本発明は、シーリング材およびその発泡施工方法に関する。 詳しくは、熱溶融性かつ紫外線硬化性であって、特に発泡性のものとして好適に使用されるシーリング材およびその発泡施工方法に関する。
シーリング材の公知例としては、以下に例示するものが挙げられるが、いずれにも、以下に述べるような問題点があった。 エチレン性不飽和化合物と近赤外光重合開始剤の組成物に不活性ガスを加圧注入してセーキ状に泡立ててなる樹脂組成物を利用したガスケット複合素材が知られている(特許文献1参照。)。 しかし、前記組成物は液状であるため塗り置きができないと同時に、硬化するまでの間に液垂れが生じたり破泡が起こったりするおそれがある。 発泡ガスケット材として使用できる発泡硬化物として、所定の発泡性ポリシロキサン組成物を用い、塗付と同時に紫外線を照射することで発泡と硬化を同時に起こさせる技術が知られている(特許文献2参照。)。 しかし、前記組成物を用いる場合、紫外線照射が不均一であると発泡倍率および発泡状態が安定しないという問題があり、また、組成物が液状であるために、塗り置きができず、硬化するまでの間に液垂れが生じるおそれがあり、その結果、液垂れを生じた状態で発泡および硬化をしてしまうおそれがある。 光反応性組成物を用いた光反応性シーリング材が知られている(特許文献3参照。)。 しかし、この技術では、上記技術と同様に、組成物が液状であるために、塗り置きができず、硬化するまでの間に液垂れが生じるおそれがある。 少なくとも1つの反応性ケイ素基を含有するゴム質系有機重合体と、この重合体を硬化させるシラノール縮合触媒と、有機系熱分解型発泡剤とを含む発泡型シーリング用組成物が知られている(特許文献4参照。)。 しかし、この技術では、上記技術と同様に、組成物が液状であるために、塗り置きができず、硬化するまでの間に液垂れが生じるおそれがある。 また、熱硬化や熱分解性を利用した発泡を行わせるために、ライン中に熱硬化設備がなければならず、ライン構成が制約される。 上記技術では、組成物が硬化するまでの間における液垂れの問題を有する点が共通しており、また、流動性の高いこれらのシーリング材では、発泡させたときには破泡を起こし、シーリング材内部の気泡が連続気泡となってしまって、耐熱性、気密性、水密性などが低下してしまう問題もある。 このような液垂れや破泡の問題の生じ難いシーリング材として、ホットメルトシーリング材が知られている。 例えば、ホットメルト型のシーリング材として、熱可塑性エラストマー、粘着付与樹脂、ワックスなどを混合したラップジョイント型プレシーリング材が知られている(特許文献5参照。)。 しかし、前記熱可塑性エラストマーは、架橋構造を有しないものであり、耐熱下に曝すとシーリング材が溶け出すおそれがある。 そこで、前記ホットメルト型のシーリング材が有する耐熱性の低さを補うため、ホットメルト型シーリング材による冷却固化に加えて、湿気硬化や紫外線硬化を併用する技術も知られている。 例えば、所定のウレタンプレポリマー、共重合体を含む反応型ホットメルト組成物であって、硬化時の発泡防止のために所定の熱可塑性エラストマーを含むものが知られている(特許文献6参照。)。 この技術では、前記硬化反応として湿気硬化を採用している。 しかし、この技術では、加熱溶融の際に、ゲル化を引き起こしたり、ウレタンプレポリマーの原料となるジイソシアネート化合物の未反応分が空気中に放散されたりするおそれがあるほか、冬場と夏場の温度差や湿度差により接着物性に較差を生じさせたりするおそれもある。 また、加熱安定性を高めるために空気中の湿気を完全に遮断する場合、高圧下での使用となるため、安全面で好ましくない。 また、所定の紫外線硬化性成分、粘着付与樹脂、熱可塑性エラストマーを含み、紫外線重合開始剤を配合してなる、紫外線硬化性のホットメルトシーリング材が知られている(特許文献7参照。)。 この技術によれば、耐熱性にも優れたものが得られるとされるが、ここにいう耐熱性は80℃程度の条件を想定しており、シーリング材を硬化させた後により厳しい耐熱条件下(例えば、100℃以上)に放置すると、密着性能が低下したり、圧縮復元性が低下したりするなどして、シーリング性能の低下を余儀なくされる。
特開平6−192468号公報
特開平9−40870号公報
特開2004−269678号公報
特開平11−293020号公報
特開平1−190781号公報
特開平7−62228号公報
特開2006−328382号公報
そこで、本発明が解決しようとする課題は、塗付後に液垂れを起こすことがなく、厳しい耐熱条件下でも優れたシーリング性能を発揮し、発泡させて用いる場合にも内部に良好な独立気泡を形成し得るシーリング材とその発泡施工方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。 その過程において、まず、液垂れを起こすことのないシーリング材を得るために、前記特許文献7に記載の熱溶融性かつ紫外線硬化性のシーリング材に着目したが、この技術では、熱可塑性エラストマーが、非紫外線硬化性であり、シーリング材の施工後にもその熱可塑性の特性が残っているため、結果として、シーリング材の耐熱性低下を招いていることに気付き、耐熱性をさらに高めるために、耐熱性の低さの原因となっている非紫外線硬化性の熱可塑性エラストマーの配合量を減らすことができないかの検討を行った。 その結果、紫外線硬化後のガラス転移温度が−70〜0℃のアクリレートによって、シーリング材に柔軟性や熱溶融性(加熱により溶融し、冷却により固化する性質)を与えることができ、したがって、紫外線硬化後のガラス転移温度が−70〜0℃のアクリレートが、熱可塑性エラストマーの代替成分として使用できることを見出した。 ただし、このとき、紫外線硬化後のガラス転移温度が−70〜0℃のアクリレートの重量平均分子量は500〜50,000であることが必要であり、さらに、シーリング材の120℃での溶融粘度は1,000〜50,000mPa・sであることが必要であることも見出した。 