錯体

申请号 JP2016572547 申请日 2015-03-20 公开(公告)号 JP2017527526A 公开(公告)日 2017-09-21
申请人 ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニーJohnson Matthey Public Limited Company; ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニーJohnson Matthey Public Limited Company; 发明人 ディーンゲニス, アンドリュー ジョン; ディーンゲニス, アンドリュー ジョン; トーマス コラコット,; トーマス コラコット,;
摘要 本発明は、式(1)のパラジウム(II)錯体又は式(1)(3)のパラジウム(II)錯体を提供する。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R20、R21、R22、R23、R24、m、E、及びは、本明細書に記載されている。本発明はまた、錯体の調製方法、並びに炭素−炭素及び炭素−ヘテロ 原子 カップリング反応におけるその使用を提供する。【選択図】図1
权利要求

式(1)のパラジウム(II)錯体: [式中、 は、カチオン性パラジウム原子であり、 R1及びR2は、独立に、1−20個の炭素原子を有する有機基であり、又はR1とR2は、連結して、Eと環構造を形成しており、 R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11は、独立に、−H、又は1−20個の炭素原子を有する有機基であり、あるいは R1/R3又はR2/R3は、これらが結合している原子と環構造を形成しており、この場合において、R4/R5、R5/R6、R7/R8、R8/R9、R9/R10、又はR10/R11は、独立に、これらが結合している炭素原子と環構造を形成していてもよく、又はR1、R2、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11は、上で定義される通りであり、 R12は、1−20個の炭素原子を有する有機基であり、 mは、0、1、2、3、4、又は5であり、 Eは、P又はAsであり、 は、配位されていないアニオン性配位子である]。EがPである、請求項1に記載のパラジウム(II)錯体。R1及びR2が、置換及び非置換直鎖アルキル、置換及び非置換分枝鎖アルキル、置換及び非置換シクロアルキル、置換及び非置換アリール、並びにヘテロ原子が硫黄、窒素、及び酸素から独立に選択される置換及び非置換ヘテロアリールからなる群から独立に選択される、請求項1又は請求項2に記載のパラジウム(II)錯体。R3、R4、R5、及びR6が、−H、置換及び非置換直鎖アルキル、置換及び非置換分枝鎖アルキル、置換及び非置換シクロアルキル、置換及び非置換アルコキシ、置換及び非置換アリール、置換及び非置換ヘテロアリール、置換及び非置換−N(アルキル)2[アルキル基は、同じでも異なってもよく、直鎖又は分枝鎖基から独立に選択される]、置換及び非置換−N(シクロアルキル)2[シクロアルキル基は、同じでも異なってもよい]、置換及び非置換−N(アリール)2[アリール基は、同じでも異なってもよい]、置換及び非置換−N(ヘテロアリール)2[ヘテロアリール基は、同じでも異なってもよい]、並びに置換及び非置換ヘテロシクロアルキル基からなる群から独立に選択される、請求項1から3の何れか一項に記載のパラジウム(II)錯体。R3、R4、R5、及びR6がそれぞれ、−Hである、請求項4に記載のパラジウム(II)錯体。R3、R4、R5、及びR6がそれぞれ、独立に、直鎖アルキル基、好ましくは−Meである、請求項4に記載のパラジウム(II)錯体。R3、R4、R5、及びR6の2つが、−Hであり、R3、R4、R5、及びR6の他の2つが、非置換直鎖アルキル、非置換分枝鎖アルキル、非置換シクロアルキル、及び非置換アルコキシからなる群から独立に選択される、請求項1から4の何れか一項に記載のパラジウム(II)錯体。R7、R8、R9、R10、及びR11が、−H、置換及び非置換直鎖アルキル、置換及び非置換分枝鎖アルキル、置換及び非置換シクロアルキル、置換及び非置換アルコキシ、置換及び非置換アリール、置換及び非置換ヘテロアリール、置換及び非置換−N(アルキル)2[アルキル基は、同じでも異なってもよく、直鎖又は分枝鎖基から独立に選択される]、置換及び非置換−N(シクロアルキル)2[シクロアルキル基は、同じでも異なってもよい]、置換及び非置換−N(アリール)2[アリール基は、同じでも異なってもよい]、置換及び非置換−N(ヘテロアリール)2[ヘテロアリール基は、同じでも異なってもよい]、並びに置換及び非置換ヘテロシクロアルキル基からなる群から独立に選択される、請求項1から7の何れか一項に記載のパラジウム(II)錯体。R7、R8、R9、R10、及びR11がそれぞれ、−Hである、請求項7に記載のパラジウム(II)錯体。R7、R8、R9、R10、及びR11の3つが、−Hであり、R7、R8、R9、R10、及びR11の他の2つが、非置換直鎖アルキル、非置換分枝鎖アルキル、非置換シクロアルキル、非置換アルコキシ、非置換−N(アルキル)2[アルキル基は、同じでも異なってもよく、直鎖又は分枝鎖基から独立に選択されてよい]、及び非置換−N(アリール)2[アリール基は、同じでも異なってもよい]からなる群から独立に選択される、請求項7に記載のパラジウム(II)錯体。R7、R8、R9、R10、及びR11の2つが、−Hであり、R7、R8、R9、R10、及びR11の他の3つが、非置換直鎖アルキル、非置換分枝鎖アルキル、非置換シクロアルキル、非置換アルコキシ、非置換−N(アルキル)2[アルキル基は、同じでも異なってもよく、直鎖又は分枝鎖基から独立に選択されてよい]、及び非置換−N(アリール)2[アリール基は、同じでも異なってもよい]からなる群から独立に選択される、請求項7に記載のパラジウム(II)錯体。単座第三級ホスフィン配位子が、 からなる群から選択される、請求項1から11の何れか一項に記載のパラジウム(II)錯体。各R12が、置換及び非置換直鎖アルキル、置換及び非置換分枝鎖アルキル、置換及び非置換シクロアルキル、置換及び非置換アリール、並びにヘテロ原子が硫黄、窒素、及び酸素から独立に選択される置換及び非置換ヘテロアリールからなる群から独立に選択される、請求項1から12の何れか一項に記載のパラジウム(II)錯体。が、トリフレート、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロアンチモン酸、ヘキサフルオロリン酸、[B[3,5−(CF3)2C6H3]4]−、及びメシル酸からなる群から選択される、請求項1から13の何れか一項に記載のパラジウム(II)錯体。式(1)の錯体が、 からなる群から選択される、請求項1から14の何れか一項に記載のパラジウム(II)錯体。式(3)のパラジウム(II)錯体: [式中、 R1及びR2は、独立に、1−20個の炭素原子を有する有機基であり、又はR1とR2は、連結して、Eと環構造を形成しており、 R12は、1−20個の炭素原子を有する有機基であり、 R20、R21、R22、R23、及びR24は、独立に、−H、又は1−20個の炭素原子を有する有機基であり、あるいは R1/R20、R2/R20、R20/R21、又はR22/R23から選択される1つ又は複数の対は、独立に、これらが結合している原子と環構造を形成していてもよく、 mは、0、1、2、3、4、又は5であり、 は、配位されていないアニオン性配位子である]。R1及びR2が、置換及び非置換直鎖アルキル、置換及び非置換分枝鎖アルキル、置換及び非置換シクロアルキル、置換及び非置換アリール、並びにヘテロ原子が硫黄、窒素、及び酸素から独立に選択される置換及び非置換ヘテロアリールからなる群から独立に選択される、請求項16に記載のパラジウム(II)錯体。各R12が、置換及び非置換直鎖アルキル、置換及び非置換分枝鎖アルキル、置換及び非置換シクロアルキル、置換及び非置換アリール、並びにヘテロ原子が硫黄、窒素、及び酸素から独立に選択される置換及び非置換ヘテロアリールからなる群から独立に選択される、請求項16又は請求項17に記載のパラジウム(II)錯体。が、トリフレート、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロアンチモン酸、ヘキサフルオロリン酸、[B[3,5−(CF3)2C6H3]4]−、及びメシル酸からなる群から選択される、請求項16から18の何れか一項に記載のパラジウム(II)錯体。R20及びR21が、−H、置換及び非置換直鎖アルキル、置換及び非置換分枝鎖アルキル、置換及び非置換シクロアルキル、置換及び非置換アルコキシ、置換及び非置換アリール、置換及び非置換ヘテロアリール、置換及び非置換−N(アルキル)2[アルキル基は、同じでも異なってもよく、直鎖又は分枝鎖基から独立に選択される]、置換及び非置換−N(シクロアルキル)2[シクロアルキル基は、同じでも異なってもよい]、置換及び非置換−N(アリール)2[アリール基は、同じでも異なってもよい]、置換及び非置換−N(ヘテロアリール)2[ヘテロアリール基は、同じでも異なってもよい]、並びに置換及び非置換ヘテロシクロアルキル基からなる群から独立に選択される、請求項16から19の何れか一項に記載のパラジウム(II)錯体。R20及びR21が両方とも、−Hである、請求項20に記載のパラジウム(II)錯体。R22及びR24が、−H、置換及び非置換直鎖アルキル、置換及び非置換分枝鎖アルキル、置換及び非置換シクロアルキル、置換及び非置換アルコキシ、置換及び非置換−チオアルキル、置換及び非置換アリール、置換及び非置換ヘテロアリール、置換及び非置換−N(アルキル)2[アルキル基は、同じでも異なってもよく、直鎖又は分枝鎖基から独立に選択される]、置換及び非置換−N(シクロアルキル)2[シクロアルキル基は、同じでも異なってもよい]、置換及び非置換−N(アリール)2[アリール基は、同じでも異なってもよい]、置換及び非置換−N(ヘテロアリール)2[ヘテロアリール基は、同じでも異なってもよい]からなる群から独立に選択される、請求項16から21の何れか一項に記載のパラジウム(II)錯体。R23が、−H、置換及び非置換直鎖アルキル、置換及び非置換分枝鎖アルキル、置換及び非置換シクロアルキル、置換及び非置換アルコキシ、置換及び非置換アリール、並びに置換及び非置換ヘテロアリールからなる群から独立に選択される、請求項16から22の何れか一項に記載のパラジウム(II)錯体。R22、R23、及びR24がそれぞれ、フェニル基である、請求項16から23の何れか一項に記載のパラジウム(II)錯体。式(3)の錯体が、 からなる群から選択される、請求項16から24の何れか一項に記載のパラジウム(II)錯体。式(1)の錯体の調製方法であって、 (a)式(4)の錯体を式(5)の単座ビアリール配位子と反応させて、式(6)の錯体を形成する工程 と、 (b)式(6)の錯体を式(7)の銀塩と反応させて、式(1)の錯体を形成する工程 AgX (7) [式中、 R1及びR2は、独立に、1−20個の炭素原子を有する有機基であり、又はR1とR2は、連結して、Eと環構造を形成しており、 R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11は、独立に、−H、又は1−20個の炭素原子を有する有機基であり、あるいは R1/R3、R2/R3、R3/R4、R4/R5、R5/R6、R7/R8、R8/R9、R9/R10、又はR10/R11から選択される1つ又は複数の対は、独立に、これらが結合している原子と環構造を形成しており、 R12は、1−20個の炭素原子を有する有機基であり、 mは、0、1、2、3、4、又は5であり、 Eは、P又はAsであり、 Yは、配位しているアニオン性配位子であり、 は、配位されていないアニオン性配位子である] と、 を含む調製方法。式(1)の錯体又は式(3)の錯体の調製方法であって、 (a)式(4)の錯体を式(7)の銀塩と反応させる工程 AgX (7) と、 (b)工程(a)の生成物を式(5)の単座ビアリール配位子又は式(8)の単座ビヘテロアリール第三級ホスフィン配位子と反応させて、式(1)の錯体又は式(3)の錯体を形成する工程 [式中、 R1及びR2は、独立に、1−20個の炭素原子を有する有機基であり、又はR1とR2は、連結して、Eと環構造を形成しており、 R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11は、独立に、−H、又は1−20個の炭素原子を有する有機基であり、あるいは R1/R2、R2/R3、R3/R4、R4/R5、R5/R6、R7/R8、R8/R9、R9/R10、又はR10/R11から選択される1つ又は複数の対は、独立に、これらが結合している原子と環構造を形成しており、 R12は、1−20個の炭素原子を有する有機基であり、 R20、R21、R22、R23、及びR24は、独立に、−H、又は1−20個の炭素原子を有する有機基であり、あるいは R1/R20、R2/R20、R20/R21、又はR22/R23から選択される1つ又は複数の対は、独立に、これらが結合している原子と環構造を形成しており、 mは、0、1、2、3、4、又は5であり、 Eは、P又はAsであり、 Yは、配位しているアニオン性配位子であり、 は、配位されていないアニオン性配位子である] と、 を含む調製方法。請求項1から15の何れか一項に記載の式(1)の錯体又は請求項16から25の何れか一項に記載の式(3)の錯体の使用を含む、触媒の存在下で炭素−炭素カップリング反応を実施する方法。請求項1から15の何れか一項に記載の式(1)の錯体又は請求項16から25の何れか一項に記載の式(3)の錯体の使用を含む、触媒の存在下で炭素−ヘテロ原子カップリング反応を実施する方法。炭素−炭素カップリング反応における触媒としての請求項1から15の何れか一項に記載の式(1)の錯体又は請求項16から25の何れか一項に記載の式(3)の錯体の使用。炭素−ヘテロ原子カップリング反応における触媒としての請求項1から15の何れか一項に記載の式(1)の錯体又は請求項16から25の何れか一項に記載の式(3)の錯体の使用。

说明书全文

本発明は、置換されていてもよいカチオン性π−アリルパラジウム錯体及びカップリング反応におけるその使用に関する。

国際公開第2011/161451号(Johnson Matthey PLC)は、π−アリルパラジウム錯体やπ−アリルニッケル錯体などのπ−アリル錯体を記載している。しかし、国際公開第2011/161451号は、カチオン性π−アリルパラジウム錯体を開示もしていなければ提案もしていない。

カップリング反応における、[(アリル)PdCl]2又は[(シンナミル)PdCl]2の、Buchwald配位子などのビアリール/ヘテロアリールホスフィン配位子と組み合わせての使用は、成功が限られ、不確実なものであることがわかっている。Buchwald配位子と組み合わせて[(アリル)PdCl]2、Pd(dba)x(x=1、1.5、又は2)、Pd(OAc)2などのパラジウム源から触媒を生成することの限界を克服する試みにおいて、MITのBuchwaldグループは、以下に示すような、かさ高いビアリールホスフィンを利用する第3世代パラダサイクルプレ触媒のライブラリーを導入している。

しかし、パラダサイクルは、いくつかの限界を示す。第一に、第1世代パラダサイクルの合成には、不安定な中間体[(TMEDA)PdMe2]の生成を含むいくつかのステップが必要である。第2世代プレ触媒の範囲は、tBuXPhosなどの極度にかさ高い配位子を組み込むことができないために、限られている。第2及び第3世代パラダサイクルの合成には、毒性の高い4−異性体で汚染されている恐れのある、毒性となる可能性を秘めた2−アミノビフェニルを使用する必要があり、高純度の原料を求める必要がある。さらに、第2及び第3世代パラダサイクルの活性化によって、遺伝毒性のある、当量のカルバゾールが生じる。出発材料のアミノビフェニル及び副生物のカルバゾールは、反応混合物を汚染しかねない。したがって、こうした材料の取扱いに伴う健康及び安全の懸念という考慮すべき事柄に加えて、精製が複雑になる場合もある。その上、(次の図に示す通り)還元的に脱離したカルバゾールによって、アリール求電子試薬出発材料が消費され、また一部のクロスカップリング反応がかなり遅れる場合もある。

ごく最近のN−置換第3世代パラダサイクルの活性化は、当量のN−メチルカルバゾール又はN−フェニルカルバゾールを生じさせ、その毒性についてはほとんど知られていない。N置換型の第3世代パラダサイクルには、非置換類似体に比べて追加の合成ステップも調製に必要となり、極度にかさ高い配位子(すなわち、tBuBrettPhos、RockPhosなど)の組み込みも、こうしたN置換錯体で成功していない。

極度にかさ高い配位子を組み込むことができ、先行技術における限界を克服する、配位子/パラジウム比が明確なパラジウムプレ触媒を提供することが、依然として求められている。

多くの場合では、[(アリル)PdCl]2などのアリル二量体は、ビアリールホスフィンと一緒でもパラジウム源として十分に機能せず、アリル二量体/Buchwald配位子の組合せによって活性触媒を生成することには困難がある。本発明者らは、C−N及びC−C結合形成反応などの様々な反応の実施に用いることのできる、カチオン性π−アリルパラジウム錯体のクラスを発見した。ある特定の実施態様では、カチオン性π−アリル錯体は、高活性触媒である。ある特定の実施態様では、カチオン性π−アリル錯体は、周囲温度で空気及び分に対して安定である。

一態様では、本発明は、式(1)のパラジウム(II)錯体: [式中、 は、カチオン性パラジウム原子であり、 R1及びR2は、独立に、1−20個の炭素原子を有する有機基であり、又はR1とR2は、連結して、Eと環構造を形成しており、 R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11は、独立に、−H、又は1−20個の炭素原子を有する有機基であり、あるいは R1/R3又はR2/R3は、これらが結合している原子と環構造を形成しており、この場合において、R4/R5、R5/R6、R7/R8、R8/R9、R9/R10、又はR10/R11は、独立に、これらが結合している炭素原子と環構造を形成していてもよく、又はR1、R2、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11は、上で定義される通りであり、 R12は、1−20個の炭素原子を有する有機基であり、 mは、0、1、2、3、4、又は5であり、 Eは、P又はAsであり、 は、配位されていないアニオン性配位子である]を提供する。

別の態様では、本発明は、式(3)のパラジウム錯体: [式中、 R1及びR2は、独立に、1−20個の炭素原子を有する有機基であり、又はR1とR2は、連結して、Eと環構造を形成しており、 R12は、1−20個の炭素原子を有する有機基であり、 R20、R21、R22、R23、及びR24は、独立に、−H、又は1−20個の炭素原子を有する有機基であり、あるいは R1/R20、R2/R20、R20/R21、又はR22/R23から選択される1つ又は複数の対は、独立に、これらが結合している原子と環構造を形成していてもよく、 mは、0、1、2、3、4、又は5であり、 は、配位されていないアニオン性配位子である]を提供する。

別の態様では、本発明は、式(1)の錯体の調製方法であって、 (a)式(4)の錯体を式(5)の単座ビアリール配位子と反応させて、式(6)の錯体を形成する工程 と、 (b)式(6)の錯体を式(7)の銀塩と反応させて、式(1)の錯体を形成する工程 AgX (7) と を含む調製方法 [式中、 R1及びR2は、独立に、1−20個の炭素原子を有する有機基であり、又はR1とR2は、連結して、Eと環構造を形成しており、 R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11は、独立に、−H、又は1−20個の炭素原子を有する有機基であり、あるいは R1/R3、R2/R3、R3/R4、R4/R5、R5/R6、R7/R8、R8/R9、R9/R10、又はR10/R11から選択される1つ又は複数の対は、独立に、これらが結合している原子と環構造を形成しており、 R12は、1−20個の炭素原子を有する有機基であり、 mは、0、1、2、3、4、又は5であり、 Eは、P又はAsであり、 Yは、配位しているアニオン性配位子であり、 は、配位されていないアニオン性配位子である]を提供する。

別の態様では、本発明は、式(1)の錯体又は式(3)の錯体の調製方法であって、 (a)式(4)の錯体を式(7)の銀塩と反応させる工程 AgX (7) と、 (b)工程(a)の生成物を式(5)の単座ビアリール配位子又は式(8)の単座ビヘテロアリール第三級ホスフィン配位子と反応させて、式(1)の錯体又は式(3)の錯体を形成する工程 と を含む調製方法 [式中、 R1及びR2は、独立に、1−20個の炭素原子を有する有機基であり、又はR1とR2は、連結して、Eと環構造を形成しており、 R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11は、独立に、−H、又は1−20個の炭素原子を有する有機基であり、あるいは R1/R2、R2/R3、R3/R4、R4/R5、R5/R6、R7/R8、R8/R9、R9/R10、又はR10/R11から選択される1つ又は複数の対は、独立に、これらが結合している原子と環構造を形成しており、 R12は、1−20個の炭素原子を有する有機基であり、 R20、R21、R22、R23、及びR24は、独立に、−H、又は1−20個の炭素原子を有する有機基であり、あるいは R1/R20、R2/R20、R20/R21、又はR22/R23から選択される一方又は両方の対は、独立に、これらが結合している原子と環構造を形成していてもよく、 mは、0、1、2、3、4、又は5であり、 Eは、P又はAsであり、 Yは、配位しているアニオン性配位子であり、 は、配位されていないアニオン性配位子である]を提供する。

