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病原体検出バイオセンサー

阅读:1030发布:2020-08-30

专利汇可以提供病原体検出バイオセンサー专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且【課題】病原体検出バイオセンサーを提供すること。 【解決手段】a)試料に、試料中の標的 抗原 のレセプターへの結合に応答して 光子 を放出するエミッター分子、およびレセプターを含むエミッター細胞を添加する工程; b)試料中の可溶性抗原を示す光子放出を検出する工程 を含む、試料中の可溶性抗原を検出する方法。 【選択図】なし,下面是病原体検出バイオセンサー专利的具体信息内容。

a)試料に、試料中の標的抗原のレセプターへの結合に応答して光子を放出するエミッター分子、およびレセプターを含むエミッター細胞を添加する工程; b)試料中の可溶性抗原を示す光子放出を検出する工程 を含む、試料中の可溶性抗原を検出する方法。可溶性抗原が核酸、毒素、ペプチド、化学物質、ウイルス、またはこれらの組み合わせである、請求項1記載の方法。試料中の可溶性抗原を検出するデバイスであって、抗原はエミッター細胞のレセプターと結合し、該エミッター細胞は試料中の標的抗原のレセプターへの結合に応答して光子を放出するエミッター分子、およびレセプターを含み、該デバイスは光子の放出を検出して試料中の可溶性抗原を検出する、デバイス。デバイスがハンドヘルドデバイスである、請求項3記載の装置。a)基材に空気試料を衝突させる工程; b)該基材に、標的粒子のレセプターへの結合に応答して光子を放出するエミッター分子、およびレセプターを含むエミッター細胞を添加する工程; c)空気試料中の標的粒子を示す光子放出を検出する工程 を含む、空気試料中の標的粒子を検出する方法。基材がピンヘッドである、請求項5記載の方法。エミッター細胞がB細胞である、請求項5記載の方法。レセプターが抗体である、請求項5記載の方法。抗体が抗免疫グロブリン抗体である、請求項8記載の方法。レセプターがFcレセプターである、請求項5記載の方法。空気試料中の標的粒子が化学物質、爆発性粒子、または生物学的粒子である、請求項5記載の方法。a)基材に空気試料を衝突させる手段であって、エミッター細胞が該基材に添加され、該エミッター細胞は標的粒子のレセプターへの結合に応答して光子を放出するエミッター分子、およびレセプターを含む、手段; b)空気試料中の標的粒子を示す光子放出を検出する手段 を含む、空気試料中の標的粒子を検出するデバイス。デバイスがハンドヘルドデバイスである、請求項12記載の装置。a)植物病原体を含む植物試料を調製する工程; b)該植物試料に、試料中の植物病原体のレセプターへの結合に応答して光子を放出するエミッター分子、およびレセプターを含むエミッター細胞を添加する工程; c)試料中の植物病原体を示す光子放出を検出する工程 を含む、植物病原体を検出する方法。a)病原体について試験される臨床試料を調製する工程; b)該試料に、試料中の病原体のレセプターへの結合に応答して光子を放出するエミッター分子、およびレセプターを含むエミッター細胞を添加する工程; c)試料中の病原体を示す光子放出を検出する工程 を含む、臨床試料中の病原体を検出する方法。臨床試料が鼻スワブ、尿試料、唾液試料または血液試料である、請求項15記載の方法。病原体が細菌、ウイルス、または毒素である、請求項15記載の方法。

a)試料を固体表面に局在化し、非遠心分離法を使用して該試料にエミッター細胞を接触させる工程、ここで、エミッター細胞は、レセプターおよび該試料中の標的抗原の該レセプターへの結合に応答して光子を放出するエミッター分子を含み、該固体表面は、 1)エミッター細胞のカルシウム流動を刺激せず、 2)該エミッター細胞上のレセプターが標的抗原に結合する能を変更することなく標的抗原を受容および保持することができ、 該固体表面はエミッター細胞との接触に供される;ならびに b)光子放出を検出する工程、ここで、光子放出は該試料中の標的抗原を示す、 を含み、ここで、該固体表面はテープではない、試料中の標的抗原を検出するための非遠心分離法。抗原が空気衝突により局在化される、請求項1記載の方法。抗原が静電気回収により局在化される、請求項1記載の方法。抗原が電気泳動回収により液体試料から局在化される、請求項1記載の方法。該表面がピンヘッドである、請求項1〜4いずれか記載の方法。抗原に結合する官能基化磁性ビーズと試料をインキュベートすることによって、液体試料中の抗原が固体表面上に局在化される、請求項1記載の方法。該磁性ビーズが、磁化ピンを用いて局在化される、請求項6記載の方法。エミッター細胞がB細胞である、請求項1〜7いずれか記載の方法。レセプターが抗体である、請求項1〜8いずれか記載の方法。抗体が抗免疫グロブリン抗体である、請求項9記載の方法。レセプターがFcレセプターである、請求項1〜8いずれか記載の方法。抗原が可溶性抗原である、請求項1〜11いずれか記載の方法。可溶性抗原が、核酸、毒素、ペプチド、化学物質、ウイルス、またはこれらの組み合わせである、請求項12記載の方法。

说明书全文

本発明は、病原体検出バイオセンサーに関する。

(関連出願) 本出願は、2001年2月7日に出願された米国仮出願第60/266,977号の恩恵を主張し、2002年2月6日に出願され、かつ英語で公開された国際出願第PCT/US02/03606号の米国国内段階であり、2004年1月16日に出願された米国継続出願第10/467,242号であり、2004年12月1日に出願された米国継続出願第11/001,583号である。

本出願はまた、2005年11月30日に出願された米国仮出願第60/741,271号の恩恵を主張する。

上記出願の全教示は参照によって本明細書に援用される。

(政府支援) 本発明は、米国空軍契約書番号F19628-00-C-0002からの政府基金によって行われた。政府は本発明における特定の権利を有する。

(発明の背景) 長時間で環境をモニターすることができる、小さく、速くて感度の高い生物学的物質(agent)の検出器の必要性が生物学的兵器および化学的兵器、悪い人間の核兵器の増加によって強調される。戦場条件下で、有用な検出器は、代替測定が迅速に提供され得るように特定の生物学的または化学的物質が検出される場合に兵士に迅速に警告する。

かかる検出器は、非軍隊適用でも有用である。患者の抗生物質耐性細菌の迅速な検出は、臨床医がより効果的な治療養生を選択するのに役立つ。都市飲料用供給の連続モニタリングは、潜在的な病原体の早期の警戒を提供し、公共への潜在的な健康リスクを管理するより多くの時間を役人に与える。さらに、肉および家畜検査のこれらの検出器の使用は、現在の「棒で突いて匂いを嗅ぐ」手順に対して有意な改善である。一般的に、かかる検出器は医薬(例えば、獣医薬)、農業、環境保護(例えば、シック建物症候群の診断)、および食品処理および規制の分野内での分析適用および診断適用にもっぱら必要とされる。

全ての脊椎動物は、巨大な多様性の抗体分子を生じることによって部分的に外来物質(抗原)への特異的な免疫応答を獲得する。抗体分子は、高い特異性で抗原と結合する、例えば、これらは、2つの密接に関連する、細菌、ウイルス、タンパク質、核酸、真菌、原生動物、多細胞寄生物、またはプリオンの種、およびこれらの粒子によって生成または誘導される産物に別々に結合し得る。

抗体は、免疫系の重要な成分であるB細胞によって生成される。抗原は細胞表面の抗体と結合することによってB細胞を活性化し、B細胞の細胞質へのカルシウムイオン流入を生じる細胞内生化学反応のカスケードをもたらす。

抗体構造および機能ならびにB細胞活性化の概説について、非特許文献1を参照。

多数および希少な標的粒子または標的抗原の検出に多様な抗体を利用するデバイスは、特許文献1、および特許文献2に記載されている。

これらのデバイスは一般的に、「CANARY」細胞または「エミッター」細胞と本明細書で呼ばれるセンサー細胞(例えば、B細胞、マクロファージまたは線維芽細胞)を含む液体培地、光学検出器、および検出される標的粒子を受ける液体培地を含む。各細胞は細胞表面に発現され、検出される抗原に特異的なレセプター(例えば、キメラ抗体または単鎖抗体)を有する。抗原のレセプターへの結合は、化学物質または生化学変化(例えば、カルシウム濃度の増大)を伴うシグナル伝達経路を生じる。細胞はまた、シグナル伝達経路(例えば、細胞質中のカルシウム濃度の増大)に応答して光子を放出し得るエミッター分子(例えば、エクオリンまたはindo-1)を細胞質中に含む。検出器は、光子を透過する覆い(例えば、ガラス)によって細胞を含む培地と分離され得る。かかる覆いは、培地を支持し、検出器の壊れやすい表面を保護するように働き得るか、またはレンズとして使用され得る。光学検出器、例えば電荷結合素子(CCD)は、レセプター媒介シグナル伝達経路に応答して細胞から放出される光子を検出することができ、検出される抗原が存在することをユーザーに示すことができる。デバイスに使用され得る他の光学検出器は、光電子増倍管、フォトダイオード、相補型金属酸化物半導体(CMOS)画像物、アバランシェフォトダイオード、および画像増強電荷結合素子(ICCD)を含む(例えば、Photek Ltd., East Sussex, UKから入手可能なものを参照)。ある態様において、光学検出器は、個々の細胞を区別することができる。

米国特許第6,087,114号

米国特許第6,248,542号

Paul,編, Fundamental Immunology, 第3版, Raven Press, New York(1993)

本発明の課題は、病原体検出バイオセンサーを提供することである。

即ち、本発明の要旨は、 [1]a)試料に、試料中の標的抗原のレセプターへの結合に応答して光子を放出するエミッター分子、およびレセプターを含むエミッター細胞を添加する工程; b)試料中の可溶性抗原を示す光子放出を検出する工程 を含む、試料中の可溶性抗原を検出する方法、 [2]可溶性抗原が核酸、毒素、ペプチド、化学物質、ウイルス、またはこれらの組み合わせである、[1]記載の方法、 [3]試料中の可溶性抗原を検出するデバイスであって、抗原はエミッター細胞のレセプターと結合し、該エミッター細胞は試料中の標的抗原のレセプターへの結合に応答して光子を放出するエミッター分子、およびレセプターを含み、該デバイスは光子の放出を検出して試料中の可溶性抗原を検出する、デバイス、 [4]デバイスがハンドヘルドデバイスである、[3]記載の装置、 [5]a)基材に空気試料を衝突させる工程; b)該基材に、標的粒子のレセプターへの結合に応答して光子を放出するエミッター分子、およびレセプターを含むエミッター細胞を添加する工程; c)空気試料中の標的粒子を示す光子放出を検出する工程 を含む、空気試料中の標的粒子を検出する方法、 [6]基材がピンヘッドである、[5]記載の方法、 [7]エミッター細胞がB細胞である、[5]記載の方法、 [8]レセプターが抗体である、[5]記載の方法、 [9]抗体が抗免疫グロブリン抗体である、[8]記載の方法、 [10]レセプターがFcレセプターである、[5]記載の方法、 [11]空気試料中の標的粒子が化学物質、爆発性粒子、または生物学的粒子である、[5]記載の方法、 [12]a)基材に空気試料を衝突させる手段であって、エミッター細胞が該基材に添加され、該エミッター細胞は標的粒子のレセプターへの結合に応答して光子を放出するエミッター分子、およびレセプターを含む、手段; b)空気試料中の標的粒子を示す光子放出を検出する手段 を含む、空気試料中の標的粒子を検出するデバイス、 [13]デバイスがハンドヘルドデバイスである、[12]記載の装置、 [14]a)植物病原体を含む植物試料を調製する工程; b)該植物試料に、試料中の植物病原体のレセプターへの結合に応答して光子を放出するエミッター分子、およびレセプターを含むエミッター細胞を添加する工程; c)試料中の植物病原体を示す光子放出を検出する工程 を含む、植物病原体を検出する方法、 [15]a)病原体について試験される臨床試料を調製する工程; b)該試料に、試料中の病原体のレセプターへの結合に応答して光子を放出するエミッター分子、およびレセプターを含むエミッター細胞を添加する工程; c)試料中の病原体を示す光子放出を検出する工程 を含む、臨床試料中の病原体を検出する方法、 [16]臨床試料が鼻スワブ、尿試料、唾液試料または血液試料である、[15]記載の方法、 [17]病原体が細菌、ウイルス、または毒素である、[15]記載の方法 に関する。

本発明により、病原体検出バイオセンサーが提供される。

図1は、光電子センサー細胞概念の概略図である。

図2は、疑いのある物質を予備的に検知するためのサンプラー(トリガー)を有する光電子センサーの一般的構成を示す概略図である。

図3は、光電子センサーの使用のための細胞株の作製を例示する概略図である。

図4は、統合された生物学的エーロゾル警告センサー(BAWS)/光電子センサー系の概略図である。

図5は、光電子センサーにおける疫ウイルスに応答するB細胞を例示する。

図6は、光電子センサーのための乾式インパクターモジュールを例示する。

図7は、局在および混合の効果を例示する概略図である。

図8は、ツラレミア細胞を用いた局在の効果を例示する。

図9は、光電子センサーのための自動化細胞送達モジュールを例示する。

図10は、光電子センサーを用いたツラレミア細胞の試料の用量応答関係を例示する。

図11は、化学的および生物学的汚染に耐性なB細胞を例示する。

図12は、光電子センサーのための自動化遠心分離モジュールを例示する。

図13は、空気インパクター/光電子センサーを例示する概略図である。

図14は、光電子センサーを例示する概略図である。

図15は、光電子センサーの光電子増倍管(PMT)モジュールを例示する。

図16は、空気インパクター/光電子センサーを例示する概略図である。

図17は、光電子センサーの複数チャンネル遠心分離を例示する概略図である。

図18は、光電子センサーの湿式遠心分離/インパクター概念を例示する概略図である。

図19は、光電子センサーの湿式遠心分離/インパクター概念を例示する概略図である。

図20は、光電子センサーのためのカスタムチューブの概略図である。

図21は、統合された乾式インパクター/光電子センサーを例示する。

図22は、Yersenia pestis特異的なB細胞の応答に対する細胞処置の効果を例示する。

図23は、エーロゾル試料を回収するために設定されたインパクターを例示する。

図24は、「CANARY」センサーの基礎となる概念の概要となる概略図である。B細胞は、細胞内でエクオリンおよび細胞表面の病原体に対する抗体を発現するように改変されている。病原体の存在下で、抗体は細胞表面で「架橋」(固定、凝集)され、細胞内カルシウムの増大となるシグナル伝達カスケードを刺激する。エクオリンは、細胞内カルシウムのこの増大に応答して酸化され、光を放出する。光子出を、PMTを用いてモニターし得る。

図25は、DNA検出の概略図である。標的DNA配列の相補的でジゴキシゲニン末端標識を含むオリゴヌクレオチドは、標的DNAにハイブリダイズする。標的DNAに結合した複数のジゴキシゲニン標識オリゴヌクレオチドは、CANARY細胞(エミッター細胞)の表面で、ジゴキシゲニン抗体に結合し、光放出を刺激する。

図26Aは、グラフである。ジゴキシゲニンに対する抗体を発現するCANARY細胞(エミッター細胞)は、ジゴキシゲニン標識DNAによって刺激され得る。ジゴキシゲニンに対する抗体を発現するエミッター細胞を、50μlの指示された濃度のジゴキシゲニン標識DNA標準を含む遠心チューブに添加した。チューブを簡単に遠心してチューブの底部に細胞をペレット化し、PMTの最も近くで光子放出を時間の関数として記録した。3つの異なる型のジゴキシゲニン標識DNAを用いて細胞を刺激し、それぞれは異なる程度の感度で首尾よくいった。図26A.ジゴキシゲニンで高密度標識されたプラスミドDNA(200ジゴキシゲニン分子が結合したおよそ4000塩基対)を、およそ1ng/ml(50pg絶対値)の検出限界で検出した。

図26Bは、グラフである。ジゴキシゲニンに対する抗体を発現するCANARY細胞(エミッター細胞)は、ジゴキシゲニン標識DNAによって刺激され得る。ジゴキシゲニンに対する抗体を発現するエミッター細胞を、50μlの指示された濃度のジゴキシゲニン標識DNA標準を含む遠心チューブに添加した。チューブを簡単に遠心してチューブの底部に細胞をペレット化し、PMTの最も近くで光子放出を時間の関数として記録した。3つの異なる型のジゴキシゲニン標識DNAを用いて細胞を刺激し、それぞれは異なる程度の感度で首尾よくいった。図26B.ジゴキシゲニンでまばらに標識した様々なサイズのDNA分子量標準(81〜8576塩基対)を、1μg/ml(50ng絶対値)で検出した。

図26Cは、グラフである。ジゴキシゲニンに対する抗体を発現するCANARY細胞(エミッター細胞)は、ジゴキシゲニン標識DNAによって刺激され得る。ジゴキシゲニンに対する抗体を発現するエミッター細胞を、50μlの指示された濃度のジゴキシゲニン標識DNA標準を含む遠心チューブに添加した。チューブを簡単に遠心してチューブの底部に細胞をペレット化し、PMTの最も近くで光子放出を時間の関数として記録した。3つの異なる型のジゴキシゲニン標識DNAを用いて細胞を刺激し、それぞれは異なる程度の感度で首尾よくいった。図26C.それぞれが2つのジゴキシゲニンで標識された様々なサイズのDNA分子量標準(8〜587塩基対)(DNA分子の各末端に1つのジゴキシゲニン)を、100ng/ml(5ng絶対値)で検出した。

図27Aは、グラフである。細胞の遠心分離は、可溶性抗原に対する感度を減少し得る。ジゴキシゲニンに対する抗体を発現するエミッター細胞を、50μlの指示された濃度のジゴキシゲニン標識プラスミドDNAを含む遠心チューブに添加した。図27A.チューブを簡単に遠心して、チューブの底部に細胞をペレット化し、PMTの最も近くで光子放出を時間の関数として記録した。

図27Bは、グラフである。細胞の遠心分離は、可溶性抗原に対する感度を減少し得る。ジゴキシゲニンに対する抗体を発現するエミッター細胞を、50μlの指示された濃度のジゴキシゲニン標識プラスミドDNAを含む遠心チューブに添加した。図27B.細胞およびDNAを、手動で混合し、遠心分離なしでPMTに置いた。

図28は、グラフである。2つの相補的Dig標識オリゴヌクレオチド(オリゴ「3」およびオリゴ「NEG3」)を実験条件下でハイブリダイズさせた。試料を、全体積の100μlに対してCO2I培地で1:10に希釈し、20μlの細胞を添加し、光放出を測定した。Dig細胞は、Dig抗体を発現するが、対照細胞は発現しない。

図29は、グラフである。ジゴキシゲニン標識されたssDNAオリゴヌクレオチドの高速ハイブリダイゼーション。指示された量のオリゴヌクレオチド「NEG3」を8μlのハイブリダイゼーション溶液(50mM NaCl,40mM Tris pH7.5)に添加した。1μlの「オリゴ3」を添加し、続いて90μlのCO2I培地および20μlのDig CANARY細胞をすぐに添加した。チューブを一振りして混合し、すばやくルミノメーターに置き、光出力をモニターした。第二のオリゴヌクレオチドの添加とルミノメーターの配置との間の全時間(x軸の「0」)は、およそ15秒であった。

図30は、グラフである。単鎖DNAを、Bluescriptファージミドから作製し、10個の全てのDig標識オリゴヌクレオチドにハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーション後に、反応物をCO2I中の100μlまでに希釈し、20μlのDig細胞を添加し、光放出を測定した。説明に示されるモル比は、標的ssDNAに対するオリゴヌクレオチドのモル比である。本実験の理想比は、1:2〜1:4であるように思われる。

図31は、グラフである。単鎖DNAの配列特異的検出。ファージミドpBluescriptの(+)鎖に相補的な10個のジゴキシゲニン標識オリゴヌクレオチドプローブを、指示された量の単鎖ファージミドDNAにハイブリダイズさせた。ジゴキシゲニンに対する抗体を発現するエミッター細胞を添加し、細胞からの光出力を光電子増倍管でモニターした。ファージミドの(+)鎖だけを検出し、同定は配列特異的であることを示す。オリゴヌクレオチドプローブの非存在下で、単鎖DNAは、細胞を刺激しなかった。本実験の検出限界は50ngであった。

図32Aは、棒グラフである。核酸検出に対するハイブリダイゼーション温度の効果。単鎖ファージミドDNAは、数種類の温度で指示された濃度のプローブにハイブリダイズさせ、最大RLUをプロットした。図32A.PBS中のハイブリダイゼーションは51℃のハイブリダイゼーションで最大シグナルを示すが、47℃と42℃でハイブリダイズした試料からは類似のシグナルを示す。

図32Bは、棒グラフである。核酸検出に対するハイブリダイゼーション温度の効果。単鎖ファージミドDNAは、数種類の温度で指示された濃度のプローブにハイブリダイズさせ、最大RLUをプロットした。図32B.42℃でのハイブリダイゼーションによって、より低い濃度のオリゴヌクレオチドプローブを用いた実験からのシグナルの増大が示される。0.16pmolのオリゴヌクレオチドは、0.63pmolとほぼ同様に働き、0.04pmolからのシグナルは2倍であった。

図33は、DNA沈殿のための戦略の概略図である。捕捉オリゴヌクレオチドは、沈殿可能な粒子の表面に結合する。これらのオリゴヌクレオチドは、Digオリゴヌクレオチドが結合するオリゴヌクレオチドとは別の領域に結合する。標的NAは捕捉オリゴヌクレオチドに結合し、ジゴキシゲニン標識オリゴヌクレオチドは標的に結合する。全複合体は、遠心分離(または磁場)によって沈殿され、ジゴキシゲニンに対する抗体を発現するエミッター細胞によって検出される。

図34は、グラフである。標的DNAの沈殿は、感度を改善する。ストレプトアビジンコンジュゲートビーズは、ビオチン標識捕捉オリゴヌクレオチドで飽和にされ、過剰量のオリゴヌクレオチドを洗浄によって除去した。pBluescript ssDNA(+鎖)を、ビーズを用いて47℃で5分間インキュベートし、洗浄した。Dig標識検出オリゴヌクレオチドを添加し、47℃で20分間ハイブリダイズさせ、過剰を洗浄によって除去した。ビーズを200μlCO2I中に再懸濁し、40μlを各アッセイに用いた。

図35は、棒グラフである。pBSファージミド ssDNAを、指示された濃度のブロッキング試薬中のストレプトアビジンコートポリスチレンビーズに結合したビオチン標識オリゴヌクレオチドおよびジゴキシゲニン標識オリゴヌクレオチドを用いて47℃で20分間インキュベートした。ビーズ結合ジゴキシゲニン標的をTBS(50mM Tris,130mM NaCl)中で3回室温で洗浄した。ビーズをCO2I培地中に再懸濁し、エミッター細胞を添加し、反応物をスピンし、光出力をルミノメーターでモニターした。

図36A〜Cは、グラフである。図36A. U937細胞は、IFNγで処理した場合にFcγRIの増加を示す。IFNγで処理したU937細胞(200ng/ml、開放の緑ピーク)または未処理U937細胞(中実の紫ピーク)についてのFcγRIの相対発現を免疫蛍光で測定した。図36B. U937 細胞は機能的エクオリンタンパク質を発現する。カルシウム感受性発光タンパク質エクオリンをトランスフェクトしたU937細胞は、イオノマイシン(50M)で処理した場合に光を放出する。図36C.安定なエクオリン発現を有するU937細胞でのFcレセプターの架橋に続いて光を検出する。U937細胞を10μg/mlヒトIgGでプレイキュベートし、次いで洗浄し、ヤギ抗-ヒトIgG(Fab2')で処理した。

図37A〜Dは、グラフである。U937細胞は、数種類の異なる病原体または類似物に迅速に応答するように設計され得る。U937細胞を、内在性FcγRIの発現を増大するようにIFNγ(200ng/ml)で24時間処理し、CANARYアッセイのために調製した。細胞を次に以下の抗体でインキュベートした:図37A.マウス抗-B. anthracis胞子、図37B.ウサギポリクローナル抗-B.anthracis胞子、図37C.マウス抗-F. tularensis、または図37D.マウス抗-B.subtilisハイブリドーマ上清。細胞が、モノクローナル抗体で1000 cfu B.anthracis胞子およびウサギポリクローナルで10,000 cfu胞子、ならびに10,000 cfu F.tularensisおよび1,000 cfu B.subtilis 胞子ほどの少量で検出する標準CANARYアッセイに使用した。

図38A〜Cは、グラフである。迅速に設計されたU937細胞は特異的であり、特異性は抗体によって決定される。図38A.マウス抗-F. tularensis抗体でインキュベートしたU937細胞は、10

5 cfuのB. anthracis胞子に応答しなかったが、106 cfuのF. tularensisに応答した。図38B.マウス抗-B.anthracis胞子を負荷した細胞は、F. tularensisに応答しなかったが、10

6 cfuのB. anthracis胞子に応答した。図38C.抗-F.tularensis抗体の非存在下で10

6cfuのF. tularensisへのいかなる応答も示さなかった [10

6cfu F.t.(No ab)]。

図39は、16チャンネルセンサーのイラストである。単一の集光チャンネルを用いて16サンプルの同時測定を可能にしたセンサーを設計した。センサーは、水平上に、その周囲に平等に分布した16個の1.5mlチューブを保持し、垂直軸の可変速度モーターで駆動するローターからなる。単一の固定光子検出エレメント(例えば、PMT)は回転中のチューブ経路を少し越えたローター面上に位置する。このように、各チューブは、連続しておよび繰り返してPMTに密接に近接され、光出力が各通過でサンプル化されることを可能にする。最終的に、光源(赤外LED)および検出器(フォトトランジスタ)からなる光学スイッチを用いて、検出される光子のカウントおよびデータの16分割への再組織化を制御し、それぞれは特定の試料と相関した。

図40は、グラフである。16チャンネルセンサーのデータは、16サンプルが同時に測定されることを除いて、単一チャンネル装置で得られたものと同一であるLODを示す。単一の測定は、以下の工程:個々の1.5mlチューブに16サンプル(および/または対照)を調製する工程、各チューブにエミッター細胞のアリコートを導入する工程、暗箱に置かれたローターにチューブを備え付ける工程、高RCF(約2000g)の短い(5秒)遠心スピンを用いてチューブの底部にエミッター細胞を局在させる工程、測定時間のために60rpmまでローター速度を低減する工程(各チューブは1秒ごとにサンプルリングされる)、ならびに表示および/または評価のためのコンピューターアルゴリズムへの入力のために各試料について時系列の光子カウントを作製する工程からなる。

図41は、ポータブル16チャンネルセンサーデザインのイラストである。

図42は、エーロゾル回収およびエミッター細胞送達を統合したCANARYディスク(CD)のイラストである。

図43は、インパクションノズルおよび透明チューブを有するエーロゾル回収モジュールカッタウェイのイラストである。

図44は、バルブ送達系を有するエミッター細胞送達モジュールのイラストである。

図45は、16チャンネルセンサーの概要およびそれを用いた結果である。

図46は、毒素検出の概要である。

図47は、エクオリンおよび一般化抗体レセプターを発現するセンサー細胞の概要である。

図48は、可溶性で、単量体抗原の検出のための概略図である:戦略1.単一のエミッター細胞は、同じ単量体抗原の2つの異なるエピトープに対する2つの異なる抗体を発現するように設計される。抗原の存在によって、抗体が架橋され、光を放出するようにエミッター細胞を刺激する。

図49は、それぞれB. anthracisおよびY. pestisで試行されたB.anthracisおよびY. pestisの両方に対する抗体を発現する細胞株の結果を示すグラフである。このクローナル細胞株は、B. anthracisおよびY. pestisのいずれかの50cfuほどの少量で検出し得、両方の抗体に由来する両方の抗原結合部位が発現され、機能的であることを示す。

図50は、可溶性タンパク質の検出のための戦略の概略図である。2つ以上のエピトープから構成される抗原は、1つはビーズ(または複数の抗体に結合する任意の支持体)に結合し、第二抗体はエミッター細胞で発現される2つの抗体を用いて検出される。抗原は、抗体コートビーズでインキュベートされ、複数の抗原でその表面が修飾される。ビーズはエミッター細胞に提示される。抗原はビーズによって架橋されるために、エミッター細胞抗体が架橋され、光放出が刺激される。

図51は、プロテインG磁気ビーズに架橋され、様々な量のBoNT/A Hcを用いて4℃で3時間インキュベートされる、抗体6E10-10の結果を示すグラフである。ビーズを、CO2I培地で3回洗浄した。6B2-2抗体を発現するエミッター細胞を添加し、反応物を5秒間スピンし、光出力をルミノメーターでモニターした。

図52は、化学物質の検出の概略図である。目的の化学物質に特異的に結合するペプチドを単離し、ペプチド-化学物質複合体に特異的に結合する抗体を生成した。ペプチド-化学物質だけが単一な機能的エピトープを形成する場合、さらなるエピトープがペプチドに組み込まれ得る。示されるように、このエピトープは、ジゴキシゲニン分子であるが、任意の特異的なエピトープも十分である。化学物質の存在下で、化学物質-ペプチド複合体は、2つの抗体結合部位を含み、タンパク質毒素と同様な様式で検出され得る。

図53は、化学物質を検出する代替方法を示す概略図である。目的の化学物質にタンデムで結合する2つのペプチドが単離される。これらのペプチドの結合は、各ペプチド-化学物質複合体に対する抗体を作成すること、または示されるように抗体結合部位を有するペプチドをタグ化することによって検出され得る。

図54は、化学物質を検出する別の代替方法の概略図である。化学物質-ペプチド二量体複合体を形成し、目的の2つの化学物質に結合するペプチドを調製する。化学物質-ペプチド二量体複合体に特異的に結合する抗体を調製する。化学物質-ペプチド二量体複合体は、細胞内カルシウムを増大するようにエミッター細胞を刺激するほどに十分な2つの抗体結合部位を含み得、それによってエミッター分子による光子放出を生じ得る。

図55は、グラフである。ジゴキシゲニン標識オリゴヌクレオチドをハイブリダイゼーションバッファ(40mM Tris、130mM NaCl、10mM DTT、RNasin Plus)中のRNAに添加し、47℃で2分間インキュベートした。CO2I培地および細胞を添加し、チューブを5秒間スピンし、光出力をPMTでモニターした。本アッセイの検出限界は20ngであった。対照RNA(反対鎖)への応答の欠損は、アッセイは配列特異的であることを示す。

図56は、概略図である。毒素を含む抗原は、2以上のエピトープから構成され得る。CANARY細胞は典型的に、標的エピトープに対する単一の抗体を発現する。最も悪いシナリオの場合で、抗原は単量体形式で存在し得る。CANARY細胞の抗体は単量体抗原に結合し得るが、抗体は架橋されず、光は放出されない。

図57は、概略図である。CANARYによる可溶性毒素類似物の検出。BoNT/A Hcタンパク質の1つのエピトープに対するモノクローナル抗体(6E10-10)を、ハイブリドーマから生成し、プロテインGコート磁気ビーズにコンジュゲートした。BoNT/Aを含む溶液へのこれらのビーズの添加によって、複数コピーの固定抗原でビーズをコートし、重複しないエピトープに対する抗体を発現するCANARY細胞を刺激し得る。

図58は、グラフである。プロテインAコートビーズを6E10-10抗体にコンジュゲートし、これらのビーズをCO2I培地に希釈されたBoNT/A Hcに添加した。チューブを2分間回転し、6B2-2抗体を発現するCANARY細胞を添加し、混合物を5秒間スピンした。光出力を、PMTを用いて検出した。

図59は、棒グラフである。BoNT Hc可溶性および抗原性に対する凍結保存の効果。400ng/ml BoNT Hcを用いてビーズ系CANARYアッセイを試行した。新鮮な抗原は、バックグラウンドに対して35倍応答を与える。凍結および解凍した物質は、少し減少した応答を与え、凍結および解凍された物質を遠心分離することは応答を有意に減少させ、凍結-解凍プロセス中の凝集物の生成を示す。同じ会社からの第二ロットのBoNT Hcは低い反応性を示し、抗原の有意なロット間バリエーションを示す。

図60は、グラフである。血液産物中のBoNT/A Hcの検出。CANARYは血液産物中の可溶性BoNT/A Hcを検出することができる。BoNT/A Hc(400ng/ml

**)はCO2I中で増加され、12分間ビーズとインキュベートされ、強いシグナルを与える。細胞性物質の除去前のBoNT/A Hcを増殖した全血液はまた、CANARYによって検出される。血液細胞の除去後の血漿中で増殖されたBoNT/A Hc(いずれかに記載される調製物)はまた、統計的に有意な応答を生じる。

**これらのアッセイは凍結および解凍されたBoNT/A Hcを試験し、示された明らかな感度が保存中の凝集抗原の損失によって有害に影響を受けたことに注意されたい。

図61は、グラフである。尿中のBoNT/A Hcの検出。試料調製物は尿試料中のBoNT/Aの検出に必要でなかった。ビーズは400ng/ml

**BoNT/A Hcを増殖した尿に直接添加され、12分間インキュベートされ、ビーズを磁気で除去した。培地をビーズに添加し、続いてCANARY細胞を添加し、試料を5秒間回転した。増殖させた尿試料の3つのうちの2つが有意なシグナルを示すが、3番目の試料からのシグナルは低い。ビーズ添加前のBoNT/A Hcを増殖しなかった対照尿は、シグナルがなく、非特異的な刺激物が存在しなかったことを示す。

**これらアッセイには凍結および解凍されたBoNT/A Hcを用い、示された明らかな感度が、保存中に失われる凝集抗原の損失によって有害に影響を受けたことに注意されたい。

図62は、概略図である。代替試料調製手順には鼻スワブに由来する試料を用いた。試料調製には鼻スワブ自体、必須の5ミクロンフィルターを含むバスケット、およびアッセイチューブを必要とする。スワブを回収し、スワブの棒を除いて、スワブの頭をフィルターバスケットに置いた。CO2I培地をスワブに添加し、混合物にキャップをして、遠心分離した。ビーズを濾過物に添加し、アッセイは更なる変更なしで行われた。

図63は、グラフである。鼻スワブを記載のように回収し、フィルターバスケットに置き、400ng/ml

**BoNT/A Hcを増殖するCO2I培地を添加した。試料を濾過し、ビーズを添加し、アッセイした。これらの増殖された試料に対する応答は、鼻「物質」が存在していないモックスワブに対する応答に類似しており、この様式で調製された鼻分泌物はインヒビターを含まなかったことを示す。CO2Iのみを添加した鼻スワブは応答を示さず、鼻スワブがアッセイのいかなる非特異的な刺激物も含まないことを示す。

**これらのアッセイは凍結および解凍されたBoNT/A Hcを試験し、示される明らかな感度が、保存中の凝集抗原の損失によって有害に影響を受けることに注意されたい。

図64は、棒グラフである。異なる液体の毒素検出。BoNT/A Hcは、指示された濃度への各溶液で増殖された。その溶液の10μlに、560mM NaCl、1.4M Hepes pH7.9、および6E10-10コンジュゲート常磁性体ビーズを含む1.4μl溶液を添加した。試料を12分間回転し、190μlのアッセイ培地を添加し、ビーズを磁気で捕捉した(30秒間)。未結合物質を廃棄し、ビーズが50μlのアッセイ培地にもたらされた。6B2-2エピトープに対する抗体を発現する20μlのCANARY細胞を添加し、チューブを5秒間回転し、ルミノメーターに置いた。値はピーク光出力(光子/秒)を抗原なしの培地中のCANARY細胞の光出力(赤いバー、0ng/ml)で割ったものである。洗浄手順によって、抗原添加なしの異なるマトリックス中でインキュベートされたビーズへの細胞の類似の応答で示されるように非特異的な刺激物を除去する。CANARYアッセイは、オレンジジュース(緑バー)とPBT/triton(薄青バー)との両方で増殖された抗原、ならびに対照溶液(アッセイ培地)(赤バー)を80ng/mlのLODで検出する。ミルク中の感度(濃い青バー)は、5倍を超えて阻害される。

図65は、グラフである。CANARYアッセイはA型ボツリヌス神経毒を検出する。CO2I培地は指示された濃度のボツリヌス毒素を増殖した。6E10-10ビーズを添加し、2分間インキュベートした。6E2-2抗体を発現するCANARY細胞を添加し、混合物を5秒間回転し、光出力をモニターした。160pgの毒素を含む試料(16ng/ml)は、バックグラウンドに対して10倍を超えて細胞を刺激した。32pgの毒素を含む試料(3.2ng/ml)は、バックグラウンドに対して3倍を超えて細胞を刺激した。

図66は、グラフである。CO2I培地を指示された濃度のボツリヌス毒素で増殖した。S25抗体をコンジュゲートしたプロテインGビーズを添加し、2分間インキュベートした。Raz抗体を発現するCANARY細胞を添加し、混合物を5秒間回転し、光出力をモニターした。

図67は、グラフである。全血液を、指示された濃度のBoNT/Aに対して増殖(spike)した。血液細胞を遠心分離で除去し、6E10-10抗体コート磁気ビーズを10μlの得られた血漿に添加した。試料を2分間回転し、190mlの培地を添加し、チューブを磁気ラック中に20秒間置いた。培地および血漿をアスピレーターで吸引し、チューブを磁石から除去し、50μlのCO2I培地を添加した。CANARY細胞をチューブのキャップに置き、試料を5秒間回転し、ビーズ細胞接触を開始し、チューブをルミノメーターに置き、光出力をモニターした。

図68は、グラフである。ストレプトアビジンコートビーズを、スルホ-NHS-ビオチン、スルホ-NHS-LCビオチン、またはスルホ-NHS-LC-LC-ビオチンのいずれかでビオチン化された6E10-10抗体に結合させた。ビーズを800ng/mlBoNT/A Hcを含む溶液に添加し、2分間インキュベートした。6B2-2 CANARY細胞を添加し、チューブを5秒間回転し、光出力をモニターした。最も長いスペーサーアーム(LCLC)を結合したビオチンが少し良好なシグナルを与えた。

図69は、グラフである。ビオチン化6E10-10抗体結合ストレプトアビジンコートビーズを、指示された濃度のBoNT/Aに添加し、室温で15分間回転した。6B2-2 CANARY細胞を添加し、チューブを5秒間回転し、光出力をPMTでモニターした。

図70は、グラフである。ストレプトアビジンコート磁気ビーズをビオチン化6C2-4および6E10-10抗体の混合物に結合した。ビーズを指示された濃度のBoNT/Aに添加し、室温で15分間回転した。6B2-2 CANARY細胞を添加し、チューブを5秒間回転し、光出力をPMTでモニターした。

図71は、グラフである。ビーズを標準濃度から10倍に希釈した。指示された濃度のCO2I中の100μlの0.32ng/mlBoNT/Aを添加し、室温で一晩チューブを回転した。6B2-2 CANARY細胞を添加し、チューブを5秒間回転し、光出力をPMTでモニターした。

図72は、概略図である。

図73は、U937細胞がいくつかの異なる病原体を検出するように調製され得ることを示す一連のグラフである。

図74は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体のいずれかを負荷したU937エクオリン細胞がB. anthracis 胞子を検出し得ることを示すグラフ対である。

図75は、Fcレセプター/万能細胞株の要約である。

図76は、プライミング/ローディングU937細胞のための実験プロトコールの要約である。

図77は、Fcレセプター細胞アッセイのためのプロトコールの要約である。

図78は、代替態様の要約である。

図79は、代替態様の要約である。

図80は、EGFPを有するエクオリンのための光放出のシフトを示す一連のグラフおよび棒グラフである。

図81は、エクオリン-GFPエミッター分子のEGFP蛍光の検出を示す一連のFACS解析グラフである。

図82は、分光光度計によるエクオリン-EGFP波長シフトの検出を示すグラフ対である。

図83は、M12g3R EGFP-エクオリンクローンがM12g3Rエクオリンだけの細胞に類似して機能することを示すグラフである。

図84は、U937エクオリンおよびU937 EGFP-エクオリン細胞による胞子検出を示す一連のグラフである。

図85は、刺激されたCANARY細胞の蛍光を示す一連のグラフである。

図86は、マルチプレックスシグナル検出の概略図である。

図87は、異なる発光カラーを有するCANARY細胞の概略図である。

図88は、EGFP-エクオリンのためのクローニング戦略の概略図である。

図89は、病原体特異的CANARY細胞を作製する概略図である。

図90は、万能CANARY細胞の概略図である。

図91は、本発明の態様の例示のアウトラインである。

図92は、万能CANARY細胞を作製するための概略図である。

図93は、万能マクロファージ細胞株を作製するための概略図である。

図94は、Fcレセプターシグナル伝達および万能センサー細胞の概略図である。

図95は、抗-Ig(抗-免疫グロブリン)万能細胞株の概略図である。

図96は、比較の概略図である。

図97は、万能CANARY細胞の要約概略図である。

図98は、Fcレセプターユニバーサル細胞の概略である。

図99は、毒素検出態様のアウトラインである。

図100は、本明細書に記載されるゼラニウム抽出物のRalstonia solanacearumの検出を示すグラフである。

図101は、病原体検出を処理するゼラニウム組織を例示する一連の写真である。

図102は、本明細書に記載されるビーズ結合法を用いたpotyvirus BYMVの検出を示すグラフである。

図103は、血液試料中の血液保有病原体の検出のための装置の一態様を示す一連の写真および病原体検出の結果を示すグラフである。

図104は、本明細書に記載される本発明の成分を示す概略図である。

図105は、血液試料中の病原体検出を示すグラフである。

図106は、グラフである。20μl細胞送達を用いたBa標準。50μlのBa試料をCO2(I)培地に調製し、20μlのB細胞で試験した。結果は、低いバックグラウンドおよび50 cfu BaのLODを示す(n=2)。

図107は、グラフである。Ba B細胞スプレー。50μlのBa試料がCO2(I)培地中に調製され、様々な数のB細胞スプレーで試験した。結果は20μl細胞送達に比べて2スプレーについて増大したバックグラウンドを示す。スプレーの数は50,000 cfu Baについてピーク強度に影響を与えなかった(n=1)。

図108は、グラフである。1-スプレー細胞送達を用いたBa標準。50μlのBa試料はCO2(I)培地中に調製され、1スプレーのB細胞で試験した。結果は、20μl細胞送達および50,000 cfuのLODについて同様なバックグラウンドを示す。50および500cfu Baは、50%の検出頻度を示した(n=2)。

図109は、グラフである。Ba標準:20μl B細胞を用いた500cfu Ba検出。500cfu Baを有する50μlのBa試料をCO2(I)中に調製し、20μl B細胞で試験した。正常よりも高いバックグラウンドを有する500cfuの100%検出の結果が見られる(n=3)。

図110は、グラフである。Ba B細胞スプレー:1-スプレーB細胞を用いた500 cfu Ba検出。500cfu Baを有する50μlのBa試料をCO2(I)培地中に調製し、1スプレーのB細胞で試験した。結果は、500cfuの50%検出および2〜3倍のより高いバックグラウンドを示す(n=14)。

図111は、グラフである。Ba B細胞スプレー:1-スプレーB細胞および回転無しを用いた500cfu Ba検出。500cfu Baを有する50μlのBa試料をCO2(I)培地中に調製し、1スプレーのB細胞で試験した。試料は、読み取り前に5秒間回転しなかった。結果は、500cfu Baの0%検出となる細胞対物質の相互作用を示さなかった(n=3)。

図112は、グラフである。Yp B細胞スプレー:20μl B細胞を用いた500cfu Yp検出。500cfu Ypを有する50μlのYp試料をCO2(I)中で調製し、20μl B細胞で試験した。結果は、典型的なバックグラウンドおよび500cfu Ypの100%検出を示す(n=4)。

図113は、グラフである。Yp B細胞スプレー:1-スプレーB細胞を用いた500cfu Yp検出。500 cfu Ypを有する50μlのYp試料をCO2(I)中に調製し、1-スプレーのB細胞で試験した。結果は、500 cfu Ypの100%検出を有する少し増大したバックグラウンドを示す(n=8)。

図114は、グラフである。Yp標準:20μl B細胞 を用いた500cfu Ba検出。500cfu Ypを有する50μlのYp試料をCO2(I)中に調製し、20μl B細胞で試験した。結果は、典型的なバックグラウンドを有する500cfuの100%検出を示す(n=7)。

図115は、グラフである。Yp B細胞スプレー:20μl B細胞を用いた500cfu乾燥Yp検出。500cfu Ypを有する5μlのYp試料をdH2O中に調製し、一晩乾燥させ、20μl B細胞で試験した。結果は、500cfu Ypの100%検出を示す(n=10)。

図116は、グラフである。Yp B細胞スプレー:1-スプレーB細胞を用いた500cfu乾燥Yp検出。500cfu Ypを有する5μlのYp試料をdH2O中に調製し、一晩乾燥させ、1-スプレーB細胞で試験した。結果は、より高いバックグラウンドを示したが、500 cfu Ypの100%検出を示す(n=10)。

図117は、B細胞インパクション実験を表わす概略図である。

図118は、アスピレーション装置を表わす概略図である。

図119は、ベルノリ原理に基づくアスピレーションを表わす概略図である。

図120は、本発明の一態様を表わす概略図である。

図121は、本発明のポータブル16チャンネルセンサーを例示する写真対である。センサーは、水平上に、その周囲に平等に分布されるアッセイチューブを保持し、垂直軸に可変速度モーターで駆動するローターからなる。単一固定光子検出エレメント、本例においてPMTは、回転中のチューブの経路を少し越えたローター面上に位置する。このように各チューブは、連続して及び繰り返してPMTに密接に近接され、その光出力がそれぞれの通過でサンプル化される。最終的に、光源(赤外LED)および検出器(フォトトランジスタ)からなる光学スイッチを用いて、検出される光子のカウントおよび16分割へのデータの再組織を調節し、それぞれは特定の試料と相関する。

