Heat exchange type heat utilization device and its manufacturing method

申请号 JP2007311783 申请日 2007-11-30 公开(公告)号 JP2009133588A 公开(公告)日 2009-06-18
申请人 Toyota Central R&D Labs Inc; 株式会社豊田中央研究所; 发明人 SHIMAZU TAKASHI; MITSUI HIROYUKI; SOFUGAWA HIDEO; TAKADA YASUO; FUKUSHIMA YOSHIAKI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a heat exchange type heat utilization device and its manufacturing method, capable of efficiently storing heat or radiating heat to a chemical heat storage material. SOLUTION: This heat exchange type heat storage/radiation device 10 comprises a chemical heat storage material composite compact 11 of a porous structure having a flow channel 15 formed and shaped by organizing a power chemical heat storage material 12, and a heat exchanger body 20. The heat exchanger body 20 has a heat storage material receiving portion 25 receiving the chemical heat storage material composite compact 11, and a fluid flow channel 26 which is partitioned from the heat storage material receiving portion 25 by a partition 24, and in which a heat exchange medium exchanging heat with the chemical heat storage material composite compact 11, flows. COPYRIGHT: (C)2009,JPO&INPIT
权利要求
  • 粉体の化学蓄熱材を成形して成り、内部に反応物を供給し又は反応生成物を排出するための流路が形成されている化学蓄熱材成形体と、
    前記化学蓄熱材成形体を収容した蓄熱材収容部と、該蓄熱材収容部内との間が壁体にて仕切られると共に該壁体を介して前記化学蓄熱材成形体と熱交換するための熱交換媒体を流通させる熱交換媒体流通部とを含む熱交換構造体と、
    を備えた熱交換型熱利用装置。
  • 前記流路は、前記蓄熱材収容部内での流体の流れ方向の一端が前記化学蓄熱材成形体の表面で開口して形成されている請求項1記載の熱交換型熱利用装置。
  • 前記化学蓄熱材成形体は、前記流路を複数有する請求項2記載の熱交換型熱利用装置。
  • 前記化学蓄熱材成形体は、前記熱交換構造体の前記蓄熱材収容部に挿入された状態で焼成されることで、該蓄熱材収容部の内面に密着されている請求項1〜請求項3の何れか1項記載の熱交換型熱利用装置。
  • 前記化学蓄熱材成形体は、前記粉体の化学蓄熱材を分散保持する粘土鉱物を含んで構成されている請求項1〜請求項4の何れか1項記載の熱交換型熱利用装置。
  • 前記粘土鉱物として、層リボン構造を有する粘土鉱物が用いられている請求項5記載の熱交換型熱利用装置。
  • 前記層リボン構造を有する粘土鉱物として、セピオライト又はパリゴルスカイトが用いられている請求項6記載の熱交換型熱利用装置。
  • 前記粘土鉱物として、ベントナイトが用いられている請求項5記載の熱交換型熱利用装置。
  • 前記粘土鉱物は、前記化学蓄熱材の粒子径よりも細い繊維状を成している請求項1〜請求項8の何れか1項記載の熱交換型熱利用装置。
  • 前記化学蓄熱材は、微細なクラックを有する請求項1〜請求項9の何れか1項記載の熱交換型熱利用装置。
  • 前記化学蓄熱材として、脱水反応に伴い吸熱し、水和反応に伴い放熱する水和反応系化学蓄熱材が用いられている請求項1〜請求項10の何れか1項記載の熱交換型熱利用装置。
  • 前記化学蓄熱材として、脱水反応に伴い酸化され、水和反応に伴い水酸化される水和反応系化学蓄熱材が用いられている請求項1〜請求項11の何れか1項記載の熱交換型熱利用装置。
  • 前記水和反応系化学蓄熱材は、無機化合物である請求項12記載の熱交換型熱利用装置。
  • 前記無機化合物は、アルカリ土類金属化合物である請求項13記載の熱交換型熱利用装置。
  • 前記化学蓄熱材成形体は、前記粉体の水和反応系化学蓄熱材と、前記粘土鉱物としてのセピオライトとを混練して所定の形状に成形したものを、350℃〜500℃の温度で焼成して成る請求項12〜請求項14の何れか1項記載の熱交換型熱利用装置。
  • 粉体の化学蓄熱材を用いて、反応物を供給し又は反応生成物を排出するための流路を有し、かつ熱交換構造体の蓄熱材収容部に挿入し得る外形を有する化学蓄熱材成形体を成形する成形工程と、
    前記成形工程で成形された化学蓄熱材成形体を、前記熱交換構造体の蓄熱材収容部に挿入する挿入工程と、
    前記挿入工程で前記熱交換構造体の蓄熱材収容部に挿入されたままの前記化学蓄熱材成形体を焼成する焼成工程と、
    を含む熱交換型熱利用装置の製造方法。
  • 前記成形工程では、前記化学蓄熱材に所定の割合で粘土鉱物を混練した混練物を用いて、前記化学蓄熱材成形体を成形する請求項16記載の熱交換型熱利用装置の製造方法。
  • 前記粘土鉱物として、層リボン構造を有する粘土鉱物を用いる請求項17記載の熱交換型熱利用装置の製造方法。
  • 前記層リボン構造を有する粘土鉱物として、セピオライト又はパリゴルスカイトを用いる請求項18記載の熱交換型熱利用装置の製造方法。
  • 前記粘土鉱物として、ベントナイトを用いる請求項17記載の熱交換型熱利用装置の製造方法。
  • 前記成形工程では、前記化学蓄熱材の粒子径よりも細い繊維状を成す前記粘土鉱物を用いる請求項17〜請求項20の何れか1項記載の熱交換型熱利用装置の製造方法。
  • 前記化学蓄熱材として、脱水反応に伴い吸熱し、水和反応に伴い放熱する水和反応系化学蓄熱材が用いられており、
    前記成形工程では、水和状態の前記化学蓄熱材を前記粘土鉱物と混練する請求項17〜請求項21の何れか1項記載の熱交換型熱利用装置の製造方法。
  • 前記化学蓄熱材として、脱水反応に伴い酸化され、水和反応に伴い水酸化される水和反応系化学蓄熱材が用いられており、
    前記成形工程では、水酸化物の状態である前記化学蓄熱材を前記粘土鉱物と混練する請求項17〜請求項22の何れか1項記載の熱交換型熱利用装置の製造方法。
  • 前記水和反応系化学蓄熱材は、無機化合物である請求項23記載の熱交換型熱利用装置の製造方法。
  • 前記無機化合物は、アルカリ土類金属化合物である請求項24記載の熱交換型熱利用装置の製造方法。
  • 前記焼成工程では、前記水和系化学蓄熱材が脱水状態とされる温度で前記混練物を焼成する請求項23〜請求項25の何れか1項記載の熱交換型熱利用装置の製造方法。
  • 前記焼成工程では、前記化学蓄熱材に微細なクラックが形成される温度で焼成する請求項26記載の熱交換型熱利用装置の製造方法。
  • 说明书全文

    本発明は、化学蓄熱材を成形した化学蓄熱材成形体を含んで構成された熱交換型熱利用装置、及びその製造方法に関する。

    粒径0.3mm〜4mmの範囲の結晶性の石灰石を850℃〜1100℃の範囲で所定時間加熱した後に、該石灰石を500℃〜600℃の範囲で所定時間加熱することで、表面から内部に向かう多数の気孔が形成された生石灰を得る技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。 また、内部空間の10〜60容量%の割合で粉体化学蓄熱材を収容したカプセルを、反応器又は反応塔に充填する技術が知られている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。 さらに、溢汪管を具備した複数の蒸発皿を有する蒸発器と、冷媒液管流器と、凝縮器と、吸着剤容器と、これらを連通する連通管とを有する化学蓄熱型冷凍装置が知られている(例えば、特許文献4参照)。

