グアユール植物を加工利用するための統合された方法

申请号 JP2017510899 申请日 2015-10-21 公开(公告)号 JP2017532012A 公开(公告)日 2017-11-02
申请人 ベルサリス、ソシエタ、ペル、アチオニVersalis S.P.A.; ベルサリス、ソシエタ、ペル、アチオニVersalis S.P.A.; 发明人 バティスティル エツィオ; バティスティル エツィオ; ラメロ ステーファノ; ラメロ ステーファノ; クエルチ セシリア; クエルチ セシリア;
摘要 本発明は、グアユール 植物 (グアユールゴムノキ(Parthenium argentatum))の全ての部分を加工利用するための統合された方法に関する。この方法は、機械的処理により、前記植物から葉(2)および茎(3)を分離する工程と、葉を処理して、ワックスおよび精油(102)と、セルロース、ヘミセルロース(炭 水 化物)、並びに、少量の塩、有機化合物およびリグニンを含有する画分(101)とを生成する工程(100)と、茎と枝から液相(4)を抽出して、第1固形木質残渣(本願においてバガスと称する)(5)を生成する工程(200)と、前記第1固形木質残渣(5)を処理して、糖、樹脂、ゴムおよびリグニンを調製する工程と、を順番に含む。【選択図】図1
权利要求

グアユール植物(グアユールゴムノキ(Parthenium argentatum))の全ての部分を加工利用するための統合された方法であって、 機械的処理(1)を用いて前記植物の葉(2)から茎および枝(3)を分離する工程と、 前記葉を処理して、ワックスおよび精油(102)と、セルロース、ヘミセルロース(炭化物)、並びに、少量の塩、有機化合物およびリグニンを含有する画分(101)と を生成する工程(100)と、 前記茎および枝から液相(4)を抽出して、本願においてバガスと称する第1固形木材残渣(5)を形成する工程(200)と、 前記第1固形木質残渣(5)を処理して糖、樹脂、ゴムおよびリグニンを形成する工程と、 を順番に含む方法。水性エマルジョン(4)を形成する塩基性水と、リグニン、セルロース、ヘミセルロースおよび残留ゴムを含有する第1固形木質残渣(5)とを用いた抽出により前記茎および枝(3)を処理する、請求項1に記載の方法。前記水性エマルジョンから濃縮ラテックス(203)を抽出し、さらなる凝固工程により、前記濃縮ラテックスから天然ゴム(204)を分離する、請求項2に記載の方法。有機溶液(211)を形成する非極性有機溶媒と、ヘミセルロース、セルロースおよびリグニンを含む第1固形木材残渣(5)とを用いた抽出によって前記茎および枝を処理する、請求項1記載の方法。前記有機溶液から天然ゴム(212)を抽出し、続いて、前記天然ゴムを水中に分散させてラテックス(216)を形成する、請求項4に記載の方法。請求項1に記載の方法であり、前記第1固形木材残渣(5)が、 前記第1固形木材残渣(5)から樹脂およびゴムを抽出して、リグニン、ヘミセルロースおよびセルロースを含有する第5固形木材残渣(19)を形成する工程(300)と、 前記第5固形残渣(19)を加水分解し、炭素原子数5の糖(8)と、リグニンおよびセルロースを含有する第6固形木質残渣(20)とを形成する工程(400)と、 前記第6固形残渣(20)を加水分解し、セルロースを炭素原子数6(本願ではC6と表記)の糖に変換して、リグニンおよび20%未満の量の残留セルロースを含有する最終固形残渣(18)を形成する工程と、 を順番に実行することによって処理される、方法。前記第1固形木質残渣(5)を非極性有機溶媒で抽出(300)することにより処理して前記樹脂およびゴム(7)を分離し、リグニン、ヘミセルロースおよびセルロースを含有する第5固形木質残渣(19)を形成する、請求項6に記載の方法。前記第5固形残渣(19)を酸加水分解(404)に供し、ヘキシセルロースを炭素原子数5(本願ではC5と表記)の糖に変換して、リグニンおよびセルロースを含有する第6固形木質残渣(20)を形成する、請求項6および7に記載の方法。酸加水分解を一般式R‐PO(OH)2(I)[ 式中、Rは直鎖若しくは分岐鎖アルキル基、または、芳香族基、または、ヘテロ原子を含む基 である。]のホスホン酸を用いて実行する、請求項8に記載の方法。Rが炭素原子数1〜6のアルキル基であり、または、Rが式R’‐C6H5若しくはR’‐C10H8[R’は炭素原子数1〜3の直鎖または分岐鎖アルキル基である。]の化合物から選択され、または、Rが酸素(O)を含むもの、窒素(N)を含むもの、若しくは、リン(P)を含むものから選択されるヘテロ原子を含む基である、請求項9に記載の方法。Rがメチル基、エチル基またはCH3OH‐PO(OH)2基から選択される、請求項9に記載の方法。酸加水分解中のpHが0.6〜1.6である、請求項8〜11のいずれか一項に記載の方法。さらなる加水分解が、酵素的、化学的または熱化学的加水分解から選択される、請求項6に記載の方法。請求項1に記載の方法であり、前記第1固形木質残渣(5)が、 前記第1固形木質残渣(5)を処理して炭素原子数5の糖(8)を形成して、第2固形残渣(15)を形成する工程と、 前記第2固形残渣(15)を処理して炭素原子数6の糖(16)および第3固形残渣(17)を形成する工程(400)と、 前記第3固形残渣(17)から樹脂およびゴム(7)を抽出し、リグニンを主成分とする第4木質残渣(18)を形成する工程(300)と、 を順番に実行することによって処理される、方法。前記第3固形木質残渣(17)を非極性有機溶媒による溶媒抽出(300)により処理して前記樹脂およびゴム(7)を分離し、リグニン、ヘミセルロースおよびセルロースを含有する第5固形木質残渣(19)を形成する、請求項14に記載の方法。前記第1固形残渣(5)を酸加水分解(404)してヘミセルロースを炭素原子数5の糖に変換し、リグニンおよびセルロースを含む第2固形木材残渣(15)を形成する、請求項14に記載の方法。酸加水分解を、一般式R‐PO(OH)2(I)[式中、Rは直鎖若しくは分岐鎖アルキル基、または、芳香族基、または、ヘテロ原子を含む基である。]のホスホン酸を用いて実行する、請求項16に記載の方法。Rが炭素原子数1〜6のアルキル基であり、または、Rが式R’‐C6H5若しくはR’‐C10H8[式中、R’は直鎖または分岐鎖アルキル基である。]の化合物から選択され、または、Rが酸素(O)を含むもの、窒素(N)を含むもの、若しくはリン(P)を含むものから選択されるヘテロ原子を含む基である、請求項17に記載の方法。Rが、メチル基、エチル基、または、CH3OH‐PO(OH)2基から選択される、請求項18に記載の方法。酸加水分解中のpHが0.6〜1.6である、請求項16〜19のいずれか一項に記載の方法。さらなる加水分解が、酵素的、化学的または熱化学的加水分解から選択される、請求項16に記載の方法。請求項1に記載の方法であって、 前記葉(2)をワックスおよび精油(102)を得る処理に供して、セルロース、ヘミセルロース、並びに、少量のリグニン、塩および有機化合物を含有する固形画分(101)を形成する工程(100)と、 前記固形画分(101)を酸加水分解に供して、ヘミセルロースを炭素原子数5(C5)の単糖(8)に変換し、セルロースを含む中間生成物を形成する工程と、 前記中間生成物を引き続いて更に加水分解して、セルロース(402)を炭素原子数6(C6)の糖(16)に変換する工程と、 を含む方法。酸加水分解が、一般式R‐PO(OH)2(I)のホスホン酸[Rは、直鎖または分岐鎖アルキル基、芳香族基、またはヘテロ原子を含む基から選択される。]または一般式R1‐SO3H(II)のアルキルスルホン酸[R1は、炭素原子数1〜6の直鎖または分岐鎖アルキル基から選択される。]から選択される有機酸を用いて実行される、請求項22に記載の方法。Rが1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり、または、Rが式R’‐C6H5またはR’‐C10H8[式中、R’は炭素原子数1〜3の直鎖または分岐鎖アルキル基である。]の化合物から選択され、または、Rが酸素(O)を含むもの、若しくは、窒素(N)を含むもの、若しくは、リン(P)を含むものから選択されるヘテロ原子を含む基である、請求項26に記載の方法。Rが、メチル基、エチル基、または、CH3OH‐PO(OH)2基から選択される、請求項24に記載の方法。R1がメチル基である、請求項23に記載の方法。C5糖類およびC6糖類が、発酵(403)による化学物質、生物油またはバイオ燃料(12)の生産のために使用される、請求項22に記載の方法。得られる化学物質がブタンジオールまたはバイオブタジエンである、請求項27に記載の方法。酸加水分解中のpHが0.6〜1.6である、請求項22〜28のいずれか一項に記載の方法。ワックスおよび精油が、溶媒抽出または蒸気抽出または超臨界CO2による抽出から選択される方法によって分離される、請求項22に記載の方法。さらなる加水分解が、酵素的、化学的または熱化学的加水分解から選択される方法によって進行する、請求項22に記載の方法。

说明书全文

本発明は、天然ゴムのみならず、エネルギー分野での使用の目的や、例えばバイオブタジエンやブタンジオールのような化学物質の生産およびバイオリファイナリ での生産の目的で、グアユール植物(グアユールゴムノキ(Parthenium argentatum))の残部を含めた 全ての部分を余すところなく加工利用 するための統合された方法 に関するものである。

本願では、本明細書に記載されている全ての操作条件は、特に明示しない場合も好適条件とみなされるべきである。

本明細書において、用語「備える/含む(comprise)」または「含む(include)」は、「からなる(consist in)」または「本質的にからなる(essentially consist of)」という用語も包含する。

本明細書では、特に断らない限り、数値範囲の指定は常に極値 を含む。

グアユール(Guayule)は、米国南西部とメキシコ北部の半乾燥地域原産の低木植物である。この植物は天然ゴムをラテックスの形で、特に樹皮(枝および茎)に蓄積する。さらに、前記植物は主にテルペン化合物を主成分とする樹脂を生産し、それらは特に木質部分に分布する。ゴムおよび樹脂の抽出後、リグノセルロース部分は発酵性糖源として使用され、一方、葉は精油およびワックスの供給源として使用される。

葉が抽出工程中に存在する場合、連続粉砕工程中に微細粒子状物質が形成されるため、ゴム抽出効率が低下する。この粒子状物質により、ろ過システムが詰まり、希薄ゴム分散物(ラテックス)の安定性が低下し、最終的には金属含有量および灰分(植物を燃焼させると生じる最大20%の使用不能残渣) が増加する傾向がある。

特許文献1 では、サルティーヨパイロットプロジェクト(メキシコ、コアウイラ州)に採用された方法が記載されており、植物が脱葉されていない場合、ゴム回収率が10ポイント低いことが示されている。

特許文献2では、植物中で約 30〜35%を占める葉、花および小枝を分離する機械的または空気/密度分離装置(分離システム14/16、18 )の使用について記載されている。葉および花の画分は、特許文献2では指定されていないさらなる用途のために、後続の加工エリアに送られる。

現在、葉は燃焼または散布用の土壌改良資材として用いられる 。

葉には定量的に抽出できる精油がかなりの量含まれている。

非特許文献1 によると、ピネンおよびリモネンが精油画分中で最も豊富な成分であり、前記成分はグアユール(Parthenium)属の植物の中でもグアユールゴムノキ(Parthenium argentatum)に多く 含まれている。

CO2雰囲気中で蒸気蒸留法を用いて、非特許文献1の著者らは60〜80%のモノテルペンを含有する油を得た。その概算組成は、17〜24%のα-ピネン、10〜20%のβ-ピネン 、6〜9%のサビネン、6〜9%のリモネン、9〜13%のテルピノレンおよび6%のボルニルアセテートを含む。

