ガス検出装置

阅读:1028发布:2020-08-05

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内燃機関の排気通路に設けられ、酸化物イオン伝導性を有する固体電解質体と前記固体電解質体の表面にそれぞれ形成された第1電極及び第2電極とを含む電気化学セルと、前記排気通路を流れる排気が通過可能な多孔質材料からなる拡散抵抗体とを備え、前記排気通路を流れる排気が前記拡散抵抗体を通して前記第1電極に到達するように構成された素子部と、 前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加する電圧印加部と、 前記第1電極と前記第2電極との間に流れる電流である出電流を検出する電流検出部と、 前記電圧印加部を用いて前記第1電極と前記第2電極との間に印加される電圧である印加電圧を制御すると共に前記電流検出部を用いて前記出力電流を取得し、前記取得した出力電流に基づいて、前記排気中に所定濃度以上の硫黄酸化物が含まれているか否かの判定又は前記排気中の硫黄酸化物の濃度の検出を行う測定制御部と を有し、 前記測定制御部は、 前記内燃機関に供給される混合気の空燃比が安定している状態である場合、前記電圧印加部を用いて前記印加電圧を、硫黄酸化物の分解開始電圧未満である第1電圧範囲内から選ばれる第1電圧から硫黄酸化物の分解開始電圧よりも高い第2電圧範囲内から選ばれる第2電圧まで上昇させる昇圧スイープを実行した後、前記第2電圧から前記第1電圧まで所定の降圧速度にて下降させる降圧スイープを実行し、且つ、 前記降圧スイープ中に前記印加電圧が前記硫黄酸化物の分解開始電圧未満となったときに前記第1電極に吸着していた硫黄が当該第1電極において再酸化反応して硫黄酸化物へと戻ることにより前記第1電極と前記第2電極との間に流れる電流に起因して前記出力電流に生じる変化であって前記排気に含まれる前記硫黄酸化物の濃度が高いほど大きくなる出力電流に生じる変化であり、前記硫黄酸化物の分解開始電圧未満の範囲に現れる再酸化電流変化、の程度、に相関を有するパラメータを前記出力電流に基づいて取得し、当該パラメータに基づいて前記排気中に所定濃度以上の硫黄酸化物が含まれているか否かの判定又は前記排気中の硫黄酸化物の濃度の検出を行う、 ように構成された、 ガス検出装置であって、 前記降圧スイープは、前記再酸化電流変化が現れるように設定された前記所定の降圧速度で実行され、 前記測定制御部が、 前記降圧スイープ中であって前記印加電圧が硫黄酸化物の分解開始電圧以下の第3電圧以下であり且つ前記第1電圧より高い第4電圧以上の検出用電圧範囲内の電圧となっている期間において前記電流検出部により取得される出力電流のうちの最小値を前記パラメータとして用いるように構成され、 前記所定の降圧速度は、 前記第2電圧から前記第1電圧に達するまでの時間が0.1秒以上5秒以下の範囲内となるような降圧速度に設定されている、 ガス検出装置。請求項1に記載のガス検出装置において、 前記測定制御部は、前記排気中に前記所定濃度以上の硫黄酸化物が含まれているか否かの前記判定を行うように構成されており、 前記測定制御部は、 前記最小値が所定の閾値より小さいか否かを判定し、 前記最小値が前記閾値より小さいと判定した場合、前記排気中に前記所定濃度以上の硫黄酸化物が含まれていると判定し、 前記最小値が前記閾値以上であると判定した場合、前記排気中に前記所定濃度以上の硫黄酸化物が含まれていないと判定する、 ように構成された、 ガス検出装置。請求項2に記載のガス検出装置において、 前記測定制御部は、 更に、前記判定を行う前に、前記電圧印加部を用いて、前記印加電圧を、酸素の限界電流が生じる範囲内から選ばれた空燃比検出用印加電圧に設定し、 前記印加電圧が前記空燃比検出用印加電圧に設定されている場合に前記電流検出部を用いて前記出力電流を前記排気に含まれる酸素に対する限界電流値として取得し、 前記取得された限界電流値に基づく前記閾値の決定、及び、前記最小値が前記閾値より小さいか否かの判定の前の時点における前記取得された限界電流値に基づく前記最小値の補正、の少なくとも一方を実行する、 ように構成された、 ガス検出装置。請求項1に記載のガス検出装置において、 前記測定制御部は、前記排気中の硫黄酸化物の濃度の前記検出を行うように構成されており、 前記測定制御部は、前記最小値に基づいて前記排気中の硫黄酸化物の濃度を検出するように構成された、 ガス検出装置。請求項1に記載のガス検出装置において、 前記測定制御部は、 前記排気中の硫黄酸化物の濃度の前記検出を行うように構成されており、 前記硫黄酸化物の濃度の検出前に、前記電圧印加部を用いて、前記印加電圧を、酸素の限界電流が生じる範囲内から選ばれた空燃比検出用印加電圧に設定し、 前記印加電圧が前記空燃比検出用印加電圧に設定されている場合に前記電流検出部を用いて前記出力電流を前記排気に含まれる酸素に対する限界電流値として取得し、 前記パラメータとして取得された前記最小値と、前記取得された酸素に対する限界電流値と、に基づいて前記排気中の硫黄酸化物の濃度を検出するように構成された、 ガス検出装置。

说明书全文

本発明は、内燃機関の排気(被検ガス)中に含まれる所定濃度以上の硫黄酸化物の有無の判定又はその排気中に含まれる硫黄酸化物の濃度を検出することが可能なガス検出装置に関する。

従来から、内燃機関を制御するために、排気中に含まれる酸素(O2)の濃度に基づいて燃焼室内の混合気の空燃比(A/F)を取得する空燃比センサ(「A/Fセンサ」とも称呼される。)が広く使用されている。このような空燃比センサの1つのタイプとして、限界電流式ガスセンサを挙げることができる。

更に、このような限界電流式ガスセンサを用いて、排気中の硫黄酸化物(以下、「SOx」と称呼される場合がある。)の濃度を検出するSOx濃度検出装置(以下、「従来装置」と称呼する。)が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。

従来装置は、酸素イオン伝導性固体電解質の酸素ポンピング作用を利用したセンシングセル(電気化学セル)を含む。従来装置は、センシングセルの一対の電極間に電圧を印加することにより、排気中の酸素原子を含むガス成分(例えばO2、SOx及びH2O等であり、以下、「酸素含有成分」とも称呼する。)を分解させ、それによって、酸化物イオン(O2−)を発生させる。従来装置は、酸素含有成分の分解によって生じた酸化物イオンがセンシングセルの電極間を移動すること(酸素ポンピング作用)によって当該電極間を流れる電流の特性を、検出するようになっている。

より具体的に述べると、従来装置は、SOx濃度を検出するときに、印加電圧スイープを実行するようになっている。即ち、従来装置は、センシングセルに対して印する印電圧を0.4Vから0.8Vまで昇圧した後、0.8Vから0.4Vまで降圧する印加電圧スイープを、実行するようになっている。

そして、従来装置は、印電圧が0.8Vに達した時点の「センシングセルの電極間を流れる電流(以下、「電極電流」又は「出電流」と称呼する場合がある。)」である参照電流と、印加電圧が0.8Vから0.4Vまで低下させられている期間における出力電流の最小値であるピーク値との差を用いて、SOx濃度を算出するようになっている。

特開2015−17931号公報

しかしながら、上記出力電流は、排気中に含まれるSOx以外の酸素含有成分の影響によっても変化してしまう可能性が高い。例えば、(H2O)の分解電圧は硫黄酸化物の分解電圧と同じ程度であるか、或いはそれより僅かに高い。更に、排気中の水の濃度は例えば、混合気の空燃比に応じて変動する。このため、水の分解に起因する出力電流への影響を取り除いて、SOx成分の分解のみに起因する出力電流を検出することは困難である。従って、「SOx以外の酸素含有成分の影響を受けることがなく、且つ、SOx成分のみに起因する出力電流変化」を用いて、排気中に所定濃度以上の硫黄酸化物が存在するか否かの判定又は排気中の硫黄酸化物の濃度の検出、を行うことが求められていた。

本発明は上述した課題に対処するためになされた。即ち、本発明の目的の一つは、排気中に所定濃度以上の硫黄酸化物が含まれているか否かの判定又は排気中の硫黄酸化物の濃度の検出を精度よく行うことができるガス検出装置(以下、「本発明検出装置」とも称呼する。)を提供することにある。

本発明検出装置は、内燃機関の排気通路(12)に設けられ、酸化物イオン伝導性を有する固体電解質体(11s)と前記固体電解質体の表面にそれぞれ形成された第1電極(41a)及び第2電極(41b)とを含む電気化学セル(41c)と、前記排気通路を流れる排気が通過可能な多孔質材料からなる拡散抵抗体(61)とを備え、前記排気通路を流れる排気が前記拡散抵抗体を通して前記第1電極に到達するように構成された素子部(40)と、 前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加する電圧印加部(81)と、 前記第1電極と前記第2電極との間に流れる電流である出力電流(Im)を検出する電流検出部(91)と、 前記電圧印加部を用いて前記第1電極と前記第2電極との間に印加される電圧である印加電圧を制御すると共に前記電流検出部を用いて前記出力電流を取得し、前記取得した出力電流に基づいて、前記排気中に所定濃度以上の硫黄酸化物が含まれているか否かの判定又は前記排気中の硫黄酸化物の濃度の検出を行う測定制御部(20)と を有し、 前記測定制御部は、 前記内燃機関に供給される混合気の空燃比(A/F)が安定している状態である場合(図9のステップ930での「Yes」との判定)、前記電圧印加部を用いて前記印加電圧を、硫黄酸化物の分解開始電圧未満である第1電圧範囲内から選ばれる第1電圧から硫黄酸化物の分解開始電圧よりも高い第2電圧範囲内から選ばれる第2電圧まで上昇させる昇圧スイープを実行した後、前記第2電圧から前記第1電圧まで所定の降圧速度にて下降させる降圧スイープを実行し(図10のステップ1010)、且つ、 前記降圧スイープ中に前記印加電圧が前記硫黄酸化物の分解開始電圧未満となったときに前記第1電極に吸着していた硫黄が当該第1電極において再酸化反応して硫黄酸化物へと戻ることにより前記第1電極と前記第2電極との間に流れる電流に起因して前記出力電流に生じる変化であって前記排気に含まれる前記硫黄酸化物の濃度が高いほど大きくなる出力電流に生じる変化であり、前記硫黄酸化物の分解開始電圧未満の範囲に現れる再酸化電流変化、の程度、に相関を有するパラメータ(Ismn)を前記出力電流に基づいて取得し(図10のステップ1020)、当該パラメータに基づいて前記排気中に所定濃度以上の硫黄酸化物が含まれているか否かの判定(図10のステップ1040)又は前記排気中の硫黄酸化物の濃度の検出を行う、 ように構成されている。 前記降圧スイープは、前記再酸化電流変化が現れるように設定された前記所定の降圧速度で実行され、 前記測定制御部は、 前記降圧スイープ中であって前記印加電圧が硫黄酸化物の分解開始電圧以下の第3電圧以下であり且つ前記第1電圧より高い第4電圧以上の検出用電圧範囲内の電圧となっている期間において前記電流検出部により取得される出力電流のうちの最小値(Ismn)を前記パラメータとして用いる(図10のステップ1040)ように構成さ前記所定の降圧速度は、 前記第2電圧から前記第1電圧に達するまでの時間が0.1秒以上5秒以下の範囲内となるような降圧速度に設定されている。

