首页 / 专利库 / 水处理 / 废水 / 灰水 / 次亜塩素酸カルシウム組成物の製造方法

次亜塩素酸カルシウム組成物の製造方法

阅读:968发布:2024-02-25

专利汇可以提供次亜塩素酸カルシウム組成物の製造方法专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且,下面是次亜塩素酸カルシウム組成物の製造方法专利的具体信息内容。

石灰と苛性ソーダと100重量ppm以上の臭素ガスを含有する塩素ガスを反応させて分離母液1と次亜塩素酸カルシウム2化物結晶を含むろ過ケークを取得し、当該分離母液1を当該反応に繰り返し利用する工程1と前記ろ過ケークに洗浄液を加えてさらに分離操作を行って洗浄排液と次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶を含む洗浄ケークを取得する工程2を含む次亜塩素酸カルシウム組成物の製造方法であって、 前記の石灰が、前記の分離母液1と水酸化カルシウムの反応により得られる二塩基性次亜塩素酸カルシウムスラリーから分離母液2を取り除いた二塩基性次亜塩素酸カルシウムスラリーであることを特徴とし、 当該分離母液2の一部を系外にパージすることによって、工程1で得られる分離母液1の一部を系外にパージする事を特徴とし、 工程1における石灰と苛性ソーダと100重量ppm以上の臭素ガスを含有する塩素ガスの反応が、2段階の反応であって、第一段階として、前記の分離母液2のうち系外にパージされなかった分離母液2に苛性ソーダと100重量ppm以上の臭素ガスを含有する塩素ガスを反応させて食塩の結晶を含む次亜塩素酸ナトリウムスラリーを得、次いで分離操作を行って食塩ケークと次亜塩素酸ナトリウム溶液に分離して次亜塩素酸ナトリウム溶液を得、第二段階として、前記の石灰と当該次亜塩素酸ナトリウム溶液を反応させる事を特徴とするものであり、 工程2に用いる洗浄液が、工程2で得られる洗浄ケークの一部を水に溶解して調製した次亜塩素酸カルシウム水溶液である事を特徴とし、 更に工程2で得られる洗浄排液を工程1の反応に再利用する事を特徴とする、 臭素酸含量が60重量ppm以下である事を特徴とする次亜塩素酸カルシウム組成物の製造方法。請求項1において、系外にパージする分離母液2の量が工程1で製造される次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶量の1倍重量以上である事を特徴とする次亜塩素酸カルシウム組成物の製造方法。請求項1において、洗浄液の使用量が、工程1で得られる次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶量の0.1〜1倍重量である事を特徴とする次亜塩素酸カルシウム組成物の製造方法。請求項1において、洗浄液による次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶のろ過ケークの洗浄効率を60%以上にする事を特徴とする次亜塩素酸カルシウム組成物の製造方法。請求項1において、工程1の次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶の固液分離と工程2の洗浄ケークを得る分離を一つの遠心分離機を用いて連続式で行う事を特徴とする次亜塩素酸カルシウム組成物の製造方法。請求項1において、工程1にa、b、c各軸の比が の関係にあり、かつc軸が5ミクロン以上である柱状次亜塩素酸カルシウム2水化物の種晶を添加する事を特徴とする次亜塩素酸カルシウム組成物の製造方法。

说明书全文

本発明は、新規な高品位次亜塩素酸カルシウム組成物の製造方法に関する。

次亜塩素酸カルシウムは強酸化剤であり、その殺菌、漂白作用から泳プール、上 下水道等の水の消毒及び綿、パルプ等の繊維の漂白、そして酸化作用から排水中のBODやCOD成分、メッキ浴廃液中のシアンの分解等に幅広く使用されている有用な化合物である。又、保存安定性が高く、有効期間が長い事から世界的に使用されている国際商品でもある。

この次亜塩素酸カルシウムの用途で近年注目すべき点は、大腸菌やレジネオラ属菌だけでなくノロウィルス等のウィルスも含めた病原体への対応として野菜類や共同浴場、携行飲料水等やこれらを扱う器具類の殺菌、消毒、滅菌処理に需要が伸びている事である。これら用途では、殺菌・消毒・滅菌処理後、一般の人々の口に入ることが多く、次亜塩素酸カルシウムに付随する微量不純物に対してもその把握と管理が必要になっている。

次亜塩素酸カルシウムを主成分とする組成物は、商品名で“高度さらし粉”と呼ばれ、その有効塩素含有量から60%、65%、そして70%高度さらし粉として市販されている。

この組成物において、次亜塩素酸カルシウム以外の成分は、水分、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、水酸化カルシウム等である。ここで、水分は次亜塩素酸カルシウム組成物の安全性に関係するので、ある程度は必要である。そして、水分のほとんどは、次亜塩素酸カルシウム2水化物を構成する結晶水として存在している。又、水酸化カルシウムは、次亜塩素酸カルシウム組成物の保存安定性を増すので、ある程度は必要である。塩化ナトリウムは希釈剤としての役割がある。塩化カルシウムは吸湿性が強く、次亜塩素酸カルシウム組成物が配管や容器に付着することを助長したり、製品の保存安定性低下原因になるので少ない方が良い。

問題は、これら以外の不純物の一成分としての臭素酸(BrO3)である。臭素酸は発がん性の可能性があることから、WHOでは2003年にガイドライン値を設定し、日本においては2004年から水質基準項目に追加された(非特許文献1参照)。臭素酸は、主に塩素ガス中の不純物である臭素ガスに由来する。塩素ガスは、通常、食塩や塩化カリ等の塩化物を水溶液系で電気分解したり、非水の溶融塩系で電気分解して得られる。水溶液系では電解槽の陰極側で苛性ソーダや苛性カリ等が得られ、陽極側で塩素ガスが得られる。塩素ガス中の臭素ガスは、電解原料の塩化物中の不純物である臭素イオン(Br)に由来する。更には、原料が食塩の場合、海水や岩塩中の臭化物に由来すると考えられる。

この臭素酸の挙動と除去に関して、次亜塩素酸カルシウム関係の文献は見当たらない。参考になるのは、次亜塩素酸ナトリウムの文献であり、それには臭素酸濃度に関して4つのグレードが規格化されている(非特許文献2参照)。それは、有効塩素濃度が12.0%以上で、臭素酸濃度が最も低いグレードが「特級」で10mg/kg以下、次が「一級」で50mg/kg以下である。そして、臭素酸濃度の低減方法として、(1)食塩電解に供する塩水中の臭化物イオンを酸性下で酸化して、臭素(Br2)ガスとしてストリッピングし、塩水から除去、この塩水を電気分解して低臭素含量の塩素ガスを得る、(2)塩素ガスを液化した後、気化して低臭素含量の塩素ガスを得る、(3)析出する臭素酸ナトリウムの量が目標値以下となるように次亜塩素酸ソーダ液を所定の温度に冷却して次亜塩素酸ソーダ結晶を晶析させて該結晶を分離し、これを水などに溶解して低臭素酸含量の次亜塩素酸ソーダを得る方法、そして(4)次亜塩素酸ソーダ製造時の副生食塩(純度が高い)を電解して、得られた苛性ソーダと塩素を原料として用いて低臭素酸濃度の次亜塩素酸ソーダを得る方法、が紹介されている(非特許文献1参照、(3)については特許文献1も参照)。

しかし、次亜塩素酸カルシウム組成物の製造に前述の(1)や(2)や(4)の方法を採用すると操作が煩雑になり、また別に酸や酸化剤等の薬剤が必要になる。そして、ストリッピングや気化させる別の設備等も必要となるので経済面で問題が生じる。(3)の方法については次亜塩素酸ソーダ結晶と次亜塩素酸カルシウム結晶は化合物そのものが異なり、結晶構造も晶析方法(冷却晶析と反応晶析)や晶析条件も異なっている。更に、(3)での不純物は臭素酸ナトリウムであり、条件によっては析出するので運転条件と運転操作の管理が必要になっている。

