首页 / 专利库 / 溶剂类 / 界面膜 / 半導体装置およびその製造方法

半導体装置およびその製造方法

阅读:487发布:2020-05-08

专利汇可以提供半導体装置およびその製造方法专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且半導体装置(100)は、 基板 (101)と、基板(101)の上方に形成された第1の窒化物半導体層(103)と、第1の窒化物半導体層(103)の上に形成された第2の窒化物半導体層(104)と、基板(101)の上方に形成されたオーミック電極(106)と、少なくともオーミック電極(106)の一部に接し、ケイ素および塩素を含むコンタクト層(105)とを備え、第2の窒化物半導体層(104)のバンドギャップは、第1の窒化物半導体層(103)のバンドギャップより大きく、第1の窒化物半導体層(103)と第2の窒化物半導体層(104)とのヘテロ界面の第1の窒化物半導体層(103)側には、2次元電子ガスチャネルが形成され、コンタクト層(105)において、少なくともケイ素濃度のピーク値は、塩素濃度のピーク値よりも高い。,下面是半導体装置およびその製造方法专利的具体信息内容。

基板と、 前記基板の上方に形成された第1の窒化物半導体層と、 前記第1の窒化物半導体層の上に形成された第2の窒化物半導体層と、 前記基板の上方に形成されたオーミック電極と、 少なくとも前記オーミック電極の一部に接し、ケイ素および塩素を含むコンタクト層とを備え、 前記第2の窒化物半導体層のバンドギャップは、前記第1の窒化物半導体層のバンドギャップより大きく、 前記第1の窒化物半導体層と前記第2の窒化物半導体層とのヘテロ界面の前記第1の窒化物半導体層側には、2次元電子ガスチャネルが形成され、 前記コンタクト層において、少なくともケイ素濃度のピーク値は、塩素濃度のピーク値よりも高い、 半導体装置。前記コンタクト層は、前記オーミック電極と前記コンタクト層の界面から深さ30nmの範囲に設けられおり、 前記コンタクト層において、ケイ素濃度は、塩素濃度よりも高い、 請求項1に記載の半導体装置。前記コンタクト層の塩素濃度のピーク値は、1×1018cm−3以上である、 請求項1または2に記載の半導体装置。前記第2の窒化物半導体層内に前記コンタクト層の下面があり、 前記コンタクト層の下面と前記ヘテロ界面との間の塩素濃度は、1×1017cm−3以下である、 請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置。前記コンタクト層の下面は、前記へテロ界面に到達している、 請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置。前記オーミック電極の下面の全部または一部は、前記第2の窒化物半導体層の一部を除去したリセスの上に形成されている、 請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置。前記オーミック電極の下面の全部または一部は、前記オーミック電極の下方における前記第2の窒化物半導体層の全部と前記第1の窒化物半導体層の一部とを除去したリセスの上に形成されている、 請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置。前記オーミック電極の端部は、平面視で前記コンタクト層の端部と同一または前記コンタクト層の端部から突出して形成されており、 平面視で前記コンタクト層の端部から30nmまでの範囲において、ケイ素濃度は、塩素濃度よりも高い、 請求項2に記載の半導体装置。前記オーミック電極との間で電圧が印加される対向電極を備え、 前記オーミック電極は、平面視で前記コンタクト層から前記対向電極の方向に突出している、 請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導体装置。前記第2の窒化物半導体層の上に形成され、開口部を有する絶縁膜を備え、 前記オーミック電極は、前記開口部を覆うように形成されており、 前記絶縁膜は、塩素を含む絶縁層を有し、 前記絶縁層の塩素濃度のピーク値は、1×1018cm−3以上である、 請求項1〜9のいずれか1項に記載の半導体装置。前記絶縁層において、前記オーミック電極の下以外の一部の塩素濃度は、前記オーミック電極の下の塩素濃度よりも低い、 請求項10に記載の半導体装置。基板の上に第1の窒化物半導体層を形成する工程と、 前記第1の窒化物半導体層よりもバンドギャップが大きい第2の窒化物半導体層を前記第1の窒化物半導体層の上に形成する工程と、 前記第2の窒化物半導体層にSiCl4ガスを含んだプラズマ処理を施すことによりケイ素と塩素とを含んだコンタクト層を形成する工程と、 前記コンタクト層を形成した後に450℃以上900℃以下で第1の熱処理を行う工程と、 前記第1の熱処理を行った後に前記コンタクト層の上にオーミック電極を形成する工程と、 前記オーミック電極を形成した後に900℃以下で第2の熱処理を行う工程とを含む、 半導体装置の製造方法。前記第2の窒化物半導体層を形成する工程の後に、前記第2の窒化物半導体層の上に開口部を有する絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜をマスクとしてSiCl4ガスを含んだプラズマ処理を施す工程とを含み、 前記オーミック電極を形成する工程では、前記絶縁膜の前記開口部を覆うように前記オーミック電極を形成する、 請求項12に記載の半導体装置の製造方法。前記プラズマ処理を施す工程では、前記コンタクト層の塩素濃度のピーク値が1×1018cm−3以上となるように、SiCl4ガスを含んだプラズマ処理の条件を調整する、 請求項12または13に記載の半導体装置の製造方法。

说明书全文

本開示は、半導体装置およびその製造方法に関し、特に、III族窒化物半導体を用いたIII族窒化物半導体装置およびその製造方法に関する。

III族窒化物半導体、特に、GaN(ガリウム窒化物)またはAlGaN(アルミニウムガリウム窒化物)を用いたIII族窒化物半導体装置は、材料のバンドギャップの広さから、高い絶縁破壊電圧を有する。また、III族窒化物半導体装置では、AlGaN/GaN等のヘテロ構造を容易に形成できる。

AlGaN/GaNヘテロ構造では、材料間での格子定数差から発生するピエゾ分極とAlGaNおよびGaNの自発分極との差により、AlGaN/GaN界面のGaN層側に高濃度の電子(2次元電子ガス:Two Dimensional Electron Gas(以下「2DEG」と称する))によるチャネル(以下「2DEGチャネル」と称する)が形成される。この2DEGチャネルを利用したIII族窒化物半導体装置は、電子飽和速度が高く、かつ、耐絶縁性が高く、熱伝導率も高いことから、高周波パワーデバイスに応用されている。

これらのIII族窒化物半導体装置において特性を高めるためには、III族窒化物半導体装置内のオーミック電極と2DEGとのコンタクト(以下、オーミックコンタクトと称する)や2DEGチャネルの抵抗等の寄生抵抗成分を出来る限り低減させるとよい。

従来、オーミック電極と2DEGとのオーミックコンタクト抵抗を低減する方法が特許文献1および特許文献2に開示されている。

特許文献1には、オーミック電極を、AlGaNとGaNとが積層された超格子層の上に形成し、超格子層とその超格子層と接しているAlGaN表面とにケイ素イオンを注入することにより、超格子層に生じた分極電荷に誘起されて電子を多数発生させることが記載されている。これにより、AlGaNの電子に対するポテンシャルが低くなるので、オーミックコンタクト抵抗を低減できるとされている。

一方、特許文献2には、Ti膜とAl膜を順に積層したオーミック電極と接するAlGaN表面に酸素イオンと塩素イオンとを注入して、酸素濃度のピーク値と塩素濃度のピーク値とを特定の範囲にすることが記載されている。これにより、オーミックコンタクト抵抗を低減できるとされている。

特開2006−351762号公報

特許第6018809号公報

上記特許文献1に記載された方法によれば、AlGaNとGaNのヘテロ構造によって達成される最高の電子濃度は、体積濃度に換算すると、通常のイオン注入装置を用いてケイ素イオンを注入した場合のケイ素イオンの活性化率(5×1018cm−3〜3×1019cm−3)を越える5×1019cm−3となる。しかしながら、この方法を用いたとしてもオーミックコンタクト抵抗は0.4Ωmm程度が限界であり、これよりもさらにオーミックコンタクト抵抗を低減することができない。

