塗布用治具及びハニカム構造体の製造方法

申请号 JP2014507183 申请日 2012-03-29 公开(公告)号 JP5863948B2 公开(公告)日 2016-02-17
申请人 イビデン株式会社; 发明人 高野 智弘; 板東 和弥;
摘要
权利要求

第1主面と、 前記第1主面と反対側の主面である第2主面と、 前記第1主面から前記第2主面まで貫通する開口部とを備えた塗布用治具であって、 前記開口部は、前記第1主面側の第1開口部と前記第2主面側の第2開口部とからなり、 前記第1開口部の径は、前記第1主面から、前記第1開口部と前記第2開口部との境界線に向かうにつれて小さくなっており、 前記第2開口部の径は、前記境界線から前記第2主面にわたって同じであることを特徴とする塗布用治具。前記第2開口部の厚さは1〜4mmである請求項1に記載の塗布用治具。前記第1開口部を構成する面と、前記境界線から前記第2主面と平行に伸ばした面とがなす度のうち、前記塗布用治具の中に属する角度が65°〜85°である請求項1又は2に記載の塗布用治具。前記塗布用治具の材質は、ポリアセタール、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、アクリル樹脂、ポリフェニレンサルファイド、又は、樹脂で被覆された金属である請求項1〜3のいずれかに記載の塗布用治具。前記塗布用治具の材質は、ポリアセタール、フッ素樹脂、又は、フッ素樹脂で被覆された金属である請求項4に記載の塗布用治具。前記塗布用治具の厚さが10〜20mmである請求項1〜5のいずれかに記載の塗布用治具。前記第2開口部を構成する面には、前記境界線から前記第2主面に向かう方向に溝が設けられている請求項1〜6のいずれかに記載の塗布用治具。柱状のセラミックブロックの外周面にペースト状のシール材ペーストを付着させるシール材ペースト付着工程と、 前記セラミックブロックの外周面に付着させたシール材ペーストを前記セラミックブロックの外周面全体に塗布するスクレーピング工程とを行うことにより、前記セラミックブロックの外周面に外周シール材層が形成されたハニカム構造体を製造する方法であって、 請求項1〜7のいずれかに記載の塗布用治具を、第1主面が上側、第2主面が下側になるように配置し、前記塗布用治具の第2開口部の内側にセラミックブロックを載置し、 前記スクレーピング工程において、前記塗布用治具の開口部に、前記セラミックブロックを通過させ、前記塗布用治具の前記第2開口部を構成する面で前記シール材ペーストを前記セラミックブロックの前記外周面全体に塗布することを特徴とするハニカム構造体の製造方法。前記スクレーピング工程において、前記第1主面を上側、前記第2主面を下側に配置した前記塗布用治具を、下から上に向かう方向に移動させる請求項8に記載のハニカム構造体の製造方法。前記セラミックブロックの前記外周面と、前記塗布用治具の前記第2開口部を構成する面との間隔が均一になる位置に前記セラミックブロックを載置する請求項8又は9に記載のハニカム構造体の製造方法。前記セラミックブロックの前記外周面と、前記塗布用治具の前記第2開口部を構成する面との間隔が均一とならない位置に前記セラミックブロックを載置する請求項8又は9に記載のハニカム構造体の製造方法。前記セラミックブロックの前記外周面と、前記塗布用治具の前記第2開口部を構成する面との間隔が0.40〜0.70mmである請求項10又は11に記載のハニカム構造体の製造方法。前記セラミックブロックの中心の位置と前記塗布用治具の前記開口部の中心の位置とを合わせて前記セラミックブロックを載置する請求項8〜12のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。前記セラミックブロックの中心の位置と前記塗布用治具の前記開口部の中心の位置とを合わせて前記セラミックブロックと前記塗布用治具の位置を決めることのできる位置決め治具を用いて前記セラミックブロックを載置する請求項13に記載のハニカム構造体の製造方法。前記セラミックブロックは、気体を流通させるための多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されてなる角柱形状のハニカム焼成体を作製する工程、前記ハニカム焼成体を複数個結束させて角柱状のハニカム集合体を作製する工程、前記ハニカム集合体の外周面を研削加工する工程により作製されており、 前記セラミックブロックの外周面には、前記研削加工によって切断されたセルが露出している請求項8〜14のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。前記セラミックブロックは、気体を流通させるための多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されてなる一つの柱状のハニカム焼成体である請求項8〜14のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。前記セラミックブロックの外周面にペースト状のシール材ペーストを付着させる第一のシール材ペースト付着工程と、 前記セラミックブロックの外周面に付着させた第一のシール材ペーストを前記セラミックブロックの外周面全体に塗布する第一のスクレーピング工程と、 前記第一のシール材ペーストを乾燥し、固化させて第一の外周シール材層を形成する第一の乾燥工程と、 前記第一の外周シール材層上にペースト状のシール材ペーストを付着させる第二のシール材ペースト付着工程と、 前記第一の外周シール材層上に付着させた第二のシール材ペーストを前記第一の外周シール材層上全体に塗布する第二のスクレーピング工程と、 前記第二のシール材ペーストを乾燥し、固化させて第二の外周シール材層を形成する第二の乾燥工程とを行う請求項8〜16のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。

说明书全文

本発明は、塗布用治具及びハニカム構造体の製造方法に関する。

バス、トラック、乗用車等の車両及び建設機械等の内燃機関から排出される排ガス中に含有されるスス等のパティキュレート(以下、PMともいう)が周囲の環境及び人体に害を及ぼすことが最近問題となっている。 そこで、排気ガス中のPMを捕集して、排気ガスを浄化するフィルタとして多孔質セラミックからなるハニカム構造体を用いたものが種々提案されている。

ハニカム構造体としては、柱状のセラミックブロックの周囲に外周シール材層を設けたものが用いられる。 外周シール材層は、ハニカム構造体を内燃機関の排気通路に設置した際、ハニカム構造体の形状を整えたり、ハニカム構造体の外周部から排気ガスが漏れ出すことを防止したり、ハニカム構造体の断熱性を高めたりする目的で設けられる。

特許文献1には、セラミックブロックの周囲に厚さが薄い外周シール材層を形成する方法として、セラミックブロックの外周面と摺接可能な環状のスクレーパー(塗布用治具)を用いる方法が挙げられている。 特許文献1に記載された方法では、セラミックブロックの外周面にペースト状のシール材(シール材ペースト)を付着させ、環状のスクレーパーをセラミックブロックの長手方向に嵌通させることによりシール材ペーストをセラミックブロックの外周面全体に押し広げるスクレーピング工程を行う。

国際公開2005/045210号パンフレット

特許文献1に開示された方法では、スクレーパーの材質としてウレタンゴム等のエラストマーが挙げられており、柔らかい材質のものが好ましいとされている。 また、スクレーパーの形状は、環の内周面と環の外周面の厚さが同じであり、その厚さは1.0〜5.0mmであるとされている。 また、スクレーパーの内周面の寸法は、シール材ペーストの厚さを薄くするために、セラミックブロックの外周面と摺接可能な大きさとされており、セラミックブロックの外径とスクレーパーの内径の差が小さくなるように調整されている。

ここで、セラミックブロックの一般的な製造方法として、気体を流通させるための多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されてなる柱形状のハニカム焼成体を作製し、上記ハニカム焼成体を複数個結束させてなる角柱状のハニカム集合体を作製し、上記ハニカム集合体の外周面を研削加工することにより作製する方法が挙げられる。 上記方法により作製したセラミックブロックの外周面には、上記研削加工によって切断されたセルが露出している。 セルが露出したセラミックブロックの外周面に対して、特許文献1に記載されたようなスクレーパーを用いてスクレーピング工程を行うと、露出したセルの中にシール材ペーストが埋め込まれてしまい、外周シール材層が形成されない部位が生じるという問題があった。 外周シール材層が形成されない部位が生じた場合、別途シール材ペーストを手作業で塗り付けて手直しをする必要があった。

本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、セラミックブロックの外周面全体に外周シール材層を形成することができる塗布用治具を提供すること、及び、セラミックブロックの外周面全体に外周シール材層を形成することができるハニカム構造体の製造方法を提供することを目的とする。

本発明者らは、セルが露出したセラミックブロックの外周面に対してスクレーピング工程を行う場合には、厚い外周シール材層を形成して露出したセルをシール材ペーストで埋めてしまうことが有効であると考えた。 厚い外周シール材層を形成するためにはシール材ペーストの付着量を増やす必要がある。 シール材ペーストの付着量を増やして特許文献1に記載されたような従来の形状のスクレーパーを用いてスクレーピング工程を行うと、外周シール材層の厚さが薄くなってしまう部位が生じた。 本発明者らは、上記検討結果を踏まえてさらに検討を進めた結果、本発明に想到した。