以上の事から、臭素酸に関して次亜塩素酸ナトリウムの事例は参考にはなるが、そのまま次亜塩素酸カルシウムに適用できない。次亜塩素酸カルシウム組成物に関しては、新たに臭素酸の挙動について検討し、その低減技術を開発する必要があった。

特開2005−298236号公報

日本ソーダ工業会、ソーダ技術ハンドブック、299−302,385−387(2009)

日本水道協会、水道用次亜塩素酸ナトリウム、JWWA K120:2008−2(2008)

本発明は前記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は臭素酸含量が極めて低い高品位の次亜塩素酸カルシウム組成物の製造方法を提供する事にある。

本発明者らは、前記課題を解決するために臭素酸含量の低い次亜塩素酸カルシウム組成物の製造方法について鋭意検討した。その結果、次亜塩素酸カルシウム製造における臭素酸の挙動を解明でき、それを低減できる製造技術を見出すことができた。

それは、(i)次亜塩素酸カルシウム組成物の製造において、液性は常にアルカリ雰囲気で酸化性である事から、臭素イオン(Br)や臭素(Br2)の形ではなく、臭素酸イオン(BrO3−)として存在する事、又、(ii)本発明の系ではカルシウムイオン濃度が高い為か、臭素酸イオンの溶解度が高くなっていると考えられ、その塩が析出することはほとんどない事が判って来た。又、本発明では、石灰と苛性ソーダを塩素化して次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶を析出させるが、この時に臭素酸イオンは該結晶に取り込まれ難い事も判った。

そして、これらの知見から、次亜塩素酸カルシウム2水化物の晶析後、該2水化物結晶を母液から効率良く分離し、得られたろ過ケークを特定の水溶液で洗浄し、前記分離した母液の一部を系外にパージすれば臭素酸含量の低い次亜塩素酸カルシウム組成物を安定して製造できる事が判った。そして、その製造条件を最適化して、遂に本発明を完成するに至ったのである。

即ち、本発明は、下記の通りである。 [1] 石灰と苛性ソーダと100重量ppm以上の臭素ガスを含有する塩素ガスを反応させて分離母液1と次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶を含むろ過ケークを取得し、当該分離母液1を当該反応に繰り返し利用する工程1と前記ろ過ケークに洗浄液を加えてさらに分離操作を行って洗浄排液と次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶を含む洗浄ケークを取得する工程2を含む次亜塩素酸カルシウム組成物の製造方法であって、工程1で得られる分離母液1の一部を系外にパージする事、工程2に用いる洗浄液が水又は本製造方法で生成する結晶を溶解した水溶液である事、及び工程2で得られる洗浄排液を工程1の反応に再利用する事を特徴とする、次亜塩素酸カルシウム組成物の製造方法。 [2] 上記[1]において、系外にパージする分離母液1の量(パージする前に分離母液に1に石灰を添加して混合物を得る場合は、当該混合物から分離されて系外へパージされる分離母液2の量を表す)が工程1で製造される次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶量の1倍重量以上である事が好ましい。 [3] 上記[1]又は[2]の工程1において、苛性ソーダと100重量ppm以上の臭素ガスを含有する塩素ガスの反応により生成する塩化ナトリウム結晶を、ろ過ケークとは別に分離する操作を含む事が好ましい。 [4] 上記[1]から[3]のいずれか一項において、本製造方法で生成する結晶の水溶液が、工程2で得られる洗浄ケークの一部を水に溶解して調製した次亜塩素酸カルシウム水溶液である事が好ましい。 [5] 上記[1]から[3]のいずれか一項において、本製造方法で生成する結晶の水溶液が、工程1においてろ過ケークの分離とは別に分離される塩化ナトリウムを溶解した水溶液である事が好ましい。 [6] 上記[1]から[5]のいずれかの項において、洗浄液の使用量が、工程1で得られる次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶量の0.1〜1倍重量である事が好ましい。 [7] 上記[1]から[6]のいずれかの項において、洗浄液による次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶のろ過ケークの洗浄効率を60%以上にする事が好ましい。 [8] 上記[1]から[7]のいずれかの項において、工程1の次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶の固液分離と工程2の洗浄ケークを得る分離を一つの遠心分離機を用いて連続式で行う事が好ましい。 [9] 上記[1]から[8]のいずれかの項において、工程1で得られる分離母液1及び/又は工程2で得られる洗浄排液に石灰を加えて2塩基性次亜塩素酸カルシウム結晶を析出させて該結晶と分離母液2に分離し、次いで該分離母液2の一部を系外にパージし、該結晶を石灰として利用する事が好ましい。 [10] 上記[1]から[9]のいずれかの項において、工程1にa、b、c各軸の比が0.5 ≦ b/a ≦ 2.0、かつc/a ≧ 1.5の関係にあり、かつc軸が5ミクロン以上である柱状次亜塩素酸カルシウム2水化物の種晶を添加する事が好ましい。 [11] 上記[1]から[10]のいずれかの項において、得られる次亜塩素酸カルシウム組成物中の臭素酸含量が60重量ppm以下である事が好ましい。 [12] [1]から[12]のいずれかの項に記載の製造方法を用いて製造される次亜塩素酸カルシウム組成物。

次に、本発明を詳細に説明する。

本発明者らは石灰と苛性ソーダを臭素が含まれた塩素ガスで塩素化して次亜塩素酸カルシウム2水化物を晶析させる時の臭素酸の挙動をイオンクロマト分析等で調べた。その結果、次亜塩素酸カルシウムや塩化カルシウムの様なカルシウム塩の溶存下では臭素酸塩は析出することなくほぼ溶解している事、また塩素化で次亜塩素酸カルシウム2水化物が析出する時に臭素酸の大部分は該2水化物結晶内に取り込まれることはほぼない事が判った。

しかし、非特許文献3(日本ソーダ工業会、ソーダハンドブック、351−357(1975))に示されている様に該2水化物の結晶が薄くて小さい四板状であったり、四角板状結晶が“本の頁状”に積層した結晶であると、ろ過時に結晶と結晶の間に母液が閉じ込められ、得られる湿潤ケークの付着母液率が高くなり、乾燥後の次亜塩素酸カルシウム組成物中の臭素酸含量が高くなる。この事から、臭素酸含量の低い次亜塩素酸カルシウム組成物を製造する為には湿潤ケーク中の付着母液率を下げれば良い事が判る。しかし、結晶が板状では固液分離に遠心分離機を使い、遠心効果を大きくしても付着母液率を下げるのは容易ではない。結晶が比較的大きいと湿潤ケーク中の付着母液率をある程度下げる事が出来る。しかし、付着母液由来の臭素酸含量を希望とするレベルにする事は難しい。

本発明は塩素化して晶析させた次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶を固液分離し、得られるろ過ケークを水又は本製造方法で生成する結晶を溶解した水溶液で洗浄する事、及び前記固液分離で発生する分離母液の一部を系外にパージする事で臭素酸含量の極めて低い次亜塩素酸カルシウム組成物を製造する事が出来たのである。この事により、該次亜塩素酸カルシウム組成物の利用範囲は拡大し、商品価値は大きくなる。

