寸法の安定したジオポリマー組成物および方法

申请号 JP2015509036 申请日 2013-04-19 公开(公告)号 JP2015514675A 公开(公告)日 2015-05-21
申请人 ユナイテッド・ステイツ・ジプサム・カンパニー; 发明人 アシッシュ・デュービー;
摘要 セメント製品、例えばコンクリート、プレキャスト建築要素およびパネル、モルタル、ならびに修復材など用のジオポリマーセメント質結合剤組成物を作る方法が開示される。いくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物は、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、アルミン酸カルシウムセメント、 硫酸 カルシウム、および化学活性化剤からなる相乗的混合物を 水 と混合することで作られる。【選択図】図3B
权利要求

アルミノケイ酸塩ジオポリマー組成物であって、 ; アルカリ金属塩、アルカリ金属塩基、およびそれらの混合物からなる群より選択される化学活性化剤;および セメント質反応性材料であって、該セメント質反応性材料は、 熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物; アルミン酸カルシウムセメント;および 硫酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム半水和物、無水硫酸カルシウム、およびそれらの混合物からなる群より選択される硫酸カルシウム、を含む、セメント質反応性材料 からなる反応生成物を含む、アルミノケイ酸塩ジオポリマー組成物。前記化学活性化剤対前記セメント質反応性材料の重量比は、約1〜約6:100であり; 前記水対前記セメント質反応性材料の重量比は、約0.17〜約0.40:1であり; 前記アルミン酸カルシウムセメント対前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の重量比は、約2〜約100:100であり;かつ 前記硫酸カルシウム対前記アルミン酸カルシウムセメントの重量比は、約2〜約100:100である、 請求項1に記載の組成物。前記化学活性化剤対前記セメント質反応性材料の重量比は、約1〜約6:100であり;かつ 前記セメント質反応性材料は、 前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物を約35〜約96重量%、 前記アルミン酸カルシウムセメントを約2〜約45重量%、 前記硫酸カルシウムを約1〜約45重量% を含む、 請求項1に記載の組成物。前記化学活性化剤は、クエン酸アルカリ金属塩を含み、かつ前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物はC級フライアッシュを含む、請求項1に記載の組成物。前記化学活性化剤は、クエン酸アルカリ金属塩を含み、かつ 前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物は、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100重量部あたり約50〜約100部のC級フライアッシュを含む、 請求項1に記載の組成物。前記反応生成物は、前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物およびアルミン酸カルシウムセメントの量に対して、前記反応生成物が水と混合してから所定の時間で凝結終了するのに有効な量で、前記化学活性化剤および硫酸カルシウムを含む、請求項1に記載の組成物。前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物および前記アルミン酸カルシウムセメントの量に対する前記化学活性化剤および前記硫酸カルシウムの前記量は、前記反応生成物が、水と混合してから約240分以内に凝結終了するのに有効である、請求項6に記載の組成物。前記反応生成物は、前記化学活性化剤、前記硫酸カルシウム、および前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の量に対して、前記反応生成物が、水と混合してから所定の時間で凝結終了するのに有効な量のアルミン酸カルシウムセメントを含む、請求項1に記載の組成物。前記化学活性化剤、前記硫酸カルシウム、および前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の量に対する前記アルミン酸カルシウムセメントの量は、前記反応生成物が、水と混合してから約240分以内に凝結終了するのに有効である、請求項8に記載の組成物。前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物および前記アルミン酸カルシウムセメントの量に対する前記化学活性化剤および前記硫酸カルシウムの量は、前記反応生成物が、水と混合してから約30〜約70分で凝結終了し、かつ3500psi(24MPa)超の28日材齢での圧縮強度を有するのに有効であり;かつ 前記セメント質反応性材料は硫酸カルシウム二水和物を含有し; 該硫酸カルシウム二水和物対前記アルミン酸カルシウムセメントの重量比は約17〜約67:100であり; 前記セメント質反応性材料および前記化学活性化剤はクエン酸アルカリ金属塩を含み、該クエン酸アルカリ金属塩対前記セメント質反応性材料の重量比は約2〜約3:100であり;かつ 該硫酸カルシウム二水和物は、平均粒子径が約1〜約30ミクロンである、 請求項1に記載の組成物。化学活性化剤対セメント質反応性材料の重量比は、約2〜約4:100であり; 前記セメント質反応性材料は、無水硫酸カルシウムを含有し、 該無水硫酸カルシウム対前記アルミン酸カルシウムセメントの重量比は、約20〜約50:100であり; 該無水硫酸カルシウムは、平均粒子径が約1〜約20ミクロンであり;かつ 前記組成物は、凝結終了時間が約40〜約60分であり、かつ4時間材齢での圧縮強度が2500psi(17MPa)超であり、かつ28日材齢での圧縮強度が10000psi(69MPa)超である、 請求項1に記載の組成物。前記硫酸カルシウムは、平均粒子径が約1〜約30ミクロンであり; 前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物および前記アルミン酸カルシウムセメントの量に対する前記化学活性化剤および前記硫酸カルシウムの量は、28日材齢での圧縮強度が3500psi(24MPa)超となるのに有効であり;かつ 前記セメント質反応性材料は前記硫酸カルシウム半水和物を含有する、 請求項1に記載の組成物。前記反応生成物は、前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の量に対して、前記組成物の収縮を0.3%未満に抑えるのに有効な量で、前記アルミン酸カルシウムセメント、前記硫酸カルシウム、および前記化学活性化剤を含む、請求項1に記載の組成物。前記組成物の前記収縮は、0.05%未満に抑えられている、請求項1に記載の組成物。前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物はC級フライアッシュを含み; 前記セメント質反応性材料は、 前記フライアッシュを約65〜約95重量%、 前記アルミン酸カルシウムセメントを約2〜約30重量%、および 前記硫酸カルシウムを約0.2〜約15重量% 含む、 請求項1に記載の組成物。前記セメント質反応性材料は、 前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物を約40%〜約85重量%、前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物はC級フライアッシュを含む; 前記アルミン酸カルシウムセメントを約6%〜約40重量%、および 前記硫酸カルシウムを約3.0%〜約24重量%;含み、かつ 化学活性化剤対セメント質反応性材料の重量比は、約1.25〜約4.00:100である、 請求項1に記載の組成物。