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有機珪素化合物の製造方法

阅读:96发布:2024-02-17

专利汇可以提供有機珪素化合物の製造方法专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且【課題】燃焼灰中に含まれる二 酸化 珪素からアルコキシシランへの反応率を向上できる有機珪素化合物の製造方法を提供すること。 【解決手段】有機珪素化合物の製造方法は、分散媒と共に燃焼灰を湿式粉砕する粉砕処理工程ST11と、湿式粉砕後の燃焼灰を触媒の存在下、二酸化珪素を含む燃焼灰とアルコール化合物とを反応させてアルコキシシランを得る反応工程ST12とを含むことを特徴とする。 【選択図】図1,下面是有機珪素化合物の製造方法专利的具体信息内容。

分散媒と共に二酸化珪素を含有する燃焼灰を湿式粉砕する粉砕処理工程と、 触媒の存在下、前記湿式粉砕後の前記燃焼灰とアルコール化合物とを反応させてアルコキシシランを得る反応工程とを含むことを特徴とする、有機珪素化合物の製造方法。前記分散媒がアルコール系分散媒である、請求項1に記載の有機珪素化合物の製造方法。前記アルコール系分散媒が炭素数1以上炭素数5以下のアルコール系分散媒である、請求項1又は請求項2に記載の有機珪素化合物の製造方法。前記湿式粉砕前に前記燃焼灰を酸処理する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の有機珪素化合物の製造方法。前記粉砕処理工程において、前記燃焼灰の比表面積を30m2/g以上とする、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の有機珪素化合物の製造方法。前記触媒が、アルカリ金属のフッ化物及びフッ化アンモニウムからなる群から選択された少なくとも1種である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の有機珪素化合物の製造方法。前記アルコール化合物が、炭素数1以上5以下のアルコール化合物である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の有機珪素化合物の製造方法。脱材の存在下、前記燃焼灰と前記アルコール化合物とを反応させる、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の有機珪素化合物の製造方法。前記燃焼灰が、石炭灰である、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の有機珪素化合物の製造方法。前記石炭灰が、フライアッシュである、請求項9に記載の有機珪素化合物の製造方法。

说明书全文

本発明は、有機珪素化合物の製造方法に関し、例えば、燃焼灰に含まれる二酸化珪素を用いた有機珪素化合物の製造方法に関する。

従来、アルコールと二酸化珪素とを用いたテトラアルコキシシランの製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このテトラアルコキシシランの製造方法では、二酸化炭素の存在下でメタノールと珪素とを反応させた後、反応混合物の気化成分をモレキュラーシーブと接触させる。これにより、反応によって副生したがモレキュラーシーブによって除去されるので、テトラアルコキシシランを効率よく製造することが可能となる。

特開2017−88498号公報

ところで、石炭火発電所などの燃焼炉では、石炭の燃焼に伴って二酸化珪素を含有し、廃棄処理にコストを要する石炭灰が発生する。そこで、石炭灰を減容化して廃棄処理を容易にする観点から、石炭灰中に含まれる二酸化珪素を用いたアルコキシシランの製造方法が検討されている。しかしながら、石炭灰は、燃焼炉中での熱履歴によって結晶質の含有量が高くなり、従来検討されている反応条件では、二酸化珪素からアルコキシシランへの反応率が必ずしも十分ではない。そこで、石炭灰中に含まれる二酸化珪素からアルコキシシランへの反応率を向上できる有機珪素化合物の製造方法が望まれている。

本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、燃焼灰中に含まれる二酸化珪素からアルコキシシランへの反応率を向上できる有機珪素化合物の製造方法を提供することを目的とする。

本発明に係る有機珪素化合物の製造方法は、分散媒と共に二酸化珪素を含有する燃焼灰を湿式粉砕する粉砕処理工程と、触媒の存在下、前記湿式粉砕後の前記燃焼灰とアルコール化合物とを反応させてアルコキシシランを得る反応工程とを含むことを特徴とする。

この有機珪素化合物の製造方法によれば、湿式粉砕によって燃焼灰の比表面積が増大すると共に燃焼灰中の二酸化珪素が非晶質となるので、結晶化度が高い二酸化珪素を含有する燃焼灰を用いた場合であっても、燃焼灰中の二酸化珪素の反応性が向上する。これにより、燃焼灰中の二酸化珪素とアルコール化合物とが反応しやすくなるので、燃焼灰中に含まれる二酸化珪素からアルコキシシランへの反応率の向上が可能となる。