図122は、試料表面で疑わしい抗原を回収する可能な方法の概略図である:(a)空気インパクション;(b)静電気回収;(c)液体試料からの電気泳動回収;(d)液体試料からの2段回収:抗原を捕捉する官能化磁気ビーズを用いたインキュベーション;磁性化「ピン」の不均一な磁場での誘引によるビーズの捕捉(この場合、磁気ビーズの力は磁場の不均一さに関連するので「ヘッド」よりも鋭いチップを用いることが望ましくあり得る)。

図123(a)〜(c)は、概略図である:図123(a)は「ヘッド上で回収された粒子を有する「ストレートピン」である;図123(b)は、培地および置かれたCANARY B細胞を有する試料チューブの断面図である;図123(c)は、発光応答を開始するB細胞チューブ中の逆にされたピンである。

図124は、ピンヘッド上で乾燥され、Bsに感受性がある50μlの(遠心分離によって)置かれたB細胞を含む200μlチューブに導入(0秒)されたBs胞子についてのピンヘッド用量応答曲線のグラフである。Bs胞子調製物の濃度はタイトルに示される。107/mlのYpを用いて調製したピンへの応答はネガティブ対照として示され、交差反応性の損失を示す。

図125は、静電気回収Bs胞子に対するBs B細胞応答のグラフである。5.5KVの電位を対向するピンを横切るように置く(図122(b)のように)。100〜370 ACPLAの範囲となる濃度のBs胞子(空気1リットルあたり粒子を含む物質)は様々な時間の長さで2 l/分の速度でピンを通過させた。回収時間とB細胞応答との間のおよその相関を観察した。

図126は、グラフである。磁気「ピンヘッド」態様。Bacillus-subtilis粒子(空気インパクションをシュミレートするものまたは、任意の他の適切に局在させる回収法の産物)をピンヘッド上で乾燥させ、磁気標識B細胞を含む液体に置いた。ピンをB細胞が乾燥胞子に誘引するように磁性化し、ルミノメーターに置いた。

図127(a)〜(b)は、標準の遠心分離CANARYアッセイと二重磁気ビーズアッセイとの比較のグラフである。図127(a)は、標準CANARYアッセイのY. pestisであり、図127(b)は二重磁気ビーズアッセイのY. pestisである。Y.pestisに特異的な磁気ビーズは、Y. pestis物質の希釈シリーズと5分間混合された。5分後、磁気ビーズを、任意に結合したY.pestisと共にアッセイチューブの底部に引き寄せ、上清を除去した。磁気標識したB細胞は、次に、試料に添加され、チューブの底部に引き寄せられた。

図128は、概略図である。側方フロー形式の試料捕捉の原理。試料を試料パッドに添加し(約200μl)、次にパッドを飽和にし、捕捉膜(0.2μm膜)の方にフローした。B細胞(50μl)は次に、試料パッドに添加され、これらが捕捉抗原と遭遇し、光子を放出する捕捉膜の方にゆっくり毛管作用で運ばれた。

図129は、ハンドヘルド側方フローアッセイ形式の写真である。カラービーズの試料(1μm直径)を、試料パッドに置き、物質捕捉ゾーンを示すように捕捉膜に毛管作用で運ぶ。全サイズは、1インチ×0.25インチである。

図130は、側方フローアッセイ結果を示す一連のグラフである:(a)標準CANARYアッセイの大腸菌、(b)200ml試料あたり5000粒子のLODを示す大腸菌側方フローアッセイ、(c)標準CANARYアッセイのB.anthracis、および(d)200ml試料あたり5000粒子のLODを示す側方フローアッセイのB.anthracis。

図131は、自動化CANARYバイオエーロゾルセンサーの態様の概略図である。

図132は、本発明の統合CANARYディスクを例示する写真対である。自動化CANARYバイオエーロゾルセンサーディスクは、エーロゾル回収および、CANARY B細胞保存および送達機能を行う。サイズ比較のために、コンパクトディスク(CD)を示す。

図133は、自動化CANARYバイオエーロゾルセンサーディスクの詳細な回収を例示する一連の写真である。

図134は、自動化CANARYバイオエーロゾルセンサーディスクのエーロゾル回収最適化を示す一連のイラストである。複数のインパクター幾何学を設計し、CFD(コンピューター液体力学)モデリングを用いて試験し、性能を、モデル粒子としてエーロゾル化蛍光1μmポリスチレン球体の回収によって実験で証明した。全ての試験された幾何学は、回収を示し、最も単純な機能的幾何学を同定し、さらなる開発に用いた。試験された他の幾何学は、標準幾何学に比べてより高い粒子密度を生成し得る新規なインパクター幾何学を開発する点で有用であり得る粒子集束およびリダイレクションを含む有用な特性を示した。

図135は、自動化CANARYバイオエーロゾルセンサーディスク細胞送達の一連の写真、粘性プラグ態様(Viscous Plug Embodiment)である。本態様において、チャンバーを、高粘度の細胞適合性グリースまたはゲル(例えば、シリコーングリース、または石油ジェル)でできたプラグによってディスク面でシールされ得る配向の単一アッセイのためのCANARY B細胞を含むような十分な体積で形成する。粘性プラグがディスクに挿入される幾何学の壁面はプラグを保つように設計され、移動および取り扱い中に安定に保つが、十分な遠心力が短いスピン中に適用される場合にプラグを放出するように設計され、その結果細胞は、解析部位に自動的に移動するように放出される。ゲルは、CANARY B細胞を含む水性培地より幾分密度が高いように選択され得る。その密度がB細胞培地(例えば、シリコーングリース)の密度より大きい場合、粘性プラグは、CANARY解析部位から離れたディスクの所定領域の液体の底部に置かれる。ゲル密度がB細胞培地の密度より低い場合(例えば、シリコーングリース)、粘性プラグは、CANARY試薬上に置かれ、更なる確認試験のための実験室に対する保存および移動のために安定化するように反応部位上の覆いを形成するように使用され得る。

図136は、自動化CANARYバイオエーロゾルセンサー細胞送達を例示する概略図、放出可能な態様(Rupturable Blister Embodiment)である。本態様において、それぞれの解析部位のためのCANARY B細胞保存区画は、伝統的なブリスターパッケージング材料および方法を用いてディスクのふたに構築される。ブリスターの形状および厚みは、CANARY B細胞が短いスピンでアッセイ部位に送達されることを可能にするように、ディスク上に適用される局所圧力がアッセイ部位に面するブリスター面を放出できるように設計される。ディスクは反応部位から離れた面で均一にブリスターを支持し、再現性のある液体送達を提供するように特定の面積の適用された力を集束する特徴を含む。ブリスターを含むブリスターカードは、示されるように開放部を有し、エーロゾル回収のためのディスクからの空気フローを指向する多岐管を有する適切な接続部分を提供し、カード全体は、個々の分析チャンネル間の分離を提供するようにディスクに対して覆われる。

図137は、グラフである。PANTHER Disk Bacillus Subtilis 胞子インパクション結果。Bacillus subtilis 粒子(1リットルの空気あたりの粒子を含む200物質、またはACPLA)を、エーロゾルチャンバーおよび衝突ネブライザを用いて、1分間試験ディスクに当てた。次の試験チャンネルを、Bacillus subtilisに特異的(グラフ)なB細胞と非反応性(Yersinia pestis 細胞株)のB細胞の両方に供した。シグナルは、非反応(Yersinia pestis)株に見られた。

図138は、CANARY技術の要約である。

図139は、病原体検出細胞株の要約である。

図140は、発症疾患を検出するための万能CANARY細胞の要約である。

図141は、液体および乾燥試料のためのCANARYアッセイの概略図である。

図142は、液体試料のCANARYアッセイの例である。

図143は、本明細書に記載されるCANARY技術を用いた毒素検出概略図である。

図144は、本明細書に記載されるビーズ捕捉を用いたボツリヌス毒素のCANARY検出の例である。

図145は、血液保有病原体のためのCANARYアッセイの要約である。

図146は、CANARY技術を用いたクラミジア研究の要約である。

図147は、農業病原体に適用されるCANARY技術の要約である。

図148は、植物病原体のCANARY検出の例である。

図149は、ポータブル16チャンネルCANARYセンサーの写真対である。

図150は、自動化バイオエーロゾルCANARY(BCAN)試験台のイラストである。

図151は、脅威となる環境放出物のための病原体分析器(PANTHER)のイラストである。

図152は、統合PANTHERディスク改良のイラストである。

図153は、CANARY技術の要約である。

図154は、ボツリヌス毒素のCANARY検出の要約である。

図155は、CANARYバイオエーロゾルセンサー性能の要約である。

図156は、植物組織からのウイルス抽出の要約である。

図157Aは、CANARYを用いた植物ウイルス検出を例示する。図157Aは、試料調製物を例示する。

図157Bは、CANARYを用いた植物ウイルス検出を例示する。図157Bは、結果をグラフにする。

図158は、尿中のBoNT/Aの検出の結果のグラフである。試験調製物は尿試料中のBoNT/Aの検出に必要ではなかった。6E10-10抗体コンジュゲートビーズは、活性BoNT/Aを増殖した尿に直接添加され、15分間インキュベートし、ビーズを洗浄した。培地をビーズに添加し、続いてCANARY細胞を添加し、試料を5秒間スピンした。検出限界は、16ng/mlであり、アッセイ培地中に直接希釈されたBoNT/Aより約5倍高かった。ビーズ添加前にBoNT/A Hcを増殖されなかった対照尿(0ng/ml)は、シグナルを生じず、いかなる非特異的な刺激物も除去されたことを示す。

図159は、血液中のBoNT/A Hcの検出の結果のグラフである。CANARYは、血液産物中の可溶性BoNT/A Hcを検出することができる。BoNT/Aを、いずれかに記載のように調製された全血液および血漿中で増殖した(血液試料調製のフラン部分を参照)。6E10-10抗体コートプロテインGビーズを血漿に添加し、2分間インキュベートし、培地中で洗浄し、6B2-2細胞を用いてアッセイした。このアッセイのBoNT/Aについての検出限界は16ng/mlであった。

図160は、NaCl、Tween-20、およびTriton X-100を血漿に添加する効果の結果のグラフである。NaClの添加(最終濃度0.5M)は、1700RLUから4800RLUへのシグナル値の最も劇的な改善を生じた。Tweenの添加は、効率的でないが、Tritonの添加によって2700RLUあたりまでシグナルを改善した。界面活性剤と塩の組み合わせは、塩のみで達成されるレベルを超えるわけではないが界面活性剤のみと比べてシグナルを改善する。

図161は、6E10-10抗体結合ストレプトアビジンビーズで20分間インキュベートされた、BoNT/A(5fmol=800pg)およびBoNT/A複合体(5fmol=5ng)の結果のグラフである。6B2-2細胞を添加し、光出力をモニターした。等量モルの両方の調製物に対するCANARYアッセイによる類似の応答は、複合体タンパク質がBoNT/Aに結合する抗体に影響を与えないことを示す。

図162は、対照培地中のBoNT/Aの検出の結果のグラフである。6E10-10抗体でコートした磁気ビーズは、指示された濃度のBoNT/Aを増殖する培地に添加した。試料を2分間回転し、毒素をビーズに結合させた。6B2-2CANARY細胞を添加し、混合物を5秒間スピンし、光放出をモニターした。160pgのBoNT/A Hc(16ng/ml)を含む試料は、バックグラウンドに対して6倍のシグナルを生じた。

図163は、棒グラフである。3つの全てのエミッター型(α、β、およびγ)をカバーする等量の様々な放射線物質を分析した。CANARYの応答は、市販の、実験室系装置と好ましく匹敵する。

図164は、CANARY細胞による化学検出の概略図である。概念として、生物兵器物質のような化学物質のCANARYによる検出は、タンパク質毒素の検出と非常に類似する。ペリプラズム結合タンパク質(PBP)が、ビーズの表面に結合する。標的化学物質の存在が、PBPを、CANARY細胞の表面で抗体によって認識される形態に変換するので光放出を刺激する。

図165は、グラフである。点のデータはPitt発生器でエーロゾル化した多分散系ポリスチレンラテックス球状を用いた6つの衝突運転から測定された平均効率を表わす。単一なAPS粒子選別器をインパクターの導入口と出口との間で交換した。実線の赤線は0.7〜1.5μmの平均データにフィットして指数関数的である。2μmを超えると、計算効率数は、Pitt発生器のこれらの大きな粒子のより低いエーロゾル化効率(および従って低い粒子数)のために信頼性が低くなる。

図166Aは、Bacillus subtilis 胞子の乾燥同一物の方法および結果を例示する。乾燥アッセイプロトコルの概略図に示されるように(図166A)、B. subtilisに特異的なB細胞を添加し、簡単な遠心スピンによって、試料チューブの底部の回収部位へ細胞が移動する。

図166Bは、Bacillus subtilis 胞子の乾燥同一物の方法および結果を例示する。乾燥アッセイ形式の特異性の提示(図166B):青曲線:試料チューブに衝突させ、かつB.subtilisに対する細胞で検出したB.subtilisは、CANARYが衝突した試料を検出することができることを示す。ネガティブ対照:ベースライン応答は、乾燥したV.choleraeへのB.subtilis細胞の曝露を観察し(灰色曲線)、空気汚染物は病原体の非存在下の空チューブに衝突され(赤曲線)、Yersinia pestisに対する細胞を乾燥して衝突させたB.subtilis 胞子に曝露した(黒曲線)。

図167は、自動化バイオエーロゾル回収およびCANARY解析のためのBCAN担体を例示する。

図168は、エーロゾル回収およびB細胞送達を統合するように設計されたCANARYディスク(CD)を例示する。

図169は、インパクションノズルおよび透明チューブを有するエーロゾル回収モジュールカッタウェイを例示する。

図170は、バルブ送達系を有するCANARY B細胞送達モジュールを例示する。

図171は、遮光カバーを除去したTCAN-2自動化バイオセンサーを例示する。

図172は、本発明の一態様を例示する。PANTHERディスク(左)は、ポータブルPANTHER CUBセンサー(中央)または最終的にはハイスループット自動化ポイント検出および同定センサー(右)へのCDのように読み取られ得る自己含有バイオエーロゾルサンプリングおよびCANARY分析ツールである。

図173Aは、本明細書に記載される本発明の態様の概略図である。

図173Bは、本明細書に記載される本発明の態様の概略図である。

図174は、本発明の態様のさらなる概略図である。

図175は、ディスクから効率的に輸送され、本明細書に記載される装置の回収表面への衝突に指向された粒子の径と、フロー速度との間の関係を例示する棒グラフである。

図176は、本発明の態様を例示する。

図177は、例示されるCANARYディスクを自動的に処理するコンパクトセンサーデバイスを例示する。

図178は、本明細書に記載されるCANARYデバイスのコア構成物を例示する。

図179は、CUBセンサーの性能特性のグラフである。Bacillus subtilis胞子エーロゾルのCUB分析に由来する典型的なシグナル。

図180は、本発明の異なる態様を例示する。

図181は、ポジティブおよびネガティブ二重電気泳動概念を例示する概略図である。

図182は、DEP試験チップのための重層プロセスである。

図183Aは、(a)クオーツ基材の互いに入り込んだタングステン薄層電極から構成されるDEPチップの基本デザインを例示する。

図183Bは、(b)線幅および線間距離の組み合わせの表を例示する。

図184は、側方フロー形式の試料捕捉原理の概略図である。試料を試料パッドに添加し(約200μl)、次に試料パッドを飽和にし、捕捉膜(0.2μm膜)の方にフローさせた。B細胞(50μl)を、次に試料パッドに添加し、これらが捕捉抗原と遭遇し、光子を放出する捕捉膜の方にゆっくり毛管作用で運ぶ。

図185は、ハンドヘルド側方フローアッセイ形式の写真である。カラービーズの試料(1μm直径)を、試料パッドに置き、物質捕捉ゾーンに提示されるように捕捉膜に毛管作用で運ぶ。全サイズは1インチ×0.25インチである。

図186Aは、側方フローアッセイ結果のグラフである:図186A:標準CANARYアッセイの大腸菌。

図186Bは、側方フローアッセイ結果のグラフである:図186B:200ml試料あたり5000粒子のLODを示す大腸菌側方フローアッセイ。

図186Cは、側方フローアッセイ結果のグラフである:図186C:標準CANARYアッセイのB.anthracis。

図186Dは、側方フローアッセイ結果のグラフである:図186D:200ml試料あたり5000粒子のLODを示す側方フローアッセイのB.anthracis。

図187Aは、標準の遠心分離CANARYアッセイと二重磁気ビーズアッセイとの間での比較のグラフである。(a)標準CANARYアッセイのY. pestisおよび(b)二重磁気ビーズアッセイのY. pestis。Y. pestisに特異的な磁気ビースは、Y. pestis物質の希釈シリーズと5分間混合した。5分後、磁気ビーズを任意に結合したY.pestisと共にアッセイチューブの底部に引き寄せて、上清を除去した。磁気標識B細胞を次に、試料に添加し、チューブの底部に引き寄せた。

図187 AおよびBは、標準の遠心分離CANARYアッセイと二重磁気ビーズアッセイとの間での比較のグラフである。(a)標準CANARYアッセイのY. pestisおよび(b)二重磁気ビーズアッセイのY. pestis。Y. pestisに特異的な磁気ビースは、Y. pestis物質の希釈シリーズと5分間混合した。5分後、磁気ビーズを任意に結合したY.pestisと共にアッセイチューブの底部に引き寄せて、上清を除去した。磁気標識B細胞を次に、試料に添加し、チューブの底部に引き寄せた。

図188は、ハンドヘルドセンサーカートリッジの概略図である。(a)保存位置で磁気スワブを有するカートリッジ。(b)カートリッジから引き出されたスワブ:(c)1-グリップ、2-保護スリーブ(引き出される)、3-シャフト、4-磁気チップを有する使用前のスワブ。(d)読み取り位置への挿入前のスワブ。(e)読み取り位置でスワブを有するカートリッジ:5-B細胞カプセルが磁気チップを受ける位置に回転した、6-カートリッジの底部の穴からの光子放出。

図189は、ハンドヘルドCANARYセンサーデザインの概略図の対である。このデザインは、CANARY細胞が最大シグナル回収を回収するアッセイチューブの底部を直接向くようにPMTを再配向する。試料挿入機構は、簡易な操作、試料とPMTとの間の最小距離、および読み取り中の装置ノイズを最小化するための試料負荷工程中の周囲光からのPMTの遮蔽を可能にしたスライド機構を介して操作するように設計された。ドアのハンドルは、試料操作のための希少土類金属強力磁石、およびこれらの操作を行う際の磁石近くにあるチューブを保持するチューブレシーバーを含むように設計された。

図190は、ハンドヘルドCANARYセンサープロトタイプの一連の写真である。PMTは300〜650nmの有効スペクトル感度範囲を有する二アルカリカソードを有する。これは、光子カウントモードで操作され、シグナルを記録し、さらなる解析のためにRS-232、9ピンプラグを介してラップトップに移動され得る。ハンドヘルドユニットは、センサーに構築された充電可能なNiCdバッテリーを用いて8時間までの運転、または12-V電源に連結される場合(内部バッテリーパックを充電するために使用もされる)の永久運転のオプションを有する。

(発明の要約) 標的粒子を検出する方法が本明細書に提供される。特に、生物学的物質、病原体、細菌、ウイルス、可溶性抗原、毒素、化学物質、爆発性物質、核酸配列(例えば、DNAまたはRNA)、植物病原体、血液保有病原体等を検出する方法が提供される。

標的粒子を検出する方法は、液体試料、エーロゾル試料および乾燥試料中の標的粒子の検出を含む。

また、レセプターを含むエミッター細胞が本明細書に提供され、該レセプターは、標的抗原に特異的な抗体であり、一般的な標的(例えば、ビオチン等の標識、または免疫グロブリン等)に特異的な抗体であり得る。さらに、レセプターはFcレセプターであり得る。

エミッター細胞は、試料中の標的粒子の検出のためのエミッター分子を更に含み、レセプターの標的粒子への結合はエミッター分子からの応答を刺激する。一態様において、レセプターは細胞内カルシウム濃度の増大を刺激し、エミッター分子は細胞内カルシウム濃度の増大に応答して光子を放出する。一態様において、エミッター分子はエクオリンである。別態様において、エミッター分子は、エクオリン-GFP分子である。

光子検出器を用いた複数試料中の標的粒子を検出する光電子センサーデバイスも提供される。光電子センサーは、液体試料中の標的粒子を検出し得る。あるいは、光電子センサーデバイスは、空気試料またはエーロゾル試料中の標的粒子を検出し得る。一態様において、センサーデバイスは、遠心手段を含む。別態様において、センサーデバイスは、遠心手段を含まない。一態様において、センサーデバイスは、エーロゾルスプレーを含む。別態様において、センサーデバイスは、毛管作用で運ぶ手段を含む。更なる態様において、センサーデバイスは、移動可能な基材を含む。一態様において、センサーデバイスは標的粒子の捕捉のためのピンヘッド基材を含む。

標的粒子の検出(可溶性抗原または核酸等)は、エミッター細胞の細胞表面で直接的または間接的のいずれかで発現するレセプターへの、標的粒子の結合によって部分的に媒介される。直接結合は、抗体等のレセプターを介してであり得、標的粒子に直接的および特異的に結合する。標的粒子の間接結合は、標的粒子に連結(結合)された抗体に結合するFcレセプターを介してであり得る。

(図面の簡単な説明) 特許または特許出願書類は、カラーで描かれた少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を有する本特許または特許出願公開公報のコピーは、請求および必要な費用の支払いの際に庁より提供される。

(発明の詳細な説明) 本明細書に記載される本発明は、可溶性抗原を検出する方法を提供する。例えば、可溶性抗原は、可溶性タンパク質または化学物質であり得る。一態様において、可溶性抗原は、1つまたは2つだけの抗原エピトープを含む。細胞表面に発現した抗体を用いた可溶性抗原の検出によって、抗体の抗原への結合がカルシウム濃度の増大を誘発し、次に細胞内カルシウムの増大に応答して光子を放出するエミッター分子を刺激することは、抗原が細胞表面で抗体と架橋(または、凝集し、細胞表面に抗体を固定化する)する能力に依存し、それによって細胞内カルシウムの増大を刺激する。可溶性抗原は、細胞表面に発現する抗体を架橋する点で非効率であり得るので、細胞内カルシウムの増大を刺激する点で非効率である。抗体の架橋が記載される方法で達成され、細胞内カルシウムの増大を刺激し、カルシウム濃度の増加に応答するエミッター分子からの光子の放出を生じる、可溶性抗原を検出する方法を本明細書に記載する。

検出される目的の可溶性抗原および化学物質は、広範囲な物質を含む。例えば、限定されることは無いが、本明細書に記載される本発明の方法は、ボツリヌス毒素、セロ型A、B、C、D、E、F、G、ブドウ球菌エンテロトキシン-B(SEB)および他のスーパー抗原、リシン、百日咳毒素、志賀毒素、コノトキシン、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens) エプシロントキシン、志賀様リボソーム不活性化タンパク質、Y.pestisに由来するF1抗原、保護抗原、致死因子、B.anthracisに由来する浮腫因子等の他の可溶性細菌産物のような、タンパク質毒素を検出するために使用され得る。検出する目的の他の分子は、細菌選抜検知分子、例えば、ホモセリンラクトンを含む。化学戦争物質または本明細書に記載される方法を用いて検出され得る加水分解後の崩壊産物の例としては、限定されないが、シアン化物(シアン化水素酸)、ホスゲン(二塩化塩素)、CK(塩化シアン)、CL(塩素)、CX(カルボンイミドジクロライド、ヒドロキシ)、DP(塩化炭素、トリクロロメチルエステル)、GA、タブン(ジメチルホスホルアミドシアン酸、エチルエステル)、GB、サリン 9メチルホスホノフッ素酸、(1-メチルエチル)エステル、GD、ソーマン(メチルホスホノフッ素酸、1,2,2-トリメチルプロピルエステル)、GF(メチルホスホノフッ素酸、シクロヘキシルエステル)、イペリット(1,1-チオビス[2-クロロエタン])、HN-1、窒化イペリット(2-クロロ-N-(2-クロロエチル)-N-エチルエタンアミン)、HN-2、窒化イペリット(2-クロロ-N-(2-クロロエチル)-N-メチルエタンアミン)、ルーサイト((2-クロロエテニル)アルソン化二塩化物)、PFIB(1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-トリフルオロメチル-1-プロペン)、トリホスゲン(カルボン酸、トリクロロメチルエステル)、V-ガス(メチルホスホノチオ酸、S-[2-(ジエチルアミノ)エチル]O-2-メチルプロピルエステル)、VX(メチルホスホノチオ酸、S-[2-[ビス(1-メチルエチル)アミノ]エチル]O-エチルエステル)、2成分のVX(O-エチルO-2ジイソプロピルアミノエチル メチルホスホナイトおよび硫酸)、2成分のGD(メチルホスホニル二フッ素(DF)ならびにピナコールアルコールおよびアミン混合物)、2成分のGB(メチルホスホニル二フッ素(DF)ならびにイソプロピルアルコールおよびイソプロピルアミン混合物(OPA))が挙げられる。さらに、他の生物学的に派生する化学物質はまた、マイコトキシン、特にトリコセシン(T2)マイコトキシン、ジアセトキシスシルペノール多様グループ(Diacetoxyscirpenol Diverse group)、サキシトキシン、または他の渦鞭毛藻類産物、ミクロシスチン(様々な型)、パリトキシン、サトラトキシンH、アフラトキシン、およびテトロドトキシンを含み、本発明の方法で検出され得る。

検出する目的のさらなるタンパク質としては、APP(アミロイド前駆体タンパク質)、CJD、BSE、スクレピー、KuruおよびPSA(前立腺特異的抗原)と関連するプリオンタンパク質が挙げられる。さらに、適切な可溶性抗原または化学物質の検出は、例えば、甲状腺機能、副腎機能、骨代謝、生殖、不妊、IVF、妊娠、増殖および増殖ホルモン不全、糖尿病、血液学、心臓機能、癌、アレルギー、自己免疫疾患、治療薬物モニタリング、薬物乱用、研究免疫アッセイ適用、遺伝子改変タンパク質、ミルク薬物残渣、肝臓機能、抗生物質および抗生物質合成経路の臨床適用のような、種々の適用に有用である。これらの適用の分析のために適切な可溶性抗原は当業者に公知である(例えば、The Immunoassay Handbook(第二版),David Wild, 編. Nature Publishing Group 2001. NY NY)。

本発明はまた、特定の核酸(NA)配列の検出および同定を提供する。一態様において、抗原は、オリゴヌクレオチドプローブを用いて標的NAに結合される。これらのプローブは、特定のNA配列を抗原で修飾する。この抗原-修飾(本明細書で抗原-コンジュゲートとも呼ばれる)オリゴヌクレオチドは、抗原に対する抗体を発現するエミッター細胞を刺激することができる。遊離プローブは、存在する場合、単量体でエミッター細胞を刺激しない。同様に、NAの非特異的な部位への標識オリゴヌクレオチドのバックグラウンド結合は、エミッター細胞を有意に刺激しないのは、これらのまれなバックグラウンド結合事象をもたらす抗原が、抗体を効率的に架橋するように非常に分散されているためである。

抗原の選択は、当業者に理解されるように、対応する抗体の利用可能性および特性、試験される試料の交差性抗原の非存在、ならびに抗原-オリゴヌクレオチドコンジュゲートの溶解性、安定性、および費用を含む多くの因子に依存する。本明細書で使用される場合、オリゴヌクレチドは、DNA、RNA、ペプチド核酸(PNA)、ロック核酸、または当該分野で公知の特異化及び独特の特性を有する任意の様々な修飾核酸代用物であり得る。さらに、かかるプローブへのカチオンアミノ酸(ペプチドまたはタンパク質形態で)の添加は、ハイブリダイゼーション速度を増大し得る。所望される場合、エミッター細胞によって検出される抗原として、これらのカチオンペプチド/タンパク質は、二重の役割を果たす。従って、本発明の一態様において、エミッター細胞表面に1つ以上の抗体を有し、標的NAの存在のために多量体である抗原による刺激の際に光子を放出する、特に光子放出する化合物(エミッター分子)を含むエミッター細胞に基づく検出系は、細胞内カルシウム濃度の増大で刺激される。

1つ以上の抗体と結合する標的粒子を検出するセンサー細胞が、本明細書に記載される本発明に提供される。具体的に、センサー細胞は、標的物質または粒子に結合する抗体に結合するFcレセプター、およびエミッター分子を含む。一態様において、Fcレセプターを含むセンサー細胞は、ヒトマクロファージ細胞株U937のようなマクロファージ細胞である。他の適切な細胞または細胞株は、当業者に公知である。Fcレセプターは、抗体または免疫複合体に結合する膜発現タンパク質のファミリーである。これらは、単球およびマクロファージを含む数種類の造血幹細胞で発現する。可溶性抗体の高親和性結合体であるFcγレセプターI(FcγRI)を含む、数種類のサブクラスのFcレセプターが存在する。FcγRIは、抗体の抗原結合領域を自由にしたまま、免疫グロブリンG(IgG)の定常領域(Fc部分)に結合する。特定の抗原による抗体-結合Fcレセプターの架橋によって、カルシウム放出を刺激するシグナル伝達が開始される。従って、センサー細胞でのFcレセプターの架橋は、細胞内カルシウム濃度およびエミッター分子の増大となり、従ってカルシウム濃度の増大に応答して光子を放出する。

16チャンネルセンサーがまた、本明細書に記載される本発明に提供される。その最も単純な形態において、エミッター細胞アッセイは、透明チューブ中の試料を調製する工程、チューブに特別に調製されたエミッター細胞のアリコートを導入する工程、高速な遠心スピンを用いてチューブの底部にエミッター細胞を移動させる工程、および光子カウントセンサーを用いてチューブからの光出力を測定する工程からなる。実験室で、たいていのエミッター細胞アッセイは、連続して一度に一試料を作製する;自動化BAWS/CANARY装置で、4つの試料を同時に測定し、各試料は、それ自身の集光チャンネルを有する。前者の系は、より多くの時間を必要とするが、後者はより複雑な(および高価な)ハードウェアを必要とする。

(ハードウェア要求を最小にしながら)複数の試料を測定する時間を低減する異なるアプローチが本明細書に記載される。単一な集光チャンネルを用いた複数試料の同時測定を可能にするセンサーが、設計される。センサーは、水平上に、その周囲に平等に分布される16個の1.5mlチューブを保持し、垂直軸に可変速度モーターで駆動するローターからなる(図39)。単一固定光子検出エレメント(例えば、PMT)は、回転中のチューブの経路を少し越えたローター面に位置する。このデザインで、各チューブは、連続しておよび繰り返して、光子検出エレメントに密接に近接され、その光出力が各通過でサンプル化されることを可能にする。最終的に、光源(赤外LED)および検出器(フォトトランジスタ)からなる光学スイッチを用いて、検出される光子のカウントおよびデータの16分割への再組織化を制御し、それぞれは特定の試料と相関する。

この16チャンネルデザインのさらなる例示は、TCANセンサーと呼ばれる。TCAN(誘発CANARY)バイオセンサーは、エーロゾル回収およびエミッター細胞液体送達の両方を統合した放射状ディスク形式と組み合わせる自動化バイオセンサーである。TCAN CANARYディスク(CD)(図42)は空気フローを別々のチャンネルに分割する多岐管集合物で接続される。エーロゾル回収集合物(図43)は、乾式衝突技術を使用し、次に空気フローからの粒子を透明なプラスチックチューブの底部に局在させる。

エーロゾル粒子の衝突後に、CDはディスクに位置する微細なバルブへの多岐管集合物で接続される。ディスクは急速にスピンし、次に遠心力を用いて個々のチューブにエミッター細胞液体が送達される(図44)。光学検出器を次に使用して、エーロゾル粒子と相互作用するエミッター細胞の光子出力に基づく潜在的な生物物質を同定する。エーロゾル回収およびエミッター細胞送達のこのプロセスは、1つのディスクで数回繰り返され得る。この特徴によって、CDを変えることなく数回の誘発事象後に複数のエミッター細胞アッセイが行われる。

本発明の使用に適切な物質および手順は、以下でさらに詳細に記載される。

エミッター細胞 エミッター細胞(本明細書でセンサー細胞またはCANARY細胞とも呼ばれる)は、適切なレセプター、シグナル伝達経路、およびシグナル出力法を有する、任意の原核生物細胞または真核生物細胞であり得、天然、遺伝子改変または化学物質付加のいずれかによってであり得る。細胞は機能的レセプター、シグナル伝達経路、およびシグナル出力法を有することを条件として、細胞は人工ユニットまたは非生存ユニットであり得る。抗原レセプターの抗体等への結合の際に、細胞は細胞質にカルシウムイオンを移動させる。本発明のデバイスおよび方法に有用な細胞の例は、1つ以上の表面結合モノクローナル抗体を発現するように遺伝子改変され得るB細胞(すなわち、顎骨を有する冷血または温血脊椎動物に由来するB細胞)である。デバイスに有用な細胞の別の例は、細胞表面でFcレセプターを発現するヒト細胞株U937 等のマクロファージ細胞である。抗原は、標的への抗体の添加によって抗体に結合し得、この抗原-抗体複合体が細胞のFcレセプターに結合し、細胞内カルシウムの増大となるシグナル伝達を刺激する。

モノクローナル抗体は、例えば、検出される抗原で動物を免疫化し、免疫動物からのB細胞を播種することによって生成され得る。モノクローナル抗体をコードするDNAは次に、単離され、不死化細胞株に移入され、細胞は検出される抗原に特異的な表面モノクローナル抗体の生成のためにスクリーニングされ得る。B細胞は、特にB細胞からの放出シグナルが典型的にさらなる標的標本が曝露されるように有意に減少しないため、およびかかる放出シグナルが線形であるために、定性分析および定量分析の両方に有用である。

あるいは、細胞は線維芽細胞であり得る。しかし、線維芽細胞は、表面抗体の細胞質部分から細胞のカルシウム貯蔵へのシグナルを移入するのに必要なシグナル伝達機構を含まない。この問題を克服するために、キメラ表面抗体を線維芽細胞中で発現され得る。このキメラ抗体は、線維芽細胞の細胞膜の内部表面から細胞内カルシウム保存へのシグナルを伝達し得るポリペプチド(例えば、線維芽細胞成長因子レセプター)に由来する細胞質アミノ酸配列を含む。従って、抗原がキメラ抗体の細胞外部分と結合して表面で抗体凝集物を生じ、カルシウム移動が誘導される。キメラ抗体を用いる同様の戦略は、B細胞ではない任意の他の細胞型を使用され得、細胞は、本発明の装置および方法の使用に適切である。

本明細書のデバイスおよび方法に有用な細胞は、物質に特異的に結合する表面のレセプターを有するものを含む、特定の物質を認識するように設計されたものである。好ましいレセプターは、抗体または単鎖抗体であるが、他の適切なレセプターは有糸分裂促進因子レセプター(リポ多糖(LPS)レセプター等)、マクロファージスカベンジャーレセプター、T細胞レセプター、細胞接着分子、配列特異的制限酵素または転写因子の部分等のDNA結合タンパク質、単鎖RNA結合タンパク質または二重鎖RNA結合タンパク質、認識されるDNA配列またはRNA配列に相補的なオリゴヌクレオチド、または認識される物質に特異的に結合する他のリガンド結合レセプター(例えば、Fas;サイトカイン、インターロイキン、またはホルモンレセプター、神経伝達レセプター;嗅覚レセプター;化学誘引レセプター等)が挙げられる。レセプターは、膜貫通ドメイン、レセプターに特異的に結合する膜結合分子(Fcレセプターが抗体に結合する等)、または膜結合分子への共有結合または非共有結合(例えば、ビオチン-ストレプトアビジン、ジスルフィド結合等)を介して細胞表面に結合され得る。レセプターはまた、キメラ分子であり得る;例えば、これは、抗体、単鎖抗体、レクチン等の細胞外ドメインまたは他の物質特異的結合ドメインまたはペプチド、およびインスリンレセプター、線維芽細胞成長因子からのもの等の細胞内ドメイン、二次メッセンジャーカスケードを誘発する他のタンパク質を有し得る。認識される物質への直接結合の代わりに、レセプターは、次に認識される物質に特異的に結合する別の分子または物体、二次抗体、標識ビーズ、抗原コンジュゲートオリゴヌクレオチド等に特異的に結合し得る。

あるいは、これらの結合工程の1つだけが、特異的である必要があり得る。例えば、特異的配列を含むDNAまたはRNAは、1つの抗原(またはビーズに直接、またはマトリックス上)にコンジュゲートされたオリゴヌクレオチドプローブを用いて溶液から取り出され得、標的DNA/RNAにアニーリングした第二セットの非特異的抗原コンジュゲートオリゴヌクレオチドプローブが第二抗原に特異的な細胞を刺激するために使用される。また、細胞表面のキメラとして発現される非特異的核酸結合タンパク質(ヒストン、プロタミン、RNA結合タンパク質)またはこれらの結合タンパク質に対する抗体はまた、配列特異的選択工程の後に核酸の存在を検出するために使用され得る。

抗体 オリジナルの細胞型が何であれ、モノクローナル抗体の抗原結合可変領域は、一般供給源からのDNA配列またはハイブリドーマ細胞株からのRT-PCRによるクローニングされるDNA配列のいずれかとして得られ得る。RT-PCRは5’末端で可変領域のリーダーまたはフレームワーク領域のいずれか、および3’末端で定常領域にアニーリングするように設計されるプライマーセットを用いて達成される。

抗体可変領域は次に軽鎖および重鎖のための定常領域を既に含む発現ベクターにクローニングされる。Persic ら, Gene 187:9-17,1997に記載される軽鎖発現ベクターは、この目的のために特に適切である。Persic らに記載されるVKExpessは、EF-1αプロモーター、リーダー配列、マルチプルクローニング部位、ヒトIgκ定常領域およびポリアデニレーションシグナルを含む。重鎖発現ベクターはInvitrogen pDisplayに由来する。このベクターは、CMVプロモーター、リーダー配列、HAタグ、マルチプルクローニング部位、およびmycタグ、続いてPDGFR膜貫通ドメインおよびウシ胎児成長ホルモンポリアデニレーションシグナルを含む。

pDisplayは、以下の通りに重鎖発現について改変され得る。pDisplayのPDGFR膜貫通ドメインは、分泌を可能とするエクソンのないマウスIgM定常領域と置換される。これによって、タンパク質は膜に結合したままであることを確実にする。ネオマイシン耐性遺伝子は、限定されないが、ハイグロマイシン、ブレオマイシン、プロマイシン、カナマイシン、およびブラスチシジン遺伝子を含む任意の多数の抗生物質遺伝子によって置換され得る。重鎖(またはあるいは軽鎖)可変領域は、重複伸張PCRを用いてpDisplayのマルチプルクローニング部位のいずれかの側に存在するHAおよびmycタグを除去する2段階プロセスで挿入され得る。ベクターはまた、およそ300塩基対のIgM定常領域に融合される可変領域を含む重複伸張産物の挿入を可能にするように開発され得、クローニングは単一工程で行われ得る。

以下の実施例は、すぐ上記の抗体ベクター構築手順を用いて例示された。

検出される抗原に特異的に結合する抗体は、抗原または抗原のエピトープに結合するが、試料中の他の抗原またはエピトープに実質的に結合しない分子である。かかる抗体は、キメラ(すなわち、非抗体アミノ酸配列を含む)または単鎖(すなわち、抗体の相補性決定領域が連続ポリペプチド配列で形成される)であり得る。

あるいは、表面抗体生成細胞は、動物から得られ得、Kohler ら, Nature 256:495-497(1975); Kozbor ら, Immunol Today 4:72(1983);またはCole ら, Monoclonal Antibodies and Cance Therapy, Alan R Liss Inc., pp. 77-96(1985)に元々記載されるハイブリドーマ技術等の、標準技術による表面抗体を生成するモノクローナル細胞集団を調製するために使用され得る。モノクローナル抗体を発現する細胞を作製する技術は、分泌抗体よりもむしろ表面抗体を選択するのに必要な改変と共に周知である(例えば、Current Protocols in Immunology (1994)Coligan ら(編)Jon Wiley & Sons, Inc., New York, N.Yを参照)。

リンパ球と不死化細胞株を融合するために使用される多くの周知のプロトコル のいずれかが、表面モノクローナル抗体を生成する細胞を作製する目的に適用され得る(例えば、Current Prtocols in Immunology, 上掲;Galfre ら, Nature 266:55052, 1977;Kenneth, In Monoclonal Antibodies:A New Dimension In Biological Analyses, Plenum Publishing Corp., New York, N.Y.,1980;およびLemer, Yale J Biol Med 54:387-402(1981)を参照)。さらに、当業者は、有用であるかかる方法の多くのバリエーションがあることを認める。

抗体を発現するポリクローナル細胞は、検出される抗原で適切な動物を免疫化することで作製され得る。抗原に対して指向される抗体分子を生成する細胞は、動物から単離され(例えば、血液から)、抗原をコートしたペトリ皿に対するパンニング等の周知の技術により更に精製され得る。モノクローナル細胞を作製する代替として、モノクローナル抗体をコードする核酸が、抗原を用いて組み換えコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリー(例えば、抗体ファージディスプレイライブラリー)をスクリーニングして、抗原に結合する免疫グロブリンライブリーメンバーを単離することで、同定および単離され得る。ファージディスプレイライブラリーの作製およびスクリーニングのためのキットは市販されている(例えば、Pharmacia Recombinant Phage Antibody System, カタログ番号27-9400-01;およびStratagene SurfZAP(登録商標)Phage Display Kit, カタログ番号240612)。さらに、抗体ディスプレイライブラリーの作製およびスクリーニングの使用に特に可能な方法および試薬の例は、例えば、米国特許第 5,223,409号; PCT 公開公報第WO 92/18619号; PCT公開公報第 WO 91/17271号; PCT 公開公報第WO 92/20791号; PCT公開公報第WO 92/15679号; CT Publication WO 93/01288; PCT公開公報第WO 92/01047号; PCT 公開公報第WO 92/09690号; PCT公開公報第 WO 90/02809号; Fuchs ら, Bio/Technology 9:1370-1372(1991);Hay ら, Human Antibod Hybridomas 3:81-85(1992);Huse ら, Science 246:1275-1281(1989);Griffiths ら, EMBO J. 12:725-734(1993)に見出され得る。

ライブラリーの所望のメンバーが同定された後に、特定の配列を任意の適切な核酸発現体(例えば、ベクター)にクローニングされ、線維芽細胞等の細胞にトランスフェクトされ得る。発現体はまた、抗体を発現する予定の細胞に適切な抗体配列に操作可能に連結されるアミノ酸をコードし得る。上記に議論するように、線維芽細胞成長因子レセプターの細胞質膜貫通配列は、検出される抗原に特異的な単鎖抗体に連結され得、抗原と接触される場合に細胞はカルシウムを移動する。別々の組み換え重鎖および軽鎖がキメラ抗体を形成するために線維芽細胞中で発現され得るが、単鎖抗体も適切である(例えば、Bird ら, Trends Biotechnol 9:132-137, 1991; およびHuston ら, Int Rev Immunol 10:195-217,1993)。

光子エミッター分子 所望の物質の細胞表面レセプターへの結合は、細胞内でシグナル伝達経路を誘発する。好ましいシグナル伝達経路は、B細胞、T細胞、肥満細胞、マクロファージ、および他の免疫細胞に見出される二次メッセンジャーカスケードであり、細胞表面レセプターの架橋はチロシンキナーゼを活性化し、次にホスホリパーゼCをリン酸化し、次にホスファチジルイノシトール4,5-ビスフォスフェート(PIP2)をイノシトール1,4,5-トリホスフェート(IP3)およびジアシルグリセロールに切断し;IP3は次にカルシウムチャンネルを開き、小胞体等の細胞内保存からカルシウムを放出するか、または細胞外にカルシウムを放出し、細胞の細胞質のカルシウム濃度を上昇する。レセプター型、細胞型、および所望のシグナル伝達法に依存して、G-タンパク質-アデニリル-サイクリックcAMPプロテインキナーゼAカスケード等の代替二次メッセンジャーカスケードが使用され得る。

