Hardened body

阅读:1012发布:2021-05-22

专利汇可以提供Hardened body专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a hardened body capable of being readily treated.
SOLUTION: This hardened body 1 can be readily treated and easily fitted when being used as a flooring material in a panel shape because the edge parts of the plate-shaped hardened body 1 obtained by drying a papermaking sludge are chamfered. The hardened body is hardly chipped or broken at the corner part.
COPYRIGHT: (C)2002,JPO,下面是Hardened body专利的具体信息内容。

【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 無機非晶質体と繊維状物とからなる硬化体であって、 角部に面取り形成を有してなることを特徴とする硬化体。
  • 【請求項2】 製紙スラッジを硬化させてなる硬化体であって、 角部に面取り形成を有してなることを特徴とする硬化体。
  • 【請求項3】 面取りは、C面を設けたことを特徴とする請求項1又は2の硬化体。
  • 【請求項4】 面取りは、R面を設けたことを特徴とする請求項1又は2の硬化体。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】この発明は、製紙スラッジの硬化体に関するものである。

    【0002】

    【従来の技術】近年、地球環境保護の観点から、種々の産業廃棄物の有効利用が検討されている。 例えば、これまで森林資源を大量に消費してきた建築産業においては、建築資材を新たに産業廃棄物に求めることにより、
    森林資源の消費量を抑えることが求められている。

    【0003】本発明者らは、紙の製造後に発生する製紙スラッジを抄造した後、乾燥することで硬化させ、建築用パネル等として有効に利用し得る硬化体の製造技術を特願平10−352586号として提案している。

    【0004】

    【発明が解決しようとする課題】本発明者は、上記硬化体をパネル状の床材として用いるとの着想を持った。 しかしながら、硬化体は、比重が1.2〜1.3と相対的に重く、また、床材としての必要強度を得るためには、
    20mm以上の厚みが必要となる重量が重くなる。 このため、床材としてパネル状に填め込んでいく際に、取り扱いが困難であることが予想された。

    【0005】本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、取り扱いが容易な硬化体を提供することにある。

    【0006】

    【課題を解決するための手段】上述した課題を解決するため、請求項1は、無機非晶質体と繊維状物とからなる板状の硬化体であって、部に面取り形成を有してなることを技術的特徴とする。

    【0007】また、請求項2は、製紙スラッジを硬化させてなる板状の硬化体であって、角部に面取り有してなることを技術的特徴とする。

    【0008】本発明では、硬化体の角部に面取り形成を施してあるため、パネル状の床材等の建築材料として用いる際に、扱い易く、填め込みが容易である。 また、角部が欠け、割れることがない。 さらに、角部がこすれて発生するきしみ音がない。 更に、遮音性、制振性が向上することも見い出した。

    【0009】面取りは、C面を設けてあるため、面取り加工が容易である。

    【0010】面取りは、R面を設けてあるため、床材のパネル状にして用いる際に、扱い易く填め込みが容易である。

    【0011】

    【発明の実施の形態】ここでは先ず、後述するこの発明の複合硬化体の製造方法で製造する複合硬化体の構造について、図1の模式図に基づき説明する。

    【0012】本発明は、製紙スラッジを硬化させた複合硬化体であって、その角部が面取り形状となっている。
    このため、建築材料として使用した場合にはめ込みやすく、角部が欠けることもなく、角部の擦れで発生するきしみ音もない。 さらに、意外にも遮音性、制振性を向上させることもできる。 これは、角部がなくなることでボードが動きやすくなるため、音のエネルギーを吸収しやすくなったためと推定される。

    【0013】この複合硬化体1は、2種以上の酸化物の系からなる無機非晶質体2を含み、該無機非晶質体2中に有機質繊維状物3が混在してなることを基本とする。
    ここでいう2種以上の酸化物の系からなる無機非晶質体とは、酸化物(1)−酸化物(2)・・・−酸化物(n)系(但しnは自然数であり、酸化物(1)、酸化物(2)、・・・酸化物(n)は、それぞれ異なる酸化物)の非晶質体である。

    【0014】このような非晶質体は、正確な定義づけが困難であるが、2種以上の酸化物を固溶あるいは和反応等させることにより生成する、非晶質の化合物であると考えられる。 このような無機非晶質の化合物は、蛍光X線分析により、酸化物を構成する元素(Al、Si、
    Ca、Na、Mg、P、S、K、Ti、Mn、Fe、Z
    nから選ばれる少なくとも2種以上)が確認され、X線回折による分析のチャートでは2θ:10°〜40°の範囲でハローが見られる。 このハローは、X線の強度の緩やかな起伏であり、X線チャートでブロードな盛り上がりとして観察される。 なお、ハローは半値幅が2θ:
    2°以上である。

    【0015】上記複合硬化体1は、まず無機非晶質体2
    が強度発現物質となり、しかも有機質繊維状物3が無機非晶質体2中に分散して破壊靱性値を改善するため、曲げ強度値や耐衝撃性を向上させることができる。 また、
    強度に異方性がなく、均質な硬化体が得られる。 さらに、非晶質体であるため、低密度で充分な強度が得られるという利点もある。

    【0016】なお、上記非晶質体が強度発現物質となる理由は定かではないが、結晶質の構造に比べてクラックの進展が阻害されるためではないかと推定される。 また、結晶質中に比べて非晶質中の方が繊維状物が均一に分散しやすいことから、破壊靱性値も向上すると考えられる。 その結果、釘を打ち込んだり貫通孔を設けても、
    クラックが生じないために、建築材料などの加工を必要とする材料に最適なものとなる。

    【0017】ここで、酸化物としては、金属および/または非金属の酸化物を使用でき、Al 23 、Si
    2 、CaO、Na 2 O、MgO、P 25 、SO 3
    2 O、TiO 2 、MnO、Fe 23およびZnOから選ばれることが望ましい。 とりわけ、Al 23 −S
    iO 2 −CaO系またはAl 23 −SiO 2 −CaO
    −酸化物系からなる非晶質体、もしくはこれら非晶質体の複合体が最適である。 なお、後者の非晶質体における酸化物は、Al 23 、SiO 2およびCaOを除く金属および/または非金属の酸化物の1種以上である。

