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固形燃料とその製造方法

阅读:1发布:2022-03-26

专利汇可以提供固形燃料とその製造方法专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且燃料 体に対する着火が確実かつ迅速に行え、しかも煙や異臭を伴うことなく長時間にわたって燃焼状態を維持できる。したがって、生食材の焼き調理や、加熱調理等の熱源として好適な固形燃料を提供する。燃焼空気用の通口(6)の一群が形成された扁平な円柱状の燃料体(1)と、燃料体(1)の下面全体に配置されるテルミット様発熱材からなる着火剤層(2)と、着火剤層(2)の表面の一部に設けられる点火部(3)とを備えている。燃料体(1)は、高温で焼成したヤシ殼炭を粉砕して、粒度が12〜32メッシュに調整された炭粒(4)を加圧成形して多孔質に形成する。通口(6)は燃料体(1)に16〜26個形成する。,下面是固形燃料とその製造方法专利的具体信息内容。

  • 燃焼空気用の通口(6)の一群が形成された燃料体(1)と、燃料体(1)の表面に配置されるテルミット様発熱材からなる着火剤層(2)と、着火剤層(2)の表面の一部に設けられる点火部(3)とを備えており、
    燃料体(1)が、無臭性炭素材を原料とする炭粒(4)を加圧成形して、炭粒(4)間に隙間(14)を有する多孔質に形成されていることを特徴とする固形燃料。
  • 燃料体(1)を構成する炭粒(4)が、木炭、ヤシ殻炭、竹炭、マングローブ炭などの植物由来の無臭性炭素材の1種以上を含んでいる請求項1記載の固形燃料。
  • 燃料体(1)が、高温で焼成したヤシ殻炭を粉砕して、粒度が6〜60メッシュに調整された炭粒(4)と、炭粒(4)どうしを結着するバインダー(5)とを含み、
    バインダー(5)が、耐火セメントまたはキャスタブルと、多糖類または蛋白質で形成されるのりとの混合物からなり、
    着火剤層(2)が、酸化鉄と、ケイ素と、鉱物繊維と、酸化アルミニウム系または酸化ケイ素系のバインダーとを含んでおり、
    水を加えてペースト状に調整した着火剤を、燃料体(1)の表面に付着させて乾燥することにより、着火剤層(2)が燃料体(1)と一体化されており、
    着火剤層(2)の表面の一部に点火部(3)が露出している請求項1記載の固形燃料。
  • 燃料体(1)が、扁平な立体形状に形成されており、
    燃料体(1)の下面全体が、着火剤層(2)で覆われており、
    着火剤層(2)の反応熱によって燃料体(1)を面状に迅速着火できる請求項3記載の固形燃料。
  • 円盤状に形成した燃料体(1)に、16〜26個の通口(6)が上下貫通状に形成されており、
    燃料体(1)の上面の面積に占める全通口(6)の開口面積の比が、7.5〜30%に設定されている請求項4記載の固形燃料。
  • 型枠(10)に充填した炭粒(4)とバインダー(5)との混合物をプレス機で加圧して、炭粒(4)間に隙間(14)を有する多孔質の燃料体(1)を成形し、同時に燃料体(1)に通口(6)の一群を形成する第1工程と、
    型枠(10)内の燃料体(1)の表面にペースト状に調整した着火剤を流し込んで、燃料体(1)の片面の全体に着火剤層(2)を形成する第2工程と、
    着火剤層(2)を乾燥固化して燃料体(1)と一体化したのち、着火剤層(2)の表面の一部に点火部(3)を着火剤層(2)の表面に露出するよう塗布形成し、型枠(10)から燃料体(1)を分離する第3工程とからなる固形燃料の製造方法。
  • 型枠(10)ごと燃料体(1)を乾燥固化したのち、型枠(10)内の燃料体(1)の表面に、ペースト状に調整した着火剤を流し込んで着火剤層(2)を形成する請求項6記載の固形燃料の製造方法。
  • 说明书全文

    この発明は、焼き調理や加熱調理などの調理用の熱源として好適な固形燃料とその製造方法とに関する。

    炭素質の燃料体と着火材とを備えた固形燃料に関して、特許文献1が公知である。 そこでの固形燃料は、木炭および成形炭とを含む燃料体と、着火材と、これら両者を収容する包装材とを含んでいる。 着火材には、固形アルコールやゲル状の工業用アルコール燃料などを用いており、これで成形炭を着火させている。 燃料体の殆どを占める木炭は、木炭群の中央に配置した成形炭の燃焼熱によって着火する。
    着火しにくい木炭の着火材として、ヤシ殻や籾殻などの繊維質素材の炭化物粉末と、アルコールに代表される可燃液体有機物と、バインダーとを混練したうえで筒状に成形したのち、乾燥させることも提案されている(特許文献2)。
    この発明では、着火材として例えばテルミットを使用して、その還元反応熱で燃料体を着火させる。 この種のテルミット様反応熱を熱源とする発熱体は特許文献3に公知である。 そこでは、テルミット様発熱剤と、繊維と、バインダーとを含む発熱剤含有ペーストをシート状に形成したのち、乾燥させて任意形状に整形している。 発熱体の外面は、必要に応じて保護フィルムで覆ってある。 この種の発熱体は、アルコール系やパラフィン系の発熱体に比べて反応速度が著しく速く、しかも発熱体がシート状であるため燃焼時間が極端に短く、調理用の熱源としては不向きである。
    [特許文献1]特許第3157819号公報(段落番号0013、図2)
    [特許文献2]特開2003−20491号公報(段落番号0015、図1)
    [特許文献3]特開2003−240355号公報(段落番号0026、図1)
    特許文献1の固形燃料においては、着火材、成形炭、次いで木炭の順で着火する。 ところが、包装材に収容した木炭群の中央部分に成形炭が配置されるので、成形炭が燃焼し始めた時点で周辺の燃焼空気が消費され、酸素不足で成形炭の燃焼を持続できないことがある。 着火材に点火してから、木炭群に火が回るのに多くの時間が掛かるため、例えばレストラン等において固形燃料を熱源にして焼き調理や加熱調理を行う場合に、木炭群を予め燃焼させておく必要があり即応性に欠ける。
    さらに、未燃焼の木炭が燃焼灰で覆われて(以下灰かぶり現象という)、火が徐々に低下しがちであり、木炭の一部が未燃焼状態のままで残ることがあり、その分だけ無駄になる。 こうした固形燃料の無駄は、例えばレストラン等において固形燃料を熱源とする焼き物や鍋物などの各種の料理を提供する場合などに無視できない量になる。 固形アルコールからなる着火材や、石炭や燃料油を含む成形炭は、特有の臭いを伴いながら燃焼するため、固形燃料で食材を加熱調理するのに問題があり、とくに生物(なまもの)を焼き調理する場合に他の食材に臭いが移りやすい。
    本発明の目的は、燃料体に対する着火を確実かつ迅速に行える固形燃料を得るにある。 本発明の目的は、燃料体が煙や異臭を伴うことなく長時間にわたって燃焼状態を維持する固形燃料を得るにある。 したがって、本発明の目的は、生食材の焼き調理や、加熱調理等の熱源として好適な固形燃料を提供することにある。
    本発明の目的は、燃料体に迅速に着火でき、灰かぶり現象による火力の低下も解消して燃料体を最後まで完全に燃焼でき、所定の加熱温度を長時間にわたって安定的に発揮する固形燃料を提供することにある。

