユニットに付着させることができる。 加えて、タグは細胞培養の構成要素によって、例えば、化学的または他の修飾によって、またはカプセル化によって分解に対して保護することができる。 タグのカプセル化は多くの異なる媒体中で、例えば、BangsLaboratories Inc. (Fishers IN,USA)のような供給業者から入手できるビーズの多くのタイプで行うことができ、カプセル化を用いて、タグ増幅および/または検出用の構成要素を供することに加えて、タグの量を標準化することができる(例えば、DNAタグでの使用のためにPCRプライマーを提供することによって)。 細胞ユニットを標識する好ましい方法は、LuminexCorporation(Austin,TX,USA)によって製造されるもののような蛍光ビーズを使用する。 前記Luminexシステムは(例えば、アビジンまたは抗体で)外部的に誘導体化することができるか、またはしなくてもよいポリスチレンビーズを含み、異なる比率の2つのスペクトル的に区別されるフルオロフォア、および各バンドのスペクトルシグニチャーを特徴付けることができるリーダーで内部的に染色される。 さらなる好ましい方法は、BangsLaboratories Inc. (Fishers IN,USA)によって製造されたもののようなビーズを使用する。 前記Bangsシステムは、異なるサイズ(例えば、4.4μmおよび5.5μm直径のビーズの組)に基づいて区別することができるビーズ組を含む。 各組内のビーズは、さらに、単一蛍光色素での異なる負荷による異なる蛍光強度に基づいて相互に区別することができる。 内部的に負荷することができるか、あるいは多数の手段によって外部的にキャリアーに付着されることができる異なる吸収または発光特徴を持つ多くの異なる色素を用いることができる。 さらに、便宜に読むことができる非常に多数の異なる蛍光標識を得るのに「量子ドット」を用いることができる。

    細胞ユニットの形成との関連で記載されたもののような細胞増殖基材は、タグ付けを容易とし、細胞増殖と干渉しない物質で誘導体化するか、またはコートすることができる。 キャリアーを誘導体化する好ましい方法は、タグがそれにストレプトアビジンまたはアビジンを介して結合することができるビオチンと共有結合または非共有結合するように修飾する。 一般に、それ自体は細胞効果を誘導せず(すなわち、不活性タグ)かつ細胞ユニットまたは培養基に存在する分子から識別することができ、かつその標的に結合することができ、引き続いて、そのような分子のバックグラウントで検出することができるタグを用いるのが重要である。 検出を容易とするためには、細胞ユニットからタグを選択的に溶出させるか、選択条件を用いて細胞ユニットから細胞を追い出すのが有利であろう。 より複雑な分子タグ付け戦略も考えることもでき、これは、分子タグの組およびその混合物に割り当てられた二元暗号の組によって情報が記録される「二元暗号化」の戦略を含む。

    タグの検出は、当業者が精通した教示の方法によって達成することができる。 前記方法は質量分析、核磁気共鳴、配列決定、ハイブリダイゼーション、抗原検出、電気泳動、分光分析、顕微鏡観察、イメージ分析、蛍光検出などを含む。

    特に興味深いものの中には、標識が一回のみ行われるか、あるいは標識および/または検出が非物理的であり、従って、非侵入的である標識または暗号化戦略がある。 高周波数同定(RFID)は、これらの特性を呈する系の例である。 RFIDはトランスポンダ(RFタグ)、アンテナおよびリーダーを使用する。 RFタグは、適当なエレクトロニクスによって、接触または照準線なしで「読む」ことができるユニークな同定暗号に対するアクセスを、その最も単純な形態において提供する、通常はガラスまたはプラスチックに入れられた小さな電子回路である。 タグは、再度、接触または照準線なしで、ユーザーによって生じた情報を貯蔵することができる。 「リーダー」は、1以上のタグへのおよび1以上のタグからの情報を移動させる電子ユニットである(用語リーダーは、読み出し専門および読出/書込ユニット双方を意味すると相互交換的に使用されることに注意すべきである)。 リーダーのサイズおよび特徴はかなり変化することができ、それは単離において作動することができ、あるいは遠隔コンピューターシステムに接続することができる。 アンテナはリーダーからタグへの情報を伝達し、RFタグによって送られた情報を受け取るように用いられる。 アンテナのサイズおよびフォーマットは特定の適用を反映し、小さな回路ホイルから大きな平面構造までの範囲とすることができる。 RFIDシステムは単離において作動することができるか、あるいは同定のより包括的解釈および操作のための遠隔コンピューター、およびタグに由来する関連データに接合することができる。 コンビナトリアル・ケミストリーで用いられる1つのFRID戦略はNicolaouet al. (1995,AngewChem IntlEd Engl,vol.34,p.2289)に記載されており、これは、(i)合成基材および半導体タグを含有する多孔性エンクロージャー;(ii)固相合成樹脂;(iii)高周波数シグナルを受信し、貯蔵し、および発信できるガラスに入れた単一または複数アドレス可能な高周波数タグ半導体ユニットを含む。 同様なデバイスを、固相合成樹脂を組織培養マイクロキャリアーまたは適当な細胞ユニットで置き換えることによって増殖および追跡細胞ユニットに適合させることができよう。 このより多くの変形が考えられ、限定されるものではないが、細胞がその上で直接的に増殖される(被覆または未被覆)RFタグまたは細胞ユニットまたは生物に移植されたRFタグを含む。

    従って、タグは、最初の例においては、その化学的または分子的構造によって必ずしも識別される必要はない。 非化学的タグ付け戦略の多くの変形を工夫して、混合物中における所与の細胞ユニットの同一性を決定することができ、あるいは混合物を含む異なる細胞ユニットの同一性を推定することができる。 例えば、異なる形状の物体、グラフ的にエンコードされた物体、または異なる色が試料の同一性を示す場合(例えば、1998,Guileset al.,Angew.Chem.IntlEd Engl,vol.37,p926;LuminexCorp,Austin TX,USA;BDBiosciences;Memobead Technologies,Ghent,Belgium)、あるいはパターンまたはバーコードが、セラミックバーのような基材にエッチングされ、パターン認識技術を用いて認識される場合(例えば、1997,Xiaoet al.,Angew.Chem.IntlEd Engl,vol.36,p780;SmartBeadTechnologies,Babraham,UK)、タグ付けの光学的または可視的方法が記載されている。