請求項1に記載の塗布用治具は、第1主面と、 上記第1主面と反対側の主面である第2主面と 上記第1主面から上記第2主面まで貫通する開口部とを備えた塗布用治具であって、 上記開口部は、上記第1主面側の第1開口部と上記第2主面側の第2開口部とからなり、 上記第1開口部の径は、上記第1主面から、上記第1開口部と上記第2開口部との境界線に向かうにつれて小さくなっており、 上記第2開口部の径は、上記境界線から上記第2主面にわたって同じであることを特徴とする。

上記塗布用治具では、第1開口部の径が、第1主面から第1開口部と第2開口部との境界線に向かうにつれて小さくなっている。この形状は、第1主面から第2主面に向かってテーパーがついた形状である。 第1主面から第2主面に向かってテーパーがついた部分を、以下、本明細書ではテーパー部とも呼ぶ。 塗布用治具の第1主面を上、第2主面を下にして配置し、塗布用治具の第2開口部の内側に、シール材ペーストを付着させたセラミックブロックを配置し、下から上に向かう方向に塗布用治具を移動させると、テーパー形状の第1開口部にかき取られたシール材ペーストがテーパー部に溜まることになる。外周シール材層の厚さが薄い部分が存在していた場合には、テーパー部に溜まったシール材ペーストが、塗布用治具の移動に伴い外周シール材層の厚さが薄い部分を埋めることができるため、外周シール材層の厚さが薄い部分が生じることを防止することができる。 また、上記塗布用治具では、第2開口部の径は、境界線から第2主面にわたって同じとなっており、この部分の形状はテーパーがついていない形状であるといえる。 テーパーがついていない部分を、以下、本明細書ではストレート部とも呼ぶ。 外周シール材層の厚さは第2開口部を構成する面とセラミックブロックの外周面の間隔を調整することにより決定することができる。すなわち、第2開口部を構成する面をストレート部とすることによって、所定の厚さに定められた外周シール材層を形成することができる。 すなわち、上記塗布用治具は、セルが露出したセラミックブロックの外周面に対してシール材ペーストを付着させる量を増やして、セラミックブロックの外周面全体に厚い外周シール材層を形成することに適している。

請求項2に記載の塗布用治具では、上記第2開口部の厚さは1〜4mmである。 第2開口部の厚さが4mmを超えて大きいと、塗布されたシール材ペーストの表面に空孔が生じることがある。また、第2開口部の厚さが1mm未満であると、シール材ペーストをセラミックブロックの外周面に押し付ける部分が少なく、外周シール材層の厚さにばらつきが生じることがある。 第2開口部の厚さを1〜4mmとすると、塗布されたシール材ペーストの表面に空孔が生じることを防止することができ、また、外周シール材層の厚さにばらつきが生じることを防止することができる。

請求項3に記載の塗布用治具では、上記第1開口部を構成する面と、上記境界線から上記第2主面と平行に伸ばした面とがなす角度のうち、上記塗布用治具の中に属する角度が65°〜85°である。 上記角度が65°より小さいと、テーパー部に溜まったシール材ペーストが外周シール材層の厚さが薄い部分を埋めようとする作用が弱くなり、塗布されたシール材ペーストの表面に塗布用治具の移動方向に沿った筋が生じることがある。 上記角度が85°を超えて大きいと、テーパー部に溜まるシール材ペーストの量が少なく、テーパー部に溜まったシール材層で外周シール材層の厚さが薄い部分を埋められない場合がある。

請求項4に記載の塗布用治具の材質は、ポリアセタール、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、アクリル樹脂、ポリフェニレンサルファイド、又は、樹脂で被覆された金属である。 これらの材質は、エラストマー等の柔らかい材料とは異なり、硬い材料であるため、剛性の高い塗布用治具とすることができる。 エラストマー等の柔らかい材料を用いた塗布用治具を使用すると、スクレーピング工程で撓むために塗布用治具の進行方向の末端でシール材ペーストが盛り上がってしまい厚さが厚くなる部位が生じることがある。剛性の高い塗布用治具を使用することでこのような不具合の発生を防止することができる。

請求項5に記載の塗布用治具の材質は、ポリアセタール、フッ素樹脂、又は、フッ素樹脂で被覆された金属である。 これらの材質は、剛性が高いことに加えて、シール材ペーストとの密着性が低いため、塗布用治具にシール材ペーストがこびりつくことがない。そのため、塗布されたシール材ペーストの表面にいわゆる「引け」と呼ばれる塗布ムラが残ることがない。

請求項6に記載の塗布用治具では、上記塗布用治具の厚さは10〜20mmである。 塗布用治具の厚さが上記範囲であると、塗布用治具の剛性を高めることができる。

請求項7に記載の塗布用治具では、上記第2開口部を構成する面には、上記境界線から上記第2主面に向かう方向に溝が設けられている。 塗布用治具にこのような溝が設けられていると、塗布用治具を用いて形成される外周シール材層に突起部を設けることができる。突起部が設けられていると、ハニカム構造体の周囲に巻きつける保持シール材との間に摩擦が生じて、保持シール材との密着性を向上させることができる。

請求項8に記載のハニカム構造体の製造方法は、柱状のセラミックブロックの外周面にペースト状のシール材ペーストを付着させるシール材ペースト付着工程と、 上記セラミックブロックの外周面に付着させたシール材ペーストを上記セラミックブロックの外周面全体に塗布するスクレーピング工程とを行うことにより、上記セラミックブロックの外周面に外周シール材層が形成されたハニカム構造体を製造する方法であって、 請求項1〜7のいずれかに記載の塗布用治具を、第1主面が上側、第2主面が下側になるように配置し、上記塗布用治具の第2開口部の内側にセラミックブロックを載置し、 上記スクレーピング工程において、上記塗布用治具の開口部に、上記セラミックブロックを通過させ、上記塗布用治具の上記第2開口部を構成する面で上記シール材ペーストを上記セラミックブロックの上記外周面全体に塗布することを特徴とする。

上記ハニカム構造体の製造方法では、本発明の塗布用治具を用いてスクレーピング工程を行うため、外周シール材層が形成されない部位が生じることを防止して、セラミックブロックの外周面全体に、所定の厚さに定められた外周シール材層を形成してハニカム構造体を製造することができる。

請求項9に記載のハニカム構造体の製造方法では、上記スクレーピング工程において、上記第1主面を上側、上記第2主面を下側に配置した上記塗布用治具を、下から上に向かう方向に移動させる。 塗布用治具の移動方向をこのように定めると、テーパー部の開口径が大きくなる方向に塗布用治具が移動するため、かき取られたシール材ペーストをテーパー部に溜めることができる。外周シール材層の厚さが薄い部分が存在していた場合には、テーパー部に溜まったシール材ペーストが、塗布用治具の移動に伴い外周シール材層の厚さが薄い部分を埋めることができるため、外周シール材層の厚さが薄い部分が生じることを防止することができる。

請求項10に記載のハニカム構造体の製造方法では、上記セラミックブロックの上記外周面と、上記塗布用治具の上記第2開口部を構成する面との間隔が均一になる位置に上記セラミックブロックを載置する。 このような位置にセラミックブロックを載置することによって、厚さが均一である外周シール材層を形成することができる。

請求項11に記載のハニカム構造体の製造方法では、上記セラミックブロックの上記外周面と、上記塗布用治具の上記第2開口部を構成する面との間隔が均一とならない位置に上記セラミックブロックを載置する。 このような位置にセラミックブロックを載置すると、厚さが部位により異なる外周シール材層を形成することができる。

請求項12に記載のハニカム構造体の製造方法では、上記セラミックブロックの上記外周面と、上記塗布用治具の上記第2開口部を構成する面との間隔が0.40〜0.70mmである。

セラミックブロックの外周面と塗布用治具の第2開口部を構成する面との間隔を定めることによって、外周シール材層の厚さを制御することができる。 上記間隔を0.40〜0.70mmに設定することによって、セラミックブロックの外周面に厚さが0.40〜0.70mmと比較的厚い外周シール材層を形成することができる。

請求項13に記載のハニカム構造体の製造方法では、上記セラミックブロックの中心の位置と上記塗布用治具の上記開口部の中心の位置とを合わせて上記セラミックブロックを載置する。 また、請求項14に記載のハニカム構造体の製造方法では、上記セラミックブロックの中心の位置と上記塗布用治具の上記開口部の中心の位置とを合わせて上記セラミックブロックと上記塗布用治具の位置を決めることのできる位置決め治具を用いて上記セラミックブロックを載置する。 セラミックブロックの中心の位置と塗布用治具の開口部の中心の位置とを合わせることにより、所定の部位に所定の厚さの外周シール材層を形成することができる。 また、このような位置決め治具を用いると、位置決めが容易になるので、所定の厚さに制御された外周シール材層をハニカム構造体の周囲全体にわたって形成することが容易になる。

請求項15に記載のハニカム構造体の製造方法では、上記セラミックブロックは、気体を流通させるための多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されてなる角柱形状のハニカム焼成体を作製する工程、上記ハニカム焼成体を複数個結束させて角柱状のハニカム集合体を作製する工程、上記ハニカム集合体の外周面を研削加工する工程により作製されており、 上記セラミックブロックの外周面には、上記研削加工によって切断されたセルが露出している。

