衛生陶器素地用組成物、その製造方法、および該組成物を用いた衛生陶器の製造方法

申请号 JP2004539561 申请日 2003-09-26 公开(公告)号 JPWO2004028995A1 公开(公告)日 2006-01-26
申请人 東陶機器株式会社; 发明人 秀美 石川; 秀美 石川; 克博 川上; 克博 川上; 剛 小関; 剛 小関; 高親 荒川; 高親 荒川; 町田 光義; 町田  光義;
摘要 長期保存性、移送性、およびスラリー再生性に優れる、鋳込み成形に用いられる衛生陶器素地用組成物、その製造方法、および衛生陶器素地用組成物を用いた衛生陶器の製造方法が開示されている。この衛生陶器素地用組成物は、衛生陶器素地用原料の粉末の凝集物を含んでなり、0〜25重量%の含 水 率を有し、前記粉末の個数基準による50%平均粒径が1〜15μmであるものである。この衛生陶器素地用組成物に水を添加して攪拌することにより、鋳込み成型に用いられる衛生陶器素地原料スラリーが得られる。
权利要求
  • 鋳込み成形に用いられる衛生陶器素地用組成物であって、
    衛生陶器素地用原料の粉末の凝集物を含んでなり、
    0〜25重量%の含水率を有し、
    前記粉末の個数基準による50%平均粒径が1〜15μmである、衛生陶器素地用組成物。
  • 前記含水率が0〜9重量%である、請求項1に記載の衛生陶器素地用組成物。
  • 前記含水率が3〜7重量%である、請求項1に記載の衛生陶器素地用組成物。
  • 前記含水率が15〜25重量%である、請求項1に記載の衛生陶器素地用組成物。
  • 前記凝集物の重量基準による50%平均粒径が1〜10mmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の衛生陶器素地用組成物。
  • 鋳込み成形に用いられる衛生陶器素地用組成物の製造方法であって、
    衛生陶器素地用原料を用意し、
    該衛生陶器素地用原料に水を添加し、
    該水が添加された衛生陶器用素地を粉砕して、鋳込み成形用スラリーを形成し、
    該鋳込み成形用スラリーを脱水および/または乾燥して、衛生陶器素地用組成物を得ることを含んでなる、方法。
  • 前記水の添加の際、該衛生陶器素地用原料に、スラリーの粘性を調整するための可溶性塩類がさらに添加される、請求項6に記載の方法。
  • 前記可溶性塩類が、珪酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、およびリン酸エステルからなる群から選択される少なくとも一種である、請求項7に記載の方法。
  • 前記乾燥がスプレードライヤーにより行われる、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
  • 前記脱水がフィルタープレス機により行われる、請求項6〜9のいずれか一項に記載の方法。
  • B型粘度計によりローター回転数60rpmの条件で測定される、前記鋳込み成形用スラリーの粘度が、200〜1000mPa・sである、請求項6〜10のいずれか一項に記載の方法。
  • 請求項6〜11のいずれか一項に記載の方法により製造された、衛生陶器素地用組成物。
  • 請求項1〜5および12のいずれか一項に記載される衛生陶器素地用組成物に水を添加し攪拌して、スラリーを再生させ、
    該スラリーを鋳込み成形用型に流し込み、着肉させ、
    着肉された成形体を前記型から取り出し、
    得られた成形体を乾燥し、
    該乾燥した成形体に釉薬を塗布し、
    該釉薬が塗布された成形体を焼成することを含んでなる、衛生陶器の製造方法。
  • 前記水が添加される際に、焼成時の収縮率または鋳込み成形時の着肉量を調整するための追加の粉体原料がさらに添加される、請求項13に記載の方法。
  • 前記追加の粉体原料が、長石、ドロマイト、およびネフェリンからなる群から選択される少なくとも一種である、請求項14に記載の方法。
  • 前記追加の粉体原料が、陶石、珪石、およびアルミナからなる群から選択される少なくとも一種である、請求項14または15に記載の方法。
  • 前記追加の粉体原料が、チャイナクレー、ボールクレー、および可塑性粘土からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
  • 前記追加の粉体原料の添加量が、前記衛生陶器素地用組成物100重量部に対して、0.01〜10重量部である、請求項14〜17のいずれか一項に記載の方法。
  • 前記水が添加される際に、スラリーの粘性を調整するための可溶性塩類がさらに添加される、請求項14〜18のいずれか一項に記載の方法。
  • 前記可溶性塩類が、珪酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸エステルからなる群から選択される少なくとも一種である、請求項19に記載の方法。
  • 前記可溶性塩類の添加量が、前記衛生陶器素地用組成物100重量部に対して、0.001〜0.2重量部である、請求項19または20に記載の方法。
  • 請求項13〜21のいずれか一項に記載される方法により製造された、衛生陶器。
  • 請求項1〜5および12のいずれが一項に記載される衛生陶器素地用組成物の、衛生陶器の製造のための使用。
  • 说明书全文

    [発明の背景]
    発明の分野
    本発明は、鋳込み成形に用いられる衛生陶器素地用組成物、その製造方法、および該組成物を用いた衛生陶器の製造方法に関するものである。

