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Fuel cell and electronic equipment

阅读:1发布:2021-02-06

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  • プロトン伝導性を有する電解質膜、前記電解質膜の一方の表面に形成された燃料極、および前記電解質膜の他方の表面に形成された空気極からなる膜電極複合体と、前記燃料極に液体燃料を供給するための液体燃料室と、を少なくとも備え、
    前記燃料極は燃料極触媒層と燃料極導電層を有し、前記燃料極触媒層は電極触媒とプロトン伝導性を有する電解質成分とを含み、該燃料極触媒層の燃料極投射単位面積当たりのプロトン伝導抵抗Rclが20mΩ・cm 2以下であり、前記電極触媒の燃料極投射単位面積当たりの重量Wが3mg/cm 2以上で、100mg/cm 2以下であることを特徴とする燃料電池。
  • 前記電解質成分が液体電解質である請求項1に記載の燃料電池。
  • 前記液体電解質が硫酸である請求項1または請求項2に記載の燃料電池。
  • 前記液体電解質がイオン性液体である請求項1または請求項2に記載の燃料電池。
  • 前記電解質成分が前記液体燃料に溶解する固体電解質である請求項1に記載の燃料電池。
  • 前記固体電解質がパーフルオロ系固体高分子電解質である請求項5に記載の燃料電池。
  • 前記固体電解質が炭化水素系固体高分子電解質である請求項5に記載の燃料電池。
  • 前記固体電解質が無機固体酸である請求項5に記載の燃料電池。
  • 前記燃料極および前記液体燃料室それぞれに接するように設けられた液体燃料気化部を備える請求項1〜8のいずれかに記載の燃料電池。
  • 前記液体燃料が、前記液体燃料気化部を介して前記燃料極に気化供給される、請求項 に記載の燃料電池。
  • 前記燃料極および前記液体燃料室それぞれに接するように設けられた透過層を備える、請求項1〜8のいずれかに記載の燃料電池。
  • 前記液体燃料が、前記透過層に浸透して前記燃料極に供給される、請求項 11に記載の燃料電池。
  • 前記燃料極は、燃料極触媒層および燃料極導電層を少なくとも備え、前記燃料極触媒層および/または前記燃料極導電層と前記透過層と前記プロトン伝導性を有する電解質膜とが接合されてなる、請求項 11または12に記載の燃料電池。
  • 請求項1〜13のいずれかに記載の燃料電池を搭載した電子機器。
  • 说明书全文

    本発明は安定かつ良好な発電特性を有する燃料電池および該燃料電池を搭載した電子機器に関する。

    近年、情報化社会を支える携帯用電子機器等の電源として、単独の発電装置として効率の優れる燃料電池に対する期待が高まっている。 燃料電池は、燃料極において燃料を、空気極において酸素を、それぞれ電気化学的に酸化・還元し、この反応を通じて発電する。

    多種ある燃料電池の中でも、電解質として固体高分子電解質膜を用いる固体高分子型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell,以下「PEFC」)は、電解質膜が薄膜であり、また反応温度は100℃以下であり、リン酸型や固体酸化物型などの燃料電池に比べ比較的低温である。 このため、大掛かりな補機類を必要としないことから、小型な燃料電池システムの実現が可能である。

    また固体高分子型燃料電池の中でも、燃料極にメタノール溶液を供給し、該メタノール水溶液から直接プロトンと電子を取り出すことにより発電を行う、直接メタノール型燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell、以下「DMFC」)は、改質器を必要としないことから、小型電源としての実用化の可能性を有している。 さらに、直接メタノール型燃料電池においては、常温常圧で液体であるメタノール水溶液を燃料として用いることによって、高圧ガスボンベを用いることなく高い体積エネルギー密度を有する燃料を簡易容器で取り扱うことができるため、小型電源における安全性に優れるとともに燃料容器を小さくすることが可能である。 このため、携帯電子機器等の電子機器における小型電源への応用、特に、携帯電子機器用の2次電池代替用途という観点で注目が集まっている。 また、液体燃料を用いた燃料電池は、たとえば、エタノール、プロパノールといった、より高い体積エネルギー密度およびより高い引火点を有しかつ安全性にも優れる液体燃料を将来的に利用できる可能性を有している。

    燃料電池においては、燃料極において液体燃料を、空気極において空気を、それぞれ電気化学的に酸化・還元することにより発電させる。 燃料極にメタノール水溶液等の液体燃料を供給すると、燃料極に接触した液体燃料が酸化されて、二酸化炭素ガスなどのガス、プロトンおよび電子に分離される。 たとえばメタノール水溶液の場合では、次の酸化反応が進行する。

    CH OH + H O → CO + 6H+ + 6e−
    ここで生成したプロトンは電解質膜を経て空気極に伝達される。 空気極においては、該プロトンと空気中の酸素が反応して水が生成する。 このときに、電子が外部負荷を通って燃料極から空気極に移動し、電として取り出される。

    ここで一般的には燃料極は、カーボンシートやカーボンクロス等の導電性多孔質支持体の表面に、触媒能を有する金属として白金、もしくは白金合金等と、パーフルオロ系高分子固体電解質(例えば、デュポン社製、商品名 Nafion等)などのプロトン伝導性高分子材料との混合物からなる燃料極触媒層が形成されている。

    上記燃料極触媒層の発電特性を向上させるには、触媒層の単位面積に含有させる触媒の量、すなわち触媒層の厚さを増加させることによって、触媒層の単位面積当たりの発電量を増加させることが必要である。 しかしながら、前述したNafion等のプロトン伝導性固体電解質を燃料極の電解質成分として用いる場合、触媒層の厚さを増加させることによって、燃料極触媒層中のプロトン伝導抵抗が著しく増加してしまうため、十分な発電量を得ることができないという問題がある。

    特許文献1には、無加湿・高温の条件下においても高いプロトン伝導性を示す電解質成分として、リン酸と、該リン酸に対して膨潤する鎖状高分子と、該鎖状高分子と複合化された架橋性高分子とが少なくとも含有されているゲル電解質が提案されている。
    特許文献2には、ゲル体で構成されたイオン性液体をプロトン伝導性電解質成分として用いた電極触媒構造体が提案されている。
    特許文献3には、低加湿・低温条件下においても高いプロトン伝導性を示す電解質成分として、イオン性液体と、スルホン酸基を有するポリアリーレン系共重合体とからなる固体高分子型燃料電池用膜電極構造体が提案されている。

    上記特許文献1〜3に記載されたプロトン伝導性電解質成分では、高いプロトン伝導性を有する液体電解質をゲル化・固体化して使用しているため、十分高いイオン伝導性が実現されておらず、上述したNafion等のプロトン伝導性固体電解質を燃料極の電解質成分として用いる場合と同様に、触媒層の厚さを増加させることになり、燃料極触媒層中のプロトン伝導抵抗が著しく増加してしまい、十分な発電量を得ることができない。

    特開2005−209520号公報

    特開2006−204993号公報

    特開2006−32181号公報

    本発明は燃料極触媒層中の電解質成分は、触媒中に均一に浸透することでプロトン伝導抵抗を低減し、安定かつ良好な発電特性を有する燃料電池、さらに、該燃料電池が搭載された電子機器を提供することを目的とする。

