改質天然ゴム、その製造方法、タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ

申请号 JP2014519116 申请日 2013-12-02 公开(公告)号 JPWO2014125700A1 公开(公告)日 2017-02-02
申请人 住友ゴム工業株式会社; 发明人 俊明 ▲榊▼; 俊明 ▲榊▼; 大槻 洋敏; 洋敏 大槻; 結香 横山; 結香 横山; 達也 宮崎; 達也 宮崎; 亮 間下; 亮 間下;
摘要 低燃費性、耐熱老化性、加工性及び耐破壊性能をバランス良く改善した改質天然ゴム及びその製造方法、並びに、該改質天然ゴムを用いたタイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤを提供する。高純度化され、かつpHが2〜7に調整された改質天然ゴムに関する。
权利要求

高純度化され、かつpHが2〜7に調整された改質天然ゴム。JIS K 6300:2001−1に準拠して測定したムーニー粘度ML(1+4)130℃が75以下である改質天然ゴムであって、 下記式で表される耐熱老化性指数が75〜120%である請求項1記載の改質天然ゴム。天然ゴムの非ゴム成分を除去した後、酸性化合物で処理して得られ、pHが2〜7である改質天然ゴム。前記耐熱老化性指数が75〜120%である請求項3記載の改質天然ゴム。リン含有量が200ppm以下である請求項1〜4のいずれかに記載の改質天然ゴム。窒素含有量が0.15質量%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の改質天然ゴム。トルエン不溶分として測定されるゲル含有率が20質量%以下である請求項1〜6のいずれかに記載の改質天然ゴム。ケン化天然ゴムラテックスを洗浄し、更に酸性化合物で処理して得られ、pHが2〜7である改質天然ゴム。前記耐熱老化性指数が75〜120%である請求項8記載の改質天然ゴム。前記洗浄は、ゴム中のリン含有量が200ppm以下になるまで洗浄するものである請求項8又は9記載の改質天然ゴム。脱蛋白天然ゴムラテックスを洗浄し、更に酸性化合物で処理して得られ、pHが2〜7である改質天然ゴム。前記耐熱老化性指数が75〜120%である請求項11記載の改質天然ゴム。前記洗浄は、ゴム中の窒素含有量が0.15質量%以下になるまで洗浄するものである請求項11又は12記載の改質天然ゴム。前記pHは、前記改質天然ゴムを各辺2mm以内の大きさに切って蒸留に浸漬し、マイクロ波を照射しながら90℃で30分間抽出し、浸漬水をpHメーターを用いて測定された値である請求項1〜13のいずれかに記載の改質天然ゴム。天然ゴムラテックスをケン化処理する工程1−1と、ケン化天然ゴムラテックスを洗浄する工程1−2と、酸性化合物で処理する工程1−3とを含む請求項1〜14のいずれかに記載の改質天然ゴムの製造方法。天然ゴムラテックスを脱蛋白処理する工程2−1と、脱蛋白天然ゴムラテックスを洗浄する工程2−2と、酸性化合物で処理する工程2−3とを含む請求項1〜14のいずれかに記載の改質天然ゴムの製造方法。ゴム成分とカーボンブラック及び/又は白色充填剤とを含み、前記ゴム成分100質量%中、請求項1〜14のいずれかに記載の改質天然ゴムの含有量が5質量%以上であるタイヤ用ゴム組成物。前記カーボンブラックのクラスターの慣性半径が300nm以下である請求項17記載のタイヤ用ゴム組成物。前記白色充填剤がシリカであり、前記シリカのクラスターの慣性半径が600nm以下である請求項17記載のタイヤ用ゴム組成物。前記慣性半径の測定方法が、X線散乱測定又は中性子散乱測定である請求項18又は19記載のタイヤ用ゴム組成物。前記測定において、下記(式1)で表されるqが10nm−1以下の領域で測定する請求項20記載のタイヤ用ゴム組成物。前記慣性半径が、前記測定により得られた散乱強度曲線I(q)に対し、下記(式2)〜(式3)でカーブフィッティングして得られる慣性半径Rgのうち、最大となる慣性半径Rgである請求項18〜21のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。請求項17〜22のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。

リン含有量が200ppm以下で、かつpHが2〜7に調整された改質天然ゴム。JIS K 6300:2001−1に準拠して測定したムーニー粘度ML(1+4)130℃が75以下である改質天然ゴムであって、下記式で表される耐熱老化性指数が75〜120%である請求項1記載の改質天然ゴム。天然ゴムの非ゴム成分を除去した後、酸性化合物で処理して得られ、リン含有量が200ppm以下で、かつpHが2〜7である改質天然ゴム。前記耐熱老化性指数が75〜120%である請求項3記載の改質天然ゴム。(削除)窒素含有量が0.15質量%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の改質天然ゴム。トルエン不溶分として測定されるゲル含有率が20質量%以下である請求項1〜4及び6のいずれかに記載の改質天然ゴム。ケン化天然ゴムラテックスを洗浄し、更に酸性化合物で処理して得られ、リン含有量が200ppm以下で、かつpHが2〜7である改質天然ゴム。前記耐熱老化性指数が75〜120%である請求項8記載の改質天然ゴム。前記洗浄は、ゴム中のリン含有量が200ppm以下になるまで洗浄するものである請求項8又は9記載の改質天然ゴム。脱蛋白天然ゴムラテックスを洗浄し、更に酸性化合物で処理して得られ、pHが2〜7である改質天然ゴム。前記耐熱老化性指数が75〜120%である請求項11記載の改質天然ゴム。前記洗浄は、ゴム中の窒素含有量が0.15質量%以下になるまで洗浄するものである請求項11又は12記載の改質天然ゴム。前記pHは、前記改質天然ゴムを各辺2mm角以内の大きさに切って蒸留水に浸漬し、マイクロ波を照射しながら90℃で30分間抽出し、浸漬水をpHメーターを用いて測定された値である請求項1〜4及び6〜13のいずれかに記載の改質天然ゴム。天然ゴムラテックスをケン化処理する工程1−1と、ケン化天然ゴムラテックスを洗浄する工程1−2と、酸性化合物で処理する工程1−3とを含む請求項1〜4及び6〜14のいずれかに記載の改質天然ゴムの製造方法。天然ゴムラテックスを脱蛋白処理する工程2−1と、脱蛋白天然ゴムラテックスを洗浄する工程2−2と、酸性化合物で処理する工程2−3とを含む請求項1〜4及び6〜14のいずれかに記載の改質天然ゴムの製造方法。ゴム成分とカーボンブラック及び/又は白色充填剤とを含み、前記ゴム成分100質量%中、請求項1〜4及び6〜14のいずれかに記載の改質天然ゴムの含有量が5質量%以上であるタイヤ用ゴム組成物。前記カーボンブラックのクラスターの慣性半径が300nm以下である請求項17記載のタイヤ用ゴム組成物。前記白色充填剤がシリカであり、前記シリカのクラスターの慣性半径が600nm以下である請求項17記載のタイヤ用ゴム組成物。前記慣性半径の測定方法が、X線散乱測定又は中性子散乱測定である請求項18又は19記載のタイヤ用ゴム組成物。前記測定において、下記(式1)で表されるqが10nm−1以下の領域で測定する請求項20記載のタイヤ用ゴム組成物。 (θ:散乱角、λ:X線又は中性子線の波長)前記慣性半径が、前記測定により得られた散乱強度曲線l(q)に対し、下記(式2)〜(式3)でカーブフィッティングして得られる慣性半径Rgのうち、最大となる慣性半径Rgである請求項18〜21のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。 (Pi,Gi,Rgi,Dfi:フィッティングパラメーター) (n:整数) (q:前記と同様) (z,t:任意の正の数)請求項17〜22のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。リン含有量が200ppm以下で、かつpHが2〜7に調整された改質天然ゴム。JIS K 6300:2001−1に準拠して測定したムーニー粘度ML(1+4)130℃が75以下である改質天然ゴムであって、 下記式で表される耐熱老化性指数が75〜120%である請求項1記載の改質天然ゴム。天然ゴムの非ゴム成分を除去した後、酸性化合物で処理して得られ、リン含有量が200ppm以下で、かつpHが2〜7である改質天然ゴム。前記耐熱老化性指数が75〜120%である請求項3記載の改質天然ゴム。窒素含有量が0.15質量%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の改質天然ゴム。トルエン不溶分として測定されるゲル含有率が20質量%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の改質天然ゴム。ケン化天然ゴムラテックスを洗浄し、更に酸性化合物で処理して得られ、リン含有量が200ppm以下で、かつpHが2〜7である改質天然ゴム。前記耐熱老化性指数が75〜120%である請求項7記載の改質天然ゴム。前記洗浄は、ゴム中のリン含有量が200ppm以下になるまで洗浄するものである請求項7又は8記載の改質天然ゴム。脱蛋白天然ゴムラテックスを洗浄し、更に酸性化合物で処理して得られ、pHが2〜7である改質天然ゴム。前記耐熱老化性指数が75〜120%である請求項10記載の改質天然ゴム。前記洗浄は、ゴム中の窒素含有量が0.15質量%以下になるまで洗浄するものである請求項10又は11記載の改質天然ゴム。前記pHは、前記改質天然ゴムを各辺2mm角以内の大きさに切って蒸留水に浸漬し、マイクロ波を照射しながら90℃で30分間抽出し、浸漬水をpHメーターを用いて測定された値である請求項1〜12のいずれかに記載の改質天然ゴム。天然ゴムラテックスをケン化処理する工程1−1と、ケン化天然ゴムラテックスを洗浄する工程1−2と、酸性化合物で処理する工程1−3とを含む請求項1〜13のいずれかに記載の改質天然ゴムの製造方法。天然ゴムラテックスを脱蛋白処理する工程2−1と、脱蛋白天然ゴムラテックスを洗浄する工程2−2と、酸性化合物で処理する工程2−3とを含む請求項1〜13のいずれかに記載の改質天然ゴムの製造方法。ゴム成分とカーボンブラック及び/又は白色充填剤とを含み、前記ゴム成分100質量%中、請求項1〜13のいずれかに記載の改質天然ゴムの含有量が5質量%以上であるタイヤ用ゴム組成物。前記カーボンブラックのクラスターの慣性半径が300nm以下である請求項16記載のタイヤ用ゴム組成物。前記白色充填剤がシリカであり、前記シリカのクラスターの慣性半径が600nm以下である請求項16記載のタイヤ用ゴム組成物。前記慣性半径の測定方法が、X線散乱測定又は中性子散乱測定である請求項17又は18記載のタイヤ用ゴム組成物。前記測定において、下記(式1)で表されるqが10nm−1以下の領域で測定する請求項19記載のタイヤ用ゴム組成物。前記慣性半径が、前記測定により得られた散乱強度曲線I(q)に対し、下記(式2)〜(式3)でカーブフィッティングして得られる慣性半径Rgのうち、最大となる慣性半径Rgである請求項17〜20のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。請求項16〜21のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。リン含有量が200ppm以下で、かつpHが2〜7に調整された改質天然ゴムであって、 前記pHは、前記改質天然ゴムを各辺2mm角以内の大きさに切って作製した5gのゴムを、50mlの蒸留水に浸漬し、マイクロ波を照射しながら90℃で15分間抽出し、浸漬水をpHメーターを用いて測定された値である改質天然ゴム。JIS K 6300:2001−1に準拠して測定したムーニー粘度ML(1+4)130℃が75以下である改質天然ゴムであって、 下記式で表される耐熱老化性指数が75〜120%である請求項1記載の改質天然ゴム。天然ゴムの非ゴム成分を除去した後、酸性化合物で処理して得られ、リン含有量が200ppm以下で、かつpHが2〜7である改質天然ゴムであって、 前記pHは、前記改質天然ゴムを各辺2mm角以内の大きさに切って作製した5gのゴムを、50mlの蒸留水に浸漬し、マイクロ波を照射しながら90℃で15分間抽出し、浸漬水をpHメーターを用いて測定された値である改質天然ゴム。前記耐熱老化性指数が75〜120%である請求項3記載の改質天然ゴム。窒素含有量が0.15質量%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の改質天然ゴム。トルエン不溶分として測定されるゲル含有率が20質量%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の改質天然ゴム。ケン化天然ゴムラテックスを洗浄し、更に酸性化合物で処理して得られ、リン含有量が200ppm以下で、かつpHが2〜7である改質天然ゴムであって、 前記pHは、前記改質天然ゴムを各辺2mm角以内の大きさに切って作製した5gのゴムを、50mlの蒸留水に浸漬し、マイクロ波を照射しながら90℃で15分間抽出し、浸漬水をpHメーターを用いて測定された値である改質天然ゴム。前記耐熱老化性指数が75〜120%である請求項7記載の改質天然ゴム。前記洗浄は、ゴム中のリン含有量が200ppm以下になるまで洗浄するものである請求項7又は8記載の改質天然ゴム。脱蛋白天然ゴムラテックスを洗浄し、更に酸性化合物で処理して得られ、pHが2〜7である改質天然ゴムであって、 前記pHは、前記改質天然ゴムを各辺2mm角以内の大きさに切って作製した5gのゴムを、50mlの蒸留水に浸漬し、マイクロ波を照射しながら90℃で15分間抽出し、浸漬水をpHメーターを用いて測定された値である改質天然ゴム。前記耐熱老化性指数が75〜120%である請求項10記載の改質天然ゴム。前記洗浄は、ゴム中の窒素含有量が0.15質量%以下になるまで洗浄するものである請求項10又は11記載の改質天然ゴム。天然ゴムラテックスをケン化処理する工程1−1と、ケン化天然ゴムラテックスを洗浄する工程1−2と、酸性化合物で処理する工程1−3とを含む請求項1〜12のいずれかに記載の改質天然ゴムの製造方法。天然ゴムラテックスを脱蛋白処理する工程2−1と、脱蛋白天然ゴムラテックスを洗浄する工程2−2と、酸性化合物で処理する工程2−3とを含む請求項1〜12のいずれかに記載の改質天然ゴムの製造方法。ゴム成分とカーボンブラック及び/又は白色充填剤とを含み、前記ゴム成分100質量%中、請求項1〜12のいずれかに記載の改質天然ゴムの含有量が5質量%以上であるタイヤ用ゴム組成物。前記カーボンブラックのクラスターの慣性半径が300nm以下である請求項15記載のタイヤ用ゴム組成物。前記白色充填剤がシリカであり、前記シリカのクラスターの慣性半径が600nm以下である請求項15記載のタイヤ用ゴム組成物。前記慣性半径の測定方法が、X線散乱測定又は中性子散乱測定である請求項16又は17記載のタイヤ用ゴム組成物。前記測定において、下記(式1)で表されるqが10nm−1以下の領域で測定する請求項18記載のタイヤ用ゴム組成物。前記慣性半径が、前記測定により得られた散乱強度曲線I(q)に対し、下記(式2)〜(式3)でカーブフィッティングして得られる慣性半径Rgのうち、最大となる慣性半径Rgである請求項16〜19のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。請求項15〜20のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。

