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環状オレフィン系ゴムおよびその製造方法、ならびに、ゴム組成物、ゴム架橋物およびタイヤ

阅读:2发布:2020-09-06

专利汇可以提供環状オレフィン系ゴムおよびその製造方法、ならびに、ゴム組成物、ゴム架橋物およびタイヤ专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且,下面是環状オレフィン系ゴムおよびその製造方法、ならびに、ゴム組成物、ゴム架橋物およびタイヤ专利的具体信息内容。

重量平均分子量が10万〜80万で、重合体鎖末端にシリル基を有し、多価アルコールの脂肪酸エステルを含有する環状オレフィン系ゴムを製造する方法であって、 モノ環状オレフィンの開環重合およびシリル基を有する化合物による末端変性を行うことで、重合体鎖末端にシリル基を有する環状オレフィン系重合体を含む重合体溶液を得る第1工程と、 前記重合体溶液中に含まれる重合体を、前記多価アルコールの脂肪酸エステルの存在下で凝固させる第2工程とを備える環状オレフィン系ゴムの製造方法。前記環状オレフィン系ゴム中における、前記多価アルコールの脂肪酸エステルの含有量が、0.0002〜15重量%である請求項1に記載の環状オレフィン系ゴムの製造方法。前記シリル基1モルに対する、前記多価アルコールの脂肪酸エステルの含有量が、0.001〜100モルである請求項1または2に記載の環状オレフィン系ゴムの製造方法。前記多価アルコールの脂肪酸エステルが、ソルビタン脂肪酸エステルである請求項1〜3のいずれかに記載の環状オレフィン系ゴムの製造方法。前記第2工程が、前記重合体溶液に前記多価アルコールの脂肪酸エステルを加えた後、スチームストリッピングを行う工程である請求項1〜4のいずれかに記載の環状オレフィン系ゴムの製造方法。前記第2工程が、 前記重合体溶液について、前記重合体鎖末端にシリル基を有する環状オレフィン系重合体に対する貧溶媒を用いた貧溶媒凝固を行う工程であり、 前記多価アルコールの脂肪酸エステルを、前記重合体溶液および/または前記貧溶媒に含有させた状態にて、前記貧溶媒凝固を行う請求項1〜5のいずれかに記載の環状オレフィン系ゴムの製造方法。請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により環状オレフィン系ゴムを得た後、得られた環状オレフィン系ゴムを含むゴム成分100重量部に対して、シリカおよび/またはカーボンブラックを合計で20〜200重量部を混練するゴム組成物の製造方法。架橋剤をさらに混練する、請求項7に記載のゴム組成物の製造方法。請求項8に記載の製造方法によりゴム組成物を得た後、得られたゴム組成物を架橋する、ゴム架橋物の製造方法。請求項9に記載の製造方法によりゴム架橋物を得た後、得られたゴム架橋物を用いてタイヤを製造する、タイヤの製造方法。

说明书全文

本発明は、環状オレフィン系ゴムに関し、さらに詳しくは、トルエン不溶分量が少ないことから、配合および混練時などの加工性と低燃費性などのタイヤ物性とに優れたタイヤ材料として好適なゴムに関する。また、本発明は、このような環状オレフィン系ゴムの製造方法、ならびに、このような環状オレフィン系ゴムを用いたゴム組成物、ゴム架橋物、およびタイヤに関する。

近年、省資源や環境対策などが重視されるにつれて、自動車の低燃費化に対する要求は、ますます厳しくなり、自動車タイヤについても、転動抵抗を小さくすることにより、低燃費化に寄与することが求められている。タイヤの転動抵抗を小さくするには、タイヤ用ゴム材料として、一般に、発熱性の低い加硫ゴムを与えることができるゴム材料を使用する。

タイヤ用ゴムとしては、一般的に天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴムなどの共役ジエン系ゴムが用いられる。近年、補強材として使用されるシリカと親和性のある置換基を重合体鎖末端に導入した共役ジエン系ゴムを用いることにより、発熱性を低下させることが提案されている。

これに対して、環状オレフィン、例えばシクロペンテンを開環メタセシス重合して得られる環状オレフィン系ゴムは、シリカと親和性のある置換基を有するオレフィン化合物を重合時に加えることで、容易に末端に該置換基を導入することができる。例えば、特許文献1〜3には、シクロペンテンゴムの重合体鎖末端にアルコキシシリル基を導入する方法が提案されており、アルコキシシリル基を導入することにより、低燃費性と耐摩耗性に優れたタイヤ用ゴムとなることが知られている。しかしながら、本発明者らの検討によれば、重合体鎖末端アルコキシシリル化環状オレフィン系ゴムは、製造条件や保存条件によっては、常法の回収方法であるスチームストリッピング法での回収後や長期間の保管中に、一般有機溶剤に溶けない成分が発生してしまい、これが原因で配合・混練ができないという課題や、さらには、成形・加硫後においても、タイヤ物性が悪化し、低燃費性の要求に応えられないという課題があった。

特開2010−37362号公報

国際公開第2011/87072号

国際公開第2012/43802号

本発明の目的は、一般有機溶剤に十分に溶解し、回収工程や保存状態に依存せずに、配合・混練時の加工性に優れるものであり、しかも低燃費性に優れたシリル変性環状オレフィン系ゴムを提供することにある。

本発明者らは、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究した結果、スチームストリッピング法によって製造したシリル変性環状オレフィン系ゴムおよび高温高湿下で保存したシリル変性環状オレフィン系ゴムには、トルエンに溶解しない不溶成分が相当量含まれていることを突き止め、このために、加工性が悪化し、混練が不十分で低燃費性の改善が得られないことを見出した。本発明は、この知見に基づき、このような不溶成分が生成しないシリル変性環状オレフィン系ゴムを得る方法として、多価アルコールの脂肪酸エステルを加えることで、加工性が悪化することなく、低燃費性に優れるゴム架橋物を与えることのできることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。すなわち、本発明によれば下記〔1〕〜〔11〕が提供される。

〔1〕重量平均分子量が10万〜80万で、重合体鎖末端にシリル基を有し、多価アルコールの脂肪酸エステルを含有する環状オレフィン系ゴム、 〔2〕前記環状オレフィン系ゴム中における、前記多価アルコールの脂肪酸エステルの含有量が、0.0002〜15重量%である〔1〕に記載の環状オレフィン系ゴム、 〔3〕前記シリル基1モルに対する、前記多価アルコールの脂肪酸エステルの含有量が、0.001〜100モルである〔1〕または〔2〕に記載の環状オレフィン系ゴム、 〔4〕前記多価アルコールの脂肪酸エステルが、ソルビタン脂肪酸エステルである〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の環状オレフィン系ゴム、

〔5〕〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の環状オレフィン系ゴムを製造する方法であって、モノ環状オレフィンの開環重合およびシリル基を有する化合物による末端変性を行うことで、重合体鎖末端にシリル基を有する環状オレフィン系重合体を含む重合体溶液を得る第1工程と、前記重合体溶液中に含まれる重合体を、前記多価アルコールの脂肪酸エステルの存在下で凝固させる第2工程とを備える環状オレフィン系ゴムの製造方法、 〔6〕前記第2工程が、前記重合体溶液に前記多価アルコールの脂肪酸エステルを加えた後、スチームストリッピングを行う工程である〔5〕に記載の環状オレフィン系ゴムの製造方法、 〔7〕前記第2工程が、前記重合体溶液について、前記重合体鎖末端にシリル基を有する環状オレフィン系重合体に対する貧溶媒を用いた貧溶媒凝固を行う工程であり、前記多価アルコールの脂肪酸エステルを、前記重合体溶液および/または前記貧溶媒に含有させた状態にて、前記貧溶媒凝固を行う〔5〕に記載の環状オレフィン系ゴムの製造方法、