    本発明は、プロトン伝導性を有する電解質膜、前記電解質膜の一方の表面に形成された燃料極、および前記電解質膜の他方の表面に形成された空気極からなる膜電極複合体と、前記燃料極に液体燃料を供給するための液体燃料室と、を少なくとも備え、前記燃料極は燃料極触媒層と燃料極導電層を有し、前記燃料極触媒層は電極触媒とプロトン伝導性を有する電解質成分とを含み、該燃料極触媒層の燃料極投射単位面積当たりのプロトン伝導抵抗Rclが20mΩ・cm 以下であり、前記電極触媒の燃料極投射単位面積当たりの重量Wが3mg/cm 以上で、100mg/cm 以下であることを特徴とする燃料電池である。

    ここで本発明の燃料電池において、前記電解質成分は硫酸などの液体電解質、イオン性液体あるいは前記液体燃料に溶解する固体電解質であることが好ましい。

    そして前記固体電解質は、パーフルオロ系固体高分子電解質、炭化水素系固体高分子電解質あるいは無機固体酸であることが好ましい。

    本発明の燃料電池は、前記燃料極および前記液体燃料室それぞれに接するように設けられた液体燃料気化部を備えることが望ましい。 さらに、前記液体燃料が、前記液体燃料気化部を介して前記燃料極に気化供給される構成とすることができる。

    更に本発明の燃料電池は、前記燃料極および前記液体燃料室それぞれに接するように設けられた透過層を備えることができる。

    また本発明の燃料電池においては、前記液体燃料が前記透過層に浸透して前記燃料極に供給される構成を採用できる。

    また本発明において、前記燃料極は燃料極触媒層および燃料極導電層を少なくとも備え、前記燃料極触媒層および/または前記燃料極導電層と前記透過層と前記プロトン伝導性を有する電解質膜とが接合された構成を採用することが好ましい。 さらに本発明によれば前記燃料電池を搭載した電子機器が提供される。

    本発明の燃料電池においては、プロトン伝導性の高い液体電解質や液体燃料に溶解する固体電解質を、燃料極の電解質成分として使用するため、燃料極触媒層の単位面積に含有させる電極触媒の量、つまり燃料極触媒層の厚さを増加させても、燃料極触媒層における電解質成分の単位面積当たりのプロトン伝導抵抗の増加を抑制することが可能であり、触媒層の単位面積当たりの発電量を増加させることができる。

    また、本発明の燃料電池においては、液体電解質や液体燃料に溶解する固体電解質を、燃料極の電解質成分として使用するため電解質成分が燃料極触媒層中に浸透するため、液体燃料の酸化反応が起こる三相界面を増加させることができる。 したがって、触媒利用率が高く、より高い発電特性を得ることができる。

    また、本発明の燃料電池においては、燃料極触媒層の厚さを増加させる構成であるため、高濃度の液体燃料を用いた場合においても、液体燃料を燃料極触媒層にて100%消費する設計も可能となる。 そのため液体燃料を用いた場合に問題となる液体燃料のクロスオーバーも抑制できる。 したがって、燃料極の発電特性を向上させるとともに、空気極の発電特性も向上させることが可能である。 さらに、高濃度の液体燃料の使用でき装置の小型化が可能となる。

    また、本発明の燃料電池においては、燃料極および液体燃料室のそれぞれに接するように液体燃料気化部が設けられた構成とすることで、燃料極での酸化反応を気化した燃料との反応とすることができ、高活性の反応を可能とするため、燃料極の発電特性を向上させることが可能である。

    また、本発明の燃料電池においては、燃料極および液体燃料室のそれぞれに接するように透過層が設けられた構成とすることでり、液体燃料が透過層に浸透して燃料極に供給されるため、燃料極触媒層中の電解質成分に含浸できる量の液体燃料しか燃料極触媒層には供給されないため、液体燃料に溶解しやすい、すなわち高いプロトン伝導性を有する電解質成分を選択できるため、燃料極の発電特性を向上させることが可能である。

    さらに本発明の燃料電池においては、燃料極は、燃料極触媒層および燃料極導電層を少なくとも備え、燃料極触媒層および/または燃料極導電層と透過層とプロトン伝導性を有する電解質膜とが接合された構成とすることで、液体電解質や、液体燃料に完全に溶解する高いプロトン伝導性を有する電解質成分を選択できるため、燃料極の発電特性を向上させることが可能である。 さらに燃料極導電層と透過層と電解質膜とが接合されているため、燃料極触媒層と電解質膜とが解離することを抑制でき、安定な発電特性が維持できる。

    以下、本発明の燃料電池および電子機器の構成について、直接メタノール型燃料電池を例にとり、図面を参照して説明するが、本発明はこれに限るものではない。 本発明の燃料電池に使用される液体燃料としては、水素を含む有機燃料が好ましく挙げられ、該有機燃料は、排ガスとの混合物や多種液体からなる混合液体燃料とされても良い。 具体的な燃料としては、メタノール、エタノールなどの低級アルコール、DME(ジメチルエーテル)、ホルムアルデヒド、ギ酸メチル、ギ酸、アセトン、トルエンなどから選択される1種または2種以上の混合物が例示できる。

    本発明における「燃料極触媒層の単位面積あたりのプロトン伝導抵抗Rcl」は、交流インピーダンス測定(後述する)により得られ、燃料極投射単位面積あたりのプロトン伝導抵抗の値として定義される。 また、「電極触媒の単位面積当たりの重量W」とは、燃料極触媒層に含まれる電極触媒の燃料極投射単位面積当たりの重量として定義される。 また電極触媒の単位面積当たりの重量Wは、燃料極触媒形成前後の重量差から算出した値である。

    <実施の形態1>
    (燃料電池の構成)
    図1は、本発明の燃料電池の好ましい構成の一例を示す断面図である。 図1に示す燃料電池101には、燃料極触媒層102aと燃料極導電層103aからなる燃料極と、プロトン伝導性を有する電解質膜104と、空気極触媒層102bと空気極導電層103bからなる空気極とから膜電極複合体が形成されており、燃料極に接して透過層105が設けられ、さらに筐体106が設けられている。 筐体106が透過層105により閉塞されることで、液体燃料室107が形成されている。

    前記透過層105は、透過層の層厚方向に液体燃料を選択的に透過させ、燃料極で生成した排ガスを透過させ難い構成となっている。 図1では、液体燃料を膜の厚さ方向に浸透させることによって透過させる膜を透過層として設けた構造を示している。 透過層が液体浸透膜からなる場合、該透過層は、液体燃料室107から燃料極触媒層102aへの液体燃料の透過量を制限する機能をも有する。 なお、以下では燃料極触媒層102a、燃料極導電層103aとして、後述する構造の多孔質層を設ける場合について説明するが、本発明はこれに限定されない。

    図1において、燃料極側では、液体燃料室107に液体燃料を充填すると、該液体燃料が透過層105に浸透し、該透過層105を透過して、燃料極触媒層102aに供給される。 液体燃料は、燃料極触媒層102aで酸化反応を起こし、電子とプロトンと、排ガスである二酸化炭素ガスとに分解される。 図1においては、燃料極導電層102aが多孔質層からなり、これによって透過層105と燃料極導電層103aとの界面には、面方向に連続した細孔が形成され、該細孔が本発明における排気通路としての役割を果たす。

    排ガスである二酸化炭素ガスは、多孔質層である燃料極触媒層102a中の細孔を層厚方向に通過して透過層105と燃料極導電層103aとの界面に達し、該界面に形成されている気液分離膜108を通って、燃料電池101の外部に排出される。

