The method of drying the honeycomb formed body |
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申请号 | JP2008248899 | 申请日 | 2008-09-26 | 公开(公告)号 | JP4866889B2 | 公开(公告)日 | 2012-02-01 |
申请人 | 日本碍子株式会社; | 发明人 | 康弘 堀場; 周一 高木; | ||||
摘要 | |||||||
权利要求 | セラミック原料、水、及びバインダーを含有する原料組成物からなる、隔壁によって区画された流体の流路となる複数のセルを有する未焼成のハニカム成形体の乾燥方法であって、 マイクロ波乾燥又は誘電乾燥にて前記ハニカム成形体を加熱及び乾燥させる第1工程と、 前記第1工程後、湿球温度50〜100℃に調湿した熱風を前記セルに通過させる熱風乾燥にて前記ハニカム成形体を乾燥させる第2工程と、を有 し、 前記第1の工程においては、 下記式(I)の条件を満たす大きさ及び誘電特性を有する前記ハニカム成形体を、下記式(I)の条件を満たす発振周波数の前記電磁波の照射による前記マイクロ波乾燥又は下記式(I)の条件を満たす発振周波数の前記高周波電流の通電による前記誘電乾燥にて乾燥させるハニカム成形体の乾燥方法 。 前記原料組成物に含有される前記バインダーは、熱ゲル化特性及び/又は熱硬化性を有する、請求項1に記載のハニカム成形体の乾燥方法。 前記原料組成物の前記バインダーの含有量は、1〜10質量%である、請求項1又は2に記載のハニカム成形体の乾燥方法。 前記第2工程は、前記熱風乾燥における前記熱風の乾球温度が100〜200℃である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のハニカム成形体の乾燥方法。 前記第1工程において、前記ハニカム成形体の成形直後に対する前記第1工程後のハニカム成形体の含水率比が5〜60%となるように前記ハニカム成形体を乾燥させ、前記第2工程において、残余の水を蒸発させて前記ハニカム成形体を乾燥させる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のハニカム成形体の乾燥方法。 前記第1工程において、前記マイクロ波乾燥を用いる場合には発振周波数が300〜10000MHzの電磁波を照射して前記ハニカム成形体を乾燥させ、前記誘電乾燥を用いる場合には発振周波数が3〜100MHzの高周波電流を通電させて前記ハニカム成形体を乾燥させる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のハニカム成形体の乾燥方法。 前記第1工程において、乾燥炉内の雰囲気が湿球温度50℃〜100℃となるように、 過熱水蒸気、又は水蒸気と加熱空気との混合ガスを炉内に導入しながら前記マイクロ波乾燥又は誘電乾燥にて前記ハニカム成形体を乾燥させる、請求項1〜 6のいずれか一項に記載のハニカム成形体の乾燥方法。 前記第1工程の前に、湿球温度50〜100℃の雰囲気下にて前記ハニカム成形体を加熱させる予備加熱工程を有する、請求項1〜 7のいずれか一項に記載のハニカム成形体の乾燥方法。 |
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说明书全文 | 本発明は、ハニカム成形体の乾燥方法に関する。 ハニカム構造体は、触媒担体や各種フィルター等に広く用いられている。 最近では、ディーゼルエンジンから排出される粒子状物質を捕捉するためのディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)としても注目されている。 ハニカム構造体は、一般にセラミックスを主成分とすることが多い。 このようなハニカム構造体を製造するには、先ず、セラミックス原料に水、及びバインダー等の各種添加剤を加えて坏土状とした後、これを押出成形してハニカム形状の成形体(ハニカム成形体)を作製する。 