专利汇可以提供Organic electron function material and method for utilizing the same专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PROBLEM TO BE SOLVED: To provide an organic electron function material having a photo-electron conversion function, oxidized and reduced, forming an amorphous film by itself, and also having high glass transition temperature and high stability.
SOLUTION: The organic electron function material is made of a kind of tris-(arylamino)benzene expressed by the formula (1), of which, deviation of 50 times of peak current of a cyclic curve at a sweeping speed of 20 mV/sec. at cyclic voltammetry is within ±10% of the mean value of a peak current. The organic electron material has a structure formed by substituting a stable substituent like an alkyl group or cycloalkyl group, for a chemical active point of a terminal end of each aryl group in the arylamino group, preferably carbon atom at para-position of phenyl group.
COPYRIGHT: (C)2005,JPO&NCIPI,下面是Organic electron function material and method for utilizing the same专利的具体信息内容。
本発明は有機電子機能材料とその利用に関し、詳しくは、特に、トリス(アリールアミノ)ベンゼン類からなり、繰り返しの酸化還元の安定性にすぐれ、従って、例えば、正孔輸送剤として好適に用いることができる有機電子機能材料と、その利用、例えば、そのような有機電子機能材料からなる上記正孔輸送剤と、更には、その正孔輸送剤からなる正孔輸送層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
近年、光・電子変換機能と可逆的な酸化還元機能を有し、それ自体でアモルファス膜を形成し得る有機化合物を電子機能材料、例えば、正孔輸送剤として用いた発光素子や半導体等の種々の電子デバイスが注目を集めている。 このような有機化合物からなるアモルファス膜を得るには、ポリカーボネートのようなバインダー樹脂と当該有機化合物を有機溶剤に溶解し、塗布、乾燥して、アモルファス膜を形成する方法や(特許文献1参照)、また、常温でそれ自体でアモルファス膜を形成し得る所謂「スターバースト」分子と呼ばれる多核芳香族第3級アミン類の場合には、これを基板上に蒸着させて、アモルファス膜を形成する方法等が知られている(特許文献2参照)。
このような方法のうち、バインダー樹脂を用いる方法によれば、形成されたアモルファス膜において、当該有機化合物がバインダー樹脂によって希釈されていると共に、その影響を受けるので、本来の電子機能材料の機能を十分に発揮することができない。 また、バインダー樹脂の助けを借りて、常温で安定なアモルファス膜を形成できても、その低分子量有機化合物自体、ガラス転移温度が低く、耐熱性に劣り、アモルファス膜の安定性や寿命において問題がある。
このような事情の下、前述したように、上記「スターバースト」分子と呼ばれる多核芳香族第3級アミン類は、常温でそれ自体でアモルファス膜を形成することができるので、有機電子機能材料として、注目されている。 この「スターバースト」分子は、その分子構造から三つの群、即ち、トリフェニルアミン骨格のもの(トリフェニルアミン類)、トリアミノベンゼン骨格のもの(トリアミノベンゼン類)及びトリフェニルベンゼン骨格のもの(トリフェニルベンゼン類)に大別される。