また、前記アクリレートは紫外線によって硬化が可能であることから高い耐熱性を確保できるので、非紫外線硬化性の熱可塑性エラストマーを用いる場合に生じる耐熱性低下の問題も生じないことも見出した。 加えて、前記シーリング材は、発泡性のシーリング用途に使う場合でも、良好な独立気泡を形成させることができ、耐熱性が高いだけでなく、気密性、水密性などのシーリング性能も優れたものとなることを見出した。 さらに、上記シーリング材を発泡施工するに際して、独立気泡を良好に生じさせるための好適な施工条件をも見出した。 本発明は、上記知見とその確認により完成されたものである。 すなわち、本発明にかかるシーリング材は、紫外線硬化性成分と紫外線重合性開始剤を含み、さらに非紫外線硬化性の熱可塑性エラストマーを含む場合はその含有量が樹脂成分全量に対して5重量%以下の割合であるとともに、前記紫外線硬化性成分として、重量平均分子量が500〜50,000で紫外線硬化後のガラス転移温度が−70〜0℃のアクリレートを樹脂成分全量に対して50重量%以上の割合で含み、かつ、120℃での溶融粘度が1,000〜50,000mPa・sである、ことを特徴とする。 また、本発明にかかるシーリング材の発泡施工方法は、前記シーリング材を加熱溶融させ、溶融状態のシーリング材中に加圧下の不活性ガスを混入させ、加圧状態の不活性ガスを含む溶融状態のシーリング材を大気中に吐出して発泡させつつ、シーリングを必要とする箇所に塗工して、シーリング発泡体を形成させ、このシーリング発泡体に紫外線を照射して硬化させる、シーリング材の発泡施工方法において、前記不活性ガスの混入は、不活性ガスとして窒素ガスを用い、窒素ガスを0.01〜0.1MPaに加圧して吹き込むことにより行い、前記シーリング材の塗工は、吐出圧2.7〜9.7MPaで行う、ことを特徴とする。
本発明にかかるシーリング材は、特定のアクリレートを用いることで、非紫外線硬化性の熱可塑性エラストマーを用いることなく、柔軟性と熱溶融性を付与することができ、その熱溶融性に基づく速やかな冷却固化によって液垂れを防止し得るとともに、前記非紫外線硬化性の熱可塑性エラストマーの使用量低減による耐熱性の向上をも可能とする。 本発明にかかる前記シーリング材は、非発泡性のシーリング用途、発泡性のシーリング用途のいずれにも使うことができるが、発泡性のシーリング用途に使う場合でも、破泡が起こりにくく、内部に良好な独立気泡を形成させることができ、耐熱性が高いだけでなく、気密性、水密性などにも優れたものとなる。 紫外線硬化性成分は、短時間での硬化が可能であるので、比較的低粘度であっても、独立気泡の確保が可能となっている。 また、本発明にかかるシーリング材の発泡施工方法は、前記シーリング材を発泡させて施工する際の最適な施工条件を採用しているので、特に良好に独立気泡を形成させることができる。
図1は、本発明の実施形態を表す、シーリング処理された建築用外装板の斜視図である。 図2は、建築用外装板の施工状態におけるシーリング部分の断面図である。 図3は、シーリング処理工程を示す模式的構造図である。 図1〜3において、符号10は建築用外装板を、符号12、14はシーリング面を、符号20はシーリング材を、符号30は吐出ノズルを、符号40は紫外線ランプを表す。
以下、本発明にかかるシーリング材およびその発泡施工方法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。 〔シーリング材〕 本発明にかかるシーリング材は、非発泡のシーリング用途に使うこともできるが、発泡性のシーリング用途に使うこともできる。 一般的なシーリング材は、シーリングを必要とする箇所に塗工してシーリング体を形成させたあと硬化させるための硬化機構の違いによって、熱溶融性(ホットメルト型)のシーリング材、湿気硬化性のシーリング材、紫外線硬化性のシーリング材などが知られている。 これらのうち、本発明のシーリング材は、熱溶融性かつ紫外線硬化性のシーリング材である。 本発明のシーリング材は、加熱溶融させた溶融状態で使用される。 溶融状態のシーリング材を塗工(吐出)してシーリング体を形成したあとの硬化は、冷却固化および紫外線硬化の両方の機構を組み合わせて行われる。 通常は、冷却によってシーリング体の基本形状あるいは構造が決定され、その後、シーリング体の内部において紫外線硬化が進行する。 本発明のシーリング材は、通常、使用時に発泡させることで、シーリング発泡体を形成させるシーリング処理に適用される。 本発明のシーリング材は、このような硬化機構や使用形態に適したシーリング材の組成配合として、以下に詳しく記載する、紫外線硬化性成分と紫外線重合性開始剤を含み、熱可塑性エラストマーを含む場合はその含有量が樹脂成分全量に対して5重量%以下であるとともに、前記紫外線硬化性成分として、後述する所定のアクリレートを必須に含む。 〔紫外線硬化性成分〕 紫外線照射によって硬化する紫外線硬化性化合物または組成物であり、本発明においては、この紫外線硬化性成分として、紫外線硬化後のガラス転移温度が−70〜0℃のアクリレートを必須に含む。 後述するように、紫外線硬化性成分として、紫外線硬化前のガラス転移温度が10℃以上のアクリレートを含んでいることがより好ましい。 以下、本願明細書では、便宜上、紫外線硬化後のガラス転移温度が−70〜0℃のアクリレートを「低Tgアクリレート」、紫外線硬化前のガラス転移温度が10℃以上のアクリレートを「高Tgアクリレート」と表記する場合がある。 ここで、本発明における「アクリレート」は、モノアクリレートに限らず、多官能アクリレートも含む概念であり、したがって、1分子中に1個以上のアクリロイル基を含有するものであると言える。 紫外線を照射すると、前記アクリロイル基が反応点となって架橋構造が形成されるので、アクリロイル基が多いほど架橋が密となり、耐熱性に優れたものとなるが、多すぎると柔軟性が低下してしまう。 