DYRKを阻害する化合物を含有する医薬組成物 |
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申请号 | JP2010521663 | 申请日 | 2009-06-30 | 公开(公告)号 | JPWO2010010797A1 | 公开(公告)日 | 2012-01-05 |
申请人 | 株式会社キノファーマ; | 发明人 | 萩原正敏; 浩司 澁谷; 浩司 澁谷; 英理子 大西; 英理子 大西; 靖 小川; 靖 小川; 孝充 細谷; 孝充 細谷; 俊行 平松; 俊行 平松; 吉田 実代; 実代 吉田; | ||||
摘要 | DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つの活性亢進を伴う 疾病 の治療又は予防のための医薬組成物の提供。DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つの蛋白質リン 酸化 活性を阻害する化合物を有効成分とする、DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つの活性亢進を伴う疾病の治療又は予防のための医薬組成物。 | ||||||
权利要求 | DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つの蛋白質リン酸化活性を阻害する化合物を有効成分とする、DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つの活性亢進を伴う疾病の治療又は予防のための医薬組成物。 前記疾病が、DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つの活性阻害が治療又は予防に有効な疾病である、請求項1記載の医薬組成物。 前記疾病が、精神神経疾患及び悪性腫瘍を含む、請求項1又は2に記載の医薬組成物。 前記精神神経疾患が、ダウン症候群及びアルツハイマー病を含む、請求項3記載の医薬組成物。 前記悪性腫瘍が、膵管がん及び横紋筋肉腫を含む、請求項3記載の医薬組成物。 前記化合物が、ベンゾチアゾール誘導体である、請求項1から5のいずれかに記載の医薬組成物。 DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つの活性亢進を伴う疾病の治療又は予防のための医薬組成物であって、 有効成分として下記式(I)の化合物、又は、その製薬上許容される塩若しくは溶媒和物を含む、医薬組成物。 [上記式(I)において、 Aは、S(硫黄原子)又はSe(セレニウム原子)であり、 Xは、ハロゲン置換されてもよいC 1 −C 10アルキル基であり、 Yは、H(水素原子)、ハロゲン置換されてもよいC 1 −C 10アルキル基、C 2 −C 6アルケニル基、−R 1 OH、−COOR 2 、及び、−R 1 OCOR 3から選択され、 Zは、ハロゲン置換されてもよいC 1 −C 10アルキル基、ハロゲン、−NHCOR 2 、−OR 2 、及び、−OCOR 3から選択され、 R 1は、C 1 −C 10アルキレン基であり、 R 2は、H、又は、C 1 −C 10アルキル基であり、 R 3は、C 1 −C 10アルキル基、C 1 −C 3アルコキシ基若しくはC 1 −C 6アルキル基で置換されてもよいアリール基、及び、C 1 −C 6アルキル基で置換されてもよいへテロアリール基から選択される。 ] 前記疾病が、DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つの活性阻害が治療又は予防に有効な疾病である、請求項7記載の医薬組成物。 前記疾病が、精神神経疾患及び悪性腫瘍を含む、請求項7又は8に記載の医薬組成物。 前記精神神経疾患が、ダウン症候群及びアルツハイマー病を含む、請求項9記載の医薬組成物。 前記悪性腫瘍が、膵管がん及び横紋筋肉腫を含む、請求項9記載の医薬組成物。 DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つの活性亢進を伴う疾病の治療又は予防の方法であって、DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つの蛋白質リン酸化活性を阻害する化合物を有効成分とする医薬組成物を対象に有効量投与することを含む、治療又は予防方法。 前記対象又はその一部においてDYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つが活性亢進していることを確認することを含む、請求項12記載の治療又は予防方法。 前記疾病が、DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つの活性阻害が治療又は予防に有効な疾病である、請求項12又は13記載の治療又は予防方法。 前記疾病が、精神神経疾患及び悪性腫瘍を含む、請求項12から14のいずれかに記載の治療又は予防方法。 前記精神神経疾患が、ダウン症候群及びアルツハイマー病を含む、請求項15記載の治療又は予防方法。 前記悪性腫瘍が、膵管がん及び横紋筋肉腫を含む、請求項15記載の治療又は予防方法。 前記化合物が、ベンゾチアゾール誘導体である、請求項12から17のいずれかに記載の治療又は予防方法。 DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つの活性亢進を伴う疾病の治療又は予防の方法であって、請求項7から11のいずれかに記載の医薬組成物を対象に有効量投与することを含む、治療又は予防方法。 前記対象又はその一部においてDYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つが活性亢進していることを確認することを含む、請求項19記載の治療又は予防方法。 前記疾病が、DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つの活性阻害が治療又は予防に有効な疾病である、請求項19又は20記載の治療又は予防方法。 前記疾病が、精神神経疾患及び悪性腫瘍を含む、請求項19から21のいずれかに記載の治療又は予防方法。 前記精神神経疾患が、ダウン症候群及びアルツハイマー病を含む、請求項22記載の治療又は予防方法。 前記悪性腫瘍が、膵管がん及び横紋筋肉腫を含む、請求項22記載の治療又は予防方法。 下記式(I)化合物、又は、その製薬上許容される塩若しくは溶媒和物。 [上記式(I)において、 Aは、S(硫黄原子)又はSe(セレニウム原子)であり、 Xは、ハロゲン置換されてもよいC 1 −C 10アルキル基であり、 Yは、H(水素原子)、ハロゲン置換されてもよいC 1 −C 10アルキル基、C 2 −C 6アルケニル基、−R 1 OH、−COOR 2 、及び、−R 1 OCOR 3から選択され、 Zは、ハロゲン置換されてもよいC 1 −C 10アルキル基、ハロゲン、−NHCOR 2 、−OR 2 、及び、−OCOR 3から選択され、 R 1は、C 1 −C 10アルキレン基であり、 R 2は、H、又は、C 1 −C 10アルキル基であり、 R 3は、C 1 −C 10アルキル基、C 1 −C 3アルコキシ基若しくはC 1 −C 6アルキル基で置換されてもよいアリール基、及び、C 1 −C 6アルキル基で置換されてもよいへテロアリール基から選択され、 但し、 AがSかつX及びYがメチル基の場合、Zは、フッ素原子(F)、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、及び、アセトキシ基を除く上記範囲から選択され、 AがSかつXがエチル基かつYがメチル基の場合、Zは、メトキシ基を除く上記範囲から選択される。 ] モデル動物の初期胚にDYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つのmRNAを誘導して発生異常を起こしうる状態とすること、 前記初期胚を候補化合物と接触させること、及び、 候補化合物を接触させなかった場合と比較して候補化合物による発生異常の抑制効果を評価することを含む、DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つの活性亢進を伴う疾病の治療又は予防のための医薬組成物の有効成分のスクリーニング方法。 |
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说明书全文 | 本発明は、DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つを阻害するベンゾチアゾール誘導体、それを含有する医薬組成物、及び、それを用いた疾病の治療・予防方法に関する。 蛋白質リン酸化酵素(キナーゼ)は、細胞内情報伝達に必須であり、それらの発現異常あるいは活性異常は、様々な疾患を惹起することが知られている。 そのため、様々なリン酸化酵素が創薬標的因子として着目され、標的のリン酸化酵素に特異的なインヒビターの探索が世界中で行われている。 リン酸化酵素ファミリーの1つに、DYRKファミリーがある。 DYRKの名称の由来は、“dual-specificity tyrosine phosphorylation regulated kinase”である。 すなわち、DYRKファミリーは、チロシン(Tyr)及びセリン/トレオニン(Ser/Thr)の両方を基質とするリン酸化酵素のファミリーであって、自己リン酸化の場合にのみTyrリン酸化酵素として機能し、細胞内では“proline−directed”なSer/Thrリン酸化酵素として機能する。 DYRKファミリーのメンバーとして、DYRK1A、DYRK1B、DYRK2、DYRK3、DYRK4の5つが知られている。 DYRK1Aは、精神神経疾患との関連性が深い。 DYRK1A遺伝子は、ダウン症候群の原因である21番染色体トリソミーのダウン症クリティカル領域(DSCR)に位置する。 そして、これまでに、マウスではDYRK1Aの単独の過剰発現によりダウン症様の精神神経症状をきたすことが報告され(非特許文献1、2)、ダウン症患者及びダウン症モデルマウスの脳内ではDYRK1A発現が上昇することが報告されている(非特許文献3)。 これらのことは、DYRK1Aが、ダウン症候群の発症において重要な役割を担っていることを示している。 また、アルツハイマー病の原因として、Aβの蓄積とタウ蛋白質(Tau)の異常リン酸化が知られている。 アルツハイマー病の患者では、Aβの発現亢進とDYRK1Aの発現とが有意に一致することから、Aβの発現亢進からTauの異常リン酸化への橋渡しをDYRK1Aが担うという作業仮説も提案されている(非特許文献4)。 DYRK1Bは、悪性腫瘍との関連性が深い。 