上記方法で作製されるセラミックブロックは、研削加工によって切断されたセルが露出することになるが、上記ハニカム構造体の製造方法では、外周シール材層の厚さを厚くして、露出したセルを全て埋めることができるため、セラミックブロックの外周面に外周シール材層が形成されない部位が生じないようにすることができる。

請求項16に記載のハニカム構造体の製造方法では、上記セラミックブロックは、気体を流通させるための多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されてなる一つの柱状のハニカム焼成体である。 本発明の塗布用治具を用いると、一つのハニカム焼成体からなるセラミックブロックに対してもシール材ペーストの塗布を好適に行うことができる。

請求項17に記載のハニカム構造体の製造方法では、上記セラミックブロックの外周面にペースト状のシール材ペーストを付着させる第一のシール材ペースト付着工程と、 上記セラミックブロックの外周面に付着させた第一のシール材ペーストを上記セラミックブロックの外周面全体に塗布する第一のスクレーピング工程と、 上記第一のシール材ペーストを乾燥し、固化させて第一の外周シール材層を形成する第一の乾燥工程と、 上記第一の外周シール材層上にペースト状のシール材ペーストを付着させる第二のシール材ペースト付着工程と、 上記第一の外周シール材層上に付着させた第二のシール材ペーストを上記第一の外周シール材層上全体に塗布する第二のスクレーピング工程と、 上記第二のシール材ペーストを乾燥し、固化させて第二の外周シール材層を形成する第二の乾燥工程とを行う。

シール材ペーストは分を含んでいるため、通常、スクレーピング工程の後にはシール材ペーストに含まれる水分を除去するための乾燥工程が行われる。 シール材ペーストを厚く塗布した場合には、乾燥工程においてひび割れが発生することがある。 そこで、第一の乾燥工程においてひび割れが発生したとしても、さらに第二のシール材ペースト付着工程、第二のスクレーピング工程を行うことにより、発生したひび割れを埋めることができる。続けて第二の乾燥工程を行うことにより、表面にひび割れがなく表面状態が極めて良好である外周シール材層を形成することができる。

図1は、本発明の第一実施形態に係る塗布用治具の一例を模式的に示す斜視図である。

図2は、図1に示す塗布用治具のA−A線断面図である。

図3は、ハニカム構造体を模式的に示す斜視図である。

図4(a)は、ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図であり、図4(b)は、そのB−B線断面図である。

図5は、ハニカム焼成体を複数個結束してなるハニカム集合体の外周を研削してなるセラミックブロックを模式的に示す斜視図である。

図6(a)、図6(b)及び図6(c)は、スクレーピング工程を模式的に示す側面図である。

図7(a)及び図7(b)は、スクレーピング工程においてシール材ペーストを塗布する様子を模式的に示す側面図である。

図8は、実施例1で製造したハニカム構造体の外周シール材層の写真である。

図9は、本発明の第二実施形態に係る塗布用治具の一例を模式的に示す斜視図である。

図10は、図9に示す塗布用治具のC−C線断面図である。

図11は、セラミックブロックの別の一例を模式的に示す斜視図である。

図12は、本発明の第三実施形態に係る塗布用治具の一例を模式的に示す斜視図である。

図13は、図12に示す塗布用治具を用いて製造可能なハニカム構造体の一例を示す斜視図である。

図14は、本発明の第三実施形態に係る塗布用治具の別の一例を模式的に示す斜視図である。

図15は、図14に示す塗布用治具を用いて製造可能なハニカム構造体の一例を示す斜視図である。

図16(a)及び図16(b)は、塗布用治具とセラミックブロックの位置関係の一例を示す上面図である。

図17は、セラミックブロックの別の一例を模式的に示す斜視図である。

以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。

(第一実施形態) 以下、本発明の塗布用治具、及び、ハニカム構造体の製造方法の一実施形態である第一実施形態について説明する。

まず、本発明の第一実施形態に係る塗布用治具について図面を参照して説明する。 図1は、本発明の第一実施形態に係る塗布用治具の一例を模式的に示す斜視図である。 図1に示す塗布用治具1は、第1主面11と、第1主面11と反対側の主面である第2主面12とを有する板状の治具である。 塗布用治具1の中央部分には開口部20が存在する。 開口部20は、第1主面側11側に位置する第1開口部30と、第2主面12側に位置する第2開口部50からなる。 第1開口部30と第2開口部50の境界を境界線40として示している。

第1開口部30及び第2開口部50は、第2主面12に平行な面で切断した際の断面形状が円となる形状である。 第1開口部30の径は、第1主面11から境界線40に向かうに従って小さくなるテーパー形状である。 図1には、第1開口部30の径であって第1主面11と同じ平面に位置する径をR1として示している。 第2開口部50の径は、境界線40から第2主面12にわたって同じである。 図1には、第2開口部50の径をR2として示している。

図2は、図1に示す塗布用治具のA−A線断面図である。 図2には、第1開口部30を構成する面31、及び、第2開口部50を構成する面51を示している。 図2に示す断面図は、第2開口部50の中心を通り、第1主面11及び第2主面12に垂直な面で切断した断面図である。上記切断面と、第1開口部30を構成する面31の交わる線が線32である。そして、線32と後述する線41のなす角がテーパー角θである。 第1開口部30の形状は、第1主面11から第2主面12に向かって傾斜したテーパーがついた形状である。このテーパーがついた部分をテーパー部(テーパー部32)ともいう。

また、図2に示す断面図において、第2開口部50を構成する面51に相当する線52は、境界線40から第2主面12に向かって鉛直方向に伸びている。 線52の向きは、第2開口部50の形状が、境界線40から第2主面12にわたって同じ形状であり、テーパーがついていない形状であることを意味しており、この鉛直方向に伸びた線52の部分をストレート部ともいう。

テーパー部32の傾きは、図2でθで示す角度である。テーパー部32の傾きθは、境界線40から第2主面12と平行な方向に伸ばした面41を想定し、図2に示す断面図において対応する線42とテーパー部32のなす角度のうち、塗布用治具1の中に属する角度として定められる。 角度θは、第1開口部30を構成する面31と、境界線40から第2主面12と平行な方向に伸ばした面41とがなす角度のうち、塗布用治具1の中に属する角度と同じである。

本実施形態の塗布用治具における角度θの大きさは、65°〜85°となっている。θは70°〜80°であることがより望ましい。

塗布用治具1の厚さは、図2において符号Tで示される厚さであり、第1主面11と第2主面12の距離と実質的に等しい。 本実施形態の塗布用治具における塗布用治具1の厚さTは、10〜20mmとなっている。 第2開口部50の厚さは、図2において符号T2で示される厚さであり、ストレート部52の長さと実質的に等しい。 本実施形態の塗布用治具における第2開口部50の厚さT2は、1〜4mmとなっている。T2は2〜3mmであることがより望ましい。

角度θと厚さT2の大きさを調整することで、塗布された外周シール材層の表面状態をより良好にすることができる。角度θと厚さT2の好ましい組み合わせとして、角度θが75°であって厚さT2が1〜3mmである場合、及び、角度θが70°〜80°であって厚さT2が2mmである場合が挙げられる。 角度θと厚さT2のより好ましい組み合わせとして、角度θが75°であって厚さT2が2mmである場合が挙げられる。

塗布用治具の材質としては、高い剛性を有することに適した材料であれば特に限定されるものではないが、望ましい材質としては、ポリアセタール、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、アクリル樹脂、ポリフェニレンサルファイド、又は、樹脂で被覆された金属が挙げられる。 この中では、ポリアセタール、フッ素樹脂、又は、フッ素樹脂で被覆された金属であることがより好ましい。 塗布用治具の材質が樹脂で被覆された金属である場合、シール材ペーストが接触する面である、第1開口部30を構成する面31及び第2開口部50を構成する面51が樹脂で被覆されていることが望ましい。塗布用治具のその他の面は樹脂で被覆されていてもよく、樹脂で被覆されていなくてもよい。

続いて、本実施形態のハニカム構造体の製造方法で製造する対象であるハニカム構造体等について図面を参照して説明する。 図3は、ハニカム構造体を模式的に示す斜視図である。 図3に示すハニカム構造体100では、多孔質炭化ケイ素からなる、図4(a)及び図4(b)に示すような形状のハニカム焼成体110が接着剤層101を介して複数個結束されてセラミックブロック103を構成し、さらに、このセラミックブロック103の外周面104に外周シール材層102が形成されている。

図4(a)は、ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図であり、図4(b)は、そのB−B線断面図である。 図4(a)及ぶ図4(b)に示すハニカム焼成体110には、多数のセル111がセル壁113を隔てて長手方向(図4(a)中、bの方向)に並設されており、セル111のいずれかの端部が封止材112で封止されている。従って、一方の端面が開口したセル111に流入した排ガスGは、必ずセル111を隔てるセル壁113を通過した後、他方の端面が開口した他のセル111から流出するようになっている。 従って、セル壁113がPM等を捕集するためのフィルタとして機能する。