    衛生陶器の製造においては、成形体の作製は一般に鋳込み成形により行われている。 これは、衛生陶器は、比較的大型であり、なおかつ複雑な形状を有するためである。 鋳込み成形は、例えば以下のようにして行われる。 まず、衛生陶器素地原料にを適量添加して流動性を付与する。 次いで、水が添加された原料をボールミル等で混合粉砕して、スラリーを調製する。 そして、得られたスラリーをそのまま鋳込み成形用型に流し込む。 このように、鋳込み成形に用いられる衛生陶器素地用原料はスラリー化された後、固形化されることなく、スラリー状態のまま鋳込み成形工程に用いられている。
    一方、塑性成形により成形体が作製される、タイル等の陶磁器の製造においては、陶磁器素地原料は、スラリーを脱水した得た塑性成形用坏土、すなわち固形物の状態で成形工程に付されている。
    特開平8−40777号公報には、塑性成形用スラリー組成物を脱水して塑性成形用坏土を調製し、この塑性成形用坏土を用いて押し出し成形や動ろくろ成形等の塑性成形を行うことにより成形体を得る方法が開示されている。
    [発明の概要]
    本発明者らは、今般、鋳込み成形に用いられる衛生陶器素地用原料スラリーの含水率を0〜25重量%に低減させることにより、衛生陶器素地用原料を長期間にわたって安定な状態で保存することができ、また、原料の移送および保管の負担を大幅に低減でき、更には、極めて簡便な手法で直ちに衛生陶器素地用スラリーに再生させて鋳込み成形に用いることができる、との知見を得た。
    したがって、本発明は、長期保存性、移送性、およびスラリー再生性に優れる、鋳込み成形に用いられる衛生陶器素地用組成物、その製造方法、および衛生陶器素地用組成物を用いた衛生陶器の製造方法の提供をその目的としている。
    本発明による、鋳込み成形に用いられる衛生陶器素地用組成物は、
    衛生陶器素地用原料の粉末の凝集物を含んでなり、
    0〜25重量%の含水率を有し、
    前記粉末の個数基準による50%平均粒径が1〜15μmであるものである。
    また、本発明による、鋳込み成形に用いられる衛生陶器素地用組成物の製造方法は、
    衛生陶器素地用原料を用意し、
    該衛生陶器素地用原料に水を添加し、そして 該水が添加された衛生陶器用素地を粉砕して、鋳込み成形用スラリーを形成し、
    該鋳込み成形用スラリーを脱水および/または乾燥して、衛生陶器素地用組成物を得ることを含んでなるものである。
    さらに、本発明による衛生陶器の製造方法は、上記衛生陶器素地用組成物に水を添加し攪拌して、スラリーを再生させ、
    該スラリーを鋳込み成形用型に流し込み、着肉させ、
    着肉された成形体を前記型から取り出し、
    得られた成形体を乾燥し、
    該乾燥した成形体に釉薬を塗布し、そして 該釉薬が塗布された成形体を焼成することを含んでなるものである。

    図1は、実施例6および7、ならびに比較例2で作製された洋風大便器の斜視図である。
    図2は、図1に示される洋風大便器の側面図である。
    図3は、図1に示される洋風大便器の正面図である。
    [発明の具体的説明]
    定義
    本発明において、「含水率」は、水分を含む固体全重量に対する水分量の分率であり、以下の式により算出される。
    Z = [(W−W )/W ] × 100
    式中、Z:含水率(%)、
    W:乾燥前の試料の質量(g)、
    :110℃で24時間乾燥した後の試料の質量(g)
    本発明において、「個数基準による50%平均粒径」とは、レーザ回折式粒度分布計を用いて測定した粒度分布測定データにおける、微粒子側からの微粒子の累積数が50%に達した時の粒子の粒径を示す。
    本発明において、「重量基準による50%平均粒径」とは、ふるい分け法により測定された重量基準の粒径分布測定データにおける、微粒子側からの微粒子の累積重量が50%に達した時の粒子の粒径を示す。 本発明において、重量基準の粒径分布の測定は、JIS−Z 8815(1994年)に準拠して乾式ふるい分け装置により実施される。 このJIS基準は日本規格協会(日本国東京都港区赤坂4−1−24)から、その英訳とともに容易に入手可能である。 具体的には、JIS−Z 8801に規定される試験用ふるいを備えたふるい分け装置を用い、1個または数個重ねたふるいを振動させてふるい分けを行う。 ふるい分けの時間は、ふるい分け開始から、1分間にふるいを通過する粒子群の質量が装入試料質量の0.1%以下になるまでの時間とする。 また、ふるい分け終了後に測定される、各ふるい上質量と目開きが最も小さいふるいのふるい下質量の合計は、装入試料質量の±2%の範囲であるようにする。 なお、網面の目詰まり粒子は、ふるい網の裏面が上になるようにふるいを逆転し、目詰まり除去ブラシを用いて除去する。 その目詰まり粒子はふるい上のものとする。
    衛生陶器素地用組成物
    本発明の衛生陶器素地用組成物は、水が添加されて攪拌されることにより、衛生陶器素地用の原料スラリーを形成する組成物であり、鋳込み成形に用いられるものである。 この組成物は、衛生陶器素地用原料の粉末の凝集物を含んでなり、0〜25重量%の含水率を有する。 また、凝集物を構成する粉末の個数基準による50%平均粒径は1〜15μmである。 このような本発明の衛生陶器素地用組成物によれば、鋳込み成形用の衛生陶器素地用原料を長期間にわたって安定な状態で保存することができ、また、原料の移送および保管の負担を大幅に低減でき、更には、極めて簡便な手法で直ちに衛生陶器素地用スラリーに再生させて鋳込み成形に用いることができる。
    すなわち、本発明の衛生陶器素地用組成物は0〜25重量%という低い含水率を有するため、固形化前のスラリーと比較して、体積および重量を大幅に底減できる。 従って、原料の移送および保管の負担を大幅に低減でき、移送および保管の効率を上げることができる。 なお、スラリーの含水率は、通常、40〜60%程度である。
    また、本発明の衛生陶器素地用組成物はスラリーではないため、スラリーにおいて生じやすい長期保存時のスラリー性状の変化、例えば固形分の沈殿、が生じることがない。 すなわち、衛生陶器素地用原料を長期間にわたって安定な状態で保存することができる。 なお、乾燥後に得られた粉末の含水率は、貯蔵および保管の間に多少変動することがあるが、再スラリー化の際に水を添加して水分量を調整すれば足りるため、問題は無いと言える。
    さらに、本発明の衛生陶器素地用組成物は、凝集物を構成する粉末の個数基準による50%平均粒径は1〜15μmであり、この粒径分布は、鋳込み成形に使用される衛生陶器素地用スラリーが一般的に有する粒径分布に相当する。 このため、本発明の組成物は、水が添加されて攪拌されるという極めて簡便な手法で直ちに衛生陶器素地用スラリーに再生させて鋳込み成形に用いることができる。 従って、陶石、長石、および粘土等の衛生陶器素地用原料をそのまま保管している場合とは異なり、急な需要増加に対して迅速に対応することができる。
    本発明における衛生陶器素地用原料としては、衛生陶器の製造において通常用いられている素地用原料であれば特に限定されず、例えば、陶石、珪石、長石、カオリン、および粘土などを用いることができる。
    この衛生陶器素地用原料における各成分の配合割合は特に限定されないが、好ましい例としては、以下の配合が挙げられる。