このハニカム成形体を乾燥等した後に焼成すれば、ハニカム構造体を製造することができる。 ハニカム成形体の乾燥方法としては、乾燥速度が速い等の利点を有するマイクロ波を利用した乾燥方法(マイクロ波乾燥方法)、ハニカム成形体の上方と下方とに設けた電極間に電流を流すことによって発生させた高周波エネルギーを利用して乾燥を行う誘電乾燥法、ガスバーナー等で発生させた熱風を導入して乾燥を行う熱風乾燥法などを単独あるいは併用して行われるようになってきている(例えば、特許文献1〜3参照)。 しかしながら、マイクロ波乾燥方法では、乾燥過程においてハニカム成形体の上下端部や外周部の乾燥が他の部分より遅れ、ハニカム成形体全体を均一な速度で乾燥することが困難な場合があった。 ハニカム成形体は水分の蒸発によって収縮するため、乾燥速度が不均一であると、変形、破損等の不具合が生じ易くなる。 更に、近年、セルを区画する隔壁(リブ)の薄型化が進んでおり、隔壁の薄いハニカム成形体ほど変形等が生じ易い。 誘電乾燥では、誘電率又は誘電損失の高い材料や乾燥の対象物であるハニカム成形体(ワーク)の大きさ・形状によっては、誘電乾燥に用いる電磁波がハニカム成形体の不均一な乾燥を助長させ、ハニカム成形体にクラックを発生させる場合もある。 そこで、マイクロ波乾燥方法や誘電乾燥法に頼らず熱風乾燥法でハニカム成形体を乾燥させることも考えられるが、熱風乾燥法においても、クラックが発生し易く、品質や歩留まりの低下を招くという問題がある。 上記の問題に鑑みて、本発明の課題は、変形、破損等の不具合の発生を抑制しつつ、より短時間でハニカム成形体を乾燥することが可能なハニカム成形体の乾燥方法を提供することにある。 上記課題を解決するため、本発明者等は、先ずマイクロ波乾燥又は誘電乾燥を行い、次いで熱風乾燥を行うことによるハニカム成形体の乾燥方法について、以下に述べる好適な条件を見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明によれば、以下に示すハニカム成形体の乾燥方法が提供される。 [1] セラミック原料、水、及びバインダーを含有する原料組成物からなる、隔壁によって区画された流体の流路となる複数のセルを有する未焼成のハニカム成形体の乾燥方法であって、マイクロ波乾燥又は誘電乾燥にて前記ハニカム成形体を加熱及び乾燥させる第1工程と、前記第1工程後、湿球温度50〜100℃に調湿した熱風を前記セルに通過させる熱風乾燥にて前記ハニカム成形体を乾燥させる第2工程と、を有し、前記第1の工程においては、下記式(I)の条件を満たす大きさ及び誘電特性を有する前記ハニカム成形体を、下記式(I)の条件を満たす発振周波数の前記電磁波の照射による前記マイクロ波乾燥又は下記式(I)の条件を満たす発振周波数の前記高周波電流の通電による前記誘電乾燥にて乾燥させるハニカム成形体の乾燥方法 。 (但し、式(I)中において、Dはハニカム成形体の直径(m)、Aはハニカム成形体の断面開口面積比、Lは電力半減深度(m)) [2] 前記原料組成物に含有される前記バインダーは、熱ゲル化特性及び/又は熱硬化性を有する、前記[1]に記載のハニカム成形体の乾燥方法。 [3] 前記原料組成物の前記バインダーの含有量は、1〜10質量%である、前記[1]又は[2]に記載のハニカム成形体の乾燥方法。 [4] 前記第2工程は、前記熱風乾燥における前記熱風の乾球温度が100〜200℃である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥方法。 [5] 前記第1工程において、前記ハニカム成形体の成形直後に対する前記第1工程後のハニカム成形体の含水率比が5〜60%となるように前記ハニカム成形体を乾燥させ、前記第2工程において、残余の水を蒸発させて前記ハニカム成形体を乾燥させる、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥方法。 [6] 前記第1工程において、前記マイクロ波乾燥を用いる場合には発振周波数が300〜10000MHzの電磁波を照射して前記ハニカム成形体を乾燥させ、前記誘電乾燥を用いる場合には発振周波数が3〜100MHzの高周波電流を通電させて前記ハニカム成形体を乾燥させる、前記[1]〜[5]のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥方法。 [ 7 ] 前記第1工程において、乾燥炉内の雰囲気が湿球温度50℃〜100℃となるように、過熱水蒸気、又は水蒸気と加熱空気との混合ガスを炉内に導入しながら前記マイクロ波乾燥又は誘電乾燥にてハニカム成形体を乾燥させる、前記[1]〜[ 6 ]のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥方法。 [ 8 ] 前記第1工程の前に、湿球温度50〜100℃の雰囲気下にて前記ハニカム成形体を加熱させる予備加熱工程を有する、前記[1]〜[ 7 ]のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥方法。 本発明のハニカム成形体の乾燥方法は、変形、破損等の不具合の発生を抑制しつつ、より短時間でハニカム成形体を乾燥する効果を奏する。 以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。 本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。 A. ハニカム成形体の乾燥方法: 本発明の乾燥方法では、乾燥速度が速いマイクロ波乾燥又は誘電乾燥による第1工程と、続いて熱風乾燥による第2工程とを組み合わせることにより、乾燥時間を短縮できる。 加えて、本発明の乾燥方法では、第2工程の熱風乾燥によって最終的にハニカム成形体を乾燥させる実施形態を採用しているため、マイクロ波乾燥又は誘電乾燥のみを用いてハニカム成形体を最終的に乾燥させる場合に生じる乾燥ムラ、過昇温に伴うハニカムの燃焼、あるいは乾燥装置の焼損などを防止することができる。 また、ハニカム成形体の乾燥ムラを抑止することにより、隔壁の変形やひび割れ(キレ)なども防止することができる。 さらに、本発明の乾燥方法では、第2工程の熱風乾燥は湿球温度50〜100℃の熱風にて行う。 このような湿度を持つ熱風での乾燥により、ハニカム成形体の隔壁や外周壁から水が過剰に蒸発することを防止し、水の蒸発による気化熱によって、乾燥中のハニカム成形体の温度が低下し、ひいてはハニカム成形体の強度を低下させることを抑制できる。 特にハニカム成形体の材料となる原料組成物に熱ゲル化性及び熱硬化性を有するバインダーを含有させた場合には、第2工程の熱風乾燥に湿球温度50〜100℃の熱風を用いることにより、熱風乾燥中のハニカム成形体の温度が、バインダーのゲル化温度(通常50℃程度)以上に保たれるため、ハニカム成形体の隔壁や外周壁の変形やひび割れ(キレ)を抑止できる。 以下、本発明の乾燥方法について、乾燥の対象物である「ハニカム成形体」について説明した後、「第1工程」、「第2工程」の順に詳しく説明する。 A‐1:ハニカム成形体: A‐1‐1. ハニカム成形体の原料組成物: セラミックス原料としては、例えば、アルミナ、ムライト、ジルコニア、コージェライト等の酸化物系セラミックス、或いは炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミ等の非酸化物系セラミックス等を挙げることができる。 なお、コージェライトには、焼成によってコージェライト化する複数のセラミックス原料の混合粉も含む。 また、炭化珪素/金属珪素複合材や炭化珪素/グラファイト複合材等を用いることもできる。 本発明の乾燥方法にて乾燥されるハニカム成形体の材料となる原料組成物に含有されるバインダーとしては、熱ゲル化特性及び/又は熱硬化性を有するものを用いることが好ましい。 