    本発明の固形燃料は、図1に示すごとく、燃焼空気用の通口6の一群が形成された燃料体1と、燃料体1の表面に配置されるテルミット様発熱材からなる着火剤層2と、着火剤層2の表面の一部に設けられる点火部3とを備えている。 このうち、燃料体1が、無臭性炭素材を原料とする炭粒4を加圧成形して、炭粒4間に隙間14を有する多孔質に形成されていることを特徴とする。
    燃料体1を構成する炭粒4としては、木炭、ヤシ殻炭、竹炭、マングローブ炭などの植物由来の無臭性炭素材の1種以上を含んだものを選ぶことができる。
    更に具体的にみると、燃料体1は、高温で焼成したヤシ殻炭を粉砕して、粒度が6〜60メッシュに調整された炭粒4と、炭粒4どうしを結着するバインダー5とを含む。 そのバインダー5は、無機物の耐火セメントまたはキャスタブルと、天然物の多糖類または蛋白質で形成されるのりのいずれかひとつ、あるいは2種以上の混合物からなる。 着火剤層2は、酸化鉄と、ケイ素と、鉱物繊維と、酸化アルミニウム系または酸化ケイ素系のバインダーとを含んでいる。 かくして、を加えてペースト状に調整した着火剤を、燃料体1の表面に付着させて乾燥することにより、着火剤層2を燃料体1と一体化する。 その際、着火剤層2の表面の一部に点火部3を露出させておく。
    前出の燃料体1は扁平な立体形状、例えば円盤状に形成して、燃料体1の下面全体を着火剤層2で覆い、着火剤層2の反応熱によって燃料体1を面状に迅速着火できるようにすればよい。
    また、円盤状に形成した燃料体1には、16〜26個の通口6を上下貫通状に形成し、燃料体1の上面の面積に占める全通口6の開口面積の比を、7.5〜30%に設定することが好ましい。
    本発明の固形燃料の製造方法においては、図4に示すごとく、型枠10に充填した炭粒4とバインダー5との混合物をプレス機で加圧して、炭粒4間に隙間14を有する多孔質の燃料体1を成形し、同時に燃料体1に通口6の一群を形成する第1工程と、型枠10内の燃料体1の表面にペースト状に調整した着火剤を流し込んで、燃料体1の片面の全体に着火剤層2を形成する第2工程と、着火剤層2を乾燥固化して燃料体1と一体化したのち、着火剤層2の表面の一部に、点火部3をこれが着火剤層2の表面に露出するよう塗布形成し、型枠10から燃料体1を分離する第3工程とを経て固形燃料を製造する。
    先の第2工程においては、型枠10ごと燃料体1を乾燥固化したのち、型枠10内の燃料体1の表面に、ペースト状に調整した着火剤を流し込んで着火剤層2を形成することができる。
    発明の効果 本発明の固形燃料では、燃焼空気用の通口6の一群を形成した燃料体1と、燃焼空気を必要とせず、しかも高温の反応熱を発生するテルミット様発熱材からなる着火剤層2と、着火剤層2の一部に設けられる点火部3とで構成されているので、身近なライターなどで点火部3に着火するだけで、着火剤層2の還元反応が開始し、その高温の反応熱によって燃料体1を燃やすことができる。 したがって、従来のこの種の固形燃料に比べて、より迅速にしかも確実に燃料体1を着火できる。
    燃料体1は、炭粒4を加圧成形して多孔質に形成されているので、隣接する炭粒4の間に比較的大きな隙間14が確保されており、この隙間14の存在によって、炭粒4に対する燃焼空気や炎の接触機会が増え、その分だけ炭粒4への迅速な着火、すなわち燃料体1の迅速な着火を実現できる。 先の隙間14は、個々の炭粒4に対する燃焼空気の送給を円滑化して、燃料体1の燃焼状態を好適に維持し、燃料体1を完全燃焼させることにも役立つ。 炭粒4を無臭性炭素材で形成したのは、燃料体1の燃焼時に煙や異臭が発生するのを避けるためであり、これにより生食材の焼き調理や、加熱調理等の熱源として好適な固形燃料が得られる。 燃料体1の形成素材を炭粒4とすることにより、着火のしやすさを実現しながらも、同じ重量の粉状の炭で形成した燃料体に比べて燃焼持続時間を長時間化できる。
    炭粒4が木炭、ヤシ殻炭、竹炭、マングローブ炭などの植物由来の無臭性炭素材の1種以上を含んでいると、燃料体1の燃焼時に煙や異臭が発生するのを確実に解消して、生食材の焼き調理や、加熱調理等の熱源として好適な固形燃料が得られる。 複数種の無臭性炭素材で炭粒4が形成されていると、例えば着火特性に優れた無臭性炭素材と、火持ちの良好な無臭性炭素材とを組み合わせるなどにより、用途に応じた特性の固形燃料を形成でき、その分だけ固形燃料の適用対象が拡大する。
    燃料体1は、例えば円盤状などの扁平な立体形状に形成して、その下面全体に着火剤層2を形成してあると、着火剤層2の反応熱で燃料体1を面状に迅速着火できる。 燃料体1が扁平な立体形状に形成されていると、市販の練炭に代表される上下厚みの大きい成形炭に比べて、燃料体1の全周面への着火時間を大幅に短縮でき、燃料体1の上面全体で強い火力を均等に発揮して、生食材の焼き調理や、加熱調理等をさらに好適に行える。
    高温で焼成したヤシ殻炭のみを原料にして、粒度が6〜60メッシュに調整された炭粒4と、炭粒4どうしを結着するバインダー5とを含む燃料体1によれば、竹炭やマングローブ炭などの他の無臭性炭素材を原料とする場合に比べて、着火の容易性と火持ちの良さとをバランスよく発揮する燃料体1が得られ、原料炭を低コストで入手できる。 炭粒4の粒度が6メッシュを越えて大きくなると、粒度が大きい分だけ着火しにくくなり、燃料体1の着火に時間が掛かる。 また、粒度が60メッシュより小さな炭粒4の場合には、その比表面積が大きくなり過ぎて燃焼持続時間が著しく短くなり、火持ちが悪い点で実用に適さなくなる。 したがって、炭粒4は8〜60メッシュのものが用いて好ましい。
    因みに木炭は、他の無臭性炭素材を原料とする場合に比べて、原料コストが高く付くうえ、焼成原木の違いで炭素材の質にばらつきが出るのを避けられず、炭粒4の燃焼特性を一律に揃えるのが難しい。 例えば、備長炭などの均質な木炭がない訳ではないが、これでは原料コストが高くつき過ぎる。 よって、炭粒4は、高温で焼成したヤシ殻炭のみを原料にすることが望まれる。
    炭粒4を結着するためのバインダー5が、耐火セメントまたはキャスタブルと、多糖類または蛋白質で形成されるのりとの混合物で構成されていると、炭粒4と共に燃焼するのりによって異臭や煙が発生するのをよく防止できる。 バインダー5に耐火セメントまたはキャスタブルを加えてあると、燃焼途中における炭粒4の隣接間隔を維持して、前記灰かぶり現象によって炭粒群が不完全燃焼状態に陥るのを防ぎ、さらに燃焼末期に燃料体1が崩壊するのを防いで、所定の加熱温度を長時間にわたって安定的に発揮させることができる。 また、耐火セメントおよびキャスタブルは、未使用状態における燃料体1の構造強度の向上に寄与し、流通時の燃料体1の破損を防ぐことにもなる。
    酸化鉄と、ケイ素と、鉱物繊維と、酸化アルミニウム系または酸化ケイ素系のバインダーとを含む着火剤層2は、合成樹脂系のバインダーを使用する場合に避けられなかった、燃えかすの滴下や付着、あるいは異臭の発生がないうえ、鉱物繊維の混入で着火剤層2これ自体の強度が向上し、長期保管時の着火剤層2の剥落や崩壊をよく防止する。 水を加えてペースト状に調整した着火剤は、燃料体1の表面に付着させて乾燥固化すると、着火剤の一部が隣接する炭粒4間の隙間14に入り込んだ状態で固化する。 したがって、着火剤を乾燥した状態では着火剤層2と燃料体1とを強固に一体化でき、流通時や長期保管時に着火剤層2が燃料体1から剥離したり、分離したりするのを確実に防止できる。
    円盤状に形成した燃料体1に、16〜26個の通口6を上下貫通状に形成して、燃料体1の上面の面積に占める全通口6の開口面積の比を7.5〜30%の範囲に設定してあると、実用上支障のない時間内に燃料体1の着火を図りながら、必要かつ十分な燃焼持続時間を確保できる。 更に、着火の容易性と、火持ちの良さとをバランスよく備えた固形燃料が得られる。 先の面積の比が7.5%より小さいと、着火に要する時間が長引いて即応性に欠ける。 先の面積の比が30%を越えると、燃焼持続時間が短くなるため、ごく短時間の加熱調理にしか適用できず実用性に問題が出る。 したがって、前出の面積比は、7.5〜30%が最適である。
    本発明の固形燃料の製造方法においては、炭粒4とバインダー5との混合物を加圧成形して密度が均一な燃料体1を形成したのち、型枠10で囲まれた燃料体1の表面にペースト状に調整した着火剤を流し込んで、燃料体1の片面の全体に着火剤層2を形成する。 さらに、着火剤層2を乾燥固化して燃料体1と一体化したのち、着火剤層2の表面の一部に点火部3を形成する仕様としたので、複層構造の固形燃料をより少ない手間で簡便に製造できる。 燃料体1の加圧成形から着火剤層2の形成、ついで乾燥にまで至る一連の処理を、加圧成形された燃料体1が型枠10内に収まった状態のままで行うので、燃料体1や着火剤層2の一部が、製造途中に欠損したり、異物が混入したりするのを確実に防止でき、形状および燃焼特性が均一の固形燃料を提供できる。
    本発明方法の第2工程において、型枠10ごと燃料体1を乾燥固化したのち、型枠10内の燃料体1の表面にペースト状の着火剤を流し込んで着火剤層2を形成すると、ペースト状の着火剤の一部が、隣接する炭粒4間の隙間14に入り込んだ状態で着火剤が固化するので、着火剤を乾燥した状態では着火剤層2と燃料体1とを分離不能な状態で強固に一体化でき、得られた固形燃料の形状を長期にわたって安定的に維持できる。 もちろん、必要に応じて型枠10を別の型枠に移し変えてもよい。

