歯科用途および歯列矯正用途におけるセラミックの使用

申请号 JP2011103785 申请日 2011-05-06 公开(公告)号 JP5684644B2 公开(公告)日 2015-03-18
申请人 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー; スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー; 发明人 エム. キュミングス,ケビン; エム. キュミングス,ケビン; シー. ロルフ,ジャクリーン; シー. ロルフ,ジャクリーン; ゼット. ローゼンフランツ,アナトリー; ゼット. ローゼンフランツ,アナトリー; ピー. ラシン,リチャード; ピー. ラシン,リチャード; イー. スワンソン,ジェローム; イー. スワンソン,ジェローム;
摘要
权利要求
  • 少なくとも1種のガラスまたはガラス−セラミックを含む物品であって、前記少なくとも1種のガラスまたはガラス−セラミックが、
    a)前記ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして少なくとも40重量パーセントのAl 23と、Al 23以外 の金属酸化物とを含み、 前記Al 2 3 以外の金属酸化物はY ,REO(希土類元素酸化物をいう。以下、同じ。),MgO,TiO ,Cr ,CuO,NiO,Fe ,ZrO ,HfO ,CaO,SrO,Na O,Li O,CoO,MnO,V から選ばれ、前記ガラスまたはガラス−セラミックが、前記ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、B 23 、GeO 2 、P 25 、SiO 2 、TeO 2およびV 25を合わせて0〜10重量パーセントの量で含む;
    b)前記ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして少なくとも40重量パーセントのAl 23と、Al 23以外の第1の金属酸化物と、Al 23以外の第2の金属酸化物とを含み、前記Al 23と前記第1の金属酸化物と前記第2の金属酸化物が合わせて、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも80重量パーセントを構成し、前記第1の金属酸化物と前記第2の金属酸化物は異なるがそれぞれ独立してY ,REO,MgO,TiO ,Cr ,CuO,NiO,Fe ,ZrO ,HfO ,CaO,Sr ,Na O,Li O,CoO,MnO,V から選ばれる;
    c)Al 23と、RE Oとを含み、前記ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも80重量パーセントが、前記Al 23と前記REOとから合わせて構成されている;
    d)Al 23と、REOと、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とを含み、前記ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも80重量パーセントが、前記Al 23と、REOと、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とから合わせて構成されている;
    e)Al 23と、REOとを含み、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも60重量パーセントが、前記Al 23と、前記REOとから合わせて構成され、前記ガラスまたはガラス−セラミックが、前記ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、0〜20重量パーセントのSiO 2と0〜20重量パーセントのB 23とを含む;
    f)Al 23と、REOと、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とを含み、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも60重量パーセントが、前記Al 23と、REOと、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とから合わせて構成され、前記ガラスまたはガラス−セラミックが、前記ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、0〜20重量パーセントのSiO 2と0〜20重量パーセントのB 23とを含む;
    g)Al 23と、REOとを含み、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも60重量パーセントが、前記Al 23と、前記REOとから構成され、そして、前記ガラスまたはガラス−セラミックが、前記ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、SiO 2 、B 23およびP 25を合わせて0〜40重量パーセントの量で含む;または h)Al 23と、REOと、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とを含み、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも60重量パーセントが、前記Al 23と、REOと、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とから合わせて構成され、前記ガラスまたはガラス−セラミックが、前記ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、SiO 2 、B 23およびP 25を合わせて0〜40重量パーセントの量で含む;
    前記ガラス−セラミックが、互いに直交する三軸方向の寸法を有していて、前記三軸方向の寸法のそれぞれが、少なくとも5mmであり、そして前記物品が歯科用物品または歯科矯正装置の形態である、物品。
  • 硬化性樹脂とガラスまたはガラス−セラミックとの混合物を含む歯科材料であって、前記ガラスまたはガラス−セラミックが:
    a)前記ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして少なくとも40重量パーセントのAl 23と、Al 23以外 の金属酸化物とを含み、 前記Al 2 3 以外の金属酸化物はY ,REO(希土類元素酸化物をいう。以下、同じ。),MgO,TiO ,Cr ,CuO,NiO,Fe ,ZrO ,HfO ,CaO,SrO,Na O,Li O,CoO,MnO,V から選ばれ、前記ガラスまたはガラス−セラミックが、前記ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、B 23 、GeO 2 、P 25 、SiO 2 、TeO 2およびV 25を合わせて0〜10重量パーセントの量で含む;
    b)前記ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして少なくとも40重量パーセントのAl 23と、Al 23以外の第1の金属酸化物と、Al 23以外の第2の金属酸化物とを含み、前記Al 23と前記第1の金属酸化物と前記第2の金属酸化物が合わせて、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも80重量パーセントを構成し、前記第1の金属酸化物と前記第2の金属酸化物は異なるがそれぞれ独立してY ,REO,MgO,TiO ,Cr ,CuO,NiO,Fe ,ZrO ,HfO ,CaO,SrO,Na O,Li O,CoO,MnO,V から選ばれる;
    c)Al 23と、RE Oとを含み、前記ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも80重量パーセントが、前記Al 23と前記REOとから合わせて構成されている;
    d)Al 23と、REOと、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とを含み、前記ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも80重量パーセントが、前記Al 23と、REOと、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とから合わせて構成されている;
    e)Al 23とREOとを含み、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも60重量パーセントが、前記Al 23と、前記REOとから合わせて構成され、前記ガラスまたはガラス−セラミックが、前記ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、0〜20重量パーセントのSiO 2と0〜20重量パーセントのB 23とを含む;
    f)Al 23と、REOと、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とを含み、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも60重量パーセントが、前記Al 23と、REOと、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とから合わせて構成され、前記ガラスまたはガラス−セラミックが、前記ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、0〜20重量パーセントのSiO 2と0〜20重量パーセントのB 23とを含む;
    g)Al 23と、REOとを含み、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも60重量パーセントが、前記Al 23と、前記REOとから構成され、前記ガラスまたはガラス−セラミックが、前記ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、SiO 2 、B 23およびP 25を合わせて0〜40重量パーセントの量で含む;または h)Al 23と、REOと、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とを含み、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも60重量パーセントが、前記Al 23と、REOと、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とから合わせて構成され、前記ガラスまたはガラス−セラミックが、前記ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、SiO 2 、B 23およびP 25を合わせて0〜40重量パーセントの量で含む;
    の少なくとも1つを含む、歯科材料。
  • 说明书全文

    本発明は、歯科用途および歯列矯正用途におけるセラミックの使用に関する。

    たとえば歯牙の置換えや補修作業においては、性能や耐久性は高度に望ましい特性ではあるものの、医師や患者にとっての関心事は、それらだけには留まらない。 審美的価値、すなわち、口の中の歯科材料、物品および歯科矯正装置(orthodontic appliance)などがどのような外観をしているか、も同様に望ましい性質である。

    たとえば、歯科補綴学および修復歯科学においては、歯牙の置換え物や補綴物は、歯の構造内またはその上に適合する様に患者一人一人に合わせて形成されるが、口を開けたときに、そのような修復や補修を間近で他人に見られてしまうこともある。 したがって、そのような場合に、歯科材料が、隣接している歯の構造とほとんど見分けが付かないことが、極めて望ましい。

    補綴学および修復歯科学には、たとえば、修復材、歯牙の置換え物、インレー、アンレー、ベニア、全部または部分被覆冠、ブリッジ、インプラント、および継続歯などの、製造と装填を含む。 義歯を製造するために使用される従来からの材料としては、金、セラミック、アマルガム、陶材、および複合材料などを挙げることができる。 審美的価値の観点からは、アマルガムや金属よりも、陶材、複合材料、セラミックなどの方が見栄えがよいと考えられるが、それは、そのような非金属から製造した補綴物が、すぐ側にある天然歯の色にマッチし、調和するからである。

    歯科矯正装置(典型的には、曲がりのあるアーチワイヤを保持するためのスロッティッド・ボディズ(slotted bodies)であるブラケット、およびバンド付きアタッチメントが用いられている場合には、関連の歯バンド)としては、ステンレス鋼が理想的な材料であるが、その理由は、強度があり、非吸収性で、溶接が可能、成形と機械加工が比較的に容易であるからである。 しかしながら、金属製の歯科矯正装置の大きな欠点は、患者が笑ったときの化粧的外観にある。 歯科矯正治療を受けている成人や年長の子供たちがよくとまどうのは、金属製のバンドおよびブラケットによる「メタリック・スマイル(metallic smile)」と呼ばれる見栄えで、この問題については近年各種の改良が行われてきた。

    改良の1つの領域が非金属材料の使用である。 プラスチックとセラミック材料はいずれも、口の中の見栄えを改良し、多くの場合、目立って見える唯一の金属成分は細いアーチワイヤだけで、これは化粧的には許容される程度のものである。 プラスチックは理想的な材料とは言えないが、その理由は、金属のような構造的な強度を持たず、また汚れが付きやすいなどその他の問題もある。 サファイアのようなセラミックや、その他の透明で、結晶質の材料は、望ましくないプリズム効果を有している。 さらに、単結晶酸化アルミニウム歯科矯正装置は、歯科矯正治療の際に受ける荷重によって、劈開を起こす。 その他のセラミックはほとんどのものが不透明であって、そのために、歯の色にマッチングしないか、あるいは着色する必要がある。

    ガラスおよびガラス−セラミックは、歯牙の置換えおよび補修作業に用いられてきた。 歯科用製品の製造に使用される、リチウムジシリケート系の焼結性のガラス−セラミックは公知である。 たとえば、いくつかの組成物は、SiO 2 (57〜80重量%)およびLi 2 O(11〜19重量%)と微量成分のAl 23 、La 23 、MgO、ZnO、K 2 O、P 25およびその他の材料を主成分としている。 その他の例を挙げれば、50〜99重量部のアルミナおよび/またはジルコニア粉体と、1〜50重量部のガラス粉体とを含む、鋳造可能なセラミック−ガラス組成物がある。

    セラミックのデジタル機械加工(一般にCAD/CAMミリングと呼ばれる)は、有用な歯科用形状を形成させるための1つの方法である。 しかしながら、Al 23やZrO 2のように、完全に緻密化させた構造用セラミックを複雑な歯科用の形状に機械加工するのは、工具の摩耗が激しいために困難である。 この理由から、未焼成の(green)セラミック物体の機械加工を含む方法が開発されてきた(たとえば、3M・カンパニー(3M Company)からの、ラバ(LAVA)ZrO 2 )。

    1つの実施態様において、本発明は、歯科用物品または歯科矯正装置の形態のセラミックを含む物品を提供するが、ここで、そのセラミックは、セラミック、ガラス、またはガラス−セラミックの少なくとも1種を含み、それらは:
    a)ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、少なくとも35重量パーセントのAl 23と、Al 23以外の第1の金属酸化物とであって、前記ガラスまたはガラス−セラミックが、ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、B 23 、GeO 2 、P 25 、SiO 2 、TeO 2およびV 25を合わせて10重量パーセント以下の量で含む;
    b)ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、少なくとも35重量パーセントのAl 23と、Al 23以外の第1の金属酸化物とであって、前記Al 23と前記第1の金属酸化物が合わせて、ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも70重量パーセントを構成している;
    c)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種とであって、ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも80重量パーセントが、前記Al 23と前記REOまたはY 23の内の少なくとも1種とから合わせて構成されている;
    d)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とであって、ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも80重量パーセントが、前記Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とから合わせて構成されている;
    e)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種とであって、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも60重量パーセントが、Al 23と、前記REOまたはY 23の内の少なくとも1種とから合わせて構成され、前記ガラスまたはガラス−セラミックが、ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、20重量パーセント以下のSiO 2と20重量パーセント以下のB 23とを含む;
    f)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とであって、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも60重量パーセントが、前記Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とから合わせて構成され、前記ガラスまたはガラス−セラミックが、ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、20重量パーセント以下のSiO 2と20重量パーセント以下のB 23とを含む;
    g)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種とであって、
    前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも60重量パーセントが、Al 23と、前記REOまたはY 23の内の少なくとも1種とから構成され、前記ガラスまたはガラス−セラミックが、ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、SiO 2 、B 23およびP 25を合わせて40重量パーセント以下の量で含む;
    h)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とであって、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも60重量パーセントが、前記Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とから合わせて構成され、前記ガラスまたはガラス−セラミックが、ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、SiO 2 、B 23およびP 25を合わせて40重量パーセント以下の量で含む;または i)少なくとも13GPaの平均硬度を有するガラス−セラミック、を含み 前記ガラス−セラミックが、互いに直交するx、yおよびz軸方向寸法を有していて、前記x、yおよびz軸方向寸法のそれぞれが、少なくとも5mmである。

    また別な実施態様において、本発明は、硬化性樹脂と、ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも1種を含むセラミックとの混合物を含む歯科材料を提供するが、ガラスまたはガラス−セラミックは:
    a)ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、少なくとも35重量パーセントのAl 23と、Al 23以外の第1の金属酸化物とであって、前記ガラスまたはガラス−セラミックが、ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、B 23 、GeO 2 、P 25 、SiO 2 、TeO 2およびV 25を合わせて10重量パーセント以下の量で含む;
    b)ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、少なくとも35重量パーセントのAl 23と、Al 23以外の第1の金属酸化物とであって、前記Al 23と前記第1の金属酸化物が合わせて、ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも70重量パーセントを構成している;
    c)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種とであって、ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも80重量パーセントが、前記Al 23と前記REOまたはY 23の内の少なくとも1種とから合わせて構成されている;
    d)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とであって、ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも80重量パーセントが、前記Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とから合わせて構成されている;
    e)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種とであって、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも60重量パーセントが、Al 23と、前記REOまたはY 23の内の少なくとも1種とから合わせて構成され、前記ガラスまたはガラス−セラミックが、ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、20重量パーセント以下のSiO 2と20重量パーセント以下のB 23とを含む;
    f)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とであって、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも60重量パーセントが、前記Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とから合わせて構成され、前記ガラスまたはガラス−セラミックが、ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、20重量パーセント以下のSiO 2と20重量パーセント以下のB 23とを含む;
    g)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種とであって、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも60重量パーセントが、Al 23と、前記REOまたはY 23の内の少なくとも1種とから構成され、前記ガラスまたはガラス−セラミックが、ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、SiO 2 、B 23およびP 25を合わせて40重量パーセント以下の量で含む;
    h)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とであって、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも60重量パーセントが、前記Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とから合わせて構成され、前記ガラスまたはガラス−セラミックが、ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、SiO 2 、B 23およびP 25を合わせて40重量パーセント以下の量で含む;または i)少なくとも13GPaの平均硬度を有するガラス−セラミック、を含む。

    また別な実施態様において、本発明は、歯科用物品または歯科矯正装置を作製するための方法を提供するが、それは以下の 歯科用または矯正用ミルブランクを備える工程および 歯科用または矯正用ミルブランクを彫刻する工程、を含み、
    前記ミルブランクは、ガラスまたはガラス−セラミックを含み、それは以下のうちの少なくとも1つを含む:
    a)ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、少なくとも35重量パーセントのAl 23と、Al 23以外の第1の金属酸化物とであって、前記ガラスまたはガラス−セラミックが、ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、B 23 、GeO 2 、P 25 、SiO 2 、TeO 2およびV 25を合わせて10重量パーセント以下の量で含む;
    b)ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、少なくとも35重量パーセントのAl 23と、Al 23以外の第1の金属酸化物とであって、前記Al 23と前記第1の金属酸化物とが合わせて、ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも70重量パーセントを構成している;
    c)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種とであって、ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも80重量パーセントが、前記Al 23と前記REOまたはY 23の内の少なくとも1種とから合わせて構成されている;
    d)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とであって、ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも80重量パーセントが、前記Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とから合わせて構成されている;
    e)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種とであって、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも60重量パーセントが、Al 23と、前記REOまたはY 23の内の少なくとも1種とから合わせて構成され、前記ガラスまたはガラス−セラミックが、ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、20重量パーセント以下のSiO 2と20重量パーセント以下のB 23とを含む;
    f)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とであって、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも60重量パーセントが、前記Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とから合わせて構成され、前記ガラスまたはガラス−セラミックが、ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、20重量パーセント以下のSiO 2と20重量パーセント以下のB 23とを含む;
    g)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種とであって、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも60重量パーセントが、Al 23と、前記REOまたはY 23の内の少なくとも1種とから構成され、前記ガラスまたはガラス−セラミックが、ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、SiO 2 、B 23およびP 25を合わせて40重量パーセント以下の量で含む;
    h)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とであって、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも60重量パーセントが、前記Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とから合わせて構成され、前記ガラスまたはガラス−セラミックが、ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、SiO 2 、B 23およびP 25を合わせて40重量パーセント以下の量で含む;または i)少なくとも13GPaの平均硬度を有するガラス−セラミック。

    また別な実施態様において、本発明は、歯科用物品または歯科矯正装置を作製するための方法を提供するが、それは以下の工程 ガラスを、そのガラスのT gより高い温度に加熱して、ガラスを融合させる、または流動させて、形状を有する歯科用物品または歯科矯正装置を形成する工程;および 前記融合物品を冷却する工程、を含み、
    前記ガラスは以下のうちの少なくとも1つを含む:
    a)ガラスの全重量を基準にして、少なくとも35重量パーセントのAl 23と、Al 23以外の第1の金属酸化物とであって、前記セラミックが、前記ガラスの全重量を基準にして、B 23 、GeO 2 、P 25 、SiO 2 、TeO 2およびV 25を合わせて10重量パーセント以下の量で含む;
    b)ガラスの全重量を基準にして、少なくとも35重量パーセントのAl 23と、Al 23以外の第1の金属酸化物とであって、前記Al 23と前記第1の金属酸化物とが合わせて、ガラスの少なくとも70重量パーセントを構成する;
    c)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種とであって、ガラスの全重量を基準にして、前記ガラスの少なくとも80重量パーセントが、前記Al 23と前記REOまたはY 23の内の少なくとも1種とから合わせて構成されている;
    d)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とであって、ガラスの全重量を基準にして、前記ガラスの少なくとも80重量パーセントが、前記Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とから合わせて構成されている;
    e)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種とであって、
    前記ガラスの少なくとも60重量パーセントが、Al 23と、前記REOまたはY 23の内の少なくとも1種とから合わせて構成され、前記ガラスが、ガラスの全重量を基準にして、20重量パーセント以下のSiO 2と20重量パーセント以下のB 23とを含む;
    f)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とであって、前記ガラスの少なくとも60重量パーセントが、前記Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とから合わせて構成され、前記ガラスが、ガラスの全重量を基準にして、20重量パーセント以下のSiO 2と20重量パーセント以下のB 23とを含む;
    g)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種とであって、前記ガラスの少なくとも60重量パーセントが、Al 23と、前記REOまたはY 23の内の少なくとも1種とから構成され、前記ガラスが、ガラスの全重量を基準にして、SiO 2 、B 23およびP 25を合わせて40重量パーセント以下の量で含む;または、
    h)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とであって、前記ガラスの少なくとも60重量パーセントが、前記Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とから合わせて構成され、前記ガラスが、ガラスの全重量を基準にして、SiO 2 、B 23およびP 25を合わせて40重量パーセント以下の量で含む。

    また別な実施態様において、本発明は、歯科用物品または歯科矯正装置を作製するための方法を提供するが、それは以下の工程 ガラスまたはガラス−セラミックを硬化性樹脂と組み合わせて、混合物を形成する工程と 歯科用物品または歯科矯正装置の形状を形成する工程と 前記混合物を硬化させて歯科用物品または歯科矯正装置を形成する工程と、を含み、
    前記ガラスまたはガラス−セラミックは、以下のうちの少なくとも1つを含む:
    a)ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、少なくとも35重量パーセントのAl 23と、Al 23以外の第1の金属酸化物とであって、前記ガラスまたはガラス−セラミックが、ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、B 23 、GeO 2 、P 25 、SiO 2 、TeO 2およびV 25を合わせて10重量パーセント以下の量で含む;
    b)ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、少なくとも35重量パーセントのAl 23と、Al 23以外の第1の金属酸化物とであって、前記Al 23と前記第1の金属酸化物とが合わせて、ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも70重量パーセントを構成している;
    c)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種とであって、ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも80重量パーセントが、前記Al 23と前記REOまたはY 23の内の少なくとも1種とから合わせて構成されている;
    d)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とであって、ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも80重量パーセントが、前記Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とから合わせて構成されている;
    e)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種とであって、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも60重量パーセントが、Al 23と、前記REOまたはY 23の内の少なくとも1種とから合わせて構成され、前記ガラスまたはガラス−セラミックが、ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、20重量パーセント以下のSiO 2と20重量パーセント以下のB 23とを含む;
    f)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とであって、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも60重量パーセントが、前記Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とから合わせて構成され、前記ガラスまたはガラス−セラミックが、ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、20重量パーセント以下のSiO 2と20重量パーセント以下のB 23とを含む;
    g)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種とであって、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも60重量パーセントが、Al 23と、前記REOまたはY 23の内の少なくとも1種とから構成され、前記ガラスまたはガラス−セラミックが、ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、SiO 2 、B 23およびP 25を合わせて40重量パーセント以下の量で含む;
    h)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とであって、前記ガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも60重量パーセントが、前記Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とから合わせて構成され、前記ガラスまたはガラス−セラミックが、ガラスまたはガラス−セラミックの全重量を基準にして、SiO 2 、B 23およびP 25を合わせて40重量パーセント以下の量で含む;または i)少なくとも13GPaの平均硬度を有するガラス−セラミック。