別の態様では、本発明は、上で定義される式(1)の錯体又は式(3)の錯体の使用を含む、触媒の存在下で炭素−炭素カップリング反応を実施する方法を提供する。

別の態様では、本発明は、触媒の存在下で炭素−ヘテロ原子カップリング反応を実施する方法であって、本明細書で定義される式(1)の錯体又は式(2)の錯体の使用を含む方法を提供する。

別の態様では、本発明は、炭素−炭素カップリング反応における触媒としての本明細書で定義される式(1)の錯体又は式(2)の錯体の使用を提供する。

別の態様では、本発明は、炭素−ヘテロ原子カップリング反応における触媒としての本明細書で定義される式(1)の錯体又は式(2)の錯体の使用を提供する。

定義 部分又は置換基の結合点は、「−」で表す。例えば、−OHは、酸素原子を介して結合している。

「アルキル」とは、直鎖又は分枝状の飽和炭化水素基を指す。ある特定の実施態様では、アルキル基は、1−20個の炭素原子、ある特定の実施態様では1−15個の炭素原子、ある特定の実施態様では1−8個の炭素原子を有する場合がある。アルキル基は、非置換の場合もある。別法として、アルキル基は、置換されている場合もある。別段指定しない限り、アルキル基は、適切な何れの炭素原子の箇所で結合していてもよく、置換されている場合、適切な何れの原子において置換されていてもよい。典型的なアルキル基としては、限定はしないが、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどが挙げられる。

用語「シクロアルキル」は、飽和炭素環式炭化水素基を示すのに使用する。シクロアルキル基は、単一の環又は縮合したいくつもの環を有する場合がある。ある特定の実施態様では、シクロアルキル基は、3−15個の炭素原子、ある特定の実施態様では3−10個の炭素原子、ある特定の実施態様では3−8個の炭素原子を有する場合がある。シクロアルキル基は、非置換の場合もある。別法として、シクロアルキル基は、置換されている場合もある。別段指定しない限り、シクロアルキル基は、適切な何れの炭素原子の箇所で結合していてもよく、置換されている場合、適切な何れの原子において置換されていてもよい。典型的なシクロアルキル基としては、限定はしないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどが挙げられる。

「アルコキシ」とは、式アルキル−O−又はシクロアルキル−O−である置換されていてもよい基を指し、アルキル及びシクロアルキルは、上で定義される通りである。

「アルコキシアルキル」とは、式アルコキシ−アルキル−である置換されていてもよい基を指し、アルコキシ及びアルキルは、上で定義される通りである。

「アリール」とは、芳香族炭素環基を指す。アリール基は、単一の環又は縮合したいくつもの環を有する場合がある。ある特定の実施態様では、アリール基は、6−20個の炭素原子、ある特定の実施態様では6−15個の炭素原子、ある特定の実施態様では6−12個の炭素原子を有する場合がある。アリール基は、非置換の場合もある。別法として、アリール基は、置換されている場合もある。別段指定しない限り、アリール基は、適切な何れの炭素原子の箇所で結合していてもよく、置換されている場合、適切な何れの原子において置換されていてもよい。アリール基の例としては、限定はしないが、フェニル、ナフチル、アントラセニルなどが挙げられる。

「アリールアルキル」とは、式アリール−アルキル−である置換されていてもよい基を指し、アリール及びアルキルは、上で定義される通りである。

「カップリング」とは、2つの分子又は分子の部分がつなぎ合わさる化学反応を指す(Oxford Dictionary of Chemistry, Sixth Edition, 2008)。

「ハロ」又は「hal」とは、−F、−Cl、−Br、及び−Iを指す。

「ヘテロアルキル」とは、1個又は複数の炭素原子が1個又は複数のヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、リン、及び/又は硫黄原子)で独立に置き換えられている、直鎖又は分枝状の飽和炭化水素基を指す。ヘテロアルキル基は、非置換の場合もある。別法として、ヘテロアルキル基は、置換されている場合もある。別段指定しない限り、ヘテロアルキル基は、適切な何れの原子の箇所で結合していてもよく、置換されている場合、適切な何れの原子において置換されていてもよい。ヘテロアルキル基の例としては、限定はしないが、エーテル、チオエーテル、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミンなどが挙げられる。

「ヘテロシクロアルキル」とは、1個又は複数の炭素原子が1個又は複数のヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、リン、及び/又は硫黄原子)で独立に置き換えられている、飽和環状炭化水素基を指す。ヘテロシクロアルキル基は、非置換の場合もある。別法として、ヘテロシクロアルキル基は、置換されている場合もある。別段指定しない限り、ヘテロシクロアルキル基は、適切な何れの原子の箇所で結合していてもよく、置換されている場合、適切な何れの原子において置換されていてもよい。ヘテロシクロアルキル基の例としては、限定はしないが、エポキシド、モルホリニル、ピペラジニル(piperadinyl)、ピペラジニル(piperazinyl)、チラニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、チアゾリジニル、チオモルホリニルなどが挙げられる。

「ヘテロアリール」とは、1個又は複数の炭素原子が1個又は複数のヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、リン、及び/又は硫黄原子)で独立に置き換えられている、芳香族炭素環基を指す。ヘテロアリール基は、非置換の場合もある。別法として、ヘテロアリール基は、置換されている場合もある。別段指定しない限り、ヘテロアリール基は、適切な何れの原子の箇所で結合していてもよく、置換されている場合、適切な何れの原子において置換されていてもよい。ヘテロアリール基の例としては、限定はしないが、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、チオフェニル、オキサジアゾリル、ピリジニル、ピリミジル、ベンゾオキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、インドリル、キノリニルなどが挙げられる。

「置換されている」とは、1個又は複数の水素原子が、同じでも異なってもよい置換基(例えば、1、2、3、4、5、又はそれ以上)でそれぞれ独立に置き換えられている基を指す。置換基の例としては、限定はしないが、−ハロ、−C(ハロ)3、−Ra、=O、=S、−O−Ra、−S−Ra、−NRaRb、−CN、−NO2、−C(O)−Ra、−COORa、−C(S)−Ra、−C(S)ORa、−S(O)2OH、−S(O)2−Ra、−S(O)2NRaRb、−O−S(O)−Ra、及び−CONRaRb、例えば、ハロ、−C(ハロ)3(例えば、−CF3)、−Ra、−O−Ra、−NRaRb、−CN、−NO2が挙げられる。Ra及びRbは、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリールからなる群から独立に選択され、又はRa及びRbは、これらが結合している原子と一緒に、ヘテロシクロアルキル基を形成している。Ra及びRbは、非置換の場合もあり、又は本明細書で定義される通りにさらに置換されている場合もある。

「チオアルキル」とは、式アルキル−S−又はシクロアルキル−S−である置換されていてもよい基を指し、アルキル及びシクロアルキルは、上で定義される通りである。

一態様では、本発明は、式(1)のパラジウム(II)錯体: [式中、 は、カチオン性パラジウム原子であり、 R1及びR2は、独立に、1−20個の炭素原子を有する有機基であり、又はR1とR2は、連結して、Eと環構造を形成しており、 R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11は、独立に、−H、又は1−20個の炭素原子を有する有機基であり、あるいは R1/R3又はR2/R3は、これらが結合している原子と環構造を形成しており、この場合において、R4/R5、R5/R6、R7/R8、R8/R9、R9/R10、又はR10/R11は、独立に、これらが結合している炭素原子と環構造を形成していてもよく、又はR1、R2、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11は、上で定義される通りであり、 R12は、1−20個の炭素原子を有する有機基であり、 mは、0、1、2、3、4、又は5であり、 Eは、P又はAsであり、 は、配位されていないアニオン性配位子である]を提供する。

式(1)の錯体のパラジウム原子は、アニオンが金属中心の外圏に押しやられている場合では、形式上カチオン性である。

Eがリン原子(すなわち、P)であるとき、式(1)の錯体は、ビアリール第三級ホスフィン配位子と、配位されていないアニオン性配位子と、置換されていてもよいπ−アリル基とを含むカチオン性パラジウム(II)錯体である。

Eがヒ素原子(すなわち、As)であるとき、式(1)の錯体は、ビアリール第三級アルシン配位子と、配位されていないアニオン性配位子と、置換されていてもよいπ−アリル基とを含むカチオン性パラジウム(II)錯体である。

理論に拘泥するものではないが、カチオン性Pd(II)錯体は、(R12)m−アリル、配位子のリン又はヒ素原子、及びホスフィン又はアルシンを含んでいないアリール環のipso−炭素とのPd−C相互作用(以下の図において破線で示される)から導かれる4つの配位子を含む式(2)のゆがんだ平面正方形構造を有すると考えられる。本発明のカチオン性錯体は、配位されていないアニオンがPd中心から引き離されうる能によって、極度にかさ高いビアリール/ビ(ヘテロ)アリール配位子の組み込みが可能になり、これによって、ホスフィン又はアルシンを含んでいないアリール環が配位することでカチオン性Pd中心が安定するという点で、配位された配位子(塩化物イオンなど)を含むπ−アリル錯体と異なる。これは、障害があってこうした極度にかさ高い配位子を収容することのできない、アニオンが配位している中性錯体と対照的である。

R1とR2は、同じでも異なってもよい。一実施態様では、R1とR2は同じである。別の実施態様では、R1とR2は異なる。R1及びR2は、安定性のために受ける制約及び原子価規則に合致して選択される。R1及びR2は、置換及び非置換直鎖アルキル、置換及び非置換分枝鎖アルキル、置換及び非置換シクロアルキル、置換及び非置換アリール、並びにヘテロ原子が硫黄、窒素、及び酸素から独立に選択される置換及び非置換ヘテロアリールからなる群から独立に選択されてよい。R1及びR2は、独立に、置換又は非置換の分枝鎖又は直鎖アルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル(例えば、n−ペンチル又はネオペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、若しくはステアリル、シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、若しくはアダマンチル、又はアリール基、例えば、フェニル、ナフチル、若しくはアントラシルでよい。一実施態様では、アルキル基は、1つ又は複数(例えば、1、2、3、4、又は5つ)の置換基で置換されていてもよく、置換基はそれぞれ、ハロゲン化物(F、Cl、Br、又はI)やアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシなどの、同じ又は異なるものでよい。アリール基は、1つ又は複数(例えば、1、2、3、4、又は5つ)の置換基で置換されていてもよく、置換基はそれぞれ、ハロゲン化物(F、Cl、Br、又はI)、直鎖又は分枝鎖アルキル(例えば、C1−C10)、アルコキシ(例えば、C1−C10アルコキシ)、直鎖又は分枝鎖(ジアルキル)アミノ(例えば、C1−C10ジアルキル)アミノ)、ヘテロシクロアルキル(例えば、モルホリニルやピペラジニルなどのC3−10ヘテロシクロアルキル基)、トリ(ハロ)メチル(例えば、F3C−)などの、同じ又は異なるものでよい。適切な置換アリール基としては、限定はしないが、4−ジメチルアミノフェニル、4−メチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、4−メトキシフェニル、4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル、及び3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニルが挙げられる。ピリジルなどの置換又は非置換ヘテロアリール基を使用してもよい。代替実施態様では、R1とR2は、連結して、Eと環構造、好ましくは4〜7員環を形成している。R1とR2は同じであり、tert−ブチル、シクロヘキシル、アダマンチル、フェニル、又は3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニルなどの置換フェニル基であることが好ましい。

R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11は、独立に、−H、又は1−20個の炭素原子を有する有機基であり、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11は、安定性のために受ける制約及び原子価規則に合致して選択される。R3、R4、R5、及びR6は、−H、置換及び非置換直鎖アルキル、置換及び非置換分枝鎖アルキル、置換及び非置換シクロアルキル、置換及び非置換アルコキシ、置換及び非置換アリール、置換及び非置換ヘテロアリール、置換及び非置換−N(アルキル)2(アルキル基は、同じでも異なってもよく、直鎖又は分枝鎖基から独立に選択される)、置換及び非置換−N(シクロアルキル)2(シクロアルキル基は、同じでも異なってもよい)、置換及び非置換−N(アリール)2(アリール基は、同じでも異なってもよい)、置換及び非置換−N(ヘテロアリール)2(ヘテロアリール基は、同じでも異なってもよい)、並びに置換及び非置換ヘテロシクロアルキル基からなる群から独立に選択されてよい。ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキル基中のヘテロ原子は、硫黄、窒素、及び/又は酸素から独立に選択されてよい。一実施態様では、アルキル基は、1つ又は複数の置換基(例えば、1、2、3、4、又は5つ)で置換されていてもよく、置換基はそれぞれ、ハロゲン化物(F、Cl、Br、又はI)、アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシなどの、同じ又は異なるものでよい。アリール基は、1つ又は複数(例えば、1、2、3、4、又は5つ)の置換基で置換されていてもよく、置換基はそれぞれ、ハロゲン化物(F、Cl、Br、又はI)、直鎖又は分枝鎖アルキル(例えば、C1−C10)、アルコキシ(例えば、C1−C10アルコキシ)、直鎖又は分枝鎖(ジアルキル)アミノ(例えば、C1−C10ジアルキルアミノ)、ヘテロシクロアルキル(例えば、モルホリニルやピペラジニルなどのC3−10ヘテロシクロアルキル基)、トリ(ハロ)メチル(例えば、F3C−)などの、同じ又は異なるものでよい。適切な置換アリール基としては、限定はしないが、2−、3−、又は4−ジメチルアミノフェニル、2−、3−、又は4−メチルフェニル、2,3−又は3,5−ジメチルフェニル、2−、3−、又は4−メトキシフェニル、及び4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニルが挙げられる。ピリジルなどの置換又は非置換ヘテロアリール基を使用してもよい。適切な非置換−N(アルキル)2基としては、限定はしないが、−NMe2、−NEt2、及び−NPr2(n−又はi−)が挙げられる。適切な非置換−N(シクロアルキル)2基としては、限定はしないが、−N(Cy)2が挙げられる。適切な置換−N(アルキル)2基としては、限定はしないが、−N(CH2CH2OMe)2及び−N(CF3)2が挙げられる。適切な非置換−N(アリール)2基としては、限定はしないが、−NPh2が挙げられる。適切な置換−N(アリール)2基としては、限定はしないが、−N(2−、3−、又は4−ジメチルアミノフェニル)2、−N(2−、3−、又は4−メチルフェニル)2、−N(2,3−又は3,5−ジメチルフェニル)2、−N(2−、3−、又は4−メトキシフェニル)2、及び−N(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)2が挙げられる。適切な非置換−N(ヘテロアリール)2基としては、限定はしないが、−N(フリル)2及び−N(ピリジル)2が挙げられる。置換及び非置換ヘテロシクロアルキル基としては、限定はしないが、ピペリジニルやモルホリニルなどのC4−8−ヘテロシクロアルキル基が挙げられる。

R3、R4、R5、及びR6は、−H、非置換直鎖アルキル、非置換分枝鎖アルキル、非置換シクロアルキル、非置換アルコキシ、非置換−N(アルキル)2(アルキル基は、同じでも異なってもよく、直鎖又は分枝鎖基から独立に選択されてよい)、及び非置換−N(アリール)2(アリール基は、同じでも異なってもよい)からなる群から独立に選択されてよい。分枝鎖又は直鎖アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル(例えば、n−ペンチル又はネオペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ステアリルなどの基を挙げることができる。シクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどの基を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ(−OMe)、エトキシ(−OEt)、n−プロポキシ(−O−n−Pr)、iso−プロポキシ(−O−i−Pr)、n−ブトキシ(−O−n−Bu)、iso−ブトキシ(−O−i−Bu)、sec−ブトキシ(−O−s−Bu)、tert−ブトキシ(−O−t−Bu)、−O−ペンチル、−O−ヘキシル、−O−ヘプチル、−O−オクチル、−O−ノニル、−O−デシル、−O−ドデシルを挙げることができる。−N(アルキル)2基としては、−NMe2、−NEt2、−N(n−Pr)2、又は−N(i−Pr)2などの基を挙げることができる。

R3、R4、R5、及びR6は、−H、非置換−N(アルキル)2(アルキル基は、同じでも異なってもよく、直鎖又は分枝鎖基から独立に選択されてよい)、及び非置換−N(アリール)2(アリール基は、同じでも異なってもよい)からなる群から独立に選択されてよい。

R3、R4、R5、及びR6は、−H、非置換直鎖アルキル、非置換分枝鎖アルキル、非置換シクロアルキル、及び非置換アルコキシからなる群から独立に選択されてよい。

一実施態様では、R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ、−Hである。

別の実施態様では、R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ、独立に、−Meなどの非置換直鎖アルキル基である。

別の実施態様では、R3、R4、R5、及びR6の2つは、−Hであり、R3、R4、R5、及びR6の他の2つは、非置換直鎖アルキル、非置換分枝鎖アルキル、非置換シクロアルキル、及び非置換アルコキシからなる群から独立に選択されてよい。別の実施態様では、R3、R4、R5、及びR6の2つ(例えば、R4及びR5)は、−Hであり、R3、R4、R5、及びR6の他の2つ(例えば、R3及びR6)は、−Me、−Et、−Pr(n−又はi−)、−Bu(n−、i−、又はt−)、−OMe、−OEt、−OPr(n−又はi−)、−OBu(n−、i−、又はt−)などの、C1−5−アルキル及び−O−C1−5−アルキル、例えば、−Me、−Et、−OMe、−OEtからなる群から独立に選択される。

別の実施態様では、R3、R4、R5、及びR6の2つ(例えば、R4及びR5)は、−Hであり、R3、R4、R5、及びR6の他の2つ(例えば、R3及びR6)は、非置換直鎖アルキル、非置換分枝鎖アルキル、非置換シクロアルキル、及び非置換アルコキシからなる群から選択される。好ましい実施態様では、R3、R4、R5、及びR6の2つ(例えば、R4及びR5)は、−Hであり、R3、R4、R5、及びR6の他の2つ(例えば、R3及びR6)は、−Me、−Et、−Pr(n−又はi−)、−Bu(n−、i−、又はt−)、−OMe、−OEt、−OPr(n−又はi−)、−OBu(n−、i−、又はt−)などの、C1−5−アルキル及び−O−C1−5−アルキル、例えば、−Me、−Et、−OMe、及び−OEtからなる群から選択される。特に好ましい実施態様では、R4及びR5は、−Hであり、R3及びR6は、−OMeである。別の特定の好ましい実施態様では、R4及びR5は、−Hであり、R3及びR6は、−Me及び−OMeからなる群から選択され、例えば、R3は、−OMeでよく、R6は、−Meでよい。

R7、R8、R9、R10、及びR11は、−H、置換及び非置換直鎖アルキル、置換及び非置換分枝鎖アルキル、置換及び非置換シクロアルキル、置換及び非置換アルコキシ、置換及び非置換アリール、置換及び非置換ヘテロアリール、置換及び非置換−N(アルキル)2(アルキル基は、同じでも異なってもよく、直鎖又は分枝鎖基から独立に選択される)、置換及び非置換−N(シクロアルキル)2(シクロアルキル基は、同じでも異なってもよい)、置換及び非置換−N(アリール)2(アリール基は、同じでも異なってもよい)、置換及び非置換−N(ヘテロアリール)2(ヘテロアリール基は、同じでも異なってもよい)、並びに置換及び非置換ヘテロシクロアルキル基からなる群から独立に選択されてよい。ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキル基中のヘテロ原子は、硫黄、窒素、及び/又は酸素から独立に選択されてよい。一実施態様では、アルキル基は、1つ又は複数(例えば、1、2、3、4、又は5つ)の置換基で置換されていてもよく、置換基はそれぞれ、ハロゲン化物(F、Cl、Br、又はI)、アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシなどの、同じ又は異なるものでよい。アリール基は、1つ又は複数(例えば、1、2、3、4、又は5つ)の置換基で置換されていてもよく、置換基はそれぞれ、ハロゲン化物(F、Cl、Br、又はI)、直鎖又は分枝鎖アルキル(例えば、C1−C10)、アルコキシ(例えば、C1−C10アルコキシ)、直鎖又は分枝鎖(ジアルキル)アミノ(例えば、C1−C10ジアルキル)アミノ)、ヘテロシクロアルキル(例えば、モルホリニルやピペラジニルなどのC3−10ヘテロシクロアルキル基)、トリ(ハロ)メチル(例えば、F3C−)などの、同じ又は異なるものでよい。適切な置換アリール基としては、限定はしないが、2−、3−、又は4−ジメチルアミノフェニル、2−、3−、又は4−メチルフェニル、2,3−又は3,5−ジメチルフェニル、2−、3−、又は4−メトキシフェニル、及び4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニルが挙げられる。ピリジルなどの置換又は非置換ヘテロアリール基を使用してもよい。適切な非置換−N(アルキル)2基としては、限定はしないが、−NMe2、−NEt2、及び−NPr2(n−又はi−)が挙げられる。適切な非置換−N(シクロアルキル)2基としては、限定はしないが、−N(Cy)2が挙げられる。適切な非置換−N(アルキル)2基としては、限定はしないが、−N(CH2CH2OMe)2及び−N(CF3)2が挙げられる。適切な非置換−N(アリール)2基としては、限定はしないが、−NPh2が挙げられる。適切な置換−N(アリール)2基としては、限定はしないが、−N(2−、3−、又は4−ジメチルアミノフェニル)2、−N(2−、3−、又は4−メチルフェニル)2、−N(2,3−又は3,5−ジメチルフェニル)2、−N(2−、3−、又は4−メトキシフェニル)2、及び−N(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)2が挙げられる。適切な非置換−N(ヘテロアリール)2基としては、限定はしないが、−N(フリル)2及び−N(ピリジル)2が挙げられる。置換及び非置換ヘテロシクロアルキル基としては、ピペリジニルやモルホリニルなどのC4−8−ヘテロシクロアルキル基が挙げられる。