また、上記特許文献2に記載された方法でも、オーミックコンタクト抵抗を低減することが難しい。例えば、Ti膜とAl膜を順に積層したオーミック電極と接するAlGaN表面において、酸素濃度ピーク値が1.1×1018cm−3〜6.8×1018cm−3で、塩素濃度ピーク値が5.0×1016cm−3〜9.6×1017cm−3である低濃度かつ狭い特定の範囲であっても、オーミックコンタクト抵抗は1.0Ωmm程度が限界である。しかも、特許文献2に記載された方法では、低濃度かつ狭い特定の範囲以外では、オーミックコンタクト抵抗が上昇してしまうという不具合がある。特に、塩素においては、AlGaN中で塩素イオンとして存在すると負の固定電荷として作用する。すなわち、AlGaNが負に帯電して、AlGaNの電子に対するポテンシャルが高くなってしまい、オーミックコンタクト抵抗が高くなるという不具合がある。

このように、従来の技術では、オーミックコンタクト抵抗の低減には限界があり、オーミックコンタクト抵抗を十分に低減することができないという課題がある。

本開示は、このような課題を鑑みてなされたものであり、オーミックコンタクト抵抗を十分に低減することができる半導体装置を提供することを目的とする。

上記目的を達成するために、本開示に係る半導体装置の一態様は、基板と、基板の上方に形成された第1の窒化物半導体層と、第1の窒化物半導体層の上に形成された第2の窒化物半導体層と、基板の上方に形成されたオーミック電極と、少なくともオーミック電極の一部に接し、ケイ素および塩素を含むコンタクト層とを備え、第2の窒化物半導体層のバンドギャップは、第1の窒化物半導体層のバンドギャップより大きく、第1の窒化物半導体層と第2の窒化物半導体層とのヘテロ界面の第1の窒化物半導体層側には、2次元電子ガスが形成され、コンタクト層において、少なくともケイ素濃度のピーク値は、塩素濃度のピーク値よりも高くなっている。

この構成により、ケイ素イオンを活性化する熱処理を行った時に、コンタクト層の塩素が第1の窒化物半導体層および第2の窒化物半導体層のIII族原子を適度にエッチングするので、ケイ素イオンがIII族原子のサイトに入り易くなり、ケイ素の活性化が促進される。しかも、コンタクト層において、ケイ素濃度のピーク値が塩素濃度のピーク値よりも高くなっているので、相対的に負の固定電荷として作用する塩素イオンよりも正の固定電荷である活性化したケイ素イオンが多くなるため、第1の窒化物半導体層および第2の窒化物半導体層のポテンシャルが低くなる。これにより、特許文献1または特許文献2等の従来の技術と比べて、オーミックコンタクト抵抗を十分に低減することができる。

さらに、本開示に係る半導体装置の一態様において、コンタクト層は、オーミック電極とコンタクト層の界面から深さ30nmの範囲に設けられており、コンタクト層において、ケイ素濃度は、塩素濃度よりも高くなっているとよい。

このように、オーミック電極とコンタクト層の界面から深さ30nmという狭い領域にコンタクト層を形成することにより、ケイ素と塩素とによる電子の散乱を抑制することができる。しかも、この深さ30nmの範囲のコンタクト層においてケイ素濃度を塩素濃度よりも高くすることにより、コンタクト層内の全域でポテンシャルが低くなるため、オーミックコンタクト抵抗を十分に低減することができる。

さらに、本開示に係る半導体装置の一態様において、コンタクト層の塩素濃度のピーク値は、1×1018cm−3以上であってもよい。

この構成により、コンタクト層には塩素が1×1018cm−3以上含まれることになるので、ケイ素の活性化がより促進する。これにより、オーミックコンタクト抵抗をさらに低減することができる。

さらに、本開示に係る半導体装置の一態様において、第2の窒化物半導体層内にコンタクト層の下面があり、コンタクト層の下面とヘテロ界面との間の塩素濃度は、1×1017cm−3以下であってもよい。

この構成によれば、第2の窒化物半導体層のコンタクト層の下面とヘテロ界面との間のポテンシャルの上昇を抑制することができるので、オーミックコンタクト抵抗を十分に低減することができる。

また、本開示に係る半導体装置の一態様において、コンタクト層の下面は、へテロ界面に到達していてもよい。

この構成によれば、2DEGのキャリア濃度が増加するため、オーミックコンタクト抵抗を十分に低減することができる。

また、本開示に係る半導体装置の一態様において、オーミック電極の下面の全部または一部は、第2の窒化物半導体層の一部を除去したリセスの上に形成されていてもよい。

この構成によれば、第2の窒化物半導体層の形成工程における表面のダメージを除去できるとともに第2の窒化物半導体層の厚さが薄くなるため、オーミックコンタクト抵抗を十分に低減することができる。

あるいは、本開示に係る半導体装置の一態様において、オーミック電極の下面の全部または一部は、オーミック電極の下方における第2の窒化物半導体層の全部と第1の窒化物半導体層の一部を除去したリセスの上に形成されていてもよい。

この構成によれば、オーミック電極の側面においてもオーミック電極と2DEGチャネルとが電気的に接続するため、第2の窒化物半導体層を介さないまたは電流経路における実効的な第2の窒化物半導体層の厚さが薄くなり、オーミックコンタクト抵抗をより一層低減することができる。

また、本開示に係る半導体装置の一態様において、オーミック電極の端部は、平面視でコンタクト層の端部と同一またはコンタクト層の端部から突出して形成されており、平面視でコンタクト層の端部から30nmまでの範囲において、ケイ素濃度は、塩素濃度よりも高くなっていてもよい。

この構成により、コンタクト層の端部の斜め方向の電流経路に対しても、第2の窒化物半導体層のポテンシャルを低くできるため、オーミックコンタクト抵抗を十分に低減することができる。

また、本開示に係る半導体装置の一態様は、さらに、オーミック電極との間で高電圧が印加される対向電極を備え、オーミック電極は平面視でコンタクト層から対向電極の方向に突出していてもよい。

この構成によれば、オーミック電極の端部に集中する電界を緩和することができるので、デバイスの破壊を防ぐことができる。

また、本開示に係る半導体装置の一態様は、さらに、第2の窒化物半導体層に形成され、開口部を有する絶縁膜を備え、オーミック電極は、開口部を覆うように形成されており、絶縁膜は塩素を含む絶縁層を有し、絶縁層の塩素濃度のピーク値は、1×1018cm−3以上であってもよい。

このように、絶縁膜に塩素を含ませて塩素を含む絶縁層を形成することにより、絶縁層の電子のトラップを抑制して電流コラプスを抑制することができる。

この場合、絶縁層において、オーミック電極の下以外の一部の塩素濃度は、オーミック電極の下の塩素濃度よりも低くてもよい。

塩素を含んだ絶縁層は、当該絶縁層が接する膜との密着性の低下を引き起こす懸念があるが、この構成により、このような膜の密着性が低下することを抑制できる。また、塩素を含んだ絶縁層により絶縁膜の耐圧が低下してリークが発生する懸念があるが、オーミック電極の下以外の一部の塩素濃度をオーミック電極の下の塩素濃度よりも低くすることによって、絶縁膜の耐圧が低下することを抑制できる。これにより、リークの発生を抑制することができる。