    前記燃料極導電層103aが層厚方向および面方向の連続孔としての細孔を有することが好ましい。 この場合、燃料極導電層103a内部の該細孔も排気通路としての役割を果たすため、排ガスの排出効率がより良好となる。

    次に、本発明の燃料電池101において、筐体106は燃料容器としての機能を有する。 筐体106と透過層105との間に液体燃料室107を形成することにより、液体燃料室107に液体燃料が保持される。

    ここで液体燃料室107から液体燃料が透過層105を層厚方向に浸透することによって燃料極に供給され、燃料極で生成した排ガスが液体燃料室107に戻り難いように構成されることが好ましい。 すなわち、液体燃料室107を実質的に密閉することが好ましい。 この場合、燃料電池の漏洩を防止して、動作方位にかかわらずより安定かつ良好な発電特性を有する燃料電池が得られる。

    液体燃料室107を形成する前記筐体106の材質は、液体燃料に溶解することなく、液体燃料やその蒸気を透過させることがなければ特に限定されない。 この場合、液体燃料として、メタノール等の低級アルコールを用いる場合には、アクリル、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリフッ化ビニリデン等のプラスチック素材を用いることが好ましい。 また、液体燃料として、プラスチックの溶解性が高いアセトンやトルエン等の有機溶剤を用いる場合には、チタン、ステンレス、アルミニウム等の金属素材を用いることが好ましい。

    本発明において、透過層105は、燃料極触媒層102aと液体燃料室107との間に形成される。 ここで前記燃料極触媒層102aおよび/または燃料極導電層103aと透過層105とが接合されていることが好ましい。 透過層105が燃料極触媒層102aと接合されている場合、燃料極で生成した排ガスを排出するための圧力が液体燃料を排出するための圧力よりも大きい場合であっても、透過層105と燃料極触媒層102aとの剥離が防止され、燃料極触媒層102aへ液体燃料を安定に供給することができる。 また、透過層105が燃料極導電層103aとも接合されている場合、透過層105と燃料極触媒層102aとの剥離が良好に防止される。

    特に、透過層105と燃料極触媒層102aとが接合されていることにより、透過層105が後述する燃料極触媒層102a内の電解質成分と接していることが好ましい。

    さらに、本発明においては、燃料極触媒層102aおよび/または燃料極導電層103aと透過層105とプロトン伝導性を有する電解質膜104とが接合されていることが好ましい。 この場合、液体電解質や、液体燃料に完全に溶解する高いプロトン伝導性を有する電解質成分を用いて、燃料極触媒層102aの形状を維持することが困難になっても、透過層105と燃料極導電層103aと電解質膜104が接合されていることにより、燃料極触媒層102aと電解質膜104が解離することを抑制でき、安定な燃料電池の発電特性が維持できる。

    なお、本発明における接合とは、外部から力を加えない状態で分離しない状態に形成することをいい、具体的には化学結合やアンカー効果や粘着力により接合された状態のことをいう。 接合するための方法としては、たとえば、ホットプレス法や有機溶剤を用い軟化法などが使用できる。

    以下、本発明の燃料電池の構成を詳細に説明する。
    <透過層>
    図1の透過層105として形成される液体浸透膜は、液体燃料に溶解せずに、液体燃料を浸透させることで、液体燃料を透過させ、かつ燃料極において生成する排ガスである二酸化炭素ガスなどを透過させ難い構成材料からなる膜であれば特に限定されない。 たとえば、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基、ケトン基等の官能基を有した高分子膜を用いることができる。 具体的には、ハイドロキシエチルメタクリレート、ポリビニリデン、ジメチルアクリルアミド等の高分子材料を組み合わせて共重合させた膜を用いることが好ましい。

    本発明において、透過層105の好ましい構成材料の具体例としては、電解質膜104とプロトン伝導経路の連続性が保たれていない燃料極触媒層102a中の電極触媒の利用率を向上させることができる点で、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルイミド、スルホン化ポリフェニレンオキシド、パーフルオロスルホン酸ポリマー等の高いプロトン伝導性を有した固体高分子電解質膜が挙げられる。

    特に、透過層105が炭化水素系固体高分子電解質膜からなる膜であることが好ましい。 この場合、液体燃料の透過性が比較的低く、高濃度の液体燃料を用いた際にも、燃料極触媒層102aに到達する液体燃料の供給量を制限することができ、高濃度の液体燃料を液体燃料室107に供給しても、燃料極触媒層102aにおける液体燃料の濃度は低濃度に保つことが可能となる。 これにより、電解質膜104を液体燃料が透過する現象(クロスオーバー現象)を抑制することができる。

    このような、液体燃料を選択的に透過させ、排ガスを透過させ難い液体浸透膜からなる透過層105を用いることにより、後述する燃料極触媒層102aで生成した排ガスは、液体燃料室107には排出されずに、透過層105と燃料極導電層103aとの界面に形成される細孔の内部を面方向に移動し、該界面に形成されている気液分離膜108を通って、燃料電池101の外部に排出される。

    <導電層>
    液体燃料室107から供給される液体燃料は、透過層105を透過して燃料極導電層103aに到達する。 本発明の燃料電池における燃料極導電層103aは、燃料極触媒層102aから電子を集電する機能と、電気的配線を行う機能とを有する。 燃料極導電層103aの材質は、比抵抗が小さく、面方向に電流を取り出しても電圧の低下が抑制される点で金属が好ましく、電子伝導性を有し、酸性雰囲気下で耐腐食性を有する金属材料であればより好ましい。 具体的には、Au、Pt、Pd等の貴金属、C、Ti、Ta、W、Nb、Ni、Al、Cr、Ag、Cu、Zn、Su等の金属やSiおよびこれらの金属の窒化物、炭化物等、さらにステンレス、Cu−Cr、Ni−Cr、Ti−Pt等の合金等を用いることが好ましく、Pt、Ti、Au、Ag、Cu、Ni、Wからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含むことがより好ましい。

    また、Ag、Cu、Zn等の酸性雰囲気下で耐腐食性に乏しい金属を用いる場合には、Au、Pt、Pd等の耐腐食性を有する貴金属および金属材料に、導電性高分子、導電性窒化物、導電性炭化物または導電性酸化物等を表面コーティングして用いることもできる。 この場合には膜電極複合体の寿命を延ばすことができる。

    燃料極導電層103aの形状は、液体燃料を燃料極触媒層102aに供給できるとともに、燃料極で生成した排ガスの排出効率を高めるため、たとえば、板や箔に複数の穴を開けた多孔質層の形状とされることが好ましい。 さらには、燃料極で生成した排ガスの排出効率を促進させるために、たとえば、発泡体、焼結体、不織布、線を編んだメッシュ等の多孔質層および/または気液分離機能を有した上述の多孔質層であることがより好ましい。 この場合、燃料極導電層103aは層厚方向および面方向に連続した空隙を有しており、燃料極導電層103a内部の空隙も排ガスの排気通路となり得るため、排ガスの排出をさらに促進させることが可能となるとともに、液体燃料および液体電解質や、液体燃料に完全に溶解する高いプロトン伝導性を有する電解質成分等の漏洩を防止することが可能であり、安定な燃料電池の発電特性が維持できる。

