ナリンギン含有飲料

申请号 JP2014131820 申请日 2014-06-26 公开(公告)号 JP2016007205A 公开(公告)日 2016-01-18
申请人 サントリーホールディングス株式会社; 发明人 黒田 新悟;
摘要 【課題】ナリンギン含有量が少ないにもかかわらず、ナリンギンの苦味やそれに起因する立体感を飲料に付与する技術を提供する。 【解決手段】ナリンギンを9〜110ppmと、従来平坦な味わいになってしまうことが懸念されていた高甘味度甘味料のスクラロースを10〜100ppmを含む飲料。 【選択図】なし
权利要求

ナリンギン9〜110ppmとスクラロースを含む飲料。スクラロースを10〜100ppm含む、請求項1に記載の飲料。スクラロースを20〜75ppm含む、請求項1または2に記載の飲料。果汁を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の飲料。グレープフルーツ果汁以外の果汁を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の飲料。非柑橘系果汁を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の飲料。飲料が炭酸飲料である、請求項1〜6のいずれかに記載の飲料。飲料がアルコール飲料である、請求項1〜7のいずれかに記載の飲料。アルコール度数が1〜12v/v%である、請求項8に記載の飲料。ナリンギン9〜110ppmおよびスクラロースを含有する飲料を調製する工程、 調製した飲料を容器に充填する工程、 を含む、容器詰め飲料の製造方法。

说明书全文

本発明は、飲料およびその製造方法に関する。特に本発明は、立体感のある味わいが増強された飲料に関する。

アルコール飲料や果汁含有飲料などにおいて、ナリンギンを初めとする苦味物質が、立体感のある味わいを増強させることが知られている。特にナリンギンは、主に柑橘系果汁を含む製品においてその立体感を向上させる効果があることが知られている。

しかし、ナリンギンの濃度が高くなると、苦味や収斂味が強くなり製品全体の風味を損なってしまうため、実際の製品に使用するには改善が必要であった。

例えば、特許文献1(特開2008-099677)には、500ppmという高濃度のナリンギンを含有する飲料においてナリンギンに由来する収斂味を和らげるために、スクラロースを用いることが提案されている。

また、特許文献2(特開2013-66490)には、スクラロースが各種食品において香味を向上させること、特にフルーツ感を向上させることが記載されている。

特開2008-099677号公報

特開2013-66490号公報

ナリンギンなどの苦味物質は、食品の苦味を与えるために添加するものであり、一般に、ヒトがナリンギンを知覚できる閾値は100ppm程度だと言われており(「最新 果汁・果実飲料事典」朝倉書店、1997年10月)、ナリンギンによって食品の香味を改善するには少なくとも100ppmを超えるナリンギンを食品に配合することが必要だと考えられていた。

一方、高甘味度甘味料として知られているスクラロースは、上述したように食品にフルーツ感を付与することが知られていたものの、糖などと比較して、味に立体感がなく平坦な味わいになってしまうことが指摘されていた。また、スクラロースは、甘さの後引きが長く、食品全体の風味や爽快感を損なってしまうという欠点も指摘されていた。

上記のような状況において、本発明の課題は、ナリンギンによる効果が知覚できないと考えられていた低濃度のナリンギンしか含有していない飲料において、ナリンギンに由来する香味を増強する技術を提供することである。

本発明者らは、かかる課題について鋭意検討した結果、110ppm以下のナリンギンしか含まれていない飲料においてスクラロースを配合すると、驚くべきことに飲料の立体感を向上できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。特にスクラロースは、従来、高甘味度甘味料として用いられていたものの、味に立体感がなく平坦な味わいになってしまうと考えられていたにもかかわらず、低濃度のナリンギンとスクラロースを併用すると飲料の立体感を向上できることは、予想外の知見である。

すなわち、これに限定されるものではないが、本発明は以下の態様の発明を包含する。 (1) ナリンギン9〜110ppmとスクラロースを含む飲料。 (2) スクラロースを10〜100ppm含む、(1)に記載の飲料。 (3) スクラロースを20〜75ppm含む、(1)または(2)に記載の飲料。 (4) 果汁を含有する、(1)〜(3)のいずれかに記載の飲料。 (5) グレープフルーツ果汁以外の果汁を含有する、(1)〜(4)のいずれかに記載の飲料。 (6) 非柑橘系果汁を含有する、(1)〜(5)のいずれかに記載の飲料。 (7) 飲料が炭酸飲料である、(1)〜(6)のいずれかに記載の飲料。 (8) 飲料がアルコール飲料である、(1)〜(7)のいずれかに記載の飲料。 (9) アルコール度数が1〜12v/v%である、(8)に記載の飲料。 (10) ナリンギン9〜110ppmおよびスクラロースを含有する飲料を調製する工程、調製した飲料を容器に充填する工程、を含む、容器詰め飲料の製造方法。

