首页 / 专利库 / 农用化学品和农药 / 药害 / 植物毒素 / TNFおよびIL−17に対する双特異性免疫結合剤

TNFおよびIL−17に対する双特異性免疫結合剤

阅读:473发布:2020-09-24

专利汇可以提供TNFおよびIL−17に対する双特異性免疫結合剤专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且操作した多価かつ多重特異的な結合タンパク質、作成方法、特に、疾患の予防、診断、および/または治療におけるそれらの使用を提供する。【選択図】なし,下面是TNFおよびIL−17に対する双特異性免疫結合剤专利的具体信息内容。

  • ポリペプチド鎖を含む結合タンパク質であって、ここで前記ポリペプチド鎖はVD1−(X1)n−VD2−C−(X2)nを含み、式中、
    VD1は第一の重鎖可変ドメインであり;
    VD2は第二の重鎖可変ドメインであり;
    Cは重鎖定常ドメインであり;
    X1はリンカーであるが、ただしCH1ではなく;
    X2はFc領域であり;
    (X1)nのnは0または1であり;
    (X2)nのnは0または1であり;および(a)VD1またはVD2は、配列番号541、551、561、571、581、591、601、606、611、616、621、626、631、636、643、653、661、671、681、691、701、711、721、731、741、753、763、771、776、781、786、791、796、801、805、807、809、または36〜41、48〜72、もしくは88〜97のいずれか1つに由来する3つのCDRを含み、かつ、前記結合タンパク質はTNFに結合でき;
    (b)VD1およびVD2はそれぞれ独立して、配列番号541、551、561、571、581、591、601、606、611、616、621、626、631、636、643、653、661、671、681、691、701、711、721、731、741、753、763、771、776、781、786、791、796、801、805、807、もしくは809、または36〜41、48〜72、もしくは88〜97のいずれか1つに由来する3つのCDRを含み、かつ、前記結合タンパク質はTNFに結合でき;
    (c)VD1は、配列番号541、551、561、571、581、591、601、606、611、616、621、626、631、636、643、653、661、671、681、691、701、711、721、731、741、753、763、771、776、781、786、791、796、801、805、807、もしくは809、または36〜41、48〜72、もいくは88〜97のいずれか1つに由来する3つのCDRを含み、およびVD2は、配列番号30、32、34、108、109、110、111、112、113、114、115、121〜317、527〜534、543、553、563、573、583、593、603、608、613、618、623、628、633、638、641、651、663、673、683、693、703、713、723、733、743、751、761、773、778、783、788、793、798、803または811からの3つのCDRを含み;あるいは(d)VD2は、配列番号541、551、561、571、581、591、601、606、611、616、621、626、631、636、643、653、661、671、681、691、701、711、721、731、741、753、763、771、776、781、786、791、796、801、805、807、もしくは809、または36〜41、48〜72、もしくは88〜97のいずれか1つに由来する3つのCDRを含み、およびVD1は、配列番号30、32、34、108、109、110、111、112、113、114、115、121〜317、527〜534、543、553、563、573、583、593、603、608、613、618、623、628、633、638、641、651、663、673、683、693、703、713、723、733、743、751、761、773、778、783、788、793、798、803または811からの3つのCDRを含む、結合タンパク質。
  • 請求項1に記載の結合タンパク質であって、
    (a)VD1またはVD2が、配列番号541、551、561、571、581、591、601、606、611、616、621、626、631、636、643、653、661、671、681、691、701、711、721、731、741、753、763、771、776、781、786、791、796、801、805、807、もしくは809、または36〜41、88〜97、もしくは48〜72のいずれか1つを含み、かつ、前記結合タンパク質はTNFに結合でき;
    (b)VD1およびVD2が独立して、配列番号541、551、561、571、581、591、601、606、611、616、621、626、631、636、643、653、661、671、681、691、701、711、721、731、741、753、763、771、776、781、786、791、796、801、805、807、もしくは809、または36〜41、88〜97、もしくは48〜72のいずれか1つを含み、かつ、前記結合タンパク質はTNFに結合でき;
    (c)VD1が、配列番号541、551、561、571、581、591、601、606、611、616、621、626、631、636、643、653、661、671、681、691、701、711、721、731、741、753、763、771、776、781、786、791、796、801、805、807、もしくは809、または36〜41、88〜97、もしくは48〜72のいずれか1つを含み、およびVD2が、配列番号30、32、34、108、109、110、111、112、113、114、115、121〜317、527〜534、543、553、563、573、583、593、603、608、613、618、623、628、633、638、641、651、663、673、683、693、703、713、723、733、743、751、761、773、778、783、788、793、798、803または811を含み;あるいは(d)VD2が、配列番号541、551、561、571、581、591、601、606、611、616、621、626、631、636、643、653、661、671、681、691、701、711、721、731、741、753、763、771、776、781、786、791、796、801、805、807、もしくは809、または36〜41、88〜97、または48〜72のいずれか1つを含み、およびVD1が、配列番号30、32、34、108、109、110、111、112、113、114、115、121〜317、527〜534、543、553、563、573、583、593、603、608、613、618、623、628、633、638、641、651、663、673、683、693、703、713、723、733、743、751、761、773、778、783、788、793、798、803または811を含む、結合タンパク質。
  • ポリペプチド鎖を含む結合タンパク質であって、ここで前記ポリペプチド鎖はVD1−(X1)n−VD2−C−(X2)nを含み、式中、
    VD1は第一の軽鎖可変ドメインであり;
    VD2は第二の軽鎖可変ドメインであり;
    Cは軽鎖定常ドメインであり;
    X1はリンカーであるが、ただしCLではなく;
    X2はFc領域を含まず;
    (X1)nのnは0または1であり;
    (X2)nのnは0または1であり;および(a)VD1またはVD2が、配列番号546、556、566、576、586、596、648、658、666、676、686、696、706、716、726、736、746、758、768または42〜47、73〜87、もしくは98〜107のいずれか1つに由来する3つのCDRを含み、かつ、前記結合タンパク質はTNFに結合でき;
    (b)VD1およびVD2がそれぞれ独立して、配列番号546、556、566、576、586、596、648、658、666、676、686、696、706、716、726、736、746、758、768または42〜47、73〜87、もしくは98〜107のいずれか1つに由来する3つのCDRを含み、かつ、前記結合タンパク質はTNFに結合でき;
    (c)VD1が、配列番号546、556、566、576、586、596、648、658、666、676、686、696、706、716、726、736、746、758、768または42〜47、73〜87、もしくは98〜107のいずれか1つに由来する3つのCDRを含み、およびVD2が、配列番号31、33、35、116、117、118、119、120、318〜526、535〜539、548、558、568、578、588、598、646、656、668、678、688、698、708、718、728、738、748、756、766または812からの3つのCDRを含み;
    (d)VD2が、配列番号546、556、566、576、586、596、648、658、666、676、686、696、706、716、726、736、746、758、768または42〜47、73〜87、もしくは98〜107のいずれか1つに由来する3つのCDRを含み、およびVD1が、配列番号31、33、35、116、117、118、119、120、318〜526、535〜539、548、558、568、578、588、598、646、656、668、678、688、698、708、718、728、738、748、756、766または812からの3つのCDRを含む、結合タンパク質。
  • 請求項3に記載の結合タンパク質であって、
    (a)VD1またはVD2が、配列番号546、556、566、576、586、596、648、658、666、676、686、696、706、716、726、736、746、758、768または42〜47、73〜87、もしくは98〜107のいずれか1つを含み、かつ、前記結合タンパク質はTNFに結合でき;
    (b)VD1およびVD2がそれぞれ独立して、配列番号546、556、566、576、586、596、648、658、666、676、686、696、706、716、726、736、746、758、768または42〜47、73〜87、もしくは98〜107のいずれか1つを含み、かつ、前記結合タンパク質はTNFに結合でき;
    (c)VD1が、配列番号546、556、566、576、586、596、648、658、666、676、686、696、706、716、726、736、746、758、768または42〜47、73〜87、もしくは98〜107のいずれか1つを含み、およびVD2が、配列番号31、33、35、116、117、118、119、120、318〜526、535〜539、548、558、568、578、588、598、646、656、668、678、688、698、708、718、728、738、748、756、766または812を含み;あるいは(d)VD2が、配列番号546、556、566、576、586、596、648、658、666、676、686、696、706、716、726、736、746、758、768または42〜47、73〜87、もしくは98〜107のいずれか1つを含み、およびVD1が、配列番号31、33、35、116、117、118、119、120、318〜526、535〜539、548、558、568、578、588、598、646、656、668、678、688、698、708、718、728、738、748、756、766または812を含む、結合タンパク質。
  • (X1)nが0および/または(X2)nが0の、請求項1または3に記載の結合タンパク質。
  • 第一のポリペプチド鎖および第二のポリペプチド鎖を含む結合タンパク質であって、ここで前記第一のポリペプチド鎖は第一のVD1−(X1)n−VD2−C−(X2)nを含み、式中、
    VD1は第一の重鎖可変ドメインであり;
    VD2は第二の重鎖可変ドメインであり;
    Cは重鎖定常ドメインであり;
    X1は第一のリンカーであり;
    X2はFc領域であり;
    (X1)nのnは0または1であり;
    (X2)nのnは0または1であり;および前記第二のポリペプチド鎖は第二のVD1−(X1)n−VD2−C−(X2)nを含み、式中、
    VD1は第一の軽鎖可変ドメインであり;
    VD2は第二の軽鎖可変ドメインであり;
    Cは軽鎖定常ドメインであり;
    X1は第二のリンカーであり;
    X2はFc領域を含まず;
    (X1)nのnは0または1であり;
    (X2)nのnは0または1であり;および前記第一のリンカーおよび第二のX1リンカーは同じかまたは異なり;
    前記第一のX1リンカーはCH1でなくおよび/または前記第二のX1リンカーはCLでなく、および(a)前記VD1またはVD2重鎖可変ドメインが、配列番号541、551、561、571、581、591、601、606、611、616、621、626、631、636、643、653、661、671、681、691、701、711、721、731、741、753、763、771、776、781、786、791、796、801、805、807、809、または36〜41、48〜72、もしくは88〜97のいずれか1つに由来する3つのCDRを含み、前記VD1またはVD2軽鎖可変ドメインが、配列番号546、556、566、576、586、596、648、658、666、676、686、696、706、716、726、736、746、758、768または42〜47、73〜87、もしくは98〜107のいずれか1つに由来する3つのCDRを含み、かつ、前記結合タンパク質はTNFに結合でき;
    (b)前記VD1およびVD2重鎖可変ドメインがそれぞれ独立して、配列番号541、551、561、571、581、591、601、606、611、616、621、626、631、636、643、653、661、671、681、691、701、711、721、731、741、753、763、771、776、781、786、791、796、801、805、807、809、または36〜41、48〜72、もしくは88〜97のいずれか1つに由来する3つのCDRを含み、前記VD1およびVD2軽鎖可変ドメインがそれぞれ独立して、配列番号546、556、566、576、586、596、648、658、666、676、686、696、706、716、726、736、746、758、768または42〜47、73〜87、もしくは98〜107のいずれか1つに由来する3つのCDRを含み、かつ、前記結合タンパク質はTNFに結合でき;
    (c)前記VD1重鎖可変ドメインが、配列番号541、551、561、571、581、591、601、606、611、616、621、626、631、636、643、653、661、671、681、691、701、711、721、731、741、753、763、771、776、781、786、791、796、801、805、807、809、または36〜41、48〜72、もしくは88〜97のいずれか1つに由来する3つのCDRを含み、および前記VD2重鎖可変ドメインが、配列番号30、32、34、108、109、110、111、112、113、114、115、121〜317、527〜534、543、553、563、573、583、593、603、608、613、618、623、628、633、638、641、651、663、673、683、693、703、713、723、733、743、751、761、773、778、783、788、793、798、803または811からの3つのCDRを含み;前記VD1軽鎖可変ドメインが、配列番号546、556、566、576、586、596、648、658、666、676、686、696、706、716、726、736、746、758、768または42〜47、73〜87、もしくは98〜107のいずれか1つに由来する3つのCDRを含み、および前記VD2軽鎖可変ドメインが、配列番号31、33、35、116、117、118、119、120、318〜526、535〜539、548、558、568、578、588、598、646、656、668、678、688、698、708、718、728、738、748、756、766、または812からの3つのCDRを含み;あるいは(d)前記VD2重鎖可変ドメインが、配列番号541、551、561、571、581、591、601、606、611、616、621、626、631、636、643、653、661、671、681、691、701、711、721、731、741、753、763、771、776、781、786、791、796、801、805、807、809、または36〜41、48〜72、もしくは88〜97のいずれか1つに由来する3つのCDRを含み、および前記VD1重鎖可変ドメインが、配列番号30、32、34、108、109、110、111、112、113、114、115、121〜317、527〜534、543、553、563、573、583、593、603、608、613、618、623、628、633、638、641、651、663、673、683、693、703、713、723、733、743、751、761、773、778、783、788、793、798、803または811からの3つのCDRを含み;前記VD2軽鎖可変ドメインが、配列番号546、556、566、576、586、596、648、658、666、676、686、696、706、716、726、736、746、758、768または42〜47、73〜87、もしくは98〜107のいずれか1つに由来する3つのCDRを含み、および前記VD1軽鎖可変ドメインが、配列番号31、33、35、116、117、118、119、120、318〜526、535〜539、548、558、568、578、588、598、646、656、668、678、688、698、708、718、728、738、748、756、766または812からの3つのCDRを含む、結合タンパク質。
  • 請求項6に記載の結合タンパク質であって、
    (a)前記VD1またはVD2重鎖可変ドメインが、配列番号541、551、561、571、581、591、601、606、611、616、621、626、631、636、643、653、661、671、681、691、701、711、721、731、741、753、763、771、776、781、786、791、796、801、805、807、809、または36〜41、48〜72、もしくは88〜97のいずれか1つを含み、前記VD1またはVD2軽鎖可変ドメインが、配列番号546、556、566、576、586、596、648、658、666、676、686、696、706、716、726、736、746、758、768または42〜47、73〜87、もしくは98〜107のいずれか1つを含み、かつ、前記結合タンパク質はTNFに結合でき;
    (b)前記VD1およびVD2重鎖可変ドメインがそれぞれ独立して、配列番号541、551、561、571、581、591、601、606、611、616、621、626、631、636、643、653、661、671、681、691、701、711、721、731、741、753、763、771、776、781、786、791、796、801、805、807、809、または36〜41、48〜72、もしくは88〜97のいずれか1つを含み、前記VD1およびVD2軽鎖可変ドメインがそれぞれ独立して配列番号546、556、566、576、586、596、648、658、666、676、686、696、706、716、726、736、746、758、768または42〜47、73〜87、もしくは98〜107のいずれか1つを含み、かつ、前記結合タンパク質はTNFに結合でき;
    (c)前記VD1重鎖可変ドメインが、配列番号541、551、561、571、581、591、601、606、611、616、621、626、631、636、643、653、661、671、681、691、701、711、721、731、741、753、763、771、776、781、786、791、796、801、805、807、809、または36〜41、48〜72、もしくは88〜97のいずれか1つを含み、および前記VD2重鎖可変ドメインが、配列番号30、32、34、108、109、110、111、112、113、114、115、121〜317、527〜534、543、553、563、573、583、593、603、608、613、618、623、628、633、638、641、651、663、673、683、693、703、713、723、733、743、751、761、773、778、783、788、793、798、803または811を含み;前記VD1軽鎖可変ドメインが、配列番号546、556、566、576、586、596、648、658、666、676、686、696、706、716、726、736、746、758、768または42〜47、73〜87、もしくは98〜107のいずれか1つを含み、および前記VD2軽鎖可変ドメインが、配列番号31、33、35、116、117、118、119、120、318〜526、535〜539、548、558、568、578、588、598、646、656、668、678、688、698、708、718、728、738、748、756、766、または812を含み;あるいは(d)前記VD2重鎖可変ドメインが、配列番号541、551、561、571、581、591、601、606、611、616、621、626、631、636、643、653、661、671、681、691、701、711、721、731、741、753、763、771、776、781、786、791、796、801、805、807、809、または36〜41、48〜72、もしくは88〜97のいずれか1つを含み、および前記VD1重鎖可変ドメインが、配列番号30、32、34、108、109、110、111、112、113、114、115、121〜317、527〜534、543、553、563、573、583、593、603、608、613、618、623、628、633、638、641、651、663、673、683、693、703、713、723、733、743、751、761、773、778、783、788、793、798、803または811を含み;前記VD2軽鎖可変ドメインが、配列番号546、556、566、576、586、596、648、658、666、676、686、696、706、716、726、736、746、758、768または42〜47、73〜87、もしくは98〜107のいずれか1つを含み、および前記VD1軽鎖可変ドメインが、配列番号31、33、35、116、117、118、119、120、318〜526、535〜539、548、558、568、578、588、598、646、656、668、678、688、698、708、718、728、738、748、756、766、または812を含む、結合タンパク質。
  • X1および/またはX2が配列番号1−29のうちのいずれか1種である、請求項1、3、または6に記載の結合タンパク質。
  • 前記結合タンパク質が、2つの第一のポリペプチド鎖および2つの第二のポリペプチド鎖を含んでいる、請求項6に記載の結合タンパク質。
  • 前記Fc領域が変異体配列Fc領域である、請求項1、3、または6に記載の結合タンパク質。
  • 前記Fc領域が、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgM、IgE、またはIgD由来のFc領域である、請求項1、3、または6に記載の結合タンパク質。
  • 前記第一のポリペプチド鎖の前記VD1および前記第二のポリペプチド鎖の前記VD1がそれぞれ、同じ第一のおよび第二の親抗体またはその抗原結合部分から得られる、請求項6に記載の結合タンパク質。
  • 前記第一のポリペプチド鎖の前記VD1および前記第二のポリペプチド鎖の前記VD1がそれぞれ、異なる第一のおよび第二の親抗体、またはその抗原結合部分に由来する、請求項6に記載の結合タンパク質。
  • 前記第一のポリペプチド鎖の前記VD2および前記第二のポリペプチド鎖の前記VD2がそれぞれ、同じ第一のおよび第二の親抗体、またはその抗原結合部分に由来する、請求項6に記載の結合タンパク質。
  • 前記第一のポリペプチド鎖の前記VD2および前記第二のポリペプチド鎖の前記VD2がそれぞれ、異なる第一のおよび第二の親抗体、またはその抗原結合部分に由来する、請求項6に記載の結合タンパク質。
  • 前記第一のおよび前記第二の親抗体が、前記抗原の異なるエピトープに結合する、請求項13または15に記載の結合タンパク質。
  • 前記第一の親抗体またはその抗原結合部分が、前記第二の親抗体またはその抗原結合部分が前記第二の抗原と結合する強度とは異なる強度で、前記第一の抗原に結合する、請求項12〜16のいずれか1項に記載の前記結合タンパク質。
  • 前記第一の親抗体またはその抗原結合部分が、前記第二の親抗体またはその抗原結合部分が前記第二の抗原に結合する親和性とは異なる親和性でもって、前記第一の抗原に結合する、請求項12〜16のいずれか1項に記載の前記結合タンパク質。
  • 2つの抗原に結合できる結合タンパク質であって、前記結合タンパク質は4つのポリペプチド鎖を含み、ここで2つのポリペプチド鎖はVD1−(X1)n−VD2−C−(X2)nを含み、式中、
    VD1は第一の重鎖可変ドメインであり;
    VD2は第二の重鎖可変ドメインであり;
    Cは重鎖定常ドメインであり;
    X1は第一のリンカーであり;
    X2はFc領域であり;および2つのポリペプチド鎖はVD1−(X1)n−VD2−C−(X2)nを含み、式中、
    VD1は第一の軽鎖可変ドメインであり;
    VD2は第二の軽鎖可変ドメインであり;
    Cは軽鎖定常ドメインであり;
    X1は第二のリンカーであり;
    X2はFc領域を含まず;
    (X1)nのnは0または1であり;および(X2)nのnは0または1であり;
    前記第一のおよび第二のX1リンカーは同じかまたは異なり;
    前記第一のX1リンカーはCH1ではなく、および/または前記第二のX1リンカーはCLではなく;
    (a)前記VD1またはVD2重鎖可変ドメインは、配列番号541、551、561、571、581、591、601、606、611、616、621、626、631、636、643、653、661、671、681、691、701、711、721、731、741、753、763、771、776、781、786、791、796、801、805、807、809、または36〜41、48〜72、もしくは88〜97のいずれか1つに由来する3つのCDRを含み、前記VD1またはVD2軽鎖可変ドメインは、配列番号546、556、566、576、586、596、648、658、666、676、686、696、706、716、726、736、746、758、768または42〜47、73〜87、もしくは98〜107のいずれか1つに由来する3つのCDRを含み、かつ、前記結合タンパク質はTNFに結合でき;
    (b)前記VD1およびVD2重鎖可変ドメインはそれぞれ独立して、配列番号541、551、561、571、581、591、601、606、611、616、621、626、631、636、643、653、661、671、681、691、701、711、721、731、741、753、763、771、776、781、786、791、796、801、805、807、809、または36〜41、48〜72、もしくは88〜97のいずれか1つに由来する3つのCDRを含み、前記VD1およびVD2軽鎖可変ドメインはそれぞれ独立して、配列番号546、556、566、576、586、596、648、658、666、676、686、696、706、716、726、736、746、758、768または42〜47、73〜87、もしくは98〜107のいずれか1つに由来する3つのCDRを含み、かつ、前記結合タンパク質はTNFに結合でき;
    (c)前記VD1重鎖可変ドメインは、配列番号541、551、561、571、581、591、601、606、611、616、621、626、631、636、643、653、661、671、681、691、701、711、721、731、741、753、763、771、776、781、786、791、796、801、805、807、809、または36〜41、48〜72、もしくは88〜97のいずれか1つに由来する3つのCDRを含み、および前記VD2重鎖可変ドメインは、配列番号30、32、34、108、109、110、111、112、113、114、115、121〜317、527〜534、543、553、563、573、583、593、603、608、613、618、623、628、633、638、641、651、663、673、683、693、703、713、723、733、743、751、761、773、778、783、788、793、798、803または811からの3つのCDRを含み;前記VD1軽鎖可変ドメインは、配列番号546、556、566、576、586、596、648、658、666、676、686、696、706、716、726、736、746、758、768または42〜47、73〜87、もしくは98〜107のいずれか1つに由来する3つのCDRを含み、および前記VD2軽鎖可変ドメインは、配列番号31、33、35、116、117、118、119、120、318〜526、535〜539、548、558、568、578、588、598、646、656、668、678、688、698、708、718、728、738、748、756、766、または812からの3つのCDRを含み;あるいは(d)前記VD2重鎖可変ドメインは、配列番号541、551、561、571、581、591、601、606、611、616、621、626、631、636、643、653、661、671、681、691、701、711、721、731、741、753、763、771、776、781、786、791、796、801、805、807、809、または36〜41、48〜72、もしくは88〜97のいずれか1つに由来する3つのCDRを含み、および前記VD1重鎖可変ドメインは、配列番号30、32、34、108、109、110、111、112、113、114、115、121〜317、527〜534、543、553、563、573、583、593、603、608、613、618、623、628、633、638、641、651、663、673、683、693、703、713、723、733、743、751、761、773、778、783、788、793、798、803または811からの3つのCDRを含み;前記VD2軽鎖可変ドメインは、配列番号546、556、566、576、586、596、648、658、666、676、686、696、706、716、726、736、746、758、768または42〜47、73〜87、もしくは98〜107のいずれか1つに由来する3つのCDRを含み、および前記VD1軽鎖可変ドメインは、配列番号31、33、35、116、117、118、119、120、318〜526、535〜539、548、558、568、578、588、598、646、656、668、678、688、698、708、718、728、738、748、756、766または812からの3つのCDRを含む、結合タンパク質。
  • 2つの抗原に結合できる結合タンパク質であって、前記結合タンパク質は4つのポリペプチド鎖を含み、ここで2つのポリペプチド鎖はVD1−(X1)n−VD2−C−(X2)nを含み、式中、
    VD1は第一の重鎖可変ドメインであり;
    VD2は第二の重鎖可変ドメインであり;
    Cは重鎖定常ドメインであり;
    X1は第一のリンカーであり;
    X2はFc領域であり;
    (X1)nのnは0または1であり;
    (X2)nのnは0または1であり;および2つのポリペプチド鎖はVD1−(X1)n−VD2−C−(X2)nを含み、式中、
    VD1は第一の軽鎖可変ドメインであり;
    VD2は第二の軽鎖可変ドメインであり;
    Cは軽鎖定常ドメインであり;
    X1は第二のリンカーであり;
    X2はFc領域を含まず;
    (X1)nのnは0または1であり;
    (X2)nのnは0または1であり;ならびに前記第一のおよび第二のX1リンカーは同じかまたは異なり;
    前記第一のX1リンカーはCH1ではなく、および/または前記第二のX1リンカーはCLではなく(a)前記VD1またはVD2重鎖可変ドメインは、配列番号541、551、561、571、581、591、601、606、611、616、621、626、631、636、643、653、661、671、681、691、701、711、721、731、741、753、763、771、776、781、786、791、796、801、805、807、809、または36〜41、48〜72、もしくは88〜97のいずれか1つを含み、前記VD1またはVD2軽鎖可変ドメインは、配列番号546、556、566、576、586、596、648、658、666、676、686、696、706、716、726、736、746、758、768または42〜47、73〜87、もしくは98〜107のいずれか1つを含み、かつ、前記結合タンパク質はTNFに結合でき;
    (b)前記VD1およびVD2重鎖可変ドメインはそれぞれ独立して、配列番号541、551、561、571、581、591、601、606、611、616、621、626、631、636、643、653、661、671、681、691、701、711、721、731、741、753、763、771、776、781、786、791、796、801、805、807、809、または36〜41、48〜72、もしくは88〜97のいずれか1つを含み、前記VD1およびVD2軽鎖可変ドメインはそれぞれ独立して、配列番号546、556、566、576、586、596、648、658、666、676、686、696、706、716、726、736、746、758、768または42〜47、73〜87、もしくは98〜107のいずれか1つを含み、かつ、前記結合タンパク質はTNFに結合でき;
    (c)前記VD1重鎖可変ドメインは、配列番号541、551、561、571、581、591、601、606、611、616、621、626、631、636、643、653、661、671、681、691、701、711、721、731、741、753、763、771、776、781、786、791、796、801、805、807、809、または36〜41、48〜72、もしくは88〜97のいずれか1つを含み、および前記VD2重鎖可変ドメインは、配列番号30、32、34、108、109、110、111、112、113、114、115、121〜317、527〜534、543、553、563、573、583、593、603、608、613、618、623、628、633、638、641、651、663、673、683、693、703、713、723、733、743、751、761、773、778、783、788、793、798、803または811を含み;前記VD1軽鎖可変ドメインは、配列番号546、556、566、576、586、596、648、658、666、676、686、696、706、716、726、736、746、758、768または42〜47、73〜87、もしくは98〜107のいずれか1つを含み、および前記VD2軽鎖可変ドメインは、配列番号31、33、35、116、117、118、119、120、318〜526、535〜539、548、558、568、578、588、598、646、656、668、678、688、698、708、718、728、738、748、756、766または812を含み;あるいは(d)前記VD2重鎖可変ドメインは、配列番号541、551、561、571、581、591、601、606、611、616、621、626、631、636、643、653、661、671、681、691、701、711、721、731、741、753、763、771、776、781、786、791、796、801、805、807、809、または36〜41、48〜72、もしくは88〜97のいずれか1つを含み、および前記VD1重鎖可変ドメインは、配列番号30、32、34、108、109、110、111、112、113、114、115、121〜317、527〜534、543、553、563、573、583、593、603、608、613、618、623、628、633、638、641、651、663、673、683、693、703、713、723、733、743、751、761、773、778、783、788、793、798、803または811を含み;前記VD2軽鎖可変ドメインは、配列番号546、556、566、576、586、596、648、658、666、676、686、696、706、716、726、736、746、758、768または42〜47、73〜87、もしくは98〜107のいずれか1つを含み、および前記VD1軽鎖可変ドメインは、配列番号31、33、35、116、117、118、119、120、318〜526、535〜539、548、558、568、578、588、598、646、656、668、678、688、698、708、718、728、738、748、756、766、または812を含む、結合タンパク質。
  • 前記結合タンパク質の前記1つ以上の標的に対する結合速度定数(K on )が、表面プラズモン共鳴で測定すると、少なくとも約10 −1−1 ;少なくとも約10 −1−1 ;少なくとも約10 −1−1 ;少なくとも約10 −1−1 ;または少なくとも約10 −1−1である、請求項1、3、6、19、または20に記載の結合タンパク質。
  • 前記結合タンパク質の前記1つ以上の標的に対する解離速度定数(K off )が、表面プラズモン共鳴で測定すると、最大約10 −3−1 ;最大約10 −4−1 ;最大約10 −5−1 ;または最大約10 −6−1である、請求項1、3、6、19、または20に記載の結合タンパク質。
  • 前記結合タンパク質の前記1つ以上の標的に対する平衡解離定数(K )が、最大約10 −7 M;最大約10 −8 M;最大約10 −9 M;最大約10 −10 M;最大約10 −11 M;最大約10 −12 M;または最大10 −13 Mである、請求項1、3、6、19、または20に記載の結合タンパク質。
  • 請求項1、3、6、19、または20に記載の結合タンパク質を含む結合タンパク質複合体であって、前記結合タンパク質複合体がさらに薬剤を含み、前記薬剤が、免疫接着分子、造影剤、治療薬、または細胞障害性薬物である、結合タンパク質複合体。
  • 前記造影剤が、放射性標識、酵素、蛍光標識、発光標識、生物発光標識、磁気標識、またはビオチンである、請求項24に記載の結合タンパク質複合体。
  • 前記結合タンパク質が結晶化した結合タンパク質である、請求項1、3、6、19、または20に記載の結合タンパク質。
  • 請求項1、3、6、19、または20に記載の結合タンパク質のアミノ酸配列をコードしている単離した核酸。
  • 請求項27に記載の単離した核酸を含むベクター。
  • 前記ベクターが、pcDNA、pTT、pTT3、pEFBOS、pBV、pJV、pcDNA3.1 TOPO、pEF6 TOPO、pHybE、pBOS−hCγ1またはpBJである、請求項28に記載のベクター。
  • 請求項28に記載のベクターを含む宿主細胞。
  • 前記宿主細胞が原核細胞である、請求項30に記載の宿主細胞。
  • 前記宿主細胞が真核細胞である、請求項30に記載の宿主細胞。
  • 前記真核細胞が原生生物細胞、動物細胞、植物細胞、酵母細胞、哺乳類の細胞、鳥類細胞、昆虫細胞、または真菌細胞である、請求項32に記載の宿主細胞。
  • 請求項30〜33のいずれか1項に記載の宿主細胞を培地中で、前記結合タンパク質を産生するのに十分な条件において培養することを含む、結合タンパク質の産生方法。
  • 請求項34に記載の方法によって産生されるタンパク質。
  • 請求項1、3、6、19、20、または35に記載の結合タンパク質および医薬として許容可能な担体を含む医薬組成物。
  • 少なくとも1つの追加の治療薬を含む、請求項36に記載の医薬組成物。
  • 前記追加の治療薬が、造影剤、細胞障害性薬物、血管新生阻害剤、キナーゼ阻害剤、共刺激分子遮断剤、接着分子遮断剤、抗サイトカイン抗体またはその機能性断片、メトトレキサート、シクロスポリン、ラパマイシン、FK506、検出可能な標識またはレポーター、TNFアンタゴニスト、抗リウマチ薬、筋肉弛緩剤、麻薬、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、鎮痛剤、麻酔薬、鎮静剤、局所麻酔、神経筋遮断剤、抗菌剤、抗乾癬剤、コルチコステロイド、アナボリックステロイド、エリスロポエチン、免疫化剤、免疫グロブリン、免疫抑制剤、成長ホルモン、ホルモン補充薬、放射性薬剤、抗うつ剤、抗精神病薬、刺激物質、喘息薬、βアゴニスト、吸引用ステロイド、エピネフリンまたは類似体、サイトカインおよびサイトカインアンタゴニストである、請求項37に記載の医薬組成物。
  • 治療が達成されるように前記結合タンパク質を対象に投与することによる、前記対象の疾患または障害の治療に使用するための、請求項1、3、6、19、20、または35に記載の結合タンパク質。
  • 前記障害が、自己免疫性障害および炎症性障害、喘息、関節リウマチ、硬直性脊椎炎、乾癬性関節炎、脊椎性関節症、乾癬、胃腸障害、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、ブドウ膜炎、および全身性エリテマトーデスである、請求項39に記載の結合タンパク質。
  • 前記対象への前記投与が、非経口、皮下、筋内、静脈内、関節内、気管支内、腹内、嚢内、軟骨内、腔内(intracavity)、腔内(intracelial)、小脳内、脳室内、結腸内、頸管内、胃内、肝臓内、心筋内、骨内、骨盤内、心臓周囲内、腹腔内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、髄腔内、滑膜内、胸腔内、子宮内、膀胱内、ボーラス、膣、直腸、口内、舌下、鼻内および経皮投与である、請求項40に記載の結合タンパク質、
  • 2つの抗原に結合できる結合タンパク質の生成方法であって、
    第一の抗原および第二の抗原に結合できる結合タンパク質が生成されるように、
    a)前記第一の抗原に結合できる第一の親抗体またはその抗原結合部分を得るステップ;
    b)前記第二の抗原に結合できる第二の親抗体またはその抗原結合部分を得るステップ;
    c)請求項1、3、6、19、または20のいずれか1項に記載のポリペプチドを構築するステップ:
    d)前記ポリペプチド鎖を発現させるステップ;
    を含む、結合タンパク質の生成方法。
  • (a)前記VD1またはVD2重鎖可変ドメインが、配列番号541、551、561、571、581、591、601、606、611、616、621、626、631、636、643、653、661、671、681、691、701、711、721、731、741、753、763、771、776、781、786、791、796、801、805、807、809、または36〜41、48〜72、もしくは88〜97のいずれか1つを含み、前記VD1またはVD2軽鎖可変ドメインが、配列番号546、556、566、576、586、596、648、658、666、676、686、696、706、716、726、736、746、758、768または42〜47、73〜87、もしくは98〜107のいずれか1つを含み、かつ、前記結合タンパク質はTNFに結合でき;
    (b)前記VD1およびVD2重鎖可変ドメインがそれぞれ独立して、配列番号541、551、561、571、581、591、601、606、611、616、621、626、631、636、643、653、661、671、681、691、701、711、721、731、741、753、763、771、776、781、786、791、796、801、805、807、809、または36〜41、48〜72、もしくは88〜97のいずれか1つを含み、前記VD1およびVD2軽鎖可変ドメインがそれぞれ独立して配列番号546、556、566、576、586、596、648、658、666、676、686、696、706、716、726、736、746、758、768または42〜47、73〜87、もしくは98〜107のいずれか1つを含み、かつ、前記結合タンパク質はTNFに結合でき;
    (c)前記VD1重鎖可変ドメインが、配列番号541、551、561、571、581、591、601、606、611、616、621、626、631、636、643、653、661、671、681、691、701、711、721、731、741、753、763、771、776、781、786、791、796、801、805、807、809、または36〜41、48〜72、もしくは88〜97のいずれか1つを含み、および前記VD2重鎖可変ドメインが、配列番号30、32、34、108、109、110、111、112、113、114、115、121〜317、527〜534、543、553、563、573、583、593、603、608、613、618、623、628、633、638、641、651、663、673、683、693、703、713、723、733、743、751、761、773、778、783、788、793、798、803または811を含み;前記VD1軽鎖可変ドメインが、配列番号546、556、566、576、586、596、648、658、666、676、686、696、706、716、726、736、746、758、768または42〜47、73〜87、もしくは98〜107のいずれか1つを含み、および前記VD2軽鎖可変ドメインが、配列番号31、33、35、116、117、118、119、120、318〜526、535〜539、548、558、568、578、588、598、646、656、668、678、688、698、708、718、728、738、748、756、766、または812を含み;
    (d)前記VD2重鎖可変ドメインが、配列番号541、551、561、571、581、591、601、606、611、616、621、626、631、636、643、653、661、671、681、691、701、711、721、731、741、753、763、771、776、781、786、791、796、801、805、807、809、または36〜41、48〜72、もしくは88〜97のいずれか1つを含み、および前記VD1重鎖可変ドメインが、配列番号30、32、34、108、109、110、111、112、113、114、115、121〜317、527〜534、543、553、563、573、583、593、603、608、613、618、623、628、633、638、641、651、663、673、683、693、703、713、723、733、743、751、761、773、778、783、788、793、798、803または811を含み;前記VD2軽鎖可変ドメインが、配列番号546、556、566、576、586、596、648、658、666、676、686、696、706、716、726、736、746、758、768または42〜47、73〜87、もしくは98〜107のいずれか1つを含み、および前記VD1軽鎖可変ドメインが、配列番号31、33、35、116、117、118、119、120、318〜526、535〜539、548、558、568、578、588、598、646、656、668、678、688、698、708、718、728、738、748、756、766または812を含む、請求項42に記載の方法。
  • 前記Fc領域が変異体配列Fc領域である、請求項42に記載の方法。
  • 前記Fc領域がIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgM、IgE、またはIgD由来のFc領域である、請求項42に記載の方法。
  • 前記第一の親抗体またはその抗原結合部分が、存在する場合に、前記第二の親抗体またはその抗原結合部分が、存在する場合に、前記第二の抗原に結合する親和性および/または強度とは異なる親和性および/または強度でもって、前記第一の抗原に結合する、請求項42に記載の方法。
  • 免疫アッセイにより、被検試料中の少なくとも1つの抗原またはその断片の有無を決定する方法であって、
    前記免疫アッセイが、前記被検試料を少なくとも1つの結合タンパク質および少なくとも1つの検出可能な標識と接触させることを含み、前記少なくとも1つの結合タンパク質が、請求項1、3、9、19、20、または35に記載の結合タンパク質を含む、方法。
  • (i)前記被検試料を前記少なくとも1つの結合タンパク質を接触させることであって、ここで前記結合タンパク質は、第一の複合体を形成するように、前記抗原またはその断片のエピトープに結合する、接触させることと;
    (ii)前記複合体を前記少なくとも1つの検出可能な標識と接触させることであって、ここで前記検出可能な標識は、前記結合タンパク質または、前記結合タンパク質が結合していない前記抗原のエピトープもしくはその断片に結合して、第二の複合体を形成する、接触させることと;および(iii)前記第二の複合体に含まれている前記検出可能な標識によって生成されたシグナルに基づいて、前記被検試料中の前記抗原またはその断片の有無を検出することであって、ここで前記抗原またはその断片の有無は、前記検出可能な標識によって生成される前記シグナルに直接相関している、検出することをさらに含む、請求項48に記載の方法。
  • (i)前記被検試料を前記少なくとも1つの結合タンパク質と接触させることであって、ここで前記結合タンパク質は、第一の複合体を形成するように、前記抗原またはその断片のエピトープに結合する、接触させることと;
    (ii)前記複合体を前記少なくとも1つの検出可能な標識と接触させることであって、ここで前記検出可能な標識は、第二の複合体を形成するように、前記結合タンパク質への結合に関して、前記抗原またはその断片と競合する、接触させることと;および(iii)前記第二の複合体に含まれている前記検出可能な標識によって生成されるシグナルに基づいて、前記被検試料中の前記抗原またはその断片の有無を検出することであって、ここで前記検出可能な標識によって生成される前記シグナルは、前記抗原またはその断片の有無と逆相関している、検出することをさらに含む、請求項49に記載の方法。
  • 前記被検試料が患者に由来するものであり、および前記方法が、診断すること、予後診断をすること、または前記患者の治療的/予防的処置の有効性を評価することをさらに含み、ならびに前記方法が前記患者の治療的/予防的処置の有効性を評価することをさらに含む場合、前記方法が場合により、有効性を改善する必要に応じて、前記患者の前記治療的/予防的処置を改変することをさらに含む、請求項48〜50のいずれか1項に記載の方法。
  • 前記方法が、自動化システムまたは半自動化システムで使用するために適合される、請求項48〜51のいずれか1項に記載の方法。
  • 前記方法が、前記試料中の1つ以上の抗原の存在を決定する、請求項48〜52のいずれか1項に記載の方法。
  • 免疫アッセイにより、被検試料中の抗原またはその断片の量または濃度を決定する方法であって、
    前記免疫アッセイが、(a)少なくとも1つの結合タンパク質および少なくとも1つの検出可能な標識を利用し、ならびに(b)前記検出可能な標識によって生成されるシグナルと、前記抗原またはその断片を含む対照または検量用試料とを比較することを含み、
    前記検量用試料が場合により一連の検量用試料の一部であり、前記一連の検量用試料中の各検量用試料に含まれる前記抗原またはその断片の濃度は、他の検量用試料中の抗原またはその断片の濃度とは異なり、
    前記少なくとも1つの結合タンパク質が、請求項1、3、9、19、20、または35に記載の結合タンパク質を含む、方法。
  • (i)前記被検試料を前記少なくとも1つの結合タンパク質と接触させることであって、ここで前記結合タンパク質は、第一の複合体を形成するように、前記抗原またはその断片のエピトープに結合する、接触させることと;
    (ii)前記複合体を前記少なくとも1つの検出可能な標識と接触させることであって、ここで前記検出可能な標識は、前記結合タンパク質が結合していない前記抗原またはその断片のエピトープに結合して第二の複合体を形成する、接触させることと;および(iii)前記第二の複合体に含まれている前記検出可能な標識によって生成されたシグナルに基づいて、前記被検試料中の前記抗原またはその断片の量または濃度を決定することであって、ここで前記抗原またはその断片の前記量または濃度は前記検出可能な標識によって生成された前記シグナルと正比例している、決定することをさらに含む、請求項54に記載の方法。
  • (i)前記被検試料を前記少なくとも1つの結合タンパク質と接触させることであって、ここで前記結合タンパク質は、第一の複合体を形成するように、前記抗原またはその断片のエピトープに結合する、接触させることと;
    (ii)前記複合体を前記少なくとも1つの検出可能な標識と接触させることであって、ここで前記検出可能な標識が、第二の複合体を形成するように、前記結合タンパク質への結合に関して前記抗原またはその断片と競合する、接触させることと;および(iii)前記第二の複合体に含まれている前記検出可能な標識によって生成されたシグナルに基づいて、前記被検試料中の前記抗原またはその断片の量または濃度を決定することであって、ここで前記検出可能な標識によって生成される前記シグナルが、前記抗原またはその断片の有無と反比例している、決定することをさらに含む、請求項55に記載の方法。
  • 前記被検試料が患者に由来するものであり、および前記方法が、診断すること、予後診断をすること、または前記患者の治療的/予防的処置の有効性を評価することをさらに含み、ならびに前記方法が前記患者の治療的/予防的処置の有効性を評価することをさらに含む場合、前記方法が場合により、有効性を改善する必要に応じて、前記患者の前記治療的/予防的処置を改変することをさらに含む、請求項54〜56のいずれか1項に記載の方法。
  • 前記方法が、自動化システムまたは半自動化システムで使用するために改変される、請求項54〜57のいずれか1項に記載の方法。
  • 前記方法が、前記試料中の1つ以上の抗原の量または濃度を決定する、請求項54〜58のいずれか1項に記載の方法。
  • 抗原またはその断片の有無、量、または濃度に関して被検試料をアッセイするためのキットであって、
    (a)前記被検試料を前記抗原またはその断片に関してアッセイするための説明書、および(b)請求項1、3、9、19、20、または35に記載の結合タンパク質を含む少なくとも1つの結合タンパク質、
    を含むキット。
  • (a)配列番号:30、32、34、108〜115、121〜317、527〜534、543、553、563、573、583、593、603、608、613、618、623、628、633、638、641、651、663、673、683、693、703、713、723、733、743、751、761、773、778、783、788、793、798、803、および811のいずれか1種に由来する3つの相補性決定領域(CDR);または(b)配列番号:30、32、34、108〜115、121〜317、527〜534、543、553、563、573、583、593、603、608、613、618、623、628、633、638、641、651、663、673、683、693、703、713、723、733、743、751、761、773、778、783、788、793、798、803、および811のうちのいずれか1種を含む少なくとも1つの 重鎖 可変領域 (VH 領域)を含む、 IL−17 結合 タンパク質。
  • (a)配列番号:31、33、35、116〜120、318〜526、535〜539、548、558、568、578、588、598、646、656、668、678、688、698、708、718、728、738、748、756、766、および812のいずれか1種に由来する3つの相補性決定領域(CDR);または(b)配列番号:31、33、35、116〜120、318〜526、535〜539、548、558、568、578、588、598、646、656、668、678、688、698、708、718、728、738、748、756、766、および812のうちのいずれか1種を含む少なくとも1つの軽鎖可変領域(VL領域)を含む、IL−17結合タンパク質。
  • 少なくとも1つの重鎖可変領域(VH領域)および少なくとも1つの軽鎖可変領域(VL領域)を含むIL−17結合タンパク質であって、前記VH領域が、
    (a)配列番号:30、32、34、108〜115、121〜317、527〜534、543、553、563、573、583、593、603、608、613、618、623、628、633、638、641、651、663、673、683、693、703、713、723、733、743、751、761、773、778、783、788、793、798、803、および811のからいずれか1種に由来する3つの相補性決定領域(CDR);または(b)配列番号:30、32、34、108〜115、121〜317、527〜534、543、553、563、573、583、593、603、608、613、618、623、628、633、638、641、651、663、673、683、693、703、713、723、733、743、751、761、773、778、783、788、793、798、803、および811のうちのいずれか1種を含み;および前記VL領域が、
    (c)配列番号:31、33、35、116〜120、318〜526、535〜539、548、558、568、578、588、598、646、656、668、678、688、698、708、718、728、738、748、756、766、および812のいずれか1つに由来する3つのCDR;または(d)配列番号:31、33、35、116〜120、318〜526、535〜539、548、558、568、578、588、598、646、656、668、678、688、698、708、718、728、738、748、756、766、および812のうちのいずれか1種を含む、IL−17結合タンパク質。
  • 前記結合タンパク質が、2つのVH領域および2つのVL領域を含む、請求項62に記載の結合タンパク質。
  • 前記結合タンパク質が、配列番号:30および31;32および33;34および35;108および118;108および119;109および116;110および117;111および120;112および117;113および120;114および117;115および117;527および537;527および538;528および535;529および536;530および539;531および536;532および539;533および536;および534および536からなる群より選択される、少なくとも1つのVH領域と少なくとも1つのVL領域のアミノ酸配列の組を含む、請求項62に記載の結合タンパク質。
  • 前記結合タンパク質が、
    (a)IL−17の生物学的機能を調節し;
    (b)IL−17を中和し;
    (c)IL−17がその受容体に結合する能力を弱め;
    (d)前駆ヒトIL−17、成熟ヒトIL−17、または切断型ヒトIL−17がその受容体に結合する能力を弱め;および/または(e)IL−17依存性サイトカインの生産、IL−17依存性細胞死、IL−17依存性炎症、IL−17依存性骨侵食、およびIL−17依存性軟骨損傷のうちの1つ以上を低減する、請求項63に記載の結合タンパク質。
  • 前記結合タンパク質の結合速度定数(Kon)が、表面プラズモン共鳴で測定すると、少なくとも約10 −1−1 ;少なくとも約10 −1−1 ;少なくとも約10 −1−1 ;少なくとも約10 −1−1 ;または少なくとも約10 −1−1である、請求項63に記載の結合タンパク質。
  • 前記結合タンパク質の解離速度定数(Koff)が、表面プラズモン共鳴で測定すると、最大約10 −3−1 ;最大約10 −4−1 ;最大約10 −5 s−1;または最大約10 −6−1である、請求項63に記載の結合タンパク質。
  • 前記結合タンパク質の解離定数(KD)が最大約10 −7 M;最大約10 −8 M;最大約10 −9 M;最大約10 −10 M;最大約10 −11 M;最大約10 −12 M;または最大10 −13 Mである、請求項63に記載の結合タンパク質。
  • ヒトIL−17に結合できる結合タンパク質であって、前記結合タンパク質が、
    (a)重鎖定常領域;
    (b)軽鎖定常領域;
    (c)配列番号30、32、34、108〜115、121〜317、527〜534、543、553、563、573、583、593、603、608、613、618、623、628、633、638、641、651、663、673、683、693、703、713、723、733、743、751、761、773、778、783、788、793、798、803、および811からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH領域);および(d)配列番号31、33、35、116〜120、318〜526、535〜539、548、558、568、578、588、598、646、656、668、678、688、698、708、718、728、738、748、756、766、および812からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL領域)を含む、結合タンパク質。
  • 前記結合タンパク質が、免疫グロブリン分子、Fv、ジスルフィド結合Fv、モノクローナル抗体、scFv、キメラ結合タンパク質、単一ドメイン結合タンパク質、CDR移植結合タンパク質、ディアボディ、ヒト化結合タンパク質、多重特異性結合タンパク質、Fab、双特異的結合タンパク質、Fab'断片、双特異性結合タンパク質、F(ab')2断片、DVD−Ig(商標)、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって結合している2つのFab断片を含む二価の断片、前記VHおよびCH1ドメインからなるFd断片、抗体の単一のアームの前記VLおよびVHドメインからなるFv断片、dAb断片、単離された相補性決定領域(CDR)、または一本鎖結合タンパク質を含む、請求項62に記載の結合タンパク質。
  • 前記結合タンパク質が、放射性標識、酵素、蛍光標識、発光標識、生物発光標識、磁気標識、およびビオチンからなる群より選択される造影剤に抱合されている、請求項63に記載の結合タンパク質。
  • 前記結合タンパク質が、代謝拮抗薬、アルキル化剤、抗生物質、成長因子、サイトカイン、抗血管新生薬、有糸分裂阻害剤、アントラサイクリン、毒素、またはアポトーシス薬からなる群より選択される治療薬または細胞障害性薬物をさらに含む、請求項63に記載の結合タンパク質。
  • 請求項62に記載のアミノ酸配列を含む結合タンパク質をコードしている単離した核酸。
  • 請求項73に記載の単離した核酸を含むベクター。
  • 請求項74に記載のベクターを含む宿主細胞。
  • IL−17に結合するタンパク質の産生方法であって、請求項75に記載の宿主細胞を培地中で、IL−17に結合する結合タンパク質を産生するのに十分な条件で培養するステップを含む、タンパク質の産生方法。
  • 請求項62に記載の結合タンパク質および医薬として許容可能な担体を含む医薬組成物。
  • 請求項77に記載の医薬組成物の有効量を哺乳類に投与することを含む、前記哺乳類の治療方法。
  • ヒトIL−17の活性が低下するように、ヒトIL−17を請求項62に記載の結合タンパク質と接触させることを含む、ヒトIL−17活性を低下させる方法。
  • IL−17活性が有害な障害を患っているヒト対象におけるヒトIL−17の活性を低下させる方法であって、前記ヒト対象におけるヒトIL−17の活性が低下するおよび/または治療が達成されるように、前記ヒト対象に請求項62に記載の結合タンパク質を投与することを含む、方法。
  • 患者に第二の薬剤を投与する前もしくは後またはその投与と同時に、請求項62に記載の結合タンパクを前記患者に投与することを含む、IL−17が有害な障害を患っている前記患者の治療方法であって、前記第二の薬剤が、ブデノシド、上皮増殖因子、コルチコステロイド、シクロスポリン、スルファサラジン、アミノサリチラート、6−メルカプトプリン、アザチオプリン、メトロニダゾール、リポキシゲナーゼ阻害剤、メサラミン、オルサラジン、バルサラジド、抗酸化剤、トロンボキサン阻害剤、IL−1受容体アンタゴニスト、抗IL−1βモノクローナル抗体、抗IL−6またはIL−6受容体モノクローナル抗体、成長因子、エラスターゼ阻害剤、ピリジニル−イミダゾール化合物、TNF、LT、IL−1、IL−2、IL−6、IL−7、IL−8、IL−12、IL−13、IL−15、IL−16、IL−18、IL−23、EMAP−II、GM−CSF、FGFおよびPDGFの抗体またはアゴニスト、CD2、CD3、CD4、CD8、CD−19、CD25、CD28、CD30、CD40、CD45、CD69、CD90またはこれらのリガンドの抗体、メトトレキサート、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノラート・モフェチル、レフルノミド、NSAID、イブプロフェン、コルチコステロイド、プレドニゾロン、ホスホジエステラーゼ阻害剤、アデノシンアゴニスト、抗血栓剤、補体阻害剤、アドレナリン作動薬、IRAK、NIK、IKK、p38、MAPキナーゼ阻害剤、IL−1β変換酵素阻害剤、TNFα変換酵素阻害剤、T細胞シグナル伝達阻害剤、メタロプロテイナーゼ阻害剤、スルファサラジン、アザチオプリン、6−メルカプトプリン、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、可溶性サイトカイン受容体、可溶性p55TNF受容体、可溶性p75TNF受容体、sIL−1RI、sIL−1RII、sIL−6R、抗炎症性サイトカイン、IL−4、IL−10、IL−11、IL−13およびTGFβからなる群より選択される、治療方法。
  • 前記障害が、自己免疫性障害および/または炎症性障害である、請求項80または81に記載の方法。
  • 前記障害が、自己免疫性障害および炎症性障害、喘息、関節リウマチ、硬直性脊椎炎、乾癬性関節炎、脊椎性関節症、乾癬、胃腸障害、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、ブドウ膜炎、および全身性エリテマトーデスからなる群より選択される、請求項82に記載の方法。
  • 前記障害が、免疫性疾患および炎症性疾患、自己免疫疾患、炎症、クローン病、乾癬(尋常性乾癬を含む)、関節炎(関節リウマチ、乾癬性関節炎、変形性関節症、または若年性特発性関節炎を含む)、多発性硬化症、硬直性脊椎炎、脊椎性関節症、全身性エリテマトーデス、ブドウ膜炎、多発性硬化症、敗血症、神経変性性疾患、ニューロン再生、脊髄損傷、原発性および転移性の癌、呼吸障害;喘息;アレルギー性および非アレルギー性喘息;感染症による喘息;RSウイルス(RSV)感染による喘息;慢性閉塞性肺疾患(COPD);気道の炎症を伴う症状;好酸球増加症;線維症および過剰粘液産生;嚢胞性線維症;肺線維症;アトピー性障害;アトピー性皮膚炎;蕁麻疹;湿疹;アレルギー性鼻炎;アレルギー性胃腸炎;皮膚の炎症性および/または自己免疫性の状態;胃腸器官の炎症性および/または自己免疫性の状態;炎症性腸疾患(IBD);潰瘍性大腸炎;肝臓の炎症性および/または自己免疫性の状態;肝硬変;肝線維症;肝炎Bおよび/またはCウイルスに起因する肝線維症;強皮症;腫瘍または癌;肝細胞の癌腫;膠芽腫;リンパ腫;ホジキンリンパ腫;ウイルス感染;細菌感染;寄生虫感染;HTLV−1感染;保護的なI型免疫応答の発現の抑制および、ワクチンを接種している間の、保護的なI型免疫応答の発現の抑制からなる群より選択される、請求項82に記載の方法。
  • 免疫アッセイにより、被検試料中のIL−17またはその断片の有無を決定する方法であって、前記免疫アッセイが、前記被検試料を、少なくとも1つの請求項62の結合タンパク質またはその断片、および少なくとも1つの検出可能な標識とを接触させることを含む、方法。
  • (i)前記被検試料を前記少なくとも1つの結合タンパク質またはその断片と接触させることであって、ここで前記結合タンパク質は、第一の複合体を形成するように、前記IL−17またはその断片のエピトープに結合する、接触させることと;
    (ii)前記複合体を前記少なくとも1つの検出可能な標識とを接触させることであって、ここで前記検出可能な標識は、前記第一の複合体または、前記結合タンパク質またはその断片が結合していない前記IL−17またはその断片のエピトープに結合して第二の複合体を形成する、接触させることと;および(iii)前記第二の複合体に含まれている前記検出可能な標識によって生成された前記シグナルに基づいて、前記被検試料中の前記IL−17またはその断片の有無を検出することであって、ここで前記IL−17またはその断片の有無は、前記検出可能な標識によって生成される前記シグナルと正相関している、検出することをさらに含む、請求項85に記載の方法。
  • (i)前記被検試料を前記少なくとも1つの結合タンパク質またはその断片と接触させることであって、ここで前記結合タンパク質またはその断片は、第一の複合体を形成するように、前記IL−17またはその断片のエピトープに結合する、接触させることと;
    (ii)前記複合体を前記少なくとも1つの検出可能な標識と接触させることであって、ここで前記検出可能な標識は、第二の複合体を形成するように、前記結合タンパク質またはその断片への結合に関して前記IL−17またはその断片と競合する、接触させることと;および(iii)前記第二の複合体に含まれている前記検出可能な標識によって生成された前記シグナルに基づいて、前記被検試料中の前記IL−17またはその断片の有無を検出することであって、ここで前記IL−17またはその断片の存在は、前記検出可能な標識によって生成される前記シグナルと逆相関している、検出することをさらに含む、請求項85に記載の方法
  • 前記方法が場合により、診断すること、予後診断すること、または前記患者の治療的/予防的処理の有効性を評価することをさらに含む、請求項85に記載の方法。
  • 说明书全文