このような観点から、1分子中のアクリロイル基の数は、2〜5個が好ましい。 低Tgアクリレートは、少なくとも1種を用いれば良く、2種以上を併用することも妨げない。 高Tgアクリレートを併用する場合においても、1種の高Tgアクリレートに限らず、2種以上の高Tgアクリレートを併用してもよい。 さらに、高Tgアクリレートおよび低Tgアクリレート以外のアクリレートを1種または2種以上併用しても良い。 本発明にかかる低Tgアクリレートの重量平均分子量は500〜50,000であることが必要であり、500〜30,000であることがより好ましい。 また、高Tgアクリレートなどの低Tgアクリレート以外のアクリレートについても、その重量平均分子量が、500〜50,000であることが好ましく、500〜30,000であることがより好ましい。 分子量が大きすぎると粘度が高くなって塗工適性が低下するおそれがあり、分子量が小さすぎると粘度が低くなり、液垂れを生じ易くなり、また、発泡性のシーリング用途に使う場合には、破泡を起こし易くなるとともに良好な独立気泡体が得られにくくなるおそれがある。 低Tgアクリレートは、紫外線硬化後のガラス転移温度が−70〜0℃である。 紫外線硬化後のガラス転移温度が0℃を越えると、十分な柔軟性を付与できず、圧縮復元性が低下するおそれがあり、前記ガラス転移温度が−70℃未満であると、粘度が低くなりすぎて液垂れを生じるおそれがあり、また、発泡性のシーリング用途に使う場合にも、破泡を起こし易くなるとともに良好な独立気泡体が得られにくくなるおそれがある。 より好ましくは−50〜0℃である。 低Tgアクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、低Tgポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールとイソシアネートの反応により得られるウレタンプレポリマーのイソシアネート残基を利用して分子中にアクリロイル基を導入したものや、エポキシ樹脂のオキシラン環を利用してアクリロイル基を導入したもの、n−ブチルアクリレート(n−BA)をコモノマーの1つとするコポリマーの側鎖にアクリロイル基をグラフトしたものなどが挙げられる。 紫外線硬化性成分として好ましく併用される高Tgアクリレートは、紫外線硬化前のガラス転移温度が10℃以上である。 前記高Tgアクリレートを併用することで、シーリング材の120℃での溶融粘度を高めることができ、液垂れをより顕著に防止することができ、また、発泡性のシーリング用途に使う場合にも、破泡をより顕著に防止し、良好な独立気泡を得やすくなる。 シーリング材の粘着性も高めることができる。 前記ガラス転移温度が10℃未満であると、前記のような効果が十分に付与できなくなるおそれがある。 他方、前記ガラス転移温度が高すぎると、粘度が高くなって塗工適性が低下したり、熱溶融に必要な加熱温度が高くなったりといった問題が生じるおそれがあるため、100℃以下が好ましい。 より好ましくは20〜80℃である。 高Tgアクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、メチルメタクリレート(MMA)をコモノマーの1つとするコポリマー側鎖にアクリロイル基をグラフトしたオリゴマーや、ロジンエステルの側鎖にアクリロイル基を導入したもの、テルペンフェノール樹脂のフェノール性水酸基を利用してアクリロイル基をグラフトしたものなど、非反応性粘着付与樹脂の残基を利用してアクリロイル基を導入したものなどを使用することができる。 高Tgアクリレートを併用する場合、低Tgアクリレートと高Tgアクリレートの使用割合は、各々のガラス転移温度にもよるが、例えば、重量基準で、90:10〜60:40とすることが好ましい。 より好ましくは、80:20〜70:30である。 紫外線硬化性成分としては、上記特定のアクリレート以外に、従来公知の他の紫外線硬化性化合物を含んでいても良い。 他の紫外線硬化性化合物としては、特に限定するわけではないが、例えば、以下に説明するカチオン重合型の紫外線硬化性化合物が好ましく用いられる。 カチオン重合型の紫外線硬化性化合物としては、公知あるいは市販の各種液状ポリジエンのエポキシ化物が使用できる。 具体的には、アニオンリビング重合技術で合成された1,2ポリブタジエン骨格を有するものや、その水素添加物などにエポキシ基が組み込まれたものがある。 ラジカル重合で生成したポリジエン化合物にエポキシ基が組み込まれたものがある。 液状ポリジエン系オリゴマーの末端基とエポキシ樹脂などのエポキシ基との反応によって、液状ポリジエン系オリゴマーの分子内にエポキシ基を導入したものなどが挙げられる。 ここで使用されるエポキシ樹脂は、分子中に2個以上のエポキシ基を有するものである。 エポキシ基を有する紫外線硬化性化合物の市販品としては、ナガセケムテック社製の商品名「R−45EPT」、ダイセル化学工業社製の商品名「PB−3600」、クレイトンポリマー社製の商品名「L−207」などがある。 エポキシ基を有する紫外線硬化性化合物の重量平均分子量は、限定する訳ではないが、100〜50,000の範囲であり、好ましくは100〜30,000の範囲、100〜20,000の範囲である。 分子量が大き過ぎると、加工適性が劣るものとなり、シーリング材の施工作業性が悪くなる。 分子量が低過ぎると、十分な柔軟性が得られず、シーリング機能が低下する。 〔組成物としての紫外線硬化性成分〕 紫外線硬化性成分は、前記紫外線硬化性化合物だけであっても良いが、これらの化合物にエポキシ樹脂などを組み合わせた組成物であっても良い。 前記エポキシ樹脂としては以下のものが用いられる。 <エポキシ樹脂> 分子内に2個以上のエポキシ基を有するものが使用される。 グリシジル型エポキシ樹脂が使用できる。 