〔8〕〔1〕〜〔4〕のいずれかにに記載の環状オレフィン系ゴムを含むゴム成分100重量部に対して、シリカおよび/またはカーボンブラックを合計で20〜200重量部を配合してなるゴム組成物、 〔9〕架橋剤をさらに含有してなる、〔8〕に記載のゴム組成物、 〔10〕〔9〕に記載のゴム組成物を架橋してなる、ゴム架橋物、 〔11〕〔10〕に記載のゴム架橋物を用いてなる、タイヤ。

本発明によれば、配合・混練時の加工性に優れ、しかも低燃費性に優れた環状オレフィン系ゴムを提供することができる。

本発明の環状オレフィン系ゴムは、 重量平均分子量が10万〜80万で、重合体鎖末端にシリル基を有し、多価アルコールの脂肪酸エステルを含有する環状オレフィン系ゴムである。本発明の環状オレフィン系ゴムは、温度85℃、湿度85%の条件下で1日間保存した後でもトルエン不溶分量が20重量%未満であり、このような条件により保存した後においても、配合・混練時の加工性に優れ、しかも低燃費性に優れたゴム架橋物を与えることのできるものである。

環状オレフィン系ゴムとは、モノ環状オレフィンの開環メタセシス重合体である。モノ環状オレフィンとは、単環の環状オレフィンであり、具体的には、シクロブテン、シクロペンテン、メチルシクロペンテン、シクロオクテン、1,5−シクロオクタジエン、1,5,9−シクロドデカトリエンなどを挙げることができる。中でも重合のし易さなどからシクロペンテンが好ましい。

本発明の環状オレフィン系ゴムは、大過剰のトルエンに溶解した時の不溶分量(すなわち、トルエン不溶分量)が20重量%未満であり、かつ温度85℃、湿度85%の条件下で1日間保存した後でもトルエン不溶分量が20重量%未満のものである。トルエン不溶分量が多いと加工性が悪いばかりでなく、シリカに対する親和性も低くて低燃費性の向上効果も小さい。温度85℃、湿度85%の条件下で1日間保存した後におけるトルエン不溶分量は、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下である。

(環状オレフィン系ゴム) 本発明の環状オレフィン系ゴムは、重合体鎖末端にシリル基を有するものであり、たとえば、一般式(1)で示される基を有するものが好適に挙げられる。

(一般式(1)中、R1およびR2原子、またはヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。aは1〜3の整数である。)

シリル基のなかでも、たとえば、タイヤ用のゴム材料とする際に用いられる充填剤としてのシリカやカーボンブラックとの親和性が高く、低発熱性の向上効果が高いという点より、アルコキシシリル基、アリーロキシシリル基、アシロキシシリル基、アルキルシロキシシリル基、アリールシロキシシリル基、ヒドロキシシリル基が好ましい。

アルコキシシリル基は、1つ以上のアルコキシ基がケイ素原子と結合してなる基であり、その具体例としては、トリメトキシシリル基、(ジメトキシ)(メチル)シリル基、(メトキシ)(ジメチル)シリル基、(メトキシ)(ジクロロ)シリル基、トリエトキシシリル基、(ジエトキシ)(メチル)シリル基、(エトキシ)(ジメチル)シリル基、(ジメトキシ)(エトキシ)シリル基、(メトキシ)(ジエトキシ)シリル基、トリプロポキシシリル基、トリブトキシシリル基などが挙げられる。

アリーロキシシリル基は、1つ以上のアリーロキシ基がケイ素原子と結合してなる基であり、その具体例としては、トリフェノキシシリル基、(ジフェノキシ)(メチル)シリル基、(フェノキシ)(ジメチル)シリル基、(フェノキシ)(ジクロロ)シリル基、(ジフェノキシ)(エトキシ)シリル基、(フェノキシ)(ジエトキシ)シリル基などが挙げられる。なお、これらのうち、(ジフェノキシ)(エトキシ)シリル基、(フェノキシ)(ジエトキシ)シリル基は、アリーロキシ基に加え、アルコキシ基をも有するため、アルコキシシリル基にも分類されることとなる。

アシロキシシリル基は、1つ以上のアシロキシ基がケイ素原子と結合してなる基であり、その具体例としては、トリアシロキシシリル基、(ジアシロキシ)(メチル)シリル基、(アシロキシ)(ジメチル)シリル基、(アシロキシ)(ジクロロ)シリル基などが挙げられる。

アルキルシロキシシリル基は、1つ以上のアルキルシロキシ基がケイ素原子と結合してなる基であり、その具体例としては、トリス(トリメチルシロキシ)シリル基、トリメチルシロキシ(ジメチル)シリル基、トリエチルシロキシ(ジエチル)シリル基、トリス(ジメチルシロキシ)シリル基などが挙げられる。

アリールシロキシシリル基は、1つ以上のアリールシロキシ基がケイ素原子と結合してなる基であり、その具体例としては、トリス(トリフェニルシロキシ)シリル基、トリフェニルシロキシ(ジメチル)シリル基、トリス(ジフェニルシロキシ)シリル基などが挙げられる。

ヒドロキシシリル基は、1つ以上のヒドロキシ基がケイ素原子と結合してなる基であり、具体例としては、トリヒドロキシシリル基、(ジヒドロキシ)(メチル)シリル基、(ヒドロキシ)(ジメチル)シリル基、(ヒドロキシ)(ジクロロ)シリル基、(ジヒドロキシ)(エトキシ)シリル基、(ヒドロキシ)(ジエトキシ)シリル基などが挙げられる。なお、これらのうち、(ジヒドロキシ)(エトキシ)シリル基、(ヒドロキシ)(ジエトキシ)シリル基は、ヒドロキシ基に加え、アルコキシ基をも有するため、アルコキシシリル基にも分類されることとなる。

また、シリル基としては、上記以外にも、下記一般式(2)で示される直鎖状のポリシロキサン基や、下記一般式(3)で示される環状のポリシロキサン基も好適である。

(上記一般式(2)中、R3〜R7は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アルコシキ基、アリーロキシ基、アシロキシ基、アルキルシロキシ基、アリールシロキシ基から選択される基である。また、mは、1〜10の整数である。)

(上記一般式(3)中、R8〜R12は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アルコシキ基、アリーロキシ基、アシロキシ基、アルキルシロキシ基、アリールシロキシ基から選択される基である。また、nは、1〜10の整数である。)

なお、上記一般式(2)、(3)中において、環状オレフィン系ゴムを得る際における重合活性がより高くなるという点より、R3〜R7、R8〜R12は、水素原子、またはメチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基などの炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。

本発明の環状オレフィン系ゴムの重合体鎖末端における、シリル基の導入割合は、特に限定されないが、シリル基が導入された環状オレフィン系ゴムの重合体鎖末端数/環状オレフィン系ゴムの重合体鎖数の百分率の値として、10%以上であることが好ましく、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上、特に好ましくは40%以上である。シリル基の導入割合が高いほど、タイヤ用のゴム材料とする際に用いられる充填剤としてのシリカやカーボンブラックとの親和性が高く、これにより、低発熱性の向上効果が高くなるため、好ましい。なお、重合体鎖末端へのシリル基の導入割合を測定する方法としては、特に限定されないが、たとえば、1H−NMRスペクトル測定により求められるシリル基に対応するピーク面積比と、ゲルパーミエーションクロマトグラフィから求められる数平均分子量とから求めることができる。