    特開平1−225686号公報

    特公平6−80395号公報

    特公平6−80394号公報

    特開平7−332788号公報

    しかしながら、特許文献1に記載のように、それ自体に気孔が形成された生石灰を粉体のまま化学蓄熱材として用いた場合、作動中、和反応と脱水反応とが繰り返される。 このため、この化学蓄熱材の粉体は、体積膨張、収縮の繰り返しによって他の粉体と擦れ合い、微粉化してしまい、蓄熱システムとしての反応性が低下する問題があった。 また。 特許文献2、3の構成では、カプセルの採用による熱伝導抵抗の増加や伝熱経路の複雑化によって、化学蓄熱材の発熱反応による熱を効率良く取り出すことができず、さらに蓄熱反応における熱を効率良く供給することができない問題があった。 一方、特許文献4の構成は、複数の蒸発皿を用いることで蒸発器での冷媒の蒸発面積を確保することができるものの、熱交換媒体との熱交換面積が少なく、伝熱不足(律束)を起こす原因となる。

    本発明は、上記事実を考慮して、化学蓄熱材に効率的に熱交換(蓄熱又は放熱)させることができる熱交換型熱利用装置、及び該熱交換型熱利用装置の製造方法を得ることが目的である。

    請求項1記載の発明に係る熱交換型熱利用装置は、粉体の化学蓄熱材を成形して成り、内部に反応物を供給し又は反応生成物を排出するための流路が形成されている化学蓄熱材成形体と、前記化学蓄熱材成形体を収容した蓄熱材収容部と、該蓄熱材収容部内との間が壁体にて仕切られると共に該壁体を介して前記化学蓄熱材成形体と熱交換するための熱交換媒体を流通させる熱交換媒体流通部とを含む熱交換構造体と、を備えている。

    請求項1記載の熱交換型熱利用装置では、化学蓄熱材成形体は、粉体状の化学蓄熱材が成形されることで、全体として、粉体(化学蓄熱材)間に隙間(拡散路)が形成されると共に全体として所定形状を有する多孔質構造体として形成されている。 そして、この化学蓄熱材成形体には、蓄熱又は放熱に供される反応物を導入するための、又は蓄熱若しくは放熱により生じた反応生成物を排出するための流路が形成されているので、これら反応物又は反応生成物の流動経路が構造的に確保される。 これにより、本熱交換型熱利用装置の化学蓄熱材成形体では、流路を通じた反応物の導入、多孔質構造体の細孔を通じた反応物又は反応生成物の拡散、流路を通じた反応生成物の排出が果たされ、蓄熱、放熱のための反応性が良好である。 しかも、この流路は、化学蓄熱材成形体の内部に形成されているので、化学蓄熱材成形体による伝熱性を阻害することはない。

    そして、本熱交換型熱利用装置では、熱交換媒体との熱交換によって化学蓄熱材成形体に蓄熱され、又は化学蓄熱材成形体の熱が取り出されるので、蓄熱反応及び放熱反応の少なくとも一方は、蓄熱又は放熱のための熱交換を蓄熱材収容部外の熱交換媒体との熱交換によって行うことができる。 このため、反応に伴う反応物又は反応生成物の移動が蓄熱材収容部を流れる熱交換媒体との混合等によって阻害されることがなく、反応物又は反応生成物の移動速度が確保され、蓄熱又は放熱のための反応性が一層良好である。 さらに、水和、脱水反応時に供給/放出される水蒸気分圧を高く維持することで、反応速度を早く確保できる。 また、熱交換構造体の壁体には、化学蓄熱材成形体が密着されているので、該化学蓄熱材成形体と熱交換媒体流路を流れる熱交換媒体との熱交換性能が良好である。

    このように、請求項1記載の熱交換型熱利用装置では、化学蓄熱材に効率的に蓄熱又は放熱させることができる。

    請求項2記載の発明に係る熱交換型熱利用装置は、請求項1記載の熱交換型熱利用装置において、前記流路は、前記蓄熱材収容部内での流体の流れ方向の一端が前記化学蓄熱材成形体の表面で開口して形成されている。

    請求項2記載の熱交換型熱利用装置では、流路が化学蓄熱材成形体を反応物又は反応生成物の流れ方向一端が開口する(貫通でも良い)構造であるため、反応物の供給、反応生成物の排出を良好に行わせることができる。 また、このような反応物の供給、反応生成物の排出による蓄熱、放熱反応の制御が容易である。

    請求項3記載の発明に係る熱交換型熱利用装置は、請求項2記載の熱交換型熱利用装置において、前記化学蓄熱材成形体は、前記流路を複数有する。

    請求項3記載の熱交換型熱利用装置では、流路が複数形成されることで、化学蓄熱材成形体各部への拡散経路が増し、該化学蓄熱材成形体の寸法形状の選択自由度が増す。

    請求項4記載の発明に係る熱交換型熱利用装置は、請求項1〜請求項3の何れか1項記載の熱交換型熱利用装置において、前記化学蓄熱材成形体は、前記熱交換構造体の前記蓄熱材収容部に挿入された状態で焼成されることで、該蓄熱材収容部の内面に密着されている。

    請求項4記載の熱交換型熱利用装置では、焼成前の化学蓄熱材成形体を熱交換構造体の蓄熱材収容部に挿入させた状態で焼成するため、蓄熱材収容部の内面すなわち壁体に対し化学蓄熱材成形体(の外面)が良くなじみ、これらの界面密着性が高い。 これにより、壁体を通じた化学蓄熱材成形体と熱交換媒体との熱交換効率が一層良好である。

    請求項5記載の発明に係る熱交換型熱利用装置は、請求項1〜請求項4の何れか1項記載の熱交換型熱利用装置において、前記化学蓄熱材成形体は、前記粉体の化学蓄熱材を分散保持する粘土鉱物を含んで構成されている。

    請求項5記載の熱交換型熱利用装置では、多孔質の粘土鉱物の骨格中に化学蓄熱材が分散保持されるので、上記した多孔質構造体としての強度が高く、該多孔質構造体としての構造が安定して維持され易い。 また、化学蓄熱材成形体の壁体への密着性も向上する。

    請求項6記載の発明に係る熱交換型熱利用装置は、請求項5記載の熱交換型熱利用装置において、前記粘土鉱物として、層リボン構造を有する粘土鉱物が用いられている。

    請求項6記載の熱交換型熱利用装置では、粘土鉱物が多孔質で比表面積が大きい層リボン構造の繊維状形態を有するため、その繊維質、可塑性によって、粉体の化学蓄熱材を良好に組織化、構造化させることができる。

    請求項7記載の発明に係る熱交換型熱利用装置は、請求項6記載の熱交換型熱利用装置において、前記層リボン構造を有する粘土鉱物として、セピオライト又はパリゴルスカイトが用いられている。

    請求項7記載の熱交換型熱利用装置では、粘土鉱物の少なくとも一部が層リボン構造を有するセピオライト又はパリゴルスカイト(アタパルジャイト)であるため、その繊維質、可塑性によって、粉体の化学蓄熱材を良好に組織化、構造化させることができる。

    請求項8記載の発明に係る熱交換型熱利用装置は、請求項5記載の熱交換型熱利用装置において、前記粘土鉱物として、ベントナイトが用いられている。

    請求項8記載の熱交換型熱利用装置では、接着の強い粘土鉱物であるベントナイトを用いるため、この接着力によって、粉体の化学蓄熱材を良好組織化、構造化させることができる。