说明书全文

本発明は、改質天然ゴム、該改質天然ゴムの製造方法、該改質天然ゴムを用いたタイヤ用ゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いた空気入りタイヤに関する。

従来から、タイヤの転がり抵抗を低減し、発熱を抑えることによる車両の低燃費化が実施されているが、近年、低燃費化の要請はますます大きくなり、燃費向上の更なる検討が不可欠である。主にタイヤの内部部材に汎用されている天然ゴムは、トレッド等に多用されているスチレンブタジエンゴムに比べて低燃費性能が高いとされてきたが、昨今スチレンブタジエンゴムの低燃費化が大幅に進み、これ以上の低減は難しくなってきた。今後更なるタイヤ全体の低燃費化を達成するためには、天然ゴムの低燃費化も進めることが必要となっている。

天然ゴムの改質による低燃費化として、例えば、特許文献1には、天然ゴムラテックスに界面活性剤を加えて洗浄処理する方法が開示されている。しかし、この方法で蛋白質やゲル分をある程度低減できるものの、充分なレベルではなく、tanδの更なる低減が望まれている。また、タイヤ用のゴムには耐熱老化性などの性能も要求されているが、特許文献1の方法では耐熱性が不充分で低燃費性と耐熱老化性の両立という点の改善も望まれている。

一方、天然ゴムは、他の合成ゴムに比べて高ムーニー粘度で加工性が悪く、通常しゃっ解剤を添加して素練りを行い、ムーニー粘度を低下させた後に使用しているため、生産性が悪い。更に、素練りにより天然ゴムの分子鎖が切断されることで、天然ゴムが本来有する高分子量ポリマーの特性(良好な耐摩耗性、低燃費性能、ゴム強度、耐熱老化性など)が失われるという問題もある。

特許第3294901号公報

本発明は、前記課題を解決し、低燃費性、耐熱老化性、加工性及び耐破壊性能をバランス良く改善した改質天然ゴム及びその製造方法、並びに、該改質天然ゴムを用いたタイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤを提供することを目的とする。

本発明者らは、鋭意検討することにより、ゴム中の非ゴム成分などを除去して高純度化するとともに、pHを2〜7に調整した改質天然ゴムを用いることにより、従来の天然ゴムに比べて、低燃費性、耐熱老化性、加工性及び耐破壊性能の性能バランスを著しく改善できることを見出し、本発明の完成に至ったものである。

本発明は、高純度化され、かつpHが2〜7に調整された改質天然ゴムに関する。ここで、JIS K 6300:2001−1に準拠して測定したムーニー粘度ML(1+4)130℃が75以下である改質天然ゴムであって、下記式で表される耐熱老化性指数が75〜120%であることが好ましい。

本発明は、天然ゴムの非ゴム成分を除去した後、酸性化合物で処理して得られ、pHが2〜7である改質天然ゴムに関する。ここで、前記耐熱老化性指数が75〜120%であることが好ましい。

前記改質天然ゴムは、リン含有量が200ppm以下であることが好ましい。 前記改質天然ゴムは、窒素含有量が0.15質量%以下であることが好ましい。 前記改質天然ゴムは、トルエン不溶分として測定されるゲル含有率が20質量%以下であることが好ましい。

本発明は、ケン化天然ゴムラテックスを洗浄し、更に酸性化合物で処理して得られ、pHが2〜7である改質天然ゴムに関する。 ここで、前記耐熱老化性指数が75〜120%であることが好ましい。 前記洗浄は、ゴム中のリン含有量が200ppm以下になるまで洗浄するものであることが好ましい。

本発明は、脱蛋白天然ゴムラテックスを洗浄し、更に酸性化合物で処理して得られ、pHが2〜7である改質天然ゴムに関する。 ここで、前記耐熱老化性指数が75〜120%であることが好ましい。 前記洗浄は、ゴム中の窒素含有量が0.15質量%以下になるまで洗浄するものであることが好ましい。

前記pHは、前記改質天然ゴムを各辺2mm以内の大きさに切って蒸留に浸漬し、マイクロ波を照射しながら90℃で30分間抽出し、浸漬水をpHメーターを用いて測定された値であることが好ましい。

本発明は、天然ゴムラテックスをケン化処理する工程1−1と、ケン化天然ゴムラテックスを洗浄する工程1−2と、酸性化合物で処理する工程1−3とを含む前述の改質天然ゴムの製造方法に関する。

本発明は、天然ゴムラテックスを脱蛋白処理する工程2−1と、脱蛋白天然ゴムラテックスを洗浄する工程2−2と、酸性化合物で処理する工程2−3とを含む前述の改質天然ゴムの製造方法に関する。

本発明は、ゴム成分とカーボンブラック及び/又は白色充填剤とを含み、前記ゴム成分100質量%中、前述の改質天然ゴムの含有量が5質量%以上であるタイヤ用ゴム組成物に関する。 ここで、前記カーボンブラックのクラスターの慣性半径が300nm以下であることが好ましい。 前記白色充填剤がシリカであり、前記シリカのクラスターの慣性半径が600nm以下であることが好ましい。

前記慣性半径の測定方法が、X線散乱測定又は中性子散乱測定であることが好ましい。 ここで、前記測定において、下記(式1)で表されるqが10nm−1以下の領域で測定することが好ましい。

前記慣性半径が、前記測定により得られた散乱強度曲線I(q)に対し、下記(式2)〜(式3)でカーブフィッティングして得られる慣性半径Rgのうち、最大となる慣性半径Rgであることが好ましい。

本発明はまた、前記ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤに関する。

本発明によれば、高純度化され、かつpHが2〜7に調整された改質天然ゴムであるので、低燃費性、耐熱老化性、加工性及び耐破壊性能の性能バランスが顕著に改善される。

SAXS測定により得られた実施例の試料の散乱強度曲線の一例。

SANS測定により得られた実施例の試料の散乱強度曲線の一例。

〔改質天然ゴム〕 本発明の改質天然ゴムは、高純度化され、かつpHが2〜7に調整されたものである。 タンパク質、リン脂質などの非ゴム成分を除去して高純度化するとともに、ゴムのpHを適切な値にコントロールした改質天然ゴムであるため、低燃費性、加工性が改善される。また、非ゴム成分の除去やゴムが塩基性又は強酸性となることで、ゴムの劣化が進行し易くなるが、ゴムのpHを所定範囲に調整することで、保存中の分子量の低下が抑制されるので、良好な耐熱老化性が得られる。従って、低燃費性、耐熱老化性、加工性及び耐破壊性能の性能バランスを顕著に改善できる。

