Porous ceramic sintered body and method for producing the same

申请号 JP2012092163 申请日 2012-04-13 公开(公告)号 JP2013177283A 公开(公告)日 2013-09-09
申请人 Komatsu Seiren Co Ltd; 小松精練株式会社; 发明人 TAKAGI TAIJI; HAYASHI YUTAKA; TOGASHI KOSUKE; KANEDA AKIHISA; OTA TSUYOSHI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a porous ceramic sintered body in which fine pores are formed even though diatomite is not used therefor, and to provide a method for producing the porous ceramic sintered body.SOLUTION: A porous ceramic sintered body is characterized by being obtained by molding and sintering a mixture that contains a foaming agent, a clay material and organic sludge, but does not contain diatomite. A method for producing a porous ceramic sintered body is characterized in that a mixture that contains a foaming agent, a clay material and organic sludge, but does not contain diatomite is molded and fired at 950-1,200°C.
权利要求
  • 発泡剤と粘土類と有機汚泥とを含み、珪藻土を含まない混合物が成形され、焼結されて得られたことを特徴とする多孔質セラミックス焼結体。
  • 焼成時に発泡剤が発泡して形成された第1の気孔と、焼成時に前記有機汚泥が減量して形成された第2の気孔とが形成され、これら気孔が連通していることを特徴とする請求項1に記載の多孔質セラミックス焼結体。
  • 発泡剤と粘土類と有機汚泥とを含み、珪藻土を含まない混合物を成形し、950〜1200℃で焼成することを特徴とする多孔質セラミックス焼結体の製造方法。
  • 前記発泡剤がスラグであることを特徴とする、請求項3に記載の多孔質セラミックス焼結体の製造方法。
  • 前記有機汚泥が活性汚泥であることを特徴とする、請求項3または4に記載の多孔質セラミックス焼結体の製造方法。
  • 说明书全文

    本発明は、多孔質セラミックス焼結体及びその製造方法に関する。

    内部に気孔が多数形成された多孔質セラミックス焼結体は、建材や処理の分野で使用されることがある。 その多孔質セラミックス焼結体の製造方法としては様々な方法が知られており、目的に応じた気孔のサイズや構造が得られる製造方法が採用されている。
    例えば、珪藻土と粘土類の混合物を成形し、焼成することで、珪藻土由来のマイクロメートルオーダーの気孔を有し、断熱性、吸音性、保水性、水処理材等の環境を改善する効果を持つ多孔質セラミックス焼結体を得ることができる(特許文献1)。

    しかしながら、珪藻土と粘土類の混合物を焼成した場合、珪藻土の気孔に粘土類が入り込んで珪藻土の気孔が閉塞されてしまい、珪藻土が有するマイクロメートルサイズの気孔の効果が充分に発揮されないといった問題を有していた。
    そこで、珪藻土の気孔の閉塞を防ぐため、珪藻土と粘土類を含む配合物にさらに有機汚泥を配合することにより、珪藻土の気孔に粘土が入り込むことを防ぎ、珪藻土の特徴である微細な気孔を維持する方法が提案されている(特許文献2)。

    特開2005−239467号公報

    国際公開第2010/106724号

    しかしながら、珪藻土は産出する地域が限定され、また、単価が高いという問題を有している。 そのため、珪藻土を用いなくても、珪藻土を用いたものと同様に微細な気孔が形成されて気孔率や飽和含水率が大きい多孔質セラミックス焼結体が求められていた。
    そこで、本発明は、珪藻土を用いないにもかかわらず、微細な気孔が形成された多孔質セラミックス焼結体及びその製造方法を提供することを目的とする。

    従来、多孔質セラミックス焼結体では、小さな気孔を有する珪藻土を必須成分とすることによってマイクロメートルオーダーの気孔が形成され、高い機能が得られると考えられていた。 しかし、本発明者らが検討したところ、多孔質セラミックス焼結体の原料として有機汚泥を用いると、珪藻土を用いなくても、珪藻土を用いたものと同等もしくはそれ以上にマイクロメートルオーダーの気孔を有して高い機能を発揮する多孔質セラミックス焼結体が得られることを見出し、本発明に至った。

    本発明は、次の構成を有するものである。
    (1)発泡剤と粘土類と有機汚泥とを含み、珪藻土を含まない混合物が成形され、焼結されて得られたことを特徴とする多孔質セラミックス焼結体。
    (2)焼成時に発泡剤が発泡して形成された第1の気孔と、焼成時に前記有機汚泥が減量して形成された第2の気孔とが形成され、これら気孔が連通していることを特徴とする(1)に記載の多孔質セラミックス焼結体。
    (3)発泡剤と粘土類と有機汚泥とを含み、珪藻土を含まない混合物を成形し、950〜1200℃で焼成することを特徴とする多孔質セラミックス焼結体の製造方法。
    (4)前記発泡剤がスラグであることを特徴とする、(3)に記載の多孔質セラミックス焼結体の製造方法。
    (5)前記有機汚泥が活性汚泥であることを特徴とする、(3)または(4)に記載の多孔質セラミックス焼結体の製造方法。

    本発明の多孔質セラミックス焼結体は、珪藻土を用いないにもかかわらず、気孔率を高めることができ、珪藻土を用いたものと同等またはそれ以上の飽和含水率を有する。 このような本発明の多孔質セラミックス焼結体は、珪藻土を用いた多孔質セラミックス焼結体と同等またはそれ以上の機能、性能を有し、珪藻土を用いた多孔質セラミックス焼結体と同様の用途(例えば、断熱材等)に用いることができる。
    本発明の多孔質セラミックス焼結体の製造方法によれば、上記多孔質セラミックス焼結体を容易に製造できる。

