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Production of tofu

阅读:748发布:2021-10-24

专利汇可以提供Production of tofu专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PURPOSE: To readily, efficiently and hygienically produce TOFU having flavor of cotton-strained TOFU by bittern of a salt field, mineral-containing good taste characteristics and soft and smooth physical properties of packed silk- strained TOFU by glucono-δ-lactone by using a semicontinuous cotton-strained TOFU device or a continuous packing type device.
CONSTITUTION: Bittern by an ion exchange membrane method is reacted with one or more sulfates of an alkali metal and/or an alkaline earth metal sulfates except Ca to remove calcium. The prepared improved bittern and/or gypsum dihydrate is used as a coagulant for TOFU. Bittern from which Ca ion of CaCl
2 , an unfavorable compound as bittern for TOFU, is removed is capable of producing TOFU having soft and smooth touch to the palate, excellent flavor and taste. Gypsum dihydrate obtained by calcium removal treatment is capable of producing TOFU having characteristic physical properties, flavor and taste.
COPYRIGHT: (C)1994,JPO,下面是Production of tofu专利的具体信息内容。

【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 大豆を浸漬、粉砕及び加熱した後おからを濾過分離して得られた豆乳に、凝固剤を添加して大豆たんぱく質を凝固させることにより豆腐を製造する方法において、 該凝固剤として、イオン交換膜法による製塩工程で得られるにがりに、アルカリ金属及び/又はカルシウム以外のアルカリ土類金属の硫酸塩の1種又は2種以上を添加して反応させ、該にがりに含まれているカルシウムイオンの少なくとも一部を除去した溶液を用いることを特徴とする豆腐の製造方法。
  • 【請求項2】 大豆を浸漬、粉砕及び加熱した後おからを濾過分離して得られた豆乳に、凝固剤を添加して大豆たんぱく質を凝固させることにより豆腐を製造する方法において、 該凝固剤として、イオン交換膜法による製塩工程で得られるにがりに、アルカリ金属及び/又はカルシウム以外のアルカリ土類金属の硫酸塩の1種又は2種以上を添加して反応させて得られる石膏を用いることを特徴とする豆腐の製造方法。
  • 【請求項3】 大豆を浸漬、粉砕及び加熱した後おからを濾過分離して得られた豆乳に、凝固剤を添加して大豆たんぱく質を凝固させることにより豆腐を製造する方法において、 該凝固剤として、イオン交換膜法による製塩工程で得られるにがりに、アルカリ金属及び/又はカルシウム以外のアルカリ土類金属の硫酸塩の1種又は2種以上を添加して反応させ、該にがりに含まれているカルシウムイオンの少なくとも一部を除去した溶液と、該反応で得られる石膏とを併用することを特徴とする豆腐の製造方法。
  • 【請求項4】 大豆を浸漬、粉砕及び加熱した後おからを濾過分離して得られた豆乳に、凝固剤を添加して大豆たんぱく質を凝固させることにより豆腐を製造する方法において、 該凝固剤として、イオン交換膜法による製塩工程で得られるにがりを濃縮して得られるカーナライトに加水して得られる貧カルシウムイオンの溶液を用いることを特徴とする豆腐の製造方法。
  • 【請求項5】 大豆を浸漬、粉砕及び加熱した後おからを濾過分離して得られた豆乳に、凝固剤を添加して大豆たんぱく質を凝固させることにより豆腐を製造する方法において、 該凝固剤として、イオン交換膜法による製塩工程で得られるにがりを濃縮して得られるカーナライトに加水して得られる貧カルシウムイオンの溶液に塩化ナトリウムを添加することにより得られる溶液を用いることを特徴とする豆腐の製造方法。
  • 【請求項6】 大豆を浸漬、粉砕及び加熱した後おからを濾過分離して得られた豆乳に、凝固剤を添加して大豆たんぱく質を凝固させることにより豆腐を製造する方法において、 該凝固剤として、イオン交換膜法による製塩工程で得られるにがりに塩化マグネシウムと塩化ナトリウム及び/
    又は塩化カリウムとを添加することにより得られる貧カルシウムイオンの溶液を用いることを特徴とする豆腐の製造方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【産業上の利用分野】本発明は豆腐の製造方法に係り、
    特に、従来、豆腐製造用に使用することが極めて困難であった、イオン交換膜法による製塩工程で得られるにがりを利用して、従来の一般の塩田にがりを用いた豆腐に比べて、使い易く食品衛生的にも優れ、しかもソフトで滑らかな物性を有し、優れた食味を有する豆腐を製造する方法に関する。

    【0002】

    【従来の技術】大豆は日本古来の食糧資源として極めて重要であり、最近では人口増加との関係から21世紀の食糧資源として国際的にも重要視されている。 しかして、大豆から作られる食品の一つである豆腐は、成人病との関係から内外国で注目されている。

    【0003】豆腐は、大豆から豆乳を調製した後、これに製造する豆腐の種類に応じた凝固剤を添加して、大豆に含まれているたんぱく質や油脂を凝固させ、成形して製造されている。

    【0004】現在、凝固剤としては、古くからの塩田にがりをはじめとして、塩化マグネシウム、石膏、グルコノデルタラクトン(GDL)などが用いられている。

    【0005】

    【発明が解決しようとする課題】上記従来の凝固剤のうち、塩田にがりを凝固剤として用いた場合には、にがり中のミネラルが付加され、大豆の風味と甘味が生かされた味の良好な豆腐を製造できる。 しかし、塩田にがりを凝固剤として用いた場合には、凝固時間が短く、木目が荒く硬い豆腐となる。 このため、最近のソフトな感触の豆腐を好む消費者の要求に合致しないことから、この塩田にがり豆腐は現在豆腐市場の主流の座を失っている。

    【0006】また、塩化マグネシウムを凝固剤として用いた場合も、塩田にがりに類似した性状の豆腐が得られるが、食味は塩田にがりにおけるよりも劣っている。

    【0007】一方、グルコノデルタラクトンを凝固剤とした豆腐は、ソフトで滑らかな性状であるが、大豆の風味と甘味が失われ、食味は著しく低下する。

    【0008】石膏は、凝固剤としては、二石膏(Ca
    SO 4・2H 2 O)が適当であるが、種々の種類、粒径の石膏が用いられている。 石膏を用いた場合には、大豆たんぱく質の凝固時間が長くなり、物性的に優れた豆腐が得られるが、食味はグルコノデルタラクトンと同様に劣っている。

    【0009】一方、これらの凝固剤について、実用規模の半連続式木綿豆腐製造装置又は連続充填式絹ごし豆腐製造装置への使用適性を検討すると、塩田にがりについては大豆たんぱく質の凝固時間が著しく短い欠点を補うために、凝固温度を通常よりも低く設定したり、豆乳ににがりを分割して添加するなどして、半連続装置で木綿豆腐を製造することができるが、連続式装置で絹ごし豆腐を製造することは困難である。 このため、塩田にがりとグルコノデルタラクトンや石膏などを併用することによって、充填式絹ごし豆腐を製造しているのが現状である。 塩化マグネシウムについても塩田にがりと同様のことが言える。

    【0010】グルコノデルタラクトンや石膏は、大豆たんぱく質の凝固時間が長いため、上記いずれの豆腐製造装置にも使用することができるが、前述の如く食味が劣るために、にがりや塩化マグネシウムと併用されているのが現状である。

    【0011】以上述べたように、現状においては、消費者のニーズに応える物性と食味と風味をもつ豆腐を工業的に製造することは極めて困難であるといえる。

    【0012】本発明は上記従来の問題点を解決し、塩田にがりによる木綿豆腐の食味とミネラルを含有する豊かな風味特性と、グルコノデルタラクトンなどによる充填絹ごし豆腐のもつソフトで滑らかな物性とを併せ持ち、
    現時点において最も消費者から望まれる豆腐を半連続式木綿豆腐装置又は連続充填式絹ごし豆腐装置を用いて、
    容易かつ効率的に、しかも衛生的に製造する方法を提供することを目的とする。

