炭化ケイ素−炭化タンタル複合材及びサセプタ

申请号 JP2014560729 申请日 2014-01-28 公开(公告)号 JPWO2014123036A1 公开(公告)日 2017-02-02
申请人 東洋炭素株式会社; 发明人 篠原 正人; 正人 篠原;
摘要 耐久性に優れた炭化ケイ素−炭化タンタル複合材を提供する。炭化ケイ素−炭化タンタル複合材1は、表層の少なくとも一部が第1の炭化ケイ素層12により構成された本体10と、炭化タンタル層20と、第2の炭化ケイ素層13とを備える。炭化タンタル層20は、第1の炭化ケイ素層12の上に配されている。第2の炭化ケイ素層13は、炭化タンタル層20と第1の炭化ケイ素層12との間に配されている。第2の炭化ケイ素層13は、X線光電子分光法によって測定されるC/Si組成比が1.2以上である。第2の炭化ケイ素層13は、ラマン分光法によって測定される炭素のGバンド及びDバンドのピーク強度比G/Dが、1.0以上である。
权利要求

表層の少なくとも一部が第1の炭化ケイ素層により構成された本体と、 前記第1の炭化ケイ素層の上に配された炭化タンタル層と、 前記炭化タンタル層と前記第1の炭化ケイ素層との間に配された第2の炭化ケイ素層と、を備え、 前記第2の炭化ケイ素層は、X線光電子分光法によって測定されるC/Si組成比が1.2以上であることを特徴とする炭化ケイ素−炭化タンタル複合材。前記第2の炭化ケイ素層のX線光電子分光法によって測定されるC/Si組成比が、6.0以下である、請求項1に記載の炭化ケイ素−炭化タンタル複合材。表層の少なくとも一部が第1の炭化ケイ素層により構成された本体と、 前記第1の炭化ケイ素層の上に配された炭化タンタル層と、 前記炭化タンタル層と前記第1の炭化ケイ素層との間に配された第2の炭化ケイ素層と、を備え、 前記第2の炭化ケイ素層は、ラマン分光法によって測定される炭素のGバンド及びDバンドのピーク強度比G/Dが、1.0以上であることを特徴とする炭化ケイ素−炭化タンタル複合材。前記第2の炭化ケイ素層のラマン分光法によって測定される炭素のGバンド及びDバンドのピーク強度比G/Dが、7.5以下である、請求項3に記載の炭化ケイ素−炭化タンタル複合材。前記第2の炭化ケイ素層の結晶子径は、753Å以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭化ケイ素−炭化タンタル複合材。前記本体は、黒鉛基材と、前記黒鉛基材の上に配された前記第1の炭化ケイ素層とを備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載の炭化ケイ素−炭化タンタル複合材。前記第2の炭化ケイ素層の厚みが、0.05μm以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の炭化ケイ素−炭化タンタル複合材。請求項1〜7のいずれか一項に記載の炭化ケイ素−炭素複合材を備え、 底面及び側面の少なくとも一方が前記炭化タンタル層により構成された凹部を有する、 サセプタ。凹部を有する基材と、 前記凹部の底面上に配された炭化タンタル層と、 を備えたサセプタであって、 前記炭化タンタル層と前記基材との間に配された炭化ケイ素層をさらに備えることを特徴とする、サセプタ。前記凹部の底面上において、前記炭化ケイ素層が、前記炭化タンタル層よりも厚い、請求項9に記載のサセプタ。前記凹部の底面上における前記炭化ケイ素層の厚みが、60μm以上である、請求項9または10に記載のサセプタ。前記凹部の底面上における前記炭化タンタル層の厚みが、10μm以下である、請求項9〜11のいずれか1項に記載のサセプタ。前記炭化タンタル層が前記凹部の側面の上にも配されており、 前記凹部の側面上において、前記炭化ケイ素層が前記炭化タンタル層と前記基材との間に配されている、請求項9〜12のいずれか1項に記載のサセプタ。前記基材が、黒鉛により構成されている、請求項9〜13のいずれか1項に記載のサセプタ。

