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Manufacture of semiconductor device, semiconductor device characteristic evaluation device, semiconductor device characteristic evaluation and machine readable recording medium recorded with semiconductor device characteristic evaluation program

阅读:772发布:2021-05-21

专利汇可以提供Manufacture of semiconductor device, semiconductor device characteristic evaluation device, semiconductor device characteristic evaluation and machine readable recording medium recorded with semiconductor device characteristic evaluation program专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PROBLEM TO BE SOLVED: To shorten a term of work for the design of a semiconductor device to and to shorten the manufacturing period of the device, by a method wherein a current density in electrons and/or holes in a segment linking arbitrary two points on the simulated semiconductor device together is calculated using a specified formula, and the characteristic value of the device is evaluated. SOLUTION: A design for a semiconductor device is made and with the designed device simulated by the behavior of a computer system, a current density JIJ in electrons and/or holes in a segment IJ linking arbitrary points I and J on the simulated device together is calculated by the formula [In the formula, the CH shows -E (an elementary charge) in electrons and E in holes, the NV shows NV=k*T/CH (The k shows a Boltzmann's constant and the T shows a temperature.), the ΨJ shows a potential in the point J, the ΨI shows a potential in the point I, the CCI shows an electron concentration or a hole concentration in the point I and the CCJ shows an electron concentration or a hole concentration in the point J. The symbol], whereby the characteristic of the device are evaluated and the device made this evaluation is manufactured.,下面是Manufacture of semiconductor device, semiconductor device characteristic evaluation device, semiconductor device characteristic evaluation and machine readable recording medium recorded with semiconductor device characteristic evaluation program专利的具体信息内容。