    関連出願への相互参照 本出願は、2011年10月24日に出願の米国仮特許出願一連番号第61/550,619号の優先権を主張し、その全文は参照することにより本明細書に組み入れられる。

    発明の背景 TNFおよびIL−17に結合する多価かつ多重特異的な結合タンパク質、作成方法、および特に、急性および慢性炎症性疾患、癌、および他の疾患の診断、予防および/または治療におけるそれらの使用を提供する。

    当該技術分野では、改変したタンパク質、例えば2つ以上の抗原に結合できる多重特異性結合タンパク質が知られている。 そのような多重特異性結合タンパク質は、細胞融合、化学的な複合体化、または組換えDNAによって生成することができる。

    双特異性結合タンパク質は、その双特異性抗体に望まれる特異性をもつマウスモノクローナル抗体(mAb)を発現している2種類の異なるハイブリドーマ細胞株を体細胞融合させることに基づくクアドローマ技術によって生産されている(Milstein and Cuello (1983) Nature 305(5934):537−40を参照のこと)。 生じる雑種のハイブリドーマ(またはクアドローマ)細胞株中では、2種類の異なる免疫グロブリン(Ig)重鎖および軽鎖が無作為に対合するため、最大で10種類のIg種が生成されるが、その中のたった1つが機能性の双特異性抗体である。 望ましくない対合を生じた副産物が存在することや生産収率が有意に低いことから、高度な精製方法が必要とされる。

    双特異性結合タンパク質は、2種類の異なるmAbを化学的に複合体化させることによっても生産することができる(Staerz et al. (1985) Nature 314(6012): 628−31を参照のこと)。 この方法では、均質な調製物が得られない。 他の方法では、2種類の異なるmAbか、またはより短い抗体断片の化学的複合体化が用いられている(Brennan et al. (1985) Science 229(4708): 81−3を参照のこと)。

    双特異性結合タンパク質を生産するために用いられている別の方法には、2種類の親抗体をヘテロ二機能性架橋剤で結合させるものがあるが、架橋剤と親抗体との反応が部位特異的でないため、生じるディアボディは分子的に、非常に不均一なものとなる。 より均質なディアボディの調整物を得るために、2種類の異なるFab断片が、それらのヒンジ部分のシステイン残基での部位特異的な様式で、化学的に架橋されている(Glennie et al. (1987) J. Immunol. 139(7): 2367−75を参照のこと)。 しかしこの方法では、完全なIgG分子ではなく、Fab'2断片が生じる。

    多様な他の組換え双特異性抗体の形式が開発されている(Kriangkum et al. (2001) Biomol. Engin. 18(2): 31−40を参照のこと)。 タンデム一本鎖Fv分子およびディアボディ、ならびにそれらの様々な誘導体が最も広く使用されている。 通常、これらの分子の構築は、別々の抗原を認識する、2つの一本鎖Fv(scFv)断片から開始される(Economides et al. (2003) Nat. Med. 9(1): 47−52を参照のこと)。 タンデムscFv分子(taFv)は、2つのscFv分子を別のペプチドリンカーと単純に連結することによる、直接的なフォーマットを表している。 これらのタンデムscFv分子中に含まれている2つのscFv断片は、別個の折り畳まれた実体を構成する。 様々なリンカーを使用して、2つのscFv断片と、63残基までの長さのリンカーとを連結することができる(Nakanishi et al. (2001) Ann. Rev. Immunol. 19: 423−74を参照のこと)。 親scFv断片は通常、細菌中で可溶型として発現することができるが、タンデムscFv分子は細菌中で、不溶性の凝集として観察されることが多い。 従って、可溶性のタンデムscFv分子を生産するためには慣習的に、再折り畳みの手順か、あるいは哺乳類の発現系が使用される。 CD28および黒色腫関連プロテオグリカンを標的としたタンデムscFvの、トランスジェニックウサギおよびウシにおけるインビボでの発現が報告されている(Gracie et al. (1999) J. Clin. Invest. 104(10): 1393−401)。 この構築物中では、2つのscFv分子がCH1リンカーによって連結されており、双特異性抗体の濃度が最大100mg/Lの血清が得られた。 細菌内で可溶型を発現させるために、ドメインの順序を変化させることや、様々な長さあるいは柔軟性をもつ中間のリンカーを使用することなどを含む様々な方法が用いられた。 いくつかの研究では、非常に短いAla3リンカーか、あるいはグリシン/セリンに富む長いリンカーのいずれかを使用して、細菌内で可溶型のタンデムscFv分子を発現させたことが報告されている(Leung et al. (2000) J. Immunol. 164(12): 6495−502; Ito et al. (2003) J. Immunol. 170(9): 4802−9; Karni et al. (2002) J. Neuroimmunol. 125(1−2): 134−40を参照のこと)。 別の研究では、長さが3または6残基の無作為化した中間リンカーを含むタンデムscFvレパートリーのファージディスプレイを利用して、細菌中で可溶型かつ活性型として生産されたこれらの分子を濃縮した。 この方法では、6アミノ酸残基のリンカーを有するタンデムscFv分子が単離された(Arndt and Krauss (2003) Methods Mol. Biol. 207: 305−21を参照のこと)。 タンデムscFv分子を可溶型として発現させるのに、このリンカー配列が共通した解決策となるのか否かは不明である。 にもかかわらず、この研究では、タンデムscFv分子のファージディスプレイを定方向突然変異誘発と組み合わせて実施することが、細菌内で活性型として発現可能なこれらの分子を濃縮するための有効なツールであることが示された。

    双特異性ディアボディ(Db)は、発現するのにディアボディのフォーマットを利用する。 ディアボディは、VHドメインとVLドメインを連結しているリンカーをおよそ5残基に減らすことによって、scFv断片から生産される(Peipp and Valerius (2002) Biochem. Soc. Trans. 30(4): 507−11を参照のこと)。 このリンカーサイズの減少によってVHドメインとVLドメインが重複して対合し、2本のポリペプチド鎖の二量体化が促進される。 双特異性ディアボディは、同じ細胞の中で、VHA−VLBとVHB−VLAの構造(VH−VL配置)、またはVLA−VHBとVLB−VHAの構造(VL−VH配置)のいずれかを有する2本をポリペプチド鎖を発現させることで生産される。 これまでに、様々な異なる双特異性ディアボディが生産されてきており、それらの大部分は細菌内で可溶型として発現できる。 しかしながら、比較試験によって、可変ドメインの向きが発現と活性な結合部位の形成に影響を及ぼす可能性があることが示された(Mack et al. (1995) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92(15): 7021−5を参照のこと)。 それでもなお、細菌内での可溶型としての発現は、タンデムscFv分子に勝った重要な利点となる。 しかしながら、2種類の異なるポリペプチド鎖が同じ細胞内で発現することで、活性型のヘテロ二量体と共に、不活性なホモ二量体が生産される場合がある。 そのため、双特異性ディアボディの均質な調製物を得るためには、さらなる精製ステップの方法/手段が必要である。 双特異性ディアボディを生成させるための一方法には、ノブ・イントゥ・ホール(knob−into−hole)ディアボディの生産がある(Holliger et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90(14): 6444−8.18を参照のこと)。 この方法は、HER2およびCD3に対する双特異性ディアボディに関して示されたものであった。 Val37をPheに、Leu45をTrpに置換することでVHドメイン中に大きなノブを導入し、そして抗HER2可変ドメインまたは抗CD3可変ドメインのいずれかにおいて、Phe98をMetに、かつ、Tyr87をAlaに変異させることで、VLドメイン中にノブに相補的なホールを生成する。 この方法を用いることで、双特異性ディアボディの生産を、親ディアボディからの72%から、ノブ・イントゥ・ホールディアボディからの90%超に増加させることができた。 重要なことに、これらの変異による生産量の減少は、わずかなものであった。 しかしながら、解析したいくつかの構築物では、抗原−結合活性の低減が観察された。 従って、この非常に手の込んだ方法では、結合活性が変化していないヘテロ二量体分子を生産する突然変異を特定するために、様々な構築物を解析する必要が生じる。 加えて、この方法では定常領域の免疫グロブリン配列を突然変異によって改変する必要があるため、免疫原性が高く、インビボでの安定性が低く、さらに、望ましくない薬物動態を示す、天然のものでなく、かつ、自然なものでない形態の抗体配列が生じる恐れがある。

    双特異性ディアボディ様分子の形成を向上させるための別の方法には、一本鎖ディアボディ(scDb)がある(Holliger and Winter (1997) Cancer Immunol. Immunother. 45(3−4): 128−30; Wu et al. (1996) Immunotechnology 2(1): 21−36を参照のこと)。 双特異性一本鎖ディアボディは、2つのディアボディ形成ポリペプチド鎖と、およそ15アミノ酸残基の長さの中間リンカーを連結することで生産される。 その結果、単量体一本鎖ディアボディに相当する分子量(50〜60kDa)を有する全ての分子が双特異性となる。 いくつかの研究において、双特異性一本鎖ディアボディが細菌中で可溶型かつ活性形態で発現し、精製した分子の大半が単量体として含まれることが示されている(Holliger and Winter (1997) Cancer Immunol. Immunother. 45(3−4): 128−30; Wu et al. (1996) Immunotechnol. 2(1): 21−36; Pluckthun and Pack (1997) Immunotechnol. 3(2): 83−105; Ridgway et al. (1996) Protein Engin. 9(7): 617−21を参照のこと)。 従って、一本鎖ディアボディは、タンデムscFvsの長所(単量体の全てが双特異性であること)とディアボディの長所(細菌内で可溶型として発現すること)の両方を有するものである。

    さらに最近になって、ディアボディをFcと融合させ、よりIgに似た分子、ジ−ディアボディが作成された(Lu et al. (2004) J. Biol. Chem. 279(4): 2856−65を参照のこと)。 さらに、IgGの重鎖中に2つのFab反復を含み、4つの抗原分子に結合することができる多価抗体構築物についても記載されている(国際公開第0177342号およびMiller et al. (2003) J. Immunol. 170(9): 4854−61を参照のこと)。

    TNF(腫瘍壊死因子、腫瘍壊死因子−アルファ、腫瘍壊死因子−α、TNF−α、およびカケクチンとも呼ばれる)は、免疫応答の制御に関わるサイトカインである。 TNFは、免疫性および炎症性のエレメントを伴う様々な疾患に関連がある病理、例えば自己免疫疾患、特に炎症に関連する病理において非常に重要な役割を担っている。 そのため本明細書の結合タンパク質を、これらの障害の治療に使用してもよい。 TNFは、呼吸障害;様々な器官における炎症性および/または自己免疫状態;腫瘍または癌;および種々の型のウイルス、細菌および寄生虫感染にも関与している。

    インターロイキン−17(IL−17)は、活性型T細胞によって分泌されるサイトカインであり、免疫系のシグナル伝達分子を誘導することで、免疫応答において、様々な組織で単球および好中球を炎症部位に動員するための強な仲介因子として作用する。 IL−17はTNFと共同してその機能を果たしている。 IL−17は、関節リウマチ、喘息、狼瘡、移植片拒絶および抗腫瘍免疫などの多数の免疫/自己免疫関連疾患と関連付けられている。

    当該技術分野においては、TNFに結合できる多価結合タンパク質の向上が求められている。 米国特許第7,612,181号は、高い親和性を有する2つ以上の抗原に結合できる結合タンパク質の新規ファミリーを提供しており、これらは、二重可変ドメイン結合タンパク質(DVD結合タンパク質)と呼ばれている。 TNFに結合する新規結合タンパク質を提供する。

    国際公開第01/77342号

    米国特許第7,612,181号明細書

    Milstein and Cuello (1983) Nature 305(5934):537−40 Staerz et al. (1985) Nature 314(6012): 628−31 Brennan et al. (1985) Science 229(4708): 81−3 Glennie et al. (1987) J. Immunol. 139(7): 2367−75 Kriangkum et al. (2001) Biomol. Engin. 18(2): 31−40 Economides et al. (2003) Nat. Med. 9(1): 47−52 Nakanishi et al. (2001) Ann. Rev. Immunol. 19: 423−74 Gracie et al. (1999) J. Clin. Invest. 104(10): 1393−401 Leung et al. (2000) J. Immunol. 164(12): 6495−502 Ito et al. (2003) J. Immunol. 170(9): 4802−9 Karni et al. (2002) J. Neuroimmunol. 125(1−2): 134−40 Arndt and Krauss (2003) Methods Mol. Biol. 207: 305−21 Peipp and Valerius (2002) Biochem. Soc. Trans. 30(4): 507−11 Mack et al. (1995) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92(15): 7021−5 Holliger et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90(14): 6444−8.18 Holliger and Winter (1997) Cancer Immunol. Immunother. 45(3−4): 128−30 Wu et al. (1996) Immunotechnology 2(1): 21−36 Pluckthun and Pack (1997) Immunotechnol. 3(2): 83−105 Ridgway et al. (1996) Protein Engin. 9(7): 617−21 Lu et al. (2004) J. Biol. Chem. 279(4): 2856−65 Miller et al. (2003) J. Immunol. 170(9): 4854−61

    TNFおよびIL17に結合できる多価結合タンパク質を提供する。 高い親和性でもって、TNFおよびIL17に結合できる結合タンパク質の新規ファミリーを提供する。

    一実施形態では、TNFに結合し、ポリペプチド鎖を含む結合タンパク質を提供し、ここでポリペプチド鎖はVD1−(X1)n−VD2−C−(X2)nを含み、式中、VD1は第一の可変ドメインであり、VD2は第二の可変ドメインであり、Cは定常ドメインであり、X1はアミノ酸またはポリペプチドを表し、X2はFc領域を表し、かつ、nは0または1ある。 ある実施形態では、結合タンパク質中のVD1およびVD2は、重鎖可変ドメインである。 別の実施形態では、重鎖可変ドメインはマウス重鎖可変ドメイン、ヒト重鎖可変ドメイン、CDR移植重鎖可変ドメイン、またはヒト化重鎖可変ドメインであり。 一層さらに別の実施形態では、VD1およびVD2は同じ抗原に結合できる。 別の実施形態では、VD1およびVD2はそれぞれ別の抗原に結合できる。 その上さらに別の実施形態では、Cは重鎖定常ドメインである。 ある実施形態では、X1はリンカーであるが、ただし、X1はCH1ではない。 ある実施形態においてX1は、アミノ酸配列AKTTPKLEEGEFSEAR(配列番号1);AKTTPKLEEGEFSEARV(配列番号2);AKTTPKLGG(配列番号3);SAKTTPKLGG(配列番号4);SAKTTP(配列番号5);RADAAP(配列番号6);RADAAPTVS(配列番号7);RADAAAAGGPGS(配列番号8);RADAAAA(G S) (配列番号9) SAKTTPKLEEGEFSEARV(配列番号10);ADAAP(配列番号11);ADAAPTVSIFPP(配列番号12);TVAAP(配列番号13);TVAAPSVFIFPP(配列番号14);QPKAAP(配列番号15);QPKAAPSVTLFPP(配列番号16);AKTTPP(配列番号17);AKTTPPSVTPLAP(配列番号18);AKTTAP(配列番号19);AKTTAPSVYPLAP(配列番号20);ASTKGP(配列番号21);ASTKGPSVFPLAP(配列番号22)、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号23);GENKVEYAPALMALS(配列番号24);GPAKELTPLKEAKVS(配列番号25);またはGHEAAAVMQVQYPAS(配列番号26);TVAAPSVFIFPPTVAAPSVFIFPP(配列番号27);およびASTKGPSVFPLAPASTKGPSVFPLAP(配列番号28)を含むリンカーである。 ある実施形態では、X2はFc領域である。 別の実施形態では、X2は変異体Fc領域である。

    ある実施形態では、本明細書で開示の結合タンパク質はTNFに結合するポリペプチド鎖を含み、このポリペプチド鎖はVD1−(X1)n−VD2−C−(X2)nを含み、式中、VD1は第一の重鎖可変ドメインであり、VD2は第二の重鎖可変ドメインであり、Cは重鎖定常ドメインであり、X1はリンカーであるが、ただしCH1ではなく、かつ、X2はFc領域である。

    ある実施形態では、結合タンパク質中のVD1およびVD2は軽鎖可変ドメインである。 ある実施形態では、軽鎖可変ドメインはマウス軽鎖可変ドメイン、ヒト軽鎖可変ドメイン、CDR移植軽鎖可変ドメイン、またはヒト化軽鎖可変ドメインである。 一実施形態では、VD1およびVD2は同じ抗原に結合できる。 別の実施形態では、VD1およびVD2はそれぞれ別の抗原に結合できる。 ある実施形態では、Cは軽鎖定常ドメインである。 ある実施形態では、X1はリンカーであるが、ただしX1はCLではない。 ある実施形態では、X1は、アミノ酸配列AKTTPKLEEGEFSEAR(配列番号1);AKTTPKLEEGEFSEARV(配列番号2);AKTTPKLGG(配列番号3);SAKTTPKLGG(配列番号4);SAKTTP(配列番号5);RADAAP(配列番号6);RADAAPTVS(配列番号7);RADAAAAGGPGS(配列番号8);RADAAAA(G S) (配列番号9) SAKTTPKLEEGEFSEARV(配列番号10);ADAAP(配列番号11);ADAAPTVSIFPP(配列番号12);TVAAP(配列番号13);TVAAPSVFIFPP(配列番号14);QPKAAP(配列番号15);QPKAAPSVTLFPP(配列番号16);AKTTPP(配列番号17);AKTTPPSVTPLAP(配列番号18);AKTTAP(配列番号19);AKTTAPSVYPLAP(配列番号20);ASTKGP(配列番号21);ASTKGPSVFPLAP(配列番号22)、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号23);GENKVEYAPALMALS(配列番号24);GPAKELTPLKEAKVS(配列番号25);またはGHEAAAVMQVQYPAS(配列番号26);TVAAPSVFIFPPTVAAPSVFIFPP(配列番号27);およびASTKGPSVFPLAPASTKGPSVFPLAP(配列番号28)を含む。 ある実施形態では、結合タンパク質はX2を含まない。

    ある実施形態では、可変重鎖と可変軽鎖は両方とも同じリンカーを含む。 別の実施形態では、可変重鎖と可変軽鎖はそれぞれ別のリンカーを含む。 別の実施形態では、可変重鎖と可変軽鎖は両方とも、短い(約6アミノ酸の)リンカーを含む。 別の実施形態では、可変重鎖と可変軽鎖は両方とも、長い(6アミノ酸超)リンカーを含む。 別の実施形態では、可変重鎖は短いリンカーを含み、可変軽鎖は長いリンカーを含む。 別の実施形態では、可変重鎖は長いリンカーを含み、可変軽鎖は短いリンカーを含む。

    ある実施形態では、本明細書で開示の結合タンパク質はTNFに結合するポリペプチド鎖を含み、このポリペプチド鎖はVD1−(X1)n−VD2−C−(X2)nを含み、式中、VD1は第一の軽鎖可変ドメインであり、VD2は第二の軽鎖可変ドメインであり、Cは軽鎖定常ドメインであり、X1はリンカーであるが、ただしCLではなく、かつ、X2はFc領域を含まない。

    別の実施形態では、TNFに結合し、2つのポリペプチド鎖を含む結合タンパク質を提供し、ここで第一のポリペプチド鎖はVD1−(X1)n−VD2−C−(X2)nを含み、式中、VD1は第一の重鎖可変ドメインであり、VD2は第二の重鎖可変ドメインであり、Cは重鎖定常ドメインであり、X1は第一のリンカーであり、およびX2はFc領域であり;ならびに第二のポリペプチド鎖はVD1−(X1)n−VD2−C−(X2)nを含み、式中、VD1は第一の軽鎖可変ドメインであり、VD2は第二の軽鎖可変ドメインであり、Cは軽鎖定常ドメインであり、X1は第二のリンカーであり、およびX2はFc領域を含まない。 いくつかの実施形態では、第一のおよび第二のX1は同じものである。 他の実施形態では、第一のおよび第二のX1はそれぞれ異なるものである。 いくつかの実施形態では、第一のX1はCH1ドメインではない。 いくつかの実施形態では、第二のX1はCLドメインではない。

    特定の実施形態では、二重可変ドメイン(DVD)結合タンパク質は4つのポリペプチド鎖を含み、2つの各第一のポリペプチド鎖はVD1−(X1)n−VD2−C−(X2)nを含み、式中、VD1は第一の重鎖可変ドメインであり、VD2は第二の重鎖可変ドメインであり、Cは重鎖定常ドメインであり、X1は第一のリンカーであり、およびX2はFc領域であり;および2つの各第二のポリペプチド鎖はVD1−(X1)n−VD2−C−(X2)nを含み、式中、VD1は第一の軽鎖可変ドメインであり、VD2は第二の軽鎖可変ドメインであり、Cは軽鎖定常ドメインであり、X1は第二のリンカーであり、およびX2はFc領域を含まない。 このようなDVD結合タンパク質は4つの抗原結合部位を有する。 いくつかの実施形態では、第一のおよび第二のX1は同じものである。 他の実施形態では、第一のおよび第二のX1はそれぞれ異なるものである。 いくつかの実施形態では、第一のX1はCH1ドメインではない。 いくつかの実施形態では、第二のX1はCLドメインではない。 別の実施形態では、本明細書で開示の結合タンパク質はTNFに結合できる。 従っていくつかの実施形態では、結合タンパク質は、TNFに結合できる少なくとも2つの可変ドメイン配列(例えば、VD1およびVD2)を、任意の向きで含む。 いくつかの実施形態では、VD1およびVD2はそれぞれ独立して選択される。 その結果いくつかの実施形態では、VD1およびVD2は同じ配列番号を含み、また、他の実施形態では、VD1およびVD2は異なる配列番号を含む。

    ある実施形態では、結合タンパク質はVD1およびVD2重鎖可変ドメインと、VD1およびVD2軽鎖可変ドメインを含み、
    (a)VD1またはVD2重鎖可変ドメインは、配列番号541、551、561、571、581、591、601、606、611、616、621、626、631、636、643、653、661、671、681、691、701、711、721、731、741、753、763、771、776、781、786、791、796、801、805、807、809、または36〜41、48〜72、もしくは88〜97のいずれか1つに由来する3つのCDRを含み、VD1またはVD2軽鎖可変ドメインは配列番号546、556、566、576、586、596、648、658、666、676、686、696、706、716、726、736、746、758、768または42〜47、73〜87、もしくは98〜107のいずれか1つに由来する3つのCDRを含み、かつ、結合タンパク質はTNFに結合でき;
    (b)VD1およびVD2重鎖可変ドメインはそれぞれ独立して、配列番号541、551、561、571、581、591、601、606、611、616、621、626、631、636、643、653、661、671、681、691、701、711、721、731、741、753、763、771、776、781、786、791、796、801、805、807、809、または36〜41、48〜72、もしくは88〜97のいずれか1つに由来する3つのCDRを含み、VD1およびVD2軽鎖可変ドメインはそれぞれ独立して、配列番号546、556、566、576、586、596、648、658、666、676、686、696、706、716、726、736、746、758、768または42〜47、73〜87、もしくは98〜107のいずれか1つに由来する3つのCDRを含み、かつ、結合タンパク質はTNFに結合でき;または(c)VD1重鎖可変ドメインは配列番号541、551、561、571、581、591、601、606、611、616、621、626、631、636、643、653、661、671、681、691、701、711、721、731、741、753、763、771、776、781、786、791、796、801、805、807、809、または36〜41、48〜72、もしくは88〜97のいずれか1つに由来する3つのCDRを含み、およびVD2重鎖可変ドメインは配列番号30、32、34、108、109、110、111、112、113、114、115、121〜317、527〜534、543、553、563、573、583、593、603、608、613、618、623、628、633、638、641、651、663、673、683、693、703、713、723、733、743、751、761、773、778、783、788、793、798、803または811からの3つのCDRを含み;VD1軽鎖可変ドメインは配列番号546、556、566、576、586、596、648、658、666、676、686、696、706、716、726、736、746、758、768または42〜47、73〜87、もしくは98〜107のいずれか1つに由来する3つのCDRを含み、およびVD2軽鎖可変ドメインは配列番号31、33、35、116、117、118、119、120、318〜526、535〜539、548、558、568、578、588、598、646、656、668、678、688、698、708、718、728、738、748、756、766、または812からの3つのCDRを含み;または(d)VD2重鎖可変ドメインは配列番号541、551、561、571、581、591、601、606、611、616、621、626、631、636、643、653、661、671、681、691、701、711、721、731、741、753、763、771、776、781、786、791、796、801、805、807、809、または36〜41、48〜72、もしくは88〜97のいずれか1つに由来する3つのCDRを含み、およびVD1重鎖可変ドメインは配列番号30、32、34、108、109、110、111、112、113、114、115、121〜317、527〜534、543、553、563、573、583、593、603、608、613、618、623、628、633、638、641、651、663、673、683、693、703、713、723、733、743、751、761、773、778、783、788、793、798、803または811からの3つのCDRを含み;VD2軽鎖可変ドメインは配列番号546、556、566、576、586、596、648、658、666、676、686、696、706、716、726、736、746、758、768または42〜47、73〜87、もしくは98〜107のいずれか1つに由来する3つのCDRを含み、およびVD1軽鎖可変ドメインは配列番号31、33、35、116、117、118、119、120、318〜526、535〜539、548、558、568、578、588、598、646、656、668、678、688、698、708、718、728、738、748、756、766、または812からの3つのCDRを含む。

    別の実施形態では、結合タンパク質は、表1に示す重鎖配列および軽鎖配列を含む。

    別の実施形態では、TNFに結合し、ポリペプチド鎖を含む結合タンパク質を提供し、ここでポリペプチド鎖はVD1−(X1)n−VD2−C−(X2)nを含み、式中、VD1は第一の親抗体またはその抗原結合部分から得られた第一の重鎖可変ドメインであり;VD2は、第一の親抗体と同じであっても異なるものであってもよい第二の親抗体またはその抗原結合部分から得られた第二の重鎖可変ドメインであり;Cは重鎖定常ドメインであり;(X1)nはリンカーであるが、ただしCH1ではなく、(X1)nは存在するかまたは存在せず;および(X2)nはFc領域であり、(X2)nは存在するかまたは存在しない。 ある実施形態では、結合タンパク質はFc領域を欠いている。

    別の実施形態では、TNFに結合し、ポリペプチド鎖を含む結合タンパク質を提供し、ここでポリペプチド鎖はVD1−(X1)n−VD2−C−(X2)nを含み、式中、VD1は第一の親抗体またはその抗原結合部分から得られた第一の軽鎖可変ドメインであり;VD2は、第一の親抗体と同じであっても異なるものであってもよい第二の親抗体またはその抗原結合部分から得られた第二の軽鎖可変ドメインであり、Cは軽鎖定常ドメインであり;(X1)nはリンカーであるが、ただしCLではなく、ここで(X1)nは存在するかまたは存在せず;および(X2)nはFc領域を含まず、ここで(X2)nは存在するかまたは存在しない。 ある実施形態では、結合タンパク質は(X2)nを欠いている。