表層の少なくとも一部が第1の炭化ケイ素層により構成された本体と、 前記第1の炭化ケイ素層の上に配された炭化タンタル層と、 前記炭化タンタル層と前記第1の炭化ケイ素層との間に配された第2の炭化ケイ素層と、を備え、 前記第2の炭化ケイ素層は、X線光電子分光法によって測定されるC/Si組成比が1.2以上であることを特徴とする炭化ケイ素−炭化タンタル複合材。前記第2の炭化ケイ素層のX線光電子分光法によって測定されるC/Si組成比が、6.0以下である、請求項1に記載の炭化ケイ素−炭化タンタル複合材。表層の少なくとも一部が第1の炭化ケイ素層により構成された本体と、 前記第1の炭化ケイ素層の上に配された炭化タンタル層と、 前記炭化タンタル層と前記第1の炭化ケイ素層との間に配された第2の炭化ケイ素層と、を備え、 前記第2の炭化ケイ素層は、ラマン分光法によって測定される炭素のGバンド及びDバンドのピーク強度比G/Dが、1.0以上であることを特徴とする炭化ケイ素−炭化タンタル複合材。前記第2の炭化ケイ素層のラマン分光法によって測定される炭素のGバンド及びDバンドのピーク強度比G/Dが、7.5以下である、請求項3に記載の炭化ケイ素−炭化タンタル複合材。前記第2の炭化ケイ素層の結晶子径は、753Å以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭化ケイ素−炭化タンタル複合材。前記本体は、黒鉛基材と、前記黒鉛基材の上に配された前記第1の炭化ケイ素層とを備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載の炭化ケイ素−炭化タンタル複合材。前記第2の炭化ケイ素層の厚みが、0.05μm以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の炭化ケイ素−炭化タンタル複合材。請求項1〜7のいずれか一項に記載の炭化ケイ素−炭素複合材を備え、 底面及び側面の少なくとも一方が前記炭化タンタル層により構成された凹部を有する、 サセプタ。ウェハを載置するための凹部を有する基材と、 前記凹部の底面上に配された炭化タンタル層と、 を備えたサセプタであって、 前記炭化タンタル層と前記基材との間に配された炭化ケイ素層をさらに備え、 前記炭化タンタル層は、前記凹部の底面及び側面にのみ形成されていることを特徴とする、サセプタ。前記凹部の底面上において、前記炭化ケイ素層が、前記炭化タンタル層よりも厚い、請求項9に記載のサセプタ。前記凹部の底面上における前記炭化ケイ素層の厚みが、60μm以上である、請求項9または10に記載のサセプタ。前記凹部の底面上における前記炭化タンタル層の厚みが、10μm以下である、請求項9〜11のいずれか1項に記載のサセプタ。前記炭化タンタル層が前記凹部の側面の上にも配されており、 前記凹部の側面上において、前記炭化ケイ素層が前記炭化タンタル層と前記基材との間に配されている、請求項9〜12のいずれか1項に記載のサセプタ。前記基材が、黒鉛により構成されている、請求項9〜13のいずれか1項に記載のサセプタ。

说明书全文

本発明は、炭化ケイ素−炭化タンタル複合材及びサセプタに関する。

従来、半導体の製造工程などにおいて用いられるサセプタなどとして、表層が炭化ケイ素により構成された部材を用いることが知られている。しかしながら、炭化ケイ素により構成された表層の上に配した基板上に炭化ケイ素などをエピタキシャル成長させる場合などにおいては、基板とサセプタとが、例えば1500℃以上の高温下に曝される。このため、サセプタの表層を構成する炭化ケイ素が、基板に付着するといった問題がある。

このような問題を解決するために、例えば、表層が炭化タンタルにより構成されたサセプタが提案されている。例えば、特許文献1には、ウェハを載置する部分の少なくとも一部が、炭化タンタルにより被覆された黒鉛材により構成されているサセプタが開示されている。

特開2006−60195号公報

しかしながら、タンタルは非常に高価であるため、特許文献1に開示されたサセプタも高価になるという問題がある。

このような問題を解決する方法としては、例えば、黒鉛基材の表面上に炭化ケイ素層を設け、炭化ケイ素層の上に薄く炭化タンタル層を設けることにより、炭化タンタル層で被覆されたサセプタを安価にする方法が考えられる。

しかしながら、炭化ケイ素と炭化タンタルとは、熱膨張係数が大きく異なる。このため、このようなサセプタにおいては、温度変化によって、炭化ケイ素層と炭化タンタル層とが剥離するなど、耐久性に問題がある。

このような状況下、炭化タンタルにより構成された表層を有する、耐久性に優れた部材が求められている。

また、特許文献1に開示されたようなサセプタでは、ウェハの配置面の均熱性が低いという問題がある。ウェハの配置面の均熱性が低いと、ウェハの温度にばらつきが生じ、ウェハ上での半導体の成長が均一に進行しなくなる場合がある。