ピネンは香料分野で使用可能な化合物の化学合成において重要な基礎化合物である。リモネンは単独で年間約30,000トンも生産されている(非特許文献2)。

現在、天然のテルペン樹脂は、(松/カラマツ樹脂の水蒸気蒸留により製造された)テレピン油を蒸留して得られるα-ピネンおよびβ-ピネンを重合することで合成される。さらに、ピネンは合成接着剤を合成するために使用することができる。例えば、特許文献3、特許文献4、特許文献5および特許文献6では、グアユールゴムから生成された(濡れた皮膚に対する) 粘着剤およびグアユールまたはポリテルペン(ポリα-またはβ-ピネン)樹脂をベースとする粘着付与剤について記載されている。この樹脂は、濡れた皮膚に対しても水中でも接着性を有し 、ゴム成分は接着剤に粘着を付与する。

葉は、葉の乾燥重量では少量(約1〜3%)成分である薄いワックス層で覆われている。 グアユールワックスは、カルナバワックスと同様の性質を有する。 このワックスは、有機溶媒(例えば、ヘキサン)を用いて回収し、続いてアルコール(例えば、メタノール)で抽出することによって精製することができる。

非特許文献3 では、溶媒としてシクロヘキサンを用いて葉を抽出し、続いてメタノールで抽出し、その後CHCl3中で結晶化させることにより、乾燥葉に対して2%の収率で精製することを記載している。

天然のグアユールゴムは、主に樹皮および植物の木質組織において、植物細胞内に微細に分散した水性懸濁液(ラテックス)の形態で存在する。 ラテックスおよびゴムの抽出および調製は広く文献において記載されている。特許文献7〜特許文献12では、グアユールラテックスの収穫、抽出、濃縮および特性評価の工程における全ての装置および段階について記載されている。樹脂抽出といった他の工程でバガスを使用する可能性やリグニン、セルロースおよびヘミセルロースを使用する可能性についても記載されている。最後に、ラテックス以外にも、樹脂、リグニン、接着剤、殺虫剤、抗真菌剤、エタノール、敷草 のための草刈り 、有機土壌改質剤、燃料、ペレット、建築材料、断熱材料など、グアユールから得ることができる全ての材料についても記載されている。

特許文献13〜特許文献20には、極性および/または非極性共溶媒を用いて樹脂またはゴムの選択的抽出性を高めながら、超臨界溶媒抽出(例えば、樹脂に対して良好な溶媒であるがゴムに対しては良好ではないことが判明しているSC−CO2系)によって、植物バイオポリマー(グアユール樹脂およびゴム)を抽出、分離、分画および精製する方法が記載されている。 上記に列挙した特許では、以下に示す様々な応用例 が記載されている。 1)SC−CO2および非極性共溶媒(例えば、ヘキサン、1‐ヘキセンまたはシクロヘキサン)を用いた樹脂およびゴムの同時抽出とその後のSC−CO2での分溜; 2)SC−CO2および極性共溶媒(例えば、H2O、アセトンまたはエタノール)での樹脂の選択的抽出とその後の非極性溶媒によるゴムの抽出。

これらの応用例は、例えば摘葉工程、 分離工程、精製工程など、任意選択の植物前処理工程を含むが、植物がそれ自体の構成要素(枝、葉、樹脂およびゴム)に分けられた後に実施される工程は樹脂抽出のみであるため 、抽出工程についての説明がなされている。

特許文献21〜25では、「膨張ヘキサン」と称する溶媒を用いて、グアユールのような植物からゴムなどの生体高分子を迅速に抽出する方法が記載されている。「膨張ヘキサン」は、共溶媒CO2を用いて体積を膨張させ、ヘキサンの密度を低下させる二成分系の溶媒として定義される。これらの方法は樹脂およびゴムの両方に使用されるが、リグノセルロース系バガスをそのまま残し、その使用に関する示唆はない。

ラテックスは、フィルムコーティングによる製造品(例えば、手袋)や生物医学分野における特殊用途(例えば、グアユールラテックスから得られた天然ゴムからなる厚さ0.04mm未満の薄い弾性フィルムをベースとした製品製造を請求の範囲とする特許文献26〜27の実施例に記載されているようなカテーテルや特殊プロテーゼ)向けの構成部材の調製に使用される。

特許文献28〜32では、パラゴムノキ(Hevea brasiliensis) からのゴムと同等またはそれよりも優れた物理的性質を有するグアユールゴムから製品を製造する方法が記載されている。

特許文献33の特許請求の範囲には、樹脂成分を定量的に抽出することができる溶媒(アセトン)を用いてゴムおよび樹脂を抽出する方法が記載されている。 この文献では、パラゴムノキ 以外の植物、特にグアユール由来のバイオポリマー、例えば天然ゴムを抽出する方法が記載されている。

樹脂とゴムの同時抽出に関しては広く文献に記載されている。特許文献34では、溶媒の混合物、例えばアセトン/ヘキサンで樹脂とゴムを同時に抽出する方法が記載されている。抽出混合物は、10〜50%の植物質と、50〜90%の2つの溶媒(ヘキサン/アセトンまたはシクロヘキサン/アセトン:10〜35%)の混合物と 、0.5〜10%の植物由来の水から構成される。特許文献35で使用される極性溶媒は、炭素数1〜8のアルコール、炭素数2〜8のエーテルおよびエステル、炭素数4〜8の環状エーテル、炭素数3〜8のケトンおよびそれらの組み合わせである。

特許文献36には、植物(ゴムおよび樹脂)から抽出される材料を最大化するためのいくつかのバイオマス前処理が記載され、特許文献37には、超臨界CO2またはCO2とヘキサンの共溶媒よりも効果が高いとされる膨張ヘキサン(すなわち、適切な溶媒と混合)を抽出溶媒として使用することが記載されている。

樹脂およびゴムの抽出条件は、以下の2つの論文に詳細に研究されている。 ・ Salvucci M.E. et al., Industrial Crops and Products 30 (2009) 9-16(非特許文献4) ・K. Cornish et al., Industrial Crops and Products 41 (2013) 158-164)(非特許文献5)

これらの論文では、「加速溶媒抽出(Accelerated Solvent Extraction)」(ASE)法を用いて種々の樹脂およびゴム画分を定量する方法が記載されている。樹脂を抽出するために極性溶媒であるアセトンまたはアセトニトリルが使用され、一方、ゴムを抽出するためには非極性溶媒(シクロヘキサン)が使用される。

上記の文献ではいずれも、植物由来のゴムおよび/または樹脂の貯蔵、抽出および精製条件を最適化する方法が記載されているが、それでもなおバガスの40〜50重量% を占める残留リグノセルロース分画の完全な利用を達成するために必要な条件については考慮されていない。

抽出および溶媒除去の後、樹脂は多くの分野で利用することができる(図1の9、10および11)。これに関連して、非特許文献6 は、調査および実験室やパイロット規模での実験を通じて、グアユール樹脂の多くの応用の可能性について徹底的に要約している。とりわけ、樹脂のセスキテルペン成分(argentatine AおよびBを含む)は、殺虫剤または殺菌剤 としての作用では合成化合物に取って代わることができる(図1の10)。例えば、臭化メチルはその毒性のために抗寄生虫剤としての使用が禁止されている有害化学物質であるが、その代わりとして、樹脂を寄生線虫に対処するために使用することが可能であると証明されている。argentatin A(グアユール樹脂の主成分の1つ)は、アセチルコリンエナーゼ阻害剤であることが判明していて、結果として抗菌活性を有する。

抽出された樹脂画分は、実験で確認されるように、木材において微生物および大気中の物質に対するその耐性を増加させる用途で使用することができる。非特許文献7は、木製製品を保存するために使用されているグアユール樹脂が従来の合成化合物と同様に有効であることを見出した(図1の9)。グアユール の木材中に存在する樹脂を利用し、かつ、抽出工程を避けるために、グアユール から直接得られた、依然として樹脂画分を含有しうる木質材料を、ポリエチレンまたは他の木質との複合材料に使用し、シロアリの攻撃および/または菌類または他の微生物に対する高い抵抗性を必要とする用途向けの複合材料を調製する可能性について言及されている。特許文献38〜39では、樹脂(約20%の低分子量ゴム(LMR)を含有する)を、例えばスチレン、ビニルエーテル、イソプレン、メタクリル酸、アクリル酸(酸、アミド、エステル)から選択される不飽和モノマーと有機溶媒、例えばトルエン中で反応させることによって、グアユール樹脂の熱可塑性マルチポリマーを調製する方法が記載されている。

共重合は、樹脂の結合力、透明性および熱的および酸化的安定性を増加させ、ホットメルト塗布 を可能にする。

特許文献40〜42では、グアユールゴムから生成されたウェットスキン接着剤 およびグアユール樹脂またはポリテルペン(ポリα-またはβ-ピネン)をベースとする粘着付与剤について記載されている。 樹脂は濡れた皮膚および水中において接着性を付与し、ゴムは接着剤に粘着性を付与する。

先行技術では、グアユール樹脂の成分を粘着付与剤または複合材料の成分として使用する目的で、化学反応により改変する可能性が記載されている。例えば、特許文献43には、ホルムアルデヒド、フェノール‐ホルムアルデヒドまたは尿素‐ホルムアルデヒドによる処理が記載されている。前記薬剤を得るための方法は、次の工程を含む:ホルムアルデヒドでの処理、フェノール/ホルムアルデヒドでの処理、尿素/ホルムアルデヒド処理、酸による処理および硫化物による処理、およびそれらの組み合わせ。

先行技術の分析から明らかなように、リグノセルロース系グアユールバイオマスの分解および糖化に関して広範に研究はされていない。グアユールバガスは、適切な分解処理およびその後の加水分解反応の後に糖の供給源として使用され得ることが知られている。例えば、非特許文献8では、高圧下での超臨界CO2による爆発処理(SC‐CO2爆発)でのグアユールバガスの糖化について研究されている。ラテックスおよび樹脂を抽出した後、バガスは高温(最高200℃)、高圧(最大4000psi(約27.6MPa) )にて爆発処理を受けた。次いで、セルロースの加水分解を完了させる目的で、リグノセルロース残渣を酵素で処理した。加水分解による単糖(C5およびC6)の総収率は、最初に利用可能な還元糖の総量に対して86%であった。 しかしながら、同じ研究者が後の研究において、同じ技術(SC‐CO2爆発)を用いて処理条件やパラメーターを最適化した結果を報告しており(非特許文献9)、最良の条件下で加水分解によるモノマーの総収率は当初の糖の57%であると 結論付けている。

これらの論文に記載されている糖化方法は高温および高圧を利用する必要があるため、有利ではない。さらに、最適化後の加水分解全収率は高温および高圧の処理条件下では57%を超えない。

Chundawatはバイオマス前処理技術としてAFEX(アンモニウム繊維爆発)技術を用いることでグアユールバガスの糖化が実施できることを観察したことが知られている(非特許文献10)。未処理のバガスおよび樹脂の抽出後に得られたバガスの種々の形態が考察されている。最良の結果は樹脂が除去されたバガスで得られ、当初得られた糖と比較したC5およびC6の単糖の加水分解による総収率は44%であった。いずれの場合にも得られた糖は酵母によって発酵してエタノールを産生できることが判明した。この前処理技術は、高圧のアンモニアを使用し、このアンモニアは処理を持続可能にするためにリサイクルする必要がある。さらに、44%以下の収率でバガスの糖化が行われる。さらに、ゴム(塩基性水で抽出)および樹脂(極性溶媒で抽出)を連続して抽出した後に得られたバガスからのセルロースの加水分解は、何も処理されていない植物全体のセルロースよりも効率が低いということが論文において指摘されている。