    また別な実施態様において、本発明は、歯科用物品または歯科矯正装置を作製するための方法を提供するが、それは以下の工程 粒子が融合して成形物品を形成するように、金属酸化物源を含む粒子を適切な基材の上にプラズマ噴霧または加熱噴霧する工程;および、
    場合により、その成形された物品または歯科矯正装置を、前記基材から分離させる工程、を含み、
    前記成形物品は以下のうちの少なくとも1つを含む:
    a)ガラスの全重量を基準にして、少なくとも35重量パーセントのAl 23と、Al 23以外の第1の金属酸化物とであって、前記ガラスが、前記ガラスの全重量を基準にして、B 23 、GeO 2 、P 25 、SiO 2 、TeO 2およびV 25を合わせて10重量パーセント以下の量で含む;
    b)ガラスの全重量を基準にして、少なくとも35重量パーセントのAl 23と、Al 23以外の第1の金属酸化物とであって、前記Al 23と前記第1の金属酸化物とが合わせて、ガラスの少なくとも70重量パーセントを構成している;
    c)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種とであって、ガラスの全重量を基準にして、前記ガラスの少なくとも80重量パーセントが、前記Al 23と前記REOまたはY 23の内の少なくとも1種とから合わせて構成されている;
    d)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とであって、ガラスの全重量を基準にして、前記ガラスの少なくとも80重量パーセントが、前記Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とから合わせて構成されている;
    e)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種とであって、前記ガラスの少なくとも60重量パーセントが、Al 23と、前記REOまたはY 23の内の少なくとも1種とから合わせて構成され、前記ガラスが、ガラスの全重量を基準にして、20重量パーセント以下のSiO 2と20重量パーセント以下のB 23とを含む;
    f)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とであって、前記ガラスの少なくとも60重量パーセントが、前記Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とから合わせて構成され、前記ガラスが、ガラスの全重量を基準にして、20重量パーセント以下のSiO 2と20重量パーセント以下のB 23とを含む;
    g)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種とであって、前記ガラスの少なくとも60重量パーセントが、Al 23と、前記REOまたはY 23の内の少なくとも1種とから構成され、前記ガラスが、ガラスの全重量を基準にして、SiO 2 、B 23およびP 25を合わせて40重量パーセント以下の量で含む;または、
    h)Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とであって、前記ガラスの少なくとも60重量パーセントが、前記Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とから合わせて構成され、前記ガラスが、ガラスの全重量を基準にして、SiO 2 、B 23およびP 25を合わせて40重量パーセント以下の量で含む。

    また別な実施態様において、本発明は、複数の歯科用または矯正用構成要素を含むキットを提供するが、ここで、その構成要素の少なくとも1つには、本明細書に記載するガラスまたはガラス−セラミックの少なくとも1つを含む歯科材料、歯科用物品、または歯科矯正装置が含まれる。

    また別な実施態様において、本発明は、歯科修復を実施するための方法を提供し、それに含まれるのは:
    修復すべき歯の部分を準備する工程;および 本明細書に記載されたセラミック、ガラス、またはガラス−セラミックの少なくとも1つを含む修復材料を適用する工程、である。

    熱間圧縮させたセラミックの光学顕微鏡写真のデジタル画像である。

    1300℃で加熱処理した実施例1の材料から研磨したサンプルの、走査型電子顕微鏡(SEM)写真のデジタル画像である。

    1400℃で加熱処理した実施例1の材料から研磨したサンプルの、走査型電子顕微鏡(SEM)写真のデジタル画像である。

    実施例1の材料のDTA曲線である。

    実施例1の材料を用いてミリング加工した歯科修復物、および標準的な材料(パラダイム(PARADIGM)MZ100)を用いてミリング加工した、比較のための歯科修復物の写真である。

    本明細書における定義を以下に述べる:
    「非晶質物質」という用語は、融解物および/または気相から得られる物質でX線回折で測定したときに長距離(long range)の結晶構造を示さないものおよび/または、本明細書の中で「示差熱分析」として記述している試験法により測定されるような、DTA(示差熱分析)で測定したときに非晶質物質の結晶化に相当する発熱ピークを示すものを指す;
    「セラミック」という用語には、非晶質物質、ガラス、結晶質セラミック、ガラス−セラミック、およびそれらの組み合わせを含む;
    「複合金属酸化物」という用語は、2種またはそれ以上の異なる金属元素と酸素とを含む金属酸化物(たとえば、CeAl 1118 、Dy 3 Al 512 、MgAl 24 、およびY 3 Al 512 )を指す;
    「複合Al 23・金属酸化物」という用語は、理論的酸化物基準で、Al 23と1種または複数のAl以外の金属元素を含む複合金属酸化物(たとえば、CeAl 1118 、Dy 3 Al 512 、MgAl 24 、およびY 3 Al 512 )を指す;
    「複合Al 23・Y 23 」という用語は、理論的酸化物基準で、Al 23とY 23とを含む複合金属酸化物(たとえば、Y 3 Al 512 )を指す;
    「複合Al 23・REO」という用語は、理論的酸化物基準で、Al 23と希土類酸化物とを含む複合金属酸化物(たとえば、CeAl 1118およびDy 3 Al 512 )を指す;
    「歯科用物品(dental article」という用語は、修復歯列またはその一部を指す。例を挙げれば、修復材、歯牙の置換え物、インレー、アンレー、ベニア、全部および部分被覆冠、ブリッジ、インプラント、インプラント支台、コーピング、前歯充填、後歯充填、窩洞裏装材、シーラント、義歯、継続歯、およびブリッジフレームワークなどがある;
    「歯科材料」という用語は、硬化させたときに歯科用物品が形成できる、ペーストのような歯科用組成物を指す;
    「ガラス」という用語は、ガラス転移温度を示す非晶質物質を指す;
    「ガラス−セラミック」という用語は、非晶質物質を加熱処理することによって形成される結晶を含むセラミックを指す;
    「硬化性(hardenable)」という用語は、(たとえば、加熱をして溶媒を除去したり、加熱により重合を起こさせたり、化学的な架橋をしたり、放射線により誘導される重合や架橋をさせたり、あるいはその他の方法によって)硬化または凝固させることが可能な材料を指す;
    「硬化させた(hardened)」という用語は、(たとえば、加熱をして溶媒を除去したり、加熱により重合を起こさせたり、化学的な架橋をしたり、放射線により誘導される重合や架橋をさせたり、あるいはその他の方法によって)硬化または凝固させた材料を指す;
    「硬化(hardening)」という用語は、(たとえば、加熱をして溶媒を除去したり、加熱により重合を起こさせたり、化学的な架橋をしたり、放射線により誘導される重合や架橋をさせたり、あるいはその他の方法によって)硬化または凝固させる方法を指す;
    「歯科矯正装置(orthodontic appliance)」という用語は、歯牙の上に装着する目的の各種のデバイスであって、アーチワイヤ、バネ、弾性体、またはその他のを加えることができる構成要素からの矯正のための力を、歯牙に与えるために用いるものを指す。 その例としては、ブラケット、バッカルチューブ、クリート、およびボタンなどが挙げられる;
    「補綴物(prosthesis)」としては、歯冠、ブリッジ、インレー、アンレー、ベニア、コーピング、フレームワーク、および支台などを挙げることができる;
    「修復材(restoratiave)」としては、ベニア、歯冠、インレー、アンレー、およびブリッジ構造などを挙げることができる;
    「T g ]という用語は、本明細書の中で「示差熱分析」として記述している試験法により測定されるガラス転移温度を指す;
    「T x ]という用語は、本明細書の中で「示差熱分析」として記述している試験法により測定される結晶化温度を指す;
    「希土類酸化物」という用語は、酸化セリウム(たとえば、CeO 2 )、酸化ジスプロシウム(たとえば、Dy 23 )、酸化エルビウム(たとえば、Er 23 )、酸化ユウロピウム(たとえば、Eu 23 )、ガドリニウム(たとえば、Gd 23 )、酸化ホルミウム(たとえば、Ho 23 )、酸化ランタン(たとえば、La 23 )、酸化ルテチウム(たとえば、Lu 23 )、酸化ネオジム(たとえば、Nd 23 )、酸化プラセオジム(たとえば、Pr 611 )、酸化サマリウム(たとえば、Sm 23 )、テルビウム(たとえば、Tb 23 )、酸化トリウム(たとえば、Th 47 )、ツリウム(たとえば、Tm 23 )、および酸化イッテルビウム(たとえば、Yb 23 )、ならびにそれらの組み合わせなどを指す;そして 「REO]という用語は、希土類酸化物(類)を指す。

    さらに本明細書においては、たとえばガラス−セラミックの中で、金属酸化物(たとえば、Al 23 、複合Al 23・金属酸化物など)が結晶質であると特に記述している以外では、それは、非晶質であっても、結晶質であっても、あるいは部分的に非晶質で部分的に結晶質であってもよい、と理解すべきである。 たとえば、ガラス−セラミックにAl 23とZrO 2とが含まれている場合には、そのAl 23とZrO 2のそれぞれが、非晶質状態でも、結晶質状態でも、または一部が非晶質状態で一部が結晶質状態でも、さらには他の金属酸化物(類)との反応生成物であってもよい(例を挙げれば、たとえばAl 23が結晶質のAl 23またはAl 23の特定の結晶質相(たとえば、アルファAl 23 )として存在していると特に記述していない場合には、それは、結晶質Al 23および/または部分的に1種または複数の結晶質の複合Al 23・金属酸化物として存在していてもよい)。

    さらに、T gを示さない非晶質物質を加熱することによって形成されるガラス−セラミックは、実際にはガラスを含まず、むしろ結晶とT gを示さない非晶質物質とを含んでいてもよい、ということは理解されたい。

    本明細書に記載されたセラミック、ガラス、およびガラス−セラミックを歯科用途および歯列矯正用途に使用することのメリットをいくつか挙げてみれば、複雑な形状の物品への加工性が改良されると同時に、構造用セラミック(たとえば、Al 23およびZrO 2 )に匹敵するような優れた材料物性が得られることがある。 それらの有用な歯科用の形状は、ガラスに似た粘性流動や、あるいは非晶質または半結晶質状態にあるブランクの加工性によって、もたらされる。

    セラミック、ガラス、およびガラス−セラミック 本発明におけるいくつかの実施態様において、セラミック、ガラスおよびガラス−セラミックは、セラミック、ガラス、またはガラス−セラミック、それぞれの全重量を基準にして、少なくとも35(いくつかの実施態様においては、少なくとも40、45、50、55、60、65、70、またはさらには少なくとも75)重量パーセントのAl 23と、Al 23以外の第1の金属酸化物(たとえば、Y 23 、REO、MgO、TiO 2 、Cr 23 、CuO、NiO、およびFe 23 )と、場合によってはAl 23以外の第2の(第3の、など)異なった金属酸化物(たとえば、Y 23 、REO、MgO、TiO 2 、Cr 23 、CuO、NiO、およびFe 23 )とを含み、そのガラスまたはガラス−セラミックのそれぞれは、ガラスまたはガラス−セラミックのそれぞれの全重量を基準にして、B 23 、GeO 2 、P 25 、SiO 2 、TeO 2およびV 25を、合わせて10(いくつかの実施態様においては、5、4、3、2、1、または0)重量パーセント以下の量で含む。 ガラス−セラミックの実施態様では、少なくとも13GPa、14GPa、15GPa、16GPa、17GPa、18GPa、またはさらには少なくとも19GPaの平均硬度を有する。

    本発明におけるいくつかの実施態様において、ガラスおよびガラス−セラミックは、セラミック、ガラス、またはガラス−セラミック、それぞれの全重量を基準にして、少なくとも35(いくつかの実施態様においては、少なくとも40、45、50、55、60、65、70、またはさらには少なくとも75)重量パーセントのAl 23と、Al 23以外の第1の金属酸化物(たとえば、Y 23 、REO、MgO、TiO 2 、Cr 23 、CuO、NiO、およびFe 23 )と、場合によってはAl 23以外の第2の(第3の、など)異なった金属酸化物(たとえば、Y 23 、REO、MgO、TiO 2 、Cr 23 、CuO、NiO、およびFe 23 )とを含み、そのAl 23 、第1の金属酸化物、および第2の金属酸化物が合わせて、セラミック、ガラス、またはガラス−セラミックそれぞれの、少なくとも80重量パーセント(いくつかの実施態様においては、少なくとも85、90、95、または100重量パーセント)を構成し、セラミック、ガラス、またはガラス−セラミックは、セラミック、ガラス、またはガラス−セラミック、それぞれの全重量を基準にして、合わせて20(いくつかの実施態様においては、15、10、5、4、3、2、1以下、またはさらには0)重量パーセント以下のB 23 、GeO 2 、P 25 、SiO 2 、TeO 2 、およびV 25を含む。 ガラス−セラミックの実施態様では、少なくとも13GPa、14GPa、15GPa、16GPa、17GPa、18GPa、またはさらには少なくとも19GPaの平均硬度を有する。

    本発明におけるいくつかの実施態様において、セラミック、ガラス、およびガラス−セラミックは、Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種とを含み、セラミック、ガラス、またはガラス−セラミック、それぞれの全重量を基準にして、セラミック、ガラス、またはガラス−セラミックそれぞれの少なくとも80(いくつかの実施態様においては、少なくとも85、90、95、さらには100)重量パーセントが、Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種とから合わせて構成されている。

    本発明におけるいくつかの実施態様において、セラミック、ガラス、およびガラス−セラミックは、Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とを含み、セラミック、ガラス、またはガラス−セラミック、それぞれの全重量を基準にして、セラミック、ガラス、またはガラス−セラミックそれぞれの少なくとも80(いくつかの実施態様においては、少なくとも85、90、95、さらには100)重量パーセントが、Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とから合わせて構成されている。 ガラス−セラミックの実施態様では、少なくとも13GPa、14GPa、15GPa、16GPa、17GPa、18GPa、またはさらには少なくとも19GPaの平均硬度を有する。

    本発明におけるいくつかの実施態様において、セラミック、ガラス、およびガラス−セラミックは、Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種とを含み、セラミック、ガラス、またはガラス−セラミックそれぞれの、少なくとも60(いくつかの実施態様においては、65、70、75、80、85、90、95、またはさらには少なくとも100)重量パーセントが、Al 23とREOまたはY 23の内の少なくとも1種とから合わせて構成され、セラミック、ガラス、またはガラス−セラミック、それぞれが、セラミック、ガラス、またはガラス−セラミック、それぞれの全重量を基準にして、20(いくつかの実施態様においては、15、10、5以下、またはさらには0)重量パーセント以下のSiO 2と、20(いくつかの実施態様においては、15、10、5以下、またはさらには0)重量パーセント以下のB 23とを含み、ガラス−セラミックの実施態様では、少なくとも13GPa、14GPa、15GPa、16GPa、17GPa、18GPa、またはさらには少なくとも19GPaの平均硬度を有する。

    本発明におけるいくつかの実施態様において、セラミック、ガラス、およびガラス−セラミックは、Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とを含み、セラミック、ガラス、またはガラス−セラミックそれぞれの、少なくとも60(いくつかの実施態様においては、65、70、75、80、85、90、95、またはさらには少なくとも100)重量パーセントが、Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とから合わせて構成され、セラミック、ガラス、またはガラス−セラミック、それぞれが、セラミック、ガラス、またはガラス−セラミック、それぞれの全重量を基準にして、20(いくつかの実施態様においては、15、10、5未満、またはさらには0)重量パーセント以下のSiO 2と、20(いくつかの実施態様においては、15、10、5以下、またはさらには0)重量パーセント以下のB 23とを含み、ガラス−セラミックの実施態様では、少なくとも13GPa、14GPa、15GPa、16GPa、17GPa、18GPa、またはさらには少なくとも19GPaの平均硬度を有する。

    本発明におけるいくつかの実施態様において、セラミック、ガラス、およびガラス−セラミックは、Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種とを含み、セラミック、ガラス、またはガラス−セラミックそれぞれの、少なくとも60(いくつかの実施態様においては、65、70、75、80、85、90、95、またはさらには少なくとも100)重量パーセントが、Al 23とREOまたはY 23の内の少なくとも1種とから構成され、セラミック、ガラス、またはガラス−セラミック、それぞれの全重量を基準にして、セラミック、ガラス、またはガラス−セラミックのそれぞれがSiO 2 、B 23およびP 25を合わせて40(いくつかの実施態様においては、35、30、25、20、15、10、5以下、またはさらには0)重量パーセント以下の量で含む。 ガラス−セラミックの実施態様では、少なくとも13GPa、14GPa、15GPa、16GPa、17GPa、18GPa、またはさらには少なくとも19GPaの平均硬度を有する。

    本発明におけるいくつかの実施態様において、セラミック、ガラス、およびガラス−セラミックは、Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とを含み、セラミック、ガラス、またはガラス−セラミックそれぞれの、少なくとも60(いくつかの実施態様においては、65、70、75、80、85、90、95、またはさらには少なくとも100)重量パーセントが、Al 23と、REOまたはY 23の内の少なくとも1種と、ZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種とから合わせて構成され、セラミック、ガラス、またはガラス−セラミック、それぞれの全重量を基準にして、セラミック、ガラス、またはガラス−セラミックのそれぞれがSiO 2 、B 23およびP 25を合わせて40(いくつかの実施態様においては、35、30、25、20、15、10、5以下、またはさらには0)重量パーセント以下の量で含む。 ガラス−セラミックの実施態様では、少なくとも13GPa、14GPa、15GPa、16GPa、17GPa、18GPa、またはさらには少なくとも19GPaの平均硬度を有する。

    本発明によるガラス−セラミックのいくつかの実施態様では、たとえば少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、さらには100体積パーセントのガラスを含む。 本発明によるガラス−セラミックのいくつかの実施態様では、ガラス−セラミックの全体積を基準にして、たとえば少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99、さらには100体積パーセントの結晶質セラミックを含む。

    ガラスを作製するために使用されるいくつかの非晶質物質および、それらから作製されるガラス−セラミックは、非晶質物質またはガラス−セラミックの全重量を基準にして、20から少なくとも70重量パーセント(いくつかの実施態様においては、30から少なくとも70パーセント、40から少なくとも70パーセント、50から少なくとも70パーセント、さらには60から少なくとも70パーセント)のAl 23 ;0〜70重量パーセント(いくつかの実施態様においては、0〜25パーセント、さらには0〜10パーセント)のY 23 ;および0〜70重量パーセント(いくつかの実施態様においては、0〜50パーセント、0〜25パーセント、さらには0〜10パーセント)のZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種を含む。 いくつかの実施態様においては、そのような非晶質物質、およびそれらから作製されるガラス−セラミックは、非晶質物質またはガラス−セラミックの全重量を基準にして、少なくとも30重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、またはさらには少なくとも70重量パーセントのAl 23を含む。 いくつかの実施態様においては、そのような非晶質物質、およびそれらから作製されるガラス−セラミックは、非晶質物質またはガラス−セラミックの全重量を基準にして、40(いくつかの実施態様においては、35、30、25、20、15、10、5、4、3、2、1未満、またはさらには0)重量パーセント未満の量でSiO 2 、B 23 、およびP 25を合わせて含む。 いくつかの実施態様においては、そのような非晶質物質、およびそれらから作製されるガラス−セラミックは、非晶質物質またはガラス−セラミックの全重量を基準にして、20(いくつかの実施態様においては、15、10、5未満、またはさらには0)重量パーセント未満のSiO 2と、20(好ましくは、15、10、5未満、またはさらには0)重量パーセント未満のB 23とを含む。

    ガラスを作製するために使用されるいくつかの非晶質物質および、それらから作製されるガラス−セラミックは、非晶質物質またはガラス−セラミックの全重量を基準にして、20から少なくとも70重量パーセント(いくつかの実施態様においては、30から少なくとも70パーセント、40から少なくとも70パーセント、50から少なくとも70パーセント、さらには60から少なくとも70パーセント)のAl 23 ;0〜70重量パーセント(いくつかの実施態様においては、0〜50パーセント、0〜25パーセント、またはさらには0〜10パーセント)のREO;0〜50重量パーセント(いくつかの実施態様においては、0〜25パーセント、またはさらには0〜10パーセント)のZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種を含む。 いくつかの実施態様においては、そのような非晶質物質、およびそれらから作製されるガラス−セラミックは、非晶質物質またはガラス−セラミックの全重量を基準にして、30重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、またはさらには少なくとも70重量パーセントのAl 23を含む。 いくつかの実施態様においては、そのような非晶質物質、およびそれらから作製されるガラス−セラミックは、非晶質物質またはガラス−セラミックの全重量を基準にして、40(いくつかの実施態様においては、35、30、25、20、15、10、5、4、3、2、1未満、またはさらには0)重量パーセント未満の量でSiO 2 、B 23 、およびP 25を合わせて含む。 いくつかの実施態様においては、そのようなガラス、およびそれらから作製されるガラス−セラミックには、非晶質物質またはガラス−セラミックの全重量を基準にして、20(いくつかの実施態様においては、15、10、5未満、またはさらには0)重量パーセント未満のSiO 2と、20(いくつかの実施態様においては、15、10、5未満、またはさらには0)重量パーセント未満のB 23とを含む。