図5は、ハニカム焼成体を複数個結束してなるハニカム集合体の外周を研削してなるセラミックブロックを模式的に示す斜視図である。 図5に示すセラミックブロック103は、ハニカム焼成体110が16個結束されてなる角柱状のハニカム集合体を作製し、ハニカム集合体の外周面を研削加工して円柱状にすることにより作製されている。研削加工された面にはハニカム焼成体110のセル111が露出している。 本実施形態において、セラミックブロックの外周面は、研削加工によって得られたセラミックブロックの形状を、平滑な側面を有する立体とみなしたときの面である。図5に示すセラミックブロック103では、セラミックブロック103を円柱とみなしたときの円柱の側面をセラミックブロックの外周面104と定める。

図3に示すハニカム構造体100は、図5に示すセラミックブロック103の外周面104に外周シール材層102を形成することによって製造されている。外周シール材層102の厚さはセラミックブロック103の外周面104に露出したセルを埋めることができる厚さであることが好ましい。具体的には、外周シール材層の厚さは0.4〜0.7mmであることが好ましい。 図3に示すハニカム構造体100の外周面は、セラミックブロック103の外周面104に露出したセルが外周シール材層によって埋められた平滑な面となっている。

続いて、本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体の製造方法について説明する。 特に、セラミックブロックの外周面に外周シール材層を形成する方法について図面を参照して説明する。

本実施形態のハニカム構造体の製造方法は、柱状のセラミックブロックの外周面にペースト状のシール材ペーストを付着させるシール材ペースト付着工程と、 上記セラミックブロックの外周面に付着させたシール材ペーストを上記セラミックブロックの外周面全体に塗布するスクレーピング工程とを行うことにより、上記セラミックブロックの外周面に外周シール材層が形成されたハニカム構造体を製造する方法であって、 本発明の塗布用治具を、第1主面が上側、第2主面が下側になるように配置し、上記塗布用治具の第2開口部の内側にセラミックブロックを載置し、 上記スクレーピング工程において、上記塗布用治具の開口部に上記セラミックブロックを通過させ、上記塗布用治具の上記第2開口部を構成する面で上記シール材ペーストを上記セラミックブロックの上記外周面全体に塗布することを特徴とする。

始めに、柱状のセラミックブロックを準備する。 本実施形態においては、図5に示すような円柱形状のセラミックブロックを準備する。 セラミックブロックを作製する方法については後述する。 続いて、セラミックブロックの外周面にシール材ペーストを付着させる。 シール材ペーストを付着させる方法は特に限定されるものではないが、刷毛、ヘラ等を用いてシール材ペーストをセラミックブロックの外周面全体に付着させる。 この段階では付着させたシール材ペーストの厚さのばらつきがあってもよい。 シール材ペーストを付着させる量は、形成予定の外周シール材層の厚さを考慮して、シール材ペーストが不足しない程度の量に定めればよい。 シール材ペーストを構成する材料としては特に限定されるものではないが、例えば、無機バインダ、有機バインダ、無機繊維、無機粒子又はこれらの組み合わせからなるもの等を挙げることができる。

続いて、セラミックブロックの外周面に付着させたシール材ペーストをセラミックブロックの外周面全体に塗布するスクレーピング工程を行う。 本実施形態のスクレーピング工程においては、位置決め治具及び本発明の第一実施形態に係る塗布用治具を用いる。 また、セラミックブロックの外周面の形状は本発明の第一実施形態に係る塗布用治具の第2開口部の形状と同じである。 図6(a)、図6(b)及び図6(c)は、スクレーピング工程を模式的に示す側面図である。

スクレーピング工程では、位置決め治具でセラミックブロックを挟むことによってセラミックブロックの位置決めを行い、塗布用治具の開口部にセラミックブロックを通過させることによって、塗布用治具の開口部を構成する面でシール材ペーストをセラミックブロックの外周面全体に塗布する。 図6(a)には、スクレーピング工程の最初の段階を示している。 塗布用治具1は、第1主面が上、第2主面が下になるように配置される。 位置決め治具は位置決め下治具61と位置決め上治具62からなる。位置決め下治具61と位置決め上治具62の外径は塗布用治具1の第2開口部の径(図1におけるR2)よりも小さくなっている。そのため、図6(a)に示すように塗布用治具1が位置決め下治具61と重なるように上下に移動できるようになっている。 スクレーピング工程の最初の段階では、位置決め下治具61の上にセラミックブロック103が載置される。そして、セラミックブロック103の上面の上に位置決め上治具62が載置され、位置決め下治具61と位置決め上治具62によってセラミックブロック103が挟まれて、セラミックブロックの位置が固定される。 この際、セラミックブロック103の載置位置は位置決め下治具61及び位置決め上治具62に設けられたガイドによって所定の位置に定められる。上記ガイドは、塗布用治具1の開口部20の中心の位置とセラミックブロック103の中心の位置が一致するように設計されている。 ここでいうセラミックブロックの中心の位置とは、セラミックブロックの端面の中心、すなわち、底面及び上面の形状である円の中心の位置を意味する。 開口部の中心の位置は、開口部を構成する円の中心の位置を意味する。 この段階では、塗布用治具1は位置決め下治具61と重なる位置にあるため、塗布用治具1はシール材ペースト121とは接触していない。 なお、シール材ペースト121は、厚さばらつきのある状態でセラミックブロック103の外周面104に付着しているシール材ペーストである。

図6(b)には、塗布用治具を移動させてシール材ペーストをセラミックブロックの外周面に塗布する段階を示している。 塗布用治具1を下から上に移動させると、塗布用治具1の第2開口部を構成する面51でシール材ペースト121がセラミックブロック103の外周面104に塗布される。 塗布用治具1が通過した部位(塗布用治具1より下の部位)のシール材ペースト122は、表面が平滑になっている。また、第2開口部50を構成する面51とセラミックブロック103の外周面104の距離が均一となっており、シール材ペースト122の厚さが均一になっている。

以下に、シール材ペーストを塗布用治具で塗布する様子をさらに詳細に説明する。 図7(a)及び図7(b)は、スクレーピング工程においてシール材ペーストを塗布する様子を模式的に示す側面図である。 塗布用治具1は、図2に示す断面形状を有しているため、テーパー部32及びストレート部52を有する。 塗布用治具1を下から上に向かう方向に移動させると、ストレート部52がシール材ペーストに接する。 そして、シール材ペーストの厚さが、ストレート部52とセラミックブロックの外周面104の間隔、すなわち、図7(a)において両矢印Xで示す距離、に対応した厚さに調整される。 両矢印Xで示す距離は、第2開口部50を構成する面51とセラミックブロックの外周面104の間隔と同じであり、その間隔が0.40〜0.70mmとなっている。 上述したとおり、塗布用治具1の開口部20の中心とセラミックブロック103の中心の位置は一致するようになっているため、シール材ペーストの厚さはセラミックブロック103の外周面104の全体において均一な厚さとなるように調整される。

ここで、塗布用治具を通過させる前のシール材ペースト121には厚さばらつきがあり、上記距離Xよりも薄くなっている部分(図7(a)で“Y”で示す部分)と、上記距離Xよりも厚くなっている部分(図7(a)で“Z”で示す部分)と、が存在している。 シール材ペーストの付着量は、通常は過剰量を付着させることから、シール材ペーストの厚さが上記距離Xよりも厚くなっている部分が多く存在する。そのため、かき取られたシール材ペースト123がテーパー部32の傾斜に沿って溜まった状態となる。 テーパー部32に溜まったシール材ペースト123は、シール材ペーストの厚さが薄くなっている部分Yにおいてその薄い部分を埋めるように作用する。そのため、図7(b)に示すように上記部分Yに塗布用治具1を通過させた後には、シール材ペースト122の厚さは所定の厚さ(距離Xで示す厚さ)となる。

図6(c)には、スクレーピング工程を終了した段階を示している。 塗布用治具1を位置決め上治具62に重なるまで移動させると、全てのシール材ペーストが均一な厚さで表面が平滑なシール材ペースト122となる。 塗布用治具1の移動が終了した後、位置決め治具によるセラミックブロックの固定を解除することで、シール材ペーストが外周面全体に均一に塗布されたセラミックブロックを得て、スクレーピング工程を終了する。

セラミックブロックの外周面上に塗布されたシール材ペーストを乾燥させ、固化させる乾燥工程を行うことによってシール材ペーストは外周シール材層となる。 乾燥工程においては、シール材ペーストが外周面に塗布されたセラミックブロックを、乾燥炉内で炉内温度110〜130℃で9〜11分間乾燥させることが望ましい。