トリフェニルアミン類としては、4,4',4”−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(TDATA)や4,4',4”−トリス(N−フェニル−N−m−トリルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)(特許文献3参照)が知られており、更に、4,4',4”−トリス(N−(2−ナフチル)−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATA)等も知られている(特許文献2参照)。これらのトリフェニルアミン類は、酸化還元が可逆的であり、アモルファス膜を蒸着法によって形成することができるが、TDATAやm−MTDATAは耐熱性に難があり、TNATAは110℃前後のガラス転移温度を有するので、耐熱性にはすぐれるものの、結晶化しやすいので、アモルファス膜の安定性に問題がある。
トリフェニルベンゼン類としては、1,3,5−トリス(4−N,N−ジフェニルアミノフェニル)ベンゼン(TDAPB)や1,3,5−トリス(4−(N−トリル−N−フェニルアミノフェニル)ベンゼン(MTDAPB)が知られている(非特許文献1参照)。これらトリフェニルベンゼン類は、アモルファス膜を形成し、0.6〜0.7Vの酸化電位を有するが、酸化還元が不可逆であるので、正孔輸送剤のような電子機能材料としての実用性に乏しい。他方、トリアミノベンゼン類としては、1,3,5−トリス(N−メチルフェニル−N−フェニルアミノ)ベンゼン(MTDAB)が知られている。これらの酸化電位は0.6〜0.7Vであるが、酸化還元が不可逆であるので、同様に、有機電子機能材料としての実用性に乏しい。
更に、本発明者らは、酸化還元が可逆的であり、酸化電位が0.5〜0.7Vの範囲にあり、耐熱性にすぐれ、蒸着によりアモルファス膜を形成できる有機化合物として、1,3,5−トリス(N−(p−メチルフェニル)−N−(1−ナフチル))アミノベンゼン(p−MTPNAB)や1,3,5−トリス(N−(p−メチルフェニル)−N−(4−ビフェニル)アミノ)ベンゼン(p−MTPBAB)(特願2003−079441)を提案している。
これらのp−MTPNABやp−MTPBABは、酸化還元が可逆的であって、酸化電位も高く、ガラス転移点もそれぞれ87℃及び98℃と高いが、酸化還元を繰り返したときに、酸化曲線のピークにおける電流が低下する傾向があるので、有機電子機能材料としての性能の安定性や耐久性が十分でない虞がある。
他方、ビフェニル骨格を有する多核芳香族第3級アミン類からなる正孔輸送剤も、従来より知られている。 そのような多核芳香族第3級アミン類として、例えば、4,4'−ビス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(TPD)や(特許文献4参照)、4,4'−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(α−NPD)等が知られているが(例えば、特許文献5参照)、これらを正孔輸送剤とする有機エレクトロルミネッセンス素子は、これを作動させるために高い駆動電圧を必要とする。
「バンドー・テクニカル・レポート」、第2号、第9〜18頁(1998年)
本発明は、有機電子機能材料における上述した問題を解決するためになされたものであって、光・電子変換機能を有し、酸化還元が可逆的であって、それ自体でアモルファス膜を形成することができ、ガラス転移温度が高いうえに、繰返しの酸化還元においても、ピーク電流値の変化が少なく、従って、安定性にすぐれた有機電子機能材料を提供することを目的とする。
本発明によれば、一般式(I)
(式中、A及びBは一般式(II)
(式中、Rは炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数5又は6のシクロアルキル基を示し、nは0、1、2又は3である。)
で表される基であり、同じであっても、異なっていてもよい。 )
で表されるトリス(アリールアミノ)ベンゼン類からなり、サイクリックボルタングラムにおいて、掃引速度20mV/秒での50回のサイクリック曲線のピーク電流の偏差がピーク電流の平均値の±10%以内であることを特徴とする有機電子機能材料が提供される。
更に、本発明によれば、上記有機電子機能材料からなる正孔輸送剤と、このような正孔輸送剤を含む正孔輸送層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子が提供される。
本発明による有機電子機能材料は、上記一般式(I)で表されるトリス(アリールアミノ)ベンゼン類からなり、可逆的な酸化還元性を有し、酸化電位が高く、ガラス転移点が高く、しかも、蒸着等によって、それ自体で常温で安定なアモルファス膜を形成するうえに、特に、酸化還元の可逆性を示すサイクリックボルタングラムにおいて、掃引速度20mV/秒での50回のサイクリック曲線のピーク電流の偏差がピーク電流の平均値の±10%以内、好ましい態様によれば、±5%以内であって、酸化還元の可逆性にすぐれるので、繰返しの酸化還元においても、ピーク電流の変化が少く、初期性能を長く維持することができ、かくして、種々の電子デバイス、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子において、正孔輸送剤のような有機電子機能材料として好適に用いることができる。
本発明による有機電子機能材料は、一般式(I)
