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Daily language computing system and method

阅读:848发布:2020-05-21

专利汇可以提供Daily language computing system and method专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a daily language computing system and method allowed to be easily operated by language (daily language) used daily by a user without special knowledge of a computer or the like and capable of flexibly and accurately grasp the user's intention to execute or manage the information processing. SOLUTION: This daily language computing system 1 is provided with a client language computing system 10, and a network language computing system 20 connected thereto. The language computing systems 10, 20 respectively have language computers 12, 22 for processing a language text described or dictated by daily language, and client language operating systems 16, 26 for managing the language computers 12, 22 by the daily language. The language computers 12, 22 respectively have semiotic bases 13, 23 in which the system of meanings of the daily language is structured, and meaning processing mechanisms 14, 24 for understanding the meaning of the language text and generating the language text according to the semiotic bases 13, 23.,下面是Daily language computing system and method专利的具体信息内容。

【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】日常言語により記述または口述された言語テクストを処理する言語コンピュータを備え、 前記言語コンピュータは、日常言語の意味の体系を構造化したセミオティックベースと、前記セミオティックベースに基づいて言語テクストの意味理解および言語テクストの生成を行う意味処理機構とを有することを特徴とする日常言語コンピューティングシステム。
  • 【請求項2】前記言語コンピュータの前記セミオティックベースは、語彙情報および意味情報を含む複数の辞書項目を保持する電子辞書と、言語の語彙文法特徴とそれに対応する意味役割とを体系的に保持する語彙文法ベースと、言語の意味特徴とそれに対応する意味役割とを体系的に保持する意味ベースとを有し、前記語彙文法ベースに保持された語彙文法特徴および前記意味ベースに保持された意味特徴は、前記電子辞書に保持された前記各辞書項目の語彙情報および意味情報にそれぞれ関連付けられ、 前記言語コンピュータの前記意味処理機構は、前記電子辞書、前記語彙文法ベースおよび前記意味ベースを参照して、処理対象となる言語テクストに含まれる文字列の語彙文法特徴に対応する意味役割を同定するとともに、
    この同定された意味役割に対応する意味特徴を同定し、
    この同定された意味特徴に基づいて言語テクストの意味理解を行うことを特徴とする請求項1記載の日常言語コンピューティングシステム。
  • 【請求項3】前記言語コンピュータの前記セミオティックベースは、言語が用いられる状況を表す状況タイプとそれに対応する状況特徴とを体系的に保持する状況ベースをさらに有し、前記語彙文法ベースおよび前記意味ベースはともに、前記状況ベースに保持された状況タイプに関連付けられた言語の使用域を保持し、 前記言語コンピュータの前記意味処理機構は、前記意味ベース、前記語彙文法ベースおよび前記状況ベースを参照して、処理対象となる言語テクストに含まれる文字列の語彙文法特徴の使用域に対応する状況タイプを同定するとともに、この同定された状況タイプに対応する意味特徴の使用域を同定し、この同定された意味特徴の使用域の範囲内で、前記同定された意味役割に対応する意味特徴を同定し、この同定された意味特徴に基づいて言語テクストの意味理解を行うことを特徴とする請求項2記載の日常言語コンピューティングシステム。
  • 【請求項4】前記言語コンピュータの前記セミオティックベースは、言語のやりとりの実例としての言語テクストを意味特徴とともに保持するコーパスをさらに有し、 前記言語コンピュータの前記意味処理機構は、前記コーパスを参照して、処理対象となる言語テクストに類似した言語テクストの実例を検索し、この検索された言語テクストの実例の意味特徴に基づいて言語テクストの意味理解を行うことを特徴とする請求項1記載の日常言語コンピューティングシステム。
  • 【請求項5】前記言語コンピュータの前記セミオティックベースは、言語が用いられる状況を表す状況タイプとそれに対応する状況特徴とを体系的に保持する状況ベースと、言語の意味特徴とそれに対応する意味役割とを体系的に保持する意味ベースと、言語のやりとりの実例としての言語テクストを状況特徴および意味特徴とともに保持するコーパスとを有し、前記状況ベースは、前記状況タイプに対応するテクストの場面構造をさらに保持し、前記意味ベースは、前記状況ベースに保持された状況タイプに関連付けられた言語の使用域と前記状況ベースに保持されたテクストの場面構造に関連付けられた包括プランテンプレートとをさらに保持し、 前記言語コンピュータの前記意味処理機構は、前記状況ベースおよび前記意味ベースを参照して、言語テクストの生成時の状況タイプに対応するテクストの場面構造に関連した包括プランテンプレートを同定するとともに、
    この同定された包括プランテンプレートと言語テクストの処理の結果として得られた意味特徴とに基づいて局所プランを作成し、この作成された局所プランと前記コーパスに保持された言語テクストの実例とに基づいて言語テクストの生成を行うことを特徴とする請求項1記載の日常言語コンピューティングシステム。
  • 【請求項6】前記言語コンピュータの前記セミオティックベースは、言語の語彙文法特徴とそれに対応する意味役割とを体系的に保持する語彙文法ベースをさらに有し、前記語彙文法ベースは、前記状況ベースに保持された状況タイプに関連付けられた言語の使用域を保持し、
    前記コーパスは、言語のやりとりの実例としての言語テクストを状況特徴、意味特徴および語彙文法特徴とともに保持し、 前記言語コンピュータの前記意味処理機構は、前記意味ベースを参照して、前記局所プランに含まれる意味特徴に対応する意味役割を同定する一方で、前記語彙文法ベースを参照して、言語テクストの生成時の状況タイプに対応する語彙文法特徴の使用域を同定し、この同定された語彙文法特徴の使用域の範囲内で、前記同定された意味役割に対応する語彙文法特徴を同定し、この同定された語彙文法特徴と前記局所プランと前記コーパスに保持された言語テクストの実例とに基づいて言語テクストの生成を行うことを特徴とする請求項5記載の日常言語コンピューティングシステム。
  • 【請求項7】前記言語コンピュータの前記セミオティックベースは、語彙情報および意味情報を含む複数の辞書項目を保持する電子辞書をさらに有し、前記語彙文法ベースに保持された語彙文法特徴および前記意味ベースに保持された意味特徴は、前記電子辞書に保持された前記各辞書項目の語彙情報および意味情報にそれぞれ関連付けられ、 前記言語コンピュータの前記意味処理機構は、前記電子辞書を参照して、前記局所プランに含まれる意味特徴と前記同定された語彙文法特徴とを含む辞書項目を出力するとともに、前記語彙文法ベースを参照して、前記同定された語彙文法特徴と前記出力された辞書項目とを組み合わせ、この組み合わせにより言語テクストの生成を行うことを特徴とする請求項6記載の日常言語コンピューティングシステム。
  • 【請求項8】前記言語コンピュータを日常言語により管理する言語オペレーティングシステムをさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の日常言語コンピューティングシステム。
  • 【請求項9】前記言語オペレーティングシステムは、ユーザと前記言語コンピュータとの間で対話的に言語テクストをやりとりするための秘書エージェントを有することを特徴とする請求項8記載の日常言語コンピューティングシステム。
  • 【請求項10】前記秘書エージェントは、専門ドメインごとに複数の候補が用意され、ユーザからの指示により所望の候補が選択されることを特徴とする請求項9記載の日常言語コンピューティングシステム。
  • 【請求項11】前記言語オペレーティングシステムは、
    前記秘書エージェントにより管理される知識ベースをさらに有することを特徴とする請求項9または10記載の日常言語コンピューティングシステム。
  • 【請求項12】前記知識ベースは、前記言語コンピュータの前記セミオティックベースに関連付けられていることを特徴とする請求項11記載の日常言語コンピューティングシステム。
  • 【請求項13】前記言語オペレーティングシステムは、
    前記秘書エージェントを擬人化してユーザの居住空間を模した仮想空間とともに呈示するユーザインタフェースを有することを特徴とする請求項9記載の日常言語コンピューティングシステム。
  • 【請求項14】前記ユーザインタフェースは、ユーザからの指示により所望の態様に設定されることを特徴とする請求項13記載の日常言語コンピューティングシステム。
  • 【請求項15】前記言語オペレーティングシステムは、
    前記言語コンピュータ上での言語テクストの処理に関するプロセスを管理することを特徴とする請求項8記載の日常言語コンピューティングシステム。
  • 【請求項16】前記言語オペレーティングシステムは、
    言語テクストを含む言語ファイルを管理することを特徴とする請求項8記載の日常言語コンピューティングシステム。
  • 【請求項17】前記言語オペレーティングシステムは、
    他の日常言語コンピューティングシステムとの間で言語データをやりとりすることを特徴とする請求項8記載の日常言語コンピューティングシステム。
  • 【請求項18】前記言語データは、言語テクストデータとその意味を表すデータとを含むことを特徴とする請求項17記載の日常言語コンピューティングシステム。
  • 【請求項19】前記言語コンピュータは、既存のプラットフォーム上で実現される仮想マシンであることを特徴とする請求項1記載の日常言語コンピューティングシステム。
  • 【請求項20】前記言語コンピュータは、前記言語オペレーティングシステムからの指示により各種のサービスを提供する言語リソースをさらに有し、前記言語リソースは、既存のプラットフォーム上で動作するリソース本体と、このリソース本体と前記言語オペレーティングシステムによる言語に基づく命令とを結び付けるための言語インタフェースとを有することを特徴とする請求項8
    記載の日常言語コンピューティングシステム。
  • 【請求項21】クライアントコンピューティングシステムと、 前記クライアントコンピューティングシステムに接続されたネットワークコンピューティングシステムとを備え、 前記クライアントコンピューティングシステムは、日常言語により記述または口述された言語テクストを処理するクライアント言語コンピュータと、前記クライアント言語コンピュータを日常言語により管理するクライアント言語オペレーティングシステムとを有し、 前記ネットワークコンピューティングシステムは、前記クライアントコンピューティングシステムとの間でやりとりされる言語テクストを処理するネットワーク言語コンピュータと、前記クライアントコンピューティングシステムとの間で言語データをやりとりするとともに前記ネットワーク言語コンピュータを日常言語により管理するネットワーク言語オペレーティングシステムとを有し、 前記クライアント言語オペレーティングシステムおよび前記ネットワーク言語オペレーティングシステムは、言語通信プロトコルに従って互いに言語データをやりとりすることを特徴とする日常言語コンピューティングシステム。
  • 【請求項22】前記言語通信プロトコルに従ってやりとりされる前記言語データは、言語テクストデータとその意味を表すデータとを含むことを特徴とする請求項21
    記載の日常言語コンピューティングシステム。
  • 【請求項23】前記クライアント言語コンピュータは、
    日常言語の意味の体系を構造化したクライアントセミオティックベースと、前記クライアントセミオティックベースに基づいて言語テクストの意味理解および言語テクストの生成を行うクライアント意味処理機構とを有し、
    前記ネットワーク言語コンピュータは、日常言語の意味の体系を構造化したネットワークセミオティックベースと、前記ネットワークセミオティックベースに基づいて言語テクストの意味理解および言語テクストの生成を行うネットワーク意味処理機構とを有し、 前記クライアントセミオティックベースと前記ネットワークセミオティックベースとは、前記クライアント言語オペレーティングシステムおよび前記ネットワーク言語オペレーティングシステムによる管理の下で互いに連携することを特徴とする請求項21記載の日常言語コンピューティングシステム。
  • 【請求項24】前記クライアント言語オペレーティングシステムは、ユーザと前記クライアント言語コンピュータとの間で対話的に言語テクストをやりとりする秘書エージェントを有し、前記ネットワーク言語オペレーティングシステムは、前記秘書エージェントとの間で言語テクストをやりとりするとともに前記ネットワーク言語コンピュータを管理するネットワークマネージャエージェントを有することを特徴とする請求項21記載の日常言語コンピューティングシステム。
  • 【請求項25】前記クライアント言語オペレーティングシステムは、前記秘書エージェントにより管理されるクライアント知識ベースをさらに有し、前記ネットワーク言語オペレーティングシステムは、前記ネットマネージャエージェントにより管理されるネットワーク知識ベースをさらに有し、前記クライアント知識ベースと前記ネットワーク知識ベースとは、前記秘書エージェントおよび前記ネットワークマネージャエージェントによる管理の下で互いに連携することを特徴とする請求項24記載の日常言語コンピューティングシステム。
  • 【請求項26】前記ネットワーク言語オペレーティングシステムは、前記クライアントコンピューティングシステムとの間でやりとりされる言語テクストの処理に関するプロセスを管理することを特徴とする請求項21記載の日常言語コンピューティングシステム。
  • 【請求項27】前記ネットワーク言語オペレーティングシステムは、前記クライアントコンピューティングシステムとの間でやりとりされる言語テクストを含む言語ファイルを管理することを特徴とする請求項21記載の日常言語コンピューティングシステム。
  • 【請求項28】語彙情報および意味情報を含む複数の辞書項目を保持する電子辞書と、言語の語彙文法特徴とそれに対応する意味役割とを体系的に保持する語彙文法ベースと、言語の意味特徴とそれに対応する意味役割とを体系的に保持する意味ベースとを有し、前記語彙文法ベースに保持された語彙文法特徴および前記意味ベースに保持された意味特徴は、前記電子辞書に保持された前記各辞書項目の語彙情報および意味情報にそれぞれ関連付けられたセミオティックベースを参照して、日常言語により記述または口述された言語テクストを処理して言語テクストの意味理解を行う日常言語コンピューティング方法において、 前記電子辞書を参照して、処理対象となる言語テクストに対して形態素解析と係り受け解析とを行い、当該言語テクストに含まれる文字列の語彙文法特徴を同定するステップと、 前記語彙文法ベースを参照して、前記同定された語彙文法特徴に対応する意味役割を同定するステップと、 前記電子辞書を参照して、前記同定された語彙文法特徴を含む辞書項目を出力するステップと、 前記意味ベースを参照して、前記出力された辞書項目に含まれている意味情報を抽出するステップとを含み、 前記抽出された意味情報に基づいて、前記同定された意味役割に対応する意味特徴を同定して言語テクストの意味理解を行うステップとを含むことを特徴とする日常言語コンピューティング方法。
  • 【請求項29】前記セミオティックベースは、言語が用いられる状況を表す状況タイプとそれに対応する状況特徴とを体系的に保持する状況ベースをさらに有し、前記語彙文法ベースおよび前記意味ベースはともに、前記状況ベースに保持された状況タイプに関連付けられた言語の使用域を保持し、 前記状況ベースおよび前記語彙文法ベースを参照して、
    処理対象となる言語テクストに含まれる文字列の語彙文法特徴の使用域に対応する状況タイプを同定するステップと、 前記状況ベースおよび前記意味ベースを参照して、前記同定された状況タイプに対応する意味特徴の使用域を同定するステップとをさらに含み、 前記同定された意味特徴の使用域の範囲内で、前記同定された意味役割に対応する意味特徴を同定して言語テクストの意味理解を行うことを特徴とする請求項28記載の日常言語コンピューティング方法。
  • 【請求項30】言語が用いられる状況を表す状況タイプとそれに対応する状況特徴とを体系的に保持する状況ベースと、言語の意味特徴とそれに対応する意味役割とを体系的に保持する意味ベースと、言語のやりとりの実例としての言語テクストを状況特徴および意味特徴とともに保持するコーパスとを有し、前記状況ベースは、前記状況タイプに対応するテクストの場面構造をさらに保持し、前記意味ベースは、前記状況ベースに保持された状況タイプに関連付けられた言語の使用域と前記状況ベースに保持されたテクストの場面構造に関連付けられた包括プランテンプレートとをさらに保持するセミオティックベースを参照して、日常言語により記述または口述された言語テクストを処理して言語テクストの生成を行う日常言語コンピューティング方法において、 前記状況ベースおよび前記意味ベースを参照して、言語テクストの生成時の状況タイプに対応するテクストの場面構造に関連した包括プランテンプレートを同定するステップと、 前記意味ベースを参照して、前記同定された包括プランテンプレートと言語テクストの処理の結果として得られた意味特徴とに基づいて局所プランを作成するステップと、 前記作成された局所プランと前記コーパスに保持された言語テクストの実例とに基づいて言語テクストの生成を行うステップとを含むことを特徴とする日常言語コンピューティング方法。
  • 【請求項31】前記セミオティックベースは、言語の語彙文法特徴とそれに対応する意味役割とを体系的に保持する語彙文法ベースをさらに有し、前記語彙文法ベースは、前記状況ベースに保持された状況タイプに関連付けられた言語の使用域を保持し、前記コーパスは、言語のやりとりの実例としての言語テクストを状況特徴、意味特徴および語彙文法特徴とともに保持し、 前記語彙文法ベースを参照して、言語テクストの生成時の状況タイプに対応する語彙文法特徴の使用域を同定するステップと、 前記意味ベースを参照して、前記局所プランに含まれる意味特徴に対応する意味役割を同定するステップと、 前記語彙文法ベースを参照して、前記同定された語彙文法特徴の使用域の範囲内で、前記同定された意味役割に対応する語彙文法特徴を同定するステップとをさらに含み、 前記同定された語彙文法特徴と前記局所プランと前記コーパスに保持された言語テクストの実例とに基づいて言語テクストの生成を行うことを特徴とする請求項30記載の日常言語コンピューティング方法。
  • 【請求項32】前記セミオティックベースは、語彙情報および意味情報を含む複数の辞書項目を保持する電子辞書をさらに有し、前記語彙文法ベースに保持された語彙文法特徴および前記意味ベースに保持された意味特徴は、前記電子辞書に保持された前記各辞書項目の語彙情報および意味情報にそれぞれ関連付けられ、 前記電子辞書を参照して、前記局所プランに含まれる意味特徴と前記同定された語彙文法特徴とを含む辞書項目を出力するステップと、 前記語彙文法ベースを参照して、前記同定された語彙文法特徴と前記出力された辞書項目とを組み合わせるステップとをさらに含み、 この組み合わせにより言語テクストの生成を行うことを特徴とする請求項31記載の日常言語コンピューティング方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は、情報処理装置としてのコンピューティングシステムに係り、とりわけ、人間が日常的に用いる言語(日常言語)の意味を理解し、
    全ての情報処理を日常言語により実行および管理する日常言語コンピューティングシステムおよびその方法に関する。 なお、本明細書において、「日常言語」とは、プログラミング言語などの人工言語と対比させて用いられる、人間の言葉を表す自然言語と区別するための用語であり、共通語のみならず、人々がふだん使用している方言、年齢や性別により異なる言葉遣い、さらには個々人の独特の言い回しなども含み、広く日常的に使用されている言葉を表す概念である。 また、「言語コンピュータ」とは、日常言語の意味処理機構を内蔵し、コンピュータ上の全ての情報の管理と処理とが言語に基づいて行えるように、主として既存のコンピュータハードウェア上にソフトウェア的に実現されたコンピューティングの環境である。