    別の実施形態では、TNFに結合する結合タンパク質は、第一のおよび第二のポリペプチド鎖を含み、ここで第一のポリペプチド鎖は第一のVD1−(X1)n−VD2−C−(X2)nを含み、式中、VD1は第一の親抗体またはその抗原結合部分から得られた第一の重鎖可変ドメインであり;VD2は第一の親抗体と同じであっても異なるものであってもよい第二の親抗体またはその抗原結合部分から得られた第二の重鎖可変ドメインであり;Cは重鎖定常ドメインであり;(X1)nは第一のリンカーであり、ここで(X1)nは存在するかまたは存在せず;および(X2)nはFc領域であり、ここで(X2)nは存在するかまたは存在せず;ならびに第二のポリペプチド鎖は第二のVD1−(X1)n−VD2−C−(X2)nを含み、式中、VD1は第一の親抗体またはその抗原結合部分から得られた第一の軽鎖可変ドメインであり;VD2は、第一の親抗体と同じであっても異なるものであってもよい第二の親抗体またはその抗原結合部分から得られた第二の軽鎖可変ドメインであり;Cは軽鎖定常ドメインであり;(X1)nは第二のリンカーであり、ここで(X1)nは存在するかまたは存在せず;および(X2)nはFc領域を含まず、ここで(X2)nは存在するかまたは存在しない。 別の実施形態では、結合タンパク質は2つの第一のポリペプチド鎖と2つの第二のポリペプチド鎖を含む。 一層さらに別の実施形態では、第二のポリペプチドは(X2)nを欠いている。 いくつかの実施形態では、第一のX1と第二のX1は同じものである。 他の実施形態では、第一のX1と第二のX1はそれぞれ異なるものである。 いくつかの実施形態では、第一のX1はCH1ドメインではない。 いくつかの実施形態では、第二のX1はCLドメインではない。 その上さらに別の実施形態では、Fc領域は、第一のポリペプチドに存在する場合、天然の配列Fc領域または変異体配列Fc領域である。 一層さらに別の実施形態では、Fc領域はIgG1由来のFc領域、IgG2由来のFc領域、IgG3由来のFc領域、IgG4由来のFc領域、IgA由来のFc領域、IgM由来のFc領域、IgE由来のFc領域、またはIgD由来のFc領域である。

    別の実施形態では、TNFに結合する結合タンパク質は4つのポリペプチド鎖を含み、ここで第一のおよび第三のポリペプチド鎖はVD1−(X1)n−VD2−C−(X2)nを含み、式中、VD1は第一の親抗体またはその抗原結合部分から得られた第一の重鎖可変ドメインであり;VD2は、第一の親抗体と同じであっても異なるものであってもよい第二の親抗体またはその抗原結合部分から得られた第二の重鎖可変ドメインであり;Cは重鎖定常ドメインであり;(X1)nは第一のリンカーであり、ここで(X1)nは存在するかまたは存在せず;および(X2)nはFc領域であり、ここで(X2)nは存在するかまたは存在せず;ならびに第二のおよび第四のポリペプチド鎖はVD1−(X1)n−VD2−C−(X2)nを含み、式中、VD1は第一の親抗体またはその抗原結合部分から得られた第一の軽鎖可変ドメインであり;VD2は、第一の親抗体と同じであっても異なるものであってもよい第二の親抗体またはその抗原結合部分から得られた第二の軽鎖可変ドメインであり;Cは軽鎖定常ドメインであり;(X1)nは第二のリンカーであり、ここで(X1)nは存在するかまたは存在せず;および(X2)nはFc領域を含まず、ここで(X2)nは存在するかまたは存在しない。 いくつかの実施形態では、第一のX1と第二のX1は同じものである。 他の実施形態では、第一のX1と第二のX1はそれぞれ異なるものである。 いくつかの実施形態では、第一のX1はCH1ドメインではない。 いくつかの実施形態では、第二のX1はCLドメインではない。

    TNFに結合する結合タンパク質の作成方法を提供する。 ある実施形態では、IL−13およびIL−17に結合する結合タンパク質の作成方法は、a)IL−13に結合する第一の親抗体、またはその抗原結合部分を得るステップ;b)IL−17に結合する第二の親抗体、またはその抗原結合部分を得るステップ;c)VD1−(X1)n−VD2−C−(X2)n[式中、VD1は第一の親抗体、またはその抗原結合部分の第一の重鎖可変ドメインであり;VD2は、第一の親抗体と同じであっても異なるものであってもよい第二の親抗体、またはその抗原結合部分の第二の重鎖可変ドメインであり;Cは重鎖定常ドメインであり;(X1)nは第一のリンカーであり、ここで(X1)nは存在するかまたは存在せず;および(X2)nはFc領域であり、ここで(X2)nは存在するかまたは存在しない]を含む第一のおよび第三のポリペプチド鎖を構築するステップ;d)VD1−(X1)n−VD2−C−(X2)n[式中、VD1は第一の親抗体、またはその抗原結合部分の第一の軽鎖可変ドメインであり;VD2は第二の親抗体またはその抗原結合部分の第二の軽鎖可変ドメインであり;Cは軽鎖定常ドメインであり;(X1)nは第二のリンカーであり、ここで(X1)nは存在するかまたは存在せず;および(X2)nはFc領域を含まず、ここで(X2)nは存在するかまたは存在しない]を含む第二のおよび第四のポリペプチド鎖を構築するステップ;e)第一の抗原と第二の抗原に結合する結合タンパク質が生成されるように、第一の、第二の、第三のおよび第四のポリペプチド鎖を発現させるステップを含む。 いくつかの実施形態では、第一のX1と第二のX1は同じものである。 他の実施形態では、第一のX1と第二のX1はそれぞれ異なるものである。 いくつかの実施形態では、第一のX1はCH1ドメインではない。 いくつかの実施形態では、第二のX1はCLドメインではない。

    その上さらに別の実施形態では、TNFに結合し、所望の特性を有する結合タンパク質の生成方法を提供し、この方法は、a)TNFに結合し、結合タンパク質によって示される少なくとも1つの所望の特性を有する第一の親抗体またはその抗原結合部分を得るステップ;b)第二の抗原に結合し、結合タンパク質によって示される少なくとも1つの所望の特性を有する第二の親抗体またはその抗原結合部分を得るステップ;c)VD1−(X1)n−VD2−C−(X2)n[式中、VD1は第一の親抗体またはその抗原結合部分から得られる第一の重鎖可変ドメインであり;VD2は、第一の親抗体と同じであっても異なるものであってもよい第二の親抗体またはその抗原結合部分から得られる第二の重鎖可変ドメインであり;Cは重鎖定常ドメインであり;(X1)nは第一のリンカーであり、ここで(X1)nは存在するかまたは存在せず;および(X2)nはFc領域であり、ここで(X2)nは存在するかまたは存在しない]を含む第一のおよび第三のポリペプチド鎖を構築するステップ;d)VD1−(X1)n−VD2−C−(X2)n[式中、VD1は第一の親抗体またはその抗原結合部分から得られる第一の軽鎖可変ドメインであり;VD2は第二の親抗体またはその抗原結合部分から得られる第二の軽鎖可変ドメインであり;Cは軽鎖定常ドメインであり;(X1)nは第二のリンカーであり、ここで(X1)nは存在するかまたは存在せず;および(X2)nはFc領域を含まず、ここで(X2)nは存在するかまたは存在しない]を含む第二のおよび第四のポリペプチド鎖を構築するステップ;e)第一のおよび第二の抗原に結合可能で、所望の特性を有する二重可変ドメイン免疫グロブリンが生成されるように、第一の、第二の、第三のおよび第四のポリペプチド鎖を発現させるステップ、を含む。 いくつかの実施形態では、第一のX1と第二のX1は同じものである。 他の実施形態では、第一のX1と第二のX1はそれぞれ異なるものである。 いくつかの実施形態では、第一のX1はCH1ドメインではない。 いくつかの実施形態では、第二のX1はCLドメインではない。

    一実施形態では、本明細書で開示の第一のおよび第二のポリペプチド鎖のVD1は、同じ親抗体またはその抗原結合部分から得られたものである。 別の実施形態では、本明細書で開示の第一のおよび第二のポリペプチド鎖のVD1は、異なる親抗体またはその抗原結合部分から得られたものである。 別の実施形態では、本明細書で開示の第一のおよび第二のポリペプチド鎖のVD2は、同じ親抗体またはその抗原結合部分から得られたものである。 別の実施形態では、本明細書で開示の第一のおよび第二のポリペプチド鎖のVD2は、異なる親抗体またはその抗原結合部分から得られたものである。

    一実施形態では、第一の親抗体またはその抗原結合部分、および第二の親抗体またはその抗原結合部分、は同じ抗体である。 別の実施形態では、第一の親抗体またはその抗原結合部分、および第二の親抗体またはその抗原結合部分、は異なる抗体である。

    一実施形態では、第一の親抗体またはその抗原結合部分は第一の抗原に結合し、第二の親抗体またはその抗原結合部分は第二の抗原に結合する。 特定の実施形態では、第一の抗原と第二の抗原は同じ抗原である。 別の実施形態では、それぞれの親抗体は、同じ抗原の別のエピトープに結合する。 別の実施形態では、第一の抗原と第二の抗原は異なる抗原である。 別の実施形態では、第一の親抗体またはその抗原結合部分は、第二の親抗体またはその抗原結合部分が第二の抗原と結合する強度とは異なる強度で、第一の抗原に結合する。 一層さらに別の実施形態では、第一の親抗体またはその抗原結合部分は、第二の親抗体またはその抗原結合部分が第二の抗原に結合する親和性とは異なる親和性でもって、第一の抗原に結合する。

    別の実施形態では、第一の親抗体またはその抗原結合部分、および第二の親抗体またはその抗原結合部分は、ヒト抗体、CDR移植抗体、またはヒト化抗体である。 ある実施形態では、抗原結合部分は、Fab断片、F(ab')2断片、ヒンジ領域のジスルフィド架橋で連結された2つのFab断片を含む二価の断片、VHドメインとCH1ドメインからなるFd断片、抗体の一本のアームのVLドメインとVHドメインからなるFv断片、dAb断片、単離された相補性決定領域(CDR)、一本鎖抗体、またはディアボディである。

    別の態様において本発明は、少なくとも1つの重鎖可変領域(VH領域)を含むIL−17結合タンパク質を提供し、このVH領域は、
    (a)配列番号:30、32、34、108〜115、121〜317、527〜534、543、553、563、573、583、593、603、608、613、618、623、628、633、638、641、651、663、673、683、693、703、713、723、733、743、751、761、773、778、783、788、793、798、803、および811から選択されるいずれか1種の3つの相補性決定領域(CDR);または(b)配列番号:30、32、34、108〜115、121〜317、527〜534、543、553、563、573、583、593、603、608、613、618、623、628、633、638、641、651、663、673、683、693、703、713、723、733、743、751、761、773、778、783、788、793、798、803、および811のいずれか1種、を含む。

    一実施形態において本発明は、少なくとも1つの軽鎖可変領域(VL領域)を含むIL−17結合タンパク質を提供し、この結合タンパク質は、
    (a)配列番号:31、33、35、116〜120、318〜526、535〜539、548、558、568、578、588、598、646、656、668、678、688、698、708、718、728、738、748、756、766、および812から選択されるいずれか1種の3つの相補性決定領域(CDR);または(b)配列番号:31、33、35、116〜120、318〜526、535〜539、548、558、568、578、588、598、646、656、668、678、688、698、708、718、728、738、748、756、766、および812のうちのいずれか1種、を含む。

    一実施形態において本発明は、少なくとも1つの重鎖可変領域(VH領域)と少なくとも1つの軽鎖可変領域(VL領域)を含むIL−17結合タンパク質を提供し、ここでVH領域は、
    (a)配列番号:30、32、34、108〜115、121〜317、527〜534、543、553、563、573、583、593、603、608、613、618、623、628、633、638、641、651、663、673、683、693、703、713、723、733、743、751、761、773、778、783、788、793、798、803、および811から選択されるいずれか1種の3つの相補性決定領域(CDR);または(b)配列番号:30、32、34、108〜115、121〜317、527〜534、543、553、563、573、583、593、603、608、613、618、623、628、633、638、641、651、663、673、683、693、703、713、723、733、743、751、761、773、778、783、788、793、798、803、および811のうちのいずれか1種、を含み;およびVL領域は、
    (c)配列番号:31、33、35、116〜120、318〜526、535〜539、548、558、568、578、588、598、646、656、668、678、688、698、708、718、728、738、748、756、766、および812のいずれか1つに由来する3つのCDR;または(d)配列番号:31、33、35、116〜120、318〜526、535〜539、548、558、568、578、588、598、646、656、668、678、688、698、708、718、728、738、748、756、766、および812のうちのいずれか1種、を含む。

    一実施形態では、結合タンパク質は2つのVH領域と2つのVL領域を含む。

    一実施形態では、結合タンパク質は、配列番号:30と31;32と33;34と35;108と118;108と119;109と116;110と117;111と120;112と117;113と120;114と117;115と117;527と537;527と538;528と535;529と536;530と539;531と536;532と539;533と536;および534と536からなる群より選択されるアミノ酸配列の組を含む、少なくとも1つのVH領域と少なくとも1つのVL領域を含む。

    一実施形態において結合タンパク質は、
    (a)IL−17の生物学的機能を調節し;
    (b)IL−17を中和し;
    (c)IL−17がその受容体に結合する能力を弱め;
    (d)前駆ヒトIL−17、成熟ヒトIL−17、または切断型ヒトIL−17がその受容体に結合する能力を弱め;および/または(e)IL−17依存性サイトカインの生産、IL−17依存性細胞死、IL−17依存性炎症、IL−17依存性骨侵食、およびIL−17依存性軟骨損傷のうちの1つ以上を低減する。

    一実施形態では、表面プラズモン共鳴で測定した結合タンパク質の結合定数(Kon)は、少なくとも約10 −1−1 ;少なくとも約10 −1−1 ;少なくとも約10 −1−1 ;少なくとも約10 −1−1 ;または少なくとも約10 −1−1である。

    一実施形態では、表面プラズモン共鳴で測定した結合タンパク質の解離定数(Koff)最大、約10 −3−1 ;最大約10 −4−1 ;最大約10 −5 s−1;または最大約10 −6−1である。

    一実施形態では、結合タンパク質の解離定数(KD)は、最大約10 −7 M;最大約10 −8 M;最大約10 −9 M;最大約10 −10 M;最大約10 −11 M;最大約10 −12 M;または最大10 −13 Mである。

    別の態様において本発明は、ヒトIL−17に結合できる結合タンパク質を提供し、この結合タンパク質は、
    (a)重鎖定常領域;
    (b)軽鎖定常領域;
    (c)配列番号30、32、34、108〜115、121〜317、527〜534、543、553、563、573、583、593、603、608、613、618、623、628、633、638、641、651、663、673、683、693、703、713、723、733、743、751、761、773、778、783、788、793、798、803、および811からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH領域);および(d)配列番号31、33、35、116〜120、318〜526、535〜539、548、558、568、578、588、598、646、656、668、678、688、698、708、718、728、738、748、756、766、および812からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL領域)、を含む。

    別の実施形態において結合タンパク質は、第一の親抗体またはその抗原結合部分、または第二の親抗体またはその抗原結合部分によって示される少なくとも1つの所望の特性を有する。 あるいは、第一の親抗体またはその抗原結合部分および第二の親抗体またはその抗原結合部分は、二重可変ドメイン免疫グロブリンによって示される少なくとも1つの所望の特性を有する。 ある実施形態では、所望の特性とは1つ以上の抗体指標である。 別の実施形態では、抗体指標は、抗原特異性、抗原に対する親和性、力価、生物学的機能、エピトープの認識、安定性、溶解度、生産効率、免疫原性、薬物動態、バイオアベイラビリティ、組織間の交差反応性、またはオルソロガスな抗原結合性である。 ある実施形態では、結合タンパク質は多価である。 別の実施形態では、結合タンパク質は多重特異性である。 本明細書に記載の多価結合タンパク質および/または多重特異性結合タンパク質は、望ましい特性、特に治療の見地から望ましい特性を有する。 例えば、多価のおよび/または多重特異性の結合タンパク質は、(1)二価の抗体よりも早く、抗体が結合する抗原を発現している細胞に取り込まれ(および/または分解され)得る;(2)アゴニスト抗体であってもよい;および/または(3)多価抗体が結合できる抗原を発現している細胞の細胞死および/またはアポトーシスを誘導し得る。 多価および/または多重特異性結合タンパク質の少なくとも1つの抗原結合特異性を供する「親抗体」は、抗体が結合する抗原を発現している細胞に取り込まれる(および/または分解される)抗体であってよく;および/またはアゴニスト抗体、細胞死誘導性抗体および/またはアポトーシス誘導性抗体であってよく、また、多価およびまたは多重特異性結合タンパク質は本明細書に記載したように、これらの特性の1つ以上で改善を示しても良い。 さらに、親抗体はこれら特性の1つ以上を欠いていてもよいが、本明細書に記載したように、多価結合タンパク質として構築したときにそれらの特性に寄与し得る。

    別の実施形態では、結合タンパク質は1つ以上の標的に対して、表面プラズモン共鳴で測定した場合に、少なくとも約10 −1−1 ;少なくとも約10 −1−1 ;少なくとも約10 −1−1 ;少なくとも約10 −1−1 ;または少なくとも約10 −1−1の結合定数(K on )を有する。 ある実施形態では、結合タンパク質は1つ以上の標的に対して、表面プラズモン共鳴で測定した場合に、約10 −1−1から約10 −1−1 ;約10 −1−1から約10 −1−1 ;約10 −1−1から約10 −1−1 ;または約10 −1−1から約10 −1−1の結合定数(K on )を有する。

    別の実施形態では、結合タンパク質は1つ以上の標的に対して、表面プラズモン共鳴で測定した場合に、最大約10 −3−1 ;最大約10 −4−1 ;最大約10 −5−1 ;または最大約10 −6−1の解離定数(K off )を有する。 ある実施形態では、結合タンパク質は1つ以上の標的に対して、表面プラズモン共鳴で測定した場合に、約10 −3−1から約10 −4−1 ;約10 −4−1から約10 −5−1 ;または約10 −5−1から約10 −6−1の解離定数(K off )を有する。

    別の実施形態では、結合タンパク質は1つ以上の標的に対して、最大約10 −7 M;最大約10 −8 M;最大約10 −9 M;最大約10 −10 M;最大約10 −11 M;最大約10 −12 M;または最大10 −13 Mの平衡解離定数(K )を有する。 ある実施形態では、結合タンパク質はその標的に対して、約10 −7 M〜約10 −8 M;約10 −8 M〜約10 −9 M;約10 −9 M〜約10 −10 M;約10 −10 M〜約10 −11 M;約10 −11 M〜約10 −12 M;または約10 −12 〜M約10 −13 Mの平衡解離定数(K )を有する。

    別の実施形態では、本明細書に記載の結合タンパク質は、さらに薬剤を含む複合体である。 別の実施形態では、薬剤は免疫接着分子、造影剤、治療薬、または細胞障害性薬物である。 ある実施形態では、造影剤は放射性標識、酵素、蛍光標識、発光標識、生物発光標識、磁気標識、またはビオチンである。 別の実施形態では、放射性標識は、 14 35 S、 90 Y、 99 Tc、 111 In、 125 I、 131 I、 177 Lu、 166 Ho、または153 Smである。 一層さらに別の実施形態では、治療薬または細胞障害性薬物は、代謝拮抗薬、アルキル化剤、抗生物質、成長因子、サイトカイン、抗血管新生薬、有糸分裂阻害剤、アントラサイクリン、毒素、またはアポトーシス薬である。

    別の実施形態では、本明細書に記載の結合タンパク質は結晶化した結合タンパク質で、結晶として存在する。 ある実施形態において結晶は、担体を含まない、医薬制御放出結晶である。 一層さらに別の実施形態では、この結晶化結合タンパク質は、対応する可溶性の結合タンパク質よりも、インビボでの半減期が長い。 その上さらに別の実施形態では、この結晶化結合タンパク質は生物学的活性を保持している。

    別の実施形態では、本明細書に記載の結合タンパク質はグリコシル化されている。 例えば、グリコシル化とはヒトグリコシル化のパターンである。

    本明細書で開示の結合タンパク質のいずれかをコードしている単離した核酸も提供する。 さらなる実施形態は、本明細書で開示の単離した核酸を含むベクターを提供し、このベクターは、pcDNA;pTT(Durocher et al. (2002) Nucleic Acids Res. 30(2); pTT3(pTTとさらなるマルチプルクローニングサイト;pEFBOS(Mizushima and Nagata (1990) Nucleic Acids Res. 18(17);pBV;pJV;pcDNA3.1 TOPO;pEF6 TOPO;pBOS−hCg1、pHybEまたはpBJである。ある実施形態では、このベクターは、米国特許出願第20090239259号で開示されているベクターである。

    別の態様では、宿主細胞を、本明細書で開示のベクターで形質転換する。 ある実施形態では、宿主細胞は原核細胞である。 別の実施形態では、宿主細胞は大腸菌(E.coli)である。 関連する実施形態では、宿主細胞は真核細胞である。 別の実施形態では、真核細胞は原生生物細胞、動物細胞、植物細胞、または真菌細胞である。 一層さらに別の実施形態では、宿主細胞は、CHO、COS;NS0、SP2、PER. C6を含むがこれらには限定されない哺乳類の細胞、または出芽酵母(Saccharomyce scerevisiae)等の真菌細胞、またはSf9等の昆虫細胞である。

    ある実施形態では、例えば異なる特性をもつ2つ以上を、単一の組換え宿主細胞中で生産する。 例えば、抗体混合物の発現は、Oligoclonics(商標)と呼ばれている、(Merus B.V., オランダ)、米国特許第 7,262,028号および同第7,429,486号。

    本明細書で開示の結合タンパク質の生産方法を提供し、この方法は、これも本明細書で開示の宿主細胞のうちのいずれか1種を、培地中で、結合タンパク質を生産にするのに十分な条件で培養することを含む。 ある実施形態では、この方法で生産された結合タンパク質の50%〜75%が二重特異的な四価の結合タンパク質である。 特定の実施形態では、この方法で生産された結合タンパク質の75%〜90%が二重特異的な四価の結合タンパク質である。 特定の実施形態では、生産された結合タンパク質の90%〜95%が二重特異的な四価の結合タンパク質である。

    一実施形態は、結合タンパク質を放出するための組成物を提供し、この組成物は、本明細書で開示するように、それ自体は、結晶化した結合タンパク質、成分、および少なくとも1つの高分子担体を含む製剤を含む。 高分子担体は例えば、ポリ(アクリル酸)、ポリ(シアノアクリル酸)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(無物)、ポリ(デシペプチド)、ポリ(エステル)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸/グリコール酸)つまりPLGA、ポリ(b−ヒドロキシブチラート)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ジオキサノン);ポリ(エチレングリコール)、ポリ((ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、ポリ[(オルガノ)ホスファゼン]、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、無水マレイン酸−アルキルビニルエーテル共重合体、プルロニックポリオール、アルブミン、アルギナート、セルロースおよびセルロース誘導体、コラーゲン、フィブリン、ゼラチン、ヒアルロン酸、オリゴ糖、グリカミノグリカン、硫酸化された多糖、またはそれらの混合物および共重合体である。例えば、成分は、アルブミン、ショ糖、トレハロース、ラクチトール、ゼラチン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、メトキシポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコールであってよい。別の実施形態では、本明細書で開示の組成物の有効量を哺乳類に投与するステップを含む、哺乳類の治療方法を提供する。

    本明細書で開示結合タンパク質と医薬として許容可能な担体を含有する医薬組成物を提供する。 さらなる実施形態では、医薬組成物は、障害を治療するための追加の治療薬を少なくとも1つ含む。 例えば追加の治療薬は、治療剤、造影剤、細胞障害性薬物、血管新生阻害剤(抗VEGF抗体またはVEGF−トラップが含まれるが、これらに限定されない)、キナーゼ阻害剤(KDRおよびTIE−2阻害剤が含まれるが、これらに限定されない)、共刺激分子遮断剤(抗B7.1、抗B7.2、CTLA4−Ig、抗CD20が含まれるが、これらに限定されない。)、接着分子遮断剤(抗LFA−1抗体、抗E/Lセレクチン抗体、小分子阻害剤が含まれるが、これらに限定されない。)、抗サイトカイン抗体またはその機能性断片(抗IL−18、抗TNFおよび抗IL−6/サイトカイン受容体抗体が含まれるが、これらに限定されない。)、メトトレキサート、シクロスポリン、ラパマイシン、FK506、検出可能な標識またはレポーター、TNFアンタゴニスト、抗リウマチ薬、筋肉弛緩剤、麻薬、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、鎮痛剤、麻酔薬、鎮静剤、局所麻酔、神経筋遮断剤、抗菌剤、抗乾癬剤、コルチコステロイド、アナボリックステロイド、エリスロポエチン、免疫化剤、免疫グロブリン、免疫抑制剤、成長ホルモン、ホルモン補充薬、放射性薬剤、抗うつ剤、抗精神病薬、刺激物質、喘息薬、βアゴニスト、吸引用ステロイド、エピネフリンまたは類縁体、サイトカインおよびサイトカインアンタゴニストであってよい。

    ヒト対象における標的の活性が阻害され、1つ以上の症状の軽減または治療が達成されるように、本明細書で開示の結合タンパク質をヒト対象に投与することを含む、本明細書で開示の結合タンパク質が結合できる標的(1つまたは複数)が有害な障害を患っているヒト対象の治療方法を提供する。 ある実施形態では、この組成物と方法で治療または診断可能な疾患には、これらには限定されないが、免疫性および炎症性の要素、例えば自己免疫疾患、特に、クローン病、乾癬(尋常性乾癬を含む)、関節炎(関節リウマチ、乾癬性関節炎、変形性関節症、または若年性特発性関節炎を含む)、多発性硬化症、硬直性脊椎炎、脊椎性関節症、全身性エリテマトーデス、ブドウ膜炎、多発性硬化症、敗血症、および神経変性性疾患、ニューロン再生、脊髄損傷、ならびに原発性および転移性癌などの炎症に関連のある免疫性および炎症性の要素が含まれる。 別の実施形態では、障害は呼吸障害;喘息;アレルギー性および非アレルギー性喘息;感染症による喘息;RSウイルス(RSV)感染による喘息;慢性閉塞性疾患(COPD);気道の炎症を伴う症状;好酸球増加症;線維症および過剰粘液産生;嚢胞性線維症;肺線維症;アトピー性障害;アトピー性皮膚炎;蕁麻疹;湿疹;アレルギー性鼻炎;アレルギー性胃腸炎;皮膚の炎症性および/または自己免疫状態;胃腸器官の炎症性および/または自己免疫状態;炎症性腸疾患(IBD);潰瘍性大腸炎;クローン病;肝臓の炎症性および/または自己免疫状態;肝硬変;肝線維症;肝炎Bおよび/またはCウイルスに起因する肝線維症;強皮症;腫瘍または癌;肝細胞の癌腫;膠芽腫;リンパ腫;ホジキンリンパ腫;ウイルス感染;細菌感染;寄生虫感染;HTLV−1感染;保護的な1型免疫応答の発現の抑制および、ワクチンを接種している間の、保護的な1型免疫応答の発現の抑制である。

    ある実施形態では、抗体またはその抗原−結合部分を、単独でまたは放射線治療および/または他の化学療法薬と併用して、癌の治療または、本明細書に記載の腫瘍の転移の予防もしくは阻害に使用する。

    別の態様では、本明細書で開示の結合タンパク質のいずれか1種を、本明細書で議論した第二の薬剤を投与する前に、第二の薬剤と同時に、または第二の薬剤の後に、投与するステップを含む、障害を患っている患者の治療方法を提供する。 特定の実施形態では、第二の薬剤は、ブデノシド、上皮増殖因子、コルチコステロイド、シクロスポリン、スルファサラジン、アミノサリチラート、6−メルカプトプリン、アザチオプリン、メトロニダゾール、リポキシゲナーゼ阻害剤、メサラミン、オルサラジン、バルサラジド、抗酸化剤、トロンボキサン阻害剤、IL−1受容体アンタゴニスト、抗IL−1βモノクローナル抗体、抗IL−6またはIL−6受容体モノクローナル抗体、成長因子、エラスターゼ阻害剤、ピリジニル−イミダゾール化合物、TNF、LT、IL−1、IL−2、IL−6、IL−7、IL−8、IL−12、IL−13、IL−15、IL−16、IL−18、IL−23、EMAP−II、GM−CSF、FGFおよびPDGFの抗体またはアゴニスト、CD2、CD3、CD4、CD8、CD−19、CD25、CD28、CD30、CD40、CD45、CD69、CD90またはこれらのリガンドの抗体、メトトレキサート、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノラート・モフェチル、レフルノミド、NSAID、イブプロフェン、コルチコステロイド、プレドニゾロン、ホスホジエステラーゼ阻害剤、アデノシンアゴニスト、抗血栓剤、補体阻害剤、アドレナリン作動薬、IRAK、NIK、IKK、p38、MAPキナーゼ阻害剤、IL−1β変換酵素阻害剤、TNFα変換酵素阻害剤、T細胞シグナル伝達阻害剤、メタロプロテイナーゼ阻害剤、スルファサラジン、アザチオプリン、6−メルカプトプリン、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、可溶性サイトカイン受容体、可溶性p55 TNF受容体、可溶性p75 TNF受容体、sIL−1RI、sIL−1RII、sIL−6R、抗炎症性サイトカイン、IL−4、IL−10、IL−11、IL−13およびTGFβである。 特定の態様では、本明細書に開示の医薬組成物は、非経口、皮下、筋内、静脈内、関節内、気管支内、腹内、嚢内、軟骨内、腔内(intracavity)、腔内(intracelial)、小脳内、脳室内、結腸内、頸管内、胃内、肝臓内、心筋内、骨内、骨盤内、心臓周囲内、腹腔内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、髄腔内、滑膜内、胸腔内、子宮内、膀胱内、ボーラス、膣、直腸、口内、舌下、鼻内および経皮で投与される。 少なくとも1つの結合タンパク質の少なくとも1つの抗イディオタイプ抗体も提供する。 抗イディオタイプ抗体は、免疫グロブリン分子の少なくとも一部分を含む分子を含有している任意のタンパク質またはペプチドを含み、免疫グロブリン分子の少なくとも一部分としては、例えば、本明細書で提供する結合タンパク質に組み込むことができる、少なくとも1つの重鎖若しくは軽鎖の相補性決定領域(CDR)またはそのリガンド結合部分、重鎖または軽鎖の可変領域、重鎖または軽鎖の定常領域、フレームワーク領域、またはその任意の部分が挙げられるがこれらには限定されない。

    被検試料中でのTNF(またはその断片)の有無、量、または濃度を決定する方法を提供する。 この方法は、免疫アッセイによって、被検試料を抗原(またはその断片)に関してアッセイすることを含む。 免疫アッセイは、(i)少なくとも1つの結合タンパク質および少なくとも1つの検出可能な標識を利用しており、かつ、(ii)検出可能な標識によって生成されたシグナルを、被検試料中の抗原(またはその断片)の有無、量、または濃度の直接的なまたは間接的な指標として、対照または検量用試料中の抗原(またはその断片)の有無、量、または濃度の直接的なまたは間接的な指標として生成されたシグナルと比較することを含む。 検量用試料は場合により、検量用試料のシリーズの一部である。 シリーズの各検量用試料に含まれる抗原(またはその断片)の濃度は、シリーズの別の検量用試料に含まれる抗原(またはその断片)の濃度とは異なる。 少なくとも1つの結合タンパク質のうちの1つは、結合タンパク質、例えば本明細書で開示のDVD結合タンパク質を含む。 この方法は、(i)捕捉剤/抗原(またはその断片)複合体を形成するために、被検試料を、抗原(またはその断片)のエピトープに結合する、少なくとも1つの捕捉剤と接触させること、(ii)捕捉剤/抗原(またはその断片)/検出剤複合体を形成するために、捕捉剤/抗原(またはその断片)複合体を、検出可能な標識を含み、かつ、抗原(またはその断片)上の捕捉剤が結合していないエピトープに結合する、少なくとも1つの検出剤と接触させること、および(iii)(ii)で形成した捕捉剤/抗原(またはその断片)/検出剤複合体に含まれている検出可能な標識によって生成されたシグナルに基づいて、被検試料中の抗原(またはその断片)の有無、量、または濃度を決定すること、ここで少なくとも1つの捕捉剤および/または少なくとも1つの検出剤は少なくとも1つの結合タンパク質である、を含み得る。

    あるいは、この方法は、(i)被検試料と、抗原(またはその断片)のエピトープに結合し、捕捉剤/抗原(またはその断片)複合体を形成する、少なくとも1つの捕捉剤を接触させること、および同時にまたは順次、いずれの順番でも構わないが、被検試料と、被検試料に含まれる任意の抗原(またはその断片)が少なくとも1つの捕捉剤に結合するのに競合する、検出可能に標識された抗原(またはその断片)と接触させること、ここで任意の抗原(またはその断片)は被検試料中に含まれており、かつ、検出可能に標識された抗原は互いに、捕捉剤/抗原(またはその断片)複合体および捕捉剤/検出可能に標識された抗原(またはその断片)複合体それぞれの形成を競合し、および(ii)(ii)で形成した捕捉剤/検出可能に標識された抗原(またはその断片)複合体中の検出可能な標識によって生成されたシグナルに基づいて、被検試料中の抗原(またはその断片)の有無、量、または濃度を決定すること、ここで少なくとも1つの捕捉剤は少なくとも1つの結合タンパク質であり、および捕捉剤/検出可能に標識された抗原(またはその断片)複合体中の検出可能な標識によって生成されたシグナルは被検試料中の抗原(またはその断片)の量または濃度と反比例する、を含み得る。

    いくつかの実施形態では、本明細書で開示の方法は、免疫アッセイによって、被検試料を抗原(またはその断片)についてアッセイすることを含む。 免疫アッセイとは、(i)少なくとも1つの結合タンパク質と少なくとも1つの検出可能な標識を利用するものであり、かつ、(ii)被検試料中の抗原(またはその断片)の有無、量または濃度の直接的なまたは間接的な指標として検出可能な標識によって生成されたシグナルを、対照または検量用試料中の抗原(またはその断片)の有無、量または濃度の直接的なまたは間接的な指標として生成されたシグナルと比較することを含む。 検量用試料は場合によって、検量用試料のシリーズの一部であり、シリーズ中の各検量用試料に含まれる抗原(またはその断片)の濃度は、シリーズ中の別の検量用試料中の抗原(またはその断片)の濃度とは異なる。 少なくとも1つの結合タンパク質のうちの1つは、結合タンパク質、例えば本明細書で開示のDVD結合タンパク質を含む。

    被検試料が患者に由来するものである場合、本明細書で開示の方法は、診断する、予後診断をする、または患者の治療的/予防的処置の有効性を評価することをさらに含む可能性がある。 この方法が、患者の治療的/予防的処置の有効性を評価することをさらに含む場合、この方法は場合により、有効性を改善する必要に応じて、患者の治療的/予防的処置を改変することをさらに含む。 本明細書で開示の方法は、自動化システムまたは半自動化システムに改変することができる。

    被検試料を抗原(またはその断片)に関してアッセイするためのキットも提供する。 このキットは、被検試料を抗原(またはその断片)についてアッセイするための少なくとも1つの構成要素と、被検試料を抗原(またはその断片)についてアッセイするための説明書を含み、ここで少なくとも1つの構成要素には、本明細書で開示の結合タンパク質を含有する少なくとも1つの組成物が含まれる。

    図1Aは、二重可変ドメイン(DVD)構築物の模式図であり、2つの親抗体からDVD結合タンパク質を生成するための方略を示す。 図1Bは、構築物DVD1−Ig、DVD2−Ig、および2つのキメラ単一特異性抗体クローンの模式図である。

    2つ以上の抗原に結合できる多価のおよび/または多重特異的な結合タンパク質を提供する。 二重可変ドメイン結合タンパク質(DVD結合タンパク質)、およびその医薬組成物、ならびにそのようなDVD結合タンパク質を作成するための核酸、組換え発現ベクターおよび宿主細胞。 特定の抗原を検出するために、インビトロまたはインビボのいずれかでDVD結合タンパク質を使用する方法も提供する。

    本明細書に別段の指定のない限り、本明細書で使用される科学的および技術的な用語は、当業者によって通常理解されているものと同じ意味を有する。 潜在的に曖昧な場合には、本明細書で提供する定義が、いずれの辞書または外部の定義よりも優先される。 文脈からそうでないことが必要とされない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。 「または」の使用は、そうでないことが明示されていない限り、「および/または」を意味する。 「含む」、ならびに他の形態、例えば「含んでいる」および「含まれた」という用語の使用は限定的なものではない。 「要素」または「構成要素」などの用語は、そうでないことが具体的に明示されていない限り、1単位を含有している要素および構成要素、ならびに1を上回るサブユニットを含む要素および構成要素の両方を包含する。

    概して、本明細書に記載の細胞培養および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、ならびにタンパク質および核酸化学、およびハイブリダイゼーションに関連して使用される命名法は、当該分野において周知であり、かつ、一般的に使用されているものである。 通常、本明細書で提供する方法および技術は、別段の指定のない限り、当該分野において周知であり、かつ、本明細書全体を通じて引用され、論じられている様々な一般的な参考文献やより具体的な参考文献に記載されている、標準的な方法に従って実施される。 酵素反応や精製技術は、当該分野において一般的に達成されるかまたは本明細書に記載したように、製造業者の説明に従って実施される。 本明細書に記載の分析化学、合成有機化学、ならびに薬品および医薬品化学に関して使用する命名法、および実験手順や技術は、当該分野において周知、かつ、一般的に使用されているものである。 科学合成、科学分析、医薬品の調製、製剤化、および送達、ならびに患者の治療には、標準的な技術を使用する。

    本開示をより理解しやすくするために、いくつかの用語を以下に定義する。

    「抗体」という用語は広義には、4つのポリペプチド鎖、すなわち2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖からなる任意の免疫グロブリン(Ig)分子か、あるいは、Ig分子に必須のエピトープ結合特性を保持している、その任意の機能性断片、突然変異体、変異体、または誘導体を指す。 そのような突然変異体、変異体、または誘導体の形式の抗体は当該分野において知られており、その非限定的な実施形態を本明細書で考察する。

    完全長抗体の各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書では、HCVRまたはVHと略す)と重鎖定常領域を含む。 重鎖定常領域は3つのドメイン、すなわちCH1、CH2およびCH3を含む。 各軽鎖は軽鎖可変領域(本明細書ではLCVRまたはVLと略す)および軽鎖定常領域を含む。 軽鎖定常領域は1つのドメインであるCLから成る。 VH領域とVL領域はさらに、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域と、フレームワーク領域(FR)と呼ばれ、より保存されている散在している領域とに分けられ得る。 VHとVLはそれぞれ、3つのCDRと4つのFRを含み、それらは、アミノ末端からカルボキシ末端に向けて、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4という順番に配置されている。 免疫グロブリン分子はいずれの型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)、またはサブクラスであってもよい。

    「Fc領域」という用語は、インタクトな抗体をパパインで消化することで生成され得る、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するのに使用される。 Fc領域は、天然の配列のFc領域であっても、変異体Fc領域であってもよい。 免疫グロブリンのFc領域は通常、2つの定常ドメイン、すなわちCH2ドメインおよびCH3ドメインを含み、場合によって、CH4ドメインを含む。 Fc部分のアミノ酸残基を置換して、抗体エフェクター機能を変化させることが当該分野において知られている(米国特許第5,648,260号および同第5,624,821号)。 抗体のFc部分は、サイトカインの誘導、ADCC、食作用、補体依存性細胞傷害(CDC)、および抗体や抗原抗体複合体の半減期/排出速度などの、いくつかの重要なエフェクター機能を媒介する。 いくつかの例では、これらのエフェクター機能は治療用抗体にとって望ましいものであるが、別の例では、治療目的によって、不必要であるかまたは有害ですらある場合もある。 ある特定のヒトIgGイソ型、特にIgG1とIgG3は、それぞれFcγRsへの結合とC1qの補完を介して、ADCCおよびCDCを媒介する。 新生児のFc受容体(FcRn)は、抗体の血中半減期を決定するのに重要な成分である。 その上さらに別の実施形態では、抗体の定常領域、例えば抗体のFc領域の少なくとも1つのアミノ酸残基を、抗体のエフェクター機能が変化するように置換する。 免疫グロブリンの2つの同一の重鎖の重合には、CH3ドメインの重合化が介在し、ヒンジ領域でのジスルフィド結合によって安定化する(Huber et al. (1976) Nature 264: 415−20; Thies et al. (1999) J. Mol. Biol. 293: 67−79)。 ヒンジ領域のシステイン残基を変異させて重鎖間のジスルフィド結合を阻害すると、CH3ドメインの二量体化が不安定になる。 CH3の二量体化に重要な残基が同定されている(Dall'Acqua (1998) Biochem. 37: 9266−73)。 そのため、一価の半Igを生成することが可能である。 興味深いことに、これらの一価の半Ig分子は、IgGおよびIgAサブクラスの両方に関して、天然でも見出されている(Seligman (1978) Ann. Immunol. 129: 855−70; Biewenga et al. (1983) Clin. Exp. Immunol. 51: 395−400)。 FcRn:Ig Fc領域の化学量は2:1であること(West et al. (2000) Biochem. 39: 9698−708)、およびFcRn結合を媒介するには半Fcで十分であること(Kim et al. (1994) Eur. J. Immunol. 24: 542−548)が分かっている。 CH3の二量体化に重要な残基は、CH3のbシート構造の境界の内側にあり、FcRn結合に重要な領域がCH2−CH3ドメインの境界面の外側にあることから、CH3ドメインの二量体化を乱す突然変異は、そのFcRn結合には重大な悪影響を及ぼさない可能性がある。 しかしながら、半Ig分子は通常の抗体よりも小さいため、組織への透過性という点で、ある特定の利点を有し得る。 一実施形態では、重鎖の二量体化を乱し、半DVD結合タンパク質分子が生じるように、本明細書で提供する結合タンパク質の定常領域内で、例えばFc領域内で、少なくとも1つのアミノ酸残基を置換する。 IgGの抗炎症性活性は、IgG Fc断片のN結合型グリカンのシアリル化に依存している。 適切なIgG1 Fc断片を作出し、それによって、非常に有効性の高い、完全な組換えシアリル化IgG1 Fcが生成できるような、抗炎症性活性に必要なグリカンについては正確に分かっている(Anthony et al. (2008) Science 320:373−376)。