    【0013】

    【課題を解決するための手段】本発明の方法は、基本的には、大豆を浸漬、粉砕及び加熱した後おからを濾過分離して得られた豆乳に、凝固剤を添加して大豆たんぱく質を凝固させることにより豆腐を製造する方法であって、請求項1の方法においては、この凝固剤として、イオン交換膜法による製塩工程で得られるにがりに、アルカリ金属及び/又はカルシウム以外のアルカリ土類金属の硫酸塩の1種又は2種以上を添加して反応させ、該にがりに含まれているカルシウムイオンの少なくとも一部を除去した溶液を用いることを特徴とする。

    【0014】請求項2の方法においては、凝固剤として、イオン交換膜法による製塩工程で得られるにがりに、アルカリ金属及び/又はカルシウム以外のアルカリ土類金属の硫酸塩の1種又は2種以上を添加して反応させて得られる石膏を用いることを特徴とする。

    【0015】請求項3の方法においては、凝固剤として、イオン交換膜法による製塩工程で得られるにがりに、アルカリ金属及び/又はカルシウム以外のアルカリ土類金属の硫酸塩の1種又は2種以上を添加して反応させ、該にがりに含まれているカルシウムイオンの少なくとも一部を除去した溶液と、該反応で得られる石膏とを併用することを特徴とする。

    【0016】請求項4の方法においては、凝固剤として、イオン交換膜法による製塩工程で得られるにがりを濃縮して得られるカーナライトに加水して得られる貧カルシウムイオンの溶液を用いることを特徴とする。

    【0017】請求項5の方法においては、凝固剤として、イオン交換膜法による製塩工程で得られるにがりを濃縮して得られるカーナライトに加水して得られる貧カルシウムイオンの溶液に、塩化ナトリウムを添加することにより得られる溶液を用いることを特徴とする。

    【0018】請求項6の方法においては、凝固剤として、イオン交換膜法による製塩工程で得られるにがりに塩化マグネシウムと塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウムとを添加することにより得られる貧カルシウムイオンの溶液を用いることを特徴とする。

    【0019】以下に本発明を詳細に説明する。

    【0020】本発明の請求項1〜3の方法においては、
    イオン交換膜法による製塩工程で得られるにがり、詳しくは、イオン交換膜電気透析法により海水を濃縮して製塩する際に得られる、いわゆるイオン交換膜法にがりに、アルカリ金属及び/又はカルシウム以外のアルカリ土類金属の硫酸塩の1種又は2種以上を添加して反応させ、にがりに含まれているCaイオンの少なくとも一部を除去する。

    【0021】ここで使用されるアルカリ金属の硫酸塩としてはK 2 SO 4 ,Na 2 SO 4が挙げられる。 また、
    アルカリ土類金属の硫酸塩としてはカルシウム以外のもの、例えば、MgSO 4が挙げられる。

    【0022】これにより、イオン交換膜法にがり中のC
    aCl 2は、アルカリ金属の硫酸塩であるK 2 SO 4
    Na 2 SO 4又はアルカリ土類金属の硫酸塩であるMg
    SO 4と下記(1),(2),(3)式のように反応し、CaイオンはCaSO 4・2H 2 O(二水石膏)として沈殿除去される。 一方、ClイオンはそれぞれKC
    l,NaCl,MgCl 2に変化する。

    【0023】

    【化1】

    【0024】この反応は常温において速やかに進行し、
    約30〜60分程度で終了させることができる。 しかして、K 2 SO 4 ,Na 2 SO 4 ,MgSO 4等の硫酸塩を反応当量添加した場合には、Caイオンの除去率は9
    0%程度となる。 また、反応当量以上、例えば2倍当量添加した場合にはほぼ100%の除去率となり、更に過剰のK 2 SO 4 ,Na 2 SO 4 ,MgSO 4が溶液中に溶存することになる。

    【0025】なお、これらの硫酸塩は、通常の場合、水に溶解させて水溶液として添加するのが好ましい。

    【0026】請求項1の方法においては、このような脱カルシウム処理により得られるにがりを凝固剤として使用する。 このにがりの成分は、例えば、上記反応式(1),(2),(3)式に従って、CaCl 2がKC
    l,NaCl又はMgCl 2に変化したものとなり、これらを反応当量以上に添加した場合にはこれに過剰分の硫酸塩が更に溶存するものとなる。 従って、K 2 SO
    4 ,Na 2 SO 4 ,MgSO 4等の硫酸塩の添加量を調整することにより、また、硫酸塩として2種以上の硫酸塩を併用添加し、各々の添加量を調整することにより、
    様々な成分よりなるにがりが得られる。

    【0027】請求項2の方法においては、上記脱カルシウム処理で沈殿する石膏を凝固剤として用いる。 なお、
    ここで得られる石膏は、上記のにがりを付着液として有する、豆腐凝固剤として最適の二水石膏(CaSO 4
    2H 2 O)の粒径30〜60μmの針状結晶である。

    【0028】請求項3の方法においては、上記請求項1
    の方法に係る脱カルシウムにがりと、請求項2の方法に係る石膏とを併用する。

    【0029】本発明の方法において、凝固剤としてのにがり及び/又は石膏の使用割合としては、例えば、次のような割合とされる。

    【0030】即ち、請求項1の方法において、脱カルシウムにがりの添加量は、大豆から常法に従って得られた豆乳1リットルに対して12〜15g程度とされる。

    【0031】請求項2の方法において、脱カルシウム処理で得られる石膏の添加量は、大豆から常法に従って得られた豆乳1リットルに対して3〜5g程度とされる。

    【0032】請求項3の方法において、脱カルシウムにがりと脱カルシウム処理で得られる石膏の添加量は、大豆から常法に従って得られた豆乳1リットルに対してにがり4〜6g,石膏2〜3gとされる。

    【0033】請求項4,5の方法においては、まず、後述表1のイオン交換膜法にがりを1.3〜1.8倍程度に蒸発濃縮後冷却して固液分離することによりカーナライトを得る。

    【0034】このカーナライトは通常 MgCl 2 21重量% CaCl 2 1重量% KCl 28重量% NaCl 21重量% H 2 O 29重量% 程度の組成を有する。 次いで、このカーナライトに対して25〜40重量%の水を添加して不溶分を分離除去して貧カルシウムイオンの溶液を得る。

    【0035】請求項4の方法においては、この貧カルシウムイオンの溶液を、大豆から常法に従って得られた豆乳1リットルに対して好ましくは5〜7g程度添加する。

    【0036】請求項5の方法においては、上記貧カルシウムイオンの溶液に更に塩化ナトリウムを溶解させたものを用いる。 この塩化ナトリウムは予め水に溶解させて、上記貧カルシウムイオン溶液に添加しても良く、また、貧カルシウムイオン溶液に添加した後必要に応じて水を添加するなどして溶解させても良い。

    【0037】なお、塩化ナトリウムは、貧カルシウムイオン溶液1リットルに対して塩化ナトリウム20〜60
    g及び水0.2〜0.6リットルの割合で溶解後添加又は添加後溶解させるのが好ましい。

    【0038】請求項5の方法において、この貧カルシウムイオン溶液に塩化ナトリウムを添加してなる溶液の添加量は、大豆から常法に従って得られた豆乳1リットルに対して好ましくは5〜7g程度とする。

    【0039】請求項6の方法においては、前記イオン交換膜法にがりに、塩化マグネシウムと塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウムとを添加して得られる貧カルシウムイオンの溶液を用いる。 この場合、塩化マグネシウムと塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウムは、予め水に溶解させて、イオン交換膜法にがりに添加しても良く、
    また、イオン交換膜法にがりに添加した後必要に応じて水を添加するなどして溶解させても良い。

    【0040】なお、塩化マグネシウムと塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウムは、イオン交換膜法にがり1リットルに対して塩化マグネシウム500〜1500g、
    塩化ナトリウム250〜750g及び/又は塩化カリウム100〜300g及び水1.5〜4.5リットルの割合で溶解後添加又は添加後溶解させるのが好ましい。