また、本発明の環状オレフィン系ゴムは、モノ環状オレフィン由来の構造単位以外に、メタセシス反応性のある多環の環状オレフィン由来の構造単位を含有していてもよい。ただし、環状オレフィン系ゴムのガラス転移温度を低くし、これにより、低温でのゴム特性を良好に保つという点より、モノ環状オレフィン由来の構造単位の含有割合を50モル%以上とすることが好ましく、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは65%以上とする。モノ環状オレフィン由来の構造単位の含有割合が低すぎると、環状オレフィン系ゴムのガラス転移温度が高くなり、低温でのゴム特性が低下してしまう他、環状オレフィン系ゴムの特徴(たとえば、短鎖分岐を有さない直鎖状ポリマーとしての特性)が失われてしまうため好ましくない。

本発明の環状オレフィン系ゴムの分子量は、重量平均分子量の値として、10万〜80万であり、好ましくは15万〜75万であり、より好ましくは20万〜70万である。環状オレフィン系ゴムがこのような分子量を有することにより、優れた機械物性を有するゴム架橋物を与えることが可能となる。

また、本発明の環状オレフィン系ゴムの、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定される、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)は、特に限定されないが、通常5.0以下であり、好ましくは4.5以下であり、より好ましくは4.0以下である。このようなMw/Mnを有することにより、より優れた機械物性を有するゴム架橋物を与えることが可能となる。

なお、本発明において、環状オレフィン系ゴムの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算の値として測定するものとする。

本発明の環状オレフィン系ゴムを構成する繰返し単位中に存在する二重結合において、そのシス/トランス比は、特に限定されないが、通常10/90〜90/10の範囲で設定されるが、低温下で優れた特性を示すゴム架橋物を与えることができる環状オレフィン系ゴムを得る観点からは、30/70〜90/10の範囲であることが好ましい。

また、本発明の環状オレフィン系ゴムは、上述した主成分となるゴム成分に加えて、多価アルコールの脂肪酸エステルを含有する。多価アルコールとは少なくとも2つの水酸基を有する化合物であり、糖類やグリコール、ポリヒドロキシ化合物が挙げられる。中でも3つ以上の水酸基を有する炭素数5または6の糖類が好ましい。また、多価アルコールとエステルを形成する脂肪酸は炭素数10〜20の高級脂肪酸が好ましい。炭素数10〜20の高級脂肪酸は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、例えばステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、パルチミン酸などを挙げることができる。さらに、多価アルコールの脂肪酸エステルのうち、多価アルコールの複数の水酸基の一部が脂肪酸とエステルを形成し、残りが水酸基のままのものがさらに好ましい。このような多価アルコールの脂肪酸エステルの中でも、糖類の脂肪酸エステルが好ましく、ソルビタン脂肪酸エステルが特に好ましい。具体的には、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタントリオレートおよびソルビタンジオレートなどが挙げられる。ソルビタン脂肪酸エステルは、さらにポリオキシエチレン基を含有するものも好ましく用いられる。そのようなソルビタン脂肪酸エステルの具体例としては、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレートおよびポリオキシエチレンソルビタントリオレートなどを挙げることができる。 その他、グリコールの脂肪酸エステルの具体例としては、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、およびポリエチレングリコールモノオレートなどを挙げることができる。ポリヒドロキシ化合物の脂肪酸エステルの具体例としては、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレート、およびテトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットなどを挙げることができる。

多価アルコールの脂肪酸エステルの含有量は、本発明の環状オレフィン系ゴムが含有するシリル基の1モルに対して、好ましくは0.001〜100モルであり、より好ましくは0.002〜50モル、さらに好ましくは0.01〜20モルである。また、環状オレフィン系ゴム中における、多価アルコールの脂肪酸エステルの含有量は、好ましくは0.0002〜15重量%、より好ましくは0.002〜10重量%、さらに好ましくは0.01〜5重量%である。環状オレフィン系ゴム中における、多価アルコールの脂肪酸エステルの含有量が少なすぎると、配合・混練時の加工性、特に、ゴムを保存した後における配合・混練時の加工性に劣るものとなってしまう。一方、多価アルコールの脂肪酸エステルの含有量が多すぎると、配合・混練時にシェアがかからず、シリカやカーボンブラックの分散が悪くなってしまう。

(環状オレフィン系ゴムの製造方法) 本発明の環状オレフィン系ゴムを製造する方法は特に限定されないが、好適に用いられる製造方法としては、以下に述べる製造方法である。 すなわち、モノ環状オレフィンの開環重合およびシリル基を有する化合物による末端変性を行うことで、重合体鎖末端にシリル基を有する環状オレフィン系重合体を含む重合体溶液を得る第1工程と、 前記重合体溶液中に含まれる重合体を、前記多価アルコールの脂肪酸エステルの存在下で凝固させる第2工程とを備える製造方法により製造することが好適である。

本発明の環状オレフィン系ゴムは、重合体鎖末端にシリル基を有する。よって、第1工程において、モノ環状オレフィンを開環重合する際には、シリル基を有する化合物(好ましくは、シリル基を有するオレフィン化合物)の存在下で、開環重合触媒を用いて、モノ環状オレフィンを開環重合する方法が好適であり、これにより、モノ環状オレフィンの開環重合およびシリル基を有する化合物による末端変性を同時に行うことができる。

モノ環状オレフィンを開環重合する方法において、用いられ得るシリル基を有するオレフィン化合物は、分子内にエチレン性不飽和結合およびシリル基を少なくとも1つずつ含有する化合物であれば、特に限定されない。このようなシリル基を有するオレフィン化合物としては、たとえば、下記一般式(4)〜(7)で示される化合物が挙げられる。

(上記一般式(4)中、R13〜R15は、水素原子、または炭素数1〜10の炭化水素基であり、R16〜R20は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アルコシキ基、アリーロキシ基、アシロキシ基、アルキルシロキシ基、アリールシロキシ基から選択される基である。また、L1は、単結合またはシリル基とオレフィン性炭素−炭素二重結合を形成している炭素原子とを結ぶ基であり、pは、0〜10の整数である。)

(上記一般式(5)中、R21〜R23は、水素原子、または炭素数1〜10の炭化水素基であり、R24〜R28は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アルコシキ基、アリーロキシ基、アシロキシ基、アルキルシロキシ基、アリールシロキシ基から選択される基である。また、L2は、単結合、またはオキシシリル基とオレフィン性炭素−炭素二重結合を形成している炭素原子とを結ぶ基であり、qは、1〜10の整数である。)

(上記一般式(6)中、R34、R35は、水素原子、または炭素数1〜10の炭化水素基であり、R29〜R33、R36〜R40は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アルコシキ基、アリーロキシ基、アシロキシ基、アルキルシロキシ基、アリールシロキシ基から選択される基である。また、L3、L4は、単結合、またはシリル基とオレフィン性炭素−炭素二重結合を形成している炭素原子とを結ぶ基であり、r、sは、0〜10の整数である。)

(上記一般式(7)中、R46、R47は、水素原子、または炭素数1〜10の炭化水素基であり、R41〜R45、R48〜R52は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アルコシキ基、アリーロキシ基、アシロキシ基、アルキルシロキシ基、アリールシロキシ基から選択される基である。また、L5、L6は、単結合、またはオキシシリル基とオレフィン性炭素−炭素二重結合を形成している炭素原子とを結ぶ基であり、t、uは、1〜10の整数である。)

一般式(4)〜(7)において、R13〜R15、R21〜R23、R34、R35、R46、R47は水素原子であることが好ましく、これらを水素原子とすることにより、シリル基を有するオレフィン化合物をメタセシス反応性により優れたものとすることができる。

また、一般式(4)〜(7)において、L1〜L6は、シリル基とオレフィン性炭素−炭素二重結合を形成している炭素原子とを結合可能な基であればよく特に限定されないが、シリル基を有するオレフィン化合物をメタセシス反応性により優れたものとすることができという点より、炭化水素基、エーテル基、または三級アミノ基が好ましく、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基がより好ましい。また、シリル基とオレフィン性炭素−炭素二重結合を形成している炭素原子とは、これらの基を介さずに、直接結合するような構成であってもよい。

