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Semiconductor particulate, manufacture thereof and photoelectric conversion element

阅读:959发布:2023-12-29

专利汇可以提供Semiconductor particulate, manufacture thereof and photoelectric conversion element专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PROBLEM TO BE SOLVED: To provide semiconductor particulates used for a pigment sensitizing photoelectric conversion element which is superior in energy conversion efficiency and can be made larger in area and an optical electrochemical cell, by allowing an ester compound other than pigments to be adsorbed to a semiconductor. SOLUTION: A manufactured and color sensitized TiO2 electrode substrate is coupled with a platinum vopor-deposited glass which is as large as its size, and an electrolyte is impregnated between both glasses due to capillary phenomena, and then it is led into the TiO2 electrode, so as to obtain an optical electrochemical cell. A conductive glass 1 (a conductive agent layer 2 is formed on a glass), TiO2 layer 3, pigment layer 4, electrolyte 5, platinum layer 6, and glass 7 are laminated in sequence, to produce an optical electrochemical cell packaged with an epoxy-based sealing agent. The optical electrochemical cell is irradiated with an artificial solar light, and the electricity generated is measured by a current/voltage measuring device. As a result, a photoelectric conversion element of superior photoelectric conversion efficiency and an optical electrochemical cell can be obtained.,下面是Semiconductor particulate, manufacture thereof and photoelectric conversion element专利的具体信息内容。

【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 色素により増感された半導体微粒子であって、色素以外にエステル化合物を半導体に吸着させたことを特徴とする半導体微粒子。
  • 【請求項2】 前記エステル化合物が下記一般式(A)
    で表される化合物であることを特徴とする請求項1の半導体微粒子。 一般式(A) R 1 −L−Z−R 2 (W) (式(A)中、R 1およびR 2は、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、環状の脂肪族基、
    芳香族基またはヘテロ環基を表し、これらは置換基を有していても縮環していてもよく、また、R 1とR 2は連結して環を形成してもよい。 Lは単結合または二価の連結基を表す。 Zはエステル結合を表し、(W)は分子の電荷を中和するのに必要な対イオンを表す。 )
  • 【請求項3】 一般式(A)において、R 1が炭素数2
    0以下の置換または無置換のアルキル基であることを特徴とする請求項2の半導体微粒子。
  • 【請求項4】 一般式(A)において、R 1が炭素数2
    5以下の環状の脂肪族基であることを特徴とする請求項2の半導体微粒子。
  • 【請求項5】 一般式(A)において、R 1が炭素数1
    3以下の芳香族基またはヘテロ環であることを特徴とする請求項2の半導体微粒子。
  • 【請求項6】 Zがカルボン酸、スルホン酸またはホスホン酸のエステル結合であることを特徴とする請求項2
    〜5のいずれかの半導体微粒子。
  • 【請求項7】 前記色素がルテニウム錯体色素、フタロシアニン系色素およびポリメチン色素から選ばれる色素であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかの半導体微粒子。
  • 【請求項8】 前記半導体微粒子が金属酸化物微粒子である請求項1〜7のいずれかの半導体微粒子。
  • 【請求項9】 前記半導体微粒子が二酸化チタンである請求項1〜8のいずれかの半導体微粒子。
  • 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかの半導体微粒子を用いた光電変換素子。
  • 【請求項11】 色素により増感された半導体微粒子の製造方法において、 a)色素と共にエステル化合物を共存させた溶液に半導体微粒子を浸漬させる工程、 b)色素を半導体微粒子に吸着させた後、該半導体微粒子をエステル化合物を含む溶液に浸漬させる工程、 の少なくともいずれかの工程を経ることを特徴とする半導体微粒子の製造方法。
  • 【請求項12】 前記エステル化合物が下記一般式(A)で表される化合物であることを特徴とする請求項11の半導体微粒子の製造方法。 一般式(A) R 1 −L−Z−R 2 (W) (式(A)中R 1およびR 2は、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、環状の脂肪族基、芳香族基またはヘテロ環基を表し、これらは置換基を有していても縮環していてもよく、また、R 1とR 2は連結して環を形成してもよい。Lは単結合または二価の連結基を表す。Zはエステル結合を表し、(W)は分子の電荷を中和するのに必要な対イオンを表す。)
  • 【請求項13】 請求項11のa)の工程において、色素とエステル化合物が共存する溶液中のエステル化合物の濃度が色素に対してモル比で1〜1000倍量共存していることを特徴とする請求項11または12の半導体微粒子の製造方法。
  • 【請求項14】 請求項11のb)の工程において、エステル化合物を含む浸漬液中のエステル化合物のモル濃度が0.1mM〜1Mであることを特徴とする請求項1
    1または12の半導体微粒子の製造方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は色素により増感された半導体微粒子およびこれを用いた光電変換素子に関する。 更には、色素により増感された半導体微粒子の製造方法に関する。

    【0002】

    【従来の技術】現在、太陽光発電は単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池およびテルル化カドミウムやセレン化インジウム銅等の化合物太陽電池の改良が、実用化の主技術となっており、発電効率として10%を超える太陽光エネルギー変換効率が得られている。 しかし、将来に向けてこれらを普及させる上では、素材製造にかかるエネルギーコストが高く製品化への環境負荷が大きいこと、ユーザーにとってエネルギーペイバックタイムが長い等の問題点を克服する必要がある。 一方、低価格化を目指し、
    大面積化も容易な有機材料をシリコンに替わる感光材料として用いた太陽電池がこれまでに多く提案されてきたが、エネルギー変換効率が1%以下と低く、耐久性も悪いという問題があった。 こうした状況の中で、Nature
    (第353巻、第737〜740頁、1991年)および米国特許492
    7721号等に、色素によって増感された半導体微粒子を用いた光電変換素子および太陽電池、ならびにこの作製に必要な材料および製造技術が開示された。 提案された電池は、ルテニウム錯体によって分光増感された二酸化チタン多孔質薄膜を作用電極とする湿式太陽電池である。
    この方式の第一の利点は二酸化チタン等の安価な酸化物半導体を高純度まで精製する必要なしに用いることができるため、安価な光電変換素子として提供できる点であり、第二には用いられる色素の吸収がブロードであり、
    広い可視光の波長域にわたって太陽光を電気に変換できることであり、第三にはエネルギー変換効率が最適条件では10%に近く高いことである。 しかし半導体微粒子に色素を吸着させるに際して色素が好ましくない凝集を起こし、得られる光電変換素子の性能が低下するという問題があった。 この凝集を防止するためステロイド系カルボン酸化合物を色素溶液に混合する方法がChemical
    Communication(第719〜720ページ、1998
    年)に記載されているが効果が十分ではなかった。

    【0003】

    【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、エネルギー変換効率に優れ、大面積化が可能な色素増感型の光電変換素子および光電気化学電池に用いる半導体微粒子を提供することである。 さらには、この半導体微粒子の製造方法を提供することである。

    【0004】

    【課題を解決するための手段】本発明の課題は本発明を特定する下記の事項およびその好ましい態様により達成された。 (1) 色素により増感された半導体微粒子であって、
    色素以外にエステル化合物を半導体に吸着させたことを特徴とする半導体微粒子。 (2) 前記エステル化合物が下記一般式(A)で表される化合物であることを特徴とする上記(1)の半導体微粒子。 一般式(A) R 1 −L−Z−R 2 (W) (式(A)中、R 1およびR 2は、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、環状の脂肪族基、
    芳香族基またはヘテロ環基を表し、これらは置換基を有していても縮環していてもよく、また、R 1とR 2は連結して環を形成してもよい。 Lは単結合または二価の連結基を表す。 Zはエステル結合を表し、(W)は分子の電荷を中和するのに必要な対イオンを表す。 ) (3) 一般式(A)において、R 1が炭素数20以下の置換または無置換のアルキル基であることを特徴とする上記(2)の半導体微粒子。 (4) 一般式(A)において、R 1が炭素数25以下の環状の脂肪族基であることを特徴とする上記(2)の半導体微粒子。 (5) 一般式(A)において、R 1が炭素数13以下の芳香族基またはヘテロ環であることを特徴とする上記(2)の半導体微粒子。 (6) Zがカルボン酸、スルホン酸またはホスホン酸のエステル結合であることを特徴とする上記(2)〜
    (5)のいずれかの半導体微粒子。 (7) 前記色素がルテニウム錯体色素、フタロシアニン系色素およびポリメチン色素から選ばれる色素であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかの半導体微粒子。 (8) 前記半導体微粒子が金属酸化物微粒子である上記(1)〜(7)のいずれかの半導体微粒子。 (9) 前記半導体微粒子が二酸化チタンである上記(1)〜(8)のいずれかの半導体微粒子。 (10) 上記(1)〜(9)のいずれかの半導体微粒子を用いた光電変換素子。 (11) 色素により増感された半導体微粒子の製造方法において、 a)色素と共にエステル化合物を共存させた溶液に半導体微粒子を浸漬させる工程、 b)色素を半導体微粒子に吸着させた後、該半導体微粒子をエステル化合物を含む溶液に浸漬させる工程、 の少なくともいずれかの工程を経ることを特徴とする半導体微粒子の製造方法。 (12) 前記エステル化合物が下記一般式(A)で表される化合物であることを特徴とする上記(11)の半導体微粒子の製造方法。 一般式(A) R 1 −L−Z−R 2 (W) (式(A)中R 1およびR 2は、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、環状の脂肪族基、芳香族基またはヘテロ環基を表し、これらは置換基を有していても縮環していてもよく、また、R 1とR 2は連結して環を形成してもよい。Lは単結合または二価の連結基を表す。Zはエステル結合を表し、(W)は分子の電荷を中和するのに必要な対イオンを表す。) (13) 上記(11)のa)の工程において、色素とエステル化合物が共存する溶液中のエステル化合物の濃度が色素に対してモル比で1〜1000倍量共存していることを特徴とする上記(11)または(12)の半導体微粒子の製造方法。 (14) 上記(11)のb)の工程において、エステル化合物を含む浸漬液中のエステル化合物のモル濃度が0.1mM〜1Mであることを特徴とする上記(11)
    または(12)の半導体微粒子の製造方法。