本発明により、ナリンギン含有量が9〜110ppmと極めて低いにもかかわらず、ナリンギンに起因する立体感を飲料に付与することが可能になる。特に少量のナリンギンとスクラロースを併用した際にこのような効果が生じることは、従来技術からは予想することができず、驚くべき知見である。

本発明は、低濃度のナリンギンとスクラロースを含む飲料に関する。

ナリンギン 本発明に係る飲料は、ナリンギンを9〜110ppmの濃度で含有する。ナリンギンは、ナリンジン(naringin)ともいい、分子式C27H32O14で表される物質である。ナリンギンは、主にミカン科グレープフルーツ(Citrus paradisi MACF.)の果皮、果汁又は種子より、やエタノールなどで抽出し、分離して得ることができる。

ナリンギンは、苦味を感じさせる物質として知られており、例えば飲料に配合することによって味覚に苦味を知覚せしめることができ、それによって食品の立体感を向上させることが知られていた。しかし、一般にヒトがナリンギンを知覚できる閾値は20〜100ppmと言われており(「最新 果汁・果実飲料事典」朝倉書店、1997年10月)、ナリンギンによって食品の香味を改善するには少なくとも100ppm程度を超えるナリンギンを配合することが必要だと考えられていた。本発明において飲料の立体感とは、飲料を口に含んだ際に、その味わいが口の中で広がり、奥行きを感じられる状態を意味する。

後述するように、本発明においては、9〜110ppmのナリンギンとスクラロースを併用することによって、ナリンギンの濃度が低いにもかかわらずナリンギンに起因する香味を増強させることが可能になる。本発明におけるナリンギンの濃度は、例えば、35〜90ppm、さらには50〜80ppmとするとより効果が大きく得られる。

本発明の飲料においては、ナリンギン以外にも適宜、苦味物質を配合することができる。本発明において配合できる(ナリンギン以外の)苦味物質の種類と濃度は特に制限されないが、苦味物質として、天然物を抽出した物を用いることもできるし、市販される食品添加物(苦味料など)を配合することもできる。これらの苦味物質は、1種又は2種以上の苦味物質を組み合わせて使用することもできる。

飲料中のナリンギン濃度は、公知の方法を使用して定量することができる。例えば、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)を用いる場合、以下の条件で分析することができる。

<ナリンジンのHPLC分析条件> 使用機器:Agilent Technologies社 1290 Infinity LCシステム 使用カラム:Agilent Technologies社 Zorbax Eclipse Plus RRHD C18 1.8μm 2.1 x 150 mm 移動相: A)0.1%ギ酸水溶液 B)アセトニトリル 0.0−0.5分(15%B)→6.0分(25%B)→6.05−7.0分(100%B)、初期移動相による平衡化3分 流速:0.6mL/min カラム温度:40℃ 注入量:2.0μL 検出器:AB Sciex社 4000 Q TRAP(ESI negative、MRMモード、m/z 579.2→271.1) スクラロース 本発明に係る飲料は、低濃度のナリンギンに加えてスクラロースを必ず配合しなければならない。スクラロースは、高甘味度甘味料として知られており、ショ糖に比べて強い甘味を有することが知られている。天然甘味料および合成甘味料をいい、食品や飲料に配合されるものであれば特に限定されない。

一般に高甘味度甘味料は、ショ糖に比べて非常に強い甘味を有する一方で、ショ糖とは異なる甘味質や好ましくない呈味が感じられることが問題となることがある。特にスクラロースは、後味に後をひく甘さが残ることや、立体感やボディ感が不足しがちであることが指摘されている。しかしながら、本発明に基づいて低濃度のナリンギンとスクラロースを併用することによって、スクラロースの好ましくない後味を改善するとともに、ナリンギンに起因する香味を増強することができ、ナリンギンとスクラロースの互いの優れた点を引き出すことが可能になる。

本発明の飲料に配合するスクラロースの量は、当該飲料の目的とする設計品質に応じて特に限定されずに決めることができるが、具体的には、10〜100ppmとすることが好ましく、20〜75ppmがより好ましく、25〜50ppmとしてもよい。

