Honeycomb structured body and method of manufacturing the same

申请号 JP2001032699 申请日 2001-02-08 公开(公告)号 JP2002201082A 公开(公告)日 2002-07-16
申请人 Ngk Insulators Ltd; 日本碍子株式会社; 发明人 ICHIKAWA SHUICHI; TOMITA TAKAHIRO; KAWASAKI SHINJI; SAKAI HIROAKI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a honeycomb structured body which is sufficiently porous with high specific surface area, preferably useable for automobile exhausting gas purifying filter even under high SV condition, containing fire resistant powder such as silicon carbide but can be economically manufactured with relatively low firing temperature, and the thermal conductivity of which is set at a proper value, by processing of plugging or catalyst supporting, etc. SOLUTION: The porous honeycomb structured body is composed of a lot of axial through holes surrounded by partitions containing aggregates of fire resistant powder 11, and metallic silicon 10.
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 隔壁により仕切られた軸方向に貫通する多数の流通孔を有するハニカム構造体であって、骨材となる耐火性粒子と金属珪素とを含み、多孔質であることを特徴とするハニカム構造体。
  • 【請求項2】 前記耐火性粒子が、その耐火性粒子表面の一部において前記金属珪素により結合された構造を有する請求項1記載のハニカム構造体。
  • 【請求項3】 熱伝導率が5W/mK以上である請求項1記載のハニカム構造体。
  • 【請求項4】 前記耐火性粒子が、その原料粒子形状を留めた状態で前記金属珪素により結合された構造を有する請求項1記載のハニカム構造体。
  • 【請求項5】 前記耐火性粒子が、炭化珪素粒子である請求項1記載のハニカム構造体。
  • 【請求項6】 含塵流体中に含まれる粒子状物質を捕集除去するフィルターとして用いられる請求項1記載のハニカム構造体。
  • 【請求項7】 気孔率が30〜90%の範囲にある請求項1記載のハニカム構造体。
  • 【請求項8】 平均細孔径が2〜50μmの範囲にある請求項1記載のハニカム構造体。
  • 【請求項9】 気孔率が50〜90%の範囲にあるとともに、熱伝導率が5〜30W/mKの範囲にある請求項2記載のハニカム構造体。
  • 【請求項10】 前記金属珪素の含有量が、前記耐火性粒子原料と金属珪素との合計量に対して、5〜50重量%の範囲である請求項1記載のハニカム構造体。
  • 【請求項11】 前記隔壁の厚さが102〜1270μ
    mである請求項1記載のハニカム構造体。
  • 【請求項12】 前記隔壁の厚さとハニカム構造体の気孔率とが以下の関係を満たす請求項1記載のハニカム構造体。 【数1】隔壁の厚さ(μm)≧気孔率(%)×4
  • 【請求項13】 前記隔壁の厚さとハニカム構造体の気孔率とが以下の関係を満たす請求項1記載のハニカム構造体。 【数2】隔壁の厚さ(μm)≧気孔率(%)×5
  • 【請求項14】 前記隔壁の厚さとハニカム構造体の気孔率とが以下の関係を満たす請求項1記載のハニカム構造体。 【数3】隔壁の厚さ(μm)≦気孔率(%)×20
  • 【請求項15】 セル密度が0.7〜155セル/cm
    2である請求項1記載のハニカム構造体。
  • 【請求項16】 耐火性粒子原料に、金属珪素と有機バインダーを添加し混合及び混練して得られた坏土をハニカム形状に成形し、得られた成形体を仮焼して成形体中の有機バインダーを除去した後、本焼成することを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
  • 【請求項17】 前記耐火性粒子原料が、炭化珪素粒子原料である請求項16記載の製造方法。
  • 【請求項18】 前記耐火性粒子原料の平均粒径が、最終的に得られるハニカム構造体の平均細孔径の2〜4倍である請求項16記載の製造方法。
  • 【請求項19】 前記金属珪素の添加量が、前記耐火性粒子原料と金属珪素との合計量に対して、5〜50重量%の範囲である請求項16記載の製造方法。
  • 【請求項20】 前記金属珪素の平均粒径が、骨材である耐火性粒子の平均粒径の50%以下である請求項16
    記載の製造方法。
  • 【請求項21】 前記有機バインダーを、前記耐火性粒子原料と金属珪素との合計量に対して、外配で2〜30
    重量%の範囲で添加する請求項16記載の製造方法。
  • 【請求項22】 前記坏土を調合する際に、造孔剤を、
    前記耐火性原料粒子と金属珪素との合計量に対して、外配で30重量%以下の範囲で添加する請求項16記載の製造方法。
  • 【請求項23】 前記成形体の仮焼を、前記金属珪素が溶融する温度より低い温度にて実施する請求項16記載の製造方法。
  • 【請求項24】 前記本焼成を、1400〜1800℃
    の温度範囲で実施する請求項16記載の製造方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】 本発明は、自動車排気ガス浄化用のフィルターや触媒担体等に使用されるハニカム構造体に関する。