熱ゲル化特性及び熱硬化性を有するバインダーを原料組成物に含有させることにより、本発明の乾燥方法において、ハニカム成形体を加熱し、ハニカム成形体の隔壁及び外周壁の温度をゲル化温度以上に上昇させることにより、ハニカム成形体の隔壁及び外周壁の強度を高めることを可能にする。 ここでいう熱ゲル化特性とは、バインダー水溶液を加熱するとゲル化し粘度が増加する特性のことをいう。 また、ここでいう熱硬化性とは、ハニカム成形体又は、その原料組成物を加熱すると強度が増加する特性のことをいう。 具体的に熱ゲル化特性及び熱硬化性を有するバインダーとしては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース等を挙げることができる。 このうち、メチルセルロースが最も一般的に用いられる。 これらのゲル化バインダーのゲル化温度は、その種類によって異なるが、50〜80℃程度であり、例えばメチルセルロースの場合は約55℃である。 また、異種のゲル化バインダーを混合して用いることも可能である。 熱ゲル化特性及び熱硬化性を有しないバインダーを併用することも可能であるが、熱ゲル化特性及び/又は熱硬化性を有するバインダーを主成分とすることが好ましく、熱ゲル化特性及び/又は熱硬化性を有するバインダーのみを使用することが最も好ましい。 本発明の乾燥方法により乾燥されるハニカム成形体の材料となる原料組成物に含有されるバインダーは、合計1〜10質量%にて原料組成物に添加されることが好ましい。 バインダーの含有量が1質量%未満の場合には、ハニカム成形体の成形性や保形性が低下するため好ましくない。 また、バインダーの含有量が10質量%を越える場合には、本発明の乾燥方法によって乾燥されたハニカム成形体を焼成脱脂する際に、バインダー燃焼時の過昇温が大きく、ハニカム成形体の隔壁や外周壁のひび割れ(キレ)が発生したりするため好ましくない。 より好適な含有量として、下限は、1.5質量%以上、更には2質量%以上が好ましく、上限は、8質量%、更には6質量%以下が好ましい。 A‐1‐2. ハニカム成形体の大きさ及び特性: (但し、式(I)及び(II)において、Dはハニカム成形体の直径(m)、Aはハニカム成形体の断面開口面積比、Lは電力半減深度(m)) 電力半減深度L(m)は、粘土塊の誘電率(ε)、誘電損失係数(tanδ)、及びマイクロ波乾燥時に照射される電磁波又は誘電乾燥時に通電させる高周波電流の発振周波数fに基づき、下記式(III)により表される。 なお、上記式(I)にて用いられるハニカム成形体の直径D(m)は、ハニカム成形体の流路方向に垂直な断面上での直径を意味し、例えば、図2にて示すハニカム成形体1のように、この断面が円形の場合には文字通りその円形の断面の直径であり、図1に示すハニカム成形体1のように、この断面が四角形の場合には、四角形の長い方の対角線D'(m)をハニカム成形体の直径D(m)として、上記式(I)又は(II)に当てはめる。 なお、上述の長い方の対角線D'という表記から理解されるように、ハニカム成形体1の直径D(m)は、あらゆる四角形の断面にも適用できる。 また、ハニカム成形体1の断面が楕円の場合には、この断面の長軸(長径)をハニカム成形体の直径D(m)として、上記式(I)又は(II)に当てはめる。 ハニカム成形体の断面開口面積比は、例えば図3にて示す断面図のように四角セルのハニカム成形体1の場合、セルピッチP(m)、隔壁厚さT(m)とすると、下記式(IV)にて規定される。 (但し、式(IV)において、Aはハニカム成形体の断面開口面積比、Pはセルピッチ(m)、Tは隔壁厚さ(m)) ここでは上記式(III)に当てはめられる、ハニカム成形体の材料となる粘土塊の誘電率および誘電損失係数tanδの測定方法について説明する。 ハニカム成形体の材料となる粘土塊の誘電率および誘電損失係数tanδは、発振周波数が300〜10000MHzにおいては、ハニカム成形体を成形する粘土塊を調製するための原料組成物と同一ロットの原料組成物から試験片サイズ50mm×50mm×50mmに粘土塊を加工し、この試験片の粘土塊の温度20℃として、ネットワークアナライザ(商品名:Agilent社製ネットワークアナライザと85070E誘電体プローブキット)等で測定できる。 