金属溶射方法

申请号 JP2015072629 申请日 2015-03-31 公开(公告)号 JP2016191132A 公开(公告)日 2016-11-10
申请人 株式会社ビルドランド; 发明人 森井 直治;
摘要 【課題】 溶射被膜に対し特有の配合による塗料を塗布し含浸させることにより、該溶射被膜の封孔処理及び強度増強に加えて、同溶射被膜の基材表面に対する付着強度の増強をも図ることができる金属溶射方法の提供。 【解決手段】 基材1の表面1aに金属溶射を行い、該溶射により形成された溶射被膜2に、アルコキシ基、グリシド基及び 炭素数が6〜10の アルキル基を含有するシリコーン化合物混合体とヘキサメチル系ポリイソシアネートとを1:1〜7の重量比で配合して成る一液型塗料5を含浸し硬化させることにより、上記溶射被膜2に封孔処理を施しつつ該溶射被膜2の強度を増強すると共に該溶射被膜2の基材表面1aに対する付着強度の増強を図ることができる。又上記塗料5は溶射被膜2上に耐熱性・対候性が著しく良好で且つ高強度の塗膜5′を形成する。 【選択図】 図2
权利要求

基材の表面に金属溶射を行い、該溶射により形成された溶射被膜に、アルコキシ基、グリシド基及び高分子アルキル基を含有するシリコーン化合物混合体とヘキサメチル系ポリイソシアネートとを1:1〜7の重量比で配合して成る一液型塗料を含浸し硬化させることにより、上記溶射被膜に封孔処理を施しつつ該溶射被膜の強度を増強すると共に該溶射被膜の基材表面に対する付着強度の増強を図ることを特徴とする金属溶射方法。上記塗料に触媒としてチタンアルコラート又はスズ脂肪酸を配合することを特徴とする請求項1記載の金属溶射方法。上記シリコーン化合物混合体における上記アルコキシ基の割合は重量比で35%〜40%であり、同シリコーン化合物混合体における上記グリシド基の割合は重量比で10%〜15%であり、同シリコーン化合物混合体における上記高分子アルキル基の割合は重量比で10%〜22%であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属溶射方法。上記シリコーン化合物混合体が長鎖アルキルアルコキシシランとグリシド基含有アルコキシシランの混合体であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の金属溶射方法。基材がコンクリート又はモルタルの場合には、該基材内に埋設されている補強鉄筋と上記溶射被膜間を繋ぐ導電部材を設け、該導電部材の一端部を上記補強鉄筋に係合させると共に同他端部を上記基材の表面から突出させて上記溶射被膜内に埋設することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の金属溶射方法。

说明书全文

本発明は、鉄等の金属又はコンクリート又はモルタルから成る基材の表面に金属溶射を施す方法に関する。

従来の金属溶射方法として、下記特許文献1は、鉄から成る基材の表面に金属溶射被膜を形成し、該溶射被膜にシランカップリング剤を含浸し硬化させて封孔処理を施し、該シランカップリング剤の被膜上に塗料を塗布して塗膜を形成する金属溶射方法を開示している。

又下記特許文献2は、鉄から成る基材の表面に金属溶射被膜を形成し、該溶射被膜に芳香族オリゴマー、エポキシポリオール樹脂、イソシアネート樹脂、顔料及び有機溶剤を含む封孔処理剤を含浸し硬化させて封孔処理を施す金属溶射方法を開示している。

特開平2ー149657号公報

特開2012ー251197号公報

上記特許文献1の金属溶射方法はシランカップリング剤の硬化により封孔処理を施すと共に該封孔処理によって溶射被膜自体の強度を向上させることができ、上記特許文献2の金属溶射方法は芳香族オリゴマーにより封孔処理剤の含浸性を改善しつつエポキシポリオール樹脂とイソシアネート樹脂との反応により封孔処理剤を硬化反応させて封孔処理を施すと共に該封孔処理によって溶射被膜自体の強度を向上させることができる。

然し乍ら、上記特許文献1・2の金属溶射方法にあっては、予め基材表面をブラスト処理により粗面化して凹凸形状を形成し、該凹凸形状を有する基材表面に金属溶射を施しアンカー効果を得ることにより、溶射被膜の基材表面に対する付着強度を確保する必要がある。

又上記特許文献1・2の金属溶射方法においては、基材が鉄の場合に限定しており、基材がコンクリート又はモルタルの場合を一切想定していない。

本発明は、基材表面に予め凹凸形状を付与する工程を排し、溶射被膜に対し特有の配合による塗料を塗布し含浸させることにより、該溶射被膜の封孔処理及び強度増強に加えて、同溶射被膜の基材表面に対する付着強度の増強をも図ることができ、且つ基材がコンクリート又はモルタルの場合にあっても確実に溶射被膜を基材表面に付着させることができる画期的な金属溶射方法を提供する。

