Method for applying decoration to glass or ceramic products, printing equipment and formulations

申请号 JP2009549781 申请日 2007-12-12 公开(公告)号 JP5480634B2 公开(公告)日 2014-04-23
申请人 ゼニア・テクノロジー・リミテッド; 发明人 ヨン・ケイ・ケー; ヒルト・トーマス; フォックス・ジェイムス・イー;
摘要
权利要求
  • ガラスまたはセラミック製品に装飾を施す方法であって、
    ガラスフリット配合物の下部の層(2)を設け、インクジェット印刷によって、少なくとも1種の顔料配合物の少なくとも1つの層(3)を、画像を形成するように、前記ガラスフリット配合物の下部の層(2)に直接設け、インクジェット印刷によって、ガラスフリット配合物の上部の層(4)を前記少なくとも1種の顔料配合物の層(3)に設けて、基材(1)を被覆する被覆工程と、
    前記層(2,3,4)を設けた前記ガラスまたはセラミック製品を、少なくとも前記下部および上部の層(2,4)のガラスフリット粒子の溶融温度になるまで加熱する加熱工程とを含 み、
    前記基材(1)が、前記ガラスまたはセラミック製品そのものであり、
    前記加熱工程の前に、前記ガラスフリット配合物の上部の層(4)に、保護層(5)を設け、
    前記ガラスフリット配合物について、固体成分の沈殿速度が、1分間あたり1ミリメートル以下であり、粘度が、20℃〜40℃の温度範囲内において、0.002Pas〜0.05Pasであり、
    前記顔料配合物について、固体成分の沈殿速度が、1分間あたり1ミリメートル以下であり、粘度が、20℃〜40℃の温度範囲内において、0.002Pas〜0.05Pasである方法。
  • 請求項 に記載の方法において、
    前記ガラスフリット配合物の下部の層(2)が、前記ガラスまたはセラミック製品の上における最下層となることを特徴とする方法。
  • 請求項 に記載の方法において、
    前記保護層(5)が、前記ガラスまたはセラミック製品の上における最上層となることを特徴とする方法。
  • 说明书全文

    本発明は、請求項1に記載の、ガラスまたはセラミック製品に装飾を施す方法、請求項20に記載の、ガラスまたはセラミック製品に装飾を施す印刷装置、請求項30に記載の、ガラスフリット配合物、請求項39に記載の、顔料配合物、請求項48に記載の、ガラスフリット配合物と顔料配合物との組合せ、請求項50に記載の、装飾が施されたガラスまたはセラミック製品、および請求項51に記載の、ガラスまたはセラミック製品の装飾用の転写媒体に関する。

    特許文献1には、セラミック製のデカールを製造する方法が開示されている。 まず、転写媒体にフラックス(融剤)層が接着剤によって取り付けられ、このフラックス層にカラー画像が熱転写印刷によって印刷される。 このカラー画像の上には、フラックス保護層が配置される。 前記カラー画像の層の下には、乳白層や、さらには、フラックス接着層が任意で設けられてもよい。 熱転写プリンタを使用するので、これらの層となる配合物は特殊な要件を満たさなければならない。 例えば、フラックス層にはワックス化合物が含まれていなければならない。 また、熱転写印刷は、特に、インクリボンが必要になることから、比較的取扱いにくい。

    特許文献2には次のような方法が開示されている。 まず、基材にガラスフリット層を設け、次に、このガラスフリット層にインクジェットプリンタを用いて顔料層を印刷し、その後、これら2つの層を有する前記基材を加熱、すなわち焼成することにより、前記ガラスフリット層を溶融させる。 下部のガラスフリット層が設けられることにより、印刷画像の層は、基材に対して確実に良好に接着することができる。 この既存の方法の短所として、完成品の艶/光沢や表面仕上がりに、不満が残ることが挙げられる。

    米国特許第6694885号明細書

    特開2004−99432号公報

    以上を踏まえて、本発明の目的は、光沢があって滑らかな表面を有する高品質の装飾、特に、高精細度の装飾が実現可能となる、ガラスまたはセラミック製品に装飾を施す方法を提供することである。 より詳細には、この方法は、少量生産にも大量生産にも経済的である。 本発明のさらなる目的は、高準の装飾が実現可能な、ガラスまたはセラミック製品に装飾を施す印刷装置を提供することである。 より詳細には、この印刷装置は、少量の装飾も大量の装飾も経済的に行うことができる。 本発明のさらなる他の目的は、インクジェット印刷に適した、ガラスまたはセラミック製品に高品質の装飾を施すためのガラスフリット配合物および顔料配合物を提供することである。 本発明のさらなる他の目的は、装飾が施されたガラスまたはセラミック製品、および、ガラスまたはセラミック製品を装飾する際に有用な転写媒体を提供することである。

    前記方法(好ましくは、陶器またはガラスコップに装飾を施すのに適している)を提供するという目的は、請求項1の構成によって達成され、前記印刷装置を提供するという目的は、請求項20の構成によって達成される。 前記ガラスフリット配合物を提供するという目的は、請求項30の構成によって達成され、前記顔料配合物を提供するという目的は、請求項39の構成によって達成される。 本発明に係るガラスまたはセラミック製品は請求項50に記載されている。 前記目的を達成する転写媒体は、請求項51に記載されている。

    本発明のさらなる改良形態は従属請求項に記載されている。 本発明は、さらに、明細書および/または特許請求の範囲および/または図面に開示された2つ以上の特徴のあらゆる組合せを包含している。 特に、ガラスまたはセラミック製品に装飾を施す方法に関する本発明の基本的な概念は、少なくとも1種の顔料配合物で構成される層、すなわち、実際の画像を形成する層をインクジェット印刷によって印刷するだけでなく、この層の上に設けられる、ガラスフリット配合物で構成される上部の層もインクジェット印刷によって印刷することである。 インクジェット印刷を用いることにより、高解像度、高コントラスト、および全体的に極めて微細な層を実現することができる。 さらに、少量のガラスまたはセラミック製品であっても、経済的に印刷することができる。 顔料配合物の層の下に設けられる、ガラスフリット配合物で構成される下部の層は、例えば、スクリーン印刷によって設けてもよい(特に、基材に直接設けてもよい)が、この層についても、同様にインクジェット印刷によって設けるのが好ましい。 この装飾方法は、ガラスまたはセラミック製品を、これらすべての層とともに、500℃から1200℃の温度範囲内で焼成する焼成工程によって終了する。 この工程の温度は、2つのガラスフリット層に含まれるガラスフリット粒子の溶融温度以上とする必要がある。 本発明において、前述した下部のガラスフリット層および上部のガラスフリット層は、同一のガラスフリット配合物を用いて形成しても、相異なるガラスフリット配合物を用いて形成してもよい。 好ましくは、これらガラスフリット配合物の層は、顔料を含まない。