    一般的に燃料電池101の発電時においては、燃料極導電層103aよりも空気極導電層103bは高い電位に保たれるため、空気極導電層103bの材質は、燃料極導電層103aと同等かそれ以上に耐腐食性に優れていることが好ましい。

    空気極導電層103bの材質は、燃料極導電層103aと同様の材質とされても良いが、特に、たとえば、Au、Pt、Pd等の貴金属、C、Ti、Ta、W、Nb、Cr等の金属およびこれらの金属の窒化物、炭化物等、さらにステンレス、Cu−Cr、Ni−Cr、Ti−Pt等の合金等を用いることが好ましい。 また、Ag、Cu、Zn、Ni等の酸性雰囲気下で耐腐食性に乏しい金属を用いる場合には、Au、Pt、Pd等の耐腐食性を有する貴金属および金属材料に、導電性高分子、導電性窒化物、導電性炭化物、導電性酸化物等を表面コーティングして用いることができる。

    空気極導電層103bの形状は、燃料極導電層103aについて前述したのと同様の形状をそのまま採用することができるが、空気極導電層103bにおいては面方向へ排ガスを排出する必要はないため、たとえば、板や箔に複数の穴を開けた形状を好ましく用いることができる。

    燃料極導電層103aおよび空気極導電層103bの開口率は、特に制限されるものではないが、10%以上とすることが好ましく、40%以上とすることがより好ましい。 開口率を10%以上とする場合、燃料極における液体燃料および空気極における空気の拡散のための表面積を広く確保することが可能であり、燃料極触媒層102aへの液体燃料の供給、空気極触媒層102bへの空気の供給を効率よく行うことができるためである。 また、燃料極導電層103aおよび空気極導電層103bの開口率は、95%以下とすることが好ましく、90%以下とすることがより好ましい。 開口率を95%以下とすることにより、発生した電子が燃料極導電層103aから引き出される前に、燃料極導電層103aより比抵抗の高い燃料極触媒層102aで電子が面方向に移動する距離を短くすることが可能となり、抵抗による電圧ロスを軽減することが可能となるためである。 また、燃料極導電層103aから外部回路に取り出された電子が、空気極導電層103bを通じて空気極触媒層102bへ移動する際も同様に、抵抗による電圧ロスを軽減することが可能となる。

    なお開口率は、開口率(%)={A/(A+d)} 2 ×100、目開きA=25.4/M−d(M:メッシュ数、d:線径)として定義される。

    一般に、長さL、断面積Sの棒状物体の抵抗Rに関して、R=ρ・L/S(ρ:抵抗率)の式が成り立ち、断面積Sが大きいほど抵抗による電圧ロスを小さくすることができる。 特に、燃料極導電層103aおよび空気極導電層103bの層厚の断面積Sは、開口率に依存し、該開口率が大きいほど該層厚の断面積Sは小さくなる。 開口率を所定の値に設定した場合、層厚の断面積Sを大きくするには、燃料極導電層103aおよび空気極導電層103bの層厚を大きくすることが好ましい。

    <電解質膜>
    本発明の燃料電池における電解質膜204は、燃料極触媒層202から空気極触媒層へプロトンを伝達する機能と、燃料極触媒層202と空気極触媒層との電気的絶縁性を保ち短絡を防止する機能とを有する。

    電解質膜204としては、プロトン伝導性を有しかつ電気的絶縁性を有する材質であれば特に限定されず、高分子膜、無機膜またはコンポジット膜を用いることができる。 高分子膜としては、たとえば、パーフルオロスルホン酸系電解質膜である、ナフィオン(デュポン社製)、アシプレックス(旭化成社製)、フレミオン(旭硝子社製)などが挙げられ、また、ポリスチレンスルホン酸、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルイミド、スルホン化ポリフェニレンオキシドなどの炭化水素系電解質膜なども挙げられる。 無機膜としては、たとえば、リン酸ガラス、硫酸水素セシウム、ポリタングストリン酸、ポリリン酸アンモニウムなどが挙げられる。 コンポジット膜としては、タングステン酸等の無機物とポリイミド等の有機物とのコンポジットなどが挙げらる。

    <燃料極触媒層>
    本発明の燃料電池の燃料極触媒層の好ましい構成について説明する。 図2は、本発明の燃料電池の燃料極側の好ましい構成の一例について説明する断面図である。 図2に示す燃料電池の燃料極201には、燃料極触媒層202と燃料極導電層203とプロトン伝導性を有する電解質膜204と、からなる膜電極複合体が形成されており、燃料極触媒層202および/または燃料極導電層203に接して透過層205が設けられている。 図2では、本発明の燃料電池における燃料極触媒層202が層厚方向の連続孔である細孔を有する場合について示している。

    本発明における燃料電池の燃料極触媒層202は、電子伝導性物質206と該電子伝導性物質に担持された電極触媒207とプロトン伝導性を有する電解質成分208から構成される。

    電極触媒207は、液体燃料を電子とプロトンに分解し、電解質成分208は、生成した該プロトンを電解質膜204へ伝導し、電子伝導性物質206は、生成した電子を燃料極導電層203へ導電する。 また、燃料極で生成した排ガスは、細孔209を通過し、透過層205と燃料極導電層203との界面に形成される細孔を面方向に通過する他、燃料極導電層203が多孔質層である場合には、燃料極導電層203内部の細孔をも面方向に通過して、燃料極触媒層202および/または燃料極導電層203に接して形成された気液分離膜210、または気液分離機能を有した燃料極導電層203を介して、燃料電池の外部に排出される。

    本発明において、電極触媒207を連続状態で存在させることによって、燃料極触媒層202内で生成した電子を燃料極導電層203まで導電する場合には、電子伝導性物質206は必ずしも用いなくても良い。

    電解質成分208は、液体燃料の分解により生成したプロトンを伝導する機能と液体燃料を含浸する機能とを有する。 電解質成分208は透過層205に接合されていることが好ましい。 この場合、透過層205に含浸された液体燃料を、細孔209に漏洩させることなく電解質成分208に含浸させることが可能となり、電極触媒207には液体燃料が電解質成分208を介して供給される。

    さらに、前記燃料極触媒層202および/または燃料極導電層203と透過層205と電解質膜204とが接合されていることが好ましい。 この場合、液体電解質や、液体燃料に完全に溶解する高いプロトン伝導性を有する電解質成分を用いて、燃料極触媒層202の形状を維持することが困難になっても、透過層205と燃料極導電層203と電解質膜204が接合されていることにより、燃料極触媒層202と電解質膜204が解離することを抑制でき、安定な燃料電池の発電特性が維持できる。

    本発明における燃料電池の燃料極触媒層202は電解質成分208を含むが、該燃料極触媒層202の燃料極投射単位面積当たりのプロトン伝導抵抗Rclが、20mΩ・cm 以下であることが好ましく、Rclが15mΩ・cm 以下であることが好ましい。 燃料極触媒層202の単位面積当たりのプロトン伝導抵抗Rclが20mΩ・cm を超える場合、プロトン伝導抵抗による電圧ロスが大きく高い発電特性を得ることができない。 一方、燃料極触媒層の単位面積当たりのプロトン伝導抵抗Rclが20mΩ・cm 以下である場合には、電極触媒の単位面積当たりの重量が多い燃料極においても、プロトン伝導抵抗による電圧ロスを低減することが可能であり、高い発電特性を得ることができる。