同定される物質に応答して細胞の内部シグナル伝達をモニタリングする方法が提供される。内部シグナリル伝達が細胞質カルシウムの増大を伴う場合に、好ましい検出方法は、エクオリン、オベリン、タラシコリン、ミトロコミン(ハリスタウリン)、クリチン(フィアリジン)、メモプシン、ベロビン、Indo-1、Fura-2、Quin-2、Fluo-3、Rhod-2、カルシウムグリーン、BAPTA、カメレオン(A. Miyawaki ら,(1999)Proc. Natl. Acad. Sci. 96, 213540)または類似分子等のカルシウム感受性発光分子または蛍光分子である。カルシウム感受性分子を用いて可能にされた光の相対強度およびセンサー細胞保存特性は、特異的エミッター分子の光生成効率および活性化エミッター分子の半減期に依存し得るが、いくつかの場合に有意な特徴を提供する(例えば、改善された感度、定性検出または定量検出)。さらなる性能強化は、光タンパク質エミッター分子の天然補因子の構造アナログを用いることから生じ得る。生細胞によって取り込まれ得る様々なカルシウム感受性蛍光色素は、Molecular Probes, Inc., Eugene, Oregを含む市販供給源から市販されている。エクオリン、オベリン、タラシコリン、ミトロコミン(ハリスタウリン)、クリチン(フィアリジン)、メモプシン、ベロビンまたはカメレオン等のタンパク質は、遺伝子的に付加され、細胞に注入され、またはHIV TAT由来のタンパク質タグ(およそ、47〜57アミノ酸;A. Hoら(2001)Cancer Research 61,474-477)取り込みもしくは他の手段によって送達され得る。所望される場合、かかるレセプター分子は、小胞体の細胞質面、もしくは細胞膜、ミトコンドリア内部、または局所カルシウム濃度の変化が特に大きい他の場所を標的とする標的シグナルを含み得る。シグナル伝達経路の他の時点からの活性を検出する最適な方法はまた、シグナル伝達経路の成分に結合する蛍光基の蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)(S. R. Adams ら(1991) Nature 349, 694-697)等を用い得る。内部シグナル伝達は、反応性酸素種(例えば、スーパーオキシドアニオンラジカル、ヒドロキシラジカル、化合物IまたはIIのホースラディッシュペルオキシダーゼ等)の増大を伴う場合、好ましい検出方法は、光タンパク質ホラジン(34kDa糖タンパク質 bioluminescent mollusc, Pholas dactylusに由来する)または類似分子等の反応性酸素感受性発光分子または蛍光分子である。あるいは、任意のルシフェラーゼのためのレポーター遺伝子がシグナル伝達経路で誘導されるプロモーターに連結され得る。T細胞および肥満細胞等のいくつかの細胞で、シグナル伝達経路は、granzymes、tryptases、またはchyrnases等のプロテアーゼを含む顆粒のエキソサイトーシスを誘発する。これらのプロテアーゼのエキソサイトーシスは、色定量または蛍光定量法(例えば、プロテアーゼで切断されるペプチドに連結されたp-ニトロアナリンまたは7-アミノ-4-トリフルオロメチルクマリン(AFC)[S.E.Lavens ら(1993)J. Immunol. Methods 166, 93;D. Masson ら(1986) FEBS Letters 208, 84; R&D Systems])によって検出され得る。また、カルシウム流出または他のシグナル伝達イオン流出と関連する電子活性を検出する微電極または他の方法は、細胞のシグナル伝達応答をモニターするのに適切である。

適切なエミッター分子は、生物発光および蛍光分子を含む、上昇したサイトゾルのカルシウム濃度に応答して光子を放出する任意の分子である。1つのエミッター分子である生物発光エクオリンタンパク質は、Buttonら、Cell Calcium 14:663-671 (1993);Shimomuraら、Cell Calcium 14:373-378 (1993);およびShimomura、Nature 227:1356-1357 (1970)に記載されている。エクオリンは、小化学分子であるコエレンテラジンを酸化することにより光子を生じる。コエレンテラジンは、細胞膜を介して拡散するため、コエレンテラジンまたはそのアナログは、細胞を囲む培養培地に添加され得る。あるいは、コエレンテラジンを生成する酵素をコードする遺伝子が細胞に導入され得る。別の態様において、生物発光緑色蛍光タンパク質(GFP)(Chalfie、Photochem Photobiol 62:651-656 [1995]参照)または黄色蛍光タンパク質(YFP)が使用され得る。この態様において、細胞サイトゾルは、GFPおよびエクオリンの両方を含有する。サイトゾル中の上昇したカルシウムに応答して、エクオリンは、無発光エネルギー移動プロセスにおいてGFPにエネルギーを供与する。GFPは、次いで光子を放出する。あるいは、エミッター分子は、蛍光を誘導するのに適当な波長の光によって照射されるカルシウム感受性蛍光分子(例えば、indo-1)であり得る。

エクオリンまたは任意の他のエミッター分子は、当該技術分野で周知の方法によって細胞内に導入され得る。エミッター分子がタンパク質である場合(エクオリンの場合のように)、細胞は、タンパク質をコードする発現ベクター(すなわち、細胞内に導入された場合、エミッター分子を生成する核酸またはウイルス)を含み得る。発現ベクターは、染色体外に存在するか、または細胞ゲノム内に組み込まれ得る。

コンジュゲート抗原/タグ 1つ以上の抗原またはタグは、既知の抗原性エピトープを提供するため、分子に付加(本明細書ではコンジュゲートされるともいう)され得る。例えば、1つ以上の抗原がオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされ得、既知の抗原性エピトープを有する抗原-コンジュゲートオリゴヌクレオチドが作製され得る。抗原-コンジュゲート分子は、1つの抗原または同じか(of)異なるかのいずれかである多数の抗原を含み得る。例えば、限定されないが、検出のための分子にコンジュゲートされる抗原またはタグとしては、ジゴキシゲニン、ジゴキシン、ホスホコリン、フルオレセインまたは他のフルオロフォアおよびビオチンなどの小抗原、ならびにHIS、VSV-G、FLAG、およびC(AAKK)マルチマー(Corey、J. Am. Chem. Soc、(1995)117:9373-4に記載のような)などのペプチドが挙げられる。

オリゴヌクレオチド 従来のDNAおよびRNAプローブに加え、種々の修飾核酸が、配列特異的様式で標的核酸配列にハイブリダイズすることが示されている。これらとしては、ペプチド核酸(PNA)(Nielsenら、(1991)Science 254:1497-1500)、Bis-PNA(Griffithら、(1995)J. Am. Chem. Soc 117:831-832)、テイル-クランプ(Tail-clamp)PNA(Bentin (2003)Biochemistry 42:13987-13995)、PDループ(Bukanovら、(1998)PNAS 95:5516-5520)、偽相補塩基を組み込むPNA(Lohseら、(1999)PNAS 96 (21)11804-11808)、またはロックされた核酸(BraaschおよびCorey (2001)Chem. Biol. 8:1-7)が挙げられる。種々のこれらの修飾核酸は、ハイブリダイゼーション特性、安定性、親和性および特異性が異なる(have differ)ことが示されており、従来のDNA オリゴヌクレオチドの代わりに使用され得る(BeckおよびNielsen、pp. 91-114、Artificial DNA:Methods and Applications. CRC Press、Y.E. KhudyakovおよびH. A. Fields編に概説)。カチオンタンパク質、ペプチド、またはDNA結合タンパク質の結合は、ハイブリダイゼーション反応速度論を改善することが示されている(Corey (1995)J. Am. Chem. Soc 117:9373-9374;Zhangら、(2000)Nuc. Ac. Res. 27 (17)3332-3338)。

オリゴヌクレオチドの結合は、ヘルパーオリゴヌクレオチドの添加により改善することが示されている(O'Mearaら、(1998)Anal. Biochem. 225:195-203;Barkenら、Bio技術 (2004)36:124-132)。特異性は、未標識ヘアピン競合体プローブの添加によって改善され得る(Huangら、(2002)Nucleic Ac. Res. 30:(12)e55)。

標的へのハイブリダイゼーション後の未結合オリゴヌクレオチドの除去は、核酸配列の検出に必要ではないが、望ましくあり得る。未結合の標識オリゴヌクレオチドは、使用される特定のプローブの化学に応じて、サイズカットオフ、疎水性相互作用またはイオン交換を含む種々の従来のクロマトグラフィー技術を用いて除去され得る。

他の核酸結合分子 オリゴヌクレオチドは、特異的核酸配列を同定し得る唯一の分子ではない。タンパク質もまた、かかる識別ができ、エミッター細胞の表面上に発現され得、結合されると、カルシウム応答を開始する細胞質ドメインに組換えによって結合され得る。これには、例えば、抗体のFc部分に結合された核酸結合タンパク質が含まれる。エミッター細胞の表面上での核酸結合タンパク質の発現は、オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション前に二本鎖核酸を変性させなければならないことを排除し、さらに、該系は、必要な成分全てを生じ、外因的に合成されるオリゴヌクレオチドは必要とされない。可能な配列特異的DNA結合タンパク質としては、(1)DNA制限酵素(好ましくは、DNA切断触媒部位が除去または不活性化された、例えば、L. F. Dorner & I. Schildkraut (1994)Nucl. Acids Res. 22、1068-1074);(2)転写因子または他の特異的DNA-またはRNA結合タンパク質、特に目的の病原体または生物の特有DNAまたはRNA配列を認識するもの(例えば、HIV TAT転写因子:C. Brigatiら (2003)FEMS Microbiology Letters 220、57-65;ポックスウイルス転写因子:S. S. Broyles (2003)Journal of General Virology 84、2293-2303)が挙げられる。かかるレセプターを有するエミッター細胞は、特異的反復配列あるいは2つ以上の特有配列のいずれかを有する標的DNA/RNA上に架橋するように設計され得る。

捕捉オリゴヌクレオチド 検出には必要ではないが、沈降可能なまたは固相支持体上での標的核酸配列の捕捉は、アッセイ感度を改善し得る。単鎖DNA標的は、例えば、ストレプトアビジンコートポリスチレンまたは常磁性ビーズに結合されたビオチン標識捕捉オリゴヌクレオチドを用いて捕捉され得る。捕捉された物質は、適宜遠心分離または磁場への曝露によって未結合物質から分離され得る。ビーズへのオリゴヌクレオチド結合における中間結合反応(アビジン-ビオチン)の使用は、オリゴヌクレオチドを固相支持体に結合する直接コンジュゲーションを含む任意の相互作用が使用され得るため、必要となり得ない。また、捕捉オリゴヌクレオチドが結合され得る任意の固相支持体が十分である。これは、特異的捕捉オリゴヌクレオチドがアレイの特定の位置に配置される2次元アレイの形態であり得る。あるいは、標的核酸配列は、非特異的様式(例えば、イオン交換樹脂、沈殿、ヒストンまたはプロタミン結合)で捕捉され得る。標的捕捉はまた、標的核酸配列を濃縮する、および/またはアッセイ干渉を除去する。

多価 エミッター細胞刺激は、エミッター細胞に対して多価のようである抗原に依存する。一般に、これは、少なくとも2つの方法で達成され得る。第1に、多コピーの抗原が標的分子に結合され得る、例えば、多抗原コンジュゲートオリゴヌクレオチドを標的核酸配列にハイブリダイズさせ得る。第2に、各々に単一の抗原が結合された数コピーの標的核酸配列が互いに結合され得るか、または互いに近接して結合され得る (例えば、ビーズに結合される)。この例では、個々の標的核酸配列は、多価ではないが、多コピーの標的核酸配列が結合されたビーズが多価抗原を提示する。

反応チャンバ 本発明における使用に適した反応チャンバは、エミッター細胞および候補粒子が互いに混合され接触され得る任意の基材または容器であり得る。1つの態様において、反応容器は遠心チューブ(例えば、微小遠心管またはエッペンドルフチューブ)である。本明細書に記載のように、遠心分離は、最初に候補粒子またはエミッター細胞をペレット化するための特によく適合された手段であり、後に、他のものがこの最初のペレットに運ばれる。粒子および細胞の両方のペレット化をさらに増大させるため、チューブの側壁は、側壁にエミッター細胞が接着するのを妨げるため、ウシ血清アルブミンなどの非粘性担体タンパク質でコートされ得、チューブの底面は、標的粒子がチューブの底面に接着したままであることを確実にすることを補助するためにポリ-L-リジンでコートされ得る。細胞接着を妨げるか促進するかのいずれかである他のタンパク質または分子は、細胞生物学の技術分野で公知であり、本発明における使用に適切である。

カスタマイズされた試料ウェルジオメトリーを有する遠心チューブは、沈降しにくい粒子とのエミッター細胞相互作用を増大させるために遠心分離を使用し、スピン配列をカスタマイズする必要性を低減するさらなる態様を提供し得る。この態様において、分析される粒子含有試料は、試料チャンバの最大幅がエミッター細胞の直径とほぼ等しいチューブ内に配置される。濃縮されたエミッター細胞懸濁液を試料上に重層した後、遠心分離により、より小さな粒子間に多数の密に密集したエミッター細胞が運ばれるとともに、拘束されたジオメトリーによって、エミッター細胞抗体が粒子と相互作用する確率が上昇する。粒子への細胞会合抗体の結合により、不十分に沈降する粒子が捕捉され、エミッター細胞を有するチューブの底面に急速に引き付けられ、そこで、生じる光は、光電子増倍デバイスによって観察され得る。

別の態様において、反応チャンバは、2次元アレイのウェル、例えば、図面に示すような、マイクロタイタープレート、またはテープに沿ったスポットもしくはウェルである。これらの整列は、多数の試料および/または多数の標的粒子のいずれかの多重検出を可能にする。候補粒子および/またはエミッター細胞の自動送達では、反応チャンバまたは検体回収器およびエミッター細胞貯蔵器のいずれかが少なくとも2次元でアドレス可能である。アレイのウェルはまた、エミッター細胞と候補粒子との間の接触を容易にするため、遠心チューブについて上記のようにして粘性および非粘性コーティングで処理され得る。

検体回収器 異なるデバイスを用いて例えば、空気から試料が回収され得る。一般に、空気サンプリングデバイスは、中もしくは側を空気またはガスが通過する液体を含む、または空気もしくはガスが通過する際に微粒子(例えば、標的粒子)を捕捉する多孔質フィルターを含む回収チャンバを有する。液体を含む回収チャンバでは、回収液体は、遠心分離され得るか、またはそうでない場合は、液体から粒子が分離されるように処理され得る。分離された粒子は、次いで、反応チャンバ内に堆積される。フィルター(例えば、ニトロセルロース)を含む回収チャンバでは、フィルターまたはフィルターの一部が反応チャンバとしての機能を果たし得る。あるいは、粒子は、フィルターから洗浄され得るか、またはフィルターが溶解され得るか、またはそうでない場合は、粒子から除去され得る。フィルター回収チャンバはまた、フィルター中を流れる液体(例えば、水供給試料または脳脊髄液)から粒子が回収されるように適合され得る。また、上記のように、液体試料は、液体中に存在する任意の微粒状物質を除去するために遠心分離され得る。種々のサンプリング装置が公知であり、本発明での使用に利用可能である。SKC BioSampler(登録商標)および他のサンプリングデバイスを販売しているSKC, Inc.を参照のこと。

他の空気サンプリング装置が使用され得る。例えば、代替的なデバイスは、Air-O-Cellサンプリングカセット(SKC, Inc.)である。このデバイスでは、空気媒介粒子が加速され、種々の染色手順および顕微鏡検査に直接的に適切な粘着性スライドと衝突するようにされる。

エーロゾル微粒子は、インパクターとして公知のデバイス内での慣性分離を用いて回収され得る。回収される粒子を含有する空気フローは、目的の環境からインパクター内に引き込まれ、この場合、空気フローは衝突のための表面に向かって指向される。インパクター内での適切な幾何学的パラメータおよび流速により、十分な慣性を有する粒子は、流れの流線に従わないが、表面上に衝突する。表面に衝突する有意な割合の粒子が、静電的および/またはファンデルワールス相互作用を介して接着し、それにより、回収され濃縮される。このようにして、タンパク質(毒素を含む)、ウイルス、細菌(無性および胞子形態)、寄生虫、花粉ならびに他の検出可能な物質を含有するエーロゾル粒子が、本明細書に記載のデバイスおよび方法を含む、種々の利用可能なアッセイ技術を用いた検出のために回収され得る。

空気インパクターを用いるバイオアッセイのための乾燥試料回収は、消耗液および移動機構を低減または排除し、これがアッセイコストを削減し、自動化を単純化することにより、伝統的な空気から液体への試料回収と比べて一般的な利点を提供する。本明細書に記載のデバイスおよび方法に対する重要な利益のうち、乾式衝突を用いた回収は、個々の検体粒子の大きさとは無関係に、本明細書に記載のデバイスおよび方法のセンサー細胞の添加前に、回収されたすべての試料が表面上に位置することを確実にする。これにより、その流体中の沈降係数とは無関係にすべての検体の局在が達成され、それにより、本明細書に記載のデバイスおよび方法の感度が最大になり、時間のかかる工程が排除されることにより、多くのアッセイの実施が促進される。

上面に衝突した粒子のある割合を保持し、その後のバイオアッセイと適合性である任意の表面が回収表面として適切である。適当な物質としては、生物適合性金属、プラスチック、ガラス、水晶、エーロゲル、ヒドロゲル、紙などが挙げられる。これらの物質の特に有用な構造としては、マイクロ遠心チューブ、ハイスループットスクリーニングに使用されるマルチウェルプレート、連続テープ、フィルター、側方フローイムノアッセイのコンジュゲート放出パッドなどが挙げられる。回収効率は、生物学的粒子の接着を促進するコーティングの付加(これらのコーティングは、性質が化学的または生化学学的であり得る、例えば、ポリリジン)、回収に利用可能な表面積を増大するための増大された表面粗さ、および表面上の定められた領域内への粒子の堆積を促進するカスタマイズされた表面ジオメトリーを含む、回収表面への修飾によって増大され得る。さらに、回収効率におけるさらなる改善は、回収表面上の静電気および流入する粒子を、さらなる誘引力が生成するように操作することにより達成され得る。

さらなる改善は、回収表面上に衝突した空気試料の各ユニット内の粒子の数を増加させるため、回収器の上流の空気から空気への濃縮器を用いることにより、乾式衝突回収器に対してなされ得る。これにより、検出器の信頼性のある結果を提供するための十分な数のエーロゾル粒子を回収するのに必要とされる時間量が有意に低減され得る。

この回収概念の一例において、図23に記載されたインパクターは、市販のプラスチックチューブの底面上にエーロゾル試料を回収するように構成されている。ノズルはチューブ内で下方に向かって突出しており、排出部は、チューブの内側表面の湾曲部の半径部に配置されている。この配置により、デバイスセンサー細胞と最も接触しやすいチューブ底面上への粒子衝突の可能性が増大する。回収が終了したら、デバイスセンサー細胞を含有する一滴が、回収されたエーロゾル粒子を含むチューブに直接添加され、チューブ表面への細胞送達を促進するために5秒間スピンされ、放出された光が光子検出器(例えば、PMT、CCD、光ダイオードなど)を用いて測定される。この装置を用い、乾燥細菌胞子がエーロゾルから回収され得、光電子デバイスにより1分未満で直接同定され得る。この方法は、試料を回収するために使用された複数のチューブ、およびその後のアッセイを実施するための自動化システムを用いて実施され得る。少なくとも10の独立したアッセイを実施し得るシステムがどのようなものであるかの一例を図4、6、9、12および15に示す。アッセイが単一のチューブ(マルチプレックス型)内で多数の検体を見出すことが可能なものとなるアプローチを実施することにより、単一のアッセイサイクルで検出可能な物質の数は、利用可能なチューブの数よりも大きくなり得る。これは、異なる検体に対する親和性を有する複数の受容体を発現する個々の光電子検出デバイス細胞株を作り出すことにより、または異なる特異性を有する多数の細胞株を単一のチューブ内で合わせることにより行なわれ得る。

図4は、統合型生物学的エーロゾル警告センサー(BAWS)/光電子センサーシステムの概略図である。BAWS起動モジュールを用い、粒子の存在、例えば、予め決定されたサイズ範囲のものを予備検出する。規格を満たす粒子が検出された場合、BAWSにより、空気から空気への濃縮機が起動され、特定のサイズ範囲の粒子が回収され、乾式インパクターモジュールを介してウェル(例えば、反応チャンバ、チューブ)内に堆積されることを可能にする。乾式インパクターモジュールは、乾燥試料の回収を可能にし、反応チャンバ(例えば、チューブ)への細胞(例えば、エミッター(emitting)細胞)送達のためのシリンジモジュールと連絡している。輸送モジュールは、反応チャンバアセンブリ(1つ以上のチャンバまたはチューブを有する)を、粒子試料および細胞の沈降または混合のための遠心モジュールに移送するために使用される。遠心モジュールは、必ずしもそうでなくてもよいが、光子放出の検出のための光学/PMTモジュールと連絡したものであり得る。制御モジュールは、システムの操作の制御に有用である。

図6は、乾式インパクターモジュール概念の一例を示す。この例では、粒子試験試料が回収される空気から空気の濃縮機と連絡している、個々の試料チューブ(例えば、PCRチューブ)およびチューブ担体を含む、単独(例えば、プロトタイプシステム)ならびに多チャネルデバイスが示されている。

図9は、自動化され得る細胞送達の一例を示す。センサー細胞(例えば、エミッター細胞)はシステムに、ピペッターまたは他の送達装置を含み得るシリンジおよびシリンジポンプ配置によって導入される。この型のアセンブリにより、粒子試料(例えば、反応チャンバ(例えば、チューブ)内の試料)への、多数で同時のセンサー細胞の導入が可能になる。

図12は、粒子試料または細胞試料をスピンするために使用される遠心モジュール概念の一例を示す。試料チューブを有する担体は、装填機構を介して、担体を受容するのに適したローターアセンブリ内に導入される。ローターは試料をスピンさせる。ローターアセンブリは、シグナル回収(例えば、光子放出)のために光学モジュールと連絡しており、インデックス(indexed)モーターは、試料チャンバと検出器(例えば、光学モジュール)との整列を可能にするために使用され得る。

図15は、光学モジュールの一例を示す。正確な立体配置に応じて、該モジュールは、複数の試料の同時の試験を可能にする(例えば、反応チャンバ、チューブ内で)。その内部の担体およびチューブは、これらが、レンズアセンブリ(例えば、一体型反射板、レンズ)と、必要であれば、最終的に光検出器(例えば、PMT)と連絡するように、ユニットに導入される。PMTにより、シグナルが生成され、次いで、処理および表示のためのプロセッサに送られる。

図21は、統合型乾式インパクター/光電子センサーを示す。このセンサーでは、上記のモジュールは、ベルト駆動型担体輸送モジュールへ送達され得る30個の担体を保持するカセットと直線状に配置されるように組み立てられる。この輸送モジュールは、アッセイチューブを回収器から細胞送達モジュール、遠心モジュールへと逐次移動させ、最終的に、光子検出の終了後、確認試料保存モジュールに移動させる。この一体型センサーの全体のサイズは、ほぼ54インチ幅×33インチ高さ×22インチ深さである。

現実の試料は、アッセイを阻害するか(偽陰性)、または特異的抗原の非存在での応答を引き起こすか(偽陽性)のいずれかである物質を含有し得る。多くの場合では、これらの試料は、これらの物質を除去するためのアッセイ前に処理され得る。例えば、界面活性剤または血清因子などの可溶性物質は、物質がチューブの底面内に濃縮され、液体がアッセイ培地(Portal Shield試料)で交換される予備遠心分離工程によって除去され得る。不溶性の大きな微粒状物質は、物質の通過は許容するが汚染物質(ディーゼルまたは煙試料)は保持される細孔径(3〜5μm)の市販のフィルターを使用する濾過によって試料から除去され得る。試料は、シリンジフィルターを介して急速に処理され得、合計アッセイ時間はほんの数分しか増えない。

検体局在 エミッター細胞と候補粒子との間の接触を容易にするため、検体回収器または反応チャンバの一部として、異なる機構(遠心分離以外)が実装され得る。例えば、バイオエレクトロニクスデバイスにおける電気泳動、等電点電気泳動法、誘電泳動(dielectrophoresis)、磁気タグ化粒子などの使用が、本発明のシステムに統合され得る。例えば、Nanogen、Inc.に付与された米国特許第 6,017,696号および他の特許;Goaterら、Parasitology 117:S177-189、1998;ならびに米国特許第5,512,439号および同第4,910,148号ならびにDynal ASに付与された他の特許を参照のこと。

標的粒子(ここで、粒子は、エミッター細胞-タンパク質/毒素、ウイルス、細菌、寄生虫、核酸などによって認識される任意のものであり得る)を含有する水性試料と、エミッター細胞を含有する培地のアリコートとの混合により、粒子-細胞接触がもたらされ、光子放出速度の一過的な増大がもたらされる。混合プロセスの開始と最大発光割合との時間は、刺激に対する特定の細胞の特性応答、ならびに混合が起こっている時間(混合時間)ならびに粒子および細胞が混合後に接触するようになる典型的な時間(拡散時間)に依存する。

検出される光子のバックグラウンド割合は標的粒子の非存在下であっても存在するため(例えば、光子検出器およびその電子回路におけるバックグラウンドセル発光および熱雑音)、単一標的と細胞との相互作用から放出される光子を、このバックグラウンドと識別することは困難であり得る。シグナルとして有用であるためには、バックグラウンドのものを超えて検出される光子の割合に有意な増加がなくてはならない。与えられた試料について、この割合は、混合時間および拡散時間が最小限である場合、最大となる。標的粒子が試料中に存在する他の可能なシグナルとしては、ある期間においてバックグラウンド単独のものより上で検出される光子の総数の増加、検出された光子の統計学における変化、または検出された光子のスペクトルの質の変化が挙げられる。

拡散時間は、混合後、粒子と細胞との間の平均間隔を小さくことにより最小限とし得る。これは、粒子および/または細胞を、小容積の、しばしば、より大きな混合容積内の層内に局在させることにより達成され得る。しかしながら、粒子および/または細胞を局在させるための時間は、細胞の特性応答時間より長くてもよい。この局在の延長期間にわたる粒子と細胞との間の混合によって、より少ない割合の光子放出がもたらされ得、したがって、発光間の平均時間が増大することにより、より低シグナルがもたらされ得る。これを回避するため、一方または両方を、互いの接触を最小限にしたまま、別々に局在させるべきである。また、この局在により、混合時間の低減がもたらされ得る。

一般的に、粒子または細胞移動させるための手段としては、以下のもの:沈降(重力または遠心分離によって);流体フロー(強制または対流);電気力(電気泳動および誘電泳動);磁気力(磁気ビーズを使用);ならびに音響/超音波(定常波または進行波)が挙げられる。

局在は、チャンネルもしくは容器の固相表面、フィルターの表面、または最小場を囲む位置エネルギー障壁などの粒子および/または細胞が回収され得る障壁と組み合わせた粒子および/または細胞を移動させる手段を必要とする。例としては、沈降(細胞をチャンバの下方表面に局在させる);空気衝突(衝突した粒子は、回収表面上に粘着または沈降する);フィルタリング(粒子または細胞は、フィルターの表面または本体上に回収される);親和性捕捉粒子または細胞は、特異的または非特異的結合相互作用を介して局在され得る);磁気捕捉(固相表面、フィルター表面に対して、局在磁気力によってフィルターの本体内に保持された磁気ビーズ;ビーズは、粒子または細胞の結合を促進するための表面化学を有し得るか、または有し得ない);電気泳動(帯電粒子のみ;電極表面上への回収);ならびに誘電泳動(陽性:電極表面上への粒子または細胞の回収;陰性:最小電場領域内への回収)が挙げられる。

粒子および細胞の局在および混合は、上記の方法ならびに他のものを組み合わせることにより達成され得る。以下の表において、種々の局在/検出器の組合せの例を示す。若干数の代表例は、単一の光子検出器(PMTなど)と対照的に、光子検出器(CCDを含む)のアレイが使用される場合、粒子または細胞を2次元に局在させ、感度または異なる粒子間の識別における改善を可能にする方法を示す。

局在の例 以下の実施例の各々において、特に記載のない限り、試料は、短期間の細胞寿命および機能と適合性であり、おそらく標的粒子を含有する(しかし、以下の記載では粒子の存在を仮定する)水溶液のアリコートであることが仮定される。水性試料は、環境試料、臨床試料、空気試料から液体試料、洗浄スワブ試料または他の試料から得られ得る。空気試料は、駆動空気流(空気サンプラーまたは表面収集)、静電的捕捉または沈降した空気媒介粒子から得られ得る。細胞に対する言及は、その寿命および機能と適合性の水性培地中のエミッター細胞を意味すると理解されるべきである。接触させる粒子および細胞は、1つ以上の光子の放出をもたらすことが仮定される。単一またはアレイ光子検出器は、試料および細胞が混合されるチャンバの外部に存在し、チャンバ外部または内部のいずれかに、放出された光子を捕捉および検出を増強するためのさらなる光学部材(鏡、レンズ、光導波路など)が存在し得る。チャンバは、一部もしくは全体が透明であること、または放出された光子が検出器に達することを可能にする別の手段を有することのいずれかが仮定される。本発明の具体的な態様のさらなる記載を実施例に示す。

遠心分離 試料はチャンバ内で、粒子が沈降するのに十分な時間、遠心分離され得る。チャンバには、粒子を乱すことなく細胞が導入され得、粒子上に沈降させるために短時間で遠心分離され得る。光子検出は、スピン中または、より典型的にスピン後に行なわれ得る。

親和性捕捉(表面捕捉) 試料と接触しているその表面の一部が、試料中に存在し得る粒子を特異的または非特異的結合相互作用を介して結合および保持し得るように修飾されるマイクロ遠心チューブ、マルチウェルプレート、フィルターユニット、または他の適当なデバイス内に、試料が導入され得る。非特異的結合は、静電的/イオン交換相互作用、疎水性相互作用、親水性相互作用などを介して促進され得る。特異的結合は、粒子上の基質に結合する成分(例えば、抗体、受容体、糖タンパク質、タンパク質、ペプチド、炭水化物、オリゴヌクレオチドなど)を表面に固定化することにより、または粒子の表面上の受容体によって結合される成分(小分子、ペプチド、タンパク質、炭水化物など)を固定化することにより促進され得る。

親和性捕捉(移動性基材上) 表面上への親和性捕捉と同様だが、粒子は、本明細書に記載のものを含む種々の方法によって粒子または細胞を移動および/または局在させるためのさらなる手段を提供する移動性基材 (ポリマービーズ、細胞、帯電分子、磁気ビーズ、細菌など)に結合される。

フローセル エミッター細胞は、浅いフローセルに導入され、底面表面への結合が許容され得る;非付着細胞は、さらなるフローによって除去され得る。試料が導入され、細胞培地のほとんどを交換すると、粒子は、結合細胞上に沈降し得る。光子は、粒子接触細胞として放出される。

フローセル(多数細胞株) フローセルと同様、異なる標的粒子に感受性のエミッター細胞の異なる領域を有する。どの細胞が刺激され、したがって、どの標的粒子が試料中に存在するかの同定を可能にする画像化検出器による光子検出。

フローセル(磁気ビーズ) これは、フローセルと類似する。適切な磁気ビーズを試料と混合し、標的粒子がビーズに結合するのを可能にする。これらの修飾ビーズはフローセルに導入され、ここで、強力な局所磁場(永久磁石または電磁石による)により、結合された細胞上の表面に捕捉され得る。混合は、磁力を除去し、ビーズが細胞上に沈降することを可能にするか、または磁力を移動させてビーズを細胞が結合された表面に引き付けるかのいずれかによって開始され得る。

フローセル(電場) フローセルと同様、細胞が結合される表面およびそれに平行であって別の電極である表面(そのうち少なくとも1つは透明であり得る)を有する。試料が導入され得、細胞培地のほとんどを交換する。適切なDC電圧が電極と粒子との間に印加され、粒子が電気泳動によって結合された細胞に移動される。

テープ/灯心(Wick) おそらく標的粒子を含有する空気試料は、硬質または可撓性(例えば、テープ)、多孔質または非多孔質であり得る透明な表面上に衝突され得る。吸収性物質または芯材は、衝突領域周囲に、多孔質表面の場合は、表面の反対側に結合され得る。細胞は衝突領域上に配置され得、芯材により、過剰の培地が吸収され、細胞を含む、培地容量および深さが減少し、細胞を粒子に近づける。細胞は衝突された粒子上に沈降するか、またはさらに表面が後方に芯材物質を有する多孔質である場合、フローによってそれらに引き寄せられる。

空気衝突 おそらく標的粒子を含有する空気試料は、遠心分離に適した(固定され最初は空の)チャンバ内に衝突され得る。細胞は粒子を乱すことなくチャンバに導入され得る。短時間で遠心分離され、粒子上に沈降する。光検出は、スピンなし、スピン中またはより典型的にスピン後に行われ得る。

フィルターデバイス/磁気ビーズ チャンバおよび適当なフィルター(WhatmanTM、Mini-UniprepTMまたは同様のもの)を有するプランジャーからなる改良された無シリンジフィルターデバイスに、チャンバの底面表面に結合するようにされた細胞が負荷され得る;未結合細胞は洗浄除去され得る。試料は、適当な表面親和性で磁気ビーズとともにチャンバに導入され得る。適当な磁石が内部に挿入され、フィルターの裏側付近に固定された改良プランジャーは、捕捉された空気がフィルターを通って排出されるまで、チャンバに挿入され得る。このアセンブリは逆さにされ得、(ビーズがフィルターの表面上に沈降することを可能にする時間後におそらく)チャンバは、プランジャー上に押し下げられ得る。磁気ビーズおよび粒子は、濾過、沈降および磁気引力によってフィルター表面上に蓄積され得る。粒子は、磁気ビーズに結合され得るか、またはビーズ間に捕捉され得る。アセンブリを再度逆さにすると、磁気ビーズによって粒子は細胞から離れて保持され、次に、プランジャー内部の磁石によって保持される。その磁石を除くと、ビーズおよび粒子が放出され、短い間隔を超えて細胞上に沈降する。

フロー通過セル 細胞の1つ以上の層が、チャンバの底面の適当なフィルターまたは膜の表面上に沈降することが許容され得る。試料は、細胞上部のチャンバに導入され得、圧力が負荷され得る(例えば、プランジャーまたは外部ポンプによって)。試料が流れて細胞を通過するにつれ、これらは十分接触し、粒子は、細胞の近接した範囲内にもたらされ、接触が可能になる。

向流 細胞の1つ以上の層は、「セル」チャンバの底面の適当なフィルターまたは膜表面上に沈降することが許容され得る。試料は、いくつかのフローチャネルによってフィルターの下方の点のセルチャンバに接続された別個の「試料」チャンバ内に配置され得る。チャンバは、互いに対して、遠心機内で、試料チャンバは回転軸に近く;試料チャンバ内の流体のレベルは、セルチャンバ内の流体よりも回転軸に近くなるように配列され得る。この手段によって、遠心機の回転中、流体は、回転軸からの共通の間隔を求めてチャンバ間を流れる。これは、試料の一部を、外向きの遠心力による流れに対して保持された細胞および通過細胞を支持するフィルターを介して上方に押し上げ得る。試料が流れて細胞を通過するにつれ、これらは十分接触し、粒子は、細胞の近接した範囲内にもたらされ、接触が可能になる。

遠心チューブフィルター 試料は、適当なサイズカットオフを有する遠心チューブフィルターのフィルターバスケットに導入され得る。適切な遠心分離条件下では、試料をフィルターに強制通過させると、フィルターのカットオフサイズより大きい粒子が、フィルターの表面上に蓄積される。細胞は、フィルターバスケットに添加され得、短時間の遠心分離が与えられ、フィルター表面および粒子上にもたらされる。

誘電泳動捕捉 フローセルと同様だが、任意の表面上に、またはフローセル内に突出している適当な電極を有する。試料は、外部電源に接続され得、電気的に駆動され得る電極を通過する連続的な流れによって導入され得る。流速、周波数波形および振幅の適当な組合せで、粒子は、負の誘電泳動によって、細胞上方の最小電場強度の領域内に誘導され捕捉され得る。流れを停止させ、電極に対する電気的な駆動(場合によっては、電気泳動力を作出するための一部の電極間に対するDC電圧を含む)を変更した後、粒子は、結合細胞上に沈降するか、または(電気泳動または正の誘電泳動によって)運ばれ得る。

進行波誘電泳動 浅い柱状チャンバでは、適当な電極(場合によっては透明な)が、粒子を収集するための中心の平面電極、周縁部周囲の電極、および1組のスパイラル電極(中心的な1つとして同じ表面上、または反対表面のいずれか)を含む、平行な面の一方または両方に作製され得る。試料はチャンバに導入され得、DC電位が周辺電極および中心電極間に印加され、粒子が電気泳動によって中心電極に引き付けられ得る。液体の交換によって、細胞はチャンバに導入され得る。スパイラル電極を適切な位相シフトAC電圧でエネルギー供給すると、細胞が進行波誘電泳動によって中心に運ばれ得、そこで、粒子上に沈降し得る。

溶解可能な膜チューブ 遠心沈降による粒子の局在中、標的粒子とエミッター細胞との間の分離を維持するため、電気的に作動される溶解可能な金膜が利用され得る。いずれかの粒子は、細胞上方の膜上に沈降され得るか(図20に示すように)、または細胞は、別個のチャンバ(場合によっては挿入体)の底面に広がる膜によってチャンバの底面から離れて保持され得る。いずれの場合も、膜が電気的活性化によって溶解された後、粒子および細胞は、沈降、場合によっては遠心によって混合される。

音響/超音波 粒子の濃縮は、音響または超音波シグナルを用いて達成され得る。粒子は、サンドウェーブパターン内の節に蓄積され得るか、または進行波パターンによって移動され得る。細胞はまた、このようにして移動され得るか、または上記のいくつかの手段のいずれかによって送達され得る。

毒素検出 一価抗原を検出するためには、2つの一般的な戦略の1つを用いて、表面抗体の架橋を誘導することが必要である。最初に、細胞表面上の2つの独立した結合部位が、2つのレセプター分子が単一のリガンドに結合し得るように発現され得る。あるいは、リガンドが多価と思われる様式で細胞に提示されている場合は、1つの結合部位が細胞表面上で発現され得る。以下は、抗体-抗原認識のモデルを用いる具体例である。

最初に、各々が個々の分子の異なるエピトープ(エピトープ1および2)に特異的である2種類の抗体が単一の細胞株の表面上に発現され得る。2種類の抗体(エピトープ1に対する1つの抗体およびエピトープ2に対する別の抗体)への単一の分子の結合により、架橋および発光が開始される。より具体的には、単一のB細胞株が、各々が単一の分子の異なるエピトープを認識する2種類の独立した抗体を発現するように設計される。単量体抗原の存在により、表面抗体と架橋し得るようになり、細胞内Ca2+およびエクオリンによる発光の増大がもたらされる。ペスト菌および野兎病菌の両方に対する機能性抗体を発現する細胞株(内因的に発現されたPC抗体に加えて)を試験した(実施例参照)。これらの因子の各々は、この細胞株によって独立して認識され、これは、両方の抗体が機能的であることを示し、エミッター細胞が2種類の機能性抗体を同時に発現し得ることを実証する。

別の潜在的な問題は、光電子デバイスの感度および遠心力を用いてペレット化され得ない抗原を用いる方法である。ペスト菌 F1抗原は、溶液中で低分子量ポリマーとして存在し、したがって、本発明者らのアッセイでは沈降し得ない。しかしながら、F1に対する抗体を発現するB細胞は、可溶性F1抗原を5ng/mlで検出し得る。これは、現行のイムノアッセイ技術と好都合に比較され、光電子デバイスが可溶性物質に対して相当高感度であり得ることを示す。オボアルブミンにコンジュゲートされたホスホリルコリン抗原を用いて、補完的な実験を行なった。細胞表面上での抗体架橋を刺激するこの小抗原の能力は、多コピーのPCエピトープを含有するこの低分子量抗原が、表面抗体と有効に架橋し、カルシウム流入および光子放出を生じ得ることを示す。

第2の戦略は、遠心分離形式を利用することにより上記に示した一価抗原の検出の限界を改善し得る。このアプローチは、毒素抗体の1つが良性細菌の表面上で発現され、二次抗体がB細胞の表面上で発現されるスキームを利用する。ここで、毒素は、遠心分離によって沈降され得、二次抗体を発現するB細胞が添加され得る。多数の抗原が細菌の表面上に固定化されているため、毒素は、本質的にB細胞に対して多価と思われ、架橋事象および光子放出を開始する。より具体的には、単量体抗原(例えば、毒素)のエピトープ1に対する抗体は、細菌の表面上に発現される。可溶性毒素は、これらの抗体に結合し、細菌を毒素抗原でコーティングする。これらの毒素コート細菌は、エピトープ2に対する抗体を発現するB細胞の添加前に遠心分離によって沈降される。B細胞抗体の架橋は、エクオリンによる発光をもたらす。この戦略に関する実験結果は、細菌表面抗原の検出の実現可能性、およびB細胞の添加前の該細菌の沈降により生じる感度の上昇を示す。同様のアプローチはまた、B細胞への提示を改善するため、任意の不十分に沈降する物質に使用され得る。

架橋 標的粒子の架橋は、任意の公知の手段によって達成され得る。例えば、架橋は、1つ以上の中間物質またはペプチド、抗体、化合物、抗体、ビオチン、ストレプトアビジンなどの分子を用いて達成され得、また、架橋は、共有結合または非共有結合によるものであり得る。また、架橋方法としては、当該技術分野で公知の沈殿またはリガンド、抗体もしくは化学的官能基による固相への結合が挙げられる。

多重アッセイ 以下は、B細胞混合物が検出チャネル(チューブなど)の数を増やすことなく検出可能な抗原の数を増加させるためにどのように使用され得るかの記載である。多数の被検体を検出するための最も簡単な方法は、検出チャンネル1つに対して単一のエミッター細胞型を使用すること、および検出チャンネルの数を増加することにより細胞アッセイの数を増加することである。これは、少数のアッセイには許容され得るが、添加される被検体の数が増えるにつれて、プロセスはより複雑になり、資源集約的になる。しかしながら、異なるB細胞株が一緒に混合される場合、5-チャンネルのみのシステムにおいて共通の陰性対照を用いて、31までの試験を行なうことが可能である。

一例として、単一のチャンネルを有するものの場合、最大、単一のB細胞アッセイを検出し得る。しかしながら、2つのチャンネルを有する場合は、3つの別々のアッセイを検出することができ、このとき、各チャンネルは、3つの別々のB細胞株のうちの2つの等しい混合物: 例えば、 3つのB細胞株:A,B,Cを有し、2つのチャンネルに混合する場合、 2つは、チャンネル1:A、B チャンネル2:B、C を含む。

したがって、3つの陽性読み出し可能性がある。

同様に、3つのチャンネルを有する場合、4つの細胞株の群を一緒に混合することにより、7つの独立したアッセイを検出することができる。

(以下、本明細書において、個々の物質に対する細胞株をAから細胞株の数に対応する文字で表示し、チャンネル数は、各個々の物質を陽性に検出するために、どのチャンネルが必要とされるかを、以下のように、123:Fは、チャンネル1、2および3すべてが物質ID Fに対して陽性であると登録されるはずであることを示すように記載する簡便な省略表現を使用する)。

所定の数のチャンネルによって利用され得る独立したアッセイの数を単純に示す関係を具現化する式は、すべてのアッセイが等しい割合で混合されると仮定すると、 細胞アッセイ数=2n-1(式中、nはチャンネルの数である)であり、各チャンネルで混合される必要がある細胞アッセイの数は、2(n-1)で示される。

したがって、16種類の異なるB細胞株を一緒に混合するためには、31の異なるアッセイを指定(interrogate)するために5チャンネルが必要とされる。10-チャンネルシステムの設計は、実際、共通の陰性対照を用いて31の別々の物質にIDを提供するために使用され得る(5-チャンネル陽性ID、5-チャンネル陰性対照)。

4-チャンネルシステム(15の異なるアッセイ)のチャンネル混合物および陽性検出相関性を以下に示す。

さらなる詳細がなくても、当業者は、上記の開示および以下の実施例に基づき、本発明をその最大の程度まで利用することができると考える。以下の実施例は、当業者がどのようにして本発明を実施し得るかの単なる例示と解釈されるべきであり、残りの本開示をいずれの様式でも制限するものではない。

(実施例) 図1は、本発明の一般的な細胞成分を示す概略図である。エミッター分子(ここでは、エクオリン)を含有する細胞(ここでは、B細胞)は、その表面上に存在する抗体を有する。これらの抗体は、生物学的兵器物質などの標的粒子上の抗原に特異的である。B細胞上へ抗体への標的粒子の結合により、2種類以上の抗体を細胞表面上で互いに接近させ、細胞内貯蔵から細胞質へのカルシウムの放出をもたらすシグナル伝達カスケードが引き起こされる。細胞質カルシウム濃度におけるこの増加は、エクオリンに光子を放出させる。次いで、光子は捕捉され、CCDなどの光電子増倍デバイスによって記録される。したがって、細胞バイオセンサーは、機能的表面抗体を有し、増大したカルシウム濃度に応答する細胞質エミッター分子を含有する細胞を用いて実行され得る。

かかる細胞系検出システムは、任意の標的粒子上の任意の抗原の迅速で感度がよく、特異的で正確な柔軟性のある検出を提供する。柔軟性に関して、システムは、任意の標的粒子または標的粒子の群に対して改良され得る。一例において、単一のエミッター細胞は、各型が標的粒子の非重複基に特異的である複数の抗体型を含有し得る。この単一のエミッター細胞は、次いで、一属の標的粒子種を一度に同定するために使用され得る。

第2の例において、反応チャンバは、2つの型のエミッター細胞を含み得る。1つの型のエミッター細胞は、一属の標的粒子(例えば、細菌)に特異的である抗体を含有し、該属の任意の一員との接触に応答して第1の波長の光子を放出する。第2の型のエミッター細胞は、該属内の特定の種(例えば、ペスト菌)に特異的である抗体を含有し、該種との接触に応答して第1の波長と異なる第2の波長の光子を放出する。この構成は、偽陽性シグナルを低減または排除することにより極めて高い精度をもたらす。第1および第2の波長の光子が検出された場合のみ、陽性事象が記録される。エミッター細胞特異性のこのネスティング(nesting)は、偽陽性シグナルを低減または排除するため、必要に応じて、2つより多くのレベルに拡張され得る。