    サンドイッチのような上述の層状構造体、すなわち、少なくとも1種の顔料配合物で構成される層(画像層)を2つのガラスフリット配合物の層(この2層だけがガラスフリット配合物の層であるのが好ましい)の間に組み込んだ構造体には、多くの利点がある。 上述の層状構造体は、ガラスまたはセラミック製品の上に設けられた最下層のガラスフリット層により、確実に当該ガラスまたはセラミック製品に良好に接着することができる。 最上層であるガラスフリット配合物の上部の層により、その下に設けられた顔料配合物の層(少なくとも1種の顔料配合物で構成される唯一の層であるのが好ましい)を保護するとともに、高い光沢性および滑らかな表面を確保することができる。 本発明に係る一変形例として、それぞれが少なくとも1種の顔料配合物で構成される複数の層を直接重ねて、全体をガラスフリット配合物で構成される1つの層で囲むこと挙げられる。

    第1の変形例において、基材は、直接、装飾が施されるガラスまたはセラミック製品である。 この場合、前述した、2つのガラスフリット層および少なくとも1つの顔料層を印刷する順番が、そのまま完成品における層の順番に相当する。 つまり、ガラスまたはセラミック基材の上に、直接、ガラスフリット配合物の下部の層(インクジェット印刷によって基材に設けられるのが好ましい)が接着促進剤として設けられる。 第2の層は、1種以上の顔料配合物で構成される少なくとも1つの層(画像層)であり、この層は、インクジェット印刷によって本発明に従い設けられる。 この印刷された顔料配合物の層の上には、少なくとも1種のガラスフリット配合物で構成される上部の層が設けられる。 本発明のさらなる一改良形態において、この上部の層を最上層、すなわち、最後の層としてもよい。

    本発明の一発展形態において、ガラスフリットの上部の層は、最後の層ではなく、最後の層の1つ前の層である。 この場合、最後の層として、保護層用配合物を含む層、特に、ワニス層を設ける。 この第4の層も同様にインクジェット印刷によって設けることにより、完成品の品質が特に有利になる。 好ましくは、この保護層は、最後の加熱工程において、残渣が生じないように燃焼する/蒸発するものである。 好ましくは、この保護層は、その少なくとも一部が、200℃から400℃の低い温度、すなわち、ガラスフリット層の溶融温度よりも低い温度で液化する。 これにより、この保護層の下に設けられた層の凝集(cohesion)を確保できる。 好ましい一実施形態において、ガラスフリット配合物で構成される下部の層と、ガラスまたはセラミック製品との間には、さらなる層が設けられていない。 つまり、ガラスフリット配合物の下部の層が、ガラスまたはセラミック製品の上における最下層を形成することとなる。

    最上層を構築する方法として、2つの方法が考えられる。 ガラスフリット配合物の上部の層を最上層とするか、またはガラスフリット配合物の上部の層の上に任意で設けられる保護層を最上層とするかである。 このとき、第2の層である画像層(唯一の画像層)は、単一種の顔料配合物または複数種の顔料配合物で構成されている。 この層を複数種の顔料配合物で構成する場合、相異なる顔料配合物を層状に配置してもよいし(すなわち、その多くを第2の層よりも下位の層としてもよいし)、または相異なる顔料配合物を交互に配置してもよい。 同様に、2つのガラスフリット層の間に、少なくとも1種の顔料配合物で構成される層を複数、好ましくは2つ設けてもよい。 しかしながら、好ましい一実施形態では、顔料配合物の層は1つとする。 すなわち、全体としては、3つの層(保護層を有さない場合)または4つの層(保護層を有する場合)が設けられる。

    第2の変形例において、基材は、実際に装飾が施される対象物(すなわち、装飾が施されるガラスまたはセラミック製品)ではなく、転写媒体(例えば、水転写デカール紙(water slide decal paper ))である。 好ましくは、特に水に浸すことによって、層状構造体は転写媒体から取り外され(分離され)、装飾を施す対象であるガラスまたはセラミック製品に配置される。 すべての層が転写媒体からガラスまたはセラミック製品に配置された後、加熱工程、すなわち、ガラスフリット層を溶融させる焼成工程が行われる。

    ガラスまたはセラミック製品への層状構造体の転写または配置は、転写媒体上に最初に設けられた層から行ってもよく、この場合、この層がガラスまたはセラミック製品上の最下層を形成することになる。 または、層状構造体を逆にして転写または配置を行い、最後に設けられた(特に、印刷された)層がガラスまたはセラミック製品の上において最下層を形成するようにしてもよい。 後者のほうが好ましい(最良の構成)。

    本発明の一発展形態において、特に取外しの際に層状構造体が保護されるように、転写媒体からの層の取外しは、保護層、特に、ワニス層(ガラスフリット配合物の上部の層の上にインクジェット印刷によって設けるのが好ましい)を設けてから行われる。 好ましくは、転写媒体において上層となる、この最後に設けられる層は、ガラスまたはセラミック製品の上において最上層(保護層)を形成するものである。

    最上層として保護層を転写媒体に設ける代わりに、最下層として保護層を転写媒体に設けてもよく、すなわち、転写媒体に保護層を直接設けてもよい。 この場合、最初に設けられる(印刷されるのが好ましい)この保護層の上には、ガラスフリットの2つの層と、これら2つの層の間に配置された少なくとも1つの顔料層とで構成されるサンドイッチ状の構造体が設けられることになる。 この場合、最後に設けられるガラスフリットの層が、装飾が施されるガラスまたはセラミック製品において最下層を形成することになる。 これにより、保護層は、ガラスまたはセラミック製品において最上側となる。 よって、保護層は、残渣を生じることなく、また、上層を損傷することもなく確実に燃焼/蒸発することができる。