    請求項9記載の発明に係る熱交換型熱利用装置は、請求項1〜請求項8の何れか1項記載の熱交換型熱利用装置において、前記粘土鉱物は、前記化学蓄熱材の粒子径よりも細い繊維状を成している。

    請求項9記載の熱交換型熱利用装置では、粘土鉱物が微細な繊維径を有する繊維状を成すため、少量の粘土鉱物を用いて粉体の化学蓄熱材の組織化、構造化を果たすことが可能である。 これにより、化学蓄熱材成形体における質量当たり、体積当たりの化学蓄熱材の占有量が大きくすることができる。

    請求項10記載の発明に係る熱交換型熱利用装置は、請求項1〜請求項9の何れか1項記載の熱交換型熱利用装置において、前記化学蓄熱材は、微細なクラックを有する。

    請求項10記載の熱交換型熱利用装置では、微細なクラックを有する化学蓄熱材の比表面積が大きいので、蓄熱、放熱反応における反応速度向上を示す。 これにより、蓄熱、放熱の効率を向上することができる。

    請求項11記載の発明に係る熱交換型熱利用装置は、請求項1〜請求項10の何れか1項記載の熱交換型熱利用装置において、前記化学蓄熱材として、脱水反応に伴い吸熱し、水和反応に伴い放熱する水和反応系化学蓄熱材が用いられている。

    請求項11記載の熱交換型熱利用装置では、水和反応、脱水(逆水和)反応に伴い水和反応系化学蓄熱材が体積膨張、収縮を繰り返すが、粘土鉱物を用いた構造における化学蓄熱材の組織化や隙間の形成によって、該化学蓄熱材の微粉化が効果的に抑制又は防止される。

    請求項12記載の発明に係る熱交換型熱利用装置は、請求項1〜請求項11の何れか1項記載の熱交換型熱利用装置において、脱水反応に伴い酸化され、水和反応に伴い水酸化される水和反応系化学蓄熱材が用いられている。

    請求項12記載の熱交換型熱利用装置では、水和反応、脱水(逆水和)反応に伴い水和反応系化学蓄熱材が体積膨張、収縮を繰り返すが、粘土鉱物を用いた構造における化学蓄熱材の組織化や隙間の形成によって、該化学蓄熱材の微粉化が効果的に抑制又は防止される。

    請求項13記載の発明に係る熱交換型熱利用装置は、請求項12記載の熱交換型熱利用装置において、前記水和反応系化学蓄熱材は、無機化合物である。

    請求項13記載の熱交換型熱利用装置では、化学蓄熱材として無機化合物を用いるので、蓄熱、放熱反応(水和、脱水)に対する材料安定性が高い。 このため、長期に亘り安定した蓄熱効果を得ることができる。

    請求項14記載の発明に係る熱交換型熱利用装置は、請求項13記載の熱交換型熱利用装置において、前記無機化合物は、アルカリ土類金属化合物である。

    請求項14記載の熱交換型熱利用装置では、アルカリ土類金属化合物(水酸化物)を用いるため、換言すれば、環境負荷の小さい材料を用いるため、製造、使用、リサイクルを含めた安全性の確保が容易になる。 また、粘土鉱物としてセピオライトを用いる構成では、水酸化物のアルカリ性が粘土鉱物(特に、上記した)との反応によるガラス化を助けるため、多孔質構造体の強度向上に寄与する。

    請求項15記載の発明に係る熱交換型熱利用装置は、請求項12〜請求項14の何れか1項記載の熱交換型熱利用装置において、前記化学蓄熱材成形体は、前記粉体の水和反応系化学蓄熱材と、前記粘土鉱物としてのセピオライトとを混練して所定の形状に成形したものを、350℃〜500℃の温度で焼成して成る。

    請求項15記載の熱交換型熱利用装置は、水和反応系化学蓄熱材とセピオライトとが混練されている成形体を焼成することで、セピオライトが焼結されて、多孔質構造体として構成されている。 無機化合物である水和反応系化学蓄熱材は、350℃〜500℃の温度で焼成されることで、マイクロクラックが生じ、比表面積が大きくなる。 この大きな比表面積は、蓄熱、放熱反応における反応速度向上に寄与するので、本化学蓄熱材成形体では、蓄熱、放熱の効率を向上することができる。

    また、セピオライトの焼結温度が350℃〜400℃であるため、セピオライトの焼結と化学蓄熱材へのマイクロクラック生成とが同時に進行する。 換言すれば、セピオライトの焼結と化学蓄熱材へのマイクロクラック生成とが、互いに悪影響を与えることがない。 そして、セピオライトに分散保持された化学蓄熱材は、マイクロクラックにより微粉化することが抑制される。

    請求項16記載の発明に係る熱交換型熱利用装置の製造方法は、粉体の化学蓄熱材を用いて、反応物を供給し又は反応生成物を排出するための流路を有し、かつ熱交換構造体の蓄熱材収容部に挿入し得る外形を有する化学蓄熱材成形体を成形する成形工程と、前記成形工程で成形された化学蓄熱材成形体を、前記熱交換構造体の蓄熱材収容部に挿入する挿入工程と、前記挿入工程で前記熱交換構造体の蓄熱材収容部に挿入されたままの前記化学蓄熱材成形体を焼成する焼成工程と、を含む。

    請求項16記載の熱交換型熱利用装置の製造方法では、成形工程で、粉体の化学蓄熱材を熱交換構造体の蓄熱材収容部の挿入し得る形状及び流路を有する化学蓄熱材成形体に成形し、その後、挿入工程に移行する。 挿入工程では、化学蓄熱材成形体を熱交換構造体の蓄熱材収容部の挿入し、その後、焼成工程に移行する。 焼成工程では、挿入工程で化学蓄熱材成形体が蓄熱財収容部に挿入された熱交換構造体を加熱することで、化学蓄熱材成形体を焼成する。 これにより、熱交換構造体の蓄熱材収容部内には、粉体(化学蓄熱材)間に細孔が形成されると共に全体として流路を有する所定形状(中空形状)を有する多孔質構造体として、化学蓄熱材成形体が形成される。 なお、例えば、成形工程と挿入工程とは同時に行われても良い。

    このように製造された熱交換型熱利用装置では、化学蓄熱材成形体の粉体(化学蓄熱材)間に反応物等を拡散させ得る隙間(拡散路)が形成されると共に、該化学蓄熱材成形体の内部に蓄熱又は放熱に供される反応物を導入するための、又は蓄熱若しくは放熱により生じた反応生成物を排出するための流路が形成されている。 このため、反応物等の拡散経路とは別に、上記の反応物又は反応生成物の流動経路が構造的に確保される。 これにより、本熱交換型熱利用装置の化学蓄熱材成形体では、流路を通じた反応物の導入、多孔質構造体の細孔を通じた拡散、放出、流路を通じた反応生成物の排出が果たされ、蓄熱、放熱のための反応性が良好である。 しかも、この流路は、化学蓄熱材成形体の内部に形成されているので、化学蓄熱材成形体による伝熱性を阻害することはない。

    そして、本熱交換型熱利用装置では、熱交換媒体との熱交換によって化学蓄熱材成形体に蓄熱され、又は化学蓄熱材成形体の熱が取り出されるので、蓄熱反応及び放熱反応の少なくとも一方は、蓄熱又は放熱のための熱交換を蓄熱材収容部外の熱交換媒体との熱交換によって行うことができる。 このため、反応に伴う反応物又は反応生成物の移動が蓄熱材収容部を流れる熱交換媒体との混合等によって阻害されることがなく、反応物又は反応生成物の移動速度確保され、蓄熱又は放熱のための反応性が一層良好である。 さらに、水和、脱水反応時に供給/放出される水蒸気分圧を高く維持することで、反応速度を早く確保できる。 また、熱交換構造体の壁体には、化学蓄熱材成形体が密着されているので、該化学蓄熱材成形体と熱交換媒体流路を流れる熱交換媒体との熱交換性能が良好である。