    【0002】

    【従来の技術】 ディーゼルエンジン排気ガスのような含塵流体中に含まれる粒子状物質を捕集除去するためのフィルター、あるいは排気ガス中の有害物質を浄化する触媒成分を担持するための触媒担体として、多孔質のハニカム構造体が広く使用されている。 また、このようなハニカム構造体の構成材料として、炭化珪素(SiC)
    粒子のような耐火性粒子を使用することが知られている。

    【0003】 具体的な関連技術として、例えば特開平6−182228号公報には、所定の比表面積を有するとともに不純物を含有する炭化珪素粉末を出発原料とし、これを所望の形状に成形、乾燥後、1600〜22
    00℃の温度範囲で焼成して得られるハニカム構造の多孔質炭化珪素質触媒担体が開示されている。

    【0004】 一方、特開昭61−26550号公報には、易酸化性素材、又は易酸化性素材を含有する耐火組成物にガラス化素材を添加し、結合材とともに混合、混練及び成形し、成形した成形体を非酸化雰囲気の炉内で裸焼成することを特徴とするガラス化素材含有耐火物の製造方法が、特開平8−165171号公報には、炭化珪素粉末に、有機バインダーと、粘土鉱物系、ガラス系、珪酸リチウム系の無機バインダーを添加して成形する炭化珪素成形体が、それぞれ開示されている。

    【0005】 また、前記特開平6−182228号公報には、従来の多孔質炭化珪素質焼結体の製造方法として、骨材となる炭化系素粒子にガラス質フラックス、あるいは粘土質などの結合材を加え成形した後、その成形体を前記結合材が溶融する温度で焼き固めて製造する方法も紹介されている。

    【0006】 更に、特公昭61−13845号公報及び特公昭61−13846号公報には、珪砂、陶磁器粉砕物、Al 23 、TiO 2 、ZrO 2等の金属酸化物、炭化珪素、窒化物、化物あるいはその他の耐火性材料等よりなる所定粒度に整粒された耐火性粒子が、ガラス、フリット、釉薬等の耐火性結合材で多孔質の有底筒状体に形成された高温用セラミックフィルターについて、その好適な耐火性粒子平均径、耐火性粒子粒度分布、筒状体気孔率、筒状体平均細孔径、筒状体細孔容積、筒状体隔壁肉厚等が開示されている。

    【0007】 なお、特公平8−13706号公報においては、金属珪素を介して一体に接合してなる構造を有する炭化珪素/金属珪素複合体、及び、珪素集積バイオマスをアルゴン又は窒素雰囲気下で加熱処理して形成された炭化珪素と金属珪素を用いた前記複合体の製造方法が開示されている。

    【0008】

    【発明が解決しようとする課題】 前記特開平6−18
    2228号公報に示される、炭化珪素粉末自体の再結晶反応による焼結形態(ネッキング)では、炭化珪素粒子表面から炭化珪素成分が蒸発し、これが粒子間の接触部(ネック部)に凝縮することで、ネック部が成長し結合状態が得られるが、炭化珪素を蒸発させるには、非常に高い焼成温度が必要であるため、これがコスト高を招き、かつ、熱膨張率の高い材料を高温焼成しなければならないために、焼成歩留が低下するという問題があった。

    【0009】 また、上記の炭化珪素粉末自体の再結晶反応による焼結によって、高気孔率であるフィルター、
    特に50%以上の気孔率を有するフィルターを製造しようとすると、当該焼結機構が十分に機能しなくなるためにネック部の成長が妨げられ、これに起因してフィルターの強度が低下してしまうといった不具合を有していた。