発明者の検討によれば、「降圧スイープを行っているときに第1電極に吸着した硫黄」が当該第1電極において再酸化反応して硫黄酸化物へ戻ることに起因して「硫黄酸化物以外酸素含有成分」の影響を受け難い「出力電流の変化」が生じることが判明した。更に、降圧スイープにおける所定の経過時間当たりの電圧降下量(即ち、降圧速度)により、この「出力電流の変化」の程度が大きく変わることが判明した(図5(A)及び(B)を参照。)。これらの現象が生じるメカニズムは、次のようなことであると推定される。

即ち、昇圧スイープを行うことにより第1電極に吸着した硫黄(硫黄酸化物の分解物)が、降圧スイープを行っているときに、当該第1電極において再酸化反応して硫黄酸化物へと戻る。昇圧スイープを行った場合に「硫黄酸化物以外の酸素含有成分の分解物(例えば、水の分解物である水素)」は第1電極に吸着しないため、降圧スイープを行っているとき、硫黄酸化物以外の酸素含有成分の分解物が当該第1電極において再酸化反応して酸素含有成分へ戻る現象は実質的に生じない。

このため、降圧スイープを行っているときに第1電極に吸着していた硫黄が当該第1電極において再酸化反応して硫黄酸化物へと戻ることにより生じる「出力電流の変化」は、硫黄酸化物以外の酸素含有成分の影響を受けにくい。即ち、降圧スイープ中に硫黄酸化物以外の酸素含有成分の影響を受けにくい「出力電流の変化」が生じる。

ところが、降圧スイープの降圧速度(掃引速度)がある速度より遅い場合、降圧スイープを行っているときに硫黄の再酸化反応が連続的且つ徐々に進行するため、硫黄酸化物濃度がどのような濃度であっても「出力電流の変化」の程度が現れ難い。

これに対して、降圧スイープの降圧速度をある速度より速くした場合、降圧スイープを行っているときに硫黄の再酸反応がそれ程進行しないまま印加電圧が低下し、印加電圧が「硫黄の再酸化反応が活発になるある電圧範囲(即ち、硫黄酸化物の分解開始電圧未満の所定の電圧範囲)」内の電圧になると、硫黄の再酸化反応が急激に進行する。その結果、硫黄酸化物濃度が高いほど出力電流の変化の程度が大きくなる。即ち、硫黄酸化物濃度を精度よく検出するのに有意な電流変化が現れる。

そこで、本発明検出装置における降圧スイープの降圧速度は、「印加電圧が、第1電圧範囲(硫黄酸化物の分解開始電圧未満の電圧範囲)内であって第1電圧よりも高い電圧範囲内の電圧となった時点を境に硫黄の再酸化反応の速度が急増する速度」となるように設定されている。従って、硫黄酸化物以外の酸素含有成分の影響を受けない出力電流の変化が、硫黄酸化物濃度が高いほど大きく現れる。

更に、本発明検出装置は、そのような硫黄の再酸化反応に起因して「出力電流に生じる変化の程度」に相関を有するパラメータを出力電流に基づいて取得し、そのパラメータに基づいて、排気中に所定濃度以上の硫黄酸化物が含まれているか否かの判定又は排気中の硫黄酸化物の濃度の検出を行うように構成されている。

更に、本発明検出装置は、再酸化電流変化を表す前記パラメータとして、降圧スイープ中であって印加電圧が上述した検出用電圧範囲内の電圧となっている期間(即ち、硫黄の再酸化反応が活発に生じている期間)における出力電流の最小値を採用している。例えば、降圧スイープ中における出力電流は、図7(B)に示したように、印加電圧が硫黄酸化物の分解開始電圧よりも高い電圧(図7(B)では0.65V近傍の電圧)である時点において最小値となる場合があることが分かった。従って、このような最小値は硫黄酸化物の濃度を精度よく表していない。これに対し、印加電圧が上述した検出用電圧範囲(図7(B)の例における破線の長方形を参照。)内の電圧となっている期間(即ち、硫黄の再酸化反応が活発に生じている期間)における出力電流の最小値は硫黄酸化物の濃度を精度よく表す。

従って、本発明検出装置は、排気中に所定濃度以上の硫黄酸化物が含まれているか否かの判定又は排気中の硫黄酸化物の濃度の検出を精度よく行うことができる。

本発明検出装置の一態様において、 前記測定制御部は、前記排気中に前記所定濃度以上の硫黄酸化物が含まれているか否かの前記判定を行うように構成されており、 前記測定制御部は、 前記最小値(Ismn)が所定の閾値(Ith)より小さいか否かを判定し(図10のステップ1040)、 前記最小値が前記閾値より小さいと判定した場合(図10のステップ1040での「Yes」との判定)、前記排気中に前記所定濃度以上の硫黄酸化物が含まれていると判定し(図10のステップ1045)、 前記最小値が前記閾値以上であると判定した場合(図10のステップ1040での「No」との判定)、前記排気中に前記所定濃度以上の硫黄酸化物が含まれていないと判定する(図10のステップ1055)、 ように構成されている。

これによれば、上記最小値が閾値(最小電流閾値)より小さいか否かが判定されることによって、排気中に所定濃度以上の硫黄酸化物が含まれているか否かの判定が行われる。従って、排気中に所定濃度以上の硫黄酸化物が含まれているか否かの判定を精度良く行うことができる。

本発明検出装置の一態様において、 前記測定制御部は、 更に、前記判定を行う前に、前記電圧印加部を用いて、前記印加電圧を、酸素の限界電流が生じる範囲内から選ばれた空燃比検出用印加電圧に設定し(図9のステップ950)、 前記印加電圧が前記空燃比検出用印加電圧に設定されている場合に前記電流検出部を用いて前記出力電流を前記排気に含まれる酸素に対する限界電流値として取得し(図10のステップ1020)、 前記取得された限界電流値に基づく前記閾値の決定(図10のステップ1040)、及び、前記最小値が前記閾値より小さいか否かの判定の前の時点における前記取得された限界電流値に基づく前記最小値の補正、の少なくとも一方を実行する、 ように構成されている。

排気中に所定濃度以上の硫黄酸化物が含まれているか否かについての上記判定を行う場合、そのときの排気中の酸素濃度が大きいほど(即ち、排気に含まれる酸素に対する限界電流値が大きいほど)、酸素の還元分解に起因してより多くの酸化物イオンが第1電極と第2電極との間を移動するから、上記出力電流は大きい。このため、排気中の硫黄酸化物の濃度が同じであっても、上記判定を行うときの排気中の酸素濃度に応じて上記出力電流の最小値が変化する。よって、上記判定に用いる上記最小電流閾値及び/又は「取得された最小値」を、排気の酸素濃度を表す「排気に含まれる酸素に対する限界電流値」に基づいて変更することが好ましい。

かかる観点から、上記構成によれば、排気中に所定濃度以上の硫黄酸化物が含まれているか否かの判定を行うときの排気中の酸素濃度に応じて「より適切な閾値最小電流、及び/又は、より適切な最小値」が求められ、それらが当該判定に使用される。その結果、当該判定をより精度よく行うことができる。

本発明検出装置の一態様において、 前記測定制御部は、前記排気中の硫黄酸化物の濃度の前記検出を行うように構成されており、 前記測定制御部は、前記最小値に基づいて前記排気中の硫黄酸化物の濃度を検出するように構成されている(図11のステップ1110)。

この態様によれば、排気中の硫黄酸化物の濃度に非常に相関が強い上記パラメータに基づいて排気中の硫黄酸化物の濃度を簡単に検出することができる。

本発明検出装置の一態様において、 前記測定制御部は、前記排気中の硫黄酸化物の濃度の前記検出を行うように構成されており、 前記硫黄酸化物の濃度の検出前に、前記電圧印加部を用いて、前記印加電圧を、酸素の限界電流が生じる範囲内から選ばれた空燃比検出用印加電圧に設定し(図9のステップ950)、 前記印加電圧が前記空燃比検出用印加電圧に設定されている場合に前記電流検出部を用いて前記出力電流を前記排気に含まれる酸素に対する限界電流値として取得し(図9のステップ920)、 前記パラメータとして取得された前記最小値と、前記取得された酸素に対する限界電流値と、に基づいて前記排気中の硫黄酸化物の濃度を検出するように構成されている。

機関の空燃比A/Fがリーンになる(即ち、排気中の酸素濃度が大きくなる。)ほど、より多くの酸素が第1電極において分解されるから、第1電極から第2電極へ移動する酸化物イオンの量が多くなり、出力電流が上昇する。従って、上記構成によれば、この出力電流の上昇分をも加味して硫黄酸化物の濃度が検出される。その結果、硫黄酸化物の濃度をより精度良く検出することができる