    【0005】

    【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明する。 本発明で用いることができるエステル化合物はカルボン酸エステル、ホスホン酸エステル、スルホン酸エステル、ホウ酸エステルおよびチオカルボン酸エステルのいずれでもよく、好ましくは一般式(A)で表わされる化合物である。 一般式(A) R 1 −L−Z−R 2 (W) 一般式(A)について説明する。 式中、R 1およびR
    2は、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、環状の脂肪族基、芳香族基またはヘテロ環基を表し、これらは置換基を有していても縮環していてもよく、また、R 1とR 2は連結して環を形成してもよい。
    1またはR 2がアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基の場合は、炭素数30以下が好ましく、更に好ましくは25以下であり、特に好ましくは20以下である。 R 1またはR 2が環状の脂肪族基の場合、炭素数35
    以下が好ましく、更に好ましくは30以下であり、特に好ましくは25以下であり、具体的には例えば、シクロペンタンヒドロフェナントレン環を有するステロイド基である。 R 1またはR 2が芳香族基またはヘテロ環を表す場合は、炭素数20以下が好ましく、更に好ましくは1
    7以下であり、特に好ましくは13以下である。 ヘテロ環の好ましい例としてはピロール環、チアゾール環、オキサゾール環、セレナゾール環、イミダゾール環、テルラゾール環、2-キノリン環、4-キノリン環、チアゾリン環、オキサジアゾール環およびこれらのベンゾ縮環体由来の環が挙げられるが、特に好ましくはピロール環、チアゾール環、オキサゾール環、セレナゾール環、イミダゾール環、2-キノリン環、4-キノリン環およびこれらのベンゾ縮環体由来の環である。 これらR 1およびR 2が有してもよい置換基としては、アルキル基(例えばメチル、エチル、イソブチル、n−ドデシル、シクロヘキシル、ビニル、アリル、ベンジル等)、アリール基(例えばフェニル、トリル、ナフチル等)、複素環残基(例えばピリジル基、イミダゾリル基、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ベンズイミダゾリル基、キノリル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素)、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ等)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ等)、ヒドロキシ基および酸素陰イオン、ニトロ基、シアノ基、アミド基(例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等)、ウレイド基(例えば、3ーフェニルウレイド等)、ウレタン基(例えばイソブトキシカルボニルアミノ、カルバモイルオキシ等)、エステル基(例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(例えばN−メチルカルバモイル、N,N−ジフェニルカルバモイル等)、スルファモイル基(例えばN−フェニルスルファモイル等)、アシル基(例えばアセチル、ベンゾイル等)、アミノ基(アミノ、メチルアミノ、アニリノ、ジフェニルアミノ等)、スルホニル基(例えばメチルスルホニル等)、カルボン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基、リン酸基、
    等が挙げられる。 置換基の炭素原子上にはさらに上記の置換基があっても良い。

    【0006】Lは単結合または2価の連結基を表す。 2
    価の連結基は、炭素、酸素、硫黄、窒素、珪素、燐およびハロゲン原子から選ばれる原子群で形成された連結基が好ましく、炭素数として好ましくは0から10、より好ましくは0から8である。 具体的には、酸素(エーテル)、硫黄(チオエーテル)、置換もしくは無置換のイミノ基または置換もしくは無置換のアルキレン基、あるいはこれらから選ばれる連結基が2つ以上直列に連結した基が挙げられる。 ここでの置換基は前述のR 1またはR 2が有してもよい置換基と同様である。 Lとして特に好ましくは、単結合あるいは−O−,−S−,−OCH
    2 −,−CH 2 −,−OCH 2 CH 2 −,−OCH 2 CH 2
    2 −または−SCH 2 CH 2 −の連結基である。

    【0007】Zはエステル結合を表し、具体的には−C
    (O)O−基、−C(S)S−基、−(O)S(O)O
    −基、−P(O)(OR 3 )O−基、−B(OR 4 )O−
    基である。 ここでR 3およびR 4はそれぞれ素または炭素数10以下のアルキル基である。 Zとして好ましくは−C(O)O−基、−(O)S(O)O−基または−P
    (O)(OR 3 )O−基であり、最も好ましくは−C
    (O)O−基である。

    【0008】(W)は分子の電荷を中和するのに必要な対イオンを表し、一般式(A)の化合物が陽イオン、陰イオンであるか、あるいは正味のイオン電荷を持つかどうかは置換基に依存する。 置換基が解離性基を有する場合、解離して負電荷を持っても良く、この場合にも分子全体の電荷はWによって中和される。 典型的な陽イオンは無機または有機のアンモニウムイオン(例えばテトラアルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン)およびアルカリ金属イオンであり、一方、陰イオンは具体的に無機陰イオンあるいは有機陰イオンのいずれであってもよく、例えば、ハロゲン陰イオン、(例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン)、置換アリールスルホン酸イオン(例えば、p−
    トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン)、アリールジスルホン酸イオン(例えば、
    1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン)、アルキル硫酸イオン(例えば、メチル硫酸イオン)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンが挙げられる。 さらに電荷均衡対イオンとしてイオン性ポリマーあるいは金属錯イオン(例えば、ビスベンゼン−1,2−ジチオラトニッケル(III) )も可能である。

    【0009】用いるエステル化合物は色素の好ましくない凝集を防止する目的で加えるものであり、光の有効利用の観点から実質的に無色であること、すなわち実質的に可視部に吸収を持たないことが好ましい。 以下に本発明で用いるエステル化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。

    【0010】

    【化1】

    【0011】

    【化2】

    【0012】本発明の目的は、上記のエステル化合物を、色素を半導体微粒子に吸着させる際の色素溶液に溶解または分散させても、また色素を半導体に吸着させた後にエステル化合物の溶液または分散液で半導体を処理しても達成することができる。 後者の場合、具体的には色素の吸着した半導体を本発明のエステル化合物の溶液に浸漬させればよい。 色素溶液に溶解する場合のエステル化合物の濃度は、色素に対してモル比で0.01〜1
    0,000倍であり、好ましくは0.1〜5,000
    倍、特に好ましくは1〜1,000倍である。 また、色素の吸着した半導体を処理する場合の溶液中のエステル化合物の濃度は、0.1mM〜1.0Mが好ましく、1
    mM〜0.5Mがさらに好ましい。 さらに、半導体へのエステル化合物の吸着量は、わずかでも吸着していればよく、重量で好ましくは色素の吸着量以下、特に好ましくは色素の吸着量の1/100以下である。

    【0013】次に、本発明の光電変換素子の構成と材料について詳述する。 本発明において色素増感した光電変換素子は導電性支持体、導電性支持体上に設置される色素等により増感した半導体膜(感光層)、電荷移動層および対極からなる。 この光電変換素子を外部回路で仕事をさせる電池用途に使用できるようにしたものが光電気化学電池である。 感光層は目的に応じて設計され、単層構成でも多層構成でもよい。 感光層に入射した光は色素等を励起する。 励起された色素等はエネルギーの高い電子を有しており、この電子が色素等から半導体微粒子の伝導帯に渡され、さらに拡散によって導電性支持体に到達する。 この時色素等の分子は酸化体となっている。 光電気化学電池においては導電性支持体上の電子が外部回路で仕事をしながら対極および電荷移動層を経て色素等の酸化体に戻り、色素等が再生する。 半導体膜はこの電池の負極として働く。 なお、本発明ではそれぞれの層の境界において(例えば、導電性支持体の導電層と感光層の境界、感光層と電荷移動層の境界、電荷移動層と対極の境界など)、各層の構成成分同士が相互に拡散して混合していてもよい。

    【0014】本発明において、半導体はいわゆる感光体であり、光を吸収して電荷分離を行い電子と正孔を生ずる役割を担う。 色素増感された半導体では、光吸収およびこれによる電子および正孔の発生は主として色素において起こり、半導体はこの電子を受け取り、伝達する役割を担う。

    【0015】半導体としてはシリコン、ゲルマニウムのような単体半導体の他に、III-V系の化合物半導体、金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)またはペロブスカイト構造を有する化合物等を使用することができる。 金属のカルコゲニドとして好ましくはチタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、もしくはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、
    アンチモン、ビスマスの硫化物、カドミウム、鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。 他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物、ガリウムヒ素、銅−インジウム−セレン化合物、銅−インジウム−硫黄化合物等が挙げられる。 また、ペロブスカイト構造を有する化合物として好ましくはチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウムが挙げられる。

    【0016】本発明に用いられる半導体としてより好ましくは、具体的にはSi、TiO 2 、SnO 2 、Fe 2 O 3 、WO 3 、Zn
    O、Nb 2 O 5 、CdS、ZnS、PbS、Bi 2 S 3 、CdSe、CdTe、GaP、I
    nP、GaAs、CuInS 2 、CuInSe 2が挙げられる。 さらに好ましくはTiO 2 、ZnO、SnO 2 、Fe 2 O 3 、WO 3 、Nb 2 O 5 、CdS、Pb
    S、CdSe、InP、GaAs、CuInS 2 、CuInSe 2であり、特に好ましくは、TiO 2またはNb 2 O 5であり、最も好ましくはTiO
    2である。

