アルキルアミン誘導体の製造方法及びその製造中間体

申请号 JP2017521942 申请日 2016-05-31 公开(公告)号 JPWO2016194881A1 公开(公告)日 2018-03-22
申请人 味の素株式会社; 发明人 岡戸 康太朗; 阿部 誠輝; 室野井 真; 小林 泰久; 丹羽 誠司; 松澤 俊博;
摘要 以下の工程(a)、(b)を含む、式(I)で表されるウレア結合を有するアルキルアミン誘導体、又はその塩の製造方法:工程(a):【化38】工程(b):工程(a)で得られた反応物を、必要に応じて脱保護する工程により、CaSRアゴニスト作用を有する薬剤として有用性の高い化合物である、式(I)で示されるウレア結合を有するアルキルアミン誘導体の工業化に適した製造方法が提供される。
权利要求

以下の工程(a)、(b)を含む、式(I)で表される化合物、又はその塩の製造方法: (式中、R1は、原子であり、 Rhは、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基、またはベンジルオキシ基を表し、 R2は、スルホ基であり、 R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のC1−6アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基、ニトロ基、または、アミノ基を表す) (a)式(II): (式中、R1aは、水素原子、またはアミノ基の保護基を表す。) で表される化合物又はその塩に、カルボニル基導入試薬、及び、式(III): で表される化合物またはその塩を、溶媒に溶解又は懸濁させ、塩基存在下又は非存在下において反応させる工程;および (b)工程(a)で得られた反応物を、必要に応じて脱保護する工程。式(II)において、R1aがベンジルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基で表される請求項1記載の製造方法。式(III)において、R3及びR4がそれぞれ独立して、水素原子、非置換のC1−6アルキル基、ハロゲン原子、または、ヒドロキシ基で表される請求項1又は2に記載の製造方法前記カルボニル基導入試薬がクロロギ酸エステル、カルボニルジイミダゾール、ホスゲン、トリホスゲン、または炭酸ジメチルである請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。前記工程(a)において、前記カルボニル基導入試薬がカルボニルジイミダゾールであり、前記塩基は非存在であり、前記溶媒がアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン及びアセトニトリルから選ばれる1種または2種以上の溶媒である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。前記工程(a)において、前記カルボニル基導入試薬がクロロギ酸エステルであり、前記塩基がトリエチルアミン、ピリジン、及びジイソプロピルエチルアミンから選ばれる1種または2種以上の塩基であり、前記溶媒がアセトニトリル、プロピオニトリル、ジクロロメタン、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミドおよびテトラヒドロフランから選ばれる1種または2種以上の溶媒である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。前記クロロギ酸エステルが、クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、クロロギ酸フェニル、クロロギ酸4−クロロフェニルまたはクロロギ酸4−ニトロフェニルである請求項6に記載の製造方法。以下の工程(a−1)、(a−2)および(b)を含む、式(I)で表される化合物、又はその塩の製造方法: (式中、R1は、水素原子であり、 Rhは、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基、またはベンジルオキシ基を表し、 R2は、スルホ基であり、 R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のC1−6アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基、ニトロ基、または、アミノ基を表す) (a−1)式(III): で表される化合物またはその塩を、クロロギ酸エステルと溶媒に溶解又は懸濁させ、塩基存在下又は非存在下において反応させ、式(IVb): (式中、Rh’はC1−6アルコキシ基、ベンジルオキシ基、またはフェノキシ基を示す。)の化合物、またはその塩を含む反応物を得る工程、 (a−2)上記工程(a−1)で得られた式(IVb)の化合物またはその塩を含む反応物に、式(II): (式中、R1aは、水素原子、またはアミノ基の保護基を表す。) で表される化合物又はその塩を、反応させる工程、 (b)工程(a−2)で得られた反応物を、必要に応じて脱保護する工程。R1aがtert−ブトキシカルボニル基であり、前記工程(b)において、脱保護試薬として塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、またはトリフルオロ酢酸を用いる請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。R1aがベンジルオキシカルボニル基であり、前記工程(b)において、脱保護試薬として臭化水素/酢酸を用いるか、パラジウム炭素を用いた水素化反応を行う請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。Rhがtert−ブトキシ基であり、前記工程(b)において、脱保護試薬として塩酸、ギ酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、または水酸化カリウムを用いる請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。Rhがメトキシ基であり、前記工程(b)において、脱保護試薬として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、または水酸化リチウムを用いる請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。下記式: で表される化合物又はその塩。下記式: で表される化合物又はその塩。

说明书全文

本発明は、アルキルアミン誘導体の新規な製造方法及びその新規な製造中間体に関する。

近年、CaSR(calcium-sensing receptor、カルシウム感知受容体)の活性化により改善される疾患として、下痢、消化性潰瘍、副甲状腺機能亢進症、維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症等の研究が進み、CaSRの活性化作用を有する化合物の治療剤又は予防剤への応用が期待されている。例えば、CaSR作動薬であるシナカルセト(Cinacalcet;CCT)が副甲状腺のCaSRに作用してCaSRのCa2+感受性を上げることにより、副甲状腺ホルモンの分泌を抑制する作用を有することが明らかとなっており(非特許文献1)、透析患者の二次性副甲状腺機能亢進症の治療薬として上市されている(非特許文献2)。 本出願人は既にCaSRアゴニスト作用を有し、CaSRの活性化により改善される疾患に対する治療剤又は予防剤として有用性の高いアルキルアミン誘導体に関する発明を行い、特許出願を行っている(特許文献1、特許文献2)。 特許文献1や特許文献2では、一般式(I−c)に含まれるウレア結合を有するアルキルアミン誘導体の一般的な製造方法として、下記スキームに示す方法が示されている(式中の記号は、特許文献1を参照のこと)。

一般式(2c)に示されるアルキルアミン誘導体のアミンまたはその塩と、一般式(3)のアミン誘導体を適当な溶媒に溶解または懸濁させ、トリエチルアミン、ピリジンのような塩基存在下、あるいは非存在下において、CDI(カルボニルジイミダゾール)、ホスゲン、トリホスゲンのような縮合剤あるいは炭酸ジメチルのようなカルボニル源を混合させ、必要に応じて反応系を冷却、加熱等を行うことでウレア誘導体(I−c)を製造することができる。