    図1ないし図4は、本発明に係る固形燃料の実施例を示す。 図1および図2において、本発明の固形燃料は、径寸法の割に高さ寸法が小さい扁平な円盤状の立体形状に形成される燃料体1と、燃料体1の下面に全体的に配置される着火剤層2と、着火剤層2の外周縁の一部に設けられる点火部3とを含む。
    燃焼時に異臭や煙が発生するのを防ぐために、燃料体1は木炭、ヤシ殻炭、竹炭、マングローブ炭など植物由来の無臭性炭素材の1種以上を原料とする炭粒4で形成する。 具体的には、高温で焼成したヤシ殻炭を粉砕して得られた炭粒4を原料にして、これにバインダー5を混合したうえで円盤状に加圧成形し、得られた成形燃料体を乾燥固化して、多孔体状の燃料体1を形成する。 燃料体1には燃焼空気用の通口6の一群を上下貫通状に形成して、燃料体1の全体にわたって火が回るようにする。 この実施例では、燃料体1の直径寸法を10cm、その厚みを25mmとするとき、直径寸法が10mmの21個の通口6を均等に分散する状態で燃料体1に形成した。 各通口6は丸孔とした。
    バインダー5は、澱粉のりと、酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素を含む耐火セメントと、水との混合物からなり、隣接する炭粒4どうしは澱粉のりの粘着力で結着する。 バインダー5には、酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素を含む耐火セメントに変えて、キャスタブルを用いてもよい。 澱粉のりは個々の炭粒4が燃焼するとき、同時に燃え尽きるが、異臭や煙を発生することはない。 耐火セメントおよびキャスタブルは、燃焼途中における炭粒4の隣接関係を維持して、灰かぶり現象によって炭粒群が不完全燃焼状態に陥るのを防ぎ、さらに燃焼末期に燃料体1が崩壊するのを防いで、全ての炭粒4を完全燃焼させるために混合する。 加えて、耐火セメントおよびキャスタブルは、未使用状態における燃料体1の構造強度を向上して、流通時の燃料体1の破損を防ぐ。 キャスタブルは市販品を適用することができる。 もちろん、炭粒4が燃焼し終わると直ぐに、崩れてコンロの底に落下し、燃焼中の赤い炭粒が絶えず表われるように工夫された燃料体1も構成できる。 その場合には、添加される耐火セメントやキャスタブルの量を少なくするか、単に多糖類やたんぱく質だけでバインダーを形成する。
    着火剤層2は、金属酸化物と還元剤とで構成されるテルミット様の発熱材からなり、金属酸化物の還元反応で高温の熱を発生する。 金属酸化物と還元剤との組み合わせとしては、酸化鉄とアルミニウム、酸化鉄とケイ素、マグネシウムと酸化ケイ素、チタンと炭素、カルシウムと炭素などがある。 この実施例では酸化鉄を金属酸化物とし、ケイ素を還元剤として、これらに鉱物繊維と、酸化アルミニウム系のバインダーとを混合して着火剤を構成した。 酸化アルミニウム系のバインダーに代えて、酸化ケイ素系のバインダーを使用することもできる。 後述するように着火剤層2は、前記着火剤に水を加えてペースト状に調整したうえで、ペースト状の着火剤を燃料体1の下面全体に付着させ、乾燥することにより形成する。
    点火部3は、クロム酸バリウムや過酸化バリウムを主剤として、これに粉末状のアルミニウムと無定形ホウ酸を添加した発火剤で形成してあり、この発火剤を水に溶解して着火剤層2に塗布したのち乾燥して形成する。 点火部3を周面側から容易に点火するために、点火部3は着火剤層2の下面から外周縁にわたって設ける(図2参照)。 固形燃料を使用するときは、ライターやマッチの火で点火部3を点火することにより、着火剤層2の還元反応を開始させることができる。 このとき、着火剤層2は激しく反応して、ごく短時間で還元反応が燃料体1の下面全体に行き渡る。 そのため、燃料体1の下面を着火剤層2の反応熱によって面状に迅速着火できる。 図1に示すように着火剤層2の一部は通口6内に入り込んでいるので、通口6の下端内周面も同時に着火でき、その分だけ燃料体1をより短かい時間で着火できることになる。
    上記構成の固形燃料は以下の製造方法によって量産できる。 図4は製造方法の概略工程を示す。 固形燃料の製造に先行して、まず炭粒4とバインダー5との混合物を調整しておく。 ペースト状の着火剤と、水に溶解した点火剤も同様に予め調整しておく。
    本発明の固形燃料は、型枠10に充填した炭粒4とバインダー5との混合物をプレス機で加圧して、多孔質の燃料体1を成形すると同時に、燃料体1に通口6の一群を形成する第1工程と、型枠10ごと燃料体1を乾燥固化したのち、型枠10内の燃料体1の片面の全体にペースト状に調整した着火剤を流し込んで着火剤層2を形成する第2工程と、着火剤層2を乾燥固化して燃料体1と一体化したのち、着火剤層2の表面の一部に点火部3を塗布形成し、型枠10から燃料体1を分離する第3工程とを経て製造する。
    すなわち第1工程においては、図4(a)に示すように、上面が開口する丸皿状の型枠10に所定量の炭粒4とバインダー5との混合物を充填した後、これらをプレス機で加圧して燃料体1を成形すると同時に、燃料体1に通口6の一群を形成する。 そのために、型枠10内に入り込む成形型11側には、通口6を成形するためのピン12を設けてある。 成形型11は、炭粒4どうしがバインダー5を介して結着し、全体の密度が一定となるように加圧できればよい。 符号13は型枠10を受け止めるベースである。 成形型11で炭粒4とバインダー5との混合物を加圧することにより、炭粒4どうしはバインダー5を介して結着する。 但し、隣接する炭粒4の間には、僅かな隙間14が確保されており、これで多孔質の燃料体1を得ることができる。
    第2工程においては、図4(b)に示すように、多孔質の燃料体1を型枠10ごと乾燥処理して固化させる。 具体的には、燃料体1および型枠10を、雰囲気温度が90〜100度Cの乾燥炉に収容し、その状態を8時間維持することにより、燃料体1を固化させる。 このとき、バインダー5が幾分収縮するので、図1(a)に示すように隣接する炭粒4間の隙間14を拡充できる。 この隙間14の存在によって、炭粒14に対する燃焼空気や炎の接触機会が増える。 したがって、炭粒4の迅速な着火と、燃焼状態の維持とを実現できる。 因みに、前記隙間14の大きさは、炭粒4の大きさや、大きさが異なる炭粒4の混合比などによって種々に変化し、燃料体1の着火に要する時間や、燃焼持続時間を左右するので、本発明者は、後述する試験を行って炭粒4の好適な大きさを決定した。