    抗体の「抗原−結合部分」という用語は、抗原に特異的に結合する能力を保持している、抗体の1つ以上断片を指す。 抗体の抗原−結合機能は、完全長抗体の断片によって行われ得ることが分かっている。 そのような抗体の実施形態は、双特異性、二重特異的、または多重特異的な形式;2つ以上の異なる抗原に特異的に結合する形式であってもよい。 抗体の「抗原−結合部分」という用語に包含される結合断片の例としては、(i)VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価の断片であるFab断片;(ii)ヒンジ領域のジスルフィド架橋で連結した2つのFab断片を含む二価の断片であるF(ab')2断片;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一のアームのVLおよびVHドメインからなるFv断片、(v)単一の可変ドメインを含むdAb断片(Ward et al. (1989) Nature 341:544−546、国際公開第90/05144号);および(vi)単離した相補性決定領域(CDR)が挙げられる。 さらに、Fv断片の2つのドメインであるVLとVHは別個の遺伝子によってコードされているが、それらは、VLおよびVH領域の対が一価の分子を形成する一本のタンパク質とすることができる合成リンカーを使った組換え法により、連結することができる(一本鎖Fv(scFv)として知られている;例えば、Bird et al. (1988) Science 242:423−426;およびHuston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879−5883を参照のこと)。 このような一本鎖抗体も、抗体の「抗原−結合部分」という用語に包含されることが意図される。 他の形態の一本鎖抗体、例えばディアボディも包含される。 ディアボディは二価の、双特異性抗体であり、VHおよびVLドメインが単一のポリペプチド鎖として発現しているが、同じ鎖の2つのドメインを対合させるには短いリンカーを使うことで、ドメインが別の鎖の相補的なドメインと対合するように強制し、2つの抗原結合部位を作出している(例えば、Holliger et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444−6448; Poljak et al. (1994) Structure 2:1121−1123を参照のこと)。 そのような抗体結合部分は当該分野において知られている(Kontermann and Dubel eds., Antibody Engineering (2001) Springer−Verlag. New York. 790 pp. (ISBN 3−540−41354−5))。 さらに、一本鎖抗体は、相補的な軽鎖ポリペプチドと一緒になって抗原結合領域の対を形成しているタンデムFvセグメント(VH−CH1−VH−CH1)の対を含む、「直鎖抗体」をも含む(Zapata et al. (1995) Protein Eng. 8(10):1057−1062;および米国特許第5,641,870号)。

    「多価結合タンパク質」という用語は、2つ以上の抗原結合部位を含む結合タンパク質を表すように、本明細書全体を通して使用される。 ある実施形態では、多価結合タンパク質は3つ以上の抗原結合部位を有するように操作され、また、多価結合タンパク質は通常、天然に存在する抗体ではない。 「多重特異性結合タンパク質」という用語は、2つ以上の関連したまたは関連のない標的に結合することができる結合タンパク質を指す。 本明細書で提供する二重可変ドメイン(DVD)結合タンパク質は、2つ以上の抗原結合部位を含む、四価のまたは多価の結合タンパク質である。 DVD結合タンパク質は単一特異性、つまり1つの抗原に結合できるものであっても、または多重特異性、つまり2つ以上の抗原に結合できるものであってもよい。 2つの重鎖DVDポリペプチドと2つの軽鎖DVDポリペプチド含むDVD結合タンパク質をDVDと呼ぶ。 DVD結合タンパク質の半分はそれぞれ、重鎖DVDポリペプチド、軽鎖DVDポリペプチド、および2抗原結合部位を含む。 各結合部位は、重鎖可変ドメインと軽鎖可変ドメインを含み、1つの抗原結合部位につき、合計で6つのCDRが抗原結合に関与する。

    「双特異性抗体」という用語は、クアドローマ技術(Milstein and Cuello (1983) Nature 305(5934): 537−40を参照のこと)、2つの異なるモノクローナル抗体の化学的な複合体化(Staerz et al. (1985) Nature 314(6012): 628−31を参照のこと)、あるいはノブ・イントゥ・ホールまたはFc領域に突然変異を導入し、その結果、複数の異なる免疫グロブリン種が生じるが、そのうちの1つだけが機能する双特異性抗体である同様の手法(Holliger et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90(14): 6444−6448を参照のこと)から生成される完全長抗体を指す。 分子的な機能によって、双特異性抗体は1つの抗原(またはエピトープ)にその2つのうちの1つ(HC/LCのうちの1対)で結合し、第二のアーム(HC/LCの別の対)で別の抗原(またはエピトープ)に結合する。 この定義によると、双特異性抗体は2つの別個(特異性とCDR配列の両方の面で)の抗原結合アームを有し、結合する各抗原に対しては一価である。

    「二重特異性抗体」という用語は、2つの結合アーム(HC/LCの対)のそれぞれが、2つの異なる抗原(またはエピトープ)に結合できる完全長抗体を指す(国際公開第02/02773号を参照のこと)。 従って、二重特異性結合タンパク質は、同一の特性と同一のCDR配列をもつ2つの同一の抗原結合アームを有し、かつ、結合するそれぞれの抗原に対して二価である。

    結合タンパク質の「機能性抗原結合部位」とは、標的抗原に結合できる部位である。 抗原結合部位の抗原結合親和性は、抗原結合部位の基となった親抗体ほど強い必要はないが、その抗原結合能力は、抗原に対する抗体結合を評価するために知られている、様々な方法のいずれかによって測定することができる。 さらに、多価抗体の抗原結合部位それぞれの抗原結合親和性は、本明細書においては、定量的に同じである必要はない。

    「リンカー」という用語は、ペプチド結合によって連結した2つ以上のアミノ酸残基を含むポリペプチドを表すために使用され、また、1つ以上抗原結合部分を連結するのに使用される。 このようなリンカーポリペプチドは当該技術分野においては周知である(例えば、Holliger et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444−6448; Poljak et al. (1994) Structure 2:1121−1123を参照のこと)。

    「免疫グロブリン定常ドメイン」とは、重鎖または軽鎖定常ドメインを指す。 ヒトIgGの重鎖および軽鎖定常ドメインのアミノ酸配列は、当該分野において知られている。

    「モノクローナル抗体」または「mAb」という用語は、実質的に均一な抗体の集団、すなわち、集団を形成している個々の抗体が、自然に生じ、僅かな量ではあるが含まれる可能性のある突然変異を除いて同一な抗体集団から得られた抗体を指す。 モノクローナル抗体は単一の抗原に対して非常に特異的である。 さらに、様々な決定要因(エピトープ)に対する様々な抗体を一般的に含むポリクローナル抗体の調整物とは対照的に、mAbはそれぞれ、抗原の単一の決定要因を標的とする。 「モノクローナル」という修飾語は、何らかの特定の方法による抗体の産生を必要とするものと解釈されるものではない。

    「ヒト抗体」という用語は、ヒト生殖系列の免疫グロブリンの配列に由来する可変領域と定常領域を有する抗体を含む。 本明細書で提供するヒト抗体は、例えばCDRに、具体的にはCDR3に、ヒトの生殖系列の免疫グロブリン配列にはコードされていないアミノ酸残基(例えば、インビトロでの無作為なもしくは部位特異的な突然変異生成によって、またはインビボでの体細胞突然変異によって導入された突然変異)を含み得る。 しかしながら、「ヒト抗体」という用語は、そのCDR配列が別の哺乳類の種、例えばマウスの生殖系列に由来し、ヒトのフレームワーク配列に移植された抗体は含まない。

    本明細書で使用する場合、「組換えヒト抗体」という用語は、組換え技術によって調製され、発現され、作出され、または単離された全てのヒト抗体、例えば、宿主細胞に導入された組換え発現ベクターを使って発現させた抗体、組換えのコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離した抗体(Hoogenboom H.R. (1997) TIB Tech. 15:62−70; Azzazy H.,およびHighsmith W.E. (2002) Clin. Biochem. 35:425−445; Gavilondo J.V.,およびLarrick J.W. (2002) Bio Techniques 29:128−145; Hoogenboom H.,およびChames P. (2000) Immunology Today 21:371−378)、ヒト免疫グロブリン遺伝子がトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離した抗体(Taylor, L. D., et al. (1992) Nucl. Acids Res. 20:6287−6295; Kellermann S−A.およびGreen L.L. (2002) Current Opinion in Biotechnology 13:593−597; Little M. et al. (2000) Immunology Today 21:364−370を参照のこと)、または、ヒト免疫グロブリン遺伝子の配列をスプライシングして、他のDNA配列にすることを含む、任意の他の手段によって調製され、発現され、作成され、または単離された抗体、を含むことが意図される。 そのような組換えヒト抗体は、ヒトの生殖系列の免疫グロブリン配列由来の可変領域と定常領域を有する。 しかしながら、ある特定の実施形態では、そのような組換えヒト抗体はインビトロでの突然変異生成(または、ヒトIg配列に関してトランスジェニックな動物を使用した場合には、インビボでの体細胞突然変異生成)に供され、そのため、組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列のVHおよびVLの配列に由来し、それらの関連のものではあるが、インビボでのヒト抗体の生殖系列のレパートリー中には天然に存在しないものである場合もある。

    「親和性成熟した」抗体とは、その1つ以上のCDR中に1つ以上の変化を有し、そのような変化のない親抗体と比べて、抗原に対する抗体の親和性が向上した抗体である。 例示的な親和性成熟した抗体は、標的抗原に対してナノモルレベルでの、あるいはピコモルレベルでの親和性を有する。 親和性成熟した抗体は、当該分野で知られている方法によって産生される。 Marks et al. (1992) Bio Technology 10:779−783には、VHドメインとVLドメインのシャッフリングによる親和性成熟が記載されている。 CDRおよび/または骨格残基の無作為な突然変異生成については、例えばBarbas et al. (1994) Proc. Nat. Acad. Sci, USA 91:3809−3813に記載されており、部位特的な突然変異生成、活性の高いアミノ酸残基と接触した部位または突然変異の頻度が高い位置での選択的な突然変異については米国特許第 6,914,128号に記載されている。

    「キメラ抗体」という用語は、1つの種に由来する重鎖および軽鎖の可変領域配列と、別の種に由来する定常領域配列とを含む抗体、例えば、ヒト定常領域に連結したマウス重鎖および軽鎖可変領域を有する抗体を指す。

    「CDR移植抗体」という用語は、1つの種由来の重鎖および軽鎖可変領域配列を含むが、VHおよび/またはVLの1つ以上のCDR領域の配列が別の種のCDR配列で置換されている抗体、例えば1つ以上のマウスCDR(例えば、CDR3)がヒトCDR配列で置換されているマウス重鎖および軽鎖可変領域を有している抗体を指す。

    「ヒト化抗体」という用語は、非ヒト種(例えば、マウス)由来の重鎖および軽鎖可変領域配列を含むが、VHおよび/またはVL配列の少なくとも一部がより「ヒト様」であるように、すなわちヒト生殖系列の可変配列により類似するように改変されている抗体を指す。 ヒト化抗体の1つの様式は、ヒトCDR配列が非ヒトVHおよびVL配列に導入され、対応する非ヒトCDR配列が置換されているCDR移植抗体である。 また「ヒト化抗体」は、目的の抗原に免疫特異的に結合し、かつ、実質的にヒト抗体のアミノ酸配列を有するフレームワーク(FR)領域と実質的に非ヒト抗体のアミノ酸配列を有するCDRを含む抗体または変異体、誘導体、アナログまたはその断片である。 CDRに関する「実質的に」という用語は、非ヒト抗体のCDRのアミノ酸配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%同一なアミノ酸配列を有するCDRを指す。 ヒト化抗体は実質的に、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメイン(Fab、Fab'、F(ab')2、FabC、Fv)を含み、ここで非ヒト免疫グロブリン(つまりドナー抗体)に対応する全てのまたは実質的に全てのCDR領域と、全てのまたは実質的に全てのFR領域は、ヒト免疫グロブリンのコンセンサス配列である。 ある実施形態では、ヒト化抗体は、免疫グロブリンFc領域の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンの少なくとも一部も含む。 いくつかの実施形態では、ヒト化抗体は、軽鎖と、少なくとも重鎖の可変ドメインの両方を含む。 この抗体は、重鎖のCH1、ヒンジ、CH2、CH3、およびCH4領域を含んでいてもよい。 いくつかの実施形態では、ヒト化抗体は、ヒト化軽鎖のみを含んでいる。 いくつかの実施形態では、ヒト化抗体は、ヒト化重鎖のみを含んでいる。 具体的な実施形態では、ヒト化抗体は、軽鎖のヒト化可変ドメインおよび/またはヒト化重鎖のみを含んでいる。

    「カバットの番号付け」、「カバットの定義」および「カバットのラベリング」という用語は、本明細書では同じ意味で使用される。 当該技術分野で認識されているこれらの用語は、抗体またはその抗原結合部分の重鎖および軽鎖可変領域において、他のアミノ酸残基よりも変わりやすい(すなわち超可変な)アミノ酸残基に番号をつける体系を指す(Kabat et al. (1971) Ann. NY Acad., Sci. 190:382−391および, Kabat, E.A., et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest,第五版, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91−3242)。 重鎖可変領域では、超可変領域は、CDR1の31番目から35番目のアミノ酸に、CDR2の50番目から65番目のアミノ酸に、およびCDR3の95番目から102番目のアミノ酸にわたる。 軽鎖可変領域では、超可変領域は、CDR1の24番目から34番目のアミノ酸に、CDR2の50番目から56番目のアミノ酸に、およびCDR3の89番目から97番目のアミノ酸にわたる。

    「CDR」という用語は、抗体可変配列中の相補性決定領域を指す。 重鎖および軽鎖の可変領域にはそれぞれ3つのCDRが含まれ、これらは、各可変領域につき、CDR1、CDR2およびCDR3と命名されている。 「CDRのセット」という用語は、抗原に結合できる単一の可変領域内に生じている、3つのCDRの組を指す。 これらのCDR間の正確な境界は、異なる体系によってそれぞれ個別に定義されている。 Kabatらによって説明された体系は(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest (National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1987) および(1991))、抗体の任意の可変領域に適用可能な明確な残基の番号付けシステムを提供しているだけでなく、3つのCDRを定義している、正確な残基境界も提供している。これらのCDRは、カバットのCDRと呼ぶこともできる。Chothiaと共同研究者らは(Chothia and Lesk (1987) J. Mol. Biol. 196:901−917; Chothia et al. (1989) Nature 342:877−883)、カバットのCDRに含まれる特定の小部分は、アミノ酸配列のレベルでは非常に多様性に富んでいるにも関わらず、ほぼ同一のペプチド骨格の高次構造をとっていることを見出した 。これらの小部分は、L1、L2およびL3またはH1、H2およびH3と命名されており、ここで、「L」および「H」はそれぞれ、軽鎖および重鎖領域を表している。これらの領域は、ChothiaのCDRと呼ばれることもあり、カバットのCDRと重複している境界をもつ。カバットのCDRと重複していて、境界を明確にしている他のCDRについては、Padlan (1995) FASEB J. 9:133−139およびMacCallum (1996) J. Mol. Biol. 262(5):732−45)による記載がある。 さらに他のCDR境界規定は本明細書中の系の1つに厳密に従わないかもしれないが、それでもカバットCDRと重複しており、特定の残基、残基の群、または全CDRすら抗原結合に有意な影響を与えないという予想または実験的所見にてらして短縮または延長させることができる。 本明細書で使用する方法は、これらの系のいずれかによるCDRの定義を用いてもよいが、ある特定の実施形態ではカバットの定義またはChothiaが定義したCDRを使用する。

    「フレームワーク」または「フレームワーク配列」という用語は、可変領域からCDRを除いた、残りの配列を指す。 CDR配列の正確な定義が、異なる体系によって決定される場合があるため、それに応じて、フレームワーク配列の意味も、個別に解釈される。 6つのCDR(軽鎖のCDR−L1、−L2、−L3および重鎖のCDR−H1、−H2、−H3)は、軽鎖および重鎖それぞれの鎖のフレームワーク領域も4つの小領域(FR1、FR2、FR3およびFR4)に分割しており、ここで、CDR1はFR1とFR2の間、CDR2はFR2とFR3の間、およびCDR3はFR3とFR4の間に位置している。 特定の小領域のいずれがFR1、FR2、FR3またはFR4であるかを特定することはしないが、フレームワーク領域は、他の研究者らによっても言われているように、単一の、天然に存在する免疫グロブリン鎖の可変領域の中でFRの集合を構成している。 FRは、4つの小領域のうちの1つを表し、FRsは、フレームワーク領域を構成している4つの小領域のうちの2つ以上を表している。

    「生殖系列の抗体遺伝子」または「遺伝子断片」という用語は、非リンパ細胞にコードされている免疫グロブリン配列であって、遺伝的な再構成や特定の免疫グロブリンの発現を変化させる成熟過程をうけていない配列を指す。 (例えば、Shapiro et al. (2002) Crit. Rev. Immunol. 22(3): 183−200; Marchalonis et al. (2001) Adv. Exp. Med. Biol. 484:13−30を参照のこと)。 様々な実施形態によってもたらされる利点のうちの1つは、生殖系列の抗体遺伝子は、成熟した抗体遺伝子よりも、ある種に含まれる各個体に必須のアミノ酸配列の構造的な特徴を保存している可能性があり、そのため、その種の治療において使用する場合に、外来の提供源に由来するものと認識されにくいだろう、という認識に由来する。

    「中和」という用語は、結合タンパク質が抗原に特異的に結合したときに、抗原の生物学的活性を相殺することを指す。 ある実施形態では、中和結合タンパク質はサイトカインに結合し、その生物活性を少なくとも約20%、40%、60%、80%、85%またはそれ以上低下させる。

    「活性」という用語は、2つ以上の抗原に対するDVD結合タンパク質の結合特異性や親和性などの活性を含む。

    「エピトープ」という用語は、免疫グロブリンまたはT細胞受容体に特異的に結合することができるポリペプチド決定要因のいずれをも含む。 ある特定の実施形態では、エピトープ決定要因は、分子の化学的に活性な表面の基、例えばアミノ酸、糖側鎖、ホスホリル、またはスルホニルを含み、ある特定の実施形態では、特異的な三次元構造の特徴、および/または特異的な電荷の特徴を有し得る。 エピトープとは、抗体が結合する、抗原のある領域である。 従ってエピトープは、特定の結合パートナーの相補的な部位に結合することが分かっている、抗原(またはその断片)の領域のアミノ酸残基からなる。 抗原性断片は、2つ以上のエピトープを含み得る。 ある特定の実施形態では、抗体は、タンパク質および/または高分子の複雑な混合物中に含まれる標的抗原を認識したときに、抗原に特異的に結合する。 複数の抗体が交差競合する場合(一方が他方の結合を阻害するか効果を調節する)、抗体は「同じエピトープに結合する」。 加えて、エピトープの構造的な定義(重複性、類似性、同一性)の情報的な価値が高いが、機能的な定義は、それらが構造的な指標(結合)と機能的な指標(調節、競合)を包含することから、より適切なことが多い。

    本明細書で使用する場合「表面プラズモン共鳴」という用語は、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化を例えばBIAcore(登録商標)システム(BIAcore International AB、GE Healthcare company、スウェーデン、ウプサラおよびニュージャージー州ピスカタウェイ)を用いて検出することにより、リアルタイムの生物特異的な相互作用を分析することができる光学現象を指す。 さらなる説明については、Jonsson et al. (1993) Ann. Biol. Clin. 51:19−26; Jonssonを参照のこと。

    「Kon」という用語は、当該分野で知られているように、例えば抗体/抗原複合体を形成するための結合タンパク質(例えば、抗体)の抗原に対する会合に対する結合速度定数を指す。 「Kon」は、「会合速度定数」または「ka」としても知られており、本明細書においては同じ意味で使用する。 抗体のその標的抗原に対する結合速度または抗体と抗原間の複合体形成速度を示すこの値は以下の等式によっても示される:
    抗体(「Ab」)+抗原(「Ag」)→Ab−Ag。

    「Koff」という用語は、当該分野で知られているように、結合タンパク質(例えば、抗体)が例えば、抗体/抗原複合体から離脱するための解離速度定数、つまり「解離定数」を指す。 「Koff」は、「解離速度定数」または「k 」としても知られており、本明細書においては同じ意味で使用される。 抗体がその標的抗原から解離する速度、または時間経過とともにAb−Ag複合体が分離して遊離抗体と抗原になるのを示すこの値は、以下の等式によっても表される:
    Ab+Ag←Ab−Ag。

    「K 」および「平衡解離定数」という用語は、平衡状態での力価測定によって得られた値、または解離定数(koff)を結合定数(kon)で除すことによって得られた値を指す。 結合定数、解離定数および平衡解離定数は、抗体の抗原に対する結合親和性を表すのに用いられる。 結合定数および解離定数を決定するための方法は当該分野においてよく知られている。 蛍光を使用した技術を用いることで、高感度と、試料を平衡状態の生理学的な緩衝液中で試験する能力が得られる。 他の実験手法や装置、例えばBIAcore(登録商標)(生体分子相互作用解析)アッセイを使用することができる(例えば、装置は、BIAcore International AB、GE Healthcare company、ウプサラ、スウェーデンから入手可能である)。 加えて、KinExA(登録商標)(Kinetic Exclusionアッセイ)アッセイ(Sapidyne Instruments(ボイシ、アイダホ)から入手可能)も使用することができる。

    「操作可能に連結した」という用語は、記載の構成要素が、目的とする様式で機能することができる関係でもって並列に配置されていることを指す。 コード配列に「操作可能に連結した」制御配列は、その制御配列に適合する条件で、コード配列が発現するような様式で結合されている。 「操作可能に連結した」配列には、目記の遺伝子に繋がった発現制御配列およびトランスで作用する、または離れた位置から目的の遺伝子を制御する発現制御配列の両方が含まれる。 本明細書で使用する場合「発現制御配列」という用語は、制御配列が連結されたコード配列の発現やプロセシングに影響を及ぼすのに十分なポリヌクレオチド配列を指す。 発現制御配列には、適切な転写開始配列、終結配列、プロモーターおよびエンハンサー配列;効率の良いRNAプロセシングシグナル、例えばスプライシングシグナルやポリアデニル化シグナル;細胞質内のmRNAを安定化する配列;翻訳効率を上昇させる配列(つまりコザック保存配列);タンパク質の安定性を高める配列;および、必要に応じて、タンパク質の分泌を高める配列が含まれる。 このような制御配列の性質は、宿主生物によって異なり;原核生物では、このような制御配列は通常、プロモーター、リボソーム結合部位、および転写終結配列を含み;真核生物では通常、このような制御配列は、プロモーターおよび転写終結配列を含む。 「制御配列」という用語は、発現およびプロセシングにその存在は必須な構成要素を含むことを意図し、また、それらが存在することが有利なその他の構成要素、例えば、リーダー配列および融合パートナー配列もまた含まれる場合がある。

    「組換え宿主細胞」(または単に「宿主細胞」)という用語は、外来DNAが導入されている細胞を指すことを意図している。 ある実施形態では、宿主細胞は、抗体をコードしている核酸を2つ以上(例えば、複数)含み、例えば、米国特許第7,262,028号に記載されている宿主細胞がある。 当然のことながらこれらの用語は、特定の対象細胞のみを指すことを意図しているものではなく、そのような細胞の後代をも指す。 突然変異あるいは環境の影響のいずれかによって、継代する間に、ある特定の変化が生じることがあるため、そのような後代は実際には親細胞と同一でないこともあるが、それでもなお、それらの後代細胞は、本明細書で使用する「宿主細胞」という用語の範囲に含まれる。 ある実施形態では、宿主細胞は、いずれかの生物界から選択される原核細胞および真核細胞を含む。 別の実施形態では、真核細胞には、原生生物、真菌、植物および動物の細胞が含まれる。 別の実施形態では、宿主細胞には、原核細胞株として大腸菌(E.Coli);哺乳類の細胞株としてCHO、HEK 293、COS、NS0、SP2およびPER. C6;昆虫細胞株としてSf9;および真菌細胞として出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)が含まれるがこれらには限定されない。

    組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、および組織培養、ならびに形質転換には標準的な技術を使用することができる(例えば、エレクトロポレーション法やリポフェクション法)。 酵素反応や精製技術は、製造業者の説明に従って、または当該分野において一般的に行われているように、または本明細書に記載したように実施することができる。 前述の技術や手法は通常、当該分野で良く知られている標準的な方法に従って、および、本明細書全体で引用している、かつ、論じられる様々な一般的な参考文献やより具体的な参考文献に記載されているように実施され得る。 例えば、いかなる目的のためにも、参照することで本明細書に組み入れられる、Sambrook et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual (第二版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)を参照のこと。

    「予め決めたカットオフ」および「予め決めたレベル」とは通常、アッセイの結果を予め決めたカットオフ/レベルと比較することで、診断/予後/治療の有効性の結果を評価するために使用するアッセイのカットオフ値であり、この場合、予め決めたカットオフ/レベルは、様々な臨床指標(例えば、疾患の重篤度、進行/非進行/好転など)と既に関係付けられているまたは関連付けられているものである。 本開示では予め決めたレベルの一例を提供し得るが、カットオフ値が免疫アッセイの性質(例えば、用いられた抗体など)によって変わり得ることは周知である。 さらに、当業者であれば、本明細書の開示を他の免疫アッセイに適用して、本開示に基づいて、他の免疫アッセイに特異的なカットオフを得ることができる。 予め決めたカットオフ/レベルの正確な値はアッセイ間で変動し得るが、本明細書に記載したように、相関は(もしあれば)通常適用可能であろう。

    「前処理試薬」、例えば、本明細書に記載したように診断アッセイに用いられる溶解剤、沈降剤および/または可溶化剤とは、被検試料そのものであるかまたは被検試料中に含まれる任意の細胞を溶解するおよび/または任意の分析物を可溶化する試薬である。 本明細書でさらに説明するように、前処理は全ての試料に必須であるわけではない。 とりわけ、分析物(例えば、目的のポリペプチド)の可溶化は、試料に含まれるいかなる内生の結合タンパク質からも、分析物を放出させることを必要とし得る。 前処理試薬は均一なものであっても(分離ステップを必要としない)または不均一なものであっても(分離ステップが必要)よい。 不均一な前処理試薬を使用する場合には、アッセイの次のステップを行う前に、被検試料から、沈殿した分析物結合タンパク質を全て除去する。

    本明細書に記載の免疫アッセイおよびキットに関する「品質管理試薬」は、検量用試料、対照、および感受性パネルを含むがこれらには限定されない。 分析物、例えば抗体または分析物の濃度を補間するための検量(標準)曲線の確立には、「検量用試料」または「標準物質」(例えば、1つ以上の、例えば複数の)が典型的には使用される。 あるいは、予め決めておいた正の/負のカットオフに近い単一の検量用試料を使うこともできる。 複数の検量用試料(つまり1を上回る検量用試料または様々な量の検量用試料)を合わせて使用して、「感受性パネル」を構成してもよい。

    特異的結合対(例えば、抗原(またはその断片)と抗体(またはその高原性反応断片))のメンバー間の相互作用に関する「特異的」および「特異性」という用語は、相互作用の選択的な反応を指す。 「に特異的に結合する」という表現および同様の表現は、抗体(またはその抗原性反応断片)が分析物(またはその断片)には特異的に結合するが、他の成分には特異的に結合しない能力を指す。

    「特異的結合パートナー」という用語は、特異的結合対のメンバーである。 特異的結合対は、化学的または物理的な手段で、互いに特異的に結合する2種類の分子を含む。 従って、一般的な免疫アッセイの抗原−抗体特異的結合対に加えて、他の特異的結合対には、ビオチンとアビジン(またはストレプトアビジン)、炭水化物とレクチン、相補的なヌクレオチド配列、エフェクター分子と受容体分子、補助因子と酵素、酵素阻害剤と酵素などが含まれ得る。 さらに、特異的結合対は、元の特異的結合メンバーの類似体であるメンバー、例えば、分析物類似体を含む場合もある。 免疫反応性の特定の結合メンバーには、単離されたあるいは組換えで産生された、抗原、抗原断片、および抗体(モノクローナルおよびポリクローナル抗体を含む)ならびに複合体、断片、およびその変異体(変異体の断片を含む)が含まれる。

    「変異体」という用語は、アミノ酸の付加(例えば、挿入)、欠損、または保存的置換によって、所与のポリペプチドとアミノ酸配列が異なるが、所与のポリペプチドの生物学的活性(例えば、変異体IL−17はIL−17への結合に関して抗IL−17抗体に競合することができる)を保持しているポリペプチドを意味する。 アミノ酸の保存的置換、つまり、あるアミノ酸を、同じような特性(例えば、親水性や帯電した領域の度合および分布)をもつ別のアミノ酸で置き換えることは、当該技術分野では、典型的に生じる小さな変化として認識されている。 これらの小さな変化は、当該分野で理解されているように、アミノ酸の疎水性親水性指標を検討することで、ある程度は、確認することができる(例えば、Kyte et al. (1982) J. Mol. Biol. 157: 105−132を参照のこと)。 アミノ酸の疎水性親水性指標は、アミノ酸の疎水性と電荷を考慮することに基づいている。 当該分野では、疎水性親水性指標が近いアミノ酸は置換することができ、その上、タンパク質の機能が保持されることが知られている。 一態様では、疎水性親水性指標が±2のアミノ酸を置換する。 生物学的機能を保持するタンパク質を生じる置換を明かにするために、アミノ酸の親水性も使用することができる。 ペプチドに関連してアミノ酸の親水性を考慮することにより、そのペプチドの、最も高い局所的な親水性の平均値、抗原性と免疫原性に強く関係していることが報告されている有用な測定値、を計算することができる(例えば、米国特許第 4,554,101号を参照のこと)。 当該分野で理解されているように、親水性の値が似ているアミノ酸で置換すると、生物学的活性、例えば免疫原性を保持したペプチドが得られる。 一態様では、親水性の値が、互いに±2の範囲になるアミノ酸で置換する。 アミノ酸の疎水性の指標と親水性の値は両方とも、そのアミノ酸の特定の側鎖による影響を受ける。 そのような観察結果と一致して、生物学的機能と両立するアミノ酸置換は、疎水性、親水性、電荷、大きさ、および他の特性によって明らかにされるアミノ酸の相対的な類似性、特にそれらアミノ酸の側鎖に依存している。 「変異体」という用語は、例えばタンパク質分解、リン酸化、または他の翻訳後修飾による異なる処理を受けたが、その生物学的活性または抗原反応性、例えば、IL−18に結合する能力を保持しているポリペプチドまたはその断片を説明するためにも使用することもできる。 本明細書における「変異体」の使用は、文脈からそうでないことが明かでない限り、変異体の断片を包含することを意図する。

    I)DVD結合タンパク質の生成 TNFに結合できる二重可変ドメイン結合タンパク質およびそれを作成する方法を提供する。 この結合タンパク質は様々な技術で生成することができる。 結合タンパク質を生成するための発現ベクター、宿主細胞および方法を提供する。

    A)DVD結合タンパク質分子の構築 2種類の親モノクローナル抗体に由来する2種類の軽鎖可変ドメイン(VL)が、組換えDNA技術によって直接またはリンカーを介してタンデムに連結し、その後に軽鎖定常ドメインがくるように、二重可変ドメイン(DVD)結合タンパク質分子は設計される。 同様に、重鎖は、タンデムに連結した2種類の重鎖可変ドメイン(VH)と、その後ろに定常ドメインCH1およびFc領域(図1A)を含む。

    可変ドメインは、本明細書に記載の方法のいずれか1種によって生成された親抗体から、組換えDNA技術を使って得ることができる。 ある実施形態では、可変ドメインはマウスの重鎖または軽鎖可変ドメインである。 別の実施形態では、可変ドメインはCDR移植またはヒト化可変重鎖または軽鎖ドメインである。 ある実施形態では、可変ドメインはヒト重鎖または軽鎖可変ドメインである。

    一実施形態では、第一のおよび第二の可変ドメインは、組換えDNA技術によって、互いが直接、連結している。 別の実施形態では、可変ドメインはリンカー配列によって連結されている。 ある実施形態では、2つの可変ドメインが連結されている。 3つ以上の可変ドメインが直接またはリンカー配列を介して連結されていてもよい。 これらの可変ドメインは、同じ抗原に結合しても、または異なる抗原に結合してもよい。 いくつかの実施形態では、DVD結合タンパク質分子は、1つの免疫グロブリン可変ドメインと、1つの非免疫グロブリン可変ドメイン、例えば受容体のリガンド結合ドメイン、酵素の活性ドメインを含み得る。 DVD結合タンパク質分子は、2つ以上の非Igドメインを含む場合もある。

    リンカー配列は単一のアミノ酸であってもあるいはポリペプチド配列であってもよい。 ある実施形態では、リンカー配列は、AKTTPKLEEGEFSEAR(配列番号1);AKTTPKLEEGEFSEARV(配列番号2);AKTTPKLGG(配列番号3);SAKTTPKLGG(配列番号4);SAKTTP(配列番号5);RADAAP(配列番号6);RADAAPTVS(配列番号7);RADAAAAGGPGS(配列番号8);RADAAAA(G S) (配列番号9) SAKTTPKLEEGEFSEARV(配列番号10);ADAAP(配列番号11);ADAAPTVSIFPP(配列番号12);TVAAP(配列番号13);TVAAPSVFIFPP(配列番号14);QPKAAP(配列番号15);QPKAAPSVTLFPP(配列番号16);AKTTPP(配列番号17);AKTTPPSVTPLAP(配列番号18);AKTTAP(配列番号19);AKTTAPSVYPLAP(配列番号20);ASTKGP(配列番号21);ASTKGPSVFPLAP(配列番号22)、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号23);GENKVEYAPALMALS(配列番号24);GPAKELTPLKEAKVS(配列番号25);GHEAAAVMQVQYPAS(配列番号26);TVAAPSVFIFPPTVAAPSVFIFPP(配列番号27);およびASTKGPSVFPLAPASTKGPSVFPLAP(配列番号28)である。 リンカー配列は、複数のFab分子の結晶構造解析に基づいて選択される。 Fabまたは抗体分子構造の可変ドメインとCH1/CL定常ドメインの間には、柔軟性に富む天然の結合部がある。 この天然の結合部には、およそ10〜12のアミノ酸残基が含まれ、4〜6つの残基がVドメインのC−末端に由来するものであり、4〜6つの残基がCL/CH1ドメインのN−末端に由来するものである。 DVD結合タンパク質のIgは、DVD結合タンパク質の軽鎖および重鎖において、CLまたはCH1のN末端の5〜6アミノ酸残基、または11〜12アミノ酸残基をそれぞれリンカーとして生成した。 CLまたはCH1ドメインのN末端残基、特に最初の5〜6アミノ酸残基は、強い二次構造をもたない、ループ構造をとる。 その結果、このアミノ酸残基は、2つの可変ドメインの間で柔軟性に富むリンカーとして機能する。 CLまたはCH1ドメインのN末端残基は、それらがIg配列の部分であるため、可変ドメインから自然に延長したものであり、そのため、大抵の場合において、リンカーおよび接合部から生じる可能性のはるいかなる免疫原性をも最低限に抑えるものである。

    他のリンカー配列は、CL/CH1ドメインの任意の長さではあるが、CL/CH1ドメインの全ての残基は含まない任意の配列、例えば、CL/CH1ドメインの最初の5〜12アミノ酸残基;軽鎖リンカーはCκに由来するものであってもまたはCλに由来するものであってもよい;および重鎖リンカーは、Cγ1、Cγ2、Cγ3、Cγ4、Cα1、Cα2、Cδ、Cε、およびCμなどのいずれのイソ型のCH1に由来するものであってもよい、が含まれ得る。 リンカー配列は、他のタンパク質、例えばIg様タンパク質(例えば、TCR、FcR、KIR);G/Sをベースとした配列(例えば、G4S反復;配列番号29);ヒンジ領域に由来する配列;および、他のタンパク質に由来する他の天然の配列に由来するものであってもよい。

    ある実施形態では、定常ドメインは組換えDNA技術によって、2つの連結した可変ドメインに連結されている。 ある実施形態では、連結した重鎖可変ドメインを含む配列が重鎖定常ドメインに連結されており、かつ、連結した軽鎖可変ドメインを含む配列が、軽鎖定常ドメインに連結されている。 ある実施形態では、定常ドメインはそれぞれ、ヒト重鎖定常ドメインとヒト軽鎖定常ドメインである。 ある実施形態では、DVD重鎖はさらにFc領域に連結されている。 Fc領域は天然の配列のFc領域であっても、または変異体Fc領域であってもよい。 別の実施形態では、Fc領域はヒトFc領域である。 別の実施形態では、Fc領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgM、IgE、またはIgDに由来するFc領域を含む。

    別の実施形態では、2つの重鎖DVDポリペプチドと2つの軽鎖DVDポリペプチドが一緒になってDVD結合タンパク質分子を形成している。 表1に、疾患の治療、例えば癌の治療に有用な標的に対する抗体例のVHおよびVL領域のアミノ酸配列を挙げる。 ある実施形態では、表1に挙げたVHおよび/またはVL領域のうちの少なくとも2つを任意の向きで含むDVDを提供する。 いくつかの実施形態では、VD1およびVD2はそれぞれ独立して選択される。 そのためいくつかの実施形態では、VD1とVD2は同じ配列番号を含み、また他の実施形態では、VD1とVD2は別の配列番号を含む。 以下で提供するVHドメインとVLドメインの配列は、当該分野において知られている、または当該分野で知られている方法によって容易に識別できる相補性決定領域(CDR)およびフレームワーク配列を含む。 いくつかの実施形態では、これらのCDRおよび/またはフレームワーク配列の1つ以上が、機能が消失することなく、同じ抗原に結合することが当該分野で知られている結合タンパク質に由来する、他のCDRおよび/またはフレームワーク配列で置換されている。

    表1. DVD結合タンパク質を生成するための抗体VHおよびVL領域のアミノ酸配列一覧 表1Aには、3種類の抗IL−17変異体を示す(配列1、配列2、および配列3)

    表1Bおよび1Cでは、インビトロディスプレー法を用いて、組換えヒトTNFタンパク質に結合する能力によって、ヒト抗体ライブラリーから単離した完全長ヒト抗ヒトTNFモノクローナル抗体のVHおよびVL配列を提供する。

    下記表1Dおよび1Eでは、特徴解析のためにIgGタンパク質に変換したヒト化抗TNF MAK−195抗体の、VHおよびVL配列両方の一覧を提供する。

    下記の表では、特徴解析のためにIgGタンパク質に変換したヒト化MAK−199抗体の、VHおよびVL配列両方の一覧を提供する。

    以下の表では、変換したクローンからの抗IL−17配列を提供する。

    特定の標的に結合できる特定のDVD結合タンパク質分子、およびその作成方法に関する詳細な説明を、以下の実施例の節で提供する。

    B)DVD結合タンパク質の産生 本明細書で提供する結合タンパク質は、当該分野で知られているいくつかの技術のいずれによって産生してもよい。 例えば、宿主細胞からの発現、ここで、DVD重鎖およびDVD軽鎖をコードしている発現ベクターは、標準的な技術によって宿主細胞に導入される、がある。 「導入」という用語の種々の形態は、外生のDNAを原核または真核宿主細胞に導入するために一般的に使用されている多様な技術、例えば、エレクトロポレーション、カルシウム−リン酸沈降、DEAEデキストラン移入などを包含することを意図している。 本明細書で提供するDVD結合タンパク質は原核または真核の宿主細胞のいずれにおいても発現させることができるが、DVDタンパク質は真核細胞、例えば、哺乳類の宿主細胞で発現させる。 なぜならばそのような真核細胞(具体的には哺乳類の細胞)の方が原核細胞よりも、適切に折り畳まれていて、かつ、免疫学的に活性なDVDタンパク質を構築し、分泌させるのに適しているからである。

    本明細書で提供する組換え抗体を発現させるための哺乳類の宿主細胞の例としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(例えばKaufman and Sharp (1982) Mol. Biol. 159:601−621のDHFR選択マーカーと共に使用される、Urlaub and Chasin (1980) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216−4220に記載されているdhfr−CHO細胞を含む)、NS0骨髄腫細胞、COS細胞、SP2およびPER. C6細胞が挙げられる。 DVDタンパク質をコードしている組換え発現ベクターを哺乳類の宿主細胞に導入する場合、DVDタンパク質は、その宿主細胞内でDVDタンパク質が発現されるのに、または宿主細胞を生育させている培地中にDVDタンパク質が分泌されるのに十分な期間宿主細胞を培養することで産生される。 DVDタンパク質は、標準的なタンパク質の精製法によって、培地から回収することができる。

    本明細書で提供するDVDタンパク質の組換え発現の例示的な系では、DVD重鎖とDVD軽鎖の両方をコードしている組換え発現ベクターを、カルシウムとリン酸で仲介する形質移入によって、dhfr−CHO細胞に導入する。 組換え発現ベクターの中では、遺伝子の転写を高レベルで誘導するために、DVDの重鎖および軽鎖遺伝子はそれぞれ、CMVエンハンサー/AdMLPプロモーター制御エレメントに操作可能に連結されている。 この組換え発現ベクターは、メトトレキサート選抜/増幅を使って、ベクターが形質移入されたCHO細胞を選抜することを可能にするDHFR遺伝子も含んでいる。 選抜された形質転換宿主細胞を、DVDの重鎖および軽鎖を発現させるために培養し、完全なDVDタンパク質を培地から回収する。 標準的な分子生物学的手法を用いて、組換え発現ベクターを準備し、宿主細胞の形質転換を行い、形質転換体を選抜し、宿主細胞を培養してDVDタンパク質を培地から回収する。 本明細書で提供する宿主細胞を好適な培地中で、DVDタンパク質が合成されるまで培養することによる、本明細書で提供するDVDタンパク質の合成方法も提供する。 この方法は、培地からDVDタンパク質を単離することをさらに含む場合がある。

    DVD結合タンパク質の重要な特徴は、従来抗体と同じような方法で産生、または精製することができるということである。 DVD結合タンパク質を産生することで、所望の双特異的活性を有し、定常領域の配列にいかなる修飾もなく、またはいかなる種の化学修飾もない、均一で単一な主要産物が生じる。 「双特異的」、「多重特異的」、および「多重特異的で多価」完全長結合タンパク質を精製するための、これまでに記述されている他の方法では、単一の主要産物が得られず、その代わりに、不完全に組み立てられた、単一特異的、多重特異的、多価、完全長結合タンパク質、および異なる結合部位の組み合わせを含む多価完全長結合タンパク質の混合物が細胞内で産生されるかまたは分泌される。 例えば、MillerおよびPrestaによって記述されている設計に基づくと(国際公開第2001/077342号)、16通りの重鎖と軽鎖の組み合わせが生じる可能性がある。 その結果、僅か6.25%のタンパク質が、所望の活性形態にあることになり、単一の主要産物でもなければ、他の15通りの組み合わせと比較して主要な単一の産物でもない。 所望の、完全に活性な形態のタンパク質を、不活性なまた部分的に活性な形態のタンパク質から、典型的には大規模な製造において使用される標準的なクロマトグラフィー技法を使って分離することはまだ実証されていない。