    保護層を転写媒体に直接設けることを特徴とする前述の実施形態には、大きな利点がある。 例えば、保護層を有する転写媒体を大量生産し、この最適化された転写媒体を印刷工程の基礎として用いることができる。 必要に応じて、保護層だけでなく、ガラスフリット配合物の下部の層がさらに設けられた転写媒体を、大量生産することも可能である。 この場合、好ましくは、これら2つの層は乾燥されてから、一時的に保管され、必要となったときに初めて、その上に顔料層とガラスフリット配合物の上部の層とがインクジェット印刷で印刷される。 保護層を転写媒体に設ける工程は、必ずしもインクジェット印刷によって実行する必要はなく、例えば、スクリーン印刷を用いて実行してもよい。 保護層の上に設けられるガラスフリット配合物の下部の層についても、同じことがいえる。 このように工業的に製造された転写媒体は、一時的に保管され、ユーザに直接届けられた後、そこでインクジェット印刷装置を用いて印刷を付け加えることが可能である。 その後、層状構造体が転写媒体から取り外され、ガラスまたはセラミック製品に配置されてから、ガラスまたはセラミック製品と一緒に焼成される。 同様に、最下層としてガラスフリット配合物の下部の層を転写媒体に(例えば、スクリーン印刷によって)設けたものを、大量生産することも可能である。

    少なくとも1種の顔料配合物で構成される少なくとも1つの層を構築する方法として、さまざまな方法が考えられる。 特に、第2の層であるこの顔料配合物の層にガラスフリット材を混合させることにより、当該顔料配合物の層がこの層を囲むガラスフリット層に対して、より良好に接着できるようにするのが好ましい。 ガラスフリット材/ガラス粒子を少なくとも1種の顔料配合物に直接混合させておくことにより、顔料配合物およびガラスフリットを共通のプリントヘッドから印刷できるようにしてもよい。 また、ガラスフリット配合物を別個のプリントヘッドに収容しておき、互いに並んで配置された複数のプリントヘッドの各々から、顔料配合物とガラスフリット配合物とを同時に印刷するようにしてもよい。

    これとは対照的に、顔料配合物の層によって形成される画像について最適の明度および最適の色再現性を達成するには、少なくとも1種の顔料配合物で構成される層を、ガラス粒子を(全く)含まないようにして印刷するのが好ましい。 すなわち、ガラスフリット粒子を実際の顔料配合物に混合させておいたり、ガラスフリット材と少なくとも1種の顔料配合物とを同じ層に対して同時に印刷したりしないのが好ましい。

    処理速度を最適化するには、設けられる(特に、印刷される)少なくとも2つの層を、ウェットオンウェットで印刷するのが好ましい。 すなわち、少なくとも1つの層が未だ濡れている(湿潤で乾燥していない)状態で、次の層を設ける(特に、印刷する)のが好ましい。

    特に、次の層が設けられる(特に、印刷される)前に、少なくとも1つの層に赤外線を照射して乾燥および/または硬化させることにより、完成品の品質を向上させることが可能である。 この目的のために、少なくともいくつかの層が、紫外線硬化材料、特に、少なくとも1種の紫外線硬化樹脂を含有するのが好ましい。

    層の乾燥および/または硬化は、その層が配置されたすぐ後に行われるのが好ましい。 少なくとも1種の顔料配合物で構成される少なくとも1つの層の印刷、およびガラスフリット配合物の上部の層の印刷を除く、他のすべてインクジェット印刷を並行して(in-line )実行することにより、速い処理速度を達成することが可能である。 また、すべての層を並行して設けても(特に、印刷しても)よい。 1つ以上の顔料層の印刷およびガラスフリット配合物の上部の層の印刷を並行して行うには、保護層および/またはガラスフリット配合物の下部の層が既に設けられた(好ましくは、インクジェット印刷によって設けられた)既製品の転写媒体を使用するのが好ましい。

    並行製作を行う場合には、少なくとも、顔料層を印刷するインクジェット印刷およびガラスフリット配合物の上部の層を印刷するインクジェット印刷を(好ましくは、すべてのインクジェット印刷を)、異なる層に対応した異なるプリントヘッドを備える共通のプリントヘッド構造体を用いて実行するのが特に好ましい。 印刷が施される基材に対して前記プリントヘッド構造体を移動させることにより、並んでいて高さの異なる層を同時に印刷することができる。

    特に、上述の装飾方法のインクジェット印刷を実行するために、本発明は、少なくとも1つの、共同して(conjointly)移動可能なプリントヘッド構造体(移動可能なキャリッジ)を備える印刷装置を提供する。 このプリントヘッド構造体は、ガラスフリット配合物が供給される少なくとも1つのプリントヘッドと、顔料配合物が供給される少なくとも1つのプリントヘッドとを有する。 好ましくは、使用されるプリントヘッドは、ドロップオンデマンド式のプリントヘッドである。 前記の印刷装置は、少なくとも1つの顔料層と上部のガラスフリットの層とを、少なくとも1種のガラスフリット配合物で構成される下部の層の上から印刷するのに特に有用である。 必要であれば、前記印刷装置または前記印刷装置のプリントヘッド構造体をさらに改良し、さらなる層、すなわち、ガラスフリット配合物の下部の層および/または保護層も、共通のプリントヘッド構造体を用いて印刷できるようにしてもよい。 基材上、すなわち、ガラスもしくはセラミック製品または転写媒体上に平坦な印刷を実現できるように、プリントヘッド構造体は、基材に対して、搬送方向に沿っておよび搬送方向を横切って延びる印刷方向に沿って移動可能である。 これらの相対運動は、プリントヘッド構造体のみ、または基材のみを移動可能とすることで実現してもよい。 しかしながら、好ましい一実施形態では、プリントヘッド構造体は印刷軸心に沿ってのみ移動可能であり、基材はこの印刷軸心に対して90°の度で延在する搬送軸心に沿って移動可能である。

    プリントヘッド構造体の好ましい一実施形態は、ガラスフリット配合物用の少なくとも1つのプリントヘッドと顔料配合物用の少なくとも1つのプリントヘッドとを有しており、かつ、これら2種類のプリントヘッドは、基材の搬送方向に沿って並んで配置されている。 例えば、このプリントヘッド構造体を、ガラスフリット配合物の下部の層が既に設けられた既製品の転写媒体に印刷を行うために使用する場合、ガラスフリット配合物用のプリントヘッドが、基材の搬送方向に沿って、顔料配合物用のプリントヘッドの後方に配置されているのが好ましい。 これにより、基材がガラスフリット配合物用のプリントヘッドの範囲に達した際には、この基材に顔料配合物が既に印刷されているようにすることができる。

    これらサンドイッチ状の層(好ましくは、3つの層)のすべてをインクジェット印刷によって印刷する場合、ガラスフリット配合物用の少なくとも1つのプリントヘッドが、顔料配合物用の少なくとも1つのプリントヘッドの前方だけでなく後方(基材の搬送方向に沿って)にも配置されているのが好ましい。

