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グラウンドアンカーの健全度評価方法および健全度評価システム

阅读:1发布:2020-06-09

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グラウンドアンカーに対して外部から打撃することにより取得された振動特性に基づいて前記グラウンドアンカーの健全度を評価するグラウンドアンカーの健全度評価方法であって、 複数のデータベース構築用のグラウンドアンカーの各々について、グラウンドアンカーの健全度に影響する複数の健全度評価パラメータの値と、グラウンドアンカーの健全度を評価する健全度評価指標の値とを測定してデータベースを構築するデータベース構築工程と、 構築された前記データベースにおける各々の値に基づいて多変量解析することにより、設計変数である前記複数の健全度評価パラメータから、目的変数である前記健全度評価指標を導出する健全度評価数式モデルを構築する健全度評価数式モデル構築工程と、 評価対象のグラウンドアンカーに対して、前記複数の健全度評価パラメータの値を測定して、前記健全度評価数式モデル構築工程で構築された健全度評価数式モデルに基づいて前記健全度評価指標の値を算出し、算出された値に基づいて前記評価対象のグラウンドアンカーの健全度を評価する健全度評価工程とを備えていることを特徴とするグラウンドアンカーの健全度評価方法。前記データベース構築工程が、 前記複数の健全度評価パラメータの内の一つとして、前記データベース構築用のグラウンドアンカーの打撃による振動特性を測定する振動特性の取得工程と、 他の前記複数の健全度評価パラメータとして、前記データベース構築用のグラウンドアンカーの施工に関する情報であるアンカー情報を取得する施工情報取得工程と、 前記データベース構築用のグラウンドアンカーの前記健全度評価指標の値を測定する健全度評価指標の取得工程とを備えており、 前記健全度評価工程が、 前記評価対象のグラウンドアンカーに対して、打撃による振動特性を取得すると共に、前記施工情報取得工程で取得したアンカー情報と同じ種類のアンカー情報を取得する工程を備えていることを特徴とする請求項1に記載のグラウンドアンカーの健全度評価方法。前記健全度評価工程が、 取得された前記評価対象のグラウンドアンカーの振動特性の周波数分布および振動波形の全体的な形状を、前記データベース構築工程の前記振動特性の取得工程において得られた前記データベースの振動特性と照合して、前記評価対象のグラウンドアンカーの振動異常の有無を判定する振動異常判定工程を備えており、 前記振動異常判定工程において振動異常が無いと判定された前記評価対象のグラウンドアンカーに対して、前記健全度評価指標の値に基づいて前記評価対象のグラウンドアンカーの健全度を評価することを特徴とする請求項2に記載のグラウンドアンカーの健全度評価方法。前記健全度評価指標として前記グラウンドアンカーの緊張材の緊張を用いることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のグラウンドアンカーの健全度評価方法。前記アンカー情報として前記グラウンドアンカーの余長を用いることを特徴とする請求項4に記載のグラウンドアンカーの健全度評価方法。前記アンカー情報として、前記グラウンドアンカーの余長に加えて、前記グラウンドアンカーの緊張材の自由長、前記グラウンドアンカーのマンションの長さ、前記マンションと前記緊張材の断面積の比の1つ以上を用いることを特徴とする請求項5に記載のグラウンドアンカーの健全度評価方法。前記振動特性の取得工程において、前記グラウンドアンカーの頭部に振動検出センサーを取り付け、前記グラウンドアンカーに打撃を加えることにより発生した前記グラウンドアンカーの振動波形を前記振動検出センサーを用いて取得し、取得された振動波形に基づいて前記グラウンドアンカーの振動特性を取得することを特徴とする請求項2ないし請求項6のいずれか1項に記載のグラウンドアンカーの健全度評価方法。前記振動検出センサーとしてAEセンサーを用いることを特徴とする請求項7に記載のグラウンドアンカーの健全度評価方法。前記振動検出センサーにより取得された振動波形に高速フーリエ変換処理を施すことにより、振動波形の周波数分布を前記振動特性として取得することを特徴とする請求項7または請求項8に記載のグラウンドアンカーの健全度評価方法。前記高速フーリエ変換処理により取得した振動波形の周波数分布に平均化処理を施すことを特徴とする請求項9に記載のグラウンドアンカーの健全度評価方法。前記振動特性として、前記振動検出センサーにより得られる全てのピーク周波数の内の一番低周波側のピーク周波数を用いることを特徴とする請求項7ないし請求項10のいずれか1項に記載のグラウンドアンカーの健全度評価方法。前記健全度評価数式モデル構築工程において、前記複数の健全度評価パラメータの値と前記健全度評価指標の値とが線形な関係である場合、前記多変量解析として重回帰分析を用いることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載のグラウンドアンカーの健全度評価方法。前記健全度評価数式モデル構築工程において、前記複数の健全度評価パラメータの値と前記健全度評価指標の値とが非線形な関係である場合、前記多変量解析としてニューラルネットワークを用いることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載のグラウンドアンカーの健全度評価方法。前記健全度評価工程において、健全度評価指標に対する基準値を設け、前記健全度評価数式モデルにより算出された健全度評価指標の値と、前記基準値を対比することにより、評価対象のグラウンドアンカーが健全であるか否かを判定することを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載のグラウンドアンカーの健全度評価方法。前記健全度評価工程において、健全度評価指標に対する健全領域を設け、前記健全度評価数式モデルにより算出された健全度評価指標の値が、前記健全領域の範囲内であるか否かを判定することにより、評価対象のグラウンドアンカーが健全であるか否かを判定することを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載のグラウンドアンカーの健全度評価方法。請求項1ないし請求項15のいずれか1項に記載のグラウンドアンカーの健全度評価方法に用いられるグラウンドアンカーの健全度評価システムであって、 複数のデータベース構築用のグラウンドアンカーの各々について、グラウンドアンカーの健全度に影響する複数の健全度評価パラメータの値と、グラウンドアンカーの健全度を評価する健全度評価指標の値とを測定してデータベースを構築するデータベース構築手段と、 構築された前記データベースにおける各々の値に基づいて多変量解析することにより、設計変数である前記複数の健全度評価パラメータから、目的変数である前記健全度評価指標を導出する健全度評価数式モデルを構築する健全度評価数式モデル構築手段と、 評価対象のグラウンドアンカーに対して、前記複数の健全度評価パラメータの値を測定して、前記健全度評価数式モデル構築工程で構築された健全度評価数式モデルに基づいて前記健全度評価指標の値を算出し、算出された値に基づいて前記評価対象のグラウンドアンカーの健全度を評価する健全度評価手段とを備えていることを特徴とするグラウンドアンカーの健全度評価システム。前記データベース構築手段が、 前記複数の健全度評価パラメータの内の一つとして、前記データベース構築用のグラウンドアンカーの打撃による振動特性を測定する振動特性の取得手段と、 他の前記複数の健全度評価パラメータとして、前記データベース構築用のグラウンドアンカーの施工に関する情報であるアンカー情報を取得する施工情報取得手段と、 前記データベース構築用のグラウンドアンカーの前記健全度評価指標の値を測定する健全度評価指標の取得手段とを備えており、 前記健全度評価手段が、 前記評価対象のグラウンドアンカーに対して、打撃による振動特性を取得すると共に、前記施工情報取得手段で取得されたアンカー情報と同じ種類のアンカー情報を取得する手段を備えていることを特徴とする請求項16に記載のグラウンドアンカーの健全度評価システム。前記健全度評価手段が、 取得された前記評価対象のグラウンドアンカーの振動特性の周波数分布および振動波形の全体的な形状を、前記データベース構築手段の前記振動特性の取得手段において得られた前記データベースの振動特性と照合して、前記評価対象のグラウンドアンカーの振動異常の有無を判定する振動異常判定手段を備えており、 前記振動異常判定手段により振動異常が無いと判定された前記評価対象のグラウンドアンカーに対して、前記健全度評価指標の値に基づいて前記評価対象のグラウンドアンカーの健全度を評価することを特徴とする請求項17に記載のグラウンドアンカーの健全度評価システム。前記データベース構築手段および健全度評価手段の前記健全度評価指標として前記グラウンドアンカーの緊張材の緊張力が用いられることを特徴とする請求項17または請求項18に記載のグラウンドアンカーの健全度評価システム。前記アンカー情報として前記グラウンドアンカーの余長が用いられることを特徴とする請求項19に記載のグラウンドアンカーの健全度評価システム。前記アンカー情報として、前記グラウンドアンカーの余長に加えて、前記グラウンドアンカーの緊張材の自由長、前記グラウンドアンカーのマンションの長さ、前記マンションと前記緊張材の断面積の比の1つ以上が用いられることを特徴とする請求項20に記載のグラウンドアンカーの健全度評価システム。前記振動特性の取得手段が、前記グラウンドアンカーの頭部に振動検出センサーを取り付け、前記グラウンドアンカーに打撃を加えることにより発生した前記グラウンドアンカーの振動波形を前記振動検出センサーを用いて取得し、取得された振動波形に基づいて前記グラウンドアンカーの振動特性を取得する手段であることを特徴とする請求項17ないし請求項21のいずれか1項に記載のグラウンドアンカーの健全度評価システム。前記振動検出センサーがAEセンサーであることを特徴とする請求項22に記載のグラウンドアンカーの健全度評価システム。前記振動検出センサーにより取得された振動波形に高速フーリエ変換処理を施すことにより、振動波形の周波数分布が前記振動特性として取得されることを特徴とする請求項22または請求項23に記載のグラウンドアンカーの健全度評価システム。前記高速フーリエ変換処理により取得された振動波形の周波数分布に平均化処理が施されることを特徴とする請求項24に記載のグラウンドアンカーの健全度評価システム。前記振動特性として、前記振動検出センサーにより得られる全てのピーク周波数の内の一番低周波側のピーク周波数が用いられることを特徴とする請求項22ないし請求項25のいずれか1項に記載のグラウンドアンカーの健全度評価システム。健全度評価数式モデル構築手段において、前記複数の健全度評価パラメータの値と前記健全度評価指標の値とが線形な関係である場合、前記多変量解析として重回帰分析が用いられることを特徴とする請求項16ないし請求項26のいずれか1項に記載のグラウンドアンカーの健全度評価システム。前記健全度評価数式モデル構築手段において、前記複数の健全度評価パラメータの値と前記健全度評価指標の値とが非線形な関係である場合、前記多変量解析としてニューラルネットワークが用いられることを特徴とする請求項16ないし請求項26のいずれか1項に記載のグラウンドアンカーの健全度評価システム。前記健全度評価手段に、さらに、健全度評価指標に対する基準値が設けられて、前記健全度評価数式モデルにより算出された健全度評価指標の値と、前記基準値を対比することにより、評価対象のグラウンドアンカーが健全であるか否かを判定するように構成されていることを特徴とする請求項16ないし請求項28のいずれか1項に記載のグラウンドアンカーの健全度評価システム。前記健全度評価手段が、健全度評価指標に対する健全領域を設け、前記健全度評価数式モデルにより算出された健全度評価指標の値が、前記健全領域の範囲内であるか否かを判定することにより、評価対象のグラウンドアンカーが健全であるか否かを判定する手段であることを特徴とする請求項16ないし請求項28のいずれか1項に記載のグラウンドアンカーの健全度評価システム。