    本発明の好ましい態様によれば、衛生陶器素地用組成物の含水率は、0〜9重量%であるのが好ましく、より好ましくは3〜7重量%である。 この範囲内であると、組成物の流動性にも優れるとともに、スラリーとして再生させて鋳込み成形に用いた場合に、十分な着肉厚みを確保することができる。 また、含水率が3〜7重量%の範囲内であると、粉塵が発生しにくく、スラリーとして再生させた場合に、水の添加のみで固形化前のスラリー粘度を実現しやすい。


    本発明の別の好ましい態様によれば、衛生陶器素地用組成物の含水率は、15〜25重量%であるのが好ましい。 この範囲内であると、組成物の製造において、時間のかかる乾燥工程を省略することができる。 また、スラリーをフィルタープレスにより脱水して組成物を得る際に、プレス圧を高くする必要が無いので濾布および機械に対する負担を低減することができる。 さらに、大きな塊状の組成物として得られにくく、保存時の作業性および再スラリー化時に溶解性に優れる。


    本発明の衛生陶器素地用組成物において、凝集物を構成する粉末の個数基準による50%平均粒径は1〜15μmであり、好ましくは1〜10μmであり、より好ましくは5〜10μmである。 また、本発明の好ましい態様によれば、凝集物を構成する粉末全体に占める個数基準による10μm以下の粒子の割合が45〜70%であるのが好ましく、より好ましくは50〜65%である。 このような粒径分布は、鋳込み成形に使用される衛生陶器素地用スラリーが一般的に有する粒径分布に相当する。 このため、本発明の組成物は、水が添加されて攪拌されるという極めて簡便な手法で直ちに衛生陶器素地用スラリーに再生させて鋳込み成形に用いることができる。


    なお、本発明の衛生陶器素地用組成物における、衛生陶器素地用原料粉末の個数基準による50%平均粒径および10μm以下の粒子の割合の測定は、以下のようにして行うことができる。 まず、衛生陶器素地用組成物に水を添加して攪拌することにより、凝集物を分解して、衛生陶器素地用原料粉末が均一に分散されたスラリーを得る。 次いで、得られたスラリーの粒度分布をレーザ回折式粒度分布計を用いて測定する。 得られた粒度分布測定データに基づいて個数基準による50%平均粒径、すなわち微粒子側からの微粒子の累積数が50%に達した時の粒子の粒径、を決定する。 また、得られた粒度分布測定データから、凝集物を構成する粉末全体に占める個数基準による10μm以下の粒子の割合も知ることができる。


    本発明の好ましい態様によれば、衛生陶器素地用組成物自体、すなわち凝集物の重量基準による50%平均粒径が1〜10mmであるのが好ましく、より好ましくは2〜8mmである。 この範囲内であると、粉塵が発生しにくくなるので、回収率の低下および作業環境の悪化を防止できる。 また、移送時や再スラリー化時の作業性にも優れる。 なお、凝集物の重量基準による50%平均粒径は、乾式ふるい分け装置を用いてJIS−Z 8815(1994年)に準拠して測定される。


    衛生陶器素地用組成物の製造方法


    本発明の衛生陶器素地用組成物の製造方法においては、まず、上述した衛生陶器素地用原料に分散媒としての水を添加した後、この衛生陶器素地用原料を粉砕して、鋳込み成形用スラリーを作製する。