例えば、膵癌組織においてDYRK1Bの発現が上昇すること(非特許文献5)、横紋筋肉腫においてDYRK1Bが多く発現していること(非特許文献6)が開示されている。 そして、DYRK1Bは、ストレス応答経路により活性化され、チェックポイントキナーゼとして機能し、損傷した腫瘍細胞を休止状態に停止させて腫瘍細胞の修復をさせる、という作業仮説も提案されている(非特許文献7)。 DYRK2については、DNA損傷に応答してp53を制御し、アポトーシスを誘導することが示唆されている(非特許文献8)。 一方、ベンゾチアゾール誘導体とリン酸化酵素との関係においては、リン酸化酵素であるClk1及びClk4のリン酸化活性を阻害できるベンゾチアゾール誘導体が開示されている(特許文献1、非特許文献9)。 Branchi I et al. J Neuropathol Exp Neurol. 2004 May;63(5):429-40. Altafaj X et al. Hum Mol Genet. 2001 Sep 1;10(18):1915-23. Dowjat WK et al. Neurosci Lett. 2007 Feb 8;413(1):77-81. Epub 2006 Dec 4. Kimura R et al. Hum Mol Genet. 2007 Jan 1;16(1):15-23. Epub 2006 Nov 29. Deng X et al. Cancer Res. 2006 Apr 15;66(8):4149-58. Mercer SE et al. Cancer Res. 2006 May 15;66(10):5143-50. Friedman E. J Cell Biochem. 2007 Oct 1;102(2):274-9. Taira N et al. Mol Cell. 2007 Mar 23;25(6):794-6. Muraki M et al.J Biol Chem. 2004 Jun 4;279(23):24246-54. Epub 2004 Mar 8. DYRKは疾患と密接な関係を持つリン酸化酵素であり、DYRKのリン酸化活性を阻害できれば疾患の治療や予防に有用であると考えられる。 しかしながら、DYRKのリン酸化活性を効果的に阻害できる医薬組成物は未だ報告されていない。 そこで、本発明は、DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つの活性亢進を伴う疾病の治療又は予防のための医薬組成物、及びそれを用いた治療方法を提供する。 本発明の医薬組成物は、一つの態様として、DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つの蛋白質リン酸化活性を阻害する化合物を有効成分とする医薬組成物であって、DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つの活性亢進を伴う疾病の治療又は予防のための医薬組成物である。 また、本発明の医薬組成物は、その他の態様として、DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つの活性亢進を伴う疾病の治療又は予防のための医薬組成物であって、有効成分として下記式(I)の化合物、又は、その製薬上許容される塩若しくは溶媒和物を含有する医薬組成物である。
1 −C 10アルキル基であり、
1 −C 10アルキル基、C 2 −C 6アルケニル基、−R 1 OH、−COOR 2 、及び、−R 1 OCOR 3から選択され、
1 −C 10アルキル基、ハロゲン、−NHCOR 2 、−OR 2 、及び、−OCOR 3から選択され、
1は、C 1 −C 10アルキレン基であり、
2は、H、又は、C 1 −C 10アルキル基であり、
3は、C 1 −C 10アルキル基、C 1 −C 3アルコキシ基若しくはC 1 −C 6アルキル基で置換されてもよいアリール基、及び、C 1 −C 6アルキル基で置換されてもよいへテロアリール基から選択される。 ] 本発明の治療又は予防方法は、一つの態様において、DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つの活性亢進を伴う疾病の治療又は予防の方法であって、DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つの蛋白質リン酸化活性を阻害する化合物を有効成分とする医薬組成物を対象に有効量投与することを含む治療又は予防方法である。 また、本発明の治療又は予防方法は、その他の態様として、DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つの活性亢進を伴う疾病の治療又は予防の方法であって、本発明の医薬組成物を対象に有効量投与することを含む治療又は予防方法である。 本発明の医薬組成物及び治療又は予防方法によれば、DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つのリン酸化活性を阻害できることから、好ましくは、これらのリン酸化酵素の活性亢進を伴う疾病の治療又は予防ができる。 本発明は、DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つの活性亢進を伴い発現される個体の異常が、DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つの蛋白質リン酸化活性を阻害する化合物により抑制可能であるという知見に基づく。 本発明は、また、下記式(I)のベンゾチアゾール誘導体が蛋白質リン酸化酵素であるDYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2のリン酸化活性に対して阻害能を有するという知見に基づく。 なお、下記式(I)のベンゾチアゾール誘導体は、上記特許文献1及び非特許文献9に開示されたベンゾチアゾール誘導体と一部重複する。 しかしながら、これらの文献は、上記式(I)に含まれる一部のベンゾチアゾール誘導体がClkファミリー(Clk1及び4)のリン酸化酵素の阻害剤となりうることのみを開示し、DYRKファミリーのリン酸化酵素については言及がない。 すなわち、本発明は下記を含む;
1 −C 10アルキル基であり、Yは、H(水素原子)、ハロゲン置換されてもよいC 1 −C 10アルキル基、C 2 −C 6アルケニル基、−R 1 OH、−COOR 2 、及び、−R 1 OCOR 3から選択され、Zは、ハロゲン置換されてもよいC 1 −C 10アルキル基、ハロゲン、−NHCOR 2 、−OR 2 、及び、−OCOR 3から選択され、
1は、C 1 −C 10アルキレン基であり、R 2は、H、又は、C 1 −C 10アルキル基であり、R 3は、C 1 −C 10アルキル基、C 1 −C 3アルコキシ基若しくはC 1 −C 6アルキル基で置換されてもよいアリール基、及び、C 1 −C 6アルキル基で置換されてもよいへテロアリール基から選択される。 ]
1 −C 10アルキル基であり、Yは、H(水素原子)、ハロゲン置換されてもよいC 1 −C 10アルキル基、C 2 −C 6アルケニル基、−R 1 OH、−COOR 2 、及び、−R 1 OCOR 3から選択され、Zは、ハロゲン置換されてもよいC 1 −C 10アルキル基、ハロゲン、−NHCOR 2 、−OR 2 、及び、−OCOR 3から選択され、
1は、C 1 −C 10アルキレン基であり、R 2は、H、又は、C 1 −C 10アルキル基であり、R 3は、C 1 −C 10アルキル基、C 1 −C 3アルコキシ基若しくはC 1 −C 6アルキル基で置換されてもよいアリール基、及び、C 1 −C 6アルキル基で置換されてもよいへテロアリール基から選択され、但し、AがSかつX及びYがメチル基の場合、Zは、フッ素原子(F)、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、及び、アセトキシ基を除く上記範囲から選択され、AがSかつXがエチル基かつYがメチル基の場合、Zは、メトキシ基を除く上記範囲から選択される。 ]
[DYRK1A,DYRK1B,DYRK2] [用途] 本発明の医薬組成物は、DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つの活性阻害が治療又は予防に有効な疾病に対する治療又は予防に用いることが好ましい。 本発明の医薬組成物が用いられる疾病としては、精神神経疾患や、悪性腫瘍が挙げられる。 前記精神神経疾患は、DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つの活性亢進を伴うもの、好ましくは、DYRK1Aの活性亢進を伴うものであり、より好ましくは、DYRK1Aの過剰発現を伴う精神神経疾患及びTauリン酸化亢進を伴う精神神経疾患であり、代表的には、ダウン症候群、及びアルツハイマー病を含む。 なお、前記精神神経疾患は、ダウン症候群以外、又は、アルツハイマー病以外の精神神経疾患であってもよい。 前記悪性腫瘍は、DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つの活性亢進を伴う悪性新生物、好ましくはDYRK1A及びDYRK1Bの活性亢進を伴う悪性新生物であり、より好ましくはDYRK1Bの活性亢進を伴う悪性新生物である。 代表的には、膵管がん及び横紋筋肉腫並びにHPVによるがんを含むがこれらには限定されない。 DYRK1Aの活性亢進を伴う疾病、及びDYRK1Aの活性阻害が治療又は予防に有効な疾病としては、精神神経疾患が挙げられる。 前記精神神経疾患の第一の例が、ダウン症候群である。 上述したとおり、DYRK1Aの遺伝子は、ダウン症候群の原因である21番染色体トリソミーのダウン症クリティカル領域(DSCR)に位置し、マウスではDYRK1Aの単独の過剰発現によりダウン症様の精神神経症状をきたすことが報告され、ダウン症患者及びダウン症モデルマウスの脳内ではDYRK1A発現が上昇することが報告されている。 さらに、後述の実施例に記載するとおり、神経系に発生異常を呈するDYRK1A過剰発現アフリカツメガエルモデルに、本発明の医薬組成物の有効成分である上記式(I)の化合物を投与すると正常な発生を導くことができる。 したがって、本発明の医薬組成物であれば、ダウン症候群を含む精神神経症状を治療又は予防できるといえる。 DYRK1Aの活性亢進を伴う疾病、及びDYRK1Aの活性阻害が治療又は予防に有効な疾病である精神神経疾患の第二の例が、アルツハイマー病である。 アルツハイマー病の発症機構として、まずアミロイド前駆体蛋白質(APP)から産生されたベータアミロイド(Aβ)が蓄積し、次いでTauの過剰リン酸化が起こり、その結果、神経原線維変化・神経細胞死が誘導されるという機序が最も有力であると考えられている。 