十分に精製されている場合、リグニンは、適切な解重合および/または誘導体化反応の後に、化合物の供給源として使用され得る。これとは別に、例えばプラスチックおよびゴムのような高分子材料の機械的および物理化学的特性を向上させるために、汎用充填剤成分として使用されている。例えば、エポキシ樹脂およびフェノール/ホルムアルデヒド樹脂配合物に使用することができる。

タイヤゴムの場合、リグニンはカーボンブラックの代わりに補強成分として作用する。カーボンブラックと比較して、密度が低く、非導電性で、色が薄く、カーボンブラックを置換することができ、しばしば機械的および物理化学的特性を改善する製剤である。

特許文献44では、求核化合物で誘導体化(化学修飾)してエステル化、エーテル化またはヘミアセタール化したリグニンの調製方法について記載されている。このようなリグニンは、ポリマー製品、例えばポリスチレンの製造における添加剤または充填剤として、その生分解性を高めるために使用することができる。

非特許文献11には、リスチンをポリスチレンおよびエチレン/スチレン/ブチレン共重合体の充填剤として使用することが記載されている。漸増量(80%まで)のリグニンを含有するブレンド液の流動学的および機械的特性が考察されている。弾性係数は、複合材料中に存在するリグニンの量の関数として増加することが観察された。非特許文献12には、リグニンと合成ポリマーとのいくつかの混合物の物理的性質が記載されている。蒸気爆発によって前処理された穀物藁に由来するリグニンが様々な密度のポリエチレンおよびポリスチレンと混合されている。熱可塑性ポリマーに使用される従来技術を用いて混合物を加工することが可能であることが判明した。リグニン含有混合物では、弾性率はわずかに増加するが、応力および伸び抵抗は減少する。リグニンはさらに、UV放射によって引き起こされる劣化に関して安定剤として作用する。

非特許文献13では、リグニンを有機化合物、バイオ燃料および水素の供給源として使用する可能性が分析されている。リグニンを解重合して有機化合物(フェノールを含む芳香族化合物)を生成するか、またはそれを液体燃料または中間体および有機化合物の製造(BTX、biomass−to− ) に使用できる合成ガスに変換するために、工業規模で様々な技術を使用することができる。例えば、リグニン(本発明に記載されているようなスルホン化されていないもの)は、ビチューメン 、セメント添加剤、活性炭、炭素繊維、フェノール樹脂などの分野や、合成バニリンの生産などの食品分野で応用され得る 。

様々な産業分野におけるこれらのタイプの用途は、非特許文献14に記載されており、炭素繊維として、ポリマーおよびプラスチックの添加剤として、また、樹脂、接着剤および結合剤の合成における成分としてリグニンを使用することも含まれている。

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米国特許出願公開第2008/300526号明細書

米国特許第4542191号 明細書

独国特許第10057910号明細書

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したがって、グアユール植物の全ての構成要素 を利用するための統合された方法を開発する必要がある。一方、従来技術ではグアユール植物の個々の成分の分離および使用について記載されているに過ぎず、用いられている方法も互いに独立している場合が多い。

したがって、本願人は、グアユール植物のあらゆる部分を利用することを可能にする統合された方法を考案した。

特に、本願人は、ワックスおよび精油の抽出工程後に得られる固形残渣が、樹脂、リグニンおよび発酵性糖を得るために有利に利用され得ることを見出した。

発酵性糖は、ヘミセルロースおよびセルロースから得られ、その後、バイオブタジエンまたはブタンジオール、微生物油およびバイオ燃料(脂質またはトリグリセリドを介して)などの化学物質の製造に使用されうる。

これは、例えば、セルロースとリグニンとの間の相互作用 を分解する適切なバイオマス分解技術を利用することによって、セルロースおよびヘミセルロースはより容易に入手可能になりうるからである。このようにして、ヘミセルロースおよびセルロースは、適切な加水分解技術を用いてより容易に分解され、発酵性微生物の栄養源として使用される単純な糖が生じる(糖化)。

グアユール植物から得られたバイオマスの破壊および糖化のいくつかの例が文献に存在するが、この残留画分の利用についてはまだ詳細には研究されていない。

本発明の第一の目的は、グアユール植物から誘導可能なバイオマスのあらゆる部分 を変換して利用する統合された方法を提供することであり、この方法は、エネルギー源や、例えばバイオリファイナリにおけるバイオブタジエンのような、化学物質としても利用することができる様々な製品を生産する。

本発明のさらなる目的は、分解および糖化の工程が、量および品質の両面でより効率的に、言い換えれば、先行技術において既に知られ、かつ、使用されている技術と比較してより不純物の少ない状態で、発酵性糖を製造することを可能にする統合された方法を提供することである。

この目的のために、本願人は、グアユール植物(グアユールゴムノキ(Parthenium argentatum))の全ての部分を加工利用するための統合された方法であり、 ・機械的処理(1)を用いて前記植物の葉(2)から茎および枝(3)を分離する工程と、 ・前記葉を処理して、ワックスおよび精油(102)と、セルロース、ヘミセルロース(炭水化物)、並びに、少量の塩、有機化合物およびリグニンを含有する画分(101)とを生成する工程(100)と、 ・前記茎と枝から液相(4)を抽出して、本願でバガスと称する第1固形木材残渣(5)を形成する工程(200)と、 ・固形木材残渣(5)を処理して糖、樹脂、ゴムおよびリグニンを調製する工程と 、 を順番に含む方法を考案した。

本願によって提供される統合された方法は、通常は天然ゴムまたは樹脂を製造するために選択的にのみ使用されるグアユール植物全体を効率的かつ便利に利用するという利点を有する。

グアユールの全ての成分を使用することにより、天然ゴムに加えて、エネルギー、食品、医薬品または木材産業、より一般的には、化学品製造の部門を含む様々な分野で使用可能な化合物を製造することも可能になる(図1の9、10、11)。これらには、ポリマーや合成ゴムを合成するために使用可能なモノマー、例えばブタジエンなどが含まれる。本発明によって提供される統合された方法により、グアユール植物から得ることができる全ての画分が、特にリグノセルロース画分から得られる発酵性糖の生産に関する任意の残留画分も含めて、利用可能となる。

本発明の更なる目的および利点は、単なる非限定的な例として提示される以下の説明および添付の図面からより明らかになるであろう。

本発明による、糖化を樹脂抽出工程の前に実行する統合された方法の好ましい一実施形態を示す図である。

本発明による、樹脂抽出工程を糖化前に実行する統合された方法の好ましい一実施形態を示す図である。

本発明によるグアユール植物の葉の処理の好ましい一実施形態を示す図である。

本発明による、ラテックスを抽出するためのグアユール植物の茎および枝の処理の好ましい一実施形態を示す図である。

本発明による、ゴムを抽出するための、グアユール植物の茎および枝の処理の好ましい一実施形態を示す図である。

第1固形木材残渣からの樹脂の抽出の好ましい実施形態を示す図である。

糖化工程の好ましい実施形態を示す図である。

以下、図面について詳細に説明する。

図1〜図7に関して、本発明はグアユール植物(グアユールゴムノキ(Parthenium argentatum))のあらゆる部分を加工利用するための統合された方法であり、 ・機械的処理(1)を用いて前記植物の葉(2)から茎および枝(3)を分離する工程と、 ・葉(100)を処理して、ワックスおよび精油(102)と、セルロース、ヘミセルロース(炭水化物)、並びに、少量の塩、有機化合物およびリグニンを含有する画分(101)とを生産する工程と、 ・前記茎および枝から液相(4)を抽出(200)し、本願においてバガスと称する第1固形木質残渣(5)を形成する工程と、 ・前記固形木質残渣(5)を処理して糖、樹脂、ゴムおよびリグニンを調製する工程と、 を順番に含む方法を提供する。

本発明による好ましい実施態様において、茎および枝(3)は、水性エマルジョン(4)を形成する塩基性水と、リグニン、セルロース、ヘミセルロース、樹脂および残留ゴムを含む第1固形木質残渣(5)とを用いた抽出によって処理する。 前記水性エマルジョンから濃縮ラテックス(図1および図2の203または13)を抽出する。天然ゴム(図1および図2の204または14)は、濃縮ラテックス(図1および図2の203または13)からさらに凝固工程を経て得ることができる。

本発明の好ましい実施形態では、対照的に、茎および枝(3)を、有機溶液(211)を形成する非極性有機溶媒(好ましくは、C5〜C12アルカンで示される、5〜12個の炭素原子を有する直鎖状、分岐状および環状アルカンから選択され、好ましくは6〜8個の炭素原子を有するC6〜C8で示されるアルカンであり、より好ましくは5,6,7、もしくは8個の炭素原子を有し、より好ましくは、n‐ペンタン、n‐ヘキサン、n‐ヘプタン、n‐オクタン、シクロヘキサン、もしくはそれらの混合物から選択されるアルカン) と、ヘミセルロース、セルロースおよびリグニンを含有する第1固形木材残渣(5)とを用いた抽出により処理する。前記有機溶液から、好ましくは例えばアセトン、酢酸エチルまたはそれらの混合物などの極性溶媒を用いて沈殿させることによって天然ゴム(図1および図2の212または14)を抽出し、このゴムを引き続き水に再分散して ラテックス(図1および図2の216または13)を生成する。

好ましい実施形態では、本願の明細書および特許請求の範囲に記載する方法は、 ・機械的処理(1)を用いて前記植物の葉(2)から茎および枝(3)を分離する工程と、 ・葉(100)を処理して、ワックスおよび精油(102)と、セルロース、ヘミセルロース(炭水化物)、並びに、少量の塩、有機化合物およびリグニンを含有する固形画分(101)を生成する工程と、 ・茎と枝から液相(4)を抽出(200)し、本願においてバガスと称する 第1固形木質残渣(5)を生成する工程と、 ・前記第1固形木質残渣(5)から樹脂とゴムを抽出し、リグニン、ヘミセルロースおよびセルロースを含有する第5固形木質残渣(19)を生成する工程(300)と、 ・前記第5固形残渣(19)を加水分解し(400)、炭素原子数5の糖 (8)およびリグニンおよびセルロースを含有する第6固形木質残渣(20)を生成する工程と、 ・前記第6固形残渣(20)を加水分解して、炭素原子数6(本願ではC6と表記)の糖 に変換し、リグニンおよび20%未満の量の残留セルロースを含有する最終固形残渣(18)を生成する工程と、 を順番に含む。

本明細書および添付の特許請求の範囲において、「炭素原子数5の糖」という語句は、化学式C5H10O5を有する5個の炭素原子から構成される単糖炭水化物であるペントース糖、またはより単純に、ペントース を意味すると解釈される。本明細書および添付の特許請求の範囲において、「炭素原子数6の糖」という語句は、化学式C6H12O6を有する6個の炭素原子から構成される単糖炭水化物であるヘキソース糖、またはより単純に、ヘキソース を意味すると解釈される。

図2に関して、第1固形木質残渣(5)は、非極性有機溶媒(好ましくは、C5〜C12アルカンで示される、5〜12個の炭素原子を有する直鎖状、分岐状および環状アルカンから選択され、好ましくは6〜8個の炭素原子を有するC6〜C8で示されるアルカンであり、より好ましくは5、6、7、もしくは8個の炭素原子を有し、より好ましくは、n‐ペンタン、n‐ヘキサン、n‐ヘプタン、n‐オクタン、シクロヘキサン、もしくはそれらの混合物から選択される)で抽出(300)することによって処理され、樹脂とゴムを分離し(7)、リグニン、ヘミセルロースおよびセルロースを含有する第5固形木質残渣(19)を生成する。