    第3工程では、図4(c)に示すように、型枠10内に流し込んだ着火剤層2を乾燥固化する。 具体的には、着火剤層2が流し込まれた型枠10を、雰囲気温度が110度Cの乾燥炉に収容し、その状態を12時間維持することにより、着火剤層2を固化させた。 先に説明したように、燃料体1は多孔質に形成されていて、隣接する炭粒4間に隙間がある。 そのため、型枠10内にペースト状の着火剤を流し込むと、図1(b)に示すようにその一部が通口6に入り込み、さらに隣接する炭粒4間の隙間に入り込む。 したがって、ペースト状の着火剤を乾燥した状態では、着火剤層2が燃料体1と強固に結着するので、流通時に着火剤層2が燃料体1から剥離し、あるいは分離するのを確実に防止できる。
    乾燥後の着火剤層2の表面一部に点火部3を塗布形成し、図4(d)に示すように型枠10から燃料体1を分離することにより、円盤状の固形燃料が得られる。 先に説明したように、点火部3は着火剤層2の外周側面に臨ませておく。
    上記の製造方法とは異なり、第2工程において燃料体1を乾燥固化する前に、型枠10内の燃料体1の片面全体にペースト状に調整した着火剤を流し込んで着火剤層2を形成し、燃料体1および着火剤層2を同時に乾燥固化して、燃料体1および着火剤層2の乾燥処理に要する手間を半減することができる。
    以上のように、この発明の固形燃料においては、バインダー5が混合された一群の炭粒4をプレス機で成形して多孔質の燃料体1を形成するが、本発明者は使用する無臭性炭素材や、炭粒4の大きさ、および大きさが異なる炭粒4の混合比率などの違いによって、燃料体1の着火時間と燃焼継続時間とがどのように変化するかをテストし、同時に燃焼時における煙の発生や、灰かぶり現象の有無を確認して、生食材の焼き調理や、加熱調理等の熱源として好適な燃料体1をいかにしてつくるか、これを実験した。 さらに、燃料体1における通口6の直径や形成個数を変更して、燃料体1に設けるべき通口6の好適化を図った。
    (実施例1) 700〜800度Cで焼成したヤシ殻炭を原材料にして、炭粒4の粒度を6〜12メッシュに調整し、これにバインダー5と水とを加えて混合し、得られた混合物を直径が10cm、厚み35mmの円盤状に成形して燃料体1を得た。
    燃料体1に形成すべき通口6は、直径が10mmの丸孔とし、その形成個数は21個とした。 炭粒4の使用量は、1個の燃料体1について60gとした。
    バインダー5は、25重量パーセントの澱粉のりと、53重量パーセントの酸化アルミニウムと、22重量パーセントの耐火セメントとで形成し、炭粒4の重量に対して20重量パーセントを混合した。 以上の条件で成形した燃料体1の密度は0.24であった。 燃焼体1の片面には、着火剤層2を形成し、さらに点火部3を前述の要領で形成した。 着火剤層2の厚みは5mmとした。
    (実施例2) 炭粒4の粒度を12〜32メッシュに調整し、燃料体1の厚みを20mmとする以外は、実施例1と同じ条件で燃料体1を形成した。 炭粒4の粒度が幾分小さくなるために、燃料体1の密度は0.41になった。
    (実施例3) 炭粒4の粒度を60メッシュ以上に調整して、実施例2と同じ条件で燃料体1を形成した。 炭粒4の粒度がさらに小さくなるために、燃料体1の密度は0.44になった。
    (実施例4) 400〜500度Cで焼成したヤシ殻炭を原材料にして、炭粒4の粒度を12〜32メッシュに調整して、実施例2と同じ条件で燃料体1を形成した。 実施例1に比べて低温でヤシ殻炭を焼成したので、燃料体1の密度は0.37になった。
    (実施例5) 400〜500度Cで焼成したマングローブ炭を原材料にして、炭粒4の粒度を12〜32メッシュに調整して、実施例2と同じ条件で燃料体1を形成した。 炭原料が異なるため、燃料体1の密度は0.37であった。
    (実施例6) 700度Cで焼成した竹炭を原材料にして、炭粒4の粒度を12〜32メッシュに調整して、実施例2と同じ条件で燃料体1を形成した。 炭原料が異なるため、燃料体1の密度は0.37であった。
    (実施例7) 400〜500度Cで焼成した竹炭を原材料にして、炭粒4の粒度を10〜30メッシュに調整して、実施例2と同じ条件で燃料体1を形成した。 実施例6に比べて低温でヤシ殻炭を焼成したので、燃料体1の密度は0.30になった。
    (実施例8) 700度Cで焼成した木炭を原材料にして、炭粒4の粒度を12〜32メッシュに調整して、実施例2と同じ条件で燃料体1を形成した。 燃料体1の密度は0.23であった。
    以上のように形成した実施例1から8の各固形燃料を、着火剤層2の下面に通気隙間を確保した状態でテストベンチ上に載置し、着火剤層2を点火してから燃料体1に着火するまでの時間と、燃焼持続時間とを計測した。 さらに、燃焼時の灰かぶり現象の有無と、異臭の発生の有無と、燃焼に伴う形状崩落の有無を目視によって確認した。 表1はその結果を示す。 着火に要する時間は、着火剤層2を点火してから燃料体1の上面の温度が250度Cに達するまでの時間とした。 燃焼持続時間は、着火完了以後に燃料体1の上面の温度が150度C以下に低下するまでの時間とした。
    表1から理解できるように、着火に要する時間は、原料炭の焼成温度が低いほど短く、炭粒4の粒度が小さいほど短い。 また、燃焼持続時間は、原料炭の焼成温度が高いほど長く、さらに煙や異臭の発生もみられない。 これらのテスト結果から、炭粒4の原料としては、高温で焼成したヤシ殻炭、なかでも粒度を12〜32メッシュに調整した実施例2の炭粒4が、着火の容易性と、火持ちの良さとで最適であることが解る。 実施例2の燃料体1においては、燃焼時の煙や異臭の発生がないのはもちろんのこと、灰かぶり現象に伴う炭粒4の不完全燃焼や、燃料体1の崩壊もなかった。