    水の添加量は特に限定されないが、スラリーの含水率が40〜60重量%となるような量とするのが好ましい。


    本発明の好ましい態様によれば、水の添加の際、解膠剤としての可溶性塩類等をさらに添加することができる。 これにより、原料スラリーの粘度を調整することができる。 可溶性塩類の好ましい例としては、珪酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、およびリン酸エステルが挙げられる。 可溶性塩類は、フィルターの目詰まりや凝集付着を防止するとともに、プレスケーキを容易にフィルターから除去することを可能にするとの利点も有する。


    本発明の好ましい態様によれば、水および必要に応じて解膠剤としての可溶性塩類等が添加された原料スラリーは、ボールミル等の公知の粉砕機により粉砕されて、個数基準による50%平均粒径が1〜15μmになるように調製される。


    本発明の好ましい態様によれば、粉砕後の原料スラリーは、鋳込み成形用スラリーに適した粘度に調整されるのが好ましく、例えば、B型粘度計によりローター回転数60rpmの条件で測定される粘度で、200〜1000mPa・sの範囲内に調整する。


    次いで、得られた鋳込み成形用スラリーを脱水および/または乾燥して、衛生陶器素地用組成物を得る。


    スラリーの脱水は、フィルタープレス機、遠心分離機など公知の脱水機により行うことが出来、特に限定されないが、フィルタープレス機により行われるのが好ましい。 フィルタープレスは、フィルターによりスラリーを固形分と水分に分離するものである。


    乾燥方法の好ましい例としては、噴霧乾燥、天日乾燥、温風乾燥、および凍結乾燥などが挙げられ、より好ましくは、噴霧乾燥である。 スプレードライヤーを用いた噴霧乾燥の場合、乾燥速度が早いため生産性が高く、乾燥後に得られる組成物の凝集物粒径を調整しやすく、さらには、組成物の含水率をかなり低くすることが可能になる。 また、噴霧乾燥は、フィルタープレスに比べ、スラリーに含まれていた可溶性塩類の損失を極力防止することができるので、再スラリー化には、望ましい固形化方法であると言える。


    本発明の好ましい態様によれば、得られたスラリーを乾燥させて、含水率が0〜9重量%、より好ましくは3〜7重量%、の組成物を得るのが好ましい。


    本発明の別の好ましい態様によれば、スラリーを脱水することにより流動性を保つような含水率20〜30重量%に下げてプレスケーキとし、その後このプレスケーキを乾燥させることにより含水率0〜9重量%、より好ましくは3〜7重量%の組成物を得ることができる。


    本発明の別の好ましい態様によれば、得られたスラリーを脱水して、含水率が15〜25重量%のプレスケーキを得て、これを衛生陶器素地用組成物としてもよい。 また、得られたプレスケーキをペレッター等に通すことによりフレーク状あるいはヌードル状に形状を整えてもよい。 これにより作業性の向上や再スラリー化時間の短縮が可能となる。 更には、上記フレーク状あるいはヌードル状の組成物を乾燥させて含水率を0〜9重量%に下げてもよく、この場合には、更なる減量および軽量化が実現できるとともに、組成物が更に小さく分離するため移送の効率を上げることができる。


    衛生陶器素地用組成物を用いた衛生陶器の製造方法


    本発明の衛生陶器の製造方法にあっては、まず、上述した衛生陶器素地組成物に少なくとも水を添加して攪拌することにより、鋳込み成形用スラリーを再生させる。


    水の添加量は、スラリーの濃度および粘度が、使用する窯の条件、鋳込み成形型の種類などの成形条件に応じた適切な濃度および粘度になるように、適宜決定されるのが好ましい。 例えば、予め組成物の含水率から所定のスラリー濃度を得るために必要な水の量を計算しておき、その量の水を衛生陶器素地用組成物に添加することができる。


    混合および攪拌方法としては特に限定されず、例えば、スターラーやブランジャー等の撹拌機により行うことができる。


    再スラリー化に用いる水は特に限定されないが、塩化物イオン(Cl

    )や硫酸イオン(SO

    2− )等の凝集および沈殿を生じさせるようなイオンを多量に含有していないことが望ましい。 再スラリー化に使用される水がこれらのイオンを多量に含む場合にあっては、その水に蒸留あるいはイオン交換の処理を行い、それにより得られる蒸留水あるいはイオン交換水を用いるのが好ましい。


    本発明の好ましい態様においては、再スラリー化の際、焼成時の収縮率または鋳込み成形時の着肉量を調整するため、追加の粉体原料を添加するのが好ましい。


    すなわち、成形体が複数の窯で焼成される場合には使用する窯の条件によっては収縮率が一定にはならない場合が起こり得る。 そこで、追加の粉体原料を再生スラリーに添加して焼成時の収縮率を調整することにより、使用する窯によらず一定の収縮率の焼成体を作製することができる。 また、衛生陶器はその種類や形状が多岐にわたるため、その形状や種類に適した素地厚みを得る必要がある。 そこで、追加の粉体原料を添加することにより、鋳込み成形時の着肉量を衛生陶器の種類や形状に応じた適切な量に調整することができる。 特に、衛生陶器にあっては、大便器、小便器、洗面器、および手洗い器等、種々の種類および形状が考えられるため、このような着肉厚みの調整は有効である。