说明书全文

本発明は、グラウンドアンカーの健全度評価方法および健全度評価システムに関する。

近年、山の斜面などの法面における地すべりの発生や崩壊の発生を防止する技術として、グラウンドアンカー工法が広く採用されている。

このグラウンドアンカー工法は、図1に示すように、グラウンドアンカー1を対象となる法面に複数埋設させて所定の緊張を付与することにより、斜面や地盤の状態を保持、管理する工法であり、具体的には、以下の手順に従って施工される。

最初に、施工されるグラウンドアンカー1のサイズに応じたボーリング孔20を地盤に設ける。次に、ボーリング孔20の先端部にグラウト(通常はセメントミルクを使用)を流し込んで、鋼線などの緊張材(テンドン)14の一端を固定することにより、定着部16を形成させる。次いで、緊張材14を油圧ジャッキ等を用いて引っ張り、アンカー頭部11をナットや楔等によって固定する。そして、このとき発生する緊張力(引張力)によって地盤に対する抵抗力が与えられて、安定した地盤が保持される。

しかし、施工後のアンカー頭部11は地盤表面に暴露されることになるため、時間の経過に伴って腐食や劣化等が発生する恐れがある。また、施工される地盤は均一とは言えない。このため、施工後もグラウンドアンカーの健全度、具体的には、緊張材14における緩みや過緊張、断線などの緊張状態の変化、定着部16における固着状態の変化、緊張材14の腐食等による劣化や損傷の発生などを適宜把握して、グラウンドアンカーの施工状況を適切に維持する必要がある。

そこで、従来より、緊張材14の地上に露出した部分や支圧板11aの状態を目視で確認する目視検査や、緊張材14を引っ張ることにより緊張材14の緊張力を評価するリフトオフ試験が行われている。

しかし、目視検査では、緊張材14の錆や支圧板11aの浮きの発生を確認するに留まるため、グラウンドアンカー本来の機能である地山すべりの防止に直接関係する緊張材14の緊張力を適切に評価することができない。また、定着部の固着状態の低下や、地中の緊張材14の劣化や損傷についても評価することができない。

そして、リフトオフ試験では、センターホール型ジャッキや小型・軽量ジャッキを用いるため、これらの機器の設置や落下防止対策の必要性を考慮すると、多くの時間や作業員が必要となり、多数のグラウンドアンカーが施工された法面の全体を迅速に測定することが難しい。また、地質やグラウンドアンカー1の経年変化によっては、最悪、グラウンドアンカー1が引き抜かれたり、緊張材14の長手方向の中心部(自由長部)14aが破断されたりする恐れがある。

そこで、このようなコストや時間をかけることなく、また、グラウンドアンカーの引き抜きや緊張材の破断を招かないように非破壊的にグラウンドアンカーの健全度を評価する方法として、特許文献1や特許文献2に振動周波数に基づいてグラウンドアンカーの健全度を評価することが提案されている。

即ち、特許文献1では、グラウンドアンカーに打撃を加えることにより発生した振動の固有振動周波数を求め、この固有振動周波数に基づいて定着部の固着状態や緊張材の緊張力を診断すると共に、求めた固有振動周波数と、健全なアンカーの固有振動周波数を比較して損傷位置を非破壊的に診断している。

一方、特許文献2では、アンカー頭部の長さ(余長)および振動周波数と、緊張材の緊張力との関係を予め求めておき、測定された余長と振動周波数とに基づいて緊張材の緊張力を非破壊的に算出している。

特開2001−074706号公報

特開2003−121278号公報

しかしながら、これらの技術は、実験室レベルでは十分な精度で評価できるものの、現場における測定では、未だ十分な精度で評価されているとは言えず、さらなる改善が望まれていた。

そこで、本発明は、現実にグラウンドアンカーが設置された現場において、グラウンドアンカーの健全度を十分な精度で評価することができるグラウンドアンカーの健全度評価技術を提供することを課題とする。

請求項1に記載の発明は、 グラウンドアンカーに対して外部から打撃することにより取得された振動特性に基づいて前記グラウンドアンカーの健全度を評価するグラウンドアンカーの健全度評価方法であって、 複数のデータベース構築用のグラウンドアンカーの各々について、グラウンドアンカーの健全度に影響する複数の健全度評価パラメータの値と、グラウンドアンカーの健全度を評価する健全度評価指標の値とを測定してデータベースを構築するデータベース構築工程と、 構築された前記データベースにおける各々の値に基づいて多変量解析することにより、設計変数である前記複数の健全度評価パラメータから、目的変数である前記健全度評価指標を導出する健全度評価数式モデルを構築する健全度評価数式モデル構築工程と、 評価対象のグラウンドアンカーに対して、前記複数の健全度評価パラメータの値を測定して、前記健全度評価数式モデル構築工程で構築された健全度評価数式モデルに基づいて前記健全度評価指標の値を算出し、算出された値に基づいて前記評価対象のグラウンドアンカーの健全度を評価する健全度評価工程とを備えていることを特徴とするグラウンドアンカーの健全度評価方法である。

請求項2に記載の発明は、 前記データベース構築工程が、 前記複数の健全度評価パラメータの内の一つとして、前記データベース構築用のグラウンドアンカーの打撃による振動特性を測定する振動特性の取得工程と、 他の前記複数の健全度評価パラメータとして、前記データベース構築用のグラウンドアンカーの施工に関する情報であるアンカー情報を取得する施工情報取得工程と、 前記データベース構築用のグラウンドアンカーの前記健全度評価指標の値を測定する健全度評価指標の取得工程とを備えており、 前記健全度評価工程が、 前記評価対象のグラウンドアンカーに対して、打撃による振動特性を取得すると共に、前記施工情報取得工程で取得したアンカー情報と同じ種類のアンカー情報を取得する工程を備えていることを特徴とする請求項1に記載のグラウンドアンカーの健全度評価方法である。