本発明に係る有機珪素化合物の製造方法においては、前記分散媒がアルコール系分散媒であることが好ましい。この方法より、湿式粉砕後の分散媒を反応工程におけるアルコール化合物としても用いることができるので、反応工程において分散媒をアルコール化合物に置換する必要がない。これにより、粉砕工程と反応工程とを連続して行うことができるので、燃焼灰中の二酸化珪素をアルコキシシランへと効率よく変換することが可能となる。

本発明に係る有機珪素化合物の製造方法においては、前記アルコール系分散媒が炭素数1以上炭素数5以下のアルコール系分散媒であることが好ましい。この方法より、アルコール系分散媒を反応工程のアルコール化合物として用いた場合であっても、二酸化珪素とアルコール化合物との反応性を向上させることが可能となるので、燃焼灰中の二酸化珪素を効率よくアルコキシシランに変換することが可能となる。

本発明に係る有機珪素化合物の製造方法においては、前記湿式粉砕前に前記燃焼灰を酸処理することが好ましい。この方法により、酸処理によって燃焼灰の比表面積がより一層向上するので、燃焼灰中の二酸化珪素をアルコキシシランに効率よく変換できる。

本発明に係る有機珪素化合物の製造方法においては、前記粉砕処理工程において、前記燃焼灰の比表面積を30m2/g以上とすることが好ましい。この方法により、燃焼灰の比表面積がアルコール化合物との反応に適した範囲となるので、燃焼灰中の二酸化珪素をアルコキシシランに効率よく変換することが可能となる。

本発明に係る有機珪素化合物の製造方法においては、前記触媒が、アルカリ金属のフッ化物及びフッ化アンモニウムからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。この方法により、触媒に含まれるフッ素成分と燃焼灰に含まれる二酸化珪素とが反応する。これにより、燃焼灰に含まれる二酸化珪素の表面積が増大するので、フッ素化合物により燃焼灰中の二酸化珪素が反応しやすくなる。その結果、燃焼灰中に含まれる二酸化珪素からアルコキシシランへの反応率の向上が可能となる。

本発明に係る有機珪素化合物の製造方法においては、前記アルコール化合物が、炭素数1以上5以下のアルコール化合物であることが好ましい。この方法より、アルコール化合物と触媒との反応率がより向上するので、燃焼灰中に含まれる二酸化珪素からアルコキシシランへの反応率をより一層向上することが可能となる。

本発明に係る有機珪素化合物の製造方法においては、さらに、脱水材の存在下、前記燃焼灰と前記アルコール化合物とを反応させることが好ましい。この方法により、アルコキシシランとアルコール化合物との反応によって生じた水分を脱水材によって吸着除去できるので、二酸化珪素からアルコキシシランへの反応率をより一層向上することが可能となる。

本発明に係る有機珪素化合物の製造方法においては、前記燃焼灰が、石炭灰であることが好ましい。この方法により、二酸化珪素とアルコール化合物との反応率がより一層向上するので、アルコキシシランの収率がより一層向上する。

本発明に係る有機珪素化合物の製造方法においては、前記石炭灰が、フライアッシュであることが好ましい。この方法により、二酸化珪素とアルコール化合物との反応率がより一層向上するので、アルコキシシランの収率がより一層向上する。

本発明によれば、燃焼灰中に含まれる二酸化珪素からアルコキシシランへの反応率を向上できる有機珪素化合物の製造方法を実現することができる。

図1は、本実施の形態に係る有機珪素化合物の製造方法の概略を示すフロー図である。

図2は、本発明の実施の形態に係る有機珪素化合物の製造方法における燃焼灰の固体NMR(

29Si MAS)の測定結果を示す図である。

図3は、燃焼灰中の二酸化珪素及びアルコール化合物の反応率と反応時間との関係を示す図である。

石炭焚火力発電所などでは、二酸化珪素を含む結晶質のフライアッシュ及びクリンカアッシュなどの石炭灰が排出される。これらの石炭灰は、約65%の二酸化珪素を含むので、二酸化珪素を有効に活用することにより、石炭灰からの有価物の回収及び廃棄物となる石炭灰の減容化による廃棄コストの削減が期待できる。しかしながら、石炭灰は、燃焼炉中での熱履歴から結晶化率が高くなり、従来の反応条件では、必ずしも十分な二酸化珪素の反応率が得られない。例えば、他の二酸化珪素含有成分では、焼成後のもみ殻では反応率が40%−80%であり、珪質頁岩では反応率が50—60%である。これに対して、石炭灰では反応率が低収率にとどまっている。