R7、R8、R9、R10、及びR11は、−H、非置換直鎖アルキル、非置換分枝鎖アルキル、非置換シクロアルキル、非置換アルコキシ、非置換−N(アルキル)2(アルキル基は、同じでも異なってもよく、直鎖又は分枝鎖基から独立に選択されてよい)、及び非置換−N(アリール)2(アリール基は、同じでも異なってもよい)からなる群から独立に選択されてよい。分枝鎖又は直鎖アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル(例えば、n−ペンチル又はネオペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ステアリルなどの基を挙げることができる。シクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどの基を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ(−OMe)、エトキシ(−OEt)、n−プロポキシ(−O−n−Pr)、iso−プロポキシ(−O−i−Pr)、n−ブトキシ(−O−n−Bu)、iso−ブトキシ(−O−i−Bu)、sec−ブトキシ(−O−s−Bu)、tert−ブトキシ(−O−t−Bu)、−O−ペンチル、−O−ヘキシル、−O−ヘプチル、−O−オクチル、−O−ノニル、−O−デシル、−O−ドデシルを挙げることができる。−N(アルキル)2基としては、−NMe2、−NEt2、−N(n−Pr)2、又は−N(i−Pr)2などの基を挙げることができる。

R7、R8、R9、R10、及びR11は、−H、非置換−N(アルキル)2(アルキル基は、同じでも異なってもよく、直鎖又は分枝鎖基から独立に選択されてよい)、及び非置換−N(アリール)2(アリール基は、同じでも異なってもよい)からなる群から独立に選択されてよい。

R7、R8、R9、R10、及びR11は、−H、非置換直鎖アルキル、非置換分枝鎖アルキル、非置換シクロアルキル、及び非置換アルコキシからなる群から独立に選択されてよい。

一実施態様では、R7、R8、R9、R10、及びR11はそれぞれ、−Hである。

別の実施態様では、R7、R8、R9、R10、及びR11の4つは、−H(例えば、R8、R9、R10、及びR11)であり、R7、R8、R9、R10、及びR11の他の1つ(例えば、R7)は、非置換直鎖アルキル、非置換分枝鎖アルキル、非置換シクロアルキル、非置換アルコキシ、非置換−N(アルキル)2(アルキル基は、同じでも異なってもよく、直鎖又は分枝鎖基から独立に選択されてよい)、及び非置換−N(アリール)2(アリール基は、同じでも異なってもよい)からなる群から選択される。

別の実施態様では、R7、R8、R9、R10、及びR11の4つ(例えば、R8、R9、R10、及びR11)は、−Hであり、R7、R8、R9、R10、及びR11の他の1つ(例えば、R7)は、−Me、−Et、−Pr(n−又はi−)、−Bu(n−、i−、又はt−)、−OMe、−OEt、−OPr(n−又はi−)、−OBu(n−、i−、又はt−)、−NMe2、−NEt2、−N(n−Pr)2、−N(i−Pr)2などの、C1−5−アルキル、−O−C1−5−アルキル、及び−N(C1−5−アルキル)2、例えば、−Me、−Et、−n−Pr、−i−Pr、−OMe、−OEt、−O−n−Pr、−O−i−Pr、−NMe2、−NEt2からなる群から選択される。例えば、R8、R9、R10、及びR11は、−Hであり、R7は、上述のものなどの、C1−5−アルキル、−O−C1−5−アルキル、及び−N(C1−5−アルキル)2基から選択される。別の実施態様では、R8、R9、R10、及びR11は、−Hであり、R7は、−OMe、−O−i−Pr、−NMe2、−NEt2、−N(n−Pr)2、及び−N(i−Pr)2、例えば、−OMe及び−NMe2からなる群から選択される。

別の実施態様では、R7、R8、R9、R10、及びR11の3つ(例えば、R8、R9、及びR10)は、−Hであり、R7、R8、R9、R10、及びR11の他の2つ(例えば、R7及びR11)は、非置換直鎖アルキル、非置換分枝鎖アルキル、非置換シクロアルキル、非置換アルコキシ、非置換−N(アルキル)2(アルキル基は、同じでも異なってもよく、直鎖又は分枝鎖基から独立に選択されてよい)、及び非置換−N(アリール)2(アリール基は、同じでも異なってもよい)からなる群から独立に選択される。

一実施態様では、R7、R8、R9、R10、及びR11の3つ(例えば、R8、R9、及びR10)は、−Hであり、R7、R8、R9、R10、及びR11の他の2つ(例えば、R7及びR11)は、非置換直鎖アルキル、非置換分枝鎖アルキル、非置換シクロアルキル、非置換アルコキシ、非置換−N(アルキル)2(アルキル基は、同じでも異なってもよく、直鎖又は分枝鎖基から独立に選択されてよい)、及び非置換−N(アリール)2(アリール基は、同じでも異なってもよい)からなる群から選択される。

別の実施態様では、R7、R8、R9、R10、及びR11の3つ(例えば、R8、R9、及びR10)は、−Hであり、R7、R8、R9、R10、及びR11の他の2つ(例えば、R7及びR11)は、−Me、−Et、−Pr(n−又はi−)、−Bu(n−、i−、又はt−)、−OMe、−OEt、−OPr(n−又はi−)、−OBu(n−、i−、又はt−)、−NMe2、−NEt2、−N(n−Pr)2、−N(i−Pr)2などの、C1−5−アルキル、−O−C1−5−アルキル、及び−N(C1−5−アルキル)2、例えば、−Me、−Et、−n−Pr、−i−Pr、−OMe、−OEt、−O−n−Pr、−O−i−Pr、−NMe2、−NEt2からなる群から独立に選択される。例えば、R8、R9、及びR10は、−Hであり、R7及びR11は、上述のものなどの、C1−5−アルキル、−O−C1−5−アルキル、及び−N(C1−5−アルキル)2基から独立に選択される。別の実施態様では、R8、R9、及びR10は、−Hであり、R7及びR11は、−OMe、−O−i−Pr、−NMe2、−NEt2、−N(n−Pr)2、及び−N(i−Pr)2、例えば、−OMe及び−O−i−Prからなる群から独立に選択される。

好ましい実施態様では、R7、R8、R9、R10、及びR11の3つ(例えば、R8、R9、及びR10)は、−Hであり、R7、R8、R9、R10、及びR11の他の2つ(例えば、R7及びR11)は、−Me、−Et、−Pr(n−又はi−)、−Bu(n−、i−、又はt−)、−OMe、−OEt、−OPr(n−又はi−)、−OBu(n−、i−、又はt−)、−NMe2、−NEt2、−N(n−Pr)2、−N(i−Pr)2などの、C1−5−アルキル、−O−C1−5−アルキル、及び−N(C1−5−アルキル)2、例えば、−Me、−Et、−n−Pr、−i−Pr、−OMe、−OEt、−O−n−Pr、−O−i−Pr、−NMe2、−NEt2からなる群から選択される。特に好ましい一実施態様では、R8、R9、及びR10は、−Hであり、R7及びR11は、上述のものなどの、C1−5−アルキル、−O−C1−5−アルキル、及び−N(C1−5−アルキル)2基から独立に選択される。特に好ましい実施態様では、R8、R9、及びR10は、−Hであり、R7及びR11は、−OMe、−O−i−Pr、−NMe2、−NEt2、−N(n−Pr)2、及び−N(i−Pr)2、例えば、−OMe及び−O−i−Prからなる群から選択される。

別の実施態様では、R7、R8、R9、R10、及びR11の2つ(例えば、R8及びR10)は、−Hであり、R7、R8、R9、R10、及びR11の他の3つ(例えば、R7、R9、及びR11)は、非置換直鎖アルキル、非置換分枝鎖アルキル、非置換シクロアルキル、非置換アルコキシ、非置換−N(アルキル)2(アルキル基は、同じでも異なってもよく、直鎖又は分枝鎖基から独立に選択されてよい)、及び非置換−N(アリール)2(アリール基は、同じでも異なってもよい)からなる群から独立に選択される。

別の実施態様では、R7、R8、R9、R10、及びR11の2つ(例えば、R8及びR10)は、−Hであり、R7、R8、R9、R10、及びR11の他の3つ(例えば、R7、R9、及びR11)は、非置換直鎖アルキル、非置換分枝鎖アルキル、非置換シクロアルキル、非置換アルコキシ、非置換−N(アルキル)2(アルキル基は、同じでも異なってもよく、直鎖又は分枝鎖基から独立に選択されてよい)、及び非置換−N(アリール)2(アリール基は、同じでも異なってもよい)からなる群から選択される。

好ましい一実施態様では、R7、R8、R9、R10、及びR11の2つ(例えば、R8及びR10)は、−Hであり、R7、R8、R9、R10、及びR11の他の3つ(例えば、R7、R9、及びR11)は、−Me、−Et、−Pr(n−又はi−)、−Bu(n−、i−、又はt−)、−OMe、−OEt、−OPr(n−又はi−)、−OBu(n−、i−、又はt−)、−NMe2、−NEt2、−N(n−Pr)2、−N(i−Pr)2などの、C1−5−アルキル、−O−C1−5−アルキル、及び−N(C1−5−アルキル)2、例えば、−Me、−Et、−n−Pr、−i−Pr、−OMe、−OEt、−O−n−Pr、−O−i−Pr、−NMe2、−NEt2からなる群から独立に選択される。特に好ましい一実施態様では、R8及びR10は、−Hであり、R7、R9、及びR11は、上述のものなどの、−C1−5−アルキル基から独立に選択される。

別の好ましい実施態様では、R7、R8、R9、R10、及びR11の2つ(例えば、R8及びR10)は、−Hであり、R7、R8、R9、R10、及びR11の他の3つ(例えば、R7、R9、及びR1)は、−Me、−Et、−Pr(n−又はi−)、−Bu(n−、i−、又はt−)、−OMe、−OEt、−OPr(n−又はi−)、−OBu(n−、i−、又はt−)、−NMe2、−NEt2、−N(n−Pr)2、−N(i−Pr)2などの、C1−5−アルキル、−O−C1−5−アルキル、及び−N(C1−5−アルキル)2、例えば、−Me、−Et、−n−Pr、−i−Pr、−OMe、−OEt、−O−n−Pr、−O−i−Pr、−NMe2、−NEt2からなる群から選択される。特に好ましい一実施態様では、R8及びR10は、−Hであり、R7、R9、及びR11は、上述のものなどの、−C1−5−アルキル基から独立に選択される。特に好ましい一実施態様では、R8及びR10は、−Hであり、R7、R9、及びR11は、−i−Prである。

一実施態様では、単座第三級ホスフィン配位子は、 からなる群から選択される。

好ましい実施態様では、本発明のカチオン性錯体は、 からなる群から選択される単座第三級ホスフィン配位子などの極度にかさ高い配位子を含む。

この実施態様において、配位しているアニオンと、tBuXPhos、Me4tBuXPhos、tBuBrettPhos、RockPhos、又はAdBrettPhosの1つとを含むπ−アリル錯体は、通常では製造できないことが判明した。したがって、本発明の置換されていてもよいカチオン性π−アリル錯体は、配位されていないアニオンによって、Pdカチオンの周囲で空間的配置の混雑が軽減されてPdカチオンの配位子への結合が可能になるため、アニオンが配位している錯体より、一般に手が届きやすい。

R1/R3又はR2/R3は、これらが結合している原子と環構造を形成していてもよく、この場合において、R4/R5、R5/R6、R7/R8、R8/R9、R9/R10、又はR10/R11は、独立に、これらが結合している炭素原子と環構造を形成していてもよく、又はR1、R2、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11は、上で定義される通りである。こうした対(一組又は複数)は、安定性のために受ける制約及び原子価規則に合致して選択される。

R1/R3又はR2/R3の連結基は、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換アルコキシ、又は置換若しくは非置換ヘテロアルキルでよい。R4/R5、R5/R6、R7/R8、R8/R9、R9/R10、及びR10/R11からなる群から選択される対(一組又は複数)から形成される環構造は、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換アリール、又は置換若しくは非置換ヘテロアリール基でよい。R1及びR2は、R3と環構造を形成しないとき、上で定義される基から独立に選択されてよい。

一実施態様では、R4、R5、及びR6は、−Hであり、対R1/R3又はR2/R3は、これらが結合している原子と環構造を形成している。別の実施態様では、R4、R5、及びR6は、−Hであり、対R1/R3又はR2/R3は、これらが結合している原子と環構造を形成している。これらの場合の何れかにおいて、R7/R8、R8/R9、R9/R10、又はR10/R11は、独立に、これらが結合している炭素原子と環構造を形成していてよく、又はR7、R8、R9、R10、及びR11は、上で定義される通りである。R1/R3又はR2/R3は、 からなる群から選択される環構造を形成していてよい。 式中、 R1及びR2は、上で定義される通りであり、 R’及びR’’は、独立に、R1及びR2について上で定義される通りである。

一実施態様では、R’及びR’’は、メチル、プロピル(n−又はi−)、ブチル(n−、i−、又はt−)、シクロヘキシル、又はフェニルからなる群から独立に選択される。

リン配位子の例としては、Tang等、Angew.Chem.Int.Ed.、2010、49、5879−5883、Zhaoら、Chem.Eur.J、2013、19(7)、2261−2265、及びXu等、Journal of the American Chemical Society、2014、136(2)、570−573に記載のもの、例えば、 が挙げられる。

本明細書における描写では、−Me又は−iPrが波線( )によってつながっている場合では、どちらの立体異性体が存在してもよいことは理解されよう。

式(1)の錯体におけるPdカチオンは、置換されていてもよいアリル基を配位子とする。R12は、1−20個の炭素原子、好ましくは1−10個の炭素原子、より好ましくは1−8個の炭素原子を有する有機基であり、R12は、安定性のために受ける制約及び原子価規則に合致して選択される。R12基の数は、0〜5の範囲である、すなわち、mは、0、1、2、3、4、又は5である。mが、2、3、4、又は5であるとき、R12はそれぞれ、同じでも異なってもよい。ある特定の実施態様では、mが2、3、4、又は5であるとき、各R12は同じである。ある特定の実施態様では、mは0である、すなわち、アリル基は、非置換である。ある特定の実施態様では、mは1である。ある特定の実施態様では、mは2であり、各R12は、同じ又は異なる。

R12は、置換及び非置換直鎖アルキル、置換及び非置換分枝鎖アルキル、置換及び非置換シクロアルキル、置換及び非置換アリール、並びにヘテロ原子が硫黄、窒素、及び酸素から独立に選択される置換及び非置換ヘテロアリールからなる群から選択されてよい。一実施態様では、R12は、置換及び非置換直鎖アルキル、置換及び非置換分枝鎖アルキル、並びに置換及び非置換シクロアルキルからなる群から選択される。別の実施態様では、R12は、置換及び非置換アリール、並びにヘテロ原子が硫黄、窒素、及び酸素から独立に選択される置換及び非置換ヘテロアリールからなる群から選択される。R12は、置換又は非置換の分枝鎖又は直鎖アルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、若しくはステアリル、シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、若しくはアダマンチル、又はアリール基、例えば、フェニル、ナフチル、若しくはアントラシルでよい。一実施態様では、アルキル基は、1つ又は複数(例えば、1、2、3、4、又は5つ)の置換基で置換されていてもよく、置換基はそれぞれ、ハロゲン化物(F、Cl、Br、又はI)、アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシなどの、同じ又は異なるものでよい。アリール基は、1つ又は複数(例えば、1、2、3、4、又は5つ)の置換基で置換されていてもよく、置換基はそれぞれ、ハロゲン化物(F、Cl、Br、又はI)、直鎖又は分枝鎖アルキル(例えば、C1−C10)、アルコキシ(例えば、C1−C10アルコキシ)、直鎖又は分枝鎖(ジアルキル)アミノ(例えば、C1−C10ジアルキル)アミノ)、ヘテロシクロアルキル(例えば、モルホリニルやピペラジニルなどのC3−10ヘテロシクロアルキル基)、トリ(ハロ)メチル(例えば、F3C−)などの、同じ又は異なるものでよい。適切な置換アリール基としては、限定はしないが、2−、3−、又は4−ジメチルアミノフェニル、2−、3−、又は4−メチルフェニル、2,3−又は3,5−ジメチルフェニル、2−、3−、又は4−メトキシフェニル、及び4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニルが挙げられる。ピリジルなどの置換又は非置換ヘテロアリール基が使用されてもよい。一実施態様では、各R12は、独立に、メチル、フェニル、又は置換フェニル基である。

Pd原子の配位子となるような、適切な置換されていてもよいアリル基を、以下に示す。 、例えば、

式(1)の錯体において、Xは、配位されていないアニオン性配位子である。「配位されていないアニオン配位子」とは、金属中心の外圏に押しやられているアニオン性配位子を意味する。したがって、アニオン性配位子は、金属中心から解離している。これは、アニオン性配位子が配位圏内で金属に結合している中性錯体とは対照的である。アニオン性配位子は、一般に、カチオン性錯体のX線結晶構造を分析することにより、配位していないことが確認できる。一実施態様では、 は、トリフレートイオン(すなわち、TfO又はCF3SO3)、テトラフルオロホウ酸イオン(すなわち、BF4)、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン(すなわち、SbF6)、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF6)、[B[3,5−(CF3)2C6H3]4]([BarF4])、及びメシル酸イオン(MsO又はMeSO3)からなる群から選択される。

式(1)の錯体は、以下のものからなる群から選択されてよい。

好ましい一実施態様では、式(1)の錯体は、以下のものからなる群から選択されてよい。

特に好ましい一実施態様では、式(1)の錯体は、以下のものからなる群から選択されてよい。

別の態様では、本発明は、式(3)のパラジウム(II)錯体: [式中、 R1及びR2は、独立に、1−20個の炭素原子を有する有機基であり、又はR1とR2は、連結して、Eと環構造を形成しており、 R12は、1−20個の炭素原子を有する有機基であり、 R20、R21、R22、R23、及びR24は、独立に、−H、又は1−20個の炭素原子を有する有機基であり、あるいは R1/R20、R2/R20、R20/R21、又はR22/R23から選択される1つ又は複数の対は、独立に、これらが結合している原子と環構造を形成していてもよく、 mは、0、1、2、3、4、又は5であり、 は、配位されていないアニオン性配位子である]を提供する。

式(3)の錯体は、単座ビヘテロアリール第三級ホスフィン配位子と、配位されていないアニオン性配位子と、置換されていてもよいπ−アリル基とを含むカチオン性パラジウム(II)錯体である。