前記第5固形残渣(19)は、その後、2段階で糖化(400)される。第1段階では、ヘミセルロースを本明細書においてC5と表示された炭素原子数5の糖に変換するために酸加水分解(404)を実施し、リグニンおよびセルロースを含む第6固形木材残渣(20)を形成する。

酸加水分解は、ホスホン酸、すなわち、一般式:R‐PO(OH)2(I)[式中、Rは、直鎖若しくは分岐鎖アルキル基、または、芳香族基、または、ヘテロ原子を含む官能基である。]である有機酸によって行われる。

アルキル基は、好ましくは1〜6個の炭素原子、より好ましくは1〜3個の炭素原子を含むことができる。

アルキル基は好ましくは、メチル基、エチル基、1‐プロピル基、2‐プロピル基、n‐ブチル基、sec‐ブチル基、tert‐ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、1‐メチルブチル基、1‐エチルプロピル基、2-メチルブチル基、1,2‐ジメチルプロピル基、3‐メチルブチル基、1,1‐ジメチルプロピル基、2,2‐ジメチルプロピル基、n‐ヘキシル基、2‐メチルペンチル基、3‐メチルペンチル基、2,2‐ジメチルブチル基または2,3‐ジメチルブチル基から選択されたものである。

芳香族基は、好ましくは、式R’‐C6H5またはR’‐C10H8からなる化合物から選択され、R’は炭素原子数1〜3の直鎖または分岐鎖アルキル基で、好ましくはメチル基である。

ヘテロ原子を含む官能基は、好ましくは、酸素(O)を含む官能基、好ましくは‐OH基またはカルボニル基、または、窒素(N)を含む官能基、好ましくは‐NH2基またはN‐置換‐NH2基、または、リン(P)を含む官能基、好ましくは‐CH3OH‐PO(OH)2(ジホスホネート)基、から選択される。

より好ましいのは、一般式R‐PO(OH)2(I)で示されるアルキルホスホン酸であり、式中、Rは1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜3個の炭素原子を含み得る直鎖または分岐鎖アルキル基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基、1‐プロピル基、2‐プロピル基、n‐ブチル基、sec‐ブチル基、tert‐ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、1‐メチルブチル基、1‐エチルプロピル基、2‐メチルブチル基、1,2‐ジメチルプロピル基、3‐メチルブチル基、 1,1‐ジメチルプロピル基、2,2‐ジメチルプロピル基、n‐ヘキシル基、2‐メチルペンチル基、3‐メチルペンチル基、2,2‐ジメチルブチル基または2,3‐ジメチルブチル基のいずれから選択されたものである。

より好ましいのは、一般式R‐PO(OH)2(I)のホスホン酸であり、式中、Rは酸素(O)を含むもの、好ましくは‐OH基またはカルボニル基、または窒素(N)を含むもの、好ましくは‐NH2基またはN‐置換‐NH2基、またはリン(P)を含むもの、好ましくはCH2‐PO(OH)2(ジホスホネート)基、から選択されるヘテロ原子を含む基である。

ホスホン酸の中で好ましいのは、一般式R‐PO(OH)2(I)のものであり、式中、Rが-CH3OH-PO(OH)2(ジホスホネート)基のもの、すなわち、エチドロン酸(1-ヒドロキシエタン-1,1‐ジホスホン酸として知られている)、あるいは、Rがメチル基のもの、すなわち、メタンリン酸(メチルホスホン酸)である。

好ましくは、酸加水分解中のpHは、0.6〜1.6、好ましくは0.8〜1.3、より好ましくは0.9〜1である。

酸加水分解は、好ましくは120〜160℃、より好ましくは130〜150℃、さらにより好ましくは140℃に及ぶ温度範囲で実施する。

続いて、前記第6固形残渣(20)を、酵素的、化学的または熱化学的加水分解から選択されたさらなる加水分解(402)に供して、セルロースを炭素原子数6の糖(本明細書においてC6で示す)に変換し、 リグニンと20%未満の量の残留セルロースとを含む固形残渣を生成する。

好ましい実施形態では、本願において記載され、請求されている方法は、 ・機械的処理(1)を用いて前記植物の葉(2)から茎および枝(3)を分離する工程と、 ・葉(100)を処理して、ワックスおよび精油(102)、また、セルロース、ヘミセルロース(炭水化物)、および少量の塩、有機化合物およびリグニンを含有する固形画分(101)を生成する工程と、 ・茎と枝から液相(4)を抽出(200)し、本願においてバガスと称する第1固形木質残渣(5)を生成する工程と、 ・第1固形木質残渣(5)を処理して、炭素原子数5の糖(8)を生成し、第2固形残渣(15)を生成する工程と、 ・前記第2固形残渣(15)を処理して、炭素原子数6の糖(16)および第3固形残渣(17)を生成する工程(400)と、 ・前記第3固形残渣(17)から樹脂およびゴム(7)を抽出し、リグニンを主成分とする第4木質残渣(18)を生成する工程(300)と、 を順番に順番に含む。

前記好ましい実施形態によれば、図1を参照すると、第1固形木質残渣(5)は、2段階糖化法によって処理する。

第1段階では、ヘミセルロースを炭素原子数5の糖(C5)に変換し、リグニン、セルロース、ゴムおよび樹脂を含む第2固形残渣(15)を形成する酸加水分解(404)が行われる。

酸加水分解は、ホスホン酸(一般式:R‐PO(OH)2(I)で示される有機酸で、式中、Rは直鎖または分岐鎖アルキル基または芳香族基、または、ヘテロ原子を有する官能基である)を用いて行われる。

アルキル基は、好ましくは1〜6個の炭素原子、より好ましくは1〜3個の炭素原子を含むことができる。

アルキル基は、好ましくは、メチル基、エチル基、1‐プロピル基、2‐プロピル基、n‐ブチル基、sec‐ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、1‐メチルブチル基、1‐エチルプロピル基、2‐メチルブチル基、1,2‐ジメチルプロピル基、3‐メチルブチル基、1,1‐ジメチルプロピル基、2,2‐ジメチルプロピル基、n‐ヘキシル基、2‐メチルペンチル基、3‐メチルペンチル基、2,2‐ジメチルブチル基、または、2,3‐ジメチルブチル基から選択される。

芳香族基は、好ましくは、式R’‐C6H5またはR’‐C10H8の化合物から選択され、式中、R’は1〜3個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基で、好ましくはメチル基である。

ヘテロ原子を含む官能基は、好ましくは、酸素(O)を含む官能基、好ましくは‐OH基またはカルボニル基、または、窒素(N)を含む官能基、好ましくは‐NH2基またはN‐置換‐NH2基、または、リン(P)を含む官能基、好ましくは‐CH3OH‐PO(OH)2(ジホスホネート)基、から選択される。

より好ましいのは、一般式R‐PO(OH)2(I)で示されるアルキルホスホン酸であり、式中、Rは1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜3個の炭素原子を含み得る直鎖または分岐鎖アルキル基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基、1‐プロピル基、2‐プロピル基、n‐ブチル基、sec‐ブチル基、tert‐ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、1‐メチルブチル基、1‐エチルプロピル基、2‐メチルブチル基、 1,2‐ジメチルプロピル基、3‐メチルブチル基、1,1‐ジメチルプロピル基、2,2‐ジメチルプロピル基、n‐ヘキシル基、2‐メチルペンチル基、3‐メチルペンチル基、2,2‐ジメチルブチル基または2,3‐ジメチルブチル基のいずれかから選択されたものである。

より好ましいのは、一般式R‐PO(OH)2(I)のホスホン酸であり、式中、Rは、酸素(O)を含むもの、好ましくは‐OH基若しくはカルボニル基、または、窒素(N)を含むもの、好ましくは‐NH2基若しくはN‐置換‐NH2基、または、リン(P)を含むもの、好ましくはCH2‐PO(OH)2(ジホスホネート)基、から選択されるヘテロ原子を含む官能基である。

ホスホン酸の中で好ましいのは、一般式R‐PO(OH)2(I)のものであり、式中、Rが-CH3OH-PO(OH)2(ジホスホネート)基のもの、すなわち、エチドロン酸(1-ヒドロキシエタン-1,1‐ジホスホン酸として知られている)、あるいは、Rがメチル基のもの、すなわち、メタンリン酸(メチルホスホン酸)である。

好ましくは、酸加水分解中のpHは、0.6〜1.6、好ましくは0.8〜1.3、より好ましくは0.9〜1である。

酸加水分解は、好ましくは120〜160℃、より好ましくは130〜150℃、さらにより好ましくは140℃に及ぶ温度範囲で実施する。

続いて、前記第2固形残渣(15)を、好ましくは、酵素的、化学的または熱化学的加水分解から選択される加水分解(402)によって処理し、セルロースを炭素原子数6の糖(C6)に変換し、リグニン、 樹脂、残留ゴムおよび20%未満の量の残留セルロースを含む第3固形残渣を生成する。

次いで、第3固形残渣(17)を、アセトン、アルコール、酢酸エチルおよびそれらの混合物から選択される有機溶媒で抽出(300)して、リグニンと20%未満の量のセルロースとを含む第4固形残渣から樹脂と残留ゴムを分離する。

このように特定かつ好ましい操作手順、すなわち、樹脂の抽出(300)よりも先に糖化(400)を行うことにより、有機溶媒を用いた単一抽出工程で樹脂を抽出できるという利点がもたらされる。逆の順序、すなわち最初に樹脂抽出(300)を行い、次に糖化(400)を行う場合、樹脂を定量的に回収するためには、有機溶媒による2回の連続抽出が必要である。

樹脂を抽出する前にC5およびC6糖類を回収すると、逆の順序で得られるよりも高い発酵性単糖の変換率および収率が得られる。表1は、いくつかの例に関する収率および変換結果を示す。

多糖類、ヘミセルロースおよびセルロース成分は加水分解されて、単純なモノマーの成分が生成する。例えば、セルロースからはグルコース(C6)が得られ、また、ヘミセルロースからは最大80%の割合のC5糖類の混合物、例えば、キシロース、アラビノースなどが得られる。

このようにして得られた単糖類は、例えば、エタノールおよびブタノールのようなアルコール、また、1,3‐プロパンジオール、1,3‐ブタンジオール、1,4‐ブタンジオール、2,3‐ブタンジオール、などのようなジオール、また、発酵によって得られる他の化学物質を製造するための発酵工程において、炭素源として有利に使用することができる。

適切な脱水反応の後、ジオールを用いて、バイオポリブタジエンの合成のためのモノマーとして使用可能なブタジエンを製造することができる。または、そのような糖類は、不飽和脂肪酸酸(例えば、オレイン酸)を高含有量で有する脂質やトリグリセリド、または、他の中間体および産物の発酵合成に使用することができる。

前記アルコール、ジオール、脂質または他の中間体または産物は、化学工業または自動車燃料の調合 おいて有利に使用され得る。

酸加水分解の後、バガスに含まれる グアユリン AおよびBは加水分解されて、パーテニオールおよびヒドロキシ安息香酸および桂皮酸を生成する。次いで、グアユリンの更なる加水分解に頼ることなく、アルコール、例えばメタノールを用いた選択的沈殿により、パーテニオールを回収することができる。パーテニオールは、抗シロアリ活性があり、香料製品または害虫を防除製品の合成のために重要な基礎化合物である。

図6に関して、本発明の好ましい実施形態では、第1固形木質残渣(5)を酸加水分解(404)によって前処理し、ヘミセルロースをC5糖類(8)に変換して、セルロース、樹脂、残留ゴムおよびリグニンを含有する第2固形残渣(15)を生成する。

酸加水分解は、ホスホン酸(一般式:R‐PO(OH)2(I)で示される有機酸で、式中、Rは直鎖または分岐鎖アルキル基または芳香族基、または、ヘテロ原子を有する官能基である)を用いて行われる。