まず、本発明者らは、粉末X線回折装置(XRD)などにより、石炭灰の結晶構造を有する定性成分の分析を行った。その結果、本発明者らは、石炭灰に含まれるフライアッシュ及びクリンカアッシュには、結晶質として石英(SiO2)及びムライト(Al6O13Si2)が含まれることを確認した。そして、これらの石炭灰の結晶化質の含有量は、焼成後のもみ殻及び珪質頁岩よりも高く、石炭灰中の二酸化珪素の反応率の低下の要因となっていることを見出した。

また、本発明者らは、結晶化度が向上した石炭灰の比表面積に着目した。そして、本発明者らは、結晶化度が向上した石炭灰では、比表面積が他のシリカ含有成分より著しく低下していることを確認した。そして、本発明者らは、石炭灰の比表面積の低下が石炭灰中の二酸化珪素の反応率の低下の要因となっていることを見出した。

さらに、本発明者らは、上記知見に基づき、石炭灰中に含まれる二酸化珪素の反応前に、予め燃焼灰を湿式粉砕して比表面積を大きくすることにより、石炭灰に含まれる二酸化珪素を効率よくアルコキシシランへ変換できることを見出し、本発明を完成させるに至った。

以下、本発明の一実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態によって何ら限定されるものではない。

図1は、本実施の形態に係る有機珪素化合物の製造方法の概略を示すフロー図である。本実施の形態に係る有機珪素化合物の製造方法は、石炭焚ボイラなどから排出される燃焼灰に含まれる二酸化珪素とアルコール化合物とを反応させることにより、アルコキシシラン化合物を得るものである。図1に示すように、本実施の形態に係る有機珪素化合物の製造方法は、分散媒と共に二酸化珪素を含有する燃焼灰を湿式粉砕する粉砕処理工程ST11と、触媒の存在下、粉砕処理後の燃焼灰とアルコール化合物とを反応させてアルコキシシランを得る反応工程ST12とを含む。以下、各工程について詳細に説明する。

粉砕処理工程ST11では、ボールミルなどの一般的な粉砕機を用いて分散媒と共に燃焼灰を湿式粉砕する。燃焼灰としては、二酸化珪素を含むものであれば特に制限はない。燃焼灰としては、例えば、クリンカアッシュ及びフライアッシュなどの石炭灰が用いられる。また、燃焼灰としては、二酸化珪素の反応率を向上する観点から、比表面積が大きいものが好ましい。

分散媒としては、燃焼灰を湿式粉砕処理できるものであれば特に制限はない。分散媒としては、例えば、アルコール化合物、エーテル化合物及びエステル化合物などの各種有機溶媒が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、分散媒としては、アルコール化合物からなるアルコール系分散媒が好ましい。これにより、湿式粉砕後の分散媒を後述する反応工程ST12におけるアルコール化合物としても用いることができるので、分散媒をアルコール化合物に置換する必要がない。これにより、粉砕処理工程ST11と反応工程ST12とを連続して行うことができるので、燃焼灰中の二酸化珪素をアルコキシシランへと効率よく変換することが可能となる。

また、アルコール系分散媒としては、炭素数1以上炭素数5以下のアルコール化合物からなるものが好ましい。炭素数1以上5以下のアルコール系分散媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール及びペンタノールなどが挙げられる。これらの中でも、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノールが好ましく、エタノールがより好ましい。これらのアルコール系分散媒を用いることにより、アルコール系分散媒を後述する反応工程ST12のアルコール化合物として用いた場合であっても、二酸化珪素とアルコール化合物との反応性を向上させることが可能となるので、燃焼灰中の二酸化珪素を効率よくアルコキシシランに変換することが可能となる。

分散媒の使用量としては、燃焼灰を粉砕できる範囲であれば特に制限はない。溶媒の使用量としては、例えば、燃焼灰100質量部に対して、100質量部以上10000質量部以下が好ましく、200質量部以上5000質量部以下がより好ましく、300質量部以上3000質量部以下が更に好ましい。これにより、粉砕時に燃焼灰がスラリー状になるので、燃焼灰を効率良く粉砕処理することができる。

粉砕処理工程ST11における湿式粉砕の温度及び時間は、燃焼灰を所望の比表面積とできる範囲であれば特に制限はない。湿式粉砕の温度は、例えば、20℃以上100℃以下である。また、湿式粉砕の時間は、例えば、1時間以上24時間以下である。