本発明の飲料に配合されたスクラロースの濃度は、HPLC法などの公知の方法により測定することができる。例えば、スクラロースについては、下記の条件で分析および定量することができる。

<スクラロースのHPLC分析条件> 使用機器:Agilent Technologies社 1290 Infinity LCシステム 使用カラム:Agilent Technologies社 Zorbax Eclipse Plus RRHD C18 1.8μm 2.1 x 150 mm 移動相: A)5mM酢酸アンモニウム水溶液 B)5mM酢酸アンモニウムアセトニトリル溶液 0.0分(60%B)→15.0分(95%B)、初期移動相による平衡化7分 流速:0.2mL/min カラム温度:40℃ 注入量:1.0μL 検出器:AB Sciex社 4000 Q TRAP(ESI negative、MRMモード、m/z 395.2→359.2) 本発明の飲料においては、本発明の効果をマスキングしない程度であれば、スクラロース以外の高甘味度甘味料を配合することも可能であり、高甘味度甘味料としては、例えば、ペプチド系甘味料、例えばアスパルテーム、アリテーム、ネオテーム、グリチルリチン等;配糖体系甘味料、例えばステビア甘味料(ステビア抽出物およびステビアを酵素処理してブドウ糖を付加した酵素処理ステビアおよびステビアの甘味成分の中で最も甘味質のよいレバウディオサイドAを含む)、カンゾウ抽出物等;蔗糖誘導体;合成甘味料、例えばアセスルファムカリウム(「アセスルファムK」ともいう)、サッカリン、ネオヘスペリジン−ジヒドロカルコン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を適宜使用することができる。本発明の一つの態様において、ネオテームやアスパルテームを飲料に配合することができる。また別の好ましい態様においては、本発明の飲料にアセスルファムカリウムを配合しなくてもよい。

飲料 本発明の飲料は、低濃度のナリンギンとスクラロースを含有していれば、アルコール飲料であっても、ソフトドリンクなどの非アルコール飲料であってもよい。本発明の一つの態様において、本発明の飲料がアルコール飲料である場合、アルコール度数が1〜12v/v%であることが好ましい。また、本発明の別の態様において、本発明の飲料は、アルコール度数が1%未満のいわゆるノンアルコール飲料であってもよく、例えば「アルコール度数0.00%」との表示が認められるアルコール度数が0.01%未満の飲料であってもよい。

なお、本発明において、特に断りがない限り、アルコール飲料の「アルコール」とは、化学的な意味での「アルコール類(炭化水素の水素基をヒドロキシ基で置換した物質)」の中でも炭素数が2個のエタノール(エチルアルコール、C2H5OH)のことをいい、プロパノール(1−プロパノール又は2−プロパノール)等の他の炭素数のアルコール類を含まない。また、アルコール度数とは、飲料中のエタノールの容量%のことをいう。

本発明の飲料におけるアルコール度数(容量%)は、国税庁所定分析法(平19国税庁訓令第6号、平成19年6月22日改訂)に記載の方法によって測定することができる。具体的には、ショ糖などの糖類を添加したものと添加していないもののそれぞれについて、以下の方法で測定することができる。

(ショ糖等の糖類を添加していない試料の場合) 試料100〜150mLを、メスフラスコを用いて15℃において正確に採取する。これを300〜500mL容のフラスコに移し、メスフラスコをそれぞれ15mLの水で2回洗浄し、洗浄液もフラスコ内に移す。試料の採取に用いたメスフラスコを受器として直火蒸留を行い、採取量の70%以上が留出した後、留液に水を加えて15℃において原容に戻し、よく振り混ぜて分析サンプルとする。

(ショ糖等の糖類を添加した試料の場合) 水蒸気蒸留法によって分析サンプルを調製する。すなわち、メスフラスコを用いて試料100〜150mLを15℃において正確に採取する。これを500mL容二連フラスコに移し、メスフラスコをそれぞれ15mLの水で2回洗浄し、洗浄液もフラスコ内に移す。試料の採取に用いたメスフラスコを受器として水蒸気蒸留を行い、採取量の98%以上が留出した後、留液に水を加えて15℃において原容に戻し、よく振り混ぜて分析サンプルとする。

以上のようにして調製した分析サンプルの15℃における密度を振動式密度計で測定し、前記国税庁所定分析法の付表である「第2表 アルコール分と密度(15℃)および比重(15/15℃)換算表」を用いて換算することにより、アルコール度数を求めることができる。例えば、振動式密度計として、京都電子工業株式会社製の振動式密度計DA−310を用いることができる。