(式中、A及びBは一般式(II)
(式中、Rは炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数5又は6のシクロアルキル基を示し、nは0、1、2又は3である。)
で表される基であり、同じであっても、異なっていてもよい。 )
で表されるトリス(アリールアミノ)ベンゼン類からなる。
従って、上記一般式(I)で表されるトリス(アリールアミノ)ベンゼン類において、基A及びBは上記アルキル基又はシクロアルキル基を有するフェニル基、末端のフェニル基に上記アルキル基又はシクロアルキル基を有するビフェニリル基、末端のフェニル基に上記アルキル基又はシクロアルキル基を有するテル(ter)フェニリル基又は末端のフェニル基に上記アルキル基又はシクロアルキル基を有するクァテル(quater) フェニリル基であって、基A及びBは相互に同じであってもよく、また、相互に異なっていてもよい。
特に、本発明によれば、上記一般式(I)で表されるトリス(アリールアミノ)ベンゼン類は、基Aが末端のフェニル基のパラ位に上記アルキル基又はシクロアルキル基を有するビフェニリル基であり、基Bがパラ位に上記アルキル基又はシクロアルキル基を有するフェニル基であるものが好ましく、このようなトリス(アリールアミノ)ベンゼン類からなる有機電子機能材料は、酸化還元の可逆性、酸化電位及び耐熱性の点でバランスにすぐれている。
本発明において、上記アルキル基は、例えば、メチル、プロピル、ブチル、ペンチル又はヘキシル基であり、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。 また、シクロアルキル基はシクロペンチル又はシクロヘキシル基である。
このようなトリス(アリールアミノ)ベンゼン類のなかでも、本発明によれば、次式(IV)
で表される1,3,5−トリス(N−(4'−メチル−4−ビフェニリル)−N−(p−トリル)アミノ)ベンゼンからなる有機電子機能材料が繰り返しの酸化還元に対する安定性にすぐれているので、種々の電子デバイスにおいて、正孔輸送剤として好適に用いることができる。
このような1,3,5−トリス(N−(4'−メチル−4−ビフェニリル)−N−(p−トリル)アミノ)ベンゼンは、次のスキームに示すように、例えば、1,3,5−トリス(p−トリル)アミノベンゼン(V)と4−ヨード−4'−メチルビフェニル(VI)とを反応させることによって得ることができる。
本発明による有機電子機能材料は、このように、トリス(アリールアミノ)ベンゼン類において、それぞれのアリールアミノ基におけるそれぞれのアリール基の末端の化学的な活性点、好ましくは、フェニル基のパラ位の炭素原子を上記アルキル基又はシクロアルキル等のような安定な置換基で置換し、いわば、キャップすることによって、「スターバースト」分子の一つであるトリス(アリールアミノ)ベンゼン類の酸化還元性、高い酸化電位、高いガラス転移点を確保したうえに、繰返しの酸化還元に耐久性を付与し、かくして、繰り返しの酸化還元において、ピーク電流の変化を少なくすることに成功したものであり、種々の電子デバイスにおいて、安定で耐久性のある有機電子機能材料として好適に用いることができる。
有機エレクトロルミネッセンス素子は、低電圧直流駆動、高効率、高輝度を有し、また、薄型化できるので、バックライトや照明装置のほか、ディスプレイ装置として、近年、その実用化が進められている。
この有機エレクトロルミネッセンス素子は、一例を図1に示すように、例えば、ガラスからなる透明基板1上にITO膜(酸化インジウム−酸化スズ膜)のような透明電極からなる陽極2が密着して積層、支持されており、この透明電極上に正孔注入層3a、正孔輸送層3、発光層4及び金属又はその化合物からなる陰極5がこの順序で積層されてなるものである。 上記陽極と陰極は外部の電源6に接続されている。 場合によっては、正孔注入層3aは省略されてもよく、また、発光層と陰極との間に電子輸送層を積層してもよく、また、陽極と正孔輸送層との間に導電性高分子層(バッファー層)を積層してもよい。 このほかにも、種々の構成とした有機エレクトロルミネッセンス素子が知られている。
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子は、前述した一般式(I)で表されるトリス(アリールアミノ)ベンゼン類を正孔輸送剤とする正孔輸送層を有する点に特徴を有するものであって、その積層構造は、特に、限定されるものではない。 正孔輸送層の膜厚は、通常、10〜200nm程度である。
上述したような積層構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子においては、上記正孔輸送層は、陽極に密着していて、この陽極から正孔を発光層に輸送すると共に、電子をブロックし、他方、電子輸送層は、陰極に密着していて、この陰極から電子を発光層に輸送し、そこで、発光層において、陰極から注入した電子と陽極から発光層に注入した正孔とが再結合するときに発光が生じ、これが透明電極(陽極)と透明基板を通して外部に放射される。