    プリントヘッド構造体を用いて、前述の保護層もさらに印刷する場合、保護層用配合物用の少なくとも1つのプリントヘッドが設けられているのが好ましい。 基材に保護層を直接印刷する場合には、保護層用配合物用のこのプリントヘッドを、基材の搬送方向に沿って最も前方の位置に配置するのが好ましい。 転写媒体に保護層を印刷する場合、保護層を最下層として転写媒体に直接設けるか、または保護層をガラスフリット配合物の上部の層の上に設けるかによって、保護層用配合物用のプリントヘッドの配置位置が決まる。 前者の場合、保護層用配合物用の少なくとも1つのプリントヘッドを、基材の搬送方向に沿って最も前方に配置するのが好ましく、後者の場合には最も後方に配置するのが好ましい。

    また、前記に追加して、または変形例として、保護層用配合物用の少なくとも1つのプリントヘッドを、印刷方向に沿ってガラスフリット配合物用のプリントヘッドの前方または後方に配置してもよい。 しかしながら、この場合、重畳層を設けるには、基材を移動させずに、プリントヘッドを印刷方向に繰り返し移動させる必要がある。

    好ましくは、印刷装置は、次の層を設ける前に個々の層を乾燥および/または硬化させる乾燥用および/または硬化用の装置を備えている。 特に好ましくは、乾燥用および/または硬化用の装置、特に赤外線照射器が、プリントヘッド構造体において印刷方向に沿ってプリントヘッドの後方に配置されている。 これにより、印刷されたばかりの層を、乾燥用および/または硬化用の装置を用いて直ちに乾燥および/または硬化させることができる。

    特に、ガラスフリット材を顔料配合物の層に混ぜ込む場合には、ガラスフリット配合物が供給されるプリントヘッドを、印刷方向に沿って、顔料配合物が供給されるプリントヘッドの前方および/または後方に配置するのが好ましい。 これにより、少なくとも1種のガラスフリット配合物と少なくとも1種の顔料配合物とを、少なくとも1種の顔料配合物で構成される少なくとも1つの層(好ましくは、少なくとも1種の顔料配合物で構成される唯一の層)に同時に流れ込ませることが可能になる。 しかしながら、特に、顔料配合物の層がガラスフリットを含まないようにする場合には、この構成を省略してもよい。

    本発明の想定可能な一実施形態において、プリントヘッド構造体は、搬送方向に並んで配設された少なくとも2つのプリントヘッド列を有しており、これらプリントヘッドの各列には、ガラスフリット配合物が供給されるプリントヘッドと、顔料配合物が供給されるプリントヘッドとが交互に配置されている。 しかしながら、この実施形態において2層以上で構成される重畳層を実現するには、基材を搬送方向に移動させずに、この基材上の一箇所について印刷装置のプリントヘッド構造体を繰り返し往来させる必要がある。

    好ましい一実施形態において、プリントヘッド構造体は、搬送方向に並んで配置された、印刷軸心に延在する少なくとも2つのプリントヘッド列を有しており、第1のプリントヘッド列は、顔料配合物が供給される(特に、相異なる顔料配合物が供給される)、印刷方向に沿って並んで配置されたプリントヘッドを含み、第2のプリントヘッド列は、ガラスフリット配合物が供給されるプリントヘッドを含む(好ましくは、ガラスフリット配合物が供給されるプリントヘッドのみを含む)。 好ましくは、シアン用の少なくとも1つのプリントヘッド、マゼンタ用の少なくとも1つのプリントヘッド、イエロー用の少なくとも1つのプリントヘッド、およびブラック用の少なくとも1つのプリントヘッドが設けられており、この場合、顔料配合物の層、すなわち、実際の画像は、顔料配合物が供給される少なくとも2つのプリントヘッド(好ましくは、すべてのプリントヘッド)を用いて形成される。

    好ましくは、保護層用配合物が供給されるプリントヘッドの少なくとも一列が、プリントヘッド構造体に対する基材の搬送方向について、ガラスフリット配合物が供給されるプリントヘッドで構成される第2の列の前方および/または後方に配設されている。

    ガラスフリット配合物で構成される第1の層もインクジェット印刷で設ける場合、基材の搬送方向について、顔料配合物用のプリントヘッドの両側に、すなわち、その前後に、それぞれ、ガラスフリット配合物が供給される1つのプリントヘッド列を配置するのが好ましい。

    本発明は、さらに、ガラスまたはセラミック製品に装飾を施すのに用いるガラスフリット配合物であって、インクジェット印刷での用途、好ましくは、上述の印刷装置を用いたインクジェット印刷での用途に適したガラスフリット配合物を提供する。 本発明のガラスフリット配合物は、融点が約500℃から約1200℃、好ましくは、約750℃から約900℃のガラスフリット粒子を含むことを特徴とする。 このガラスフリット配合物において、ガラスフリット粒子を含む固体成分は、約20重量%から約60重量%含有される。 固体成分の沈殿速度が1分間あたり1ミリメートル以下であり、かつ、約20℃から約40℃の範囲の温度におけるガラスフリット配合物の粘度が約0.02Pasから約0.05Pasであることが重要である。 このガラスフリット配合物は、さらに、少なくとも1種の分散剤と、少なくとも1種の溶剤とを含む。 この分散剤は、ガラスフリット配合物の化学的安定性を確保する機能と、固体成分の沈殿速度を確実に遅くする機能とを果たす。 このように調製されたガラスフリット配合物は、インクジェット用のプリントヘッドでの用途、好ましくは、ドロップオンデマンド式のプリントヘッドでの用途に特に適している。 本発明のガラスフリット配合物は、優れた再分散性(redispersibility)を有しており、一様な分散を提供する。 再分散性に優れることは、ガラスフリット配合物を長期間混ぜずに貯蔵する場合に特に好ましい。 このガラスフリット配合物は、1分間あたり約120回転の攪拌速度で5分間攪拌させることで再分散可能な再分散性を有するのが好ましい。 粒子成長に対する安定性は、平均粒径の増加が、約45℃の温度で1週間後において約10%未満しか観測できない程度であるのが好ましい。 インクジェット印刷装置において顔料配合物またはガラスフリット配合物の送液(再循環)を行うだけで、100日間動作させた後でも、含有される固体成分の90%を分散状態に保持することができる。 この数値をさらに向上させるために、印刷装置に攪拌部材(stirred insert)を任意で設けてもよい。 固体成分を一様に分散させるのが可能なことから、プリントヘッドのノズルが詰まることがないので、実際の印刷に対する良好な効果が継続する。 さらに、粒子成長に対する高い安定性により、印刷用ノズルの詰まり易さを軽減する良好な効果がもたらされる。 最終的に、これらの特性により、装飾物は優れた外観を有し、かつ、印刷された層は、光、水分、および他の外的影響に対して高い耐性を有することになる。