本発明の第1の目的は、耐久性に優れた炭化ケイ素−炭化タンタル複合材を提供することにある。

本発明の第2の目的は、均熱性に優れたサセプタを提供することにある。

本発明の第1の局面の炭化ケイ素−炭化タンタル複合材は、表層の少なくとも一部が第1の炭化ケイ素層により構成された本体と、炭化タンタル層と、第2の炭化ケイ素層とを備える。炭化タンタル層は、第1の炭化ケイ素層の上に配されている。第2の炭化ケイ素層は、炭化タンタル層と第1の炭化ケイ素層との間に配されている。第2の炭化ケイ素層は、X線光電子分光法によって測定されるC/Si組成比が1.2以上である。

本発明の第1の局面の炭化ケイ素−炭化タンタル複合材において、第2の炭化ケイ素層のX線光電子分光法によって測定されるC/Si組成比は、6.0以下であることが好ましい。

本発明の第2の局面の炭化ケイ素−炭化タンタル複合材は、表層の少なくとも一部が第1の炭化ケイ素層により構成された本体と、炭化タンタル層と、第2の炭化ケイ素層とを備える。炭化タンタル層は、第1の炭化ケイ素層の上に配されている。第2の炭化ケイ素層は、炭化タンタル層と第1の炭化ケイ素層との間に配されている。第2の炭化ケイ素層は、ラマン分光法によって測定される炭素のGバンド及びDバンドのピーク強度比G/Dが、1.0以上である。

本発明の第2の局面の炭化ケイ素−炭化タンタル複合材において、第2の炭化ケイ素層のラマン分光法によって測定される炭素のGバンド及びDバンドのピーク強度比G/Dが、7.5以下であることが好ましい。

本発明の第1の局面及び第2の局面の炭化ケイ素−炭化タンタル複合材において、第2の炭化ケイ素層の結晶子径は、753Å以下であることが好ましい。

本発明の第1の局面及び第2の局面の炭化ケイ素−炭化タンタル複合材において、本体は、黒鉛基材と、黒鉛基材の上に配された第1の炭化ケイ素層とを備えることが好ましい。

本発明の第1の局面及び第2の局面の炭化ケイ素−炭化タンタル複合材において、第2の炭化ケイ素層の厚みは、0.05μm以上であることが好ましい。

本発明の第1の局面及び第2の局面のサセプタは、上記本発明の第1の局面または第2の局面の炭化ケイ素−炭素複合材を備え、底面及び側面の少なくとも一方が前記炭化タンタル層により構成された凹部を有する。

本発明の第3の局面のサセプタは、基材と、炭化タンタル層と、炭化ケイ素層とを備える。基材は、凹部を有する。炭化タンタル層は、凹部の底面上に配されている。炭化ケイ素層は、炭化タンタル層と基材との間に配されている。

本発明の第3の局面のサセプタでは、凹部の底面上において、炭化ケイ素層が、炭化タンタル層よりも厚いことが好ましい。

本発明の第3の局面のサセプタでは、凹部の底面上における炭化ケイ素層の厚みが、60μm以上であることが好ましい。

本発明の第3の局面のサセプタでは、凹部の底面上における炭化タンタル層の厚みが、10μm以下であることが好ましい。

本発明の第3の局面のサセプタでは、炭化タンタル層が凹部の側面の上にも配されており、凹部の側面上において、炭化ケイ素層が炭化タンタル層と基材との間に配されていることが好ましい。

本発明の第3の局面のサセプタでは、基材が、黒鉛により構成されていることが好ましい。

本発明の第1の局面及び第2の局面によれば、耐久性に優れた炭化ケイ素−炭化タンタル複合材を提供することができる。

本発明の第3の局面によれば、均熱性に優れたサセプタを提供することができる。

図1は、本発明の第1の局面及び第2の局面の一実施形態に係る炭化ケイ素−炭化タンタル複合材の略図的断面図である。

図2は、実施例1で得られた炭化ケイ素−炭化タンタル複合材の炭化タンタル層の表面の写真である。

図3は、実施例2で得られた炭化ケイ素−炭化タンタル複合材の炭化タンタル層の表面の写真である。

図4は、実施例3で得られた炭化ケイ素−炭化タンタル複合材の炭化タンタル層の表面の写真である。

図5は、実施例4で得られた炭化ケイ素−炭化タンタル複合材の炭化タンタル層の表面の写真である。

図6は、参考例1で得られた炭化ケイ素−炭化タンタル複合材の炭化タンタル層の表面の写真である。

本発明の第3の局面の一実施形態に係るサセプタの略図的断面図である。

以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。

実施形態等において参照する図面は、模式的に記載されたものであり、図面に描画された物体の寸法の比率などは、現実の物体の寸法の比率などとは異なる場合がある。具体的な物体の寸法比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。

(炭化ケイ素−炭化タンタル複合材1) 図1は、本実施形態に係る炭化ケイ素−炭化タンタル複合材を示す略図的断面図である。図1を参照しながら、本実施形態に係る炭化ケイ素−炭化タンタル複合材1の構成について説明する。