図2は、本発明のための一般的な構造および使用環境の概略図である。

図3は、本発明の一態様に使用される分子生物学の概略図である。この例では、エミッター分子(例えば、エクオリン)を発現するが、抗体は発現しない万能B細胞株は、任意の抗原に対して特異的な任意の抗体を発現し得るB細胞を作製するための基礎となる。抗体発現ベクターは、万能B細胞に導入され、発現ベクターの存在について選択され、本発明の検出システムにおける使用のために拡大される。この戦略を、pDisplayおよびVKExpress (上記の「抗体」のセクションに記載)と一緒に使用し、種々の標的に対する標的特異的エミッター細胞を作製した。口蹄疫ウイルス(FMDV)、ベネズエラウマ脳炎(VEE)ウイルス、ペスト菌、野兎病菌、ブルセラ種、コレラ菌の01および0139菌株、ならびにオルトポックスウイルスに特異的なエミッター細胞を作製した。FMDV抗体の可変領域のcDNAおよび配列は、USDAから得た。ペスト菌、野兎病菌、ブルセラ種、コレラ菌の01および0139菌株の抗体の可変領域のcDNAおよび配列は、NMRCの研究員から得た。VEEおよびオルトポックス抗体の可変領域は、それぞれCDCおよびUSAMRIIDから得たハイブリドーマからクローニングした。口蹄疫ウイルス(FMDV)、ペスト菌、野兎病菌、およびベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)は、それぞれ、口蹄疫、ペスト、野兎病、および脳炎の原因である。ハイブリドーマからのクローニングは、いくつかの既刊論文に記載されたプライマーの組合せを用いて行なった。バチルスグロビギ(Bacillus globigii)に特異的なエミッター細胞は、この非病原性細菌が生物学的兵器物質検出システムの実地試験における試験生物として、いくつかの軍事機関によって使用されるため、作製されている。図5は、FMDV特異的エミッター細胞のいくつかのクローンを生FMDV標的と接触させたときの光子放出応答を示す折れ線グラフを含む。各場合において、エミッター細胞は、標的および細胞間の接触後、約20〜30秒以内に光子を発した。グラフに含まれるのは、エミッター細胞に結合することが予測され得ない変異型FMDV(ウイルスコートタンパク質内に単一アミノ酸変異を有する)をエミッター細胞クローンと接触した場合での、発光の欠如を示すデータである。陰性対照は、検出システムに組み込まれる高い特異性を支持する。

種々の立体構造の遠心機および光電子増倍管(PMT)構成が、本発明のシステムに組み込まれ得る。該構成は、スイングハーネスから試料マイクロ遠心チューブをスピンさせるローター(モーター)を含み、固定位置のバランスチューブを含む。PMTは、底面に示され、静止時の試料チューブの底面端に向かって上側を向いている。エミッター細胞よりも小さい標的粒子の典型的な実験では、粒子含有液体試料は、試料チューブ内に配置され、粒子の大部分がチューブの底面に沈降するのに十分な条件下(例えば、野兎病菌では、5600 x gで60秒間)で遠心分離される。エミッター細胞の懸濁液が、次いで、チューブ内の試料上に重層され(沈降粒子を乱さないように)、短時間スピンされ、細胞をペレット化して標的粒子と接触させる。標的粒子が候補粒子中に存在する場合、特異的波長の光子が細胞から放出され、捕捉され、PMTによって記録されるはずである。

具体的な態様において、PMTは、Stanford Researchシステム SR400 Two Channel Gated Photon Counterとインターフェースで連結されるHamamatsu HC 125-08 PMTであり得る。遠心機は、スイングバケット立体配置を有するSapphire 17 turn、18.5 AWG、5アンプモーターであり得る。

遠心チューブ(反応チャンバ)は、候補粒子とエミッター細胞間の接触を補助するため、必要に応じて、改変およびグレードアップされ得る。図20に示す一態様において、チューブは、チューブの底面に予め負荷されたエミッター細胞を収容する閉鎖区画を含む。この区画は、溶解可能な金アノード膜によってチューブの残部から分離されている。操作において、候補粒子を含有する同じものが、チューブ内に堆積され、スピンされて候補粒子を膜に濃縮する。次いで、膜を溶解し、チューブを短時間スピンして粒子をエミッター細胞と接触させる。この溶解可能な膜システムは、Langerおよび共同研究者によるAngewantde Chimie International Edition 39:2396-2407、2000;ならびにNature 397:335-338、1999に記載されている。

遠心分離プロセスにおける工程は、ユーザーが遠心機を全く停止する必要がないように自動化され得るか、または代替的に設計され得る。例えば、液体および試料の導入および除去は、Beckman Instrumentsから入手可能な調製用遠心機(例えば、超遠心機)の機械的特徴を採用することにより、ローターを停止する必要なくなされ得る。また、求心力がなお負荷されている間(例えば、遠心分離なしで、エミッター細胞と標的粒子間の接触が不安定な場合)に光子放出を検出することが望ましい場合がある。スピン中に試料チューブから放出された光子を検出するため、PMTは、ローター軸に対して径方向の位置に配列され得る。ほとんどの場合、この配置におけるPMTは、試料チューブとともにスピンする必要はないが、代わりに、固定され、試料チューブがPMTの前を通過すると、単純に光子の放出を記録し得る。発光シグナルが非常に弱い場合、検出器(例えば、PMT、CCDチップ)が、ローターに連結され、試料チューブとともにスピンされ得る。あるいは、多数のPMrが、発光の検出のために、ローター周囲に周囲にアレイ状にされ得る。

多数の試料が同じローターにおいてスピンされる場合、PMTの位置決めまたはシグナル処理は、必要であれば、変更され得る。1つの態様において、ローターは、各々が同じ波長で発光する細胞を含む4つの試料チューブを収容する。1つの試料から生じる発光を別のものからの発光と識別するため、単一の径方向に整列されたPMTは、発光を連続的に検出し得る。連続的な発光データは、次いで、各試料の位置を経時的にモニターし、発光を各試料に割り当てるローターからのタイミングトレースを用いて分離される。他の変形例が本発明の範囲内であることが理解される。例えば、図17は、ローターに連結され、チューブの下方に2つのPMTが整列された2つの反応チューブの概略図である。静止位置では、ローターは、ローター位置エンコーダを用いて、対応するPMTの下方の各チューブを位置決めする。別の例において、図17に示す遠心分離システムは、図18に示すシステムが得られるように空気試料収集装置と統合され得る。径方向のエーロゾルインパクターチューブは、米国特許第5,932,795号およびそこに引用された参考文献に記載のものなどの任意の型の粒子モニターを含み得る。さらに別の例では、図18に示されたシステムは、図19に示されるような、ローター軸に対して径方向に整列された1つのPMTのみが必要とされるように改変され得る。上記のように、PMTによって記録された発光は、シャフトエンコーダを用いて、各試料チューブについて分離される。

図17に戻って参照するが、限定されないが、特異的生物物質を認識するように操作されたB細胞の懸濁液、バッファー溶液、保存剤、細胞培養培地を含む流体成分は、いくつかの遠心チューブの各々に配置され、別々のプロセスにおいてエーロゾル試料から事前に回収された試料粒子の液体懸濁液と混合され得る。粒子としては、限定されないが、タンパク質、ペプチド、化学物質、ウイルス、無性および胞子形態の細菌、真菌胞子、花粉粒子、原生動物、血液もしくは組織由来細胞、およびその断片(単独または塵などの担体粒子と合わせてのいずれか)が挙げられ得る。スピンモーターが始動されると、遠心チューブは、径方向の位置にスイングアウトし、B細胞および/または試料粒子は、粒子のサイズおよび密度に応じた速度で遠心チューブの底面に運ばれる。細胞および試料含有流体が添加され遠心分離される正確な順序は、シグナルが最大となるように、その相対沈降速度に基づいてカスタマイズされ得る。一般に、最大光子出力は、B細胞の添加前にこれらの試料を適切な時間スピン(プレスピン)し、スピンして接触させることにより、B細胞よりもゆっくり沈降する粒子から得られ得ることが予測される。B細胞と同様またはより早い速度で沈降する粒子では、混合された試料およびB細胞成分の1回のスピンは、システムからの最大光子出力を開始する。遠心分離デバイスの上流に組み込まれた粒子サイズ分析装置(限定されないが、BAWSユニット、および流体粒子析装置を含む)からのデータを用いて、最適操作順列が自動的に決定され、適切なコンピュータ制御自動化試料取り扱いが開始され得る。

「スピンサイクル」を終了し、ローターを、スピンモーターおよびシャフトエンコーダによって制御される予め決定された位置で制御して停止させると、スイングアームが重力下で、遠心チューブの底面が光電子増倍管の感度表面に提示されるように回転し、次いで、任意の光シグナルが記録される。この実施の改良型では、単一の光電子増倍管は、ローター/チューブ立体配置の最大半径に位置され、光電子増倍管の感度表面を連続して通過するときに各チューブから、光子を収集するために使用され得る。個々のチューブから測定される光子出力は、シャフトエンコードシステムのモニタリングに基づいて割り当てられ、合わされ得る。

図18に戻って参照するが、エーロゾル粒子の回収のプロセスは、エーロゾル粒子をB細胞と接触させるプロセスに統合されている。ここで、遠心チューブは、スピン中、径方向のインパクターチューブの末端を覆うことを可能にするスイングアームに結合されており、エーロゾル試料が、回転している径方向のインパクターチューブにおいて空気に対する遠心力の作用によって試料供給口内に流れるように導入される(必要に応じて、さらなる送風ユニットによって補助され得る)。高速の流れは、遠心チューブの内側表面またはチューブ内に含まれた液体の表面上へのエーロゾル粒子の衝突を引き起こし、それぞれ、チューブの表面上または液体への粒子の捕捉をもたらす。液体が存在する場合、液体に作用する遠心圧力は、液体中への粒子捕捉に必要とされる高速の空気流によって付与される力を均衡させ、衝突空気によって吹き飛ばされるのを妨げる。エーロゾル粒子は、チューブ表面または液体との衝突後、保持され、液体回収の場合は、径方向に外側に押し流され、それにより、最大半径(遠心チューブの底面)において局所粒子濃度の増大が提供される。B細胞の添加および回収相の後の局所濃縮粒子ゾーン内へのスピンにより、光子出力が開始される。あるいは、B細胞は、回収中、流体内に存在し得、単一の光電子増倍管とのスピン中に光出力がリアルタイムでモニターされ得る(図19)。この実施の改良型では、流体成分(限定されないが、代替的なバイオエーロゾル回収器により回収された粒子試料、および操作されたB細胞の懸濁液を含む)が、供給口(1つまたは複数)に添加され得、遠心力を用いてチューブに分配され得る。

「スピンサイクル」を終了し、ローターを、スピンモーターおよびシャフトエンコーダによって制御される予め決定された位置で制御して停止させると、スイングアームが重力下で、遠心チューブの底面が光電子増倍管の感度表面に提示されるように回転し、次いで、任意の光シグナルが記録される。この実施の改良型では、単一の光電子増倍管は、ローター/チューブ立体配置の最大半径に位置され、光電子増倍管の感受性の表面を連続して通過するとき、各チューブから、光子を収集するために使用され得る。個々のチューブから測定される光子出力は、シャフトエンコードシステムのモニタリングに基づいて割り当てられ、合わされ得る。

図7は、連続遠心分離の結果の概略図である。エミッター細胞より小さいが、エミッター細胞と同じ密度を有する標的粒子では、最初に候補粒子(例えば、高速で)をスピンしてペレット化することが有益である。その後、エミッター細胞が添加され、その応答性の低下を抑制するため必要に応じて(上列)穏和にし得る条件下でスピンされ得る。また、遠心分離のこの順序は、ほとんどすべての候補粒子およびエミッター細胞を、遠心チューブの底面の比較的小容積内に押し込む。対照的に、候補粒子およびエミッター細胞を一緒に混合し、一度にスピンすることにより、粒子とエミッター細胞間の接触よりむしろ分離がもたらされる(中列)。もちろん、全くスピンしないことにより、反応における粒子およびエミッター細胞の有効濃度が劇的に低下する(下列)。

図8は、実際の実験において、図7で提案される結果が確認されることを示す折れ線グラフを含む。野兎病菌に特異的なエミッター細胞を、図7に示す3つの方法で死滅された野兎病菌細胞と混合した。折れ線グラフに見られるように、連続スピン方法は、接触後、高速で効率的な発光をもたらした。対照的に、単一スピン方法の発光プロフィールは、タイミングおよび大きさの両方において明白さがはるかに低かった。スピンなしの方法ではかろうじて反応が示された。

図8に示す折れ線グラフに要約されるように、類似した発光プロフィールが別々の実験において生成された。発光トレースの検査により、単一スピン方法により、2スピン方法より少し速い標的特異発光がもたらされることが示された。しかしながら、この結果は、主に、2スピン方法に必要とされるより長いスピンの結果であり、B細胞の応答時間における実際の改善を改善しないことがわかった。実際、2スピン方法の初期の傾きは、単一スピン方法よりも有意に大きく、2スピン方法が強いエミッター応答をもたらしたことを示す。

図8に示す検出システムの感度を、遠心チューブ内に堆積された野兎病細胞の数を滴定することにより評価した。結果を図10に示す折れ線グラフに要約する。25,000エミッター細胞が、約5,300の野兎病標的粒子に応答してバックグラウンドより上の検出可能な光子を放出することができたようである。反応条件のさらなる最適化により感度が増大することが予測される。

細胞応答は、単一の凍結-解凍サイクル後に改善される(図22参照)。この実験において、ペスト菌(YP)に特異的な細胞を遠心分離し、凍結培地(10%DMSOおよびさらなる10%FBSを有するRPMI)に再懸濁し、-80℃で凍結し、液体窒素に移した。細胞を37℃で解凍し、1ml(2 x 106)細胞を4mlのRPMI中に希釈し、一晩37℃でインキュベートした。翌日、細胞に2時間コエレンテラジンを負荷し、CO2独立培地(CO2-I)中で洗浄し、24時間回収した。10,000細胞を5 x 105YP(107/mlのYPを50ul)で刺激した。未処理細胞は、1秒あたり9500光子の応答を示したが、凍結解凍細胞は、YPに応答してほぼ6倍多い光子を放出した。この刺激効果は、実際に凍結せずに細胞を凍結培地に曝露することにより、大きく複製され得た(5倍刺激)。凍結培地中の刺激因子はDMSOのようである。細胞を2%DMSO(10%DMSOを含有する凍結培地中1mlの細胞を4mlの通常培地に希釈した場合のDMSOの最終濃度)で処理した場合、類似したレベルの刺激が検出された。DMSO効果は、いくつかの因子によるものであり得る。DMSOは、造血系細胞分化に作用することが知られており、この経路を介して細胞を刺激し得る。さらに、グリセロールを含有する培地中で凍結された細胞もまた、類似したレベルの刺激を示す。したがって、該効果はまた、一部、DMSOによって導入されるストレス応答によるものであり得るようであり、「熱ショック」応答を刺激する任意のいくつかの条件を用いてこの刺激を複製することが可能であり得る。

細胞は、コエレンテラジン-負荷状態で凍結保存され得る。細胞にコエレンテラジンを負荷し、24時間回収し、次いで凍結した。解凍時、細胞を10mlのCO2-I培地により洗浄し、細胞を5 x 105細胞/mlの濃度にCO2I培地に再懸濁した。これらの細胞はYPを検出することができた(この場合、解凍後の約1時間だが、より短時間も可能である)。これらの細胞は、室温で保存した場合、数日間、物質を検出し得るままであった。コエレンテラジンの負荷および凍結前でのDMSOでのこれらの細胞の前処理により、解凍後の物質への細胞の感度が増大し得る。

図22において、細胞を、種々の細胞処理後にCO2-I中で希釈した50ulの10,000,000YP/mlで刺激した。未処理:細胞をRPMI中で培養し、コエレンテラジンを負荷し、洗浄し、24時間回収し、YPで刺激した。凍結/解凍:細胞をRPMI中で培養し、凍結培地に移し、凍結した。解凍した細胞(1ml)を4mlのRPMI中に配置し、37℃で24時間インキュベートし、コエレンテラジンを負荷し、洗浄し、24時間回収し、刺激した。凍結培地:細胞をRPMI中で培養し、凍結培地に移し、室温で10分間インキュベートした。細胞(1ml)を4mlのRPMI中に置き、37℃で24時間インキュベートし、コエレンテラジンを負荷し、洗浄し、24時間回収し、刺激した。2%DMSO:細胞をRPMI中で培養し、2%DMSOを含有するRPMIに移し、37℃で24時間インキュベートし、コエレンテラジンを負荷し、洗浄し、24時間回収し、刺激した。

首尾よい生物学的兵器検出システムは、戦場に存在する一般的な環境物質による汚染に抵抗性であるべきである。エミッター細胞が環境ストレスまたは汚染下で機能し得るかどうかを評価するため、1時間の十分な濃度のディーゼル排気へのエミッター細胞の曝露後(図11の左折れ線グラフ)、またはエミッター細胞が107大腸菌によって汚染されたとき(図11の右折れ線グラフ)、エミッター細胞を標的粒子と混合し、これを、任意の実地細菌の代理汚染物質として使用した。図11に示されるように、試験した具体的な化学物質および生物学的汚染物質は、標的粒子に応答して光子を発するエミッター細胞の能力に影響しなかった。

図13〜14は、遠心分離を必要としない本発明の異なる態様を示す。図13の概略図は、この態様の種々の成分を示す。生物学的エーロゾル警告センサー(BAWS)は、例えば、予め決定されたサイズ範囲内の粒子の存在を検出する。BAWSの一例は、Primmerman、Lincoln Laboratory Journal 12:3-32、2000に記載されている。仕様に合う粒子が検出された場合、BAWSは、図14に異なる図で示す第1ステーションの検体テープの一部に特定のサイズ範囲の粒子が回収され、ウェル(反応チャンバ)内に堆積されることを可能にする空気から空気への濃縮機(検体回収器;米国特許第5,932,795号に記載のような)を起動する。候補粒子がウェル内に堆積された後、テープは、エミッター細胞貯蔵器の下でPMTの上の第2ステーションに進む。標的粒子上の特定の抗原に特異的なエミッター細胞はウェル内に堆積され、ウェルから放出された光子がモニターされる。

BAWSによって候補粒子が検出される時間中、候補粒子は、テープが第1ステーションを通って進むにつれて、連続ウェル上に堆積され得る(図14)。第2ステーションでは、各々が異なる標的特異性を有するエミッター細胞を含む複数のエミッター細胞貯蔵器が、異なるエミッター細胞がウェル内に堆積される位置に特定の貯蔵器を回転させるタレット上に置かれる。この様式において、図14のウェルの上面概略図に示すように、候補粒子内の異なる標的が検出され得る。もちろん、異なるエミッター細胞が異なる波長で発光する場合、第2ステーションの下のPMTが異なる波長の光子を識別し得る限り、異なるエミッター細胞を、候補粒子を含む単一のウェルに堆積させることが可能である。

図16は、本発明のシステムのまた別の態様を概略的に示す。この態様において、空気粒子は、第1ステーションの2次元アレイ(例えば、6列および数百の欄を有するテープ)の1列内の6つのウェルの各々に堆積される。アレイが1列ずつ進行し、第2ステーションにおける列が位置決めされるにつれて、異なるエミッター細胞が列内の各ウェルに堆積され、6つのすべての反応からの発光が、第2ステーションの下の一列のPMTによって同時に検出される。テープ上のウェルへの粒子の接着を回避するため、ウェルは接着剤または液体でコートされ得る。

具体的な実施例 方法および材料 細胞培養およびトランスフェクション M12g3R細胞を37℃で5%CO2の加湿雰囲気において、10%ウシ胎児血清、1-mM ピルビン酸ナトリウム、2-mM L-グルタミン、100-μM非必須アミノ酸、50-μM 2-メルカプトエタノール、50-μg/mlストレプトマイシンおよび50-U/mLペニシリン(Life Technologies)を補充したRPMI 1640中に維持した。細胞をエレクトロポレーション (270 V、950μF)により線状化pCMV.AEQ.IRES.NEO [11](20μgのDNA/107細胞)でトランスフェクトし、1-mg/mL G418中で2週間選択した。抗生物質耐性細胞を、10μMコエレンテラジン(Molecular Probes)を有する成長培地中で2時間室温でインキュベートし、ホイルで覆い、2回洗浄し、成長培地中に再懸濁した。ルミノメーターにおいて抗マウスIgM F(ab')2に応答した光子放出について細胞をスクリーニングした。

U937細胞を、10%ウシ胎児血清を補充した RPMI 1640中に維持した。トランスフェクションの前日、細胞を5 x 106/mLまで希釈した。翌日、2 x 107U937細胞をHBSS中で1回洗浄し、900μlのHBSS中に再懸濁した。20マイクログラムの線状化pCMV.AEQ.IRES.NEOを細胞に添加し、10分間室温でインキュベートした。次いで、混合物をエレクトロポレーションキュベット(0.4cm)に移し、250Vおよび975μFでエレクトロポレーションした。細胞を37℃で48時間成長培地中でインキュベートし、次いで、96ウェルプレート内での限界希釈によって5-μg/mlブラスチシジンを含有する培地中でクローニングした。10〜14日後、コロニーを選択し、スクリーニングのために培養した。クローンにコエレンテラジンを負荷し、5-mMイオノマイシンに対する応答についてスクリーニングした。陽性クローンをさらに拡大し、特徴付けした。

抗体発現ベクター 軽鎖発現ベクターVKExpressは、ヒト伸長因子1α(EF-1α)プロモーターの制御下のマルチクローニング部位(MCS)のヒトκ遺伝子下流の定常領域を含む。

重鎖ベクターを、pDisplay(Invitrogen)を修飾し、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターおよびリーダー配列を保持するが、血小板由来増殖因子受容体膜貫通ドメインを、マウスIgMの膜結合定常領域の遺伝子で置き換え、MCSの両側の両方のタグを除去することによって作製した。マウスIgMであるCμMの膜結合定常領域のゲノム配列を、EcoR IおよびNot I部位(それぞれ5'および3')を含むプライマーを用いたPCRによって増幅した。平滑化EcoR I部位を用いて調製し、Not Iで消化した挿入物を、平滑化Bsm Iを有し、Not I で消化したpDisplay-hygro内にクローニングした。Cla IおよびBstB I制限部位をPCRによってそれぞれhygro(登録商標)遺伝子の5'および3'末端に付加し、新しい抗生物質耐性遺伝子をpDisplayの該部位内にクローニングすることにより、ネオマイシン耐性遺伝子をハイグロマイシン(hygro(登録商標)、pcDNA3.1 Hygro、Invitrogenから得た)に対する耐性を賦与するもので置き換えた。適切な制限部位がPCRを用いて抗体可変領域に付加され、すべてのPCR産物の配列は、発現構築物内へのクローニング前に確認される。

クローニング抗体遺伝子 RNAを、製造業者の推奨に従って、Trizol試薬(Life Technologies)を用いて抽出し、第1の鎖合成を、Retroscriptキット(Ambion)を用いて行なった。PCRは、5'末端のリーダー配列またはフレームワーク領域および3'末端の定常領域またはフレームワーク領域にアニーリングするように設計されたプライマー組を用いて行なった。発現ベクターへの可変領域のクローニングは以下のようにして行なった。該配列を含むプライマーを用いてPCRによってApaL IおよびBamH I制限部位を軽鎖可変領域の5'および3'末端に付加し、VKExpress内にクローニングした。重鎖可変領域(VH)を、HAおよびmycタグを除去するための2工程プロセスでpDisplay-CμM内にクローニングした。最初に、重複伸長PCRを用いて、VHをCμMの最初の300塩基対(bp)に融合すると同時に、Bgl II制限部位を5'末端に付加した。挿入物をBgl IIで消化し、また、これを定常領域の293bpの位置で切断し、同じ酵素で消化したpDis-CμM内にクローニングした。第2の重複伸長産物により、VHをIgκリーダー配列に融合させ、これを、Kpn IおよびBgl II部位を用いてそこにクローニングした。続いて、本発明者らは、両方のタグを除去する単一のクローニング工程を可能にするために、リーダーのすぐ後にBgl II部位を有するpDisplay-CμMベクターを作製することにより、このクローニングプロセスを変形した。

CANARYアッセイ 2%DMSOが添加された成長培地中でのインキュベーションによって、5 x 105細胞/mLの濃度で、ルミネッセンスアッセイのためのB細胞を調製した。20〜24時間後、細胞を50-μMコエレンテラジン(Molecular Probes、Eugene、OR)を有するアッセイ培地[CO2-独立培地、10%ウシ胎児血清、50-μg/mlストレプトマイシン、50-U/mlペニシリンおよび250-ng/mLアンホテリシンB (Life Technologies)] 中、暗所内で室温で2時間インキュベートした。次いで、細胞を2回洗浄し、1.5-mLマイクロ遠心チューブ内のアッセイ培地中に5 x 105細胞/mLの最終濃度で再懸濁し、一晩室温で回転させた。

試験試料をアッセイ培地中で希釈し、最大速度のスイングバケットまたは水平型遠心機において、0.2-mLまたは1.5-mLチューブ内で2分間遠心分離した。B細胞を反転によって静かに混合し、20μlの細胞を、試料チューブの側面に堆積した。特注の水平型ローターを取り付けた小さいベンチトップマイクロ遠心機(microfuge)(Daigger)内で、試料チューブを4秒間遠心分離し、次いで、ルミノメーター(Zylux、FB12)内に挿入した。1秒間隔で合計60秒間に設定したSingle Kineticプロフィールを用いて応答を記録した。陽性は、信号対雑音比≧3および4秒間の遠心分離の開始から15〜30秒の範囲内のピーク光子出力を有するものと規定した。

U937細胞(5 x 105細胞/ml)をIFNγ(200ng/mL、Sigma)とともに37℃で一晩インキュベートした。翌日、7.5 x 105細胞を室温で暗所にて、200μMのコエレンテラジンを含有する100μlのアッセイ培地中で2時間インキュベートし、アッセイ培地中で3回洗浄し、5 x 105細胞/mLで再懸濁し、1.5-mlチューブに移し、一晩室温で回転させた。細胞を、抗体(10〜100μg/mLの精製物、または細胞に対して1:1比のハイブリドーマ上清) とともに37℃で5〜30分間インキュベートし、次いで、1回洗浄し、アッセイ培地中に再懸濁した。アッセイは上記のようにして行なった。

EGFP-エクオリン発現構築物 エクオリンをGFPに融合させるため、本発明者らは、6アミノ酸リンカー(SGGGSG)に融合された増強されたGFP(EGFP)遺伝子、その後ろにエクオリン遺伝子を含有する構築物を作製した。EGFPを、pEGFP-C1ベクター(BD Biosciences Clontech)からPCRによって増幅し、終止コドンを除去し、リンカー領域を遺伝子の3'末端に付加した。

センスプライマー:5'-GCCACCATGGTGAGCAAGGGC-3'(配列番号:12) アンチセンスプライマー: 5'-CCTGATCCACCGCCAGACTTGTACAGCTCGTCC-3'(配列番号:15)。

EGFPは、二重アミノ酸置換(F64LおよびS65T)を含み、GFPと比べて増強された蛍光強度を示す。エクオリン遺伝子をpCMVエクオリン構築物から増幅し、リンカー領域を遺伝子の5'末端に付加した:センスプライマー:5'- CTGGCGGTGGATCAGGAATGACCAGCGAACAATA-3'(配列番号:22); アンチセンスプライマー:5'-TTAGGGGACAGCTCCA-3'(配列番号19)。次いで、EGFPおよびエクオリン遺伝子を、重複領域としての機能を果たすリンカー領域を用いた重複伸長PCRによって一緒に連結した。融合された遺伝子を、次いで、pcDNA3.1-TOPO(Invitrogen)内にクローニングし、配列を確認した。

臨床試料のアッセイ 先端が発泡剤のスワブ(foam-tipped swab)(VWR Critical Swabs)を用いて鼻分泌物を回収し、次いで、表示した量の炭疽菌(B. anthracis)胞子を播種し、400μLのアッセイ培地を含む5μフィルター(Millipore Ultrafree-MC)を含むバスケット内に配置した。胞子をチューブの底面に濃縮する機能も果たす工程である2分遠心分離で、溶出液を1.5-mLマイクロ遠心チューブ内に回収した。遠心分離後、バスケットおよびスワブを除去し、同じチューブ内でアッセイを行なった。

トラコーマクラミジア(C. trachomatis)EB(102〜105/mL、Biodesign International)を添加されたヒト尿(3 mL)を、5-μmシリンジフィルター(Minisart)に通した。2分の1ミリリットルのアリコートを1.5-mLマイクロ遠心チューブ内で2分間、10,000RCFで遠心分離し、上清みを廃棄し、チューブの端部をきれいなペーパータオルに配置することにより残渣から水分を除去した。ボルテックスによってペレットを再懸濁し、0.5mLのアッセイ培地を添加し、試料を10,000RCFで2分間再度遠心分離した。CANARYアッセイは上記のようにして行なった。

2分の1ミリリットルの全血を特注のヘパリン化血漿分離チューブ内に回収し、3500RCFで90秒間遠心分離した。病原体含有血漿を、50〜250μLの範囲の回収容量で、反転によってアッセイチューブに回収した。50マイクロリットルの血漿を0.5mLのアッセイ培地と混合し、CANARYアッセイにおいて上記のようにして処理した。ヒト血漿中に存在するアクチベータを希釈するため、450μLを50μLの血漿に添加した。吸着によってアクチベータを除去するため、50μLの血漿を50μL(2 x 105細胞)の親B細胞株M12g3Rとともに10分間室温でインキュベートした。1500RCFで1分間の遠心分離により細胞を沈降させて細胞をペレット化し、血漿をきれいなチューブに移し、最大速度で2分間遠心分離した。

血液中の細胞内病原体用のデバイスを構築するため、200μLのFICOLLTM HYPAQUETM溶液を、Capiject血液回収チューブ(T-M、Terumo Medical Corp.)の底面に入れる。CPT(Becton Dickinson Co.)からのポリエステルゲルをFICOLLの上面に配置する。血球の適切な分離が起こるようにするため、全血は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で少なくとも6:1に希釈しなければならない;したがって、100μLのPBSをゲル上に配置する。ヘパリン化全血(600μL)をチューブ内に入れ、チューブを反転して血液をPBSと混合し、デバイスを3500RCFで90秒間遠心分離する。デバイスの上部の血餅を再度アッセイチューブに入れ、反転によって血漿および白血球をアッセイチューブ内に回収する。細胞内病原体の遊離は、600μLのM-Per細胞溶解試薬(Pierce Bio技術、Inc.)をアッセイチューブに添加し、周期的にボルテックスしながら室温で5分間インキュベートすることにより達成される。18,000RCFで1分間試料を遠心分離し、上清みを、再度、500μLのアッセイ培地中に入れ、ボルテックスによって混合し、遠心分離を繰り返す。試料を病原体の存在について上記のようにして分析する。

クラミジア検証 以下の生物:緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、糞便連鎖球菌(Enterococcus faecalis)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、カタル球菌(Branhamella catarrhalis)、腸炎菌(Salmonella enteritidis)、大腸菌(Escherichia coli)、炎杆菌(Klebsiella pneumoniae)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、アシネトバクター・ボゥマニイィ(Acinetobacter baumanii)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、コリネバクテリウム・ミヌチシウム(Corynebacterium minutissimum)、アシドフィルス菌(Lactobacillus acidophilus)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、スタヒロコッカス・サプロフィティカス(Staphylococcus saprophyticus)、ストレプトコッカス群D (Streptococcus group D)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、ガードネレラ・バナジリス(Garderella vaginalis)、ゲメラ・モルビロルム(Gemella morbillorium)を、トラコーマクラミジア(C. trachomatis)細胞株との交差反応性について試験した。トラコーマクラミジアの血液型亜型をBiodesign Internationalから得た。

背景 CANARYは、最初にエクオレアビクトリア(Aequorea victoria)クラゲにおいて見出されたカルシウム感受性生物発光タンパク質であるエクオリンを産生するように遺伝子操作されたB細胞を利用する。システムは以下のように機能する。(1)B細胞は、空気試料、血液試料または他の供給源由来の疑われる病原体または他の生物物質に曝露され得る。(2)B細胞は、ある種の生物物質に特異的な抗体を有する。該物質のうちの1つが試料中に存在する場合、それはB細胞の表面上の抗体に結合する。(3) 生物物質によるB細胞の抗体の架橋は、細胞内部でカルシウムを放出する細胞内酵素的カスケードを誘発する。(4)カルシウムの存在下では、エクオリンは、469nmで青緑色の光を放出する。(5)刺激されたB細胞からの光は、光電子増倍管または他の光検出器を用いて検出され得る。

本発明者らは、(1)細菌およびウイルス病原体に特異的な抗体、ならびに(2)エクオリンタンパク質の両方を発現するように(that)B細胞株を遺伝子操作した。機能的エクオリンは、タンパク質アポエクオリンおよびその基質であり自発的に細胞膜を横切りアポエクオリンに結合し得る化学物質であるコエレンテラジンからなる。カルシウムイオンの結合後、エクオリンはコンホメーション変化を受け、コエレンテラジンの酸化および発光を引き起こす。組換え抗体のためのDNA 発現ベクターでのトランスフェクションによって抗原特異的とされた活性化エクオリン含有B細胞は、多価抗原に曝露されると発光する。適切なセンサー形式に組み込まれる場合、これらの細胞は、医療診断学、生物学的兵器物質の検出、ならびに食品、水および空気の質のモニタリングに非常に有益であり得る。

B細胞検出システムは、本質的に非常に高速であるため(<1秒で同定)、アッセイにおける主な遅延は、病原体をB細胞と接触させるのに必要とされる時間である。病原体およびB細胞は、本質的に、流体環境内で互いを滑って通過する傾向にある顕微的粘弾性粒子であるため、この問題は些細なことではない。本発明者らは、遠心力を使用して粒子を一緒に運ぶことにより、細菌および大きなウイルスに対するこの問題を解決した。物質およびB細胞を単純に一緒に懸濁液中に入れた場合、シグナル応答は、時間を遅延され、大きさは小さい。物質およびB細胞を5秒スピンによってペレット化した場合、応答の速度および大きさの両方が改善される。しかしながら、速度および大きさの両方における最大の改善は、B細胞の添加前に物質を予めペレット化した場合に起こる。次いで、さらなる5秒スピンによってB細胞をペレットに運ぶ。

この遠心形式を用い、細菌病原体野兎病菌およびペスト菌のデータを得た。これらデータは集合的に、任意の公知の病原体の同定方法の速度および感度(ほぼ3分間の50cfu)の優れた特異性ならびに最良の組合せを示す。

低速で直ちに沈降され得る天然痘などのより大きなウイルスでは、本発明の遠心分離方法はうまく機能する。しかしながら、本発明者らはまた、小さすぎて同じ条件下で濃縮できない細胞株をFMD、デング熱およびVEEなどのウイルスに特異的な抗体を産生するように操作した。小ウイルスのLODは1分間アッセイにおいてほぼ500,000cfuであるが、その数は、より長時間の遠心分離またはアフィニティ精製で100倍も改善され得る。

臨床試料中の病原体の高速で感度のよい同定のためのCANARY B細胞センサー 序 本発明者らは、速度および感度の最良の組合せを提供する新規なセンサーを示すが、任意の病原体-同定技術では示されていない。本発明者らのアプローチでは、病原体を同定するため、天然で最適化される免疫系の一員であるBリンパ球を使用する。本発明者らは、B細胞株を、カルシウム感受性生物発光性タンパク質であるサイトゾルのエクオリン、ならびに目的の病原体に特異的な膜結合抗体を発現するように操作した。多価抗原による膜結合抗体の架橋は、シグナル伝達カスケードを誘導し、このカスケードは連続的にチロシンキナーゼ、ホスホリパーゼC、およびイノシトール三リン酸(IP3)を伴う。IP3は、カルシウムチャネルを活性化し、それにより、内部貯蔵および細胞外培地の両方からのサイトゾルのカルシウムを増加させ、これによりエクオリンが活性化され、発光する。本発明者らがCANARYとよぶこのセンサーは、試料を濃縮するのに必要とされる時間を含む<3分間で<50cfuの病原体を検出し得る。対照的に、当該技術水準のイムノアッセイであっても少なくとも15分間かかり、ずっと高い検出限界を有するが、PCRは、非常に特異的で感受性がよいの両方であり得、ほとんどの報告には、>30分間かかるプロトコルが記載されている。9分間だけで5cfuの検出を有する超高速PCRが報告されているが、最も高速の試料調製技術と組み合わせても、アッセイ全体では、終了するのに20〜30分間が必要とされる。速度および感度のその特有の組合せのため、CANARYは、医療診断学、生物兵器防御、食品および水質モニタリングならびに他の適用における病原体の同定に革命を起こし得る。

本発明者らは、最初に、種々のB細胞株の効率的な作製を可能にする遺伝子操作システムを開発した。本発明者らは、M12g3R(IgM+)B細胞株から、サイトゾルのエクオリンの安定な発現を有する親細胞株を作製し、表面IgMの架橋時に最大発光を有するクローンを選択した。続いて、M12g3R-エクオリン細胞を、抗体の軽鎖および重鎖定常領域を含有し、本発明者らが特定の標的に特異的な可変領域を挿入したプラスミドでトランスフェクトした。第2のトランスフェクションからのクローンは、該標的に対するその応答に基づいて選択される。CANARYを用いて同定され得る物質の範囲の概念を提供するため、本発明者らは、本発明者らが開発した24種すべての細胞株を以下の表に列挙した。

結果 CANARYアッセイ ペストを引き起こす細菌である50cfuもの少ないペスト菌は、合計アッセイ時間3分未満で検出される。しかしながら、比較的多数の非関連病原体、野兎病菌に対する応答はない。さらに、圧倒的な量の非関連病原体であっても、50cfuもの少量のペスト菌に対する応答を阻止しない。実際、微小遠心管内で濃縮するのに十分多量のほとんどの細菌またはウイルスについて、本発明者らは、約50cfuまたはpfuという類似したレベルの感度を観察した。ペスト菌特異的細胞株の感受性を数ヶ月にわたって繰り返し試験した場合、CANARY センサーは、その期間の62%で20cfu(n=73)、その期間の79%で50cfu(n=38)、その期間の99%で200(n=74)および2000cfu(n=71)、ならびにその期間の100%で20,000cfu(n=66)を検出し得た。PCRおよび3分未満で行なわれ得るアッセイのものに近い感度レベルと組み合わせると、わずか0.4%(n=1288)の偽陽性率により、CANARYは、現在開発中の最も有望な病原体-同定技術の1つとなる。

拡散速度がB細胞および非沈降性標的間の相互作用を決定するため、小ウイルスに対するCANARYの感度は、細菌およびより大きいウイルスに対するものより高い。例えば、口蹄疫ウイルス(FMDV)のA12菌株に特異的なB細胞株は、7 x 105プラーク形成単位(pfu)に曝露されると、容易に識別可能なシグナルを生成する。同様に、ベネズエラウマ脳炎(VEE)ウイルスに特異的なB細胞株の感受性は、不活性化前に滴定された菌株TC-83を用いて試験すると、5 x 105pfuから検出可能なシグナルを示す。

CANARYの特異性は、B細胞が発現する抗体によって決定され、利用可能な抗体に応じて広いこともあり、狭いこともあり得る。例えば、FMDV細胞株は、野生型A12ウイルスに応答するが、抗体エピトープ相互作用を破壊する変化である3つのアミノ酸が異なる等量のA12バリアント菌株(B2PD.3)の添加後、光は検出されない、FMDVの1つの株のみと反応するFMDV細胞株の特異性とは対照的に、VEE B細胞株は、親モノクローナル抗体のものと類似した特異性を示し、亜型IA(TC-83、TRD)、IB(PTF-39)、IC(P676)、ID(3880)およびIE(Mena II)を表すVEE株と反応する。M12g3R親株(対照B細胞)もまた、異なる菌株のVEEとの反応性について試験したが、これらは、TC-83およびTRD 抗原調製物(乳児マウス脳から単離したが組織培養物由来でないもの)の存在下で非特異的シグナルを示し、特異的B細胞株によって生成されるシグナルは、明白に対照のものと識別可能である(>10倍)。本発明者らはまた、ハイブリドーマ1A4D-1から、上記のMena II菌株以外はすべて認識するVEE B細胞株を作製した。したがって、適当なモノクローナル抗体が与えられると、B細胞株の特異性は、発現させるために選択される抗体に基づいて、広いか狭いかいずれかの範囲の反応性を有するように設計され得る。これは、適用に応じて生物を属、種または亜種レベルで識別するように設計することにより、システムの柔軟性を大きく増大させる。

小ウイルスに対する感度における改善 小ウイルス濃縮および沈降のいくつかの方法が、これらの物質に対するCANARY応答を改善する能力について試験された。メタノール、TCAまたはリンタングステン酸ナトリウムでの沈殿では、感度は改善されず、ニトロセルロースに対する吸収も改善されなかった。種々の供給元の遠心濃縮装置は、CANARYアッセイにおいて、使用した低濃度のウイルスに非特異的に結合するようであった。これまでに、2つの方法:遠心分離およびアフィニティ精製が良好な結果を示している。

不活性化したTC-83 VEEを、以下のすべてのウイルス濃縮実験に使用した。生理学的に関連するウイルス試料を作製するため、0.1μmのシリンジフィルターに通すことにより、VEE凝集物を除去した。次いで、試料を異なる時間で遠心分離し、CANARYによって分析した。1分間の遠心分離ではほとんどウイルスは沈降せず、5分間で中間の結果が得られ、沈降は10〜30分間で終了に近づいた。このパターンは、単量体VEEの理論沈降速度に非常に密接に一致し、本発明者らが、実際の試料で予測されるものと類似した沈降特性を有する試験試料を作製したことを示す。これはまた、マイクロ遠心分離での10〜30分間の単量体VEEの遠心分離によりシグナルが増大し、したがって感度が増大することを示す。

さらなる実験により、凝集物質の超音波処理によって単量体ウイルス回収が改善することを調べた。LODは、未処理試料(約50,000,000 pfu*)と比べ、超音波処理試料(約500,000 pfu*)において改善され、これは、存在し、0.1μmフィルターを通過し得る単量体ウイルスの量の増加を反映する。フィルターに通す前に超音波処理された試料は、超音波処理されていない試料よりもほぼ100倍多くののシグナルを生成した。また、超音波処理を用いて作製した単量体ウイルスの沈降速度は、理論沈降速度に類似し、超音波処理によってウイルスがこれらのアッセイにおいて検出可能な程度まで断片化されなかったことを示す。遠心分離により感度は100倍改善され得る。

小ウイルスに対するCANARY感度を改善するための第2の有効な方法は、アフィニティ精製である。VEEに対するモノクローナル抗体をプロテインG-コート磁気ビーズにコンジュゲートした。次いで、この親和性樹脂をVEEを含有する培地とともにインキュベートし、樹脂を洗浄して未結合ウイルスを除去し、CANARY細胞を用いて沈降樹脂に結合されたウイルスを検出した。これらの親和性樹脂とのVEEの15分間程度の短時間のインキュベーションにより、CANARY細胞応答の大きさが明白に増大し、LODが10倍改善された。

アフィニティ精製および遠心分離方法の両方により、小ウイルスに対するCANARY応答の改善がもたらされる。選択される方法は、検査される試料の型に依存する。沈降可能なまたは可溶性干渉物質を含有する試料は、磁気ビーズを使用する物質のアフィニティ精製に対して影響を受けやすくあり得る。可溶性干渉物質を含有する試料または干渉物質を含まない試料が、遠心分離プロトコルを用いて一緒にアッセイされ得る。

高速細胞操作 病原体特異的CANARY細胞の作製は、利用可能なハイブリドーマ細胞株を必要とし、いくつかの工程を伴い、数ヶ月かかり得る。高速(<1日)だが特異的様式で、CANARYプラットフォームを用いて新しい病原体特異的細胞を作製するために使用され得る万能細胞株を開発する必要性が存在する。この課題に取り組むため、本発明者らは、病原体特異的抗体をCANARY細胞に結合させるために可能な「アダプター」分子としてのFc受容体の使用を検討した。Fc受容体は、抗体または免疫複合体に結合する膜発現タンパク質のファミリーである。これは、単球およびマクロファージを含むいくつかの造血系細胞において発現される。可溶性抗体の高親和性結合体であるFcγ受容体I(FcγRI)を含むFc受容体のいくつかのサブクラスが存在する。FcγRIは、抗体の抗原結合領域を自由な状態にして、免疫グロブリンG(IgG)の定常領域(Fc部分)に結合する。特異的抗原による抗体結合受容体の架橋により、カルシウム放出を刺激するシグナル伝達経路が開始される。

ヒトマクロファージ細胞株U937は、IFNγで処理されると上方調節され得る内在性FCγR1を含む。初期実験により、U937細胞は、いくつかの異なる病原体または類似物に急速に応答するように操作され得ることが示されている。U937細胞を内在性FcγRIの発現を増大させるため、IFNγ(200 ng/ml)で24時間処理し、CANARYアッセイのために準備した。次いで、細胞を、以下の抗体:マウス抗炭疽菌(B. anthracis)胞子、ウサギポリクローナル抗炭疽菌胞子、マウス抗野兎病菌(F. tularensis)、またはマウス抗枯草菌(B. subtilis)とともにインキュベートした。次いで、細胞を、標準的なCANARYアッセイにおいて使用し、このとき、該細胞は、モノクローナル抗体で1000cfuもの少ないB. anthracis胞子を、ウサギポリクローナルで10,000cfuの胞子を、ならびに10,000cfuの野兎病菌および1,000cfuのB. subtilis 胞子を検出した。遺伝子操作されたB細胞ほど感度はよくないが、本発明者らは、数ヶ月ではなく数日を要する高速で操作されるCANARY細胞の開発を示した。