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子においては、上記正孔輸送層以外の層、即ち、透明基板、陽極、発光層、電子輸送層及び陰極は、従来より知られているものが適宜に用いられる。 従って、陽極としては、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO)や酸化スズ−酸化インジウム等からなる透明電極が用いられ、陰極には、アルミニウム、マグネシウム、インジウム、銀等の単体金属やこれらの合金、例えば、Al−Mg合金、Ag−Mg合金等や、金属化合物からなる電極が用いられ、透明基板としては、通常、ガラス基板が用いられる。
発光層には、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq 3 )が用いられ、その膜厚は、通常、10〜200nmの範囲である。 また、電子輸送層の膜厚も、通常、10〜200nmの範囲であり、導電性高分子層を含むときは、その膜厚も、通常、10〜200nmの範囲である。
本発明による有機電子機能材料を正孔輸送剤として用いる場合、陽極と正孔輸送層との間のエネルギーギャップを小さくして、陽極から正孔輸送層への正孔の輸送を容易にするため、従来より知られている銅フタロシアニン(CuPC)を正孔注入剤として用いてなる正孔注入層を陽極と正孔輸送層との間に設けてもよい。
更に、本発明による有機電子機能材料は、これを正孔輸送剤として用いると共に、一般式(III)
(式中、X及びYはアリール基であり、同じであっても、異なっていてもよい。)
で表されるトリス(4−(N.N−ジアリールアミノ)フェニル)アミン類と併用することによって、より低い駆動電圧によって高い輝度を示す有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。 即ち、本発明によれば、有機エレクトロルミネッセンス素子において、上記一般式(III)で表されるトリス(4−(N.N−ジアリールアミノ)フェニル)アミン類を正孔注入剤とする正孔注入層と本発明による有機電子機能材料を正孔輸送剤とする正孔輸送層を積層することによって、得られる有機エレクトロルミネッセンス素子の電圧−輝度特性を更に改善することができる。
また、必要に応じて、本発明によれば、有機エレクトロルミネッセンス素子において、上記一般式(III)で表されるトリス(4−(N.N−ジアリールアミノ)フェニル)アミン類と本発明による有機電子機能材料との均一な混合物を正孔輸送剤とする正孔輸送層を形成してもよい。
上記一般式(III)で表されるトリス(4−(N.N−ジアリールアミノ)フェニル)
アミン類において、X及びYはアリール基であって、相互に同じでも、異なっていてもよく、そのようなアリール基の具体例として、例えば、フェニル基、o−、m−又はp−トリル基、1−又は2−ナフチル基、4−p−ビフェニリル基、4−p−テルフェニリル基等を挙げることができる。
従って、上記トリス(4−(N.N−ジアリールアミノ)フェニル)アミン類の具体例として、前述したように、例えば、4,4',4”−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(TDATA)、4,4',4”−トリス(N−フェニル−N−m−トリルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、4,4',4”−トリス(N−(2−ナフチル)−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATA)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1
(1,3,5−トリス(p−トリル)アミノベンゼンの調製)
フロログルシノール11.8g、p−トルイジン50g及びヨウ素0.5gを300mL容量三つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下に150℃で加熱攪拌して反応させた。 反応終了後、得られた反応混合物をメタノール、ヘキサン、メタノールの順で洗浄し、乾燥させて、やや赤みがかった固体として、目的とする1,3,5−トリス(p−トリル)アミノベンゼン31.9gを得た。 収率は86.5%であった。
(1,3,5−トリス(N−(4'−メチル−4−ビフェニリル)−N−(p−トリル)アミノ)ベンゼン(p−MBTAB)の調製)
1,3,5−トリス(p−トリル)アミノベンゼン2.0g、4−ヨード−4'−メチルビフェニル7.0g、炭酸カリウム6.9g、銅粉1g及び18−クラウン−6(1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン)0.7gを反応溶剤メシチレン15mLと共に100mL容量ガラスフラスコに仕込み、窒素雰囲気下に170℃で15時間反応させた。 反応終了後、得られた反応混合物をトルエン抽出し、このトルエン溶液をシリカゲルクロマトグラフィーに付して、反応生成物を分取した。 この反応生成物を再結晶で精製した後、昇華精製して、目的とする1,3,5−トリス(N−(4'−メチル−4−ビフェニリル)−N−(p−トリル)アミノ)ベンゼン(p−MBTAB)を得た。 収率は15.6%であった。