    珪藻土を含まない多孔質セラミックス焼結体の300倍での電子顕微鏡写真である。

    珪藻土を含まない多孔質セラミックス焼結体の3000倍での電子顕微鏡写真である。

    珪藻土を含む多孔質セラミックス焼結体の300倍での電子顕微鏡写真である。

    (多孔質セラミックス焼結体)
    本発明の多孔質セラミックス焼結体は、発泡剤と粘土類と有機汚泥とを含み、珪藻土を含まない混合物が成形され、焼結されて得られたものである。

    多孔質セラミックス焼結体の内部には気孔が形成されている。
    多孔質セラミックス焼結体における気孔は、それぞれ独立したものであってもよいし、相互に連通してもよいが、断熱性、吸音性、保水性、透水性、冷却性(気孔内に保水された水の気化による潜熱を利用)、植物の育成性又は通気性の向上の観点から、連通していることが好ましい。 また、連通によって気孔が、多孔質セラミックス焼結体を貫通していることがより好ましい。
    気孔同士が連通している場合、発泡剤に由来する気孔同士が相互に連通してもよいし、有機汚泥に由来する気孔同士が連通してもよいし、発泡剤に由来する気孔と有機汚泥に由来する気孔が相互に連通してもよい。
    本発明の多孔質セラミックス焼結体は、優れた保水性、透水性、冷却性、植物の育成性、通気性が得られることから、発泡剤に由来する気孔と有機汚泥に由来する気孔とが相互に連通していることが好ましい。 すなわち、本発明の多孔質セラミックス焼結体においては、焼成時に発泡剤が発泡して形成された第1の気孔と、焼成時に前記有機汚泥が減量して形成された第2の気孔とが形成され、これら気孔が連通していることが好ましい。
    第1の気孔は、ミリメートルオーダーの気孔であり、第2の気孔は、マイクロメートルオーダーまたはそれ以下(ナノメートルオーダー)の気孔である。
    ミリメートルオーダーの気孔とは、気孔の最大径(単に孔径ということがある)が1〜50mmのものを意味し、マイクロメートオーダーの気孔とは、孔径(気孔の最大径)が1〜1000マイクロメートルのものを意味し、ナノメートルオーダーの気孔とは、孔径(気孔の最大径)が10〜1000ナノメートルのものを意味する。
    ここで、ミリメートルオーダーの孔径は、多孔質セラミックス焼結体を切断し、その切断面に形成されている孔をスケールで測定した値である。 マイクロメートルオーダーの孔径およびナノメートルオーダーの孔径は、多孔質セラミックス焼結体を切断して形成された切断面を電子顕微鏡で観察し、測定した値である。

    多孔質セラミックス焼結体における気孔の体積割合は特に限定されないが、(気孔の体積)/(多孔質セラミックス焼結体の体積)で表される気孔率が、好ましくは90体積%以下、より好ましくは40〜80体積%、さらにより好ましくは60〜70体積%である。 気孔率が上記範囲内であれば、多孔質セラミックス焼結体の強度が維持されると共に、多孔質セラミックス焼結体に求められる機能を充分に付与できる。
    さらに、[多孔質セラミックス焼結体の質量(g)]/[多孔質セラミックス焼結体の体積(cm )]で表されるかさ比重は、好ましくは0.4〜1.3g/cm 、より好ましくは0.4〜1.0g/cm 、さらにより好ましくは0.55〜0.85g/cm である。 かさ比重が上記範囲内であれば、多孔質セラミックス焼結体の強度が維持されると共に、多孔質セラミックス焼結体に求められる機能を充分に付与できる。 なお、かさ比重が低いほど、多孔質セラミックス焼結体は気孔が多く形成されていると推測できる。
    また、多孔質セラミックス焼結体における飽和含水率は、20%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、40%以上がさらに好ましい。 上限は高い程よいが、高すぎると用途によっては強度が不足することもあるため、100%以下であることが好ましい。 飽和含水率が20%を下回ると、気孔率が高いものであっても、保水性が低くなる傾向にあり、植物の育成や保水した水を気化させて生じる冷却(温度上昇の抑制)等を目的として使用する場合には、充分な効果が得られないおそれがある。
    また、多孔質セラミックス焼結体におけるpF値2.7以下の水分量は、好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、さらにより好ましくは60質量%以上である。 pF値2.7以下の水は、植物が育成に利用しうるものであり、pF値2.7以下の水分量が、40質量%未満であると植物の育成に適さないか若しくは頻繁に水撒きが必要となるおそれがある。

    多孔質セラミックス焼結体の形状は、用途等を勘案して決定することができ、例えば、円柱状又は柱状等の柱状、板状、粒状等の形状のものが挙げられる。
    また、本発明の多孔質セラミックス焼結体の表面はグラインダー等で1mm程度削り取られてもよい。 表面が削り取られると、吸水速度を向上させることができる。

    <発泡剤>
    本発明における発泡剤は、焼成時に発泡するものであり、例えば、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、炭酸マグネシウム、スラグ等の公知のセラミックス用の発泡剤を用いることができる。 これら発泡剤の中でも、スラグが好ましい。
    スラグとしては特に限定されず、例えば、金属精錬時に発生する高炉スラグ、都市ゴミの溶融時に発生する都市ゴミ溶融スラグ、下水汚泥の溶融時に発生する下水汚泥溶融スラグ、ダクタイル鋳鉄等の鋳鉄時に発生する鋳鉄スラグ等のガラス質スラグ等が挙げられる。 これらの中でも、鋳鉄スラグがより好ましい。 鋳鉄スラグは、組成が安定しているため安定した発泡状態が得られると共に、他のスラグに比べ1.5〜2倍程度の発泡率であり、これを用いることで、ミリメートルオーダーの大きな気孔を形成することができる。