炭化ケイ素−炭化タンタル複合材1は、例えば、半導体の製造工程などにおいて用いられるサセプタなどとして使用できるものである。炭化ケイ素−炭化タンタル複合材1がサセプタとして用いられる場合、炭化ケイ素−炭化タンタル複合材1の凹部1aにウェハなどを載置して、半導体の製造を行うことができる。ただし、本発明において、炭化ケイ素−炭化タンタル複合材は、サセプタとして使用されるものに限定されず、種々の用途に使用することができる。また、炭化ケイ素−炭化タンタル複合材の形状は、適宜設計することができ、例えば、凹部を有していなくてもよい。

炭化ケイ素−炭化タンタル複合材1は、本体10と、第2の炭化ケイ素層13と、炭化タンタル層20とを備える。

本体10は、凹部を有する黒鉛基材11と、第1の炭化ケイ素層12とを備えている。

黒鉛基材11は、実質的に黒鉛により構成されている。黒鉛基材11には、ホウ素などの黒鉛以外の成分が含まれていてもよい。

第1の炭化ケイ素層12は、黒鉛基材11の上に配されている。具体的には、第1の炭化ケイ素層12は、黒鉛基材11の表面11a全体の上に配されている。すなわち、本体10の表層全体が、第1の炭化ケイ素層12により構成されている。ただし、本発明においては、黒鉛基材の少なくとも一部の上に第1の炭化ケイ素層が配されていればよい。すなわち、本体の表層の少なくとも一部が第1の炭化ケイ素層により構成されていればよい。黒鉛基材の凹部の上に第1の炭化ケイ素層が配されていることが好ましい。すなわち、本体の凹部の表層が第1の炭化ケイ素層により構成されていることが好ましい。

第1の炭化ケイ素層12の厚みは、特に限定されない。炭化ケイ素−炭化タンタル複合材1の耐久性を向上させるためには、第1の炭化ケイ素層12の厚みは、60μm以上であることが好ましく、80μm以上であることがより好ましい。第1の炭化ケイ素層12の厚みは、200μm以下であることが好ましい。

第1の炭化ケイ素層12は、実質的に炭化ケイ素により構成されている。

第1の炭化ケイ素層12においては、通常、X線光電子分光法によって測定されるC/Si組成比が1.2未満である。

第1の炭化ケイ素層12を構成する炭化ケイ素の結晶子径は、通常、700Åよりも大きい。

第1の炭化ケイ素層12においては、通常、ラマン分光法によって測定される炭素のGバンド及びDバンドのピーク強度比G/Dが、1.0未満である。なお、本発明において、ラマン分光法によって測定される炭素のGバンド及びDバンドのピーク強度比G/Dは、波長532nmのArレーザーを用い、サーモフィッシャーサイエンティフィック製顕微鏡ラマン分光装置(Almega分散型レーザーラマン光度計装置)で測定して得られた値である。

第1の炭化ケイ素層12を構成する炭化ケイ素の結晶子径は、通常、700Å以上で、好ましくは753Å以上である。

第1の炭化ケイ素層12の上には、炭化タンタル層20が配されている。具体的には、本体10に形成された凹部において、第1の炭化ケイ素層12の上に炭化タンタル層20が配されている。

炭化タンタル層20は、実質的に炭化タンタルにより構成されている。

炭化ケイ素−炭化タンタル複合材1の耐久性を向上させるためには、炭化タンタル層20の厚みは、0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。炭化タンタル層20の厚みは、10μm以下であることが好ましい。

炭化タンタル層20と第1の炭化ケイ素層12との間には、第2の炭化ケイ素層13が配されている。具体的には、炭化ケイ素−炭化タンタル複合材1の凹部1aにおいて、炭化タンタル層20と第1の炭化ケイ素層12との間に、第2の炭化ケイ素層13が配されている。より具体的には、第1の炭化ケイ素層12の表面12aの直上に第2の炭化ケイ素層13が配されており、第2の炭化ケイ素層13の表面13aの直上に炭化タンタル層20が配されている。第2の炭化ケイ素層13は、炭化タンタル層20と第1の炭化ケイ素層12とを密着させる密着層として機能している。

