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Industrial combustion facility to treat waste fluid and treatment method using the same

阅读:498发布:2024-01-08

专利汇可以提供Industrial combustion facility to treat waste fluid and treatment method using the same专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PROBLEM TO BE SOLVED: To provide an industrial combustion facility capable of efficient and reliable waste fluid treatment even if fuel and waste fluid are mixed, and a treatment method of the waste fluid using the facility. SOLUTION: Discharge of untreated waste fluid during low combustion, before termination of combustion or immediately after ignition is prevented by monitoring operation status of the industrial combustion facility with signals from a flow meter of fuel that is supplied to the combustion facility and precisely and timely controlling the flow rate of waste fluid. At the same time, adverse effects on fuel systems, combustion chambers, and flues due to mixing of waste fluid can be prevented and optimum treatment of waste fluid can be realized in accordance with the type of waste fluid and combustion facility. COPYRIGHT: (C)2003,JPO,下面是Industrial combustion facility to treat waste fluid and treatment method using the same专利的具体信息内容。

  • 【特許請求の範囲】 【請求項1】 液体燃料を燃焼室内で燃焼させる燃焼手段と、この燃焼手段へ燃料を供給するための燃料供給ラインと、この燃料供給ラインに設けられた燃料移送手段および燃料流量制御手段とを備えた廃液を処理するための産業用燃焼設備であって、 前記燃料供給ラインで供給される燃料の燃料流量を検知する燃料流量検知手段と、 燃料と処理対象となる廃液とを混合させる混合手段と、 この混合手段よりも上流の燃料供給ラインまたは当該混合手段に合流する廃液注入用の廃液注入ラインと、 この廃液注入ラインに設けられて廃液の流量を検知する廃液流量検知手段、廃液の流量を制御する廃液流量制御手段、および廃液を移送する廃液移送手段と、 任意の燃料流量における廃液の目標注入比率を複数段設定可能な多点式の注入比率設定手段と、 この多点式の注入比率設定手段で設定された目標注入率と前記燃料流量検知手段からの流量信号により、必要に応じて目標廃液流量を決定するとともに、前記廃液流量制御手段へ比例信号を出力する比例制御手段とを備え、 この比例制御手段は、燃料流量が非定常時流量域に入った時には、前記多点式の注入比率設定手段の少なくとも1点の目標注入比率を、定常時流量域での比率を下回る非定常時注入比率として利用して当該非定常時注入比率に基づいた流量の廃液を注入するか、または廃液の注入を停止可能に設けられているとともに、 当該比例制御手段の機能としては、前記廃液流量検知手段の検知信号から判る実際廃液流量と前記目標廃液流量との偏差または各々の値、前記目標注入比率、および前記実際廃液流量と前記燃料流量検知手段の検知信号から求められる実際注入比率との偏差または各々の値のうち、少なくとも1つの情報を用いて廃液の注入が前記目標注入比率に基づいて正規に行われているか否かを確認する確認機能、前記情報中の偏差を補正する補正機能、
    前記情報中の偏差が一定以上の大きさとなった時または実際注入比率が予め定められた安全比率を超えた時に廃液の注入を停止させるかまたは安全比率以下で注入する安全機能のうち、少なくともいずれか1つの機能を備えていることを特徴とする廃液を処理するための産業用燃焼設備。 【請求項2】 液体燃料を燃焼室内で燃焼させる燃焼手段と、この燃焼手段へ燃料を供給するための燃料供給ラインと、この燃料供給ラインに設けられた燃料移送手段および燃料流量制御手段とを備えた廃液を処理するための産業用燃焼設備であって、 燃料と処理対象となる廃液とを混合させ、かつ前記燃料供給ラインの燃料流量制御手段と前記燃焼手段との間に配置された混合手段と、 任意の燃料流量における廃液の目標注入比率を設定可能な注入比率設定手段と、 目標注入比率にする際に、当該目標注入比率に到達するまでの時間を制御する目標比率変更時間制御手段とを備えていることを特徴とする廃液を処理するための産業用燃焼設備。 【請求項3】 液体燃料を燃焼室内で燃焼させる燃焼手段と、この燃焼手段へ燃料を供給するための燃料供給ラインと、この燃料供給ラインに設けられた燃料移送手段および燃料流量制御手段とを備えた廃液を処理するための産業用燃焼設備であって、 前記燃料供給ラインの燃料流量制御手段と前記燃焼手段との間で合流する廃液注入ラインと、 この廃液注入ラインに設けられた廃液流量制御手段と、 任意の燃料流量における廃液の目標注入比率を設定可能な注入比率設定手段と、 この注入比率設定手段で設定された目標注入率に基づいて前記廃液流量制御手段へ比例信号を出力する比例制御手段とを備えているのに加え、 前記廃液注入ラインの廃液流量制御手段の出口側または前記燃料供給ラインの燃焼手段と燃料流量制御手段との間に設けられた圧力検出手段と、この圧力検出手段からの圧力信号に基づいて前記比例制御手段に補正信号を出力する圧力補正手段とを備えているか、 または、前記廃液流量制御手段前後の差圧を一定に保つ差圧調整手段を備えていることを特徴とする廃液を処理するための産業用燃焼設備。 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の廃液を処理するための産業用燃焼設備において、 前記廃液注入ラインは、前記燃料よりも低い発熱量の主廃液を注入させる主廃液注入ラインと、前記燃料と略同等な発熱量の副廃液を注入させる副廃液注入ラインとを備えて構成され、 前記主廃液注入ラインは、前記混合手段よりも上流の燃料供給ラインまたは当該混合手段に合流するように設けられ、 前記副廃液注入ラインは、前記燃料流量制御手段よりも上流の燃料供給ラインに合流するように設けられていることを特徴とする廃液を処理するための産業用燃焼設備。 【請求項5】 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の廃液を処理するための産業用燃焼設備において、 前記廃液は、親和性の異なる主廃液と副廃液とで構成されたエマルジョン溶液であり、 前記廃液注入ラインは、前記エマルジョン溶液を主廃液と副廃液とに分離するエマルジョン分離手段を備えているとともに、このエマルジョン分離手段の下流側で主廃液注入用の主廃液注入ラインと副廃液注入用の副廃液注入ラインに分岐されていることを特徴とする廃液を処理するための産業用燃焼設備。 【請求項6】 液体燃料を燃焼室内で燃焼させる燃焼手段と、この燃焼手段へ燃料を供給するための燃料供給ラインと、この燃料供給ラインに設けられた燃料移送手段および燃料流量制御手段と、廃液を前記燃焼室に噴霧する廃液噴霧手段と、この廃液噴霧手段に廃液を注入するための廃液注入ラインとを備えた廃液を処理するための産業用燃焼設備であって、 前記廃液は、別々に用意された親和性の異なる主廃液と副廃液とで構成され、 前記廃液注入ラインは、前記主廃液を注入する主廃液注入ラインと、前記副廃液を注入する副廃液とを備えて構成され、 前記主廃液注入ラインには、主廃液流量を検知する主廃液流量検知手段と、前記主廃液および副廃液をエマルジョン化するエマルジョン化手段とが設けられ、 前記副廃液注入ラインは、前記エマルジョン化手段よりも上流の主廃液注入ラインのまたは前記エマルジョン化手段に合流するように設けられ、 この副廃液注入ラインに設けられて前記副廃液の流量を検知する副廃液流量検知検知手段、副廃液の流量を制御する副廃液流量制御手段、副廃液を移送する副廃液移送手段と、 前記主廃液流量検知手段の流量信号に基づいて前記副廃液流量制御手段に比例信号を出力する副廃液比例制御手段とを備えていることを特徴とする廃液を処理するための産業用燃焼設備。 【請求項7】 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の廃液を処理するための産業用燃焼設備において、 前記燃料、廃液、およびこれらの混合液のいずれかに添加剤を注入する添加剤注入ラインと、 前記燃料流量検知手段、前記廃液流量検知手段、および前記主廃液流量検知手段のうちのいずれかの流量検知手段からの流量信号に基づき、前記添加剤の流量を制御する添加剤流量制御手段とを備えていることを特徴とする廃液を処理するための産業用燃焼設備。 【請求項8】 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の廃液を処理するための産業用燃焼設備において、 前記燃料、廃液、およびこれらの混合液のいずれかに添加剤を注入する複数の添加剤注入ラインを備え、 各添加剤注入ラインは、それぞれ性質の異なった添加剤を注入可能に設けられていることを特徴とする廃液を処理するための産業用燃焼設備。 【請求項9】 請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の廃液を処理するための産業用燃焼設備において、 前記廃液注入ラインには、廃液中の塩類濃度を下げる塩類濃度減少手段が設けられていることを特徴とする廃液を処理するための産業用燃焼設備。 【請求項10】 請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の廃液を処理するための産業用燃焼設備において、 前記廃液注入ラインには、廃液中のゲル状固形物を当該廃液中に分散させる廃液ミル化手段が設けられていることを特徴とする廃液を処理するための産業用燃焼設備。 【請求項11】 請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の廃液を処理するための産業用燃焼設備において、 有機化合物を吸着した活性炭または炭化処理手段から排出される炭化物をスラリー化するためのスラリー化手段が設けられていることを特徴とする廃液を処理するための産業用燃焼設備。 【請求項12】 請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の廃液を処理するための産業用燃焼設備において、 廃液中に存在する有害細菌を殺菌する殺菌手段、除菌する除菌手段、有害細菌の増殖を抑制する抑制手段、有害細菌が廃液中に混入するのを遮断する遮断手段、および廃液の燃焼を促進させる有用細菌の増殖手段のうちのいずれかの手段を備えていることを特徴とする廃液を処理するための産業用燃焼設備。 【請求項13】 前記請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の産業用燃焼設備を用いて廃液を処理することを特徴とする産業用燃焼設備を用いた廃液処理方法。 【請求項14】 請求項13に記載の産業用燃焼設備を用いた廃液処理方法において、 前記燃料、廃液、およびこれらの混合液のいずれかに添加剤を注入する場合には、添加剤として、親油親水バランス、親油基、および親水基のいずれかの組成が異なる複数の界面活性剤を組み合わせて用いることを特徴とする産業用燃焼設備を用いた廃液処理方法。 【請求項15】 請求項13または請求項14に記載の産業用燃焼設備を用いた廃水処理方法において、 前記燃料、廃液、およびこれらの混合液のいずれかに添加剤を注入する場合には、添加剤として、前記燃料および/または廃液の粘性を増加させる粘度増加剤を用いることを特徴とする産業用燃焼設備を用いた廃液処理方法。 【請求項16】 請求項13ないし請求項15のいずれかに記載の産業用燃焼設備を用いた廃液処理方法において、 前記燃料、廃液、およびこれらの混合液のいずれかに添加剤を注入する場合には、添加剤として、前記燃料および/または廃液の潤滑性を向上させる性質の潤滑剤を用いることを特徴とする産業用燃焼設備を用いた廃液処理方法。 【請求項17】 請求項13ないし請求項16のいずれかに記載の産業用燃焼設備を用いた廃液処理方法において、 前記燃料、廃液、およびこれらの混合液のいずれかに添加剤を注入する場合には、添加剤として、前記燃料および/または廃液の防食性を向上させる性質の防食剤を用いることを特徴とする産業用燃焼設備を用いた廃液処理方法。 【請求項18】 請求項13ないし請求項17のいずれかに記載の産業用燃焼設備を用いた廃液処理方法において、主に潤滑等を目的として使用された潤滑剤を廃液とした場合の許容注入比率を、燃焼安全性評価手段を用いて決定することを特徴とする産業用燃焼設備を用いた廃液処理方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、廃液を処理するための産業用燃焼設備およびこれを用いた廃液処理方法に関する。 【0002】 【背景技術】廃液とは、主に工場等の生産設備や医療・
    研究機関等の産業活動に伴い副生される副生物であって、有価で販売できない物質のうち、特にそれが液体であるものを示す。 そしてその廃液はさらに、無機系の酸・基・塩類等を含む無機系廃液と、有機系酸・塩基・有機化合物等を含む有機系廃液とに分類される。 ここで、
    無機系廃液は、中和沈殿等の処理により比較的容易に浄化されるため、環境に対して大きな障害とはなり難い。 【0003】しかしながら、有機系廃液の場合、濃度が低い場合には生物処理方法により浄化可能な場合もあるが、濃度が高い廃液や生物処理に適さない成分が入っている場合、処理が困難である。 【0004】有機系廃液は、さらに親性(水と任意に混じり合う)、親油性(油と任意に混じり合う)、およびエマルジョン性(水と油が乳化状態になったもの)の3種類に大別され、親水性のものは特に廃水、親油性のものは廃油等とも呼ばれている。 【0005】次に、従来の廃液の処理方法について概略の説明を行う。 工場における廃棄物は、主に産業廃棄物として、産業廃棄物処理業者に引き取られ、産業廃棄物業者が埋め立て、蒸発乾固、焼却炉による焼却等の方法により処分されている。 また、一部施設にあっては自社において焼却炉を持ち焼却処分を行っている。 さらに、
    廃水処理設備を用いて処理する場合もある。 【0006】〔埋め立て〕廃液をドラム缶やその他密封容器に充填し、最終処分場に運び埋め立てを行う。 【0007】〔蒸発乾固〕廃液を蒸気若しくは高温熱媒等による加熱処理により揮発性成分を蒸発させ、減容させた後、固形物としてそのまま処分するか、或いはコンクリート等と混ぜ最終処分場にて埋め立て処分を行う。 【0008】〔焼却炉による処分〕固形物焼却用の焼却炉に廃液を吹き込み、高温雰囲気中で蒸発および熱分解を行い処分する。 【0009】〔排水処理設備による処分〕廃液量が少量で、廃液中に有害な成分を含まない場合には、少量づつ排水処理設備に投入し、処理している。 【0010】しかしながら、以上の処分方法では、以下の問題を有している。 〔埋め立て・蒸発乾固〕埋め立て、蒸発乾固にあっては、最終処分場の確保難等により減量化が求められている他、廃棄物が有害性を持つ場合、2次流出による環境汚染の問題を残す。 【0011】〔焼却炉による処分〕焼却炉においては、
    廃液単独で燃焼するケースは少ないため、炉内を高温に保つための補助燃料が必要であるが、これら補助燃料を使用した熱量の回収が困難であるため、処分コストが上昇する。 【0012】〔排水処理設備による処分〕廃液中に有害な成分を含まない場合には、処理が可能であるが、生物処理の場合本来の処理能を超えて廃棄物を処理したり、万が一有害物が混入していたりすると、生物処理のバランスが崩れ、本来処理しなければならない一般排水の処理にまで影響を及ぼしかねない。 また、生物処理の場合には、一般的に親油性やエマルジョン性の廃液は、
    生物が分解する時間が長くなるため、処理が益々困難となる。 【0013】また、親油性やエマルジョン性の廃液の場合には、加圧浮上法や凝集沈殿法等の油性廃液分離方法により処理も可能であるが、基本的に汚泥と呼ばれる固形物に分離する方法である他、使用する凝集剤により汚泥量も増加し、処理後の汚泥廃棄処分費が高価なものとなる。 【0014】そこで、以上のような処分方法の他に、廃液燃焼炉や各種ボイラなどの産業用燃焼設備を利用した処分も考えられている。 【0015】〔産業用燃焼設備(廃液燃焼炉)による処分〕図23は、廃液焼却設備の一例である。 燃料タンク1から燃料ポンプ2より移送された燃料は、燃料流量調整弁4を経由してバーナー9へ送られ、燃焼室18へ噴霧され燃焼する。 燃焼室18には温度発信器41が設けられ、温度調整器42へ燃焼室温度信号を送る。 温度調整器42は当該温度に基づき、燃料流量調整弁4を制御し、燃焼室温度を一定に保つ。 【0016】燃焼室18内が、廃液を蒸発、熱分解するのに適した温度に達すると、廃液タンク11から廃液ポンプ12により移送された廃液が廃液噴霧器17から噴霧され、燃焼室18内で蒸発および熱分解する。 廃液流量のコントロールは、自動的に行われるものもあるが、
    一般的には、定められた流量を一定に保つ方法が採用される。 従って、廃液流量調整弁14は定流量のものが用いられる。 【0017】廃液噴霧器17の基本原理は、通常のバーナーとほぼ同様であり、特段の差異はない。 しかし、特性上制御幅を持たないことが多いので、燃焼用のバーナー9程の噴霧特性や制御性は要求されない。 むしろ、若干の異物や不純物によりノズル等が詰まらないような対異物性が要求される。 【0018】処理された廃液と燃料の燃焼ガスは、排ガスとなって煙突19から排気されるが、排ガス中に含まれる成分によっては、脱硫・脱窒・除塵・活性炭吸着等の方法により浄化される場合もある。 【0019】〔産業用燃焼設備(ボイラー)による処分〕 【0020】図24に示すボイラーは、燃焼室18に設けられた水ドラム45内の水を加熱して水蒸気を発生させるものであり、燃料噴射用のバーナー9の近傍には、