    ここで「燃料極投射単位面積」とは図1の燃料電池において、燃料極触媒層102aと電解質膜104の水平方向の界面における単位面積をいう。

    本発明の燃料電池の燃料極触媒層202に含まれる電極触媒207は、燃料極投射単位面積当たりの重量Wが3mg/cm ≦W≦100mg/cm であることが好ましい。 電極触媒207の単位面積当たりの重量Wが3mg/cm 未満である場合は、燃料極は反応律速であり、以下の反応式(Tafel式)に従って触媒層の単位面積当たりの電流量Iが決まる。

    I=I ・c・exp(αnFη/RT) (1)
    上記反応式において、cは液体燃料の濃度、αは移動係数、nは反応電子数、Fはファラデー定数、ηは電極電位の平衡電位からのずれを表す過電圧である。 I は交換電流密度であり、電極触媒の活性に依存する値である。 (1)式より、電極触媒207の単位面積当たりの重量Wが3mg/cm 未満である燃料極においては、発電量は電極触媒207の総面積、すなわち重量に依存するため、高い発電特性を得ることはできない。 また、電極触媒207の単位面積当たりの重量Wが100mg/cm を超える場合は、電解質成分のプロトン伝導抵抗による電圧ロスが大きいため、高い発電特性を得ることはできない。

    <<電極触媒>>
    本発明の燃料電池における燃料極触媒層202の電極触媒207としては、たとえば、Pt、Ru、Au、Ag、Rh、Pd、Os、Irなどの貴金属や、W、Ce、Ni、V、Ti、Co、Mo、Fe、Cu、Zn、Nbなどの卑金属が例示される。 これらを、単独もしくは2種類以上の組み合わせで用いることもできる。 また、Pt、Ru、Au、Ag、Rh、Pd、Os、Irなどの貴金属と、W、Ce、Ni、V、Ti、Co、Mo、Fe、Cu、Znなどの酸化物や窒化物とを、2種類以上組み合わせて用いることもできる。

    <<電子伝導性物質>>
    本発明の燃料電池における燃料極触媒層202の電子伝導性物質206としては、たとえば、天然ガス、炭化水素ガスの気相熱分解や不完全燃焼によって生成する微粉の球状または鎖状の炭素材料が好ましい。 このような炭素材料としては、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどを含むいずれのカーボンブラックでも使用可能である。 また、同様の構造を持つ炭素材料として、活性炭、活性炭素繊維、多層カーボンナノチューブ、ナノカーボンなどのカーボン粒子を用いることもできる。 また、Au、Ag、Pt、Ti、Nbなどの金属粒子、Pt、Ru、W、Ce、Ni、V、Ti、Co、Mo、Fe、Cu、Zn、Nbなどの酸化物や窒化物粒子、n型、p型またはドープ型のシリコンなどの半導体粒子なども使用することができる。 上記の電子伝導性物質は、平均粒径10〜100nmが好ましく、より好ましくは20〜30nmである。

    <<電解質成分>>
    本発明における燃料電池の燃料極触媒層202中に電解質成分208が含まれる。 ここで電解質成分は、前述の如く燃料極触媒層202のプロトン伝導抵抗Rclを所定範囲に調整する。 この電解質成分は液体電解質あるいは液体燃料に溶解する固体電解質が使用される。 そして電解質成分は燃料極触媒中に浸透することで液体燃料の酸化反応の生じる三相界面を増加させ、発電特性を向上できる。 ここで三相界面とは、電極触媒207/電子伝導性物質206/電解質成分208で形成される界面をいう。

    本発明において電解質成分208は、燃料極で生成するプロトンを電解質膜204へ伝達するプロトン伝導性を有し、電極触媒207への液体燃料の拡散を阻害しない材質であれば特に限定されない。 そして液体電解質や液体燃料に溶解する固体電解質などを用いることができる。

    電解質成分208が液体電解質である場合、たとえば、硫酸、リン酸等の酸を用いることが好ましい。 液体電解質として硫酸を用いる場合、燃料極触媒層202中に含有させる硫酸濃度Mは、0.5mol/L≦M≦4mol/Lであることが好ましい。 硫酸濃度MがM<0.5mol/Lの場合、触媒層プロトン伝導抵抗が大きくなり、高い発電特性を得ることができず、硫酸濃度MがM>4mol/Lの場合、触媒層プロトン伝導抵抗が大きくなるとともに電極触媒207への液体燃料の拡散が阻害され、高い発電特性を得ることができないためである。

    上記酸は、液体であることが好ましいが、機械的強度や燃料電池の安定動作が問題となる場合は、該酸を含有するゲル電解質を用いることもできる。 該ゲル電解質は、該酸と、酸に対して膨潤する鎖状高分子とから構成される。 該鎖状高分子としては、たとえば、ポリベンズイミダゾールまたはポリベンズイミダゾール誘導体などが好適に用いられる。 さらに、該鎖状高分子としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリフッ化ビニリデンとポリヘキサフルオロプロピレンの共重合体、ナフィオン(デュポン社製)などのパーフルオロスルホン酸系高分子などを使用することもできる。

    また、本発明において電解質成分208が液体電解質である場合、プロトン供与体を有するイオン性液体を用いることが好ましい。 該イオン性液体は、カチオン成分とアニオン成分から構成される。

    前記カチオン成分としては、イミダゾリウム、ピリジウム、アンモニウム、ピロリジニウム、ルチジニウム、トリアゾニウム、インドリウム、ピラゾリウム、カルバゾリウム化合物等を挙げることができる。 具体的には、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジエチルイミダゾリウムカチオン、1,2−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,2−ジエチルイミダゾリウムカチオン、1−エチルー3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−メチルー3−プロピルイミダゾリウムカチオン、2−エチルー1−メチルイミダゾリウムカチオン、1−エチルー2−メチルイミダゾリウムカチオン、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムカチオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−メチルイミダゾリウムカチオン、2−メチルイミダゾリウムカチオン、1−エチルイミダゾリウムカチオン、2−エチルイミダゾリウムカチオン、1−エチルー2−フェニルインドリウムカチオン、1−エチルカルバゾリウムカチオン、1−メチルピラゾリウムカチオン等を挙げることができる。

    前記アニオン成分としては、カルボン酸、スルホン酸、スルホン酸化合物、無機酸等を挙げることができる。 具体的には、CH CO −、CF CO −、C CO −、CF SO −、(CF SO C−、C SO −、(CF SO N−、BF −、PF −、ClO −、NO −、NO −、AlCl −、Al Cl −等を挙げることができる。

    該イオン性液体は、前記カチオン成分とアニオン成分とからなるイオン性液体を単独で用いることもできるが、該イオン性液体にプロトン供与体を組み合わせて複合化させたものを用いても良い。 このように、イオン性液体にプロトン供与体を含有させることにより、該イオン性液体のプロトン伝導性をさらに優れたものとすることができる。

    前記プロトン供与体としては、リン酸、硫酸、スルホン酸、無機固体酸およびこれらの誘導体を挙げることができる。 具体的には、トリフルオロメタンスルホン酸、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が好適に用いられる。

    本発明の燃料電池における燃料極触媒層202中の電解質成分208が液体燃料に溶解する固体電解質である場合、たとえばナフィオン(デュポン社製)等のスルホン酸基を有するパーフルオロ系固体高分子電解質を用いることが好ましい。 具体的には、CF =CF とCF =CF−(OCF CFX) −O −(CF −A(式中mは0〜3、nは0〜12、qは0または1、XはFまたはCF 、Aはスルホン酸基)との共重合体等を挙げることができる。