本発明を更に詳細に説明する。

なお、本発明においては、都合上、石灰と苛性ソーダと100重量ppm以上の臭素ガスを含有する塩素ガスを反応させて分離母液1と次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶を含むろ過ケークを取得し、当該分離母液1を当該反応に繰り返し利用する工程を工程1と称し、前記ろ過ケークに洗浄液を加えてさらに分離操作を行って洗浄排液と次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶を含む洗浄ケークを取得する工程を工程2と称する。

本発明で言う石灰としては、特に限定するものではないが、生石灰や消石灰、石灰乳が挙げられ、水と接触すると水酸化カルシウムを生成する化合物や水酸化カルシウムである。これらは容易に経済的に入手できる。又、水酸化カルシウムと次亜塩素酸カルシウムの反応で生じる2塩基性次亜塩素酸カルシウム(Ca(ClO)2・2Ca(OH)2)や1/2塩基性次亜塩素酸カルシウム(Ca(ClO)2・1/2Ca(OH)2)も本発明では石灰に含める。又、苛性ソーダは、基礎化学品として大量に生産され、消費されており、一般に純度は高い。これら石灰や苛性ソーダに不純物の臭化物が含まれることはほとんどなく、あってもその濃度は極めて低い。臭化物が存在すれば、塩素化時に次亜塩素酸イオンにより酸化され臭素酸塩を生じる(反応式(1))。

又、石灰は主に天然の石灰石の焼成、水和により生産されるが、これには不純物として未焼成の炭酸カルシウムが少量含まれる。これ以外にAl、Fe、Si化合物等の不純物が含まれる。これらは少ない程良く、乾燥基準で5重量%以下が好ましい。その入手は容易である。

次に、原料の塩素ガスについて説明する。本発明では、臭素ガス濃度が100重量ppm以上の塩素ガスを用いる事を必須とする。臭素ガス濃度が100重量ppm未満では、本発明の効果は薄くなる。実質的に臭素ガスを含まない塩素ガスを使用する場合、本発明を適用する必要はない。

この塩素ガスは、主に塩化ナトリウム(食塩)や塩化カリウムの電解によって電解槽の陽極側で生成し、取り出される。これには水蒸気が含まれ、湿塩素ガスと呼ばれる。これをそのまま原料として用いても良く、濃硫酸等で脱水して乾燥塩素ガスとして用いても良い。又、乾燥塩素ガスを加圧し、冷却して液化し、それをガス化した塩素ガスを用いても良い。湿塩素ガスや乾燥塩素ガスには通常、少量の臭素ガスが含まれている。これは、電解原料の塩化ナトリウムや塩化カリウムが天然物から生産されるが、それに少量の臭化物が含まれ、これが電解槽での電気分解時に陽極室で酸化され臭素ガスになり塩素ガスに随伴したものと考えられる。塩素ガスを工業的に生産する場合、通常、ある程度の臭素ガスの随伴は避けられない。非特許文献1で紹介されている様に塩素ガスを液化した後、その一部をガス化して用いると、臭素ガスをかなり高い比率で除くことが出来る。しかし、その為の設備が必要であり、また液側の塩素中の臭素濃度が高くなり、その利用が難しくなる。又、非特許文献1で紹介されている次亜塩素酸ソーダ製造時の純度が高い副生食塩を電解して、得られた塩素ガスを用いると確かに臭素酸生成を抑えられる。しかし、経済面や原料供給面で問題があり、次亜塩素酸カルシウム組成物の工業的製造への適用は難しい。

本発明は、塩素ガス中の臭素ガス濃度が高い時にその効果は発揮される。工業生産された塩素ガス中の臭素ガス濃度は比較的高く、本発明を好適に実施できる。本発明で用いる塩素ガス中の臭素ガス濃度は100重量ppm以上である。これが、120重量ppm以上、更には150重量ppm以上でその効率はより大きくなり、本発明の効果が発揮される。その上限は、後述する次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶の洗浄条件で変わるので限定しないが、あまりにも高いと一部が製品に移行するので1,000重量ppm程度まで、安定生産を考慮すると600重量ppm程度までが好ましい。尚、臭素ガス濃度が100重量ppm以下は効果が薄く、本発明には含まれない。

石灰と苛性ソーダを塩素ガスで塩素化して次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶を晶析させる。ここでの塩素化反応器は、通常、撹拌槽式や塔式が用いられるが、次亜塩素酸カルシウム2水化物の結晶成長を図る面から撹拌槽式が好ましい。それは、1基でも複数の反応槽を直列に連結して用いても良い。又、回分式、連続式いずれも実施できる。運転操作性の向上、生産性の向上、そして次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶の成長を図るには連続式が好ましい。

塩素化反応では大きな発熱を伴うので除熱装置を設ける。それは、槽内に冷却コイルを設置しても冷却ジャケットを付けても、又、外部熱交換器を用いても良い。除熱効率や運転操作性を考慮すると内部冷却コイルが好ましい。

塩素化で析出する次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶は、通常、小さな薄い四角板状で、条件により四角板状結晶が厚み方向に積み重なった積層状結晶になる。連続式では大きな四角板状晶が得られる。四角板状結晶と比べて積層状晶のろ過性は良いが、積層された板状結晶間に多くの母液を含む。その為、四角板状結晶と同様にろ過して得られたろ過ケーク中には母液が多く包含される。又、連続式で晶析させると通常大きな四角板状結晶が得られる。しかし、厚みが薄く、ろ過性は良くなく、そのろ過ケークは付着母液を多く含む。

しかし、本発明の方法では、ろ過ケーク中の付着母液率が高くても、例えば50重量%程度でも臭素酸含量の低い次亜塩素酸カルシウム組成物を製造できる。

しかし、該2水化物結晶が立体的で大きいと臭素酸除去はより容易になり、高品位の次亜塩素酸カルシウム組成物をより容易に製造できる。例えば、該2水化物の結晶形を改善した技術に、特許文献2(特開昭54−127897号公報)がある。該技術は特異な形状の柱状種晶を用いて粗大な次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶を製造する事を開示している。該粗大結晶は双晶性はなく単一結晶であり、ろ過性は良く、そして付着母液率を低く出来、洗浄液による洗浄がより容易になるのでより高品位の次亜塩素酸カルシウム組成物を製造できる。該特許文献2は、次亜塩素酸カルシウム2水化物の晶析の際、種晶として次亜塩素酸カルシウム2水化物のa、b、c各軸の比が

であり、かつc軸が5ミクロン以上である柱状次亜塩素酸カルシウム2水化物を添加して粗大次亜塩素酸カルシウム2水化物を製造する方法である。該粗大な2水化物結晶は結晶幅のa軸,b軸が10〜1,000ミクロン、結晶厚みのc軸が5〜300ミクロンの四方両錐台状もしくは厚みが大きい四角板状である。

塩素化により次亜塩素酸カルシウム2水化物が析出する反応は、石灰と苛性ソーダが当量の時は反応式(2)となる。

そして、この時に塩化ナトリウム(NaCl)が副生する。石灰の量が苛性ソーダの当量よりも大きいと塩化カルシウム(CaCl2)が副生する。石灰と苛性ソーダの当量比は、苛性ソーダが過剰になると次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)が生成する。これは次亜塩素酸カルシウムと比べて不安定である事から過剰率は小さい方が好ましい。逆に、石灰の当量比が大きいと塩化カルシウムが副生する。その量が少ない場合は影響はないが、多くなると水酸化カルシウムとの複塩が生成して装置へのスケーリングが激しくなる。本発明での好ましいNa/Ca当量比は、0.4〜1.1である。尚、次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶のろ過ケークに付随した少量の塩化カルシウムは次の洗浄操作で容易に除くことが出来る。塩化カルシウムは母液にほぼ全量溶存するが塩化ナトリウムの場合は一部結晶として析出する事がある。析出する塩化ナトリウム結晶は成長速度が大きく、mmオーダーの大きな結晶に成長するので液体サイクロンやセトラー等によって次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶と分級分離することも出来る。前もって濃厚な苛性ソーダを塩素化して副生する塩化ナトリウムの多くを結晶として析出させて分離し、得られる高濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液と石灰を塩素化する事で塩化ナトリウム結晶の共析を抑えて次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶を製造する事もできる。

