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量子計算機及び量子計算方法

阅读:1013发布:2020-06-19

专利汇可以提供量子計算機及び量子計算方法专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且【課題】 高効率に量子ゲートを実行することができる量子計算機を提供する。 【解決手段】 一実施形態に係る量子計算機は、複数の第1の物理系と、第2の物理系と、 光源 部と、を備える。第1の物理系は、共振器の中に配置され、量子ビットに用いる2つの準位を含む3つ以上の準位を有し、前記共振器の共通の共振器モードに結合する遷移を有する。第2の物理系は、前記共振器の中に配置され、3つ以上の準位を有し、前記共通の共振器モードに結合する第1の遷移と、前記第1の遷移と異なる第2の遷移と、を有する。光源部は、前記複数の第1の物理系のうちの2つの第1の物理系の状態を操作するための第1のレーザー光及び第2のレーザー光、並びに、前記第2の遷移に共鳴する第3のレーザー光を生成する。前記第3のレーザー光は、前記第1のレーザー光及び前記第2のレーザー光が前記2つの第1の物理系に同時に照射されている期間中に、前記第2の物理系に照射される。 【選択図】図3,下面是量子計算機及び量子計算方法专利的具体信息内容。

共振器の中に配置された第1の物理系であって、量子ビットに用いる2つの準位を含む3つ以上の準位を有し、前記共振器の共通の共振器モードに結合する遷移を有する複数の第1の物理系と、 前記共振器の中に配置された第2の物理系であって、3つ以上の準位を有し、前記共通の共振器モードに結合する第1の遷移と、前記第1の遷移と異なる第2の遷移と、を有する第2の物理系と、 前記複数の第1の物理系のうちの2つの第1の物理系の状態を操作するための第1のレーザー光及び第2のレーザー光、並びに、前記第2の遷移に共鳴する第3のレーザー光を生成する光源部と、 を具備し、前記第3のレーザー光は、前記第1のレーザー光及び前記第2のレーザー光が前記2つの第1の物理系に同時に照射されている期間中に、前記第2の物理系に照射される、量子計算機。前記第1のレーザー光と前記第1のレーザー光に共鳴する遷移との間のラビ周波数をΩ1、前記第2のレーザー光と前記第2のレーザー光に共鳴する遷移との間のラビ周波数をΩ2、前記第3のレーザー光と前記第3のレーザー光に共鳴する遷移との間のラビ周波数をΩeと表すと、Ωe≧Ω1/2、Ωe≧Ω2/2を満たすように、前記第1のレーザー光、前記第2のレーザー光及び前記第3のレーザー光を制御して量子ゲートを実行する、請求項1に記載の量子計算機。下記数式を満たすように前記第3のレーザー光を制御して量子ゲートを実行する請求項2に記載の量子計算機。量子ゲートを実行する際の前記ラビ周波数Ω1の最大値をΩ10、量子ゲートを実行する際の前記ラビ周波数Ω2の最大値をΩ20と表すと、下記数式を満たすように前記第3のレーザー光を制御して量子ゲートを実行する請求項3に記載の量子計算機。前記第3のレーザー光と前記第3のレーザー光に共鳴する遷移との間のラビ周波数をΩe、前記第2の物理系と前記共振器モードとの結合定数をgeと表すと、ge≦Ωeを満たすように第3のレーザー光を制御して量子ゲートを実行する、請求項1に記載の量子計算機。前記第2の物理系を複数具備し、 前記複数の第1の物理系間の共鳴周波数差は、前記第1のレーザー光と前記第1のレーザー光に共鳴する遷移との間のラビ周波数、及び、前記第2のレーザー光と前記第2のレーザー光に共鳴する遷移との間のラビ周波数より大きく、前記複数の第2の物理系間の共鳴周波数差は、前記第3のレーザー光と前記第3のレーザー光に共鳴する遷移との間のラビ周波数より小さい、請求項1に記載の量子計算機。共振器の中に配置された第1の物理系であって、量子ビットに用いる2つの準位を含む3つ以上の準位を有し、前記共振器の共通の共振器モードに結合する遷移を有する複数の第1の物理系と、前記共振器の中に配置された第2の物理系であって、3つ以上の準位を有し、前記共通の共振器モードに結合する第1の遷移と、前記第1の遷移と異なる第2の遷移と、を有する第2の物理系と、を具備する量子計算機において実施される量子計算方法であって、 前記複数の第1の物理系のうちの2つの第1の物理系の状態を操作するための第1のレーザー光及び第2のレーザー光、並びに、前記第2の遷移に共鳴する第3のレーザー光を生成することと、 前記第1のレーザー光及び前記第2のレーザー光が前記2つの第1の物理系に同時に照射されている期間中に、前記第3のレーザー光を前記第2の物理系に照射することと、 を具備する量子計算方法。