    これらの結果から、固形燃料の用途によって、炭粒4の粒度は、6〜60メッシュの範囲内が好ましく、12〜32メッシュの範囲内で選択することがより好ましい。 因みに、炭粒4の粒度が6メッシュを下回ると、平均的な粒径が2mmと大きくなり、着火に時間が掛かるうえ、成形時の保形性に劣る。 炭粒4の粒度が60メッシュを越えると、平均的な粒径が0.25mmと小さくなり、炭粒4の比表面積が大きくなる分だけ燃焼持続時間が短くなる。 粒度が大きな炭粒4と、粒度が小さな炭粒4とを混合したとき、粒度の大きな炭粒4の隙間に、粒度の小さな炭粒4が入り込むため、燃料体1の密度が大きくなるが、適度の隙間14を確保できず燃焼しにくい点で好ましくない。


    次に、実施例2の燃料体1における通口6の直径や形成個数を変更して、燃料体1において最も好適な通口6の形態を調べた。 通口6の直径は6mm、8mm、10mm、12mmの4種類とし、その形成個数は16個、21個、26個の3種類とした。 得られた6種類の固形燃料は、先のテストと同様に、着火剤層2の下面に通気隙間を確保した状態でテストベンチ上に載置し、着火剤層2を点火してから燃料体に着火するまでの時間と、燃焼持続時間とを計測した。 さらに、燃焼に伴う形状崩壊の有無を目視によって確認した。 その結果を表2に示す。


    表2から理解できるように、通口6の直径が大きいほど着火に要する時間は短くなるものの、逆に燃焼持続時間が短くなる。 通口6の形成個数が多いほど、着火に要する時間は短くなるものの、逆に燃焼持続時間が短くなる。 実際の使用状況を考慮すると、着火に要する時間としては、3.5〜4分ほどで十分であり、燃焼持続時間は40分以上あれば足りる。 これらの結果から、通口6の直径は8〜10mm、通口6の形成個数は16〜26個であればよい。 換言すると、燃料体1の上面の面積に占める全通口6の開口面積の比は、7.5〜30%の範囲であればよいことが判った。 さらに直径が10mm前後の通口6を20個前後形成することが最も好ましく、その場合の全通口6の開口面積の比は16〜20%となる。


    本発明の固形燃料は、図3に示す燃焼容器20を用いて燃焼させることができる。 燃焼容器20は、上下面が開口する金属製の円筒体からなり、その筒壁20aの上下中途部を筒内面側へ折り曲げて、固形燃料を受け止める支持片21とする。 支持片21は筒壁20aの周方向4箇所に設ける。 燃焼容器20の下部4箇所には、燃焼空気を導入するための通気口22を切り欠き形成する。 支持片21を形成することによって筒壁20aに形成される開口のひとつは、点火口23として利用できる。