要述すると、本発明に係る金属溶射方法は、基材の表面に金属溶射を行い、該溶射により形成された溶射被膜に、アルコキシ基、グリシド基及び高分子アルキル基を含有するシリコーン化合物混合体とヘキサメチル系(HDI系)ポリイソシアネートとを1:1〜7の重量比で配合して成る一液型塗料、即ち硬化前は含浸性が高い一方、硬化後は高い接着強度を発揮する塗料を含浸し硬化させることにより、上記溶射被膜に封孔処理を施しつつ該溶射被膜の強度を増強すると共に該溶射被膜の基材表面に対する付着強度の増強を図ることができる。又上記塗料は溶射被膜上に耐熱性・対候性が著しく良好で且つ高強度の塗膜を形成する。

ここで上記シリコーン化合物に含有される高分子アルキル基について説明すると、高分子アルキル基とは炭素数が6〜10のアルキル基をいい、該高分子アルキル基は上記シリコーン化合物混合体とヘキサメチル系ポリイソシアネート等の他のポリマー、モノマーとの相溶性を著しく向上する。

好ましくは、上記塗料に触媒としてチタンアルコラート又はスズ脂肪酸を配合し、該塗料を効率良く硬化反応させる。

又上記シリコーン化合物混合体における上記アルコキシ基の割合を重量比で35%〜40%とし、同シリコーン化合物混合体における上記グリシド基の割合を重量比で10%〜15%とし、上記塗料の硬化反応性、強度物性、消泡性等の性能物性を向上する。加えて該シリコーン化合物混合体における上記高分子アルキル基の割合を重量比で10%〜22%とすることにより、該シリコーン化合物混合体とヘキサメチル系ポリイソシアネートとの相溶性を著しく向上する。

又上記シリコーン化合物混合体として、好ましくは長鎖アルキルアルコキシシランとグリシド基含有アルコキシシランの混合体を用いる。

本発明にあっては、基材がコンクリート又はモルタルの場合には、該基材内に埋設されている補強鉄筋と上記溶射被膜間を繋ぐ導電部材を設け、該導電部材の一端部を上記補強鉄筋に係合させると共に同他端部を上記基材の表面から突出させて上記溶射被膜内に埋設することにより、該溶射被膜と上記補強鉄筋間の通電を促し、有効に基材及び補強鉄筋を保護する。

本発明に係る金属溶射方法によれば、アルコキシ基、グリシド基及び高分子アルキル基を含有するシリコーン化合物混合体とヘキサメチル系ポリイソシアネートとを1:1〜7の重量比で配合した、硬化前は含浸性が高く硬化後は高い接着強度を発揮する塗料を溶射被膜に含浸し硬化させることにより、該塗料が溶射被膜に存する微細孔に入り込んで硬化して同微細孔を適切に封孔しつつ該溶射被膜自体の強度を増強できると共に、同塗料が上記溶射被膜の裏面と基材表面間に画成される微細空隙に充填され硬化し同溶射被膜の付着強度を増強することができる。

又上記塗料により溶射被膜の基材表面に対する付着強度を増強することができるため、基材がコンクリート又はモルタルの場合であっても、適切に基材表面に金属溶射を施すことができる。

基材表面に金属溶射を施し溶射被膜を形成した状態を模視的に示す断面図。

溶射被膜に塗料を含浸し硬化させた状態を模視的に示す断面図。

(A)はコンクリート又はモルタルから成る基材に導電部材を設けた状態を基材を切欠して模視的に示す説明図、(B)は(A)を側面視した説明図、(C)は導電部材の他例を示す断面図。

コンクリート又はモルタルから成る基材表面に溶射被膜を形成し、該溶射被膜内に導電部材の他端部を埋設した状態を基材を切欠して模視的に示す説明図。

コンクリート又はモルタルから成る基材表面に形成した溶射被膜に塗料を含浸し硬化させた状態を基材を切欠して模視的に示す説明図。

図5の要部拡大断面図。

以下本発明に係る金属溶射方法の実施形態を図1乃至図6に基づいて説明する。

図1に示すように、本発明に係る金属溶射方法にあっては、必要に応じて、基材1の表面1aに対し既知のディスクサンダー等を用いてケレン処理を行い、汚れや油分、劣化した塗膜、浮きサビ等を除去し、該基材1の表面1aに既知の溶射機を用いて金属溶射を行い溶射被膜2を形成する。