    【0002】

    【従来の技術】近年、情報処理技術や通信技術などの急速な進展により、会社や家庭などの至るところでコンピュータが用いられるようになってきている。 このような高度情報化社会においては、その一つの問題として、コンピュータを使える者と使えない者との間の情報技術格差がますます広がっていくという問題が指摘されており、コンピュータなどの専門的な知識が少ない一般的なユーザに対して簡単な操作性を提供するということが強く要求されるようになってきている。

    【0003】このため、ユーザの操作性を向上させるためにインタフェースの改良および強化などが図られており、その一環として、音声認識技術などを利用してユーザの発話を文字に置き換えたり、ユーザの発話に基づいてコンピュータの一部の機能を操作したりするコンピュータも現れてきている。

    【0004】

    【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来のコンピュータでは、ユーザの発話を表面的には受け付けることができるものの、内部で行われる情報処理はあくまでも数値や記号などに基づいた演算処理に過ぎず、ユーザの発話の意味を理解した上で情報処理を行っているわけではない。 このため、このようなコンピュータを利用するユーザは、依然として、コンピュータで行われる情報処理の内容および操作などを正確に理解した上でコンピュータを操作する必要があり、コンピュータなどの専門的な知識が少ない一般的なユーザには依然として使いこなすことが困難であるという問題がある。

    【0005】本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、コンピュータなどの専門知識がなくとも、
    ユーザが日常的に用いる言語(日常言語)によって容易に操作することができ、またユーザの意図を柔軟かつ正確に把握して情報処理を行うことができる日常言語コンピューティングシステムおよびその方法を提供することを目的とする。

    【0006】

    【課題を解決するための手段】本発明は、人間の脳における情報処理が言語によって支えられていることに着目し、数値や記号などに基づく従来の情報処理(コンピューティング)から、言語に基づく情報処理(人間の脳型のコンピューティング)へのパラダイムシフトを志向することにより、上述した課題を解決する。

    【0007】このため、本発明は、人間が日常的に用いる言語(日常言語)の意味を理解し、全ての情報処理を日常言語により実行および管理する仕組みを提供する。

    【0008】具体的には、本発明は、その第1の解決手段として、日常言語により記述または口述された言語テクストを処理する言語コンピュータと、前記言語コンピュータを日常言語により管理する言語オペレーティングシステムとを備え、前記言語コンピュータは、日常言語の意味の体系を構造化したセミオティックベースと、前記セミオティックベースに基づいて言語テクストの意味理解および言語テクストの生成を行う意味処理機構とを有することを特徴とする日常言語コンピューティングシステムを提供する。

    【0009】なお、上述した第1の解決手段において、
    前記言語コンピュータの前記セミオティックベースは、
    語彙情報および意味情報を含む複数の辞書項目を保持する電子辞書と、言語の語彙文法特徴とそれに対応する意味役割とを体系的に保持する語彙文法ベースと、言語の意味特徴とそれに対応する意味役割とを体系的に保持する意味ベースとを有し、前記語彙文法ベースに保持された語彙文法特徴および前記意味ベースに保持された意味特徴は、前記電子辞書に保持された前記各辞書項目の語彙情報および意味情報にそれぞれ関連付けられ、前記言語コンピュータの前記意味処理機構は、前記電子辞書、
    前記語彙文法ベースおよび前記意味ベースを参照して、
    処理対象となる言語テクストに含まれる文字列の語彙文法特徴に対応する意味役割を同定するとともに、この同定された意味役割に対応する意味特徴を同定し、この同定された意味特徴に基づいて言語テクストの意味理解を行うことが好ましい。 また、前記言語コンピュータの前記セミオティックベースは、言語が用いられる状況を表す状況タイプとそれに対応する状況特徴とを体系的に保持する状況ベースをさらに有し、前記語彙文法ベースおよび前記意味ベースはともに、前記状況ベースに保持された状況タイプに関連付けられた言語の使用域を保持し、前記言語コンピュータの前記意味処理機構は、前記意味ベース、前記語彙文法ベースおよび前記状況ベースを参照して、処理対象となる言語テクストに含まれる文字列の語彙文法特徴の使用域に対応する状況タイプを同定するとともに、この同定された状況タイプに対応する意味特徴の使用域を同定し、この同定された意味特徴の使用域の範囲内で、前記同定された意味役割に対応する意味特徴を同定し、この同定された意味特徴に基づいて言語テクストの意味理解を行うことが好ましい。 さらに、前記言語コンピュータの前記セミオティックベースは、言語のやりとりの実例としての言語テクストを意味特徴とともに保持するコーパスをさらに有し、前記言語コンピュータの前記意味処理機構は、前記コーパスを参照して、処理対象となる言語テクストに類似した言語テクストの実例を検索し、この検索された言語テクストの実例の意味特徴に基づいて言語テクストの意味理解を行うことが好ましい。

    【0010】また、上述した第1の解決手段において、
    前記言語コンピュータの前記セミオティックベースは、
    言語が用いられる状況を表す状況タイプとそれに対応する状況特徴とを体系的に保持する状況ベースと、言語の意味特徴とそれに対応する意味役割とを体系的に保持する意味ベースと、言語のやりとりの実例としての言語テクストを状況特徴および意味特徴とともに保持するコーパスとを有し、前記状況ベースは、前記状況タイプに対応するテクストの場面構造をさらに保持し、前記意味ベースは、前記状況ベースに保持された状況タイプに関連付けられた言語の使用域と前記状況ベースに保持されたテクストの場面構造に関連付けられた包括プランテンプレートとをさらに保持し、前記言語コンピュータの前記意味処理機構は、前記状況ベースおよび前記意味ベースを参照して、言語テクストの生成時の状況タイプに対応するテクストの場面構造に関連した包括プランテンプレートを同定するとともに、この同定された包括プランテンプレートと言語テクストの処理の結果として得られた意味特徴とに基づいて局所プランを作成し、この作成された局所プランと前記コーパスに保持された言語テクストの実例とに基づいて言語テクストの生成を行うことが好ましい。 また、前記言語コンピュータの前記セミオティックベースは、言語の語彙文法特徴とそれに対応する意味役割とを体系的に保持する語彙文法ベースをさらに有し、前記語彙文法ベースは、前記状況ベースに保持された状況タイプに関連付けられた言語の使用域を保持し、前記コーパスは、言語のやりとりの実例としての言語テクストを状況特徴、意味特徴および語彙文法特徴とともに保持し、前記言語コンピュータの前記意味処理機構は、前記意味ベースを参照して、前記局所プランに含まれる意味特徴に対応する意味役割を同定する一方で、
    前記語彙文法ベースを参照して、言語テクストの生成時の状況タイプに対応する語彙文法特徴の使用域を同定し、この同定された語彙文法特徴の使用域の範囲内で、
    前記同定された意味役割に対応する語彙文法特徴を同定し、この同定された語彙文法特徴と前記局所プランと前記コーパスに保持された言語テクストの実例とに基づいて言語テクストの生成を行うことが好ましい。 さらに、
    前記言語コンピュータの前記セミオティックベースは、
    語彙情報および意味情報を含む複数の辞書項目を保持する電子辞書をさらに有し、前記語彙文法ベースに保持された語彙文法特徴および前記意味ベースに保持された意味特徴は、前記電子辞書に保持された前記各辞書項目の語彙情報および意味情報にそれぞれ関連付けられ、前記言語コンピュータの前記意味処理機構は、前記電子辞書を参照して、前記局所プランに含まれる意味特徴と前記同定された語彙文法特徴とを含む辞書項目を出するとともに、前記語彙文法ベースを参照して、前記同定された語彙文法特徴と前記出力された辞書項目とを組み合わせ、この組み合わせにより言語テクストの生成を行うことが好ましい。

    【0011】さらに、上述した第1の解決手段において、前記言語オペレーティングシステムは、ユーザと前記言語コンピュータとの間で対話的に言語テクストをやりとりするための秘書エージェントを有することが好ましい。 ここで、前記秘書エージェントは、専門ドメインごとに複数の候補が用意され、ユーザからの指示により所望の候補が選択されることが好ましい。 また、前記言語オペレーティングシステムは、前記秘書エージェントにより管理される知識ベースをさらに有することが好ましい。 ここで、前記知識ベースは、前記言語コンピュータの前記セミオティックベースに関連付けられていることが好ましい。 さらに、前記言語オペレーティングシステムは、前記秘書エージェントを擬人化してユーザの居住空間を模した仮想空間とともに呈示するユーザインタフェースを有することが好ましい。 ここで、前記ユーザインタフェースは、ユーザからの指示により所望の態様に設定されることが好ましい。

    【0012】さらにまた、上述した第1の解決手段において、前記言語オペレーティングシステムは、前記言語コンピュータ上での言語テクストの処理に関するプロセスを管理したり、言語テクストを含む言語ファイルを管理することが好ましい。 また、前記言語オペレーティングシステムは、他の日常言語コンピューティングシステムとの間で言語データをやりとりすることが好ましい。
    ここで、前記言語データは、言語テクストデータとその意味を表すデータとを含むことが好ましい。

    【0013】なお、上述した第1の解決手段において、
    前記言語コンピュータは、既存のプラットフォーム上で実現される仮想マシンであることが好ましい。 また、前記言語コンピュータは、前記言語オペレーティングシステムからの指示により各種のサービスを提供する言語リソースをさらに有し、前記言語リソースは、前記既存のプラットフォーム上で動作するリソース本体と、このリソース本体と前記言語オペレーティングシステムによる言語に基づく命令とを結び付けるための言語インタフェースとを有することが好ましい。

    【0014】本発明は、その第2の解決手段として、クライアントコンピューティングシステムと、前記クライアントコンピューティングシステムに接続されたネットワークコンピューティングシステムとを備え、前記クライアントコンピューティングシステムは、日常言語により記述または口述された言語テクストを処理するクライアント言語コンピュータと、前記クライアント言語コンピュータを日常言語により管理するクライアント言語オペレーティングシステムとを有し、前記ネットワークコンピューティングシステムは、前記クライアントコンピューティングシステムとの間でやりとりされる言語テクストを処理するネットワーク言語コンピュータと、前記クライアントコンピューティングシステムとの間で言語データをやりとりするとともに前記ネットワーク言語コンピュータを日常言語により管理するネットワーク言語オペレーティングシステムとを有し、前記クライアント言語オペレーティングシステムおよび前記ネットワーク言語オペレーティングシステムは、言語通信プロトコルに従って互いに言語データをやりとりすることを特徴とする日常言語コンピューティングシステムを提供する。
    ここで、前記言語通信プロトコルに従ってやりとりされる前記言語データは、言語テクストデータとその意味を表すデータとを含むことが好ましい。

    【0015】なお、上述した第2の解決手段において、
    前記クライアント言語コンピュータは、日常言語の意味の体系を構造化したクライアントセミオティックベースと、前記クライアントセミオティックベースに基づいて言語テクストの意味理解および言語テクストの生成を行うクライアント意味処理機構とを有し、前記ネットワーク言語コンピュータは、日常言語の意味の体系を構造化したネットワークセミオティックベースと、前記ネットワークセミオティックベースに基づいて言語テクストの意味理解および言語テクストの生成を行うネットワーク意味処理機構とを有し、前記クライアントセミオティックベースと前記ネットワークセミオティックベースとは、前記クライアント言語オペレーティングシステムおよび前記ネットワーク言語オペレーティングシステムによる管理の下で互いに連携することが好ましい。

    【0016】また、上述した第2の解決手段において、
    前記クライアント言語オペレーティングシステムは、ユーザと前記クライアント言語コンピュータとの間で対話的に言語テクストをやりとりする秘書エージェントを有し、前記ネットワーク言語オペレーティングシステムは、前記秘書エージェントとの間で言語テクストをやりとりするとともに前記ネットワーク言語コンピュータを管理するネットワークマネージャエージェントを有することが好ましい。

    【0017】さらに、上述した第2の解決手段において、前記クライアント言語オペレーティングシステムは、前記秘書エージェントにより管理されるクライアント知識ベースをさらに有し、前記ネットワーク言語オペレーティングシステムは、前記ネットマネージャエージェントにより管理されるネットワーク知識ベースをさらに有し、前記クライアント知識ベースと前記ネットワーク知識ベースとは、前記秘書エージェントおよび前記ネットワークマネージャエージェントによる管理の下で互いに連携することが好ましい。

    【0018】さらに、上述した第2の解決手段において、前記ネットワーク言語オペレーティングシステムは、前記クライアントコンピューティングシステムとの間でやりとりされる言語テクストの処理に関するプロセスを管理したり、前記ネットワーク言語オペレーティングシステムは、前記クライアントコンピューティングシステムとの間でやりとりされる言語テクストを含む言語ファイルを管理することが好ましい。

    【0019】本発明は、その第3の解決手段として、語彙情報および意味情報を含む複数の辞書項目を保持する電子辞書と、言語の語彙文法特徴とそれに対応する意味役割とを体系的に保持する語彙文法ベースと、言語の意味特徴とそれに対応する意味役割とを体系的に保持する意味ベースとを有し、前記語彙文法ベースに保持された語彙文法特徴および前記意味ベースに保持された意味特徴は、前記電子辞書に保持された前記各辞書項目の語彙情報および意味情報にそれぞれ関連付けられたセミオティックベースを参照して、日常言語により記述または口述された言語テクストを処理して言語テクストの意味理解を行う日常言語コンピューティング方法において、前記電子辞書を参照して、処理対象となる言語テクストに対して形態素解析と係り受け解析とを行い、当該言語テクストに含まれる文字列の語彙文法特徴を同定するステップと、前記語彙文法ベースを参照して、前記同定された語彙文法特徴に対応する意味役割を同定するステップと、前記電子辞書を参照して、前記同定された語彙文法特徴を含む辞書項目を出力するステップと、前記意味ベースを参照して、前記出力された辞書項目に含まれている意味情報を抽出するステップとを含み、前記抽出された意味情報に基づいて、前記同定された意味役割に対応する意味特徴を同定して言語テクストの意味理解を行うステップとを含むことを特徴とする日常言語コンピューティング方法を提供する。

    【0020】なお、上述した第3の解決手段において、
    前記セミオティックベースは、言語が用いられる状況を表す状況タイプとそれに対応する状況特徴とを体系的に保持する状況ベースをさらに有し、前記語彙文法ベースおよび前記意味ベースはともに、前記状況ベースに保持された状況タイプに関連付けられた言語の使用域を保持し、前記状況ベースおよび前記語彙文法ベースを参照して、処理対象となる言語テクストに含まれる文字列の語彙文法特徴の使用域に対応する状況タイプを同定するステップと、前記状況ベースおよび前記意味ベースを参照して、前記同定された状況タイプに対応する意味特徴の使用域を同定するステップとをさらに含み、前記同定された意味特徴の使用域の範囲内で、前記同定された意味役割に対応する意味特徴を同定して言語テクストの意味理解を行うことが好ましい。

    【0021】本発明は、その第4の解決手段として、言語が用いられる状況を表す状況タイプとそれに対応する状況特徴とを体系的に保持する状況ベースと、言語の意味特徴とそれに対応する意味役割とを体系的に保持する意味ベースと、言語のやりとりの実例としての言語テクストを状況特徴および意味特徴とともに保持するコーパスとを有し、前記状況ベースは、前記状況タイプに対応するテクストの場面構造をさらに保持し、前記意味ベースは、前記状況ベースに保持された状況タイプに関連付けられた言語の使用域と前記状況ベースに保持されたテクストの場面構造に関連付けられた包括プランテンプレートとをさらに保持するセミオティックベースを参照して、日常言語により記述または口述された言語テクストを処理して言語テクストの生成を行う日常言語コンピューティング方法において、前記状況ベースおよび前記意味ベースを参照して、言語テクストの生成時の状況タイプに対応するテクストの場面構造に関連した包括プランテンプレートを同定するステップと、前記意味ベースを参照して、前記同定された包括プランテンプレートと言語テクストの処理の結果として得られた意味特徴とに基づいて局所プランを作成するステップと、前記作成された局所プランと前記コーパスに保持された言語テクストの実例とに基づいて言語テクストの生成を行うステップとを含むことを特徴とする日常言語コンピューティング方法を提供する。