Tauの異常リン酸化はDYRK1Aと密接な関係にあり、後述の実施例に記載するとおり、細胞内にDYRK1A及びTauを過剰発現させた系において、Tauの異常リン酸化は、本発明の医薬組成物の有効成分である上記式(I)の化合物の投与により抑制される。 さらに、DYRK1Aは、Aβの蓄積を促進するAPPのリン酸化に関与することも示唆されている(Ryoo SR et al. J Neurochem. 2008 Mar;104(5):1333-44. Epub 2007 Nov 14)。 したがって、本発明の医薬組成物であれば、アルツハイマー病を含む精神神経症状を治療又は予防できるといえる。 また、ダウン症候群の原因である21番染色体トリソミーのダウン症クリティカル領域(DSCR)には、DYRK1A遺伝子のみならず、APP遺伝子も位置し、ダウン症患者が健常人に比べて早期にかつ高効率にアルツハイマー病を発症することから、本発明の医薬組成物であれば、ダウン症患者におけるアルツハイマー病を治療又は予防できるといえる。 DYRK1Aの活性亢進を伴う疾病、及びDYRK1Aの活性阻害が治療又は予防に有効な疾病である悪性腫瘍の例は、ヒトパピローマウイルス(HPV)によるがんである。 DYRK1Aは、HPV16の蛋白質をリン酸化することにより該ウイルス蛋白質の安定化に働き、それらが子宮頸部がんの細胞癌化に関与することが報告されている(Chang HS et al. Int J Cancer. 2007 Jun 1;120(11):2377-85.; Liang YJ et al. Int J Biochem Cell Biol. 2008 40(11):2431-41.)。 したがって、本発明の医薬組成物であれば、HPVによるがん、好ましくはHPV16によるがん、さらに好ましくはHPVによる子宮頸部がん、さらにより好ましくはHPV16による子宮頸部がんを治療又は予防できるといえる。 DYRK1Bの活性亢進を伴う疾病、及びDYRK1Bの活性阻害が治療又は予防に有効な疾病としては、悪性腫瘍が挙げられる。 上述したとおり、DYRK1Bは、膵管がん組織や横紋筋肉腫において発現が増加する。 さらに、後述の実施例に記載するとおり、悪性腫瘍由来の細胞系の細胞に本発明の医薬組成物の有効成分である上記式(I)の化合物を投与すると増殖抑制効果及び/又は抗がん剤作用増強効果を発揮する。 よって、本発明の医薬組成物は、悪性腫瘍の治療に有用である。 また、本発明は、その他の態様として、DYRK1Bの活性亢進を伴う悪性腫瘍において抗がん剤の作用を増強するための医薬組成物であって、DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つの蛋白質リン酸化活性を阻害する化合物を有効成分とする医薬組成物を提供しうる。 さらにその他の態様として、本発明は、DYRK1Bの活性亢進を伴う悪性腫瘍において抗がん剤の作用を増強するための医薬組成物であって、上記式(I)のベンゾチアゾール誘導体、又は、その製薬上許容される塩若しくは溶媒和物を、好ましくは有効成分として含む医薬組成物を提供しうる。 [有効成分] [ベンゾチアゾール誘導体]
1 −C 10アルキル基であり、
1 −C 10アルキル基、C 2 −C 6アルケニル基、−R 1 OH、−COOR 2 、及び、−R 1 OCOR 3から選択され、
1 −C 10アルキル基、ハロゲン、−NHCOR 2 、−OR 2 、及び、−OCOR 3から選択され、
1は、C 1 −C 10アルキレン基であり、
2は、H、又は、C 1 −C 10アルキル基であり、
3は、C 1 −C 10アルキル基、C 1 −C 3アルコキシ基若しくはC 1 −C 6アルキル基で置換されてもよいアリール基、及び、C 1 −C 6アルキル基で置換されてもよいへテロアリール基から選択される。 ] なお、本発明において、「C 1 −C nアルキル基」とは、1〜n個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基をいい、「C 1 −C nアルキレン基」とは、前記定義のC 1 −C nアルキル基の二価の置換基をいう。 また、「C 1 −C mアルコキシ基若しくはC 1 −C nアルキル基で置換されてもよいアリール基」とは、側鎖のないアリール基(例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等)及び1以上のC 1 −C mアルコキシ基(炭素数1〜m個のアルコキシ基)側鎖若しくは1以上のC 1 −C nアルキル基(炭素原子数1〜n個のアルキル基)側鎖を有するアリール基(例えば、o,m,p−メトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、トリメトキシフェニル基、o,m,p−トリル基、ジメチルフェニル基、メシチル基等)をいう。 「へテロアリール基」とはアリール基の環内に1個以上のヘテロ原子を含むものをいい、ヘテロ原子としては、窒素、硫黄、酸素が挙げられる。 「ハロゲン置換されてもよい」とは、1以上の水素原子がハロゲン原子により置換される場合を含むことをいい、ハロゲン原子は、フッ素原子(F)、塩素原子(Cl)、及び臭素原子(Br)を含む。 また、「C 2 −C nアルケニル基」とは、2〜n個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルケニル基をいい、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基等を含む。 また、ベンゾチアゾール化合物としては、上記式(I)のAは硫黄(S)であるが、本発明におけるベンゾチアゾール誘導体は、上記式(I)のAがセレニウム(Se)に置換された化合物を含みうる。 上記式(I)において、前記C 1 −C 10アルキル基は、リン酸化活性に対する阻害能の点から、C 1 −C 6アルキル基であることが好ましく、C 1 −C 4アルキル基であることがより好ましい。 また、前記C 1 −C 10アルキレン基は、リン酸化活性に対する阻害能の点から、C 1 −C 6アルキレン基であることが好ましく、C 1 −C 4アルキレン基であることがより好ましい。 また、前記C 2 −C 6アルケニル基は、リン酸化活性に対する阻害能の点から、C 2 −C 4アルケニル基が好ましく、C 2 −C 3アルケニル基がより好ましい。 また、上記式(I)における前記C 1 −C 6アルキル基は、リン酸化活性に対する阻害能の点から、C 1 −C 4アルキル基であることが好ましく、C 1 −C 3アルキル基であることがより好ましい。 上記式(I)において、Xは、ハロゲン置換されてもよいC 1 −C 10アルキル基であって、DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2のリン酸化活性に対する阻害能の点から、ハロゲン置換されてもよいC 1 −C 4アルキル基が好ましく、ハロゲン置換されてもよいC 1 −C 3アルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、又はパーフルオロメチル基がさらに好ましい。 上記式(I)において、Yは、H、ハロゲン置換されてもよいC 1 −C 10アルキル基、C 2 −C 6アルケニル基、−R 1 OH、−COOR 2 、及び、−R 1 OCOR 3から選択される。 ここで、−R 1 OHとしては、ヒドロキシC 1 −C 6アルキル基が挙げられる。 −R 1 COOR 2としては、C 1 −C 4アルコキシカルボニルC 1 −C 4アルキル基が挙げられ、−COOR 2としては、カルボキシル基、及びC 1 −C 4アルコキシカルボニル基が挙げられ−R 1 OCOR 3としては、C 1 −C 4アルキルアシルオキシC 1 −C 4アルキル基、(ヘテロ)アリールアシルオキシC 1 −C 4アルキル基、及びC 1 −C 4アルキル(ヘテロ)アリールアシルオキシC 1 −C 4アルキル基が挙げられる。 Yは、DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2のリン酸化活性に対する阻害能の点から、H、C 1 −C 6アルキル基、C 2 −C 4アルケニル基、ヒドロキシC 1 −C 6アルキル基、C 1 −C 4アルキルアシルオキシC 1 −C 4アルキル基、及びC 1 −C 4アルコキシカルボニル基が好ましく、H、メチル基、エチル基、ペンチル基、ビニル基、ヒドロキシメチル基、アセトキシメチル基、メトキシカルボニルブチル基、及びエトキシカルボニル基がより好ましい。 上記式(I)において、Zは、ハロゲン置換されてもよいC 1 −C 10アルキル基、ハロゲン、−NHCOR 2 、−OR 2 、及び、−OCOR 3から選択される。 ここで、−OR 2としては、ヒドロキシ基、及びC 1 −C 6アルコキシ基が挙げられる。 なお、−OCOR 3は、ヒドロキシ基のプロドラッグ形態と考えることができる。 この場合、生体内で代謝されヒドロキシ基となるものであれば、−OCOR 3におけるR 3は特に制限されないが、−OCOR 3としては、C 1 −C 4アルキルアシルオキシ基、(ヘテロ)アリールアシルオキシ基、C 1 −C 3アルコキシアリールアシルオキシ基、及びC 1 −C 4アルキル(へテロ)アリールアシルオキシ基が挙げられる。 Zは、DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2のリン酸化活性に対する阻害能の点から、ヒドロキシ基、C 1 −C 6アルコキシ基、ハロゲン、及びC 1 −C 4アルキルアシルオキシ基が好ましく、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、フッ素、塩素、臭素、アセトキシ基がより好ましい。 また、DYRK2のリン酸化活性に対する阻害能の点からは、Zは、−NHCOR 2であることも好ましく、アセチルアミノ基であることがより好ましい。 Zは、ヒドロキシ基のプロドラッグ形態としては、生体内で代謝されてヒドロキシ基へのなり易さ及びDYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2のリン酸化活性に対する阻害能の点から、C 1 −C 4アルキルアシルオキシ基、アリールアシルオキシ基、C 1 −C 3アルコキシアリールアシルオキシ基、及びヘテロアリールアシルオキシ基が好ましく、アセトキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、(モノ-、ジ-、トリ-)メトキシベンゾイルオキシ基、ニコチノイルオキシ基、及びイソニコチノイルオキシ基がより好ましい。 上記式(I)のベンゾチアゾール誘導体は、製薬上許容される塩又は溶媒和物の形態であってもよい。 