R1、R2、R12、m、及び は、上述の通りである。

好ましい一実施態様では、R1とR2は、同じであり、tert−ブチル又はシクロヘキシル基である。

R20、R21、R22、R23、及びR24は、独立に、−H、又は1−20個の炭素原子を有する有機基である。R20、R21、R22、R23、及びR24は、安定性のために受ける制約及び原子価規則に合致して選択される。R20及びR21は、−H、置換及び非置換直鎖アルキル、置換及び非置換分枝鎖アルキル、置換及び非置換シクロアルキル、置換及び非置換アルコキシ、置換及び非置換アリール、置換及び非置換ヘテロアリール、置換及び非置換−N(アルキル)2(アルキル基は、同じでも異なってもよく、直鎖又は分枝鎖基から独立に選択される)、置換及び非置換−N(シクロアルキル)2(シクロアルキル基は、同じでも異なってもよい)、置換及び非置換−N(アリール)2(アリール基は、同じでも異なってもよい)、置換及び非置換−N(ヘテロアリール)2(ヘテロアリール基は、同じでも異なってもよい)、並びに置換及び非置換ヘテロシクロアルキル基からなる群から独立に選択されてよい。ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキル基中のヘテロ原子は、硫黄、窒素、又は/及び酸素から独立に選択されてよい。一実施態様では、アルキル基は、1つ又は複数(例えば、1、2、3、4、又は5つ)の置換基で置換されていてもよく、置換基はそれぞれ、ハロゲン化物(F、Cl、Br、又はI)、アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシなどの、同じ又は異なるものでよい。アリール基は、1つ又は複数(例えば、1、2、3、4、又は5つ)の置換基で置換されていてもよく、置換基はそれぞれ、ハロゲン化物(F、Cl、Br、又はI)、直鎖又は分枝鎖アルキル(例えば、C1−C10)、アルコキシ(例えば、C1−C10アルコキシ)、直鎖又は分枝鎖(ジアルキル)アミノ(例えば、C1−C10ジアルキル)アミノ)、ヘテロシクロアルキル(例えば、モルホリニルやピペラジニルなどのC3−10ヘテロシクロアルキル基)、トリ(ハロ)メチル(例えば、F3C−)などの、同じ又は異なるものでよい。適切な置換アリール基としては、限定はしないが、2−、3−、又は4−ジメチルアミノフェニル、2−、3−、又は4−メチルフェニル、2,3−又は3,5−ジメチルフェニル、2−、3−、又は4−メトキシフェニル、及び4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニルが挙げられる。ピリジルなどの置換又は非置換ヘテロアリール基が使用されてもよい。適切な非置換−N(アルキル)2基としては、限定はしないが、−NMe2、−NEt2、及び−NPr2(n−又はi−)が挙げられる。適切な非置換−N(シクロアルキル)2基としては、限定はしないが、−N(Cy)2が挙げられる。適切な置換−N(アルキル)2基としては、限定はしないが、−N(CH2CH2OMe)2及び−N(CF3)2が挙げられる。適切な非置換−N(アリール)2基としては、限定はしないが、−NPh2が挙げられる。適切な置換−N(アリール)2基としては、限定はしないが、−N(2−、3−、又は4−ジメチルアミノフェニル)2、−N(2−、3−、又は4−メチルフェニル)2、−N(2,3−又は3,5−ジメチルフェニル)2、−N(2−、3−、又は4−メトキシフェニル)2、及び−N(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)2が挙げられる。適切な非置換−N(ヘテロアリール)2基としては、限定はしないが、−N(フリル)2及び−N(ピリジル)2が挙げられる。置換及び非置換ヘテロシクロアルキル基としては、ピペリジニルやモルホリニルなどのC4−8−ヘテロシクロアルキル基が挙げられる。

好ましい一実施態様では、R20及びR21は両方とも、−Hである。

R22及びR24は、−H、置換及び非置換直鎖アルキル、置換及び非置換分枝鎖アルキル、置換及び非置換シクロアルキル、置換及び非置換アルコキシ、置換及び非置換−チオアルキル、置換及び非置換アリール、置換及び非置換ヘテロアリール、置換及び非置換−N(アルキル)2(アルキル基は、同じでも異なってもよく、直鎖又は分枝鎖基から独立に選択される)、置換及び非置換−N(シクロアルキル)2(シクロアルキル基は、同じでも異なってもよい)、置換及び非置換−N(アリール)2(アリール基は、同じでも異なってもよい)、置換及び非置換−N(ヘテロアリール)2(ヘテロアリール基は、同じでも異なってもよい)からなる群から独立に選択されてよい。ヘテロアリール基中のヘテロ原子は、硫黄、窒素、又は/及び酸素から独立に選択されてよい。一実施態様では、アルキル基は、ハロゲン化物(F、Cl、Br、又はI)、アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシなどの1つ又は複数(例えば、1、2、3、4、又は5つ)の置換基で置換されていてもよい。アリール基は、ハロゲン化物(F、Cl、Br、又はI)、直鎖又は分枝鎖アルキル(例えば、C1−C10)、アルコキシ(例えば、C1−C10アルコキシ)、直鎖又は分枝鎖(ジアルキル)アミノ(例えば、C1−C10ジアルキル)アミノ)、ヘテロシクロアルキル(例えば、モルホリニルやピペラジニルなどのC3−10ヘテロシクロアルキル基)、トリ(ハロ)メチル(例えば、F3C−)などの1つ又は複数(例えば、1、2、3、4、又は5つ)の置換基で置換されていてもよい。適切な置換アリール基としては、限定はしないが、2−、3−、又は4−ジメチルアミノフェニル、2−、3−、又は4−メチルフェニル、2,3−又は3,5−ジメチルフェニル、2−、3−、又は4−メトキシフェニル、及び4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニルが挙げられる。ピリジルなどの置換又は非置換ヘテロアリール基が使用されてもよい。置換又は非置換の−チオアルキル基としては、−S(C1−5−アルキル)、例えば、−SMe、−SEt、−SPr(n−又はi−)が挙げられる。一実施態様では、R22及びR24は両方とも、フェニルである。

R23は、−H、置換及び非置換直鎖アルキル、置換及び非置換分枝鎖アルキル、置換及び非置換シクロアルキル、置換及び非置換アルコキシ、置換及び非置換アリール、並びに置換及び非置換ヘテロアリールからなる群から独立に選択されてよい。ヘテロアリール基中のヘテロ原子は、硫黄、窒素、又は/及び酸素から独立に選択されてよい。一実施態様では、アルキル基は、ハロゲン化物(F、Cl、Br、又はI)、アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシなどの1つ又は複数(例えば、1、2、3、4、又は5つ)の置換基で置換されていてもよい。アリール基は、ハロゲン化物(F、Cl、Br、又はI)、直鎖又は分枝鎖アルキル(例えば、C1−C10)、アルコキシ(例えば、C1−C10アルコキシ)、直鎖又は分枝鎖(ジアルキル)アミノ(例えば、(C1−C10ジアルキル)アミノ)、ヘテロシクロアルキル(例えば、モルホリニルやピペラジニルなどのC3−10ヘテロシクロアルキル基)、トリ(ハロ)メチル(例えば、F3C−)などの1つ又は複数(例えば、1、2、3、4、又は5つ)の置換基で置換されていてもよい。適切な置換アリール基としては、限定はしないが、2−、3−、又は4−ジメチルアミノフェニル、2−、3−、又は4−メチルフェニル、2,3−又は3,5−ジメチルフェニル、2−、3−、又は4−メトキシフェニル、及び4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニルが挙げられる。ピリジルなどの置換又は非置換ヘテロアリール基が使用されてもよい。一実施態様では、R23は、フェニルである。

好ましい一実施態様では、R22、R23、及びR24はそれぞれ、フェニル基である。

一実施態様では、単座ビヘテロアリール第三級ホスフィン配位子は、 からなる群から選択される。

式(3)の錯体は、 からなる群から選択されてよい。

式(1)の錯体は、 (a)式(4)の錯体を式(5)の単座ビアリール配位子と反応させて、式(6)の錯体を形成する工程 と、 (b)式(6)の錯体を式(7)の銀塩と反応させて、式(1)の錯体を形成する工程 AgX (7) と を含む方法 [式中、 R1及びR2は、独立に、1−20個の炭素原子を有する有機基であり、又はR1とR2は、連結して、Eと環構造を形成しており、 R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11は、独立に、−H、又は1−20個の炭素原子を有する有機基であり、あるいは R1/R3、R2/R3、R3/R4、R4/R5、R5/R6、R7/R8、R8/R9、R9/R10、又はR10/R11から選択される1つ又は複数の対は、独立に、これらが結合している原子と環構造を形成しており、 R12は、1−20個の炭素原子を有する有機基であり、 mは、0、1、2、3、4、又は5であり、 Eは、P又はAsであり、 Yは、配位しているアニオン性配位子であり、 は、配位されていないアニオン性配位子である]において調製することができる。

R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、m、E、及び は、上で定義される通りである。

R1/R3、R2/R3、R3/R4、R4/R5、R5/R6、R7/R8、R8/R9、R9/R10、又はR10/R11から選択される1つ又は複数の対(例えば、1、2、又は3組の対)は、独立に、これらが結合している原子と環構造を形成していてもよい。こうした対(一組又は複数)は、安定性のために受ける制約及び原子価規則に合致して選択される。環構造は、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換アリール、又は置換若しくは非置換ヘテロアリール基でよい。

R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、又はR11は、対の一端をなさない場合、上述の通りである。

R1/R3又はR2/R3は、これらが結合している原子と環構造を形成していてもよく、この場合において、R4/R5、R5/R6、R7/R8、R8/R9、R9/R10、又はR10/R11は、独立に、これらが結合している炭素原子と環構造を形成していてもよく、又はR1、R2、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11は、上で定義される通りである。こうした対(一組又は複数)は、安定性のために受ける制約及び原子価規則に合致して選択される。

R1/R3又はR2/R3の連結基は、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換アルコキシ、又は置換若しくは非置換ヘテロアルキルでよい。R4/R5、R5/R6、R7/R8、R8/R9、R9/R10、及びR10/R11からなる群から選択される対(一組又は複数)から形成される環構造は、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換アリール、又は置換若しくは非置換ヘテロアリール基でよい。R1及びR2は、R3と環構造を形成しないとき、上で定義される基から独立に選択されてよい。

一実施態様では、R4、R5、及びR6は、−Hであり、対R1/R3又はR2/R3は、これらが結合している原子と環構造を形成している。別の実施態様では、R4、R5、及びR6は、−Hであり、対R1/R3又はR2/R3は、これらが結合している原子と環構造を形成している。これらの場合の何れかにおいて、R7/R8、R8/R9、R9/R10、又はR10/R11は、独立に、これらが結合している炭素原子と環構造を形成していてよく、又はR7、R8、R9、R10、及びR11は、上で定義される通りである。R1/R3又はR2/R3は、 からなる群から選択される環構造を形成していてよい。 式中、 R1及びR2は、上で定義される通りであり、 R’及びR’’は、独立に、R1及びR2について上で定義される通りである。

一実施態様では、R’及びR’’は、メチル、プロピル(n−又はi−)、ブチル(n−、i−、又はt−)、シクロヘキシル、又はフェニルからなる群から独立に選択される。

別の実施態様では、R9は、−Hであり、対R7/R8及びR10/R11は、これらが結合している原子と環構造を形成している。各対は、これらが結合している炭素原子と一緒に、置換又は非置換アリール環(例えば、フェニル環)を形成していてよい。

リン配位子の例としては、Tang等、Angew.Chem.Int.Ed.、2010、49、5879−5883、Zhao等、Chem.Eur.J、2013、19(7)、2261−2265、及びXuら、Journal of the American Chemical Society、2014、136(2)、570−573に記載のもの、例えば、 が挙げられる。

本明細書における描写では、−Me又は−iPrが波線( )によってつながっている場合では、どちらの立体異性体が存在してもよいことは理解されよう。

一実施態様では、R5及びR6は、これらが結合している炭素原子と一緒に、置換又はは非置換アリール環、好ましくはフェニル環を形成している。別の実施態様では、R7及びR8は、これらが結合している炭素原子と一緒に、置換又はは非置換アリール環、好ましくはフェニル環を形成している。一例を以下に示す。

式(1)の錯体のこの調製方法は、単座ビアリール配位子(5)が立体的にかさ高くないときに適する。理論に拘泥するものではないが、式(6)の錯体は、基R1及びR2の立体的なかさを基R7、R8、R9、R10、及び/又はR11の立体的なかさと釣り合わせた結果として調製できると考えられる。例えば、式(6)の錯体において、EがPである場合、置換基R7、R8、R9、R10、及び/又はR11が、より立体的にかさ高くならないように選択されるとき(例えば、H)、R1及びR2は、シクロヘキシル基より立体的にかさ高くなるように選択することができる(例えば、tert−ブチル基)。同様に、置換基R7、R8、R9、R10、及び/又はR11が、より立体的にかさ高くなるように選択されるとき(例えば、メトキシ、iso−プロピル、ジメチルアミノ)、R1及びR2は通常、より立体的にかさ高くならないように選択される(例えば、シクロヘキシル基又はより小さい基)。この方法は、単座ビアリール配位子(5)が極度に立体的にかさ高いとき、例えば、tBuXPhos、Me4tBuXPhos、tBuBrettPhos、RockPhos、又はAdBrettPhosであるとき、通常は使用できない。この後者の例では、以下に記載する方法がより適する。

式(4)の錯体は、既知の方法に従って調製することができ(例えば、a)Marion, N.: Navarro, O.; Mei, J.; Stevens, E. D.; Scott, N. M.; Nolan, S. P. J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 4101、b)Auburn, P. R.; Mackenzie, P. B.; Bosnich, B. J. Am. Chem. Soc. 1985, 107, 2033、c)Dent, W. I.; Long, R.; Wilkinson, G. J. Chem. Soc. 1964, 1585、d)Nicholson, J. K.; Powell, J.; Shaw, B. L. J. Chem. Soc.; Chem. Commun. 1966, 174を参照されたい)、それぞれ、すべての目的でその全体が出典明示により援用される。適切な式(4)の錯体としては、 が挙げられる。

式(4)の錯体と単座ビアリール配位子は、溶媒中で合わせることができる。この場合では、溶媒は、適切な何れかの非プロトン性溶媒又は非プロトン性溶媒の組合せである。非プロトン性溶媒の例は、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン(2−MeTHF)、ジクロロメタン(DCM)、ジオキサン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリジン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)、ジエチルエーテル、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、又は酢酸エチルである。好ましい溶媒は、THF、2−メチルテトラヒドロフラン、トルエン、DCM、又はこれらの組合せである。溶媒は、無水でよい。溶媒中の式(4)の錯体の濃度は、好ましくは約0.001mol/L〜約3.00mol/L、より好ましくは約0.01mol/L〜約2.50mol/L、例えば約0.03mol/L〜約2.50mol/Lである。

式(4)の錯体:単座ビアリール配位子(5)のモル比が約1:1.90〜約1:2.30、例えば約1:2.0であることが好ましいが、適切ないかなる量の配位子(5)を使用してもよい。

Yは、ハロ基、好ましくは、Cl、Br、又はI、より好ましくはClである。

工程(a)の後に得られた反応混合物は、式(7)の銀塩と直接反応させることができる。別法として、式(6)の錯体は、単離し、必要なら精製した後で、式(7)の銀塩と反応させてもよい。

式(7)の銀塩(AgX)は、錯体(6)の中に存在する、配位しているアニオン配位子(Y)とのアニオン交換を経て、反応媒質から沈殿する実質的に不溶性の銀塩AgYになる。式(4)の錯体:AgX(7)のモル比が約1:1.90〜約1:2.2、例えば約1:2.0であることが好ましいが、適切ないかなる量のAgX(7)を使用してもよい。

反応は、窒素やアルゴンなどの不活性雰囲気中で実施することが好ましい。

方法は、約−10℃〜約60℃、好ましくは約0℃〜約35℃、より好ましくはほぼ室温(rt)(すなわち、約20℃〜約30℃)の範囲の温度で実施することができる。温度は、分解温度未満に保つことが好ましいので、式(1)、(4)、又は(6)の錯体が、上で示した温度範囲内で分解することがわかれば、温度をその分解温度未満に保つべきである。

反応は、約数分〜約24時間かけて実施することができる。通常、実験室規模の反応については、約6時間以内に反応が完了する。完了後、錯体を回収する前に、必要なら、溶媒の一部分を蒸発させてもよい。さらに、必要なら、貧溶媒(例えば、ペンタンやヘキサンなどのアルカン)を使用して、溶媒から錯体を沈殿させてもよい。錯体生成物は、濾過、デカント、又は遠心分離によって直接回収することができる。

ともかく、錯体を回収し、分離された錯体を洗浄し、次いで乾燥させることができる。乾燥は、既知の方法を使用して、例えば、1−30ミリバールの減圧下、10−60℃、好ましくは20−40℃の範囲の温度で1時間〜5日間行ってよい。必要なら、錯体を再結晶させてもよい。

式(1)の錯体又は式(3)の錯体は、 (a)式(4)の錯体を式(7)の銀塩と反応させる工程 AgX (7) と、 (b)工程(a)の生成物を式(5)の単座ビアリール配位子又は式(8)の単座ビヘテロアリール第三級ホスフィン配位子と反応させて、式(1)の錯体又は式(3)の錯体を形成する工程 と を含む方法 [式中、 R1及びR2は、独立に、1−20個の炭素原子を有する有機基であり、又はR1とR2は、連結して、Eと環構造を形成しており、 R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11は、独立に、−H、又は1−20個の炭素原子を有する有機基であり、あるいは R1/R2、R2/R3、R3/R4、R4/R5、R5/R6、R7/R8、R8/R9、R9/R10、又はR10/R11から選択される1つ又は複数の対は、独立に、これらが結合している原子と環構造を形成しており、 R12は、1−20個の炭素原子を有する有機基であり、 R20、R21、R22、R23、及びR24は、独立に、−H、又は1−20個の炭素原子を有する有機基であり、あるいは R1/R20、R2/R20、R20/R21、又はR22/R23から選択される1つ又は複数の対は、独立に、これらが結合している原子と環構造を形成していてもよく、 mは、0、1、2、3、4、又は5であり、 Eは、P又はAsであり、 Yは、配位しているアニオン性配位子であり、 は、配位されていないアニオン性配位子である]において調製することもできる。

R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R20、R21、R22、R23、R24、m、E、Y、及び は、上述の通りである。式(4)の錯体及び式(7)の銀塩も、上述の通りである。

R1/R3、R2/R3、R3/R4、R4/R5、R5/R6、R7/R8、R8/R9、R9/R10、又はR10/R11から選択される1つ又は複数の対(例えば、1、2、又は3組の対)は、独立に、これらが結合している原子と環構造を形成していてもよい。こうした対(一組又は複数)は、安定性のために受ける制約及び原子価規則に合致して選択される。環構造は、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換アリール、又は置換若しくは非置換ヘテロアリール基でよい。

R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、又はR11は、対の一端をなさない場合、上述の通りである。

R1/R3又はR2/R3は、これらが結合している原子と環構造を形成していてもよく、この場合において、R4/R5、R5/R6、R7/R8、R8/R9、R9/R10、又はR10/R11は、独立に、これらが結合している炭素原子と環構造を形成していてよく、又はR1、R2、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11は、上で定義される通りである。こうした対(一組又は複数)は、安定性のために受ける制約及び原子価規則に合致して選択される。

R1/R3又はR2/R3の連結基は、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換アルコキシ、又は置換若しくは非置換ヘテロアルキルでよい。R4/R5、R5/R6、R7/R8、R8/R9、R9/R10、及びR10/R11からなる群から選択される対(一組又は複数)から形成される環構造は、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換アリール、又は置換若しくは非置換ヘテロアリール基でよい。R1及びR2は、R3と環構造を形成しないとき、上で定義される基から独立に選択されてよい。

一実施態様では、R4、R5、及びR6は、−Hであり、対R1/R3又はR2/R3は、これらが結合している原子と環構造を形成している。別の実施態様では、R4、R5、及びR6は、−Hであり、対R1/R3又はR2/R3は、これらが結合している原子と環構造を形成している。これらの場合の何れかにおいて、R7/R8、R8/R9、R9/R10、又はR10/R11は、独立に、これらが結合している炭素原子と環構造を形成していてよく、又はR7、R8、R9、R10、及びR11は、上で定義される通りである。R1/R3又はR2/R3は、 からなる群から選択される環構造 [式中、 R1及びR2は、上で定義される通りであり、 R’及びR’’は、独立に、R1及びR2について上で定義される通りである]を形成していてよい。

一実施態様では、R’及びR’’は、メチル、プロピル(n−又はi−)、ブチル(n−、i−、又はt−)、シクロヘキシル、又はフェニルからなる群から独立に選択される。

別の実施態様では、R9は、−Hであり、対R7/R8及びR10/R11は、これらが結合している原子と環構造を形成している。各対は、これらが結合している炭素原子と一緒に、置換又は非置換アリール環(例えば、フェニル環)を形成していてよい。

リン配位子の例としては、Tang等、Angew.Chem.Int. Ed.、2010、49、5879−5883、Zhao等、Chem.Eur.J、2013、19(7)、2261−2265、及びXuら、Journal of the American Chemical Society、2014、136(2)、570−573に記載のもの、例えば、 が挙げられる。