生成する次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶のスラリー濃度は晶析条件や液組成によって異なるが通常10〜30重量%である。前述した柱状の次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶を種晶として用いると高いスラリー濃度で操作でき、生産性や収率を高くできるので有利である。この塩素化時に原料アルカリ中の臭化物や塩素ガス中の臭素ガスは次亜塩素酸イオンによって酸化され、全て臭素酸となり、ほぼ母液に溶存する。

次に、該2水化物結晶は固液分離され、ろ過ケークと分離母液1が得られる。この時にろ過ケーク中には母液の一部が含まれており、その量は付着母液率で表される。この固液分離の前に、該2水化物結晶のスラリーはシックナーや液体サイクロン等で濃縮しても良い。この場合、固液分離時間を短くでき、その生産性を大きくでき、又、ろ過ケークの付着母液率を低く出来るので好ましい。この効果は、単なる濃縮の作用だけではなく、濃縮の過程で微細な固体不純物や微細な2水化物結晶が分級作用で除かれ、ろ過時の抵抗が減少する作用が加わっての事と考えられる。この濃縮操作によるスラリーの濃縮度は、供給される該2水化物結晶のスラリーに対して1.5〜3倍が固液分離性向上効果が大きく、操作も容易であり、好ましい。又、この濃縮はバッチ式でも連続式でも構わないが、運転操作性と得られるろ過ケーク組成の安定性から連続式が好ましい。

次に該2水化物結晶の固液分離について説明する。用いる分離機は、遠心分離機、減圧ろ過機、加圧ろ過機等が挙げられ、いずれも対応可能である。又、形式としてはバッチ式、連続式があり、両者対応可能である。ろ過ケークの付着母液率を下げ、生産性を高め、運転操作性を向上させる為には連続式の遠心分離機が好適である。連続式遠心分離機は、デ・コーンタイプとプッシャータイプがあるがいずれも好適に使用できる。このろ過により、付着母液率が通常50重量%以下のろ過ケークが得られる。そして、該2水化物結晶が前記柱状種晶を用いて製造された粗大な次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶である時、その効果は大きく、付着母液率は容易に30重量%以下にできる。

付着母液の主成分は次亜塩素酸カルシウムと塩化物の塩化カルシウムや塩化ナトリウムであるが、これに不純物の臭素酸が溶解している。その為、付着母液率は小さい方が製品中の臭素酸濃度を下げられるので好ましい。しかし、本発明ではろ過ケーク中の母液を水又は本製造方法の生成物の水溶液で洗浄する事を必須としており、この事により、多少付着母液率が高くても製品である次亜塩素酸カルシウム組成物中の臭素酸含量を60重量ppm以下に容易にできる。この値は有効塩素に対する臭素酸濃度でみると前述の次亜塩素酸ナトリウムのほぼ「特級」に相当する。又、本発明では、この臭素酸濃度を更に30重量ppm以下にする事も容易である。

ここで、水又は本製造方法の生成物の水溶液とは臭素イオン(Br)、臭素(Br2)、臭素酸(BrO3)等を実質的に含まない。実質的とはBrで通常、15重量ppm以下、好ましくは10重量ppm以下である。この水溶液の要件は、次亜塩素酸カルシウムとの反応性がなく、製品の次亜塩素酸カルシウム組成物に一部付随しても製品品質を低下することなく、また液粘度が小さく洗浄が容易で、更に該2水化物結晶の溶解が抑えられる事である。その例として、次亜塩素酸カルシウム水溶液や塩化ナトリウム水溶液等が挙げられ、好適に実施できる。次亜塩素酸ナトリウム水溶液も可能であるが、後工程の乾燥で洗浄ケークに付着した次亜塩素酸ナトリウムが分解し易い。水は、次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶を溶解し易いが、それが粗大な2水化物結晶である時、好ましい水溶液となる。洗浄効率を上げて、且つ該2水化物結晶の溶解を抑えて製品収率を高めるには、本製造方法で生成する結晶を溶解した水溶液を用いるのが良い。それは、次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶の洗浄ケークの一部を水に溶解させて調製する事が出来る。その時の次亜塩素酸カルシウム濃度は7重量%以上がより好ましい。又、製品のグレード切り換えや運転スタートアップ時の製品に持っていけない該2水化物の洗浄ケークも好適に使うことが出来る。また、前述したが、濃厚な苛性ソーダを塩素化して析出する塩化ナトリウムの結晶を分離して高濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を製造する際に副生する塩化ナトリウム結晶を水に溶解して食塩水を調製し、これを前記の洗浄水に用いることもできる。こうして、臭素酸が除かれた次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶の洗浄ケークが得られる。

この時の洗浄効率は、ろ過ケークと洗浄ケークの次亜塩素酸カルシウムに対する臭素酸の濃度比から求められる。また臭素酸の代りに結晶析出がなく、母液に溶存している塩化カルシウムや塩化ナトリウム、塩素酸カルシウム等の成分の次亜塩素酸カルシウムとの濃度比からも求める事が出来る。例えば、次亜塩素酸カルシウムと塩化カルシウムの濃度がそれぞれろ過ケークで64重量%、1.5重量%、洗浄ケークで66重量%、0.4重量%の時は、洗浄効率は74%((1−(0.4/66)/(1.5/64))×100=74)になる。この効率が60%以上が好ましい。この洗浄効率を指針に洗浄操作すると製品中の臭素酸含量の管理が容易になる。

遠心分離機でのろ過や洗浄操作は、通常、遠心効果500〜1,500Gが適切である。又、用いる洗浄液の量は処理する該2水化物結晶量の0.1〜1.5倍重量が好ましく、更には0.1〜1.0倍重量が好ましい。少ないと臭素酸の洗浄不足になり、多いと2水化物結晶の溶解が進んだり、洗浄操作で発生する洗浄排液量が増すのでその処理に負担が掛かる。ここで、該2水化物結晶が立体的で大きいとろ過が容易になり、洗浄液量を少なくできるので経済的になる。

ろ過や洗浄操作はバッチ式、連続式、いずれも実施できる。バッチ式の場合、その操作時間が長く、通常、それぞれ10〜60分間である。連続式の場合、ろ過と洗浄を同一装置で同時に行え、その滞在時間は1分間から数分間と短い。その為、洗浄時の該2水化物結晶の溶解は抑えられ、洗浄効率は向上し、生産性も高くなるので好ましい操作である。

そして、前記洗浄排水の主成分は次亜塩素酸カルシウムであり、次亜塩素酸カルシウム組成物の収率を高める目的からこの洗浄排水を石灰や苛性ソーダの希釈に用いたり、塩素化工程に戻すのが好ましい。

一方、固液分離して得られる分離母液1の主成分は次亜塩素酸カルシウムと塩化ナトリウムであり、これに不純物として臭素酸等を含む。この母液の一部は石灰や苛性ソーダを分散させたり、次亜塩素酸カルシウム2水化物のスラリー濃度を調節するために塩化槽に供給されるが、本発明では分離母液1の一部を系外にパージする事を必須とする。