    <粘土類>
    本発明における粘土類は、一般的に窯業原料として用いられる粘土状の性状を示す鉱物材料である。 ただし、本発明における粘土類は、珪藻土を含まない。
    具体的には、粘土類は、セラミックス焼結体に用いられる公知のものを用いることができ、石英、長石、粘土系等の鉱物組成で構成されるが、構成鉱物はカオリナイトを主とし、ハロイサイト、モンモリロナイト、イライト、ベントナイト、パイロフィライトを含むものが好ましい。 中でも、焼結時のクラックの進展を抑え、多孔質セラミックス焼結体の破壊を防ぐ観点から粒子径が500μm以上の石英の粗粒を含むものがより好ましい。 このような粘土類としては、例えば、蛙目粘土等が挙げられる。 粘土類は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて配合される。

    <有機汚泥>
    有機汚泥は、主成分として有機物を含有する汚泥である。 有機汚泥としては特に制限されないが、下水や工場等の排水処理に由来する活性汚泥が好ましい。 活性汚泥は、活性汚泥法を用いた排水処理設備から、凝集・脱水工程を経て排出されて得られる。 このような有機汚泥を用いることで、所望する気孔を容易に形成することができる。 さらに、廃棄物の位置付けであった排水処理由来の活性汚泥を原料としてリサイクルすることができる。

    有機汚泥の含水率は、好ましくは60〜90質量%、より好ましくは65〜85質量%である。 上記範囲内であれば、後述の混合工程で均質な混合物が得られると共に、連続成形においても良好な成形性を維持できる。

    有機汚泥の有機物の含有量は特に限定されないが、例えば、有機汚泥の固形分中の有機物の含有量(有機物含有量)として70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。 前記有機物含有量が多いほど、気孔の形成が容易となる。 なお、有機物含有量は、乾燥後の汚泥をJIS M8812−1993に準じ、炭化温度700℃で灰分(質量%)を測定し、下記(1)式により求められる値である。

    有機物含有量(質量%)=100(質量%)−灰分(質量%) ・・・(1)

    <任意成分>
    多孔質セラミックス焼結体には、本発明の目的を阻害しない範囲で、珪藻土、有機汚泥、粘土類以外の任意成分を配合してもよい。 任意成分としては、例えば、マイティ2000WH(商品名、花王株式会社製)等のナフタリン系の流動化剤、メルメントF−10(商品名、昭和電工株式会社製)等のメラミン系の流動化剤、ダーレックススーパー100pH(商品名、グレースケミカルズ株式会社製)等のポリカルボン酸系の流動化剤等;銀、銅、亜鉛等の抗菌剤;ゼオライト、アパタイト等の吸着剤、金属アルミニウム等が挙げられる。
    また、有機汚泥から悪臭が生じる場合には、消臭剤を配合するとよい。 消臭剤としては、具体的には、塩化アンモニウム、塩化亜鉛などが挙げられる。 このような成分の消臭剤を用いた場合には硫化水素等の臭いの成分を中和、無臭化することにより、有機汚泥からの臭気を抑制できる。
    任意成分の配合量は、本発明の目的を脱しない範囲で、任意成分添加の目的とする効果を勘案し添加すればよい。 例えば、塩化アンモニウム、塩化亜鉛を消臭剤として用いた場合には、有機汚泥に対し0.05〜5質量%とし、混合物全体で0.005質量%〜1質量%とすることが好ましい。

    <無機物の粒子・繊維>
    多孔質セラミックス焼結体の強度、特に曲げ強度を向上させたい場合には、無機物の粒子・繊維を混合物に配合することが好ましい。 無機物の粒子・繊維としては、高融点ガラスの粒子、炭素繊維、バサルト繊維、ロックウールからなる群から選ばれる少なくとも1つが好ましく、強度の向上の観点からは高融点ガラスの粒子が特に好ましい。

    [高融点ガラスの粒子]
    高融点ガラスは、溶融温度900℃以上のものであり、好ましくは溶融温度1000℃以上、より好ましくは溶融温度1200℃以上のものである。 溶融温度が上記下限値以上であれば、高融点ガラスの粒子は、後述する焼成工程において部分的に溶融し、高融点ガラスの粒子同士で融着したり、粘土類のバインダーとして機能できる。 加えて、溶融温度が高いほど、多孔質セラミックス焼結体の強度を向上できる。 また、高融点ガラスの溶融温度は、1800℃以下が好ましく、1600℃以下がより好ましい。 上記上限値超であると、焼結した際に、高融点ガラスの粒子が溶融しにくく、多孔質セラミックス焼結体の強度を充分に向上できないおそれがある。

    高融点ガラスの材質は、特に限定されないが、無アルカリガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスが好ましく、中でも、ホウケイ酸ガラスが好ましい。 このような材質であれば、多孔質セラミックス焼結体の強度を充分に向上できる。

    無アルカリガラスは、実質的にナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属元素を含有しないガラスである。 実質的に含有しないとは、ガラス組成中のアルカリ金属元素の含有量が酸化物換算で0.1質量%以下を意味する。
    アルミノケイ酸ガラスは、アルミニウムと珪素とを主成分とする酸化物ガラスである。
    ホウケイ酸ガラスは、ホウ素と珪素とを主成分とする酸化物ガラスである。
    石英ガラスは、石英から作製されるガラスで、酸化珪素の純度が高いものいう。
    高融点ガラスの市販品としては、AN100(商品名、無アルカリホウケイ酸ガラス、旭硝子株式会社製)等が挙げられる。