第2の炭化ケイ素層13は、実質的に炭化ケイ素により構成されている。

第2の炭化ケイ素層13においては、X線光電子分光法によって測定されるC/Si組成比が1.2以上である。炭化ケイ素−炭化タンタル複合材1は、これにより、優れた耐久性を有する。この理由の詳細は、必ずしも明らかではないが、例えば、次のように考えることができる。上述の通り、炭化ケイ素と炭化タンタルの熱膨張係数は大きく異なるため、炭化ケイ素層と炭化タンタル層とは、一般に、温度変化を受けると剥離しやすい。ここで、炭化タンタルに含まれるタンタルと炭素とは、強い結合を形成する。第2の炭化ケイ素層13においては、X線光電子分光法によって測定されるC/Si組成比が1.2以上であり、第2の炭化ケイ素層13中の炭素の割合が高い。よって、炭化ケイ素層と炭化タンタル層とが強く結合するため、第2の炭化ケイ素層13と炭化タンタル層20との密着性が向上していると考えられる。特に、一旦タンタル層を形成し、そのタンタル層に浸炭処理を行って炭化タンタル層20に転化すれば、タンタル層のタンタルと第2の炭化ケイ素層13中の炭素とが強く結合しやすくなり、より高い密着性を得ることができる。

炭化ケイ素−炭化タンタル複合材1の耐久性を向上させるためには、第2の炭化ケイ素層13は、X線光電子分光法によって測定されるC/Si組成比が6.0以下であることが好ましく、5.0以下であることがより好ましい。これは、第2の炭化ケイ素層13中に含まれる炭素の割合が高くなり過ぎると、第2の炭化ケイ素層13と第1の炭化ケイ素層12との密着性が低下する場合があるためである。また、第2の炭化ケイ素層13中に含まれる炭素の割合が高くなりすぎると、第2の炭化ケイ素層13の強度が低下する場合がある。

第2の炭化ケイ素層13においては、ラマン分光法によって測定される炭素のGバンド及びDバンドのピーク強度比G/Dが、1.0以上であり、1.1以上であることが好ましい。炭化ケイ素−炭化タンタル複合材1は、これにより、優れた耐久性を有する。この理由の詳細は、必ずしも明らかではないが、例えば、次のように考えることができる。上述の通り、炭化ケイ素と炭化タンタルの熱膨張係数は大きく異なるため、炭化ケイ素層と炭化タンタル層とは、一般に、温度変化を受けると剥離しやすい。ここで、炭化タンタルに含まれるタンタルと炭素とは、強い結合を形成する。第2の炭化ケイ素層13においては、ラマン分光法によって測定される炭素のGバンド及びDバンドのピーク強度比G/Dが、1.0以上であり、炭素−炭素結合の割合が高い。すなわち、第2の炭化ケイ素層13中の炭素の割合が高い。よって、炭化ケイ素層と炭化タンタル層とが強く結合するため、第2の炭化ケイ素層13と炭化タンタル層20との密着性が向上していると考えられる。特に、一旦タンタル層を形成し、そのタンタル層に浸炭処理を行って炭化タンタル層20に転化すれば、タンタル層のタンタルと第2の炭化ケイ素層13中の炭素とが強く結合しやすくなり、より高い密着性を得ることができると考えられる。

炭化ケイ素−炭化タンタル複合材1の耐久性を向上させるためには、第2の炭化ケイ素層13は、ラマン分光法によって測定される炭素のGバンド及びDバンドのピーク強度比G/Dが、7.5以下であることが好ましく、5.0以下であることがより好ましい。これは、第2の炭化ケイ素層13中に含まれる炭素の割合が高くなり過ぎると、第2の炭化ケイ素層13と第1の炭化ケイ素層12との密着性が低下する場合があるためである。また、第2の炭化ケイ素層13中に含まれる炭素の割合が高くなりすぎると、第2の炭化ケイ素層13の強度が低下する場合がある。

第2の炭化ケイ素層13の厚みは、特に限定されない。炭化ケイ素−炭化タンタル複合材1の耐久性を向上させるためには、第2の炭化ケイ素層13の厚みは、0.05μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。第2の炭化ケイ素層13の厚みは、1μm以下であることが好ましい。

炭化ケイ素−炭化タンタル複合材1の耐久性を向上させるためには、第2の炭化ケイ素層13を構成する炭化ケイ素の結晶子径は、753Å以下であることが好ましく、740Å以下であることがより好ましい。これは、第2の炭化ケイ素層13中のケイ素の割合が小さくなることで、結晶子径が小さくなり、第2の炭化ケイ素層13と炭化タンタル層20との間におけるアンカー効果が大きくなるからであると考えられる。なお、第2の炭化ケイ素層13を構成する炭化ケイ素の結晶子径は、600Å以上であることが好ましい。

炭化ケイ素−炭化タンタル複合材1は、例えば、半導体の製造工程などにおいて用いられるサセプタなどとして好適に使用できる。炭化ケイ素−炭化タンタル複合材1がサセプタとして用いられる場合、炭化ケイ素−炭化タンタル複合材1の凹部1aに形成された炭化タンタル層20の表面20a上にウェハなどを載置して、半導体の製造を行うことができる。