具体例として、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、テトラプロモビスフェノールAの難燃タイプ、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールA型のプロピレンオキシド付加物やエチレンオキシド付加物が挙げられる。 グリシジルエステル型エポキシ樹脂が使用できる。 具体例として、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステルが挙げられる。 グリシジルアミン型エポキシ樹脂が使用できる。 具体例として、トリグリシジルイソシアネート、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンが挙げられる。 線状脂肪族エポキシ樹脂が使用できる。 具体例として、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油が挙げられる。 脂環族エポキシ樹脂が使用できる。 具体例として、アリサイクリックジエポキシアセタール、アリサイクリックジエポキシアジペート、アリサイクルジエポキシカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンオキシドが挙げられる。 〔紫外線重合開始剤〕 本発明において、紫外線硬化性成分を硬化させる際には、紫外線重合開始剤が用いられる。 紫外線硬化性成分としての前記アクリレートを硬化させる際には、ラジカル性の紫外線重合開始剤が用いられる。 ラジカル性の紫外線重合開始剤としては、公知のものを適当に使用できるが、具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルなどのベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)アセトフェノンなどのアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノンなどのアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケ� ��ールなどのケタール類;ベンゾフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オンや2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1;アシルホスフィンオキサイド類及びキサントン類などが挙げられる。 ラジカル重合開始剤の市販品としては、チバガイギー社製の商品名「イルガキュア184」などがある。 また、前述のように、紫外線硬化性成分として他の紫外線硬化性化合物も用いる場合には、対応する重合開始剤を用いればよく、例えば、前述のカチオン重合型の紫外線硬化性化合物を含む場合は、カチオン性の紫外線重合開始剤を使用すると良い。 カチオン重合型の紫外線硬化性化合物の使用材料や組成配合に合わせて、適切なカチオン性紫外線重合開始剤を選択して使用すればよい。 カチオン性紫外線重合開始剤としては、たとえば、オニウム塩が使用できる。 これは、オニウムイオンと陰イオンとから構成される有機塩であり、紫外線が照射されることによって、ルイス酸とブレンステッド酸(プロトン酸)とを発生する。 オニウム塩の具体例として、ジフェニルヨードニウム、4−メトキシジフェニルヨードニウム、ビス(4−メチルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム、トリクミルヨードニウム、トリフェニルスルホニウム、ビス(4−(ジフェニルスルフォニオ)−フェニル)フルフィド、ビス(4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)フルフォニオ)−フェニル)フルフィド、η5−2、4−(シクロペンタジェニル)(1、2、3、4、5、6−η−(メチルエチル)ベンゼン)−鉄(1+)が挙げられる。 陰イオンの具体例として、テトラフルオロボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ポレート、ヘキサフルオロフォスフェート、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサクロロアンチモネートが挙げられる。 カチオン重合開始剤の市販品としては、旭電化工業社製の商品名「アデカオプトマーSP−150」などがある。 〔増感剤〕 紫外線による硬化性を高めるため、増感剤が用いられて良い。 増感剤の具体例としては、カルコン誘導体やジベンザルアセトンなどに代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノンなどに代表される1,2−ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ−ル誘導体などのポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフ� ��リン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体などが挙げられる。 〔粘着付与樹脂〕 シーリング材の熱溶融特性を調整するために、通常のホットメルト型シーリング材に利用される各種の粘着付与樹脂を配合しておくことができる。 ただし、本発明にかかるシーリング材では、上述の低Tgアクリレートを配合することによってシーリング材に粘着性を付与することができ、特に、高Tgアクリレートを併用することで前記粘着性をさらに高めることもできるので、以下に説明する粘着付与樹脂を用いなくてもよい。 通常のシーリング材、特に、熱溶融型(ホットメルト型)のシーリング材に利用される各種の粘着付与樹脂が使用できる。 