前記セメント質反応性材料は、 前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物を約50%〜約80重量%、前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物はC級フライアッシュを含む、 前記アルミン酸カルシウムセメントを約10%〜約36重量%、および 前記硫酸カルシウムを約5.0%〜約18重量%;含み、かつ 前記化学活性化剤対前記セメント質反応性材料の重量比は、約1.25〜約4:100である、請求項1に記載の組成物。前記反応生成物は、平均粒子径が約1〜約100ミクロンの硫酸カルシウムを用いて形成される、請求項1に記載の組成物。ポルトランドセメントは、前記セメント質反応性材料の15重量%未満である、請求項1に記載の組成物。さらにフィラーを含む、請求項1に記載の組成物。前記混合物は、さらにフィラーおよびスルホアルミン酸カルシウムセメントを含む、4時間材齢での圧縮強度が約2500psiを超える、請求項1に記載の組成物。前記混合物は、さらに炭酸リチウムを含み、凝結終了時間が約1.5〜約2.5時間である、請求項1に記載の組成物。前記組成物は、コンクリートに対する引張結合強度が200psiを超える、請求項1に記載の組成物。4時間材齢での圧縮強度が1000psi(6.9MPa)超である、請求項1に記載の組成物。24時間材齢での圧縮強度が1500psi(10MPa)超である、請求項1、2、または23に記載の組成物。28日材齢での圧縮強度が3500psi(24MPa)超である、請求項1、2、または23に記載の組成物。28日材齢での水飽和圧縮強度が約3500psi(24MPa)〜約10000psi(69MPa)である、請求項1、2、または23に記載の組成物。前記反応生成物は、水スラリー中での発熱反応から生じたものであり、前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の量に対する、前記アルミン酸カルシウムセメント、前記硫酸カルシウム、および前記化学活性化剤の量は、スラリー温度の最大上昇を約50°Fまでに抑えるのに有効である、請求項1に記載の組成物。前記水対前記セメント質反応性材料の重量比は、0.4未満:1である、請求項1に記載の組成物。前記水対前記セメント質反応性材料の重量比は、0.3未満:1である、請求項1に記載の組成物。前記組成物は、スランプ試験において、直径が約7〜約9インチあり乾燥の際に亀裂を生じないスランプパテを製造するのに十分な流動性および作業性を有する、請求項1、29、または30に記載の組成物。前記組成物は、スランプ試験において、直径が約9.5〜約11インチあり乾燥の際に亀裂を生じないスランプパテを製造するのに十分な流動性および作業性を有する、請求項1、29、または30に記載の組成物。前記反応生成物は、 約500psi(3.5MPa)〜約4000psi(28MPa)の4時間材齢での圧縮強度; 約1500psi(10MPa)〜5000psi(34.5MPa)の24時間材齢での圧縮強度; 約3500psi(24MPa)〜約10000psi(69MPa)の28日材齢での圧縮強度;を有し、かつ 前記混合物は、混合物が水で反応してからの凝結終了時間が、約10分〜約240分である、 請求項1、13、または14に記載の組成物。建築修復材である、請求項1に記載の組成物。床修復材である、請求項1に記載の組成物。基材を覆う自己平滑化床下張り材である、請求項1に記載の組成物。荷重負担構造体である、請求項1に記載の組成物。パネル仕上げ材である、請求項1に記載の組成物。建築資材の結合材である、請求項1に記載の組成物。レンガ、ブロック、および石からなる群より選択される建築資材である、請求項1に記載の組成物。壁仕上げ材である、請求項1に記載の組成物。交通負担面用舗装材である、請求項1に記載の組成物。交通負担面用修復材である、請求項1に記載の組成物。重量負担面用材である、請求項1に記載の組成物。屋根材である、請求項1に記載の組成物。吹き付けコンクリート材である、請求項1に記載の組成物。モルタルである、請求項1に記載の組成物。請求項1から24のいずれか1項に記載のアルミノケイ酸塩ジオポリマー組成物を調製する方法であって、 水; アルカリ金属塩、アルカリ金属塩基、およびそれらの混合物からなる群より選択される化学活性化剤;および セメント質反応性材料であって、該セメント質反応性材料は、 熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物; アルミン酸カルシウムセメント;および 硫酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム半水和物、無水硫酸カルシウム、およびそれらの混合物からなる群より選択される硫酸カルシウム、を含む、セメント質反応性材料 からなる混合物を反応させる工程を含む、方法。アルミノケイ酸塩ジオポリマー組成物を形成する混合物であって、 熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物; アルミン酸カルシウムセメント、および 硫酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム半水和物、無水硫酸カルシウム、およびそれらの混合物からなる群より選択される硫酸カルシウム;を含み、 該アルミン酸カルシウムセメント対該熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の重量比は、約1〜約100:100であり;かつ 該硫酸カルシウム対該アルミン酸カルシウムセメントの重量比は、約2〜約100:100である、 混合物。さらに、アルカリ金属塩、アルカリ金属塩基、およびそれらの混合物からなる群より選択される化学活性化剤を含む、請求項49に記載の混合物。アルミノケイ酸塩ジオポリマー組成物を形成するセメント質反応性材料であって、 熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物を約35〜約96重量%; アルミン酸カルシウムセメントを約2〜約45重量%、および 硫酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム半水和物、無水硫酸カルシウム、およびそれらの混合物からなる群より選択される硫酸カルシウム、を含む、 セメント質反応性材料。硫酸カルシウムを約1〜約45重量%含む、請求項51に記載のセメント質反応性材料。前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物を約65〜約95重量%、前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物はC級フライアッシュを含む; 前記アルミン酸カルシウムセメントを約2〜約30重量%、および 前記硫酸カルシウムを約0.2〜約15重量%含む、 請求項51に記載のセメント質反応性材料。前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物を約50%〜約80重量%、前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物はC級フライアッシュを含む、 前記アルミン酸カルシウムセメントを約10%〜約36重量%、および 前記硫酸カルシウムを約5.0%〜約18重量%含む、 請求項51に記載のセメント質反応性材料。ポルトランドセメントは前記セメント質反応性材料の15重量%未満である、請求項51に記載のセメント質反応性材料。アルミノケイ酸塩ジオポリマー組成物を形成する混合物であって、 アルカリ金属塩、アルカリ金属塩基、およびそれらの混合物からなる群より選択される化学活性化剤;および 請求項51に記載のセメント質反応性材料を含む、 混合物。

