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Tellurium compounds containing high-sensitivity photo thermographic materials and methods of use thereof

申请号 JP2002566720 申请日 2001-12-14 公开(公告)号 JP2004519712A 公开(公告)日 2004-07-02
申请人 イーストマン コダック カンパニー; 发明人 シー. ウィレット,ブライアン; エル. オペイツ,アンドレア; ジェイムス ジスリング,ヘンリー; エム. ショー,スティーブン; エム. シンプソン,シャロン; シー. リンチ,ドリーン;
摘要 感光度の増加したフォトサーモグラフィ画像形成材料が、フォトサーモグラフィ乳剤の配合の間に添加されたある種のテルル化学増感剤によって与えられる。 これらの有用な化学増感剤は、下記の構造I又はII:
【化1】

[式中、X
1 及びX
2 は、独立に、ハロ、OCN、SCN、S(C=S)N(R
a )(R
b )、S(C=S)OR
a 、S(C=S)SR
a 、S(P=S)(OR
a )(OR
b )
2 、S(P=S)(R
a )(R
b )、SeCN、TeCN、CN、SR
a 、OR
a 、N
3 、アルキル、アリール又はO(C=O)R
a 基を表し、R
a 及びR
b は、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、複素環式若しくはアリール基であるか、又はR
a 及びR
b が一緒になって、5、6若しくは7員複素環式環を形成することができ、Lは、中性ルイス塩基から誘導される配位子であり、R'は、アルキル又はアリール基であり、mは0、1、2又は4であり、そしてnは2又は4であるが、但しmが0又は2であるとき、nは2又は4であり、mが1又は4であるとき、nは2であり、そして更に、分子内の複数のX
1 、X
2 、L、R
a 、R
b 又はR'基は、同じであるか又は異なっていてよい]
により表される。
权利要求
  • バインダー並びに、反応的会合状態で、a. 予備形成した感光性ハロゲン化銀、b. 還元性銀イオンの非感光性源、c. 該還元性銀イオン用の還元組成物及びd. 下記の構造I又はII:
    [式中、X 及びX は、独立に、ハロ、OCN、SCN、S(C=S)N(R )(R )、S(C=S)OR 、S(C=S)SR 、S(P=S)(OR )(OR )、S(P=S)(R )(R )、SeCN、TeCN、CN、SR 、OR 、N 、アルキル、アリール又はO(C=O)R 基を表し、R 及びR は、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、複素環式若しくはアリール基であるか、又はR 及びR が一緒になって、5、6若しくは7員複素環式環を形成することができ、Lは、中性ルイス塩基から誘導される配位子であり、R'は、アルキル又はアリール基であり、mは0、1、2又は4であり、そしてnは2又は4であるが、但しmが0又は2であるとき、nは2又は4であり、そしてmが1又は4であるとき、nは2であり、そして更に、分子内の複数のX 、X 、L、R 、R 又はR'基は、同じであるか又は異なっていてよい]
    により表されるテルル化学増感剤を含む1個又はそれ以上の層を、その上に有する支持体を含んでなるフォトサーモグラフィ材料。
  • 該テルル化学増感剤が、該材料中に、全銀1モル当たり少なくとも1×10 −7モルの量で存在し、該材料中に存在する全銀が少なくとも0.002モル/m である請求項1に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  • 該テルル化学増感剤が、該材料中に、全銀1モル当たり約1×10 −5 〜約0.01モルの量で存在する請求項2に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  • Lが、チオウレア、置換チオウレア、ピリジン又は置換ピリジンから誘導される請求項1に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  • 該化学増感剤が構造Iによって表され、そしてLが、下記の構造IV、V又はVI:
    [式中、構造IVに於いて、R 、R 、R 及びR は、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、アリル、アルケニル、アルキニル、アリール若しくは複素環式基であるか、又はR 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって若しくはR 及びR が一緒になって、5〜7員複素環式環を形成することができ、
    構造Vに於いて、R 、R 、R 、R 及びR は、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、アリル、アルケニル、アルキニル、アリール若しくは複素環式基であるか、又はR 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって若しくはR 及びR が一緒になって、置換若しくは非置換の5〜7員複素環式環を形成することができ、そして構造VIに於いて、R 、R 、R 、R 、R 及びR は、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、アリル、アルケニル、アルキニル、アリール若しくは複素環式基であるか、又はR 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって若しくはR 及びR が一緒になって、置換若しくは非置換の5〜7員複素環式環を形成することができ、そしてR は二価の脂肪族又は脂環式結合基である]
    により表される化合物から誘導される、同じか又は異なったチオウレア配位子である請求項1に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  • が、ハロ、SCN又はS(C=S)N(R )(R )基である請求項1に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  • がクロロ又はブロモである請求項6に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  • 該化学増感剤が構造Iによって表され、mが2であり、そしてnが4である請求項1に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  • 該テルル化学増感剤が、構造III:
    [式中、Xは、同じか又は異なった、COR 、CSR 、CN(R )(R )、CR 、P(R )(R )又はP(OR )(OR 基を表し、R 及びR は、置換又は非置換のアルキル基である]
    によって表される請求項1に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  • Xが、同じか又は異なったCN(R )(R )基である請求項9に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  • 該テルル化学増感剤が構造II(式中、X は、ハロ、SCN又はSeCN基である)によって表される請求項1に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  • R'が、炭素数1〜10の置換又は非置換のアルキル基である請求項11に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  • 該テルル化学増感剤が、下記の化合物:
    の群から選択される請求項1に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  • 該光触媒が、臭化銀、ヨウ臭化銀、又はハロゲン化銀の混合物である請求項1に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  • 該バインダーが疎水性バインダーである請求項1に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  • 該還元性銀イオンの非感光性源が、炭素数10〜30の脂肪酸の銀塩又は該銀塩の混合物である請求項1に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  • 共現像剤を更に含有する請求項1に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  • 該共現像剤が、トリチルヒドラジド、ホルミルフェニルヒドラジド、3−ヘテロ芳香族置換アクリロニトリル、2−置換マロンジアルデヒド、置換プロペニトリル、4−置換イソオキサゾール、2,5−ジオキソ−シクロペンタンカルボキシアルデヒド、5−(ヒドロキシメチレン)−1,3−ジアルキルバルビツール酸、2−(エトキシメチレン)−1H−インデン−1,3(2H)−ジオン及び2−置換マロンジアルデヒド化合物からなる群から選択される請求項17に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  • コントラスト増強剤を更に含有する請求項18に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  • 該コントラスト増強剤が、ヒドロキシルアミン、アルカノールアミン、アンモニウムフタラメート化合物、ヒドロキサム酸、N−アシルヒドラジン及び水素原子供与体化合物からなる群から選択される請求項19に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  • 全銀1モル当たり少なくとも0.0001モルの量で、ヘテロ芳香族メルカプト化合物を更に含有する請求項1に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  • 該ヘテロ芳香族メルカプト化合物が、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプト−5−メチルベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール又はこれらの化合物の2種若しくはそれ以上の混合物である請求項21に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  • 下記の構造IV、V又はVI:
    [式中、構造IVに於いて、R 、R 、R 及びR は、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、アリル、アルケニル、アルキニル、アリール若しくは複素環式基であるか、又はR 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって若しくはR 及びR が一緒になって、5〜7員複素環式環を形成することができ、
    構造Vに於いて、R 、R 、R 、R 及びR は、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、アリル、アルケニル、アルキニル、アリール若しくは複素環式基であるか、又はR 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって若しくはR 及びR が一緒になって、置換若しくは非置換の5〜7員複素環式環を形成することができ、そして構造VIに於いて、R 、R 、R 、R 、R 及びR は、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、アリル、アルケニル、アルキニル、アリール若しくは複素環式基であるか、又はR 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって若しくはR 及びR が一緒になって、置換若しくは非置換の5〜7員複素環式環を形成することができ、そしてR は二価の脂肪族又は脂環式結合基である]
    により表される第二化学増感剤を更に含有する請求項1に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  • 1個又はそれ以上のフォトサーモグラフィ乳剤層をその一方の側の上に有する透明支持体を含んでなるフォトサーモグラフィ材料であって、フォトサーモグラフィ乳剤層が、a. 還元性銀イオンの非感光性源1モル当たり約0.005〜約0.5モルの量で存在する、1種又はそれ以上の予備形成したハロゲン化銀、b. 1種又はそれ以上の、炭素数10〜30の脂肪酸のカルボン酸銀を含み、該1種又はそれ以上のカルボン酸銀が、該乳剤層の全乾燥重量の約10〜約50重量%の量で存在する、還元性銀イオンの非感光性源、c. 1種又はそれ以上のヒンダードフェノール還元剤、d. 1種又はそれ以上の疎水性バインダー、e. ヘテロ芳香族メルカプト化合物及びf. 1種又はそれ以上の、下記の構造I又はII:
    [式中、X 及びX は、独立に、同じか又は異なった、クロロ、ブロモ、SCN、S(C=S)OR 、S(C=S)SR 又はS(C=S)N(R )(R )基を表し、複数のR 、R 及びR'基は、同じか又は異なったアルキル基であり、複数のL基は、下記の構造IV、V又はVI:
    [式中、構造IVに於いて、R 、R 、R 及びR は、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、アリル、アルケニル、アルキニル、アリール若しくは複素環式基であるか、又はR 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって若しくはR 及びR が一緒になって、5〜7員複素環式環を形成することができ、
    構造Vに於いて、R 、R 、R 、R 及びR は、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、アリル、アルケニル、アルキニル、アリール若しくは複素環式基であるか、又はR 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって若しくはR 及びR が一緒になって、置換若しくは非置換の5〜7員複素環式環を形成することができ、そして構造VIに於いて、R 、R 、R 、R 、R 及びR は、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、アリル、アルケニル、アルキニル、アリール若しくは複素環式基であるか、又はR 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって若しくはR 及びR が一緒になって、置換若しくは非置換の5〜7員複素環式環を形成することができ、そしてR は二価の脂肪族又は脂環式結合基である]
    で表されるチオウレアから誘導される、同じか又は異なった配位子であり、mは2であり、nは4である]
    により表されるテルル化学増感剤を含んでなり、構造I又はIIにより表される該テルル化学増感剤が、該材料中に、全銀1モル当たり約1×10 −5 〜約0.01モルの量で存在するフォトサーモグラフィ材料。
  • 下記の構造:
    によって表される核を有するジヒドロペリミジンスクアライン色素を更に含む請求項24に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  • 該ジヒドロペリミジンスクアライン色素が、ハレーション防止又はアキュータンス色素として存在する、シクロブテンジイリウム,1,3−ビス[2,3−ジヒドロ−2,2−ビス[[1−オキソヘキシル)オキシ]メチル]−1H−ペリミジン−4−イル]−2,4−ジヒドロキシ−,ビス(内部塩)である請求項24に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  • 下記の構造:
    によって表される核を有するインドレニンシアニンハレーション防止色素を含んでなる裏側ハレーション防止層を更に含む請求項24に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  • A)請求項1に記載のフォトサーモグラフィ材料を電磁放射線に画像様露光して潜像を形成すること及びB)同時に又は逐次的に、該露光されたフォトサーモグラフィ材料を加熱して、該潜像を可視画像に現像することを含んでなる可視画像の形成方法。
  • 該フォトサーモグラフィ材料を、可視、近赤外又は赤外放射線に画像様露光する請求項28に記載の方法。
  • 該フォトサーモグラフィ材料支持体が透明であり、該方法が、C)その中に可視画像を有する、該露光され、熱現像されたフォトサーモグラフィ材料を、画像形成放射線源と該画像形成放射線に対して感光性である画像形成性材料との間に配置すること及びD)その後、該画像形成性材料を、該露光され、熱現像されたフォトサーモグラフィ材料中の該可視画像を通して該画像形成放射線に露光して、該画像形成性材料の中に可視画像を得ることを更に含んでなる請求項28に記載の方法。
  • 該画像形成性材料が、光重合体、ジアゾ材料、フォトレジスト又は感光性印刷板である請求項30に記載の方法。
  • 順に、下記の工程、即ち、A)ハロゲン化銀粒子及び還元性銀イオンの非感光性源を含むフォトサーモグラフィ乳剤を得る工程並びにB)1種又はそれ以上の、下記の構造I又はII:
    [式中、X 及びX は、独立に、ハロ、OCN、SCN、S(C=S)N(R )(R )、S(C=S)OR 、S(C=S)SR 、S(P=S)(OR )(OR )、S(P=S)(R )(R )、SeCN、TeCN、CN、SR 、OR 、N 、アルキル、アリール又はO(C=O)R 基を表し、R 及びR は、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、複素環式若しくはアリール基であるか、又はR 及びR は一緒になって、5、6若しくは7員複素環式環を形成することができ、Lは、中性ルイス塩基から誘導される配位子であり、R'は、アルキル又はアリール基であり、mは0、1、2又は4であり、そしてnは2又は4である。 但し、mが0又は2であるとき、nは2又は4であり、mが1又は4であるとき、nは2であり、そして更に、分子内の複数のX 、X 、L、R 、R 又はR'基は、同じであるか又は異なっていてよい]
    により表されるテルル化学増感剤を、該ハロゲン化銀粒子の上又は周りに配置する工程を含んでなるフォトサーモグラフィ乳剤の製造方法。
  • A)ハロゲン化銀粒子を得る工程、B)該ハロゲン化銀粒子及び還元性銀イオンの非感光性源のフォトサーモグラフィ乳剤を得る工程並びにC)工程Aの間又は工程Aの後の何れかの時点で、該ハロゲン化銀粒子を、下記の構造I又はII:
    [式中、X 及びX は、独立に、ハロ、OCN、SCN、S(C=S)N(R )(R )、S(C=S)OR 、S(C=S)SR 、S(P=S)(OR )(OR )、S(P=S)(R )(R )、SeCN、TeCN、CN、SR 、OR 、N 、アルキル、アリール又はO(C=O)R 基を表し、R 及びR は、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、複素環式若しくはアリール基であるか、又はR 及びR は一緒になって、5、6若しくは7員複素環式環を形成することができ、Lは、中性ルイス塩基から誘導される配位子であり、R'は、アルキル又はアリール基であり、mは0、1、2又は4であり、そしてnは2又は4である。 但し、mが0又は2であるとき、nは2又は4であり、mが1又は4であるとき、nは2であり、そして更に、分子内の複数のX 、X 、L、R 、R 又はR'基は、同じであるか又は異なっていてよい]
    により表されるテルル化学増感剤で化学的に増感する工程を含んでなるフォトサーモグラフィ乳剤の製造方法。
  • 工程Cを工程Bに続ける請求項33に記載の方法。
  • 工程Cを、工程Aと工程Bとの間で実施する請求項33に記載の方法。
  • 該ハロゲン化銀粒子を、有機硫黄含有化合物で更に化学増感し、工程Cに、酸化環境中で該ハロゲン化銀粒子の上又は周りの該硫黄含有化合物を分解させることも含まれる請求項33に記載の方法。
  • 該有機硫黄含有化合物が分光増感色素である請求項33に記載の方法。
  • 第二分光増感色素を該フォトサーモグラフィ乳剤に添加して、該感光性ハロゲン化銀粒子を分光増感することを更に含んでなる請求項37に記載の方法。
  • 該ハロゲン化銀粒子を、下記の構造IV、V又はVI:
    [式中、構造IVに於いて、R 、R 、R 及びR は、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、アリル、アルケニル、アルキニル、アリール若しくは複素環式基であるか、又はR 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって若しくはR 及びR が一緒になって、5〜7員複素環式環を形成することができ、
    構造Vに於いて、R 、R 、R 、R 及びR は、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、アリル、アルケニル、アルキニル、アリール若しくは複素環式基であるか、又はR 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって若しくはR 及びR が一緒になって、置換若しくは非置換の5〜7員複素環式環を形成することができ、そして構造VIに於いて、R 、R 、R 、R 、R 及びR は、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、アリル、アルケニル、アルキニル、アリール若しくは複素環式基であるか、又はR 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって若しくはR 及びR が一緒になって、置換若しくは非置換の5〜7員複素環式環を形成することができ、そしてR は二価の脂肪族又は脂環式結合基である]
    により表される第二化学増感剤を使用して化学増感する請求項33に記載の方法。
  • バインダー並びに、反応的会合状態で、a. 光触媒、b. 還元性銀イオンの非感光性源、c. 該還元性銀イオン用の還元組成物及びd. 下記の構造I又はII:
    [式中、X 及びX は、独立に、ハロ、OCN、SCN、S(C=S)N(R )(R )、S(C=S)OR 、S(C=S)SR 、S(P=S)(OR )(OR )、S(P=S)(R )(R )、SeCN、TeCN、CN、SR 、OR 、N 、アルキル、アリール又はO(C=O)R 基を表し、R 及びR は、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、複素環式若しくはアリール基であるか、又はR 及びR は一緒になって、5、6若しくは7員複素環式環を形成することができ、Lは、中性ルイス塩基から誘導される配位子であり、R'は、アルキル又はアリール基であり、mは0、1、2又は4であり、そしてnは2又は4であるが、但しmが0又は2であるとき、nは2又は4であり、mが1又は4であるとき、nは2であり、そして更に、分子内の複数のX 、X 、L、R 、R 又はR'基は、同じであるか又は異なっていてよいが、mが0であり、nが2であるとき、X は、2個の同一のS(C=S)N(R )(R )基ではあり得ない]
    により表されるテルル化学増感剤を含んでなる1個又はそれ以上の層を、その上に有する支持体からなるフォトサーモグラフィ材料。
  • バインダー並びに、反応的会合状態で、a. 光触媒、b. 還元性銀イオンの非感光性源、c. 該還元性銀イオン用の還元組成物、d. 下記の構造I又はII:
    [式中、X 及びX は、独立に、ハロ、OCN、SCN、S(C=S)N(R )(R )、S(C=S)OR 、S(C=S)SR 、S(P=S)(OR )(OR 、S(P=S)(R )(R )、SeCN、TeCN、CN、SR 、OR 、N 、アルキル、アリール又はO(C=O)R 基を表し、R 及びR は、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、複素環式若しくはアリール基であるか、又はR 及びR は一緒になって、5、6若しくは7員複素環式環を形成することができ、Lは、中性ルイス塩基から誘導される配位子であり、R'は、アルキル又はアリール基であり、mは0、1、2又は4であり、そしてnは2又は4であるが、但しmが0又は2であるとき、nは2又は4であり、mが1又は4であるとき、nは2であり、そして更に、分子内の複数のX 、X 、L、R 、R 又はR'基は、同じであるか又は異なっていてよい]
    により表されるテルル化学増感剤及びe. 分光増感色素の酸化的分解によって達成される追加の化学増感を含む1個又はそれ以上の層を、その上に有する支持体を含んでなるフォトサーモグラフィ材料。
  • バインダー並びに、反応的会合状態で、a. 光触媒、b. 還元性銀イオンの非感光性源、c. 該還元性銀イオン用の還元組成物、d. 下記の構造I又はII:
    [式中、X 及びX は、独立に、ハロ、OCN、SCN、S(C=S)N(R )(R )、S(C=S)OR 、S(C=S)SR 、S(P=S)(OR )(OR )、S(P=S)(R )(R )、SeCN、TeCN、CN、SR 、OR 、N 、アルキル、アリール又はO(C=O)R 基を表し、R 及びR は、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、複素環式若しくはアリール基であるか、又はR 及びR は一緒になって、5、6若しくは7員複素環式環を形成することができ、Lは、中性ルイス塩基から誘導される配位子であり、R'は、アルキル又はアリール基であり、mは0、1、2又は4であり、そしてnは2又は4であるが、但しmが0又は2であるとき、nは2又は4であり、mが1又は4であるとき、nは2であり、そして更に、分子内の複数のX 、X 、L、R 、R 又はR'基は、同じであるか又は異なっていてよい]
    により表されるテルル化学増感剤及びe. 全銀1モル当たり少なくとも0.0001モルの量の、ヘテロ芳香族メルカプト化合物又はヘテロ芳香族ジスルフィド化合物を含む1個又はそれ以上の層を、その上に有する支持体を含んでなるフォトサーモグラフィ材料。
  • バインダー並びに、反応的会合状態で、a. 光触媒、b. 還元性銀イオンの非感光性源、c. 該還元性銀イオン用の還元組成物、d. 下記の構造I又はII:
    [式中、X 及びX は、独立に、ハロ、OCN、SCN、S(C=S)N(R )(R )、S(C=S)OR 、S(C=S)SR 、S(P=S)(OR )(OR )、S(P=S)(R )(R )、SeCN、TeCN、CN、SR 、OR 、N 、アルキル、アリール又はO(C=O)R 基を表し、R 及びR は、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、複素環式若しくはアリール基であるか、又はR 及びR は一緒になって、5、6若しくは7員複素環式環を形成することができ、Lは、中性ルイス塩基から誘導される配位子であり、R'は、アルキル又はアリール基であり、mは0、1、2又は4であり、そしてnは2又は4である。 但し、mが0又は2であるとき、nは2又は4であり、mが1又は4であるとき、nは2であり、そして更に、分子内の複数のX 、X 、L、R 、R 又はR'基は、同じであるか又は異なっていてよい]
    により表されるテルル化学増感剤及びe. フタラジン又はフタラジン誘導体からなる1個又はそれ以上の層を、その上に有する支持体からなるフォトサーモグラフィ材料。
  • バインダー並びに、反応的会合状態で、a. 光触媒、b. 還元性銀イオンの非感光性源、c. 該還元性銀イオン用の還元組成物及びd. 下記の構造I又はII:
    [式中、X 及びX は、独立に、ハロ、OCN、SCN、S(C=S)N(R )(R )、S(C=S)OR 、S(C=S)SR 、S(P=S)(OR )(OR 、S(P=S)(R )(R )、SeCN、TeCN、CN、SR 、OR 、N 、アルキル、アリール又はO(C=O)R 基を表し、R 及びR は、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、複素環式若しくはアリール基であるか、又はR 及びR は一緒になって、5、6若しくは7員複素環式環を形成することができ、Lは、中性ルイス塩基から誘導される配位子であり、R'は、アルキル又はアリール基であり、mは0、1、2又は4であり、そしてnは2又は4であるが、但しmが0又は2であるとき、nは2又は4であり、mが1又は4であるとき、nは2であり、そして更に、分子内の複数のX 、X 、L、R 、R 又はR'基は、同じであるか又は異なっていてよい]
    により表されるテルル化学増感剤を含む1個又はそれ以上の層を、その一方の側に有し、透明支持体の反対側の上に、1種又はそれ以上のハレーション防止色素を含むハレーション防止層を有する透明支持体を含んでなるフォトサーモグラフィ材料。
  • 該ハレーション防止層が熱漂白性ハレーション防止組成物を含んでなる請求項44記載のフォトサーモグラフィ材料。
  • A)請求項44に記載のフォトサーモグラフィ材料を電磁放射線に画像様露光して、潜像を形成すること及びB)同時に又は逐次的に、該露光されたフォトサーモグラフィ材料を加熱して、該潜像を可視画像に現像することを含んでなる可視画像の形成方法。
  • バインダー並びに、反応的会合状態で、a. 光触媒、b. 還元性銀イオンの非感光性源、c. 該還元性銀イオン用の還元組成物、d. 下記の構造I又はII:
    [式中、X 及びX は、独立に、ハロ、OCN、SCN、S(C=S)N(R )(R )、S(C=S)OR 、S(C=S)SR 、S(P=S)(OR )(OR 、S(P=S)(R )(R )、SeCN、TeCN、CN、SR 、OR 、N 、アルキル、アリール又はO(C=O)R 基を表し、R 及びR は、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、複素環式若しくはアリール基であるか、又はR 及びR は一緒になって、5、6若しくは7員複素環式環を形成することができ、Lは、中性ルイス塩基から誘導される配位子であり、R'は、アルキル又はアリール基であり、mは0、1、2又は4であり、そしてnは2又は4である。 但し、mが0又は2であるとき、nは2又は4であり、mが1又は4であるとき、nは2であり、そして更に、分子内の複数のX 、X 、L、R 、R 又はR'基は、同じであるか又は異なっていてよい]
    により表されるテルル化学増感剤及びe. 共現像剤を含む1個又はそれ以上の層を、その上に有する支持体を含んでなるフォトサーモグラフィ材料。
  • 該共現像剤が、トリチルヒドラジド、ホルミルフェニルヒドラジド、3−ヘテロ芳香族置換アクリロニトリル、2−置換マロンジアルデヒド、置換プロペニトリル、4−置換イソオキサゾール、2,5−ジオキソ−シクロペンタンカルボキシアルデヒド、5−(ヒドロキシメチレン)−1,3−ジアルキルバルビツール酸、2−(エトキシメチレン)−1H−インデン−1,3(2H)−ジオン及び2−置換マロンジアルデヒド化合物からなる群から選択される請求項47に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  • コントラスト増強剤を更に含有する請求項48に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  • 該コントラスト増強剤が、ヒドロキシルアミン、アルカノールアミン、アンモニウムフタラメート化合物、ヒドロキサム酸、N−アシルヒドラジン及び水素原子供与体化合物からなる群から選択される請求項49に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  • バインダー並びに、反応的会合状態で、a. 光触媒、b. 還元性銀イオンの非感光性源、c. 該還元性銀イオン用の還元組成物、d. 下記の構造I又はII:
    [式中、X 及びX は、独立に、ハロ、OCN、SCN、S(C=S)N(R )(R )、S(C=S)OR 、S(C=S)SR 、S(P=S)(OR )(OR 、S(P=S)(R )(R )、SeCN、TeCN、CN、SR 、OR 、N 、アルキル、アリール又はO(C=O)R 基を表し、R 及びR は、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、複素環式若しくはアリール基であるか、又はR 及びR は一緒になって、5、6若しくは7員複素環式環を形成することができ、Lは、中性ルイス塩基から誘導される配位子であり、R'は、アルキル又はアリール基であり、mは0、1、2又は4であり、そしてnは2又は4であるが、但しmが0又は2であるとき、nは2又は4であり、mが1又は4であるとき、nは2であり、そして更に、分子内の複数のX 、X 、L、R 、R 又はR'基は、同じであるか又は異なっていてよい]
    により表されるテルル化学増感剤及びe. 下記の構造IV、V又はVI:
    [式中、構造IVに於いて、R 、R 、R 及びR は、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、アリル、アルケニル、アルキニル、アリール若しくは複素環式基であるか、又はR 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって若しくはR 及びR が一緒になって、5〜7員複素環式環を形成することができ、
    構造Vに於いて、R 、R 、R 、R 及びR は、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、アリル、アルケニル、アルキニル、アリール若しくは複素環式基であるか、又はR 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって若しくはR 及びR が一緒になって、置換若しくは非置換の5〜7員複素環式環を形成することができ、そして構造VIに於いて、R 、R 、R 、R 、R 及びR は、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、アリル、アルケニル、アルキニル、アリール若しくは複素環式基であるか、又はR 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって、R 及びR が一緒になって若しくはR 及びR が一緒になって、置換された若しくは置換されていない5〜7員複素環式環を形成することができ、そしてR は二価の脂肪族又は脂環式結合基である]
    により表される第二化学増感剤の添加により達成される追加の化学増感を含んでなる1個又はそれ以上の層を、その上に有する支持体を含んでなるフォトサーモグラフィ材料。
  • 说明书全文

