专利汇可以提供Replacement of osteoblastic niche cell for treatment of various disease专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PROBLEM TO BE SOLVED: To provide in vitro 2-dimensional co-culture systems of LT-HSCs and osteoblastic niche cells and methods for establishing them.SOLUTION: There are provided: methods for screening patients suffering from a disorder caused by dysfunction of osteoblastic niche cells, using co-culture systems; further, methods for screening a candidate substance for treatment of a disorder caused by dysfunction of osteoblastic niche cells; and also methods and therapeutic compositions for treating a patient suffering from a disorder caused by dysfunction of osteoblastic niche cells, including administering an effective amount of the osteoblastic niche cells.,下面是Replacement of osteoblastic niche cell for treatment of various disease专利的具体信息内容。
本願は、合衆国法典第35巻第119条(e)の下で、2012年1月27日に出願した米国仮特許出願第61/591,446号に対して優先権主張したものであり、それら全体において参照することにより、その内容が本明細書に組み込まれる。
長期にわたる糖尿病は、前駆細胞依存的組織修復を損ない、それは骨髄における造血幹細胞(HSCs)の機能障害と関連している。 ヒト2型糖尿病においては、循環内皮前駆細胞数の減少のために、骨髄由来の循環CD34+細胞は有意に減少しており、そのことが心血管系の合併症の背後にあるメカニズムとして提案されている[1]。 糖尿病マウスでもまた、創傷治癒の遅延を引き起こす、循環Lin-、Sca-1+、c-kit+造血前駆細胞数が減少していることが示されている[2]。
幹細胞ニッチまたは骨髄ミクロ環境の関与が、造血前駆細胞の機能障害を解釈する方法として提案されている[3]。 特殊化したミクロ環境(ニッチ)は、HSCsの自己再生と分化の両方をサポートし、一方で、静止状態におけるそれらの維持は、ストレスからの保護及び長期間の血液生成維持に欠かせないものである。 HSCsは、小柱骨内膜(造骨性ニッチ)、または類洞血管周囲領域(血管ニッチ)に存在し[4]、後者は、CXCL12に富んだ細網(CAR)細胞、またはCXCL12の高発現によって特徴づけられる[7]、nestin+間葉系幹細胞[6]を含む。 ストレプトゾトシン(STZ)またはdb/dbにより誘導される糖尿病のモデルマウスでは、nestin+細胞中のCXCL12 mRNAレベルは減少し、CXCR4を発現したHSCと、nestin+細胞上に発現したCXCL12の間の相互作用を弱め、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)処理後の造血細胞の動員の乏しさの原因となっている。
糖尿病マウスは、nestin+細胞数は減少しないが、骨芽細胞数が有意に減少していることが示されており、糖尿病幹細胞異常において、造骨性ニッチは血管ニッチよりもより深い関わりがあるようである[8]。 骨芽細胞は、GCSF、granulocyte-macrophage
colony-stimulating factor (GM-CSF)、macrophage
colony-stimulating factor (M-CSF)、interleukin (IL)-1、IL-6、IL-7およびCXCL12を含む、サイトカイン/ケモカインを分泌し、HSCの生存と分化をサポートする。 それらはまた、angiopoietin、thrombopoietin (TPO)、Wnt、Notch及びosteopontin (OPN)を含む、HSC数を制御する分子や[10]、N-cadherin、vascular cell adhesion molecule1 (VCAM1)、intracellular
adhesion molecule-1 (ICAM1) 及びannexinIIを含む接着分子[9]を発現する。 細胞接着分子およびケモカインを通じたHSCsと骨芽ニッチ細胞の相互作用とそれらの受容体は、細胞分裂/増殖と休眠との間のバランスを保っている[4]。
以前、我々は糖尿病が、肝臓、後根神経節及び腎尿細管間質腔のような末梢器官において骨髄由来細胞の浸潤の増加を誘導すること、及び、骨髄由来細胞と実質細胞の間の異常な細胞融合が、染色体異常を引き起こし、糖尿病におけるアポトーシスを加速させることを報告している[11-14]。 これらの発見は、糖尿病は最初に造骨性ニッチの機能不全を引き起こし、続いてHSCの静止状態を破壊し、その後、増加した異常骨髄由来細胞が糖尿病性合併症を誘導する、ということを示唆している。 加齢依存性造血機能不全は、主に骨芽ニッチ細胞における異常に起因するためであり、このことは、もっともらしい仮説である [15]。 Mayackらは、老齢のマウス由来の骨芽ニッチ細胞と共培養した若いマウス由来のlong-term reconstructing HSCs(LT-HSC)は、若いマウス由来の骨芽ニッチ細胞と共培養した若いマウス由来のLT-HSCsと比較して、造血再構成能力が低いことが示されたと報告した[15]。 その上、正常LT-HSCsを老齢骨芽ニッチ細胞への曝露は、LT-HSCsの機能をさらに悪化させるのに十分である[15]。 しかしながら、異常LT-HSCsの正常骨芽ニッチ細胞への曝露が、LT-HSCの異常性を戻すことができるかどうかについては、これまでのところ調べられていない。