アルミノケイ酸塩ジオポリマー組成物であって、 水; アルカリ金属塩、アルカリ金属塩基、およびそれらの混合物からなる群より選択される化学活性化剤;および セメント質反応性材料であって、該セメント質反応性材料は、 熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物; アルミン酸カルシウムセメント;および 硫酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム半水和物、無水硫酸カルシウム、およびそれらの混合物からなる群より選択される硫酸カルシウム、を含む、セメント質反応性材料 からなる反応生成物を含み、 該化学活性化剤対該セメント質反応性材料の重量比は約1〜約6:100であり;かつ 該セメント質反応性材料は、 該熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物を約35〜約96重量%、 該アルミン酸カルシウムセメントを約2〜約45重量%、 該硫酸カルシウムを約1〜約45重量%含む、 アルミノケイ酸塩ジオポリマー組成物。前記化学活性化剤対前記セメント質反応性材料の重量比は、約1〜約6:100であり; 前記水対前記セメント質反応性材料の重量比は、約0.17〜約0.40:1であり; 前記アルミン酸カルシウムセメント対前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の重量比は、約2〜約100:100であり;かつ 前記硫酸カルシウム対前記アルミン酸カルシウムセメントの重量比は、約2〜約100:100である、 請求項1に記載の組成物。前記化学活性化剤は、クエン酸アルカリ金属塩を含み、かつ前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物はC級フライアッシュを含む、請求項1に記載の組成物。前記反応生成物は、前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物およびアルミン酸カルシウムセメントの量に対して、前記反応生成物が水と混合してから所定の時間で凝結終了するのに有効な量で、前記化学活性化剤および硫酸カルシウムを含む、請求項1に記載の組成物。前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物および前記アルミン酸カルシウムセメントの量に対する前記化学活性化剤および前記硫酸カルシウムの量は、前記反応生成物が、水と混合してから約30〜約70分で凝結終了し、かつ3500psi(24MPa)超の28日材齢での圧縮強度を有するのに有効であり;かつ 前記セメント質反応性材料は硫酸カルシウム二水和物を含有し; 該硫酸カルシウム二水和物対前記アルミン酸カルシウムセメントの重量比は約17〜約67:100であり; 前記セメント質反応性材料および前記化学活性化剤はクエン酸アルカリ金属塩を含み、該クエン酸アルカリ金属塩対前記セメント質反応性材料の重量比は約2〜約3:100であり;かつ 該硫酸カルシウム二水和物は、平均粒子径が約1〜約30ミクロンである、 請求項1に記載の組成物。化学活性化剤対セメント質反応性材料の重量比は、約2〜約4:100であり; 前記セメント質反応性材料は、無水硫酸カルシウムを含有し、 該無水硫酸カルシウム対前記アルミン酸カルシウムセメントの重量比は、約20〜約50:100であり; 該無水硫酸カルシウムは、平均粒子径が約1〜約20ミクロンであり;かつ 前記組成物は、凝結終了時間が約40〜約60分であり、かつ4時間材齢での圧縮強度が2500psi(17MPa)超であり、かつ28日材齢での圧縮強度が10000psi(69MPa)超である、 請求項1に記載の組成物。前記反応生成物は、前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の量に対して、前記組成物の収縮を0.3%未満に抑えるのに有効な量で、前記アルミン酸カルシウムセメント、前記硫酸カルシウム、および前記化学活性化剤を含む、請求項1に記載の組成物。前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物はC級フライアッシュを含み; 前記セメント質反応性材料は、 前記フライアッシュを約65〜約95重量%、 前記アルミン酸カルシウムセメントを約2〜約30重量%、および 前記硫酸カルシウムを約0.2〜約15重量% を含む、 請求項1に記載の組成物。前記反応生成物は、水スラリー中での発熱反応から生じたものであり、前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の量に対する、前記アルミン酸カルシウムセメント、前記硫酸カルシウム、および前記化学活性化剤の量は、スラリー温度の最大上昇を約50°Fまでに抑えるのに有効である、請求項1に記載の組成物。前記組成物は、スランプ試験において、直径が約7〜約11インチあり乾燥の際に亀裂を生じないスランプパテを製造するのに十分な流動性および作業性を有する、請求項1に記載の組成物。前記反応生成物は、 500psi(3.5MPa)〜4000psi(28MPa)の4時間材齢での圧縮強度; 1500psi(10MPa)〜5000psi(34.5MPa)の24時間材齢での圧縮強度; 3500psi(24MPa)〜10000psi(69MPa)の28日材齢での圧縮強度を有し、かつ 前記混合物は、混合物が水で反応してからの凝結終了時間が、10分〜240分である、 請求項1に記載の組成物。以下からなる群より選択される形のものである、請求項1に記載の組成物:建築修復材、床修復材、基材を覆う自己平滑化床下張り材、荷重負担構造体、パネル仕上げ材、建築資材の結合材、レンガ、ブロック、および石からなる群より選択される建築資材、壁仕上げ材、交通負担面用舗装材、交通負担面用修復材、重量負担面用材、屋根材、吹き付けコンクリート材、およびモルタル。請求項1から11のいずれか1項に記載のアルミノケイ酸塩ジオポリマー組成物を調製する方法であって、 水; アルカリ金属塩、アルカリ金属塩基、およびそれらの混合物からなる群より選択される化学活性化剤;および セメント質反応性材料であって、該セメント質反応性材料は、 熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物; アルミン酸カルシウムセメント;および 硫酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム半水和物、無水硫酸カルシウム、およびそれらの混合物からなる群より選択される硫酸カルシウム、を含む、セメント質反応性材料 からなる混合物を反応させる工程を含む、方法。アルミノケイ酸塩ジオポリマー組成物を形成する混合物であって、 熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物; アルミン酸カルシウムセメント、 硫酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム半水和物、無水硫酸カルシウム、およびそれらの混合物からなる群より選択される硫酸カルシウムを含み、かつアルカリ金属塩、アルカリ金属塩基、およびそれらの混合物からなる群より選択される化学活性化剤を含み、 該アルミン酸カルシウムセメント対該熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の重量比は、約1〜約100:100であり;かつ 該硫酸カルシウム対該アルミン酸カルシウムセメントの重量比は、約2〜約100:100である、 混合物。アルミノケイ酸塩ジオポリマー組成物を形成するセメント質反応性材料であって、 熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物を約35〜約96重量%; アルミン酸カルシウムセメントを約2〜約45重量%、および 硫酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム半水和物、無水硫酸カルシウム、およびそれらの混合物からなる群より選択される硫酸カルシウムを約1%〜約45重量%、ならびにアルカリ金属塩、アルカリ金属塩基、およびそれらの混合物からなる群より選択される化学活性化剤を含む、 セメント質反応性材料。