    驚くことに、本明細書で提供する「二重特異性多価完全長結合タンパク質」の設計では、主に所望の「二重特異性多価完全長結合タンパク質」を構成する、二重可変ドメイン軽鎖と二重可変ドメイン重鎖が生じる。

    組み立てられ、発現した二重可変ドメイン免疫グロブリン分子の少なくとも50%、少なくとも75%および少なくとも90%が所望の双特異的四価タンパク質である。 この実施形態によって特に、商業上の有用性が向上する。 そのため、単一の主要な産物として「二重特異性四価完全長結合タンパク質」の産生を生じる、二重可変ドメイン軽鎖および二重可変ドメイン重鎖を単一の細胞内で発現させる方法を提供する。

    「主要な産物」として「双特異的四価完全長結合タンパク質」を生じる、二重可変ドメイン軽鎖および二重可変ドメイン重鎖の単一の細胞内での発現方法を提供し、ここで「主要な産物」は、二重可変ドメイン軽鎖および二重可変ドメイン重鎖を含む組み立てられた全タンパク質の50%を上回る、例えば75%を上回るおよび90%を上回る。

    II)誘導体化DVD結合タンパク質 一実施形態では標識した結合タンパク質を提供し、ここでこの結合タンパク質は、誘導体化されているかまたは別の機能性分子(例えば、別のペプチドまたはタンパク質)に連結されている。 例えば、標識した結合タンパク質は、本明細書で提供する結合タンパク質に、あるいは、1つ以上他の分子実体、例えば別の抗体(例えば、双特異性抗体またはディアボディ)、検出可能な薬剤、細胞障害性薬物、医薬品、および/または結合タンパク質と別の分子との会合を媒介するタンパク質またはペプチド(例えばストレプトアビジンのコア領域またはポリヒスチジンタグ)機能的に結合する(化学結合、遺伝子融合、非共有会合により)ことによって誘導体化することができる。 タンパク質の誘導体化法は当該分野では例証されており、かつ、当業者の技術範囲内である。

    III)DVD結合タンパク質の使用 本明細書で提供する結合タンパク質の2つ以上の抗原に結合する能力を考えれば、それらを使用した標準的な免疫アッセイ、例えば酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射性免疫アッセイ(RIA)または組織免疫組織化学抗原(例えば、生物試料、例えば血清または血漿での)を用いて、抗原を検出することができる。 結合したまたは未結合の抗体の検出を促すために、DVD結合タンパク質を直接的にまたは間接的に、検出可能な物質で標識する。 好適な検出可能な物質としては、種々の酵素、補欠分子属、蛍光材料、発光材料および放射性材料が挙げられる。 好適な酵素の例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが;好適な補欠分子族錯体の例としてはストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが;好適な蛍光材料の例としてはウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリトリンが;蛍光材料の例としてはルミノールが;および好適な放射性材料の例としては 14 35 S、 90 Y、 99 Tc、 111 In、 125 I、 131 I、 177 Lu、 166 Ho、または153 Smが挙げられる。

    ある実施形態では、本明細書で提供する結合タンパク質は、インビトロおよびインビボの両方で、抗原の活性を中和することができる。 従って、そのようなDVD結合タンパク質を使用して、例えば、抗原を含む細胞培養において、本明細書で提供する結合タンパク質が交差反応する抗原を有するヒト対象または他の哺乳類対象において、抗原活性を阻害することができる。 別の実施形態では、抗原活性が有害な疾患または障害を患っている対象において抗原活性を低減させる方法を提供する。 本明細書で提供する結合タンパク質を治療目的でヒト対象に投与することができる。

    「抗原活性が有害な障害」という用語は、その障害を患っている対象におけるその抗原の存在が、その障害の病理生理学の原因であるか、または障害の悪化に寄与する因子であることが分かっているあるいは疑われる疾患および他の障害を包含することを意図している。 従って、抗原活性が有害な障害とは、抗原活性の低減が障害の症状および/または進行を軽減すると予測される障害である。 そのような障害は、例えば、その障害を患っている対象の体液中の抗原濃度の上昇(例えば、対象の血清、血漿、骨液などにおける抗原の濃度の上昇)によって証明され得る。 本明細書で提供する結合タンパク質を用いて治療することができる障害の非限定的な例としては、以下で、および結合タンパク質を含有する医薬組成物に関連する節で議論する障害が含まれる。

    DVD結合タンパク質は、2種類の異なる標的を同時に阻害して、有効性/安全性を高め、および/または患者の適用範囲を広げるための治療薬として有用である。 そのような標的には、可溶性の標的(TNF)および細胞表面受容体の標的(VEGFRおよびEGFR)が含まれ得る。 さらにDVD結合タンパク質は、癌治療に関する腫瘍細胞とT細胞(Her2およびCD3)の間の、自己免疫疾患若しくは移植に関する自己反応性細胞とエフェクター細胞との間の、または任意の所与の疾患において、疾患誘導性の細胞を除去するための、任意の標的細胞とエフェクター細胞との間の細胞毒性のリダイレクトを誘導するのにも使用できる。

    加えて、DVD結合タンパク質が同じ受容体にある2つの異なるエピトープを標的とするように設計されている場合には、これらを使用して、受容体のクラスター形成および活性化を誘導することができる。 このことは、作用性のおよび拮抗性の抗GPCR治療薬を作成する場合に利点となる可能性がある。 この例では、クラスター形成/シグナル伝達(2つの細胞表面分子)またはシグナル伝達(1分子の)のために、1つの細胞上にある2つの異なるエピトープ(ループ領域と細胞外ドメイン両方にあるエピトープを含む)を標的とするのに、DVD結合タンパク質を使用することができる。 同様に、CTLA−4のライゲーションと、CTLA−4細胞外ドメインの2つの異なるエピトープ(または2コピーの同じエピトープ)を標的とすることによる負のシグナルを誘導し、免疫応答を下方制御するように、DVD結合タンパク質分子を設計することができる。 CTLA−4は、いくつかの免疫疾患の治療効果に関して、臨床的に確認された標的である。 CTLA−4とB7が相互作用すると、細胞周期の進行、IL−2の生産、および活性化後のT細胞の増殖が抑えられることでT細胞活性化が負に制御され、CTLA−4(CD152)の会合は、T細胞活性化を下方制御し、かつ、免疫寛容の誘導を促進する可能性がある。 しかしながら、CTLA−4活性化にはライゲーションが必要であるため、CTLA−4作用性抗体の会合によるT細胞活性化の抑制は上手くいっていない。 CTLA−4/B7の相互作用は、結晶構造解析で明らかになったように(Stamper 2001 Nature 410:608)、分子レベルでは「歪んだジッパー」状の配置をとっている。 しかしながら、抗CTLA−4 mAbを含む現在利用できるCTLA−4結合試薬はいずれも、ライゲーション特性をもたない。 この問題については、いくつかの研究で扱われている。 一例では、細胞膜に結合した一本鎖抗体が生成され、マウスにおける同種拒絶が有意に阻害された(Hwang 2002 JI 169:633)。 別の例では、CTLA−4に対する、人工のAPC共鳴結合一本鎖抗体が生成され、T細胞応答を弱めることが示された(Griffin 2000 JI 164:4433)。 どちらの場合でも、CTLA−4のライゲーションは、人工の系において、近くに局在する膜結合型抗体によって達成された。 これらの実験によって、CTLA−4の負のシグナル伝達を誘導することで免疫の下方制御が実施可能であることを示しているが、これらの報告で使われた試薬類は治療用には適さないものである。 そのため、CTLA−4のライゲーションは、CTLA−4細胞外ドメインの2つの異なるエピトープ(または2コピーの同じエピトープ)を標的とするDVD結合タンパク質分子を使用して達成され得る。 その原理は、IgGの2つの結合部位間の距離、およそ150〜170Åは、CTLA−4の活性なライゲーション(2つのCTLA−4のホモ二量体間の距離は30〜50Å)には長すぎるというものである。 しかしながら、DVD結合タンパク質上の2つの結合部位(1アーム上の)距離はかなり短く、これも30〜50Åの範囲にあることから、CTLA−4の正しいライゲーションが可能となる。

    同様に、DVD結合タンパク質は、細胞表面受容体複合体(例えば、IL−12Rアルファとベータ)の2つの異なるメンバーを標的とすることができる。 さらに、DVD結合タンパク質は、CR1と可溶性タンパク質/病原体を標的として、標的とした可能性タンパク質/病原体を迅速に排出させることができる。

    加えて、本明細書で提供するDVD結合タンパク質を、細胞間送達(内部に取り込まれた受容体および細胞間分子を標的とする)、脳の内部への送達(トランスフェリン受容体および血液脳関門を横断するためのCNS疾患介在物質)などの、組織特異的送達(組織マーカーおよび高い局所的なPKに関わる疾患介在物質を標的とするため、有効性が高くおよび/または毒性が低い)に用いることができる。 DVD結合タンパク質はまた、ある抗原を、その抗原の非中和エピトープへの結合を介して特定の部位へ送達するための担体タンパク質としても役立ち、また、抗原の半減期を延ばすのにも役立つ。 さらに、DVD結合タンパク質を、患者に埋め込まれた医療機器に物理的に結合するように、またはこれらの医療機器を標的とするように設計することもできる(Burke et al. (2006)Advanced Drug Deliv. Rev. 58(3): 437−446; Hildebrand et al. (2006) Surface and Coatings Technol. 200(22−23): 6318−6324; Drug/ device combinations for local drug therapies and infection prophylaxis, Wu (2006) Biomaterials 27(11):2450−2467; Mediation of the cytokine network in the implantation of orthopedic devices, Marques (2005) Biodegradable Systems in Tissue Engineer. Regen. Med. 377−397を参照のこと)。 簡単に説明すると、適切な型の細胞を、埋め込み型医療機器のある部位に誘導することで、治癒や正常な組織機能の回復が促進され得る。 あるいは、装置に結合したまたは装置を標的としたDVDによる、装置を埋め込んだ際に放出される仲介物質(サイトカインを含むがこれには限定されない)の阻害も提供する。 例えば、閉塞した動脈を開き、心筋への血液の流入を改善するための心血管形成術には、長年ステントが使用されてきたが、従来型のベアメタルステントは、一部の患者においては再狭窄(治療した部分の動脈が再び狭くなること)を引き起こすことが知られており、また、血液の凝固を引き起こす場合もある。 最近になって、血液中に循環している内皮前駆細胞(EPC)を捕捉することで、再狭窄と血液凝固の発生を予防する、抗CD34抗体でコーティングされているステントが記載された。 内皮細胞は、血管を裏打ちする細胞で、血液がスムーズに流れることを可能にしている。 EPCはステントの堅い表面に接着し、治癒を促進するだけでなく、再狭窄や血液の凝固、ステントの使用にこれまでは関連していた合併症を予防する、滑らかな層を形成する(Aoji et al. (2005) J. Am. Coll. Cardiol. 45(10):1574−9)。 ステントを必要としている患者の予後が改善されることに加え、心血管バイパス手術が必要な患者にも関係がある。 例えば、抗EPC抗体でコーティングした人工的な脈管(人工動脈)を使うことで、バイパス手術用の移植片として患者の脚または腕の動脈を使用する必要がなくなるだろう。 それにより、手術に係る時間と麻酔時間が短縮し、ひいては、冠血管手術関連死が減少するだろう。 DVD結合タンパク質は、細胞の補充を促進するために、埋め込み型装置をコーティングしている細胞表面マーカー(例えばCD34)ならびにタンパク質(またはタンパク質、脂質および多糖を含むがこれらには限定されない、いかなる種のエピトープ)に結合するような様式で設計されている。 このようなアプローチは、他の医療用埋め込み型装置にも概して適用可能である。 あるいは、DVD結合タンパク質で医療機器をコーティングすることができ、埋め込みの際におよび装置から全DVDを放出させる際に(または、既に負荷してあるDVD結合タンパク質の劣化や変性などの、新たなDVD結合タンパク質の追加が必要とされ得る任意の他の要求の際に)、患者に新たにDVD結合タンパク質を全身投与することで装置に再負荷することができる。 この場合には、DVD結合タンパク質は目的の標的(サイトカイン、細胞表面マーカー(例えばCD34)など)に一組の結合部位を介して結合し、もう一方で、装置をコーティングしている標的(タンパク質や、脂質、多糖およびポリマーを含むいかなる種類のエピトープなどを含むがこれらには限定されない)に結合するように設計されている。 この技術は、コーティングした埋め込み型装置の有用性を延長するという利点を有する。

    C)様々な疾患におけるDVD結合タンパク質の使用 本明細書で提供するDVD結合タンパク質分子は、様々な疾患を治療するための治療用分子としても有用である。 このようなDVD分子は、特定の疾患に伴われる1つ以上の標的に結合し得る。 様々な疾患におけるそのような標的の例を以下に記載する。

    1)ヒト自己免疫および炎症性反応 TNFは、免疫性および炎症性の要素を伴う様々な疾患に関連する病理、例えば自己免疫疾患、特に炎症と関連する疾患(クローン病、乾癬(尋常性乾癬を含む)、関節炎(関節リウマチ、乾癬性関節炎、変形性関節症、または若年性特発性関節炎を含む)、多発性硬化症、硬直性脊椎炎において重要な役割を果たしている。従って、本明細書の結合タンパク質を使用してこれらの障害を治療してもよい。また、様々な器官における炎症性および/または自己免疫状態にも関与している。IL−17は、多くの免疫/自己免疫に関連する疾患(関節リウマチ、喘息、狼瘡、移植片拒絶および抗腫瘍免疫など)に関連付けられている。

    2)喘息 アレルギー性喘息は、好酸球増加症、杯細胞異形成、上皮細胞の変化、気道過敏症(AHR)およびTh2とTh1サイトカイン発現の存在、並びに血清IgEレベルの上昇によって特徴付けられる。 気道炎症が、喘息の発病の基礎を成す中心的な因子であることは、現在では広く受け入れられており、T細胞、B細胞、好酸球、肥満細胞およびマクロファージなどの炎症性細胞と、サイトカインおよびケモカインなどの分泌されるこれらの媒介物質の複雑な相互作用が関与している。 コルチコステロイドは、今日、喘息に対する最も重要な抗炎症性治療であるが、それらの作用機序は非特異的であり、特に、若い患者集団では、安全性についての懸念が存在する。 従って、より特異的で、標的化された治療の開発が当然求められている。

    TNF−αは喘息における炎症性反応を増幅する場合があり、また、疾患重篤度と関連し得る(McDonnell et al. (2001) Progress Respir. Res. 31:247−250)。

    炎症とAHRの両方を評価できる動物モデル、例えばOVA誘導性喘息マウスモデルが当該分野では知られており、種々のDVD結合タンパク質分子が喘息を治療する能力を決定するのに使用することができる。

    3)関節リウマチ 全身性疾患である関節リウマチ(RA)は、関節の滑液中の慢性的炎症反応によって特徴付けられ、軟骨の変性と隣接する関節骨の腐食を伴う。 TNF、ケモカインおよび成長因子など、多くの炎症促進性サイトカインが、罹患した関節中に発現される。 抗TNF抗体またはsTNFR融合タンパク質の、RAのマウスモデルへの全身投与は、抗炎症性および関節保護的であることが示された。 RA患者中のTNFの活性が、静脈内に投与されたインフリキシマブ(キメラ抗TNFモノクローナル抗体(mAB))で遮断された臨床的調査(Harriman G, Harper LK, Schaible TF. 1999、Ann Rheum Dis 58 Suppl 1:I61−4)は、TNFがIL−6、IL−8、MCP−1およびVEGF産生、免疫および炎症性細胞の関節中への動員、血管新生並びにマトリックスメタロプロテイナーゼ−1および−3の血液レベルの低下を制御するという証拠を提供した。 関節リウマチにおける炎症性経路をより深く理解することによって、関節リウマチに関与する他の治療標的の同定に結びついた。 過去、インターロイキン−6アンタゴニスト(Chugai、Rocheによって開発されたIL−6受容体抗体MRA(Nishimoto, Norihiro et al. (2004) Arthritis Rheum. 50(6):1761−1769参照))、CTLA4Ig(アバタセプト、Genovese et al. (2005) N. Engl. J. Med. 353:1114−23)および抗B細胞療法(リツキシマブ、Okamoto and Kamatani (2004) N. Engl. J. Med. 351:1909)などの有望な治療が、無作為化された対照臨床試験において既に検査されている。 インターロイキン−15(治療用抗体HuMax−IL_15、AMG 714、Baslund et al. (2005) Arthritis Rheum. 52(9): 2686−2692を参照のこと)、インターロイキン−17およびインターロイキン−18など、他のサイトカインが同定され、動物モデルにおいて有益であることが示されており、これらの因子の臨床試験が現在進行中である。 抗TNFおよび別の媒介物質を組み合わせた二重特異的抗体療法は、臨床的効力および/または患者の対象範囲を増大させる上で大きな可能性を秘めている。 例えば、TNFとVEGF(何れも、RAの病態生理学に関与している)の両方を遮断することは、炎症および血管新生を根絶することができる可能性を秘めている。 TNFとIL−18、TNFとIL−12;TNFとIL−23;TNFとIL−1β;TNFとMIF;TNFとIL−17;およびTNFとIL−15を含む(がこれらに限定されない)、RAに関与している標的の他の対を、特定のDVD結合タンパク質で遮断することも想定される。 これらの標的対の慣習的な安全性評価に加えて、免疫抑制の程度に対する特異的検査が保証され、最高の標的対を選択する上で役立ち得る(Luster et al. (1994) Toxicology 92(1−3):229−43を参照のこと)。 DVD結合タンパク質分子が関節リウマチの治療に対して有用であるかどうかは、コラーゲンによって誘導された関節炎マウスモデルなど、前臨床動物RAモデルを用いて評価することが可能である。 他の有用なモデルも本分野において周知である(Brand (2005) Comp. Med. 55(2):114−22を参照のこと)。 ヒトおよびマウスのオルソログ(例えば、ヒトおよびマウスTNF、ヒトおよびマウスIL−15に対する反応性など)に対する親抗体の交叉反応性に基づいて、マウスCIAモデルでの確証研究は、「合致したサロゲート抗体」由来のDVD結合タンパク質分子を用いて実施され得る。 簡単に説明すると、2つ(またはそれ以上の)マウス標的特異的抗体を基礎とするDVD結合タンパク質を、ヒトDVD結合タンパク質の構築のために使用した親ヒトまたはヒト化抗体の特徴に可能な限り合致させ得る(類似の親和性、類似の中和能、類似の半減期など)。

    4)全身性エリテマトーデス(SLE)
    SLEの免疫病原的特徴は、ポリクローナルB細胞活性化であり、これは、高グロブリン血症、自己抗体産生および免疫複合体形成をもたらす。 基本的な異常は、全体的なT細胞の調節不全のために、T細胞が禁じられたB細胞クローンを抑制できないことであるように見受けられる。 さらに、BおよびT細胞の相互作用は、IL−10などの幾つかのサイトカインや、第二のシグナルを開始するCD40とCD40L、B7とCD28とCTLA−4などの同時刺激分子によって促進される。 これらの相互作用は、免疫複合体およびアポトーシス材料の食細胞の排出の不全とともに、結果生じた組織傷害によって免疫応答を永続化させる。 SLEは、Th−2誘導性疾患であると考えられており、血清中のIL−4、IL−6、IL−10の上昇が認められることが記されている。 1つ以上の標的、例えばIL−4、IL−6、IL−10、IFN−α、またはTNF−αに結合できるDVD結合タンパク質も想定される。 本明細書に論述されている標的の組み合わせは、いくつかの狼瘡前臨床モデル中で検査することができるSLEに対して治療的な効力を増強する(Peng (2004) Methods Mol. Med. 102:227−72を参照のこと)。 ヒトおよびマウスのオルソログ(例えば、ヒトおよびマウスCD20、ヒトおよびマウスインターフェロンαに対する反応性など)に対する親抗体の交差反応性に基づいて、マウス狼瘡モデルでの検証研究は、「合致されたサロゲート抗体」由来のDVD結合タンパク質分子を用いて実施され得る。 要約すると、2つ(またはそれ以上の)マウス標的特異的抗体を基礎とするDVD結合タンパク質を、ヒトDVD結合タンパク質の構築のために使用された親ヒトまたはヒト化抗体の特徴に可能な限り合致させ得る(類似の親和性、類似の中和能、類似の半減期など)。

    5)多発性硬化症 多発性硬化症(MS)は、主に病因が不明である複雑なヒト自己免疫型疾病である。 神経系全体のミエリン塩基性タンパク質(MBP)の免疫学的破壊が、多発性硬化症の主要な病因である。 MSは、CD4+およびCD8+T細胞による浸潤を伴う複雑な病変の疾病であり、中枢神経系内の応答の疾病である。 サイトカイン、反応性窒素種および同時刺激分子のCNSでの発現は全て、MSにおいて記載されている。 主に検討すべきであるのは、自己免疫の発達に寄与する免疫学的機序である。 特に、Th1およびTh2細胞などの他のT細胞のバランス/調節を補助する、抗原発現、サイトカインおよび白血球相互作用並びに調節性T細胞は、治療標的の同定のための重要な領域である。

    TWEAKは、中枢神経系(CNS)中で恒常的に発現されるTNFファミリーのメンバーであり、細胞の種類に応じて炎症促進性、増殖性またはアポトーシス効果を有する。 その受容体であるFn14は、内皮細胞、反応性星状膠細胞および神経細胞によって、中枢神経系中で発現されている。 TWEAKおよびFn14 mRNA発現は、実験的自己免疫脳脊髄炎(EAE)の間に、脊髄中で増加した。 ミエリン乏突起膠細胞糖タンパク質(MOG)によってC57BL/6マウス中に誘導されたEAEを抗TWEAK抗体で治療すると、マウスが初回刺激相の後に治療された場合に、疾病の重度および白血球の浸潤の低下をもたらした。

    一実施形態では、1つ以上、例えば2つの標的、例えばIL−12、TWEAK、IL−23、CXCL13、CD40、CD40L、IL−18、VEGF、VLA−4、TNF、CD45RB、CD200、IFNγ、GM−CSF、FGF、C5、CD52、またはCCR2に結合できるDVD Ig分子を提供する。 実施形態には、MSの治療に有用な治療薬としての二重特異性抗IL−12/TWEAK DVD Igが含まれる。

    MSを治療するためのDVD分子の有用性を評価するための幾つかの動物モデルが、本分野において公知である。 ヒトおよび動物種のオルソログ(例えば、ヒトおよびマウスIL−12、ヒトおよびマウスTWEAKに対する反応性など)に対する親抗体の交叉反応性に基づいて、マウスEAEモデルでの検証研究は、「合致されたサロゲート抗体」由来のDVD結合タンパク質分子を用いて実施され得る。 簡単に説明すると、2つ(またはそれ以上の)マウス標的特異的抗体を基礎とするDVD結合タンパク質を、ヒトDVD結合タンパク質の構築のために使用された親ヒトまたはヒト化抗体の特徴に可能な限り合致させ得る(類似の親和性、類似の中和能、類似の半減期など)。 同じ概念が、他の非げっ歯類種の動物モデルにも当てはまる。 この場合「合致されたサロゲート抗体」由来のDVD結合タンパク質は、予想される薬理学および実施可能な安全性研究のために選択される。 これらの標的対の慣習的な安全性評価に加えて、免疫抑制の程度に対する特異的検査が保証され、最適な標的ペアを選択する上で役立ち得る(Luster et al. (1994) Toxicol. 92(1−3)を参照のこと)。

    しかしながらMSは、免疫疾患というだけでなく、非常に重要な神経変性性の構成要素を含んでいる。 MSにおける疾患の進行は、軸索の消失の蓄積と軸索の損傷に起因し、患者の最終的な疾患スコアはこれらの神経変性過程によって判定される(Compston and Coles (2008) Lancet 372:1502−1517; Trapp and Nave (2008) Annu.Rev. Neurosci. 31: 247−269)。 MSの軸索の損傷の主な原因にはいくつかの機序があり得る。 神経伝達物質であるグルタミン酸の過剰放出とそれに伴うカルシウム介在性の神経毒性、酸化窒素の放出、およびその後生じる軸索の損傷、神経栄養性支持の消失、反発的なまたは軸索成長阻害分子(RGM A、NOGO A、セマフォリン、エフリンなど)の広範にわたる蓄積は、軸索指向化神経変性および軸索再生の失敗に寄与し得る。 RGM A、NOGO A、セマフォリン、エフリンなどの要素に向けられた活性を中和するとともに、IL−12、TWEAK、IL−23、CXCL13、CD40、CD40L、IL−18、VEGF、VLA−4、TNF、CD45RB、CD200、IFNγ、GM−CSF、FGF、C5、CD52、およびCCR2などの炎症促進性サイトカインに向けられた活性を中和する、単一のDVD結合タンパク質分子において標的とすることで、炎症と神経変性の両方を同時に焦点とすることができる。 これは現行のMSの治療原理のいずれによっても達成されていない目標である。 神経再生を刺激することで、MSで認められる、広範にわたる軸索の神経変性によって引き起こされる機能不全を補償することができ、失われた脳の機能を回復させられる可能性がある。

    6)敗血症 敗血症の病態生理は、グラム陰性生物(リポ多糖[LPS]、リピドA、エンドトキシン)およびグラム陽性生物(リポテイコ酸、ペプチドグリカン)の両方の外膜成分によって開始される。 これらの外膜成分は、単球の表面上のCD14受容体に結合することができる。 最近記載されたトール様受容体によって、シグナルは、その後、細胞へと伝達され、炎症促進性サイトカインである腫瘍壊死因子α(TNF−α)およびインターロイキン−1(IL−1)の最終的な産生をもたらす。 抵抗しがたい炎症性応答および免疫応答は、敗血症性ショックの本質的な特徴であり、敗血症によって誘導される組織損傷、多臓器不全および死亡の病因において中心的な役割を果たす。 サイトカイン、特に、腫瘍壊死因子(TNF)およびインターロイキン(IL)−1は、敗血症性ショックの媒介物質であることが示されている。 これらのサイトカインは、組織に対して直接的な毒性効果を有しており、ホスホリパーゼA2も活性化させる。 これらの効果および他の効果は、血小板活性化因子濃度の上昇、一酸化窒素合成酵素活性の促進、好中球による組織浸潤の促進および好中球活性の促進をもたらす。

    敗血症および敗血症性ショックの治療は、なお臨床的な難問であり、炎症性応答を標的とした生物応答調節剤(すなわち、抗TNF、抗MIF)を用いた最近の前向き臨床試験は、若干の臨床的有益性を示したに過ぎなかった。 最近、免疫抑制の付随期間を逆転させることを目指した治療法に関心が移っている。 実験動物では、アポトーシスの阻害剤を用いた治療はリンパ系細胞のアポトーシスを抑制することができるのみならず、予後も改善し得る。 抗アポトーシス因子を用いた臨床試験は、主にそれらの投与および組織標的化に伴う技術的困難さが原因で、実現性が低いままであるが、リンパ球アポトーシスの阻害は、敗血症患者に対する魅力的な治療の標的である。 同様に、炎症性媒介物質およびアポトーシス媒介物質の両方を標的とする二重特異的な薬剤は、さらなる有益性を有し得る。 一実施形態では、敗血症に関与する1つ以上の標的、ある実施形態では、2つの標的、例えばTNFとIL−17に結合するDVD結合タンパク質に関する。 敗血症に対するこのようなDVD結合タンパク質の有効性は、当該分野では知られている前臨床動物モデルにおいて評価することが可能である(Buras et al. (2005) Nat. Rev. Drug Discov. 4(10):854−65 and Calandra et al. (2000) Nat. Med. 6(2):164−70を参照のこと)。

    7)神経疾患 (a)神経変性疾患 神経変性疾患は、慢性(この場合は一般的に年齢に依存する)または急性(例えば、脳卒中、脳の外傷、脊髄損傷など)の何れかである。 これらの慢性神経変性疾患は、複数の細胞型および媒介物質の間で複雑な相互作用を示す。 このような疾病に対する治療戦略は限られており、非特異的な抗炎症剤(例えば、コルチコステロイド、COX阻害剤)または神経細胞の喪失および/またはシナプス機能を抑制するための因子で炎症プロセスを遮断することが大部分を占める。 これらの治療は、疾病の進行を停止させることができない。 最近の研究は、可溶性A−bペプチド(A−bオリゴマー形態を含む)に対する抗体などのより標的化された療法が、疾病の進行を停止させるのに役立つことができるのみならず、記憶や他の認知機能を維持するのにも役立ち得ることを示唆している。 これらの予備的な観察は、2以上の疾病媒介物質を標的とする特異的な療法(例えば、A−bおよび炎症促進性サイトカイン(TNFなど))が、単一の疾病機序を標的化する場合(例えば、可溶性A−bのみ)に観察されたものより、慢性神経変性疾患に対して、ずっと優れた治療的効果を提供し得ることを示唆している。

    本発明で提供するDVD結合タンパク質分子は、アルツハイマー病などの慢性神経変性疾患に関与する1つ以上の標的に結合することができる。 このような標的には、ADの病理発生に関与すると推定されている全ての媒介物質(可溶性または細胞表面)、例えば、AGE(S100 A、アムホテリン)、炎症促進性サイトカイン(例えば、IL−1)、ケモカイン(例えば、MCP1)、神経再生を阻害する分子(例えば、Nogo、RGM−A)、神経突起の成長を増強する分子(ニューロトロフィン)および血液脳関門での輸送を媒介することができる分子(例えば、トランスフェリン受容体、インシュリン受容体またはRAGE)が含まれるが、これらに限定されない。 DVD結合タンパク質分子の有効性は、アミロイド前駆体タンパク質またはRAGEを過剰発現し、アルツハイマー病様の症候を発症するトランスジェニックマウスなどの前臨床動物モデルで確認することが可能である。 さらに、DVD結合タンパク質分子を構築し、動物モデルで有効性について試験することが可能であり、ヒト患者での検査のために、最良の治療用DVD結合タンパク質を選択することができる。 DVD結合タンパク質分子は、パーキンソン病などの他の神経変性疾患の治療のためにも使用することが可能である。 α−シニュクレインが、パーキンソン病に関与している。 α−シヌクレインおよび炎症媒介物質(TNF、IL−1、MCP−1など)を標的とすることができるDVD結合タンパク質分子は、パーキンソン病に対する有効な治療を証明することが可能であり、これもまた実施形態の一つである。

    あるいは、α−シヌクレインとRGM Aを標的とすることができるDVD結合タンパク質は、パーキンソン病患者の黒質における病気の進行を阻止するだけでなく、損傷を受けた神経突起の再生を促す可能性もある。 なぜなら、最近になってRGM AがPD患者のこの領域を強く上方制御することが示されているからである(Bossers et al. (2009) Brain Pathol. 19: 91−107)。

    (b)神経細胞の再生および脊髄損傷 病的機序に関する知見の増加に関わらず、脊髄損傷(SCI)は、なお、多大な損害を与える症状であり、高度な医学的要求を特徴とする医学的な適応症である。 満足する治療は存在せず、メチルプレドニゾロン(MP)の高用量ボーラス注射は、損傷から8時間後という狭い時間枠内で使用される唯一の療法である。 しかしながら、この治療は、顕著な機能的回復を全くもたらさずに、続発性損傷を予防することのみを目的としている。 明瞭な効果の欠如並びにその後の感染症を伴う免疫抑制および重篤な組織病理学的な筋肉の変化などの重い副作用に対して大きな批判が為されている。 内生の再生能を刺激する他の薬物、生物製剤または小分子は認可されていないが、有望な治療原理および薬物候補が、近年、SCIの動物モデルにおいて有効性を示しており、最近になって、主要かつ有望な臨床データが提示された。 だいたいの場合、ヒトSCIにおける機能的回復の欠如は、病変部位における、瘢痕組織中、ミエリン中および損傷を伴う細胞上における神経突起の増殖を阻害する因子によって引き起こされる。 このような因子は、ミエリン随伴タンパク質であるNOGO A、OMgpおよびMAG、RGM A、瘢痕に関連するCSPG(コンドロイチン硫酸プロテオグリカン)および反応性星状膠細胞に対する阻害因子(一部のセマフォリンおよびエフリン)である。 しかしながら、病変部位では、増殖阻害分子が見出されるのみならず、ニューロトロフィン、ラミニン、L1およびその他のような神経突起成長刺激因子も見出される。 神経突起成長阻害分子と神経突起成長促進分子のこの協調は、NOGO AまたはRGM Aのような単一の因子を遮断することが、げっ歯類SCIモデルにおいて著しい機能回復をもたらしたことを説明し得る。 なぜなら、阻害的な影響の低下が、増殖阻害から増殖促進へとバランスをシフトさせ得るためである。 しかしながら、単一の神経突起成長阻害分子を遮断することによって観察された回復は完全ではなかった。 より速く、より顕著な回復を達成するためには、2つの神経突起成長阻害分子(例えば、NogoおよびRGM A)を遮断するか、または神経突起成長阻害分子を遮断し、および神経突起成長増強分子の機能を増強するか(例えば、Nogoおよびニューロトロフィン)、または神経突起成長阻害分子(例えば、Nogo)および炎症促進性分子(例えば、TNF)を遮断することが、望ましい場合があり得る(McGee et al., (2003) Trends Neurosci. 26:193を参照のこと)。

    一態様では、NgRとRGM A;NogoAとRGM A;MAGとRGM A;OMGpとRGM A;RGM AとRGM B;RGM Aとセマフォリン3A;RGM Aとセマフォリン4;CSPGとRGM A;アグレカン、ミッドカイン、ニューロカン、ベルシカン、ホスファカン、Te38およびTNF−a;樹状突起および軸索の出芽を促進する、抗体と組み合わされたAβ球状体(globulomer)特異的抗体などの標的対に結合できるDVD結合タンパク質を提供する。 樹状突起の病理と軸索損傷、または神経突起の発育異常はADの極めて早期の兆候であり、NOGO Aが樹状突起の成長を制限すること、およびミエリンに関連するその他の分子や上述した分子、例えばRGM A、MAG、OMGpが、軸索の再生を損なうことが知られている。 このような種類のabを、SCI候補(ミエリンタンパク質)Abの何れとも組み合わせることが可能である。 DVD結合タンパク質の他の標的には、NgR−p75、NgR−Troy、NgR−Nogo66(Nogo)、NgR−Lingo、Lingo−Troy、Lingo−p75、MAGまたはOmgpのあらゆる組み合わせが含まれ得る。 さらに標的には、神経突起の阻害に関与すると推定されている全ての媒介物質(可溶性のまたは細胞表面の)、例えば、Nogo、Ompg、MAG、RGM A、セマフォリン、エフリン、可溶性A−b、炎症促進性サイトカイン(例えば、IL−1)、ケモカイン(例えば、MIP 1a)、神経再生を阻害する分子も含まれ得る。 抗nogo/抗RGM Aまたは類似のDVD結合タンパク質分子の有効性は、脊髄損傷の前臨床動物モデルにおいて確認することが可能である。 加えて、これらのDVD結合タンパク質分子を構築し、動物モデルでその効果を試験することが可能であり、ヒト患者での検査のために、最良の治療用DVD結合タンパク質を選択することができる。 さらに、単一の受容体上の2つの別個のリガンド結合部位を標的とすることができるDVD結合タンパク質分子、例えば3つのリガンドであるNogo、OMGpおよびMAGに結合するNogo受容体、およびA−bとS100 Aに結合するRAGEを構築することが可能である。 さらに、神経突起成長阻害剤、例えば、nogoおよびnogo受容体は、多発性硬化症のような免疫学的疾患において神経再生を抑制する上でも役割を果たす。 nogo−nogo受容体の相互作用の阻害は、多発性硬化症の動物モデルの回復を改善させることが示されている。 従って、1つの免疫媒介物質、例えば、IL−12のようなサイトカイン、および神経突起成長阻害分子、例えば、nogoまたはRGMの機能を遮断することができるDVD結合タンパク質分子は、免疫または神経突起成長阻害剤分子のみを遮断するより、より速く、より大きな効力を与え得る。

    一般に、抗体は、脳血液関門(BBB)を効率的および妥当な様式では横断しない。 しかしながら、特定の神経疾患(例えば、脳卒中、外傷性脳傷害、多発性硬化症など)では、BBBが損なわれる場合があり、DVD結合タンパク質や抗体の脳内への浸透が増加する可能性がある。 BBBの漏出が起こらない他の神経症状では、グルコースやアミノ酸担体などの担体媒介性輸送、およびBBBの血管内皮における受容体媒介性トランスサイトーシス媒介細胞構造/受容体を含む、内在性の輸送系を標的としてもよく、それによって、DVD結合タンパク質のBBBを横断した輸送が可能になる。 このような輸送を可能にするBBBでの構造には、インシュリン受容体、トランスフェリン受容体、LRPおよびRAGEが含まれるが、これらに限定されない。 さらに、戦略は、低分子量の薬物、ナノ粒子および核酸を含む、中枢神経系内へ薬物候補を輸送するためのシャトルとしてDVD結合タンパク質を使用することも可能にする(Coloma et al. (2000) Pharm Res. 17(3):266−74; Boado et al. (2007) Bioconjug. Chem. 18(2):447−55)。

    8)腫瘍性疾患 モノクローナル抗体療法が、癌に対する重要な治療様式として登場している(von Mehren et al. (2003) Annu. Rev. Med. 54:343−69)。 抗体は、アポトーシス、再誘導された細胞傷害、リガンド−受容体相互作用の妨害を誘導することによって、または新生物の表現型にとって重大なタンパク質の発現を抑制することによって、抗腫瘍効果を発揮し得る。 さらに抗体は、腫瘍微小環境の成分を標的とすることが可能であり、腫瘍に付随する脈管構造の形成など不可欠な構造を擾乱する。 抗体は、そのリガンドが増殖因子である受容体(上皮増殖因子受容体など)を標的とすることも可能である。 従って抗体は、細胞増殖を刺激する天然のリガンドが標的とする腫瘍細胞へ結合することを阻害する。 あるいは、抗体は、抗イディオタイプネットワーク、補体媒介性細胞傷害または抗体依存性細胞傷害(ADCC)を誘導し得る。 2つの別個の腫瘍媒介物質を標的とする二重特異的抗体の使用は、単一特異的療法に比べて、さらなる有利さを与えるものと思われる。

    IV)医薬組成物 結合タンパク質および医薬として許容可能な担体とを含む医薬組成物を提供する。 本発明で提供する結合タンパク質を含む医薬組成物は、疾患もしくは1つ以上のその症状の予防、治療、管理、または軽減においておよび/または研究において、疾患を診断、検出、またはモニタリングするために使用されるが、医薬組成物の用途はこれらには限定されない。 具体的な実施形態において組成物は、1つ以上の本発明で提供するタンパク質を含む。 別の実施形態において医薬組成物は、1つ以上の本発明で提供する結合タンパク質および、疾患を治療するための、本明細書で提供する結合タンパク質以外の1つ以上の予防薬または治療薬とを含む。 ある実施形態では、予防薬または治療薬は、疾患または1つ以上のその症状の予防、治療、管理または軽減に有用であることが知られているものであるか、あるいは疾患または1つ以上のその症状の予防、治療、管理または軽減においてこれまで、または現在使用されているものである。 これらの実施形態に従えば、組成物は、担体、希釈剤または賦形剤をさらに含んでいてもよい。

    本明細書で提供する結合タンパク質は、対象への投与に適した医薬組成物に組み込むことができる。 典型的には、医薬組成物は、本明細書で提供する結合タンパク質と、医薬として許容可能な担体とを含む。 「医薬として許容可能な担体」という用語は、生理学的に適合する任意のすべての溶媒、分散媒、コーティング、殺菌および殺真菌剤、等張および吸収遅延剤、などを含む。 医薬として許容可能な担体の例としては、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなどの1つ以上、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。 いくつかの実施形態では、等張剤、例えば、糖、もしくはマンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール類、または塩化ナトリウムが組成物中に含まれる。 医薬として許容可能な担体はさらに、微量の補助物質、例えば湿潤剤または乳化剤や、抗体または抗体結合部分の有効期間または効果を高める防腐剤または緩衝剤などを含んでもよい。

    様々な送達系が公知であり、例えば、リポソーム、微粒子、ミクロカプセル、抗体または抗体断片を発現することができる組み換え細胞、受容体介在性エンドサイトーシス(例えば、Wu and Wu (1987) J. Biol. Chem. 262:4429−4432を参照のこと)、レトロウイルスまたは他のベクターの一部としての核酸構築物などに封入して、本発明で提供する1つ以上の抗体を、または本発明で提供する1つ以上の抗体と疾患もしくは1つ以上のその症状を予防、管理、治療、または軽減するのに有用な予防薬または治療薬との組み合わせを投与するために使用することができる。 本発明で提供する予防薬または治療薬の投与方法には、非経口投与(例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内および皮下)、硬膜外投与、腫瘍内投与および粘膜投与(例えば、鼻内および経口経路)が含まれるが、これらには限定されない。 さらに、例えば、吸入装置または噴霧器およびエアロゾル化剤を加えた製剤の使用によって、経肺投与を使用することが可能である。 例えば、米国特許第6,019,968号を参照のこと。 一実施形態では、本発明で提供する結合タンパク質、併用療法または本発明で提供する組成物は、Alkermes AIR(登録商標)経肺薬物送達技術(Alkermes, Inc.、ケンブリッジ、マサチューセッツ)を用いて投与される。 具体的な実施形態では、本発明で提供する予防薬または治療薬は、筋肉内、静脈内、腫瘍内、経口、鼻内、経肺または皮下投与される。 予防薬または治療薬は、あらゆる都合のよい経路によって、例えば、注入若しくはボーラス注射によって、上皮または粘膜皮膚の裏打ち(例えば、口粘粘膜、直腸および腸の粘膜など)を通じた吸収によって投与してもよく、また、生物学的に活性な他の因子と一緒に投与してもよい。 投与は、全身投与であっても局所投与であってもよい。