請求項3に記載の発明は、 前記健全度評価工程が、 取得された前記評価対象のグラウンドアンカーの振動特性の周波数分布および振動波形の全体的な形状を、前記データベース構築工程の前記振動特性の取得工程において得られた前記データベースの振動特性と照合して、前記評価対象のグラウンドアンカーの振動異常の有無を判定する振動異常判定工程を備えており、 前記振動異常判定工程において振動異常が無いと判定された前記評価対象のグラウンドアンカーに対して、前記健全度評価指標の値に基づいて前記評価対象のグラウンドアンカーの健全度を評価することを特徴とする請求項2に記載のグラウンドアンカーの健全度評価方法である。

請求項4に記載の発明は、 前記健全度評価指標として前記グラウンドアンカーの緊張材の緊張力を用いることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のグラウンドアンカーの健全度評価方法である。

請求項5に記載の発明は、 前記アンカー情報として前記グラウンドアンカーの余長を用いることを特徴とする請求項4に記載のグラウンドアンカーの健全度評価方法である。

請求項6に記載の発明は、 前記アンカー情報として、前記グラウンドアンカーの余長に加えて、前記グラウンドアンカーの緊張材の自由長、前記グラウンドアンカーのマンションの長さ、前記マンションと前記緊張材の断面積の比の1つ以上を用いることを特徴とする請求項5に記載のグラウンドアンカーの健全度評価方法である。

請求項7に記載の発明は、 前記振動特性の取得工程において、前記グラウンドアンカーの頭部に振動検出センサーを取り付け、前記グラウンドアンカーに打撃を加えることにより発生した前記グラウンドアンカーの振動波形を前記振動検出センサーを用いて取得し、取得された振動波形に基づいて前記グラウンドアンカーの振動特性を取得することを特徴とする請求項2ないし請求項6のいずれか1項に記載のグラウンドアンカーの健全度評価方法である。

請求項8に記載の発明は、 前記振動検出センサーとしてAEセンサーを用いることを特徴とする請求項7に記載のグラウンドアンカーの健全度評価方法である。

請求項9に記載の発明は、 前記振動検出センサーにより取得された振動波形に高速フーリエ変換処理を施すことにより、振動波形の周波数分布を前記振動特性として取得することを特徴とする請求項7または請求項8に記載のグラウンドアンカーの健全度評価方法である。

請求項10に記載の発明は、 前記高速フーリエ変換処理により取得した振動波形の周波数分布に平均化処理を施すことを特徴とする請求項9に記載のグラウンドアンカーの健全度評価方法である。

請求項11に記載の発明は、 前記振動特性として、前記振動検出センサーにより得られる全てのピーク周波数の内の一番低周波側のピーク周波数を用いることを特徴とする請求項7ないし請求項10のいずれか1項に記載のグラウンドアンカーの健全度評価方法である。

請求項12に記載の発明は、 前記健全度評価数式モデル構築工程において、前記複数の健全度評価パラメータの値と前記健全度評価指標の値とが線形な関係である場合、前記多変量解析として重回帰分析を用いることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載のグラウンドアンカーの健全度評価方法である。

請求項13に記載の発明は、 前記健全度評価数式モデル構築工程において、前記複数の健全度評価パラメータの値と前記健全度評価指標の値とが非線形な関係である場合、前記多変量解析としてニューラルネットワークを用いることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載のグラウンドアンカーの健全度評価方法である。

請求項14に記載の発明は、 前記健全度評価工程において、健全度評価指標に対する基準値を設け、前記健全度評価数式モデルにより算出された健全度評価指標の値と、前記基準値を対比することにより、評価対象のグラウンドアンカーが健全であるか否かを判定することを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載のグラウンドアンカーの健全度評価方法である。

請求項15に記載の発明は、 前記健全度評価工程において、健全度評価指標に対する健全領域を設け、前記健全度評価数式モデルにより算出された健全度評価指標の値が、前記健全領域の範囲内であるか否かを判定することにより、評価対象のグラウンドアンカーが健全であるか否かを判定することを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載のグラウンドアンカーの健全度評価方法である。

請求項16に記載の発明は、 請求項1ないし請求項15のいずれか1項に記載のグラウンドアンカーの健全度評価方法に用いられるグラウンドアンカーの健全度評価システムであって、 複数のデータベース構築用のグラウンドアンカーの各々について、グラウンドアンカーの健全度に影響する複数の健全度評価パラメータの値と、グラウンドアンカーの健全度を評価する健全度評価指標の値とを測定してデータベースを構築するデータベース構築手段と、 構築された前記データベースにおける各々の値に基づいて多変量解析することにより、設計変数である前記複数の健全度評価パラメータから、目的変数である前記健全度評価指標を導出する健全度評価数式モデルを構築する健全度評価数式モデル構築手段と、 評価対象のグラウンドアンカーに対して、前記複数の健全度評価パラメータの値を測定して、前記健全度評価数式モデル構築工程で構築された健全度評価数式モデルに基づいて前記健全度評価指標の値を算出し、算出された値に基づいて前記評価対象のグラウンドアンカーの健全度を評価する健全度評価手段とを備えていることを特徴とするグラウンドアンカーの健全度評価システムである。

請求項17に記載の発明は、 前記データベース構築手段が、 前記複数の健全度評価パラメータの内の一つとして、前記データベース構築用のグラウンドアンカーの打撃による振動特性を測定する振動特性の取得手段と、 他の前記複数の健全度評価パラメータとして、前記データベース構築用のグラウンドアンカーの施工に関する情報であるアンカー情報を取得する施工情報取得手段と、 前記データベース構築用のグラウンドアンカーの前記健全度評価指標の値を測定する健全度評価指標の取得手段とを備えており、 前記健全度評価手段が、 前記評価対象のグラウンドアンカーに対して、打撃による振動特性を取得すると共に、前記施工情報取得手段で取得されたアンカー情報と同じ種類のアンカー情報を取得する手段を備えていることを特徴とする請求項16に記載のグラウンドアンカーの健全度評価システムである。

請求項18に記載の発明は、 前記健全度評価手段が、 取得された前記評価対象のグラウンドアンカーの振動特性の周波数分布および振動波形の全体的な形状を、前記データベース構築手段の前記振動特性の取得手段において得られた前記データベースの振動特性と照合して、前記評価対象のグラウンドアンカーの振動異常の有無を判定する振動異常判定手段を備えており、 前記振動異常判定手段により振動異常が無いと判定された前記評価対象のグラウンドアンカーに対して、前記健全度評価指標の値に基づいて前記評価対象のグラウンドアンカーの健全度を評価することを特徴とする請求項17に記載のグラウンドアンカーの健全度評価システムである。

請求項19に記載の発明は、 前記データベース構築手段および健全度評価手段の前記健全度評価指標として前記グラウンドアンカーの緊張材の緊張力が用いられることを特徴とする請求項17または請求項18に記載のグラウンドアンカーの健全度評価システムである。

請求項20に記載の発明は、 前記アンカー情報として前記グラウンドアンカーの余長が用いられることを特徴とする請求項19に記載のグラウンドアンカーの健全度評価システムである。

請求項21に記載の発明は、 前記アンカー情報として、前記グラウンドアンカーの余長に加えて、前記グラウンドアンカーの緊張材の自由長、前記グラウンドアンカーのマンションの長さ、前記マンションと前記緊張材の断面積の比の1つ以上が用いられることを特徴とする請求項20に記載のグラウンドアンカーの健全度評価システムである。

請求項22に記載の発明は、 前記振動特性の取得手段が、前記グラウンドアンカーの頭部に振動検出センサーを取り付け、前記グラウンドアンカーに打撃を加えることにより発生した前記グラウンドアンカーの振動波形を前記振動検出センサーを用いて取得し、取得された振動波形に基づいて前記グラウンドアンカーの振動特性を取得する手段であることを特徴とする請求項17ないし請求項21のいずれか1項に記載のグラウンドアンカーの健全度評価システムである。