該溶射被膜2は50〜500μmの厚さになるように形成する。最も好ましい厚さは50〜150μmである。

上記溶射する金属としては、基材1が金属から成る場合には該基材1を構成する金属よりもイオン化傾向が大きい(卑なる)金属を用いる。例えば、基材1が鉄(鋼)で構成されている場合には、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム又はこれらの合金等を溶射する。又基材1がコンクリート又はモルタルから成る場合にも、補強鉄筋(鉄)よりもイオン化傾向が大きい金属、即ち上記のように、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム又はこれらの合金等を溶射する。尚本発明にあっては、特に溶射方式は問わない。

図1の状態では、溶射被膜2の裏面2bは基材表面1aに密着している部分と、同基材表面1aから離間して該基材表面1aとの間に微細空隙4を画成している部分とが存し、該微細空隙4の存在により溶射被膜2の基材表面1aに対する付着強度は弱い状態である。又溶射被膜2中には微細孔3が形成されている。

本発明にあっては、図1の状態から、溶射被膜2の表面2aにシリコーン化合物混合体とヘキサメチル系ポリイソシアネートとを配合して成る一液型且つ無溶剤型の塗料5をハケ、ローラ、スプレー等の既知塗布手段により塗布し、該溶射被膜2内に同塗料5を含浸する。

上記シリコーン化合物混合体は、アルコキシ基、グリシド基及び高分子アルキル基(炭素数が6〜10のアルキル基)を含有し、好ましくは、該シリコーン化合物混合体における上記アルコキシ基の割合を重量比で35%〜40%とし、同シリコーン化合物混合体における上記グリシド基の割合を重量比で10%〜15%とし、上記塗料5の硬化反応性、強度物性、消泡性等の性能物性を向上する。加えて該シリコーン化合物混合体における上記高分子アルキル基の割合を重量比で10%〜22%とすることにより、該シリコーン化合物混合体とヘキサメチル系ポリイソシアネートとの相溶性を著しく向上する。

上記シリコーン化合物混合体の具体例としては長鎖アルキルアルコキシシランとグリシド基含有アルコキシシランの混合体が挙げられる。

又上記シリコーン化合物混合体と上記ヘキサメチル系ポリイソシアネートは1:1〜1:7の重量比で配合する。当該比率の範囲で配合することにより硬化前の含浸性と硬化後の接着強度を兼ね備えた塗料5とする。逆に言えば、当該比率の範囲外では所望の含浸性、接着強度を得ることができない。

好ましくは上記塗料5中に触媒としてチタンアルコラート又はスズ脂肪酸を配合することにより、該塗料5を効率良く硬化反応させることができ、硬化時間を短縮できると共に有効に硬化させることができる。

上記塗料5はシリコーン化合物混合体が変質して生成されるシラノールと、ヘキサメチル系ポリイソシアネートが変質して生成されるポリウレアとが硬化反応して、硬化後は高い接着強度を発揮する。

又上記塗料5はシリコーン化合物混合体の量を調整し気温25℃で50〜500mPa・s、好ましくは200mPa・s以下の低粘度の液体となるように調整する。

上記のように含浸性が高く且つ低粘度である塗料5は、図2に示すように、溶射被膜2に形成されている微細孔3に容易に入り込むと共に、該微細孔3を通じ、上記した溶射被膜裏面2bと基材表面1a間に画成された微細空隙4に容易に達し同微細空隙4内に充填され硬化する。

そして、上記塗料5は微細孔3内で隙間なく硬化する共に、微細空隙4内で隙間なく硬化し硬化後には高い接着強度を発揮する。同微細空隙4内で硬化した塗料5は基材表面1aと強固に接着すると共に溶射被膜2にアンカー効果を付与する。又上記塗料5の未含浸分は上記溶射被膜2の表面2a上に耐熱性・対候性が良好で且つ強固な塗膜5′を形成する。

即ち、上記塗料5は微細孔3に入り込んで硬化することにより、該微細孔3を適切に封孔すると同時に溶射被膜2自体の強度を増強する。加えて溶射被膜裏面2bと基材表面1a間の微細空隙4に充填され硬化することにより溶射被膜2と基材表面1aとを強固に結合して基材表面1aに対する付着強度を増強することができる。又溶射被膜2の表面2a上に塗膜5′を形成し該溶射被膜2を適切に保護する。

又本発明に係る金属溶射方法にあっては、図1・図2に示す如く、溶射被膜2の裏面2bの一部は基材1の表面1aに密着しており、基材1が金属の場合には、基材1から溶射被膜2への電流の流れが阻害されることはなく、基材1の金属よりイオン化傾向の大きい金属から成る溶射被膜2が犠牲となって溶解し、適切に基材1を保護する。