また、本開示に係る半導体装置の製造方法の一態様は、基板の上に第1の窒化物半導体層を形成する工程と、第1の窒化物半導体層よりもバンドギャップが大きい第2の窒化物半導体層を第1の窒化物半導体層の上に形成する工程と、第2の窒化物半導体層にSiCl4ガスを含んだプラズマ処理を施すことによりケイ素と塩素とを含んだコンタクト層を形成する工程と、コンタクト層を形成した後に450℃以上900℃以下で第1の熱処理を行う工程と、第1の熱処理を行った後にコンタクト層の上にオーミック電極を形成する工程と、オーミック電極を形成した後に900℃以下で第2の熱処理を行う工程とを含む。

この構成により、塩素の拡散を抑制しつつ、塩素が第1の窒化物半導体層もしくは第2の窒化物半導体層のIII族原子を適度にエッチングしてケイ素を活性化するため、オーミックコンタクト抵抗を十分に低減することができる。

また、本開示に係る半導体装置の製造方法の一態様において、第2の窒化物半導体層を形成する工程の後に、第2の窒化物半導体層の上に開口部を有する絶縁膜を形成する工程と、絶縁膜をマスクとしてSiCl4ガスを含んだプラズマ処理を施す工程とを含み、オーミック電極を形成する工程では、絶縁膜の開口部を覆うようにオーミック電極を形成するとよい。

この構成によれば、絶縁膜をマスクとしてコンタクト層を形成するとともに、絶縁膜に塩素を含ませることにより絶縁膜の電子のトラップを抑制して電流コラプスを抑制することができる。

また、本開示に係る半導体装置の製造方法の一態様において、プラズマ処理を施す工程では、コンタクト層の塩素濃度のピーク値が1×1018cm−3以上となるように、SiCl4ガスを含んだプラズマ処理の条件を調整するとよい。

この構成によれば、塩素を高濃度に含むことになるのでケイ素の活性化がより促進されるので、さらにオーミックコンタクト抵抗を十分に低減することができる。

本開示によれば、オーミックコンタクト抵抗を十分に低減することができる。

図1は、第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。

図2は、第1の実施形態に係る半導体装置におけるオーミック電極の下(コンタクト層)の深さ方向の不純物濃度分布を示す図である。

図3は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。

図4は、第1の実施形態の変形例1に係る半導体装置の構成を示す断面図である。

図5は、第1の実施形態の変形例1に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。

図6は、第1の実施形態の変形例2に係る半導体装置の構成を示す断面図である。

図7は、第1の実施形態の変形例2に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。

図8は、第2の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。

図9は、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。

以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、並びに、ステップ(工程)およびステップの順序などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。

また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、各図において縮尺などは必ずしも一致していない。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。

(第1の実施形態) まず、第1の実施形態に係る半導体装置100について、図1を用いて説明する。図1は、第1の実施形態に係る半導体装置100の構成を示す断面図である。

図1に示すように、半導体装置100は、基板101と、バッファ層102と、第1の窒化物半導体層103と、第2の窒化物半導体層104と、コンタクト層105と、オーミック電極106とを備える。

基板101は、例えば、Siからなる基板である。基板101は、Siからなる基板に限らず、サファイア(Sapphire)、SiC、GaN、または、AlN等からなる基板であってもよい。

バッファ層102は、基板101の上に形成される。バッファ層102は、例えば厚さ2μmのAlNおよびAlGaNの複数の積層構造からなる窒化物半導体層である。バッファ層102は、その他に、GaN、AlGaN、AlN、InGaN、AlInGaN等のIII族窒化物半導体の単層もしくは複数層によって構成されていてもよい。

第1の窒化物半導体層103は、基板101の上方に形成される。本実施形態において、第1の窒化物半導体層103は、バッファ層102の上に形成される。第1の窒化物半導体層103は、例えば、厚さ2μmのアンドープ(i型)GaNによって構成することができる。アンドープ(i型)とは、エピタキシャル成長時に不純物が意図的にドーピングされていないことを意味する。

なお、第1の窒化物半導体層103は、GaNに限らず、InGaN、AlGaN、AlInGaN等のIII族窒化物半導体によって構成されていてもよく、また、第1の窒化物半導体層103には、n型の不純物が含まれていてもよい。

第2の窒化物半導体層104は、第1の窒化物半導体層103の上に形成される。第2の窒化物半導体層104は、例えば厚さ60nmでAl組成比が15%のアンドープ(i型)AlGaNによって構成されている。

なお、第2の窒化物半導体層104は、AlGaNに限らず、AlInGaN等のIII族窒化物半導体によって構成されていてもよく、また、第2の窒化物半導体層104には、n型の不純物が含まれていてもよい。

本実施形態において、第2の窒化物半導体層104のバンドギャップは、第1の窒化物半導体層103のバンドギャップより大きい。また、アンドープAlGaNからなる第2の窒化物半導体層104とアンドープGaNからなる第1の窒化物半導体層103とはヘテロ構造となっている。つまり、第2の窒化物半導体層104と第1の窒化物半導体層103との界面はヘテロ接合されており、第2の窒化物半導体層104と第1の窒化物半導体層103との界面にはヘテロ障壁が形成されている。

この結果、第2の窒化物半導体層104と第1の窒化物半導体層103とのヘテロ界面の第1の窒化物半導体層103側には2DEG107が発生し、2DEGチャネルが形成される。つまり、第1の窒化物半導体層103は、2DEG107を有する2次元電子ガス層である。

なお、第2の窒化物半導体層104上にはキャップ層として例えばGaNからなる約1〜2nmの厚さの半導体層を設けてもよい。

第2の窒化物半導体層104のオーミック電極106に対応する部分には、コンタクト層105(コンタクト領域)が形成されている。コンタクト層105は、第2の窒化物半導体層104の上層部分に形成されている。コンタクト層105は、少なくともオーミック電極106の一部に接している。本実施形態において、コンタクト層105は、オーミック電極106の直下に形成されている。また、コンタクト層105は、ケイ素および塩素を含んでいる。

オーミック電極106は、基板101の上方に形成されている。具体的には、オーミック電極106は、コンタクト層105の上に形成されている。本実施形態において、オーミック電極106は、例えばTi膜とAl膜とを順に積層した積層構造からなる多層電極膜である。オーミック電極106は、TiおよびAlの組み合わせに限らず、Ti、Au、Ta、Al、Mo、Hf、Zr等の1つの金属からなる単層電極膜であってもよいし、これらの金属を2つ以上組み合わせることによって構成された多層電極膜であってもよい。

また、オーミック電極106は、2DEG107と電気的に接続されている。具体的には、オーミック電極106は、オーミック電極106の底面からコンタクト層105を経由して2DEG107と電気的に接続されている。

図2は、本実施形態におけるコンタクト層105の深さ方向(オーミック電極106とコンタクト層105との界面から下に向かう方向)の不純物濃度分布を示す図である。

図2に示すように、コンタクト層105において、ケイ素濃度のピーク値は、塩素濃度のピーク値よりも高くなっている。

また、コンタクト層105は、オーミック電極106とコンタクト層105との界面から深さ30nmの範囲に設けられている。コンタクト層105の不純物濃度については、コンタクト層105の深さ30nmの範囲内ではケイ素濃度が塩素濃度より高くなっている。また、コンタクト層105の塩素濃度のピーク値は、1×1018cm−3以上である。なお、コンタクト層105の下面とヘテロ界面との間における塩素濃度は、1×1017cm−3以下である。

このような構造の半導体装置100にすることで、第2の窒化物半導体層104のポテンシャルが低くなるため、オーミックコンタクト抵抗を低減することができる。以下、その理由について説明する。