    細胞ユニットを追跡するまたは標識するさらなる方法は、空間的にすなわち、空間におけるその位置によって、それらの同一性をエンコードすることである。 この方法において、異なる細胞ユニットが規定された相対的位置に分離され、これらの位置はユニットの同一性を示すか、またはエンコードする。 例えば、細胞ユニットはアレイが培養することができ、それにより、各ユニットの同一性および/または培養履歴が知られており、アレイにおける特定の位置に結合させる。 それらの最も単純な形態において、そのようなアレイは、スライドグラスまたは他の表面上の組織培養フラスコ、複数ウェルプレートのウェル、または位置のコレクションを含むことができる。 位置暗号化戦略の例はGeysenet al. で見出すことができる。 (1984,ProcNatl AcadSci USAvol.81,p.3998−4002),Fodor et al. (1991,Science vol.251,p.767−773),Ziauddin andSabatini(2001,Nature,Vol.411,p.107−110),and Wuet al. (2002,Trebnds,CellBiol.Vol.12(10),p.485−8)。

    本発明は、その各々が、本発明の多数の順列を形成するように組み合わせることができる多くの形態を有することができる、多くの様相を有する。 細胞ユニットの全てを標識して、細胞培養プロトコルの組合せから得られた結果についての情報を推定できる必要がないのは明らかであろう。 従って、細胞ユニットの標識なしで、本発明に従って細胞培養条件の大きな組合せをアッセイし、これらの1以上が特定の細胞効果をもたらすことができるか否かを判断するのは依然として可能であろう。 しかしながら、細胞ユニットは好ましくは標識される。 細胞ユニットの標識は、全ての細胞ユニットは反対に、標識された細胞ユニットによってサンプリングされた特定の条件の結果に関して実験からの有用な情報の引き出しを可能とする。 あるいは、ある培養プロトコルに全てが暴露された細胞ユニットの1または数個の群、例えば、特定の分割またはプール工程の間に同一媒体に分離されている細胞ユニットの群を標識するのが時々有利である。 また、ある細胞ユニットの標識が、他の(おそらくは、未標識の)細胞ユニットの同一性を推定するのを可能とするのも明らかであろう。

    同様に、種々の条件が省略された細胞培養実験の実行は、特定の実験結果に対するそれらの条件の利用性に関して情報を与えることができるのは明らかであろう。 従って、実験を数回繰り返すことによって本発明に従った方法でサンプリングされた条件の各々を評価するのは可能であり、各回は条件の異なる組を省略する。

    また、分裂細胞培養工程を用いて、実験結果に対する条件の特定の組の結果を判断することもできる。 事実、分割工程は、分岐の時点におけるユニークな細胞培養条件に各々が暴露された細胞ユニットの特定の系統の形成をもたらす。 異なる系統を調べることによって、特定の実験結果に関して、分岐点において調べた組織培養条件の利用性を判断することができる(図6)。

    以下の実施例において本発明をさらに記載する。

    <分裂プール細胞培養を用いるES細胞ユニットの分化>
    分裂プール培養実験を行って、未分化マウスES細胞のスターター培養を用い、ドーパミン作動性表現型のニューロンを生起させることができる組織培養条件をアッセイした。

    未分化ES細胞を、15%FCS、100mM MEM非必須アミノ酸0.55mM 2−メルカプトエタノール、L−グルタミンおよび抗体(全てGIBCO/BRLからのものである)を補足したノックアウトダルベッコの最小必須培地(DMEM;GIBCO/BRLよりなるES細胞培地中、1,400Uml-1の白血病阻害因子(LIF;Chemicon)の存在下でゼラチン被覆組織培養プレート上で増殖させた。胚様体(EB)形成を誘導するために、0.05%トリプシンおよびPBS中の0.04%EDTAによって、細胞を単細胞懸濁液に解離させ、前記した培地中で2〜2.5×10 細胞cm −2の密度で非接着性細菌培養皿で平板培養した。EBは4日間で形成し、次いで、ES細胞培地中の接着性組織培養表面に平板培養した。24時間の培養後、無血清インスリン/トランスフェリン/セレン/フィブロネクチン(ITSFn)培地によってES細胞培地を置き換え、10日間インキュベートすることよってネスチン陽性細胞の選択を達成した。

    これらのネスチン陽性細胞は、分割プール培養実験のための出発物質として用いた。 具体的には、細胞を0.05%トリプシン/0.04%EDTAによって解離し、ほぼ1.5〜2×10 細胞cm −2において>10,000ガラスバイオスフェア(Whatman,UK)に蒔いた。 その後、用いた組織培養皿は非接着性材料から作成した。 ポリオルニチン(15mgml-1)およびラミニン(1μg ml-1、共にBecton Dickinson Labware,Bedford,MA)を用いて滅菌ガラスビーズを予めコートした。 ビーズをランダムに4つの組に分割し、その各々を、その組成を以下の表1に掲げる4つの組織培養基(A1、A2、A3またはA4で表す)のうちの一つにおいてインキュベートした。 これらはJoheet al. (1996,GenesDev,vol.10,p 3129−3140)に従って修飾されたN2培地に基づき、以下、これを単にN2培地という。

    ビーズの4つの組を各組織培養基に2日間暴露し、次いで、全ての4つの培養からのビーズをプールし、N2培地中で軽く洗浄し、再度、4つの組の分割し、その各々を培地A1〜A4の一つにおいてインキュベートした。 2日後、この手法を再度反復して、培地A1〜A4の種々の組合せにおいて、6日間、細胞培養をサンプリングした。 この後、全ての4つの培養からのビーズをプールし、N2培地で軽く洗浄し、4つの新しい組にランダムに分割し、その各々を、その組成を以下の表2に掲げた4つの新しい培地(B1、B2、B3またはB4と命名)のうちの一つにおいてインキュベートした。

    培養の各ラウンドは5日間であり、次いで、全ての4つの培養からのビーズをプールし、N2培地で軽く洗浄し、4つの組に分割し、その各々を再度培地B1〜B4のうちの1つにおいてインキュベートした。 この手法は、ビーズが合計15日間B培地中に存在するように、合計3回行った。

    異なる培養基の組成物に含まれていたのは、少量ずつガラスマイクロキャリアー(または細胞)に接着させ、引き続いて増幅し、分析して、分割プール培養療法においていずれかの時点でマイクロキャリアービーズの所在を推定するユニークなオリゴヌクレオチド標識であった。 各標識のDNA配列は、異なる培地(すなわち、培地A1対培地A2)および分割プール培地の2つの異なるラウンドでの同一培地(すなわち、0日対4日に用いた培地A1)への暴露の間を識別するように異なった。 合計21日間にわたる種々の培地における分割プール培養療法の要約は以下の表3に掲げる。 表における各エントリーは、組織培養フラスコに含まれた標識の同一性を示す(括弧に入れる)。 標識の全DNA配列は表4に示す。