塩の形態としては、例えば、無機酸塩、有機酸塩、無機塩基塩、有機塩基塩、酸性または塩基性アミノ酸塩などが挙げられる。 無機酸塩の好ましい例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などが挙げられ、有機酸塩の好ましい例としては、酢酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、ステアリン酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などが挙げられる。 また、無機塩基塩の好ましい例としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられ、有機塩基塩の好ましい例としては、ジエチルアミン塩、ジエタノールアミン塩、メグルミン塩、N,N'−ジベンジルエチレンジアミン塩などが挙げられる。 酸性アミノ酸塩の好ましい例としては、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩などが挙げられ、塩基性アミノ酸塩の好ましい例としては、アルギニン塩、リジン塩、オルニチン塩などが挙げられる。 また、上記式(I)のベンゾチアゾール誘導体は、溶媒和物の形態としては、大気中の水分を吸収しあるいは吸着水が付いた水和物や、他のある種の溶媒を吸収した溶媒和物が挙げられる。 本発明の医薬組成物の有効成分として好ましい形態の一例は、以下のものが挙げられる。 但し、本発明はこれらに限定されない。 製造例009のベンゾチアゾール誘導体は、製造例001の5位のメトキシ基の脱保護(脱メチル化)あるいは、製造例019の5位のアセチル基の脱保護(アセチル基のアルカリ加水分解)により得ることができる。 また、製造例019のベンゾチアゾール誘導体は、製造例009の5位のヒドロキシ基がアセチル化されたものであって、製造例009のプロドラッグ形態として機能しうるベンゾチアゾール誘導体である。 したがって、本発明は、その他の態様において、生体内(好ましくはヒトの体内)において製造例009となりうるベンゾチアゾール誘導体、すなわち、製造例009のプロドラッグ形態として機能しうるベンゾチアゾール誘導体を有効成分とする医薬組成物である。 製造例009のプロドラッグとしては、以下の形態も挙げることができる。 [ベンゾチアゾール誘導体の製造方法] [医薬組成物の製造方法] 経口投与に適した剤形としては、錠剤、粒子、液体又は粉末含有カプセル、トローチ、咀嚼剤、多粒子及びナノ粒子、ゲル、フィルムなどの固形製剤;懸濁液、溶液、シロップ及びエリキシルなどの液体製剤が挙げられる。 前記賦形剤としては、セルロース、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、マンニトール及びクエン酸ナトリウムなどの担体;ポリビニルピロリジン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びゼラチンなどの造粒結合剤;澱粉グリコール酸ナトリウム及びケイ酸塩などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸などの滑沢剤;ラウリル硫酸ナトリウムなどの湿潤剤;保存剤、抗酸化剤、矯味矯臭剤及び着色剤が挙げられる。 本発明の医薬組成物の非経口投与としては、上記式(I)のベンゾチアゾール誘導体、又は、その製薬上許容される塩若しくは溶媒和物を、血流中、筋肉中又は内部器官中に直接投与することが挙げられる。 非経口投与は、静脈内、動脈内、腹腔内、鞘内、心室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内及び皮下の投与を含む。 非経口投与は、例えば、針注射器、針なし注射器及びその他の注入技術で行える。 また、非経口投与に適した剤形としては、例えば、賦形剤及び/又は緩衝剤を含む水溶液が挙げられる。 [治療・予防方法] 本発明の治療又は予防方法は、本発明の医薬組成物を対象に有効量投与することを含むことが好ましい。 対象がヒトである場合、例えば、上記式(I)のベンゾチアゾール誘導体の1日あたりの総量は、一般的には、0.0001mg/kg〜100mg/kgの範囲とすることができる。 また、一日当たりの総量は、単回又は分割投与で投与することができる。 投与方法は、上述した経口/非経口投与を適宜選択できる。 なお、使用する医薬組成物に含まれる上記式(I)のベンゾチアゾール誘導体の好ましい形態は、上述した本発明の医薬組成物の場合と同様である。 本発明の治療又は予防方法は、さらに、対象においてDYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つが活性亢進していることを確認する工程を含むことが好ましい。 この確認工程は、本発明の医薬組成物を投与する前に行うことが好ましい。 この確認工程は、対象から血液、細胞、組織等を採取し、DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つのmRNAの転写量、蛋白質の量、及び、リン酸化活性の少なくとも1つについて測定し、正常細胞又は正常個体と比較することを含んでもよい。 具体的な測定方法は、当業者であれば適宜選択できる。 あるいは、確認工程は、DYRK1A、DYRK1B、又は、DYRK2に特異的な抗体を含むプローブを使用したイメージング方法を使用して蛋白質の量を測定することを含んでもよい。 また、本発明の治療又は予防方法が悪性腫瘍の治療又は予防方法である場合、さらに、従来の抗がん剤を投与する工程を含んでもよい。 本発明の医薬組成物と従来の抗がん剤とを併用することで、例えば、従来の抗がん剤の抗がん作用を増強できる。 したがって、本発明は、その他の態様として、DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つの活性亢進、好ましくはDYRK1Bの活性亢進を伴う悪性腫瘍において抗がん剤の作用を増強する方法であって、本発明の医薬組成物を対象(ヒト、動物、細胞を含む)に有効量投与することを含む方法を提供しうる。 この方法においても、対象においてDYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つが活性亢進していることを確認する工程を含むことが好ましい。 [阻害試薬キット] [阻害方法] [スクリーニング方法] [新規なベンゾチアゾール誘導体] すなわち、上記条件aは、上記式(I)においてA=S,X=Y=−CH 3の場合には、Zは、ハロゲン置換されてもよいC 1 −C 6アルキル基、Cl、Br、−NHCOR 2 、C 3 −C 6アルコキシ基、C 2 −C 4アルキルアシルオキシ基、(ヘテロ)アリールアシルオキシ基、C 1 −C 3アルコキシアリールアシルオキシ基、及びC 1 −C 4アルキル(へテロ)アリールアシルオキシ基から選択されることを規定することが好ましい。 また、上記条件bは、上記式(I)においてA=S,X=−C 2 H 5 ,Y=−CH 3の場合には、Zは、ハロゲン置換されてもよいC 1 −C 6アルキル基、ハロゲン、−NHCOR 2 、ヒドロキシ基、C 1 −C 6アルコキシ基、C 2 −C 4アルキルアシルオキシ基、(ヘテロ)アルキルアリールアシルオキシ基、C 1 −C 3アルコキシアリールアシルオキシ基、及びC 1 −C 4アルキル(へテロ)アリールアシルオキシ基から選択されることを規定することが好ましい。 本発明のベンゾチアゾール誘導体の好ましい形態は、上記特許文献1及び非特許文献9と重複するものを除き、上述した本発明の医薬組成物の場合と同様である。 次に、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されない。 [ベンゾチアゾール誘導体の製造例] [製造例001]
2 SO 4上で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。 その残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(18g、CH 2 Cl 2 /エチルアセテート、4:1)を用いて精製し、1−(3−エチル−5−メトキシ−2,3−ジヒドロベンゾチアゾール−2−イリデン)プロパン−2−オン(製造例001の化合物)を淡黄色固体として得た(201mg、806μmol、収率54.1%)。 NMRとMSの結果を下記に示す。 1 H NMR (CDCl 3 , 400 MHz) δ 1.37 (t, 3H, J = 7.3 Hz, CH 3 ), 2.24 (s, 3H, CH 3 ), 3.88 (s, 3H, OCH 3 ), 4.02 (q, 2H, J = 7.3 Hz, CH 2 ), 5.87 (s, 1H, olefinic), 6.65 (d,1H, J = 2.3 Hz, aromatic), 6.75 (dd, 1H, J = 2.3, 8.5 Hz, aromatic), 7.45 (d, 1H, J = 8.5 Hz, aromatic).
+ ) m/z 250.901 ((M+H) + , C 13 H 16 NO 2 S requires 250.0902). [製造例002]
1 H NMR (CDCl 3 , 400 MHz) δ 1.20 (t, 3H, J = 7.3 Hz, CH 3 ), 1.37 (t, 3H, J = 7.2 Hz, CH 3 ), 2.50 (q, 2H, J = 7.3 Hz, CH 2 ), 3.86 (s, 3H, OCH 3 ), 4.02 (q, 2H, J = 7.2 Hz, CH 2 ), 5.87 (s, 1H, olefin), 6.64 (d, 1H, J = 2.3 Hz, aromatic), 6.74 (dd, 1H, J = 2.3, 8.5 Hz, aromatic), 7.44 (d, 1H, J = 8.5 Hz, aromatic).
+ ) m/z 264.1051 ((M+H) + , C 14 H 18 NO 2 S requires 264.1058). [製造例003]
1 H NMR (CDCl 3 , 400 MHz) δ 1.38 (t, 3H, J = 7.3 Hz, CH 3 ), 2.53 (s, 3H, CH 3 ), 4.01 (q, 2H, J = 7.3 Hz, CH 2 ), 5.90 (s, 1H, olefinic), 6.81 (dd, 1H, J = 2.4, 3 J HF = 9.2 Hz, aromatic), 6.89 (ddd, 1H, J = 2.4, 8.4, 3 J HF = 9.2 Hz, aromatic), 7.48 (dd, 1H, J = 8.4, 4 J HF = 5.4 Hz, aromatic).