本発明の飲料は、炭酸ガスを含有させて炭酸飲料とすることができる。本発明を炭酸飲料に適用すると、ナリンギンによる立体感の付与と炭酸ガスの発泡感とがあいまって飲料の味わいや爽快感を向上させることができるため、炭酸飲料は本発明の好ましい態様の一つである。

炭酸ガスは、当業者に通常知られる方法を用いて飲料中に提供することができ、例えば、これらに限定されないが、二酸化炭素を加圧下で飲料に溶解させてもよいし、カーボネーターなどのミキサーを用いて配管中で二酸化炭素と飲料とを混合してもよいし、また、二酸化炭素が充満したタンク中に飲料を噴霧することにより二酸化炭素を飲料に吸収させてもよいし、飲料と炭酸水とを混合してもよい。

一つの態様において本発明の炭酸飲料は、20℃において好ましくは1.0〜3.5kgf/cm2、より好ましくは1.2〜2.5kgf/cm2の炭酸ガス圧を有する。飲料の炭酸ガス圧は、適宜調節することが可能である。本発明において、炭酸ガス圧は、京都電子工業製ガスボリューム測定装置GVA−500Aを用いて測定することができる。例えば、試料温度を20℃にし、前記ガスボリューム測定装置において容器内空気中のガス抜き(スニフト)、振とう後、炭酸ガス圧を測定する。

本発明の飲料には、通常の飲料と同様、糖分、各種添加剤等を配合してもよい。各種添加剤としては、例えば、香料、ビタミン、色素類、酸化防止剤、乳化剤、保存料、調味料、エキス類、pH調整剤、品質安定剤等を配合することができる。

本発明は、飲料に含まれる可溶性固形分(溶質)濃度が低い飲料においても優れた効果を発揮する。このような特徴によって、チューハイタイプや、カロリーオフタイプの優れた品質の飲料を製造することができる。可溶性固形分濃度は、糖度計、屈折計などを用いて得られるブリックス(Brix)値から算出される飲料の可溶性固形分濃度(SS:Soluble Solid)によって定義される。当該ブリックス値は、20℃で測定された屈折率を、ICUMSA(国際砂糖分析法統一委員会)の換算表に基づいてショ糖溶液の質量/質量パーセントに換算した値で、溶液中の可溶性固形分濃度を表す。単位は「°Bx」、「%」または「度」で表示される。

本発明の飲料は、可能性固形分濃度の低い低溶質飲料であってもよく、「糖類ゼロ」、「糖質ゼロ」、「カロリーオフ」等と表示される、いわゆるカロリーオフタイプ飲料の態様を包含する。なお、「糖類ゼロ」、「糖質ゼロ」、「カロリーオフ」等の表示は、健康増進法の規定による栄養表示基準に定義されている。例えば、「糖類ゼロ」との表示は、飲料に含まれる糖類(単糖類又は二糖類であって、糖アルコールでないもの)の量が、飲料100gあたり0.5g未満のものに対して付されるものである。

本発明の飲料は、容器詰め飲料とすることができる。容器詰め飲料の容器は特に制限されないが、例えば、ペットボトルなどの樹脂製容器、紙パックなどの紙容器、ガラス瓶などのガラス容器、アルミ缶やスチール缶などの金属製容器、アルミパウチなど、通常、飲料組成物に用いられる容器であればいずれも用いることができる。

好ましい態様において、本発明の飲料は果汁を含有する。果汁含有飲料に本発明を適用すると、ナリンギンによって果汁の立体感や味わいを効果的に増強することができる。本発明においては、果汁の種類は特に限定されないが、グレープフルーツ果汁以外の果汁を含有させることもできるし、非柑橘系の果汁を飲料に含有させることもできる。

本発明の飲料に含有させる果汁は、透明果汁及び混濁果汁のうちから選択される少なくとも一方であってよい。ここで、透明果汁とは、果物の搾汁を清澄化処理した果汁をいい、半透明果汁もこれに含まれる。透明果汁は香りが良いため、果汁含有アルコール飲料における果汁の香りを優れたものとすることができる。清澄化処理の方法としては、精密濾過法、酵素処理法、限外濾過法などを挙げることできる。また、混濁果汁とは、果物の搾汁を清澄化処理していない果汁をいう。混濁果汁は味が良いため、果汁含有アルコール飲料における果汁の味を優れたものとすることができる。果汁感、濃厚感、ボディ感、奥行き等の味わいを高めたいのであれば、混濁果汁の比率を高めにすることも可能である。