    【0010】 更に、上記の材料は熱伝導率が30W/
    mK以上と非常に高く、局所的な発熱を抑えるという点では有利ながら、例えば触媒を担持してパティキュレートを酸化及び燃焼し、連続的に再生する方式のフィルターに用いた場合、パティキュレートの堆積量が少なく、
    放熱しやすいといった特徴により、担体の温度が上がるまでに非常に時間を要する。 したがって、触媒が機能する温度まで温度が上がるのに時間を要するため、パティキュレートの燃え残りが生じて再生効率が下がる等の問題も併せもっていた。

    【0011】 特開昭61−26550号公報や特開平6−182228号公報に示される、原料炭化珪素粉末をガラス質で結合させる手法は、焼成温度としては10
    00〜1400℃と低くて済むが、例えばこの手法で作製された焼結体をディーゼルエンジンから排出される排気ガス中に含まれるパティキュレートを除去するためのディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)の材料として用いる場合には、フィルター再生のため、フィルターに捕集され堆積したパティキュレートを燃焼させようとすると、熱伝導率が小さいために局所的な発熱が生じるという問題点があった。

    【0012】 更に、特公昭61−13845号公報及び特公昭61−13846号公報に示されるフィルターは、多孔質ではあるものの、隔壁が5〜20mmと厚い有底筒状体であり、自動車排気ガス浄化用フィルターのような高SV(空間速度)条件下には適用できなかった。

    【0013】 また、特公平8−13706号公報に示される複合体、及びその製造方法では、当該複合体を多孔質とすることもできるが、フィルターとして使用するに際しては十分な気孔率を確保することが容易ではなく、特に当該複合体をディーゼルエンジン排気ガスのような含塵流体中に含まれる粒子状物質を捕集除去するためのフィルターとして使用することは困難であった。

    【0014】 本発明は、このような従来の事情に鑑みてなされたものであり、炭化珪素粒子のような耐火性粒子を含みながらも比較的低い焼成温度で安価に製造できるとともに、熱伝導率が適度な数値に設定されており、
    十分に多孔質かつ高比表面積で、目封じや触媒担持等の処理により自動車排気ガス浄化用のフィルターとして高SV条件下でも好適に使用できるハニカム構造体とその製造方法を提供することを目的とする。

    【0015】

    【課題を解決するための手段】 本発明によれば、隔壁により仕切られた軸方向に貫通する多数の流通孔を有するハニカム構造体であって、骨材となる耐火性粒子と金属珪素とを含み、多孔質であることを特徴とするハニカム構造体、が提供される。

    【0016】 また、本発明によれば、耐火性粒子原料に、金属珪素と有機バインダーを添加し混合及び混練して得られた坏土をハニカム形状に成形し、得られた成形体を仮焼して成形体中の有機バインダーを除去した後、
    本焼成することを特徴とするハニカム構造体の製造方法、が提供される。

    【0017】

    【発明の実施の形態】 前記のとおり、本発明のハニカム構造体は、耐火性粒子とともにそれら耐火性粒子を結合するための金属珪素を含んでいるので、その製造時において比較的低い焼成温度で焼結させることができ、製造コストを抑えるとともに歩留まりを向上させることができる。 また、耐火性粒子の結合に金属珪素を利用したことにより、耐火性粒子の結合にガラス質を利用した従来の構造体に比して高い熱伝導率を有するので、例えばDPFに使用した場合において、フィルター再生のために堆積したパティキュレートを燃焼させても、フィルターを損傷させるような局所的な発熱が生じない。 更に、
    本発明は、特公昭61−13845号公報や特公昭61
    −13846号公報に示されるような厚壁の有底筒状体ではなく、多孔質のハニカム構造体であるので、自動車排気ガス浄化用のフィルターや触媒担体等として高SV
    条件下で使用できる。

    【0018】 また、本発明のハニカム構造体は、当該ハニカム構造体を構成する耐火性粒子が、その粒子表面の一部において金属珪素により結合された構造を有することが好ましい。 図2に、本発明に係るハニカム構造体であって、炭化珪素質焼結体の結晶構造である顕微鏡写真を示す。 図中、白色部分が金属珪素10、灰色部分が炭化珪素粒子11、黒色部分が気孔12である。 このように、耐火性粒子である炭化珪素粒子11はその粒子表面の一部において、周囲に存在する粒子同士が金属珪素10により結合されていることがわかる。 なお、図2に示す炭化珪素質焼結体の製造方法は後述する。