多重アッセイ 本発明者らは、単一のアッセイにおいていくつかの異なるB細胞株を合わせることの実現可能性を評価した。これにより、単一の試験を用いていくつかの物質の検出が可能となり得るが、試料中にどの物質が存在するかは識別さ得ない。単一の細胞試薬を用いた3種の異なる物質の検出により、炭疽菌(B. anthracis)の検出限界は50cfuのB. a.、ペスト菌では50cfuのY.p.、および野兎病菌では500cfuのF.tであることが示された。40μLの1.25×105細胞/mLの最適な細胞濃度および量で、本発明者らは、感度を全く低下させずに、4種の細胞株が合わされ得ることを示すことができた。

多重化の第2の方法は、1種類より多くの抗体を発現し1種類より多くの物質に応答し得る細胞株である。本発明者らは、1つはB. anthracis胞子に特異的であり他方はペスト菌に特異的な2種類の抗体を発現する細胞株を作製した。この細胞株を用いて、わずか50cfuのB. anthracis胞子またはペスト菌のいずれかが検出され、これは、本発明者らが、感度を全く低下させることなく多数の検出能力を有する細胞株を作り出することができることを示す。

多重化アッセイを提供する第3の方法は、異なる波長の光を放出するCANARY細胞株である。クラゲ エクオレア ビクトリア(Aequorea victoria)において、エクオリンは、緑蛍光タンパク質(GFP)と天然に関連する。エクオリンがカルシウムを結合し、コエレンテラジンを酸化するとき、それは、そのエネルギーをGFPに移し、緑光(λmax、509nm)の放出を刺激する。この天然に存在する化学発光共鳴エネルギー移動(CRET)活性は、エクオリンタンパク質をGFPに融合することによってインビトロで再生し得る。GFPは、遺伝的に改変され、シアン蛍光タンパク質およびイエロー蛍光タンパク質を含む種々の蛍光タンパク質を生成し得る。エクオリンの異なるGFP構築物への融合は、異なる波長の光を生成し得るいくつかのエクオリンタンパク質を生成し得る。これらのエクオリンGFPタンパク質を発現するCANARY細胞は、1つ以上の波長の検出が単一のアッセイにおいていくつかの病原体の同定を可能にする多重化アッセイを提供する。この型の多重化アッセイは、試料の大きさが限定的である場合の単一のアッセイにおけるいくつかの病原体の同定、単一のチャネルセンサーを使用している場合の1度に多数の病原体を試験する能力、および複製の数を増加させることによる多数チャンネルセンサーにおける偽陽性の割合を減少する可能性を含むいくつかの利点を有する。

EGFP−エクオリン構築物は、M12g3RマウスB細胞にトランスフェクトされ、クローンは、抗−IgM刺激に対する応答によってスクリーンされた。陽性クローンは、EGFP(λmax、509nm)を発現する細胞が、515〜545nmの緑のスペクトルにおける光を測定するFL1チャネルにおいて検出され得るフローサイトメーターにおいて分析された。EGFP−エクオリンを発現する細胞が野生型のエクオリンを発現する細胞と異なる波長の光を放出することをさらに示すため、本発明者らは、異なるバンドパスフィルター、480nmおよび510nmを有する2つの光電子増倍管(PMT)で光の出力を分析した。細胞は、抗−IgMで刺激され、光は、両方のPMTによって同時に測定された。エクオリンおよびEGFP−エクオリンの放出スペクトルは重なっているので、結果は、緑光/青光の比として示される。EGFP−エクオリンを発現する細胞によって放出される緑光の量は、野生型エクオリンを発現する細胞によって放出される量より有意に高かった。興味深いことに、任意の補因子の非存在下で蛍光を発する野生型EGFPとは異なり、蛍光が観察される前に、EGFP−エクオリンは、エクオリン補因子のコエレンテラジンを必要とした。

臨床的試料に対するアッセイの開発 迅速な病原体同定技術が極めて価値のある多くの応用がある。例えば、迅速試験は、吸入炭疽の場合のように、即座の処置が重要である感染の初期の段階において、患者のタイミングの良い正確な処置を確保する。従って、本発明者らは、臨床的に関連する試料において病原体を検出するためのCANARYの使用を調査した。試料調製の前に鼻スワブに添加された50cfuほど少ないB.アントラシス(anthracis)の胞子が検出され得る。このプロトコールにおいて、スワブは、400μLのアッセイ培地を有する5μmフィルターを備えるバスケットに配置された。溶出液は、胞子をチューブの底に濃縮もする工程である、2分の遠心分離で1.5mL微量遠心チューブ中に回収された。遠心分離の後、バスケットおよびスワブは、除去され、アッセイは同じチューブ中で実施される。総アッセイ時間は、5分未満であり、従って、CANARYは、エーロゾル化されたB.アントラシス胞子に曝露されたヒトに対する優良な第1のスクリーニングを提供し、それによって即座の処置を可能にする。

別の例は、性感染し、そのために高い割合の投薬不承諾がある、疾患等の疾患の処置および制御を確実にするために、迅速な配慮点診断試験に対する必要性である。C.トラコマティス(trachomatis)は、高い有病率を有し、骨盤腹膜炎および不妊問題を引き起こし得、無症候の場合が多くあるので診断されないことがある性感染疾患である。歴史的に、この疾患は、頚部または尿道スメアから、かなりの時間と専門知識を必要とする試験を用いて診断されてきた。器官の基本小体(EB)が、回収するのに侵襲性がより低い試料である尿中に見出され得るが、存在する数が少ないので、最近まで、有効であるのに十分高感度な唯一の試験は、核酸を増幅する試験である。最近の報告において、感染した患者由来の尿中のC.トラコマティスの濃度は、実施するのに数時間かかるアッセイ(Abbott)である定量的リガーゼ連鎖反応を使用して30〜2×105EB/mLの範囲であると決定された。CANARYの迅速なパフォーマンスにより、本発明者らは、5分未満で尿中に500のC.トラコマティスEBの検出を示すことができた。従って、CANARYはまた、非侵襲的な試験におけるC.トラコマティス感染の診断のための迅速かつ高感度のアッセイとして有用である。

全血は、その不透明さならびにCANADYアッセイのアクチベーターおよびインヒビターの両方の存在のために、アッセイするには困難なマトリクスである。本発明者らが開発した方法は、血漿分離チューブ(PST)および示差遠心分離の使用に依存する。このプロセスは、遠心分離の間血漿と血球の間の障壁を形成する血漿と血球の間の密度を有する揺変性ゲルを使用する。血液中に存在するどの細菌またはウイルスも、遠心分離後血漿層に残り、次いで、回収され、CANARYで試験され得る。市販の既製品(「COTS」)部分から組み立てられた装置を使用して、本発明者らは、3つの迅速かつ単純な工程において、全血試料の分離を示した。0.5mLの全血は、ヘパリン化された血漿分離チューブに回収され(工程1)、90秒間遠心分離される(工程2)。分離された病原体含有血漿は、50〜250μLの範囲の回収された体積を有し、ひっくり返すことによってアッセイチューブに回収される(工程3)。50μLの血漿は、0.5mLのアッセイ培地と混合され(以下により詳細に説明されるように、血漿中に存在するCANARY細胞アクチベーターの効果を低減するプロセス)、混合物を遠心分離し、病原体をペレット化する。次いで、試料は、病原体特異的CANARY細胞で試験される。血液採取から病原体検出までに必要とされる全時間は、約5分である。PST法を使用すると、LODは、約1000cfuの生育無毒化Y.ペスティス(pestis)/全血1mLである。0.5mLの全血から回収される200μLの血漿のうち50μLを使用することによって、本発明者らは、1つの全血試料あたり125cfuほど少ないものを検出した(完全回収を仮定する)。これらの結果は、これまでに試験された各ドナーについて矛盾がなかった。

以前に示されたように、ヒト血漿は、CANARYアッセイに干渉するB細胞アクチベーターを含み、そのために、バックグラウンドと区別し得る低い濃度の物質由来の明瞭なシグナルを得るのは困難である。アクチベーターによって生成されるシグナルは、病原体誘導シグナルより後にピークを生じ、そのシグナルの大きさは、ドナーに依存し、かろうじて検知できる大きさから数オーダーの大きさにまで変化する。本発明者らは、効果的にアクチベーターを除去する3種類の試料調製法を開発した。方法1は、アクチベーターが可溶であり、従って、血漿をアッセイバッファと置換することによって除去され得るという事実を利用する。この技術は、置換の前に遠心分離によって沈降され得る細菌および大きなウイルスについては効果的であるが、小さなウイルスまたは可溶性タンパク質については有用ではない。方法2は、血漿試料に過剰のCANARYアッセイ培地を添加することによってアクチベーターの効果を希釈する工程を含む。この方法は、最も迅速かつ単純であるが、種々の血液試料、特に高レベルのアクチベーターを含む試料での有効性を確実にするためにさらなる試験を必要とする。方法3は、アクチベーターに対する吸着剤として機能するB細胞での血漿試料の前処理を使用する。

白血球中の細胞内病原体を検出するために、血漿中の病原体を検出するために設計されたプロトタイプデバイスに対する改変を組み込んだ1つの方法が開発された。これらの改変は、市販の血液バキュテナーチューブである細胞調製チューブ(CPT)に基づいている。このチューブは、全血を回収し、単一のチューブ中でポリエステルゲルと密度勾配細胞単離培地を合わせることによって単核白血球を分離するように設計された。細胞分離は、単一の遠心分離工程の間に生じる。市販のチューブの欠点は、それらが少なくとも6mLの血液と最低15分の遠心分離を必要とすることである。CPTゲルと密度勾配培地を上記のオーダーメードの処理用デバイスに導入することによって、血液の量は、0.5mLに減少され、遠心分離時間は、ほんの90秒である。

血球の適切な分離によって全血がリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で少なくとも6:1で希釈されるようにするために、100μLのPBSがゲル上に配置される。この装置は、現在、血液試料を処理する準備が出来ている。ヘパリン化全血(600μL)が、チューブに配置され、チューブは、血液とPBSを混合するようにひっくり返される。90秒の遠心分離の後、血液は、その種々の成分に分離される。装置の上部の赤い栓は、アッセイチューブで置きかえられ、血漿および白血球は、ひっくり返すことによってアッセイチューブに回収される。

細胞内病原体の遊離は、アッセイチューブにM−Per細胞溶解試薬を添加し、定期的にボルテックスしながら5分間室温でインキュベートすることによって達成される。試料は、病原体を沈降させるために1分間遠心分離され、上清は、500μLのアッセイ培地と置換され、ボルテックスによって混合され、遠心分離が繰り返される。血液採取から因子検出までの全時間は、約12分である。全血1mLあたり1000cfuの生育Y.ペスティス(600cfu/アッセイ)が達成された。この方法は、低速遠心分離によって濃縮され得る細胞内病原体(即ち、細菌および大きなウイルス)の検出に良好に作用するはずである。

確認 C.トラコマティス細胞株を使用して交差反応性および感度の両方を試験する確認が実施された。交差反応性は、試験された細菌の22型のうち2型のみで、および非常に高い濃度(107/mL)でのみ観察された。ストレプトコッカス ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)細菌は陽性反応を生じるが、それは、ただのニューモニエを有する患者の尿中に現れる細菌のモノマー多糖であり、モノマー抗原は、CANARY B細胞を刺激しない。交差反応する他の細菌、ゲメラ モルビロラム(Gemella morbillorum)は、尿試料を汚染し得る腸内細菌であるが、かかる高い濃度では存在しそうにない。C.トラコマティス細胞株の感度は、試験されたC.トラコマティスの血液型亜型に依存して10〜150EB(血液型亜型D、H、およびKについてそれぞれ10、50、および150)の範囲であった。しかし、異なるロットがわずかに異なる結果を与えるので、感度の範囲は、定量の精度に依存し得、細胞株の異なる応答には依存し得ない。いずれの場合においても、確認によって決定されたLODは、数10〜数100の範囲であった。

結論 CANARY B細胞ベースのバイオセンサーは、他の同定技術を超えるいくつかの利点を提供する病原体同定のための高度に進化した系を活用する。CANARYを用いて、5分未満の同定を提供することが可能であり、微小遠心分離で濃縮されるのに十分な大きさの病原体を用いて、本発明者らは、PCRに匹敵する感度のレベルを示した。比較において、先行技術のイムノアッセイは、少なくとも14分必要とし、より高い検出限界(6×104cfuまたは6×106pfu)を有する。PCRは、極度に感度が高く(1〜5cfu)高度に特異的であり、増幅およびシグナル検出のための時間を減少した飛躍的な前進を示したが、アッセイは、DNAを抽出および精製するために必要とされる時間を含めずに、少なくとも7分(しかし、典型的には20〜30分)かかる。かかる技術から利益を得ている応用は、性感染疾患等の処置に対する戻り率が低いが社会の衝撃が大きい病気に対する配慮点診断を含む。さらに、CANARYは、入港時の農業病原体の検出、生物戦争攻撃の直後の時期における鼻スワブ由来の症状前検出、または生鮮食品供給のスクリーニングに有用である。実際、CANARYは、任意の時間が重要な設定において、高度に感染性の病原体の検出および同定を可能にし得る迅速かつ高感度の方法である。

小粒子の濃縮のための誘電泳動 導入:CANARYアッセイは、認識およびシグナル発生のためにB細胞に抗原含有粒子を導入する前に、抗原含有粒子を同時局在化するための重要な工程として遠心分離を使用し得る。このアプローチは、500nmより大きな粒子サイズを有する細菌標的およびウイルス標的の迅速な検出において、非常に成功しているが、はるかにより小さないくつかのウイルス標的は、この様式で濃縮するのはより困難であり、複合粒子の沈降を改善するための、非常に速い速度でのより広範な遠心分離および/または標的粒子のビーズへの中間結合段階等のさらなる工程が必要であり得る。所定の大きさの粒子沈降するために必要とされる遠心分離速度を決定するために、本発明者らは、沈降のストークスの法則(方程式1)を使用して、流体粘度および回転パラメーターの関数として流体中の粒子の速度を計算し得る。

例として、最大速度18800rpmを有する現在のベンチトップCANARY遠心分離を使用して、微量遠心チューブ中で50μLの典型的な試料体積でVEEウイルス粒子(直径70nm)の濃縮は、約15分かかる。100000rpmまでのスピン速度での超遠心分離を使用すると、この沈降時間は、1分未満まで減少し得るが、必要とされる装置に関連する複雑さがある。

本発明者らは、電気動力学的、即ち、電場ベースの方法である小粒子濃縮のための非遠心分離ベースの方法を開発した。これらの技術のうち最も周知であるものは、液体およびゲルベースの媒体において、DNAおよびタンパク質を含む荷電粒子および大きな分子を操作および分離するために長年にわたって非常に首尾よく使用されてきた電気泳動である。それは、粒子が配置された媒体にわたる電場の印加に依存し;この(定常)場の影響下で、荷電粒子は、電極の1つに移動する。粒子の移動の方向および速度は、粒子の電荷および大きさ、ならびにpHおよびイオン強度を含む媒体の特性に依存する。電気泳動は、比較的不正確な様式で荷電粒子を操作するための非常に有用な技術である。しかし、特定の位置に粒子を濃縮するためには、さらにこれらの粒子が必ずしも電荷を有する必要はなく、分極可能であればよく、誘電泳動と呼ばれる技術が使用される。

誘電泳動−基礎 用語誘電泳動(DEP)は、非電荷粒子において電荷分離(分極、双極子の生成)を発生させるために一様でない電場を使用することによって多くの細胞型の移動および分離を誘導し得たポール(Pohl)によって初めて使用された。図181に示されるように、正および負の2つのDEPモードがあり;モードは、周囲媒体に関する粒子の相対的分極可能性によって決定される。両方の場合において、粒子および媒体は、印加された一様でない電場の下で電荷分離する。粒子が媒体より分極可能である場合、正味の双極子が最も高い電場の領域に向かう粒子の誘引を生じ;これは、正のDEPといわれる。粒子が媒体より分極可能性が低い場合、流体媒体は、高い場の領域に向かって移動し、それによって粒子は電場が最小のところで押され;これは負のDEPである。

電場の極性が変えられた場合、誘導電荷および双極子もまた、極性を変え、その結果粒子はなお同じ方向に移動することに留意のこと;これは、粒子を操作するために交流(AC)場の使用を可能にする。AC場は、周波数に依存する粒子の分極可能性の活用を可能にし;これは、同じ粒子が、印加された場の周波数に依存して正または負のDEPを受けることを意味する。AC場はまた、電極における電気分解による有意な正味の気体発生がないので、DCより望ましい。媒体中の電荷に対して粒子中の電荷が分離するのに十分な時間が各サイクルにあるので、一般的に、低い周波数では、粒子は、正の誘電泳動を受ける。より高い周波数において、粒子の内部の電荷分布は、「維持」され得ず、粒子は、媒体に対して分極可能性がより低くなり、負の誘電泳動レジームになる。正のDEPは、電極で粒子を濃縮するために使用され得、負のDEPは、電極から離れて電場の「ウェル」に粒子を捕捉するために使用され得る。粒子が正のDEPから負のDEPに変わる周波数は、クロスオーバー周波数と呼ばれる。

方程式2は、誘電泳動力(FDEP)に影響する因子を示し;力は、印加電圧(V)の二乗、粒子半径(r)の三乗に比例し、電極間隔(d)に反比例する。それはまた、クラウジウス−モソッティ因子K(ω)に対する効果によって示されるように、両方とも周波数(ω)依存性である粒子の相対誘電率(εp*)および媒体の相対誘電率(εm*)の関数である。

細胞およびより大きな(>1μm)粒子を操作および捕捉するための正のDEPおよび負のDEPの使用の多くの実例がある。より最近では、より小さなジオメトリーの電極の形成を可能にする製造方法における進歩があり、DEPはまた、大きなウイルスならびにタンパク質およびDNAなどの巨大分子さえを捕捉するために使用されてきた。本発明者らは、直径が100nm未満の粒子を濃縮するためにDEPを使用しており、方程式2のような困難な問題は、粒子サイズが減少するにつれ、印加電場を実質的に増加させ(おそらく、電気分解も発生する)、および/または電極間隔およびジオメトリーを減少させる(製造プロセスを複雑にする)必要があることを明確に示している。

材料および方法 DEPチップの設計 種々のジオメトリーの互いにかみ合った電極を有する1セットのデバイスが、製造された。各デバイスは、大きさ25mm×25mm×0.5mmの大きさを有する正方形石英チップ上に配置された1セットの白金線、金属パターンのネガティブイメージが感光性ポリマーを使用してフォトリソグラフィー的に形成される従来のリフトオフプロセスを使用して定められ、その後白金が電子線蒸着を使用して蒸着され、過剰の白金が下にある光ポリマーを分解することによって除去される(図182)電極パターンからなった。図183は、基礎的な電極パターンおよび完成されたデバイスチップを示す。直線の2つの電極パターンに加えて少数の螺旋状の4つの電極構造がまた、製造され;これらは、位相において等しく分離された4つのACシグナルが、粒子を構造に沿って螺旋の中心に進ませるために電極に印加される進行波誘電泳動を達成するために使用され得る。

試験設定 2つの設定がDEPチップを動かすために使用され、1つにおいて、チップは、水平に保持され、もう1つにおいて、チップは、垂直に保持された。シミュレーションは、2チップ構造を使用したが、最初の実験は、正のDEPおよび負のDEPそれぞれを介した試験粒子の誘引および反発を示すために単一のセットの電極のみを使用したことに留意。水平および垂直の立体配座の両方において、流体チャンネルは、電極含有チップと平凡な石英チップの間に125μm厚のシリコーンガスケットをはさむようにして形成された。この装置は、2つの型のジグの1つに保持され、電気的アクセスは、電極含有チップ上の互いにかみあった電極に接続された金属パッドに接触した銅ワニ口クリップを介して得られた。

ビーズムーブメントは、Hewlett Packard HP237関数発生機を使用して、振幅1〜10V(ピークからピーク)、周波数1Hz〜10MHzの2つの電極にわたる矩形波を印加することによって生成された。試験粒子は、蒸留水に懸濁された種々の直径の蛍光タグを付けられたポリスチレンビーズ(Bangs Laboratories、655nmで放出)からなった。水平の立体配座において、ビーズモーションは、流体に懸濁されたビーズでチャンネルを充填し、場を印加し、ビーズムーブメントを画像化することによって静的なモードで観察した。垂直の立体配座において、流体流は、芯として作用するようにチャネルの1つの末端に少量の吸収剤物質を使用することによって発生させた。粒子の画像は、種々の蛍光フィルターセットを備えるOlympus BX60蛍光顕微鏡に接続されたCCDカメラを使用して撮影し、DVDレコーダー上で記録した。

結果 この活動の目的は、DEPを使用して小粒子を局在化する能力を示すことであった。従って、装置は、正または負のDEPモードのいずれかにおいて、この能力について評価された。低い周波数において、ビーズは、正のDEPを示し、そこではビーズは、電極に局在化し;励起周波数が増加された場合、いくつかの点で、ビーズは、電極表面から遊離し、電極から離れるように移動し始めた。

水平立体配座を使用して、本発明者らは、5μmの線幅の電極を使用して2.7μm直径のビーズおよび0.3μm直径のビーズの誘引および反発を示し得たが、チップが水平に維持され、上から観察される試験設定の立体配座のために反発距離は決定できなかった。続いて、2μmの線幅を有する電極を備える、作製されたデバイスは、垂直立体配座で作製され、試験された。

結論 本発明者らは、線幅2μmの互いにかみ合った金属電極を使用して300nm以上の粒子の正および負両方の誘電泳動も動きを示し得た。負のDEPレジームにおいて、粒子は、電極面から20μmまでの距離まで反発された。負のDEPはまた、50nmの粒子を使用したが、わずか5μmの反発距離を使用して示した。この活動の最終目的は、直径100nmより小さな粒子を濃縮することであり、さらに駆動電極から適切な距離離れた粒子を反発し、試料流体の残りから粒子の濃縮面を分離し得ることであった。少なくとも100μmの反発距離は、微小流体チャネルにおけるこの分離を容易にするが、本発明者らのデバイスにおいて、本発明者らは、20μm未満の反発距離を達成し得た。本発明者らが有効DEP力を司るパラメーターを見る場合、本発明者らは、それを電極線幅の逆立方体として評価することを見出す。このことは、線幅の10倍の減少がDEP力の1000倍の増加ならびに所定の駆動電圧および粒子直径に対する反発距離の対応する増加を与えるはずであることを示す。0.2μmの線幅の電極は、進歩したフォトリソグラフィー系を使用して製造し得、これらのデバイスは、50nmの粒子の濃縮が可能である。

CANARYでの毒素の検出 方法および材料 GST−BoNT/A HcおよびGST−BoNT/E Hc組換え発現および精製 プラスミドpGEX−4T3中のBoNT/A HcおよびBoNT/E HcをコードするcDNA。プラスミドを、製造業者の指示書に従いBL21(DE3)pLys(Invitrogen)にトランスフェクトした。プラスミド保有細菌を、一晩培養物から希釈し、約0.5のOD600まで増殖し、IPTGを、400μMの最終濃度で添加し、30℃で4時間インキュベーションを続けた。細菌を回収し、1リットルごとに、30μLのベンゾナーゼヌクレアーゼ(Novagen)を有する30mLのBugBusterに懸濁し、チューブを室温で20分間回転した。溶解物を、21000RCFで4℃で30分間遠心分離し、可溶性タンパク質を、PBS、1mM EDTAで平衡化された3mLのグルタチオンセファロース(Amersham Biosciences)にデカントした。スラリーを、4℃で2時間回転し、20mLの使い捨てカラム(BioRad)に注いだ。カラムを、PBS/EDTAで洗浄し、組換えタンパク質を、100mM Tris、pH8.0中の10mMグルタチオン中に溶出した。

非医学的マトリクス 1/7容量の7×HNa(560mM NaCl,1.4M Hepes pH7.9および抗体コートビーズ)を、抗原スパイク溶液に添加した。12分の結合工程の最後に、190μLのアッセイ培地を添加し、チューブを、30秒間磁石上に置き、上清を捨てた。ビーズを、50μLのアッセイ培地に再懸濁し、20μLの細胞を添加し、チューブを、ビーズおよびCANARY細胞を沈降するために5秒間スピンし、光出力を、ルミノメーターでモニターした。

抗体産生 ハイブリドーマを、ハイブリドーマSFM培地(Gibco)+1×非必須アミノ酸(Gibco、100μM ビルビン酸ナトリウム、および200μM L−グルタミン)に順応した。いくつかのハイブリドーマは、最初に10%の血清を必要としたが、全ての抗体を、最終的に0%血清含有培地中で産生した。

抗体精製 無血清培地中で産生されたハイブリドーマ上清を、臨床的遠心分離において3700RPMで遠心分離し、上清を0.2ミクロンフィルターに通した。1mLのPBS平衡化プロテインGセファロース4ファストフロー(GE Healthcare)を、上清に添加し、室温で3〜4時間または4℃で一晩のいずれかでゆっくり回転した。樹脂を使い捨てカラムに注ぎ、PBSで洗浄し、1mLの画分を、100mM KPO4 pH2.7で100μLの1M Hepes pH8.5に直接溶出した。バッファをNAP−5カラムを使用してPBSに交換した。

プロテインG樹脂への架橋 ビーズ(Dynal Dynabeads Protein G)を50mM NaOAc、pH5.0に洗浄した。ハイブリドーマ上清のpHを、約5.0にし、BSAを0.1%まで添加し、溶液を0.2ミクロンフィルターを通して濾過した。100μLのビーズを10mLのハイブリドーマ上清に添加し、チューブを室温で1時間回転した。ビーズを、0.2Mホウ酸ナトリウム、pH8.0に洗浄し、1mLの20mM DMPを含むホウ酸に再懸濁した。チューブを、室温で30分回転し、250μLの1M Tris、pH8.0を添加し、15分間インキュベートした。ビーズをPBS+0.05%Triton X−100に洗浄し、1mLに再懸濁した。ほとんどの実験について約0.4μLのビーズを1回のCANARYアッセイに対して使用した。

ビオチン架橋 抗体を、Nonosep 30K Omega遠心分離濃縮機を使用してのコンジュゲーションの前に約1mg/mLまで濃縮した。ビオチン(スルホ−NHS−LC−LC−ビオチン、Pierce)を、PBS中に10mMまで再懸濁した。ビオチンを、抗体(PBS中に平衡化された)に対して20倍モル過剰まで添加し、室温で30分間インキュベートした。Tris、pH7.5を100mMまで添加し、バッファをPBSに交換した。ビオチン化抗体を、結合部位(1mgのビーズあたり20μgの抗体)を飽和させるために十分な濃度でM−280 Dynabeads(Dynal)に添加し、室温で30分間インキュベートした。ビーズを回収し、洗浄し、PBS+0.05%Triton X−100中に保存した。典型的に、ビーズをこれらの元のストック濃度の10分の1まで希釈し、1回のCANARYアッセイあたり0.4μLのビーズを使用した。

導入 CANARYは、ウイルスおよび細菌の両方の検出において優れた性能を示した。毒素の検出は、異なる問題を提示する。毒素の検出に関する困難は、B細胞の表面に発現された抗体が2つの毒素分子に結合し得る一方で、各毒素分子は、1つの抗体のみに結合し得るということである。このことは、抗体が可溶性かつモノマーの毒素によって架橋されず、結果としてCANARY細胞から光放出を導く細胞内カスケードが開始されないということを意味する。

この問題を克服するための効果的な方法は、ビーズ上に毒素を捕捉することである。次いで、これらの毒素修飾ビーズは、CANARY細胞の表面上の多数の抗体を架橋し、光放出を刺激し得る。捕捉ビーズの使用はまた、可溶性タンパク質毒素の、細胞非適合性溶液(CANARY細胞の非特異性刺激因子またはインヒビターを含む)からCANARY細胞適合性溶液への移動を容易にする。この重要な能力は、CANARYが毒素を検出するために潜在的に使用され得るマトリクスの型を大いに拡張する。

ボツリヌス毒素検出 毒素の型: 実験の目的および毒素アッセイの成熟に依存して、ボツリヌス神経毒素A(BoNT/A)抗原のいくつかの型を使用した。BoNT/A重鎖(BoNT/Hc)のGST融合体を大腸菌内で産生した。この組換えタンパク質を、BoNT/A抗体を発現する細胞についてCANARY細胞のプールをスクリーニングするために使用した。GST融合体は、抗原のビーズへの容易な結合およびCANARY細胞のスクリーニングを可能にした。組換えBoNT/Hcを、CANARY細胞からの応答がBoNT/Aに特異的であった(抗体は、BoNT/Eに結合しない)ということを示すためのコントロールとして使用した。しかし、GSTタンパク質は、溶液中で二量体化する傾向を有し、従って、CANARYのモノマータンパク質を検出する能力を示すための適切な標的ではない。

市販のBoNT/Hc このBoNT/Aの非毒性部分を、ネイティブの毒素から単離し、BoNT/Aに対する抗体を使用して溶液から捕捉しなければならない。これは、溶液タンパク質の検出のための良好なモデルであるが、BoNTの重鎖部分は、ホロトキシンほど安定ではなく、この不安定性は、この抗原を使用する感度測定を困難にする。重要なことに、それはまた、活性BoNT/Aを検出する能力を実際に示さない。

BoNT/A ほとんどの実験を、市販供給源(Metabiologics)から購入された活性BoNT/Aを使用して実施した。

BoNT/A複合体 クロストリジウム ボツリナム(Clostridium botulinum)によって産生されたBoNT/Aは、種々の他のタンパク質と複合体化している。これらの関連タンパク質は、いくつかの抗体の結合をブロックし、その結果、これらの抗体を使用して開発されたCANARYアッセイがBoNT/AだけでなくBoNT/A複合体も検出し得ることを示すことが必要である。

抗体 ほとんどの実験は、ハイブリドーマ6E10−10、6C2−4および6B2−2由来の抗体を使用した。これらの抗体は、BoNT/A上の独立したエピトープに結合する。以下に記載されるほとんどの実験は、ビーズに結合した6E10−10抗体上に捕捉されたBoNT/A抗原を検出するために6B2−2抗体を発現するCANARY細胞を使用した。

さらなる実験はまた、各々がBoNT/Aタンパク質上の3つの別々のエピトープに結合する抗体CR1、RazおよびS25を使用した。これらの抗体を、CANARYアッセイ感度に対する抗体の親和性の効果を決定するために使用した。

ビーズ グルタチオンセファロースを、スクリーニングおよび初期試験のためにCANARY細胞に提示するために、組換えBoNT/A Hcを捕捉するために使用した。プロテインGコートビーズ(セファロースまたは常磁性体(paramagnetic))を、抗体を捕捉するために架橋し、CANARY細胞への提示のために溶液中の可溶性BoNT/A産物を捕捉するために使用した。ストレプトアビジンコート常磁性ビーズを、ビオチン標識抗体でコートした。これらのビーズはより再現性があり、これらが常磁性なので、遠心分離を必要とせず試料調製(毒素捕捉およびビーズ洗浄)を可能にする。

結果:BoNT/A毒素に対する類似物を使用する実験 BoNT/A Hc上の異なるエピトープに対する抗体(6B2−2および6E10−10)をコードする遺伝子を、クローニングし、これらの機能を評価するために別々のB細胞株において発現した。両方の得られた細胞株は、グルタチオン−セファロースビーズに結合したBoNT/A Hc−GST融合タンパク質に応答する。CANARY細胞機能について試験するために、組換え抗原をグルタチオンビーズ上に捕捉し、ビーズをアッセイ培地中で洗浄し、捕捉抗原を抗体6E10−10を発現するCANARY細胞に提示した。6B2−2CANARY細胞応答は、ビーズ結合BoNT/A Hc−GSTを6B2−2抗体と2.5時間または一晩インキュベートすることによって一部なくなり得た。グルタチオンビーズ上に捕捉されたBoNT/A Hc−GSTは、細胞を刺激せず、このことは、CANARY応答が抗原との相互作用によって刺激され、ビーズまたは毒素によって非特異的に刺激されないことを示す。

GSTタンパク質は、溶液中で二量体化し、従って、CANARYの可溶性モノマータンパク質を検出する能力を示すためには使用され得ない。溶液からの可溶性モノマー抗原の捕捉を示すために、本発明者らは、ネイティブのBoNT/A(Metabiologics)から精製されたBoNT/A Hcを使用した。6E10−10抗体を、プロテインG標識ビーズにコンジュゲート化し、これらのビーズを異なる濃度のBoNT/A Hcとインキュベートした。CANARY細胞を、BoNT/A Hc修飾ビーズに添加し、ビーズおよび細胞を共沈降させるために混合物を5秒間遠心分離した。捕捉された抗原は、用量特異的様式で800pgの見かけ感度(80ng/ml)で効果的にCANARY細胞を刺激した。この実験の全アッセイ時間は、ビーズ結合、細胞添加および光出力測定を含めても、5分未満であった。

しかし、BoNT/A Hcは、保存の間に凝集し、アッセイ感度の正確な測定を困難にした。非凍結のBoNT/A Hcは、凍結されたBoNT/A Hcより高い応答を生じた。遠心分離された凍結融解BoNT/A Hcの上清は、さらにより低い活性を示し、このことは、凝集体が凍結融解プロセスの間に形成されたことを示す。保存特性に加えて、ロット対ロット変動性はまた、本発明者らの正確に感度を決定する能力に影響した。CANARYが可溶性タンパク質を検出し得ることを示すことは重要であるので、本発明者らは、典型的に凍結して保存され、融解時に凝集体を除去するために遠心分離されたBoNT/A Hcをアッセイした。

オレンジジュースまたは水等のいくつかの溶液は、CANARYアッセイと非適合性であり、その結果、毒素類似物を含む元の溶液をアッセイ培地に交換する必要があった。さらに、いくつかのマトリクスは、細胞だけでなく、抗体コートビーズによる毒素の捕捉に影響することが見出された。例えば、オレンジジュースは、その低いpH(pH=3.5)のために、問題が多かった。本発明者らの溶液は、広く種々の溶液に添加された場合、pHを正常にし、抗原の特異的な捕捉を可能にするようにいくらかの最小塩濃度を生成する単一のバッファ剤を作製することになっていた。これらの実験について、本発明者らは、全ての液体に添加し、塩を少なくとも最終80mMにまで上昇させ、オレンジジュース等の酸性の溶液のpHを約6.5まで緩衝するための濃縮バッファ(7×HNa)を作製した。ビーズは、このバッファ中で保存され得、その結果、毒素アッセイは、なお試料への単一の溶液(7×HNa+捕捉ビーズ)の添加のみを必要とした。抗体コートビーズを溶液中で12分間インキュベートし、アッセイ培地で洗浄し、CANARYアッセイに使用した。オレンジジュースおよびPBS−Tx−100中のBoNT/A Hcに対するLODは、バックグラウンドの3倍として明確に定められ、80ng/mlであった。オレンジジュースおよびPBS/Tx−100中のCANARYのBoNT/A Hcに対する感度がコントロールに匹敵しており、その一方で、ミルクは、阻害的であると証明され(コントロールの約20%)、このことは、試料調製がこのマトリクスにおいて理想的な感度を達成するために変更されなければならないことを示した。最初の結果は、ミルク中の塩濃度を上昇させると感度が改善し得ることを示す。

いくつかの医学的に関連するマトリクスはまた試験され、各々は、特異的な試料調製法を必要とした。鼻試料をアッセイするために開発された手順は、スワブ上に回収された試料を有し、スワブの軸を切り取り、スワブの末端をエッペンドルフチューブ上にぴったりと合った5ミクロンのフィルターバスケットに配置した。BoNT/A Hcを含むアッセイ培地を添加し、アセンブリをキャップし、遠心分離した。濾過された溶出物をエッペンドルフチューブに回収し、上記のビーズ捕捉手順を使用してアッセイした。BoNT/Hcを有する実際のスワブおよび類似スワブ由来のシグナルは、非常に類似しており、このことは、鼻試料にはインヒビターは存在していないことを示す。抗原(鼻スワブ)の非存在下での鼻スワブに対するCANARY応答の欠損は、鼻スワブ試料に存在する非特異的刺激因子は存在しないことを示す。

BoNT/A毒素およびCANARYアッセイ感度 CANARYがBoNT/Hc毒素類似物でだけでなく活性BoNT/A毒素でも検出されることを示すために、市販のBoNT/Aを入手し、6E10−10ビーズで捕捉された毒素を使用してアッセイし、6B2−2CANARY細胞を使用して検出した。このアッセイの検出限界は、約8ng/mlまたは80pgの毒素であり、これは、BoNT/A Hc毒素類似物に対するLODの約10倍の改善である。16pgの毒素を含む試料(1.6ng/ml)は、バックグラウンドの約3倍まで細胞を刺激するが、現在の検出アルゴリズムに適合しない動力学的プロフィールを示す。アッセイ感度のこの改善は、活性BoNT/A毒素が保存の間可溶のままでいるということか、または抗体が重鎖によりも毒素全体により良好に結合するということのいずれかを示す。

実際の試料中のBoNT/A毒素の検出も示された。尿中のBoNT/A毒素の検出を実施し、検出限界が16ng/mlである場合、CANARYはまた、全血におけるBoNT/Aの検出について効果的であった。BoNT/Aを全血に添加し、血液をポリマーによって簡単に遠心分離し、可溶性物質からの細胞の分離を容易にした。6E10−10ビーズを得られた上清に添加し、2分間インキュベートし、6B2−2 CANARY細胞を使用してアッセイした。ミルク中で毒素類似物を検出する場合に観察されるように、このアッセイの検出限界、16ng/mLは、コントロール培地を使用して見られる感度より約5倍低い。

これらのマトリクスの両方における高いタンパク質濃度が溶液中のビーズ結合抗体とBoNT/Aの間の特異的な相互作用を阻害したことはあり得る。高いタンパク質溶液における感度を改善するための活動において、塩および非イオン性界面活性剤の添加を試験した。塩(NaCl)、非イオン性界面活性剤(Tween−20またはTriton X−100)または2つの組み合わせを、血漿中の48ng/ml BoNT/Aに添加し、結果を水の添加と比較した。Triton X−100の添加は、シグナルを改善し、その一方で、Tweenの添加は改善しなかった。塩単独の添加は、より劇的な効果を有し、シグナルの振幅を1700RLU〜約4800RLUまで増加した。塩を含む試料への界面活性剤の添加は、さらなる効果を生じなかった。このことは、塩の添加が非特異的なタンパク質−タンパク質相互作用を減少し、抗体コートビーズに結合するBoNT/Aの割合を増加し得ることを示す。

アッセイ最適化 BoNT/Aアッセイの感度は、溶液中の毒素の捕捉に使用されるビーズの数に依存する各ビーズ上の抗原の密度に依存すると予想される。多数のビーズを使用することが最大捕捉効率を確実にするが、毒素の濃度が低い場合、各ビーズ上に存在する抗原が、あまりにまばらなので、効率的な細胞応答を誘発し得ない。従って、ビーズの数と各ビーズ上の抗原密度の間のバランスは、発見されなければならない。これらのパラメーターを最適化するために、1.6ng/mLで異なる体積のBoNT/Aで種々のビーズ濃度を試験する1セットの実験を実施した。1つのそのような実験において、異なる数のビーズを、各試料に添加し、2分間インキュベートした。少量の体積でインキュベートする場合、多数のビーズは、少数のビーズをより良好には細胞を刺激しなかった。このことは、少量の毒素を含む試料において、多数のビーズで捕捉することは、抗原の分布を非常にまばらにするためにCANARY細胞を効率的に刺激し得ないことを示す。

捕捉時間を延ばすことは、LODを0.32ng/mlのBoNT/Aまで改善し、その一方で、本発明者らはまた、ビーズの数の効果がより顕著になることを観察した。例えば、ビーズを0.32ng/mlで100μlのBoNT/A中に一晩インキュベートして、ビーズの数が300000から3000に減少することによってシグナルが改善された。ビーズがより少ないことは、各ビーズがより多い毒素を有することを意味し、ビーズの数が減少するにつれてシグナルは改善される。

抗体をビオチン化することと、結合および洗浄条件を改善することと、ビーズの数を最適化することの組み合わせは、6分のアッセイにおいて16pg(1.6ng/ml)の感度の改善を導いた。16pgの毒素は、55kg(120lb)のヒトの吸入によって約0.000029(1/34370)のLD50を示す。これは、注射によっては約0.00023×LD50であり、摂食によっては0.00000029×LD50である。この感度のレベルにおいて、アッセイは、流体34リットルに存在する約1のLD50を検出し得る。

実際の毒素に対する結果:BoNT/A シグナル振幅は、コントロールに比べていくらか減少したが、尿にスパイクしたBoNT/Aを検出し得た。(図158)この実験において前処置を使用せず、6E10−10コートビーズをBoNT/Aでスパイクした尿に直接添加した。並行実験におけるアッセイ培地に直接希釈された毒素に対する3.2mg/mlに比べて、尿中のBoNT/Aの検出限界は16ng/mlであった。

CANARYはまた、他の刊行物に記載される試料調製手順を使用する全血におけるBoNT/Aスクリーニングに有効であった(図159)。全血をBoNT/Aでスパイクし、血液をポリマーによって簡単に遠心分離し、可溶性物質からの細胞の分離を容易にした。6E10−10抗体コートビーズを、得られた上清に添加し、2分間インキュベートし、6B2−2CANARY細胞を使用してアッセイした。このアッセイの検出限界は、16ng/mlであり、コントロール培地を使用して見られる感度より約5倍低い。この試料調製法によって、ポリマーの非存在下で遠心分離によって調製された血漿における以前のアッセイに対して有意に改善された。

ミルクおよび血清の両方において、CANARYアッセイによる毒素の検出限界は、コントロールより約5倍高かった。このことは、これらのマトリクスの両方における高いタンパク質濃度が溶液中のビーズ結合抗体とBoNT/Aの特異的な相互作用を阻害したからであるということはあり得る。高いタンパク質溶液中の感度を改善する活動において、塩および非イオン性界面活性剤の添加を試験した(図160)。塩(NaCl)、非イオン性界面活性剤(Tween−20またはTriton X−100)または2つの組み合わせを、血漿中の48ng/ml BoNT/Aに添加し、結果を水の添加と比較した。Triton X−100の添加は、シグナルを改善し、その一方で、Tweenの添加は改善しなかった。塩単独の添加は、より劇的な効果を有し、シグナルの振幅を1700RLUから約4800RLUまで増加させた。塩を含む試料への界面活性剤の添加は、さらなる効果を生じなかった。このことは、塩の添加が、非特異的なタンパク質−タンパク質相互作用を減少させ、抗体コートビーズへのBoNT/A結合の割合を増加させることを示す。

本発明者らは、CANARYが効率的に活性BoNT/Aを検出し得るが、毒素がクロストリジウム ボツリナムの特定の株から単離される場合、毒素は、さらなるタンパク質と複合体化しており、抗原的に異なる標的、BoNT/A複合体を生成することを示した。重要なことに、CANARYは、BoNT/Aと同じ応答レベルでBoNT/A複合体を検出した(図161)。BoNT/AとBoNT/A複合体の等モル量(各5fmol)を6E10−10コートビーズに添加し、捕捉された毒素を6B2−2細胞を使用して検出した。CANARY応答は、両方の調製物で同一であり、このことは、これらの抗体によって結合されたBoNT/A上のエピトープは、BoNT/A複合体タンパク質によってブロックされなかったことを示す。

本発明者らは、非常に迅速なアッセイを開発することに集中することを選択した。より長いインキュベーションは、アッセイの限界を決定することにおいて重要であるが、診断目的または検出目的のためには重要でない。本発明者らは、捕捉抗体をビオチン化することおよびそれをストレプトアビジンビーズに結合することが容易であり、わずかに良好な結果を与えたことを見出した。抗体をビオチン化することと、結合条件および洗浄条件を改善することと、ビーズの数を最適化することの組み合わせによって、経時的な感度の改善が導かれた。BoNT/Aでスパイクされた疑わしい溶液10μlに対するアッセイにおいて、感度は16pg(1.6ng/ml)である(図162)。ビーズの添加、2分間の結合、磁性捕捉およびビーズ洗浄、細胞添加ならびに光出力測定を含む全アッセイは、約6分かかる。

要約 要約すると、本発明者らは、可溶性の毒素を捕捉するために抗体コートビーズを使用するボツリヌス毒素に対するアッセイを開発した。これらの毒素修飾ビーズを、CANARY細胞に対して固定化された毒素を提示するために使用する。重要なことに、ビーズはまた、任意の種々の細胞非適合性マトリクスからアッセイ培地への毒素の移動を容易にする。これは、血液、尿、鼻スワブ、オレンジジュース、ミルク、水およびPBS−Tritonにおける毒素の検出を可能にする。いくつかのマトリクス、特に、高濃度のタンパク質を含むマトリクス(血漿およびミルク)は、CANARYアッセイにおいて減少応答を引き起こす。この阻害は、塩を添加し非特異的なタンパク質相互作用を減少させることによって部分的に克服され得る。アッセイは、速度について最適化され、6分で16pg(1.6ng/ml)のBoNT/Aを検出し得る。感度は、捕捉抗体の親和性に依存するようであるが、より高い親和性の抗体の使用は、検出限界を改善しない。ビーズ捕捉工程のインキュベーション時間の増加によって、より良好な感度が得られる(0.32ng/ml未満)。困難なマトリクスにおいてさえも、アッセイは、6分でLD50の一部を検出し得る。