【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 半導体装置の製造方法において、 前記半導体装置の設計を行い、 前記設計された半導体装置をコンピュータシステムの挙動によって模擬することにより、その模擬された半導体装置の任意の点Iと点Jとを結んだ線分IJの電子及び/又は正孔の電流密度JIJを次式により算出することで半導体装置の特性を評価し、 【数1】 JIJ=CH*FIJ*(A((ΨJ−ΨI)/NV)*CCI−A((− ΨJ+ΨI)/NV)*CCJ)…式(102) この評価を行った前記半導体装置を製造することを特徴とする半導体装置の製造方法。 但し、 【数2】 A(X)=1/(exp(X)+1) …式(100)であり、 FIJは、 前記点Iと前記点Jの電位差ΨIJが、 |ΨIJ|→∞ …式(101) において有界な関数で定義される電子又は正孔の電流密度の比例係数であり、 CHは、電子の場合には−E(Eは電荷素量)、正孔の場合にはEであり、 NV=k*T/CHであり、 kはボルツマン定数であり、 Tは温度であり、 ΨJは、上記点Jでの電位であり、 ΨIは、上記点Iでの電位であり、 CCIは、上記点Iでの、電子電流密度の場合には電子濃度、正孔電流密度の場合には正孔濃度であり、 CCJは、上記点Jでの、電子電流密度の場合には電子濃度、正孔電流密度の場合には正孔濃度である。
  • 【請求項2】 半導体装置の特性評価装置において、 前記半導体装置の任意の点Iと点Jとを結んだ線分IJ
    の電子及び/又は正孔の電流密度JIJを次式により算出する手段と、 【数3】 JIJ=CH*FIJ*(A((ΨJ−ΨI)/NV)*CCI−A((− ΨJ+ΨI)/NV)*CCJ)…式(102) この算出した電子及び/又は正孔の電流密度を用いて、
    半導体装置の特性を評価する手段と、 を具備することを特徴とする半導体装置の特性評価装置。 但し、 【数4】 A(X)=1/(exp(X)+1) …式(100)であり、 FIJは、 前記点Iと前記点Jの電位差ΨIJが、 |ΨIJ|→∞ …式(101) において有界な関数で定義される電子又は正孔の電流密度の比例係数であり、 CHは、電子の場合には−E(Eは電荷素量)、正孔の場合にはEであり、 NV=k*T/CHであり、 kはボルツマン定数であり、 Tは温度であり、 ΨJは、上記点Jでの電位であり、 ΨIは、上記点Iでの電位であり、 CCIは、上記点Iでの、電子電流密度の場合には電子濃度、正孔電流密度の場合には正孔濃度であり、 CCJは、上記点Jでの、電子電流密度の場合には電子濃度、正孔電流密度の場合には正孔濃度である。
  • 【請求項3】 半導体装置の特性評価方法において、 前記半導体装置の任意の点Iと点Jとを結んだ線分IJ
    の電子及び/又は正孔の電流密度JIJを次式により算出し、 【数5】 JIJ=CH*FIJ*(A((ΨJ−ΨI)/NV)*CCI−A((− ΨJ+ΨI)/NV)*CCJ)…式(102) この算出した電子及び/又は正孔の電流密度を用いて、
    半導体装置の特性を評価することを特徴とする半導体装置の特性評価方法。 但し、 【数6】 A(X)=1/(exp(X)+1) …式(100)であり、 FIJは、 前記点Iと前記点Jの電位差ΨIJが、 |ΨIJ|→∞ …式(101) において有界な関数で定義される電子又は正孔の電流密度の比例係数であり、 CHは、電子の場合には−E(Eは電荷素量)、正孔の場合にはEであり、 NV=k*T/CHであり、 kはボルツマン定数であり、 Tは温度であり、 ΨJは、上記点Jでの電位であり、 ΨIは、上記点Iでの電位であり、 CCIは、上記点Iでの、電子電流密度の場合には電子濃度、正孔電流密度の場合には正孔濃度であり、 CCJは、上記点Jでの、電子電流密度の場合には電子濃度、正孔電流密度の場合には正孔濃度である。
  • 【請求項4】 前記電子又は正孔の電流密度JIJの算出は、 前記FIJを、前記線分IJ上における電界が十分弱い場合の電子又は正孔の移動度MWIJと線分IJの長さDISTIJから、 【数7】 FIJ=2*NV*MWIJ/DISTIJ …式(103) なる値を用いて行うことを特徴とする請求項3記載の半導体装置の特性評価方法。 但し、 前記MWIJは、電子の場合には、電子の移動度の負の値であり、正孔の場合には、正孔の移動度の正の値である。
  • 【請求項5】 前記電子又は正孔の電流密度JIJの算出は、 前記FIJを、前記線分IJ上の電子又は正孔の飽和速度VSATから、 FIJ=VSAT …式(105) なる値を用いて行うことを特徴とする請求項3記載の半導体装置の特性評価方法。
  • 【請求項6】 半導体装置の特性評価方法において、 前記半導体装置の任意の点Iと点Jとを結んだ線分IJ
    の電子及び/又は正孔の電流密度JIJを次式により算出し、 【数8】 JIJ=CH*(FI*A((ΨJ−ΨI)/NV)*CCI−FJ*A ((−ΨJ+ΨI)/NV)*CCJ) …式(109) この算出した電子及び/又は正孔の電流密度を用いて、
    半導体装置の特性を評価することを特徴とする半導体装置の特性評価方法。 但し、 【数9】 A(X)=1/(exp(X)+1) …式(100)であり、 FIは、 前記点Iと前記点Jの電位差ΨIJが、 |ΨIJ|→∞ …式(101) において有界な関数で定義される前記点Iでの電子又は正孔の電流密度の比例係数であり、 FJは、 前記点Iと前記点Jの電位差ΨIJが、 |ΨIJ|→∞ …式(101) において有界な関数で定義される前記点Jでの電子又は正孔の電流密度の比例係数であり、 CHは、電子の場合には−E(Eは電荷素量)、正孔の場合にはEであり、 NV=k*T/CHであり、 kはボルツマン定数であり、 Tは温度であり、 ΨJは、上記点Jでの電位であり、 ΨIは、上記点Iでの電位であり、 CCIは、上記点Iでの、電子電流密度の場合には電子濃度、正孔電流密度の場合には正孔濃度であり、 CCJは、上記点Jでの、電子電流密度の場合には電子濃度、正孔電流密度の場合には正孔濃度である。
  • 【請求項7】 前記電子又は正孔の電流密度JIJの算出は、 前記FI及び前記FJを、それぞれ点I、点Jにおける電界が十分弱い場合の電子又は正孔の移動度MWI、M
    WJと線分IJの長さDISTIJから、 【数10】 FI=2*NV*MWI/DISTIJ …式(111) FJ=2*NV*MWJ/DISTIJ …式(112) なる値を用いて行うことを特徴とする請求項6記載の半導体装置の特性評価方法。 但し、前記MWI及びMWJ
    は、電子の場合には、電子の移動度の負の値であり、正孔の場合には、正孔の移動度の正の値である。
  • 【請求項8】 前記電子又は正孔の電流密度JIJの算出は、 前記FI及び前記FJを、それぞれ点I及び点Jにおける電子又は正孔の飽和速度VSATI及びVSATJから、 FI=VSATI …式(115) FJ=VSATJ …式(116) なる値を用いて行うことを特徴とする請求項6記載の半導体装置の特性評価方法。
  • 【請求項9】 前記線分IJの長さDISTIJは、 線分IJ上における電子又は正孔の平均自由行程FLから、 DISTIJ=FL …式(106) で算出することを特徴とする請求項3又は6記載の半導体装置の特性評価方法。
  • 【請求項10】 半導体装置の特性評価方法において、 前記半導体装置の任意の点Iと点Jとを結んだ線分IJ
    の電子及び/又は正孔の電流密度JIJを次式により算出し、 【数11】 JIJ=CH*FIJDASH*(A(−FL*EIJ/NV)*CCID ASH−A(FL*EIJ/NV)*CCJDASH)…式(119) この算出した電子及び/又は正孔の電流密度を用いて、
    半導体装置の特性を評価することを特徴とする半導体装置の特性評価方法。 但し、 【数12】 A(X)=1/(exp(X)+1) …式(100)であり、 FIJDASHは、定数とは限らない比例係数であり、 CHは、電子の場合には−E(Eは電荷素量)、正孔の場合にはEであり、 NV=k*T/CHであり、 kはボルツマン定数であり、 Tは温度であり、 DISTIJは、前記線分IJの長さであり、 EIJ=−(ΨJ−ΨI)/DISTIJであり、 FLは、電子電流密度の場合には電子の、正孔電流密度の場合には正孔の平均自由行程であり、 CCIDASHは、線分IJ上の任意の点Bから点Iの方向へFL/2だけ離れた点IDASHでの、電子電流密度の場合には電子濃度、正孔電流密度の場合には正孔濃度であり、 CCJDASHは、上記点Bから点Jの方向へ前記FL
    /2だけ離れた点JDASHでの、電子電流密度の場合には電子濃度、正孔電流密度の場合には正孔濃度である。
  • 【請求項11】 前記FIJDASHは、 前記点Bでの電子電流密度の場合には電子の、正孔電流密度の場合には正孔の飽和速度VSATBから、 FIJDASH=VSATB なる値を用いることを特徴とする請求項10記載の半導体装置の特性評価方法。
  • 【請求項12】 半導体装置の特性評価方法において、 前記半導体装置の任意の点Iと点Jとを結んだ線分IJ
    の電子及び/又は正孔の電流密度JIJを次式により算出し、 【数13】 JIJ=CH*(FIDASH*A(−FL*EIJ/NV)*CCIDA SH−FJDASH*A(FL*EIJ/NV)*CCJDASH)…式(121) この算出した電子及び/又は正孔の電流密度を用いて、
    半導体装置の特性を評価することを特徴とする半導体装置の特性評価方法。 但し、 【数14】 A(X)=1/(exp(X)+1) …式(100)であり、 FIDASH及びFJDASHは、定数とは限らない比例係数であり、 CHは、電子の場合には−E(Eは電荷素量)、正孔の場合にはEであり、 NV=k*T/CHであり、 kはボルツマン定数であり、 Tは温度であり、 DISTIJは、前記線分IJの長さであり、 EIJ=−(ΨJ−ΨI)/DISTIJであり、 FLは、電子電流密度の場合には電子の、正孔電流密度の場合には正孔の平均自由行程であり、 CCIDASHは、線分IJ上の任意の点Bから点Iの方向へFL/2だけ離れた点IDASHでの、電子電流密度の場合には電子濃度、正孔電流密度の場合には正孔濃度であり、 CCJDASHは、上記点Bから点Jの方向へ前記FL
    /2だけ離れた点JDASHでの、電子電流密度の場合には電子濃度、正孔電流密度の場合には正孔濃度である。
  • 【請求項13】 前記FIDASHは、前記点IDAS
    Hでの、電子電流密度の場合には電子の、正孔電流密度の場合には正孔の飽和速度VSATIDASHを用いて、 FIDASH=VSATIDASH …式(128) なる式で算出し、 前記FJDASHは、前記点JDASHでの、電子電流密度の場合には電子の、正孔電流密度の場合には正孔の飽和速度VSATJDASHを用いて、 FJDASH=VSATJDASH …式(129) なる式で算出することを特徴とする請求項12記載の半導体装置の特性評価方法。
  • 【請求項14】 前記FLは、前記点Bでの電界が十分弱い場合の、電子電流密度の場合には電子の、正孔電流密度の場合には正孔の移動度MWIJ、及び、前記点B
    での、電子電流密度の場合には電子の、正孔電流密度の場合には正孔の飽和速度VSATBを用いて、 FL=2*MWIJ*NV/VSATB …式(120) なる式で算出することを特徴とする請求項10又は12
    記載の半導体装置の特性評価方法。 但し、 NV=k*T/CHであり、 kはボルツマン定数であり、 Tは温度であり、 CHは、電子の場合には−E(Eは電荷素量)、正孔の場合にはEであり、 MWIJは、電子の場合には、電子の移動度の負の値である。
  • 【請求項15】 半導体装置の特性評価方法において、 前記半導体装置の任意の点Iと点Jとを結んだ線分IJ
    の電子及び/又は正孔の電流密度JIJを次式により算出し、 【数15】 JIJ=CH*(FIDASH*A(−FL*EIJ/NVDASH)*C CIDASH−FJDASH*A(FL*EIJ/NVDASH)*CCJDA SH)…式(121) 前記線分IJの電子及び/又は正孔のエネルギー流密度SIJを次式により算出し、 【数16】 SIJ=Q*(GIDASH*A(−FL*EIJ/NVDASH)*CC IDASH−GJDASH*A(FL*EIJ/NVDASH)*CCJDAS H)…式(125) これら算出された電流密度及びエネルギー流密度を用いて、半導体装置の特性を評価することを特徴とする半導体装置の特性評価方法。 但し、 【数17】 A(X)=1/(exp(X)+1) …式(100)であり、 FIDASH、FJDASH、GIDASH、及びGJ
    DASHは、定数とは限らない比例係数であり、 CHは、電子の場合には−E(Eは電荷素量)、正孔の場合にはEであり、 NVDASH=k*TDASH/CHであり、 kはボルツマン定数であり、 TDASHは前記点Bでの、電子電流及び電子エネルギー流密度の場合には電子の、正孔電流及び正孔エネルギー流密度の場合には正孔の温度であり、 DISTIJは、前記線分IJの長さであり、 EIJ=−(ΨJ−ΨI)/DISTIJであり、 FLは、電子電流及び電子エネルギー流密度の場合には電子の、正孔電流及び正孔エネルギー流密度の場合には正孔の平均自由行程であり、 CCIDASHは、線分IJ上の任意の点Bから点Iの方向へFL/2だけ離れた点IDASHでの、電子電流及び電子エネルギー流密度の場合には電子の、正孔電流及び正孔エネルギー流密度の場合には正孔の濃度であり、 CCJDASHは、上記点Bから点Jの方向へ前記FL
    /2だけ離れた点JDASHでの、電子電流及び電子エネルギー流密度の場合には電子の、正孔電流及び正孔エネルギー流密度の場合には正孔の濃度であり、 Qは、電子電流及び電子エネルギー流密度の場合には電子の、正孔電流及び正孔エネルギー流密度の場合には正孔のエフェクティブフローファクターである。
  • 【請求項16】 前記FIDASHは、点IDASHでの、電子電流及び電子エネルギー流密度の場合には電子の、正孔電流及び正孔エネルギー流密度の場合には正孔の熱速度VTHIDASHを用いて、 FIDASH=VTHIDASH …式(122) なる式を用い、 前記FJDASHは、点JDASHでの、電子電流及び電子エネルギー流密度の場合には電子の、正孔電流及び正孔エネルギー流密度の場合には正孔の熱速度VTHJ
    DASHを用いて、 FJDASH=VTHJDASH …式(123) なる式を用いることを特徴とする請求項15記載の半導体装置の特性評価方法。
  • 【請求項17】 前記GIDASHは、次式により算出し、 【数18】 GIDASH=k*TIDASH*VTHIDASH …式(126) 前記GJDASHは、次式により算出することを特徴とする請求項15記載の半導体装置の特性評価方法。 【数19】 GJDASH=k*TJDASH*VTHJDASH …式(127) 但し、 kはボルツマン定数であり、 TIDASHは、前記点IDASHにおける、電子電流及び電子エネルギー流密度の場合には電子の、正孔電流及び正孔エネルギー流密度の場合には正孔の温度あり、 VTHIDASHは、前記点IDASHでの、電子電流及び電子エネルギー流密度の場合には電子の、正孔電流及び正孔エネルギー流密度の場合には正孔の熱速度であり、 TJDASHは、前記点JDASHにおける、電子電流及び電子エネルギー流密度の場合には電子の、正孔電流及び正孔エネルギー流密度の場合には正孔の温度であり、 VTHJDASHは、前記点JDASHでの、電子電流及び電子エネルギー流密度の場合には電子の、正孔電流及び正孔エネルギー流密度の場合には正孔の熱速度である。
  • 【請求項18】 前記FLは、次式により算出することを特徴とする請求項15記載の半導体装置の特性評価方法。 FL=2*MW*EM*VTH/CH …式(124) 但し、 MWは、電子電流及び電子エネルギー流密度の場合には電子の、正孔電流及び正孔エネルギー流密度の場合には正孔の移動度((CH*TAU)/(2*EM))であり、 TAUは、電子電流及び電子エネルギー流密度の場合には電子の、正孔電流及び正孔エネルギー流密度の場合には正孔の運動量緩和時間であり、 EMは、電子電流及び電子エネルギー流密度の場合には電子の、正孔電流及び正孔エネルギー流密度の場合には正孔の有効質量であり、 VTHは、電子電流及び電子エネルギー流密度の場合には電子の、正孔電流及び正孔エネルギー流密度の場合には正孔の熱速度であり、 CHは、電子の場合には−E(Eは電荷素量)、正孔の場合にはEである。
  • 【請求項19】 半導体装置の特性評価プログラムを記録した機械読み取り可能な記録媒体において、 機械に、前記半導体装置の任意の点Iと点Jとを結んだ線分IJの電子及び/又は正孔の電流密度JIJを次式により算出させ、 【数20】 JIJ=CH*FIJ*(A((ΨJ−ΨI)/NV)*CCI−A((− ΨJ+ΨI)/NV)*CCJ)…式(102) 機械に、この算出した電子及び/又は正孔の電流密度を用いて、半導体装置の特性を評価させることを特徴とする半導体装置の特性評価プログラムを記録した機械読み取り可能な記録媒体。 但し、 【数21】 A(X)=1/(exp(X)+1) …式(100)であり、 FIJは、 前記点Iと前記点Jの電位差ΨIJが、 |ΨIJ|→∞ …式(101) において有界な関数で定義される電子又は正孔の電流密度の比例係数であり、 CHは、電子の場合には−E(Eは電荷素量)、正孔の場合にはEであり、 NV=k*T/CHであり、 kはボルツマン定数であり、 Tは温度であり、 ΨJは、上記点Jでの電位であり、 ΨIは、上記点Iでの電位であり、 CCIは、上記点Iでの、電子電流密度の場合には電子濃度、正孔電流密度の場合には正孔濃度であり、 CCJは、上記点Jでの、電子電流密度の場合には電子濃度、正孔電流密度の場合には正孔濃度である。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は、半導体装置の製造方法、半導体装置の特性評価装置、半導体装置の特性評価方法、及び、半導体特性評価プログラムを記録した機械読み取り可能な記録媒体に関し、特に、半導体装置の電気特性の評価のための数値計算、即ち、デバイスシミュレーションを高速かつ安定に行うことで半導体装置の設計工期を短縮し、半導体装置の製造期間を短縮することができる技術に関する。

    【0002】

    【従来の技術】半導体装置は、種々の工程を経て製造される。 この工程のうち、半導体装置の設計工程においては、要求仕様を満足させる等の理由から半導体装置の様々な特性を評価する必要がある。 この特性評価は、昨今の複雑高度化した半導体装置においては重要な工程である。 半導体装置の特性評価は、実物を作成して評価を行うのでは、時間的、費用的に問題があるため、製造する半導体装置の物理的、電気的な挙動をこれとほぼ同じ法則に支配されるコンピュータシステムの挙動によって模擬(シミュレーション)し、模擬的な半導体装置に対して特性評価を行うのが一般的である。 コンピュータシステム等でのシミュレーションによる特性評価の結果に相当量の誤差が含まれていれば、例えば、次工程で試作品を製造した場合に不具合が発生すれば、再び設計をし直さなければならない。 従って、シミュレーションの精度の向上は、直接半導体装置の製造の期間の短縮化にもつながるため非常に重要である。

    【0003】この半導体装置の特性評価工程で用いられる装置(デバイスシミュレータ)は半導体装置の形状、
    半導体中の不純物分布、端子に印加する電圧などの入を受け取り、半導体装置の電気特性を出力するソフトウェアを実行する装置である(参考文献:S. Selberherr,
    Analysis and Simulaiton of Semiconductor Devices,
    Springer-Verlag, Wien New York, 1984.における 6.
    The Discretizationof the Basic Semiconductor Equa
    tions、及び、7. The Solution of Systems of Nonline
    ar Algebraic Equations)。