    高融点ガラスは、例えば、液晶テレビ等の液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等のパネル、EL用カバーガラス、CCDに代表される固体撮像素子用のカバーガラス、ハンドパスフィルター等の光学フィルター用ガラス、チップ・オン・ガラス用途のガラス基板用ガラス、フラスコやビーカー等の各種製品に用いられている。
    そのため、高融点ガラスの粒子は、上記の製品の製造工程で排出される廃ガラスや、廃棄された液晶テレビ等から回収されるパネルから得ることができる。
    特に、液晶テレビ等のフラットディスプレイ用のパネルは、大型化等に伴い、フラットディスプレイの製造時に多量の廃ガラスを発生する。 フラットディスプレイ用のパネルの廃ガラスを高融点ガラスの粒子とすることで、廃棄物を削減できる。 このため、環境負荷を低減する観点から、フラットディスプレイ用のパネルの廃ガラスを高融点ガラスの粒子として用いることが好ましい。 加えて、フラットディスプレイ用のパネルの廃ガラスは、ガラス組成物の純度が高いため、特段の精製をすることなく、安定した品質の高融点ガラスとして利用できる。

    高融点ガラスの粒子の粒子径は、特に限定されないが、0.3〜5mmが好ましい。 粒子径が0.3mm未満であると、多孔質セラミックス焼結体は、気孔率が低下したり、比重が増加したりする。 そして、気孔率の低下によって、吸水性、保水性、断熱性が損なわれたり、比重の増加によって、多孔質セラミックス焼結体の質量が著しく増加するおそれがある。 粒子径が5mm超であると、成形性が低下したり、成形時に押出し口の金具が破損するおそれがある。
    高融点ガラスの粒子径は、多孔質セラミックス焼結体の生産性とさらなる強度の向上の観点から、0.6mm超1.2mm以下がより好ましい。
    なお、高融点ガラスの粒子径は、篩い分けにより測定された値である。

    [炭素繊維]
    炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチ系、レーヨン及びセルロース系等の種々の炭素繊維を用いることができる。
    炭素繊維の長さは、多孔質セラミックス焼結体の形状等を勘案して決定でき、板状物であれば、例えば、1mm〜10cmが好ましく、5〜25mmがより好ましい。 上記下限値未満であると、多孔質セラミックス焼結体の強度が不充分になるおそれがあり、上記上限値超であると、生産性が損なわれたり、多孔質セラミックス焼結体の外観が損なわれたりするおそれがある。
    炭素繊維の太さは、多孔質セラミックス焼結体の形状等を勘案して決定でき、板状物であれば、例えば、1〜1000μmが好ましく、5〜100μmがより好ましい。 上記下限値未満であると、多孔質セラミックス焼結体の強度が不充分になるおそれがあり、上記上限値超であると、生産性が損なわれたり、多孔質セラミックス焼結体の外観が損なわれたりするおそれがある。

    [バサルト繊維]
    バサルト繊維は、天然に存在するバサルト(玄武岩)を溶融・紡糸して製造される繊維である。
    バサルト繊維の長さは、多孔質セラミックス焼結体の形状等を勘案して決定でき、板状物であれば、例えば、1mm〜10cmが好ましく、5〜25mmがより好ましい。 上記下限値未満であると、多孔質セラミックス焼結体の強度が不充分になるおそれがあり、上記上限値超であると、生産性が損なわれたり、多孔質セラミックス焼結体の外観が損なわれたりするおそれがある。
    バサルト繊維の太さは、多孔質セラミックス焼結体の形状等を勘案して決定でき、板状物であれば、例えば、1〜1000μmが好ましく、5〜100μmがより好ましい。 上記下限値未満であると、多孔質セラミックス焼結体の強度が不充分になるおそれがあり、上記上限値超であると、生産性が損なわれたり、多孔質セラミックス焼結体の外観が損なわれたりするおそれがある。 また、炭素繊維も同様であるが、これらの繊維を1000〜100000本程度束ねた繊維束として用いることが強度向上の観点から好ましい。

    [ロックウール]
    ロックウールは、玄武岩、鉄炉スラグ等に石灰等を混合し、高温で溶融し紡糸して製造される人造鉱物繊維である。
    ロックウールの長さは、多孔質セラミックス焼結体の形状等を勘案して決定でき、板状物であれば、例えば、1mm〜10cmが好ましく、5〜25mmがより好ましい。 上記下限値未満であると、多孔質セラミックス焼結体の強度が不充分になるおそれがあり、上記上限値超であると、生産性が損なわれたり、多孔質セラミックス焼結体の外観が損なわれるおそれがある。
    ロックウールの太さは、多孔質セラミックス焼結体の形状等を勘案して決定でき、板状物であれば、例えば、1〜100μmが好ましく、3〜30μmがより好ましい。 上記下限値未満であると、多孔質セラミックス焼結体の強度が不充分になるおそれがあり、上記上限値超であると、生産性が損なわれたり、多孔質セラミックス焼結体の外観が損なわれるおそれがある。

    (多孔質セラミックス焼結体の製造方法)
    本発明の多孔質セラミックス焼結体の製造方法は、混合工程と成形工程と焼成工程とを有する。

    <混合工程>
    混合工程は、発泡剤、粘土類及び有機汚泥を混合し、珪藻土を混合しないことにより、珪藻土を含有しない混合物を得る工程である。
    混合工程における各成分の混合方法は特に限定されず、例えば、発泡剤、粘土類及び有機汚泥を一度に混合装置へ投入し、混合する方法が挙げられる。