(炭化ケイ素−炭化タンタル複合材1の製造方法) 炭化ケイ素−炭化タンタル複合材1は、例えば、以下のようにして製造することができる。まず、黒鉛基材11を準備する。次に、黒鉛基材11の表面11a上に、熱CVDなどの方法によって、第1の炭化ケイ素層12を形成する。次に、第1の炭化ケイ素層12の表面の少なくとも一部を、H2ガス、Cl2ガスなどを用いたエッチング処理を行ったり、熱炭化処理を行ったりすることにより、X線光電子分光法によって測定されるC/Si組成比が1.2以上の第2の炭化ケイ素層13、またはラマン分光法によって測定される炭素のGバンド及びDバンドのピーク強度比G/Dが、1.0以上の第2の炭化ケイ素層13を形成する。次に、第2の炭化ケイ素層13の表面13aの上に、化学蒸着(CVD)法などによって、タンタル層を形成する。その後、タンタル層に浸炭処理を施すことにより、炭化タンタル層20を形成する。以上のような方法により、炭化ケイ素−炭化タンタル複合材1を製造することができる。なお、浸炭処理は、例えば、特開2010−280948号公報に記載された方法などの公知の方法により行うことができる。

以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。

(実施例1) 以下のようにして炭化ケイ素−炭化タンタル複合材1と実質的に同様の構成を有する炭化ケイ素−炭化タンタル複合材を作製した。

黒鉛基材11として、凹部を有する高純度黒鉛(東洋炭素株式会社製のIG−610U)を用いた。この黒鉛基材11をCVD装置内に設置し、原料ガスにSiCl4 +C3H8を使用し、炉内圧250Torr、基材温度1400℃でCVD処理を行い、高純度黒鉛の表面全体に、厚みが100μmの第1の炭化ケイ素層12を形成し、凹部を有する炭化ケイ素−黒鉛複合材を得た。第1の炭化ケイ素層12は、β型の炭化ケイ素により構成されている。

次に、炭化ケイ素−黒鉛複合材の凹部を除く全面を、高純度等方性黒鉛(東洋炭素株式会社製、グレード名「IG−610U」)で覆った。次に、凹部に形成された炭化ケイ素層にH2エッチング処理を施し、第1の炭化ケイ素層12の上に第2の炭化ケイ素層13を形成した本体10を作製した。H2エッチング処理においては、まず、約10Torrの減圧下、約1300℃で1時間H2ガスを流通させて、凹部に位置する第1の炭化ケイ素層12の表層のSiをエッチングした。H2エッチング処理後における、第2の炭化ケイ素層13のX線光電子分光法によって測定したC/Si組成比は、1.3であった。C/Si組成比の測定には、X線光電子分析装置(ESCA、アルバック・ファイ社製の走査型X線光電子分析装置、PHI Quantera SXM(登録商標))を用いた。また、H2エッチング処理後における、第2の炭化ケイ素層13のラマン分光法によって測定される炭素のGバンド及びDバンドのピーク強度比G/Dは、1.15であった。ラマン分光法によるG/D比の測定は、波長532nmのArレーザーを用い、サーモフィッシャーサイエンティフィック製顕微鏡ラマン分光装置(Almega分散型レーザーラマン光度計装置)で測定した。また、SEM(日本電子製JSM−6510LA)で測定したところ、第2の炭化ケイ素層13の厚みは、0.05μmであった。第2の炭化ケイ素層13の結晶子径をXRD(リガク製 RINT−UltimaIII)によって測定したところ、641.0Åであった。

次に、本体10の凹部を除く全面を、上記の高純度等方性黒鉛で覆ったまた、本体10の凹部に、化学蒸着(CVD)法を用いて、厚み4μmのタンタル層20を形成した。CVD法の条件は、以下のとおりである。

原料ガス:TaCl5及びH2 キャリアガス:アルゴン 温度:1000℃ 圧力:200Pa

次に、得られたタンタル層に浸炭処理を施して、厚みが5μmの炭化タンタル層20が形成された、炭化ケイ素−炭化タンタル複合材を得た。浸炭処理は、以下のようにして行った。

チャンバー内に、タンタル層を形成した本体10を配置した。チャンバーの材質は、かさ密度が1.8の等方性黒鉛材であった。タンタル層を形成した本体10を配置したチャンバーをSUS製の真空容器内に配置した。真空容器内には、断熱材が設けられており、断熱材内に形成された空間内にチャンバーを配置した。断熱材としては、商品名「DON−1000」(大阪ガスケミカル社製、かさ密度0.16g/cm3)を用いた。この断熱材は、ピッチ系炭素繊維に樹脂を含浸させて成形、硬化、炭化、黒鉛化処理した多孔質の断熱材である。