しかしながら、特許文献1や特許文献2の実施例では、収率も工業的プロセスとするには相応しいものではなかった。また、特許文献1に記載された製造方法は、逆相高速液体クロマトグラフィーを用いた精製が必要であった。したがって、アルキルアミン誘導体はCaSRの活性化により改善される疾患に対する有用な治療剤又は予防剤として期待できるものの、従来の製造方法よりも工業的に効率良く製造しうる新しい方法が望まれていた。

国際公開第2011/108690号

特開2013−63971号公報

Current Opinion Pharmacology (2002), 2: 734−739

「レグパラ錠(登録商標)25mg/レグパラ錠(登録商標)75mg」医療用医薬品添付文書、2010年1月改訂〈第5版〉

本発明は、CaSRアゴニスト作用を有する薬剤として有用性の高い化合物である、式(I)で示されるウレア結合を有するアルキルアミン誘導体の工業化に適した製造方法を提供することを目的とする。特に、目的のウレア結合を有するアルキルアミン誘導体を、逆相高速液体クロマトグラフィーによる精製を必要としない簡便かつ高収率・高品質で製造する方法に関する。

上記課題を解決するため、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、以下に示す、ウレア結合を有するアルキルアミン誘導体を製造する工業的製法、およびそれに用いられる新規な中間体を見出し、本発明を完成するに至った。 即ち、本発明は、下記式(I)で表されるウレア結合を有するアルキルアミン誘導体を製造する工業的製法、及び、その製造に有用な中間体を提供する。

すなわち、本発明は、以下に関する。 [1] 以下の工程(a)、(b)を含む、式(I)で表される化合物、又はその塩の製造方法:

(式中、R1は、原子であり、 Rhは、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基、またはベンジルオキシ基を表し、 R2は、スルホ基であり、 R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のC1−6アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基、ニトロ基、または、アミノ基を表す) (a)式(II):

(式中、R1aは、水素原子、またはアミノ基の保護基を表す。) で表される化合物又はその塩に、カルボニル基導入試薬、及び、式(III):

で表される化合物またはその塩を、溶媒に溶解又は懸濁させ、塩基存在下又は非存在下において反応させる工程;および (b)工程(a)で得られた反応物を、必要に応じて脱保護する工程。 [2] 式(II)において、R1aがベンジルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基で表される上記[1]に記載の製造方法。 [3] 式(III)において、R3及びR4がそれぞれ独立して、水素原子、非置換のC1−6アルキル基、ハロゲン原子、または、ヒドロキシ基で表される上記[1]又は[2]に記載の製造方法。 [4] 前記カルボニル基導入試薬がクロロギ酸エステル、カルボニルジイミダゾール、ホスゲン、トリホスゲン、または炭酸ジメチルである上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の製造方法。 [5] 前記工程(a)において、前記カルボニル基導入試薬がカルボニルジイミダゾールであり、前記塩基は非存在であり、前記溶媒がアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン及びアセトニトリルから選ばれる1種または2種以上の溶媒である、上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の製造方法。 [6] 前記工程(a)において、前記カルボニル基導入試薬がクロロギ酸エステルであり、前記塩基がトリエチルアミン、ピリジン、及びジイソプロピルエチルアミンから選ばれる1種または2種以上の塩基であり、前記溶媒がアセトニトリル、プロピオニトリル、ジクロロメタン、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミドおよびテトラヒドロフランから選ばれる1種または2種以上の溶媒である、上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の製造方法。 [7] 前記クロロギ酸エステルがクロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、クロロギ酸フェニル、クロロギ酸4−クロロフェニルまたはクロロギ酸4−ニトロフェニルである上記[6]に記載の製造方法。 [8] 以下の工程(a−1)、(a−2)および(b)を含む、式(I)で表される化合物、又はその塩の製造方法:

(式中、R1は、水素原子であり、 Rhは、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基、またはベンジルオキシ基を表し、 R2は、スルホ基であり、 R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のC1−6アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基、ニトロ基、または、アミノ基を表す) (a−1)式(III):

で表される化合物またはその塩を、クロロギ酸エステルと溶媒に溶解又は懸濁させ、塩基存在下又は非存在下において反応させ、式(IVb):

(式中、Rh’はC1−6アルコキシ基、ベンジルオキシ基、またはフェノキシ基を示す。)の化合物、またはその塩を含む反応物を得る工程、 (a−2)上記工程(a−1)で得られた式(IVb)の化合物またはその塩を含む反応物に、式(II):

(式中、R1aは、水素原子、またはアミノ基の保護基を表す。) で表される化合物又はその塩を、反応させる工程、 (b)工程(a−2)で得られた反応物を、必要に応じて脱保護する工程。 [9] R1aがt−ブトキシカルボニル基であり、前記工程(b)において、脱保護試薬として塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、またはトリフルオロ酢酸を用いる上記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の製造方法。 [10] R1aがベンジルオキシカルボニル基であり、前記工程(b)において、脱保護試薬として臭化水素/酢酸を用いるか、パラジウム炭素を用いた水素化反応を行う上記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の製造方法。 [11] Rhがt−ブトキシ基であり、前記工程(b)において、脱保護試薬として塩酸、ギ酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、水酸化カリウムを用いる上記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の製造方法。 [12] Rhがメトキシ基であり、前記工程(b)において、脱保護試薬として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムを用いる上記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の製造方法。 [13] 下記式:

で表される化合物又はその塩。 [14] 下記式:

で表される化合物又はその塩。 [15] 逆相高速液体クロマトグラフィーによる精製を必要としない前記[1]〜[12]のいずれか1項に記載の製造方法。

本発明はアルキルアミン誘導体の大量合成に適した製造方法および新規な中間体を提供する。本発明の製造方法においては、カルボルニル基導入試薬として、クロロギ酸エステル、CDI、ホスゲン、トリホスゲンを使用し、必要に応じて所定の脱保護工程を経ることにより、逆相高速液体クロマトグラフィーによる精製を必要とせず、式(I)の化合物を収率よく高純度で目的化合物であるウレア構造を有するアルキルアミン誘導体を製造することができる。