本実施形態では、シール材ペースト付着工程、スクレーピング工程、及び、乾燥工程を2回繰り返すことによって外周シール材層を形成することが好ましい。 これまで説明したシール材ペースト付着工程、スクレーピング工程、及び、乾燥工程は、それぞれ1回目の工程であり、それぞれ第一のシール材ペースト付着工程、第一のスクレーピング工程、及び、第一の乾燥工程と呼ぶ。また、第一のシール材ペースト付着工程で付着させたシール材ペーストは第一のシール材ペーストとも呼ぶ。 これらの工程を経て形成された外周シール材層を第一の外周シール材層と呼ぶ。

第一の乾燥工程を経て得られた第一の外周シール材層の表面には、ひび割れが発生することがある。そこで、2回目のシール材ペースト付着工程、スクレーピング工程を行うことによって、発生したひび割れを埋めて、表面状態が極めて良好である外周シール材層を得ることができる。 2回目のシール材ペースト付着工程、スクレーピング工程、及び、乾燥工程をそれぞれ第二のシール材ペースト付着工程、第二のスクレーピング工程、及び、第二の乾燥工程と呼ぶ。 これらの工程を経て形成された外周シール材層を第二の外周シール材層と呼ぶ。

第二のシール材ペースト付着工程、第二のスクレーピング工程、及び、第二の乾燥工程の具体的な手順は、第一のシール材ペースト付着工程、第一のスクレーピング工程、及び、第一の乾燥工程と同様であるためその詳細な説明は省略する。 第一の外周シール材層上にシール材ペースト(第二のシール材ペースト)を付着させ、スクレーピング工程及び乾燥工程を行うことによって、表面に第二の外周シール材層が形成されたセラミックブロックを得ることができ、外周シール材層が形成されたセラミックブロックは、本実施形態のハニカム構造体の製造方法で製造する対象であるハニカム構造体となる。

以下に、柱状のセラミックブロックを製造する方法について説明する。 なお、セラミックブロックの材料となるセラミック粉末として炭化ケイ素を用いる場合を例にして説明する。

(1)セラミック粉末とバインダとを含む湿潤混合物を押出成形することによってハニカム成形体を作製する成形工程を行う。 具体的には、まず、セラミック粉末として平均粒子径の異なる炭化ケイ素粉末と、有機バインダと、液状の可塑剤と、潤滑剤と、水とを混合することにより、ハニカム成形体製造用の湿潤混合物を調製する。 続いて、上記湿潤混合物を押出成形機に投入し、押出成形することにより所定の形状のハニカム成形体を作製する。 この際、図4(a)及び図4(b)に示すセル構造(セルの形状及びセルの配置)を有する断面形状が作製されるような金型を用いてハニカム成形体を作製する。

(2)ハニカム成形体を所定の長さに切断し、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いて乾燥させた後、所定のセルに封止材となる封止材ペーストを充填して上記セルを目封じする封止工程を行う。 ここで、封止材ペーストとしては、上記湿潤混合物を用いることができる。

(3)ハニカム成形体を脱脂炉中で加熱し、ハニカム成形体中の有機物を除去する脱脂工程を行った後、脱脂されたハニカム成形体を焼成炉に搬送し、焼成工程を行うことにより、図4(a)及び図4(b)に示したような角柱形状のハニカム焼成体を作製する。 なお、セルの端部に充填された封止材ペーストは、加熱により焼成され、封止材となる。 また、切断工程、乾燥工程、封止工程、脱脂工程及び焼成工程の条件は、従来からハニカム焼成体を作製する際に用いられている条件を適用することができる。

(4)支持台上で複数個のハニカム焼成体を接着材ペーストを介して順次積み上げて結束する結束工程を行い、ハニカム焼成体が複数個積み上げられてなるハニカム集合体を作製する。 接着材ペーストとしては、例えば、無機バインダと有機バインダと無機粒子とからなるものを使用する。また、上記接着材ペーストは、さらに無機繊維及び/又はウィスカを含んでいてもよい。

(5)ハニカム集合体を加熱して接着材ペーストを加熱固化して接着材層とする。 接着材ペーストの加熱固化の条件は、従来からハニカム構造体を作製する際に用いられている条件を適用することができる。

(6)ハニカム集合体の外周面を研削加工する。 具体的には、ダイヤモンドカッターを用いてハニカム集合体の外周面を切削することにより、外周が略円柱状に加工されたセラミックブロックを作製する。 セラミックブロックの外周面には、研削加工によって切断されたセルが露出することになる。

上記工程によって作製されたセラミックブロックの外周面に外周シール材層を形成することによって、ハニカム構造体が製造される。

以下、本発明の第一実施形態に係る塗布用治具、及び、ハニカム構造体の製造方法の作用効果について列挙する。 (1)本実施形態の塗布用治具では、第1開口部の径が、第1主面から第1開口部と第2開口部との境界線に向かうにつれて小さくなっている。すなわち、テーパー部を有する。 塗布用治具の第1主面を上、第2主面を下にして配置し、塗布用治具の第2開口部の内側に、シール材ペーストを付着させたセラミックブロックを配置し、下から上に向かう方向に塗布用治具を移動させると、テーパー形状の第1開口部にかき取られたシール材ペーストがテーパー部に溜まることになる。外周シール材層の厚さが薄い部分が存在していた場合には、テーパー部に溜まったシール材ペーストが、塗布用治具の移動に伴い外周シール材層の厚さが薄い部分を埋めることができるため、外周シール材層の厚さが薄い部分が生じることを防止することができる。

(2)本実施形態の塗布用治具では、第2開口部の径は、境界線から第2主面にわたって同じとなっている。すなわち、ストレート部を有する。 第2開口部を構成する面をストレート部とすることによって、所定の厚さに定められた外周シール材層を形成することができる。 すなわち、上記塗布用治具は、セルが露出したセラミックブロックの外周面に対してシール材ペーストを付着させる量を増やして、セラミックブロックの外周面全体に厚い外周シール材層を形成することに適している。

(3)本実施形態の塗布用治具では、第2開口部の厚さは1〜4mmである。 第2開口部の厚さが4mmを超えて大きいと、塗布されたシール材ペーストの表面に空孔が生じることがある。また、第2開口部の厚さが1mm未満であると、シール材ペーストをセラミックブロックの外周面に押し付ける部分が少なく、外周シール材層の厚さにばらつきが生じることがある。 第2開口部の厚さを1〜4mmとすると、塗布されたシール材ペーストの表面に空孔が生じることを防止することができ、また、外周シール材層の厚さにばらつきが生じることを防止することができる。

(4)本実施形態の塗布用治具では、第1開口部を構成する面と、境界線から第2主面と平行に伸ばした面とがなす角度のうち、塗布用治具の中に属する角度θが65°〜85°である。 角度θが65°より小さいと、テーパー部に溜まったシール材ペーストが外周シール材層の厚さが薄い部分を埋めようとする作用が弱くなり、塗布されたシール材ペーストの表面に塗布用治具の移動方向に沿った筋が生じることがある。 角度θが85°を超えて大きいと、テーパー部に溜まるシール材ペーストの量が少なく、テーパー部に溜まったシール材層で外周シール材層の厚さが薄い部分を埋められない場合がある。

(5)本実施形態の塗布用治具の材質は、ポリアセタール、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、アクリル樹脂、ポリフェニレンサルファイド、又は、樹脂で被覆された金属である。 これらの材質は、エラストマー等の柔らかい材料とは異なり、硬い材料であるため、剛性の高い塗布用治具とすることができる。 エラストマー等の柔らかい材料を用いた塗布用治具を使用すると、スクレーピング工程で撓むために塗布用治具の進行方向の末端でシール材ペーストが盛り上がってしまい厚さが厚くなる部位が生じることがある。剛性の高い塗布用治具を使用することでこのような不具合の発生を防止することができる。 また、塗布用治具の材質がポリアセタール、フッ素樹脂、又は、フッ素樹脂で被覆された金属であると、これらの材質は、剛性が高いことに加えて、シール材ペーストとの密着性が低いため、塗布用治具にシール材ペーストがこびりつくことがない。そのため、塗布されたシール材ペーストの表面にいわゆる「引け」と呼ばれる塗布ムラが残ることがない。

(6)本実施形態の塗布用治具の厚さは、10〜20mmである。 塗布用治具の厚さが上記範囲であると、塗布用治具の剛性を高めることができる。

(7)本実施形態のハニカム構造体の製造方法では、本実施形態の塗布用治具を、第1主面が上側、第2主面が下側になるように配置し、上記塗布用治具の第2開口部の内側にセラミックブロックを載置し、上記スクレーピング工程において、上記塗布用治具の開口部に、上記セラミックブロックを通過させ、上記塗布用治具の上記第2開口部を構成する面で上記シール材ペーストを上記セラミックブロックの上記外周面全体に塗布する。 本実施形態の塗布用治具を用いてスクレーピング工程を行うため、外周シール材層が形成されない部位が生じることを防止して、セラミックブロックの外周面全体に所定の厚さに定められた外周シール材層を形成してハニカム構造体を製造することができる。