    【0022】なお、上述した第4の解決手段において、
    前記セミオティックベースは、言語の語彙文法特徴とそれに対応する意味役割とを体系的に保持する語彙文法ベースをさらに有し、前記語彙文法ベースは、前記状況ベースに保持された状況タイプに関連付けられた言語の使用域を保持し、前記コーパスは、言語のやりとりの実例としての言語テクストを状況特徴、意味特徴および語彙文法特徴とともに保持し、前記語彙文法ベースを参照して、言語テクストの生成時の状況タイプに対応する語彙文法特徴の使用域を同定するステップと、前記意味ベースを参照して、前記局所プランに含まれる意味特徴に対応する意味役割を同定するステップと、前記語彙文法ベースを参照して、前記同定された語彙文法特徴の使用域の範囲内で、前記同定された意味役割に対応する語彙文法特徴を同定するステップとをさらに含み、前記同定された語彙文法特徴と前記局所プランと前記コーパスに保持された言語テクストの実例とに基づいて言語テクストの生成を行うことが好ましい。 また、前記セミオティックベースは、語彙情報および意味情報を含む複数の辞書項目を保持する電子辞書をさらに有し、前記語彙文法ベースに保持された語彙文法特徴および前記意味ベースに保持された意味特徴は、前記電子辞書に保持された前記各辞書項目の語彙情報および意味情報にそれぞれ関連付けられ、前記電子辞書を参照して、前記局所プランに含まれる意味特徴と前記同定された語彙文法特徴とを含む辞書項目を出力するステップと、前記語彙文法ベースを参照して、前記同定された語彙文法特徴と前記出力された辞書項目とを組み合わせるステップとをさらに含み、
    この組み合わせにより言語テクストの生成を行うことが好ましい。

    【0023】このように本発明によれば、日常言語の意味の体系を構造化したセミオティックベースを用いて、
    意味処理機構により、言語テクストの意味理解および言語テクストの生成を行うので、全ての情報処理を日常言語により実行および管理することができる。 このため、
    コンピュータなどの専門知識がなくとも、クライアントが日常的に用いる言語(日常言語)によって容易に操作することができ、またクライアントの意図を柔軟かつ正確に把握して情報処理を行うことができる。

    【0024】また、本発明によれば、言語オペレーティングシステムにより、言語コンピュータ上での言語テクストの処理に関するプロセスの管理、言語テクストを含む言語ファイルの管理、およびネットワークを介した言語プロトコル通信の管理などを言語に基づいて行うので、情報処理に関する各種の管理を意味を伴った言語テクストのレベルで直感的に行うことができる。

    【0025】さらに、本発明によれば、既存のリソース(アプリケーションソフトウェアなどを含む)に言語インタフェースを設けているので、コンピュータによる情報処理に必要なプログラミング言語、アプリケーションソフトウェア、ファイル、データベースおよびウェブ情報のコンテンツなどの全てに言語に基づいてアクセスして利用することができる。

    【0026】これにより、コンピュータの徹底したパーソナル化を実現することができ、電話やテレビなどと同じような感覚で、また自分の言葉を通じて秘書を使うかのようにコンピュータを自在に操ることができるようになり、情報技術格差の問題は根本的に解消される。

    【0027】

    【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。

    【0028】[1 日常言語コンピューティングシステムの概要] [1.1 全体構成]まず、図1により、本実施の形態に係る日常言語コンピューティングシステムの全体構成について説明する。

    【0029】図1に示すように、日常言語コンピューティングシステム1は、コンピュータ端末としてのクライアント言語コンピューティングシステム(C−LCS)
    10と、クライアント言語コンピューティングシステム10に通信線5などを介して接続されたネットワーク言語コンピューティングシステム(N−LCS)20とを備えている。 なお、ネットワーク言語コンピューティングシステム20はインターネットやイントラネットなどのネットワーク2上に複数設けられている。

    【0030】このうち、クライアント言語コンピューティングシステム10は、日常言語により記述または口述された言語テクストを処理するクライアント言語コンピューティング環境(C−LCE)12(以下「クライアント言語コンピュータ」という。)と、クライアント言語コンピュータ12を日常言語により管理するクライアント言語オペレーティングシステム(C−LOS)16
    とを有している。 また、ネットワーク言語コンピューティングシステム20は、クライアント言語コンピューティングシステム10との間でやりとりされる言語テクストを処理するネットワーク言語コンピューティング環境(N−LCE)22(以下「ネットワーク言語コンピュータ」という。)と、クライアント言語コンピューティングシステム10との間で言語データをやりとりするとともにネットワーク言語コンピュータ22を日常言語により管理するネットワーク言語オペレーティングシステム(N−LOS)26とを有している。

    【0031】ここで、クライアント言語オペレーティングシステム16は、クライアント言語コンピューティングシステム10におけるコンピューティングに必要な全てのジョブを管理するものであり、クライアント(ユーザ)とクライアント言語コンピュータ12との間で対話的に言語テクストをやりとりするクライアント秘書エージェント17と、クライアント秘書エージェント17により管理されるクライアント知識ベース18と有している。 なお、クライアント言語オペレーティングシステム16においては、言語テクストが言語ファイル19として管理されている。

    【0032】また、クライアント言語コンピュータ12
    は、日常言語の意味の体系を構造化したクライアントセミオティックベース(Client Semiotic Base)13と、
    クライアントセミオティックベース13に基づいて言語テクストの意味理解および言語テクストの生成を行うクライアント意味処理機構14とを有している。 また、クライアント言語コンピュータ12は、クライアント言語オペレーティングシステム16からの指示により各種のサービスを提供する言語アプリケーション15を有している。 なお、クライアント言語コンピュータ12は、既存のハードウェアおよびオペレーティングシステムからなる既存プラットフォーム11上で実現される仮想マシンであり、クライアント言語コンピュータ12における全ての入出力および情報処理を日常言語により実行および管理するものである。

    【0033】一方、ネットワーク言語オペレーティングシステム26は、ネットワークコンピューティングシステム20におけるコンピューティングに必要な全てのジョブを管理するものであり、クライアント秘書エージェント17との間で言語テクストをやりとりするとともにネットワーク言語コンピュータ22を管理するネットワークマネージャエージェント27と、ネットマネージャエージェント27により管理されるネットワーク知識ベース28とを有している。 なお、ネットワーク言語オペレーティングシステム26においては、言語テクストが言語ファイル29として管理されている。

    【0034】また、ネットワーク言語コンピュータ22
    は、日常言語の意味の体系を構造化したネットワークセミオティックベース(Network Semiotic Base)23
    と、ネットワークセミオティックベース23に基づいて言語テクストの意味理解および言語テクストの生成を行うネットワーク意味処理機構24とを有している。 また、ネットワーク言語コンピュータ22は、ネットワーク言語オペレーティングシステム16からの指示により各種のサービスを提供する言語リソース25を有している。 なお、ネットワーク言語コンピュータ22は、クライアント言語コンピュータ12と同様に、既存のハードウェアおよびオペレーティングシステムからなる既存プラットフォーム21上で実現される仮想マシンであり、
    ネットワーク言語コンピュータ22における全ての入出力および情報処理を日常言語により実行および管理するものである。

    【0035】なお、クライアント言語オペレーティングシステム16およびネットワーク言語オペレーティングシステム26は、ネットワーク2を介して言語通信プロトコルに従って互いに言語データをやりとりするようになっており、クライアント秘書エージェント17とネットワークマネージャエージェント27とが互いに連携するようになっている。 また、クライアント知識ベース1
    8とネットワーク知識ベース28とは、クライアント秘書エージェント17およびネットワークマネージャエージェント27による管理の下で互いに連携するようになっている。 さらに、クライアントセミオティックベース13とネットワークセミオティックベース23とは、クライアント言語オペレーティングシステム16およびネットワーク言語オペレーティングシステム26による管理の下で互いに連携するようになっている。

    【0036】[1.2 動作例]次に、上述した日常言語コンピューティングシステム1の動作例について説明する。

    【0037】図1に示す日常言語コンピューティングシステム1において、クライアントは、問題解決の要求や問題解決の手順、作業指示などを日常言語により言語テクストとして記述または口述し、クライアント言語コンピューティングシステム10に対して情報処理の実行を依頼する。

    【0038】ここで、クライアントから依頼されて行われる情報処理とは、パーソナルコンピュータやインターネットなどで一般に行われている情報処理のことであり、具体的には、次のようなものが挙げられる。

    【0039】(a) 日常的な情報の収集や、チケットなどの予約、スケジュール管理、ドキュメントの作成および管理。 (b) 電子メールの作成および送信や、受信メールの分類または内容の要約。 (c) コンサルテーションや学習。 (d) インターネット上のウエブ情報のコンテンツ内の情報検索や調査。 (e) プログラミング言語やアプリケーションソフトウエアを用いたコンピューティング。 (f) インターネット上での電子商取引やバンキング、
    インベストメント。 (g) 意思決定やプランニング、マネジメントなどの専門的なジョブ。 (h) 家電製品やロボット、工場のプラントなどのハードウェア機器の制御や管理。 (i) その他、コンピュータやインターネットの各種の機能を用いた情報処理一般。

    【0040】このような情報処理に関してのクライアントからの依頼は、例えば言語プログラム3として、クライアント言語コンピューティングシステム10に入力される。 なお、言語プログラム3は、ファイルなどに記述されたものでもよいし、また口述されたものでもよい。

    【0041】クライアント言語コンピューティングシステム10において、クライアント言語オペレーティングシステム16のクライアント秘書エージェント17により言語プログラム3が受け付けられ、クライアント秘書エージェント17を介してクライアント言語コンピュータ12上で言語プログラム3が実行される。 また、クライアント秘書エージェント17は、必要に応じて、ネットワーク言語コンピューティングシステム20のネットワークマネージャエージェント27に対して言語プログラム3の実行を依頼する。 この場合には、ネットワーク言語コンピューティングシステム20のネットワーク言語コンピュータ22上で言語プログラム3が実行される。 なお、クライアント言語コンピュータ12およびネットワーク言語コンピュータ22においては、言語プログラム3に含まれる言語テクストの意味理解が行われ、
    最終的に既存プラットフォーム11,21上で実行可能な形式に変換またはコンパイルされ、所望の情報処理が行われる。 クライアント言語コンピュータ12およびネットワーク言語コンピュータ22における言語プログラム3の実行結果は、クライアント秘書エージェント17
    を介してクライアントに対して報告される。

    【0042】なお、クライアント言語コンピュータ12
    およびネットワーク言語コンピュータ22における情報処理には、ほとんどがクライアント秘書エージェント1
    7によるものと、主としてクライアントが行うものとがあり、その種別に応じて情報処理の手順が異なっている。

    【0043】以下、3つの代表的な情報処理を例に挙げて、図1に示す日常言語コンピューティングシステム1
    の動作例について説明する。

    【0044】<動作例1>まず、図2により、図1に示す日常言語コンピューティングシステム1において、アプリケーションソフトウエアを利用して所定の計算を実行する場合の動作例について説明する。

    【0045】図2に示すように、まず、クライアントは、計算の種類や、入力データ、計算の要求などを言語プログラムとして記述し(ステップ101)、次いで、
    クライアント言語オペレーティングシステム16のクライアント秘書エージェント17を呼び出し、言語プログラムの実行を指示する(ステップ102)。

    【0046】クライアント秘書エージェント17は、クライアント言語コンピュータ12を用いて言語プログラムを解釈する(ステップ103)。 なおこのとき、クライアント秘書エージェント17は、言語プログラム意味理解ルーチンに従って、クライアント言語コンピュータ12のクライアント意味処理機構14を起動し、クライアントセミオティックベース13を用いて言語プログラムの意味理解を行う(ステップ109)。

    【0047】次に、クライアント秘書エージェント17
    は、必要なアプリケーションソフトウエアを探し出し、
    クライアントが指示する入力データを揃え、計算を実行するための準備を行う(ステップ104)。

    【0048】アプリケーションソフトウエアは、クライアント秘書エージェント17から計算の要求を受け付け、実行形式のオブジェクトプログラムのセットアップを行い(ステップ105)、そのオブジェクトプログラムをオペレーティングシステム(既存プラットフォーム11)に渡す(ステップ106)。

    【0049】最後に、クライアント秘書エージェント1
    7は、オペレーティングシステム(既存プラットフォーム11)から実行結果を受け取り(ステップ107)、
    その実行結果をクライアントに報告する(ステップ10
    8)。 なおこのとき、クライアント秘書エージェント1
    7は、クライアント応答生成ルーチンに従って、クライアント言語コンピュータ12のクライアント意味処理機構14を起動し、クライアントセミオティックベース1
    3を用いて実行結果の意味理解を行うとともに実行結果の要約を表す言語テクストを生成し、その要約を実行結果につけてクライアントに報告する(ステップ11
    0)。

    【0050】<動作例2>次に、図3により、図1に示す日常言語コンピューティングシステム1において、ネットワーク上で情報検索を行う場合の動作例について説明する。

    【0051】図3に示すように、まず、クライアントは、収集したい情報の種別とコメントとを言語プログラムとして記述し(ステップ201)、次いで、クライアント言語オペレーティングシステム16のクライアント秘書エージェント17を呼び出し、言語プログラムの実行を指示する(ステップ202)。

    【0052】クライアント秘書エージェント17は、クライアント言語コンピュータ12を用いて言語プログラムを解釈し、次いで、言語プログラムを補足してネットワーク言語コンピューティングシステム20のネットワークマネージャエージェント27が理解できるような形に整える(ステップ203)。 なおこのとき、クライアント秘書エージェント17は、言語プログラム意味理解ルーチンに従って、クライアント言語コンピュータ12
    のクライアント意味処理機構14を起動し、クライアントセミオティックベース13を用いて言語プログラムの意味理解を行う。 また、クライアント秘書エージェント17は、テクスト生成ルーチンに従って、クライアント言語コンピュータ12のクライアント意味処理機構14
    を起動し、クライアントセミオティックベース13を用いて言語プログラムを補足する言語テクストを生成する(ステップ210)。

    【0053】次に、クライアント秘書エージェント17
    は、ネットワーク言語コンピューティングシステム20
    のネットワークマネージャエージェント27を呼び出し、修正済みの言語プログラムの実行を依頼する(ステップ204)。

    【0054】ネットワークマネージャエージェント27
    は、ネットワーク言語コンピュータ22を用いて修正済みの言語プログラムを解釈し、適当な検索エージェントを呼び出して、検索を依頼する(ステップ205)。 なおこのとき、ネットワークマネージャエージェント27
    は、言語プログラム意味理解ルーチンに従って、ネットワーク言語コンピュータ22のネットワーク意味処理機構24を起動し、ネットワークセミオティックベース2
    3を用いて修正済みの言語プログラムの意味理解を行う(ステップ211)。

    【0055】検索エージェントは検索を実行する(ステップ206)。

    【0056】その後、ネットワークマネージャエージェント27は、検索エージェントから検索結果を受け取り、検索結果の要約を作成する(ステップ207)。 なおこのとき、ネットワークマネージャエージェント27
    は、テクスト生成ルーチンに従って、ネットワーク言語コンピュータ22のネットワーク意味処理機構24を起動し、ネットワークセミオティックベース23を用いて検索結果の要約を表す言語テクストを生成する(ステップ212)。

    【0057】そして、ネットワークマネージャエージェント27は、その要約を、収集した情報につけてクライアント秘書エージェント17に報告する(ステップ20
    8)。

    【0058】最後に、クライアント秘書エージェント1
    7は、ネットワークマネージャエージェント27から検索結果とその要約とを受け取り、収集した情報を要約に従って編集した上で、クライアントに報告する(ステップ209)。 なおこのとき、クライアント秘書エージェント17は、クライアント応答生成ルーチンに従って、
    クライアント言語コンピュータ12のクライアント意味処理機構14を起動し、クライアントセミオティックベース13を用いて検索結果の意味理解を行うとともに編集された収集情報を表す言語テクストを生成する(ステップ213)。

    【0059】<動作例3>次に、図4により、図1に示す日常言語コンピューティングシステム1において、ネットワーク上の処理エージェント(コンサルティングや、旅行代理店、商店など)を利用する場合の動作例について説明する。

    【0060】図4に示すように、まず、クライアントは、クライアント言語オペレーティングシステム16のクライアント秘書エージェント17を呼び出し、目的と、必要とする処理エージェントの種別とを指示する(ステップ301)。

    【0061】クライアント秘書エージェント17は、クライアント言語コンピュータ12を用いてクライアントの指示を解釈し、次いで、言語プログラムを作成する(ステップ302)。 なおこのとき、クライアント秘書エージェント17は、言語プログラム意味理解ルーチンに従って、クライアント言語コンピュータ12のクライアント意味処理機構14を起動し、クライアントセミオティックベース13を用いてクライアントの指示の意味理解を行う。 また、クライアント秘書エージェント17
    は、テクスト生成ルーチンに従って、クライアント言語コンピュータ12のクライアント意味処理機構14を起動し、クライアントセミオティックベース13を用いてクライアントの指示を実現するための言語プログラム(言語テクスト)を生成する(ステップ309)。

    【0062】次に、クライアント秘書エージェント17
    は、ネットワーク言語コンピューティングシステム20
    のネットワークマネージャエージェント27を呼び出し、作成された言語プログラムの実行を依頼する(ステップ303)。

    【0063】ネットワークマネージャエージェント27
    は、ネットワーク言語コンピュータ22を用いて言語プログラムを解釈し、所望のサービスを行っている処理エージェントを呼び出す(ステップ305)。 なおこのとき、ネットワークマネージャエージェント27は、言語プログラム意味理解ルーチンに従って、ネットワーク言語コンピュータ22のネットワーク意味処理機構24を起動し、ネットワークセミオティックベース23を用いて言語プログラムの意味理解を行う(ステップ31
    0)。

    【0064】その後、ネットワークマネージャエージェント27は、処理エージェントのサービスのコンテンツを調べ、処理エージェントのサービス内容の要約を作成する(ステップ305)。 なおこのとき、ネットワークマネージャエージェント27は、テクスト生成ルーチンに従って、ネットワーク言語コンピュータ22のネットワーク意味処理機構24を起動し、ネットワークセミオティックベース23を用いてサービス内容の要約を表す言語テクストを生成する(ステップ311)。