说明书全文

本発明の実施形態は、共振器と物理系の結合を利用した量子計算機に関する。

量子学的な重ね合わせの状態を用いて演算を行う量子計算機が盛んに研究されている。量子計算の方法・構成の1つとして、量子ビットを周波数領域で区別して演算に用いる周波数領域量子計算が知られている。周波数領域量子計算では、量子ビットの位置を区別しないため、操作するつもりのない量子ビットにも離調つきで操作光が作用することで生じるゲートエラーが存在する。このようなクロストークによるゲートエラーを抑制しながら、周波数領域量子計算に基づく量子ゲートを高効率に実行できることが求められている。

特開2000−344273号公報

本発明が解決しようとする課題は、高効率に量子ゲートを実行することができる量子計算機を提供することである。

一実施形態に係る量子計算機は、複数の第1の物理系と、第2の物理系と、光源部と、を備える。第1の物理系は、共振器の中に配置され、量子ビットに用いる2つの準位を含む3つ以上の準位を有し、前記共振器の共通の共振器モードに結合する遷移を有する。第2の物理系は、前記共振器の中に配置され、3つ以上の準位を有し、前記共通の共振器モードに結合する第1の遷移と、前記第1の遷移と異なる第2の遷移と、を有する。光源部は、前記複数の第1の物理系のうちの2つの第1の物理系の状態を操作するための第1のレーザー光及び第2のレーザー光、並びに、前記第2の遷移に共鳴する第3のレーザー光を生成する。前記第3のレーザー光は、前記第1のレーザー光及び前記第2のレーザー光が前記2つの第1の物理系の操作に同時に照射されている期間中に、前記第2の物理系に照射される。

周波数領域量子計算を説明する図。

周波数領域量子計算に用いる物理系における不要な相互作用を示す図。

一実施形態に係る周波数領域量子計算に用いる物理系を示す図。

物理系の周波数分布の一例を示す図。

一実施形態に係る量子計算機を示す図。

一実施形態において利用するY

2SiO

5結晶中のPr

3+イオンが有するエネルギー準位の一部を示す図。

一実施形態に係る2つの物理系を操作する方法を示すフローチャート。

実施形態に係る、共振器を介したアディアバティックパッセージに用いるパルス波形を示す図。

一実施形態に係る量子計算機を示す図。

以下、図面を参照しながら実施形態を説明する。以下の実施形態では、同様の構成要素に同様の参照符号を付して、重複する説明を適宜省略する。

まず、「周波数領域量子計算」とこれに特有のゲートエラーが生じる条件である「共鳴条件」について説明する。次に、「共鳴条件を制御する方法」について説明する。

[周波数領域量子計算] 周波数領域量子計算では、共振器中に配置された複数の物理系であって、各物理系の1つの遷移が共通の共振器モードに結合しており、それ以外の遷移の周波数が物理系ごとに異なる複数の物理系それぞれを量子ビットとして利用する。物理系としては、例えば、イオンや原子などを利用することができる。周波数領域量子計算は、各物理系の遷移周波数に共鳴するレーザー光を照射することによって、その物理系を選択的に操作することによって演算を行うものである。

物理系としてN個の四準位系X1、X2、・・・、XNを用いる場合について説明する。ここで、Nは2以上の整数である。なお、物理系は、四準位系に限らず、3つ以上のエネルギー準位を有する物理系であればよい。各四準位系Xi(iは1以上N以下の整数)は4つの状態を有する。これらの4つの状態をエネルギーの低い順に|0>i、|1>i、|2>i、|e>iと表示する。各状態に付した添え字iは、その状態を有する四準位系Xiを識別するためのものである。以下では、添え字iは省略することもある。状態|0>iと|1>iを量子ビットに用いる。すなわち、量子ビットは状態|0>iと|1>iの重ね合わせの状態によって表現されることができる。また、状態|2>iをゲート操作の補助に用いる。励起状態である状態|e>iは、状態|0>i、|1>i、|2>iに比べてエネルギーが高い状態である。|2>i−|e>i遷移(状態|2>iと状態|e>iとの間の遷移)は共通の共振器モードに共鳴する遷移である。|1>i−|e>i遷移の周波数は四準位系X1、X2、・・・、XNごとに異なる。