    ある実施形態では、インビトロで抗体結合型カーボンナノチューブ(CNT)を腫瘍細胞に特異的に結合させ、続いて、近赤外(NIR)光による極めて限定的な切除が、腫瘍細胞を標的とするために使用することができる。 例えば、ビオチン化した極性脂質を使用して、安定で、生体適合性の非細胞障害性CNT分散物を調製し、これをその後、1つ以上の腫瘍抗原(例えば、CD22)に対する、1つまたは2つの異なるニュートラライト(neutralite)アビジン誘導体化DVD結合タンパク質に付着させることができる(Chakravarty et al. (2008) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 105:8697−8702)。

    具体的な実施形態では、治療を必要としている部位へ局所的に、本明細書で提供する予防薬または治療薬を投与することが望ましい場合があり得る。 これは例えば、これらに限定されるものではないが、局所的注入によって、注射によって、またはインプラントを用いて達成してもよく、前記インプラントは、シアラスチック(sialastic)膜、ポリマー、繊維性マトリックス(例えば、Tissuel(登録商標))またはコラーゲンマトリックスなどの、膜およびマトリックスを含む多孔性または非多孔性材料である。 一実施形態では、本明細書で提供する1つ以上の抗体アンタゴニストの有効量を、疾患またはその症状を予防、治療、管理、および/または軽減するために、対象の罹患した部位へ局所投与する。 別の実施形態では、本明細書で提供する1つ以上の抗体の有効量を、疾患または1つ以上のその症状を予防、治療、管理、および/または軽減するために、本明細書で提供する結合タンパク質以外の1つ以上の治療薬(例えば、1つ以上の予防薬または治療薬)の有効量と組み合わせて、対象の罹患した部位に局所投与する。

    別の実施形態では、予防薬または治療薬は、制御放出系または持続放出系で送達することができる。 一実施形態では、制御放出または持続放出を達成するためにポンプを使用してもよい(Langer, 上記; Sefton (1987) CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:20; Buchwald et al. (1980) Surgery 88:507; Saudek et al. (1989) N. Engl. J. Med. 321:574を参照のこと)。 別の実施形態では、高分子材料を使用して、治療薬を制御放出または持続放出させることができる。 ある実施形態では、持続放出製剤中で使用される高分子は不活性であり、漏出する可能性のある不純物を含まず、保存に際して安定であり、無菌的で、かつ、生分解性である。 さらに別の実施形態では、制御放出系または持続放出系を予防薬または治療薬の近くに配置して、全身投薬量の一部のみを必要とするようにすることができる(例えば、Goodson, Medical Applications of Controlled Release, 上記, vol. 2, pp. 115−138 (1984)を参照のこと)。

    制御放出系は、Langer (1990) Science 249:1527−1533)の総説で論じられている。 本発明で提供する1つ以上の治療薬を含む制御放出製剤を作製するために、当業者に知られているあらゆる技術を使用することが可能である。

    組成物が予防薬または治療薬をコードしている核酸である具体的な実施形態では、核酸を適切な核酸発現ベクターの一部として構築し、例えば、レトロウイルスベクター(米国特許第4,980,286号)の使用によって、または直接の注射によって、もしくは微粒子ボンバードメント(例えば、遺伝子銃;Biolistic、Dupon)の使用によって、核酸が細胞内となるように核酸を投与し、または脂質若しくは細胞表面受容体若しくは形質移入剤でコーティングし、または核内に進入することが知られているホメオボックス様ペプチドに連結して核酸を投与することによって(例えば、Joliot et al. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:1864−1868を参照のこと)、核酸がコードしている予防薬または治療薬の発現を促進するために、核酸をインビボで投与することが可能である。 あるいは、相同的組み換えによって発現させるために、核酸を細胞内に導入し、宿主細胞DNA内に取り込むことが可能である。

    本明細書で提供する医薬組成物は、目的の投与経路に合致するように製剤化される。 必要に応じて組成物は、可溶化剤や局所麻酔、例えば投与部位の疼痛を和らげるためのリグノカン(lignocamne)などを含んでいてもよい。

    方法には、注射による(例えば、ボーラス注射または持続注入による)非経口投与のために製剤化された組成物の投与が含まれ得る。 注射用製剤を、添加された防腐剤とともに、単位容量形態で(例えば、アンプルまたは多回投薬容器に入れて)提示してもよい。 組成物は、油性または水性媒体に溶解した懸濁液、溶液または乳液などの剤形であってもよく、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤などの製剤化のための薬剤を含んでいてもよい。 あるいは、活性成分は、使用前に適切な媒体(例えば、発熱物質を含まない無菌水)で構成するための粉末形態であってもよい。

    本発明で提供する方法はさらに、デポ調製物として製剤化された組成物の投与を含み得る。 このような長時間作用型の製剤は、(例えば、皮下または筋肉内への)埋め込みによって、または筋肉内注射によって投与されてよい。 従って、例えば、組成物は、適切な高分子材料もしくは疎水性材料(例えば、許容される油に溶解したエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂とともに、あるいは難溶性誘導体として(例えば、難溶性の塩として)調合され得る。

    本明細書で提供する方法は、中性または塩の形態として製剤化された組成物の投与を包含する。 医薬として許容可能な塩には、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などに由来するものなどの陰イオンとともに形成された塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどに由来するものなど、陽イオンとともに形成された塩が含まれる。

    通常組成物の成分は、別個に、または単位容量形態中に(例えば、活性剤の量を示した注射器または小袋などの密閉された容器に入れた、凍結乾燥した乾燥粉末もしくは無水濃縮物として)一緒に混合されて供給される。 投与の様式が注入である場合には、組成物は、医薬等級の無菌水または生理的食塩水を含有する注入瓶を用いて分配することができる。 投与の様式が注射による場合には、注射用の無菌水または生理的食塩水のアンプルは、投与前に成分が混合され得るように提供することが可能である。

    一実施形態では、1つ以上の本明細書で提供する予防薬もしくは治療薬または医薬組成物は、密閉された容器、例えば、活性剤の量を示したアンプルまたは小袋などの中に梱包される。 一実施形態では、1つ以上の本明細書で提供する予防薬もしくは治療薬または医薬組成物は、密閉された容器に入れた凍結乾燥した乾燥無菌粉末または無水濃縮物として供給され、対象に投与するための適切な濃度になるように(例えば、水または生理的食塩水で)再構成することができる。 ある実施形態では、1つ以上の本明細書で提供する予防薬もしくは治療薬または医薬組成物は、少なくとも5mg、少なくとも10mg、少なくとも15mg、少なくとも25mg、少なくとも35mg、少なくとも45mg、少なくとも50mg、少なくとも75mgまたは少なくとも100mgの単位用量で、密封された容器に入れた凍結乾燥した乾燥無菌粉末として供給される。 本明細書で提供する凍結乾燥した予防もしくは治療薬または医薬組成物は、その元の容器中で、2℃〜8℃の範囲で保存してもよく、本明細書で提供する予防薬もしくは治療薬または医薬組成物は、再構成後、1週以内、例えば、5日以内、72時間以内、48時間以内に、24時間以内に、12時間以内に、6時間以内に、5時間以内に、3時間以内に、または1時間以内に投与することができる。 別の実施形態では、本明細書で提供する1つ以上の予防薬もしくは治療薬または医薬組成物は、薬剤の量と濃度を示す密閉された容器に入れた液体形態で供給される。 ある実施形態では、液体形態の投与される組成物は、密封された容器中に、少なくとも0.25mg/ml、少なくとも0.5mg/ml、少なくとも1mg/ml、少なくとも2.5mg/ml、少なくとも5mg/ml、少なくとも8mg/ml、少なくとも10mg/ml、少なくとも15mg/kg、少なくとも25mg/ml、少なくとも50mg/ml、少なくとも75mg/mlまたは少なくとも100mg/mlで供給される。 液体形態は、その元の容器中で、2℃〜8℃の範囲で保存してもよい。

    本明細書で提供する結合タンパク質は、非経口投与に適した医薬組成物中に取り込ませることができる。 ある実施形態では、抗体または抗体部分は、0.1から250mg/mLの結合タンパク質を含有する注射可能な溶液として調製される。 注射可能な溶液は、フリント容器または琥珀色の容器、アンプルまたは充填済みのシリンジに入れた液体または凍結乾燥した剤形から構成され得る。 緩衝剤は、L−ヒスチジン(1〜50mM)であってよく、5〜10mM、pH5.0〜7.0(pH6.0が至適)が最適である。 他の好適な緩衝剤としては、コハク酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウムまたはリン酸カリウムが挙げられるが、これらには限定されない。 塩化ナトリウムは、0〜300mMの濃度で(液体剤形のためには150mMが至適)溶液の毒性を変化させる使用することができる。 凍結乾燥した剤形には、凍結保護剤、主に、0〜10%のショ糖(0.5〜1.0%が至適)を含めることができる。 他の適切な凍結保護剤としては、トレハロースやラクトースが挙げられる。 凍結乾燥された剤形には、増量剤、主に、1〜10%のマニトール(2〜4%が至適)を含めることができる。 液体および凍結乾燥された両剤形において、安定化剤、主に1〜50mMのL−メチオニン(5〜10mMが至適)を使用することができる。 他の適切な充填剤には、グリシンおよびアルギニンが含まれ得、0〜0.05%のポリソルベート−80として含めることが可能である(0.005〜0.01%の濃度が至適)。 その他の界面活性剤には、これらには限定されないが、ポリソルベート20やBRIJ界面活性剤がある。 非経口投与用の注射可能な溶液として調製された本明細書で提供する結合タンパク質を含む医薬組成物は、アジュバントとして有用な薬剤、例えば治療用タンパク質(例えば、抗体)の吸収または分散を増加させるために使用されるものなど、をさらに含むことが可能である。 特に有用なアジュバントは、Hylenex(登録商標)(組み換えヒトヒアルロニダーゼ)などのヒアルロニダーゼである。 注射可能な溶液中へのヒアルロニダーゼの添加は、非経口投与、特に皮下投与後の、ヒトでの生物学的利用可能性を改善する。 痛みや不快感がより少なく、注射部位における反応の発生を最小限に抑えたより多量の注射部位容量(すなわち、1mLより多い)も可能である(国際公開第2004078140号および米国特許出願第2006104968号を参照のこと)。

    本明細書で提供する組成物は、様々な形態であってよい。 これらには、例えば、液体溶液(例えば、注射可能な溶液および注入可能な溶液)など、分散液または懸濁液、錠剤、丸薬、粉末、リポソームおよび座剤などの、液体、半固体および固体剤形が含まれる。 形態の選択は、目的の投与経路および治療用途に依存する。 典型的な組成物は、他の抗体でのヒトの受動免疫用に使用される組成物と同様の組成物など、注射可能溶液または注入可能溶液の形態である。 選択される投与の様式は、非経口(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内)である。 ある実施形態では、抗体は、静脈内注入または注射によって投与される。 別の実施形態において、抗体は、筋肉内注入または皮下注射によって投与される。

    治療用組成物は、典型的には、製造の条件および保存の条件で、無菌的および安定でなければならない。 組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、分散液、リポソームまたは高濃度の薬物に適した、その他の要求される構造として製剤化することができる。 無菌的な注射可能溶液は、本明細書に列記されている成分の1つまたは組み合わせを加えた適切な溶媒中に、必要な量で活性な化合物(すなわち、抗体または抗体結合部分)を組み入れ、その後、必要に応じて、ろ過滅菌によって調製することができる。 一般的に、分散液は、基本となる分散溶媒と、本明細書に列記されたものから得られる必要なその他の成分を含有する無菌的な媒体中に活性化合物を取り込ませることによって調製される。 無菌的な注射可能溶液の調製のための凍結乾燥された無菌粉末の場合には、調製の方法は真空乾燥および噴霧乾燥であり、予め滅菌ろ過されたその溶液から、あらゆる追加の所望される成分を加えた活性成分の粉末を得る。 溶液に適した流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングを使用することによって、分散液の場合に必要な粒径を維持することによって、および界面活性剤を使用することによって維持することができる。 吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸塩およびゼラチンを組成物中に含めることによって、注射可能な組成物が吸収される期間を延長することができる。

    本明細書で提供する結合タンパク質は、当該分野で知られている様々な方法によって投与することが可能であるが、多くの治療用途において、ある実施形態では、投与経路/様式は皮下注射、静脈内注射または注入である。 当業者には当然のことであるが、投与の経路および/または様式は、所望される結果に応じて変わる。 ある特定の実施形態では、活性化合物は、迅速な放出に対して化合物を保護する担体とともに調製される場合があり、そのような例としては、インプラント、経皮パッチおよび微小封入された送達系を含む制御放出製剤などがある。 エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸など、生物分解可能な生物適合性高分子を使用することができる。 このような製剤の多くの調製方法は、特許が付与されているか、または、当業者に一般的に知られている。 例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J. R. Robinson, ed. , Marcel Dekker, Inc. , New York, 1978を参照のこと。

    補助的活性化合物も、組成物中に取り込ませることが可能である。 ある特定の実施形態において、本発明で提供する結合タンパク質は、本発明で提供する結合タンパク質を用いて疾患を治療するのに有用である、1つ以上のさらなる治療薬とともに製剤化され、および/または同時投与される。 例えば、本発明で提供する結合タンパク質は、他の標的に結合する1つ以上のさらなる抗体(例えば、他のサイトカインに結合する抗体または細胞表面分子に結合する抗体)とともに製剤化され、および/または同時投与され得る。 さらに、本発明で提供する1つ以上の抗体は、先述の治療薬の2つまたはそれ以上と組み合わせて使用してもよい。 このような併用療法では有利なことに、投与される治療薬の用量をより低くすることができるため、様々な単独療法に伴って生じ得る毒性または合併症が回避される。

    ある特定の実施形態において結合タンパク質は、当該分野で公知の半減期延長媒体に連結される。 このような媒体には、Fcドメイン、ポリエチレングリコールおよびデキストランが含まれるが、これらには限定されない。 このような媒体は、例えば、米国特許第出願一連番号第09/428,082号および国際公開第99/25044号に記載されている。

    具体的な実施形態では、本発明で提供する結合タンパク質または本発明で提供する別の予防薬もしくは治療薬をコードする核酸配列は、遺伝子治療によって、疾患または1つ以上のその症状を治療、予防、管理、または軽減するために投与される。 遺伝子治療とは、発現された核酸または発現可能な核酸を対象に投与することによって実行される治療を指す。 この実施形態では、核酸は、それらがコードしている、予防的効果または治療的効果を媒介する、本発明で提供する抗体または予防薬もしくは治療薬を産生する。

    本明細書で提供する方法では、当該分野で利用可能な遺伝子治療のためのいかなる方法をも使用することができる。 遺伝子治療の方法の一般的な総説については、Goldspiel et al. (1993)を参照のこと。 使用可能な組み換えDNA技術の分野で一般的に知られている方法は、Ausubel et al. (編), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley &Sons, NY (1993); and Kriegler, Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual, Stockton Press, NY (1990)に記載されている。 遺伝子治療の様々な方法の詳細な説明は、米国特許公開第20050042664号に開示されている。

    ヒト対象における標的の活性が阻害され、1つ以上の症状の軽減または治療が達成されるように、本明細書で開示の結合タンパク質をヒト対象に投与することを含む、本明細書で開示の結合タンパク質が結合できる標的が有害な障害を患っているヒト対象の治療方法を提供する。 ある実施形態では、この組成物と方法で治療または診断可能な疾患には、これらには限定されないが、免疫性および炎症性の要素、例えば自己免疫疾患、特にクローン病、乾癬(尋常性乾癬を含む)、関節炎(関節リウマチ、乾癬性関節炎、変形性関節症、または若年性特発性関節炎を含む)、多発性硬化症、硬直性脊椎炎、脊椎症性関節症、全身性エリテマトーデス、ブドウ膜炎、多発性硬化症、敗血症、および神経変性性疾患、ニューロン再生、脊髄損傷、ならびに原発性および転移性などの、炎症に関連のある自己免疫疾患が含まれる。 別の実施形態では、障害は、呼吸障害;喘息;アレルギー性および非アレルギー性の喘息;感染症による喘息;RSウイルス(RSV)感染による喘息;慢性閉塞性肺疾患(COPD);気道の炎症を伴う症状;好酸球増加症;線維症および過剰粘液産生;嚢胞性線維症;肺線維症;アトピー性障害;アトピー性皮膚炎;蕁麻疹;湿疹;アレルギー性鼻炎;アレルギー性胃腸炎;皮膚の炎症性および/または自己免疫状態;胃腸器官の炎症性および/または自己免疫状態;炎症性腸疾患(IBD);潰瘍性大腸炎;クローン病;肝臓の炎症性および/または自己免疫状態;肝硬変;肝線維症;肝炎Bおよび/またはCウイルスに起因する肝線維症;強皮症;腫瘍または癌;肝細胞の癌腫;膠芽腫;リンパ腫;ホジキンリンパ腫;ウイルス感染;細菌感染;寄生虫感染;HTLV−1感染;保護的なI型免疫応答の発現の抑制および、ワクチンを接種している間の、保護的なI型免疫応答の発現の抑制である。

    本明細書で提供する結合タンパク質は、様々な疾患の治療に有用な、1つ以上の別の治療薬と共に投与することもできる。

    本明細書で提供する結合タンパク質を単独で、または組み合わせて使用して、そのような疾患を治療することができる。 この結合タンパク質は、単独でも、あるいは別の薬剤、例えば治療薬と組み合わせて使用することができ、別の薬剤は、目的に応じて当業者によって選択されることが理解されるべきである。 例えば、別の薬剤は、本明細書で提供する抗体によって治療される疾患または状態の治療に有用であることが当該分野で認識されている治療薬であってよい。 別の薬剤はさらに、治療用組成物に有益な特性を付与する薬剤、例えば組成物の粘性に影響を及ぼす薬剤であってよい。

    さらに、本明細書で提供する組み合わせが、目的の用途にとって有用な組み合わせであると理解される。 以下に示す薬剤は目的を説明するためのものであり、限定することを意図するものではない。 いくつかの実施形態において組み合わせは、本明細書で提供する抗体と、以下の一覧から選択される、少なくとも1つの別の薬剤を含む。 組み合わせはまた、形成された組成物が目的の機能を果たすことができるような組み合わせである場合、1を上回る別の薬剤、例えば、2つまたは3つの別の薬剤を含み得る。

    本発明で提供する医薬組成物は、本発明で提供する結合タンパク質の「治療上有効量」または「予防上有効量」を含み得る。 「治療上有効量」は、所望の治療的結果を達成するための投薬量で、および所望の治療的結果を達成するために必要な期間にわたって有効な量を指す。 結合タンパク質の治療上有効量は、当業者によって決定され得、個体の病状、年齢、性別および体重、ならびに結合タンパク質が個体内で所望の応答を惹起する能力などの要因に従って変動し得る。 治療上有効量は、抗体または抗体結合部分のあらゆる毒性効果または有害効果を治療的に有益な効果が上回る量でもある。 「予防上有効量」は、所望の予防的結果を達成するために必要な投薬量で、および所望の予防的結果を達成するために必要な期間にわたって有効な量を指す。 典型的には、疾病のより初期段階の前にまたは疾病のより初期段階において、予防的投薬が患者に使用されるので、予防上有効量は、治療上有効量より少ない。

    投薬計画は、最適な所望の応答(例えば、治療的応答または予防的応答)を与えるように調整することができる。 例えば、単一のボーラスを投与することができ、複数の分割された用量を経時的に投与することができ、または、治療状況の緊急性に応じて、用量を比例的に減少もしくは増加してもよい。 投与を簡単にし、投薬量を均一にするために、単位用量形態で非経口組成物を製剤化することが特に有利である。 「単位用量形態」という用語は治療されるべき哺乳動物対象に対する統一された投薬として適した、物理的に分離された単位を指し、各単位は、必要とされる医薬担体とともに、所望される治療効果を生じるように計算された所定量の活性化合物を含有する。 本発明で提供する投薬単位形態の仕様は、(a)活性化合物に特有の特徴と、達成される具体的な治療効果または予防効果、および(b)個体における過敏症の治療用のこのような活性化合物を配合する分野に固有の制約によって規定され、これらに直接依存する。

    例えば、発明で提供する結合タンパク質の治療上または予防上有効量の典型的で非限定的な範囲は、0.1〜20mg/kg、例えば1〜10mg/kgである。 軽減される状態の種類および重度に応じて、投薬量の値が変化し得ることに留意されたい。 任意の特定の対象に関し、個々の要求や、組成物の投与を行っている者または監督している者の専門的判断に従って、特定の投薬計画を経時的に調整すべきこと、および、本明細書に記載されている用量の範囲は典型的なものに過ぎず、特許請求の範囲に記載されている組成物の範囲または実施を限定することを意図したものではない。

    V)診断薬 本明細書中の開示は、診断的用途も提供する。 これは、以下でさらに明らかにする。

    A. アッセイの方法 本開示は、少なくとも1つのDVD結合タンパク質を用いて、本明細書に記載したように被検試料中の分析物(またはその断片)の有無、量または濃度を決定するための方法も提供する。 この方法では、当該分野で知られているあらゆる適切なアッセイを使用することができる。 例としては、これらには限定されないが、免疫アッセイ、例えばサンドイッチ免疫アッセイ(例えば、モノクローナル、ポリクローナルおよび/またはDVD結合タンパク質サンドイッチ免疫アッセイまたはそのあらゆる変形(例えば、モノクローナル/DVD結合タンパク質、DVD結合タンパク質/ポリクローナルなど)が挙げられ、放射性同位体検出(放射性免疫アッセイ(RIA))および酵素検出(酵素免疫アッセイ(EIA)または酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)(例えば、Quantikine ELISAアッセイ、R&D Systems、ミネアポリス、ミネソタ))を含む)、競合阻害免疫アッセイ(例えば、順および逆)、蛍光偏光免疫アッセイ(FPIA)、酵素多重化免疫アッセイ技術(EMIT)、生物発光共鳴エネルギー転移(BRET);および均質な化学発光アッセイなどが含まれる。 SELDIを使った免疫アッセイでは、目的の分析物(またはその断片)に特異的に結合する捕捉試薬を、予め活性化しておいたタンパク質チップアレイなどの質量分析プローブの表面に付着させる。 分析物(またはその断片)はその後、バイオチップに特異的に捕捉され、捕捉された分析物(またはその断片)を質量分析によって検出する。 あるいは、分析物(またはその断片)を捕捉試薬から溶出し、従来型のMALDI(マトリックス支援レーザー脱離/イオン化)によって、またはSELDIによって検出することができる。 化学発光微粒子免疫アッセイ、特に、ARCHITECT(登録商標)自動分析装置(Abbott Laboratories、アボットパーク、イリノイ)を使用するものは、好ましい免疫アッセイの一例である。

    尿、血液、血清および血漿ならびにその他の体液を採取、取り扱い、および処理するための当該分野で周知の方法が本開示の実施において、例えば、本明細書に記載したように、DVD結合タンパク質が免疫診断試薬としておよび/または分析物免疫アッセイキット中で使用される場合に使用される。 被検試料は目的の分析物の他に、さらなる成分、例えば抗体、抗原、ハプテン、ホルモン、薬物、酵素、受容体、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、オリゴヌクレオチドおよび/またはポリヌクレオチドなどを含み得る。 例えば、試料は、対象から得られる全血試料であってよい。 被検試料、特に全血は本明細書に記載されている免疫アッセイの前に、例えば、前処理試薬を用いて処理することが必要な、または所望される場合がある。 前処理が必要でない場合でさえ(例えば、多くの尿試料)、(例えば、市販のプラットフォーム上での治療計画の一環として)場合によって、前処理を行うことができる。

    前処理試薬は、本発明で提供する免疫アッセイおよびキットともに使用するのに適したあらゆる試薬であり得る。 前処理は、場合により、(a)1つ以上の溶媒(例えば、メタノールやエチレングリコール)、および場合によって塩、(b)1つ以上の溶媒および塩、ならびに場合によって界面活性剤、(c)界面活性剤または(d)界面活性剤および塩を含む。 前処理試薬は当該分野では知られており、このような前処理は、例えば、文献に記載されているように(Yatscoff et al. (1990) Clin. Chem. 36:1969−1973 and Wallemacq et al. (1999) Clin. Chem. 45: 432−435)、および/または市販されているように、Abbott TDx、AxSYM(登録商標)およびARCHITECT(登録商標)分析装置(Abbott Laboratories、アボットパーク、イリノイ)を使ったアッセイ用に使用される場合のように、使用することができる。 さらに、前処理は、米国特許第5,135,875号および同第6,660,843号;欧州特許公開第0471293号、および米国特許出願第20080020401号に記載されているように行うことができる。 前処理試薬は、不均質な薬剤であっても均質な薬剤であってもよい。

    不均質な前処理試薬を用いると、前処理試薬によって、試料中に存在する分析物結合タンパク質(例えば、分析物またはその断片に結合することができるタンパク質)が沈殿する。 このような前処理ステップは、沈殿した分析物結合タンパク質を、前処理剤を試料に添加することによって形成された混合物の上清から分離することによって、いずれもの分析物結合タンパク質を除去することを含む。 このようなアッセイでは、結合タンパク質が一切存在しない混合物の上清がアッセイに使用され、抗体を捕捉するステップへと直接進む。

    均質な前処理試薬を用いるとこのような分離ステップは行われない。 被検試料と前処理試薬の混合物を全量、標識された抗分析物抗体(または抗原的に反応性のその断片)などの、分析物(またはその断片)に対する標識された特異的結合パートナーと接触させる。 このようなアッセイのために使用される前処理試薬は通常、第一の特異的結合対によって捕捉される前に、または捕捉している間の何れかに、前処理しておいた被検試料混合物で希釈する。 このような希釈に関わらず、一定量の前処理試薬が、捕捉の間に、被検試料の混合物中になお存在(または残存)する。 一実施形態では、標識された特異的結合対は、DVD結合タンパク質(またはその断片、変形物または変形物の断片)であり得る。

    不均質な形式では、対象から被検試料を得た後に、第一の混合物を調製する。 この混合物は、分析物(またはその断片)の評価を行う被検試料と第一の特異的結合対を含み、ここで被検試料中に含まれる第一の特異的結合パートナーと何れかの分析物は、第一の特異的結合パートナーと分析物の複合体を形成する。 好ましくは、第一の特異的結合パートナーは、抗分析物抗体またはその断片である。 第一の特異的結合パートナーは、本明細書中に記載されているDVD結合タンパク質(またはその断片、変形物もしくは変形物の断片)であってもよい。 混合物を形成するために被検試料と第一の特異的結合パートナーを添加する順番は重要でない。 好ましくは、第一の特異的結合パートナーは固相上に固定化される。 免疫アッセイにおいて使用される固相(第一の特異的結合パートナーおよび場合によって、第二の特異的結合パートナーに対する)は、例えば、磁気粒子、ビーズ、試験管、マイクロタイタープレート、キュベット、膜、足場分子、フィルム、ろ紙、ディスクおよびチップを含むがこれらには限定されない、当該分野において知られているいかなる固相であってもよい。

    第一の特異的結合パートナーと分析物の複合体を含有する混合物が形成された後、当該分野において知られている技術のいずれかを用いて、結合していない全ての分析物を複合体から除去する。 例えば、結合していない分析物は洗浄によって除去することができる。 しかしながら、被検試料中に含まれる全ての分析物が第一の特異的結合パートナーと結合するように、第一の特異的結合パートナーが被検試料中に存在する全ての分析物より過剰に存在することが望ましい。

    全ての結合していない分析物を除去した後、第一の特異的結合パートナーと分析物および第二の特異的結合パートナーとの複合体を形成するために、第二の特異的結合パートナーを混合物に添加する。 好ましくは、第二の特異的結合パートナーは、第一の特異的結合パートナーが結合した分析物のエピトープとは異なる分析物のエピトープに結合する抗分析物抗体である。 さらに、第二の特異的結合パートナーは、上述した検出可能な標識で標識されているか、あるいは上述した検出可能な標識を含有することも好ましい。 第二の特異的結合パートナーは、本明細書中に記載のDVD結合タンパク質(またはその断片、変形物もしくは変形物の断片)であってもよい。

    当該分野において知られているあらゆる適切な検出可能な標識を使用することができる。 例えば、検出可能な標識は、放射性標識( H、 125 I、 35 S、 14 C、 32 Pおよび33 Pなど)、酵素標識(西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリペルオキシダーゼ、グルコース6−リン酸脱水素酵素など)、化学発光標識(アクリジニウムエステル、チオエステルまたはスルホンアミド;ルミノール、イソルミノール、フェナントリジニウムエステルなど)、蛍光標識(フルオレセイン(例えば、5−フルオレセイン、6−カルボキシフルオレセイン、3'6−カルボキシフルオレセイン、5(6)−カルボキシフルオレセイン、6−ヘキサクロロ−フルオレセイン、6−テトラクロロフルオレセイン、フルオレセインイソチオシアナートなど))、ローダミン、フィコビリタンパク質、R−フィコエリトリン、量子ドット(例えば、硫化亜鉛でキャップされたセレン化カドミウム、温度測定標識またはイムノ−ポリメラーゼ連鎖反応標識であってよい。標識、標識手法および標識の検出についての序論は、「Polak and Van Noorden, Introduction to Immunocytochemistry, 2 nd ed., Springer Verlag, N.Y. (1997)」およびMolecular Probes、Inc.、ユージーン、オレゴンによって発行されたハンドブック兼カタログである「Haugland, Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals (1996)」に見出される。FPIAでは、蛍光標識を使用することができる(例えば、米国特許第5,593,896号を参照のこと)。均質なまたは不均質な化学発光アッセイでは、アクリジニウム化合物を検出可能な標識として使用することができる(例えば、Adamczyk et al. (2006) Bioorg. Med. Chem. Lett. 16: 1324−1328を参照のこと)。

    好ましいアクリジニウム化合物は、アクリジニウム−9−カルボキサミドである。 アクリジニウム9−カルボキサミドを調製するための方法は、例えば、Mattingly (1991) J. Biolumin. Chemilumin. 6: 107−114に記載されている。 別の好ましいアクリジニウム化合物は、アクリジニウム−9−カルボキシラートアリールエステルである。 アクリジニウム−9−カルボキシラートアリールエステルの例は、10−メチル−9−(フェノキシカルボニル)アクリジニウムフルオロスルホナート(Cayman Chemical、アナーバー、ミシガンから入手可能)である。 アクリジニウム9−カルボキシラートアリールエステルを調製する方法は、例えば、McCapra et al. (1965) Photochem. Photobiol. 4: 1111−21に記載されている。 アクリジニウム9−カルボキシラートアリールエステルおよびその使用に関するさらなる詳細は、米国特許公開20080248493に記載されている。

    化学発光アッセイ(例えば、上記アクリジニウムまたは他の化学発光剤を使用するアッセイ)は、Adamczyk et al. (2006) Anal. Chim. Acta 579(1): 61−67に記載されている方法に従って実施することができる。 あらゆる適切なアッセイフォーマットを使用することが可能であるが、マイクロプレート化学発光測定装置(Mithras LB−940、Berthold Technologies USA、LLC、オークリッジ、テネシー)では、少量かつ複数の試料のアッセイを短時間で行うことができる。

    化学発光アッセイのための混合物を形成するために被検試料と特異的結合パートナーを添加する順番は重要でない。 第一の特異的結合パートナーが、アクリジニウム化合物などの化学発光剤で検出可能に標識されていれば、検出可能に標識された第一の特異的結合パートナーと分析物の複合体が形成される。 あるいは、第二の特異的結合パートナーを使用し、かつ、第二の特異的結合パートナーがアクリジニウム化合物などの化学発光剤で検出可能に標識されていれば、検出可能に標識された第一の特異的結合パートナーと分析物および第二の特異的結合パートナー体の複合体が形成される。 標識されているか標識されていないかを問わず、全ての結合されていない特異的結合パートナーは、洗浄などの当該分野で知られている何れかの技術を用いて混合物から除去することができる。

    過酸化水素は、混合物中においてその場で生成される場合があり、または上述のアクリジニウム化合物の添加前、添加と同時もしくは添加後に、混合物に提供もしくは供給され得る(例えば、過酸化水素源は、過酸化水素を含有することが知られている1つ以上の緩衝液または他の溶液である)。 過酸化水素は、当業者に自明ないくつかの方法で、その場で生成することができる。

    同時にまたはその後、試料に少なくとも1つの塩基性溶液を添加すると、分析物の有無の指標となる検出可能なシグナル(すなわち、化学発光シグナル)が生成される。 塩基性溶液は、少なくとも1つの塩基を含有し、10以上の、好ましくは、12以上のpHを有する。 塩基性溶液の例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウムおよび重炭酸カルシウムが含まれるが、これらには限定されない。 試料に添加される塩基性溶液の量は、塩基性溶液の濃度に依存する。 使用される塩基性溶液の濃度に基づいて、当業者は、試料に添加する塩基性溶液の量を容易に決定することができる。

    生成される化学発光シグナルは、当業者に知られている慣習的な技術を用いて検出することができる。 生成されたシグナルの強度に基づいて、試料中の分析物の量を定量することができる。 具体的には、試料に含まれる分析物の量は生成されたシグナルの強度に比例する。 含まれる分析物の量は、生成された光の量を分析物の検量線と比較することによって、または参照標準と比較することによって定量することができる。 検量線は、分析物の系列希釈または濃度が分かっている溶液を用い、質量分析法、重力測定法および当該分野で知られている他の技術によって作製することができる。 上記は、化学発光剤としてアクリジニウム化合物を使用することを強調して記載されているが、当業者は、他の化学発光剤を使用するために、容易にこの記述を改変することができる。

    一般に、分析物免疫アッセイは、サンドイッチ形式など(但し、これに限定されない)の当該分野で知られている形式のいずれかを用いて実施することができる。 具体的には、1つの免疫アッセイの形式において、試料中の分析物(ヒト分析物など)またはその断片を分離および定量するために、少なくとも2つの抗体が使用される。 より具体的には、少なくとも2つの抗体は、分析物(またはその断片)の異なるエピトープに結合して、免疫複合体を形成し、これは、「サンドイッチ」と呼ばれている。 一般に、免疫アッセイでは、被検試料中の分析物(またはその断片)を捕捉するために、1つまたはそれ以上の抗体を使用することが可能であり(これらの抗体は、「捕捉」抗体と呼ばれることが多い)、1つまたはそれ以上の抗体は、サンドイッチに検出可能な(すなわち、定量可能な)標識を結合させるために使用することができる(これらの抗体は、「検出抗体」または「複合体」と呼ばれることが多い)。 従って、サンドイッチの免疫アッセイ形式では、本明細書に記載のDVD結合タンパク質(またはその断片、変異体もしくは変異体の断片)は、捕捉抗体、検出抗体または両者として使用することができる。 例えば、分析物(またはその断片)上の第一のエピトープに結合することができるドメインを有する1つの結合タンパク質またはDVD結合タンパク質を捕捉剤として使用することができ、および/または分析物(またはその断片)上の第二のエピトープに結合することができるドメインを有する別の結合タンパク質またはDVD結合タンパク質を検出剤として使用することができる。 この点で、分析物(またはその断片)上の第一のエピトープに結合することができる第一のドメインと、分析物(またはその断片)上の第二のエピトープに結合することができる第二のドメインを有する結合タンパク質またはDVD結合タンパク質は捕捉剤および/または検出剤として使用することができる。 あるいは、第一の分析物(またはその断片)のエピトープに結合することができる第一のドメインと、第二の分析物(またはその断片)のエピトープに結合することができる第二のドメインを有する1つの結合タンパク質またはDVD結合タンパク質を捕捉剤および/または検出剤として使用し、2つ以上の分析物を検出し、場合によっては定量することができる。 分析物が、ホモマーまたはヘテロマーである可能性のある、単量体形態と二量体/多量体形態などの2つ以上の形態で試料中に含まれ得る場合には、単量体形態上にのみ露出されているエピトープに結合することができるドメインを有する1つの結合タンパク質またはDVD結合タンパク質と、二量体/多量体形態の異なる部分上のエピトープに結合することができるドメインを有する別の結合タンパク質またはDVD結合タンパク質を捕捉剤および/または検出剤として使用することができ、これにより、その分析物の異なる形態の検出および場合によって定量が可能になる。 さらに、単一の結合タンパク質もしくはDVD結合タンパク質内でおよび/または結合タンパク質もしくはDVD結合タンパク質の間で異なる親和性を有する結合タンパク質またはDVD結合タンパク質を使用することは、結合力の点で利点となる可能性がある。 本明細書に記載の免疫アッセイに関し、結合タンパク質またはDVD結合タンパク質の構造内に1つ以上のリンカーを組み入れることが一般的に、有用な場合が、または所望される場合がある。 リンカーが存在する場合には、内側のドメインがあるエピトープに結合でき、外側のドメインが別のエピトープと結合できるような、十分な長さと構造的柔軟性を有するリンカーが最適であろう。 この点に関して、結合タンパク質またはDVD結合タンパク質が2つの異なる分析物に結合することができ、および一方の分析物が他方より大きい場合には、外側のドメインがより大きな分析物に結合することが望ましい。

    一般的に言えば、分析物(またはその断片)に関して検査されている試料(例えば、分析物を含有することが疑われている試料)は、少なくとも1つの捕捉剤(または薬剤)と、少なくとも1つの検出剤(例えば、捕捉剤および/または検出剤が複数の抗体を含む場合のように、第二の検出抗体もしくは第三の検出抗体、またはそれに続く数の抗体であってよい)と、同時にまたは逐次に、任意の順序で接触させることができる。 例えば、被検試料を、まず、少なくとも1つの捕捉剤と接触させ、次いで(逐次に)少なくとも1つの検出剤と接触させることができる。 あるいは、被検試料を、まず、少なくとも1つの検出剤と接触させ、次いで(逐次に)少なくとも1つの捕捉剤と接触させることができる。 さらに別の方法では、被検試料を、捕捉剤および検出剤と同時に接触させることができる。

    サンドイッチアッセイの形式では、分析物(またはその断片)を含有すると疑われる試料を、まず、第一の抗体/分析物複合体の形成を可能にする条件で、少なくとも1つの第一の捕捉剤と接触させる。 2以上の捕捉剤を使用する場合、2つ以上の捕捉抗体を含む第一の捕捉剤/分析物複合体が形成される。 サンドイッチアッセイでは、抗体、すなわち、好ましくは、少なくとも1つの捕捉剤は、被検試料に含まれていると予想される分析物(またはその断片)の最大量よりも、モル濃度で過剰な量が使用される。 例えば、緩衝液(例えば、微粒子コーティング緩衝液)1mL当たり、約5μg〜約1mgの抗体を使用することができる。

    1つの抗体(つまり、本開示に関連する結合タンパク質および/またはDVD結合タンパク質)だけによる結合が必要とされるので小さな分析物を測定するために使用されることが多い競合阻害免疫アッセイは、逐次的で従来型の形式を含む。 逐次的競合阻害免疫アッセイでは、目的の分析物に対する捕捉剤で、マイクロタイタープレートのウェルまたはその他の固体支持体をコーティングする。 目的の分析物を含有する試料がウェルに添加されると、目的の分析物は捕捉剤に結合する。 洗浄後、標識された(例えば、ビオチンまたは西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、捕捉抗体に結合できる分析物をウェルに添加する。酵素標識に対する基質を使ってシグナルを生成する。HRPに対する適切な基質の一例には、3,3',5,5'−テトラメチルベンジジン(TMB)がある。洗浄後、標識された分析物によって生成されたシグナルを測定する。シグナルは試料中の分析物の量に反比例する。通常、従来型の競合阻害免疫アッセイでは、目的の分析物に対する抗体(つまり、本開示に関する結合タンパク質および/またはDVD結合タンパク質)で、固体支持体(例えば、マイクロタイタープレートのウェル)をコーティングする。しかしながら、逐次的競合阻害免疫アッセイとは異なり、試料と標識された分析物をウェルに同時に添加する。試料中の何れかの分析物と標識された分析物とが、捕捉剤への結合に関して競合する。洗浄後、標識された分析物によって生成されたシグナルを測定する。シグナルは試料中の分析物の量に反比例する。当然のことながら、これらのフォーマットには多数の変異型が存在する。例えば、固体支持体に結合させる場合、フォーマットは1ステップ、2ステップ、遅延型2ステップなどのいずれかであり、当業者であれば、これらを認識できるだろう。

    必要に応じて、被検試料を、少なくとも1つの捕捉剤(例えば、第一の捕捉剤)と接触させる前に、少なくとも1つの捕捉剤を固体支持体に結合させておくことが可能であり、それにより、被検試料からの第一の薬剤/分析物(またはその断片)複合体の分離が容易になる。 捕捉剤が結合する基材とは、捕捉抗体−分析物複合体の試料からの分離を容易にする、あらゆる適切な固体支持体または固相であってよい。

    例には、マイクロタイタープレートなどのプレートのウェル、試験管、多孔性ゲル(例えば、シリカゲル、アガロース、デキストランまたはゼラチン)、ポリマー性フィルム(例えば、ポリアクリルアミド)、ビーズ(例えば、ポリスチレンビーズまたは磁気ビーズ)、フィルター/膜(例えば、ニトロセルロースまたはナイロン)の条片、微粒子(例えば、ラテックス粒子、磁気化可能な微粒子(例えば、酸化第二鉄または酸化クロムの核と、ホモまたはヘテロポリマー性のコーティング剤を含み、半径が約1〜10ミクロン微粒子))が含まれる。 基材は、抗原に結合するための適切な表面親和性と、検出抗体による接近を可能にするのに十分な多孔性を有する適切な多孔性材料を含み得る。 一般的に、微孔性材料が好ましいが、水和された状態のゼラチン性材料を使用することもできる。 好ましくは、このような多孔性基材は、約0.01〜約0.5mm、好ましくは約0.1mmの厚さを有するシート状の形態である。 孔径は大きく変動し得るが、好ましくは、孔径は、約0.025〜約15ミクロン、より好ましくは、約0.15〜約15ミクロンである。 このような基材の表面は、受動的にコーティングしておくか、または抗体の基材への共有結合を引き起こす化学的プロセスによって活性化しておくことができる。 通常、疎水性の作用を介した吸着によって、抗原または抗体の基材への不可逆的な結合が生じる。 あるいは、化学的カップリング剤または他の手段の結合か、抗体と分析物との結合能力を緩衝しなければ、抗体と基質を共有結合させるために、化学的カップリング剤または他の手段を使用することができる。 あるいは、抗体(つまり本開示の結合タンパク質および/またはDVD結合タンパク質)は、ストレプトアビジン(例えば、DYNAL(登録商標)Magnetic Beads、Invitrogen、カールスバッド、カリフォルニア)またはビオチン(例えば、Power−BindTM−SA−MPストレプトアビジンコーティング微粒子(Seradyn、インディアナポリス、インディアナ))で予めコーティングされている微粒子、または抗種特異的モノクローナル抗体(つまり本開示の結合タンパク質および/またはDVD結合タンパク質)と結合させることができる。 必要な場合、または望ましい場合には、基材(例えば標識の)を誘導体化して、抗体(つまり本開示の結合タンパク質および/またはDVD結合タンパク質)の様々な官能基と反応できるようにすることができる。 このような誘導体化には、ある特定のカップリング剤の使用が必要とされ、その例には、無水マレイン酸、N−ヒドロキシスクシンイミドおよび1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドが含まれるが、これらには限定されない。 所望であれば、それぞれが分析物に対して特異的である1つ以上の捕捉剤、例えば抗体(またはその断片)(つまり本開示の結合タンパク質および/またはDVD結合タンパク質)を、物理的に異なるかまたは割り当て可能な位置において(例えば、バイオチップの構成におけるように)、固相に付着させることができる(例えば、米国特許第6,225,047号、国際公開第99/51773号、米国特許第6,329,209号、国際公開第00/56934号、および米国特許第5,242,828号を参照のこと)。 捕捉剤が固体支持体としての質量分析プローブに付着されている場合、プローブに結合された分析物の量は、レーザー脱離イオン化質量分析法によって検出することができる。 あるいは、1つ以上の捕捉剤で誘導体化されている複数種類のビーズを単一のカラムに充填し、それによって、一カ所で分析物を捕捉することができる(抗体によって誘導体化された、ビーズをベースとする技術、例えば、Luminex(オースティン、テキサス)のxMAP技術を参照のこと)。