    本発明の好ましい態様によれば、追加の粉体原料として、長石、ドロマイト、およびネフェリンから選ばれる少なくとも1種類以上を用いることができる。 これらの粉体原料は、衛生陶器原料の中で熔剤として機能するため、焼成時における成形体の溶融開始温度を低下させる。 従って、これらの粉体原料を再生スラリーに添加することにより、窯火度の低い窯を用いて焼成を行う場合に、適正な収縮率を実現することができる。


    本発明の好ましい態様によれば、追加の粉体原料として、陶石、珪石、およびアルミナから選ばれる少なくとも1種類以上を用いることができる。 これらの粉体原料は、衛生陶器原料の中で骨剤として機能するため、焼成時における成形体の溶融開始温度を上昇させる。 従って、これらの粉体原料を再生スラリーに添加することにより、窯火度の高い窯を用いて焼成を行う場合に、適正な収縮率を実現することができる。


    本発明の好ましい態様によれば、追加の粉体原料として、チャイナクレー、ボールクレー、および可塑性粘土から選ばれる少なくとも1種類以上を用いることができる。 これらの粉体原料は、主に鋳込み成形時の着肉量調整、成形時の可塑性調整の役割を担うものであるが、原料によってはスラリー時の粘性調整のために添加することもある。 従って、これらの粉体原料を再生スラリーに添加することにより、適正なスラリー粘性および可塑性を有した素地とし、なおかつ製造する衛生陶器の形状や種類に適した素地厚みとすることができる。


    本発明の好ましい態様によれば、上述した追加の粉体原料の添加量は、衛生陶器素地用組成物100重量部に対して、0.01〜10重量部とするのが好ましく、より好ましくは0.01〜6重量部である。 このような範囲内であると、焼成体の高い強度を維持しつつ、溶融開始温度の調整等の所望の効果を得ることができる。


    本発明の好ましい態様によれば、再スラリー化の際、スラリーの粘性を調整するため、可溶性塩類を添加するのが好ましい。 すなわち、再生スラリーの粘度が固形化前のスラリー粘度よりも若干高くなることがある。 その理由は定かではないが、衛生陶器素地原料に当初含まれていた可溶性塩類が、脱水または乾燥時にわずかに損失してスラリーの粘度の上昇を引き起こすのではないか、と考えられる。 そして、再スラリー化時に可溶性塩類を添加することにより、そのような粘度の上昇を防止して、鋳込み成形に適した粘度のスラリーを得ることができる。


    本発明の好ましい態様によれば、可溶性塩類として、珪酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、およびリン酸エステルから選ばれる少なくとも1種類以上を用いることができる。 これらの可溶性塩類は、衛生陶器原料スラリーの中で原料粒子に吸着し電荷を持つことにより、粒子どうしの電気的反発力を生じるため、スラリー中で分散剤として機能する。 従って、これらの可溶性塩類を再生スラリーに添加することにより、スラリーの粘性を低い側に調整することができる。


    本発明の好ましい態様によれば、可溶性塩類の添加量を、衛生陶器素地用組成物100重量部に対して、0.001〜0.2重量部とするのが好ましい。 このような範囲内であると、凝集効果を発生させることなく、スラリーの粘性を低下させることができる。


    本発明の好ましい態様によれば、衛生陶器素地用組成物を用いて衛生陶器を製造する前に、再生スラリーを用いて予定される工程と同様の条件で衛生陶器試験片の製造を行い、得られた試験片の収縮率等の結果に基づいて再生スラリーの微調整を行うのが好ましい。 この微調整は、上記衛生陶器素地用組成物を再スラリー化する際に、各種粉体原料を適宜添加することにより行うことができる。 例えば、事前に得られた試験片の収縮率が小さかった場合には、焼成時の収縮が大きくなるように熔剤成分である長石、ドロマイト、ネフェリン等の粉体原料をスラリーに添加して、適正な収縮率が得られるようにスラリーを調整する。 反対に、事前に得られた試験片の収縮率が大きかった場合には、焼成時の収縮率が小さくなるように骨材である陶石、珪石、アルミナ等の粉体原料をスラリーに添加して、適正な収縮率が得られるようにスラリーを調整する。 また、試験片成形体を作製する際に得られた着肉量及び可塑性の結果から、製造しようとする衛生陶器の形状や種類に適したスラリー粘性、素地厚み、および可塑性を有した素地を得るためには、チャイナクレー、ボールクレー、可塑性粘土等の粉体原料をスラリーに添加する。


    上記のようにして得られた再生スラリーを石膏や樹脂製の鋳込み成形用型に流し込み、着肉後に脱型することにより成形体を得る。 そして、得られた成形体を乾燥させた後、必要な部分に釉薬を塗布する。 施釉された成形体を焼成して、衛生陶器を得る。


    これらの鋳込み成形以降の工程としては、衛生陶器の製造において通常行われている工程を採用すればよく特に限定されない。 釉薬としては、衛生陶器の製造に適した釉薬であれば限定されず、公知の釉薬を使用することができる。 焼成温度としては、衛生陶器の製造に適した温度であれば限定されないが、通常、1100〜1200℃である。