また、果汁は、非加熱殺菌された果汁を用いることが好ましいがこれに限定されるものではなく、加熱殺菌したものを用いることもできる。なお、非加熱殺菌としては、例えば、メンブレンフィルターや中空糸を用いたろ過滅菌、紫外線殺菌などが挙げられる。また、加熱殺菌としては、例えば、100℃以上で行う高温殺菌、100℃未満で行う低温殺菌などが挙げられる。

なお、用いる果汁は、ストレート果汁、ストレート果汁を希釈した果汁、濃縮果汁及び濃縮還元果汁のいずれを用いて調製したものであってもよい。なお、ストレート果汁とは、後記する果実の搾汁に対し、濃縮や希釈などを行っていない果汁をいう。また、濃縮果汁とは、ストレート果汁に対し、加熱濃縮法や冷凍濃縮法などによって果汁中の水分を取り除き、果汁の濃度を高めたものをいう。また、濃縮還元果汁とは、濃縮果汁に対し、計算上、ストレート果汁と同等の濃度となるように水等で希釈した果汁をいう。本発明においては、果汁配合量は、ストレート果汁換算で、0.1%〜100%であることが好ましく、3〜50%がより好ましく、3〜30%としてもよい。

飲料の種類は特に限定されないが、例えば、果汁含有飲料、炭酸飲料、アルコール飲料などできることはもちろん、乳性飲料や茶飲料、コーヒー飲料、健康飲料、スポーツ飲料などに本発明を適用することもできる。茶飲料としては、例えば、緑茶(玉露・抹茶・せん茶・番茶・ほうじ茶・玄米茶)、ウーロン茶、紅茶、マテ茶、昆布茶、麦茶、杜仲茶、ハーブティー、薬草茶、生薬成分配合茶などを挙げることができ、また、その他の飲料として、ミネラルウォーター、サワードリンク、トニックウォーター、炭酸水、ニアウォーターなどを挙げることもできる。

飲料の製造方法 別の観点からは、本発明は、飲料の製造方法である。当該方法は、所定の濃度のナリンギンを含有する飲料にスクラロースを配合することを含む。本発明においては、所定量のナリンギンとスクラロースを添加する形態及び方法は特に限定されず、これらを原料として製造工程の任意のタイミングで添加することができる。

本発明の飲料の製造では、原料を配合する方法は限定されない。例えば、公知の方法を用いて原料を飲料中に配合することができる。必要に応じて、殺菌、容器詰めなどの工程を適宜設けることができる。好ましい態様において、本発明の飲料は、飲料の充填工程を経て容器詰め飲料とすることができ、殺菌された容器詰め飲料とすることができる。例えば、飲料組成物を容器に充填した後にレトルト殺菌などの加熱殺菌を行う方法や、飲料組成物を殺菌して容器に充填する方法により、殺菌された容器詰め飲料を製造することができる。

より具体的には、缶などの金属容器詰め飲料とする場合には、本発明の飲料組成物を容器に所定量充填し、殺菌(例えば、65℃、10分)を行うことができ、ペットボトルや紙パック、瓶飲料、缶飲料、パウチ飲料とする場合には、例えば90〜130℃で1〜60秒保持するFP又はUHT殺菌を行い、所定量を充填することができる。本発明の飲料組成物を容器詰め飲料とする場合は、ホットパック充填法又は無菌充填法のいずれも用いることができる。

以下、本発明の内容を、本発明の実施例を参照しつつ詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、特に記載しない限り、本明細書において数値範囲はその端点を含むものとして記載され、苦味物質などの成分の濃度を表す際のppmとは、当該物質重量(mg)の、飲料容量(L)に対する百万分率(ppm)のことをいう。

実験1:ナリンギンおよびスクラロースの併用による呈味向上効果 一定濃度(0ppm〜200ppm)のナリンギンを純水に配合し、さらに20ppmのスクラロースを配合して飲料組成物を調製した。調製した飲料組成物を容器に入れ、専門パネリスト5名による官能評価によって飲料組成物の苦味と立体感を評価した。官能評価は以下の評価基準により5段階で評価し、5名の評点の平均値を算出した。 (1点)感じない (2点)ほとんど感じない (3点)わずかに感じる (4点)感じる (5点)強く感じる また、ナリンギンとスクラロースではなく、ナリンギンとアセスルファムKを併用した場合の効果についても上記実験と同様にして確認した。ただし、アセスルファムKの濃度は、スクラロース20ppmに相当する甘味度となるよう60ppmとした。