    本発明の一発展形態において、ガラスフリット配合物の固体成分のd 50値(粒径分布のメジアン)は、約1μmから約10μm、好ましくは1μmから約5μm、より好ましくは約1μmから約2μmである。

    インクジェット印刷によって(好ましくは、ドロップオンデマンド式のプリントヘッドを用いて)ガラスフリット配合物を最適に印刷するには、ガラスフリット配合物全体の重量に対して、ガラスフリット粒子が、約40%から約60%含まれていると好ましく、約50%含まれているとより好ましい。 分散剤は、ガラスフリット配合物全体の重量に対して、好ましくは約7%から約18%、より好ましくは約12.5%含まれる。 本発明の特に好ましい発展形態において、ガラスフリット粒子の最大径は約3μm、好ましくは2.7μmである。 特に好ましくは、ガラスフリット粒子の最大径は2μm未満である。

    溶剤としてジアセトンアルコールを用いるのが好ましいことが判明している。 特に、ジアセトンアルコールを、約30重量%から約40重量%、好ましくは約36重量%含有させるのがよい。 ジアセトンアルコールは、良好な蒸発平衡(volatilization equilibrium)を有しており、基材上での満足のいく乾燥時間を確保できる一方、プリントヘッドのノズルにおいて過度に早く蒸発しない。 好ましくは、ジアセトンアルコールの表面張は、30dyn/cmよりも大きい。 これにより、インクジェット印刷によってガラスフリット配合物を最適に印刷することができる。

    好ましくは、ガラスフリット配合物は、高分子バインダを含む。 この高分子バインダは、ガラスフリット配合物に約0.5重量%から約2重量%含まれているのが好ましい。 高分子バインダとしてスチレン/アクリル酸コポリマーをそのまま用いるか、またはスチレン/アクリル酸コポリマーを含む高分子バインダを使用するのが、ガラスフリット配合物の安定性において好ましいことが判明している。

    さらに、シリカを添加するのが好ましい。 このシリカは、ガラスフリット配合物に約0.5重量%から約1.5重量%含まれているのが好ましい。 シリカを添加することにより、ガラスフリット粒子の表面への分散剤の引力が向上し、これによって粒子成長が抑えられるか、または粒子成長が防止される。 したがって、シリカの添加は、分散の化学的安定性において好ましい効果をもたらす。 さらに、シリカを添加することにより、沈殿速度を遅くすることができ、かつ、凝集現象を防止することができる。 これにより、沈殿しなかった物質を容易に再分散させることが可能になる。

    ガラスフリット配合物の粘度は、極めて低いのが好ましい。 好ましくは、ガラスフリット配合物の粘度は、約20℃から約40℃の範囲の温度において、約0.002Pasから約0.03Pasであり、より好ましくは約0.002Pasから約0.02Pasである。

    ガラスフリット配合物の特に好ましい一実施形態において、ガラスフリット配合物は顔料を含まない。

    本発明は、さらに、ガラスまたはセラミック製品に装飾を施すのに用いる顔料配合物であって、インクジェット印刷に特に適していることを特徴とする顔料配合物を提供する。 本発明の顔料配合物は、特に一様な分散を行うことが可能な分散剤を含んでおり、この分散剤は、極めて良好な再分散性を有している。 この顔料配合物は、1分間あたり約120回転の攪拌速度で5分間攪拌させることで再分散可能なものであるのが好ましい。 さらに、この顔料配合物は粒子成長に対して安定である。 好ましくは、粒子が、約45℃の温度で1週間後に約10%未満しか成長しない程度であるのが好ましい。 インクジェット印刷装置において顔料配合物またはガラスフリット配合物の送液(再循環)を行うだけで、100日間動作させた後でも、固体成分の90%を分散状態に保持することができる。 この数値をさらに向上させるために、印刷装置に攪拌部材を任意で設けてもよい。 この顔料配合物は、一様に分散することが可能なので、インクジェット用のプリントヘッドを用いた印刷、特に、ドロップオンデマンド式のプリントヘッドを用いた印刷において特に有用である。 また、有利なことに、プリントヘッドのノズルが詰まることがない。 さらに、このような顔料配合物で印刷された層は、光、水分、および他の環境条件に対して耐性を有する。 また、この顔料配合物によって形成される画像は、優れたコントラスト、高い明度、および優れた全体的な外観を有する。

    本発明の顔料配合物は、少なくとも1種の無機顔料を含む。 この顔料配合物において、固体成分(無機顔料を含む)は、約20重量%から約60重量%含有される。 固体成分の沈殿速度は、1分間あたり1ミリメートル以下である。 好ましくは、この顔料配合物の粘度は、約20℃から約40℃の範囲の温度において、0.05Pasよりも低い。 この顔料配合物は、さらに、少なくとも1種の分散剤と、少なくとも1種の溶剤とを含む。 この分散剤は、良好な化学的安定性を確保する機能と、固体成分の沈殿速度を確実に遅くする機能とを果たす。

    本発明の一改良形態において、顔料配合物に含まれる固体成分の粒径分布のd 50値は、約1μmから約10μm、好ましくは約1μmから約5μmである。

    好ましくは、顔料配合物において、顔料は、約40重量%から約60重量%、より好ましくは約50重量%から約60重量%含まれる。 分散剤は、好ましくは約8重量%から約15重量%、より好ましくは約10重量%から約12重量%含まれる。 顔料の粒径は、好ましくは約2.7μm以下、より好ましくは約1.5μm以下である。 顔料の粒径は、1μm未満であるのが特に好ましい。

    好ましい一実施形態では、溶剤としてジアセトンアルコールが用いられる。 ジアセトンアルコールは、良好な蒸発平衡(volatility equilibrium)を有するので、基材上での満足のいく乾燥時間を達成できると同時に、プリントヘッドのノズルにおいて過度に早く蒸発することを防ぐことができる。 好ましくは、使用されるジアセトンアルコールの表面張力は、30dyn/cmよりも大きい。 これにより、インクジェット印刷において顔料配合物を最適に印刷することができる。 さらに、ジアセトンアルコールを添加することにより、プリントヘッド内またはプリントヘッド上における、液滴の形成および詰まりを防止することができる。

    好ましくは、顔料配合物に高分子バインダを添加する。 この高分子バインダは、顔料配合物に約0.5重量%から約2重量%含まれるのが好ましい。 この高分子バインダは、スチレン/アクリル酸コポリマーを含むか、またはスチレン/アクリル酸コポリマーからなるバインダであるのが特に好ましい。