    異なるA培地中で3回、続いて、異なるB培地中で3回幹細胞を分割プール培養することによって、4096の異なる組織培養プロトコルをサンプリングすることが可能であった−これは、異なるビーズが暴露された前記緩衝液の異なる組合せの合計数である。

    分割プール培養の最終ラウンドに続き、ビーズをプールし、N2培地中で軽く洗浄し、標準プロトコルを用いてFACSによって分析した。 簡単に述べれば、細胞をPBS中の4%パラホルムアルデヒド/0.15%ピクリン酸中で固定した。 ドーパミン作動性ニューロンを検出するために、共に製造業者の指示に従って、抗チロシンヒドロキシラーゼモノクローナル抗体(Sigma)、続いて、蛍光標識二次抗体(JacksonImmunoresearch Laboratories,West Grove,PA)を用いて細胞を染色した。

    最高蛍光強度を持つ5つのビーズをPCRプレートの別々のウェルに分類し、Taqポリメラーゼ(Stratagene,LaJolla,CA)および以下の表5に示したプライマーを用い、オリゴヌクレオチド標識をPCRの30サイクルによって増幅した。

    フェノール/クロロホルム抽出、続いてのエタノール沈殿によって、PCR産物を精製し、制限酵素EcoRI(NewEngland Biolabs,Beverley,MA)を用いて消化し、同様に調製されたpBluescriptII KS+ベクター(Stratagene,LaJolla,CA)クローン化した。 組換えベクターをコンピテントE. coliDH5αに電気穿孔し、アンピシリン抗生物質を含有する培地で平板培養した。 各分析したビーズおよび調整したプラスミドDNAにつき200のコロニーを拾い、ポリリンカーの領域において配列決定した。

    配列決定分析は、ドーパミン作動性表現型を持つ細胞を運ぶビーズの大部分がオリゴ(L4、L8、L12、L16、L20およびL24)によって標識されたことを明らかとした。 これらの標識をそれらの各細胞培養条件に相関させると、これらのビーズは合計6日間にわたって(0日、2日および4日)培地A1に、続いて、さらに15日の間に(6日、11日および16日)培地B4にこれらのビーズが分配されることを示唆した。 この培養プロトコルは、前記したように、マウスES細胞を保有することによって、ドーパミン作動性ニューロンの生産に適したものであったと推定された。

    一旦これらの条件が確立されれば、前記プロトコルに従う(すなわち、拡大培養、EB形成、ネスチン選択など)が、分割プール培養のプロセスを受けることなく、未分化ES細胞を再度培養した。 細胞をビーズの代わりに接着性組織培養プレート上で増殖させ、オリゴヌクレオチド標識は異なる培養基に添加せず、成功した培養条件のみをアッセイした。 このように多数のドーパミン作動性細胞が生産でき、遺伝子発現のパターンにつきテストした。 全RNAは培養プロトコルの4つの段階から得られた細胞から取り出した。 (1)多能性ES細胞集団;(2)胚様体;(3)ネスチンについての選択を受けている解離し平板培養した細胞;および(4)緩衝液A4中で培養したネスチン陽性細胞。 逆転写酵素およびランダムヘキサマーでのプライミングを用いてcDNAを調製し、アクチン転写体の量を種々の試料の間で正規化した。 表6に示したプライマーを用いて神経cDNAを調製した。

    また、表6は、種々の遺伝子の転写体がRT−PCRによって検出された段階の示す(括弧は痕跡量の検出を示す)。 これらの結果からEn1、Pa2、Pax5、Wnt1およびNurr1は、ドーパミン作動性運命に予定された細胞のための適当なマーカーであると推定された。 逆に、多能性幹細胞のそのような遺伝子、例えば、Nurr1でのトランスフェクションの結果、インビトロでドーパミン作動性表現型を関係付けることができた(Wagneret al.,1999,NatureBiotechnology,vol.17,p 653−659)。

    <HepG2細胞ユニットの分割プール細胞培養>
    分割プール培養実験を行って、特定の細胞プロセス、すなわち、チトクロームP450(CyP450)代謝酵素の発現および/または活性に影響し得る組織培養条件をアッセイした。 1A1および1A2のようなこのクラスの酵素のメンバーは基質、すなわち、酵素的に加水分解されて生成物である、CyP450酵素活性を測定するのに用いることができる区別される蛍光特徴を有するレソルフィンを生じるエトキシレソルフィンの使用でアッセイすることができる。 CyP450酵素の発現はβ−ナフトフラボンのようなインデューサー分子、およびα−ナフトフラボン、キノジンまたはアミノトリアゾールのような阻害薬剤によって調節することができる。 また、いくつかの分子について、CyP450遺伝子の発現を誘導することができるが、遺伝子の酵素産物の活性を阻害することが可能である。 従って、発現および活性の複雑なパターンが、調節化合物への細胞の一連の暴露パターンに従って生起することができる。

    ヒト肝細胞癌細胞株HebG2を、L−グルタミン、ペニシリン+ストレプトマイシンおよび10%加熱不活化胎児ウシ血清を補足したDME培地中のCytodex3(AmershamBiosciences)で増殖させた。 シーディングから一日のうち、細胞ユニットを5つの群に分割し、5μMのα−ナフトフラボン、β−ナフトフラボン、キニジン、アミノトリアゾールまたはジメチルスルホキシド(DMSO;テスト化合物のための溶媒キャリアー)の1つを含有する培養基にて、マルチウェル培養プレートの別々のウェルで培養した。 24時間の培養(37℃、5%CO )、個々のウェル中の細胞ユニットをPPSで2回洗浄し、培養基中で一緒にプールし、5つの群に分割し、これを第一ラウンドで用いた5つの異なる培地で培養した。 培養のさらに24時間後、細胞ユニットを前記のように分割プール培養の第三のラウンドまで処理した。 培養のさらに24時間後、ビーズの試料を最終の5つの細胞群、および、分割プール実験の持続のためにDMSOを含む標準培地で培養された対照群から取った。