「C1−6アルキル基」とは、炭素数1〜6の直鎖状および分枝鎖状の脂肪族炭化水素から任意の水素原子を1個除いて誘導される1価の基である。具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、ヘキシル基などが挙げられる。好ましくはC1−3アルキル基である。

「C1−6アルコキシ基」とはC1−6アルキル−O−を意味する。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、1−プロポキシ基、2−プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、1−ペンチルオキシ基、2−ペンチルオキシ基、3−ペンチルオキシ基、2−メチル−1−ブチルオキシ基、3−メチル−1−ブチルオキシ基、2−メチル−2−ブチルオキシ基、3−メチル−2−ブチルオキシ基、2,2−ジメチル−1−プロピルオキシ基、1−へキシルオキシ基、2−へキシルオキシ基、3−へキシルオキシ基などがあげられる。好ましくはC1−3アルコキシ基である。

「ハロゲン原子」とは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子などを意味する。

R1aにおける「アミノ基の保護基」としては、該反応を阻害しない保護基であれば何れをも用いることができ、カルバメート系保護基(例、ベンジルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基など)、アミド系保護基(例、ホルミル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基など)、アミノアセタール系保護基(例、ベンジルオキシメチル基など)、ベンジル系保護基(例、ベンジル基など)、その他、上記以外で、トリチル基などが好ましく用いられ、中でもベンジルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基が特に好ましい。

本発明は、下記式(I)で表される化合物またはその塩の製造方法、好ましくは工業的製法に関する。 ここで、「工業的製法」とは、目的物を工業的に製造するための効率的な方法を意味し、高収率、および/または高純度で目的物を製造する簡便な方法である。具体的には、工業的製法には適さない精製工程、例えば、逆相高速液体クロマトグラフィーによる精製、を必要としない製造方法である。 本発明の製造方法の各工程を、以下に詳細に説明する。 工程(a)

(式中の記号は、前記の通りである。) 本工程は、式(II)の化合物またはその塩と式(III)の化合物またはその塩をカルボニル基導入試薬で反応させ、式(I)の化合物またはその塩を得る工程である。 上記反応は通常溶媒中で行われ、該溶媒としては、該反応を阻害しないものであれば何れでもよく、たとえば炭化水素類(例、n−ヘキサン、n−ヘプタン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(例、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼンなど)、エーテル類(例、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、エチレングリコールジメチルエーテルなど)、アミド類(例、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなど)、エステル類(例、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸メチルなど)、ニトリル類(例、アセトニトリル、プロピオニトリルなど)、スルホキシド類(例、ジメチルスルホキシド、スルホランなど)、ケトン類(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキノンなど)、酸類(例、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、硫酸)、水、アルコール類(例、メタノール、エタノール、プロパノールなど)などが挙げられ、これらの溶媒は単独あるいは二種以上の混合系として用いることができる。

上記反応は塩基の存在下または非存在下で行われ、該塩基としては、1)無機塩基、たとえばアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウムなど)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩(例、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなど)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸水素塩(例、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなど)など、2)有機塩基、たとえばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ジメチルアミノピリジン、DBU(1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン)、DBN(1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノン−5−エン)などのアミン類あるいはピリジン、イミダゾール、2,6−ルチジンなどの塩基性複素環化合物などが挙げられる。好ましくは、塩基非存在下で行われる。

本発明の方法において用いられるカルボニル基導入試薬としては、クロロギ酸エステル、カルボニルジイミダゾール(CDI)、ホスゲン、トリホスゲン、炭酸ジメチルなどが挙げられる。クロロギ酸エステルのエステル部分は、低級アルキル、または置換されていても良いフェニルであり、置換されていても良いフェニルの置換基としては、ハロゲン原子やニトロ基、メチル基、メトキシ基が挙げられる。カルボニル基導入試薬としては、クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、置換されていても良いクロロギ酸フェニル、またはCDIが好ましく、CDI、クロロギ酸フェニルが特に好ましい。

原料及び試薬の投入順序については特に限定はしないが、用いるカルボニル基導入試薬や式(II)または式(III)の化合物の性質に応じ、カルボニル基導入試薬の溶液に式(II)を加えて反応させた後に、式(III)を反応させる方法、または、カルボニル基導入試薬の溶液に式(III)を加えて反応させた後に、式(II)を反応させる方法で、反応を行うことができる。また、カルボニル基導入試薬と式(II)または式(III)の化合物を反応させた後、反応化合物を単離してから次の反応に用いても良く、反応化合物を単離せずに次の反応に用いても良い。

カルボニル基導入試薬がカルボニルジイミダゾール(CDI)の場合、CDIの溶液または懸濁液に対して、式(II)を投入後、式(III)を加える方が、反応性及び不純物の低減の観点から好ましい。

(式中の記号は前記の通りである。) 式(II)の化合物またはその塩とカルボニルジイミダゾールの反応により得られた反応物から、化合物(IVa)を単離して次の反応に供してもよいが、単離せずにそのまま反応物を使用し、式(III)の化合物またはその塩を加えるのが好ましい。 溶媒として、ケトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類が好ましく、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタンが好ましく、特に、アセトンがより好ましい。反応溶媒の使用量は特に制限されないが、式(II)の化合物1gに対して、約1mlから約10mlが好ましい。塩基を使用する場合は、有機塩基が好ましく、ピリジンがより好ましい。好ましくは、塩基の非存在下で行う。CDIの使用量は、式(II)の化合物1モルに対して、通常、約1モルから約1.5モル、好ましくは約1.1モルである。反応温度は0℃から60℃までの間であり、5℃から40℃が好ましい。反応時間は、通常、約12時間〜24時間である。

カルボニル基導入試薬が置換されていても良いクロロギ酸フェニルの場合、式(III)の化合物を含む溶液または懸濁液に対して、塩基を加え、置換されていても良いクロロギ酸フェニルの溶液を滴下することが収率向上、あるいは、不純物低減の観点から好ましい。