    燃料と同方向に廃液を噴霧する廃液噴霧器17が設けられている。 また、水ドラム45には、蒸気圧力を検知する圧力発信器43が設けられ、圧力調整器44へ圧力信号を送る。 圧力調整器44は当該圧力に基づき、燃料流量調整弁4を制御し、燃焼室温度を一定に保つ。 【0021】このようなボイラーでは、燃料がバーナー9で燃焼するのであるが、同時に、廃液噴霧器17によって燃焼室内に廃液を供給する事により、廃液の熱分解を行うことは、前述した廃液燃焼炉と同じであり、廃液の供給ラインの構成も同じである。 【0022】 【発明が解決しようとする課題】 【0023】〔産業用燃焼設備(廃液燃焼炉)による処分〕しかし、廃液焼却炉の廃液噴霧器においては、親水性である廃水若しくは親油性である廃油どちらかを処分するように設計されているため、廃水処理用に設計された廃液焼却炉で廃油を同時に処理する事やその逆の処理が困難で、両方の性質の廃液が副生する事業所にあっては、それぞれ専用の廃液焼却炉を持つか、どちらか一方を産業廃棄物として外部業者に処理を依頼することになっている。 【0024】また、図23に示す廃液燃焼炉では、処理される廃液量は変化しない場合が多く、熱分解温度にバラツキが生じ易いうえ、燃焼負荷により火炎形態が異なるために、広い燃焼範囲において、噴霧された廃液が高温下で確実に処理されるかが不安である。 【0025】〔産業用燃焼設備(ボイラー)による処分〕また、図24に示すボイラーでも、処理される廃液量は変化しない場合が多いため、前述の廃液燃焼炉と同様な不安が残る。 また、廃液噴霧器17がバーナー9の近傍に設けられているため、燃焼熱の輻射を受け易く、
    廃液がない場合に、輻射熱によって不具合が生じたり、
    火口に新たに廃液噴霧器17を取り付けるスペース等に制約があり、普及が進まなかった。 【0026】一方、このようなボイラーなどの産業用燃焼設備において、廃液を燃料中に混合させ、同一のバーナーから廃液と燃料とを燃焼室内に噴霧させて燃焼させることも考えられる。 ところが、ボイラーなどの産業用燃焼設備は一般的に、燃焼によって燃焼室に発生した熱を、熱媒に加えることにより本来の目的を達成するものである。 このため、定常運転時において燃焼室では、燃焼を維持するだけでなく、熱を外部伝達させるに充分な熱エネルギーが存在しているが、それら発生した熱エネルギーが、熱媒等に伝達されることが必要である。 【0027】従って、一般的に産業用燃焼設備は、発熱量や粘度等の品質の安定した燃料を用いることを前提として設計されており、廃液を燃料中に混合させることは、そもそも本来の目的(燃焼熱の利用)を損ないかねない。 また、廃液を焼却処分することが本来の目的ではないので、その制御目的により燃焼量が低下したり、燃焼が停止する場合があり、このような非定常の状況下において安易に廃液を注入すると、燃焼が不安定になったり、熱分解を十分に期待できない等、解決しなければならない課題が多かった。 【0028】本発明の目的は、燃料と廃液とを混合させた場合でも、廃液処理を効率よく確実に行える産業用燃焼設備およびこれを用いた廃液処理方法を提供することにある。 【0029】 【課題を解決するための手段】本発明の請求項1の廃液を処理するための産業用燃焼設備は、液体燃料を燃焼室内で燃焼させる燃焼手段と、この燃焼手段へ燃料を供給するための燃料供給ラインと、この燃料供給ラインに設けられた燃料移送手段および燃料流量制御手段とを備えた廃液を処理するための産業用燃焼設備であって、前記燃料供給ラインで供給される燃料の燃料流量を検知する燃料流量検知手段と、燃料と処理対象となる廃液とを混合させる混合手段と、この混合手段よりも上流の燃料供給ラインまたは当該混合手段に合流する廃液注入用の廃液注入ラインと、この廃液注入ラインに設けられて廃液の流量を検知する廃液流量検知手段、廃液の流量を制御する廃液流量制御手段、および廃液を移送する廃液移送手段と、任意の燃料流量における廃液の目標注入比率を複数段設定可能な多点式の注入比率設定手段と、この多点式の注入比率設定手段で設定された目標注入率と前記燃料流量検知手段からの流量信号により、必要に応じて目標廃液流量を決定するとともに、前記廃液流量制御手段へ比例信号を出力する比例制御手段とを備え、この比例制御手段は、燃料流量が非定常時流量域に入った時には、前記多点式の注入比率設定手段の少なくとも1点の目標注入比率を、定常時流量域での比率を下回る非定常時注入比率として利用して当該非定常時注入比率に基づいた流量の廃液を注入するか、または廃液の注入を停止可能に設けられているとともに、当該比例制御手段の機能としては、前記廃液流量検知手段の検知信号から判る実際廃液流量と前記目標廃液流量との偏差または各々の値、前記目標注入比率、および前記実際廃液流量と前記燃料流量検知手段の検知信号から求められる実際注入比率との偏差または各々の値のうち、少なくとも1つの情報を用いて廃液の注入が前記目標注入比率に基づいて正規に行われているか否かを確認する確認機能、前記情報中の偏差を補正する補正機能、前記情報中の偏差が一定以上の大きさとなった時または実際注入比率が予め定められた安全比率を超えた時に廃液の注入を停止させるかまたは安全比率以下で注入する安全機能のうち、少なくともいずれか1つの機能を備えていることを特徴とする。 【0030】このような本発明によれば、産業用燃焼設備が現有している燃焼手段が液体燃焼バーナーである場合、当該バーナーおよび燃焼制御手段をそのまま活用し、廃液の処分を可能とするもので、燃料供給ラインに設けられた燃料流量検知手段からの信号により、産業用燃焼設備の燃焼状況を把握し、定常運転時には燃焼量に比例した最適な廃液の処分を行うが、燃焼量が非定常領域に達した場合には、より少ない比率にしたり注入を停止する事と、廃液注入量の目標値と実際値を比較し、常に設定された正しい量の廃液が注入される事を実現する事により、過大注入による未分解廃液の生成を防止するものである。 このことにより、燃料と廃液とを混合手段で混合させ、これを同一のバーナー等の燃焼手段を用いて燃焼させた場合でも、良好な燃焼状態が得られるようになり、廃液処理を効率よく確実に行って本発明の目的が達成される。 【0031】なお、本発明においては、燃焼量可変制御型の産業用燃焼設備が好ましく、このような産業用燃焼設備は、少なくとも2点以上の燃焼量可変位置を持ち、
    負荷側の要求により燃焼量を変更できるものである。 本発明で用いられる燃料、廃液流量検知手段として、一般には、流量計と呼ばれるセンサーを示す事が多いが、流量制御弁と連接したアーム開度や、燃焼手段として戻り圧力噴霧式バーナーを用いた場合の戻り圧力、多段式燃焼バーナーにあっては、多段燃焼の制御段信号等も、燃料流量を正確に示すものであるならば、検知手段になり得る。 そして、流量計としては、オーバルギヤー、ロータリーピストン、ルーツ等の閉空間の圧縮伸展を利用して、流体の通過量を正確に計測する体積式流量計、オリフィスを通過する時の流体抵抗により発生する差圧を計測し、流量計測を行う差圧式流量計、三柱の下流側に発生するカルマン渦の周波数を計測する事により、流量計測を行う渦式流量計、水の様に、伝導性を持つ流体が磁束を通過する時に発生する起電力を計測し、流量計測を行う電磁流量計、コリオリ力を利用し、センサーを通過する質量流量を計測する事により、流量計測を行う質量流量計、水車やプロペラの原理を利用し、燃料や廃液の流れに応じて変化する回転数から、流量計測を行うタービン流量計などが用いられる。 【0032】また、燃料、廃液移送手段としては、液体の質量を利用した落差型、動力を使用して閉じた空間容積の圧縮伸展を行い、流体の吸引および吐出を行う容積式ポンプ、回転式ポンプであり、ギヤーから構成される閉じた空間を利用して移送するギヤー式ポンプ、回転式ポンプであり、ベーンと呼ばれる可動板と偏芯した円筒内に形成される閉じた空間を利用するベーン式ポンプ、
    回転式ポンプであり、繭玉形状のルーツと呼ばれる2組の要素で形成される閉じた空間を利用するルーツ式ポンプ、往復動ポンプであり、ピストンとシリンダーで形成される閉じた空間を利用するプランジャ式ポンプ、往復動ポンプであり、ゴムや薄い金属板の弾性変形により形成される閉じた空間を利用するダイヤフラム式ポンプ、
    ネジ形状を持つローターとそれに対応したステーターとにより形成される閉じた空間を利用するネジ式ポンプ、
    液体に加わる遠心力を利用するものであり、単段および多段のタービンポンプ等の遠心式ポンプ、プロペラに加わる推力を利用するのもであり、単段軸流ポンプ、多段軸流ポンプ等の軸流ポンプ、液体の摩擦力を利用し、流速を発生させる事を利用するポンプで、急激に方向を変えた時に生じる衝撃力も利用し、単段でより高圧の吐出圧を持つカスケードポンプ、ウエスコポンプ等の摩擦ポンプなどが用いられる。 【0033】燃料、廃液流量制御手段としては、流量制御弁、回転制御型の容積式ポンプ、パルス数制御型のパルスポンプなどが用いられる。 流量制御弁は、弁のCV
    値と呼ばれる係数値を許容設定範囲内で任意に変更する事により、所定の流量を通貨させる事を特徴とする弁である。 一般的には、グローブ方式と呼ばれる弁が多いが、ボール弁の様な形状を持ったものもある。 容積式ポンプによる回転数制御は、前述した容積式ポンプの回転数を変更する事により、液体の移送を行いながら、流量制御も同時に行える制御方法である。 往復動ポンプであっても、カム等により回転力で往復力に変換できるポンプは、本制御方法を利用できる。 パルスポンプによるパルス数制御は、容積式ポンプのうち、主に往復動ポンプに利用され、電磁力の入り切りにより発生する往復動エネルギーをポンプの駆動力とする事により、電磁力の入り切りを制御するパルス列を送る事により、液体の移送と流量制御を同時に実施できる制御である。 【0034】請求項2の廃液を処理するための産業用燃焼設備は、液体燃料を燃焼室内で燃焼させる燃焼手段と、この燃焼手段へ燃料を供給するための燃料供給ラインと、この燃料供給ラインに設けられた燃料移送手段および燃料流量制御手段とを備えた廃液を処理するための産業用燃焼設備であって、燃料と処理対象となる廃液とを混合させ、かつ前記燃料供給ラインの燃料流量制御手段と前記燃焼手段との間に配置された混合手段と、任意の燃料流量における廃液の目標注入比率を設定可能な注入比率設定手段と、目標注入比率にする際に、当該目標注入比率に到達するまでの時間を制御する目標比率変更時間制御手段とを備えていることを特徴とすることを特徴とする。 【0035】廃液の持つ熱量が燃料より少ない場合、前記燃料流量制御手段より前に廃液を注入すると、燃焼設備が本来必要とする熱カロリーが不足するという問題を生じやすい。 燃料流量制御手段以降に注入すれば、このような問題は解消できる。 しかしながら、燃料流量が一定量流れている状態で、新たな廃液を急激に注入すると、注入したカロリーの低い廃液が燃焼手段であるバーナー等に到達する迄の間に、注入点からバーナー迄の配管ライン中の燃料を押しのけ、一時的に熱カロリー過大の現象を生じる。 また逆に、廃液が注入されてバランス状態を保った状態から急激に廃液を停止した場合には、
    一時的な熱カロリー不足現象を生じる。 【0036】そこで、本発明では、廃液の注入点をバーナーと燃料流量制御手段の間とした場合、その燃料供給ラインに存在する燃料容積に応じ、目標注入比率に達するまでんも時間を調整する事により、急激な廃液の増減による燃焼の不安定を防止すると伴に、燃焼設備における熱カロリーの不足を防止するものである。 また、廃液の処理では処理中に廃液が不足する事は通常の事であると考えられる。 このような場合でも産業用燃焼設備は、
    本来の運転の目的のため、燃焼を継続する事は当然考慮されなければならない。 このような時、廃液槽に設置された液面検出手段から検知できる廃液不足信号に基づき、徐々に廃液注入量を減少させる停止動作を行わないと、前記で説明した不具合を生じる事になる。 また、廃液の種類によっては、処理残をなくしたい場合もあり、
    このような場合には、不足予測から丁度使い切るまでの残量計算が容易でないので、廃液が不足する場合には、
    入手可能な水を補給する事により注入動作を継続する事により廃液を薄めながら使い切る様な運転方法も選択できる。 以上のように、本発明でも、燃料と廃液とを混合させた場合において、廃液処理を効率よく確実に行え、
    本発明の目的が達成される。 【0037】請求項3の廃液を処理するための産業用燃焼設備は、液体燃料を燃焼室内で燃焼させる燃焼手段と、この燃焼手段へ燃料を供給するための燃料供給ラインと、この燃料供給ラインに設けられた燃料移送手段および燃料流量制御手段とを備えた廃液を処理するための産業用燃焼設備であって、前記燃料供給ラインの燃料流量制御手段と前記燃焼手段との間で合流する廃液注入ラインと、この廃液注入ラインに設けられた廃液流量制御手段と、任意の燃料流量における廃液の目標注入比率を設定可能な注入比率設定手段と、この注入比率設定手段で設定された目標注入率に基づいて前記廃液流量制御手段へ比例信号を出力する比例制御手段とを備えているのに加え、前記廃液注入ラインの廃液流量制御手段の出口側または前記燃料供給ラインの燃焼手段と燃料流量制御手段との間に設けられた圧力検出手段と、この圧力検出手段からの圧力信号に基づいて前記比例制御手段に補正信号を出力する圧力補正手段とを備えているか、または、前記廃液流量制御手段前後の差圧を一定に保つ差圧調整手段を備えていることを特徴とする。 【0038】産業用燃焼設備である事から燃焼量の変化にも対応しなければならない。 バーナー等の燃焼手段への燃料流量が変化すると、バーナーへ供給する圧力も同時に変化する場合が多い。 一般的な廃液流量制御手段の場合、廃液流量制御手段前後の圧力が変化すると、同一の流量制御信号では実際流量が変化し、正しい流量を保つ事が困難となる。 これらの誤差は、何れ廃液流量を検知する手段により補正する事は可能であるが、この制御方法では一時的な制御遅れを生じ、廃液流量の過不足を生じ、燃焼の不安定を招く虞がある。 【0039】本発明では、流量検知手段に対して応答が速い圧力検知手段を用いるので、予め廃液流量制御手段前後の圧力差から補正すべき値を計算しておけばよく、
    バーナー前圧力の変化に応じて廃液流量制御手段へ出力する流量制御信号に的確で高速な補正を加える事ができ、廃液流量の過不足を防止可能である。 なお、廃液流量制御手段前後の差圧を一定に保つ用差圧調整機能を有する弁機構を設けても同様な効果を期待できる。 以上のように、本発明でも、燃料と廃液とを混合させた場合において、廃液処理を効率よく確実に行え、本発明の目的が達成される。 【0040】請求項4の廃液を処理するための産業用燃焼設備は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の廃液を処理するための産業用燃焼設備において、前記廃液注入ラインは、前記燃料よりも低い発熱量の主廃液を注入させる主廃液注入ラインと、前記燃料と略同等な発熱量の副廃液を注入させる副廃液注入ラインとを備えて構成され、前記主廃液注入ラインは、前記混合手段よりも上流の燃料供給ラインまたは当該混合手段に合流するように設けられ、前記副廃液注入ラインは、前記燃料流量制御手段よりも上流の燃料供給ラインに合流するように設けられていることを特徴とする。 【0041】例えば、廃液が親水性の主廃液と親油性の副廃液との別々に副生される場合において、親油性の廃液の発熱量が燃料と同等な副廃液を、燃料流量制御手段の下流に注入すると、逆に熱カロリーが過大になり不具合が生じやすい。 そこで、本発明では、副廃液の注入点を前記燃料流量制御手段の上流とし、燃料と副廃液とを燃料流量制御手段で共に制御するので、熱カロリーが課題になるといった不具合が発生せず、一台の産業用燃焼設備において、主廃液および副廃液の同時処理が確実に行えるようになる。 【0042】請求項5の廃液を処理するための産業用燃焼設備は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の廃液を処理するための産業用燃焼設備において、前記廃液は、親和性の異なる主廃液と副廃液とで構成されたエマルジョン溶液であり、前記廃液注入ラインは、前記エマルジョン溶液を主廃液と副廃液とに分離するエマルジョン分離手段を備えているとともに、このエマルジョン分離手段の下流側で主廃液注入用の主廃液注入ラインと副廃液注入用の副廃液注入ラインに分岐されていることを特徴とする。 【0043】エマルジョン溶液は、安定している様に考えられる場合でも静置や機械的・温度的変化や他の廃液の混合等による安定が損なわれ、分離や濃度差・クリームが発生する。 これらの状態になると、発熱量や粘度等が均一な廃液ではなくなるため、処理が困難である。 そこで、本発明によれば、これらエマルジョン溶液をエマルジョン分離手段を用いて、例えば、廃水と廃油とのように、親和性の異なる主廃液と副廃液とに分けるので、
    それら主廃液および副廃液が発熱量や粘度等が均一な廃液として燃料注入ラインに注入されるようになり、エマルジョン溶液でも確実に処理されるようになる。 【0044】ここで、エマルジョン分離手段としては、
    エマルジョンを構成する液体同士の比重差を利用したものと、エマルジョンブレーカと呼ばれるエマルジョン保護機能を壊す事により分離を容易にする方法、蒸気圧の差を利用し分留する方法がある。 比重差を利用するものでは、静置法や遠心分離器が知られており、エマルジョンブレーカは塩析やアルコールの添加、界面活性剤添加の方法が知られている。 また、蒸気圧の差を利用するものでは、加熱による分留により各成分毎に分離する方法が知られている。 【0045】請求項6の廃液を処理するための産業用燃焼設備は、液体燃料を燃焼室内で燃焼させる燃焼手段と、この燃焼手段へ燃料を供給するための燃料供給ラインと、この燃料供給ラインに設けられた燃料移送手段および燃料流量制御手段と、廃液を前記燃焼室に噴霧する廃液噴霧手段と、この廃液噴霧手段に廃液を注入するための廃液注入ラインとを備えた廃液を処理するための産業用燃焼設備であって、前記廃液は、別々に用意された親和性の異なる主廃液と副廃液とで構成され、前記廃液注入ラインは、前記主廃液を注入する主廃液注入ラインと、前記副廃液を注入する副廃液とを備えて構成され、
    前記主廃液注入ラインには、主廃液流量を検知する主廃液流量検知手段と、前記主廃液および副廃液をエマルジョン化するエマルジョン化手段とが設けられ、前記副廃液注入ラインは、前記エマルジョン化手段よりも上流の主廃液注入ラインのまたは前記エマルジョン化手段に合流するように設けられ、この副廃液注入ラインに設けられて前記副廃液の流量を検知する副廃液流量検知検知手段、副廃液の流量を制御する副廃液流量制御手段、副廃液を移送する副廃液移送手段と、前記主廃液流量検知手段の流量信号に基づいて前記副廃液流量制御手段に比例信号を出力する副廃液比例制御手段とを備えていることを特徴とする。 【0046】例えば、従来の廃液焼却設備等の産業用燃焼設備においては、廃水と廃油とのように、親和性の違いによりお互いに混じり合わず、混合状態が疎となる主廃液と副廃液とを、同時に処分する事が不可能であった。 しかし、本発明では、主廃液注入ラインに配置された主廃液流量検知手段からの信号により、副廃液を比例注入すると伴に、これをエマルジョン化手段により乳化状態にし、廃液噴霧手段へ供給するため、そのような副廃液と主廃液とを廃液焼却設備で同時に処理するこが可能であり、本発明の目的が達成される。 【0047】また、一般に、廃水のような主廃液と廃油のような副廃液とは発熱量が異なり、主廃液は殆ど熱量を持たないが、副廃液は熱量が燃料と同等である場合が多い。 廃液焼却設備は、燃焼室内の温度を一定に保つよう燃料流量の調整を行うが、処理する廃液の熱量が異なると、当然それに応じて燃料の調整が必要になるが、その制御は一般に廃液熱量の僅かな変動を補正しようとするものであり、廃液の発熱量が、急激に変化した場合、