    CyP450アッセイでは、増殖培地中のビーズのアリコットを取り出し、酵素基質エトキシレソルフィンを10μMの最終濃度まで添加した。 ビーズの試料をカバースリップを持つ顕微鏡スライドに置き、直ちに、テキサスレッド/ローダミン蛍光用の標準フィルター組を用いてエピ蛍光顕微鏡で観察した(図9参照)。 対照細胞は、基質添加から約15〜20分後にレソルフィン蛍光を呈し、エトキシレソルフィンの非存在下では蛍光は検出されなかった。 細胞ユニットを対照実験においてβ−ナフトフラボンで処理すると、酵素活性は5〜10分以内に明らかである(データは示さず)。 分割プール培養手法を受けた群から取った細胞ユニットは種々の程度の酵素活性を示し(10分以内)、これは、それらが、エトキシレソルフィンを代謝することができるCyP450酵素の活性を誘導または阻害する種々の条件に遭遇したことを示す。

    <多能性幹細胞を含む細胞ユニットの増殖>
    Tau−GFP融合タンパク質を発現する多能性マウスES細胞を、15%FCS、0.55mM2−メルカプトエタノール、L−グルタミン、抗生物質(全てGIBCO/BRLからのもの)、および1,400Uml −1の白血病阻害因子(Chemicon)を補足したイスコベの培地よりなるES細胞培地中のマイトマイシンC−処理SNL細胞(STO細胞誘導体)でのフィーダー層で維持し、1日おきに1:5分割した。 細胞ユニットの形成で用いたES細胞およびフィーダー細胞をゼラチン被覆フラスコに移し、ES培地中で1日間培養して培養におけるフィーダー細胞の数を低下させた。 ES細胞をゼラチンプレートからトリプシン処理し、FCS含有培地で洗浄し、次いで、PBS中で水和させたCytopore2またはCytodex3マイクロキャリアー(AmershamBiosciences)いずれかと共にインキュベートし、オートクレーブ処理または70%エタノール処理によって滅菌し、次いで、ES培地で洗浄した。 ES細胞を非接着性ブラスチック皿中で約10細胞/マイクロキャリアーの密度で蒔いた。 ES細胞培養を、1日置きに培地の半分を新鮮なES培地で交換しつつ、標準条件(5%CO 、37℃)下で維持した(図7参照)。 多能性細胞の増殖をこれらの条件下で5日間観察し、その後、細胞をES細胞培地から移して分化を開始させた。

    <分割培養による幹細胞ユニットの分化>
    多能性マウスES細胞ユニットをES細胞培地中で5日間培養し(実施例3参照)。 ES培地を捨て、細胞ユニットをPBSで2回洗浄して痕跡量のES培地を除去した。 ビーズ集団を3つの群に分割し、PBSを捨て、(i)ES細胞培地;(ii)10%胎児ウシ血清を含むダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM);または(iii)化学的に定義された培地(CDM;WilesMV,Johansson BM,1999,Exp.Cell Res.,vol247,p.241−8)の一つで置き換えた。 標準条件下での1時間の培養の後、3つの群の各々を3つのさらなる群に分割し、その各々を(i)細胞群を培養した培地;(ii)細胞群を1μmLiClを含む培養した培地;または(iii)細胞群を、1μMレチノイン酸(RA)を含む培養した培地の1つにおいてインキュベートした。 一日おきに培地の半分を各新鮮な培地で置き換えた。

    <表現型マーカーを用いる細胞ユニットにおける細胞分化を含む細胞プロセスの検出>
    Cultispher G(PercellBiolytica)マイクロキャリアーに、Tau−GFP融合タンパク質を発現するマウスES細胞を蒔き、無血清培地(ペニシリン/ストレプトマイシンおよび1400U/mlLiFを補足したGlutamax(Gibco)を含むイスコブの修飾DMEMである15%GibcoKO血清代替物)中で4週間増殖させた。 培地中の色インジケーターによって示したように、pHが酸性になると培地を変化させた。 ビーズのアリコットを取り出し、PBSで洗浄した後、4℃PBS中の4%パラホルムアルデヒドで20分間固定した。 ビーズをPBSで数回洗浄し、PBS/2.5%FCS、0.1%トリトンX−100に再懸濁させ、2つの試料に分割した。 1つの試料をネズミ−抗グリア繊維酸性タンパク質(GFAP)モノクローナル抗体で1:200とし、他は対照として残した。 4℃における一晩のインキュベーションの後、試料をPBSで3回洗浄し、次いで、双方を室温にてCy3−標識ロバ抗マウス抗体(JacksonImmuno Research)と共に2時間インキュベートした。 試料をPBSで3回洗浄し、次いで、DAPI(Vector)を含有する設置培地で顕微鏡スライドにスポットした。 マイクロキャリアー上の細胞の大部分はGFAPについての特異的染色を呈した(図8A〜H参照)。

    別々の実験において、Tau−GFP融合タンパク質を発現するマウスES細胞およびCytodex3マイクロキャリアーを含む細胞ユニット(実施例3を参照)をES培地からCDMに写し、標準条件下で4日間培養し、その後、細胞ユニットをPBSで1回洗浄し、重力によって沈降させた。 PBSを除去し、細胞ユニットを4℃にて2%パラホルムアルデヒド中で15分間固定し、その後、溶液を除去し、細胞ユニットをPBSで3回洗浄した。 細胞ユニットを2.5%胎児ウシ血清および0.1%トリトンX100(Sigma)を含有するPBSに再懸濁させ、3つの別々のミクロチューブに分割した。 チューブリンβIII(Sigma)に特異的なマウス免疫グロブリンを1:200の希釈にて1つの試料に添加し、抗体染色を室温にて2時間進行させ、場合によっては再懸濁させた。 次いで、全ての3つの試料を大過剰のTBSで3回洗浄した。 次いで、抗チューブリン抗体と共にインキュベートした試料および一つの他の試料を、PBS/FCS/トリトン×100中のCy3−コンジュゲーテッド−ロバ抗マウス免疫グロブリン(JacksonImmunoResearch)の1:200に希釈と共に室温にて2時間インキュベートした。 次いで、全ての3つの試料を大過剰のPBSで3回洗浄し、次いで、細胞ユニットをDAPI(Sigma)を含有する設置培地に再懸濁させ、カバーグラスを持つ顕微鏡スライド上にスポットし、エピ蛍光または共焦点顕微鏡によって観察した。 (図8、パネル1参照)。