粘着付与樹脂の具体例として、ロジン、変性(水素化など)ロジン、これらのエステル化物のロジン誘導体がある。 α−/β−ピネン、ジペンテンなどのテルペン類の重合体であるテルペン系樹脂がある。 テルペンフェノール樹脂などの変性テルペン樹脂がある。 クロマンインデン樹脂がある。 各種脂肪族系、脂環系ならびに芳香族系炭化水素樹脂、これらの水添樹脂がある。 〔熱可塑性エラストマー〕 粘着付与樹脂と同様に、通常のホットメルト型シーリング材に利用される各種の熱可塑性エラストマーが使用できる。 ただし、本発明にかかるシーリング材では、低Tgアクリレートにより熱溶融性や柔軟性を発現させることができ、特に、高Tgアクリレートを併用することで前記熱溶融性をさらに高めることもできるので、以下に説明する熱可塑性エラストマーを用いなくても良い。 前記熱可塑性エラストマーとしては、特に限定するわけではないが、例えば、ポリスチレンブロックが2ブロック以上と弾性重合体ブロックが1ブロック以上とを有する熱可塑性ブロック共重合体が使用できる。 具体例として、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)とその水添物(SEBS)、スチレン−イソプレンブロック共重合体(SIS)が挙げられる。 これらのエラストマーにエポキシ基やカルボキシル基をグラフトさせた熱可塑性エラストマーも使用できる。 〔ワックス〕 通常のホットメルト型シーリング材に利用される各種のワックスを配合しておくことができる。 具体的には、天然系として、石油精製時の原油残渣中に含まれるn−パラフィンやiso−パラフィンを主成分とするパラフィン、マイクロクリスタリンワックス、石炭抽出物であるモンタン酸を原料とするモンタンワックス、カルナバヤシから採れるカルナバワックス、および、草の茎から得られるキャンデリラロウなどがある。 また、合成系ワックスとして、エチレンを原料とするポリエチレンワックスなどがある。 これらのワックス類のうちで好ましく使用されるワックスとしては、パラフィン、マイクロクリスタリン、フィッシャートロプシュ、各種低分子量ポリエチレンワックス、一部の変性ワックス、アタクチックポリプロピレンなどがある。 天然系ワックスは、分子量が300から800であって融点も低い。 合成系ワックスは、重合度を自由に変化できるので、分子量の差だけ融点が高くなる。 一般には、分子量1,000から10,000程度の範囲のものが多い。 〔シーリング材の組成配合と特性〕 シーリング材としては、上記した各成分材料が適量配合されるが、耐熱性の観点からは、紫外線硬化性成分を主成分とすることが好ましく、具体的には紫外線硬化性成分を樹脂成分全量に対して90重量%以上の割合で用いることが好ましい。 紫外線硬化性成分として必須に用いられる低Tgアクリレートは、樹脂成分全量に対して50重量%以上であることが必要である。 50重量%未満では、熱可塑性エラストマーの機能(ホットメルト性、柔軟性など)を十分に代替し得ない。 非紫外線硬化性の熱可塑性エラストマーを併用する場合は、この成分が耐熱性低下に大きく影響するため、樹脂成分全量に対して5重量%以下の割合とする必要がある。 同様に、耐熱性の観点から、非紫外線硬化性の粘着付与樹脂を併用する場合は樹脂成分全量に対して5重量%以下、ワックスを併用する場合は樹脂成分全量に対して5重量%以下とすることが好ましい。 これらの成分も配合量が多すぎると、耐熱性低下を招くおそれがある。 紫外線重合開始剤は、紫外線硬化性成分に対し、例えば、0.1〜10重量%配合される。 ホットメルト型シーリング材の特性として、例えば、熱溶融温度を30〜130℃に設定できる。 120℃での溶融粘度が1,000〜50,000mPa・sであることが必要である。 120℃での溶融粘度が前記範囲内であれば、液垂れを起こさず、また、発泡性のシーリング用途に使う場合にも、破泡を起こすこともなく、良好な独立気泡を生じさせることができる。 120℃での溶融粘度は、1,000〜30,000mPa・sであることが好ましく、1,000〜20,000mPa・sであることがより好ましい。 120℃での溶融粘度は、アクリレートのガラス転移温度や重量平均分子量、粘着付与樹脂、熱可塑性エラストマーの配合などを適宜決定することで、容易に前記範囲に設定することができる。 〔各種添加剤〕 本発明にかかるシーリング材は、その使用目的などに応じて、さらに、染料、有機および無機顔料、ホスフィン、ホスホネート、ホスファイトなどの酸素除去剤や還元剤、カブリ防止剤、退色防止剤、ハレーション防止剤、蛍光増白剤、界面活性剤、着色剤、増量剤、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防カビ剤、帯電防止剤、磁性体やその他種々の特性を付与する添加剤を添加して使用することができ、また、希釈溶剤などと混合して使用することもできる。 〔シーリング材の使用〕 基本的には、通常のホットメルト型シーリング材および紫外線硬化型シーリング材と共通する技術が適用できる。 通常、シーリング機能を付与する部材や装置機器のシーリングを必要とする箇所、例えば、シーリング面にシーリング材を供給することで、シーリング面にシーリング体を形成させ、このシーリング面に配置されたシーリング体が、別の部材のシーリング面に当接して、シーリング機能すなわち封止機能を果たす。 具体的には、以下の段階を含む施工方法が採用できる。 以下では、特にシーリング材を発泡させて施工する発泡施工方法について詳しく説明しているが、シーリング材を発泡させないで施工したい場合には、下記において、不活性ガスの吹込みを行わなければ良い。 <段階(a):溶融および不活性ガスの吹き込み> 加熱溶融させたシーリング材中に、不活性ガスを加圧下で吹き込む。 通常のホットメルト型シーリング材でも適用される段階であり、同様の処理装置や処理条件が採用できる。 シーリング材は、通常、常温では固体になるので、流動状態にするには加熱溶融させておくのである。 