    【0019】 上記構造は必要以上の金属珪素を用いることなく形成されるため、焼成の過程において生起される金属珪素同志の融合による緻密化を抑えることができる。 このため、フィルターとして用いた場合の圧損失を低く抑えるのに、十分な気孔率が確保されている。 さらには、高い熱伝導率をも有しているために、したがって、例えばディーゼルエンジンから排出される排気ガス中に含まれるパティキュレートを捕集除去するためのD
    PF等として用いる場合における高気孔率が十分に確保されるとともに、フィルター再生のために堆積したパティキュレートを燃焼させても、高い熱伝導率を有しているために、フィルターが損傷するような局所的な発熱が生ずることはない。

    【0020】 本発明のハニカム構造体は、前記のような局所的な発熱を回避する観点から、その熱伝導率が5
    W/mK以上であることが好ましい。

    【0021】 また、本発明のハニカム構造体は、その微構造として、耐火性粒子が、その原料粒子形状を留めた状態で金属珪素により結合された構造を有することが好ましい。 本発明のハニカム構造体を、含塵流体中に含まれる粒子状物質を捕集除去するためのフィルターとして用いる場合には、その気孔率を30〜90%の範囲とすることが好ましい。 ハニカム構造体の気孔率が30%
    未満では濾過速度が不足し、90%を超えると構造体としての強度が不足する。 更に、自動車排気ガス浄化用フィルター等の圧力損失が懸念される用途に用いる場合には、気孔率を40%以上とすることが好ましい。

    【0022】 更に、触媒を担持してパティキュレートを連続して燃焼させる方式のフィルター等、圧力損失を低く抑えなければならないフィルターとして用いるハニカム構造体である場合には、気孔率が50〜90%、熱伝導率が5〜30W/mKの範囲にあることが好ましく、気孔率が50〜80%、熱伝導率が7〜28W/m
    Kの範囲にあることが更に好ましく、気孔率が53〜7
    0%、熱伝導率が9〜25W/mKの範囲にあることが特に好ましい。

    【0023】 触媒を担持させる方式のフィルターとして用いるハニカム構造体においては、触媒を担持することで圧力損失が上昇するため、気孔率を予め高く設定しておく必要がある。 したがって、気孔率が50%未満では、本方式のフィルターでは圧力損失が大きくなるために好ましくない。 一方、気孔率が90%を超えると、構造体としての強度が不足するために好ましくない。

    【0024】 更に、前記方式のフィルターとして用いるハニカム構造体においては、局所的な発熱による不均一な温度分布の発生によりフィルターに局所的な応力が発生するのを抑える必要がある。 したがって、熱伝導率が5W/mK未満では、局所的な発熱を効果的に抑えることが困難となる。 一方、熱伝導率が30W/mKを超えると放熱の効果が大きいこと、及びパティキュレートの堆積量が少ないこと等に起因し、温度が上がりにくく触媒が機能する温度にまで昇温させるのに多大な時間を要するとともに、パティキュレートの燃え残りが生じてフィルターの再生効率が下がることがあるために好ましくない。

    【0025】 なお、本発明でいうフィルターに担持される触媒とは、パティキュレートの酸化燃焼及びNO X
    の分解を目的として用いられる触媒であって、具体的には白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、銀などの貴金属あるいはアルミナ、ジルコニア、チタニア、セリア、酸化鉄などの酸化物等を用いることができるが、本発明はこれらのものに限定されることはない。

    【0026】 同様に本発明のハニカム構造体をフィルターとして用いる場合、ハニカム構造体の平均細孔径は、濾過する対象に応じて決定することが好ましい。 例えば、ディーゼルエンジンから排出される排気ガス中に含まれるパティキュレートを捕集除去するためのDPF
    として用いる場合には、平均細孔径を2〜50μmの範囲とすることが好ましい。 平均細孔径が2μm未満ではパティキュレートの少量堆積によっても著しく圧損が上昇し、逆に、50μmを超えるとパティキュレートの素抜けが起こるため、好ましくない。

    【0027】 本発明のハニカム構造体における金属珪素の適切な含有量は、耐火性粒子の粒径や粒子形状によっても変わるが、耐火性粒子と金属珪素の合計量に対して5〜50重量%の範囲内とすることが好ましく、15
    〜40重量%の範囲内とすることが更に好ましい。 5重量%未満では、結合材が不足であるために隣接する耐火性粒子同士の金属珪素による結合が不十分であり、熱伝導率が低下するだけでなく、ハニカム構造のような薄壁の構造体を維持し得る強度を得ることが困難となる。 逆に50重量%を超えると、適切に耐火性粒子同士を結合し得る以上に金属珪素が存在することに起因して、ハニカム構造体(焼結体)が焼結により過度に収縮してしまい、気孔率低下、平均細孔径縮小などの弊害が併発してくる点において好ましくない。