ここで、高純度化とは、天然ポリイソプレノイド成分以外のリン脂質、タンパク質等の不純物を取り除くことである。天然ゴムは、イソプレノイド成分が、前記不純物成分に被覆されているような構造となっており、前記成分を取り除くことにより、イソプレノイド成分の構造が変化して、配合剤との相互作用が変わってエネルギーロスが減ったり、耐久性が向上し、より良い改質天然ゴムを得ることができると推察される。

高純度化され、かつpHが2〜7に調整された本発明の改質天然ゴムとしては、非ゴム成分量を低減して高純度化され、かつゴムのpHが2〜7の改質天然ゴムであれば特に限定されず、具体的には、(1)天然ゴムの非ゴム成分を除去した後、酸性化合物で処理して得られ、pHが2〜7である改質天然ゴム、(2)ケン化天然ゴムラテックスを洗浄し、更に酸性化合物で処理して得られ、pHが2〜7である改質天然ゴム、(3)脱蛋白天然ゴムラテックスを洗浄し、更に酸性化合物で処理して得られ、pHが2〜7である改質天然ゴム、等が挙げられる。

このように、前記改質天然ゴムは、ケン化天然ゴムラテックスや脱蛋白天然ゴムラテックスを、蒸留水などで水洗し、更に酸性化合物で処理する製法等により調製できるが、水洗に用いた蒸留水のpHに比べて、酸性化合物の処理により酸性側にシフトさせ、pHの値を下げることが重要である。通常、蒸留水のpHが7.00ということはなく、5〜6程度であるが、この場合は、酸性化合物の処理によりpHの値を5〜6よりも酸性側に低下させることが重要となる。具体的には、水洗に用いる水のpH値より、酸性化合物の処理でpH値を0.2〜2低下させることが好ましい。

本発明の改質天然ゴムのpHは2〜7であり、好ましくは3〜6、より好ましくは4〜6である。上記範囲内に調整することで、耐熱老化性の低下が防止され、低燃費性、耐熱老化性及び加工性の性能バランスを顕著に改善できる。なお、改質天然ゴムのpHは、ゴムを各辺2mm角以内の大きさに切って蒸留水に浸漬し、マイクロ波を照射しながら90℃で30分間抽出し、浸漬水をpHメーターを用いて測定された値であり、具体的には後述の実施例に記載の方法で測定する。ここで、抽出については、超音波洗浄器などで1時間抽出してもゴム内部から完全に水溶性成分を抽出することはできないため、正確に内部のpHを知ることはできないが、本手法で抽出することでゴムの実体を知ることが可能になる点を本発明者らは見出したものである。

本発明の改質天然ゴムは、前記(1)〜(3)等、各種方法により高純度化したものであり、例えば、該改質天然ゴム中のリン含有量は、好ましくは200ppm以下、より好ましくは150ppm以下である。200ppmを超えると、貯蔵中にムーニー粘度が上昇して加工性が悪くなったり、tanδが上昇し低燃費性を改善できないおそれがある。なお、リン含有量は、ICP発光分析等、従来の方法で測定できる。リンは、天然ゴムに含まれるリン脂質に由来するものと考えられる。

改質天然ゴムは、人工の老化防止剤を含んでいる場合、アセトン中に室温(25℃)下で48時間浸漬した後の窒素含有量が0.15質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。0.15質量%を超えると、貯蔵中にムーニー粘度が上昇して加工性が悪くなったり、低燃費性の改善効果が充分に得られないおそれがある。高純度化した天然ゴムは天然ゴムが元々有しているといわれる天然の老化防止剤成分が除去されているため、長期の保存で劣化するおそれがある。そのため、人工の老化防止剤が添加されることがある。上記窒素含有量は、アセトン抽出によりゴム中の人工の老化防止剤を除去した後の測定値である。窒素含有量は、ケルダール法、微量窒素量計等、従来の方法で測定できる。窒素は、タンパク質やアミノ酸に由来するものである。

前記改質天然ゴムは、JIS K 6300:2001−1に準拠して測定したムーニー粘度ML(1+4)130℃が75以下であることが好ましく、より好ましくは40〜75、更に好ましくは45〜75、特に好ましくは50〜70、最も好ましくは55〜65である。75以下であることにより、ゴム混練前に通常必要な素練りが不要となる。従って、素練りする工程を経ずに作製された前記改質天然ゴムをゴム組成物の配合材料として好適に使用できる。一方、75を超えると、使用前に素練りが必要となり、設備の専有、電気や熱エネルギーロス、等が発生する傾向がある。

前記改質天然ゴムは、前記ムーニー粘度ML(1+4)130℃について、下記式で表される耐熱老化性指数が75〜120%のゴムであることが好ましい。

前記式で示される耐熱老化性指数は、より好ましくは80〜115%、更に好ましくは85〜110%である。ゴムの耐熱老化性の評価として種々の方法が報告されているが、前記ムーニー粘度ML(1+4)130℃の80℃で18時間熱処理した前後の変化率で評価する方法を用いることで、タイヤ製造時やタイヤ使用時などの耐熱老化性を正確に評価できる。ここで、前記範囲内であれば優れた耐熱老化性が得られ、また、低燃費性、耐熱老化性の性能バランスを顕著に改善できる。

前記(1)〜(3)などの高純度化され、かつpHが2〜7に調整された本発明の改質天然ゴムは、(製法1)天然ゴムラテックスをケン化処理する工程1−1と、ケン化天然ゴムラテックスを洗浄する工程1−2と、酸性化合物で処理する工程1−3とを含む製造方法、(製法2)天然ゴムラテックスを脱蛋白処理する工程2−1と、脱蛋白天然ゴムラテックスを洗浄する工程2−2と、酸性化合物で処理する工程2−3とを含む製造方法、等により調製できる。

〔製法1〕 (工程1−1) 工程1−1では、天然ゴムラテックスをケン化処理する。これにより、ゴム中のリン脂質やタンパク質が分解され、非ゴム成分が低減されたケン化天然ゴムラテックスが調製される。

天然ゴムラテックスはヘベア樹などの天然ゴムの樹木の樹液として採取され、ゴム分のほか水、タンパク質、脂質、無機塩類などを含み、ゴム中のゲル分は種々の不純物の複合的な存在に基づくものと考えられている。本発明では、天然ゴムラテックスとして、ヘベア樹をタッピングして出てくる生ラテックス(フィールドラテックス)、あるいは遠心分離法やクリーミング法によって濃縮した濃縮ラテックス(精製ラテックス、常法によりアンモニアを添加したハイアンモニアラテックス、亜鉛華とTMTDとアンモニアによって安定化させたLATZラテックスなど)を使用できる。

ケン化処理の方法としては、例えば、特開2010−138359号公報、特開2010−174169号公報に記載の方法により好適に行うことができ、具体的には下記方法などで実施できる。

ケン化処理は、天然ゴムラテックスに、アルカリと、必要に応じて界面活性剤を添加して所定温度で一定時間、静置することで実施でき、必要に応じて撹拌などを行っても良い。

ケン化処理に用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが好ましいが、これらに限定されない。界面活性剤としては特に限定されず、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩などの公知のアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられるが、ゴムを凝固させず良好にケン化できるという点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩などのアニオン系界面活性剤が好適である。ケン化処理において、アルカリ及び界面活性剤の添加量、ケン化処理の温度及び時間は、適宜設定すればよい。

(工程1−2) 工程1−2では、前記工程1−1で得られたケン化天然ゴムラテックスを洗浄する。該洗浄により、タンパク質などの非ゴム成分を除去する。

工程1−2は、例えば、前記工程1−1で得られたケン化天然ゴムラテックスを凝集させて凝集ゴムを作製した後、得られた凝集ゴムを塩基性化合物で処理し、更に洗浄することにより実施できる。具体的には、凝集ゴムの作製後に、水で希釈して水溶性成分を水層に移して、水を除去することで非ゴム成分を除去でき、更に凝集後に塩基性化合物で処理することで凝集時にゴム内に閉じ込められた非ゴム成分を再溶解させることができる。これにより、凝集ゴム中に強く付着したタンパク質などの非ゴム成分を除去できる。

凝集方法としては、ギ酸、酢酸、硫酸などの酸を添加してpHを調整し、必要に応じて更に高分子凝集剤を添加する方法などが挙げられる。これにより、大きな凝集塊ではなく、直径数mm〜1mm以下から、20mm程度の粒状ゴムが形成され、塩基性化合物処理によりタンパク質などが充分に除去される。上記pHは、好ましくは3.0〜5.0、より好ましくは3.5〜4.5の範囲に調整される。

高分子凝集剤としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの塩化メチル4級塩の重合体などのカチオン性高分子凝集剤、アクリル酸塩の重合体などのアニオン系高分子凝集剤、アクリルアミド重合体などのノニオン性高分子凝集剤、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの塩化メチル4級塩−アクリル酸塩の共重合体などの両性高分子凝集剤などが挙げられる。高分子凝集剤の添加量は、適宜選択できる。

次いで、得られた凝集ゴムに対して、塩基性化合物による処理が施される。ここで、塩基性化合物としては特に限定されないが、タンパク質などの除去性能の点から、塩基性無機化合物が好適である。

塩基性無機化合物としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物などの金属水酸化物;アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩などの金属炭酸塩;アルカリ金属炭酸水素塩などの金属炭酸水素塩;アルカリ金属リン酸塩などの金属リン酸塩;アルカリ金属酢酸塩などの金属酢酸塩;アルカリ金属水素化物などの金属水素化物;アンモニアなどが挙げられる。

アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。アルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどが挙げられる。アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。アルカリ土類金属炭酸塩としては、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどが挙げられる。アルカリ金属炭酸水素塩としては、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどが挙げられる。アルカリ金属リン酸塩としては、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウムなどが挙げられる。アルカリ金属酢酸塩としては、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどが挙げられる。アルカリ金属水素化物としては、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどが挙げられる。

なかでも、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属炭酸水素塩、金属リン酸塩、アンモニアが好ましく、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アンモニアがより好ましく、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムが更に好ましい。上記塩基性化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

凝集ゴムを塩基性化合物で処理する方法は、凝集ゴムを上記塩基性化合物に接触させる方法であれば特に限定されず、例えば、凝集ゴムを塩基性化合物の水溶液に浸漬する方法、凝集ゴムに塩基性化合物の水溶液を噴霧する方法などが挙げられる。塩基性化合物の水溶液は、各塩基性化合物を水で希釈、溶解することで調製できる。

上記水溶液100質量%中の塩基性化合物の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上である。0.1質量%未満では、タンパク質を充分に除去できないおそれがある。該含有量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。10質量%を超えると、多量の塩基性化合物が必要なわりにタンパク質分解量が増えるわけではなく、効率が悪い傾向がある。