請求項23に記載の発明は、 前記振動検出センサーがAEセンサーであることを特徴とする請求項22に記載のグラウンドアンカーの健全度評価システムである。

請求項24に記載の発明は、 前記振動検出センサーにより取得された振動波形に高速フーリエ変換処理を施すことにより、振動波形の周波数分布が前記振動特性として取得されることを特徴とする請求項22または請求項23に記載のグラウンドアンカーの健全度評価システムである。

請求項25に記載の発明は、 前記高速フーリエ変換処理により取得された振動波形の周波数分布に平均化処理が施されることを特徴とする請求項24に記載のグラウンドアンカーの健全度評価システムである。

請求項26に記載の発明は、 前記振動特性として、前記振動検出センサーにより得られる全てのピーク周波数の内の一番低周波側のピーク周波数が用いられることを特徴とする請求項22ないし請求項25のいずれか1項に記載のグラウンドアンカーの健全度評価システムである。

請求項27に記載の発明は、 健全度評価数式モデル構築手段において、前記複数の健全度評価パラメータの値と前記健全度評価指標の値とが線形な関係である場合、前記多変量解析として重回帰分析が用いられることを特徴とする請求項16ないし請求項26のいずれか1項に記載のグラウンドアンカーの健全度評価システムである。

請求項28に記載の発明は、 前記健全度評価数式モデル構築手段において、前記複数の健全度評価パラメータの値と前記健全度評価指標の値とが非線形な関係である場合、前記多変量解析としてニューラルネットワークが用いられることを特徴とする請求項16ないし請求項26のいずれか1項に記載のグラウンドアンカーの健全度評価システムである。

請求項29に記載の発明は、 前記健全度評価手段に、さらに、健全度評価指標に対する基準値が設けられて、前記健全度評価数式モデルにより算出された健全度評価指標の値と、前記基準値を対比することにより、評価対象のグラウンドアンカーが健全であるか否かを判定するように構成されていることを特徴とする請求項16ないし請求項28のいずれか1項に記載のグラウンドアンカーの健全度評価システムである。

請求項30に記載の発明は、 前記健全度評価手段が、健全度評価指標に対する健全領域を設け、前記健全度評価数式モデルにより算出された健全度評価指標の値が、前記健全領域の範囲内であるか否かを判定することにより、評価対象のグラウンドアンカーが健全であるか否かを判定する手段であることを特徴とする請求項16ないし請求項28のいずれか1項に記載のグラウンドアンカーの健全度評価システムである。

本発明によれば、現実にグラウンドアンカーが設置された現場において、グラウンドアンカーの健全度を十分な精度で評価することができるグラウンドアンカーの健全度評価技術を提供することができる。

評価対象のグラウンドアンカーの一例を模式的に示す断面図である。

本発明の一実施の形態における振動特性の取得方法を説明する図である。

本発明の一実施の形態に係る健全度評価方法の健全度評価データベース構築工程と健全度評価数式モデル構築工程を示すフローチャート図である。

本発明の一実施の形態に係る健全度評価方法の健全度評価工程を示すフローチャート図である。

グラウンドアンカーの振動特性の一例を示す図である。

健全アンカーの支圧板における振動波形の一例を示す図である。

緊張力が極端に低いアンカーの支圧板における振動波形の一例を示す図である。

アンカー底部からの反射信号を含む振動波形の一例を示す図である。

高速フーリエ変換と平均化処理を行った周波数分布の一例を示す図である。

アンカー1〜5の振動波形に高速フーリエ変換と平均化処理を施した結果を示す図である。

健全に施工されていないことが判明しているアンカーの振動波形に高速フーリエ変換と平均化処理を施した結果を示す図である。

設計時の緊張力が400kNであるアンカーの余長と評価ピーク周波数との関係を示す図である。

[1]本発明に至る経緯 1.従来技術における問題点 本発明者は、従来の振動周波数を用いた技術において、何故、実験室レベルでは十分な精度で評価できるものの、現場における測定では十分な精度で評価できなかったのか、その原因について、鋭意検討を行った。その結果、グラウンドアンカーの健全度を評価するための指標には多種多様な施工条件がパラメータとして影響しており、特定のパラメータに着目し、他のパラメータを固定していた実験室と異なり、現場では他のパラメータの影響も現れ、この他のパラメータが評価結果に大きな影響を与えているため、十分な精度で評価できていなかったことが分かった。

即ち、特許文献1では、グラウンドアンカーを打撃した際の固有振動周波数のみに着目して、この固有振動周波数をパラメータとして固着状態(定着部の健全度)や緊張材の緊張力を診断、評価しているが、実際の現場におけるグラウンドアンカーの形状や材質は多様であり、また、支圧板や余長などの設置状況も多様であるため、これらをパラメータとして想定することなくグラウンドアンカーの健全度を評価しただけでは精度高く評価することができない。

また、緊張材が完全に断線したグラウンドアンカーや、緊張力が極端に低下したグラウンドアンカーの場合には、緊張力が低下によりアンカー頭部における拘束がなくなって振動モードが複雑に変化するため、固有振動周波数にのみに着目したのではグラウンドアンカーの健全度を正しく評価することができない。

一方、特許文献2では、余長をパラメータに加え、余長および振動周波数と、緊張材の緊張力との関係から緊張力を求めて、この緊張力をグラウンドアンカーの健全度を評価するための指標として評価しているが、このとき、振動周波数として、複数の周波数成分の内からパワースペクトル量が最大の卓越成分の周波数に着目している。しかし、このような周波数成分は、計測条件やグラウンドアンカーの形状や材質、拘束条件などによって大きく変動するだけでなく、グラウンドアンカーへの打撃方法によってもばらつきが発生することが避けられず、現場でグラウンドアンカーの健全度を精度高く評価することができない。

また、上記したような振動周波数を用いた従来の評価方法を、実際のグラウンドアンカーの設置現場で用いると、すべての設置現場の施工条件ごとに、各パラメータと緊張力との関係についてデータベースを構築することが必要になる。具体的には、例えば、自由長の長さや緊張材の構成が異なる場合は、これらの自由長の長さや緊張材の構成を考慮したデータベースを一から構築する必要があり、そのためには膨大な量のモックアップ試験を実施することが必要となるため実用的な方法とは言えない。

2.従来技術における問題点の解決 上記したように、従来の振動周波数に基づいて非破壊的にグラウンドアンカーの健全度を評価する技術においては、健全度を評価する際に特定のパラメータだけに着目していたために、実際の現場ではグラウンドアンカーの健全度に影響するパラメータが不足して精度高く評価することができなかったことが分かった。

そこで、本発明者は、施工現場におけるグラウンドアンカーの多様なパラメータを十分に反映して評価することができれば、現場においても精度高くグラウンドアンカーの健全度を評価することができると考え、検討を行った。

その結果、複数のデータベース構築用のグラウンドアンカーに対して、グラウンドアンカーの健全度に影響する複数の健全度評価パラメータ(グラウンドアンカーの形状、材質、拘束条件や振動特性、施工条件など)の値と、緊張力などのグラウンドアンカーの健全度を評価するための健全度評価指標の値を測定して構築されたデータベース(健全度評価データベース)の各値を多変量解析することにより、設計変数である複数の健全度評価パラメータから、目的変数である健全度評価指標を導出する健全度評価数式モデルを構築することができ、この構築された健全度評価数式モデルを用いることにより施工現場における多様なパラメータを十分に反映して、精度高くグラウンドアンカーの健全度が評価できることが分かった。

なお、このような健全度評価数式モデルは、上記したように、各々のパラメータを変量とする多変量解析により行うことができ、具体的には、線形な関係である場合には重回帰分析などの手法を用い、非線形な関係である場合には、ニューラルネットワークなどの手法を用いて構築することができる。

そして、測定対象のグラウンドアンカーの健全度評価パラメータの値を測定して、上記において構築された健全度評価数式モデルに、測定した各々のパラメータの値を代入することにより、施工現場における多様なパラメータが十分に反映された健全度評価指標の値を算出することができるため、得られた値を用いてグラウンドアンカーの健全度を精度高く評価することができる。

以下、本発明を実施の形態に基づき、図面を用いて説明する。図1は評価対象のグラウンドアンカーの一例を模式的に示す断面図であり、図2は本実施の形態における振動特性の取得方法を説明する図である。