    【0028】 ハニカム構造体の流通孔(セル)を仕切る隔壁の厚さは、4mil以上(102μm以上)とすることが好ましい。 隔壁の厚さが4mil(102μ
    m)未満では、構造体としての強度が不十分である。 また、強度は気孔率と密接な関係にあり、本発明のハニカム構造体の場合、隔壁の厚さと気孔率とが以下の関係を満たすように隔壁の厚さを設定すれば、必要な強度が得られ、好ましいことが判明した。

    【数4】隔壁の厚さ(μm)≧気孔率(%)×4

    【0029】 更に、隔壁の厚さと気孔率とが以下の関係を満たすように隔壁の厚さを設定すれば、十分な強度が得られるため、より好ましい。

    【数5】隔壁の厚さ(μm)≧気孔率(%)×5

    【0030】 一方で、DPF等のフィルターとして用いる場合には、隔壁の厚さを、50mil以下(127
    0μm以下)とすることが好ましい。 隔壁の厚さが50
    mil(1270μm)を超えると、濾過速度不足や圧損上昇が懸念されるためである。 なお、これについても気孔率と密接な関係があり、隔壁の厚さと気孔率とが以下の関係を満たすように隔壁の厚さを設定することによって、問題を回避することができる。

    【数6】隔壁の厚さ(μm)≦気孔率(%)×20

    【0031】 ハニカム構造体のセル密度は、5〜10
    00セル/平方インチ(0.7〜155セル/cm 2
    の範囲とすることが好ましい。 セル密度が5セル/平方インチ(0.7セル/cm 2 )未満では、ハニカム構造体として強度不足となるとともに、フィルターとして用いた場合には、濾過面積も不足する。 逆に、1000セル/平方インチ(155セル/cm 2 )を超えると圧損上昇を招くため、好ましくない。

    【0032】 次に、本発明のハニカム構造体の製造方法について説明する。 本発明のハニカム構造体を製造するにあたっては、まず、耐火性粒子原料に金属珪素と有機バインダーとを添加して混合及び混練し、成形用の坏土を得る。

    【0033】 使用する耐火性粒子の種類は特に限定されないが、酸化物系ではAl 23 、ZrO 2 、Y 23
    炭化物系ではSiC、窒化物系ではSi 34 、AlN、
    その他ムライト等の粒子が好適に用いられ、例えば、蓄積パティキュレートの燃焼処理時にしばしば高温に晒されるDPF等の用途には、SiC等が耐熱性が高く、好適に用いられる。 なお、耐火性粒子や金属珪素に用いる原料には、Fe、Al、Caなどの微量の不純物を含有するケースがあるが、そのまま使用してもよく、薬品洗浄などの化学的な処理を施して精製したものを用いてもよい。

    【0034】 耐火性粒子原料の平均粒径は、本製造方法にて最終的に得られるハニカム構造体(焼結体)の平均細孔径の2〜4倍であることが好ましい。 本製造方法で得られるハニカム構造体は、焼成温度が比較的低いために耐火性粒子原料の粒子形状や粒径が概ね焼成後まで維持される。 したがって、前記比率が2倍未満であると、所望の細孔径に対して粒径が小さ過ぎ、結果的に、
    小さな耐火性粒子群が金属珪素で細長く結合されて大きな細孔を形成することになり、ハニカム構造体のような薄壁の構造体を維持し得る程高い強度を得ることができない。

    【0035】 また、例えば耐火性粒子がSiC粒子の場合、従来多孔質ハニカム構造体に適用されてきた再結晶SiCが、その反応機構から、所望とする細孔径とほぼ同等の骨材原料粒径を必要とするのに対し、本発明のハニカム構造体のように金属珪素により結合されたSi
    C粒子は、粒径が細孔径の2倍以上でよいので、同じ細孔径を得ようとしたときに、再結晶SiCに比べて粗い、即ち安価な原料を使用することができ、コストメリットも大きい。

    【0036】 逆に、前記比率が4倍を超える場合には、所望の細孔径に対して用いる耐火性粒子の粒径が大き過ぎ、成形の段階で耐火性粒子を密に充填することによっても、その間隙に所望の細孔を得ることが困難となり、更にフィルター用途では、気孔率低下を招く点でも好ましくない。