    さらに、シリカを添加するのが好ましい。 このシリカは、顔料配合物に約0.5重量%から約1.5重量%含まれているのが好ましい。 シリカは、顔料の表面への分散剤の引力を向上させることにより、分散の化学的安定性をもたらす。 これにより、速い粒子成長を防止することができる。 また、シリカは、沈殿速度を確実に遅くすることができ、かつ、凝集現象を確実に防止することができ、沈殿した固体成分を、顔料配合物の全体的な組成により、容易に再分散させることが可能になる。

    顔料配合物の粘度は、約20℃から約40℃の範囲の温度において、好ましくは約0.02Pasから約0.03Pasしかなく、より好ましくは約0.002Pasから約0.02Pasしかない。

    顔料配合物の想定可能な一実施形態において、顔料配合物には、ガラスフリット粒子が約10重量%から約30重量%含まれる。 本発明のさらなる発展形態において、ガラスフリット粒子の最大径は、約3μm、好ましくは約2.7μm、特に2μmであり、より好ましくは約1.5μm、さらに好ましくは1μm未満である。 本発明のさらなる改良形態において、ガラスフリット粒子の粒径分布のd 50値は、約1μmから約10μmであり、好ましくは約1μmから約5μmである。

    変形例として、顔料配合物は、ガラス粒子を含まないように調製してもよい。 この実施形態を用いると、コントラストおよび明度に関して、最適の印刷品質を達成することができる。

    好ましくは、使用される保護層用配合物は、ワニス層であり、特に、キシレンおよび/またはグリコールアセタート、中でもブチルグリコールアセタートを添加したワニス層である。

    本発明は、さらに、ガラスフリット配合物単独または顔料配合物単独ではなく、ガラスまたはセラミック製品に装飾を施す(特に、インクジェット印刷で配合物を印刷することによって装飾を施す)のに用いる、ガラスフリット配合物と顔料配合物との組合せに関する。 ガラスフリット配合物と顔料配合物との相乗作用により、高コントラストおよび高分解能/高精細度の高品質な装飾を提供することができる。

    本発明は、さらに、前述のガラスフリット配合物および顔料配合物によって被覆されて焼成されたガラスまたはセラミック製品に関する。

    本発明は、さらに、下部の保護層、特に、ワニス層が設けられた既製品の転写媒体に関する。 好ましくは、ガラスフリット配合物の第1の層が、最下層であるこの保護層の上に既に設けられている。 変形例として、ガラスフリット配合物の第1の層が最下層として単独で設けられた転写媒体を提供してもよい。 この場合、この既製品の転写媒体は、それに設けられた最下層の上から、インクジェット印刷によって少なくとも1つの顔料配合物の前述の層およびガラスフリットの前述の層を印刷するのに適している。 好ましくは、転写媒体に設けられる1つ以上の層を乾燥および/または硬化することにより、この転写媒体は保存可能および搬送可能とすることができる。

    積み重なった4つの層が印刷された基材を示す図である。

    4つの層が印刷された基材の他の実施形態を示す図である。

    プリントヘッド構造体と、搬送方向に移動可能な基材とを備える印刷装置を示す概略図である。

    プリントヘッド構造体の他の実施形態を示す概略図である。

    プリントヘッド構造体のさらなる他の実施形態を示す図である。

    本発明の例示的な実施形態を、図面を用いて以下で説明する。 図面は、例示的な実施形態を必ずしも実際の寸法で示しておらず、本発明を示す箇所に関しては、概略的な形態および/または少し変更が加えられた形態で表されている。 教示内容に対する、図面からすぐに推測できる追加については、関連する先行技術を参照されたい。 この点に関して、実施形態の構成および細部についての幅広い変形および変更が、本発明の一般概念を逸脱することなく可能であることに留意されたい。 本明細書および/または図面および/または特許請求の範囲に開示された特徴は、単独でも、所望の組合せにおいても、本発明の改良形態において重要である。 本明細書および/または図面および/または特許請求の範囲に開示された少なくとも2つの特徴からなるあらゆる組合せが、本発明の範囲に含まれる。 本発明の一般概念は、図示および後述する好ましい実施形態と同一の形態または細部に限定されたり、特許請求の範囲に記載された主題よりも狭い主題に限定されたりしない。 指定された寸法範囲について、記載の上限値および下限値の範囲内に含まれる数値も限定値として開示されているものとし、必要に応じて、採用および特許請求することが可能である。

    同一の機能を有する類似の構成要素は、図面において同一の符号が付されている。

    まず、相異なる4種類の顔料配合物、ガラスフリット配合物および保護層用配合物の好ましい組成を、以下の表1に記載した(最良の構成)。

    図1には、それ自体が、装飾が施されるガラスまたはセラミック製品であるか、または転写媒体である基材1が示されている。 この基材には、ガラスフリット配合物で構成される下部の層2が、例えばスクリーン印刷によって、好ましくはインクジェット印刷によって設けられている。 好ましくは、この第1の層は、そのすぐ上に層3が設けられる前に、乾燥および/または硬化される。 この顔料層3は、複数種の顔料配合物で構成される。 使用される顔料配合物には、シアン色、マゼンタ色、イエロー色およびブラック色がある。 顔料層3を形成する全種類の顔料配合物は、インクジェット印刷によって印刷される。

    ガラスフリット配合物で構成される上部の層4は、インクジェット印刷によって顔料層3の上に設けられ、詳細には、顔料層3が乾燥および/または硬化した後に設けられる。 好ましくは、ガラスフリット配合物の上部の層に使用されるガラスフリット配合物は、下部の層2を形成するのに用いたガラスフリット配合物と同一である。 しかしながら、必要に応じて、異なるガラスフリット配合物を選択してもよい。 ガラスフリット配合物の上部の層4には、任意で、その上から層5が直接設けられてもよく、好ましくは、インクジェット印刷によって設けられる(好ましくは、上部の層4が乾燥してから設けられる)。 この最上層5は、ワニス層(保護層)である。 この装飾方法の最終工程として、基材1を4つの層2,3,4,5とともに約850℃で焼成する。 最上層5(保護層)は約250℃から約350℃の低温で液化し、残渣を生じることなく、この焼成工程の際に消失する。