    【0017】本発明に用いられる半導体は、単結晶でも、多結晶でもよい。 変換効率としては単結晶が好ましいが、製造コスト、原材料確保、エネルギーペイバックタイム等の点では多結晶が好ましく、特にナノメートルからマイクロメートルサイズの微粒子半導体が好ましい。

    【0018】これらの半導体微粒子の粒径は、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径で一次粒子として5〜200nmであることが好ましく、特に8〜
    100nmであることが好ましい。 また、分散物中の半導体微粒子(二次粒子)の平均粒径としては0.01〜
    100μmであることが好ましい。

    【0019】また、2種類以上の粒子サイズ分布の異なる微粒子を混合して用いてもよく、この場合、小さい粒子の平均サイズは5nm以下であることが好ましい。 また、入射光を散乱させて光捕獲率を向上させる目的で、
    粒子サイズの大きな、例えば300nm程度の半導体粒子を混合してもよい。

    【0020】半導体微粒子の作製法は、作花済夫の「ゾルーゲル法の科学」アグネ承風社(1988年)、技術情報協会の「ゾルーゲル法による薄膜コーティング技術」(1995)等に記載のゾルーゲル法、杉本忠夫の「新合成法ゲルーゾル法による単分散粒子の合成とサイズ形態制御」 まてりあ、第35巻、第9号 1012
    頁から1018頁(1996)記載のゲルーゾル法が好ましい。

    【0021】またDegussa社が開発した塩化物を酸水素炎中で高温加水分解により酸化物を作製する方法も好ましい。

    【0022】また酸化チタンの場合は上記のゾルーゲル法、ゲルーゾル法、塩化物を酸水素炎中で高温加水分解法がいずれも好ましいが、さらに清野学の「酸化チタン 物性と応用技術」技報堂出版(1997)に記載の硫酸法、塩素法を用いることもできる。

    【0023】酸化チタンの場合は上記のゾルーゲル法のうち特にバーブ等の「ジャーナル・オブ・アメリカン・
    セラミック・ソサエティー 第80巻、第12号、31
    57ページから3171ページ(1997)」記載のものと、バーンサイド等の「ケミカル・マテリアルズ 第10巻 第9号、2419ページから2425ページ」
    記載の方法が好ましい。

    【0024】導電性支持体は、金属のように支持体そのものに導電性があるものか、または表面に導電剤を含む導電層(導電剤層)を有するガラスもしくはプラスチックの支持体を使用することができる。 後者の場合好ましい導電剤としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等)、炭素、もしくは導電性の金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの等)が挙げられる。 上記導電剤層の厚さは、0.02〜10μm程度であることが好ましい。

    【0025】導電性支持体は表面抵抗が低い程よい。 好ましい表面抵抗の範囲としては100Ω/□以下であり、さらに好ましくは40Ω/□以下である。 この下限には特に制限はないが、通常0.1Ω/□程度である。

    【0026】導電性支持体は実質的に透明であることが好ましい。 実質的に透明であるとは光の透過率が10%
    以上であることを意味し、50%以上であることが好ましく、70%以上が特に好ましい。 透明導電性支持体としてはガラスもしくはプラスチックに導電性の金属酸化物を塗設したものが好ましい。 この中でもフッ素をドーピングした二酸化スズからなる導電層を低コストのソーダ石灰フロートガラスでできた透明基板上に堆積した導電性ガラスが特に好ましい。 また、低コストでフレキシブルな光電変換素子または太陽電池には、透明ポリマーフィルムに上記導電層を設けたものを用いるのがよい。
    透明ポリマーフィルムには、テトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET),
    ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオクタチックポリステレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PE
    I)、環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ等がある。 透明導電性支持体を用いる場合、光はその支持体側から入射させることが好ましい。 この場合、導電性金属酸化物の塗布量はガラスもしくはプラスチックの支持体1m 2当たり0.01〜100gが好ましい。

    【0027】透明導電性基板の抵抗を下げる目的で金属リードを用いることが好ましい。 金属リードの材質はアルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等の金属が好ましく、特にアルミニウム、銀が好ましい。 金属リードは透明基板に蒸着、スッパタリング等で設置し、その上にフッ素をドープした酸化スズ、またはITO膜からなる透明導電層を設けることが好ましい。 また上記の透明導電層を透明基板に設けたあと、透明導電層上に金属リードを設置することも好ましい。 金属リード設置による入射光量の低下は1〜10%、より好ましくは1〜5%
    である。

    【0028】半導体微粒子を導電性支持体上に塗設する方法としては、半導体微粒子の分散液またはコロイド溶液を導電性支持体上に塗布する方法、前述のゾル−ゲル法などが挙げられる。 光電変換素子の量産化、液物性や支持体の融通性を考えた場合、湿式の膜付与方式が比較的有利である。 湿式の膜付与方式としては、塗布法、印刷法が代表的である。

    【0029】半導体微粒子の分散液を作成する方法としては前述のゾル-ゲル法の他、乳鉢ですり潰す方法、ミルを使って粉砕しながら分散する方法、あるいは半導体を合成する際に溶媒中で微粒子として析出させそのまま使用する方法等が挙げられる。 分散媒としては水または各種の有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル等)が挙げられる。 分散の際、
    必要に応じてポリマー、界面活性剤、酸、もしくはキレート剤などを分散助剤として用いてもよい。

    【0030】塗布方法としては、アプリケーション系としてローラ法、ディップ法、メータリング系としてエアーナイフ法、ブレード法等、またアプリケーションとメータリングを同一部分でできるものとして、特公昭58
    −4589号公報に開示されているワイヤーバー法、米国特許2681294号、同2761419号、同27
    61791号等に記載のスライドホッパ法、エクストルージョン法、カーテン法等が好ましい。 また汎用機としてスピン法やスプレー法も好ましく用いられる。

    【0031】湿式印刷方法としては、従来から凸版、オフセット、グラビアの3大印刷法をはじめ、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等が好ましい。

    【0032】前記方法の中から、液粘度やウェット厚みにより好ましい膜付与方式を選択する。

    【0033】液粘度は半導体微粒子の種類や分散性、使用溶媒種、界面活性剤やバインダー等の添加剤により大きく左右される。 高粘度液(例えば0.01〜500Po
    ise)ではエクストルージョン法やキャスト法が好ましく、低粘度液(例えば0.1Poise以下)ではスライドホッパー法もしくはワイヤーバー法もしくはスピン法が好ましく、均一な膜にすることが可能である。

    【0034】なお、エクストルージョン法による低粘度液の塗布の場合でも塗布量がある程度の量あれば塗布は可能である。

    【0035】また半導体微粒子の高粘度ペーストの塗設にはしばしばスクリーン印刷が用いられており、この手法を使うこともできる。

    【0036】このように塗布液の液粘度、塗布量、支持体、塗布速度等のパラメータに対応して、適宜ウェット膜の付与方式を選択すればよい。

    【0037】さらに、半導体微粒子含有層は単層と限定する必要はない。 微粒子の粒径の違った分散液を多層塗布することも可能であり、また半導体の種類が異なる、
    あるいはバインダー、添加剤の組成が異なる塗布層を多層塗布することもでき、また一度の塗布で膜厚が不足の場合にも多層塗布は有効である。 多層塗布には、エクストルージョン法またはスライドホッパー法が適している。 また多層塗布をする場合は同時に多層を塗布しても良く、数回から十数回順次重ね塗りしてもよい。 さらに順次重ね塗りであればスクリーン印刷法も好ましく使用できる。

    【0038】一般に、半導体微粒子含有層の厚みが増大するほど単位投影面積当たりの担持色素量が増えるため光の捕獲率が高くなるが、生成した電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大きくなる。 したがって、半導体微粒子含有層には好ましい厚さが存在するが、典型的には0.1〜100μmである。 光電気化学電池として用いる場合は1〜30μmであることが好ましく、2〜25μmであることがより好ましい。 半導体微粒子の支持体1m 2当たりの塗布量は0.5〜400
    g、さらには5〜100gが好ましい。

    【0039】半導体微粒子は導電性支持体に塗布した後に粒子同士を電子的にコンタクトさせるため、および塗膜強度の向上や支持体との密着性を向上させるために加熱処理することが好ましい。 好ましい加熱処理温度の範囲は40℃以上700℃未満であり、より好ましくは1
    00℃以上600℃以下である。 また加熱処理時間は1
    0分〜10時間程度である。 ポリマーフィルムなど融点や軟化点の低い支持体を用いる場合は、高温処理は支持体の劣化を招くため、好ましくない。 また、コストの観点からもできる限り低温であることが好ましい。 低温化は、先に述べた5nm以下の小さい半導体微粒子の併用や鉱酸の存在下での加熱処理等により可能である。

    【0040】また、加熱処理後、半導体粒子の表面積を増大させたり、半導体粒子近傍の純度を高め、色素から半導体粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。

    【0041】半導体微粒子は多くの色素を吸着することができるように表面積の大きいものが好ましい。 このため半導体微粒子層を支持体上に塗設した状態での表面積は、投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、さらに100倍以上であることが好ましい。 この上限には特に制限はないが、通常1000倍程度である。

    【0042】本発明に使用する色素は金属錯体色素またはメチン色素が好ましい。 本発明では、光電変換の波長域をできるだけ広くし、かつ変換効率を上げるため、二種類以上の色素を混合することができる。 そして、目的とする光源の波長域と強度分布に合わせるように混合する色素とその割合を選ぶことができる。 こうした色素は半導体微粒子の表面に対する適当な結合基(interlocki
    ng group)を有していることが好ましい。 好ましい結合基としては、COOH基、SO 2 H基、シアノ基、-P(O)(OH)
    2基、-OP(O)(OH) 2基、または、オキシム、ジオキシム、
    ヒドロキシキノリン、サリチレートおよびα−ケトエノレートのようなπ伝導性を有するキレート化基が挙げられる。 この中でもCOOH基、-P(O)(OH) 2基、-OP(O)(OH )
    基が特に好ましい。 これらの基はアルカリ金属等と塩を形成していてもよく、また分子内塩を形成していてもよい。 また、ポリメチン色素の場合、メチン鎖がスクアリリウム環やクロコニウム環を形成する場合のように酸性基を含有するなら、この部分を結合基としてもよい。