    【0004】デバイスシミュレータは半導体の電気特性の基本方程式であるポアソン方程式と電子電流連続式と正孔電流連続式との解を数値計算により求めることで、
    設計した半導体装置の電気的特性の評価を行うものである。 この基本方程式は電位分布、電子濃度分布、正孔濃度分布の連立微分方程式である。 そこで、半導体装置の各点における電位、電子濃度、正孔濃度を任意に与え、
    それらの値が上記基本方程式を満たすまで修正を加えて解を求める。

    【0005】電位、電子濃度、正孔濃度を計算する点を決めるために、素子の形状を図5上方に示すように多形の集まりで表す。 これらの多角形は互いに重ならず、
    また、隙間なく素子の形状を埋める。 そして、多角形の頂点(図中の黒丸印)における電位、電子濃度、正孔濃度を計算する。 また、基本方程式は微分方程式なので、
    電位、電子濃度、正孔濃度の微分を算出する必要がある。 これらの微分値は、上記多角形の各辺に対して算出する。 具体的には電位の微分として電界を、また、電子濃度および正孔濃度の微分として電子電流密度および正孔電流密度をそれぞれ各辺に対して算出する。

    【0006】従来技術においては、多角形の各辺上での電子電流密度および正孔電流密度は次の手順で算出する。

    【0007】(1)任意の多角形の点(点I及び点Jとする)を結んだ辺(辺IJとする。)の長さをプログラムの変数(DISTIJとする)に代入する。

    【0008】(2)辺の一方の端点Iでの電位、電子濃度、正孔濃度をプログラムの変数に代入する。 本説明ではそれぞれ順にΨI,NI,PIとする。

    【0009】(3)他方の端点Jでの電位、電子濃度、
    正孔濃度をプログラムの変数に代入する。 本説明ではそれぞれ順にΨJ,NJ,PJとする。

    【0010】(4)次式により点Iから点Jへ向かう電界を算出し、プログラムの変数EIJへ代入する。

    【0011】

    【数22】 EIJ=−(ΨJ−ΨI)/DISTIJ …式(1) (5)変数EIJ、即ち、電界の関数として、辺上での電子移動度を求め、プログラムの変数MEIJへ代入する。 なお、電子移動度はいくつかの方法で求める事が出来る。 例えば、予め実験により電子移動度を電界の関数として求め、実験結果をテーブルとして計算機上の記憶領域に保存しておくことができる。 または、実験結果を近似的に再現する方程式により電界の関数として電子移動度を算出することができる。

    【0012】(6)式(2)より点Iから点Jへ向かう電子電流密度を算出し、プログラムの変数JEIJへ代入する。 ここで、NVE=k*TE/(−E)、kはボルツマン定数、TEは辺IJでの電子温度、B(x)はベルヌイ関数である。 また、Eは電荷素量である。

    【0013】

    【数23】 JEIJ=−E*MEIJ*NVE*(B((ΨJ−ΨI)/NVE)* NI−B((−ΨJ+ΨI)/NVE)*NJ)/DISTIJ …式(2) (7)変数EIJの関数として辺上での正孔移動度を求め、プログラムの変数MHIJへ代入する。 正孔移動度を求める方法は電子移動度を求める方法と同様である。

    【0014】(8)式(3)により点Iから点Jへ向かう正孔電流密度を算出し、プログラムの変数JHIJへ代入する。 ここで、NVH=k*TH/E、THは辺IJ
    での正孔温度である。

    【0015】

    【数24】 JHIJ=E*MHIJ*NVH*(B((ΨJ−ΨI)/NVH)*P I−B((−ΨJ+ΨI)/NVH)*PJ)/DISTIJ …式(3) 上記方法により、多角形の各頂点に対して任意に電位、
    電子濃度、正孔濃度を与え、各辺に対して電界、電子電流密度、正孔電流密度を算出する。 これらの6つの物理量の分布が基本方程式を満たさない場合には、各頂点の電位、電子濃度、正孔濃度を修正し、電界、電子電流密度、正孔電流密度を再度算出する。 この修正は例えばニュートン法により行う。 この修正を繰り返すことにより、十分な精度で基本方程式を満たす解を算出する。

    【0016】上記方法では、電子温度及び正孔温度は半導体装置の結晶格子温度に等しいことを仮定している。
    多くの状況ではこの仮定は妥当である。 しかし、微細な半導体装置では、電子や正孔が加熱され、上記仮定が妥当でない状況が生じることがある。

    【0017】この場合には、前記基本方程式に電子エネルギー流連続式と正孔エネルギー流連続式を加えた5方程式を基本方程式とし、解を数値計算により求めることにより、設計した半導体装置の電気的特性の評価を行う。 (例えば、Woo-Sung Choi,Jae-Gyung Ahn, Young-J
    une Park, Hong-Shick Min, and Chang-Gyu Hwang, "A
    Time Dependent Hydrodynamic Device Simulator SNU-
    2D with New Discretization Scheme and Algorithm",
    IEEE Transactions on Computer-Aided Desingof Int
    egrated Circuits and Systems, Vol.13, No.7, July,
    1994)この方法の従来技術を以下に示す。

    【0018】従来技術においては、多角形の各辺上での電子電流密度、正孔電流密度、電子エネルギー流密度、
    正孔エネルギー流密度は次の手順で算出する。

    【0019】(手順1)任意の多角形の点(点Iおよび点Jとする)を結んだ辺(辺IJとする。)の長さをプログラムの変数(DISTIJとする)に代入する。

    【0020】(手順2)辺の一方の端点Iでの電位、電子濃度、正孔濃度、電子温度、正孔温度をプログラムの変数に代入する。 本説明ではそれぞれ順にΨI,NI,
    PI,TEI,THIとする。

    【0021】(手順3)他方の端点Jでの電位、電子濃度、正孔濃度、電子温度、正孔温度をプログラムの変数に代入する。 本説明ではそれぞれ順にΨJ,NJ,P
    J,TEJ,THJとする。

    【0022】(手順4)式(1)により点Iから点Jへ向かう電界を算出し、プログラムの変数EIJへ代入する。

    【0023】

    【数25】 EIJ=−(ΨJ−ΨI)/DISTIJ …式(1) (手順5)変数EIJ、すなわち、電界の関数として、
    辺IJ上での電子移動度を求め、プログラム変数MEI
    Jへ代入する。 なお、電子移動度は幾つかの方法で求めることができる。 例えば、予め実験により電子移動度を電界の関数として求め、実験結果をテーブルとして計算機上の記憶領域に保存しておくことができる。 または、
    実験結果を近似的に再現する方程式により電界の関数として電子移動度を算出することができる。

    【0024】(手順6)式(23)により点Iから点Jへ向かう電子電流密度JEIJを算出し、ブログラム変数J
    EIJへ代入する。

    【0025】

    【数26】 JEIJ=−E*MEIJ*NVE*(ΔTE/(DISTIJ*log( TEJ/TEI)))*(B(BARGE)*(NI/TEI)−B(−BAR GE)*(NJ/TEJ))…式(23) 但し、TEIは、点Iにおける電子温度、TEJは、点Jにおける電子温度、TEは辺IJでの電子温度、ΔT
    E=TEJ−TEI、NIは、点Iにおける電子濃度、
    NJは、点Jにおける電子濃度、

    【数27】BARGE=(log(TEJ/TEI)/
    ΔTE)*((−E/k)*ΔΨ+2ΔTE)、 ΔΨ=ΨJ−ΨIである。

    【0026】(手順7)変数EIJの関数として、辺I
    J上での正孔移動度を求め、プログラムの変数MHIJ
    へ代入する。 正孔移動度を求める方法は電子移動度を求める方法と同様である。

    【0027】(手順8)式(24)により点Iから点Jへ向かう正孔電流密度JHIJを算出し、ブログラム変数J
    HIJへ代入する。

    【0028】

    【数28】 JHIJ=E*MHIJ*NVH*(ΔTH/(DISTIJ*log(T HJ/THI)))*(B(BARGH)*(PI/THI)−B(−BARG H)*(PJ/THJ))…式(24) 但し、THIは、点Iにおける正孔温度、THJは、点Jにおける正孔温度、THは辺IJでの正孔温度、ΔT
    H=THJ−THI、PIは、点Iにおける正孔濃度、
    PJは、点Jにおける正孔濃度、

    【数29】BARGH=(log(THJ/THI)/
    ΔTH)*((E/k)*ΔΨ+2ΔTH)、 ΔΨ=ΨJ−ΨI、 である。

    【0029】(手順9)式(25)により点Iから点Jへ向かう電子エネルギー流密度SEIJを算出し、ブログラム変数SEIJへ代入する。

    【0030】

    【数30】 SEIJ=QE*k*MEIJ*NVE*(ΔTE/(DISTIJ*lo g(TEJ/TEI)))*(B(BARGE)*NI−B(−BARGE)* NJ)…式(25) 但し、QEは電子のエフェクティブフローファクターである。

    【0031】(手順10)式(26)により点Iから点Jへ向かう正孔エネルギー流密度SHIJを算出し、ブログラム変数SHIJへ代入する。

    【0032】

    【数31】 SHIJ=QH*k*MHIJ*NVH*(ΔTH/(DISTIJ*lo g(THJ/THI)))*(B(BARGH)*PI−B(−BARGH)* PJ)…式(26) 但し、QHは正孔のエフェクティブフローファクターであり、THは辺IJでの正孔温度である。

    【0033】上記方法により、多角形の各頂点に対して任意に電位、電子濃度、正孔濃度、電子温度、正孔温度を与え、各辺に対して電界、電子電流密度、正孔電流密度、電子エネルギー流密度、正孔エネルギー流密度を算出する。 これらの10の物理量の分布が基本方程式を満たさない場合には、各頂点の電位、電子濃度、正孔濃度、電子温度、正孔温度を修正し、電界、電子電流密度、正孔電流密度、電子エネルギー流密度、正孔エネルギー流密度を再度算出する。 この修正は例えば、ニュートン法により行う。 この修正を繰り返すことにより、十分な精度で基本方程式を満たす解を算出する。

    【0034】以上のように、従来から、半導体装置の製造工程のうち、設計工程においては半導体装置の電気的特性を評価することにより、設計工期を短縮して、しいては、製造期間の短縮化を図らんとしている。

    【0035】

    【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技術によるデバイスシミュレータでは上述の基本方程式を満たす解が求まらない事があるという問題があり、デバイスシミュレータの精度が低下し、製造の工期が大幅に増加してしまう場合があるという問題があった。 以下、
    この原因を説明する。

    【0036】電界が十分弱い場合には半導体中の電子及び正孔の電流密度JE及びJHは電界に比例して増大する。 しかし、電界が強くなると電流密度は飽和する。 これは、半導体中の電子および正孔のドリフト速度が飽和するからである。

    【0037】JE=E*VSATE*N …式(4) JH=E*VSATH*P …式(5) ここで、Nは電子濃度、VSATEは電子の飽和速度、
    Pは正孔濃度、VSATHは正孔の飽和速度である。