    それらの制御が間に合わず、燃焼室温度の低下による未処理物の排出や、燃焼室温度の過度の上昇による炉壁の損傷等の原因となる。 これに対して本発明では、主廃液に比例的に注入される副廃液とのエマルジョン廃液を、
    廃液噴霧手段の直前で形成し、廃液噴霧手段に供給する事により、安定した発熱量を持つエマルジョン廃液とし、廃液の急激な熱量変化をも防止することが可能である。 【0048】請求項7の廃液を処理するための産業用燃焼設備は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の廃液を処理するための産業用燃焼設備において、前記燃料、廃液、およびこれらの混合液のいずれかに添加剤を注入する添加剤注入ラインと、前記燃料流量検知手段、
    前記廃液流量検知手段、および前記主廃液流量検知手段のうちのいずれかの流量検知手段からの流量信号に基づき、前記添加剤の流量を制御する添加剤流量制御手段とを備えていることを特徴とする。 【0049】例えば、水と油の様にお互いが混じり会わない性質を持つ溶液同士を混合させる場合、両社の比重差が小さい場合や連続相となる側の液体の粘度が高い場合には、機械的乳化手段を講ずる事で安定なエマルジョン状態が達成される。 しかしながら、比重差が大きかったり、連続相となる側の液体粘度が低い場合等の様に分離速度が速い場合には、燃焼室内への噴霧状態を安定化させるため、界面活性剤等の添加剤を使用する事により分離速度を低下させる事が有効である。 このため、界面活性剤等の添加剤を用いることにより、分離速度が問題となるような廃液処理においても、親水性の廃液(主廃液)に対する燃料や親油性の廃液(副廃液)の混合具合が良好にり、安定した燃焼が行える。 【0050】請求項8の廃液を処理するための産業用燃焼設備は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の廃液を処理するための産業用燃焼設備において、前記燃料、廃液、およびこれらの混合液のいずれかに添加剤を注入する複数の添加剤注入ラインを備え、各添加剤注入ラインは、それぞれ性質の異なった添加剤を注入可能に設けられていることを特徴とする。 【0051】添加剤の性質や期待する性能により、燃料に添加した方が効果が期待できる場合、逆に廃液の様に注入される側に添加した方が効果が期待できる場合、およびその両方に同時に添加した方がよい場合等、廃液の種類に応じて添加剤の種類および添加方法を変化する事が有用である。 そこで、本発明では、複数の添加剤注入ラインを設けるので、多用な添加剤を使用するにあたり、廃液種に応じて、添加剤を交換する事を省き、スイッチ等による手動操作やセンサー等による自動制御により、容易に対応できる。 【0052】請求項9の廃液を処理するための産業用燃焼設備は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の廃液を処理するための産業用燃焼設備において、前記廃液注入ラインには、廃液中の塩類濃度を下げる塩類濃度減少手段が設けられていることを特徴とする。 【0053】廃液中には、有機系廃液と無機系廃液が混合し生成されるものがある。 本発明が対象とする産業用燃焼設備の場合には、焼却炉と異なりハロゲンや灰分の堆積に対する防御手段がなく、これらが混入すると設備寿命の短縮や熱交換率の低下等の悪影響が生じる可能性がある。 そこで、本発明では、廃液中に含まれる無機系の酸および塩基を塩分希釈手段により脱塩し、有機系廃液成分が多く成った脱塩廃液としたものを、産業用燃焼設備において処理するので、設備寿命や熱交換効率の低下を防止できる。 【0054】請求項10の廃液を処理するための産業用燃焼設備は、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の廃液を処理するための産業用燃焼設備において、前記廃液注入ラインには、廃液中のゲル状固形物を当該廃液中に分散させる廃液ミル化手段が設けられていることを特徴とする。 【0055】廃液は、完全な液状物質であるケースが多いが、中にはお互いの成分が反応または廃液の性質からゲル状物固形物を含む場合がある。 本発明では、ゲル状固形物をミル化手段により廃液中に分散させ、液状にするので、そのようなゲル状固形物を含み廃液も良好に処理されるようになり、廃液の処理効率が向上する。 【0056】請求項11の廃液を処理するための産業用燃焼設備は、請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の廃液を処理するための産業用燃焼設備において、有機化合物を吸着した活性炭または炭化処理手段から排出される炭化物をスラリー化するためのスラリー化手段が設けられていることを特徴とする。 【0057】各種の製造プロセス或いは医療・研究機関等で、有機系化合物を吸着除去する手段として活性炭が用いられている。 しかしながら、吸着の終わった活性炭は、再生が必要となるが、再生のためにはかなり大きな電気エネルギーが必要となると共に、相当な設備コストが必要となる。 そこで、本発明によれば、そのような活性炭等の炭化物をスラリー化手段でスラリー化するため、従来廃棄物として埋め立て処分された炭化物が確実かつ安価に処分されるようになる。 【0058】請求項12の廃液を処理するための産業用燃焼設備は、請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の廃液を処理するための産業用燃焼設備において、廃液中に存在する有害細菌を殺菌する殺菌手段、除菌する除菌手段、有害細菌の増殖を抑制する抑制手段、有害細菌が廃液中に混入するのを遮断する遮断手段、および廃液の燃焼を促進させる有用細菌の増殖手段のうちのいずれかの手段を備えていることを特徴とする。 【0059】廃液の種類によっては、一次貯留中に腐敗し、悪臭やヘドロやメタンガスの発生等、処理工程上望ましくない変化を伴う場合がある。 本発明においては、
    処理対象の廃液に対して、適切な殺菌手段を併用する事により、これら廃液の腐敗現象に伴う弊害を防止することが可能である。 【0060】一方、本発明の産業用燃焼設備を用いた廃液処理方法は、請求項13に記載したように、前記請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の産業用燃焼設備を用いて廃液を処理することを特徴とする。 このような本発明では、前述したように、各請求項での作用効果が同様に得られ、本発明の目的が達成される。 【0061】請求項14の産業用燃焼設備を用いた廃液処理方法は、請求項13に記載の産業用燃焼設備を用いた廃液処理方法において、前記燃料、廃液、およびこれらの混合液のいずれかに添加剤を注入する場合には、添加剤として、親油親水バランス、親油基、および親水基のいずれかの組成が異なる複数の界面活性剤を組み合わせて用いることを特徴とする。 【0062】処理対象が一定でない廃液の場合、乳化させようとする廃液に最適な界面活性剤の新油親水バランス(HLB)や親油基や親水基が夫々異なる場合が多い。 HLBを初めとする性質が合致しないと界面活性剤はその機能を発揮する事が困難であるが、僅かでも合致する成分が存在すると、界面活性機能は大幅に改善される。 廃液(主廃液)と燃料とのエマルジョン状態を利用する場合や、親和性の異なる廃液(主廃液、副廃液)同士のエマルジョン状態を利用する場合、混合後からバーナーで燃焼までの時間は一般に短いため、その時間内にエマルジョン状態を保てれば目的を達成するので、HL
    Bや親油基や親水基の性質や値が分散する様に調整された界面活性剤を使用する事で、組成が一定しない複数の廃液に対して同一の添加剤で対応が可能となる。 【0063】請求項15の産業用燃焼設備を用いた廃液処理方法は、請求項13または請求項14に記載の産業用燃焼設備を用いた廃水処理方法において、前記燃料、
    廃液、およびこれらの混合液のいずれかに添加剤を注入する場合には、添加剤として、前記燃料および/または廃液の粘性を増加させる粘度増加剤を用いることを特徴とする。 【0064】エマルジョン溶液は、連続相となる溶液の粘度が増加すると、乳化された粒子の運動が阻害され、
    分離速度が低下する事が知られている。 従って、本発明によれば、エマルジョンの安定化は、被注入側液体のH
    LB値や親油基や親水基の性質に殆ど依存しないという特徴があり、やはり組成の一定しない廃液に適しており、エマルジョン状態が良好に維持される。 【0065】請求項16の産業用燃焼設備を用いた廃液処理方法は、請求項13ないし請求項15のいずれかに記載の産業用燃焼設備を用いた廃液処理方法において、
    前記燃料、廃液、およびこれらの混合液のいずれかに添加剤を注入する場合には、添加剤として、前記燃料および/または廃液の潤滑性を向上させる性質の潤滑剤を用いることを特徴とする。 【0066】請求項17の産業用燃焼設備を用いた廃液処理方法は、請求項13ないし請求項16のいずれかに記載の産業用燃焼設備を用いた廃液処理方法において、
    前記燃料、廃液、およびこれらの混合液のいずれかに添加剤を注入する場合には、添加剤として、前記燃料および/または廃液の防食性を向上させる性質の防食剤を用いることを特徴とする。 【0067】産業用燃焼設備においては、燃焼機構が複雑で高精度な制御を要求されるものがある。 このような設備において、燃料中に廃液に含まれる潤滑性のない水や揮発性の高い成分が混じると、燃料供給ライン・燃料移送手段・燃料制御手段・燃焼手段等に潤滑障害によるスティック・磨耗或いは腐食による障害が発生し、運用に重大な支障起こす。 本発明においては、燃料若しくは廃液に、混合液の潤滑性を向上させる油性向上剤・潤滑剤・極圧添加剤や金属の腐食を防止する防錆剤を添加するため、産業用燃焼設備における廃液添加による障害を防止することが可能である。 特にアルカリ土類金属等を含む添加剤を使用すれば、ハロゲンや燐による炉内腐食の低減にも役立つ。 【0068】請求項18の産業用燃焼設備を用いた廃液処理方法は、請求項13ないし請求項17のいずれかに記載の産業用燃焼設備を用いた廃液処理方法において、
    主に潤滑等を目的として使用された潤滑剤を廃液とした場合の許容注入比率を、燃焼安全性評価手段を用いて決定することを特徴とする。 【0069】従来迄の潤滑剤は、主にその本来の目的である潤滑性や熱安定性等を向上させるため、各種の添加剤を加え性能向上を図っている。 しかしながら、循環型経済が求められる現状では、性能向上目的のみで再生が困難な物質の混入を敬遠する傾向がある。 【0070】本発明においては、若干性能が落ちる事により工業用潤滑油の交換頻度が上昇しても、灰分及びハロゲンが少ないか、含まない添加剤を配合した潤滑剤を用いたり、比較的簡便な方法で、燃焼障害や排ガスへの悪影響を及ぼす成分を分離除去できる等の方法を用いる事により、本廃液混合装置若しくは本処理法によりそれらの処分が容易となり、廃棄物処理費や産業用燃焼設備の効率や設備寿命等のトータルコストで比較すると有利となるものである。 【0071】ここで、灰分の定義であるが、これはJI
    SK2272の「原油及び石油製品の灰分並びに硫酸灰分試験方法」による灰分分析によって定量される物質である。 この内で特に低融点の金属成分が問題となるため、提示する内容としては灰分を構成する各金属成分毎に実施する事が望ましい。 【0072】ハロゲンは、原子周期表のハロゲン族に属するF、Cl、Br、I等の元素である。 この成分は、
    高温化で乖離し直接鋼材を腐食させる作用を持つ他、C
    lに関してはダイオキシン発生の原因ともなるので、出来るだけ含まない事が望ましい。 【0073】燐は、燐酸エステルとして亜鉛の代用として主に潤滑性付与のため用いられる。 【0074】一般に灰分は、775℃の加熱により灰を形成し、蒸発や気化が生じない物質であるため、伝熱面や製品に残留し、伝熱の阻害や製品の品質低下等の弊害を起こす。 常温で安定な食塩でも高温状態ではナトリウムと乖離し単体のハロゲンとなる。 乖離したハロゲンは、金属や耐火材として使用されている酸化カルシウムや酸化マグネシウムと高温下で直接反応し、ハロゲン化化合物を形成するので、これらの腐食や劣化を促進する。 燐は、溶融状態で、鋼材と反応し劣化させる性質を持つ。 【0075】しかし、前記灰分やハロゲン或いは燐成分も比較的少量であれば、本発明で用いられる産業用燃焼設備の実用的な障害とはならない。 【0076】 【発明の実施の形態】以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。 【0077】〔第1実施形態〕以下、図面により本発明の一実施の形態を説明する。 図1は、本発明に係る液体燃料の比例式燃焼機構を持つボイラ(産業用燃焼設備)
    の構成図である。 なお、図1において、図23、図24
    で説明した構成と同じまたは同一機能を有する構成には同一符号を付して示してある。 【0078】このようなボイラでは、燃料供給ラインA
    へ廃水(主廃液)および廃油(副廃液)を主廃液注入ラインBおよび副廃液注入ラインCを介して注入し、さらに、主廃液注入ラインBへは添加剤注入ラインDを介して添加剤を注入するように構成されている。 【0079】ボイラへの供給燃料量を計測する手段である燃料流量計(燃料流量検知手段)5は、廃油を混合するための混合器(混合手段)10よりも下流側で、かつ廃水をエマルジョン化するミキサー(もう一つの混合手段)20よりも上流側に配置される。 【0080】副廃液タンク21に貯留される廃油は、本実施形態の場合には、発熱量が燃料とほぼ同様で、燃料と容易に混合可能である。 【0081】副廃液ポンプ22は、ギヤー式ポンプのように1回転当たりの吐出量が決まっているポンプで構成されており、その副廃液注入ラインC上に廃油の流量を検知する手段である副廃液流量計(廃液流量検知手段)
    25が配置される。 【0082】この副廃液流量計25は、構成上は副廃液ポンプ22の上流側でも下流側でも問題はない。 副廃液比例制御器(比例制御手段)66には、モーターの回転数を変更できるVVVF装置(インバーター)68の出力周波数を制御する機能が備えられており、副廃液ポンプ22のモーターの回転数を制御することにより、副廃液ポンプ22は、廃油側の廃液移送手段と廃液流量制御手段とを兼ねている。 【0083】副廃液注入ラインCは、本実施形態では、
    混合器10において燃料と合流するが、燃料供給ラインAにおける混合器10の上流側で合流しても問題はない。 混合器10は、本実施形態のように、お互いに混合しやすい液体同士の場合、流体の不均一を防止できるような簡単なものでも代用可能であるし、後述するミキサー20のように、液体に剪断力を加えて撹拌および分散を行うものでも問題はない。 副廃液遮断弁26は構成上重要なものではないが、廃油の注入を停止した時に燃料の逆流を防止したり、副廃液ポンプ22の試験運転時に誤って注入されないために配置される。 【0084】主廃液タンク11に貯留される廃水は、本実施形態の場合では、発熱量が極めて低い水と同等である。 【0085】主廃液ポンプ(もう一つの廃液移送手段)
    12は、多段タービン式ポンプで吐出圧は流量に関係なくほぼ一定である。 図面上は省いてあるが、吐出流量が少ない場合、主廃液ポンプ12内部の加熱を防止するため、ミニマムフローラインを設け、一定量を主廃液タンク11へ戻すことが一般的である。 【0086】主廃液流量計(もう一つの廃液流量検知手段)15は、ミニマムフローラインよりも下流側に配置され、ミニマムフローを計測しない位置に配置されている。 【0087】主廃液流量調整弁(もう一つの廃液流量制御手段)14は、目標比率変更時間制御器(目標比率変更時間制御手段)62を経由した設定比率信号に基づき、主廃液比例制御器(もう一つの比例制御手段)65
    において燃料流量計5からの信号により制御されるが、
    主廃液流量調整弁14の前後に配置された圧力発信器(圧力検出手段)43の圧力信号から補正信号を演算する圧力差補正演算器(圧力補正手段)63の信号も前記主廃液比例制御器65で合成される。 【0088】圧力発信器43は、通常は図1に示すように、主廃液流量調整弁14前後に配置されるが、主廃液ポンプ12の出口圧力が一定の場合には、省略することも可能である。 廃水は、本実施形態では、ミキサー20
    に供給され、燃料(含む廃油)と共にエマルジョンを形成する。 主廃液遮断弁16の機能は前記副廃液遮断弁2
    6と同様である。 【0089】ここで、ミキサー20についての概略説明する。 ミキサーは、一般に回転剪断型、液圧剪断型、超音波振動型に大別される。 回転剪断型は、モーター等により得られた機械的剪断力を液体に加え、注入液を被注入液中に分散させるものである。 剪断力を加える部分の形状は、プロペラのように液体を撹拌するものや、対向する円盤の隙間に流体を通過させながら、片方の円盤が回転して液体に剪断力を作用させるものなど、用途により様々である。 液圧剪断型は、注入液と被注入液の混合物に高圧を加え、細いノズルから噴射させる事により剪断力を加えるものや、一定の流速化で働く乱流現象を利用し、剪断力を加えるものなどがある。 超音波剪断型は、超音波振動子を混合液中に作用させ、振動子表面に発生するキャビテーション現象により、液体を乳化させるものである。 【0090】添加剤タンク51に貯留されている添加剤は、添加剤ポンプ52と添加剤流量計55と添加剤チャッキ弁57とを経由し、主廃液注入ラインBに合流する。 【0091】添加剤ポンプ52は、本実施形態では、電磁パルス駆動式ダイヤフラムポンプを使用しており、添加剤比例制御器67から出力されるパルス数に応じた吐出量がコントロールできるので、添加剤移送手段と添加剤流量制御手段の一部とを兼ねている。 添加剤が実際に注入されている事の確認は、添加剤流量計55で行う事ができる。 【0092】添加剤チャッキ弁57は、構成上重要なものではないが、添加剤の逆流を防止できるものである。 【0093】以上にボイラーの概略を説明したが、以下には、その詳細について説明する。 先ず、ボイラーには、目標比率変更時間制御器62および副廃液比例制御器66に設定比率信号を出力する多点注入比率設定器(注入比率設定手段)64を備えている。 多点注入比率設定器64としては、折れ線式多点注入率設定器、多段式多点注入率設定器、機械式多点注入率設定装置などが用いられる。 【0094】図2には、折れ線式多点注入比率設定器の構成例が示されている。 このような構成では、燃料流量信号131の値により、まず下限一致検索処理133が実行され、設定値パラメータテーブル135内の燃料流量値を超えない最も大きいX1とそれに対応した設定値Y1を読み出す。 次に設定値パラメータテーブル135
    内の燃料流量値を超えたか同一である最も小さいX2とそれに対応した設定値Y2を読み出す。 【0095】前記X1、Y1とX2、Y2を利用し、関数処理136において下式の演算を行うことにより目標比率を決定するものである。 一般的には、複数のXYパラメータペアーを用い、表1の様な特性にするが、2ヶのXYパラメータペアーを使用する場合には、暗黙のX
    =0、Y=0とX=100、Y=Max(Y)というパラメーターを付加する事により、図6の様な特性が実現される。 【0096】 【数1】