    分析物(またはその断片)についてアッセイしている被検試料を、少なくとも1つの捕捉剤(例えば、第一の捕捉剤)と接触させた後、第一の捕捉剤(または複数の捕捉剤)と分析物(またはその断片)複合体を形成させるために、混合物をインキュベートする。 約4.5〜約10.0のpHで、約2℃〜約45℃の温度で、少なくとも約1分〜約18時間、好ましくは約1〜約24分間、最も好ましくは約4〜約18分間インキュベートすることができる。 本明細書に記載の免疫アッセイは、1ステップで(被検試料、少なくとも1つの捕捉剤および少なくとも1つの検出剤を、反応容器へ逐次にまたは同時に全て添加されることを意味する)または2ステップ、3ステップなどの2を上回るステップで実施することができる。

    (第一のまたは複数の)捕捉剤/分析物(またはその断片)複合体の形成後、この複合体を、(第一のまたは複数の)捕捉剤/分析物(またはその断片)/第二の検出剤複合体の形成を可能にする条件で、少なくとも1つの検出剤と接触させる。 分かりやすくするために、「第二の」抗体(例えば、第二の検出剤)という見出しが付いているが、実際には、捕捉および/または検出のために複数の抗体が使用される場合、少なくとも1つの検出剤は、免疫アッセイにおいて使用される第二、第三、第四の抗体などであり得る。 捕捉剤/分析物(またはその断片)複合体を2以上の検出剤と接触させる場合、(第一のまたは複数の)捕捉剤/分析物(またはその断片)/(複数の)検出剤複合体が形成される。 捕捉剤(例えば、第一の捕捉剤)と同様に、少なくとも1つの(例えば、第二のおよびあらゆる以降の)検出剤を捕捉剤/分析物(またはその断片)複合体と接触させる場合、(第一のまたは複数の)捕捉剤/分析物(またはその断片)/(第二のまたは複数の)検出剤複合体を形成させるためには、上述した条件と同様の条件でインキュベートする期間が必要とされる。 好ましくは、少なくとも1つの検出剤は検出可能な標識を含有する。 検出可能な標識は、(第一のまたは複数の)捕捉剤/分析物(またはその断片)/(第二のまたは複数の)検出剤複合体の形成の前に、同時にまたは後に、少なくとも1つの検出剤(例えば、第二の検出剤)に結合させることができる。 当該分野において知られているあらゆる検出可能な標識を使用することができる(Polak and Van Noorden (1997) and Haugland (1996) 参考文献を含む、上記考察を参照のこと)。

    検出可能な標識は、直接またはカップリング剤を介して抗体に結合させることができる。 使用可能なカップリング剤の一例には、ミズーリ州セントルイスのSigma−Aldrichから市販されているEDAC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、塩酸塩)がある。 使用可能な他のカップリング剤が、当該分野で知られている。 抗体に検出可能な標識を結合させる方法は、当該分野で知られている。 さらに、検出可能な標識の抗体へのカップリングを容易にする末端基、例えばCPSP−アクリジニウムエステル(すなわち、9−[N−トシル−N−(3−カルボキシプロピル)]−10−(3−スルホプロピル)アクリジニウムカルボキサミド)またはSPSP−アクリジニウムエステル(すなわち、N10−(3−スルホプロピル)−N−(3−スルホプロピル)−アクリジニウム−9−カルボキサミドを既に含有している多くの検出可能な標識は、購入または合成することができる。

    (第一のまたは複数の)捕捉剤/分析物/(第二のまたは複数の)検出剤複合体は、必須というわけではないが、標識の定量前に、被検試料の残りから分離することができる。 例えば、少なくとも1つの捕捉剤(例えば、第一の捕捉剤、例えば本開示による結合タンパク質および/またはDVD結合タンパク質)を固体支持体、例えばウェルまたはビーズに結合させる場合、接触したものから(被検試料の)液体を除去することによって、分離することができる。 あるいは、少なくとも1つの第一の捕捉剤が固体支持体に結合されている場合には、少なくとも第一の捕捉剤を、分析物を含有する試料と少なくとも1つの第二の検出剤と同時に接触させて第一の(複数の)薬剤/分析物/第二の(複数の)薬剤複合体を形成させた後に、固体支持体と接触しているものから液体(被検試料)を除去することができる。 少なくとも1つの第一の捕捉剤が固体支持体に結合されていない場合、標識の量の定量のために、(第一のまたは複数の)捕捉剤/分析物/(第二のまたは複数の)検出剤複合体を被検試料から除去する必要はない。

    標識された捕捉剤/分析物/検出剤複合体(例えば、第一の捕捉剤/分析物/第二の検出剤複合体)が形成された後、複合体中の標識の量を、当該分野において知られている技術を用いて定量する。 例えば酵素標識を使用する場合、標識された複合体を、発色などの定量可能な反応を生じる、標識に対する基質と反応させる。 標識が放射性標識であれば、標識は、シンチレーションカウンターなどの適切な手段を用いて定量される。 標識が蛍光標識である場合、一色の光(「励起波長」として知られる)で標識を刺激し、刺激に応答して標識により発せられる別の色(「発光波長」として知られる)を検出することによって、標識を定量する。 標識が化学発光標識である場合、目視で、またはルミノメータ、X線フィルム、高速写真フィルム、CCDカメラなどを使用して発せられた光を検出することによって、標識を定量する。 複合体中の標識の量が定量されたら、濃度が分かっている分析物またはその断片の系列希釈を用いて作製した検証線の使用など、適切な手段によって、被検試料中の分析物またはその断片の濃度を決定する。 分析物またはその断片の系列希釈を使用する以外に、重量分析的に、質量分析によっておよび当該分野で知られている他の技術によって、検量線を作製することができる。

    ARCHITECT(登録商標)分析装置を使用した化学発光微粒子アッセイでは、複合体希釈液のpHは約6.0+/−0.2であってよく、微粒子コーティング緩衝液は概ね室温(すなわち、約17〜約27℃)に維持してよく、微粒子コーティング緩衝液のpHは約6.5+/−0.2であってよく、微粒子希釈液のpHは約7.8+/−0.2であってよい。 固体は、好ましくは約0.2%未満、例えば約0.15%未満、約0.14%未満、約0.13%未満、約0.12%未満または約0.11%未満、例えば約0.10%である。

    FPIAは、競合的結合免疫アッセイの原理に基づいている。 蛍光標識された化合物が直線偏光によって励起されると、その回転速度に反比例する偏光度を有する蛍光を発する。 蛍光標識された追跡物質−抗体複合体が直線偏光によって励起されると、光が吸収される時点と光が発せられる時点との間、蛍光色素の回転が抑制されるので、発せられた光は高度に偏光された状態を保つ。 「遊離の」追跡物質化合物(すなわち、抗体に結合していない化合物)が直線偏光によって励起されると、その回転は、競合的結合免疫アッセイにおいて産生された対応する追跡物質−抗体抱合体(または追跡物質−本開示による結合タンパク質および/または追跡物質−本開示によるDVD結合タンパク質)よりずっと速くなる。 特殊な取り扱いおよび廃棄を必要とする放射性物質が存在しないので、FPIAはRIAより有利である。 さらに、FPIAは、容易かつ迅速に実施することができる均質なアッセイである。

    上述の内容を考慮して、被検試料に含まれる分析物(またはその断片)の有無、量または濃度を決定する方法を提供する。 この方法は、(i)(i')抗体、分析物に結合することができる抗体の断片、分析物に結合することができる抗体の変異体、分析物に結合することができる抗体の変異体の断片、本明細書で開示の結合 タンパク質 、および分析物に結合することができる DVD結合 タンパク質(またはその断片、変異体もしくは変異体の断片)の少なくとも1つ、および(ii')少なくとも1つの検出可能な標識、を使用すること、ならびに(ii)被検試料中の分析物(またはその断片)の有無、量または濃度の直接的なまたは間接的な指標としての検出可能な標識によって生成されたシグナルを、対照または検量用試料中の分析物(またはその断片)の有無、量または濃度の直接的なまたは間接的な指標として生成されたシグナルと比較することを含むアッセイによって、分析物(またはその断片)に関して被検試料をアッセイすることを含む。 検量用試料は場合により、一連の検量用試料の一部であり、各検量用試料に含まれる分析物の濃度は、シリー別の検量用試料に含まれる分析物の濃度と異なる。

    この方法は、(i)第一の特異的結合パートナー/分析物(またはその断片)複合体を形成するように、抗体、分析物に結合することができる抗体の断片、分析物に結合することができる抗体の変異体、分析物に結合することができる抗体の変異体の断片、本明細書で開示の結合タンパク質、または分析物に結合することができるDVD結合タンパク質(またはその断片、変異体もしくは変異体の断片)を含む分析物(またはその断片)に対する少なくとも1つの第一の特異的結合パートナーと、被検試料とを接触させること、(ii)第一の特異的結合パートナー/分析物(またはその断片)/第二の特異的結合パートナー複合体を形成するために、検出可能に標識された抗分析物抗体、分析物に結合することができる抗分析物抗体の検出可能に標識された断片、分析物に結合することができる抗分析物抗体の検出可能に標識された変異体、分析物に結合することができる抗分析物抗体の変異体の検出可能に標識された断片、分析物に結合できる検出可能に標識された本明細書で開示の結合タンパク質、または検出可能に標識されたDVD結合タンパク質(またはその断片、変異体もしくは変異体の断片)を含む分析物(またはその断片)に対する少なくとも1つの第二の特異的結合対と第一の特異的結合パートナー/分析物(またはその断片)複合体を接触させること、ならびに(iii)(ii)で形成された第一の特異的結合パートナー/分析物(またはその断片)/第二の特異的結合パートナー複合体中の検出可能な標識によって生成されるシグナルを検出または測定することによって、被検試料中の分析物の有無、量または濃度を測定することを含んでいてもよい。 分析物(またはその断片)に対する少なくとも1つの第一の特異的結合パートナーおよび/または分析物(またはその断片)に対する少なくとも1つの第二の特異的結合パートナーが、本明細書で開示の結合タンパク質または本明細書中に記載のDVD結合タンパク質(またはその断片、変異体もしくは変異体の断片)である方法が好ましい場合がある。

    あるいは、この方法は、被検試料を、抗体、分析物に結合することができる抗体の断片、分析物に結合することができる抗体の変異体、分析物に結合することができる抗体の変異体の断片、本明細書で開示の結合タンパク質およびDVD結合タンパク質(またはその断片、変異体もしくは変異体の断片)を含む分析物(またはその断片)に対する少なくとも1つの第一の特異的結合パートナーと接触させること、ならびに、同時にまたは逐次に、何れかの順序で、被検試料を、少なくとも1つの第一の特異的結合対パートナーへの結合に関して分析物(またはその断片)と競合することが可能であり、かつ、検出可能に標識された分析物、第一の特異的結合パートナーに結合することができる分析物の検出可能に標識された断片、第一の特異的結合パートナーに結合することができる分析物の検出可能に標識された変異体、または第一の特異的結合パートナーに結合することができる分析物の変異体の検出可能に標識された断片を含む少なくとも1つの第二の特異的結合対パートナーと接触させることを含み得る。 被検試料に含まれる何れかの分析物(またはその断片)と少なくとも1つの第二の特異的結合パートナーは互いに競合して、それぞれ、第一の特異的結合パートナー/分析物(またはその断片)複合体と、第一の特異的結合パートナー/第二の特異的結合パートナー複合体を形成する。 この方法は、(ii)で形成された第一の特異的結合パートナー/第二の特異的結合パートナー複合体中の検出可能な標識によって生成されたシグナルを検出または測定することによって、被検試料中の分析物の有無、量または濃度を測定することをさらに含み、ここで第一の特異的結合パートナー/第二の特異的結合パートナー複合体中の検出可能な標識によって生成されるシグナルは、被検試料に含まれる分析物の量または濃度に反比例する。

    この方法は、被検試料が得られた患者の治療的/予防的処置の有効性を診断、予測、または評価することをさらに含む場合がある。 方法が、被検試料が得られた患者の治療的/予防的処置の有効性を評価することをさらに含む場合には、この方法は場合によって、有効性を向上させる必要に応じて、患者の治療的/予防的処置を修正することをさらに含む。 この方法は、自動化されたシステムまたは半自動化されたシステムで使用するために適宜に改変することができる。

    アッセイ(およびそのためのキット)の方法に関して、市販の抗分析物抗体または文献に記載されている抗分析物を作製するための方法を使用することが可能であり得る。 様々な抗体を供給している業者には、Santa Cruz Biotechnology Inc. (サンタクルズ、カリフォルニア)、GenWay Biotech,Inc. (サンディエゴ、カリフォルニア)およびR&D Systems(RDS;ミネアポリス、ミネソタ)が含まれるが、これらには限定されない。

    一般に、分析物またはその断片に関して被検試料を、例えば疾患または疾患のリスクを検出するために、アッセイする際に得られた結果を評価するためのベンチマークとして、予め決めたレベルを使用することができる。 通常、このような比較を行う際には、分析物の有無、量または濃度と、疾患、障害もしくは状態の特定の段階もしくは評価項目とを、または特定の臨床的徴候とを関係づけるかまたは関連付けることができる適切な条件下で、十分な回数、特定のアッセイを実施することによって、予め決めたレベルを得る。 典型的には、予め決めたレベルは、参照となる対象(または対象の集団)のアッセイから得られる。 測定される分析物には、その断片、その分解産物および/またはその酵素的切断産物が含まれ得る。

    具体的には、疾患の進行および/または治療をモニターするために使用される予め決めたレベルに関して、分析物またはその断片の量または濃度は、「変化せず」、「好ましい」(または「好ましく変化した」)または「好ましくない」(または「好ましくないように変化した」)であり得る。 「上昇した」または「増加した」は、被検試料中の量または濃度が、典型的なもしくは正常なレベルもしくは範囲(例えば、予め決めたレベル)より高い、または別の参照レベルもしくは範囲(例えば、より早いまたはベースライン試料)より高いことを指す。 「低下した」または「減少した」という用語は、被検試料中の量または濃度が、典型的なもしくは正常なレベルもしくは範囲(例えば、予め決めたレベル)より低い、または別の参照レベルもしくは範囲(例えば、より早いまたはベースライン試料)より低いことを指す。 「変化した」という用語は、試料中の量または濃度が、典型的なもしくは正常なレベルもしくは範囲(例えば、予め決めたレベル)に比べてまたは別の参照レベルもしくは範囲(例えば、より早いまたはベースライン試料)に比べて変化した(増加したまたは減少した)ことを指す。

    分析物の典型的なまたは正常なレベルまたは範囲は、標準的な慣例に従って定義される。 いくつかの例では分析物のレベルが極めて低いため、典型的なもしくは正常なレベルもしくは範囲、または参照レベルもしくは範囲と比べて、実験誤差または試料の変動によって説明できない何らかの正味の変化が存在するときには、いわゆる変化したレベルまたは変化が起こったと考えることができる。 従って、ある試料中で測定されたレベルは、いわゆる正常な対象から得られた類似の試料中で測定されたレベルまたはレベルの範囲と比較される。 本明細書中においては、「正常な対象」は、検出可能な疾患を持たない個体であり、例えば、「正常な」(時に、「対照」と称される)患者または集団は、それぞれ、例えば、検出可能な疾患を示さない患者または集団である。 さらに、ヒト集団の大半において分析物が高いレベルでは通常、見出されないと仮定すると、「正常な対象」は、分析物の量または濃度の実質的に検出可能な増加または上昇が見られない個体とみなすことができ、「正常な」(時に、「対照」と称される)患者または集団は、分析物の量または濃度の、実質的で検出可能な増加または上昇を示さない患者または集団である。 「見かけ上正常な対象」は、分析物が未だ評価されていないまたは現在評価されている対象である。 分析物が通常検出不能である(例えば、正常なレベルがゼロであり、または正常集団の約25〜約75パーセンタイルの範囲内にある)が、被検試料中には検出され、かつ、分析物が被検試料中に正常なレベルより高いレベルで存在する場合に、分析物のレベルは「上昇した」とされる。 従って、とりわけ、本開示は、特定の疾患、障害または状態を有するまたは有するリスクがある対象をスクリーニングする方法を提供する。 アッセイの方法は、他のマーカーのアッセイなども伴う可能性がある。

    従って、本明細書に記載の方法は、対象が所定の疾患、疾患もしくは状態を有するかどうか、またはこれらを発症するリスクを有するか否かを決定するために使用することもできる。 具体的には、このような方法は、
    (a)対象から得た被検試料に含まれる分析物(またはその断片)の、濃度または量を(例えば、本明細書に記載の方法または当該分野で知られている方法を用いて)決定するステップ;および(b)ステップ(a)で決定された分析物(またはその断片)の濃度または量を予め決めたレベルと比較するステップであって、ステップ(a)で決定された分析物の濃度または量が予め決めたレベルに関して好ましければ、対象は所定の疾患、疾患もしくは状態を有していないか、またはこれらに対するリスクを有していないと判断するステップを含み得る。 しかしながら、ステップ(a)において測定された分析物の濃度または量が予め決めたレベルに関して好ましくなければ、対象は、所定の疾患、疾患もしくは状態を有しており、またはこれらに対するリスクを有していると決定される。

    加えて、対象における疾患の進行をモニターする方法を本明細書で提供する。 最適には、この方法は、
    (a)対象から得られた被検試料中の分析物の濃度または量を決定するステップ;
    (b)前記対象からより後に得られた被検試料中の分析物の濃度または量を決定するステップ;および(c)ステップ(b)で決定された分析物の濃度または量をステップ(a)で決定された分析物の濃度または量と比較するステップであって、ステップ(a)で決定された分析物の濃度または量と比較したときに、ステップ(b)で決定された濃度または量が変化していないかまたは好ましくなければ、対象の疾患が継続している、進行している、または悪化していると判断されるステップ、を含む。 それに対して、ステップ(a)で決定された分析物の濃度または量と比較したときに、ステップ(b)で決定された分析物の濃度または量が好ましければ、対象の疾患は中断している、後退している、または改善していると決定される。

    この方法は場合により、ステップ(b)で決定された分析物の濃度または量を、例えば、予め決めたレベルと比較することをさらに含む。 さらにこの方法は場合によって、比較することによって、ステップ(b)で決定された分析物の濃度または量が、例えば、予め決めたレベルに関して好ましくないように変化したことを示す場合、ある特定の期間、1つ以上の医薬組成物で対象を治療することを含む。

    さらにこの方法を、1つ以上の医薬組成物による治療を受けている対象での治療をモニターするために使用することができる。 このような方法は具体的には、1つ以上の医薬組成物を対象に投与する前に、第一の被検試料を対象から得ることを含む。 次に、対象から得られた第一の被検試料に含まれる分析物の濃度または量を決定する(例えば、本明細書に記載の方法または当該分野で知られている方法を用いて)。 分析物の濃度または量を決定した後、場合により、分析物の濃度または量を、予め決めたレベルと比較する。 決定した、第一の被検試料に含まれる分析物の濃度または量が予め決めたレベルより低ければ、対象を1つ以上の医薬組成物で治療しない。 しかしながら、決定した、第一の被検試料に含まれる分析物の濃度または量が予め決めたレベルより高ければ、対象をある特定の期間、1つ以上の医薬組成物で治療する。 当業者は、1つ以上の医薬組成物で対象を治療する期間を決定することができる(例えば、前記期間は、約7日から約2年間、好ましくは、約14日から約1年であり得る)。

    1つ以上の医薬組成物による治療を行っている間に、次いで、第二のおよびそれ以降の被検試料が対象から得られる。 被検試料の数および被検試料が対象から得られる時は重要ではない。 例えば、1つ以上の医薬組成物が対象に最初に投与されてから7日後に、第二の被検試料を取得することができ、1つ以上の医薬組成物が対象に最初に投与されてから2週後に、第三の被検試料を取得することができ、1つ以上の医薬組成物が対象に最初に投与されてから3週後に、第四の被検試料を取得することができ、1つ以上の医薬組成物が対象に最初に投与されてから4週後に、第五の被検試料を取得することができる、などである。

    第二被検試料のまたはそれ以降の被検試料のそれぞれが対象から取得された後、第二のまたはその後の被検試料中の分析物の濃度または量を決定する(例えば、本明細書に記載のまたは当該分野において知られている方法を用いて)。 次いで、第二のおよびそれ以降の各被検試料に含まれる、決定された分析物の濃度または量を、第一の被検試料(例えば、必要に応じて、この被検試料は最初に、予め決めたレベルと比較しておく)に含まれる、決定された分析物の濃度または量と比較する。 ステップ(a)で決定された分析物の濃度または量と比較したときに、ステップ(c)で決定された分析物の濃度または量が好ましければ、対象の疾患は中断している、後退している、または改善していると判断され、対象に対するステップ(b)の1つまたは複数の医薬組成物の投与を継続してもよい。 しかしながら、ステップ(a)において決定された分析物の濃度または量と比較したときに、ステップ(c)において決定された濃度または量が変化せず、または好ましくない場合には、対象中の疾患は継続している、進行している、または悪化していると判断され、対象は、ステップ(b)において対象に投与されたよりも高濃度の1つ以上の医薬組成物で治療してもよく、または対象は、ステップ(b)において対象に投与された1つ以上の医薬組成物とは異なる1つ以上の医薬組成物で治療してもよい。 具体的には、対象の分析物のレベルを減少または低下させるために、これまでに対象に投与された1つ以上の医薬組成物とは異なる1つ以上の医薬組成物で対象を治療することができる。

    一般に、反復検査が行われ得るアッセイ(例えば、疾患の進行および/または治療に対する反応のモニタリング)に関しては、第二のまたはそれ以降の被検試料は、第一の被検試料が対象から得られた後の、時間的な、ある特定の期間の間に得られる。 具体的には、第二の被検試料は、第一の被検試料が対象から得られた数分後、数時間後、数日後、数週間後または数年後に、対象から得ることができる。 例えば、第二の被検試料は、第一の被検試料が対象から得られた約1分、約5分、約10分、約15分、約30分、約45分、約60分、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約2週、約3週、約4週、約5週、約6週、約7週、約8週、約9週、約10週、約11週、約12週、約13週、約14週、約15週、約16週、約17週、約18週、約19週、約20週、約21週、約22週、約23週、約24週、約25週、約26週、約27週、約28週、約29週、約30週、約31週、約32週、約33週、約34週、約35週、約36週、約37週、約38週、約39週、約40週、約41週、約42週、約43週、約44週、約45週、約46週、約47週、約48週、約49週、約50週、約51週、約52週、約1.5年、約2年、約2.5年、約3.0年、約3.5年、約4.0年、約4.5年、約5.0年、約5.5年、約6.0年、約6.5年、約7.0年、約7.5年、約8.0年、約8.5年、約9.0年、約9.5年または約10.0年後に対象から得ることができる。

    疾患の進行をモニターするために使用される場合、上記アッセイは、急性疾患を患っている対象中の疾患の進行をモニターするために使用することができる。 急性疾患(救急救命状態としても知られる)は、命に関わる急性の疾患または他の重大な医学的状態、例えば、心血管系もしくは排泄系が関与する状態を指す。 典型的には、救急救命状態は、病院を基本とする施設(緊急治療室、集中治療室、負傷センターまたは他の緊急治療状況などを含むがこれらには限定されない)での急性の医学的介入または救急隊または他の現場をベースとする医療職員による投与を必要とする状態を指す。 救急救命状態では通常、より短い時間枠内で、すなわち、分、時間または日に(例えば、約1分、約5分、約10分、約15分、約30分、約45分、約60分、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日または約7日で)反復モニタリングが行われ、同様に、最初のアッセイも通常、より短い時間枠内で、例えば、疾患または状態の発症から数分、数時間、または数日以内に行われる。

    アッセイは、慢性または急性でない疾患を患っている対象における疾患の進行をモニターするために使用することもできる。 重大な治療を要しない状態または急性でない疾患とは、命に関わる急性の疾患または他の重大な医学的状態、例えば、心血管系および/もしくは排泄系が関与する状態以外の状態を指す。 典型的には、非急性疾患には、より長い期間または慢性に持続する状態が含まれる。 急性でない疾患では、反復モニタリングは通常、より長い時間枠で、例えば、時間、日、週、月または年で(例えば約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約2週、約3週、約4週、約5週、約6週、約7週、約8週、約9週、約10週、約11週、約12週、約13週、約14週、約15週、約16週、約17週、約18週、約19週、約20週、約21週、約22週、約23週、約24週、約25週、約26週、約27週、約28週、約29週、約30週、約31週、約32週、約33週、約34週、約35週、約36週、約37週、約38週、約39週、約40週、約41週、約42週、約43週、約44週、約45週、約46週、約47週、約48週、約49週、約50週、約51週、約52週、約1.5年、約2年、約2.5年、約3.0年、約3.5年、約4.0年、約4.5年、約5.0年、約5.5年、約6.0年、約6.5年、約7.0年、約7.5年、約8.0年、約8.5年、約9.0年、約9.5年または10.0年)に行われ、同様に、最初のアッセイも通常より長い時間枠内で(例えば、疾患または状態の開始の概ね分、時間、日、月または年)行われる。

    さらに、上記アッセイは、対象から得られた第一の被検試料を用いて実施することが可能であり、ここで第一の被検試料は1種の提供源、例えば尿、血清または血漿から得られる。 場合によって、次いで、上記アッセイは、対象から得られた第二の被検試料を用いて反復することが可能であり、ここで第二の被検試料は別の源から得られる。 例えば、第一の被検試料を尿から得た場合、第二の被検試料は血清または血漿から得ることができる。 第一の被検試料を用いたアッセイと第二の被検試料を用いたアッセイから得られた結果を比較することができる。 比較は、対象の疾患または状態の状況を評価するために使用することができる。

    さらに本開示は、所定の疾患、疾患もしくは状態の素因を有する対象または所定の疾患、疾患もしくは状態に罹患している対象に治療が有益かどうかを決定する方法にも関する。 具体的には、本開示は、分析物コンパニオン診断法および製品に関する。 従って、本明細書に記載の「対象の疾患の治療をモニターする」方法は、さらに、治療に対する候補を選択しまたは同定することも最適に包含し得る。

    従って、特定の実施形態において本開示は、所定の疾患、疾患もしくは状態を有する対象または所定の疾患、疾患もしくは状態に対してリスクを有する対象が治療の候補であるかどうかを測定する方法も提供する。 一般に対象は、所定の疾患、疾患もしくは状態のいくつかの症状を経験した者または所定の疾患、疾患もしくは状態を患っていると実際に診断されたか、もしくは所定の疾患、疾患もしくは状態に対してリスクを有すると実際に診断された者および/または本明細書に記載のように、分析物もしくはその断片の好ましくない濃度もしくは量を示す者である。

    この方法は必要に応じて、1つ以上の医薬組成物で(例えば、特に、分析物を伴う作用機序に関連する医薬で)、免疫抑制療法でもしくは免疫吸収療法によって、対象を治療する前および後に分析物を評価する、またはこのような治療後に、分析物を評価し、分析物の濃度もしくは量を予め決めたレベルに対して比較する、本明細書に記載のアッセイを含む。 治療後に、好ましくない量の濃度の分析物が認められれば、さらなる治療または継続した治療を受けることが対象に有益でないことが確認されるのに対して、治療後に好ましい濃度または量の分析物が認められれば、さらなる治療または継続した治療を受けることが対象に有益であることが確認される。 この確認は、臨床試験の管理、および患者に対するより良い看護の提供を補助するものである。

    当然のことながら、本明細書の特定の実施形態は、本明細書で論じる所定の疾患、障害または状態を評価するために使用する場合に有利であるが、他の疾患、疾患および状態での分析物を評価するために、アッセイおよびキットを使用できる。 アッセイの方法は、他のマーカーのアッセイなどを伴う可能性もある。

    アッセイの方法は、所定の疾患、障害または状態を軽減する化合物を同定するために使用することもできる。 例えば、分析物を発現する細胞を、候補化合物と接触させることができる。 化合物と接触させた細胞中の分析物の発現のレベルは、本明細書に記載のアッセイの方法を用いて、対照細胞中のレベルと比較することができる。

    VI)キット被検試料中の分析物(またはその断片)の有無、量または濃度に関して被検試料をアッセイするためのキットも提供する。 キットは、分析物(またはその断片)に関して被検試料をアッセイするための少なくとも1つの成分および分析物(またはその断片)に関して被検試料をアッセイするための説明書を含む。 分析物(またはその断片)に関して被検試料をアッセイするための少なくとも1つの成分は、場合によって固相上に固定化された、本明細書で開示の結合タンパク質および/または抗分析物DVD結合タンパク質(またはその断片、変異体もしくは変異体の断片)を含む組成物を含んでもよい。

    キットは、免疫アッセイ、例えば化学発光微粒子免疫アッセイによって、分析物に関して被検試料をアッセイするための少なくとも1つの構成要素と、免疫アッセイ、例えば化学発光微粒子免疫アッセイによって、分析物に関して被検試料をアッセイするための説明書を含んでいてもよい。 例えば、キットは、何れも検出可能に標識することができる、分析物に対する少なくとも1つの特異的結合パートナー(抗分析物、モノクローナル/ポリクローナル抗体(または分析物に結合することができるその断片、分析物に結合することができるその変異体もしくは分析物に結合することができる変異体の断片)または本明細書で開示の結合タンパク質、または抗分析物DVD結合タンパク質(またはその断片、変異体もしくは変異体の断片)などを含むことができる。これに代えてまたはこれに加えて、キットは、いずれも固体支持体上に固定化することができる、抗分析物モノクローナル/ポリクローナル(または分析物に結合することができるその断片、分析物に結合することができるその変異体もしくは分析物に結合することができる変異体の断片)、本明細書で開示の結合タンパク質、または抗分析物DVD結合タンパク質(またはその断片、変異体もしくは変異体の断片)への結合に関して、被検試料中の何れかの分析物と競合することができる、検出可能に標識された分析物(または抗分析物モノクローナル/ポリクローナル抗体、本明細書で開示の結合タンパク質、もしくは抗分析物DVD結合タンパク質(またはこれらの断片、変異体もしくは変異体の断片)に結合することができるその断片)を含み得る。キットは、検量用試料または対照、例えば単離されたまたは精製された分析物を含み得る。キットは、アッセイを実施するための少なくとも1つの容器(例えば、例えば第一の特異的結合パートナーで予めコーティングしておくことができるチューブ、マイクロタイタープレートまたは片)および/または、例えばアッセイ用緩衝液もしくは洗浄用緩衝液(これらはいずれも、濃縮された溶液として提供することができる)、検出可能な標識(例えば、酵素標識)に対する基質溶液または停止溶液として与えることができる)などの緩衝液を含み得る。 キットは、アッセイを実施するために必要である全ての構成要素、すなわち、試薬、標準物質、緩衝液、希釈剤などを含むことが好ましい。 説明書は、紙の形態であっても、またはディスク、CD、DVDなどのコンピューターで読み取り可能な形態であってもよい。

    より具体的には、抗原(またはその断片)に関して被検試料をアッセイするためのキットを提供する。 キットは、抗原(またはその断片)に関して被検試料をアッセイするための少なくとも1つの構成要素と、抗原(またはその断片)に関して被検試料をアッセイするための説明書を含み、ここで少なくとも1つの構成要素は、結合タンパク質、例えば本明細書で開示のDVD結合タンパク質を含む少なくとも1つの組成物を含む。

    あらゆる抗体、例えばあらゆる抗分析物抗体、あらゆる本明細書で開示の結合タンパク質、もしくはあらゆる抗分析物DVD結合タンパク質、または追跡物質は、本明細書に記載の検出可能な標識、例えば蛍光色素、放射性部分、酵素、ビオチン/アビジン標識、発色原、化学発光標識などを取り込むことができるか、あるいはキットが、検出可能な標識を実施するための試薬を含むことができる。 抗体、検量用試料および/または対照は、別の容器に入れて提供することも、または適切なアッセイフォーマットに(例えば、マイクロタイタープレートに)予め分配しておくこともできる。

    キットは、品質管理用の構成要素(例えば、感受性パネル、検量用試料および陽性対照)を含む場合もある。 品質管理用試薬の調製は当該分野では周知であり、様々な免疫診断製品に同封されているシートに記載されている。 感受性パネルのメンバーは必要に応じて、アッセイの性能特性を確立するために使用され、さらに、場合によっては免疫アッセイキット試薬の保全およびアッセイの標準化の有用な指標である。

    キットは必要に応じて、診断アッセイを実施し、または品質管理評価を容易にするために必要とされる他の試薬、例えば緩衝液、塩、酵素補因子、酵素基質、検出試薬などを含む場合もある。 他の構成要素、例えば被検試料の単離および/または処理のための緩衝液および溶液など(例えば、前処理試薬)も、キットに含めることができる。 キットはさらに、1つ以上の他の対照を含んでいてもよい。 1つ以上のキットの構成要素は凍結乾燥させることができ、この場合には、キットは、凍結乾燥された構成要素を再構成するのに適した試薬をさらに含む場合がある。

    キットの様々な構成要素は場合によって、必要に応じた適切な容器、例えば、マイクロタイタープレートに入った状態で提供される。 キットは、試料を保持または保存するための容器(例えば、尿試料用の容器またはカートリッジ)をさらに含んでいてもよい。 適切な場合には、キットは場合により、反応容器、混合容器および試薬または被検試料の調製を容易にする他の構成要素も含有し得る。 キットは、被検試料の取得を補助するための1つ以上の器具、例えば注射器、ピペット、鉗子、計量スプーンなどを含んでいてもよい。

    検出可能な標識が少なくとも1つのアクリジニウム化合物である場合、キットは、少なくとも1つのアクリジニウム−9−カルボキサミド、少なくとも1つのアクリジニウム−9−カルボキシラートアリールエステルまたはこれらの任意の組み合わせを含むことができる。 検出可能な標識が少なくとも1つのアクリジニウム化合物である場合、キットは、緩衝液、溶液および/または少なくとも1つの塩基性溶液などの、過酸化水素源も含むことができる。 所望ならば、キットは、磁気粒子、ビーズ、試験管、マイクロタイタープレート、キュベット、膜、足場分子、フィルム、ろ紙、ディスクまたはチップなどの固相を含んでもよい。

    A. キットおよび方法の改変 キット(またはその構成要素)、ならびにアッセイ、例えば本明細書に記載の免疫アッセイによって、被検試料中の分析物の有無、量または濃度を決定する方法は、例えば、米国特許第5,089,424号および同第5,006,309号に記載されているように、また例えば、ARCHITECT(登録商標)としてAbbott Laboratories(アボットパーク、イリノイ)によって市販されているように、様々な自動化された系および半自動化された系(固相が微粒子を含む系を含む)で使用するために改変することができる。

    自動化されていない系(例えば、ELISA)と、自動化された系または半自動化された系との違いのいくつかには、第一の特異的結合パートナー(例えば、抗分析物モノクローナル/ポリクローナル抗体(またはその断片、その変形物もしくはその変形物の断片)、本明細書で開示の結合タンパク質または抗分析物DVD結合タンパク質(またはその断片、その変形物もしくはその変形物の断片)が付着しており、何れかの方法で、サンドイッチの形成および分析物の反応性に影響を及ぼすことができる基材、並びに捕捉、検出および/または場合によって行われる任意の洗浄ステップの長さおよびタイミングが含まれる。ELISAなどの自動化されていない形式では、試料や捕捉剤と共に、相対的に長い時間(例えば、約2時間)、インキュベートすることが必要とされる場合があるが、自動化されたフォーマットまたは半自動化されたフォーマット(例えば、ARCHITECT(登録商標)、Abbott Laboratories)では、インキュベートする時間は、相対的により短くなり得る(例えば、ARCHITECT(登録商標)では約18分)。同様に、ELISAなどの自動化されていない形式では、検出抗体、例えば複合体試薬とのインキュベート時間が相対的に長くなり得るが(例えば、約2時間)、自動化されたまたは半自動化された形式(例えば、ARCHITECT(登録商標))では、インキュベートの時間は、相対的により短くなり得る(例えば、ARCHITECT(登録商標)では約4分)。

    Abbott Laboratoriesから入手可能な他のプラットフォームには、AxSYM(登録商標)、IMx(登録商標)(米国特許第5,294,404号を参照のこと)、PRISM(登録商標)、EIA(ビーズ)およびQuantum(商標)II並びに他のプラットフォームが含まれるが、これらには限定されない。 さらに、アッセイ、キットおよびキットの構成要素は、他の形式で、例えば、電気化学的または他の携帯式またはポイントオブケアのアッセイ系で使用することができる。 本開示は、例えば、サンドイッチ免疫アッセイを実施する市販のAbbottPointofCare(i−STAT(登録商標)、Abbott Laboratories)電気化学的免疫アッセイ系に適用することができる。 イムノセンサー並びに使い捨て検査装置におけるその製造および操作方法は、例えば、米国特許第5,063,081号、同第7,419,821号および同第7,682,833号、並びに米国特許出願公開第20040018577号および同第20060160164号に記載されている。

    当然のことながら、本明細書に記載の方法およびキットは、免疫アッセイを実施するための他の試薬および方法を必然的に包含する。 例えば、様々な緩衝液、例えば当該分野で知られており、および/または抱合体希釈液、微粒子希釈液として、例えば、洗浄のために、および/または検量用試料希釈液として使用するために容易に調製するか、もしくは最適化することができる緩衝液が包含される。 複合体希釈液の一例には、特定のキット(Abbott Laboratories、アボットパーク、イリノイ)で使用され、かつ、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、塩、タンパク質遮断剤、抗菌剤および界面活性剤を含有するARCHITECT(登録商標)複合体希釈液がある。 検量用試料希釈液の一例には、特定のキット(Abbott Laboratories、アボットパーク、イリノイ)で使用され、MES、他の塩、タンパク質遮断剤および抗菌剤を含有する緩衝液を含む、ARCHITECT(登録商標)ヒト検量用試料希釈液がある。 さらに、2008年12月31日に出願された米国特許出願第61/142,048号に記載されているように、改善されたシグナル生成は、例えば、シグナル増幅物質としてシグナル抗体に連結された核酸配列を用いて、I−Statカートリッジフォーマットで取得され得る。

    当業者であれば、 本発明に記載されている方法の他の適切な変更および改変が明かであり、また、本明細書に開示されている実施形態の範囲から逸脱することなく適切な均等物を用いて為され得ることを容易に理解するだろう。 本発明を詳述してきたが、以下の実施例を参照することにより、本発明をより深く理解できるだろう。 ただしこれらの実施例は、例示する目的のためだけのものであり、限定することを意図していない。

    実施例1:改善されたTNF−α親結合タンパク質の調製 実施例1.1:インビトロディスプレーシステムによる、TNFに対する完全長ヒト結合タンパク質の同定

    1.1.1:抗体の選択 インビトロディスプレー技術を用い、完全長ヒト抗ヒトTNFモノクローナル抗体を、それらの組換えヒトTNFタンパク質への結合能を指標として、ヒト抗体ライブラリーから単離した。 重鎖可変(VH)および軽鎖可変(VL)領域のアミノ酸配列をDNA配列決定で決定し、上記A)I)A)節の表1Bで示した。

    1.1.2:完全長ヒトヒトTNF結合タンパク質AE11−5の親和性成熟 インビトロディスプレー技術を用い、ヒトTNFに対するAE11−5ヒト結合タンパク質を親和性成熟させた。 28、31、32、51、55、91、92、93、95aおよび96番目(カバットの番号付け)にのみ、限定的に突然変異を含む様に、軽鎖ライブラリーを1つ構築した。 このライブラリーは同時に、ライブラリー選択を行っている間のフレームワークの生殖系列化(germlining)を可能にするための、フレームワーク生殖系列の逆突然変異、D1E、M4L、H11Q、R49K、H76NおよびQ103K、ならびに50(R/K)と94(S/L)のトグル残基を含んだ。 CDRH1およびCDRH2の30、31、33、50、52、および55〜58番目の残基(カバットの番号付け)、またはCDRH3の95〜100b番目の残基(カバットの番号付け)にのみ限定的な突然変異が含まれるように、2つの重鎖ライブラリーを作成した。 CDRH1とCDRH2が変化したライブラリーは、フレームワーク生殖系列の逆突然変異、A18VとL64Q、および54(L/F)と78(V/A)にトグル残基を含み、CDRH3ライブラリーは100c(A/F)にさらにトグル残基を含んだ。

    低濃度のビオチン化ヒトまたはカニクイザルサルTNF抗原存在下で、ヒトまたはカニクイザルサルTNFへの結合能を指標として、全3種類のライブラリーを別個に選択した。 ライブラリーの選択で回収した変異したCDR配列の全てを、別のライブラリーに組換え、組み換えたライブラリーに関し、よりストリンジェントな条件で選択を行い、その後、個々の抗体を同定した。