    【0038】図6は、シリコンにおける電子および正孔のドリフト速度を示す図である。

    【0039】JE=E*ME*EF*N …式(6) JH=E*MH*EF*P …式(7) ここでEFは電界、MEは電子の移動度、MHは正孔の移動度である。

    【0040】図7は、シリコンにおける電子および正孔の移動度を示す図である。 電界が十分大きい場合、電子および正孔の移動度は電界に反比例する。 これは、電界が十分強い場合に電子および正孔のドリフト速度が飽和することの帰結である。

    【0041】式(2)、式(3)により算出する電子および正孔電流密度も電界が大きい場合には飽和する。 ただし、
    これは数値計算において数値誤差がない場合である。 現実の計算機を用いた数値計算においては数値誤差が発生する。 これは変数の桁数が有限であることに依る。 従って、数値計算において正しく解を求めるためには、数値計算において発生する数値誤差が計算結果に重大な影響を与えないところの計算方法をとることが必須である。

    【0042】式(2)では数値誤差のために十分な精度で電子電流密度を算出できないことを以下で示す。 なお、
    同じ理由で式(3)を用いる方法では正孔電流密度を十分な精度で算出できない。

    【0043】電子移動度を表すプログラム変数MEIJ
    の値には数値誤差が含まれている。 説明のため、電子移動度の真の値を表す変数MEIJ_TRUEと誤差を表す変数MEIJ_ERRORの和でプログラム変数ME
    IJを記述する。

    【0044】

    【数32】 MEIJ=MEIJ_TRUE+MEIJ_ERROR …式(8) 同様に、辺の両端での電位の差を次式により定義し、 ΨIJ=ΨJ−ΨI …式(9) 含まれる数値誤差を次の式で記述する。

    【0045】

    【数33】 ΨIJ=ΨIJ_TRUE+ΨIJ_ERROR …式(10) さらに、式(2)により算出されるプログラム変数JEI
    Jを、真の値を表す変数JEIJ_TRUEと誤差を表す変数JEIJ_ERRORの和で次式により記述する。

    【0046】

    【数34】 JEIJ=JEIJ_TRUE+JEIJ_ERROR …式(11) 式(8)、式(9)、式(10)、式(11)を式(2)へ代入すると次式の関係が得られる。

    【数35】 JEIJ_ERROR=−JEIJ_TRUE−E*NVE/DISTI J*(MEIJ_TRUE+MEIJ_ERROR)*(B((ΨIJ_TRU E+ΨIJ_ERROR)/NVE)*NI−B(−(ΨIJ_TRUE+ΨI J_ERROR)/NVE)*NJ) …式(12) 式(12)で表される電子電流密度の数学的特徴を示すため、次の状況を考える。

    【数36】 −ΨIJ_TRUE/NVE>>1 …式(13) (MEIJ_ERROR/MEIJ_TRUE) 2 〜0 …式(14) (ΨIJ_ERROR/ΨIJ_TRUE) 2 〜0 …式(15) すると式(12)は次式の通り近似できる。

    【0047】

    【数37】 JEIJ_ERROR=E/DISTIJ*(NI−NJ*exp(ΨI J_TRUE/NVE))*(MEIJ_ERROR*ΨIJ_TRUE+ME IJ_TRUE*ΨIJ_ERROR) …式(16) 更に、電子のドリフト速度が飽和する物理的状況では、

    【数38】 VSATE_TRUE=−MEIJ_TRUE*ΨIJ_TRUE/DI STIJ …式(17) が成立する。 ここで変数VSATE_TRUEは電子の飽和ドリフト速度の真の値を表す変数である。 式(2),(1
    6),(17)から、この物理的状況では電子電流密度の誤差の真の値に対する割合は次式で表される。

    【0048】

    【数39】 JEIJ_ERROR/JEIJ_TRUE=−ΨIJ_TRUE/VS ATE_TRUE*MEIJ_ERROR/DISTIJ−MEIJ_TRUE /VSATE_TRUE*ΨIJ_ERROR/DISTIJ …式(18) 変数αと変数βをそれぞれ式(19),(20)で定義する。

    【0049】

    【数40】 α= ΨIJ_TRUE/VSATE_TRUE/DISTIJ …式(19) β=MEIJ_TRUE/VSATE_TRUE/DISTIJ …式(20) すると、式(18)は式(21)で表される。

    【0050】

    【数41】 JEIJ_ERROR/JEIJ_TRUE=−α*MEIJ_ERROR −β*ΨIJ_ERROR …式(21) 式(21)の左辺で表される電子電流密度の数値誤差には電子移動度の数値誤差を−α倍した誤差が含まれている。
    変数αは各辺の両端の電位の差に比例して増大する。 従って、従来技術によるデバイスシミュレーション方法では電界に比例して電子電流密度の数値誤差が増大する。
    このため、素子の形状等によって定まるある有限の値を超えた電界が発生すると、電子電流密度の数値誤差により、基本方程式を所定の精度で満たす解が求まらなくなる。

    【0051】この問題点を解決するため、従来技術においては各辺を短くすることによりαを小さくする手法が知られている。 この手法では、より大きな電界に対して基本方程式の解を求めることができる。 しかしながら、
    結局は電界がある値を超えれば解が求まらなくなる事に変わりはない。 更に、辺を短くすると、より多くの多角形で素子を表さなければならない。 このため、辺の数が増大し、計算に要する時間やメモリーが膨大になる問題がある。

    【0052】本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、所定の精度を満たす半導体装置の特性を高速かつ安定して得ることにより、
    設計工期を短縮し、半導体装置の製造期間を短縮することができる半導体装置の製造方法、半導体装置の特性評価装置、半導体装置の特性評価方法、及び半導体装置の特性評価プログラムを記録した機械読み取り可能な記録媒体を提供することにある。

    【0053】

    【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1の発明は、半導体装置の製造方法において、前記半導体装置の設計を行い、前記設計された半導体装置をコンピュータシステムの挙動によって模擬することにより、その模擬された半導体装置の任意の点Iと点Jとを結んだ線分IJの電子及び/又は正孔の電流密度JIJを次式により算出することで半導体装置の特性を評価し、

    【数42】 JIJ=CH*FIJ*(A((ΨJ−ΨI)/NV)*CCI−A((− ΨJ+ΨI)/NV)*CCJ)…式(102) この評価を行った前記半導体装置を製造することを特徴とする。

    【0054】請求項2の発明は、半導体装置の特性評価装置において、前記半導体装置の任意の点Iと点Jとを結んだ線分IJの電子及び/又は正孔の電流密度JIJ
    を次式により算出する手段と、

    【数43】 JIJ=CH*FIJ*(A((ΨJ−ΨI)/NV)*CCI−A((− ΨJ+ΨI)/NV)*CCJ)…式(102) この算出した電子及び/又は正孔の電流密度を用いて、
    半導体装置の特性を評価する手段と、を具備することを特徴とする。

    【0055】請求項3の発明は、半導体装置の特性評価方法において、前記半導体装置の任意の点Iと点Jとを結んだ線分IJの電子及び/又は正孔の電流密度JIJ
    を次式により算出し、

    【数44】 JIJ=CH*FIJ*(A((ΨJ−ΨI)/NV)*CCI−A((−Ψ J+ΨI)/NV)*CCJ)…式(102) この算出した電子及び/又は正孔の電流密度を用いて、
    半導体装置の特性を評価することを特徴とする。

    【0056】請求項4の発明は、前記請求項3における電子又は正孔の電流密度JIJの算出は、前記FIJ
    を、前記線分IJ上における電界が十分弱い場合の電子又は正孔の移動度MWIJと線分IJの長さDISTI
    Jから、

    【数45】 FIJ=2*NV*MWIJ/DISTIJ …式(103) なる値を用いて行うことを特徴とする。

    【0057】請求項5の発明は、前記請求項3における電子又は正孔の電流密度JIJの算出は、前記FIJ
    を、前記線分IJ上の電子又は正孔の飽和速度VSAT
    から、 FIJ=VSAT …式(105) なる値を用いて行うことを特徴とする。

    【0058】請求項6の発明は、半導体装置の特性評価方法において、前記半導体装置の任意の点Iと点Jとを結んだ線分IJの電子及び/又は正孔の電流密度JIJ
    を次式により算出し、

    【数46】 JIJ=CH*(FI*A((ΨJ−ΨI)/NV)*CCI−FJ*A ((−ΨJ+ΨI)/NV)*CCJ) …式(109) この算出した電子及び/又は正孔の電流密度を用いて、
    半導体装置の特性を評価することを特徴とする。

    【0059】請求項7の発明は前記請求項6における電子又は正孔の電流密度JIJの算出は、前記FI及び前記FJを、それぞれ点I、点Jにおける電界が十分弱い場合の電子又は正孔の移動度MWI、MWJと線分IJ
    の長さDISTIJから、

    【数47】 FI=2*NV*MWI/DISTIJ …式(111) FJ=2*NV*MWJ/DISTIJ …式(112) なる値を用いて行うことを特徴とする。

    【0060】請求項8の発明は、前記請求項6における電子又は正孔の電流密度JIJの算出は、前記FI及び前記FJを、それぞれ点I及び点Jにおける電子又は正孔の飽和速度VSATI及びVSATJから、 FI=VSATI …式(115) FJ=VSATJ …式(116) なる値を用いて行うことを特徴とする。

    【0061】請求項9の発明は、前記請求項3又は6における線分IJの長さDISTIJは、線分IJ上における電子又は正孔の平均自由行程FLから、 DISTIJ=FL …式(106) で算出することを特徴とする。

    【0062】請求項10の発明は、半導体装置の特性評価方法において、前記半導体装置の任意の点Iと点Jとを結んだ線分IJの電子及び/又は正孔の電流密度JI
    Jを次式により算出し、

    【数48】 JIJ=CH*FIJDASH*(A(−FL*EIJ/NV)*CCID ASH−A(FL*EIJ/NV)*CCJDASH)…式(119) この算出した電子及び/又は正孔の電流密度を用いて、
    半導体装置の特性を評価することを特徴とする。

    【0063】請求項11の発明は、前記請求項10におけるFIJDASHは、前記点Bでの電子又は正孔の飽和速度VSATBから、 FIJDASH=VSATB なる値を用いることを特徴とする。

    【0064】請求項12の発明は、半導体装置の特性評価方法において、前記半導体装置の任意の点Iと点Jとを結んだ線分IJの電子及び/又は正孔の電流密度JI
    Jを次式により算出し、

    【数49】 JIJ=CH*(FIDASH*A(−FL*EIJ/NV)*CCIDA SH−FJDASH*A(FL*EIJ/NV)*CCJDASH)…式(121) この算出した電子及び/又は正孔の電流密度を用いて、
    半導体装置の特性を評価することを特徴とする。

    【0065】請求項13の発明は、前記請求項12におけるFIDASHは、前記点IDASHでの電子又は正孔の飽和速度VSATIDASHを用いて、 FIDASH=VSATIDASH …式(128) なる式で算出し、前記FJDASHは、前記点JDAS
    Hでの電子又は正孔の飽和速度VSATJDASHを用いて、 FJDASH=VSATJDASH …式(129) なる式で算出することを特徴とする。