断熱材によって囲まれた空間の上方には、カーボンヒーターが配置されており、カーボンヒーターは、カーボンヒーターに電流を流すための黒鉛電極によって支持されている。カーボンヒーターに電流を流すことにより、断熱材によって覆われた空間内を加熱することができる。真空容器には、真空容器内を排気するための排気口が形成されている。排気口は、真空ポンプに接続されている。真空容器内を排気してチャンバー内を0.1Pa以下となるように減圧した後、カーボンヒーターにより710℃/時間の昇温速度で2150℃までチャンバー内を加熱した。2150℃を2時間保持し、浸炭処理を行った。チャンバー内は、0.5〜2.0Pa程度の圧力であった。浸炭処理後、自然冷却で室温まで冷却した。冷却時間は約15時間であった。

実施例1で得られた炭化ケイ素−炭化タンタル複合材の炭化タンタル層20の表面写真を図2に示す。図2から明らかなとおり、炭化タンタル層20の表面には、クラックや剥離などが観察されなかった。

(実施例2) 第1の炭化ケイ素層12のエッチング処理において、H2ガスの代わりにCl2ガスを用いたCl2エッチング処理を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、炭化ケイ素−炭化タンタル複合材を作製した。エッチング処理後において、第2の炭化ケイ素層13のX線光電子分光法によって測定したC/Si組成比は、1.36であった。また、第2の炭化ケイ素層13のラマン分光法によって測定される炭素のGバンド及びDバンドのピーク強度比G/Dは、4.03であった。第2の炭化ケイ素層13の結晶子径は、663.9Åであった。結果を表1に示す。実施例2で得られた炭化ケイ素−炭化タンタル複合材の炭化タンタル層20の表面写真を図3に示す。図3から明らかなとおり、炭化タンタル層20の表面には、クラックや剥離などが観察されなかった。

(実施例3) Cl2ガスの流通時間を2時間とした以外は、実施例2と同様にして、炭化ケイ素−炭化タンタル複合材を作製した。熱炭化処理後において、第2の炭化ケイ素層13のX線光電子分光法によって測定したC/Si組成比は、2.12であった。第2の炭化ケイ素層13の結晶子径は、739.6Åであった。また、第2の炭化ケイ素層13のラマン分光法によって測定される炭素のGバンド及びDバンドのピーク強度比G/Dは、5.88であった。結果を表1に示す。実施例3で得られた炭化ケイ素−炭化タンタル複合材の炭化タンタル層20の表面写真を図4に示す。図4から炭化タンタル層20の表面には、僅かにクラックが観察されるものの、実用上問題とならない程度であった。

(実施例4) 第1の炭化ケイ素層12をエッチング処理する代わりに、熱炭化処理したこと以外は、実施例1と同様にして、炭化ケイ素−炭化タンタル複合材を作製した。熱炭化処理は、次のようにして行った。炭化ケイ素−炭化タンタル複合材を、10−4Pa以下の減圧下に置き、約1800℃で0.5時間加熱することにより、炭化ケイ素−炭化タンタル複合材の凹部に形成された第1の炭化ケイ素層12からSiの一部を昇華させて、第2の炭化ケイ素層13を形成した。熱炭化処理後において、第2の炭化ケイ素層13のX線光電子分光法によって測定したC/Si組成比は、5.39であった。また、第2の炭化ケイ素層13のラマン分光法によって測定される炭素のGバンド及びDバンドのピーク強度比G/Dは、7.20であった。第2の炭化ケイ素層13の結晶子径は、751.3Åであった。結果を表1に示す。実施例4で得られた炭化ケイ素−炭化タンタル複合材の炭化タンタル層20の表面写真を図5に示す。図5から炭化タンタル層20の表面には、僅かにクラックが観察されるものの、実用上問題とならない程度であった。

(参考例1) 第1の炭化ケイ素層12のエッチング処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、炭化ケイ素−炭化タンタル複合材を得た。なお、第1の炭化ケイ素層のX線光電子分光法によって測定したC/Si組成比は、1.1であった。また、第1の炭化ケイ素層のラマン分光法によって測定される炭素のGバンド及びDバンドのピーク強度比G/Dは、0であった。第2の炭化ケイ素層の結晶子径は、757.7Åであった。参考例1で得られた炭化ケイ素−炭化タンタル複合材の炭化タンタル層の表面写真を図6に示す。図6から明らかなとおり、炭化タンタル層の表面には、クラック及び剥離が観察された。