    【0097】ここで、図5は折れ線式多点注入比率設定器による主廃液注入比率の制御結果の一例である。 すなわち、非定常時注入域1では、燃焼室温度の低下や、バーナー9の噴霧特性の悪化に伴う未処理物を排出させないために、主廃液の注入を停止する。 非定常時注入域2


    では、燃焼室温度の低下による最大処理可能率の減少に対応した注入率となる。 定常時注入域は、そのボイラにとって最大の処理能力が発揮できる領域であり、また、


    一般的なボイラ負荷においても、最も使用頻度の多い領域である。 非定常時注入域3は、バーナー9の噴射能力が定格噴霧能力をオーバーすることを回避するためのの領域で、主廃液の注入率を減少させている。 なお、排ガス流速が早くなり過ぎる場合には、燃焼室18内の滞留時間が短くなることによる未処理物の発生を防止するために主廃液の注入を停止する。 【0098】図7は、工業用潤滑油の廃油を副廃液として注入する場合の折れ線式多点注入比率設定器による副廃液注入比率の設定パターンの一例である。 工業用潤滑油には、融点の低い灰成分が含まれているため、燃焼室温度が上昇しすぎると、伝熱面等に溶融灰分が付着し、


    障害を発生する場合がある。 しかし、工業用潤滑油には塩化物のようにダイオキシン類の発生要因となる成分はないので、このような場合低燃焼領域が定常時注入域となり、非定常時注入域1では、燃焼室が高温となるに従い注入率を下げることや、非定常時注入域2では、完全に副廃液の注入を停止することにより、副廃液の燃焼による障害を防止できる。 【0099】図3に戻って、この図には、燃焼量に対する主廃液や副廃液の注入比率をそのまま読み出す多段式多点注入率設定器の構成例が示されている。 ただし、このような構成では、注入率が図8の様にステップ状に変化するため、構成にあるような目標比率変更時間制御器62等を用いて、境界点において急激な注入率の変更が起こらないようにすることが肝要である。 【0100】図4には、機械式多点注入率設定装置の構成例が示されている。 以上に説明した折れ線式多点注入比率設定器や多段式多点注入率設定器は、折れ線近似関数による演算やテーブルに値を配置して燃料量に応じて値を読みに行くような電子的な制御であるが、機械式多点注入率設定装置は、燃料流量検知手段・多点注入比率設定手段・比例制御手段等をカムやリンクで実現した機械式のものである。 ここでは、制御用アクチュエーター121の回転角度を伝達する主アーム122が接続され、主アーム122にには燃料流量調整弁4の開度を制御する燃料制御弁アーム123と、カムドラム125の回転角度を制御するドラム回動用アーム128が接続されている。 カムドラム125にはその円周上にカムボルト126と呼ばれる高さ変更可能なボルトが埋め込まれており、その頂部とならい板127との位置関係が廃液制御弁アーム124の角度を決定し、主廃液流量調整弁14を制御する。 【0101】この機械式多点注入率設定装置の場合、主アーム122が燃料調整弁と同期してカムドラム125


    を回転させるため、この部分が燃料流量検知手段を構成し、カムドラム125の回転中心129が偏芯していることで、この部分が主アームの回転に応じて自動的に廃液制御弁アームの開度を比例的に制御するため、主廃液比例制御手段を構成し、各カムボルト126はその時点における注入率を決定できることから多点注入率設定手段を構成している。 このような構成は、図示を省略するが、副廃液に対しても適用可能である。 【0102】なお、燃料調整弁の弁開度と廃液調整弁の弁開度が燃料流量或いは廃液流量を検知するに十分な機能を有していれば、当該2つの開度情報を廃液の注入率を管理する手段として用いてもよいし、別に流量計等の計測機器を設置してもよい。 【0103】次に、本実施形態での主廃液比例制御器6


    5、副廃液比例制御器66、および添加剤比例制御器6


    7についてそれぞれ説明する。 各比例制御器65,6


    6,67はそれぞれ、燃料流量に対する主廃液の流量、


    燃料流量に対する副廃液の流量、副廃液の流量に対する添加剤の流量を、定められた比率で注入するためのものであり、主廃液流量調整弁14の弁開度を制御するためや、副廃液ポンプ22および添加剤ポンプ52の回転数を制御するためのパルス列等の比例信号を出力する手段である。 【0104】このような制御を実現する方法には、一般にオープンループ制御、クローズドループ制御、その中間であるセミクローズドループ制御、および補正要素を複数持つ多要素制御が知られている。 以下に、各制御について述べる。 【0105】オープンループ制御は、最も簡便な制御であり、本実施形態においては、添加剤比例制御器67で実現されている。 つまり、添加剤ポンプ52の定量性が高く、万が一注入が行われないか、あるいは異常に多い量が注入された場合においても、システム全体に甚大な影響を及ぼさない用途としては、コストを低減できるため、有用である。 具体的には、主廃液流量計15からの流量信号に応じて、添加剤比例制御器67に設定された添加率に応じて、添加剤ポンプ52へパルス列を出力することにより実現される。 例えば、主廃液流量計15がパルス出力タイプで1パルス当たり1L(リットル)である場合に、添加剤ポンプ52として1パルス当たり1


    0ccの吐出能力を持つポンプを使用した場合、添加剤1%比例注入時には、主廃液流量計15からのパルスをそのまま添加剤ポンプ52へ出力すればよい。 10%の場合には、主廃液流量計15のパルスを10倍にして出力すればよいし、0.1%の場合には1/10にして出力すればよい。 従って、この場合の添加剤流量制御手段とは、主廃液流量計15、添加剤ポンプ52、および添加剤比例制御器67のそれぞれ一部の機能で構成されている。 【0106】クローズドループ制御は、本実施形態においては、主廃液比例制御器65および副廃液比例制御器66に適用されている。 具体的には、各比例制御器6