    比較例1
    陶石、長石、粘土等を含んでなる衛生陶器素地用原料を用意した。 この衛生陶器素地用原料800kg、水260kg、珪酸ナトリウム1kg、および球石720kgを1tシリンダーに入れ、ボールミルにより約20時間粉砕して、素地原料のスラリーAを得た。
    スラリーAの含水率を40重量%に調整した後、レーザー回折式粒度分布計を用いて粒径を測定したところ、10μm以下が55.3重量%、個数基準による50%平均粒径が8.3μmであった。
    また、B型粘度計を用いてローター回転数60rpmの条件下、スラリーAの粘度を測定したところ、460mPa・sであった。
    次いで、スラリーAを石膏型に流し込んで鋳込み成形を行い、長さ250mm、幅30mm、厚み10mmの板状成形体を作製した。 この成形体を45℃で一晩(約16時間)乾燥した。 乾燥された成形体を1100〜1200℃の温度で24時間焼成して、焼成体を得た。
    得られた焼成体の寸法を測定し、鋳込み成形直後の成形体の寸法と比較することにより収縮率を算出したところ、11.5%であった。
    なお、原料の調合を開始してから鋳込み成形用スラリーを得るまでに要した時間は、約30時間であった。
    比較例2
    比較例1で得られたスラリーAを洋風大便器を成形するための石膏型に流し込み、鋳込み成形を行った。 得られた成形体を45℃で一晩(約16時間)乾燥した後、施釉した。 施釉された成形体を1100〜1200℃の温度で24時間焼成することにより、洋風大便器を得た。 同様にして、10個の洋風大便器を作製した。 図1に作製した洋風大便器1の斜視図を、図2に洋風大便器1の側面図を、図3に洋風大便器1の正面図をそれぞれ示す。
    得られた10個の洋風大便器焼成体の各々について、奥行、幅、および高さの寸法測定を行い、製品の公差を含めた規格値内に入っているかどうかの確認を行った。 なお、奥行としては図2に示されるaの長さを測定し、幅としては図3に示されるbの長さを測定し、高さとしては図2に示されるcの長さを測定した。 その結果、奥行、幅、および高さのいずれも規格値のほぼ中央に入っていたため、寸法検査は全数合格であった。
    また、10個の試料それぞれについて、鋳込み成形直後の成形体と焼成体との高さの寸法を比較することにより収縮率を計算した。 その結果、収縮率の平均値は12.4%であった。 なお、高さとしては図2に示されるcの長さを測定した。

    比較例1で得られたスラリーA約200kgを用意した。 このスラリーAをスプレードライヤーに投入して、雰囲気温度80℃でスラリーを霧化することより乾燥および造粒を行い、素地原料粉末が凝集した顆粒状組成物約120kgを得た。 この組成物の含水率を測定したところ、5.5重量%であった。 乾式ふるい分げ装置を用いてJIS−Z 8815(1994年)に準拠して、組成物の重量基準による50%平均粒径を測定したところ、2.1mmであった。
    得られた組成物2.5kg、水1kg、および球石4kgを陶器製の6kgポットに入れ、ボールミルにより約10分間混合および撹拌して、再生スラリーBを得た。 なお、スプレードライ後の固化物を用いて鋳込み成形用スラリーを得るまでに要した時間は約30分であった。
    スラリーBの含水率を40重量%に調製した後、レーザー回折式粒度分布計を用いて粒径を測定したところ、10μm以下が54.8重量%、個数基準による50%平均粒径が8.4μmであった。
    また、B型粘度計を用いてローター回転数60rpmの条件下、スラリーBの粘度を測定したところ、620mPa・sであった。
    さらに、スラリーBを石膏型に流し込んで鋳込み成形を行い、長さ250mm、幅30mm、厚み10mmの板状成形体を作製した。 この成形体を45℃で一晩(約16時間)乾燥した。 乾燥された成形体を1100〜1200℃の温度で24時間焼成して、焼成体を得た。
    得られた焼成体の寸法を測定し、鋳込み成形直後の成形体の寸法と比較することにより収縮率を算出したところ、11.2%であった。

    比較例1で得られたスラリーA約200kgを用意した。 このスラリーAをスプレードライヤーに投入して、雰囲気温度80℃でスラリーを霧化することより乾燥および造粒を行い、素地原料粉末が凝集した顆粒状組成物約120kgを得た。 この組成物の含水率を測定したところ、7.0重量%であった。 乾式ふるい分け装置を用いてJIS−Z 8815(1994年)に準拠して、組成物の重量基準による50%平均粒径を測定したところ、2.3mmであった。
    得られた組成物2.5kg、水1kg、珪酸ナトリウム0.5g(0.02%)および球石4kgを陶器製の6kgポットに入れ、ボールミルにより約10分間混合および撹拌して、再生スラリーCを得た。 なお、スプレードライ後の組成物を用いて鋳込み成形用スラリーを得るまでに要した時間は約30分であった。
    スラリーCの含水率を40重量%に調製した後、レーザー回折式粒度分布計を用いて粒径を測定したところ、10μm以下が55.7重量%、個数基準による50%平均粒径が8.2μmであった。
    また、B型粘度計を用いてローター回転数60rpmの条件下、スラリーCの粘度を測定したところ、588mPa・sであった。
    さらに、スラリーCを石膏型に流し込んで鋳込み成形を行い、長さ250mm、幅30mm、厚み10mmの板状成形体を作製した。 この成形体を45℃で一晩(約16時間)乾燥した。 乾燥された成形体を1100〜1200℃の温度で24時間焼成して、焼成体を得た。
    得られた焼成体の寸法を測定し、鋳込み成形直後の成形体の寸法と比較することにより収縮率を算出したところ、11.3%であった。