粉砕処理工程ST11では、湿式粉砕前に燃焼灰を酸処理してもよい。この酸処理によって、燃焼灰の比表面積がより一層向上するので、燃焼灰中の二酸化珪素をアルコキシシランに効率よく変換できる。酸処理に用いられる酸としては、例えば、塩酸、硫酸硝酸などが挙げられる。これらの中でも塩酸が好ましい。

粉砕処理工程ST11における酸処理の温度及び時間は、燃焼灰を所望の比表面積とできる範囲であれば特に制限はない。酸処理の温度は、例えば、25℃以上100℃以下である。また、酸処理の時間は、例えば、1時間以上24時間以下である。

粉砕処理工程ST11では、燃焼灰の比表面積を、30m2/g以上とすることが好ましく、50m2/g以上とすることがより好ましく、70m2/g以上とすることが更に好ましく、また1000m2/g以下とすることが好ましく、500m2/g以下とすることがより好ましく、150m2/g以下とすることが更に好ましい。これにより、燃焼灰の比表面積がアルコール化合物との反応に適した範囲となるので、燃焼灰中の二酸化珪素をアルコキシシランに効率よく変換することが可能となる。

反応工程ST12では、下記式(1)に示すように、触媒の存在下、粉砕処理後の燃焼灰とアルコール化合物とを反応させてアルコキシシランを得る。なお、下記式(1)においては、二酸化珪素に対して3分子のアルコール化合物を反応させる例について示しているが、二酸化珪素に反応させるアルコール化合物の分子数は、用いるアルコール化合物及び反応条件などによって適宜変更可能である。例えば、本実施の形態に係る有機珪素化合物の製造方法は、二酸化珪素と4分子のアルコール化合物とが反応してテトラアルコキシシランを得るものであってもよく、二酸化珪素と3分子のアルコール化合物とが反応してトリアルコキシシランを得るものであってもよく、二酸化珪素と2分子のアルコール化合物とが反応してジアルコキシシランを得るものであってもよく、二酸化珪素と1分子のアルコール化合物とが反応してモノアルコキシシランを得るものであってもよい。

アルコール化合物は、二酸化珪素と反応する反応成分及び溶媒として用いられる。アルコール化合物としては、二酸化珪素と反応してアルコキシシランが得られるものであれば特に制限はない。アルコール化合物としては、炭素数1以上5以下のアルコール化合物であることが好ましい。これにより、アルコール化合物と触媒との反応率がより向上するので、燃焼灰中に含まれる二酸化珪素からアルコキシシランへの反応率をより一層向上することが可能となる。炭素数1以上5以下のアルコール化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール及びペンタノールなどが挙げられる。これらの中でも、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノールが好ましく、エタノールがより好ましい。

アルコール化合物の使用量としては、燃焼灰中の二酸化珪素との反応率を向上する観点から、燃焼灰中の二酸化珪素100質量部に対して、100質量部以上100000質量部以下であることが好ましく、5000質量部以上50000質量部以下であることがより好ましく、1000質量部以上10000質量部以下であることが更に好ましい。

触媒としては、二酸化珪素とアルコール化合物とからアルコキシシランが得られるものであれば特に制限はなく、各種塩基性物質を用いることができる。触媒としては、例えば、水酸化カリウム、炭酸カルシウム、フッ化アンモニウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、フッ化ナトリウムなどの各種塩基性化合物を用いることができる。

触媒としては、アルカリ金属のフッ化物及びフッ化アンモニウムからなる群から選択された少なくとも1種が好ましい。これにより、触媒に含まれるフッ素が、燃焼炉中の熱履歴によって結晶性が高くなった燃焼灰中の二酸化珪素と反応して結晶質を溶解させると推定される。この結果、燃焼灰の結晶性を低下させることができるので、燃焼灰中に含まれる二酸化珪素とアルコール化合物との反応率をより向上させることができる。

アルカリ金属のフッ化物としては、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウムなどが挙げられる。これらの中でも、燃焼灰中に含まれる二酸化珪素とアルコール化合物との反応性を向上する観点から、フッ化カリウム、フッ化セシウムが好ましく、フッ化カリウムがより好ましい。

触媒の使用量としては、燃焼灰中に含まれる二酸化珪素とアルコール化合物との反応率を向上する観点から、燃焼灰中の二酸化珪素に対して10mol%以上が好ましく、20mol%以上がより好ましく、30mol%以上が更に好ましく、50mol%以上がより更に好ましく、また100mol%以下が好ましく、80mol%以下がより好ましい。