    【0065】そして、ネットワークマネージャエージェント27は、そのサービス内容の要約をクライアント秘書エージェント17に報告する(ステップ306)。

    【0066】最後に、クライアント秘書エージェント1
    7は、ネットワークマネージャエージェント27からサービス内容の要約を受け取り、それを理解した上で、適当な処理エージェントをクライアントに紹介する(ステップ307)。 なおこのとき、クライアント秘書エージェント17は、クライアント応答生成ルーチンに従って、クライアント言語コンピュータ12のクライアント意味処理機構14を起動し、クライアントセミオティックベース13を用いてサービス内容の要約の意味理解を行うとともに処理エージェントの情報を表す言語テクストを生成する(ステップ312)。

    【0067】その後、クライアントは、報告された処理エージェントにコンタクトする(ステップ308)。

    【0068】以下、上述した日常言語コンピューティングシステム1の詳細について、クライアント言語コンピューティングシステム10およびネットワーク言語コンピューティングシステム20のそれぞれに分けて説明する。

    【0069】[2 クライアント言語コンピューティングシステム] [2.1 クライアント言語オペレーティングシステム] [2.1.1 概要]図1に示すクライアント言語コンピューティングシステム10において、クライアント言語オペレーティングシステム16は、クライアントとクライアント言語コンピュータ12との間で対話的に言語テクストをやりとりするためのクライアント秘書エージェント17を有し、クライアント言語コンピュータ12
    上での言語テクストの処理に関するプロセスを管理したり、言語テクストを含む言語ファイル19を管理することができるようになっている。

    【0070】具体的には、クライアント言語オペレーティングシステム16のクライアント秘書エージェント1
    7は、クライアントからの要求の意味を理解し、言語テクストの処理に関するプロセスのスケジューリングを行ってクライアントの要求を実現する。 また、クライアント秘書エージェント17は、クライアントからの指示により、または自発的に、言語ファイル19の作成および管理を行う。 ここで、言語ファイルとは、クライアントまたはクライアント秘書エージェント17のパーソナルファイルであり、言語タイトルと要約とを含み、日常言語により作成および管理される。 なお、言語ファイルは、クライアント秘書エージェント17を介してその内容を確認することができる他、クライアントが直接アクセスしてその内容を確認することができる。 言語ファイルとしては、クライアントがクライアント秘書エージェント17に作成を指示したものの他、クライアント秘書エージェント17がクライアントの要求に応じられるように自発的に作成したもの、ネットワーク言語オペレーティングシステム26で管理される共用ファイルの一部をカスタマイズしてクライアント用にしたものなどがある。

    【0071】また、クライアント言語オペレーティングシステム16は、ネットワーク言語オペレーティングシステム26との間で言語通信プロトコルに従って言語データをやりとりすることにより、クライアント秘書エージェント17とネットワークマネージャエージェント2
    7とを互いに連携させたり、クライアント秘書エージェント17およびネットワークマネージャエージェント2
    7による管理の下でクライアント知識ベース18とネットワーク知識ベース28とを互いに連携させる。

    【0072】さらに、クライアント言語オペレーティングシステム16は、ネットワーク言語オペレーティングシステム26との間で言語通信プロトコルに従って言語データをやりとりすることにより、クライアントセミオティックベース13とネットワークセミオティックベース23とを互いに連携させ、クライアント言語コンピュータ12のクライアントセミオティックベース13に格納された言語体系資源に関して、クライアント秘書エージェント17が言語テクストの意味理解や言語テクストの生成を行うときに必要な言語体系資源をネットワークセミオティックベース23から補充する。

    【0073】[2.1.2 ユーザインタフェース]図5はクライアント言語オペレーティングシステム16によりクライアントに対して呈示されるユーザインタフェースの一例を説明するための図である。

    【0074】図5に示すように、クライアント言語コンピューティングシステム10のディスプレイ上には、クライアント秘書エージェント17を擬人化した秘書アイコン51と、クライアントの居住空間(居間やオフィス)を3次元的に模した仮想空間としてのクライアントオフィス52とが画面4として表示されており、クライアントと秘書アイコン51(クライアント秘書エージェント17)との間での対話など(言語テクストのやりとり)によりクライアント言語コンピューティングシステム10を操作することができるようになっている。

    【0075】ここで、図5に示すようなユーザインタフェースは、クライアントからの指示により所望の態様に設定することができるようになっている。

    【0076】具体的には、画面4上に表示されるクライアントオフィス52にはいくつかの標準パターンがあり、それぞれの標準パターンをオフィス変更ツールなどを用いてクライアントからの指示により適宜変更することにより、クライアントの好みに応じて模様変えなどを行うことができるようになっている。

    【0077】また、画面4上に表示される秘書アイコン51(クライアント秘書エージェント17)には、専門ドメインごとに複数の候補が用意されており、クライアントからの指示によりクライアントの好みに応じて所望の候補を選択することができるようになっている。 なお、画面4上に表示される秘書アイコン51は、専門ドメインなどの性質に応じて表情、服装、方言および言葉遣いなどが異なっている。

    【0078】なお、画面4上に表示されるクライアントオフィス52には、クライアント用のデスクアイコン5
    3、クライアント秘書エージェント用のデスクアイコン54、掲示ボートアイコン55、本棚アイコン56、電話アイコン57、テレビアイコン58などあり、また必要に応じてファイルキャビネットアイコンやビデオアイコン、ステレオアイコンなどがあり、クライアントがマウス操作などにより直接指示したり、また秘書アイコン51(クライアント秘書エージェント17)に対して言語により指示することによりアクセスすることができるようになっている。

    【0079】ここで、一例として、言語ファイルの内容を確認する場合を例に挙げて説明する。 図5に示す画面4上において、言語ファイルは、クライアントオフィス52内のファイルキャビネット(図示せず)に収納されており、クライアントがマウス操作などにより直接指示したり、また秘書アイコン51(クライアント秘書エージェント17)に対して言語により指示することによりアクセスすることができる。 また、クライアントは、このようにしてアクセスされた言語ファイルをデスクアイコン53上で仮想的に開いて見ることができる他、秘書アイコン51(クライアント秘書エージェント17)に言語ファイルの内容を読み上げさせたり、内容の要約を述べさせたりすることができる。

    【0080】ここで、これらのアイコンのうち、例えば掲示ボートアイコン55や本棚アイコン56にはクライアント言語オペレーティングシステム16により管理される言語ファイルや言語プロセスなどが関連付けられており、また電話アイコン57や電話やファクシミリアイコン(図示せず)などにはそれぞれ電話やファクシミリなどのクライアントが日常的に使用している物理的な通信機器が関係付けられており、またテレビアイコン58
    やビデオアイコン(図示せず)、ステレオアイコン(図示せず)にはテレビやビデオ、ステレオなどのクライアントが日常的に使用している物理的なAV機器が関係付けられている。 なお、これらの物理的な通信機器やAV
    機器は、クライアント言語コンピューティングシステム10に内蔵されているものでもよく、またクライアント言語コンピューティングシステム10に接続された外部機器でもよい。

    【0081】[2.1.3 クライアント秘書]クライアント秘書エージェント17は、クライアント言語コンピューティングシステム10およびネットワーク言語コンピューティングシステム20に関する知識を有し、図5に示すような画面4上の秘書アイコン51を通じて呈示される表情、服装、方言および言葉遣いなどを通じて独自のパーソナリティを示すとともに、専門ドメインなどを通じて独自のパーソナリティを示す。

    【0082】なお、クライアント秘書エージェント17
    は、クライアント知識ベース18を用いて、次のような学習能力および習熟能力を有し、特定のクライアントに特化された個人秘書として機能するものである。

    【0083】(a) 方言や独特の言葉遣いを用いてなされたクライアントの要求の意味を正確に理解し、音声や文字などにより臨機応変に応答する。 (b) 一定の常識を有し、融通性に富み、クライアントの意図を察して、適切な提案を行う。 (c) クライアントを補佐する仕事を通じて他の様々なドメイン知識を獲得する。 (d) 自己の作業能力を向上させ、クライアントモデルを形成する。

    【0084】ここで、クライアント秘書エージェント1
    7が行う主なジョブは、クライアントから依頼された言語プログラムを実行したり、言語プログラムの実行をサポートしたり、実行結果を報告したりすることであり、
    クライアントからの直接の指示により行うジョブの他、
    クライアント秘書エージェント17の独自の判断で行うジョブがある。

    【0085】このうち、クライアントからの指示により行うジョブとしては、次のようなものがある。

    【0086】(a) 必要な情報を収集し、編集や要約の作成などを行ってクライアントに報告する。 (b) ネットワーク言語オペレーティングシステム26
    のネットワークマネージャエージェント27を呼び出し、ドメインごとの処理エージェントに対してクライアントに代わってジョブの実行を依頼する。 (c) 簡単な旅行ガイドや各種の予約を行う。 (d) 言語ファイルを作成して管理する。 (e) クライアントからの指示により電子メールを作成して送信する。 (f) アプリケーションソフトウエアの利用をサポートしたり、コンピュータの機能について説明する。

    【0087】一方、クライアント秘書エージェント17
    の独自の判断で行うジョブとしては、次のようなものがある。

    【0088】(g) 図5に示す画面4上に表示されたクライアントオフィス52全体を管理し、ファイルの収納や整理、模様替えなどを行う。 (h) 自分用のメモを作成する。 (i) 自分用のファイルを作成し、クライアントのスケジュール管理や個人情報の管理を行う。 (j) クライアントの言語プログラムを解釈して実行しやすいように補足や修正などを行う。 (k) 自分の専用のドメイン知識の拡充や新たに獲得したドメイン知識のための知識ベースを作成する。

    【0089】[2.1.4 クライアント知識ベース]
    クライアント知識ベース18は、クライアント秘書エージェント17がクライアントからの依頼に応じて言語プログラムなどを実行する際に参照する知識を格納するものであり、クライアント秘書エージェント17を介してなされたクライアントからの要求に応じてその状況に必要な知識が検索および適用される。 なお、クライアント知識ベース18は、クライアント秘書エージェント17
    により追加および更新される。 また、クライアント知識ベース18内に格納された知識は、クライアント言語コンピュータ12のクライアントセミオティックベース1
    3によってインデックス化されている。

    【0090】[2.2 クライアント言語コンピュータ] [2.2.1 クライアントセミオティックベース] [2.2.1.1 概要]図1に示すクライアント言語コンピューティングシステム10のクライアントセミオティックベース13は、図6に示すように、クライアント電子辞書31、クライアント語彙文法ベース35、クライアント意味ベース37、クライアント状況ベース3
    9およびクライアントコーパス42を有している。

    【0091】[2.2.1.2 クライアント電子辞書]図6に示すように、クライアント電子辞書31は、
    複数の辞書項目32を保持している。 各辞書項目32
    は、レコード番号、見出し情報、語彙情報(表記、読み、品詞、活用語であればその基本形と活用型、および語彙文法特徴)、意味情報、および頻度情報から構成されている(図4(a)〜(g)参照)。 このうち、各辞書項目32の語彙情報はクライアント語彙文法ベース35に保持された語彙文法特徴と関連付けられ、各辞書項目32
    の意味情報はクライアント意味ベース37に保持された意味特徴と関連付けられている。

    【0092】また、クライアント電子辞書31は、形態素解析のために、どのような形態素が連続して現れやすいかを統計処理し、その結果から得られた確率を示した形態素連接表33を保持している。

    【0093】さらに、クライアント電子辞書31は、係り受け解析のために、どのような句が係り受け関係を持ちやすいかを統計処理し、その結果から得られた確率を示した係り受け関係表34を保持している。

    【0094】なお、このようなクライアント電子辞書3
    1においては、エディタなどにより、新しい辞書項目を登録することが可能である。 なお、初期状態で登録されているのは日常レベルの語彙がほとんどであるが、専門性の高い語彙でも、特に、言語プログラムに関連のある語彙については、デフォルトで搭載するようにするとよい。 また、必要に応じて、ネットワークセミオティックベース23のネットワーク電子辞書から、辞書項目をインポートするようにしてもよい。 さらに、クライアントによる方言の使用をサポートするために標準語だけでなく方言も含むようにするとよく、エディタなどにより適宜カスタマイズするようにするとよい。

    【0095】[2.2.1.3 クライアント語彙文法ベース]図6に示すように、クライアント語彙文法ベース35は、互いに関連付けられた複数の語彙文法ベース項目36を有している。 各語彙文法ベース項目36は、
    レコード番号と、言語の語彙文法的な特徴を記述するための情報(語彙文法特徴)とから構成されている。 なお、語彙文法特徴は、言語テクストの言い回しを解析し、その言い回しの意味役割および意味の分析につなげていくのに必要なものである。 なお、クライアント語彙文法ベース35においては、クライアント電子辞書31
    に登録されている見出しの全てとそれらの可能な組合わせ方が、語レベル、句レベルおよび節レベルに分けて体系化されている(図8参照)。

    【0096】なお、語彙文法特徴には、2種類の情報が付与されている。 1つは、クライアント状況ベース39
    に保持された状況タイプに関連付けられた言語の使用域であり、語彙文法特徴がどのような状況下で用いられやすいものであるかを示したものである。 もう1つは、語彙文法特徴の具現の仕方に関する情報(意味役割)であり、語彙文法特徴によってどのような意味役割が具現されるかを示したものである(図8参照)。

    【0097】なお、語彙文法特徴と意味役割との関係は次のとおりである。 例えば、「太郎」という言い回しの語彙文法特徴は『名詞+格助詞が』で、『名詞+格助詞が』は<動作主>という意味役割を表すことができるとすると、「太郎が歩く」の「太郎が」は、走るという<
    動作>に対して、走るという動作をする人、すなわち<
    動作主>という意味役割を表していることになる。

    【0098】[2.2.1.4 クライアント意味ベース]図6に示すように、クライアント意味ベース37
    は、互いに関連付けられた複数の意味ベース項目38を有している。 各意味ベース項目38は、レコード番号と、言語の意味的な特徴を記述するための情報(意味特徴)とから構成されている。 なお、意味特徴は、言語テクストの意味を解析し、その意味が担う意味役割および語彙文法特徴の分析につなげていくために必要なものである。 なお、クライアント意味ベース37においては、
    クライアント電子辞書31に意味情報として導入されたものが、主として上位および下位の関係に基づいて体系化されている(図9参照)。 なお、普通の国語辞典などに記載されている単語の意味から、類義語辞典(シソーラス)に記載されている概念、さらに文全体で表現される“命令”や“質問”のような意味まで含むようにすることが好ましい。

    【0099】なお、意味特徴には、2種類の情報が付与されている。 1つは、クライアント状況ベース39に保持された状況タイプに関連付けられた言語の使用域であり、意味特徴がどのような状況下で現れやすいものであるかを示したものである。 もう1つは、意味特徴の具現の仕方に関する情報(意味役割)であり、意味特徴によってどのような意味役割が具現されるかを示したものである(図8参照)。 なお、各意味ベース項目38の意味特徴に付与された言語の使用域は、言い換えると、クライアント状況ベース39に保持された状況タイプに対応するテクストの場面構造(後述)のどの場面で現れやすいものであるかを示したものであり、この場面において典型的にやりとりされる意味を表したものが包括プランテンプレート44として保持されている(図10参照)。

    【0100】図10に示すように、包括プランテンプレート44は、言語テクスト情報46の一部を構成する意味特徴のテンプレートである。 包括プランテンプレート44は、どのような意味特徴を持つ項目が入るべきかを指定したスロットを含んでおり、クライアント意味ベース37に基づいて、その意味特徴を満たす項目によりスロットが埋められることにより、一文ごとにどのような意味特徴を含むことになるのかが決まるようになっている。 なお、各文ごとにどのような意味特徴が含まれるのかを示したものは局所プランと呼ばれる(図11の符号45参照)。

    【0101】なお、包括プランテンプレート44および局所プラン45では、意味特徴は3種類に分けて記載される。 1つは、「概念構成的意味」で、主として文を構成している名詞句や動詞句の意味(例えば、人、場所、
    動作、状態を表すなど)を規定するための特徴である。
    2つ目は、「対人関係的意味」で、話し手が、文を通じて表している聞き手に対する態度(例えば、相手の方が目上である、あるいは、初対面であるために丁寧に接しているなど)や、文の内容に対する態度(例えば、文の中に話し手には分からないことが含まれているので、質問するなど)を記述するための特徴である。 3つ目は、
    「テクスト形成的意味」で、文の話題をどのように文中で提示するかを規定するための特徴である。 なお、話題は、文中で提示することもあれば、分かり切っている場合には示さずにおくこともできるので、それに関する選択がここで設定される。 これらは、クライアント語彙文法ベース35に保持されている語彙文法特徴(図10および図11において、「過程構成」、「叙法」および「テーマ構造」として記載されている特徴)によって、
    それぞれ具現される。

    【0102】ここで、このような意味特徴と語彙文法特徴とはあらかじめ関連付けられている。 すなわち、上述した意味特徴の具現の仕方に関する情報(意味役割)によって、意味特徴が文中でどのような語彙文法特徴によって具現されるか(例えば、“感謝する”という意味特徴は、クライアント語彙文法ベース35に保持された「ありがとう」や「すみません」という語彙文法特徴によって具現される)、また意味特徴によってどのような意味役割が具現されるか(「太郎」が“人間の名前”という意味特徴を持ち、“人間”が<動作主>という意味役割を担うことが可能であるとすると、「太郎が走る」
    の「太郎」は、走るという<動作>に対して、<動作主>という意味役割を担っている)、が指定されている。

    【0103】[2.2.1.5 クライアント状況ベース]図6に示すように、クライアント状況ベース39
    は、互いに関連付けられた複数の状況ベース項目40を有している。 各状況ベース項目40は、レコード番号と、言語が用いられる状況を類似関係に基づいて分類してグループ化した情報(状況タイプ)とから構成されている。