    【0018】まず、Al 23 −SiO 2 −CaO系からなる非晶質体は、Al 23 、SiO 2およびCaO
    の各成分の全部または一部が互いに固溶あるいは水和反応などにより生成する非晶質構造を有する化合物である。 すなわち、Al 23とSiO 2 、SiO 2とCa
    O、Al 23とCaO、そしてAl 23 、SiO 2
    およびCaOの組合せで固溶あるいは水和反応等させることにより生成する化合物のいずれかを含むと考えられる。

    【0019】このような無機非晶質の化合物は、蛍光X
    線分析により、Al、Si、Caが確認され、X線回折による分析のチャートでは2θ:10°〜40°の範囲で上記ハローが見られる。

    【0020】また、Al 23 、SiO 2およびCaO
    以外に少なくとも1種の酸化物を加えた系、つまりAl
    23 −SiO 2 −CaO−酸化物系からなる非晶質体は、上記Al 23 −SiO 2 −CaO系での組み合わせ以外に、Al 23と酸化物、SiO 2と酸化物、C
    aOと酸化物、Al 23とSiO 2と酸化物、SiO
    2とCaOと酸化物、Al 23とCaOと酸化物、そしてAl 23とSiO 2とCaOと酸化物の組合せで固溶あるいは水和反応等させることにより生成する化合物のいずれかを含むと考えられる。

    【0021】なお、前記酸化物が2以上、つまり、Al
    23 −SiO 2 −CaO−酸化物(n)系(nは2以上の自然数)の非晶質体であれば、これらの酸化物、例えば酸化物(1)、酸化物(2)・・・酸化物(n)
    (nは2以上の自然数で、酸化物(n)は、nの値が異なればそれぞれ異なる酸化物を意味し、かつAl
    23 、SiO 2 、CaOを除いたものである)のそれぞれから選ばれる少なくとも2種の組合せで固溶あるいは水和反応等させることにより生成する化合物、Al 2
    3 、SiO 2 、CaOから選ばれる少なくとも2種の組合せで固溶あるいは水和反応等させることにより生成する化合物、さらに酸化物(1)、酸化物(2)・・・
    酸化物(n)(nは2以上の自然数)のそれぞれから選ばれる少なくとも1種と、Al 23 、SiO 2 、Ca
    Oから選ばれる少なくとも1種との組合せで固溶あるいは水和反応等させることにより生成する化合物のいずれかを含むと考えられる。

    【0022】このような無機非晶質の化合物は、蛍光X
    線分析により、Al、Si、Caに加えて、酸化物を構成する元素(Na、Mg、P、S、K、Ti、Mn、F
    e、Znから選ばれる少なくとも2種以上)が確認され、X線回折による分析のチャートでは2θ:10°〜
    40°の範囲で上記ハローが見られる。

    【0023】ここで、Al 23 、SiO 2およびCa
    Oと組み合わせる酸化物は、1種または2種以上であり、Al 23 、SiO 2 、CaOを除く金属および/
    または非金属の酸化物を使用でき、例えばNa 2 O、M
    gO、P 25 、SO 3 、K 2 O、TiO 2 、MnO、
    Fe 23およびZnOから選ぶことができる。 この選択は、複合硬化体に期待する特性を基準に行うことができる。

    【0024】例えば、Na 2 OまたはK 2 Oは、アルカリなどで除去できるため、めっき処理に先立って除去処理を行えば、複合硬化体表面の被めっき面が粗くなってめっきのアンカーとして作用させることができる。 Mg
    Oは、Al 23 、SiO 2 、CaOと固溶して強度発現に寄与し、曲げ強度や耐衝撃性を大きく改善する。 S
    3は、殺菌作用があり抗菌建築材料に適している。 T
    iO 2は、白系着色材であるとともに、光酸化触媒として作用することから、付着した有機汚染物質を強制的に酸化でき、光を照射しただけで洗浄できるという自浄のある建築材料、あるいは各種フィルター、反応触媒として使用できるという特異な効果を有する。 MnOは暗色系の着色材、Fe 23は明色系の着色材、ZnOは白系の着色材として有用である。 なお、これらの酸化物は非晶質体中にそれぞれ単独で存在していてもよい。

    【0025】上記非晶質体の組成物は、それぞれAl 2
    3 、SiO 2およびCaOに換算して、Al 23
    複合硬化体の全重量に対して3〜51重量%、Si
    2 :複合硬化体の全重量に対して5〜53重量%およびCaO:複合硬化体の全重量に対して3〜63重量%
    で、かつそれら合計が100重量%をこえない範囲において、含有することが好ましい。

    【0026】なぜなら、Al 23の含有量が3重量%
    未満あるいは51重量%をこえると、複合硬化体の強度が低下し、また、SiO 2の含有量が5重量%未満あるいは53重量%をこえても、複合硬化体の強度が低下する。 また、CaOの含有量が8重量%未満あるいは63
    重量%をこえてもやはり複合硬化体の強度が低下するのである。 なお、CaOの含有率は、3〜6重量%の場合には、特に破壊靱性値の高いものが得られる。

    【0027】さらに、酸化物に換算してCaO/SiO
    2の重量比率を0.2〜7.9、CaO/Al 23の重量比率を0.2を越え12.5以下に調整することが、強度の大きい硬化体を得るのに有利である。

    【0028】また、Al 23 、SiO 2およびCaO
    以外の酸化物として、Na 2 O、MgO、P 25 、S
    3 、K 2 O、TiO 2 、MnO、Fe 23およびZ
    nOのうち1種または2種以上を含有する場合、各成分の好適含有量は次のとおりである。 なお、これら酸化物の合計量は、100重量%を越えないことはいうまでもない。 Na 2 O :複合硬化体の全重量に対して0.1〜1.
    2重量% MgO :複合硬化体の全重量に対して0.3〜1
    1.0重量% P 25 :複合硬化体の全重量に対して0.1〜7.
    3重量% SO 3 :複合硬化体の全重量に対して0.1〜3.
    5重量% K 2 O :複合硬化体の全重量に対して0.1〜1.
    2重量% TiO 2 :複合硬化体の全重量に対して0.1〜8.
    7重量% MnO :複合硬化体の全重量に対して0.1〜1.
    5重量% Fe 23 :複合硬化体の全重量に対して0.2〜1
    7.8重量% ZnO :複合硬化体の全重量に対して0.1〜1.
    8重量% これら酸化物の含有量を上記範囲に限定した理由は、上記範囲を逸脱すると複合硬化体の強度が低下するからである。 なお、本発明でいうSi、Al、Caの組成は、
    複合硬化体中の組成であり、Ca系結晶および無機非晶質体中の全量の組成となる。 したがって、無機物質が添加される場合は、添加された無機物質を含めた組成である。