[2]グラウンドアンカーの構造 はじめに、本発明が評価対象とするグラウンドアンカーの構造について説明する。

図1に示すように、グラウンドアンカー1は、地盤に設けられたボーリング孔20に施工されており、地表側から順にアンカー頭部11と、緊張材14と、定着部16を備えている。

アンカー頭部11は、支圧板(ベースプレート)11a、緊張材固定具11b、台座となるコンクリート製の受圧板11cを備えている。そして、アンカー頭部11では、緊張材固定具11bによって緊張材14の一端が固定されており、他端は定着部16によって地中に固定されている。定着部16は、グラウト(セメントミルク)をボーリング孔20に流し込むことにより形成される。なお、図1中の14aは緊張材14の自由長部であり、lは余長である。

このグラウンドアンカー1は、緊張材14を地上側に向けて引っ張った状態で一端を、ナットや楔等の緊張材固定具11bで固定することにより、緊張材14に緊張力を生じさせて周辺の地盤を保持する。

なお、緊張材14としては、通常のグラウンドアンカーに使用されている緊張材のいずれでもよく、例えば、PC(プレストレスト・コンクリート)鋼線、総ネジPC鋼棒、PC鋼撚り線、多重撚りPC鋼撚り線、異形PC鋼線、異形PC鋼撚り線、連続繊維補強材、炭素繊維撚り線、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)ロッド、脂肪族ポリアミド繊維強化プラスチックロッドなどを適宜選択して用いることができる。

また、評価対象のグラウンドアンカーの上部における定着方式も限定されず、ナット定着型(例えば、SEEE工法、OPSアンカー、EGS工法、NM工法、CFRP工法、STAR工法など)のグラウンドアンカーや、くさび又はくさび・ナット併用型(例えば、SSL工法、VSL工法、SHS工法、KTB工法、スーパーフローテック工法、EHD工法、SuperMC工法など)のグラウンドアンカーなどの通常使用されている全てのタイプのグラウンドアンカーを評価対象とすることができる。

[3]振動特性の取得方法 次に、本発明の測定項目の一つである打撃による振動特性を取得するための方法について説明する。図2は本発明における振動特性の取得方法を説明する図である。

図2に示すように、グラウンドアンカー1の振動特性を取得するには、振動検出センサー18をアンカー頭部11に取り付け、アンカー頭部11をハンマー17で打撃する。この打撃によりグラウンドアンカー1に生じた振動が、振動検出センサー18で測定されて、アンプを介して解析PC(パーソナルコンピュータ)に送られることにより、打撃による振動特性を取得することができる。

この振動検出センサー18としては、アコースティックエミッションセンサ(AEセンサー)など、検査対象部材に直接接触させることができるセンサーを用いることが好ましい。なお、AEセンサーに代えて、マイクロフォンや加速度センサーなどを用いることもできる。

そして、図2に示すような構造のグラウンドアンカーの場合には、緊張材固定具11bに振動検出センサー18を取り付けることが好ましい。しかし、設置現場の状況によって、緊張材固定具11bに取り付けることが難しい場合には、支圧板11aに振動検出センサー18を取り付けてもよい。なお、振動検出センサー18の取り付け位置を変更した場合には振動特性も変化するため、健全度評価データベースを再び構築することが好ましい。

[4]グラウンドアンカーの健全度評価 次に、本発明の一実施の形態に係るグラウンドアンカーの健全度評価方法について説明する。

上記したように、本実施の形態に係るグラウンドアンカーの健全度評価方法は、データベース構築用の複数のグラウンドアンカーに対して、振動特性を含む複数の健全度評価パラメータの値と、健全度評価指標の値を測定し、その結果が入力されたデータベースを構築するデータベース構築工程と、構築されたデータベースに基づいて健全度評価数式モデルを構築する健全度評価数式モデル構築工程とを備えている点において従来の健全度評価方法と異なる。

本実施の形態においては、このようにして設計変数である複数の健全度評価パラメータから、目的変数である健全度評価指標を導出する健全度評価数式モデルを構築し、この健全度評価数式モデルを用いて、測定対象のグラウンドアンカーの健全度を評価しているため、現実にグラウンドアンカーが設置された現場における多様なパラメータを十分に反映して、グラウンドアンカーの健全度を十分な精度で評価することができる。以下、具体的に説明する。

本実施の形態においてグラウンドアンカーの健全度評価方法は、大きく分けて、健全度評価データベース構築工程と、健全度評価数式モデル構築工程と、健全度評価工程の3つの工程から構成されている。以下、各々の工程について具体的に説明する。

1.健全度評価データベース構築工程 健全度評価データベース構築工程は、グラウンドアンカーの健全度に影響する複数の健全度評価パラメータの値が複数入力されたデータベースである健全度評価データベースを構築する工程である。この工程は、設置現場において評価対象のグラウンドアンカーの健全度評価パラメータを測定する前に、健全に施工されていることが確認されているデータベース構築用のグラウンドアンカーを複数用意して、このデータベース構築用の複数のグラウンドアンカーを対象にして行う。

図3は本実施の形態に係る健全度評価方法の健全度評価データベース構築工程と健全度評価数式モデル構築工程を示すフローチャート図である。

本実施の形態においては、健全度評価パラメータとして、グラウンドアンカーの施工に関する情報であるアンカー情報と、上記した図2に示す方法で取得するグラウンドアンカーの振動特性を用いている。

そして、これらのアンカー情報と振動特性の値と健全度評価指標の値を測定してデータベースを構築するために、本実施の形態の健全度評価データベース構築工程は、(1)アンカー情報の調査と、(2)振動特性の取得と、(3)健全度評価指標の取得という3つの工程を備えている。以下、各々の工程について具体的に説明する。

(1)アンカー情報の調査 本工程では、振動特性以外のグラウンドアンカーの健全度評価に影響する可能性がある健全度評価パラメータとして、アンカー情報を予め調査してデータベースに入力する。このアンカー情報とは、グラウンドアンカーの施工に関する情報であり、評価結果に影響し得るパラメータを指しており、例えば、「アンカーの仕様」、「アンカーの施工・設置条件」を挙げることができる。

具体的には、「アンカーの仕様」には、グラウンドアンカーの型式や、図1中の緊張材固定具11b、緊張材14、支圧板11a、受圧板11cなどの形状、密度および材質、定着部の支持方式などがある。なお、定着部の支持方式とは、図1中の定着部16が緊張材14を固定する方式であり、摩擦引張型、摩擦圧縮型、荷重分散型などがある。

また、「アンカーの施工・設置条件」には、定着部16の長さ(定着長)、自由長部14aの長さ(自由長)、アンカーの設置度、設計時の緊張材14の緊張力、定着時の緊張材14の緊張力、図1中の余長lやグラウンドアンカーを施工した場所の地質などがある。

(2)振動特性の取得 本工程では、健全度評価パラメータの一つとして、グラウンドアンカーの振動特性を測定してデータベースに入力する。具体的には、上記した図2で示す方法に従って、グラウンドアンカー1をハンマー17等で打撃し、振動検出センサー18で測定したグラウンドアンカーの打音の振動波形に基づいて振動特性を取得する。

このときに取得する振動特性としては、例えば、振動波形、振動波形を周波数解析して得られる周波数分布、周波数分布の内、1次モードのピーク周波数、n次のピーク周波数、ピークの形状などが挙げられる。

また、振動によって得られたすべてのデータを取得するという観点から、単純な固有振動だけではなく、衝撃弾性波の周期も含めた周波数ピークを取得し、そのピークを評価に用いることもできる。また、振動波形に基づいた衝撃弾性波の周期を用いることもできる。

しかし、このとき、特許文献2のように、パワースペクトル量が最大の卓越成分の周波数を用いて評価を行うと、前記したように、振動の計測条件や打撃方法などの要素によって測定結果が大きく変動する恐れがある。そこで、本発明者は、このような計測条件や打撃方法などの要素が変化しても振動特性の計測結果を変動させることがないパラメータについて検討を行った。

その結果、横方向の曲げ振動が緊張材の緊張力と相関があることが判明したため、この横方向の曲げ振動を示す振動のピーク周波数を用い、このピーク周波数として、周波数分布のうちの一番低周波側のピーク周波数を用いた場合、計測条件やグラウンドアンカーの形状や材質、拘束条件、打撃方法などの種々の条件が変化しても、得られる値にばらつきが発生せず、パラメータとして好ましく使用できることが分かった。