本研究では、我々は、in vivoの実験で、糖尿病が、骨髄ニッチにおける造血幹細胞の静止や再構成を維持するのに不可欠な分子の異常発現を誘導しているか否かを検討するための実験を用いた。 in vitroの共培養実験を用いて、正常LT-HSCsの糖尿病骨芽ニッチ細胞への曝露が、in vivoの実験において見られるLT-HSCs上の異常分子発現を誘導しているか否かを検討した。 我々はさらに、糖尿病LT-HSCs上の異常分子発現が、正常骨芽ニッチ細胞への曝露の後に回復しうるか否かを調べた。 最後に、in vitroの研究から得られたこれらの結果が、骨芽ニッチ細胞の置換を伴う骨髄−骨髄内移植により確認され、LT-HSCsへの効果が検討された。
ほとんどのHSCsは骨髄の骨梁表面に位置し、シグナリングを通じた骨芽細胞および細胞接着分子との相互作用は、正常な血液生成おける、静止状態の維持および幹細胞の自己再生を保持するために欠かせないもののようである[19]。 長期に亘る糖尿病は、造血前駆細胞の動員を損ねたり[6,8]、またはヒトとマウスの両方においてHSCsの総数を減少させたりすることが知られているが、糖尿病条件におけるHSCsと骨芽ニッチ細胞との間の相互作用を調べた研究はほとんどない。
本研究において、我々は、糖尿病及び非糖尿病マウスの骨髄から、LT-HSCs(c-kit+、Lin-、Sca-1+、CD34-、CD135-)と骨芽ニッチ細胞(Lin-、OPN+)を単離し、そして静止状態、抗アポトーシス及び造血再構成を維持するための細胞接着を制御する分子の発現を検討した。
FACS解析は、糖尿病マウスにおいて、骨芽ニッチ細胞とLT-HSCsの数が減少し、ST-HSCsとMPPsの数は増加したことを示した。 骨芽ニッチ細胞とLT-HSCsの数は相互に関連しているため、前者の欠失は、後者の欠失により引き起こされる。 ST-HSCsとMPPsで見られた増加は、糖尿病において、骨芽ニッチ細胞はLT-HSCsの静止状態を維持できなくなり、ST-HSCsとMPPsへのそれらの分化が加速された、ということを示唆している。 これのさらなる証拠は、骨芽ニッチ細胞上のAng-1発現とHSCs上のTie2発現が、糖尿病マウスにおいて減少した、という結果からももたらされる。 Ang-1は主に骨芽ニッチ細胞によって産生され、その受容体チロシンキナーゼであるTie2はLT-HSCs上に発現している。 Tie2/Ang-1シグナリングは、骨芽ニッチ細胞へのHSCsの強固な接着を促進し、正常条件下で、静止状態とHSCsの生存増加の両方を維持した[4]。
本研究結果はまた、LT-HSCs上のN-cadherinの発現および骨芽ニッチ細胞上のβ1-integrinの発現は、糖尿病マウスでは減少していた、ということを明らかにした。 N-cadherinが介在する接着は、HSCsの周期遅延とおよび静止状態を調節し[4、22、23]、β1-integrinは骨髄ニッチ細胞とHSCsの間の相互作用に対し、並びに初期自己再生HSCの分裂および生存において欠かせないものであるため[24]、我々の発見は、HSCsは、糖尿病において、静止状態、自己再生及び生存を維持できないということを示唆している。
Wntシグナルカスケードは、frizzled(Fzd)とLRP5/6を含むコレセプター複合体への結合によって引き起こされる[25-28]。 Wnt、Fzd及びDkkは、β-catenin分解を引き起こすβ-cateninリン酸化反応複合体に含まれ、Dkkが結合し、LRP5/6受容体からのシグナリングを不活性化する。 Wnt/β-cateninシグナリングは、骨髄における自己再生活性の維持に重要な役割を果たす可能性がある。 本研究において我々は、LT-HSCs上のLRP6発現とLH-HSCs上のβ-cateninの発現の両方が糖尿病マウスにおいて減少し、このことにより糖尿病がWnt/β-catenin経路を損ない、HSC再構成異常をもたらすことを示唆することを示した。
ケモカインとそのレセプターは、骨髄内のHSCsの移動、ホーミング及び放出を調節することによってHSCの振る舞いを支配している。 CXCL12/CXCR4シグナリングの重要性は、以前には、骨髄内で骨髄性前駆細胞に著しい欠陥があるCXCL12-/-及びCXCR4-/- マウス[29、30]により説明されてきた。 我々は、糖尿病が骨芽ニッチ細胞によるCXCL12発現の欠失を誘導し、すなわち骨髄における骨芽ニッチ細胞とLT-HSCs間の相互作用が損ねられることを示唆することを示した。
我々の、通常及び高グルコース濃度培地の下でのLT-HSCsと骨芽ニッチ細胞のin vitro共培養は、骨髄ニッチにおける、糖尿病及び非糖尿病ミクロ環境を擬態することを目的としている。 共培養実験における骨芽ニッチ細胞及びLT-HSCsの相互作用の形態学的特徴は、骨髄切片における骨芽ニッチ細胞及びLT-HSCsのin vivo局在に似ていることが示されている。 その上、染色パターンは、非糖尿病と糖尿病マウス間で変化はなく、すなわち骨芽ニッチ細胞及びLT-HSCsの表面表現型は、それらの機能異常性とは別に糖尿病マウスにおいて保持されていることを示唆している。 共培養実験では、非糖尿病マウスから誘導された骨芽ニッチ細胞は、高血糖条件ではなく正常血糖条件において、7日間培養プレートに接着することができた。 その逆は、糖尿病マウスから誘導された骨芽ニッチ細胞に対して当てはまり、すなわちそのような細胞は、高グルコース条件に適応するということを示している。 LT-HSCsの生存頻度は、骨芽ニッチ細胞の存在に並行していた。 従って、我々の共培養実験は、LT-HSCsが骨芽ニッチ細胞に接触する状態を維持し、7日間、幹細胞としての形質を維持するための適切なミクロ環境を提供するものである。 これまで、3D[31,32]、或いは低酸素圧[33]共培養システムを用いて、骨髄ニッチの再構成が試みられてきた。 しかしながら、本明細書で示されているように、従来型2D共培養でも、十分なもののようである。
共培養実験では、in vivo糖尿病マウスで見られた、N-cadherin,β-catenin及びTie2のLT-HSCの発現における異常性と同一のものが示された。 LT-HSCsと骨芽ニッチ細胞の間の異なる共培養の組み合わせは、糖尿病骨芽ニッチ細胞と共培養された非糖尿病LT-HSCsは、おそらくHSCsの自己再生、生存及び静止状態における機能障害を通じ、これらの分子の発現の減少を引き起こしている、という重要な知見を提供した。 最も興味深いことには、in vitroにおける、非糖尿病骨芽ニッチ細胞への糖尿病LT-HSCs曝露は、発現におけるこれらの異常性をうまく回復した。 糖尿病は、骨髄ニッチの機能を変化させることにより、モビリゼーション及び再生を損なう造血幹/前駆細胞を誘導する、ということが知られていたが、骨髄ニッチ細胞をそれらのパートナーである造血幹細胞上で置換することの効果を示した研究はこれまでのところなされていない。 in vivoにおける、我々の骨髄−骨髄内移植実験は、骨芽ニッチ細胞の置換は、糖尿病によって引き起こされたLT-HSCsにおける異常をうまく回復することができる、ということを明らかにした。