    下記の表(表2)で、親和性成熟の選択プロトコールに供した、完全長ヒトAE11−5結合タンパク質のVHおよびVLのアミノ酸配列の一覧を示す。 それぞれのVHおよびVL配列の個々のCDRのアミノ酸残基を太字で示している。

    実施例1.2:ヒト化ヒトTNF結合タンパク質hMAK−195の親和性成熟 マウス抗ヒトTNF抗体であるMAK−195をヒト化、かつ、親和性成熟させて、サル−TNFに対する交差反応性をもち、ヒトおよびサルのTNFの両方への親和性および結合動態が向上したヒト化MAK195変異体のパネルを生成した。

    hMAK195のTNFに対する親和性を向上させるために、IgBLASTデータベースに含まれる、生殖系列VH3−53とIGKV1−39との相同性が高い他のヒト抗体配列から、非常に変異の多いCDR残基を同定した。 次いで、対応するhMAK195のCDR残基をPCRによる限定的な突然変異生成に供した。 これらの位置での縮重が少ないプライマーを使用し、scFv形式の3つの抗体ライブラリーを作成した。 第一のライブラリーは、VHのCDR1と2の31、32、33、35、50、52、53、54、56および58番目の残基(カバットの番号付け)に;第二のライブラリーではVH CDR3の95〜100、100a、101、および102の残基に;および第三のライブラリーでは3つのVL CDRの28、30、31、32、50、53、92、93、94、および95番目の残基に突然変異が生成された。 hMAK195とヒト生殖系列のフレームワーク配列との相同性をさらに高めるために、第一のライブラリーでは、VHの60(D/A)、61(S/D)、62(T/S)、63(L/V)、および65(S/G)の位置に、バイナリー縮重を導入した。 さらに、第三のライブラリーでは、VLの24(K/R)、33(V/L)、54(R/L)、55(H/Q)、56(T/S)、91(H/S)および96(F/Y)の位置に、バイナリー縮重を導入した。

    高い結合速度、高い解離速度、またはその両方に関してこれらのhMAK195を、低濃度のビオチン化TNFに対して選択し、親和性調節したhMAK195抗体タンパク質の配列を、IgGへと逆変換するために回収し、さらに特徴を解析した。 低濃度のビオチン化ヒトまたはカニクイザルサルTNF抗原の存在下で、ヒトまたはカニクイザルサルTNFへの結合能を指標として、3つ全てのライブラリーを別個に選択した。 ライブラリーの選択から回収した、変異したCDR配列の全てを、別のライブラリーに組換え、組み換えたライブラリーをよりストリンジェントな条件での選択にかけ、その後、個々の抗体を同定した。

    下記の表(表3)に、親和性成熟の選択プロトコールに供した、ヒト化MAK−195のVHおよびVLのアミノ酸配列の一覧を示す。 それぞれのVHおよびVL配列の個々のCDRのアミノ酸残基を太字で示している。

    上記I)A)節の表1DおよびEは、特徴解析のためにIgGタンパク質に変換したヒト化MAK−195抗体の一覧を示している。
    重鎖および軽鎖の対は、下記表4のように調製した。

    実施例1.3:ヒト化ヒトTNF結合タンパク質hMAK−199の親和性成熟マウス抗ヒトTNF抗体であるMAK−199ヒト化、かつ、親和性成熟させて、ヒトおよびサルのTNF両方への親和性および結合動態が向上したヒト化MAK195変異体のパネルを生成した。 以下の仕様に従って、いくつかのライブラリーを作成した。

    V2Iの逆変異を最初に導入し、TNFに対するscFvの親和性に影響が及んでいないことを確認した後、3つのHCライブラリーを作成した。
    H1+H2(DDK)ライブラリー:
    −7つの残基(T30、N31、N35、T52a、T54、E56、T58)に限定的な突然変異を生成−生殖系列トグル:M34IおよびF63L
    H1+H2(QKQ)ライブラリー:
    −7つの残基(T30、N31、N35、T52a、T54、E56、T58)に限定的な突然変異を生成−生殖系列トグル:M34IおよびF63L
    −生殖系列への逆変異:D61Q、D62K、K64Q、F67V、F69M、L71T
    H3ライブラリー:
    −12つの残基(95〜100、100a〜100f)に限定的な突然変異を生成−生殖系列トグル:F91Y
    LCライブラリー:
    −11の残基(28、30〜32、50、53、91〜94、96)に限定的な突然変異を生成−生殖系列トグル:T51A、Y71F、F87Y、およびT43A/V44P(これら2つは共に進展した)

    組換えライブラリー:
    選択を少なくとも3回行い、ライブラリーの多様性が低下した後、VHライブラリーをVLライブラリーと共に、およびVLライブラリーを含めずに組み換える。

    漸減濃度のビオチン化ヒトまたはカニクイザルサルTNF抗原の存在下で、ヒトまたはカニクイザルサルTNFへの結合能を指標として、4つ全てのライブラリーを別個に選択した。 ライブラリーの選択から回収した、変異したCDR配列の全てを、さらなるライブラリーに組換え、組み換えたライブラリーをよりストリンジェントな条件での選択にかけ、その後、個々の抗体を同定した。

    下記の表(表5)に、親和性成熟の選択プロトコールに供した、hMAK−199抗体のVHおよびVLのアミノ酸配列の一覧を示す。 それぞれのVHおよびVL配列の個々のCDRのアミノ酸残基を太字で示している。

    変換したクローンに由来する、個々のhMAK−199のVHおよびVL配列を調製し、上記(1)(A)節の表1FおよびGに示した。

    実施例1.4:BIACORE技術を用いた親和性の決定

    BIACORE法 BIACOREアッセイ(Biacore、Inc、ニュージャージー州ピスカタウェイ)は、結合速度および解離速度定数の反応速度の測定により、結合タンパク質の親和性を決定する。 結合タンパク質の標的抗原(例えば、精製された組換え標的抗原)への結合は、Biacore(登録商標)1000または3000装置(Biacore(登録商標)AB、ウプサラ、スウェーデン)を用い、移動相としてHBS−EP(10mMのHEPES[pH7.4]、150mMのNaCl、3mMのEDTAおよび0.005%の界面活性剤P20)を使用し、25℃で行う表面プラズモン共鳴を基礎とする測定によって決定される。 全ての化学物質は、Biacore(登録商標)AB(スウェーデン、ウプサラ)または本文中に記載されている別の入手先から取得した。 例えば、約5000RUのヤギ抗マウスIgG(Fcγ)、10mMの酢酸ナトリウム(pH4.5)で希釈した断片特異的ポリクローナル抗体(Pierce Biotechnology Inc、イリノイ州ロックフォード)を、製造業者の説明および手順に従う標準的なアミンカップリングキットで、研究等級のCM5バイオセンサーチップに25μg/mLで、直接固定する。 バイオセンサー表面の未反応部分は、エタノールアミンでブロックする。 フローセル2および4中の修飾されたカルボキシメチルデキストラン表面を、反応表面として使用する。 フローセル1および3中のヤギ抗マウスIgGなしの修飾されていないカルボキシメチルデキストランを参照表面として使用する。 動態解析のために、Biaevaluation 4.0.1ソフトウェアを用い、全8回の注入の結合相と解離相に、1:1のLangmuir結合モデルから誘導した速度方程式を同時にあてはめる(グローバルフィット解析を使用)。 ヤギ抗マウスIgG特異的な反応表面全体を使って捕捉するために、HEPES緩衝生理的食塩水で、精製した抗体を希釈する。 リガンドとして捕捉される抗体(25μg/mL)を、5μL/分の流速で反応マトリックスに注入する。 25μL/分で継続的に流れているところで、結合速度定数k on (M −1−1 )と解離速度定数k off (s −1 )を決定する。 10から200nMの範囲の様々な抗原濃度で結合動態の測定を行うことによって、速度定数が導かれる。 次いで、式:K =k off /k onで、運動速度定数から、抗体と標的抗原間の反応の平衡解離定数(M)を計算する。 結合は、時間の関数として記録され、運動速度定数が計算される。 このアッセイでは、最大10 −1−1の速さの結合速度および最小10 −6−1までの遅さの解離速度を決定することができる。

    本明細書の結合タンパク質は、高い親和性、遅い解離速度、および高い中和能力などの点で、有益な特性をもつことが予想される。

    実施例1.5:ヒトTNF−αの中和 L929細胞をセミコンフルエントの密度になるまで生育し、0.25%のトリプシン(Gibco#25300)を用いて回収する。 細胞をPBSで洗浄し、計数し、アクチノマイシンD(4μg/mL)を含有するアッセイ培地中に1×10 個細胞/mLで再懸濁する。 この細胞5×10 個を、96ウェルプレート(Costar#3599)に、1ウェル当たり100μLの体積で播種した。 アッセイ培地を使って結合タンパク質と対照IgGを4倍希釈し、1:4の段階希釈を行う。 アッセイ培地で、huTNF-αを400pg/mLになるように希釈する。 1:2の希釈スキームで、結合タンパク質の試料(200μL)をhuTNF-α(200μL)に添加し、室温で0.5時間インキュベートする。

    結合タンパク質/ヒトTNF−α溶液を、プレーティングした細胞に100・L加え、最終濃度をhuTNF−αが100pg/mL、結合タンパク質が150nM〜0.0001nMとなるようにする。 プレートを37℃、5%CO で20時間インキュベートする。 生存率を定量するために、ウェルから100μLを除去し、10μLのWST−1試薬(Rocheカタログ番号11644807001)を加える。 アッセイ条件でプレートを3.5時間インキュベートする。 Spectromax190 ELISAプレートリーダーを使用し、プレートをOD420〜600nmで測定する。

    本明細書の結合タンパク質は、高い親和性、遅い解離速度、および高い中和能力などの点で、有益な特性をもつことが予想される。

    実施例2:ヒト化抗ヒトIL−17抗体h10F7の親和性成熟ヒト化抗ヒトIL−17抗体を既に開示している。 この抗体を次いで親和性成熟し、ヒト、カニクイザル、およびマウスのIL−17に対する全体的な親和性を改良した。 以下の仕様に従って、いくつかのライブラリーを作成した。
    H1+H2ライブラリー:
    −7つの残基(30、31、33、35、53、56、57、および58)に限定的な突然変異を生成。
    −27、48、51、52、54、67、および69の位置に、ヒト生殖系列とh10F7配列との間のトグル。
    H3ライブラリー:
    −95〜100cおよび102に限定的な突然変異を生成。
    −93の位置にヒト生殖系列とh10F7配列との間のトグル。
    LCライブラリー1:
    −30、31、32、34、50、53、89、91、92、93、および96に限定的な突然変異を生成。
    −4、24、27、29、33、36、43、47、52、および55の位置に、ヒト生殖系列とh10F7配列との間のトグル。
    LCライブラリー2:ヒト抗体との相同性を高めるために、CDR1のG28の位置にさらに残基を挿入して構築した。
    −28、30、31、32、34、50、53、89、91、92、93、および96に限定的な突然変異を生成。
    −24、27、29、33、37、44、48、52、および55の位置にヒト生殖系列とh10F7配列との間のトグル。
    −FR1(4番目の位置)に、1つフレームワーク生殖系列化変異。 最初にscFvとして試験する。 結合に影響がなければ、「L」の変わりに「M」を使う。
    rHCライブラリー:H1+H2およびH3ライブラリーを組み換えたもの。
    rHCLCライブラリー:H1+H2、H3、およびLC1またはLC2ライブラリーを組み換えたもの。 (LC2を使ったものの結合が、少なくともWTと同程度に良いようであればLC2をLC1の代わりに使用する。そうでなければ、LC1の結果を組み換える)。

    漸減濃度のビオチン化抗原の存在下で、ヒト、カニクイザルサルおよびマウスのIL−17への結合能を指標として、4つ全てのライブラリーを別個に選択した。 ライブラリーの選択から回収した、変異したCDR配列の全てを、別のライブラリーに組換え、組み換えたライブラリーをよりストリンジェントな条件での選択に供し、その後、個々の抗体を同定した。

    表8に、親和性成熟の選択プロトコールに供した、h10F7抗体のVHのアミノ酸配列の一覧を示す。 それぞれのVH配列の個々のCDRのアミノ酸残基を太字で示している。

    表9に、h10F7に由来する親和性成熟した完全ヒトIL−17抗体のVL領域のアミノ酸配列の一覧を示す。 それぞれのVH配列の個々のCDRのアミノ酸残基を太字で示している。

    以下のものを、さらなる特徴解析のためにIgG に変換した。

    TNF/IL−17 DVD−Igタンパク質の機能解析 IL−17の酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)のプロトコール 以下のプロトコールを使用し、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって、IL−17抗体のヒトIL−17への結合を特性解析する。 ELISAプレートを、1ウェル当たり50μLのヤギ抗マウスIgG−Fc(2μg/mL)で一晩、4℃でコーティングした。 このプレートをPBS/Tweenで3回洗浄した。 PBS/BSA(0.1%)で1μg/mLに希釈した50μLのMabを、適切なウェルに加えて、室温(RT)で1時間インキュベートした。 プレートをPBS/Tweenで3回洗浄した。 50μLの段階希釈したビオチン−ヒトIL−17の適切なウェルに加え、RTで1時間インキュベートした。 プレートをPBS/Tweenで3回洗浄した。 PBS/BSA(0.1%)で1:10,000に希釈した50μLのストレプトアビジン−HRPを適切なウェルに加え、RTで1時間インキュベートした。 プレートをPBS/Tweenで3回洗浄した。 50μLのTMBを適切なウェルに加え、1分間反応を進めた。 1ウェル当たり50μLのH SO (2N)を加えて反応を停止させ、吸収を450nmで測定した。

    表面プラズモン共鳴による、抗TNF/IL−17 DVD−Igの親和性の測定 抗体の精製した組換えIL−17タンパク質への結合を、Biacore(登録商標)T200装置(GE Healthcare)を用い、移動相として0.1mg/mLのBSAを含むHBS−EP(10mMのHEPES[pH7.4]、150mMのNaCl、3mMのEDTA、および0.005%の界面活性剤P20)を使用し、25℃で行う表面プラズモン共鳴を基礎とする測定によって決定した。 全ての化学物質は、Biacore(登録商標)AB(GE Healthcare)、または本文中に記載されている別の入手先から取得した。 10mMナトリウム酢酸塩(pH4.5)で希釈した、約5000RUのヤギ抗ヒトIgG(Fcg)断片特異的ポリクローナル抗体(Pierce Biotechnology Inc、イリノイ州ロックフォード)を、製造業者の説明および手順に従う標準的なアミンカップリングキットで、研究等級のCM5バイオセンサーチップに25μg/mLで、直接固定した。 バイオセンサー表面の未反応部分は、エタノールアミンでブロックした。 フローセル2、3および4中の修飾されたカルボキシメチルデキストラン表面を、反応表面として使用した。 フローセル1中のヤギIgGを含む、修飾したカルボキシメチルデキストランを参照表面として使用した。 動態解析のために、Biacore T200 Evaluationソフトウェアv. 1.0を用い、全6回の注入の結合相と解離相に、1:1のLangmuir結合モデルから誘導した速度方程式を同時にあてはめた(Rmax用のローカルフロートを使ったグローバルフィット解析を用いて)。 ヤギ抗マウスIgG特異的な反応表面全体を使って捕捉するために、HEPES緩衝生理的食塩水で精製した抗体を希釈した。 リガンドとして捕捉される抗体(1〜5μg/mL)を、50μL/分の流速で反応マトリックスに注入した。 会合相を5分間モニタリングし、解離相を10〜60分間モニタリングしてより遅い解離速度に順応させた。 結合定数ka(単位M −1−1 )と解離定数kd(単位s −1 )を、50μL/分で継続的に流れているところで決定した。 試験したIL−17の種により、0.78nM〜100nMの範囲の6種類の異なる抗原濃度で結合動態を測定することによって、速度定数を導いた。 同じBiacore T200 Evaluationソフトウェアv. 1.0を使い、結合定数(ka)、解離定数(kd)および平衡解離定数(KD)を計算した。

    ヒト新生児包皮線維芽細胞HS27における、IL−17AおよびIL−17A/F誘導性のIL−6分泌に関わるアッセイ ヒトHS27細胞株(ATCC受入番号CRL−1634)は、IL−17に応答してIL−6を分泌する。 IL−17誘導性のIL−6の分泌は、中和抗IL−17抗体によって阻害される(例えば、 J. Immunol., 155: 5483−5486 (1995); Cytokine, 9: 794−800 (1997)を参照のこと)。

    HS27細胞を、アッセイ培地[10%ウシ胎仔血清(Gibco#26140)、4mMのL−グルタミン、1mMのピルビン酸ナトリウム、ペニシリンG(100U/500mL)およびストレプトマイシン(100μg/500mL)を含むDMEM高グルコース培地(Gibco#11965)]中で維持した。 細胞をアッセイ当日まで、T150フラスコ中で、およそ80〜90%のコンフルエントになるまで生育させた。 ヒトIL−17A(R&D Systems、#317−IL/CF)、またはカニクイザル(サル)のIL−17A(Abbottで生成されたもの)を、凍結保存していたCa 2+とMg 2+を含まない滅菌したPBSを使用前に融解したもので再構成し、IL−17A/Fは、アッセイ培地で240pM(4×)または4nM(4×)に希釈した。 抗体の希釈系列を別個のプレート中に作成し(4種類の濃度)、等量の240pM(4×)のhuIL−17またはcynoIL−17Aまたは4nM(4×)のhuIL−17A/Fと混合して、37℃で1時間インキュベートした。 HS27細胞(典型的には、50μLのアッセイ培地中に約20、000細胞)を、96ウェル平底組織培養用プレート(Costar#3599)のそれぞれのウェルに加え、次いで、予めインキュベートしておいた抗体とIL−17の混合物を50μL加えた。 ヒトおよびサルのIL−17Aの濃度は最終的に60pMであった。 ヒトIL−17A/Fの最終濃度は1nMであった。 細胞を37℃で約24時間インキュベートした。 その後、培地上清を回収した。 上清に含まれているIL−6の量を市販されているMeso Scale Discoveryキット(カタログ番号L411AKB−1)を使い、製造業者の説明に従って決定することで、IL−17の中和レベルを測定した。 IC50の値を、抗体の対数値をIL−6量の変数曲線に当てはめることで得た。

    IL−17およびTNF−α誘導性の、マウス胎仔由来線維芽細胞株(NIH3T3)からのIL−6分泌に関するアッセイ マウスNIH3T3細胞株(ATCC受入番号CRL−1658)は、マウス、ラット、またはウサギのIL−17AおよびマウスTNFα(R&D Systems、カタログ番号410−MT)に応答してIL−6を分泌する。 このIL−17誘導性IL−6分泌は、中和抗IL−17抗体によって阻害される。

    NIH3T3細胞を、アッセイ培地[10%ウシ胎仔血清(Gibco#26140−079)、1%非必須アミノ酸、2mMのL−グルタミン、1mMのピルビン酸ナトリウム、ペニシリンG(100U/500mL)、およびストレプトマイシン(100μg/500mL)を含むDMEM(Invitrogen,Cat#11965−092)]中で維持した。 細胞をアッセイ当日まで、T150フラスコ中で、およそ80〜90%のコンフルエントになるまで生育させた。 ラットIL17A(Prospec bio、カタログ番号CYT−542)を、Ca2+とMg2+を含まないが、0.1%BSAを含む滅菌したPBSで再構成し、100μg/mLに分割して、凍結保存した。 ウサギIL17A(Abbott、A−1239293.0)を260μg/mLに分割し、凍結保存した。 マウスTNF−αをCa 2+とMg 2+を含まない0.1%BSA/PBSで、10μg/mLの濃度で再構成し、一定量に分割して凍結保存した。 新しく融解したIL−17抗体をアッセイ培地で200μg/mL(4×)に希釈した。 抗体の希釈系列を別個のプレート中で作成し(4種類の濃度)、等量の40ng/mL(4×)マウスもしくはラットIL−17A、または100ng/mLのウサギIL−17Aと混合し、37℃で1時間インキュベートした。

    NIH3T3細胞(典型的には、50μLのアッセイ培地中に約400,000細胞)を、96ウェル平底組織培養用プレート(Costar#3599)のそれぞれのウェルに加え、次いで、予めインキュベートしておいた抗体とIL−17の混合物を50μL加えた。 各ウェルに、5.5ng/mL(10×)になるように11μLの培地で溶解したマウスTNF−αを加えた。 IL−17Aの最終濃度は、マウスおよびラットに関しては10ng/mL、ウサギに関しては25ng/mLであった。 マウスTNFαの最終濃度は0.55ng/mLであった。 細胞を約24時間、37℃でインキュベートした。 その後、培地上清を回収した。 上清に含まれているIL−6の量を市販されているMeso Scale Discoveryキット(カタログ番号K112AKA−4)を使い、製造業者の説明に従って決定することで、IL−17の中和レベルを測定した。 IC50の値を、抗体の対数値をIL−6量の変数曲線に当てはめることで得た。

    実施例3:新規の完全長新規抗TNF/IL−17 DVD−Ig分子の生成 1.1:TNF/IL−17 DVD−Ig DNA構築物の構築 介在性リンカーDNA配列を使ったオーバーラップPCR増幅により、抗TNF抗体の可変ドメインと複数のIL−17抗体可変ドメインとを組み合わせた。 増幅したPCR産物を、HEK293細胞中での一過性の発現に好適な発現ベクターにサブクローニングし、配列決定によってオープンリーディングフレーム領域を確認し、その後、DVD−Ig発現を発現させる。

    TNF/IL17 DVD−Ig結合タンパク質の発現と生産 配列決定によってDNAを確認した後、全てのDVD−Ig DNA構築物を大腸菌を使って増幅し、DNAをQiagen Hispeed Maxi Prep(CAT#12662、QIAGEN)を使って精製する。 PEIとDNAを2:1の割合で、0.2μg/mLの重鎖DNAと0.3μg/mLの軽鎖DNAと共に混合することで、対数増殖期の293E細胞(0.5×10 個/mL、生存率>95%)に、DVD−IgのDNAを導入した。 DNA:PEI複合体を組織培養用のクリーンベンチで、室温で15分間形成させ、その後、293E細胞に加えた。 24時間後、0.5%のTN1を293E細胞に加えた。 5日目に、上清を、ヒトIgG1の力価測定のために回収した。 細胞上清を7日目に回収し、0.2・MのPESフィルターで濾過した。 上清をプロテインAセファロースアフィニティクロマトグラフィーを使用し、業者の説明に従って精製した。 精製したDVD−Igを0.1Mのグリシン(pH2.99)でカラムから溶出し、直ちに15mMのヒスチジン緩衝液(pH6.0)中に透析した。 A280で結合タンパク質を定量し、質量分析とSECによって解析した。

    TNF/IL−17 DVD−Ig構築物の配列 ヒトTNFとヒトIL−17に結合できるDVD−Igタンパク質の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を決定した。 TNF/IL−17 DVD−Ig結合タンパク質の可変重鎖、可変軽鎖、および定常領域のアミノ酸配列を下記の表(表17)。 野生型のヒトIgG1と、ヒンジ領域下部の234と235番目の位置(EU番号付けシステム)にロイシンからアラニンへの突然変異を含む突然変異体IgG1の両方を試験し、TNFおよびIL−17への結合について同程度の活性をもつことが分かった。

    DVD−Ig重鎖および軽鎖の組み合わせ 表18に、様々なTNF/IL−17 DVD−Ig結合タンパク質を発現させるのに使用した重鎖および軽鎖配列を示す。

    TNF/IL−17 DVD−Igタンパク質の機能解析 IL−17酵素結合免疫吸着アッセイのプロトコール 以下のプロトコールを使用し、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって、TNF/IL−17 DVD−Igタンパク質のヒトTNFおよびIL−17への結合を解析する。 ELISAプレートを、1ウェル当たり50μLのヤギ抗マウスIgG−Fc(2μg/mL)で一晩、4℃でコーティングした。 このプレートをPBS/Tweenで3回洗浄した。 PBS/BSA(0.1%)中1μg/mLに希釈した50μLのMabを、適したウェルに加えて、室温(RT)で1時間インキュベートした。 プレートをPBS/Tweenで3回洗浄した。 段階希釈した50μLのビオチン−ヒトTNFまたはIL−17を適切なウェルに加え、RTで1時間インキュベートした。 プレートをPBS/Tweenで3回洗浄した。 PBS/BSA(0.1%)で1:10、000に希釈した50μLのストレプトアビジン−HRPを適切なウェルに加え、RTで1時間インキュベートした。 プレートをPBS/Tweenで3回洗浄した。 50μLのTMBを適切なウェルに加え、1分間反応を進めた。 1ウェル当たり50μLのH SO (2N)を加えて反応を停止させ、吸収を450nmで測定した。 結果を表19に示す。

    表面プラズモン共鳴による、抗TNF/IL−17 DVD−Igの親和性の測定 抗体の精製した組換えIL−17およびTNFαタンパク質への結合を、Biacoreα登録商標)T200装置(GE Healthcare)を用い、移動相として0.1mg/mLのBSAを含むHBS−EP(10mMのHEPES[pH7.4]、150mMのNaCl、3mMのEDTA、および0.005%の界面活性剤P20)を使用し、25℃で行う表面プラズモン共鳴を基礎とする測定によって決定した。 全ての化学物質は、Biacore(登録商標)AB(GE Healthcare)、または本文中に記載されている別の入手先から取得した。 10mMナトリウム酢酸塩(pH4.5)で希釈した、約5000RUのヤギ抗ヒトIgG(Fcγ)断片特異的ポリクローナル抗体(Pierce Biotechnology Inc、ロックフォード、イリノイ)を、製造業者の説明および手順に従う標準的なアミンカップリングキットで、研究等級のCM5バイオセンサーチップに25μg/mLで、直接固定した。 バイオセンサー表面の未反応部分は、エタノールアミンでブロックした。 フローセル2、3および4中の修飾されたカルボキシメチルデキストラン表面を、反応表面として使用した。 フローセル1中のヤギIgGを含む、修飾したカルボキシメチルデキストランを参照表面として使用した。 動態解析のために、Biacore T200 Evaluationソフトウェアv. 1.0を用い、全6回の注入の結合相と解離相に、1:1のLangmuir結合モデルから誘導した速度方程式を同時にあてはめた(Rmax用のローカルフロートを使ったグローバルフィット解析を使用)。 ヤギ抗ヒトIgG特異的な反応表面全体を使って捕捉するために、HEPES緩衝生理的食塩水で精製した抗体を希釈した。 リガンドとして捕捉される抗体(1〜5μg/mL)を、50μL/分の流速で反応マトリックスに注入した。 会合相を5分間モニタリングし、解離相を10〜60分間モニタリングしてより遅い解離速度に順応させた。 結合定数ka(単位M−1s−1)と解離定数kd(単位s−1)を、50μL/分で継続的に流れているところで決定した。 試験したIL−17またはTNFαの種により、0.78nM〜100nMの範囲の6種類の異なる抗原濃度で結合動態を測定することによって、速度定数を導いた。 同じBiacore T200 Evaluationソフトウェアv. 1.0を使い、結合定数(ka)、解離定数(kd)および平衡解離定数(KD)を計算した。

    TNF/IL−17 DVD−Ig分子がTNFを中和する能力 TNF中和能力を測定するためのL929生物検定 ヒトTNFΑロット番号1277249、1.85mg/mL)をAbbott Bioresearch Center(米国マサチューセッツ州ウスター)で調製し、Biologics Pharmacyから受け取った。 アクチノマイシンD(カタログ番号A1410)をSigma Aldrichから購入し、DMSOで10mg/mLの保存用濃度に再懸濁した。

    アッセイ培地:10%FBS(Hyclone#SH30070.03)、Gibco試薬:RPMI1640(#21870)、2mMのL−グルタミン(#25030)、ペニシリン(50単位/mL)/ストレプトマイシン(50μg/mL)(#15140)、0.1mMのMEM非必須アミノ酸(#11140)および5.5×10 −5 Mの2−メルカプトエタノール(#21985−023)。

    L929細胞をセミコンフルエントの密度になるまで生育し、0.05%のトリプシン(Gibco#25300)を用いて回収した。 細胞をPBSで洗浄し、計数し、アクチノマイシンD(4μg/mL)を含有するアッセイ培地中に1×10 個細胞/mLで再懸濁した。 この細胞を96ウェルプレート(Costar#3599)に、1ウェル当たり50μLおよび5×10 個の細胞の体積で播種した。 ウェルに50μLのアッセイ培地を加えて、体積を100μLとした。

    被検試料を以下のように調製した。 DVD−Ig(商標)および対照IgGを、アッセイ培地で1/4の濃度に希釈し、1:3の段階希釈を行った。 TNFをアッセイ培地で、huTNFが400pg/mLとなるように希釈した。 DVD−Igの試料(200μL)を1:2の希釈スキームでTNF(200μL)に加え、室温で0.5時間インキュベートした。

    huTNFのDVD−Igを中和する能力を測定するために、このアッセイでは、DVD−Ig/TNF溶液を、プレーティングした細胞に100μL加え、最終濃度をDVD−Igが375nM〜0.019nMとなるようにした。 TNFの最終濃度は100pg/mLであった。 プレートを37℃、5%CO で20時間インキュベートした。 生存率を定量するために、ウェルから100μLを除去し、10μLのWST−1試薬(Rocheカタログ番号11644807001)を加えた。 アッセイ条件でプレートを3.5時間インキュベートし、500×gで遠心分離し、上清の75μLをELISAプレート(Costarカタログ番号3369)に移した。 Spectromax190 ELISAプレートリーダーを使用し、プレートをOD420〜600nmで測定した。 選択したいくつかのTNF/IL−17 DVD−Ig結合タンパク質の中和能力を表22に示す。

    ヒト新生児包皮線維芽細胞HS27における、ヒトおよびサルのIL−17誘導性IL−6分泌に関するアッセイ ヒトHS27細胞株(ATCC受入番号CRL−1634)は、IL−17に応答してIL−6を分泌する。 IL−17誘導性のIL−6の分泌は、中和抗IL−17抗体によって阻害される(例えば、J. Immunol., 155: 5483−5486 (1995); Cytokine, 9: 794−800 (1997)を参照のこと)。

    HS27細胞を、アッセイ培地[10%ウシ胎仔血清(Gibco#26140)、4mMのL−グルタミン、1mMのピルビン酸ナトリウム、ペニシリンG(100U/500mL)およびストレプトマイシン(100μg/500mL)を含むDMEM高グルコース培地(Gibco#11965)]中で維持した。 細胞をアッセイ当日まで、T150フラスコ中で、およそ80〜90%のコンフルエントになるまで生育させた。 ヒトIL−17A(R&D Systems、#317−IL/CF)、またはカニクイザル(サル)のIL−17A(Abbottで生成されたもの)を、凍結保存していたCa 2+とMg 2+を含まない滅菌したPBSを使用前に融解したもので再構成し、IL−17A/Fは、アッセイ培地で240pM(4×)または4nM(4×)に希釈した。 抗体の希釈系列を別個のプレート中に作成し(4種類の濃度)、等量の240pM(4×)のhuIL−17またはcynoIL−17Aまたは4nM(4×)のhuIL−17A/Fと混合して、37℃で1時間インキュベートした。 HS27細胞(典型的には、50μLのアッセイ培地中に約20、000細胞)を、96ウェル平底組織培養用プレート(Costar#3599)のそれぞれのウェルに加え、次いで、予めインキュベートしておいた抗体とIL−17の混合物を50μL加えた。 ヒトおよびサルのIL−17Aの濃度は最終的に60pMであった。 ヒトIL−17A/Fの最終濃度は1nMであった。 細胞を37℃で約24時間インキュベートした。 その後、培地上清を回収した。 上清に含まれているIL−6の量を市販されているMeso Scale Discoveryキット(カタログ番号L411AKB−1)を使い、製造業者の説明に従って決定することで、IL−17の中和レベルを測定した。 IC50の値を、抗体の対数値をIL−6量の変数曲線に当てはめることで得た。

    IL−17誘導性の、マウス胎仔由来線維芽細胞株(NIH3T3)からのIL−6分泌に関するアッセイ マウスNIH3T3細胞株(ATCC受入番号CRL−1658)は、低レベルのTNFα(R&D Systems、Cat#カタログ番号410−MT)の存在下で加えた場合に、マウス、ラット、またはウサギのIL−17Aに応答してIL−6を分泌する。 このIL−17誘導性IL−6分泌は、中和抗IL−17 DVD−Igによって阻害される。

    NIH3T3細胞を、アッセイ培地[10%ウシ胎仔血清(Gibco#26140−079)、1%非必須アミノ酸、2mMのL−グルタミン、1mMのピルビン酸ナトリウム、ペニシリンG(100U/500mL)、およびストレプトマイシン(100μg/500mL)を含むDMEM(Invitrogen、Cat#11965−092)]中で維持した。 細胞をアッセイ当日まで、T150フラスコ中で、およそ80〜90%のコンフルエントになるまで生育させた。 ラットIL17A(Prospec bio、カタログ番号CYT−542)を、Ca2+とMg2+を含まないが、0.1%BSAを含む滅菌したPBSで再構成し、100μg/mLに分割して、凍結保存した。 ウサギIL17A(Abbott、A−1239293.0)を260μg/mLに分割し、凍結保存した。 マウスTNF−αをCa 2+とMg 2+を含まない0.1%BSA/PBSで、10μg/mLの濃度で再構成し、一定量に分割して凍結保存した。 新しく融解したIL−17抗体をアッセイ培地で200μg/mL(4×)に希釈した。 抗体の希釈系列を別個のプレート中で作成し(4種類の濃度)、等量の40ng/mL(4×)マウスもしくはラットIL−17A、または100ng/mLのウサギIL−17Aと混合し、37℃で1時間インキュベートした。

    NIH3T3細胞(典型的には、50μLのアッセイ培地中に約400,000細胞)を、96ウェル平底組織培養用プレート(Costar#3599)のそれぞれのウェルに加え、次いで、予めインキュベートしておいたDVD−IgとIL−17の混合物を50μL加えた。 各ウェルに、5.5ng/mL(10×)になるように11μLの培地で溶解したマウスTNF−αを加えた。 IL−17Aの最終濃度は、マウスおよびラットに関しては10ng/mL、ウサギに関しては25ng/mLであった。 マウスTNFαの最終濃度は0.55ng/mLであった。 細胞を約24時間、37℃でインキュベートした。 その後、培地上清を回収した。 上清に含まれているIL−6の量を市販されているMeso Scale Discoveryキット(カタログ番号K112AKA−4)を使い、製造業者の説明に従って決定することで、IL−17の中和レベルを測定した。 IC50の値を、抗体の対数値を、TNFのみで誘導したIL−6の基準レベルに対応する、IL−6量の変数曲線に当てはめることで得た。

    IL−17抗体の治療効果 急性IL−17誘導性KCモデルにおけるIL−17抗体の中和能力 インビボでの急性rhIL17誘導性KCモデルにおいて、いくつかのTNF/IL−17 DVD−Igタンパク質を評価した。 メスのBALB/cJマウスに、抗体を前もって腹腔内投与し、18時間後に、500μL体積のrhIL17(3μg)を腹腔内に注入した。 1時間後、マウスを屠殺し、KCのレベルをMeso Scaleによって評価した。 KCの阻害(%)のED50値を決定した。 表24に示すように、3つのDVD−Igタンパク質は、IL−17とTNFをインビボで完全に中和した。

    rhTNF/D−ガラクトサミン誘導性致死マウスモデルにおける、TNF/IL−17 DVD−Igの中和能力 rhTNF/D−ガラクトサミン誘導性致死モデルを使って、TNF/IL17 DVD−Ig分子のTNFアームについても評価した。 メスのC57BL6/Nマウスに結合タンパク質を予め投与し(腹腔内)、18時間後に、500μLの0.9%塩化ナトリウムに溶解したrhTNF(0.1μg)とD−ガラクトサミン(20mg)を投与し(腹腔内)、生存を48時間モニタリングした。 生存率のED50値(%)を計算した。 表25に示すように、3種類の別個の抗IL−17/TNF DVD−Ig構築物をこれらのモデルで試験し、3つの構築物は全て、ヒトIL−17およびヒトTNFによって誘導された生体反応を完全に中和した。

    ラットにおけるTNF/IL17 DVD−Ig PK試験のPK生化学分析プロトコール 頸静脈にカニューレを埋め込んだ、体重約280gのオスのSDラットに、頸静脈カニューレを介して、DVD−Igまたは親抗体(4mg/kg)を単回投与した。 28日間にわたって、血液試料(50〜100μL)を尾静脈から血清分離管に採取し、室温で少なくとも1時間凝固させ、その後、4℃で10分間遠心分離した。 血清試料は解析まで−80℃で凍結保存した。

    血清試料を室温で融解し、4℃で10分間遠心分離し、Meso Scale Discovery(MSD)システムを使い、リガンド結合によってDVD−Igの濃度を決定した。 簡単に説明すると、ストレプトアビジンのプレートをビオチン化ヒト抗原でコーティングし、一晩インキュベートした。 プレートをブロッキングし、アッセイ緩衝液でDVD−Igを含む血清試料を希釈し(最終的な血清濃度:1%)、プレート上で1時間インキュベートし、その後、スルホタグ−標識ヤギ抗ヒトIgGを使って検出した。 4つの指標もつロジスティック関数を使った検量線の支援により、濃度を算出した。

    各動物の薬物動態指標を、WinNonlinソフトウェアVersion 5.2.1を使い、線形台形関数を使った非コンパートメント解析で算出した。

    インビトロでのDVD−Igの血清安定性の決定 インビトロでの血清安定性アッセイに関するプロトコール 5mg/mL濃度の抗体とDVD−Igを受け取り、Alexa Fluor 488で標識し、スピンカラムを使って精製した。 Alexa Fluor 488色素は、タンパク質の第一級アミンと効率的に反応し、安定な色素−タンパク質結合体を形成するテトラフルオロフェニル(TFP)エステル部分を含む。 標識されたタンパク質の吸収波長と蛍光発光波長の最大はそれぞれ、およそ494nmと519nmである。 1mMのアジ化ナトリウムを含むラット血清を使用して、標識したタンパク質を0.5mg/mLに希釈し、最長7日間、37℃でインキュベートした。 各試料をPBSで希釈したものを陰性対照とした。 試料を0、1、4および7日目にSuperose 6カラムを使ったサイズ排除クロマトグラフィーで解析した。 タンパク質の凝集体と断片の形成を指標として、血清内での分子の安定性をモニタリングした。 高分子量の凝集体の領域のパーセンテージを時間に対してプロットすることで勾配を算出した。

    実施例4:さらなるDVD結合タンパク質の生成 2つの抗原に結合できるDVD結合タンパク質分子を、2つの親モノクローナル抗体を使用して構築した。 2つの親抗体の一方はヒト抗原Aに対するもので、他方はヒト抗原Bに対するものであり、本明細書に記載したように選択した。

    2種類の長さのリンカーを有するDVD結合タンパク質の生成 ADCC/CDCエフェクター機能を排除するために、234と235の位置に突然変異を有するμ1Fcを含む定常領域を使用する。 4種類の抗A/B DVD結合タンパク質構築物を生成する:2つは短いリンカーを有し、2つは長いリンカーを有するもので、2つはそれぞれ、V −V −CおよびV −V −Cという異なる向きにドメインを含む。 ヒトCl/CkまたはCH1ドメインのN末端配列に由来するリンカーは以下の通りである。
    DVDAB構築物用:
    軽鎖(抗Aがλを含む場合):短いリンカー:QPKAAP(配列番号15);長いリンカー:QPKAAPSVTLFPP(配列番号16)
    軽鎖(抗Aがκを含む場合):短いリンカー:TVAAP(配列番号13);長いリンカー:TVAAPSVFIFPP(配列番号14)
    重鎖(γ1):短いリンカー:ASTKGP(配列番号21);長いリンカー:ASTKGPSVFPLAP(配列番号22)
    DVDBA構築物用:
    軽鎖(抗Bがλを含む場合):短いリンカー:QPKAAP(配列番号15);長いリンカー:QPKAAPSVTLFPP(配列番号16)
    軽鎖(抗Bがκを含む場合):短いリンカー:TVAAP(配列番号13);長いリンカー:TVAAPSVFIFPP(配列番号14)
    重鎖(γ1):短いリンカー:ASTKGP(配列番号21);長いリンカー:ASTKGPSVFPLAP(配列番号22)

    重鎖および軽鎖の構築物をpBOS発現ベクターにサブクローニングし、COS細胞中で発現させ、その後、プロテインAクロマトグラフィーで精製する。 精製した材料をSDS−PAGEおよびSEC解析に供する。

    表28で、それぞれの抗A/B DVD結合タンパク質を発現させるのに使用した重鎖および軽鎖の構築物を説明する。

    参照による組み込み本開示は、分子生物学および薬剤送達の分野で良く知られている技術の全体を、参照することにより組み込むものである。 これらの技術には、以下の出版物に記載されている技術を含むが、それらには限定されない。

    本出願全体を通じて引用され得る、引用した全参考文献(文献、特許、特許出願、およびウェブサイトなど)の内容はあらゆる目的に関して、ここではっきりと参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、それらの文献中で引用されている参考文献も同様である。 本開示は別段の指定のない限り、免疫学、分子生物学および細胞生物学の、標準的な当該分野で良く知られている技術を使用する。

    均等物 本開示は、その精神または必須の特徴から逸脱することなく、他の特定の形態において具現化され得る。 従って、前述の実施形態は、全ての点において、限定するものというよりはむしろ例示的なものであると見なされる。 従って、本開示の範囲は、前述した説明ではなく、添付の請求項によって示され、かつ、特許請求の範囲の均等性の意味および範囲に入る全ての変更は、本発明に包含されることが意図される。

    高效检索全球专利

    专利汇是专利免费检索,专利查询,专利分析-国家发明专利查询检索分析平台,是提供专利分析,专利查询,专利检索等数据服务功能的知识产权数据服务商。

    我们的产品包含105个国家的1.26亿组数据,免费查、免费专利分析。

    申请试用

    分析报告

    专利汇分析报告产品可以对行业情报数据进行梳理分析,涉及维度包括行业专利基本状况分析、地域分析、技术分析、发明人分析、申请人分析、专利权人分析、失效分析、核心专利分析、法律分析、研发重点分析、企业专利处境分析、技术处境分析、专利寿命分析、企业定位分析、引证分析等超过60个分析角度,系统通过AI智能系统对图表进行解读,只需1分钟,一键生成行业专利分析报告。

    申请试用

    QQ群二维码
    意见反馈