なお、上記一般式(4)〜(7)で示される化合物のうち、一般式(4)、(5)で示される化合物を用いた場合には、これらがメタセシス反応することにより、環状オレフィン系ゴムの片末端にシリル基を導入することができ、また、一般式(6)、(7)で示される化合物を用いた場合には、これらがメタセシス反応することにより、環状オレフィン系ゴムの両末端にシリル基を導入することができる。

一般式(4)、(5)で示される化合物の好ましい具体例としては、ビニル(トリメトキシ)シラン、ビニル(トリエトキシ)シラン、アリル(トリメトキシ)シラン、アリル(メトキシ)(ジメチル)シラン、アリル(トリエトキシ)シラン、アリル(エトキシ)(ジメチル)シラン、スチリル(トリメトキシ)シラン、スチリル(トリエトキシ)シラン、スチリルエチル(トリエトキシ)シラン、アリル(トリエトキシシリルメチル)エーテル、アリル(トリエトキシシリルメチル)(エチル)アミンなどのアルコキシシラン化合物;ビニル(トリフェノキシ)シラン、アリル(トリフェノキシ)シラン、アリル(フェノキシ)(ジメチル)シランなどのアリーロキシシラン化合物;ビニル(トリアセトキシ)シラン、アリル(トリアセトキシ)シラン、アリル(ジアセトキシ)メチルシラン、アリル(アセトキシ)(ジメチル)シランなどのアシロキシシラン化合物;アリルトリス(トリメチルシロキシ)シランなどのアルキルシロキシシラン化合物;アリルトリス(トリフェニルシロキシ)シランなどのアリールシロキシシラン化合物;1−アリルヘプタメチルトリシロキサン、1−アリルノナメチルテトラシロキサン、1−アリルノナメチルシクロペンタシロキサン、1−アリルウンデカメチルシクロヘキサシロキサンなどのポリシロキサン化合物;などが挙げられる。

一般式(6)、(7)で示される化合物の好ましい具体例としては、ビス(トリメトキシシリル)エチレン、ビス(トリエトキシシリル)エチレン、2−ブテン−1,4−ジ(トリメトキシシラン)、2−ブテン−1,4−ジ(トリエトキシシラン)、1,4−ジ(トリメトキシシリルメトキシ)−2−ブテンなどのアルコキシシラン化合物;2−ブテン−1,4−ジ(トリフェノキシシラン)などのアリーロキシシラン化合物;2−ブテン−1,4−ジ(トリアセトキシシラン)などのアシロキシシラン化合物;2−ブテン−1,4−ジ[トリス(トリメチルシロキシ)シラン]などのアルキルシロキシシラン化合物;2−ブテン−1,4−ジ[トリス(トリフェニルシロキシ)シラン]などのアリールシロキシシラン化合物;2−ブテン−1,4−ジ(ヘプタメチルトリシロキサン)、2−ブテン−1,4−ジ(ウンデカメチルシクロヘキサシロキサン)などのポリシロキサン化合物;などが挙げられる。

シリル基を有するオレフィン化合物の使用量は、製造する環状オレフィン系ゴムの分子量に応じて適宜選択すればよいが、モノ環状オレフィンに対して、モル比で、通常1/100〜1/100,000、好ましくは1/200〜1/50,000、より好ましくは1/500〜1/10,000の範囲である。なお、シリル基を有するオレフィン化合物は、環状オレフィン系ゴムの重合体鎖末端へのシリル基の導入作用に加え、分子量調整剤としても作用する。シリル基を有するオレフィン化合物の使用量が少なすぎると、環状オレフィン系ゴムにおけるシリル基の導入率が低くなり、多すぎると得られる環状オレフィン系ゴムの分子量が低くなってしまう。

また、シリル基を有するオレフィン化合物の存在下でモノ環状オレフィンを開環重合する方法において用いることができる開環重合触媒としては、ルテニウムカルベン錯体を挙げることができる。

ルテニウムカルベン錯体は、モノ環状オレフィンの開環重合触媒となるものであれば、特に限定されない。好ましく用いられるルテニウムカルベン錯体の具体例としては、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)−3,3−ジフェニルプロペニリデンルテニウムジクロリド、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)t−ブチルビニリデンルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジイソプロピルイミダゾリン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)エトキシメチリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)エトキシメチリデンルテニウムジクロリドを挙げることができる。

ルテニウムカルベン錯体の使用量は、特に限定されるものではないが、(触媒中の金属ルテニウム:単量体)のモル比として、通常1:2,000〜1:2,000,000、好ましくは1:5,000〜1:1,500,000、より好ましくは1:10,000〜1:1,000,000の範囲である。使用量が少なすぎると、重合反応が十分に進行しない場合がある。一方、多すぎると、得られる環状オレフィン系ゴムからの触媒残渣の除去が困難となる。

重合反応は、無溶媒中で行ってもよいが、本発明においては、重合反応の制御等の観点より、溶液中で行うことが望ましい。溶液中で重合する場合、用いられる溶媒は重合反応において不活性であり、重合に用いるモノ環状オレフィンや重合触媒などを溶解させ得る溶媒であれば特に限定されないが、炭化水素系溶媒またはハロゲン系溶媒を用いることが好ましい。炭化水素系溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素;n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素;などを挙げることができる。また、ハロゲン系溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルムなどのアルキルハロゲン;クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族ハロゲン;などを挙げることができる。

重合温度は、特に限定されないが、通常−50〜100℃の範囲で設定される。また、重合反応時間は、好ましくは1分間〜72時間、より好ましくは5時間〜20時間である。重合転化率が所定の値に達した後、公知の重合停止剤を重合系に加えることにより、重合反応を停止させることができる。

以上のようにすれば、重合体鎖末端にシリル基を有する環状オレフィン系重合体を含む、重合体溶液を得ることができる。

シリル基を有するオレフィン化合物の存在下でモノ環状オレフィンを開環重合する方法において用いることができる別の開環重合触媒としては、モリブデン化合物やタングステン化合物を挙げることができる。開環重合触媒として用いられ得るモリブデン化合物の具体例としては、モリブデンペンタクロリド、モリブデンオキソテトラクロリド、モリブデン(フェニルイミド)テトラクロリドを挙げられる。また、タングステン化合物の具体例としては、タングステンヘキサクロリド、タングステンオキソテトラクロリド、タングステン(フェニルイミド)テトラクロリド、モノカテコラートタングステンテトラクロリド、ビス(3,5−ジターシャリブチル)カテコラートタングステンジクロリド、ビス(2−クロロエテレート)テトラクロリド、タングステンオキソテトラフェノレートを挙げることができる。

モリブデン化合物やタングステン化合物を開環重合触媒として用いる場合には、助触媒として、有機金属化合物を組み合わせて使用しても良い。この助触媒として用いられ得る有機金属化合物としては、炭素数1〜20の炭化水素基を有する周期表第1、2、12、13または14族金属原子の有機金属化合物が挙げられる。なかでも、有機リチウム化合物、有機マグネシウム化合物、有機亜鉛化合物、有機アルミニウム化合物、有機スズ化合物が好ましく用いられ、有機リチウム化合物、有機スズ化合物、有機アルミニウム化合物がより好ましく用いられ、有機アルミニウムが特に好ましく用いられる。

助触媒として用いられ得る、有機リチウム化合物の具体例としては、n−ブチルリチウム、メチルリチウム、フェニルリチウム、ネオペンチルリチウム、ネオフィルリチウムが挙げられる。有機マグネシウム化合物の具体例としては、ブチルエチルマグネシウム、ブチルオクチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、エチルマグネシウムクロリド、n−ブチルマグネシウムクロリド、アリルマグネシウムブロミド、ネオペンチルマグネシウムクロリド、ネオフィルマグネシウムクロリドが挙げられる。有機亜鉛化合物の具体例としては、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジフェニル亜鉛が挙げられる。有機スズ化合物の具体例としては、テトラメチルスズ、テトラ(n−ブチル)スズ、テトラフェニルスズが挙げられる。有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムジクロリドなどのアルキルアルミニウムハライド;下記の一般式(8)で表される化合物;などが挙げられる。