    【0029】本発明では、組成の整調は、所望のCa成分量の製紙スラッジを選択する方法、複数の製紙スラッジを混合して組成整調する方法、炭酸カルシウムや珪砂などを添加して組成調整する方法が採用されている。 製紙スラッジは種々の組成のものがあるが、一般にCa成分が少ない。 これは、製紙スラッジを凝集させるためにpHを酸性にするため、Ca成分が沈殿する側に残留しないからである。 所望の組成のものが入手できない場合は、組成の異なる他の製紙スラッジを適宜混合するか、
    炭酸カルシウムなどの無機成分を添加する必要がある。

    【0030】なお、非晶質構造か否かは、X線回折により確認できる。 すなわち、X線回折により2θ:10°
    〜40°の領域でハローが観察されれば、非晶質構造を有していることを確認できる。 なお、この発明では、完全に非晶質構造となっているもの以外に、非晶質構造中にHydrogen Aluminium Silicate 、Kaolinite 、Zeolit
    e 、Gehlenite,syn 、Anorthite 、Melitite、Gehlenit
    e-synthetic 、tobermorite 、xonotlite 、ettringite
    や、SiO 2 、Al 23 、CaO、Na 2 O、Mg
    O、P 25 、SO 3 、K 2 O、TiO 2 、MnO、F
    23およびZnOなどの酸化物、そしてCaCO 3
    (Calcite )などの結晶体が混在していてもよい。

    【0031】これら結晶体は、それ自体が強度発現物質になるとは考えられないが、例えば、硬度および密度を高くして圧縮強度を改善したり、クラックの進展を抑制するなどの効果があると考えられる。 なお、結晶体の含有量は、複合硬化体の全重量に対して0.1〜50重量%、特に3〜48重量%であることが望ましい。 なぜなら、結晶体が0.1重量%未満では、硬度および密度を高くして圧縮強度を改善したり、クラックの進展を抑制するなどの効果が十分得られず、逆に50重量%を超えると、曲げ強度低下を招くからである。

    【0032】ちなみに、上記Al 23 −SiO 2系の結晶性化合物がHydrogen AluminiumSilicate 、Kaolini
    te 、Zeolite 、Al 23 −CaO系の結晶性化合物がCalcium Aluminate 、CaO−SiO 2系の結晶性化合物がCalcium Silicate、Al 23 −SiO 2 −Ca
    O系の結晶性化合物がGehlenite,syn 、Anorthite であり、またAl 23 −SiO 2 −CaO−MgO系の結晶性化合物がMelitite、Gehlenite-synthetic である。
    さらに、上記結晶体としてはCaを含むものが望ましく、Gehlenite,syn (Ca 2 Al 27 )、Melitite-s
    ynthetic(Ca 2 (Mg 0.5 Al 0.5 )(Si 1. 5 Al
    0.57 ))、Gehlenite-synthetic (Ca 2 (Mg
    0.25 Al 0.75 )(Si 1.25 Al 0.757 ))、Anorthit
    e,ordered (Ca 2 Al 2 Si 28 )、炭酸カルシウム(Calcite )を含有していても良い。

    【0033】またこの発明の製造方法で製造する複合硬化体では、少なくとも2種以上の酸化物の系からなる非晶質体中に、ハロゲンを添加してもよい。 このハロゲンは、固溶体、水和物の生成反応の触媒となり、また燃焼抑制物質として作用する。 その含有量は、0.1〜1.
    2重量%が望ましい。 なぜなら、0.1重量%未満では強度が低く、1.2重量%を越えると燃焼により有害物質を発生するからである。 ハロゲンとしては、塩素、臭素、フッ素が望ましい。

    【0034】同様に、炭酸カルシウム(Calcite )を添加していてもよい。 炭酸カルシウムそれ自体は強度発現物質ではないが、炭酸カルシウムの周囲を非晶質体が取り囲むことにより、クラックの進展を阻止するなどの作用により強度向上に寄与すると考えられる。 この炭酸カルシウムの含有量は、複合硬化体の全重量に対して48
    重量%以下が望ましい。 この理由は、48重量%を越えると曲げ強度が低下するからである。 また、0.1重量%以上が望ましい。 0.1重量%未満では、強度向上に寄与しないからである。

    【0035】さらに、結合剤を添加することも、強度のさらなる向上や、耐水性、耐薬品性および耐火性の向上に、有利である。 この結合剤としては、熱硬化性樹脂および無機結合剤のいずれか一方または両方からなることが望ましい。 熱硬化性樹脂としては,フェノール樹脂,
    メラミン樹脂,エポキシ樹脂,ユリア樹脂から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂が望ましい。 無機結合剤としては,珪酸ソーダ,シリカゲル及びアルミナゾルの群から選ばれる少なくとも1種以上が望ましい。

    【0036】次に、この発明の複合硬化体の製造方法において無機非晶質体中に混在させる有機繊維状物は、多糖類からなる有機質繊維状物を使用する。 なぜなら、多糖類にはOH基が存在し、水素結合によりAl 23
    SiO 2またはCaOの各種化合物と結合しやすいからである。

    【0037】この多糖類は、アミノ糖、ウロン酸、デンプン、グリコーゲン、イヌリン、リケニン、セルロース、キチン、キトサン、ヘミセルロースおよびペクチンから選ばれる少なくとも1種以上の化合物であることが望ましい。 これら多糖類からなる有機質繊維状物としては、一般に、パルプや、パルプかす、新聞や雑誌などの故紙の粉砕物が有利に適合する。

    【0038】なお、上記繊維状物の含有率は、2〜75
    重量%であることが望ましい。 この理由は、2重量%未満では複合硬化体の強度が低下し、一方75重量%を越えると防火性能、耐水性、寸法安定性などが低下するおそれがあるからである。 さらに、繊維状物の平均長さは、10〜1000μmが望ましい。 平均長さが短すぎると絡み合いが生じず、また長すぎると空隙が生じて複合硬化体の強度が低下しやすいからである。