後述するように、本実施形態では、コンタクト層105のケイ素イオンを活性化する熱処理を行うが、この熱処理を行った時に、コンタクト層105の塩素が第2の窒化物半導体層104のGa原子を適度にエッチングするので、ケイ素イオンがGa原子のサイトに入り易くなり、ケイ素の活性化が促進される。また、コンタクト層105において、ケイ素濃度のピーク値を塩素濃度のピーク値よりも高くすることにより、相対的に負の固定電荷として作用する塩素イオンよりも正の固定電荷である活性化したケイ素イオンが多くなるため、第2の窒化物半導体層104のポテンシャルを低くすることができる。これにより、特許文献1または特許文献2等の従来の技術と比べて、オーミックコンタクト抵抗を十分に低減することができる。

さらには、コンタクト層105の深さ30nmという狭い領域において、ケイ素濃度を塩素濃度よりも高くすることで、ケイ素と塩素とによる電子の散乱を抑制しつつ、この深さ30nmの範囲において、コンタクト層105内の全域でポテンシャルを低くすることができる。これにより、オーミックコンタクト抵抗を一層低減することができる。

さらに、コンタクト層105の塩素濃度のピーク値を1×1018cm−3以上にすることで、ケイ素の活性化をより促進することができる。また、コンタクト層105の下面とヘテロ界面との間の塩素濃度を1×1017cm−3以下にすることで、第2の窒化物半導体層104のポテンシャルの上昇を抑制できる。これにより、オーミックコンタクト抵抗を一層低減することができる。

以下、図3を参照しながら、本実施形態における半導体装置100の製造方法を説明する。図3は、本実施形態における半導体装置100の製造方法の各工程を示す断面図である。

まず、図3の(a)に示すように、Siからなる基板101上に、有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)を用いて、厚さが2μmでAlNおよびAlGaNの積層構造からなるバッファ層102と、厚さが2μmでi型GaNからなる第1の窒化物半導体層103と、厚さが60nmでAl組成比15%のi型AlGaNからなる第2の窒化物半導体層104とを順次エピタキシャル成長させる。この結果、第1の窒化物半導体層103と第2の窒化物半導体層104とのヘテロ界面には、2DEG107が発生する。

次に、図3の(b)に示すように、第2の窒化物半導体層104の上に、厚さ100nmのSiNからなる絶縁膜108をプラズマCVD法により堆積させて、その後、コンタクト層105を形成する領域に、リソグラフィーおよびフッ酸溶液を用いたウェットエッチングを順に適用することにより、第2の窒化物半導体層104に到達する開口部を絶縁膜108に形成する。これにより、コンタクト層105形成するためのマスクとして、所定形状にパターニングされた絶縁膜108を形成することができる。なお、本実施形態では、SiNをマスクとして形成したが、SiO2またはレジストをマスクとして形成してもよい。

次に、図3の(c)に示すように、開口部が形成された絶縁膜108をマスクとして、誘導結合型(ICP:Inductively Coupled Plasma)ドライエッチング装置を用いてSiCl4ガスを含んだプラズマ処理を行うことで、第2の窒化物半導体層104の上層部分に、ケイ素および塩素を含むコンタクト領域としてコンタクト層105(コンタクト領域)を形成する。プラズマ処理の具体例として、本実施形態では、ICPドライエッチング装置によるプラズマ処理について説明するが、容量結合型(CCP:Capacitively Coupled Plasma)または電子サイクロン共鳴(ECR:Electron Cyclotron Resonance)ドライエッチング装置によるプラズマ処理を用いてもよい。

ICPドライエッチング装置によるプラズマ処理は、例えば、ガス原料としてSiCl4を用いて、10〜30sccmのガス流量でSiCl4ガスを導入することで行う。このとき、SiCl4の他に、ケイ素(Si)を含む材料としてSiH4および/または塩素を含む材料としてCl2、BCl3またはCClを添加してもよい。また、不活性ガスであるAr(アルゴン)またはHe(ヘリウム)を導入して、SiCl4を全体の5%程度まで希釈してもよい。プラズマ処理の設定条件としては、例えば、プラズマ処理雰囲気の圧は0.5〜3Paで、13.56MHz電源による上部電極への印加電力を50〜200Wで、13.56MHz電源による下部電極への印加電力を20〜50Wで、基板温度は0〜20℃で、処理時間は30〜120秒である。

本実施形態におけるSiCl4ガスを含んだプラズマ処理は、超低加速電圧でのイオン注入に相当する処理であり、当該プラズマ処理を施すことで、第2の窒化物半導体層104の表面30nm以内の浅い領域に高濃度のケイ素イオンと塩素イオンとを注入し、コンタクト層105の下面とヘテロ界面との間の塩素濃度を1×1017cm−3以下に抑えることができる。

ここで、ケイ素原子の質量数14は塩素原子の質量数17より小さいため、ケイ素イオンを塩素イオンよりも深く注入させることが可能であり、かつ、ケイ素に対して塩素はGaCl4等の反応性生成物となって揮発するため、コンタクト層105内の深さ方向の不純物濃度分布においてケイ素濃度を塩素濃度よりも確実に高くすることができる。

また、プラズマ処理によるイオンは垂直方向だけでなく斜め方向からも入射することから、平面視においてもコンタクト層105のケイ素濃度は塩素濃度よりも高くなっている。プラズマ処理をする際、塩素濃度が1×1018cm−3以上となるようにプラズマ処理の条件を調整するとよい。

なお、本実施形態では、SiCl4ガスを含んだプラズマ処理により第2の窒化物半導体層104にコンタクト層105を形成したが、低加速電圧のイオン注入装置により第2の窒化物半導体層104にコンタクト層105を形成してもよい。

次に、ポリマー洗浄液にてコンタクト層105の形成により堆積したポリマーを除去した後、窒素雰囲気下で800℃の第1の熱処理を1分間行うことにより、コンタクト層105のケイ素イオンを活性化させる。

ここで、一般的にはケイ素イオンの活性化には1000℃以上の熱処理を行うが、本実施形態のように、第1の熱処理の温度を900℃以下にしている。これにより、コンタクト層105内で塩素が拡散することを抑制できるので、コンタクト層105の下面とヘテロ界面との間の塩素濃度を1×1017cm−3以下にすることができる。なお、第1の熱処理の温度は、450℃以上900℃以下であるとよい。また、第1の熱処理は、ケイ素を活性化するのに必要十分な時間であってかつ出来るだけ短時間に設定されているとよい。

次に、図3の(d)に示すように、フッ酸水溶液を用いたウェットエッチングにより絶縁膜108を全て除去する。本実施形態では、第1の熱処理を行った後にフッ酸水溶液を用いたウェットエッチングにより絶縁膜108を全て除去しているが、第1の熱処理を行う前に絶縁膜108を除去してもよい。

次に、図3の(e)に示すように、塩酸による前洗浄をして、スパッタ法によりTi膜およびAl膜を順に堆積させた後、リソグラフィー法およびドライエッチング法を順に適用してTi膜およびAl膜の積層膜をパターニングすることにより、所定形状のオーミック電極106をコンタクト層105の上に形成する。なお、スパッタ法ではなく蒸着法によりTi膜およびAl膜を順に堆積した後に、リソグラフィー法およびリフトオフ法を順に適用することにより、所定形状のオーミック電極106を形成してもよい。

次に、窒素雰囲気下で500℃の第2の熱処理を1分間行うことにより、オーミック電極106と2DEG107とのオーミックコンタクトを形成する。このとき、本実施形態のように、第2の熱処理の温度を900℃以下にすることで、コンタクト層105内の塩素の拡散が抑制され、コンタクト層105の下面とヘテロ界面との間の塩素濃度を1×1017cm−3以下にすることができる。なお、塩素の拡散を抑制するとの観点では、第2の熱処理は、第1の熱処理よりも低温で、オーミック電極106の合金化するのに必要十分な時間であって出来るだけ短時間に設定されているとよい。