说明书全文

本発明は、概して、多彩な用途に利用できる、アルミノケイ酸系ジオポリマー含有セメント質組成物に関する。詳細には、本発明は、概して、凝結時間、寸法安定性、養生の際の材料の全体的な収縮の減少、および他の望ましい性質に関して、望ましい性質を提供するそのようなセメント質組成物に関する。

Koの米国特許第6,572,698号は、アルミノケイ酸塩類、硫酸カルシウム、およびアルカリ金属塩含有活性化剤を含有する、活性化アルミノケイ酸塩組成物を開示する。アルミノケイ酸塩類は、高炉スラグ、粘土、泥灰土、および産業副産物(フライアッシュなど)からなる群より選択されるもので、Al2O3含量が5重量%より高い。高炉スラグは、35重量%未満の量で存在し、セメントキルンダスト(CKD)が、活性化剤として、1〜20重量%の量でこの混合物に添加される。

Galerらの米国特許第4,488,909号は、急結可能なセメント質組成物を記載する。このセメント質組成物は、ポルトランドセメント、アルミナセメント、硫酸カルシウム、および石灰を含む。ポゾラン(フライアッシュ、モンモリロナイト粘土、珪藻土、および軽石粉など)を、約25%まで添加することができる。このセメント組成物は、アルミナセメントを約14〜21重量%含む。Galerらは、アルミン酸塩をアルミナセメント(HAC)に使用し、および硫酸イオンを石膏に使用することで、エトリンガイトの形成および、それらのセメント質混合物の急結を達成した。

Perez−Penaらの米国特許第6,869,474号は、セメント系製品(セメントボードなど)製造用のセメント質組成物を記載する。この組成物は、硬性セメント(ポルトランドセメントなど)にアルカノールアミンを添加し、初期スラリー温度を最低でも90°F(32℃)にする条件下で、水を加えてスラリーを形成させることにより、得られる。アルミナセメント、硫酸カルシウム、およびポゾラン材料(フライアッシュなど)などの追加の反応性材料を含めることができる。

Perez−Penaらの米国特許第7,670,427号は、セメント系製品(セメントボードなど)製造用のセメント質組成物について、若材齢での圧縮強度と合わせて述べており、この組成物は、アルカノールアミンおよびリン酸塩を水硬性セメント(ポルトランドセメントなど)に添加し、初期スラリー温度を最低でも90°F(32℃)にする条件下で、水を加えてスラリーを形成させることにより、得られる。アルミナセメント、硫酸カルシウム、およびポゾラン材料(フライアッシュなど)などの追加の反応性材料を含めることができる。