(一般式(8)中、R53およびR54は、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、xは、0

一般式(8)において、R53やR54で表される炭素数1〜20の炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、イソブチル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基などのアルキル基;フェニル基、4−メチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、ナフチル基などのアリール基;などを挙げることができる。なお、R53とR54で表される炭素数1〜20の炭化水素基は、それぞれ同じものであっても、異なるものであっても良いが、環状オレフィン系ゴムの繰返し単位中に存在する二重結合において、シス構造の割合を高くして、ゴム材料としての物性に優れる環状オレフィン系ゴムを得る観点からは、少なくとも、R53で表される炭化水素基が、炭素原子が4個以上連続して結合してなるアルキル基であることが好ましく、特に、n−ブチル基、2−メチル−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基のいずれかであることが好ましい。

また、一般式(8)において、xは、0

モリブデン化合物やタングステン化合物を開環重合触媒として用いる場合の重合反応条件などは、ルテニウムカルベン錯体を用いる場合で述べた条件の範囲で適宜設定すれば良い。

次いで、本発明の製造方法においては、上記のようにして得られた重合体鎖末端にシリル基を有する環状オレフィン系重合体を含む重合体溶液中に含まれる、重合体鎖末端にシリル基を有する環状オレフィン系重合体を、多価アルコールの脂肪酸エステルの存在下で凝固させることで、重合体溶液から、本発明の環状オレフィン系ゴムを回収する。

本発明の製造方法においては、多価アルコールの脂肪酸エステルの存在下で、凝固を行うことにより、得られる環状オレフィン系ゴムを、多価アルコールの脂肪酸エステルを含有するものとすることができる。本発明の製造方法において、多価アルコールの脂肪酸エステルとしては、たとえば、上述したものを用いることができる。また、多価アルコールの脂肪酸エステルの存在下で、凝固を行う方法としては、特に限定されず、実際の凝固操作を行う時に、多価アルコールの脂肪酸エステルが系中に含まれているような状態にて凝固を行えばよく特に限定されない。

凝固を行う際の具体的な方法としては、たとえば、重合後の重合体溶液に、多価アルコールの脂肪酸エステルを添加した後、スチームストリッピングや貧溶媒凝固を行う方法が挙げられる。あるいは、貧溶媒凝固を用いる場合には、貧溶媒として、予め多価アルコールの脂肪酸エステルが添加されたものを用いてもよく、この場合には、重合後の重合体溶液には、多価アルコールの脂肪酸エステルを添加しても添加しなくてもいずれでもよい。

なお、この際における、多価アルコールの脂肪酸エステルの使用量は、得られる環状オレフィン系ゴム中の多価アルコールの脂肪酸エステルの含有量が上述した範囲となるような量とすればよい。たとえば、重合後の重合体溶液に、多価アルコールの脂肪酸エステルを添加した後、スチームストリッピングや貧溶媒凝固を行う場合には、スチームストリッピングや貧溶媒凝固の際に、重合体溶液中の多価アルコールの脂肪酸エステルの一部が、水相や貧溶媒相にも溶け込むので、得られる環状オレフィン系ゴム中の多価アルコールの脂肪酸エステル含有量は、重合体溶液に添加した量よりも少なくなる場合があるが、得られる環状オレフィン系ゴム中の多価アルコールの脂肪酸エステルの含有量が上述した範囲となるような量となるように調整すればよい。また、多価アルコールの脂肪酸エステルを貧溶媒に含有させる場合にも、貧溶媒中の多価アルコールの脂肪酸エステルの一部が、重合体溶液中にも溶け込むため、このような量を考慮して、貧溶媒中に添加する多価アルコールの脂肪酸エステルの量を調整すればよい。

ここで貧溶媒とは、温度25℃の条件において、環状オレフィン系重合体を1重量%の濃度で添加した場合に、完全に溶解できない溶媒をいう。このような貧溶媒としては、用いる環状オレフィン系ゴムの種類等に応じて、適宜選択すれば良いが、たとえば、エタノール、メタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル類;等が挙げられる。なお、これらの溶媒は混合して用いても良い。 貧溶媒の沸点は、好ましくは30〜200℃、より好ましくは30〜100℃、特に好ましくは40〜90℃である。

なお、得られる環状オレフィン系ゴムには、所望により、フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤などの老化防止剤を添加してもよい。老化防止剤の添加量は、その種類などに応じて適宜決定すればよい。

(ゴム組成物) 本発明のゴム組成物は、本発明の環状オレフィン系ゴムを含むゴム成分100重量部に対して、シリカおよび/またはカーボンブラックを合計で20〜200重量部を配合したものである。シリカおよび/またはカーボンブラックの合計配合量は好ましくは25〜180重量部、より好ましくは30〜150重量部である。

本発明のゴム組成物において、用いられ得るシリカの具体例としては、例えば、乾式法ホワイトカーボン、湿式法ホワイトカーボン、コロイダルシリカ、特開昭62−62838号公報に開示されている沈降シリカが挙げられる。これらの中でも、含水ケイ酸を主成分とする湿式法ホワイトカーボンが好ましい。また、カーボンブラック表面にシリカを担持させたカーボン−シリカ デュアル・フェイズ・フィラーを用いてもよい。これらのシリカは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。

シリカの窒素吸着比表面積(ASTM D3037−81に準じBET法で測定される。)は、好ましくは50〜400m2/g、より好ましくは100〜220m2/gである。また、シリカのpHは、pH7未満であることが好ましく、pH5〜6.9であることがより好ましい。これらの範囲であると、環状オレフィン系ゴムとシリカとの親和性が特に良好となる。

シリカを用いる場合は、環状オレフィン系ゴムとシリカとの密着性を向上させる目的で、ゴム組成物に、さらにシランカップリング剤を配合することが好ましい。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィドなどや、特開平6−248116号公報に記載されているγ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドなどのテトラスルフィド類などを挙げることができる。なかでも、テトラスルフィド類が好ましい。これらのシランカップリング剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。シランカップリング剤の配合量は、シリカ100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部、より好ましくは1〜15重量部である。

本発明のゴム組成物において、用いられ得るカーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどが挙げられる。これらの中でも、ファーネスブラックが好ましく、その具体例としては、SAF、ISAF、ISAF−HS、ISAF−LS、IISAF−HS、HAF、HAF−HS、HAF−LS、FEFなどが挙げられる。これらのカーボンブラックは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。

カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、好ましくは5〜200m2/g、より好ましくは80〜130m2/gであり、ジブチルフタレート(DBP)吸着量は、好ましくは5〜300ml/100g、より好ましくは80〜160ml/100gである。

本発明のゴム組成物は、さらに本発明の環状オレフィン系ゴム以外のゴムを含んでいてもよい。本発明の環状オレフィン系ゴム以外のゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、乳化重合SBR(スチレン−ブタジエン共重合ゴム)、溶液重合ランダムSBR(結合スチレン5〜50重量%、ブタジエン部分の1,2−結合含有量10〜80%)、高トランスSBR(ブタジエン部のトランス結合含有量70〜95%)、低シスBR(ポリブタジエンゴム)、高シスBR、高トランスBR(ブタジエン部のトランス結合含有量70〜95%)、スチレン−イソプレン共重合ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合ゴム、乳化重合スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、高ビニルSBR−低ビニルSBRブロック共重合ゴム、ポリイソプレン−SBRブロック共重合ゴム、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ウレタンゴムなどが挙げられる。なかでも、NR、BR、IR、SBRが好ましく用いられる。これらのゴムは、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。