N=3の場合における周波数領域量子計算に使用される物理系を図1に示す。図1に示されるように、物理系X1、X2、X3は共通の共振器モードに結合する。具体的には、|2>1−|e>1遷移、|2>2−|e>2遷移、及び|2>3−|e>3遷移は、共通の共振器モードに結合する。|1>1−|e>1遷移、|1>2−|e>2遷移、及び|1>3−|e>3遷移の周波数は互いに異なっている。

このような系において、2つの四準位系X1及びX2の状態を操作する場合には、|1>1−|e>1遷移に共鳴する操作光L1及び|1>2−|e>2遷移に共鳴する操作光L2を四準位系X1、X2、・・・、XN全体に照射する。操作光L1及びL2の照射によって、理想的には四準位系X1及びX2の状態を選択的に操作することができる。量子ゲートに用いられる状態の操作方法としては、共振器を介したアディアバティックパッセージの方法が知られている。この方法では、例えば、四準位系X1の状態を初期状態|1>1から状態|2>1に、四準位系X2の状態を初期状態|2>2から状態|1>2に操作する場合、操作光L1及びL2のラビ周波数Ω1及びΩ2がτ12の条件下で下記数式(1)に従うように操作光L1及びL2の強度を制御する。

[共鳴条件] 周波数領域量子計算においては、厳密には下記のような「不要な相互作用」が生じる。不要な相互作用は、位置で四準位系を区別しないために、操作するつもりのない四準位系にも離調つきで操作光が作用することで生じる。例えば、不要な相互作用は、操作光L1が四準位系X2、X3、…、XNに与える作用と操作光L2が四準位系X1、X3、…、XNに与える作用である。N=3の場合における不要な相互作用を含む物理系を図2に示す。図2において、状態|1>iと状態|e>iとを結ぶ実線の両方向矢印が必要な相互作用を表し、破線の両方向矢印が不要な相互作用を表し、状態|2>iと状態|e>iとを結ぶ太い実線の両方向矢印が共振器モードを表している。

四準位系の|1>i−|e>i遷移間の周波数差が非常に大きければ不要な相互作用の影響は非常に小さくなる。しかしながら、一般的には、遷移の周波数は有限の周波数領域の中で分布しているため、多くの量子ビットを利用するためにはなるべく周波数差の小さい遷移を利用することになる。このため、周波数差が小さい場合でも量子ゲートを高効率に実行できることが望ましい。

不要な相互作用の性質について詳しく説明する。図2に示されるような不要な相互作用を含む周波数領域量子計算のための物理系を記述するハミルトニアンは下記数式(2)のように表される。

ここで、σ(i)abは四準位系Xiの状態|b>iを状態|a>iに遷移させる演算子であり、a及びaはそれぞれ共振器モードの消滅演算子及び生成演算子である。gは共振器モードと物理系との結合定数であり、γは遷移の緩和速度であり、κは共振器の減衰定数である。H.c.はエルミート共役である。

ハミルトニアンの各項について説明する。第1項は各イオンの各状態のエネルギー項と各イオンのエネルギー緩和項である。第2項は共振器モードのエネルギー項と共振器緩和項である。以下では、理想的な強結合系を仮定し、γ=κ=0の場合について説明する。第3項は、相互作用項であり、共振器モードと各四準位系Xiの|2>i−|e>i遷移の相互作用、操作光L1と各四準位系Xiの|1>i−|e>i遷移の相互作用、操作光L2と各四準位系Xiの|1>i−|e>i遷移の相互作用を表す。

数式(2)のハミルトニアンの相互作用ハミルトニアンは、下記数式(3)に示されるH0を用いることで、下記数式(4)のように表される。

Δは|e>1−|1>1遷移と|e>2−|1>2遷移との間の周波数差を表し、Δjは|e>1−|1>1遷移と|e>j−|1>j遷移との間の周波数差を表す。

数式(4)の相互作用ハミルトニアンH′は、下記数式(5)のように必要な相互作用H1と不要な相互作用Vに分けられる。

数式(5)を用いて、共振器を介したアディアバティックパッセージにおいて、不要な相互作用によって生じるエラー確率を摂動計算によって計算する。初期状態|ψ(0)>をH1の固有状態の1つであるダークステート|ψ0(0)>であるとする。アディアバティックパッセージのエラー確率は、時刻tで別の固有状態|ψn(t)>(n≠0)へ遷移する確率である。この操作を高効率に実行するためには、Ω1,2<