具体的には、加熱溶融の際、シーリング材の加熱温度を30〜130℃に設定することができる。 シーリング発泡体を形成させるために、溶融したシーリング材中に不活性ガスを加圧下で吹き込む。 不活性ガスとして、窒素ガスや二酸化炭素などが使用できる。 ガスは0.01〜0.1MPa(ボンベ圧)に加圧して送り込むことが好ましい。 ボンベ圧が低すぎると十分な発泡性が得られないおそれがあり、高すぎると均質な独立気泡を得るのが困難となる。 シーリング材の加熱溶融と不活性ガスの吹き込みは、通常、後述するシーリング材の吐出よりも前に行っておくが、不活性ガスの吹き込みは、シーリング材の吐出の直前あるいは吐出と同時に行うこともできる。 不活性ガスを吹き込みながら吐出させることもできる。 不活性ガスの吹き込みによる加圧力でシーリング材を吐出させることもできる。 この段階(a)と次の段階(b)とは、別個の工程として行なわれてもよいし、同じ工程あるいは同じ装置で同時あるいは連続して行なわれる場合がある。 <段階(b):吐出および発泡> 加圧状態の不活性ガスを含む溶融状態のシーリング材を、大気中に吐出し発泡させつつ、シーリングを必要とする箇所に塗工し、シーリング発泡体を形成させる。 通常のホットメルト型シーリング材と同様の作業であり、同様の処理装置や処理条件が採用できる。 吐出圧としては、特に限定するわけではないが、2.7〜9.7MPaが好ましい。 吐出圧が低すぎると、発泡倍率が低くなり、弾性に欠けるものとなってシーリング性が低下するおそれがあるとともに、場合によっては、シーリングを施す箇所に必要以上のストレスをかけてしまうおそれがある。 他方、吐出圧が高すぎると破泡を招き独立気泡が得られなくなるおそれがある。 大気中に吐出された溶融状態のシーリング材は、シーリング面に所定の厚みあるいは断面形状を有する塊状の形態で留まり、冷却されることで固化する。 このとき、加圧状態の不活性ガスが膨張して、シーリング材の内部に微細な気泡あるいは空洞を形成する発泡現象を起こす。 シーリング材を発泡させて得られるシーリング発泡体の発泡倍率を2〜4倍に設定することが好ましい。 発泡倍率によって、最終的に得られるシーリング発泡体の柔軟性や弾力性、シーリング性能に違いが生じる。 発泡倍率が低過ぎると、十分な変形性が付与できない。 発泡倍率が高過ぎると、変形し易くなり過ぎて十分な封止機能が発揮できない。 シーリング発泡体を放置して、シーリング材が冷却固化してしまえば、通常のホットメルト型シーリング材と同様のシーリング発泡体が形成されるが、本発明では、後述のように、さらに、紫外線照射処理を行う。 シーリング面を有する部材を連続走行させながら、固定位置でシーリング材を吐出させれば、シーリング面に連続するシーリング材の吐出物、すなわち、シーリング発泡体を形成することができる。 シーリング面の走行速度とシーリング材の吐出ノズルの形状や吐出量とを調整することで、形成されるシーリング発泡体の断面積や形状を調節できる。 <段階(c):紫外線硬化> 前段階(b)で、発泡しつつシーリング面に塗工されたシーリング材、すなわちシーリング発泡体は、これに対し、直ちに、紫外線を照射して硬化させる。 シーリング材の吐出発泡と紫外線照射とは、実質的に同時に開始される場合もある。 シーリング材の吐出および発泡が十分に行なわれたあとで、紫外線照射を行うこともできる。 紫外線照射としては、基本的に、通常の紫外線硬化組成物に対する紫外線硬化処理と同様の装置や処理条件が適用できる。 照射する紫外線として、波長200〜400nmの紫外線を、照射強度1〜10,000mW/cm 2で照射することができる。 シーリング発泡体が形成されたシーリング面を連続走行させながら、固定設置された紫外線照射手段で紫外線を照射することができる。 シーリング面の走行速度と紫外線の強さとを調整することで、単位時間当たりの照射量や照射時間が調節できる。 勿論、シーリング発泡体は固定状態にしたまま、紫外線照射ランプや紫外線ビームを移動させることもできる。 〔シーリング材の用途〕 本発明の紫外線硬化性ホットメルト型シーリング材および発泡施工方法は、通常のホットメルト型シーリング材や紫外線硬化型シーリング材などと同様の用途に適用できる。 特に、屋外などの過酷な環境で使用される場合に、優れた性能を発揮できる。 水濡れなど水との接触が避けられない環境や、常温を大きく超える高熱状態になる環境においても、優れたシーリング機能を発揮する。 具体的には、自動車部品において、ヘッドランプなどのランプ類におけるハウジングシール、ドアモジュール、内装シールなどが挙げられる。 建築用材において、外壁を構成する外装板のシール部分、屋根材のシール部、金属サイジング材などのラップジョイント部などが挙げられる。 家電製品において、冷蔵庫、エアコン、洗濯機などのシール個所などが挙げられる。 〔シーリング材の使用形態〕 図1、2は、シーリング材を、建築物の外壁などに施工される建築用外装板のシーリング部分に適用した場合を示す。 図1に示すように、軽量コンクリート板などからなる建築用外装板10は、対向する側辺部分に連結用の継手部となる段差状の切り欠きを有し、段差部分の表面がシーリング面12、14となる。 対向する側辺で段差形状は表裏が逆になっているので、シーリング面12とシーリング面14とは表裏が逆である。 このようなシーリング面12、14が対面する連結構造を、ラップジョイントとも呼ぶ。 建築用外装板10の表面側に露出するシーリング面12に、長さ方向に沿って連続するビード状のシーリング発泡体20が施工される。 シーリング発泡体20は、断面が概略半円形状をなしている。 図2に示すように、建築用外装板10は、建築下地材16の上に貼り付けて施工される。 建築用外装板10は、左右に順次並べて施工される。 建築用外装板10のシーリング面12には、隣接して施工される建築用外装板10の裏向きのシーリング面14が対面するように配置される。 