Perez−Penaの米国特許出願公開第2010−0071597号は、凝結時間が短く若材齢で比較的高い圧縮強度を有するコンクリート混合物を形成するための、フライアッシュおよびクエン酸アルカリ金属塩(クエン酸ナトリウムなど)を用いた配合物を開示する。水硬性セメントおよび石膏を、この配合物の上限25重量%まで用いることができるが、それらの使用は望ましくない。この出願に記載される活性化フライアッシュ組成物は、空気連行に用いられる従来の発泡系と相互作用することが可能であり、それにより軽量ボードを作ることができる。

Brookらの米国特許第5,536,310号は、水硬性セメント(ポルトランドセメントなど)を10〜30重量部(pbw)、フライアッシュを50〜80pbw、カルボン酸(クエン酸など)またはそのアルカリ金属塩(例えば、クエン酸トリカリウム、またはクエン酸トリナトリウムなど)を遊離酸として表して0.5〜8.0pbw含有し、合わせて他の従来添加物(ホウ酸またはホウ砂などの、凝結遅延添加剤など)を含有するセメント質組成物を開示する。

Dubeyの米国特許第6,641,658号は、ポルトランドセメントを35〜90%、ポゾランを0〜55%、アルミナセメントを5〜15%、および従来の溶解性石膏粉/石膏の代わりに不溶性無水物の形態の硫酸カルシウムを1〜8%含有することで、ポゾラン(例えば、フライアッシュ)の使用量が多いにもかかわらず熱放出が増加し凝結時間が短くなった、ポルトランドセメント系セメント質組成物を開示する。このセメント質組成物は、軽量骨材およびフィラー、流動化剤、ならびにクエン酸ナトリウムなどの添加剤を含むことができる。

Nakashimaらの米国特許第7618490号は、スルホアルミン酸カルシウム、アルミノケイ酸カルシウム、水酸化カルシウム、フッ素源、およびポルトランドセメントコンクリートのうち1種または複数を含む、急結吹き付け材料を開示する。硫酸カルシウムは、無水物を添加しても、半水和物を添加してもよい。

Nakanoらの米国特許第4655979号は、ケイ酸カルシウム系セメント、アルカリ金属凝結遅延剤、スルホアルミン酸カルシウム(CSA)セメント、および任意選択の、コンクリート組成物に添加可能な硫酸カルシウムを用いて、気泡コンクリートを製造するプロセスを開示する。

Godfreyらの米国特許出願公開第2008/0134943号は、少なくとも1種のアルカリ土類スルホアルミン酸塩、および硫酸カルシウム、ならびに任意選択の無機フィラー(高炉スラグなど)、粉体燃料アッシュ、微粉シリカ、石灰石、ならびに有機および無機の流動化剤で構成される廃棄物封入材料を開示する。好ましくは、少なくとも1種のアルカリ土類金属スルホアルミン酸塩は、スルホアルミン酸カルシウム(CSA)を含む。適切な組成物は、例えば、少なくとも1種のアルカリ土類金属スルホアルミン酸塩を、石膏および粉体燃料アッシュ(PFA)と組み合わせて含むことができ、組成物中、石膏粒子の約86%は、粒子径が76um未満であり、PFA粒子のおよそ88%は、粒子径が45um以下である。1つの例は、75%の(70:30のCSA:CaSO4・2H2O);25%の粉体燃料アッシュからなり;水/固形分比は0.65である。

Liらの米国特許6730162号は、二元セメント質組成物を開示し、この組成物に含まれる第一の水硬性結合剤は、C4A3S(化学表記中、C=CaO、S=SiO2、A=Al2O3(言い換えると、スルホアルミン酸カルシウム)である)を2.5%〜95重量%ならびに硫酸カルシウムの半水和物および/または無水物を2.5〜95重量%含有する。スルホアルミナセメントまたはフェロアルミナセメントは、C4A3Sを含有するセメントの例である。この組成物は、スラグ、フライアッシュ、ポゾラン、シリカスート、石灰石(細粒)、石灰産業副産物、および廃石からなる群より選択される鉱物フィラー添加剤も含むことができる。

Dengらの中国特許出願公開第101921548号は、90〜95重量%のスルホアルミン酸塩クリンカー、ならびに無水石膏、石英砂、廃棄物焼却で生じたフライアッシュ、ヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル、再分散可能な接着剤粉末、および繊維でできた、スルホアルミン酸塩セメント組成物を開示する。このスルホアルミン酸塩クリンカーおよび無水石膏は、スルホアルミン酸塩セメントの基準、すなわちGB20472−2006を満たす。

Jungらの韓国特許出願公開第549958号は、アルミナセメント、CSA、石膏、クエン酸カルシウム、およびヒドロキシルカルボン酸からなる組成物を開示する。

Nohの韓国特許出願公開第2009085451号は、粉末高炉スラグ、石膏、およびCSAからなる組成物を開示する。この石膏は、平均粒子径が4ミクロン以下であってもよい。

韓国特許出願公開第2009025683号は、コンクリートおよびモルタルに使用される粉末型防水材料を開示し、この材料は、セメント、無水石膏、シリカ粉末、防水粉末、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウム型膨張材料、および無機組成物を粉砕することで得られる。