    <細胞プロセスによる分化遺伝子発現の検出>
    分割−分割培養によって分割するように誘導されたマウスES細胞の細胞ユニット(実施例4参照)をPBSで洗浄し、製造業者の指示(Qiagen)に従ってRneasy試薬を用いて細胞ユニットからRNAを調製した。 次いで、製造業者の指示(Invitrogen)に従って、逆転写酵素を用いて、オリゴ−dTプライミングにて第一ストランドcDNAを調製した。 試料の濃度を正規化するために、各cDNA試料について10倍希釈系列を作成し、「ハウスキーピング」遺伝子用のオリゴヌクレオチドプライマー、グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼを用いる25、30および35ラウンドのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に供した。 1.5%アガロースゲルで分離した得られた産物の臭化エチジウム染色を用いて、各試料中のcDNAの相対量を見積もった。 次いで、各試料からの当量のcDNAを、(未分化ES細胞で起こることが予測される)Oct4;(分化したニューロン子孫で起こることが予測される)ネスチン;または(分化した内胚葉子孫で起こることが予測される)HNF3βのためのDNAプライマーでのPCR反応で用いた。 プライマーの配列は以下の通りであった。

    これらの識別マーカーの相対量は、細胞ユニットが暴露された培養条件に応じて異なった。 例えば、ES培地中のRAは内胚葉マーカーHNF3βの発現を誘導し、他方、RAを含むDMEMおよび、程度は低いが、LiClはニューロン前駆体のマーカーであるネスチンの発現に導いた。 LiClは還元を阻害したが、Oct4の減少はDMEMで特に顕著であった(図11参照)。

    <RFIDを用いる細胞ユニットの標識>
    ガラスに入れたID100−Aトランスポンダ(Trovan)を1N塩酸で2時間処理し、脱イオン水で十分に洗浄し、次いで、ガラス容器中でアミノプロピルポリエトキシシラン(Sigma)と共に2時間インキュベートした。 シラン試薬をデカントし、タグを順次水、70%エタノール、滅菌脱イオン水、次いで、リン酸緩衝化生理食塩水で洗浄した。 タグを、個々に、非接着性細菌プラスチックマルチウェルプレートのウェルに入れた(Sterilin)。 ゼラチン被覆プレート上でLIF(Chemicon)を含むES細胞培地で維持されたTau−GFP融合トランスジーンを発現するES細胞の多能性系をトリプシン処理によって単細胞懸濁液に解離した。 細胞をES細胞培地で一回洗浄し、10 細胞/mlにてES培地に再懸濁し、250μLの懸濁液を各タグにスポットした。 標準培養条件(37℃、5%CO )下での1時間のインキュベーションの後に1.5mlのさらなるES培地を添加し、プレートをインキュベーターに戻した。

    また、トランスポンダをヒト肝細胞癌細胞株HepG2、およびマウスSTO細胞誘導体SNLでシードした。 予備処理およびシーデングプロセスをES細胞について記載されたように実行したが、10%FCSを含むDMEMで細胞を維持した。

    接着性培養を解剖顕微鏡で観察し、エピ蛍光を用いて蛍光タグ化細胞を可視化した(図10参照)。 接着した種々の細胞型は正常な展伸形態を示し、トランスポンダで増殖させた。 標識した細胞ユニットを、細胞ユニットまたは標識の明らかな劣化なしで、数週間維持できた。 細胞ユニットのユニークな同一性は、細胞ユニットの細胞培養条件または維持を満たすことなく、Trovanポケットリーダーで登録することができた。

    <蛍光、分子または光学タグによる細胞ユニットの標識>
    Cytodex3マイクロキャリアー(Amersham Biosciences)は変性コラーゲン(ゼラチン)の表面層と共にデキストランから構成される。 Cytodex3ビーズ(PBS中での水和の後50μl沈降用量)を、合計用量200μl中の2.5%胎児ウシ血清を含むPBS中の1:50の希釈にて、ビオチンにコンジュゲートした抗コラーゲン抗体(Abcam,Cambridge,UK)と共に室温にて90分間インキュベートした。 次いで、ビーズを、再懸濁、次いで、重力沈降によって、大過剰のPBS中で3回洗浄した。 対照試料を同一法であるが、抗コラーゲン抗体を添加することなく処理した。 対照および処理した試料を各々二つに分割し、各々の1つの試料を250μl用量のPBS/FCS中の2.5μg/mlの濃度にて、ストレプトアビジン−FITCコンジュゲートと共に室温にて30分間インキュベートした。 2つの試料を同一条件下ではあるがストレプトアビジン−FITCなしでインキュベートした。 ビオチン化抗コラーゲン抗体、続いて、ストレプトアビジン−FITCコンジュゲートで予備処理したビーズは、より高いレベルの蛍光を示した(図12参照)。 ビオチン化抗体でのマイクロキャリアービーズのコーティングは、今度は、容易に脱着可能なストレプトアビジンコンジュゲートに結合することができるビオチン部位を提供する手段である。 ストレプトアビジンは非常に多数の分子および高分子体にコンジュゲートすることができるので、従って、それが大きな範囲のタグに高い親和性で結合できるようにマイクロキャリアービーズを誘導体化することができる。

    別の実験において、Cultispher G(Percell Biolytica)マイクロキャリアーを、便宜なダグを提供するラテックスビーズで標識した。 マイクロキャリアーをPBS中で水和し、70%エタノールで滅菌し、PBSで洗浄し、次いで、ビオチン部に共有結合させた。 400μlのジメチルホルムアミドに溶解させた10mgビオチンアミドヘキサノイル−6−アミノヘキサン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(Sigma)を用いてビオチン化を行い、これをPBS中のマイクロキャリアーの1ml沈降用量に添加した。 反応を室温にて一晩進行させ、マイクロキャリアーを大過剰のPBSで3回洗浄した。 処理したビーズのアリコットおよび未修飾対照試料を1×10e51μM直径のストレプトアビジン被覆赤色−蛍光ビーズ(Sigma)と共に、または2.5%胎児ウシ血清を含むPBS中の2.5μg/mlストレプトアビジン−FITC(Sigma)と共にインキュベートした。 ビーズタグ(図12E〜H)またはFITC(図18A〜D)での標識のレベルを、蛍光顕微鏡を用いて比較した。