    比較例1で得られたスラリーA約200kgを用意した。 このスラリーAをフィルタープレス機に投入してプレス圧10kg/cm で30分間保持することにより脱水を行い、含水率約22重量%のプレスケーキを得た。 このプレスケーキをペレッター(ダイス径10mm)に投入して、半固形化された素地原料のヌードル約160kgを得た。 このヌードルの含水率を測定したところ、21重量%であった。
    得られたヌードル2.5kg、水700g、珪酸ナトリウム0.3g(0.01%)、および球石4kgを陶器製の6kgポットに入れ、ボールミルにより約20分間混合および撹拌して、再生スラリーDを得た。 なお、前記ヌードルを用いて鋳込み成形用スラリーを得るまでに要した時間は約50分であった。
    スラリーDの含水率を40重量%に調整した後、レーザー回折式粒度分布計を用いて粒径を測定したところ、10μm以下が56.2%、個数基準による50%平均粒径が8.0μmであった。
    また、B型粘度計を用いてローター回転数60rpmの条件下、スラリーDの粘度を測定したところ、500mPa・sであった。
    さらに、スラリーDを石膏型に流し込んで鋳込み成形を行い、長さ250mm、幅30mm、厚み10mmの板状成形体を作製した。 この成形体を45℃で一晩(約16時間)乾燥した。 乾燥された成形体を1100〜1200℃の温度で24時間の焼成して、焼成体を得た。
    得られた焼成体の寸法を測定し、鋳込み成形直後の成形体の寸法と比較することにより収縮率を算出したところ、11.0%であった。

    比較例1で得られたスラリーA約200kgを用意した。 どのスラリーAをスプレードライヤーに投入して、雰囲気温度80℃でスラリーを霧化することより乾燥および造粒を行い、素地原料粉末が凝集した顆粒状組成物約120kgを得た。 この組成物の含水率を測定したところ、7.0重量%であった。 乾式ふるい分け装置を用いてJIS−Z 8815(1994年)に準拠して、組成物の重量基準による50%平均粒径を測定したところ、2.2mmであった。
    得られた組成物2.5kg、水1kg、珪酸ナトリウム0.5g(0.02%)、球石4kg、および長石125gを陶器製の6kgポットに入れ、ボールミルにより約10分間混合および撹拌して、再生スラリーEを得た。 なお、スプレードライ後の組成物を用いて鋳込み成形用スラリーを得るまでに要した時間は約35分であった。
    スラリーEの含水率を40重量%に調整した後、レーザー回折式粒度分布計を用いて粒径を測定したところ、10μm以下が55.0%、個数基準による50%平均粒径が8.0μmであった。
    また、B型粘度計を用いてローター回転数60rpmの条件下、スラリーEの粘度を測定したところ、540mPs・sであった。
    さらに、スラリーEを石膏型に流し込んで鋳込み成形を行い、長さ250mm、幅30mm、厚み10mmの板然成形体を作製した。 この成形体を45℃で一晩(約16時間)乾燥した。 乾燥された成形体を1100〜1200℃の温度で24時間焼成して、焼成体を得た。
    得られた焼成体の寸法を測定して、鋳込み成形直後の成形体の寸法と比較することにより収縮率を計算したところ、12.2%であった。

    比較例1で得られたスラリーA約200kgを用意した。 このスラリーAをスプレードライヤーに投入して、雰囲気温度80℃でスラリーを霧化することより乾燥および造粒を行い、素地原料粉末が凝集した顆粒状組成物約120kgを得た。 この組成物の含水率を測定したところ、7.0重量%であった。 乾式ふるい分け装置を用いてJIS−Z 8815(1994年)に準拠して、組成物の重量基準による50%平均粒径を測定したところ、2.1mmであった。
    得られた組成物2.5kg、水1kg、珪酸ナトリウム1.5g(0.06%)、および球石4kgを陶器製の6kgポットに入れ、ボールミルにより約10分間混合および撹拌して、再生スラリーFを得た。 なお、スプレードライ後の粉末を用いて鋳込み成形用スラリーを得るまでに要した時間は約35分であった。
    スラリーFの含水率を40重量%に調整した後、レーザー回折式粒度分布計を用いて粒径を測定したところ、10μm以下が55.7%、個数基準による50%平均粒径が8.2μmであった。
    また、B型粘度計を用いてローター回転数60rpmの条件下、スラリーFの粘度を測定したところ、460mPa・sであった。
    さらに、前記スラリーFを石膏型に流し込んで鋳込み成形を行い、長さ250mm、幅30mm、厚み10mmの板状成形体を作製した。 この成形体を45℃で一晩(約16時間)乾燥した。 乾燥された成形体を1100〜1200℃の温度で24時間焼成して、焼成体を得た。
    得られた焼成体の寸法を測定し、鋳込み成形直後の成形体の寸法と比較することにより収縮率を算出したところ、11.4%であった。