また、有機珪素化合物の製造方法では、反応工程ST12において、上記触媒の他に添加物を用いて反応を行ってもよい。このような添加物としては、例えば、反応系内の水分を脱水する脱水材が挙げられる。これにより、上記式(1)の反応の進行によって系内に発生した水分を脱水することができるので、より一層二酸化珪素の反応率が向上する。脱水材としては、各種モレキュラーシーブが好ましく、モレキュラーシーブ3Aがより好ましい。脱水材の使用量としては、燃焼灰中に含まれる二酸化珪素とアルコール化合物との反応性を向上する観点から、燃焼灰中に含まれる二酸化珪素100質量部に対して、例えば、100質量部以上10000質量部以下が好ましい。

反応工程ST12における反応温度としては、アルコキシシランが得られる温度であれば特に制限はない。反応温度としては、例えば、燃焼灰中の二酸化珪素の反応率を向上する観点から、150℃以上300℃以下が好ましく、210℃以上270℃以下がより好ましい。反応工程ST12における反応時間としては、燃焼灰中の二酸化珪素の反応率を向上する観点から、例えば、1時間以上50時間未満が好ましい。

ここで、本発明者らは、粉砕処理工程ST11の前後で燃焼灰に含まれる二酸化珪素の結晶状態の変化について詳細に調べた。図2は、本実施の形態に係る有機珪素化合物の製造方法における燃焼灰の固体NMR(29Si MAS)の測定結果を示す図である。なお、図2においては、燃焼灰としてフライアッシュを用い、粉砕処理工程ST11前の測定結果(実線L1参照)と、粉砕処理工程ST11後の測定結果(破線L2参照)とを示している。

図2に示すように、粉砕処理工程ST11前の測定結果では、結晶性が高い石英に由来するシグナルが−105ppm付近に大きく存在するのに対し、粉砕処理工程ST11後の測定結果では、−105ppm付近のシグナルは大幅に低下している。この結果から、粉砕処理工程ST11では、湿式粉砕によって燃焼灰の比表面積を増大させるだけでなく、反応率の低下の要因となる結晶質の石英が消失して結晶化部のアモルファス(非晶質)化も進行していることが分かる。

次に、本発明者らは、反応工程ST12前に予め粉砕処理工程ST11を実施した場合と、粉砕処理工程ST11を実施しなかった場合の反応率について調べた。図3は、燃焼灰中の二酸化珪素及びアルコール化合物の反応率と反応時間との関係を示す図である。なお、図3に示す例では、反応触媒として、二酸化珪素に対して75mol%のフッ化カリウムを用い、予め湿式粉砕処理したフライアッシュを用いた例(比表面積:103m2/g:実線L3参照)、未粉砕処理のフライアッシュを用いた例(比表面積:1.7m2/g:破線L4参照)、未粉砕処理のクリンカアッシュを用いた例(比表面積:3m2/g:一点鎖線L5参照)を示している。

図3に示すように、未粉砕処理のクリンカアッシュでは、反応時間が経過しても反応率は5%程度だったのに対し、フライアッシュを用いた場合には、反応率が大幅に向上した。特に、湿式粉砕処理後のフライアッシュでは、未粉砕処理のフライアッシュより反応率の上昇が早く、24時間で36%の反応率に達した。この結果から、燃焼灰を粉砕処理することにより、反応率を著しく増大できることが分かる。

以上説明したように、上記実施の形態によれば、湿式粉砕によって燃焼灰の比表面積が増大すると共に燃焼灰中の二酸化珪素が非晶質となるので、結晶化度が高い二酸化珪素を含有する燃焼灰であっても、燃焼灰中の二酸化珪素の反応率が向上する。これにより、燃焼灰中の二酸化珪素とアルコール化合物とが反応しやすくなるので、燃焼灰中に含まれる二酸化珪素からアルコキシシランへの反応率の向上が可能となる。

以下、本発明の効果を明確にするために行った実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。

(実施例1) 比表面積1.7m2/gのフライアッシュ4.5gとエタノール65gとを混合し、ジルコニアボール(球平均直径1mm)によるボールミル(型番:PM100、ヴァーダー・サイエンティフィック社製)を用いて、室温(10℃以上40℃以下)にて500rpmの条件で湿式粉砕を開始した。6時間の湿式粉砕処理を実施し、比表面積103m2/gのフライアッシュを得た。