    【0066】請求項14の発明は、前記請求項10又は12におけるFLは、前記点Bでの電界が十分弱い場合の電子又は正孔の移動度MWIJ、及び、前記点Bでの電子又は正孔の飽和速度VSATBを用いて、 FL=2*MWIJ*NV/VSATB …式(120) なる式で算出することを特徴とする。

    【0067】請求項15の発明は、半導体装置の特性評価方法において、前記半導体装置の任意の点Iと点Jとを結んだ線分IJの電子及び/又は正孔の電流密度JI
    Jを次式により算出し、

    【数50】 JIJ=CH*(FIDASH*A(−FL*EIJ/NVDASH)*C CIDASH−FJDASH*A(FL*EIJ/NVDASH)*CCJDA SH)…式(121) 前記線分IJの電子及び/又は正孔のエネルギー流密度SIJを次式により算出し、

    【数51】 SIJ=Q*(GIDASH*A(−FL*EIJ/NVDASH)*CC IDASH−GJDASH*A(FL*EIJ/NVDASH)*CCJDAS H)…式(125) これら算出された電流密度及びエネルギー流密度を用いて、半導体装置の特性を評価することを特徴とする。

    【0068】請求項16の発明は、前記請求項15におけるFIDASHは、点IDASHでの電子又は正孔の熱速度VTHIDASHを用いて、 FIDASH=VTHIDASH …式(122) なる式を用い、前記FJDASHは、点JDASHでの電子又は正孔の熱速度VTHJDASHを用いて、 FJDASH=VTHJDASH …式(123) なる式を用いることを特徴とする。

    【0069】請求項17の発明は、前記請求項15におけるGIDASHは、次式により算出し、

    【数52】 GIDASH=k*TIDASH*VTHIDASH …式(126) 前記GJDASHは、次式により算出することを特徴とする。

    【0070】

    【数53】 GJDASH=k*TJDASH*VTHJDASH …式(127) 請求項18の発明は、前記請求項15におけるFLは、
    次式により算出することを特徴とする。

    【0071】 FL=2*MW*EM*VTH/CH …式(124) 上記目的を達成するため、請求項19の発明は、半導体装置の特性評価プログラムを記録した機械読み取り可能な記録媒体において、機械に、前記半導体装置の任意の点Iと点Jとを結んだ線分IJの電子及び/又は正孔の電流密度JIJを次式により算出させ、

    【数54】 JIJ=CH*FIJ*(A((ΨJ−ΨI)/NV)*CCI−A((− ΨJ+ΨI)/NV)*CCJ)…式(102) 機械に、この算出した電子及び/又は正孔の電流密度を用いて、半導体装置の特性を評価させることを特徴とする。

    【0072】但し、

    【数55】 A(X)=1/(exp(X)+1) …式(100)であり、FIJは、前記点Iと前記点Jの電位差ΨIJが、
    |ΨIJ|→∞ …式(101)において有界な関数で定義される電子又は正孔の電流密度の比例係数であり、CH
    は、電子の場合には−E(Eは電荷素量)、正孔の場合にはEであり、NV=k*T/CHであり、kはボルツマン定数であり、Tは温度であり、ΨJは、上記点Jでの電位であり、ΨIは、上記点Iでの電位であり、CC
    Iは、上記点Iでの、電子電流密度の場合には電子濃度、正孔電流密度の場合には正孔濃度であり、CCJ
    は、上記点Jでの、電子電流密度の場合には電子濃度、
    正孔電流密度の場合には正孔濃度であり、MWは、電子又は正孔の移動度(CH*TAU/(2*EM))であり、TAUは、電子又は正孔の運動量緩和時間であり、
    EMは、電子又は正孔の有効質量であり、VTHは、電子又は正孔の熱速度であり、FIは、前記点Iと前記点Jの電位差ΨIJが、 |ΨIJ|→∞ …式(101) において有界な関数で定義される前記点Iでの電子又は正孔の電流密度の比例係数であり、FJは、前記点Iと前記点Jの電位差ΨIJが、 |ΨIJ|→∞ …式(101) において有界な関数で定義される前記点Jでの電子又は正孔の電流密度の比例係数であり、MWIJ,MWI及びMWJは、電子の場合には、電子の移動度の負の値であり、正孔の場合には、正孔の移動度の正の値である。

    【0073】FIJDASHは、定数とは限らない比例係数であり、DISTIJは、前記線分IJの長さであり、EIJ=−(ΨJ−ΨI)/DISTIJであり、
    FLは、電子又は正孔の平均自由行程であり、CCID
    ASHは、線分IJ上の任意の点Bから点Iの方向へF
    L/2だけ離れた点IDASHでの電子又は正孔の濃度であり、CCJDASHは、上記点Bから点Jの方向へ前記FL/2だけ離れた点JDASHでの電子又は正孔の濃度であり、FIDASH、FJDASH、GIDA
    SH、及びGJDASHは、定数とは限らない比例係数であり、NVDASH=k*TDASH/CHであり、
    TDASHは前記点Bでの電子又は正孔の温度であり、
    Qは、電子又は正孔のエフェクティブフローファクターであり、TIDASHは、前記点IDASHにおける電子又は正孔温度であり、VTHIDASHは、前記点I
    DASHでの電子又は正孔の熱速度であり、TJDAS
    Hは、前記点JDASHにおける電子又は正孔温度であり、VTHJDASHは、前記点JDASHでの電子又は正孔の熱速度である。

    【0074】ここで、「電子及び/又は正孔」とは、電子のみ、正孔のみ、電子及び正孔の3種類が含まれる。
    また、「電子又は正孔」とは、電子に係る評価の場合には電子を、また、正孔に係る評価の場合には正孔を意味する。

    【0075】上述の半導体装置の製造方法、半導体装置の特性評価装置、半導体装置の特性評価方法、及び、半導体特性評価プログラムを記録した機械読み取り可能な記録媒体によれば、電界が十分大きい場合にも電子及び正孔電流密度を十分な精度で算出することができる。 すなわち、上記発明の構成によれば、半導体装置の電気特性の評価のための数値計算を高速かつ安定して行うことで、半導体装置の設計工期を短縮し、半導体装置の製造期間を短縮することができるのである。

    【0076】ここで、後述する式(102a)によって電子電流密度を算出する場合の数値誤差を以下で説明する。 同様の方法で式(102b)によって正孔電流密度の数値誤差も説明できる。 比例係数FEIJの数値誤差を次式で表す。

    【0077】

    【数56】 FEIJ=FEIJ_TRUE+FEIJ_ERROR …式(50) 式(50),式(9),式(10),式(11)を式(102a)へ代入すると次式の関係が得られる。

    【0078】

    【数57】 JEIJ_ERROR=−JEIJ_TRUE−E*(FEIJ_TRUE +FEIJ_ERROR)*(A((ΨIJ_TRUE+ΨIJ_ERROR) /NVE)*NI−A(−(ΨIJ_TRUE+ΨIJ_ERROR )/NV E)*NJ) …式(51) 式(102a)で表される電子電流密度の数学的特徴を示すため、式(13),式(15)及び次式の状況を考える。

    【0079】

    【数58】 (FEIJ_ERROR/FEIJ_TRUE) 2 〜0 …式(52) すると式(51)は次式の通り近似できる。

    【0080】

    【数59】 JEIJ_ERROR=−E*(NI−NJ*exp((ΨIJ_TRU E)/NVE))*FEIJ_ERROR …式(53) 電子電流密度の誤差の真の値に対する割合は次式で表される。

    【0081】

    【数60】 JEIJ_ERROR/JEIJ_TRUE=FEIJ_ERROR/F EIJ_TRUE …式(54) 即ち、電界の大きさに関わらず電子電流密度の比例係数の数値誤差に起因する電子電流密度の数値誤差は増幅されない。 従って、電子電流密度の比例係数を十分な精度で算出する事により、電子電流密度を同等の精度で算出でき、ひいては十分な精度で基本方程式を満たす理解を求める事が出来る。

    【0082】式(109)を用いて電子電流密度を算出する場合も、式(102a)と同様の理由で十分な精度で電子電流密度を算出できる。

    【0083】なお、式(109)を用いて正孔電流密度を算出する場合も同様である。 式(109)を用いて電子電流密度を算出する場合について以下に説明する。

    【0084】電子電流密度の比例係数FEI、FEJの数値誤差を次式で表す。

    【0085】

    【数61】 FEI=FEI_TRUE+FEJ_ERROR …式(55) FEJ=FEJ_TRUE+FEJ_ERROR …式(56) 式(55),(56),(9),(10),(11)を式(109)に代入すると次式が得られる。

    【0086】

    【数62】 JEIJ_ERROR=−JEIJ_TRUE−E*((FEI_TRUE +FEI_ERROR)*A((ΨIJ_TRUE+ΨIJ_ERROR)/N VE)*NI−(FEJ_TRUE+FEJ_ERROR)*A((−ΨIJ_ TRUE−ΨIJ_ERROR)/NVE)*NJ) …式(57) 式(109)で表される電子電流密度の数学的特徴を示すため、式(13),(15)、及び次式の状況を考える。

    【0087】

    【数63】 (FEI_ERROR/FEI_TRUE) 2 〜0 …式(58) (FEJ_ERROR/FEJ_TRUE) 2 〜0 …式(59) FEI_TRUE*NI>>FEJ_TRUE*NJ*exp(ΨIJ_T RUE/NVE)または、 FEI_TRUE*NI<<FEJ_TRUE*NJ*exp(ΨIJ_T RUE/NVE) …式(60) 電子電流密度の誤差の真実の値に対する割合は次式で表される。

    【0088】

    【数64】 JEIJ_ERROR/JEIJ_TRUE=(FEI_ERROR*NI −FEJ_ERROR*NJ*exp(ΨIJ_TRUE/NVE))/(FE I_TRUE*NI−FEJ_TRUE*NJ*exp(ΨIJ_TRUE/N VE)) …式(61) ここで、

    【数65】 α=max(|FEI_ERROR/FEI_TRUE|,|FEJ_ER ROR/FEJ_TRUE|) …式(62) とすると、

    【数66】 |JEIJ_ERROR/JEIJ_TRUE|<α …式(63) である。

    【0089】従って、電子電流密度の比例係数を十分な精度で算出する事により、電子電流密度を同等の精度で算出でき、ひいては十分な精度で基本方程式を満たす解を求める事が出来る。

    【0090】電子電流密度の比例係数を式(103)の通り設定すると電子電流密度を正当に算出する。 これは辺上の電界が十分小さく、かつ熱平衡状態に十分近い場合、
    即ち次式が成立する場合、

    【数67】 NJ〜NI*exp((−ΨIJ)/NVE) …式(64) に、式(103),(9)を式(102a)に代入してΨIJの二次以上の項を無視する近似を行うと、