CANARYのハードウェア開発 材料および方法 磁性物質ビーズおよび磁性B細胞ビーズアッセイ B細胞結合ビーズ:Dynabeads(登録商標)マウス パン B(B220)カタログ番号114−41Dを、さらなる改変なしに使用した。

物質結合ビーズ:Dynabeads(登録商標)M−280トシル活性化カタログ番号142−03を、製造業者の推奨に従って捕捉抗体で機能的にした。

アッセイ手順:1.5mlチューブ中の物質抗体でコートされた磁性ビーズ(Dynal/カタログ番号142−03)を試料と室温で5分間インキュベートする。磁石を用いて捕捉された物質およびビーズをチューブの底に沈殿させる。B細胞磁性ビーズ(Dynal/カタログ番号114−41D)をチューブに添加し、10秒間の強力な希土類磁石に曝露してチューブの底に沈殿させる。チューブをルミノメーターに配置し、シグナルを読み取る。

側方フローストリップ 材料: 試料パッド:Milliporeガラス繊維パッドG041/GFCP1 030 00。芯パッド:Milliporeセルロース吸着性試料パッド C082/CFSP1 730 00。 捕捉膜:Pall 0.45μm GHポリプロ膜(カタログ番号 GHP4550001/Pall)

方法 以下のように側方フローストリップを組み立てる。0.25インチ×0.25インチMillipore灯心パッドをパッキングテープに配置する。膜の1/3が灯心パッドの上になるように、0.4インチ×0.1インチPall 0.45μm GHポリプロ膜を芯パッドの上に配置する。0.25インチ×0.5インチのガラス繊維フィルターをPall GHポリプロ膜に乗せる。

単一チャネルセンサーの開発 最適のCANARYアッセイを実施し得る改善された単一チャネルハードウェアが、本明細書中に記載される。本発明者らは、以下の2つの並行方針を追跡した:(1)CANARY試料を遠心分離および分析できる単一のユニットに対するオーダーメードの概念の開発、ならびに(2)単一のCANARYアッセイを実施するためにCOTSルミノメーターおよび改変され得る、または好ましくは改変なしで使用され得る微量遠心分離機を試験すること。そのプロセスの結果は、CANARYアッセイの手順および性能を改善した高価でないCOTSハードウェアの同定であった。最適なハードウェアの組み合わせは、最適の立体配座で8つまでのCANARY試料の遠心分離を可能にするために、オーダーメードのローターに適合されたVWR微量遠心分離機と共に使用されるBerthold検出システム FB12ルミノメーターからなった。

単一のチャネルセンサーを使用するための手順は、従来のスイングバケット微量遠心分離機、または入手可能な場合、VWR微量遠心分離機において、6000RCFを超える2分のプレスピンで開始する。1滴のB細胞を試料に添加し、微量遠心分離機に配置し、5秒間遠心分離した。シグナルのピークの前に、シグナル読み取りおよびCANARY同定のためにルミノメーターに試料を移動するための時間は十分にある。全CANARY試験手順は、3分で完了し得、並行の試料のプレスピンと共に、1人のユーザーによって操作される単一チャネルCANARYセンサーが1時間あたり25までの試料を処理するのを可能にする。

16チャンネルセンサー開発 その最も単純な形態において、CANARY測定は、透明チューブ中に試料を調製する工程、チューブに特別に調製されたB細胞のアリコートを導入する工程、高速遠心分離スピンを使用してチューブの底にB細胞を移動させる工程、および光子計測センサーを用いてチューブからの光出力を測定する工程からなる。実験室において、ほとんどのCANARY測定は、自動化BAWS/CANARYバイオエーロゾル同定センサーにおいて1度に1試料ずつ連続的になされ、4つの試料が同時に測定され、各試料は、それぞれの集光チャネルを有する。各集光チャネルは、典型的に光センサー、高圧電源、パルス識別回路、およびおそらくデジタルカウンターからなる。前者のシステムは、より多くの時間を必要とし、その一方で、後者は、より複雑(かつ高価)なハードウェアを必要とする。

(ハードウェア要求を最小に維持しつつ)多数の試料を測定するために時間を短縮した新規のアプローチを、首尾良く試験した。単一の集光チャネルを使用する16試料までの同時測定を可能にするセンサー試験台を製造した。このセンサーは、16個の1.5mlチューブが水平に保持され、その円周に等しく分布され、垂直軸のまわりの可変速度モーターによって駆動されるローターからなる。単一の固定された光検出要素(この場合、PMT)を、回転の間チューブの経路のすぐ下のローターの面に配置した。この方法において、各々のチューブを、PMTの近傍に連続的かつ繰り返し持っていき、その光出力が各経路上でサンプリングされるのを可能にする。

さらに、光源(赤外LED)および検出器(フォトトランジスター)からなる光学スイッチを、検出された光子の計数およびデータの16フィールドへの再組織を制御するために使用し、各々は、特定の試料と関連した。

単回測定は:1.16の試料(および/またはコントロール)を個々の1.5mlチューブに調製する工程;2.B細胞のアリコートを各々のチューブに導入する工程;3.暗箱に配置されたローターにチューブを設置する工程;4.高RCF(約2000g)での短い(5秒)遠心分離を使用してチューブの底にB細胞を局在化する工程;5.測定の継続時間の間(1〜2分)ローター速度を60rpmに減少させ、各チューブが1秒に1個サンプリングされる工程;6.ディスプレイに各試料について光子計数の時系列を生成し、および/または評価のためにコンピューターアルゴリズムに入力する工程からなる。

試験を実行し、アッセイの読み取りからシグナル収集特性を解析し、その一方で、シグナルが重なる前に試験台の16箇所ローターがどれほど十分占有され得るかを決定するために遠心分離した。ローターを完全に占有し、試料の全てが、単一チャンネルセンサーで観察される比に匹敵するシグナル対ノイズ比でシグナルを生成し、光に対する透過を制限するために十分なバフリングが提供された場合、チャンネル間で放出された光のクロストークが観測されないことが観察した。16チャンネル試験台からのデータの例は、単一チューブ法に匹敵するLODを示す。このセンサーが設計どおりに16個の試料を測定し、物理的大きさおよびサンプリングの統計が最終的に実際の限界を決定するが、より多くの試料数が可能である。

回転形式を、持ち運び式16チャンネルプロトタイプセンサーに対する設計に組み込んだ。設計の主たる課題は、最も長い寸法において12インチ未満の小さな組み込みの持ち運び式ユニットに、CANARYアッセイの遠心分離および読み取りに必要なハードウェアを組み込むことになっていた。さらに、電力消費が電池起動操作のためのエンクロージャに電池を入れられるように十分低いことを確実にするために、設備を作製した。これらの課題は、水および光に耐性の小さなCOTS輸送ケースにセンサー要素を作製することによって、および24V DC電源を使用してローターを遠心分離できるより小さなモーターおよびコントローラーを使用することによって達成された。

ハンドヘルドセンサー開発:単純化されたアッセイ開発 臨床的応用、配慮点応用、および前方展開応用に標的化されたコンパクトなハンドヘルドセンサーは、特に興味深い。本発明者らは、遠心分離工程が、現在エネルギー消費および装置の複雑さの第1の原因であるので、遠心分離工程に対する要求を縮小または除去し得る交互アッセイ手順の性能を特徴付けることに集中した。本発明者らは、縮小した遠心分離要求、微量流体チャネル、側方フローアセンブリ、濾過、または磁性ビーズ捕捉を使用するアッセイ形式に対する多くのアプローチを評価した。これらのアプローチのうち、縮小した遠心分離要求、側方フローアセンブリの使用、および磁性ビーズ捕捉は、以下に詳細に記載する。

縮小した遠心分離工程を有する標準形式。高い濃度の物質に対するシグナルが、遠心分離工程なしに観察され、その結果、生じる性能代償を特徴付けるために、本発明者らは、異なる遠心分離の組み合わせを使用する一連の実験を実施した。実験は、遠心分離およびアッセイ時間の減少(1回のアッセイあたり約3分から1回のアッセイあたり約1分)は、約1オーダーの大きさ感度を低下させることを示す。

側方フロー形式。本発明者らは、遠心分離なしに試料流体輸送および抗原局在化を達成するために灯心材およびフィルター材料を層にした装置におけるCANARYアッセイの性能を特徴付けた。装置の基本的な構造および胞子の大きさの粒子を局在化させるその能力を示す絵を、図184および185に示す。図186は、同じ物質および細胞試料を使用した標準遠心分離アッセイおよび側方フローアッセイの両方について得られたCANARYシグナルを示す。

二重磁性ビーズアッセイ。本発明者らは、2セットの磁性ビーズの利点を使用するアッセイを特徴付けた。1つのセットは、CANARY B細胞に特異的であり、もう1つのセットは、特定の物質に特異的である。図187において、標準CANARYアッセイと、同じB細胞および物質希釈シリーズを使用する二重ビーズアッセイを一緒に実施した。Y.ペスティスに特異的な磁性ビーズを、5分間Y.ペスティス物質の希釈シリーズと混合した。5分後、磁性ビーズを任意の結合したY.ペスティスと共にアッセイチューブの底に遠心分離し、上清を除去した。次いで、磁気的に標識したB細胞を、試料に添加し、チューブの底に遠心分離した。磁性ビーズで物質およびB細胞を局在化することは、これまでに、遠心分離と同一の感度を提供することが証明された。

ハンドヘルドセンサーハードウェア開発 ハンドヘルドセンサーハードウェア開発は、遠心分離なしで実施され得る単回のCANARYアッセイが可能なカートリッジの設計で開始された。カートリッジを、その先端に小さいが強力な磁石を有するスワブおよび磁性ビーズに結合されたB細胞のカプセルを含むように設計した(図188)。表面をサンプリングするためにスワブを使用した後、それは、B細胞を含むカプセルに導入され、磁石は、スワブの表面の抗原にビーズ結合細胞を引き寄せた。次いで、全カートリッジを、光放出を記録するために特別に適合された電池起動式のルミノメーターに入れた。このハンドヘルドセンサーは、ヒトまたは表面の特定の病原体への曝露を決定するために当該分野で使用され得る。この設計の原理的説明は、いくつかの因子に基づいた。本発明者らは、(遠心分離によって調製された)液体試料においてビーズ結合B細胞を抗原に引き寄せるために磁石を使用することによって遠心分離を磁性ビーズと交換する能力を示した。本発明者らはまた、B細胞が、カートリッジ中に存在する場合、カプセルにパッケージ化され得、感度を低下させることなく数週間冷蔵され得るかまたは室温で48時間保持され得ることを示した。最終的に、磁石が光電子増倍管の機能に対して有害な効果を有し得るが、本発明者らは、ルミノメーターにおける磁性スワブと光電子増倍管の距離がこれらの有害な効果を防止するために制御され得ることを示し得た。初期の実験は、抗原の非存在下で球状ネオジム磁石に引き付けられたビーズ結合B細胞が、一時的な光シグナルを発することを示した。これは、細胞に対する機械的ストレスのために最もありそうなことである。より弱い磁石の使用(ネオジム磁石は非常に強い);「調節された」磁石(スワブの本体においてさらに離れて取り付けられたネオジム磁石によって磁化されたスワブの先端の磁性物質);および格納式磁石(B細胞がスワブ表面に引き寄せられた直後引っ込められ得る)を含むいくつかの可能な治療を同定した。

磁性操作および加工の複雑さは、それが操作のコストを上げる場合、消耗品から除去された。磁性試料および細胞操作に必要とされる成分をハンドヘルド読み取り装置に移動させることは、装置の全体のコストにほとんど何も加えない。さらに、このアプローチは、アッセイをCOTS微量遠心チューブで実施することを可能にし、最大の感度および信頼性を保証する。これらの利点に基づいて、機上磁性アッセイ操作を可能にする特徴を有するハンドヘルドルミノメーターを開発した。光センサーおよび支持する電子工学は、単一チャネルCANARYセンサーに組み込まれたCOTSルミノメーターを製造する同じ製造業者であるBerthold Detection Systemsによって製造された市販のルミノメーターにおいて見出されるものに基づく。結果として得られた設計を、図189に示す。この設計に基づいて完成されたセンサーを図190に示す。

ハンドヘルドCANARYセンサー(図190)は、アッセイチューブの底から1mm未満に光カソードと共に指向されたPMT、タッチパッドを有する読み取りスクリーン、充電式バッテリーパック、およびスライド式試料ドアを特徴とする。試料ドアは、配置された希土類磁石を含み、その結果、図189に示されるチューブの挿入は、捕捉された標的と磁気的に標識されたB細胞の同時局在化を生じる。アッセイ手順は、試料への磁気ビーズの添加で開始され、混合および5分間のインキュベーションが続く。次いで、試料/ビーズ懸濁物を、ドアの磁気チューブホルダーに1分間配置し、捕捉された標的をチューブの底に局在化する。標的が減少した試料が除去され、B細胞を含むアッセイバッファと交換し、チューブを磁性ホルダーに戻す。5秒後、チューブをドアの読み取り位置に配置し、ドアを閉め、PMTシグナルを記録する。

従って、本発明者らは、病原体および毒素の高速同定のためのセンサーとして働く遺伝子操作されたB細胞を製造するために系を開発した。これらの細胞を使用して本発明者らが開発したアッセイは、公知の速度と感度の最良の組み合わせを示し(実験室試料を用いて0.4%の偽警報速度でもって、3分未満で殺傷されたY.ペスティスの50未満の粒子)、B細胞が自己複製するので、材料のコストは、非常に安い。リフトバレー熱ウイルス、デング熱ウイルス、および臨床診断に重要な他の物を含む、本発明者らが産生した24の遺伝子操作されたB細胞株に加えて、本発明者らは、1ヶ月ではなく1日で特異性が操作され得るCANARY細胞株を産生した。本発明者らは、鼻スワブからの50cfuのB.アントラシス胞子、尿中の500のC.トラコマティスEB、および全血の1000cfuのY.ペスティス/mLの検出を示す、臨床的に関連する試料の5分アッセイを開発した。本発明者らはまた、CANARYアッセイが、単一のアッセイにおいて3つまでの細胞株を合わせることによって、または1つを超える病原体に応答する細胞を操作することによって多重操作され得ることを示した。あるいは、本発明者らは、2つ以上の病原体を区別し得る単一のアッセイを可能にする異なる波長の光を放出するB細胞の産生を示した。

本発明者らは、タンパク質毒素を含むCANARYの能力を拡張し、6分のアッセイで16pgほど少ない(1.6ng/ml)ボツリヌス毒素の検出を示した。16ピコグラムの毒素は、55kg(120lb)のヒトの吸入によって約0.000029(1/34370)のLD50を示す。これは、注射によっては約0.00023×LD50であり、摂取によっては0.00000029×LD50である。このレベルの感度において、アッセイは、34リットルの流体に存在する約1のLD50を検出する。この感度が患者由来の血清試料を使用するBoNT/Aの診断に十分であるかどうかは明らかではないが、確かに、食物汚染、エーロゾル化物質、または吸入曝露(鼻スワブ)に対する優良なスクリーニング方法である。

CANARYアッセイがCOTS装置のいくつかの部品を使用する単一チャネル形式で実施され得るが、本発明者らは、約100試料/時間で処理し得、その一方で、50cfu/pfuの細菌または大きなウイルスの最適LODを維持する組み込みスピンモーターおよびPMTを備える16チャネルセンサーを開発した。本発明者らはまた、非遠心分離の二重磁性アプローチを使用するハンドヘルドセンサーを開発した。

CANARY B細胞ベースのバイオセンサーは、他の同定技術に対していくつかの利点を提供する病原体同定のための高度に発展したシステムを活用する。CANARYを使用すると、試料調製を含む約5分の同定を提供することが可能であり、微量遠心で濃縮されるほど十分大きな病原体の場合、本発明者らは、PCRに等しい感度のレベルを示した。比較において、先行技術の免疫アッセイは、少なくとも14分必要とし、より高い検出限界(6×104cfuまたは6×106pfu)を有する。PCRは、極端に感度がよく(1〜5cfu)、高度に特異的であり、増幅およびシグナル検出に対する時間を短くした技術的躍進を示し、その一方で、このアッセイは、DNAを抽出および精製するために必要な時間を含まずとも少なくとも7分(典型的には20〜30分)かかる。CANARY等の技術から利益を得られる応用は、性感染疾患等の処置に対する戻り率が低いが社会の衝撃が大きい病気に対する配慮点診断を含む。さらに、CANARYは、生物戦争攻撃の直後の時期における鼻スワブ由来の症状前検出、入港時の農業病原体の検出、または生鮮食品供給のスクリーニングに有用である。実際、CANARYは、任意の時間が重要な設定において、高度に感染性の病原体の検出および同定を可能にし得る迅速かつ高感度の方法である。

細胞操作およびアッセイ法の実施例 A.細胞操作法 M12g3R細胞を、10%ウシ胎仔血清、1mMピルビン酸ナトリウム、2mmM L−グルタミン、100μM非必須アミノ酸、50μM 2−メルカプトエタノール、50μg/mlストレプトマイシン、および50U/mlペニシリン、250ng/mlアンホテリシンB(Life Technologies)を補充されたRPMI 1640中で37℃5%CO2の加湿雰囲気で維持した。細胞を、エレクトロポレーション(270V、950μF)でpCMV.AEQ.IRES.NEOでトランスフェクトし、1mg/ml G418中で2週間選択した。G418耐性クローンを、抗−IgMに対する応答についてスクリーニングした。表面IgMの架橋の際に光子放出が最大に上昇するこれらのクローンを、以降のトランスフェクションで使用し、特定の病原体に特異的なB細胞株を産生した。操作された特異性を有する抗体の表面発現は、軽鎖に対する発現ベクターおよび重鎖に対する発現ベクターとピューロマイシンに対する耐性を付与する遺伝子をコードする発現ベクターで(エレクトロポレーションにより)共トランスフェクションすることによって達成される。ピューロマイシン耐性プールおよびクローンを、これらの抗原に対する応答に基づいて選択した。軽鎖に対する発現ベクター、VKExpressは、ヒト伸長因子−1α(EF−1α)プロモーターの制御下のマルチプルクローニング部位(MCS)の下流ヒトκ遺伝子の定常領域を含む。重鎖ベクターを、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターおよびリーダー配列を保持するが、血小板由来増殖因子(PDGF)レセプター膜ドメインをマウスIgMの膜結合定常領域の遺伝子で置換し、MCSのいずれかの側の両方のタグを除去した、pDisplay(Invitrogen)を改変することによって生成した。適切な制限部位を、PCRを使用して抗体可変領域に追加し、全てのPCR産物の配列を、発現構築物へのクローニングの前に確認する。組換え抗体を産生するために使用された可変領域を、ランダムオリゴヌクレオチドプライマーおよびPCRを用いる逆転写(RT)を使用してcDNAまたはハイブリドーマのいずれかからクローニングした。RNAを製造業者の推奨に従ってTrizol試薬(Life Technologies)を用いて抽出し、第1鎖合成を、Retroscriptキット(Ambion)を使用して実施した。PCRを、5’末端で軽鎖または重鎖いずれかのリーダー配列[S. T. Jones and M. M. Bendig, Bio/Technology 9,88(1991)]に、および3’末端で、マウスκまたはIgG2の定常領域にアニーリングするように設計されたプライマーのセットを使用して達成した。

B.FMDVに対する生物発光B細胞応答 pCMV.AEQ.IRES.NEOプラスミドおよびFMDVのA12株を認識する組換え抗体に対する発現ベクターで安定にトランスフェクトされたM12g3R B細胞を以下のようなルミネセンスアッセイのために調製した:細胞を第1日に融解した。融解後24時間の細胞の調製は、最大活性および信頼性に重要である。凍結/融解工程は、B細胞の応答を100倍程度増大させる。第2日に、106細胞を、50μMコエレンテラジン(Molecular Probes, Eugene, Oreg.)を補充されたホイルで覆われたアッセイ培地[CO2非依存性培地、10% FBS、50μg/mlストレプトマイシン、および50U/mil ペニシリン、250ng/mlアンホテリシンB(Life Technologies)]中で室温で2時間インキュベートし、2度洗浄し、5×105細胞/mlの最終濃度でアッセイ培地に再懸濁した。細胞を、1.5mlの微量遠心分離チューブ中で室温で一晩回転し、15〜20時間後アッセイした。アッセイのために、25μlの細胞を抗原(1.4×108pfu/mlの5μlの野生型A12pRMC35株、7.5×107pfu/mlの10μlのA12バリアント)と混合し、応答をルミノメーター(Lumat LB 9507, Perkin Elmer)において測定した。

C.細菌および大きなウイルスを用いた生物発光アッセイ センサーデバイスおよび方法を、細菌病原体およびウイルス病原体の迅速検出のために使用し得る。細胞株を、ツラレミアの病因である細菌、フランシセラ ツラレンシス(Francisella tularensis)に応答するように操作した。しかし、FMDウイルスおよびVEEウイルスと同じプロトコールを使用してアッセイされる場合、シグナルは遅く、バックグラウンドとほとんど区別がつかず、このことはB細胞と抗原の間の遅い相互作用速度(0秒プレスピン/0秒スピン)を示す。抗原ビーズ類似物を用いて実施された以前の実験は、感度および速度が抗原およびB細胞の濃縮によって増大され得(データは示さず)、その結果、ルミノメーターを光電子増倍管(PMT)の上に配置された遠心分離機を含むように再配置したことを示した。物質および細胞を一緒に混合し、次いで、5秒間遠心分離によって濃縮した場合、シグナルは改善され、応答はより速くなる(0秒プレスピン/5秒スピン)。最適な結果は、ゆっくりと沈降するF.ツラレンシスが細胞の添加の前に遠心分離される(60秒プレスピン/5秒スピン)場合観察される。この形式は、多数の細胞が短い時間枠内で抗原と物理的に接触し、その結果、感度および速度に主要な改善を提供することを確実にする。さらなるアッセイプロトコールの最適化の後、本発明者らは、現在、物質をプレスピンするのにかかる時間を含む3分未満でF.ツラレンシスの60コロニー形成単位(cfu)ほど少ないものを検出し得、ペストを引き起こす細菌である不活性化エルシニア ペスティス(Yersinia pestis)に対して応答し得ないことを観察し得る。この検出限界は、不活性化F.ツラレンシスの2つの他の供給源および1つの異なる株(データは示さず)で確認された。さらに、センサーデバイスは、広い範囲の感度を示し、7オーダーの大きさを超える範囲の濃度を検出する。

B細胞を上記のように調製した。示された量のY.ペスティスまたはF.ツラレンシスを含む50μlを、6500×gで60秒間遠心分離し、次いで、20μlの細胞を添加し、遠心分離ルミノメーターにおいてさらに5秒スピンした。光子をHamamatsu HC−125光電子増倍管で検出し、シグナルをStanford Research Systems SR400 Gated Photon Counterでモニターした。

核酸検出例 ジゴキシゲニン抗体を発現するエミッター細胞の特徴付け ジゴキシゲニンに対する抗体をコードするプラスミド(Daugherty ら (1998) Protein Engineering 11 (9): 825-832)を、エミッター細胞に導入し、これらの細胞をジゴキシゲニンに化学的にコンジュゲート化されたタンパク質(BSA)(Dig−BSA)を使用してスクリーニングした。12の独立したプールを選択し、12〜24の独立した細胞株を得た。第1の実験は、これらの細胞がDNAによって架橋されたジゴキシゲニン抗原(Dig−DNA)を検出し得るかどうかを試験した。3つの型の市販のDig−DNAを、Dig抗体発現CANARY細胞(図26A〜C);20塩基対ごとに結合されたジゴキシゲニンを有するプラスミドDNA(図26A);200塩基対ごとに結合されたジゴキシゲニンを有するDNA分子量マーカー(図26B);および各末端に結合された1つのジゴキシゲニンを有するDNA分子量マーカー(図26C)との反応性について試験した。これらの基準の各々は、種々の程度までエミッター細胞を刺激し、最も感度の高い応答は、Dig標識プラスミドDNAであった。平均20塩基間隔を空けた抗原が200塩基間隔を空けた抗原より100倍(ジゴキシゲニンあたりであり、DNAのμgあたりではない)細胞を刺激するという事実は、200塩基は非常に距離が長く理想的な応答を刺激できないことを示す。カルシウム放出およびエクオリン光生成を生じる細胞内カスケードを刺激するために、近傍の抗体は、細胞内で反応を開始するように互いに十分近く固定されなければならない。

従来のCANARYを使用する可溶性抗原および不溶性抗原の両方の検出において常套的である光出力の直前の遠心分離が、可溶性Dig−DNA抗原に対するCANARYの感度を実際に低下し得ることはまた、注目された。示された実験(図27Aおよび27B)において、細胞をDNA溶液を通して遠心分離することは、ほぼ10倍検出限界を低くするようである。この結果は、DNAの検出と他の沈降しない抗原の検出の間の違いを反映する。

エミッター細胞を使用するハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドプローブの検出 このアッセイは、ジゴキシゲニン標識(Dig−標識)プローブの標的DNAへのハイブリダイゼーションを検出するために設計された。これらの実験に対する標的DNAは、ファージミドpBluescriptIIに由来した。この3100塩基対長の環状ファージミドは、二本鎖DNA(dsDNA)または2つの一本鎖DNA(ssDNA)のいずれかを作製するために導入され得る。これらの2つのssDNA鎖は、(+)鎖または(−)鎖と称される。(+)鎖に特異的に結合する以下の10のDig−標識オリゴヌクレオチドプローブを設計した。

オリゴヌクレオチドを、pBluescriptファージミドDNAに沿った位置の順に番号付けする。各々について示されているのは、オリゴヌクレオチドのDNA配列、ファージミド上の配列の位置、およびそのオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)(おおよその結合親和性)である。これらのオリゴヌクレオチドに対するTmの範囲が小さいことは、これらが類似した結合特性を有することを示す。

これらのオリゴヌクレオチドの各々は、第1残基に結合されたジゴキシゲニン(Dig)分子を有し、各々は、これらの類似した融解温度計算値(Tm)によって反映されるように類似した標的DNA結合特性を有する。10のジゴキシゲニン標識オリゴヌクレオチドのこのセットの標的DNAの(+)鎖へのハイブリダイゼーションは、20塩基ごとに1つのDig分子を有する200塩基長の二本鎖DNAを生じる。プラスミドの残りの2900塩基は、一本鎖のままである。この固定化ジゴキシゲニン抗原の集合は、エミッター細胞の表面上でジゴキシゲニン抗体を架橋し、光生成を刺激する。

11番目のオリゴヌクレオチド(NEG3)はコントロールである。NEG3は、オリゴヌクレオチド3番に直接結合し、各末端に単一のDigを有する20ヌクレオチド長のdsDNAの短い断片を生じるように設計された。ジゴキシゲニン抗体を発現するエミッター細胞は、80フェムトモルの投入オリゴヌクレオチドを検出し得る(図28)。このコントロールは、選択されたハイブリダイゼーション条件がこのTm範囲内の2つのオリゴヌクレオチドの結合を支持するのに少なくとも十分であったことを示した。より重要なことには、このコントロールは、20塩基の相補DNAの間の結合が抗体を架橋し、エミッター細胞からシグナルを誘発するのに十分強いことを示した。

オリゴヌクレオチド−オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションは、非常に迅速に生じる(図29)。オリゴヌクレオチドNEG3を、ハイブリダイゼーション溶液に添加し、その後オリゴ3を添加した。溶液を、培地中で即座に希釈し、エミッター細胞を添加し、反応物をルミノメーターに配置した(オリゴ3の添加からの経過時間は、15秒であった)。短縮されたハイブリダイゼーションプロトコールは、アッセイの感度に劇的に影響しなかった(図29を図28と比較のこと)。

次に、多数のDig−標識オリゴヌクレオチドを、一本鎖DNA標的にハイブリダイズした。この複合体を、エミッター細胞を刺激する能力について試験した。図30は、異なる濃度のDig−オリゴヌクレオチドプローブセットの所定量のssDNAへの一連のハイブリダイゼーションを示す。この実験において最良のシグナルを与えるssDNA:オリゴヌクレオチドプローブの比は、1:2と1:4の間であった。より高い濃度のプローブにおいて、未結合のDig−標識オリゴヌクレオチドは、シグナル発生を阻害するようである。これらの実験において、0.63pmolのオリゴヌクレオチドは、試験された多くの条件下で良好に作用した。用量応答曲線は、約50ng、または約50fmolの一本鎖DNAに対する検出限界を与える(図31)。(−)鎖DNAがこれらの実験のいずれにおいても検出されず、このことが、Dig−標識オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションおよび続いてのエミッター細胞からのシグナル発生が標的DNAの配列に依存することを示すことに注目することは重要である。

温度およびバッファ成分は、Dig−オリゴの標的DNAへのハイブリダイゼーションに影響する。PBS(図32A)またはTBS(図32B)のいずれか中の47℃〜51℃でのハイブリダイゼーションは、最も高い応答を与えた。より高い温度またはより低い温度で実施されたハイブリダイゼーションは、シグナルの振幅を減少させる。バッファ組成の変更は、理想的なハイブリダイゼーション温度に明らかに影響する。

標的DNA捕捉 ビオチン標識オリゴヌクレオチドは、ストレプトアビジンコート磁性ビーズおよびストレプトアビジンコート非磁性ビーズの表面に結合した。これらの「捕捉」オリゴは、Dig−標識オリゴヌクレオチドの位置から除去された位置に標的DNAを結合するように設計される。標的DNAの沈降可能な支持体への結合は、エミッター細胞の添加の前にDNAのより徹底的な洗浄を可能にし、アッセイの感度を改善する。標的DNAの沈降のための1つの戦略を図33に示す。このスキームにおいて、ビオチン−標識捕捉オリゴヌクレオチドを、ストレプトアビジンコートポリスチレンビーズまたはストレプトアビジンコート磁性ビーズのいずれかに結合する。ジゴキシゲニン−標識オリゴヌクレオチドを標的にハイブリダイズし、複合体を遠心分離または磁場の印加によって沈降する。次いで、エミッター細胞を再懸濁し、ビーズと共に沈降させ、反応チューブをルミノメーターに配置する。標的DNAの検出に対する沈降の効果を図34に示す。この場合において、LODは、DNAが沈降されない典型的な結果に比較して、高アットモルの範囲まで改善する。市販のブロッキング試薬(Roche Appliled Science カタログ番号1096176)はシグナルをさらに改善する。図35は、ハイブリダイゼーション/捕捉工程の間、異なる濃度のブロッキング剤の添加の結果を示す。この実験において、1%〜10%のブロッキング試薬の添加は、試験された標的の全ての濃度においてシグナル対バックグラウンド比を改善した。

Fcレセプターエミッター細胞 Fcレセプターは、抗体または免疫複合体に結合する膜発現タンパク質のファミリーである。これらは、単球およびマクロファージを含むいくつかの造血細胞上に発現される。可溶性抗体の高親和性結合体であるFcγレセプターI(FcγRI)を含むFcレセプターのいくつかのサブクラスが存在する。FcγRIは、免疫グロブリンG(IgG)の定常領域(Fc部分)に結合し、抗体の抗原結合領域を遊離状態にする。抗体結合レセプターの特異的な抗原による架橋は、カルシウム放出を刺激するシグナル伝達経路を開始する。

ヒトマクロファージ細胞株、U937は、内因性FCγR1を含む。これらの細胞のIFNγでの処理は、図36Aに見られるようにFcγRIの発現を増加させる。エクオリン発現プラスミドでトランスフェクトされたU937細胞は、これらの細胞をカルシウムイオノフォアイオノマイシンで処理することによって示されるように機能的エクオリンを産生する。これは、図36Bに見られるように、エクオリンが光を放出するように刺激するカルシウムの迅速かつ一時的な上昇を引き起こす。次いで、U937細胞を、エクオリンがFcレセプターの架橋によって開始されるカルシウムの上昇によって刺激されるかどうかを決定するために試験した。U937細胞を、未結合IgGを除去するために洗浄し、ヤギ抗ヒトIgGで処理した。図36Cに示されるようにカルシウムの迅速な上昇を観察した。

実験は、U937細胞が、いくつかの異なる病原体または類似物に応答するように迅速に「操作」され得ることを示した。U937細胞を内因性FcγRIの発現を増加させるためにIFN(200ng/ml)で24時間処理し、エミッター細胞アッセイのために調製した。細胞を以下の抗体:マウス抗−B.アントラシス胞子(図37A)、ウサギポリクローナル抗−B.アントラシス胞子(図37B)、マウス抗−F.ツラレンシス(図37C)、またはマウス抗−B.サチリス(図37D)とインキュベートした。次いで、細胞を、モノクローナル抗体で1000cfuほど少ないB.アントラシス胞子を、およびウサギポリクローナルで10000cfuの胞子を、ならびに10000cfuのF.ツラレンシスの胞子をおよび1000cfuのB.サチリスの胞子を検出する標準アッセイにおいて使用した。

次のセットの実験は、アッセイの特異性が使用される抗体によって決定されることを示した。U937細胞をマウス抗−F.ツラレンシス抗体と共にインキュベートし、105cfuのB.アントラシス胞子に対するこれらの応答について試験した。図38Aに示されるように、細胞は、B.アントラシスには応答しないが、106cfuのF.ツラレンシスには応答した。あるいは、図38Bに示されるように、マウス抗−B.アントラシス胞子抗体で負荷された細胞は、F.ツラレンシスには応答しなかったが、106cfuのB.アントラシス胞子には応答した。さらに、図38Cに見られるように、細胞は、抗−F.ツラレンシス抗体の非存在下で106cfuのF.ツラレンシスには何ら応答を示さなかった。

CANARY:放射線学的検出 CANARY装置をまた、放射線学的物質を検出するために使用し得る。放射線学的測定は、B細胞の代わりにシンチレーション流体を添加し、放射線崩壊に応答してシンチレーション流体から放出される光を測定することによって実施され得る。CANARYハードウェアは、α線源、β線源およびγ線源からのシグナルを検出するために示され、これらの測定は、実験室ベースのシンチレーションカウンターを使用して実施される測定に好ましくは匹敵する(図163)。この実験において、等量の種々の型のエミッターを、市販のシンチレーション水流体に添加した。チューブを混合のために揺らし、市販のシンチレーションカウンターまたは通常のベンチトップCANARYルミノメーターのいずれかに配置した。光出力を、通常のCANARYアッセイと同じソフトウェアを使用して同じノートパソコン上にモニターした。CANARYハードウェアの応答は、市販のシンチレーションカウンターの応答に非常に類似していた。

種々のマトリクス(空気、液体、表面拭き取り、粉末等)中で化学物質、生物学的物質、放射線学的物質、核物質、および爆発性物質(CBRNE)の全てを検出し得る1つのセンサーが作成され得るので、この能力(ならびに化学物質検出および爆発物検出の能力)は、CANARYセンサーを非常に広範に有用にする。図163を参照のこと。3つ全てのエミッターの型(α、β、およびγ)を含む等量の種々の放射線学的物質を分析した。CANARYの応答は、市販の実験室ベースの装置に好ましくは匹敵する。

化学物質および爆発物を検出するためのさらなる方法 バックグラウンド:ペリプラズム結合タンパク質 化学戦争物質および/または爆発物(本明細書中で「CWA/E」ともいわれる)のために使用される化学物質は、非常に小さいので直接抗体結合によってはCANARYで検出できない。しかし、細菌は、その多くがCWA/Eのサイズ範囲において小さな化学物質である栄養素を検出および同定するように必要なものを十分に備えている。CANARYは、細菌栄養素検出経路の一部を活用し得、CWA/Eを検出するように改変され得る。

細菌は、運動性の生物であり、そのように活発に栄養素の方へ動く。栄養素の位置を決定するために、細菌は、これらの環境をモニターするためにペリプラズム結合タンパク質(PBP)を使用する。このPBPファミリーは、多くのメンバーを有し、その各個は、特定の栄養素に結合する。X線結晶解析を使用して、研究者は、このタンパク質が、ヒンジによって連結された2つの丸い突出部からなるハエトリソウに似ていることを示した。栄養素は、2つの丸い突出部の間に形成された口に結合し、タンパク質の「口」に結合した栄養素に応答して、タンパク質が閉じる(より正確には、その平衡状態が、化学的標的の存在下で優先的に閉じたコンフォメーションにあるように変化する)。この劇的な形態変化は、栄養素の方への細菌の動きを指向するように使用される。

これらおよび他の構造研究は、PBPがこれらの標的を実際に結合するために相対的にわずかなアミノ酸を使用することを示す。コンピューターデザインによって、ヒトは、PBPが、爆発性TNT、ソマン類似物PMPA(ピナコリルメチルホスホン酸)、および神経伝達物質セロトニン(Allertら, Proc. Natl. Acad. Aci. USA 101: 7907-7912 (2004); Loogerら, Computational design of receptor and sensor proteins with novel functions. Nature 423: 185-190 (2003))等のその元の標的と完全に異なる化学物質に結合するように、これらのアミノ酸をどのように変異させるかを予測する。多量のこれらの変異体PBPが細菌中で産生され、これらの新しい標的に強固かつ特異的に結合することが示された。

標準技術を使用して、高親和性CWA/E結合タンパク質の産生を設計し得る。必要な場合、この設計は、いくつかの異なる親PBPで開始され、これらの全てが所定の標的に結合するようにコンピューターデザインされ、各々の得られた親和性を試験し得る。例えば、3つの異なるPBP:アラビノース結合タンパク質(ABP)、ヒスチジン結合タンパク質(HBP)、およびリボース結合タンパク質(RBP)をTNTに対する結合タンパク質を開発するために開始点として選択した。

公開された報告は、モノクローナル抗体がHBPの閉じられた(標的結合)形態に対して容易に作製され得ることを示す(Wolfら, J. Biol. Chem. 269:23051-23058 (1994); Wolfら, J. Biol. Chem. 271:21243-21250 (1996))。これらの抗体は、タンパク質が優先的に閉じられたコンフォメーションにある場合、ヒスチジンの存在下でHBPに非常により速く結合した。次いで、本質において、HBPタンパク質に対する抗体結合の速度は、標的(ヒスチジン)濃度の尺度である。

全てのPBPは、開放形態と閉じられた形態の間の大きなコンフォメーション変化を受ける。従って、抗体は、各PBPの閉じられたコンフォメーションに対して生成され得る。所定のPBPの特異性を変化するために変異されるアミノ酸は、結合ポケットに限定されることはまた留意のこと。従って、RBPの閉じられた形態に対する単一の抗体が、例えば、TNTまたはPMPAに結合するRBP変異体の閉じられた形態にも結合することは、期待されることである。TNT結合変異体を、センサーの「チャネル1」に置き、PMPA結合変異体を「チャネル2」に置き得るが、RBPの閉じられた形態に対して反応する単一のCANARY細胞株を、両チャネル1およびチャネル2の標的結合を検出するために使用し得る。異なる標的特異的PBPがセンサーの各チャネルに使用されるので、 標的化学物質の同一性は公知である。このことは、センサーが同定し得る化学物質の数よりはるかに少ないCANARY細胞株を必要とするはずであり、さらなるCWA/Eに対する試薬の開発を大いに単純化することを意味する。

個々の要素を合わせることによりコンピューターデザインされたPBPを使用するCANARYによる化学物質の検出:(1)種々の化学物質に結合するペリプラズム結合タンパク質を、コンピューターデザインした。これらのタンパク質を、細菌中で産生し、単離し、TNTおよびPMPAを含む新規の標的に対するこれらの親和性を測定した。(2)これらのPBPは、閉じられたコンフォメーションに対して特異的な抗体を使用して測定され得るリガンドの存在下でコンフォメーション変化をうける。(3)CANARYは、アットモルレベルでタンパク質を検出するために抗体結合を使用する能力を示した。従って、CANARYアッセイは、閉じられたコンフォメーションにあるPBPを検出するために適合され得る(図164参照)。この閉じられたコンフォメーションは、CWA/Eの存在を示す。

空気中の化学物質または爆発物の検出において、蒸気サンプリングのための少なくとも2つの可能な方法がある。第1のものは、空気が液体を通して泡にされ、蒸気および微粒子を捕捉する衝突捕集である。これは、空気サンプリングのための時の試練を経た方法である。代替の収集の戦略は、固相抽出(SPE)または固相微量抽出(SPME)である。この技術は、蒸気を空気から直接、乾燥した官能基化された樹脂に捕捉する。典型的に、これらの樹脂は、熱または有機溶媒を使用して溶出される。

16チャンネルセンサー実施例 多数の試料を測定するために時間を短縮する(ハードウェアの必要を最小に維持する)新規のアプローチを、首尾よく試験した。単一の集光チャンネルを使用して16試料の同時測定を可能にする実験センサーを設計した。センサーは、その周囲に水平に等しく分布された16個のチューブを保持し、垂直軸の周りの可変速度モーターによって駆動されるローターからなる(図39)。単一の固定光子検出要素(この場合、PMT)を、回転の間のチューブの経路の直上のローターの面に配置する。この方法において、各々のチューブを、PMTの近傍に連続的かつ繰り返し持っていき、その光出力が各経路上でサンプリングされるのを可能にする。最終的に、光源(赤外LED)および検出器(フォトトランジスター)からなる光学スイッチを、検出された光子の計数およびデータの16フィールドへの再組織を制御するために使用し、各々は、特定の試料と関連した。

単回の測定は: 1.16の試料(および/またはコントロール)を個々の1.5mlチューブ中に調製する工程; 2.エミッター細胞のアリコートを各々のチューブに導入する工程; 3.暗箱に配置されたローターにチューブを設置する工程; 4.高RCF(約2000g)での短い(5秒)遠心分離を使用してチューブの底にエミッター細胞を局在化する工程; 5.測定の継続時間の間(1〜2分)ローター速度を60rpmに減少させ、各チューブが1秒に1個サンプリングされる工程;ならびに 6.ディスプレイに各試料について光子計数の時系列を生成し、および/または評価のためにコンピューターアルゴリズムに入力する工程 からなる。

図40にみられる16チャンネル測定由来のデータの例は、単一チューブ法のデータに匹敵するLODを示す。この16チャンネルセンサーが設計されるとおり16の試料を測定し、その一方で、物理的大きさおよびサンプリングの統計が実際の限界を最終的に決めるが、より多い試料数は、チャンネルの数を増加することによって可能である。同様により少ない試料数は、センサー上に負荷された試料数を減少することによって、またはセンサー上のチャンネルの数を減少することによって可能である。16チャンネル移動式センサー設計のCADによる図面を図41に示す。

この16チャンネル設計のさらなる実施は、TCANセンサーといわれる。TCAN(トリガーされたCANARY)バイオセンサーは、エーロゾル回収およびB細胞液体送達の両方を統合された放射状ディスク形式に合わせた自動化されたバイオセンサーである。TCAN CANARYディスク(CD)(図42)は、空気フローを別々のチャネルに分割する多岐管アセンブリとインターフェースで連結する。エーロゾル回収アセンブリ(図43)は、空気フローから透明プラスチックチューブの底に粒子を局在化する乾式衝突技術を使用する。

エーロゾル粒子の衝突の後、CDは、ディスクに位置するバルブを動かすように多岐管アセンブリとインターフェースで連結する。ディスクは、迅速に回転し、次いで、エミッター細胞液体が遠心力を使用して個々のチューブに送達されるようにする(図44)。次いで、光検出器を、エーロゾル粒子と相互作用する光子出力エミッター細胞に基づく潜在的な生物学的物質を同定するために使用する。エーロゾル回収およびエミッター細胞送達のこのプロセスを、1つのディスクにおいて数回繰り返し得る。この特徴によって、CDを変更することなく数回のトリガー事象の後に、多数のCANARYアッセイが実施される。

エーロゾル回収技術 CANARYセンサーに特異的に調整された乾式エーロゾル回収技術を、CANARYの潜在的な速度を十分に利用するために開発した。湿った物質および複雑な流体工学を必要とする多くの他の気体回収システムと違い、乾式衝突システムは、粒子を空気から直接、乾燥表面に回収し、それによってプロセスからほとんど全ての消耗品を削除する。この衝突システムが物質消費が少ないことに加えて、それは、液体ベースの回収システムによって起こる低温凍結を受けない。

この試料回収法は、衝突した粒子の画分が非特異的に結合され、保持される乾燥表面に病原体粒子を衝突させる粒子の比較的高い運動量を活用することによって、気流からのより密集した病原体粒子を分離する。基本的な概念および本発明者らの回収器のプロトタイプの1つを図23に示す。

理想的なエーロゾルインパクターは、(わきにそれた気流を追跡し得る)非常に小さな粒子のほとんどないまたは全くない回収、(その運動量が気流の外に出す)大きな粒子のほぼ100%の回収、およびこれらの極端の間の粒子サイズの捕捉の効率の円滑な移動を示す。インパクターは、典型的に、50%の回収が効率的に生じる粒子サイズを特徴とする。図165は、このプロトタイプチューブインパクターについて、50%回収効率(D50)は、1分あたり5リットルの流量で約1μm直径で生じる。粒子の多い全数の回収を、サンプリング速度またはサンプリング時間を増加させ、サンプリングされる空気の全体積を増加させることによって容易に達成した。

この方法がチューブ表面に生物学的物質を局在化し、最大性能のために試料をプレスピンする必要を除去するので、CANARYセンサーを、さらなる加工なしに乾式衝突を使用して回収された生物学的物質を同定するために使用した。これは、乾燥試料同定に対するCANARYアッセイプロトコルが、液体試料に対して使用されるプロトコルよりも、実施(および自動化)をかなりより速くかつ単純であることを可能にする。全ての回収された粒子は、エーロゾル粒子に組み込まれた個々の病原体の大きさに関わらず、衝突の間にチューブの底に吸着するので、乾燥試料の同定はまた、液体アッセイにおいて容易に沈降し得ない小さなウイルスおよび他の病原体に対する全体的に改善された感度を提供する可能性を有する。