    ガラスを作製するために使用されるいくつかの非晶質物質および、それらから作製されるガラス−セラミックは、非晶質物質またはガラス−セラミックの全重量を基準にして、20から少なくとも70重量パーセント(いくつかの実施態様においては、30から少なくとも70パーセント、40から少なくとも70パーセント、50から少なくとも70パーセント、またはさらには60〜70パーセント)のAl 23 ;0〜70重量パーセント(いくつかの実施態様においては、0〜50パーセント、0〜25パーセント、またはさらには0〜10パーセント)のY 23 ;0〜70重量パーセント(いくつかの実施態様においては、0〜50パーセント、0〜25パーセント、またはさらには0〜10パーセント)のREO;0〜50重量パーセント(いくつかの実施態様においては、0〜25パーセント、またはさらには0〜10パーセント)のZrO 2またはHfO 2の内の少なくとも1種を含む。 いくつかの実施態様においては、そのような非晶質物質、およびそれらから作製されるガラス−セラミックは、非晶質物質またはガラス−セラミックの全重量を基準にして、少なくとも30重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、またはさらには少なくとも70重量パーセントのAl 23を含む。 いくつかの実施態様においては、そのような非晶質物質、およびそれらから作製されるガラス−セラミックは、非晶質物質またはガラス−セラミックの全重量を基準にして、40(いくつかの実施態様においては、35、30、25、20、15、10、5、4、3、2、1未満、またはさらには0)重量パーセント未満の量でSiO 2 、B 23 、およびP 25を合わせて含む。 いくつかの実施態様においては、そのような非晶質物質、およびそれらから作製されるガラス−セラミックは、非晶質物質またはガラス−セラミックの全重量を基準にして、20(いくつかの実施態様においては、15、10、5未満、またはさらには0)重量パーセント未満のSiO 2と、20(いくつかの実施態様においては、15、10、5未満、またはさらには0)重量パーセント未満のB 23とを含む。

    非晶質物質(たとえば、ガラス)、その非晶質物質を含むセラミック、その非晶質物質を含む粒子などは、たとえば、適当な金属酸化物源を(たとえば火炎中で)加熱して、それによって、融解物、望ましくは均質な融解物を形成させ、次いでその融解物を急冷することにより非晶質物質を得ることができる。 金属酸化物源とその他の添加物は、ガラスまたはガラス−セラミックを作製するために使用される、プロセスと装置に適した形態であれば、どのようなものであってもよい。 望ましい冷却速度としては、10K/s以上である。 実施態様の非晶質物質は、各種の好適な炉(たとえば、誘導加熱炉、ガスだき炉、または電気炉)またはたとえば、プラズマ中で、金属酸化物源を融解させることによって作製することができる。 得られた融解物を冷却する(たとえば、融解物を冷却媒体(たとえば、高速空気ジェット、液状物、金属プレート(冷却金属プレートを含む)、金属ロール(冷却金属ロールを含む)、金属ボール(冷却金属ボールを含む)、その他)中に吐出する)。

    さらに、融解物およびガラスを作製したり、別な方法として非晶質物質を形成させたりするための別な技術としては、気相急冷法、溶融急冷法、プラズマ溶射、およびガス噴霧法または遠心噴霧法などが挙げられる。 プラズマ溶射に関するさらに詳しいことは、たとえば、同時係属出願中の、米国特許出願第10/211,640号明細書(2002年8月2日出願)を参照されたい。

    ガス噴霧法には、フィード粒子を融解させることが含まれていて、それらを転化させて融解物とする。 そのように融解させたものの希薄な流れを、乱流を起こさせるための空気ジェットと接触させることによって霧化させる(すなわち、その流れを微細な液滴に分散させる)。 次いで、そのようにして得られる、実質的にばらばらになって、通常は楕円体の非晶質物質を含有する粒子(たとえば、ビーズ)を回収する。 ビーズの大きさの例をあげれば、その直径が5マイクロメートルから3mmである。 融解急冷法はたとえば、米国特許第5,605,870号明細書に開示されているような方法で実施することができる。 たとえば米国特許第6,482,758号明細書に開示されているような、レーザービーム加熱を用いた、無容器ガラス成形法技術もまた、ガラス、ガラス−セラミックおよび非晶質物質を作製するのに有用である。

    実施態様の非晶質物質は、たとえば米国特許第6,254,981号明細書に開示されているような、火炎溶融を用いて作製することも可能である。 この方法では、金属酸化物源物質を(たとえば、「フィード粒子」と呼ばれることもある、粒子の形で)直接バーナー(たとえば、メタン−空気バーナー、アセチレン−酸素バーナー、素−酸素バーナー、など)の中にフィードし、次いで、水、冷却油、空気などの中で急冷させる。 フィード粒子は、金属酸化物源を、たとえば粉砕、凝集(たとえば、スプレー乾燥)、融解、または焼結させることによって形成させることが可能である。 通常は火炎中にフィードするフィード粒子の大きさによって、生成してくる粒子を含む非晶質物質の大きさが決まる。

    実施態様の非晶質物質はまた、その他の方法によって作ることもできるが、そのようなものとしては、自由落下冷却(free fall cooling)を伴うレーザースピン融解法、テイラーワイヤー法、プラズマトロン法、ハンマー・アンド・アンビル法、遠心急冷法、エアガン・スプラット冷却法、1本ローラーまたは2本ローラー急冷法、ローラープレート急冷法、およびペンダント・ドロップ融解急冷法などがある(たとえば、ブロックウェイ(Brockway)ら、『ラピッド・ソリディフィケーション・オブ・セラミック(Rapid Solidification of Ceramics)』、メタルズ・アンド・セラミック・インフォメーション・センター、ア・デパートメント・オブ・ディフェンス・インフォメーション・アナリシス・センター(Metals And Ceramics Information Center、Department of Defense Information Analysis Center)、オハイオ州、コロンバス(Columbus、OH)、1984年、1月を参照されたい)。 実施態様の非晶質物質はまた、それ以外の方法でも得ることができ、そのようなものとしては、適当な前駆体を(火炎またはレーザーまたはプラズマを使用して)熱分解する方法、金属前駆体の物理的気相合成(PVS)法、および機械化学的加工法などが挙げられる。

    冷却速度が急冷された非晶質物質の性質に影響すると考えられる。 たとえば、ガラスのガラス転移温度、密度、およびその他の性質は、冷却速度によって、変わるのが普通である。

    急速な冷却をする場合には、たとえば還元性、中性、酸化性雰囲気などその環境を調節して、冷却の間に所望の酸化状態などを維持したり、および/または影響を与えたりすることもできる。 この雰囲気は、過冷却の液の状態からの結晶化の動力学に影響を与えることによって、非晶質物質の形成にも影響する可能性がある。 たとえば、空気中に比較してアルゴン中では、Al 23の融解物を、より低い温度まで結晶化せずに過冷却できることが報告されている。

    非晶質物質をゾルゲルプロセスによって形成させることも可能である。 ゾルゲルプロセスには、前駆体組成物を、水性または有機液状媒体中での分散体、ゾル、または溶液の形態で、形成させる工程が含まれる。 その前駆体組成物は、各種の有用な形態に加工することが可能で、そのようなものとしては、たとえば、コーティング、フィルム、粉体、ゲル、アエロゲル、緻密なバルク形状、繊維、フレーク、顆粒、ナノクラスターなどが挙げられる。 これらのプロセスについてのさらなる詳細は、C. ジェフリー・ブリンカー(C.Jeffrey Brinker)およびジョージ・W・シェラー(George W.Scherer)『ゾル−ゲル・サイエンス(Sol−Gel Science)』(アカデミック・プレス(Academic Press)、1990年)に見出すことができる。 ナノクラスターの合成についてのさらなる詳細は、国際公開第0130306(A1)号パンフレットに見出すことができる。 粉体を作製するためのまた別な方法は、揮発性有機溶媒中に分散させた1種または複数のグリコラトポリメタロキサンを含む前駆体を噴霧熱分解させるもので、このプロセスの詳細は、米国特許第5,958,361号明細書に見出すことができる。

    非晶質物質の配合として有用なものとしては、(単一または複数の)共晶組成物(たとえば、二元および三元共晶組成物)かそれに近い組成物が挙げられる。 本明細書に開示された組成物に加えて、四元またはさらに高次の共晶組成物を含むその他の組成物も、本明細書を読めば当業者には自明であろう。

    商業的な供給源も含めたAl 23 (理論的酸化物基準)の供給源としては、ボーキサイト(天然産のボーキサイトおよび合成ボーキサイトの両方)、焼成ボーキサイト、水和アルミナ(たとえば、ベーマイトやギブザイト)、アルミニウム、バイヤー法アルミナ、アルミニウム鉱石、ガンマアルミナ、アルファアルミナ、アルミニウム塩、硝酸アルミニウム、およびそれらの組み合わせが挙げられる。 このAl 23源は、Al 23を含むか、あるいはAl 23のみが得られるものであってもよい。 それとは別に、Al 23源が、Al 23と、さらにはAl 23以外の1種または複数の金属酸化物(複合Al 23・金属酸化物(たとえば、Dy 3 Al 512 、Y 3 Al 512 、CeAl 1118など)の材料またはそれらを含む)とを含むか、それらが得られるものであってもよい。

    商業的供給源を含めた希土類酸化物の供給源としては、希土類酸化物粉体、希土類金属、希土類含有鉱石(たとえば、バストナサイトおよびモナザイト)、希土類塩、希土類硝酸塩、および希土類炭酸塩などが挙げられる。 この希土類酸化物(類)源は、希土類酸化物(類)を含むか、あるいは希土類酸化物(類)のみが得られるものであってもよい。 それとは別に希土類酸化物(類)源が、希土類酸化物(類)と、さらには希土類酸化物(類)以外の1種または複数の金属酸化物(複合希土類酸化物または他の金属酸化物(たとえば、Dy 3 Al 512 、CeAl 1118 、など)の材料またはそれらを含む)とを含むか、それらが得られるものであってもよい。

    商業的な供給源も含めたY 23 (理論的酸化物基準)の供給源としては、酸化イットリウム粉体、イットリウム、イットリウム含有鉱石、およびイットリウム塩(たとえば、イットリウムの炭酸塩、硝酸塩、塩酸塩、水酸化物、およびそれらの組み合わせ)などが挙げられる。 このY 23源は、Y 23を含むか、あるいはY 23のみが得られるものであってもよい。 それとは別にY 23源は、Y 23と、さらにはY 23以外の1種または複数の金属酸化物(たとえば複合Y 23・金属酸化物(たとえば、Y 3 Al 512 )の材料またはそれらを含む)とを含むか、それらが得られるものであってもよい。

    商業的な供給源も含めたZrO 2 (理論的酸化物基準)の供給源としては、酸化ジルコニウム粉体、ジルコンサンド、ジルコニウム、ジルコニウム含有鉱石、およびジルコニウム塩(たとえば、ジルコニウムの炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、塩酸塩、水酸化物、およびそれらの組み合わせ)などが挙げられる。 それに加えて、またはその代わりに、ZrO 2源は、ZrO 2と、さらにハフニアのような他の金属酸化物とを含むか、それらが得られるものであってもよい。 商業的な供給源も含めたHfO 2 (理論的酸化物基準)の供給源としては、酸化ハフニウム粉体、ハフニウム、ハフニウム含有鉱石、およびハフニウム塩などが挙げられる。 それに加えて、またはその代わりに、HfO 2源は、HfO 2と、さらにZrO 2のような他の金属酸化物とを含むか、それらが得られるものであってもよい。

    さらに、その他の有用な金属酸化物としては、理論的酸化物基準で、BaO、CaO、Cr 23 、CoO、Fe 23 、GeO 2 、Li 2 O、MgO、MnO、NiO、Na 2 O、Sc 23 、SrO、TiO 2 、ZnO、およびそれらの組み合わせなどを挙げることができる。 商業的な供給源も含めた供給源としては、酸化物そのもの、複合酸化物、鉱石、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、塩酸塩、水酸化物、などがある。 これらの金属酸化物を、得られる粒子の物理的性質を修正したり、および/または加工性を改良したりするために添加する。 これらの金属酸化物は典型的には、たとえば、所望の目的に合わせて、ガラス−セラミックの0〜50重量パーセント、いくつかの実施態様においては好ましくは0〜25重量パーセント、より好ましくは0〜50重量パーセントの間の量で添加する。

    セラミックを作るための金属酸化物源およびその他の添加物を具体的に選択する際に通常考慮すべきことは、たとえば、得られるセラミックの希望する組成および微細構造、結晶性があるとすれば希望するその結晶性の程度、得られるセラミックの希望する物理的性質(たとえば、硬度や靱性)、望ましくない不純物の排除または最小化、得られるセラミックの希望する特性、および/または、セラミックを調製するのに使用する、具体的なプロセス(装置や、溶融および/または凝固の前および/またはその最中に行う原料物質の精製)などである。

    場合によっては、Na 2 O、P 25 、SiO 2 、TeO 2 、V 25 、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される限定された量の金属酸化物を取り入れるのが好ましいこともある。 商業的な供給源も含めた供給源としては、酸化物そのもの、複合酸化物、鉱石、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、塩酸塩、水酸化物、などがある。 これらの金属酸化物を、たとえば、得られる粒子の物理的性質を修正したり、および/または加工性を改良したりするために添加することができる。 これらの金属酸化物を使用するならば典型的には、ガラスセラミックの0より多く20重量パーセントまで、好ましくは0より多く5重量パーセントまで、より好ましくは0より多く2重量パーセントまでの量で添加するが、その量はたとえば希望する性質によって決まってくる。

    ある種の金属酸化物を添加することによって、ガラス−セラミックの性質および/または結晶構造または微細構造、さらには、そのガラス−セラミックを製造する際の原料物質や中間体の加工方法を変化させることができる。 たとえば、MgO、CaO、Li 2 OおよびNa 2 Oなどのような酸化物を添加すると、非晶質物質のT g (ガラスの場合)およびT xの両方(ここでT xは結晶化温度である)が変化することが観察されている。 理論に拘束されること欲するものではないが、そのようなものを添加することによってガラスの形成に影響が出るものと考えられる。 さらに、たとえば、そのような酸化物を添加すると、系全体の融解温度を下げる(すなわち系が、より低融点の共晶となる)ことが可能となり、非晶質物質の生成が容易となる。 非晶質物質の形成性が向上するために、多成分系(四元など)における複合共晶が得やすくなる。 液状融解物の粘度およびその「作業(working)」範囲におけるガラスの粘度も、MgO、CaO、Li 2 O、およびNa 2 Oなどのようなある種の金属酸化物を添加することによって、変化させることができる。 非晶質物質の中少なくとも1種のハロゲン(たとえば、フッ素および塩素)、またはカルコゲン化物(たとえば、硫化物、セレン化物、およびテルル化物)を取り入れること、およびそれらから製造したガラス−セラミックもまた、本発明の範囲内である。

    さらに、非晶質物質および非晶質物質を含むセラミックの結晶化は、ある種の原料を添加することによっても影響を受ける可能性がある。 たとえば、ある種の金属、金属酸化物(たとえば、チタン酸塩およびジルコン酸塩)、およびフッ化物などは、たとえば、核形成剤として働いて、その結果、結晶の不均質な核形成をもたらすことが可能となり、好ましい。 また、ある種の酸化物を添加することによって、再加熱した際に非晶質物質から失透(devitrifying)する準安定相の性質を変えることができる。 また別な態様において、結晶質のZrO 2を含むセラミックでは、ZrO 2の正方晶/立方晶の形態を安定化させることで知られている、金属酸化物(たとえば、Y 23 、TiO 2 、CaO、およびMgO)を添加するのが望ましいこともある。

    物質の微細構造または相の構成(ガラス質/非晶質/結晶質)は多くの方法を用いて調べることができる。 たとえば、光学顕微鏡法、電子顕微鏡法、示差熱分析法(DTA)、およびX線回折法(XRD)などを使用することによって、多くの情報を得ることが可能である。

    光学顕微鏡法を使用すると、非晶質物質では、結晶粒界のような光散乱中心がないために、典型的にはほとんど透明であるが、それに対して結晶質物質は結晶構造を示し、光散乱効果のために不透明となる。

    DTA法を使用した場合、物質のDTA曲線に発熱による結晶化事象(T x )が含まれていれば、その物質は非晶質と分類される。 その同一の曲線に、T xよりも低い温度で吸熱事象(T g )がさらに存在すれば、それはガラス相からできていると考えられる。 物質のDTA曲線にそれらの事象が含まれていなければ、それは結晶質相を含んでいると考えられる。

    示差熱分析(DTA)は以下の方法に従って実施することができる。 DTAを測定するには、−140+170メッシュの粒径画分(すなわち、105マイクロメートル開口寸法から90マイクロメートル開口寸法までの間の篩で集められた画分)を使用し、機器としては、たとえば独国ゼルプ(Selb、Germany)のネッツ・インストラメンツ(Netzsch Instruments)から入手可能な商品記号「ネッツ(NETZSCH)STA409DTA/TGA」を使用する。 それぞれの篩い分けしたサンプル(典型的には約400ミリグラム(mg))を、100マイクロリットルのAl 23製サンプルホルダー中に入れる。 それぞれのサンプルを、静的空気(static air)中で、室温(約25℃)から1100℃まで10℃/分の速度で昇温させる。

    粉体X線回折、XRDを使用することで、(たとえば、ニュージャージー州モーウォー(Mahwah、NJ)のフィリップス(Philips)から商品記号「フィリップス(PHILLIPS)XRG3100」として入手できるようなX線回折計で、1.54050オングストロームの銅K α1照射を使用)、結晶化させた材料のXRD曲線中に存在するピークを、インターナショナル・センター・フォア・ディフラクション・データ(International Center for Diffraction Data)出版のJCPDS(ジョイント・コミッティー・オン・パウダー・ディフラクション・スタンダーズ(Joint Committee on Powder Diffraction Standards)データベースから得られる、結晶質相のXRDパターンと比較することによって、その物質中に存在する相を調べることができる。さらに、XRDを使用して、相のタイプを定性的に調べることも可能である。ブロードに拡がった強度ピークがあれば、物質は非晶質な性質を有しているとみなす。ブロードなピークと明瞭なピークの両方が存在するならば、非晶質マトリックスの中に結晶質物質が存在していることを示しているとみなす。

    最初に形成される非晶質物質またはセラミック(結晶化前のガラスを含む)は、目的とする粒径よりも大きいこともあり得る。 そのような非晶質物質またはセラミックは、当業者公知の破砕(crushing)および/または微粉砕(comminuting)方法を用いて、より小さいも粒子とすることができるが、そのような方法としては、ロールクラッシャー粉砕、カナリアミル粉砕、ジョークラッシャー粉砕、ハンマーミル粉砕、ボールミル粉砕、ジェットミル粉砕、インパクトクラッシャー粉砕などがある。 セラミック(結晶化前のガラスを含む)の形状は、たとえば、セラミックの組成および/または微細構造、冷却時の幾何学的形状、およびセラミックの破砕方法(すなわち、使用した破砕技術)などによって、決まってくる。 一般的に言って、「塊状(blocky)」の形状が好ましい場合には、その形状を得るためにはより大きなエネルギーが必要である。 逆に、「圭状(sharp)」の形状が好ましい場合には、その形状を得るために用いるエネルギーは小さくてもよい。 破砕技術を変更することで、各種の所望の形状を得ることもできる。 得られる粒子では、平均のアスペクト比を1:1から5:1まで、典型的には1.25:1から3:1まで、好ましくは1.5:1から2.5:1とすることができる。

    さらに、たとえばセラミック(結晶化前のガラスを含む)を所望の形状に直接形成させることも、本発明の範囲に含まれる。 たとえば、融解物を型の中に注入するか、または型を使用して成形することによって、セラミック(結晶化前のガラスを含む)を成形する(注型を含む)ことができる。

    さらに、たとえば融合(coalescing)させることによってセラミック(結晶化前のガラスを含む)を作ることも、本発明の範囲に含まれる。 この融合過程は本質的には、2個以上の小さな粒子から、より大きな粒子体を形成させるものである。 たとえば、粒子(たとえば、破砕により得たもの)(ビーズおよびミクロスフェアを含む)、繊維などを含む非晶質物質を成形して、物品とすることができる。 たとえば非晶質物質を含む粒子および/または繊維などをT gよりも高い温度に加熱して、その粒子などを融合させた形状としてから、融合させた形状物を冷却することによって、セラミック(結晶化前のガラスを含む)を得ることができる。 融合させるために使用する温度と圧力は、非晶質物質の組成や、得られる物質において希望する密度によって決めることができる。 その温度はガラス結晶化温度より低いのが望ましく、またガラスの場合には、そのガラス転移温度よりは高くするのが望ましい。 いくつかの実施態様においては、融合に使用する温度が、ガラスの結晶化温度を超えていてもよい。 ある種の実施態様においては、この加熱は、850℃から1100℃までの範囲の温度で実施する(実施態様によっては、900℃〜1000℃が好ましい)。 典型的には、非晶質物質は融合の間は加圧下(たとえば、0よりは大きく1GPaまで、またはそれ以上)に置いて、非晶質物質の融合を促進させる。

    1つの実施態様においては、粒子などをダイの中に装入して、熱間圧縮によってガラス転位点よりも高い温度に加熱すると、粘稠なガラスが流動して融合し、比較的大きなものとなる。 典型的な融合方法の例を挙げると、熱間圧縮法、高温静水圧圧縮法、熱間押出し法などがある。 この融合過程の際に、好適なダイの構成を選択することによって、複雑な形状の物品を得ることができる。 典型的には、得られた融合体を冷却してから、さらなる加熱処理をするのが通常好ましい。

    また別な実施態様においては、ガラスを含む融合させたプレフォーム(perform)をダイの中に入れて、そのプレフォームを流動させるに充分な熱と圧力をかけて、有用な形状に成形する。 そのプレフォームはガラス質であっても、半結晶質であってもよい。 そのプレフォームの密度は、理論密度の50〜100の範囲であればよい。

    さらなる加熱処理を実施して、材料の所望の性質をさらに改良することもまた、本発明の範囲に含まれる。 たとえば、(たとえば、900℃から1400℃までの温度で)高温静水圧圧縮を実施して、残存している気孔を除き、物質の密度を上げることもできる。 場合によっては、得られた融合物品を加熱処理することで、ガラス−セラミック、結晶質セラミック、または結晶質セラミックを含む以外のセラミックを得ることもできる。