+ ) m/z 238.0697 ((M+H) + , C 12 H 13 FNOS requires 238.0702). [製造例004]
2 SO 4上で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。 その残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20g、n−ヘキサン/エチルアセテート、2:1)を用いて精製し、褐色油状物の5−エトキシ−2−メチルベンゾチアゾールを得た(216mg、1.11mmol、収率92.3%)。 5−メトキシ−2−メチルベンゾチアゾールにかえて5−エトキシ−2−メチルベンゾチアゾールを使用したほかは、[製造例001]と同様に製造し、淡黄色固体の1−(5−エトキシ−3−エチル−2,3−ジヒドロベンゾチアゾール−2−イリデン)プロパン−2−オン(製造例004の化合物)を得た。 1 H NMR (CDCl 3 , 400 MHz) δ 1.37 (t, 3H, J = 7.4 Hz, CH 3 ), 1.44 (t, 3H, J = 7.0 Hz, CH 3 ), 2.23 (s, 3H, CH 3 ), 4.01 (q, 2H, J = 7.4 Hz, CH 2 ), 4.08 (q, 2H, J = 7.0 Hz, CH 2 ), 5.86 (s, 1H, olefinic), 6.65 (d, 1H, J = 2.3 Hz, aromatic), 6.74 (dd, 1H, J = 2.3, 8.5 Hz, aromatic), 7.43 (d, 1H, J = 8.5 Hz, aromatic)
+ ) m/z 264.1051 ((M+H) + , C 14 H 18 NO 3 S requires 264.1058). [製造例005]
1 H NMR (CDCl 3 , 400 MHz) δ 0.91 (t, 3H, J = 7.2 Hz, CH 3 ), 1.21 (t, 3H, J = 7.5 Hz, CH 3 ), 1.29-1.48 (m, 6H, CH 2 x 3), 1.78 (m, 2H, J = 7.6 Hz, CH 2 ), 2.50 (q, 2H,J = 7.5 Hz, CH 2 ), 3.86 (s, 3H, OCH 3 ), 3.94 (t, 2H, J = 7.6 Hz, CH 2 ), 5.86 (s, 1H, olefinic), 6.64 (d, 1H, J = 2.3 Hz, aromatic), 6.75 (dd, 1H, J = 2.3, 8.6 Hz,aromatic), 8.55 (d, 1H, J = 8.6 Hz, aromatic).
+ ) m/z 320.1683 ((M+H) + , C 18 H 25 NO 3 S requires 320.1684). [製造例006]
1 H NMR (CDCl 3 , 400 MHz) δ 1.46 (t, 3H, J = 7.3 Hz, CH 3 ), 3.91 (s, 3H, OCH 3 ), 4.20 (q, 2H, J = 7.3 Hz, CH 2 ), 6.17 (s, 1H, olefinic), 6.82 (d, 1H, J = 2.1 Hz, aromatic), 6.93 (dd, 1H, J = 2.1, 8.5 Hz, aromatic), 7.60 (d, 1H, J = 8.5 Hz, aromatic).
+ ) m/z 304.0618 ((M+H) + , C 13 H 13 F 3 NO 2 S requires 304.0619). [製造例007]
1 H NMR (CDCl 3 , 400 MHz) δ 2.24 (s, 3H, CH 3 ), 3.52 (s, 3H, CH 3 ), 3.87 (s, 3H, OCH 3 ), 5.86 (s, 1H, olefinic), 6.66 (d, 1H, J = 2.1 Hz, aromatic), 6.75 (dd, 1H, J= 2.1, 8.5 Hz, aromatic), 7.44 (d, 1H, J = 8.5 Hz, aromatic).
+ ) m/z 236.0746 ((M+H) + , C 12 H 14 NO 2 S requires 236.0745). [製造例008]
1 H NMR (CDCl 3 , 400 MHz) δ 2.23 (s, 3H, CH 3 ), 3.52 (s, 3H, CH 3 ), 5.89 (s, 1H, olefinic), 6.84 (dd, 1H, J = 2.3, 3 J HF = 9.6 Hz, aromatic), 6.89 (ddd, 1H, J = 2.3, 8.6, 3 J HF = 8.9 Hz, aromatic), 7.48 (dd, 1H, J = 8.6, 4 J HF = 5.2 Hz, aromatic).
+ ) m/z 224.0547 ((M+H) + , C 11 H 11 FNOS requires 224.0545). [製造例009]
2 Cl 2中に1−(3−エチル−5−メトキシ−2,3−ジヒドロベンゾチアゾール−2−イリデン)プロパン−2−オン(製造例001の化合物)(5.48g、22.0mmol)を含むサスペンションに、三臭化ホウ素 1.0M CH 2 Cl 2溶液(44.0ml、44.0mmol)を0℃にて添加して、室温にて23時間撹拌した。 その後、混合物へ飽和炭酸水素ナトリウム溶液(100ml)を添加し、減圧濃縮によりCH 2 Cl 2を除去した。 漏斗を用いて沈殿物を濾しとり、エチルアセテートで洗浄後、減圧乾燥した後、エタノール(550ml)を用いて再結晶により精製し、乳白色固体の1−(3−エチル−5−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロベンゾチアゾール−2−イリデン)プロパン−2−オン(製造例009の化合物)を得た(3.21g、13.6mmol、収率62.1%)。 1 H NMR (CDCl 3 , 400 MHz) δ 1.37 (t, 3H, J = 6.9 Hz, CH 3 ), 2.07 (s, 3H, CH 3 ), 4.06 (q, 2H, J = 6.9 Hz, CH 2 ), 6.05 (s, 1H, olefinic), 6.63 (d, 1H, J = 8.4 Hz, aromatic), 6.77 (br s, 1H, aromatic), 7.46 (d, 1H, J = 8.4 Hz, aromatic), 9.72 (s, 1H, OH).
+ ) m/z 236.0744 ((M+H) + , C 12 H 14 NO 2 S requires 236.0745). [製造例010]
1 H NMR (CDCl 3 , 400 MHz) δ 1.39 (t, 3H, J = 7.3 Hz, CH 3 ), 2.26 (s, 3H, CH 3 ), 4.02 (q, 2H, J = 7.3 Hz, CH 2 ), 5.90 (s, 1H, olefinic), 7.22 (d, 1H, J = 1.7 Hz, aromatic), 7.27 (dd, 1H, J = 1.7, 8.2 Hz, aromatic), 7.43 (d, 1H, J = 8.2 Hz, aromatic).
+ ) m/z 297.9899 ((M+H) + , C 12 H 13 NOSBr requires 297.9901). [製造例011]
1 H NMR (CDCl 3 , 400 MHz) δ 1.39 (t, 3H, J = 7.3 Hz, CH 3 ), 2.26 (s, 3H, CH 3 ), 4.03 (q, 2H, J = 7.3 Hz, CH 2 ), 5.90 (s, 1H, olefinic), 7.08 (d, 1H, J = 1.8 Hz, aromatic), 7.13 (dd, 1H, J = 1.8, 8.2 Hz, aromatic), 7.48 (d, 1H, J = 8.2 Hz, aromatic).
+ ) m/z 254.0411 ((M+H) + , C 12 H 13 NOSCl requires 254.0406). [製造例012]
1 H NMR (CDCl 3 , 400 MHz) δ 1.37 (t, 3H, J = 7.3 Hz, CH 3 ), 2.23 (s, 3H, CH 3 ), 2.25 (s, 3H, CH 3 ), 4.06 (q, 2H, J = 7.3 Hz, CH 2 ), 5.89 (s, 1H, olefinic), 6.90 (d, 1H, J = 8.3 Hz, aromatic), 7.45 (d, 1H, J = 8.3 Hz, aromatic), 7.66 (s, 1H, NH), 7.96 (s, 1H, aromatic).
+ ) m/z 277.1013 ((M+H) + , C 14 H 17 N 2 O 2 S requires 277.1011). [製造例013]
1 H NMR (CDCl 3 , 400 MHz) δ 1.05 (t, 3H, J = 7.5 Hz, CH 3 ), 1.83 (m, 2H, J = 7.5 Hz, CH 2 ), 2.24 (s, 3H, CH 3 ), 3.86 (s, 3H, OCH 3 ), 3.91 (q, 2H, J = 7.5 Hz, CH 2 ), 5.86 (s, 1H, olefinic), 6.65 (d, 1H, J = 2.3 Hz, aromatic), 6.75 (dd, 1H, J = 2.3, 8.5 Hz, aromatic), 7.45 (d, 1H, J = 8.5 Hz, aromatic).
+ ) m/z 264.1065 ((M+H) + , C 14 H 18 NO 2 S requires 264.1058). [製造例014]
1 H NMR (CDCl 3 , 400 MHz) δ 2.22 (s, 3H, CH 3 ), 3.85 (s, 3H, OCH 3 ), 4.57 (ddd, 2H,J = 1.8, 2.1, 4.6 Hz, CH 2 ), 5.13 (dd, 1H, J = 2.1, 17.2 Hz, olefinic), 5.29 (dd, 1H, J = 1.8, 10.4 Hz, olefinic), 5.89 (ddt, 1H, J = 4.6, 10.4, 17.2 Hz, olefinic), 6.60 (d, 1H, J = 2.1 Hz, aromatic), 6.76 (dd, 1H, J = 2.1, 8.6 Hz, aromatic), 7.45 (d, 1H, J = 8.6 Hz, aromatic).
