診断装置

阅读:1025发布:2020-09-11

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被測定対象部位を収納する多面体の、前記被測定対象部位に対向する複数の内壁面に、それぞれ複数のアンテナユニットが配列され、 前記複数のアンテナユニットは、軸方向が互いに直交する放射素子のセットを単位として集合を構成する診断装置であって、 前記複数のアンテナユニットが配列されるすべての前記内壁面で、前記単位の1次元方向の配列に沿って、互いに隣り合う前記複数のアンテナユニットのそれぞれの放射素子中を流れる電流の励振方向が、互いに直交するように、1次元方向に沿って交互に配置されたアンテナアレイと、 前記複数のアンテナユニットのそれぞれを逐次選択して、該選択されたアンテナユニットを介してマイクロ波を送信して、該マイクロ波を前記被測定対象部位に照射する送信手段と、 前記被測定対象部位を透過、前記被測定対象部位から反射又は散乱されたマイクロ波を前記選択されたアンテナユニットを含む前記複数のアンテナユニットでそれぞれ受信する受信手段と、 前記受信手段が受信した前記複数のアンテナユニットからの電気信号により逆問題を解析して前記被測定対象部位の電気定数の分布を再構成し、前記再構成された電気定数の分布を画像表示する画像処理ユニットと、 を備え、前記複数の内壁面に含まれる特定の内壁面において、前記複数のアンテナユニットが2次元マトリクス状に配列される場合は、行方向の配列、列方向の配列のそれぞれの1次元方向において、前記励振方向が互いに直交するように交互に配置され、トモグラフィ処理を実行することを特徴とする診断装置。前記複数のアンテナユニットのそれぞれがプリント板ダイポールからなることを特徴とする請求項1に記載の診断装置。前記プリント板ダイポールが互いに面方向が直交するプリント板のセットを単位として、前記複数のアンテナユニットの集合が構成されている請求項2に記載の診断装置。前記プリント板のそれぞれが矩形の平面パターンを有し、前記プリント板のそれぞれの主面にプリント配線される前記放射素子のパターンが、前記矩形の辺と平行な方向を軸方向として直線状に延伸して前記プリント板ダイポールを構成することを特徴とする請求項3に記載の診断装置。前記被測定対象部位に近い比誘電率を有する材料で構成され、前記被測定対象部位の表面が密着するように前記被測定対象部位の全体を収容可能な凹部を有する空間充填部材を更に備え、該空間充填部材を透過して前記マイクロ波が前記被測定対象部位に照射されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の診断装置。前記空間充填部材を、前記被測定対象部位となる乳房の全体を前記凹部に収納して使用し、前記アンテナアレイから出射される前記マイクロ波を用いて、初期乳癌のスクリーニングを行うことを特徴とする請求項5に記載の診断装置。異なる半径の半球面をそれぞれ前記凹部とする複数の前記空間充填部材が用意され,前記半球面が乳房の皮膚に密着するように、乳房の大きさに応じて特定の空間充填部材が選択可能であることを特徴とする請求項6に記載の診断装置。前記複数の空間充填部材のそれぞれが前記半球面に開口する貫通孔を備え、該貫通孔を介した排気により前記被測定対象部位を吸引し、前記乳房の皮膚を前記半球面に密着させることを特徴とする請求項7に記載の診断装置。前記空間充填部材が前記多面体からなる実装容器の内部に収納されることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の診断装置。前記画像表示の一部の解像度を増大させて拡大表示することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の診断装置。

说明书全文

本発明は診断装置に係り、特に体内の異常細胞や骨折の診断等に用いるのに好適な、マイクロ波を用いた診断装置に関する。

乳癌は女性の癌の中で最も罹患率が高く、年々増加の傾向にある。早期発見・治療が重要であることはいうまでもなく、従来のX線マンモグラフィ、超音波診断に代わる大人数を対象としたスクリーニング手段が必要であり、最近では、マイクロ波を用いたマンモグラフィの研究が活発に行われている。

本発明者は、既に、高分解能でアーチファクトの少ない広帯域ビームフォーミングアルゴリズムを適用したマルチスタティック超高帯域(UWB)レーダベースのマイクロ波マンモグラフィを提案した(特許文献1参照。)。特許文献1に記載されたマイクロ波マンモグラフィは、半球状の内壁面を有する容器、及び内壁面に沿って配置され、被測定対象部位の電気的測定をする複数のアンテナを有するプローブアレイと、被測定対象部位の全体をプローブアレイで覆い、内壁面に被測定対象部位の皮膚を密着させ、被測定対象部位とプローブアレイとの相対的位置を固定する固定手段と、複数のアンテナを制御して電気的測定を実行し、電気的測定によるデータを解析して、被測定対象部位中の異常細胞を検出する測定制御解析手段とを備える。特許文献1に記載された発明は、臨床試験に適用され、直径1.2cmの初期癌や、X線マンモグラフィでは見分けが困難な直径1.5cmの非浸潤性乳癌のイメージングに成功している。

しかし、皮膚に近い病変からの反射応答は強く、反対側の応答は弱くなるのでUWBレーダでは病変の形を正確に再現することは困難である。一方、乳房には乳癌のほか、乳腺症、のう胞などの別の疾患があり、これを見分けて診断を確定できる診断装置が求められている。UWBレーダで病変の有無は検出できるが、その病変が何であるかを特定することはできない。

乳房組織の導電率(電気伝導度)等の電気的特性の不均一性を測定することにより、逆問題として癌を検出する手法としてマイクロ波トモグラフィが提案されている。マイクロ波トモグラフィにおいては、異なる位置からマイクロ波が乳房に送信され、マイクロ波の散乱信号が乳房の周囲に配列されたアンテナによって収集される。癌細胞は、高い分含有量を持っており、正常組織よりも強い散乱体であるため、悪性組織があるとマイクロ波の散乱信号に変化が生じる。マイクロ波により測定された電気信号は、含水量温度や血管新生などの生理的パラメータに敏感であるので、撮像体としての乳房組織の電気定数分布に対応した病変の形が、逆問題を解析することにより、再現できると期待されている。

このマイクロ波トモグラフィで精緻な画像を、逆問題を解析して再構成するためには、多くの観察データが必要である。そのため、複数の周波数を使って観察データを増やす方法が提案されている。複数の周波数を使ったマイクロ波トモグラフィでも、実際の実測データと仮定した電気定数分布での逆問題解析に基づく理論値データの誤差を最小化することによって画像回復を行っている。

しかしながら、複数の周波数を使ったマイクロ波トモグラフィでは、複数の周波数を使うため、広帯域アンテナによって得られた観測データを、逆問題を解析することが必要になるが、現実の広帯域アンテナの製造技術上の誤差を考慮すれば、広帯域アンテナによって得られた観測データを精度良く計算器シミュレーションによって再現することは困難である。よって、従来のマイクロ波トモグラフィによる診断装置では、被測定対象部位の電気定数の分布を精度よく再現できないという問題があった。

そこで、本発明者は、既に、被測定対象部位の電気定数の分布を逆問題により精度よく回復できるマイクロ波マンモグラフィを提案した(特許文献2参照。)。特許文献2に記載されたマイクロ波マンモグラフィは、選択された特定のアンテナユニットからマイクロ波を送信して、該マイクロ波を被測定対象部位に照射し、且つ、被測定対象部位を透過、被測定対象部位から反射又は散乱されたマイクロ波を受信する、特定のアンテナユニットを含む複数のアンテナユニットの配列からなるアンテナアレイと、特定のアンテナユニットから送信されるマイクロ波の偏波を制御して送信する送信手段、複数のアンテナユニットが受信するそれぞれのマイクロ波の偏波を制御して受信する受信手段を有し、送信手段から特定のアンテナユニットへの接続、複数のアンテナユニットから受信手段への接続及び偏波を切り替えて、偏波ダイバーシチを制御する偏波ダイバーシチ制御手段と、送信手段が受信した複数のアンテナユニットからの電気信号により逆問題を解析し、再構成された被測定対象部位の電気定数の分布を画像表示する画像処理ユニットとを備え、トモグラフィ処理を実行する。