    【0041】請求項6の方法において、このイオン交換膜法にがりに塩化マグネシウムと塩化ナトリウム及び/
    又は塩化カリウムとを添加してなる溶液の添加量は、大豆から常法に従って得られた豆乳1リットルに対して好ましくは5〜7g程度とする。

    【0042】本発明の方法は、通常の豆腐工場における半連続式木綿豆腐又は連続充填式絹ごし豆腐の製造ラインに良好に適用可能である。

    【0043】

    【作用】下記表1に塩田にがりとイオン交換膜法にがりの成分組成を示す。

    【0044】

    【表1】

    【0045】塩田にがりは海水がそのまま塩田において常温で濃縮されて作られるが、イオン交換膜法にがりは海水が海砂とイオン交換膜により濾過されることにより、海水汚染の影響が排除され、かつ、蒸発缶において最高温度130℃で濃縮されて作られるため、塩田にがりに比べて、食品衛生的に優れている。 また組成も塩田にがりに比べて年間を通じて比較的安定している。

    【0046】更に、表1に示す主成分の一つであるCa
    Cl 2は大豆たんぱく質の凝固を促進する成分であることから、イオン交換膜法にがりを豆腐用にがりとして改質できるならば、著しく食品衛生的に優れ、品質のばらつきのない豆腐用にがりを、工業生産レベルにて安定供給することが可能である。

    【0047】しかしながら、実際には、イオン交換膜法にがりをそのまま豆腐凝固剤として用いた場合、大豆たんぱく質の凝固時間が過度に短く、しかも、物性的に硬く容量の小さい、また、味も不十分な豆腐しか得られないことが確認されていた。

    【0048】本発明者は、にがりに含まれる成分の豆腐用凝固剤としての作用について検討し、MgCl 2は酸性のために大豆たんぱく質の凝固を促進するが豆腐の風味を良くすること、CaCl 2はMgCl 2と同様に凝固を促進するが特有の刺激的な味のため豆腐の風味を低下させること、NaClはMgCl 2の大豆たんぱく質の凝固を促進する作用を阻害すると共に豆腐に塩味を付与し、KClはNaClと同様の作用をもつが風味に劣ること、また、これらの成分の混合とその割合によって、豆腐の味と物性が変化することを確認した。

    【0049】これらの観点からイオン交換膜法にがりの改質について検討し、主成分の一つであるCaCl 2
    が、豆腐用凝固剤として好ましからざる成分であることから、これを除去して有用な成分に変化させるべく種々研究を行なった結果、イオン交換膜法にがり中のCaC
    2をアルカリ金属及び/又はカルシウム以外のアルカリ土類金属の硫酸塩と反応させ、CaSO 4・2H 2
    (二水石膏)として沈殿除去することにより、高特性豆腐用にがりが得られること、及び、この脱カルシウム処理で得られた二水石膏もまた豆腐用凝固剤として有効であることを見出した。

    【0050】また、イオン交換膜法にがりを濃縮して得られるカーナライトに加水して得られる貧カルシウムイオン溶液、或いは、該貧カルシウムイオン溶液に塩化ナトリウムを添加した溶液、或いは、イオン交換膜法にがりに塩化マグネシウムと塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウムとを添加して得られる貧カルシウムイオン溶液もまた豆腐用凝固剤として有効であることを見出した。

    【0051】本発明において、イオン交換膜法にがりを脱カルシウム処理して得られるにがりを凝固剤として用いることにより、従来にないソフトで滑らかな舌ざわりと優れた食味と風味を有する豆腐を製造することができる。

    【0052】また、上記脱カルシウム処理で得られる石膏を凝固剤として用いた場合には、独特の物性と食味を有する豆腐が得られる。

    【0053】更に、凝固剤としてこれらの脱カルシウムにがりと石膏とを併用することにより、両者の混合比に応じた様々な物性と食味、風味を有する豆腐を得ることができる。

    【0054】一方、カーナライトに加水して得られる貧カルシウムイオン溶液を凝固剤として用いることにより、上記脱カルシウム処理で得られるにがりに比べて、
    やや固く木目が荒い豆腐を得ることができる。

    【0055】更に、この貧カルシウムイオン溶液に塩化ナトリウムを添加した溶液を凝固剤として用いた場合には前記の貧カルシウムイオン溶液を凝固剤として用いた場合よりも、やや食味がすぐれた豆腐を得ることができる。

    【0056】また、イオン交換膜法にがりに塩化マグネシウムと塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウムとを添加して得られる貧カルシウムイオン溶液を凝固剤として用いた場合には上記脱カルシウム処理で得られるにがりに近い、物性と食味、風味の豆腐を得ることができる。

    【0057】

    【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら限定されるものではない。

    【0058】実施例1 K 2 SO 4 ,Na 2 SO 4又はMgSO 4のイオン交換膜法にがり中のCaイオン除去効果について検討するために、イオン交換膜法にがり1リットルに対して、K 2
    SO 4 ,Na 2 SO 4・10H 2 O又はMgSO 4・7
    2 Oの反応当量分をそれぞれ水で溶解して1リットルとして添加した。 反応は室温でマグネチックスターラーを用いて30分間撹拌して行なった。

    【0059】その結果を表2に示す。

    【0060】表2より明らかなように、本発明によれば、実用的な、室温、30分の反応により、硫酸塩の反応当量添加で、イオン交換膜法にがり中のCaイオンの90%近くを除去できる。

    【0061】

    【表2】

    【0062】実施例2 K 2 SO 4 ,Na 2 SO 4又はMgSO 4の添加量を反応当量の2倍とし、他の実験条件は実施例1と同条件で行なって、Caイオン除去率を調べた。

    【0063】結果を表3に示す。

    【0064】表3より明らかなように、硫酸塩の添加量を反応当量の2倍にした場合には、いずれの場合にも、
    イオン交換膜法にがり中のCaイオンの98%以上を除去することができる。

    【0065】

    【表3】

    【0066】実施例3 にがり中のCaイオンの除去に及ぼす反応温度と反応時間の影響を調べるために、実施例1と同様の実験条件において、添加剤としてNa 2 SO 4を用い、反応時間及び温度を表4に示す条件としたこと以外は同様にしてC
    aイオン除去率を調べ、結果を表4に示した。

    【0067】表4より明らかなように、反応当量添加において反応時間を1時間に延長してもCaイオン除去率に差はなく、反応温度については添加剤の溶解熱吸収による10℃の温度低下も、Caイオン除去率に殆ど影響しない。

    【0068】

    【表4】

    【0069】実施例4〜7 イオン交換膜法にがり中に表5に示す硫酸塩をCaCl
    2に対して当量添加(実施例7においては各硫酸塩を0.5当量ずつ、合計で当量)して実施例1と同様にして処理を行なって、各々、表5に示す成分組成及びpH
    の溶液を得た。

    【0070】この溶液を凝固剤として用い各々豆腐の試作を行なった。 方法は国産大豆を洗浄後、10時間水に浸漬したのち、粉砕,加熱,煮沸し、濾過して得たブリックス濃度12%の豆乳1リットルを70℃に加熱し、
    表6に示す量の凝固剤をそれぞれ一度に添加撹拌して、
    大豆たんぱく質を凝固させて豆腐とした。

    【0071】得られた豆腐の物性、食味を表6に示す。

    【0072】比較のため、イオン交換膜法にがり(比較例1)及び塩田にがり(比較例2)についても同様に行なって、その物性、食味を表6に示した。

    【0073】

    【表5】

    【0074】

    【表6】

    【0075】表5に示すように、調製した溶液の成分は使用するカルシウム除去剤の硫酸塩の種類によって変化し、pHについては処理による変化が少なく、いずれも7付近であった。