アルキル基は、好ましくは1〜6個の炭素原子、より好ましくは1〜3個の炭素原子を含むことができる。

アルキル基は、好ましくは、メチル基、エチル基、1‐プロピル基、2‐プロピル基、n‐ブチル基、sec‐ブチル基、tert‐ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、1‐メチルブチル基、1‐エチルプロピル基、2‐メチルブチル基、1,2‐ジメチルプロピル基、3‐メチルブチル基、1,1‐ジメチルプロピル基、2,2‐ジメチルプロピル基、n‐ヘキシル基、2‐メチルペンチル基、3‐メチルペンチル基、2,2‐ジメチルブチル基または2,3‐ジメチルブチル基から選択される。

芳香族基は、好ましくは、式R’‐C6H5またはR’‐C10H8の化合物から選択され、式中、R’は1〜3個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基で、好ましくはメチル基である。

ヘテロ原子を含む官能基は、好ましくは、酸素(O)を含む官能基、好ましくは‐OH基またはカルボニル基、または、窒素(N)を含む官能基、好ましくは‐NH2基またはN‐置換‐NH2基、または、リン(P)を含む官能基、好ましくは‐CH3OH‐PO(OH)2(ジホスホネート)基、から選択される。

より好ましいのは、一般式R‐PO(OH)2(I)で示されるアルキルホスホン酸であり、式中、Rは1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜3個の炭素原子を含み得る直鎖または分岐鎖アルキル基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基、1‐プロピル基、2‐プロピル基、n‐ブチル基、sec‐ブチル基、tert‐ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、1‐メチルブチル基、1‐エチルプロピル基、2‐メチルブチル基、 1,2‐ジメチルプロピル基、3‐メチルブチル基、1,1‐ジメチルプロピル基、2,2‐ジメチルプロピル基、n‐ヘキシル基、2‐メチルペンチル基、3‐メチルペンチル基、2,2‐ジメチルブチル基または2,3‐ジメチルブチル基のいずれかから選択されたものである。

より好ましいのは、一般式R‐PO(OH)2(I)のホスホン酸であり、式中、Rは、酸素(O)を含むもの、好ましくは‐OH基またはカルボニル基、または窒素(N)を含むもの、好ましくは‐NH2基またはN‐置換‐NH2基、または、リン(P)を含むもの、好ましくはCH2‐PO(OH)2(ジホスホネート)基、から選択されるヘテロ原子を含む官能基である。

ホスホン酸の中で好ましいのは、一般式R‐PO(OH)2(I)のものであり、式中、Rが-CH3OH-PO(OH)2(ジホスホネート)基のもの、すなわち、エチドロン酸(1-ヒドロキシエタン-1,1‐ジホスホン酸として知られている)、あるいは、Rがメチル基のもの、すなわち、メタンリン酸(メチルホスホン酸)である。

好ましくは、酸加水分解中のpHは、0.6〜1.6、好ましくは0.8〜1.3、より好ましくは0.9〜1である。

酸加水分解は、好ましくは120〜160℃、より好ましくは130〜150℃、さらにより好ましくは140℃に及ぶ温度範囲で実施する。

前記第2固形残渣を、有機溶液(305)を構成する非極性有機溶媒(好ましくは、C5〜C12アルカンで示される、5〜12個の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖および環状アルカンから選択され、好ましくは6〜8個の炭素原子を有するC6〜C8で示されるアルカンであり、より好ましくは5,6,7、もしくは8個の炭素原子を有し、より好ましくは、n‐ペンタン、n‐ヘキサン、n‐ヘプタン、n‐オクタン、シクロヘキサン、もしくはそれらの混合物から選択されるアルカン) とヘミセルロース、セルロースおよびリグニンを含有する第1固形木材残渣(306)での抽出により処理する。有機溶液を、好ましくはアセトン、アルコール、酢酸エチルおよびこれらの混合物から選択される極性有機溶媒(307)で抽出して、溶液中に残っている樹脂(312)からゴム(310)を沈殿により分離し、一方、固形画分は酵素加水分解または化学的または熱化学的加水分解から選択される方法(311)に供し、少なくとも80%のリグニンを含む固形木質残渣(308)およびセルロース由来のC6糖類(309)を得る。

グアユールの全植物を、茎の頸部で切断し、茎および枝(3)を葉(2)から分離するように機械的に摘葉する(1)。

合わせた葉は、植物全体の乾燥重量の30〜50%を構成する。 葉は、ラテックス抽出工程の上流で植物体から分離される。その理由は、それらのゴム含量は、植物の総重量に対してわずか0.5%〜1.7%の範囲内であり、総ゴム量の20%未満だからである。したがって、ゴム抽出処理は、主としてゴムの80%以上を含有する枝および茎の木質部分に集中して行う。

以下、図1および図4を参照して説明する。

葉(2)は、ワックスおよび精油(102)を得るために、好ましくは、溶媒抽出、蒸気抽出、または超臨界CO2による抽出のいずれかの方法により処理することができる(100)。

ワックスおよび精油を葉から分離すると、セルロース、ヘミセルロース、および少量のリグニン、塩および有機化合物を含有する固形画分(101)が残る。

好ましい実施形態では、固形画分(101)を糖化(400)により処理する。 糖化工程(400)については本明細書に既に記載されており、炭素原子数5の糖(C5)(8)および炭素原子数6の糖(C6)(16)を2つの連続した段階で生成する。第1段階は、好ましくは、一般式R‐PO(OH)2(I)のホスホン酸、または、一般式R1‐SO3H(II)のアルキルスルホン酸から選択される有機酸による酸加水分解(404)によって進行する。

本発明によると、Rは直鎖または分岐鎖アルキル基、芳香族基、またはヘテロ原子を含む官能基から選択される。

本発明によると、R1は、1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜3個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基から選択される。

アルキル基Rは、好ましくは1〜6個の炭素原子、より好ましくは1〜3個の炭素原子を含むことができる。

Rがアルキル基である場合、前記官能基は、好ましくはメチル基、エチル基、1‐プロピル基、2‐プロピル基、n‐ブチル基、sec‐ブチル基、tert‐ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、1‐メチルブチル基、1‐エチルプロピル基、2‐メチルブチル基、1,2‐ジメチルプロピル基、3‐メチルブチル基、1,1‐ジメチルプロピル基、2,2‐ジメチルプロピル基、n‐ヘキシル基、2‐メチルペンチル基、3‐メチルペンチル基、2,2‐ジメチルブチル基、または、2,3‐ジメチルブチル基のいずれかから選択される。

Rが芳香族基である場合、前記官能基は、好ましくは式:R’‐C6H5またはR’‐C10H8の化合物から選択され、ここで式中R’は1〜3個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基であり、好ましくはメチル基である。

Rがヘテロ原子を含む官能基である場合、前記官能基は、好ましくは、酸素(O)を含む官能基、好ましくは‐OH基またはカルボニル基、または、窒素(N)を含む官能基、好ましくは‐NH2基またはN‐置換‐NH2基、または、リン(P)を含む官能基、好ましくは‐CH2OH‐PO(OH)2(ジホスホネート)基、から選択される。

アルキル基R1は、好ましくは、メチル基、エチル基、1‐プロピル基、2‐プロピル基、n‐ブチル基、sec‐ブチル基、tert‐ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、1‐メチルブチル基、1‐エチルプロピル基、2-メチルブチル基、1,2‐ジメチルプロピル基、3‐メチルブチル基、1,1‐ジメチルプロピル基、2,2‐ジメチルプロピル基、n‐ヘキシル基、2‐メチルペンチル基、3‐メチルペンチル基、2,2‐ジメチルブチル基または2,3‐ジメチルブチル基から選択される。

より好ましいのは、一般式R‐PO(OH)2(I)で示されるアルキルホスホン酸であり、式中、Rは1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜3個の炭素原子を含み得る直鎖または分岐鎖アルキル基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基、1‐プロピル基、2‐プロピル基、n‐ブチル基、sec‐ブチル基、tert‐ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、1‐メチルブチル基、1‐エチルプロピル基、2‐メチルブチル基、 1,2‐ジメチルプロピル基、3‐メチルブチル基、1,1‐ジメチルプロピル基、2,2‐ジメチルプロピル基、n‐ヘキシル基、2‐メチルペンチル基、3‐メチルペンチル基、2,2‐ジメチルブチル基または2,3‐ジメチルブチル基のいずれから選択されたものである。

より好ましいのは、一般式R‐PO(OH)2(I)のホスホン酸であり、式中、Rは酸素(O)を含むもの、好ましくは‐OH基またはカルボニル基、または窒素(N)を含むもの、好ましくは‐NH2基またはN‐置換‐NH2基、またはリン(P)を含むもの、好ましくはCH2‐PO(OH)2(ジホスホネート)基、から選択されるヘテロ原子を含む官能基である。

ホスホン酸の中で好ましいのは、一般式R‐PO(OH)2(I)のものであり、式中、Rが-CH3OH-PO(OH)2(ジホスホネート)基のもの、すなわち、エチドロン酸(1-ヒドロキシエタン-1,1‐ジホスホン酸として知られている)、あるいは、Rがメチル基のもの、すなわち、メタンリン酸(メチルホスホン酸)である。

アルキルスルホン酸の中では、メタンスルホン酸(CH3‐SO3H)が好ましい。

好ましくは、酸加水分解中のpHは、0.6〜1.6、好ましくは0.8〜1.3、より好ましくは0.9〜1である。

酸加水分解は、好ましくは120℃〜160℃、より好ましくは130℃〜150℃、さらにより好ましくは140℃に及ぶ温度範囲で実施する。

酸加水分解後、C5糖類(8)および第2固形残渣(15、20)が生成される。

第2段階では、好ましくは、酵素加水分解または化学的または熱化学加水分解(402)から選択された加水分解が行われ、C6糖類(16)、および、リグニンのみ、またはリグニンとゴムおよび樹脂とを含む固形残渣(17または18)を生成する。

C5糖類およびC6糖類のいずれも、発酵(403)によって化学物質、微生物油およびバイオ燃料(12)を生産するために使用することができる。

葉は、精油を豊富に含む樹脂状物質を7〜8重量%含有し、この樹脂状物質は植物中に存在する全ての精油の75%以上を占める。ゴムと樹脂の含有量は別として、葉は残りの植物の部分と同様の組成であり、それに加えて、少量(約1%の生体重量)のテルペン(セスキテルペン)を主成分とする精油とワックスが含まれている。精油とワックスは、主に医薬品や香料や香水用の化合物の製造に使用される高付加価値製品である(103)。精油は、食品分野(フレーバーまたはサプリメント)または化粧品の分野および香料の製造(量的には最大の市場)に使用することができる。

精油のもう一つの用途は、特殊接着剤(粘着付与剤)の製造である。この場合、油の成分をそれ自体どうしで重合させて天然接着剤を生成するか、またはフェノールまたはスチレンなどの他の成分との共重合によって反応させて合成接着剤を生成する。

ワックスおよび精油を得るための好ましい方法は、収穫された葉を新鮮な状態のうちに蒸気蒸留することである。感熱性油の場合、好ましくは、天然油脂または超臨界CO2のいずれかでの溶媒抽出が用いられる。グアユール葉の精油の含量は生体重量に対して約1%であるが、この量は、精油が抽出され、商業的調製品の製造に使用される多くの植物において見出される値と同等であるか、あるいは、それよりもさらに大きい。

葉に存在する精油と樹脂はいずれも、以下の文献から明らかなように、動物飼料の調製に使用されると、たびたび有害性または刺激性の性質を有する。 ・Hernandez IT. Tech. Pecuaria Mexico, 1976, 31 .89 ・Banigan, T.F., Verbiscar, A.J., Weber, C.W., 1982. (Composition of guayule leaves, seed, and wood. J. Agric. Food Chem. 30, 427-481)