(式中の記号は前記の通りである。) 式(III)の化合物またはその塩と置換されていても良いクロロギ酸フェニルの反応により得られた反応物から、化合物(IVb)を単離して次の反応に供してもよいが、単離せずにそのまま反応物を使用し、式(II)の化合物またはその塩を加えるのが好ましい。溶媒として、ニトリル類、アミド類、エーテル類が好ましく、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランがより好ましく、特に、アセトニトリルがより好ましい。反応溶媒の使用量は特に制限されないが、式(III)の化合物1gに対して、約3mlから約20mlが好ましい。塩基は有機塩基が好ましく、カルバメート化では、ピリジンがより好ましく、ウレア化では、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンがより好ましい。置換されていても良いクロロギ酸フェニルの使用量は、式(III)の化合物1モルに対して、通常、約1モルから約1.5モル、好ましくは約1.1モルである。塩基の使用量は、式(III)の化合物1モルに対して、通常、反応の活性化に必要となる量であり、約2モルから約6モルが好ましい。反応温度は0℃から70℃までの間であり、25℃から60℃が好ましい。反応時間は、通常、約4時間〜12時間である。

工程(b)(脱保護) 本工程は、得られる化合物により必要に応じて行われる工程であり、脱保護方法としては、酸性、塩基性条件下で脱保護試薬を用いて行うか、又は金属触媒存在下で、還元的脱保護反応(加水素分解)を行うことができる。 酸性条件における脱保護試薬としては、塩酸、臭化水素/酢酸、硫酸、ギ酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの酸類や、塩化アセチル/メタノール等の系中で酸類を発生させる方法などが挙げられる。中でも、R1がtert−ブトキシカルボニル基である場合、塩酸、メタンスルホン酸、が好ましく、R1がベンジルオキシカルボニル基である場合、臭化水素/酢酸が好ましく、Rhがtert−ブトキシ基である場合、塩酸が好ましい。 塩基性条件における脱保護試薬としては、上記の無機塩基、有機塩基などが挙げられる。中でも、Rhがメトキシ基である場合、水酸化ナトリウムが好ましい。 脱保護試薬として用いる金属触媒としては、パラジウム触媒(例、パラジウム炭素、水酸化パラジウム炭素、酸化パラジウム)、白金触媒(例、白金炭素、酸化白金)、ロジウム触媒(例、ロジウム炭素)、ルテニウム触媒(例、ルテニウム炭素)などが挙げられる。パラジウム触媒が好ましく、パラジウム炭素がより好ましい。

この反応は工程(a)の溶媒をそのまま使用してもよく、溶媒を追加してもよく、溶媒を濃縮してから他の溶媒を加えて使用してもよく、保護体を取得後、改めて溶媒を追加してもよい。また、該反応を阻害しないものであれば、上記溶媒の何れでもよく、単独あるいは二種以上の混合系として用いることができる。上記溶媒としては、ケトン類、エステル類、ニトリル類、酸類、水が好ましく、アセトン−水混合溶媒、酢酸、アセトニトリル、水がより好ましい。

本発明の化合物が塩の形態を成し得る場合、医薬的に許容しうる塩が好ましい。このような医薬的に許容しうる塩としては、例えば、カルボキシル基等の酸性基を有する化合物に対しては、アンモニウム塩、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム等のアルカリ土類金属との塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、トリエチルアミン、エタノールアミン、モルホリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ジシクロへキシルアミン等の有機アミンとの塩、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸との塩を挙げることができる。塩基性基を有する化合物に対しては、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、臭化水素酸等の無機酸との塩、酢酸、クエン酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸、トリフルオロ酢酸、タンニン酸、酪酸、ヒベンズ酸、パモ酸、エナント酸、デカン酸、テオクル酸、サリチル酸、乳酸、シュウ酸、マンデル酸、リンゴ酸等の有機カルボン酸との塩、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸との塩を挙げることができる。

本発明の方法において、中間体として有用な新規な化合物が提供される。当該化合物は、塩の形態であってもよい。当該塩としては、上記の医薬的に許容しうる塩に挙げたもののほかに、製法上好ましい化学的に許容しうる塩が挙げられ、当該塩として、化学的に許容しうる酸との塩と化学的に許容しうる塩基との塩が含まれる。 化学的に許容しうる酸との塩としては、無機酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、臭化水素酸、等)、有機カルボン酸(例えば、炭酸、酢酸、クエン酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸、トリフルオロ酢酸、タンニン酸、酪酸、デカン酸、サリチル酸、乳酸、シュウ酸、マンデル酸、リンゴ酸等)、有機スルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等)との塩などが挙げられる。 化学的に許容しうる塩基との塩としては、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩、バリウム塩等)、金属塩(例えば、マグネシウム塩、アルミニウム塩等)などが挙げられる。