    【0076】また、表6に示すように、試作豆腐の品質もカルシウム除去剤の種類によって特色あるものに変化したが、いずれも無処理のイオン交換膜法にがりを用いる場合(比較例1)に比べて品質的に向上した。 特に、
    Na 2 SO 4を用いた場合(実施例5)には、色調よくソフトで滑らかな舌ざわりと独特の風味と甘味をもち、
    豆腐の容量も最大であった。 大豆たんぱく質の凝固については、無処理の場合(比較例1)には2〜3秒間で凝固して木目の荒い豆腐となったが、本発明に従って脱カルシウム処理したもの(実施例4〜7)においては、いずれも凝固時間が5〜10秒に延長され、特にNa 2
    4を用いた場合(実施例5)にはこの傾向が著しかった。

    【0077】実施例8 イオン交換膜法の製塩工場から得られたにがり(表7の無処理A)とこれを濃縮したにがり(表7の無処理B)
    とについて、実施例1の方法と同様にして脱カルシウム処理を行ない、表7に示す12種類の豆腐凝固用にがりを調製した。 そして、これらを用いて半連続式の木綿豆腐製造ラインで豆腐を試製した。

    【0078】脱カルシウム処理は、当量添加では食品添加用のK 2 SO 4 ,Na 2 SO 4・10H 2 O,MgS
    4・7H 2 Oを単独又は混合して、その反応当量相当量をにがりとほぼ同量の水道水に溶解して添加し、常温で30r.pm で30分間反応させた後、定性用濾紙を用いて生成した石膏を吸引濾過して行なった。 2倍当量添加では当量添加処理したにがりに、さらに当量相当量のNa 2 SO 4・10H 2 OあるいはMgSO 4・7H 2
    Oの固体を添加し、常温で30r.pm で30分間反応させ、同様に石膏を分離して調製した。

    【0079】なお、表7において、No. 2〜7は、無処理Aを原料として行なったものであり、No. 9〜1
    4は無処理Bを原料として行なったものである。

    【0080】得られた溶液の成分組成及びpHを表7に示す。

    【0081】なお、比較のため、塩化マグネシウム+グルコノデルタラクトン凝固剤を用いた豆腐も用意した。

    【0082】

    【表7】

    【0083】木綿豆腐の製造は豆乳20リットル収容の容器を8個もつ装置を用い、表7のNo. 1〜15を各々ブリックス濃度12%,70℃の豆乳に一度に添加し自動的に撹拌し凝固させた。 その後の箱盛り,水切り,
    カット,水晒し工程は常法によった。 これらの工程は約70分である。

    【0084】凝固剤添加量と豆腐工場従業員による試製豆腐の品質の評価を表8に示す。

    【0085】いずれの凝固剤についても、実際の豆腐工場の設備及び製造条件を何ら変更することなく試製することができた。 原料にがりについてはNo. 1〜7に使用したにがりよりも、これをさらに濃縮したNo. 8〜
    14のにがりの場合が、試製豆腐の物性,食味がよい結果を得た。

    【0086】また、No. 2〜7,9〜14の本発明による凝固剤を用いた場合、脱カルシウム剤の種類によってそれぞれ特色をもつ品質の豆腐が得られたが、特にN
    o. 10,No. 13のNa 2 SO 4処理の場合に物性,食味のすぐれた豆腐が得られ、これは対照とした実際商品(No.15)のMgCl 2とGDLを用いた豆腐よりもよい評価を得た。

    【0087】

    【表8】

    【0088】実施例9 実施例8の結果から、Na 2 SO 4当量処理(No.1
    0)及び2倍当量処理(No.13)がよい結果を示したので、次にNa 2 SO 4当量処理にがり(No.1
    0)について、実施例8と同じ方法で凝固剤添加量と豆腐品質との関係について試験した。

    【0089】その結果を表9に示す。 なお、表9には実際商品(No.15)を併記した。

    【0090】

    【表9】

    【0091】表9より、凝固剤添加量は250〜270
    mlが適当であり、本発明による凝固剤を用いた場合には全般的に豆腐の色は黄色を帯び、食味は特有の滑らかな舌ざわりと風味を示した。 総合的に対照の実際の商品(No.15)よりもよい品質で、絹ごし豆腐風の木綿豆腐との評価であった。

    【0092】実施例10 実施例8のNa 2 SO 4処理品(No.10)を用いて充填式絹ごし豆腐の製造試験を行った。 すなわち、ブリックス濃度12.5%,13リットルの豆乳に対して凝固温度88℃,40分,冷却15℃の通常の製造条件で連続的に製造した。 一工程の所要時間は2時間である。
    凝固剤添加量と試験豆腐の品質を表10に示す。

    【0093】実際商品として、凝固剤にGDLを用いた豆腐の品質を表10,No. 22に併記した。

    【0094】

    【表10】

    【0095】本発明のにがりは連続式充填絹ごし豆腐製造ラインにおいて、グルコノデルタラクトンを凝固剤とする実際の商品(No.22)と同じ製造条件で、何ら支障なく絹ごし豆腐を製造することができた。

    【0096】また、凝固剤添加量150mlの場合(N
    o. 20)には、実施例8におけると同様に特有の滑らかな舌ざわりと風味をもつ製品が得られ、総合的な品質評価はグルコノデルタラクトンの場合よりも上位で、にがり豆腐の食味をもつ絹ごし豆腐の製造に成功した。

    【0097】実施例11 実施例8におけるNa 2 SO 4処理の際に生成した石膏を用いて、実施例8と同条件で木綿豆腐を試製した(N
    o. 23)。 石膏は生成物を脱水,洗浄,乾燥した純度98.5%の粒径20〜50μmの針状のCaSO 4
    2H 2 Oである。

    【0098】また、生成した石膏を脱水したままの状態、すなわち付着液としてにがりをもつ純度36.6%
    のものを凝固剤として、同じ条件で木綿豆腐を製造した(No.24)。

    【0099】試製豆腐の品質評価を表11に示す。

    【0100】

    【表11】

    【0101】表11に示すように、いずれの場合も工場の製造装置及び製造条件を何ら変更することなく試製することができた。 豆腐の品質は石膏のみの場合(No.
    23)には、市販の他の石膏凝固剤と同様との評価を得た。 また石膏とにがりの混合物の場合(No.24)には、石膏のみの場合に比べて食味が向上し、豆腐らしい風味をもつとの評価を得た。 この結果は本発明の石膏とにがりを混合することにより物性と食味の異なる木綿豆腐を製造し得ることを示した。

    【0102】実施例12 実施例8〜10によって、本発明のNa 2 SO 4当量処理溶液を凝固剤として使用して、これまでにない優れた物性と食味を持つ木綿及び充填絹ごし豆腐を製造できることを明らかにした。

    【0103】次に、Na 2 SO 4当量処理溶液にやや近い組成をもつ請求項4のカーナライトに加水して得られる貧カルシウムイオン溶液(表12,No.26)、前記貧カルシウムイオン溶液に塩化ナトリウムを添加した請求項5の溶液(表12,No.27)及び請求項6のイオン交換膜法にがりに水道水と食品添加用MgCl 2
    ・6H 2 O,NaCl,KClを添加、溶解して調製した貧カルシウムイオン溶液(表12,No.28)とについて、実施例8と同じ方法によって豆腐を製造して、
    その品質をNa 2 SO 4当量処理溶液(表12,No.
    25)と比較した。

    【0104】なお、No. 26で用いた貧カルシウムイオン溶液の調製方法は以下の通りである。

    【0105】即ち、イオン交換膜法にがりを1.5倍に蒸発濃縮後冷却し、これを固液分離して得られるカーナライト1kgに水330mlを加えて貧カルシウムイオン溶液とした。

    【0106】No. 27で用いた貧カルシウムイオン溶液の調整方法は以下の通りである。 即ち、No. 26の貧カルシウムイオン溶液1リットルに塩化ナトリウム4
    0g及び水400mlを加えて調製した。

    【0107】また、No. 28で用いた貧カルシウムイオン溶液の調製方法は以下の通りである。

    【0108】即ち、イオン交換膜法にがり1リットルにMgCl 2・6H 2 O 750g,NaCl 500
    g,KCl 150g及び水道水3リットルを添加して貧カルシウムイオン溶液とした。