上記特許文献2に記載の偏波ダイバーシチを実行する手法によれば、観測データを増やすことができ、多様な観測データが得られるので、被測定対象部位の電気定数の分布を逆問題により精度よく回復できる。しかしながら、偏波ダイバーシチを実行すると計算コストが増大する。

特許第5605783号公報

特開2014−198067号公報

本発明は、計算コストを増大させずに多様な観測データを得ることができ、被測定対象部位の電気定数の分布を精度よく、逆問題として再現可能な診断装置を提供することを目的とする。

上記目的を達成するために、本発明の態様は、(a)複数のアンテナユニットの配列からなり、複数のアンテナユニットのそれぞれの放射素子中を流れる電流の励振方向が互いに異なるアンテナアレイと、(b)複数のアンテナユニットのそれぞれを逐次選択して、その選択されたアンテナユニットを介してマイクロ波を送信して、そのマイクロ波を被測定対象部位に照射する送信手段と、(c)被測定対象部位を透過、被測定対象部位から反射又は散乱されたマイクロ波を選択されたアンテナユニットを含む複数のアンテナユニットでそれぞれ受信する受信手段と、(d)受信手段が受信した複数のアンテナユニットからの電気信号により逆問題を解析して被測定対象部位の電気定数の分布を再構成し、再構成された電気定数の分布を画像表示する画像処理ユニットと、を備える診断装置であることを要旨とする。本発明の態様に係る診断装置においては、単一もしくは比較的狭帯域の周波数でトモグラフィが実行される。

本発明によれば、計算コストを増大させずに多様な観測データを得ることができ、被測定対象部位の電気定数の分布を精度よく、逆問題として再現可能な診断装置を提供することができる。

本発明の実施形態に係る診断装置の一態様としての実装容器、排気管及び減圧装置とともに、複数のアンテナユニットの配列からなるアンテナアレイを示す模式的な鳥瞰図である。

本発明の実施形態に係る診断装置に用いられるアンテナアレイの配置を、図1に示した実装容器の展開図によってより詳細に説明する模式図である。

図4に示す断面図の切断面を示す模式的な鳥瞰図である。

本発明の実施形態に係る診断装置に用いられる空間充填部材の概略構造を説明する断面図である。

図5(a)は、本発明の実施形態に係る診断装置に用いられるアンテナユニットの一例を示す上面図であり、図5(b)は、図5(a)に示したアンテナユニットの下面図であり、図5(c)は、図5(a)に示したアンテナユニットのA−A方向の切断面の断面図である。

本発明の実施形態に係る診断装置に用いられるアンテナアレイの実装容器の上面(天井面)における配置例を示す模式図である。

本発明の実施形態に係る診断装置に用いられるアンテナアレイの実装容器の一側面における配置例を示す模式図である。

本発明の実施形態に係る診断装置におけるマイクロ波トモグラフィに必要な主要部を模式的に説明するブロック図である。

本発明の実施形態に係る診断装置に用いられる画像処理ユニットの主要部を模式的に説明するブロック図である。

第1の実施例におけるアンテナアレイの実装容器の上面(天井面)における配置例を示す模式図である。

第1の実施例におけるアンテナアレイの実装容器の4側面における配置例を示す模式図である。

第1の実施例における画像回復プログラムのフローチャートである。

第1の実施例におけるシミュレーション条件を示す表である。

図14(a)は、第1の実施例における比誘電率のシミュレーション結果を示すグラフであり、図14(b)は、第1の実施例における導電率のシミュレーション結果を示すグラフである。

図15(a)は、第2の実施例(多偏波)と比較するための第1の比較例(垂直偏波)の実装容器を示す斜視図であり、図15(b)は、第2の実施例と比較するための第2の比較例(水平偏波)の実装容器の一側面を示す模式図であり、図15(c)は、第2の実施例の実装容器の一側面を示す模式図である。

第2の実施例の各部位の観測点における散乱界への寄与を説明するための概略図である。

図17(a)は、第2の実施例における乳房モデルの構成を示す概略図であり、図17(b)は、第2の実施例におけるボクセルへの電気定数の割り当てを示す概略図である。

第2の実施例における乳房モデルの誘電特性を示す表である。

図19(a)は、第2の実施例における乳房モデル1の設定モデルの誘電率の分布を示すグラフであり、図19(b)は、第2の実施例における乳房モデル1の設定モデルの導電率の分布を示すグラフである。

図20(a)は、第1の比較例の誘電率の分布を示す再構成画像であり、図20(b)は、第1の比較例の導電率の分布を示す再構成画像である。

図21(a)は、第2の比較例の誘電率の分布を示す再構成画像であり、図21(b)は、第2の比較例の導電率の分布を示す再構成画像である。

図22(a)は、第2の実施例の乳房モデル1の誘電率の分布を示す再構成画像であり、図22(b)は、第2の実施例の乳房モデル1の導電率の分布を示す再構成画像である。

図23(a)は、第2の実施例の乳房モデル1の比誘電率の分布を、設定モデル、第1の比較例及び第2の比較例とともに示す再構成画像であり、図23(b)は、第2の実施例の乳房モデル1の導電率の分布を、設定モデル、第1の比較例及び第2の比較例とともに示す再構成画像である。

図24(a)は、第2の実施例における乳房モデル2の設定モデルの誘電率の分布を示す再構成画像であり、図24(b)は、第2の実施例における乳房モデル2の設定モデルの導電率の分布を示す再構成画像である。

図25(a)は、第2の実施例(多偏波)と比較するための第3の比較例(垂直偏波)の誘電率の分布を示す再構成画像であり、図25(b)は、第3の比較例の導電率の分布を示す再構成画像である。

図26(a)は、第2の実施例と比較するための第4の比較例(水平偏波)の誘電率の分布を示す再構成画像であり、図26(b)は、第4の比較例の導電率の分布を示す再構成画像である。

図27(a)は、第2の実施例の乳房モデル2の誘電率の分布を示す再構成画像であり、図27(b)は、第2の実施例の乳房モデル2の導電率の分布を示す再構成画像である。

図28(a)は、第2の実施例の乳房モデル2の比誘電率の分布を、設定モデル、第3の比較例及び第4の比較例とともに示すグラフであり、図28(b)は、第2の実施例の乳房モデル2の導電率の分布を、設定モデル、第3の比較例及び第4の比較例とともに示すグラフである。

図29(a)は、第2の実施例の乳房モデル1の収束曲線を、第1及び第2の比較例とともに示すグラフであり、図29(b)は、第2の実施例の乳房モデル2の収束曲線を、第3及び第4の比較例とともに示すグラフである。

第2の実施例の乳房モデル1,2における逆行列の条件数を示す表である。

図31(a)は、第3の比較例の条件数を示すグラフであり、図31(b)は、第4の比較例の条件数を示すグラフであり、図31(c)は、第2の実施例の乳房モデル2の条件数を示すグラフである。

ダブルメッシュを用いた再構成アルゴリズムのフローチャートである。

第3の実施例におけるアンテナアレイの配置例を示す模式図である。

図34(a)は、第3の実施例の100回繰り返し後の微細メッシュによる比誘電率の分布を示す再構成画像であり、図34(b)は、第3の実施例の100回繰り返し後の微細メッシュによる比誘電率の分布を示す再構成画像である。

図35(a)は、第3の実施例の100回繰り返し後の粗いメッシュによる比誘電率の分布を示す再構成画像であり、図35(b)は、第3の実施例の100回繰り返し後の粗いメッシュによる比誘電率の分布を示す再構成画像である。

図36(a)は、第3の実施例の100回繰り返し後のダブルメッシュによる比誘電率の分布を示す再構成画像であり、図36(b)は、第3の実施例の100回繰り返し後のダブルメッシュによる比誘電率の分布を示す再構成画像である。