+ ) m/z 262.0902 ((M+H) + , C 14 H 16 NO 2 S requires 262.0902). [製造例015]
1 H NMR (CDCl 3 , 400 MHz) δ 1.39 (t, 3H, J = 7.2 Hz, CH 3 ), 2.27 (s, 3H, CH 3 ), 3.87 (s, 3H), 4.08 (q, 2H, J = 7.2 Hz, CH 2 ), 6.19 (s, 1H, olefinic), 6.70 (d, 1H, J= 2.3 Hz, aromatic), 6.76 (dd, 1H, J = 2.3, 8.4 Hz, aromatic), 7.54 (d, 1H, J =8.4 Hz, aromatic).
+ ) m/z 298.0347 ((M+H) + , C 13 H 16 NO 2 Se requires 298.0346). [製造例016]
1 H NMR (DMSO-d 6 , 400 MHz) δ 1.87 (s, 3H, CH 3 ), 2.09 (s, 3H, CH 3 ), 3.81 (s, 3H, OCH 3 ), 4.35 (d, 2H, J = 4.3 Hz, CH 2 ), 4.39 (d, 2H, J = 4.3 Hz, CH 2 ), 6.14 (s, 1H, olefinic), 6.78 (dd, 1H, J = 2.0, 8.6 Hz, aromatic), 7.04 (d, 1H, J = 2.0 Hz, aromatic), 7.58 (d, 1H, J = 8.6 Hz, aromatic).
+ ) m/z 308.0964 ((M+H) + , C 15 H 18 NO 4 S requires 308.0957). [製造例017]
1 H NMR (DMSO-d 6 , 400 MHz) δ 2.06 (s, 3H, CH 3 ), 3.70 (q, 2H, J = 5.7 Hz, CH 2 ), 4.07 (t, 2H, J = 5.7 Hz, CH 2 ), 4.97 (t, 1H, J = 5.7 Hz, OH), 6.05 (s, 1H, olefinic), 6.62 (dd, 1H, J = 2.0, 8.4 Hz, aromatic), 6.81 (d, 1H, J = 2.0 Hz, aromatic), 7.44 (d, 1H, J = 8.4 Hz, aromatic), 9.67 (s, 1H, OH).
+ ) m/z 252.0693 ((M+H) + , C 12 H 14 NO 3 S requires 252.0694). [製造例018]
1 H NMR (CDCl 3 , 400 MHz) δ 1.29 (t, 3H, J = 7.2 Hz), 2.23 (s, 3H, CH 3 ), 3.84 (s,3H, OCH 3 ), 4.27 (q, 2H, J = 7.2 Hz, CH 2 ), 4.64 (s, 2H, CH 2 ), 5.78 (s, 1H, olefinic), 6.55 (d, 1H, J = 2.2 Hz, aromatic), 6.77 (dd, 1H, J = 2.2, 8.5 Hz, aromatic), 7.45 (d, 1H, J = 8.5 Hz, aromatic).
+ ) m/z 308.0960 ((M+H) + , C 15 H 18 NO 4 S requires 308.0957). [製造例019−A]
2 SO 4上で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。 その残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(30g、CH 2 Cl 2 /エチルアセテート、4:1)を用いて精製し、無色固体の1−(5−アセトキシ−3−エチル−2,3−ジヒドロベンゾチアゾール−2−イリデン)プロパン−2−オン(製造例019の化合物)を得た(274mg、988μmol、収率98.9%)。 1 H NMR (CDCl 3 , 400 MHz) δ 1.37 (t, 3H, J = 7.4 Hz, CH 3 ), 2.24 (s, 3H, CH 3 ), 2.33 (s, 3H, CH 3 ), 4.01 (q, 2H, J = 7.4 Hz, CH 2 ), 5.88 (s, 1H, olefinic), 6.87-6.90 (m, 2H, aromatic), 7.53 (d, 1H, J = 8.4 Hz, aromatic)
+ ) m/z 278.0846 ((M+H) + , C 14 H 16 NO 3 S requires 278.0851). [製造例019−B] [製造例020]
2 SO 4上で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。 その残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10g、CH 2 Cl 2 /エチルアセテート、4:1)を用いて精製し、淡黄色固体の2−[5−アセトキシ−2−(2−オキソプロピリデン)−2,3−ジヒドロベンゾチアゾール−3−イル]エチルアセテート(製造例020の化合物)を得た(104mg、310μmol、収率91.4%)。 1 H NMR (CDCl 3 , 400 MHz) δ 2.02 (s, 3H, CH 3 ), 2.26 (s, 3H, CH 3 ), 2.34 (s, 3H, CH 3 ), 4.24 (t, 2H, J = 6.0 Hz, CH 2 ), 4.42 (t, 2H, J = 6.0 Hz, CH 3 ), 5.93 (s, 1H, olefinic), 6.90 (dd, 1H, J = 2.0, 8.2 Hz, aromatic), 6.95 (d, 1H, J = 2.0 Hz, aromatic), 7.53 (d, 1H,), 7.96 (s, 1H, J = 8.2 Hz, aromatic).
+ ) m/z 336.0905 ((M+H) + , C 16 H 18 NO 5 S requires 336.0906). [製造例021]
2 Cl 2で3回抽出した。 1つにまとめた有機抽出液を水にて1回洗浄し、Na 2 SO 4上で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。 その残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(30g、CH 2 Cl 2 /エチルアセテート、4:1)を用いて精製し、無色固体の3−エチル−2−(2−オキソプロピリデン)−2,3−ジヒドロベンゾチアゾール−5−イルベンゾエート(製造例021の化合物)を得た(214mg、631μmol、収率99.1%)。 1 H NMR (DMSO-d 6 , 400 MHz) δ 1.21 (t, 3H, J = 7.0 Hz, CH 3 ), 2.11 (s, 3H, CH 3 ), 4.14 (q, 2H, J = 7.0 Hz, CH 2 ), 6.15 (s, 1H, olefinic), 7.11 (dd, 1H, J = 2.0, 8.4Hz, aromatic), 7.50 (d, 1H, J = 2.0 Hz, aromatic), 7.60-7.64 (m, 1H, aromatic),7.74-7.75 (m, 1H, aromatic), 7.79 (d, 1H, J = 8.4 Hz, aromatic), 8.14-8.17 (m, 1H, aromatic).
+ ) m/z 340.1008 ((M+H) + , C 19 H 18 NO 3 S requires 339.0929). [製造例022]
1 H NMR (DMSO-d 6 , 400 MHz) δ 1.20 (t, 3H, J = 7.0 Hz, CH 3 ), 1.32 (s, 9H, CH 3 x 3), 2.11 (s, 3H, CH 3 ), 4.13 (q, 2H, J = 7.0 Hz, CH 2 ), 6.12 (s, 1H, olefinic), 6.89 (dd, 1H, J = 1.8, 8.4 Hz, aromatic), 7,26 (d, 1H, J = 1.8Hz, aromatic), 7.72 (d, 1H, J = 8.4 Hz, aromatic).
+ ) m/z 320.1321 ((M+H) + , C 17 H 22 NO 3 S requires 320.1320). [製造例023]
1 H NMR (DMSO-d 6 , 400 MHz) δ 1.22 (t, 3H, J = 7.0 Hz, CH 3 ), 2.12 (s, 3H, CH 3 ), 4.13 (q, 2H, J = 7.0 Hz, CH 2 ), 6.15 (s, 1H, olefinic), 7.15 (dd, 1H, J = 2.0, 8.2Hz, aromatic), 7.54 (d, 1H, J = 2.0 Hz, aromatic), 7.81 (d, 1H, J = 8.2 Hz, aromatic), 8.03 (dd, 2H, J = 1.7, 4.4 Hz, aromatic), 8.90 (dd, 2H, J = 1.7, 4.4 Hz,aromatic).
+ ) m/z 341.0961 ((M+H) + , C 18 H 17 N 2 O 3 S requires 341.0960). [製造例024]
1 H NMR (DMSO-d 6 , 400 MHz) δ 1.22 (t, 3H, J = 7.2 Hz, CH 3 ), 2.12 (s, 3H, CH 3 ), 4.13 (q, 2H, J = 7.2 Hz, CH 2 ), 6.15 (s, 1H, olefinic), 7.15 (dd, 1H, J = 2.0, 8.4Hz, aromatic), 7.53 (d, 1H, J = 2.0 Hz, aromatic), 7.67 (ddd, 1H, J = 0.8, 4.9,8.1 Hz, aromatic), 7.81 (d, 1H, J = 8.4 Hz, aromatic), 8.49 (ddd, 1H, J = 1.8, 2.1, 8.1 Hz, aromatic), 8.91 (dd, 1H, J = 1.8, 4.9 Hz, aromatic), 9.28 (dd, 1H, J = 0.8, 2.1 Hz, aromatic).