    混合物における発泡剤の配合量は、多孔質セラミックス焼結体に求められる機能等を勘案して決定することができ、10〜80質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましく、40〜60質量%がさらに好ましい。 発泡剤の配合量が上記範囲内であれば混合物の成形性を損なわず、円滑に成形できると共に、多孔質セラミックス焼結体の気孔率、かさ比重、飽和含水率を容易に好適な範囲とすることができる。

    混合物における粘土類の配合量は、多孔質セラミックス焼結体に求められる機能や、成形性を勘案して決定することができ、5〜60質量%が好ましく、8〜50質量%がより好ましく、21〜40質量%がさらに好ましい。 粘土類の配合量が上記範囲内であれば混合物の成形性を損なわず、かつ円滑に成形できると共に、得られる多孔質セラミックス焼結体の強度を充分に確保できる。

    混合物における有機汚泥の配合量は、多孔質セラミックス焼結体に求められる機能や、成形性を勘案して決定することができ、1〜60質量%が好ましく、5〜35質量%がより好ましい。 有機汚泥の配合量が上記範囲内であれば、混合物は適度な流動性と可塑性とを備え、成形性が高くなり、成形装置を閉塞させることなく円滑に成形できる。 また、気孔同士を連通させやすくなり、所望する気孔率や飽和含水率の多孔質セラミックス焼結体を容易に得ることができる。

    混合物の含水率は特に限定されないが、25〜45質量%が好ましく、25〜30質量%がより好ましい。 上記範囲内であれば、混合物は適度な可塑性と流動性を有し、良好な成形性が維持できる。

    混合物に任意成分を配合する場合、任意成分の配合量は、本発明の目的を阻害しない範囲とされ、例えば、混合物全体の0.001〜10質量%の範囲にすることが好ましい。
    加えて、混合工程において、有機汚泥が好適な配合比で配合されている場合には、有機汚泥に含まれる水により混合工程にて水を添加しなくてもよいし、混合物の流動性の調整等を目的として、適宜、水を配合してもよい。
    なお、他の成分として高融点ガラス粒子を配合する場合には、高融点ガラス粒子の配合量は5〜35質量%の範囲にすることが好ましい。 35質量%を超えて、高融点ガラス粒子を配合すると気孔率や飽和含水率が低下するおそれがある。 また、5質量%を下回ると強度の向上効果が得られないおそれがある。

    混合工程に用いる混合装置は特に限定されず、公知の混合装置を用いることができる。 例えば、混合装置としては、ミックスマラー(新東工業株式会社製)等の混練機や、ニーダー(株式会社モリヤマ製)、混合機(日陶科学株式会社製)等が挙げられる。

    混合工程における混合時間は、発泡剤、粘土類と有機汚泥との配合比や、混合物の流動性等を勘案して決定することができ、混合物が可塑状態となるような混合時間を決定することが好ましい。 混合時間は、15〜45分の範囲とすることが好ましく、25〜35分の範囲とすることがより好ましい。

    混合工程における温度は特に限定されず、発泡剤と粘土類と有機汚泥の配合比や含水量等を勘案して決定することができ、10〜80℃の範囲とすることが好ましく、50〜60℃の範囲とすることがより好ましい。

    <成形工程>
    成形工程は、混合工程で得られた混合物を所定の形状に成形する工程である。
    成形方法は、公知の成形方法を用いることができ、混合物の性状や多孔質セラミックス焼結体の形状を勘案して決定することができる。 成形方法は、例えば、成形装置を用いて所定の形状の成形体を連続的に得る方法、混合物を任意の形状の型に充填し成形体を得る方法、あるいは、混合物を延伸した後、所定の形状に切断する方法、混合物を円筒状に連続的に押出し、切開し、圧延した後、所定の形状に切断する等が挙げられる。 中でも、生産効率向上の観点から、成形装置を用いて成形体を連続的に得る方法が好ましい。

    成形装置は、所望する多孔質セラミックス焼結体の形状に応じて決定することができる。 例えば、柱状又は粒状の多孔質セラミックス焼結体を製造するために、柱状又は粒状の成形体を得る場合、成形装置としては、一次スクリュー押出式成形機、円盤型ダイス水平押出式成形機等が挙げられ、中でも、生産性、成形性の観点より円盤型ダイス水平押出式成形機を用いることが好ましい。
    また、板状の多孔質セラミックス焼結体を製造するためには真空土練成形機、平板プレス成形機及び平板押出し成形機等が挙げられ、中でも真空土練成形機が好ましい。 真空土練成形機を用いて成形体中の空気を除去することで、気孔の制御が安定する。
    成形装置で得る成形体の大きさは用途に応じて決定することができ、成形体を円柱状とする場合には、例えば、直径を5〜200mmの範囲とすることが好ましい。 直径が5m未満であると、成形が困難となり、直径が200mmを超えると焼結が不充分となるおそれがある。

    また、板状とする場合には、例えば、タテ10cm〜2m×ヨコ10cm〜2m×厚さ1cm〜10cmの範囲とすることが好ましい。 上記範囲の下限から外れる場合には、生産性が低下するおそれがある。 上限を超える場合には、焼結が不充分となったり、移送時等に多孔質セラミックス焼結体が破損するおそれがある。

    <焼成工程>
    焼成工程は、成形工程で得られた成形体を焼成し、粘土類を焼結して多孔質セラミックス焼結体を得る工程である。
    焼成前には、成形体を乾燥することが好ましい。 乾燥操作は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。 例えば、成形体を自然乾燥させてもよいし、50〜220℃の熱風乾燥炉で任意の時間処理することで乾燥してもよい。 乾燥後の成形体の含水率は、特に限定されないが、3質量%未満が好ましく、1質量%未満がより好ましい。 乾燥後の成形体の含水率は、下限として0質量%であってもよい。