    【0043】以下に本発明で好ましく用いられる色素を具体的に説明する。 本発明に使用する色素が金属錯体色素の場合、ルテニウム錯体色素が好ましく、さらに下記式(I)で表される色素が好ましい。 式(I) (A 1 ) p RuB abc式(I)中、pは0〜2であり、好ましくは2である。
    Ruはルテニウムを表す。 A 1はCl、SCN、H 2 O、
    Br、I、CN、NCO、およびSeCNから選択される配位子である。 B a 、B b 、B cはそれぞれ独立に以下のB-1〜B-8から選択される有機配位子である。

    【0044】

    【化3】

    【0045】ここで、Raは水素原子、ハロゲン原子、
    炭素原子数(以下C数という)1〜12個で置換もしくは無置換のアルキル基、C数7〜12個で置換もしくは無置換のアラルキル基、またはC数6〜12個で置換もしくは無置換のアリール基を表す。 上記のアルキル基、
    アラルキル基のアルキル部分は直鎖状であっても分岐状であってもよく、アリール基、アラルキル基のアリール部分は単環であっても多環(縮合環、環集合)であってもよい。

    【0046】本発明に用いられるルテニウム錯体色素としては、例えば、米国特許4927721号、同4684537号、同
    5084365号、同5350644号、同5463057号、同5525440号および特開平7-249790号明細書に記載の錯体色素が挙げられる。

    【0047】以下に本発明に使用する金属錯体色素の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。

    【0048】

    【化4】

    【0049】

    【化5】

    【0050】

    【化6】

    【0051】本発明に使用する色素がメチン色素である場合、以下で説明する式(II)、式(III)、式(IV)
    または式(V)で表される色素が好ましい。

    【0052】

    【化7】

    【0053】式中、R bおよびR fは各々水素原子、アルキル基、アリール基、または複素環基を表し、R c 〜R e
    は各々水素原子または置換基を表す。 R b 〜R fは互いに結合して環を形成してもよい。 X 11およびX 12は各々窒素、酸素、硫黄、セレン、テルルを表す。 n 11およびn
    13は各々0〜2の整数を表し、n 12は1〜6の整数を表す。 式(II)で表される化合物は分子全体の電荷に応じて対イオンを有してもよい。

    【0054】上記におけるアルキル基、アリール基、複素環基は、置換基を有していてもよい。 アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、アリール基、複素環基は、単環でも、多環(縮合環、環集合)であってもよい。 またR b 〜R fによって形成される環は、置換基を有していてもよく、単環であっても縮合環であってもよい。

    【0055】

    【化8】

    【0056】式中、Z aは含窒素複素環を形成するに必要な非金属原子群を表す。 R gはアルキル基またはアリール基である。 Q aは式(III)で表される化合物がメチン色素を形成するのに必要なメチン基またはポリメチン基を表す。 X 13は電荷均衡対イオンを表し、n 14は分子の電荷を中和するのに必要な0以上10以下の数を表す。

    【0057】上記のZ aで形成される含窒素複素環は置換基を有していてもよく、単環であっても縮合環であってもよい。 また、アルキル基、アリール基は置換基を有していてもよく、アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、アリール基は単環であっても多環(縮合環、環集合)であってもよい。

    【0058】式(III)で表される色素は、下記式(III
    −a)〜(III−d)で表される色素であることが好ましい。

    【0059】

    【化9】

    【0060】式(III−a)〜(III−d)中、R 11 〜R
    15 、R 21 〜R 24 、R 31 〜R 33 、およびR 41 〜R 43はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、または複素環基を表し、Y 11 、Y 12 、Y 21 、Y 22 、Y 31
    35 、およびY 41 〜Y 46はそれぞれ独立に酸素、硫黄、
    セレン、テルル、−CR 1617 −、または−NR 18 −を表す。 R 16 〜R 18はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、または複素環基を表す。 Y 23はO‐、
    S‐、Se‐、Te‐、または−NR 18 ‐を表す。

    【0061】V 11 、V 12 、V 21 、V 22 、V 31 、およびV
    41はそれぞれ独立に置換基を表し、n 15 、n 31およびn
    41はそれぞれ独立に1〜6の整数を表す。 式(III−
    a)〜(III−d)で表される化合物は、分子全体の電荷に応じて対イオンを有していてもよい。

    【0062】上記におけるアルキル基、アリール基、複素環基は置換基を有していてもよく、アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、アリール基、複素環基は単環であっても多環(縮合環、環集合)であってもよい。

    【0063】以上のようなポリメチン色素の具体例はM.
    Okawara,T. Kitao,T.Hirasima, M.Matuoka著Organic Co
    lorants(Elsevier)等に詳しく記載されている。

    【0064】

    【化10】

    【0065】式(IV)中、Q bは5員または6員の含窒素ヘテロ環を完成するために必要な原子団を表し、Q b
    は縮環していてもよく、また置換基を有していてもよい。 Q bで完成されるヘテロ環の好ましい例としては、
    ベンゾチアゾール核、ベンゾオキサゾール核、ベンゾセレナゾール核、ベンゾテルラゾール核、2−キノリン核、4−キノリン核、ベンゾイミダゾール核、チアゾリン核、インドレニン核、オキサジアゾール核、チアゾール核、イミダゾール核が挙げられるが、さらに好ましくはベンゾチアゾール核、ベンゾオキサゾール核、ベンズイミダゾール核、ベンゾセレナゾール核、2−キノリン核、4-キノリン核、インドレニン核であり、特に好ましくはベンゾチアゾール核、ベンゾオキサゾール核、2−
    キノリン核、4-キノリン核、インドレニン核である。 環上の置換基としては、カルボン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基、ハロゲン原子(F,Cl,Br,I)、シアノ基、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、メトキシエトキシなど)、アリーロキシ基(フェノキシなど)、
    アルキル基(メチル、エチル、シクロプロピル、シクロへキシル、トリフルオロメチル、メトキシエチル、アリル、ベンジルなど)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオなど)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニルなど)、アリール基ないし複素環基(フェニル、チエニル、トルイル、クロロフェニルなど)などが挙げられる。

    【0066】Z bは炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子および水素原子から選ばれる原子により構成された、3ないし9員環を完成するために必要な原子団を表す。 Z bによって完成される環として好ましくは4ないし6個の炭素によって骨格が形成される環であり、より好ましくは以下の(ア)〜(オ)で表されるものであり、最も好ましくは(ア)である。

    【0067】

    【化11】

    【0068】L 1 、L 2 、L 3 、L 4およびL 5はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいメチン基を表す。 置換基としては、置換または無置換のアルキル基(好ましくは炭素原子数1ないし12、さらに好ましくは1ないし7のものであり、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、2−カルボキシエチル、ベンジルなど)、置換または無置換のアリール基(好ましくは炭素原子数6ないし10、さらに好ましくは6ないし8のものであり、例えば、フェニル、トルイル、クロロフェニル、o−カルボキシフェニル)、複素環基(例えば、ピリジル、チエニル、フラニル、ピリジル、バルビツール酸)、ハロゲン原子(例えば、塩素、臭素)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ)、アミノ基(好ましくは炭素原子数1ないし12、
    さらに好ましくは6ないし12のものであり、例えば、
    ジフェニルアミノ、メチルフェニルアミノ、4−アセチルピペラジン−1−イル)、オキソ基などが挙げられる。 これらのメチン基上の置換基は互いに連結してシクロペンテン環、シクロヘキセン環、スクアリリウム環などの環を形成してもよく、あるいは助色団と環を形成することもできる。

    【0069】n 51は0から4までの整数を表し、好ましくは0から3である。 n 52は0または1である。

    【0070】R 5は置換基を表す。 置換基として好ましくは置換基を有してもよい芳香族基または置換基を有していてもよい脂肪族基であり、芳香族基の炭素原子数は好ましくは1ないし16、さらに好ましくは5ないし6
    である。 脂肪族基の炭素原子数は好ましくは1ないし1
    0、さらに好ましくは1ないし6である。 無置換の脂肪族基および芳香族基としては、メチル基、エチル基、n
    −プロピル基、n−ブチル基、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。

    【0071】W 1は電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。 ある色素が陽イオン、陰イオンであるか、あるいは正味のイオン電荷を持つかどうかは、その助色団および置換基に依存する。 置換基が解離性基を有する場合、解離して負電荷を持っても良く、
    この場合にも分子全体の電荷はW 1によって中和される。 典型的な陽イオンは無機または有機のアンモニウムイオン(例えばテトラアルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン)およびアルカリ金属イオンであり、
    一方、陰イオンは具体的に無機陰イオンあるいは有機陰イオンのいずれであってもよく、例えば、ハロゲン陰イオン、(例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン)、置換アリールスルホン酸イオン(例えば、p−トルエンスルホン酸イオン、p−
    クロロベンゼンスルホン酸イオン)、アリールジスルホン酸イオン(例えば、1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6
    −ナフタレンジスルホン酸イオン)、アルキル硫酸イオン(例えば、メチル硫酸イオン)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンが挙げられる。

    【0072】さらに電荷均衡対イオンとしてイオン性ポリマーあるいは、色素と逆電荷を有する他の色素を用いてもよいし、金属錯イオン(例えば、ビスベンゼン−
    1,2−ジチオラトニッケル(III))も可能である。