図37(a)は、第3の実施例の400回繰り返し後の微細メッシュによる比誘電率の分布を示す再構成画像であり、図37(b)は、第3の実施例の400回繰り返し後の微細メッシュによる比誘電率の分布を示す再構成画像である。

図38(a)は、第3の実施例の400回繰り返し後の粗いメッシュによる比誘電率の分布を示す再構成画像であり、図38(b)は、第3の実施例の400回繰り返し後の粗いメッシュによる比誘電率の分布を示す再構成画像である。

図39(a)は、第3の実施例の400回繰り返し後のダブルメッシュによる比誘電率の分布を示す再構成画像であり、図39(b)は、第3の実施例の400回繰り返し後のダブルメッシュによる比誘電率の分布を示す再構成画像である。

次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。

又、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、被測定対象部位が人間の乳房である場合について説明するが、被測定対象部位は頭部等他の部位でも構わない。又、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでなく、例えば、実装容器は直方体に限定されるものではなく、6柱や8角柱等他の多面体構造でも構わない。ただし解析の容易性を考慮すると直交系の面を有する場合の方が好ましい。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。

本発明の実施形態に係る診断装置は、図1に示すように、直方体の外形をなし、直方体の上面の中央部近傍に貫通孔3を設けた実装容器1と、この実装容器1に設けられた貫通孔3に一方の端部を連結したチューブ状の排気管4と、この排気管4の他方に連結したアスピレータや真空ポンプ等の減圧装置5とを備えている。直方体の実装容器1の内壁面をなす上面(天井面)には、複数のアンテナユニットA1〜A12が配列されるとともに、実装容器1の内壁面をなす4つの側壁面には、複数のアンテナユニットA13〜A36が配列されて、アンテナアレイを構成している(図1で隠れた2つの側壁面に配列された複数のアンテナユニットA25〜A36は図示を省略している)。

アンテナユニットを構成する複数のアンテナユニットA1〜A36は、複数のアンテナユニットA1〜A36のそれぞれの放射素子中を流れる電流の励振方向が互いに異なるように配列されている。本発明の実施形態においては、複数のアンテナユニットA1〜A36がダイポールアンテナで構成される場合を一例として説明する。

図2は図1の実装容器1の展開図であり、中央に貫通孔3が設けられた正方形の上面(天井面)1topの周囲に、それぞれ長方形の平板をなす第1の側壁面1s1、第2の側壁面1s2、第3の側壁面1s3、第4の側壁面1s4が連結されたトポロジーを示している。図1及び図2に示すように、第1の側壁面1s1及び第3の側壁面1s3の法線方向をX軸方向とし、第2の側壁面1s2及び第4の側壁面1s4の法線方向をY軸方向とし、天井面1topの法線方向をZ軸方向と定義する。また、図1及び図2において、複数のアンテナユニットA1〜A36を矩形の破線で模式的に示し、複数のアンテナユニットA1〜A36の送受する電磁波の偏波面の方向を矩形内の破線で模式的に示している。

図2に示すように、実装容器1の天井面1topには、第3の側壁面1s3側から数えて1段目に2個のアンテナユニットA1,A2が配置され、2段目に4個のアンテナユニットA3〜A6が配置され、3段目に4個のアンテナユニットA7〜A10が配置され、4段目に2個のアンテナユニットA11,A12が配置され、全部で12個のアンテナユニットA1〜A12がマトリックス状に配置されている。図1及び図2に示すように、アンテナユニットA1,A3,A5,A8,A10,A12の送受する電磁波の偏波面の方向はX軸方向に平行であり、アンテナユニットA1,A3,A5,A8,A10,A12と隣り合うアンテナユニットA2,A4,A6,A7,A9,A11の送受する電磁波の偏波面の方向はY軸方向に平行である。

図1及び図2に示すように、第1の側壁面1s1の上段には3個のアンテナユニットA13〜A15が配置され、第1の側壁面1s1の下段には3個のアンテナユニットA16〜A18が配置され、全部で2×3=6個のアンテナユニットA13〜A18がマトリックス状に配置されている。アンテナユニットA13,A15,A17の送受する電磁波の偏波面の方向はY軸方向に平行であり、アンテナユニットA13,A15,A17と隣り合うアンテナユニットA14,A16,A18の送受する電磁波の偏波面の方向はZ軸方向に平行である。

第2の側壁面1s2の上段には3個のアンテナユニットA19〜A21が配置され、第2の側壁面1s2の下段には3個のアンテナユニットA22〜A24が配置され、全部で2×3=6個のアンテナユニットA19〜A24がマトリックス状に配置されている。アンテナユニットA19,A21,A23の送受する電磁波の偏波面の方向はY軸方向に平行であり、アンテナユニットA19,A21,A23と隣り合うアンテナユニットA20,A22,A24の送受する電磁波の偏波面の方向はX軸方向に平行である。

図2に示すように、第3の側壁面1s3の上段には3個のアンテナユニットA25〜A27が配置され、第3の側壁面1s3の下段には3個のアンテナユニットA28〜A30が配置され、全部で2×3=6個のアンテナユニットA25〜A30がマトリックス状に配置されている。アンテナユニットA25,A27,A29の送受する電磁波の偏波面の方向はY軸方向に平行であり、アンテナユニットA25,A27,A29と隣り合うアンテナユニットA26,A28,A30の送受する電磁波の偏波面の方向はZ軸方向に平行である。

第4の側壁面1s4の上段には3個のアンテナユニットA31〜A33が配置され、第4の側壁面1s4の下段には3個のアンテナユニットA34〜A36が配置され、全部で2×3=6個のアンテナユニットA31〜A36がマトリックス状に配置されている。アンテナユニットA31,A33,A35の送受する電磁波の偏波面の方向はZ軸方向に平行であり、アンテナユニットA31,A33,A35と隣り合うアンテナユニットA32,A34,A36の送受する電磁波の偏波面の方向はX軸方向に平行である。この結果、天井面1top、第1の側壁面1s1、第2の側壁面1s2、第3の側壁面1s3及び第4の側壁面1s4の合計では、12+6×4=36個のアンテナユニットA1〜A36が配置され、アンテナアレイを構成している。

図3も図1と等価な、内壁面をなす4つの側壁面及び上面に複数のアンテナユニットA1〜A36を配列した実装容器1を示すが、図3の実装容器1の上面の貫通孔3を、第1の側壁面1s1に平行に切る切断面Cで切った断面図が図4(a)である。図4(a)に示すように、実装容器1の内側には、図4(b)に示す被測定対象部位6となる乳房に近い比誘電率εrを有する材料で構成された空間充填部材2が収納されている。ここで「乳房に近い比誘電率」とは乳房の比誘電率εrの±20%の範囲に入る程度の比誘電率εrの値を意味する。この空間充填部材2の下面側には、図4(a)に示すように、被測定対象部位6の表面となる乳房の皮膚面を密着させ、被測定対象部位6の全体を収容可能な凹部1xが設けられている。空間充填部材2は更にこの凹部1xから上面まで貫通する貫通孔3が中央近傍に設けられている。空間充填部材2は、この貫通孔3を介して、図1に示す排気管4及びこの排気管4に連結した減圧装置5によって排気することにより、被測定対象部位6を吸引し、図4(b)に示すように、被測定対象部位6の表面を空間充填部材2の凹部1xの内壁面に密着させることができる。

図1及び図2に示したアンテナユニットA1は、例えば図5(a)〜図5(c)に示すように、誘電体基板50に金属膜からなる一対の放射素子(ダイポール)51,52のパターンがプリント配線されたダイポールアンテナ(プリント板ダイポール)である。なお、図5(a)及び図5(b)では便宜的に、誘電体基板50の紙面奥側の部材を破線で示している。例えば、放射素子51は、誘電体基板50の主面(表面)に設けられ、放射素子52は、誘電体基板50の放射素子51が設けられた主面とは反対側の主面(裏面)に設けられている。放射素子51,52の軸方向の全長は例えば波長の約1/2倍程度である。