本明細書における描写では、−Me又は−iPrが波線( )によって接続している場合では、どちらの立体異性体が存在してもよいことは理解されよう。

一実施態様では、R5及びR6は、これらが結合している炭素原子と一緒に、置換又は非置換アリール環、好ましくはフェニル環を形成している。別の実施態様では、R7及びR8は、これらが結合している炭素原子と一緒に、置換又は非置換アリール環、好ましくはフェニル環を形成している。一例を以下に示す。

式(1)及び(3)の錯体のこの調製方法は、単座ビアリール配位子(6)又は単座ビヘテロアリール第三級ホスフィン配位子(8)が極度に立体障害性である、例えば、tBuXPhos、Me4tBuXPhos、tBuBrettPhos、RockPhos、及びAdBrettPhosからなる群から選択されるものであるときに適するが、この方法は、立体障害性がより弱い配位子にも使用してよい。

理論に拘泥するものではないが、式(4)の錯体を式(7)の銀塩と反応させると、トリフレートイオンなどの容易に解離しうる対イオンで機能付与されたアリルパラジウム錯体である「[(R12)m−アリルPd]OTf」中間体が形成しうると仮定される。次いで、中間体を、その場で式(5)又は(8)の配位子と反応させる。

式(4)の錯体と銀塩(7)は、溶媒中で合わせることができる。この場合では、溶媒は、適切な何れかの非プロトン性溶媒又は非プロトン性溶媒の組合せである。非プロトン性溶媒の例は、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン(2−MeTHF)、ジクロロメタン(DCM)、ジオキサン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリジン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)、ジエチルエーテル、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、又は酢酸エチルである。好ましい溶媒は、THF、2−メチルテトラヒドロフラン、トルエン、DCM、又はこれらの組合せである。溶媒は、無水でよい。溶媒中の式(4)の錯体の濃度は、約0.001mol/L〜約5.00mol/L、例えば、約0.01mol/L〜約2.50mol/L、例えば、約0.001mol/L〜約0.25mol/L、例えば、約0.01mol/L〜約0.25mol/L、例えば、約0.01mol/L〜約0.22mol/L、例えば、約0.03mol/L〜約0.22mol/L、例えば、約0.05mol/Lであることが好ましい。

式(6)の銀塩(AgX)は、錯体(4)の中に存在する、配位しているアニオン配位子(Y)とのアニオン交換を経て、反応媒質から沈殿する実質的に不溶性の銀塩AgYになる。式(4)の錯体:AgX(7)のモル比が約1:1.90〜約1:2.2、例えば約1:2.0であることが好ましいが、適切ないかなる量のAgX(7)を使用してもよい。

工程(a)の反応混合物は、通常、光から保護され、室温で(約30〜60分などの)一定期間保管することができる。

次いで、工程(a)の生成物を式(5)の単座ビアリール配位子と反応させて、式(1)の錯体を生成することができる。別法として、工程(a)の生成物をビヘテロアリール第三級ホスフィン配位子(8)と反応させて、式(3)の錯体を形成してもよい。一実施態様では、工程(a)の生成物を含む反応混合物を、一方のフラスコから、配位子(5)又は(8)を含有する別のフラスコに、(例えばカニューレで)移すことができる。別の実施態様では、工程(a)の生成物は、その場で(例えばSchlenkフリットを使用して)又は不活性条件下で濾過することができる。例えば、一方のフラスコの中身を別のフラスコに移すのに追加の溶媒を使用して、フラスコ又はフリットをすすいでもよい。どの実施態様を使用するかにかかわらず、不溶性の銀塩AgYは、最初のフラスコに残り、第2のフラスコに移されない。

別法として、(固体又は溶液中の)配位子を、工程(a)の反応混合物に加えてもよい。

式(4)の錯体:配位子のモル比が約1:1.90〜約1:2.5、例えば、約1:2.0〜約1:2.2、例えば、1:2.0であることが好ましいが、適切ないかなる量の配位子を使用してもよい。必要なら、配位子は、塩、例えば、テトラフルオロホウ酸塩の形で使用してもよい。配位子は、式(5)又は(8)のものでよい。

反応は、窒素やアルゴンなどの不活性雰囲気中で実施することが好ましい。

方法は、約−10℃〜約60℃、好ましくは約0℃〜約35℃、より好ましくはほぼ室温(rt)(すなわち、約15℃〜約30℃)の範囲の温度で実施することができる。温度は、分解温度未満に保つことが好ましいので、式(1)、(3)の錯体、又は工程(a)の生成物が、上で示した温度範囲内で分解することがわかれば、温度をその分解温度未満に保つべきである。

反応は、約数分〜約24時間かけて実施することができる。通常、実験室規模の反応については、約2.5時間で反応が完了する。完了後、錯体を回収する前に、必要なら、溶媒の一部分を蒸発させてもよい。さらに、必要なら、貧溶媒(例えば、ペンタンやヘキサンなどのアルカン)を使用して、溶媒から錯体を沈殿させてもよい。錯体生成物は、濾過、デカント、又は遠心分離によって直接回収することができる。

ともかく、錯体を回収し、分離された錯体を洗浄し、次いで乾燥させることができる。乾燥は、既知の方法を使用して、例えば、1−30ミリバールの減圧下、10−60℃、好ましくは20−40℃の範囲の温度で1時間〜5日間行ってよい。必要なら、錯体を再結晶させてもよいが、一部の実施態様では、それ以上精製せずに分析的に純粋な生成物を得ることができるので、その必要がないこともある。

ある特定の実施態様では、錯体は、高収率で調製することができる。ある特定の実施態様では、錯体は、高純度で調製することができる。ある特定の実施態様では、錯体は、高活性触媒である。ある特定の実施態様では、錯体は、周囲温度で空気及び水分に対して安定である。

錯体の応用研究では、錯体が、穏やかな条件下で容易に活性化しうることが示唆されている。例えば、アリル錯体は、通常は60℃超で活性化し、クロチル及びシンナミル錯体は、室温で容易に活性化しうる。しかし、必要なら、本発明の錯体は、より高温(例えば、約60℃以上〜約150℃以下)での反応において使用してもよい。

理論に拘泥するものではないが、錯体は、活性化して、LPd(0)種(L=ホスフィン配位子)になると考えられる。錯体が活性化されると、比較的害のない置換オレフィン副生物も生じうる。(例えば、XがOTfであるとき)本発明のカチオン性錯体の反応性が中性(Cl)錯体に対して向上することは、カチオン性錯体の求電子性が増大し、かつ/又は非生産的なμ−アリル架橋された種がより不安定な対イオンによって不安定化される結果として起こりうるものと提言される。この点において、反応性の「LPd(0)」種(L=配位子)は、まだ反応していない式(1)又は(3)の錯体との均等化によって消費されて、二量体錯体となりかねない。二量体錯体が、立体ひずみによる配位子サイズの増大、アリル基上での置換の増加、及び/又はより不安定な対イオンの使用と共にますます不安定化し、そのためにその形成傾向が妨げられることによって、均等化過程の抑制がもたらされうる。加えて、(例えば、L=ビアリールホスフィンであるとき)L−Pd(0)錯体が示す酸化的付加は高速であるために、活性L−Pd(0)が触媒サイクルに急速に引き込まれ、したがって、非生産的な均等化過程にとって不利になるはずである。こうした機序を、Lが式(5)又は(8)の配位子であり、XがOTfであり、mが1である特定のπ−アリル錯体について以下に図示する。

本発明の触媒は、炭素−炭素カップリング反応に使用することができる。炭素−炭素カップリング反応の例としては、Heck、鈴木、園頭、又は根岸反応、ケトンα−アリール化反応、アルデヒドα−アリール化反応、及びアリル置換反応が挙げられる。本発明の触媒は、炭素−窒素カップリング反応(すなわち、ブッフバルト−ハートウィッグ反応)や、炭素−酸素又は炭素−硫黄カップリング反応などの、炭素−ヘテロ原子カップリング反応にも使用できる。式(1)又は(3)の錯体は、重合反応に適したものになりうることも想定される。

別の態様では、本発明は、上で定義される式(1)の錯体又は上で定義される式(3)の錯体の使用を含む、触媒の存在下で炭素−炭素カップリング反応を実施する方法を提供する。

一実施態様では、方法は、請求項1から15の何れか一項に定義される式(1)の錯体の使用を含む。別の実施態様では、方法は、請求項16から25の何れか一項に定義される式(3)の錯体の使用を含む。

別の態様では、本発明は、上で定義される式(1)の錯体又は上で定義される式(3)の錯体の使用を含む、触媒の存在下で炭素−ヘテロ原子カップリング反応を実施する方法を提供する。

一実施態様では、方法は、請求項1から15の何れか一項に定義される式(1)の錯体の使用を含む。別の実施態様では、方法は、請求項16から25の何れか一項に定義される式(3)の錯体の使用を含む。

別の態様では、本発明は、炭素−炭素カップリング反応における触媒としての上で定義される式(1)の錯体又は上で定義される式(3)の錯体の使用を提供する。

一実施態様では、式(1)の錯体は、請求項1から15の何れか一項に定義されている。別の実施態様では、式(3)の錯体は、請求項16から25の何れか一項に定義されている。

別の態様では、本発明は、炭素−ヘテロ原子カップリング反応における触媒としての上で定義される式(1)の錯体又は上で定義される式(3)の錯体の使用を提供する。

一実施態様では、式(1)の錯体は、請求項1から15の何れか一項に定義されている。別の実施態様では、式(3)の錯体は、請求項16から25の何れか一項に定義されている。

本発明の実施態様及び/又は任意選択的な特色について上で述べてきた。本発明の何れの態様も、文脈上別段に要求されない限り、本発明の他の何れかの態様と組み合わせてよい。文脈上別段に要求されない限り、任意の態様の実施態様又は任意選択的な特色の何れかを、本発明の任意の態様と、個々に又は一緒に組み合わせてもよい。

ここで本発明について、以下の非限定的な実施例によって、また以下の図面に即して説明する。

(π−クロチル)Pd(tBuXPhos)]OTfの

1H NMRスペクトルを示すグラフである。

(π−シンナミル)Pd(tBuXPhos)]OTfの

1H NMRスペクトルを示すグラフである。

(π−クロチル)Pd(BrettPhos)]OTfの

1H NMRスペクトルを示すグラフである。

(π−クロチル)Pd(BrettPhos)]OTfの

13C NMRスペクトルを示すグラフである。

(π−シンナミル)Pd(BrettPhos)]OTfの

1H NMRスペクトルを示すグラフである。

(π−シンナミル)Pd(BrettPhos)]OTfの

13C NMRスペクトルを示すグラフである。

(π−クロチル)Pd(tBuBrettPhos)]OTfの

1H NMRスペクトルを示すグラフである。

(π−クロチル)Pd(tBuBrettPhos)]OTfの

13C NMRスペクトルを示すグラフである。

(π−シンナミル)Pd(tBuBrettPhos)]OTfの

1H NMRスペクトルを示すグラフである。

(π−シンナミル)Pd(tBuBrettPhos)]OTfの

13C NMRスペクトルを示すグラフである。

BrettPhos錯体を用いた4−クロロアニソールのn−BuNH

2によるアミノ化のガスクロマトグラフィー(GC)変換率を示すグラフである。

すべての溶媒及び試薬は商業的供給源から購入し、受領した状態のまま使用した。すべての触媒、リガンド又は貴金属前駆体は、Johnson Matthey Catalysis又はAlfa Aesarから入手した。フラッシュクロマトグラフィーは、12gのRediSepRfシリカカートリッジを用いるTeledyne ISCO CombiFlashRfで行った。31P、1H、19F及び13C NMRスペクトルは、別段の記載がない限り、化学シフトを内部基準としての残留溶媒に対して報告して(CDCl3:1H NMRについて7.26ppm及び13C NMRについて77.26ppm、C6D6:1H NMRについて7.16ppm及び13C NMRについて128.06ppm、DMSO−d6:1H NMRについて2.50ppm及び13C NMRについて39.52ppm、トルエン−d8:1H NMRについて2.08ppm及び13C NMRについて20.43ppm)、400MHz分光計で記録し、一方、31P{1H} NMRスペクトルは85%H3PO4を外部基準とし、19F NMRスペクトルはCFCI3を外部基準とした。以下の略語を使用して、多重度を説明した:s=一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、quint=五重線、sept=七重線、m=多重線、b=広幅、app t=見かけの三重線、app d=見かけの二重線、br=広幅。元素分析は、Robertson Microlit Laboratories,Inc.に送られた。すべての反応は、窒素雰囲気下の個々のシュレンクフラスコ内で行った。単離生成物の純度は、別段の注記がない限り、1H NMR、GC/MS又は元素分析により測定したところ>95%であった。

結晶学的データは、モノキャップコリメーターを備えたAPEX Bruker−AXS CCD X線回折計で120Kにて得た。構造は、SHELXTLソフトウェアを用いて解明した。これらのデータは、デラウェア大学化学及び生化学部のX線結晶解析実験室から得た。

[Pd(置換されていてもよい(R12)n−アリル)(X)]2錯体の調製のための一般的な手順: 三口丸底フラスコ内の蒸留H2Oを窒素で30分間パージする。その後、PdCl2及びKClをフラスコに添加し、溶液を室温で1時間撹拌する。次いで、置換されていてもよい(R4)n−塩化アリルを添加し、得られた反応混合物を室温で終夜(18−20時間)撹拌する。反応物をクロロホルムで抽出し、水性層をクロロホルムで3回洗浄する。有機層を合わせ、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮する。粗生成物をクロロホルム及びメチルtert−ブチルエーテルから再結晶し、得られた固体を濾過により単離し、真空中で乾燥させる。

[Pd(π−シンナミル)Cl]2 PdCl2(590mg、3.33mmol);KCl(473mg、6.67mmol);塩化シンナミル(1.39mL、9.99mmol);H2O(83mL)。二量体を黄色固体として得る。

[Pd(π−1−クロチル)Cl]2 PdCl2(590mg、3.33mmol);KCl(473mg、6.67mmol);塩化クロチル(0.97mL、9.99mmol);H2O(83mL)。二量体を黄色固体として得る。

[Pd(π−プレニル)Cl]2 PdCl2(590mg、3.33mmol);KCl(473mg、6.67mmol);1−クロリド−3−メチル−2−ブテン(1.13mL、9.99mmol);H2O(83mL)。二量体を黄色固体として得る。

[Pd(π−メタリル)Cl]2 PdCl2(590mg、3.33mmol);KCl(473mg、6.67mmol);3−クロリド−2−メチル−1−プロペン(0.98mL、9.99mmol);H2O(83mL)。二量体を黄色固体(269mg、41%)として得る。

実施例1(本発明による) [(π−アリル)Pd(tBuBrettPhos)]OTf 乾燥シュレンクフラスコに、183mg(0.50mmol)の[(アリル)PdCl]2及び257mg(1.0mmol)のトリフルオロメタンスルホン酸銀を入れる。第2の乾燥シュレンクフラスコにシュレンクフリットを取り付け、485mg(1.0mmol)のtBuBrettPhosを入れる。フラスコを排気し、窒素で再充填する。この排気/再充填サイクルを合計3回繰り返した。10mLの無水THFを第1のフラスコに添加し、混合物を光から保護しながら室温(rt)で30分間撹拌する。次いで、フラスコ1からの混合物を、カニューレによりシュレンクフリットを通して第2のフラスコ内に移して、AgClを除去する。フリットを追加の10mLの無水THFですすぐ。混合物を室温で2時間撹拌し、続いて30mLのヘキサンをゆっくりと添加して、淡黄色沈殿物を得る。これを濾過し、洗浄し(2×10mLのヘキサン)、真空中で乾燥させて、653mg(0.84mmol、84%)の分析的に純粋な(π−アリル)Pd(tBuBrettPhos)OTfをわずかに黄色の固体として得る;1H NMR (400 MHz, CDCl3, δ):7.45 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.28 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 7.07 (dd, J = 2.9 Hz, 9.0 Hz, 1H), 6.96 (dd, J = 2.9 Hz, 8.9 Hz, 1H), 5.52 (七重線, J = 7.1 Hz, 1H), 4.39 (見かけd, J = 6.3 Hz, 1H), 3.83 (s, 3H), 3.35 (dd, J = 9.2 Hz, 13.9 Hz, 1H), 3.32 (s, 3H), 2.97 (七重線, J = 6.9 Hz, 1H), 2.78 (見かけd, J = 12.4 Hz, 1H), 2.54 (七重線, J = 6.7 Hz, 1H), 2.30 - 1.12 (m, 2H), 1.45 - 1.27 (m, 24H), 1.24 (dd, J = 6.9 Hz, 11.8 Hz, 6H), 0.87 (d, J = 6.9 Hz, 3H), 0.70 (d, J = 6.9 Hz, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3, δ): 156.3, 154.6 (2ピーク), 154.5, 152.2, 151.5, 136.5, 136.2, 125.8, 125.7, 125.6, 125.4, 125.2, 122.6, 119.7, 119.6, 119.4, 116.2, 115.5 (2ピーク), 112.8 (2ピーク), 112.0 (2ピーク), 99.8, 99.5, 58.4 (2ピーク), 54.7, 54.6, 39.9, 39.8, 39.3, 39.1, 34.0, 32.1, 32.0, 31.9, 31.7, 31.6 (2ピーク), 25.7, 25.5, 24.6, 24.5, 24.2 [C-FおよびC-Pカップリングの為に複雑に見える]; 19F NMR (372 MHz, CDCl3, δ): -77.9 (s, 3F); 31P NMR (162 MHz, CDCl3, δ): 86.2;元素分析:C35H54O5F3PSPdの計算値:C、53.81;H、6.97。実測値C、53.81;H、7.10。

実施例2 以下の錯体は、実施例1の手順と実質的に同じ手順を用いて調製する。

[(π−アリル)Pd(tBuXPhos)]OTf [(アリル)PdCl]2(183mg、0.50mmol);AgOTf(257mg、1.00mmol);tBuXPhos(425mg、1.00mmol);THF(10.0mL);2時間。生成物をわずかに黄色の固体(708mg、98%)として得る;1H NMR (400 MHz, CDCl3, δ): 7.92 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 7.59 - 7.47 (m, 3H), 7.42 - 7.40 (m, 1H), 6.79 (dd, J = 3.2 Hz, 7.5 Hz, 1H), 5.72 (七重線, J = 7.2 Hz, 1H), 4.49 (d, J = 6.7 Hz, 1H), 3.52 (dd, J = 9.0 Hz, 14.0 Hz, 1H), 3.03 (五重線, J = 7.1 Hz, 1H), 2.93 (d, J = 12.9 Hz, 1H), 2.67 - 2.62 (m, 1H), 2.50 (五重線, J = 7.1 Hz, 1H), 2.26 (五重線, J = 6.9 Hz, 1H), 1.49 - 1.40 (m, 9H), 1.40 - 1.28 (m, 21H), 0.96 (d, J = 6.7 Hz, 3H), 0.88 (d, J = 6.7 Hz, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3, δ): 153.6, 152.7, 149.2, 146.0, 145.8, 135.1 (2ピーク), 134.9, 133.7, 133.6, 131.7, 131.6, 128.3, 128.2, 126.6, 126.2, 125.8, 122.6, 120.3 (2ピーク), 120.1 (2ピーク), 119.4, 116.2, 101.3, 101.1, 55.5, 38.3 (2ピーク), 38.2, 38.1, 33.9, 32.0, 31.7, 31.2, 31.1, 30.9, 30.8, 25.9, 25.4, 24.9, 24.5 (2ピーク), 24.1 [C-FおよびC-Pカップリングの為に複雑に見える]; 19F NMR (372 MHz, CDCl3, δ): -78.1 (s, 3F); 31P NMR (162 MHz, CDCl3, δ): 70.1;元素分析:C33H50O3F3PSPdの計算値:C、54.96;H、6.99。実測値C、54.84;H、7.13。