Gyuらの韓国特許出願公開第2010129104号は、吹き付けコンクリートブレンド用組成物を開示し、この組成物は、以下を含む(重量%単位):メタカオリン(5〜20)、スルホアルミン酸カルシウム(5〜20)、無水石膏(20〜45)、およびフライアッシュ(30〜50)。

寸法の安定したフライアッシュ系ジオポリマー組成物、ならびにフライアッシュ系ジオポリマー組成物混合物の収縮量を低下させ、初期および最終の温度挙動を縮小させ、および凝結時間を短縮する方法が必要とされている。そのような配合物があれば、強度が改善されたセメント質コンクリート製品の製造に使用することができる。

本発明は、改善されたジオポリマーセメント質組成物、およびそのような組成物の作成方法を提供し、本組成物は、以下のような非常に望ましい性質を少なくとも1つ、多くの場合は、複数有する:養生中および養生後の顕著に改善された寸法安定性;改善された、および修飾可能な、凝結開始時間および終了時間;長くなった作業可能時間;混合中、凝結中、および養生中の発熱の修飾;ならびに本明細書中記載されるとおりの改善された性質。そのような実施形態の、全てでないにしても多くの場合において、性質の改善は、若材齢での圧縮強度、最終圧縮強度、または他の強度に関する性質の損失を(もしあったとしても)顕著にもたらすことなく、提供される。実際、実施形態によっては、若材齢での圧縮強度および最終圧縮強度の驚くほどの向上をもたらす。

本発明のこれらおよび他の実施形態が有する改善された性質は、これまでのジオポリマー結合剤(フライアッシュ系結合剤など)、ならびにジオポリマーを顕著な量で含有する可能性のある他のセメント質結合剤に勝る明確な利点を提供する。いくつかの好適な実施形態において、本発明のジオポリマーセメント質組成物は、少なくとも水および1種または複数の乾燥型または粉末型セメント質反応性成分からなる溶液あるいはスラリーから形成される。セメント質反応性成分は、熱活性化ジオポリマーアルミノケイ酸塩材料(フライアッシュなど);アルミン酸カルシウムセメント;および硫酸カルシウムを、有効量で含む。1種または複数のアルカリ金属化学活性化剤(クエン酸アルカリ金属塩、またはアルカリ金属塩基など)も、乾燥型で反応性粉末に添加するか、液状でスラリーに添加するかのいずれかで、溶液に添加することができる。任意選択で、スラリーまたは溶液は、他の添加剤、例えば、高性能減水剤、凝結促進剤または遅延剤、空気連行剤、発泡剤、湿潤剤、軽量骨材または他の骨材、補強材、あるいはスラリーおよび最終製品に性質を提供する、またはそれらの性質を修飾する他の添加剤を、組み込むことができる。

本発明の多くの好適な組成物において、セメント質反応性成分は、その乾燥または粉末型において、全てのセメント質反応性成分の合計乾燥重量に基づいて、約65〜約97重量%の熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物(フライアッシュなど)、約2〜約30重量%のアルミン酸カルシウムセメント、および約0.2〜約15重量%の硫酸カルシウムを含む。本発明の好適な組成物において、セメント質反応性成分は、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100重量部に対して、アルミン酸カルシウムセメントを約1〜約200重量部含む。

他の実施形態において、2種またはそれより多い種類からなるアルミン酸カルシウムセメントとスルホアルミン酸カルシウムセメントのブレンドを用いることができ、アルミン酸カルシウムセメントおよびスルホアルミン酸カルシウムセメントの量および種類は、それらの化学組成および粒子径(ブレーン粉末度)に依存して変化し得る。そのような実施形態および他の実施形態において、アルミン酸カルシウムセメントのブレーン粉末度は、好ましくは約3000超、より好ましくは約4000超、特に好ましくは5000超である。そのような実施形態および他の実施形態において、スルホアルミン酸カルシウムセメントのブレーン粉末度は、好ましくは約3000超、より好ましくは約4000超、さらにより好ましくは5000超、特に好ましくは約6000超である。

いくつかの好適な実施形態において、アルカリ金属化学活性化剤の量は、セメント質反応性材料の合計乾燥重量に基づいて、約0.5%〜約10重量%である。より好ましくは、アルカリ金属化学活性化剤の範囲は、セメント質反応性材料の合計重量の約1%〜約6%、好ましくは約1.25%〜約4%、より好ましくは約1.5%〜約3.5%、特に好ましくは約1.5%〜2.5%である。クエン酸ナトリウムおよびクエン酸カリウムは好適なアルカリ金属酸活性化剤であるが、クエン酸ナトリウムとクエン酸カリウムのブレンドも使用できる。アルカリ金属塩基(アルカリ金属水酸化物など)およびアルカリ金属ケイ酸塩も、用途およびその用途の必要に応じて使用できる。

本発明のこれらおよび他の好適な実施形態は、これまでのフライアッシュジオポリマー組成物とは異なり、拘束状態下および非拘束状態下の両方で、凝結および硬化の際に、寸法が安定しておりかつ亀裂耐性があるジオポリマーセメント質組成物を提供するように配合される。例えば、本発明のある好適な実施形態の短期自由収縮は、典型的には約0.3%未満、好ましくは約0.2%未満、より好ましくは約0.1%未満、特に好ましくは約0.05%未満である(混合してから1〜4時間以内の初期凝結後に測定して)。そのような好適な実施形態において、養生中の組成物の長期収縮も、典型的には約0.3%未満、より好ましくは約0.2%未満、特に好ましくは約0.1%未満である。