放射素子51は、マイクロストリップ線(給電線路)53の一端にL字型を形成するように接続され、マイクロストリップ線53の他端は図示を省略した同軸コネクタの芯線(内部導体)に電気的に接続される。放射素子52は、マイクロストリップ線54を介してグラウンド導体部56に接続されている。グラウンド導体部56は図示を省略した同軸コネクタの外部導体(網組み銅線)に電気的に接続される。放射素子51,52、マイクロストリップ線53,54及びグラウンド導体部56は銅箔等の金属膜からなり、誘電体基板50にプリント配線されて形成されている。

図5(a)〜図5(c)に示したプリント板ダイポールでは、マイクロストリップ線53に給電し、マイクロストリップ線54を接地することにより、直線偏波の電磁波が発生する。電磁波を構成する電界の振動方向(偏波面の方向)は、放射素子51,52中を流れる電流の励振方向と平行であり、放射素子51,52の軸方向に平行である。図1及び図2に示した複数のアンテナユニットA2〜A36も、アンテナユニットA1と同様の構成を有する。

図6に示すように、実装容器1の上面(天井面)1topに位置するアンテナユニットA1〜A12は、放射素子51,52の軸方向が互いに2種類に異なるようにプリント板の主面を直交させて配列されている。アンテナユニットA1〜A12は放射素子51,52を下側(実装容器1の内側)に向けて配置されている。例えば、アンテナユニットA1〜A12のそれぞれの放射素子51,52は同一平面S1上に位置し、同一の水平レベルに位置する。

図7に示すように、実装容器1の第1の側壁面1s1に位置するアンテナユニットA13〜A18は、放射素子51,52の軸方向が互いに2種類に異なるようにプリント板の主面を直交させて配列されている。アンテナユニットA13〜A18は放射素子51,52を実装容器1の内側に向けて配置されている。例えば、アンテナユニットA13〜A18のそれぞれの放射素子51,52は同一平面S2上に位置する。図1及び図2に示した第2の側壁面1s2に位置するアンテナユニットA19〜A24、第3の側壁面1s3に位置するアンテナユニットA25〜A30、第4の側壁面1s4に位置するアンテナユニットA31〜A36も、図7に示した第1の側壁面1s1に位置するアンテナユニットA13〜A18と同様に配列されている。

このように、アンテナユニットA1〜A36は、アンテナユニットA1〜A36のそれぞれの放射素子51,52の軸方向を互いに異ならせて、放射素子51,52中を流れる電流の励振方向を互いに異ならせている。したがって、偏波面の方向が互いに異なる複数の偏波(多偏波)を発生させることができ、多様な観測データを得ることができる。

また、アンテナユニットA1〜A36が、軸方向が互いに直交する放射素子51,52のセットを単位として集合を構成する。そして、アンテナユニットA1〜A36であるプリント板ダイポールが互いに面方向が直交するプリント板のセットを単位として、複数のアンテナユニットA1〜A36の集合が構成されているため、計算コストがより低減できる。更に、プリント板のそれぞれが矩形の平面パターンを有し、プリント板のそれぞれに形成された放射素子51,52が矩形の辺と平行な方向を軸方向として直線状に延伸する。したがって、アンテナユニットA1〜A36として曲面や斜線を使っていないプリント板ダイポールを用いるので、粗いボクセル精度でも精度よくモデル化でき、モデル化誤差と計算精度に有利である。また、アンテナユニットA1〜A36の放射素子51,52の軸方向をそれぞれ、X軸方向、Y軸方向又はZ軸方向に平行となるように異ならせて配列することが計算コストを低減できるため好ましい。また、アンテナユニットA1〜A36の放射素子51,52が配置されている側が実装容器1の内側を向き、放射素子51,52からマイクロストリップ線53,54が延伸する側が実装容器1の外側を向くことにより、アンテナユニットA1〜A36と同軸ケーブルとの接続が容易となるため好ましい。

図1〜図4で説明したような実装容器1及び実装容器1の内側に収納された空間充填部材2を用いた構成に加え、本発明の実施形態に係る診断装置は、図8に示すように、実装容器1の内壁面をなす4つの互いに直交する側壁面に配列された複数のアンテナユニットA1〜A36を逐次選択して電気信号を送信する送信手段11と、複数のアンテナユニットA1〜A36を選択して電気信号を受信する受信手段12とを備えている。

即ち、本発明の実施形態に係る診断装置は、被測定対象部位6の表面を被測定対象部位6に近い比誘電率εrを有する材料で構成された空間充填部材2に密着させた状態において、送信手段11を駆動し、複数のアンテナユニットA1〜A36を選択して電気信号を送信し、マイクロ波を空間充填部材2を透過して被測定対象部位6に照射する。前述したとおり、ここで「被測定対象部位に近い比誘電率」とは被測定対象部位6の比誘電率εrの±20%の範囲に入る程度の比誘電率εrの値を意味する。一方、受信手段12を駆動し、複数のアンテナユニットA1〜A36を選択し、被測定対象部位6を透過、被測定対象部位6から反射又は散乱されたマイクロ波を受信する。

図8に示すように、本発明の実施形態に係る診断装置は、受信手段12が受信した電気信号から被測定対象部位6の比誘電率εr及び導電率σの分布の画像を再構成する逆問題を、マトリックス演算により解析し、得られた3次元画像を表示させる画像処理ユニット13と、送信手段11、受信手段12及び画像処理ユニット13の動作を制御するプロセッサ等の制御手段19と、送信手段11から複数のアンテナユニットA1〜A36への接続、複数のアンテナユニットA1〜A36から受信手段12への接続を切り替える切替手段(電子スイッチ)25と、を更に備える。

送信手段11は、送信用の電流を36個のアンテナユニットA1〜A36のうちの1つのアンテナを選択して供給する36個の出端子を備える。受信手段12は、36個のアンテナユニットA1〜A36のそれぞれから信号を受信する36個の入力端子を備える。切替手段25を構成する電子スイッチにはpinダイオードスイッチのような高周波用スイッチが使用可能である。

本発明の実施形態に係る診断装置によれば、空間充填部材2を、被測定対象部位6としての乳房の全体を覆うようにかぶせて使用し、アンテナアレイから出射されるマイクロ波を用いて、画像処理ユニット13によって、比誘電率εr及び導電率σの分布を画像表示させることにより、初期乳癌のスクリーニングを行うことができる。このため、図4(a)に示した空間充填部材2の下面の凹部1xとしては、異なる半径の半球状の凹部1xを複数用意しておき、空間充填部材2が乳房の全体を覆うように、個人差による乳房の大きさに応じて選択可能なように構成するのが好ましい。図4(a)に示すような構造にすれば、被測定対象部位6としての乳房を整合液で濡らすことはなく、又被測定対象部位6としての乳房の3次元形状を測定する必要もない。

本発明の実施形態に係る診断装置においては、図5に示す複数のアンテナユニットA1〜A36のうちの1つのアンテナを選択して電磁波(マイクロ波)を送信し、送信に用いたアンテナを含むすべてのアンテナユニットA1〜A36で被測定対象部位6による散乱波を受信して記録する。送信に用いるアンテナを順次選択し、実測データ群Xnn(n=1,……,N)を逐次作成する。Nは実測データの総数を示すが、36個のアンテナユニットA1〜A36を用いると、観察データの総数は36×36=1296個となる。

画像処理ユニット13は、図9に示すように、被測定対象部位6をM個の小区画に分割し、M個の小区画にそれぞれ適当な電気定数を割り当てて電気定数分布を初期化する電気定数分布初期化手段131と、電気定数分布初期化手段131が出力した理論値の計算結果Ynn(n=1,……,N)を格納する計算結果記憶装置132と、ヤコビアン(ヤコビ行列)Dを計算するヤコビアン計算手段133と、初期化した電気定数分布に対し修正値を繰り返し更新する繰り返し更新手段134と、受信手段12から入力される実測データXnnを格納する測定データ記憶装置135と、理論値データYnnと実測データXnnの差Δb=Xnn−Ynnを求める比較手段136と、この比較手段136が求めた差ΔbとヤコビアンDを用い、電気定数分布の更新量を最小自乗法によって定める最小自乗解計算手段137等を備えている演算処理装置(プロセッサ)である。