1及びL

2を用いるのが一般的である。そのような場合は、VはH

1より小さいので、下記数式(6)に示すように、Vについての摂動計算により時間発展を計算することができる。

数式(6)中のEnはH1の固有状態|ψn>に対応する固有値である。EnはΩ1,2によってのみ時間変化するのでΩ1,2<

n

(1)、C

n

(2)の中の各指数関数の指数がゼロのとき、摂動計算が有効でなくなるほどエラー確率は増大する。V(t′)に振動項があることを考慮すると、1次の係数C

n

(1)から共振器を介したアディアバティックパッセージのエラー確率が増大する条件として下記数式(7)に示す共鳴条件を得ることができる。

同様に、2次の係数Cn(2)から下記数式(8)に示す共鳴条件を得る。

2次の係数Cn(2)から得られた共鳴条件は1次の係数Cn(1)から得られた共鳴条件と比べると一般には寄与は小さい。しかしながら、複数の条件が同時に満たされる場合は、その寄与は大きくなる。数式(8)の共鳴条件において複数の条件を同時に満たすための条件として、下記数式(9)に示す条件が得られる。

共鳴条件の解析解はH1の固有値Enを求めることで得られる。Ω1,2<

1のΩ

1,2の項をゼロとすると、固有値E

nは良く知られた真空ラビ分裂のアナロジーで求めることができる。状態|2>

i又は|e>

iにポピュレーションがある四準位系X

iの数をN

2、状態|e>

iにポピュレーションがある四準位系X

iの数をn

e、共振器モードの光子数をn

cと表記する。H

1の固有値は全励起子数N

e(N

e=n

e+n

c)とn

eの最大値n

e|

max指定することによって分類することができる。H

1の固有値の一部を下記数式(10)に示す。

数式(7)、数式(9)及び数式(10)によって不要な相互作用が増大する条件である共鳴条件を解析的に求めることができる。これは、共振器を介したアディアバティックパッセージを高効率に実行するために、つまり周波数領域量子計算において量子ゲートを高効率に実行するために、避けなければならない条件である。

[共鳴条件の制御] 数式(10)に示されるように、状態|2>i又は|e>iにポピュレーションがある四準位系Xiの数N2によってH1の固有値が変化する。これは、共振器に結合する遷移に確率振幅が存在する四準位系Xiの数によって共鳴条件を制御できることを意味する。このような制御を共振器に結合する遷移の追加による制御と呼ぶ。

例えば3量子ビットを利用する量子計算機において、初期状態|1>1、|2>2、|1>3から終状態|2>1、|1>2、|1>3になるように、共振器を介したアディアバティックパッセージを実行する場合を考える。その操作の中でNe=1の場合はN2=2であり、Ne=2の場合はN2=3である。従って、数式(10)からH1の固有値は下記数式(11)に示すように得られる。数式(11)に示される固有値を用いて数式(7)及び数式(9)から共鳴条件が得られる。

これに対して、例えば共振器に結合する遷移に遷移確率がある物理系をさらに3個追加した場合には、下記数式(12)に示すように、H1の固有値が得られる。

この場合、|Δ|,|Δj|

iの周波数分布が与えられたときに、量子ゲートを高効率に実行できる確率が高くなる。さらに、より多くの量子ビットを利用することが可能になる。

このように共通の共振器モードに結合する遷移の追加により共鳴条件を制御することによって、不要な相互作用を抑制することが可能となり、その結果、高効率な周波数領域量子計算を実行することができる。

操作の過程において、僅かな確率で所望状態から他の状態に遷移し、エラーが生じることがある。これは、追加された共振器モードに結合する遷移を含むことによって系の固有状態が変化するためである。例えば、3量子ビットを利用する量子計算機の場合、量子ビット以外に共振器モードに結合する遷移を有する物理系がない場合には、系の固有状態の中に、下記数式(13)に示されるようなダークステートと呼ばれる状態がある。