要約すると、我々は、糖尿病は、骨髄ニッチにおける造血幹細胞の静止状態や再構成の維持に欠かせない、LT-HSCsおよび骨芽ニッチ細胞の両方の上での分子発現の障害を誘導する、ということを明らかにした。 正常LT-HSCsは、糖尿病骨芽ニッチ細胞に曝露された時には、これらの分子の異常発現を示したが、この異常は、非糖尿病骨芽ニッチ細胞への曝露の後、回復することができた。 糖尿病の代謝がどのようにして骨芽ニッチ細胞を障害するのかについて、現在では解明されていないが、本研究結果は、骨髄ニッチ細胞の置換による、糖尿病誘導性HSC異常の治療に対する重要な観点を提供するものである。
発明の実施を構成及び使用することができるように以下に定めた実施態様のこの説明は、発明の限定を意図するものではなく、しかしその特定の例としての役割を果たすことを意図している。 当業者は、本発明と同様の目的の遂行のために他の方法やシステムを修正及び策定する基盤として開示された、特定の実施態様と構想が容易に使用できることを理解するはずである。
「骨芽ニッチ細胞」という用語は、本明細書で使用されるように、HSCsと相互作用し、それらの数を制御するHSCニッチの主要な構成要素として機能すると予測される骨芽細胞のサブセットに相当するものである。 骨芽ニッチ細胞は、磁性細胞分離、及び/または表面マーカー発現に基づくフローサイトメトリーのような方法により、骨髄から分離することができる。 骨芽ニッチ細胞の分離のために用いられるマーカーは、Wnt+、CXCL-12+、TPO+、Ang-1+、N-cadherin+、β-catenin+、β1-integrin+、osteopontin+、CD45-及び Lin-を含む群から選択されるものの一つまたは組み合わせであり、好ましくは、osteopontin+及び Lin-である。 骨芽ニッチ細胞の単離のために用いられる骨髄は、骨の粉砕と、その後のトリプシン及び/またはコラゲナーゼを用いた消化を含む、あらゆる従来法によって入手可能である。
LT-HSCsは、磁性細胞分離、及び/または表面マーカー発現に基づくフローサイトメトリーを含むあらゆる従来法によって単離され得る。
細胞は、本明細書に記載される方法を含む、あらゆる従来法で培養され得る。
本発明の一つの実施態様は、LT-HSCsを単離するステップ、骨芽ニッチ細胞を単離するステップ、前記単離されたLT-HSCsと前記単離された骨芽ニッチ細胞とを組織培養皿へ移し、混合するステップ、二次元共培養系を形成するために培養皿上でLT-HSCsと骨芽ニッチ細胞が共に付着するまで細胞混合物を培養するステップ、そしてさらに前記二次元共培養系を培養するステップを含む、LT-HSCsと骨芽ニッチ細胞のin
vitro共培養を確立する方法を提供する。 その培養物は、骨芽ニッチ細胞の生存能、及びLT-HSCsの未成熟表現型の両方が維持されながら、3日を超えて、好ましくは少なくとも5日、より好ましくは7日まで、または少なくとも7日以上、維持される。 骨芽ニッチ細胞の表現型は、Wnt+、CXCL-12+、TPO+、Ang-1+、N-cadherin+、β-catenin+、β1-integrin+、osteopontin+、CD45-、及び Lin-である。 LT-HSCsは、哺乳類、好ましくは、マウス、ラットまたはヒトの骨髄、または血液から単離されうる。 骨芽ニッチ細胞は、哺乳類、好ましくは、マウス、ラットまたはヒトの骨髄から単離されうる。
別の実施態様として、本発明は、上述の方法を用いることにより得られた、LT-HSCs及び骨芽ニッチ細胞のin
vitro共培養系を提供する。
いくつかの実施態様として、本発明は、骨芽ニッチ細胞の機能不全によって引き起こされる疾患を患っている患者のスクリーニング方法であって、(a)疾患の存在を判定されるべき被験者からLT-HSCsを単離し、次に、(b)N-cadherin,
LRP6, β-catenin, 及びTie2からなる群から選択される少なくとも一つの遺伝子の前記LT-HSCsの差次的発現を検出することであって、少なくとも一つの前記遺伝子の発現低下の検出が前記疾患の存在を示唆する、ことを含む方法を提供する。
いくつかの実施態様として、本発明は、骨芽ニッチ細胞の機能不全によって引き起こされる疾患を患っている患者のスクリーニング方法であって、(a)疾患の存在を判定されるべき被験者から骨芽ニッチ細胞を単離し、次に、(b)CXCL-12、Ang-1、β-catenin+及びβ1-integrinからなる群から選択される少なくとも一つの遺伝子の前記骨芽ニッチ細胞の差次的発現を検出することであって、少なくとも一つの前記遺伝子の発現低下の検出が前記疾患の存在を示唆する、ことを含む方法を提供する。
更に別の実施例として、本発明は、骨芽ニッチ細胞の機能不全によって引き起こされる疾患の治療のための候補物質をスクリーニングする方法であって、(a)請求項1記載の方法による、LT-HSCs及び骨芽ニッチ細胞の二次元共培養システムを提供し、次に、(b)前記共培養システムを試験物質に曝露し、次に、(c)培養システム中のLT-HSCsにおける、N-cadherin、LRP6、β-catenin及びTie2からなる群から選択される少なくとも一つの遺伝子の差次的発現を検出であって、前記少なくとも一つの遺伝子の発現上昇が、その試薬が前記疾患に対する候補試薬であることを示唆する、ことを含む方法を提供する。
骨芽ニッチ細胞の機能不全によって引き起こされる疾患の治療のための候補物質をスクリーニングする方法であって、(a)請求項1記載の方法による、LT-HSCs及び骨芽ニッチ細胞の二次元共培養システムを提供し、次に、(b)前記共培養システムを試験物質に曝露し、次に、(c)培養システム中のLT-HSCsにおける、CXCL-12、Ang-1、β-catenin+及びβ1-integrinからなる群から選択される少なくとも一つの遺伝子の差次的発現を検出であって、前記少なくとも一つの遺伝子の発現上昇が、その試薬が前記疾患に対する候補試薬であることを示唆する、ことを含む方法を提供する。
本発明のいくつかの実施態様として、本発明は、骨芽ニッチ細胞の機能不全によって引き起こされる疾患を患っている患者の治療方法であって、(a)CXCL-12、Ang-1、β-catenin+及びβ1-integrinからなる群から選択される少なくとも一つの遺伝子の発現が、通常レベル内である骨芽ニッチ細胞を提供し、次に、(b)前記骨芽ニッチ細胞の有効量を投与する、ことを含む方法を提供する。