    【0073】

    【化12】

    【0074】式(V)においてDは少なくとも4官能以上の芳香族基を示し、X 1 、X 2はそれぞれ独立に硫黄原子、セレン原子、CR 6364またはCR 65 =CR 66を表す。 ここでR 63 〜R 66はそれぞれ水素原子またはアルキル基である。 R 61 、R 62はそれぞれアルキル基または芳香族基であり、P 1 、P 2はそれぞれ独立にポリメチン色素を形成するのに必要な非金属原子群を表す。 W 2は電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを示す。

    【0075】式(V)について更に詳しく説明する。 式(V)中、Dは少なくとも四官能以上の芳香族基を示す。 このような芳香族基の例としては、これらの基が誘導される芳香族炭化水素としてベンゼン、ナフタレン、
    アントラセン、フェナントレンなどが挙げられ、芳香族へテロ環としてはアントラキノン、カルバゾール、ピリジン、キノリン、チオフェン、フラン、キサンテン、チアントレンなどが挙げられ、これらは連結部分以外に置換基を有していても良い。 Dで表される芳香族基として好ましくは芳香族炭化水素の誘導基であり、さらに好ましくはベンゼンまたはナフタレンの誘導基である。

    【0076】X 1 、X 2は、好ましくは硫黄原子またはC
    6364であり、最も好ましくはCR 6364である。

    【0077】P 1 、P 2はそれぞれ独立にポリメチン色素を形成するのに必要な非金属原子群を表す。 P 1 、P 2により、いかなるメチン色素を形成することも可能であるが、好ましくはシアニン色素、メロシアニン色素、ロダシアニン色素、3核メロシアニン色素、アロポーラー色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素などが挙げられる。 この際、シアニン色素には色素を形成するメチン鎖上の置換基がスクアリウム環やクロコニウム環を形成したものも含んでいる。 これらの色素の詳細については、
    エフ・エム・ハーマー(FMHarmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−シアニンダイズ・アンド・リレィティド・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds-Cyanin
    e Dyes and Related Compounds)」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社ーニューヨーク、ロンドン、1964年刊、デー・エム・スターマー
    (DMSturme r)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズースペシャル・トピックス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic Compounds-Special topi
    cs in heterocyclic chemistry)」、第18章、第14
    節、第482から515貢などに記載されている。 シアニン色素、メロシアニン色素、ロダシアニン色素の式は、米国特許第5、340、694号第21、22貢の(XI)、(XII)、(XIII)に示されているものが好ましい。 また、P 1およびP 2によって形成されるポリメチン色素の少なくともいずれか一方のメチン鎖部分にスクアリリウム環を有するものが好ましく、両方に有するものがさらに好ましい。

    【0078】R 61 、R 62は芳香族基または脂肪族基であり、これらは置換基を有していてもよい。 芳香族基の炭素原子数は好ましくは5ないし16、さらに好ましくは5ないし6である。 脂肪族基の炭素原子数は好ましくは1ないし10、さらに好ましくは1ないし6である。 無置換の脂肪族基、芳香族基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。

    【0079】式(V)はR 61 、R 62 、P 1 、P 2のうち少なくともひとつに酸性基を有することが好ましい。 ここで酸性基とは、解離性のプロトンを有する置換基であり、例としてはカルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸、
    ホウ酸などが挙げられ、好ましくはカルボン酸である。
    またこのような酸性基はプロトンを放出して解離した形を採っていても良い。 W 2は式(IV)のW 1と同義である。

    【0080】以下に式(II)〜(V)で表されるポリメチン色素の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。

    【0081】

    【化13】

    【0082】

    【化14】

    【0083】

    【化15】

    【0084】

    【化16】

    【0085】

    【化17】

    【0086】

    【化18】

    【0087】

    【化19】

    【0088】

    【化20】

    【0089】

    【化21】

    【0090】

    【化22】

    【0091】

    【化23】

    【0092】

    【化24】

    【0093】

    【化25】

    【0094】

    【化26】

    【0095】

    【化27】

    【0096】

    【化28】

    【0097】

    【化29】

    【0098】

    【化30】

    【0099】

    【化31】

    【0100】

    【化32】

    【0101】

    【化33】

    【0102】式(II)および式(III)で表される化合物は、エフ・エム・ハーマー(FMHarmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−シアニンダイズ・アンド・
    リレィティド・コンパウンズ( Heterocyclic Compounds
    -Cyanine Dyes and RelatedCompounds)」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社−ニューヨーク、ロンドン、1964年刊、デー・エム・スターマー(DMSturmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズースペシャル・トピックス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic Compounds-Specia
    l topics in heterocyclic chemistry)」、第18章、
    第14節、第482から515項、ジョン・ウィリー・
    アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社−ニューヨーク、ロンドン、1977年刊、「ロッズ・ケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Rodd's Chemistry of
    Carbon Compounds)」2nd.Ed.vol.IV,partB,1977
    刊、第15章、第369から422項、エルセビア・サイエンス・パブリック・カンパニー・インク(Elsevier
    Science Publishing Company Inc.)社刊、ニューヨーク、英国特許第1,077,611号などに記載の方法に基づいて合成することができる。

    【0103】本発明に用いられる式(IV)で表される化合物の合成は、Dyes and Pigments第21巻227〜23
    4頁などの文献の記載を参考にして行える。 また、式(V)で表される化合物の合成は、Ukrainskii Khimich
    eskii Zhurnal 第40巻3号253〜258頁、Dyes and
    Pigments 第21巻227〜234頁およびこれらの文献中に引用された文献の記載等を参考にして行える。

    【0104】半導体微粒子に色素を吸着させる方法は色素溶液中によく乾燥した半導体微粒子を含有する作用電極を浸漬するか、もしくは色素溶液を半導体微粒子層に塗布して吸着させる方法を用いることができる。 前者の場合、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法などが使える。 浸漬法の場合、色素の吸着は室温で行ってもよいし、特開平7-249790号に記載されているように加熱還流して行ってもよい。 後者の塗布方法としては、
    ワイヤーバー法、スライドホッパ法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法があり、印刷方法としては、凸版、オフセット、グラビア、スクリーン印刷等がある。

    【0105】溶媒は、色素の溶解性に応じて適宜選択できる。 例えば、水、アルコール類(メタノール、エタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール等)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、3−メトキシプロピオニトリル等)、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、ジメチルスルホキシド、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N
    −ジメチルアセタミド等)、N−メチルピロリドン、
    1,3−ジメチルイミダゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノン、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭酸エステル類(炭酸ジエチル、炭酸エチレン、
    炭酸プロピレン等)、ケトン類(アセトン、2−ブタノン、シクロヘキサノン等)、炭化水素(ヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン等)やこれらの混合溶媒が挙げられる。

    【0106】液粘度も半導体微粒子層の形成時と同様に、高粘度液(例えば0.01〜500Poise)ではエクストルージョン法の他、各種印刷法が、低粘度液(例えば0.1Poise以下)ではスライドホッパー法もしくはワイヤーバー法もしくはスピン法が適していて、均一な膜にすることが可能である。

    【0107】このように色素塗布液の液粘度、塗布量、
    支持体、塗布速度等のパラメータに対応して、適宜付与方式を選択すればよい。 塗布後の色素吸着に要する時間は、量産化を考えた場合、なるべく短い方がよい。

    【0108】未吸着の色素の存在は素子性能の外乱になるため、吸着後速やかに洗浄によって除去することが好ましい。 湿式洗浄槽を使い、アセトニトリル等の極性溶剤、アルコール系溶剤のような有機溶媒で洗浄を行うのがよい。 また、吸着色素量を増大させるため、加熱処理を吸着前に行うことが好ましい。 加熱処理後、半導体微粒子表面に水が吸着するのを避けるため、常温に戻さず40〜80℃の間で素早く色素を吸着させることも好ましい。

    【0109】色素の使用量は、全体で、支持体1m 2当たり0.01〜100mモルが好ましい。 また、色素の半導体微粒子に対する吸着量は半導体微粒子1gに対して0.01〜1mモルが好ましい。 このような色素量とすることによって、半導体における増感効果が十分に得られる。 これに対し、色素量が少ないと増感効果が不十分となり、色素量が多すぎると、半導体に付着していない色素が浮遊し増感効果を低減させる原因となる。

    【0110】また、余分な色素の除去を促進する目的で、色素を吸着した後にアミン類を用いて半導体微粒子の表面を処理してもよい。 好ましいアミン類としてはピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン等が挙げられる。 これらが液体の場合はそのまま用いてもよいし有機溶媒に溶解して用いてもよい。

    【0111】以下、電荷移動層と対極について詳しく説明する。 電荷移動層は色素の酸化体に電子を補充する機能を有する層である。 本発明で用いることのできる代表的な電荷移動層の例としては酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体(電解液)、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体をポリマーマトリクスに含浸したいわゆるゲル電解質、酸化還元対を含有する溶融塩などが挙げられる。
    さらには固体電解質や正孔(ホール)輸送材料を用いることもできる。

    【0112】本発明で使用する電解液は電解質、溶媒、
    および添加物から構成されることが好ましい。 本発明の電解質はI 2とヨウ化物の組み合わせ(ヨウ化物としてはLiI、NaI、KI、CsI、CaI 2などの金属ヨウ化物、あるいはテトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイドなど4級アンモニウム化合物のヨウ素塩など)、B
    2と臭化物の組み合わせ(臭化物としてはLiBr、
    NaBr、KBr、CsBr、CaBr 2などの金属臭化物、あるいはテトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイドなど4級アンモニウム化合物の臭素塩など)のほか、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩やフェロセン−フェリシニウムイオンなどの金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィドなどのイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン−キノンなどを用いることができる。
    この中でもI 2とLiIやピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイドなど4級アンモニウム化合物のヨウ素塩を組み合わせた電解質が本発明では好ましい。
    上述した電解質は混合して用いてもよい。 また、電解質はEP-718288号、WO95/18456号、J. Electrochem. Soc.,
    Vol.143,No.10,3099(1996)、Inorg. Chem. 1996,35,11
    68-1178に記載された室温で溶融状態の塩(溶融塩)を使用することもできる。 溶融塩を電解質として使用する場合、溶媒は使用しなくても構わない。