また、発振周波数3〜100MHzにおいては、ハニカム成形体を成形する粘土塊を調製するための原料組成物と同一ロットの原料組成物から試験片サイズ20×20×1mmに粘土塊を加工し、この試験片の粘土塊の温度20℃としてRFインピーダンスアナライザ(商品名:HP4291B 日本ヒューレッドパッカード社製)等で測定できる。 A‐2. 第1工程: この第1工程では、ハニカム成形体の成形直後に対する第1工程後のハニカム成形体の含水率比(以下、「第1工程後のハニカム成形体の含水率比」)が5〜60%となるようにハニカム成形体を乾燥させることが好ましい。 ここでいう「第1工程後のハニカム成形体の含水率比」は、第1工程直後のハニカム成形体の含水率を成形直後のハニカム成形体の含水率で除した値を100で乗ずることにより算出される。 成形直後のハニカム成形体の含水率は、原料組成物の調製時での原料組成物全体の質量に占める水の質量の割合(質量%)とする。 第1工程直後のハニカム成形体の含水率は、第1工程直後のハニカム成形体の質量と絶乾燥状態のハニカム成形体の質量との差から、第1工程直後におけるこのハニカム成形体の含水量を算出し、この含水量を成形直後のハニカム成形体の質量で除することにより算出される値とする。 第1工程後のハニカム成形体の含水率比が60%を越えるように第1工程を実施すると、上記式(II)を満たさない条件のハニカム成形体においては、ハニカム成形体の中心部温度が50℃に達しておらず、続く第2工程にて湿球温度50〜100℃に調湿した熱風をハニカム成形体のセル内に通過させた場合、熱風はハニカム成形体のセル内で冷やされ隔壁に結露が生じる。 そのため、上記式(II)を満たさない条件のハニカム成形体においては、第1工程後、ハニカム成形体が吸湿膨潤して形状変形などの不具合を生じ易くなる。 また、上記式(II)を満たさない条件のハニカム成形体では、第1工程にてハニカム成形体が吸湿膨潤することに起因して、マイクロ波乾燥や誘電乾燥より乾燥速度の低い熱風乾燥にて主に乾燥させることになり、第2工程の熱風乾燥に費やす時間が多大になるため好ましくない。 第1工程後のハニカム成形体の含水率比は、より好ましくは50%以下、更には40%以下である。 また、第1工程後のハニカム成形体の含水率比が5%未満となるように第1工程を実施すると、第1工程におけるマイクロ波乾燥又は誘電乾燥でのエネルギー負荷を増大させることになり、第1工程において過昇温や過剰な放電による乾燥装置の焼損の危険が高まるため好ましくない。 A‐2‐1. マイクロ波乾燥: また、本発明の乾燥方法の第1工程にて用いられるマイクロ波乾燥では、ハニカム成形体に照射される電磁波(マイクロ波)の発振周波数は、均一乾燥の観点から、上記式(I)の条件を満たす発振周波数が好ましく、さらに上記式(II)の条件を満たす発振周波数がより好ましい。 なお、式(I)及び(II)に表される不等式の左辺中のLを算出するため、上記式(III)にて電磁波の発振周波数fが当てはめられる。 例えば、図1の斜視図にて示すハニカム成形体1のような構造を備え、特に上記式(II)の条件を満たす大きさ及び誘電特性を有するハニカム成形体1は、マイクロ波乾燥時に照射される電磁波がハニカム成形体1の中心部5まで到達し、この電磁波により中心部5と外周部6の隔壁2で共に加熱が生じさせることができる。 なお、第1工程でのマイクロ波乾燥は、乾燥炉内の雰囲気が湿球温度50〜100℃となるように、過熱水蒸気、又は水蒸気と加熱空気との混合ガスを乾燥炉内に導入しながらハニカム成形体1を乾燥させることが好ましい。 湿球温度は、乾球温度、相対湿度、及び気圧との相関関係を有し、湿球温度は乾球温度以下であり、湿球温度と乾球温度は同じときに相対湿度100%となる関係を有する。 