    図1の基材1が転写媒体、例えば、水転写デカール紙である場合、層2,3,4,5(好ましくは、4つの層である)は、まず、特に水に浸すことによって、基材1から取り外され、装飾が施されるガラスまたはセラミック製品に配置される。 好ましくは、ガラスフリット配合物の下部の層2が、ガラスまたはセラミック製品の上における最下層を形成することになる。 ガラスフリット配合物の上部の層4の上にさらなる層が配置されない場合、このガラスフリット配合物の上部の層4が、装飾の施されるガラスまたはセラミック製品の上において最下層を形成するようにしてもよい。 重要なのは、顔料配合物の第2の層3を囲む層2,4のうち1つ、すなわち、ガラスフリット配合物の層が、装飾の施されるガラスまたはセラミック製品の上において最下層を形成するということである。 これにより、層状構造体の全体を、完成品に最適に密着させることができる。 焼成工程後に最上層となるガラスフリット配合物の層により、印刷された画像の滑らかな表面および艶のある外観が確保される。

    図2には、層状構造体の他の実施形態が示されている。 図2の実施形態では、図2の紙面において下方に設けられた基材が転写媒体となる。 保護層5(保護層用配合物)が、最下層としてこの転写媒体に設けられる。 これには、例えば、スクリーン印刷またはインクジェット印刷が適している。 最下層となるこの保護層5の上には、特にスクリーン印刷またはインクジェット印刷によって、ガラスフリット配合物の下部の層2が設けられる(特に、保護層5が乾燥および/または硬化された後に)。 ガラスフリット配合物の下部の層には、この層が乾燥した後、少なくとも1種の顔料配合物で構成される層がインクジェット印刷される。 好ましくは、このインクジェット印刷される層は、シアン色、マゼンタ色、イエロー色およびブラック色の2種以上の顔料配合物で構成される。 顔料配合物の層3が乾燥した後、この層3の上に、ガラスフリット配合物の上部の層4が、インクジェット印刷によって設けられる。 ガラスフリット配合物の上部の層4が乾燥および/または硬化した後、最下層である保護層5と、その上に直接配置されたガラスフリット配合物の下部の層2と、その上に直接配置された顔料配合物の層3と、その上に直接配置されたガラスフリット配合物の上部の層4とで構成される層状構造体が、特に水に浸されることによって、基材1から取り外され、ガラスまたはセラミック製品に配置される。 この場合、ガラスフリット配合物の上部の層4が、ガラスまたはセラミック製品の上において最下層を形成することになる。

    好ましくは、少なくとも1種の顔料配合物の層3、およびこの上に設けられるガラスフリット配合物の上部の層は、保護層5およびガラスフリット配合物の下部の層2を備えた既製品の転写媒体1の上に設けられる。 好ましくは、この少なくとも1種の顔料配合物の層3を設ける動作、およびガラスフリット配合物の上部の層4を設ける動作は、後述する印刷装置を用いて並行して行われる。

    図3には、このような印刷装置6の想定可能な構造が概略的に示されている。 印刷装置6は、スライド式のキャリッジの形態で印刷軸心8に沿って移動可能なプリントヘッド構造体7を備える。 搬送ベルト9に配置された基材1は、印刷軸心8に対して直角に延びる搬送軸心10に沿って移動可能である。 図示の例示的な実施形態において、プリントヘッド構造体7は、印刷時に印刷方向11に移動される。 印刷後、すなわち、プリントヘッド構造体7が印刷方向11とは反対の方向に印刷軸心8に沿って元の位置へと戻る際に、基材1が搬送方向12に移動される。 印刷軸心に沿った方向のうち両方の方向において印刷が行われるようにしてもよい。 この場合、これら印刷方向のうち一方の方向での印刷が終了した後に、基材の移動が行われる。

    プリントヘッド構造体7は、プリントヘッド13a,13bの列13、およびプリントヘッド14a,14b,14c,14dの列14の2つの列を有しており、これらの列13,14は印刷軸心8に延在し、かつ、搬送方向12に並んで配設されている。 プリントヘッド13a,13b,14a,14b,14c,14dは、すべてドロップオンデマンド式のプリントヘッドとする。

    基材の搬送方向12において前方の列に相当する列13に含まれる、図3の紙面の左側に配置されたプリントヘッド13aには、ガラスフリット配合物が供給される。 他方、図の紙面において隣接して配置されたプリントヘッド13bには、保護層用配合物が供給される。

    第2の列14のプリントヘッド14a,14b,14c,14dには、相異なる顔料配合物が供給される。 プリントヘッド14aにはシアン顔料配合物が供給され、プリントヘッド14bにはマゼンタ顔料配合物が供給され、プリントヘッド14cにはイエロー顔料配合物が供給され、プリントヘッド14dにはブラック顔料配合物が供給される。

    例えば、印刷装置6を用いて、図1に示された例示的な実施形態を製作する場合、第1の工程は、プリントヘッド13aを用いて、基材1にガラスフリット配合物の下部の層2を設けることである。 プリントヘッド構造体が図の紙面での左側から右側に移動する、すなわちプリントヘッド構造体が印刷方向11に移動する印刷が終わるごとに、基材1はプリントヘッドの幅に相当する距離を搬送方向12に沿って移動される。

    その後、基材1は搬送方向12と反対の方向に戻され、顔料配合物の層が、互いに同期して動作するプリントヘッド14a,14b,14c,14dを用いて1回の印刷で設けられる。 これと同時に(並行して)、プリントヘッド13a(図の紙面において1つ上の列)から、ガラスフリット配合物の上部の層4が、その前の印刷で設けられた顔料配合物の層の上に配置される。 この後、基材1はプリントヘッドの幅に相当する距離を搬送方向12に沿って再び移動され、プリントヘッド14a,14b,14c,14dによって顔料配合物の層がさらに設けられると同時に、プリントヘッド13aによって、ガラスフリット配合物の上部の層4が顔料配合物の既に設けられた層3の上に配置される。 このような動作が何回も続けられる。 このようにして、基材1にガラス配合物の上部の層を付与した後、基材1は搬送方向12と反対の方向に段階的に移動され、この搬送動作と搬送動作との間に、プリントヘッド13bを用いて、ガラスフリット配合物の上部の層4の上に保護層用配合物を印刷する動作が行われる。

    各層を印刷した後、印刷されたばかりの層は、プリントヘッド構造体7と一緒に自動的に移動する乾燥装置15、特に赤外線照射器によって乾燥される。

    図示されない他の実施形態において、ガラスフリット配合物用の少なくとも1つのプリントヘッド、好ましくはプリントヘッドの1つの列が、搬送方向12について顔料配合物用のプリントヘッドの列14の前方だけでなく後方にも配設されている。 これにより、ガラスフリット配合物の下部の層のみでなく、ガラスフリット配合物の上部の層も並行して印刷することが可能になる。 任意で、保護層用配合物を印刷する少なくとも1つのプリントヘッドを、搬送方向12について、プリントヘッドの列のこのサンドイッチ状の配置構成の前方または後方に配置してもよい。