本明細書で使用されるように、通常レベル内での発現は、健常人の対応遺伝子の平均的なmRNA及び/またはタンパク発現の1/2から2倍の間にあることを意味する。
ある態様では、投与される骨芽ニッチ細胞は、患者と同種である。 そのような骨芽ニッチ細胞は、CXCL-12、Ang-1、β-catenin+
及びβ1-integrinの発現が通常レベル内にあることが確認されることができる。
別の態様では、投与される骨芽ニッチ細胞は同一の患者から採取される。 そのような骨芽ニッチ細胞は、投与前に健常ドナーから採取されるLT-HSCsと上述のように共培養される。
本発明のいくつかの実施態様として、本発明は、骨芽ニッチ細胞の機能不全によって引き起こされる疾患を患っている患者の治療方法であって、(a)N-cadherin、LRP6、β-catenin及びTie2からなる群から選択される少なくとも一つの遺伝子の発現が、通常レベル内であるLT-HSCsを提供し、次に、(b)前記LT-HSCsの有効量を投与する、ことを含む方法もまた提供する。 そのようなLT-HSC細胞は患者から採取されうる。 患者から採取されたLT-HSCs細胞は、健常ドナーから採取される骨芽ニッチ細胞と上述のように、投与前に共培養されることができる。
本明細書において、投与は局所適用されることができる。 局所適用は、前記細胞の骨髄への注入を含む。 本明細書における細胞の投与は、全身にもまたなされることができる。
本明細書において、細胞の投与は、任意に、患者が放射線治療またはカルボプラチン、エトポシド、シクロホスファミド、ドキソルビシンもしくはトポテカンで化学療法を受けた後で実施されることができる。
本発明の実施態様に従い、Ang-1、β1-integrin、β-catenin+
及びCXCL-12及びそれらのアナログを含む群から選択される要素を投与することを含む、骨芽ニッチ細胞の機能不全によって引き起こされる疾患を患っている患者を治療することを含む方法が提供されうる。
有効成分として骨芽ニッチ細胞を含む、骨芽ニッチ細胞の機能不全によって引き起こされる疾患を患っている患者を治療するための治療組成物もまた、本発明において提供される。
本明細書において記載されるように、骨芽ニッチ細胞の機能不全によって引き起こされる疾患とは、ネフローゼ、糸球体腎炎、1型及び2型糖尿病並びにそれらの合併症、白斑、クローン病、潰瘍性大腸炎、ベーチェット症候群及び乾癬を含む自己免疫疾患、慢性関節リウマチ、強皮症、全身性エリテマトーデス及び皮膚筋炎を含むコラーゲン病、白血病、再生不良性貧血、及び骨髄異形性症候群を含む血液疾患、アルツハイマー病、多発性硬化症、筋委縮性側索硬化症、及び骨粗鬆症を含む変性疾患、動脈硬化症、気腫、慢性閉塞性肺疾患、肝硬変及びアトピー性皮膚炎を含む慢性炎症、及び悪性腫瘍を含む疾患の群から選択されるあらゆる疾患をいう。
本発明の治療剤の効果および安全性は以下の実験によって説明される。
(マウス)
C57BL6の雄マウスは、Sankyo
Laboratory(東京、日本)から購入した。 糖尿病は、クエン酸緩衝剤(pH4.5)に溶解したストレプトゾトシン(STZ)を、8−10週齢のマウスに150mg/kgの単回腹腔内注射により誘導された。 注射の4週間後、血中グルコースレベルが測定され、血中グルコース濃度が400mg/dlより大きいマウスが本実験に用いられた。 非糖尿病コントロールマウスには100μlビヒクルが注射された。
(フローサイトメトリー)
LT-HSCs及び骨芽ニッチ細胞は、Lin-Sca-1+c-Kit+CD135-CD34-細胞、及びLin-OPN+細胞としてそれぞれ分取された(Mayack
SRら
2010)。 ビヒクルまたはSTZで処理された4匹のマウスの大腿骨及び脛骨が粉砕され、0.25%のトリプシン、1mMのEDTA(25200、Life
Technologies,ニューヨーク)及び0.1%コラゲナーゼ(034-10533.WAKO、日本)を含むHanks'緩衝食塩水とともに37℃で1時間消化させた。 細胞は、2%FCSを含むリン酸緩衝生理食塩水(pH7.5)で洗浄され、40μmの細胞用濾過フィルター(BD
Bioscience)を通して濾過された。 赤血球は、アンモニウム塩化カリウム(ACK)溶解緩衝液(Qiagen)によって溶解された。 細胞懸濁液は、ビオチニル化された系統カクテル(抗−CD5、抗−CD45R(B220)、抗−CD11b、抗−Gr-1、抗−Ly-6G/C、及び抗−Ter-119、130-090-858、Miltenyi
Biotec Inc.,CA)と、続いて、抗−ビオチンマイクロビーズ(130-090-485、Miltenyi Biotec Inc.、CA)で培養され、そしてLin-細胞がMACSカラムとセパレーター(Miltenyi
Biotec Inc.、CA)で単離された。 得られたLin−細胞は、抗−c-Kit-APC-Cy7(2B8、BD
Biosciences)、抗−Sca-1-PE-Cy7(D7、Biolegend)、抗−CD34-Alexa
Flour 700(RAM34、BD
Biosciences)、抗−CD135-PE(A2F10、Biolegend),及び抗−OPN(immuno-Biological
Laboratories)で染色された。 OPNに対する二次抗体として、APC結合抗ウサギIgG(R&D
Systems)が用いられた。 DAPI染料は死んだ細胞を除外するために用いられた(DOJINDO)。 Lin-Sca-1+c-Kit+(KSL)細胞が最初に分取され、続いてKSL細胞がCD135及びCD34抗体によって単離された(図1Aa)。 CD135-CD34-細胞はLT-HSCsとして識別され、CD135-CD34+細胞は短期再構成HSCs(ST-HSCs)として識別され、CD135+CD34+細胞は多能性造血前駆細胞(MPPs)として識別された(図1A)。 Lin-OPN+細胞は骨芽ニッチ細胞として識別された(図1A)。
共培養実験の後にLT-HSCsと骨芽ニッチ細胞を分取するため、培養培地は廃棄され、接着細胞は、0.25%のトリプシン、1mMのEDTA(25200、Life
Technologies、ニューヨーク)を含むHanks'緩衝食塩水で15分間、除去され、上述のようにFACSで処理された。
(骨芽ニッチ細胞とLT-HSCsの共培養)