本発明のゴム組成物が、本発明の環状オレフィン系ゴム以外のゴムを含有する場合、当該環状オレフィン系ゴムの割合を、ゴム成分の全量に対して、10重量%以上とすることが好ましく、20〜90重量%の範囲とすることがより好ましく、30〜80重量%の範囲とすることが特に好ましい。この割合が低すぎると、ゴム組成物の物性に劣るおそれがある。

本発明のゴム組成物には、上記成分以外に、常法に従って、架橋剤、架橋促進剤、架橋活性化剤、老化防止剤、活性剤、プロセス油、可塑剤、滑剤などの配合剤をそれぞれ必要量配合できる。

架橋剤としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などの硫黄;一塩化硫黄、二塩化硫黄などのハロゲン化硫黄;ジクミルパーオキシド、ジターシャリブチルパーオキシドなどの有機過酸化物;p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシムなどのキノンジオキシム;トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、4,4’−メチレンビス−o−クロロアニリンなどの有機多価アミン化合物;メチロール基をもったアルキルフェノール樹脂;などが挙げられ、これらの中でも、硫黄が好ましく、粉末硫黄がより好ましい。これらの架橋剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。架橋剤の配合量は、全ゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。

架橋促進剤としては、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系架橋促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジンなどのグアニジン系架橋促進剤;ジエチルチオウレアなどのチオウレア系架橋促進剤;2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩などのチアゾール系架橋促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドなどのチウラム系架橋促進剤;ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛などのジチオカルバミン酸系架橋促進剤;イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛、ブチルキサントゲン酸亜鉛などのキサントゲン酸系架橋促進剤;などが挙げられる。なかでも、スルフェンアミド系架橋促進剤を含むものが特に好ましい。これらの架橋促進剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。架橋促進剤の配合量は、全ゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。

架橋活性化剤としては、例えば、ステアリン酸などの高級脂肪酸や酸化亜鉛などを用いることができる。酸化亜鉛は、表面活性の高い粒度5μm以下のものが好ましく、例えば、粒度が0.05〜0.2μmの活性亜鉛華や0.3〜1μmの亜鉛華などを挙げることができる。また、酸化亜鉛としては、アミン系の分散剤や湿潤剤で表面処理したものなどを用いることもできる。架橋活性化剤の配合量は適宜選択されるが、高級脂肪酸の配合量は、全ゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.05〜15重量部、より好ましくは0.5〜5重量部であり、酸化亜鉛の配合量は、全ゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.05〜10重量部、より好ましくは0.5〜3重量部である。

プロセス油としては、鉱物油や合成油を用いてよい。鉱物油は、アロマオイル、ナフテンオイル、パラフィンオイルなどが通常用いられる。その他の配合剤としては、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、シリコーンオイルなどの活性剤;炭酸カルシウム、タルク、クレーなどのシリカおよびカーボンブラックを除く充填剤;石油樹脂、クマロン樹脂などの粘着付与剤;ワックスなどが挙げられる。

本発明のゴム組成物は、常法に従って各成分を混練することにより得ることができる。例えば、架橋剤および架橋促進剤を除く配合剤と環状オレフィン系ゴムなどのゴム成分とを混練後、その混練物に架橋剤と架橋促進剤とを混合してゴム組成物を得ることができる。架橋剤および架橋促進剤を除く配合剤と環状オレフィン系ゴムなどのゴム成分との混練温度は、好ましくは80〜200℃、より好ましくは120〜180℃であり、その混練時間は、好ましくは30秒間〜30分間である。架橋剤と架橋促進剤との混合は、通常100℃以下、好ましくは80℃以下まで冷却後に行われる。

本発明のゴム組成物のムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、好ましくは20〜130であり、より好ましくは30〜120、さらに好ましくは40〜110である。本発明の環状オレフィン系ゴムはトルエン不溶分量が少ないため、ゴム組成物のムーニー粘度が上記範囲に制御され、これにより、優れた加工性を有するものである。ムーニー粘度が低すぎると、高温での混練が困難になり、シリカおよびカーボンブラックの分散が悪くなる。一方、ムーニー粘度が高すぎると、混練が困難となり、同様に、加工性に劣り、シリカおよびカーボンブラックの分散が悪くなる。

本発明のゴム組成物は、通常、架橋することで、ゴム架橋物として使用される。架橋方法は、特に限定されず、架橋物の形状、大きさなどに応じて選択すればよい。金型中にゴム組成物を充填して加熱することにより成形と同時に架橋してもよく、予め成形しておいたゴム組成物を加熱して架橋してもよい。架橋温度は、好ましくは120〜200℃、より好ましくは140〜180℃であり、架橋時間は、通常、1〜120分程度である。

本発明のゴム組成物は、シリカやカーボンブラックとの親和性に優れるため、低発熱性に優れるゴム架橋物を与える。したがって、その特性を生かす各種用途、例えばトレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部などのタイヤ各部位への利用、あるいはホース、窓枠、ベルト、靴底、防振ゴム、自動車部品などのゴム製品への利用、さらには耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂などの樹脂強化ゴムとして利用が可能になる。特に低燃費タイヤのタイヤトレッド用として優れており、その他にもオールシーズンタイヤ、高性能タイヤ、スタッドレスタイヤなどのタイヤトレッド、サイドウォール、アンダートレッド、カーカス、ビート部などの材料としても好適である。

以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、以下において、「部」は、特に断りのない限り重量基準である。また、試験、評価は下記によった。

<分子量> ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)システム HLC−8220(東ソー社製)で、HタイプカラムHZ−M(東ソー社製)を用い、テトラヒドロフランを溶媒として40℃で測定し、環状オレフィン系ゴムの重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を、ポリスチレン換算値として測定した。

<末端シリル基導入率> 環状オレフィン系ゴムの重クロロホルム溶液について、1H−NMRスペクトル測定により、シリル基特有のピーク積分値およびオレフィン由来のピーク積分値の比率の測定を行なった。そして、測定したピーク積分値の比率、および上記したGPCによる数平均分子量(Mn)の測定結果に基づいて、環状オレフィン系ゴムの重合体鎖への末端シリル基導入率を算出した。末端シリル基導入率は、環状オレフィン系ゴム1分子に対するシリル基の個数の割合とした。すなわち、シリル基導入率=100%は、環状オレフィン系ゴム1分子に対し、1個の割合でシリル基が導入されている状態を示し、シリル基導入率=200%は、環状オレフィン系ゴム1分子の両末端にシリル基が導入されている状態を示す。

<多価アルコールの脂肪酸エステル含有量> 回収した環状オレフィン系ゴム2gをソックスレーでアセトン抽出し、抽出分を濃縮乾燥した。その抽出分にメタノール20mlを添加し、超音波をかけた後、孔径0.2μmのメンブランフィルターで濾過し、通過液をLC−MSで測定した。LC−MSのカラムとしてZORBAX SB−C18(3.0mm×100mm)を用いて、下記の条件で測定した。 カラム温度:40℃、 流速:0.4ml/分、 注入量:1マイクロリットル、 定量用標準試料:各多価アルコール脂肪酸エステル/メタノール溶液。

<トルエン不溶分量の測定> トルエンに環状オレフィン系ゴムを1重量%となるように加え、一昼夜室温で撹拌した。次いで、100メッシュのフィルターで濾過して、フィルター残留部(フィルター上に残留したろ物)を室温で真空乾燥したのち、フィルター残留物重量を測定し、トルエン不溶分量(%)を算出した。