    さらに、本熱交換型熱利用装置の製造方法では、化学蓄熱材成形体を熱交換構造体の蓄熱材収容部に挿入した状態で焼成するので、化学蓄熱材成形体の外面が熱交換構造体の壁体に密着される。 これにより、壁体を通じた化学蓄熱材成形体から熱交換媒体への伝熱効率が一層良好である。

    このように、請求項16記載の熱交換型熱利用装置の製造方法では、化学蓄熱材に効率的に蓄熱又は放熱させることができる化学蓄熱材成形体を得ることができる。

    請求項17記載の発明に係る熱交換型熱利用装置の製造方法は、請求項16記載の熱交換型熱利用装置の製造方法において、前記成形工程では、前記化学蓄熱材に所定の割合で粘土鉱物を混練した混練物を用いて、前記化学蓄熱材成形体を成形する。

    請求項17記載の熱交換型熱利用装置の製造方法では、化学蓄熱材を粘土鉱物と混練することで、多孔質の粘土鉱物の骨格中に化学蓄熱材を分散保持させることができる。 これにより、上記した多孔質構造体としての強度が高く、該多孔質構造体としての構造が安定した化学蓄熱材成形体、すなわち熱交換型熱利用装置を得ることができる。

    請求項18記載の発明に係る熱交換型熱利用装置の製造方法は、請求項17記載の熱交換型熱利用装置の製造方法において、前記粘土鉱物として、層リボン構造を有する粘土鉱物を用いる。

    請求項18記載の熱交換型熱利用装置の製造方法では、粘土鉱物が多孔質で比表面積が大きい繊維状形態を成すため、その繊維質、可塑性を利用して、粉体の化学蓄熱材を良好に組織化、構造化することができる。

    請求項19記載の発明に係る熱交換型熱利用装置の製造方法は、請求項18記載の熱交換型熱利用装置の製造方法において、前記層リボン構造を有する粘土鉱物として、セピオライト又はパリゴルスカイトを用いる。

    請求項19記載の熱交換型熱利用装置の製造方法では、粘土鉱物の少なくとも一部として層リボン構造を有するセピオライト又はパリゴルスカイト(アタパルジャイト)を用いるため、その繊維質、可塑性を利用して、粉体の化学蓄熱材を良好に組織化、構造化することができる。

    請求項20記載の発明に係る熱交換型熱利用装置の製造方法は、請求項17記載の熱交換型熱利用装置の製造方法において、前記粘土鉱物として、ベントナイトを用いる。

    請求項20記載の熱交換型熱利用装置の製造方法では、接着力の強い粘土鉱物であるベントナイトを用いるため、この接着力によって、粉体の化学蓄熱材を良好に組織化、構造化することができる。

    請求項21記載の発明に係る熱交換型熱利用装置の製造方法は、請求項17〜請求項20の何れか1項記載の熱交換型熱利用装置の製造方法において、前記成形工程では、前記化学蓄熱材の粒子径よりも細い繊維状を成す前記粘土鉱物を用いる。

    請求項21記載の熱交換型熱利用装置の製造方法では、粘土鉱物が微細な繊維径を有する繊維状を成すため、少量の粘土鉱物を成形工程で混練することにより粉体の化学蓄熱材の組織化、構造化を果たすことができる。 これにより、質量当たり、体積当たりの化学蓄熱材の占有量が大きい化学蓄熱材成形体を得ることが可能になる。

    請求項22記載の発明に係る熱交換型熱利用装置の製造方法は、請求項17〜請求項21の何れか1項記載の熱交換型熱利用装置の製造方法において、前記化学蓄熱材として、脱水反応に伴い吸熱し、水和反応に伴い放熱する水和反応系化学蓄熱材が用いられており、前記成形工程では、水和状態の前記化学蓄熱材を前記粘土鉱物と混練する。

    請求項22記載の熱交換型熱利用装置の製造方法では、成形工程において、水和状態の化学蓄熱材を粘土鉱物と混練するため、脱水状態の化学蓄熱材を用いる場合に懸念される水との反応が生じることがない。 このため、成形工程において、混練の際のバインダとして水を用いることができる。

    請求項23記載の発明に係る熱交換型熱利用装置の製造方法は、請求項17〜請求項22の何れか1項記載の熱交換型熱利用装置の製造方法において、前記化学蓄熱材として、脱水反応に伴い酸化され、水和反応に伴い水酸化される水和反応系化学蓄熱材が用いられており、前記成形工程では、水酸化物の状態である前記化学蓄熱材を前記粘土鉱物と混練する。

    請求項23記載の熱交換型熱利用装置の製造方法では、成形工程において、水酸化物の状態の化学蓄熱材を粘土鉱物と混練するため、脱水状態の化学蓄熱材を用いる場合に懸念される水との反応が生じることがない。 このため、成形工程において、混練の際のバインダとして水を用いることができる。

    請求項24記載の発明に係る熱交換型熱利用装置の製造方法は、請求項23記載の熱交換型熱利用装置の製造方法において、前記水和反応系化学蓄熱材は、無機化合物である。

    請求項24記載の熱交換型熱利用装置の製造方法では、化学蓄熱材として無機化合物を用いるので、製造された化学蓄熱材成形体は、蓄熱、放熱反応(水和、脱水)に対する材料安定性が高い。 このため、長期に亘り安定した蓄熱効果を得ることができる。

    請求項25記載の発明に係る熱交換型熱利用装置の製造方法は、請求項24記載の熱交換型熱利用装置の製造方法において、前記無機化合物は、アルカリ土類金属化合物である。

    請求項25記載の熱交換型熱利用装置の製造方法では、アルカリ土類金属化合物(水酸化物)を用いるため、製造時の安全性の確保が容易になる。 また、製品(化学蓄熱材成形体)の使用時、リサイクル時を含め、安全性の確保が容易になる。 また、粘土鉱物としてセピオライトを用いる構成では、水酸化物のアルカリ性が粘土鉱物(特に、上記した)との反応によるガラス化を助けるため、多孔質構造体の強度向上に寄与する。

    請求項26記載の発明に係る熱交換型熱利用装置の製造方法は、請求項23〜請求項25の何れか1項記載の熱交換型熱利用装置の製造方法において、前記焼成工程では、前記水和系化学蓄熱材が脱水状態とされる温度で前記混練物を焼成する。

    請求項26記載の熱交換型熱利用装置の製造方法では、焼成工程での焼成後に水和系化学蓄熱材が脱水されているので、該化学蓄熱材の比表面積の調整が容易になる。

    請求項27記載の発明に係る熱交換型熱利用装置の製造方法は、請求項26記載の熱交換型熱利用装置の製造方法において、前記焼成工程では、前記化学蓄熱材に微細なクラックが形成される温度で焼成する。

    請求項27記載の熱交換型熱利用装置の製造方法では、焼成工程での焼成によって粘土鉱物が化学蓄熱材と共に構造化される(焼結状態が確保される)のに伴って、脱水状態の化学蓄熱材に微細なクラックが形成される。 これにより、多孔質構造体として形成される化学蓄熱材成形体における化学蓄熱材の比表面積を大きくすることができ、蓄熱、放熱反応率の向上に寄与する。 なお、粘土鉱物の焼成温度と、水和反応系化学蓄熱材の脱水温度とが近いことが好ましく、このような組み合わせとして、例えばアルカリ土類金属化合物(脱水温度400℃〜450℃)とセピオライト(焼成温度350℃以上)との組み合わせを挙げることができる。