次亜塩素酸カルシウム組成物の収率を高めるためにクローズドプロセスにする事が考えられる。しかし、この場合は母液に臭素酸が蓄積して、洗浄効果が薄くなり、製品中の臭素酸含量を低くできなくなる。又、塩素酸等の他の不純物も蓄積して次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶の成長が悪くなり、固液分離が難くなる。例えば、非特許文献2に示されたOlin法(真空蒸発法)のように塩素化スラリーを蒸発濃縮して水バランスを合わせると理論的にはクローズドプロセスになるが母液中の臭素酸等の不純物濃度が高くなり、次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶は小さな四角板状である事から、その分離ケークの付着母液率は高くなり、臭素酸含量の高い製品になると考えられる。又、次亜塩素酸カルシウムを製造するいずれのプロセスにも言える事であるが、製造過程で有効塩素の分解が数%から十数%起こり、その比率で有効塩素に対する臭素酸濃度は増す。

本発明では、分離母液1の一部を系外にパージする事で臭素酸の蓄積を防ぐ事が出来、運転操作は容易になり製品品質は安定化する。分離母液1の系外へのパージ量は、原料の石灰や苛性ソーダの濃度、洗浄液の組成と量、洗浄ケーク中の次亜塩素酸カルシウム濃度等で異なるが、ろ過ケーク中の次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶量の1.0倍重量以上であれば塩素ガス中の臭素ガス濃度が高くても安定して臭素酸含量が低い、例えば、60重量ppm以下の次亜塩素酸カルシウム組成物が得られる。又、この時は、臭素酸以外の塩化物や塩素酸等の副生物の蓄積も抑える事が出来るので好ましい。更に好ましいパージ量は該2水化物結晶量の1.5倍重量以上である。

しかし、分離母液1の次亜塩素酸カルシウム濃度は通常4〜12重量%であり、パージ量が多いとそれに伴われて次亜塩素酸カルシウムの損失量が増し、製品である次亜塩素酸カルシウム組成物の収率が低下する。その為、該パージ量は該2水化物結晶量の4倍重量以下が好ましく、より好適な範囲は1〜3倍重量である。

この次亜塩素酸カルシウムの損失対策として、パージする分離母液1に含まれている次亜塩素酸カルシウムを回収する事が挙げられる。その方法として、分離母液1をさらし液として利用する方法や該母液に塩酸を加えて次亜塩素酸カルシウムを塩素ガスとして回収する方法、そして特開昭52−93694号公報に開示されている方法、即ち該母液に石灰や苛性ソーダを加えて2塩基性次亜塩素酸カルシウムを析出させ、該2塩基結晶を分離して塩素化工程に戻し、該2塩基結晶の分離母液2(分離母液1の一部を含む)を系外にパージする方法がある。これらの方法では、後者の2塩基性結晶で回収する母液回収法が本発明の方法に利用でき、効果も大きいので好ましい。この事により、分離母液1の次亜塩素酸カルシウムの多くを2塩基性次亜塩素酸カルシウム結晶として固定化出来る。そして、この時、臭素酸の大部分は該2塩基性結晶内に取り込まれる事はほとんどないことを本発明者等は突き止めたのである。又、塩化物もほぼ母液に留まることが判った。この操作により母液中の次亜塩素酸カルシウム濃度は半減かそれ以下に低下し、部分的にパージする分離母液1からの次亜塩素酸カルシウムの回収率は40〜70%にもなる。一方、臭素酸は一部吸着が考えられるがほとんど溶存するので該2塩基性結晶の分離母液2(分離母液1の一部を含む)を系外にパージすれば次亜塩素酸カルシウム組成物の収率を高めながら臭素酸含量を低くできる。又、塩化物もほぼ母液に留まるのでその蓄積もない事が判った。

母液中の次亜塩素酸カルシウムを該2塩基性結晶として固定化出来ても臭素酸が結晶内に取り込まれては実施できず、又母液中の次亜塩素酸カルシウムを結晶として固定化出来なければ実現できなかったのである。該2塩基性結晶の固定化の基本的反応式は次の2つである。

又、該2塩基性結晶を母液から分離するために、遠心分離機、加圧ろ過機、減圧ろ過機や、デカンター等の固液分離装置を用いても良く、セトラーや液体サイクロン等の分級装置を用いても良い。

また、ここでは分離母液2を系外へパージするが、その量と前述の分離母液1の系外へのパージ量との関係は、両分離母液に溶存し、パージされる塩化物(NaClやCaCl2)量で評価すれば良い。例えば、固液分離して得られた該2水化物結晶量の1倍重量の分離母液1の塩化物量と該2塩基性結晶を分離して系外にパージする分離母液2の塩化物量が同じであれば、分離母液2のパージ量は分離母液1に換算して該2水化物結晶量の1倍重量に相当する。

そして、系外にパージする分離母液1や分離母液2の最終処理として、環境保全の面からこれらに含まれる次亜塩素酸カルシウムを完全に除くのが良い。除く方法としては、(1)これに塩酸を過剰に加えて次亜塩素酸カルシウムを塩素ガスとして回収し、処理液はアルカリで中和して廃棄する方法や(2)NiやCo等の酸化物触媒で次亜塩素酸イオンを接触的に分解する方法、(3)過酸化水素で分解する方法等がある。何れも適用できる。この中では、(2)のNiやCo等の酸化物触媒を用いる方法が、操作が容易であり好ましい。本発明では、NiやCo等の酸化物触媒として特開平6−23375号公報に開示されているMn等酸化物担持複合体を好適に用いる事が出来る。

次に、ろ過、洗浄して得られた次亜塩素酸カルシウム2水化物を主成分とする洗浄ケークと後工程の乾燥について説明する。該洗浄ケークの固体の主は次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶であるが、他に少量の水酸化カルシウムや原料の石灰由来の炭酸カルシウム、そして塩素化時に2水化物結晶と共析した少量の塩化ナトリウム結晶等が含まれる。

そして、該洗浄ケークを乾燥するが、その前に次亜塩素酸カルシウム濃度を調節するために塩化ナトリウム粉末を添加しても良く、製品の貯蔵安定性を高めるために水酸化カルシウムの粉末を添加しても良い。乾燥は瞬時に乾燥できる気流乾燥機、ある程度の滞在時間が必要な流動乾燥機、又パドルドライヤーや固定床熱風循環式乾燥機のいずれも好適に用いる事が出来る。尚、乾燥形式は連続式が好ましく、生産性を高めることが出来、製品品質も安定する。

乾燥により、次亜塩素酸カルシウム組成物が得られる。その次亜塩素酸カルシウム濃度は60重量%以上に容易に出来、70重量%以上、更には80重量%も可能である。高度さらし粉商品としては、有効塩素濃度が70重量%以上の製品が多く、次亜塩素酸カルシウムとして通常71〜76重量%で市販されている。

本発明では、次亜塩素酸カルシウム組成物の臭素酸含量を容易に、60重量ppmにでき、さらには30重量ppm以下にする事もできる。

他の成分としては、塩化カルシウムは吸湿性が大きいのでその濃度は低い程良く、5重量%以下が好ましい。また、水酸化カルシウムは次亜塩素酸カルシウムの分解を抑制し、保存安定性を高く出来るのである程度は必要である。しかし、多過ぎると使用時に溶けきれず、液が濁る事になる。その濃度は、2〜6重量%が好ましい。又、次亜塩素酸カルシウム組成物中の水分濃度は4重量%以上が好ましい。これが低く過ぎると次亜塩素酸カルシウムの安全性が低下して、熱や還元性物質との接触で分解が起り易くなる。水分は、通常、次亜塩素酸カルシウム2水化物の結晶水として存在するので比較的安定である。しかし、これが多過ぎると自由水として作用して、次亜塩素酸カルシウムの分解が進み保存安定性が低下する。好ましい水分含量は4〜20重量%であり、より好ましい水分含量は10〜18重量%である。又、副生物である塩素酸(ClO3)等の溶解不純物も臭素酸と同様に低く抑える事が出来るのも本発明の特徴である。