図示を省略しているが、図9に示す画像処理ユニット13には、更に、操作者からの初期値のデータや命令などの入力を受け付ける入力部と、解析された電気定数分布の結果を出力する出力部や表示部、画像処理ユニット13の解析に必要な所定のデータなどを格納したデータ記憶部や、計算機トモグラフィにおける逆問題を解くマトリックス演算に必要なプログラムなどを格納したプログラム記憶部等も含まれている。これらの図示を省略した入力部、出力部、表示部、データ記憶部、プログラム記憶部等は、図8に示す制御手段19と共通のハードウェア構成としてもよい。

図9に示す画像処理ユニット13は、逆問題をマトリックス演算によって解いて、被測定対象部位6中の電気定数分布の3次元画像を再構成する。そのために、先ず、電気定数分布初期化手段131を用いて、被測定対象部位6をM個の小区画に分割し、M個の小区画にそれぞれ適当な誘電率εrと導電率σを割り当てて初期化して、理論値データYnnを計算する。3次元モデルの場合、N個の未知数に対し、3M個の連立方程式がたてられる。初期化状態で得られる理論値データYnnは、計算結果記憶装置132に格納される。このとき、ヤコビアン計算手段133が3M個の連立方程式のヤコビアンDを計算する。ヤコビアンDは3次元モデルの場合、3M個の連立方程式がたてられるのでCN×3Mの行列式となる。

実施形態に係る診断装置において、導電率ε、比誘電率σの3次元分布は、例えばニュートン法とひずみボルン近似(DBIM)を用いて求めることができる。ひずみボルン近似を用いると、散乱界esと導電率ε、比誘電率σの関係は次の式(1)〜(4)で表される:

ここで、Reは実部、Im虚部、εbは背景の誘電率、σbは背景の導電率を表す。Mは乳房内を離散化したボクセルの数、Fは複素誘電率、

は受信アンテナ位置rkと乳房内の位置rmに関するダイアディックグリーン関数、

はアンテナkから放射した時の乳房内の位置rmの電界を示す。式(1)は一般に悪条件問題で行と列数も異なるので、正規方程式に変換した後、チーホノフ正則化を適用し、Δεmm−εmbとΔσmm−σmbを求め、比誘電率εと導電率σを更新する。

ここで、初期化した電気定数分布x={σ,ε}は、繰り返し更新手段134において、ニュートン法によって更新量(修正量)Δxkを用いて新たな理論推定値xk+1が繰り返し更新される: xk+1=xk+Δxk …(5) ここでkは繰り返し番号である。

画像回復処理では、繰り返し更新手段134が更新した理論値データYnnが計算結果記憶装置132に格納され、計算結果記憶装置132に格納された理論値データYnnと測定データ記憶装置135に格納された実測データXnnの差Δb=Xnn−Ynnを、比較手段136が更新の度に逐次計算する。比較手段136が計算した差ΔbとヤコビアンAを用い、最小自乗解計算手段137が、電気定数分布の更新量Δxkを非線形最小自乗法によって、更新の度に逐次計算する。

最小自乗解計算手段137においては、第k繰り返しでの最小自乗解は以下の式で計算する: Δxk=[A+A]A+Δbk …(6) +は共役転置を表す。最小自乗解計算手段137においては、解を安定させるためチーホノフの正則化を用いる: Δxk=[A+A+gl]A+Δbk …(7) ここでI(∝C3M×3M)は単位行列、gは正則化係数で、Lカーブ法を用いて求められる。

Lカーブ法では、チーホノフの正則化法による近似解のノルムを縦軸に,その残差ノルムを横軸にとり,正則化パラメータを動かすことにより得られるL字型の曲線を用い,正則化係数を求めている。更新量Δxkが充分小さくなったとき、繰り返し更新手段134による新たな理論推定値xk+1の更新を打ち切り、繰り返し更新手段134が最後に推定した電気定数分布のデータが逆問題の解であると判断する。この逆問題の解であると判断された電気定数分布のデータによって3次元画像が再構成され、3次元画像が図示を省略した表示部に表示される。

本発明の実施形態に係る診断装置によれば、アンテナユニットA1〜A36のそれぞれの放射素子51,52中を流れる電流の励振方向が互いに異なるようにアンテナユニットA1〜A36を配列することにより、アンテナユニットA1〜A36の送受する電磁波の偏波面を異ならせることができる。したがって、従来のマイクロ波トモグラフィを基礎とする診断装置のように、複数の周波数を使うことなく単一の周波数を用いて、アンテナの数を必要以上増やすことなく、多様な観測データを得ることができる。このため、被測定対象部位の電気定数の分布を精度よく、逆問題として検出する新たなマイクロ波トモグラフィ処理を実行できるという顕著な効果を奏することが可能である。又、複数の周波数を使わないので、精度の高い広帯域アンテナを再現性よく製造する必要がなくなり、診断装置にもちいるセンサとしてのアンテナアレイが簡単且つ安価に製造可能である。更に、アンテナユニットA1〜A36として曲面や斜線を使っていないプリント板ダイポールを用いることにより、粗いボクセル精度でも精度よくモデル化でき、モデル化誤差と計算精度に有利である。

特に、本発明の実施形態に係る診断装置を乳癌検診に適用すれば、図8のモデル図に示した腺組織(乳腺組織)6g1,6g2,6g3,……,6g6、腫瘍6tu、脂肪組織6f等を、比誘電率εr及び導電率σによって、互いに明確に識別することが可能であるので、乳腺症やのう胞などとの識別が可能な、安価且つ正確なスクリーニングができる診断装置が提供できる。

<第1の実施例> 第1の実施例として、実装容器にアンテナユニットが偏波面を異ならせて配置された撮像センサを用いて乳房モデルの再構成画像を生成するシミュレーション結果を説明する。第1の実施例に係る実装容器1は、図1に示したように直方体を有する。実装容器1の凹部を囲むアンテナ開口の大きさは幅96mm×長さ96mm×高さ48mmに設定されている。図10に示すように、実装容器1の上面にはアンテナユニット(プリント板ダイポール)A1〜A12が放射素子51,52の軸方向をX軸方向とY軸方向で異ならせて配列されている。図11に示すように、実装容器1の4つの側壁面にはそれぞれアンテナユニット(プリント板ダイポール)A13〜A36が6個ずつ、放射素子51,52の軸方向をX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向で異ならせて配列されている。図10及び図11に示したアンテナユニットA1〜A36は実際には同一の実装容器1に配列されるが、便宜的に分けて示している。図10及び図11における半球状の破線は実装容器1の下面側に設けられた凹部(半球空間)1xを示す。アンテナユニットA1〜A36の厚さは0.75mm、比誘電率は3.8、誘電損失は0.002に設定されている。モデル化を容易にするため、すべてのアンテナユニットA1〜A36の放射素子51,52はX軸方向、Y軸方向又はZ軸方向に平行に設定した直交系を採用している。

アンテナユニットA1〜A36は,脂肪とほぼ同じ誘電率と導電率の樹脂ブロック(空間充填部材)に埋め込まれている。この状態での共振周波数は2GHzである。図10及び図11に破線で示すように、樹脂ブロックの下面には乳房を収める半径48mm、高さ40mmの凹部(半球空間)1xが設けられている。さらに、実装容器1の上面には吸引用のバルブが設けられ、乳房を半球状に成形して固定できる。このような構造にすると乳房の形を既知として扱うことができ、逆散乱問題の重要な事前情報となる。