    【0104】なお、状況タイプには、それに対応する状況特徴が付与されている。 状況特徴は、言語活動領域、
    役割関係および伝達様式の3つの特徴からなっている(図12参照)。 このうち、言語活動領域とは言語を使って何が行われているか(例えば、ジョブを説明するなど)、役割関係とは誰が関わっているか(例えば、クライアントが発信者で、クライアント秘書エージェントが受信者)、伝達様式とはどのように言語が伝達されるか(例えば、音声出力を想定して書かれたもの)、に関連している。 これらの3種類の特徴が変わると、言語の使用のされ方に違いが生じる。

    【0105】人間は日々の生活において、ある状況タイプのときに、どのように話が展開するか、どのような意味のやりとりが行われるか、どのような言葉遣いがなされるかなどについて、直感的に様々な予測をし、適切な言語を使用している。 同様のことをコンピュータ上で再現するためには、状況タイプとそこで典型的に用いられる言語の特徴(語彙文法特徴および意味特徴)とを結び付けておく必要がある。 このため、クライアント状況ベース39の各状況ベース項目40に状況タイプの情報を付与するとともに、クライアント語彙文法ベース35の各語彙文法ベース項目36およびクライアント意味ベース37の各意味ベース項目38に言語の使用域という情報を付与し、状況タイプから使用域、また使用域から状況タイプを引き出すことができるようになっている。

    【0106】図13は図6に示すクライアントセミオティックベース13におけるクライアント状況ベース3
    9、クライアント意味ベース37およびクライアント語彙文法ベース35間の連関の様子を説明するための図である。

    【0107】図13において、クライアント状況ベース39内の楕円61で示した部分が特定の状況タイプを示しており、これとの関連で、クライアント意味ベース3
    7の使用域(符号62参照)およびクライアント語彙文法ベース35の使用域(符号63参照)が抽出される。
    このような状況タイプと使用域との連関によって、言語の使用の状況とそこで伝えたい意味とが与えられれば、
    適切な言い回しが導き出され、言語の使用の状況とそこで発せられた言い回しとが与えられれば、適切な意味が導き出される。 さらに、特定の状況タイプによって限定されたクライアント意味ベース37の使用域に対応する意味特徴(符号62参照)の中から1つ(符号64参照)が選ばれると、それを具現する語彙文法特徴(符号65参照)がクライアント語彙文法ベース35の使用域に対応する語彙文法特徴(符号63参照)の中から選ばれる。 状況タイプが変わると、どの意味特徴と語彙文法特徴とが連関するかが変わる。

    【0108】さらに、クライアント状況ベース39は、
    状況タイプに対応するテクストの場面構造41を保持している(図14参照)。 図14に示すように、テクストの場面構造41は、言語テクストの大まかな展開を示したものであり、ある状況にはどのような場面が存在するか、それがどのような順番で現れるか、その場面は必須であるかどうか、といった情報が含まれている。 テクストの場面構造41の各場面は、クライアント意味ベース37に保持された包括プランテンプレート44と連関している。

    【0109】なお、このようなクライアント状況ベース39においては、エディタなどにより、新しい状況タイプやテクストの場面構造を作成することが可能である。
    また、クライアントの要求に応じて要約文の字数制限を設定したり、クライアントに必要な特定の情報だけを含む要約文を作成するようにすることも可能である。 さらに、必要に応じて、ネットワークセミオティックベース23のネットワーク状況ベースから、状況タイプやテクストの場面構造をインポートするようにしてもよい。

    【0110】[2.2.1.6 クライアントコーパス]図6に示すように、クライアントコーパス42は、
    複数のコーパス項目43を有している。 各コーパス項目43は、レコード番号と、言語のやりとりの実例としての言語テクストとから構成されている。 なお、各言語テクストは、クライアント電子辞書31、クライアント語彙文法ベース35、クライアント意味ベース37およびクライアント状況ベース39内の言語体系に従って解析され、それぞれの特徴(語彙文法特徴、意味特徴および状況特徴)が記述されている(図15(a)(b)参照)。 なお、初期状態では、新聞から日常会話まで、様々な状況タイプに属する言語テクストが保存されている。 ここで、クライアント電子辞書31、クライアント語彙文法ベース35、クライアント意味ベース37およびクライアント状況ベース39内の言語体系とクライアントコーパス42内の言語テクストの特徴(語彙文法特徴、意味特徴および状況特徴)とを比較してみると、実際に言語テクスト内で具現されている特徴に対して、言語体系内にある他の具現可能な特徴にはどのようなものがあるのかが分かる。

    【0111】なお、このようなクライアントコーパス4
    2においては、クライアントとクライアント秘書エージェント17との間でなされた言語テクストのやりとりが、その語彙文法特徴、意味特徴および状況特徴とともに全て記録される。 そして、言語テクストの意味理解および言語テクストの生成時には、クライアントが頻繁に用いる言語テクストを優先的に利用することにより、迅速に処理を行うことが可能となる。

    【0112】[2.2.2 クライアント意味処理機構] [2.2.2.1 概要]図1に示すクライアント言語コンピュータ12において、クライアント意味処理機構14により行われる言語テクストの処理は、全てクライアントセミオティックベース13内の言語体系資源を用いて行われる。 基本的な言語テクストの処理には、大別して、与えられた言語テクストの意味理解を行うためのものと、状況に即した言語テクストの生成を行うためのものとがある。 また、基本的に言語テクストの生成の範疇に含まれる事項であるが、言語テクストの生成において、対人関係を特に考慮したケースとして、言語テクストの翻訳がある。

    【0113】以下、クライアント意味処理機構14によりクライアントセミオティックベース13を用いた言語テクストの意味理解、言語テクストの生成、および言語テクストの翻訳が行われるタイミングについて列挙する。

    【0114】(1)言語テクストの意味理解 (a) クライアントが記述または口述した言語プログラムをクライアント秘書エージェント17受け取ったとき。 (b) 言語プログラムの実行結果をクライアント秘書エージェント17が受け取ったとき。 (c) ネットワークマネージャエージェント27に依頼した言語プログラムの実行結果の要約をクライアント秘書エージェント17が受け取ったとき。

    【0115】(2)言語テクストの生成 (a) クライアント言語コンピューティングシステム1
    0を起動した後、クライアント秘書エージェント17がクライアントにあいさつをするとき。 (b) クライアントが記述または口述した質問を理解した後、それに対して返答するとき。 (c) クライアントが記述または口述した言語プログラムを理解した後、ネットワークマネージャエージェント27にその言語プログラムの実行を依頼するため、その言語プログラムを修正するとき。 (d) クライアントが記述または口述した言語プログラムを理解したが、クライアント秘書エージェント17がその言語プログラムを実行するにあたって必要な情報が不足していることが分かり、クライアントから必要な情報を引き出そうとするとき。 (e) 言語プログラムの実行結果を理解した後、その内容を要約するとき。 (f) ネットワークマネージャエージェント27に依頼した言語プログラムの実行結果の要約を理解した後、クライアントの好みに合わせて、その実行結果と要約とを編集するとき。

    【0116】(3)言語テクストの翻訳 (a) 異種言語を用いてクライアント同士がコミュニケーションをとるとき。 (b) クライアントがクライアント秘書エージェント1
    7に言語テクストの翻訳を依頼するとき。 (c) 専門家の難解な話をクライアントが理解できるレベルの話に翻訳するとき。 (d) ある方言を他の方言、あるいは標準語とされる言語に翻訳するとき。

    【0117】なお、言語テクストの処理の基本は、言語テクストの意味理解と言語テクストの生成である。 言語テクストの翻訳は、原テクストの理解と翻訳されたテクストの生成として考えることができる。 そこで、以下、
    言語テクストの意味理解と言語テクストの生成とを中心にして、その処理の内容について具体的に説明する。

    【0118】[2.2.2.2 言語テクストの意味理解]ここでは、クライアントが記述した言語プログラムの意味理解を例に挙げて、言語テクストの意味理解の処理について説明する。

    【0119】<処理例1>図16は言語テクストの意味理解の一例を説明するためのフローチャートである。 なお、図16に示すフローチャートは、処理対象となる情報(矩形の囲み線)と、処理に用いられるクライアントセミオティックベースの各部(矩形の二重囲み線)との関係を、制御の流れ(矢印)とともに表したものである。

    【0120】図16において、まず、クライアント言語コンピュータ12が、クライアントが入力した言語プログラムをクライアント秘書エージェント17から受け取る(ステップ401)。

    【0121】クライアント言語コンピュータ12のクライアント意味処理機構14は、クライアントコーパス4
    2を参照して、言語プログラムに含まれる言語テクストに類似した言語テクストがあるかどうかを確認する(ステップ402)。

    【0122】ここで、クライアントコーパス42内に類似した言語テクストが見つかった場合には、その言語テクストの意味特徴を、言語プログラムの意味として、クライアント秘書エージェント17に渡す(ステップ40
    3)。

    【0123】これにより、言語プログラムの意味理解は終了となる。

    【0124】なお、図16に示す処理例は、クライアントセミオティックベース13の一部であるクライアントコーパス42のみを用いて言語プログラムの意味理解を行うものである。

    【0125】<処理例2>これに対し、ステップ402
    において、クライアントコーパス42内に類似した言語テクストが見つからなかった場合には、図17に示すような処理が行われる。

    【0126】図17はクライアントセミオティックベース13の全てを用いて言語プログラムの意味理解を行う場合を説明するためのフローチャートである。 なお、図17に示すフローチャートの表現方法は図16と同様である。

    【0127】図17において、まず、クライアント言語コンピュータ12が、クライアントが入力した言語プログラムをクライアント秘書エージェント17から受け取る(ステップ501)。

    【0128】クライアント言語コンピュータ12のクライアント意味処理機構14は、クライアント電子辞書3
    1の形態素連接表33および係り受け関係表34を参照して、言語プログラムに含まれる言語テクストに対して形態素解析と係り受け解析とを行い(ステップ50
    2)、次いで、クライアント語彙文法ベース35を参照して、形態素解析および係り受け解析の結果情報のついた文字列から、それらの語彙文法特徴を同定する(ステップ503)。

    【0129】その後、クライアント語彙文法ベース35
    を参照して、ステップ503で得られたそれぞれの語彙文法特徴が表現できる意味役割を同定する(ステップ5
    04)。

    【0130】また、クライアント意味ベース37を参照して、ステップ504で得られたそれぞれの意味役割を担うことのできる意味特徴を同定する(ステップ50
    5)。

    【0131】一方で、クライアント語彙文法ベース35
    を参照して、ステップ503で得られた語彙文法特徴からその使用域を同定する(ステップ506)。

    【0132】また、クライアント状況ベース39を参照して、ステップ506で得られた語彙文法特徴の使用域から、その使用域に対応する状況タイプを同定する(ステップ507)。

    【0133】次に、クライアント意味ベース37を参照して、ステップ507で得られた状況タイプに対応する意味特徴の使用域を同定する(ステップ508)。

    【0134】一方で、クライアント電子辞書31を参照して、ステップ503で得られたそれぞれの語彙文法特徴を含む辞書項目を出力する(ステップ509)。

    【0135】また、クライアント意味ベース37を参照して、ステップ509で得られた辞書項目に含まれている意味情報を抽出し、ステップ506乃至ステップ50
    8で得られた意味特徴の使用域の範囲内で、ステップ5
    04で得られた意味役割を実際に担うことができる意味特徴を同定する(ステップ510)。

    【0136】その後、クライアントコーパス42を参照して、同じ意味特徴を持つ言語テクストの実例があるかどうかを確認し、あれば、その意味特徴のコーパス項目に言語テクスト情報を登録し、なければ、新たなコーパス項目を作成して、そこに言語テクスト情報を登録する(ステップ511)。

    【0137】最後に、以上の処理で得られた意味特徴を、言語プログラムの意味として、クライアント秘書エージェント17に渡す(ステップ512)。

    【0138】なお、上述したステップ501乃至ステップ512において、ステップ506乃至ステップ508
    の処理は、状況タイプが特定されていない場合に行われるものであり、具体的な状況タイプが設定されている場合には、処理が省略される。

    【0139】<具体例>次に、上述した言語プログラムの意味理解に関して、インターネットショッピングという状況設定の下でやりとりされる言語テクストを例に挙げて具体的に説明する。

    【0140】まず、前提として、「インターネットショッピング」という状況タイプは、クライアント状況ベース39内で図12に示すように規定されている。 また、
    この状況タイプには、図14に示すようなテクストの場面構造41が設定されている。 なお、図14に示すテクストの場面構造41の概要は次のとおりである。

    【0141】1. 始めのあいさつ 2. 顧客同定(2.1.会員登録) 3. 注文受付 4. 届け先指定(4.1.自宅以外の届け先登録) ((4.2.ギフト指定)) 5. 支払方法指定(5.1.カード情報登録) 6. 注文内容確認 7. 届け先確認 8. 支払方法確認 9. 送付期日通知((9.1. 送付期日指定)) 10. 問い合わせ方法通知 11. 終わりのあいさつ

    【0142】なお、ここで、一重カッコで示したものは、インターネットショッピングという状況で必ず観察される場面ではないが、比較的頻繁に観察される場面を表し、二重カッコで示したものは、ほとんど観察されないが、たまに出てくる場面を表し、カッコのないものは必須の場面を表している。 なお、図14においては、上述した場面のうち二重カッコで示したものが省略されている。

    【0143】まず、図16に示す処理例に従って言語プログラムの意味理解が行われる場合について説明する。
    上述したテクストの場面構造のうち、最後にある「1
    1. 終わりのあいさつ」の場面における客の発話「(はい、よろしく)お願いします」などは、その場面に特有の言い回しである。 このように場面に特有の言い回しというのは、あらかじめクライアントコーパス42内に意味理解が行われた状態で保持されている(図15(b)参照)。 このため、図16に示す処理例に従って、クライアントコーパス42内に保持されている言語テクストを利用することにより、言語テクストの意味を容易に特定することができる。

    【0144】次に、図17に示す処理例に従って言語プログラムの意味理解が行われる場合について説明する。
    ここでは、上述したテクストの場面構造のうち、「2.
    1. 顧客同定」の「名前、住所、電話番号、メールアドレスを質問」という場面を対象にする。 次の言語テクストは、実際の発話例からの抜粋である。 ただし、個人名は置き換えてある。

    【0145】店員(エージェント):では、会員として登録させていただきますので、お名前、ご住所、お電話番号、電子メールアドレスをお願いします。 (A) 客(クライアント):はい、名前はやまだたろうと申します。 (B) 店員(エージェント):はい、あの、漢字のほう、お願いします。

    【0146】店員の発話(A)を受けて、客の発した言い回し(B)は、次のような処理を経て意味理解が行われる。 初めに、クライアント電子辞書31を参照して、
    言い回し(B)に対して形態素解析と係り受け関係解析とを行う(上記ステップ502)。 次に、クライアント語彙文法ベース35を参照して、言い回し(B)の語彙文法特徴を同定し(上記ステップ503)、さらに語彙文法特徴が担っている意味役割を同定する(上記ステップ504)。 なお、この時点では、クライアント語彙文法ベース35において、図18の点線を付した部分の語彙文法特徴および意味役割が選択される。 これにより、
    この時点までに得られた言語テクスト情報をまとめると、図19に示すようになる。

    【0147】次に、クライアント意味ベース37を参照して、「名前、やまだたろう、申します」の意味特徴を同定する。 その際には、語彙文法特徴から同定された意味役割を用いて、当該意味役割に対応する意味特徴を同定する(上記ステップ505)。

    【0148】また、クライアント電子辞書31を参照して、当該語彙文法特徴を語彙情報として含む辞書項目を出力する(上記ステップ509)。 これにより、図4
    (a)〜(d)のような辞書項目が出力される。

    【0149】その後、クライアント意味ベース37を参照して、これらの辞書項目に含まれる意味情報と、クライアント語彙文法ベース35により得られた意味役割とに基づいて、言い回し(B)の意味特徴が同定される(ステップ510)。 なお、この時点では、クライアント意味ベース37において、図20の点線を付した部分の意味役割および意味特徴が選択される。 これにより、
    図21に示すような局所プラン45が作成される。 このような局所プラン45が得られた時点で、言語テクストの意味理解は終了したことになる。

    【0150】なお、クライアントコーパス42を参照して、同じ意味特徴を持つ言語テクストの実例があるか確認し、あれば、その意味特徴のコーパス項目に言い回し(B)の言語テクスト情報を登録し、なければ、新たにその意味特徴のコーパス項目を作成して、そこに言い回し(B)の言語テクスト情報を登録する(上記ステップ511)最後に、以上の処理で得られた意味特徴を、言い回し(B)の意味として、クライアント秘書エージェント17に渡す(上記ステップ512)。

    【0151】[2.2.2.3 言語テクストの生成]ここでは、言語プログラムの実行結果の報告を例に挙げて、言語テクストの生成の処理について説明する。

    【0152】<処理例1>図22は言語テクストの生成の一例を説明するためのフローチャートである。 なお、
    図22に示すフローチャートは、処理対象となる情報(矩形の囲み線)と、処理に用いられるクライアントセミオティックベースの各部(矩形の二重囲み線)との関係を、制御の流れ(矢印)とともに表したものである。

    【0153】図22において、まず、クライアント言語コンピュータ12が、言語プログラムの実行結果をクライアント秘書エージェント17から受け取る(ステップ601)。

    【0154】クライアント言語コンピュータ12のクライアント意味処理機構14は、クライアント状況ベース39を参照して、言語プログラムの理解時に得られた状況タイプを参照しながら、言語テクストの生成時の状況タイプを同定する(ステップ602)。

    【0155】また、クライアント状況ベース39を参照して、言語テクストの生成時の状況タイプに対応するテクストの場面構造を同定する(ステップ603)。

    【0156】さらに、クライアント意味ベース37を参照して、テクストの場面構造の各場面に関連した包括プランテンプレートを同定する(ステップ604)。

    【0157】その後、クライアント意味ベース37を参照して、言語プログラムの実行結果として得られた意味特徴を加えて、ステップ604で得られた包括プランテンプレートのスロットを埋めていくことにより、局所プランを作成する(ステップ605)。 なお、必要であれば、図16および図17に示すような処理により、言語プログラムの実行結果の意味理解を行い、その結果として得られた意味特徴を用いる。