    【0109】その結果は、表12に示すようにNo. 2
    6ではNo. 25にやや及ばないがNo. 28ではN
    o. 25に近い品質を示し、これらの貧カルシウムイオン溶液にも効果が認められた。

    【0110】

    【表12】

    【0111】

    【発明の効果】以上詳述した通り、請求項1の豆腐の製造方法によれば、適当な時間で大豆たんぱく質を凝固させることができ、ソフトで滑らかな舌ざわりと優れた食味及び風味を有する豆腐を製造することができる。

    【0112】請求項2の豆腐の製造方法によれば、独特の物性と優れた食味及び風味を有する豆腐を製造することができる。

    【0113】請求項3の豆腐の製造方法によれば、目的に応じた様々な物性と食味及び風味を有する豆腐を製造することができる。

    【0114】請求項4の豆腐の製造方法によれば、請求項1による脱カルシウム処理にがりに比べて、やや固く木目の荒い豆腐を製造することができる。

    【0115】請求項5の豆腐の製造方法によれば、請求項4のにがりを用いた場合に比べてやや食味のすぐれた豆腐を製造することができる。

    【0116】請求項6の豆腐の製造方法によれば、請求項1による脱カルシウム処理にがりを用いた場合と同様の豆腐を製造することができる。

    【0117】本発明の方法は、半連続式又は連続充填式豆腐製造装置に有効に適用可能であり、生産効率の面で優れる。 特に、本発明で用いる凝固剤は、イオン交換膜法にがりを原料とするため、食品衛生的にも優れた豆腐用凝固剤であって、特性の均一性にも優れ、工業的生産レベルにて安定に製造することができることからも極めて有利である。

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    【手続補正書】

    【提出日】平成5年7月7日

    【手続補正1】

    【補正対象書類名】明細書

    【補正対象項目名】全文

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【書類名】 明細書

    【発明の名称】 豆腐の製造方法

    【特許請求の範囲】

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【産業上の利用分野】本発明は豆腐の製造方法に係り、
    特に、従来、豆腐製造用に使用することが極めて困難であった、イオン交換膜法による製塩工程で得られるにがりを利用して、従来の一般の塩田にがりを用いた豆腐に比べて、使い易く食品衛生的にも優れ、しかもソフトで滑らかな物性を有し、優れた食味を有する豆腐を製造する方法に関する。

    【0002】

    【従来の技術】大豆は日本古来の食糧資源として極めて重要であり、最近では人口増加との関係から21世紀の食糧資源として国際的にも重要視されている。 しかして、大豆から作られる食品の一つである豆腐は、成人病との関係から内外国で注目されている。

    【0003】豆腐は、大豆から豆乳を調製した後、これに製造する豆腐の種類に応じた凝固剤を添加して、大豆に含まれているたんぱく質や油脂を凝固させ、成形して製造されている。

    【0004】現在、凝固剤としては、古くからの塩田にがりをはじめとして、塩化マグネシウム、石膏、グルコノデルタラクトン(GDL)などが用いられている。

    【0005】

    【発明が解決しようとする課題】上記従来の凝固剤のうち、塩田にがりを凝固剤として用いた場合には、にがり中のミネラルが付加され、大豆の風味と甘味が生かされた味の良好な豆腐を製造できる。 しかし、塩田にがりを凝固剤として用いた場合には、凝固時間が短く、木目が荒く硬い豆腐となる。 このため、最近のソフトな感触の豆腐を好む消費者の要求に合致しないことから、この塩田にがり豆腐は現在豆腐市場の主流の座を失っている。

    【0006】また、塩化マグネシウムを凝固剤として用いた場合も、塩田にがりに類似した性状の豆腐が得られるが、食味は塩田にがりにおけるよりも劣っている。

    【0007】一方、グルコノデルタラクトンを凝固剤とした豆腐は、ソフトで滑らかな性状であるが、大豆の風味と甘味が失われ、食味は著しく低下する。

    【0008】石膏は、凝固剤としては、二水石膏(Ca
    SO 4・2H 2 O)が適当であるが、種々の種類、粒径の石膏が用いられている。 石膏を用いた場合には、大豆たんぱく質の凝固時間が長くなり、物性的に優れた豆腐が得られるが、食味はグルコノデルタラクトンと同様に劣っている。

    【0009】一方、これらの凝固剤について、実用規模の半連続式木綿豆腐製造装置又は連続充填式絹ごし豆腐製造装置への使用適性を検討すると、塩田にがりについては大豆たんぱく質の凝固時間が著しく短い欠点を補うために、凝固温度を通常よりも低く設定したり、豆乳ににがりを分割して添加するなどして、半連続装置で木綿豆腐を製造することができるが、連続式装置で絹ごし豆腐を製造することは困難である。 このため、塩田にがりとグルコノデルタラクトンや石膏などを併用することによって、充填式絹ごし豆腐を製造しているのが現状である。 塩化マグネシウムについても塩田にがりと同様のことが言える。

    【0010】グルコノデルタラクトンや石膏は、大豆たんぱく質の凝固時間が長いため、上記いずれの豆腐製造装置にも使用することができるが、前述の如く食味が劣るために、にがりや塩化マグネシウムと併用されているのが現状である。

    【0011】以上述べたように、現状においては、消費者のニーズに応える物性と食味と風味をもつ豆腐を工業的に製造することは極めて困難であるといえる。

    【0012】本発明は上記従来の問題点を解決し、塩田にがりによる木綿豆腐の食味とミネラルを含有する豊かな風味特性と、グルコノデルタラクトンなどによる充填絹ごし豆腐のもつソフトで滑らかな物性とを併せ持ち、
    現時点において最も消費者から望まれる豆腐を半連続式木綿豆腐装置又は連続充填式絹ごし豆腐装置を用いて、
    容易かつ効率的に、しかも衛生的に製造する方法を提供することを目的とする。

    【0013】

    【課題を解決するための手段】本発明の方法は、基本的には、大豆を浸漬、粉砕及び加熱した後おからを濾過分離して得られた豆乳に、凝固剤を添加して大豆たんぱく質を凝固させることにより豆腐を製造する方法であって、請求項1の方法においては、この凝固剤として、イオン交換膜法による製塩工程で得られるにがりに、アルカリ金属及び/又はカルシウム以外のアルカリ土類金属の硫酸塩の1種又は2種以上を添加して反応させ、該にがりに含まれているカルシウムイオンの少なくとも一部を除去した改質にがりを用いることを特徴とする。

    【0014】請求項2の方法においては、凝固剤として、イオン交換膜法による製塩工程で得られるにがりに、アルカリ金属及び/又はカルシウム以外のアルカリ土類金属の硫酸塩の1種又は2種以上を添加して反応させて得られる石膏を用いることを特徴とする。

    【0015】請求項3の方法においては、凝固剤として、イオン交換膜法による製塩工程で得られるにがりに、アルカリ金属及び/又はカルシウム以外のアルカリ土類金属の硫酸塩の1種又は2種以上を添加して反応させ、該にがりに含まれているカルシウムイオンの少なくとも一部を除去した改質にがりと、該反応で得られる石膏とを併用することを特徴とする。

    【0016】請求項4の方法においては、凝固剤として、イオン交換膜法による製塩工程で得られるにがりを濃縮して得られるカーナライトに加水して得られる貧カルシウムイオンの溶液を用いることを特徴とする。

    【0017】請求項5の方法においては、凝固剤として、イオン交換膜法による製塩工程で得られるにがりを濃縮して得られるカーナライトに加水して得られる貧カルシウムイオンの溶液に、塩化ナトリウムを添加することにより得られる溶液を用いることを特徴とする。

    【0018】請求項6の方法においては、凝固剤として、イオン交換膜法による製塩工程で得られるにがりに塩化マグネシウムと塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウムとを添加することにより得られる貧カルシウムイオンの溶液を用いることを特徴とする。