上記塩基性化合物の水溶液のpHは、9〜13が好ましく、処理効率の点から10〜12がより好ましい。

上記処理温度は適宜選択すればよいが、好ましくは10〜50℃、より好ましくは15〜35℃である。また、処理時間は、通常、1分以上であり、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上である。1分未満であると、本発明の効果が良好に得られないおそれがある。上限に制限はないが、生産性の点から、好ましくは48時間以下、より好ましくは24時間以下、更に好ましくは16時間以下である。

塩基性化合物の処理後、洗浄処理が行われる。該洗浄処理により、凝集時にゴム内に閉じ込められたタンパク質などの非ゴム成分を充分除去すると同時に、凝集ゴムの表面だけでなく、内部に存在する塩基性化合物も充分に除去することが可能となる。特に、当該洗浄工程でゴム全体に残存する塩基性化合物を除去することにより、後述の酸性化合物による処理をゴム全体に充分に施すことが可能となり、ゴムの表面だけでなく、内部のpHも2〜7に調整できる。

洗浄方法としては、ゴム全体に含まれる非ゴム成分、塩基性化合物を充分に除去可能な手段を好適に用いることができ、例えば、ゴム分を水で希釈して洗浄後、遠心分離する方法、静置してゴムを浮かせ、水相のみを排出してゴム分を取り出す方法が挙げられる。洗浄回数は、タンパク質などの非ゴム成分、塩基性化合物を所望量に低減することが可能な任意の回数を採用できるが、乾燥ゴム300gに対して水1000mLを加えて撹拌した後に脱水するという洗浄サイクルを繰り返す手法なら、3回(3サイクル)以上が好ましく、5回(5サイクル)以上がより好ましく、7回(7サイクル)以上が更に好ましい。

洗浄処理は、ゴム中のリン含有量が200ppm以下及び/又は窒素含有量が0.15質量%以下になるまで洗浄するものであることが好ましい。洗浄処理でリン脂質やタンパク質が充分に除去されることで、低燃費性や加工性が改善される。

(工程1−3) 工程1−3では、工程1−2で得られた洗浄後のゴムに酸性化合物による処理が施される。前記のとおり、当該処理を施すことでゴム全体のpHが2〜7に調整され、前記各種性能に優れた改質天然ゴムを提供できる。なお、塩基性化合物の処理などに起因して耐熱老化性が低下する傾向があるが、更に酸性化合物で処理することで、そのような問題を防止し、良好な耐熱老化性が得られる。

酸性化合物としては特に限定されず、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、メタリン酸、ほう酸、ボロン酸、スルファニル酸、スルファミン酸などの無機酸;ギ酸、酢酸、グリコール酸、シュウ酸、プロピオン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、グルタル酸、グルコン酸、乳酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、イタコン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、スチレンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、バルビツール酸、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、4−ヒドロキシ安息香酸、アミノ安息香酸、ナフタレンジスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、トルエンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸、α−レゾルシン酸、β−レゾルシン酸、γ−レゾルシン酸、没食子酸、フロログリシン、スルホサリチル酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸、ビスフェノール酸などの有機酸などが挙げられる。なかでも、酢酸、硫酸、ギ酸などが好ましい。上記酸性化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

凝集ゴムを酸で処理する方法は、凝集ゴムを上記酸性化合物に接触させる方法であれば特に限定されず、例えば、凝集ゴムを酸性化合物の水溶液に浸漬する方法、凝集ゴムに酸性化合物の水溶液を噴霧する方法などが挙げられる。酸性化合物の水溶液は、各酸性化合物を水で希釈、溶解することで調製できる。

上記水溶液100質量%中の酸性化合物の含有量は特に限定されないが、下限は好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上であり、上限は好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。該含有量が上記範囲内であると、良好な耐熱老化性が得られる。

上記処理温度は適宜選択すればよいが、好ましくは10〜50℃、より好ましくは15〜35℃である。また、処理時間は、通常、好ましくは3秒以上であり、より好ましくは10秒以上、更に好ましくは30秒以上である。3秒未満であると、充分に中和できず、本発明の効果が良好に得られないおそれがある。上限に制限はないが、生産性の点から、好ましくは24時間以下、より好ましくは10時間以下、更に好ましくは5時間以下である。

酸性化合物の水溶液への浸漬などの処理では、pHを6以下に調整することが好ましい。このような中和により、優れた耐熱老化性が得られる。該pHの上限は、より好ましくは5以下、更に好ましくは4.5以下である。下限は特に限定されず、浸漬時間にもよるが、酸が強すぎるとゴムが劣化したり、廃水処理が面倒になるため、好ましくは1以上、より好ましくは2以上である。なお、浸漬処理は、酸性化合物の水溶液中に凝集ゴムを放置しておくこと等で実施できる。

処理後に、酸性化合物の処理に使用した該化合物を除去した後、処理後の凝集ゴムの洗浄処理を適宜実施してもよい。洗浄処理としては、上記と同様の方法が挙げられ、例えば、洗浄を繰り返すことで非ゴム成分を更に低減し、所望の含有量に調整すればよい。また、酸性化合物の処理後の凝集ゴムをロール式の絞り機等で絞ってシート状などにしてもよい。凝集ゴムを絞る工程を追加することで、凝集ゴムの表面と内部のpHを均一にすることができ、所望の性能を持つゴムが得られる。必要に応じて、洗浄や絞り工程を実施した後、クレーパーに通して裁断し、乾燥することにより、本発明の改質天然ゴムが得られる。なお、乾燥は特に限定されず、例えば、TSRを乾燥させるために使用されるトロリー式ドライヤー、真空乾燥機、エアドライヤー、ドラムドライヤー等の通常の乾燥機を用いて実施できる。

〔製法2〕 (工程2−1) 工程2−1では、天然ゴムラテックスを脱蛋白処理する。これにより、タンパク質などの非ゴム成分が除去された脱蛋白天然ゴムラテックスが調製できる。工程2−1で使用する天然ゴムラテックスとしては、前記と同様のものが挙げられる。

脱蛋白処理の方法としては、タンパク質の除去が可能な公知の方法を特に制限なく採用でき、例えば、天然ゴムラテックスに蛋白質分解酵素を添加して蛋白質を分解させる方法などが挙げられる。

脱蛋白処理に使用される蛋白質分解酵素としては特に限定されず、細菌由来のもの、糸状菌由来のもの、酵母由来のもののいずれでも構わない。具体的には、プロテアーゼ、ペプチターゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、リパーゼ、エステラーゼ、アミラーゼ等を単独又は組み合わせて使用できる。

蛋白質分解酵素の添加量は、天然ゴムラテックス中の固形分100質量部に対して、好ましくは0.005質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、更に好ましくは0.05質量部以上である。下限未満では、蛋白質の分解反応が不十分になるおそれがある。

なお、脱蛋白処理において、蛋白質分解酵素と共に界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、両性界面活性剤等が挙げられる。

(工程2−2) 工程2−2では、前記工程2−1で得られた脱蛋白天然ゴムラテックスを洗浄する。該洗浄により、タンパク質などの非ゴム成分を除去する。

工程2−2は、例えば、前記工程2−1で得られた脱蛋白天然ゴムラテックスを凝集させて凝集ゴムを作製した後、得られた凝集ゴムを洗浄することにより実施できる。これにより、凝集ゴム中に強く付着したタンパク質などの非ゴム成分を除去できる。

凝集方法は、前記工程1−2と同様の方法で実施できる。更に必要に応じて、前述したような塩基性化合物で処理しても良い。凝集ゴムの作製後、洗浄処理が行われる。該洗浄処理は、前記工程1−2と同様の方法で実施でき、これにより、タンパク質などの非ゴム成分、塩基性化合物を除去できる。なお、洗浄処理は、前記と同様の理由により、ゴム中のリン含有量が200ppm以下及び/又は窒素含有量が0.15質量%以下になるまで洗浄するものであることが好ましい。

(工程2−3) 工程2−3では、工程2−2で得られた洗浄後のゴムに酸性化合物による処理が施される。塩基性化合物での処理はもちろん、酸凝集においても酸量が少ない場合、最終的に得られたゴムを水で抽出した際、アルカリ性〜中性になることに起因して耐熱老化性が低下する傾向がある。一般的に、好適に脱蛋白できるという理由から、蛋白質分解酵素として、アルカリ領域に至適pHを有する酵素が使用されており、当該酵素反応は、至適pHに合わせてアルカリ条件下で行われることが多く、最終的なゴムのpHを2〜7に調整するために、工程2−1における天然ゴムラテックスの脱蛋白処理は、pH8.5〜11で実施することが好ましい。その後、凝集の時に酸性下で凝固されるが、そのゴムを水洗しただけでは、後述する抽出でpHが抽出液よりも上がり、この場合に特に耐熱老化性の低下が大きかった。これに対して、凝固後、必要に応じて塩基性化合物で処理後に、酸性化合物で処理することで、そのような問題を防止し、良好な耐熱老化性が得られる。

酸性化合物としては、前記工程1−3と同様のものが挙げられる。また、凝集ゴムを酸で処理する方法は、凝集ゴムを上記酸性化合物に接触させる方法であれば特に限定されず、例えば、凝集ゴムを酸性化合物の水溶液に浸漬する方法、凝集ゴムに酸性化合物の水溶液を噴霧する方法などが挙げられる。酸性化合物の水溶液は、各酸性化合物を水で希釈、溶解することで調製できる。

上記水溶液100質量%中の酸性化合物の含有量は特に限定されないが、下限は好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上であり、上限は好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。該含有量が上記範囲内であると、良好な耐熱老化性が得られる。

上記処理温度、処理時間は適宜選択すればよく、前記工程1−3と同様の温度を採用すればよい。また、酸性化合物の水溶液への浸漬などの処理では、pHを前記工程1−3と同様の値に調整することが好ましい。

処理後に、酸性化合物の処理に使用した該化合物を除去した後、処理後の凝集ゴムの洗浄処理を適宜実施しても良い。洗浄処理としては、上記と同様の方法が挙げられ、例えば、洗浄を繰り返すことで非ゴム成分を更に低減し、所望の含有量に調整すればよい。洗浄処理終了後、乾燥することにより、本発明の改質天然ゴムが得られる。なお、乾燥は特に限定されず、前述の手法などを採用できる。

〔タイヤ用ゴム組成物〕 本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ゴム成分とカーボンブラック及び/又は白色充填剤とを含み、該ゴム成分中に上記改質天然ゴムを所定量含む。

本発明のゴム組成物において、ゴム成分100質量%中の改質天然ゴムの含有量は、5質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%である。5質量%未満であると、優れた低燃費性が得られないおそれがある。

改質天然ゴム以外に使用できるゴム成分としては、天然ゴム(非改質)(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。