    非晶質物質および/またはガラス−セラミック(たとえば、粒子)の融合はまた、非加圧または加圧の焼結法(たとえば、焼結法、プラズマ励起焼結法、熱間圧縮法、HIP法、熱間鍛造法、熱間押出し法など)などを含めた各種の方法を用いて実施することもできる。 非晶質物質および/またはガラス−セラミックの融合、または、既に融合させてあるものの成形は、必要な温度と圧力を加えることが可能な、適切な歯科用プレスを使用して、実施することができる。 このプロセスの1つの実施態様には、耐熱模型材を形成する工程、材料をその模型の中に加える工程、加熱工程、材料を加圧することによりその模型の空間にそれを充填して、所望の形状を形成させる工程が含まれる。 そのようなプロセスの例は、米国特許第6,465,106号明細書に記載されている。 そのようなプレスの商品例としては、イントラ−テック・プロプレス(Intra−Tech ProPress)100(ケンタッキー州ファーミントン(Farmington,KY)のホイップ−ミックス・インコーポレーテッド(Whip−Mix Inc.)製)が挙げられる。

    また別な実施態様においては、本発明の材料を成形してミルブランクとし、所望の形状の製品に機械加工することができる。 機械加工工程は、ガラス質、結晶質、あるいは中間の段階のものに実施することができる。 この作業のためには、デジタル化CAD/CAMを用いることができる。 そのようなシステムの例としては、セレック(CEREC)(独国ベンスハイム(Bensheim,Germany)のシロナ・デンタル・システムズ・GmbH(Sirona Dental Systems GmbH)製)およびラバ(Lava)(ミネソタ州セントポール(St.Paul,MN)の3M・カンパニー(3M Company)製)が挙げられる。 驚くべきことには、この材料が高強度特性を有しているにもかかわらず、極めて容易に機械加工することができる、とうことがわかった。

    加熱処理は、ガラス−セラミックを得るためにガラスを加熱処理する、当業者公知のものを含めて各種の方法のいずれを用いて実施してもよい。 たとえば加熱処理を、抵抗加熱炉、誘導加熱炉またはガス加熱炉などを使用して、バッチで実施することもできる。 それとは別な方法で、たとえば、たとえばロータリーキルン、流動床炉、またはペンデュラムキルン(pendulum kiln)を用いて、連続的に加熱処理を実施することも可能である。 ロータリーキルンまたはペンデュラムキルンの場合には、高温で運転しているキルンの中に原料を直接フィードする。 高温で処理する時間は、数秒(実施態様によっては、5秒未満のこともある)から数分、さらには数時間の範囲である。 温度範囲は、非晶質物質のT xから1600℃までの範囲、900℃〜1600℃、または1200℃〜1500℃の間とすることができる。

    ガラスを加熱処理して、非晶質物質を少なくとも部分的に結晶化させ、ガラス−セラミックを得る。 ある種のガラスを加熱処理してガラス−セラミックを形成させることは、当業者には公知である。 一般には、加熱条件を注意深く調節して、核形成と結晶成長をさせて、所望の微細構造と性能を与える。 当業者公知の技術を用いて、ガラスの時間−温度−変態(TTT)を検討することにより適切な条件を求めることは、当業者ならば、可能である。 当業者ならば、本発明における開示を読めば、ガラスのTTT曲線を得て、ガラス−セラミックを得るための好適な核形成および/または結晶成長のための条件を求めることができる筈である。

    本発明のいくつかの実施態様においては、ガラス、またはガラスを含むセラミックは、アニールをしてから、加熱処理にかけることもできる。 そのような場合、アニーリングは典型的には、ガラスのT xよりも低い温度で、数秒から数時間、場合によっては数日かけて実施する。 典型的には、アニーリングは3時間未満、さらには1時間未満の時間内で実施する。 場合によっては、アニーリングを空気以外の雰囲気下で実施することもできる。

    加熱処理は、たとえば、昇温させた炉の中に原料を直接フィードすることによって起こさせることができる。 別な方法としては、たとえば原料をもっと低い温度(たとえば室温)で炉の中にフィードし、次いで予め定めた昇温速度で目的の温度まで加熱してもよい。 加熱処理を空気以外の雰囲気で実施することも、本発明の範囲に含まれる。 場合によっては、加熱処理を還元性の雰囲気で実施するのが望ましい場合もある。 また、熱間静水圧加圧法やガス加圧炉中などで、たとえばガスの圧力下で加熱処理するのが望ましいこともある。 理論に拘束されること欲するものではないが、本明細書におけるガラスのT gおよびT x 、さらにはT x −T gは、加熱処理の際に使用される雰囲気によって変化すると考えられる。 さらに、雰囲気の選択によって、ガラスおよびガラス−セラミックの成分の幾つかの酸化状態が影響されるかもしれない、と考えられる。 酸化状態におけるそのような変化は、ガラスおよびガラス−セラミックの着色に変化を与える可能性がある。 さらに、核形成および結晶化の過程が、雰囲気によって影響される可能性もある(たとえば、ガラスのいくつかの化学種では、雰囲気がその原子易動度に影響するかもしれない)。

    典型的には、ガラス−セラミックはそれの原料となった非晶質物質よりも強度が高い。 したがって材料の強度を、たとえば、非晶質物質を(1種または複数の)結晶質セラミック相に転化させる程度によって、調節することが可能である。 別な方法で、あるいはそれに付け加えて、材料の強度は、たとえば作り出す核形成サイトの数で調節することも可能で、その数によって(1種または複数の)結晶質相の結晶の数と大きさが決まってくるからである。 ガラス−セラミックの形成に関するさらに詳しいことは、たとえば、P. W. マクミラン(McMillan)の『ガラス−セラミック(Glass−Ceramics)』第2版、アカデミック・プレス・インコーポレーテッド(Academic Press Inc.)、1979年を参照されたい。

    多くの他のタイプのセラミック加工(たとえば、高密度の焼結セラミック材料を得るための、焼成した材料の焼結)に比較して、ガラス−セラミックを形成させるためにガラスを結晶化させる際の、収縮は比較的小さい(典型的には、30体積パーセント未満;いくつかの実施態様においては、20パーセント、10パーセント、5パーセント未満、さらには3体積パーセント未満)。 実際の収縮量に影響を与えるのは、たとえば、ガラスの組成、加熱処理時間、加熱処理温度、加熱処理圧力、結晶化させるガラスの密度、形成させる結晶質相の相対量、結晶化度などである。 その収縮量は当業者公知の慣用的な方法によって測定することができるが、たとえば、ディラトメトリー、アルキメデス法、あるいは加熱処理前後の材料の寸法の測定などの方法が挙げられる。 場合によっては、加熱処理の間に、揮発性の物質が発生することもあり得る。

    たとえば、本発明によるガラス−セラミックを作製するために、例に挙げたいくつかのZrO 2を含む非晶質物質を加熱処理する際に、約900℃を超える温度においては、たとえば、La 2 Zr 27 、面心立方晶構造を有する(Zr、M)O 2固溶体(ここでM=安定化カチオン)、立方晶系/正方晶系ZrO 2 、場合によっては、単斜晶系ZrO 2などの相の形成が観察された。 理論に拘束されることを欲するものではないが、ジルコニア関連の相が、非晶質物質から核形成される最初の相であると考えられる。 ZrO 2を含まない非晶質物質においては、約925℃を超える温度で、Al 23 、ReAlO 3 (ここでReは少なくとも1種の希土類カチオン)、ReAl 1118 、Re 3 Al 512 、Y 3 Al 512 、などの相の形成が起きる。 この核形成過程の間のクリスタリットの径は、典型的には、ナノメートルのオーダーである。 たとえば、10〜15ナノメートルのような小さな結晶が観察された。 少なくともいくつかの実施態様においては、約1300℃で約1時間加熱処理すると完全に結晶化する。 一般的に言って、核形成および結晶成長過程それぞれでの加熱処理時間は、数秒(実施態様によっては、5秒未満のこともある)から数分、さらには1時間からそれ以上までの範囲でよい。

    得られる結晶の大きさは典型的には、少なくとも部分的には、核形成および/または結晶化の時間および/または温度によって調節することが可能である。 一般的には微少な結晶(たとえば、マイクロメートル以下のオーダー、さらにはナノメートル以下のオーダー)であるのが好ましいが、ガラス−セラミックはそれらよりも大きな結晶サイズを持つように作ることもできる(たとえば、少なくとも1〜10マイクロメートル、少なくとも10〜25マイクロメートル、少なくとも50〜100マイクロメートル、またはさらに、100マイクロメートルより大)。 理論に拘束されることを欲するものではないが、(同じ密度の場合に)結晶のサイズが細かいほど、そのセラミックの機械的性質(たとえば、硬度や強度)が高くなるというのは、当業者に一般に信じられていることである。 加熱処理の間に、針状、ホイスカー状、または円板状の形態を有する結晶を生成させるような方法で結晶化を実施することもまた、本発明の範囲に含まれる。 そのような結晶は、得られたガラス−セラミックの破壊靱性、機械加工性その他の特性に対して、好ましい影響を与える。

    実施態様のガラス−セラミックの中に存在しうる結晶質相の例を以下に挙げる:Al 23 (たとえば、α−Al 23 、または遷移Al 23 )、Y 23 、REO、HfO 2 、ZrO 2 (たとえば、立方晶系ZrO 2および正方晶系ZrO 2 )、BaO、CaO、Cr 23 、CoO、Fe 23 、GeO 2 、Li 2 O、MgO、MnO、NiO、Na 2 O、P 25 、Sc 23 、SiO 2 、SrO、TeO 2 、TiO 2 、V 23 、Y 23 、ZnO、「複合金属酸化物」(たとえば、「複合Al 23・金属酸化物(たとえば、複合Al 23・REO(たとえば、ReAlO 3 (たとえば、GdAlO 3 、LaAlO 3 )、ReAl 1118 (たとえば、LaAl 1118 ,)、およびRe 3 Al 512 (たとえば、Dy 3 Al 512 ))、複合Al 23・Y 23 (たとえば、Y 3 Al 512 )、および複合ZrO 2・REO(たとえば、Re 2 Zr 27 (たとえば、La 2 Zr 27 )))、およびそれらの組み合わせ。

    複合Al 23・金属酸化物(たとえば、複合Al 23・Y 23 (たとえば、ガーネット結晶構造を示すアルミン酸イットリウム))の中のイットリウムおよび/またはアルミニウムカチオンの一部を他のカチオンと置換することも、本発明の範囲に含まれる。 たとえば、複合Al 23・Y 23の中のAlカチオンの一部を、Cr、Ti、Sc、Fe、Mg、Ca、Si、Co、およびそれらの組み合わせ、からなる群より選択される元素の少なくとも1種のカチオンと置換することができる。 たとえば、複合Al 23・Y 23の中のYカチオンの一部を、Ce、Dy、Er、Eu、Gd、Ho、La、Lu、Nd、Pr、Sm、Th、Tm、Yb、Fe、Ti、Mn、V、Cr、Co、Ni、Cu、Mg、Ca、Sr、およびそれらの組み合わせ、からなる群より選択される元素の少なくとも1種のカチオンと置換することができる。 同様にして、アルミナ中のアルミニウムカチオンの一部を置換することも、本発明の範囲に含まれる。 たとえば、Cr、Ti、Sc、Fe、Mg、Ca、SiおよびCoを、アルミナ中のアルミニウムに置換させることができる。 上記のようなカチオンの置換を行うと、溶融材料の性質(たとえば、硬度、靱性、強度、熱伝導性など)が影響されることがある。

    さらに、複合Al 23・金属酸化物(たとえば、複合Al 23・REO)の中の希土類および/またはアルミニウムカチオンの一部を他のカチオンと置換することも、本発明の範囲に含まれる。 たとえば、複合Al 23・REOの中のAlカチオンの一部を、Cr、Ti、Sc、Fe、Mg、Ca、Si、Co、およびそれらの組み合わせ、からなる群より選択される元素の少なくとも1種のカチオンと置換することができる。 たとえば、複合Al 23・REOの中のYカチオンの一部を、Y、Fe、Ti、Mn、V、Cr、Co、Ni、Cu、Mg、Ca、Sr、およびそれらの組み合わせ、からなる群より選択される少なくとも1種のカチオンと置換することができる。 同様にして、アルミナ中のアルミニウムカチオンの一部を置換することも、本発明の範囲に含まれる。 たとえば、Cr、Ti、Sc、Fe、Mg、Ca、SiおよびCoを、アルミナ中のアルミニウムに置換させることができる。 上記のようなカチオンの置換を行うと、溶融材料の性質(たとえば、硬度、靱性、強度、熱伝導性など)が影響されることがある。

    平均結晶粒径は、ASTM標準E112−96の「スタンダード・テスト・メソッズ・フォア・デターミニング・アベレージ・グレイン・サイズ(Standard Test Methods for Determining Average Grain Size)」に従った、直線切断法(line intercept method)によって求めることができる。 サンプルを、固定用樹脂(たとえば、イリノイ州レーク・ブラフ(Lake Bluff、IL)のビューラー・リミテッド(Buehler Ltd.)から商品記号「トランスオプティック・パウダー(TRANSOPTIC POWDER)」として得られるようなもの)で固定して、典型的には、直径約2.5cm、高さ約1.9cmの樹脂の円柱の形とする。 固定した切片を、ポリッシャー(たとえば、イリノイ州レーク・ブラフ(Lake Bluff、IL)のビューラー・リミテッド(Buehler Ltd.)から商品記号「エコメット(ECOMET)3」として入手できるもの)を使用した通常のポリッシング法で調製する。 このサンプルは、ダイヤモンドホイールを用いて約3分間ポリッシングした後で、それぞれ45、30、15、9、3および1マイクロメートルのスラリーを用いて5分間ポリッシングする。 固定してポリッシングしたサンプルを、金・パラジウムの薄膜でスパッタリングしてから、走査電子顕微鏡(たとえば、JEOL・SEMモデルJSM840A)を用いて観察する。 サンプル中に見出される微細構造の典型的な後方散乱電子(BSE)顕微鏡法を使用して、以下のようにして平均結晶粒径を求める。 顕微鏡写真の上にランダムに引いた直線の単位長さ(NL)あたりの、それを切断している結晶の数を計数する。 この数字から、以下の式を使用して平均の結晶粒径を求める。
    平均結晶粒径=1.5/(N L M)
    ここでN Lは、単位長さを切断している結晶の数であり、Mは顕微鏡の倍率である。

    本発明のいくつかの実施態様では、150ナノメートル以下の少なくとも1つの平均結晶粒径を有する結晶を含むガラス−セラミックを含む。

    本発明の幾つかの実施態様では、結晶を含むガラス−セラミックを含むが、ここで、そのような部分に存在する結晶の数の少なくとも90パーセント(いくつかの実施態様においては、好ましくは95、またはさらには、100パーセント)が200ナノメートル以下の結晶粒径を有する。

    本発明のいくつかの実施態様には、Al 23と、第1の複合Al 23・Y 23と、場合によっては結晶質ZrO 2とを含むガラス−セラミックを含み、そしてここで、Al 23 、任意成分の結晶質ZrO 2 、または第1の複合Al 23・Y 23の内の少なくとも1つが、150ナノメートル以下の結晶粒径を有する。 いくつかの実施態様においては好ましくは、ガラス−セラミックに第2の、また別の、複合Al 23・Y 23をさらに含む。 いくつかの実施態様においては好ましくは、ガラス−セラミックに複合Al 23・REOをさらに含む。

    本発明のいくつかの実施態様には、第1の複合Al 23・Y 23と、第2の、また別の、Al 23・Y 23と、場合によっては結晶質ZrO 2とを含むガラス−セラミックを含み、そしてここで、第1の複合Al 23・Y 23 、第2の複合Al 23・Y 23 、または任意成分の結晶質ZrO 2の内の少なくとも1つは、それらの結晶粒径の数の少なくとも90パーセント(いくつかの実施態様においては好ましくは95、またはさらには、100パーセント)は、200ナノメートル以下である。 いくつかの実施態様においては好ましくは、ガラス−セラミックに第2の、また別の、複合Al 23・Y 23をさらに含む。 いくつかの実施態様においては好ましくは、ガラス−セラミックに複合Al 23・REOをさらに含む。

    本発明のいくつかの実施態様には、Al 23と、第1の複合Al 23・REOと、場合によっては結晶質ZrO 2とを含むガラス−セラミックを含み、そしてここで、Al 23 、任意成分の結晶質ZrO 2 、または第1の複合Al 23・REOの内の少なくとも1つが、150ナノメートル以下の結晶粒径を有する。 いくつかの実施態様においては好ましくは、ガラス−セラミックに第2の、また別の、複合Al 23・REOをさらに含む。 いくつかの実施態様においては好ましくは、ガラス−セラミックに複合Al 23・Y 23をさらに含む。

    本発明のいくつかの実施態様には、第1の複合Al 23・REOと、第2の、また別の、Al 23・REOと、場合によっては結晶質ZrO 2とを含むガラス−セラミックを含み、そしてここで、第1の複合Al 23・REO、第2の複合Al 23・REO、または任意成分の結晶質ZrO 2の内の少なくとも1つは、それらの結晶粒径の数の少なくとも90パーセント(いくつかの実施態様においては好ましくは95、またはさらには、100パーセント)は、200ナノメートル以下である。 いくつかの実施態様においては好ましくは、ガラス−セラミックに複合Al 23・Y 23をさらに含む。

    いくつかの実施態様においては、ガラス−セラミックには、少なくとも75、80、85、90、95、97、98、99、またはさらには、100体積パーセントのクリスタリットを含み、ここで、そのクリスタリットは、1マイクロメートル未満の平均粒径を有する。 いくつかの実施態様においては、ガラス−セラミックには、少なくとも75、80、85、90、95、97、98、99、またはさらには、100体積パーセント以下のクリスタリットを含み、ここで、そのクリスタリットは、0.5マイクロメートル以下の平均粒径を有する。 いくつかの実施態様においては、ガラス−セラミックには、少なくとも75、80、85、90、95、97、98、99、またはさらには、100体積パーセント未満のクリスタリットを含み、ここで、そのクリスタリットは、0.3マイクロメートル以下の平均粒径を有する。 いくつかの実施態様においては、ガラス−セラミックには、少なくとも75、80、85、90、95、97、98、99、またはさらには、100体積パーセント未満のクリスタリットを含み、ここで、そのクリスタリットは、0.15マイクロメートル以下の平均粒径を有する。

    ガラス−セラミックの実施態様を得るために、非晶質を加熱処理することによって形成された結晶は、たとえば、等軸晶、柱状晶、あるいは平板状(flattened splat−like)であってよい。 ホイスカー状、針状、または血小板状の結晶のアスペクト比および全体のサイズを随意にコントロールして、性質を改良することができる。

    ガラス−セラミックはバルク材料の形態とすることもできるが、ガラス−セラミックを含む複合材料を与えるのもまた、本発明の範囲内である。 そのような複合材料には、ガラス−セラミックの中に分散させた、たとえば相または(連続または不連続の)繊維または粒子(ホイスカーを含む)(たとえば、金属酸化物粒子、ホウ化物粒子、炭化物粒子、窒化物粒子、ダイヤモンド粒子、金属粒子、ガラス粒子、およびそれらの組み合わせ)を含んでいたり、または、層状化複合材構造(たとえば、ガラス−セラミックから、ガラス−セラミックとするために用いた非晶質物質へと傾斜をもたせたり、異なったガラス−セラミック組成物の層)をとっていてもよい。

    セラミックの、時には比重と呼ばれることもある、(真の)密度は、典型的には、理論密度の少なくとも70%である。 セラミックの(真の)密度が、理論密度の少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはさらには100%であれば、より好ましい。

    本発明の物質の平均硬度は以下のようにして測定することができる。 物質の切片を、固定用樹脂(たとえば、イリノイ州レーク・ブラフ(Lake Bluff、IL)のビューラー・リミテッド(Buehler Ltd.)から商品記号「トランスオプティック・パウダー(TRANSOPTIC POWDER)」として得られるもの)で固定して、典型的には、直径約2.5cm、高さ約1.9cmの樹脂の円柱の形とする。 固定した切片を、ポリッシャー(たとえば、イリノイ州レーク・ブラフ(Lake Bluff、IL)のビューラー・リミテッド(Buehler Ltd.)から商品記号「エコメット(ECOMET)3」として入手できるもの)を使用した通常のポリッシング法で調製する。 このサンプルは、ダイヤモンドホイールを用いて約3分間ポリッシングした後で、それぞれ45、30、15、9、3および1マイクロメートルのスラリーを用いて5分間ポリッシングする。 微小硬度の測定には従来タイプのビッカース圧子を取り付けた微小硬度試験器(たとえば、日本国東京の(株)ミツトヨ(Mitutoyo Corporation)から入手可能な商品記号「ミツトヨ(MITUTOYO)MVK−VL」)を使用し、押し込み荷重として100gを用いる。 微小硬度の測定は、ASTM試験方法E384「テスト・メソッズ・フォア・マイクロハードネス・オブ・マテリアルズ(Test Methods for Microhardness of Materials)(1991)」に記載されたガイドラインに従って行う。

    本発明による物品および方法において有用な、さらなるガラスおよびガラス−セラミック、それらを作製する方法、それらを含む物品を作製する方法としては、以下の特許出願に開示されているものが挙げられる:米国特許出願番号第09/922,526号明細書、同第09/922,527号明細書、同第09/922,528号明細書、および同第09/922,530号明細書(出願日2001年8月2日、現在は放棄されている);米国特許出願番号第10/211,491号明細書、同第10/211,640号明細書、および同第10/211,684号明細書(いずれも2002年8月2日出願);米国特許出願番号第10/358,910号明細書、同第10/358,708号明細書、同第10/358,855号明細書、同第10/358,772号明細書、および同第10/358,765号明細書(いずれも2003年2月5日出願);および、米国特許出願公開第03−0126803A1号明細書、同第03−0110708A1号明細書、同第03−0110706A1号明細書、同第03−0115805A1号明細書、同第03−0110707A1号明細書、同第03−0110709A1号明細書、同第03−0126802A1号明細書、同第03−0145525A1号明細書、および同第03−0126804A1号明細書。