    使用時には、着火剤層2の下面が支持片21で受け止められる状態で固形燃料を燃焼容器20内に収容し、点下部3を点火口23に臨ませる。 この状態で、着火用のライターの火で点下部3に点火すると、着火剤層2の還元反応が開始されて、ごく短時間で還元反応が燃料体1の下面全体に行き渡る。 そのため、燃料体1の下面を着火剤層2の反応熱によって面状に迅速着火できる。


    着火剤層2の反応かすは一部が燃料体1側に残るが、その殆どは還元反応時に飛び散って、燃焼容器20の下方の火皿上に落下する。 そのため、通口6の下面を開口して、燃焼空気を問題なく、通口6内へ導入することができる。 以後は、着火した燃料体1の火が、下方から上方へと移るので、固形燃料を焼き調理の熱源や、鍋料理の熱源として使用することができる。


    上記の燃焼容器20は、固形燃料の包装容器を兼ねることができ、容器内に収容した固形燃料を遊動不能に固定したうえで、燃焼容器20を通気不能に密封し、包装用の紙箱内に収容することにより、長期保存時の品質劣化がない固形燃料を提供できる。 もちろん、1個あるいは複数個の固形燃料のみを密封した状態で販売してもよい。


    図示例の通口6は丸孔としたが、例えば多形など任意の孔形状にすることができる。 必要があれば、通口6の一群を放射溝状に形成してもよい。 燃料体1は平面視で円盤状に形成する必要はなく、例えば横断面が多角形で、他の寸法に比べて上下寸法が小さい扁平な立体形状に形成することができる。 点火部3は複数箇所に設けてあってもよい。


    なお、燃焼容器20は、2個以上の固形燃料を隣接して収容できる構造であってもよく、その場合には固形燃料の平面視形状を多角形状としておくことにより、発熱面を均等に配置することができる。 炭粒4は木炭、ヤシ殻炭、竹炭、マングローブ炭などの植物由来の無臭性炭素材の1種以上を含んでいれば足りる。


    実施例で説明した固形燃料の製造方法においては、成形型11の側に設けたピン12で通口6を形成したが、型枠10側にピン12を設けて通口6を形成してもよい。 その場合には、加圧成形された燃料体1を強制的に離型するためのノックアウトピンを、型枠10側に設けることができる。


    固形燃料は以下に説明する態様で形成できる。 テルミット反応を利用した発熱体(着火剤層)32と固形炭素(燃料体)31とを、接触あるいは近接した構造とする。 テルミット反応を利用した発熱体32の上に固形炭素31を積層し、これらを容器33に充填し、あるいは包装材で包装する。 テルミット反応を利用した発熱体32を、金属酸化物と、金属酸化物に含まれる酸素と結合して還元反応を生じさせる還元金属などの還元剤と、必要に応じて添加される少量の補助組成物との混合物で構成する。


    テルミット反応を利用した発熱体32の原料を水あるいは有機溶剤と混練し、それを成型し、乾燥して固形燃料を形成する。 固形燃料31は、木炭、竹炭、ヤシ殻炭、パーム椰子炭などの植物を原料とした炭、鉱物系の燻炭、黒鉛、石炭、コークス、炭化繊維などを原料にして形成する。


    固形炭素31を、粉状あるいは粒状の炭素原料に、セラミック繊維、ガラス繊維、石綿などの不燃性繊維、バインダーおよび水を加えて混練し、厚みを有する、円形、正方形、長方形、楕円形、三角形、不定形、あるいは棒状や塊状に成型し、乾燥して製造する。


    固形炭素31の燃焼を助長するために、固形炭素31に貫通した穴(通口)34、あるいは表面に凹凸35を設ける。 固形炭素31に、燃焼を触媒する添加物としてカリウム塩、ナトリウム塩、過酸化物を混入する。 発熱体32あるいは固形炭素31を、鉄、アルミニウム、ステンレスなどの金属素材、あるいはセラミック、陶器、磁器、炭素などの素材よりなる容器33、あるいは包装材に収納する。 発熱体32あるいは固形炭素31を、紙、ニトロセルロース、プラスチック、塗料などの可燃性素材によって被覆する。 固形炭素31の燃焼を促進するため、発熱体32あるいは固形炭素31が収納してある容器33、および包装材に空気の流入穴37を形成する。


    図5ないし図13に固形燃料の具体的な実施形態を示す。 図5(a)において符号40は焼き料理に用いられる通常の金網である。 図5(b)に示すように、固形燃料は、金属缶(容器)33に充填された発熱体32の上に円盤型の燃料体31を重ねて形成する。 図5(c)において、符号41は固形燃料を嵌め込むための窪み42を備えた卓上コンロである。 図5(d)はこれらを組み重ねた状態を示す。


    上記のように発熱体32と固形炭素31を接触あるいは近接して配置し、発熱体32にフリントや導火線などの公知の方法で点火すると、発熱体32が短時間で高温に達し、直ちに固形炭素31に延焼する。 発熱体32のテルミット反応による高温発熱と固形炭素31の持続燃焼によって、高温の状態を長時間持続できる。


    発熱体32の発熱には酸素を供給する必要はないが、固形炭素31には酸素を供給しなければ燃焼を持続できない。 したがって、固形炭素31に空気を如何に供給するかで、いろいろな構造が考えられ、燃焼の持続時間や燃焼効率に影響する。 以下にその詳細を述べる。


    図6(a)に示すように、金属缶33に充填された発熱体32の上に円盤型の固形炭素31を重ねた固形燃料においては、発熱体32に点火すると、固形炭素31に延焼し、空気と接している側面および上面が燃焼する。 固形炭素31の底面は酸素が欠乏し、未燃焼炭素が残存する。 しかし、固形炭素31の厚みが薄ければ、未燃焼物はそれだけ少なくなる。


    図6(b)に示すように、発熱体32と接する円盤型の固形炭素31の底面に凹凸35を形成すると、発熱体32と固形炭素31との間の空隙部を多くし、固形炭素31の底面への空気の供給を促して、固形炭素31の燃焼を促進できる。


    図6(c)に示すように、円盤型の固形炭素31の代わりに、繊維状の固形炭素31Aを発熱体32の上に積層すると、繊維状の固形炭素31Aの空隙が大きいので、空気の流通に優れ、未燃焼の炭素の残存量は少ない。 しかし、燃焼の持続時間は短い。