これらの論文では、樹脂が除去された場合にのみ、グアユール葉が動物飼料中の成分として許容されることが記載されている。この理由から、飼料を調合する前に樹脂を抽出しなければならない。

樹脂は、有機溶媒(例えば、シクロヘキサン)の使用、また、より選択的な技術、好ましくは蒸気抽出または超臨界CO2を用いた抽出、のいずれによっても抽出できることが知られている。

グアユールの葉は、以下の文献から明らかなように、殺菌作用または細菌生育抑制作用を有するので、農業土壌の改良剤として効果的に使用することもできる。 ・Bultman, J.D., Gilbertson, R.K., Adaskaveg, J., Amburgey, T.L., Parikh, S.V., Bailey, C.A., 1991 , (The efficacy of guayule resin as a pesticide. Bioresour. Technol. 35, 1997-2001 ) ・Nakayama, F.S., Vinyard, S.H., Chow, P., Bajwa, D.S., Youngquist, J.A., Muehl, J.H., Krzysik, A.M., 2001 (Guayule as a wood preservative) Ind. Crops Prod. 14, 105-111

これらの論文では、樹脂のテルペン成分には効果的な抗真菌作用を有するものがあると記載されている。

一方、Maatooq G.T.およびHoffmann J.J.の論文(Fungistatic sesquiterpenoids from Parthenium, Phytochemistry, 1996, 43, 67-69)では、セスキテルペン成分が抗真菌作用に関与すると述べられている。

天然ゴムの代替供給源の中でも、グアユールは特に興味を持たれている。これは、アレルギー誘発物質となる可能性のあるタンパク質の含有量が低いためであり、対照的に、パラゴムノキから抽出された天然ゴムには顕著により多くタンパク質が含まれている。このため、へベアゴムは、皮膚に接触して使用される製品の製造に使用される場合、高いアレルギー反応性を有する。

リグノセルロース系成分からのラテックスを抽出することがグアユールバイオマスの栽培と生産の基本的な目的であるが、生産チェーン全体から高い効率と満足の出来る経済的利益を達成したいのであれば、 ヘミセルロース、セルロースおよびイヌリンならびに植物の他の成分、例えば樹脂、精油、ワックスおよびリグニンを含む多糖画分も使用し、活用する必要がある。

グアユールラテックスおよびゴムを活用するための好ましい方法を図4(ラテックスの取得方法)および図5(ゴムの取得方法)に示す。

図4に関して、ミル内での粉砕後、茎および枝(3)を塩基性水溶液(200‐A)で抽出し、第1固形木質残渣、すなわち、バガス(5)から、適切な界面活性剤で安定化された水性エマルジョン(201)を物理的方法、好ましくは、圧搾によって分離する。得られたバガス(5)は、リグニン、セルロース、ヘミセルロース、残留ゴムおよび樹脂を含み、酸加水分解を一般式R‐PO(OH)2(I)(式中、Rは直鎖または分岐鎖アルキル基または芳香族基またはヘテロ原子を含む官能基である)の有機酸であるホスホン酸で実施する2段階の糖化(400)により処理することができる。

アルキル基は、好ましくは1〜6個の炭素原子、より好ましくは1〜3個の炭素原子を含むことができる。

アルキル基は好ましくは、メチル基、エチル基、1‐プロピル基、2‐プロピル基、n‐ブチル基、sec‐ブチル基、tert‐ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、1‐メチルブチル基、1‐エチルプロピル基、2-メチルブチル基、1,2‐ジメチルプロピル基、3‐メチルブチル基、1,1‐ジメチルプロピル基、2,2‐ジメチルプロピル基、n‐ヘキシル基、2‐メチルペンチル基、3‐メチルペンチル基、2,2‐ジメチルブチル基または2,3‐ジメチルブチル基から選択されたものである。

芳香族基は、好ましくは、式R’‐C6H5またはR’‐C10H8からなる化合物から選択され、R’は炭素原子数1〜3の直鎖または分岐鎖アルキル基で、好ましくはメチル基である。

ヘテロ原子を含む官能基は、好ましくは、酸素(O)を含む官能基、好ましくは‐OH基またはカルボニル基、または、窒素(N)を含む官能基、好ましくは‐NH2基またはN‐置換‐NH2基、または、リン(P)を含む官能基、好ましくは‐CH3OH‐PO(OH)2(ジホスホネート)基、から選択される。

より好ましいのは、一般式R‐PO(OH)2(I) で示されるアルキルホスホン酸であり、式中、Rは1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜3個の炭素原子を含み得る直鎖または分岐鎖アルキル基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基、1‐プロピル基、2‐プロピル基、n‐ブチル基、sec‐ブチル基、tert‐ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、1‐メチルブチル基、1‐エチルプロピル基、2‐メチルブチル基、 1,2‐ジメチルプロピル基、3‐メチルブチル基、1,1‐ジメチルプロピル基、2,2‐ジメチルプロピル基、n‐ヘキシル基、2‐メチルペンチル基、3‐メチルペンチル基、2,2‐ジメチルブチル基または2,3‐ジメチルブチル基のいずれから選択されたものである。

より好ましいのは、一般式R‐PO(OH)2(I)のホスホン酸であり、式中、Rは、酸素(O)を含むもの、好ましくは‐OH基またはカルボニル基、または窒素(N)を含むもの、好ましくは‐NH2基またはN‐置換‐NH2基、またはリン(P)を含むもの、好ましくはCH2‐PO(OH)2(ジホスホネート)基、から選択されるヘテロ原子を含む基である。

ホスホン酸の中で好ましいのは、一般式R‐PO(OH)2(I)のものであり、式中、Rが-CH3OH-PO(OH)2(ジホスホネート)基のもの、すなわち、エチドロン酸(1-ヒドロキシエタン-1,1‐ジホスホン酸として知られている)、あるいは、Rがメチル基のもの、すなわち、メタンリン酸(メチルホスホン酸)である。

好ましくは、酸加水分解中のpHは、0.6〜1.6、好ましくは0.8〜1.3、より好ましくは0.9〜1である。

酸加水分解は、好ましくは120〜160℃、より好ましくは130〜150℃、さらにより好ましくは140℃に及ぶ温度範囲で実施する。

水性エマルジョン(201)から、濃縮処理(200‐F)によって、濃縮ラテックス(203)を取得する。濃縮処理は通常遠心分離によって行い、残渣水(205)が残る。

一旦濃縮すると、ラテックスは直ぐに天然ゴムとして使用することができる。

天然ゴム(図1の204および14)はまた、例えば有機酸(クエン酸または酢酸)または無機酸(硫酸)などの凝固剤を添加することによって進行するその後の凝固工程(200‐B)によって、前記濃縮ラテックスから得ることができる。

濃縮ラテックスおよび凝固天然ゴムの両方を、物品および製品の製造に使用することができる。凝固したゴムは、好ましくはタイヤ製造分野で使用することができる。

処理(205)からの残留水は有機化合物が豊富であり、任意の中和工程の後に、嫌気性発酵によるバイオガス(206)の生成に任意に使用可能であり、また、抽出工程において塩基性水とともに再利用することもできる。

図5に関して、ラテックスを抽出することなく、枝および茎から天然ゴムを製造することが可能である。

ミルで粉砕された枝および茎は、好ましくはヘキサン、シクロヘキサンおよびそれらの混合物から選択される非極性有機溶媒で抽出され(200‐C)、第1有機溶液(211)、および、リグニン、セルロースおよびヘミセルロースを含み、実質的に残留樹脂およびゴムを含まない第1固形木質残渣(5)を生成する。この第1固形残渣は、続いて、一般式R‐PO(OH)2(I)(式中、Rは直鎖または分岐鎖アルキル基または芳香族基またはヘテロ原子を含む官能基である)の有機酸であるホスホン酸で酸加水分解を実施する2段階の糖化(400)により処理することができる。

アルキル基は、好ましくは1〜6個の炭素原子、より好ましくは1〜3個の炭素原子を含むことができる。

アルキル基は、好ましくは、メチル基、エチル基、1‐プロピル基、2‐プロピル基、n‐ブチル基、sec‐ブチル基、tert‐ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、1‐メチルブチル基、1‐エチルプロピル基、2‐メチルブチル基、1,2‐ジメチルプロピル基、3‐メチルブチル基、1,1‐ジメチルプロピル基、2,2‐ジメチルプロピル基、n‐ヘキシル基、2‐メチルペンチル基、3‐メチルペンチル基、2,2‐ジメチルブチル基または2,3‐ジメチルブチル基から選択される。

芳香族基は、好ましくは、式R’‐C6H5またはR’‐C10H8の化合物から選択され、式中、R’は1〜3個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基で、好ましくはメチル基である。

ヘテロ原子を含む官能基は、好ましくは、酸素(O)を含む官能基、好ましくは‐OH基またはカルボニル基、または、窒素(N)を含む官能基、好ましくは‐NH2基またはN‐置換‐NH2基、または、リン(P)を含む官能基、好ましくは‐CH3OH‐PO(OH)2(ジホスホネート)基、から選択される。

より好ましいのは、一般式R‐PO(OH)2(I) で示されるアルキルホスホン酸であり、式中、Rは1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜3個の炭素原子を含み得る直鎖または分岐鎖アルキル基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基、1‐プロピル基、2‐プロピル基、n‐ブチル基、sec‐ブチル基、tert‐ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、1‐メチルブチル基、1‐エチルプロピル基、2‐メチルブチル基、1,2‐ジメチルプロピル基、3‐メチルブチル基、 1,1‐ジメチルプロピル基、2,2‐ジメチルプロピル基、n‐ヘキシル基、2‐メチルペンチル基、3‐メチルペンチル基、2,2‐ジメチルブチル基または2,3‐ジメチルブチル基のいずれから選択される。

より好ましいのは、一般式R‐PO(OH)2(I)のホスホン酸であり、式中、Rは酸素(O)を含むもの、好ましくは‐OH基またはカルボニル基、または窒素(N)を含むもの、好ましくは‐NH2基またはN‐置換‐NH2基、またはリン(P)を含むもの、好ましくはCH2‐PO(OH)2(ジホスホネート)基、から選択されるヘテロ原子を含む官能基である。

ホスホン酸の中で好ましいのは、一般式R‐PO(OH)2(I)のものであり、式中、Rが-CH3OH-PO(OH)2(ジホスホネート)基のもの、すなわち、エチドロン酸(1-ヒドロキシエタン-1,1‐ジホスホン酸として知られている)、あるいは、Rがメチル基のもの、すなわち、メタンリン酸(メチルホスホン酸)である。

好ましくは、酸加水分解中のpHは、0.6〜1.6、好ましくは0.8〜1.3、より好ましくは0.9〜1である。

酸加水分解は、好ましくは120〜160℃、より好ましくは130〜150℃、さらにより好ましくは140℃に及ぶ温度範囲で実施する。

好ましくは、アセトン、好ましくはエタノールを含むアルコール、好ましくは酢酸エチルを含むエステル、またはそれらの混合物から選択される極性溶媒(200‐D)を第1有機相(211)に添加することにより、天然ゴム(212)を沈殿すると、第2有機相(213)が生成し、この第2有機相から、好ましくは溶媒を除去することによって、樹脂(215)を回収することができる。

エマルジョンの分散および安定化のための適切な技術(200‐E)によって、天然ゴム(212)を微細エマルジョンの形態で水中に再懸濁し、ラテックス(213)を再構成できる。

ラテックスおよびゴムは、天然ゴムをベースとした製品および製品の製造に使用することができる。

図6は、本願による樹脂を利用するための好ましい方法を説明する。

本明細書の種々の箇所に記載された方法(簡潔化のため、ここでは言及しない)に従って、第1固形木質残渣(5)を二段階で糖化(400)し、ヘミセルロースをC5糖類(8)に変換して、セルロース、樹脂、残留ゴムおよびリグニンを含有する第2固形残渣(15)を生成する。