    以上説明したように本発明に係る熱交換型熱利用装置は、化学蓄熱材に効率的に熱交換(蓄熱又は放熱)させることができるという優れた効果を有する。

    本発明の実施形態に係る熱交換型蓄熱放熱装置10、及びその製造方法について、図1〜図3に基づいて説明する。

    図1には、熱交換型蓄熱放熱装置10の概略構成が模式的な斜視図にて示されている。 この図に示される如く、熱交換型蓄熱放熱装置10は、熱交換構造体としての熱交換器本体20と、該熱交換器本体20に設けられた化学蓄熱材複合物成形体11とを備えている。 熱交換器本体20は、シェル(外壁)22と、シェル22内を複数の空間に区画する壁体としての隔壁24とを有する。 これにより、熱交換器本体20の内部は、化学蓄熱材複合物成形体11が収容される蓄熱材収容部25と、該化学蓄熱材複合物成形体11との間で熱交換を行う熱交換媒体としての流体が流通する流体流路26とが交互に配置されている。

    この実施形態では、蓄熱材収容部25、流体流路26は、それぞれ隔壁24が長辺とされる扁平矩形状の開口端を有する柱状空間とされている。 この実施形態では、熱交換器本体20は、蓄熱材収容部25、流体流路26が断面の扁平方向に隣接され、かつ該隣接方向の両端に流体流路26が配置される構成とされている。 この実施形態では、熱交換器本体20は、例えばステンレス鋼やアルミニウム(アルミニウム合金を含む)等の金属材料にて構成されている。

    図1に示される如く、化学蓄熱材複合物成形体11は、蓄熱材収容部25に対応した扁平角柱状(正確には、後述するようにハニカム状)に形成されており、その外周面が蓄熱材収容部25の内周面に密着(接触)されるように該蓄熱材収容部25内に収容されている。 すなわち、化学蓄熱材複合物成形体11の扁平方向両端面は、それぞれ隔壁24に密着されている。

    図2には、化学蓄熱材複合物成形体11の模式的な断面図が示されている。 この図に示される如く、化学蓄熱材複合物成形体11は、多数の粉体化学蓄熱材12が組織化、構造化されたものであって、該多数の粉体化学蓄熱材12間には細孔14が形成されている。 したがって、この実施形態に係る化学蓄熱材複合物成形体11は、多孔質構造体(多孔体)として把握され、かつ細孔14の内面に粉体化学蓄熱材12が露出して構成されているものとして把握されるものである。

    この化学蓄熱材複合物成形体11は、多数の粉体化学蓄熱材12に絡まるように粘土鉱物であるセピオライト16が多数の粉体化学蓄熱材12間に介在している。 換言すれば、化学蓄熱材複合物成形体11は、多孔質を成すセピオライト16の骨格中に多数の粉体化学蓄熱材12が分散保持された構造として把握される。 これにより、化学蓄熱材複合物成形体11では、多数の粉体化学蓄熱材12間に細孔14が形成された多孔質構造体としての構造がセピオライト16によって保持(補強)されるようになっている。

    この実施形態では、粉体化学蓄熱材12は、水酸化カルシウム(Ca(OH) )とされており、脱水に伴って蓄熱(吸熱)し、水和(水酸化カルシウムへの復原)に伴って放熱(発熱)する構成とされている。 すなわち、多数の粉体化学蓄熱材12は、以下に示す反応で蓄熱、放熱を可逆的に繰り返し得る構成とされている Ca(OH) ⇔ CaO + H

    この式に蓄熱量、発熱量Qを併せて示すと、
    Ca(OH) + Q → CaO + H
    CaO + H O → Ca(OH) + Q
    となる。

    セピオライト16は、層リボン構造の粘土鉱物、より具体的には輝石に似た単鎖が複数本結合して四面体リボンを形成している粘土鉱物の1つとして把握される。 セピオライト16は、例えば、Mg Si 1230 (OH) (OH ・8H Oの化学式で表すことができる含水マグネシウム珪酸塩であり、それ自体が多孔質でありかつ比表面積が大きい繊維状を成している。 なお、この実施形態では、上記化学式で表されるものの変種についてもセピオライト16に含まれるものとしている。

    そして、熱交換型蓄熱放熱装置10は、図1に示される如く、蓄熱の際に反応生成物としての水蒸気を排出し、放熱の際に反応物としての水蒸気を供給するための流路(パス)15を有する。 流路15は、熱交換型蓄熱放熱装置10の内部を所定方向に貫通して形成されており、細孔14に対し十分に大きな代表寸法を有する。 この実施形態では、流路15の開口縁は略矩形状を成しており、その代表直径(例えば、最も短い辺の長さ)である代表寸法が細孔14の平均径、粉体化学蓄熱材12の平均粒径に対して十分に大とされている。 なお、この実施形態では、例えば、流路15の代表寸法は略1mm、粉体化学蓄熱材12の平均粒子径、細孔14の平均径は、それぞれは数十μmとされている。

    また、化学蓄熱材複合物成形体11は、複数の流路15を有している。 この実施形態では、化学蓄熱材複合物成形体11は、図1に示される如く、多数の流路15を有するハニカム状(格子状)に形成されている。 そして、化学蓄熱材複合物成形体11では、その隣り合う流路15間を仕切る区画壁部の厚みが8mm以下とされている。 この実施形態では、区画壁部の厚みは、4mm以下である略3mmとされている。 さらに、熱交換型蓄熱放熱装置10では、流路15と外周面(隔壁24との密着面)との間に位置する周壁部の厚みが4mm以下とされている。 この実施形態では、周壁部の厚みは、2mm以下である略1.5mmとされている。

    以上説明した化学蓄熱材複合物成形体11では、粉体化学蓄熱材12が水酸化カルシウムの状態で熱が供給されると、該熱を反応熱として粉体化学蓄熱材12が酸化されるようになっている。 すなわち、熱交換型蓄熱放熱装置10では、粉体化学蓄熱材12は、細孔14を通じて又は直接的に流路15から水蒸気を排出しつつ脱水反応により酸化カルシウムとされ、上記反応熱相当の熱を蓄熱する構成とされている。 一方、熱交換型蓄熱放熱装置10は、酸化カルシウムの状態の粉体化学蓄熱材12に対し、流路15から直接的又は細孔14を通じて(拡散により)水蒸気が供給されると、粉体化学蓄熱材12は、水和反応により水酸化されつつ放熱するようになっている。

    そして、熱交換型蓄熱放熱装置10では、蓄熱材収容部25内の化学蓄熱材複合物成形体11に対する蓄熱時の熱供給は、流体流路26を流通する流体(ガス)との隔壁24を介した熱交換によって行われる構成とされている。 また、熱交換型蓄熱放熱装置10では、化学蓄熱材複合物成形体11が放熱した熱は、隔壁24を介した熱交換によって流体流路26を流通する流体(ガス)に受熱されるようになっている。

    一方、熱交換型蓄熱放熱装置10では、化学蓄熱材複合物成形体11の流路15に連通する蓄熱材収容部25(に連通する流路)は、化学蓄熱材複合物成形体11が蓄熱反応に伴い生じる反応生成物としての水蒸気を排出し、化学蓄熱材複合物成形体11に放熱反応を生じさせる際に反応物としての水蒸気を供給するための反応用流路として用いられる構成である。