市販のシミュレータはCADデータから構造を入力でき,正確にセンサをモデル化して電磁界を解析することができる。第1の実施例においては、例えばムラタソフトウェア株式会社製のFemtet(登録商標)が使用可能である。Femtet(登録商標)は有限要素法を用いており、FDTD系のシミュレータと異なり、送信アンテナの位置を変えるごとにシミュレーションを実行する必要はない。また、表計算プログラムによるシートとスクリプト言語のプログラムによるマクロ機能が供えられており,数値計算ソフトウェア上で動作する画像再構成アルゴリズムとの連携が比較的容易である。

図12に有限要素法解析システムを用いた画像再構成プログラムのフローチャートを示す。ステップS11において、数値計算ソフトウェアにおいてパラメータを設定し、ステップS12において、表計算プログラムによるシート及びスクリプト言語のプログラムにパラメータを書き込む。一方、ステップS13において、有限要素法解析システムにおいてモデルを設定する。ステップS14において、表計算プログラムによるシートとスクリプト言語のプログラムからパラメータを読み出し、ステップS15において、有限要素法解析システムで設定されたモデルに対してパラメータを設定する。ステップS16において、設定されたモデル及びパラメータに基づいて、有限要素法解析システムにより電磁界解析を実行する。ステップS17において、有限要素法解析システムにより電磁界解析の結果を出力し、ステップS18において、表計算プログラムによるシート及びスクリプト言語のプログラムにパラメータを書き込む。

ステップS19において、表計算プログラムによるシート及びスクリプト言語のプログラムからパラメータを読み出し、ステップS20において、数値計算ソフトウェアにより、ニュートン法とひずみボルン近似を用いてデータベースのパラメータを更新する。ステップS21において、更新量Δxkが十分小さくなり、収束したか判定する。ステップS21において収束したと判定された場合、最後に推定した電気定数分布のデータが逆問題の解であると判断し、この逆問題の解であると判断された電気定数分布のデータによって3次元画像が再構成され、3次元画像(回復結果)が表示部に表示される。一方、ステップS21において収束していないと判定された場合、ステップS11に戻り、更新量Δxkを用いてパラメータを再設定する。

第1の実施例では、乳房内を1辺が12mmの立方体のボクセルに分割した。乳房は、皮膚、脂肪組織及び乳腺組織から構成される。図13に、乳房を構成する各組織についての比誘電率及び導電率の設定値を示す。乳房を構成するボクセル群のうち、1ボクセルのみに乳腺組織を割り当て、他のボクセルを脂肪組織と仮定してシミュレーションを行った。

図14(a)及び図14(b)に、5回のイタレーション後の比誘電率と導電率の回復結果を示す。脂肪組織に設定したボクセルの比誘電率と導電率に若干のばらつきは見られるが、乳腺組織に設定したボクセルの比誘電率と導電率は5回のイタレーションでほぼ正確に回復されている。なお、本シミュレーションでは各イタレーションにおけるアンテナのSパラメータの差に一定の複素係数をかけて散乱界の変化としたが、アンテナ受信点での散乱界の差を用いると、図14(a)及び図14(b)のばらつきは完全になくなった。

<第2の実施例> 第2の実施例として、実装容器にアンテナユニットがそれぞれの偏波面を異ならせて配置された撮像センサを用いて乳房モデルの再構成画像を生成するシミュレーション結果を、偏波面が同一方向の第1及び第2の比較例と比較して説明する。図15(a)は、第1の比較例に係る実装容器1の斜視図であり、図15(b)は第2の比較例に係る実装容器1の側面図であり、図15(c)は第2の実施例に係る実装容器1の側面図である。各実装容器1の大きさは幅96mm×長さ96mm×高さ48mmであり、解析領域を1183個のボクセルに分割し、8mmの分解能を得る。図15(a)に示す座標系において、Y軸方向を垂直の偏波方向、Z軸方向又はX軸方向を水平の偏波方向と定義する。

図15(a)〜図15(c)において、実装容器1の側面に配列された直線状の実線はダイポールアンテナの偏波面の方向を示す。実装容器1の4側面にはそれぞれ8個のダイポールアンテナが設けられ、合計で32個のダイポールアンテナが設けられている。アンテナの1つを送信で使用し、送信したアンテナを含むすべてのアンテナを受信で用いる。各側面のアンテナ配置は同一で、4つの側壁面はXY平面又はZY平面のいずれかに平行である。図15(a)は垂直偏波の構成であり、図15(b)は水平偏波の構成であり、図15(c)は垂直偏波と水平偏波の両方を含む多偏波の構成である。偏波の効果を明確に示すため、実装容器1の上面にはアンテナを配置していない。図15(a)〜図15(c)に示した第2の実施例、第1の比較例及び第2の比較例について、乳癌検出における偏波の有効性を評価した。

撮像センサは脂肪組織に近い樹脂で作成され,乳房を収めるために半球状の空間が設けられている。乳房もセンサと同様に一辺が8mmのボクセルで離散化する。乳房とセンサの境界を既知とし、乳房内を占めるボクセル数をVとする。吸引固定型の撮像センサを使用すると,乳房の形状が半球状に整形され,乳房の形が既知となる。第2の実施例ではひずみボルン近似の各イタレーションで、乳房領域の電気定数分布のみ更新している。この場合、図16に示すように、乳房内の電気定数の変更による観測点での散乱界の変化は,乳房外からの反射等の影響を受けない。このことから第2の実施例では解析領域をセンサ内部に限定し、乳房下の筋肉等はモデル化していない。図15(a)の開口中心に長さ12mmの微小ダイポールを置き、これらが背景(樹脂)の中にあるとして解析領域に入射界を与え,微小ダイポールの開口中心でのダイポールの向きに沿った散乱電界を求めて式(1)を計算する。

図17(a)に単純な乳房モデルを示す。乳房モデルは、背景61上の脂肪組織62、乳腺組織63及び癌64で構成される。図18に示した各構成部位の電気特性を、図17(b)に示すように各ボクセルVb,Va,Vf,Vtにそれぞれ割り当て、逆散乱問題を解く。乳房は半径48mmの半球で,癌の大きさは半径4mmとした。乳房は369ボクセルで構成され,乳腺の占める体積比を10%とし、残りの90%を脂肪組織とした。この比は50代の日本人女性の平均的な値である。

第2の実施例では、乳腺組織を省略し、脂肪組織と癌で構成した乳房モデル1についてシミュレーションを行い、画像再構成における多偏波の有効性を評価した。使用周波数は4.5GHzとした。散乱体内部の総合界はモーメント法により計算した。送受信アンテナとして、図15(a)〜図15(c)に示した垂直偏波、水平偏波、及び多偏波の構成を使い、乳房モデル1について100回の反復処理をした後の再構成画像(3次元画像)を図19(a)〜図22(b)に示す。

図19(a)、図20(a)、図21(a)、図22(a)は設定値、垂直偏波、水平偏波、及び多偏波の構成での比誘電率分布をそれぞれ示し、図19(b)、図20(b)、図21(b)、図22(b)は設定値、垂直偏波、水平偏波、及び多偏波の構成での導電率分布をそれぞれ示している。図19(a)、図20(a)、図21(a)、図22(a)に示すように、誘電率については、どの偏波の構成を使っても癌の位置のボクセル(実線で囲んだ部分)の誘電率が周囲に比較して高く、異物があることが分かる。一方、図19(b)、図20(b)、図22(b)に示すように、導電率については、垂直偏波及び多偏波をなすアンテナアレイを用いる場合には癌の位置のボクセル(実線で囲んだ部分の導電率が回復される一方、図21(b)に示すように、水平偏波のみを使用する場合は回復されない。

図23(a)及び図23(b)は癌を設定したボクセルを貫くx軸方向の回復した比誘電率と導電率を示す。x軸はボクセルのx座標,y軸は比誘電率もしくは導電率を示す。癌に相当するボクセルの比誘電率と導電率の設定値はそれぞれ52.4[S/m]となっている。垂直偏波のみの構成を用いる場合、当該ボクセルにおいて回復した比誘電率は21.60、導電率は3.42[S/m]で比誘電率の回復が悪い。水平偏波のみの構成を使う場合、回復した比誘電率は26.14、導電率は0.77[S/m]であり、特に導電率の回復が悪い。一方、多偏波をなすアンテナアレイを用いると、回復した比誘電率は46.95、導電率は3.65[S/m]であり、設定した値がほぼ正確に推定される。