    【0001】
    発明の分野
    本発明は、高感度(speed)画像形成特性を示す、フォトサーモグラフィ材料のような熱的に現像可能な画像形成材料に関する。 特に、本発明は、フォトサーモグラフィ感度を増加させるために、フォトサーモグラフィ材料に於いて化学増感剤としてある種のテルル化合物を使用することに関する。 本発明は、また、これらのフォトサーモグラフィ材料を使用する画像形成方法に関する。
    【0002】
    発明の背景
    液体現像ではなく熱で現像される銀含有フォトサーモグラフィ画像形成材料は、長年に亘って当該技術分野で知られている。 このような材料は、画像が、特別の電磁放射線(例えば、可視光線、紫外線又は赤外線)へのフォトサーモグラフィ材料の画像様露出によって形成され、そして熱エネルギーの使用によって現像される記録方法で使用されている。 これらの材料は、「ドライシルバー」材料としても知られており、一般的に、(a)そのような露出の際に、露光された粒子中に潜像を与え、次の現像工程に於ける銀画像の形成のための触媒として作用することができる感光性触媒(例えば、ハロゲン化銀)、(b)還元性銀イオンの非感光性源、(c)還元性銀イオンのための還元組成物(通常、現像剤を含有する)及び(d)親性又は疎水性バインダーを、その上に被覆された、支持体からなる。 次いで、潜像は、熱エネルギーを適用することによって現像される。
    【0003】
    このような材料に於いて、感光性触媒は、一般的に、還元性銀イオンの非感光性源に触媒的近接状態(catalytic proximity)であると考えられる写真型感光性ハロゲン化銀である。 触媒的近接は、銀核、クラスター、核又は潜像としても知られている銀原子、(Ag が、感光性ハロゲン化銀の照射又は露光によって生じるとき、これらの銀原子が、銀原子の周りの触媒的影響範囲内で還元性銀イオンの還元に触媒作用することができるように、熱画像現像工程の前又は間にこれらの二つの成分の緊密な物理的会合を必要とする[Klosterboer、画像形成方法及び材料(Imaging Processes and Materials)(Nebletteの第8版)、J. Sturge、V. Walworth及びA. Shepp(編)、Van Nostrand−Reinhold、ニューヨーク、1989年、第9章、第279−291頁]。 銀原子は、銀イオンの還元のための触媒として作用すること及び感光性ハロゲン化銀を、多数の異なった様式で、還元性銀イオンの非感光性源と触媒的近接状態に置くことができることが、長い間理解されてきた(例えば、リサーチディスクロージャー(Research Disclosure)、1978年6月、アイテム17029参照)。 二酸化チタン、硫化カドミウム及び酸化亜鉛のような他の感光性材料も、フォトサーモグラフィ材料に於ける光触媒としてハロゲン化銀の代わりに有用であると報告されている[例えば、Shepard、J. Appl. Photg. Eng. 、1982年、第8(5)巻、第210−212頁、Shigeo等、日本化学会誌、1994年、第11巻、第992−997頁及びFR第2,254,047号(Robillard)参照]。
    【0004】
    感光性ハロゲン化銀は、例えば、有機又は無機ハロゲン化物含有源を、還元性銀イオンの源と混合して部分メタセシスを達成し、そうして銀源全体にハロゲン化銀(AgX)粒子のインシトゥ(in−situ)生成を起こさせることにより、「インシトゥ」で作ることができる[例えば、米国特許第3,457,075号(Morgan等)参照]。 更に、感光性ハロゲン化銀及び還元性銀イオンの源は、共沈殿させることができる[Usanov等、J. Imaging Sci. Tech. 、1996年、第40巻、第104頁参照]。 また、還元性銀イオンの一部を完全にハロゲン化銀に転化させ、この部分を還元性銀イオンの源に戻し添加することができる(Usanov等、画像形成科学に於ける国際会議(International Conference on Imaging Science)、1998年9月7−11日、参照)。
    【0005】
    ハロゲン化銀は、また、それによりハロゲン化銀(AgX)粒子が分離して製造され、成長する「エクスシトゥ(ex situ)」方法によって「予備形成」又は製造することができる。 この技術により、ハロゲン化銀粒子及びフォトサーモグラフィ材料の両方に更に特別の特性を与えることができるように、粒子サイズ、粒子サイズ分布、ドーパントレベル及び組成をより一層正確に制御する可能性がもたらされる。 前生成したハロゲン化銀粒子は、還元性銀イオンの源の生成の前に導入するか又はその間に存在させることができる。 ハロゲン化銀と還元性銀イオンの源との共沈殿は、二つの材料のより緊密な混合物を与える[例えば、米国特許第3,839,049号(Simons)参照]。 また、予備形成したハロゲン化銀粒子は、還元性銀イオンの源に添加するか又はこれと物理的に混合することができる。
    【0006】
    還元性銀イオンの非感光性源は、還元性銀イオンを含有する材料である。 典型的に、還元性銀イオンの好ましい非感光性源は、炭素数10〜30の長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩又はこのような塩の混合物である。 このような酸は、「脂肪酸」又は「脂肪カルボン酸」としても知られている。 銀イミダゾール、銀テトラゾール、銀ベンゾトリアゾール、銀ベンゾテトラゾール、銀ベンゾチアゾール及び銀アセチリドのような他の有機酸又は他の有機化合物の銀塩も提案されている。 米国特許第4,260,677号(Winslow等)には、種々の無機又は有機銀塩の錯体の使用が開示されている。
    【0007】
    フォトサーモグラフィ材料に於いて、光への写真ハロゲン化銀の露光によって、銀原子、(Ag を含有する小さいクラスターが作られる。 当該技術分野に於いて潜像として知られている、これらのクラスターの画像様分布は、一般的に、通常の手段によって目に見えない。 それで、目に見える画像を作るために、感光性材料を更に現像しなくてはならない。 これは、潜像の銀含有クラスターを有するハロゲン化銀粒子に対して触媒的近接状態にある銀イオンの還元によって達成される。 これによって黒白画像が作られる。 非感光性銀源は、触媒的に還元されて、目に見える黒白ネガ画像を形成し、一方、ハロゲン化銀の多くは、一般的に、ハロゲン化銀として残留し、還元されない。
    【0008】
    フォトサーモグラフィ材料に於いて、しばしば「現像剤」と呼ばれている、還元性銀イオンのための還元剤は、潜像の存在下で、銀イオンを金属銀にまで還元することができ、好ましくは、それが反応を起こすために十分な温度に加熱されるまで、比較的低い活性のものである任意の化合物であってよい。 フォトサーモグラフィ材料のための現像剤として機能する、広範囲の種々の種類の化合物が文献に開示されている。 上昇した温度で、還元性銀イオンは、還元剤によって還元される。 フォトサーモグラフィ材料に於いて、加熱した際に、この反応は、潜像を取り囲む領域内で優先的に起こる。 この反応によって、画像形成層(群)内の調色剤及びその他の成分の存在に依存して、黄色から深黒色までの範囲の色を有する金属銀のネガ画像が作られる。
    【0009】
    フォトサーモグラフィと写真(フォトグラフィー)との間の差異
    画像形成技術は、フォトサーモグラフィの分野は写真の分野から明らかに区別されることを長い間認めてきた。 フォトサーモグラフィ材料は、水性処理溶液による処理を必要とする従来のハロゲン化銀写真材料からは顕著に異なっている。
    【0010】
    前記のように、フォトサーモグラフィ画像形成材料に於いて、可視画像は、材料の中に含有されている現像剤の反応の結果として、熱によって作られる。 50℃又はそれ以上に加熱することが、この乾式現像のために必須である。 反対に、従来の写真画像形成材料は、可視画像を与えるために、一層穏和な温度(30℃〜50℃)で水性処理浴中で処理することを必要とする。
    【0011】
    フォトサーモグラフィ材料に於いて、少量のみのハロゲン化銀が光を捕獲するために使用され、還元性銀イオンの非感光性源(例えば、カルボン酸銀)は、熱現像を使用する可視画像を発生させるために使用される。 即ち、画像形成された感光性ハロゲン化銀は、還元性銀イオンの非感光性源及び含有された還元剤を含む物理的現像工程のための触媒として機能する。 反対に、従来の湿式処理された黒白写真材料は、化学的現像の際に、それ自体銀画像に転換されるか又は物理的現像の際に、外部銀源(又は、対応する金属への還元の際に黒画像を形成する他の還元性金属イオン)の添加を必要とする、銀の唯一の形(即ち、ハロゲン化銀)である。 それで、フォトサーモグラフィ材料は、従来の湿式処理写真材料に於いて使用されるものの一部のみである、単位面積当たりの或る量のハロゲン化銀を必要とする。
    【0012】
    フォトサーモグラフィ材料に於いて、画像形成のための「化学」の全ては、材料自体の中に含有されている。 例えば、このような材料には、従来の写真材料には通常含有されていないが、現像剤(即ち、還元性金属イオンのための還元剤)が含有されている。 所謂「インスタント写真」に於いてさえも、現像剤化学は、現像を望むまで、感光性ハロゲン化銀から物理的に分離されている。 フォトサーモグラフィ材料の中に現像剤を含有させることは、種々の種類の「カブリ」又は他の望ましくないセンシトメトリー副作用の増加した形成に至り得る。 それで、フォトサーモグラフィ乳剤の製造の間並びに塗布、使用、貯蔵及び後処理取り扱いの間のこれらの問題を最小にするための多くの努が、フォトサーモグラフィ材料の調製及び製造に払われてきた。
    【0013】
    更に、フォトサーモグラフィ材料に於いて、未露光のハロゲン化銀が、一般的に現像後に元のままで残留しており、この材料を、更なる画像形成及び現像に対して安定化しなくてはならない。 反対に、ハロゲン化銀は、溶液現像後に従来の写真材料から除去されて、更なる画像形成を防止する(即ち、水性定着工程で)。
    フォトサーモグラフィ材料に於いて、バインダーは広範囲の変化が可能であり、多数のバインダー(親水性及び疎水性の両方)が有用である。 反対に、従来の写真材料は、殆ど独占的にゼラチンのような親水性コロイド状バインダーに限定される。
    【0014】
    フォトサーモグラフィ材料は乾式熱処理を必要とするので、これらは、従来の湿式処理したハロゲン化銀写真材料に比較して、明らかに異なった問題点を示し、製造及び使用に於いて異なった材料を必要とする。 従来のハロゲン化銀写真材料に於いて一つの効果を有する添加物は、基本的な化学が著しく一層複雑であるフォトサーモグラフィ材料中に含有されるとき、全く異なった挙動をするであろう。 例えば、従来の写真材料に於ける安定剤、カブリ防止剤、感度増強剤、強色増感剤並びに分光及び化学増感剤のような添加物を含有させることは、このような添加物が、フォトサーモグラフィ材料に於いて有利になるか又は有害になるかを予想するために役立たない。 例えば、従来の写真材料に於いて有用である写真カブリ防止剤が、フォトサーモグラフィ材料の中に含有させたとき種々の形のカブリを起こすこと又は写真材料で有効である強色増感剤がフォトサーモグラフィ材料に於いて作用しないことは、珍しいことではない。
    【0015】
    これらの及びその他のフォトサーモグラフィ材料と写真材料との間の相違は、前記の画像形成方法及び材料(Nebletteの第8版)、独創的画像形成方法(Unconventional Imaging Processes)、E. Brinckman等(編)、The Focal Press、ロンドン及びニューヨーク、1978年、第74−75頁、Zou等、J. Imaging Sci. Technol. 、1996年、第40巻、第94−103頁及びM. R. V. Sahyun、J. Imaging Sci. Technol. 、1998年、第42巻、第23頁に記載されている。
    【0016】
    解決すべき問題点
    フォトサーモグラフィ材料の使用に於ける挑戦の一つは、利用可能な画像形成源とも適合性であるような材料に於いて十分なフォトサーモグラフィ感度を達成することである。
    【0017】
    純粋の写真ハロゲン化銀のそれぞれ(塩化銀、臭化銀及びヨウ化銀)は、電磁スペクトルのUV、近UV及び青領域内で、波長及び感度の両方で、放射線に対するそれ特有の本来の応答を有する。 ハロゲン化銀の混合物(例えば、臭塩ヨウ化銀、塩ヨウ化銀、塩臭化銀及びヨウ臭化銀)も、電磁スペクトルのUV及び青領域内で、それら特有の本来の感度を有する。 それで、ハロゲン化銀粒子は、銀及びハロゲン原子のみからなるとき、特別のハロゲン、結晶形態(結晶又は粒子の形状及び構造)並びに例えば、結晶欠陥、応力及び転位のような他の特性並びにハロゲン化銀の結晶格子の中又は上に含有されるドーパントに依存する、規定されたレベルの感度を有する。 これらの特徴は、乳剤センシトメトリーに影響を与えるために、制御するか又は意図的に導入してもよく又はしなくてもよい。
    【0018】
    従来の湿式処理したハロゲン化銀乳剤に於けるハロゲン化銀粒子に影響を与えるための努力は、一般的に、結晶組成、形態(モルホロジー)又は構造(全て、前に簡単に説明した)の研究又はドーパント、分光増感剤、強色増感剤、還元増感剤及び化学増感剤(特に硫黄増感剤)の使用の範囲内に入る。
    【0019】
    分光増感は、ハロゲン化銀粒子への、そのハロゲン化銀が本来感光性であるもの以外の波長の放射線(UV、可視又はIR)を吸収するか又は(ハロゲン化銀の本来の感度の領域内であっても)ハロゲン化銀よりも一層効率的に放射線を吸収する化合物(通常、色素)の添加である。 一般的に、分光増感剤は、感光性ハロゲン化銀の応答をより長い波長にまで広げることが認められている。 放射線の吸収後に、これらの化合物は、エネルギー又は電子をハロゲン化銀粒子に移して、銀(I)の銀(0)への必要な局部光誘導還元を引き起こす。
    【0020】
    強色増感は、それにより、分光増感されたハロゲン化銀の感度が、色素であっても無くてもよい更に他の化合物の添加によって増加される処理である。 これは、単に、2種の化合物(分光増感剤及び強色増感剤)の付加効果ではない。
    【0021】
    還元増感は、化学増感(次のパラグラフで更に詳細に説明する)の一種であり、この場合、粒子成長及び仕上げの間に、他の化学化合物種(硫黄を含有しない)が、ハロゲン化銀粒子の上に析出するか又はハロゲン化銀粒子と反応する。 この目的のために使用される化合物は、ハロゲン化銀粒子への還元剤として作用し、これには、これらに限定されないが、塩化第一スズ、ヒドラジン、エタノールアミン及びチオウレアオキシドが含まれる。
    【0022】
    化学増感(一般的には硫黄増感)は、ハロゲン化銀結晶生成の間又は後に、増感中心[例えば、(Ag S) のような硫化銀クラスター]が、個々のハロゲン化銀粒子の上に導入される処理である。 例えば、硫化銀核は、ハロゲン化銀粒子成長の種々の段階の間又はこれの完結後に、硫黄寄与化合物とハロゲン化銀との直接反応によって導入することができる。 これらの核は、通常、潜像中心の優先的生成のための浅い電子トラップとして機能する。 他のカルコゲン(Se及びTe)が、同様に機能し得る。 これらの核の存在によって、得られるハロゲン化銀粒子の放射線に対する感度又は感光度が増加する。 この目的のために有用である硫黄寄与化合物には、例えば、Sheppard等、J. Franklin Inst. 、1923年、第196巻、第653及び673頁、C. E. K. Mees及びT. H. James著、写真処理の理論(The Theory of the Photographic Process)、第4版、1977年、第152−3頁並びにT. Tani著、写真感度:理論及び機構(Photographic Sensitivity: Theory and Mechanisms)、Oxford University Press、ニューヨーク、1995年、第167−176頁に記載されているような、チオ硫酸塩(例えば、チオ硫酸ナトリウム)及び種々のチオウレア(例えば、アリルチオウレア、チオウレア、トリエチルチオウレア及び1,1'−ジフェニル−2−チオウレア)が含まれる。
    【0023】
    化学増感剤の他の有用な種類には、同時係属中で本願と共通に譲渡された米国特許出願第09/667,748号(Lynch、Simpson、Shor、Willett及びZouによって、2000年9月21日に出願された)に記載されているような四置換チオウレアが含まれる。 これらの化合物は、窒素原子が種々の置換基によって完全に置換されているチオウレアである。
    【0024】
    化学増感の他の方法は、米国特許第5,891,615号(Winslow等)に記載されているようなフォトサーモグラフィ乳剤中の硫黄含有分光増感色素の酸化的分解により達成される。
    【0025】
    感光度を増加させるための化学増感は、ハロゲン化銀粒子を、テトラクロロ金(III)酸塩又はジチオシアナト金(I)酸塩のような金含有イオンで処理することによって達成される。 好ましくは、金化合物は、熟成の間のようなハロゲン化銀粒子生成の後の段階で添加する。 白金及びパラジウム化合物も、同様の効果を有することが知られている。 比較に於いて、イリジウム、ロジウム及びルテニウム化合物は、一般的に、感度を増加させるためにではなくて、コントラスト及び/又は高強度相反則効果を制御するために使用される。
    【0026】
    上記の種々の感度増強手段は、状況が必要とするとき組み合わせて使用することができることはよく知られている。
    【0027】
    上記のように、フォトサーモグラフィ乳剤に於いて、感光性ハロゲン化銀は、還元性銀イオンの非感光性源と触媒的近接状態でなくてはならない。 フォトサーモグラフィ乳剤の異なった乳剤製造方法及び化学的環境のために、従来の写真乳剤に於いて(化学増感剤のような)化合物によって達成される効果は、フォトサーモグラフィ乳剤に於いて必ずしも可能ではない。
    【0028】
    例えば、フォトサーモグラフィ乳剤に於いて、感度を増加させるために、2種の化学増感、即ち、(a)次いで幾つかの方法で還元性銀イオンを含有する溶液の中に混合される予備形成したハロゲン化銀粒子の化学増感及び(b)既に還元性銀イオンと緊密な接触状態にある予備形成したハロゲン化銀粒子の化学増感が使用された。
    【0029】
    第一のアプローチ(a)に於いて、(写真乳剤のために使用された)多くの伝統的な方法を使用することができるが、第二のアプローチ(b)のために、全く特別の方法及び独特の化合物がしばしば必要である。 使用するアプローチに無関係に、低いカブリ(D min )を維持しながら、追加の感度を達成する際に著しい困難が存在する。
    【0030】
    フォトサーモグラフィ材料のテルル化学増感が報告されている。 例えば、米国特許第6,025,122号(Sakai等)には、化学増感剤としてジテルル化ジベンゾイルのような従来のテルル化物及び他のテルル化合物の使用が記載されている。 同様の記載は、米国特許第5,968,725号(Katoh等)に示されている。 熱現像性材料中で、チオ硫酸ナトリウム、トリアリールホスフィンセレニド(例えば、ペンタフルオロフェニルジフェニルホスフィンセレニド又はビス(ペンタフルオロフェニル)フェニルホスフィンセレニド)及びクロロ金酸のような他の化学増感剤と組み合わせて、ジテルル化ジベンゾイルを使用することも知られている。
    【0031】
    リサーチディスクロージャー、第166巻、第54−56頁、1978年には、熱現像性材料中に有機テルル化合物を使用することが記載されているが、これらの化合物は、画像を形成するために使用され、ハロゲン化銀を増感するために使用されていない。
    【0032】
    米国特許第4,036,650号(Hasegawa等)には、熱現像性画像形成材料中の化学増感剤として、ある種の有機硫黄テルル化物を含む種々の金属化有機硫黄化合物を使用することが記載されている。
    【0033】
    フォトサーモグラフィ材料のための化学増感剤として、チオ硫酸ナトリウム、トリアリールホスフィンセレニド及びジテルル化ジベンゾイル又はこれらの混合物を使用することも公知である。 例えば、米国特許第4,639,414号(Sakaguchi)には、カブリを減少させるためのチオ硫酸ナトリウムの使用及び銀ベンゾトリアゾール、ゼラチンベースのフォトサーモグラフィ乳剤に於ける貯蔵時の感度の低下が記載されている。 感光性ハロゲン化銀は、ハロゲン化銀の生成後であるが、化学増感の完結の前に添加された増感色素の存在で化学的に増感されると言われている。
    【0034】
    フォトサーモグラフィ材料は、消費者、規制者及びメーカーによって提起される、どこまでも増加する性能、貯蔵及び製造要求に適合させるために常に再設計され続けている。 これらの要求の一つは、カブリ(D min )に於ける顕著な増加又はD maxに於ける低下無しに、増加した写真感度である。
    【0035】
    発明の要約
    本発明は、化学増感剤としてある種のテルル化合物を使用することによって、D minに於ける顕著な増加無しに、写真感度を増加させたフォトサーモグラフィ材料が得られるという、本発明者等の発見に関係する。
    本発明は、バインダー並びに、反応的会合状態で、
    a. 予備形成したハロゲン化銀、
    b. 還元性銀イオンの非感光性源、
    c. 還元性銀イオン用の還元組成物及びd. 下記の構造I又はII:
    【0036】
    【化28】