    以下、熱交換型蓄熱放熱装置10の製造方法を説明する。

    図3には、熱交換型蓄熱放熱装置10の製造方法が模式的に示されている。 熱交換型蓄熱放熱装置10を製造するにあたっては、先ず、図3(A)〜図3(D)に示される成形体成形工程にて化学蓄熱材複合物成形体11を成形(製造)する。 具体的には、先ず、図3(A)に示される如く、原料である粉体化学蓄熱材12、セピオライト16を用意する。

    粉体化学蓄熱材12としては、例えば平均粒子径D=10μm(レーザー回析式測定法、島津製作所製SALD−2000Aによる)のものが用いられ、セピオライト16としては、水に懸濁した場合の繊維径が粉体化学蓄熱材12の平均粒子径Dよりも小さい繊維状を成すものが用いられている。 具体的には、セピオライト16は、その線径(繊維径)が1μm以下、その長さ(繊維長)が200μm以下のものを用いることが望ましい。 この実施形態では、線径が略0.01μmで長さが略数十μmのトルコ産のセピオライトを用いている。 なお、トルコ産のセピオライトに代えて、例えば線径が略0.1μmで長さが略100μmのスペイン産のセピオライトを用いることもできる。 また、この実施形態では、粉体化学蓄熱材12に対するセピオライト16の混合比は、例えば5〜10質量%程度とされている。

    次いで、混合工程に移行する。 混合工程では、図3(B)に示される如く、それぞれ乾粉状態の粉体化学蓄熱材12とセピオライト16とを、混合容器28に容れて均一に混合する。 次いで、混練工程に移行する。 混練工程では、図3(C)に示される如く、粉体化学蓄熱材12とセピオライト16との混合物を混練機29に入れ、バインダとしての水を徐々に加えながら練り込み(混練し)増粘化させる。 これにより、粉体化学蓄熱材12とセピオライト16との混練物Mが生成される。 この混練物Mは、全体として粘土状態を示す。 また、この実施形態では、滑剤、バインダとして有機系バインダ(例えば、CMC(カルボキシルメチルセルロール)等)を混合、混練する。 この有機系バインダは、後述する400℃以上での焼成工程において消失し、成形品中には残留しない。 この有機系バインダは、のりの働きを示し、構造体成形時における精度密度の向上に効果を示す。

    次いで、図3(D)に示される成形工程に移行する。 成形工程では、上記の通り混練工程で増粘化された粉体化学蓄熱材12とセピオライト16との混練物Mを押し出し型30に移し、押し出し成形する。 これにより、上記混練物Mは、押し出し型30の形状に応じた所定形状、すなわち熱交換器本体20の蓄熱材収容部25に対応した扁平ハニカム状に形成される。 これにより、化学蓄熱材複合物成形体11が成形される。

    次いで、図3(E)に示される如く、挿入工程に移行する。 挿入工程では、化学蓄熱材複合物成形体11を熱交換器本体20の蓄熱材収容部25に圧挿する。 この際、焼成前の柔軟な化学蓄熱材複合物成形体11は、熱交換器本体20の蓄熱材収容部25内面になじみながら該流体流路26内に挿入される。

    次いで、図3(F)に示される如く、焼成工程に移行する。 焼成工程では、化学蓄熱材複合物成形体11が挿入された熱交換器本体20を焼成炉32に容れ、所定の温度で所定の時間だけ化学蓄熱材複合物成形体11を焼成する。 これにより、熱交換器本体20の蓄熱材収容部25内で化学蓄熱材複合物成形体11が固化され、熱交換型蓄熱放熱装置10の製造が完了する。 この焼成工程での焼成温度は、350℃〜500℃の範囲内とされている。

    この焼成温度は、粉体化学蓄熱材12すなわち水酸化カルシウムの脱水温度(脱水温度は、雰囲気水蒸気圧力により異なるが、略400℃〜450℃)以上であるため、粉体化学蓄熱材12は、製造直後には、酸化カルシウムの状態で化学蓄熱材複合物成形体11を構成している。 すなわち、化学蓄熱材複合物成形体11は、製造時点で、水分(水蒸気)の供給により放熱可能な蓄熱状態とされている。

    また、焼成工程における400℃〜500℃の範囲の焼成温度は、粉体化学蓄熱材12にマイクロクラックが形成される温度であり、これにより、化学蓄熱材複合物成形体11を構成する多数の粉体化学蓄熱材12は、それぞれ図1に示される如く、マイクロクラックを有する。 これにより、粉体化学蓄熱材12は、焼成工程を経ることで比表面積が増大されている。

    ここで、熱交換型蓄熱放熱装置10では、化学蓄熱材複合物成形体11の内部に流路15が形成されているので、蓄熱時に化学蓄熱材複合物成形体11の各粉体化学蓄熱材12で生成される水蒸気の排出経路、放熱時に化学蓄熱材複合物成形体11の各粉体化学蓄熱材12に供給することが要求される水蒸気の供給経路が確保される。 すなわち、熱交換型蓄熱放熱装置10では、多数の粉体化学蓄熱材12間に細孔14が形成されている多孔質構造体である化学蓄熱材複合物成形体11の内部に該細孔14よりも大きな流路15が形成されているので、全体として粉体化学蓄熱材12の充填度の高い多孔質構造体を形成しながら、流路15を通じて水蒸気の速やかな排出、供給が可能とされている。

    このため、熱交換型蓄熱放熱装置10では、粉体化学蓄熱材12の高充填度(高密度)による単位体積、質量当たりの蓄熱容量の確保(向上)と、放熱、蓄熱反応に要求される排出水蒸気、供給水蒸気の移動速度の確保との両立が図られる。 そして、熱交換型蓄熱放熱装置10では、化学蓄熱材複合物成形体11から排出され又は化学蓄熱材複合物成形体11に供給される水蒸気の流路を構成する蓄熱材収容部25が、化学蓄熱材複合物成形体11に放熱又は化学蓄熱材複合物成形体11から受熱する流体が流通する流体流路26と区画されているため、化学蓄熱材複合物成形体11と熱交換を行うための流体が上記した排出水蒸気、供給水蒸気の移動速度に影響を与えることがない。 さらに、水和、脱水反応時に供給/放出される水蒸気分圧を高く維持することで、反応速度を早く確保できる。

    これにより、熱交換型蓄熱放熱装置10では、流体流路26を流れる流体からの受熱によって、蓄熱材収容部25から水蒸気を排出しつつ効率良く蓄熱を行うことができ、また、蓄熱材収容部25から供給を受ける水蒸気によって効率良く放熱して該熱を流体流路26を流れる流体に伝達させることができる。

    また、熱交換型蓄熱放熱装置10では、化学蓄熱材複合物成形体11の外表面が蓄熱材収容部25と流体流路26とを隔て伝熱壁を成す隔壁24に密着しているので、流体流路26を流れる流体と化学蓄熱材複合物成形体11との熱交換性能が良好である。 すなわち、熱交換型蓄熱放熱装置10では、流体流路26を流れる流体と化学蓄熱材複合物成形体11との間で高い熱輸送(熱伝達)を実現することができる。

    例えば、単に粉体化学蓄熱材を充填した化学蓄熱反応部では、該粉体化学蓄熱材の充填度を高くすることができるものの十分な水蒸気の排出及び供給がなされず、粉体化学蓄熱材の充填度に基づく蓄熱容量に対する蓄熱量が小さくなってしまう。 また、このような構成では、水蒸気及び熱交換媒体流体の流通経路が共通であるため、蓄熱、放熱反応性と熱交換性能との両立を図ることが困難である。 すなわち例えば、放熱の際に熱交換媒体流体の流通によって供給水蒸気の分圧が低下して反応性が低下したり、熱交換媒体流体として循環流体を用いる場合に該循環流体の一部が蓄熱に伴う発生蒸気と共に系外に排出されたりすることで蓄熱性能が低下したりすることが懸念される。