上記説明においては、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いた名称及び/又は符号を括弧書きで添えている。しかしながら、本発明の各構成要素は、前記名称及び/又は符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。

図1は、本発明の実施形態に係るガス検出装置及び当該ガス検出装置が適用される内燃機関の概略構成図である。

図2は、図1に示したガスセンサの素子部の構成の一例を示す模式的な断面図である。

図3(A)は、本発明の実施形態に係るガス検出装置の作動の概要を説明するためのタイムチャートである。図3(B)は、SOx検出を行う時の印加電圧の波形を示すグラフである。図3(C)は、SOx検出を行う時の別の印加電圧の波形を示すグラフである。

図4(A)は、素子部で生じるSOxの分解反応を説明するための模式図である。図4(B)は、素子部で生じる硫黄の再酸化反応を説明するための模式図である。

図5(A)は、印加電圧と出力電流との関係を示すグラフである。図5(B)は、印加電圧と出力電流との関係を示すグラフである。

図6は、燃焼室内の混合気のA/Fと酸素の限界電流域との関係を示すグラフである。

図7(A)及び図7(B)は、印加電圧スイープを実行したときの印加電圧と出力電流との関係を示すグラフである。

図8は、図1に示したECUのCPUが実行するセンサ活性判定ルーチンを表すフローチャートである。

図9は、図1に示したECUのCPUが実行するA/F検出ルーチンを表すフローチャートである。

図10は、図1に示したECUのCPUが実行するSOx検出ルーチンを表すフローチャートである。

図11は、図1に示したガス検出装置の変形例に係るECUのCPUが実行するSOx検出ルーチンを表すフローチャートである。

図12は、図1に示したガス検出装置の他の変形例に係るECUのCPUが参照するルックアップテーブルである。

以下、本発明の実施形態に係るガス検出装置について図面を参照しながら説明する。尚、実施形態の全図において、同一又は対応する部分には同一の符号を付す。

(構成) 本発明の実施形態に係るガス検出装置(以下、「本検出装置」と称呼される場合がある。)について説明する。本検出装置は、「図1に示された内燃機関10」を搭載した図示しない車両に適用される。

内燃機関10は周知のディーゼルエンジンである。内燃機関10は、図示しない燃焼室と、燃料噴射弁11と、を含む。燃料噴射弁11は、燃焼室内に燃料を噴射することができるようにシリンダヘッド部に配設されている。燃料噴射弁11は、後述するECU20の指示に応じて燃焼室内に燃料を直接噴射する。排気管12は、図示しない燃焼室に連通する排気ポートに接続された図示しないエキゾーストマニホールドの端部に接続されている。排気ポート、エキゾーストマニホールド及び排気管12は、燃焼室から排出された排気が流れる排気通路を構成している。排気管12には、DOC(Diesel Oxidation Catalyst:ディーゼル用酸化触媒)13及びDPF(Diesel Particulate Filter)14が配設されている。

DOC13は、排気浄化触媒である。具体的に述べると、DOC13は、白金及びパラジウム等の貴金属を触媒として、排気中の未燃成分(HC、CO)を酸化し、排気を浄化する。即ち、DOC13により、HCは水とCO2に酸化され、COはCO2に酸化される。

DPF14は、DOC13よりも下流側に配置されている。DPF14は、排気中の微粒子(パティキュレート)を捕捉するフィルタである。具体的に述べると、DPF14は、多孔質材料(例えば、セラミックの一種であるコージライトからなる隔壁)によって形成された複数の通路を備えている。DPF14は、隔壁を通過する排気に含まれる微粒子を、その隔壁の細孔表面にて捕集する。

本検出装置は、ECU20を含む。ECU20は、CPU、ROM、RAM、バックアプRAM及びインターフェース(I/F)を含むマイクロコンピュータを主要構成部品として有する電子制御回路である。CPUは、メモリ(ROM)に格納されたインストラクション(ルーチン)を実行することにより、所定の機能を実現するようになっている。

ECU20は、内燃機関10の各種アクチュエータ(燃料噴射弁11等)に接続されている。ECU20は、これらのアクチュエータに駆動(指示)信号を送出し、内燃機関10を制御するようになっている。更に、ECU20は、以下に述べる各種センサ類と接続されていて、これらのセンサ類からの信号を受け取るようになっている。

機関回転速度センサ21:機関回転速度センサ(以下、「NEセンサ」と称呼する。)21は、内燃機関10の回転速度(機関回転速度)NEを測定し、この機関回転速度NEを表す信号を出力するようになっている。

水温センサ22:水温センサ22は、シリンダブロック部に配設されている。水温センサ22は、内燃機関10を冷却する冷却水温度(冷却水温THW)を測定し、この冷却水温THWを表す信号を出力するようになっている。

アクセルぺダル操作量センサ23:アクセルペダル操作量センサ23は、車両のアクセルペダル23aの操作量(アクセル開度)を検出し、アクセルペダル操作量APを表す信号を出力するようになっている。

ガスセンサ30:ガスセンサ30は、1セル式の限界電流式ガスセンサであり、機関10の排気経路を構成する排気管12に配設されている。ガスセンサ30は、排気管12に介装されたDOC13及びDPF14よりも下流側に配設されている。

(ガスセンサの構成) 次に、ガスセンサ30の構成について、図2を参照しながら説明する。ガスセンサ30が備える素子部40は、固体電解質体41s、第1アルミナ層51a、第2アルミナ層51b、第3アルミナ層51c、第4アルミナ層51d、第5アルミナ層51e、拡散抵抗部(拡散律速層)61及びヒータ71を備える。

固体電解質体41sは、ジルコニア等を含み、酸化物イオン伝導性を有する薄板体である。固体電解質体41sを形成するジルコニアは、例えば、スカンジウム(Sc)及びイットリウム(Y)等の元素を含んでいてもよい。

第1乃至第5アルミナ層51a乃至51eは、アルミナを含む緻密(ガス不透過性)の層(緻密な薄板体)である。

拡散抵抗部61は、多孔質の拡散律速層であり、ガス透過性の層(薄板体)である。ヒータ71は、例えば、白金(Pt)とセラミックス(例えば、アルミナ等)とを含むサーメットの薄板体であり、通電によって発熱する発熱体である。ヒータ71は、図示しないリード線によって車両に搭載された図示しない電源に接続されている。ヒータ71は、ECU20によって「その電源から供給される電力量」が制御されることにより、発熱量を変更できるようになっている。

素子部40の各層は、下方から、第5アルミナ層51e、第4アルミナ層51d、第3アルミナ層51c、固体電解質体41s、拡散抵抗部61及び第2アルミナ層51b、第1アルミナ層51aの順に積層されている。

内部空間SP1は、第1アルミナ層51a、固体電解質体41s、拡散抵抗部61及び第2アルミナ層51bによって形成される空間であり、その中に拡散抵抗部61を介して被検ガスとしての内燃機関10の排気が導入されるようになっている。即ち、内部空間SP1は拡散抵抗部61を介して内燃機関10の排気管12の内部と連通している。従って、排気管12内の排気が内部空間SP1内に被検ガスとして導かれる。

第1大気導入路SP2は、固体電解質体41s、第3アルミナ層51c及び第4アルミナ層51dによって形成され、排気管12の外部の大気に開放されている。

第1電極41aは、固体電解質体41sの一方の側の表面(具体的には、内部空間SP1を画定する固体電解質体41sの表面)に固着されている。第1電極41aは陰極である。第1電極41aは、白金(Pt)を主成分として含む多孔質サーメット電極である。

第2電極41bは、固体電解質体41sの他方の側の表面(具体的には、第1大気導入路SP2を画定する固体電解質体41sの表面)に固着されている。第2電極41bは陽極である。第2電極41bは、白金(Pt)を主成分として含む多孔質サーメット電極である。

第1電極41aと第2電極41bとは、固体電解質体41sを挟んで互いに対向するように配置されている。即ち、第1電極41a、第2電極41b及び固体電解質体41sは、酸素ポンピング作用による酸素排出能力を有する電気化学セル41cを構成している。電気化学セル41cは、ヒータ71により、活性化温度まで加熱される。

固体電解質体41s及び第1乃至第5アルミナ層51a乃至51eの各層は、例えばドクターブレード法及び押し出し成形法等により、シート状に成形されている。第1電極41a、第2電極41b及びこれらの電極に通電するための配線等は、例えばスクリーン印刷法等によって形成されている。これらのシートを上述したように積層して焼成することにより、上記のような構造を有する素子部40が一体的に製造されている。

尚、第1電極41aを構成する材料は、上記の材料に限定されず、例えば、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)等の白金族元素又はそれらの合金等を主成分として含む材料から選択することができる。但し、第1電極41aを構成する材料は、第1電極41aと第2電極41bとの間にSOx分解開始電圧以上の電圧(具体的には、約0.6V以上の電圧)を印加したときに、拡散抵抗部61を介して内部空間SP1に導かれた排気中に含まれるSOxを還元分解させることができる限り、特に限定されない。

ガスセンサ30は、更に、電源回路81及び電流計91を備える。電源回路81及び電流計91は上述したECU20に接続されている。

電源回路81は、第1電極41aと第2電極41bとの間に、第2電極41bの電位が第1電極41aの電位よりも高くなるように所定の電圧(以下、「印加電圧Vm」とも称呼する。)を印加できるようになっている。電源回路81は、ECU20により制御されることにより、印加電圧Vmを変更できるようになっている。

電流計91は、第1電極41aと第2電極41bとの間に流れる電流(従って、固体電解質体41sを流れる電流)である出力電流(電極電流)Imを計測して、その計測値をECU20に出力するようになっている。

<作動の概要> 次に、本検出装置が行う作動の概要について説明する。本検出装置は、内燃機関10から排出される排気(被検ガス)の酸素濃度を検出するように構成されている。本検出装置は、排気中の酸素濃度に基づいて内燃機関10の燃焼室内の混合気の空燃比(A/F)を検出するように構成されている。以下、内燃機関10の燃焼室内の混合気の空燃比は、「機関の空燃比A/F」とも称呼される。更に、本検出装置は、排気に含まれる所定濃度以上のSOxの有無を判定するように構成されている。本検出装置は、SOxの有無の検出開始から検出終了までに数秒を必要とするため、機関の空燃比A/Fが安定している状態(機関の空燃比A/Fが安定するように機関10が運転され得る場合)において所定濃度以上のSOxの有無を判定するように構成されている。