元素分析値(%):
C H N
計算値 88.89 6.40 4.71
測定値 88.69 6.55 4.76
質量分析:892(M + )
示差走査熱量測定(DSC)
試料として、p−MBTAB約5mgを秤量し、示差走査熱量測定装置中で一度融解させた後、50℃/分の速度で室温まで冷却したが、試料は結晶化せず、アモルファスなガラス状となった。 次に、アルミニウム板を参照として、昇温速度5℃/分で熱特性を測定した。 DSCチャートを図2に示すように、ガラス転移点(Tg)は103.4℃、結晶化温度(Tc)は138.7℃と180.1℃であり、融点は277.9℃であった。
サイクリックボルタンメトリー(CV):
p−MBTABをジクロロメタンに溶解させて、10 -3 M濃度に調整した。 支持電解質として(n−C 4 H 9 ) 4 NClO 4 (0.1M)を用い、参照電極としてAg/Ag +を用いて、スキャン速度20mV/秒にて酸化還元特性を測定した。 図3に示すように、酸化曲線のピーク電位と還元曲線のピーク電位の平均値として定義される酸化電位は0.49V(vs Ag/Ag + )であり、50回の繰返し測定において、酸化還元に可逆性を有し、しかも、酸化曲線ピーク電流の平均値が2.565×10 -6 A、最大値が2.596×10 -6 A、最小値が2.533×10 -6 Aであり、偏差は僅かに±1.21%で安定しており、繰返し酸化還元による性能低下が極めて少ないことが確認された。
比較例1
(1,3,5−トリス(1−ナフチル)アミノベンゼンの調製)
フロログルシノール4.4g、1−ナフチルアミン25g及びヨウ素0.5gを100mL容量三つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下に140℃で4時間加熱攪拌して、反応させた。 反応終了後,得られた反応混合物をメタノール、ヘキサン、メタノールの順で洗浄し、乾燥させて、やや赤みがかった固体として、目的とする1,3,5−トリス(1−ナフチル)アミノベンゼン4.4gを得た。 収率は25%であった。
(1,3,5−トリス(N−(4−ビフェニリル)−N−(1−ナフチル)アミノ)ベンゼン(TBNAB)の調製)
1,3,5−トリス(1−ナフチル)アミノベンゼン2.0g、4−ヨードビフェニル5.0g、炭酸カリウム3.7g、銅粉2g及び18−クラウン−6(1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン)0.3gを反応溶剤メシチレン10mLと共に100mL容量ガラスフラスコに仕込み、窒素雰囲気下に170℃で17時間反応させた。 反応終了後、得られた反応混合物をトルエン抽出し、このトルエン溶液をシリカゲルクロマトグラフィーに付して、反応生成物を分取した。 この反応生成物をトルエン/ヘキサン混合溶媒から再結晶、乾燥し、更に、昇華精製して、目的とする1,3,5−トリス(N−(4−ビフェニリル)−N−(1−ナフチル)アミノ)ベンゼン(TBNAB)1.2gを得た。 収率は32%であった。
元素分析値(%):
C H N
計算値 90.25 5.36 4.39
測定値 89.96 5.44 4.32
質量分析:957(M + )
示差走査熱量測定(DSC)
試料として、TBNAB約5mgを秤量し、示差走査熱量測定装置中で一度融解させた後、50℃/分の速度で室温まで冷却したが、試料は結晶化せず、アモルファスなガラス状となった。 次に、アルミニウム板を参照として、昇温速度5℃/分で熱特性を測定した。 DSCチャートを図4に示すように、ガラス転移点(Tg)は130℃、結晶化温度(Tc)は204℃、融点(Tm)は271℃であった。
サイクリックボルタンメトリー(CV):
TBNABをジクロロメタンに溶解させて、実施例1と同様にして、酸化還元特性を測定した。 図5に示すように、酸化電位は0.6V(vs Ag/Ag + )であり、50回の繰返し測定において、酸化還元に可逆性を有するが、酸化曲線ピーク電流の平均値が4.257×10 -4 A、最大値が4.687×10 -4 A、最小値が3.816×10 -4 Aであって、偏差は±10.1%と大きいものであった。
実施例2
片面にITOコーティングした板ガラス(山容真空(株)製)をアセトンを用いる超音波洗浄とメタノールを用いる蒸気洗浄を施した後、低圧水銀灯を用いて、紫外線を10分間照射した。 この後、直ちに、上記ITOコーティング上にそれぞれ真空蒸着装置を用いて、銅フタロシアニン(CuPC)を蒸着して、厚み20nmの正孔注入層を形成した後、その上にp−MBTABを蒸着して、厚み40nmの正孔輸送層を形成した。 次いで、この正孔輸送層の上にトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq 3 ) からなる厚み75nmの発光層を形成し、更に、その上に厚み0.5nmのフッ化リチウム層と厚み100nmのアルミニウム層を順次に蒸着積層して、陰極を形成し、かくして、有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。