以上の一連の工程を経ることで、図1に示した構造の半導体装置100が完成する。以上のように形成された半導体装置100は、オーミックコンタクト抵抗を1.0Ωmm程度から0.3Ωmm以下へと低減することができる。

なお、本実施形態では、第2の窒化物半導体層104の厚さが60nmである場合を説明したが、例えば、第2の窒化物半導体層104の厚さが20nmである場合は、第1の窒化物半導体層103と第2の窒化物半導体層104とのヘテロ界面までコンタクト層105が到達するようにしてもよい。このようにすることで、2DEG107のキャリア濃度が増加するため、オーミックコンタクト抵抗を一層低減することができる。

また、本実施形態において、オーミック電極106の端部は、平面視でコンタクト層105の端部と同一またはコンタクト層105の端部から突出して形成した場合、平面視でコンタクト層105の端部から30nmまでの範囲においても、ケイ素濃度は、塩素濃度よりも高くするとよい。このようにすることで、コンタクト層105の端部の斜め方向の電流経路に対しても、第2の窒化物半導体層104中のポテンシャルを低くすることができるため、オーミックコンタクト抵抗を一層低減することができる。

なお、本実施形態で、オーミック電極106との間で高電圧が印加される対向電極が存在した場合は、オーミック電極106は平面視でコンタクト層105から対向電極の方向に突出しているとよい。このようにすることで、オーミック電極の端部に集中する電界を緩和することができるので、デバイスが破壊してしまうことを抑制できる。

(第1の実施形態の変形例1) 次に、第1の実施形態の変形例1に係る半導体装置100Aの構成について、図4を用いて説明する。図4は、第1の実施形態の変形例1に係る半導体装置100Aの構成を示す断面図である。

本変形例における半導体装置100Aと上記第1の実施形態における半導体装置100とが異なっている点は、図4に示すように、本変形例における半導体装置100Aでは、オーミック電極106の下面の少なくとも一部が、第2の窒化物半導体層104の一部を除去したリセス109(リセス領域)の上に形成されていることである。

具体的には、リセス109は、第2の窒化物半導体層104を深さ方向の途中までを掘り込むことで形成される。リセス109の深さは、例えば10nmである。

オーミック電極106は、オーミック電極106の下面の一部がこのリセス109の上に位置し、かつ、オーミック電極106の下面の他の一部(図4では両端部)がリセス109以外の第2の窒化物半導体層104の上に位置するように形成されている。本変形例でも、オーミック電極106は、オーミック電極106の底面からコンタクト層105を経由して2DEG107に電気的に接続される。

このように、本変形例における半導体装置100Aの構造によれば、第2の窒化物半導体層104の形成工程における表面のダメージを除去できるとともに第2の窒化物半導体層104の厚さが薄くなるため、第1の実施形態に係る半導体装置100と比較して、オーミックコンタクト抵抗をさらに低減することができる。

以下、図5を参照しながら、本変形例における半導体装置100Aの製造方法を説明する。図5は、本変形例に係る半導体装置100Aの製造方法の各工程を示す断面図である。なお、本変形例における半導体装置100Aの製造方法は、上記第1の実施形態における半導体装置100の製造方法に準じて行うことができる。

まず、図5の(a)に示すように、Siからなる基板101上に、有機金属気相成長法を用いて、厚さが2μmでAlNおよびAlGaNの積層構造からなるバッファ層102と、厚さが2μmでi型GaNからなる第1の窒化物半導体層103と、厚さが60nmでAl組成比15%のi型AlGaNからなる第2の窒化物半導体層104とを順次エピタキシャル成長させる。この結果、第1の窒化物半導体層103と第2の窒化物半導体層104とのヘテロ界面には、2DEG107が発生する。

次に、図5の(b)に示すように、第2の窒化物半導体層104の上に、厚さ100nmのSiNからなる絶縁膜108をプラズマCVD法により堆積させて、その後、コンタクト層105を形成する領域に、リソグラフィーおよびフッ酸水溶液を用いたウェットエッチングを順に適用することにより、第2の窒化物半導体層104に到達する開口部を絶縁膜108に形成する。これにより、コンタクト層105形成するためのマスクとして、所定形状にパターニングされた絶縁膜108を形成することができる。なお、本変形例でも、SiNではなく、SiO2またはレジストをマスクとして形成してもよい。

次に、図5の(c)に示すように、開口部が形成された絶縁膜108をマスクとして、ICPドライエッチング装置を用いてドライエッチングを行い、第2の窒化物半導体層104を10nmエッチングすることで第2の窒化物半導体層104に深さ10nmのリセス109を形成する。ドライエッチング処理は、例えば、Cl2をエッチングガスとして用いて、10〜50sccmのガス流量でCl2ガスを供給することで行う。このとき、Cl2の他に、塩素を含む材料として、BCl3、CClまたはSiCl4を添加してもよい。また、ドライエッチング処理の設定条件としては、プラズマ処理雰囲気の圧力は0.5〜1Paで、13.56MHz電源による上部電極への印加電力は50〜200Wで、13.56MHz電源による下部電極への印加電力は10〜50Wで、基板温度は0〜20℃である。

次に、図5の(d)に示すように、引き続き絶縁膜108をマスクとして用いて、ICPドライエッチング装置を用いてSiCl4ガスを含んだプラズマ処理を行うことで、第2の窒化物半導体層104の上層部分にコンタクト層105を形成する。プラズマ処理の具体例として、本実施形態では、ICPドライエッチング装置によるプラズマ処理について説明するが、CCPまたはECRドライエッチング装置によるプラズマ処理を用いてもよい。

ICPドライエッチング装置によるプラズマ処理は、例えば、ガス原料としてSiCl4を用いて、10〜30sccmのガス流量でSiCl4ガスを導入することで行う。このとき、SiCl4の他に、ケイ素を含む材料としてSiH4および/または塩素を含む材料としてCl2、BCl3、CClを添加してもよい。また、不活性ガスであるAr(アルゴン)またはHe(ヘリウム)を導入して、SiCl4を全体の5%程度まで希釈してもよい。プラズマ処理の設定条件としては、例えば、プラズマ処理雰囲気の圧力は0.5〜3Paであり、13.56MHz電源による上部電極への印加電力は50〜200Wであり、13.56MHz電源による下部電極への印加電力は10〜50Wであり、基板温度は0〜20℃であり、処理時間は30〜120秒である。

なお、本実施形態では、リセス109を形成した後にSiCl4ガスを含んだプラズマ処理でコンタクト層105を形成したが、SiCl4ガスを含んだプラズマ処理でコンタクト層105を形成した後にリセス109を形成してもよいし、SiCl4ガスを含んだプラズマ処理時と同時にリセス109を形成してもよく、リセス109を形成する方法は特に限定されるものではない。

次に、ポリマー洗浄液にて、リセス109の形成およびコンタクト層105の形成により堆積したポリマーを除去した後、窒素雰囲気下で800℃の第1の熱処理を1分間行うことにより、コンタクト層105のケイ素イオンを活性化させる。本実施形態では、第1の熱処理の温度を900℃以下にしている。これにより、コンタクト層105内での塩素の拡散が抑制されるので、コンタクト層105の下面とヘテロ界面との間の塩素濃度を1×1017cm−3以下にすることができる。

次に、図5の(e)に示すように、フッ酸水溶液を用いたウェットエッチングにより絶縁膜108を全て除去する。

次に、図5の(f)に示すように、塩酸による前洗浄をして、スパッタ法によりTi膜およびAl膜を順に堆積させた後、リソグラフィー法およびドライエッチング法を順に適用してTi膜およびAl膜の積層膜をパターニングすることにより、所定形状のオーミック電極106をコンタクト層105の上に形成する。