    【0019】以下に本発明を詳細に説明する。

    【0020】本発明の請求項1〜3の方法においては、
    イオン交換膜法による製塩工程で得られるにがり、詳しくは、イオン交換膜電気透析法により海水を濃縮して製塩する際に得られる、いわゆるイオン交換膜法にがりに、アルカリ金属及び/又はカルシウム以外のアルカリ土類金属の硫酸塩の1種又は2種以上を添加して反応させ、にがりに含まれているCaイオンの少なくとも一部を除去する。

    【0021】ここで使用されるアルカリ金属の硫酸塩としてはK 2 SO 4 ,Na 2 SO 4が挙げられる。 また、
    アルカリ土類金属の硫酸塩としてはカルシウム以外のもの、例えば、MgSO 4が挙げられる。

    【0022】これにより、イオン交換膜法にがり中のC
    aCl 2は、アルカリ金属の硫酸塩であるK 2 SO 4
    Na 2 SO 4又はアルカリ土類金属の硫酸塩であるMg
    SO 4と下記(1),(2),(3)式のように反応し、CaイオンはCaSO 4・2H 2 O(二水石膏)として沈殿除去される。 一方、ClイオンはそれぞれKC
    l,NaCl,MgCl 2に変化する。

    【0023】

    【化1】

    【0024】この反応は常温において速やかに進行し、
    約30〜60分程度で終了させることができる。 しかして、K 2 SO 4 ,Na 2 SO 4 ,MgSO 4等の硫酸塩を反応当量添加した場合には、Caイオンの除去率は9
    0%程度となる。 また、反応当量以上、例えば2倍当量添加した場合にはほぼ100%の除去率となり、更に過剰のK 2 SO 4 ,Na 2 SO 4 ,MgSO 4が溶液中に溶存することになる。

    【0025】なお、これらの硫酸塩は、通常の場合、水に溶解させて水溶液として添加するのが好ましい。

    【0026】請求項1の方法においては、このような脱カルシウム処理により得られる改質にがりを凝固剤として使用する。 この改質にがりの成分は、例えば、上記反応式(1),(2),(3)式に従って、CaCl 2がKCl,NaCl又はMgCl 2に変化したものとなり、これらを反応当量以上に添加した場合にはこれに過剰分の硫酸塩が更に溶存するものとなる。 従って、K 2
    SO 4 ,Na 2 SO 4 ,MgSO 4等の硫酸塩の添加量を調整することにより、また、硫酸塩として2種以上の硫酸塩を併用添加し、各々の添加量を調整することにより、様々な成分よりなるにがりが得られる。

    【0027】請求項2の方法においては、上記脱カルシウム処理で沈殿する石膏を凝固剤として用いる。 なお、
    ここで得られる石膏は、上記のにがりを付着液として有する、豆腐凝固剤として最適の二水石膏(CaSO 4
    2H 2 O)の粒径30〜60μmの針状結晶である。

    【0028】請求項3の方法においては、上記請求項1
    の方法に係る脱カルシウム改質にがりと、請求項2の方法に係る石膏とを併用する。

    【0029】本発明の方法において、凝固剤としての改質にがり及び/又は石膏の使用割合としては、例えば、
    次のような割合とされる。

    【0030】即ち、請求項1の方法において、後述の表1に示すようなイオン交換膜法にがりBを脱カルシウムした改質にがりの添加量は、大豆から常法に従って得られた豆乳1リットルに対して10〜14ml程度とされる。

    【0031】請求項2の方法において、脱カルシウム処理で得られる石膏の添加量は、大豆から常法に従って得られた豆乳1リットルに対して3〜5g程度とされる。

    【0032】請求項3の方法において、表1に示すようなイオン交換膜法にがりBを脱カルシウムした改質にがりと脱カルシウム処理で得られる石膏の添加量は、大豆から常法に従って得られた豆乳1リットルに対して改質にがり3〜5ml,石膏2〜3gとされる。

    【0033】請求項4,5の方法においては、まず、表1に示すようなイオン交換膜法にがりAを1.3〜1.
    8倍程度に蒸発濃縮後冷却して固液分離することによりカーナライトを得る。

    【0034】このカーナライトは通常 MgCl 2 21重量% CaCl 2 1重量% KCl 28重量% NaCl 21重量% H 2 O 29重量% 程度の組成を有する。 次いで、このカーナライトに対して25〜40重量%の水を添加して不溶分を分離除去して貧カルシウムイオンの溶液を得る。

    【0035】請求項4の方法においては、この貧カルシウムイオンの溶液を、大豆から常法に従って得られた豆乳1リットルに対して好ましくは6〜8ml程度添加する。

    【0036】請求項5の方法においては、上記貧カルシウムイオンの溶液に更に塩化ナトリウムを溶解させたものを用いる。 この塩化ナトリウムは予め水に溶解させて、上記貧カルシウムイオン溶液に添加しても良く、また、貧カルシウムイオン溶液に添加した後必要に応じて水を添加するなどして溶解させても良い。

    【0037】なお、塩化ナトリウムは、貧カルシウムイオン溶液1リットルに対して塩化ナトリウム20〜60
    g及び水0.2〜0.6リットルの割合で溶解後添加又は添加後溶解させるのが好ましい。

    【0038】請求項5の方法において、この貧カルシウムイオン溶液に塩化ナトリウムを添加してなる溶液の添加量は、大豆から常法に従って得られた豆乳1リットルに対して好ましくは6〜8ml程度とする。

    【0039】請求項6の方法においては、表1に示すようなイオン交換膜法にがりBに、塩化マグネシウムと塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウムとを添加して得られる貧カルシウムイオンの溶液を用いる。 この場合、塩化マグネシウムと塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウムは、予め水に溶解させて、イオン交換膜法にがりに添加しても良く、また、イオン交換膜法にがりに添加した後必要に応じて水を添加するなどして溶解させても良い。

    【0040】なお、塩化マグネシウムと塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウムは、イオン交換膜法にがり1リットルに対して塩化マグネシウム1000〜4500
    g、塩化ナトリウム250〜1130g及び/又は塩化カリウム75〜340g及び水2.0〜9.0リットルの割合で溶解後添加又は添加後溶解させるのが好ましい。

    【0041】請求項6の方法において、このイオン交換膜法にがりに塩化マグネシウムと塩化ナトリウム及び/
    又は塩化カリウムとを添加してなる溶液の添加量は、大豆から常法に従って得られた豆乳1リットルに対して好ましくは6〜8ml程度とする。

    【0042】本発明の方法は、通常の豆腐工場における半連続式木綿豆腐又は連続充填式絹ごし豆腐の製造ラインに良好に適用可能である。

    【0043】

    【作用】下記表1に塩田にがりとイオン交換膜法にがりの成分組成を示す。

    【0044】

    【表1】

    【0045】塩田にがりは海水がそのまま塩田において常温で濃縮されて作られるが、イオン交換膜法にがりは海水が海砂とイオン交換膜により濾過されることにより、海水汚染の影響が排除され、かつ、蒸発缶において最高温度130℃で濃縮されて作られるため、塩田にがりに比べて、食品衛生的に優れている。 また組成も塩田にがりに比べて年間を通じて比較的安定している。

    【0046】更に、表1に示す主成分の一つであるCa
    Cl 2は大豆たんぱく質の凝固を促進する成分であることから、イオン交換膜法にがりを豆腐用にがりとして改質できるならば、著しく食品衛生的に優れ、品質のばらつきのない豆腐用にがりを、工業生産レベルにて安定供給することが可能である。

    【0047】しかしながら、実際には、イオン交換膜法にがりをそのまま豆腐凝固剤として用いた場合、大豆たんぱく質の凝固時間が過度に短く、しかも、物性的に硬く容量の小さい、また、味も不十分な豆腐しか得られないことが確認されていた。