具体的に述べると、図3(A)に示したように、内燃機関10の始動が開始した時点である時刻t0になると、本検出装置はヒータ71によって固体電解質体41sを加熱するように、ヒータ71に対する制御を開始する。これによって、固体電解質体41sが、酸化物イオン伝導性を発現する温度(以後、「活性化温度」と称呼される場合がある。)以上の所定の温度まで昇温される。

時刻t1で、固体電解質体41sの温度(センサ素子温度)が活性化温度以上になって、ガスセンサ30がセンサ活性の状態になると、本検出装置は、排ガスの酸素濃度を検出し当該酸素濃度に基づいて機関の空燃比A/Fを取得するための処理を開始する。尚、時刻t0から時刻t1の間の時点である時刻tdで、本検出装置は、第1電極41a及び第2電極41b間に、酸素濃度の検出に適した酸素濃度(A/F)検出用の電圧(具体的に述べると0.3V)の印加を開始する。即ち、本検出装置は、印加電圧Vmを酸素濃度検出用の電圧に設定する。固体電解質体41sの温度が活性化温度以上であるときに、この印加電圧Vmが酸素濃度検出用の電圧に設定されている場合、酸素分子が分解されて酸素ポンピング作用が発現するが、酸素以外の酸素含有成分(SOxを含む。)のガスが分解されることはない。

本検出装置は、時刻t1から、酸素濃度を連続的に検出することにより機関の空燃比A/Fを監視する。そして、時刻t2で、SOx検出開始条件を満たすと(即ち、機関の空燃比A/Fが安定した状態になり、且つ、後述するその他の条件が満たされると)、本検出装置は排気中のSOx濃度検出の処理を開始する。尚、本明細書において、SOx濃度検出とは、排気中のSOx濃度そのものを検出(測定)すること、及び、排気中のSOx濃度を表すパラメータを取得することの両方を指す。本検出装置は、後述するように、排気中のSOx濃度を表すパラメータ(SOx濃度に応じて変化するパラメータ)を取得し、そのパラメータを用いて排気中に所定濃度以上のSOxが排気中に含まれているか否かの判定を行う。尚、所定濃度としては、所望の検出レベルに応じた0よりも大きい濃度が選ばれる。

即ち、時刻t1から時刻t2の直前までの期間、本検出装置は機関の空燃比A/Fを検出し、SOx検出を開始する時点である時刻t2にて機関の空燃比A/Fの検出を停止する。

時刻t2から時刻t3の直前までの期間、本検出装置は所定の印加電圧範囲で印加電圧スイープを行う。即ち、本検出装置は、印加電圧Vmを「第1電圧V1から第2電圧V2まで徐々に増大させる昇圧スイープ」を行った後、印加電圧Vmを「第2電圧V2から第1電圧V1まで徐々に減少させる降圧スイープ」を行う。本検出装置は、1回の昇圧スイープ及び1回の降圧スイープを1サイクルとする印加電圧スイープを、1サイクル行う。但し、本検出装置は、印加電圧スイープを複数サイクル行っても良い。

より具体的に述べると、本検出装置は、図3(B)に示した正弦波の波形の1周期分を有する電圧を第1電極41a及び第2電極41bの間に印加することにより、印加電圧スイープを行う。尚、この場合の電圧波形は、図3(B)に示した正弦波に限定されるものではなく、種々の波形を採用し得る。例えば、この場合の電圧波形は、図3(C)のグラフに示したような非正弦波(キャパシタの充放電時の電圧波形のような波形)であってもよい。

時刻t3で、SOx検出が終了すると、本検出装置は、機関の空燃比A/Fを検出するための処理を再開する。即ち、本検出装置は、時刻t3で、印加電圧Vmを酸素濃度検出用の電圧(0.3V)に設定する。

(A/F検出) 次に、上述した機関の空燃比A/Fを検出する際の作動について説明する。本検出装置は、ガスセンサ30がセンサ活性の状態になると、機関の空燃比A/Fを取得するために、第1電極41aが低電位となり且つ第2電極41bが高電位となるように、印加電圧Vmを酸素濃度検出用の電圧(例えば、0.3V)に設定する。即ち、第1電極41aは陰極として機能し、第2電極41bは陽極として機能する。酸素濃度検出用の電圧は、第1電極電極41aにおいて酸素(O2)の分解が始まる電圧(分解開始電圧)以上であって且つ酸素以外の酸素含有成分の分解開始電圧未満の電圧に設定される。これにより、排気中に含まれる酸素が第1電極41aにおいて還元分解されて酸化物イオン(O2−)となる。

この酸化物イオンは上記固体電解質体41sを介して第2電極41bへと伝導されて酸素(O2)となり、大気導入路SP2を通じて大気中へと排出される。前述したように、このような陰極(第1電極41a)から陽極(第2電極41b)への固体電解質体41sを介する酸化物イオンの伝導による酸素の移動は「酸素ポンピング作用」と称される。

この酸素ポンピング作用に伴う酸化物イオンの伝導により、電極41aと電極41bとの間に電流が流れる。電極41aと電極41bとの間に流れる電流は「出力電流Im(或いは電極電流Im)」と称呼される。出力電流Imは、一般には、印加電圧Vmが上昇するほど大きくなる傾向を有する。しかしながら、第1電極41aに到達する排気の流量が拡散抵抗部61によって制限されるので、やがて酸素ポンピング作用に伴う酸素の消費速度が第1電極41aへの酸素の供給速度を超えるようになる。即ち、第1電極41a(陰極)における酸素の還元分解反応が拡散律速状態となる。

第1電極41aにおける酸素の還元分解反応が拡散律速状態となると、印加電圧Vmを上昇させても出力電流Imが増大せず、略一定となる。このような特性は「限界電流特性」と称呼される。限界電流特性が発現する(観測される)印加電圧の範囲は「限界電流域」と称呼される。更に、限界電流域における出力電流Imは「限界電流」と称呼される。酸素に対する限界電流の大きさ(限界電流値)は第1電極41a(陰極)への酸素の供給速度に対応する。上述したように、第1電極41aに到達する排気の流量は拡散抵抗部61によって一定に維持されているので、第1電極41aへの酸素の供給速度は排気に含まれる酸素の濃度に対応する。

従って、ガスセンサ30において、印加電圧Vmを「酸素の限界電流域内の所定の電圧(具体的に述べると0.3V)である酸素濃度検出用の電圧」に設定したときの出力電流(限界電流)Imは排気に含まれる酸素の濃度に対応する。このように酸素の限界電流特性を利用して、本検出装置は被検ガスとしての排気中に含まれる酸素の濃度を検出する。 即ち、本検出装置は、酸素の限界電流と酸素濃度との関係を予めROMに記憶させておき、その関係と検出した酸素の限界電流とに基づいて排気中の酸素濃度を検出する。一方、機関の空燃比A/Fと排気中の酸素の濃度とは、一対一の関係がある。従って、本検出装置は、この関係を予めROMに記憶させておき、その関係と検出した酸素濃度とに基づいて機関の空燃比A/Fを検出する。尚、本検出装置は、酸素の限界電流と機関の空燃比A/Fとの関係を予めROMに記憶させておき、その関係と検出した酸素の限界電流とに基づいて機関の空燃比A/Fを取得してもよい。

(SOx濃度検出) [検出原理] 次に、排気中のSOx濃度検出の仕方について説明する。上述した酸素ポンピング作用は、分子中に酸素原子を含む「SOx(硫黄酸化物)及びH2O(水)等」の酸素含有成分に対しても発生する。即ち、第1電極41a及び第2電極41b間に、これらの化合物のそれぞれの分解開始電圧以上の電圧を印加すると、これらの化合物のそれぞれが還元分解されることによって、酸化物イオンが生じる。この酸化物イオンは、「酸素ポンピング作用」によって、第1電極41aから第2電極41bへと伝導される。これにより、第1電極41a及び第2電極41b間に出力電流Imが流れる。

しかしながら、排気中に含まれるSOxの濃度は極めて低く、SOxの分解に起因する電流も極めて小さい。更に、SOx以外の酸素含有成分(例えば、水及び二酸化炭素等)が分解されることに起因する電流も第1電極41a及び第2電極41b間に流れる。そのため、SOxに起因する出力電流のみを精度よく検出することは困難である。

そこで、本願の発明者は、鋭意検討した結果、SOx濃度を検出する際、昇圧スイープ及び「所定の掃引速度での降圧スイープ」を1サイクルとする印加電圧スイープを実行することによって、SOx濃度を精度良く検出できるとの知見を得た。

昇圧スイープは、印加電圧Vmを、第1電圧V1から第2電圧V2に徐々に上昇させる処理である。降圧スイープは、印加電圧Vmを、第2電圧V2から第1電圧V1に徐々に下降させる処理である。尚、第1電圧V1及び第2電圧V2は、第1電極41aの電位を基準とした第2電極41bの電位であり、正の電圧値である。

第1電圧V1は、SOxの分解開始電圧(約0.6V)よりも低く、且つ、酸素の限界電流域内の印加電圧の最小値よりも高い電圧範囲(以下、「第1電圧範囲」とも称呼される。)内の電圧に設定される。酸素の限界電流域内の印加電圧の最小値は、機関の空燃比A/Fに依存する(機関の空燃比A/Fが大きいほど高くなる)から、第1電圧範囲の下限値もまた機関の空燃比A/Fに応じて変更されることが望ましい。具体的には、第1電圧範囲の下限値は例えば0.2V乃至0.45Vの範囲内の電圧であり、第1電圧範囲の上限電圧は0.6Vである。即ち、第1電圧は0.2V以上であり且つ0.6V未満の範囲から選ばれた電圧である。