この有機エレクトロルミネッセンス素子の電極間に電圧を印加したときの初期の輝度1000cd/m 2を100%として、その後の輝度の時間変化を調べた。 結果を図6に示す。 また、この有機エレクトロルミネッセンス素子の電極間に電圧を印加して、電圧−輝度特性を調べた。 結果を図7に示す。
比較例2
実施例2において、p−MBTABに代えて、1,3,5−トリス(p−N−フェニル−N−m−トリル)アミノフェニル)ベンゼン(m−MTDAPB)を用いた以外は、同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。 この有機エレクトロルミネッセンス素子の電極間に電圧を印加したときの初期の輝度1000cd/m 2を100%として、その後の輝度の時間変化を調べた。 結果を図6に示す。
結果を図6に示すように、本発明によるp−MBTABを正孔輸送剤とする正孔輸送層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子は、比較のためのm−MTDAPBを正孔輸送剤とする正孔輸送層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子に比べて、寿命特性にすぐれる。
実施例3
片面にITOコーティングした板ガラス(山容真空(株)製)をアセトンを用いる超音波洗浄とメタノールを用いる蒸気洗浄を施した後、低圧水銀灯を用いて、紫外線を10分間照射した。 この後、直ちに、上記ITOコーティング上にそれぞれ真空蒸着装置を用いて、4,4',4”−トリス(N−(2−ナフチル)−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATA)を蒸着して、厚み50nmの正孔注入層を形成した後、その上にp−MBTABを蒸着して、厚み10nmの正孔輸送層を形成した。次いで、この正孔輸送層の上にトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq 3 ) からなる厚み75nmの発光層を形成し、更に、その上に厚み0.5nmのフッ化リチウム層と厚み100nmのAl層を順次に蒸着積層して、陰極を形成し、かくして、有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。
この有機エレクトロルミネッセンス素子の電極間に電圧を印加して、電圧−輝度特性を調べた。 結果を図7に示す。
比較例3
実施例3において、p−MBTABに代えて、4,4'−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(α−NPD)を用いた以外は、同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。 この有機エレクトロルミネッセンス素子の電極間に電圧を印加して、電圧−輝度特性を調べた。 結果を図7に示す。
比較例4
実施例3において、2−TNATAに代えて、銅フタロシアニン(CuPC)からなる厚み20nmの正孔注入層を形成し、その上にp−MBTABに代えて、α−NPDからなる厚み40nmの正孔輸送層を形成した以外は、同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。 この有機エレクトロルミネッセンス素子の電極間に電圧を印加して、この有機エレクトロルミネッセンス素子における電圧−輝度特性を調べた。 結果を図7に示す。
図7の結果から明らかなように、本発明によるp−MBTABを正孔輸送剤とする正孔輸送層と従来より知られている正孔注入剤からなる正孔注入層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子(実施例2及び3)は、従来より知られている正孔輸送剤からなる正孔輸送層と従来より知られている正孔注入剤からなる正孔注入層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子(比較例3及び4)に比べて、印加電圧を同じとするとき、より高い輝度を有する。
本発明による有機電子機能材料は、それ自体で安定なアモルファス膜を形成し、0.5〜0.7Vの範囲の酸化電位を有し、ガラス転移温度が高いうえに、繰返しの酸化還元の安定性にすぐれており、従って、半導体、表示素子等の種々の電子デバイスにおいて、正孔輸送剤のような有機電子機能材料として好適に用いることができる。
1…透明基板2…陽極(透明電極)
3a…正孔注入層3…正孔輸送層4…発光層5…陰極6…電源
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