次に、窒素雰囲気下で500℃の第2の熱処理を1分間行うことにより、オーミック電極106と2DEG107とのオーミックコンタクトを形成する。このとき、本実施形態のように、第2の熱処理の温度を900℃以下にすることで、コンタクト層105内での塩素の拡散を抑制し、コンタクト層105の下面とヘテロ界面との間の塩素濃度を1×1017cm−3以下とすることができる。

以上の一連の工程を経ることで、図4に示した構造の半導体装置100Aが完成する。以上のように形成された半導体装置100Aは、オーミックコンタクト抵抗を1.0Ωmm程度から0.3Ωmm以下へと低減することができる。

なお、本実施形態では、オーミック電極106の下面の一部がリセス109の上に位置し、かつ、オーミック電極106の下面の他の一部がリセス109以外に位置するように、オーミック電極106を形成したが、オーミック電極106の下面の全部がリセス109の上に形成されていてもよい。

また、本実施形態では、第2の窒化物半導体層104を10nm除去してリセス109を形成する場合を説明したが、第2の窒化物半導体層104を例えば40nm除去してリセス109を形成して、第1の窒化物半導体層103と第2の窒化物半導体層104とのヘテロ界面までコンタクト層105が到達するようにしてもよい。このようにすることで、2DEG107のキャリア濃度が増加するため、オーミックコンタクト抵抗を一層低減することができる。

(第1の実施形態の変形例2) 次に、第1の実施形態の変形例2に係る半導体装置100Bの構成について、図6を用いて説明する。図6は、第1の実施形態の変形例2に係る半導体装置100Bの構成を示す断面図である。

本変形例における半導体装置100Bと上記第1の実施形態における半導体装置100とが異なっている点は、図6に示すように、本変形例における半導体装置100Bでは、オーミック電極106の下面の少なくとも一部が、オーミック電極106の下方における第2の窒化物半導体層104の全部と第1の窒化物半導体層103の一部とを除去したリセス109(リセス領域)の上に形成されていることである。このような構造とすることにより、オーミック電極106の底面だけではなく、オーミック電極106は、オーミック電極106の側面からもコンタクト層105を経由して2DEG107に電気的に接続される。

リセス109は、第2の窒化物半導体層104から第1の窒化物半導体層103に至るまで形成されている。具体的には、リセス109は、第2の窒化物半導体層104を深さ方向に全部に掘り込むとともに第1の窒化物半導体層103を深さ方向の途中までを掘り込むことで形成される。リセス109の深さは、例えば80nmである。

オーミック電極106は、オーミック電極106の下面の一部がこのリセス109の上に位置し、かつ、オーミック電極106の下面の他の一部(図4では両端部)がリセス109以外の第2の窒化物半導体層104の上に位置するように形成されている。

このように、本変形例における半導体装置100Bの構造によれば、第2の窒化物半導体層104を介さずに、または電流経路における実効的な第2の窒化物半導体層104の厚さが薄くなるため、上記第1の実施形態の変形例1に係る半導体装置100Aと比較して、さらにオーミックコンタクト抵抗を低減することができる。

以下、図7を参照しながら、本変形例における半導体装置100Bの製造方法を説明する。図7は、本変形例に係る半導体装置100Bの製造方法の各工程を示す断面図である。なお、本変形例における半導体装置100Bの製造方法でも、上記第1の実施形態の変形例1における半導体装置100Aの製造方法に準じて行うことができる。

まず、図7の(a)に示すように、Siからなる基板101上に、有機金属気相成長法を用いて、厚さが2μmでAlNおよびAlGaNの積層構造からなるバッファ層102と、厚さが2μmでi型GaNからなる第1の窒化物半導体層103と、厚さが60nmでAl組成比15%のi型AlGaNからなる第2の窒化物半導体層104を順次エピタキシャル成長させる。この結果、第1の窒化物半導体層103と第2の窒化物半導体層104のヘテロ界面には、2DEG107が発生する。

次に、図7の(b)に示すように、第2の窒化物半導体層104の上に、厚さ100nmのSiNからなる絶縁膜108をプラズマCVD法により堆積させて、その後、コンタクト層105を形成する領域に、リソグラフィーおよびフッ酸水溶液を用いたウェットエッチングを順に適用することにより、第2の窒化物半導体層104に到達する開口部を絶縁膜108に形成する。これにより、コンタクト層105形成するためのマスクとして、所定形状にパターニングされた絶縁膜108を形成することができる。なお、本変形例でも、SiNではなく、SiO2またはレジストをマスクとして形成してもよい。

次に、図7の(c)に示すように、開口部が形成された絶縁膜108をマスクとして、ICPドライエッチング装置を用いてドライエッチングを行い、第2の窒化物半導体層104の全部と第1の窒化物半導体層103の一部とをエッチングすることで、深さ80nmのリセス109を形成する。ドライエッチング処理は、例えば、Cl2をエッチングガスとして用いて、10〜50sccmのガス流量でCl2ガスを供給することで行う。このとき、Cl2の他に、塩素を含む材料として、BCl3、CCl、SiCl4を添加してもよい。また、ドライエッチング処理の設定条件としては、プラズマ処理雰囲気の圧力は0.5〜1Paで、13.56MHz電源による上部電極への印加電力は50〜200Wで、13.56MHz電源による下部電極への印加電力は10〜50Wで、基板温度は0〜20℃である。

次に、図7の(d)に示すように、引き続き絶縁膜108をマスクとして用いて、ICPドライエッチング装置を用いてSiCl4ガスを含んだプラズマ処理を行うことで、第1の窒化物半導体層103の上層部分および第2の窒化物半導体層104の側面部分にコンタクト層105を形成する。プラズマ処理の具体例として、本実施形態では、ICPドライエッチング装置によるプラズマ処理について説明するが、CCPまたはECRドライエッチング装置によるプラズマ処理を用いてもよい。

ICPドライエッチング装置によるプラズマ処理は、例えば、ガス原料としてSiCl4を用いて、10〜30sccmのガス流量でSiCl4ガスを導入することで行う。このとき、SiCl4の他に、ケイ素を含む材料としてSiH4および/または塩素を含む材料としてCl2、BCl3、CClを添加してもよい。また、不活性ガスであるAr(アルゴン)またはHe(ヘリウム)を導入して、SiCl4を全体の5%程度まで希釈してもよい。プラズマ処理の設定条件としては、例えば、プラズマ処理雰囲気の圧力は0.5〜3Paで、13.56MHz電源による上部電極への印加電力は50〜200Wで、13.56MHz電源による下部電極への印加電力は10〜50Wで、基板温度は0〜20℃で、処理時間は30〜120秒である。

なお、本実施形態では、リセス109を形成した後にSiCl4ガスを含んだプラズマ処理でコンタクト層105を形成したが、SiCl4ガスを含んだプラズマ処理でコンタクト層105を形成した後にリセス109を形成してもよいし、SiCl4ガスを含んだプラズマ処理時と同時にリセス109を形成してもよく、リセス109を形成する方法は特に限定されるものではない。

次に、ポリマー洗浄液にて、リセス109の形成およびコンタクト層105の形成により堆積したポリマーを除去した後、窒素雰囲気下で800℃の第1の熱処理を1分間行うことにより、コンタクト層105のケイ素イオンを活性化させる。本実施形態では、第1の熱処理の温度を900℃以下にしている。これにより、コンタクト層105内での塩素の拡散を抑制できる。

次に、図7の(e)に示すように、フッ酸水溶液を用いたウェットエッチングにより絶縁膜108を全て除去する。

次に、図7の(f)に示すように、塩酸による前洗浄をして、スパッタ法によりTi膜およびAl膜を順に堆積させた後、リソグラフィー法およびドライエッチング法を順に適用してTi膜およびAl膜の積層膜をパターニングすることにより、所定形状のオーミック電極106をコンタクト層105の上に形成する。