これらの実施形態において寸法安定性および収縮をさらに制御する場合、アルミン酸カルシウムセメントの量は、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100重量部に対して約2.5〜約100重量部、より好ましくは熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100重量部に対して約2.5〜約50重量部、特に好ましくは熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100重量部に対して約5〜約30重量部である。材料の収縮により示されるとおりの寸法安定性の制御が重要である実施形態については、アルカリ金属活性化剤の量は、より好ましくはセメント質反応性材料(すなわち、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物(フライアッシュなど)、アルミン酸カルシウムセメント、および硫酸カルシウムなど)の合計乾燥重量の約1〜約3%、さらにより好ましくはセメント質反応性材料の合計乾燥重量の約1.25%〜約2.75%、特に好ましくはセメント質反応性材料の合計乾燥重量の約1.5%〜約2.5%の範囲である。

本発明の好適な実施形態における寸法の安定したジオポリマー組成物は、これまでのジオポリマーセメント質製品と比べて、組成物の養生中の最大温度上昇が驚くほど低下していることを、さらに証明する。このことおよびこれに関連する理由から、これらの実施形態は、熱亀裂に対して予期せぬ度合いで耐性がある。例えば、いくつかの好適な実施形態において、温度上昇は、典型的には、約50oF(28℃)未満、より好ましくは約40oF(22℃)未満、特に好ましくは約30oF(17℃)未満である。

本発明のこれらおよび他の好適な実施形態は、予期せぬ速度の若材齢での強度発現も示す。例えば、そのような実施形態のいくつかにおいて、組成物の材齢4時間での圧縮強度は、約1000psi(6.9MPa)を超える可能性があり、好ましくは約1500psi(10.3MPa)超、特に好ましくは約2500psi(17.2MPa)超の可能性がある。そのような実施形態において、組成物の材齢24時間での圧縮強度発現は、約1500psi(10.3MPa)を超える可能性があり、より好ましくは約2500psi(17.2MPa)超、特に好ましくは約3500psi(24.1MPa)超の可能性がある。これらおよび他の好適な実施形態において、材齢28日での圧縮強度はさらに、約3500psi(24.1MPa)を超える可能性があり、より好ましくは約4500psi(31.0MPa)超、特に好ましくは約5500psi(37.9MPa)超の可能性がある。さらに他の実施形態において、組成物は、1〜4時間後に約500psi(3.5MPa)〜約4000psi(27.6MPa)、より好ましくは24時間後に約1500〜約5000psi(10.3〜34.5MPa)、特に好ましくは28日後に約3500〜約10000psi(24.1〜70MPa)の圧縮強度を発現させることができる。

そのうえさらに、本発明の好適な実施形態のあるものにおけるジオポリマーセメント質組成物は、湿潤条件下でも非常に優れた耐久性を、乾燥圧縮強度と同様な極限湿潤圧縮強度と合わせて有する。例えば、ある実施形態において、組成物の材齢28日での水飽和圧縮強度は、典型的には、約3500psi(24.1MPa)を超える可能性があり、より好ましくは約4500psi(31.0MPa)超、特に好ましくは約5500psi(37.9MPa)超の可能性がある。

アルカリ金属活性化ジオポリマー、ならびに混合アルミン酸カルシウムセメントおよび硫酸カルシウムについて、スラリーから固相になる凝結時間は、典型的には、比較的短時間であるため、これらの成分を全て組み合わせる好適な実施形態も、凝結時間が短く作業可能時間が限られているだろうと予測された。しかしながら、驚いたことに、本発明の好適な実施形態がもたらす凝結時間は、短い凝結時間(15分未満であることが多い)に限られるのではなく、スラリーの凝結反応に対し有意義な制御をもたらすので、スラリー凝結および作業可能時間の大幅な延長を可能にする。

例えば、いくつかの実施形態において、組成物は、短い凝結時間(約10分未満など)となるように配合することができる。他の好適な実施形態では、組成物は、約10〜約30分間と凝結が長くかかるように配合することができる。さらに他のより好適な実施形態において、組成物の配合は、好ましくは約30〜約60分間の凝結時間となるように選択される。なお他の特に好適な実施形態において、組成物は、約60〜約120分間、約120〜約240分間、または所望であればそれより長い時間というぐらい凝結時間が長くなるように配合することができる。

さらに、そのような実施形態の凝結時間は、収縮耐性、圧縮強度、および他の強度に関する性質の損失を(もしあったとしても)顕著にもたらすことなく、選択することが可能であり、所望であれば延長することも可能である。結果として、そのような実施形態は、これまでのジオポリマー系製品およびジオポリマー成分を含むセメント質製品では、容認できない収縮または強度損失を伴わずに凝結時間および作業可能時間を延長することができなかったため使用不可能であった用途に、期せずして用いることができる。

ある好適な実施形態において、本発明の組成物は、下地との並外れた引張接着強さも発現する。例えば、そのような実施形態とコンクリート基材の間の好適な引張接着強さは、好ましくは約200psi(1.4MPa)超、特に好ましくは約300psi(2.1MPa)超である。いくつかの実施形態において、本発明の寸法の安定したジオポリマーセメント質組成物が完全に養生して硬化したときの表面pHも、ポルトランドセメント系材料および製品と比較して改善される。ポルトランドセメント系材料および製品は、典型的には12超、より典型的には13超の表面pHを有する。ある好適な実施形態において、そのような組成物は、導入の16時間後に測定して、好ましくは約11未満、より好ましくは約10.5未満、特に好ましくは約10未満のpHを有する。この文脈において、表面pHは、ASTM F−710(2011)試験規格を用いて測定する。