    【0039】以上の複合硬化体1は、紙スラッジ(スカム)を乾燥させて凝集硬化させたものが最適である。 すなわち、製紙スラッジは、無機物を含むパルプかすであり、有機質繊維状物を含んでおり、産業廃棄物を原料として使用するため低コストであり、環境問題の解決に寄与するからである。 しかも、この製紙スラッジは、それ自体がバインダーとしての機能を有しており、それ自体のみで、又は、他の産業廃棄物と混練することにより、
    所望の形状に成形できる利点を有する。

    【0040】また、製紙スラッジ中には、パルプの他に、Al 23 、SiO 2 、CaO、Na 2 O、Mg
    O、P 25 、SO 3 、K 2 O、TiO 2 、MnO、F
    23およびZnOの結晶もしくはこれら酸化物の前駆体であるゾル状物、またはそれらの複合物、ハロゲンおよび炭酸カルシウムから選ばれる少なくとも1種、そして水を含むのが、一般的である。

    【0041】ここで、図2に示すように、複合硬化体1
    中に、無機粒子4を混在させることが、防火性を向上させたり、非晶質体と反応して強度発現物質を形成して強度を向上するのに有利であり、この無機粒子量を調整することにより、複合硬化体の比重を調整することもできる。

    【0042】上記無機粒子4としては、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、シラス、シラスバルーン、パーライト、水酸化アルミニウム、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、産業廃棄物粉末から選ばれる少なくとも1種以上を使用できる。 特に、産業廃棄物粉末としては、製紙スラッジの焼成粉末、ガラスの研磨屑、および珪砂の粉砕屑から選ばれる少なくと1種以上の産業廃棄物粉末を用いることが望ましい。 なぜなら、これら産業廃棄物粉末を使用することにより、低コスト化を実現でき、さらに環境問題の解決に寄与できるからである。

    【0043】なお、製紙スラッジを焼成した無機粒子は、製紙スラッジを300〜1500℃で加熱処理することによって得られる。 かくして得られる無機粒子は、
    非晶質であり、強度および靱性に優れ、かつ密度も小さいため、複合硬化体に分散させることにより軽量化を実現できる。 また、製紙スラッジを300℃以上800℃
    未満で焼成した場合および、300〜1500℃で加熱処理後、急冷することによって得られる無機粒子は、確実に非晶質体を含むため有利である。 無機粒子4は、比表面積が、0.8〜100m 2 /gであることが望ましい。 0.8m 2 /g未満では、非晶質体と無機粒子の接触面積が小さくなり強度が低下してしまい、逆に100
    2 /gを越えるとクラック進展や硬度の向上といった効果が低下して結果的に強度が低下する。

    【0044】さらに、無機粒子4中には、シリカ、アルミナ、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カリウム、酸化ナトリウム、五酸化リンから選ばれる少なくとも1種以上の無機物が含まれるていることが望ましい。 これらは化学的に安定で耐候性に優れ、建築材料などの産業材料として望ましい特性をそなえているからである。

    【0045】この無機粒子4は、その平均粒子径が小さすぎても大きすぎても充分な強度が得られないため、1
    〜100μmの範囲にあることが望ましい。 無機粒子の含有量は、10〜90重量%であることが望ましい。 すなわち、無機粒子が多すぎると強度が低下し、逆に無機粒子の量が多すぎるともろくなり、いずれにしても強度が低下するからである。

    【0046】この発明の方法で製造した複合硬化体1
    は、各種産業において利用され、ケイ酸カルシウム板、
    パーライトボード、合板、石膏ボードなどに代わる新たな建築材料を始めとして、プリント配線板のコア基板などの電子材料に使用することができる。

    【0047】この発明の方法で製造した複合硬化体1
    は、後述する製造方法で製造することで、平衡含水率を3%以下に製造してある。 このため、高い寸法安定性を備え、上述した種々の産業用途に好適に用いることができる。

    【0048】次に、この発明に係る硬化体の製造方法及び硬化体の製造装置の実施例について図3〜図9を参照して説明する。 この発明の製造方法では、複合硬化体の原料に製紙スラッジを他の産業廃棄物と昆練することなく使用する。 この発明の製造方法で使用する製紙スラッジとしては、印刷・情報用紙、クラフト紙、チタン紙、
    ティッシュペーパー、ちり紙、トイレットペーパー、生理用品、タオル用紙、工業用雑種紙または家庭用雑種紙等を製造する際のパルプ製造工程、古紙等の原料処理工程、抄造工程などで排出される製紙スラッジが望ましい。 製紙スラッジは、丸東窯材社が取扱っている。

    【0049】図3は、硬化体の製造装置の全体の構成を示している。 硬化体の製造装置は、製紙スラッジを調整しスラリー14を生成する原料調整機構10と、スラリー14から抄造体26を抄造する抄造機構20と、抄造体26を反転するための反転装置40と、抄造体26を積層してから加圧し脱水を行うプレス機50と、プレスされた抄造体を乾燥して硬化体1を形成する乾燥機60
    とからなる。

    【0050】先ず、原料の調整を行う原料調整機構10
    について、図4(A)を参照して説明する。 上記原料1
    1と、水12とを、後述する吸引脱水により濃度を固形分0.5〜25重量%となるように計量して混合器13
    内に入れ、硫酸アルミニウム、塩化第二鉄、ポリ塩化アルミニウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミドのいずれかから成る凝集剤(フロック剤:添加量0.01〜5%)及びビニロン繊維等の有機繊維(バインダ:添加量0.1〜10重量%)を添加し、混合器1
    3にて混合してスラリー14を調整する。 有機繊維(バインダ)は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ビニロンなどの合成繊維、パイプ、古紙から回収されるパルプ、
    その他、繊維状の産業廃棄物などを用いることができる。 原料は製紙スラッジに、更に各種無機粉末や樹脂を添加することができる。

    【0051】このスラリー14を、底部にフィルター1
    6が設けられた脱水容器15を使用して吸引脱水する。
    吸引脱水することにより、濃度が固形分0.5〜25重量%となるようにする。 吸引脱水では、製紙スラッジの繊維が配向しないため、得られる複合硬化体に反りやクラックが発生しにくい。

    【0052】この脱水容器15の底部は真空ポンプ17
    と連結しており、真空ポンプ17の稼働により水分を吸引する。 フィルター16は特に限定されないが、焼結金属、多孔金属板(直径1〜5mmの穴があいた金属板)、
    多孔質セラミックフィルター、多孔質の樹脂、ガラス繊維板などを使用できる。 脱水容器15にて水分調整された原料14を、チェストタンク18内に一時貯留する。
    該チェストタンク18には、攪拌用のプロペラが備えられており、原料中の固形分が沈降しないようになっている。