    図7(a)に示すように、発熱体32の上に塊状の固形燃料31Bを配置する場合には、塊状の固形燃料31Bが落下しないように、金属缶33の側面を高くしなければならない。 すると、固形燃料31Bへの空気の供給が不十分となるので、図7(b)に示すように金属缶33の側面に空気の流入穴37を設けて、固形燃料31Bの燃焼を促進する。


    図8(a)(b)に示すように、円盤型の固形燃料31に上下に貫通する穴34を多数設けると、空気は発熱体32と固形炭素31との間隙から流入し、穴34を通って上方に排気されるので、固形炭素31に十分な酸素が供給され、燃焼を持続できる。


    図9に示すように、金属缶33の底に貫通する穴36と連通する穴38を設けると、先のように、固形炭素31のみに貫通する穴34を設けた場合よりも、固形炭素31への酸素の供給がより良好となる。 この場合には、固形燃料31の穴34と連通する穴38を形成することになる。


    図10(a)、(b)に示すように、固形燃料の形状は円柱状に形成できる。 そこでは、円柱型の発熱体32の周囲を固形炭素31で被覆した。 符号45は発熱体32に塗布した点火剤である。


    図11(a)、(b)に示すように、固形燃料は球状に形成できる。 球形の発熱体32の周囲を固形炭素31で包んで固形燃料を球状に形成する。 符号46は点火部で、発熱体32を固形炭素31の外部に導出し、その先端に点火剤45を塗布し、フリントや火薬で点火する。 図9および図10で説明した、円柱型および球形の固形燃料は、豆炭や備長炭の代用として利用できる。


    図12に示すように、図10で説明した複数の円柱状の固形燃料を、その点火剤45が互いに接触するように組むと、一箇所に点火するだけで、後は連鎖的に燃焼させることができる。 また、図13に示すように、図11で説明した球形の固形燃料を、その点火部46が、他の固形燃料に接触するように並べることによって連鎖的に燃焼を誘起させることができる。


    以上のように構成した固形燃料は、発熱体32の高温発熱と固形炭素31の持続燃焼を同時に発揮させることによって、▲1▼短時間に着火し、▲2▼高温となって赤熱し、▲3▼それが持続する。 ▲4▼固形燃料の体積も比較的小さい。 これらの特徴は、固形燃料が焼き料理に適していることを示す。


    発熱体32の構成成分にはいろいろな組み合わせが考えられるが、原理的には、金属酸化物と、金属酸化物に含まれる酸素と結合して還元反応を生じさせる還元金属などの還元剤と、必要に応じて添加される少量の補助組成物との混合物である。 最も一般的で、経済的に好ましいのは酸化鉄とケイ素、あるいは酸化鉄とアルミニウムの各混合物である。


    発熱体32に点火すると、テルミット反応が即座に開始し、発熱体32は数十秒で高温に達する。 テルミット反応は酸素を必要としないので、発熱時間や発熱量は構成成分によって決まる。 もちろん、構成成分の粒子サイズや製造方法によって影響されるが、一般的には発熱温度は1000℃付近で、反応は数十秒で完結する。


    ところで、固形炭素31の燃焼には酸素が必要であるので、それを如何に供給するかによって、燃料としての発熱時間や熱量が大きく異なる。 また、炭素の種類によっても同様である。 図6(a)、(b)で説明した固形燃料は、円盤型の固形炭素31を発熱体32の上に重ねただけであるので、固形炭素31の燃焼は空気と触れている周囲に限定される。 短時間では固形炭素31の未燃焼物が多量に残存するが、それもかなり長時間後にはほぼ消失する。


    図6(c)の固形燃料は、繊維状の固形炭素31Aを使用した場合で、一般的に繊維間の空隙は非常に大きく、酸素の供給は十分なので短時間でそれは燃え尽きる。 繊維の太さと空隙密度を調節することによって燃焼温度と時間、残り火をコントロールできる。


    図7の固形燃料は、発熱体32の上に塊状の固形炭素31Bを配置した。 塊状の固形炭素31Bが落下しないように、金属缶3の側面を高くし、その側面に空気の流入穴37を設けた。 空気は側面の流入穴37から進入し、固形炭素31の塊の間を通って、上部に放出されるので、中央部の炭素塊も十分に燃焼する。


    図8の固形燃料は、円盤型の固形炭素31に上下に貫通する穴34を多数設けるので、空気は発熱体32と固形炭素31の間隙から流入し、穴34を通って上方に排気される。 従って、固形炭素31に十分な酸素が供給される。 燃焼は固形燃料の上下のみならず円盤の中央部も均一に起こる。


    図9の固形燃料は、通気用の穴34と連通する穴36を金属缶33の底に設けるので、酸素の供給が非常に良好となる。 しかし、発熱体32が空気によって冷却されるので燃料としての持続時間は短い。


    図10の円柱型の固形燃料、および図11の球形の固形燃料は、それぞれ発熱体32の周囲を固形炭素31で被覆するので、テルミット反応の開始と共に発熱体32が熱膨張して固形炭素31にひび割れを起こし、そこから酸素が供給されるので固形炭素31の燃焼が内部まで起こる。


    上記の固形燃料の燃焼状況、例えば赤熱時間および未燃焼量などに及ぼす円盤型の固形炭素31の形状の影響を比較した(実験1)。 さらに、固形炭素31に設けた穴34の数、大きさ、分布が、固形燃料の燃焼に及ぼす影響を調べた(実験2)。


    (実験1)固形燃料を図5で説明した卓上コンロ41に納め、ガスバーナーで発熱体32に点火後、次の項目を測定した。


    ▲1▼点火後の赤熱時間:卓上コンロ41の上方から肉眼で固形炭素31の燃焼を観察し、それが赤熱している時間を測定した。


    ▲2▼点火30分後の固形炭素31の上面の表面温度を接触温度計で測定した。


    ▲3▼点火30分後の固形炭素31の未燃焼量を%で示した。


    燃焼実験に供した固形炭素31の原料および製法は、後述する燃焼試験1に示した方法と同じで、固形炭素31の形状の詳細は以下の通りである。


    図6(a)の固形炭素31の直径を6.5cmとし、その厚さ2cmとした。


    図6(b)の固形炭素31の底部に深さ巾共に5mmの溝を縦横に5本設けた。


    図6(c)の固形燃料において、直径が0.05mmの炭化繊維3.7gを図6に示す容器33に充填した。 炭化繊維の層の厚さは2cmであった。


    図7の固形炭素31の炭素塊のサイズを0.2ないし1cmとし、その層の厚さを2cmとした。


    図8の固形炭素31に直径0.6cmの穴34を25個設けた。


    以上の固形炭素31をそれぞれ100gの発熱体32の上に重ね、点火後の燃焼を観察した。 その結果を表3に示す。 なお、対象として、発熱体32のみについても測定した。