そして、該次亜塩素酸カルシウム組成物は結晶状の粉末でも良いが、ろ過後の洗浄ケークや乾燥後の粉末を造粒や成型して顆粒やペレット、そして碁石状や円柱状のタブレットにしても良い。この場合、取扱い性や輸送性が向上する。

こうして本発明の高品位次亜塩素酸カルシウム組成物が製造される。

本発明により臭素酸含量が低い高品位の次亜塩素酸カルシウム組成物の製造方法を提供することが出来る。

本発明の実施態様を示すフローシート

本発明の実施態様を示すフローシート

1 母液回収工程 2 パージ液分離工程 3 混合工程 4 次亜塩素酸ナトリウム製造工程 5 食塩分離工程 6 次亜塩素酸カルシウム製造工程 7 ろ過工程 8 洗浄工程 9 乾燥工程 11 石灰 12 分離母液1 13 分離母液2 14 パージ液 15 パージ液を除いた分離母液2 16 苛性ソーダ 17 塩素ガス 18 次亜塩素酸ナトリウムスラリー 19 食塩ケーク 20 次亜塩素酸ナトリウム溶液 21 二塩基性次亜塩素酸カルシウムスラリー 22 洗浄排液 23 混合スラリー 24 種晶スラリー 25 塩素ガス 26 次亜塩素酸カルシウム2水化物スラリー 27 ろ過ケーク 28 洗浄液 29 洗浄ケーク 30 蒸発水 31 次亜塩素酸カルシウム組成物 32 石灰

次に、本発明の実施例及び比較例を示すが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。又、これら実施例及び比較例の部、%及びppmは、いずれも重量に基づくものである。

各成分の分析は、日本ソーダ工業会制定の「次亜塩素酸カルシウム」規格(JSIA 07−2−1998)や日本水道協会制定の「水道用次亜塩素酸ナトリウム」の規格(JWWA K120:2008−2)の分析法に則った。

そして、塩素ガス中の臭素ガス濃度は、対象となる塩素ガスを撹拌下、反応熱を除熱しながら苛性ソーダ水溶液に導入し、生成した臭素酸をイオンクロマト分析、有効塩素をヨード法酸化還元滴定法でそれぞれ求めて測定した。尚、副反応で生成する塩素酸を有効塩素に換算して臭素ガス濃度を補正した。

実施例1 本実施例では、臭素ガス濃度は160ppmの塩素ガスを用い、図1に示した一連の操作を繰り返し行った。 図1及び本実施例における<次亜塩素酸ナトリウム製造工程>から<ろ過工程>までが本発明の工程1を表し、<次亜塩素酸カルシウム洗浄工程>及び<乾燥工程>が本発明の工程2を表す。

またここでは、次亜塩素酸カルシウム2水化物の柱状結晶よりなる種晶スラリーを次亜塩素酸カルシウム製造工程に用いて粗大次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶を晶析させ、次亜塩素酸カルシウム組成物を製造した。

<種晶スラリーの製造> クエン酸 2.6部、97%水酸化カルシウム 115部、48%苛性ソーダ液 238部、そして純水 445部を撹拌機を備えた反応器に仕込み、撹拌下、20℃に維持しながら塩素ガス 200部を2時間かけて導入した。そして、20℃で撹拌を一夜継続し、結晶幅のa軸、b軸が5〜15μm、結晶長さのc軸が20〜100μm、c/aが約6の柱状次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶を得た。該柱状結晶の濃度は7.5%で、この種晶スラリー 25部を得た。

<次亜塩素酸ナトリウム製造工程> 48%苛性ソーダ液と純水で45%苛性ソーダ液を調製し 103部を、撹拌機を備えた槽に導入し、反応熱を除去しながら、20〜25℃で塩素ガス 40部を反応させた。50〜300μmのサイコロ状のNaCl結晶を含んだ次亜塩素酸ナトリウム水溶液のスラリーを得た。そして、該スラリーを遠心分離機で処置し、NaCl:95%の食塩ケークとNaClO:34%の分離ろ液 112部を得た。

<混合・次亜塩素酸カルシウム製造工程> 前記次亜塩素酸ナトリウム製造工程で得られた分離ろ液の全量と50%水酸化カルシウムペースト 78部、Ca(ClO)2:10%、NaCl:20%の分離母液1 131部、およびCa(ClO)2:12%、NaCl:6%の洗浄排液 36部を均一に混合して混合アルカリスラリーを調製した。そして、内部に撹拌機と冷却コイルを備えたタンク式の塩素化反応槽に前記混合アルカリスラリー、前記種晶スラリー、および塩素ガス を、それぞれ別々に1時間当たり 357部、22部、37部を均一流速で連続してフィードし、反応させた。反応温度は25〜30℃に維持し、反応の制御は酸化還元電位を用いた。ここでの種晶の成長倍率は約50倍でその成長は良く、反応槽から30〜300μmの厚みのある四方両錐台状の粗大な次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶を含む次亜塩素酸カルシウムスラリーを1時間当たり 415部得た。平均滞在時間は約5時間であった。

<ろ過工程> 次に、前記次亜塩素酸カルシウムスラリー 415部を遠心分離機に掛け、1,000〜1,500Gで固液分離を行なった。そして、Ca(ClO)2:10.0%、NaCl:19.9%の分離母液1 321部とろ過ケーク が得られた。該分離母液1の190部はパージし、残りは混合工程に送った。

<次亜塩素酸カルシウム洗浄工程> 前記ろ過工程で得られた分離機内のろ過ケークに対して純水 28部を用い中速回転で均一に振り掛けて洗浄し、高速回転で脱液した。そして、Ca(ClO)2:12.6%の洗浄排液 36部を得、全量を混合工程に送った。そして、分離機内の洗浄ケークを取り出した。その量は、 86部で、組成は、Ca(ClO)2:65.7%、NaCl:4.2%であった。

<乾燥工程> 次に、前記洗浄ケークに対して0.9%の消石灰を添加混合し、乾燥して、Ca(ClO)2:75.0%、Ca(OH)2:4.0%、H2O:14%、そして臭素酸含量が10ppmの高品位次亜塩素酸カルシウム組成物を得た。

<工程解析> ろ過ケーク中の次亜塩素酸カルシウム2水化物 75部(純結晶換算量)に対するパージする分離母液1の量は2.5倍重量であった。そして、ろ過ケーク中の次亜塩素酸カルシウム2水化物 75部(純結晶換算量)に対する洗浄液量は0.4倍重量であった。臭素酸の洗浄効率は約60%であった。

実施例2 本実施例では、実施例1と同様に臭素ガス濃度 160ppmの塩素ガスを用いた。そして、図1で示す操作に母液回収工程を付加した図2に示す一連の操作を繰り返し行った。なお、図2に示した種晶スラリーの添加は行わなかった。

図2及び実施例における<母液回収工程>から<ろ過工程>までが本発明の工程1を表し、<次亜塩素酸カルシウム洗浄工程>及び<乾燥工程>が本発明の工程2を表す。<母液回収・パージ液分離工程> 分離母液1 716部と50%水酸化カルシウムペースト 89部を攪拌機を備えた槽で30分間混合した。得られた混合スラリーを分離し、Ca(ClO)2:4.0%,NaCl:19.9%の分離母液2 247部と六角板状の二塩基性次亜塩素酸カルシウムスラリー 558部を得た。分離母液2 247部のうち145部をパージした。