    該パーフルオロ系固体高分子電解質は単独で用いることもできるが、該パーフルオロ系固体高分子電解質にプロトン供与体を組み合わせて複合化させたものを用いても良い。 このように、パーフルオロ系固体高分子電解質にプロトン供与体を含有させることにより、該パーフルオロ系固体高分子電解質のプロトン伝導性をさらに優れたものとすることができる。 前記プロトン供与体としては、リン酸、硫酸、スルホン酸、無機固体酸およびこれらの誘導体を挙げることができる。 具体的には、トリフルオロメタンスルホン酸、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が好適に用いられる。 さらには、硫酸化ジルコニア等の無機固体の超強酸等も挙げることができる。

    また、本発明の燃料電池における燃料極触媒層202中の電解質成分208が液体燃料に溶解する固体電解質である場合、たとえば、炭化水素系固体高分子電解質を用いることができる。 具体的には、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)等の芳香族炭化水素系高分子のスルホン化物が挙げられ、イオン交換容量IcがIc≧5meq/gであることが好ましい。

    該炭化水素系固体高分子電解質は単独で用いることもできるが、該炭化水素系固体高分子電解質にプロトン供与体を組み合わせて複合化させたものを用いても良い。 このように、パーフルオロ系固体高分子電解質にプロトン供与体を含有させることにより、該炭化水素系固体高分子電解質のプロトン伝導性をさらに優れたものとすることができる。 前記プロトン供与体としては、リン酸、硫酸、スルホン酸、無機固体酸およびこれらの誘導体を挙げることができる。 具体的には、トリフルオロメタンスルホン酸、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が好適に用いられる。 さらには、硫酸化ジルコニア等の無機固体の超強酸、Ca(H PO ・H O等の無機固体酸も挙げることができる。
    また、本発明の燃料電池における燃料極触媒層202中の電解質成分208が液体燃料に溶解する固体電解質である場合、たとえば、無機固体酸を用いることができる。 本発明で用いられる固体酸は、MaHb(XOt)c・nH O(式中Mは、Li、Be、Na、Mg、K、Rb、Sr、Cs、Ba、TlおよびNH からなる一つ以上の化学種、Xは、Si、P、S、As、Se、Te、CrおよびMnからなる一つ以上の化学種、a、b、c、t、nは有理数)で表される。 具体的には、CsHSO 、Cs H(SO 、CsH PO 、NH HSO 、RbHSO 等の硫酸塩およびリン酸塩が挙げられる。 また、CsHSeO 、NH HSeO 、RbHSeO 等のセレン酸塩、CaNaHSiO 、Cs SiO 、Rb SiO 、K HSiO 等のケイ酸塩等も挙げることができる。 さらに、タングストリン酸、モリブドリン酸、タングスト珪酸などのヘテロポリ酸も挙げることができる。

    前記無機固体酸は単独で用いることもできるが、該無機固体酸にプロトン供与体を組み合わせて複合化させたものを用いても良い。 このように、無機固体酸にプロトン供与体を含有させることにより、該無機固体酸のプロトン伝導性をさらに優れたものとすることができる。 前記プロトン供与体としては、リン酸、硫酸、スルホン酸、パーフルオロ系固体高分子電解質および炭化水素系電解質等を挙げることができる。 具体的には、トリフルオロメタンスルホン酸、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が好適に用いられる。

    <実施の形態2>
    図3は、本発明の燃料電池の好ましい構成の他の例を模式的に示す断面図である。 図3に示す燃料電池301は、燃料極触媒層302aと燃料極導電層303aからなる燃料極と、プロトン伝導性を有する電解質膜304と、空気極触媒層302bと空気極導電層303bからなる空気極と、からなる膜電極複合体と、液体燃料室305と、液体燃料室305から導入された液体燃料を気化し、気化した気体燃料を燃料極に導くための燃料気化部306とが形成されている。 このとき、電池反応によって生じる反応熱が伝わる位置に燃料気化部306が備えられている構成が好ましく、より好ましくは反応熱により40℃程度以上に加熱される位置に燃料気化部306を近接させる構成が望ましい。

    液体燃料室305から燃料気化部306に液体燃料を供給する方法としては、燃料気化部306の毛管力で、液体燃料室305から液体燃料を引き込む方法が挙がられる。 上記方法により液体燃料を液体気化部306に供給する場合、液体気化部306の形態は、液体燃料を毛管力で浸透し得るものであれば特に限定されるものではなく、粒子やフィラーからなる多孔質体や、不織布等の液体浸透部材を用いることができ、該燃料気化部で気化された気体燃料のみを燃料極に供給できるように、燃料極との界面に気液分離膜を具備したものであることが好ましい。

    以下に、液体気化部306として多孔質体を用いた場合について説明する。 燃料気化部306自体の毛管力を利用する場合、多孔質体である燃料気化部306の孔を連結させた、いわゆる連続孔とし、その孔径を制御することにより、液体燃料を毛管力で供給することが可能となる。

    多孔質体である燃料気化部306の孔径等は、液体燃料室305内の液体燃料を引き込み得るものであればよく、特に限定されるものではないが、0.01〜150μm程度とすることが好ましい。 また、多孔質体における孔の連続性の指標となる孔の体積は、20〜90%程度とすることが好ましい。 孔径を0.01μmより小さくすると、液体燃料室305内部の液体燃料の浸透速度が遅くなるのでスムーズな燃料供給ができなくなり、また150μmを超えると毛管力が低下してしまう。 また、孔の体積が20%未満となると連続孔の量が減り、閉鎖された孔が増えるため、毛管力を十分に得ることができなくなる。 逆に、孔の体積が90%を超えると、連続孔の量は増加するものの、強度的に弱くなると共に製造が困難となる。 実用的には、孔径は0.5〜100μmの範囲、また孔の体積は30〜75%の範囲とすることが望ましい。

    本発明の燃料電池301における燃料極触媒層302a、燃料極導電層303a、空気極触媒層302b、空気極導電層303b、プロトン伝導性を有する電解質膜304および液体燃料室305としては、図1および図2に示す燃料極触媒層、燃料極導電層、空気極触媒層、空気極導電層、プロトン伝導性を有する電解質膜、液体燃料室と同様の材質および形状が好ましく採用され得るため、ここでは説明を繰り返さない。

    さらに、上記の燃料電池は、小型電子機器、例えば携帯電話、電子手帳、ノートパソコンなどの携帯機器に好適に用いることができる。

    本発明の実施例をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。

    実施例1
    <燃料電池1の作製>
    1. 電解質膜の作製 40×40mm、厚さ175μmのナフィオン(登録商標)117(デュポン社製)を用いた。
    2. 導電層の作製 燃料極導電層である多孔質アノード導電層、および空気極(対極)導電層である多孔質カソード導電層として、線径70μmφ、100meshの金メッシュ(ニラコ社製)を23×50mmのサイズに切り出して用いた。 以後、多孔質アノード導電層用の金メッシュをアノード金メッシュ、多孔質カソード導電層用の金メッシュをカソード金メッシュと記載する。
    3. 透過層の作製 液体浸透膜の、40×40mm、厚さ175μmのナフィオン(登録商標)117(デュポン社製)を用いた。
    4. 導電層/電子伝導性物質(カーボン)複合体の作製 燃料極触媒層および空気極(対極)触媒層の基体として、片面に撥水処理層を形成した多孔質基材であるカーボンペーパー(GDL35BC,SGL社製)を23×23mmのサイズに切り出して用いた。