    【0158】これにより、言語テクストの生成時の状況タイプと局所プランとが得られたこととなる。

    【0159】この時点で、クライアントコーパス42を参照して、類似した状況特徴と意味特徴とを持つ言語テクストがあるかどうかを確認し、クライアントコーパス42内に類似した言語テクストの実例が見つかった場合には、その言語テクストの言い回しを言語プログラムの実行結果の要約文として取り出し(ステップ613)、
    クライアント秘書エージェント17に渡す(ステップ6
    14)。

    【0160】これにより、言語プログラムの実行結果の報告は終了となる。

    【0161】<処理例2>なお、上述した処理例1のステップ613において、クライアントコーパス42内に類似した状況特徴と意味特徴とを持つ言語テクストが見つからなかった場合には、図23に示すような処理が行われる。

    【0162】図23はクライアントセミオティックベース13のクライアント語彙文法ベース35、クライアント意味ベース37、クライアント状況ベース39およびクライアントコーパス42を用いて言語プログラムの実行結果の報告を行う場合を説明するためのフローチャートである。 なお、図23に示すフローチャートの表現方法は図22と同様である。 また、ステップ601乃至ステップ605に関しては、図22のものと同じ処理であるので、説明は省略する。

    【0163】図23において、クライアント語彙文法ベース35を参照して、ステップ602で得られた言語テクストの生成時の状況タイプに対応する語彙文法特徴の使用域を同定する(ステップ606)。

    【0164】また、クライアント意味ベース37を参照して、ステップ605で得られた局所プラン内の意味特徴が担うことができる意味役割を同定する(ステップ6
    07)。

    【0165】さらに、クライアント語彙文法ベース35
    を参照して、ステップ606で得られた語彙文法特徴の使用域の範囲内で、ステップ607で同定された意味役割を実際に担うことができる語彙文法特徴を同定する(ステップ608)。

    【0166】これにより、言語テクストの生成時の状況タイプと局所プランと語彙文法特徴とが得られたこととなる。

    【0167】この時点で、クライアントコーパス42を参照して、類似した状況特徴と意味特徴と語彙文法特徴とを持つ言語テクストがあるかどうかを確認し、クライアントコーパス42内に類似した言語テクストの実例が見つかった場合には、その言語テクストの言い回しを言語プログラムの実行結果の要約文として取り出し(ステップ615)、クライアント秘書エージェント17に渡す(ステップ616)。

    【0168】これにより、言語プログラムの実行結果の報告は終了となる。

    【0169】<処理例3>なお、上述した処理例2のステップ615において、クライアントコーパス42内に類似した状況特徴と意味特徴と語彙文法特徴とを持つ言語テクストが見つからなかった場合には、図24に示すような処理が行われる。

    【0170】図24はクライアントセミオティックベース13のクライアント電子辞書31、クライアント語彙文法ベース35、クライアント意味ベース37、クライアント状況ベース39およびクライアントコーパス42
    を用いて言語プログラムの実行結果の報告を行う場合を説明するためのフローチャートである。 なお、図24に示すフローチャートの表現方法は図22および図23と同様である。 また、ステップ601乃至ステップ608
    に関しては、図22および図23のものと同じ処理であるので、説明は省略する。

    【0171】図24において、クライアント電子辞書3
    1を参照して、ステップ605で得られた局所プラン内の意味特徴とステップ608で得られた語彙文法特徴とを含む辞書項目を出力する(ステップ609)。

    【0172】また、クライアント語彙文法ベース35を参照して、ステップ608で得られた語彙文法特徴とステップ609で得られた辞書項目とを組み合わせて、言い回しを作成する(ステップ610)。

    【0173】その後、クライアントコーパス42を参照して、同じ言い回しの言語テクストの実例があるかどうかを確認し、あれば、その言い回しのコーパス項目にその言い回しの言語テクストの情報を登録し、なければ、
    新たなコーパス項目を作成して、そこにその言い回しの言語テクスト情報を登録する(ステップ611)。

    【0174】最後に、以上の処理で得られた言い回しを、言語プログラムの実行結果の要約文として、クライアント秘書エージェント17に渡す(ステップ61
    2)。

    【0175】なお、上述したステップ601乃至ステップ616において、ステップ601乃至ステップ605
    の処理は、状況タイプが特定されていない場合に行われるものであり、具体的な状況タイプが設定されている場合には、テクストの場面構造や包括プランテンプレートを利用することによって、処理が省略される。

    【0176】<具体例>次に、上述した言語プログラムの実行結果の報告に関して、引き続きインターネットショッピングという状況設定の下でやりとりされる言語テクストを例に挙げて説明する。

    【0177】まず、前提として、「インターネットショッピング」という状況タイプは、クライアント状況ベース39内で図12に示すように規定されている。 また、
    この状況タイプには、図14に示すようなテクストの場面構造41が設定されている。

    【0178】図14に示すテクストの場面構造41において、今回は、「1.始めのあいさつ」の「社名を通知」の場面を対象にする。

    【0179】なお、テクストの場面構造の各場面は、そこでどのような意味のやりとりが行われるかが設定された包括プランテンプレート44に関連している。

    【0180】図7は「1.始めのあいさつ」の「社名を通知」という場面でどのような意味のやりとりが行われるかが設定された包括プランテンプレート44である。
    なお、包括プランテンプレートというものは、あくまで、インターネットショッピングという状況タイプに属する言語テクストに共通するものであり、実際の言語テクストの言い回しを特定するためには、包括プランテンプレートに基づいて局所プランを作成しなければならない。 局所プランは、包括プランテンプレートのスロットに、意味特徴についての具体的な項目が挿入されることにより作成される。 例えば、今生成している言語テクストが、「Xインターネットショッピング・センター」という会社のものだとすると、図7に示す包括プランテンプレート44の「社名」に「Xインターネットショッピング・センター」という個別名が挿入され、図8に示すような局所プラン44が作成される(上記ステップ60
    5)。 このような局所プラン45により、文の具体的な意味が記述されたことになる。 なお、局所プランは、言語テクストの生成を行うために毎回作成されるものであり、これに対して包括プランテンプレートは、あらかじめクライアントセミオティックベース13内のクライアント意味ベース37内に保持されているものである。

    【0181】局所プランが作成された場合には、これに基づいて、語彙文法特徴が特定される必要がある。 しかし、クライアントコーパス42を参照して、類似した状況特徴と意味特徴(局所プラン)とを持つ言語テクストの実例が見つかったときには、その実例の言い回しを利用することによって、あとの処理を省略することができる(図22の処理例に対応)。

    【0182】これに対して、類似した状況特徴と意味特徴(局所プラン)とを持つ言語テクストの実例が見つからなかったときには、さらに以下の処理が行われる。

    【0183】すなわち、クライアント意味ベース37を参照して、局所プラン内の意味特徴に対応する意味役割が同定され(上記ステップ607)、さらに、クライアント語彙文法ベース35を参照して、意味役割に対応する語彙文法特徴が同定される(上記ステップ608)。
    なお、この時点では、クライアント意味ベース37において、図25の点線を付した部分の意味特徴および意味役割が選択され、クライアント語彙文法ベース35において、図26の点線を付した部分の語彙文法特徴および意味役割が選択される。

    【0184】ここで、クライアントコーパス42を参照して、類似した状況特徴と意味特徴(局所プラン)と語彙文法特徴とを持つ言語テクストの実例が見つかったときには、その実例の言い回しを利用することによって、
    あとの処理を省略することができる(図23の処理例に対応)。

    【0185】図27はこのような言語テクストの生成の過程で得られた言語テクスト情報の一例を示す図である。 図27において、語彙文法特徴は太字で示されており、その部分をみると分かるように、ある語彙文法特徴は、特定の意味役割が名詞句によって具現されるとか、
    名詞句の後ろに助詞の「は」が付くということを表しているだけで、具体的な単語までは限定できないこともある。 そのときには、クライアント電子辞書31を参照して、局所プラン内の意味特徴を持ち、かつ語彙文法特徴を含んだものを同定する(上記ステップ609)。

    【0186】ここで、クライアント電子辞書31において、辞書項目の語彙情報や意味情報にそれぞれ語彙文法特徴と意味特徴と同じ項目が含まれている見出し語を探すことにより、図4(e)〜(g)に示すような辞書項目が検索される。

    【0187】その後、語彙文法特徴と辞書項目とを組み合わせることによって、局所プラン内の意味特徴を表現する言い回しが決定される(上記ステップ610)。 なお、上述した局所プランと語彙文法特徴とに基づいて作成された言い回しは、図28に示されている。

    【0188】このようにして言い回しが得られた時点で、言語テクストの生成が終了したことになる。

    【0189】なお、クライアントコーパス42を参照して、同じ言い回しの言語テクストの実例があるか確認し、あればその言い回しのコーパス項目にその言い回しの言語テクスト情報を登録し、なければ、新たにその言い回しのコーパス項目を作成し、そこにその言い回しの言語テクストの情報を登録する(上記ステップ61
    1)。

    【0190】最後に、以上の処理で得られた言い回しを、局所プランに従って生成された言語テクストとして、クライアント秘書エージェント17に渡す(上記ステップ612)。

    【0191】[2.2.2.3 言語テクストの翻訳]
    言語テクストの翻訳としては、異種言語間での翻訳の他、同一国言語のある方言から標準語とされる言語への翻訳などがある。

    【0192】このような言語テクストの翻訳は、クライアント言語コンピュータ12のクライアント意味処理機構14において、上述した言語テクストの意味理解と言語テクストの生成とにより行われる。 すなわち、原テクストの理解によって得られた局所プランのうち、状況特徴および意味特徴に関する値はそのまま保持し、語彙文法特徴の値のみを翻訳対象となる言語の語彙文法特徴の値に変更する。 その結果、異種言語などにおける局所プランが作成される。 この新たな局所プランに基づいて言語テクストの生成を行うことにより、原テクストから異種言語、あるいは標準語とされる言語への翻訳が行われる。 なお、言語テクストの生成を行う際には、クライアントコーパス42を参照して、既に類似した言語テクストを生成したことがあるかどうかを局所プランに基づいて確認し、あればその言語テクストを部分的に修正して翻訳テクストとしてクライアント秘書エージェント17
    に渡す。

    【0193】[2.2.3 言語アプリケーション]図1に示すクライアント言語コンピューティングシステム10において、クライアント言語コンピュータ12は、
    クライアント言語オペレーティングシステム16からの指示により各種のサービスを提供する言語アプリケーション15を有している。

    【0194】図29はクライアント言語コンピューティングシステム10のクライアント言語コンピュータ12
    で提供される言語アプリケーション15を説明するための図である。 図29に示すように、言語アプリケーション15は、既存プラットフォーム11(図1参照)上で動作する既存のアプリケーションソフトウエア(リソース本体)66と、この既存のアプリケーションソフトウエア66とクライアント言語オペレーティングシステム16(図1参照)による言語に基づく命令とを結び付けるための言語インタフェース67とを有している。

    【0195】言語アプリケーション15には、それを使用する際に頻繁に用いられる言語の言い回しや表現(例えば、図形を描画するときの言葉遣い、ワープロを利用するときの言葉遣い、ネットワークを利用するときの言葉遣いなど)が特定できるような言語の使用域の情報が付与されている。

    【0196】クライアント秘書エージェント17により、クライアントの発した言語テクストから言語の使用域およびその状況タイプが判別される。 ここで、クライアント知識ベース18内には、言語アプリケーション1
    5と状況タイプとの対応関係が、言語アプリケーションの操作手順と操作において必要となるパラメータとともに知識として格納されており、クライアント秘書エージェント17は、このクライアント知識ベース18を参照することにより、クライアントからの要求に対してどの言語アプリケーション15を使用するかを判別する。 また、各言語アプリケーションごとに機能や操作方法が言語で説明されており、複数の言語アプリケーションの中から有用なものを判別しなくてはならないときは、日常言語で各言語アプリケーションにアクセスして決定することができる。 判別された言語アプリケーションは、言語の使用域に関する情報を持っており、言語インタフェースに用意されている操作コマンドのいずれが使用されるかが判別される。

    【0197】ここで、言語アプリケーション15の言語インタフェース67は、言語に基づく命令によってアプリケーションソフトウエア66にアクセスして操作するための、既存のアプリケーションソフトウエア66とクライアント秘書を仲介するインタフェースであり、通常のアプリケーションソフトウエアの操作項目とクライアント秘書エージェント17の言語に基づく命令とを結び付ける。

    【0198】なお、言語インタフェース67は、既存のアプリケーションソフトウエアの全てに共通に使用できる仕様となっており、各アプリケーションソフトウエアが持つ個別の言語の使用域に対応して、言語インタフェース67の一部が割り当てられている。 また、アプリケーションソフトウエア66を操作するコマンド群は、操作に必要な簡単な言語に基づく命令の集合となっており、操作量の程度や度合いのパラメータとともに用いられることにより、アプリケーションソフトウエア66の細かい操作が可能となっている。

    【0199】図29において、クライアントが、提供を受けたいサービスについての要求をクライアント秘書エージェント17に対して日常言語により依頼すると、クライアント秘書エージェント17は様々なレベルの抽象度を持つクライアントの依頼の意図を解釈し、様々な言語アプリケーション15を用いることによりクライアントの要求を実現する。

    【0200】具体的には、アプリケーションソフトウエア66に付されている操作方法に従って、ユーザプロファイル68を参照して、クライアントの好み(例えば色)を考慮して、アプリケーションソフトウエア67の操作手順および操作内容(操作量となるパラメータの値など)を決定する。 このようにして決定された操作の順序および操作内容は、言語インタフェース67を介して、アプリケーションソフトウエア66に送られて実行される。

    【0201】なお、言語アプリケーション15の使用に関しては、クライアントからの要求を受け付けたクライアント秘書エージェント17がクライアントの要求を考慮してアプリケーションソフトウェア66の選択やスケジューリングなどを行うので、クライアントは自分の要求がどのアプリケーションソフトウエア66を利用することによって達成されるかを考える必要はなく、クライアント秘書エージェント17に対して自分の要求を依頼するだけで済む。

    【0202】なお、アプリケーションソフトウエア66
    の操作手順は構造化されており、目的とするジョブ(タスク)ごとに操作手順の構造が存在している。 クライアント秘書エージェント17は、クライアントの要求を実現するためのジョブを選択し、そのタスクの持つ手順に従って操作を行う。 同時に操作内容の詳細についてもクライアントの発した言語テクストおよびクライアントの好みなどを考慮して決定する。

    【0203】[3 ネットワーク言語コンピューティングシステム] [3.1 ネットワーク言語オペレーティングシステム] [3.1.1 概要]図1に示すネットワーク言語コンピューティングシステム20において、ネットワーク言語オペレーティングシステム26は、クライアント秘書エージェント17との間で言語テクストをやりとりするためのネットワークマネージャエージェント27を有し、ネットワーク言語コンピュータ12上での複数のクライアントの言語テクストの処理に関するプロセスを管理したり、言語テクストを含む言語ファイル29を管理したりすることができるようになっている。

    【0204】具体的には、ネットワーク言語オペレーティングシステム26のネットワークマネージャエージェント27は、クライアント言語オペレーティングシステム16のクライアント秘書エージェント17との間で言語データをやりとりすることにより、クライアント秘書エージェント17からの要求(問い合わせやジョブの実行の依頼)を一括して受け付け、言語テクストの処理に関するプロセスのスケジューリングを行ってクライアントの要求を実現する。 また、ネットワークマネージャエージェント27は、ネットワーク上の共用ファイルやネットワーク上に置かれたクライアント用のファイルとしての言語ファイル29を管理し、クライアント秘書エージェント17およびネットワーク上の各種の処理エージェントの要求に応じて言語ファイル29を検索したり提示したりする。

    【0205】[3.1.1 ネットワークマネージャ]
    ネットワークマネージャエージェント27は、ネットワーク上でサービスを提供するクライアント秘書エージェント17を一般化したエージェントであり、クライアント秘書エージェント17からの問い合わせやジョブの実行の依頼に応ずるものである。 なお、これらの問い合わせやジョブの実行の依頼は、言語通信プロトコルに従って、クライアント秘書エージェント17からネットワークマネージャエージェント27に送られる。 このとき、
    クライアントの発した言語テクストからクライアント秘書エージェント17が理解した言語の使用域および言語の使用域に対応する状況タイプなどもネットワークマネージャエージェント27に送られる。

    【0206】また、ネットワークマネージャエージェント27は、ネットワーク言語オペレーティングシステム26内の各種の処理エージェントや、クライアント言語オペレーティングシステム16からネットワーク言語オペレーティングシステム27へ移動してきたクライアント秘書エージェント17を管理する。

    【0207】具体的には、次のとおりである。

    【0208】(1) エージェントの管理 クライアント秘書エージェント17や各種の処理エージェントのテンプレートの生成や、ネットワーク言語オペレーティングシステム20内での処理エージェントの利用、退去および消滅などを行う。

    【0209】(2) エージェントの検索 クライアント秘書エージェント17から要求されたジョブを遂行可能な能力を持った他のクライアント秘書エージェントやネットワーク上の処理エージェントをメタデータベースによって検索する。 ここで、ネットワーク知識ベース28内には、エージェントと状況タイプと間の対応関係が、エージェントの能力および所在などの情報とともに知識として格納されており、ネットワークマネージャエージェント27は、ネットワーク知識ベース2
    8を参照することにより、クライアント秘書エージェント17からの要求に対してどの処理エージェントにジョブの実行を依頼するか決定する。 なお、適当な処理エージェントが存在しない場合には、他のネットワーク言語コンピューティングシステムのネットワークマネージャエージェントにジョブの実行を依頼する。