+ ) m/z 341.0961 ((M+H) + , C 18 H 17 N 2 O 3 S requires 341.0960). [製造例025]
2 Cl 2に溶解させた後、トリエチルアミン(7.40mL、53.1mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(144mg、1.18mmol)および1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(4.98g、26.0mmol)を常温で連続的に添加して、49時間室温にて攪拌した。 その後、混合溶液を水(300mL)へ注ぎ込み、混合物を150mLのCH 2 Cl 2で3回抽出した。 1つにまとめた有機抽出液を水(100mL)、ブライン(100mL)で順次洗浄し、Na 2 SO 4上で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。 その残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(120g、n−ヘキサン/エチルアセテート/CH 2 Cl 2 、2:1:1)を用いて精製し、無色固体の2−メチルベンゾチアゾール−5−イル 2,4,6−トリメトキシベンゾエートを得た(2.18g、6.07mmol、収率51.4%)。
1 H NMR (CDCl 3 , 300 MHz) δ 1.39 (t, 3H, J = 7.2 Hz, CH 3 ), 2.25 (s, 3H, CH 3 ), 3.86 (s, 3H, OCH 3 ), 3.88 (s, 6H, OCH 3 x 2), 4.05 (q, 2H, J = 7.2 Hz, CH 2 ), 5.90 (s, 1H, oleffin), 6.16 (s, 2H, aromaric x 2), 7.01-7.08 (m, 2H, aromatic x 2), 7.56 (d, 1H, J = 9.0 Hz, aromatic). [製造したベンゾチアゾール誘導体のリン酸化酵素の活性阻害] 大腸菌で発現させて精製した0.27μgの組み換えDYRK1A蛋白質と8.25μgのMBP(Upstate社製)とを、反応バッファー(10mM MgCl、10μM ATP、1μCi[γ− 32 P]ATP、製造例001〜024の化合物終濃度10μM)中で30℃、10分間インキュベートした。 製造例001〜024の化合物は、DMSOに溶解し、必要に応じてDMSOにて段階希釈を行った。 このリン酸化酵素の活性測定におけるDYRK1AとMBPの量、及び反応時間の条件は、予め反応の直線性を検討し、直線性が成立する条件を選択した。 DYRK1AとMBPの反応を10分行った後、反応液をP81フォスフォセルロースメンブレン(P81;Whatman)に滴下し、乾燥後、5%リン酸溶液で洗浄した。 洗浄後、P81メンブレンの32 P放射活性を液体シンチレーションカウンター(ALOKA LIQUID SCINTILLATION COUNTER LSC−5100)により測定した。 製造例001〜024の化合物非添加のコントロールとして、化合物の溶解・希釈に用いたDMSOを反応バッファーに加えることにより、全てのサンプルでDMSOの最終濃度を統一化した。 製造例の化合物、及び、コントロールにつき3個のサンプルで測定を行い、測定結果をコントロールの数値に対する割合(%)及び標準偏差として表した。 また、同様の手法により、DYRK1B及びDYRK2についても化合物10μMにおけるリン酸化活性の阻害効果を測定した。 これらの結果を下記表1に示す。 上記表1に示すとおり、製造例001〜018のベンゾチアゾール誘導体は、DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2の少なくとも1つのリン酸化活性を少なくとも50%以上阻害できた。 また、製造例001〜018のベンゾチアゾール誘導体は、チロシンキナーゼであるMetやセリン・トレオニンキナーゼであるASK1などのリン酸化活性に対して、DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2と比べて大きな阻害能を示さなかった(データ示さず)。 したがって、製造例001〜018のベンゾチアゾール誘導体は、DYRK1A、DYRK1B、及び、DYRK2に対して選択的にリン酸化活性を阻害する傾向が示された。 なお、上記表1における製造例019〜024の化合物の中には、リン酸化活性阻害能を発揮しないものもあったが、これらは製造例009の化合物又は製造例017の化合物のプロドラッグ形態であるため、インビトロでのリン酸化活性阻害能を示さない場合がある。 なお、後述する実施例で、プロドラッグ形態の製造例019〜024のベンゾチアゾール誘導体が生体内又は細胞内でリン酸化活性を阻害できることが示されている。 [培養細胞内におけるタウ蛋白質(Tau)のリン酸化阻害] COS−7細胞(CRL−1651)をDMEM(10%FBS、ペニシリンストレプトマイシン添加)培地にて培養し、pEGFP−DYRK1AとpEGFP−MAPTをGeneJuice Transfection Reagent(Novagen)を用いて強制発現させた。 3時間後にベンゾチアゾール誘導体(製造例001、009、019〜025の化合物)をそれぞれ終濃度10μMにて添加し、21時間、37℃、5%CO 2培養条件下で培養した。 なお、製造例025の化合物は、ラット血清中でインキュベーション(37℃60分)を行って5位のエステル結合を加水分解(エステラーゼ反応)させ、その代謝産物をHPLCにより回収して濃縮後、濃度測定、フィルター滅菌を行ったものを添加した。 また、ベンゾチアゾール非添加群として前記ベンゾチアゾール誘導体の溶媒であるDMSOを培地に添加した。 その後、プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche)とホスファターゼ阻害剤カクテル(Nacalai)を加えたRIPAバッファー(50mM Tris−HCl pH8.0、150mM NaCl、2mM EGTA、1% NonidetP−40、0.5% DOC、0.1% SDS)で細胞を溶解し、SDS−PAGEサンプルバッファーで希釈して蛋白質サンプルとした。 このサンプルを20μg/レーンにてSDSアクリルアミドゲルに電気泳動し、PVDFメンブレンにトランスファー後、抗GFP抗体(MBL)、抗Tau[pT212]抗体(BIOSOURCE)にて抗体反応を行い、Super Signal West Dura(Thermo SCIENTIFIC)によるケミルミ発光にてリン酸化Tauのバンド、並びに、総Tauを示すGFPのバンドを検出した。 それら検出されたバンドをデンシトメトリー(ATTO CS Analyzer ver 3.0)により数値化し、化合物非添加群のリン酸化Tauのバンドの発光を100%とし、各群におけるバンドの発光を数値化した。 なお、それぞれのリン酸化Tauのバンドは、総Tauにより補正を行った。 その結果を下記表2及び図1に示す。 上記表2及び図1に示すとおり、ベンゾチアゾール誘導体非添加群(コントロール)において観察されたタウ蛋白質のリン酸化は、ベンゾチアゾール誘導体の添加により抑制されることが示された。 製造例019〜024は、上述のインビトロのリン酸化活性阻害能の測定(上記表1)では阻害活性が低かったが、細胞内においては良好なDYRK1Aの活性阻害を示した(上記表2及び図1)。 製造例025の化合物は、血清中でのインキュベーションを行わない場合にはタウ蛋白質のリン酸化阻害活性は低かった(data not shown)。 しかし、製造例025の化合物は、血清中でのインキュベーションを行うことで細胞内において良好なDYRK1Aの活性阻害を示した(上記表2及び図1)。 なお、図2は、ベンゾチアゾール誘導体(製造例001、019、009)の添加量とタウ蛋白質のリン酸化阻害との関係を示す図である。 同図に示すように、培養細胞内におけるタウ蛋白質のリン酸化阻害は、ベンゾチアゾール誘導体の添加量に依存した。 [DYRK1A過剰発現モデルにおける神経発生異常の抑制] [DYRK1A過剰発現によるアフリカツメガエルの発生異常モデル] [ベンゾチアゾール誘導体によるアフリカツメガエルの発生異常に対する抑制効果] 図3は、上記DYRK1A過剰発現モデルの発生異常に対する抑制効果実験の結果を示す観察写真である。 a)、d)及びg)はDYRK1AのmRNA非投与群であり、b)、e)及びh)は250pgのDYRK1A mRNA投与群であり、c)、f)及びi)は500pgのDYRK1A mRNA投与群である。 また、a)、b)及びc)はベンゾチアゾール誘導体非投与群であり、d)、e)及びf)は製造例001のベンゾチアゾール誘導体投与群であり、g)、h)及びi)は製造例019のベンゾチアゾール誘導体投与群である。 図4は、上記DYRK1A過剰発現モデルにおける抑制効果を調べた個体の発生異常(眼形成異常)について、正常、軽度及び重度の3つに分類し、各実験群におけるそれぞれの割合を百分率で示したグラフである。 また、図5は、上記DYRK1A過剰発現モデルにおける抑制効果を調べた個体の発生異常(頭部縮小)について、各実験群における割合を百分率で示したグラフである。 