    さらなる実験において、Cytodex3マイクロキャリアーを赤色または緑色で蛍光1μM直径のストレプトアビジン−被覆ビーズ(Siamg)で標識した。 Cytodex3マイクロキャリアー(AmershamBiosciences)を、2.5%FCSを含むPBS中で、室温にて、赤色、緑色の懸濁液、または赤色および緑色ラテックスビーズの混合物と共に30分間インキュベートした。 再懸濁、次いで、重力による沈降によって、試料を大過剰のPBS中で3回洗浄した。 次いで、赤色タグによって標識されたビーズのアリコットを緑色タグによって標識されビーズを含有する試料からの同一容量のアリコットと混合して、クロス−標識が起こるか否かを判断した。 次いで、FITCおよびテキサスレッド/ローダミン検出用の標準フィルター組を用い、エピ蛍光顕微鏡下で試料を観察した(図14および15)参照。 ラテックスビーズタグを用いてマイクロキャリアーを強固に標識することができ、その結果、異なって標識された集団が得られた。 2つの集団の混合の結果、マイクロキャリアーの間の標識の有意な移動は得られず、これは、集団が識別されるままであることを意味する。 2つのタグの組合せと共にインキュベートしたマイクロキャリアーは、双方によって安定に標識され、これは、単一マイクロキャリアーが複数のタグで標識できることを示す。 この実験で用いたもののようなタグは非常に多数のレポーター(たとえば、異なるフルオロフォア、染料、酵素)にコンジュゲートすることができるので、マイクロキャリアーを大きな範囲の識別タグで標識するのにこれらを用いるのが可能である。 加えて、抗体をラテックスビーズタグにカップリングさせ、それらをマイクロキャリアーまたは細胞ユニットに向けることが可能である。

    <蛍光、分子または光学タグによる細胞ユニットの標識>
    Cytodex3マイクロキャリアー(Amersham)を、Tau−GFPトランスジーンを発現するES細胞でシードした。 1日後、マイクロキャリアーをPBSで洗浄し、次いで、ストレプトアビジン(Sigma)に共有結合した赤色1μm直径ラテックスビーズの懸濁液と共に室温にて30分間インキュベートし;標準条件下で直ちに、または培養から24時間後に分析した。 分析は再懸濁による大過剰のPBS中での3回の洗浄、次いで、重力による沈降を含み、試料は、FITCおよびテキサスレッド/ローダミンの検出用の標準フィルファー組を用いてエピ蛍光下で観察した。 ES細胞(緑色)を含み、ラテックスビーズタグ(赤色)とのコロイド相互作用によって標識された細胞ユニットは各場合に明らかであった(図13参照)。

    ラテックスおよび他のポリマーと共に構成されるビーズは非常に多数の分子および超分子レポーターにコンジュゲートさせることができるので、従って、大きな範囲の識別標識で細胞ユニットを標識することが可能である。

    <細胞プロセスをベースとした細胞ユニットの手動分析および単離>
    Tau−GFP融合タンパク質を発現するマウスES細胞およびCytodex3マイクロキャリアーを含む細胞ユニットを裸のcytoex3マイクロキャリアーと1:100の比率で混合した。 相および蛍光設定を用い、混合物を顕微鏡下で観察した。 GFPを発現する細胞ユニットが、大過剰の非蛍光キャリアーにおいてさえ、蛍光顕微鏡を用いる場合に容易に明らかであった(図16参照)。 個々の細胞ユニットは、小容量の細胞ユニットを含有する培養を吸引するための所定の位置に設けられたピペットを用いて、手動で分類することができた。

    <標識されたマイクロキャリアーおよび細胞ユニットの自動分析およびソーティング>
    自動または高スループット様式にて、種々のタグで標識される細胞ユニットを分析し、分類し、または特定の細胞プロセスを表示することができるのが望ましい。 多細胞生物おおびビーズを0.5mmまでの直径にて分類することができるCOPASSelect機器(Union Biometrica Inc.,Somerville,MA)を用いて、細胞ユニット、マイクロキャリアーおよび標識されたマイクロキャリアーを分析した。 Cytodex3(AmershamBiosciences)をそのサイズおよび光学特徴に従った機器(Timeof Flight,TOF;Extinction,Ext)によって分析し、サイズのわずかな変化を呈したが、利用した設定下で有意な自動蛍光は呈しなかった(図17A/B参照)。 赤色ストレプトアビジン−コンジュゲーテッドラテックスビーズ(Sigma)でのCytodex3マイクロキャリアーの標識(実施例9参照)は、赤色蛍光において検出可能なシフトに導いた(図17C/D)。

    Tau−GFPトランスジーンを発現するES細胞でシードしたCytodex3マイクロキャリアーを含む細胞ユニットを、細胞数をベースとして細胞ユニットを分類する実験で用いた。 種々の細胞密度を支持する細胞ユニットを含む細胞ユニットの群を固定することなく器具を通過させ、広い範囲の緑色蛍光強度を示した(図17E/F)。 前記器具を用いて、低蛍光の細胞ユニットから高度に蛍光な細胞ユニットを分類した。 エピ蛍光顕微鏡を用いて引き続いて分析した試料は、細胞ユニットが高蛍光に基づいて分類された細胞ユニットが非常に多数の生きた細胞を運び、他方、低蛍光の細胞ユニットがまばらに集まっていることを明らかにした。 従って、細胞ユニットの自動分析、同定および単離は、細胞数、表現型、および同定タグでの標識を含む多数のパラメーターに従って行うことができた。

    <単細胞ユニットからのタグの同定>
    Cultispher G(PercellBiolytica)マイクロキャリアーをビオチン部位に架橋させ(実施例8参照)、ビオチン化は、蛍光顕微鏡を用いてストレプトアビジン−FITCでの染色レベルを比較することによって確認した(図18A〜D)。

    細胞ユニットは、ES細胞増殖培地中の250μl沈降容量ビオチン化CultispherGマイクロキャリアーと共に10 TGFP ES細胞の単細胞懸濁液を24時間インキュベートすることによって形成された。 50μlの細胞ユニットの試料を、室温にてほぼ5×10 タグと共に15分間インキュベートすることによって、ストレプトアビジン−被覆1μM赤色−蛍光ラテックスビーズ(Sigma)でタグを付した。 数ラウンドの再懸濁および大容量のPBSの定着によって細胞ユニットを過剰のラテックスビーズなしで洗浄した。 エピ蛍光顕微鏡を用いて、ラテックスビーズタグによって細胞ユニットが標識されたことを確認した(図18E〜G)。

    解剖顕微鏡下に設けたペトリ皿に細胞ユニットを入れ、ピペットを用いて個々のユニットを単離し、5mlのFACSチューブ(BectonDickinson Falcon)に入れた。 200μlのアリコットのBlcilluspolymyxa中性プロテアーゼの1×溶液(Dispase II,Roche)を各チューブに加え、マイクロキャリアーマトリックスを室温にて一晩消化した。 消化物を、1μmのサイズの範囲であって、遠赤色(FL3)発光スペクトルにおける事象を検出するようにキャリブレートされたサイトフルオリメーター(BectonDickinson FACScalibur)を通した(図18H、I)。 単細胞ユニットから単離されたタグの同一性は、適当なサイズおよび蛍光基準に適合させた事象を検出することによって確認することができた(図18J、K)。