ここで、状態|klmn>は、四準位系X1の状態が|k>、四準位系X2の状態が|l>、四準位系X3の状態が|m>、共振器モードの状態が|n>となる状態である。|Ψ0>は、四準位系の励起状態を含まないため、ダークステートと呼ばれる。|1210>から|2110>への状態変化は、このダークステートに沿ったアディアバティックパッセージによって実行される。しかしながら、量子ビット以外に共振器モードに結合する遷移を有する物理系がある場合には、系の全ての固有状態は、数式(13)に含まれる3つの状態以外の状態を含み、特に、四準位系や量子ビット以外に共振器に結合する遷移を有する物理系の励起状態を含む。このような固有状態の違いによって、量子ビット以外に共振器モードに結合する遷移を有する物理系がある場合には、僅かなゲートエラーが生じる。

実施形態に係る共鳴条件を制御する方法は、量子ビット以外に共振器モードに結合する遷移を有する物理系の他の遷移に操作光を照射する。物理系としては、3準位以上のエネルギー準位を持つ系を用いる。例えば、図3に示すように、量子ビットに用いる四準位系3つと量子ビットに用いないが共通の共振器モードに結合する四準位系を1つ導入した系において、量子ビットのうちの操作する2つの量子ビットに操作光を照射し、量子ビットに用いない四準位系の共振器モードに結合しない遷移に操作光を照射する場合を考える。このような系の固有状態には、下記数式(14)に示されるような状態が存在する。

ここで、状態|jklmn>は、四準位系X1の状態が|j>、四準位系X2の状態が|k>、四準位系X3の状態が|l>、量子ビットに用いない四準位系の状態が|m>、共振器モードの状態が|n>となる状態である。また、Ωeは、量子ビットに用いない四準位系に作用する操作光のラビ周波数である。数式(14)に示される固有状態は、四準位系の励起状態を持たないダークステートとなっている。また、g1、g2、ge、Ωeが一定の場合、Ω1、Ω2が数式(1)に示されるようなガウシアンパルスを用いると、この固有状態は、|12120>から|21120>へ変化する。従って、このような固有状態に沿ったアディアバティックパッセージによって量子ゲートを実行することができる。

量子ゲートを高効率に実行するためのΩeの条件について説明する。ΩeがΩ1、Ω2に比べて非常に小さい場合には、不要な状態である|22110>のポピュレーションが大きくなり、高効率な量子ゲートを実行することはできない。このため、好ましくは、Ωe≧Ω1/2、Ωe≧Ω2/2を満たすように操作光が制御される。また、全体のハミルトニアンには、Ωeの値に依存した固有状態が存在する。Ωeが√(Ω1222)より小さい場合には、Ωeに依存した固有値がダークステート以外の固有値の中で最小の固有値となり、アディアバティックパッセージの性能指標であるアディアバティックコンディションが悪くなる。このため、好ましくは、Ωe≧√(Ω1222)を満たすように操作光が制御される。さらに、ΩeがΩ0より十分大きくなると、Ωeに依存した固有値に対応したΔ=0の共鳴条件が分離する。このため、好ましくは、Ωe≦2×√(Ω102202)を満たすように操作光が制御される。ここで、Ω10はラビ周波数Ω1の最大値を表し、Ω20はラビ周波数Ω2の最大値を表す。例えば、Ωe1020の場合には、これらの条件を満たし、操作光がない場合(Ωe=0)に比べて飛躍的に高効率な量子ゲートを実現することができる。

これとは別に、Ωeがgeより大きい場合には、geに関係する固有値がΩeによって大きく変化するため、geに関係する共鳴条件をΩeの値によって制御することができる。

また、共鳴条件制御用の物理系は共鳴周波数で区別する必要がないため、例えば、図4に示されるような周波数分布を持つ物理系の中で、周波数による区別が難しい領域(2)の物理系を利用することで、量子ビットに利用可能な物理系を消費せずに共鳴条件を制御することができる。図4は、物理系の周波数分布の一例を示している。具体的には、図4は、周波数(例えば|1>−|e>遷移の周波数)に対する個数密度を示している。個数密度の高い領域(2)に分布する物理系は互いの物理系の遷移の周波数差が個数密度の低い領域(1)又は(3)に比べて小さく、同じ共鳴周波数を持つ遷移が存在する確率もより大きい。このため、領域(2)に分布する物理系は量子ビットとして利用することは難しい。しかし、共鳴条件を制御するために導入する物理系は、互いの共鳴周波数を区別する必要がないため、領域(2)から選ぶことができる。このように、領域(2)から共鳴条件制御用の物理系を選ぶことによって、量子ビットに用いることができる領域(1)及び(3)の領域の物理系を消費せずに、共鳴条件を制御することができ、より多くの量子ビットを用いることができる。上述したように、量子ビットに用いる物理系及び共鳴条件制御用の物理系が選択された場合、量子ビットに用いる物理系間の共鳴周波数差がラビ周波数Ω1及びΩ2より大きく、共鳴条件制御用の物理系間の共鳴周波数差がラビ周波数Ωeより小さくなり得る。