    【0048】本発明者は、にがりに含まれる成分の豆腐用凝固剤としての作用について検討し、MgCl 2は酸性のために大豆たんぱく質の凝固を促進するが豆腐の風味を良くすること、CaCl 2はMgCl 2と同様に凝固を促進するが特有の刺激的な味のため豆腐の風味を低下させること、NaClはMgCl 2の大豆たんぱく質の凝固を促進する作用を阻害すると共に豆腐に塩味を付与し、KClはNaClと同様の作用をもつが風味に劣ること、また、これらの成分の混合とその割合によって、豆腐の味と物性が変化することを確認した。

    【0049】これらの観点からイオン交換膜法にがりの改質について検討し、主成分の一つであるCaCl 2
    が、豆腐用凝固剤として好ましからざる成分であることから、これを除去して有用な成分に変化させるべく種々研究を行なった結果、イオン交換膜法にがり中のCaC
    2をアルカリ金属及び/又はカルシウム以外のアルカリ土類金属の硫酸塩と反応させ、CaSO 4・2H 2
    (二水石膏)として沈殿除去することにより、高特性豆腐用にがりが得られること、及び、この脱カルシウム処理で得られた二水石膏もまた豆腐用凝固剤として有効であることを見出した。

    【0050】また、イオン交換膜法にがりを濃縮して得られるカーナライトに加水して得られる貧カルシウムイオン溶液、或いは、該貧カルシウムイオン溶液に塩化ナトリウムを添加した溶液、或いは、イオン交換膜法にがりに塩化マグネシウムと塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウムとを添加して得られる貧カルシウムイオン溶液もまた豆腐用凝固剤として有効であることを見出した。

    【0051】本発明において、イオン交換膜法にがりを脱カルシウム処理して得られる改質にがりを凝固剤として用いることにより、従来にないソフトで滑らかな舌ざわりと優れた食味と風味を有する豆腐を製造することができる。

    【0052】また、上記脱カルシウム処理で得られる石膏を凝固剤として用いた場合には、独特の物性と食味を有する豆腐が得られる。

    【0053】更に、凝固剤としてこれらの脱カルシウム改質にがりと石膏とを併用することにより、両者の混合比に応じた様々な物性と食味、風味を有する豆腐を得ることができる。

    【0054】一方、カーナライトに加水して得られる貧カルシウムイオン溶液を凝固剤として用いることにより、上記脱カルシウム処理で得られるにがりに比べて、
    やや固く木目が荒い豆腐を得ることができる。

    【0055】更に、この貧カルシウムイオン溶液に塩化ナトリウムを添加した溶液を凝固剤として用いた場合には前記の貧カルシウムイオン溶液を凝固剤として用いた場合よりも、やや食味がすぐれた豆腐を得ることができる。

    【0056】また、イオン交換膜法にがりに塩化マグネシウムと塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウムとを添加して得られる貧カルシウムイオン溶液を凝固剤として用いた場合には上記脱カルシウム処理で得られるにがりに近い、物性と食味、風味の豆腐を得ることができる。

    【0057】

    【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら限定されるものではない。

    【0058】実施例1 K 2 SO 4 ,Na 2 SO 4又はMgSO 4のイオン交換膜法にがり中のCaイオン除去効果について検討するために、表1のイオン交換膜法にがりB1リットルに対して、K 2 SO 4 ,Na 2 SO 4・10H 2 O又はMgS
    4・7H 2 Oの反応当量分をそれぞれ水で溶解して1
    リットルとして添加した。 反応は室温でマグネチックスターラーを用いて30分間撹拌して行なった。

    【0059】その結果を表2に示す。

    【0060】表2より明らかなように、本発明によれば、実用的な、室温、30分の反応により、硫酸塩の反応当量添加で、イオン交換膜法にがり中のCaイオンの90%近くを除去できる。

    【0061】

    【表2】

    【0062】実施例2 K 2 SO 4 ,Na 2 SO 4又はMgSO 4の添加量を反応当量の2倍とし、他の実験条件は実施例1と同条件で行なって、Caイオン除去率を調べた。

    【0063】結果を表3に示す。

    【0064】表3より明らかなように、硫酸塩の添加量を反応当量の2倍にした場合には、いずれの場合にも、
    イオン交換膜法にがり中のCaイオンの98%以上を除去することができる。

    【0065】

    【表3】

    【0066】実施例3 にがり中のCaイオンの除去に及ぼす反応温度と反応時間の影響を調べるために、実施例1と同様の実験条件において、添加剤としてNa 2 SO 4を用い、反応時間及び温度を表4に示す条件としたこと以外は同様にしてC
    aイオン除去率を調べ、結果を表4に示した。

    【0067】表4より明らかなように、反応当量添加において反応時間を1時間に延長してもCaイオン除去率に差はなく、反応温度については添加剤の溶解熱吸収による10℃の温度低下も、Caイオン除去率に殆ど影響しない。

    【0068】

    【表4】

    【0069】実施例4〜7 表1のイオン交換膜法にがりB中に表5に示す硫酸塩をCaCl 2に対して当量添加(実施例7においては各硫酸塩を0.5当量ずつ、合計で当量)して実施例1と同様にして処理を行なって、各々、表5に示す成分組成及びpHの溶液を得た。

    【0070】この溶液を凝固剤として用い各々豆腐の試作を行なった。 方法は国産大豆を洗浄後、10時間水に浸漬したのち、粉砕,加熱,煮沸し、濾過して得たブリックス濃度12%の豆乳1リットルを70℃に加熱し、
    表6に示す量の凝固剤をそれぞれ一度に添加撹拌して、
    大豆たんぱく質を凝固させて豆腐とした。

    【0071】得られた豆腐の物性、食味を表6に示す。

    【0072】比較のため、にがりB(比較例1)及び塩田にがり(比較例2)についても同様に行なって、その物性、食味を表6に示した。

    【0073】

    【表5】

    【0074】

    【表6】

    【0075】表5に示すように、調製した溶液の成分は使用するカルシウム除去剤の硫酸塩の種類によって変化し、pHについては処理による変化が少なく、いずれも7付近であった。

    【0076】また、表6に示すように、試作豆腐の品質もカルシウム除去剤の種類によって特色あるものに変化したが、いずれも無処理のイオン交換膜法にがりを用いる場合(比較例1)に比べて品質的に向上した。 特に、
    Na 2 SO 4を用いた場合(実施例5)には、色調よくソフトで滑らかな舌ざわりと独特の風味と甘味をもち、
    豆腐の容量も最大であった。 大豆たんぱく質の凝固については、無処理の場合(比較例1)には2〜3秒間で凝固して木目の荒い豆腐となったが、本発明に従って脱カルシウム処理したもの(実施例4〜7)においては、いずれも凝固時間が5〜10秒に延長され、特にNa 2
    4を用いた場合(実施例5)にはこの傾向が著しかった。

    【0077】実施例8 イオン交換膜法の製塩工場から得られたにがり(表1のイオン交換膜法にがりA)とこれを濃縮したにがり(表1のイオン交換膜法にがりB)とについて、実施例1の方法と同様にして脱カルシウム処理を行ない、表7に示す12種類の豆腐凝固用にがりを調製した。 そして、これらを用いて半連続式の木綿豆腐製造ラインで豆腐を試製した。

    【0078】脱カルシウム処理は、当量添加では食品添加用のK 2 SO 4 ,Na 2 SO 4・10H 2 O,MgS
    4・7H 2 Oを単独又は混合して、その反応当量相当量をにがりとほぼ同量の水道水に溶解して添加し、常温で30r.pm で30分間反応させた後、定性用濾紙を用いて生成した石膏を吸引濾過して行なった。 2倍当量添加では当量添加処理したにがりに、さらに当量相当量のNa 2 SO 4・10H 2 OあるいはMgSO 4・7H 2
    Oの固体を添加し、常温で30r.pm で30分間反応させ、同様に石膏を分離して調製した。