本発明のゴム組成物は、カーボンブラック及び/又は白色充填剤を含有する。これにより、補強効果が得られる。

カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(N2SA)は70m2/g以上が好ましく、100m2/g以上がより好ましい。70m2/g未満であると、充分な補強効果が得られない傾向がある。カーボンブラックのN2SAは300m2/g以下が好ましく、250m2/g以下がより好ましい。300m2/gを超えると、低燃費性が低下する傾向がある。なお、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は、JIS K6217のA法によって求められる。

白色充填剤としては、ゴム工業で一般的に使用されているもの、たとえば、シリカ、炭酸カルシウム、セリサイトなどの雲母、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、クレー、タルク、アルミナ、酸化チタンなどを使用できる。なかでも低燃費性の点で、シリカが特に好ましい。

シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。

シリカのチッ素吸着比表面積(N2SA)は、40m2/g以上が好ましく、80m2/g以上がより好ましく、100m2/g以上が更に好ましい。40m2/g未満では、加硫後の耐破壊性能が低下する傾向がある。また、チッ素吸着比表面積(N2SA)は、300m2/g以下が好ましく、250m2/g以下がより好ましく、200m2/g以下が更に好ましい。300m2/gを超えると、低燃費性、ゴムの加工性が低下する傾向がある。シリカのN2SAは、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。

カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは30質量部以上である。該含有量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下である。上記範囲内であると、良好な低燃費性が得られる。

シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは30質量部以上である。該含有量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下である。上記範囲内であると、良好な低燃費性が得られる。

本発明のゴム組成物において、カーボンブラック及び白色充填剤の合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは30質量部以上である。該含有量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下である。上記範囲内であると、良好な低燃費性が得られる。

本発明のゴム組成物には、上記の材料以外にも、酸化亜鉛、ステアリン酸、各種老化防止剤、軟化剤(オイル、ワックスなど)、加硫剤(硫黄、有機過酸化物など)、加硫促進剤(スルフェンアミド系、グアニジン系加硫促進剤など)などのタイヤ工業において一般的に用いられている各種材料が適宜配合されていてもよい。

本発明のゴム組成物が、カーボンブラックを含有する場合、含有するカーボンブラックのクラスターの慣性半径が300nm以下であることが好ましく、280nm以下であることがより好ましく、270nm以下であることが更に好ましく、260nm以下であることが特に好ましい。該慣性半径が300nm以下となることで、低燃費性及び耐破壊性能が両立される。下限は特に限定されない。

本発明のゴム組成物が、シリカを含有する場合、含有するシリカのクラスターの慣性半径が600nm以下であることが好ましく、580nm以下であることがより好ましく、570nm以下であることが更に好ましく、560nm以下であることが特に好ましい。該慣性半径が600nm以下となることで、低燃費性及び耐破壊性能が両立される。下限は特に限定されない。

ここで、前記慣性半径の測定方法については、X線又は中性子線を測定するゴム組成物に照射するX線散乱測定又は中性子散乱測定が用いられることが好ましい。

X線散乱測定としては、高分子材料にX線を照射し散乱強度を測定するSAXS(Small−Angle X−ray Scattering 小角X線散乱(散乱角:通常10度以下))測定を好適に採用できる。なお、小角X線散乱では、X線を物質に照射して散乱するX線のうち、散乱角が小さいものを測定することで物質の構造情報が得られ、高分子材料のミクロ相分離構造など、数ナノメートルレベルでの規則構造を分析できる。

SAXS測定から詳細な分子構造情報を得るためには、高いS/N比のX線散乱プロファイルを測定できることが望ましい。そのため、シンクロトロンから放射されるX線は、少なくとも1010(photons/s/mrad2/mm2/0.1%bw)以上の輝度を有することが好ましい。尚、bwはシンクロトロンから放射されるX線のband widthを示す。このようなシンクロトロンの例として、財団法人高輝度光科学研究センター所有の大型放射光施設SPring−8のビームラインBL03XU、BL20XUが挙げられる。

上記X線の輝度(photons/s/mrad2/mm2/0.1%bw)は、好ましくは1010以上、より好ましくは1012以上である。上限は特に限定されないが、放射線ダメージがない程度以下のX線強度を用いることが好ましい。

上記X線の光子数(photons/s)は、好ましくは107以上、より好ましくは109以上である。上限は特に限定されないが、放射線ダメージがない程度以下のX線強度を用いることが好ましい。

中性子散乱測定としては、高分子材料に中性子線を照射し散乱強度を測定するSANS(Small−Angle Neutron Scattering 小角中性子散乱(散乱角:通常10度以下))測定を好適に採用できる。なお、小角中性子散乱では、中性子線を物質に照射して散乱する中性子線のうち散乱角が小さいものを測定して物質の構造情報が得られ、高分子材料のミクロ相分離構造など、数ナノメートルレベルでの規則構造を分析できる。

SANS測定では、公知の磁気構造や重水素化法を利用した方法を用いることができる。重水素化法を採用する場合、例えば、高分子材料を重水素化溶媒により膨潤化し、重水素溶媒中で平衡状態にある高分子材料に中性子線を照射し、散乱強度を測定することができる。ここで、高分子材料を膨潤させる重水素化溶媒としては、重水、重水素化ヘキサン、重水素化トルエン、重水素化クロロホルム、重水素化メタノール、重DMSO((D3C)2S=O)、重水素化テトラヒドロフラン、重水素化アセトニトリル、重水素化ジクロロメタン、重水素化ベンゼン、重水素化N,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。

SANSなどの中性子散乱測定に使用される中性子線は、独立行政法人日本原子研究開発機構所有のJRR−3研究炉のビームラインSANS−Jなどを使用して得られる。

SAXS測定と同様に、高いS/N比の中性子散乱プロファイルが得られるという点から、上記中性子線の中性子束強度(neutrons/cm2/s)は、好ましくは103以上、より好ましくは104以上である。上限は特に限定されないが、放射線ダメージがない程度以下の中性子束強度を用いることが好ましい。

X線、中性子散乱測定においては、高分子材料のより微細な分子構造を測定する必要があるという点から、上記X線、中性子線を用いて、下記(式1)で表されるqが10nm−1以下の領域で測定することが好ましい。前記q(nm−1)の領域は、数値が大きくなるほどより小さな情報が得られる点から望ましいので、該qの領域は、20nm−1以下であることがより好ましい。

SAXS測定において散乱するX線は、X線検出装置によって検出され、該X線検出装置からのX線検出データを用いて画像処理装置などによって画像が生成される。

X線検出装置としては、例えば、2次元検出器(X線フィルム、原子核乾板、X線撮像管、X線蛍光増倍管、X線イメージインテンシファイア、X線用イメージングプレート、X線用CCD、X線用非晶質体など)、ラインセンサー1次元検出器を使用できる。分析対象となる高分子材料の種類や状態などにより、適宜X線検出装置を選択すればよい。

画像処理装置としては、X線検出装置によるX線検出データに基づき、通常のX線散乱画像を生成できるものを適宜使用できる。

SANS測定でもSAXS測定と同様の原理により測定可能であり、散乱する中性子線を中性子線検出装置により検出し、該中性子線検出装置からの中性子線検出データを用いて画像処理装置などによって画像が生成される。ここで、前記と同様、中性子線検出装置としては、公知の2次元検出器や1次元検出器、画像処理装置としては、公知の中性子線散乱画像を生成できるものを使用でき、適宜選択すればよい。

次に、高分子材料のX線散乱測定、中性子散乱測定で得られた散乱強度曲線の解析法について具体的に説明する。 金属原子を含みかつ金属配位能を有する官能基を含む高分子材料や充填剤を含む高分子材料について、SAXS測定やSANS測定を実施した場合、例えば、得られた散乱強度曲線を以下の方法で解析することにより、1nm〜100μmのクラスター(散乱体)の慣性半径(Rg)を求めることができる。

図1〜2などのSAXS測定、SANS測定により得られた散乱強度曲線I(q)に対して、下記(式2)〜(式3)を用いてカーブフィッティングを行い、フィッティングパラメーターを最小2乗法で求める。

求められたフィッティングパラメーターのうち、1nm〜100μmのサイズの分子構造の慣性半径Rgが金属原子が凝集して形成されたクラスターや充填剤が凝集して形成されたクラスターの慣性半径がRgに相当すると推定される。そして前記のとおり、この慣性半径Rgとエネルギーロスの相関性が高く、Rgが小さいほどエネルギーロスが小さいことから、Rgがエネルギーロスに大きな影響を及ぼしていると考えられる。従って、SAXSなどのX線散乱測定やSANSなど中性子線散乱測定を実施し、(式2)〜(式3)を用いたカーブフィッティングでRgを求めることにより、高分子材料のエネルギーロスの評価が可能となる。 なお、得られる慣性半径Rgのうち、最大の慣性半径Rgを本発明における慣性半径とした。

本発明のゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、上記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法などにより製造できる。

本発明のゴム組成物は、キャップトレッド、ベーストレッド、アンダートレッド、クリンチエイペックス、ビードエイペックス、サイドウォール、ブレーカー、エッジバンド、フルバンド、ブレーカークッションゴム、カーカスコード被覆用ゴム、ランフラット補強層、インスレーション、チェーファー、インナーライナー等のタイヤの各部材、ベルト、ロール等に好適に使用できる。

本発明のタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種材料を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤの各部材(トレッドなど)の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形することにより未加硫タイヤを形成した後、加硫機中で加熱加圧して製造できる。

本発明のタイヤとしては、空気入りタイヤ、エアレス(ソリッド)タイヤなどが挙げられるが、なかでも、空気入りタイヤが好ましい。

実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。 以下に、実施例で用いた各種薬品について説明する。 フィールドラテックス:ムヒバラテックス社から入手したフィールドラテックス エマールE−27C(界面活性剤):花王(株)製のエマールE−27C(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、有効成分27質量%) NaOH:和光純薬工業(株)製のNaOH Wingstay L(老化防止剤):ELIOKEM社製のWingstay L(ρ−クレゾールとジシクロペンタジエンとの縮合物をブチル化した化合物) エマルビンW(界面活性剤):LANXESS社製のエマルビンW(芳香族ポリグリコールエーテル) タモールNN9104(界面活性剤):BASF社製のタモールNN9104(ナフタレンスルホン酸/ホルムアルデヒドのナトリウム塩) Van gel B(界面活性剤):Vanderbilt社製のVan gel B(マグネシウムアルミニウムシリケートの水和物) TSR:NR(TSR) カーボンブラック1:三菱化学(株)製のダイアブラックI(ISAFクラス)(N2SA:114m2/g) カーボンブラック2:三菱化学(株)製のダイアブラックLH(N326、N2SA:84m2/g) シリカ:エボニックデグサ社製のウルトラシルVN3(N2SA:175m2/g) 酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種 ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスNH−70S 老化防止剤1:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン)(6PPD) 老化防止剤2:大内新興化学工業(株)製のノクラックRD(ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)) 不溶性硫黄1:日本乾溜工業(株)製のセイミ硫黄(オイル分:10%) 不溶性硫黄2:フレキシス社製のクリステックスHSOT20(オイル分:20%) 加硫促進剤TBBS(NS):大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS

<実施例及び比較例> (老化防止剤分散体の調製) 水 462.5gにエマルビンW 12.5g、タモールNN9104 12.5g、Van gel B 12.5g、Wingstay L 500g(合計1000g)をボールミルで16時間混合し、老化防止剤分散体を調製した。

(製造例1−1) フィールドラテックスの固形分濃度(DRC)を30%(w/v)に調整した後、該ラテックス1000gに、10%エマールE−27C水溶液25gと25%NaOH水溶液60gを加え、室温で24時間ケン化反応を行い、ケン化天然ゴムラテックスを得た。次いで、老化防止剤分散体6gを添加し、2時間撹拌した後、更に水を添加してゴム濃度15%(w/v)となるまで希釈した。次いで、ゆっくり撹拌しながらギ酸を添加してpHを4.0に調整した後、カチオン系高分子凝集剤を添加し、2分間撹拌し、凝集させた。これにより得られた凝集物(凝集ゴム)の直径は0.5〜5mm程度であった。得られた凝集物を取り出し、2質量%の炭酸ナトリウム水溶液1000mlに、常温で4時間浸漬した後、ゴムを取出した。これに、水2000mlを加えて2分間撹拌し、極力水を取り除く作業を7回繰り返した。その後、水500mlを添加し、pH4になるまで2質量%ギ酸を添加し、15分間放置した。更に、水を極力取り除き、再度水を添加して2分間撹拌する作業を3回繰返した後、水しぼりロールで水を絞ってシート状にした後、90℃で4時間乾燥して固形ゴムを得た。

(製造例1−2) 製造例1−1においてpH1になるまで2質量%のギ酸を添加したほかは、同様の手順で固形ゴムを得た。

(製造例1−3) 製造例1−1においてpH2になるまで2質量%のギ酸を添加したほかは、同様の手順で固形ゴムを得た。

(製造例1−4) 製造例1−1においてpH3になるまで2質量%のギ酸を添加したほかは、同様の手順で固形ゴムを得た。

(製造例1−5) 製造例1−1においてpH5になるまで2質量%のギ酸を添加した添加したほかは、同様の手順で固形ゴムを得た。

(製造例1−6) フィールドラテックスの固形分濃度(DRC)を30%(w/v)に調整した後、該ラテックス1000gに、10%エマールE−27C水溶液25gと25%NaOH水溶液60gを加え、室温で24時間ケン化反応を行い、ケン化天然ゴムラテックスを得た。次いで、老化防止剤分散体6gを添加し、2時間撹拌した後、更に水を添加してゴム濃度15%(w/v)となるまで希釈した。次いで、ゆっくり撹拌しながらギ酸を添加してpHを4.0に調整した後、カチオン系高分子凝集剤を添加し、2分間撹拌し、凝集させた。これにより得られた凝集物(凝集ゴム)の直径は0.5〜3mm程度であった。得られた凝集物を取り出し、2質量%の炭酸ナトリウム水溶液1000mlに、常温で4時間浸漬した後、ゴムを取出した。これに、水1000mlを加えて2分間撹拌し、極力水を取り除く作業を7回繰り返した。その後、水500mlを添加し、pH4になるまで2質量%ギ酸を添加し、30分間撹拌した。このゴムをクレーパーにより水をかけながらシート化し、90℃で4時間乾燥して固形ゴムを得た。

(製造例1−7) 製造例1−6において水1000mlを加えて2分間撹拌し、極力水を取り除く作業を3回繰り返したほかは、同様の手順で固形ゴムを得た。

(製造例1−8) 製造例1−6において水1000mlを加えて2分間撹拌し、極力水を取り除く作業を5回繰り返したほかは、同様の手順で固形ゴムを得た。

(製造例1−9) 製造例1−6においてカチオン系高分子凝集剤を添加して得られた凝集物を1質量%の炭酸ナトリウム水溶液1000mlに、常温で30分浸漬した後、ゴムを取出し、これに、水1000mlを加えて2分間撹拌し、極力水を取り除く作業を7回繰り返したほかは、同様の手順で固形ゴムを得た。

(製造例1−10) 製造例1−6においてカチオン系高分子凝集剤を添加して得られた凝集物を炭酸ナトリウム水溶液で処理せず、そのまま水1000mlを加えて2分間撹拌し、極力水を取り除く作業を7回繰り返したほかは、同様の手順で固形ゴムを得た。

(比較製造例1−1) フィールドラテックスの固形分濃度(DRC)を30%(w/v)に調整した後、該ラテックス1000gに、10%エマールE−27C水溶液25gと25%NaOH水溶液60gを加え、室温で24時間ケン化反応を行い、ケン化天然ゴムラテックスを得た。次いで、老化防止剤分散体6gを添加し、2時間撹拌した後、更に水を添加してゴム濃度15%(w/v)となるまで希釈した。次いで、ゆっくり撹拌しながらギ酸を添加してpHを4.0に調整した後、カチオン系高分子凝集剤を添加し、2分間撹拌し、凝集させた。これにより得られた凝集物(凝集ゴム)の直径は3〜15mm程度であった。得られた凝集物を取り出し、2質量%の炭酸ナトリウム水溶液1000mlに、常温で4時間浸漬した後、ゴムを取出した。これに、水1000mlを加えて2分間撹拌し、極力水を取り除く作業を1回行った。その後、水500mlを添加し、pH4になるまで2質量%ギ酸を添加し、15分間撹拌した。更に、水を極力取り除き、再度水を添加して2分間撹拌する作業を3回繰返した後、90℃で4時間乾燥して固形ゴムを得た。

(比較製造例1−2) 製造例1−1において炭酸ナトリウム水溶液で処理し、水洗を7回繰り返した後、2質量%ギ酸による酸処理をすることなく、水しぼりロールで水を絞ってシート状にしたほかは、同様の手順で固形ゴムを得た。

(比較製造例1−3) フィールドラテックスの固形分濃度(DRC)を30%(w/v)に調整した後、該ラテックス1000gに、10%エマールE−27C水溶液25gと25%NaOH水溶液60gを加え、室温で24時間ケン化反応を行い、ケン化天然ゴムラテックスを得た。次いで、老化防止剤分散体6gを添加し、2時間撹拌した後、更に水を添加してゴム濃度15%(w/v)となるまで希釈した。次いで、ゆっくり撹拌しながらギ酸を添加してpHを4.0に調整した後、カチオン系高分子凝集剤を添加し、2分間撹拌し、凝集させた。これにより得られた凝集物(凝集ゴム)の直径は0.5〜3mm程度であった。得られた凝集物を取り出し、2質量%の炭酸ナトリウム水溶液1000mlに、常温で4時間浸漬した後、ゴムを取出した。これに、水1000mlを加えて2分間撹拌し、極力水を取り除く作業を1回行った。その後、水500mlを添加し、pH4になるまで2質量%ギ酸を添加し、15分間撹拌した。更に、水を極力取り除き、再度水を添加して2分間撹拌する作業を3回繰り返した後、クレーパーでシート状にして、90℃で4時間乾燥して固形ゴムを得た。

(比較製造例1−4) 比較製造例1−3において2質量%炭酸ナトリウム水溶液1000mlに、常温で4時間浸漬した後、ゴムを取出し、これに、水1000mlを加えて2分間撹拌し、極力水を取り除く作業を7回繰り返し、次いでクレーパーでシート状にし、90℃で4時間乾燥したほかは、同様の手順で固形ゴムを得た。

(製造例2−1) 市販のハイアンモニアラテックス〔マレイシアのムヒバラテックス社製、固形ゴム分62.0%〕を、0.12%のナフテン酸ソーダ水溶液で希釈して、固形ゴム分を10%にし、更に燐酸二水素ナトリウムを添加してpHを9.2に調整した。そしてゴム分10gに対して、蛋白質分解酵素(アルカラーゼ2.0M)を0.87gの割合で添加し、更にpHを9.2に再調整した後、37℃で24時間維持した。 次に、酵素処理を完了したラテックスに、ノニオン系界面活性剤〔花王社製の商品名エマルゲン810〕の1%水溶液を加えてゴム分濃度を8%に調整し、11,000r.p.m.の回転速度で30分間遠心分離した。次に、遠心分離により生じたクリーム状留分を、上記エマルゲン810の1%水溶液に分散して、ゴム分濃度が8%になるように調整した後、再度、11,000r.p.m.の回転速度で30分間遠心分離した。この操作を2回繰り返した後、得られたクリーム状留分を蒸留水に分散して、固形ゴム分60%の脱蛋白ゴムラテックスを調製した。 このラテックスに2質量%ギ酸をpH4になるまで添加し、更にカチオン系高分子凝集剤を添加して0.5〜5mmのゴム粒を得た。これの水を極力取り除き、水をゴム分10gに対して50g添加の上、2質量%ギ酸をpH3になるまで添加した。30分後ゴムを引き上げ、クレーパーでシート化した後、90℃で4時間乾燥し、固形ゴムを得た。

(製造例2−2) 製造例2−1において2質量%ギ酸をpH1になるまで添加したほかは、同様の手順で固形ゴムを得た。

(製造例2−3) 製造例2−1において2質量%ギ酸をpH2になるまで添加したほかは、同様の手順で固形ゴムを得た。

(製造例2−4) 製造例2−1において、0.5〜5mmのゴム粒を得た後、2質量%の炭酸ナトリウム水溶液1000mlに30分間浸漬し、このゴムを引き上げ、乾燥ゴム100gに対して水を350gの割合で足して2分間撹拌後静置して水層を極力捨てる作業を5回繰り返し、その後、水をゴム分10gに対して50g添加の上、2質量%ギ酸をpH3になるまで添加したほかは、同様の手順で固形ゴムを得た。