    【数68】 JEIJ=E*MWEIJ*ΨIJ/DISTIJ*NI …式(65) となり、式(6)を満たすからである。 正孔電流密度の比例係数も式(103)を用いて設定すると正孔電流密度を正当に算出できる。

    【0091】点Iと点Jにおいて、電界が十分弱い場合の電子及び正孔の移動度の値を同じとみなす近似が妥当な場合には、電子及び正孔の電流密度の比例係数を式(1
    03)を用いて算出する事により高速に数値計算を行える。

    【0092】また、上記近似が妥当でない場合には、点Iと点Jの値を区別して、式(111)、式(112)で算出する事により、より正確に数値計算を行える。

    【0093】また、電子電流密度の比例係数を式(105)
    の通り設定すると電子電流密度を正当に算出できる。 これは辺上の電界が十分大きく、 NJ〜NI …式(66) の場合に、式(105)を式(102a)に代入すると、 JEIJ=E*VSATE*NI …式(67) となり、式(4)を満たすからである。

    【0094】さらに、式(106)の通りDISTIJを設定すると辺上の電界が十分小さく、かつ熱平衡状態に十分近い場合にも、正当に電子電流密度を算出できる。 これは、

    【数69】 VSATE=2*MWEIJ/FLE*NVE …式(68) の関係から、

    【数70】 JEIJ=E*VSATE*ΨIJ*NI/(NVE*2) =E*MWEIJ/FLE*ΨIJ*NI =E*MWEIJ*ΨIJ/DISTIJ*NI …式(69) となり、式(4)及び式(6)を満たすからである。

    【0095】同様に正孔電流密度の比例係数を式(103)
    及び式(105)を用いて設定すると正孔電流密度を正当に算出できる。 さらに、式(106)を用いてDISTIJを設定すると辺上の電界が十分小さく、かつ熱平衡状態に十分近い場合にも正当に正孔電流密度を算出できる。

    【0096】点Iと点Jにおいて、電子及び正孔の飽和速度の値を同じとみなす近似が妥当な場合には、電子及び正孔の電流密度の比例係数をそれぞれ、式(105)、式
    (106)で算出する事により高速に数値計算を行える。 また、上記近似が妥当でない場合には点Iと点Jの値を区別して、式(115)、(116)、(106)で算出する事により、
    より正確に数値計算を行える。 このように、計算誤差を減少させることが出来、また、従来技術と比較して計算時間も減少させることが出来るので、所定の精度を満たす半導体装置の特性を高速かつ安定して得ることが出来るのである。 また、これにより、半導体装置の設計工期を短縮し、半導体装置の製造期間を短縮することができるのである。

    【0097】

    【発明の実施の形態】本発明に係る半導体装置の特性評価装置、半導体装置の特性評価方法、及び半導体装置の特性評価プログラムを記録した機械読み取り可能な記録媒体の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。

    【0098】第1の実施形態 図2は本実施形態の半導体装置の特性評価方法を実現するための装置である半導体装置の特性評価装置を示す図である。 本実施形態では、周知のノイマン型計算機を用いた。 この半導体装置の特性評価装置は、各種処理を行うための中央処理部4と、キーボード2、マウス3、ライトペン(図示せず)、又はフレキシブルディスク装置(図示せず)、等の入力装置と、メモリ装置やディスク装置等の記憶装置5と、ディスプレイ装置、プリンタ装置等の出力装置1等とを備えた通常のコンピュータシステムを用いる。

    【0099】ここで、ディスク装置5にはFORTRA
    N77コンパイラを備えている。 以下の実施形態において説明する半導体装置の特性評価方法をFORTRAN
    77言語にて記述し、プログラムファイル(ソースファイル)を作成してディスク装置に記憶する。 このプログラムファイルをFORTRAN77コンパイラを用いて機械語に翻訳することにより、本計算機システムで実行する機械読み取り可能な実行ファイルを作成する。 この実行ファイルを半導体装置の特性評価装置が実行することで実施することができる。 この実施の際には、以下の実施形態で説明する各種の変数を記憶装置等に保存し、
    中央処理装置が保存した変数を適宜読み出してデータ処理を行う。

    【0100】図1は、本実施形態の半導体装置の特性評価方法の処理を示すフローチャートである。 プログラムが起動されるとまず入力ステップS101を実行する。
    入力ステップS101ではまず、半導体素子の形状を入力する。 この形状は周知のプロセスシミュレータによって算出された形状を入力した。 この際、プロセスシミュレータによって算出された、素子の各点におけるドナー不純物濃度ND及びアクセプタ不純物濃度NAも入力した。 別の方法としてはマウス3を用いて形状を入力することもできる。 この場合には利用者が周知の図形編集ソフトウェアを用いる。 不純物濃度はガウス分布関数と補誤差関数の積を重ねあわせて表し、それらの関数のパラメータをキーボード2から入力する。 また、電極となる金属領域に対しては印加する電圧をキーボード2から入力するようにした。

    【0101】続いて、素子の形状を多角形に分割する。
    分割の仕方を決めるために次の二つの判断基準を用いた。

    【0102】(1)辺の長さが0.1μmを超えない事。

    【0103】(2)辺の両端の不純物濃度の比率が10
    倍を超えない事。

    【0104】(1)または(2)の条件を満たさない多角形がある場合には、(1)及び(2)の条件が満たされるまで自動的に当該多角形を細分化した。

    【0105】次に、初期値の設定ステップS102を実行する。 この段階では各頂点の電位Ψ、電子濃度N、正孔濃度Pを設定する。

    【0106】本実施形態においては次の手順で実行した。

    【0107】(1)電極の多角形に接する頂点のΨに、
    その電極に印加する電圧を設定する。

    【0108】(2)半導体の多角形に接する頂点のうち、NDがNA以上の頂点に対して、NにNDの値を設定し、Pに(NINT*NINT)/NDを設定する。
    ここで、NINTは半導体の真性キャリア濃度である。
    また、NDはドナー不純物濃度、NAはアクセプタ不純物濃度である。 本実施形態においてはNINT=10 10
    cm -3の値を用いた。

    【0109】(3)半導体の多角形に接する頂点のうち、NAがNDより大きい頂点に対して、PにNAの値を設定し、Nに(NINT*NINT)/NAを設定する。

    【0110】(4)依然としてΨが設定されていない頂点に対しては、Ψに0を設定する。

    【0111】(5)依然としてN及びPが設定されていない頂点に対しては、N及びPに0を設定する。

    【0112】なお、Ψ、N、Pはそれぞれ頂点番号をインデックスとする実数変数配列に記憶した。

    【0113】次に、電界の算出ステップS103を実行する。 このステップでは、多角形の各辺に対して、式
    (1)を用いて電界を算出する。 算出した電界は辺番号をインデックスとする実数変数配列に記憶する。

    【0114】次に、電子電流密度の算出ステップS10
    4を実行する。 このステップでは、多角形の各辺に対して次式を用いて電子電流密度を算出する。

    【0115】

    【数71】 JEIJ=−E*FEIJ*(A((ΨJ−ΨI)/NVE)*NI−A ((−ΨJ+ΨI)/NVE)*NJ) …式(102a) 本実施形態においては、次式で定義される関数A

    【数72】 A(X)=1/(exp(X)+1) …式(100) と、 |ΨIJ|→∞ …式(101) において有界な関数で定義される電子電流密度の比例係数であるFEIJを辺IJ上における電界が十分弱い場合の電子の移動度MWEIJと辺IJの長さDISTI
    Jから、

    【数73】 FEIJ=2*NVE*MWEIJ/DISTIJ …式(103a) で算出した。 また、NVE=k*T/(−E)であり、
    NI及びNJは点I及びJでの電子濃度である。

    【0116】なお、電界が十分弱い場合の電子の移動度を求める場合には、周知の方法(参考文献:小西他、信学技報、SDM92−93,1992)を用いて算出することができる。

    【0117】次に、正孔電流密度の算出ステップS10
    5を実行する。 このステップでは、多角形の各辺に対して次式を用いて正孔電流密度を算出する。

    【0118】

    【数74】 JHIJ=E*FHIJ*(A((ΨJ−ΨI)/NVH)*PI−A( (−ΨJ+ΨI)/NVH)*PJ) …式(102b) 本実施形態においては、次式で定義される関数A

    【数75】 A(X)=1/(exp(X)+1) …式(100) と、 |ΨIJ|→∞ …式(101) において有界な関数で定義される正孔電流密度の比例係数であるFHIJを辺IJ上における電界が十分弱い場合の正孔の移動度MWHIJとDISTIJから、

    【数76】 FHIJ=2*NVH*MWHIJ/DISTIJ …式(103b) で算出した。 また、NVH=k*T/Eであり、PI及びPJは点I及びJでの正孔濃度である。

    【0119】ここで、前記電子の電流密度JEIJの算出は、前記FEIJを、前記線分IJ上の電子の飽和速度VSATEから、 FEIJ=VSATE …式(105a) なる値を用いて行うようにしてもよい。

    【0120】同様に、前記正孔の電流密度JHIJの算出は、前記FHIJを、前記線分IJ上の正孔の飽和速度VSATHから、 FHIJ=VSATH …式(105b) なる値を用いて行うようにしてもよい。

    【0121】電界が十分弱い場合の正孔の移動度は周知の方法(小西他、信学技報、SDM92−93,199
    2)により算出した。 算出した正孔電流密度は辺番号をインデックスとする実数変数配列に記憶する。

    【0122】次に、修正量の算出ステップS106を実行する。 このステップでは、周知の方法(例えば、S.Se
    lberherr, Analysis and Simulation of semiconductor
    Devices, Springer-Verlag, Wien New York, 1984. における6. the Discretization of the Basic Semicondu
    ctor Equations及び7. the Solution of Systems ofNon
    linear Algebraic Equations)により各頂点のΨ、N,
    Pの修正量ΔΨ、ΔN、ΔPを算出する。

    【0123】次に、収束の判定ステップS107を実行する。 このステップでは次の三つの判定条件が全て満たされた場合に収束したとし、ステップS109に進む。
    それ以外の場合にはステップS108に進む。

    【0124】(1)各頂点に対して算出される量ΔΨ/
    NVの絶対値の最大値が0.01以下である (2)各頂点に対して算出される量ΔN/Nの絶対値の最大値が0.01以下である (3)各頂点に対して算出される量ΔP/Pの絶対値の最大値が0.01以下である 上記収束判定ステップS107の結果、ステップS10
    9に進んだ際には端子電流の算出と表示ステップS10
    9を実行したのちプログラムの実行を終了する。 この端子電流の算出と表示ステップS109では各電極に対して端子電流を算出する。 端子電流は電極の表面積に電流密度を乗じて算出する。 表示は表示画面に電極番号順に端子電流の値を表示して行う。

    【0125】一方、上記収束判定ステップS107の結果、ステップS108に進んだ際には修正ステップS1
    08を実行した後、電界の算出ステップS103に戻る。 修正ステップS108においては各頂点のΨ、N、
    P、に対して修正量ΔΨ、ΔN、ΔPを加える。