    【0053】なお、本実施例では、脱水容器15により水分を調整しているが、図4(B)に示すように、脱水容器15を用いることなく、混合器13への水の添加量のみで含水率を調整することも可能である。

    【0054】引き続き、上記水分調整を行った製紙スラッジを含むスラリー14から抄造機構20にて抄造体2
    6を生成する。 スラリー(原料溶液)中には、セメントなどの無機バインダーや樹脂などの有機バインダーを添加してもよい。 この抄造機構20について、図5を参照して説明する。 抄造機構20は、スラリー14を貯留する3連のバット21A、21B、21Cと、バット内に配設され、スラリー14を抄造するワイヤーシリンダ2
    2A、22B、22Cと、ワイヤーシリンダ22A、2
    2B、22Cにて抄造された抄造体26を転写し、搬送する搬送ベルト23と、搬送ベルト23にて搬送された抄造体26を所定の厚みまで巻回し切断する切断用回転ドラム30と、抄造体26を切断するためのカッタ36
    と、抄造体26を搬送するベルトコンベア38とを備える。

    【0055】ワイヤーシリンダ22A、22B、22C
    は、直径70cmで、幅1mmに形成されている。 本実施例では、ろ水(抄造)を行うろ水体が網状体より構成される回転ドラム(ワイヤーシリンダ)から成るため、原料溶液14から抄造体26を連続して抄造でき、製紙スラッジから効率的に硬化体を量産することが可能となる。
    ワイヤーシリンダ22A、22B、22Cを透過した水は、パイプ17a及び真空ポンプ17を介して図4
    (A)に示す混合器13へ戻される。

    【0056】また、本実施例では、ワイヤーシリンダ2
    2A、22B、22Cを搬送ベルト23に沿って3台併設し、当該搬送ベルト23に多層化させながら抄造体2
    6を転写する。 このため、原料溶液14から抄造体26
    を高効率で抄造でき、製紙スラッジから効率的に硬化体を量産することが可能となる。 なお、本実施例では、ワイヤーシリンダの回転数が60回転/分に設定されている。 この回転数は、1〜100回/分が望ましい。 原料溶液14から抄造体26を高効率で抄造でき、製紙スラッジから効率的に硬化体を量産することが可能となるからである。 ここで、回転ドラムが1回転/分よりも低いと、抄造効率が低い。 一方、回転数が100回転/分を越えると、均一な厚みで抄造体が出来にくくなる。 本実施例では、ワイヤーシリンダ22A、22B、22Cを3台併設したが、1台以上何台でも用いることができる。

    【0057】なお、ワイヤーシリンダ22A、22B、
    22Cの網目は♯60(1インチ当たりの網目数60)
    に形成されている。 ワイヤーシリンダ22A、22B、
    22Cの網目は♯40〜150が望ましい。 原料溶液(スラリー)14から抄造体26を高効率で抄造でき、
    製紙スラッジから効率的に密度の高い硬化体を量産することが可能となるからである。 ここで、♯40よりも網目が荒いと、原料溶液から無機非晶質体のみが抜けて硬化体の密度及び強度が低下する。 一方、♯150よりも網目が細かいと、水分の抜けが悪くなり、原料溶液から抄造体を高効率で抄造できなくなる。 なお、凝集剤により製紙スラッジ(原料溶液)中にフロックができているので、効率的に抄造を行うことができる。

    【0058】製紙スラッジを含む原料溶液の濃度は、固形分0.5〜25重量%であることが望ましい。 製紙スラッジからの抄造性を向上させ、効率的に硬化体を量産することができるからである。 即ち、濃度が0.5%未満では、効率的に原料溶液からワイヤーシリンダ(ろ水体)を用いて抄造することができず、25%を越えると、製品の均一性が低下するからである。

    【0059】ワイヤーシリンダ22A、22B、22C
    にて抄造された抄造体を転写し、搬送する搬送ベルト2
    3は、幅1mのフェルトからなり、ローラ34にて懸架されており、裏面に吸引ボックス24を設けて、真空ポンプ17で吸引しながら脱水を行っている。 即ち、該ベルト23は、製紙スラッジを含む原料14の水分をフェルトの気孔内へ吸着し、吸着した水分が吸引ボックス2
    4を経て真空ポンプ17側へ吸着され、図4(A)に示す混合器13へ戻される。 この第1実施例では、ベルト23をフェルトから構成したが、この代わりに、連続した気孔を有する多孔質の樹脂、多孔質のゴム、無機繊維を結合剤などで固めたもの、焼結金属、多孔金属、多孔金属のブロックをゴム等の可撓性を有するバインダで固めたベルト、などを使用することができる。 本実施例は、搬送ベルト23が連続する気孔を有する多孔質体で構成され、搬送ベルト23で搬送しながら脱水するため、効率的に抄造体26中の水分を減らすことができる。

    【0060】また、本実施例では、搬送ベルト23の搬送速度が48m/分に設定されており、これと同期するように、ワイヤーシリンダ22A、22B、22C、切断用回転ドラム30及びベルトコンベア38が図示しないモータにより駆動されている。 搬送ベルト23の搬送速度は、5〜80m/分であることが望ましい。 原料溶液から適度な厚さの抄造体を高効率で抄造でき、効率的に硬化体を量産することが可能となるからである。 ここで、搬送速度が5m/分よりも低いと、抄造体を厚く抄造できる反面、抄造効率が低い。 一方、搬送速度が80
    m/分を越えると、抄造体が薄くなり、均一な厚みにし難くなると共に、抄造体が切れることがある。

    【0061】搬送ベルト23にて搬送された抄造体を所定の厚みまで巻回し切断する切断用回転ドラム30は、
    直径64cm(外周2m)に形成されており、表面に水を滞留させる貯留溝32と、この溝32の近傍に位置する収容溝33に収容されたピアノ線31とを備える。 該切断用回転ドラム30は、表面に搬送ベルト23から搬送された抄造体26を多層化させながら巻回する。