以下、実施例によって本発明の詳細を述べるが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。 (分析条件) 各種分析手段および分析装置は、以下の通りである。 (1)1H及び13C NMRは、TMSを内部標準物質として、ブルッカー社製アバンス400MHz核磁気共鳴装置で測定を実施した。CDCl3、DMSO−d6、重水は市販品をそのまま使用した。 (2)HPLC分析装置には、以下からなるシステムを主に使用した。 ポンプ:島津製作所社製LC−10AT及びLC−10ATvp オートサンプラー:協和精密社製KMT−100X カラムオーブン:Shodex社製AO−30C及びGLサイエンス社製C0631、スガイ社製U−620 UV検出器:島津製作所社製SPD−10A及びSPD−10Avp HPLCコントローラー:島津製作所社製SCL−10A及びSCL−10Avp (3)HPLCデータ解析処理装置には、GLサイエンス社製EZ ChromElite (Ver.2.8.3、ビルド2249)と島津製作所社製Class−VP (バージョン6.10)及び(株)島津製作所社製のCR−7Aplusとを使用した。 (4)イオンクロマト(Clアニオン)には、米国ダイオネクス社製装置(DIONEX、DX−120)を使用し、データ解析装置は島津製作所社製CR−7Aplusを用いた。 イオンクロマト分析の溶離液には、1M Na2CO3/1M NaHCO3=9/1を使用し、分析サンプルはイオンフリーの水に溶解させて分析した。塩化物イオン(Cl)の標準品は塩化カリウムを使用した。 (5)LC/MSスペクトルには、UPLC/SQDシステム、MS検出器:SQDを使用した。 (6)精密質量分析(HRMS)には、日本電子社製MS700V、FABマトリックスはYOKUEDL−FAB−Matrix(m−NBA/DTTの混合物)を使用した。 (7)本実施例において、使用した原料及び試薬類はいずれも市販品を特に精製することなくそのまま使用した。 3−アミノ−N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−アラニン tert−ブチルエステル塩酸塩(以下、Boc−DAP−OtBu・HClと表記)(渡辺化学工業(株)社製) 3−アミノ−N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−アラニン メチルエステル塩酸塩(以下、Boc−DAP−OMe・HClと表記)(渡辺化学工業(株)社製) 3−アミノ−N−(ベンジルオキシカルボニル)−L−アラニン メチルエステル塩酸塩 (以下、Cbz−DAP−OMe・HClと記載)(渡辺化学工業(株)社製) 3−アミノ−5−クロロ−2−ヒドロキシベンゼンスルホン酸(以下、ACHBと表記)(東京化成工業(株)社製) 3−アミノベンゼンスルホン酸(以下、ABSと表記)(東京化成工業(株)社製) 3−アミノ−5−クロロ−4−メチルベンゼンスルホン酸(以下、ACTSと表記)(東京化成工業(株)社製) N,N‘−カルボニルジイミダゾール(以下、CDIと表記)(保土谷化学工業(株)社製) クロロギ酸フェニル(東京化成工業(株)社製) (8)HPLC分析条件は、以下のとおりである。 溶離液組成:A液−0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、B液−0.1%トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル、流速:1.0mL/min 検出器:UV(254 nm)、 使用カラム:逆相ODSシリカゲルカラム(資生堂社製 CAPCELL PAC typeMGII、カラムサイズ:内径φ4.6mm x 長150mm、5μm、或いは島津製作所社製 XR−ODS カラムサイズ:内径φ3.0mm × 長75mm 2.2μm) カラム温度:40℃ グラジエント分析条件: (A液/B液)=初期(99/1)〜25分後(10/90)〜30分後(10/90)、或いは (A液/B液)=初期(99/1)〜12分後(10/90) サンプル注入量:10μl なお、本明細書中に用いられる略号は、以下の意味を表す。 AcOEt:酢酸エチル AcOH:酢酸 ABS:3−アミノベンゼンスルホン酸 ACHB:3−アミノ−5−クロロ−2−ヒドロキシベンゼンスルホン酸 ACTS:3−アミノ−5−クロロ−4−メチルベンゼンスルホン酸 DAP:2,3−ジアミノプロパン酸 IPA:イソプロピルアルコール MeCN:アセトニトリル MsOH:メタンスルホン酸 Py:ピリジン TEA:トリエチルアミン THF:テトラヒドロフラン

(実施例1) (2S)−2−アミノ−3−{[(5−クロロ−2−ヒドロキシ−3−スルホフェニル)カルバモイル]アミノ}プロパン酸(化合物1)の合成

CDI 150.2g(926.6mmol、1.1eq. vs Boc−DAP−OtBu)に対し、アセトン750mL(3.0L/kg)を加えて5℃で撹拌した。Boc−DAP−OtBu 250g(842.6mmol)を2分割で加えてアセトン125mL(0.5L/kg)で洗いこみを行った。30分撹拌を行った後、HPLCでIC(イミダゾイルカルボニル)化反応終了を確認した。ACHB 282.6g(1263.8mmol、1.5eq.)を3分割で加えてアセトン125mL(0.5L/kg)で洗いこみを行った。30℃に昇温後、18時間撹拌を行った後、HPLCでウレア化反応終了を確認した。5℃に冷却後、濃塩酸124.5mL(1432.4mmol、1.7eq.)を加えて1時間撹拌した。析出した不要物をろ過し、アセトン1000mL(4.0L/kg)で洗浄した。ろ液を1018g(4.1kg/kg)まで濃縮し、50℃に昇温後、濃塩酸625.0mL(7187mmol、8.5eq.)を滴下した。30分撹拌し、HPLCで脱保護終了を確認した後、水750mLを加えた(3.0L/kg)。この液を1730g(6.9kg/kg)まで減圧濃縮して固体を析出させた。20℃で14時間撹拌後、減圧ろ過を行った。ろ過した固体をアセトン500mL(2.0L/kg)で洗浄した後、60℃で6時間減圧乾燥して目的物201.4gを得た(64.5%)。 1H-NMR (400MHz, DMSO-d6): δ 8.3 (s, 1H), 8.2 (bs, 3H), 8.1 (d, 1H, J=2.6Hz), 7.3 (t, 1H, J=6.0Hz), 7.0 (d, 1H, J=2.6Hz), 4.0-4.1(m, 1H), 3.6-3.7(m, 1H), 3.4-3.5(m, 1H)

(実施例2) (2S)−2−アミノ−3−{[(3−スルホフェニル)カルバモイル]アミノ}プロパン酸(化合物2)の合成

CDI 120.2g(741.2mmol、1.1eq. vs Boc−DAP−OtBu)に対し、アセトン600mL(3.0L/kg)を加えて5℃で撹拌した。Boc−DAP−OtBu 200g(673.9mmol)を2分割で加えてアセトン100mL(0.5L/kg)で洗いこみを行った。30分撹拌を行った後、HPLCでIC化反応終了を確認した。ABS 175.0g(1010.8mmol、1.5eq.)を3分割で加えてアセトン100mL(0.5L/kg)で洗いこみを行った。30℃に昇温し、18時間撹拌を行った後、HPLCでウレア化反応終了を確認した。5℃に冷却後、濃塩酸99.6mL(1145.4mmol、1.7eq.)を加えて1時間撹拌した。析出した不要物をろ過し、アセトン1400mL(7.0L/kg)で洗浄した。ろ液を800.1g(4.0kg/kg)まで濃縮し、50℃に昇温後、濃塩酸500.0mL(5750.0mmol、8.5eq.)を滴下した。30分撹拌し、HPLCで脱保護終了を確認した後、水600mLを加えた(3.0L/kg)。この液を1653.7gまで減圧濃縮して固体を析出させた。20℃で15時間熟成した後、減圧ろ過を行った。ろ過した固体をアセトン400mL(2.0L/kg)で洗浄した後、室温で6時間減圧乾燥して目的物140.3gを得た(net 132.2g、64.7%)。 1H-NMR (400MHz, DMSO-d6): δ 8.8 (s, 1H), 8.2 (bs, 3H), 7.7 (s, 1H), 7.3-7.4 (m, 1H), 7.1-7.2 (m, 2H), 6.3-6.4(bs, 1H), 4.0-4.1(bs, 1H), 3.6-3.7(bs, 1H), 3.5-3.6(bs, 1H)