(3)健全度評価指標の取得 本工程では、データベース構築用のグラウンドアンカーの健全度評価指標を取得して、上記(1)および(2)において得られた健全度評価パラメータと合わせてデータベースに入力する。この健全度評価指標は、既設のアンカーの実測値、例えばモックアップ試験体などでの試験結果を用いてもよく、有限要素法(FEM:Finite Element Method)などの理論解析結果を用いてもよい。

なお、健全度評価指標としては、アンカーの施工不良あるいは経年変化に伴う材料劣化に伴う損傷、腐食、自由長部と周囲との接触条件の変化、定着部の地盤状態の変化、グラウンドアンカーの固定状態を示す緊張材の緊張力の変化や断線などを用いることができるが、一般的には緊張力の変化が用いられる。

2.健全度評価数式モデルの構築工程 本工程は、上記した「(1)アンカー情報の調査」及び「(2)振動特性の取得」で取得した健全度評価パラメータの値(設計変数)と、「(3)健全度評価指標の取得」で取得した健全度評価指標の値(目的変数)とが入力されたデータベースにおける各々の値に基づいて健全度評価数式モデル(以下、「数式モデル」ともいう)を構築する。

この健全度評価数式モデルは、設計変数である健全度評価パラメータ(アンカー情報と振動特性)から、目的変数である健全度評価指標を導出する数式モデルであり、複数のグラウンドアンカーの各々のアンカー情報、振動特性、健全度評価指標の測定結果の値に基づいて多変量解析を行うことにより構築される。

例えば、アンカー情報として余長l、振動特性としてピーク周波数f、健全度評価指標として緊張力Sを用い、多変量解析を用いて健全度評価数式モデルを構築する場合には、上記した余長lおよびピーク周波数fと、緊張力Sとを関係づける下記のような式1を作成する。なお、式1においては、余長lとピーク周波数f以外のパラメータは、評価結果への影響を無視して差し支えないパラメータと考え、定数項γを置いている。

S=αl+βf+γ (式1)

そして、この式1中の余長l、ピーク周波数f、緊張力Sの各項に、上記した(1)〜(3)の工程で取得した値が入力されたデータベースから、複数のグラウンドアンカー毎に各々の実測値を代入して、緊張力Sについての複数の式を立て、重回帰分析により式1中の係数α、βおよび定数γを算出する。

この式1中の係数α、β、γが算出されれば、設置現場において、余長lとピーク周波数fを取得し、この式に代入するだけで緊張力Sを取得することができるようになる。

なお、上記した式1においては、健全度評価パラメータであるアンカー情報(余長l)と振動特性(ピーク周波数f)と健全度評価指標(緊張力S)とが線形的な関係であることが分かっているため、重回帰分析を利用して数式モデルを構築している。なお、これらの設計変数と目的変数が非線形な関係である場合には、ニューラルネットワークなどを用いることにより健全度評価数式モデルを構築することができる。

3.健全度評価工程 本実施の形態においては、上記した健全度評価モデルを構築した後に、評価対象のグラウンドアンカーについて、健全度評価工程を行う。

図4は本実施の形態に係る健全度評価方法の健全度評価工程を示すフローチャート図である。図4に示すように、本実施の形態の健全度評価工程は、評価対象のグラウンドアンカーの健全度評価パラメータを取得するために(1)評価対象のアンカー情報の調査と(2)評価対象の振動特性の取得の2つの工程を行った後に、評価対象の健全度を評価するために(3)振動異常判定(判定1)と(4)健全度の判定(判定2)を行う。

(1)評価対象のアンカー情報の調査 本工程においては、評価対象のグラウンドアンカーについて、上記した健全度評価データベース構築工程のアンカー情報の調査工程で取得したアンカーの情報と同じ種類の健全度評価パラメータを同じ条件の下で取得する。

例えば、上記した健全度評価データベース構築工程のアンカー情報の調査工程において、アンカー情報としてアンカー頭部の余長を取得している場合には、本工程においても、評価対象のアンカー頭部の余長を健全度評価データベース構築工程の場合と同じ手順で測定する。

(2)評価対象の振動特性の取得 本工程では、評価対象のグラウンドアンカーに振動検出センサー18を取り付けて、ハンマー17で打撃することにより評価対象の振動特性を取得する。なお、このときの測定条件は、健全度評価データベース構築工程の振動特性の取得工程と同じ条件に設定し、上記した健全度評価データベース構築工程で取得した振動特性と同じ種類の振動特性を健全度評価パラメータとして取得する。

(3)振動異常判定(判定1) 本実施の形態においては、健全度評価指標の値を算出して評価する前に、上記で得られた振動特性が異常であるか否かを判定する振動異常判定工程を行う。これにより、グラウンドアンカーに断線などの異常が発生しているか否かを即座に判定することができる。

具体的には、評価対象の振動特性と、健全度評価データベースに記憶された通常の振動特性とが、同等の特性を有しているか否かを判定する。そして、同等でない場合には、評価対象のグラウンドアンカーに通常の振動特性が得られないような異常が発生している、あるいはデータベースに記憶された振動特性が不足していると判定し、健全度の評価を中止し、ジャッキを用いた引張試験などの詳細検査を実施する。一方、同等であれば、振動異常が無いと判定して次工程の健全度の判定を開始する。

なお、この異常判定工程において、比較に用いる振動特性としては、振動波形や周波数分布形状が好ましい。

(4)健全度の判定(判定2) そして、本工程においては、先ず、上記の「(1)評価対象のアンカー情報の調査」で得られた評価対象のアンカー情報と、「(2)評価対象の振動特性の取得」で得られた評価対象の振動特性を、「2.健全度評価数式モデルの構築工程」で構築した数式モデルに導入して健全度評価指標の値を算出する。

そして、算出後の健全度評価指標に基づいて、評価対象が健全であるか否かを判定して、評価対象のグラウンドアンカーの健全度を評価する。具体的には、健全度評価指標に対して基準値を設け、算出後の健全度評価指標の値と基準値とを比較することにより評価対象が健全であるか否かを評価する。これにより、評価対象のグラウンドアンカーの健全度を容易に評価することができる。

本実施の形態によれば、グラウンドアンカーの健全度に影響する複数の健全度評価パラメータの値と、グラウンドアンカーの健全度を評価する健全度評価指標の値とを測定し、その測定結果に基づいて構築した健全度評価数式モデルに基づいて、測定対象のグラウンドアンカーの健全度評価指標の値を算出することにより、施工現場における多様なパラメータが十分に反映された健全度評価指標の値を算出することができるため、グラウンドアンカーの健全度を精度高く評価することができる。

なお、本実施の形態においては、健全度評価工程において、健全度の判定(判定2)を行う前に振動異常判定(判定1)を行っているが、この振動異常判定は必ずしも行う必要はなく、評価対象の振動特性の取得を行った後、直ちに健全度の判定(判定2)を行ってもよい。この場合でも、評価対象のグラウンドアンカーの健全度評価指標の値を算出して、評価対象の健全度を評価することができるが、予め判定1において振動異常判定を行うことにより、効率的に健全度の評価を行うことができる。

以下、本発明に至るまでに本発明者が行った実験と検討を説明する。

[1]実施例1 1.概要 本発明者は、上記した実施の形態に係る健全度評価方法を用いて、グラウンドアンカーの健全度を精度高く評価することができるか確認するための実験を行った。

本実施例では、グラウンドアンカーの健全度に影響する健全度評価パラメータとして、アンカー情報のアンカー頭部の余長と、グラウンドアンカーの振動特性のピーク周波数を用いると共に、グラウンドアンカーの健全度を評価する健全度評価指標として緊張材の緊張力を用いた。

また、振動特性については、予め行った実験により、横方向の曲げ振動が緊張材の緊張力と相関があることが判明したため、この横方向の曲げ振動を示す振動のピーク周波数を用いた。なお、このピーク周波数として、周波数分布のうちの一番低周波側のピーク周波数を用いた。

次に、アンカー1〜5の5本のグラウンドアンカーに対して、上記した余長l、緊張力S、ピーク周波数fの実測値を測定し、これらのパラメータの実測値に基づいて、上記した式1(S=αl+βf+γ)中のα、β、γを重回帰分析により算出し、健全度評価数式モデルを構築した。