ここで示した例は一例であり、実際に与えられた物理系の周波数分布に対して、共鳴状態を避けられるように共振器に結合する遷移を追加する数を変更したり、操作光の強度を調整してΩeの値を調整することで共鳴条件を制御しながら高効率な量子ゲートを実行することができる。

次に、実施形態に係る量子計算機について説明する。 図5は、実施形態に係る量子計算機500を概略的に示している。本実施形態では、四準位系Xiとみなせる具体的な物理系として、Y2SiO5結晶中にドープされたPr3+イオンを使用する。量子計算機500は、図5に示されるように、Pr3+イオンをドープしたY2SiO5結晶(Pr:YSO)の側面に誘電体多層膜ミラーを配置し共振器に加工した試料515を備える。試料515は、クライオスタット516内に設置され、低温に(例えば4Kに)保たれる。

ここでは、6つのPr3+イオンを周波数領域量子計算に用い、これらのPr3+イオンのうちの3つのPr3+イオンを量子ビットとして利用する場合を説明する。量子ビットとして利用する3つのPr3+イオンをイオンX1、X2、X3と表示し、残り3つのPr3+イオンをイオンY1、Y2、Y3と表示する。イオンY1、Y2、Y3は共鳴条件の制御のために使用される。例えば、イオンX1、X2、X3は、図4に示される領域(1)及び(3)に分布するPr3+から選択され、イオンY1、Y2、Y3は、領域(2)に分布するPr3+から選択される。

イオンX1、X2、X3、Y1、Y2、Y3の各々は、エネルギーの低い順に状態|0>、|1>、|2>、|e>を含む。|2>−|e>遷移は共振器の共通の共振器モードに結合する。イオンX1、X2、X3では、状態|0>、|1>は量子ビットに用い、状態|2>はゲート操作の補助に用いる。

図6は、Y2SiO5結晶中のPr3+イオンのエネルギー準位の一部を示している。図6には、基底状態3H4の超微細構造準位のうちの3つの状態(核スピンが−1/2、−3/2、−5/2の状態)と励起状態1D2の超微細構造準位のうちの3つの状態(核スピンが+1/2、+3/2、+5/2の状態)が示されている。励起状態1D2と基底状態3H4との間の遷移周波数に対応する波長は約606nmである。基底状態3H4の核スピンが−1/2、−3/2、−5/2の状態が状態|0>、|1>、|2>にそれぞれ対応し、励起状態1D2の超微細構造準位のうち核スピンが+5/2の状態が状態|e>に対応する。この場合、|0>−|e>遷移、|1>−|e>遷移、|2>−|e>遷移は、光学的に遷移可能であり、|0>−|1>遷移、|0>−|2>遷移、|1>−|2>遷移は、光学的に禁制な遷移である。

ここで説明する例では、共鳴状態の制御に使用される物理系の種類は量子ビットに使用される物理系の種類と同じである。しかしながら、共鳴状態の制御に使用される物理系の種類は、量子ビットに使用される物理系の種類と異なっていてもよい。

図5に示される量子計算機500では、アルゴンイオンレーザー501で励起したリング色素レーザー502を光源として使用する。リング色素レーザー502から発せられたレーザー光は、2つのビームスプリッタ503及び504によって3つのレーザー光に分割され、これら3つのレーザー光は、音響光学素子506、507及び508にそれぞれ導かれる。具体的には、ビームスプリッタ503は、リング色素レーザー502からのレーザー光を2つのレーザー光に分割し、これら2つのレーザー光の一方は音響光学素子506に入射し、他方はビームスプリッタ504に入射する。ビームスプリッタ504は、入射レーザー光を2つのレーザー光に分割し、これら2つのレーザー光の一方は音響光学素子507に入射し、他方はミラー505によって反射されて音響光学素子508に入射する。