[(π−クロチル)Pd(tBuXPhos)]OTf [(クロチル)PdCl]2(197mg、0.50mmol);AgOTf(257mg、1.00mmol);tBuXPhos(425mg、1.00mmol);2−MeTHF(10.0mL);2時間。生成物をわずかに黄色の固体(722mg、98%)として得る;スペクトル特性は異性体の存在のために複雑化している。1H NMR (400 MHz, CDCl3, δ):錯体スペクトル、図1を参照;13C NMR (100 MHz, CDCl3, δ): 153.4, 152.3, 152.0, 146.4, 146.2, 146.0, 145.8, 144.1, 135.0, 134.9, 134.7, 134.4, 134.1, 133.7, 133.6, 133.3, 133.2, 131.5 (2ピーク), 131.4 (2ピーク), 128.1 (2ピーク), 128.0, 127.1, 126.1, 125.7, 124.6, 124.1, 122.9, 122.8, 122.5, 121.7, 121.4, 119.3, 112.9 (2ピーク), 48.3, 38.9, 38.8, 38.3, 38.1, 37.5, 37.3, 33.8, 33.5, 32.0, 31.9, 31.7, 31.6, 31.3, 31.1 (2ピーク), 31.0 (2ピーク), 30.7 (2ピーク), 26.2, 25.6, 25.5, 25.4, 25.1, 24.9, 24.3, 24.2, 24.0 (2ピーク), 23.7, 23.4, 22.8, 16.4 (2ピーク) [C-FおよびC-Pカップリングの為に複雑に見える]; 19F NMR (372 MHz, CDCl3, δ): -77.9 (s, 3F); 31P NMR (162 MHz, CDCl3, δ): 72.2, 71.7, 66.7;元素分析:C34H52O3F3PSPdの計算値:C、55.54;H、7.13。実測値C、55.66;H、6.99。

[(π−シンナミル)Pd(tBuXPhos)]OTf [(シンナミル)PdCl]2(259mg、0.50mmol);AgOTf(257mg、1.00mmol);tBuXPhos(425mg、1.00mmol);2−MeTHF(10.0mL);2時間。生成物を黄色固体(725mg、91%)として得る;1H NMR (400 MHz, CDCl3, δ):錯体スペクトル、図2を参照;13C NMR (100 MHz, CDCl3, δ): 153.1, 151.5, 146.8, 146.6, 135.4, 135.1, 135.0, 134.1, 133.6, 133.5, 131.5, 130.3 (2ピーク), 129.6 (2ピーク), 128.1, 128.0, 125.2, 123.3, 122.6, 119.4, 118.9, 116.2, 110.2, 39.3, 39.1, 32.1, 31.5, 31.3 (2ピーク), 31.0, 25.7, 25.5, 24.9, 24.8, 24.4, 22.6, 22.5, 14.1 [C-FおよびC-Pカップリングの為に複雑に見える]; 19F NMR (372 MHz, CDCl3, δ): -78.6 (s, 3F); 31P NMR (162 MHz, CDCl3, δ): 76.0;元素分析:C39H54O3F3PSPdの計算値:C、58.75;H、6.83。実測値C、58.81;H、6.76。

[(π−アリル)Pd(Me4tBuXPhos)]OTf [(アリル)PdCl]2(183mg、0.50mmol);AgOTf(257mg、1.00mmol);Me4tBuXPhos(481mg、1.00mmol);THF(10.0mL);2時間。生成物を淡黄色固体(727mg、94%)として得、生成物は微量の残留THF(1H NMRにより判断して〜5mol%)を含有する;1H NMR (400 MHz, CDCl3, δ): 7.42 (s, 1H), 7.32 (s, 1H), 5.58 (七重線, J = 7.1 Hz, 1H), 4.53 (d, J = 6.5 Hz, 1H), 3.31 (dd, J = 9.5, 13.4 Hz, 1H), 3.00 (七重線, J = 7.3 Hz, 1H), 2.91 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 2.61 (七重線, J = 6.8 Hz, 1H), 2.60 (s, 3H), 2.31 (七重線, J = 6.6 Hz, 1H), 2.25 (s, 3H), 2.16 - 2.08 (m, 4H), 1.52 - 1.37 (m, 18H), 1.32 (d, J = 7.0 Hz, 6H), 1.24 (t, J = 7.6 Hz, 6H), 0.88 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 0.82 (s, 3H), 0.74 (d, J = 6.6 Hz, 3H),THFに起因するピークが、3.76及び1.85ppmで観察された;13C NMR (100 MHz, CDCl3, δ): 155.1, 154.6, 151.4, 143.3, 143.0, 141.5 (2ピーク), 139.2, 138.5, 138.4, 137.1, 137.0, 133.6, 133.4, 125.8, 125.6, 125.5, 122.6, 120.0, 119.9, 119.4, 116.2, 116.1, 98.3, 98.0, 62.7 (2ピーク), 40.9, 40.8, 40.1, 40.0, 34.0, 33.4 (2ピーク), 32.9 (2ピーク), 32.2, 32.0, 26.9, 26.3, 26.2, 24.8, 24.6, 24.3 (2ピーク), 18.7, 17.5, 17.3 [C-FおよびC-Pカップリングの為に複雑に見える],THFに起因するピークが、67.9及び25.6ppmで観察された;19F NMR (372 MHz, CDCl3, δ): -78.1 (s, 3F); 31P NMR (162 MHz, CDCl3, δ): 93.5;元素分析:C37H58O3F3PSPdの計算値:C、57.17;H、7.52。実測値C、57.19;H、7.64。

[(π−アリル)Pd(RockPhos)]OTf [(アリル)PdCl]2(183mg、0.50mmol);AgOTf(257mg、1.00mmol);RockPhos(469mg、1.00mmol);THF(10.0mL);2時間。生成物を黄色固体(744mg、97%)として得、生成物は微量の残留THF(1H NMRにより判断して〜8mol%)を含有する;1H NMR (400 MHz, CDCl3, δ): 7.44 (d, J = 1.3 Hz, 1H), 7.37 (d, J = 1.3 Hz, 1H), 7.32 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.01 (dd, J = 2.2, 8.4 Hz, 1H), 5.57 (七重線, J = 6.9 Hz, 1H), 4.44 (d, J = 6.6 Hz, 1H), 3.88 (s, 3H), 3.38 (dd, J = 9.4, 13.7 Hz, 1H), 3.01 (七重線, J = 7.1 Hz, 1H), 2.86 (d, J = 12.7 Hz, 1H), 2.63 (七重線, J = 6.7 Hz, 1H), 2.31 (七重線, J = 6.8 Hz, 1H), 2.23 (dt, J = 2.3, 7.5 Hz, 1H), 1.45 - 1.20 (m, 30H) 1.08 (s, 3H), 0.97 (d, J = 6.5 Hz, 3H), 0.84 (d, J = 6.8 Hz, 3H),THFに起因するピークが、3.76及び1.85ppmで観察された;13C NMR (100 MHz, CDCl3, δ):[C−F及びC−Pカップリングによる複雑性が観察された]、THFに起因するピークが、67.9及び25.6ppmで観察された;19F NMR (372 MHz, CDCl3, δ): -78.2 (s, 3F); 31P NMR (162 MHz, CDCl3, δ): 84.8;元素分析:C35H54O4F3PSPdの計算値:C、54.93;H、7.11。実測値C、54.92;H、7.25。

[(π−アリル)Pd(BippyPhos)]OTf [(アリル)PdCl]2(183mg、0.50mmol);AgOTf(257mg、1.00mmol);BippyPhos(507mg、1.00mmol);THF(10.0mL);2時間。生成物を淡黄色固体(786mg、91%)として得、これは2/3 MTBE溶媒和物である(MTBE/ヘキサンを析出において使用);1H NMR (400 MHz, CDCl3, δ): (2つの異性体が約6:4の比で存在する) 8.15 - 8.05 (m, 1H), 7.49 - 7.08 (m, 15H), 7.71 - 7.60 (m, 1H), 6.10 - 5.79 (m, 1H), 4.52 - 4.29 (m, 2H), 4.06 - 3.96 (m, 0.4H), 3.85 - 3.75 (m, 0.6H), 3.37 - 3.30 (m, 0.4H), 3.02 - 2.92 (m, 0.6H), 0.91 - 0.50 (m, 18H),MTBEに起因するピークが、3.10及び1.05ppmで観察された;13C NMR (100 MHz, CDCl3, δ): 156.4, 154.8, 150.5, 148.0, 146.3 (2ピーク), 146.1, 146.0, 141.9, 141.5, 137.7, 137.6, 131.2, 130.5, 130.3, 129.8, 129.7, 129.4 (2ピーク), 129.2, 129.1, 129.0, 128.9, 127.9, 127.7, 125.6, 125.2, 124.6, 122.6 (2ピーク), 122.4, 121.8 (2ピーク), 119.2, 116.0, 114.9, 104.0, 103.9, 93.4, 93.2, 90.1, 89.9, 57.8, 56.9, 36.4. 36.2, 36.1 (2ピーク), 36.0, 35.9, 35.8, 29.0 (2ピーク), 28.9 (2ピーク), 28.5 (2ピーク) [C-FおよびC-Pカップリングの為に複雑に見える],MTBEに起因するピークが、72.5、49.2及び26.8ppmで観察された;19F NMR (372 MHz, CDCl3, δ): -80.0 (s, 3F); 31P NMR (162 MHz, CDCl3, δ): 50.4, 49.5;元素分析:C36H40N4O3F3PSPd・(2/3 C5H12O)の計算値:C、54.81;H、5.61。実測値C、54.97;H、5.70。

実施例3(本発明による) 一般的な手順 テフロンコートした磁気撹拌子を備えた乾燥シュレンクフラスコに、[(R−アリル)PdCl]2(0.50mmol、0.50当量)、続いてAgOTf(257mg、1.00mmol、1.00当量)を入れる。フラスコにゴムセプタムを取り付け、排気し、窒素で再充填する。この排気/窒素再充填サイクルをさらに2回繰り返す。溶媒(10mLのTHF又は2−MeTHF)を添加し、反応混合物を光から保護しながら室温で30分間撹拌する。第2の乾燥シュレンクフラスコに磁気撹拌子を備え付け、シュレンクフリットを取り付け、適切なリガンド(1.00mmol、1.00当量)を入れる。フラスコにゴムセプタムを取り付け、これを排気し、窒素で再充填する。この排気/窒素再充填サイクルをさらに2回繰り返す。第1のシュレンクフラスコからの溶液を、5mLの追加溶媒(THF又は2−MeTHF)ですすぎながら、カニューレによりシュレンクフリットに通して(AgClを除去する)、リガンドを含有する第2のシュレンクフラスコ内に移す。この混合物を室温で2時間撹拌する。次いで、30mLのヘキサンを添加して、生成物を十分に析出させる。次いで、固体物質を吸引濾過により収集し、追加のペンタン(又はヘキサン)で洗浄し、真空中で乾燥させる。

[(π−アリル)Pd(BrettPhos)]OTf 無水THF中の183mg(0.50mmol)の[(アリル)PdCl]2、257mg(1.00mmol)のAgOTf、537mg(1.00mmol)のBrettPhosを使用して一般的な手順に従って、803mg(0.94mmol、94%)の表題化合物を黄色固体として得る。物質は〜3重量%のTHFを含有する。 1H NMR (400 MHz, CDCl3, δ): 7.34 (s, 1H), 7.23 (s, 1H), 7.07 - 6.98 (m, 1H), 6.96 - 6.87 (m, 1H), 5.45 (七重線, J = 7.52 Hz, 1H), 4.14 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 3.84 (s, 3H), 3.42 (dd, J = 8.2, 13.1 Hz, 1H), 3.29 (s, 3H), 2.90 (七重線, J = 8.2 Hz, 1H), 2.79 - 2.63 (m, 1H), 2.59 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 2.55 - 2.41 (m, 1H), 2.40 - 2.25 (m, 2H), 2.14 (七重線, J = 7.8 Hz, 1H), 1.98 - 1.82 (m, 2H), 1.81 - 0.93 (m, 29H), 0.92 - 0.66 (m, 7H). 13C NMR (100 MHz, CDCl3, δ): 154.8 (2ピーク), 153.3, 151.4, 150.5, 135.0, 134.8, 125.6, 124.9, 124.8, 124.2, 123.9, 122.4, 119.5, 119.4, 119.3, 115.2, 113.7, 112.7 (2ピーク), 100.7, 100.5, 55.8, 54.7, 52.0, 38.5, 38.4, 38.3, 38.1, 33.7, 32.5, 31.5, 30.0, 27.2, 26.7, 26.6, 24.3, 24.0, 23.9, 23.8 [C-PおよびC-Fカップリングの為に複雑に見える];THFに起因するピークが、67.7及び25.4で観察される。 31P NMR (162 MHz, CDCl3, δ): 51.4. 19F NMR (376 MHz, CDCl3, δ): -78.4 (s, 3F). 元素分析:C39H58F3O5PPdSの計算値:C、56.21;H、7.02。実測値:C、56.46;H、7.05。

[(π−クロチル)Pd(BrettPhos)]OTf 無水THF中の197mg(0.50mmol)の[(クロチル)PdCl]2、257mg(1.00mmol)のAgOTf、537mg(1.00mmol)のBrettPhosを使用して一般的な手順に従って、816mg(0.96mmol、96%)の表題化合物を黄色固体として得る。物質は〜2重量%のTHFを含有する。 1H NMR (400 MHz, CDCl3, δ):錯体スペクトル−図3を参照。 13C NMR (100 MHz, CDCl3, δ):錯体スペクトル−図4を参照。 31P NMR (162 MHz, CDCl3, δ): 54.0, 52.2, 45.7, 43.3. 19F NMR (376 MHz, CDCl3, δ): -78.2 (s, 3F). HRMS(ESI)m/z[M−OTf]+、C39H60)2PPdの計算値:697.3366;実測値:697.3384。

[(π−シンナミル)Pd(BrettPhos)]OTf 無水2−MeTHF中の259mg(0.50mmol)の[(シンナミル)PdCl]2、257mg(1.00mmol)のAgOTf、537mg(1.00mmol)のBrettPhosを使用して一般的な手順に従って、884mg(0.97mmol、97%)の表題化合物を黄色固体として得る。 1H NMR (400 MHz, CDCl3, δ):錯体スペクトル−図5を参照。 13C NMR (100 MHz, CDCl3, δ):錯体スペクトル−図6を参照。 31P NMR (162 MHz, CDCl3, δ): 57.6, 39.5 19F NMR (376 MHz, CDCl3, δ): -78.1 (s, 3F). 元素分析:C45H62F3O5PPdSの計算値:C、59.43;H、6.87。実測値:C、59.26;H、6.68。

[(π−クロチル)Pd(tBuBrettPhos)]OTf 無水2−MeTHF中の197mg(0.50mmol)の[(クロチル)PdCl]2、257mg(1.00mmol)のAgOTf、485mg(1.00mmol)のtBuBrettPhosを使用して一般的な手順に従って、784mg(0.99mmol、99%)の表題化合物を薄黄色固体として得る。 1H NMR (400 MHz, CDCl3, δ):錯体スペクトル−図7を参照。 13C NMR (100 MHz, CDCl3, δ):錯体スペクトル−図8を参照。 31P NMR (162 MHz, CDCl3, δ): 90.1, 88.4, 83.9. 19F NMR (376 MHz, CDCl3, δ): -78.0 (s, 3F). 元素分析:C36H56F3O5PPdSの計算値:C、54.37;H、7.10。実測値:C、54.58;H、7.01。

[(π−シンナミル)Pd(tBuBrettPhos)]OTf 無水2−MeTHF中の259mg(0.50mmol)の[(シンナミル)PdCl]2、257mg(1.00mmol)のAgOTf、485mg(1.00mmol)のtBuBrettPhosを使用して一般的な手順に従って、812mg(0.95mmol、95%)の表題化合物を暗黄色固体として得る。 1H NMR (400 MHz, CDCl3, δ):錯体スペクトル−図9を参照。 13C NMR (100 MHz, CDCl3, δ):錯体スペクトル−図10を参照。 31P NMR (162 MHz, CDCl3, δ): 94.5 19F NMR (376 MHz, CDCl3, δ): -77.9 (s, 3F). 元素分析:C41H58F3O5PPdSの計算値:C、57.44;H、6.82。実測値:C、57.04;H、6.77。

[(π−アリル)Pd(AdBrettPhos)]OTf 無水THF中の57.1mg(0.156mmol)の[(アリル)PdCl]2、80.2mg(0.312mmol)のAgOTf、200mg(0.312mmol)のAdBrettPhosを使用して一般的な手順に従って、265mg(0.281mmol、90%)の表題化合物を黄褐色固体として得る。生成物は〜2重量%のTHFを含有していた。 1H NMR (400 MHz, CDCl3, δ): 7.40 (s, 1H), 7.35 (s, 1H), 7.17 (dd, J = 2.3 Hz, 8.7 Hz, 1H), 7.04 (見かけd, J = 9.1 Hz, 1H), 5.60 (七重線, J = 6.8 Hz, 1H), 4.54 (d, J = 6.2 Hz, 1H), 3.94 (s, 3H), 3.45 - 3.35 (m, 4H), 3.04 (五重線, J = 7.0 Hz, 1H), 2.85 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 2.63 (五重線, J = 6.3 Hz, 1H), 2.39 - 1.91 (m, 18H), 1.81 - 1.60 (m, 12H), 1.42 - 1.19 (m, 13H), 0.99 - 0.82 (m, 4H), 0.78 (d, J = 6.7 Hz, 3H).THFに起因する共鳴が、3.76及び1.83ppmで観察される。 13C NMR (100 MHz, CDCl3, δ): 157.1, 154.8, 154.6, 152.6, 151.7, 151.5, 137.1, 136.8, 125.9, 125.3, 124.6, 124.4, 119.3 (2ピーク), 115.4, 112.9, 112.8, 112.0 (2ピーク), 100.2, 99.9, 58.1, 54.7, 45.6, 44.8, 44.7, 42.0, 36.3, 36.2, 34.4, 31.7, 29.2, 26.0, 25.6, 25.5, 24.9, 24.6, 24.3 (2ピーク). 31P NMR (162 MHz, CDCl3, δ): 88.9 19F NMR (376 MHz, CDCl3, δ): -77.9 (s, 3F).

実施例4(本発明による) BrettPhos錯体によるアミノ化 テフロンコートした磁気撹拌子を備え、ゴムセプタムを取り付けた乾燥シュレンク管に、5.1mg(0.003mmol、0.3mol%)の[(アリル)Pd(BrettPhos)]OTf及び231mg(2.41mmol、1.2当量)のNaOtBuを入れる。管を排気し、窒素で再充填する。この排気/再充填サイクルをさらに2回繰り返す。n−ブチルアミン(238μL、2.41mmol、1.2当量)、n−ドデカン(GC標準;91μL、0.40mmol、0.2当量)及び4−クロロアニソール(250μL、2.04mmol、1.0当量)、続いて2mLの無水THFを添加する。管を、予熱した(80℃)油浴に入れ、激しく撹拌する。次いで、管を密封する。アリコートを一定の時間間隔で取り出し、ガスクロマトグラフィーにより分析して、変換をモニターする。

[(アリル)Pd(BrettPhos)]OTfを[(クロチル)Pd(BrettPhos)]OTf、[(シンナミル)Pd(BrettPhos)]OTf及びBrettPhos第3世代Buchwaldパラダサイクルに交換して、実験を繰り返した(以下に示す)。 図11は、反応速度に対するカルバゾールの抑制作用を示す。カルバゾールが放出される反応(第3世代パラダサイクル)は、カルバゾールが生成されない(すなわち[(アリル)Pd(BrettPhos)]OTf、[(クロチル)Pd(BrettPhos)]OTf及び[(シンナミル)Pd(BrettPhos)]OTfを使用する)反応よりも著しくゆっくりと進行する(2時間で完全に変換)。0.3mol%のカルバゾールを添加した[(クロチル)Pd(BrettPhos)]OTfにより触媒される反応は、著しく低減した反応速度を示し、そこでの変換プロファイルは、第3世代パラダサイクルを使用する反応のものとぴったりと一致する。[(シンナミル)Pd(BrettPhos)]OTfを使用することにより、わずか5分で完全な変換がもたらされる。

実施例5(本発明による) 4−クロロアニソールによる酢酸tert−ブチルのアリール化 テフロンコートした磁気撹拌子を備え、ゴムセプタムを取り付けた乾燥シュレンク管に、プレ触媒(0.01mmol、1mol%)を入れ、管を排気し、窒素で再充填する。この排気/再充填サイクルをさらに2回繰り返す。4−クロロアニソール(1.00mmol、1.0当量)及び酢酸tert−ブチル(1.5mmol、1.5当量)、続いてトルエン中1.0MのLiHMDS溶液(3.0mmol、3.0当量)を添加する。内容物を周囲温度で30分間激しく撹拌する。次いで、反応混合物を5mLの飽和NH4Clの添加によりクエンチし、次いで5mLのEtOAcで希釈する。アリコートを取り出し、ガスクロマトグラフィーにより分析する。

[(R−アリル)Pd(tBuXPhos)]OTfプレ触媒(R=シンナミル)のうちの最も活性のあるものは、エステルエノレートのアリール化において、第3世代パラダサイクルプレ触媒に十分に匹敵する(両方とも室温で30分後に変換率>90%)。