    【0126】図3は、本実施形態によって算出した半導体装置(MOSFET)の特性を示す図である。 この図において、実線は、本実施形態により求めた半導体装置の特性を示す。 また、一点鎖線は、従来法により求めた半導体装置の特性を示す。 ここで、本実施形態によれば全てのドレイン電圧に対して解を求めることができた。
    従来技術による方法ではドレイン電圧がある値を超えると数値誤差のために解が求まらなかった。

    【0127】なお、従来技術では、図1において電子電流密度の算出ステップS104を式(2)により、また、
    正孔電流密度の算出ステップS105を式(3)により行い、かつ、各辺上での電子及び正孔移動度の算出は周知の方法(参考文献:小西他、信学技報、SDM92−9
    3,1992)により実行した点で本実施形態と相違する。

    【0128】以上のように、本実施形態の半導体装置の特性評価方法によれば、従来では数値誤差のために求めることが出来なかった半導体装置の特性を高速かつ安定して求めることが出来る。 また、このように半導体装置の特性の評価の範囲を拡大させることは、デバイスシミュレータの精度が向上することに他ならない。 この精度向上により、設計工期を短縮させ、しいては半導体装置の製造期間を短縮させることが出来るのである。

    【0129】第2の実施形態 次に、第2の実施形態の半導体装置の特性評価方法について、図面を参照しながら説明する。 上述第1の実施形態で説明したフローチャートの処理に沿って処理を行う。 本実施形態では、電子電流密度の算出ステップS1
    04の処理を、式(100) により定義される関数Aと、式
    (101)において有界な関数で定義される点I及び点Jにおける電子電流密度の比例係数FEI及びFEJを用いて、式(109a)により算出する。

    【0130】

    【数77】 JEIJ=−E*(FEI*A((ΨJ−ΨI)/NVE)*NI−FE J*A((−ΨJ+ΨI)/NVE)*NJ) …式(109a) ここで、FEI及びFEJを、それぞれ点I、点Jにおける電界が十分弱い場合の電子の移動度MWEI、MW
    EJと線分IJの長さDISTIJから、

    【数78】 FEI=2*NVE*MWEI/DISTIJ …式(111a) FEJ=2*NVE*MWEJ/DISTIJ …式(112a) なる値を用いて行うようにしてもよい。

    【0131】本実施形態では、それぞれ点I及び点Jにおける電子飽和速度VSATEI及びVSATEJから、 FEI=VSATEI …式(115a) FEJ=VSATEJ …式(116a) で算出し、DISTIJを辺IJ上における電子の平均自由行程FLEから、 DISTIJ=FLE …式(106a) で算出する。

    【0132】また、正孔電流密度の算出ステップS10
    5の処理を、式(100) により定義される関数Aと、式(1
    01)において有界な関数で定義される点I及び点Jにおける正孔電流密度の比例係数FHI及びFHJを用いて、式(109b)により算出する。

    【数79】 JHIJ=E*(FHI*A((ΨJ−ΨI)/NVH)*NI−FHJ *A((−ΨJ+ΨI)/NVH)*NJ) …式(109b) ここで、FHI及びFHJを、それぞれ点I、点Jにおける電界が十分弱い場合の正孔の移動度MWHI、MW
    HJと線分IJの長さDISTIJから、

    【数80】 FHI=2*NVH*MWHI/DISTIJ …式(111b) FHJ=2*NVH*MWHJ/DISTIJ …式(112b) なる値を用いて行うようにしてもよい。

    【0133】本実施形態では、それぞれ点I及び点Jにおける正孔飽和速度VSATHI及びVSATHJから、 FHI=VSATHI …式(115a) FHJ=VSATHJ …式(116b) で算出し、DISTIJを辺IJ上における正孔の平均自由行程FLHから、 DISTIJ=FLH …式(106b) で算出する。 これらの各式を用いることで、さらに電子電流密度、及び、正孔密度を正確に計算することができるので、デバイスシミュレータの精度を向上させることができる。

    【0134】その他の処理については、上述した第1の実施形態と同様なので、その説明は省略する。 図4は本実施形態によって算出した半導体装置の特性を示す図である。 この図において、横軸ゲート電圧(V)を、縦軸にはドレイン電流(A)をとってある。 本実施形態では、図示の如く横軸に示したゲート電圧に対して総ての値を求めることができたが、従来技術では総ての印加電圧に対して解が求まらなかった。

    【0135】第3の実施形態 次に、第3の実施形態の半導体装置の特性評価方法について、図面を参照しながら説明する。

    【0136】上述第1の実施形態で説明したフローチャートの処理に沿って処理を行う。

    【0137】本実施形態では、素子の形状を多角形に分割する際に、まず、次の判断基準を用いた。

    【0138】判断基準:辺の長さが0.05μmを超えないこと。

    【0139】上記判断基準に基づいて作成した多角形を、「多角形A」と呼ぶ。 また、多角形Aの各辺を2等分して得られる「多角形B」を別に作成した。 そして、
    多角形Aを用いた半導体装置の特性評価と、多角形Bを用いた半導体装置の特性評価をそれぞれ行い、両者の特性評価結果を比較した。

    【0140】本実施形態では、電子電流密度の算出ステップS104の処理について式(119a)を用いて算出した。

    【0141】

    【数81】 JEIJ=−E*FEIJDASH*(A(−FLE*EIJ/NVE)* NIDASH−A(FLE*EIJ/NVE)*NJDASH)…式(119a) 但し、FEIJDASHは線分IJ上の任意の点BEでの電子の飽和速度VSATBEであり、EIJ=−(Ψ
    J−ΨI)/DISTIJであり、FLEは、電子の平均自由行程であり、NVE=k*T/(−E)であり、
    NIDASHは、線分IJ上の任意の点BEから点Iの方向へFLE/2だけ離れた点IDASHでの電子の濃度であり、NJDASHは、上記点BEから点Jの方向へ前記FLE/2だけ離れた点JDASHでの電子の濃度である。

    【0142】ここで、電子の平均自由行程FLEは、電界が十分弱い場合の電子の移動度MWEIJ、及び、電子の飽和速度VSATEを用いて算出した。

    【0143】

    【数82】 FLE=2*MWEIJ*NVE/VSATE …式(120a) また、正孔電流密度の算出ステップS105の処理について式(119b)を用いて算出した。

    【0144】

    【数83】 JHIJ=E*FHIJDASH*(A(−FLH*EIJ/NVH)*P IDASH−A(FLH*EIJ/NVH)*PJDASH)…式(119b) 但し、FHIJDASHは線分IJ上の任意の点BHでの正孔の飽和速度VSATBHであり、FLHは、正孔の平均自由行程であり、NVH=k*T/Eであり、P
    IDASHは、線分IJ上の任意の点BHから点Iの方向へFLH/2だけ離れた点IDASHでの正孔の濃度であり、PJDASHは、上記点BHから点Jの方向へ前記FLH/2だけ離れた点JDASHでの正孔の濃度である。

    【0145】ここで、正孔の平均自由行程FLHは、電界が十分弱い場合の正孔の移動度MWHIJ、及び、正孔の飽和速度VSATHを用いて算出した。

    【0146】

    【数84】 FLH=2*MWHIJ*NVH/VSATH …式(120b) なお、点BE及び点BHは、各辺の中央とした。 また、
    NIDASH及びNJDASHは、DISTIJがFL
    Eよりも長い場合には、点I及びJでの電子濃度NI及びNJから周知の内挿法により求めた。 逆にDISTI
    JがFLEよりも短い場合には、NI及びNJから周知の外挿法により求めた。 PIDASH及びPJDASH
    は、DISTIJがFLHよりも長い場合には、点I及びJでの正孔濃度PI及びPJから周知の内挿法により求めた。 逆にDISTIJがFLHよりも短い場合には、PI及びPJから周知の外挿法により求めた。 本実施形態では、式(119a)又は(119b)の如く、点Iと点Jにおいて等しく比例係数FEIJDASH,FHIJDA
    SHを用いたが、式(121a)又は(121b)の如く比例係数を異なるようにしても良い。

    【0147】

    【数85】 JEIJ=−E*(FEIDASH*A(−FLE*EIJ/NVE)*N IDASH−FEJDASH*A(FLE*EIJ/NVE)*NJDASH) …式(121a) JHIJ=E*(FHIDASH*A(−FLH*EIJ/NVH)*PI DASH−FHJDASH*A(FLH*EIJ/NVH)*PJDASH)… 式(121b) さらに、FEIDASHは、点IDASHでの電子の飽和速度を用いて、

    【数86】 FEIDASH=VSATEIDASH …式(128a) なる式で算出し、FEJDASHは、点JDASHでの電子の飽和速度を用いて、

    【数87】 FEJDASH=VSATEJDASH …式(129a) なる式で算出し、FHIDASHは、点IDASHでの正孔の飽和速度を用いて、

    【数88】 FHIDASH=VSATHIDASH …式(128b) なる式で算出し、FHJDASHは、点JDASHでの正孔の飽和速度を用いて、

    【数89】 FHJDASH=VSATHJDASH …式(129b) なる式で算出してもよい。

    【0148】ここで、FEIDASH,FEJDAS
    H,FHIDASH,及びFHJDASHは、定数とは限らない比例係数である。

    【0149】その他の処理については、上述した第1の実施形態と同様なので、その説明は、省略する。 図8は本実施形態によって算出した半導体装置の特性を示す図である。 この図において、横軸はドレイン電圧(V)
    を、縦軸はドレイン電流(mA)をとってある。 また、
    上記多角形Aによる特性評価結果(実線)と上記多角形Bによる特性評価結果(点線)は一致していることが分かる。

    【0150】本実施形態では、上述の第1の実施形態と異なり、上記のNIDASH,NJDASH,PIDA
    SH及びPJDASHの算出のために、内挿法又は外挿法を行う必要があるため、計算量の増加に伴い、評価に要する時間が長くなる問題があるが、他方、多角形の辺の長さに依らず高精度に半導体装置の特性評価を行えるため、設計工期を短縮させ、更には半導体装置の製造期間を短縮させることができる。

    【0151】第4の実施形態 次に、第4の実施形態の半導体装置の特性評価方法について、図面を参照しながら説明する。

    【0152】図9は、本実施形態の半導体装置の特性評価方法の処理を示すフローチャートである。 図1に対して電子エネルギー流密度の算出ステップS206と正孔エネルギー流密度の算出ステップS207の処理が追加されている。

    【0153】入力ステップS201の処理は上述第1の実施形態と同様なので、説明は省略する。

    【0154】初期値の設定ステップS202の処理では上述第1の実施形態での処理に加えて、各頂点の電子温度TE及び正孔温度THとして室温を設定した。

    【0155】電界の算出ステップS203は上述第1の実施形態と同様の処理としてもよいのでその説明は省略する。

    【0156】電子電流密度の算出ステップS204の処理については、

    【数90】 JEIJ=−E*(FEIDASH*A(−FLE*EIJ/NVE)* NIDASH−FEJDASH*A(FLE*EIJ/NVE)*NJDASH )…式(121a) を用いて算出し、FEIDASHは、点IDASHでの電子の熱速度VTHEIDASHを用いて、