    焼成の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。 例えば、ローラーハースキルン等の連続式焼結炉、シャトルキルン等の回分式焼結炉を用い、任意の温度で焼成する方法が挙げられる。 中でも、焼成には、生産性の観点から連続式焼結炉を用いることが好ましい。 本発明では、珪藻土を用いていないため、連続式焼却炉を用いて焼成をおこなっても、割れ等が発生し難く、安定して、多孔質セラミックス焼結体を製造することができる。 また、焼成時に臭いが発生する場合、焼成装置には、脱臭装置を取り付けるとよい。 脱臭装置としては、スクラバー脱臭装置やオゾン脱臭装置や光触媒などを用いた触媒脱臭装置などを挙げることができる。

    焼成温度(到達温度)は、発泡剤と粘土類と有機汚泥との配合比や有機汚泥の成分等を勘案して設定される。 例えば、発泡剤が発泡、膨張し、粘土類を焼結し、かつ、有機汚泥に含まれる有機物が熱分解により揮発して減量する温度に設定される。 具体的には、焼成温度は、950〜1200℃であり、1000〜1100℃が好ましい。 有機物の多くは、700℃前後より分解が始まり、950℃において臭気成分は熱分解されるため、950℃以上にすることで、有機汚泥特有の臭いを解消できると共に、有機汚泥中の有機物の大部分を揮発させて減量することができる。 発泡剤として鋳鉄スラグを用いた場合には、800〜950程度にて結晶化、膨張する。
    焼成温度が1200℃を超えると、多孔質セラミックス焼結体の組織全体のガラス化が進み、成形体が破損したり、孔隙が閉塞するおそれがある。

    焼成工程では、焼成温度に達するまでの間に、まず成形体から水分が蒸発し、発泡剤が発泡し、その後有機汚泥の有機物が熱分解して減量する。 その際の焼成温度に達するまでの温度上昇(ヒートカーブ、温度勾配)は適切に調整することが好ましい。
    珪藻土を含まない場合においても、連続式焼結炉においては、投入時における成形体の含水率が3質量%を超えると、焼成工程での含有水分の急激な気化により、成形体が破裂もしくは爆砕することがあり、また、有機物の急激な揮発に伴う破損も発生するおそれがある。 しかし、温度勾配を調整して急激な水分の蒸発又は急激な有機物の減量を抑えれば、上記のような成形体の破裂や破損を防ぐことができる。
    また、焼成温度に達した後の急激な冷却の際にも、多孔質セラミックス焼結体に割れや粉砕等の破損が生じることがあるが、焼成工程での温度勾配を調整することにより、冷却の際の破損を防ぐことができる。

    また、温度勾配は、焼成装置の規模等を勘案するとよい。 焼成装置の規模に応じて適切な温度勾配を設ければ、気孔率を高くし、あるいは気孔同士を連通させて、多孔質セラミックス焼結体の断熱性、吸音性、保水性、透水性、植物の育成性又は通気性をより向上させることができる。

    焼成時間は、焼成温度や混合物の含水率等を勘案して決定することができ、焼成温度になっている状態の滞留時間が、好ましくは1〜120分間、より好ましくは3〜60分間、さらに好ましくは4〜10分間、特に好ましくは6.5〜7.5分間である。 滞留時間が上記範囲内であれば、多孔質セラミックス焼結体の破損を防止しつつ、良好に焼結できる。

    本発明の多孔質セラミックス焼結体では、その製造の際に、発泡剤と粘土類と有機汚泥を含む混合物を用いることで、珪藻土を用いないにもかかわらず、所望する気孔を容易に形成でき、気孔率を高めることができる。 これにより、本発明の多孔質セラミックス焼結体においては、珪藻土を用いたものと同等またはそれ以上の飽和含水率を得ることができる。
    また、多孔質セラミックス焼結体の製造において、高価な珪藻土を用いないことは、工業的には大きなメリットである。

    また、珪藻土を含む混合物を焼成して得た多孔質セラミックス焼結体においては、200℃前後にて体積変化が起こり、焼成時または焼成後の冷却時に割れや表面欠損が生じるおそれがあった。 しかしながら、本発明の多孔質セラミックス焼結体では、焼成時または冷却時に割れや表面欠損等の発生が抑制されているため、精密な温度管理を必要としない。 そのため、多孔質セラミックス焼結体の生産性が向上する。

    また、本発明の多孔質セラミックス焼結体は、凍結しにくいという効果も有する。 多孔質セラミックス焼結体が凍結しにくいと、凍結割れが起こりにくく、また、道路の舗装に用いた場合には、歩行者や車両が滑りにくくなる。 本発明の多孔質セラミックス焼結体が凍結しにくいのは、本発明の多孔質セラミックス焼結体は透水性に優れ、焼結体の表面付近に水が存在しにくく、さらに、焼結体の内部では、表面張に基づく毛細管現象等により水が対流して凍結しにくい状態になっているためと考えられる。

    以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
    (使用原料)
    実施例に用いた原料は、次の通りである。
    <有機汚泥>
    有機汚泥としては、染色工場(小松精練株式会社)の活性汚泥法による排水処理設備から凝集・脱水工程を経て排出された活性汚泥を用いた。 この活性汚泥の有機物含有量(対固形分)は83質量%、含水率は85質量%であった。