よって、湿球温度50〜100℃であることは乾燥炉内の乾球温度が50℃以上となることを意味し、図1の斜視図にて示すハニカム成形体1を乾燥炉内に設置した例にて説明すると、少なくとも乾燥炉内の雰囲気に影響を受けやすいハニカム成形体1の外周部6の隔壁2及び外周壁4の温度は、通常ハニカム成形体の材料となる原料組成物に含有されるバインダーのゲル化開始温度である50℃以上とできる。 また、第1工程でのマイクロ波乾燥に用いる乾燥炉内の雰囲気を湿球温度60〜90℃とすることがより好ましい。 第1工程でのマイクロ波乾燥に用いる乾燥炉内の雰囲気を湿球温度60〜90℃とすることにより、乾燥炉内の絶対湿度が均一な乾燥を実現できる水準に近づき、以下に説明するハニカム成形体1の外周部6での過剰な水の蒸発に伴う外周部6の隔壁2の温度低下を抑制し、ハニカム成形体1の中心部5と外周部6との間でのムラのない均一な乾燥を実現できる。 上記式(II)を満たす条件下にてマイクロ波乾燥を実施すると、ハニカム成形体1において、隔壁2に囲まれた閉ざされた環境にあるハニカム成形体1の中心部5と比較して、ハニカム成形体1の外周部6の隔壁2及び外周壁4は、水の蒸発が促進されやすい環境となる。 そのため、ハニカム成形体1の外周部6の隔壁2及び外周壁4は、水の蒸発に伴う気化熱によりハニカム成形体1の中心部5の隔壁2よりも温度が低下しやすい。 加えて、上記式(II)の条件を満たすハニカム成形体1では、電磁波が有効に照射されて中心部5まで十分に加熱される。 したがって、上記式(II)を満たす条件下にてマイクロ波乾燥を実施すると、マイクロ波乾燥中に、ハニカム成形体1の中心部5で高く外周部6で低い温度差の拡大が助長される場合もある。 これらマイクロ波乾燥によるハニカム成形体1の外周部6の隔壁2及び外周壁4の温度の低下、あるいは中心部5と外周部での温度差の拡大に起因して、ハニカム成形体の隔壁2及び外周壁4には乾燥歪による応力が生じ、隔壁2や外周壁4の変形やひび割れ(キレ)が生じる可能性もある。 そこで、第1工程でのマイクロ波乾燥に用いる乾燥炉内の雰囲気を湿球温度50〜100℃とすることにより、ハニカム成形体1の外周壁4の温度は湿球温度に等しくゲル化温度以上となり、ハニカム成形体1の強度の低下を防ぐことができる。 さらに、本発明の乾燥方法では、マイクロ波乾燥の前に、湿球温度50〜100℃の雰囲気下にてハニカム成形体1を加熱する予備加熱工程を行うことが好ましい。 例えば、マイクロ波乾燥を行う乾燥炉内にハニカム成形体1を配置し、電磁波の照射に先立ち、乾燥炉内の雰囲気が湿球温度50〜100℃となるように、過熱水蒸気、又は水蒸気と加熱空気との混合ガスを乾燥炉内に導入することにより、この予備加熱工程は実施可能である。 A‐2‐2. 誘電乾燥: 上述のマイクロ波乾燥の場合と同様にハニカム成形体1の中心部5と外周部6との温度差や乾燥速度の違いよる弊害を防止する観点から、第1工程での誘電乾燥は、乾燥装置21内の雰囲気が湿球温度50〜100℃となるように、過熱水蒸気、又は水蒸気と加熱空気との混合ガスを乾燥炉内に導入しながら実施することが好ましく、乾燥装置21内が湿球温度60〜90℃の雰囲気下にて実施することがより好ましい。 さらに、同じく上述のマイクロ波乾燥の場合と同様の観点から、本発明の乾燥方法では、誘電乾燥の前に、湿球温度50〜100℃の雰囲気下にてハニカム成形体1を加熱する予備加熱工程を行うことが好ましい。 A‐3. 第2工程: 本発明の乾燥方法では、第2工程の熱風乾燥にて送風する熱風の湿球温度を50〜100℃とすることにより、ハニカム成形体1の隔壁2及び外周壁4から水が過剰に蒸発することを防止し、水の蒸発による気化熱によって乾燥中のハニカム成形体1の温度が低下することに起因するハニカム成形体1の強度の低下、ひいては隔壁2及び外周壁4のひび割れや変形を抑制しすることができる。 なお、本発明の乾燥方法では、熱風乾燥にて送風する熱風の調湿など熱風の調製方法や熱風をハニカム成形体1のセル3に通過させる方法などについては特に制限がなく、当業者が通常用いうる方法を任意に採用することができる。 