    【0210】(3) エージェントの仲介 複数のクライアント秘書エージェントとネットワーク上の処理エージェントとの協調作業によりジョブを実行する際のプランニングや仲介を行う。 ここで、ネットワーク知識ベース28内には、プランニングに関する知識が、状況タイプおよびジョブの内容と関連付けられて格納されており、ネットワークマネージャエージェント2
    7は、必要に応じてネットワーク知識ベース28を参照しながら、ネットワーク上のどの処理エージェントにどのジョブを割り当てるのかを決定する。 また、各処理エージェントからの返答結果を統合して、最初に要求のあったクライアント秘書エージェント17に対してジョブの実行結果を送る。

    【0211】[3.1.2 ネットワーク知識ベース]
    ネットワーク知識ベース25は、ネットワークマネージャエージェント27がクライアント秘書エージェント1
    7からの依頼に応じてジョブを実行する際に参照する知識を格納するものであり、ネットワークマネージャエージェント27からの要求に応じてその状況に必要な知識が検索および適用される。 なお、ネットワーク知識ベース28は、ネットワークマネージャエージェント27により追加および更新される。 また、ネットワーク知識ベース28内に格納された知識は、ネットワーク言語コンピュータ22のネットワークセミオティックベース23
    によってインデックス化されている。

    【0212】[3.1.3 言語プロセス管理]ネットワーク言語オペレーティングシステム26は、ネットワーク言語コンピュータ12上での複数のクライアントの言語テクストの処理に関するプロセスを管理する言語プロセス管理部を有している。

    【0213】図30はネットワーク言語オペレーティングシステム26での言語プロセス管理を説明するための模式図である。 図30に示すように、ネットワーク言語オペレーティングシステム26は、言語プロセス管理部71を有し、ネットワークマネージャエージェント27
    によって受け付けた、クライアント秘書エージェント1
    7や各種の処理エージェント72からの要求(問い合わせやジョブの実行の依頼)を管理し、クライアント秘書エージェント17や各種の処理エージェント72に対して計算機資源73を割り振るためのスケジューリングを行う。 具体的には、言語プロセス管理部71は、複数のクライアント秘書エージェント17および各種の処理エージェント72からのリクエストに対する応答スケジュール管理を行い、リクエストに対しての応答の優先順位をつけ、その順位に従って計算機資源73を割り振る。

    【0214】[3.1.4 言語ファイル管理]ネットワーク言語オペレーティングシステム26は、ネットワーク上の共用ファイルやネットワーク上に置かれたクライアント用のファイルとしての言語ファイル29を管理する言語ファイル管理部を有している。

    【0215】言語ファイル管理部は、言語ファイル29
    に含まれるタイトルおよびアブストラクトの内容とネットワーク状況ベースとの間の対応関係をとることにより、言語ファイル29がどのようなドメインおよびジョブ(タスク)で用いられるかを分類および管理し、クライアント秘書エージェント17および各種の処理エージェントの要求に応じて言語ファイル29を検索したり提示したりする。

    【0216】[3.1.5 言語プロトコル通信管理]
    ネットワーク言語オペレーティングシステム26は、言語通信プロトコルに従って、クライアント言語コンピューティングシステム10のクライアント言語オペレーティングシステム16や、他のネットワーク言語コンピューティングシステムのネットワーク言語オペレーティングシステム2との間での言語プロトコル通信を管理するようになっている。

    【0217】ここで、言語通信プロトコルについて説明する前に、現在インターネット上で用いられている通信プロトコル一般について説明する。

    【0218】通信プロトコルとは、2つのシステムが互いに通信を行うために必要な「通信規約」のことをいい、取り扱う情報の構造(フォーマット(format))
    と、その情報の送受信の手順(プロシージャ(procedur
    e))とから構成される。 コンピュータ間で通信を行うためには、ネットワーク上で通信を確立するための手続き(ネットワークの物理的確立、論理信号のやりとりの確立、配送ルートの確立、送信および受信の確立など)
    や送信するデータの形式などにおいて細かい規約が必要となる。

    【0219】現在、このような通信規約の標準としては、大きく分けると2つの標準(国際標準プロトコルと業界標準プロトコルと呼ばれるもの)が存在している。
    このうち、国際標準プロトコルのモデルとして採用されているのがOSI(Open System Interconnection)参照モデルであり、互いに通信を行う2つのシステムを7
    つの階層に分け、階層内の機能、階層と階層とのインタフェース、および同じ階層間のプロトコルを規定したモデルとなっている。 OSI参照モデルは、ISO(国際標準化機構)によって、プロトコルの統合標準を目指して提案されたものであるが、現在では他のプロトコルの枠組みまたは比較対象となるモデルとして用いられている。

    【0220】現在のインターネット上で一般的に用いられているのは業界標準プロトコルと呼ばれるものであり、UnixネットワークのプロトコルであるTCP/
    IPと呼ばれるものが普及している。 TCP/IPプロトコルは、図36に示すように、OSI参照モデルとは少し異なった階層構造を有しており、おおまかに分けて4層の構造を有している。

    【0221】言語通信プロトコルは、図36に示すようなTCP/IPプロトコル群の一つのアプリケーションプロトコルとして実装されるものであり、図1に示す日常言語コンピューティングシステム1で用いられる主となる通信規約となり、日常言語コンピューティングシステム1の全てのコンポーネントはこの言語通信プロトコルによってコミュニケーション(通信)を行う。 なお、
    既存のインターネット上で用いられているTCP/IP
    プロトコル群は、それらの使用を専門とするエージェントに対して言語通信プロトコルに従ってやりとりすることにより、間接的に言語通信プロトコルから利用することができる。 また、言語通信プロトコルにおける情報の送受信の手順は、人間が自然言語で行う対話の過程と同じものであり、コミュニケーションを行う対象は人間のみならずあらゆるネットワーク資源を想定しており、エージェントを仲介することにより、そのネットワーク資源固有の通信プロトコルに従ってコミュニケーションを行うことが可能になる。

    【0222】なお、言語通信プロトコルは、人間が日常的に用いている日常言語をそのまま通信するために規約化したものであり、既存のネットワークプロトコルおよびエージェント間通信のプロトコルを包括し、セミオティックベースの言語体系資源をクライアントからの要求により配信したり、言語テクストの意味理解、言語テクストの生成および言語テクストの翻訳をネットワーク上で実現するための通信規約である。

    【0223】図31は言語通信プロトコルの一例を示す図である。 図31に示すように、言語通信プロトコルのデータ仕様は、言語テクストデータに、セミオティックベースの言語体系資源に基づいて得られた言語テクストデータの意味を表すデータをつけたものとなっている。
    言語テクストデータの意味を表すデータの仕様は、セミオティックベースにおける言語テクスト情報と同じとなっており、言語体系とそれを取り巻くコンテクストとの関係がそのままの形で言語通信プロトコルのデータ仕様となり、ヘッダ部と、言語テクストの言い回し、状況特徴、意味特徴および語彙文法特徴を含むデータ部とからなっている。

    【0224】なお、データ部において、「言語テクスト」層には、実際の言語テクストの言い回しが含まれている。 「状況」層には、言語テクストの言語活動領域、
    役割関係および伝達様式の具体的な値が含まれている。
    「語彙・文法」層には、言語テクストの語彙文法特徴が解析された値が含まれている。 「意味」層には、状況特徴に対応する語彙文法特徴を捉えることにより得られた言語テクストの意味特徴の具体的な値が含まれている。
    なお、「状況」層、「意味」層および「語彙・文法」層の間には互いを規定する制約関係が成り立っている。

    【0225】言語テクストの意味理解、言語テクストの生成および言語テクストの翻訳は、言語通信プロトコルに従ってやりとりされる言語データに基づいて行われる。 特に、言語テクストの翻訳がなされるときには、原テクストの意味を損なうことなく、「状況」層の役割関係の値によって、相手に伝えるべき語彙文法特徴が選択され、言語通信プロトコルに従った言語データとして送られる。

    【0226】例を挙げると、異なる言語を話すクライアントAとクライアントBとが存在し、クライアントAからクライアントBへのコミュニケーションをとる場合、
    クライアントAとクライアントBとの役割関係には、
    「外国人」同士という値が選ばれ、クライアントAの言語テクストの意味を損なうことなく、クライアントBの話す言語の語彙文法資源によりクライアントAの言語テクストの意味が表現される。 同様に、クライアントAとクライアントBとが異なる方言を話す場合も、クライアントAの方言をクライアントBの方言に翻訳し、スムーズなコミュニケーションが実現される。 また、専門家と素人とがコミュニケーションをする場合などにも、難解な表現を素人にも理解できるような表現に翻訳し、コミュニケーションをスムーズにすることができる。 これらと同様に、クライアントは自らが翻訳したい言語テクストをクライアント秘書エージェント17に依頼して、翻訳してもらうことも可能である。

    【0227】なお、クライアント言語コンピューティングシステム10において、クライアント秘書エージェント17がクライアントの発した言語テクストの意味理解および言語テクストの生成を行うときに必要となる言語体系資源は、デフォルトではクライアントセミオティックベース13となっている。 しかし、言語テクストの意味理解および言語テクストの生成に必要となる言語体系資源が不足している(すなわち、言語通信プロトコルに従った言語データの一部が不足しているためにクライアント秘書エージェント17がクライアントの発した言語テクストの意味を理解できない状態に陥っている)場合には、図32に示すように、クライアント秘書エージェント17からネットワークマネージャエージェント27
    に対して、ネットワークセミオティックベース23内の言語体系資源を配信してもらうように要求することができるようになっており、これによりクライアントセミオティックベース13とネットワークセミオティックベース23とが互いに連携するようになっている。 なお、ネットワークセミオティックベース23から一度配信された言語体系資源はクライアントセミオティックベース1
    3内に蓄積され、クライアント固有のクライアントセミオティックベース13が形成されていく。

    【0228】[3.2. ネットワーク言語コンピュータ] [3.2.1 ネットワークセミオティックベース] [3.2.1.1 概要]図1に示すネットワーク言語コンピューティングシステム20において、ネットワークセミオティックベース23は、クライアント言語コンピューティングシステム10のクライアントセミオティックベース13の拡大版であり、クライアントセミオティックベース13と同様に、ネットワーク電子辞書、ネットワーク語彙文法ベース、ネットワーク意味ベース、
    ネットワーク状況ベースおよびネットワークコーパスから構成されている。 なお、クライアントセミオティックベース13の各部は、ネットワーク言語コンピューティングシステム20にネットワーク2を介して接続されたクライアント言語コンピューティングシステム10内にあるクライアントセミオティックベース16内の情報の全てを含んでいる。

    【0229】以下、クライアントセミオティックベース13と異なる点を中心として、ネットワークセミオティックベース23の各部について説明する。

    【0230】[3.2.1.2 ネットワーク電子辞書]ネットワーク電子辞書は、基本的にクライアント電子辞書31と同じ構成となっているが、ネットワーク上でやりとりされる多様な言い回しの解析に対処できるように、より豊富な辞書項目が含まれている。 初期状態においては、日常レベルの語彙の他、脳科学や法律などの専門性の高い語彙も搭載されている。 特に、コンピュータの機能や言語プログラムに関連のある語彙については、ネットワーク上の各種の処理エージェントとのやりとりに支障がないように充実しておくことが好ましい。
    また、必要に応じて、他のネットワーク言語コンピューティングシステムのネットワークセミオティックベースの電子辞書から、辞書項目をインポートするようにしてもよい。

    【0231】[3.2.1.3 ネットワーク語彙文法ベース]ネットワーク語彙文法ベースは、基本的にクライアント語彙文法ベース35と同じ構成となっているが、ネットワーク上でやりとりされる多様な言い回しの解析に対処できるように、より豊富な語彙文法ベース項目を含んでいる。

    【0232】[3.2.1.4 ネットワーク意味ベース]ネットワーク意味ベースは、基本的にクライアント意味ベース37と同じ構成となっているが、ネットワーク上でやりとりされる多様な意味の解析に対処できるように、より豊富な意味ベース項目を含んでいる。

    【0233】[3.2.1.5 ネットワーク状況ベース]ネットワーク状況ベースは、基本的にクライアント状況ベース39と同じ構成となっているが、ネットワーク上でやりとりされる多様な状況の解析に対処できるように、より豊富な状況ベース項目を含んでいる。 必要に応じて、他のネットワーク言語コンピューティングシステムのネットワークセミオティックベースのネットワーク状況ベースから、状況タイプやテクストの場面構造をインポートするようにしてもよい。

    【0234】[3.2.1.6 ネットワークコーパス]ネットワークコーパスは、基本的にクライアントコーパス42と同じ構成となっているが、量および種類ともに、より多くの言語テクストの実例を含んでいる。 なお、このようなネットワークコーパスにおいては、クライアント秘書エージェント17とネットワークマネージャエージェント27との間、またはネットワークマネージャエージェント27と処理エージェントとの間でなされた言語テクストのやりとりが、その語彙文法特徴、意味特徴および状況特徴とともに全て記録される。

    【0235】[3.2.2 ネットワーク意味処理機構] [3.2.2.1 概要]ネットワーク言語コンピュータ22において、ネットワーク意味処理機構24により行われる言語テクストの処理は、全てネットワークセミオティックベース23内の言語体系資源を用いて行われる。

    【0236】以下、ネットワーク意味処理機構24によりネットワークセミオティックベース23を用いて言語テクストの意味理解、言語テクストの生成、および言語テクストの翻訳が行われるタイミングについて列挙する。

    【0237】(1) 言語テクストの意味理解 (a) ネットワークマネージャエージェント27がクライアント秘書エージェント17から質問を受け取ったとき。 (b) クライアント秘書エージェント17の修正した言語プログラムをネットワークマネージャエージェント2
    7が受け取ったとき。 (c) ジョブの実行結果をネットワークマネージャエージェント27が受け取ったとき。

    【0238】(2) 言語テクストの生成 (a) クライアント秘書エージェント17からの質問を理解した後、それに対してネットワークマネージャエージェント27が返答するとき。 (b) ネットワークマネージャエージェント27がネットワーク上の各種の処理エージェントに対してジョブを依頼するとき。 (c) クライアント秘書エージェント17の修正した言語プログラムを理解したが、ネットワークマネージャエージェント27がその言語プログラムを実行するにあたって必要な情報が不足していることが分かり、クライアント秘書エージェント17から必要な情報を引き出そうとするとき。

    【0239】(3) 言語テクストの翻訳 (a) 異種言語を用いる処理エージェントを利用するとき。 (b) 複数の言語(方言を含む)を用いてクライアント同士がそれぞれのクライアント秘書エージェント17を介してコミュニケーションをとるとき。 (c) 複数の言語(方言を含む)を用いてクライアント同士がそれぞれのクライアント秘書エージェント17を介してコミュニケーションをとる際に、クライアント秘書エージェント17同士のコミュニケーションを仲介するのに必要な言語体系資源が不足していると判断し、ネットワークマネージャエージェント27の支援が必要となるとき。 (d) 専門家と位置付けられるクライアントの難解な話をその分野において素人と位置付けられるクライアントが理解できるレベルの話に翻訳するとき。

    【0240】なお、これらの処理は、入出力のデータはそれぞれ異なるが、どのような順番でネットワークセミオティックベース23内の言語体系資源を用いて処理を行うか、という観点では、言語テクストの意味理解と言語テクストの生成の2つがあるのみである。 以下、言語テクストの意味理解と言語テクストの生成とを中心にして、その処理の内容について具体的に説明する。

    【0241】[3.2.2.2 言語テクストの意味理解]ネットワーク言語コンピュータ22が、言語テクストとして処理エージェントからのジョブの実行結果をネットワークマネージャエーネント27から受け取ると、
    ネットワーク言語コンピュータ22のネットワーク意味処理機構24は、ネットワークコーパスを参照して、ジョブの実行結果に含まれる言語テクストに類似した言語テクストがあるかどうか確認する。

    【0242】ここで、ネットワークコーパス内に類似した言語テクストが見つかった場合には、その言語テクストの意味特徴を、ジョブの実行結果に含まれる言語テクストの意味として、ネットワークマネージャエージェント27に渡すことにより、ジョブの実行結果の意味理解は終了となる。

    【0243】これに対し、ネットワークコーパス内に類似した言語テクストが見つからなかった場合には、図3
    3に示すような処理が行われる。

    【0244】図33はネットワークセミオティックベース23の全てを用いてジョブの実行結果の意味理解を行う場合を説明するためのフローチャートである。 なお、
    図34に示すフローチャートは、処理対象となる情報(矩形の囲み線)と、処理に用いられるクライアントセミオティックベースの各部(矩形の二重囲み線)との関係を、制御の流れ(矢印)とともに表したものである。

    【0245】図33において、まず、ネットワーク言語コンピュータ22が、ジョブの実行結果をネットワークマネージャエージェント27から受け取る(ステップ7
    01)。

    【0246】ネットワーク言語コンピュータ22のネットワーク意味処理機構24は、ネットワーク電子辞書を参照して、ジョブの実行結果に含まれる言語テクストに対して形態素解析と係り受け解析とを行い(ステップ7
    02)、次いで、ネットワーク語彙文法ベースを参照して、形態素解析および係り受け解析の結果情報のついた文字列から、それらの語彙文法特徴を同定する(ステップ703)。

    【0247】その後、ネットワーク語彙文法ベースを参照して、ステップ703で得られたそれぞれの語彙文法特徴が表現できる意味役割を同定する(ステップ70
    4)。

    【0248】また、ネットワーク意味ベースを参照して、ステップ704で得られたそれぞれの意味役割を担うことのできる意味特徴を同定する(ステップ70
    5)。

    【0249】一方で、ネットワーク語彙文法ベースを参照して、ステップ703で得られた語彙文法特徴からその使用域を同定する(ステップ706)。

    【0250】また、ネットワーク状況ベースを参照して、ステップ706で得られた語彙文法特徴の使用域から、その使用域に対応する状況タイプを同定する(ステップ707)。 なおこのとき、言語テクストの生成時の状況(状況タイプ)が分かれば、それも参照する。 ネットワーク上の処理エージェントから受け取ったジョブの実行結果の意味理解の場合には、その処理エージェントにジョブを依頼したときの状況(状況タイプ)を参照する。