(実施例3) (2S)−2−アミノ−3−{[(3−クロロ−2−メチル−5−スルホフェニル)カルバモイル]アミノ}プロパン酸(化合物3)の合成

CDI 14.4g(88.8mmol、1.05eq. vs Boc−DAP−OtBu)に対し、アセトン75mL(3.0L/kg vs DAP−OtBu)を加えて5℃で撹拌した。Boc−DAP−OtBu 25g(84.3mmol)を2分割で加えて30分撹拌を行った後、HPLCでIC化反応終了を確認した。ACTS 26.1g(118.0mmol、1.4eq.)を3分割で加えてアセトン25mL(1.0L/kg)で洗いこみを行った。30℃に昇温後、一晩撹拌を行い、HPLCでウレア化反応終了を確認した。10kPa、40℃で溶媒が飛びきるまで減圧濃縮した後、水37.5mL(1.5L/kg)、濃塩酸22.8mL(257.6mmol)を加えて脱保護を2時間行った。HPLCで反応終了を確認した後、5℃に冷却し、MeCN 60mL(2.4L/kg)を加えて一晩撹拌した。さらにMeCN 120mL(4.8L/kg)加えたところ、分層が生じたので、水10mL(0.4L/kg)とMeCN 2.5mL(0.1L/kg)を添加した。析出した固体を減圧ろ過し、MeCN/水(1/2) 60mLで洗浄した後、60℃で14時間減圧乾燥して目的物を白色固体として20.1g得た(net18.3g、収率61.8%)。 1H-NMR (400MHz, DMSO-d6): δ 14.70-13.30 (bs, 1H), 8.27 (bs, 3H), 8.15 (s, 1H), 7.98 (d, 1H, J=1.6Hz), 7.27 (d, 1H, J=1.6Hz), 6.82 (t, 1H, J=6.0Hz), 4.04 (bs, 1H), 3.70-3.60 (m, 1H), 3.60-3.50 (m, 1H), 2.22 (s, 3H)

(実施例4) クロロギ酸フェニルをカルボニル基導入試薬として用いる化合物3の合成 (工程1)

ACTS 50g(225.6mmol)に対し、MeCN 375mL(7.5L/kg vs ACTS)、Py 38.1mL(473.7mmol、2.1eq.)を加えて25℃で撹拌した。ClCO2Ph(クロロギ酸フェニル) 29.9mL(236.8mmol、1.05eq.)を滴下し、30分撹拌後にHPLCでCM(カルバメート)反応終了を確認した。Boc−DAP−OtBu 68.9g(232.4mmol)を加えてTEA 97.5mL(699.3mmol、3.1eq.)を滴下し、25℃で3時間撹拌した。HPLCでウレア化反応終了を確認した。ここで、全量517.43gの内、103.5gを用いて次工程に移行した(ACTS 10gスケールにダウン)。 水 30mLを加えて40℃、5kPaで77.0gまで濃縮した。AcOEt 100mL(10L/kg)を添加して分液操作を行った後、有機層に水30mLを加えて再度分液操作を行った。有機層を40℃、10kPaで47.6gまで濃縮した後、AcOEt 15mL(1.5L/kg)、THF 100mL(10L/kg)を添加した。再度、50.7gまで濃縮し、146gまでTHFを加えた。再び35.5gまで濃縮し、AcOEt 30mL(3L/kg)、THF 100mL(10L/kg)まで加えたところ、固体が析出した。5℃に冷却し、一晩熟成させた。析出した固体を減圧ろ過し、THF 20mL(2.0L/kg)で洗浄した後、30℃で一晩、40℃で3時間減圧乾燥して目的物24.9gを白色固体として得た(net 23.0g、83.6%)。 1H-NMR (400MHz, DMSO-d6): δ 8.86 (bs, 1H), 8.09 (s, 1H), 7.88 (s, 1H), 7.25 (d, 1H, J=1.6Hz), 7.14 (d, 1H, J=7.6Hz), 6.60 (t, 1H, J=5.6Hz), 4.00-3.90 (m, 1H), 3.60-3.50 (m, 1H), 3.30-3.20 (m, 1H), 3.15-3.05 (m, 6H), 2.19 (s, 3H), 1.50-1.30 (m, 18H), 1.20-1.10 (m, 9H) (工程2)

化合物4 21.64g(net.20.0g、32.8mmol)に対し、水68mL(3.4L/kg vs 化合物4)を加えて50℃で撹拌し、濃塩酸12mL(135.6mmol、4.1eq.)を滴下した。1時間撹拌後、70℃に昇温して析出した固体を溶解させた。HPLCで反応終了を確認し、50℃に冷却して1時間熟成させた後、4時間かけて5℃まで冷却した。析出した固体を減圧ろ過し、MeCN/水(2/1)40mL(2.0L/kg)で洗浄した後、60℃で3時間減圧乾燥して目的物11.2gを白色固体として得た(net 10.5g、91.1%)。

(実施例5)