シーリング面14が、シーリング発泡体20に当接して下方に押圧する。 シーリング発泡体20は柔軟に変形することで、シーリング面14と密着し、封止機能を発揮する。 建築用外装板10の場合、屋外環境に長期間にわたって晒されることになる。 日射や昼夜の寒暖差、降雨などが、建築用外装板10の連結部分の隙間に露出するシーリング発泡体20に影響を与える。 したがって、シーリング発泡体20には、屋外環境に対する耐熱性や耐水性、温度変化耐性などが要求される。 上記のような建築用外装板10へのシーリング発泡体20の施工は、建築物の施工現場で行うこともできるが、建築用外装板10の製造工場などで、予め行っておくことが有効である。 〔シーリング材の施工〕 図3は、建築用外装板10の製造工場などにおけるシーリング発泡体20の施工状態を示している。 建築用外装板10は、シーリング面12を上に向けた状態で、コンベア装置などを用いて、連続的に走行させておく。 図示を省略しているが、走行経路の上流側には、建築用外装板10の生産工程や加工工程が設置されていてもよい。 走行経路の下流側にも、建築用外装板10の別の加工工程や処理工程が配置されていてもよい。 建築用外装板10の製造ラインの途中に、シーリング処理工程が組み込まれている状態である。 建築用外装板10の走行経路に、シーリング材22の吐出ノズル30が設置されている。 吐出ノズル30は、図示を省略したアプリケータ装置の一部であり、アプリケータ装置に備えたシーリング材22の貯留タンクに接続されている。 シーリング材22は、貯留タンクあるいは貯留タンクから吐出ノズル30に至る経路で、ヒーターなどで加熱されて溶融状態になる。 溶融状態のシーリング材22に、加圧下で窒素ガスを吹き込む。 具体的には、シーリング材22を120℃に加熱し、圧力29kPaで窒素ガスを吹き込むことができる。 このようなシーリング材22の吐出供給装置の具体例として、フォームメルトアプリケーターFM−151型(商品名、ノードソン社製)が使用できる。 この装置では、加熱溶解されたシーリング材22に、特殊ギアポンプで機械的に窒素ガスを吹き込み、大気中に吐出するとともに発泡させる。 走行する建築用外装板10のシーリング面12に吐出された溶融状態のシーリング材22は、シーリング面12に連続したビードを形成することになる。 例えば、シーリング面12の走行速度を15m/minに設定できる。 吐出ノズル30から吐出されると、常圧下におかれるシーリング材22は、加圧状態の窒素ガスが膨張して発泡し、シーリング材22の内部に独立気泡を形成する。 また、加熱されたシーリング材22は速やかに冷却して固化するので、前記したビード形状が維持されたままになり、シーリング面12の広い範囲に液状に拡がってしまうことはない。 発泡現象が冷却を促進し、適切なビード形状で迅速に固化させることができる。 建築用外装板10の走行経路で、吐出ノズル30の直ぐ下流側には、紫外線照射ランプ40が配置されている。 紫外線照射ランプ40は、シーリング材22で形成されたシーリング発泡体20に照射される。 シーリング発泡体20の内部で紫外線硬化が起こる。 紫外線照射の条件は、例えば、波長200〜400nmの紫外線を、照射強度2,000mW/cm 2で照射し、走行するシーリング発泡体20の各部分が30秒間、紫外線に晒されるように設定できる。 このような紫外線照射装置の具体例として、フュージョンUVシステムズジャパン社製の商品名ライトハンマー6が使用できる。 シーリング材22は、紫外線硬化性成分と紫外線重合性開始剤とを含んでいるので、紫外線照射によって迅速に硬化が進行する。 シーリング材22のそれぞれの部分は、紫外線照射ランプ40の照射領域を短時間で通過するだけであるが、紫外線の作用を十分に受けて、紫外線硬化が迅速に開始され、しかも、シーリング発泡体20の表面から内部へと紫外線硬化が迅速に進行して、ある程度の厚みがあるシーリング発泡体20の全体で速やかに紫外線硬化が進行する。 紫外線照射ランプ30の位置を通過した建築用外装板10は、次の処理工程に送り出したり出荷作業あるいは保管作業を行ったりすることもできる。 シーリング面12のシーリング発泡体20は、十分な形状維持性を有しており、表面は強いベタツキを示すこともなく、表面に触れたり他物が接触したりしても、形状が崩れたり損傷したりすることはない。
以下に、実施例および比較例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 〔実施例1〜7、比較例1〜3〕 下の表1に示す組成配合で、紫外線硬化性成分、紫外線重合開始剤と、さらに必要に応じて熱可塑性エラストマー、粘着付与樹脂を撹拌混練することにより、実施例1〜7と比較例1〜3のシーリング材を調製し、120℃での溶融粘度を測定し、その結果を表1に示した。 なお、表1中の配合に関する数値は重量部を表す。
表1中に記載された溶融粘度は、以下の条件で測定した。 <溶融粘度>
上記実施例1〜7、比較例1〜3の各シーリング材について、120℃での溶融粘度(mPa・s)を、Brookfield型 Themosel System粘度計、27号スピンドルを用いて常法により測定した。
つぎに、発泡倍率、液垂れ、UV反応性、耐熱ブロッキング、圧縮復元性、硬度、水密性、発泡性を評価した。
このとき、まず、条件1として、上記実施例1〜7、比較例1〜3の各シーリング材を、下記条件で加熱溶融、発泡、吐出させ、各評価を行った。 結果を表2に示す。
(条件1)
上記実施例1〜7、比較例1〜3の各シーリング材を、フォームメルトアプリケーター(商品名「FM−151」、ノードソン社製)を用いて、温度120℃で加熱溶融し、溶融状態のシーリング材に、窒素ガスをボンベ圧0.05MPaで混入し、加圧状態の窒素ガスを含む溶融状態のシーリング材を、吐出圧5.0MPaで大気中に吐出させて発泡させた。