(8)本実施形態のハニカム構造体の製造方法では、スクレーピング工程において、上記第1主面を上側、上記第2主面を下側に配置した上記塗布用治具を、下から上に向かう方向に移動させる。 塗布用治具の移動方向をこのように定めると、テーパー部の開口径が大きくなる方向に塗布用治具が移動するため、かき取られたシール材ペーストをテーパー部に溜めることができる。外周シール材層の厚さが薄い部分が存在していた場合には、テーパー部に溜まったシール材ペーストが、塗布用治具の移動に伴い外周シール材層の厚さが薄い部分を埋めることができるため、外周シール材層の厚さが薄い部分が生じることを防止することができる。

(9)本実施形態のハニカム構造体の製造方法では、上記セラミックブロックの上記外周面と、上記塗布用治具の上記第2開口部を構成する面との間隔が均一になる位置に上記セラミックブロックを載置する。 このような位置にセラミックブロックを載置することによって、厚さが均一である外周シール材層を形成することができる。

(10)本実施形態のハニカム構造体の製造方法では、セラミックブロックの外周面と、塗布用治具の第2開口部を構成する面との間隔が0.40〜0.70mmである。 上記間隔を0.40〜0.70mmに設定することによって、セラミックブロックの外周面に厚さが0.40〜0.70mmと比較的厚い外周シール材層を形成することができる。

(11)本実施形態のハニカム構造体の製造方法では、セラミックブロックの中心の位置と塗布用治具の開口部の中心の位置とを合わせてセラミックブロックと塗布用治具の位置を決めることのできる位置決め治具を用いてセラミックブロックを載置する。 セラミックブロックの中心の位置と塗布用治具の開口部の中心の位置を合わせることにより、所定の部位に所定厚さの外周シール材層を形成することができる。 また、このような位置決め治具を用いると、位置決めが容易になるので、所定の厚さに制御された外周シール材層をハニカム構造体の周囲全体にわたって形成することが容易になる。

(12)本実施形態のハニカム構造体の製造方法では、セラミックブロックは、気体を流通させるための多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されてなる角柱形状のハニカム焼成体を作製する工程、上記ハニカム焼成体を複数個結束させて角柱状のハニカム集合体を作製する工程、上記ハニカム集合体の外周面を研削加工する工程により作製されており、 セラミックブロックの外周面には、上記研削加工によって切断されたセルが露出している。 上記方法で作製されるセラミックブロックは、研削加工によって切断されたセルが露出することになるが、本実施形態のハニカム構造体の製造方法では、外周シール材層の厚さを厚くして、露出したセルを全て埋めることができるため、セラミックブロックの外周面に外周シール材層が形成されない部位が生じないようにすることができる。

(13)本実施形態のハニカム構造体の製造方法では、セラミックブロックの外周面にペースト状のシール材ペーストを付着させる第一のシール材ペースト付着工程と、セラミックブロックの外周面に付着させた第一のシール材ペーストをセラミックブロックの外周面全体に塗布する第一のスクレーピング工程と、第一のシール材ペーストを乾燥し、固化させて第一の外周シール材層を形成する第一の乾燥工程と、第一の外周シール材層上にペースト状のシール材ペーストを付着させる第二のシール材ペースト付着工程と、第一の外周シール材層上に付着させた第二のシール材ペーストを第一の外周シール材層上全体に塗布する第二のスクレーピング工程と、第二のシール材ペーストを乾燥し、固化させて第二の外周シール材層を形成する第二の乾燥工程とを行う。 上記製造方法では、第一の乾燥工程においてひび割れが発生したとしても、さらに第二のシール材ペースト付着工程、第二のスクレーピング工程を行うことにより、発生したひび割れを埋めることができる。続けて第二の乾燥工程を行うことにより、表面にひび割れがなく表面状態が極めて良好である外周シール材層を形成することができる。

(実施例) 以下、本発明の第一実施形態の塗布用治具及びハニカム構造体の製造方法をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。

(実施例1) (セラミックブロックの作製) まず、平均粒子径22μmを有する炭化ケイ素の粗粉末54.6重量%と、平均粒子径0.5μmの炭化ケイ素の微粉末23.4重量%とを混合し、得られた混合物に対して、有機バインダ(メチルセルロース)4.3重量%、潤滑剤(日油社製 ユニルーブ)2.6重量%、グリセリン1.2重量%、及び、水13.9重量%を加えて混練して湿潤混合物を得た後、押出成形する成形工程を行った。 本工程では、図4(a)に示したハニカム焼成体110と同様の形状であって、セルの目封じをしていない生のハニカム成形体を作製した。

次いで、マイクロ波乾燥機を用いて上記生のハニカム成形体を乾燥させることにより、ハニカム成形体の乾燥体を作製した。その後、ハニカム成形体の乾燥体の所定のセルに封止材ペーストを充填してセルの封止を行った。なお、上記湿潤混合物を封止材ペーストとして使用した。セルの封止を行った後、封止材ペーストを充填したハニカム成形体の乾燥体を再び乾燥機を用いて乾燥させた。

続いて、セルの封止を行ったハニカム成形体の乾燥体を400℃で脱脂する脱脂処理を行い、さらに、常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間の条件で焼成処理を行った。 これにより、四角柱のハニカム焼成体を作製した。

上記工程により得られたハニカム焼成体間に接着材ペーストを塗布して接着材ペースト層を形成し、接着材ペースト層を加熱固化して接着材層とすることにより、16個のハニカム焼成体が接着材層を介して結束されてなる略角柱状のハニカム集合体を作製した。 なお、接着材ペーストとしては、平均繊維長20μmのアルミナファイバ30重量%、平均粒径0.6μmの炭化ケイ素粒子21重量%、シリカゾル15重量%、カルボキシメチルセルロース5.6重量%、及び、水28.4重量%を含む接着材ペーストを使用した。

その後、ダイヤモンドカッターを用いて、角柱状のハニカム集合体の外周を円柱状に切削することにより、直径142.7mmの円柱状のセラミックブロックを作製した。

(塗布用治具の準備) 図1及び図2に示す形状であり、材質がポリアセタール製である塗布用治具を準備した。 塗布用治具は、射出成型によって作製した。 塗布用治具の寸法は、第1開口部の径R1=150.5mm、第2開口部の径R2=143.8mm、塗布用治具の厚さT=14.5mm、第2開口部の厚さT2=2mm(ストレート部の長さ=2mm)、角度θ=75°(テーパー部の傾きθ=75°)である。

(外周シール材層の形成) シール材ペーストとして、接着材ペーストと同じペーストを準備した。 このシール材ペーストを、セラミックブロックの外周面にヘラを用いて付着させた。 図6(a)、図6(b)及び図6(c)に示したように、位置決め下治具の上にセラミックブロックを載置し、位置決め上治具との間でセラミックブロックを挟んで固定した。 そして、塗布用治具を下から上に移動させてスクレーピング工程を行い、塗布用治具のストレート部でシール材ペーストをセラミックブロックの外周面全体に塗布した。 スクレーピング工程において、セラミックブロックの外周面と塗布用治具の第2開口部を構成する面との間隔は0.55mmとした。 続いて、乾燥炉中で120℃、10分で乾燥してシール材ペーストを固化させた。 ここまでの工程が第一のシール材ペースト付着工程、第一のスクレーピング工程、及び、第一の乾燥工程であり、形成された外周シール材層は第一の外周シール材層である。 続いて、シール材ペーストを第一の外周シール材層上に付着させ、上記工程と同様にして第二のスクレーピング工程、及び、第二の乾燥工程を行った。 上記工程によって、外周シール材層を有するハニカム構造体を製造した。

(実施例2〜5) 塗布用治具のテーパー部の傾きθをそれぞれ65°、70°、80°、85°とした他は実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。第1開口部の径R1はテーパー部の傾きθの変更に対応して変更した。

(実施例6、7) 塗布用治具のテーパー部の傾きθをそれぞれ45°、60°とした他は実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。第1開口部の径R1はテーパー部の傾きθの変更に対応して変更した。

(実施例8、9) 塗布用治具のストレート部の長さをそれぞれ5mm、8mmとした他は実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。第1開口部の径R1はストレート部の長さの変更に対応して実施例1よりも小さくなるように変更した。

(実施例10) 第一の外周シール材層を形成した後に、第二のシール材ペースト付着工程、第二のスクレーピング工程、及び、第二の乾燥工程を行わなかった他は実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。

(比較例1) 特許文献1に記載されていたような、ウレタンゴム製でテーパー部を有さない形状のスクレーパーを用いた他は実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。

(厚さ測定と外観検査) 実施例1で製造したハニカム構造体の直径を測定したところ、直径は143.8mmであった。セラミックブロックの直径が142.7mmであるため、外周シール材層の厚さは0.55mmであった。 外周シール材層の外観を目視観察したところ、セルが露出している部分はなく、セラミックブロックの外周面全体に外周シール材層が形成されていた。 実施例1で製造したハニカム構造体の外周シール材層の写真を図8に示した。 図8に示す写真からわかるように、外周シール材層の表面に「引け」「筋」「ひび割れ」は観察されず、表面状態は極めて良好であった。 また、直径2mm以上の空孔は13個観察された。