機械撹拌機を備えた200mL容積のSUS316製オートクレーブ(日東高圧社製)の上部に、内径4.6mmのSUS316製チューブを介してモレキュラーシーブ3A(メルク社製:2mmビーズ状)25gを入れた内容積30mlのSUS製ポータブルリアクター(耐圧硝子社製)を接続した。ポータブルリアクターの外側には恒温水を循環させて、ポータブルリアクター内部のモレキュラーシーブの温度を60℃に保持した。

上記湿式粉砕で得られたフライアッシュ1.4g(二酸化含有量として0.9g)と、触媒としての水酸化カリウムをフライアッシュ中の二酸化珪素に対して10mol%を上記200mLのオートクレーブに加え、25℃の温度下で、ボンベからアルゴンガスを、圧力計(スウェージロックFST社製PGC−50M−MG10)が示す圧力で、オートクレーブが0.75MPaになるように充填して10分間撹拌しながら保持し、密封した。その後オートクレーブ内を500rpmに撹拌しつつ240℃で3時間反応させた。テトラアルコキシシランの収率(二酸化珪素の反応率)は、11%であった。結果を下記表1に示す。

(実施例2) 湿式粉砕前にフライアッシュ4.5gを4mol/L塩酸100g混合して酸処理したこと以外は実施例1と同様にしてテトラアルコキシシランを得た。粉砕処理後のフライアッシュの比表面積は、127m2/gであり、テトラアルコキシシランの収率(二酸化珪素の反応率)は18%であった。結果を下記表1に併記する。

(実施例3) 水酸化カリウムに替えて、フッ化カリウムをフライアッシュ中の二酸化珪素に対して75mol%用いたこと、及び反応時間を24時間としたこと以外は実施例1と同様にしてテトラアルコキシシランを得た。テトラアルコキシシランの収率(二酸化珪素の反応率)は36.2%であった。結果を下記表1に併記する。

(比較例1) 粉砕処理をしなかったこと以外は、実施例1と同様にしてテトラアルコキシシランを得た。テトラアルコキシシランの収率(二酸化珪素の反応率)は5%であった。結果を下記表1に併記する。

(比較例2) 分散媒としてのエタノールを用いずに乾式粉砕したこと以外は実施例1と同様にしてテトラアルコキシシランを得た。テトラアルコキシシランの比表面積は、4.9m2/gであり、テトラアルコキシシランの収率(二酸化珪素の反応率)は4%であった。結果を下記表1に併記する。

(比較例3) 湿式粉砕処理をしなかったこと以外は、実施例2と同様にしてテトラアルコキシシランを得た。テトラアルコキシシランの比表面積は、5.0m2/gであり、テトラアルコキシシランの収率(二酸化珪素の反応率)は2%であった。結果を下記表1に併記する。

(比較例4) 湿式粉砕処理をしなかったこと以外は実施例3と同様にしてテトラアルコキシシランを得た。テトラアルコキシシランの収率(二酸化珪素の反応率)は25.5%であった。結果を下記表1に併記する。

表1から分かるように、湿式粉砕をした場合には、湿式粉砕をしなかった場合よりも比表面積が増大していずれも高い反応率が得られることが分かる(実施例1〜実施例3)。特に、フライアッシュの酸処理と湿式粉砕処理とを組み合わせることにより、更に比表面積が増大して反応率がより高くなることが分かる(実施例2)。これらの結果は、湿式粉砕によって燃焼灰の比表面積が増大すると共に燃焼灰中の二酸化珪素が非晶質となるので、燃焼灰中の二酸化珪素の反応率が向上し、燃焼灰中の二酸化珪素とアルコール化合物とが反応しやすくなったためと考えられる。これに対して、粉砕処理をしない場合及び乾式粉砕した場合には、反応率が著しく低下することが分かる(比較例1、2)。また、酸処理のみを行っても、湿式粉砕をしない場合には、比表面積がほとんど増えず、反応率も著しく低下した(比較例3)。さらに、触媒を替えることによって反応率は向上するが、粉砕処理をしない場合には、湿式粉砕を行った場合と比較して反応率が大きく低下することが分かる(比較例4)。これらの結果は、いずれも、湿式粉砕を行わなかったために、燃焼灰中の二酸化珪素の比表面積が増大しなかっただけでなく、結晶質の非晶質化も進行しなかったために、反応率が低下しなかったためと考えられる。

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