<ムーニー粘度(ML1+4,100℃)の測定> ムーニー粘度については、JIS K6300に従い、ムーニー粘度計(島津製作所社製)を用いて測定した。

<低発熱性> ゴム組成物を、150℃で20分間プレス架橋することにより、試験片を作製し、得られた試験片について、GABO社製粘弾性測定装置EPLEXORを用い、初期歪み0.5%、動的歪み1%、10Hzの条件で60℃におけるtanδを測定した。そして、得られた測定結果を、後述する実施例1のサンプルの測定値を100とする指数で算出した。この指数が大きいほど、低発熱性が悪いことを示す。

(参考例1)ジイソブチルアルミニウムモノ(n−へキソキシド)/トルエン溶液(2.5重量%)の調製 窒素雰囲気下、攪拌子の入ったガラス容器に、トルエン88部、および25.4重量%のトリイソブチルアルミニウム/n−ヘキサン溶液(東ソー・ファインケム社製)7.8部を加えた。−45℃に冷却し、激しく攪拌しながら、n−ヘキサノール1.02部(トリイソブチルアルミニウムに対して当モル量)をゆっくりと滴下した。その後、攪拌しながら室温になるまで放置し、ジイソブチルアルミニウムモノ(n−へキソキシド)/トルエン溶液(2.5重量%)を調製した。

(製造例1)末端シリル変性環状オレフィン系重合体溶液(A−1)の製造 窒素雰囲気下、攪拌機付き耐圧反応容器に、1.0重量%のWCl6/トルエン溶液435部、および参考例1で調製した2.5重量%のジイソブチルアルミニウムモノ(n−ヘキソオキシド)/トルエン溶液215部を加え、15分間攪拌することにより、触媒溶液を得た。そして、窒素雰囲気下、攪拌機付き耐圧ガラス反応容器に、モノ環状オレフィンとしてシクロペンテン1500部およびビス(トリエトキシシリル)エチレン5.4部を加え、ここに、上記にて調製した触媒溶液650部を加えて、25℃で4時間重合反応を行った。4時間の重合反応後、耐圧反応容器に、過剰のエチルアルコールを加えて重合を停止し、末端シリル変性環状オレフィン系重合体溶液(A−1)を得た。耐圧反応器内の重合体溶液(A−1)を少量採取して、大過剰のエタノールに滴下して凝固し、40℃で3日間乾燥した。このサンプルについて分子量と末端シリル基導入率を測定した結果、重量平均分子量Mw=366,000、分子量分布Mw/Mn=1.90であり、末端シリル基導入率=186%であった。耐圧反応容器内の残りの重合体溶液(A−1)を6等分して、実施例1〜4、比較例1,2にそれぞれ使用した。

(製造例2)末端シリル変性環状オレフィン系重合体溶液(A−2)の製造 窒素雰囲気下、攪拌機付き耐圧反応容器に、モノ環状オレフィンとしてシクロペンテン1000部とアリルトリエトキシシラン1.15部、トルエン950部を加えた。次に、トルエン50部に溶解した(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド0.25部を加え、重合温度40℃で3時間重合した。過剰のビニルエチルエーテルを加えて重合を停止し、末端シリル変性環状オレフィン系重合体溶液(A−2)を得た。耐圧反応器内の重合体溶液(A−2)を少量採取して、大過剰のエタノールに滴下して凝固し、40℃で3日間乾燥した。このサンプルについて分子量と末端シリル基導入率を測定した結果、重量平均分子量Mw=424,000、分子量分布Mw/Mn=1.89であり、末端シリル基導入率=95%であった。耐圧反応容器内の残りの重合体溶液(A−2)を4等分して、実施例5,6、比較例3,4にそれぞれ使用した。

(実施例1) 製造例1で得られた重合体溶液(A−1)を、1重量%濃度のソルビタンモノラウレート(東京化成工業社製)および0.15重量%濃度のイルガノックス1520L(老化防止剤、チバスペシャリティーケミカルズ社製)を含む大過剰のエチルアルコールに注いだ。次いで、沈殿したポリマーを回収し、40℃で3日間、真空乾燥することにより、100部のシリル変性環状オレフィン系ゴムを得た。得られたシリル変性環状オレフィン系ゴム中のソルビタンモノラウレート含有量は0.7重量%(シリル基1モルに対して2.1モル)であり、環状オレフィン系ゴムのトルエン不溶分量は0重量%であった。得られた環状オレフィン系ゴムを温度85℃、湿度85%の恒温恒湿器に1日間保管した。翌日に取り出してトルエン不溶分量を測定したところ、0.6重量%であった。 次いで、85℃×85%試験後の環状オレフィン系ゴム80部および天然ゴム20部を、容量250mlのバンバリーミキサー中で、30秒間素練りし、次いでシリカ(商品名「Zeosil 1165MP」、ローディア社製(窒素吸着比表面積(BET法):163m2/g))50部、およびシランカップリング剤(ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド)4部を添加した。次いで、80℃を混練の開始温度として1.5分間混練後、シリカ(商品名「Zeosil 1165MP」)25部、酸化亜鉛(亜鉛華1号)3部、ステアリン酸(商品名「SA−300」、旭電化工業社製)2部、老化防止剤(N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、商品名「ノクラック6C」、大内新興化学工業社製)2部を添加し、2.5分混練して、混練終了後、バンバリーミキサーからゴム混練物を排出させた。そして、得られたゴム混練物を、室温まで冷却した後、再度、バンバリーミキサー中で、3分間混練し、混練終了後、バンバリーミキサーからゴム混練物を排出させた。次いで、50℃のオープンロールで、得られたゴム混練物に、硫黄1.4部、および架橋促進剤(N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(商品名「ノクセラーNS」、大内新興化学工業社製)1.2部とジフェニルグアニジン(商品名「ノクセラーD」、大内新興化学工業社製)1.2部との混合物)2.4部を混練することにより、シート状のゴム組成物を得た。

そして、得られたゴム組成物の一部を用いて、コンパウンド・ムーニー粘度(ML1+4,100℃)を測定した。次いで、得られたゴム組成物を150℃で20分間プレス架橋して試験片を作製して、低発熱性の評価を行った。結果を表1に示す。

(実施例2) 製造例1で得られた重合体溶液(A−1)に、重合体溶液中の環状オレフィン系重合体成分100重量部に対して、1重量部となるようにソルビタンモノオレート(東京化成工業社製)、および0.15重量部となるようにイルガノックス1520Lを添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、40℃で3日間、真空乾燥することにより、100部のシリル変性環状オレフィン系ゴムを得た。得られたシリル変性環状オレフィン系ゴム中のソルビタンモノオレート含有量は0.4重量%(シリル基1モルに対して1.0モル)であり、環状オレフィン系ゴムのトルエン不溶分量は0.1重量%であった。得られた環状オレフィン系ゴムを温度85℃、湿度85%の恒温恒湿器に1日間保管した。翌日に取り出してトルエン不溶分量を測定したところ、1.2重量%であった。 次いで、85℃×85%試験後の環状オレフィン系ゴムを用いて、実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を得た。得られたゴム組成物の一部を用いて、コンパウンド・ムーニー粘度(ML1+4,100℃)を測定した。次いで、得られたゴム組成物を150℃で20分間プレス架橋して試験片を作製して、低発熱性の評価を行った。結果を表1に示す。

(実施例3) 製造例1で得られた重合体溶液(A−1)を、5重量%濃度のポリオキシエチレンソルビタントリオレート(花王社製、商品名レオドールTW−O320V)および0.15重量%濃度のイルガノックス1520L(老化防止剤、チバスペシャリティーケミカルズ社製)を含む大過剰のエチルアルコールに注いだ。次いで、沈殿したポリマーを回収し、40℃で3日間、真空乾燥することにより、100部のシリル変性環状オレフィン系ゴムを得た。得られたシリル変性環状オレフィン系ゴム中のポリオキシエチレンソルビタントリオレート含有量は4.3重量%(シリル基1モルに対して15モル)であり、環状オレフィン系ゴムのトルエン不溶分量は0重量%であった。得られた環状オレフィン系ゴムを温度85℃、湿度85%の恒温恒湿器に1日間保管した。翌日に取り出してトルエン不溶分量を測定したところ、0.4重量%であった。 次いで、85℃×85%試験後の環状オレフィン系ゴムを用いて、実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を得た。得られたゴム組成物の一部を用いて、コンパウンド・ムーニー粘度(ML1+4,100℃)を測定した。次いで、得られたゴム組成物を150℃で20分間プレス架橋して試験片を作製して、低発熱性の評価を行った。結果を表1に示す。