    【数91】 FEIDASH=VTHEIDASH …式(122a) なる式を用い、FEJDASHは、点JDASHでの電子の熱速度VTHEJDASHを用いて、

    【数92】 FEJDASH=VTHEJDASH …式(123a) なる式を用いた。

    【0157】また、FLEは、式(124a)により算出した。

    【0158】

    【数93】 FLE=2*MWE*EME*VTHE/(−E) …式(124a) 但し、MWEは、電子の移動度(−E*TAUE/(2
    *EME))であり、TAUEは電子の運動量緩和時間であり、EMEは、電子の有効質量であり、VTHE
    は、電子の熱速度である。

    【0159】なお、NIDASH及びNJDASHの算出は上述第3の実施形態と同様の方法により行った。 また、VTHEIDASH及びVTHEJDASHは、点Iにおける電子の熱速度VTHEI及び点Jにおける電子の熱速度VTHEJを基に、NIDASH及びNJD
    ASHと同様の内挿法または外挿法により求めた。

    【0160】正孔電流密度の算出ステップS205の処理については、

    【数94】 JHIJ=E*(FHIDASH*A(−FLH*EIJ/NVH)*P IDASH−FHJDASH*A(FLH*EIJ/NVH)*PJDASH) …式(121b) を用いて算出し、FHIDASHは、点IDASHでの正孔の熱速度VTHHIDASHを用いて、

    【数95】 FHIDASH=VTHHIDASH …式(122b) なる式を用い、FHJDASHは、点JDASHでの正孔の熱速度VTHHJDASHを用いて、

    【数96】 FHJDASH=VTHJDASH …式(123b) なる式を用いた。

    【0161】また、FLHは、式(124b)により算出した。

    【0162】

    【数97】 FLH=2*MWH*EMH*VTHH/E …式(124b) 但し、MWHは、正孔の移動度(E*TAUH/(2*
    EMH))であり、TAUHは正孔の運動量緩和時間であり、EMHは、正孔の有効質量であり、VTHHは、
    正孔の熱速度である。

    【0163】なお、PIDASH及びPJDASHの算出は上述第3の実施形態と同様の方法により行った。 また、VTHHIDASH及びVTHHJDASHは、点Iにおける正孔の熱速度VTHHI及び点Jにおける正孔の熱速度VTHHJを基に、PIDASH及びPJD
    ASHと同様の内挿法または外挿法により求めた。

    【0164】電子エネルギー流密度の算出ステップS2
    06の処理については、

    【数98】 SEIJ=QE*(GEIDASH*A(−FLE*EIJ/NVE)* NIDASH−GEJDASH*A(FLE*EIJ/NVE)*NJDASH )…式(125a) を用いて算出し、前記GEIDASHは、式(126a)により算出し、

    【数99】 GEIDASH=k*TEIDASH*VTHEIDASH …式(126a) 前記GEJDASHは、式(127a)により算出する。

    【0165】

    【数100】 GEJDASH=k*TEJDASH*VTHEJDASH …式(127a) 但し、TEIDASHは、前記点IDASHにおける電子温度であり、VTHEIDASHは、点IDASHでの電子の熱速度であり、TEJDASHは、前記点JD
    ASHにおける電子温度であり、VTHEJDASH
    は、点JDASHでの電子の熱速度である。

    【0166】ここで、FLEは、式(124a)により算出した。

    【0167】なお、NIDASH及びNJDASHの算出は上述第3の実施形態と同様の方法により行った。 また、TEIDASH及びTEJDASHは、点Iにおける電子温度TEI及び点Jにおける電子温度TEJを基に、NIDASH及びNJDASHと同様の内挿法または外挿法により求めた。 また、VTHEIDASH及びVTHEJDASHは上記電子電流密度の算出ステップS204と同じ方法により求めた。 また、QEとして2.5の値を用いた。

    【0168】正孔エネルギー流密度の算出ステップS2
    07の処理については、

    【数101】 SHIJ=QH*(GHIDASH*A(−FLH*EIJ/NVH)* PIDASH−GHJDASH*A(FLH*EIJ/NVH)*PJDASH )…式(125b) を用いて算出し、前記GHIDASHは、式(126b)により算出し、

    【数102】 GHIDASH=k*THIDASH*VTHHIDASH …式(126b) 前記GHJDASHは、式(127b)により算出する。

    【0169】

    【数103】 GHJDASH=k*THJDASH*VTHHJDASH …式(127b) 但し、THIDASHは、前記点IDASHにおける正孔温度であり、VTHHIDASHは、前記点IDAS
    Hでの正孔の熱速度であり、THJDASHは、前記点JDASHにおける正孔温度であり、VTHHJDAS
    Hは、前記点JDASHでの正孔の熱速度である。

    【0170】ここで、FLHは、式(124b)により算出した。

    【0171】なお、PIDASH及びPJDASHの算出は上述第3の実施形態と同様の方法により行った。 また、THIDASH及びTHJDASHは、点Iにおける正孔温度THI及び点Jにおける電子温度THJを基に、PIDASH及びPJDASHと同様の内挿法または外挿法により求めた。 また、VTHHIDASH及びVTHHJDASHは上記正孔電流密度の算出ステップS205と同じ方法により求めた。 また、QHとして2.5の値を用いた。

    【0172】次に、修正量の算出ステップS208を実行する。 このステップでは周知のニュートン法により、
    各頂点のΨ、N、P、TE、THの修正量ΔΨ、ΔN、
    ΔP、ΔTE、ΔTHを算出した。

    【0173】次に、収束の判定ステップS209を実行する。 このステップでは次の5つの判定条件がすべて満たされた場合に収束したとし、ステップS211に進み、それ以外の場合にはステップS210に進む。

    【0174】判定条件1:各頂点に対して算出される量ΔΨ/NVE,ΔΨ/NVHの絶対値の最大値が0.0
    1以下(好ましくは0.001以下)である 判定条件2:各頂点に対して算出される量ΔN/Nの絶対値の最大値が0.01以下(好ましくは0.001以下)である 判定条件3:各頂点に対して算出される量ΔP/Pの絶対値の最大値が0.01以下(好ましくは0.001以下)である 判定条件4:各頂点に対して算出される量ΔTE/TE
    の絶対値の最大値が0.01以下(好ましくは0.00
    1以下)である 判定条件5:各頂点に対して算出される量ΔTH/TH
    の絶対値の最大値が0.01以下(好ましくは0.00
    1以下)である 上記収束の判定ステップS209の結果、上記5つの判定条件がすべて満たされた場合には、端子電流の算出と表示ステップS211を実行した後、プログラムの実行を終了する。 この端子電流の算出と表示ステップS21
    1では各電極に対して端子電流を算出する。 端子電流は電極の表面積に電流密度を乗じて算出する。 表示は表示画面に電極番号順に端子電流の値を表示して行う。

    【0175】一方、上記収束の判定ステップS209の結果、ステップS210に進んだ際には、各頂点のΨ、
    N、P、TE、THに対して、修正量ΔΨ、ΔN、Δ
    P、ΔTE、ΔTHをそれぞれ加え、電界の算出ステップS203に戻る。

    【0176】図10は、ある半導体装置におけるドレインの電圧−電流特性を示す図表である。 本実施形態によって評価した半導体装置の特性は実線で示し、第1の実施形態によって評価した半導体装置の特性は点線で示した。 本実施形態においては、電子温度及び正孔温度を評価したため、第1実施形態よりも計算量が増え、評価に要する時間が長くなる問題があるが、詳細な計算を行った結果、より高精度な評価結果が得られる。 このため、
    設計工期を短縮させ、更には半導体装置の製造期間を短縮させることができる。

    【0177】また、本実施形態では電流が高く、電界の強い部分でもほぼ実測値(図示せず)と一致することが分かった。 従って、電界が強く発生する最近のゲート長の短い半導体素子についても精度良く電気特性を評価する事ができる。

    【0178】以上のように、本実施形態の半導体装置の特性評価方法によれば、従来では数値誤差のために求めることが出来なかった半導体装置の特性を高速かつ安定して求めることが出来る。 また、このように半導体装置の特性の評価の範囲を拡大させることは、デバイスシミュレータの精度が向上することに他ならない。 この精度向上により、設計工期を短縮させ、しいては半導体装置の製造期間を短縮させることが出来るのである。

    【0179】上述の実施形態により特性評価を行い、所望の特性が得られた場合には、その半導体装置を製造することができる。 この製造は、半導体装置の各部の形状や寸法等を実現するための、フォトリソグラフィー工程、薄膜形成工程、エッチング工程、選択拡散工程等の所要の種々の工程を行う。 一方、所望の特性が得られない場合には、プロセスシミュレータ等を用いて設計変更を行い、再び上述の実施形態により特性評価を行い、上述の工程を経て半導体装置を製造することができる。

    【0180】上述の実施形態の半導体装置の特性評価方法を半導体製造方法に組み込むことにより、半導体装置の設計から特性評価、製造までのループの周期が飛躍的に短縮される。 これにより、設計工期を短縮し、半導体装置の製造期間を短縮することができる。

    【0181】なお、上述した半導体装置の製造方法及び半導体装置の特性評価方法を実現するためのプログラムは記録媒体に保存することができる。 この記録媒体をコンピュータシステムによって読み込ませ、前記プログラムを実行してコンピュータを制御しながら上述した半導体装置の製造方法及び半導体装置の特性評価方法を実現することができる。 ここで、前記記録媒体とは、メモリ装置、磁気ディスク装置、光ディスク装置等、プログラムを記録することができるような装置が含まれる。

    【0182】

    【発明の効果】以上説明してきたように、本発明に係る半導体装置の製造方法、半導体装置の特性評価装置、半導体装置の特性評価方法、及び、半導体装置の特性評価プログラムを記録した機械読み取り可能な記録媒体によれば、所定の精度を満たす半導体装置の特性を高速かつ安定して得ることにより、設計工期を短縮し、半導体装置の製造期間を短縮することができる。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】第1乃至第3の実施形態の半導体装置の特性評価方法の処理を示すフローチャートである。

    【図2】第1の実施形態の半導体装置の特性評価方法の実現に用いた計算機システムを示す図である。

    【図3】第1の実施形態と従来技術による半導体装置の特性評価結果を示す図である。

    【図4】第2の実施形態と従来技術による半導体装置の特性評価結果を示す図である。

    【図5】素子の形状を多角形の集まりで表した場合を説明するための図である。

    【図6】シリコンにおける電子及び正孔ドリフト速度を示す図である。

    【図7】シリコンにおける電子及び正孔の移動度を示す図である。

    【図8】第3の実施形態により算出した半導体装置の特性を示す図表である。

    【図9】第4の実施形態の半導体装置の特性評価方法の処理を示すフローチャートである。

    【図10】第4の実施形態により算出した半導体装置の特性を示す図表である。

    【符号の説明】

    1 出力装置 2 キーボード 3 マウス 4 中央処理部 5 ディスク装置

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