    【0037】


    [式中、X

    及びX

    は、独立に、ハロ、OCN、SCN、S(C=S)N(R

    )(R

    )、S(C=S)OR

    、S(C=S)SR

    、S(P=S)(OR

    )(OR

    )、S(P=S)(R

    )(R

    )、SeCN、TeCN、CN、SR

    、OR

    、N

    、アルキル、アリール又はO(C=O)R

    基を表し、R

    及びR

    は、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、複素環式若しくはアリール基であるか、又はR

    及びR

    が一緒になって、5、6若しくは7員複素環式環を形成することができ、Lは、中性ルイス塩基から誘導される配位子であり、R'は、アルキル又はアリール基であり、mは0、1、2又は4であり、そしてnは2又は4であるが、但しmが0又は2であるとき、nは2又は4であり、そしてmが1又は4であるとき、nは2であり、そして更に、分子内の複数のX

    、X

    、L、R

    、R

    又はR'基は、同じであるか又は異なっていてよい]


    により表されるテルル化学増感剤を含む1個又はそれ以上の層を、その上に有する支持体を含んでなるフォトサーモグラフィ材料により、所望の利点を提供する。


    【0038】


    幾つかの構造I態様に於いて、mが0であり、そしてnが2であるとき、構造Iにより表される化合物は、更に、構造III:


    【0039】


    【化29】


    【0040】


    [式中、Xは、同じか又は異なった、COR

    、CSR

    、CN(R

    )(R

    )、CR

    、P(R

    )(R

    )又はP(OR

    )(OR

    )基を表し、R

    及びR

    は、前記定義された通りであり、そしてpは2又は4である]


    によって表すことができる。


    【0041】


    他の構造I態様に於いて、mが0であり、そしてnが2であるとき、構造Iにより表される化合物は、更に、構造III[式中、Xは、同じか又は異なった、COR

    、CSR

    、CN(R

    )(R

    )、CR

    、P(R

    )(R

    )又はP(OR

    )(OR

    )基を表し、R

    及びR

    は、前記定義された通りであり、pは2であり、そしてXは、2個の同一のCN(R

    )(R

    )基とはなり得ない]によって表すことができる。


    【0042】


    構造Iに於いて、Lは、1種又はそれ以上のチオウレア、置換チオウレア、ピリジン及び置換ピリジンから誘導された配位子のような、同じか又は異なった中性ルイス塩基配位子を表す。 好ましい態様に於いて、1個又はそれ以上の配位子は、下記の構造IV、V又はVI:


    【0043】


    【化30】


    【0044】


    [式中、構造IVに於いて、R

    、R

    、R

    及びR

    は、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール若しくは複素環式基であるか、又はR

    及びR

    が一緒になって、R

    及びR

    が一緒になって、R

    及びR

    が一緒になって、若しくはR

    及びR

    が一緒になって、5〜7員複素環式環を形成することができ、そして構造Vに於いて、R

    、R

    、R

    、R

    及びR

    は、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、アリル、アルケニル、アルキニル、アリール若しくは複素環式基であるか、又はR

    及びR

    が一緒になって、R

    及びR

    が一緒になって、R

    及びR

    が一緒になって、若しくはR

    及びR

    が一緒になって、置換若しくは非置換の5〜7員複素環式環を形成することができ、そして構造VIに於いて、R

    、R

    、R

    、R

    、R

    及びR

    は、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、アリル、アルケニル、アルキニル、アリール若しくは複素環式基であるか、又はR

    及びR

    が一緒になって、R

    及びR

    が一緒になって、R

    及びR

    が一緒になって、R

    及びR

    が一緒になって、若しくはR

    及びR

    が一緒になって、置換若しくは非置換の5〜7員複素環式環を形成することができ、そしてR

    は二価の脂肪族又は脂環式結合基である]


    により表される化合物から誘導される。


    【0045】


    他の態様に於いて、本発明は、バインダー並びに、反応的会合状態で、


    a. 光触媒、


    b. 還元性銀イオンの非感光性源、


    c. 還元性銀イオン用の還元組成物及びd. 下記の構造I又はII:


    【0046】


    【化31】


    【0047】


    [式中、X

    及びX

    は、独立に、ハロ、OCN、SCN、S(C=S)N(R

    )(R

    )、S(C=S)OR

    、S(C=S)SR

    、S(P=S)(OR

    )(OR

    )、S(P=S)(R

    )(R

    )、SeCN、TeCN、CN、SR

    、OR

    、N

    、アルキル、アリール又はO(C=O)R

    基を表し、R

    及びR

    は、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、複素環式若しくはアリール基であるか、又はR

    及びR

    が一緒になって、5、6若しくは7員複素環式環を形成することができ、Lは、中性ルイス塩基から誘導される配位子であり、R'は、アルキル又はアリール基であり、mは0、1、2又は4であり、そしてnは2又は4であるが、但しmが0又は2であるとき、nは2又は4であり、mが1又は4であるとき、nは2であり、そして更に、分子内の複数のX

    、X

    、L、R

    、R

    又はR'基は、同じであるか又は異なっていてよいが、但しmが0であり、nが2であるとき、X

    は、2個の同一のS(C=S)N(R

    )(R

    )基ではあり得ない]


    により表されるテルル化学増感剤を含む1個又はそれ以上の層を、その上に有する支持体を含んでなるフォトサーモグラフィ材料を提供する。


    【0048】


    更に他の態様には、バインダー並びに、反応的会合状態で、


    a. 光触媒、


    b. 還元性銀イオンの非感光性源、


    c. 還元性銀イオン用の還元組成物、


    d. 下記の構造I又はII:


    【0049】


    【化32】


    【0050】


    [式中、X

    及びX

    は、独立に、ハロ、OCN、SCN、S(C=S)N(R

    )(R

    )、S(C=S)OR

    、S(C=S)SR

    、S(P=S)(OR

    )(OR

    )、S(P=S)(R

    )(R

    )、SeCN、TeCN、CN、SR

    、OR

    、N

    、アルキル、アリール又はO(C=O)R

    基を表し、R

    及びR

    は、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、複素環式若しくはアリール基であるか、又はR

    及びR

    が一緒になって、5、6若しくは7員複素環式環を形成することができ、Lは、中性ルイス塩基から誘導される配位子であり、R'は、アルキル又はアリール基であり、mは0、1、2又は4であり、そしてnは2又は4であるが、但しmが0又は2であるとき、nは2又は4であり、mが1又は4であるとき、nは2であり、そして更に、分子内の複数のX

    、X

    、L、R

    、R

    又はR'基は、同じであるか又は異なっていてよい]


    により表されるテルル化学増感剤及びe. 分光増感色素の酸化的分解によって達成される追加の化学増感を含む1個又はそれ以上の層を、その上に有する支持体を含んでなるフォトサーモグラフィ材料が含まれる。


    【0051】


    別の態様には、バインダー並びに、反応的会合状態で、


    a. 光触媒、


    b. 還元性銀イオンの非感光性源、


    c. 還元性銀イオン用の還元組成物、


    d. 下記の構造I又はII:


    【0052】


    【化33】


    【0053】


    [式中、X

    及びX

    は、独立に、ハロ、OCN、SCN、S(C=S)N(R

    )(R

    )、S(C=S)OR

    、S(C=S)SR

    、S(P=S)(OR

    )(OR

    )、S(P=S)(R

    )(R

    、SeCN、TeCN、CN、SR

    、OR

    、N

    、アルキル、アリール又はO(C=O)R

    基を表し、R

    及びR

    は、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、複素環式若しくはアリール基であるか、又はR

    及びR

    が一緒になって、5、6若しくは7員複素環式環を形成することができ、Lは、中性ルイス塩基から誘導される配位子であり、R'は、アルキル又はアリール基であり、mは0、1、2又は4であり、そしてnは2又は4であるが、但しmが0又は2であるとき、nは2又は4であり、mが1又は4であるとき、nは2であり、そして更に、分子内の複数のX

    、X

    、L、R

    、R

    又はR'基は、同じであるか又は異なっていてよい]


    により表されるテルル化学増感剤及びe. 全銀の1モル当たり少なくとも0.0001モルの量の、ヘテロ芳香族メルカプト化合物又はヘテロ芳香族ジスルフィド化合物を含む1個又はそれ以上の層を、その上に有する支持体を含んでなるフォトサーモグラフィ材料が含まれる。


    【0054】


    更に、フォトサーモグラフィ材料は、バインダー並びに、反応的会合状態で、


    a. 光触媒、


    b. 還元性銀イオンの非感光性源、


    c. 還元性銀イオン用の還元組成物、


    d. 下記の構造I又はII:


    【0055】


    【化34】


    【0056】


    [式中、X

    及びX

    は、独立に、ハロ、OCN、SCN、S(C=S)N(R

    )(R

    )、S(C=S)OR

    、S(C=S)SR

    、S(P=S)(OR

    )(OR

    )、S(P=S)(R

    )(R

    )、SeCN、TeCN、CN、SR

    、OR

    、N

    、アルキル、アリール又はO(C=O)R

    基を表し、R

    及びR

    は、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、複素環式若しくはアリール基であるか、又はR

    及びR

    が一緒になって、5、6若しくは7員複素環式環を形成することができ、Lは、中性ルイス塩基から誘導される配位子であり、R'は、アルキル又はアリール基であり、mは0、1、2又は4であり、そしてnは2又は4であるが、但しmが0又は2であるとき、nは2又は4であり、mが1又は4であるとき、nは2であり、そして更に、分子内の複数のX

    、X

    、L、R

    、R

    又はR'基は、同じであるか又は異なっていてよい]


    により表されるテルル化学増感剤及びe. フタラジン又はフタラジン誘導体を含む1個又はそれ以上の層を、その上に有する支持体を含んでなる。


    【0057】


    なお他の態様には、バインダー並びに、反応的会合状態で、


    a. 光触媒、


    b. 還元性銀イオンの非感光性源、


    c. 該還元性銀イオン用の還元組成物、


    d. 下記の構造I又はII:


    【0058】


    【化35】


    【0059】


    [式中、X

    及びX

    は、独立に、ハロ、OCN、SCN、S(C=S)N(R

    )(R

    )、S(C=S)OR

    、S(C=S)SR

    、S(P=S)(OR

    )(OR

    )、S(P=S)(R

    )(R

    )、SeCN、TeCN、CN、SR

    、OR

    、N

    、アルキル、アリール又はO(C=O)R

    基を表し、R

    及びR

    は、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、複素環式若しくはアリール基であるか、又はR

    及びR

    が一緒になって、5、6若しくは7員複素環式環を形成することができ、Lは、中性ルイス塩基から誘導される配位子であり、R'は、アルキル又はアリール基であり、mは0、1、2又は4であり、そしてnは2又は4であるが、但しmが0又は2であるとき、nは2又は4であり、mが1又は4であるとき、nは2であり、そして更に、分子内の複数のX

    、X

    、L、R

    、R

    又はR'基は、同じであるか又は異なっていてよい]


    により表されるテルル化学増感剤及びe. 共現像剤を含む1個又はそれ以上の層を、その上に有する支持体を含んでなるフォトサーモグラフィ材料が含まれる。


    【0060】


    更に他の態様に於いて、本発明は、バインダー並びに、反応的会合状態で、


    a. 光触媒、


    b. 還元性銀イオンの非感光性源、


    c. 該還元性銀イオン用の還元組成物、


    d. 下記の構造I又はII:


    【0061】


    【化36】


    【0062】


    [式中、X

    及びX

    は、独立に、ハロ、OCN、SCN、S(C=S)N(R

    )(R

    )、S(C=S)OR

    、S(C=S)SR

    、S(P=S)(OR

    )(OR

    )、S(P=S)(R

    )(R

    )、SeCN、TeCN、CN、SR

    、OR

    、N

    、アルキル、アリール又はO(C=O)R

    基を表し、R

    及びR

    は、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、複素環式若しくはアリール基であるか、又はR

    及びR

    が一緒になって、5、6若しくは7員複素環式環を形成することができ、Lは、中性ルイス塩基から誘導される配位子であり、R'は、アルキル又はアリール基であり、mは0、1、2又は4であり、そしてnは2又は4であるが、但しmが0又は2であるとき、nは2又は4であり、mが1又は4であるとき、nは2であり、そして更に、分子内の複数のX

    、X

    、L、R

    、R

    又はR'基は、同じであるか又は異なっていてよい]


    により表されるテルル化学増感剤及びe. 下記の構造IV、V又はVI:


    【0063】


    【化37】


    【0064】


    [式中、構造IVに於いて、R

    、R

    、R

    及びR

    は、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、アリル、アルケニル、アルキニル、アリール若しくは複素環式基であるか、又はR

    及びR

    が一緒になって、R

    及びR

    が一緒になって、R

    及びR

    が一緒になって若しくはR

    及びR

    が一緒になって、5〜7員複素環式環を形成することができ、


    構造Vに於いて、R

    、R

    、R

    、R

    及びR

    は、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、アリル、アルケニル、アルキニル、アリール若しくは複素環式基であるか、又はR

    及びR

    が一緒になって、R

    及びR

    が一緒になって、R

    及びR

    が一緒になって若しくはR

    及びR

    が一緒になって、置換若しくは非置換の5〜7員複素環式環を形成することができ、そして構造VIに於いて、R

    、R

    、R

    、R

    、R

    及びR

    は、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、アリル、アルケニル、アルキニル、アリール若しくは複素環式基であるか、又はR

    及びR

    が一緒になって、R

    及びR

    が一緒になって、R

    及びR

    が一緒になって、R

    及びR

    が一緒になって若しくはR

    及びR

    が一緒になって、置換若しくは非置換の5〜7員複素環式環を形成することができ、そしてR

    は二価の脂肪族又は脂環式結合基である]


    により表される第二化学増感剤の添加により達成される追加の化学増感を含む1個又はそれ以上の層を、その上に有する支持体を含んでなるフォトサーモグラフィ材料を提供する。


    【0065】


    本発明はまた、バインダー並びに、反応的会合状態で、


    a. 光触媒、


    b. 還元性銀イオンの非感光性源、


    c. 還元性銀イオン用の還元組成物及びd. 下記の構造I又はII:


    【0066】


    【化38】


    【0067】


    [式中、X

    及びX

    は、独立に、ハロ、OCN、SCN、S(C=S)N(R

    )(R

    )、S(C=S)OR

    、S(C=S)SR

    、S(P=S)(OR

    )(OR

    、S(P=S)(R

    )(R

    )、SeCN、TeCN、CN、SR

    、OR

    、N

    、アルキル、アリール又はO(C=O)R

    基を表し、R

    及びR

    は、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、複素環式若しくはアリール基であるか又はR

    及びR

    は一緒になって、5、6若しくは7員複素環式環を形成することができ、Lは、中性ルイス塩基から誘導される配位子であり、R'は、アルキル又はアリール基であり、mは0、1、2又は4であり、そしてnは2又は4であるが、但しmが0又は2であるとき、nは2又は4であり、mが1又は4であるとき、nは2であり、そして更に、分子内の複数のX

    、X

    、L、R

    、R

    又はR'基は、同じであるか又は異なっていてよい]


    により表されるテルル化学増感剤を含む1個又はそれ以上の層を、その一方の側の上に、有し、


    透明支持体の反対側の上に、1種又はそれ以上のハレーション防止色素を含むハレーション防止層を、それぞれ、その上に有する透明支持体を含んでなるフォトサーモグラフィ材料を提供する。


    【0068】


    更に、可視画像を形成する本発明の方法は、


    A)上記のフォトサーモグラフィ材料の何れかを電磁放射線に画像様露光して、潜像を形成すること及びB)同時に又は逐次的に、露光されたフォトサーモグラフィ材料を加熱して、潜像を可視画像に現像することを含んでなる。


    【0069】


    画像を得る本発明の幾つかの態様に於いて、上記のフォトサーモグラフィ材料の何れかは透明支持体を有し、そして本発明の画像形成方法には、更に、


    C)その中に可視画像を有する、露光され、熱現像されたフォトサーモグラフィ材料を、画像形成放射線源と画像形成放射線に対して感光性である画像形成性材料との間に配置すること及びD)その後、画像形成性材料を、露光され、熱現像されたフォトサーモグラフィ材料中の可視画像を通して画像形成放射線に露光して、画像形成性材料の中に可視画像を得ることが含まれる。


    【0070】


    本発明の更に他の態様に於いて、フォトサーモグラフィ乳剤の製造方法は、下記の工程、即ち、順に、


    A)ハロゲン化銀粒子及び還元性銀イオンの非感光性源からなるフォトサーモグラフィ乳剤を得る工程並びにB)1種又はそれ以上の、上記の構造I又はIIにより表されるテルル化学増感剤を、ハロゲン化銀粒子の上又は周りに配置する工程を含んでなる。


    【0071】


    更に、フォトサーモグラフィ乳剤の他の製造方法は、


    A)ハロゲン化銀粒子を得る工程、


    B)ハロゲン化銀粒子及び還元性銀イオンの非感光性源のフォトサーモグラフィ乳剤を得る工程並びにC)工程Aの間又は工程Aの後の何れかの時点で、ハロゲン化銀粒子を、上記のような構造I又はIIにより表されるテルル化学増感剤で化学的に増感する工程を含んでなる。


    【0072】


    本発明のフォトサーモグラフィ材料中に使用するために記載された感度増加化合物は、多数の有用な特性を有する。 例えば、これらは、空気安定性固体として良好な収率で容易に製造することができ、加水分解に対して耐性である。 更に、これらは有用な塗布溶媒の範囲内で可溶性である。 これによって、この化合物を画像形成要素配合物中に容易に含有させることができる。


    本明細書に記載したテルル化合物の感度増加能力は、先行技術の教示から予想され得なかった。 更に、先行技術の化学増感剤は、一般的に、高いD

    ma x及び低いD

    minを維持しながら、感度増強をもたらさなかった。


    【0073】


    発明の詳細な説明


    本発明のフォトサーモグラフィ材料は、例えば、従来の黒白フォトサーモグラフィ、電子的に作られた黒白ハードコピー記録に於いて使用することができる。 これらは、マイクロフィルム応用、ラジオグラフ画像形成(例えば、デジタル医学用画像形成)及び工業用ラジオグラフィに於いて使用することができる。 更に、350〜450nmのフォトサーモグラフィ材料の吸光度は、望ましくは、低く(0.5未満)、それらを、グラフィックアーツ(例えば、イメージセッティング(imagesetting)及び写真植字)、鉛版の製造、コンタクトプリント、プルーフィング及びデュプリケーティング(「デューピング(duping)」)に於いて使用することを可能にする。 このフォトサーモグラフィ材料は、黒白画像を与えるための医学用ラジオグラフィのために特に有用である。