CANARYを用いた乾式衝突を統合するための概念の証明 CANARYセンサー応用のための乾式衝突回収技術の効力を示すために、個々のバチルス サチリス(Bacillus subtilis)胞子を、衝突ネブライザーでエーロゾル化し、上記のプロトタイプにおいて1分あたり5リットルで30秒間回収した。B細胞を、試料含有チューブに直接添加し、持ち運び式CANARY装置に配置し、5秒間スピンし、PMTによって光シグナルを定量した。結果は図166に示され、直接衝突技術は、分析前に試料調製の必要のないプレスピン液体試料に動力学的に類似するB細胞応答を生じることを示す。

この概念を証明する実験において1分ほどの短い全応答時間(30秒の回収、その後、30秒未満の分析時間のピーク光子強度)で、CANARYは、他の全ての自動化生物エーロゾル同定センサーに比べて、1オーダーを超える大きさで生物エーロゾル同定に対する合計速度および感度を上昇させる可能性を示した。この劇的な性能改善によって、脅威的な生物エーロゾルに対する曝露から集団に警告し、それから集団を保護する保護する約3分以内の鋭敏な検出を阻害するセンサー性能における長年にわたる技術の隔たりをCANARYセンサーが埋めることができる。CANARYセンサーは、生物学的同定センサーにおける検出して警告する(検出して保護するとしても公知である)生体防御能力に対する可能性の最初の(およびなお唯一の)証明を提供した。この可能性の唯一の証明は、技術が実験室を離れ、実際の環境で操作され、CANARYの実世界での有用性を確立することを可能にするように、自動化生物エーロゾルセンサーの迅速な開発を動機付けた。

自動化CANARY生物エーロゾルセンサー開発 生物エーロゾル防御応用における検出して警告する能力を示すためにCANARY同定技術を、2つの第1世代センサー、BCANおよびTCANにおける乾式エーロゾル回収構造と一体として組み込んだ。BCANセンサーを、再充填の前に低濃度処理を検出するのに十分な感度を有する30の自動化サンプリングおよび分析サイクルを提供するように設計し、CANARY性能を特徴付けるROC曲線および種々の実環境における偽陽性割合を確立するために種々の環境において広範に試験した。BCANセンサーによって示された良好な性能特性は、室内生物エーロゾルモニタリングに対して予測されるより緩い要求を満たすように調整された単純化されたCANARYセンサーを実演するように、別々のプログラム下でTCANの開発を動機付けした基礎を提供した。

BCANセンサーの開発および試験 構想結果の立証に基づいた任意の自動化CANARYセンサーの開発のための第1の工程は、スピンを強化したCANARYアッセイと乾式回収を合わせるような、信頼できる方法を設計することであった。さらに、流体工学システムは、この構造で液体回収試薬の送達を必要としないので(全てにおいてそれらは他のバイオエーロゾル同定センサーであるので)、発明者は設計の労力を、流体工学メカニズムを伴うことのない細胞の小滴の保存および送達に集中させた。自動化形式の試薬を有さないエーロゾル回収と細胞ベースバイオセンサーを合わせるこの独特のアプローチは、かなりの高コスト、サイズおよび複雑性の増加、ならびに他のバイオエーロゾル同定センサープラットフォームの信頼性の低下の原因となるコアシステムの完全な排除を可能にする。BCANセンサーで示される最終的な解決は、適切なエーロゾル回収特性を組み込んだ単純な担体、および回収後の短いスピンの間にCOTSカプセルの内容物を自動的に放出するCOTSカプセル中に保存されたB細胞の個々のアリコートを利用する。この設計の重要な詳細は図167に概説される。

それぞれのBCAN担体は、CANARY解析に必要な4つのコア機能、細胞保存、エーロゾルサンプリング、細胞送達、およびPMTへのシグナル伝達を提供する4つの並行メカニズム(またはチャンネル)を含んだ。BCAN試験台は、再充填の間の25までのこれらの担体を含み、自動的に処理した。BCANについての速度および感度特性は、炭疽菌の類似物としてのCollisonネブライザーで生成されたBacillus subtilisの胞子エーロゾルおよび他のバイオエーロゾルを使用して確立され、この第1のセンサーが1リットルの空気中に粒子を含有する100以上の物質(ACPLA)の濃度でバイオエーロゾルについて96%を超える同定の可能性を自動化エーロゾル回収および解析を含む全3分の応答時間で提供し得るということを示した。さらに、このセンサーは室内および室外の種々の場所で操作された。

13,000を超える試験を、広範なバックグラウンド条件に広がる9つの異なる場所で完遂し、結果は実際の環境下でこのセンサーによりもたらされた異常な陽性シグナル(偽陽性)の頻度が実験室内で観察された偽陽性の頻度と同等であったことを確立した。これらの結果はまた、3分未満の早く、感受性のバイオエーロゾル同定のためのこの第1のセンサーの有用性を示した。さらに、バイオエーロゾルの陽性同定に必要な回収時間が存在するバイオエーロゾルの濃度に比例するために、90秒未満の総応答時間が充分に高いバイオエーロゾルの濃度で可能であることが示された。他の抗体または核酸ベースのセンサープラットフォームは、自動化バイオエーロゾルセンサーのこの速度の応答を示さなかった。

試験数の増加は、個々のチューブまたはチャンネル内で複数の抗体を発現する、複数のB細胞株または個々のB細胞株を設置することで達成され得る。細胞株または抗体の組合せを利用するかかるシステムは、ハードウェアの複雑さ(およびサイズ)を最小限にし、単一物質の攻撃シナリオについて2n-1の物質(nはチャンネルの数である)を独立に検出し得る。1つのチャンネル当り複数の細胞型を使用するCANARYアッセイの実施的制限は、3つの異なるB細胞株の混合物に及ぶ。1本のチューブ当り3種類より多くの細胞を使用する場合、低濃度の標的でのシグナル強度は、正確な標的B細胞相互作用の可能性が減少するような、検出閾値以下に入る。所定の数のチャンネルについて同定され得る物質の数が拡大されることに加えて、このアプローチを使用した試験の重複の導入が、不正確な偽陽性(所定物質についての同時試験の全てが陽性結果を与えない試験)を排除するためおよび偽陽性率を有意に減少させるために使用される。

広範なセットの測定値およびフィールディング(fielding)は、BCANが生物学的に関連のある濃度のバイオエーロゾルをわずか90秒で同定する能力を示した。この応答時間は、他の任意の統合型バイオエーロゾル同定センサーよりも早い大きさのオーダーであり、生物学的防御について必要な検出-保護操作に一致した速度を示すだけである。おそらくさらに重要なことだが、実際の状況の下でのCANARY試験について確立された低い偽陽性率(96%以上の同定の可能性を維持しながら、単一試験について0.2%〜0.3%、および二倍またはそれ以上の重複について0.1%以下)は、この能力が、低い偽アラーム率およびバイオエーロゾルIDについての優れた速度を要求するシステムに実際に提供され得ることを示す。BCANは有力な実演試験台であるように設計されたが、他のセンサー構造はカスタマイズされた応用について潜在的な利点を提供する。BCAN、TCANセンサー開発の早期の成功による動機付けは、カスタマイズされたセンサー設計を使用した建造物の保護のためのCANARY性能を確立するための並行センサーの開発の労力として始めた。

TCANセンサー開発および試験 TCANは、室内建造物環境におけるバイオエーロゾルのリアルタイムモニタリングのための単純でコスト効率的手段として開発されたCANARYベースバイオセンサーである。

この特定のセンサーは、統合された放射状のディスク形式へのエーロゾル回収およびB細胞送達の両方を合わせて設計された。該ディスクは、微粒子を空気フローに乗せて4つの別々のチャンネルに分離する多岐管と接続するように設計される。次いで、これらの粒子を透明な使い捨てチューブの底に局在させるために慣性衝突技術が使用される。

エーロゾル粒子の回収後に、ディスク内に配置されたバルブを開き、ディスクを2000RPMで5秒間すばやくスピンする。このスピン工程は、求心力を使用してB細胞の液体が回収した粒子と迅速に接触させる。単一の光電子増倍管(PMT)を使用して、次いで、ディスクが回転する際のエーロゾル粒子と相互作用するB細胞の光子出力に基づく潜在的な生物物質を同定する。エーロゾル回収およびB細胞送達のこのプロセスは、数回繰り返され得、複数CANARYアッセイが一枚のディスク内で行なわれることを可能にする。

このCANARYセンサーは、高い信頼性で同定する疑いのある粒子を3分未満で送達し得る。

PANTHERセンサーの開発および試験 2つの第一世代自動化CANARYセンサーの成功および教示を足場として、発明者はCANARY技術をPANTHER(脅威のある環境放出のための病原体解析器(Pathogen Analyzer for Threatening Environmental Releases))と呼ばれるフレキシブルバイオエーロゾルセンサープラットフォームに統合した。エーロゾル回収およびCANARY解析の中心的機能は、第二世代PANTHERファミリーのミッション特異的バイオエーロゾル同定センサーのコアを形成する16のチャンネルを伴う単純なディスク内に設計された。最終的なPANTHERセンサーは個々の使用または部位/建造物保護、緊急応答、迅速なスクリーニング、および環境モニタリングを提供するネットワーク中での使用が意図される。2分未満の非常に低い濃度のバイオエーロゾルの高い信頼性を有する同定は、37lb、約1ft3であり最終的に$20K未満で作製され得る第1のPANTHERセンサーのCUBと称される持ち運び可能ユニットを使用して示されている。設計試験台は、単純で信頼性が高く、流体工学を有さず、液体消費物を有さず、最小の移動部材を有し、CDプレーヤーのように読み込み、試料を自動的に回収し解析する。

CUBセンサーは、米国陸軍-The Joint Point Biological Detection System、またはJBPDSの分野である現在のバイオエーロゾルセンサーの全ての自動化回収および解析機能を実行し得るCANARYベースセンサーの開発に最初に焦点を当てた計画の結果であった。PANTHERディスクは、このセンサーの核となり、単一のエーロゾルで同時に16の試験を行なうことを可能にするように設計された。CUBの開発は、最初の設計努力に続き、センサーの複雑性および能力スペクトルの反対側:一枚のPANTHERディスクを自動的に処理し得る小さく、安価で、持ち運び可能なセンサーが示された。得られたCUBセンサーが設計され、作製され、試験された。予備的な結果は、CUBが速度および感度の改良、10ACPLA以下の濃度の胞子エーロゾルの検出および回収及び同定を含む2分未満の応答時間を、かなりかつ小さくかなり安価なセンサーで提供することを示した。BCANバイオエアゾールセンサーを特徴付けるために使用された同じ環境でのさらなる環境試験によって、PANTHER CUBはまた、実際の環境下で非常に低い偽陽性率を有することが示された。

PANTHER CUBディスクの設計および機能 PANTHERセンサーに使用されたディスクは、2つの主な機能を実行する:1)ディスクに引き寄せられる空気からのエーロゾル粒子を回収し、CANARYを使用した直接解析に適切な集束位置にそれらを沈着させることを可能にする特異的な幾何学を提供する、2)手動操作を伴わずに試薬を回収されたエーロゾル粒子上に分配させることを可能にする密封された貯蔵器中のCANARY B細胞を保存する。2つの部分、担体およびフタは、射出成形可能であり、超音波溶接されて直径120mm、高さ6mmで1mmのほぼ均一な壁の厚さを有する完全ディスクを形成するように設計された(図173)。ディスクに好ましいポリマーは、長期保存についてB細胞と優れた適合性を示すために、ポリプロピレンホモポリマーであるが、充分な透明性(B細胞から光感知エレメントへのシグナル伝達のために)、およびB細胞適合性を備えた他の任意のポリマーも適切である。

担体は、エーロゾル加速および回収、ならびに液体試薬保存および送達(delovery)のために溶接されたディスク中で、複数の関連のある特徴の組を形成するように指向され、中心軸に関して放射状に配列した垂直の壁を有する連続した底を有する。これらの特徴は、同一であり得るかまたは、回収器およびアッセイ機能の範囲を一枚のディスクにより提供されることが可能なように個々に調整され得る。図173Aの特徴1である壁の内側のセットは、空気フローを、文献(参照を提供)に充分に確立された原理を用いて種々の流速でエーロゾル粒子の効率的な回収を提供するように調整され得る外壁の幅および間隔を有するディスクの外周のスリットへと指向し加速させる。図173Aの特徴2である壁の外側のセットは、ディスクの縁の周囲にある連続的な周を形成し、局所領域が粒子密度の増加を示す複数の部位上の壁の内側のセットにより加速された粒子の回収を補助する所定の幾何学を有する個々の粒子回収部位を提供する。図173Aの特徴3である壁AおよびBの間に配置された壁の別セットは、その後の1回または複数のスピンの間に回収された粒子上へのその放出および分配を提供する液体試薬および他の物質を含有し得る溶接ディスク中に複数の区画を作る。壁は、一回のスピンで保存されたCANARY細胞が全ての区画から送達されるか、または複数回のスピンで必要に応じて個々の区画もしくは区画の小区分の内容物が送達され得るように設計され得る。

1mmの厚さのディスクの形状は、2つの重要な特徴セットを備えたフタを有する。特徴の第一のセットは、液体試薬(図173B特徴3)およびエーロゾル試料(図173B特徴1入口、および図173B特徴2出口)の集合ディスクへの導入を可能にする種々の穿孔を含み、読出しの際にディスクの配向を検出する光学センサーにより検出され得る指標となる特徴(J図173B特徴4)を提供する。特徴の第2のセットは、フタが、ディスク中の隣接するチャンネル間の光の持越しを減少するバッフルを提供し(図173B特徴5)、(ディスクの形成に使用されたポリマーがそれを透明にするのに適切な色素を含有する場合)、ディスクの半分の超音波溶接を促進し、3)エーロゾルをディスクに送達し、ディスク内での回収後の粒子除去空気を除去する、多岐管で気密を形成するために必要な接触領域を減少させる特徴を提供することが可能な両側の隆起した構造を含む(空気出口の張度内側および外側の環状リング)。

図174は、溶接されたディスク中で特徴AおよびBはエーロゾルの流れおよび粒子の回収と一緒になってどのように作用するかを示している。1つ以上の適切な送風機またはポンプを使用して、2つの環状縁間のディスクフタの三角形の開口部の配列に部分的な吸引をかけることで、サンプリングされるエーロゾルを大きな中心の開口部を通してディスク内へと引き寄せる。空気は、複数のチャンネル内に分配され、ディスクの縁にエーロゾルが近づくようにチャンネルが先細りエーロゾルが加速され放射状に外へと流れる。次いで空気フローは、三角形の開口部から外側へと吸い出される前に、ディスクの外周で鋭く反転させる。空気試料にのって運ばれるエーロゾル粒子の勢いは、粒子が空気で反転することを妨げ、これらは代わりに、ディスクの外壁の幾何学を調節することで調整され得るフォーカス点でディスクの内表面に衝突する。目的の大きさの範囲(典型的には1〜25μm)の粒子の重要な画分は、粒子が衝突してその後のCANARY解析で運ばれる表面に接着する。ディスク中の回収物の分布は、蛍光1μm球状ポリスチレン粒子を使用して特徴付けられた。これらの粒子はエーロゾル化され、次いで空気は30L/分/チャンネルの速度でディスクに引き寄せられ、得られた粒子の分布は紫外線発光下で可視化された。これにより、回収された粒子の分布は、回収表面上の壁セグメント交差の位置により決定される位置の2つの高密度な線に粒子が回収されるように調整され得ることが示された。交差がディスクの最大半径となるように配置される場合、これにより、光学シグナル刺激および検出のための回収された粒子および送達されたCANARY細胞の信頼性の高い共局在が生じる。

ノズルにより流速を調整することにより、ディスク設計中に回収された粒子のサイズ範囲を必要に応じて調整することが可能になり得る。図175は、ディスクを通って粒子が効率的に伝達され、回収表面に衝突するように指向される、流速と粒子の大きさの関係を例示する。高流速(例えば、30L/分)では、直径1μm以上の粒子は、回収表面に接触するのに十分な勢いを有するが、直径8μm以上の粒子は勢いが強すぎて、エーロゾルが中心入口からディスクの平面上にある放射状の空気チャンネル内へと反転する場合に生じる最初の90°の反転ができないため、実際の上限の大きさはこの流速では8μmに制限される。空気フローを減少させることで、表面に衝突する充分な勢いを有する粒子のカットオフ直径が次第に増加されるが、より大きな粒子をディスク内部へ反転させることも可能であり、解析位置で回収され得る粒子の全体の大きさ範囲を拡張もする。例えば、流速を4L/分に低減させることで回収される粒子の大きさの範囲は2.5μm〜25μmに調整され、かなり大きなエーロゾル粒子が回収され分析されることが可能になる。

図176は溶接ディスクの特徴Cが液体試薬の保存および放出を提供するためにどのように一緒になって作用するのを例示する。試薬保存領域の壁は、ディスクの外半径に面した開口部を有するポケットを形成するように配向され、そのためにフタに適切に配置された穴が、1)ディスクの残りに対する開口部を塞ぐ粘着性のプラグを充填し、続いて2)空気を出口穴から逃がしながら充填口を通して液体試薬(例えば、B細胞)を添加するためのアクセス口および出口をこのポケットに提供する。充填口と出口を分離する試薬保存領域に突出した短い壁の付加により充填の際のポケットの完全な充填を確実にされる。一旦粘性プラグおよび液体試薬の充填が完遂されると、アクセス口は粘着テープを使用して覆われて、放出が所望となるまで空気と液体を密着させて維持するポケットに液体を密封する。液体試薬を放出するために、ディスクを充分なRPM(典型的に4,000rpm)までスピンするので、放射状の加速力が粘着プラグをその位置からずらすほど十分であり、それによりディスクのポケットを外側に向けて開き、液体がディスクの外半径に流れ、回収されたエーロゾル粒子を覆うことを可能にする。B細胞を含有する液体について液体試薬を分配するために使用される5秒間のスピンはまた、懸濁されたB細胞をディスクの外壁上に沈降させ、エーロゾル粒子が回収される場所に共局在させるのに十分である。

B細胞および任意の他の液体試薬の送達の後、スピンを徐々に下げ(典型的には30〜120rpm)、単一の光子感知エレメント(例えば光電子増倍管(PMT)、チャンネル光電子増倍管(CPM)または他の光子計測デバイス)が光子センサーの前面を通過した際の各チャンネルからの光放出レベルを連続して記録し得るようにする。2分間まで光出力がモニターされながらディスクは回転し続け、その後ディスクを処理するために使用されたセンサーにより、または付属のコンピューターによりデータは処理され保存される。

PANTHERセンサーの説明 CANARYディスクを自動的に処理するために構築されたコンパクトセンサーの全体図は図177に示される。センサー体は12''HX12''WX14''Dであり、重量はおよそ37lbであり、一枚の手動充填CANARYディスクを使用してエーロゾル試料を自動的に回収し解析するために必要な部品および制御の全てを有する。ディスク充填は、引き出し(図177特徴1)を開くこと、ディスクをプラットフォームに設置すること、および引き出しを閉じることによりなされる。試料を回収して解析するためにセンサーがシグナルを受ける場合、センサーは出口(図177特徴2)より空気を吸い込み始め、ディスクを通して空気を送り込み、その後粒子除去空気を出口(図177特徴3)から排出する。予備設定パラメータ、または外部コントローラーから受信されたシグナルのいずれかにより決定された時間中のエーロゾル回収後、センサーはCANARY試薬を送達するのに充分な速度でディスクを回転させ、解析段階を開始する。解析の間、光子放出が単一光子計測モジュールの前面で(典型的に4000rpm)回転する際に、光子放出がディスク中の個々のチャンネルで測定され得るように回転を徐々に下げる。

以下の中心的な部品(図178に示される)を第1のセンサーに組立てて、これは全ての回収および解析機能を実行するのに十分であり、以下に記載される性能を可能にした。CANARYディスク(図178特徴4)をモーター集合体(ブラシを使う必要のないDCモーターFaulhaber part# 3564K012BK1155、図178特徴5)上に設置し、その後ドアを閉じてディスクをカスタム光密着ボックス(図178特徴7)に充填した。2つのAmetek送風機(part# 150193、図178特徴1)を、CANARYディスクとの接続を提供し、ディスクに進入し排出される場合に入口フローおよび出口フローを分離して指向するカスタム多岐管(図178特徴6)に連結した。送風機が稼動した(turn on)場合、ディスクは多岐管の下の場所に自動的に持ち上げられ、送風機からの吸い込みがその場所で行なわれて、ディスクからの適当なエーロゾルフローを確実にするのに充分な封入力を提供した。送風機が停止した後、ディスクは、細胞を送達するために4000rpmで5秒間ディスクを回転させその後60rpmまでスピンを徐々に下げるモーター集合体上に自動的に降りた。この速度は2分間維持され、一方でチャンネル光電子増倍管モジュール(Perkin Elmer part# MCP 1984、図178特徴2)は個々のチャンネルからの光出力を測定した。この全プロセスは基板コンピューター(カスタムインターフェイスボードを備えたDiamond Systems-part# ATH660-128のPC104、図178特徴3)により制御された。

PANTHERセンサー性能の提示 センサー感度を確立するために、試験エーロゾルをBacillus subtilis胞子の濃縮ストック溶液の希釈物の衝突噴霧により生成し、1分間サンプリングし、CUB中の胞子に特異的な細胞を使用して解析した。各希釈物により生成された概ねACPLAレベルを図179の説明に示す。1リットル当り多数の粒子が生成された1:8000希釈はDI水を噴霧器に添加した場合に、生じたチャンバーバックグラウンドと区別可能であるが、一般的な傾向に基づいて、濃度は空気1リットル当り5胞子のオーダーである。この極端に低い濃度であっても、30L/分で1分の試料は、陰性対照の3倍よりも大きいピーク強度を伴って容易に検出可能なシグナルを一定して生成した。

次いで、チャンバー試験からの類似物同定データを、Yersinia pestisおよびBacillus anthracisに特異的な細胞株を使用して1週間(>1000試験)かけて典型的な室内環境中で行なわれたバックグラウンド測定値と合わせた。得られたデータの解析により、50以上のACPLA濃度について、PANTHER CUBセンサーは95%よりも良好な検出の可能性に対応する約0.1%の偽警告率を提供することが示された。この性能は第一世代BCANおよびTCANセンサーの性能と比較して有意な能力の増強を提供し、付加的なハードウェアの改善およびアルゴリズムの開発によりさらに最適化され得る。

毒素検出例 可溶性タンパク質の検出は種々の方法を使用してなされ得る。例えば、ある方法においては、それぞれ同一分子上の異なるエピトープに対する2つの抗体が同一のエミッター細胞で発現され得る。次いで該抗体はモノマー抗原により架橋される(図48)。分泌経路の抗体の分類は図48に概略図に示されることを指摘する。一例において、抗体はヘテロ機能性であり得、即ち1つの抗体が2つの異なる機能的抗原結合部位を有し得る。別の例において、それぞれの抗体は1つの機能性抗原結合部位のみを有する。この方法は、2つの要因:(1)複数の機能性抗体が同一のエミッター細胞により発現されることおよび(2)2つの結合したエピトープはエミッター細胞を刺激するのに十分であること(これらの1つより多くのペアが所定の細胞の刺激に必要であり得るが)に依存する。

ある実験において、複数の機能性抗体は、同一のエミッター細胞株中に発現された(図49)。Bacillus anthracisおよびYersinia pestisに対する抗体を発現する1つの細胞株を作製した。このクローン化細胞株は良好な感度で両方の抗原に対して反応する。同一の可溶性モノマー上の2つのエピトープに対する2つの抗体はまた、機能的に発現され得ることを理解されたい。さらに、2つの結合したエピトープはエミッター細胞を刺激するのに十分である。

可溶性のモノマー抗原を検出する第2の方法は、可溶性抗原を架橋してエミッター細胞に対して多価であるようにすることである(図50)。ボツリヌス毒素Hcフラグメントについて示されるように、この架橋は、タンパク質とビーズを、組換えタンパク質の場合はタグまたは抗体のいずれかを介した結合によりなされ得る。当業者に理解されるように、トリクロロ酢酸(TCA)、加熱、またはエタノールを用いた抗原の沈殿、およびリガンド、抗体、もしくは化学官能基を介した抗原の固相への結合を含む抗原を効率的に架橋するための可能な種々の他の方法がある。次いでこの架橋したモノマーを、架橋した抗原上で依存として利用可能であるエピトープを認識する抗体を発現するエミッター細胞を使用して検出し得る。

実際にはこの第2の方法は、可溶性モノマー標的タンパク質(図51)としてボツリヌス毒素A型の重鎖(BoNT/A Hc)およびPless et al, Infection and Immunity (2001) 570-574に記載される抗体を使用して示されている。1つのエピトープに対するモノクローナル抗体(6E10-10)は、プロテインGコートビーズに架橋された。これらのビーズはBoNT/A Hcと4℃で3時間インキュベートされ、洗浄され、異なるBoNT/A Hcエピトープを認識する第2の抗体(6B2-2)を発現するエミッター細胞を刺激するために使用された。BoNT/A Hcで修飾されたビーズは、約6ngのLODでエミッター細胞を効率的に刺激した。BoNT/Aをビーズに結合させるために使用されるものと同一の抗体を発現するエミッター細胞は刺激されず、エミッター反応は標的タンパク質の凝集によって生じないことが示された。

化学的検出例 化学的検出は、軍事的および臨床的設定の両方において重要である。いくつかの化学物質は、抗体が独立して結合し得る2つのエピトープを有し得ることが可能である。かかる場合において、化学的検出の方法は上述の毒素検出の方法と同一である。しかし多くの場合、目的の化学物質上に2つの独立したエピトープは存在しない。かかる場合において、エミッター細胞を刺激し得るように化学物質を修飾することが必要である。これらの4つの修飾は以下に概説される。

1. 目的の化学物質の固体支持体上への固定。利用可能性のままである化学物質の部分を認識する抗体を発現するエミッター細胞を作製。固体支持体に固定した化学物質の密度が充分に高い場合、エミッター細胞表面の抗体は、細胞を刺激するほど互いに充分に近接して固定化される。これは図50に示した毒素検出の模式図と類似している。

2. まず、化学物質に特異的に結合する(1つまたは複数の)ペプチドを作製。次に、化学物質-ペプチド複合体に特異的に結合する抗体を作製。化学物質-ペプチド複合体が二つ以上のエピトープからなる場合、該複合体は毒素検出のセクションで述べた2つの抗体技術のいずれかで検出され得る。複合体が1つの特異的エピトープのみからなる場合は、ジゴキシゲニンなどの付加的なエピトープがペプチドに合成により付加され得る(図52)。次いで、該複合体は2つの抗体結合部位、(1)ペプチド-化学物質複合体により形成されるエピトープおよび(2)ジゴキシゲニンエピトープを含む。化学物質の存在下でのみ両方のエピトープが存在する。これら2つのエピトープは、次いで毒素検出のセクションで述べた2つの抗体技術のいずれかで検出され得る。

3. 化学物質(または化学物質の存在下で互いに)に特異的に結合する2つのペプチドを作製。これらのペプチドのそれぞれは、化学物質存在下でのみ2つのエピトープが互いに結合するように合成によりタグ化され、それによりエミッター細胞により検出可能である(図53)。あるいは、ペプチド-化学物質複合体に対して1つ以上の抗体が作成され得、上述のように化学物質の存在が該複合体に対する抗体の組合せ、または複合体に対する1つの抗体およびペプチドタグに対する1つの抗体を使用して検出される。

4. 上述のように、化学物質に特異的に結合するペプチドを作製、およびペプチド-化学物質複合体に特異的に結合する抗体を作製。化学物質結合ペプチドを二量体化するので、二量体が2つの化学物質に結合する場合、2つの抗体結合部位が含有される。この複合体は化学物質-ペプチド複合体に対する抗体を発現するエミッター細胞により検出され得る。

小分子に結合するペプチドは、コンビナトリアルライブラリーから単離された。これらの分子としては、ポルフィリン(Nakamuraら, Biosensors and Bioelectronics 2001, 16: 1095-1100)トリプトファン(Sugimotoら, 1999, 677-678)およびカドミウム(Mejareら, 1998, Protein Engineering 11(6): 489-494)が挙げられる。しかし、ペプチドに代わるのタンパク質の使用は、より高い親和性結合体を生じ得る。ライブラリーは、結合部位が組合せにより規定されるように構築されており、これらは小分子に結合するものを単離するために使用され得る。開始タンパク質としてリポカリンを使用するかかるライブラリーは、ジゴキシゲニンバリアントに対する結合体を単離するために使用されている(SchlehuberおよびSkerra, 2002, Biophysical Chemistry 96: 213-228)。任意の数の他のタンパク質、特に、既に化学標的とある程度の結合活性を有することが期待され得るもの(例えば、VXおよびサリンの場合は、アセチルコリンエステラーゼ)で開始してこのアプローチは使用され得る。

さらなる実施例1 核酸検出 いくつかの点で、RNA検出はDNA検出に対して有利である。まず、細胞(原核または真核)当りゲノムのコピーよりも多くの所定RNAのコピーが存在するので、細胞当りのシグナルが本質的に増幅される。第2に、RNAの存在はしばしば生存試験として使用される。第3に、RNAの検出はdsDNAの場合のような2本の相補鎖の変性を必要としない。実験は、RNaseインヒビターを添加する以外は(RNasin Plus, Promega Corporation)ssDNA検出と同様の様式で実施された(図55)。異なる濃度のRNAにジゴキシゲニン標識オリゴを添加して、47℃で2分間インキュベートした。ジゴキシゲニンに対する抗体を発現するCANARY細胞を添加して、チューブを5秒間スピンして、光出力をモニターした。

代替的プロトコール CANARYは、標的を直接標識することにより核酸も検出し得る。例えば、ジゴキシゲニン標識ヌクレオチドの存在下でPCRを行なって、それによりその全長に複数の抗原が結合したPCR産物を作製する。同様に、CANARYにより次に検出され得る標的核酸に標識を組み込むためにローリングサークル増幅を使用し得る。リガーゼ連鎖反応およびその変形は実質的にオリゴを二量体化し、両オリゴが1つの抗原ごとに標識される場合に二量体化を検出するためにCANARYが使用され得る。

毒素検出 抗原がモノクローナル抗体を架橋できないので、基本形態でのCANARYはモノマー抗原を検出できず(図56)、本明細書に記載のようにアッセイを改変しなければならない。2つの一般的な戦略:(1)毒素抗原をCANARYに対して多価にすることまたは(2)CANARY細胞により発現される抗体をポリクローナルにすることがCANARYを使用して毒素類似物を検出するために使用される。例えば、タンパク質抗原は抗原をビーズ、細胞に吸着させること、または抗原と可溶性抗体を架橋することでCANARY細胞に対して多価になり得る。

最初の実験は、毒素類似物、ボツリヌス神経毒A型、重鎖(BoNT/A Hc)を使用して実行した。今のところCANARYによる毒素類似物検出について最高の感度および速度を与えるアッセイの変形は、抗体コート磁気ビーズ上の類似物を捕捉すること、およびCANARY細胞を使用して類似物修飾ビーズを検出することである(図57)。BoNT/A Hc毒素類似物上の重複しないエピトープを認識する3つのモノクローナル抗体;6E10-10、6B2-2、および6C2-4(Dr BavariおよびDr. Ludwig, USAMRIIDにより提供される)を使用した。可溶性6E10-10抗体をプロテインG標識磁気ビーズにコンジュゲートし、6B2-2抗体をCANARY細胞中で発現させる。6E10-10抗体コートビーズをBoNT/A Hcでスパイクされた溶液中で2分間インキュベートし、毒素類似物修飾ビーズを作製する。CANARY細胞を添加し、混合物を5秒間スピンしビーズおよび細胞をペレット化させる。これらのビーズはCANARY細胞に固定されたBoNT/A Hcを提示し、抗体を架橋し光放射を刺激する。この技術で800pgのBoNT/A Hc(80ng/ml)を5分未満で検出し得る(図58)。

アッセイの感度はBoNT/A Hcの質に依存していることに注意すべきである。市販のBoNT/A Hcのロット対ロットの変動および保存特性は発明者らの明白な検出限界(LOD)に影響を与える。アッセイの確立において、CANARYが真の可溶性タンパク質を検出し得ることを示すことは重要である。新鮮な凍結されていないBoNT/A Hcは、凍結されていた(示唆される保存方法)BoNT Hcよりも高い応答(図59)をもたらす。凍結解凍BoNT Hcの遠心分離は反応性をさらに低下させ、凍結解凍プロセスの間に凝集体が形成されることを示す。これらのアッセイに使用する、凍結保存されたBoNT/A Hcは、典型的に溶解の際に遠心分離されて凝集物が除去される。これはアッセイ感度を下げるが、アッセイ間の変動を減少する。

ビーズアッセイ形式は、本明細書に記載の全血調製手順を使用した血液産物中の可溶性抗原のスクリーニング(図60)に効果的である。全血をBoNT/A重鎖でスパイクして可溶性物質から細胞の分離を促進するポリマーを介して血液を短く遠心分離する。6E10-10抗体コートビーズを得られた上清に添加して、6B2-2CANARY細胞を使用してアッセイした。アッセイの感度は対照メディウムにおいて行なったアッセイと同様であり、これはほとんどの物が除去されていることを示す。血液細胞からの分離後、血漿を同じ濃度のBoNT/A Hcでスパイクすることは、血液を直接スパイクした試料に対してより低いシグナルをもたらす。この差はおそらく、血漿中のさらなるCANARYインヒビターの存在ではなく血液試料調製の人工物である。

シグナル振幅はある程度低下するが、尿中にスパイクされたBoNT/A Hcも検出され得る(図61)。この実験において、予備的処理はなされなかった。6E10-10コートビーズを尿試料に直接添加して、ビーズをCO2I中で洗浄し、6B2-2 CANARY細胞を添加した。3つのスパイクされた尿試料のうち2つ(青線)は有意な応答を示したが、3番目の試料は示さなかった。なぜ3番目の尿試料がネガティブであるか、またはなぜ尿中の試料からのシグナルの振幅が陽性対照(金線)よりも低いのかは、この制限されたデータセットからは明らかではない。

該アッセイはまた、鼻腔内スワブ回収物にスパイクされた可溶性抗原を検出する点でも効果的である。このアッセイの試料を調製するために、スワブ回収物を回収し、スワブの芯を切り取り、スワブの端を、エッペンドルフチューブに対してフィットする5ミクロンのフィルターバスケット中に置く(図62)。対照またはBoNT/A HcスパイクCO2Iメディウムを添加し、集めたものにフタをして遠心分離した。大きな粒子を除いた濾過溶出物をエッペンドルフに回収し、正常ビーズ手段を使用してアッセイした。BoNT/A Hcをスパイクした実際のスワブ回収物および偽スワブ回収物の両方についてのアッセイの結果は非常に似ており、鼻腔内試料中にインヒビターが存在しないことが示される(図63)。スパイクされた抗原(CO2I)を伴わない鼻腔内スワブ回収物に対するCANARY応答の欠如は、鼻腔スワブ回収物試料中には非特異的刺激物が存在しないことを示す。

オレンジジュースまたはPBS/Tx-100などの多くの溶液は、CANARY細胞を非特異的に刺激するので、アッセイメディウムについての毒素類似物を含有する元の溶液を交換する必要がある。標的の架橋に加えて、磁気ビーズに使用により、細胞適合アッセイメディウムについての類似物を含有する溶液を交換する単純方法が提供される。食物マトリックスの計測において、オレンジジュースは潜在的なpHの問題(pH=3.5)を有するので際立っており、水は潜在的な塩の問題(塩がない)を有するので際立っている。これらの特徴のいずれも抗体コートビーズが毒素類似物に結合する能力に影響し得る。これらの実験について、1/7の容量(1.4マイクロリットル)の560mM NaCl、1.4M Hepes pH7.9を含有する溶液を全BoNT/A Hcスパイクマトリックスおよび抗体コートビーズに添加した。これにより水マトリックスを最終80mMの塩濃度にし、オレンジジュースのpHを約6.5にして、同時に結合工程を開始させるように抗体コンジュゲートビーズを導入する。12分の結合工程の後、190μlのアッセイメディウムを添加して、チューブを磁石上に30秒間置き、上清を廃棄する。ビーズを50μlのアッセイメディウムに再懸濁し、20μlの細胞を添加し、チューブを5秒間スピンしビーズおよびCANARY細胞を沈殿させ、光出力をルミノメーターでモニターする(図64)。このグラフにおいて、値はバックグラウンド値(抗原を有さないアッセイメディウム中のCANARY細胞)に対して標準化されたピーク光出力を示すので、最も右にある赤色のバーを1に設定する。全ての他のバーはこの対照に対する最大応答である。オレンジジュースまたはPBS/Triton中に希釈されたBoNT/A Hcに対するCANARYの応答は、これら3つのマトリックス全てにおいて80ng/mlのLODで、アッセイメディウム中に希釈されたBoNT Hc(陽性対照)に非常に類似している。ミルクは5倍よりも大きくCANARY応答を阻害する。一般化されたCANARY試料の調製法は全ての液体食物マトリックスに適用され得る。

アッセイが毒素類似物だけでなく活性BoNT/A毒素にも作用するということを示すのは明らかに重要である。市販のBoNT/Aを得て6E10-10ビーズおよび6B2-2 CANARY細胞を使用してアッセイした(図65)。BoNT/Aに対するアッセイの検出限界は、約3.2ng/mlまたは32pgの毒素であった。アッセイ感度におけるこの改善がBoNT/A Hcと比較したBoNT/Aの安定性のためであるかどうか、または2つの調製物間に抗原性の差があるかどうかは不明である。UCSFのDr. James MarksによるBoNT/Aに対する抗体の代替的なセットを使用して、同様の型のBoNT/A検出結果が見られた。これまで、これらの抗体の最良の組合せはビーズ結合S25抗体およびRaz抗体を発現するCANARY細胞である(図66)。この異なる抗体対を使用した際のより低い感度の原因は、現在は不明である。

CANARYはまた、全血にスパイクされたBoNT/Aを検出し得る(図67)。全血を種々の濃度のBoNT/Aでスパイクし、血漿を上述のように調製した。6E10-10抗体コートビーズを血漿に添加し2分間インキュベートした。ビーズをCO2I中で1度洗浄して、6B2-2抗体を発現するCANARY細胞を使用してアッセイした。血清中の検出限界は対照メディウムと比較して約5倍落ち、約16ng/ml(160pg)である。

代替的ビーズ結合化学 抗体コートビーズはまた、可溶性抗体をビオチニル化してストレプトアビジンコートビーズに結合させて作製された。製造業者の指示書に従って、可溶性抗体をビオチン(Pierce Biotechnology Inc)に架橋させた。このビオチン化抗体を磁性ストレプトアビジンコートビーズ(Dynal, Dynabeads M-280)に結合させた。最初の実験は、スルホ-NHS-LC-LC-ビオチンにコンジュゲートした抗体は、スルホ-NHS-LC-ビオチンまたはスルホ-NHS-ビオチンにコンジュゲートした抗体よりもわずかに良好なシグナルをもたらすことを示す(図68)。この方法で生成された6E10-10ビーズはプロテインGビーズと同様の感度で可溶性BoNT/Aを検出することができる(図69)。今日では複数の抗体の同一のビーズに結合する効果は重要ではないが、この技術を使用して複数の抗体を同一のビーズに結合し得る(図70)。

より長いインキュベーションとより少ないビーズとの組合せにより感度が改善する(図71)。ビーズをその通常の濃度(アッセイ当り約300,000)から10倍ずつ1X〜0.0001Xまで希釈した。0.32ng/mlのBoNT/Aを添加して一晩インキュベートした。通常(1X)量のビーズを含有する試料からは不良なシグナルが見られたが、0.1Xおよび0.01Xビーズの試料は高いシグナルをもたらした。プロテインGコートビーズを使用して、BoNT/Aに対する感度の同様の改善が見られる。

毒素検出にのさらなる形式 毒素のCANARY検出についてのさらなる形式が構想されており、実行可能性実験がなされた(概要については図72を参照)。これらのバリエーションのいくつかは、架橋された抗原が1つのモノクローナル抗体を発現するCANARY細胞に提示される点でビーズ捕捉と主題上は類似する。アプローチ2において、例えば、抗体コートビーズはCANARY細胞と置き換えられ、それらは本質的に生存している抗体コートビーズである。同一の毒素上の異なるエピトープに対する抗体を発現する2つのCANARY細胞株を、毒素を含有する溶液中でインキュベートする。1つまたは2つの細胞がエミッター分子を有し得る。いくつかの例において、両CANARY細胞は、異なるCANARY細胞中で異なるエミッター分子を含む。他の例において、両方のCANARY細胞は同じエミッター分子の型を含む。該アッセイにおいて、両細胞が毒素で修飾されるが、毒素は単量体であるので細胞は刺激されない。細胞をチューブの底に遠心分離して、2つの異なるCANARY細胞は互いに抗原を提示する。このアプローチはより効果的である(LOD=50ngまたは1μg/mlの濃度)が、ビーズ上の毒素提示よりも感度は低い。毒素による修飾の前の細胞の1つの固定により膜中の抗体の移動がより良好に制限され得、従って対となるCANARY細胞を良好に刺激し得る。

代替的なアプローチはポリクローナルCANARY細胞を作製することである(アプローチ4)。2つの異なる抗体が単一のCANARY細胞株中で発現される。これらの抗体は同一の毒素分子上の異なる非重複エピトープに結合するので、CANARY細胞は可溶性抗原により直接刺激され得る。複数の試験は、所定のCANARY細胞株が抗原に対する細胞の感度に影響することなく3種類までの異なる抗体を発現し得ることを示しており、これは同一のCANARY細胞株中のBoNTに対する2種類の異なる抗体の発現が問題にはならないことを意味する。ビーズの添加工程が必要ではないので、これによってアッセイが簡略化される。しかし、試料調製は細胞アッセイメディウムに対する毒素を含有する溶液を交換することを必要とする。

最終的なアプローチは、異なる細胞株ではなく同一のCANARYコンセプトを使用する。この態様において、Fcレセプターおよびエクオリンを発現する単一の細胞株が作製される。Fcレセプターは抗体のFc部分に結合し、抗原結合領域は標的に結合するように自由にする。これらの細胞に添加された可溶性抗体によって、10分間の添加された抗体の特異性を有する「新規」の細胞株が産生される。これらの細胞への抗原の添加はFcレセプターを架橋し、エクオリンからの光放出を刺激する。このアプローチは、Bacillus anthracisに対するポリクローナルおよびモノクローナルの両抗体を用いて機能する。毒素検出について、毒素に対するポリクローナル抗体(または毒素に対する2つのモノクローナル抗体)を細胞に添加し得、Fcレセプターは可溶性抗原により架橋される。

代替的プロトコール: 第3の可溶性抗体のアッセイへの添加により、さらなる改善が見られ得る。Dr. J.D. Marksの実験室により公表されたデータ(Nowakowskiら PNAS (2002) 99(17):11346-11350)は、BoNT/Aと1つのモノクローナル抗体のインキュベーションにより、異なるエピトープに対する第2のモノクローナル抗体の明らかな親和性が約100倍増加されることを示す。この態様において、BoNT/A上の第3のエピトープに対する可溶性抗体が抗体コートビーズに添加される。第3の抗体のBoNT/Aに対する結合はBoNT/Aのビーズに結合する運動性を改善する。

あるいは、ビオチン化抗体は、アッセイに導入される場合、ビーズ上での提示を必要としない。可溶性ビオチン化抗体およびストレプトアビジンビーズは別々に添加され得る。このことが抗体の抗原への結合を改善し、高親和性のビオチンストレプトアビジンの相互作用はは抗体抗原複合体をビーズに迅速に結合させることが可能であり得る。

プロテインGビーズまたはストレプトアビジンビーズの使用は利便なものである。抗体を架橋し得るデンドリマー、チューブ表面または膜などの任意の支持体が使用され得る。抗体は、「重合」抗原を提示し得る表面に誘引するいずれかで標識され得る。

さらなる実施例2 CANARYによる植物病原体アッセイのためのプロトコール 植物組織は、B細胞の非特異的な阻害または活性化によるCANARYアッセイに有害に影響を及ぼし得る複合マトリックスである。従って、植物組織を処理してCANARYによる検出のための物質を抽出するための特定の方法が開発された。

細菌物質 限定されることはないが、Ralstonia solanacearumなどの木質部を塞ぐ植物細菌病原体について、物質を抽出するために以下の方法が使用される。 ・土管(soil line)部で樹幹の基部を切り出して冠組織を回収する。 ・圧縮空気、または余分な土壌を取り除く任意の他の方法を使用して幹を取り除く。 ・基部の切断部から約1cmで第2の切断を行ない、横断切断切片を作る。 ・幹の直径よりもわずかに小さい環状パンチを使用して、外層(<1mmの厚さ)を除去して芯を抜き取る。 ・芯を、適切な直径の、1mLの蒸留水またはCANARY細胞アッセイメディウム(CO2I)を含有するチューブに入れ、5分間浸漬する。 ・芯試料をチューブから除去し、液体をボルテックスにかける。 ・試料の任意の部分または全部を以下のようにアッセイし得る: ・スイングバケット微量遠心管で試料を10K〜18K RCFで2分間遠心分離する。 ・抽出に蒸留水を使用した場合、上清を吸い取り廃棄し、0.5mL CO2Iをチューブに添加し、ボルテックスにかけ試料を10K〜18K RCFで、スイングバケット微量遠心管で2分間遠心分離する。 ・抽出にCO2Iを使用した場合、置換の工程は必要ない。 ・0.02mL CANARY細胞をアッセイチューブに添加し、5秒間遠心分離しルミノメーターでシグナル出力を読みとる。 図100参照。グラフは、上述され図101に描写されたプロトコールを利用した、ゼラニウム抽出における100cfu/mL(5cfu/CANARY試験)のRalstonia solanacearumの検出を示す。