次に、窒素雰囲気下で500℃の第2の熱処理を1分間行うことにより、オーミック電極106を2DEG107とのオーミックコンタクトを形成する。このとき、本実施形態のように、第2の熱処理の温度を900℃以下にすることで、コンタクト層105内での塩素の拡散を抑制できる。

以上の一連工程を経ることで、図6に示した構造の半導体装置100Bが完成する。以上のように形成された半導体装置100Bは、オーミックコンタクト抵抗を1.0Ωmm程度から0.3Ωmm以下へと低減することができる。

なお、本実施形態では、オーミック電極106の下面の一部がリセス109の上に位置し、かつ、オーミック電極106の下面の他の一部がリセス109以外に位置するようにオーミック電極106を形成したが、オーミック電極106下面の全部がリセス109の上に形成されていてもよい。

(第2の実施形態) 次に、第2の実施形態に係る半導体装置200の構成について、図8を用いて説明する。図8は、第2の実施形態に係る半導体装置200の構成を示す断面図である。本実施形態では、半導体装置200がヘテロ接合型電界効果トランジスタ(Heterojunction Field Effect Transistor:HFET)である場合について説明する。

図8に示すように、半導体装置200は、基板201と、バッファ層202と、第1の窒化物半導体層203と、第2の窒化物半導体層204と、コンタクト層205Sおよび205Dと、ソース電極206S、ドレイン電極206Dおよびゲート電極206Gと、絶縁膜208と、絶縁層209とを備える。

基板201は、第1の実施形態における基板101と同様に、例えば、Siからなる基板であるが、サファイア、SiC、GaN、または、AlN等からなる基板であってもよい。

バッファ層202は、基板201の上に形成される。バッファ層202は、第1の実施形態におけるバッファ層102と同様に、例えば厚さ2μmのAlNおよびAlGaNの複数の積層構造からなる窒化物半導体層であるが、他のIII族窒化物半導体によって構成されていてもよい。

第1の窒化物半導体層203は、基板201の上方に形成される。具体的には、第1の窒化物半導体層203は、バッファ層202の上に形成される。第1の窒化物半導体層203は、第1の実施形態における第1の窒化物半導体層203と同様に、例えば、厚さ2μmのアンドープ(i型)GaNによって構成することができるが、他のIII族窒化物半導体によって構成されていてもよい。

第2の窒化物半導体層204は、第1の窒化物半導体層203の上に形成される。第2の窒化物半導体層204は、第1の実施形態における第2の窒化物半導体層204と同様に、例えば厚さ60nmでAl組成比が15%のアンドープ(i型)AlGaNによって構成されているが、他のIII族窒化物半導体によって構成されていてもよい。

本実施形態においても、第2の窒化物半導体層204のバンドギャップは、第1の窒化物半導体層203のバンドギャップより大きい。また、第2の窒化物半導体層204と第1の窒化物半導体層203とはヘテロ構造となっている。つまり、第2の窒化物半導体層204と第1の窒化物半導体層203との界面はヘテロ接合されており、第2の窒化物半導体層204と第1の窒化物半導体層203とのヘテロ界面の第1の窒化物半導体層203側には2DEG207が発生し、2DEGチャネルが形成される。

第2の窒化物半導体層204の上には絶縁膜208が形成されている。絶縁膜208は、例えばSiNによって構成される。また、絶縁膜208には、第2の窒化物半導体層204に到達するソース電極開口部208Sおよびドレイン電極開口部208Dが設けられている。

ソース電極開口部208Sに対応する位置の第2の窒化物半導体層204には、コンタクト領域としてコンタクト層205S(第1のコンタクト層)が形成されている。コンタクト層205Sは、第2の窒化物半導体層204の上層部分に形成されており、少なくともソース電極206Sの一部に接している。本実施形態において、コンタクト層205Sは、ソース電極206Sの直下に形成されている。

一方、ドレイン電極開口部208Dに対応する位置の第2の窒化物半導体層204には、コンタクト領域としてコンタクト層205D(第2のコンタクト層)が形成されている。コンタクト層205Dは、第2の窒化物半導体層204の上層部分に形成されており、少なくともドレイン電極206Dの一部に接している。本実施形態において、コンタクト層205Dは、ドレイン電極206Dの直下に形成されている。

コンタクト層205Sおよびコンタクト層205Dの各々は、ケイ素および塩素を含んでいる。コンタクト層205Sおよびコンタクト層205Dにおいて、ケイ素および塩素の濃度および分布は、上記第1の実施形態におけるコンタクト層105のケイ素および塩素の濃度および分布と同様である。

また、ソース電極開口部208Sに対応する位置にはソース電極206Sが形成されており、ドレイン電極開口部208Dに対応する位置にはドレイン電極206Dが形成されている。ソース電極206Sおよびドレイン電極206Dは、オーミック電極であり、基板201の上方に形成されている。具体的には、ソース電極206Sは、ソース電極開口部208Sを覆うようにコンタクト層205Sの上に形成されている。また、ドレイン電極206Dは、ドレイン電極開口部208Dを覆うようにコンタクト層205Dの上に形成されている。

本実施形態において、ソース電極206Sおよびドレイン電極206Dは、第1の実施形態におけるオーミック電極106と同様に、例えばTi膜とAl膜とを順に積層した積層構造からなる多層電極膜であるが、これに限らない。

また、ソース電極206Sおよびドレイン電極206Dは、2DEG207と電気的に接続されている。具体的には、ソース電極206Sは、ソース電極206Sの底面からコンタクト層205Sを経由して2DEG207と電気的に接続されており、ドレイン電極206Dは、ドレイン電極206Dの底面からコンタクト層205Dを経由して2DEG207と電気的に接続されている。

また、ソース電極206Sおよびドレイン電極206Dの各々と絶縁膜208との間には、絶縁層209が形成されている。絶縁層209は、絶縁膜208の上層部分に形成されている。つまり、絶縁膜208は、絶縁膜208の一部として、塩素を含む絶縁層209を有する。本実施の形態において、絶縁層209の塩素濃度のピーク値は、1×1018cm−3以上であるとよい。

なお、絶縁膜208には、さらに、第2の窒化物半導体層204に到達するゲート電極開口部208Gが形成されている。ゲート電極開口部208Gに対応する位置には、ゲート電極206Gが形成されている。具体的には、ゲート電極206Gは、ゲート電極開口部208Gを覆うように形成されている。ゲート電極206Gは、コンタクト層を介することなく、第2の窒化物半導体層204と接触しており、ゲート電極206Gと第2の窒化物半導体層204とはショットキーコンタクトしている。ゲート電極206Gは、例えば、Ni膜とAu膜とを順に積層した多層膜構造となっているが、これに限らない。

このような構造の半導体装置200にすることで、オーミックコンタクト抵抗を低減しつつ、電流コラプスを抑制することができる。以下、その理由について説明する。

塩素を含んだ絶縁層209は、イオン注入されて元素が打ち込まれたときの衝撃によって界面準位が破壊される。また、塩素は塩素イオンとなると負の固定電荷として作用するため、界面のポテンシャルを上昇させる。これにより、ソース電極206Sおよびドレイン電極206Dの各々と塩素を含んだ絶縁層209との界面における電子のトラップを抑制することができるので、ソース電極206Sとドレイン電極206Dとの間に高電圧が印加された時の電流コラプスを抑制することができる。

また、塩素を含んだ絶縁層209を導入すると、絶縁層209とその他の膜との密着性が低下したり耐圧が低下したりする懸念がある。そこで、ソース電極206Sおよびドレイン電極206Dの下以外の一部の塩素濃度は、ソース電極206Sおよびドレイン電極206Dの下の塩素濃度よりも低い方がよい。