    【0062】そして、抄造体26が所定の厚み(1.5
    cm)に達し、これが図示しないセンサで検出されると、
    収容溝33内のピアノ線31が押し出される。 貯留溝3
    2に沿った位置で抄造体26は、含水率が高く、ピアノ線31が押し出されると、貯留溝32に沿って切断され、図6(A)に示すように、切断端がベルトコンベア38側に倒れかかる。 そして、切断用回転ドラム30の回転及びベルトコンベア38の搬送に伴い、所定の厚みの抄造体26がベルトコンベア38上まで搬送される(図6(B)参照)。 ここで、図6(C)に示すように、他方の切断端がカッタ36の対応位置まで搬送されると、カッタ36がベルトコンベア38側へ降ろされ、
    抄造体26の切断端と搬送ベルト23上を搬送される未積層の抄造体とが分離される。

    【0063】本実施例では、搬送ベルト23上の抄造体を、切断用回転ドラム30に転写させながら多層化し、
    多層化させた抄造体26が所定厚さに達した段階で所定の大きさに切断する。 切断用回転ドラムにより、均一の厚み(1.5cm)及び大きさ(1m×2m)の抄造体26
    を連続的に成形することができるので、硬化体を効率的に量産することが可能になる。

    【0064】また、本実施例では、切断用回転ドラム3
    0にて一端の切断された抄造体26を一定間隔で切断するカッタ36を備える。 このため、効率的に所定長(2
    m)の抄造体26を形成することができる。 なお、本実施例では、抄造体26の厚みを1.5cmとしたが、厚みは2cm以下であることが望ましい。 2cm以下の厚みであれば、抄造が容易であり、また、搬送等においても扱い易い。

    【0065】抄造体を反転するための反転装置40について、図7を参照して説明する。 本実施例の製造装置では、後述するように抄造体を交互に反転しながら積層するため、1枚おきに抄造体26が反転される。 反転装置40は、抄造体を吸着して搬送する搬送装置42と、テーブル44と、反転板46とから成る。

    【0066】図7(A)に示すように、ベルトコンベア38上の抄造体26が、搬送装置42によって反転板4
    6上に載置される。 反転板46が駆動され、抄造体46
    を反転させる(図7(B)参照)。 そして、図7(C)
    に示すように反転された抄造体26が、搬送装置42によって図3中に示すプレス機50へ搬送される。 なお、
    上述したように、本実施例では、スラリー14にバインダを添加することで抄造体26に可撓性を持たせ、切断後の扱いを容易にしてある。

    【0067】抄造体を加圧して脱水を行うプレス機50
    について、図8及び図9を参照して説明する。 図8
    (A)に示すように、プレス機50は、凹部54Aを備えるメス型54と、該凹部54Aへ嵌入するオス型52
    とから成り、メス型54及びオス型52には、抄造体を加圧した際に発生する水分を導出するための微細な通孔54a、52aがそれぞれ形成されている。 また、該プレス機50には、抄造体26に原料溶液14を塗布するためのカーテンコーター56が備えられている(図8
    (B)参照)。

    【0068】プレス機50での積層及び加圧について説明する。 先ず、図8(A)に示すように、メス型54の凹部54Aに、最下層として、図7(C)を参照して上述した反転装置40にて反転されて上記切断用回転ドラム30との接触面側を下側に向けられた抄造体26が、
    搬送装置42により搬入される。 次に、図8(B)に示すように、カーテンコーター56により、抄造体26の上面、即ち、上層の抄造体との接着面に原料溶液14が塗布される。 この原料溶液の量は、抄造体1層当たり、
    固形分で50g/m 2 〜500g/m 2が好適である。 なお、ここでは、カーテンコーター56を用いているが、
    ロールコーター等の種々の塗布装置を用いることができる。

    【0069】2層目の抄造体として、図8(C)に示すように、ベルトコンベア38上の抄造体26が反転されることなくメス型54の凹部54Aへ搬送装置42により搬入される。 その後、図9(A)に示すように、原料溶液14を塗布した後、3層目の反転された抄造体26
    が載置され、原料溶液14を塗布した後に4層目(最上層)の反転されない抄造体26が載置され積層が完了する。 ここでは、4層を積層しているが、2枚以上ならば何枚でも良く、薄い硬化体を製造する際には、1枚でも可能である。

    【0070】その後、オス型52を押し下げ、加圧プレスを60Kg/cm 2で行う(図9(B)参照)。 この際、抄造体26から染み出る水分を、通孔54a、52aを介して外部へ導出する。 その後、オス型52を上げて(図9(C)参照)、加圧により形成した複合硬化体1をメス型から取り出し、乾燥機60へ搬送する。

    【0071】本実施例では、加圧を型枠(凹部54A)
    中で行うため、高圧で加圧しても抄造体26が千切れなくなり、製紙スラッジから高強度の硬化体1を高い歩留まりで製造することが可能となる。 また、オス型52及びメス側54に抄造体26から染み出る水分を抜くための通孔52a、54aを備えるため、加圧の際に脱水を行い、後の乾燥による硬化工程を短時間で完了させれる。 また、製紙スラッジの抄造体を原料溶液14を介在させて複数積層せるため、剥離の生じない多層の硬化体を製造することができる。

    【0072】加圧プレスは、10〜250Kg/cm 2で行うことが望ましい。 加圧プレスを10Kg/cm 2未満で行うと、必要とされる強度を得ることができない。 一方、2
    50Kg/cm 2を越えて加圧プレスしても強度を高めることができず、プレス機が大型化・高価格化するからである。

    【0073】本実施例では、原料溶液をワイヤーシリンダ(ろ水体)を用いて抄造して得られた製紙スラッジの抄造体を、複数積層せしめる。 これは、抄造により厚い抄造体を得ることは非効率的であるので、製紙スラッジから薄い抄造体を効率的に抄造し、積層することで必要とする強度及び厚みの硬化体を製造する。 これにより、
    製紙スラッジから効率的に硬化体を量産する。

    【0074】また、本実施例の製造方法では、抄造体を厚さ20mm以下に形成することで、製紙スラッジを効率的に抄造し、積層することで必要とする強度及び厚みの硬化体を製造する。 このため、製紙スラッジから効率的に硬化体を量産することが可能になる。

    【0075】本実施例では、抄造体26の積層面を交互に反転させながら積層する。 即ち、反りの発生する方向を反対にしながら抄造体26を積層するため、抄造体2
    6を積層して成る硬化体1に反り、層間剥離を発生させることがない。 また、最上層及び最下層の抄造体について、露出面を回転ドラムに接触していた面とし、フェルトからなる搬送ベルト32と接していた凹凸の付いた面を内側にするため、積層してなる硬化体の表面を平滑にすることができる。