Ralstonia spp.: ralstonia感染組織には比較的少量の試料調製物を必要とする。細菌は木質部(植物の血管系)を塞ぐので、組織試料を水に置いた場合「細菌流」(即ち、幹の切断端からの細菌の流れ)が生じる。これは試料をすりつぶす必要がなく感染組織からのralstoniaの回収を可能にするので、アッセイを妨害する可能性のある植物の屑から細菌を抽出する必要性が排除される。

植物試料この場合のゼラニウムを試験するために、以下の手順を実行する。土壌のすぐ上の幹の領域の冠部を、横断切片にスライスし、任意の残りの土壌を除去する。第2の横断面切断は、第1の切断の約1cm上部で行ない、幹の直径よりもわずかに小さい芯試料を取り出す。この工程では木質部は完全に残るが、CANARYアッセイを妨害する幹の外被が除去される。次いで芯試料を抽出メディウムに5分間置く。抽出物はCANARYアッセイメディウム中で生じるため、試料をCANARYに適合させるさらなる洗浄工程を除くことで、プロセス時間を短縮する。発明者は、抽出メディウム単独(即ち、植物組織が存在しない)中のralstoniaと同等の感度レベルで種子を有するゼラニウム抽出物中のralstoniaを検出し得、これは植物抽出物の存在がralstonia特異的CANARYシグナルを阻害しないことを示す。

バックグラウンド(即ち、ralstoniaを含まないゼラニウム抽出物)とは明らかに見分けがつくシグナルは、試料をルミノメーターに入れた時点から30秒以内で現れる。試料調製を含む全方法は、10分未満で完遂され得る。アッセイは、CANARY試験当りわずか5cfu ralstoniaの検出が可能である。8種の異なる生体R. solanacearum R1bv1の単離物を試験した場合、CANARYアッセイから同等の結果が得られた。

ウイルス物質: potyvirus群は、最大かつ経済的に最も重要な群の植物ウイルスを含む。CANARY B細胞上で発現される広範囲のスペクトルで反応するモノクローナル抗体PTY1はクリプトトープ(ビリオン表面には見られないがむしろ完全なビリオン中に見られるコートタンパク質サブユニット上に見られるエピトープ)を認識する。これは、ウイルス上のクリプトトープがB細胞と接触可能であるために曝露されていることを必要とする、CANARYについての特別な課題を提示する。本明細書に記載される方法は、potyvirusをプリスチン、1〜20ミクロンポリスチレンビーズに結合させることでクリプトトープを露呈させる。図156参照。該技術はまた、磁性ポリスチレンビーズでも働く。ウイルスがビーズに結合する際、これによりウイルスコートが解け、エピトープが露呈される。ビーズはまた、CANARYアッセイについて第2の利点を提供する。potyvirusは、短い低速の遠心分離では沈降され得ない長くて屈曲性のある、フィラメント状の粒子(12x680〜900nm)である。低回転速度で非常に迅速に沈降するか、または磁石を用いて濃縮し得るビーズにウイルスを結合させることで、potyvirusについてのCANARYアッセイの感度が大きく上昇する。ビーズを組み込む試料調製/CANARYアッセイを行うために特別なデバイスまたは機器は必要とされない。

図102参照。グラフは、上述のビーズ結合プロセスを使用した5ng/mL(0.05ng/CANARY試験)のBYMVの検出を示す。該方法は、回収から検出を7分で可能にする。potyvirusの他の6種類の系統の試験は同様の検出限界を生じた。

Phytophthora spp.: phytophthora、経済的にかなり重要な真菌様植物病原体を検出するための2つのB細胞株を開発した。抗体の遺伝子を、Neogen Corporationから提供されたハイブリドーマPH3812およびPH4831から抽出した。該抗体はPhytophthora spp.の菌糸部分を認識する。

phytophthoraの抽出のための試料調製は、前述の他の2つの病原体についてよりもわずかに複雑である。potyvirusに感染した組織同様、接地させて生物体を開放させなければならない。phytophthoraは遠心分離で沈降するほどに大きいが、植物屑が共沈降し、アッセイを妨害する。植物組織の浸軟により生じる大きな屑に加えて、大量の小さい粒子(例えば、微粒子)も試料に混入し、病原体の同時損失無しで濾過によりphytophthoraから分離することはできない。該屑は、光検出を阻害してCANARYアッセイを妨害しいくつかの例において非特異的なシグナルを生じる。発明者は、植物組織からのphytophthoraの抽出のために、再度ビーズ結合アプローチを試料調製に採用した。ポリスチレンに対して天然の親和性を有し、任意の特別な処理を行なうことなく非常に迅速に結合するpotyvirusとは異なり、phytophthoraは未処理ビーズ表面には結合しない。従って、phytophthora菌糸は、病原体を屑から引き離すことを可能にするphytophthora特異的な第2の抗体(即ち、B細胞表面に発現される抗体とは異なるエピトープを認識する)でコートした磁性ビーズで捕捉された。磁性「ピックペン(pick-pen)」を使用して、ビーズ結合phytophthoraを容易にアッセイチューブに移し得、次いで前記のようにCANARYアッセイを実施し得る。試料調製中の律速段階工程は、phytophthoraの抗体コートビーズへの充分な結合を達成するために必要な15分である。

この技術を使用して、発明者は、生体Phytophthora infestansおよびPhythophthora capsici myceliaの両方の用量依存的応答、ならびに種子を有するジャガイモ塊茎抽出物中のPhytophthora infestansの検出を示し得た。抗原調製物が活発に増殖するphytophthora培養物から回収された接地菌糸から構成されたので、phytophthoraによる試験についてLODは測定されなかった。シグナルが基準(phytophthoraが存在しない)レベルに戻るまで10倍希釈の接地菌糸を試験した。

CANARYによる血液保有病原体のアッセイのためのプロトコール 血液保有病原体を検出するCANARYの能力に影響するパラメータは多く存在する。他の複雑なマトリックスに関して、血液はCANARYアッセイのアクチベーターおよびインヒビターの両方を含有する。全血が不透明であり病原体が細胞内または血液試料の液相のいずれかに存在し得るので光伝達が遮蔽される。さらに、異なるドナー由来の試料間の変動には、ドナーの状態に関係なく機能する普遍的な試料調製法の開発が必要であった。これらの課題全てを克服し、さらにCANARYアッセイの速度または感度のいずれも損なわない血液中の病原体の検出を可能にする、全血試料調製手順の方法およびデバイスが本明細書に記載される。

該方法は市販の血漿分離チューブ(PST)および差動的遠心分離を使用する。このプロセスは、血漿と血液細胞の間の密度を有する揺変性ゲルを使用し、これはチューブを遠心分離した際に血漿と細胞間に障壁を形成する。ゲルよりも低い密度で血液中に存在する細菌またはウイルスは、遠心分離の際に血漿(液)層に残る。次いで血漿を回収してCANARYで試験し得る。

液相中の血液保有病原体のCANARY検出のためのデバイスおよびプロトコール: 3段階の迅速で簡便な工程で全血試料の分離を可能にする改変した既製品(COTS)部品から試料デバイス(図103)を、組立てた。該デバイスは市販のヘパリン化キャピラリーPST血液回収チューブからなる。糸を通した連結カラーを、上部に穴を開けられたPSTチューブのフタにはめた。次いでストッパーをカラーの上半分に設置する。1.5ミリリットルの全血をヘパリン化血漿分離チューブに回収し(工程1)、90秒間遠心分離する(工程2)。次いで、ストッパーを糸を通した1.5mL CANARYアッセイチューブに置換する。50〜250□Lの範囲の容量で回収された、分離された病原体含有血漿を、その後逆にアッセイチューブに回収する(工程3)。血漿を0.5mLのアッセイメディウムと混合し(血漿中に存在するCANARY細胞アクチベーターの影響を低減するプロセス)、混合物を遠心分離して病原体をペレット化する。次いで、この試料を、標準プロトコール1回当たりの病原体特異的CANARY細胞で試験する。血液回収から病原体検出に必要な全時間はおよそ5分である。

上で詳細に説明した単純な3段階手順を使用した、全血中のYersinia pestisの検出限界は1000cfu/mL(125cfu/CANARYアッセイ)であり、血液回収から物質検出/同定までの全時間はおよそ5分である。図103参照。

細胞内の血液保有病原体のCANARY検出のためのデバイスおよびプロトコール: 液相病原体の単離に開発されたデバイスへの改変により、細胞内病原体を含む白血球細胞、血漿および液相病原体の回収が1工程で全て可能になる。これは、白血球細胞単離メディウム(フィコール-ジアトリゾエート)を該デバイスに組み込むことにより達成される。現在、このような小規模(即ち、わずか0.5mLの全血を分離し得る)で構築されたこの構造を有する市販の装置は存在しない。そのため、該ユニットは以下のように組立てられる:

PSTチューブの変わりに、空(ゲル無し)キャピラリー血液回収チューブが基本チューブとして使用される。次に以下の成分が列挙される順序でチューブに添加される(注:量は適切に機能するデバイスに非常に関連する): ・200マイクロリットルフィコール-ジアトリゾエート(FD ・5ミリメートルポリエステルゲル ・100マイクロリットルリン酸緩衝生理食塩水(PBS) ・500マイクロリットル全ヘパリン化またはEDTA血液 チューブの構成については図104参照。

チューブの構成は、液相分離のために記載されたものと同一であり、前述の糸を通されたカラーとアッセイチューブを収納するために同一の改変がなされる。一旦血液がチューブに添加されふたが閉じられると、血液とPBSを混合するためにチューブは数回逆さにされ、その後90秒間遠心分離される。図104の下段の模式図は、遠心分離後の成分の配置を示す。

CANARYアッセイチューブでストッパーを交換し、細胞、血漿および任意の遊離病原体を、デバイスを逆さにすることで回収する。液相病原体回収アッセイと比較して、この時点でさらなる工程が有用である。病原体含有白血球細胞を溶解して物質の放出を可能にすることで、物質はCANARY細胞に接触可能になる。まず、チューブを11000 RCFで1分間遠心分離して白血球細胞および任意の遊離(液相)病原体をペレット化する。液体を廃棄し市販の溶解剤をCANARYアッセイチューブに添加し、次いでこれをボルテックスにかけ細胞と溶解剤を混合する。チューブを時々ボルテックスにかけ室温で5分インキュベートし、その後再度11000 RCFで1分間遠心分離し病原体をペレット化した。ペレット上の溶解試薬を廃棄し0.5mLのCANARYアッセイメディウムをチューブに添加し、再度ボルテックスにかけて遠心分離した。次に試料をCANARYアッセイ用に準備し、標準的な単一試料アッセイ形式が続き、即ちB細胞を添加し、5秒間遠心分離しルミノメーターで光出力を記録する。回収から検出までのこのアッセイに要した全時間は約12分である。

上述の方法で血液試料を処理して細胞内病原体を得る場合、スパイクされた全血中のY. pestisについての検出限界は1000cfu/mLである(図105参照)。

さらなる実施例3 CANARY B細胞衝突技術 本発明は、遠心分離を伴わないCANARY B細胞の湿式または乾式衝突試料への効率的な送達の技術を記載する。これらの技術は、移動部材および区分した時間の光子読出しの最小化に基づいた簡略で、低コストの自動化CANARYを可能とする。

技術的説明の概要 該デバイスは小滴衝突を使用した技術を取り込み、試験下でのCANARY B細胞および抗原含有標的との間の迅速な遭遇を最大限にする。いくつかの変形が記載され(下記)、関連のある実験および解析技術が以下に記載される。 技術1「B細胞スプレー」 技術2「遠心分離を伴わないCANARYアッセイ」 技術3「CANARY B細胞衝突」 技術4「TCAN-3 B細胞送達コンセプト」 技術5「B細胞衝突およびCANARYのアップデート」

本明細書に記載される技術は、エーロゾル化された抗原、または抗原回収の際にインパクターによって表面に衝突する抗原溶液の小滴のいずれかのことをいう。次に、CANARY B細胞の小滴をエーロゾル化し同一の表面上に衝突させる。衝突のための方法は、機械的な噴霧化および液体貯蔵器からの衝突される抗原小滴上のスプレー(技術1〜3)であるか、または迅速で正確なB細胞液体貯蔵器から生じた圧力差を介するかのいずれかである(技術4)。技術5は、かかるエーロゾル化技術の間のB細胞の生存を実証するために設計された一連の実験を記載する。全ての場合において、B細胞は、その下に光検出器または光検出器に連結した光学導波管がある、透明な表面上で抗原と迅速に遭遇する。B細胞抗体が衝突した抗原と結合する際に、光が放射され光検出器に検出される。このシステムのシグナル対ノイズの割合は、光学導波管幾何学を衝突ノズル幾何学に合わせることで改善され得、これは回収された抗原および霧状にされたB細胞溶液の両方に焦点を当てるために使用され得る。

本明細書に記載されるこのデバイスまたは方法は、遠心分離を伴わずにCANARYアッセイを実行するために使用され得るので、自動化同定機器の複雑さが低減され、性能が強力に向上される。これには高速イムノアッセイの一部としてエーロゾル衝突が使用される。

CANARYアッセイはきわめて速いイムノアッセイであり、主な時間の遅れは抗原への結合誘発するためのB細胞溶液を遠心分離する現在の技術により生じる。この方法は、時間の遅延をもたらすだけではないが、より重要なことには、本明細書に提唱される方法よりも大きなデバイスの複雑さ(モーター、連動および非連動機構、位置および速度のエンコーディング等)を必要とする。新規の技術は抗体および抗原の接触をもたらすためにエーロゾル衝突を使用する。複雑さの減少はまた、既存のものよりも小さく、より安価な自動化同定センサーをもたらし得るので、増幅された検知システムの一部としてのそれらの使用を促進する。

このデバイスは以下:当業者に理解されるような、連続モニタリングするかまたは誘発されるかいずれかの生体防御検出/同定システム;ヒトのヘルスケア、臨床的疾患および疾患状態の特徴づけ;環境サンプリングおよびバックグラウンド植物相の特徴づけ;食物試験;動物の健康のために使用され得る。

技術1:B細胞スプレー 目的 この実験の目的は、噴霧器によりB細胞を噴霧することでB細胞の送達機構が変わるかどうかを決定することであった。送達される細胞の容量、細胞の生存性、および活性が測定された。

実験設計 調節された容量のB細胞を送達する代替的な方法が試験された。噴霧されたB細胞の運動性を、液体および乾燥試料について試験し、20μlのB細胞で試験した試料と比較した。これらの実験は、細胞計測、生存性、濃縮中での活性再現性、およびバックグラウンドレベルについて試験された。送達後に細胞をスピンさせることの効果、および噴霧された典型的な細胞の容量も試験した。

B細胞を3mlの噴霧器Qosinaスプレーボトルに充填し、細胞をBaまたはYpを含有する試料に送達するために使用した。各スプレーの容量を測定するために、スプレーボトルに2mLのCO2Iを充填し、スプレーボトルか空になるまで1つのスプレーを個々のエッペンドルフチューブに送達した。エッペンドルフチューブを10,000rpmで30秒間遠心分離し、ピペットで容量を測定した。細胞数を測定するために、Ba B細胞をスプレーボトルに充填し、5本のエッペンドルフチューブ内に噴霧した。エッペンドルフチューブを10,000rpmで30秒間遠心分離して、ピペットで容量を測定した。次いで10μlの細胞を計測用血球計算板に充填した。細胞数を、細胞調製物のオリジナルチューブから直接計測した細胞と比較した。

液体試料についてB細胞活性を測定するために、物質と共に50μlの試料を1.5mlエッペンドルフチューブ内に調製して、10,000rpmで2分間遠心分離した。乾燥試料について、水中で希釈した5μlの物質を1.5mlエッペンドルフチューブに調製して、10,000rpmで2分間遠心分離し、一晩かけて乾燥させた。典型的に34±8μl/スプレーの容量で、1スプレーのB細胞をチューブに直接スプレーした。次いで、小型遠心分離機で試料を5秒間スピンしてBertholdルミノメーターで読み取った。

結果 結果は、各々のスプレーボトルには2mlのB細胞が充填され得、45〜47回スプレーされ得ることを示す。各々のスプレーは、34±8μl/スプレーを送達する(n=47)。オリジナルのチューブから直接計測し多細胞を平均すると3.2x105±8.0x104細胞/mlであった(n=5)が、スプレーした細胞は1.3x105±2.9x104細胞/mlの低い平均を示した(n=5)。結果的に、送達された細胞/試料の数はスプレーされた細胞について5392±954(n=5)であり、20μlのピペットで送達された細胞について5283±76(n=5)であった。

図106は、20μlの細胞送達によるBa標準のグラフである。CO2(I)メディウム中に調製されたおよび20μlのB細胞で試験された50μlのBa試料。結果は低バックグラウンドおよび50cfu BaのLODを示す(n=2)。

図107は、Ba B細胞スプレーのグラフである。50μlのBa試料をCO2(I)メディウム中で調製して異なる数のB細胞スプレーで試験した。結果は20μlの細胞送達と比較して2回のスプレーによる高いバックグラウンドを示す。スプレーの回数は50,000cfu Baによるピーク強度に影響しなかった(n=1)。

図108は、1スプレー細胞送達によるBa標準のグラフである。50μlのBa試料をCO2(I)メディウム中で調製して、1スプレーのB細胞で試験した。結果は20μl細胞送達と同様のバックグラウンドおよび5,000cfuのLODを示す。50および500cfu Baは50%の検出頻度を示した(n=2)。

図109は、Ba標準のグラフである:20μl B細胞による500cfu Ba検出。500cfu Baを有する50μlのBa試料をCO2(I)中で調製し20μlのB細胞で試験した。結果は、通常見られるよりも高いバックグラウンドで500cfuの100%検出を示す(n=3)。

図110は、Ba B細胞スプレーのグラフである:1スプレーB細胞による500cfu Ba検出。500cfu Baを有する50μlのBa試料をCO2(I)メディウム中で調製し、1スプレーのB細胞で試験した。結果は、500cfuの50%検出および2〜3倍高いバックグラウンドを示す(n=14)。

図111は、Ba B細胞スプレーのグラフである:1スプレーB細胞およびスピン無しによる500cfu Ba検出。500cfu Baを有する50μlのBa試料をCO2(I)メディウム中で調製し、1スプレーのB細胞で試験した。読み取りの前に試料は5秒間のスピンを行なわなかった。結果は500cfu Baの0%検出を生じる細胞と物質の相互作用がないことを示す(n=3)。

図112は、Yp B細胞スプレーのグラフである:20μl B細胞による500cfu Yp検出。500cfu Ypを有する50μlのYp試料をCO2(I)メディウム中で調製し、20μlのB細胞で試験した。結果は、典型的なバックグラウンドおよび500cfu Ypの100%の検出を示す(n=4)。

図113は、Yp B細胞スプレーのグラフである:1スプレーB細胞による500cfu Yp検出。500cfu Ypを有する50μlのYp試料をCO2(I)メディウム中で調製し、1スプレーのB細胞で試験した。結果は、500cfu Ypの100%検出でバックグラウンドの少しの増加を示す(n=8)。

図114は、Yp標準のグラフである:20μlのB細胞による500cfu Ba検出。500cfu Ypを有する50μlのYp試料をCO2(I)メディウム中で調製し、20μlのB細胞で試験した。結果は、典型的なバックグラウンドを有する500cfuの100%検出である(n=7)。

図115はYp B細胞スプレーのグラフである:20μl B細胞による500cfu乾燥Yp検出。500cfu Ypを有する5μlのYp試料をdH2O中で調製し、一晩かけて乾燥させ、20μlのB細胞で試験した。結果は500cfu Ypの100%検出を示す(n=10)。

図116は、Yp B細胞スプレーのグラフである:1スプレーB細胞による500cfu乾燥Yp検出。500cfu Ypを有する5μlのYp試料をdH2O中で調製し、一晩かけて乾燥させ、1スプレーB細胞で試験した。結果は、より高いバックグラウンドではあるが、500cfu Ypの100%検出を示す(n=10)。

結論: 結果により、B細胞のスプレーがB細胞送達に適切な方法であることが示された。スプレーにより細胞数が減少するが、容量をより大きくすることで、試料あたりに送達される細胞と同等の数が可能になる。50%の検出ではあるが、50および500cfuでの検出能力を示すためにBa B細胞のスプレーを続ける。スプレー条件を最適化して、おそらくはより高濃度のB細胞または新規の細胞によりこの活性は回復され得ることが可能である。Ba B細胞スプレー実験はまた、5秒間のスピン工程が適切なB細胞活性になお必要とされることを示す。興味深いことに、Yp B細胞スプレーは、Ba検出と同程度にはB細胞活性に影響しなかった。バックグラウンドレベルは同様のままであり、500cfu Ypは100%の検出を示した。B細胞の効果はまた、液体および乾燥試料で試験された。まず、20μlのB細胞送達による500cfu Ypの湿式または乾式形式の検出は変化しなかった。しかしながら、乾燥Yp試料による20μlの細胞送達と比較して、スプレーされた細胞についてバックグラウンドは増加し、乾燥500cfu Ypの検出は100%検出を示したままであった。

これらの結果は、何らかのポンプ送達機構を行なった後のB細胞が同様のLODを維持し得、キャピラリーまたは小さなオリフィス環境下で見られるいくらかの圧力に耐え得ることを示す。スプレーされたB細胞の送達は、保存および送達が無傷であり、ピペットを必要としないフィールド実験を容易にし得る。

技術2:遠心分離を伴わないCanaryアッセイ CANARYアッセイ。CANARYは速く高感度なバイオアッセイである。これは、抗原との結合時に蛍光を発する改変されたB細胞株を使用する。抗原細胞は遠心分離されるかまたは表面上に衝突されるかのいずれかである。次いで、B細胞はこれらの細胞上に遠心分離され、ルミノメーターにより蛍光が測定される。いくつかの計画(例えば、BCANおよびTCAN)は病原体のフィールド検出にCANARYを使用しており、エーロゾル回収および衝突をCANARYアッセイと合わせる。

従来のCANARYシステム CANARYフィールド検出器の現在のバージョンにおいて、扱いにくい遠心分離装置および繊細な光学装置を小さい空間で合わせることが必要である。この要件は、これらの検出器の設計および構築を悩ませる。遠心分離を排除することで設計コスト、構築コストおよび維持コストが減少し、さらに信頼性が向上する。発明者等は衝突を使用した代替的な技術を説明する。

B細胞を衝突させる代替的な技術 遠心分離によるコスト高および設計の複雑性を回避するために、B細胞を結合表面に移動させるための代替としていくつかの方法が示唆されている。これらには、細胞内部の磁気ビーズの操作、熱泳動、電気泳動、および音波的な操作が含まれる。これらの方法のそれぞれは、CANARYシステムへの新規の技術の開発および改良を必要とする。

提唱される技術 新規の形式で適用されるCANARY技術、具体的には衝突によりB細胞の抗原への結合を使用する技術が本明細書に記載される。この技術はBCANまたはTCANに使用されるものと十分に同様な衝突を使用する。B細胞溶液を抗原細胞衝突ノズルによりスプレーする。B細胞は溶液中に存在してはいるが、その質量の大きさのために衝突表面上に衝突する。これは次のセクションにより詳細に記載される。スプレーはバイオエーロゾルに使用されるものと同等の流速である。そのため、バイオエーロゾル回収に使用される同一のポンプでB細胞衝突を作動させ得る。

B細胞衝突の物理学 液体による粒子の衝突は、気体による粒子の衝突と同様である。液体の流線が物理的障害により、突然方向を変えた場合、液体中の充分に大きな粒子が流線を横切って、障害物と衝突する。衝突の可能性を説明する単位のないパラメータはストークス数である。これは障害物の大きさに対する粒子の停止距離の割合である。ストークス数はおよそ

であり、 式中Uは、障害物に向かって移動する液体流速であり、Dは障害物の大きさであり、τは粒子の緩和時間である。緩和時間は粒子直径、粒子密度、および液体粘度の関数である。ノズルから衝突表面へ流れ出る液体について、Dはノズルの直径である。

衝突ノズルでの粒子カットオフ直径の式は

であり、 式中Stk50は定数(約0.5)であり、ηは液体粘度であり(水について0.01 Pおよび空気について0.0002 P)、Qは流速である。BCANについて、Qは2lpmであり、Dは0.1cmである。水について計算されたd50は6ミクロンであり、空気については0.8ミクロンである。

従って、空気中の粒子の衝突および溶液中のB細胞の衝突の両方に、同一の衝突配管が使用され得る。

新規の方法はいくつかの利点を有する。新規の技術はB細胞の遠心分離工程を排除する。該方法は早く、B細胞の衝突にわずか数秒しか必要としない。PMTの近位での移動部材はなく、これはPMTがより長い操作寿命を有することおよびPMTがより感受性のシグナルのために配置され得ることを意味する。この検出器は、遠心分離型の検出器に比べて安価で頑丈である。既存のBCANまたはTCANを改変することで構築することが容易である。

技術3:Canary B細胞衝突 目的: 遠心分離工程を伴わないCANARYフィールドデバイスについて代替的なB細胞送達方法を開発すること。

実験設計 初期のCANARYプロトコールには、B細胞送達について500gで5秒間の遠心分離工程が必要である。しかし、試料を遠心分離することは、B細胞などの繊細な成分およびPMTを含む自動化システムにおける重度の設計の拘束を設定することによるCanaryフィールドデバイスの有効性を制限する。本明細書に記載される新規の方法は、BCANまたはTCANシステムと同様の形式で衝突する際に、物質およびB細胞の両方を衝突させることで余分な移動部材を排除する。これは、物質だけが衝突する現在の方法とは異なる。結果として、唯一の移動部材が、B細胞を噴霧するためのバルブであり、これは結合表面からある程度離れて設置される。

新規の方法において、B細胞の小滴は、衝突流中に分散される。技術1「B細胞スプレー」における実験は、B細胞が少なくともいくつかの噴霧状の形態で生存することを示す。技術2「遠心分離を有さないCanaryアッセイ」における計算は、B細胞が、BCANに使用される流速で移動する水溶液を介して衝突することを示す。BCANは1ミクロンの衝突カットオフを有するので、10ミクロン以上の直径を有するB細胞小滴は、同一の流速を使用するBCANポンプで提供される気流中で容易に衝突する。小滴の大きさがBCANノズルよりもかなり小さい場合、ノズルでの損失は無視できる。B細胞が衝突で生存しているかどうかは実験によってのみ決定され得る。

新規のスプレー方法は、物質衝突、B細胞衝突およびPMT測定の3つの操作のための移動部材を除去する。結果的に、このことは、ある程度離れてB細胞が単一の貯蔵器中に保存され得るフィールドデバイスの設計要件を簡略化する。B細胞の添加から気流が分離される必要はないのでインパクターでの単純なバルブ機構が使用される。

この技術は10または20ミクロンの小滴をエーロゾル化し得る分散器を必要とする。衝突噴霧器、バイオエーロゾルについての実験室標準的分散器は5ミクロンよりも大きい小滴について低い効率を有する。2つの代替的な噴霧器が考案されている。1つはQosinaより入手可能な計量用量噴霧器であり、化粧品産業で開発された。いくつかの(ISome)実験により、粒子サイズは10ミクロン以上でありエーロゾルのパルスを生じることが示される。これらの噴霧器はそれぞれ$1である。これらの粒子サイズについての噴霧器の他の型は連続フローに使用される超音波噴霧器である。超音波噴霧器システムを製造している2つの会社はSono-tekとSonaerである。これらのシステムは$7.5kから$15kである。

BCANのプロトタイプを備えたQosina噴霧器を試験するための実験は以下のように設定される(図117参照)。BCAN実験のために構築された衝突装置にディスクを設置する。これは衝突ノズル、良好に保持される衝突ディスク、および外部の突起(barb)からなる。突起はチューブを介してロータメーター、HEPAフィルター、およびほぼ5lpmを操作するためのポンプに連結される。チューブは、装置の内部のティーに連結され、その片方の端は周囲空気に対して開かれておりもう片方はB細胞溶液を含むQosina噴霧器に対して開かれている。PMTはガラスディスクの直下に設置される。PMTは光に対して感受性であるので、衝突装置およびPMTは暗い箱の中に設置される。黒いチューブはロータメーターの出口およびティーの入口に連結される。試験中、物質類似物(simulant)は、ガラス衝突ディスク上にスポットされディスクは装置内に設置される。次に、ポンプを開いて噴霧器からB細胞を噴霧させる。この時点で、B細胞が噴霧中に生存して衝突が充分な量である場合、発光シグナルはPMTから予測される。支持試験はB細胞を、物質を含まないディスク上にB細胞を衝突させるものであり、衝突だけではB細胞が発光しないことを試験するものである。

技術4:TCAN-3 B細胞送達コンセプト 目的: 現在では、TCAN-2バイオセンサーは、B細胞の放出および送達を制御するために、COTトランペットバルブを組み込む。このトランペットバルブは高価であり、かさ高でもある。さらに、トランペットバルブ内のバネは、遠心分離工程中にバルブを開くために使用前に取り外さなければならない。この技術は、ベルヌーイの法則の簡単な応用に基づくB細胞放出および送達のための、代替的な機構を提唱する。

概念: 提唱された概念は、液体貯蔵器からB細胞をエーロゾル経路へと吸い込むエーロゾル回収ポンプを利用する。これは、エーロゾル回収の際に閉じられるB細胞貯蔵器をホイルシールで密封することによりなされる。エーロゾルの回収後、シールに穴を開け、エーロゾル経路と貯蔵器の間に圧力差(ΔP)を生じさせる。

この概念は、液体の圧力は速度に反比例して変化し、空気の速度の上昇により圧力の減少が生じることを記載するベルヌーイの法則に基づく。この概念についての法則は一般的な噴霧器と同じである。ほとんどの噴霧器は、液体貯蔵器に対して気流を生じさせることで作動する。速く移動する空気は入口の気圧を減少し、圧力差に基づいて液体を空気経路へと吸い込む。

ベルヌーイの法則:

P=圧力;ρ=液体の密度;V=速度 g=重力加速度;z=高さ

シールに穴を開ける前に、後部圧力(P2)は理想気体の法則に基づいて内圧(P1)と平衡になるので、B細胞は貯蔵器内に残ったままである。温度が同じであると仮定すると、液体プラグはエーロゾル経路内に引き込まれるので、空気の体積(V2)は増加し、後部圧力(P2)の減少を生じる。シールが破られるまで、後部圧力は内圧と均衡を保つ。シールが破られた後、後部圧力は周囲大気圧と平衡になる。

理想気体の法則: PV=nRT

設計パラメータ: 完遂される必要があるいくつかの重要な実験がある。重要なデザインパラメータは、貯蔵器チャンネルの理想的な直径および幾何学を決定することを含む。この直径は液体-気体界面での表面張力に影響する。キャピラリーチューブ内の表面張力による圧力差は以下の通りである: (水について、表面張力=γ=0.073N/m) ΔP=2γ/半径

半径が減少するにつれて、貯蔵器から液体を吸いだすために必要な圧力はまた増加する。

結論: B細胞放出および送達のこの方法は、TCAN-2に現在使用されているCDの設計を簡略化する。この方法はまた、CDのコストおよび大きさを減少し、より安価で簡単な部材の製造をもたらす。この技術は、本明細書に記載される遠心分離を伴わないB細胞送達アプローチにも応用可能であり得る。

技術5:B細胞衝突およびCANARYについてのさらなる実験 本明細書に記載される方法は、B細胞の小滴を抗原基質上に衝突させることでB細胞の標的を抗原とする。これは特にCANARY乾式衝突に適切である。同じ機構により配置されるので、B細胞は抗原と同じ位置に配置される。

B細胞が供される過度のストレスはエーロゾル化によるものである。特に、エーロゾル移動およびエーロゾル衝突の際にストレスが生じる。バイオエーロゾル生成の際に、細胞をかなりの機械ストレスおよび電荷にかけ得る。移動段階で、小滴は溶媒の蒸発および溶液濃度の変化をこうむり得る。これらの効果は脱水、酸素毒性および浸透圧不均衡をもたらし得る。衝突段階で、粒子は再度機械ストレスにかけられる。これらの効果の全ては、B細胞を不活性化させ、抗原検出器としての使用を妨げる。

FACS解析の間のエーロゾル化により、B細胞は不活性化されないし、細胞生存性も影響を受けない。FACS/フローサイトメーター解析の間に、FACSマシンは1度に細胞を小滴中に1つ(即ち、エーロゾル)に分配し、小滴は光学的に解析され、次いで(任意に)更なる試験のためのチューブに回収される。B細胞はまた、イオンキレート剤の存在下でも、乾燥チューブへの衝突後数時間は生存している。一時間後にはわずか10%の細胞を損失する。そのため、CANARY検出に充分なB細胞が1秒未満で衝突する。

試験研究 B細胞のエーロゾル化の効果をさらに研究するために、FACSソーター試験管の底に抗原を配置し得る。次いで、CANARY B細胞はFACSマシンを通じて処理され得る。次いで、CANARY B細胞による光子放出について、試験管がルミノメーター内で解析され得る。陰性対照は、チューブ内に抗原を含まない。また、抗原およびCANARY細胞のチューブへの衝突は一緒に試験され得る。

さらなる実施例4 16チャンネルセンサー: 1チャンネルシステムで見られるものと同等の感度レベルを提供する、改良および改善された16チャンネルセンサーを本明細書に記載する(図121)。この持ち運び可能なプロトタイプは外での検証および試験に適している。具体的に、これは1つの集光チャンネルを使用して、同時に16の試料の測定を可能とする。センサーは水平上に、その円周に等間隔に分布された16のアッセイチューブを保持し、垂直軸可変速度モーターで駆動されるローターからなる。単一固定光子検出エレメント、この場合PMTは、回転中のチューブ経路の直上のローターの面上に設置される。このように、それぞれのチューブは、連続的かつ繰り返して、PMTの近位に持ち込まれ、通過毎の光出力のサンプリングが可能になる。最終的に、光源(赤外LED)および検出器(フォトトランジスター)からなる光学スイッチを使用して、検出光子の計測およびそれぞれが特定の試料に関連する16のフィールドへのデータの再組織化が制御される。

一回の測定は 1. 個々のアッセイチューブに16の試料(および/または対照)を調製する工程。 2. 手動の移行、自動の移行、カプセル、またはブリスターパッケージを含むがこれらに限定されない方法の任意の変形を使用した、各々のチューブへB細胞のアリコートを導入する工程。 3. アッセイチューブをローターに充填する工程。 4. 高い相対遠心力(RCF)(約2000g)の簡易(5秒)遠心分離スピンを使用して、チューブの底にB細胞を局在させる工程。 5. 測定の時間(1〜2分)のためにローター速度を10〜120rpmまで低減させ、1回転ごとにそれぞれのチューブをサンプリングする工程。 6. 表示および/または評価のためのコンピューターアルゴリズムへの入力について、各試料の時系列の光子計測数を作成する工程からなる。

非遠心分離アッセイ形式 臨床適用、注意適用および前進開発適用を目的としたコンパクトな手持ち式センサーに適合性である他のアッセイ形式も本明細書に記載される。一般的に、探求の際の目的は、可能な限り速度および感度を高く維持ながら必要とされるCANARYアッセイ手順およびハードウェアの両方を簡易化し得る形式を同定することであった。具体的に、現在では遠心分離がエネルギー消費および装置の複雑さの主な駆動体であるので、その工程の要件を減少または排除し得る代替的なアッセイ手順の性能を特徴付けることに焦点を当てる。表面結合標的、微小流体チャンネル、灯心アセンブリ(wicking assembly)、濾過、または磁気ビーズ捕捉の物理的な操作を使用するアッセイ形式に対して、多数のアプローチが実験的に評価されている。側部フローアセンブリ、および磁気ビーズ捕捉の使用が、特に、以下により詳細に記載される。

表面結合粒子(「ピンヘッド(Pinhead)」として公知)法の物理的操作 これは、一般的な一直線のピンによってもたらされた(およびそれを使用して元々試験された)、CANARY B細胞を使用する非遠心分離法の一員である。実際に、一直線のピンは、3つの基本的な基準:1)表面がB細胞のカルシウム流動を刺激しない、2)表面はCANARY B細胞上の抗体が結合標的に結合する能力を変化しないように標的を受容し、保持/結合し得る、ならびに3)表面は、反応容器の表面上のB細胞(エミッター細胞)の層と接触するように物理的操作の影響を受け易い、を満たす、任意の適切な固体表面に置き換えられ得る。一般的に、試験される粒子は、空気または液体試料から、種々の手段により「ピンヘッド」上に回収され得(図122)、その後、固定されたB細胞のアリコートに提示され得(図123);回収された試料が、抗体を発現する細胞に対する抗原を含む場合、弱い光シグナルが生成され、感受性ルミノメーターにより回収される。

遠心分離CANARY法において、試験される(細菌、ウイルスまたは毒素を含む)粒子は、(BCAN中のように)空気衝突、または液体試料の場合は長い(2分以上)、強い(10K RCF以上)遠心分離「プレスピン」のいずれかにより試料部位に局在される。(これらの試料調製のいずれも試料部位の近くで小容量中の粒子を効率よく濃縮する。)CANARY B細胞は、次いで、試料容量中に導入され、簡易的(約5秒)で、弱い(約500 RCF)細胞送達スピン後に粒子と遭遇し得る試料部位に移動される。B細胞を試料表面に移動させる時間は短時間であるので、これらの遭遇は短時間ウィンドウで起こり;B細胞から生じる発光の応答は、検出される光子の認識可能なパターンの形態で、より明確に同定可能なシグナルを生成することと同調する。

ピンヘッド法により、表面上または表面の近位の粒子およびB細胞の同様の濃縮がなされ、試験される粒子は、種々の手段により、予備的に配列された薄層のB細胞(重力により固定させたか、プレスピンかまたは表面への接着を増加させた)に物理的に入れられた表面(ピンヘッド)上に回収される。これは、再度、充分に強力なシグナルを生じる、同調されたB細胞の刺激を生じる。

これらの概念の第1の実験的な検証は、既知量の抗原性類似物を含む2μlの試料をピンヘッド上で乾燥させ、これらを(遠心分離により)固定させた種々のB細胞株(それぞれの「株」は既知の物質または類似物に対する抗体を発現するB細胞のクローン化集団である)のアリコートに導入することからなる。対応する抗原と細胞を用いた際に強力な応答が観察され、ミスマッチの場合シグナルは観察されなかった(図124は典型的な用量応答を示す)。

第2の実験的検証は、図122(b)の設定と同様のBs胞子の静電的回収からなった。大まかに類似する空気中のBs胞子の濃度、固定した空気フロー流速、および異なる回収時間を使用して、Bsに対する抗体を発現する固定化したB細胞を含むチューブに回収ピンを導入した場合の用量応答を観察した(図125)。

二重磁気ビーズアッセイ 二組の磁気ビーズの利用するアッセイが本明細書に記載される。1つの組はCANARY B細胞に特異的であるが、もう1つの組は特定の物質に特異的である。これらの物質に特異的なビーズは、特定の物質(例えば、グラム+/-細菌、ウイルス、タンパク質、DNA等)の種類に対する一般的な親和性を有し得る(例えば、それらの全ての教示が参照により本明細書に援用される、US2005/0118570および米国特許第11/056,518号参照)か、または単一物質に対して特異的な親和性を有し得るかのいずれかである。図127において、二重ビーズアッセイと並行して標準CANARYアッセイを行なった。Y. pestisに特異的な磁気ビーズを、Y. pestis物質の連続希釈物と5分間混合した。5分後、任意に結合したY. pestisと一緒に磁気ビーズをアッセイチューブの底に引き寄せて、上清を除去した。次いで、試料に磁気標識B細胞を添加して、チューブの底に落とした。これにより、磁気ビーズによる物質およびB細胞の局在化は、遠心分離と同等の感度を提供することが証明される。

灯心形式 遠心分離を伴うことなく試料液体移動ならびに抗原の局在を達成するための灯心を層にし、物質を濾過するデバイス中のCANARYアッセイを本明細書中に記載する。該デバイスの基本構造および胞子サイズの粒子を局在するその能力を説明する写真を、図128および129に示す。

図130は、同じ物質および細胞試料を使用して、標準遠心分離アッセイおよび側方フローアッセイの両方について得られたCANARYシグナルを示す。これらおよび他の実験は、側方フローアッセイにB細胞が使用され得るが、シグナル対ノイズのレベルは遠心分離アッセイよりも低くなる傾向にあり、従って全体のLODが低減されることを示している。シグナルの振幅の減少により、この形式が、B細胞がフィルター物質上の粒子に達した場合の抗原粒子の局在もしくはB細胞の提示の同調のいずれか、またはその両方において効率的でないことを示す。バックグラウンドレベルの増加も観察される。これらは異なる灯心物質および流速により強度を変化され、一般的に、表面接着および液体剪断力の増加のためにB細胞上の機械的ストレスの増加を生じることが予想される物質および流速と相関する。あり得る治療は機械的ストレスに対してより高い耐性で選択されるB細胞を使用すること、システム剪断応力を減少させるための低レベルの界面活性剤を使用すること、B細胞により見られ得る全ての捕捉抗原を確実にするために捕捉領域の厚さおよび大きさを減少させること、および芯ストリップの長さを減少させることによりシートの応力を減少させることを含む。最初のデバイスは捕捉のために0.2μmのフィルターを使用したが、0.2μmよりも小さい粒子を捕捉するためにビーズと組み合わせることができる。

さらなる実施例5 自動化CANARYバイオエーロゾルセンサー態様: わずか90秒で空気保有病原体の回収および同定を示すために、慣性衝突によるエーロゾル回収と自動センサーのCANARY同定の組合せが本明細書に記載される。現在、他の自動化バイオエーロゾル回収および同定デバイスについて報告されている最も速い応答時間は18分より大きく、従ってこれは現在の技術分野の水準と比較してワンオーダーより大きい改善を提示する。この設計に基づいた2つの態様、BCANおよびTCANセンサー(図131)は、以前に構築および試験され、発明者がPANTHER(脅威のある環境放出のための病原体解析器、図131)と呼ぶ次世代CANARY技術に統合されている重要な物質、方法、およびデバイスが本明細書に記載される。

中核技術の重要な詳細は関連する図(図131〜137)およびその説明に記載され、以下のように要約され得る: 1) 浮遊したエーロゾル粒子を、直接CANARY解析に影響を受け易い十分に規定された領域中のディスクの表面に衝突させる幾何学を備えた、16以上のチャンネルにより空気フローを方向付け、加速する特徴を有する4.75"直径ディスクにより、解析されるエーロゾル粒子を含む空気を引き込む。 2) CANARY B細胞を、多数の利用可能な機構を使用して自動的に放出され得、簡易スピン(5秒未満)によりエーロゾル回収部位のそれぞれに送達され得る16以上の個々のアリコートのボードに保管する。 3) 回転力によってCANARY B細胞と回収されたエーロゾル粒子の間で接触され、CANARY B細胞の病原体標的を含む任意の試料から光が放出される。ディスクは反応領域中の放出される光の波長に対して透過であり、放出された光は、光子計測光検出デバイス(例えば、光電子増倍管)を用いて回収、および定量される。 4) 上述の複数のディスクをデータの保存、移行、処理および解析を提供するデバイスにかける。この装置の操作は、空気保有病原体の同定がわずか90秒ほどで可能な病原体回収および解析を提供する。

補遺 頭文字/記号の定義: AC 交流 AFB 空軍基地 ATP アデノシン三リン酸 BAWS 生物物質警告センサー Bcl2l11 Bcl2様11 Bmf Bcl2修飾因子 BoNT/A ボツリヌス神経毒素A BoNT/A Hc ボツリヌス神経毒素A重鎖 CANARY 抗原リスクおよび産出の細胞解析および通知 CCD 電荷結合素子 CDC 疾病対策センター COTS 既製品 CPT 細胞調製チューブ CRET 化学共鳴エネルギー転移 DC 直流 DEP 誘導泳動 DMSO ジメチルスルホキシド DNA デオキシリボ核酸 DoD 国防総省 EB 基本小体 EGFP 強化型緑色蛍光タンパク質 FcγRI FcガンマレセプターI FMD 口蹄疫 GADD45β 成長停止およびDNA傷害誘導性ベータ GFP 緑色蛍光タンパク質 GST グルタチオントランスフェラーゼ HA ヘマグルチニン HBSS ハンクス平衡生理食塩水 Hells ヘリカーゼ、リンパ球特異的 Hist1H1c ヒストン1H1c HSF1 熱ショック因子1 IFNγ インターフェロンガンマ LD50 50%致死量 LOD 検出限界 NiCd ニッケルカドミウム PBS リン酸緩衝化生理食塩水 PCR ポリメラーゼ連鎖反応 Pdcd1lg1 プログラム細胞死1リガンド1 PMT 光電子増倍管 PST 血漿分離チューブ RCF 相対遠心力 RLU 相対蛍光単位 TCA トリクロロ酢酸 Tx-100 Triton X-100 USAMRIID アメリカ軍伝染病研究機関 VEE ベネズエラウマ脳脊髄炎

本発明はその好ましい態様に関して、特に示され記載されるが、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲を逸脱することなく、本明細書中で形式および詳細において種々の変更がなされ得ることを当業者は理解しよう。

本明細書に記載される全参考文献、特許および特許出願の関連のある教示は、その全体において参照により本明細書に記載される。

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