    【0037】 金属珪素は焼成中に溶けて耐火性粒子の表面を濡らし、粒子同士を結合する役割を担う。 その適切な添加量は、耐火性粒子の粒径や粒子形状によっても変わるが、耐火性粒子と金属珪素の合計量に対して5〜
    50重量%の範囲内となるようにすることが好ましい。
    5重量%未満では、結合材が不足して、ハニカム構造のような薄壁の構造体を維持し得る強度を得ることができず、逆に50重量%を超えると、適切に耐火性粒子同士を結合し得る以上に過剰に金属珪素が存在するため、気孔率低下、平均細孔径縮小などの弊害が併発してくる。

    【0038】 金属珪素の平均粒径は、骨材である耐火性粒子の平均粒径の50%以下であることが好ましい。
    金属珪素は焼成で溶けて集合しながら耐火性粒子にまとわりつくように移動するため、その粒径が耐火性粒子の粒径の50%を超えると、成形時に同金属珪素粒子が占有していた空間が大きな空隙となって残り、強度低下を招いたり、フィルターとして使用する場合にはフィルター効率低下(濾過漏れ)の原因となったりする。

    【0039】 また、一般に、ハニカム構造体の押出成形時には、粒度差のある原料粉末2種以上を混合する方が滑らかに押し出すことができ、多孔体として適切な組織を得るためにも、金属珪素の平均粒径を、骨材である耐火性粒子の平均粒径の50%以下にすることが好ましい。

    【0040】 耐火性粒子を骨材とし、金属珪素及び必要に応じて造孔剤等を配合してなる坏土を、ハニカム形状に滑らかに押出成形するため、成形助剤として、1種以上の有機バインダーを、主原料(耐火性粒子原料と金属珪素)の合計量に対し外配で2重量%以上添加することが好ましい。 しかしながら、30重量%を超える添加は、仮焼後に過剰な高気孔率を招き、強度不足に至らしめるため好ましくない。

    【0041】 更に、隔壁の厚さが20mil(508
    μm)以下のハニカム構造体に押出成形する場合には、
    4〜20重量%の範囲で添加することが好ましい。 添加量が4重量%未満では斯様な薄壁に押し出すことが難しく、逆に、20重量%を超えると、押し出し後にその形状を維持することが困難となる。

    【0042】 ハニカム構造体をフィルターとして使用する場合には、気孔率を高める目的で、坏土の調合時に造孔剤を添加してもよい。 造孔剤の添加量は、主原料(耐火性粒子原料と金属珪素)の合計量に対し、外配で30重量%以下とすることが好ましい。 添加量が30重量%を超えると、過度に気孔率が高くなり強度不足に至る。

    【0043】 なお50%以上の高気孔率であるハニカム構造体を得る場合においても、造孔剤を添加することが好ましい。 このとき使用する造孔剤の種類、及び平均粒径等を適宜選択することにより、細孔径分布が制御された高気孔率であるハニカム構造体を作製することができる。 即ち、本発明においては骨材である耐火性粒子の粒子間の間隙が気孔となるが、骨材である耐火性粒子の平均粒径の1.2〜4倍の粒径を有する造孔剤を適当量添加することにより、耐火性粒子の粒子間の間隙と、造孔剤の焼失跡との2つの細孔径分布からなる細孔径分布を有する高気孔率のハニカム構造体を作製することができる。 したがって、耐火性粒子及び造孔剤の粒径を適当に選択することで、必要な細孔径分布に対応した柔軟な材料設計が可能となる。

    【0044】 一方、細孔径が大きいハニカム構造体を作製するために、粒径の大きな耐火性粒子や金属珪素を用いる場合においても、耐火性粒子の平均粒径の0.5
    倍以下の粒径を有する造孔剤を適当量添加することにより、押出成形時に滑らかに坏土を押し出すことができる。 したがって、成形性を下げることなく高気孔率のハニカム構造体を作製することができる。

    【0045】 使用する造孔剤の種類は、特に限定されることはないが、具体的にはグラファイト、小麦粉、澱粉、フェノール樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等を挙げることができる。 造孔剤は、目的に応じて1種又は2種以上組み合わせて用いてもよい。