    歯科材料 上述のセラミック、ガラス、およびガラス−セラミックは、硬化性樹脂と組み合わせることによって、有用な歯科用または、ペーストのような補綴用材料とすることができる。 それらの樹脂は通常、硬化させることによってポリマーネットワークを形成することが可能な熱硬化性材料であって、たとえば、アクリレート官能性材料、メタクリレート官能性材料、エポキシ官能性材料、ビニル官能性材料、およびそれらの混合物などが挙げられる。 硬化性樹脂は、1種または複数の、マトリックス形成性オリゴマー、モノマー、ポリマー、それらのブレンド物から形成されるのが好適である。

    本発明の歯科材料において使用するのに適した硬化性樹脂としては、口腔内の環境で使用するのに適するような、充分な強度と、耐加水分解安定性を有し、毒性の無い硬化性有機材料が挙げられる。 そのような材料の例を挙げれば、アクリレート、メタクリレート、ウレタン、カルバモイルイソシアヌレート、エポキシ(たとえば、次のものに示されているようなもの:米国特許第3,066,112号明細書(ボウエン(Bowen));同第3,539,533号明細書(リー(Lee)IIら);同第3,629,187号明細書(ウォーラー(Waller));同第3,709,866号明細書(ウォーラー(Waller));同第3,751,399号明細書(リー(Lee)ら);同第3,766,132号明細書(リー(Lee)ら);同第3,860,556号明細書(テイラー(Taylor));同第4,002,669号明細書(グロス(Gross)ら);同第4,115,346号明細書(グロス(Gross)ら);同第4,259,117号明細書(ヤマウチ(Yamauchi)ら);同第4,292,029号明細書(クレイグ(Craig)ら);同第4,308,190号明細書(ワルコウィアク(Walkowiak)ら);同第4,327,014号明細書(カワハラ(Kawahara)ら);同第4,379,695号明細書(オルロウスキー(Orlowski)ら);同第4,387,240号明細書(バーグ(Berg));同第4,404,150号明細書(ツネカワ(Tsunekawa)ら);および、それらの混合物および誘導体などがある。

    好適な硬化性材料の1つのタイプとしては、フリーラジカル活性のある官能基を有する材料が挙げられる。 そのような材料の例を挙げれば、1個または複数のエチレン性不飽和基を有するモノマー、1個または複数のエチレン性不飽和基を有するオリゴマー、1個または複数のエチレン性不飽和基を有するポリマー、およびそれらの組み合わせがある。 別な方法として、硬化性樹脂をカチオン的に活性な官能基を有する材料から選択することもできる。 さらに別な方法として、カチオン的に硬化可能な材料とフリーラジカル硬化可能な座利用の両方を含む、硬化性樹脂の混合物を、本発明の歯科材料に使用することもできる。 さらに別な方法では、硬化性樹脂が、1つの分子の中にカチオン的に活性な官能基とフリーラジカル的に活性な官能基の両方を含むタイプの物質からの材料であってもよい。

    フリーラジカル的に活性な官能基を有し、本発明において使用するのに適したタイプの硬化性樹脂は、少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を含み、付加重合することが可能である。 そのようなフリーラジカル重合が可能な材料としては、モノ−、ジ−またはポリ−アクリレートおよびメタクリレートで、たとえばアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸アリル、グリセロールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、ビス−フェノールAのジグリシジルメタクリレート(「ビス−GMA」)、ビス[1−(2−アクリルオキシ)]−p−エトキシフェニルジメチルメタン、ビス[1−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシ)]−p−プロポキシフェニルジメチルメタン、およびトリスヒドロキシエチル−イソシアヌレートトリメタクリレート;分子量200〜500のポリエチレングリコールのビス−アクリレートおよびビス−メタクリレート、アクリル化モノマーの共重合可能な混合物たとえば米国特許第4,652,274号明細書(ベッチャー(Boettcher)ら)に記載されているようなもの、および、アクリル化オリゴマーたとえば米国特許第4,642,126号明細書(ゼーダー(Zador))に記載されているようなもの;ならびにビニル化合物、たとえば、スチレン、フタル酸ジアリル、コハク酸ジビニル、アジピン酸ジビニル、およびフタル酸ジビニルなどが挙げられる。 所望により、これらフリーラジカル重合が可能な材料の2種以上を使用することもできる。

    フリーラジカル重合(たとえば、硬化)のためには、放射線、加熱、またはレドックス/自動硬化化学反応などによって重合を開始させるシステムから、開始剤システムを選択することができる。 フリーラジカル的に活性な官能基の重合を開始させることが可能なタイプの開始剤としては、フリーラジカル生成光重合開始剤が挙げられるが、場合によっては、光増感剤または重合促進剤を組み合わせてもよい。 そのような重合開始剤は、典型的には、波長200〜800nmを有する光エネルギーに暴露させることによって、付加重合のためのフリーラジカルを発生することができる。

    各種の可視光または近赤外光による光重合開始剤システムを使用して、フリーラジカル重合可能な材料の光重合をさせることができる。 たとえば、光重合開始システムは、米国特許第4,071,424号明細書(ダート(Dart)ら)に記載されているような、アミンとα−ジケトンの2成分システムによって重合を開始させるシステムから選択することができる。 別な方法として、材料を組み合わせて、米国特許第5,545,676号明細書(パラゾット(Palazzotto)ら)に記載されているような、3成分光重合開始剤システムとすることもできる。 その3成分システムには、ヨードニウム塩(たとえば、ジアリールヨードニウム塩)、増感剤、およびドナーが含まれる。 それぞれの光重合開始剤成分は、米国特許第5,545,676号明細書の、第2列第27行から第4列第45行に記載されている。

    その他の有用なフリーラジカル重合開始剤としてはアシルホスフィンオキシドのタイプが挙げられるが、これについては、欧州特許出願公開第173,567号明細書(イン(Ying))、および米国特許第4,737,593号明細書(エルリッヒ(Ellrich)ら)および同第6,020,528号明細書(レッパード(Leppard)ら)に記載がある。 アシルホスフィンオキシドと組み合わせて、3級アミン還元剤を使用してもよい。

    それらに代えて本発明の歯科材料において使用することが可能なまた別なフリーラジカル重合開始剤システムとしては、イオン性染料−対イオン錯体重合開始剤のタイプ、たとえばホウ酸塩アニオンとそれを相補するカチオン性染料がある。 ホウ酸塩光重合開始剤については、たとえば、米国特許第4,772,530号明細書(ゴッチョーク(Gottschalk)ら);同第4,954,414号明細書(アデア(Adair)ら);同第4,874,450号明細書(ゴッチョーク(Gottschalk));同第5,055,372号明細書(シャンクリン(Shanklin)ら);および同第5,057,393号明細書(シャンクリン(Shanklin)ら)に記載がある。

    硬化性樹脂の中のフリーラジカル的に活性な官能基の重合を開始させる能力のある重合開始剤の、また別な代替えのタイプとしては、たとえばペルオキシドとアミンとを組み合わせたような、慣用される化学的重合開始剤システムもある。 それらの重合開始剤は、加熱によるレドックス反応を利用していて、「自動硬化触媒(auto−cure catalyst)」と呼ばれることも多い。 典型的にはそれらは、2液システムとして供給され、反応剤をそれぞれの別途に貯蔵しておいて、使用直前に組み合わせる。

    さらに別な方法として、加熱することによって、フリーラジカル的に活性な基の硬化や重合を開始させることもできる。 本発明の歯科材料に適した熱源の例を挙げれば、誘導加熱、対流加熱、放射加熱などがある。 熱源は、通常の条件下や加圧下で、少なくとも約40℃、高くて約150℃の温度を発生できるようなものとすべきである。 これは、口腔の外の環境で材料の重合を開始させる場合には、好ましい方法である。

    硬化性樹脂の中のフリーラジカル的に活性な官能基の重合を開始させることが可能な、さらに別なタイプの重合開始剤として、フリーラジカルを生成する加熱重合開始剤が挙げられる。 例を挙げれば、ペルオキシド(たとえば、ベンゾイルペルオキシドおよびラウリルペルオキシド)およびアゾ化合物(たとえば、2,2−アゾビス−イソブチロニトリル(AIBN))などである。

    本明細書において開示されている歯科材料で有用な、また別なタイプの硬化性樹脂には、カチオン的に活性な官能基を有する材料が挙げられる。 カチオン的に活性な官能基を有する材料としては、カチオン重合性のエポキシ、ビニルエーテル、オキセタン、スピロ−オルト炭酸塩、スピロ−オルトエステル、などが挙げられる。 カチオン的に活性な官能基を有する好適な材料は、エポキシ官能性材料で、たとえば、米国特許第6,025,406号明細書(オックスマン(Oxman)ら)(たとえば、第2列第36行〜第4列第52行)や、本明細書に引用した参考文献に記載がある。

    場合によっては、好ましいエポキシ官能性材料であるカチオン的に活性な官能基を有する硬化性樹脂のための鎖伸長剤として、モノヒドロキシ−およびポリヒドロキシ−アルコールを硬化性樹脂に添加してもよい。 本発明において使用されるヒドロキシル含有材料は、少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個のヒドロキシル官能基を有する有機材料ならばどのようなものであってもよい。 有用なヒドロキシル含有化合物は、たとえば米国特許第5,856,373号明細書(カイサキ(Kaisaki)ら)に記載がある。

    カチオン的に活性な官能基を含む樹脂を硬化させるための開始剤システムは、放射線、加熱、またはレドックス/自動硬化化学反応などによって重合を開始させるシステムから選択することができる。 たとえば、エポキシの重合は、酸無水物およびアミンなどを含む加熱硬化剤を使用することによって、実施することができる。 酸無水物硬化剤の特に有用な例としては、シス−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物が挙げられる。

    カチオン的に活性な官能基を含む樹脂のための開始剤システムのまた別なものとしては、光で活性化されるものがある。 触媒業界や光重合開始剤業界で認められている、広い範囲のカチオン性光活性群が、本発明を実施するのに使用することができる。 光活性カチオン核、光活性カチオン残基、および光活性カチオン性有機化合物は、当業界で認められているタイプの物質であって、たとえば、米国特許第4,250,311号明細書(クリベロ(Crivello));同第3,708,296号明細書(シュレジンガー(Schlesinger));同第4,069,055号明細書(クリベロ(Crivello));同第4,216,288号明細書(クリベロ(Crivello));同第5,084,586号明細書(ファルーク(Farooq));同第5,124,417号明細書(ファルーク(Farooq));同第4,985,340号明細書(パラゾット(Palazzotto)ら);同第5,089,536号明細書(パラゾット(Palazzotto));および同第5,856,373号明細書(カイサキ(Kaisaki)ら)に例が挙げられている。

    カチオン的に硬化させることが可能な材料は、上述のようなものの、たとえばヨードニウム塩、増感剤、および電子供与体などを用いた、3成分系または4成分系光重合開始剤システムと組み合わせることもできる。 カチオン的に硬化させることが可能な材料を硬化させる場合、有用な芳香族ヨードニウム錯体塩の例は、米国特許第6,025,406号明細書(オックスマン(Oxman)ら)(たとえば、第5列第46行〜第6列第9行)に開示されている。 有用な増感剤および電子供与体の例は、米国特許第6,025,406号明細書(たとえば、第6列第43行〜第9列第43行)にも見出すことができる。

    カチオン重合のためのまた別な光重合開始剤システムとしては、米国特許第4,985,340号明細書(パラゾット(Palazzotto)ら)に記載されているものから選択される、金属水素化物または金属アルキル官能性を実質的に有さない有機金属錯体カチオンを使用するものがある。

    さらに別なものとして、硬化性樹脂が、単一の分子中に、カチオン的に活性な官能基とフリーラジカル的に活性な官能基の両方を有していてもよい。 そのような分子は、たとえば、ジ−またはポリ−エポキシドを、1当量またはそれより多い当量のエチレン性不飽和カルボン酸と反応させることにより得ることができる。 そのような材料の例としては、ユニオン・カーバイド(Union Carbide)から商品記号「UVR−6105」として入手可能な材料と、1当量のメタクリル酸との反応生成物が挙げられる。 エポキシとフリーラジカル活性な官能基を有する材料で市販されているものとしては、日本国のダイセル化学(Daicel Chemical)からの商品記号「サイクロマー(CYCLOMER)」(たとえば、「サイクロマー(CYCLOMER)M−100」、「M−101」または「A−200」)として入手できる材料や、ラドキュアー・スペシャルティーズ(Radcure Specialties)からの商品記号「エベクリル(EBECRYL)−3605」として入手できる材料などがある。

    光重合開始剤化合物は、本明細書において開示されている歯科材料においては、その樹脂システムの硬化を開始させたり、その速度を上昇させるのに有効な量で用いるのが好ましい。 有用な光重合性組成物は、安全な光源のもとで、先に挙げた成分を単に混合するだけで調製できる。 その混合物を調製する際に、必要に応じて適切な不活性溶媒を用いてもよい。 本発明の組成物の成分と容易に反応するようなことさえ無ければ、どのような溶媒を用いてもよい。 好適な溶媒の例を挙げれば、たとえば、アセトン、ジクロロメタン、およびアセトニトリルなどがある。 重合可能な液状材料を、重合性の液状または固体状材料のための溶媒として使用することもできる。 たとえば、芳香族ヨードニウム錯体塩と増感剤とを、エポキシ官能性材料/ポリオール混合物の中に単に溶解させるだけで、溶媒を含まない組成物を調製することができるが、その溶解を促進するために穏やかに加熱をしてもよいし、加熱しなくてもよい。

    さらに別なタイプの硬化性樹脂としては、ペンダントした酸残基を有するものが挙げられ、その残基が、反応性の充填剤と水の存在下で硬化反応に加わることができる。 好適な酸残基の例としては、カルボキシレート、ホスフェートおよびホスホネートなどが挙げられる。 好適な化合物の例を挙げれば、ポリアクリル酸;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、グルタコン酸、アコニット酸、シトラコン酸、メサコン酸、フマル酸、チグリン酸、およびそれらの組み合わせからのポリマー;グリセロールジメタクリレートホスフェート;クエン酸ジメタクリレート;およびプロピオン酸ジメタクリレート、ならびにそれらの組み合わせなどがある。

    本発明の歯科材料には、場合によっては、口腔環境で使用するのに適した補助剤が含まれていてもよく、そのようなものとしてはたとえば、着色剤、香味剤、抗菌剤、芳香剤、安定剤、粘度調節剤、およびフルオリド放出材料などが挙げられる。 たとえば、フルオリド放出性ガラスを本発明の歯科材料またはガラスに添加して、たとえば口腔内で使用したときに、長期間にわたってフルオリドが放出されるというメリットを与えることができる。 フルオロアルミノシリケートガラスであれば、特に好ましい。 特に好ましいフルオロアルミノシリケートガラスは、たとえば米国特許第5,332,429号明細書(ミトラ(Mitra)ら)に記載されているような、シラノール処理をしたものである。 その他好適な補助剤としては、たとええば、蛍光および/または乳光を付与するような薬剤がある。

    作製方法 本発明の1つの実施態様においては、歯科用材料または補綴用材料を、ガラス、ガラス−セラミック、またはセラミックを硬化性樹脂と混合することによって、作製する。 歯科材料は、各種の容器、たとえばカプセル、シリンジ、フォリ・パッケージ(foli package)、カートリッジなどの形態で提供することができる。 次いで、その歯科用材料または補綴用材料を所望の形状に成形してから硬化性樹脂を硬化させることによって、歯科用物品や歯科矯正装置を形成させることができる。

    典型的には、この歯科材料は最初は粘稠な材料、たとえばペースト状であって、ペーストをコンパウンディングするための各種標準的な方法を用いることで、複合材料を形成させる。 通常は、最適な混合ができ、材料に不連続性を与えるたとえばボイドやクラックの発生を最小限に抑えるような方法を用いるべきである。 たとえば、ペーストのコンパウンディング、成形あるいは硬化のいずれの段階においても、真空にしたり加圧するのが有益である。 圧力は各種の手段を用いてかけることが可能であるが、たとえば、静水圧法、一軸加圧法、遠心法、衝撃法あるいは加圧ガス法などがある。 場合によっては、各種の段階で熱を加えてもよい。 しかしながら、硬化の際には、内部歪みを最小限とするためには、サンプル中の温度を均一に保つのが好ましい。 コンパウンディングおよび押出しの際には、ボイドや気泡のような材料の不連続性を最小にする、好ましくは全く無くす、方法が好ましい。

    歯科用材料または補綴用材料のミルブランクは、たとえば、当業者には公知の、円筒状、棒状、多角形、卵形、円板状など、所望の形状と大きさに作製することができる。 型は各種の材料を用いて作製することができるが、たとえば、ステンレス鋼、コバルト合金、ニッケル合金、アルミニウム合金、プラスチック、ガラス、セラミック、またはそれらの組み合わせなどが挙げられる。 別な方法として、ブランクを各種所望の形状に形成あるいは成形するための各種の方法、たとえば射出成形、遠心注型、押出し成形などを採用することができる。 硬化の際には、場合によっては、バネまたはその他の手段を用いて抑えることにより、内部応力を減少させることも可能である。 ブランクの外側表面は、平滑で粘着性がないのが好ましい。

    硬化は、1段法または多段法で実施することができる。 2段法プロセスでは、最初の硬化によって、ミリング加工または彫刻加工で加わる力に充分耐えうるような材料を与えるようにするのが好ましい。 そうすることにより、第2段の硬化を、歯科用物品または歯科矯正装置をブランクからミリング加工したり、成形したりした後の複合材料に実施することができる。 そのようなブランクについては、たとえば、国際公開第01/13862A1号パンフレットに記載がある。

    硬化させたブロックをマウンティングスタブに取り付けて、ミリング機械にブランクを容易に固定することができる。 マウンティングスタブは、ブランクが機械でミリング加工されている間、ブランクを保持するハンドルとして機能する。

    本発明のミルブランクをミリングするための各種の手段を用いて、所望の形状とモルホロジーを有する、患者一人一人に合わせた歯科補綴物を作り出すことができる。 本明細書で使用するとき「ミリング」という用語は、材料を研削、ポリッシング、制御蒸発(controlled vaporization)、放電ミリング(EDM)、水ジェットまたはレーザーまたはその他の切断手段による切断、剥離(removing)、形削り(shaping)、彫刻(carving)することを意味する。 手工具または手動の装置を用いて手でブランクをミリングすることも可能ではあるが、補綴物は、機械、好ましくはコンピュータ制御のミリング装置、でミリング加工するのが好ましい。 しかしながら、補綴物を作製し、本発明の複合材料のメリットを充分に発揮させるための好ましい装置は、ブランクをミリングすることが可能なCAD/CAM装置、たとえば、シロナ(Sirona)のセレック(Cerec)2マシンを使用することである。 CAD/CAMミリング装置を使用することによって、補綴物を効率的かつ精密に作ることができる。 ミリングの際には、その接触領域は乾燥した状態でもよいし、あるいは潤滑剤を用いてフラッシュさせていてもよい。 別な方法として、空気またはガス流れでフラッシュさせてもよい。 適切な潤滑剤は当業者には公知であるが、たとえば、水、オイル、グリセリン、エチレングリコール、シリコーンなどが挙げられる。 機械によるミリングの後で、患者一人一人の口腔の状態および/または審美的外観に合わせるために、ある程度の仕上げ、ポリッシング、調整が必要となるであろう。

    本発明のブランクを得るためには、典型的には以下の工程を実施する:ペーストのコンパウンディング;そのペーストの型への押出し;加熱、光、マイクロ波、電子ビームまたは化学硬化によるペーストの硬化;その型からのブランクの取り出しと、必要があれば過剰部分のトリミング;そして、場合によっては、必要に応じてホルダースタブへのマウンティング、の工程である。 本発明の歯科用ミルブランクを作製するための方法の1例を挙げれば、以下の工程が含まれる:a)樹脂と充填剤を含むペーストの混合、b)所望の形態へのペーストの成形、c)ペーストからの材料の不連続性の最小化、d)ペーストの硬化によるブランクの形成、e)ブランクの内部応力の除去。

    場合によっては、ペーストの成形に型を使用するときに、その型から、過剰のペースト材料をトリミングすることができる。 次いで、硬化させたペーストを型から取り出す。 ミルブランクを作製する際に実施することが可能な、また別な任意工程としては、硬化させたペーストにハンドルを取り付けることがある。 そのハンドルが、ホルダースタブであるのが好ましい。

    本発明のミルブランクは、その材料における内部応力が最小となるような方法で硬化させるのがよい。 これは、たとえば、硬化プロセスの間その複合材料に圧をかけておくことによって、実施することができる。 別な方法としては、収縮によって発生する内部応力を避けることが、ミルブランク成分を選択して、硬化時に組成物全体として収縮をほとんど、または全く示さないようにすることによって達成できることもある。 好適な硬化方法では、光を使用して、複合材料を急速硬化させる。 この急速硬化の間、場合によっては温度を調整・調節することもできる。 急速硬化法では、応力を除去するために、その後で加熱処理する必要がある。 硬化させたブランクを加熱処理するためには、そのブランクを充分な時間、充分な温度に加熱して、内部応力を効果的に除いて、そのブランクが熱衝撃試験に合格するようにする必要がある。 そのブランクを、ブランクの樹脂成分のT g (ガラス転移温度)またはそれ以上の温度にまで上げるのが好ましい。 ブランクをT gよりも高い温度に加熱して、その温度で少なくとも約1.5時間保つのがより好ましい。