    【0074】


    本発明のフォトサーモグラフィ材料に於いて、画像形成のために必要な成分は、1個又はそれ以上の層の中に存在していてよい。 (感光性ハロゲン化銀のような)感光性光触媒若しくは還元性銀イオンの非感光性源又は両方を含有する層(群)は、以下フォトサーモグラフィ乳剤層(群)と言う。 光触媒と還元性銀イオンの非感光性源とは、触媒的近接(又は反応的会合)状態にあり、好ましくは同じ層内に存在する。 「触媒的近接」又は「反応的会合」は、これらが同じ層又は隣接する層内に存在することを意味する。


    【0075】


    ハレーション防止層(群)、保護層、帯電防止層、導電層及び移送可能層を含む種々の層が、通常、材料の「裏側」(無乳剤側)に配置されている。


    保護トップコート層、プライマー層、中間層、不透明化層、帯電防止層、ハレーション防止層、アキュータンス層、補助層及び当業者に容易に明らかな他のものを含む種々の層が、通常、支持体の「表側」又は乳剤側に配置されている。


    【0076】


    定義


    本明細書で使用されるとき、定義は下記の通りである。


    本発明のフォトサーモグラフィ材料の説明に於いて、単数形の成分は、「少なくとも1種」のこの成分を指す。 例えば、化学増感剤について本明細書に記載されたテルル化合物は、単独又は混合物で使用することができる。


    【0077】


    本明細書で使用されるとき、実質的に無水条件下での加熱は、存在する環境の水蒸気と殆ど同じで、約50℃〜約250℃の温度で加熱することを意味する。 用語「実質的に無水条件」は、反応系が空気中の水とほぼ平衡状態であり、反応を誘導又は促進するための水が、外部から材料に特別に又は明確に供給されないことを意味する。 このような条件は、T. H. James著、写真処理の理論、第4版、Macmillan、1977年、第374頁に記載されている。


    【0078】


    「フォトサーモグラフィ材料(群)」は、少なくとも1個のフォトサーモグラフィ乳剤層又はフォトサーモグラフィ層の組(ここで、ハロゲン化銀及び還元性銀イオンの源は、一つの層内に存在し、他の必須の成分又は望ましい添加物は、所望により、隣接する塗布層内に分布されている)及び任意の支持体、トップコート層、画像受容層、ブロッキング層、ハレーション防止層又は下塗り若しくは下地層からなる構成物を意味する。 これらの材料には、また、1種又はそれ以上の画像形成成分が異なった層中に存在するが、「反応的会合」状態であって、画像形成及び/又は現像の間に、これらが容易にお互いと接触状態になるような、多層構成物が含まれる。 例えば、一つの層に還元性銀イオンの非感光性源が含有されており、他の層に還元組成物が含有されていてよいが、二つの反応性成分はお互いと反応的会合状態である。


    【0079】


    「乳剤層」、「画像形成層」又は「フォトサーモグラフィ乳剤層」は、感光性ハロゲン化銀及び/又は還元性銀イオンの非感光性源を含有するフォトサーモグラフィ材料の層を意味する。 これはまた、感光性ハロゲン化銀及び/又は還元性銀イオンの非感光性源に加えて、追加の必須成分及び/又は望ましい添加物を含有するフォトサーモグラフィ材料の層を意味することもできる。 これらの層は、通常、支持体の「表側」として知られているものの上に存在する。


    【0080】


    「スペクトルの紫外領域」は、410nm以下、好ましくは約100nm〜約410nmのスペクトルの領域を指すが、これらの範囲の一部は人の目に見ることができてよい。 更に好ましくは、スペクトルの紫外領域は、約190〜約405nmの領域である。


    「スペクトルの可視領域」は、約400nm〜約750nmのスペクトルの領域を指す。


    「スペクトルの短波長可視領域」は、約400nm〜約450nmのスペクトルの領域を指す。


    「スペクトルの赤領域」は、約600nm〜約750nmのスペクトルの領域を指す。


    「スペクトルの赤外領域」は、約750nm〜約1400nmのスペクトルの領域を指す。


    【0081】


    「非感光性」は、意図的に光感受性でないことを意味する。


    「透明」は、容易に感知できる散乱又は吸収無しに、可視光又は画像形成放射線を透過できることを意味する。


    センシトメトリー用語「感光度(photo speed)」又は「写真感度(photographic speed)」(「感度(speed)」としても知られている)、「コントラスト」、D

    min及びD

    maxは、画像形成技術分野で公知の一般的な定義を有する。


    【0082】


    この分野でよく理解されるように、本明細書で定義されたテルル化合物について、置換基が許容されるのみならず、しばしば望ましく、種々の置換基が本発明で使用される化合物で期待される。 それで、化合物が、与えられた式の「構造を有する」として参照されるとき、式の結合構造又は構造内の示された原子を変えない任意の置換基が、このような置換基が言語(例えば、「カルボキシ置換アルキルを含有しない」)によって特に排除されていない限り、式の中に含まれる。 例えば、ベンゼン環構造(縮合環構造を含む)が示されている場合、置換基がベンゼン環構造上に置かれていてよいが、ベンゼン環構造を作る原子を置き換えることはできない。


    【0083】


    ある種の置換基の検討及び詳述を単純化する手段として、用語「基」は、置換されていてもよい化学種並びにそのように置換されていない化学種を指す。 それで、「アルキル基」のような用語「基」は、メチル、エチル、n−プロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、イソオクチル及びオクタデシルのような純粋の炭化水素アルキル鎖のみならず、ヒドロキシル、アルコキシ、フェニル、ハロゲン原子(F、Cl、Br及びI)、シアノ、ニトロ、アミノ及びカルボキシのような、当該技術分野で公知の置換基を有するアルキル鎖も含むことを意図する。 例えば、アルキル基には、エーテル基及びチオエーテル基(例えば、CH

    −CH

    −CH

    −O−CH

    −及びCH

    −CH

    −CH

    −S−CH

    −)、ハロアルキル、ニトロアルキル、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、スルホアルキル及び当業者に容易に明らかな他の基が含まれる。 勿論、非常に強い求電子性又は酸化性置換基のような、他の活性成分と不利に反応する置換基は、不活性又は無害でないとき当業者によって排除されるであろう。


    【0084】


    リサーチディスクロージャーは、Kenneth Mason Publications Ltd. 、Dudley House, 12 North Street, Emsworth, Hampshire PO10 7DQ、英国の刊行物である(Emsworth Design Inc.、147 West 24th Street、ニューヨーク州ニューヨーク、10011から入手することも可能)。


    本発明の他の面、利点及び利益は、本件特許出願に記載した詳細な説明、実施例及び特許請求の範囲から明らかである。


    【0085】


    光触媒


    前記のように、本発明のフォトサーモグラフィ材料には、フォトサーモグラフィ乳剤層(群)中に1種又はそれ以上の光触媒が含有されている。 有用な光触媒は、典型的に、臭化銀、ヨウ化銀、塩化銀、臭ヨウ化銀、塩臭ヨウ化銀、塩臭化銀及び当業者に容易に明らかな他のもののようなハロゲン化銀である。 ハロゲン化銀の混合物も、任意の適当な比率で使用することができる。 臭化銀及び臭ヨウ化銀が更に好ましく、後者のハロゲン化銀は10モル%以下のヨウ化銀を有する。 ハロゲン化銀粒子を製造及び沈殿するための典型的な技術は、リサーチディスクロージャー、1978年、アイテム17643に記載されている。


    【0086】


    本発明で使用される感光性ハロゲン化銀粒子の形状は、決して限定されない。 ハロゲン化銀粒子は、これらに限定されないが、立方体、八面体、四面体、斜方晶系、斜方型、十二面体、他の多面体、板状、薄片状、双晶及び小板形態を含む全ての晶癖を有していてよく、その上に結晶のエピタクシー成長を有していてよい。 所望により、これらの結晶の混合物を使用することができる。 立方体及び板状形態を有するハロゲン化銀粒子が好ましい。


    【0087】


    ハロゲン化銀粒子は、ハロゲン化物を通して均一な比を有していてよい。 これらは、連続的に変化する比で、例えば、臭化銀及びヨウ化銀の傾斜したハロゲン化物含有量を有していてよく又はこれらは一つのハロゲン化物比の分離されたコア及び他のハロゲン化物比の分離されたシェルを有する、コア−シェル型のものであってよい。 フォトサーモグラフィ材料で有用なコア−シェルハロゲン化銀粒子及びこの材料の製造方法は、例えば、米国特許第5,382,504号(Shor等)(参照して本明細書に含める)に記載されている。 イリジウム及び/又は銅をドープしたコア−シェル粒子及び非コア−シェル粒子は、米国特許第5,434,043号(Zou等)及び米国特許第5,939,249号(Zou)(両方を参照して本明細書に含める)に記載されている。


    【0088】


    感光性ハロゲン化銀は、それが還元性銀イオンの非感光性源と触媒的接触状態に置かれている限り、任意の方式で乳剤層(群)に添加する(又は、乳剤層の中で生成する)ことができる。


    【0089】


    ハロゲン化銀はエクスシトゥ方法によって予備形成及び製造することができる。 エクスシトゥで製造されたハロゲン化銀は、次いで、還元性銀イオンの非感光性源に添加し、これと物理的に混合することができる。 エクスシトゥ製造したハロゲン化銀の存在下で還元性銀イオンの源を生成することが一層好ましい。 この方法に於いて、長鎖脂肪酸銀カルボキシレート(通常、銀「石鹸」と呼ばれる)のような還元性銀イオンの源は、前生成したハロゲン化銀粒子の存在下で生成される。 ハロゲン化銀の存在下での銀イオンの還元性源の共沈殿によって、二つの材料の一層緊密な混合物が得られる[例えば、米国特許第3,839,049号(Simons)参照]。 この種の材料は、しばしば「予備形成した石鹸」と呼ばれる。


    【0090】


    画像形成配合物中に使用されるハロゲン化銀粒子は、それらの所望の用途に依存して、数ミクロン(μm)以下の平均直径で変化してよい。 好ましいハロゲン化銀粒子は、約0.01〜約1.5μmの平均粒子サイズを有するものであり、約0.03〜約1.0μmの平均粒子サイズを有するものが一層好ましく、約0.05〜約0.8μmの平均粒子サイズを有するものが最も好ましい。 当業者は、粒子が分光増感される波長に部分的に依存する、ハロゲン化銀粒子についての限定された実用的下限が存在することを理解している。 このような下限は、例えば、典型的に約0.01〜0.005μmである。


    【0091】


    感光性のドープしたハロゲン化銀粒子の平均サイズは、粒子が球形である場合には平均直径により、そして粒子が立方体又は他の非球形形状である場合には投影画像についての等価円の直径の平均によって表される。


    【0092】


    粒子サイズは、粒子サイズ測定のために当該技術分野で一般的に使用されている方法の何れによっても決定できる。 代表的方法は、「粒子サイズ分析(Particle Size Analysis)」、ASTM Symposium on Light Microscopy、R. P. Loveland、1955年、第94−122頁及びC. E. K. Mees及びT. H. James著、写真処理の理論、第3版、1966年、第2章に記載されている。 粒子サイズ測定値は、粒子の投影面積又はその直径の近似値の項で表すことができる。 これらは、問題とする粒子が形状に於いて実質的に均一である場合に、合理的に正確な結果を与えるであろう。


    【0093】


    本発明の材料で使用される予備形成したハロゲン化銀乳剤は、水性方法又は有機方法によって製造することができ、洗浄しなくてもよく又は可溶性塩を除去するために洗浄してもよい。 後者の場合に、可溶性塩は限外濾過により、冷却沈降及び浸出により又は凝塊を洗浄することにより除去することができる[例えば、米国特許第2,618,556号(Hewitson等)、米国特許第2,614,928号(Yutzy等)、米国特許第2,565,418号(Yackel)、米国特許第3,241,969号(Hart等)及び米国特許第2,489,341号(Waller等)に記載された方法による]。


    【0094】


    ハロゲン化物含有化合物を有機銀塩に添加し、有機銀塩の銀をハロゲン化銀に部分的に転化するインシトゥ方法を使用することも有効である。 ハロゲン含有化合物は、無機物(例えば、臭化亜鉛又は臭化リチウム)又は有機物(例えば、N−ブロモスクシンイミド)であってよい。


    【0095】


    これらのハロゲン化銀及び有機銀塩を製造するための追加の方法並びにこれらをブレンドする手段は、リサーチディスクロージャー、1978年6月、アイテム17029、米国特許第3,700,458号(Lindholm)及び米国特許第4,076,539号(Ikenoue等)並びにJP出願第13224/74号、同第42529/76号及び同第17216/75号に記載されている。


    【0096】


    幾つかの場合に於いて、増加した感光度を得るために、ヒドロキシテトラアザインデン(例えば、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3,3a,7−テトラアザインデン)又は少なくとも1個のメルカプト基を含有するN−複素環式化合物(例えば、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール)の存在下で感光性ハロゲン化銀粒子を製造することが有用であろう。 この方法の詳細は、同時係属中で本願と共通に譲渡された米国特許出願第09/833,533号(Shor、Zou、Ulrich及びSimpsonによって、2001年4月12日に出願された)(参照して本明細書に含める)に示されている。


    【0097】


    本発明のフォトサーモグラフィ材料中に使用される1種又はそれ以上の感光性ハロゲン化銀は、好ましくは、還元性銀イオンの非感光性源の1モル当たり、約0.005〜約0.5モル、更に好ましくは約0.01〜約0.25モル、最も好ましくは約0.03〜約0.15モルの量で存在する。


    【0098】


    化学及び分光増感剤


    本発明の利点は、ハロゲン化銀(群)を、ある種の感度増加テルル化合物により化学的に増感することによって与えられる。 それで、これらのテルル化合物は、化学増感剤として有効に使用することができる。 これらは、下記の構造I又はII:


    【0099】


    【化39】


    【0100】


    によって表すことができる。


    【0101】


    構造Iに於いて、X

    は、ハロ(例えば、クロロ、ブロモ又はヨード)、OCN、SCN、S(C=S)N(R

    )(R

    )、S(C=S)OR

    、S(C=S)SR

    、S(P=S)(OR

    )(OR

    )、S(P=S)(R

    )(R

    )、SeCN、TeCN、CN、SR

    、OR

    、N

    、アルキル(R

    及びR

    について下記に定義する通り)、アリール(Arについて下記に定義する通り)又はO(C=O)R

    基(式中、R

    及びR

    は下記に定義する通りである)を表す。 好ましくは、X

    は、ハロ(例えば、クロロ又はブロモ)、SCN又はS(C=S)N(R

    )(R

    )基を表し、更に好ましくは、これはクロロ又はブロモのようなハロ基を表す。 構造I化合物内の複数のX

    基は、同じ基又は異なった基であってよい。


    【0102】


    を定義するために使用された「R

    及びR

    」基は、炭素数1〜20の任意の適当な置換若しくは非置換のアルキル基(メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、オクチル、デシル、トリメチルシリルメチル及び3−トリメチルシリル−n−プロピルのような、全ての可能性のある異性体を含む)、炭素数2〜20の置換若しくは非置換のアルケニル基(エテニル、1−プロペニル及び2−プロペニルのような全ての可能性のある異性体を含む)又は置換若しくは非置換の炭素環式基(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチル)、複素環式基(例えば、モルホリニル、ピペリジル及びピペラジル)又は単環系若しくは縮合環系中の炭素数6〜10のアリール基(Ar)(例えば、フェニル、4−メチルフェニル、アントリル、ナフチル、キシリル、メシチル、インデニル、2,4,6−トリ(t−ブチル)フェニル、ペンタフルオロフェニル、p−メトキシフェニル、3,5−ジメチルフェニル、p−トリル、ピリジル及び2−フェニルエチル)であってよい。 更に、X

    基が2個以上のR

    及びR

    基を含むとき、これらの基は一緒に結合して、置換又は非置換の5〜7員複素環式環を形成することができる。 好ましくは、R

    及びR

    は、炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキル基である。 他の方法で記載しない限り、分子内の複数のR

    及びR

    基は同じ基又は異なった基であってよい。


    【0103】


    Lは、チオウレア、置換チオウレア、ピリジン及び置換ピリジンから誘導される配位子のような、同じか又は異なった中性ルイス塩基配位子を表す。 好ましくは、Lは、チオウレア又は置換チオウレアから誘導される配位子であり、更に好ましくは、これは、構造IV、V又はVIで下記に定義するような置換チオウレアから誘導される配位子である。 構造I群中の複数のL基は、同じ基又は異なった基であってよい。


    【0104】


    また、構造Iに於いて、mは、0、1、2及び4の整数の群から選択される整数であり、nは2又は4の整数である。 しかしながら、mが0又は2であるとき、nは2又は4であり、そしてmが1又は4であるとき、nは2である。 好ましくは、mは2であり、nは2又は4である。


    【0105】


    構造IIに於いて、X

    は、ハロ、OCN、SCN、S(C=S)N(R

    )(R

    )、S(C=S)OR

    、S(C=S)SR

    、S(P=S)(OR

    )(OR

    )、S(P=S)(R

    )(R

    )、SeCN、TeCN、CN、SR

    、OR

    、アルキル(R

    及びR

    について定義する通り)、アリール(Arについて前記に定義する通り)、N

    又はO

    CR

    基(式中、R

    及びR

    は前記に定義する通りである)を表す。 好ましくは、X

    は、ハロ、SCN又はSeCN基を表す。 更に好ましくは、X

    は、クロロ、ブロモ又はSCN基である。 構造II化合物内の複数のX

    基は、同じ基又は異なった基であってよい。


    【0106】


    更に、R'は、R

    及びR

    について前記のように定義される、置換又は非置換のアルキル又はアリール基を表す。 好ましくは、R'は、炭素数1〜10の置換又は非置換のアルキル基である。 分子内の複数のR'基は、同じであるか又は異なっていてよい。


    【0107】


    構造I化合物の特別の態様に於いて、mが0でありそしてnが2であるとき、構造Iにより表される化合物は、更に、構造III:


    【0108】


    【化40】


    【0109】


    によって表すことができる。


    【0110】


    構造IIIに於いて、Xは、基の中の記載された炭素又はリン原子によって2個の硫黄原子に結合された、同じか又は異なった、COR

    、CSR

    、CN(R

    )(R

    )、CR

    、P(R

    )(R

    )又はP(OR

    )(OR

    )基を表す。 好ましくは、Xは、同じか又は異なった、COR

    、CSR

    、CN(R

    )(R

    )、P(R

    )(R

    )又はP(OR

    )(OR

    )基を表し、更に好ましくは、Xは、同じか又は異なったCN(R

    )(R

    )基を表す。 また、構造IIIに於いて、pは2又は4であり、好ましくはこれは2である。 それで、(下記のように)pが2であるとき、2個の同じX基又は2個の異なったX基が存在し得る。 pが4であるとき、4個の同じX基又は2、3若しくは4個の異なったX基が、分子内に存在し得る。


    【0111】


    他の方法で記載しない限り、構造III化合物内の複数のR

    及びR

    基は同じ基又は異なった基であってよい。 しかしながら、幾つかの態様に於いて、pが2であるとき、Xは2個の同一のCN(R

    )(R

    )基ではあり得ない。


    【0112】


    構造Iに於いて、好ましいチオウレア配位子は、構造IV、V又はVI:


    【0113】


    【化41】


    【0114】


    により表される化合物から誘導される。


    【0115】


    構造IVに於いて、R

    、R

    、R

    及びR

    は、独立に、水素、置換又は非置換のアルキル基(ベンジルのようなアルキレンアリール基を含む)、置換又は非置換のアリール基(アリーレンアルキル基を含む)、置換又は非置換のシクロアルキル基、置換又は非置換のアルケニル基、置換又は非置換のアルキニル基及び複素環式基を表す。


    【0116】


    有用なアルキル基は、分枝しているか又は直鎖状であり、1〜20個の炭素原子を有していてよく(好ましくは、1〜5個の炭素原子を有する)、有用なアリール基は、炭素環式環内に6〜14個の炭素原子を有していてよく、有用なシクロアルキル基は、中央環系内に5〜14個の炭素原子を有していてよく、有用なアルケニル基は、分枝しているか又は直鎖状であり、2〜20個の炭素原子を有していてよく、そして有用な複素環基は、中央環系(これらは縮合環であってもよい)内に5〜10個の炭素、酸素、硫黄及び窒素原子を有していてよい。


    【0117】


    これらの種々の一価の基は、更に、これらに限定されないが、ハロ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基、アシル基、アシルオキシ基、カルボニルオキシエステル基、スルホン酸エステル基、アルキルチオ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基及び当業者に容易に明らかな任意の他の基を含む、1個又はそれ以上の基で置換されていてよい。 R

    、R

    、R

    及びR

    は、独立にアルキル基であってよい。


    【0118】


    また、R

    及びR

    が一緒になって、R

    及びR

    が一緒になって、R

    及びR

    が一緒になって又はR

    及びR

    が一緒になって、置換又は非置換の5〜7員複素環式環を形成することができる。


    【0119】


    及びR

    が一緒になるか又はR

    及びR

    が一緒になる場合、複素環式環は飽和であるか又は不飽和であってよく、炭素原子に加えて酸素、窒素又は硫黄原子が含有されていてよい。 この種の有用な環には、これらに限定されないが、イミダゾール、ピロリン、ピロリジン、チオヒダントイン、ピリドン、モルホリン、ピペラジン及びチオモルホリン環が含まれる。 これらの環は、1個又はそれ以上のアルキル基(1〜5個の炭素原子を有する)、アリール基(中央環系内に6〜10個の炭素原子を有する)、シクロアルキル基(中央環系内に5〜10個の炭素原子を有する)、アルコキシ基、カルボニルオキシエステル基、ハロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、スルホン酸エステル基、アルキルチオ基、カルボニル基、カルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基及び当業者に容易に明らかな他の基で置換されていてよい。