LT-HSCsと骨芽ニッチ細胞間の相互作用を調べるために、分取されたLT-HSCs(6x10 3 cells)と骨芽ニッチ細胞(6x10 4 cells)が共培養された。 使用された培地は、通常グルコース(100mg/dl)または高グルコース(450mg/dl)を含む、10%FBS、1%ペニシリン、150ng/mLのFLT3−リガンド、150ng/mlのSCFおよび150ng/mlのTPOが補充されたDMEMである。 骨芽ニッチ細胞とLT-HSCsは、37℃で5%CO 2 /airで7日間、16-ウェルチャンバースライド(Thermo
Scientific、米国)へ、同時に播種された。 3日目で培養培地に変化があった。 共培養された細胞の形態は、位相差顕微鏡のもとで観察された。
(定量的RT-PCR解析)
様々なタンパク質のmRNA発現を調べるために、Total RNAをRNeasy Plus Micro Kit(Qiagen)を用いて抽出し、cDNAをRT-PCR用のSuperScript First-Strand Systhesis System(Invitrogen)を用いて合成した。 N-cadherin、β-catenin、integrin-β、Tie-2、CXCR4、Frizzled(Fzd)receptor4,Fzd7、lipoprotein receptor-related protein 5
(LRP5)、LRP6、thrombopoietin
receptor (MPL) 、angiopoietin-1 (Ang-1)、CXCL12、wingless-type MMTV integration site
family、member 10b (Wnt10b)、dickkopf-1
(Dkk1)及びthrombopoietin (TPO)のための定量的RT-PCRは、Power SYBAR GREEN PCR Master Mix
(4367659; Applied Biosystems、Foster City、CA)を用いて、ABI prism 7500 Sequence Detection
System (Applied Biosystems、Foster City、CA) 上で実施された。 相対的mRNA発現は2-ΔCT法により定量された。 プライマー配列は補足表1で示されている。
(統計解析)
群間差は、両側スチューデントt検定及びTurkeyの多重比較検定に続く一方向ANOVAを用いて判定された。 差は、p<0.05で有意であるとみなされた。
(動物実験)
C57BL6の雄マウスは、Sankyo
Laboratory(東京、日本)から購入した。 糖尿病は、クエン酸緩衝剤(pH4.5)に溶解したストレプトゾトシン(STZ)を、8−10週齢のマウスに150mg/kgの単回腹腔内注射により誘導された。 注射の4週間後、血中グルコースレベルが測定され、血中グルコース濃度が400mg/dlより大きいマウスが本実験に用いられた。 非糖尿病コントロールマウスには100μlビヒクルが注射された。 動物実験は札幌医科大学(日本国北海道札幌)の動物実験委員会で承認されたものである。
(フローサイトメトリー)
LT-HSCs及び骨芽ニッチ細胞は、Lin-Sca-1+c-Kit+CD135-CD34-細胞、及びLin-OPN+細胞としてそれぞれ分取された(15)。 ビヒクルまたはSTZで処理された4匹のマウスの大腿骨及び脛骨が粉砕され、0.25%のトリプシン、1mMのEDTA(25200、Life
Technologies,ニューヨーク)及び0.1%コラゲナーゼ(034-10533.WAKO、日本)を含むHanks'緩衝食塩水とともに37℃で1時間消化させた。 細胞は、2%仔牛血清(FCS)を含むリン酸緩衝生理食塩水(pH7.5)で洗浄され、40μmの細胞用濾過フィルター(BD
Bioscience、Franklin Lakes、NJ)を通して濾過された。 赤血球は、アンモニウム塩化カリウム(ACK)溶解緩衝液(Qiagen、東京、日本)によって溶解された。 細胞懸濁液は、ビオチニル化された系統カクテル(抗−CD5、抗−CD45R(B220)、抗−CD11b、抗−Gr-1、抗−Ly-6G/C、及び抗−Ter-119、130-090-858、Miltenyi Biotec
Inc.、CA)と、続いて、抗−ビオチンマイクロビーズ(130-090-485、Miltenyi
Biotec Inc.、CA)により培養された。 Lin-細胞がMACSカラムとセパレーター(Miltenyi
Biotec Inc.、CA)で単離された。 得られたLin−細胞は、抗−c-Kit-APC-Cy7(2B8、BD
Biosciences)、抗−Sca-1-PE-Cy7(D7、Biolegend)、抗−CD34-Alexa
Flour 700(RAM34、BD
Biosciences)、抗−CD135-PE(A2F10、Biolegend),及び抗−OPN(immuno-Biological
Laboratories)で染色された。 抗OPNの二次抗体として、APC結合抗ウサギIgG(R&D
Systems)が用いられた。
6-Diamidino-2-phenylindole dihydrochloride
solution(DAPI、D523、DOJINDO、熊本、日本)は死んだ細胞を除外するために用いられた。 Lin-Sca-1+c-Kit+(KSL)細胞が最初に分取され、続いてKSL細胞がCD135及びCD34抗体によって単離された(図6A)。 CD135-CD34-細胞はLT-HSCsとして識別され、CD135-CD34+細胞は短期再構成HSCs(ST-HSCs)として識別され、CD135+CD34+細胞は多能性造血前駆細胞(MPPs)として識別された(図6A)。 Lin-OPN+細胞は骨芽ニッチ細胞として識別された(図6A)。
共培養実験の後に培養培地は廃棄され、接着細胞は、0.25%のトリプシン、1mMのEDTA(25200、Life Technologies)を含むHanks'緩衝食塩水で15分間、除去された。 LT-HSCsと骨芽ニッチ細胞の分取は、上述のようにFACSで実行された。
(骨芽ニッチ細胞とLT-HSCsの共培養)
LT-HSCsと骨芽ニッチ細胞間の相互作用を調べるために、分取されたLT-HSCs(6x10 3 cells)と骨芽ニッチ細胞(6x10 4 cells)が共培養された。 使用された培地は、通常グルコース(100mg/dl)または高グルコース(450mg/dl)を含む、10%FBS、1%ペニシリン、150ng/mLのFms-like trypsine kinase 3 (FLT3)リガンド、150ng/mlのSCFおよび150ng/mlのTPOが補充されたDMEMである。 骨芽ニッチ細胞とLT-HSCsは、37℃で5%CO 2 /airで7日間、16-ウェルチャンバースライド(Thermo Scientific、Barrington、IL)へ、同時に播種された。 3日目で培養培地に変化があった。 共培養された細胞の形態は、位相差顕微鏡のもとで観察された。