    衛生陶器素地用原料中の成分比率を変えたこと以外は、比較例1と同様にして、スラリーGを12tを調製した。 このスラリーGをスプレードライヤーに投入して、雰囲気温度80℃でスラリーを霧化することより乾燥および造粒を行い、素地原料粉末が凝集した顆粒状組成物約11tを得た。 この粉末の含水率を測定したところ、4.5重量%であった。 乾式ふるい分け装置をいてJIS−Z 8815(1994年)に準拠して、組成物の重量基準による50%平均粒径を測定したところ、2.1mmであった。
    得られた組成物5.0t、水2.0t、珪酸ナトリウム1.0kg(0.02%)、および球石4800kgを5tシリンダーに入れ、シリンダーミルにより約30分間混合および撹拌して、再生スラリーHを得た。 なお、スプレードライ後の組成物を用いて鋳込み成形用スラリーを得るまでに要した時間は約55分であった。
    スラリーHの含水率を40重量%に調整した後、レーザー回折式粒度分布計を用いて粒径を測定したところ、10μm以下が53.6%、個数基準による50%平均粒径が8.6μmであった。
    また、B型粘度計を用いてローター回転数60rpmの条件下、スラリーHの粘度を測定したところ、484mPa・sであった。
    さらに、スラリーHを比較例2で使用したものと同様の石膏型に流し込み、鋳込み成形を行った。 得られた成形体を乾燥した後、施釉した。 施釉された成形体を1100〜1200℃の温度で24時間焼成することにより、洋風大便器を得た。 同様にして、10個の洋風大便器を作製した。
    得られた10個の洋風大便器焼成体の各々について、比較例2と同様にして、奥行、幅、および高さの寸法測定を行い、製品の公差を含めた規格値内に入っているかどうかの確認を行った。 その結果、奥行、幅、高さのいずれも交差を含めた規格値の上限に近い値であったが、寸法検査は全数合格であった。
    また、比較例2と同様にして、10個の試料それぞれについて、鋳込み成形直後の成形体と焼成体との高さの寸法を比較することにより収縮率を計算した。 その結果、収縮率の平均値は11.3%であった。

    実施例6でスプレードライヤーにより得られた組成物5.0tに、チャイナクレー200kg、蛙目粘土50kg、および長石粉末50kgを添加した。 この混合物を、水2.0t、珪酸ナトリウム1.0kg(0.02%)、および球石4800kgと共に5tシリンダーに入れ、シリンダーミルにより約30分間混合および撹拌して、再生スラリーJを得た。 なお、スプレードライ後の組成物を用いて鋳込み成形用スラリーを得るまでに要した時間は約60分であった。
    スラリーJの含水率を40重量%に調整した後、レーザー回折式粒度分布計を用いて粒径を測定したところ、10μm以下が54.9%、個数基準による50%平均粒径が8.2μmであった。
    また、B型粘度計を用いてローター回転数60rpmの条件下、スラリーJの粘度を測定したところ、598mPa・sであった。
    さらに、スラリーJを比較例2で使用したものと同様の石膏型に流し込み、鋳込み成形を行った。 得られた成形体を乾燥した後、施釉した。 施釉された成形体を1100〜1200℃の温度で24時間焼成することにより、洋風大便器を得た。 同様にして、10個の洋風大便器を作製した。
    得ちれた10個の洋風大便器焼成体の各々について、比較例2と同様にして、奥行、幅、および高さの寸法測定を行い、製品の公差を含めた規格値内に入っているかどうかの確認を行った。 その結果、奥行、幅、高さのいずれも規格値のほぼ中央に入っていて、寸法検査は全数合格であった。
    また、比較例2と同様にして、10個の試料それぞれについて、鋳込み成形直後の成形体と焼成体との高さの寸法を比較することにより収縮率を計算した。 その結果、収縮率の平均値は12.2%であった。
    結果
    比較例1及び実施例1〜5における各種測定値を表1に示す。

    表1に示される結果から以下のことが分かる。 実施例1〜5において顆粒状組成物から再生されたスラリーの性状、およびこの再生スラリーを用いて得られた試料の収縮率は、比較例1の顆粒状組成物とされることなく作製されたままのスラリーとほぼ同等であった。 したがって、本発明の衛生陶器素地用組成物は優れたスラリー再生性を有し、衛生陶器の鋳込み成形に好ましく使用できることが分かる。 また、比較例1と、実施例1〜5におけるスラリー調整時間の比較から、本発明によればスラリー調製の時間を大幅に短縮できることも分かる。


    比較例2及び実施例6〜7における各種測定値を表2に示す。


    表2に示される結果から以下のことが分かる。 実施例6および7において顆粒状組成物から再生されたスラリーの性状、およびこの再生スラリーを用いて作製された衛生陶器の焼成収縮および寸法精度は、比較例2の顆粒状組成物とされることなく作製されたままのスラリーとほぼ同等であった。 したがって、本発明の衛生陶器素地用組成物は優れたスラリー再生性を有し、衛生陶器の鋳込み成形に好ましく使用できることが分かる。 すなわち、本発明の衛生陶器素地組成物を用いることにより、固形化前のスラリーを用いる場合と同様の成形条件及び焼成条件で衛生陶器を製造することができることが分かる。 また、比較例2と、実施例6および7におけるスラリー調整時間の比較から、本発明によればスラリー調製の時間を大幅に短縮できることも分かる。

    QQ群二维码
    意见反馈