そして、構築した健全度評価数式モデルを用いて、健全度評価指標として各々のグラウンドアンカーの緊張力の値を算出した。また、各々のグラウンドアンカーに対してリフトオフ試験を実施し、このリフトオフ試験による実測値と、上記した健全度評価数式モデルにより算出された値とを比較してその差を求めた。この結果、健全度評価数式モデルにより算出された値と、リフトオフ試験による実測値が概ね一致していることが確認され、この数式モデルがグラウンドアンカーの健全度評価指標の値の算出に十分適用できることが分かった。

さらに、算出された緊張力に対して、上限値あるいは下限値を設けて健全度を評価する基準を考察した。加えて、断線や緊張力の著しい低下などの健全状態とは大きく異なる状態のアンカーを、緊張力の算出を行う前に判定する手段について検討した。

以下、実施例1を詳細に説明する。

2.評価対象のグラウンドアンカー 本実施例では、評価対象のグラウンドアンカーとして、アンカータイプSEEE F50のグラウンドアンカー(エスイー社製)を5本施工した。なお、このグラウンドアンカーは、図1中の緊張材固定具11bに代えて六角形のナットとネジ部により緊張材を固定するナット定着型のグラウンドアンカーであり、この主な仕様は以下の通りである。 支圧板(四角形):(縦)208×(横)208×(厚さ)19mm ナット(六角形):(平面間)62×(頂点間)71×(高さ)19mm ネジ部 :(径)42mm

3.健全度評価データベース構築工程 以下、実施例1において行った健全度評価データベース構築工程について説明する。

(1)アンカー情報の取得 まず、データベースの構築に必要なアンカー情報として、アンカー頭部の余長を取得した。表1にアンカー1〜5の各々における余長の実測値を示す。

(2)振動特性の取得 ハンマーを用いてアンカー頭部に打撃を加えて、発生した振動を振動検出センサーで測定することによりグラウンドアンカーの振動波形を取得した。取得した振動波形の例を図5に示す。なお、図4中の縦軸は振幅(Amplitude:mV)であり、横軸は時間(Time:ms)である。図4に示すように、打撃により信号が発生し、時間経過によって減衰する振動波形が得られることが確認された。

このとき、得られた振動波形よりアンカー底部からの反射信号を得ることも可能であり、全長などのアンカー情報を取得することができない場合には、反射信号と音速から全長を算出し、健全度評価の入力パラメータとすることも可能である。アンカー底部からの反射信号を含む振動波形の例を図8に示す。

図8では円で囲った部分がアンカー底部からの反射信号を示している。このアンカー底部からの反射信号は、アンカー上部をハンマーで打撃して生じた振動がアンカー端部より先の岩盤にはほとんど透過せず、アンカー端部でほぼ全て反射されて振動波として返ってくることから、ハンマーによる打撃を行った後、ある程度遅い時間帯で大きな信号として得られる。

(3)健全度評価指標の取得 本実施例では健全度評価指標として緊張力を用いており、データベースを構築するために、リフトオフ試験を用いて緊張力の実測値を測定した。測定結果を表2に示す。

(4)データベースの構築 実施例1では、上記したように、アンカー情報として余長l、振動特性としてピーク周波数f、健全度評価指標として緊張力Sを用いて、健全度評価データベースを構築した。

なお、本実施例においては、評価対象のグラウンドアンカーの種類が同じであるため、アンカー情報として余長lを用いると共に、健全度評価指標として緊張力Sを用いて健全度評価データベースを構築しているが、他にも、アンカー情報としてグラウンドアンカーの形状、材質および拘束条件(定着長、自由長、余長、支圧板や受圧板の形状や剛性等)を組み込み、健全度評価指標として評価対象グラウンドアンカーの固定状況(緊張状態、緩み、過緊張、断線など)を組み込むことで、評価可能な範囲を拡大することも可能である。

4.健全度評価数式モデル構築工程 上記した余長l、ピーク周波数fから緊張力Sを算出する数式モデルの構築には、重回帰分析やニューラルネットワーク等の多変量解析を用いることができる。本実施例においては、余長l、評価ピーク周波数fと、緊張力Sとの関係が線形的関係にあるため、重回帰分析を用いて数式モデルを構築した。数式モデルを構築するために本実施例で用いた式1を以下に示す。なお、式1においてγは、前記したように、余長lとピーク周波数f以外の評価結果への影響を無視して差し支えないパラメータによる定数である。

S=αl+βf+γ (式1) S :緊張力(kN) l :余長(mm) f :ピーク周波数(Hz) α、β:係数 γ :切片(定数)

そして、測定したアンカー1〜5のそれぞれの余長l、評価ピーク周波数fを、上記した式1に代入して緊張力Sについての5つの式をたて、重回帰分析を用いて係数α、β、および切片γを求めた。

上記した工程において得られたアンカー1〜5の余長l(mm)と評価ピーク周波数f(Hz)の実測値を表3に示し、緊張力の実測値(残存緊張力)を表4に示す。そして、これらの値を式1に代入して求めたα、βおよびγを表5に示す。

得られたα、βおよびγを式1に代入することにより、アンカー1〜5を対象とした数式モデルが下記のように構築された。 S=5.982l+0.4799f+(−1172)

5.健全度評価工程 次に、本実施例における健全度評価工程について説明する。

(1)振動異常判定 本実施例においては、上記した数式モデルに基づいて健全度評価指標の値を算出する前に、評価対象のグラウンドアンカーが健全に施工されているか、異常が生じているかを判定する異常判定を行った。ここでは、図2中の支圧板11aに振動検出センサー18を取り付け、得られた振動特性に基づいて振動異常判定を行った。

健全アンカーの支圧板における振動波形を図6に示し、緊張力が極端に低いアンカーの支圧板における振動波形を図7に示す。ここでは、振動持続時間、減衰率の観点から対象のアンカーが異常であるか否かを判定した。図6に示す健全アンカーの支圧板における振動持続時間は10ms程度であるのに対し、図7に示す緊張力が極端に低いアンカーでは、支圧板の振動持続時間が健全アンカーの4倍以上であった。このように、振動持続時間の差に基づいて異常を判定することができることが確認できた。

また、アンカー本体ではなく、その他の周辺構造物の振動特性より目的のアンカーの健全度を評価することも可能である。具体的な一例として、グラウンドアンカーは現場ではキャップやコンクリートで埋められている場合があり、アンカー自体の振動を測定できない場合があるが、このような場合でも、アンカーが接触している部材の振動特性から、アンカー本体の振動特性を推測することができる。例えば、図2中のアンカー頭部11の緊張材固定具11bにキャップがつけられているような場合には、支圧板11aの振動特性を取得することによりアンカーの健全度を推定することができる。

次に、計測時のセンサーの設置状況や、打撃状況のばらつきが及ぼす影響を低減させて、上記した方法よりも精度が高い異常判定を行うために、振動波形に高速フーリエ変換(FFT)処理を施して振動波形の周波数分布を取得すると共に、振動波形の測定を10回実施し、全ての測定結果に基づいて平均化処理を施した。高速フーリエ変換と平均化処理を施して周波数分布の一例を図9に示す。図9の縦軸は強さ(Magnitude)であり、横軸は周波数(Frequency:Hz)である。

そして、表1に示すアンカー1〜5のそれぞれのグラウンドアンカーについて、高速フーリエ変換と平均化処理を施し、周波数分布全体を確認した(図10参照)。また、比較のために、健全に施工されていないことが判明しているグラウンドアンカーについても高速フーリエ変換と平均化処理を施して周波数分布全体を確認した(図11参照)。図10、図11中の縦軸は強さ(Magnitude)であり、横軸は周波数(Frequency:Hz)である。

図10および図11に示すように、本実施例で用いたアンカー1〜5は、全体として近い形状の周波数分布が得られており、図11のような明らかに異常を有しているグラウンドアンカーとは周波数分布の形状が、図10のような健全なグラウンドアンカーとは異なっていることが確認できた。このことから、後述する健全度評価指標(緊張力)の値の算出を行う前に、振動特性が異常であるか否かを判定する異常判定工程を行えば、グラウンドアンカーに断線などの明らかな異常が発生しているか否かを即座に判定することができることがわかった。

なお、図11中の「緊張力が極端に低いアンカー」のような波形は、単純な緊張力の低下だけではなく、材料劣化や損傷、腐食、自由長部の周囲との接触、定着部の岩盤状態に伴う緊張力の極端な低下が生じた場合でも確認されることから、この波形に基づけば材料劣化などの異常も検出できることを示している。