第2電圧V2は、SOxの分解開始電圧(約0.6V)よりも高く、且つ、固体電解質体41sが破壊されない電圧の上限値(2.0V)よりも低い電圧範囲(以下、「第2電圧範囲」とも称呼される。)内の電圧に設定される。即ち、第2電圧V2は、0.6Vよりも高く且つ2.0V以下の範囲から選ばれた電圧である。

昇圧スイープを行っている期間において、第1電極41a及び第2電極41bの間に印加される印加電圧Vmが、SOxの分解開始電圧以上になると、図4(A)に示したように、第1電極41a(陰極)において排気に含まれるSOxがSとO2−とに還元分解される。その結果、SOxの還元分解生成物(S(硫黄))が、第1電極41a(陰極)に吸着する。

降圧スイープを行っている期間において、印加電圧Vmが、SOxの分解開始電圧未満になると、図4(B)に示したように、第1電極41a(陰極)に吸着していたSとO2−とが反応してSOxを生成する反応(以下、「S(硫黄)の再酸化反応」と称呼する場合がある。)が生じる。このとき、「Sの再酸化反応」に起因して、出力電流Imが後述するように変化する。尚、この「Sの再酸化反応」に伴う出力電流Imの変化を「再酸化電流変化」と称呼する。

ところで、発明者の検討によれば、降圧スイープの掃引速度(所定の経過時間当たりの電圧降下量)によっては、SOx濃度検出に有意な再酸化電流変化が現れなくなる場合があることが判明した。この点について、図5(A)及び図5(B)を参照しながら説明する。

図5(A)は、掃引周期(即ち、昇圧スイープに要する時間と降圧スイープに要する時間との和、印加電圧スイープの周期)を1秒に設定して印加電圧スイープを実行したときの印加電圧Vmと出力電流Imとの関係を示した模式的なグラフである。図5(B)は、図5(A)に示した例より遅い掃引速度(掃引周期20秒)にて、印加電圧スイープを実行したときの印加電圧Vmと出力電流Imとの関係を示した模式的なグラフである。尚、この場合の印加電圧Vmの波形は図3(B)に示した正弦波形の1周期分である。

両者を比較すると、図5(B)の例より、印加電圧スイープの掃引速度がより速い図5(A)の例の方が、SOxの分解開始電圧(0.6V)よりも小さい電圧範囲にて、線L1で示した「被検ガスのSOx濃度が0ppmのときの出力電流Im」と、線L2で示した「被検ガスのSOx濃度が130ppmのときの出力電流Im」との差(電流値の差)が明確に現れている。即ち、図5(A)の例の方では、SOx濃度検出に有意な電流変化(再酸化電流変化)が現れている。このような現象が生じるメカニズムは、次のようなことであると考えられる。

即ち、掃引速度を所定速度より遅くした場合、降圧スイープを行っているときに、Sの再酸化反応が連続的且つ徐々に進行するため、有意な再酸化電流変化は現れない。一方、掃引速度を所定の掃引速度より速くした場合、降圧スイープを行っているときに、Sの再酸化反応がそれ程進行しないまま印加電圧が低下し、印加電圧Vmが「Sの再酸化反応が活発になるある電圧範囲」の電圧になると、Sの再酸化反応が急激に進行すると考えられる。これにより、SOx濃度検出に有意な電流変化が現れる。

このように、降圧スイープを行った時の掃引速度によって、SOx濃度検出に有意な電流変化が現れる場合と現れなくなる場合とが生じる。従って、降圧スイープを行うとき、掃引速度を、再酸化電流変化を示す有意な電流変化が現れるような所定速度にする必要がある。

本検出装置において、この所定速度は、予め実験を行うことによって再酸化電流変化を示す有意な電流変化が現れる適切な速度に設定される。

実験によれば、例えば、図3(B)に示した正弦波形の電圧を第1電極41a及び第2電極41b間に印加する場合、所定範囲の周波数F(典型的には、0.1Hz以上5Hz以下の範囲)となるような掃引速度に設定することが好ましいことが判明した。この所定範囲の周波数Fの下限値は、これ未満になるとSOx濃度検出に有意な信号差(再酸化電流変化)が得られなくなる観点から定められる。この所定範囲の周波数Fの上限値は、これより多くなると、SOx濃度以外の他の電流変化要因(具体的に述べると固体電解質体41sの容量等)の寄与が大きくなってしまう観点から定められる。

一方、実験によれば、図3(C)に示したような、キャパシタの充放電に伴う非正弦波形の電圧を第1電極41a及び第2電極41b間に印加する場合、電圧切り替え波形の応答時間T1が所定範囲(典型的には、0.1秒以上5秒以下の範囲)となるような掃引速度に設定することが好ましいことが判明した。尚、応答時間T1は、印加電圧が所定範囲の下限電圧から上限電圧又はその逆に変化するのに要する時間である。応答時間T1の所定範囲の下限電圧及び上限電圧は、上述した正弦波形の電圧を印加電圧として用いる場合の周波数(上記所定の周波数)Fを決定する場合と同様の観点から適切な値に定められる。

尚、上記の周波数F及び応答時間T1の所定範囲を、降圧スイープに要する時間(即ち、第2電圧V2から第1電圧V1に達するまでの時間)に換算すると、0.1秒以上5秒以下の範囲となる。従って、当該時間は、0.1秒以上5秒以下の範囲であることが好ましい。

更に、再酸化電流変化は、主として排気中のSOx濃度に依存することが判明した。換言すると、再酸化電流変化は、排気中の「硫黄酸化物(SOx)以外の酸素含有成分のガス(例えば、水)」の影響を受ける可能性が低い。即ち、昇圧スイープを行った場合に「硫黄酸化物以外の酸素含有成分」の分解物(例えば、水の分解物である水素等)は第1電極41aに吸着しないため、降圧スイープを行っている期間において、そのような「硫黄酸化物以外の酸素含有成分」の分解物が当該第1電極41aにおいて再酸化反応して酸素含有成分へ戻る現象は実質的に生じない。

このため、降圧スイープを行っているときに第1電極41aに吸着していた硫黄が当該第1電極41aにおいて再酸化反応して硫黄酸化物へと戻ることにより生じる「出力電流の変化」は、硫黄酸化物以外の酸素含有成分の影響を受けにくい。即ち、硫黄酸化物以外の酸素含有成分の影響を受けにくい「出力電流の変化」が生じる。

更に、「出力電流の変化(再酸化電流変化)」は、排気(被検ガス)中のSOx濃度が大きくなるほど出力電流Imが小さくなっていくような特性を有するように現れることが判明した。即ち、硫黄の再酸化反応が生じた場合、図4(B)に示したように、第1電極41aにおいて酸化物イオンが消費されるため、第1電極41aから第2電極41bへ移動する酸化物イオン(例えば、酸素分子の分解により生じる酸化物イオン)の移動量が減少する。これにより、出力電流Imは減少する。排気中のSOx濃度が大きくなるほど、特に昇圧スイープ中に第1電極41aに吸着する硫黄の量が多くなり、よって、特に降圧スイープ中に第1電極41aにおいて硫黄と反応して消費される酸化物イオンの量も多くなる。その結果、第1電極41aから第2電極41bへ移動する酸化物イオンの量も減少する。従って、排気中のSOx濃度が大きくなるほど、出力電流Imは減少する。

以上により、上述した「再酸化電流変化を利用することにより、排気中のSOx以外の酸素含有成分のガス(例えば、水)の影響を受けることなく、精度よく排気中のSOx濃度を検出することができる。」ことが理解される。よって、本検出装置は、この再酸化電流変化を利用してSOx濃度(実際には、所定濃度以上のSOxの有無)を検出する。

[再酸化電流変化を検出するためのパラメータ] 本検出装置は、「再酸化電流変化」を適切に(精度良く)表すパラメータを取得し、このパラメータに基づいて、SOx濃度検出を行う。より具体的に述べると、本検出装置は、降圧スイープ中において印加電圧Vmが「電流取得開始電圧(第3電圧)Vsem以下であり、且つ、第1電圧V1より高い第4電圧V4以上の範囲(検出用電圧範囲)内」であるときの出力電流Imの最小値(以下、「最小電流Ismn」又は「最小値Ismn」と称呼する。)を「再酸化電流変化を表すパラメータ」として取得する。

電流取得開始電圧Vsemは、降圧スイープの下限電圧(第1電圧V1)より大きく、且つ、SOxの分解開始電圧(0.6V)以下の範囲内から選ばれる。本例において、電流取得開始電圧Vsemは、0.6Vに設定されている。尚、電流取得開始電圧Vsemは、印加電圧範囲及び印加電圧スイープの周期(換言すると、印加電圧スイープの掃引速度)の少なくとも1つに応じて異なるようにしてもよい。そして、本検出装置は、このパラメータ(最小電流Ismn)に基づいて、排気中に所定濃度以上の硫黄酸化物が存在するか否かの判定を行う。

本検出装置は、印加電圧スイープを1サイクルだけ行って最小電流Ismnを取得するが、印加電圧スイープを複数サイクル行い、且つ、各サイクルで最小電流Ismnを取得するようにし、取得した複数の「最小電流Ismn」の平均値を、「再酸化電流変化を表すパラメータ」として用いるように構成されてもよい。更に、本検出装置は、そのようにして取得した複数の「最小電流Ismn」のうち最も小さい値を、「再酸化電流変化を表すパラメータ」として用いてもよい。これらのパラメータは、各サイクルでの最小電流Ismnに基づいて求められる(相関を有する)値であるので、「出力電流Imの最小値」と総称されることがある。

[SOx濃度検出(パラメータ取得)方法] 本検出装置は、以上説明したSOx濃度の検出原理を用いて、SOx濃度検出及び「排気中に所定濃度以上の硫黄酸化物が存在するか否かの判定」を次のように行うようになっている。 ・本検出装置は、所定の掃引速度にて印加電圧スイープを実行する。この場合、特に、大切な点は、降圧スイープ速度である。 このとき、本検出装置は、直前に取得しておいた「排気中の酸素に対する限界電流値」(従って、この酸素に対する限界電流値に基づいて検出される「排気中の酸素濃度」に応じた機関の空燃比A/F)に基づいて印加電圧スイープの電圧範囲(即ち、第1電圧V1及び第2電圧V2)を決定する。 ・本検出装置は、降圧スイープ中であって印加電圧Vmが検出用電圧範囲(電流取得開始電圧Vsem以下であり、且つ、第1電圧V1より高い第4電圧V4以上の範囲)であるときの出力電流Imを所定のサンプリング時間毎に取得し、その中の最小値を、最小電流Ismnとして取得する。この最小電流Ismnが、排気中のSOx濃度を表すパラメータである。 ・本検出装置は、最小電流Ismnに基づいて、所定濃度以上のSOxが排気中に含まれているか否かを判定する。