    5,66が認知している目標注入比率(SV%)と、燃料流量計5からの燃料の流量信号の計算によって求められる目標注入量(SV)とが、当該比例制御器65,6


    6により決定される。 次に、比例制御器65,66は、


    主廃液流量調整弁14およびVVVF装置68と組み合わされた副廃液ポンプ22に送る比例信号(MV)を生成する。 【0107】廃液制御におけるMVは、調整弁のCV値と呼ばれる一定の粘性と比重下における弁前後差圧と弁開度における制御流量を決定する値をパラメーターとする関数により、あるSV値における理論的なMV値を決定する手法が一般的である。 この時、粘度、比重、弁前後差圧が一定として計算したものを、主廃液流量調整弁14へ出力するのみであれば、この制御方法はオープンループ制御である。 【0108】しかし、一般に、上記のMVはそれ程精度が高くないので(実際の適用の場合には粘度、比重、弁前後差圧等の外乱要素が加わるため)、主、副廃液流量計15,25からの信号(PV)とSVを比較して、M


    Vの値を適宜補正する必要がある。 例えば、PVの値がSVと比較して低ければ、MVを上げて(弁開度を大きくして)補正するものである。 この補正の仕方として一般的なものはPID制御と呼ばれる手法により実現されることが多い。 このように、MVの値をPVとSVの偏差により補正する制御方法がクローズドループ制御である。 【0109】次に、セミクローズドループ制御について説明する。 副廃液制御におけるMVは、副廃液ポンプ2


    2の1回転当たりの理論吐出量が既知である為、1Hz


    当たりの理論吐出量は、容易に決定される。 従ってSV


    が判ればMVは容易に決定可能であし、特性もリニアで制御し易い。 【0110】このような場合、自身で吐出した液体の流量検知手段からの信号が信頼出来る時には、前記クローズループ制御を行うが、制御流量が低下し過ぎる時には、計測範囲外となり信頼出来ないので、オープンループと同様の制御を行う事により、流量検知手段の計測範囲内においては精度の高いクローズドループを行いながら、流量検知手段の下限以下においても、ある程度信頼のおける(流量検知手段をフィードバックするより)流量制御を実現できる。 このようにフィードバック手段が信頼のおけない状態になったら、無理にフィードバック制御にせず自動的にオープンループに切り替える制御方法をセミクローズド制御という。 【0111】次に、多要素制御について説明する。 セミクローズド制御を初めクローズドループにおいても、廃液の元圧力と注入点の圧力が同一であれば、ある程度応答性の要求される用途でも追従制御が可能である。 しかし、一般の燃焼器の様に負荷に応じて圧力が変化する場合、この圧力変化に伴う流量変化までも流量計のフィードバックで実現しようとすると、安定が困難で制御性が悪くなる。 このような場合、流量制御手段前後の圧力差を見込んだ補正テーブルを予め作成しておき、圧力差に応じてその補正テーブルの値を参考に流量比例を行なう事により、元圧力と注入点の圧力が変化しない場合とP


    ID演算としては同一となり、制御性が改善される。 このように圧力差を検出して補正する様な場合を多要素制御といい、PID演算の応答性を改善する為に用いられる。 ファジー制御とPID制御の組合せ等に良く用いられる。 【0112】以下には、本実施形態での主廃液比例制御器65および副廃液比例制御器66を用いた主、副廃液の注入制御について、より具体的に述べる。 【0113】ボイラへ供給される燃料量は燃料流量計5


    で検出され、多点注入率設定器64へ送られる。 多点注入率設定器64には、予め燃料の通過流量に対して選択される主、副廃液の注入比率を記憶させておく。 そして、燃料流量計5からの信号によりボイラが最低燃焼付近に近づいた場合には、ボイラの停止に備える事や燃焼室温度の低下による未処理物の発生を防止するために、


    低目の注入比率もしくは注入そのものを停止するように比率を決定する。 また、一定の燃焼量以上になった場合には、そのシステムで安全に処理できる最大比率を限度として任意の比率に決定する。 さらに、一般にボイラの場合には、最大燃焼時にバーナー9で噴霧できる定格噴霧量が決まっており、これを超えて噴霧すると障害を起こす場合がある。 今回の構成における主廃液は、殆ど熱量を持たないので、燃料に上乗せされてバーナー9から噴霧される。 つまり、最大燃焼時には最大燃焼量+主廃液添加量の合計がバーナー9から噴霧される。 従って、


    最大燃焼近傍においては、逆に注入比率を減少若しくは停止する比率を決定する事も可能である。 なお、今回の構成における副廃液の場合には、熱量が燃料と同様で燃料流量調整弁4の手前に注入されるため、最大燃焼量を超えて噴霧される事はなく、このような対策の意味は少ない。 【0114】なお、一般に最低燃焼近傍になるという事は、当該ボイラの制御対象である蒸気圧力が高いという事を示し、結果的にボイラが停止する確立は高くなるものの、絶対に停止が行われる訳ではない事や、台数制御運転という群管理下に当該ボイラが加わっている様な場合には、複数のボイラから発生する合計の蒸気量から、


    燃焼が必要なボイラが決定されるので、必ずしも最低燃焼になってから停止する訳ではない。 従って、このように停止の予測が困難な場合には、蒸気圧力検出手段や製造設備等から検出される停止予測信号や当該台数制御運転をコントロールする台数制御装置からの停止予告信号により、注入停止比率の決定を行う事も必要である。 この時重要な事は、廃液の注入点からバーナー9迄のライン中の配管容積が少なからず存在し、燃焼と同時に廃液注入を停止しても混合後のライン中には廃液が残留する。 従って、廃液残留が生じない様に充分な予測時間を確保するか、停止や再着火時に廃液の未処理物が悪影響を及ぼさない事を確認する必要がある。 【0115】多点注入率設定器64で決定された主廃液比率は、燃料流量信号と伴に目標比率変更時間制御器6


    2に送られる。 目標比率変更時間制御器62は、予め設定された主廃液注入点とバーナー9先端部までの燃料供給ラインAの容積に応じ、注入比率を変更するタイミングを制御するものである。 【0116】ここでなぜ、このような制御が必要であるかの説明を図9において再確認する。 燃料供給ラインA


    の燃料流量は燃料流量調整弁4によりある一定流量に制御されているものとする。 この時の燃料流量が仮に10


    0であったとする。 ここに、比率20%の廃液を添加しようとすると20の流量を主廃液注入ラインBへ供給する事となる。 ミキサー20によりこの二つの液体は均一に混合されて混合ラインEを経てバーナー9へ供給される事になり、合計流量として120の流量がバーナー9


    から噴霧される事になる。 しかしながら、注入開始時点においては、混合ラインEおよびバーナー9内部に存在する液体は燃料のみで混合液ではない。 従って、この時点においては、バーナー9からは120の流量の燃料が噴霧する事となる。 前述した様に、主廃液は殆ど発熱量を持たないので、正規の状態では、熱量的には燃料流量調整弁4で制御される燃料と、バーナー9から噴霧される混合液とは等しくなるが、このような過渡的状況においては、一致しなくなる現象が生じるのである。 特にボイラの様に、燃料と燃焼に必要な空気量とを精密にコントロールしている燃焼設備の場合には、一時的な燃料の過噴霧により酸素不足を招き、不完全燃焼の原因となる。 逆に燃焼量が100と廃液量20でバーナー噴射量120のバランスが取れている状況下で、急に20の廃液量をゼロにした場合を想定すると、バーナー9から噴霧される混合液は100に低下するが、この100のうち約17の分は熱量を持たない廃液であるため、実際に熱量を持つ燃料は83に減少してしまう。 これは、逆に過剰空気となり不完全燃焼の起因となりやすいが、このような現象が元々燃焼の不安定な低燃焼時に発生すると、燃焼がより不安定となり断火現象を生じるおそれがある。 【0117】このような不具合を解決するためには、まず適当な基準変化率Δ%を決定し、当該廃液の注入点とバーナー先端部までの容積をG(単位:リットル(L))、その時に流れる流量をF(単位:L/秒)とした時、G÷Fで求められる到達時間をTとし、Δ÷T


    を変化率δ(単位:%/秒)として算出される。 Δの値は、その対象とするボイラの空燃比制御の方法や過剰空気の設定状況等により考慮されるべきであるが、一般的に3%程度のΔを選択する事で対応できる。 Δの値が小さくなる程、前述の過渡的現象は緩和されるが、注入率の変化率は小さくなるので、注入率が変化する時間は長くなる。 因みに1LのGを持ち1L/秒のFの場合には、δの値は3%/秒となり1秒当たり3%の注入率変化が許容されるが、Fが1/10に減少した場合には0.3%/秒となり、1秒当たり0.3%の注入率変化が許容されるものである。 【0118】なお、原則的には前記の演算式によって求められるδによる注入率の変化を行う事が望ましいが、


    実用には1%注入比率を変化させたら、燃料流量計5での計測値がGの値分に達するまで待ち、達したら更に1


    %変化させ、Gの値に達する迄待つという操作の繰り返しの様に、通過流量に応じて注入比率を変化させる方法の他、単純に1%変化させたら一定時間経過するのを待ち、1%変化させ再び一定時間経過を待つという様な時間に応じて注入比率を変化させる方法等で代用する事も可能である。 【0119】目標比率変更時間制御器62で決定された目標比率は、燃料流量信号と伴に主廃液比例制御器65


    へ送られ、ここで演算され目標とする廃液流量が決定される。 基本的には、主廃液流量計15の信号と前記目標廃液流量が一致すればよいので、PIDの手段を用いて、主廃液流量調整弁14の開度調整を行う。 しかし、


    バーナー9が燃料流量に応じてバーナー供給圧力の変化を生じる場合には、燃料の流量変化に伴い注入点の圧力が変化する事となる。 制御弁の開度が同一で注入点の圧力が変化すると、一時的に予期した廃液量とは異なった流量が流れる事となる。 長期的に見れば主廃液流量計1


    5によるフィードバック信号により補正されるのであるが、前述した様に油量調整弁以降の注入制御の場合には、一時的な注入比率の変化は、燃焼の安定化に大きな障害を与える事、またこの変化は、望ましい方向と逆で、主廃液流量調整弁14の開度が一定である場合に、


    燃料流量の増加→廃液注入点の圧力増加→主廃液流量調整弁14前後差圧の減少→廃液注入流量の減少となってしまうので、(燃料流量の減少の場合にはその逆)バーナー9の種類によっては非常に深刻な不具合の原因となりかねない。 【0120】主廃液流量計15は、その測定原理により、高速な応答が一般に困難である。 これに対して、圧力検出は応答性が速く、このような変化を的確に捉える事が可能である。 廃水の様な非圧縮性の流体の場合、主廃液流量調整弁14の開度と弁前後差圧を圧力発信器4


    3で検出し、この検出結果に基づいて圧力差補正演算器63で演算処理することにより、比較的容易に理論通過流量を求める事ができる。 従って、差圧の変化に応じて現在設定すべき開度を補正する事により、前述の望ましくない廃液流量の変化を防止する事が可能となるものである。 【0121】また、構成は若干複雑となるが、主廃液流量制調整14を2つ直列に配置し、一方の制御弁には前述の流量調整機能を受け持たせ、片方の制御弁には流量機能を受け持った制御弁の前後差圧を一定に保つ差圧調整弁の機能を持たせる事により、前記圧力差補正演算器63と同等な効果を得る事ができる。 【0122】なお、後述の副廃液や添加剤の注入の様に移送手段と流量制御手段が一体になった構成においても、注入点の圧力変化は、注入率の変化を招く。 このような注入方法においても、注入点の圧力変化に応じ、ポンプ内部でリークする流量を補正する事により、より精度や安定性の高い注入比率制御が実現できる。 【0123】一方、多点注入率設定器64で決定された副廃液比率は、燃料流量信号と伴に副廃液比例制御器6


    6へ送られ、ここで演算され目標とする副廃液流量が決定される。 副廃液ポンプ22が容積式ポンプによる回転数制御の場合、流すべき副廃液流量が決定すると、1回転当たりの理論吐出量が既知であるため、自ずからVV


    VF装置68が出力すべき周波数が決定される。 従って、まずこの基準周波数が決定されるが、この理論吐出量はポンプ前後の圧力差がない場合のものであるので、


    実際には、ラインの圧力差に合わせ、補正係数を上乗せして出力される事が望ましい。 この状態で、副廃液比率は理論的にはほぼ一致するが、経時変化によるポンプ効率の低下や粘度変化等の影響により実際流量に誤差がでるので、副廃液流量計25からの信号により補正する事が望ましい。 さらに、容積式の副廃液ポンプ22にあっては、経時変化により容積効率が低下する傾向が強い。


    初期性能から大幅に容積効率がダウンすると、前記の理論吐出量と副廃液ポンプ22前後圧力から決定される基準周波数による実際吐出量と、目標とする吐出量の偏差が大きくなるため、副廃液流量計25からの信号による補正が欠かせなくなる。 従って、この偏差の大きさを検出する事により、適宜副廃液ポンプ22の容積効率の低下を検出し、副廃液ポンプ22の整備や交換等の手段により容積効率の低下を回復させる処置が有効である。 【0124】副廃液の燃料との合流点は燃料流量計5の手前(上流側)で、燃料流量調整弁4の手前(上流側)


    に構成されている。 このような構成は、混合比率を大幅に変更させる時に有利である。 すなわち、このような構成を取る場合、燃料流量調整弁4の開度が一定である時に、副廃液の注入比率を増大させると、当該燃料流量調整弁4の通過流量は一定のため、逆に燃料の流量は減少する。 しかも、燃料流量計5は、副廃液と燃料の混合流量を計測するので、理論的には副廃液の組成比として0


    〜100%まで実現できる。 従って、このような注入方法は、燃料の発熱量とほぼ同様の廃液の注入に特に有効である。 【0125】なお、廃液の発熱量が燃料の半分程度である中間発熱量廃液の注入方法を考えると、本実施形態の主廃液注入ラインBおよび副廃液注入ラインC双方に同じ当該廃液を使用し、夫々同率の注入率を選択すると、


    燃料流量調整弁開度4が一定の場合のバーナー9から噴霧される発熱量は、廃液無注入時も、廃液注入も等しくなるため、本実施形態の様に主廃液注入ラインBと副廃液注入ラインCを持つ事は、このように中間の発熱量を持つ廃液の処理にも極めて有効である。 なお、廃液の発熱量に応じ主廃液の注入率と副廃液の注入率とを適宜調整すれば、どの様な発熱量を持つ廃液でも前記の両噴霧発熱量を一致させる事が可能な事を付記しておく。 【0126】副廃液が比較的粘度の高い液体の場合には、本実施形態の副廃液ポンプ22としては、移送手段と流量制御手段とを兼ねた容積式ポンプの中でも、ギヤー式ポンプによる回転数制御方法が特に有利である。 この方法では、VVVF装置68などの周波数変換器によりポンプに接続されたモーターの回転数を変化させる事により、副廃液の流量調整を行いながら、移送も同時に行うものである。 このように、移送手段と流量制御手段を回転数制御により実現できるポンプ形式としては、他にベーンポンプ、スクリューポンプ、ルーツポンプの様な回転式容積ポンプの他、ダイヤフラム式やピストン式等の往復動ポンプにあっては、複数のポンプ要素の組み合わせと吐出タイミングの工夫により脈動を減少させたものが適している。 【0127】続いて、添加剤の注入について述べる。 [添加剤注入制御]添加剤流量制御手段を構成する添加剤比例制御器67は、本実施形態の場合、主廃液流量計1


    5の信号を受信し、当該添加剤比例制御器67に予め設定されている添加剤の注入比率に基づき、添加剤ポンプ52への比例信号を出力する。 本実施形態による添加剤ポンプ52の場合、電磁パルス駆動式というダイヤフラム式ポンプのため、添加剤比例制御器67からの1パルス出力当たりの理論吐出量が決まっている。 従って、当該比例制御器67では、廃液流量信号と設定された注入比率とにより演算されたパルス列を添加剤ポンプ52へ送る事が比例制御操作となる。 【0128】添加剤ポンプ52として用いられているダイヤフラムポンプは、一般に定量性が優れているため、