    【0079】なお、表7において、No. 2〜7は、にがりAを原料として行なったものであり、No. 9〜1
    4はにがりBを原料として行なったものである。

    【0080】得られた溶液の成分組成及びpHを表7に示す。

    【0081】なお、比較のため、塩化マグネシウム+グルコノデルタラクトン凝固剤を用いた豆腐も用意した。

    【0082】

    【表7】

    【0083】木綿豆腐の製造は豆乳20リットル収容の容器を8個もつ装置を用い、表7のNo. 1〜15を各々ブリックス濃度12%,70℃の豆乳に一度に添加し自動的に撹拌し凝固させた。 その後の箱盛り,水切り,
    カット,水晒し工程は常法によった。 これらの工程は約70分である。

    【0084】凝固剤添加量と豆腐工場従業員による試製豆腐の品質の評価を表8に示す。

    【0085】いずれの凝固剤についても、実際の豆腐工場の設備及び製造条件を何ら変更することなく試製することができた。 原料にがりについてはNo. 1〜7に使用したにがりAよりも、これをさらに濃縮したNo. 8
    〜14のにがりBの場合が、試製豆腐の物性,食味がよい結果を得た。

    【0086】また、No. 2〜7,9〜14の本発明による凝固剤を用いた場合、脱カルシウム剤の種類によってそれぞれ特色をもつ品質の豆腐が得られたが、特にN
    o. 10,No. 13のNa 2 SO 4処理の場合に物性,食味のすぐれた豆腐が得られ、これは対照とした実際商品(No.15)のMgCl 2とGDLを用いた豆腐よりもよい評価を得た。

    【0087】

    【表8】

    【0088】実施例9 実施例8の結果から、Na 2 SO 4当量処理(No.1
    0)及び2倍当量処理(No.13)がよい結果を示したので、次にNa 2 SO 4当量処理にがり(No.1
    0)について、実施例8と同じ方法で凝固剤添加量と豆腐品質との関係について試験した。

    【0089】その結果を表9に示す。 なお、表9には実際商品(No.15)を併記した。

    【0090】

    【表9】

    【0091】表9より、凝固剤添加量は250〜270
    mlが適当であり、本発明による凝固剤を用いた場合には全般的に豆腐の色は黄色を帯び、食味は特有の滑らかな舌ざわりと風味を示した。 総合的に対照の実際の商品(No.15)よりもよい品質で、絹ごし豆腐風の木綿豆腐との評価であった。

    【0092】実施例10 実施例8のNa 2 SO 4処理品(No.10)を用いて充填式絹ごし豆腐の製造試験を行った。 すなわち、ブリックス濃度12.5%,13リットルの豆乳に対して凝固温度88℃,40分,冷却15℃の通常の製造条件で連続的に製造した。 一工程の所要時間は2時間である。
    凝固剤添加量と試験豆腐の品質を表10に示す。

    【0093】実際商品として、凝固剤にGDLを用いた豆腐の品質を表10,No. 22に併記した。

    【0094】

    【表10】

    【0095】本発明のにがりは連続式充填絹ごし豆腐製造ラインにおいて、グルコノデルタラクトンを凝固剤とする実際の商品(No.22)と同じ製造条件で、何ら支障なく絹ごし豆腐を製造することができた。

    【0096】また、凝固剤添加量150mlの場合(N
    o. 20)には、実施例8におけると同様に特有の滑らかな舌ざわりと風味をもつ製品が得られ、総合的な品質評価はグルコノデルタラクトンの場合よりも上位で、にがり豆腐の食味をもつ絹ごし豆腐の製造に成功した。

    【0097】実施例11 実施例8におけるNa 2 SO 4処理の際に生成した石膏を用いて、実施例8と同条件で木綿豆腐を試製した(N
    o. 23)。 石膏は生成物を脱水,洗浄,乾燥した純度98.5%の粒径20〜50μmの針状のCaSO 4
    2H 2 Oである。

    【0098】また、生成した石膏を脱水したままの状態、すなわち付着液として改質にがりをもつ純度36.
    6%のものを凝固剤として、同じ条件で木綿豆腐を製造した(No.24)。

    【0099】試製豆腐の品質評価を表11に示す。

    【0100】

    【表11】

    【0101】表11に示すように、いずれの場合も工場の製造装置及び製造条件を何ら変更することなく試製することができた。 豆腐の品質は石膏のみの場合(No.
    23)には、市販の他の石膏凝固剤と同様との評価を得た。 また石膏と改質にがりの混合物の場合(No.2
    4)には、石膏のみの場合に比べて食味が向上し、豆腐らしい風味をもつとの評価を得た。 この結果は本発明の石膏と改質にがりを混合することにより物性と食味の異なる木綿豆腐を製造し得ることを示した。

    【0102】実施例12 実施例8〜10によって、本発明のNa 2 SO 4当量処理溶液を凝固剤として使用して、これまでにない優れた物性と食味を持つ木綿及び充填絹ごし豆腐を製造できることを明らかにした。

    【0103】次に、Na 2 SO 4当量処理溶液にやや近い組成をもつ請求項4のカーナライトに加水して得られる貧カルシウムイオン溶液(表12,No.26)、前記貧カルシウムイオン溶液に塩化ナトリウムを添加した請求項5の溶液(表12,No.27)及び請求項6のイオン交換膜法にがりに水道水と食品添加用MgCl 2
    ・6H 2 O,NaCl,KClを添加、溶解して調製した貧カルシウムイオン溶液(表12,No.28)とについて、実施例8と同じ方法によって豆腐を製造して、
    その品質をNa 2 SO 4当量処理溶液(表12,No.
    25)と比較した。

    【0104】なお、No. 26で用いた貧カルシウムイオン溶液の調製方法は以下の通りである。

    【0105】即ち、イオン交換膜法にがりを1.5倍に蒸発濃縮後冷却し、これを固液分離して得られるカーナライト1kgに水330mlを加えて貧カルシウムイオン溶液とした。

    【0106】No. 27で用いた貧カルシウムイオン溶液の調整方法は以下の通りである。 即ち、No. 26の貧カルシウムイオン溶液1リットルに塩化ナトリウム4
    0g及び水400mlを加えて調製した。

    【0107】また、No. 28で用いた貧カルシウムイオン溶液の調製方法は以下の通りである。

    【0108】即ち、表1のイオン交換膜法にがりB1リットルにMgCl 2・6H 2 O 2000g,NaCl
    500g,KCl 150g及び水道水4リットルを添加して貧カルシウムイオン溶液とした。

    【0109】その結果は、表12に示すようにNo. 2
    6ではNo. 25にやや及ばないがNo. 28ではN
    o. 25に近い品質を示し、これらの貧カルシウムイオン溶液にも効果が認められた。

    【0110】

    【表12】

    【0111】

    【発明の効果】以上詳述した通り、請求項1の豆腐の製造方法によれば、適当な時間で大豆たんぱく質を凝固させることができ、ソフトで滑らかな舌ざわりと優れた食味及び風味を有する豆腐を製造することができる。

    【0112】請求項2の豆腐の製造方法によれば、独特の物性と優れた食味及び風味を有する豆腐を製造することができる。

    【0113】請求項3の豆腐の製造方法によれば、目的に応じた様々な物性と食味及び風味を有する豆腐を製造することができる。

    【0114】請求項4の豆腐の製造方法によれば、請求項1による脱カルシウム処理にがりに比べて、やや固く木目の荒い豆腐を製造することができる。

    【0115】請求項5の豆腐の製造方法によれば、請求項4のにがりを用いた場合に比べてやや食味のすぐれた豆腐を製造することができる。

    【0116】請求項6の豆腐の製造方法によれば、請求項1による脱カルシウム処理にがりを用いた場合と同様の豆腐を製造することができる。

    【0117】本発明の方法は、半連続式又は連続充填式豆腐製造装置に有効に適用可能であり、生産効率の面で優れる。 特に、本発明で用いる凝固剤は、イオン交換膜法にがりを原料とするため、食品衛生的にも優れた豆腐用凝固剤であって、特性の均一性にも優れ、工業的生産レベルにて安定に製造することができることからも極めて有利である。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉田 静雄 山梨県東八代郡石和町松本735 (72)発明者 稲盛 勉 埼玉県大宮市北袋町1−191 (72)発明者 末藤 博 埼玉県浦和市北浦和2−23−11

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