<次亜塩素酸ナトリウム製造工程> 前記分離母液2 102部、48%苛性ソーダ液 95部を、撹拌機を備えた槽に導入し、反応熱を除去しながら、20℃で塩素ガス 39部を反応させた。100〜300μmのサイコロ状のNaCl結晶を含んだ次亜塩素酸ナトリウム水溶液のスラリーを得た。そして、該スラリーを遠心分離機で処置し、NaCl:96%の食塩ケークとNaClO:21%の分離ろ液 203部を得た。

<混合・次亜塩素酸カルシウム製造・ろ過工程> 次に、前記次亜塩素酸ナトリウム製造工程で得られた分離ろ液の全量と前記母液回収・パージ液分離工程で得られた二塩基性次亜塩素酸カルシウムスラリーの全量、およびCa(ClO)2:11%、NaCl:12%の洗浄排液 97部を混合し、タンク式の撹拌槽で反応温度が25〜30℃になる様に冷却コイルで除熱しながら塩素ガスを43部導入した。そして、50〜120μmのやや積層した四角板状の次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶と少量のNaCl結晶を含むCa(ClO)2:17%のスラリー 900部を得た。組成分析からこのスラリー中の次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶濃度は10.4%であった。次いで、得られたスラリーの全量をバスケットタイプの遠心分離機でろ過して、ろ過ケークとCa(ClO)2:10.0%、NaCl:20.0%の分離母液1 716部を得た。該分離母液1は全量を母液回収工程に送った。

<次亜塩素酸カルシウム洗浄工程> 前記ろ過工程で得られた遠心分離機内のろ過ケークに、別途調製した10%次亜塩素酸カルシウム水溶液 79部を、中速回転で均一に振り掛けて洗浄し、高速回転で脱液した。そして、Ca(ClO)2:11.6%の洗浄排液 96部と洗浄ケーク 166部を得た。得られた洗浄排液の全量を混合工程に送った。そして、分離機内の洗浄ケークを取り出した。その組成は、Ca(ClO)2:47.9%であった。

<乾燥工程> 洗浄工程で得られた洗浄ケークを熱風循環式の乾燥機で乾燥した。乾燥により、平均組成がCa(ClO)2:73%,NaCl:10%,Ca(OH)2:2%,H2O:13%、臭素酸含量が40ppmの高品位次亜塩素酸カルシウム組成物を得た。

<工程解析> ろ過ケーク中の次亜塩素酸カルシウム2水化物 94部(純結晶換算量)に対するパージする分離母液2の量は1.5倍重量であった。また、パージする分離母液2の塩化ナトリウム量から分離母液1の量に換算すると144部となり、ろ過ケーク中の次亜塩素酸カルシウム2水化物 94部(純結晶換算量)に対する分離母液1量も1.5倍重量になる。そして、ろ過ケーク中の次亜塩素酸カルシウム2水化物 94部(純結晶換算量)に対する洗浄液量は0.8倍重量であった。臭素酸の洗浄効率は約60%であった。

比較例1 10%次亜塩素酸カルシウム水溶液を洗浄液として用いることなく(すなわち洗浄工程を行わなかった)、その他は実施例1と同様に操作して次亜塩素酸カルシウム組成物を製造した。パージする分離母液2は、ろ過ケーク中の次亜塩素酸カルシウム2水化物の0.6倍重量であった。また、実施例1 と同様にしてパージする分離母液2を分離母液1に換算して求めた値も0.6倍重量になる。得られた次亜塩素酸カルシウム組成物のCa(ClO)2は67%、NaClは25%であり、臭素酸含量が120ppmであった。

実施例3 基本的に、実施例2の方法において、次亜塩素酸カルシウム2水化物の柱状結晶よりなる種晶スラリーを次亜塩素酸カルシウム製造工程に用いて粗大次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶を晶析させ、次亜塩素酸カルシウム組成物を製造した。

<母液回収・パージ液分離工程> 分離母液1 450部と50%水酸化カルシウムペースト 56部を攪拌機を備えた槽で30分間混合した。得られた混合スラリーを分離し、Ca(ClO)2:4.0%,NaCl:20%の分離母液2 290部と六角板状の二塩基性次亜塩素酸カルシウムスラリー 215部を得た。分離母液2 290部のうち188部をパージした。

<次亜塩素酸ナトリウム製造工程> 次に、分離母液2 102部、48%苛性ソーダ液 95部を撹拌機を備えた槽に導入し、20℃で塩素ガス 39部を反応させた。100〜300μmのサイコロ状のNaCl結晶を含んだ次亜塩素酸ナトリウム水溶液のスラリーを得た。そして、該スラリーを遠心分離機で処置し、NaCl:96%の食塩ケークとNaClO:21%の分離ろ液 203部を得た。

<混合・次亜塩素酸カルシウム製造工程> 次に、前記次亜塩素酸ナトリウム製造工程で得られた分離ろ液の全量と前記母液回収・パージ液分離工程で得られた二塩基性次亜塩素酸カルシウムスラリーの全量、50%水酸化カルシウムペースト 33部、およびCa(ClO)2:12%、NaCl:6%の洗浄排液 58部を混合して混合アルカリスラリーを調製した。そして、内部に撹拌機と冷却コイルを備えたタンク式の塩素化反応槽に前記混合アルカリスラリー、前記種晶スラリー 、および塩素ガス を、それぞれ別々に1時間当たり510部、25部、43部を均一流速で連続してフィードし、反応させた。反応温度は25〜30℃に維持し、反応の制御は酸化還元電位を用いた。ここでの種晶の成長倍率は約50倍でその成長は良く、反応槽から30〜300μmの厚みのある四方両錐台状の粗大な次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶を含む次亜塩素酸カルシウムスラリーを1時間当たり 578部得た。平均滞在時間は約5時間であった。

<ろ過工程> 次に、該次亜塩素酸カルシウムスラリー 578部を遠心分離機に掛け、1,000〜1,500Gで固液分離を行なった。そして、Ca(ClO)2:10.0%、NaCl:20.0%の分離母液1 450部とろ過ケーク が得られた。該分離母液1は全量を母液回収工程に送った。

<次亜塩素酸カルシウム洗浄工程> 前記ろ過工程で得られた分離機内のろ過ケークに対して純水 45部を用いる以外は実施例1と同様に操作した。そして、Ca(ClO)2:65.3%、NaCl:5.3%の洗浄ケーク 114部とCa(ClO)2:12.4%、NaCl:6.0%の洗浄排液 57部を得た。洗浄排液は全量を混合工程に送った。

<乾燥工程> 次に、該洗浄ケークに対して1%の消石灰を添加混合し、乾燥して、Ca(ClO)2:73.2%、Ca(OH)2:3%、H2O:16%、そして臭素酸含量が11ppmの高品位次亜塩素酸カルシウム組成物を得た。

<工程解析> 実施例1と同様にろ過ケーク中の次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶量に対するそれぞれの液の比率を求めると、パージする分離母液2は、1.9倍重量であり、その分離母液1換算の値も1.9倍重量、そして、洗浄液量は0.44倍重量であった。臭素酸濃度から求めた洗浄効率は約60%であった。

実施例4 洗浄工程において純水の代りに次亜塩素酸ナトリウム製造工程で生成する食塩ケークを用いて調製した10%塩化ナトリウム水溶液を用いた以外は実施例32と同様に操作して、次亜塩素酸カルシウム組成物を製造した。

<母液回収・パージ液分離工程> 分離母液1 450部と50%水酸化カルシウムペースト 56部を攪拌機を備えた槽で30分間混合した。得られた混合スラリーを分離し、Ca(ClO)2:4.0%,NaCl:19.9%の分離母液2 324部と六角板状の二塩基性次亜塩素酸カルシウムスラリー 182部を得た。分離母液2 324部のうち222部をパージした。