次いで、前記第2固形残渣を、好ましくはヘキサン、シクロヘキサンおよびそれらの混合物(305)から選択される非極性有機溶媒、および、セルロースおよびリグニン(306)を含む固形画分で抽出する(303)。有機溶液、好ましくはアセトン、アルコール類(好ましくはエタノール)、エステル類(好ましくは酢酸エチル)、またはこれらの混合物から選択された極性有機溶媒で抽出(307)し、ゴム(310)と 樹脂(312)を分離する。固形画分を、酵素加水分解または化学的または熱化学的加水分解(311)から選択される方法に供し、セルロース(309)からC6糖類、および、少なくとも80%のリグニンを含む固形木質残渣(308)を得る。

図7では、バガスを利用して発酵性糖類を形成するための好ましい方法が記載されている。

グアユールバガスは、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、残留ゴムおよび樹脂を含むバイオマスである。前記バイオマスは、強く相互作用するセルロース、ヘミセルロースおよびリグニンの3つの主なポリマー成分を含む複雑な構造である。耐性の低いポリマー、すなわち、ヘミセルロースをいったん加水分解して、より結晶質で安定なセルロースも完全な加水分解を達成するための特定の酵素で容易に攻撃できるようにすることで、これらのポリマー間の相互作用を分解しなければならない。

バガスのヘミセルロースおよびセルロースから、エネルギー用製品または化学品の製造に使用可能な糖類への変換を最適化する目的で、前記バガスに予備処理、前処理または分解を施すことが知られている。前記前処理により、リグニンとセルロースとの間の結合を弱めることが可能になり、後者のその後の例えば酵素による加水分解をより受けやすくすると同時に、セルロースよりも分解し易いヘミセルロースを炭素原子数5の糖に簡単に加水分解することを可能にする。

単純なC5糖類は、その後、発酵工程に供することができる(403)。 様々な種類のバガス前処理を使用することができ、好ましくは、酸または塩基による化学的前処理、高圧高温での処理、粉砕、マイクロ波または超音波から選択される物理化学的前処理、または、選択された微生物による分解のような生物学的前処理から選択される。

上記の目的のために慣用的に使用される方法は、酸加水分解であり、希酸または濃酸の存在下で行うことができる。しかしながら、先行技術に記載されている酸による前処理方法は、いくつかの欠点を示す可能性がある。例えば、過剰な高温で酸加水分解を行うと、糖の脱水およびリグニンの部分解重合に由来する反応副産物、例えばフルフラール(F)、ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)またはフェノール化合物、が生成する。これらは、その後の糖発酵工程で従来から使用されている微生物に対する増殖阻害剤として作用し、前記工程の効率および生産性を実質的に低下させる。

逆に、過度に低い温度で酸加水分解を行うと、バガスの分解が不十分になる可能性があるが、このバガスの分解は、セルロース繊維がそれらを覆うヘミセルロース - リグニンネットワークから放出され、その後の酵素加水分解段階で有利に使用されるために必要である。これは、ヘミセルロース‐リグニンと織り交ぜられたセルロース繊維は、酵素加水分解で従来使用されている酵素(例えば、セルラーゼ)に容易に接近できないためである。 さらに、文献中でこの目的のために通常使用される硫酸または塩酸のような酸は、特に単糖の全体的な収率の高さや、望ましくない副産物(FおよびHMFまたは発酵を阻害する他のもの)の生成量の低さという観点では、所望の結果を常にもたらすとは限らない。

したがって、本出願人は、従来技術の重大な欠点を克服するために、本願に包括的に記載および請求されているように、バガス(5)を二段階で糖化することにした(404および402)。

特に、本願において包括的に記載および請求されているとおり、第1段階は酸加水分解(404)であり、ヘミセルロースをC5糖類に変換し、セルロース、リグニン、樹脂およびゴムを含有する第2固形木質残渣を生成する。次に、前記固形残渣を、酵素加水分解、または、化学的もしくは熱化学的加水分解から選択される加水分解に供し、C6糖類(16)と主にリグニンまたはリグニン 、残留ゴム、樹脂、および20%以下の量のセルロースを含む固形残渣(17、18)を取得する。

前記固形残渣は、本明細書に記載されているように、残留樹脂およびゴムの抽出に、または本明細書において既に包括的に記載および請求されているように、リグニンを得るために引き続き利用することができる。C5糖類およびC6糖類は、化学品、微生物油またはバイオ燃料(12)を生産することができる微生物による発酵(403)のために都合良く使用され得る。

したがって、樹脂の抽出は、バガスを希酸で前処理した後だけでなく、その後に酵素で加水分解した後においても定量的であることが観察された。

したがって、本出願人は、バイオマス糖類の生産のための統合された方法であり、 ・高いヘミセルロース成分の変換率(>95%)を有し、その結果として、 ・炭素原子数5〜6の糖、特にキシロースまたはアラビノースのような炭素原子数5の糖を高収率で得られ(すなわち、5〜6炭素原子を有する糖類の収率が95%以上であり、前記収率は出発バイオマス中に存在するヘミセルロースの全量に対して計算されたものであり)、また、 ・副生成物(フルフラール(F)、ヒドロキシメチルフルフラール(HMF))が少量、すなわち3%以下(全糖類に対して)である方法を特定した。

本発明の理解および実施を助けるために、本発明のいくつかの例示的で非限定的な例を以下に提示する。

実施例1:精油の抽出および回収 100グラムのグアユール葉(50%H2O)を蒸気抽出器に入れた。蒸留を4時間で1000cm3の水を採取しながら行なった。 1.1gの油状物を水相の表面で分離し、GC‐MSにより分析したところ、主成分は、ボルネオール、オイデスモールおよびスパツレノールであると同定された。ボルネオールは、酢酸ボルニルの加水分解によって得られ、画分の主なテルペン成分の1つである

比較例1:未処理バガスからの樹脂の抽出 バガス100g(水50%)およびアセトン500cm3を1Lフラスコに入れた。混合物を45℃で2時間撹拌し、濾過し、アセトンで洗浄した。アセトン溶液を濃縮した。乾燥バイオマスに対して5.8重量%に相当する2.9gの粘性残渣が得られた。バガスの残渣をアセトンにより同じ条件(アセトン500ml、45℃で2時間攪拌)下でもう一度抽出に供した。新しい溶媒で洗浄し、固形残渣を濾過した後、減圧下で溶媒を除去することによってアセトン溶液を濃縮した。0.8gの樹脂が得られた。2パスで抽出された樹脂の量は、乾燥出発バガスに対して7.4重量%に相当した。

実施例3:希酸で処理したバガスからの樹脂抽出 希酸による処理(301)(実施例5)に由来する100gの湿性バガスを1Lフラスコに入れた。観察されるとおり、ヘミセルロース(約18重量%)からなる成分は完全に加水分解された。残渣には依然として残留樹脂およびゴム(ラテックスとして抽出されていない)が含まれていた。水50%を含有する試料を500cm3のアセトン中に懸濁させた。混合物を45℃で2時間撹拌し、濾過し、新しい溶媒で洗浄を行った。アセトン溶液を濃縮した。ヘミセルロースを含まない乾燥バガスに対して6.2%に相当する3.1gが得られた。酸による加水分解前の未処理バガスに対する前記量は、バガス中に存在する樹脂の総量(7.5%)に相当する。

実施例4:希酸で処理したバガスからの活性成分の抽出 実施例3で抽出した樹脂をガスクロマトグラフィー で分析した。グアユリンのエステル基の一部(希酸での処理条件に依存して50〜80%)を加水分解してアルコール性テルペン成分であるパーテニオールと、桂皮酸(グアユリン Aから)およびメトキシ安息香酸(グアユリン Bから)を生成することが観察された(以下式)。

続いて、既知の方法(例えば、冷アルコールでの抽出)を使用して、パーテニオールを容易に抽出し、精製することができた。

実施例5:メタンホスホン酸による加水分解 予め粉砕したグアユールバガス(粒子径<2mm)25gを開放系のBuchiモデル3E/1.0Lオートクレーブに入れた。次に、pH1.1のメタンホスホン酸CH3‐P(O)(OH)2水溶液500gを入れた。このようにして得られた第1反応混合物を、140℃の温度に達するまで45分間かけて激しく撹拌し(600回転/分)、リグニンとセルロースを含有する第1固相と、 ヘミセルロースに由来する糖を含む第1液相から成る第2反応混合物が得られた。オートクレーブを室温(23℃)に冷却した後、前記相を濾過により分離した。上記出発バイオマスの組成は、その総重量に対して40.3重量%のセルロース、18.7重量%のヘミセルロースおよび30.4重量%のリグニンであった。残りは、有機酸、タンパク質および非タンパク質性窒素化合物、脂質および無機塩からなることがわかった。第1水相を上記のように分析したところ、以下の結果が得られた。 収率:99.1%(出発バイオマス中に存在するヘミセルロースの全量に対して) C6分解率:0.0% C5分解率:0.9% C5含量:83.1%

実施例6:エチドロン酸による加水分解 予め粉砕したグアユールバガス(粒子径<2mm)25gを開放系のBuchiモデル3E/1.0Lオートクレーブに入れた。続いて、pH1.1のエチドロン酸の水溶液、すなわち1‐ヒドロキシエタン‐1,1‐ジホスホン酸CH3CH(OH)[P(O)(OH)2] 500gを入れた。このようにして得られた第1反応混合物を、140℃の温度に達するまで45分間かけて激しく撹拌し(600回転/分)、リグニンとセルロースを含有する第1固相と、 ヘミセルロースに由来する糖を含む第1液相から成る第1反応混合物が得られた。オートクレーブを室温(23℃)に冷却した後、前記相を濾過により分離した。上記のようにして測定した出発バイオマスの組成は、その総重量に対して40.3重量%のセルロース、18.7重量%のヘミセルロースおよび30.4重量%のリグニンであった。残りは、有機酸、タンパク質および非タンパク質性窒素化合物、脂質および無機塩からなることがわかった。第1液相を上記のように分析したところ、以下の結果が得られた。 収率:98.2%(出発バイオマス中に存在するヘミセルロースの全量に対して) C6分解率:0.0% C5分解率:1.1% C5含量:84.3%

比較例2:リン酸による加水分解 予め粉砕されたグアユール(グアユールゴムノキ(Parthenium argentatum))バガス(粒子径<2mm)25gを開放系のBuchiモデル3E/1.0Lオートクレーブに入れた。次いで、pH1.1のリン酸H3POH4の水溶液500gを入れた。このようにして得られた第1反応混合物を、140℃の温度に達するまで45分間かけて激しく撹拌し(600回転/分)、第2反応混合物をリグニンとセルロースを含有する第1固相と、 ヘミセルロースに由来する糖を含む第1液相から成る第2反応混合物が得られた。オートクレーブを室温(23℃)に冷却した後、前記相を濾過により分離した。上記のようにして測定した出発バイオマスの組成は、その総重量に対して40.3重量%のセルロース、18.7重量%のヘミセルロースおよび30.4重量%のリグニンであった。残りは、有機酸、タンパク質および非タンパク質性窒素化合物、脂質および無機塩からなることがわかった。第1液相を上記のように分析したところ、以下の結果が得られた。 収率:87%(出発バイオマス中に存在するヘミセルロースの全量に対して) C6分解率:3.3% C5分解率:9.7% C5含量:71.1%

実施例5および6および比較例2から明らかなように、同じ条件下で作用すると、リン酸を使用した場合(比較例2)、本発明に従ってアルキルホスホン酸を使用した実施例5,6と比較して、炭素原子数5〜6の糖の収率はより低く、副生成物(フルフラール(F)およびヒドロキシメチルフルフラール(HMF))の量はより多いことがわかった。