    図4には、プリントヘッド構造体7の他の実施形態が示されている。 このプリントヘッド構造体7は、プリントヘッドの2つの列16,17を有している。 プリントヘッド16a,16c,16eおよびプリントヘッド17b,17d,17eにはそれぞれガラスフリット配合物が供給され、プリントヘッド16b、16dおよびプリントヘッド17a,17cには顔料配合物が供給される。 プリントヘッド17a,16b,17c,16dの各々に供給される顔料配合物は、それぞれ異なる色を有する(シアン、マゼンタ、イエローおよびブラック)。 図の紙面において側方に配置された2つのプリントヘッド16f,17fには、保護層用配合物が供給される。

    図5には、変形例のプリントヘッド構造体7が示されている。 特に、このプリントヘッド構造体7は、任意で、側方の乾燥装置15をさらに具備していてもよい。 図5のプリントヘッド構造体7は、プリントヘッドの4つの列18,19,20,21を有しており、このうち2つの列18,19の各々は、相異なる顔料配合物が供給される、印刷方向8に並んで配置された4つのプリントヘッドを含む。 図示のプリントヘッド構造体は、特に、2つの直接積み重なった顔料層を印刷するのに用いることができ、これら2つの顔料層は、ガラスフリットの2つの層によって囲まれることになる。 各列には、これら4つのプリントヘッドに加えて、ガラスフリット粒子を顔料配合物の層に混合させるための、ガラスフリット配合物用の2つのプリントヘッドが配置されている。 必要に応じて、これら(側方の)ガラスフリット配合物用のプリントヘッドは省いてもよい。 列18,19に対し、図の紙面における上方、つまり搬送方向12の前方には、列20が配設されており、この列20は6つのプリントヘッドで構成され、各プリントヘッドには、ガラスフリット配合物のみが供給される。 図の紙面でのさらに上方には(すなわち、搬送方向12の前方には)列21が配設されており、この列21は、保護層用配合物が供給される6つのプリントヘッドを有することを特徴とする。 図2に示された例示的な実施形態を製作するにあたり、転写媒体が保護層およびガラスフリット配合物の下部の層によって既に被覆されている場合には、前記列21を省いてもよい。 必要に応じて、それぞれが少なくとも1つのプリントヘッドを有することを特徴とする、互いに独立して移動可能な複数のプリントヘッド構造体を、搬送方向に並べて配置してもよい。

    特に、すべての層の印刷を並行して行う場合には、ガラスフリット配合物が供給される、プリントヘッドのさらなる列を、プリントヘッドの列18,19の下方に、任意で配設してもよい。
    前記実施形態は、以下の態様1〜10を含む。
    [態様1]
    前記ガラスフリット配合物の上部の層(4)が、前記ガラスまたはセラミック製品の上における最上層となる。
    [態様2]
    前記基材(1)が転写媒体であり、前記加熱工程の前に、前記層(2,3,4)を前記転写媒体から分離して前記ガラスまたはセラミック製品に転写する。
    [態様3]
    ガラスまたはセラミック製品に装飾を施すための印刷装置であって、
    ガラスフリット配合物が供給される少なくとも1つのプリントヘッド(13a,16a,16c,16e,17b,17d,17e)と、顔料配合物が供給される少なくとも1つのプリントヘッド(14a,14b,14c,14d,16b,16d,17a,17c)とを有する少なくとも1つのプリントヘッド構造体(7)を備え、
    前記プリントヘッド構造体(7)が、印刷を行う対象となる基材(1)に対して、搬送軸心(10)に沿って移動可能であり、かつ、前記搬送軸心(10)を横切る印刷軸心(8)に沿って移動可能である。
    [態様4]
    前記プリントヘッド構造体(7)において、前記ガラスフリット配合物が供給される少なくとも1つのプリントヘッド(13a,16a,16c,16e,17b,17d,17e)が、前記プリントヘッド構造体(7)に対する前記基材(1)の搬送方向(12)に沿って、前記顔料配合物が供給される少なくとも1つのプリントヘッド(14a,14b,14c,14d,16b,16d,17a,17c)の前方および/または後方に配置されている。
    [態様5]
    前記プリントヘッド構造体(7)において、保護層用配合物が供給される少なくとも1つのプリントヘッド(13b、16f、17f)が、印刷方向(11)に沿って、および/または前記プリントヘッド構造体(7)に対する前記基材(1)の前記搬送方向(12)に沿って、前記ガラスフリット配合物が供給されるプリントヘッド(13a,16a,16c,16e,17b,17d,17e)の前方および/または後方に配置されている。
    [態様6]
    前記印刷装置(7)が、少なくとも1つの乾燥用および/または硬化用の装置(15)を備える。
    [態様7]
    ガラスまたはセラミック製品に装飾を施すためのガラスフリット配合物であって、
    500℃〜1200℃の温度範囲内に溶融温度を有するガラスフリット粒子と、
    少なくとも1種の分散剤と、
    少なくとも1種の溶剤とを含み、
    固体成分が、20重量%〜60重量%含まれ、
    固体成分の沈殿速度が、1分間あたり1ミリメートル以下であり、
    粘度が、20℃〜40℃の温度範囲内において、0.002Pas〜0.05Pasである。
    [態様8]
    ガラスまたはセラミック製品に装飾を施すための顔料配合物であって、
    少なくとも1種の無機顔料と、
    少なくとも1種の分散剤と、
    少なくとも1種の溶剤とを含み、
    固体成分が、20重量%〜60重量%含まれ、
    固体成分の沈殿速度が、1分間あたり1ミリメートル以下であり、
    粘度が、20℃〜40℃の温度範囲内において、0.002Pas〜0.05Pasである。
    [態様9]
    焼成された層状構造体を備えるガラスまたはセラミック製品であって、装飾部分が、
    ガラスフリット配合物で構成された最下層と、
    この最下層の上の、少なくとも1種の顔料配合物で構成された層と、
    この少なくとも1種の顔料配合物の層の上の、ガラスフリット配合物で構成された最上層とを有する。
    [態様10]
    ガラスまたはセラミック製品に装飾を施すための転写媒体であり、顔料配合物の層と、ガラスフリット配合物の上部の層とを印刷するための転写媒体であって、
    保護層および/またはガラスフリット配合物の下部の層があらかじめ設けられている。

    1 基材(ガラスまたはセラミック製品、転写媒体)
    2 ガラスフリット配合物の下部の層3 顔料配合物の層4 ガラスフリット配合物の上部の層6 印刷装置7 プリントヘッド構造体8 印刷軸心10 搬送軸心13a,13b,14a〜14d,16a〜16f,17a〜17f プリントヘッド

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