    <細胞ユニットを標識するのに用いたタグの多重度の同定>
    正確なサイズおよび蛍光特徴の広く種々のラテックスビーズの入手可能性は、マイクロキャリアーの多重標識を可能とする。 ビオチン化CultispherGマイクロキャリアー(実施例12参照)は、サイズ、蛍光発光スペクトルおよび蛍光強度が異なる3つの異なるタイプのストレプトアビジン−被覆ビーズタグを含有する培地中での系列的なインキュベーションによって標識した。 タグとして用いたビーズタイプは、1)Sigmaによって製造された1μmの緑色ラテックスビーズ;2)BangsLaboratoriesによって製造された1連の5.5μm赤色−蛍光ラテックスビーズ(QuantumPlex)におけるビーズ組no. 1;および3)BangsLaboratoriesによって製造された一連の4.4μm赤色−蛍光ラテックスビーズにおけるビーズ組5ビーズであった。

    次いで、タグ化マイクロキャリアーをタンパク質分解によって消化し、遊離されたタグを前記したようにFACS分析に供した(実施例12参照)。 サイトフルオリメーター(BectonDickinson FACScalibur)をタグの試料でキャリブレートして、サイズゲートを設定し(図19A)、3つの異なるタグの蛍光シグニチャーを適当な(緑色または赤色)蛍光チャネルにおける事象を分析することによって検出した(図19B〜D)。

    3ラウンドにわたって行われた分割プール細胞培養の例を示す。 細胞ユニットの群は、所与の条件下で増殖させることによって得られる。 細胞ユニットは球として描かれ、細胞ユニットの群はフラスコ中に示される。 細胞ユニットは3つのアリコットに分割され、これは、A、B、Cで示される異なる増殖条件下で2日間培養する。 細胞ユニットは引き続いてプールされ1回以上3つのアリコットに分割され、これは条件D、EまたはF下で増殖される。 2ラウンドのこのプロトコルの後、種々の細胞群は細胞培養条件の全ての可能な組合せに暴露することが理解される。

    分割プール細胞培養のさらなる例を示す。 この場合、実験は3つの群A、BおよびCで始まる。 試料は第1の工程でプールされ、引き続いて、群D、EおよびFに分割される。

    分割プール方法の変形を示し、ここに、群A、BおよびCからの試料は先立ってのプーリングなしで群D、EおよびFに直接分割される。 個々の細胞群の分割はランダムであってよく、あるいは所定のものであってよい。

    分割プールのさらなる変形を示し、そこでは細胞群A、BおよびCは細胞群D、EおよびFに先立ってのプーリングなしで分割され、他方、第2の工程においては、細胞群D、EおよびFはプールされ、引き続いて細胞群G、HおよびIに分割される。

    第1の工程を含む分割―分割プロトコルを示し、ここに、細胞群Aは分割されて、細胞群B、CおよびDを形成し、および第2の工程を示し、そこでは細胞群B、CおよびDは分割され、細胞群E〜Mを形成する。

    分割−分割工程を含む分割プールプロトコルを示す。 2ラウンドの分割およびプーリングの後、細胞群A、BおよびCは先立ってのプーリングなしで分割され、その結果細胞群A、BまたはCに種々に由来する3つの細胞群系統が得られる。 分割−分割工程を含むことを用いて、細胞効果を生じさせるにおいて細胞培養条件の役割を推定することができるのを注意されたい。 例えば、もし細胞効果が系統Aのみから誘導された細胞ユニットで観察され、系統A、BおよびCの多様性に引き続いての種々の細胞グループ分けでアッセイされた細胞培養条件が同一であると仮定すれば、分岐点における細胞群Aの培養の条件は細胞効果に対して必須であるに違いない。 また図1〜6で示した方法は多数の組合せで用いることができるのにも注意されたい。

    プロトンマイクロキャリア―(Cytopore2,Amersham Biosciences)に付着したキメラTau−緑色蛍光タンパク質を発現する多能性胚様幹細胞を示す。

    パネルA〜Hは、グリア細胞マーカーGFAPの発現用の抗体染色によって測定される分化を受けるTau−緑色蛍光タンパク質(GFP)融合タンパク質を発現するES細胞および多孔性マイクロキャリアーCultispher Gを含む細胞ユニットを示す。 パネルA〜Dは位相顕微鏡(A)下で、および細胞核がDAPI(B)を用いて青色に染色され、(赤色マーカー)GFAP( C)および(緑色)GFP(D)が明らかである蛍光下で、40×対物レンズを用いて観察された細胞ユニットを示す。 パネルCおよびDは、ニューロン突起を包むグリア細胞を思わせる細胞の直線アレイ(白色矢印)であるように見えるものを示す。 パネルE〜Hは、一次抗GFAP抗体が省略された対照細胞ユニットを示す。 パネル1は、非多孔性マイクロキャリアー(Cytodex3、Amersham Biosciences)上で増殖する分化した胚様幹細胞を示す蛍光顕微鏡によって得られた複合イメージを示す。 前記細胞はTau−GFPを発現し、ニューロン特異的タンパク質β−チューブリンIIIに対して生起された蛍光抗体で免疫科学的に赤色に染色される。 黄色着色は、同時の赤色および緑色染色を示す。

    非多孔性マイクロキャリアー(Cytodex3、Amesham Biosciences)に付着したHepG2細胞を含む細胞ユニットの位相(パネルA、C、E)および蛍光(パネルB、D、F)顕微鏡写真を示す。 パネルA/B:エトキシレソルフィンの赤色蛍光生成物の変換を示す陽性対照細胞ユニット;パネルC/D:同様であるが、エトキシレソルフィンは添加せずに培養した陰性対照細胞ユニット;パネルE/F:P450インデューサーβ−ナフトフラボンで処理された、いくつかの細胞ユニットは高いレベルのP450を有し、蛍光生成物へエトキシレソルフィンを迅速に変換することができ(パネルF)、他方、分割プール培養に供された他の細胞ユニットは、高レベルのP450を発現しない多数の細胞が存在する(例えば、パネルEの底部右側で明らかな細胞ユニット)ことを示す、分割プール実験に続いての細胞ユニット。

    RFIDを用いる細胞ユニットの標識を示す。 パネルA:ガラスカプセル化高周波数トランスポンダID100−A(Trovan);パネルB;ガラスカプセル化高周波数トランスポンダのまっすぐなエッジで増殖するTau−GFP融合タンパク質を発現するマウス胚様幹細胞(光学顕微鏡、頂部;蛍光顕微鏡、底部;合わせたイメージ、中央);(C)はガラスカプセル化高周波数トランスポンダの丸い端部で増殖するGFPを発現する胚様幹細胞を示す(光学顕微鏡、頂部;蛍光顕微鏡、底部;合わせたイメージ、中心)。