(実施例4) 製造例1で得られた重合体溶液(A−1)に、重合体溶液中の環状オレフィン系重合体成分100重量部に対して、5重量部となるようにポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(花王社製、商品名レオドールTW−L120)、および0.2重量部となるようにイルガノックス1520Lを添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、40℃で3日間、真空乾燥することにより、102部のシリル変性環状オレフィン系ゴムを得た。得られたシリル変性環状オレフィン系ゴム中のポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート含有量は0.06重量%(シリル基1モルに対して0.11モル)であり、環状オレフィン系ゴムのトルエン不溶分量は0重量%であった。得られた環状オレフィン系ゴムを温度85℃、湿度85%の恒温恒湿器に1日間保管した。翌日に取り出してトルエン不溶分量を測定したところ、0重量%であった。 次いで、85℃×85%試験後の環状オレフィン系ゴムを用いて、実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を得た。得られたゴム組成物の一部を用いて、コンパウンド・ムーニー粘度(ML1+4,100℃)を測定した。次いで、得られたゴム組成物を150℃で20分間プレス架橋して試験片を作製して、低発熱性の評価を行った。結果を表1に示す。

(比較例1) 製造例1で得られた重合体溶液(A−1)に、ソルビタンモノラウレートを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして100部のシリル変性環状オレフィン系ゴムを得た。得られたシリル変性環状オレフィン系ゴムのトルエン不溶分量は0重量%であった。得られた環状オレフィン系ゴムを温度85℃、湿度85%の恒温恒湿器に1日間保管した。翌日に取り出してトルエン不溶分量を測定したところ、67重量%であった。 次いで、85℃×85%試験後の環状オレフィン系ゴムを用いて、実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を作製しようとしたが、配合物の粘度が高くて混練できなかった。

(比較例2) 製造例1で得られた重合体溶液(A−1)に、ソルビタンモノオレートを添加しなかったこと以外は、実施例2と同様にして100部のシリル変性環状オレフィン系ゴムを得た。得られたシリル変性環状オレフィン系ゴムのトルエン不溶分量は64重量%であった。得られた環状オレフィン系ゴムを温度85℃、湿度85%の恒温恒湿器に1日間保管した。翌日に取り出してトルエン不溶分量を測定したところ、77重量%であった。 次いで、85℃×85%試験後の環状オレフィン系ゴムを用いて、実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を作製しようとしたが、配合物の粘度が高くて混練できなかった。

(実施例5) 製造例2で得られた重合体溶液(A−2)を、1重量%濃度のソルビタンモノステアレート(東京化成工業社製)および0.15重量%濃度のイルガノックス1520Lを含む大過剰のエチルアルコールに注いだ。次いで、沈殿したポリマーを回収し、40℃で3日間、真空乾燥することにより、150部のシリル変性環状オレフィン系ゴムを得た。得られたシリル変性環状オレフィン系ゴム中のソルビタンモノステアレート含有量は0.8重量%(シリル基1モルに対して4.6モル)であり、環状オレフィン系ゴムのトルエン不溶分量は0重量%であった。得られた環状オレフィン系ゴムを温度85℃、湿度85%の恒温恒湿器に1日間保管した。翌日に取り出してトルエン不溶分量を測定したところ、0.3重量%であった。 次いで、85℃×85%試験後の環状オレフィン系ゴムを用いて、実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を得た。得られたゴム組成物の一部を用いて、コンパウンド・ムーニー粘度(ML1+4,100℃)を測定した。次いで、得られたゴム組成物を150℃で20分間プレス架橋して試験片を作製して、低発熱性の評価を行った。結果を表1に示す。

(実施例6) 製造例2で得られた重合体溶液(A−2)に、重合体溶液中の環状オレフィン系重合体成分100重量部に対して、1重量部となるようにソルビタンモノラウレート(東京化成工業社製)、および0.15重量部となるようにイルガノックス1520Lを添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、40℃で3日間、真空乾燥することにより、150部のシリル変性環状オレフィン系ゴムを得た。得られたシリル変性環状オレフィン系ゴム中のソルビタンモノラウレート含有量は0.25重量%(シリル基1モルに対して1.6モル)であり、環状オレフィン系ゴムのトルエン不溶分量は0.1重量%であった。得られた環状オレフィン系ゴムを温度85℃、湿度85%の恒温恒湿器に1日間保管した。翌日に取り出してトルエン不溶分量を測定したところ、0.5重量%であった。 次いで、85℃×85%試験後の環状オレフィン系ゴムを用いて、実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を得た。得られたゴム組成物の一部を用いて、コンパウンド・ムーニー粘度(ML1+4,100℃)を測定した。次いで、得られたゴム組成物を150℃で20分間プレス架橋して試験片を作製して、低発熱性の評価を行った。結果を表1に示す。

(比較例3) 製造例2で得られた重合体溶液(A−2)に、ソルビタンモノステアレートを添加しなかったこと以外は、実施例5と同様にして150部のシリル変性環状オレフィン系ゴムを得た。得られたシリル変性環状オレフィン系ゴムのトルエン不溶分量は0.1重量%であった。得られた環状オレフィン系ゴムを温度85℃、湿度85%の恒温恒湿器に1日間保管した。翌日に取り出してトルエン不溶分量を測定したところ、65重量%であった。 次いで、85℃×85%試験後の環状オレフィン系ゴムを用いて、実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を作製しようとしたが、配合物の粘度が高くて混練できなかった。

(比較例4) 製造例2で得られた重合体溶液(A−2)に、ソルビタンモノラウレートを添加しなかったこと以外は、実施例6と同様にして150部のシリル変性環状オレフィン系ゴムを得た。得られたシリル変性環状オレフィン系ゴムのトルエン不溶分量は25重量%であった。 次いで、得られた環状オレフィン系ゴムを用いて、実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を得た。得られたゴム組成物の一部を用いて、コンパウンド・ムーニー粘度(ML1+4,100℃)を測定した。次いで、得られたゴム組成物を150℃で20分間プレス架橋して試験片を作製して、低発熱性の評価を行った。結果を表1に示す。

(実施例、比較例まとめ) 重量平均分子量が10万〜80万で、重合体鎖末端にシリル基を有し、多価アルコールの脂肪酸エステルを含有する環状オレフィン系ゴムは、温度85℃、湿度85%の条件下で1日間保存した後のトルエン不溶分量が20重量%未満であり、温度85℃、湿度85%の条件下で1日間保存した後においても、いずれも加工性が良好で、混練が十分に行うことができ、ゴム架橋物とした場合の低発熱性試験においても良好な結果となった(実施例1〜4)。 一方、多価アルコールの脂肪酸エステルを含有しない環状オレフィン系ゴムは、温度85℃、湿度85%の条件下で1日間保存した後のトルエン不溶分量が20重量%を超えるものであり、いずれも加工性が悪く、混練が不充分となり、低発熱性試験を行うことができなかった(比較例1〜3)。さらに、温度85℃、湿度85%の条件下で1日間保存する前でも、多価アルコールの脂肪酸エステルを含有しない環状オレフィン系ゴムについて、混練し、ゴム架橋物とした場合は、低発熱性試験で劣る結果となった(比較例4)。

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