具体的に述べると、本検出装置は、SOx濃度検出のための印加電圧スイープを実行する場合、図3(B)に示した正弦波の電圧波形を有する電圧の1周期分を第1電極41a及び第2電極41b間に印加する。このとき、本検出装置は、SOx濃度検出に有意な電流変化が生じるような上述した「所定の掃引速度」にて印加電圧スイープ(昇圧スイープ及び降圧スイープ)を実行する。

このとき、本検出装置は、機関の空燃比A/Fに基づいて印加電圧スイープの電圧範囲(印加電圧のスイープの下限電圧(第1電圧)及び上限電圧(第2電圧)を決定する。具体的には、図6に示したように、印加電圧スイープの下限電圧は、点線Rで囲まれた内部抵抗依存域の出力電流Imを検出することを避けるように定められる。この内部抵抗依存域とは、印加電圧Vmの増大に伴って出力電流Imが増大する領域(酸素の限界電流域に到達する直前の領域)である。内部抵抗依存域の印加電圧Vmの上限電圧(即ち、酸素の限界電流域内の印加電圧の最小値)は、機関の空燃比A/Fがリーンになる(排気中の酸素濃度が大きくなる)に従い高くなる。印加電圧スイープの上限電圧は、一定であってもよいが、印加電圧スイープの下限電圧が高くなるにつれて高くなるように定められる。

具体的に述べると、機関の空燃比A/Fがリーンになるほど、内部抵抗依存域Rの印加電圧Vmの上限値が高くなる。よって、本検出装置は、印加電圧スイープの電圧範囲が、この内部抵抗依存域Rに入らないように、機関の空燃比A/Fがリーンになるほど印加電圧スイープの下限電圧(第1電圧V1)を高くする。

図6から理解されるように発明者の実験によれば、A/F=14.5(ストイキ)の場合、第1電圧V1は0.2V以上から選ばれた値であることが好ましく、本検出装置は第1電圧V1を0.2Vに設定している。A/F=30の場合、第1電圧V1は0.3V以上から選ばれた値であることが好ましく、本検出装置は第1電圧V1を0.3Vに設定している。A/F=無限大(O2濃度=20.9%)の場合、第1電圧V1は0.4V以上から選ばれた値であることが好ましく、本検出装置は第1電圧V1を0.4Vに設定している。

既述した通り、昇圧スイープ及び降圧スイープを行った場合、排気中にSOxが含まれていると、昇圧スイープを行っている期間において、SOxが分解して生じたS(硫黄)が、第1電極41aに吸着する。降圧スイープを行っている期間において、第1電極41aに吸着したSが再酸化する。

本検出装置は、再酸化電流変化を前述したパラメータ(=最小電流Ismn)を用いて検出することによって、排気中に所定濃度以上の硫黄酸化物が存在するか否かの判定を行う。即ち、本検出装置は、印加電圧スイープを行って、図7(A)の線g2により示した出力電流Imから、降圧スイープ中であって印加電圧Vmが上述した検出用電圧範囲であるときの最小値(最小電流Ismn)を取得する。排気中にSOxが含まれている場合、排気中にSOxが含まれていない場合に比べて、上述した再酸化電流変化の程度は大きく現れる。即ち、排気中にSOxが含まれている場合、線g2に示したように、検出用電圧範囲において、出力電流Imが、線g1に示した排気中にSOxが含まれていない場合に比べて小さくなる。そして、排気中のSOx濃度が大きいほど、再酸化電流変化は顕著になり、これに伴い最小電流Ismnが小さくなる。従って、本検出装置は、最小電流Ismnを、SOx濃度を表すパラメータとして取得する。

本検出装置によれば、このようにして、SOx濃度を検出するために必要な再酸化電流変化の程度を精度良く表す出力電流Imの値(最小電流Ismn)が取得される。従って、最小電流Ismnが現れる実際の電圧が、諸条件(例えば、機関の空燃比A/F、印加電圧範囲、掃引速度、ガスセンサ30のセンサ素子温度及びガスセンサ30の経年特性変化等)によって異なった場合でも、最小電流Ismnが確実に取得される。よって、本検出装置は、SOx濃度をより精度よく検出できる。

更に、降圧スイープ中における出力電流Imは、図7(B)に示したように、印加電圧が硫黄酸化物の分解開始電圧よりも高い電圧(図7(B)に示した例においては0.65V付近)であるときに、再酸化反応が生じていないと考えられるのにも関わらず、最小値となる場合があることが分かった。従って、このような「印加電圧Vmが上記の検出用印加電圧範囲よりも高い場合の出力電流Imの最小値」は硫黄酸化物の濃度を精度よく表すパラメータとはなっていない。換言すると、降圧スイープ中の出力電流Imの最小値は、硫黄酸化物の濃度を精度よく表すパラメータとはなっていない。尚、図7(B)は、図7(A)の印加電圧スイープの周波数(1Hz)とは異なる周波数で、印加電圧スイープを実行した場合の印加電圧と出力電流との関係を示すグラフである。これに対し、本検出装置は、印加電圧Vmが上述した検出用電圧範囲内の電圧となっている期間(即ち、硫黄の再酸化反応が活発に生じている期間)における出力電流Imの最小値を、SOx濃度を表すパラメータとして取得する。よって、本検出装置は、そのパラメータに基づいて、排気中に所定濃度以上のSOxが存在するか否かを精度良く判定することができる。

<具体的作動> 次に、本検出装置の具体的作動について説明する。所定時間が経過する毎に、ECU20のCPU(以下、単に「CPU」と称呼する。)は、ガスセンサ30を使用して図8乃至図10のフローチャートによりそれぞれ示したセンサ活性判定ルーチン、A/F検出ルーチン及びSOx検出ルーチンを実行する。

尚、これらのルーチンにおいて使用される「A/F検出要求フラグXafの値及びSOx検出要求フラグXsの値」は、車両に搭載された図示しないイグニッション・キー・スイッチがオフ位置からオン位置へと変更されたときに、CPUにより実行されるイニシャルルーチンにおいて「0」に設定される。

CPUは、所定のタイミングになると、図8に示したセンサ活性判定ルーチンのステップ800から処理を開始して、ステップ810に進み、A/F検出要求フラグXafの値、及び、SOx検出要求フラグXsの値が共に「0」であるか否かを判定する。

現時点が、イグニッション・キー・スイッチがオン位置へと変更された直後(内燃機関10の始動直後)であるとすると、A/F検出要求フラグXafの値及びSOx検出要求フラグXsの値が共に「0」である。従って、CPUはステップ810にて「Yes」と判定してステップ820に進み、ガスセンサ30が正常であるか否かを周知の方法により判定する。例えば、CPUは、内燃機関10の前回の運転中においてA/F検出中である場合に内燃機関10の運転状態が燃料噴射状態から燃料カット状態へと変化した際、出力電流Is変化しなかったとき、ガスセンサ30が異常であると判定し、その旨をイグニッション・キー・スイッチがオフ中にも記憶内容を保持できるバックアップRAMに記録する。そして、CPUは、本ルーチンのステップ820にて、そのバックアップRAMの記憶内容に基づいて、ガスセンサ30が正常であるか否かを判定する。

ガスセンサ30が正常である場合、CPUはステップ820にて「Yes」と判定してステップ830に進み、素子温度制御用の素子インピーダンス(固体電解質体41sの内部抵抗)を第1電極41aと第2電極41bとの間に高周波電圧を印加したときの出力電流Imに基づいて検出する(例えば、特開平10−232220号公報、特開2002−71633号公報を参照。)。

その後、CPUは、以下に述べるステップ840及びステップ850の処理を順次実行した後、ステップ860に進む。 ステップ840:CPUは、目標インピーダンスフィードバックによるヒータ通電制御を実行する。即ち、温度情報としてステップ830にて取得した素子インピーダンスを予め設定した目標インピーダンスに一致させるようにヒータ71の通電を制御する(例えば、特開2002−71633号公報及び特開2009−53108号公報を参照。)。 ステップ850:CPUは、第1電極41a及び第2電極41b間に酸素濃度検出用(即ち、A/F検出用)の印加電圧(具体的に述べると0.3V)を印加する。即ち、CPUは、印加電圧Vmを酸素濃度検出用の印加電圧に設定する。

CPUは、ステップ860に進むと、ガスセンサ30が活性しているか(センサ活性であるか)否かを判定する。具体的には、CPUは、ステップ830にて取得した素子インピーダンスに基づいて推定される固体電解質体41sの温度が活性温度閾値以上であるか否かを判定する。ガスセンサ30がセンサ活性ではない場合、CPUはステップ860にて「No」と判定してステップ895に進み、本ルーチンを一旦終了する。

これに対して、ガスセンサ30がセンサ活性である場合、CPUはステップ860にて「Yes」と判定してステップ870に進み、A/F検出要求フラグXafの値を「1」に設定する。その後、CPUはステップ895に進み、本ルーチンを一旦終了する。

尚、CPUがステップ810の処理を実行する時点において、A/F検出要求フラグXafの値及びSOx検出要求フラグXsの値の何れかが「0」ではない場合、CPUはステップ810にて「No」と判定してステップ895に進み、本ルーチンを一旦終了する。加えて、CPUがステップ820の処理を実行する時点において、ガスセンサ30が正常でない場合、CPUはステップ820にて「No」と判定してステップ895に進み、本ルーチンを一旦終了する。

次に、図9を参照しながらA/F検出ルーチンについて説明する。CPUは、所定タイミングになると、図9のステップ900から処理を開始してステップ910に進み、A/F検出要求フラグXafの値が「1」であるか否かを判定する。