    マウスES細胞の分割プール培養に続いての分化遺伝子発現を示す。 ES細胞は1μM LiCl(レーン2、5、8、11)または1μMレチノイン酸(3、6、9、12)を加えた、または加えない(レーン1、4、7、10)、ES培地(A)、CDM(B)、またはDMEM(C)中のCytopore2マイクロキャリアーで増殖された。 cDNAは細胞から調製し、等量を、対照遺伝子グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(G3PDH)のためのオリゴヌクレオチドプライマー、および未分化ES細胞のマーカー(Oct4)、ニューロン前駆体(ネスチン)、および内胚葉細胞(HNF3β)を用いるPCRに供した。 写真は、塗りつぶしていないブラケットによって示されるPCR産物の臭化エチジウム−染色アガロースゲルのものである。 「PD」はプライマー−ダイマー産物を示す。

    マイクロキャリアーの標識を示す。 パネルA〜D:ストレプトアビジン−FITCで染色し、位相(A、C)および蛍光(B、D)顕微鏡下で観察されたビオチン化抗コラーゲン抗体と共に(C、D)または(A、13)なしでインキュベートされたCytodex3マイクロキャリアー。 パネルE〜H:ストレプトアビジン−被覆1μM直径赤色蛍光ビーズで染色され、位相(E、G)および蛍光(F、H)顕微鏡下で観察された架橋ビオチン部位を持つ(G、H)または持たない(E、F)Cultispher Gマイクロキャリアー。 細胞ユニットの標識を示す。 tau−GFP融合タンパク質を発現するES細胞でシードされたCytodex3ビーズを赤色蛍光ラテックスビーズで標識し、30分後(A〜C)、または24時間後(D〜F)で調べた。 マイクロキャリアーは位相顕微鏡(A、D)を用い、およびフィルターで観察して、緑色(B、E)または赤色(C、F)蛍光を検出した。

    2つの異なる蛍光標識でのマイクロキャリアーの2つの集団の標識を示す。 Cytodex3マイクロキャリアーは赤色または緑色ストレプトアビジンラテックスビーズで別々にインキュベートし、次いで、1:1比率で混合した。 それらは位相顕微鏡(A)を用いておよびフィルターで観察して緑色(C)または赤色(D)蛍光を検出した。 BはC+Dの合わせた写真である。 双方の標識は容易に検出され、有意な標識の移動は検出されなかった。

    2つの異なる蛍光標識でのマイクロキャリアーの二重標識を示す。 Cytodex3マイクロキャリアーを赤色および緑色ストレプトアビジンラテックスビーズの1:1混合物と共にインキュベートした。 それらは位相顕微鏡(A)下でおよびフィルターで観察して、緑色(C)または赤色(D)蛍光を検出した。 BはC+Dの合わせた顕微鏡写真である。 各マイクロキャリアーは二重に標識される。

    位相(パネルA)または蛍光(パネルB)顕微鏡を用いる、細胞プロセスを呈する細胞ユニットの検出を示す。 Tau−GFP融合タンパク質を発現する細胞ユニットは蛍光顕微鏡(B)を用いてバックグラウンドから容易に区別することができ、混合物から手動で単離することができる。

    COPAS Select(Union Biometrica Inc.,Somerville,MA)機器を用いるマイクロキャリアーおよび細胞ユニットの自動分析からのデータを示す。 パネルAおよびB:PBSで懸濁したCytodex3マイクロキャリアーをソーターを通し、サイズ(時間飛行;TOF)対光学散乱(消光;Ext)[A]について、および緑色蛍光(FLU1)対赤色蛍光(FLU2)[B]についてモニターした。 パネルCおよびD:Ext対TOFのプロット[C]、および蛍光[D]を示す赤色蛍光ラテックスビーズで標識されたCytodex3マイクロキャリアーの分析;パネルBおよびDの比較は、マイクロキャリアーの標識はそれらの赤色蛍光シグナルの増加をもたらすことを示す。 パネルEおよびF:Cytox3、およびTau−GFPトランスジーンを発現するES細胞を含む細胞ユニットの群の分析。 Ext対TOFを示すプロットにおける増大した散乱[E]および広い範囲の緑色蛍光(FLU1)[F]は、細胞数に基づいて分類できる細胞ユニットを明らかにする。

    細胞ユニットを標識するのに用いられるタグの同定を示す。 パネルA〜D:ビオチンで修飾された(A、B)またはそれらの天然未処理状態の(C、D)Cultispherマイクロキャリアーのストレプトアビジン−FITC標識。 パネルE〜G:各々、GFP−標識細胞および赤色蛍光タグを可視化するための位相顕微鏡(E)下、および緑色(F)および赤色(G)エピ蛍光オプティックス下で観察された、Tau−GFP融合タンパク質を発現するES細胞およびストレプトアビジン被覆赤色−蛍光、1μmラテックスビーズ(Sigma)で標識されたビオチン化Cultispher Gマイクロキャリアーを含む細胞セル。 パネルH〜K:特徴的な前方および側方散乱パラメーター(H;ボックス領域)およびFL3蛍光チャネルにおける特徴的な蛍光強度(I)を示す1μm赤色−蛍光ラテックスビーズ(Sigma)の対照試料を用いるFACSのギャリブレーション。 1μm赤色−蛍光ラテックスビーズ(Sigma)で標識された単一のタンパク質分解により消化された細胞ユニットのFACS分析は、タグについての以前に決定されたサイズパラメーターについてゲーティングし(J;ボックス領域)、続いて、タグに特徴的なFL3チャネル強度の検出によって行うことができる(K)。

    マイクロキャリアーを標識するのに用いられる多数のタグの同定を示す。 パネルA:対照タグで設定された前方/側方散乱パラメーターを用い、4.4μm(ゲートR1)、5.5μm(ゲートR2)、および1μm(ゲートR3)ビーズについてのサイズゲートを提示した。 パネルB〜D:標識されたマイクロキャリアーのタンパク質分解消化のFACS分析は、Bangs Labsからの緑色蛍光4.4μmビーズ組no. 5(パネルB);Bangs Labsからの緑色蛍光5.5μmビーズ組no. 1(パネルC)、およびSigmaからの1μm赤色蛍光ビーズ(パネルD)に対応するタグの存在を明らかにする。

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