実施例2〜5において形成された外周シール材層の厚さは0.55mmであり、セルが露出している部分はなく、セラミックブロックの外周面全体に外周シール材層が形成されていた。 外周シール材層の表面に「引け」「筋」「ひび割れ」は観察されず、表面状態は極めて良好であった。

実施例6及び7において形成された外周シール材層の厚さは0.55mmであり、セルが露出している部分はなく、セラミックブロックの外周面全体に外周シール材層が形成されていた。 外周シール材層の表面には、塗布用治具の移動方向に沿った筋が生じていた。

実施例8及び9において形成された外周シール材層の厚さは0.55mmであり、セルが露出している部分はなく、セラミックブロックの外周面全体に外周シール材層が形成されていた。 外周シール材層の表面には、直径2mm以上の空孔がそれぞれ実施例4では20個、実施例5では36個観察された。

実施例10において形成された外周シール材層の厚さは0.55mmであり、セルが露出している部分はなく、セラミックブロックの外周面全体に外周シール材層が形成されていた。 外周シール材層の表面には、第一の乾燥工程に起因して発生したひび割れが観察された。

比較例1において形成された外周シール材層は、厚さにばらつきがあり、シール材層が厚い箇所での厚さは0.70mmであったが、シール材層が薄い箇所での厚さは0.40mmであり、セルが露出している部分があった。

(第二実施形態) 以下、本発明の一実施形態である第二実施形態について説明する。 本発明の第二実施形態に係る塗布用治具は、楕円柱状のセラミックブロックの外周面に外周シール材層を形成するために用いられる塗布用治具である。

図9は、本発明の第二実施形態に係る塗布用治具の一例を模式的に示す斜視図である。 図9に示す塗布用治具2は、図1に示す塗布用治具1と同様に、第1主面211、第2主面212を有する板状の治具である。 塗布用治具2の中央部分には開口部220が存在し、第1開口部230及び第2開口部250は、第2主面212に平行な面で切断した際の断面形状が楕円となる形状である。 第1開口部230と第2開口部250の境界を境界線240として示している。

第1開口部230の径は長径a1で代表して表わされる。 すなわち、長径a1が第1主面211から境界線240にわたって小さくなることをもって、「第1開口部の径は、第1主面から、第1開口部と第2開口部との境界線に向かうにつれて小さくなっている」という要件が満たされる。

第2開口部250の径は、長径a2で代表して表わされる。 すなわち、長径a2が境界線240から第2主面212にわたって同じであることをもって、「第2開口部の径は、境界線から第2主面にわたって同じである」という要件が満たされる。

図10は、図9に示す塗布用治具のC−C線断面図である。 図10には、第1開口部230の断面形状である楕円の長径の位置で切断した断面を示している。 塗布用治具2においても、図2に示す塗布用治具1と同様に、第1開口部230を構成する面231、テーパー部232、第2開口部250を構成する面251、ストレート部252が定められる。 テーパー部232の傾きθは、図10に示す長径a1及び長径a2に沿った断面図において、境界線240から第2主面212と平行な方向に伸ばした面241を想定し、図10に示す断面図において対応する線242とテーパー部232のなす角度のうち、塗布用治具2の中に属する角度として定められる。

塗布用治具2のその他の構成は、本発明の第一実施形態に係る塗布用治具1と同様にすることができる。

図11は、セラミックブロックの別の一例を模式的に示す斜視図である。 本実施形態の塗布用治具2は、図11に示すような楕円柱形状のセラミックブロックの外周面に外周シール材ペーストを形成するために好適に用いられる。 図11に示すセラミックブロック303は、ハニカム焼成体310を接着材層301を介して複数個結束してなるハニカム集合体の外周が研削された形状が楕円柱状である他は、第一実施形態において説明した円柱状のセラミックブロック103と同様の構成を有するためその詳細な説明は省略する。 ハニカム焼成体310及び接着材層301は、第一実施形態において説明したハニカム焼成体110及び接着材層101と同様である。

本実施形態の塗布用治具2を用いると、第一実施形態のハニカム構造体の製造方法において説明した手順によって、セラミックブロック303の外周面304全体に外周シール材層が形成されたハニカム構造体を製造することができる。

本発明の第二実施形態に係る塗布用治具、及び、ハニカム構造体の製造方法においても、本発明の第一実施形態で説明した効果(1)〜(13)を発揮することができる。

以下、本発明の一実施形態である第三実施形態について説明する。 本発明の第三実施形態に係る塗布用治具では、第2開口部を構成する面には、境界線から第2主面に向かう方向に溝が設けられている。

図12は、本発明の第三実施形態に係る塗布用治具の一例を模式的に示す斜視図である。 図12に示す塗布用治具4は、図1に示す塗布用治具1と同様に、第1主面411、第2主面412を有する板状の治具である。 塗布用治具4の中央部分には開口部420が存在し、第1開口部430の形状は塗布用治具1の第1開口部30と同様である。 第2開口部450の形状も、塗布用治具1の第2開口部50と略同様であるが、第2開口部450を構成する面451には溝453が設けられている。 溝453は境界線440から第2主面412に向かう方向に設けられている。

図13は、図12に示す塗布用治具を用いて製造可能なハニカム構造体の一例を示す斜視図である。 図13に示すハニカム構造体500は、ハニカム焼成体510を接着材層501を介して複数個結束してなるハニカム集合体の外周が円柱状に研削された円柱状のセラミックブロック503の外周面504に外周シール材層502が形成されてなる。 外周シール材層502には、突起部505が4カ所設けられている。突起部は、他の部位に比べて外周シール材層の厚さが厚くなっている部分である。 突起部505の位置、数及び形状は、図12に示す塗布用治具4に設けられた溝453の位置、数及び形状に対応している。 溝453を有する塗布用治具4を用いてスクレーピング工程を行うことによって、突起部505を有する外周シール材層を形成することができる。

本実施形態の塗布用治具4を用いると、第一実施形態のハニカム構造体の製造方法において説明した手順によって、セラミックブロック503の外周面504に突起部505を有する外周シール材層が形成されたハニカム構造体を製造することができる。

図14は、本発明の第三実施形態に係る塗布用治具の別の一例を模式的に示す斜視図である。 図14に示す塗布用治具6の構成は、図12に示す塗布用治具4の構成とほぼ同様であり、第1主面611、第2主面612を有する板状の治具である。 塗布用治具6の中央部分には開口部620が存在し、第1開口部630の形状は塗布用治具4の第1開口部430と同様である。 第2開口部650には、多数の溝653が、境界線640から第2主面612に向かう方向に設けられている。

図15は、図14に示す塗布用治具を用いて製造可能なハニカム構造体の一例を示す斜視図である。 図15に示すハニカム構造体700は、ハニカム焼成体710を接着材層701を介して複数個結束してなるハニカム集合体の外周が円柱状に研削された円柱状のセラミックブロック703の外周面704に外周シール材層702が形成されてなる。 外周シール材層702には、突起部705が多数設けられている。 突起部705の位置、数及び形状は、図14に示す塗布用治具6に設けられた溝653の位置、数及び形状に対応している。 溝653を有する塗布用治具6を用いてスクレーピング工程を行うことによって、突起部705を有する外周シール材層を形成することができる。

本実施形態の塗布用治具6を用いると、第一実施形態のハニカム構造体の製造方法において説明した手順によって、セラミックブロック703の外周面704に突起部705を有する外周シール材層が形成されたハニカム構造体を製造することができる。

本発明の第三実施形態に係る塗布用治具、及び、ハニカム構造体の製造方法においても、本発明の第一実施形態で説明した効果(1)〜(13)を発揮することができ、更に以下の効果を発揮することができる。 (14)本実施形態の塗布用治具では、上記第2開口部を構成する面には、上記境界線から上記第2主面に向かう方向に溝が設けられている。 塗布用治具にこのような溝が設けられていると、塗布用治具を用いて形成される外周シール材層に突起部を設けることができる。突起部が設けられていると、ハニカム構造体の周囲に巻きつける保持シール材との間に摩擦力が生じて、保持シール材との密着性を向上させることができる。

なお、図12及び図14に示す溝の形状は、上面視が三角形である形状であるが、本実施形態において溝の形状は三角形に限定されるものではない。溝の形状に対応した形状の突起部が設けられ、突起部の形状に応じた摩擦力が得られる。