音響光学素子506、507及び508は、制御装置509によって生成された信号に従って、入射レーザー光を変調して変調レーザー光551、552及び553をそれぞれ生成する。変調レーザー光551は、ミラー510及び511並びにレンズ514によって試料515に導かれる。変調レーザー光552は、レンズ514によって試料515に導かれる。変調レーザー光553は、ミラー512及び513並びにレンズ514によって試料515に導かれる。本実施形態では、アルゴンイオンレーザー501、リング色素レーザー502、ビームスプリッタ503及び504、ミラー505、音響光学素子506〜508、ミラー510〜513、並びに、レンズ514によって光源部520が形成されている。

イオンX1及びX2の量子ビットを操作する方法を具体的に説明する。まず、光源部520は、イオンY1、Y2、Y3に関して|2>−|e>遷移における状態|2>にポピュレーションが集まるように、変調レーザー光553を試料515に照射する(図7のステップS701)。具体的には、音響光学素子508は、変調レーザー光553が|0>−|e>遷移又は|1>−|e>遷移に共鳴するように入射レーザー光を変調する。

続いて、光源部520は、変調レーザー光553を照射した状態で、イオンX1及びX2を操作するための変調レーザー光551及び552を試料515に同時に照射する(図7のステップS702)。ここで、同時に照射するとは、変調レーザー光551及び552の照射時間が少なくとも一部重なっていることを意味する。すなわち、変調レーザー光553は、イオンX1及びX2の操作中に、具体的には、変調レーザー光551及び552がイオンX1及びX2に同時に照射されている期間中に、イオンY1、Y2、Y3に照射される。

例えば、音響光学素子506は、変調レーザー光551のラビ周波数Ω1が数式(1)に従って変化するように入射レーザー光を変調し、音響光学素子507は、変調レーザー光552のラビ周波数Ω2が数式(1)に従って変化するように入射レーザー光を変調する。イオンX1及びX2の状態を初期状態|1>1|2>2から状態|2>1|1>2に操作する場合、τ12に設定される。イオンX1及びX2の状態を初期状態|1>1|2>2から状態|2>1|1>2に操作する場合におけるラビ周波数Ω1及びΩ2の時間変化を図8に例示する。図8において、横軸は時間を表し、縦軸はラビ周波数を表す。一点鎖線で示される波形がラビ周波数Ω1を示し、実線で示される波形がラビ周波数Ω2を示す。例えば、レーザー光551及び552のラビ周波数Ω1及びΩ2のパラメータはΩ0=5kHz、τ1=44.944ms、τ2=55.056ms、σ=4msに設定される。さらに、イオンX1及びX2の操作中にイオンY1の|1>−|e>に作用させるレーザー光553のラビ周波数をΩe1=5kHz、イオンY2の|1>−|e>に作用させるレーザー光553のラビ周波数をΩe2=5kHz、イオンY3の|1>−|e>に作用させるレーザー光553のラビ周波数をΩe3=5kHzとなるように調整する。或いは、Ωe1=200kHz、Ωe2=200kHz、Ωe3=200kHzとなるようにレーザー光553を調整してもよい。

このようにして変調レーザー光551、552及び553を試料515に照射することで、共鳴条件を避けながらイオンX3の状態(例えば状態|1>3)を変化させずに、イオンX1及びX2の状態を初期状態|1>1|2>2から状態|2>1|1>2に操作することができる。

以上のように、実施形態に係る量子計算機では、量子ビットに利用する物理系と異なる、共通の共振器モードに結合する遷移を含む物理系を利用することによって、不要な相互作用を抑制しながら、飛躍的に高効率な量子ゲートを実行することができる。

なお、光源部は、図5に示されるように1つの光源501を備える例に限らず、複数の光源を備えていてもよい。図9は、一実施形態に係る量子計算機900を概略的に示している。量子計算機900は、図9に示されるように、半導体レーザー901、902及び903を備える。半導体レーザー901、902及び903から発生したレーザー光は、音響光学素子506、507及び508にそれぞれ向けられる。音響光学素子506、507及び508などの動作は上述したものと同様であるので、その説明を省略する。半導体レーザー901〜903、音響光学素子506〜508、ミラー510〜513、及びレンズ514によって光源部920が形成されている。

本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

500…量子計算機、501…光源、502…リング色素レーザー、503,504…ビームスプリッタ、505…ミラー、506〜508…音響光学素子、509…制御装置、510〜513…ミラー、514…レンズ、515…試料、516…クライオスタット、520…光源部、900…量子計算機、901〜903…半導体レーザー、920…光源部。

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