    【0113】好ましい電解質濃度は0.1M以上15M以下であり、さらに好ましくは0.2 M以上10M以下である。 また、電解質にヨウ素を添加する場合の好ましいヨウ素の添加濃度は0.01M以上0.5M以下である。

    【0114】本発明で電解質に使用する溶媒は、粘度が低くイオン易動度を向上したり、もしくは誘電率が高く有効キャリアー濃度を向上したりして、優れたイオン伝導性を発現できる化合物であることが望ましい。 このような溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、3−メチル−
    2−オキサゾリジノンなどの複素環化合物、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル化合物、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテルなどの鎖状エーテル類、メタノール、エタノール、
    エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルなどのアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル化合物、ジメチルスルフォキシド(DMSO)、スルフォランなど非プロトン極性物質、水などを用いることができる。

    【0115】また、本発明では、J. Am. Ceram. Soc .,
    80 (12)3157-3171(1997)に記載されているようなter-ブチルピリジンや、2−ピコリン、2,6−ルチジン等の塩基性化合物を添加することもできる。 塩基性化合物を添加する場合の好ましい濃度範囲は0.05M以上2M以下である。

    【0116】本発明では、電解質はポリマー添加、オイルゲル化剤添加、多官能モノマー類を含む重合、ポリマーの架橋反応等の手法によりゲル化(固体化)させて使用することもできる。 ポリマー添加によりゲル化させる場合は、¨Polymer Electrolyte Revi ews-1および2¨
    (JRMacCallumとCA Vincentの共編、ELSEVIER APPLI
    ED SCIENCE)に記載された化合物を使用することができるが、特にポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデンを好ましく使用することができる。 オイルゲル化剤添加によりゲル化させる場合はJ. Chem Soc. Japan, Ind.
    Chem.Sec., 46,779(1943), J. Am. Chem. Soc., 111,5
    542(1989), J. Chem. Soc., Chem. Com mun., 1993, 39
    0, Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 35,1949(1996), Che
    m. Lett.,1996, 885, J. Chm. Soc., Chem. Commun., 1
    997,545に記載されている化合物を使用することができるが、好ましい化合物は分子構造中にアミド構造を有する化合物である。

    【0117】ゲル電解質を多官能モノマー類の重合によって形成する場合、多官能モノマー類、重合開始剤、電解質、溶媒から溶液を調製し、キャスト法,塗布法,浸漬法、含浸法などの方法により色素を担持した電極上にゾル状の電解質層を形成し、その後ラジカル重合することによってゲル化させる方法が好ましい。 多官能性モノマーはエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物であることが好ましく、例えばジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、
    ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートが好ましい例として挙げられる。 ゲル電解質を構成するモノマー類はこの他に単官能モノマーを含んでいてもよく、アクリル酸またはα−
    アルキルアクリル酸(例えばメタクリル酸など)類から誘導されるエステル類もしくはアミド類(例えばN−is
    o−プロピルアクリルアミド、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、
    メチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、
    n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、
    2−メトキシエチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートなど)、ビニルエステル類(例えば酢酸ビニル)、マレイン酸またはフマル酸から誘導されるエステル類(例えばマレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジエチルなど)、マレイン酸、フマル酸、
    p−スチレンスルホン酸のナトリウム塩、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ジエン類(例えばブタジエン、シクロペンタジエン、イソプレン)、芳香族ビニル化合物(例えばスチレン、p−クロルスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム)、含窒素複素環を有するビニル化合物、4級アンモニウム塩を有するビニル化合物、
    N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、ビニリデンフルオライド、ビニリデンクロライド、ビニルアルキルエーテル類(例えばメチルビニルエーテル)、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、N−フェニルマレイミド等を好ましく使用することができる。 モノマー全量に占める多官能性モノマーの好ましい重量組成範囲は0.5重量%以上70重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.0重量%以上50
    重量%以下である。

    【0118】上述のモノマーは、大津隆行・木下雅悦共著:高分子合成の実験法(化学同人)や大津隆行:講座重合反応論1ラジカル重合(I)(化学同人)に記載された一般的な高分子合成法であるラジカル重合によって重合することができる。 本発明で使用できるゲル電解質用モノマーは、加熱、光、電子線、また電気化学的にラジカル重合することができるが、特に加熱によってラジカル重合させることが好ましい。 架橋高分子が加熱により形成される場合に好ましく使用される重合開始剤は、
    例えば、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)、
    2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などのアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキシドなどの過酸化物系開始剤等である。 重合開始剤の好ましい添加量はモノマー総量に対し0.01重量%以上2
    0重量%以下であり、さらに好ましくは0.1重量%以上10重量%以下である。

    【0119】ゲル電解質に占めるモノマー類の重量組成範囲は0.5重量%以上70重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.0重量%以上50重量%以下である。

    【0120】また、ポリマーの架橋反応により電解質をゲル化させる場合、架橋可能な反応性基を含有するポリマーおよび架橋剤を併用することが望ましい。 この場合、好ましい架橋可能な反応性基は、含窒素複素環(例えば、ピリジン環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、トリアゾール環、モルホリン環、ピペリジン環、ピペラジン環など)であり、好ましい架橋剤は、窒素原子に対して求電子反応可能な2官能以上の試薬(例えば、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アラルキル、スルホン酸エステル、酸無水物、酸クロライド、イソシアネートなど)である。

    【0121】本発明では、電解質の替わりに有機または無機あるいはこの両者を組み合わせた正孔輸送材料を使用することができる。 本発明に適用可能な有機正孔輸送材料としては、N,N'-ジフエニル-N、N'-ビス(4-メトキシフェニル)-(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン
    (J.Hagen et al.,Synthetic Metal 89(1997)215-22
    0)、2,2',7,7'-テトラキス(N,N-ジ-p-メトキシフェニルアミン)9,9'-スピロビフルオレン(Nature,Vol.395,
    8 Oct. 1998,p583-585およびWO97/10617)、1,1-ビス{4-(ジ-p-トリルアミノ)フェニル}シクロヘキサンの3級芳香族アミンユニットを連結した芳香族ジアミン化合物(特開昭59−194393号公報)、4,4,‐ビス[(N-1-ナフチル)‐N-フェニルアミノ]ビフェニルで代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族アミン(特開平5
    −234681号公報)、トリフェニルベンゼンの誘導体でスターバースト構造を有する芳香族トリアミン(米国特許第4,923,774号、特開平4−308688号公報)、N,N'-ジフエニル-N、N'-ビス(3-メチルフェニル)-(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン等の芳香族ジアミン(米国特許第4,764,625号)、α,α,α',α'-テトラメチル-α,α'-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)-p-
    キシレン(特開平3−269084号公報)、p-フェニレンジアミン誘導体、分子全体として立体的に非対称なトリフェニルアミン誘導体(特開平4−129271号公報)、ピレニル基に芳香族ジアミノ基が複数個置換した化合物(特開平4−175395号公報)、エチレン基で3級芳香族アミンユニツトを連結した芳香族ジアミン(特開平4−264189
    号公報)、スチリル構造を有する芳香族ジアミン(特開平4−290851号公報)、ベンジルフェニル化合物(特開平4−364153号公報)、フルオレン基で3級アミンを連結したもの(特開平5−25473号公報)、トリアミン化合物(特開平5−239455号公報)、ピスジピリジルアミノビフェニル(特開平5−320634号公報)、N,N,N−トリフェニルアミン誘導体(特開平6−1972号公報)、フェノキザジン構造を有する芳香族ジアミン(特開平7-138562
    号)、ジアミノフエニルフエナントリジン誘導体(特開平7-252474号)等に示される芳香族アミン類、α-オクチルチオフェンおよびα,ω-ジヘキシル-α-オクチルチオフェン(Adv.Mater. 1997,9,N0.7,p557)、ヘキサドデシルドデシチオフェン(Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1
    995, 34, No.3,p303-307)、2,8-ジヘキシルアンスラ[2,
    3-b:6,7-b']ジチオフェン(JACS,Vol120, N0.4,1998,p66
    4-672)等のオリゴチオフェン化合物、ポリピロール(K.
    Murakoshi et al.,;Chem. Lett. 1997, p471)、¨ Ha
    ndbook of Organic Conductive Molecules and Polymer
    s Vol.1,2,3,4¨(NALWA著、WILEY出版)に記載されているポリアセチレンおよびその誘導体、ポリ(p-フェニレン) およびその誘導体、ポリ( p-フェニレンビニレン) およびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリトルイジンおよびその誘導体等の導電性高分子を好ましく使用することができる。 また、有機正孔(ホール)輸送材料にはNature,Vo
    l.395, 8 Oct. 1998,p583-585に記載されているようにドーパントレベルをコントロールするためにトリス(4
    -ブロモフェニル)アミニウムヘキサクロロアンチモネートのようなカチオンラジカルを含有する化合物を添加したり、酸化物半導体表面のポテンシャル制御(空間電荷層の補償)を行うためにLi[(CF 3 SO 2 ) 2 N]のような塩を添加しても構わない。