    硬化させたブランクを加熱処理する方法の一例を挙げれば、ブランクを炉の中に入れ、炉の温度を、たとえば、3〜5℃/分の速度で上昇させて、ブランクの樹脂成分のほぼT gとする。 加熱処理が完了したら、そのブランクを、室温の水の中に浸漬させるか、または周囲温度によって徐々に冷却することによって、室温に平衡な状態とさせる。 別な方法として、予備加熱してある炉の中にブランクを置き、その炉の温度をT gまたはそれより高い温度に充分な時間維持することにより加熱処理を実施して、複合材料ブランクの内部応力を除去することもできる。

    本発明のブランクを硬化させるためのまた別な方法では、低強度の光線を使用してゆっくりと硬化させる。 この方法では、長い時間をかけて硬化させるので内部応力を最小限に抑えることができ、これで得られる硬化ブランクは熱衝撃試験に合格する。 約24時間を超える時間をかけて硬化を起こさせるのが好ましいが、適切な装置と手順を用いれば、硬化時間をより短くすることも可能であると考えられる。 この硬化の進行状態は、硬化の際に、予め決めておいた時間毎に材料のサンプルを調べることにより評価でき、バーコル硬度を測定することによって硬化の進行状態を評価することができる。

    本発明のミルブランクの応力を除去するためには別の方法も使用できるが、それには、熱以外の形態のエネルギー、たとえば、音波エネルギーまたはマイクロ波エネルギーを与えることも含まれる。

    本発明の用途に記載されるセラミック、ガラス、およびガラス−セラミックは、本明細書に記載されたように、前記セラミック、ガラス、およびガラス−セラミックを含む、歯科用物品および歯科矯正装置を作製するのに有用である。 本明細書に記載されたセラミック、ガラス、およびガラス−セラミックは、形成(formed)、注型(molded)、形削り(shaped)、加圧(pressed)などの方法で、歯科用物品および歯科矯正装置の形状にすることができる。

    1つの実施態様においては、歯科用物品または歯科矯正装置を作製する方法には、歯科用物品または歯科矯正装置を任意に設計する工程;前記任意の設計に基づいて歯科用または矯正用ミルブランクを彫刻する工程;が含まれるが、ここで、その歯科用ミルブランクには、本明細書に記載された少なくとも1種のガラスまたはガラス−セラミックを含むセラミックが含まれる。 ミルブランクまたは歯科用物品もしくは歯科矯正装置は、本明細書に記載されたようにして、さらに熱処理されてもよい。

    また別な実施態様においては、歯科用物品または歯科矯正装置を作製する方法には、歯科用物品または歯科矯正装置を設計する工程;ガラスをそのガラスのT gよりも高い温度に加熱してガラスを融合させて(あるいは、プレフォーム(perform)の場合なら成形して)前記任意の設計に基づく形状を有する歯科用物品または歯科矯正装置を形成させる工程;およびその融合させた物品を冷却させる工程;が含まれるが、ここで、そのガラスには、本明細書に記載された少なくとも1種のガラスが含まれる。 その融合物品をさらに加熱処理して、ガラス−セラミックを含む物品を形成させてもよい。 そのガラスの形態は、粒子、粉体、ナノクラスター、繊維、フレーク、ホイスカー、ブロック、ブランク、ビーズなど、あるいはそれらの組み合わせであってよい。

    また別な実施態様においては、歯科用物品または歯科矯正装置を作製する方法には、歯科用物品または歯科矯正装置を任意に設計する工程;セラミック、ガラス、またはガラス−セラミックを硬化性樹脂と組み合わせて混合物を形成する工程;前記任意の設計に基づく形状に歯科用物品または歯科矯正装置を成形する工程;前記混合物を硬化させて歯科用物品または歯科矯正装置を形成する工程;が含まれるが、ここで前記セラミックには、本明細書に記載された少なくとも1種のガラスまたはガラス−セラミックが含まれる。

    また別な実施態様において、本発明は、金属酸化物源を含む粒子を適切な基材の上にプラズマ噴霧または加熱噴霧して、粒子を融合させて成形物品を形成させる工程と、場合によってはその成形した物品または歯科矯正装置をその基材から分離する工程とを含む、歯科用物品または歯科矯正装置を作製する方法を提供するが、ここで、その成形物品には、本明細書に記載された少なくとも1種のガラスが含まれる。 有用な基材としては、シリカ、炭化ケイ素、酸化マグネシウム、リン酸モノアンモニウム、ジルコンまたは酸化アルミニウムなどの混合材を含む耐火材料が挙げられる。 幾つかの実施態様においては、金属基材を使用してもよい。

    使用 本明細書に開示されている歯科材料、ガラス、セラミック、およびガラス−セラミックは、たとえば、歯科用接着剤、人工歯冠、前歯または後歯充填、鋳造材料、窩洞裏装材、ペースト、セメント、コーティング組成物、ミルブランク、歯科矯正装置、歯科用物品、修復材、義歯、およびシーラントなどに使用することができる。 たとえば、本発明の修復材を口腔の中に直接用いて、形成または成形させ、その場で硬化させるか、または別な方法として、口腔の外で補綴物を作製し、次いで、口腔の中の所定の場所に接着させることもできる。

    医師は一般に、歯科材料においては、素早く容易に配列できる、言い換えれば、時間が節約できるような取扱特性を有していることを望んでいる。 たとえば、歯科修復処置においては、歯科材料がスランプ(たとえば、流動や変形)しないことが、場合によっては望ましいが、その理由は、医師がその材料を口腔中に装入して、その材料をカントゥアリングおよびフェザリングによって処理した後には、その材料が硬化するまでは、そのようにして与えた形状がそのままの形で残ることを、医師が一般的には望むからである。 修復材による処理に用いる材料は、充分に高い降伏応力を有しているために、通常はスランプすることはない;すなわち、重力の応力では流れることはない。 材料の降伏応力は、その材料に流動を起こさせるのに必要な最低の応力であって、C. W. マコスコ(Macosko)『レオロジー・プリンシプルズ・メジャメンツ・アンド・アプリケーションズ(Rheology Principles, Measurements, and Applications)』(VCH・パブリッシャーズ・インコーポレーテッド(VCH Publishers,Inc.)、ニューヨーク(New York)、1994)p. 92に記載がある。 重力による応力がその材料の降伏応力よりも小さい場合には、その材料の流動が起きることはない。 しかしながら、重力による応力は、取り付けた歯科材料の質量、さらには形状によって変わる。

    「カントゥアリング(contouring)」という用語は、(歯科用器具を用いて)材料を、天然歯の歯科解剖学的構造に似せた形状を作製するプロセスのことを指す。 容易にカントゥアリングができるようにするには、その材料の粘度が充分に高くて、歯科用器具を用いて処置をした後の形状を保持しなければならないが、それでもなお、材料の成形が困難となる程に粘度が高いものであってはならない。 「フェザリング(feathering)」という用語は、歯科材料を薄膜として、その材料を天然歯列の中に調和させるためのプロセスのことを指す。 これは、歯科用器具を用いて、処置した材料と天然歯列の境目のところで実施する。 さらに、歯科材料が配置用の器具に粘着するようなことがなく、形状や表面のトポロジーがさらに変化するようなことを最小限にとどめるのが望ましい。

    本発明の歯科材料が修復材であるような実施態様においては、その歯科材料が、スランプが全くまたはほとんど無く、それでもたとえば、窩洞形成には容易に適合し、カントゥアリングやフェザリングが容易に可能であるのが好ましい。 本発明の歯科材料は、配置用の器具に粘着するようなことがないのが好ましく、また全体として、たとえば、歯牙構造の修復のような歯科処置において迅速かつ容易に使用できる点で有利である。

    ある種の実施態様においては、本発明は、硬化させることによって、以下において述べるような望ましい性質をバランス良く与えることが可能な歯科材料を提供するが、そのような性質としては、たとえば、低乳白度、低体積収縮値、高直径引張強度、高圧縮強度、ポリッシングした時の光沢の高保持性などが挙げられる。

    本発明の歯科材料を硬化させて、たとえば、歯科用物品および歯科矯正装置を形成させることができる。 本明細書に開示されているような、硬化性樹脂とセラミックを含む歯科材料を用いる方法においては、歯科材料を歯の近傍または上に置き、次いで医師または技工士が処置を施して、その材料のトポロジーを変化させ、次いで樹脂を硬化させることができる。 これらの工程は、この順で実施しても良いし、順序を変えてもよい。 たとえば、その歯科材料がミルブランクまたは物品または歯科矯正装置である場合、一般的には硬化工程を完了させた後で、その歯科材料のトポグラフィーを変化させる。 歯科材料のトポグラフィーを変化させることは、各種の方法で実施することができ、たとえば、手で操作する器具を用いて彫刻または手動操作をしてもよいし、あるいは、義歯およびミルブランクの場合、機械またはコンピュータ支援装置(たとえば、CAD/CAMミリングマシン)を用いてもよい。 場合によっては仕上げ工程で、ポリッシュ、仕上げ、あるいは歯科用物品上へのコーティングの塗布などを実施してもよい。

    歯科用物品または歯科矯正装置を、歯牙または骨構造に取り付けるには、慣用されているセメントまたは接着剤や、その他の手段たとえば、ガラスアイオノマー、樹脂セメント、リン酸亜鉛、ポリカルボン酸亜鉛、コンポマー(compomer)、樹脂変性ガラスなどが用いられる。 さらに、材料を、場合によっては、補修、矯正、または審美性増強など各種の目的のためのミリング加工した物品または歯科矯正装置に、取り付けることも可能である。 その追加の材料は、1種または複数の異なったシェードまたはカラーとすることができる。 その追加の材料は、複合材料であっても、セラミックであっても、あるいは金属であってもよい。 歯科用陶材または軽く硬化させた複合材料であるのが好ましい。

    強度は、圧縮強度(CS)および直径引張強度(DTS)のような機械的測定によって、その特性を表すことができる。 歯科補修物、歯牙の置換え物、および修復物の上に対して、咀嚼によって力が加わるので、歯科材料において圧縮強度が高いということは有利なのである。 本明細書において開示される歯科用物品および歯科矯正装置のいくつかの実施態様では、望ましい審美的品質、たとえば、高い半透明性、高い光沢、および繰り返し摩耗に暴露させた後でのポリッシュの高い維持性などを示す。

    歯科用物品または歯科矯正装置の審美的品質は、(歯科業界ではよく理解されていることではあるものの)いくぶん主観的な特性ではあるが、1つの形態において、マクベス値(MacBeth value)を測定することによって定量化するのが好ましいが、その場合マクベス値が低い程、視覚的な乳白度が低いことを示す。 視覚的な乳白度は、歯科用物品または歯科矯正装置の半透明性レベルを代表するものである。 視覚的な乳白度が低いのが望ましいが、それは、硬化させた歯科材料が本物そっくりの艶を有するからである。

    歯科用物品または歯科矯正装置の半透明性が高いことは、その材料の審美的特性と品質に寄与する。 そのような物品および歯科矯正装置のポリッシング性もまた、その材料の審美的特性と品質に寄与する。 そのような物品および歯科矯正装置が、ポリッシングをすることで、光沢のある仕上がりと、本物そっくりの艶が得られるような性能が、大いに望ましい。 そのような物品および歯科矯正装置の性能でさらに大きなメリットがあるのは、繰り返しての摩耗的な接触、たとえば歯磨きがあっても、その艶を保持することである。 驚くべきことには、本明細書において開示される歯科用物品および歯科矯正装置のいくつかの実施態様では、高いポリッシング性があり、かつ、歯磨きを繰り返した後でも、ポリッシュとつやを維持することができる、ということが見出された。

    本発明の歯科材料、歯科用物品、および歯科矯正装置は、組み合わせてキットとすることができるが、ここで、少なくとも1種の物品または歯科矯正装置が、本発明の歯科材料、歯科用物品または歯科矯正装置である。 このキットには、1種または複数のその他の構成要素が含まれていてもよいが、そのようなものの例としては、たとえば、歯科用ミルブランク、ボンディング剤、ミリング潤滑剤、口腔内環境で使用するのに適したカラーマッチング組成物、印象材、器具、歯科用複合材料、ペースト、歯科用陶材、研磨材、歯科矯正用接着剤、接着剤用プライマー、歯科矯正装置位置決めツール、これらの要素単独または各種他の(1種または複数の)要素との組合せで使用する場合の取扱説明書、およびそれらの組み合わせなどが挙げられる。

    本明細書に記載されたセラミック、ガラス、およびガラス−セラミックのその他の用途としては、ガラスアイオノマーセメントで使用するための反応性充填材(米国特許第6,136,885号明細書、国際公開第02/085313号パンフレット、および米国特許第5,130,347号明細書に記載あり);火炎噴霧により適用される歯科修復用材料(米国特許第6,938,990B1号明細書に記載あり);米国特許第6,342,458B1号明細書に記載のある整形方法;歯科用ミルブランク(米国特許第6,394,880号明細書に記載あり);ガラス溶浸(infiltration)のための多孔質材料(米国特許第5,910,273号明細書および同第5,250,352号明細書に記載あり)などが挙げられる。

    実施例において非晶質ガラスビーズを作製するために用いた原料物質は、特に断らない限り、下記の供給源より入手した。

    [実施例1]
    ポリウレタンライニングをしたミルに、819.6グラム(g)のアルミナ粒子(「APA−0.5」)、818gの酸化ランタン粒子(モリコープ・インコーポレーテッド(Molycorp Inc.)から入手)、362.4gのイットリア安定化酸化ジルコニウム粒子(公称組成:94.6重量%ZrO 2 (+HfO 2 )および5.4重量%Y 23 (ジョージア州マリエッタ(Marietta,GA)のジルコニア・セールス・インコーポレーテッド(Zirconia Sales Inc.)から商品記号「HSY−3」として入手)、1050gの蒸留水、および約2000gのジルコニア練和媒体(ニュージャージー州バウンド・ブルック(Bound Brook)のトーソー・セラミック・ディビジョン(Tosoh Ceramics Division)から、商品記号「YTZ]として入手)を仕込んだ。この混合物を120回転/分(rpm)で4時間練和して、成分を完全に混合させた。練和後、練和媒体を取り除き、スラリーをガラス(「パイレックス(PYREX)(登録商標)」)製のパンの中に注ぎ込み、ヒートガンを使用して乾燥させた。乾燥させた混合物を乳鉢と乳棒を用いて磨砕してから、70−メッシュの篩(開口寸法212マイクロメートル)で篩い分けた。粉砕と篩い分けをしてから、粒子の幾分かを水素/酸素のトーチフレーム中に入れた。その多相粒子を融解させて、それによって融解された非晶質ガラスビーズを発生させるために用いた水素トーチは、ベツレヘム(Bethlehem)ベンチトーチであって、水素と酸素を以下の速度で供給した。内環での水素の流量は8リットル(標準状態)/分(SLPM)、酸素の流量は3SLPMであった。外環での水素の流量は23リットル(標準状態)/分(SLPM)、酸素の流量は9.8SLPMであった。乾燥させ、粒径を揃えた粒子を直接水素トーチフレームの中に供給し、そこで融解させてから、その上に冷水(約2L/分)を流している、傾斜を付けたステンレス鋼の表面(幅約20インチ、傾斜角45度)に輸送させた。この手順で得られた非晶質ビーズの粒径は、30〜150ミクロンであった。

    約50gのその非晶質ビーズをグラファイトダイの中に入れて、一軸プレス装置(カリフォルニア州ブレア(Brea,CA)のサーマル・テクノロジー・インコーポレーテッド(Thermal Technology Inc.)から、商品記号「HP−50」として入手)を用いて、熱間圧縮させた。 この熱間圧縮はアルゴン雰囲気下960℃で、13.8メガパスカル(MPa)(2000ポンド/平方インチ(2ksi))の圧力をかけて実施した。 得られたディスクは、直径約48ミリメートル、厚み約5mmであった。 さらなる熱間圧縮実験を行って、追加のディスクを作製した。 図1は、この熱間圧縮した材料の切断片(厚み2mm)の光学顕微鏡写真であって、その透明度を示している。

    こうして得られた熱間圧縮したガラス材料のヤング率(E)を超音波試験システム(ワシントン州リッチランド(Richland,WA)のノルテック(Nortek)から、商品記号「NDT−140」として入手)を用いて測定したところ、約130〜150GPaの範囲に入っていることがわかった。

    こうして得られた熱間圧縮した材料の平均微小硬度は以下のようにして測定した。 熱間圧縮した材料の試験片(大きさ約2〜5ミリメートル)を、固定用樹脂(イリノイ州レーク・ブラフ(Lake Bluff,IL)のビューラー・リミテッド(Buehler,Ltd)から商品記号「エポメット(EPOMET)」として入手)の中に固定した。 樹脂から作った円筒は、その直径が約2.5cm(1インチ)で、背(すなわち高さ)が約1.9cm(0.75インチ)であった。 固定したサンプルは、通常のグラインダー/ポリッシャー(ビューラー・リミテッド(Buehler Ltd.)から商品記号「エポメット(EPOMET)」として入手したもの)を用いてポリッシングし、そして、仕上げポリッシング工程では通常のダイヤモンドスラリーの1マイクロメートルのダイヤモンドスラリー(ビューラー・リミテッド(Buehler Ltd.)から商品記号「メタディ(METADI)」として入手したもの)を用いて、ポリッシングした試料切断面を得た。

    微小硬度の測定には従来タイプのビッカース圧子を取り付けた微小硬度試験器(たとえば、日本国東京の(株)ミツトヨ(Mitutoyo Corporation)から商品記号「ミツトヨ(MITUTOYO)MVK−VL」として入手)を使用し、押し込み荷重として500gを用いた。 微小硬度の測定は、ASTM試験方法E384「テスト・メソッズ・フォア・マイクロハードネス・オブ・マテリアルズ(Test Methods for Microhardness of Materials)(1991)」に記載されたガイドラインに従って行った。 ここでの微小硬度の値は、20回の測定の平均値であった。 熱間圧縮した材料の平均微小硬度は約8.3GPaであった。

    熱間圧縮した材料の平均押込み靱性は、微小硬度試験器(日本国東京の(株)ミツトヨ(Mitutoyo Corporation)から商品記号「ミツトヨ(MITUTOYO)MVK−VL」として入手)で荷重500gを用いて作った、ビッカースくぼみの頂部から延びたクラックの長さを測定することにより、計算した。 押込み靱性(K IC )は次式により計算した:
    IC =0.016(E/H) 1/2 (P/c) 3/2
    ここで:
    E=材料のヤング率;
    H=ビッカース硬度;
    P=圧子にかけた力(ニュートン);
    c=くぼみから末端までのクラックの長さ

    靱性試験のためのサンプルは、先に述べた微小硬度試験の場合と同様にして、調製した。 報告した押込み靱性の値は、5回の測定の平均値である。 クラック(c)は、走査型電子顕微鏡(「JEOL SEM」(JSM6400型))を用いて得た顕微鏡写真について、デジタルキャリパーを使って測定した。 熱間圧縮した材料の平均押込み靱性は、1.4MPa・m 1/2であった。

    熱間圧縮した材料の熱膨張係数は熱分析計(コネチカット州シェルトン(Shelton,CT)のパーキン・エルマー(Perkin Elmer)から、商品記号「パーキン・エルマー・サーマル・アナライザー(PERKIN ELMER THERMAL ANALYSER)」として入手)を用いて測定した。 平均熱膨張係数は7.6×10 -6 /℃であった。

    熱間圧縮した材料の熱伝導率は、ASTM標準「D5470−95、試験方法A」(1995)に従って測定した。 平均熱伝導率は1.15W/m・Kであった。

    熱間圧縮したLa 23 −Al 23 −ZrO 2ガラスの半透明のディスクを、炉(電気加熱炉(カリフォルニア州ピコ・リベラ(Pico Rivera,CA)のキース・ファーネシズ(Keith Furnaces)から商品記号「KKSK−666−3100型」として入手))の中で加熱処理したが、その条件は下記の通りである。 ディスクをまず室温(約25℃)から加熱して、約10℃/分の速度で約900℃まで昇温してから、900℃で約1時間維持した。 次いでそのディスクを約900℃から約1300℃まで、約10℃/分の昇温速度で加熱し、1300℃で約1時間保ってから、炉の電源を落として冷却して室温にまで戻した。 もう1つの実験を上記と同様に実施したが、ただし、最終温度を1400℃とした。

    図2(a、b)は、それぞれ1300℃および1400℃で加熱処理した実施例1の材料のポリッシュした断片の走査型電子顕微鏡(SEM)写真であるが、この材料が微細な結晶質の性質を有していることや、また生成物の結晶性に加工条件がおよぼす影響がわかる。 このポリッシングした切片は、通常の固定法およびポリッシング法を用いて調製した。

    加熱処理した実施例1の材料の一部の粉体X線回折と、ポリッシュしたサンプルの後方散乱モードでのSEMの検討とから、顕微鏡写真の中の黒い部分が結晶質のLaAl 1118 、グレーの部分が結晶質のLaAlO 3 、白色の部分が結晶質の立方晶系/正方晶系ZrO 2であると考えられる。 加熱処理した材料のヤング率(E)を、超音波試験システム(ワシントン州リッチランド(Richland,WA)のノルテック(Nortek)から商品記号「NDT−140」として入手)を用いて測定したところ、約260GPaであることがわかった。 1300℃で加熱処理した材料の平均微小硬度を、先に述べた方法で測定すると、18.3GPaであることがわかった。 1300℃で加熱処理した材料の平均破壊靱性(K Ic )を、先に述べた方法で測定すると、3.4MPa・m 1/2であることがわかった。