A/F検出ルーチンは、ガスセンサ30がセンサ活性になってA/F検出要求フラグXafの値が「1」に設定された時点以降であって、SOx検出要求フラグXsがオフ(Xs=0)である場合に、実質的に機能する。従って、A/F検出要求フラグXafの値が「1」ではない場合(即ち、A/F検出要求フラグXafの値が「0」である場合)、CPUはステップ910にて「No」と判定してステップ995に進み、本ルーチンを一旦終了する。

これに対して、A/F検出要求フラグXafの値が図8のステップ870の処理によって「1」に設定されている場合、CPUはステップ910にて「Yes」と判定してステップ920に進み、ガスセンサ30から出力電流Im(即ち、排気中の酸素に対する限界電流値)を取得し、その出力電流Imを所定のルックアップテーブル(「マップ」とも称呼される。)に適用することにより酸素濃度を検出し、当該酸素濃度を所定のルックアップテーブルに適用することにより機関の空燃比A/Fを算出する。尚、ステップ920の処理を実行するときに、印加電圧Vmが酸素濃度検出用の印加電圧に設定されていない場合(例えば、後述の図10のSOx検出ルーチンが終了した後である場合)、CPUは印加電圧Vmを酸素濃度検出用の印加電圧に設定した後、出力電流Imを取得する。

その後、CPUはステップ930に進み、各種センサ(NEセンサ21及び水温センサ22等)から取得した情報に基づいて、下記のSOx検出条件を構成する条件の総てが満たされているか否かを判定する。下記の条件の総てが満たされているとき、SOx検出条件が成立する。

<<SOx検出条件>> ・内燃機関10が暖機後の状態である(即ち、冷却水温THWが暖機水温THWth以上である。)。 ・ガスセンサ30がセンサ活性である。 ・燃料カット(フューエルカット)状態ではない。 ・機関の空燃比A/Fが安定している。即ち、内燃機関10の運転状態がアイドル状態か、又は、車両の運転状態が定常走行状態である。尚、内燃機関10の運転状態がアイドル状態であるか否かは、「アクセルペダル操作量APが「0」であり、且つ、機関回転速度NEが所定回転数以下である状態」が所定アイドル時間以上継続しているか否かを判定することにより判定される。車両の運転状態が定常走行状態であるか否かは、「アクセルペダル操作量APの単位時間あたりの変化量が閾値操作変化量以下であり且つ図示しない車速センサにより検出される車両の速度の単位時間あたりの変化量が閾値車速変化量以下である状態」が所定定常走行閾値時間以上継続しているか否かを判定することにより判定される。 尚、SOx検出条件を構成する条件として以下の条件が加えられても良い。 ・イグニッション・キー・スイッチがオフ位置からオン位置へと変更されたのちにオフ位置へと変更される前に(即ち、今回の内燃機関10の始動後において)、一度も「SOx濃度検出(排気中に所定濃度以上の硫黄酸化物が存在するか否かの判定)」が行われていない。

SOx検出条件が成立している場合、CPUはステップ930にて「Yes」と判定して、以下に述べるステップ940乃至ステップ960の処理を順次実行した後、ステップ995に進み、本ルーチンを一旦終了する。

ステップ940:CPUは、ステップ920にて算出したA/Fを取得する。 ステップ950:CPUは、取得したA/FをルックアップテーブルM1に適用することによって、印加電圧スイープの電圧範囲(下限電圧(第1電圧V1)及び上限電圧(第2電圧V2))を決定する。 ステップ960:CPUは、A/F検出要求フラグXafの値を「0」に設定すると共に、SOx検出要求フラグXsの値を「1」に設定する。

これに対して、SOx検出条件を構成する条件のうち少なくとも1つが満たされていない場合、CPUはステップ930にて「No」と判定してステップ995に進み、本ルーチンを一旦終了する。

以下、図10を参照しながらSOx検出ルーチンについて説明する。CPUは、図10にフローチャートにより示したSOx検出ルーチンを一定のサンプリング時間Δt(本例では、2ms)が経過する毎に実行するようになっている。CPUは、所定のタイミングになると、図10のステップ1000から処理を開始してステップ1005に進み、SOx検出要求フラグXsの値が「1」であるか否かを判定する。

SOx検出ルーチンは、上述したSOx検出条件が成立した場合(即ち、SOx検出要求フラグXsがオン(Xs=1)である場合)に、実質的に機能する。従って、SOx検出要求フラグXsの値が「1」ではない場合(即ち、SOx検出要求フラグXsの値が「0」である場合)、CPUはステップ1005にて「No」と判定してステップ1095に進み、本ルーチンを一旦終了する。

これに対して、SOx検出要求フラグXsの値が図9のステップ960の処理によって「1」に設定されている場合、CPUはステップ1005にて「Yes」と判定してステップ1010に進み、ステップ950にて決定した印加電圧範囲にて所定の掃引速度で印加電圧スイープ(具体的に述べると、正弦波の電圧(周波数1Hz、1周期分)を印加する処理)を開始する。この印加電圧スイープでは、先ず昇圧スイープが行われ、次いで、降圧スイープが行われる。尚、ステップ1010の処理の時点で印加電圧スイープを既に実行中の場合、CPUは、その印加電圧スイープの実行を継続する。

その後、CPUはステップ1012に進み、SOx濃度検出が未完了であるか否かを判定する。SOx濃度検出が未完了である場合、CPUはステップ1012にて「Yes」と判定して、ステップ1015に進み、現時点が、「降圧スイープ中であり、且つ、印加電圧Vmが電流取得開始電圧Vsem(第3電圧V3)に達した」か否かを判定する。このステップ1015の判定条件が成立していない場合、CPUはステップ1015にて「No」と判定し、ステップ1095に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。

これに対し、ステップ1015の判定条件が成立している場合、CPUはステップ1015にて「Yes」と判定してステップ1020に進み、現時点の出力電流Im(=I(k))を取得する。その後、CPUはステップ1025に進み、ステップ1020にて取得した出力電流I(k)が、「現在行われている印加電圧スイープの開始後において本ルーチンを今回実行した際及び本ルーチンを前回実行した際にステップ1020の処理により取得した出力電流I(k)」の中で、最小値であるか否かを判定する。即ち、CPUはI(k)<最小電流Ismnであるか否かを判定する。

本ルーチンのステップ1020にて取得した出力電流I(k)が最小値である場合、CPUはステップ1025にて「Yes」と判定してステップ1030に進み、最小電流Ismnをその出力電流I(k)に更新した後、ステップ1035に進む。本ルーチンのステップ1020にて取得した出力電流I(k)が最小値ではない場合、CPUはステップ1025にて「No」と判定してステップ1035に直接進む。

ステップ1035にて、CPUは印加電圧Vmが、上述した検出用電圧範囲の下限電圧(第4電圧V4)に達したか否かを判定する。

印加電圧Vmが、上述した検出用電圧範囲の下限電圧に達していない場合、CPUはステップ1035にて「No」と判定し、ステップ1095に進んで、本ルーチンを一旦終了する。

これに対し、印加電圧Vmが、上述した検出用電圧範囲の下限電圧(第4電圧V4)に達していた場合、CPUはステップ1035にて「Yes」と判定してステップ1040に進み、最小電流Ismnが閾値(閾値最小電流)Ith未満であるか否かを判定する。閾値最小電流Ithは、排気に所定の濃度以上のSOxが含まれているか否かを判定するのに適切な値であって、予め実験等を行う等によって特定されている。即ち、閾値最小電流Ithは、燃料に許容範囲の上限の濃度の硫黄(S)を混入させておき、そのとき上記と同じ条件(排気中のSOx濃度を実際に検出する場合と同じ条件)で印加電圧スイープを行ったときの、降圧スイープ中且つ検出用電圧範囲における出力電流Imの最小値に設定されている。尚、この場合の同じ条件とは、印加電圧スイープの電圧波形、印加電圧スイープの印加電圧範囲、印加電圧スイープの掃引速度及び検出用電圧範囲等が同じであることである。

尚、CPUは、図9のステップ940にて取得したA/Fに応じて閾値最小電流Ithの値を変更するようにしてもよい。具体的に述べると、CPUは、ステップ920及びステップ940の処理によって取得した空燃比A/Fがリーンになるほど閾値最小電流Ithが大きくなるように、閾値最小電流Ithを変更するようにしてもよい。この理由は以下のとおりである。

機関の空燃比A/Fがリーンになるほど、排気中の酸素(酸素分子(O2))の還元分解に起因してより多くの酸化物イオンが第1電極41aから第2電極41bへ移動するから、出力電流Imが上昇する。従って、この出力電流Imの上昇分を加味して閾値最小電流Ithを変更することが好ましい。このようにすれば、「所定濃度」のSOxが排気中に含まれているか否かを、機関の空燃比A/Fに関わらず、「より精度よく」判定することができる。この場合、CPUは、ステップ920及びステップ940の処理によって取得した空燃比A/Fを所定のルックアップテーブルに適用することによって、A/F毎に閾値最小電流Ithを決定するようにしてもよい。

尚、CPUは、ステップ1040において、空燃比A/Fに基づいて閾値最小電流Ithの値を変更することに代えて閾値最小電流Ithの値を固定しておき、ステップ1040の処理が実行される前の時点にて最小電流Ismnを「ステップ940にて取得した空燃比A/F(又は、ステップ920にて取得した出力電流Im)」に基づいて補正してもよい。

より具体的に述べると、閾値最小電流Ithを特定の空燃比A/Fの排気に対して求めておき、CPUは、その閾値最小電流Ithをステップ1040にて使用する。

更に、CPUは、ステップ920及びステップ940にて取得した空燃比A/F(又は、限界電流値)が前記特定の空燃比A/F(又は、その特定の空燃比A/Fに対応する酸素の限界電流値)よりも大きい範囲で大きくなるほど最小電流Ismnが小さくなるように当該最小電流Ismnを補正する。