実施例6(本発明による) 1−クロロ−2,5−ジメトキシベンゼンによるベンズアミドのアリール化 乾燥シュレンク管に、7.8mg(0.015mmol、1.5mol%)の[(アリル)Pd(tBuBrettPhos)]OTf、145mg(1.20mmol、1.20当量)のベンズアミド及び297mg(1.40mmol、1.40当量)の粉末K3PO4を入れる。管を排気し、窒素で再充填する。この排気/再充填サイクルをさらに2回繰り返す。1−クロロ−2,5−ジメトキシベンゼン(143μL、1.00mmol、1.00当量)、続いて2mLの無水t−BuOHを添加する。管を、予熱した(110℃)油浴に入れ、内容物を激しく撹拌する。次いで、管を密封し、油浴中で90分間エージングする。次いで、管を油浴から取り出し、内容物を周囲温度に冷却する。反応混合物を5mLのEtOAc及び5mLのH2Oで希釈する。有機相を除去し、水性物を5mLずつのEtOAcでさらに2回抽出する。有機抽出物を合わせ、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、真空中で濃縮する。残留物を、溶離液として10%EtOAc/ヘキサンを用いるシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけて、252mg(0.98mmol、98%)のN−ベンゾイル−2,5−ジメトキシアニリンを薄橙色粘性油状物として得る。

Pd触媒アミド化において、[(アリル)Pd(tBuBrettPhos)]OTfプレ触媒は、元来報告されている触媒生成の「水予備活性化」法よりも高い収率をもたらし、第3世代パラダサイクルプレ触媒に十分に匹敵して、ほぼ定量的収率のアリールアミド生成物をもたらす。より高い温度において、[(アリル)Pd(tBuBrettPhos)]OTfプレ触媒は、迅速かつ効率的に活性触媒を形成する。加えて、著しく低減した触媒量の0.1mol%の[(アリル)Pd(tBuBrettPhos)]OTfで反応を実行することができ、それでも16時間の反応時間で変換率100%/単離収率98%を得る。

実施例7(本発明による) [(π−クロチル)Pd(BrettPhos)]OTfにより触媒される第1級アミンのアリール化a a一般的な条件:アリール/ヘテロアリール塩化物(1.00mmol)、アミン(1.20mmol)、NaOt−Bu(1.2mmol)、[(π−クロチル)Pd(BrettPhos)]OTf(0.3mol%)、BrettPhos(0.3mol%)、THF(2mL)、80℃。b[(π−シンナミル)Pd(BrettPhos)]OTf(0.3mol%)を使用する。c塩基はK2CO3(1.4mmol)であり、溶媒は2−メチル−2−ブタノール(2mL)であり、110℃。d塩基はLiHMDS(2.4mmol)であり、[(π−クロチル)Pd(BrettPhos)]OTf(1.0mol%)、BrettPhos(0mol%)、65℃。e[(π−クロチル)Pd(BrettPhos)]OTf(1.2mol%)、BrettPhos(1.2mol%)。

第1級脂肪族アミン(N−ブチル−4−メトキシアニリンに)、芳香族アミン(N−([1,1’−ビフェニル]−2−イル)ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−アミンに)、及び光学活性α−キラルアミン((R)−6−メトキシ−N−(1−フェニルエチル)ピリジン−2−アミンに)を0.3mol%の触媒量で使用して、N−ブチル−4−メトキシアニリン、N−([1,1’−ビフェニル]−2−イル)ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−アミン及び(R)−6−メトキシ−N−(1−フェニルエチル)ピリジン−2−アミンを速い反応時間(5−10分間)で形成する。特に、Buchwald−Hartwigアミノ化反応におけるa−キラルアミンのエナンチオ純度の低下は問題となり得るが、(R)−6−メトキシ−N−(1−フェニルエチル)ピリジン−2−アミンは高い立体化学忠実度(立体保持率99%)で形成される。1個を超える窒素原子を含有する複素環基質も、わずかに修正した条件を用い、[(π−クロチル)Pd(BrettPhos)]OTf(すなわちN−(ピリジン−3−イル)ピラジン−2−アミン、N−(2,5−ジメチルフェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−アミン及びN−(2−(チオフェン−2−イル)エチル)ピリミジン−5−アミン)を使用して、良好な高い収率で効率的にカップリングさせることができる。N−ブチル−4−メトキシアニリンの同様な収率が、[(π−クロチル)Pd(BrettPhos)]OTf及び[(π−シンナミル)Pd(BrettPhos)]OTfを使用すると観察され(96%)、これらの錯体の互換性を実証している。

第1級アミノ化反応のための一般的な手順 テフロンコートした磁気撹拌子を備え、オーブン乾燥したシュレンク管に、[(π−クロチル)Pd(BrettPhos)]OTf(示されている通り0.3−1.2mol%)、BrettPhos(示されている通り0.3−1.2mol%)、塩化アリール(固体の場合1.00mmol)及びNaOt−Bu(1.20mmol)を入れる。管を排気し、窒素で再充填する。この排気/再充填サイクルをさらに2回繰り返す。ドデカン(GC標準、0.20mmol)、アミン(1.20mmol)、塩化アリール(液体の場合1.00mmol)及び無水THF(2mL)をシリンジにより順次添加する。管を、予熱した油浴に入れ、示されている時間撹拌する。次いで、管を油浴から取り出し、室温に冷却する。反応混合物を10mLのEtOAcで希釈し、セライトのパッドに通して濾過する。溶液を真空中で濃縮し、残留物を、Teledyne ISCO CombiFlashRfを使用するシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかける。

N−ブチル−4−メトキシアニリン 一般的な手順に従って、4−クロロアニソール(123μL、1.00mmol)、n−ブチルアミン(119μL、1.20mmol)、NaOtBu(115mg、1.20mmol)、[(π−クロチル)Pd(BrettPhos)]OTf(2.5mg、0.003mmol)、BrettPhos(1.6mg、0.003mmol)及び2mLのTHFの混合物を、80℃で10分間撹拌する。粗物質を、溶離液として0−5%EtOAc/ヘキサンの勾配を用いるシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけて、171mg(0.96mmol、96%)のN−ブチル−4−メトキシアニリンを無色油状物として得る。スペクトル特性は、以前に報告されたもの(Shankaraiaha, N.; Markandeya, N.; Srinivasulu, V.; Sreekanth, K.; Reddy, C. S.; Santos, L. S.; Kamal, A. J. Org. Chem. 2011, 76, 7017)と一致する。

N−([1,1’−ビフェニル]−2−イル)ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−アミン 一般的な手順に従って、5−クロロ−1,3−ベンゾジオキソール(117μL、1.00mmol)、2−アミノビフェニル(203mg、1.20mmol)、NaOtBu(115mg、1.20mmol)、[(π−クロチル)Pd(BrettPhos)]OTf(2.5mg、0.003mmol)、BrettPhos(1.6mg、0.003mmol)及び2mLのTHFの混合物を、80℃で10分間撹拌する。粗物質を、溶離液として0−5%EtOAc/ヘキサンの勾配を用いるシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけて、272mg(0.94mmol、94%)のN−([1,1’−ビフェニル]−2−イル)ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−アミンを無色油状物として得る。 1H NMR (400 MHz, CDCl3, δ): 7.53 - 7.43 (m, 4H), 7.42 - 7.34 (m, 1H), 7.28 - 7.15 (m, 3H), 7.01 - 6.90 (m, 1H), 6.74 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 6.69 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 6.53 (dd, J = 2.3 Hz, 8.3 Hz, 1H), 5.93 (s, 2H), 5.51 (s, 1H). 13C NMR (100 MHz, CDCl3, δ): 148.3, 143.1, 141.9, 139.2, 137.7, 130.9, 130.3, 129.5, 129.1, 128.5, 127.6, 120.1, 115.8, 113.6, 108.7, 103.2, 101.2. 元素分析:C19H15NO2の計算値:C、78.87;H、5.23;N、4.84。実測値:C、78.91;H、5.29;N、4.79。

(R)−6−メトキシ−N−(1−フェニルエチル)ピリジン−2−アミン 一般的な手順に従って、2−クロロ−6−メトキシピリジン(119μL、1.00mmol)、(R)−(+)−α−メチルベンジルアミン(98%ee、153μL、1.20mmol)、NaOtBu(115mg、1.20mmol)、[(π−シンナミル)Pd(BrettPhos)]OTf(2.7mg、0.003mmol)、BrettPhos(1.6mg、0.003mmol)及び1mLのTHFの混合物を、80℃で5分間撹拌する。粗物質を、溶離液として0−5%EtOAc/ヘキサンの勾配を用いるシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけて、223mg(0.98mmol、98%)の(R)−6−メトキシ−N−(1−フェニルエチル)ピリジン−2−アミンを無色油状物として得る。[α]D25=−38.2°(c.1.03 CHCl3)。エナンチオマー過剰率は、キラルHPLC分析(Chiracel OD−Hカラム、5%IPA/ヘキサン、1mL/分、254nm)により97%と測定される。ラセミ物質を、ラセミα−メチルベンジルアミンを使用して同一実験において調製する。 1H NMR (400 MHz, CDCl3, δ): 7.41 - 7.29 (m, 4H), 7.28 - 7.19 (m, 2H), 6.00 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 5.77 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 4.89 - 4.63 (m, 2H), 3.81 (s, 3H), 1.54 (d, J = 7.2 Hz, 3H). 13C NMR (100 MHz, CDCl3, δ): 163.6, 157.0, 145.2, 140.1, 128.7, 127.0, 126.0, 98.2, 97.9, 53.2, 52.1, 24.4. 元素分析:C14H16N2Oの計算値:C、73.66;H、7.06。実測値:C、73.96;H、6.97。

N−(ピリジン−3−イル)ピラジン−2−アミン 以下の修正を加えて、一般的な手順に従う:3−クロロピリジン(95μL、1.00mmol)、2−アミノピラジン(114mg、1.20mmol)、K2CO3(194mg、1.40mmol)、[(π−クロチル)Pd(BrettPhos)]OTf(2.5mg、0.003mmol)、BrettPhos(1.6mg、0.003mmol)及び2mLのt−AmOHの混合物を、110℃で2時間撹拌する。粗物質を、溶離液として0−5%MeOH/CH2Cl2の勾配を用いるシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけて、170mg(0.99mmol、99%)のN−(ピリジン−3−イル)ピラジン−2−アミンを白色固体として得る。スペクトル特性は、以前に報告されたもの(Fors, B. P.; Davis, N. R.; Buchwald, S. L. J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 5766)と一致する。

N−(2,5−ジメチルフェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−アミン テフロンコートした磁気撹拌子を備え、オーブン乾燥したシュレンク管に、[(π−クロチル)Pd(BrettPhos)]OTf(8.5mg、1.2mol)及び4−クロロ−7−アザインドール(153mg、1.00mmol)を入れる。管を排気し、窒素で再充填する。この排気/再充填サイクルをさらに2回繰り返す。2,5−ジメチルアニリン(150μL、1.20mmol)及び2.4mLのTHF中LiHMDS溶液(2.4mmol)をシリンジにより順次添加する。管を予熱した油浴(65℃)に入れ、4時間撹拌する。次いで、管を油浴から取り出し、室温に冷却し、2mLの1M HCl(水溶液)、続いて15mLのEtOAcを添加する。次いで、管の内容物を、20mLの飽和NaHCO3を含有する分液漏斗に注ぎ入れる。水性物をEtOAc(3×15mL)で抽出し、合わせた抽出物をブラインで洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、真空中で濃縮し、残留物を、溶離液として0−10%MeOH/CH2Cl2の勾配を用いるTeledyne ISCO CombiFlashRfを使用するシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけて、223mg(0.94mmol、94%)のN−(2,5−ジメチルフェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−アミンを薄褐色固体として得る。 1H NMR (400 MHz, CDCl3, δ): 12.2 (br, s, 1H), 8.10 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 7.37 - 7.11 (m, 3H), 6.99 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 6.42 (d, J = 5.7 Hz, 1H), 6.38 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 6.08 (s, 1H), 2.36 (s, 3H), 2.27 (s, 3H). 13C NMR (100 MHz, CDCl3, δ): 150.2, 145.7, 143.9, 138.3, 136.7, 131.0, 129.6, 126.1, 125.3, 122.4, 108.8, 99.3, 96.9, 21.1, 17.6. HRMS(ESI)m/z[M+H]+、C15H16N3の計算値:238.1344。実測値:238.1341。

N−(2−(チオフェン−2−イル)エチル)ピリミジン−5−アミン 以下の修正を加えて、一般的な手順に従った:5−ブロモピリミジン(159mg、1.00mmol)、2−チオフェンエチルアミン(140μL、1.20mmol)、K2CO3(194mg、1.40mmol)、[(π−クロチル)Pd(BrettPhos)]OTf(10.2mg、0.012mmol)、BrettPhos(6.4mg、0.012mmol)及び2mLのt−AmOHの混合物を、110℃で19時間撹拌する。粗物質を、溶離液として25−75%EtOAc/ヘキサンの勾配を用いるシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけて、152mg(0.74mmol、74%)のN−(2−(チオフェン−2−イル)エチル)ピリミジン−5−アミンをオフホワイトの固体として得る。 1H NMR (400 MHz, CDCl3, δ): 8.60 (s, 1H), 8.10 (s, 2H), 7.19 (dd, J = 1.2 Hz, 3.2 Hz, 1H), 6.97 (dd, J = 7.4 Hz, 5.3 Hz, 1H), 6.89 - 6.83 (m, 1H), 3.89 (br s, 1H), 3.47 (q, J = 6.5 Hz, 2H), 3.16 (見かけt, J = 6.5 Hz, 2H). 13C NMR (100 MHz, CDCl3, δ): 148.9, 141.5, 141.2, 140.7, 127.3, 125.8, 124.5, 44.4, 29.5. 元素分析:C10H11N3Sの計算値:C、58.51;H、5.40;N、20.47。実測値:C、58.28;H、5.43;N、20.42。

実施例8(本発明による) [(π−アリル)Pd(tBuBrettPhos)]OTfを使用するC−Nクロスカップリング反応a a一般的な条件−第1級アミド:(ヘテロ)アリール塩化物(1.00mmol)、アミド(1.20mmol)、[(p−アリル)Pd(tBuBrettPhos)]OTf(1.0mol%)、K3PO4(1.4mmol)、t−BuOH(2mL)、110℃;環状アミド:(ヘテロ)アリール塩化物(1.00mmol)、アミド(1.20mmol)、[(p−アリル)Pd(tBuBrettPhos)]OTf(1.5mol%)、K3PO4(1.4mmol)、t−BuOH(2mL)、110℃;2−アミノチアゾール:4−ブロモアニソール(1.00mmol)、2−アミノチアゾール(1.20mmol)、[(p−アリル)Pd(tBuXPhos)]OTf(1.5mol%)、K2CO3(1.4mmol)、t−BuOH(2mL)、110℃。b0.1mol%の[(p−アリル)Pd(tBuBrettPhos)]OTfを使用、16時間の反応時間。

tBuBrettPhosベースの触媒[(π−アリル)Pd(tBuBrettPhos)]OTfは、高難度のC−Nクロスカップリング反応において優れた反応性を示す。結果を上記表にまとめる。第1級アミドのアリール化は非常に効率的であり、1.0mol%の[(π−アリル)Pd(tBuBrettPhos)]OTfを使用して、アリールアミド生成物が一般に高い収率で得られる。例外は、N−(6−メトキシピリダジン−3−イル)シクロプロパンカルボキサミドの合成であり、依然として生成物を収率68%で得る。特に、N−(2,5−ジメトキシフェニル)ベンズアミドを形成する反応において、収率に悪影響を及ぼすことなくより長い反応時間で触媒量を0.1mol%に下げることができる。加えて、1−(4−メトキシフェニル)ピロリジン−2−オン、3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)オキサゾリジン−2−オン及び(S)−4−(4−ベンジル−2−オキソオキサゾリジン−3−イル)ベンゾニトリルはすべて収率≧95%で形成されるので、触媒量を1.5mol%に増加させる場合には環状第2級アミド及び環状オキサゾリジノンは優れた基質であることが判明する。[(π−アリル)Pd(tBuBrettPhos)]OTfを用いて、2−アミノチアゾールを4−ブロモアニソールと効率的にカップリングさせて、N−(4−メトキシフェニル)チアゾール−2−アミンを酢酸塩の非存在下において収率85%で生成する。

第1級アミドのアリール化反応のための一般的な手順 テフロンコートした磁気撹拌子を備え、オーブン乾燥したシュレンク管に、[(π−アリル)Pd(tBuBrettPhos)]OTf(7.8mg、0.01mmol、1mol%)、塩化アリール(固体の場合1.00mmol)、アミド(1.20mmol)及びK3PO4(297mg、1.40mmol)を入れる。管にゴムセプタムで蓋をし、排気し、窒素で再充填する。この排気/再充填サイクルをさらに2回繰り返す。塩化アリール(液体の場合1.00mmol)及び無水tBuOH(2mL)をシリンジにより順次添加する。別段の指示がない限り、管を、予熱した油浴(110℃)に入れ、密封し、1.5時間撹拌する。次いで、管を油浴から取り出し、室温に冷却する。H2O(5mL)を添加し、水性相をEtOAc(3×5mL)で抽出する。有機抽出物を合わせ、無水MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮する。残留物を、Teledyne ISCO CombiFlashRfを使用するシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかける。

N−(2,5−ジメトキシフェニル)ベンズアミド 一般的な手順に従って、2−クロロ−1,4−ジメトキシベンゼン(143mL、1.00mmol)、ベンズアミド(145mg、1.20mmol)、K3PO4(297mg、1.40mmol)、[(π−アリル)Pd(tBuBrettPhos)]OTf(7.8mg、0.01mmol)及び2mLの無水tBuOHの混合物を、110℃で1.5時間撹拌する。粗物質を、溶離液として10%EtOAc/ヘキサンを用いるシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけて、252mg(0.98mmol、96%)のN−(2,5−ジメトキシフェニル)ベンズアミドを無色に近い油状物として得る。分光特性は、以前に報告されたもの(Fors, B. P. Dooleweerdt, K.; Zeng, Q.; Buchwald, S. L. Tetrahedron 2009, 65, 6576)と一致する。

0.8mgの[(p−アリル)Pd(tBuBrettPhos)]OTf(0.001mmol、0.1mol%)及び16時間の撹拌時間を使用する同様の実験により、251mg(0.98mmol、98%)のN−(2,5−ジメトキシフェニル)ベンズアミドを無色油状物として得る。

N−(6−メトキシピリダジン−3−イル)シクロプロパンカルボキサミド 一般的な手順に従って、3−クロロ−6−メトキシピリダジン(145mg、1.00mmol)、シクロプロパンカルボキサミド(102mg、1.20mmol)、K3PO4(297mg、1.40mmol)、[(π−アリル)Pd(tBuBrettPhos)]OTf(7.8mg、0.01mmol)及び2mLの無水tBuOHの混合物を、110℃で2時間撹拌する。粗物質を、溶離液として0−2.5%MeOH/CH2Cl2の勾配を用いるシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけて、132mg(0.68mmol、68%)のN−(6−メトキシピリダジン−3−イル)シクロプロパンカルボキサミドを白色固体として得る。 1H NMR (400 MHz, CDCl3, δ): 11.2 (br s, 1H), 8.54 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.02 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 3.98 (s, 3H), 2.57 - 2.46 (m, 1H), 1.14 - 1.06 (m, 2H), 0.93 - 0.84 (m, 2H). 13C NMR (100 MHz, CDCl3, δ): 174.0, 162.4, 152.9, 123.8, 119.8, 54.4, 15.5, 8.79. 元素分析:C9H11N3O2の計算値:C、55.95;H、5.74;N、21.75。実測値:C、56.18;H、5.76;N、21.70。

N−(キノリン−6−イル)アセトアミド 一般的な手順に従って、6−クロロキノリン(164mg、1.00mmol)、アセトアミド(71mg、1.20mmol)、K3PO4(297mg、1.40mmol)、[(π−アリル)Pd(tBuBrettPhos)]OTf(7.8mg、0.01mmol)及び2mLの無水tBuOHの混合物を、110℃で1.5時間撹拌する。粗物質を、溶離液として0−4%MeOH/CH2Cl2の勾配を用いるシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけて、132mg(0.95mmol、95%)のN−(キノリン−6−イル)アセトアミドを淡黄色固体として得る。 1H NMR (400 MHz, CDCl3, δ): 8.86 - 8.64 (m, 2H), 8.38 (s, 1H), 8.06 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.97 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 7.59 (dd, J = 2.5 Hz, 9.1 Hz, 1H), 7.34 (dd, J = 3.9 Hz, 8.6 Hz, 1H), 0.88 (s, 3H). 13C NMR (100 MHz, CDCl3, δ): 169.3, 149.2, 145.4, 136.4, 136.2, 129.8, 129.0, 123.5, 121.7, 116.3, 24.7. 元素分析:C11H10N2Oの計算値:C、70.95;H、5.41;N、15.04。実測値:C、70.66;H、5.51;N、14.94。