    上記アノード金メッシュと上記カーボンペーパーの撥水処理層面とが重なり合うように、該アノード金メッシュの端部と該カーボンペーパーの端部とを合わせて、プレス機を用いて、荷重1tで1分間圧着し、該アノード金メッシュに該カーボンペーパーを仮止めした。

    上記カソード金メッシュと上記カーボンペーパーの撥水処理層面とが重なり合うように、該カソード金メッシュの端部と該カーボンペーパーの端部とを合わせて、プレス機を用いて、荷重1tで1分間圧着し、該カソード金メッシュに該カーボンペーパーを仮止めした。
    5. 触媒ペーストの作製 燃料極の触媒ペーストをPt/Ru合金粒子とカーボン粒子とからなる、Pt担持量が32.5wt%、Ru担持量が16.9wt%の触媒担持カーボン粒子(TEC66E50、田中貴金属社製)を0.497g、20wt%のナフィオンのアルコール溶液(アルドリッチ社製)0.73g、イソプロパノール2.58ml、N−プロパノール1.17ml、純水1.5ml、ジルコニアボール100gとを、PTFE製の容器に入れ、攪拌機を用いて500rpmで50分間の混合を行うことにより作製した。

    また、空気極(対極)の触媒ペーストをPt粒子とカーボン粒子からなる、Pt担持量が46.8wt%の触媒担時カーボン粒子(TEC10E50E、田中貴金属社製)を0.495g、20wt%のナフィオンのアルコール溶液(アルドリッチ社製)1.47g、イソプロパノール2ml、N−プロパノール1.17ml、純水1.5ml、ジルコニアボール100gとを、PTFE製の容器に入れ、攪拌機を用いて500rpmで50分間の混合を行うことにより作製した。
    6. 触媒層の作成(燃料極触媒層)
    上記の燃料極用の触媒ペーストを、上記アノード金メッシュに仮止めされたカーボンペーパーの撥水処理面上に、触媒担持量が30mg/cm となるように、23×23mmのウィンドウを有したスクリーン印刷版を用いて、燃料極用の触媒ペーストを塗布した。 その後、60℃乾燥機内にて乾燥させることで、燃料極触媒層を得た。
    (空気極触媒層)
    上記の空気(対極)用の触媒ペーストを、上記カソード金メッシュに仮止めされたカーボンペーパーの撥水処理面上に、触媒担持量が1mg/cm となるように、23×23mmのウィンドウを有したスクリーン印刷版を用いて、燃料極用の触媒ペーストを塗布した。 その後、60℃乾燥機内にて乾燥させることで、空気極(対極)触媒層を得た。
    7. 燃料電池の作製 上記アノード金メッシュに形成した燃料極触媒層と、上記カソード金メッシュに形成した空気極(対極)触媒層と、電解質膜であるナフィオン117とを重ねあわせ、さらにアノード金メッシュの上から透過層であるナフィオン117とを重ね合わせた。 このとき、アノード金メッシュとカソード金メッシュとは、互いに異なる方向に上記電解質膜からはみ出すように重ね合わせた。

    各部材を位置合わせして重ね合わせたまま、厚さ900μmのPTFEシートをスペーサーとして配置し、130℃、5kNで2分間ホットプレス処理を行うことにより、各部材を一体形成し、膜電極複合体を作製した。

    次に、アノード筐体およびカソード筐体として、中心部分に流路形成された60×60mm、厚さ10mmのアクリルセルを用いた。

    次に、透過層であるナフィオン117上部から、注射器を用いて濃度0.5mol/Lの硫酸水溶液を約1ml注入し、一晩静置することで、硫酸水溶液を燃料極触媒層中に含浸させた。

    上記の透過層であるナフィオン117がアノードアクリルセルと接するように配置し、中心を合わせるようにカソードアクリルセルをその上から重ね合わせた後、外周部を押さえつけて、その基本構造を図1、図2に示す本発明の燃料電池1を作製した。

    ここで、燃料極触媒層に含まれる電極触媒の燃料極投射単位面積当たりの重量Wは、30mg/cm である。

    比較例1
    <燃料電池2の作製>
    また、濃度0.5mol/Lの硫酸水溶液を用いない以外は、燃料電池1の作製と同様の方法で、比較例のための燃料電池2を作製した。 ここで、燃料極触媒層に含まれる電極触媒の燃料極投射単位面積当たりの重量Wは、30mg/cm である。

    比較例2
    <燃料電池3の作製>
    また、燃料極用の触媒ペーストおよび燃料極触媒層の構成条件が異なる以外は、燃料電池2の作製と同様の方法で、比較例のための燃料電池3を作製した。 燃料極用の触媒ペーストおよび燃料極触媒層の構成条件は以下の通りである。

    燃料極用の触媒ペーストは以下の手順で作製した。 Pt/Ru合金粒子とカーボン粒子とからなる、Pt担持量が32.5wt%、Ru担持量が16.9wt%の触媒担持カーボン粒子(TEC66E50、田中貴金属社製)を0.497g、20wt%のナフィオンのアルコール溶液(アルドリッチ社製)1.47g、イソプロパノール2ml、N−プロパノール1.17ml、純水1.5ml、ジルコニアボール100gとを、PTFE製の容器に入れ、攪拌機を用いて500rpmで50分間の混合を行うことにより、燃料極用の触媒ペーストを作製した。

    上記の燃料極用の触媒ペーストを、アノード金メッシュに仮止めされたカーボンペーパーの撥水処理面上に、触媒担持量が3mg/cm となるように、23×23mmのウィンドウを有したスクリーン印刷版を用いて、燃料極用の触媒ペーストを塗布した。 その後、60℃乾燥機内にて乾燥させることで、燃料極触媒層を得た。 ここで、燃料極触媒層に含まれる電極触媒の燃料極投射単位面積当たりの重量は、3mg/cm である。

    <発電特性の評価>
    燃料電池1の外部に引き出されたアノード金メッシュとカソード金メッシュとを負荷装置である電気化学アナライザー(PGSTAT30、オートラボ社製)に接続した。 次に、燃料極側に濃度3mol/Lのメタノール水溶液を5ml/minで供給し、空気極(対極)側に加湿H を200ml/minで供給し、40℃で燃料極の発電特性を電流走査0.5mA/secで評価した。 このとき、空気極(対極)は擬似可逆水素電極(Reversible Hydrogen Electrode:RHE)となり、参照極兼対極として機能する。

    燃料電池2、燃料電池3を用いて、燃料電池1と同様の方法で燃料極の発電特性を評価した。

    図4は、実施例1(燃料電池1)、比較例1(燃料電池2)および比較例2(燃料電池3)における発電により得られた電流−電圧特性を示す図である。 図4は、横軸が燃料極単位面積当たりの電流密度Iを、縦軸がIR補正した電圧Vを示している。

    ここでオーミック抵抗Rは、上記電気化学アナライザー(PGSTAT30、オートラボ社製)を用いて、測定周波数50mHzから10kHz、交流振幅±10mA/cm の条件で、燃料電池のセル全体の交流インピーダンス解析を行い、電流密度50mA/cm 負荷条件下におけるコール・コールプロットから得た。