第2工程の熱風乾燥にて送風する熱風の湿球温度の更に好ましい範囲としては、下限は55℃以上、更には60℃以上、上限は90℃以下、更には80℃以下である。 さらに、本発明の乾燥方法では、第2工程の熱風乾燥にて送風する熱風の乾球温度は、100〜200℃であることが好ましく、110〜150℃であることがより好ましい。 先に定義した熱風の条件を満たさない100℃未満では、乾燥時間が多大にかかる。 一方、熱風の乾球温度が200℃超であると、バインダー材料が除去されてしまい、ハニカム成形体は脆くなり変形や破損等を生じ易くなる。 本発明の乾燥方法では、第2工程の熱風乾燥にて送風する熱風の最適な温度は、一義的ではなく、セラミックスの種類、バインダーの種類によって変更すべきものである。 尚、第2工程の熱風乾燥においては、含水率1%以下まで乾燥することが好ましい。 さらに、ハニカム成形体1のセル3内を通過中の熱風の温度低下の起因した隔壁2での結露の発生を防止する観点から、第2工程の熱風乾燥にて送風する熱風の湿球温度は、ハニカム成形体の温度よりも低いことが好ましい。 A‐3‐2. 熱風乾燥装置: 図5の模式図を参照してハニカム成形体1のセル3に通過させる熱風の調製について説明する。 流入口20から下方チャンバ18の下部に流入した空気は、蒸気ノズル13から投入される水蒸気と混合されることにより、熱風として下方チャンバを上昇する流れとなる。 このようにして調製された熱風は、整流用パンチングプレート14、次いでワーク載置板15を通過し、ワーク載置板15上に設置されたハニカム成形体1のセル3内を通過する。 また、セル3内を通過して上方チャンバ17を上昇した熱風は、排気口16から乾燥室12外へ排出されるが、排出された熱風の一部は、回収されて再び流入口20から下方チャンバ18内に流入する。 尚、図5は一部循環式を示すが、必要な条件を実現できる限りこれに限られることなく、循環式、非循環式でもよい。 図5の模式図にて示す熱風乾燥装置11では、ワーク載置板15は、平面形状であり、穴を開口させる、網状・格子状にするなどにより熱風が流通可能な部分を有し、面を水平方向に合わせて配置する。 このようなワーク載置板15の形態とすることにより、図1の斜視図にて示すようなハニカム成形体1は、セル3が開口している端面7をワーク載置板15の上面に合わせて載置させ、セル3の貫通方向を熱風の流れる上下方向に合わせて安定的に設置させることができる。 ワーク載置板15の熱風が流通可能な部分にセル3が開口している端面7を合わせてハニカム成形体1を載置する形態とすることにより、下方チャンバ18において蒸気ノズル11により適度に調湿された熱風は、ワーク載置板15上に置かれたハニカム成形体1のセル3を通過させることができる。 また、整流パンチングプレート14は、例えば、板状の部材に口径1〜10mm、開口率20〜95%の穴が設けられたものとし、図5の模式図にて示すように、下方チャンバを上下に隔てるようにして配置するよい。 このような形態により、整流パンチングプレート14に設けられた穴を通過した熱風は、蒸気が適度に混合されたものとできる。 開口率は、20〜60%が更に好ましい。 さらに、図5の模式図にて示す形態の熱風乾燥装置11では、ハニカム成形体1の乾燥効率を向上させる観点から、ワーク載置板15は、下方チャンバ17から上方チャンバ18に流れる全ての熱風が、ハニカム成形体1のセル3内を通過する形態にすることが好ましい。 この実施形態を実現するため、図5の熱風乾燥装置11の模式図にて示すように、例えば、ワーク載置板15の下面もしくは上面に、熱風の流通を遮断する制限板19を貼り合わせる形態とするとよい。 ワークを傷つけない様、下面とすることが好ましい。 ワーク載置15に貼り合わせる制限板19は、ハニカム成形体1のセル3が開口した端面7の輪郭に合わせて穴を設け、熱風乾燥の際には、制限板19の穴の設けられた部分にハニカム成形体1のセル3が開口した端面7を合わせるように、ワーク載置板15上にハニカム成形体1を置くとよい。 