評価結果を以下の表1および表2に示す。表1から明らかなように、スクラロースを添加しない場合、ナリンギンの濃度が125ppm以上であるとナリンギンによる苦味を明確に感じられるのに対し、100ppm以下であるとナリンギンによる苦味は明確には感じられなくなった。一方、本発明にしたがってスクラロースを添加すると、ナリンギン濃度が100ppm以下の領域においても飲料の立体感が有意に増強された。すなわち、本発明による飲料は、口に入れるとボディ感や複雑な味わいを感じることができた。

また、表2から明らかなように、スクラロースに代えてアセスルファムKを添加した場合、スクラロースのようにナリンギン含有飲料の立体感を増強する効果は見られなかった。苦味が後まで残るというナリンギンに対し、甘さの後引きが長いスクラロースを組み合わせると飲料の立体感が増強される一方、甘さの後引きがほとんどないアセスルファムKを組み合わせても立体感の増強効果は得られなかった。

実験2:ナリンギンおよびスクラロースの併用による呈味向上効果(スクラロース濃度の影響) 一定濃度(10ppmまたは100ppm)のナリンギンを純水に配合し、さらに0〜150ppmのスクラロースを配合して飲料組成物を調製した。調製した飲料組成物を容器に入れ、実験1と同様にして、専門パネリスト5名による官能評価によって飲料組成物の苦味と立体感を評価した。

評価結果を表3および表4に示す。表から明らかなように、ナリンギン含有飲料にスクラロースを配合することによって飲料の立体感を向上させることができた。ただし、スクラロースの添加量が多くなると、スクラロースに起因する甘みが顕著になることもあり、飲料の立体感を向上させる効果が小さくなる傾向があった。

実験3:アルコール入り炭酸飲料の調製 以下の表に示す配合のアルコール入り炭酸飲料を調製した。アルコール濃度は6v/v%と12v/v%の2水準、ナリンギン濃度は10ppmと100ppmの2水準、スクラロース濃度は0〜150ppmの範囲で水準を振った。本実験の飲料には、一般的な無果汁チューハイの味に近づけるために、果糖ブドウ糖液糖を2.5g/100ml、無水クエン酸を0.2g/100ml、クエン酸三ナトリウムを0.03g/100ml配合し、最後に約1.5kgf/cm2となるように、炭酸ガスを添加した。

調製した炭酸飲料を容器に入れ、実験1と同様にして官能評価した結果を以下の表に示す。表から明らかなように、本発明による立体感の増強効果は、アルコール入り炭酸飲料においても明確に確認することができた。

実験4:アルコール入り炭酸飲料の調製(果汁入り) 以下の表に示す配合にしたがって、実験3と同様にして、アルコール濃度が6v/v%のアルコール入り炭酸飲料を調製した。ただし、本実験においては、透明レモン果汁をストレート果汁換算で15w/w%(15g/100ml)配合した。レモン果汁としては、6.8倍濃縮の冷凍透明果汁を用いた。

調製した炭酸飲料を容器に入れ、実験1と同様にして官能評価した結果を以下の表に示す。表から明らかなように、本発明による立体感の増強効果は、果汁を含有するアルコール入り炭酸飲料においても明確に確認することができた。

実験5:アルコール入り炭酸飲料の調製(果汁入り) 以下の表に示す配合にしたがって、実験4と同様にして、アルコール濃度が6v/v%のアルコール入り炭酸飲料を調製した。ただし、本実験においては、ナリンギンの濃度を55ppmとし、透明オレンジ果汁、透明マンゴー果汁または透明ブドウ果汁をストレート果汁換算で15w/w%配合した。果汁としては、5.8倍濃縮の透明オレンジ果汁、4.0倍濃縮の透明マンゴー果汁、6.1倍濃縮の透明ブドウ果汁を使用した。

調製した炭酸飲料を容器に入れ、実験1と同様にして官能評価した結果を以下の表に示す。表から明らかなように、本発明による立体感の増強効果は、種々の果汁を含有するアルコール入り炭酸飲料においても明確に確認することができた。特に本発明の効果は、オレンジ果汁のような柑橘系果汁を用いた場合だけでなく、マンゴー果汁やブドウ果汁のような非柑橘系果汁を用いた場合にも十分に発揮されていた。

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