ACTS 1.00g(4.51mmol)に対し、MeCN 10.0mL(10.0 L/kg vs ACTS)、Py 0.75mL(9.25mmol、2.05eq.)、を加えて8℃で撹拌した。ClCO2Ph 0.59mL(4.74mmol、1.05eq.)を滴下し、室温に昇温して1時間撹拌した後、HPLCでCM化反応終了を確認した。Boc−DAP−OtBu 1.33g(4.51mmol、1.0eq.)を加えてTEA 1.92mL(13.76mmol、3.05eq.)を滴下し、40℃で1時間撹拌した。HPLCでウレア化反応終了を確認した後、溶媒が飛びきるまで濃縮した。水1.0mL、濃塩酸2.0mL(22.6mmol、5.0eq.)を添加して50℃で4時間撹拌した。HPLCで脱保護終了確認後、MeCN 7.5mL(7.5L/kg)、1M HCl aq.4.5mLを加えた後、5℃で一晩撹拌した。析出した固体を減圧ろ過し、MeCN 3.0mL(3.0L/kg)で洗浄した後、60℃で一晩乾燥して目的物1.28gを白色固体として得た(net 1.18g、77.0%)。

(実施例6) (工程1) 3−({[(2S)−2−アミノ−3−メトキシ−3−オキソプロピル]カルバモイル}アミノ)−5−クロロ−4−メチルベンゼン−1−スルホン酸(化合物5)の合成

ACTS 5g(22.56mmol)に対し、MeCN 37.5mL(7.5L/kg vs ACTS)、Py 3.81mL(47.38mmol、2.1eq.)を加えて25℃で撹拌した。ClCO2Ph 2.99mL(23.68mmol、1.05eq.)を滴下し、30分撹拌後にHPLCでCM反応終了を確認した。Boc−DAP−OMe 5.92g(23.23mmol、1.03eq.)を加えてTEA 9.75mL(69.93mmol、3.1eq.)を滴下し、25℃で3時間撹拌した。Boc−DAP−OMe 0.4g(1.58mmol、0.07eq.)、TEA 0.22mL(1.58mmol、0.07eq.)を追加し、HPLCでウレア化反応終了を確認した。MsOH 7.32mL(112.8mmol、5.0eq.)を加えて50℃に昇温し、4時間撹拌した。HPLCで脱保護終了を確認した後、25℃に冷却してMeCN 37.5mL(7.5L/kg)、水7.5mL(1.5L/kg)を加えて固体を析出させた。5℃に冷却して16時間熟成させた。析出した固体を減圧ろ過し、水/MeCN(1/2) 20mL(4.0L/kg)で洗浄した後、40℃で5時間減圧乾燥して目的物7.72gを白色固体として得た(net 7.20g、87.3%)。 1H-NMR (400MHz, DMSO-d6): δ 8.39 (bs, 3H), 8.16 (d, 1H, J=1.2Hz), 7.90 (d, 1H, J=1.6Hz), 7.28 (d, 1H, J=1.6Hz), 6.78 (t, 1H, J=5.6Hz), 4.20-4.10 (m, 1H), 3.77(s, 3H), 3.70-3.60 (m, 1H), 3.55-3.45 (m, 1H), 2.21 (s, 3H) HRMS (FAB-):calcd for m/z 364.0369(M-H), found m/z 364.0395(M-H) (工程2)

化合物5 10.64g(net 10.0g、27.34mmol)に対し、水18mL(1.8L/kg vs 化合物5)を添加して8℃で撹拌した。48%水酸化ナトリウム水溶液3.42mL(57.41mmol、2.1eq.)を滴下し、水1.0mL(1.0L/kg)で洗いこみを行った後、8℃で15分間撹拌した。HPLCで加水分解終了を確認した後、25℃に昇温して48% HBr aq.約3.55mLを加えてpHを5.8に調整した。IPA 65mL(6.5L/kg)を滴下して目的物の析出を確認後、1時間熟成させた。IPA 81mL(8.1L/kg)を滴下して8℃で一晩熟成させた。析出した固体を減圧ろ過し、IPA 20mL(2.0L/kg)で洗浄した後、40℃で4時間減圧乾燥して目的物を白色固体として10.7g得た(net 9.46g、92.6%)。 1H-NMR (400MHz, DMSO-d6): δ8.76 (s, 1H), 7.91 (d, 1H, J=1.6Hz), 8.00-7.50 (bs, 2H), 7.24 (d, 1H, J=1.6Hz), 7.20(t, 1H, J=5.6Hz), 3.58-3.54(m, 1H), 3.47-3.43(m, 1H), 3.42-3.37(m, 1H), 2.23(s, 3H)

(実施例7) (工程1)

ACTS 10.0g(45.1mmol)に対し、MeCN 50mL(5.0L/kg vs ACTS)、Py 7.46mL(92.5mmol、2.05eq.)を加えて8℃で撹拌した。ClCO2Ph 5.98mL(47.4mmol、1.05eq.)を滴下し、25℃に昇温して1時間撹拌した後にHPLCでCM反応終了を確認した。アセトン100ml(10.0L/kg vs ACTS)を加えて8℃に冷却し、1時間熟成させた。析出した固体を減圧ろ過し、アセトン30mL(3.0L/kg vs ACTS)で洗浄した後、60℃で2時間減圧乾燥して目的物17.8gを得た(フリー体としてnet 14.4g、quant)。 1H-NMR (400MHz, DMSO-d6): δ 9.76 (bs, 1H), 8.93-8.90 (m, 2H), 8.60-8.50 (m, 1H), 8.10-8.00 (m, 2H), 7.60 (s, 1H), 7.50-7.40 (m, 3H), 7.30-7.20(m, 3H), 2.30 (s, 3H) (工程2)

化合物6 5.0g(11.9mmol)に対し、アセトニトリル50ml、Boc−DAP−OtBu3.53g(11.9mmol)を加えて8℃で撹拌した。トリエチルアミン3.5ml(25mmol)を滴下し、室温で終夜撹拌した。減圧下、溶媒を留去し、酢酸エチル25mlと水5mlを加えて抽出を行った。有機層を水5mlで洗浄し、溶媒を留去し、テトラヒドロフラン50mlを加え、8℃まで冷却し、1時間熟成させた。析出した固体を減圧ろ過し、テトラヒドロフラン10mlで洗浄した後、60℃で終夜減圧乾燥して目的物を白色固体として6.3g得た。

(実施例8)