図4aはmRNA非投与・ベンゾチアゾール非投与群のグラフであり、図4bは250pg mRNA投与群のグラフであり、図4cは500pg mRNA投与群のグラフであり、図5aはmRNA非投与・ベンゾチアゾール非投与群及び250pg mRNA投与群のグラフであり、図5bはmRNA非投与・ベンゾチアゾール非投与群及び500pg mRNA投与群のグラフである。 なお、図4及び5の各群におけるサンプル数は以下のとおりである。 mRNA非投与・ベンゾチアゾール非投与群(n=29)、250pg mRNA投与・ベンゾチアゾール非投与群(n=36)、250pg mRNA投与・製造例001投与群(n=29)、250pg mRNA投与・製造例019投与群(n=23)、500pg mRNA投与・ベンゾチアゾール非投与群(n=55)、500pg mRNA投与・製造例001投与群(n=37)、500pg mRNA投与・製造例019投与群(n=35)。 図3〜5に示すとおり、対照群(mRNA非投与・溶媒のみ、図3a、図4a、図5a及びb)では正常な形態形成が認められたのに対し、ベンゾチアゾール誘導体を投与しないDYRK1A過剰発現胚では、眼形成異常及び頭部縮小を特徴とする発生異常が認められた(図3b及びc、図4b及びc、図5)。 しかし、ベンゾチアゾール誘導体(製造例001及び019)を投与すると、DYRK1A過剰発現による発生異常は顕著に抑制された(図3e、f、h、i、図4b及びc、図5)。 すなわち、ベンゾチアゾール誘導体の投与によって、DYRK1A過剰発現に起因する異常を個体レベルで抑制できることが示された。 なお、製造例019は、上述のインビトロのリン酸化活性阻害能の測定(上記表1)では阻害活性が低かったが、生体内においては良好なDYRK1の活性阻害を示した。 DYRK1A過剰発現及びベンゾチアゾール誘導体投与時での発生段階における分子レベルの変化を確認するため、DYRK1A mRNAを500pg投与した時の各種頭部神経マーカーの発現変化とベンゾチアゾール誘導体投与時の効果を検討した。 その結果を図6に示す。 図6は、アフリカツメガエル初期胚でのDYRK1A過剰発現モデル(mRNA(+)レーン)における神経発生マーカーの発現異常とベンゾチアゾール誘導体投与によるその発現異常回復効果を示す図である。 mRNA(−)レーンは、正常個体における神経発生マーカーの発現レベルを示す。 まず、アフリカツメガエルの8細胞期胚動物極背側2割球に0又は500pgのアフリカツメガエルDYRK1A合成mRNAを注入し、同時に製造例001(10μM)、製造例019(2.5μM)、又はコントロールとして溶媒(DMSO)のみを飼育水に添加し、ベンゾチアゾール誘導体による回復効果を検討した。 DYRK1A合成mRNA注入後、胚を暗下にて23℃で1日間培養し、stage17の時点で頭部を収穫し、RNAを回収してRT−PCRによる発現解析を行った。 神経全般、後脳、中脳、及び前脳の頭部神経マーカーであるNCAM、Krox20、En2、Otx2、並びに、眼形成マーカーであるLhx2及びRx1について、mRNAの発現量の解析を行った。 なお、内部標準として、xOdcを利用した。 同図において、−、+で示したレーンはそれぞれDYRK1A mRNAを添加しない個体のコントロール、及びDYRK1A mRNAを注入した個体のサンプルの結果を示す。 図6に示すとおり、DYRK1Aの過剰発現により、神経全般(NCAM)、後脳(Krox20)、中脳(En2)、及び前脳(Otx2)マーカー、並びに、眼形成マーカー(Lhx2及びRx1)の発現低下が認められた(図6、DMSOのmRNA(+)レーン)。 そして、これらの神経マーカーの発現低下は、製造例001及び019のベンゾチアゾール誘導体を投与することによって改善された(図6、製造例001及び019のmRNA(+)レーン)。 したがって、ベンゾチアゾール誘導体投与によりDYRK1A過剰発現に起因する発生異常を個体レベルで抑制できることが、分子レベルで示された。 [DYRK1B発現悪性腫瘍に対する増殖抑制効果/抗がん剤作用増強効果] まず、横紋筋肉腫細胞株RMS−YM(理研バイオリソースセンター RCB1695)をRPMI1640(10%FBS、100μM none essensial amino acid、10mM HEPES、ペニシリンストレプトマイシン添加)培地にて培養し、ベンゾチアゾール誘導体(製造例019、009)及び上記式(I)に属さない下記化学式で表される化合物(以下、「陰性対照化合物」ともいう)を終濃度20、50、100μMで添加し、横紋筋肉腫細胞株RMS−YMに対するベンゾチアゾール誘導体の細胞増殖抑制効果を検討した。 また、ベンゾチアゾール誘導体非添加群をコントロールとして、ベンゾチアゾール誘導体の溶媒であるDMSOを同じ最終濃度となるよう添加した。 ベンゾチアゾール誘導体及び/又はDMSO添加後、細胞を2日間培養した。 培養後、WST−8(2−(methoxy−4−nitrophenyl)−5−(2.4−disulfophenyl)−2H−tetrazolium, monosodium salt)(Nacalai)法により細胞生存率を測定し、ベンゾチアゾール誘導体非添加群を100%としたときの細胞生存率を算出した。 その結果を図7aに示す。 図7aは、横紋筋肉腫細胞株RMS−YMに対するベンゾチアゾール誘導体の細胞増殖抑制効果を調べた結果のグラフである。 図7aに示すとおり、ベンゾチアゾール誘導体のみを使用した場合において濃度依存的な悪性腫瘍の細胞増殖抑制効果が確認できた。 つぎに、横紋筋肉腫細胞株RMS−YMを培養し、抗がん剤非添加・ベンゾチアゾール添加群、抗がん剤非添加・ベンゾチアゾール非添加群、抗がん剤添加・ベンゾチアゾール非添加群、抗がん剤添加・ベンゾチアゾール添加群にて横紋筋肉腫細胞株RMS−YMに対するベンゾチアゾール誘導体の細胞増殖抑制効果を検討した。 抗がん剤非添加・ベンゾチアゾール添加群には、終濃度20μMのベンゾチアゾール誘導体(製造例019、009)又は陰性対照化合物を添加した。 抗がん剤非添加・ベンゾチアゾール非添加群には、ベンゾチアゾールの溶媒であるDMSOを添加した。 抗がん剤を添加した群(抗がん剤添加・ベンゾチアゾール非添加群及び抗がん剤添加・ベンゾチアゾール添加群)には、ビンクリスチン(vincristine)を終濃度0.5、3nM、又はアクチノマイシンD(Actinomycin D)を終濃度5nMで添加した。 抗がん剤添加・ベンゾチアゾール添加群には、抗がん剤に加えて、終濃度20μMのベンゾチアゾール誘導体(製造例019、009)又は陰性対照化合物を添加した。 抗がん剤及び/又はベンゾチアゾール誘導体及び/又は陰性対照化合物及び/又はDMSO添加後、細胞を2日間培養した。 培養後、WST−8法により細胞生存率を測定し、抗がん剤非添加・ベンゾチアゾール非添加群を100%としたときの各群における細胞生存率を算出した。 その結果を図7b及びcに示す。 図7b及びcは、横紋筋肉腫細胞株RMS−YMに対するベンゾチアゾール誘導体と抗がん剤(ビンクリスチン:図7b、アクチノマイシンD:図7c)との併用の効果を調べた結果のグラフである。 図7bに示すとおり、ビンクリスチン3nMと各種ベンゾチアゾール誘導体の併用効果を検討すると、ビンクリスチン単独使用時(65.6%)に比べて細胞生存率が低下し、製造例019及び009ではそれぞれ35.1%、26.7%まで低下した。 また、図7cに示すとおり、同様の効果がアクチノマイシンDと各種ベンゾチアゾール誘導体の併用時においても認められた。 アクチノマイシンD 5nMで併用効果を検討すると、単独使用時(66.4%)に比べて細胞生存率が低下し、製造例019及び009ではそれぞれ33.3%、33.2%まで低下した。 したがって、ベンゾチアゾール誘導体による抗がん剤作用の増強効果が確認できた。 上記増殖抑制効果及び抗がん剤作用増強効果が、上記以外のDYRK1Bが高発現する癌細胞に対しても発現するかどうかを確認するため、その他のDYRK1B高発現癌細胞株(Panc−1)を用いて上述と同じように実験を行った。 DYRK1Bを発現するヒト膵管癌細胞株であるPanc−1(ATCC No.CRL−1469)をRPMI1640(10%FBS、ペニシリンストレプトマイシン添加)培地にて培養し、抗がん剤非添加群・ベンゾチアゾール非添加群には、ベンゾチアゾールの溶媒であるDMSOを添加した。 抗がん剤非添加・ベンゾチアゾール添加群には、終濃度20μMのベンゾチアゾール誘導体(製造例001、019、009)及び陰性対照化合物を添加した。 抗がん剤を添加した群には、ゲムシタビン(gemcitabine)をPanc−1細胞株に対して終濃度5nMで添加した。 抗がん剤添加群・ベンゾチアゾール添加群には、抗がん剤に加えて、終濃度20μMのベンゾチアゾール誘導体(製造例001、019、009)又は陰性対照化合物を添加した。 抗がん剤及び/又はベンゾチアゾール誘導体及び/又は陰性対照化合物及び/又はDMSO添加後、細胞を3日間培養した。 培養後、WST−8法により細胞生存率を測定し、抗がん剤非添加群・ベンゾチアゾール非添加群を100%としたときの各群における細胞生存率を算出した。 その結果を図8に示す。 図8に示すとおり、Panc−1細胞株のゲムシタビン5nM単独投与の場合、細胞生存率は58.4%であった。 一方、ベンゾチアゾール誘導体をゲムシタビンと併用すると、製造例001、019及び009の場合、それぞれ、41.4%、36.3%及び37.6%まで低下した。 これらの実験結果から、ベンゾチアゾール誘導体がDYRK1Bを発現する悪性細胞に対して選択的に他の抗がん剤の作用を増強し、増殖抑制効果を持つことが示唆された。 |