    添加剤流量計55がなくても通常運用時には大きな障害にはなり難い。 しかし、添加剤の注入により、ボイラ燃料への廃液注入の安全性が確保されている様な場合、何らかの障害により添加剤が注入されない場合、重大な結果を及ぼす場合も想定されるため、添加剤流量計55やフロー検出器、脈動検出器等の流量検知手段により、異常を検知する事が重要である。 【0129】なお、添加剤の種類によっては、燃料系に注入した方が望ましい場合もあり、その場合には、添加剤の合流点を燃料供給ラインAに変更すればよい。 また、注入比率の制御対象が廃液量ではなく、燃料量に対しての方が都合がよい場合、添加剤比例制御器67が受信する流量信号を燃料流量計5から出力すればよい。 【0130】以上の様に第1実施形態によれば、製造プロセス等の蒸気要求負荷に応じた蒸気を安定的に供給する事を目的とする産業用ボイラ設備で、当該プラントから排出される廃液を、蒸気発生の目的で燃焼される潤沢な燃料の燃焼熱により、効率的かつ安全に処理できると伴に、廃液の持つ熱エネルギーを蒸気という利用価値の高いエネルギーに変更し、再利用できるので、処理コストの削減と、燃料の削減という2つの課題を、既存の設備に大幅な変更を加える事なく達成できるものである。 【0131】〔第2実施形態〕図10は、本発明の第2


    実施形態に係る廃液焼却炉(産業用燃焼設備)による焼却廃水への廃油注入を行う設備の構成図である。 本実施形態での想定される廃液は、溶剤系廃油で、比重や粘度とも極めて低く、廃水と極めて短時間で分離する事が推定されるため、界面活性剤を添加剤として加える構成も加えてある。 【0132】なお、廃液焼却炉の基本構成は、従来の技術で説明した廃液焼却炉の説明の図23と同一であるので、相違部のみ説明し、共通部分は同一符号を付して説明は省略する。 前述した第1実施形態と同じ構成についても同様に省略する。 後述の他の実施形態でも同様である。 【0133】本実施形態では、主廃液として、水と同様の性質を持ち発熱量の少ない廃水、副廃液として廃溶剤を想定しているので、主廃液注入ラインBに配置されるミキサー20には、エマルジョン化能力の高いものが選定される。 同時に主廃液流量を検知するための主廃液流量計15が配置される。 【0134】廃溶剤である副廃液は、生産プロセスの近くにある副廃液タンク21から副廃液ブースターポンプ28を用いて加圧され、副廃液ポンプ22へ供給される。 副廃液ブースターポンプ28の吐出圧力を調整する手段として副廃液圧力調整弁23が配置され、余剰の副廃液を副廃液タンク21へ戻す。 【0135】本実施形態の副廃液ポンプ22は、ダイヤフラム式であり、副廃液の移送手段及び流量制御手段を兼ねている。 副廃液ポンプ22の出口側には圧力発信器43が配置され、副廃液クラッキング弁29を経由し、


    副廃液注入ラインCは、ミキサー20で主廃液注入ラインBと合流する。 【0136】圧力発信器43は、ダイヤフラム式ポンプの様に定量性の優れたポンプと、一定圧以上の圧力が加わらないと主廃液側に副廃液が流れない構造を持つ副廃液クラッキング弁29を組み合わせた場合、副廃液の圧力を検出する事で、流量検知手段を兼ねる事が出来る。


    副廃液クラッキング弁29の設定圧力は、副廃液ブースターポンプ28の出口圧力より高めに設定され、副廃液ポンプ22が作動しない場合には、副廃液が主廃液へ注入されない様に設定される事により、副廃液の流量精度が向上し、副廃液を遮断するための副廃液遮断弁が不要となる。 【0137】添加剤は、添加剤タンク51に貯えられており、添加剤ポンプ52により定量移送され、添加剤チャッキ弁57を経由して廃水ラインに合流する。 この時添加剤と主廃液の合流点は、副廃液の合流点より上流側であれば、特に位置は選ばない。 【0138】廃液焼却炉で燃料の燃焼を開始し、燃焼室18の温度が一定温度に達すると、主廃液流量調整弁1


    4を調整し、廃水を燃焼室に噴霧する。 廃水の噴霧により燃焼室温度は低下傾向を示すため、廃液焼却炉の温度調整器42(温度発信器41)により燃料量が増加し、


    燃焼室温度を一定に保ち、バランスする。 【0139】この状態で、副廃液の注入を開始するが、


    注入の前に添加剤ポンプ52を稼働させ、添加剤を予め主廃液に添加しておく。 廃水焼却炉の様に廃液処理が目的の工程にあっては、主廃液噴霧量は固定で問題ないので、通常は添加剤も固定流量でも問題ない。 それは、万が一主廃液の噴霧が停止してしまって、添加剤のみがラインに注入されても、特に重大な障害の原因とはなり難いためである。 【0140】副廃液の注入比率は、予め副廃液比例制御器66に記録されており、副廃液比例制御器66は副廃液ポンプ22の注入量を目標とする注入量に制御する。


    主廃液に注入された副廃液はミキサー20によりエマルジョン化されるが、この時主廃液には界面活性剤である添加剤が添加されているため、乳化状態が維持されたまま廃液噴霧器17から噴霧され、熱分解が行われる。 【0141】主廃液中にエマルジョン化された副廃液が含まれていると、副廃液は熱量を持つので、燃焼室18


    の温度は上昇傾向となる。 廃液焼却炉の温度調整器42


    (温度発信器41)により燃料量を低下させ、焼却室1


    8の温度を適正に保つ。 【0142】副廃液の注入率を変更するとき、図示略の目標比率変更時間制御器等の手段を用い、徐々に注入比率を変える事により、当該温度調整器42(温度発信器41)の負担が減少し、燃焼室温度を安定に保ち安くなる。 【0143】以上の様に第2実施形態によれば、本来廃水用に設計された廃液焼却炉において、廃溶剤等の熱量を持つ廃液を同時に処理する事が大幅な設計変更無しに使用可能になると伴に、廃溶剤の熱量が燃焼室温度の上昇に貢献する事により、廃液焼却用燃料の削減に貢献する事が可能となる。 【0144】また、本来廃油等の熱カロリーを持つ廃液の焼却炉の場合には、燃焼室18が高温となりすぎ炉が傷みやすいが、廃水を当該廃油中にエマルジョン化させ処理する事も可能で、熱量を持たない廃水の添加により炉温を低下させる効果が期待できるため、やはりメリットが大きい。 【0145】〔第3実施形態〕図11は、本発明の第3


    実施形態に係るエマルジョン分離手段および塩類濃度減少手段を備えたボイラの構成図である。 このボイラで処理されるエマルジョン廃液としては、概略廃油と廃水との2相分離されて排出されるが、一部エマルジョン化している様な不完全なエマルジョン廃液を想定している。


    廃油の油成分に関しては、自燃性がありバーナー9で直接燃焼が可能な成分である。 廃水中には食塩等の無機塩類が含まれている。 【0146】エマルジョン廃液は、エマルジョン分離槽(エマルジョン分離手段)71に貯留される。 上に分離した廃油は、油であるため、廃液移送ポンプ12、廃液流量調整弁14、廃液流量計15、ミキサー20を経由してバーナー9により燃焼される。 この設備は温水ボイラであるため、廃液流量調整弁14は、ボイラ38側の温度調整機能により流量制御が実施される。 【0147】なお、エマルジョンの分離速度を向上させるエマルジョン分離促進法としては、遠心分離機等の様に、油と水の比重差を利用したもの。 エマルジョンブレーカーと呼ばれる界面活性剤を加える事により、エマルジョンの分離性を向上させるもの。 塩やアルコール等を添加して界面活性剤の機能を失わせる方法。 親水性又は疎水性を持つ限外ろ過膜等を用いて、連続層のみを通過させる方法等があり、夫々の廃液の種類に応じて使い分ける事が望ましい。 【0148】下に分離した廃水は、無機塩類を含んでおり、廃水ライン84を経由してイオン交換膜装置(塩類減少手段)72に供給される。 イオン交換膜装置72


    は、図の様にカチオン膜76およびアニオン膜77が配置され、プラス電極74とマイナス電極75とには、直流電源73により電圧が加えられている。 イオン交換膜装置内72により、廃水中のイオン成分は、隣接する濃縮液ラインに移行し、廃水が脱塩される(イオン交換膜法)。 【0149】ここで、塩類とは、塩基を構成する金属成分と無機若しくは有機酸から構成される塩の他、本発明の性質状、燃焼後に塩基若しくは無機酸を生成する金属及びハロゲンや硫黄、有機窒素等も含めるものとする。 【0150】本実施形態によれば、濃縮液タンク82、


    陽極液タンク78、陰極液タンク80は夫々濃縮液循環ポンプ83、陽極液循環ポンプ79、陰極液循環ポンプ81により、イオン交換膜装置72を経由して廃水を循環させている。 それらのタンク内の電解質液は濃度調整を行い濃縮度や成分の調整が行われるが、濃度調整の際に排出される廃水中には、非電解質の成分は混じらないため、処理が容易である。 【0151】また、脱塩廃水ライン84に流れる脱塩された廃水は、塩濃度が低下するため、ボイラの様に熱交換を伴う燃焼器にも使用可能となる。 副廃液ポンプ22


    および副廃液流量計25を経由し、前述した第1実施形態と同様に、廃油と比例的に混合され燃焼処分される。 【0152】ところで、図12は、塩類減少手段実現の変形例であり、イオン交換樹脂法による構成の一例を示している。 塩類濃度が希釈された廃液は、前法と同様な方法で焼却処分が可能である。 【0153】このような方式では、原液タンク141にある原液を原液ポンプ142にて加圧し、陽イオン交換樹脂塔143及び陰イオン交換樹脂塔144に通し、電解質成分のイオン交換を行い、脱塩水が廃液タンク11


    に貯留される。 イオン交換樹脂は、イオン交換量に応じて飽和に達するので、塩酸や水酸化ナトリウム等により再生される。 再生の際には若干の有機成分も混じる可能性があるが濃度が薄いため、排水槽146に貯留し生物処理等により排水される。 【0154】原液中に重金属イオン等が含まれている場合、キレート樹脂塔145を通す事により処理廃液および排水中の重金属濃度を減少させる事が可能である。 キレート樹脂は特定の金属イオンと錯体を作り、強固に結合するため選択的に重金属イオンを除去できるものであるが、その特性により再生可能な物と不可能な物がある。 再生可能品の場合には、コスト的に有利であるが、


    再生排水中には重金属が含まれる事になる。 しかし、有機物濃度が少なくなるため、後処理は有利である。 【0155】図13は、ろ過濃縮法による塩類減少手段であって、限外ろ過或いは逆浸透ろ過方法により、廃液中の水分量を減らすと伴に、低分子量の塩類も水と伴に排出する方法の一例を示している。 処理対象となる廃液中の有機物濃度を高める事により熱カロリーの再利用率が高くなる事や、塩類濃度を低下させる事による燃焼室保護効果を持ち、廃液量も減容化出来るため本方式の様に燃料に添加できる量が限られている方式で用いるとそのメリットが大きい事等、有利な点が多い方法である。 【0156】このような方式では、原液ポンプ142で加圧された原液はろ過器147を経由し廃液圧力調整弁13で一定圧力に保持される。 従って、ろ過器147の一次側と二次側に差圧を生じ、水分および低分子量の塩類は排水槽146に排出される。 結果的に濃縮度の上昇した廃液は廃液圧力調整弁13を経由して廃液タンク1


    1に貯留され、本方式による廃液として処理される。 【0157】ろ過に使用されるろ過材は、限外ろ過若しくは逆浸透膜が適しており、ろ過対象物と目的により使い分ける事が望ましい。 特に、逆浸透膜の場合、純水製造を目的としたものより、やや目の粗い膜を使用する事により、廃液の塩類希釈効果が大きい。 尚前段で、膜の目詰まり保護用に、より目の粗いろ過装置を使用する事は問題無い。 図では中空糸膜をイメージして記載しているが、その他スパイラル膜や平膜等の方法もある。 【0158】図14は、蒸発濃縮法による塩類減少手段の構成図であり、多重効用式濃縮器により、廃液中の水分を減らすと伴に、水中に溶け込んだ析出性の高い塩類を分離除去し、廃液中の塩類を減少させる方法の一例を示している。 【0159】このような方式では、原液は原液ポンプ1


    42により加圧され、原液制御弁153を経由して、多重効用缶156の各濃縮室に供給される。 濃縮室の1段目には蒸気ライン151が接続され、内部の原液を加熱する。 1段目の原液が加熱されると内部液は蒸発し、蒸発した蒸気が2段目の原液を加熱するという様に、蒸気潜熱を有効に利用しつつ液体の濃縮を行うものである。 【0160】濃縮された原液が一定の濃度となると、濃縮液排出弁154が開きろ過器147を経由して、廃液タンク11に貯留され、本処理法により処理される。 ろ過器147は、塩類の析出物に合わせて適宜最良のものを選択すればよいが、析出物が極めて少量であると予想される場合、なくても廃液タンク11等で沈殿除去されるため、問題はない。 【0161】また、1段目のドレンライン152に凝縮したドレンは、ボイラのドレン回収水として再利用可能であるが、排水ドレンライン157に凝縮したドレンは、原液の組成に応じて再利用が可能な場合もある。 なお、図では省略してあるが、各ドレンライン152,1


    57にはスチームとラップが設置され、多重効用を10


    0℃以下で行う場合には、排水ドレンライン157に真空ポンプが必要となる。 【0162】さらに、本方式は塩類濃度が元々低い原液であっても、本方式による焼却処理量を減少できる事、


    焼却処理を行うボイラの蒸発量が増加する事により、燃料量が増加し処理化可能量が増加する事等、塩類減少目的以外の効果も大きい。 【0163】図15は、廃油の様に前述の方法が使えない廃液中の塩類減少手段、すなわち、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属処理法を利用した手段の構成図であり、より具体的には、塩素成分を除去する目的で使用されるアルカリ金属等を用いた処理法の一例を示している。 この方式は、アルカリである金属ナトリウム、金属カリウムやアルカリ土類である金属カルシウムや金属マグネシウムの強力な脱塩素作用を利用すると伴に、本処理法が廃油や廃水を焼却処分できる方法であるため、効率的に処理が行えるものである。 【0164】この方式によれば、原液は原液ポンプ14


    2にて第一反応槽165へ供給されるが、その時に金属アルカリ油タンク161に貯留される金属アルカリ油を金属アルカリ油移送ポンプ162にて移送し、原液と混合させる。 金属アルカリ油とは、アルカリ金属或いはアルカリ土類金属が空気中では極めて反応性が高い事から、オイル中にアルカリ金属粉を分散させ、空気との接触を断つ事により、取り扱い上の安全性を高めたスラリー油の事である。 【0165】原液(廃油)中にハロゲンや硫黄等の成分があると、アルカリ金属が還元剤となり、それらをアルカリ金属塩として取り込む。 この反応は常温、常圧でも進行するが、反応時間を短縮させるため、加熱等の手段を講じてもよい。 【0166】一次反応が終了した廃油は、ミキサー20


    を経由して第二反応槽166に供給される。 この時、給水ポンプ164により水が供給されエマルジョンとなる。 ミキサー20が優秀なエマルジョン化機能を持つ場合には、界面活性剤等は不要であるが、通常は界面活性剤等を使用し、水が均一に分散される様にする。 【0167】金属アルカリは、水が作用する事により、