    1400℃で加熱処理した材料の平均微小硬度を測定すると、15.4GPaであった。 1400℃で加熱処理した材料の平均破壊靱性(K Ic )を測定すると、5.7MPa・m 1/2であった。

    破砕強度は、90〜125ミクロンの非晶質ビーズについて、米国特許第4,772,511号明細書(ウッド(Wood)ら)に記載の試験手順に従って測定した。 (結晶化条件については、表Iを参照されたい。)比較のために、トーソー・セラミック(Tosoh Ceramics)から入手したYTZ(イットリア正方晶系ジルコニア)結晶質ビーズ(粒径100ミクロン)の破砕強度についても測定した。 表Iに、ZrO 2と比較して、本発明のビーズ化ガラス−セラミック材料の強度が優れていることを示した。

    [実施例2〜62]
    実施例2〜62のビーズは、実施例1の記載と同様にして調製したが、ただし、使用した原料物質とその量は以下の表IIに示した通りであり、原料物質の練和は、90mLのイソプロピルアルコール中で、200gのジルコニア媒体(ニュージャージー州バウンド・ブルック(Bound Brook)のトーソー・セラミック・ディビジョン(Tosoh Ceramics Division)から、商品記号「YTZ]として入手)を用い、120rpmで24時間かけて行った。

    実施例1〜62の材料の各種物性/特性は以下のようにして測定した。 粉体X線回折法(X線回折計(ニュージャージー州モーウォー(Mahwah、NJ)のフィリップス(PHILLIPS)から商品記号「フィリップス(PHILLIPS)XRG3100」として入手)で1.54050オングストロームの銅K α1照射を使用)を用いて、実施例の材料の中に存在する相を定性的に測定した。 ブロードに拡がった強度ピークがあれば、その材料はガラス質の性質を有しているとみなした。 ブロードなピークと明瞭なピークの両方が存在するならば、非晶質マトリックスの中に結晶質物質が存在していることを示しているとみなした。 それぞれの実施例で検出された相を以下の表IIIに示す。

    示差熱分析(DTA)測定のための材料は、篩い分けて90〜125マイクロメートルの粒径範囲の非晶質ビーズ(ミクロスフェア)を残したものである。 DTAは、独国ゼルプ(Selb、Germany)のネッツ・インストラメンツ(Netzsch Instruments)から商品記号「ネッツ(NETZSCH)STA409DTA/TGA」として入手可能な機器を使用して測定した。 100マイクロリットルのAl 23製サンプルホルダーに入れるそれぞれの篩い分けしたサンプルの量は、400ミリグラムであった。 それぞれのサンプルを、静的空気(static air)中で、室温(約25℃)から1200℃まで10℃/分の速度で昇温させた。

    図3を参照すると、801のラインは、実施例1の材料のDTAデータをプロットしたものである。 図3のライン801から、この材料は、温度が約840℃のあたりで、ライン801が下向きになっていることからわかるように、この温度で吸熱事象を示した。 この事象は、この材料のガラス転位(T g )によるものと考えられる。 約934℃におけるライン801の鋭いピークから判るように、発熱事象も観察された。 この事象は、この材料の結晶化(T x )によるものと考えられる。 他の実施例におけるこれらT gおよびT xの値は、上記の表IIIに示している。 各種の実施例の材料について、上記の熱間圧縮装置に取り付けられている変位調節ユニットで検出される、検知できる程度にガラスの流動が起きる熱間圧縮温度を、上の表IIIに示している。 (実施例63においては、非加圧焼結を用いた。)

    [実施例63]
    実施例1と同様にして調製した約120gの非晶質ビーズを、グラファイトダイの中に入れて、一軸プレス装置(カリフォルニア州ブレア(Brea,CA)のサーマル・テクノロジー・インコーポレーテッド(Thermal Technology Inc.)から、商品記号「HP−50」として入手)を用いて、熱間圧縮させた。 この熱間圧縮は、アルゴン雰囲気下960℃、2ksi(13.8MPa)の圧力で実施して、熱間圧縮したディスクを得た。 加圧下での保持時間は、30分であった。

    その熱間圧縮したディスクから2本の円筒をコアドリルにより抜き出し、セレック(CEREC)互換スタブの上に搭載させたが、円筒の1つは、おおよそ、直径12mm×高さ15mmであり、もう1つは、おおよそ、直径14mm×高さ17mmであった。 この酸化ランタン/酸化アルミニウム/酸化ジルコニウム材料は非晶質(ガラス質)で、色は暗青色であった。

    小さい方の円筒から、自動化ミリングシステム(独国ベンスハイム(Bensheim,Germany)のシロナ・デンタル・システムズ(Sirona Dental Systems)から商品記号「セレック(CEREC)2」として入手可能)とLS(ラブサイド(LabSide))ソフトウェアとを用いて、歯科用コーピングをミリング加工したが、この「セレック(CEREC)2」では、直径30mmの金属板ダイヤモンド(metal−plated−diamond)ホイールと、直径1.6mmの円筒状バーが使用されている。 新品の工具と潤滑用の水を使用した。 その修復物をミリング加工するには20分もかからず、その外観は、市販されているブロック材料である、セレック(CEREC)のためのパラダイム(PARADIGM)MZ100ブロック(ミネソタ州セントポール(St.Paul,MN)の3M・カンパニー(3M Company)から入手可能)を同様にミリング加工した修復物と、形状面では同様であった(図4参照)。

    [実施例64]
    熱間圧縮した酸化ランタン/酸化アルミニウム/酸化ジルコニウム材料のビレット(およそ、直径37mm×高さ17mm)を、実施例64の場合と同様にして調製した;直径14mm×高さ17mmの円筒をそのビレットからコアドリルにより抜き出してセレック(CEREC)のために調製したが、それには、エポキシ接着剤(ミネソタ州セントポール(St.Paul,MN)の3M・カンパニー(3M Company)から商品記号「3MDP100」として入手可能)を用いてセレック(CEREC)に接着させた。

    大臼歯全咬合歯冠(full−occlusion crown)をセレック(CEREC)3上で、大きい方の円筒からミリング加工したが、その際には、新しいダイヤモンドコーンおよび1.6mmシリンダー・ツールを用い、水タンクには100mLのプロキャド・デンタテック・ミリング・アディティブ(ProCAD DENTATEC Milling Additive)(シロナ・デンタル・システムズ(Sirona Dental Systems)から入手可能)を加えた。 そのミリング加工した表面は、市販の陶材のそれと同様の外観を示した。 その頬側面は、仕上げブラシ(3M・カンパニー(3M Company)から商品名「SOF−LEX」として入手可能)を用いてポリッシュした。 得られた表面は滑らかで、咬合接触には適したものであった。

    [実施例65]
    実施例1と同様にして調製した約120gの非晶質ビーズを、グラファイトダイの中に入れて、一軸プレス装置(カリフォルニア州ブレア(Brea,CA)のサーマル・テクノロジー・インコーポレーテッド(Thermal Technology Inc.)から、商品記号「HP−50」として入手)を用いて、熱間圧縮させた。 熱間圧縮はアルゴン雰囲気下960℃で、4ksi(27.6MPa)の加圧で行った。 加圧下での保持時間は、20分であった。 このようにして得られたディスクから、コアドリルによって、5本の円筒状試験片を抜き出し、歯科用ミリングの評価に用いた。

    [実施例66]
    実施例1と同様にして調製した約50gの非晶質ビーズを、グラファイトダイの中に入れて、一軸プレス装置(カリフォルニア州ブレア(Brea,CA)のサーマル・テクノロジー・インコーポレーテッド(Thermal Technology Inc.)から、商品記号「HP−50」として入手)を用いて、熱間圧縮させた。 熱間圧縮はアルゴン雰囲気下925℃で、0.55ksi(3.8MMPa)の加圧で行った。 加圧下での保持時間は、20分であった。 このようにして得られたディスクから、コアドリルによって1本の円筒状試験片(およそ、直径10mm×高さ15mm)を抜き出し、歯科用ミリングの評価に用いた。 この酸化ランタン/酸化アルミニウム/酸化ジルコニウム材料は非晶質(ガラス質)で、淡黄色で幾分かの乳光を示した。

    そのブロックを、セレック(CEREC)互換スタブに接着させてから、セレック(CEREC)3システム(独国ベンスハイム(Bensheim,Germany)のシロナ・デンタル・システムズ(Sirona Dental Systems)製)で機械加工したが、その際実施例65で用いたダイヤモンドバーのセットを用い、脱イオン水のフレッシュタンクの中に、75mLのシロナ・プロキャド・デンタテック(Sirona ProCAD DENTATEC)潤滑剤を用いた。 そのブロックから1×4×12mmのバーを切り出した。 目視による確認およびセレック(CEREC)ソフトウェアからエラーメッセージが出ないことから、それらのツールをさらなる機械加工に用い得ることが示された。 実施例65と66は、その材料が機械加工可能であることを示している。

    実施例67の材料の熱膨張挙動を、セイコー・サーモメカニカル・アナライザー(Seiko Thermomechanical Analyzer)を用い、昇温速度10℃/分で測定した。 熱膨張係数が10.3ppm/℃、軟化点が約880℃であった。 実施例66の材料の10×10×3mmのディスクを、炉(電気加熱炉(カリフォルニア州ピコ・リベラ(Pico Rivera,CA)のキース・ファーネシズ(Keith Furnaces)から商品記号「KKSK−666−3100型」として入手))の中で加熱処理したが、その条件は下記の通りである。 ディスクをまず室温(約25℃)から加熱して、約10℃/分の速度で約900℃まで昇温してから、900℃で約1時間維持した。 次いでそのディスクを約900℃から約1300℃まで、約10℃/分の昇温速度で加熱し、1300℃で約1時間保ってから、炉の電源を落として冷却して室温にまで戻した。 この加熱処理の間に起きた寸法収縮を測定すると、4.5%であった。

    [実施例67]
    実施例1の記載と同様にして調製した、約150gの非晶質ビーズを、5センチメートル(cm)×5cm×5cmのスチール缶の中に入れ、次いでそれを真空にして大気から遮断した。 次いでそのスチール缶を、熱間静水圧加圧した(HIPed)したが、それには、HIP装置(オハイオ州(OH)のアメリカン・アイソスタティック・プレシズ・インコーポレーテッド(American Isostatic Presses Inc.)から商品記号「IPS Eagle−6」として入手)を用いた。 HIP処理は、アルゴン雰囲気下で、207MPa(30ksi)の加圧下で実施した。 HIP炉は、25℃/分の昇温速度で970℃まで加熱し、その温度に30分間保った。 HIP処理が完了したら、スチール缶を切って、仕込んだ材料を取り出した。 非晶質ビーズが融合して、透明なガラス質材料の高密度物体になっているのが観察された。 実施例2〜62のところで要約したのと同様にして測定したDTA曲線からは、ガラス転移温度(T g )が879℃、結晶化温度(T x )が931℃であった。

    [実施例68]
    35gの実施例1からの非晶質ビーズと、15gのα−Al 23 (アリゾナ州トゥーソン(Tucson,AZ)のコンデア・ビスタ(Condea Vista)から商品記号「APA−0.5」として入手)とを、ポリエチレン瓶の中に入れた。 80gの蒸留水と300gのジルコニア媒体(ニュージャージー州バウンド・ブルック(Bound Brook)のトーソー・セラミック(Tosoh Ceramics)からの商品記号「YTZ」)をその瓶に加えた。 その混合物を24時間120rpmで練和させた。 練和した材料を、ヒートガンを用いて乾燥させた。 20gの乾燥粉体を、実施例1の記載のようにして熱間圧縮させた。 不透明なビレットが得られた。

    [実施例69]
    実施例62の記載のようにして調製した非晶質ビーズ20gと、実施例1の記載のようにして調製した非晶質ビーズ15gとを、アルミナるつぼの中に入れて、炉(電気加熱炉(カリフォルニア州ピコ・リベラ(Pico Rivera,CA)のキース・ファーネシズ(Keith Furnaces)から商品記号「KKSK−666−3100型」として入手))の中で、1050℃で1時間加熱処理をした。 得られた材料は、粘稠な流動をした実施例62の非晶質ビーズからの非晶質マトリックス全体の中に、実施例1のビーズが均等に分散された半透明の物体であった。

    [実施例70]
    実施例1の記載のようにして調製した非晶質ビーズ15gをアルミナるつぼに入れて、炉(電気加熱炉(カリフォルニア州ピコ・リベラ(Pico Rivera,CA)のキース・ファーネシズ(Keith Furnaces)から商品記号「KKSK−666−3100型」として入手))の中で、1250℃で4時間加熱処理をした。 得られた材料は、砕け易いが、取り扱うことは可能な物体であった。

    この多孔質で締焼きされた物体の中の1.4gを、白金フォイルの上に置き、0.6gのランタナ−アルミナ−シリカガラス粉体(バイタ・ツァーンファブリーク・H・ラウター・GmbH&Co.KG(Vita Zahnfabrik H.Rauter GmbH & Co.,KG)からの、バイタ・イン・セラム(VITA IN−CERAM)アルミナ溶浸ガラス、シェードAl1)を、その物体の上に置いた。 次いでそのフォイル、物体およびガラス粉体を、真空下1120℃で60分間、歯科用陶材炉で焼成した。 焼成の後、その物体はガラスによって部分的に溶浸されていたので、追加の0.93gのガラス粉体をその物体の上に置き、もう一度同じ条件で焼成した。 その結果得られた物体は、ガラスによって完全に溶浸されていた。

    この多孔質で締焼きされた物体の中の5×5×5mm(0.04g)の部分を、光硬化性樹脂(20.79重量部のビス−GMA、29.11部のUDMA、29.11部のビス−EMA6、4.16部のTEGDMA、14.00部のHEMA、0.172部のCPQ、0.43部のDPIHFP、0.86部のEDMAB、0.086部のBHTおよび1.29部のノルブロック(NORBLOC)7966を混合して得られたもの)のトレーの中に浸漬させた。 2時間後に、樹脂がブロックの中に完全に溶浸された。 そのブロックを取り出して、露光させることにより硬化させたが、それに用いたのは、3M・カンパニー(3M Company)XL3000ライト・キュア・ユニット(Light Cure Unit)に10秒間、それに続けて、クルツアー・デンタカラー・XS・ユニット(Kulzer Dentacolor XS unit)(独国ベールハイム(Wehrheim,Germany)のクルツアー(Kulzer)製)の中で、2回の90秒間のサイクルであった。 得られたものは、2つの相互貫入相を有する、硬く、強度がある、樹脂−セラミック複合材料であった。

    [実施例71(プラズマ−噴霧)]
    250mLのポリエチレン瓶(直径7.3cm)に、以下のものからなる50g混合物:19.3gのアルミナ粒子(アーカンソー州ボーキサイト(Bauxite,AR)のアルコア・インダストリアル・ケミカルズ(Alcoa Industrial Chemicals)から商品記号「Al6SG」として入手)、9.5gの酸化ジルコニウム粒子(ジョージア州マリエッタ(Marietta,GA)のジルコニア・セールス・インコーポレーテッド(Zirconia Sales Inc.)から商品記号「DK−2」として入手)、および21.2gの酸化ランタン粒子(カリフォルニア州マウンテン・パス(Mountain Pass,CA)のモリコープ・インコーポレーテッド(Molycorp Inc.)から入手)と、75gのイソプロピルアルコールと、200gのアルミナ練和媒体(円筒形状、高さ、直径ともに0.635cm;99.9%アルミナ;(コロラド州ゴールデン(Golden,CO)のクアーズ(Coors)から入手,)とを仕込んだ。ポリエチレン瓶の内容物を、16時間、60回転/分(rpm)で練和させた。出発原料でのアルミナ対ジルコニアの比は2:1であり、アルミナとジルコニアとを合わせて約58重量パーセント(wt%)であった。練和させてから、練和媒体を除き、スラリーを、温めておいた(約75℃)のガラス(「パイレックス(PYREX)(登録商標)」)のパンの上に流し出して乾燥させた。乾燥させた混合物を、塗料ばけを用いながら、70メッシュの篩(開口寸法:212マイクロメートル)を通してふるい分けた。

    粉砕と篩別の後に、その練和させたフィード粒子の混合物を、水素/酸素トーチフレームの中に徐々に(0.5g/分)加えて、粒子を融解させ、実施例1に記載したようなガラスビーズを生成させた。 そのガラスビーズは球形の形状を有していて、その大きさは数マイクロメートル(すなわち、ミクロン)から250マイクロメートルまでであった。 次いで、この火炎により形成させたビーズで、直径が125マイクロメートル未満のものを、以下のようにしてプラズマガンを通過させ、ステンレス鋼基材の上に堆積させた。

    4枚の304ステンレス鋼試験片(サイズ:76.2ミリメートル(mm)×25.4mm×3.175mm)と、2枚の1080炭素鋼試験片(76.2mm×25.4mm×1.15mm)を、以下のようにして処理した。 コーティングする面をサンドブラストし、超音波浴で洗浄してから、イソプロピルアルコールを用いて拭いて清浄化した。 4枚の304ステンレス鋼と1080炭素鋼基材の1枚を、プラズマガン(ニューハンプシャー州コンコード(Concord,NH)のプラクスエア・サーフェス・テクノロジーズ(Praxair Surface Technologies)から商品記号「プラクスエア・SG−100・プラズマ・ガン(Praxair SG−100 Plasma Gun)」として入手)のノズルの前約10センチメートル(cm)のところに置いた。 第2の1080炭素鋼基材は、プラズマガンのノズルの前18cmのところに置いた。 プラズマガンのノズルの前18cmの距離に置いた第2の1080炭素鋼サンプルの上に作製したコーティングについては、それ以上の特性検討はしなかった。

    そのプラズマユニットの定格出力は40kWであった。 プラズマガスはアルゴン(50ポンド/平方インチ(psi)、0.3メガパスカル(MPa))で、補助ガスとしてヘリウム(150psi、1MPa)を用いた。 プラクスエア(Praxair)1270型コンピュータ制御粉体フィーダー(ニューハンプシャー州コンコード(Concord,NH)のプラクスエア・サーフェス・テクノロジーズ(Praxair Surface Technologies)から入手)を使用し、キャリヤーガスとしてアルゴンを用いることによって(50psi、0.3MPa)、ビーズをプラズマガンの中を通過させた。 堆積させる際には、電圧約40ボルトと電流約900アンペアをかけ、基材に均等にコーティングさせるために、プラズマガンを上下左右にパンさせた。 所望の厚みが得られたら、プラズマ溶射を止めて、サンプルを回収した。 1080炭素鋼基材を折り曲げて、コーティングを基材から分離させ、それによって自立構造の(free−standing)バルク材料を得た。 こうして堆積させた材料は、光学顕微鏡法を用いて測定すると、z方向軸寸法(厚み)が約1350マイクロメートルであった。

    以下に述べるようにして、相の構成(ガラス質/非晶質/結晶質)を示差熱分析(DTA)により測定した。 発熱による結晶化事象(T x )が物質に対応するDTA曲線に含まれていれば、その物質は非晶質と分類した。 その同一の曲線に、T xよりも低い温度で吸熱事象(T g )がさらに存在すれば、それはガラス相からできているとみなした。 物質のDTA曲線にそれらの事象が含まれていなければ、それは結晶質相を含んでいるとみなした。

    示差熱分析(DTA)は以下の方法に従って実施した。 DTAを測定するには、140+170メッシュの粒径画分(すなわち、105マイクロメートル開口寸法から90マイクロメートル開口寸法までの間の篩で集められた画分)を使用し、機器としては、たとえば独国ゼルプ(Selb、Germany)のネッツ・インストラメンツ(Netzsch Instruments)から入手可能な商品記号「ネッツ(NETZSCH)STA409DTA/TGA」を使用した。 100マイクロリットルのAl 23製サンプルホルダーに入れるそれぞれの篩い分けしたサンプルの量は、約400ミリグラムであった。 それぞれのサンプルを、静的空気(static air)中で、室温(約25℃)から1100℃まで10℃/分の速度で昇温させた。

    (304ステンレス鋼基材の上に)コーティングした材料は、約880℃あたりの温度で吸熱事象を示したが、これはDTA曲線が下向きに変化したことから判断した。 この事象は、ガラス質の物質のガラス転位(T g )によるものと考えられる。 同一の物質が約931℃あたりの温度で発熱事象を示したが、これは曲線に鋭いピークが認められることから判断した。 この事象は、物質の結晶化(T x )によるものと考えられる。 したがって、(304ステンレス鋼基材の上に)コーティングした材料および独立したバルク材料は、DTA曲線の測定から、ガラス質であった。

    次いで、ガラス質の自立構造のバルク材料の一部を1300℃で48時間加熱処理した。 粉体X線回折法、XRD(X線回折計(ニュージャージー州モーウォー(Mahwah、NJ)のフィリップス(Phillips)から入手、商品記号「フィリップス(PHILLIPS)XRG3100」)で1.54050オングストロームの銅K α1照射を使用)を用いて、存在する相を測定した。 相は、結晶化させた材料のXRD線図中に存在するピークを、JCPDS(ジョイント・コミッティー・オン・パウダー・ディフラクション・スタンダーズ(Joint Committee on Powder Diffraction Standards))データベース(インターナショナル・センター・フォア・ディフラクション・データ(International Center for Diffraction Data)による出版物)から得られる結晶質相のXRDパターンと比較することによって求めた。 得られた結晶質材料には、LaAlO 3 、ZrO 2 (立方晶系、正方晶系)、LaAl 1118 、および遷移Al 23相が含まれていた。