このような実施形態により、下方チャンバ17から上方チャンバ18に流れる全ての熱風は、制限板19の穴を通過し、続いてワーク載置板15に設置されたハニカム成形体1のセル3内を通過する。 尚、図4はバッチ式乾燥装置であるが、これに限られず、流通式であってもよい。 以上に説明した本発明のハニカム成形体の乾燥方法により、変形、破損等の不具合の発生を抑制しつつ、より短時間でハニカム成形体を乾燥させることが実現できる。 なお、以上の記述では、図面と対応させるため、用語の末尾に符号を付する場合があるが、用語の末尾に符号が付されていても、図面に示された形態に限定して本発明の技術的範囲を規定するものではなく、図面に表された形態と本明細書中の記述とから当業者が想到しうる範囲において本発明の技術的範囲が規定されることとする。 以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 B‐1. 熱風乾燥に用いる熱風の湿球温度及び乾球温度の検討: (2)マイクロ波乾燥(第1工程): (3)熱風乾燥(第2工程): (実施例2) (実施例3) (実施例4) (比較例1) (実施例5) (実施例6) (比較例2) B‐1‐2. 結果: B‐1‐3. 評価: B‐2. ハニカム成形体の特性、及び第1工程後のハニカム成形体の含水率比の検討: (実施例8) (実施例9) ( 参考例1 ) ( 参考例2 ) (実施例1 0 ) (実施例1 1 ) (実施例1 2 ) ( 参考例3 ) ( 参考例4 ) (実施例1 3 ) (実施例1 4 ) (実施例1 5 ) ( 参考例5 ) ( 参考例6 ) (実施例16 ) (実施例17 ) (実施例18 ) ( 参考例7 ) ( 参考例8 ) B‐2‐2. 結果: B‐2‐3. 評価: 第2工程の熱風乾燥にて送風される熱風の湿球温度が50℃である実施例7〜1 2および参考例1〜4より構成される群と、同湿球温度が80℃である実施例1 3〜18および参考例5〜8より構成される群との間の対照となる実施例を比較すると、第2工程の熱風乾燥にて送風する熱風の湿球温度が50℃の実施例の群の方が、同湿球温度80℃の実施例の群よりも、ハニカム成形体1の隔壁2及び外周壁4におけるひび割れ(キレ)と変形の発生が低減されることがわかる。 特に、第2工程の熱風乾燥にて送風される熱風の湿球温度以外の条件が同じである実施例1 1と実施例17とを比較すると、実施例1 7ではハニカム成形体のセルの変形が生じたのに対して、実施例11ではセルの変形が生じていなかった。 この対照的な結果については、実施例1 7のように、第1工程後のハニカム成形体1の中心部の温度が、熱風乾燥にて送風される熱風の湿球温度よりも低いと、セル3内を通過する途中にて露点温度以下まで熱風が冷やされ、隔壁2に結露が生じることが原因であると推察される。 この結露により、ハニカム成形体1に乾燥ムラが生じ、ひいてはセルの変形を発生させるものと考えられる。 B‐3. 予備加熱及び第1工程における乾燥炉内の雰囲気の検討: (実施例2 0 ) (実施例2 1 ) B‐3‐2. 結果: B‐3‐3. 評価: 以上の実施例を総合的に評価すると、本発明の乾燥方法は、本発明のハニカム成形体の乾燥方法は、変形、破損等の不具合の発生を抑制しつつ、より短時間でハニカム成形体を乾燥することを可能とすることが実験的に証明された。 本発明は、変形、破損等の不具合の発生を抑制しつつ、より短時間でハニカム成形体を乾燥することを可能とするハニカム成形体の乾燥方法として利用できる。 1:ハニカム成形体、2:隔壁、3:セル、4:外周壁、5:中心部、6:外周部、7:セルが開口している端面、11:熱風乾燥装置、12:乾燥室、13:蒸気ノズル、14:整流用パッチングプレート、15:ワーク載置板、16:排気口、17:上方チャンバ、18:下方チャンバ、19:制限板、20:流入口、21:誘電乾燥装置、22:電極。 |