    【0120】


    及びR

    が一緒になるか又はR

    及びR

    が一緒になる場合、複素環式環は飽和であるか又は不飽和であってよく、炭素原子に加えて酸素、窒素又は硫黄原子が含有されていてよい。 この種の有用な環には、これらに限定されないが、2−イミダゾリジンチオン、2−チオキソ−1−イミダゾリジノン(チオヒダントイン)、1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾール−2−チオン、1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−チオン、テトラヒドロ−2,2−チオキソ−5−ピリミジン、テトラヒドロ−1,3,5−トリアジン−2(1H)−チオン、ジヒドロ−2−チオキソ−4,6−(1H,3H)−ピリミジンジオン、ジヒドロ−1,3,5−トリアジン−2,4−(1H,3H)−ジオン及びヘキサヒドロジアゼピン−2−チオン環が含まれる。 これらの環は、1個又はそれ以上のアルキル基(1〜5個の炭素原子を有する)、アリール基(中央環系内に6〜10個の炭素原子を有する)、シクロアルキル基(中央環系内に5〜10個の炭素原子を有する)、カルボニルオキシエステル基、ハロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、スルホン酸エステル基、アルキルチオ基、カルボニル基、アルコキシ基、カルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基及び当業者に容易に明らかな他の基で置換されていてよい。


    【0121】


    好ましくは、R

    、R

    、R

    及びR

    は、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール及び複素環式基、更に好ましくは、水素、アルキル、アリール及びアルケニル基、最も好ましくはアルケニル基を表す。 好ましいアルケニル基はアリル基である。 好ましいアルキル基はメチル基である。


    【0122】


    前記の構造Vに於いて、R

    、R

    、R

    、R

    及びR

    は、下記の点で異なる他は、構造IV中のR

    、R

    、R

    及びR

    について前記したのと同じ定義を有する。


    【0123】


    及びR

    が一緒になって、R

    及びR

    が一緒になって、R

    及びR

    が一緒になって並びに/又はR

    及びR

    が一緒になって、(構造IVについて上記したような)置換又は非置換の5〜7員複素環式環を形成することができる。 これらの複素環式環が、一緒になってR

    及びR

    から又は一緒になってR

    及びR

    から形成されるとき、これらは構造IVについて一緒になったR

    及びR

    について上記定義した通りであるが、得られる複素環式環は、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基並びにカルボキシ、スルホ、ホスホノ及びその他の酸性基のような他の置換基を有し得る。 これらの複素環式環が、一緒になってR

    及びR

    から又は一緒になってR

    及びR

    から形成されるとき、これらは構造IVのR

    及びR

    について記載されているように置換されていてよい。 この種の有用な環には、これらに限定されないが、2−イミダゾリジンチオン、2−チオキソ−1−イミダゾリジノン(チオヒダントイン)、1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾール−2−チオン、1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−チオン、テトラヒドロ−2,2−チオキソ−5−ピリミジン、テトラヒドロ−1,3,5−トリアジン−2(1H)−チオン、ジヒドロ−2−チオキソ−4,6−(1H,3H)−ピリミジンジオン、ジヒドロ−1,3,5−トリアジン−2,4−(1H,3H)−ジオン及びヘキサヒドロジアゼピン−2−チオン環が含まれる。


    【0124】


    構造Vについて、R

    〜R

    のための好ましい基は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール及び複素環式環、更に好ましくは、アルキル、アリール及びアルケニル基、更に好ましくはアルケニル基である。 好ましいアルケニル基はアリル基である。


    【0125】


    また、構造Vに於いて、最も好ましいアルキル基はメチル及びエチル基である。 最も好ましいアリール基は、フェニル又はトリル基である。 最も好ましいシクロアルキル基は、シクロペンチル及びシクロヘキシル基である。 最も好ましくは、アルケニル基はアリル基である。 最も好ましい複素環式基は、モルホリノ及びピペラジノ基である。


    【0126】


    前記の構造VIに於いて、R

    、R

    、R

    、R

    、R

    及びR

    は、上記の構造V中のR

    、R

    、R

    、R

    及びR

    について上記したのと同じ定義を有する。 更に、R

    及びR

    が一緒になって、R

    及びR

    が一緒になって、R

    及びR

    が一緒になって、R

    及びR

    が一緒になって又はR

    及びR

    が一緒になって、構造Vに於ける複素環式環について上記したような、置換又は非置換の5〜7員複素環式環を形成することができる。


    【0127】


    は、これらに限定されないが、炭素数1〜12の置換若しくは非置換のアルキレン、環構造内に5〜8個の炭素原子を有する置換若しくは非置換のシクロアルキレン基、環構造内に6〜10個の炭素原子を有する置換若しくは非置換のアリーレン基、環構造内に5〜10個の炭素、窒素、酸素及び硫黄原子を有する置換若しくは非置換の二価の複素環式基又はこれらの二価基の2個若しくはそれ以上の任意の組合せ又はエーテル、チオエーテル、カルボニル、カルボンアミド、スルホアミド、アミノ、イミド、チオカルボニル、チオアミド、スルフィニル、スルホニル若しくはホスフィニル基によって連結されたこれらの基の何れか2個若しくはそれ以上を含む、二価の脂肪族又は脂環式結合基である。 好ましくは、R

    は少なくとも2個の炭素原子を有する置換又は非置換のアルキレン基である。


    【0128】


    これらの好ましいチオウレア配位子の更に詳細なことは、Lynch、Simpson、Shor、Willett及びZouによって、2000年9月21日に出願された、同時係属中で本願と共通に譲渡された米国特許出願第09/667,748号(参照して本明細書に含める)に示されている。 最も好ましくは、チオウレア化合物は、同じ脂肪族置換基によって置換されている。


    【0129】


    構造I、II又はIIIの代表的化学増感剤には、これらに限定されないが、下記の化合物が含まれる。 配位化合物に於いて、正確な化学構造は知ることができないことが理解されるべきである。 下記に示す構造は、テルル化合物の化学量論を表す。


    【0130】


    【化42】


    【0131】


    【化43】


    【0132】


    【化44】


    【0133】


    【化45】


    【0134】


    【化46】


    【0135】


    【化47】


    【0136】


    【化48】


    【0137】


    【化49】


    【0138】


    構造I又はIIによって本明細書に記載されたテルル化学増感剤は、単独に又は混合物で使用することができる。 これらは、フォトサーモグラフィ材料の表側上の1個又はそれ以上の画像形成層(群)の中に存在させることができる。 好ましくは、これらは、光触媒(例えば、感光性ハロゲン化銀)を含有する各層の中に存在している。 この材料中のこのような化合物の全量は、一般的に、ハロゲン化銀粒子の平均サイズに依存して変化するであろう。 この全量は、約0.01〜約2μmの平均サイズを有するハロゲン化銀粒子について、一般的に、全銀の1モル当たり少なくとも10

    −7モル、好ましくは、全銀の1モル当たり約10

    −5 〜10

    −2モルである。 上限は、使用する化合物、ハロゲン化銀のレベル及び平均粒子サイズに依存して変化し、これは当業者により容易に決定されるであろう。


    【0139】


    本発明で有用なテルル化学増感剤は、例えば、下記の文献に記載されているような、容易に入手できる出発物質及び公知の方法を使用して製造することができる。 K. J. Irgolic著、「テルルの有機化学(The Organic Chemistry of Tellurium)」、Gordon and Breach、ニューヨーク、1974年、K. J. lrgolic著、「有機化学のフーベン−ウェイル方法、第E 12b巻、有機テルル化合物(Houben Weyl Methods of Organic Chemistly, Vol. E 12b, Organotellurium Compounds)」、D. Klamann編、Georg Thieme Verlag、シュトゥットガルト、ドイツ国、1990年、「有機金属及び無機化学の合成方法(Synthetic Method of Organometallic and Inorganic Chemistry)」、W. A. Herrmann及びC. Zybill編、George Thieme Verlag、ニューヨーク、1997年;第4巻、第3章:K. J. lrgo1ic、テルル及びその化合物(Te11urium and its Compounds)、「有機セレン及びテルル化合物の化学(The Chemistry of Organic Selenium and Tellurium Compounds)」、第1巻、(1986年)及び第2巻(1987年)、S. Patai及びZ. Rappoport編、Wiley, ニューヨーク、H. J. Gysling、H. R. Luss及びD. L. Smith、Inorg. Chem. 、第18巻、第2696頁(1979年)、H. J. Gysling、M. Lelental、M. G. Mason及びL. J. Gerenser、J. Photogr. Sci. 、第30巻、第55頁(1982年)、S. Husebye、Phosphorus Sulfur、第38巻、第271−280頁(1988年)、S. Husebye、Phosphorus, Sulfur Silicon Relat. Elem. 、第136巻、第137巻及び第138巻、第377−395頁(1998年)、I. Haiduc、R. B. King及びM. G. Newton、Chem. Rev. 、第94巻、第301−326頁(1994年)、S. Husebye及びK. W. Tornoos、Acta Crystallog. 、第C56巻、第1242頁(2000年)並びにS. Husebye及びK. Maartmann−Moe、Acta Chem. Scand. 、第49巻、第834頁(1995年)。


    【0140】


    化合物I−1、[TeCl

    (テトラメチルチオウレア)

    ]は、0. Foss及びW. Johannessen、Acta Chem. Scand. 、第15巻、第1939頁(1961年)に記載されているようにして製造した。


    【0141】


    構造II[M(X

    [Te(R')]

    (式中、M=Pd又はPt、X=Cl、Br又はSCN、R'=アルキル又はアリール)]の化合物は、H. J. Gysling、H. R. Luss及びD. L. Smith、Inorg. Chem. 、第18巻、第2696頁(1979年)に記載されているように、適当なK

    [MX

    ]錯体と、2当量の二有機テルル化物との反応により製造した。 テルル化ジアルキル及びテルル化ジアリールは、K. J. Irgolic著、「テルルの有機化学」、Gordon and Breach、ニューヨーク、1974年に示された標準的方法により製造した。 種類Te(S

    CN(R

    a2 ))

    のテルル錯体は、W. Mazurek及びA. G. Moritz、Inorg. Chim. Acta、第154巻、第7l頁(1988年)及びG. St. Nikolov、N. Jordanov及びI. Havezov、J. Inorg. Nucl. Chem. 、第33巻、第1055頁(1971年)に報告された方法により製造した。


    【0142】


    種類Te(S

    X)

    [即ち、Te(S(C=S)NEt

    ]のTe錯体の代表的合成は、下記の通りである。


    【0143】


    TeO

    (1.6g、10ミリモル)を、4mLの濃塩酸及び7mLの氷酢酸の溶液中に、加熱しながら溶解させた。 固体が完全に溶解した後、得られた薄黄色溶液を、氷−塩浴中で−5℃に冷却し、そして5mLの水中の10gのNa

    ・5H

    Oの溶液を、(溶液温度を−5℃より下に維持して)攪拌しながらゆっくり添加した。 Na

    溶液の添加が完結した後、25mLより多いHCl−氷酢酸溶液を添加した。 氷−塩浴中の得られた溶液(T=−5℃)に、150mLの水中のNaS

    CNEt

    ・3H

    O(5.63g、25ミリモル)の溶液を、滴下により添加した。 ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム溶液の添加が完結した後、得られた反応溶液を水で1Lに希釈し、室温で15分間以上攪拌し、そして濾過した。 単離した橙色沈殿を、水で十分に洗浄し、空気乾燥して、4.18gを得た。 この粗製生成物を、30mLの熱トルエンから再結晶して、−10℃で12時間冷却して、バーガンディー赤色の針状物の生成物[3.7g(87%)]、m. p. =160℃を得た。


    分析:C

    10

    20

    Te(MW=424.14)についての計算値(実測値)、C,28.31(28.38),H,4.75(4.51),N,6.60(6.59),S,30.23(29.94)。


    【0144】


    本明細書に記載したテルル化学増感剤は、フォトサーモグラフィ乳剤配合物の製造の間に1回又はそれ以上添加することができる。 例えば、これらは、ピリジニウムヒドロブロミドペルブロミド、臭化カルシウム、臭化亜鉛又は類似の添加物の添加の前、間又は後に添加することができる。 幾つかの態様に於いて、これらは、任意の調色剤(toning agent)(後で説明する)を配合物に添加する前に又は任意の分光増感色素(後で説明する)を添加する前に添加する。 フォトサーモグラフィ乳剤に於ける最大感度増強を達成するための特別のテルル化合物を添加するための最適時については、日常的な実験により容易に決定されるであろう。


    【0145】


    追加の及び従来の化学増感剤を、上記の感度増加テルル化合物と組み合わせて使用することができる。 このような化合物は、硫黄若しくはセレンを含有していてよく又は金、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム若しくはこれらの組合せを含有する化合物、ハロゲン化スズのような還元剤又はこれらの全ての組合せからなっていてよい。 これらの材料の詳細なことは、例えば、T. H. James著、写真処理の理論、第4版、第5章、第149−169頁に記載されている。 適切な従来の化学増感方法は、また、米国特許第1,623,499号(Sheppard等)、米国特許第2,399,083号(Waller等)、米国特許第3,297,447号(McVeigh)、米国特許第3,297,446(Dunn)、米国特許第5,049,485号(Deaton)、米国特許第5,252,455号(Deaton)、米国特許第5,391,727号(Deaton)、米国特許第5,912,111号(Lok等)、米国特許第5,759,761号(Lushington等)及びEP−A−第0 915,371号(Lok等)に記載されている。


    【0146】


    一つの態様に於いて、第二化学増感剤が、本明細書に記載したテルル化学増感剤と組み合わせて使用することができる。 好ましい追加の化学増感剤は、前記の構造IV、V又はVIにより表されるようなチオウレア化合物である。 最も好ましい追加の化学増感剤は、構造IVにより表される四置換チオウレア化合物及び(前記した)米国特許出願第09/667,748号に記載されているものである。


    【0147】


    前記のように、本発明の画像形成材料を製造するために有用であるフォトサーモグラフィ乳剤は、下記の工程、即ち、順に、


    A)ハロゲン化銀粒子及び還元性銀イオンの非感光性源からなるフォトサーモグラフィ乳剤を得る工程並びにB)1種又はそれ以上の、上記の構造I又はIIにより表されるテルル化学増感剤を、ハロゲン化銀粒子の上又は周りに配置する工程によって製造することができる。


    【0148】


    製造方法は、また、


    A)ハロゲン化銀粒子を得る工程、


    B)ハロゲン化銀粒子及び還元性銀イオンの非感光性源のフォトサーモグラフィ乳剤を得る工程並びにC)工程Aの間又は工程Aの後の何れかの時点で、ハロゲン化銀粒子を、上記のような構造I又はIIにより表されるテルル化学増感剤で化学的に増感する工程を含んでなる。


    【0149】


    この方法の幾つかの態様に於いて、工程Cを工程Bに続けることができる。 即ち、化学増感は、予備形成したハロゲン化銀粒子の存在下での還元性銀の非感光性源の生成又は予備形成したハロゲン化銀粒子の存在下での還元性銀イオンの非感光性源の混合の後で起こる。


    【0150】


    また、工程Cは、工程Aと工程Bとの間で実施することができる。 この例に於いて、前生成したハロゲン化銀粒子は、それらが還元性銀イオンの非感光性源と混合される直前又はそれらの存在下で還元性銀イオンの非感光性源が生成される直前に化学増感される。


    【0151】


    なお更に、工程Cは、予備形成したハロゲン化銀粒子が還元性銀イオンの非感光性源と混合されるとき又は予備形成したハロゲン化銀粒子の存在下で還元性銀イオンの非感光性源が生成されるとき、予備形成したハロゲン化銀粒子を化学的に増感することによって、工程Aの間に実施することができる。


    【0152】


    ハロゲン化銀粒子が、有機硫黄含有化合物により更に化学増感される場合、工程Cには、また、酸化環境中でハロゲン化銀粒子の上又は周りの硫黄含有化合物を分解することが含まれる。 幾つかの例に於いて、この硫黄含有化合物は、分光増感色素としても当該技術分野で知られている有機硫黄含有化合物である。 このような化合物は、例えば、米国特許第5,891,615号(Winslow等)に記載されている。 酸化環境中での分解の際に、このような化合物は、分光増感の代わりに化学増感を与える。


    【0153】


    このような態様に於いて、フォトサーモグラフィ乳剤の製造方法は、更に、ハロゲン化銀粒子を分光増感するために、フォトサーモグラフィ乳剤に第二の分光増感色素を添加することからなると思われる。


    【0154】


    一般的に、紫外、可視及び赤外光に対するハロゲン化銀感度を増強するために、分光増感色素を添加することも望ましいであろう。 それで、感光性ハロゲン化銀を、ハロゲン化銀を分光増感するために公知である種々の色素で分光増感することができる。 使用することができる増感色素の限定されない例には、シアニン色素、メロシアニン色素、錯シアニン色素、錯メロシアニン色素、ホロ極性(holopolar)シアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素及びヘミオキサノール色素が含まれる。 シアニン色素、メロシアニン色素及び錯メロシアニン色素が特に有用である。 米国特許第3,719,495号(Lea)、米国特許第5,393,654号(Burrows等)、米国特許第5,441,866号(Miller等)、米国特許第5,541,054号(Miller等)、米国特許第5,281,515号(Delprato等)及び米国特許第5,314,795号(Helland等)に記載されているもののような適当な増感剤が、本発明の実施で有効である。 これらの特許の全部を、参照して本明細書に含める。


    【0155】


    添加する増感色素の適切な量は、一般的に、ハロゲン化銀1モル当たり約10

    −10 〜10

    −1モル、好ましくは約10

    −7 〜10

    −2モルである。


    【0156】


    還元性銀イオンの非感光性源


    本発明のフォトサーモグラフィ材料に使用される還元性銀イオンの非感光性源は、還元性銀(1+)イオンを含有する任意の化合物であってよい。 好ましくは、これは、光に対して比較的安定であり、露光された光触媒(例えば、ハロゲン化銀)及び還元組成物の存在下で50℃又はそれ以上に加熱したとき、銀画像を形成する銀塩である。


    【0157】


    有機酸の銀塩、特に長鎖カルボン酸の銀塩が好ましい。 この鎖には、典型的に10〜30個、好ましくは15〜28個の炭素原子が含まれる。 適当な有機銀塩には、カルボン酸基を有する有機化合物の銀塩が含まれる。 これらの例には、脂肪族カルボン酸の銀塩又は芳香族カルボン酸の銀塩が含まれる。 脂肪族カルボン酸の銀塩の好ましい例には、ベヘン酸銀、アラキドン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプリン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル酸銀、酒石酸銀、フロ酸銀、リノール酸銀、酪酸銀、ショウノウ酸銀及びこれらの混合物が含まれる。 好ましくは、少なくともベヘン酸銀が、単独で又は他の銀塩との混合物で使用される。


    【0158】


    芳香族カルボン酸及び他のカルボン酸基含有化合物の銀塩の好ましい例には、これらに限定されないが、安息香酸銀、3,5−ジヒドロキシ安息香酸銀、o−メチル安息香酸銀、m−メチル安息香酸銀、p−メチル安息香酸銀、2,4−ジクロロ安息香酸銀、アセトアミド安息香酸銀、p−フェニル安息香酸銀、没食子酸銀、タンニン酸銀、フタル酸銀、テレフタル酸銀、サリチル酸銀のような置換安息香酸銀、フェニル酢酸銀、ピロメリト酸銀、米国特許第3,785,830号(Sullivan等)に記載されているような3−カルボキシメチル−4−メチル−4−チアゾリン−2−チオンの銀塩又は他のもの及び米国特許第3,330,663号(Weyde等)に記載されているようなチオエーテル基を含有する脂肪族カルボン酸の銀塩が含まれる。 エーテル若しくはチオエーテル結合を含有する炭化水素鎖又はα−(炭化水素基上)若しくはオルト−(芳香族基上)位に立体障害置換基を有する及び塗布溶媒中で増加した溶解性を示す及びより少ない光散乱を有する塗膜を与える可溶性カルボン酸銀も、使用することができる。 このようなカルボン酸銀は、米国特許第5,491,059号(Whitcomb)に記載されている。 所望により、ここに記載した銀塩の何れかの混合物も使用することができる。


    【0159】


    スルホン酸の銀塩も、本発明の実施で有用である。 このような材料は、例えば、米国特許第4,504,575号(Lee)に記載されている。 スルホコハク酸の銀塩も、例えば、EP−A−第0 227 141号(Leenders等)に記載されているように有用である。


    【0160】


    メルカプト又はチオン基を含有する化合物の銀塩及びその誘導体も使用することができる。 これらの化合物の好ましい例には、これらに限定されないが、3−メルカプト−4−フェニル−1,2,4−トリアゾールの銀塩、2−メルカプトベンズイミダゾールの銀塩、2−メルカプト−5−アミノチアジアゾールの銀塩、2−(2−エチルグリコールアミド)ベンゾチアゾールの銀塩、チオグリコール酸の銀塩(例えば、S−アルキルチオグリコール酸の銀塩(但し、アルキル基は炭素数12〜22である))、ジチオカルボン酸の銀塩(例えば、ジチオ酢酸の銀塩)、チオアミドの銀塩、5−カルボキシル−1−メチル−2−フェニル−4−チオピリジンの銀塩、メルカプトトリアジンの銀塩、2−メルカプトベンゾオキサゾールの銀塩、米国特許第4,123,274号(Knight等)に記載されているような銀塩(例えば、3−アミノ−5−ベンジルチオ−1,2,4−チアゾールの銀塩のような1,2,4−メルカプトチアゾール誘導体の銀塩)及びチオン化合物の銀塩[例えば、米国特許第3,201,678号(Meixell)に記載されているような3−(2−カルボキシエチル)−4−メチル−4−チアゾリン−2−チオンの銀塩]が含まれる。


    【0161】


    更に、イミノ基を含有する化合物の銀塩を使用することができる。 これらの化合物の好ましい例には、これらに限定されないが、ベンゾトリアゾール及びその置換誘導体の銀塩(例えば、銀メチルベンゾトリアゾール及び銀5−クロロベンゾトリアゾール)、1,2,4−トリアゾール又は米国特許第4,220,709号(deMauriac)に記載されているようなフェニルメルカプトテトラゾールのような1−H−テトラゾールの銀塩並びに米国特許第4,260,677号(Winslow等)に記載されているようなイミダゾール及びイミダゾール誘導体の銀塩が含まれる。 更に、アセチレンの銀塩も、例えば、米国特許第4,761,361号(Ozaki等)及び米国特許第4,775,613号(Hirai等)に記載されているように使用することができる。