実施例7:葉のメタンスルホン酸による加水分解 精油とワックスの抽出後に得られた、含水率50%葉の画分(101)25gを開放系のBuchiモデル3E/1.0Lオートクレーブに入れた。次に、pH1.1のメタンスルホン酸(CH3‐SO3H)の水溶液500gを入れた。このようにして得られた第1反応混合物を、140℃の温度に達するまで45分間かけて激しく撹拌し(600回転/分)、リグニンとセルロースを含有する第1固相と、 ヘミセルロースに由来する糖を含む第1液相から成る第2反応混合物が得られた。オートクレーブを室温(23℃)に冷却した後、前記相を濾過により分離した。上記のようにして測定した出発バイオマスの組成は、その総重量に対して30重量%のセルロース、30重量%のヘミセルロースおよび4重量%のリグニンであった。残りは、有機酸、タンパク質および非タンパク質性窒素化合物、脂質および無機塩からなることがわかった。第1水相を上記のように分析したところ、以下の結果が得られた。 収率:98.8%(出発バイオマス中に存在するヘミセルロースの全量に対して) C6分解率:0.0% C5分解率:1.6% C5含有量:60%

実施例8:葉のメタンホスホン酸による加水分解 精油およびワックスの抽出後に得られた、50%の含水量を有する10gの葉の画分(101)を開放系のBuchiモデル3E/1.0Lオートクレーブに入れた。次に、pH1.1のメタンホスホン酸水溶液500gを入れた。このようにして得られた第1反応混合物を、140℃の温度に達するまで45分間かけて激しく撹拌し(600回転/分)、リグニンとセルロースを含有する第1固相と、 ヘミセルロースに由来する糖を含む第1液相から成る第2反応混合物が得られた。オートクレーブを室温(23℃)に冷却した後、前記相を濾過により分離した。上記のようにして測定した出発バイオマスの組成は、その総重量に対して30重量%のセルロース、30重量%のヘミセルロースおよび4重量%のリグニンであった。残りは、有機酸、タンパク質および非タンパク質性窒素化合物、脂質および無機塩からなることがわかった。第1水相を上記のように分析したところ、以下の結果が得られた。 収率:97%(出発バイオマス中に存在するヘミセルロースの全量に対して) C6分解率:0.0% C5分解率:1.4% C5含量:65%

実施例10:酸で前処理した残渣の酵素加水分解 メタンホスホン酸によるヘミセルロースの加水分解後の実施例5に由来するグアユール(グアユールゴムノキ(Parthenium argentatum))残留物10g(水分含量:50%)を、450gの水と共に閉鎖系連続槽型反応器に入れた。試料中に存在するセルロース20mg/gの濃度に相当する酵素混合剤(Novozyme社(デンマーク))を添加した。この混合物は主にセルラーゼを含むが、ヘミセルラーゼおよびβ‐グルコシダーゼも含んでいた。このようにして得られた第1反応混合物を50℃で60時間激しく攪拌した(300回転/分)。前記時間の後、残りの固相を濾過により上清から分離した。上記のようにして測定した出発バイオマスの組成は、その総重量に対して49重量%のセルロース、1.0重量%のヘミセルロースおよび36.9重量%のリグニンであった。75%のセルロース加水分解収率に相当する1.7gのグルコースが得られた。実施例5で得られたヘミセルロースの変換率を考慮すると、利用可能な糖に対する単糖への総変換率は83%であった。

比較例3:未加工、酸前処理無しのバガスの酵素加水分解 ラテックス抽出後の未処理グアユール(グアユールゴムノキ(Parthenium argentatum))バガス10g(含水率50%)を、450gの水と共に閉鎖系連続槽型反応器に入れた。試料中に存在するセルロース30mg/gの濃度に相当する酵素の混合物(Novozyme社(デンマーク))を添加した。この混合物は主にセルラーゼを含むが、ヘミセルラーゼおよびβ‐グルコシダーゼも含んでいた。このようにして得られた第1反応混合物を50℃で60時間激しく攪拌した(300回転/分)。前記時間の後、残りの固相を濾過により上清から分離した。上記のようにして決定した出発バイオマスの組成は、40重量%のセルロース、18.7%のヘミセルロースおよび30.4%のリグニンであった。残りは、有機酸、タンパク質および非タンパク質性窒素化合物、脂質および無機塩からなることがわかった。4%のヘミセルロース加水分解収率に相当する0.02gのキシロース、および10%のセルロース加水分解収率に相当する0.19gのグルコースが得られた。したがって、炭水化物の総加水分解収率は、利用可能な糖に対して8%であった。

実施例10および比較例3は、発酵性糖への良好なレベルの変換を達成するためには、バイオマスを酸で前処理しなければならないことを示している。

実施例11:希酸および酵素で処理したバガスからの樹脂抽出 希酸処理(404)および酵素処理(402)(実施例10)に由来する100gの湿性バガスを1Lフラスコに入れた。観察されるとおり、ヘミセルロースの成分(約18重量%)は完全に加水分解され、セルロースは75%加水分解された。残りのリグノセルロース系残渣には依然として残留樹脂およびゴム(ラテックスとして抽出されていない)が含まれていた。水50%を含む試料を500cm3のアセトンに懸濁させた。混合物を45℃で2時間撹拌し、濾過し、新しい溶媒で洗浄を行った。アセトン溶液を濃縮した。5.9gの樹脂が得られ、これはヘミセルロースおよび(部分的に)セルロースを含まない乾燥残留物11.8%に相当する。酸による加水分解前の未処理バガスに対する前記量は、最初のバガス中に存在する樹脂の総量(7.5%)に相当する。

比較例4:酸処理済みおよび脱水残渣の酵素加水分解 メタンホスホン酸でヘミセルロースを加水分解し、樹脂を抽出(302)した後の実施例3由来のグアユール残渣物10g(水分含量:50%)を水450gとともに閉鎖系連続槽型反応器に入れた。試料中に存在するセルロース20mg/gの濃度に相当する酵素混合剤(Novozyme社(デンマーク))を添加した。この混合物は主にセルラーゼを含むが、ヘミセルラーゼおよびβ‐グルコシダーゼも含んでいた。このようにして得られた第1反応混合物を50℃で60時間激しく攪拌した(300回転/分)。前記時間の後、残りの固相を濾過により上清から分離した。出発バイオマスの組成は、その総重量に対して53重量%のセルロース、0.2重量%のヘミセルロースおよび40重量%のリグニンであった。55%のセルロース加水分解収率に相当する1.3gのグルコースが得られた。実施例5で得られたヘミセルロースの変換率を考慮すると、利用可能な糖に対する単糖への総変換率は69%であった。

比較例5:脱水され酸処理された残渣の酵素加水分解 樹脂を抽出し、続いてメタンホスホン酸でヘミセルロースを加水分解した後の比較例6由来のグアユール残留物10g(水分含量:50%)を水450gとともに閉鎖系連続槽型反応器に入れた。試料中に存在するセルロース30mg/gの濃度に対応する酵素混合剤(Novozyme社(デンマーク))を添加した。この混合物は主にセルラーゼを含むが、ヘミセルラーゼおよびβ‐グルコシダーゼも含んでいた。このようにして得られた第1反応混合物を50℃で60時間激しく攪拌した(300回転/分)。前記時間の後、残りの固相を濾過により上清から分離した。出発バイオマスの組成は、その総重量に対して51重量%のセルロース、3重量%のヘミセルロースおよび38重量%のリグニンであった。50%のセルロース加水分解収率に相当する1.2gのグルコースが得られた。得られたヘミセルロースの変換率(85%)を考慮に入れると、利用可能な糖に対する単糖への総変換率は61%であった。

比較例4および5は、表1に示すように、「炭水化物加水分解/樹脂抽出」の順序が変更されると、炭水化物変換レベルが明らかに低いことを示す。 この手順の変更は、セルロースを最終的に酵素加水分解する前に樹脂抽出工程を実施することであり、ヘミセルロースを希酸で加水分解する前に樹脂抽出する場合も、その後に樹脂抽出をする場合の両方を含む。一方、注目すべき点は、酵素での最終加水分解前に樹脂抽出を行い、樹脂回収を優先させたい場合、既に酸処理を行っているのであれば、樹脂回収で必要な溶媒量は半分となることである(実施例3)。

比較例6:脱樹脂残渣のメタンスルホン酸による加水分解 比較例1で処理したグアユールバガス残渣(樹脂抽出後)25gを開放系のBuchiモデル3E/1.0Lオートクレーブに入れた。次に、pH1.1のメタンホスホン酸CH3‐P(O)(OH)2の水溶液500gを入れた。このようにして得られた第1反応混合物を、140℃の温度に達するまで45分間かけて激しく攪拌し(600回転/分)、リグニンとセルロースとを含む第1固相と、ヘミセルロースに由来する糖を含む第1液相からなる第2反応混合物を得た。オートクレーブを室温(23℃)に冷却した後、前記相を濾過により分離した。バイオマスの組成は、セルロース43重量%、ヘミセルロース20重量%およびリグニン32重量%であった。残りは、有機酸、タンパク質および非タンパク質性窒素化合物、脂質および無機塩からなることがわかった。第1液相を上記のように分析したところ、以下の結果が得られた。 収率:85%(出発バイオマス中に存在するヘミセルロースの全量に対して) C6分解率:0.0% C5分解率:01.1% C5含量:75.1%

比較例6では、比較例5の酵素加水分解に使用される残渣を調製する。比較例6は、実施例5と合わせて、比較例4および比較例5で使用される脱樹脂残渣および未脱樹脂残渣の調製について明示する。

実施例12:葉をメタンスルホン酸で前処理した残留物の酵素加水分解 メタンスルホン酸によるヘミセルロースの加水分解後の実施例8由来のグアユール葉の固形残渣(含水率:50%)10gを、450gの水と共に閉鎖系連続槽型反応器に入れた。試料中に存在するセルロース40mg/gの濃度に相当する酵素(Novozyme社(デンマーク))の混合物を添加した。この混合物は主にセルラーゼを含むが、ヘミセルラーゼおよびβ‐グルコシダーゼも含んでいた。このようにして得られた第1反応混合物を50℃で60時間激しく攪拌した(300回転/分)。前記時間の後、残りの固相を濾過により上清から分離した。上記のようにして測定した出発バイオマスの組成は、その総重量に対して43重量%のセルロース、1.0重量%のヘミセルロースおよび5.6重量%のリグニンであった。72%のセルロース加水分解収率に相当する1.4gのグルコースが得られた。実施例8で得られたヘミセルロースの変換率を考慮に入れると、利用可能な糖に対する単糖への総変換率は85%であった。

実施例13:葉を前処理した残留物の酵素加水分解 メタンホスホン酸によるヘミセルロースの加水分解後の実施例9由来のグアユール葉の固形残渣(含水率:50%)10gを、450gの水と共に閉鎖系連続槽型反応器に入れた。試料中に存在するセルロース40mg/gの濃度に相当する酵素混合剤(Novozyme社(デンマーク))を添加した。この混合物は主にセルラーゼを含むが、ヘミセルラーゼおよびβ‐グルコシダーゼも含んでいた。このようにして得られた第1反応混合物を50℃で60時間激しく攪拌した(300回転/分)。前記時間の後、残りの固相を濾過により上清から分離した。上記のようにして測定した出発バイオマスの組成は、その総重量に対して43重量%のセルロース、1.0重量%のヘミセルロースおよび5.6重量%のリグニンであった。74%のセルロース加水分解収率に相当する1.5gのグルコースが得られた。実施例9で得られたヘミセルロース変換率を考慮すると、利用可能な糖に対する単糖への総変換率は86%であった。

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