    【0046】 前記原料を常法により混合及び混練して得られた坏土を、押出成形法等により所望のハニカム形状に成形する。 次いで、得られた成形体を仮焼して成形体中に含まれる有機バインダーを除去(脱脂)した後、
    本焼成を行う。 仮焼は、金属珪素が溶融する温度より低い温度にて実施することが好ましい。 具体的には、15
    0〜700℃程度の所定の温度で一旦保持してもよく、
    また、所定温度域で昇温速度を50℃/hr以下に遅くして仮焼してもよい。

    【0047】 所定の温度で一旦保持する手法については、使用した有機バインダーの種類と量により、一温度水準のみの保持でも複数温度水準での保持でもよく、更に複数温度水準で保持する場合には、互いに保持時間を同じにしても異ならせてもよい。 また、昇温速度を遅くする手法についても同様に、ある一温度区域間のみ遅くしても複数区間で遅くしてもよく、更に複数区間の場合には、互いに速度を同じとしても異ならせてもよい。

    【0048】 仮焼の雰囲気については、酸化雰囲気でもよいが、成形体中に有機バインダーが多く含まれる場合には、仮焼中にそれ等が酸素で激しく燃焼して成形体温度を急激に上昇せしめることがあるため、N 2 、Ar
    等の不活性雰囲気で行うことによって、成形体の異常昇温を抑制することも好ましい手法である。 この異常昇温の抑制は、熱膨張係数の大きい(熱衝撃に弱い)原料を用いた場合に重要な制御である。 有機バインダーを、例えば主原料に対して20重量%(外配)以上添加した場合には、前記不活性雰囲気にて仮焼するのが好ましい。
    また、耐火性粒子がSiC粒子である場合の他、高温での酸化が懸念されるものである場合にも、少なくとも酸化が始まる温度以上では、前記のような不活性雰囲気で仮焼を行うことによって、成形体の酸化を抑制することが好ましい。

    【0049】 仮焼とそれに続く本焼成は、同一のあるいは別個の炉にて、別工程として行ってもよく、また、
    同一炉での連続工程としてもよい。 仮焼と本焼成を異なる雰囲気にて実施する場合には前者も好ましい手法であるが、総焼成時間、炉の運転コスト等の見地からは後者の手法も好ましい。

    【0050】 耐火性粒子が金属珪素で結合された組織を得るためには、金属珪素が軟化する必要がある。 金属珪素の融点は1410℃であるので、本焼成の際の焼成温度は1400℃以上とすることが好ましい。 更に最適な焼成温度は、微構造や特性値から決定される。 ただし、1800℃を超える温度では金属珪素の蒸発が進んで金属珪素を介した結合が困難になるため、焼成温度としては1400〜1800℃が適当である。

    【0051】 なお、前記の特開平6−182228号公報に示される再結晶法を用いた製造方法は、炭化珪素粒子同士で結合するために高い熱伝導率の焼結体が得られるが、先に述べたように蒸発凝縮という機構で焼結するので、炭化珪素を蒸発させるために、本発明の製造方法よりも高い焼成温度を必要とし、実用上使用可能な炭化珪素焼結体を得るためには少なくとも1800℃以上、通常は2000℃以上の高温で焼成する必要がある。

    【0052】 本焼成の雰囲気については、耐火性粒子の種類によって選択することが好ましく、例えば、Si
    Cをはじめとする炭化物の粒子、Si 34 、AlNに代表される窒化物の粒子等、高温での酸化が懸念されるものについては、少なくとも酸化が始まる温度以上の温度域においては、N 2 、Ar等の非酸化雰囲気とすることが好ましい。

    【0053】

    【実施例】 以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

    【0054】(実施例1〜13、比較例1〜2)表1に示すような平均粒径を有するSiC原料粉末と、平均粒径4μmの金属Si粉末とを、同表に示す組成となるように配合し、この粉末100重量部に対して、有機バインダーとしてメチルセルロース6重量部、界面活性剤2.5重量部、及び水24重量部を加え、均一に混合及び混練して成形用の坏土を得た。 得られた坏土を、押出成形機にて外径45mm、長さ120mm、隔壁厚さ0.43mm、セル密度100セル/平方インチ(16
    セル/cm 2 )のハニカム形状に成形した。 このハニカム成形体を酸化雰囲気において550℃で3時間、脱脂のための仮焼を行った後、非酸化雰囲気において表1に示す焼成温度にて2時間の焼成を行い、多孔質でハニカム構造の炭化珪素焼結体を作製した。 この焼結体について、水銀ポロシメーターにて平均細孔径と気孔率を、また、レーザーフラッシュ法にて熱伝導率をそれぞれ測定し、更に4点曲げ強度を測定して、その結果を表1に示した。 また図2に、実施例1において作製した炭化珪素質焼結体の結晶構造である顕微鏡写真を示した。 更に、
    配合した金属Si粉末の量(wt%)に対して気孔率(%)、強度(MPa)、熱伝導率(W/mK)をプロットしたグラフを図1に示した。 なお、X線回折にて結晶相を同定したところ、SiC及びSiからなっていることが確認された。