更に、CPUは、ステップ920及びステップ940にて取得した空燃比A/F(又は、限界電流値)が前記特定の空燃比A/F(又は、その特定の空燃比A/Fに対応する酸素の限界電流値)よりも小さい範囲で小さくなるほど最小電流Ismnが大きくなるように当該最小電流Ismnを補正し、その補正した最小電流をステップ1040における閾値最小電流Ithとの比較に用いても良い。

この場合において、CPUは、空燃比A/F(又は、酸素に対する限界電流値としての出力電流Im)及び最小電流Ismnの組み合わせに対する最小電流Ismnの補正量ΔIを規定したルックアップテーブルをROMに格納しておき、そのルックアップテーブルにステップ920及びステップ940にて取得した「空燃比A/F(又は、限界電流値)」を適用することによって実際の補正量ΔIを求め、その補正量ΔIにより最小電流Ismnを補正した値をステップ1040の比較に用いるようにすることができる。

最小電流Ismnが閾値最小電流Ith未満である場合、再酸化電流変化が大きいので、CPUはステップ1040にて「Yes」と判定してステップ1045に進み、排気中に所定濃度以上のSOxが含まれていると判定する。このとき、CPUはバックアップRAM内に排気中に所定濃度以上のSOxが含まれている旨(又は、燃料中に許容値を超えるSが混入している旨)を記憶してもよく、所定の警告ランプを点灯してもよい。

その後、CPUはステップ1048に進み、印加電圧Vmが、印加電圧スイープの電圧範囲の下限電圧(第1電圧V1)に達した(換言すると、今回の降圧スイープが終了した時点になった)か否かを判定する。印加電圧Vmが印加電圧範囲の下限電圧に達していない場合、CPUはステップ1048にて「No」と判定してステップ1095に進み、本ルーチンを一旦終了する。尚、この直後に再びSOx検出ルーチンを実行する場合、SOx濃度検出が完了している(SOx濃度検出が未完了ではない)ので、CPUはステップ1012にて「No」と判定してステップ1048に進み、ステップ1048の処理を実行する。

ステップ1048の処理を実行する時点で印加電圧Vmが、印加電圧範囲の下限電圧に達した場合、CPUはステップ1048にて「Yes」と判定してステップ1050に進み、SOx検出要求フラグXsの値を「0」に設定すると共に、A/F検出要求フラグXafの値を「1」に設定する。その後、CPUはステップ1095に進み、本ルーチンを一旦終了する。

これに対し、最小電流Ismnが閾値最小電流Ith未満ではない場合、CPUはステップ1040にて「No」と判定してステップ1055に進み、排気中に所定濃度以上のSOxが含まれていないと判定する。このとき、CPUはバックアップRAM内に排気中に所定濃度以上のSOxが含まれていない旨(又は、燃料中に許容値を超えるSが混入していない旨)を記憶してもよく、所定の警告ランプを消灯してもよい。その後、CPUはステップ1048に進んだ後、ステップ1048の判定結果に応じて、ステップ1095に直接進んで本ルーチンを一旦終了するか、或いは、ステップ1050を経由してステップ1095に進み、本ルーチンを一旦終了する。

以上説明したように、本検出装置のECU20は、排気に含まれるSOx以外の酸素含有成分の影響を受けにくい「硫黄の再酸化電流変化の程度を表すパラメータ」として、降圧スイープ中且つ印加電圧Vmが検出用範囲にあるときの最小電流Ismnを取得し、取得した最小電流Ismnに基づいて、排気中に所定濃度以上のSOxが含まれているか否かを判定するように構成されている。その際、ECU20は、降圧スイープの掃引速度及び印加電圧スイープの電圧範囲等を再酸化電流変化の程度が大きく現れるように適切に設定した上で最小電流Ismnを取得する。

即ち、ECU20は、最小電流Ismnが閾値最小電流Ith未満である場合、排気中に所定濃度以上のSOxが含まれていると判定し、最小電流Ismnが閾値最小電流Ith以上である場合、排気中に所定濃度以上のSOxが含まれていないと判定するように構成されている。従って、排気中に含まれる所定濃度以上のSOxの有無を精度良く判定することができる。

<変形例> 以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されず、本発明の技術的思想に基づく各種の変形例を採用し得る。

例えば、上述の実施形態は、最小電流Ismnと閾値最小電流Ithとを比較することによって、排気中の所定濃度以上のSOxの有無を判定しているが、最小電流Ismnに基づいて排気中のSOx濃度を検出するようにしてもよい。

具体的に述べると、CPUは、図10に示したSOx濃度検出ルーチンに代えて、図11に示したSOx濃度検出ルーチンを実行するように構成され得る。この図11に示したルーチンは、図10に示したルーチンの「ステップ1040、ステップ1045及びステップ1055」の処理に代えて、「ステップ1110」の処理を実行するルーチンである。よって、以下、図11のステップ1110の処理について説明する。 ステップ1110:CPUは最小電流IsmnをルックアップテーブルMap(Ismn)に適用することによって、排気中のSOx濃度を取得する。 尚、ECU20のROM(記憶部)は、「最小電流Ismnと排気中のSOx濃度との関係」をルックアップテーブルMap(Ismn)として記憶している(図11のブロックB1を参照。)。このルックアップテーブルは予め実験等を行うことにより得ることができる。

更に、このルックアップテーブルMap(Ismn)は、「機関の空燃比A/Fと最小電流Ismnと排気中の硫黄酸化物の濃度との関係」を規定するルックアップテーブルMap(Ismn, A/F)であってもよい(図12を参照。)。この場合、CPUは、図10のステップ1030にて取得した実際の最小電流Ismnと、図9のステップ940にて取得した空燃比A/Fと、をルックアップテーブルMap(Ismn, A/F)に適用することによって、排気中の硫黄酸化物濃度を算出してもよい。

これによれば、SOx濃度を検出する場合の機関の空燃比A/Fに関わらず、SOx濃度を精度良く検出することができる。

更に、例えば、上述の実施形態において、CPUは図9の「ステップ940及びステップ950」にて、取得したA/Fに基づいて「印加電圧スイープの電圧範囲の下限電圧及び上限電圧」を決定しているが、次のようにしてもよい。

即ち、CPUは、ステップ920にて「印加電圧Vmが酸素濃度検出用の印加電圧に設定されている場合の出力電流Im」に基づいて酸素濃度を取得し、ステップ950にて、その酸素濃度に基づいて「印加電圧スイープの電圧範囲の下限電圧及び上限電圧」を決定してもよい。この場合、ルックアップテーブルM1は、酸素濃度と、「印加電圧スイープの電圧範囲の下限電圧及び上限電圧」と、の関係を規定するテーブルとなる。

同様に、CPUは、ステップ920にて「印加電圧Vmが酸素濃度検出用の印加電圧に設定されている場合の出力電流Im」を取得し、ステップ950にてその出力電流Imに基づいて「印加電圧スイープの電圧範囲の下限電圧及び上限電圧」を決定してもよい。この場合、ルックアップテーブルM1は、出力電流Imと、「印加電圧スイープの電圧範囲の下限電圧及び上限電圧」と、の関係を規定するテーブルとなる。

加えて、CPUは、図9のステップ920及びステップ940の処理において、「印加電圧Vmが酸素濃度検出用の印加電圧に設定されている場合の出力電流Imに基づいて検出された酸素濃度」に基づいて「閾値最小電流Ith」を決定してもよい。この場合、ステップ940にてCPUが参照するルックアップテーブルは、酸素濃度と、「閾値最小電流Ith」と、の関係を規定するテーブルとなる。

更に、CPUは、図9のステップ920及びステップ940の処理において、「印加電圧Vmが酸素濃度検出用の印加電圧に設定されている場合の出力電流Imそのもの」に基づいて「閾値最小電流Ith」を決定してもよい。この場合、ステップ940にてCPUが参照するルックアップテーブルは、出力電流Imと閾値最小電流Ithとの関係を規定するテーブルとなる。

更に、例えば、再酸化電流変化を表した最小電流Ismnをより確実に取得するために、次のように電流取得開始電圧Vsemを決定してもよい。即ち、印加電圧スイープを行ったときに、「Sの再酸化反応」に伴う出力電流Imの変化(再酸化電流変化)が現れる電圧領域で最小電流Ismnを取得するように、電流取得開始電圧VsemをSOx分解開始電圧(0.6V)未満の値に決定してもよい。具体的に述べると、電流取得開始電圧Vsemを「印加電圧スイープの電圧範囲の下限電圧(第1電圧V1)よりも大きく、且つ、SOx分解開始電圧(0.6V)未満の範囲から選択してもよく、好ましくは第1電圧V1よりも大きく且つ0.45V以下の範囲から選択しても良い。

更に、例えば、印加電圧スイープの電圧波形は、図3の(B)及び図3(C)に示された波形に限らず、降圧速度を適切に設定することによって、第1電極41aに吸着した硫黄が再酸化反応することに起因した再酸化電流変化が降圧スイープのある時点から極めて顕著になる限り、任意の波形(例えば、三波)であってもよい。

加えて、変形例のCPUは、図11のステップ1110において、最小電流Ismnと、図9のステップ920及びステップ940において取得した内燃機関の空燃比A/Fに相関を有する空燃比相関値SAF(この空燃比A/Fそのもの、この空燃比A/Fを算出する基礎となった排気中の酸素濃度、又は、その酸素濃度に対応する出力電流Imであってステップ920にて取得される出力電流Imである限界電流値)と、を図12に示した「ルックアップテーブルMap(Ismn、SAF)に適用することによって、排気中のSOx濃度を取得してもよい。このように構成することにより、SOx濃度を検出する際の機関の空燃比A/Fに関わらず、SOx濃度をより精度よく検出することができる。

10…内燃機関、11…燃料噴射弁、12…排気管、13…DOC、14…DPF、20…ECU、21…機関回転速度センサ、22…水温センサ、23…アクセルペダル量操作量センサ、23a…アクセルペダル、40…素子部、41a…第1電極(陰極)、41b…第2電極(陽極)、41s…固体電解質体、41c…電気化学セル、51a、51b、51c、51d及び51e…第1乃至第5アルミナ層、SP1…内部空間、SP2…第1大気導入路、61…拡散抵抗部、71…ヒータ、81…電源回路、91…電流計

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