    これに対して熱交換型蓄熱放熱装置10では、上記の通り化学蓄熱材複合物成形体11に15が設けられると共に蓄熱材収容部25が流体流路26に対し区画されることで蓄熱、放熱反応性が確保され、かつ蓄熱材収容部25が流体流路26に対し区画されると共に化学蓄熱材複合物成形体11が隔壁24に密着されることで流体流路26を流れる流体と化学蓄熱材複合物成形体11との熱交換性能が確保される。 すなわち、熱交換型蓄熱放熱装置10では、水蒸気の移動量の不足(拡散律束)の解消及び化学蓄熱材複合物成形体11から熱交換媒体流体への伝熱不足(伝熱律束)の解消の両立が図られるので、蓄熱性能の向上及び蓄熱した熱の回収(利用)率の向上が図れる。

    しかも、熱交換型蓄熱放熱装置10では、熱交換器本体20の蓄熱材収容部25に焼成前の化学蓄熱材複合物成形体11を挿入し、化学蓄熱材複合物成形体11が隔壁24になじんだ状態から化学蓄熱材複合物成形体11を焼成することで構成されているので、化学蓄熱材複合物成形体11と隔壁24と界面密着性が高い。 しかも、熱交換型蓄熱放熱装置10では、化学蓄熱材複合物成形体11の焼結に伴ってセピオライト16が毛管力にて隔壁24に吸い寄せられることが期待でき、該化学蓄熱材複合物成形体11と隔壁24との界面密着性が一層高くなる。 これらにより、化学蓄熱材複合物成形体11と流体流路26を流れる流体との熱交換性能(伝熱性)が一層向上する。

    さらに、熱交換型蓄熱放熱装置10では、化学蓄熱材複合物成形体11が複数の流路15を有し、かつ該化学蓄熱材複合物成形体11における流路15間の区画壁部の厚みが8mm以下(近い方の流路15から4mm以下)、流路15と外周面との間の周壁部の厚みが4mm以下とされているため、流路15から粉体化学蓄熱材12に水蒸気を供給し又は粉体化学蓄熱材12から流路15に水蒸気を排出するための拡散路が短い。

    このため、熱交換型蓄熱放熱装置10を構成する比較的に大型(肉厚)の化学蓄熱材複合物成形体11において、各部(粉体化学蓄熱材12)に対し所要の蓄熱、放熱反応に要する水蒸気移動量が確保される。 特に、この実施形態では、流路15間の区画壁部の厚みが4mm以下、流路15と外周面との間の周壁部の厚みが2mm以下とされているので、上記した水蒸気移動量が一層良好に確保される。 また、複数の流路15を有する化学蓄熱材複合物成形体11では、流路15間の区画壁部が化学蓄熱材複合物成形体11内の伝熱経路としても機能するので、上記の通り比較的肉厚な構成において、内部での放熱した熱が隔壁24に効率的に伝達される。

    またここで、熱交換型蓄熱放熱装置10の製造方法では、化学蓄熱材複合物成形体11を成形するための成形体成形工程において、多孔質でかつ比表面積が大きいセピオライト16を混練工程で所定の割合で粉体化学蓄熱材12に混練するため、該セピオライト16の揺変性(チキソトロピ)によって、該セピオライト16を粉体化学蓄熱材12及び水と共に混練することで増粘効果を呈する。 これにより、粉体化学蓄熱材12をベースとした化学蓄熱材複合物成形体11の成形をより高精度、高密度で行うことができる。

    そして、セピオライト16の繊維質(結晶化後の多孔質)を利用した粉体化学蓄熱材12の組織化、セピオライト16の可塑性を利用した多数の粉体化学蓄熱材12の構造化が果たされる。 すなわち、粉体化学蓄熱材12に所定割合でセピオライト16を混練することで、多数の粉体化学蓄熱材12間に、蓄熱、放熱に伴う水蒸気を放出又は導入するための細孔14を形成しつつ、多数の粉体化学蓄熱材12を1つの構造体である化学蓄熱材複合物成形体11とし、かつ化学蓄熱材複合物成形体11であることを維持することが実現された。

    また、以上のように製造された化学蓄熱材複合物成形体11は、多数の粉体化学蓄熱材12が互いの間に細孔14が形成されるように組織化、構造化されているので、粉体化学蓄熱材12の水和、脱水反応に伴う体積膨張、収縮が他の粉体化学蓄熱材12に干渉することが防止又は著しく抑制される。 このため、粉体化学蓄熱材12の体積膨張、収縮に起因する微粉化が防止され、換言すれば、粉体化学蓄熱材12に対する水蒸気の放出、導入が滞ることがなくなり、蓄熱、放熱の反応性の低下が防止又は著しく抑制される。

    さらに、化学蓄熱材複合物成形体11では、比表面積が大きく多孔質であるセピオライト16の吸着性によって、余剰の水蒸気がセピオライト16(の微孔)に吸着される。 これにより、例えば、化学蓄熱材複合物成形体11が適用された蓄熱システムが停止されている低温状態の場合(粉体化学蓄熱材12が酸化カルシウムや酸化マグネシウムである場合)に該粉体化学蓄熱材12が吸水して化学蓄熱材複合物成形体11内が液水化されることが防止又は抑制される。

    またここで、熱交換型蓄熱放熱装置10の製造方法では、化学蓄熱材複合物成形体11を成形するための成形体成形工程において、水に懸濁した状態で粉体化学蓄熱材12の平均粒子径Dよりも繊維径が微細な繊維状を成すセピオライト16を用いるため、少量のセピオライト16で粉体化学蓄熱材12間に細孔14が形成された多孔質構造体を補強した化学蓄熱材複合物成形体11を得ることができる。 したがって、化学蓄熱材複合物成形体11は、単位質量、単位体積当たりに占める粉体化学蓄熱材12の量を多くすることができる。 すなわち、蓄熱容量の大きい化学蓄熱材複合物成形体11を得ることができる。 しかも、化学蓄熱材複合物成形体11では、粉体化学蓄熱材12自体が化学蓄熱材複合物成形体11の主要構造を成しているので、伝熱経路が単純で蓄熱効率、蓄熱した熱の利用効率が高い。

    さらに、化学蓄熱材複合物成形体11では、粉体化学蓄熱材12として無機化合物である水酸化カルシウムを用いているため、蓄熱、放熱反応(水和、脱水)に対する材料安定性が高い。 特に、水酸化カルシウムは、水酸化マグネシウム等に対しても可逆性が高い(ほぼ100%の水和、脱水反応率を有する)ため、長期間に亘り安定した蓄熱効果を得ることができる。 また、水酸化カルシウムは、水酸化マグネシウム等に対して不純物に対する感度が低いので、この点でも長期安定運転に寄与する。 また特に、粉体化学蓄熱材12としてアルカリ土類金属化合物である水酸化カルシウムを用いているため、換言すれば、環境負荷の小さい材料を用いるため、化学蓄熱材複合物成形体11の製造、使用、リサイクルを含めた安全性の確保が容易になる。