(製造例2−5) 製造例2−1において2質量%ギ酸をpH5になるまで添加したほかは、同様の手順で固形ゴムを得た。

(製造例2−6) 市販のハイアンモニアラテックス〔マレイシアのムヒバラテックス社製、固形ゴム分62.0%〕を、0.12%のナフテン酸ソーダ水溶液で希釈して、固形ゴム分を10%にし、更に燐酸二水素ナトリウムを添加してpHを9.2に調整した。そしてゴム分10gに対して、蛋白質分解酵素(アルカラーゼ2.0M)を0.87gの割合で添加し、更にpHを9.2に再調整した後、37℃で24時間維持した。 次に、酵素処理を完了したラテックスに、ノニオン系界面活性剤〔花王社製の商品名エマルゲン810〕の1%水溶液を加えてゴム分濃度を8%に調整し、11,000r.p.m.の回転速度で30分間遠心分離した。次に、遠心分離により生じたクリーム状留分を、上記エマルゲン810の1%水溶液に分散して、ゴム分濃度が8%になるように調整した後、再度、11,000r.p.m.の回転速度で30分間遠心分離した。この操作を2回繰り返した後、得られたクリーム状留分を蒸留水に分散して、固形ゴム分60%の脱蛋白ゴムラテックスを調製した。 このラテックスをゆっくり撹拌しながらギ酸を添加してpHを4.0に調整した後、カチオン系高分子凝集剤を添加し、2分間撹拌し、凝集させた。これにより得られた凝集物(凝集ゴム)の直径は0.5〜3mm程度であった。得られた凝集物を取り出し、2質量%の炭酸ナトリウム水溶液1000mlに、常温で4時間浸漬した後、ゴムを取出した。 これに、水1000mlを加えて2分間撹拌し、極力水を取り除く作業を2回繰り返した。その後、水500mlを添加し、pH4になるまで2質量%ギ酸を添加し、30分間撹拌した。その後、このゴムをクレーパーでシート状にして、90℃で4時間乾燥して固形ゴムを得た。

(製造例2−7) 市販のハイアンモニアラテックス〔マレイシアのムヒバラテックス社製、固形ゴム分62.0%〕を、0.12%のナフテン酸ソーダ水溶液で希釈して、固形ゴム分を10%にし、更に燐酸二水素ナトリウムを添加してpHを9.2に調整した。そしてゴム分10gに対して、蛋白質分解酵素(アルカラーゼ2.0M)を0.87gの割合で添加し、更にpHを9.2に再調整した後、37℃で24時間維持した。 次に、酵素処理を完了したラテックスに、ノニオン系界面活性剤〔花王社製の商品名エマルゲン810]の1%水溶液を加えてゴム分濃度を8%に調整し、11,000r.p.m.の回転速度で30分間遠心分離した。次に、遠心分離により生じたクリーム状留分を、上記エマルゲン810の1%水溶液に分散して、ゴム分濃度が8%になるように調整した後、再度、11,000r.p.m.の回転速度で30分間遠心分離した。この操作を2回繰り返した後、得られたクリーム状留分を蒸留水に分散して、固形ゴム分30%の脱蛋白ゴムラテックスを調製した。 このラテックスをゆっくり撹拌しながらギ酸を添加してpHを4.0に調整した後、カチオン系高分子凝集剤を添加し、2分間撹拌し、凝集させた。これにより得られた凝集物(凝集ゴム)の直径は0.5〜3mm程度であった。得られた凝集物を取り出し、これに水1000mlを加えて2分間撹拌し、極力水を取り除く作業を7回繰り返した。その後、水500mlを添加し、pH4になるまで2質量%ギ酸を添加し、30分間撹拌した。その後、クレーパーでシート状にして、90℃で4時間乾燥して固形ゴムを得た。

(製造例2−8) 市販のハイアンモニアラテックス〔マレイシアのムヒバラテックス社製、固形ゴム分62.0%〕を、0.12%のナフテン酸ソーダ水溶液で希釈して、固形ゴム分を10%にし、更に燐酸二水素ナトリウムを添加してpHを9.2に調整した。そしてゴム分10gに対して、蛋白質分解酵素(アルカラーゼ2.0M)を0.87gの割合で添加し、更にp Hを9.2に再調整した後、37℃で24時間維持した。 次に、酵素処理を完了したラテックスに、ノニオン系界面活性剤〔花王社製の商品名エマルゲン810]の1%水溶液を加えてゴム分濃度を8%に調整し、11,000r.p.m.の回転速度で30分間遠心分離した。次に、遠心分離により生じたクリーム状留分を、上記エマルゲン810の1%水溶液に分散して、ゴム分濃度が8%になるように調整した後、再度、11,000r.p.m.の回転速度で30分間遠心分離した。この操作を3回繰り返した後、得られたクリーム状留分を蒸留水に分散して、固形ゴム分30%の脱蛋白ゴムラテックスを調製した。 このラテックスをゆっくり撹拌しながらギ酸を添加してpHを4.0に調整した後、カチオン系高分子凝集剤を添加し、2分間撹拌し、凝集させた。これにより得られた凝集物(凝集ゴム)の直径は0.5〜3mm程度であった。得られた凝集物を取り出し、1質量%のアンモニア水溶液に常温で2時間浸漬した後、極力水を取り除く作業を2回繰り返した。その後、水1000mlを加えて2分間撹拌し、極力水を取り除く作業を7回繰り返した。その後、水500mlを添加し、pH4になるまで2質量%ギ酸を添加し、30分間撹拌した。その後、クレーパーでシート状にして、90℃で4時間乾燥して固形ゴムを得た。

(製造例2−9) 市販のハイアンモニアラテックス〔マレイシアのムヒバラテックス社製、固形ゴム分62.0%]を、0.12%のナフテン酸ソーダ水溶液で希釈して、固形ゴム分を10%にし、更に燐酸二水素ナトリウムを添加してpHを9.2に調整した。そしてゴム分10gに対して、蛋白質分解酵素(アルカラーゼ2.0M)を0.87gの割合で添加し、更にpHを9.2に再調整した後、37℃で24時間維持した。 次に、酵素処理を完了したラテックスに、ノニオン系界面活性剤〔花王社製の商品名エマルゲン810〕の1%水溶液を加えてゴム分濃度を8%に調整し、11,000r.p.m.の回転速度で30分間遠心分離した。次に、遠心分離により生じたクリーム状留分を、上記エマルゲン810の1%水溶液に分散して、ゴム分濃度が8%になるように調整した後、再度、11,000r.p.m.の回転速度で30分間遠心分離した。この操作を3回繰り返した後、得られたクリーム状留分を蒸留水に分散して、固形ゴム分30%の脱蛋白ゴムラテックスを調製した。 このラテックスをゆっくり撹拌しながらギ酸を添加してpHを4.0に調整した後、カチオン系高分子疑集剤を添加し、2分間撹拌し、凝集させた。これにより得られた凝集物(凝集ゴム)の直径は0.5〜3mm程度であった。得られた凝集物を取り出し、2質量%の炭酸ナトリウム水溶液に常温で2時間浸漬した後、極力水を取り除く作業を2回繰り返した。その後、水1000mlを加えて2分間撹拌し、極力水を取り除く作業を7回繰り返した。その後水500mlを添加し、pH2になるまで2質量%ギ酸を添加し、30分間撹拌した。その後クレーパーでシート状にして、90℃で4時間乾燥して固形ゴムを得た。

(製造例2−10) 市販のハイアンモニアラテックス〔マレイシアのムヒバラテックス社製、固形ゴム分62.0%〕を、0.12%のナフテン酸ソーダ水溶液で希釈して、固形ゴム分を10%にし、更に燐酸二水素ナトリウムを添加してpHを9.2に調整した。そしてゴム分10gに対して、蛋白質分解酵素(アルカフーゼ2.0M)を0.87gの割合で添加し、更にpHを9.2に再調整した後、37℃で24時間維持した。 次に、酵素処理を完了したラテックスに、アニオン系界面活性剤〔花王社製の商品名エマールE27C〕の0.2%水溶液を加えてゴム分濃度を8%に調整し、11,000r.p.m.の回転速度で30分間遠心分離した。次に、遠心分離により生じたクリーム状留分を、上記エマールE27Cの0.2%水溶液に分散して、ゴム分濃度が8%になるように調整した後、再度、11,000r.p.m.の回転速度で30分間遠心分離した。この操作を3回繰り返した後、得られたクリーム状留分を蒸留水に分散して、固形ゴム分30%の脱蛋白ゴムラテックスを調製した。 このラテックスをゆっくり撹拌しながらギ酸を添加してpHを4.0に調整した後、カチオン系高分子凝集剤を添加し、2分間撹拌し、凝集させた。これにより得られた凝集物(凝集ゴム)の直径は0.5〜3mm程度であった。得られた凝集物を取り出し、2質量%の炭酸ナトリウム水溶液に常温で2時間浸漬した後、極力水を取り除く作業を2回繰り返した。その後、水1000mlを加えて2分間撹拌し、極力水を取り除く作業を7回繰り返した。その後、水500mlを添加し、pH3になるまで2質量%ギ酸を添加し、30分間撹拌した。その後、クレーパーでシート状にして、90℃で4時間乾燥して固形ゴムを得た。

(比較製造例2−1) 市販のハイアンモニアラテックス〔マレイシアのムヒバラテックス社製、固形ゴム分62.0%〕を、0.12%のナフテン酸ソーダ水溶液で希釈して、固形ゴム分を10%にし、更に燐酸二水素ナトリウムを添加してpHを9.2に調整した。そしてゴム分10gに対して、蛋白質分解酵素(アルカラーゼ2.0M)を0.87gの割合で添加し、更にpHを9.2に再調整した後、37℃で24時間維持した。 次に、酵素処理を完了したラテックスに、ノニオン系界面活性剤〔花王社製の商品名エマルゲン810〕の1%水溶液を加えてゴム分濃度を8%に調整し、11,000r.p.m.の回転速度で30分間遠心分離した。次に、遠心分離により生じたクリーム状留分を、上記エマルゲン810の1%水溶液に分散して、ゴム分濃度が8%になるように調整した後、再度、11,000r.p.m.の回転速度で30分間遠心分離した。この操作をもう一度繰り返した後、得られたクリーム状留分を蒸留水に分散して、固形ゴム分60%の脱蛋白ゴムラテックスを調製した。 このラテックスにゴムが固まるまで50質量%ギ酸を添加し、凝固したゴムを取り出した。このゴムをクレーパーで水で洗いながらシート化した後、90℃で4時間乾燥し、固形ゴムを得た。

(比較製造例2−2) 比較製造例2−1において凝固したゴムを取り出した後、0.5質量%炭酸ナトリウム水溶液に1時間浸漬し、次いでクレーパーで水で洗いながらシート化した後、90℃で4時間乾燥したほかは、同様の手順で固形ゴムを得た。