図7は、本発明の第3の局面の実施形態に係るサセプタを示す略図的断面図である。図7を参照しながら、本実施形態に係るサセプタ21の構成について説明する。

サセプタ21は、例えば、ウェハの配置面である炭化タンタル層40の表面40aの上にウェハを配置して半導体を製造する際に用いられる。

サセプタ21は、基材31と、炭化タンタル層40と、炭化ケイ素層32とを備えている。

基材31は、凹部31aを有する。基材31は、実質的に黒鉛により構成されていることが好ましい。基材31が実質的に黒鉛により構成されている場合、基材31には、ホウ素などの黒鉛以外の成分が含まれていてもよい。

炭化タンタル層40は、凹部31aの底面31a1上に配されている。また、炭化タンタル層40は、凹部31aの側面31a2の上にも配されている。炭化タンタル層40は、実質的に炭化タンタルにより構成されている。

炭化ケイ素層32は、炭化タンタル層40と基材31との間に配されている。具体的には、凹部31aの底面31a1上において、炭化ケイ素層32は、炭化タンタル層40と基材31との間に配されている。凹部31aの側面31a2上においても、炭化ケイ素層32は、炭化タンタル層40と基材31との間に配されている。

サセプタ21において、炭化ケイ素層32は、基材31の表面全体の上に配されている。ただし、本発明においては、基材の凹部の底面上において、炭化ケイ素層が、炭化タンタル層と基材との間に配されていれば、他の部分に炭化ケイ素層が配されていてもよいし、配されていなくてもよい。

上述の通り、特許文献1に開示されているような、炭化タンタルにより被覆された黒鉛材により構成されているサセプタでは、ウェハの配置面の均熱性が低いという問題がある。これに対して、サセプタ21においては、炭化タンタル層40と基材31との間に、炭化ケイ素層32が配されている。炭化ケイ素は、熱伝導率が高い。このため、炭化ケイ素層32は、基材31からの熱を均一性高く炭化タンタル層40に伝えることができる。よって、サセプタ21によれば、ウェハの配置面である炭化タンタル層40の表面40aの均熱性が高く、均一性高くウェハに熱を伝えることができる。

サセプタ21の均熱性を向上させるためには、凹部31aの底面31a1上において、炭化ケイ素層32が、炭化タンタル層40よりも厚いことが好ましい。具体的には、炭化ケイ素層32の厚みは、60μm以上であることが好ましく、80μm以上であることがより好ましい。なお、炭化ケイ素層32が厚すぎると、表面粗さが悪くなり平面度も悪くなるため、炭化ケイ素層32の厚みは、200μm以下であることが好ましい。

炭化タンタル層40が凹部31aの側面31a2の上にも配されており、凹部31aの側面31a2上において、炭化ケイ素層32が炭化タンタル層40と基材31との間に配されている場合、サセプタ21は、より均一性高くウェハに熱を伝えることができる。

サセプタ21の均熱性を向上させるためには、炭化タンタル層40の厚みは、10μm以下とすることが好ましく、5μm以下とすることがより好ましい。また、タンタルは高価であるため、炭化タンタル層40の厚みを10μm以下とすることにより、サセプタ21を安価にすることができる。なお、炭化タンタル層40が薄すぎると、緻密でなくなるため、炭化タンタル層40の厚みは、1μm以上であることが好ましい。

サセプタ21は、例えば、以下のようにして製造することができる。まず、基材31を準備する。次に、基材31の表面上に、熱CVDなどの方法によって、炭化ケイ素層32を形成する。炭化ケイ素層32の表面32aの上に、化学蒸着(CVD)法などによって、タンタル層を形成する。その後、タンタル層に浸炭処理を施すことにより、炭化タンタル層40を形成する。以上のような方法により、サセプタ21を製造することができる。なお、浸炭処理は、例えば、特開2010−280948号公報に記載された方法などの公知の方法により行うことができる。

1…炭化ケイ素−炭化タンタル複合材 10…本体 11…黒鉛基材 11a…黒鉛基材の表面 12…第1の炭化ケイ素層 12a…第1の炭化ケイ素層の表面 13…第2の炭化ケイ素層 13a…第2の炭化ケイ素層の表面 20…炭化タンタル層 20a…炭化タンタル層の表面 21…サセプタ 31…基材 31a…基材の凹部 31a1…基材の凹部の底面 31a2…基材の凹部の側面 32…炭化ケイ素層 32a…炭化ケイ素層の表面 40…炭化タンタル層 40a…炭化タンタル層の表面

QQ群二维码
意见反馈