    【0162】


    有機ホスフィン配位子を含有する銀錯体[例えば、Ag{N(CH

    CH

    PPh

    }NO

    (M. Khan等、Inorg. Chem.、第32巻、第5800頁(1993年)に記載されているような)、Ag(PPh

    )(O

    SCF

    )[M. Bardji等、Inorg. Chem. Acta、第304巻、第7頁(2000年)に記載されているような]、[(Ph

    P)

    AgNO

    [P. G. Jones、Acta Crystallogr. 、第C49巻、第1148頁(1993年)に記載されているような]、Ag{P(メシチル)

    PF

    [E. C. Alyea等、Inorg. Chem. 、第21巻、第1369頁(1982年)に記載されているような]、Ag(PPh

    (O

    CCH

    )[B. Femi−Onadeko、Z. Kristallogr. 、第152巻、第159頁(1980年)に記載されているような]、Ag(O

    CR

    )(PPh

    (但し、R

    =メチル、CHCl

    、CH

    Cl、CCl

    、フェニル、p−トリル、o−トリル又はm−トリル)[C. Oldham等、J. Chem. Soc. (Dalton Trans)、第2068頁(1977年)に記載されているような]及びAg(PPh

    )NO

    [R. A. Stein等、Inorg. Chem. 、第16巻、第242頁(1977年)に記載されているような]のような、Ag[P(R

    (R

    =アルキル又はアリール、n=1〜4,X

    =NO

    、BF

    、PF

    、SCN

    、カルボキシラート又はCF

    SO

    )も使用することができる。 「Ph」はフェニル基を表す。


    【0163】


    銀半石鹸(silver half soap)を使用することも便利である。 銀半石鹸の好ましい例は、カルボン酸銀とカルボン酸との等モル量ブレンド物であり、これは、ブレンド物中に銀の固体約14.5重量%と分析され、市販の脂肪カルボン酸のナトリウム塩の水溶液からの沈殿により又は銀石鹸への遊離脂肪酸の添加により製造される。 透明フィルムのために、約15%以下の遊離脂肪酸を含み、約22%銀と分析されるカルボン酸銀フル石鹸(full soap)を使用することができる。 不透明フォトサーモグラフィ材料のために、異なった量を使用することができる。


    【0164】


    銀石鹸乳剤を製造するために使用される方法は、当該技術分野で公知であり、リサーチディスクロージャー、1983年4月、アイテム22812、リサーチディスクロージャー、1983年10月、アイテム23419、米国特許第3,985,565号(Gabrielsen等)及び前記引用した文献に開示されている。


    【0165】


    還元性銀イオンの非感光性源は、また、、本願と共通に譲渡され、同時継続出願の米国特許出願第09/761,954号(Whitcomb及びPhamによって、2001年1月17日に出願された)(参照して本明細書に含める)に記載されているもののようなコア−シェル銀塩として得ることができる。 これらの銀塩には、1種又はそれ以上の銀塩からなるコアと1種又はそれ以上の異なった銀塩を有するシェルが含まれる。


    【0166】


    本発明の実施に於ける還元性銀イオンの更に他の有用な源は、同時係属中の米国特許出願第09/812,597号(Whitcomb等によって、2001年3月20日に出願された)(参照して本明細書に含める)に記載されているような2種の異なった銀塩からなる銀二量体化合物である。 このような非感光性銀二量体化合物は、2種の異なった銀塩からなる。 但し、2種の異なった銀塩が、銀配位配位子として直鎖飽和炭化水素基を含むとき、これらの配位子は少なくとも6個の炭素原子ほど異なっている。


    【0167】


    当業者が理解するように、還元性銀イオンの非感光性源には、任意の所望の比率で、本明細書に記載した種々の銀塩化合物の種々の混合物が含まれてよい。


    【0168】


    光触媒及び還元性銀イオンの非感光性源は、触媒的近接(即ち、反応的会合)状態になくてはならない。 「触媒的近接」又は「反応的会合」は、これらが同じ層又は隣接する層内に存在すべきことを意味する。 これらの反応性成分が、同じ乳剤層内に存在することが好ましい。


    【0169】


    1種又はそれ以上の還元性銀イオンの非感光性源は、好ましくは、乳剤層の全乾燥重量基準で、約5重量%〜約70重量%、更に好ましくは約10重量%〜約50重量%の量で存在する。 換言すると、還元性銀イオンの源の量は、一般的に、乾燥したフォトサーモグラフィ材料のm

    当り、約0.001〜約0.2モル。 好ましくは約0.01〜約0.05モルの量で存在する。


    【0170】


    フォトサーモグラフィ材料中の銀(全ての銀源から)の全量は、一般的に、少なくとも0.002モル/m

    、好ましくは約0.01〜約0.05モル/m

    である。


    【0171】


    還元剤


    還元性銀イオン源のための還元剤(又は2種若しくはそれ以上の成分からなる還元剤組成物)は、銀(I)イオンを金属銀に還元することができる任意の材料、好ましくは有機材料であってよい。 没食子酸メチル、ヒドロキノン、置換ヒドロキノン、ヒンダードフェノール、アミドオキシム、アジン、カテコール、ピロガロール、アスコルビン酸(及びその誘導体)、ロイコ色素及び当業者に容易に明らかである他の材料のような従来の写真現像剤を、例えば、米国特許第6,020,117号(Bauer等)に記載されているような方法で使用することができる。


    【0172】


    幾つかの例に於いて、還元剤組成物は、ヒンダードフェノール現像剤及び種々の種類の下記の還元剤から選択することができる共現像剤のような1種又はそれ以上の成分からなる。 コントラスト増強剤の更なる添加を含む三元現像剤混合物も有用である。 このようなコントラスト増強剤は、下記の種々の種類から選択することができる。


    【0173】


    ヒンダードフェノール還元剤が好ましい(単独で、又は1種もしくはそれ以上の高コントラスト共現像剤及び共現像剤コントラスト増強剤と組み合わせて)。 これらは、与えられたフェニル環の上に1個のみのヒドロキシ基を含有し、ヒドロキシ基に対してオルトに配置された少なくとも1個の追加の置換基を有する化合物である。 ヒンダードフェノール現像剤には、それぞれのヒドロキシ基が異なったフェニル環上に配置されている限り、2個以上のヒドロキシ基が含有されていてよい。 ヒンダードフェノール現像剤には、例えば、ビナフトール(即ち、ジヒドロキシビナフチル)、ビフェノール(即ち、ジヒドロキシビフェニル)、ビス(ヒドロキシナフチル)メタン、ビス(ヒドロキシフェニル)メタン、ヒンダードフェノール及びヒンダードナフトール(それらのそれぞれは種々に置換されていてよい)が含まれる。


    【0174】


    代表的ビナフトールには、これらに限定されないが、1,1'−ビ−2−ナフトール、1,1'−ビ−4−メチル−2−ナフトール及び6,6'−ジブロモ−ビ−2−ナフトールが含まれる。 追加の化合物については、米国特許第3,094,417号(Workman)及び米国特許第5,262,295号(Tanaka等)(両者を参照して本明細書に含める)を参照。


    【0175】


    代表的ビフェノールには、これらに限定されないが、2,2'−ジヒドロキシ−3,3'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジメチルビフェニル、2,2'−ジヒドロキシ−3,3',5,5'−テトラ−t−ブチルビフェニル、2,2'−ジヒドロキシ−3,3'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジクロロビフェニル、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4−メチル−6−n−ヘキシルフェノール、4,4'−ジヒドロキシ−3,3',5,5'−テトラ−t−ブチルビフェニル及び4,4'−ジヒドロキシ−3,3',5,5'−テトラメチルビフェニルが含まれる。 追加の化合物については、(前記した)米国特許第5,262,295号を参照。


    【0176】


    代表的ビス(ヒドロキシナフチル)メタンには、これらに限定されないが、4,4'−メチレンビス(2−メチル−1−ナフトール)が含まれる。 追加の化合物については、(前記した)米国特許第5,262,295号を参照。


    【0177】


    代表的ビス(ヒドロキシフェニル)メタンには、これらに限定されないが、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン(CAO−5)、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン(ノノックス(NONOX)又はパーマナックス(PERMANAX)WSO)、1,1−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,4−エチリデン−ビス(2−t−ブチル−6−メチルフェノール)、2,2'−イソブチリデン−ビス(4,6−ジメチルフェノール)(ロウィノックス(LOWINOX)221B46)及び2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンが含まれる。 追加の化合物については、(前記した)米国特許第5,262,295号を参照。


    【0178】


    代表的ヒンダードフェノールには、これらに限定されないが、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジクロロフェノール、2,6−ジメチルフェノール及び2−t−ブチル−6−メチルフェノールが含まれる。


    【0179】


    代表的ヒンダードナフトールには、これらに限定されないが、1−ナフトール、4−メチル−1−ナフトール、4−メトキシ−1−ナフトール、4−クロロ−1−ナフトール及び2−メチル−1−ナフトールが含まれる。 追加の化合物については、(前記した)米国特許第5,262,295号を参照。


    【0180】


    ドライシルバー系に於いて開示された更に特別の代わりの還元剤には、フェニルアミドオキシム、2−チエニルアミドオキシム及びp−フェノキシフェニルアミドオキシムのようなアミドオキシム、アジン(例えば、4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンズアルデヒドラジン)、アスコルビン酸と組み合わせた2,2'−ビス(ヒドロキシメチル)−プロピオニル−β−フェニルヒドラジドのような、脂肪族カルボン酸アリールヒドラジドとアスコルビン酸との組合せ、ポリヒドロキシベンゼンとヒドロキシルアミン、レダクトン及び/又はヒドラジンとの組合せ[例えば、ヒドロキノンとビス(エトキシエチル)ヒドロキシルアミンとの組合せ]、ピペリジノヘキソースレダクトン又はホルミル−4−メチルフェニルヒドラジン、ヒドロキサム酸(例えば、フェニルヒドロキサム酸、p−ヒドロキシフェニルヒドロキサム酸及びo−アラニンヒドロキサム酸)、アジンとスルホンアミドフェノールとの組合せ(例えば、フェノチアジンと2,6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノール)、α−シアノフェニル酢酸誘導体(例えば、α−シアノ−2−メチルフェニル酢酸エチル及びα−シアノフェニル酢酸エチル)、ビス−o−ナフトール[例えば、2,2'−ジヒドロキシル−1−ビナフチル、6,6'−ジブロモ−2,2'−ジヒドロキシル−1,1'−ビナフチル及びビス(2−ヒドロキシル−1−ナフチル)メタン]、ビス−o−ナフトールと1,3−ジヒドロキシベンゼン誘導体(例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン又は2,4−ジヒドロアセトフェノン)との組合せ、3−メチル−1−フェニル−5−ピラゾロンのような5−ピラゾロン、レダクトン(例えば、ジメチルアミノヘキソースレダクトン、アンヒドロジヒドロ−アミノヘキソースレダクトン及びアンヒドロジヒドロ−ピペリドン−ヘキソースレダクトン)、スルホンアミドフェノール還元剤(例えば、2,6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノール及びp−ベンゼンスルホンアミドフェノール)、2−フェニルインダン−1,3−ジオン及び類似の化合物、クロマン(例えば、2,2−ジメチル−7−t−ブチル−6−ヒドロキシクロマン)、1,4−ジヒドロピリジン(例えば、2,6−ジメトキシ−3,5−ジカルベトキシ−1,4−ジヒドロピリジン)、アスコルビン酸誘導体(例えば、1−アスコルビルパルミタート、アスコルビルステアラート並びに不飽和アルデヒド及びケトン)、3−ピラゾリドン並びにある種のインダン−1,3−ジオンが含まれる。


    【0181】


    現像剤として使用することができる還元剤の追加の種類は、米国特許第5,464,738号(Lynch等)に記載されているスルホニルヒドラジドを含む置換ヒドラジンである。 更に他の有用な還元剤は、例えば、米国特許第3,074,809号(Owen)、米国特許第3,094,417号(Workman)、米国特許第3,080,254号(Grant, Jr.)及び米国特許第3,887,417号(Klein等)に記載されている。 米国特許第5,981,151号(Leenders等)に記載されているような補助還元剤が有用である。 これらの特許の全てを、参照して本明細書に含める。


    【0182】


    有用な共現像剤還元剤を、例えば、同時継続出願の米国特許出願第09/239,182号(Lynch及びSkoogによって、1999年1月28日に出願された)(参照して本明細書に含める)に記載されているように使用することもできる。 これらの化合物の例には、これらに限定されないが、2,5−ジオキソ−シクロペンタンカルボキシアルデヒド、5−(ヒドロキシメチレン)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン、5−(ヒドロキシメチレン)−1,3−ジアルキルバルビツール酸及び2−(エトキシメチレン)−1H−インデン−1,3(2H)−ジオンが含まれる。


    【0183】


    共現像剤として使用することができる還元剤の追加の種類は、米国特許第5,496,695号(Simpson等)に記載されているようなトリチルヒドラジド及びホルミルフェニルヒドラジド、米国特許第5,654,130号(Murray)に記載されているような2−置換マロンジアルデヒド化合物並びに米国特許第5,705,324号(Murray)に記載されているような4−置換イソキサゾール化合物である。 追加の現像剤は、米国特許第6,100,022号(Inoue等)に記載されている。 上記の特許の全てを、参照して本明細書に含める。


    【0184】


    共現像剤の更に他の種類には、米国特許第5,635,339号(Murray)及び米国特許第5,545,515号(Murray等)(両方を参照して本明細書に含める)に記載されている置換アクリロニトリル化合物が含まれる。 このような化合物の例には、これらに限定されないが、(前記した)に米国特許第5,635,339号於いてHET−01及びHET−02として同定された化合物並びに米国特許第5,545,515号(前記した)に於いてCN−01〜CN−13として同定された化合物が含まれる。 この種類の特に有用な化合物は、(ヒドロキシメチレン)シアノアセタート及びそれらの金属塩である。


    【0185】


    種々のコントラスト増強剤を、幾つかのフォトサーモグラフィ材料に於いて特別の共現像剤と共に使用することができる。 有用なコントラスト増強剤の例には、これらに限定されないが、例えば、米国特許第5,545,505号(Simpson)に記載されているようなヒドロキシルアミン、アルカノールアミン及びフタルアミド酸アンモニウム化合物、例えば、米国特許第5,545,507号(Simpson等)に記載されているようなヒドロキサム酸化合物、例えば、米国特許第5,558,983号(Simpson等)に記載されているようなN−アシルヒドラジン化合物並びに米国特許第5,637,449号(Harring等)に記載されているような水素原子供与体化合物が含まれる。 上記の特許の全てを、参照して本明細書に含める。


    【0186】


    本明細書に記載した還元剤(又はこれらの混合物)は、一般的に、乳剤層の1〜10%(乾燥重量)として存在する。 多層構成物に於いて、還元剤を乳剤層以外の層に添加する場合には、約2〜15重量%の、僅かにより高い比率が一層望ましいであろう。 任意の共現像剤は、一般的に、乳剤層塗膜の約0.001%〜約1.5%(乾燥重量)の量で存在してよい。


    【0187】


    カラー画像形成材料(例えば、単色、二色、又はフルカラー画像)のために、1種又はそれ以上の還元剤を使用することができ、これは直接的又は間接的に酸化されて、1種又はそれ以上の色素を生成又は放出する。


    色素形成又は放出化合物は、好ましくは、約80℃〜約250℃の温度に少なくとも1秒間加熱したとき、着色された形に酸化するか又は予備形成した色素を放出することができる、任意の着色した、無色の又は僅かに着色した化合物であってよい。 色素又は画像受容層と共に使用したとき、この色素は、画像形成層及び中間層を通って、フォトサーモグラフィ材料の画像受容層の中に拡散することができる。


    【0188】


    ロイコ色素又は「ブロックした」ロイコ色素は、本発明の実施に於いて、銀イオンによる酸化で色素を形成し、放出して、可視カラー画像を形成する、色素形成化合物(又は「ブロックした」色素形成化合物)の一種である。 ロイコ色素は、一般的に、可視領域で無色であるか又は非常に僅かに着色している(0.2より小さい光学濃度)、色素の還元形である。 それで、酸化により、無色から着色までのカラー変化、少なくとも0.2単位の光学濃度増加又は実質的な色相に於ける変化が得られる。


    【0189】


    有用なロイコ色素の代表的種類には、これらに限定されないが、発色性ロイコ色素(例えば、インドアニリン、インドフェノール又はアゾメチン色素)、例えば、米国特許第3,985,565号(Gabrielson等)に記載されているような2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾールのようなイミダゾールロイコ色素、例えば、米国特許第4,563,415号(Brown等)、米国特許第4,622,395号(Bellus等)、米国特許第4,710,570号(Thien)及び米国特許第4,782,010号(Mader等)に記載されているもののような、アジン、ジアジン、オキサジン又はチアジアジン核を有する色素並びに例えば、米国特許第4,932,792号(Grieve等)に記載されているようなベンジリデンロイコ化合物が含まれる。 これらの特許の全てを、参照して本明細書に含める。 上記の発色性ロイコ色素についての更に詳細なことは、米国特許第5,491,059号(前記した、第13欄)及びそれに記載された参照文献から得ることができる。


    【0190】


    ロイコ色素の他の有用な種類には、例えば、米国特許第4,587,211号(Ishida等)及び米国特許第4,795,697号(Vogel等)(両方を参照して本明細書に含める)に記載されている、「アルダジン」及び「ケタジン」ロイコ色素として知られているものが含まれる。


    【0191】


    色素放出化合物の更に他の有用な種類には、酸化の際に拡散性色素を放出するものが含まれる。 これらは、予備形成した色素放出(PDR)又はレドックス色素放出(RDR)化合物として知られている。 このような化合物に於いて、還元剤は、酸化の際に移動性の予備形成した色素を放出する。 このような化合物の例は、米国特許第4,981,775号(Swain)(参照して本明細書に含める)に記載されている。


    【0192】


    更に、他の有用な画像形成化合物は、例えば、特開昭59−165054号に記載されているような、色素単位の移動性が、高温度でハロゲン化銀又は非感光性銀塩による酸化−還元反応の結果として変化するものである。


    【0193】


    なお更に、還元剤は、写真技術分野で公知であるように、酸化の際に従来の写真色素形成カラーカプラー又は現像剤を放出する化合物であってよい。


    形成又は放出される色素は、同じ又は異なった画像形成層内で同じものであってよい。 反射性最大吸光度に於ける少なくとも60nmの差異が好ましい。 更に好ましくは、この差異は、約80〜約100nmである。 種々の色素吸光度についての更に詳細なことは、米国特許第5,491,059号(前記した、第14欄)に示されている。


    【0194】


    本発明のフォトサーモグラフィ材料の中に含有させることができる1種又はそれ以上の色素形成又は放出化合物の全量は、一般的に、それらが配置されている各画像形成層の全重量の、約0.5〜約25重量%である。 好ましくは、各画像形成層中のこの量は、全乾燥層重量基準で、約1〜約10重量%である。 ロイコ色素の有用な相対比率は、当業者に容易に知られるであろう。


    【0195】


    他の添加物


    本発明のフォトサーモグラフィ材料には、また、当業者に容易に明らかであるような、保存寿命安定剤、調色剤、カブリ防止剤、コントラスト増強剤、現像促進剤、アキュータンス色素、処理後安定剤又は安定剤前駆体及び他の画像変性剤のような他の添加物が含有されていてよい。


    【0196】


    フォトサーモグラフィ材料の特性(例えば、コントラスト、D

    min 、感度又はカブリ)を更に制御するために、1種又はそれ以上の、式Ar−S−M及びAr−S−S−Ar(式中、Mは、水素原子又はアルカリ金属原子を表し、そしてArは、窒素、硫黄、酸素、セレン又はテルル原子の1個又はそれ以上を含有するヘテロ芳香族環又は縮合ヘテロ芳香族環を表す)の、ヘテロ芳香族メルカプト化合物又はヘテロ芳香族ジスルフィド化合物を添加することが好ましいであろう。 好ましくは、ヘテロ芳香族環は、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、ベンゾセレナゾール、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、チアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリン、キノリン又はキナゾリノンからなる。 他のヘテロ芳香族環を有する化合物も、適していると予見される。 例えば、ヘテロ芳香族メルカプト化合物は、EP−A−第0 559 228号(Philip Jr.等)に、赤外フォトサーモグラフィ材料のための強色増感剤として記載されている。


    【0197】


    ヘテロ芳香族環は、また、置換基を有していてよい。 好ましい置換基の例は、ハロ基(例えば、ブロモ及びクロロ)、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、アルキル基(例えば、炭素数1又はそれ以上のもの、好ましくは炭素数1〜4のもの)及びアルコキシ基(例えば、炭素数1又はそれ以上のもの、好ましくは炭素数1〜4のもの)である。


    【0198】


    ヘテロ芳香族メルカプト化合物が最も好ましい。 好ましいヘテロ芳香族メルカプト化合物の例は、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプト−5−メチルベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール及び2−メルカプトベンゾオキサゾール並びにこれらの混合物である。


    【0199】


    使用する場合、ヘテロ芳香族メルカプト化合物は、一般的に、乳剤層中に、乳剤層中の全銀の1モル当たり少なくとも約0.0001モルの量で存在する。 更に好ましくは、ヘテロ芳香族メルカプト化合物は、全銀の1モル当たり、約0.001モル〜約1.0モル、最も好ましくは、約0.005モル〜約0.2モルの範囲内で存在する。


    【0200】


    本発明のフォトサーモグラフィ材料は、更に、カブリの生成に対して保護することができ、貯蔵の間の感度の低下に対して安定化させることができる。 本発明の実施のために必要ではないが、乳剤層(群)に水銀(II)塩をカブリ防止剤として添加することが有利であろう。 この目的のための好ましい水銀(II)塩は、酢酸第二水銀及び臭化第二水銀である。 他の有用な水銀塩には、米国特許第2,728,663号(Allen)に記載されているものが含まれる。