又基材1がコンクリート又はモルタルの場合には、図3乃至図6に示すように、基材1内に埋設されている補強鉄筋7と溶射被膜2間を繋ぐボルト、アンカーピン等の導電部材6を設け、該補強鉄筋7と溶射被膜2間の通電を促し、該溶射被膜2が犠牲陽極となって有効に基材1及び上記補強鉄筋7を保護する。

詳述すると、図3(A)・(B)に示すように、まず基材1に孔を穿設し、該孔に導電部材6たるボルトを差し入れ、該導電部材6の一端部6aを基材1内に埋設されている補強鉄筋7(横筋7a)と接触させ係合させると共に同他端部6bを基材1の表面1aから突出させた状態にし、上記孔に注入する接着剤等で固定する。

又は具体的には図示しないが、基材1の表層を補強鉄筋7が露出するまでハツリ、導電部材6の一端部6aと補強鉄筋7とを結束した後、上記ハツった部分をモルタルで埋戻すことにより導電部材6を固定しても良い。

又導電部材6の他例として、図3(C)に示すように、一端部6aが拡開するアンカーピンを導電部材6として利用し、該一端部6aを拡開させて補強鉄筋7(横筋7a)と係合させることも実施に応じ任意である。

なお、図3(A)乃至(C)は導電部材6の一端部6aを補強鉄筋7の内、横筋7aのみと係合させた例を示しているが、これに加えて縦筋7bとも係合させる場合若しくは縦筋7bのみと係合させる場合も、実施に応じ任意である。又本発明における導電部材6の一端部6aと補強鉄筋7との係合は、該導電部材6と補強鉄筋7間で通電可能であれば、特に形態は問わない。

次いで、図4に示すように、基材表面1aに金属溶射を施す際に、上記導電部材6の他端部6b上にも金属溶射を施し、形成された溶射被膜2内に該導電部材6の他端部6bを埋設し、上記補強鉄筋7と溶射被膜2間を繋ぐ。

あとは、図5に示すように、上記形成した溶射被膜2の表面2aに上記塗料5を塗布し、該溶射被膜2内に同塗料5を含浸する。

この場合にも、図6に示すように、上記塗料5は溶射被膜2の微細孔3内で隙間なく硬化する共に、微細空隙4内で隙間なく硬化し硬化後には高い接着強度を発揮する。同微細空隙4内で硬化した塗料5は基材表面1aと強固に接着すると共に溶射被膜2にアンカー効果を付与する。

又図6中で5′′として示すように、上記塗料5の一部は基材表面1aに染み込んで硬化し、上記微細空隙4内で硬化した塗料5と一体化して、上記アンカー効果を補完する。更には上記塗料5の未含浸分は上記溶射被膜2の表面2a上に耐熱性・対候性が良好で且つ強固な塗膜5′を形成する。

上記のとおり、基材1がコンクリート又はモルタルの場合にも溶射被膜2の付着強度の増強を図ることができると共に、溶射被膜2と補強鉄筋7間を繋ぎ両者間の通電を促す導電部材6を設けることにより、溶射被膜2が犠牲陽極となって有効に基材1及び補強鉄筋7を保護する。

以上説明したように、本発明に係る金属溶射方法にあっては、従来のように、アンカー効果を得るために基材表面に凹凸形状を付与する前処理は不要である。

そして、凹凸形状を付与しない基材の表面に直接金属溶射を施し、溶射被膜形成後に硬化前は含浸性が高く且つ低粘度であり硬化後は高度の接着強度を発揮する塗料を微細孔を通じて含浸し、該微細孔の封孔、上記溶射被膜自体の強度増強及び上記溶射被膜の基材表面に対する付着強度増強を同時に図る比類なき溶射方法である。

又既知の方式で基材表面に金属溶射を施し、該溶射により形成した溶射被膜に塗料を塗布し含浸させる簡易な方法であるため、特に既設構造物に金属溶射を行う際には現場で容易に実施でき効果的である。

更に基材1がコンクリート又はモルタルである場合にも、該基材の表面に適切に溶射被膜を形成し、該溶射被膜の基材表面に対する付着強度を増強できると共に、該溶射被膜と基材内の補強鉄筋を繋ぐ導電部材によって有効に基材及び補強鉄筋を保護することができる。

尚本書面において、下限値と上限値間を「〜」で示した数値範囲は、該下限値と上限値間の全ての数値(整数値と小数値)を表したものである。請求項の記載においても同様である。

1…基材、1a…基材表面、2…溶射被膜、2a…溶射被膜表面、2b…溶射被膜裏面、3…微細孔、4…微細空隙、5…塗料、5′…塗膜、5′′…基材内に含浸し硬化した塗料、6…導電部材、6a…導電部材の一端部、6b…導電部材の他端部(突出部)、7…補強鉄筋、7a…横筋、7b…縦筋。

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