    【0055】

    【表1】

    【0056】(考察)比較例1においては強度・熱伝導率の低下、比較例2においては気孔率の低下を確認することができた。 これに対し、本発明に係る実施例1〜1
    3においては例えば、ディーゼルエンジンから排出される排気ガス中に含まれるパティキュレートを捕集除去するためのDPF等として用いる場合に要求される気孔率・強度・熱伝導率について、十分な数値を示している。
    また、図1に示すグラフから、金属Si粉末の好適な添加量は、SiC原料粉末と金属Si粉末の合計量に対して5〜50重量%の範囲に存在することがわかる。 このことにより、本発明の優れた効果を確認することができた。

    【0057】(実施例14〜20)表2に示すような平均粒径を有するSiC原料粉末、金属Si粉末を、同表の組成となるように配合し、さらにこの粉末100重量部に対して、造孔剤としてポリメタクリル酸メチルの粉末を同表に示す重量部、有機バインダーとしてメチルセルロース8重量部、界面活性剤2.5重量部、及び水2
    8重量部を加え、その後は実施例1〜13と同様の方法にてハニカム構造の炭化珪素焼結体を作製した。 なお焼成温度はいずれも1450℃にて行った。 この焼結体について、水銀ポロシメーターにより平均細孔径と気孔率を、またレーザーフラッシュ法にて熱伝導率をそれぞれ測定した。

    【0058】

    【表2】

    【0059】(考察)表2から明らかなように、本発明のハニカム構造体は、例えば、触媒を担持させた自動車排気ガス浄化用のフィルター等として用いる場合に要求される気孔率、熱伝導率及び平均細孔径について、十分な数値を示している。 また、骨材であるSiC粉末の粒径を大きくした場合(実施例16〜19)であっても、
    造孔剤の粒径や配合量を調整することによって、成形不良を起こすことなくハニカム構造体を作製することができた。 このことにより、本発明の優れた効果を確認することができた。

    【0060】

    【発明の効果】 以上説明したように、本発明のハニカム構造体は、炭化珪素粒子等の耐火性粒子を含みながらも、その製造時において比較的低い焼成温度で焼結させることができるので、製造コストを抑えるとともに歩留まりも向上し、安価に提供することができる。 また、ガラス質を利用して耐火性粒子を結合させた従来の構造体に比して高い熱伝導率を有するので、例えばDPFに使用した場合において、フィルター再生のために堆積したパティキュレートを燃焼させても、フィルターを損傷させるような局所的な発熱が生じない。 更に、気孔率や熱伝導率が所定の数値範囲であり、圧力損失の低い多孔質のハニカム構造体であるので、触媒を担持させた自動車排気ガス浄化用のフィルター等として高SV条件下でも好適に使用できる。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】 配合した金属Si粉末の量(wt%)に対して気孔率(%)、強度(MPa)、熱伝導率(W/m
    K)をプロットしたグラフである。

    【図2】 実施例1において作製した炭化珪素質焼結体の結晶構造である顕微鏡写真である。

    【符号の説明】

    10…金属珪素、11…炭化珪素粒子、12…気孔。

    フロントページの続き (51)Int.Cl. 7識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01J 35/04 301 B01J 35/04 301Z C04B 38/06 B C04B 38/06 F01N 3/02 301B F01N 3/02 301 B01D 53/36 ZABC (72)発明者 川崎 真司 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日 本碍子株式会社内 (72)発明者 阪井 博明 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日 本碍子株式会社内 Fターム(参考) 3G090 AA02 4D019 AA01 AA03 BA05 BB06 BC12 BC20 BD01 BD10 CA01 CB04 CB06 4D048 BB02 BB17 BB20 4G019 FA12 FA13 GA04 JA02 4G069 AA01 AA08 CA02 CA03 DA06 EA19 EB12X EB12Y EB15X EB15Y EC17X EC17Y EC27

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