    さらにここで、熱交換型蓄熱放熱装置10の製造方法では、水酸化物である水酸化カルシウムの粉体を用いて化学蓄熱材複合物成形体11を製造するため、混練工程で粉体化学蓄熱材12とセピオライト16とを混練、増粘させるためのバインダとして水を用いることができる。 これにより、簡単かつ安価な方法で化学蓄熱材複合物成形体11を得ることができる。 例えば、酸化カルシウムを出発物質とした場合には、該酸化カルシウムは水に反応するために水(水を含む液体)をバインダとして用いることができない。 また例えば、炭酸カルシウムを出発原料として粉体化学蓄熱材12(水酸化カルシウム)を得る場合には、脱炭酸工程で950℃〜1000℃程度の高温焼成が要求される。

    これに対して熱交換型蓄熱放熱装置10の製造方法では、上記の通り水酸化カルシウムを出発原料として熱交換型蓄熱放熱装置10を製造するため、水をバインダとしてセピオライト16と混練することで増粘効果が得られ、成形性が向上する。 また、焼成温度を低くすることができるため、使用材料、工程(製造装置の材料等を含む)の自由度が増す。 さらに、化学蓄熱材複合物成形体11では、アルカリ性の水酸化カルシウムをセピオライトに混練するため、セピオライトはアルカリと僅かに反応にしてガラス質へと変化する。 このため、ガラス化したセピオライト16と粉体化学蓄熱材12との混練物Mを焼結して成る焼結構造体である化学蓄熱材複合物成形体11は、その強度が向上される。

    一方、熱交換型蓄熱放熱装置10の製造方法では、焼成温度として400℃〜500℃を採用しているので、粉体化学蓄熱材12、セピオライト16の構造化(固定化)を図りつつ、粉体化学蓄熱材12の脱水反応を進行させることができる。 そして、400℃〜500℃の焼成温度によって、粉体化学蓄熱材12にマイクロクラックが形成されるので、化学蓄熱材複合物成形体11の製造方法では、粉体化学蓄熱材12の組織化、構造化と比表面積の増大とを同時に果たすことができる。

    なお、酸化カルシウムとなった粉体化学蓄熱材12にマイクロクラックを生じさせる焼成温度としては、450℃程度が最も好ましい。 焼成温度が400℃以下では、マイクロクラックの生成が少なく、500℃以上では、粉体化学蓄熱材12の割れの確率が高くなること及びシンタリングにより粉体化学蓄熱材12の比表面積が減少することが確かめられている。 なお、この温度範囲は、酸化カルシウムの他に、例えば酸化マグネシウム(水酸化マグネシウムが脱水されたもの)についても、マイクロクラックを生じさせる焼成温度として用いることができる。 なお、水酸化マグネシウムの脱水温度は、雰囲気水蒸気圧力により異なるが、水酸化カルシウムの脱水温度よりも若干低い略350℃〜400℃)である。

    なお、上記した実施形態では、粘土鉱物として層リボン構造を有する粘土鉱物としてのセピオライトを用いた例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、層リボン構造を有する粘土鉱物であるパリゴルスカイト(アタパルジャイト)を用いても良く、層リボン構造を有する粘土鉱物には属しないベントナイトを用いても良い。 なお、ベントナイトについて補足すると、ベントナイトは、層リボン構造を有する粘土鉱物と比較して接着力が強い粘土鉱物であり、強固な多孔質構造体を得ることができ、また、例えば金属壁への接合強度を向上することに寄与する。 このベントナイトを用いた化学蓄熱材複合物成形体11においても、多数の粉体化学蓄熱材12間に細孔14が形成された多孔質構造体を成す。 一方、層リボン構造を有する粘土鉱物は、ベントナイトと比較してシンタリング(緻密化)が少ないメリットがある。 特に、セピオライトは、上記の通り粉体化学蓄熱材12の脱水温度(マイクロクラックが生成される温度)と近い温度で焼結され、該温度ではシンタリングによる比表面積の減少が少ない(マイクロクラックによる比表面積の増加が上回る)メリットがある。 化学蓄熱材複合物成形体11の製造に用いる粘土鉱物は、これらのメリットを考慮して用途等に応じて決めれば良い。

    また、上記した実施形態では、粉体化学蓄熱材12として水和系化学蓄熱材である水酸化カルシウム(Ca(OH) )を用いた例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、アルカリ土類金属の無機化合物である水酸化マグネシウム(Mg(OH) )を粉体化学蓄熱材12として用いても良い。 同様に、アルカリ土類金属の無機化合物であるBa(OH) やBa(OH) ・H Oを粉体化学蓄熱材12として用いても良く、アルカリ土類金属以外の無機化合物であるLiOH・H O、Al ・3H O等を粉体化学蓄熱材12として用いても良い。 さらに、水和、脱水反応により発熱、蓄熱する水和形の粉体化学蓄熱材12に代えて、他の反応を利用した粉体化学蓄熱材12を用いても良い。

    さらに、上記した実施形態では、化学蓄熱材複合物成形体11が複数の流路15を有する例を示したが、本発明はこれに限定されず、熱交換型蓄熱放熱装置10の寸法形状や要求される伝熱(蓄熱)性能に応じて、単一の流路15を有する化学蓄熱材複合物成形体11を用いて熱交換型蓄熱放熱装置10を構成しても良い。

    またさらに、化学蓄熱材複合物成形体11に形成される流路は、該化学蓄熱材複合物成形体11を水蒸気の流れ方向に貫通する流路15に限定されることはなく、流路の少なくとも一部を、細孔14よりも流路断面の大きい粉体化学蓄熱材12の粒子間距離として設定することも可能である。 例えば、粉体化学蓄熱材12を組織化、構造化して粒状の一次粒子に成形し、さらに多数の一次粒子を二次的に組織化、構造化することで、一次粒子内の細孔14よりも大きな流路(隙間)を有する二次成形体を形成し、該二次成形体を用いて熱交換型蓄熱放熱装置10を構成しても良い。

    また、上記した実施形態では、化学蓄熱材複合物成形体11の蓄熱時、放熱時共に該化学蓄熱材複合物成形体11が流体流路26を流れる流体と熱交換を行う例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、蓄熱材収容部25(流路15)を流れる高温ガスによって、化学蓄熱材複合物成形体11に蓄熱反応を生じさせる構成とすることができる。 この構成は、例えば排気ガス等の大気放出される熱源の熱を用いる構成に適用することができる。

    さらに、上記した実施形態(図1)では、熱交換器本体20における蓄熱材収容部25と流体流路26との開口方向が同じ対向流又は並行流型の熱交換器本体20を例示しているが、例えば、図4に示される如く、直交流型の熱交換器本体20を用いて熱交換型蓄熱放熱装置10を構成しても良い。

    本発明の実施形態に係る熱交換型蓄熱放熱装置の概略構成を示す斜視図である。

    本発明の実施形態に係る化学蓄熱材複合物成形体の内部構造を模式的に示す断面図である。

    本発明の実施形態に係る化学蓄熱材複合物成形体の製造方法を模式的に示す図であって、(A)は原料を示す図、(B)は各原料及びバインダの混合状態を示す図、(C)は混練工程を示す図、(D)は成形工程を示す図、(E)は挿入工程を示す図、(F)は焼成工程を示す図である。

    本発明の実施形態の変形例に係る熱交換型蓄熱放熱装置の概略構成を示す斜視図である。

    符号の説明

    10 熱交換型蓄熱放熱装置(熱交換型熱利用装置)
    11 化学蓄熱材複合物成形体(化学蓄熱材成形体)
    12 粉体化学蓄熱材(化学蓄熱材)
    15 流路 16 セピオライト(粘土鉱物)
    20 熱交換構造体(熱交換器本体)
    24 隔壁(壁体)
    26 流体流路(熱交換媒体流路)
    25 蓄熱材収容部 M 混練物

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