(その他の実施形態) 本発明の塗布用治具を用いて形成される外周シール材層の厚さは、ハニカム構造体の周囲全体にわたって均一であってもよいし、均一でなくてもよい。 セラミックブロックの外周面と塗布用治具の第2開口部を構成する面の形状を異なる形状に設定しても、この双方の面の間隔によって外周シール材層の厚さを定めることができる。 図16(a)及び図16(b)は、塗布用治具とセラミックブロックの位置関係の一例を示す上面図である。 図16(a)には、図1に示す塗布用治具1を用いて、角柱状のセラミックブロック803の外周面804にシール材ペーストを塗布する場合の位置関係を模式的に示している。 図16(a)では、セラミックブロック803を点線で示している。 図16(a)に示す上面図において、セラミックブロック803の外周面804の形状は四角であり、塗布用治具1の第2開口部を構成する面51の形状は円であり、その形状が異なる。 このような場合、塗布用治具を用いて塗布されるシール材ペーストの厚さは均一にはならず、外周面804を構成する四角の頂点におけるシール材ペーストの厚さb1は薄く、辺の中央付近におけるシール材ペーストの厚さb2は厚くなる。 このような塗布用治具を用いると、四角柱状のセラミックブロックを用いて、円柱状のハニカム構造体を製造することができる。

図16(b)に示す上面図における塗布用治具9では、第2開口部を構成する面951の形状は楕円である。 図16(b)においても、セラミックブロック903を点線で示している。 セラミックブロック903の外周面904の形状は楕円である。 第2開口部を構成する面951を表す楕円と、セラミックブロック903の外周面904を表す楕円は、扁平率が異なり、セラミックブロック903の外周面904と塗布用治具9の第2開口部を構成する面951との間隔は均一ではない。 そのため、塗布用治具を用いて塗布されるシール材ペーストの厚さは均一にはならず、楕円の短径に対応する位置におけるシール材ペーストの厚さc1は薄く、楕円の長径に対応する位置におけるシール材ペーストの厚さc2は厚くなる。 このような塗布用治具とセラミックブロックを用いた場合には、その厚さが均一ではないものの、所定の厚さに定められた外周シール材層を形成することができる。

本発明のハニカム構造体の製造方法において、セラミックブロックは、気体を流通させるための多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されてなる一つの柱状のハニカム焼成体であってもよい。 図17は、セラミックブロックの別の一例を模式的に示す斜視図である。 図17に示すセラミックブロック1003は、一つの円柱状のハニカム焼成体からなる。セラミックブロック1003は、押出成形によって作製されたハニカム成形体を焼成することによって製造されており、結束工程、研削加工工程は施されていない。 そのため、セラミックブロック1003の外周面1004にはセルが露出していない。 本発明の塗布用治具を用いると、このようなセラミックブロックの外周面に対してもシール材ペーストの塗布を好適に行うことができる。

本発明の塗布用治具は、上記実施形態で説明した板状の治具に限定されるものではなく、例えば、第1主面及び第2主面が環状になっている治具であってもよい。 具体的には、塗布用治具の外周形状が、図1及び図9に示す正方形及び長方形状ではなく、第1開口部の断面形状と相似形状の円形、楕円形であってもよい。

本発明の塗布用治具は、上記実施形態で説明した1枚の板状の治具に限定されるものではなく、複数の部品に分解可能であってもよい。例えば図2に示すような断面で2つに分割された治具であってもよい。このような塗布用治具を用いると、セラミックブロックの長手方向の中央付近で塗布用治具を組み合わせて設置して、セラミックブロックの長手方向の中央付近を開始点としてスクレーピング工程を行うことができる。

本発明の塗布用治具には、位置決め治具との位置関係を合わせるためのガイド穴やガイドピンを備えていてもよい。例えば、図1に示す塗布用治具の4隅近傍にガイド穴を設けておき、位置決め上治具と位置決め下治具の間に設けた軸に塗布用治具のガイド穴を通すことによって、位置決め治具との位置関係を簡単に定めることができる。 このようにすると、塗布用治具の開口部の中心の位置とセラミックブロックの中心の位置を簡単に定めることができるため、外周シール材層の厚さを一定にすることができる。

本発明のハニカム構造体の製造方法においてシール材ペースト付着工程、スクレーピング工程、及び、乾燥工程を繰り返す場合の繰り返し回数は2回に限定されるものではなく、3回以上繰り返してもよい。 また、上記工程を繰り返す場合には、1回目と2回目でスクレーピング工程を行う向きを反対にしてもよい。例えば、1回目のスクレーピング工程及び乾燥工程を行った後で、セラミックブロックを位置決め治具から取り外し、セラミックブロックの上下を反転させて再度位置決め治具に載置し、2回目のスクレーピング工程を行ってもよい。

ハニカム焼成体の各セルのハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面の形状は、略四角形に限定されるものではなく、例えば、略円形、略楕円形、略五角形、略六角形、略台形、又は、略八角形等の任意の形状であればよい。また、種々の形状を混在させてもよい。 例えば、ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面の形状が略八角形の大容量セルと略四角形の小容量セルの組み合わせからなる形状であってもよい。

ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面におけるセル密度は、特に限定されないが、好ましい下限は、31.0個/cm2(200個/inch2)、好ましい上限は、93.0個/cm2(600個/inch2)、より好ましい下限は、38.8個/cm2(250個/inch2)、より好ましい上限は、77.5個/cm2(500個/inch2)である。

ハニカム焼成体のセル壁の厚さは、特に限定されないが、0.12〜0.40mmであることが好ましい。 ハニカム焼成体のセル壁の厚さが0.12mm未満であると、セル壁の厚さが薄くなり、ハニカム焼成体の強度を保つことができなくなる。一方、ハニカム焼成体のセル壁の厚さが0.40mmを超えると、ハニカム構造体の圧力損失の上昇を引き起こしやすくなる。

シール材ペーストに含まれる無機バインダとしては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機バインダの中では、シリカゾルが望ましい。

シール材ペーストに含まれる有機バインダとしては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。有機バインダの中では、カルボキシメチルセルロースが望ましい。

シール材ペーストに含まれる無機粒子としては、例えば、炭化物粒子、窒化物粒子等が挙げられる。具体的には、炭化ケイ素粒子、窒化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機粒子の中では、熱伝導性に優れる炭化ケイ素粒子が望ましい。

シール材ペーストに含まれる無機繊維としては、例えば、シリカ−アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等からなる無機繊維等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機繊維の中では、アルミナファイバが望ましい。また、無機繊維は、生体溶解性ファイバであってもよい。無機繊維に代えて、又は、無機繊維と共に、無機繊維と同様の素材からなるウィスカを用いてもよい。

生体溶解性ファイバとしては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、及び、ホウ素化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の材料を含む無機繊維が挙げられる。 上記アルカリ金属化合物としては、例えば、Na、Kの酸化物等が挙げられ、上記アルカリ土類金属化合物としては、Mg、Ca、Baの酸化物等が挙げられる。上記ホウ素化合物としては、Bの酸化物等が挙げられる。 上記生体溶解性ファイバは、37℃における生理食塩水に対する溶解度が300ppm(0.03重量%)以上であることが望ましい。300ppm(0.03重量%)以上の溶解度を有する無機繊維は、生理条件下で速やかに溶解するので、無機繊維が生体内に取り込まれた際の危険性をさらに低くすることができる。

さらに、シール材ペーストには、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等が挙げられる。これらの中では、アルミナバルーンが好ましい。

本発明の塗布用治具は、第1主面から第2主面まで貫通する開口部とを備えており、開口部は、第1主面側の第1開口部と第2主面側の第2開口部とからなり、第1開口部の径は、第1主面から、第1開口部と第2開口部との境界線に向かうにつれて小さくなっており、第2開口部の径は、境界線から第2主面にわたって同じであることを必須の構成要素としている。 また、本発明のハニカム構造体の製造方法は、本発明の塗布用治具の第2開口部の内側に、セラミックブロックの外周面と第2開口部を構成する面の間隔が均一になる位置にセラミックブロックを載置し、スクレーピング工程において、塗布用治具の開口部にセラミックブロックを通過させ、塗布用治具の第2開口部を構成する面でシール材ペーストをセラミックブロックの外周面全体に塗布することを必須の構成要素としている。 係る必須の構成要素に、第一実施形態〜第三実施形態、及び、その他の実施形態で詳述した種々の構成(例えば、テーパー部の角度、ストレート部の長さ、塗布用治具の材質、第1開口部及び第2開口部の断面形状、セラミックブロックの形状、セラミックブロックの外周面と塗布用治具の第2開口部を構成する面との間隔等)を適宜組み合わせることにより所望の効果を得ることができる。

1、2、4、6、9 塗布用治具 11、211、411、611 第1主面 12、212、412、612 第2主面 20、220、420、620 開口部 30、230、430、630 第1開口部 31、231 第1開口部を構成する面 32、232 テーパー部 40、240、440、640 第1開口部と第2開口部との境界線 41、241 境界線から第2主面と平行に伸ばした面 50、250、450、650 第2開口部 51、251、451、651、951 第2開口部を構成する面 52、252 ストレート部 61 位置決め下治具 62 位置決め上治具 100、500、700 ハニカム構造体 101、301、501、701 接着材層 102、502、702 外周シール材層 103、303、503、703、803、903、1003 セラミックブロック 104、304、504、704、804、904、1004 セラミックブロックの外周面 110、310、510、710 ハニカム焼成体 111 セル 112 封止材 113 セル壁 453、653 溝 505、705 突起部

QQ群二维码
意见反馈