N−(2−メチルベンゾ[d]チアゾール−5−イル)−2−(ピリジン−2−イル)アセトアミド 一般的な手順に従って、5−クロロ−2−メチルベンゾチアゾール(184mg、1.00mmol)、2−(ピリジン−2−イル)アセトアミド(143mg、1.20mmol)、K3PO4(297mg、1.40mmol)、[(π−アリル)Pd(tBuBrettPhos)]OTf(7.8mg、0.01mmol)及び2mLの無水tBuOHの混合物を、110℃で1.5時間撹拌する。粗物質を、溶離液として0−2%MeOH/CH2Cl2の勾配を用いるシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけて、279mg(0.99mmol、99%)のN−(2−メチルベンゾ[d]チアゾール−5−イル)−2−(ピリジン−2−イル)アセトアミドを淡黄緑色固体として得る。 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ): 10.4 (br s, 1H), 8.51 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 8.32 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.91 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.76 (td, J = 1.5 Hz, 7.4 Hz, 1H), 7.57 (dd, J = 1.5 Hz, 8.5 Hz, 1H), 7.42 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.27 (dd, J = 4.9 Hz, 7.4 Hz, 1H), 3.90 (s, 2H), 2.76 (s, 3H). 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6, δ): 168.3, 167.9, 156.0, 153.5, 149.0, 137.6, 136.5, 129.5, 124.0, 121.9, 121.8, 117.0, 111.9, 45.9, 19.8. HRMS(ESI)m/z[M+H]+、C15H14N3OSの計算値:284.0858。実測値:284.0861。

N−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)ニコチンアミド 一般的な手順に従って、6−クロロキノリン(164mg、1.00mmol)、アセトアミド(71mg、1.20mmol)、K3PO4(297mg、1.40mmol)、[(π−アリル)Pd(tBuBrettPhos)]OTf(7.8mg、0.01mmol)及び2mLの無水tBuOHの混合物を、110℃で1.5時間撹拌する。粗物質を、溶離液として0−4%MeOH/CH2Cl2の勾配を用いるシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけて、132mg(0.95mmol、95%)のN−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)ニコチンアミドを淡黄色固体として得る。 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ):10.3 (br s, 1H), 9.08 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 8.75 (dd, J = 1.6 Hz, 4.9 Hz, 1H), 8.26 (td, J = 1.9 Hz, 8.1 Hz, 1H), 7.44 (dd, J = 4.7 Hz, 7.9 Hz, 1H), 7.43 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.18 (dd, J = 2.0 Hz, 8.4 Hz, 1H), 6.91 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.02 (s, 2H). 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6, δ): 163.7, 152.0, 148.6, 147.0, 143.5, 135.3, 133.1, 130.6, 123.5, 113.4, 108.0, 102.5, 101.1. 元素分析:C13H10N2O3の計算値:C、64.46;H、4.16;N、11.56。実測値:C、64.60;H、4.37;N、11.16。

環状アミド/オキサゾリジノンのアリール化反応のための一般的な手順 テフロンコートした磁気撹拌子を備え、オーブン乾燥したシュレンク管に、[(π−アリル)Pd(tBuBrettPhos)]OTf(11.7mg、0.015mmol、1.5mol%)、塩化アリール(固体の場合1.00mmol)、アミド/オキサゾリジノン(固体の場合1.20mmol)及びK3PO4(297mg、1.40mmol)を入れる。管にゴムセプタムで蓋をし、排気し、窒素で再充填する。この排気/再充填サイクルをさらに2回繰り返す。アミド(液体の場合1.20mmol)、塩化アリール(液体の場合1.00mmol)及び無水tBuOH(2mL)をシリンジにより順次添加する。管を、予熱した油浴(110℃)に入れ、密封し、3時間撹拌する。次いで、管を油浴から取り出し、室温に冷却する。H2O(5mL)を添加し、水性相をEtOAc(3×5mL)で抽出する。有機抽出物を合わせ、無水MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮する。残留物を、Teledyne ISCO CombiFlashRfを使用するシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかける。

1−(4−メトキシフェニル)ピロリジン−2−オン 一般的な手順に従って、4−クロロアニソール(123mL、1.00mmol)、2−ピロリジノン(91mL、1.20mmol)、K3PO4(297mg、1.40mmol)、[(π−アリル)Pd(tBuBrettPhos)]OTf(11.7mg、0.015mmol)及び2mLの無水tBuOHの混合物を、110℃で3時間撹拌する。粗物質を、溶離液として40−100%EtOAc/ヘキサンの勾配を用いるシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけて、183mg(0.96mmol、96%)の1−(4−メトキシフェニル)ピロリジン−2−オンを白色固体として得る。分光特性は、以前に報告されたもの(Easton, C. J.; Pitt, M. J.; Ward, C. M. Tetrahedron 1995, 51, 12781)と一致する。

3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)オキサゾリジン−2−オン 一般的な手順に従って、1−クロロ−4−トリフルオロメトキシベンゼン(144mL、1.00mmol)、2−オキサゾリジノン(105mg、1.20mmol)、K3PO4(297mg、1.40mmol)、[(π−アリル)Pd(tBuBrettPhos)]OTf(11.7mg、0.015mmol)及び2mLの無水tBuOHの混合物を、110℃で3時間撹拌する。粗物質を、溶離液として0−40%EtOAc/ヘキサンの勾配を用いるシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけて、247mg(1.00mmol、100%)の3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)オキサゾリジン−2−オンを白色固体として得る。 1H NMR (400 MHz, CDCl3, δ):7.55 (見かけd, J = 9.5 Hz, 2H), 7.20 (見かけd, J = 8.8 Hz, 2H), 4.51 - 4.40 (m, 2H), 4.07 - 3.98 (m, 2H). 13C NMR (100 MHz, CDCl3, δ): 155.3, 145.2, 137.1, 121.8, 120.6 (q, JC-F = 256 Hz), 119.4, 61.4, 45.2. HRMS(ESI)m/z[M+H]+、C10H9F3NO3の計算値:248.0535。実測値:248.0537。

(S)−4−(4−ベンジル−2−オキソオキサゾリジン−3−イル)ベンゾニトリル 一般的な手順に従って、4−クロロベンゾニトリル(138mg、1.00mmol)、(S)−(−)−4−ベンジル−2−オキサゾリジノン(186mg、1.20mmol)、K3PO4(297mg、1.40mmol)、[(π−アリル)Pd(tBuBrettPhos)]OTf(11.7mg、0.015mmol)及び2mLの無水tBuOHの混合物を、110℃で3時間撹拌する。粗物質を、溶離液として0−40%EtOAc/ヘキサンの勾配を用いるシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけて、265mg(0.95mmol、95%)の(S)−4−(4−ベンジル−2−オキソオキサゾリジン−3−イル)ベンゾニトリルを褐色固体として得る。分光特性は、以前に報告されたもの(Ghosh, A.; Sieser, J. E.; Riou, M.; Cai, W.; Rivera-Ruiz, L. Org. Lett. 2003, 5, 2207)と一致する。

N−(4−メトキシフェニル)チアゾール−2−アミン テフロンコートした磁気撹拌子を備え、オーブン乾燥したシュレンク管に、[(π−アリル)Pd(tBuBrettPhos)]OTf(11.7mg、0.015mmol、1.5mol%)、2−アミノチアゾール(100mg、1.00mmol)及びK2CO3(194mg、1.40mmol)を入れる。管にゴムセプタムで蓋をし、排気し、窒素で再充填する。この排気/再充填サイクルをさらに2回繰り返す。4−ブロモアニソール(125mL、1.00mmol)及び無水tBuOH(4mL)をシリンジにより順次添加する。管を、予熱した油浴(110℃)に入れ、密封し、3時間撹拌する。次いで、管を油浴から取り出し、10mLのEtOAc及びH2O(5mL)で希釈する。水性相を抽出する(3×5mLのEtOAc)。合わせた抽出物をブライン(5mL)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮する。残留物を、溶離液として0−3%MeOH/CH2Cl2の勾配を用いるTeledyne ISCO CombiFlashRfを使用するシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけて、176mg(0.85mmol、85%)のN−(4−メトキシフェニル)チアゾール−2−アミンを黄褐色固体として得る。分光特性は、以前に報告されたもの(McGowan, M. A.; Henderson, J. L.; Buchwald, S. L. Org. Lett. 2012, 14, 1432)と一致する。

実施例9(本発明による) アリルパラジウムプレ触媒を使用するカップリング反応 本発明の数種のカチオン錯体を評価して、より広い範囲のクロスカップリング反応におけるそれらの有効性を査定する。これらには、スルホンアミド、アルコール及びインドールが関わるクロスカップリング反応が含まれる。

スルホンアミド化反応のための一般的な手順 テフロンコートした磁気撹拌子を備え、オーブン乾燥した、ネジ付き、2ドラム、17×60mmの反応バイアルに、[(π−アリル)Pd(tBuXPhos)]OTf(7.2mg、0.01mmol、1mol%)、ハロゲン化アリール(固体の場合1.20mmol)、スルホンアミド(1.00mmol)及びK3PO4(318mg、1.50mmol)を入れる。バイアルを、PTFE表面を有するシリコーンセプタム付きのポリプロピレンキャップで蓋をし、排気し、針に通して窒素で再充填する。この排気/再充填サイクルをさらに2回繰り返す。無水2−メチル−2−ブタノール(4mL)及びハロゲン化アリール(液体の場合1.20mmol)をシリンジにより順次添加する。窒素針を除去し、バイアルを、予熱したアルミニウムブロック(110℃)上に置き、3時間撹拌する。次いで、バイアルを加熱ブロックから取り出し、室温に冷却する。飽和塩化アンモニウム(10mL)を添加し、水性相をEtOAc(3×10mL)で抽出する。有機抽出物を合わせ、無水MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮する。残留物を、Teledyne ISCO CombiFlashRfを使用するシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかける。

4−メチル−N−(ピラジン−2−イル)ベンゼンスルホンアミド 一般的な手順に従って、2−クロロピラジン(107μL、1.20mmol)、p−トルエンスルホンアミド(171mg、1.00mmol)、K3PO4(318mg、1.50mmol)、[(π−アリル)Pd(tBuXPhos)]OTf(7.2mg、0.01mmol)及び4mLの無水2−メチル−2−ブタノールの混合物を、110℃で3時間撹拌する。粗物質を、溶離液として0−100%EtOAc/ヘキサンの勾配を用いるシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけて、152mg(0.61mmol、61%)の4−メチル−N−(ピラジン−2−イル)ベンゼンスルホンアミドを白色固体として得る。分光特性は、以前に報告されたもの(Baffoe, J.; Hoe, M. Y.; Toure, B. B. Org. Lett. 2010, 12, 1532)と一致する。

N−(イソキノリン−5−イル)メタンスルホンアミド 一般的な手順に従って、5−ブロモイソキノリン(250mg、1.20mmol)、メタンスルホンアミド(95mg、1.00mmol)、K3PO4(318mg、1.50mmol)、[(π−アリル)Pd(tBuXPhos)]OTf(7.2mg、0.01mmol)及び4mLの無水2−メチル−2−ブタノールの混合物を、110℃で3時間撹拌する。粗物質を、溶離液として0−5%MeOH/CH2Cl2の勾配を用いるシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけて、194mg(0.87mmol、87%)のN−(イソキノリン−5−イル)メタンスルホンアミドをオフホワイトの固体として得る。 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ): 9.92 (s, 1H), 9.34 (s, 1H), 8.58 (見かけd, J = 5.9 Hz, 1H), 8.12 (見かけd, J = 5.9 Hz, 1H), 8.03 (見かけd, J = 8.1 Hz, 1H), 7.78 (見かけd, J = 7.4 Hz, 1H), 7.69 (見かけt, J = 7.9 Hz, 1H), 3.06 (s, 3H). 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6, δ): 152.4, 143.1, 132.3, 131.7, 129.0, 127.4, 126.6, 125.9, 116.0, 39.92. 元素分析:C10H10N2O2Sの計算値:C、54.04;H、4.54;N、12.60。実測値:C、54.05;H、4.26;N、12.38。

N−(6−メトキシピリジン−2−イル)シクロプロパンスルホンアミド 一般的な手順に従って、2−クロロ−6−メトキシピリジン(143μL、1.20mmol)、シクロプロパンスルホンアミド(121mg、1.00mmol)、K3PO4(318mg、1.50mmol)、[(π−アリル)Pd(tBuXPhos)]OTf(7.2mg、0.01mmol)及び4mLの無水2−メチル−2−ブタノールの混合物を、110℃で3時間撹拌する。粗物質を、溶離液として0−40%EtOAc/ヘキサンの勾配を用いるシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけて、207mg(0.90mmol、90%)のN−(6−メトキシピリジン−2−イル)シクロプロパンスルホンアミドを白色固体として得る。 1H NMR (400 MHz, CDCl3, δ): 7.52 (t, J = 7.9 Hz, 1H), 7.00 (bs, 1H), 6.79 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 6.45 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 3.86 (s, 3H), 2.79 - 2.73 (m, 1H), 1.30 - 1.26 (m, 2H), 1.03 - 0.98 (m, 2H). 13C NMR (100 MHz, CDCl3, δ): 163.7, 149.1, 141.0, 105.8, 103.6, 53.9, 31.3, 6.1. 元素分析:C9H12N2O3Sの計算値:C、47.36;H、5.30;N、12.27。実測値:C、47.42;H、5.27;N、12.19。

C−Oカップリング反応のための一般的な手順 テフロンコートした磁気撹拌子を備え、オーブン乾燥した、ネジ付き、2ドラム、17×60mmの反応バイアルに、[(π−アリル)Pd(RockPhos)]OTf(7.7mg、0.01mmol、1mol%)、ハロゲン化アリール(固体の場合1.00mmol)及びK3PO4(318mg、1.50mmol)を入れる。バイアルを、PTFE表面を有するシリコーンセプタム付きのポリプロピレンキャップで蓋をし、排気し、針に通して窒素で再充填する。この排気/再充填サイクルをさらに2回繰り返す。無水トルエン(1mL)、ハロゲン化アリール(液体の場合1.00mmol)及びアルコール(1.50mmol)をシリンジにより順次添加する。窒素針を除去し、バイアルを、予熱したアルミニウムブロック(100℃)上に置き、16時間撹拌する。次いで、バイアルを加熱ブロックから取り出し、室温に冷却する。反応混合物を10mLのEtOAcで希釈し、セライトのパッドに通して濾過し、真空中で濃縮する。残留物を、Teledyne ISCO CombiFlashRfを使用するシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかける。

5−(フラン−2−イルメトキシ)ピリミジン 一般的な手順に従って、5−ブロモピリミジン(159mg、1.00mmol)、フルフリルアルコール(130μL、1.50mmol)、K3PO4(318mg、1.50mmol)、[(π−アリル)Pd(RockPhos)]OTf(7.7mg、0.01mmol)及び1mLの無水トルエンの混合物を、100℃で16時間撹拌する。粗物質を、溶離液として0−50%EtOAc/ヘキサンの勾配を用いるシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけて、141mg(0.80mmol、80%)の5−(フラン−2−イルメトキシ)ピリミジンを黄色油状物として得る。 1H NMR (400 MHz, CDCl3, δ): 8.83 (s, 1H), 8.46 (s, 2H), 7.43 (s, 1H), 6.45 (見かけd, J = 2.9 Hz, 1H), 6.37 - 6.36 (m, 1H), 5.08 (s, 2H). 13C NMR (100 MHz, CDCl3, δ): 152.6, 152.1, 148.8, 144.4, 143.9, 111.4, 110.9, 63.0. HRMS(ESI)m/z:[M+H]+、C9H9N2O2の計算値:177.0664。実測値:177.0661。

3−(2−(チオフェン−2−イル)エトキシ)ピリジン 一般的な手順に従って、3−クロロピリジン(94μL、1.00mmol)、2−チオフェンエタノール(167μL、1.50mmol)、K3PO4(318mg、1.50mmol)、[(π−アリル)Pd(RockPhos)]OTf(7.7mg、0.01mmol)及び1mLの無水トルエンの混合物を、100℃で16時間撹拌する。粗物質を、溶離液として0−100%EtOAc/ヘキサンの勾配を用いるシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけて、170mg(0.83mmol、83%)の3−(2−(チオフェン−2−イル)エトキシ)ピリジンを無色油状物として得る。 1H NMR (400 MHz, CDCl3, δ): 8.31 (s, 1H), 8.20 (s, 1H), 7.18 - 7.15 (m, 3H), 6.95 - 6.90 (m, 2H), 4.21 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 3.31 (t, J = 6.7 Hz, 2H). 13C NMR (100 MHz, CDCl3, δ): 155.0, 142.6, 140.0, 138.3, 127.1, 125.9, 124.3, 124.0, 121.4, 68.9, 30.1. 元素分析:C11H11NOSの計算値:C、64.36;H、5.40;N、6.82。実測値:C、64.31;H、5.64;N、6.91。

インドールアリール化反応 1−(ナフタレン−1−イル)−1H−インドール テフロンコートした磁気撹拌子を備え、オーブン乾燥した、ネジ付き、2ドラム、17×60mmの反応バイアルに、[(π−アリル)Pd(Bippyphos)]OTf(8.0mg、0.01mmol、2mol%)、BippyPhos(5.1mg、0.01mmol、2mol%)、インドール(58.6mg、0.50mmol)及びNaOt−Bu(67.3mg、0.70mmol)を入れる。バイアルを、PTFE表面を有するシリコーンセプタ付きのポリプロピレンキャップで蓋をし、排気し、針に通して窒素で再充填する。この排気/再充填サイクルをさらに2回繰り返す。無水トルエン(2mL)及び1−ブロモナフタレン(70.0μL、0.50mmol)をシリンジにより順次添加する。窒素針を除去し、バイアルを、予熱したアルミニウムブロック(110℃)上に置き、16時間撹拌する。次いで、管を加熱ブロックから取り出し、室温に冷却する。反応混合物を5mLのEtOAcで希釈し、セライトのパッドに通して濾過し、真空中で濃縮する。残留物を、溶離液として0−5%EtOAc/ヘキサンの勾配を用いるTeledyne ISCO CombiFlashRfを使用するシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけて、109mg(0.45mmol、89%)の1−(ナフタレン−1−イル)−1H−インドールを白色固体として得る。分光特性は、以前に報告されたもの(Diness, F.; Fairlie, D. P. Angew. Chem. Int. Ed. 2012, 51, 8012)と一致する。

1−(6−メトキシピリジン−2−イル)−2−フェニル−1H−インドール テフロンコートした磁気撹拌子を備え、オーブン乾燥した、ネジ付き、2ドラム、17×60mmの反応バイアルに、[(π−アリル)Pd(Bippyphos)]OTf(16mg、0.02mmol、2mol%)、BippyPhos(10mg、0.02mmol、2mol%)、2−フェニルインドール(193mg、1.00mmol)及びNaOt−Bu(135mg、1.40mmol)を入れる。バイアルを、PTFE表面を有するシリコーンセプタム付きのポリプロピレンキャップで蓋をし、排気し、窒素で再充填する。この排気/再充填サイクルをさらに2回繰り返す。無水トルエン(4mL)及び2−クロロ−6−メトキシピリジン(119μL、1.00mmol)をシリンジにより順次添加する。窒素針を除去し、バイアルを、予熱したアルミニウムブロック(110℃)上に置き、16時間撹拌する。次いで、管を加熱ブロックから取り出し、室温に冷却する。反応混合物を10mLのEtOAcで希釈し、セライトのパッドに通して濾過し、真空中で濃縮する。残留物を、溶離液として0−5%EtOAc/ヘキサンの勾配を用いるTeledyne ISCO CombiFlashRfを使用するシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけて、293mg(0.98mmol、98%)の1−(6−メトキシピリジン−2−イル)−2−フェニル−1H−インドールを無色油状物として得る。 1H NMR (400 MHz, CDCl3, δ): 7.75 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.69 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.55 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.31 - 7.20 (m, 7H), 6.80 (s, 1H), 6.67 - 6.62 (m, 2H), 3.76 (s, 3H). 13C NMR (100 MHz, CDCl3, δ): 163.7, 149.6, 140.6, 140.1, 138.4, 133.5, 129.0, 128.9, 128.3, 127.5, 123.0, 121.5, 120.8, 113.6, 111.7, 108.6, 105.6, 53.8.

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