つぎに、条件2として、上記実施例1〜7の各シーリング材を、下記条件で加熱溶融、発泡、吐出させ、各評価を行った。 結果を表3に示す。 (条件2)
上記実施例1〜7の各シーリング材を、フォームメルトアプリケーター(商品名「FM−151」、ノードソン社製)を用いて、温度120℃で加熱溶融し、溶融状態のシーリング材に、窒素ガスをボンベ圧0.005MPaで混入し、加圧状態の窒素ガスを含む溶融状態のシーリング材を、吐出圧2.0MPaで大気中に吐出させて発泡させた。
上記表2,3における発泡倍率、液垂れ、UV反応性、耐熱ブロッキング、圧縮復元性、硬度、水密性、発泡性の評価は具体的には以下のとおりである。 <発泡倍率>
上記各条件にてシーリング材を発泡させつつ、離型紙の上に、幅2cm、長さ15cm程度のビード状となるように塗工して試験片を作製した。
試験片が冷却固化した後、質量を測定した。 200mlの水を入れた250mlのメスシリンダに試験片を浸漬し、試験片の体積を測定した。 シーリング材の比重を1.0として、次式により、発泡倍率を算出した。
発泡倍率(倍)=試験片の体積/試験片の質量。 なお、2液型シーリング材の場合は、発泡硬化後に上記試験を行った。
<液垂れ>
上記各条件にてシーリング材を発泡させつつ、JIS G4305に規定されるステンレス鋼板「SUS−304」の表面に発泡倍率3倍でビード幅5mm、高さ4mmとなるように塗工し、シーリング発泡体を得た。
その後、23℃/50〜60RH下で5分放置したのちのビード幅を測定し、以下の評価を行った。
○:5mmの幅が維持されている。
×:ビード幅が5mmを超えてしまっている。
<UV反応性>
上記各条件にてシーリング材を発泡させつつ、ステンレス鋼板「SUS−304」の表面に発泡倍率3倍でビード幅3mm、高さ4mmとなるように塗工し、シーリング発泡体を得た。
前記シーリング発泡体に、照射強度:2,000mW/cm
2 、照射時間:30秒でUV硬化を行った。 その後、硬化したシーリング発泡体を120℃雰囲気下に放置して、表面ベタツキを評価した。 ○:表面にベタツキが認められない。
×:表面にベタツキが認められる。
<耐熱ブロッキング>
上記UV反応性の試験と同様の条件で得た紫外線硬化後のシーリング発泡体を、ステンレス鋼板「SUS−304」を用いて、2mmの位置まで圧縮し(50%圧縮)、クリップにて固定した。 これを100℃の熱風循環恒温槽内で5日間放置し、「SUS−304」に付着する状態を確認し、以下の評価を行った。
○:「SUS−304」への付着が認められない。
△:「SUS−304」への完全な付着はないが、付着痕が認められる。
×:「SUS−304」への付着が認められる。
<圧縮復元性>
上記UV反応性の試験と同様の条件で得た紫外線硬化後のシーリング発泡体を、ステンレス鋼板「SUS−304」を用いて、2mmの位置まで圧縮し(50%圧縮)、クリップにて固定した。 この50%圧縮状態のままで80℃の温度下に24時間放置した。 その後、23℃/50〜60%RH下で圧縮を開放した。 23℃/50〜60%RH下で24時間後に、圧縮が復元した試験体の厚さを測定した。 圧縮復元率を下式で算出し、以下のとおり評価した。
圧縮復元率(%)=(a1/a0)×100
a0:試験前の試験体の厚さ(mm)
a1:試験後の試験体の厚さ(mm)
○:圧縮復元率が80%以上。
×:圧縮復元率が80%未満。
<硬度>
上記UV反応性の試験と同様の条件で得た紫外線硬化後のシーリング発泡体について、テクロック社製「GS−754G」により、各シーリング発泡体のショア硬度00を測定した。 数値が大きいほど硬いことを意味する。
<水密性>
上記UV反応性の試験と同様の条件で得た紫外線硬化後のシーリング発泡体を、ステンレス鋼板「SUS−304」を用いて、2mmの位置まで圧縮し(50%圧縮)、この状態でU字状に変形させた。 水を秤線まで投入し、23℃/50〜60RH下で24時間放置し、水がU字凸部から染み出さないか否かを確認し、以下の評価を行った。
○:水の染み出しがない。
△:水の染み出しがやや確認された。
×:水の染み出しが確認された。
<発泡性>
上記UV反応性の試験と同様の条件で得た紫外線硬化後のシーリング発泡体について、ビデオマイクロスコープにより、発泡状態を確認した。
○:発泡体内部に独立発泡が形成されている。
△:発泡体内部に独立発泡と連続気泡が混在している。
×:発泡体内部に独立発泡は認められず、連続気泡となっている。
〔性能総合評価〕
表1,2に示す結果から、実施例1〜7のシーリング材は、耐熱性に優れ、圧縮復元性に優れ、柔軟性が高く(ショア硬度が45〜50程度)、水密性が高く、さらに、その発泡状態が独立気泡となっていることが分かる。
一方、比較例1のシーリング材は、非紫外線硬化性の熱可塑性エラストマーの配合量が樹脂成分全量に対して5重量%を超えているため、耐熱性が低くなっている。
比較例2,3のシーリング材は、非紫外線硬化性の熱可塑性エラストマーを含んでいないため、十分な耐熱性を備えるものである。 しかし、120℃でのシーリング材の溶融粘度が低すぎて、液垂れが十分に抑制できず、水密性も低くなっており、さらに、独立気泡が確保できていない。
表3に示す結果は、ボンベ圧0.01〜0.1MPa、吐出圧2.7〜9.7MPaという好適条件から外れた条件での評価結果であるため、前記の好適条件を満たす表2に示す結果と比較すると、同じシーリング材であっても、発泡性の評価がやや低下し、これに伴って、耐熱性、水密性の評価もやや低下していることが分かる。 ただし、前記ボンベ圧や吐出圧はあくまでもシーリング材を施工するにあたっての好適条件であって、表2における比較例1〜3に示される結果と比較すると優位性は高い。
本発明にかかるシーリング材およびその発泡施工方法は、例えば、家電部品、自動車用内外装部品、自動車用ドアモジュール、金属板同士などのシーリング材やその発泡施工方法として好適に使用することができる。 |