    <粘土類>
    粘土類としては、蛙目粘土(岐阜県産又は愛知県産)を用いた。

    <珪藻土>
    珪藻土としては、能登地区産の耐火煉瓦の原料で、含水率が5質量%の粉末状の珪藻土を用いた。

    <スラグ>
    発泡剤として、鋳鉄スラグを用いた。 この鋳鉄スラグは、SiO 、Al 、CaO、Fe 、FeO、MgO、MnO、K O、Na Oを主成分とするダクタイル鋳鉄スラグである。

    <高融点ガラスの粒子>
    高融点ガラスの粒子として、液晶テレビのフラットディスプレイ用のガラスパネルの廃ガラスを粉砕し、高融点ガラスの粒子としたものを用いた。 高融点ガラスの粒子は、目開き1.2mmの篩を通過し、目開き0.6mmの篩を通過しないもの(粒子径0.6mm超1.2mm以下)及び目開き0.6mmの篩を通過したもの(粒子径0.6mm以下)を質量比で1:1で配合したものである。 このガラスパネルは、溶融温度1300℃超の無アルカリガラスであり、偏光板を備えていないものである。 なお、溶融温度は、熱重量分析(TG)と示唆熱分析(DTA)とを測定(測定温度:室温(25℃)〜1300℃(昇温速度:10℃/分)、測定機器:Thermo Plus、理学電機株式会社製)し、得られたTG、DTAから常法により求めた値である。

    <炭素繊維>
    炭素繊維として、PAN系炭素繊維(トレカ(商標)糸 T700SC−12000、東レ株式会社製)を繊維長10mmに切断したものを用いた。

    (測定方法)
    なお、本実施例における物性値は以下の方法により測定した。

    <飽和含水率>
    かさ比重を測定したサンプル(N=5)を水に60分間浸漬した後、表面を上にして水からサンプルを傾けず取り出し(傾けた際にサンプルから水が流れ出すことを防ぐため)、サンプルの表面に付着している余剰水分を布で拭き、直ちに質量を測定(飽和状態質量)し、下記(2)式により求めた。

    飽和含水率(質量%)=[(飽和状態質量−絶乾状態質量)/絶乾状態質量]×100・・・(2)

    <曲げ強度>(3点曲げ強度)
    JIS R5201に準拠して測定した。

    <かさ比重>
    多孔質セラミックス焼結体を、おおよそ、15cm(タテ)×15cm(ヨコ)に切除したものを試験片として用い、ノギスを用いてタテ、ヨコ、厚さを測定することにより試験片の体積(cm )を求め、さらに、その試験片の質量(g)を測定した。 そして、多孔質セラミックス焼結体の質量(g)]/[多孔質セラミックス焼結体の体積(cm )]の式より、かさ比重を求めた。

    <気孔同士の連通の有無の確認>
    多孔質セラミックス焼結体における気孔同士の連通の有無の確認は、得られた多孔質セラミックス焼結体を水に浸漬し、充分に吸水させた後に切断し、その断面を観察することで確認した。 多孔質セラミックス焼結体の内部に、満遍なく水分が分布・保水されている場合、気孔同士が連通していると判断した(表中、「○」と記載)。 多孔質セラミックス焼結体の内部に水分が行き渡っていない場合には、個々の気孔又は孔隙が独立しており、気孔同士が連通していない又は連通が不充分であると判断した(表中、「×」と記載)。

    <気孔の観察>
    ミリメートルスケールの気孔は目視で観察した。 マイクロメートルスケール及びナノメートルスケールの気孔は、電子顕微鏡(走査型電子顕微鏡:SEMEDX Type H形:(株)日立サイエンスシステムズ)を用いて観察した。

    <pF値別水分量の測定>
    各例の多孔質セラミックス焼結体の板状物について、中央部及び四角の近傍部を直径42mm×厚み40mmの略円柱形にくり抜き、飽和含水状態にしたものを試料柱(5個)とし、この試料柱を専用のロータ治具に装着した。 遠心分離機(型式:50B−5、株式会社佐久間製作所製)に装着されたロータ(土壌用pF測定用15B−R8)に、試料柱が装着されたロータ治具を装着し、650rpm、30分間で遠心処理をした。 この際、試料柱から分離された水量をpF値1.5以下の水分量とした。 次いで、試料柱を1540rpm、30分間遠心処理し、試料柱から分離された水量をpF値1.5超2.7以下の水分量とし、試料柱に残存した水量をpF値2.7超の水分量とした。

    <熱伝導率の測定>
    各例の多孔質セラミックス焼結体の板状物を長さ、幅、及び厚さ方向にスライスして長さ20cm×幅20cm×厚み21.6mmの試験体を作製し、この試験体を用い、JIS A1412−2−1999に準拠して測定した。

    (実施例1)
    表1に示す配合でスラグ、有機汚泥、粘土類および水を混合して混合物を得た。 具体的には、スラグと有機汚泥と粘土類をミックスマラー(新東工業株式会社製)で混合し、可塑状態の混合物を得た(混合工程)。
    次いで、得られた混合物を真空土練成形機(高浜工業株式会社製)を用い、押し出し成形し、幅60cm、厚み2cmの帯状の一次成形体を得た。 この一次成形体を任意のピッチと幅で切断して、厚み2cmの略正方形の平板状の成形体を得た(成形工程)。