以下、図9を参照しながら、本実施形態における半導体装置200の製造方法を説明する。図9は、本実施形態における半導体装置200の製造方法の各工程を示す断面図である。

まず、図9の(a)に示すように、上記第1の実施形態と同様に、Siからなる基板201上に、有機金属気相成長法を用いて、厚さが2μmでAlNおよびAlGaNの積層構造からなるバッファ層202と、厚さが2μmでi型GaNからなる第1の窒化物半導体層203と、厚さが60nmでAl組成比15%のi型AlGaNからなる第2の窒化物半導体層204とを順次エピタキシャル成長させる。この結果、第1の窒化物半導体層203と第2の窒化物半導体層204とのヘテロ界面には、2DEG207が発生する。

次に、図9の(b)に示すように、第2の窒化物半導体層204の上に、厚さ100nmのSiNからなる絶縁膜208をプラズマCVD法により堆積させて、その後、コンタクト層205Sおよび205Dを形成する領域に、リソグラフィーおよびフッ酸水溶液を用いたウェットエッチングを順に適用することにより、第2の窒化物半導体層204に到達する開口部としてソース電極開口部208Sおよびドレイン電極開口部208Dを絶縁膜208に形成する。

次に、図9の(c)に示すように、ソース電極開口部208Sおよびドレイン電極開口部208Dを有する絶縁膜208をマスクとしてICPドライエッチング装置を用いてSiCl4ガスを含んだプラズマ処理を行うことで、第2の窒化物半導体層204の上層部分に、ケイ素および塩素を含むコンタクト領域としてコンタクト層205Sおよび205Dを形成するとともに、絶縁膜208の上層部分に、塩素を含んだ領域として絶縁層209を形成する。

このプラズマ処理は、例えば、ガス原料としてSiCl4を用いて、10〜30sccmのガス流量でSiCl4ガスを導入することで行う。このとき、SiCl4の他に、ケイ素を含む材料としてSiH4および/または塩素を含む材料としてCl2、BCl3、CClを添加してもよい。また、不活性ガスであるAr(アルゴン)またはHe(ヘリウム)を導入して、SiCl4を全体の5%程度まで希釈してもよい。プラズマ処理の設定条件としては、例えば、プラズマ処理雰囲気の圧力は0.5〜3Paで、13.56MHz電源による上部電極への印加電力は50〜200Wで、13.56MHz電源による下部電極への印加電力は20〜50Wで、基板温度は0〜20℃で、処理時間は30〜120秒である。

なお、本実施形態では、SiCl4ガスを含んだプラズマ処理によりコンタクト層205Sおよび205Dと塩素を含んだ絶縁層209とを第2の窒化物半導体層204に形成したが、低加速電圧のイオン注入装置によりコンタクト層205Sおよび205Dと塩素を含んだ絶縁層209とを第2の窒化物半導体層204に形成してもよい。また、プラズマ処理を施す工程では、コンタクト層205Sおよび206Dの塩素濃度が1×1018cm−3以上となるようにプラズマ処理の条件を調整するとよい。

次に、ポリマー洗浄液にて、コンタクト層205Sおよび205Dと塩素を含んだ絶縁層209との形成により堆積したポリマーを除去した後、窒素雰囲気下で800℃の第1の熱処理を1分間行うことにより、コンタクト層205Sおよび205Dのケイ素イオンを活性化させる。

このとき、本実施形態では、第1の熱処理の温度を900℃以下にしている。これにより、コンタクト層205Sおよび205D内での塩素の拡散が抑制され、コンタクト層205Sおよび205Dの下面とヘテロ界面との間の塩素濃度を1×1017cm−3以下にすることができる。なお、第1の熱処理の温度は、450℃以上900℃以下であるとよい。また、第1の熱処理は、ケイ素を活性化する必要十分な時間であってかつ出来るだけ短時間に設定されているとよい。また、本実施形態のように、絶縁膜208を熱処理することによって、第2の熱処理を行う時に絶縁膜208および塩素を含んだ絶縁層209とソース電極206Sおよびドレイン電極206Dとの反応を抑制することができる。

次に、図9の(d)に示すように、塩酸による前洗浄をして、スパッタ法によりTi膜およびAl膜を順に堆積させた後、リソグラフィー法およびドライエッチング法を順に適用してTi膜およびAl膜の積層膜をパターニングすることにより、オーミック電極として所定形状のソース電極206Sおよびドレイン電極206Dをコンタクト層205Sおよび205Dの上に形成する。このとき、ドライエッチングにより、ソース電極206Sとドレイン電極206Dの下以外の部分においては絶縁層209を除去する。

次に、窒素雰囲気下で500℃の第2の熱処理を1分間行うことにより、ソース電極206Sとドレイン電極206Dと2DEG207とのオーミックコンタクトを形成する。このとき、本実施の形態のように、第2の熱処理の温度を900℃以下にすることで、コンタクト層205Dおよび205S内の塩素の拡散を抑制することができる。

次に、図9の(e)に示すように、リソグラフィーおよびフッ酸水溶液を用いたウェットエッチングを順に適用することにより第2の窒化物半導体層204に到達する開口部としてゲート電極開口部208Gを絶縁膜208に形成し、その後、スパッタ法によりNi膜およびAu膜を順に堆積させた後にリソグラフィー法およびドライエッチング法を順に適用してNi膜およびAu膜の積層膜をパターニングすることにより、オーミック電極として所定形状のゲート電極206Gを第2の窒化物半導体層204の上に形成する。

以上の一連の工程を経ることで、図8に示した構造の半導体装置200が完成する。なお、その後、必要に応じて、半導体装置200には、パッシベーション膜、多層配線およびボンディングパッド等が形成されていてもよい。以上のように形成された半導体装置200は、オーミックコンタクト抵抗を1.0Ωmm程度から0.3Ωmm以下へと低減しつつ、膜の密着性が低下したり耐圧が低下したりすることなく電流コラプスを抑制することができる。

(その他の変形例) 以上、本開示に係る半導体装置について、実施形態および変形例に基づいて説明したが、本開示は、上記実施形態および変形例に限定されるものではない。

例えば、各実施形態および変形例に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。

本開示に係る半導体装置は、高速動作が要求される通信機器やインバータ、および、電源回路等に用いられるパワースイッチング素子等に有用である。

100、100A、100B、200 半導体装置 101、201 基板 102、202 バッファ層 103、203 第1の窒化物半導体層 104、204 第2の窒化物半導体層 105、205S、205D コンタクト層 106 オーミック電極 107、207 2DEG 108、208 絶縁膜 109 リセス 206S ソース電極 206D ドレイン電極 206G ゲート電極 208S ソース電極開口部 208D ドレイン電極開口部 208G ゲート電極開口部 209 絶縁層

高效检索全球专利

专利汇是专利免费检索,专利查询,专利分析-国家发明专利查询检索分析平台,是提供专利分析,专利查询,专利检索等数据服务功能的知识产权数据服务商。

我们的产品包含105个国家的1.26亿组数据,免费查、免费专利分析。

申请试用

分析报告

专利汇分析报告产品可以对行业情报数据进行梳理分析,涉及维度包括行业专利基本状况分析、地域分析、技术分析、发明人分析、申请人分析、专利权人分析、失效分析、核心专利分析、法律分析、研发重点分析、企业专利处境分析、技术处境分析、专利寿命分析、企业定位分析、引证分析等超过60个分析角度,系统通过AI智能系统对图表进行解读,只需1分钟,一键生成行业专利分析报告。

申请试用

QQ群二维码
意见反馈