<次亜塩素酸ナトリウム製造工程> 次に、分離母液2 102部、48%苛性ソーダ液 95部を撹拌機を備えた槽に導入し、20℃で塩素ガス 39部を反応させた。100〜300μmのサイコロ状のNaCl結晶を含んだ次亜塩素酸ナトリウム水溶液のスラリーを得た。そして、該スラリーを遠心分離機で処置し、NaCl:96%の食塩ケークとNaClO:21%の分離ろ液 203部を得た。

<混合・次亜塩素酸カルシウム製造工程> 次に、前記次亜塩素酸ナトリウム製造工程で得られた分離ろ液の全量と前記母液回収・パージ液分離工程で得られた二塩基性次亜塩素酸カルシウムスラリーの全量、50%水酸化カルシウムペースト 33部、およびCa(ClO)2:7.5%、NaCl:13.9%の洗浄排液 92部を混合して混合アルカリスラリーを調製した。そして、内部に撹拌機と冷却コイルを備えたタンク式の塩素化反応槽に前記混合アルカリスラリー、実施例1で調整したものと同じ種晶スラリー、および塩素ガス を、それぞれ別々に1時間当たり 510部、25部、および43部を均一流速で連続してフィードし、反応した。反応温度は25〜30℃に維持し、反応の制御は酸化還元電位を用いた。ここでの種晶の成長倍率は約50倍でその成長は良く、反応槽から30〜300μmの厚みのある四方両錐台状の粗大な次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶を含む次亜塩素酸カルシウムスラリーを1時間当たり 578部得た。平均滞在時間は約5時間であった。

<ろ過工程> 次に、該次亜塩素酸カルシウムスラリー 578部を遠心分離機に掛け、1,000〜1,500Gで固液分離を行なった。そして、Ca(ClO)2:10.0%、NaCl:20.0%の分離母液1 450部とろ過ケークが得られた。該分離母液1は全量を母液回収工程に送った。

<次亜塩素酸カルシウム洗浄工程> 前記ろ過工程で得られた分離機内のろ過ケークに対して前記の食塩ケークを用いて調製した10%食塩水 78部を用いた以外は、実施例1と同様に操作した。そして、Ca(ClO)2:64.6%、NaCl:6.2%の洗浄ケーク 114部とCa(ClO)2:7.5%の洗浄排液 92部を得た。洗浄排液は全量を混合工程に送った。

<乾燥工程> 次に、該洗浄ケークに対して1%の消石灰を添加混合し、乾燥して、Ca(ClO)2:73.0%、Ca(OH)2:3.0%、H2O:15.0%、そして臭素酸含量が9ppmの高品位次亜塩素酸カルシウム組成物を得た。

<工程解析> 実施例1と同様にろ過ケーク中の次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶量に対するそれぞれの液の比率を求めると、パージする分離母液2は、2.3倍重量であり、その分離母液1換算の値は2.2倍重量、そして、洗浄液量は0.8倍重量であった。臭素酸濃度から求めた洗浄効率は約70%であった。

実施例5 洗浄工程において純水の代りに洗浄ケークから調製した10%次亜塩素酸カルシウム水溶液を用いる事以外は実施例3と同様に操作して、次亜塩素酸カルシウム組成物を製造した。

<母液回収・パージ液分離工程> 分離母液1 450部と50%水酸化カルシウムペースト 56部を攪拌機を備えた槽で30分間混合した。得られた混合スラリーを分離し、Ca(ClO)2:4.0%,NaCl:20.0%の分離母液2 289部と六角板状の二塩基性次亜塩素酸カルシウムスラリー 217部を得た。分離母液2 289部のうち187部をパージした。

<次亜塩素酸ナトリウム製造工程> 次に、分離母液2 102部、48%苛性ソーダ液 95部を撹拌機を備えた槽に導入し、20℃で塩素ガス 39部を反応させた。100〜300μmのサイコロ状のNaCl結晶を含んだ次亜塩素酸ナトリウム水溶液のスラリーを得た。そして、該スラリーを遠心分離機で処置し、NaCl:96%の食塩ケークとNaClO:21%の分離ろ液 203部を得た。

<混合・次亜塩素酸カルシウム製造工程> 次に、前記次亜塩素酸ナトリウム製造工程で得られた分離ろ液の全量と前記母液回収・パージ液分離工程で得られた二塩基性次亜塩素酸カルシウムスラリーの全量、50%水酸化カルシウムペースト 33部、およびCa(ClO)2:15.5%、NaCl:6.9%の洗浄排液 61部を混合して混合アルカリスラリーを調製した。そして、内部に撹拌機と冷却コイルを備えたタンク式の塩素化反応槽に前記混合アルカリスラリー、実施例1で調整したものと同じ種晶スラリー、および塩素ガスを、それぞれ別々に1時間当たり、514部、25部、および43部を均一流速で連続してフィードし、反応させた。反応温度は25〜30℃に維持し、反応の制御は酸化還元電位を用いた。ここでの種晶の成長倍率は約50倍でその成長は良く、反応槽から30〜300μmの厚みのある四方両錐台状の粗大な次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶を含む次亜塩素酸カルシウムスラリーを1時間当たり 581部を得た。平均滞在時間は約5時間であった。

<ろ過工程> 次に、該次亜塩素酸カルシウムスラリー581部を遠心分離機に掛け、1,000〜1,500Gで固液分離を行なった。そして、Ca(ClO)2:10.0%、NaCl:20.0%の分離母液1 450部とろ過ケークが得られた。該分離母液1は全量を母液回収工程に送った。 <次亜塩素酸カルシウム洗浄工程> 前記ろ過工程で得られた分離機内のろ過ケークに対して洗浄工程で得られた洗浄ケークを用いて調製した10%次亜塩素酸カルシウム水溶液 50部を用いる以外は実施例1と同様に操作した。そして、Ca(ClO)2:66.3%、NaCl:4.5%の洗浄ケーク 121部とCa(ClO)2:15.5%、NaCl:6.9%の洗浄排液を得た。洗浄排液は全量、混合工程に送った。

<乾燥工程> 次に、該洗浄ケークに対して1%の消石灰を添加混合し、乾燥して、Ca(ClO)2:73.5%、 Ca(OH)2:2%、H2O:17%、そして臭素酸含量が12ppmの高品位次亜塩素酸カルシウム組成物 107部を得た。

<工程解析> 実施例1と同様にろ過ケーク中の次亜塩素酸カルシウム2水化物結晶量に対するそれぞれの液の比率を求めると、パージする分離母液2は、1.8倍重量でありその分離母液1換算の値は1.8倍重量、そして、洗浄液量は0.5倍重量であった。臭素酸濃度から求めた洗浄効率は約60%であった。

高效检索全球专利

专利汇是专利免费检索,专利查询,专利分析-国家发明专利查询检索分析平台,是提供专利分析,专利查询,专利检索等数据服务功能的知识产权数据服务商。

我们的产品包含105个国家的1.26亿组数据,免费查、免费专利分析。

申请试用

分析报告

专利汇分析报告产品可以对行业情报数据进行梳理分析,涉及维度包括行业专利基本状况分析、地域分析、技术分析、发明人分析、申请人分析、专利权人分析、失效分析、核心专利分析、法律分析、研发重点分析、企业专利处境分析、技术处境分析、专利寿命分析、企业定位分析、引证分析等超过60个分析角度,系统通过AI智能系统对图表进行解读,只需1分钟,一键生成行业专利分析报告。

申请试用

QQ群二维码
意见反馈