更に、脂肪組織と癌で構成された乳房モデル1の代わりに、脂肪組織、乳腺組織と癌で構成された乳房モデル2を用いたシミュレーション結果を、偏波面が同一の第3及び第4の比較例と比較して説明する。図24(a)及び図24(b)は、設定モデルの誘電率と導電率のグラフを示す。図25(a)及び図25(b)は、第3の比較例(垂直偏波)の場合の200回の反復後の誘電率と導電率の画像再構成結果を示す。図26(a)及び図26(b)は、第4の比較例(水平偏波)の場合の200回の反復後の誘電率と導電率の画像再構成結果を示す。図27(a)及び図27(b)は、第2の実施例(多偏波)の場合の200回の反復後の誘電率と導電率の画像再構成結果を示す。ここでは癌の画像を見やすくするため、癌を含むxy面の断面図としている。

図25(a)及び図25(b)に示すように、送受信アンテナとして垂直偏波のみの構成を使用すると、比誘電率と導電率分布を正しく再構成することはできない。図26(a)及び図26(b)に示すように、水平偏波のみの構成を使用した場合も再構成は不十分である。これらに対して、図27(a)及び図27(b)に示すように、多偏波の構成を使用すれば、比誘電率と導電率分布を正しく再構成することができる。

図28(a)及び図28(b)に、癌を設定したボクセルを貫くx軸方向の回復した比誘電率と導電率を示す。乳腺組織及び癌に相当するボクセルの比誘電率と導電率の設定値は図18に示した値に設定されている。垂直偏波のみの構成を用いると、癌のボクセルの比誘電率や導電率は著しく大きくなり、正確に推定できない。水平偏波のみの構成を使うと乳腺部分の比誘電率はおおむね回復されるが、癌との識別は困難である。これは癌の周囲の導電率が著しく大きく推定された(εr=1.66×104)ためと考えられる。一方、多偏波をなすアンテナアレイを用いると回復した癌の比誘電率は51.2、導電率は3.77[S/m]で、設定した値に近い。乳房モデル2では癌は乳腺組織に埋没しており、乳腺組織に対する癌のコントラストは小さいが、多偏波の構成を用いることにより癌を正しく検出することができた。

図29(a)及び図29(b)に、第2の実施例における2つの乳房モデル1,2における収束曲線を表す。図29(a)及び図29(b)のx軸は繰り返し数で、y軸は散乱界の差のノルムを示す。図29(a)は乳腺組織が存在しないモデル1の場合で、どの偏波でも繰り返し数が増すと収束に向かう。図29(b)は乳腺組織を含むモデル2の場合である。垂直偏波は収束が確認できないが、水平偏波と多偏波は収束に向かう。水平偏波は収束するにも関わらず画像回復は不十分である。これは、差ノルムの大きさが多偏波に比較して大きく、収束が不十分のためと考えられる。

逆散乱問題を正確に高分解能で解くには、多くの観測データが必要となる。またSNRを高くしないと測定誤差が増え、正しく画像を回復させることができない。このため、アンテナと乳房が接近した小型センサの実現が求められる。この場合、狭いスペースに多く のアンテナを配置しなければならない。しかし、同じような場所で多くのデータを取得しても,多様なデータを得ることができず,式(1)の連立方程式で、類似した係数を持つ方程式が増えるのみである。このような場合、逆散乱問題を正しく解くことはできない。狭い領域であっても偏波面を変えることにより多様な観測データが得られる。すなわち、偏波面を変えることにより、式(1)を構成する方程式の係数が多様となる。

また、行列の条件数は、線形方程式の解がデータの誤差に対して敏感である度合いを示す。連立方程式を構成する方程式の係数の類似性が高い時も、解が不安定になって条件数が増す。ここでは、2つの乳房モデル1,2を使用した場合の条件数について検討する。図30は乳房モデル1,2における逆行列の条件数の経過を示す。乳房モデル2の場合では、垂直偏波のみ使う時、1回目の繰り返しでの条件数は1.4であるが2回目は271.9に大きく上昇した。その後繰り返しが進むにつれて条件数は不安定な変化を示し、200回目では2.0×1014と大きくなる。水平偏波のみ使う場合でも同様な傾向が見られる。このことから,悪条件により乳房内の比誘電率と導電率分布の再構成が正しく行われなかったと考えられる。

乳房モデル2において多偏波をなすアンテナアレイ使う場合では、1回目の繰り返しでの条件数は1.4であり、2回目は36.5で、大きくはなるが垂直偏波又は水平偏波のアンテナアレイを使用する場合と比較すれば小さい。繰り返し数の進行とともに条件数は変動するが,その挙動は穏やかで200回目では17.6となる。乳房モデル1でも同様な傾向が見られる。このことより,多偏波をなすアンテナアレイを使う場合では悪条件が起こりにくく、乳房内の電気定数分布を再構成できることが分かる。

図31(a)〜図31(c)は乳房モデル2での垂直偏波、水平偏波、多偏波の構成を用いた場合の繰り返し数に対する条件数の経過を表す。図31(a)〜図31(c)から、多偏波をなすアンテナアレイを使用した方が条件数の変化が小さく滑らかであることが分かる。シミュレーション結果から、単一偏波より多偏波の方が、精度の良く電気定数分布を再構成できることが分かる。また、多偏波をなすアンテナアレイを使用することにより,条件数が改善し悪条件を回避できることも明らかになった。

以上のとおり、実施形態に係る診断装置によれば、単一の周波数のマイクロ波を用いて、被測定対象部位6の内部に含まれる散乱物体や不均質物体の位置、形状、大きさ、電気定数分布等の内部構造を、精度よく可視化できるという顕著な効果を奏することができる。特に、実施形態に係る診断装置を乳癌検診に適用すれば、X線マンモグラフィ検診のような副作用の危険性やコスト面での問題もなく、腫瘍と乳腺症、のう胞などの識別や、その病変が何であるかを特定が可能であり、安価に、且つより正確なスクリーニングができる診断装置が提供できる。

(変形例) 本発明の実施形態の変形例として、図8に示した画像処理ユニット13が、逆問題を解析して再構成画像を生成した後に、再構成画像の画像回復領域の一部のメッシュを細かくして拡大表示する場合を説明する。ここでは、例えばダブルメッシュ法を用いることにより、再構成画像の画像回復領域の一部のメッシュを細かくし、部分的に解像度を増大させて拡大表示するとともに、逆問題における計算コストを低減する。ダブルメッシュ法では順問題における順方向のメッシュと、逆問題における粗いメッシュを用い、順問題における順方向のメッシュは順方向の解xfを定義し、逆問題における粗いメッシュが、再構成される未知のパラメータxcを決定する。順方向の解xf及び未知のパラメータxcの分布は繰り返し再構成され、これらのパラメータxf,xcは2つのメッシュ間で行き来する。

図32は、ダブルメッシュ法を用いた再構成アルゴリズムのフローチャートを示す。ステップS31において、電気定数分布の初期値を設定する。ステップS32において、順方向データである総合界Et及び散乱界Esを算出する。ステップS33において、ヤコビアンAfを算出する。ステップS34において、順方向の解xfを決定する。ステップS35において、算出したヤコビアンAf及び順方向の解xfをダブルメッシュに割り当てる。ステップS36において、ヤコビアンAcを計算し、未知のパラメータxcを決定する。ステップS37において、決定したパラメータxcでダブルメッシュを更新する。ステップS38において更新を終了するか判定し、終了しないと判定した場合にはステップS31に戻り、初期値を再設定する。

本発明の実施形態の変形例によれば、ダブルメッシュ法等により再構成画像の画像回復領域の一部のメッシュを細かくし、解像度を増大させて拡大表示することにより、計算コストを低減しつつ、再構成画像に含まれた腫瘍等を部分的に詳細に解析できる。