(HSCsコロニー形成アッセイ)
造血細胞の再生活性を調べるために、FACSを用いて、ビヒクル群及びSTZ注射群マウスの大腿骨と脛骨からLin- c-Kit+ Sca-1+ 細胞が分取され、10%FBS、500-ng/mlのstem cell factor、100ng/mlのIL-3、100ng/mlのgranulocyte
macrophage colony-stimulating factor、及び30-ng/ml
erythropoietinを含むCytoSelect Methylcellulose
Medium(CBA-320、Cell Biolabs Inc.、CA)で、5%CO 2 /air、37℃で7日間、培養された。 コロニー形成は、CyQuant GR 染料溶液(CBA-320、Cell Biolabs Inc.、CA)で測定された。 分取されたLin- c-Kit+ Sca-1+の数は、FACSで計測された。
(血清TRAP5bアッセイ)
ビヒクル群及びSTZ注射群マウスの破骨細胞の貪食作用活性を比較するために、血液が採取され、300gで10分間遠心分離され、そして、血清酒石酸塩耐性酸ホスファターゼ(TRAP)5bが、TRAPアッセイキット(SB-TR103、immunodiagnostic Systems Ltd.、AZ)を用いて測定された。
(骨髄切片の免疫蛍光染色)
マウスは、ペントバルビタールで麻酔され、リン酸緩衝液で4%に調整されたパラホルムアルデヒドで浸漬された。 分離された骨は、脱灰溶液B(041-22031、WAKO、日本国、大阪)で脱灰され、そして、クリオスタットカット切片が接着膜[16]を用いて準備された。 切片は、2%ヤギ血清でブロックされ、ウサギ抗マウスOPN(ab8448、abcam、MA)、及びLT-HSCのマーカーである[17]、PE結合ラット抗マウスCD150抗体で培養され、さらに、Texas Redで標識された二次抗体ヤギ抗ウサギIgG(TI-1000,Vector,CA)で培養された。
(培養細胞の免疫蛍光染色)
異なった蛍光色素でラベルされた共培養細胞の形態学的分析が行われた。 単離されたLT-HSCsは、Qtracker(登録商標)525(invitrogen)を含む培養培地で37℃、1時間培養され、そして、それらは単離された骨芽ニッチ細胞とともに、37℃、5%CO 2 /airの下、1週間、共培養された。 7日目で、共培養された細胞は、PBS中の4%パラホルムアルデヒドで固定され、PBS中の2%BSAでインキュベートされ、そして、0.25%Triton X-100を含むPBS中で抗−OPN(1:50、immune-Biological
Laboratories)で染色された。 OPNへの二次抗体としては、Cy5結合抗−ウサギIgG(1:500、ab6564、Abcam、Cambridge、UK)が用いられた。 核はDAPIで染色された。 蛍光画像は共焦点レーザー顕微鏡(Al;NIKON、日本国東京)の下で得られた。
(定量的RT-PCR解析)
様々なタンパク質のmRNA発現を調べるために、Total
RNAをRNeasy Plus Micro Kit(Qiagen)を用いて抽出し、cDNAをRT-PCR用のSuperScript
First-Strand Systhesis System(Invitrogen、Grand
Island、NY)を用いて合成した。 N-cadherin、β-catenin、β1-integrin、Tie-2、CXCR4、Frizzled(Fzd)receptor4,Fzd7、lipoprotein
receptor-related protein 5 (LRP5)、LRP6、thrombopoietin
receptor (MPL) 、angiopoietin-1 (Ang-1)、CXCL12、wingless-type
MMTV integration site family、member 10b (Wnt10b)、dickkopf-1
(Dkk1)及びTPOに対する定量的RT-PCRが、Power
SYBAR GREEN PCR Master Mix (4367659; Applied Biosystems)を用いて、ABI
prism 7500 Sequence Detection System (Applied Biosystems、Foster
City、CA) 上で実施された。 相対的mRNA発現は2-ΔCT法により定量された。 プライマー配列は補足表1で示されている。
(骨髄−骨髄内移植)
In vivoでのLT-HSCsと骨芽ニッチ細胞の相互作用を評価するために、OPN+
細胞とOPN-
細胞を、以下に述べるように、骨髄へ移植された。 OPN+細胞とOPN-細胞はMACSを用いてビヒクルまたはSTZ注射マウスの大腿骨と脛骨から分取された。 先行研究に従い[18]、マウスは放射線照射(10Gy)を受け、放射線照射の翌日、骨髄−骨髄内移植(IBM-BMT)によって、糖尿病または非糖尿病マウスのいずれかから誘導された2x10 6
OPN+ と1.5x10 4 OPN- 細胞の混合物が移植された。 骨髄移植の一週間後、LT-HSCsは上述したようにFACSにより分取され、そして、Tie2のmRNA発現が分析された。
(統計解析)
群間差は、両側スチューデントt検定及びTurkey多重比較検定に続く一方向分散解析(ANOVA)を用いて判定された。 差は、p<0.05で有意であるとみなされた。
Lin- 骨髄細胞中に占める、骨芽ニッチ細胞、LT-HSCs、ST-HSCs及び多能性造血前駆細胞(MPPs)の割合を、糖尿病および非糖尿病マウスの間で比較した。 骨芽ニッチ細胞とLT-HSCsの割合は、非糖尿病マウスと比較して、糖尿病マウスでは有意に減少していた(図1B)。 一方、ST-HSCs及びMPPsの割合は、非糖尿病マウスと比較して、糖尿病マウスでは有意に増加していた(図1B)。
糖尿病マウスから単離された骨芽ニッチ細胞およびLT-HSCs上のN-cadherin、β1-cateninおよびβ1-integrinのような細胞接着分子の発現を、非糖尿病マウス由来のものと比較した。 結果は、単離された骨芽ニッチ細胞上のβ-catenin、β1-integrinの発現が、糖尿病マウスでは有意に減少し、しかしながら、骨芽ニッチ細胞上のN-cadherinの発現は変化が無いことが示された(図2A)。 LT-HSCs上のN-cadherinおよびβ-cateninの発現は、非糖尿病マウスと比較して、糖尿病マウスでは、有意に減少し(図2A)、一方、LT-HSCs上のbe-ta1-integrinの発現は糖尿病マウスと非糖尿病マウス間では変化がなかった(図2A)。