ACTS 1.08g(4.89mmol)に対し、MeCN 8.1mL(7.5 L/kg vs ACTS)、Py 827μL(10.27mmol、2.1eq.)、を加えて室温で撹拌した。ClCO2Ph 649μL(5.14mmol、1.05eq.)を滴下し、30分撹拌した後、HPLCでCM化反応終了を確認した。Cbz−DAP−OMe・HCl 1.48g(5.04mmol、1.03eq.)を加えてTEA 2.1mL(15.17mmol、3.1eq.)を滴下し、室温で約5時間撹拌した。HPLCでウレア化反応終了を確認した後、溶媒が飛びきるまで濃縮した。30% HBr/AcOH 15.0mLを加えて室温で70分撹拌し、HPLCで脱保護終了を確認した。濃縮乾固後、水 10mL、AcOEt 4mLを加えて抽出操作を行った後、水層を室温で一晩撹拌した。析出した固体を減圧ろ過し、水 15mL、AcOEt 10mLで洗浄した後、40℃で3時間乾燥して目的物を白色固体として1.45g得た(58.8%)。

(実施例9) クロロギ酸フェニルをカルボニル基導入試薬として用いる化合物7(化合物1のメチルエステル体)の合成

ACHB 5.00g(22.4mmol)に対し、MeCN 73mL(14.6 L/kg vs ACHB)、Py 3.8mL(47mmol、2.1eq.)、を加えて40℃で撹拌した。ClCO2Ph 3.0mL(24mmol、1.05eq.)を滴下し、30分撹拌した後、HPLCでCM化反応終了を確認した。Boc−DAP−OMe 5.87g(23mmol、1.0eq.)を加えて少量のMeCNで洗い込み、TEA 9.7mL(70mmol、3.1eq.)を滴下し、40℃で3時間撹拌した。HPLCでウレア化反応終了を確認した後、室温まで冷却した。MsOH 7.3mL(112mmol、5.0eq.)を加えて50℃に昇温し、7時間撹拌した。更にMsOH 1.5mL(23mmol、1.0eq.)を添加し、50℃で終夜反応させた。HPLCで脱保護終了を確認した後、反応液へアセトン 90mLを添加し、室温まで冷却した。析出した固体を取得し、60℃で減圧乾燥し、目的物を得た。 1H-NMR (400MHz, DMSO-d6): δ 7.22 (m, 1H), 7.14 (m, 1H), 4.36 (m, 1H), 3.80 (s, 3H), 3.20-3.40 (m, 2H).

(実施例10) クロロギ酸4−クロロフェニルをカルボニル基導入試薬として用いる化合物5の合成

ACTS 5.00g(22.6mmol)に対し、MeCN 73mL(14.6 L/kg vs ACTS)、Py 3.8mL(47mmol、2.1eq.)、を加えて40℃で撹拌した。クロロギ酸4−クロロフェニル 3.25mL(23.7mmol、1.05eq.)を滴下し、40℃で1.5時間撹拌した後、HPLCでCM化反応終了を確認した。Boc−DAP−OMe 5.92g(23.2mol、1.0eq.)を加えて少量のMeCNで洗い込み、TEA 9.7mL(70mmol、3.1eq.)を滴下し、40℃で2時間撹拌した。HPLCでウレア化反応終了を確認した後、室温まで冷却した。MsOH 7.3mL(113mmol、5.0eq.)を加えて50℃に昇温し、3.5時間撹拌した。HPLCで脱保護終了を確認した後、反応液を室温まで冷却し、水 7.5mLを添加、8℃まで冷却して終夜撹拌した。析出した固体をろ過し、少量のMeCN水で洗浄し、60℃で一晩乾燥して目的物を白色固体として6.94g得た(84.1%)。

(実施例11) クロロギ酸4−ニトロフェニルをカルボニル基導入試薬として用いる化合物5の合成

ACTS 5.00g(22.6mmol)に対し、MeCN 73mL(14.6 L/kg vs ACTS)、Py 3.8mL(47mmol、2.1eq.)、を加えて40℃で撹拌した。クロロギ酸4−ニトロフェニル 4.77mL(23.7mmol、1.05eq.)を滴下し、40℃で3.5時間撹拌した後、HPLCでCM化反応終了を確認した。Boc−DAP−OMe 5.92g(23.2mmol、1.0eq.)を加えて少量のMeCNで洗い込み、TEA 9.7mL(70mmol、3.1eq.)を滴下し、40℃で2時間撹拌した。HPLCでウレア化反応終了を確認した後、室温まで冷却した。MsOH 7.3mL(113mmol、5.0eq.)を加えて50℃に昇温し、3.5時間撹拌した。HPLCで脱保護終了を確認した後、反応液を室温まで冷却し、水 7.5mLを添加、8℃まで冷却して終夜撹拌した。析出した固体をろ過し、少量のMeCN水で洗浄し、60℃で一晩乾燥して目的物を白色固体として5.96g得た(72.2%)。

(実施例12) Boc−DAP−OHを用いた化合物3の合成

ACTS 5.00g(22.6mmol)に対し、MeCN 73mL(14.6 L/kg vs ACTS)、Py 3.8mL(47mmol、2.1eq.)、を加えて40℃で撹拌した。クロロギ酸フェニル 3.00mL(23.8mmol、1.05eq.)を滴下し、40℃で0.5時間撹拌した後、HPLCでCM化反応終了を確認した(CM化反応物:4.37分、ACTS:N.D.)。Boc−DAP−OH 4.75g(23.2mmol、1.0eq.)を加えて少量のMeCNで洗い込み、TEA 9.7mL(70mmol、3.1eq.)を滴下し、40℃で2時間撹拌した。HPLCでウレア化反応終了を確認した後(ウレア化反応物:3.81分、CM化反応物:0.02area% vs ウレア化反応物)、室温まで冷却した。MsOH 7.3mL(113mmol、5.0eq.)を加えて50℃に昇温し、4.5時間撹拌、更にMsOH 1.5mL(23mmol、1.0eq.)を添加し1時間撹拌することで、HPLCで目的物の生成を確認した(化合物3:2.49分、ウレア化反応物:0.50area% vs 化合物3、化合物3のピリジンを除く総面積に対する面積:71.0area%)。

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