また、図11中の「抜けが生じたアンカー」についても、単純に定着部から緊張材が抜けた場合だけはなく、緊張材が断線した場合も検出できる。さらに、「自由長部に構造物が接触している状態のアンカー」についても、単純に自由長部に構造物が接触していることだけではなく、経年変化によって斜面が徐々に変化して自由長部にボーリング孔の壁面が接触したりして起こるアンカー上部の拘束条件の変化(たとえば、支圧版や受圧板、ナット)を検出できることを示している。

上記した異常判定において健全に施工されたアンカーと判定された場合には、取得した振動特性に基づいてピーク周波数fを取得する。なお、実施例1では1次のモードに着目したが、2次以上のモードのピーク周波数を基に、振動異常判定用のデータベースを構築することもできる。

(2)健全度評価指標の値の算出 次に、上記した数式モデルの構築において得られた数式モデルに余長lおよび評価ピーク周波数fを代入してアンカー1〜5の緊張力を算出した。そして、算出した緊張力と、リフトオフ試験で測定した緊張力の実測値との差を求めた。結果を表6に示す。

表6より、アンカー1〜5では緊張力の算出値と実測値の差が−10.5〜33.4の範囲内であり、十分に高い精度で緊張力(健全度評価指標)を定量化できることが確認できた。

なお、本実施例では、数式モデルとして余長l、評価ピーク周波数fと、緊張力Sとの関係を示す式として上記した式1を用いたが、下記の式2のように、「アンカー情報」および「振動特性」の各々に対して累乗の項を含めることにより、さらに評価精度を高めることができる。

また、アンカー情報などの入力パラメータについては、出力パラメータである健全度評価指標に及ぼす影響が小さいパラメータを省略することで、実施例1のような余長と評価ピーク周波数という2つのパラメータからなる簡略化された数式モデルを作成することができる。

また、入力パラメータと出力パラメータが非線形な関係であることが想定される場合、上記した式1を用いるような重回帰分析では、入力パラメータと出力パラメータを数式で表現することが難しいため、ニューラルネットワークなどを用いたモデルとすることもできる。この場合には、例えば、緊張力をニューラルネットワークの出力層に学習させ、振動特性や余長などのアンカー情報をニューラルネットワークの入力層として学習する。

(3)健全度評価 健全度評価は、例えば、上記したように、構築した数式モデルを用いて緊張力を算出し、算出された緊張力に基づいて作業者が判断するという方法で行うこともできるが、緊張力に一定の基準値を設け、その基準値に対し、算出した値が低い或いは高いという診断をすることも可能である。例として、SEEE 70UAで設計時の緊張力が400kNであるアンカーの余長と評価ピーク周波数との関係を図12に示す。図12で縦軸は評価ピーク周波数f(Hz)であり、横軸は余長l(mm)である。

図12に示した例では、各々の評価対象が、数式モデルで算出した緊張力400kNのラインにほぼ一致しているため、設計時に近い緊張力を保っていることがわかる。また、評価ピーク周波数fについて破線で示す上限値及び下限値で健全領域を設定し、範囲内であれば健全であり、範囲外であれば健全ではないという手法で健全度を評価することもできる。このときの評価ピーク周波数fの上限値および下限値は、設計基準、現場の状況(例:地山の変状、受圧板の劣化)、施工後年数等を考慮して設定することが望ましい。

また、本実施の形態における健全度評価方法は、経年変化に伴い劣化したアンカーを評価できるだけでなく、施工時に正しく施工されているかどうかといった施工品質を評価することにも利用できる。

以上のように、実施例1の結果より、上記した実施の形態に係る健全度評価方法を用いることにより、グラウンドアンカーの健全度を評価することが可能であり、この評価結果に基づいて、複数のグラウンドアンカーが設けられた法面全体を評価することで、法面の安定性を評価することも可能となる。

なお、法面全体の安定性を評価する際には、健全度の異なる各々のグラウンドアンカーが法面全体に対してどのように分布しているかを評価することが必要である。また、より定量的に評価する場合は、アンカー単体の健全度(緊張力など)及びアンカーの設置角度などより抑止力を算出し、地山の地質・地形などより算出した地山すべり力と比較検討することが望ましい。

[2]実施例2 上記した実施例1では、健全度評価パラメータとしてアンカー情報である余長と振動特性とを用いて健全度評価指標の値を精度高く算出できるかについて試験を行ったが、実験例2においては、上記した余長と振動特性に加えて、他のアンカー情報(径、断面積比、マンションの長さ、緊張材の種類、自由長)を複数組み込んだ健全度評価データベースを構築し、この健全度評価データベースに基づいた数式モデルを構築し、この数式モデルが健全度評価指標の値を精度高く算出できるかについて試験を行った。

1.実験1 (1)データベースの構築 本実験においては、データベース構築のために、φ20.3mmのPC鋼より線1本から緊張材が構成されるグラウンドアンカー(F50TA)と、φ9.5mmのPC鋼より線7本から緊張材が構成されるグラウンドアンカー(F70UA)をそれぞれ4本ずつ用意した。

本発明者は、仕様の異なるアンカーを評価するためには、振動特性に大きく寄与するアンカー材の形状と材質を考慮する必要があると考えた。具体的には、SEEEタイプのアンカーでは、マンション上部まで緊張材が入っているため、緊張材の構成が異なると、マンション部の単位長さあたりの質量が異なる。したがって、緊張材の構成が異なる場合はマンション部と緊張材の割合などが考慮されたパラメータを用いることが望ましい。今回は、緊張材の有効断面積をマンションの断面積で割った値(断面積比)を用いた。

また、振動特性としてn次の振動モードを評価する場合は、マンション部の構成やマンション上部の拘束にかかわる部材(ナット、受圧板、支圧板など)の形状と材質を考慮する必要がある。本実験においては、グラウンドアンカーの仕様の違いを示すパラメータとして、緊張材の断面積とマンション全体の断面積の比(断面積比)を用いた。

上記した考察に基づいて複数のアンカー情報を入力したデータベースの例を表7に示す。なお、表7中の緊張力は実測値である。

(2)評価方法および評価結果 表7に示したデータベースに基づいて、実施例1と同様に重回帰分析を用いて、アンカー情報としてマンション長さ、断面積比、余長、評価ピーク周波数を採用した数式モデルを構築し、この数式モデルに基づいて表7に示す各アンカー1〜8の緊張力を算出した。

そして、各アンカー1〜8の緊張力について、数式モデルで得られた値と実測値(表6の緊張力)とを比較して誤差を求めた。評価結果を表8に示す。

表8より、本実施例では、アンカー1〜8について、誤差が1.4〜10.6の範囲内に低減されており、数式モデルを構築する際に適切なアンカー情報を加えることにより、健全度評価指標の値の算出における誤差を低減させて非常に正確な健全度評価ができることを確認できた。

2.実験2 本実験においては、余長と自由長部の長さ(自由長)をアンカー情報として入力したデータベースを構築し、構築されたデータベースに基づいた数式モデルを構築し、この数式モデルを用いて健全度評価を行った。自由長が大きく異なる様々な仕様のグラウンドアンカーを評価する場合には、この自由長を入力パラメータとすることにより、より高い精度で評価が可能となると考えられる。

4本のグラウンドアンカー(アンカー1〜4)について、表9に示す自由長と余長とピーク周波数と緊張力(実測値)の測定値に基づいて、実施例1と同じ方法で数式モデルを構築した。そして、構築された数式モデルを用いて緊張力を算出した。

そして、緊張力の実測値(定着時緊張力)との誤差を算出し、本実験で作成した数式モデルによる健全度評価の精度を調べた。結果を表10に示す。なお、表10中の「緊張力(算出値A)」は、自由長をアンカー情報に含めなかった場合、「緊張力(算出値B)」は自由長をアンカー情報に含めた場合の緊張力の算出結果を示す。

表10に示すように、自由長をアンカー情報に含めなかった場合の算出値Aでは、実測値との誤差が3.0〜7.0(kN)となり、自由長をアンカー情報に含めた場合の誤差は、実測値との誤差が0.2〜5.4(kN)となっていた。このことから、自由長をアンカー情報に含めた場合の方が、誤差が小さく、より高い精度で評価できることが確認された。

以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。

1 グラウンドアンカー(アンカー) 11 アンカー頭部 11a 支圧板(ベースプレート) 11b 緊張材固定具 11c 受圧板 14 緊張材 14a 自由長部 16 定着部 17 ハンマー 18 振動検出センサー 20 ボーリング孔 l 余長

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