糖尿病マウス由来の骨芽ニッチ細胞上におけるAng-1発現は、非糖尿病由来のそれと比較して有意に減少しており、そのリガンドであるLT-HSCs上のTie2もまた、糖尿病マウスでは有意に減少していた(図2B)。 骨芽ニッチ細胞上のCXCL12の発現は、糖尿病マウスでは有意に減少していたが、しかし、そのレセプターであるLT-HSCs上のCXCR4の発現は、糖尿病マウスと非糖尿病マウスの間で変化がなかった(図2C)。 Wnt/β-cateninシグナル経路において、骨芽ニッチ細胞上のWnt10bの発現は変化がなく、LT-HSCs上におけるFzd4、Fzd7、及びLRP5などのようなWntファミリータンパク質の受容体は変化がなかったが、しかしながら、LT-HSCs上のもう一つの受容体であるLRP6の発現は、糖尿病において減少していた(図2D)。 骨芽ニッチ細胞上のDkk1の発現は、糖尿病マウスと非糖尿病マウス間では変化がなかった(図2D)。 骨芽ニッチ細胞上のトロンボポエチン(TPO)の発現と、そのレセプターであるMPLのLT-HSCs上の発現は、糖尿病マウスと非糖尿マウス間では変化がなかった(図2E)。 上述の結果の要約を図3で示した。
我々は、糖尿病マウス及び非糖尿病マウスから誘導されたLT-HSCs及び骨芽ニッチ細胞の、in
vitroにおける共培養実験を行った。 共培養実験の7日後、LT-HSCsは培養皿の底で骨芽ニッチ細胞と接触し(図4A)、そして、これらの接着細胞は採取され、続いてFACSによりLT-HSCsと骨芽ニッチ細胞に分離された。 図4Bに示すように、非糖尿病マウスから誘導された骨芽ニッチ細胞は、通常グルコース濃度の培地中では、培養皿上に留まることができるが、高グルコース濃度の培地中では生存できない(図4Ba、b)。 一方、糖尿病マウスから誘導された骨芽ニッチ細胞は、高グルコース濃度の培地中では培養皿上に留まることができるが、通常グルコース濃度中では生存できない(図4Bc、d、e、f)。 並列効果がLT-HSCsの頻度において見出された。 LT-HSCsは、骨芽ニッチ細胞が培養皿上で生存できない条件では、生存できない(図4Bb、c、e)。 しかしながら、糖尿病マウスから誘導されたLT-HSCsと共培養された、非糖尿病マウスから誘導された骨芽ニッチ細胞は、高グルコース条件中でさえ培養皿上に留まることができる(図4Bh)。
糖尿病または非糖尿病マウスから誘導されたLT-HSCs上の分子の発現を、糖尿病または非糖尿病マウスから誘導された骨芽ニッチ細胞と、異なるグルコース条件中で共培養された後に調べたが、図4Bのa、d、f、g及びhに示されるように、7日の共培養後の場合でのみ、細胞が検出された。 我々は、LT-HSCs上のN-cadherin,β-cateninおよび
Tie2を選択した。 なぜなら、それらの発現は、in vivoでの糖尿病モデルにおいて減少していたからである。 糖尿病骨芽ニッチ細胞に曝露された糖尿病LT-HSCs上のN-cadherinの発現は、非糖尿病骨芽ニッチ細胞に曝露された非糖尿病LH-HSCs上のそれと比較して有意に減少していた(図5Aa、b)。 高グルコース条件中で糖尿病骨芽ニッチ細胞に曝露された非糖尿病LT-HSCs上のN-cadherinの発現は、非糖尿病骨芽ニッチ細胞に曝露されたそれらと比較して有意に減少していた(図5Aa、c)。 糖尿病骨芽ニッチ細胞に曝露された際の糖尿病LT-HSCs上のN-cadherinの発現の減少(図5Ab)は、通常または高グルコース条件中のいずれかで非糖尿病骨芽ニッチ細胞に曝露した後、回復した(図5Ad、e)。
同様に、異なる組み合わせにおける、in vitroでの骨芽ニッチ細胞との共培養後の、LT-HSCs上のβ-cateninの発現が調べられた。 糖尿病骨芽ニッチ細胞に曝露された、糖尿病LT-HSCs上のβ-cateninの発現は、非糖尿病骨芽ニッチ細胞に曝露された非糖尿病LH-HSCs上のそれと比較して、有意に減少していた(図5Ba、b)。 糖尿病骨芽ニッチ細胞に曝露された際の糖尿病LT-HSCs上のβ-catenin発現の減少(図5Bb)は、通常グルコース条件中で、非糖尿病骨芽ニッチ細胞への曝露後、回復した(図5Bd)。
糖尿病骨芽ニッチ細胞に曝露された糖尿病LT-HSCs上のTie2の発現は、非糖尿病骨芽ニッチ細胞に曝露された非糖尿病LH-HSCs上のそれと比較して有意に減少していた(図5Ca、b)。 高グルコース条件中で、糖尿病骨芽ニッチ細胞と共培養された非糖尿病LT-HSCs上のTie2の発現は、非糖尿病骨芽ニッチ細胞に曝露されたそれらと比較して有意に減少していた(図5Ca、c)。 糖尿病骨芽ニッチ細胞に曝露された際の糖尿病LT-HSCs上のTie2の発現減少(図5Cb)は、通常グルコース条件中で、非糖尿病骨芽ニッチ細胞へ曝露後、回復した(図5Cd)。
糖尿病および非糖尿病マウスの骨髄における、骨芽ニッチ細胞、LT-HSCs、ST-HSCおよびMPP細胞の頻度。
Lin- 骨髄細胞における骨芽ニッチ細胞、LT-HSCs、ST-HSCs及びMPPsの割合を比較し、非糖尿病マウスと比較して、糖尿病マウスでは、骨芽ニッチ細胞とLT-HSCsは有意に減少しており、ST-HSCsとMPPsは有意に増加していることを示した(図6B)。
糖尿病および非糖尿病マウスの骨髄における骨芽ニッチ細胞およびLT-HSCの局在。
糖尿病及び非糖尿病マウスの骨髄における骨芽ニッチ細胞及びLT-HSCのin
vivoでの局在を、免疫蛍光染色によって観察した(図6C)。 OPN+ 骨芽ニッチ細胞は、糖尿病及び非糖尿病マウスの両方で骨内膜に局在し(赤色、矢印)、CD150−陽性LT-HSCsは、骨芽ニッチ細胞の近傍に局在していた(緑色、矢先)。
糖尿病における造血幹細胞中の機能的異常。
糖尿病及び非糖尿病マウス間での造血幹細胞の再増殖能を比較するために、我々は、Lin-
c-kit+ Sca-1+ 細胞でコロニー形成検定法を行った。 糖尿病マウス由来のLin- c-kit+ Sca-1+ 細胞の数は、非糖尿病マウスと比較して有意に増加していたが、しかしながらコロニー形成密度は、糖尿病及び非糖尿病マウス間では変化がなかった(図7A)。 造血前駆細胞から誘導された破骨細胞の機能もまた、糖尿病及び非糖尿病マウス間で比較された。 破骨細胞の貪食活性示すTRAP5bは、非糖尿病マウスと比較し、糖尿病マウスで有意に増加していた(図7B)。