    【0076】更に、本実施例では、製紙スラッジを含む原料溶液に凝集剤を添加して凝集させるため、製紙スラッジから均質な比重(1.2〜1.3の範囲)の硬化体1を量産することができる。 更に、本実施例では、メス型54内で積層を行うため、積層した抄造体を移送する必要がなく量産に適する。 本実施例では、型枠54内で積層したが、積層後に型枠内に移送することも可能である。

    【0077】上記プレス機50にて加圧脱水乾燥して、
    含水率を下げた後、引き続き、図示しない倉庫に1日〜
    90日程度保管し、水分が4〜6数%になるまで自然乾燥させる。 その後、図4に示す乾燥機60にて硬化反応を進行させ、平衡含水率(3%以下)まで完全に乾燥させる。 乾燥機60は、電熱ヒータ62とファン64とを備え、乾燥を温度80〜200℃で行う。 乾燥機60
    は、電熱ヒータ62を備えるが、この代わりに、赤外線ヒータ、蒸気、天日乾燥機などを使用することができる。 硬化体は、水分の変化により大きく収縮するため、
    ある程度まで自然乾燥により時間をかけて乾燥を行った後、乾燥機にて乾燥させることが、形状の安定性のため望ましい。

    【0078】乾燥工程を経た硬化体1は、さらに搬送されて、図示しない切断機で所定の大きさに切断される。
    切断は、コンベア上に配設されたカッター、或いは、鋸などで行う。

    【0079】その後、グラインダーで、図10(A)に示すように、角部を面取りし、C面を設ける。 硬化体1
    は、コンピュータ用配線を配設すための中空部分を提供するパネル状床材として形成される。 このため、硬化体1は、厚さ(h)25mm、幅(w)50cmに形成される。 C面は、長さ0.1〜2mmに形成することが好適である。 これにより、パネル状の床材として用いる際に、
    扱い易く、填め込みが容易である。 また、角部が欠け、
    割れることがなくなる。 図10(A)に示すように、C
    面を形成する際には、加工が容易である利点がある。

    【0080】一方、図10(B)に示すように面取りの際に、R面を形成することも可能である。 R面は、半径0.1〜5mmで形成することが好適である。 これにより、パネル状の床材として用いる際に、扱い易く、填め込みが容易である。 また、角部が欠け、割れることがなくなる。 なお、面取りは、硬化後でも、硬化前の成形時に行ってもよい。

    【0081】複合硬化体1は、最後に図示しない検査機で反りなどの検査を行う。 検査機としては、X線センサ、赤外線センサなどを使用できる。 また、画像処理装置などで欠けやクラックの有無を検査してもよい。

    【0082】上述した工程で得られた複合硬化体を、蛍光X線分析装置(Rigaku製 RIX2100 )を用いて分析した一例を下記に示す。 酸化物に換算して、下記の組成であることが判った。 なお、パルプについては、1100℃で焼成して重量減少量から測定した。 記 パルプ: 51.4 重量%, SO 3 : 0.5 重量% SiO 2 : 24.2 重量%, P 25 :0.2 重量% Al 23 :14.0 重量%, Cl: 0.2 重量% CaO: 8.0 重量%, ZnO: 0.1 重量% MgO: 1.4 重量%, その他: 微量 TiO 2 : 1.0 重量%,

    【0083】コンピュータ用配線を配設すための中空部分を提供するパネル状床材として配置された硬化体1を図11に示す。 図中では、1枚の硬化体1が取り外され、硬化体1の下に配置された配線102が点検できるようになった状態を示している。 この実施例では、硬化体1に面取りがなされているため、施工後にも取り外し、填め込み等が容易であるのに加えて、誤って、作業者が足等に落としても、怪我を最小に抑えられる。 また、角部がこすれて発生するきしみ音がない。

    【0084】本実施例の抄造法では、網状体の回転ドラムを利用し抄造して硬化体を製造しており、網目から不純物が脱落するため、不純物を低減させることができ、
    明度を高くすることが可能である。 また、炭酸カルシウムを含有してなる硬化体であって、前記硬化体中のC
    a、Al、Siの量が、それぞれCaO、Al 23 、S
    iO 2に換算してCaO/SiO 2の重量比率0.2から7.9、CaO/Al 23の重量比率が0.2から1
    2.5に調整されてなるため、Ca成分が多くなり、明度が向上する。 また、強度、釘打ち性能も高いからである。 このため、硬化体の明度としては、JIS Z 8
    721の規定に基づく値でN4以上にできる。

    【0085】なお、JIS Z 8721は、理想的な黒の明度を0とし、理想的な白の明度を10とし、これらの黒の明度と白の明度との間でその明るさの知覚が等歩度となるように各色を10分割し、N0からN10の記号で表示したものである。 実際の明度の測定は、N0
    からN10に対応する色票と対比する。 この場合の少数点1位は0または5とする。 硬化体の明度としては、J
    IS Z 8721の規定に基づく値でN4以上にできるため、着色や装飾を施すことが可能になる。

    【0086】実施例未焼成の製紙スラッジ(丸東窯材社の取り扱う美濃製紙株式会社の製紙スラッジ:固形分3
    4重量%、水分66重量%)3020重量部を用意した。 次に、2N塩酸水溶液を用いて、酸洗浄し、Ca成分をほぼ完全に除去し、これをAとした。

    【0087】 A パルプ:51.2重量% MgO:1.6重量% SiO 2 :18.6重量% SO 3 :3.5重量% Al 23 :22.3重量% P 25 :0.3重量% CaO: 0.0重量% Cl:0.1重量% SO 3 : 1.2重量% ZnO:0.1重量% その他 微量

    【0088】また、丸東窯材社が取り扱う牧製紙株式会社のインクジェットプリンタ用紙の製紙スラッジ;固形分51重量%、水分49重量%をBとした。 B パルプ:21.8重量% SiO 2 :4.6重量% Al 23 : 7.5重量% P 25 :0.1重量% CaO:65.0重量% Na 2 O:0.2重量% SO 3 : 0.2重量% その他 微量 炭酸カルシウムの量は、55重量%であった。