(比較製造例2−3) 市販のハイアンモニアラテックス〔マレイシアのムヒバラテックス社製、固形ゴム分62.0%〕を、0.12%のナフテン酸ソーダ水溶液で希釈して、固形ゴム分を10%にし、更に燐酸二水素ナトリウムを添加してpHを9.2に調整した。そしてゴム分10gに対して、蛋白質分解酵素(アルカラーゼ2.0M)を0.87gの割合で添加し、更にpHを9.2に再調整した後、37℃で24時間維持した。 次に、酵素処理を完了したラテックスに、ノニオン系界面活性剤〔花王社製の商品名エマルゲン810〕の1%水溶液を加えてゴム分濃度を8%に調整し、11,000r.p.m.の回転速度で30分間遠心分離した。次に、遠心分離により生じたクリーム状留分を、上記エマルゲン810の1%水溶液に分散して、ゴム分濃度が8%になるように調整した後、再度、11,000r.p.m.の回転速度で30分間遠心分離した。この操作をもう一度繰り返した後、得られたクリーム状留分を蒸留水に分散して、固形ゴム分30%の脱蛋白ゴムラテックスを調製した。 このラテックスをゆっくり撹拌しながらギ酸を添加してpHを4.0に調整した後、カチオン系高分子凝集剤を添加し、2分間撹拌し、凝集させた。これにより得られた凝集物(凝集ゴム)の直径は0.5〜3mm程度であった。得られた凝集物を取り出し、2質量%の炭酸ナトリウム水溶液1000mlに、常温で4時間浸漬した後、ゴムを取出した。これに、水1000mlを加えて2分間撹拌し、極力水を取り除く作業を7回繰り返した。このゴムをクレーパーでシート状にして、90℃で4時間乾燥して固形ゴムを得た。

(比較製造例2−4) 比較製造例2−3においてゴムを凝集させた後、その凝集物を炭酸ナトリウム水溶液で処理をせず、そのまま水1000mlを加えて2分間撹拌し、極力水を取り除く作業を7回繰り返した。このゴムをクレーパーでシート状にして、90℃で4時間乾燥して固形ゴムを得た。

前記で得られた固形ゴムについて、下記により評価し、結果を表1〜2に示した。

<ゴムのpHの測定> 得られたゴム5gを5mm以下(約1〜2×約1〜2×約1〜2(mm))に切断して100mlビーカーに入れ、常温の蒸留水50mlを加えて2分間で90℃に昇温し、その後90℃に保つように調整しながらマイクロ波(300W)を13分(合計15分)照射した。次いで、浸漬水をアイスバスで冷却して25℃とした後、pHメーターを用いて、浸漬水のpHを測定した。

<耐熱老化性> 80℃で18時間熱処理した前後の固形ゴムのムーニー粘度ML(1+4)130℃をJIS K6300:2001−1に準拠して測定し、更に前記式により耐熱老化性指数を算出した。熱処理前のムーニー粘度が50〜70の範囲、特に50〜65の範囲であれば物性が良く、素練りの必要もなく、優れている。低すぎるとゴム物性が悪い。また、耐熱老化性指数が大きいほど、耐熱老化性が優れている。

<窒素含有量の測定> (アセトン抽出(試験片の作製)) 各固形ゴムを1mm角に細断したサンプルを約0.5g用意した。サンプルをアセトン50g中に浸漬して、室温(25℃)で48時間後にゴムを取出し、乾燥させ、各試験片(老化防止剤抽出済み)を得た。 (測定) 得られた試験片の窒素含有量を以下の方法で測定した。 窒素含有量は、微量窒素炭素測定装置「SUMIGRAPH NC95A((株)住化分析センター製)」を用いて、上記で得られたアセトン抽出処理済みの各試験片を分解、ガス化し、そのガスをガスクロマトグラフ「GC−8A((株)島津製作所製)」で分析して窒素含有量を定量した。

<リン含有量の測定> ICP発光分析装置(P−4010、(株)日立製作所製)を使用してリン含有量を求めた。

<ゲル含有率の測定> 1mm×1mmに切断した生ゴムのサンプル約70mgを正確に計り、これに35mLのトルエンを加え1週間冷暗所に静置した。次いで、遠心分離に付してトルエンに不溶のゲル分を沈殿させ上澄みの可溶分を除去し、ゲル分のみをメタノールで固めた後、乾燥し質量を測定した。次の式によりゲル含有率(%)を求めた。 ゲル含有率(質量%)=[乾燥後の質量mg/最初のサンプル質量mg]×100

表1〜2により、ゴムのpHが2〜7の範囲内であり、所定の熱処理前ムーニー粘度、窒素量又はリン量を有し、適切な耐熱老化性指数を持つ改質天然ゴムは、範囲外のゴムに比べて、耐熱老化性が優れていた。

<加硫ゴム組成物の作製> 表3〜8に示す配合処方に従って、1.7Lバンバリーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を混練りした。次に、ロールを用いて、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加して練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を150℃で12分間プレス加硫して加硫物を得た。得られた加硫物を下記により評価し、結果を表3〜4に示した。なお、混練りは、前記製造例、比較製造例で作製した10倍量のゴムを用いて行った。基準比較例を比較例1−5、2−5、3−1、3−2、4−1、4−2とした。 なお、表5〜8に示すゴム組成物については、上記作製方法で得られた未加硫ゴム組成物を2.1mmのシート状に成形し、150℃で30分間加硫し、2mmの加硫ゴム組成物として使用した。また、放射光測定用については、上記作製方法で得られた未加硫ゴム組成物を1.1mmのシート状に成形し、1mmの加硫ゴム組成物として使用した。

<転がり抵抗> 粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度70℃、初期歪み10%、動歪み1%、周波数10Hzの条件下で、各配合(加硫物)の損失正接(tanδ)を測定し、基準比較例の転がり抵抗指数を100として、下記計算式により算出した。転がり抵抗指数が小さいほど、転がり抵抗が低減され、好ましいことを示す。 (転がり抵抗指数)=(各配合のtanδ)/(基準比較例のtanδ)×100

財団法人高輝度光科学研究センター所有の大型放射光施設SPring−8のビームラインBL03XU及びBL20XUにて測定を行った。トルエン中で12時間膨潤させた厚み約1mmのシート状の加硫ゴム組成物をサンプルホルダーに取り付け、室温にて試料にX線を照射した。下記BL03XUでの測定から得られた散乱強度曲線と、BL20XUでの測定から得られた散乱強度曲線を最小2乗法にて結合させた。2つの曲線の結合は、広角側のBL03XUから得られる散乱強度曲線を固定し、小角側のBL20XUから得られる散乱強度曲線をシフトさせることにより行い、SAXS測定による散乱強度曲線I(q)を得た。なお、ここで得られる散乱強度曲線I(q)は、加硫ゴム組成物に含まれるカーボンブラック又はシリカによるものである。得られた散乱強度曲線I(q)に対し、(式2)、(式3)でカーブフィッティングして得られる慣性半径Rgのうち、最大となる慣性半径Rg(単位nm)を求めた。 値が小さいほどカーボンブラック及びシリカの分散性が良いことを示す。

(SAXS装置) SAXS:財団法人高輝度光科学研究センター所有の大型放射光施設SPring−8のビームラインBL03XU及びBL20XU付属のSAXS測定装置 (測定条件) X線の輝度:5×1012photons/s/mrad2/mm2/0.1%bw X線の光子数:2×109photons/s X線のエネルギー:8keV(BL03XU)、23keV(BL20XU) 試料から検出器までの距離:3m(BL03XU)、160m(BL20XU) (検出器) 2次元検出器(イメージング・インテンシファイアー及びCCDカメラ)

独立行政法人日本原子力研究開発機構所有のJRR−3研究炉のビームラインSANS−Jにて、厚み約1mmのシート状の加硫ゴム組成物を重水素化溶媒で平衡膨潤させた状態でサンプルホルダーに取り付け、室温にて試料に中性子線を照射した。中性子線の波長は6.5Åとした。試料から検出器までの距離は、2.5m、10mとした。中性子線散乱強度の検出器には、2次元検出器を用いた。なお、ここで得られる散乱強度曲線I(q)は、加硫ゴム組成物に含まれるカーボンブラック又はシリカによるものである。得られた散乱強度曲線I(q)に対し、(式2)、(式3)でカーブフィッティングして得られる慣性半径Rgのうち、最大となる慣性半径Rg(単位nm)を求めた。 値が小さいほどカーボンブラック及びシリカの分散性が良いことを示す。

(SANS装置) SANS:独立行政法人日本原子力研究開発機構所有のJRR−3研究炉のビームラインSANS−J付属のSANS測定装置 (測定条件) 中性子線の波長:6.5Å 中性子線の中性子束強度:9.9×107neutrons/cm2/s 試料から検出器までの距離:2.5m、10m(なお、更に小角側の情報を得るために試料から検出器までの距離10mの条件下、フォーカシングレンズを用いた測定を行った。) (検出器) 2次元検出器(3He 2次元検出器及び2次元フォトマル+ZnS/6LiF検出器)

ASTM D2663 B法に基づき、各加硫ゴム組成物のカーボンブラック又はシリカの分散性を測定した。加硫ゴム組成物の試験片(約3mm幅×8mm長×2mm厚)を採取し、ミクロトームの試料台に貼り付け、液体窒素又はドライアイスで冷却し硬化させた。ガラスナイフを装着したミクロトームで2μm前後の薄片を作製し、薄片をソルベントナフサに浸漬し膨潤させた。膨潤後の薄片を顕微鏡のプレートガラス上に広げ、接眼レンズに10×10μm、横目100目(計10000目)の格子状スケールを置き、全倍率75〜100倍にして1目の1/2以上の未分散塊の個数を測定した。分散度を下記式により算出し、基準比較例を100として指数表示した。指数が大きいほど、分散性が良好であることを示す。 分散度(%)=100−S×U/L S:カーボンブラック及びシリカ未分散塊の占める全格子数 U:測定試料の膨潤ファクター(膨潤後の測定試料の面積/膨潤前の測定試料の面積) L:コンパウンド中のカーボンブラック及びシリカの容積分率(%)(下記式)

<加工性> 得られた未加硫ゴム組成物について、JIS K6300に準拠したムーニー粘度の測定方法に従い、130℃で測定した。基準比較例のムーニー粘度ML(1+4)を100とし、下記計算式により指数表示した。指数が大きいほどムーニー粘度が低く、加工性に優れる。

<耐破壊性能> 得られた加硫ゴム組成物について、JIS K6251に準じて3号ダンベルを用いて引張試験を実施し、破断強度(TB)及び破断時伸び(EB)(%)を測定した。そして、TB×EB/2の数値を破壊強度とし、基準比較例の破壊強度を100として各配合の破壊強度を下記計算式により指数表示した。指数が大きいほど耐破壊性能に優れる。 (耐破壊性能指数)=(各配合のTB×EB/2)/(基準比較例のTB×EB/2)×100

表1〜4により、製造例1−1〜2−10の固形ゴムを用いた実施例では、低燃費性、耐熱老化性に優れ、また、T95とT10の良好で、加工性にも優れていた。

表5〜8により、通常の天然ゴムを含む比較例と比較して、高純度化され、かつpHが2〜7に調整された改質天然ゴムを含む実施例は、慣性半径が小さく、低燃費性、加工性及び耐破壊性能が顕著に改善されることが明らかとなった。

また、ASTM法によるカーボンブラック又はシリカの分散性指数と前記性能とには相関性が得られなかったが、慣性半径では相関性があった。

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