    【0122】有機正孔輸送材料は真空蒸着法,キャスト法,塗布法,スピンコート法、浸漬法、電解重合法、光電解重合法等の手法により電極内部に導入することができる。 また、正孔輸送材料を電解液の替わりに使用するときは短絡防止のためElectorochim. Acta 40, 643-652
    (1995)に記載されているスプレーパイロリシス等の手法を用いて二酸化チタン薄層を下塗り層として塗設することが好ましい。

    【0123】無機固体化合物を電解質の替わりに使用する場合、ヨウ化銅(p-CuI)(J. Phys. D:Appl. Phys. 31
    (1998)1492-1496)、チオシアン化銅(Thin Solid Film
    s 261(1995)307-310、J. Appl. Phys. 80(8),15 Octobe
    r 1996, p4749-4754、Chem.Mater. 1998, 10, 1501-150
    9、Semicond. Sci. Technol. 10, 1689-1693)等をキャスト法,塗布法,スピンコート法、浸漬法、電解メッキ法等の手法により電極内部に導入することができる。

    【0124】電荷移動層の形成方法に関しては2通りの方法が考えられる。 1つは増感色素を担持させた半導体微粒子含有層の上に先に対極を貼り合わせておき、その間隙に液状の電荷移動層を挟み込む方法である。 もう1
    つは半導体微粒子含有層上に直接電荷移動層を付与する方法で、対極はその後付与することになる。

    【0125】前者の場合の電荷移動層の挟み込み方法として、浸漬等による毛管現象を利用する常圧プロセスと常圧より低い圧力にして気相を液相に置換する真空プロセスが利用できる。

    【0126】後者の場合、湿式の電荷移動層においては未乾燥のまま対極を付与し、エッジ部の液漏洩防止措置も施すことになる。 またゲル電解質の場合には湿式で塗布して重合等の方法により固体化する方法もあり、その場合には乾燥、固定化した後に対極を付与することもできる。 電解液のほか湿式有機正孔輸送材料やゲル電解質を付与する方法としては、半導体微粒子含有層や色素の付与と同様に、浸漬法、ローラ法、ディップ法、エアーナイフ法、エクストルージョン法、スライドホッパー法、ワーヤーバー法、スピン法、スプレー法、キャスト法、各種印刷法等が考えられる。 固体電解質や固体の正孔(ホール)輸送材料の場合には真空蒸着法やCVD法等のドライ成膜処理で電荷移動層を形成し、その後対極を付与することもできる。

    【0127】量産化を考える場合、固体化できない電解液や湿式の正孔輸送材料の場合には、塗設後速やかにエッジ部分を封止することで対応も可能であるが、固体化可能な正孔輸送材料の場合は湿式付与により正孔輸送層を膜形成した後、例えば光重合や熱ラジカル重合等の方法により固体化することがより好ましい。 このように膜付与方式は液物性や工程条件により適宜選択すればよい。

    【0128】なお、電荷移動層中の水分としては10,
    000ppm以下が好ましく、さらに好ましくは2,0
    00ppm以下であり、特に好ましくは100ppm以下である。

    【0129】対極は、光電変換素子を光電気化学電池としたとき、光電気化学電池の正極として働くものである。 対極は通常前述の導電性支持体と同様に導電性層を有する支持体を用いることもできるが、強度や密封性が十分に保たれるような構成では支持体は必ずしも必要でない。 具体的に対極に用いる導電性の材料としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、
    インジウム等)、炭素、または導電性の金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの等)が挙げられる。 対極の厚さは、特に制限はないが、3nm以上10μm以下であることが好ましい。 金属材料である場合は、その膜厚は好ましくは5μ
    m以下であり、さらに好ましくは5nm以上3μm以下の範囲である。

    【0130】感光層に光が到達するためには、前述の導電性支持体と対極の少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。 本発明の光電気化学電池においては、
    導電性支持体が透明であって太陽光を支持体側から入射させるのが好ましい。 この場合対極は光を反射する性質を有することがさらに好ましい。 本発明において対極としては金属または導電性の酸化物を蒸着したガラスまたはプラスチック、あるいは金属薄膜を使用できる。

    【0131】対極の塗設については電荷移動層の付与で記したように、電荷移動層の上に付与する場合と先に半導体微粒子含有層上に付与する場合の2通りある。 いずれの場合も、対極材の種類や電荷移動層の種類により、
    適宜、電荷移動層上または半導体微粒子含有層上に対極材を塗布、ラミネート、蒸着、貼り合わせなどの方法により形成可能である。 例えば、対極を貼り合わせる場合は、上記の導電性材料を塗布、蒸着、CVD等の手法により導電層として設けられた基板を貼り合わせることができる。 また、電荷移動層が固体の場合には、その上に直接、前述の導電性材料を塗布、メッキ、PVD、CV
    D等の手法で対極を形成することができる。

    【0132】さらに、作用電極の導電性支持体または対極に保護層、反射防止膜など、必要な他の機能の層を設けることも可能である。 このような層を多層にて機能分離させる場合、同時多層塗布や逐次で塗布することが可能であるが、生産性を優先させると同時多層塗布がより好ましい。 同時多層塗布では、生産性および膜付与均一性を考えた場合、スライドホッパー法やエクストルージョン法が適している。 また、これらの機能層はその材料により、蒸着や貼り付けなどの手法を用いて設けることもできる。

    【0133】本発明の光電気化学電池では構成物の劣化や内容物の揮散を防止するために電池の側面をポリマーや接着剤等で密封するのが好ましい。

    【0134】次に本発明の光電変換素子をいわゆる太陽電池に適用する場合のセル構造およびモジュール構造について説明する。

    【0135】色素増感型太陽電池のセル内部の構造は、
    基本的には上述した光電変換素子や光電気化学電池と同じであるが、図2または図3に示すように目的に合わせ様々な形態が可能である。 大きく二つに分ければ、両面から光の入射が可能な構造[図2(a)(d)、図3
    (g)]と、片面からのみ可能なタイプ[図2(b)
    (c)、図3(e)(f)(h)]である。

    【0136】図2(a)は、透明導電層12間に、色素吸着半導体微粒子含有層である色素吸着TiO 2層10
    と、電荷移動層11とを介在させた構造である。 図2
    (b)は、透明基板13上に一部金属リード9を設け、
    さらに透明導電層12を設け、下塗り層14、色素吸着TiO 2層10、電荷移動層11および金属層8をこの順で設け、さらに支持基板15を配置した構造である。
    図2(c)は、支持基板15上にさらに金属層8を有し、下塗り層14を介して色素吸着TiO 2層10を設け、さらに電荷移動層11と透明導電層12とを設け、
    一部に金属リード9を設けた透明基板13を、金属リード9側を内側にして配置した構造である。 図2(d)
    は、透明基板13上に一部金属リード9を設け、さらに透明導電層12を設けたものの間に下塗り層14と色素吸着TiO 2層10と電荷移動層11とを介在させた構造である。 図3(e)は、透明基板13上に透明導電層12を有し、下塗り層14を介して色素吸着TiO 2層10を設け、さらに電荷移動層11および金属層8を設け、この上に支持基板15を配置した構造である。 図3
    (f)は、支持基板15上に金属層8を有し、下塗り層14を介して色素吸着TiO 2層10を設け、さらに電荷移動層11および透明導電層12を設け、この上に透明基板13を配置した構造である。 図3(g)は、透明導電層12を有する透明基板13間に、透明導電性層1
    2を内側にして、下塗り層14、色素吸着TiO 2層1
    0および電荷移動層11を介在させた構造である。 図3
    (h)は、支持基板15上に金属層8を設け、下塗り層14を介して色素吸着TiO 2層10を設け、さらに固体の電荷移動層16を設け、この上に一部金属層8または金属リード9を有する構造である。

    【0137】本発明の色素増感型太陽電池のモジュール構造は、従来の太陽電池モジュールと基本的には同様の構造をとりうる。 一般的には、金属・セラミック等の支持基板の上にセルが構成され、その上を充填樹脂や保護ガラス等で覆い、支持基板の反対側から光を取り込む構造とすることができるが、支持基板に強化ガラス等の透明材料を用い、その上にセルを構成してその透明の支持基板側から光を取り込むことも可能である。 具体的には、スーパーストレートタイプ、サブストレートタイプ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュール構造あるいはアモルファスシリコン太陽電池などで用いられる基板一体型などのモジュール構造が可能である。 これらのモジュール構造は使用目的や使用場所(環境)により適宜選択できる。 本発明の素子を基板一体型でモジュール化した例を図4に示す。

    【0138】図4の構造は、透明基板13の一方の面上に透明導電層12を有し、この上にさらに色素吸着Ti
    2層10、固体の電荷移動層16および金属層8を設けたセルをモジュール化したものであり、透明基板13
    の他方の面には反射防止層17が設けられている。 この場合、入射光の利用効率を高めるために、感光部である色素吸着TiO 2層10の面積比率(光の入射面である透明基板13側から見たときの面積比率)を大きくした方が好ましい。

    【0139】スーパーストレートタイプやサブストレートタイプの代表的な構造は、片側または両側が透明で反射防止処理を施された支持基板の間に、一定間隔にセルが配置され、隣り合うセル間が金属リードまたはフレキシブル配線等によって接続されており、外縁部に集電電極を配置して、発生した電力を外部に取り出す構造になっている。 基板とセルの間には、セルの保護や集電効率アップのため、目的に応じ、エチレンビニルアセテート(EVA)等様々な種類のプラスチック材料をフイルムまたは充填樹脂の形で用いることができる。 また、外部からの衝撃が少ないところなど表面を硬い素材で覆う必要のない場所に使う場合には、表面保護層を透明プラスチックフイルムで構成したり、または、上記充填・封止材料を硬化させることによって保護機能を付与し、片側の支持基板をなくすことも可能である。 支持基板の周囲は、内部の密封およびモジュールの剛性確保のため、金属製のフレームでサンドイッチ状に固定し、支持基板とフレームの間は封止材で密封シールする。