    【0089】また、丸東窯材社が取り扱う牧製紙株式会社のインクジェットプリンタ用紙の製紙スラッジ:固形分51重量%、水分49重量%にさらに炭酸カルシウム(立方形状)を10重量%添加してCとした。

    【0090】 C パルプ:16.4重量% SiO 2 :2.6重量% Al 23 : 5.5重量% P 25 :0.1重量% CaO:75.0重量% Na 2 O:0.1重量% SO 3 : 0.2重量% その他 微量 炭酸カルシウムの量は、65重量%であった。

    【0091】以上A、B、Cを適宜混合して試料を調整して、図5の装置で抄造した。 ワイヤーシリンダは、♯
    60、直径70cm、幅1m、回転数60回転/分、ベルト搬送速度48m/分、メーキングロールは直径64cm
    である。 また、原料の固形分濃度は5%である。 プレスの金型の大きさは、1800mm×1000mmであった。
    また、押し棒は、190mm□のものを45本使用した。

    【0092】硬化体を製造し、曲げ強度、圧縮強度、釘打ち性、明度、破壊靱性を測定した結果を図12〜図1
    5のグラフに示す。 図12はCaO/SiO 2と圧縮強度、明度との関係を示し、縦軸に圧縮強度(Kg/cm 2
    及び明度(N)を横軸にCaO/SiO 2の割合を取ってある。 図13はCaO/Al 23と圧縮強度、明度との関係を示し、縦軸に圧縮強度(Kg/cm 2 )及び明度(N)を横軸にCaO/Al 23の割合を取ってある。
    図14は、CaOの含有量と曲げ強度・圧縮強度との関係を示し、縦軸に曲げ強度・圧縮強度(Kg/cm 2 )を横軸にCaOの含有量(%)を取ってある。 図15はCa
    Oの含有量と釘引き抜き強度、破壊靱性との関係を示し、縦軸に釘引き抜き強度(Kg/cm 2 )及び破壊靱性(MPa・m 1/2 )を横軸にCaOの含有量(%)を取ってある。

    【0093】破壊靱性は、CaO換算で3〜6重量%でピーク的に大きくなる。 また、釘の引き抜き強度としては、20Kg/cm 2が基準となるが、CaO換算で4〜6
    3重量%の範囲となる。 また、同様の傾向は、曲げ強度や圧縮強度にも現れてくる。 更に、CaO/SiO 2の比率0.2から7.9、CaO/Al 23の比率が0.
    2から12.5に調整することで、圧縮強度および明度N4.0以上を達成できる。

    【0094】この実施例で、AとBとCを1:3:1で混合した製紙スラッジを硬化させた複合硬化体を1mm
    ×1mmの大きさで厚さ2mmに切りだし、外周に長さ1mmのC面を設けたボードA、同じ大きさで1mmのR面を設けたボードB,面取りしないボードCを製造した。

    【0095】ボードA、B、Cを図11のように敷き詰めて、それぞれ上を歩いたところ、ボードA、Bではきしみ音が確認されなかったが、ボードCには、きしみ音が発生した。 きしみ音は、ボード間の角部同士の擦れによって生じると思われるが、本発明では、角部がないためこのようなきしみ音がない。

    【0096】さらに、周波数125から4000Hzで音の透過損失と損失係数(厚さ2mm)を測定した。 透過損失は遮音性を表し、損失係数は制振性を表す。 図1
    6、図17にあるように、面取り形状を設けることで、
    通過損失と損失係数が大きくなるという意外な結果がえられている。 面取りされることで、ボードが震動しやすくなり、音のエネルギーを吸収しやすくなるのではないかと推定している。 したがって、防音材、制振材、床材、天井材、壁材などの建築材料用途において特に有効である。

    【0097】

    【発明の効果】以上説明のように、本発明は防音材、制振材、床材、天井材、壁材などの建築材料用途において特に有効であり、建築材料として使用した場合にはめ込みやすく、角部が欠けることもなく、角部の擦れで発生するきしみ音もない。 さらに、意外にも遮音性、制振性を向上させることもできる。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】 この発明の複合硬化体の断面模式図である。

    【図2】 この発明の複合硬化体の断面模式図である。

    【図3】 本発明の第1実施例に係る硬化体の製造装置の概念図である。

    【図4】 (A)、(B)は、原料調整機構の概念図である。

    【図5】 抄造機構の概念図である。

    【図6】 (A)、(B)、(C)は、切断用回転ドラムの動作の説明図である。

    【図7】 (A)、(B)、(C)は、反転装置の動作の説明図である。

    【図8】 (A)、(B)、(C)は、プレス機の動作の説明図である。

    【図9】 (A)、(B)、(C)は、プレス機の動作の説明図である。

    【図10】 (A)、(B)は、床材として用いる硬化体の断面図である。

    【図11】 床材として用いられた硬化体の平面図である。

    【図12】 CaO/SiO 2と圧縮強度、明度との関係を示すグラフである。

    【図13】 CaO/Al 23と圧縮強度、明度との関係を示すグラフである。

    【図14】 CaOの含有量と曲げ強度・圧縮強度との関係を示すグラフである。

    【図15】 CaOの含有量と釘引き抜き強度、破壊靱性との関係を示すグラフである。

    【図16】 硬化体の透過損失を示すグラフである。

    【図17】 硬化体の損失係数を示すグラフである。

    【符号の説明】

    1 複合硬化体 2 非晶質体 3 繊維状物 4 無機粉末 6 被覆層 10 原料調整機構 14 原料溶液(スラリー) 15 脱水容器 16 フィルター 17 真空ポンプ 18 チェストタンク 20 抄造機構 21A、21B、21C バット 22A、22B、22C ワイヤーシリンダ 23 搬送ベルト 24 吸引ボックス 26 抄造体 30 切断用回転ドラム 31 ピアノ線 32 貯留溝 33 収容溝 36 カッタ 38 ベルトコンベア 40 反転装置 42 搬送装置 44 テーブル 46 反転板 50 プレス機 52 オス型 52a 通孔 54 メス型 54A 凹部 54a 通孔 56 カーテンコーター 60 乾燥機

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2E162 CC00 FB00 FD00 4D059 AA30 BB02 BD18 BD32 BE14 BE15 BE25 BK08 CB04 CC04 DA03 DA15 DA19 DA54 DA70 DB34 4L055 AF50 AG04 AG12 AH01 BF05 FA20 FA30 GA21 GA24 GA38

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