<第3の実施例> 第3の実施例として、図33に示すように、96mm×96mm×48mmのアンテナ開口面の上面(天井面)に12個のアンテナユニットを配列し、4側面にそれぞれ6個のアンテナユニットを配列してアンテナアレイを構成して、再構成画像を生成した。図33では、y軸方向は垂直方向であり、アンテナユニットの送受する電磁波の偏波面の方向(アンテナの軸方向)を破線で示している。

第3の実施例で用いる乳房モデル及び条件は図17及び図18に示した乳房モデル及び条件と同様である。第3の実施例では、脂肪組織、乳腺組織及び腫瘍(半径4mm)からなる半径4.8cmの半球体にモデル化した。そして、乳房モデルは6mmの分解能を有する847ボクセルに離散化した。背景の複素誘電率は、比誘電率を6.2とし、導電率を0.15[S/m]と設定した。脂肪組織の比誘電率は7、導電率は0.4[S/m]に設定した。乳腺組織の比誘電率は35、導電率は1.5[S/m]に設定した。腫瘍の比誘電率は52、導電率は4[S/m]に設定した。ダブルメッシュ法による画像再構成の有効性を評価するため、撮像センサの実装及びボクセルの設定された複素誘電率を含む数値シミュレーションを開発した。シミュレーションでは単一の周波数4.5GHzを用いた。

図34(a)〜図36(b)は、乳腺組織が無いモデルについての100回繰り返し後の再構成画像を示す。図34(a)及び図34(b)は847ボクセルの微細メッシュによる設定モデルの比誘電率及び導電率を示す。図35(a)及び図35(b)は108ボクセルの粗いメッシュによる比誘電率及び導電率の再構成画像を示す。図35(a)及び図35(b)から、腫瘍が特定されておらず、再構成が適切でないことが分かる。

ここで、図35(a)に示した一部の領域R1にダブルメッシュ法を適用した。ダブルメッシュ法によれば、領域R1に対応するボクセルは136ボクセルであり、全体で207ボクセルが生成される。ダブルメッシュ法を適用した結果、図36(a)及び図36(b)に示すように、再構成が成功し、誘電率及び導電率のいずれでも腫瘍が明確に特定される。図36(a)及び図36(b)に示した腫瘍の比誘電率は24.04であり、導電率は3.45[S/m]であった。

次に、図37(a)〜図39(b)は、乳腺組織が有るモデルについて、400回繰り返し後の再構成画像の場合を説明する。図37(a)及び図37(b)は、847ボクセルの微細メッシュによる設定モデルの比誘電率及び導電率を示す。図38(a)及び図38(b)は、108ボクセルの粗いメッシュによる比誘電率及び導電率の再構成画像を示す。図38(a)及び図38(b)から、比誘電率及び導電率のいずれも再構成画像が不十分であり、腫瘍の存在が特定できていない。

ここで、図35(a)に示した一部の領域R2にダブルメッシュ法を適用する。ダブルメッシュ法によれば、領域R2に対応するボクセルは72ボクセルであり、全体で159ボクセルが生成される。ダブルメッシュ法を適用した結果、図39(a)及び図39(b)に示すように、再構成が成功し、誘電率及び導電率のいずれでも腫瘍が明確に特定される。図39(a)及び図39(b)に示した腫瘍の比誘電率は51.50であり、導電率は4.33[S/m]と推定される。

(その他の実施の形態) 上記のように、本発明は1つの実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。

例えば、既に述べた実施形態の説明においては、被測定対象部位を人間の乳房とし、乳癌を検診する場合について例示的に説明したが、乳癌の検診に限定されるものではない。例えば、被測定対象部位を頭部としてもよく、頭部の内部の散乱物体や不均質物体の位置、形状、大きさ、電気定数分布等の内部構造を逆問題解析によって検出し、その病変が何であるかを特定することが可能である。更には、本発明を手足の骨折箇所の特定等の診断にも適用可能である。

又、図1〜図4において、実装容器1の内壁面をなす4つの側壁面1s1,1s2,1s3,Is4及び上面(天井面)1topに複数のアンテナユニットA1〜A36を配列した場合について例示的に説明したが、4つの側壁面1s1,1s2,1s3,Is4及び上面(天井面)1topの全てにアンテナユニットが配置されていなくてもよい。例えば、複数のアンテナユニットが、上面(天井面)1topに配置されず、4つの側壁面1s1,1s2,1s3,Is4のみに配置されていてもよい。また、複数のアンテナユニットA1〜A36の放射素子51,52中を流れる電流の励振方向が3種類に互いに異なる場合を説明したが、複数のアンテナユニットA1〜A36の放射素子51,52中を流れる電流の励振方向の種類はこれに限定されない。例えば、複数のアンテナユニットA1〜A36の放射素子51,52中を流れる電流の励振方向を2種類(例えばX軸方向とY軸方向)に互いに異ならせてもよく、4種類以上に異ならせてもよい。

また、4つの側壁面1s1,1s2,1s3,Is4及び上面(天井面)1topのそれぞれにおいて、複数のアンテナユニットA1〜A36の放射素子51,52中を流れる電流の励振方向が互いに異なる場合を説明したが、4つの側壁面1s1,1s2,1s3,Is4及び上面(天井面)1top単位で複数のアンテナユニットA1〜A36の放射素子51,52中を流れる電流の励振方向を互いに異ならせてもよい。例えば4つの側壁面1s1,1s2,1s3,Is4に配置されたアンテナユニットA13〜A36の放射素子51,52中を流れる電流の励振方向を互いに同一(例えばZ軸方向)とし、上面(天井面)1topに配置されたアンテナユニットA1〜A12の放射素子51,52中を流れる電流の励振方向を互いに同一(X軸方向又はZ軸方向)として、アンテナユニットA1〜A12とアンテナユニットA13〜A36の放射素子51,52中を流れる電流の励振方向を異ならせてもよい。また、2つの側壁面1s1,1s3に配置されたアンテナユニットA13〜A18,A25〜A30の放射素子51,52中を流れる電流の励振方向を互いに同一(例えばY軸方向)とし、2つの側壁面1s2,1s4に配置されたアンテナユニットA19〜A24,A31〜A36の放射素子51,52中を流れる電流の励振方向を互いに同一(例えばX軸方向)として、アンテナユニットA13〜A18,A25〜A30とアンテナユニットA19〜A24,アンテナユニットA31〜A36の放射素子51,52中を流れる電流の励振方向を異ならせてもよい。

また、図5(a)〜図5(c)にアンテナユニットA1の一例として放射素子51,52が誘電体基板50の両面にそれぞれ配置されたダイポールアンテナを示したが、ダイポールアンテナの構造はこれに限定されない。例えば放射素子51,52が誘電体基板50の片側に配置されたダイポールアンテナの構造であってもよい。また、本発明の実施形態に係るアンテナユニットとしてはダイポールアンテナに限定されず、例えば導波管開口や、偏波面が固定されたパッチアンテナでもよい。

このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。

本発明は、人間の体内の異常細胞や骨折箇所等の散乱物体や不均質物体の位置、形状、大きさ、電気定数分布等の内部構造を調べる医療機器の技術分野に利用可能である。

1…実装容器 1top…上面(天井面) 1s1,1s2,1s3,1s4…側壁面 2…空間充填部材 3…貫通孔 4…排気管 5…減圧装置 6f…脂肪組織 6tu…腫瘍 6…被測定対象部位 11…送信手段 12…受信手段 13…画像処理ユニット 25…電子スイッチ 50…誘電体基板 51。52…放射素子(ダイポール) 53,54…マイクロストリップ線 56…グラウンド導体部 131…電気定数分布初期化手段 132…計算結果記憶装置 133…ヤコビアン計算手段 134…繰り返し更新手段 135…測定データ記憶装置 136…比較手段 137…最小自乗解計算手段 A1〜A36…アンテナユニット

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