    図4に示す結果から、実施例1の燃料電池1においては、比較例1の燃料電池2と比較すると、高電流密度領域(100−300mA/cm )で発電特性が優れていることが確認できた。 これは、硫酸水溶液を液体電解質として使用することによって、触媒層のプロトン伝導抵抗が大幅に低減されたためである(図5参照)。

    また、低電流密度領域(0−50mA/cm )においても発電特性が優れていることが確認できた。 硫酸水溶液を液体電解質として使用することによって、触媒層中の細孔内に電解質成分が入り込み、電極触媒の利用率、すなわち三相界面積が増加したためである(図6参照)。 また、実施例1で使用した燃料電池1においては、比較例2の燃料電池3と比較すると、低電流密度領域(0−50mA/cm )において発電特性が大きく向上していることが確認できた。 これは、燃料極に含まれる電極触媒の単位面積当たりの重量を増加させることによって、有効に機能する電極触媒面積が増加したためである。

    従来のナフィオンなどの固体電解質を燃料極触媒層の電解質成分として使用した場合、燃料極に含まれる電極触媒の単位面積当たりの重量を増加させると、比較例1に示すように、触媒層のプロトン伝導抵抗が高くなってしまうために、高電流密度領域で高い発電特性を得ることはできないが、燃料極触媒層の電解質成分として液体電解質を使用する本発明の燃料電池においては、触媒層のプロトン伝導抵抗の増加を抑制できるため、高電流密度領域においても高い発電特性を得ることができる。

    <プロトン伝導抵抗の評価>
    実施例1
    燃料電池1の外部に引き出されたアノード金メッシュとカソード金メッシュとを負荷装置である電気化学アナライザー(PGSTAT30、オートラボ社製)に接続した。 次に、燃料極側に濃度3mol/Lのメタノール水溶液を5ml/minで供給し、空気極(対極)側に加湿H を200ml/minで供給し、40℃で燃料極の交流インピーダンス解析を行い、得られたコール・コールプロットから燃料極触媒層のプロトン伝導抵抗を評価した。 交流インピーダンス測定は、測定周波数50mHzから10kHz、交流振幅±10mA/cm の条件で、電流密度0mA/cm 負荷条件下(開放電圧下)で行った。

    比較例1
    燃料電池2を用いた他は、実施例1と同様の方法で燃料極触媒層のプロトン伝導抵抗を評価した。

    図5は、実施例1および比較例1における燃料極触媒層のプロトン伝導抵抗を示す図である。 図5に示す結果から、燃料極触媒層のプロトン伝導抵抗は実施例1に用いた燃料電池1では11.6mΩ・cm であり、比較例1に用いた燃料電池2の28.4mΩ・cm と比較すると、燃料極触媒層のプロトン伝導抵抗が低減されていることが確認できた。 これは、高プロトン伝導の硫酸水溶液を液体電解質として使用することによって、燃料極触媒層のプロトン伝導が向上するためである。 これは、図4に示した結果を支持する結果である。

    なお、実施例1、比較例1のプロトン伝導抵抗の値は、図5において、それぞれ次の方法で読み取ることができる。 切片(図5破線)と実線成分との交点の抵抗値とコール・コールプロットと実数成分との交点の抵抗値の差分が、燃料極触媒層のプロトン伝導抵抗に該当する。 さらに、燃料極投射単位面積で除した値が、燃料極触媒層の燃料極投射単位面積当たりのプロトン伝導抵抗Rc1である。

    <電極触媒の三相界面積の評価>
    実施例1
    燃料電池1の外部に引き出されたアノード金メッシュとカソード金メッシュとを負荷装置である電気化学アナライザー(PGSTAT30、オートラボ社製)に接続した。 次に、燃料極側に加湿N を200ml/minで供給し、空気極(対極)側に加湿H を200ml/minで供給し、40℃で燃料極のサイクリックボルタンメトリー(Cyclic Voltammetry:CV)測定を行い、得られた水素脱着波の積分(図中斜線部分)から燃料極触媒層の電極触媒三相界面積を評価した。 CV測定は、電位走査50mV/secで、走査範囲0.05−0.6Vの条件で行った。

    比較例1
    燃料電池2を用いて、実施例1と同様の方法で燃料極触媒層の電極触媒三相界面積を評価した。

    図6は、実施例1および比較例1における燃料極触媒層のCV測定結果すなわち電極触媒三相界面積を示す図である。 図6に示す結果から、実施例1で使用した燃料電池1においては、比較例1で使用した燃料電池2と比較すると、燃料極触媒層の三相界面積が2140cm から2900cm に増加、すなわち、三相界面積が36%増加していることが確認できた。 これは、硫酸水溶液を液体電解質として使用することによって、燃料極触媒層中の細孔内に電解質成分が入り込み、新たに三相界面が形成され、電極触媒の利用率が向上するためである。 これは、図4に示した結果を支持する結果である。

    <発電特性の経時的安定性>
    実施例1
    燃料電池1の外部に引き出されたアノード金メッシュとカソード金メッシュとを負荷装置である電気化学アナライザー(PGSTAT30、オートラボ社製)に接続した。 次に、燃料極側に濃度3mol/Lのメタノール水溶液を5ml/minで供給し、空気極(対極)側に加湿H を200ml/minで供給し、40℃で300mA/cm 負荷条件で燃料極の発電特性を評価した。

    比較例1
    燃料電池2を用いて、実施例1と同様の方法で燃料極の発電特性を評価した。

    図7は、実施例1および比較例1における300mA/cm 負荷条件での燃料極の発電により得られた時間−電位特性を示す図である。 図7に示す結果から、実施例1で使用した本発明の燃料電池1においては、比較例1で使用した燃料電池2と同様に、長期安定性の観点において問題がないことが確認された。 これは、液体電解質や液体燃料に溶解する固体電解質を燃料極触媒層の電解質成分として使用する本発明の燃料電池において、電解質成分の燃料電池外部への漏洩が生じていないことを示す結果である。

    本発明の燃料電池によれば、燃料極触媒層の電解質成分として液体電解質や液体燃料に溶解する固体電解質を使用することによって、良好な発電特性を有し、かつ安定に動作する燃料電池を得ることができる。 本発明の燃料電池、該燃料電池電池を組み込んだ燃料電池システムは、電子機器、特に、モバイル機器等の携帯電子機器に対して好適に適用され得る。

    本発明の燃料電池の一例を模式的に示す断面図である。

    本発明の燃料電池の燃料極側の部分の一例を模式的に示す断面図である。

    本発明の燃料電池の一例を模式的に示す断面図である。

    実施例1、比較例1ならびに比較例2における発電により得られた電流−電圧特性を示す図である。

    実施例1および比較例1における発電により得られたコール・コールプロットを示す図である。

    実施例1および比較例1における燃料極触媒層のCV特性を示す図である。

    実施例1および比較例1における発電により得られた時間−電位特性を示す図である。

    符号の説明

    101,201,301 燃料電池、102a,202,302a 燃料極触媒層、102b,302b 空気極触媒層、103a,203,303a 燃料極導電層、103b,303b 空気極導電層、104,204,304 電解質膜、105,205 透過層、106 筐体、107,305 液体燃料室、206 電子伝導性物質、207 電極触媒、208 電解質成分、209 細孔、108,210 気液分離膜、306 燃料気化部。

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