糖尿病及び非糖尿病マウスの骨髄における骨芽ニッチ細胞及びLT-HSCsの発現分子。
単離された、糖尿病マウス由来の骨芽ニッチ細胞とLT-HSCs上のN-cadherin,β-catenin,β1-integrinのような細胞接着分子の発現を、非糖尿病マウス由来のそれと比較した。 単離された骨芽ニッチ細胞上のβ-cateninおよびβ1-integrinの発現は、糖尿病マウスでは有意に減少していたが、N-cadherinの発現は変化がなかった(図8A)。 非糖尿病マウスと比較し、糖尿病マウスはLT-HSCs上のN-cadherinとβ-cateninの発現は有意に減少し、一方でLT-HSCs上のβ1-integrinの発現は変化がなかった(図8A)。
糖尿病マウス由来の骨芽ニッチ細胞上のAng-1発現は、非糖尿病マウスと比較して有意に減少しており、LT-HSCs上のAng-1リガンドのTie2の発現もまた、糖尿病マウスでは有意に減少していた(図8B)。 糖尿病マウスにおける骨芽ニッチ細胞上のCXCL12の発現は有意に減少していたが、レセプターCXCR4の発現は、LT-HSCs上で変化がなかった(図8C)。 Wnt/β-cateninシグナル経路に関して、骨芽ニッチ細胞上のWnt
10bの発現も、LT-HSCs上のFzd4、Fzd7、及びLRP5のようなWntファミリータンパク質に対する受容体の発現もともに変化がなかったが、LT-HSCs上のLRP6の発現は、糖尿病マウスにおいて減少していた(図8D)。 糖尿病及び非糖尿病マウスの骨芽ニッチ細胞上で、Dkk1の発現は変化がなく(図8D)、骨芽ニッチ細胞上のTPOの発現と、LT-HSCs上のそのレセプターMPLの発現についても同様であった(図8E)。 これらの結果の要約が図9において示される。
糖尿病及び非糖尿病マウスにおける骨髄ミクロ環境を擬態する骨芽ニッチ細胞及びLT-HSCsのin vitro共培養。
我々は、糖尿病及び非糖尿病マウスから誘導されたLT-HSCs及び骨芽ニッチ細胞の、in vitro共培養実験を行った。 7日後、LT-HSCsは、培養皿の底で骨芽ニッチ細胞と接触していた(図10Aa、10Ab)。 これらの接着細胞を採取し、次にFACSによりLT-HSCsと骨芽ニッチ細胞へと分離した。 図10Bに示されるように、非糖尿病マウスから誘導された骨芽ニッチ細胞は、通常グルコース培地中で、底への付着を維持したが、高グルコース培地中では、付着を維持しなかった(図10Ba、10Bb)。 一方で、糖尿病マウスから誘導された骨芽ニッチ細胞は、高グルコース培地中で付着を維持したが、通常グルコース培地中では付着を維持しなかった(図10Bc-f)。 しかしながら、糖尿病マウスから誘導されたLT-HSCsと共培養された、非糖尿病マウスから誘導された骨芽ニッチ細胞は、高グルコース培地中でさえ底に付着できた(図10Bh')。 LT-HSCsの生存頻度は、骨芽ニッチ細胞の存在と平行しており(図10Ba'−h')、骨芽ニッチ細胞が底に付着を維持したケースにおける共培養システムで、7日目の時点で、LT-HSCsは生存していた(図10B a'、d'、f'、g'及びh')。
骨芽ニッチ細胞と共培養されたLT-HSCsにおける上の分子発現における変化。
糖尿病または非糖尿病マウスから誘導されたLT-HSCs上の分子発現を、異なるグルコース条件中で、糖尿病または非糖尿病マウスから誘導された骨芽ニッチ細胞との共培養後、検査した。 この分析は、図10Ba'、 10Bd'、 10Bf'、 図10Bg'及び図10Bh'において示されるように、7日の共培養後、細胞が検出された場合にのみ行われた。 我々は、in
vivo糖尿病モデルにおいては減少されることが示されたため、LT-HSCs上のN-cadherin,β-catenin,及びTie2の発現を分析した。 糖尿病骨芽ニッチ細胞に曝露された糖尿病LT-HSCs上のN-cadherin発現は、非糖尿病骨芽ニッチ細胞に曝露された非糖尿病LH-HSCs上のそれと比較して有意に減少していた(図11Aa、11Ab)。 このことは、非糖尿病骨芽ニッチ細胞に曝露されたそれらと比較して、高グルコース濃度下で糖尿病骨芽ニッチ細胞に曝露された非糖尿病LT-HSCs上のN-cadherin発現に対してもまた観察された(図11Aa、11Ac)。 しかしながら、糖尿病骨芽ニッチ細胞に曝露された糖尿病LT-HSCs上のN-cadherin発現の減少(図11Ab)は、通常または高グルコース条件中のいずれかで非糖尿病骨芽ニッチ細胞への曝露後、回復した(図11Ad、11Ae)。
同様に、骨芽ニッチ細胞とのin vitro共培養後、LT-HSCs上のβ-cateninの発現を分析した。 糖尿病骨芽ニッチ細胞に曝露された糖尿病LT-HSCs上のβ-catenin発現は、非糖尿病骨芽ニッチ細胞に曝露された非糖尿病LH-HSCs上のそれと比較して有意に減少していた(図11Ba、11Bb)。 これは、通常グルコース濃度中で非糖尿病骨芽ニッチ細胞への曝露後、回復した(図11Bd)。
糖尿病骨芽ニッチ細胞に曝露された糖尿病LT-HSCs上のTie2発現は、非糖尿病骨芽ニッチ細胞に曝露された非糖尿病LH-HSCsと比較して有意に減少していた(図11Ca、11Cb)。 これは、通常グルコース濃度下で、非糖尿病骨芽ニッチ細胞に曝露後、回復した(図11Cd)。 高グルコース濃度下で糖尿病骨芽ニッチ細胞と共培養された非糖尿病LT-HSCs上のTie2発現もまた、非糖尿病骨芽ニッチ細胞に曝露されたそれらと比較して有意に減少していた(図11Ca,11Cc)。
骨芽ニッチ細胞のin vivo置換のための、骨髄−骨髄内移植。
in vitro共培養実験から得られた知見を裏付けるために、我々は、以下に述べるように、異なる組み合わせのOPN+及びOPN-細胞で骨髄−骨髄内移植を行った。 即ち、非糖尿病OPN+と非糖尿病OPN-(図12a)、糖尿病OPN+と糖尿病OPN-(図12b)、糖尿病OPN+と非糖尿病OPN-(図12c)、非糖尿病OPN+と糖尿病OPN-(図12d)である。 骨髄移植の1週間後、LT-HSCs上のTie2発現のメッセージレベルを分析した。 結果は、糖尿病骨芽ニッチ細胞に曝露された糖尿病LT-HSCs上のTie2の発現減少(図12b)は、非糖尿病骨芽ニッチ細胞に曝露することによって完全に回復する、ということを示す(図12d)。 一方、非糖尿病LT-HSCs上のTie2の発現は、糖尿病骨芽ニッチ細胞への曝露によって有意に減少した(図12c)。
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