    【0201】


    単独で又は組み合わせて使用することができる他の適当なカブリ防止剤及び安定剤には、米国特許第2,131,038号(Staud)及び米国特許第2,694,716(Allen)に記載されているようなチアゾリウム塩、米国特許第2,886,437号(Piper)に記載されているようなアザインデン、米国特許第2,444,605号(Heimbach)に記載されているようなトリアザインドリジン、米国特許第3,287,135号(Anderson)に記載されているようなウラゾール、米国特許第3,235,652号(Kennard)に記載されているようなスルホカテコール、GB第623,448号(Carrol等)に記載されているようなオキシム、米国特許第2,839,405号(Jones)に記載されているような多価金属塩、米国特許第3,220,839号(Herz)に記載されているようなチウロニウム塩、米国特許第2,566,263号(Trirelli)及び米国特許第2,597,915号(Damshroder)に記載されているようなパラジウム、白金及び金塩並びに米国特許第5,460,938号(Kirk等)に記載されているような2−(トリブロモメチルスルホニル)キノリン化合物が含まれる。


    【0202】


    現像の間に熱を適用した際に安定剤を放出することができる安定剤前駆体化合物を使用することもできる。 このような前駆体化合物は、例えば、米国特許第5,158,866号(Simpson等)、米国特許第5,175,081号(Krepski等)、米国特許第5,298,390号(Sakizadeh等)及び米国特許第5,300,420号(Kenney等)に記載されている。


    【0203】


    更に、ベンゾトリアゾールのある種の置換スルホニル誘導体(例えば、アルキルスルホニルベンゾトリアゾール及びアリールスルホニルベンゾトリアゾール)が、米国特許第6,171,767号(Kong等)に記載されているように、有用な安定化化合物(例えば、後処理プリント安定化のため)であることが見出された。


    【0204】


    更に、特別の有用なカブリ防止剤/安定剤が、米国特許第6,083,681号(Lynch等)(参照して本明細書に含める)に、より詳細に記載されている。


    【0205】


    他のカブリ防止剤は、例えば、米国特許第5,028,523号(Skoug)に記載されているような複素環式化合物の臭化水素酸塩(例えば、ピリジニウムヒドロブロミドペルブロミド)、例えば、米国特許第5,594,143号(Kirk等)及び米国特許第5,374,514号(Kirk等)に記載されているような−SO

    CBr

    基を有する化合物、例えば、米国特許第4,784,939号(Pham)に記載されているようなベンゾイル酸化合物、例えば、米国特許第5,686,228号(Murray等)に記載されているような置換プロペンニトリル化合物、例えば、5,358,843号(Sakizadeh等)に記載されているようなシリル保護化合物、例えば、EP−A−第0 600,589号(Philip, Jr.等)及びEP−A−第0 600,586号(Philip, Jr.等)に記載されているようなビニルスルホン並びに例えば、EP−A−第0 600,587号(Oliff等)に記載されているようなトリブロモメチルケトンである。


    【0206】


    好ましくは、本発明のフォトサーモグラフィ材料には、これらに限定されないが、ジクロロ、ジブロモ、トリクロロ及びトリブロモ基を含む1個又はそれ以上のポリハロ置換基を含む、1種又はそれ以上のポリハロカブリ防止剤が含有される。 カブリ防止剤は、芳香族複素環式及び炭素環式化合物を含む、脂肪族、脂環式又は芳香族化合物であってよい。


    【0207】


    特に有用なカブリ防止剤は、−SO

    C(X')

    基(式中、X'は同じか又は異なったハロゲン原子を表す)を有するもののようなポリハロカブリ防止剤である。


    【0208】


    画像を改良する「調色剤」又はその誘導体を使用することが非常に望ましい。 好ましくは、使用する場合、調色剤は、それが含有される層の全乾燥重量基準で、約0.01重量%〜約10重量%、更に好ましくは約0.1重量%〜約10重量%の量で存在してよい。 調色剤は、フォトサーモグラフィ乳剤層又は隣接層の中に含有させることができる。 調色剤は、米国特許第3,080,254号(Grant, Jr.)、米国特許第3,847,612号(Winslow)、米国特許第4,123,282号(Winslow)、米国特許第4,082,901号(Laridon等)、米国特許第3,074,809号(Owen)、米国特許第3,446,648号(Workman)、米国特許第3,844,797号(Willems等)、米国特許第3,951,660号(Hagemann等)、米国特許第5,599,647号(Defieuw等)及びGB第1,439,478号(AGFA)に示されているように、フォトサーモグラフィ技術分野で公知の材料である。


    【0209】


    調色剤の例には、これらに限定されないが、フタルイミド及びN−ヒドロキシフタルイミド、環式イミド(例えば、スクシンイミド)、ピラゾリン−5−オン、キナゾリノン、1−フェニルウラゾール、3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、2,4−チアゾリジンジオン、ナフタールイミド(例えば、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタールイミド)、コバルト錯体[例えば、ヘキサアンミンコバルト(3+)トリフルオロアセタート]、メルカプタン(例えば、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2,4−ジメルカプトピリミジン、3−メルカプト−4,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール及び2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール)、N−(アミノメチル)アリールジカルボキシイミド[例えば、(N,N−ジメチルアミノメチル)フタルイミド及びN−(ジメチルアミノメチル)ナフタレン−2,3−ジカルボキシイミド]、ブロックしたピラゾール、イソチウロニウム誘導体及びある種の光漂白剤の組合せ[例えば、N,N'−ヘキサメチレン−ビス(1−カルバモイル−3,5−ジメチルピラゾール)、1,8−(3,6−ジアザオクタン)ビス(イソチウロニウム)トリフルオロアセタート及び2−(トリブロモメチルスルホニルベンゾチアゾール)の組合せ]、メロシアニン色素(例えば、3−エチル−5−[(3−エチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)−1−メチル−エチリデン]−2−チオ−2,4−o−アゾリジン−ジオン)、フタラジン及びその誘導体[例えば、米国特許第6,146,822号(Asanuma等)に記載されているもの]、フタラジノン及びフタラジノン誘導体又は金属塩又はこれらの誘導体(例えば、4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメトキシフタラジノン及び2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン)、フタラジン(又はその誘導体)プラス1種又は2種以上のフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル酸無水物)の組合せ、キナゾリンジオン、ベンゾオキサジン又はナフトオキサジン誘導体、色調変性剤としてのみならずインシトゥでハロゲン化銀生成のためのハロゲン化物源として機能するロジウム錯体[例えば、ヘキサクロロロジウム(III)酸アンモニウム、臭化ロジウム、硝酸ロジウム及びヘキサクロロロジウム(III)酸カリウム]、ベンゾオキサジン−2,4−ジオン(例えば、1,3−ベンゾオキサジン−2,4−ジオン、8−メチル−1,3−ベンゾオキサジン−2,4−ジオン及び6−ニトロ−1,3−ベンゾオキサジン−2,4−ジオン)、ピリミジン及びasym−トリアジン(例えば、2,4−ジヒドロキシピリミジン、2−ヒドロキシ−4−アミノピリミジン及びアザウラシル)並びにテトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6−ジメルカプト−1,4−ジフェニル−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン及び1,4−ジ−(o−クロロフェニル)−3,6−ジメルカプト−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン)が含まれる。


    【0210】


    フタラジン及びフタラジン誘導体[例えば、米国特許第6,146,822号(前記した)(参照して本明細書に含める)に記載されているもの]が特に有用な調色剤である。


    【0211】


    バインダー


    本発明で使用される、光触媒(例えば、感光性ハロゲン化銀)、還元性銀イオンの非感光性源、還元剤組成物及び任意の他の添加物は、一般的に、親水性又は疎水性である1種又はそれ以上のバインダーに添加される。 それで、本発明のフォトサーモグラフィ材料を製造するために、水性又は溶媒性配合物を使用することができる。 バインダーの何れかの種類又は両方の種類を使用することもできる。 バインダーは、例えば、溶液又は懸濁液中で他の成分を保持するために十分に極性である、天然樹脂及び合成樹脂のような疎水性ポリマー材料から選択されることが好ましい。


    【0212】


    典型的な疎水性バインダーの例には、これらに限定されないが、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、メタクリレートコポリマー、無水マレイン酸エステルコポリマー、ブタジエン−スチレンコポリマー及び当業者に容易に明らかな他の材料が含まれる。 コポリマー(ターポリマーを含む)もポリマーの定義に含まれる。 ポリビニルアセタール(例えば、ポリビニルブチラール及びポリビニルホルマール)及びビニルコポリマー(例えば、ポリ酢酸ビニル及びポリ塩化ビニル)が特に好ましい。 特に適当なバインダーは、ブトバル(BUTVAR)(登録商標)B79(ソルーシャ社(Solutia, Inc.)及びピオロフォーム(Pioloform)BS−18又はピオロフォームBL−16(ワッカー・ケミカル社(Wacker Chemical Company)として入手できるポリビニルブチラール樹脂である。疎水性バインダーの水性分散液(又はラテックス)を使用することもできる。


    【0213】


    有用な親水性バインダーの例には、これらに限定されないが、ゼラチン及びゼラチン様誘導体(硬化させた又は硬化させない)、ヒドロキシメチルセルロースのようなセルロース性材料、アクリルアミド/メタクリルアミドポリマー、アクリル酸/メタクリル酸ポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール及び多糖類(例えば、でキストラン及びデンプンエーテル)が含まれる。


    【0214】


    所望により、種々のバインダーのための硬化剤を存在させることができる。 有用な硬化剤は公知であり、これには、例えば、EP−第0 600 586B1号に記載されているようなジイソシアナート化合物及びEP−第0 600 589B1号に記載されているようなビニルスルホン化合物が含まれる。


    フォトサーモグラフィ材料の比率及び添加物が特別の現像時間及び温度を必要とする場合、バインダー(群)はこれらの条件に耐えることができなくてはならない。 一般的に、バインダーが120℃で60秒間、分解しないか又はその構造的完全性を失わないことが好ましい。 これは、177℃で60秒間、分解しないか又はその構造的完全性を失わないことが更に好ましい。


    【0215】


    ポリマーバインダー(群)は、その中に分散された成分を保有するために十分な量で使用される。 有効な範囲は、当業者によって適切に決定することができる。 好ましくは、バインダーは、それが含まれている層の全乾燥重量基準で、約10重量%〜約90重量%のレベルで、更に好ましくは約20重量%〜約70重量%のレベルで使用される。


    【0216】


    支持体材料


    本発明のフォトサーモグラフィ材料は、好ましくは、その用途に依存して、任意の所望の厚さを有する可撓性透明フィルムであり、1種又はそれ以上のポリマー材料から構成されたポリマー支持体からなる。 支持体は、一般的に透明である(特に、材料をフォトマスクとして使用する場合)か又は少なくとも半透明であるが、幾つかの例に於いて、不透明支持体が有用であろう。 これらは、熱現像の間に寸法的安定性を示し、オーバーレイ層で適当な接着特性を有することが必要である。 このような支持体を製造するための有用なポリマー材料には、これらに限定されないが、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート)、酢酸セルロース及び他のセルロースエステル、ポリビニルアセタール、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン)、ポリカーボネート及びポリスチレン(例えば、スチレン誘導体のポリマー)が含まれる。 好ましい支持体は、ポリエステル及びポリカーボネートのような、良好な熱安定性を有するポリマーから構成される。 支持体材料は、また、収縮を減少させ、寸法安定性を助長するために、処理するか又はアニールすることができる。 ポリエチレンテレフタレートが最も好ましい支持体である。 種々の支持体は、例えば、リサーチディスクロージャー、1979年8月、アイテム18431に記載されている。 寸法的に安定なポリエステルフィルムの製造方法は、リサーチディスクロージャー、1999年9月、アイテム42536に記載されている。


    【0217】


    着色したポリマーフィルム及び高温度に対して安定である樹脂被覆紙のような不透明支持体を使用することもできる。


    【0218】


    支持体材料には、所望により、種々の着色剤、顔料、ハレーション防止色素又はアキュータンス色素が含有されていてよい。 支持体材料は、オーバーレイ層の接着を改良するために一般的な方法(例えば、コロナ放電)を使用して処理するか又は下塗り若しくは他の接着助長層を使用することができる。 有用な下塗り層配合物には、ハロゲン化ビニリデンポリマーのような、写真材料のために一般的に使用されているものが含まれる。


    【0219】


    フォトサーモグラフィ配合物


    フォトサーモグラフィ乳剤層(群)のための配合物は、バインダー、光触媒、還元性銀イオンの非感光性源、還元組成物及び任意の添加物を、トルエン、2−ブタノン(メチルエチルケトン)、アセトン又はテトラヒドロフランのような有機溶媒中に溶解又は分散させることによって製造することができる。


    【0220】


    また、これらの成分は、水又は水−有機溶媒混合物中で、親水性バインダーと共に配合して、水性被覆配合物を得ることができる。


    【0221】


    本発明のフォトサーモグラフィ材料には、米国特許第2,960,404号(Milton等)に記載された種類のポリアルコール及びジオール、米国特許第2,588,765号(Robijns)及び米国特許第3,121,060号(Duane)に記載されたもののような脂肪酸又はエステル並びGB第955,061号(デュポン(DuPont))に記載されたもののようなシリコーン樹脂のような、可塑剤及び滑剤が含有されてよい。 この材料には、また、デンプン、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ並びに米国特許第2,992,101号(Jelley等)及び米国特許第2,701,245号(Lynn)に記載された種類のビーズを含むポリマービーズが含有されてよい。 ポリマー性フッ素化界面活性剤も、米国特許第5,468,603号(Kub)に記載されているように、塗布能力及び光学的濃度均一性を改良することのような、種々の目的のために、画像形成材料の1個又はそれ以上の層中で有用であろう。


    【0222】


    EP−A−第0 792 476号(Geisler等)には、光学濃度を減少させる(「木目調」効果として知られている)か又は不均一にするためのフォトサーモグラフィ材料を変性する種々の手段が記載されている。 この効果は、支持体の処理、トップコートにマット剤を添加すること、或る層にアキュータンス色素を使用すること又は前記の刊行物に記載された他の方法を含む幾つかの手段によって、低下させるか又は除去することができる。


    【0223】


    本発明のフォトサーモグラフィ材料には、帯電防止層又は導電層が含まれてよい。 このような層には、米国特許第2,861,056号(Minsk)及び米国特許第3,206,312号(Sterman等)に記載されているもののような可溶性塩(例えば、塩化物又は硝酸塩)、蒸発した金属層若しくはイオン性ポリマー又は米国特許第3,428,451号(Trevoy)に記載されているもののような不溶性無機塩、米国特許第5,310,640号(Markin等)に記載されているもののような電導性下層、米国特許第5,368,995号(Christian等)に記載されているもののような電子的伝導性アンチモン酸金属粒子並びにEP−A−第0 678 776号(Melpolder等)に記載されているもののようなポリマーバインダー中に分散された電導性金属含有粒子が含まれる。 他の耐電防止剤は当該技術分野で公知である。


    【0224】


    フォトサーモグラフィ材料は、支持体上の1個又はそれ以上の層から構成されていてよい。 単層材料には、光触媒、還元性銀イオンの非感光性源、還元性組成物、バインダー並びに調色剤、アキュータンス色素、塗布助剤及びその他の補助剤が含有されていなくてはならない。


    【0225】


    全ての成分を含有する単一画像形成層皮膜及び表面保護トップコートからなる二層構成物が、一般的に本発明の材料中に見出される。 しかしながら、一つの画像形成層(通常、支持体に隣接する層)中の光触媒及び還元性銀イオンの非感光性源並びに第二画像形成層中の又は両方の層の間に分布された還元組成物及び他の成分を含有する二層構成物も予想される。


    【0226】


    フォトサーモグラフィ材料に於いて一つの層の他の層への接着を助長するための層も、例えば、米国特許第5,891,610号(Bauer等)、米国特許第5,804,365号(Bauer等)及び米国特許第4,741,992号(Przezdziecki)に記載されているように公知である。 接着は、また、例えば、米国特許第5,928,857号(Geisler等)に記載されているように特別のポリマー接着材料を使用して助長することができる。


    【0227】


    同時係属中の米国特許出願第09/728,416号(Kenney、Skoug、Ishida及びWallaceによって、2000年12月1日に出願された)、米国特許出願第09/821,983号(Bauer、Horch、Miller、Yacobucci及びIshidaによって、2001年3月30日に出願された)及び米国特許出願第09/916,366号(Bauer、Horch、Miller、Teegarden、Hunt及びSakizadehによって、2001年7月27日に出願された)(全て、参照して本明細書に含める)に記載されているポリマーバリヤー層を含む、フィルムからの放出を減少させるための層が存在していてもよい。


    【0228】


    上記のフォトサーモグラフィ乳剤は、ワイヤー巻き付けロッドコーティング、ディップコーティング、エヤーナイフコーティング、カーテンコーティング、スライドコーティング又は米国特許第2,681,294号(Beguin)に記載された型のホッパーを使用する押出コーティングを含む種々の塗布方法により塗布することができる。 層は、1回に1個ずつ被覆することができ又は2個若しくはそれ以上の層を、米国特許第2,761,791号(Russell)、米国特許第4,001,024号(Dittman等)、米国特許第4,569,863号(Keopke等)、米国特許第5,340,613号(Hanzalik等)、米国特許第5,405,740号(LaBelle)、米国特許第5,415,993号(Hanzalik等)、米国特許第5,525,376号(Leonard)、米国特許第5,733,608号(Kessel等)、米国特許第5,849,363号(Yapel等)、米国特許第5,843,530号(Jerry等)、米国特許第5,861,195号(Bhave等)及びGB第837,095号(Ilford)に記載されている方法により同時に塗布することができる。 乳剤層のための典型的な塗布ギャップは、約10〜約750μmであってよく、層は、約20℃〜約100℃の温度で強制空気中で乾燥させることができる。 層の厚さは、マクベス(MacBeth)カラーデンシトメーター、モデルTD504により測定したとき、約0.2より大きい、更に好ましくは約0.5〜5.0又はそれ以上の最大画像濃度を与えるように選択することが好ましい。


    【0229】


    種々の塗布技術を使用して層を同時に塗布するとき、前記の2種又はそれ以上のポリマーの単一相混合物からなる「キャリア」層配合物を使用することができる。 このような配合物は、同時係属中で本願と共通に譲渡された米国特許出願第09/510,648号(Ludemann、LaBelle、Geisler、Warren、Crump及びBhaveによって、2000年2月23日に出願された)に記載されている。


    【0230】


    モトル(mottle)及び他の表面異常物は、本発明の材料中で、例えば、米国特許第5,532,121号(Yonkoski等)に記載されているようにフッ素化ポリマーの含有により又は例えば、米国特許第5,621,983号(Ludemann等)に記載されているように特別の乾燥技術を使用することにより、減少させることができる。


    【0231】


    好ましくは、スライドコーティングを使用して、2個又はそれ以上の層をフィルム支持体に適用することができる。 第一層を、第二層が未だ湿潤している間に、第二層の上に塗布することができる。 これらの層を塗布するために使用する第一及び第二液体は、同じか又は異なった有機溶媒(又は有機溶媒混合物)であってよい。


    【0232】


    好ましくは、スライドコーティングを使用して、2個又はそれ以上の層をフィルム支持体に適用することができる。 第一層を、第二層が未だ湿潤している間に、第二層の上に塗布することができる。 これらの層を塗布するために使用する第一及び第二液体は、同じか又は異なった有機溶媒(又は有機溶媒混合物)であってよい。


    【0233】


    第一層及び第二層をフィルム支持体の片側の上に塗布することができるが、製造方法には、また、該ポリマー支持体の反対側又は裏側に、ハレーション防止層、帯電防止層若しくはマット剤(例えば、シリカ)を含有する層又はこのような層の組合せを含む、1個又はそれ以上の追加の層を形成することが含まれてもよい。 本発明のフォトサーモグラフィ材料には、支持体の両側に乳剤層が含まれ得ることも意図される。


    【0234】


    好ましい態様に於いて、本発明のフォトサーモグラフィ材料には、支持体の、1個又は2個以上の熱現像性層と同じ側に表面保護層が、支持体の反対側にハレーション防止層が又は支持体のそれぞれの側に表面保護層とハレーション防止層との両方が含まれている。


    【0235】


    画像鮮鋭度を助長するために、本発明によるフォトサーモグラフィ材料には、1個又はそれ以上の、アキュータンス色素及び/又はハレーション防止色素を含有する層が含まれてよい。 これらの色素は、露光波長に近い吸収を有するように選択され、散乱光を吸収するように設計される。 1種又はそれ以上のハレーション防止色素を、ハレーション防止バッキング層として、ハレーション防止下層として又はハレーション防止オーバーコートとして、公知の技術に従って1個又はそれ以上のハレーション防止層の中に含有させることができる。 更に、1種又はそれ以上のアキュータンス色素を、1個又はそれ以上の、フォトサーモグラフィ乳剤層、プライマー層、下層又はトップコート層のような前側層の中に、公知の技術に従って含有させることができる。 本発明のフォトサーモグラフィ材料には、乳剤層及びトップコート層が塗布されている側とは反対側の支持体上に、ハレーション防止皮膜が含まれていることが好ましい。


    【0236】


    ハレーション防止色素及びアキュータンス色素として特に有用な色素には、下記の一般構造:


    【0237】


    【化50】


    【0238】


    によって表される核を有するジヒドロペリミジンスクアライン色素が含まれる。 ジヒドロペリミジンスクアライン核を有するこのような色素及びその製造方法の詳細は、米国特許第6,063,560号(Suzuki等)及び米国特許第5,380,635号(Gomez等)(これらの両方を参照して本明細書に含める)に記載されている。 これらの色素は、また、本発明の材料の前側層内のアキュータンス色素として使用することができる。 一つの特に有用なジヒドロペリミジンスクアライン色素は、シクロブテンジイリウム,1,3−ビス[2,3−ジヒドロ−2,2−ビス[[1−オキソヘキシル)オキシ]メチル]−1H−ペリミジン−4−イル]−2,4−ジヒドロキシ−,ビス(内部塩)である。