    反応が急激に進み有機物からハロゲンや硫黄を奪い、ハロゲン化アルカリ或いは硫化アルカリとなり、エマルジョン水中に溶けこむ。 この廃油を遠心分離機70にかけ、油成分と水成分に分離させ、油成分は廃液として廃液タンク11へ送られ、水成分は排水槽146に貯留する。 【0168】本方式では、特にアルカリ金属を安定的に取り扱うためのオイルも焼却処分してしまう他、排水槽146に貯留した排水をさらに前記の塩類減少手段で除去する事により、有害な有機物を生成させない廃液処理が可能である。 【0169】図16は、脱窒素処理法による塩類減少手段の一例を示す構成図である。 アミンや硝酸塩等に含まれる窒素分は、本方式による焼却処理法においては、排ガス中のNOxとして排出されるため、N

    2として予め除去しておけば、より環境負荷の少ない処理が可能となる。 【0170】原液は原液ポンプ142により移送され脱窒バイオリアクター173に供給されるが、同時にアルコールタンク171に貯留されるアルコールをアルコールポンプ172を使用して添加される。 脱窒バイオリアクター173とは、硝酸還元バクテリア、脱窒バクテリア等還元雰囲気化でアルコール等をエネルギー源として、硝酸性窒素あるいはアミン等からN

    2として無害化する事により、原液中の総窒素濃度を減少させる生物反応器である。 【0171】現在の技術において、廃液中に含まれる窒素成分をN

    2として無害化する手段は、生物を利用した物が主流であるが、一般的にアルコール(メチルアルコールやエチルアルコール)を必要とする。 本焼却処理法の場合には、脱窒バイオリアクター173を作用させるために加えるアルコールが残留しても、そのまま処分出来るので有利である。 【0172】以上の様に塩類減少手段は、多岐に亘り技術開発が進められているが、夫々単独或いは複数の技術を本焼却処理法と組み合わせる事により、極めて環境負荷の少ない、優れた廃液処理方法が可能となるものであし、第1,第2実施形態の廃液にも適用できる事はもちろんである。 【0173】安定性の悪いエマルジョン廃液の場合、そのまま焼却処分しようとすると、廃液の発熱量が不安定で、産業用燃焼設備の様に安定した発熱量を要求する燃焼設備には適さないが、以上の第3実施形態の様に、一度、油成分及び水成分に分け、それらをバーナー前で正確に比率制御されたエマルジョンとする事で、産業用燃焼設備にも適用出来る様になる。 しかも、一度油成分と水成分とに分ける事で、脱塩処理を行う事も容易となり、灰分やハロゲン成分による悪影響も同時に解決できるものである。 【0174】〔第4実施形態〕図17、第4実施形態に係る産業用燃焼設備を示す構成図であるが、本実施形態は、防食剤、界面活性剤、増粘剤の3剤の注入制御を行えるシステムの形態であり、燃料がバーナー9にて燃焼させる経路上において、廃液を燃料中に比例注入する構成においては、第1実施形態1と全く同様な構成を備えている。 【0175】防食剤タンク111には、燃料中に分散し、金属表面に分子膜を形成し、水や酸等が、直接金属面に付着させない様にする事により、金属の腐食を防止させる防食剤が入っている。 同時に、この作用は金属同士の直接の接触も防止するため、潤滑剤としても作用する。 これは、一種の界面活性剤であるが、水には溶けないため、図の様に燃料側に添加する。 【0176】また、カルシウムやマグネシウムとの金属石鹸を入れておけば、廃液中のハロゲンや燐が排ガス中で鋼材を侵す事を防止する事も可能で、この場合には燃焼室側の防食効果が期待できる。 【0177】ここで、以下に登場する本実施形態での界面活性剤とは、1分子の中に後述する親油基と親水基を持つ事により、水と油の様に本来は混じり合わない液体同士を、乳化状態にさせる作用を持つ薬品の事である。 【0178】親油基とは、界面活性剤中にあって、油に溶け易い性質を持つ組成部を示し、一般に石油由来の成分や動植物油由来の成分から構成され、基本構成は直鎖アルキルやベンゼン及びその誘導体等が用いられる。 【0179】親水基とは、界面活性剤中にあって、水に溶け易い性質を持つ組成部を示し、酸や塩基等の他、アルコールや糖等の様に水に溶け易い性質を持つ有機化合物が用いられる。 特に親水基が、水に溶けた時の性質に応じて、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、非イオン系界面活性剤等に分類される。 【0180】HLBとは、界面活性剤1分子中における親油基と親水基のバランスを示す指標で、0〜20迄の値をとり、親水性が高い程高い値を示す。 【0181】本実施形態では、界面活性剤タンク91には、水と燃料油との界面張力を減少させ、乳化状態を維持させるために使用する界面活性剤が入っている。 界面活性剤による油と水の作用機構は、前述の親油基の性質、親水基の性質、HLBの3つの要素が支配するといっても過言ではない、逆にそのために多種多用な界面活性剤が開発されて来たといってもよいだろう。 従って、


    廃油や廃水等の様にその性質が燃料や水と異なる成分を加え乳化させる場合には、当然その性質に応じた最適な界面活性剤を用いる必要がある。 しかしながら現実的には、その都度別々な界面活性剤を選択して、添加剤タンクへ投入する事は不可能であるため、予想される廃油及び廃液種の中で、複数の界面活性剤を予めブレンドして置く事により、広い範囲の廃油及び廃液種への対応が可能となるのである。 【0182】例えば、燃料油が灯油で、廃油として酢酸エチル、廃水として5%のエチルアルコールの適用が考慮される場合、灯油と水、灯油と廃油と水、灯油と廃油と廃水の3種類の対応を考慮しなければ成らない、灯油と水に最適なHLBは6〜9であるが、廃油が混じるとHLBが上昇し、9〜11前後が最適となる。 しかしアルコールが入ると、親水基としてアルコールを持つものの方が性能が上がるため、HLB9にはポリオキシエチレンアルキルエステルを使用し、HLB11にはポリオキシエチレンアルコールエーテルを50:50の混合物として使用した所、3条件において良好な乳化性を示した。 【0183】一方、粘度増加剤としては、水や油に溶けた場合に、その溶媒自身の粘度を上昇させる性質を持つ薬品の事で、セルロースや多糖類を対象とする溶媒に溶解出来る様に改質したものや、溶媒に溶解する高分子物質等で、対象溶媒に添加する事により粘度増加効果があり、且つ灰分やハロゲン等の燃焼室に有害な物質を含まないものが望ましい。 代表的にはカルボキシルメチルセルロース、カラギーナン、グアーガム、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール等がある。 【0184】前述の界面活性剤は、油相と水相の両方に溶ける性質を持つ事により、乳化を促進維持するものであるが、どちらかの性質と界面活性剤の性質が一致しないと、逆に乳化を阻害したり、全く効果を示さない等の弊害を生じる。 すなわち、エマルジョンブレーカとして使用される薬品も界面活性剤の一種である。 これに対して、増粘剤は油相若しくは水相どちらかに溶け込み、その粘度を上昇させる事により、乳化された状態を維持する事を目的として添加される。 従って、界面活性剤の様に乳化を促進するものでは無いが、油相若しくは水相どちらかに安定して作用出来れば、逆に反対側の性質には影響され難いため、界面活性剤が向かない組み合わせの場合に有効である。 【0185】そこで、本実施形態では、増粘剤タンク1


    01には、水の粘度を増加させ、分散化された水が容易に再結合し難くする事により、乳化状態を維持するために使用する増粘剤が入っている。 この増粘剤は、例えば水溶性増粘剤の場合、水に溶かしてしまうと粘度が上昇し、注入等の操作が極めて困難である。 従って、一般にはアルコール等の様に水には任意に混じるが、増粘剤は溶解しない様な溶媒にスラリー状に分散させて置く。 増粘剤スラリーが廃水と触れると徐々に溶解し、廃水の粘度を上昇させるのである。 特に本実施例の様に注入ポイントを界面活性剤と切り替える事が出来れば、増粘剤注入後切り替えバルブを界面活性剤側に切り替え、界面活性剤で途中配管をパージ出来、注入ポイントが固化する事を防止出来るので、好都合である。 【0186】以下に、界面活性剤と増粘剤の使い分けについて述べる。 廃液として、水若しくは水とほぼ同様な性質を持つ液体の場合には、界面活性増粘剤切替弁97


    を界面活性剤が流れる側にセットし、廃液の中に界面活性剤を比例注入する事が可能である。 【0187】ところが廃液が電解質やアルコール、アルデヒド等の水溶性溶質を多く含む場合、界面活性剤が不溶化したり、乳化性能が劣化したりする。 このような廃液の場合には、廃液自体の粘度を若干上昇させる事により、乳化状態の維持が有利となる。 従って、このような廃液については、界面活性増粘剤切替弁を増粘剤が流れる側にセットし、廃液の中に増粘剤を比例注入する事が可能である。 【0188】なお、廃液が酸性である様な場合には、燃料配管中の金属面に廃液が触れる事による腐食が懸念される。 このような場合には、防錆剤を比例注入する事が可能である。 【0189】以上の様に、廃液(廃水、廃油)は常に一定のものが定常的に排出されるものではなく、製造プロセス等のライン毎に廃液の種類が異なる場合も想定される。 このような場合、本実施形態の様に、複数の添加剤タンク91,101,111を用意し、夫々のタンク9


    1,101,111に目的別に添加剤を準備して置く事により、幅広い廃油廃液の処理に適した装置となる。 【0190】なお、それら添加剤の切り替えは、切替弁58を用いる等により、廃液種を確認した上で、オペレーターが手動で実施してもよいが、廃液種に応じて自動的に最適な添加剤の組み合わせを選定し、注入するように構成してもよい。 【0191】〔第5実施形態〕次に、本発明に係る第5


    実施形態を説明する。 本実施形態は、機能向上のための添加剤を含有した潤滑剤を安全に焼却処理する方法であって、廃油の許容注入比率を、安全性評価手段を用いて決定するものである。 なお、許容注入比率とは、潤滑剤の廃液を本処理法において、安全に焼却処分できる最大の注入率の事で、設備形式毎に決定する事が望ましい。 【0192】廃液となる潤滑剤は、主にベアリングや装置の摺動部において、油膜を形成し磨耗や発熱を低減させ、装置寿命を延ばす目的で使用される。 しかし、潤滑剤に求められる性能は、その他電気絶縁性、さび止め性、低蒸気圧性等の特徴により、以下のような様々な用途で使用されている。 【0193】(潤滑油)潤滑剤の使用目的としては、最もポピュラーなもので、エンジンオイルやタービンオイル、ギヤオイル等機械的摺動部がある様々な装置に使用される。 【0194】エンジンオイル:ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等の内燃機関に用いられ、潤滑性の他、


    燃焼に伴うカーボンや硫黄、水分等を分散させる効果が期待され、それらの効果を発揮させるため、添加剤が使用される。 【0195】タービンオイル:蒸気タービンとガスタービンでは、若干使用目的が異なるが、重荷重では無い事やガスタービン羽根に影響が出る可能性があるため、無灰系添加剤を使用しており、本処理法に有利な潤滑油である。 【0196】油圧作動油:酸化防止剤と錆び止め剤をベースにした軽荷重用のものから、耐磨耗性、高温特性、


    低温特性等を重視した特殊グレードがあり、用途により使い分けられる。 【0197】圧縮器油:空気による酸化や水の混入等の悪条件化で使用されるが、元々寿命が短い事やミスト中に金属成分があることを嫌う用途もあり、無灰系添加剤を使用した製品もある。 【0198】ギヤーオイル:ギヤーオイルにも様々な要求があり、多種多用な製品があり、それに伴い複数の添加剤が用いられている。 特に空気との界面で使用されるギヤー油の場合には、あわ立ち防止のためにシリコン油等が混合されている場合もあり、注意が必要である。 【0199】その他潤滑油:冷凍機油、軸受け油、摺動面油、錆び止め油、金属加工油、一般潤滑油等様々な潤滑剤が工業的に使用されている。 【0200】(その他潤滑剤)絶縁油:燃料の絶縁性を利用して、トランスや遮断機等の熱放散や酸化劣化を防止するために使用される。 絶縁性を高めたり、腐食性を高めるために添加剤が使用される。 【0201】熱媒油:低圧で200℃を超える熱源が必要な場合に、蒸気ボイラに代わり使用される熱媒ボイラ等に使用されるオイルである。 低蒸気圧性(可燃成分が蒸発しない。)や熱安定性が求められる。 【0202】一方、潤滑剤の使用時には、添加剤を添加させるが、その使用目的と主な組成を表1に記載する。


    なお、添加剤のうち、灰成分を含まないものを無灰系添加剤と呼び、環境面からも出来るだけ、このような添加剤で構成された潤滑剤を使用する事が望ましい。 【0203】 【表1】 【0204】以上のような種潤滑剤は、スラッジの発生や、添加剤の劣化、基油の酸化劣化等により、本来の機能が失われ、廃油となり廃棄される。 【0205】この際、燃焼による焼却に影響のある成分としては、灰分、ハロゲン、燐、重金属等がある。 このような成分は、添加剤に含まれる場合が多い。 【0206】灰分は、JISK2272により規定されている物質で、潤滑剤中の700〜800℃の温度域で減量しない成分であり、各種金属成分やSi等が該当する。 なお、次の燃焼安全評価手段では、夫々の含有成分が安全性評価に重要であるため、各成分毎に提示する事が望ましい。 【0207】ハロゲンは、F、Cl、Br、I等の成分であり、高温化で遊離し鋼材等を侵す他、排ガス中の許容濃度も定められいる。 特に、Clは、ダイオキシン類の発生要因となるだけでなく、燃焼室や耐火物の劣化にもつながり、出来るだけ前処理で除去する事が望ましい。 又大気汚染防止法上も最大許容排出量が定められているため、この基準値以内になる様抑制する必要がある。 また、Fは、稀に高温用潤滑剤等に含まれる可能性があり、注意しなければならない。 Fが煙突から拡散すると環境のためにも望ましくないため、原則として注入を禁止した方がよいと思われる。 【0208】燐は、金属成分がある場合には、前記灰分としてカウントされるが、燐のみが含まれている場合には、燐が昇華するため、単独に規定する必要がある。 また、燐は、カルシウムやマグネシウムと同時に処理される場合にはあまり影響は無いが、それらの金属成分が無い場合には、燐酸による腐食等が問題になる。 従って、


    潤滑剤中の全ての成分を調べた上で、安全注入率を決定する必要がある。 【0209】灰分にもカウントされるが、鉛や水銀等の重金属イオンを含むものは重金属とされ、本処理法では前処理により除去する事が必要である。 重金属類に関しては、本処理法においては、原則として前処理で取り除くべきで、それが適用出来ない場合には、注入を禁止する事が望ましい。 なお、亜鉛・ナトリウム・カリウム等の低融点物質はできるだけ少ない量が望ましいが、その影響は、燃焼室火炉負荷や添加率に依存するため、設備の形式に合わせる必要がある。 また、ハロゲン等の成分を含まない場合には、低燃焼域のみで添加する事により、金属成分の溶融のリスクを低減できる。 カルシウム・マグネシウム等の高融点物質は、比較的許容度が高く、これらの成分のみであれば、比較的高い注入率が許容できる。 【0210】図18は、本実施形態を実現するための構成図であり、ディーゼルエンジン181、ガスタービン182、蒸気タービン183、スクリュー圧縮器18