    【0251】次に、ネットワーク意味ベースを参照して、ステップ707で得られた状況タイプに対応する意味特徴の使用域を同定する(ステップ708)。

    【0252】一方で、ネットワーク電子辞書を参照して、ステップ703で得られたそれぞれの語彙文法特徴を含む辞書項目を出力する(ステップ709)。

    【0253】また、ネットワーク意味ベースを参照して、ステップ709で得られた辞書項目に含まれている意味情報を抽出し、この抽出された意味情報に基づいて、ステップ706乃至ステップ708で得られた意味特徴の使用域の範囲内で、ステップ704で得られた意味役割を実際に担うことができる意味特徴を同定する(ステップ710)。

    【0254】その後、ネットワークコーパスを参照して、同じ意味特徴を持つ言語テクストの実例があるかどうかを確認し、あれば、その意味特徴のコーパス項目に言語テクスト情報を登録し、なければ、新たなコーパス項目を作成して、そこに言語テクスト情報を登録する(ステップ711)。

    【0255】最後に、以上の処理で得られた意味特徴を、ジョブの実行結果の意味として、ネットワークマネージャエージェント27に渡す(ステップ712)。

    【0256】なお、上述したステップ701乃至ステップ712において、ステップ706乃至ステップ708
    の処理は、状況タイプが特定されていない場合に行われるものであり、具体的な状況タイプが設定されている場合には、処理が省略される。

    【0257】[3.2.2.3 言語テクストの生成]
    図34はジョブの実行結果の要約を報告する場合の言語テクストの生成を説明するためのフローチャートである。 なお、図35に示すフローチャートは、処理対象となる情報(矩形の囲み線)と、処理に用いられるネットワークセミオティックベースの各部(矩形の二重囲み線)との関係を、制御の流れ(矢印)とともに表したものである。

    【0258】図34において、まず、ネットワーク言語コンピュータ22が、ジョブの実行結果をネットワークマネージャエージェント27から受け取る(ステップ8
    01)。

    【0259】ネットワーク言語コンピュータ12のネットワーク意味処理機構24は、ネットワーク状況ベースを参照して、ジョブの実行を記述した言語テクストの理解時に得られた状況タイプを参照しながら、言語テクストの生成時の状況タイプを同定する(ステップ80
    2)。

    【0260】また、ネットワーク状況ベースを参照して、言語テクストの生成時の状況タイプに対応するテクストの場面構造を同定する(ステップ803)。

    【0261】さらに、ネットワーク意味ベースを参照して、テクストの場面構造の各場面に関連した包括プランテンプレートを同定する(ステップ804)。

    【0262】その後、ネットワーク意味ベースを参照して、ジョブの実行結果として得られた意味特徴を加えて、ステップ804で得られた包括プランテンプレートのスロットを埋めていくことにより、局所プランを作成する(ステップ805)。 なお、必要であれば、図33
    に示すような処理により、ジョブの実行結果の意味理解を行い、その結果として得られた意味特徴を用いる。

    【0263】これにより、言語テクストの生成時の状況タイプと局所プランとが得られたこととなる。

    【0264】この時点で、ネットワークコーパスを参照して、類似した状況特徴と意味特徴とを持つ言語テクストがあるかどうかを確認し、ネットワークコーパス内に類似した言語テクストの実例が見つかった場合には、その実例の言い回しをジョブの実行結果の要約文として取り出すこともできる。 これにより、言語プログラムの実行結果の報告は終了となる。

    【0265】これに対し、ネットワークコーパス内に類似した状況特徴と意味特徴とを持つ言語テクストが見つからなかった場合には、ネットワーク語彙文法ベースを参照して、ステップ802で得られた言語テクストの生成時の状況タイプに対応する語彙文法特徴の使用域を同定する(ステップ806)。

    【0266】また、ネットワーク意味ベースを参照して、ステップ805で得られた局所プラン内のそれぞれの意味特徴が担うことができる意味役割を同定する(ステップ807)。

    【0267】さらに、ネットワーク語彙文法ベースを参照して、ステップ806で得られた語彙文法特徴の使用域の範囲内で、ステップ807で同定された意味役割を実際に担うことができる語彙文法特徴を同定する(ステップ808)。

    【0268】これにより、言語テクストの生成時の状況タイプと局所プランと語彙文法特徴とが得られたこととなる。

    【0269】この時点で、ネットワークコーパスを参照して、類似した状況特徴と意味特徴と語彙文法特徴とを持つ言語テクストがあるかどうかを確認し、ネットワークコーパス内に類似した言語テクストの実例が見つかった場合には、その実例の言い回しをジョブの実行結果の要約文として取り出すこともできる。 これにより、ジョブの実行結果の報告は終了となる。

    【0270】これに対し、ネットワークコーパス内に類似した状況特徴と意味特徴と語彙文法特徴とを持つ言語テクストが見つからなかった場合には、ネットワーク電子辞書を参照して、ステップ805で得られた局所プラン内の意味特徴とステップ808で得られた語彙文法特徴とを含む辞書項目を出力する(ステップ809)。

    【0271】また、ネットワーク語彙文法ベースを参照して、ステップ808で得られた語彙文法特徴とステップ809で得られた辞書項目とを組み合わせて、言い回しを作成する(ステップ810)。

    【0272】その後、ネットワークコーパスを参照して、同じ言い回しの言語テクストの実例があるかどうかを確認し、あれば、その言い回しのコーパス項目にその言い回しの言語テクスト情報を登録し、なければ、新たなコーパス項目を作成して、そこにその言い回しの言語テクスト情報を登録する(ステップ811)。

    【0273】最後に、以上の処理で得られた言い回しを、ジョブの実行結果の要約文として、ネットワークマネージャエージェント27に渡す(ステップ812)。

    【0274】なお、上述したステップ801乃至ステップ812において、ステップ801乃至ステップ805
    の処理は、状況タイプが特定されていない場合に行われるものであり、具体的な状況タイプが設定されている場合には、テクストの場面構造や包括プランテンプレートを利用することによって、処理が省略される。

    【0275】[3.2.3 言語リソース]図1に示すネットワーク言語コンピューティングシステム20において、ネットワーク言語コンピュータ22は、ネットワーク言語オペレーティングシステム26からの指示により各種のサービスを提供する言語リソース25を有している。 言語リソース25は、アプリケーション(電子図書館や、サーバプログラム、各種のデータベースなどを含む)、プログラミング言語、ライブラリおよびユーティリティなどの既存のリソースに、この既存のリソースとネットワーク言語オペレーティングシステム26による言語に基づく命令とを結び付けるための言語インタフェースを付加することによって、言語によってアクセスできるようにした共用リソースである。

    【0276】言語リソース25には、それを使用する際に頻繁に用いられる言語の言い回しや表現(例えば、ネットワーク上のデータベースを用いるときの言葉遣い、
    プログラミング言語を用いるときの言葉遣いなど)が特定できるような言語の使用域の情報が付与されている。

    【0277】ここで、ネットワーク知識ベース28内には、言語リソース25と状況タイプとの対応関係が、言語リソースの操作手順と操作において必要となるパラメータとともに知識として格納されており、ネットワークマネージャエージェント27は、このネットワーク知識ベース27を参照することにより、クライアント秘書エージェント17からの要求に対してどの言語リソース2
    5を使用するかを判別する。 また、各言語リソース25
    ごとに機能や操作方法が言語で説明されており、複数の言語リソースの中から有用なものを判別しなければならないときには、日常言語で各言語リソースにアクセスして決定することができる。 判別された言語リソースは、
    言語インターフェースの使用域に関する情報を持っており、言語インターフェースに用意されている操作コマンド群のいずれが使用されるかが判別される。

    【0278】このように本実施の形態によれば、日常言語の意味の体系を構造化したセミオティックベース1
    3,23を用いて、意味処理機構14,24により、言語テクストの意味理解および言語テクストの生成を行うので、全ての情報処理を日常言語により実行および管理することができる。 このため、コンピュータなどの専門知識がなくとも、クライアントが日常的に用いる言語(日常言語)によって容易に操作することができ、またクライアントの意図を柔軟かつ正確に把握して情報処理を行うことができる。

    【0279】また、本実施の形態によれば、言語オペレーティングシステム16,26により、言語コンピュータ12,22上での言語テクストの処理に関するプロセスの管理、言語テクストを含む言語ファイル19,29
    の管理、およびネットワーク2を介した言語プロトコル通信の管理などを言語に基づいて行うので、情報処理に関する各種の管理を意味を伴った言語テクストのレベルで直感的に行うことができる。

    【0280】さらに、本実施の形態によれば、既存のリソース(アプリケーションソフトウェアなどを含む)に言語インタフェースを設けているので、コンピュータによる情報処理に必要なプログラミング言語、アプリケーションソフトウェア、ファイル、データベースおよびウェブ情報のコンテンツなどの全てに言語に基づいてアクセスして利用することができる。

    【0281】なお、上述した実施の形態において、クライアント言語コンピューティングシステム10(クライアント言語コンピュータ12およびクライアント言語オペレーティングシステム16)およびネットワーク言語コンピューティングシステム20(ネットワーク言語コンピュータ22およびネットワーク言語オペレーティングシステム26)は、図35に示すようなコンピュータ80上で稼働するプログラムとして実現することができる。 ここで、コンピュータ80は、バス88と、バス8
    8に接続されたプロセッサ81、メモリ82およびハードディスク83と、バス88に接続された周辺機器(キーボードやマウスなどの入力装置84、ディスプレイやプリンタなどの出力装置85、FDドライブ86およびCD−ROMドライブ87)とを備えている。 そして、
    上述したようなプログラムは、メモリ82やハードディスク83、フレキシブルディスク89およびCD−RO
    M90などのようなコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納され、プロセッサ81から逐次読み出されて実行されることにより上述したような機能を実現することができる。

    【0282】なお、上述した実施の形態において、クライアント言語コンピューティングシステム10のクライアント言語コンピュータ12およびネットワーク言語コンピューティングシステム20のネットワーク言語コンピュータ22はいずれも、既存のハードウェアおよびオペレーティングシステムからなる既存のプラットフォーム上で実現される仮想マシンとして実現しているが、これに限らず、ハードウェアとして実現するようにしてもよい。

    【0283】

    【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、日常言語の意味の体系を構造化したセミオティックベースを用いて、意味処理機構により、言語テクストの意味理解および言語テクストの生成を行うので、全ての情報処理を日常言語により実行および管理することができる。
    このため、コンピュータなどの専門知識がなくとも、クライアントが日常的に用いる言語(日常言語)によって容易に操作することができ、またクライアントの意図を柔軟かつ正確に把握して情報処理を行うことができる。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】本発明による日常言語コンピューティングシステムの一実施の形態を示す図。

    【図2】図1に示す日常言語コンピューティングシステムを用いた情報処理の一例(アプリケーションソフトウエアの利用)を説明するための図。

    【図3】図1に示す日常言語コンピューティングシステムを用いた情報処理の一例(情報検索)を説明するための図。

    【図4】図1に示す日常言語コンピューティングシステムを用いた情報処理の一例(処理エージェントの利用)
    を説明するための図。

    【図5】図1に示す日常言語コンピューティングシステムのクライアント言語コンピューティングシステムによりクライアントに対して呈示されるユーザインタフェースの一例を説明するための図。

    【図6】図1に示す日常言語コンピューティングシステムの言語コンピュータで用いられるセミオティックベースを説明するための図。

    【図7】図6に示すセミオティックベースの電子辞書に含まれる情報の一例を示す図。

    【図8】図6に示すセミオティックベースの語彙文法ベースに含まれる情報を説明するための図。

    【図9】図6に示すセミオティックベースの意味ベースに含まれる情報を説明するための図。

    【図10】図6に示すセミオティックベースの意味ベースに含まれる包括プランテンプレートの一例を示す図。

    【図11】図10に示す包括プランテンプレートに基づいて作成された局所プランの一例を示す図。

    【図12】図6に示すセミオティックベースの状況ベースに含まれる情報を説明するための図。

    【図13】図6に示すセミオティックベースにおける状況ベース、意味ベースおよび語彙文法ベース間の連関の様子を説明するための図。

    【図14】図6に示すセミオティックベースの状況ベースに含まれるテクストの場面構造の一例を示す図。

    【図15】図6に示すセミオティックベースのコーパスに含まれる情報を説明するための図。

    【図16】図1に示す日常言語コンピューティングシステムにおけるクライアント言語コンピューティングシステム側での言語テクストの意味理解の一例を説明するためのフローチャート。

    【図17】図1に示す日常言語コンピューティングシステムにおけるクライアント言語コンピューティングシステム側での言語テクストの意味理解の他の例を説明するためのフローチャート。

    【図18】図17に示す言語テクストの意味理解時に用いられる語彙文法ベースの情報を説明するための図。

    【図19】図17に示す言語テクストの意味理解の途中で作成された言語テクスト情報の一例を示す図。

    【図20】図17に示す言語テクストの意味理解時に用いられる意味ベースの情報を説明するための図。

    【図21】図17に示す言語テクストの意味理解において最終的に作成された言語テクスト情報の一例を示す図。

    【図22】図1に示す日常言語コンピューティングシステムにおけるクライアント言語コンピューティングシステム側での言語テクストの生成の一例を説明するためのフローチャート。

    【図23】図1に示す日常言語コンピューティングシステムにおけるクライアント言語コンピューティングシステム側での言語テクストの生成の他の例を説明するためのフローチャート。

    【図24】図1に示す日常言語コンピューティングシステムにおけるクライアント言語コンピューティングシステム側での言語テクストの生成のさらに他の例を説明するためのフローチャート。

    【図25】図23および図24に示す言語テクストの生成時に用いられる意味ベースの情報を説明するための図。

    【図26】図23および図24に示す言語テクストの生成時に用いられる意味ベースの情報を説明するための図。

    【図27】図22乃至図24に示す言語テクストの生成の過程で得られた言語テクスト情報の一例を示す図。

    【図28】図22乃至図24に示す言語テクストの生成において最終的に作成された言語テクスト情報の一例を示す図。

    【図29】図1に示す日常言語コンピューティングシステムの言語コンピュータで提供される言語アプリケーションを説明するための図。

    【図30】図1に示す日常言語コンピューティングシステムのネットワーク言語オペレーティングシステムでの言語プロセス管理を説明するための模式図。

    【図31】図1に示す日常言語コンピューティングシステムにおいてクライアント言語コンピューティングシステムとネットワーク言語コンピューティングシステムとの間で言語通信プロトコルに従ってやりとりされる言語データのデータ仕様の一例を示す図。

    【図32】図1に示す日常言語コンピューティングシステムにおいてクライアント言語コンピューティングシステムとネットワーク言語コンピューティングシステムとの間でのセミオティックベースの連携の様子を説明するための図。

    【図33】図1に示す日常言語コンピューティングシステムにおけるネットワーク言語コンピューティングシステム側での言語テクストの意味理解の一例を説明するためのフローチャート。

    【図34】図1に示す日常言語コンピューティングシステムにおけるネットワーク言語コンピューティングシステム側での言語テクストの生成の一例を説明するためのフローチャート。

    【図35】図1に示す日常言語コンピューティングシステムが適用されるコンピュータのハードウェア構成を示すブロック図。

    【図36】通信プロトコルの階層構造を説明するための図。

    【符号の説明】

    1 日常言語コンピューティングシステム 2 ネットワーク 3 言語プログラム 4 画面 5 通信線 10 クライアント言語コンピューティングシステム(C−LCS) 11 既存プラットフォーム 12 クライアント言語コンピューティング環境(C−
    LCE)(言語コンピュータ) 13 クライアントセミオティックベース 14 クライアント意味処理機構 15 言語アプリケーション 16 クライアント言語オペレーティングシステム(C
    −LOS) 17 クライアント秘書エージェント 18 クライアント知識ベース 19 言語ファイル 20 ネットワーク言語コンピューティングシステム(N−LCS) 21 既存プラットフォーム 22 ネットワーク言語コンピューティング環境(N−
    LCE)(言語コンピュータ) 23 ネットワークセミオティックベース 24 ネットワーク意味処理機構 25 言語リソース 26 ネットワーク言語オペレーティングシステム(N
    −LOS) 27 ネットワークマネージャ 28 ネットワーク知識ベース 29 言語ファイル 31 クライアント電子辞書 32 辞書項目 33 形態素連接表 34 係り受け関係表 35 クライアント語彙文法ベース 36 語彙文法ベース項目 37 クライアント意味ベース 38 意味ベース項目 39 クライアント状況ベース 40 状況ベース項目 41 テクストの場面構造 42 クライアントコーパス 43 コーパス項目 44 包括プランテンプレート 45 局所プラン 46 言語テクスト情報 51 秘書アイコン 52 クライアントオフィス 66 アプリケーションソフトウエア 67 言語インタフェース 68 ユーザプロファイル 71 言語プロセス管理部 72 処理エージェント 73 計算機資源

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 501058294 伊藤 紀子 埼玉県志木市本町6−17−16−201 (71)出願人 501057644 岩爪 道昭 埼玉県新座市野火止8−20−37−608 (72)発明者 菅 野 道 夫 神奈川県横浜市都筑区茅ケ崎南4−12−15 −401 (72)発明者 小 林 一 郎 東京都町田市成瀬台1−10−3 (72)発明者 伊 藤 紀 子 埼玉県志木市本町6−17−16−201 (72)発明者 岩 爪 道 昭 埼玉県新座市野火止8−20−37−608 Fターム(参考) 5B091 AA15 BA03 BA19 CB12 CC03

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