    【0239】


    フォトサーモグラフィ材料の裏側層内のハレーション防止色素として特に有用な色素には、また、下記の一般構造:


    【0240】


    【化51】


    によって表される核を有するインドレニンシアニン色素が含まれる。 インドレニンシアニン核を有するこのようなハレーション防止色素及びその製造方法の詳細は、EP−A−第0 342 810号(Leichter)(参照して本明細書に含める)に記載されている。 それに記載された一つの特に有用なシアニン色素、化合物(6)は、3H−インドリウム,2−[2−[2−クロロ−3−[(1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−2H−インドール−2−イリデン)エチリデン]−5−メチル−1−シクロヘキセン−1−イル]エテニル]−1,3,3−トリメチル−,ペルクロラートである。


    【0241】


    処理の間に熱によって脱色又は漂白するアキュータンス色素又はハレーション防止色素を含有する組成物を使用することも、本発明に於いて有用である。 これらの種類の色素を使用する色素及び構成物は、例えば、米国特許第5,135,842号(Kitchin等)、米国特許第5,266,452号(Kitchin等)、米国特許第5,314,795号(Helland等)、EP−A−第0 911 693号(Sakurada等)に記載されている。


    追加の熱漂白性ハレーション防止組成物には、例えば、同時係属中の米国特許出願第09/875,772号(Goswami、Ramsden、Zielinski、Baird、Weinstein、Helber及びLynchによって、2001年6月6日に出願された)に記載されているようなある種のオキソノール色素又は例えば、同時係属中の米国特許出願第09/944,573号(Ramsden及びBairdによって、2001年8月31日に出願された)(両方を参照して本明細書に含める)に記載されている他の色素と組み合わせて使用される、ヘキサアリールビイミダゾール(HABI)が含まれる。


    【0242】


    画像形成/現像


    一般的に、本発明の材料は、約300〜約850nmの範囲内の放射線に対して感光性である。 画像形成は、フォトサーモグラフィ材料を、紫外線、可視光、近赤外線及び赤外線を含む、それらが感光性である適当な放射線源(典型的に、幾つかの種類の放射線又は電子信号)に露光して、潜像を得ることによって達成できる。


    【0243】


    本発明の画像形成材料は、任意の適当な画像形成源(典型的に、幾つかの種類の放射線又は電子信号)を使用して、材料の種類と調和する任意の適当な手段で画像形成することができるが、下記の検討は好ましい画像形成手段に指向しているであろう。 一般的に、この材料は、約300〜約850nmの範囲内の放射線に対して感光性である。


    【0244】


    画像形成は、フォトサーモグラフィ材料を、紫外線、可視光、近赤外線及び赤外線を含む、それらが感光性である適当な放射線源に露光して、潜像を得ることによって達成できる。 適当な露光手段は公知であり、これには、所望の領域内で放射線を発光するレーザーダイオード、フォトダイオード及びリサーチディスクロージャー、第389巻、1996年9月、アイテム38957を含む当該技術分野で記載された他のもの(例えば、日光、キセノンランプ及び蛍光灯)が含まれる。 特に有用な露光手段では、米国特許第5,780,207号(Mohapatra等)に記載されているような多重縦露光(multilongitudinal exposure)技術として知られているものを使用して画像形成効率を向上させるように変調されたレーザーダイオードを含む、レーザーダイオードが使用される。 他の露光技術は、米国特許第5,493,327号(McCallum等)に記載されている。


    【0245】


    熱現像条件は、使用される構成に依存して変化するであろうが、これには典型的に、画像様露光された材料を適当に上昇させた温度で加熱することが含まれる。 そうして、露光された材料を、例えば、約50℃〜約250℃(好ましくは約80℃〜約200℃、更に好ましくは約100℃〜約200℃)の適度に上昇させた温度で、一般に約1〜約120秒間の十分な時間加熱することによって、潜像を現像することができる。 加熱は、ホットプレート、スチームアイロン、ホットローラ又は加熱浴のような任意の適当な加熱手段を使用して達成することができる。


    【0246】


    幾つかの方法に於いて、現像は、2段階で実施される。 熱現像は、より高い温度でより短い時間(例えば、約150℃で約10秒間以内)で起こり、続いて転写溶媒の存在下でより低い温度(例えば、約80℃)で熱拡散が起こる。


    【0247】


    フォトマスクとしての用途


    本発明のフォトサーモグラフィ材料は、非画像形成領域で約350〜約450nmの範囲内で十分に透過性であり、紫外又は短波長可視放射線感光性画像形成性媒体の次の露光が存在する方法でそれを使用することが可能である。 例えば、フォトサーモグラフィ材料を画像形成し、続いて現像することによって、可視画像が得られる。 熱現像されたフォトサーモグラフィ材料は、可視画像が存在する領域内で紫外又は短波長可視放射線を吸収し、可視画像が存在しない領域で紫外又は短波長可視放射線を透過する。 次いで、熱現像された材料を、マスクとして使用し、画像形成放射線源(例えば、紫外又は短波長可視放射線エネルギー源)と、光重合体、ジアゾ材料、フォトレジスト又は感光性印刷板のような、このような画像形成放射線に対して感光性である画像形成性材料との間に配置することができる。 画像形成性材料を、露光し、熱現像されたフォトサーモグラフィ材料内の可視画像を通して、画像形成放射線に露光することによって、画像形成性材料内に画像が得られる。 この方法は、画像形成性媒体が印刷板からなり、フォトサーモグラフィ材料が画像固定フィルムとして機能する場合に、特に有用である。


    【0248】


    本発明は、また、本発明のフォトサーモグラフィ材料を、最初に電磁放射線に露光し、その後加熱することによる、可視画像(通常、黒白画像)の形成方法を提供する。 一つの態様に於いて、本発明は、


    A)本発明のフォトサーモグラフィ材料の何れかを、材料の光触媒(例えば、感光性ハロゲン化銀)が感光性である電磁放射線に画像様露光して、潜像を形成すること及びB)同時に又は逐次的に、露光されたフォトサーモグラフィ材料を加熱して、潜像を可視画像に現像することを含んでなる方法を提供する。


    【0249】


    フォトサーモグラフィ材料は、工程Aに於いて、紫外線、可視光、近赤外線、赤外線又は当業者に容易に明らかな任意の他の放射線源を含む、それらが感光性である任意の放射線源を使用して、露光することができる。


    【0250】


    この可視画像は、また、適当な画像形成放射線(例えば、UV放射線)に感光性である、グラフィックアーツフィルム、プルーフィングフィルム、印刷板及び回路基板フィルムのような他の感光性画像形成材料の露光のためのマスクとして使用することができる。 これは、露光され、熱現像されたフォトサーモグラフィ材料を通して画像形成材料(例えば、光重合体、ジアゾ材料、フォトレジスト又は感光性印刷板)を画像形成することによって行うことができる。 それで、フォトサーモグラフィ材料が透明支持体からなる幾つかの他の態様に於いて、画像形成方法には、更に、


    C)その中に可視画像を有する、露光され、熱現像されたフォトサーモグラフィ材料を、画像形成放射線源と画像形成放射線に対して感光性である画像形成性材料との間に配置すること及びD)その後、画像形成性材料を、露光され、熱現像されたフォトサーモグラフィ材料中の可視画像を通して画像形成放射線に露光して、画像形成性材料の中に可視画像を得ることが含まれる。


    【0251】


    下記の実施例は、本発明の実施を例示するためのみに示するもので、如何なる方法でも限定することを意図するものではない。 実施例は、本発明の範囲内のテルル感度増加化合物を使用する例示的合成手順及び準備手順を示す。


    【0252】


    実施例のための材料及び方法


    下記の実施例で使用した全ての材料は、他の方法で特定しない限り、アルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Co.)(ウィスコンシン州ミルウォーキー)のような標準的商業源から容易に入手できる。 全てのパーセントは、他の方法で示さない限り重量基準である。 下記の追加の項目及び材料を使用した。


    【0253】


    アクリロイド(ACRYLOID)(登録商標)A−21は、ローム・アンド・ハース社(Rohm and Haas)(ペンシルベニア州フィラデルフィア)から入手できるアクリルコポリマーである。


    【0254】


    ブトバル(登録商標)B−79は、ソルーシャ社(ミズーリ州セントルイス(St.Louis))から入手できるポリビニルブチラール樹脂である。


    【0255】


    CAB171−15Sは、イーストマン・ケミカル社(Eastman Chemical Co.)(テネシー州キングスポート(Kingsport))から入手できる酢酸酪酸セルロース樹脂である。


    【0256】


    デスモジュール(DESMODUR)N3300は、バイエル・ケミカルス社(Bayer Chemicals)(ペンシルベニア州ピッツバーグ)から入手できる脂肪族ヘキサメチレンジイソシアネートである。


    【0257】


    パーマナックスWSO(又はノノックス)は、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン[CAS RN=7292−14−0]であり、セントジーン・フォトケミカルス社(St−Jean PhotoChemicals, Inc.)(カナダ国、ケベック)から入手できる。


    【0258】


    MEKはメチルエチルケトン(又は2−ブタノン)である。


    【0259】


    色素Aは、


    【0260】


    【化52】


    【0261】


    である。


    【0262】


    増感色素Aは、


    【0263】


    【化53】


    【0264】


    である。


    【0265】


    増感色素Bは、


    【0266】


    【化54】


    【0267】


    である。


    【0268】


    増感色素Cは、


    【0269】


    【化55】


    【0270】


    である。


    【0271】


    化合物HC−1は、米国特許第5,545,515号(前記した)に記載されており、下記の構造:


    【0272】


    【化56】


    【0273】


    を有する。


    【0274】


    ビニルスルホン−1(VS−1)は、EP−第0 600 589B1号に記載されており、下記の構造:


    【0275】


    【化57】


    【0276】


    を有する。


    【0277】


    カブリ防止剤Aは、2−(トリブロモメチルスルホニル)キノリンであり、下記の構造:


    【0278】


    【化58】


    【0279】


    を有する。


    【0280】


    カブリ防止剤Bは、


    【0281】


    【化59】


    【0282】


    である。


    【0283】


    バックコート色素BC−1は、シクロブテンジイリウム,1,3−ビス[2,3−ジヒドロ−2,2−ビス[[1−オキソヘキシル)オキシ]メチル]−1H−ペリミジン−4−イル]−2,4−ジヒドロキシ−,ビス(内部塩)である。 これは、下記に示す構造を有すると信じられる。


    【0284】


    【化60】


    【0285】


    比較化合物C−1は、構造:


    【0286】


    【化61】


    【0287】


    によって表すことができる。


    【0288】


    比較化合物C−2は、構造:


    【0289】


    【化62】


    【0290】


    によって表すことができる。


    【0291】


    比較化合物C−3は、ジテルル化ジフェニルであり、構造:


    【0292】


    【化63】


    【0293】


    によって表すことができる。


    【0294】


    比較化合物C−4は、ベンゾ[b]テルロフェン−2−カルボン酸であり、構造:


    【0295】


    【化64】


    【0296】


    によって表すことができる。


    【0297】


    比較化合物C−5は、テルロキサントンであり、構造:


    【0298】


    【化65】


    【0299】


    によって表すことができる。


    【0300】


    例1


    予備形成したイリジウム−銅ドープしたコア−シェルハロゲン化銀−カルボン酸銀「石鹸」分散液を、(前記した)米国特許第5,939,249号(参照して本明細書に含める)に記載されているようにして製造した。 このハロゲン化銀粒子は0.05μmであった。 フォトサーモグラフィ材料を、この分散液から、下記に示す材料及び量を使用した以外は、(前記した)米国特許第6,083,681号(参照して本明細書に含める)に記載されているものと同様の方法で製造した。


    【0301】


    フォトサーモグラフィ乳剤配合


    28.8%固体のこの銀石鹸分散液169gに、下記のものを添加した。


    【0302】


    色素プレミックス配合


    【0303】


    保護トップコート配合


    フォトサーモグラフィ乳剤層のための保護トップコートを、下記のようにして製造した。


    【0304】


    このフォトサーモグラフィ乳剤及びトップコート配合物を、安全光条件下で、任意に、CAB171−15S樹脂中にバックコート色素BC−1を含有する裏側塗膜が設けられた、7mil(178μm)の薄く青着色したポリエチレンテレフタレート支持体の上に、デュアルナイフコーティング機を使用して塗布した。 塗布及び乾燥を、(前記した)米国特許第6,083,681号(参照して本明細書に含める)に記載されているようにして実施した。


    【0305】


    得られたフォトサーモグラフィ材料のサンプルを、P−31フィルターを有するEG&Gフラッシュ感光計を使用して10

    −3秒間画像様露光し、加熱したロールプロセッサーを使用して15秒間124℃で現像した。


    【0306】


    デンシトメトリー測定は、フォトサーモグラフィ材料の感光度に適合しているフィルターを使用してカスタムビルトコンピュータ走査したデンシトメーターで行った。 これは市販のデンシトメーターからの測定に匹敵すると信じられる。 D

    minは現像後の未露光領域の濃度であり、これは8個の最低濃度値の平均である。 「SP−2」は、Eがエルグ/cm

    での露光であるD

    minより1.00上の濃度値に対応するLog1/E+4である。 「SP−3」は、Eがエルグ/cm

    での露光であるD

    minより2.90上の濃度値に対応するLog1/E+4である。 平均コントラスト−1(「AC−1」)は、D

    minより0.60上の濃度点とD

    minより2.00上の濃度点とを結ぶ直線の勾配の絶対値である。 「Con−D」は、D

    minより1.00上の濃度点とD

    minより3.00上の濃度点とを結ぶ直線の勾配の絶対値である。


    【0307】


    得られるフォトサーモグラフィ材料を画像形成することのセンシトメトリー結果を、下記の表Iに示す。 D

    min及びSP−2に於ける変化は、化学増感剤化合物I−1を除いた以外は同じ組成及び構造を有する対照フォトサーモグラフィ材料に対する相対値である。


    【0308】


    【表1】


    【0309】


    例2


    例1に記載したものと同様の数個のフォトサーモグラフィ材料を、0.05μmイリジウム−銅ドープしたコア−シェルハロゲン化銀粒子乳剤又は0.12μmハロゲン化銀粒子乳剤及び化学増感剤化合物I−1を使用して製造した。 化学増感剤の1X量は、乳剤の250gバッチ当たり4.4×10

    −5モルを表す。


    【0310】


    フォトサーモグラフィ材料を、例1に記載したようにして、塗布し、画像形成しそして現像した。 得られたセンシトメトリーデータを、下記の表IIに記録する。 D

    min及びSP−2に於ける変化(ΔD

    min及びΔSP−2と標識を付けた)は、化学増感剤化合物I−1を除いたが、その他は本発明の材料と同一に製造した、対照フォトサーモグラフィ材料に対する相対値である。


    【0311】


    【表2】


    【0312】


    例3


    この例は、(前記した)米国特許第5,434,043号に記載されているようにして、イリジウム−ドープしたコア−シェルハロゲン化銀粒子を使用して製造した、フォトサーモグラフィ材料に於けるテルル化学増感剤の影響を示す。 このハロゲン化銀粒子は、赤増感色素及び高コントラスト剤HC−1を使用して増感した。 材料の全ては、10より大きい「Con−D」を与えた。


    【0313】


    フォトサーモグラフィ乳剤配合


    46gの予備形成したカルボン酸銀を含有する銀石鹸分散液182gに、下記のものを添加した。


    【0314】


    色素プレミックス配合


    【0315】


    保護トップコート配合


    フォトサーモグラフィ乳剤層のための保護トップコートを、下記のようにして製造した(20gトップコート)。


    【0316】


    2−メルカプトベンゾオキサゾール(「MBO」)を、「メルカプト添加物」(0.0926ミリモル)として、銀「石鹸」分散液の幾つかに添加した。


    【0317】


    このフォトサーモグラフィ乳剤及びトップコート配合物を、安全光条件下で、露光の波長(670nm)で>1.0の吸光度を有する色素からなるハレーション防止バックコートが設けられた4ミル(102μm)ポリエチレンテレフタレート支持体の上に、一般的なデュアルナイフコーティング機を使用して塗布した。 塗布及び乾燥を、例1に記載したようにして実施した。


    【0318】


    得られたフォトサーモグラフィ材料を、670nmレーザーダイオードを有する走査レーザーセンシトメーターを使用して画像様露光した。 次いで、加熱したロールプロセッサーを使用して13秒間118℃で現像した。 下記の表IIIに、本発明に従って種々のテルル化学増感剤を使用するための得られたセンシトメトリー結果を含める。 D

    min及びSP3に於ける変化は、化学増感剤を除いたが、その他は本発明の材料と同一に製造した、対照フォトサーモグラフィ材料に対する相対値である。


    【0319】


    【表3】


    【0320】


    例4


    この例は、緑感光性高コントラストフォトサーモグラフィ材料中の感度増加化合物(化学増感剤)の使用を示す。 予備形成した非コア−シェルハロゲン化銀、カルボン酸銀石鹸を、(前記した)米国特許第5,382,504号に記載されたようにして製造した。 平均ハロゲン化銀粒子サイズは0.12μmであった。 フォトサーモグラフィ乳剤を、この分散液から、下記に示す材料及び量を使用した以外は、(前記した)米国特許第6,083,681号に記載されているものと同様の方法で製造した。


    【0321】


    フォトサーモグラフィ乳剤配合


    24.5%固体のこの銀石鹸分散液188gに、下記のものを添加した。


    【0322】


    色素プレミックス配合


    【0323】


    保護トップコート配合


    フォトサーモグラフィ乳剤層のための保護トップコートを、下記のようにして製造した。


    【0324】


    【0325】


    このフォトサーモグラフィ配合物及びトップコート配合物を、例1に記載したようにして塗布し、画像形成しそして現像した。 得られたフォトサーモグラフィ材料は、10

    −3秒間画像様露光し、加熱したロールプロセッサーを使用して15秒間124℃で現像した。 この材料は6より大きいコントラスト(AC−1)を有することが示され、他のセンシトメトリー結果は、本発明に従った化合物I−1の使用について下記の表IVに示す。 D

    min及び感度に於ける変化は、化学増感剤を除いたが、その他は本発明の材料と同一に製造した、対照フォトサーモグラフィ材料に対する相対値である。


    【0326】


    【表4】


    【0327】


    例5


    この例は、増大された感光度を与えるための、テルル感度増加化合物(化学増感剤)及び(前記した)米国特許第5,891,615号に記載されている硫黄化学増感化合物(色素A)の組合せ物の使用を示す。 フォトサーモグラフィ材料は、それらが、(前記した)米国特許第5,939,249号に記載されているようにして製造した、前生成した0.05μmイリジウム−銅ドープしたコア−シェルハロゲン化銀粒子を含有した以外は、例4に記載したようにして製造した。 サンプルを、トップコート層中に高コントラスト剤HC−1有り及び無しで製造した。 5.0gのメタノール中の0.02gの色素Aの溶液を、ピリジニウムヒドロブロミドペルブロミドの添加の前に、任意に添加した。


    【0328】


    このフォトサーモグラフィ材料を、画像様露光し、そして熱現像した。 センシトメトリー結果を下記の表Vに示す。 D

    min及びSP−2に於ける変化は、化学増感剤を含有しない、同一に製造した対照フォトサーモグラフィ材料に対する相対値である。 HC−1を含有する全てのサンプルは、8より大きい平均コントラスト(AC−1)を有していた。


    【0329】


    【表5】


    【0330】


    例6


    この例は、増大された感光度を与えるための、テルル感度増加化合物(化学増感剤)及び(前記した)米国特許出願第09/667,748号に記載されている四置換チオウレア化学増感化合物の組合せ物の使用を示す。 フォトサーモグラフィ材料は、それらが、(前記した)米国特許第5,939,249号に記載されているようにして製造した、予備形成した0.05μmイリジウム−銅ドープしたコア−シェルハロゲン化銀粒子を含有した以外は、例4に記載したようにして製造した。 全てのサンプルを、トップコート層中に高コントラスト剤HC−1有りで製造した。 5.0gのメタノール中の0.01gのテトラアリルチオウレアの溶液を、臭化カルシウムの添加の後で、任意に添加した。


    【0331】


    このフォトサーモグラフィ材料を、画像様露光し、そして熱現像した。 センシトメトリー結果を下記の表VIに示す。 D

    min及びSP−2に於ける変化は、化学増感剤を含有しない、同一に製造した対照フォトサーモグラフィ材料に対する相対値である。 HC−1を含有する全てのサンプルは、8より大きい平均コントラスト(AC−1)を有していた。


    【0332】


    【表6】


    【0333】


    例7


    この例は、感光度を増大させるための、テルル化合物(化学増感剤)の使用を示す。 (前記した)米国特許第5,434,043号に記載されているようにして製造した、予備形成した0.065μmイリジウム−ドープしたコア−シェルハロゲン化銀粒子を含有するフォトサーモグラフィ材料を製造した。 ハロゲン化銀粒子は、増感色素Cを使用して増感した。 この材料の全ては、高コントラスト剤HC−1を含有し、メルカプト添加物としてMBOを含有していた。 この材料の全ては、10より大きい「Con−D」を与えた。


    【0334】


    このフォトサーモグラフィ材料を、例3に記載したようにして、塗布し、画像形成し、そして熱現像した。 センシトメトリー結果を下記の表VIIに示す。 D

    min及び感度−3に於ける変化は、化学増感剤を含有しない、同一に製造した対照フォトサーモグラフィ材料に対する相対値である。 全てのサンプルは、10より大きいCon−Dを示した。


    【0335】


    【表7】


    【0336】


    比較例


    フォトサーモグラフィ乳剤層中の化学増感剤として、比較化合物C−1〜C−5を評価した以外は、例3に記載したようにしてフォトサーモグラフィ材料を製造した。 この材料を、例3に記載したようにして、画像様露光し、熱現像し、そしてある種のセンシトメトリー特性について評価した。 下記の表VIIIに、化学増感剤として使用した各化合物の量及び得られたセンシトメトリー特性を示す。 構造I又はIIを有しないテルル化合物が、低D

    minを維持しながら感度を増加させる上で有効でないことがわかる。


    【0337】


    【表8】


    【0338】


    本発明を、その或る好ましい態様を特に参照して詳細に説明したが、変形及び修正を本発明の精神及び範囲内で実施できることが理解されるであろう。

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