    下記の表3から明らかなように、発熱体32のみと比較して固形炭素31を発熱体32に重ねることによって赤熱時間を著しく延長できることが判った。 また、固形炭素31への空気の流入を計ることによって固形炭素31の燃焼効率も改善されることが判明した。


    なお、図6(b)のように、固形炭素31の底面に凹凸35を設けても効果がなかったのは、発熱体32が発熱するとその上表面は、かなり凹凸になるので、図6(a)のように、発熱体32の上に重ねた固形炭素31の底面が平滑でも、固形炭素31の底面に凹凸35を設けた場合と同じ状態になって空気の流通が容易に起こるからである。


    図8(a)の固形炭素31には、上下にたくさんの貫通穴8が設けられているが、下端は発熱体32と密着して閉塞しており、空気の流入は制限されるはずである。 しかし、発熱によって発熱体32の表面が凹凸になり、十分の間隙が生じて空気の流入が十分に起こっていることが推察される。 流入した空気は下端から上端に向かって上昇、煙突的効果で固形炭素31の燃焼が促進される結果、固形炭素31の燃焼率が増大し、赤熱時間も延長されたと考えられる。


    (実験2)


    図8(a)の固形炭素31の穴34のサイズと数を変更して、燃焼状況を確認し、その結果を表4に示す。


    この実験結果から穴34の数、サイズ、位置によって固形炭素31の燃焼は大きく影響されることが判る。 また穴34への空気の供給は中央部になるほど不十分となるので、それだけ穴34の径を大きくすればよいことが判る。


    固形炭素31の種類については、炭、黒鉛、石炭、コークスなどいろいろ考えられるが、着火温度はそれぞれ異なる。 黒鉛やコークスなどは高温で製造され、炭素の純度は高いが、その着火温度は高く、酸化鉄と珪素の組み合わせのテルミット反応で延焼させることは困難である。 石炭は着火温度も低く、火力も強く経済的で好ましいが、燃焼したときの匂いは料理に適さない。 炭の着火温度は1000℃以下で、黒鉛やコークスなどに比べて低く、また匂いの問題もなく、経済的であるので本発明の固形炭素の原料として適している。


    炭は着火温度が高い白炭と低い黒炭に分類でき、前者には備長炭、後者にはマングローブ炭、パームヤシ炭、ヤシガラ炭、ノコ屑炭、竹炭などがある。 マングローブ炭は容易に燃焼するが、炎の発生が大である。 また、ノコ屑炭は火花の発生が多く、危険である。 その他に鉱物系の燻炭もある。 それぞれに特徴があるので、本発明の燃料の固形炭素として使用するとき、いろいろな炭素を適当に配合して固形化することも考えられる。


    発熱体32および固形炭素31を収納する容器33については、その素材として鉄、アルミニウム、ステンレスなどの金属、あるいはセラミック、陶器、磁器、炭素などが利用できる。 また、それが容器33でなくても単にそれらで包装するだけでもよい。 さらには、可燃性素材、たとえば、紙、ニトロセルロース、プラスチック、塗料なども発熱体32の形状を補強する目的で使用できる。


    図8(a)に示す固形燃料を用いて、別の燃焼試験1を行った。 試験のために用いた金網40はステンレス製で、サイズは20cm×20cm、格子空隙は0.8cm平方であった。 卓上コンロ41の大きさは底辺15cm×15cm、高さ10cmであった。 その材質は市販のセラッミク断熱材を使用し、中央を直径7.2cm、深さ2cmにくりぬいて、窪み42を形成した。 固形燃料は、マングローブ炭(サイズは2mm>)30g、でんぷん糊6gに水24mlを加えてよく練り、直径6.5cm、深さ2cmのテフロン容器に入れた。


    上記の固形燃料に直径1cmの貫通穴10個と、0.6cmの貫通穴を25個を、それぞれ中央部と周辺部に均等な間隔で開け、120℃で3時間乾燥して円盤型の固形炭素31とした。 一方、酸化鉄(Fe

    )80gと珪素20gを水35mlでよく練り、それを直径6.9cm、深さ1.5cmのブリキ缶に入れ、120℃で一晩乾燥して円盤型の発熱体32とした。 固形炭素31を発熱体32上に重ねて、卓上コンロ用燃料とした。 その断面図は図8(a)の通りである。


    この固形燃料を卓上コンロ41に納め、発熱体32にフリント火花で点火したのち、固形炭素31が赤熱している時間を測定すると、それは30分間であった。 また、固形炭素31の燃焼率は80%で、完全燃焼までの時間は1時間であった。


    図11の固形炭素31を用いて、別の燃焼試験2を行った。 酸化鉄(Fe

    )80gと珪素20gに、水35mlを加えてよく練り、それを直径1cm、長さ10cmの円柱にして、120℃で一晩乾燥したものを円柱形の発熱体32とした。 一方、マングローブ炭90g、でんぷん糊18gに水72mlを加えてよく練り、それを発熱体32の周囲に塗布して被覆し、120℃で3時間乾燥したものを円柱型の固形燃料とした。 被覆部は長さ3cm、厚さ0.5cmで、非被覆部の長さは2cmとした。


    得られた円柱型の固形燃料を燃焼試験1と同じ卓上コンロ41に納め、固形燃料の発熱体32の部分にフリント火花で点火した。 固形燃料は全て赤熱し、赤熱した備長炭に似ていた。

    (b)は固形燃料の縦断面図、(a)はその一部拡大図である。

    固形燃料の斜視図である。

    燃焼容器の一部を破断した固形燃料の正面図である。

    固形燃料の製造工程を説明する断面図である。 (a)は第1工程、(b)は第2工程、(c)は第2工程及び第3工程、(d)は第3工程をそれぞれ示す。

    (d)は別の固形燃料の実施形態を示す斜視図であり、(a)、(b)、(c)はその分解斜視図である。

    別の固形燃料の各実施形態を示す断面図である。

    (a)は別の固形燃料の実施形態を示す断面図、(b)はその一部を破断した正面図である。

    (a)は別の固形燃料の実施形態を示す断面図、(b)はその平面図である。

    別の固形燃料の実施形態を示す断面図である。

    (a)は別の固形燃料の実施形態を示す斜視図、(b)はその断面図である。

    (a)は別の固形燃料の実施形態を示す斜視図、(b)はその断面図である。

    別の固形燃料の実施形態を示す斜視図である。

    別の固形燃料の実施形態を示す斜視図である。

    符号の説明

    1 燃料体2 着火剤層3 点火部4 炭粒5 バインダー6 通口10 型枠14 隙間

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