    【0140】また、セルそのものや支持基板、充填材および封止部材に可撓性の素材を用いれば、曲面の上に太陽電池を構成することもできる。 このように、使用目的や使用環境に合わせて様々な形状・機能を持つ太陽電池を製作することができる。

    【0141】スーパーストレートタイプの太陽電池モジュールは、例えば、基板供給装置から送り出されたフロント基板をベルトコンベヤ等で搬送しながら、その上にセルを封止材・セル間接続用リード線・背面封止材等と共に順次積層した後、背面基板または背面カバーを乗せ、外縁部にフレームをセットして作ることができる。

    【0142】一方、サブストレートタイプの場合、基板供給装置から送り出された支持基板をベルトコンベヤ等で搬送しながら、その上にセルをセル間接続用リード線・封止材等と共に順次積層した後、フロントカバーを乗せ、周縁部にフレームをセットして作製することができる。

    【0143】図4に示した構造のモジュールは、支持基板上に透明電極・感光層・電荷移動層・裏面電極等が立体的かつ一定間隔で配列されるように、選択メッキ・選択エッチング・CVD・PVDといった半導体プロセス技術、あるいはパターン塗布または広幅で塗布した後にレーザースクライビングやプラズマCVM(Solar Ener
    gy Materials and Solar Cells, 48, p373-381等に記載)または研削等の機械的手法などの方法でパターニングすることができ、これらにより所望のモジュール構造を得ることができる。

    【0144】以下にその他の部材や工程について詳述する。 封止材料としては、液状のEVA(エチレンビニルアセテート)やフッ化ビニリデン共重合体とアクリル樹脂の混合物、フイルム状のEVA等、耐候性付与・電気絶縁性付与・集光効率向上・セル保護性(耐衝撃性)向上等の目的に応じ様々な素材が使用可能である。

    【0145】これらを、セル上に固定する方法としては、封止材の物性に合わせ、フイルム状の素材ではロール加圧後加熱密着や真空加圧後加熱密着、液またはペースト状の材料ではロールコート、バーコート、スプレーコート、スクリーン印刷等の様々な方法がある。

    【0146】また、透明フィラーを封止材に混入して強度を上げたり、光透過率を上げることができる。

    【0147】モジュール外縁と周縁を囲むフレームとの間は、耐候性・防湿性が高い樹脂を使って封止するとよい。

    【0148】支持基板としてPET・PEN等の可撓性素材を用いる場合は、ロール状の支持体を繰り出してその上にセルを構成した後、上記の方法で連続して封止層を積層することができ、生産性の高い工程を造ることができる。

    【0149】発電効率を上げるため、モジュールの光取り込み側の基板(一般的には強化ガラス)の表面には反射防止処理が施される。 これには、反射防止膜をラミネートする方法、反射防止層をコーティングする方法がある。

    【0150】また、セルの表面をグルービングまたはテクスチャリング等の方法で処理することによって入射した光の利用効率を高めることが可能である。

    【0151】発電効率を上げるためには、光を損失なくモジュール内に取り込むことが最重要だが、光電変換層を透過してその内側まで到達した光を反射させて光電変換層側に効率良く戻すことも重要である。 このためには、支持基板面を鏡面研磨した後、AgやAl等を蒸着またはメッキする方法、セルの最下層にAl−MgまたはAl−Tiなどの合金層を反射層として設ける方法、
    あるいは、アニール処理によって最下層にテクスチャー構造を作り反射率を高める方法等がある。

    【0152】発電効率を上げるためには、セル間接続抵抗を小さくすることが、内部電圧降下を抑える意味で重要である。

    【0153】ワイヤーボンディングや導電性のフレキシブルシートで接続するのが一般的だが、導電性粘着テープや導電性接着剤を使ってセルの固定機能と電気的な接続機能を兼ねる方法、導電性ホットメルトを所望の位置にパターン塗布する方法等が有る。

    【0154】ポリマーフィルムなどのフレキシブル支持体を使った太陽電池では、ロール状の支持体を送り出しながら半導体の塗設の説明で示した方法によって、順次、セルを形成・所望のサイズに切断した後、周縁部をフレキシブルで防湿性のある素材でシールして、電池本体を作製できる。 また、Solar Energy Materials andSo
    lar Cells, 48, p383-391記載の「SCAF」とよばれるモジュール構造とすることもできる。

    【0155】フレキシブル支持体の太陽電池では、更にこれを曲面ガラス等に接着固定して使用することもできる。

    【0156】

    【実施例】以下、本発明を比較例とともに示す実施例によって具体的に説明する。 実施例および比較例で用いた色素は下記に示す通りである。

    【0157】

    【化34】

    【0158】[実施例1] 1. 二酸化チタン分散液の調製 内側をテフロンコーティングした内容積200mlのステンレス製ベッセルに二酸化チタン(日本アエロジル社
    Degussa P−25)15g、水45g、分散剤(アルドリッチ社製、Triton X−100)1
    g、直径0.5mmのジルコニアビーズ(ニッカトー社製)30gを入れ、サンドグラインダーミル(アイメックス社製)を用いて1500rpmにて2時間分散した。 分散物からジルコニアビーズをろ過して除いた。 この場合の二酸化チタンの平均粒径は2.5μmであった。 このときの粒径はMALVERN社製マスターサイザーにて測定したものである。

    【0159】2. 色素を吸着したTiO 2電極の作製 フッ素をドープした酸化スズをコーティングした導電性ガラス(旭硝子製TCOガラス-Uを20mm×20mmの大きさに切断加工したもの)の導電面側にガラス棒を用いて上記の分散液を塗布した。 この際、導電面側の一部(端から3mm)に粘着テープを張ってスペーサーとし、
    粘着テープが両端に来るようにガラスを並べて一度に8
    枚ずつ塗布した。 塗布後、粘着テープを剥離し、室温で1日間風乾した。 次に、このガラスを電気炉(ヤマト科学製マッフル炉FP−32型)に入れ、450℃にて3
    0分間焼成し、TiO 2電極を得た。 この電極を用い次のニつの方法で色素吸着電極を作製した。 (方法1)この電極を取り出し冷却した後、色素と本発明のエステル化合物をDMSO/エタノール(体積比2.5/97.5)に溶かした溶液(色素:1×10 -4
    モル/リットル)に15時間浸漬した。 (方法2)この電極を取り出し冷却した後、色素をDM
    SO/エタノール(体積比2.5/97.5)に溶かした溶液(色素:1×10 -4モル/リットル)に15時間浸漬した。 その後、DMSO/エタノール(体積比2.
    5/97.5)に本発明のエステル化合物(10mM)
    を添加した溶液中に浸漬した。 この後、色素の染着したTiO 2電極を4−tert−ブチルピリジンに15分間浸漬した後、エタノールで洗浄し自然乾燥させた。 このようにして得られる感光層の厚さは10μmであり、半導体微粒子の塗布量は20g/m 2とした。 なお、導電性ガラスの表面抵抗は約30Ω/□であった。 作製した電極に用いた色素、エステル化合物、添加方法および添加量(方法1の場合は色素に対するモル比で表す)の組合せを表1に示す。 また、エステル化合物を用いないこと以外は実施例と同様にして表1に示す比較電池1および2を作製した。

    【0160】3. 光電気化学電池作製 上述のようにして作製した色増感されたTiO 2電極基板(2cm×2cm)をこれと同じ大きさの白金蒸着ガラスと重ね合わせた。 次に、両ガラスの隙間に毛細管現象を利用して電解液(メトキシプロピオニトリルに電解質として1-メチル-3-ヘキシルイミダゾリウムのヨウ素塩0.65モル/リットルおよびヨウ素0.05モル/リットルを加えたもの)をしみこませ、TiO 2電極中に導入し、光電気化学電池を得た。 本実施例により、図1
    に示したとおり、導電性ガラス1(ガラス上に導電剤層2が設層されたもの)、TiO 2層3、色素層4、電解液5、白金層6およびガラス7を順に積層しエポキシ系封止剤で封止された光電気化学電池が作製された。

    【0161】4. 光電変換効率の測定 本発明の光電変換素子の光電変換能として光電変換効率を次のようにして測定した。 500Wのキセノンランプ(ウシオ製)の光を分光フィルター(Oriel社製A
    M1.5)およびシャープカットフィルター(Kenko
    L−42)を通すことにより紫外線を含まない模擬太陽光を発生させた。 この光の強度は86mW/cm 2であった。 作製した光電気化学電池に模擬太陽光を照射し、
    発生した電気を電流電圧測定装置(ケースレーSMU23
    8型)にて測定した。 これにより求められた光電気化学電池の変換効率(η)を表1に記載した。

    【0162】

    【表1】

    【0163】

    【発明の効果】本発明により、光電変換効率の優れた光電変換素子および光電気化学電池が得られた。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】実施例で作成した光電気化学電池の構成を示す断面図である。

    【図2】光電気化学電池の基本的な構成例を示す断面図である。

    【図3】光電気化学電池の基本的な構成例を示す断面図である。

    【図4】基板一体型のモジュール構成例を示す断面図である。

    【符号の説明】

    1 導電性ガラス 2 導電剤層 3 TiO 2層 4 色素層 5 電解液 6 白金層 7 ガラス 8 金属層 9 金属リード 10 色素吸着TiO 2層 11 電荷移動層 12 透明導電層 13 透明基板 14 下塗り層 15 支持基板 16 固体の電荷移動層 17 反射防止層

    フロントページの続き (72)発明者 岡崎 正樹 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 Fターム(参考) 5F051 AA14 5H032 AA06 AS16 BB00 BB05 EE02 EE16 EE17 HH00 HH01

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