    得られた成形体を熱風乾燥機で乾燥(180℃、0.5時間)し、含水率1質量%以下とした後、連続式焼結炉を用いて、焼成温度1050℃、焼成温度での滞留時間7分間の焼成条件にて焼成した(焼成工程)。 連続式焼結炉としては、ローラーハースキルン(焼結炉の有効長:全長15m、焼結炉を各1.5mのゾーン1〜10に分割)を用いた。
    焼成後、焼結した成形体の4つの側面に沿って側端を切除し、幅50cm×長さ50cm×厚み4cmの多孔質セラミックス焼結体の板状物を得た。
    得られた多孔質セラミックス焼結体の板状物を測定用にさらに切除して試験片を作成し、その試験片を用いて曲げ強度、飽和含水率、pF値別水分量、熱伝導率を測定した。 測定結果を表1に示す。
    また、得られた多孔質セラミックス焼結体の板状物の断面の電子顕微鏡写真を図1、図2に示す。
    実施例1における多孔質セラミックス焼結体の板状物の断面では、孔径が1〜30mmのミリメートルスケールの気孔が層状に形成されたものが確認された。 気孔の厚みは1〜2mm程度であった。

    (比較例1)
    表1の混合物の組成に従い、珪藻土と有機汚泥と粘土類とスラグとをミックスマラーで混合して混合物を得た(混合工程)。 得られた混合物を実施例1と同様にして成形体を得、焼成して、多孔質セラミックス焼結体の板状物を得た。
    得られた多孔質セラミックス焼結体の板状物について、実施例1と同様に曲げ強度、飽和含水率、pF値別水分量、熱伝導率を求めた。 その結果を表1に示す。 また、得られた多孔質セラミックス焼結体の板状物の断面の電子顕微鏡写真を図3に示す。
    比較例1における多孔質セラミックス焼結体の板状物の断面では、実施例1と同様に孔径が1〜30mmのミリメートルスケールの気孔が層状に形成されていることが確認された。 また、気孔の厚みもほぼ同等の1〜2mmであった。 なお、比較例1では厚さ方向の中心部がやや黒ずみ、また、やや孔径が小さく見え、外観上、3層構造に見えるものであった。

    (実施例2)
    表1の混合物の組成に従い、有機汚泥と粘土類とスラグと高融点ガラスの粒子とをミックスマラーで混合して混合物を得た(混合工程)。 得られた混合物を実施例1と同様にして成形体を得、焼成して、多孔質セラミックス焼結体の板状物を得た。
    得られた多孔質セラミックス焼結体の板状物について、実施例1と同様に曲げ強度、飽和含水率、pF値別水分量、熱伝導率を求めた。 その結果を表1に示す。
    実施例2における多孔質セラミックス焼結体の板状物の断面では、実施例1と同様に孔径が1〜30mmのミリメートルスケールの気孔が層状に形成されていることが確認された。 また、気孔の厚みはほぼ同等の1〜2mmであったが実施例1に比べやや薄いものであった。 なお、実施例2では厚さ方向の中心部がやや黒ずみ、また、やや孔径が小さく見え、外観上、3層構造に見えるものであった。

    (実施例3)
    表1の混合物の組成に従い、有機汚泥と粘土類とスラグと炭素繊維とをミックスマラーで混合して混合物を得た(混合工程)。 得られた混合物を実施例1と同様にして成形体を得、焼成して、多孔質セラミックス焼結体の板状物を得た。
    得られた多孔質セラミックス焼結体の板状物について、実施例1と同様に曲げ強度、飽和含水率、pF値別水分量、熱伝導率を求めた。 その結果を表1に示す。
    実施例3における多孔質セラミックス焼結体の板状物の断面では、実施例1と同様に孔径が1〜30mmのミリメートルスケールの気孔が層状に形成されていることが確認された。 また、気孔の厚みもほぼ同等の1〜2mmであった。 なお、実施例3では厚さ方向の中心部がやや黒ずみ、また、やや孔径が小さく見え、外観上、3層構造に見えるものであった。

    実施例1では、珪藻土を添加しないことにより、飽和含水率が低下するどころか、比較例1よりも10%もの向上が見られた。 また、かさ比重も小さく、軽いものが得られた。 また、植物の根が吸収可能とされるpF値2.7以下のものもが全体の78質量%となっており、特に植物の成長にとって好ましく有効とされるpF値1.5〜2.7の水分量は15質量%となっていた。 したがって、高い飽和含水率により多くの水を多孔質セラミックス焼結体に有し、さらに、その水は植物の育成に適した状態となっており、植物の育成性にも優れている。 また、実施例1は、熱伝導率も低くなっていた。
    このことにより、珪藻土を添加しなくても、珪藻土と同等、また、それ以上の気孔率、飽和含水率等を有する多孔質セラミックス焼結体が安価に得られたことが確認された。
    また、電子顕微鏡写真からは、珪藻土を添加しないものは、珪藻土を添加したものに加え、小さな気孔が多く、マイクロメートルスケールの気孔に加え、ナノメートルスケールの気孔も確認された。 このことにより、珪藻土を用いずに得た多孔質セラミックス焼結体には、より小さな気孔が多数存在し、気孔率が上昇し、飽和含水率が向上したと考えられる。
    また、実施例1では、焼成時に発泡剤が発泡して形成したミリメートルスケールの気孔と、焼成時に活性汚泥が減量して形成したマイクロメートルスケールもしくはナノメートルスケールの気孔が連通していることが確認された。
    また、実施例1では比較例1に比べて曲げ強度がやや低かったが、実施例2,3のように、高融点ガラスの粒子または炭素繊維を配合することにより強度を向上させることができた。
    さらに、実施例2,3においても、実施例1と同様に、ミリメートルスケールの気孔と、焼成時に活性汚泥が減量して形成したマイクロメートルスケールもしくはナノメートルスケールの気孔が連通していることが確認された。

    本発明の多孔質セラミックス焼結体は、緑化基盤材料、水質浄化材料、調湿材料、断熱材、吸音材等に好適に利用でき、また、保水した水の潜熱を利用して温度の上昇を抑制する路面用敷設材、壁材、屋上材などにも好適である。

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