    ガラス質の自立構造のバルク材料のまた別な一部を、電気加熱炉(ニュージャージー州ブルームフィールド(Bloomfield,NJ)のCM・ファーネシズ(CM Furnaces)から商品記号「ラピッド・テンプ・ファーネス(Rapid Temp Furnace)」として入手したもの)の中で、1300℃で1時間加熱して結晶化させた。 その結晶化させたコーティングをハンマーで破砕して粒子とした。 600マイクロメートル開口寸法の篩は通過するが、500マイクロメートル開口の篩は通過できない画分を、超音波浴(イリノイ州バーノン・ヒルズ(Vernon Hills,IL)のコール−パーマー(Cole−Parmer)から商品記号「8891」として入手)の中で15分間洗浄して破片を除き、100℃で乾燥させた。 その粒子の一部を、金属製円筒(直径3cm×高さ2cm)の上に炭素テープを用いて、貼り付けた。 そのように貼り付けたサンプルに、スパッターコーティングにより金−パラジウムの薄層をコーティングして、JEOLの走査型電子顕微鏡(SEM、JSM840A型)で測定した。 SEMの観察では、その破断面は粗く、200ナノメートル(nm)よりも粗い結晶は認められなかった。

    [実施例72]
    実施例71の記述に従って、下記の50g混合物を用いてフィード粒子を製造した:21.5gのアルミナ粒子(アーカンソー州ボーキサイト(Bauxite,AR)のアルコア・インダストリアル・ケミカルズ(Alcoa Industrial Chemicals)から商品記号「Al6SG」として入手)、9gの酸化ジルコニウム粒子(ジョージア州マリエッタ(Marietta,GA)のジルコニア・セールス・インコーポレーテッド(Zirconia Sales Inc.)から商品記号「DK−2」として入手)、および19.5gの酸化セリウム粒子(仏国ローヌ−プーラン(Rhone−Poulence)から入手)。 出発原料でのアルミナ対ジルコニアの比は2.4:1であり、アルミナとジルコニアとを合わせて約61重量パーセントであった。 実施例71の記載のようにして、フィード粒子を火炎形成によりビーズ(そのサイズは数マイクロメートルから最高250マイクロメートルまで)にした。 次いで、その火炎形成した直径が180マイクロメートル〜250マイクロメートルの間のビーズを、プラズマガンを通過させて、実施例71に記載のようにしてステンレス鋼と炭素鋼基材の上に堆積させた。

    コーティングした1080炭素鋼基材を折り曲げて、コーティングを基材から分離させ、それによって自立構造のバルク材料を得た。 こうして得られたバルク材料は、光学顕微鏡法を用いて測定すると、z軸方向寸法(厚み)が約700マイクロメートルであった。 その微細構造も、光学顕微鏡法を用いて観察した。 その材料は、大量の透明な非晶質マトリックスの中に、大部分が不透明な球状および単斜晶(oblique)の結晶質粒子からできていた。 非晶質物質は典型的には、結晶粒界のような光散乱中心が無いために透明であるが、結晶質粒子は結晶構造を示し、光散乱効果のために不透明である。 結晶質相を、実施例71のところで述べたようにして粉体XRD分析により測定すると、Zr 0.4 Ce 0.62 (立方晶系)と遷移Al 23からできていた。

    第2の堆積実験を、火炎形成された直径125マイクロメートル未満のビーズを用いて行った。 こうして得られたコーティングは、光学顕微鏡法を用いて測定すると、z軸方向寸法(厚み)が約1100マイクロメートルであった。 その微細構造も、光学顕微鏡法を用いて観察した。 この材料は、直径が180マイクロメートル〜250マイクロメートルのビーズから作製した材料の特性と同様な(すなわち、大量の非晶質マトリックスの中に、大部分が球状および単斜晶の結晶質粒子からなる)特性を有していた。 結晶質相を、実施例71のところで述べたようにしてXRD分析により測定すると、Zr 0.4 Ce 0.62 (立方晶系)と遷移Al 23からできていた。

    [実施例73]
    実施例71の記述に従って、下記の50g混合物を用いてフィード粒子を製造した:27.9gのアルミナ粒子(アーカンソー州ボーキサイト(Bauxite,AR)のアルコア・インダストリアル・ケミカルズ(Alcoa Industrial Chemicals)から商品記号「Al6SG」として入手)、7.8gの酸化ジルコニウム粒子(ジョージア州マリエッタ(Marietta,GA)のジルコニア・セールス・インコーポレーテッド(Zirconia Sales Inc.)から商品記号「DK−2」として入手)、および14.3gの酸化イットリウム粒子(マサチューセッツ州ニュートン(Newton,MA)のH.C.スターク(H.C.Stark)から入手)。 出発原料でのアルミナ対ジルコニアの比は3.5:1であり、アルミナとジルコニアとを合わせて約72重量パーセントであった。 次いでこのフィード粒子を30メッシュの篩(開口寸法:600マイクロメートル)を通して篩別し、電気加熱炉(ニュージャージー州ブルームフィールド(Bloomfield,NJ)のCM・ファーネシズ(CM Furnaces)から商品記号「ラピッド・テンプ・ファーネス(Rapid Temp Furnace)」として入手したもの)中で1400℃、2時間かけて加熱処理した。 その加熱処理した粒子をさらに篩別して、直径125マイクロメートル〜180マイクロメートルのものを分離し、次いでそれを実施例71の記載のようにして、プラズマガンを通過させて、ステンレス鋼基材の上に堆積させた。

    1080炭素鋼基材を折り曲げて、コーティングを基材から分離させ、それによって自立構造のバルク材料を得た。 こうして得られたバルク材料は、光学顕微鏡法を用いて測定すると、z軸方向寸法(厚み)が約700マイクロメートルであった。 その微細構造を、光学顕微鏡法を用いて観察した。 この材料は、大量の透明な非晶質マトリックスの中に、一般的に結晶質の不透明な(元の形状を維持した)粒子でできていた。 この結晶質相を、実施例71のところで述べたようにして粉体XRD分析により測定すると、Al 5312とY 0.15 Zr 0.851.93からできていた。

    独立したバルク材料のまた別な一部を、1300℃で1時間加熱して結晶化させ、先に実施例71で説明したようにして、その破断面にスパッターコーティングにより金−パラジウムの薄層をコーティングして、JEOLのSEM(JSM840A型)を用いて観察した。 その破断面は粗く、200nmよりも粗い結晶は認められなかった。

    [実施例74]
    実施例71〜73で製造したフィード粒子を使用して、プラズマ溶射により上述の3つの実施例の各種の層からなる厚いコーティングを得た。 第1の層は、実施例72の記述に従ってコーティングし、第2の層は実施例71,第3の層は実施例73の記述に従った。

    この基材は、コーティングに先だってサンドブラストをしなかったので、手で引きはがすだけで容易に取り外すことができ、約75ミリメートル(mm)×25mm×7.5mmの自立構造のバルク材料が得られた。 その厚みのあるコーティングからコアドリルすることによって、円筒状のブロックを調製した。

    光学顕微鏡法を用いて測定したところでは、その第1の層のz軸方向寸法(厚み)は約2.5mmであった。 その微細構造を、光学顕微鏡法を用いて観察した。 その物質は、実施例72の材料と同様の特性を有していた(すなわち、大量の透明な非晶質マトリックスの中に、大部分が球状で不透明な結晶質粒子からなる)。 光学顕微鏡法を用いて測定したところでは、その第2の層のz軸方向寸法(厚み)は約2mmであった。 その微細構造も、光学顕微鏡法を用いて観察した。 その物質は、実施例71の材料と同様の特性を有していた(すなわち、透明であって、非晶質であることを示唆していた)。 光学顕微鏡法を用いて測定したところでは、その第3の層のz軸方向寸法(厚み)は約3mmであった。 その微細構造も、光学顕微鏡法を用いて観察した。 その物質は、実施例73の材料と同様の特性を有していた(すなわち、大量の透明な非晶質マトリックスの中に、大部分が不透明な(元の形状を維持した)結晶質粒子からなる)。

    それらのブロックは、ダークアンバーからライトベージュまでの範囲の、色の帯を有していた。 2つのブロック(およそ、直径10mm×高さ15mm)を、セレック(CEREC)互換スタブに接着させ、次いで、セレック(CEREC)3システム(独国ベンスハイム(Bensheim,Germany)のシロナ・デンタル・システムズ(Sirona Dental Systems)製)で機械加工したが、その際、新品のダイヤモンドバーのセットを用い、脱イオン水のフレッシュタンクの中に、75mLのシロナ・プロキャド・デンタテック(Sirona ProCAD Dentatec)潤滑剤を用いた。 1つのブロックからは大臼歯歯冠を機械加工し;もう1つのブロックからは上顎側方のためのコーピングを機械加工した。 機械加工においては、何のトラブルも起きなかった。 得られたユニットは、きれいに加工されていた。 この実施例は、本発明のプラズマ噴霧の実施態様が可能で、機械加工することができ、多色のブロックを作製することが可能であることを、示すものである。

    [実施例75]
    表IVに示す組成の、La 23 −Al 23 −ZrO 2 (LAZ)およびCeO 2 −Al 23 −ZrO 2 (CAZ)材料のナノ粒子を、米国特許第5,958,361号明細書(レイン(Laine)ら)に開示されている方法に従って、調製した。

    たとえば、米国特許第5,075,090号明細書(ルイス(Lewis)ら)および同第5,358,695号明細書(ヘルブル(Helble)ら)に記載されているような、その他のプロセスも、この実施例において有用な粒子を製造するのに使用することができる。

    粉体X線回折法、XRD(X線回折計(ニュージャージー州モーウォー(Mahwah、NJ)のフィリップス(Phillips)から入手、商品記号「フィリップス(PHILLIPS)XRG3100」)で1.54050オングストロームの銅K α1照射を使用)を用いて、存在する相を測定した。 相は、結晶化させた材料のXRD線図中に存在するピークを、JCPDS(ジョイント・コミッティー・オン・パウダー・ディフラクション・スタンダーズ(Joint Committee on Powder Diffraction Standards))データベース(インターナショナル・センター・フォア・ディフラクション・データ(International Center for Diffraction Data)による出版物)から得られる結晶質相のXRDパターンと比較することによって求めた。 得られた相を表Vに示す。

    5.570gのLAZ粉体を5.570gのシラン剤(3M・カンパニー(3M Company)のレリックス・セラミック・プライマー(RELYX Ceramic Primer))で処理して、乾燥させ;得られた粉体の3.618gを、次いで、2.59gの光硬化性樹脂(24.18重量部のビス−GMA、33.85部のUDMA、33.85部のビス−EMA6、4.84部のTEGDMA、0.2部のCPQ、0.5部のDPHFP、1.0部のEDMAB、0.1部のBHT、および1.5部のノルブロック(NORBLOCK)7966をブレンドすることにより調製したもの)とブレンドした。 こうして得られた複合材料の色は白色で、流動タイプの歯科用複合材料に適した、粘度と取扱性を有していた。 この複合材料を、深さ2mm直径5mmの型に、1mmずつ2回充填し、それぞれ、3M・カンパニー(3M Company)のXL3000デンタル・キュアリング・ライト(Dental Curing Light)を60秒間照射して、硬化させた。 硬化させた複合材料の硬度を、バーコル硬度計のGYZJ−934−1(イリノイ州ラブズ・パーク(Loves Park,IL)のバーバー・コールマン・インコーポレーテッド(Barber Coleman Inc.)製)を用いて測定した。 その硬化させた複合材料の上側表面で測定した平均バーコル硬度は91±0.6であった。

    大臼歯上の歯冠内インレーを、セッコウ製の歯模型の中に調製した。 複合材料を支台の中に、1mmずつ数回充填し、その都度3M・カンパニー(3M Company)のXL3000デンタル・キュアリング・ライト(Dental Curing Light)を60秒間照射して硬化させ;最後のインクリメントで、その硬化前に複合材料を、咬合解剖学的に彫刻した。 こうして得られるインレーは、審美的なものであった。

    [実施例76]
    84.9gのホルモ酢酸アルミニウムを、パイレックス(登録商標)(Pyrex)ビーカーの中に仕込み、次いでそれを、ホットプレートの上に載せ、テフロン(登録商標)(Teflon)でコートした撹拌子を用いて撹拌し;16.5gの酢酸ジルコニル(マグネシウム・エレクトロン・インコーポレーテッド(Magnesium Elektron Inc.)製)を激しく撹拌しながら添加すると、透明でわずかに濁りのあるゾルが形成されるので、それに22.5gの硝酸ランタン(ジョンソン・マセイ(Johnson Matthey)#12915、99.9%)を添加した。 それらの成分は容易にブレンドされて、沈殿、ゲル化あるいは増粘することなしに、透明でわずかに濁りがあり、乳光を有するゾルを形成するが、このものは、さらなるプロセス、たとえば、火炎−噴霧、スプレー乾燥、コーティング、スプレー熱分解、ゲル化/乾燥/焼成、ゲル化/オートクレーブ処理、あるいは粒子の調節沈降など、に適している。 このゾルは、La 23が42.3重量%、Al 23が39.2重量%、ZrO 2が18.5重量%の組成を有する酸化物20gの公称収量を有すると計算された。 9.1gのポリエチレングリコールMW=400(PEG400:ユニオン・カーバイド(Union Carbide)のカーボワックス(Carbowax)、セントリー・グレード(Sentry Grade))をそのゾルに添加したが、このPEGでドープしたゾルの少量を保存して、安定性を観察した。 このゾルは8時間は安定であったが、24時間後には、白色のゲル状沈殿物が生成した。 残りのゾルに、10.8gの液状成分のビトレマー・コア・リストラティブ(VITREMER CORE Restorative)リキッド(ミネソタ州セントポール(St.Paul,MN)の3M・カンパニー(3M Company)から入手可能)を添加すると、3時間の内に、柔らかい固形の塊状物が生成した。 この柔らかい固形の塊状物を100℃/5時間で乾燥させた。 乾燥させた物質のTG/DTA解析をした結果、約500℃未満で、水の蒸発と有機物および硝酸塩/酢酸塩の熱分解のための重量損失が認められた。 208℃と372℃における発熱ピークは、熱分解によるものである。 驚くべきことには、1300℃もの高温にまで上げても、結晶化に伴う吸熱は認められず、得られた粉体は白色であった。 乾燥させたゾルのサンプルを、550℃/4時間と850℃/4時間とで焼成したが、その結果(表VI参照)、ほとんどが非晶質部分で、いくらかの結晶質相が認められた。

    2.90gのその粉体を、2.9gのシラン剤(3M・カンパニー(3M Company)のレリックス・セラミック・プライマー(RELYX Ceramic Primer))を用いて処理して、乾燥させ、次いで2.9gの光硬化性樹脂(24.18重量部のビス−GMA、33.85部のUDMA、33.85部のビス−EMA6、4.84部のTEGDMA、0.2部のCPQ、0.5部のDPHFP、1.0部のEDMAB、0.1部のBHT、および1.5部のノルブロック(NORBLOC)7966をブレンドして作製したもの)とブレンドした。 こうして得られた複合材料の色はアイボリー色で、流動タイプの歯科用複合材料に適した、粘度と取扱性を有していた。 この複合材料を、深さ2mm直径5mmの型に、1mmずつ2回充填し、それぞれ、3M・カンパニー(3M Company)のXL3000デンタル・キュアリング・ライト(Dental Curing Light)を60秒間照射して、硬化させた。 硬化させた複合材料の硬度を、バーコル硬度計のGYZJ−934−1(イリノイ州ラブズ・パーク(Loves Park,IL)のバーバー・コールマン・インコーポレーテッド(Barber Coleman Inc.)製)を用いて測定した。 その硬化させた複合材料の上側表面で測定した平均バーコル硬度は91±1であった。

    [実施例77]
    42.6重量部(pbs)のホルモ酢酸アルミニウムをパイレックス(登録商標)(Pyrex)ビーカーに仕込み、次いでそれを、ホットプレートの上に載せ、テフロン(登録商標)(Teflon)でコートした撹拌子を用いて撹拌し;8.3pbwの酢酸ジルコニル(マグネシウム・エレクトロン・インコーポレーテッド(Magnesium Elektron Inc.)製)を激しく撹拌しながら添加し、次いで、11.3pbwの硝酸ランタン(ジョンソン・マセイ(Johnson Matthey)#12915、99.9%)、さらに0.6pbwのポリエチレングリコールMW=400(PEG400:ユニオン・カーバイド(Union Carbide)のカーボワックス(Carbowax)、セントリー・グレード(Sentry Grade))を添加し、充分な量の硝酸を加えて、pHを約4.4から約3〜3.3とした。 それらの成分は容易にブレンドされて、沈殿、ゲル化あるいは増粘することなしに、透明でわずかに濁りがあり、乳光を有するゾルを形成するが、このものは、さらなるプロセス、たとえば、火炎−噴霧、スプレー乾燥、コーティング、スプレー熱分解、ゲル化/乾燥/焼成、ゲル化/オートクレーブ処理、あるいは粒子の調節沈降など、に適している。 そのゾルは、La 23が42.3重量%、Al 23が39.2重量%、ZrO 2が18.5重量%の組成を有すると計算された。 そのゾルは混合後直ちに、ビュッヒ(Buchi)スプレードライヤーの中でスプレー乾燥させると、微細で流動性の高い粉体となった。 乾燥させた物質のTG/DTA解析をすると、約500℃未満で、水の蒸発と有機物および硝酸塩/酢酸塩の熱分解のために重量損失が認められる。 100.7℃の発熱ピークは水の蒸発に、また348.7℃の発熱ピークは有機物の熱分解に帰属させることができる。 驚くべきことには、1300℃もの高温にまで上げても、結晶化に伴う吸熱は認められず、得られた粉体は白色であった。

    同様にブレンドしたゾルの少量のサンプルを残して、安定性を観察し;また別な少量のサンプルでは、2.3gのゾルと1.7gの脱イオン水を混合して、水希釈をした。 いずれのゾルも15時間では安定であった;未希釈のゾルは約40時間経過するより前に、白色沈降物の薄い層が発生したが、それに対して希釈したゾルは、5日後でも、沈降、ゲル化、増粘は認められなかった。

    この粉体のサンプルを空気中で、550℃、1時間焼成し(得られた粉体は白色であった)、実施例1に記載されているようにして970℃で熱間圧縮すると、得られた半固形のディスクのXRDでは、存在しているメインの結晶質相は、面心立方晶系(FCC)結晶構造で、その格子定数が約5.28Åであり、安定化ジルコニアの形状である確率が最も高い。 可能性のある遷移アルミナ相もまた観察されたし、さらにはd間隔が約4.1Åおよび約3.7Åの帰属不明な相も存在した。 次いでその粉体を700℃/4時間焼成し、得られた白色の粉体を乳鉢と乳棒を用いて破砕した。

    [実施例78]
    84.9gのホルモ酢酸アルミニウムをパイレックス(PYREX)(登録商標)ビーカーに仕込み、次いでそれを、ホットプレートの上に載せ、テフロン(登録商標)(Teflon)でコートした撹拌子を用いて撹拌し;16.6gの酢酸ジルコニルを激しく撹拌しながら添加し、続けて、87.3gの脱イオン水、22.5gの硝酸ランタン六水和物、1.8gのポリエチレングリコール(MW=400)、および3.6gの硝酸を加えた。 それらの成分は容易にブレンドされて、沈殿、ゲル化あるいは増粘することなしに、透明でわずかに濁りがあり、乳光を有するゾルを形成するが、このものは、さらなるプロセス、たとえば、火炎−噴霧、スプレー乾燥、コーティング、スプレー熱分解、あるいは調節沈降など、に適している。 このゾルは、42.3重量%のLa 23 、39.2%のAl 23 、および18.5%のZrO 2の、公称収率を有していると計算された。

    このゾルを、綿棒を用いて以下の基材に塗布した:
    A. ガラススライド:1コート、空気中乾燥 B. ガラススライド:1コート、圧縮空気を用いて乾燥 C. ガラススライド:4コート、コーティングの間で空気中乾燥 D. 不透明酸化アルミニウムウェーハ:1コート、空気中乾燥 E. 半透明のアルミナウェーハ:1コート、空気中乾燥 F. 半透明のアルミナウェーハ:1コート、空気中乾燥(厚膜)
    G. ガラススライド:数本の線を拭い取り、空気中乾燥

    それらコーティングした基材を550℃/2時間、焼成した。 サンプルの(B)、(E)、(G)は、透明でよく接着していたが、その他のものは黒色でフレーク状態となった。 残りのゾルを密閉したバイアルに入れて、環境貯蔵条件下で保存したが、13日後でも、ゾルは沈降、ゲル化、分離、増粘などが全く無いままであった。

    [実施例79]
    実施例78のサンプルをさらに560℃で8時間焼成した。 塗布したゾルのコーティングが厚かったサンプルでは、その焼成したコーティングは暗褐色となり、こすると剥がれたが、(圧縮空気乾燥や、ぬれの少ないブラシを用いたために)塗布したコーティングが薄かったサンプルでは、そのコーティングは透明で、よく接着していた。 このゾルは、今日までの13日間は安定で、沈降、ゲル化、増粘は認められない。

    本発明についての各種の修正や変更は当業者には明らかであり、本発明の範囲と精神から外れることなく、予測することが可能であろう。 説明に用いた実施態様および本明細書で言及した実施例によって、本発明が不当に限定されることは、意図するものではなく、また、そのような実施例および実施態様は、単に例を示すためだけに提供されたものであって、本発明の範囲は、本明細書で以下に述べる特許請求の範囲によってのみ、限定されるものである、ということは理解されたい。

    QQ群二维码
    意见反馈