    4、軽負荷油圧作動装置185、重負荷油圧作動装置1


    86夫々から定期的に使用済オイルが廃油として排出される。 【0211】ディーゼルエンジン181の潤滑油(潤滑剤)は灰分等の除去処理が困難であるため、低許容比率タンク191に貯留され、ガスタービン182、蒸気タービン183、スクリュー圧縮器184のオイルは夫々専用のオイルであるが、[燃焼に影響のある成分]を殆ど含まないため、高許容比率タンク193に貯留される。


    また、軽負荷油圧作動機器185の廃油は、若干の金属成分があるが、除去手段によりほぼ除去可能であるため、第1金属除去処理187で処理後高許容比率タンク193に貯留される。 高負荷油圧作動機器186の廃油は、大部分の金属成分は第2金属除去処理188で除去できたが、シリコン油や燐酸エステルが除去出来ないため、中許容比率タンク192に貯留される。 【0212】以上の様に、許容注入比率毎に廃油を分類する事により、本処理法で処理する時にはタンクの貯留された潤滑油毎の許容注入比率内で運用すれば、安全に焼却処分が行えるものである。 【0213】〔第6実施形態〕本発明の第6実施形態は、廃液注入ラインに、廃液中のゲル状固形物を当該廃液中に分散させる廃液ミル化手段を設けた産業用燃焼設備である。 【0214】ゲル状固形物とは、溶解性繊維素や多糖類或いは高分子物質が立体網目構造を持ちゲル状に固化したもので、網目構造の隙間に廃液を含有するものを指す。 これらは、比較的柔らかい物質であるケースが多いが、未処理のままろ過手段によりろ過しようとすると大量の固形物となり廃棄処分が必要となるものである。 【0215】ミル化手段とは、例えば、ゲル状固形物に機械的な剪断力を与え、前記立体網目構造を破壊する事により、当該網目構造中の廃液を自由にし、ろ過手段による残渣量を減少させるものである。 また、当該ミル化手段の能力を向上させる事により、網目構造を形成する繊維素や高分子物質が、金属等の不燃性物質を含まない場合、それらの骨格そのものも燃焼手段により燃焼処分する事が可能である。 【0216】なお、必要に応じ、ミル化後の再結合を防止するため、界面活性剤等の添加剤を加える事も有効である。 【0217】図19は、ミル化手段の一例であるミル化ミキサー200を示す断面図である。 ミル化ミキサー2


    00では、円柱台状の回転ローター201と、それに僅かな隙間をあけて接するステーター202との間に流体が通る際に、流体の摩擦力による強い剪断力を受け、内部の固形物が粉砕されるもので、ローター201およびステーター202の材料に硬質な素材を使う事により、


    ある程度硬さのあるゲル状物質も細かくする事ができる。 【0218】その他、通常のミキサー等も使用できるが、砕こうとするものの大きさや硬さに合わせて最適な形式のミル化手段を選べばよい。 【0219】図20は、果物の果肉の入った廃液用のミル化ミキサー200を用いた処理の一例を示す構造図である。 原液タンク141には果肉入りの原液が入っている。 原液ポンプ142が果肉により障害が発生するのを防止するため、ミル化ミキサー200を入口側に配置している。 切替弁194は原液タンク141への循環と、


    廃液タンク11への供給の切り替え用である。 【0220】果肉等が入った原液の場合には、原液タンク141との循環側に切替弁194をセットし、循環しながらミル化ミキサー200を運転して、原液タンク1


    41内の液体中の果肉を粉砕する。 タイマー等により、


    一定時間循環運転を行ったら、切り替え弁を切り替え、


    廃液タンク11へ処理後の廃液を供給する。 その際に、


    万が一の未粉砕物の障害を防止するため、ろ過器147


    を配し、粉砕しきれない異物を除去する。 【0221】〔第7実施形態〕本発明の第7実施形態は、有機化合物を吸着した活性炭または炭化処理手段から排出される炭化物をスラリー化するためのスラリー化手段を設け産業用燃焼設備である。 【0222】使用済活性炭とは、本実施形態においては、有機溶剤や有機質等を吸着し活性を失った活性炭の事を示す。 【0223】理想的には、活性炭再生炉を使用して再生する事が望ましいが、複数種の活性炭を用いていたり、


    少量であったりすると、活性炭再生炉のイニシャルコストを吸収できず、廃棄処分している事が多い。 【0224】また、炭化物とは、有機系廃棄物を、空気を遮断した状態で過熱し、有機物を炭化物として減容化するものである。 【0225】安定した物質であるため、そのまま埋め立て処分をしても環境への負担は大きく無いが、埋め立て処分費がかかるため再利用方法が望まれていた。 【0226】スラリー化手段としては、図21の様なローラー206を備えた破砕機が用いられる。 活性炭及び炭化物(以下単に炭化物という)は硬い物質であるが脆い性質も併せ持つため、ローラー206で容易に微細化できる。 回転するローラー206間の小さな隙間に粉砕対象物(炭化物)を通す事により、容易に砕くものである。 微細化された炭化物は、界面活性剤或いは粘性剤等と混ぜ合わせると、水に容易に分散し、スラリー化する。 墨汁がまさにこのようにして製造される。 粉砕の過程で、結晶化した金属成分と炭化物が分離するため、含有金属成分に適した界面活性剤を用いる事により、浮遊選鉱の原理で炭化物と金属成分を分離する事も可能である。 【0227】水を溶媒とした炭化物スラリーは、燃焼時に水性化ガス反応と呼ばれる、水による炭素の触媒作用により、非常に良好な燃焼性を持つ事が確認されている。 【0228】図22は、炭化物をスラリー化し、焼却処分する用に構成された産業用燃焼設備の構成図である。


    炭化物207はローラー206で粉砕され、浮遊選鉱槽209Aに投入される。 浮遊選鉱槽209Aでは、水及び含まれる金属成分に応じて界面活性剤を投入し、圧縮空気210により微細な泡を発生させ、泡の表面に付着した金属を排水槽146に貯留する。 【0229】浮遊選鉱槽209Aに送られるスラリー及び水の量に応じて、隣に配置された静置槽209Bにスラリー液が移動する。 静置槽209B内で、浮遊選鉱されなかった比重の重い成分が沈殿するため、適宜ブローを行う事により排水槽に貯留する。 【0230】浮遊選鉱槽209Aのレベルに合わせ、原液ポンプ142により廃水タンク11へ移送され本処理法により焼却処分される。 【0231】〔第8実施形態〕本発明の第8実施形態は、図示を省略するが、廃液中に存在する有害細菌を殺菌する殺菌手段、除菌する除菌手段、有害細菌の増殖を抑制する抑制手段、有害細菌が廃液中に混入するのを遮断する遮断手段、および廃液の燃焼を促進させる有用細菌の増殖手段のうちのいずれかの手段を備えている産業用燃焼設備である。 【0232】殺菌手段とは、以下の処理を用いて微生物を死滅させる手段を指す。 薬品処理:殺菌性のある薬品を用いる手段で、一般には次亜塩素酸や逆性石鹸等が知られているが、本処理の場合には焼却処分可能なため、ホルマリン等の人体にやや有害な成分でも安全に焼却処分可能である。 加熱処理:加熱により、細菌類を死滅させる処理である。 オゾン処理:オゾンの酸化力により、細菌類を死滅させる処理。 紫外線処理:紫外線により、細菌類のDNAを破壊し、


    死滅させる処理。 滅菌:殺菌手段を徹底して実施することにより、胞子や芽胞を含めて全ての微生物を死滅させる処理。 減菌:殺菌手段の一つで、微生物を減少させる処理。 【0233】除菌手段とは、以下の処理を用いて微生物を除去する手段を指す。 ろ過滅菌:全ての微生物を除去する処理。 一般除菌:微生物を特定せず一部を除去する処理。 細菌の抑制手段とは、以下の処理を用いた手段を指す。 静菌:微生物の増殖を阻害あるいは阻止する処理。 冷蔵、冷凍等。 制菌:特定の微生物に対して増殖を抑制または阻害する処理。 防菌:微生物を特定せず増殖を抑制する処理。 防腐:有害生物による劣化を防止する処理(腐敗性微生物の増殖抑制)。 【0234】細菌の遮断手段とは、細菌類が廃液に触れない様にする手段を指す。 【0235】有用菌の繁殖手段とは、発酵等の処理により、有用菌(本処理の場合には、スカムや異臭等の様に処理に障害を起こす菌を抑制する菌)を増殖させる手段を指す。 【0236】本実施形態は、以上のいずれか手段を用いて、廃液の移送障害、悪臭、ガスの発生等を防止する事により、廃液の処理を容易とするものである。 これらの手段は、それぞれ特性に合わせ、廃液中に入れたり、タンクや配管中に設置したり、廃液に作用させたり等適宜運用すればよく、複数組み合わせても問題はない。 【0237】例えば、図1の廃液タンク11,21内に紫外線殺菌灯を設置したり、図19の原液タンク141


    に殺菌剤としてホルマリンを入れる事により、細菌繁殖による障害を防止する事が出来る。 【0238】 【発明の効果】以上に述べたように、本発明によれば、


    産業用燃焼設備において、自らの産業活動に伴い副性する廃棄物が処分出来ると、十分なエネルギーを廃棄物に与えながら、そのエネルギーは産業活動に再利用出来、


    理論的には、廃棄物処理に係るコストがゼロになるばかりか、廃棄物の持つエネルギーを再利用する事が容易である。 しかも、既存の設備に対して大幅な設計変更が不要なため、広く産業界に広める事により、安価な設備投資で、大幅なランニングコストの削減が可能となり、地球環境の改善にも貢献するものである。

    【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の第1実施形態を示す図である。 【図2】前記第1実施形態で用いられる折れ線式多点注入比率設定器を示す図である。 【図3】前記第1実施形態で用いられる多段式多点注入率設定器を示す図である。 【図4】前記第1実施形態で用いられる機械式多点注入率設定装置を示す図である。 【図5】前記折れ線式多点注入比率設定器による主廃液注入比率の制御結果の一例を示すグラフである。 【図6】前記折れ線式多点注入比率設定器を2点式とした場合を示すグラフである。 【図7】工業用潤滑油の廃油を副廃液として注入する場合の前記折れ線式多点注入比率設定器による副廃液注入比率の設定パターンの一例を示すグラフである。 【図8】前記多段式多点注入率設定器による主廃液注入比率の制御結果の一例を示すグラフである。 【図9】前記第1実施形態の要部を拡大して示す図である。 【図10】本発明の第2実施形態を示す図である。 【図11】本発明の第3実施形態を示す図である。 【図12】前記第3実施形態での塩類減少手段の変形例を示す図である。 【図13】前記塩類減少手段の変形例を示す図である。 【図14】前記塩類減少手段の変形例を示す図である。 【図15】前記塩類減少手段の変形例を示す図である。 【図16】前記塩類減少手段の変形例を示す図である。 【図17】本発明の第4実施形態を示す図である。 【図18】本発明の第5実施形態を示す図である。 【図19】本発明の第6実施形態を示す図である。 【図20】前記第6実施形態の全体を示す図である。 【図21】本発明の第7実施形態を示す図である。 【図22】前記第7実施形態の全体を示す図である。 【図23】従来技術を示す図である。 【図24】従来技術を示す図である。 【符号の説明】 1 燃料タンク2 燃料ポンプ3 燃料圧力調整弁4 燃料流量調整弁5 燃料流量計6 燃料遮断弁7 蒸気制御弁8 ストレーナ9 バーナー10 混合器11 廃液タンク12 廃液ポンプ13 廃液圧力調整弁14 廃液流量調整弁15 廃液流量計16 廃液遮断弁17 廃液噴霧器18 燃焼室19 煙突20 ミキサー21 副廃液タンク22 副廃液ポンプ23 副廃液圧力調整弁24 副廃液流量調整弁25 副廃液流量計26 副廃液遮断弁27 副廃液噴霧器28 副廃液ブースターポンプ29 副廃液クラッキング弁32 高圧気流ライン33 インゼクタ部34 ロータリーカップ35 空気ライン36 燃料戻りライン37 ノズルチップ38 ボイラ41 温度発信器42 温度調整器43 圧力発信器44 圧力調整器45 水ドラム51 添加剤タンク52 添加剤ポンプ53 添加剤圧力調整弁54 添加剤流量調整弁55 添加剤流量計56 添加剤遮断弁57 添加剤チャッキ弁58 切替弁62 目標比率変更時間制御器63 圧力差補正演算器64 注入比率設定器65 廃液比例制御器66 副廃液比例制御器67 添加剤比例制御器68 VVVF装置70 遠心分離機71 エマルジョン分離槽72 イオン交換膜装置73 直流電源74 プラス電極75 マイナス電極76 カチオン膜77 アニオン膜78 陽極液タンク79 陽極液循環ポンプ80 陰極液タンク81 陰極液循環ポンプ82 濃縮液タンク83 濃縮液循環ポンプ84 廃水ライン85 脱塩廃水ライン86 濃縮液ライン91 界面活性剤タンク101 増粘剤タンク111 防食剤タンク112 防食剤ポンプ113 防食剤圧力調整弁116 防食剤遮断弁117 防食剤比例制御器121 制御アクチュエーター122 主アーム123 燃料制御弁アーム124 廃液制御弁アーム125 カムドラム126 カムボルト127 ならい板128 ドラム回動用アーム129 回転中心131 燃料流量信号132 目標注入率データ133 下限一致検索処理134 上限一致検索処理135 設定値パラメータテーブル136 関数処理137 多段パラメータテーブル138 多段値検索処理141 原液タンク142 原液ポンプ143 陽イオン交換樹脂塔144 陰イオン交換樹脂塔145 キレート樹脂塔146 排水槽147 ろ過器151 蒸気ライン152 ドレンライン153 原液制御弁154 濃縮液排出弁155 冷却器156 多重効用缶157 排水ドレンライン161 金属アルカリ油タンク162 金属アルカリ油ポンプ163 給水タンク164 給水ポンプ165 第一反応槽166 第二反応槽171 アルコールタンク172 アルコールポンプ173 脱窒バイオリアクター181 ディーゼルエンジン182 ガスタービン183 蒸気タービン184 スクリュー圧縮器185 軽負荷油圧作動装置186 重負荷油圧作動装置187 第1金属除去処理188 第2金属除去処理191 低許容比率タンク192 中許容比率タンク193 高許容比率タンク194 切替弁200 ミル化ミキサー201 ローター202 ステーター203 液入口204 液出口205 モーター206 ローラー207 処理前炭化物208 処理後炭化物209A 浮遊選鉱槽209B 静置槽210 圧縮空気A 燃料供給ラインB 主廃液注入ラインC 副廃液注入ラインD 添加剤注入ラインE 混合ライン

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl. 7識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07B 35/06 C07B 35/06 37/06 37/06 (72)発明者 関口 申一 東京都文京区千石1−6−24 (72)発明者 大矢 揚一 東京都新宿区西新宿三丁目4番7号 栗田 工業株式会社内(72)発明者 佐藤 幸雄 東京都新宿区西新宿三丁目4番7号 栗田 工業株式会社内(72)発明者 井口 徹 東京都新宿区西新宿三丁目4番7号 栗田 工業株式会社内(72)発明者 佐竹 和彦 東京都千代田区丸の内3−1−1 (72)発明者 小出 喜右衛門 千葉県袖ケ浦市上泉1280番地(72)発明者 伊勢谷 昭 千葉県袖ケ浦市上泉1280番地Fターム(参考) 4H006 AA05 AC13 AC26 4H011 AA02 BA01 BB05 BB18 BC18 DA13 DC05

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