多くの好適な実施形態において、本発明のジオポリマーセメント質組成物は、強度発現および寸法安定性のためのケイ酸カルシウム系水硬性セメント(ポルトランドセメントなど)を必要としない。他の実施形態において、ポルトランドセメントは、特定の所望の性質をもたらすために組み込むことができる。しかしながら、驚いたことに、実施形態の特定の組成によっては、過剰量のポルトランドセメントが、実際には、養生中および養生後の組成物の寸法安定性を、向上させるのではなく低下させたことがわかった。

ケイ酸カルシウム系水硬性セメントを組み込む本発明の好適な実施形態について、そのような水硬性セメントにかかる制限は、実施形態の特定の組成によって変わる可能性があるが、同一実施形態でケイ酸カルシウム水硬性セメントの量を減らしたものと比べて収縮が増加していることにより同定することができる。そのような実施形態のあるものにおいて、ポルトランドセメント含有量は、反応性粉末成分の重量の約15重量%を超えるべきではなく、別の好適な実施形態において、ポルトランドセメント含有量は、反応性粉末成分の重量の約10重量%を超えるべきではなく、さらに別の好適な実施形態において、ポルトランドセメント含有量は、反応性粉末成分の重量の約5重量%を超えるべきではなく、さらに別の好適な実施形態において、ポルトランドセメントは反応性粉末成分に実質的に含まれていない。

驚いたことに、いくつかの実施形態において、組成物の初期凝縮後の収縮が増加することにより示されるとおり、過剰量のアルミン酸カルシウムセメントが寸法安定性の低下をもたらす可能性があることもわかった。亀裂、層間剥離、および他の欠陥様式を防ぐのに十分な度合いの寸法安定性および/または収縮制御を必要とする用途については、アルミン酸カルシウムセメントの量は、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の乾燥重量100部に対して、好ましくは、乾燥重量で約10〜約60部である。

他の好適な実施形態において、組成物中にアルミン酸カルシウムセメントに比例して存在する硫酸カルシウムの量によって、アルミン酸カルシウムセメントの存在によって引き起こされる悪影響(収縮など)の可能性が緩和され得ることも、期せずしてわかった。そのような実施形態において、硫酸カルシウム量は、好ましくは、アルミン酸カルシウムセメント100重量部に対して、約2〜約200重量部である。

これらの実施形態における材料収縮の特に効果的な制御のためには、硫酸カルシウムの量は、乾燥重量でアルミン酸カルシウムセメント100部に対して乾燥重量で約10〜約100部、より好ましくは乾燥重量でアルミン酸カルシウムセメント100部に対して乾燥重量で約15〜約75部、特に好ましくは乾燥重量でアルミン酸カルシウムセメント100部に対して乾燥重量で約20〜約50部である。若材齢での圧縮強度向上が重要である実施形態において、好適な硫酸カルシウム量は、乾燥重量でアルミン酸カルシウムセメント100部に対して約10〜約50部である。

本発明のさらに他の実施形態において、組成物に添加される硫酸カルシウムの種類(主として二水和物、半水和物、または無水物)は、養生途中の組成物(すなわち約24時間未満の時点)の若材齢での圧縮強度発現に大きく影響する可能性がある。驚いたことに、主として無水硫酸カルシウム(無水物)を用いる様々な実施形態は、主として二水和物型を用いる実施形態よりも初期圧縮強度が強く、いくつかの実施形態においては、初期圧縮強度が、主として硫酸カルシウム半水和物を用いる実施形態に匹敵し得ることがわかった。他の実施形態において、2種またはそれより多い種類の硫酸カルシウム(二水和物、半水和物、または無水物)を一緒に用いることが可能であり、それぞれの種類の量は、組成物の圧縮強度の制御が改善されるように調整される。同様に、異なる種類および量の硫酸カルシウムを、単独または組み合わせて用いて、組成物の収縮および他の性質を所望のとおりに調整することが可能である。

収縮性能が主要な問題である場合、本発明の他の実施形態は、平均粒子径が好ましくは約1〜約100ミクロン、約1〜約50ミクロン、および約1〜約20ミクロンである硫酸カルシウムを組み込む。これらの実施形態は、収縮耐性に驚くほどの改善をもたらす。他の実施形態において、粒子径が少なくとも好適な範囲にある硫酸カルシウムは、組成物の養生中の強度発現速度の改善に重要な寄与をもたらす可能性がある。

さらに他の実施形態において、驚いたことに、実質的に水不溶性の無水硫酸カルシウム(無水物)が、その水溶性の低さおよびこれまで推定されていた組成物中での限られた反応性(もしあれば)にもかかわらず、重要な利益をもたらす可能性があることがわかった。例えば、無水物は、これらおよび他の実施形態の養生中の収縮を低下させることにより、先行技術の組成物と比べて顕著に改善された寸法安定性制御をもたらしたことが、期せずしてわかった。無水物は、先行技術の組成物と比べて顕著に改善された初期および長期の圧縮強度、ならびに場合によっては、硫酸カルシウム源として硫酸カルシウム半水和物または二水和物を用いる組成物に匹敵またはそれより優れた初期および長期の圧縮強度も提供する。特定の実施形態に用いられる硫酸カルシウムの種類の選択は、若材齢での強度発現の所望の速度と他の性質(凝結時間および特定の最終用途のための収縮耐性など)のバランスとの組み合わせに依存する。

他の実施形態において、硫酸カルシウムの粒子径および形態は、組成物の若材齢での強度発現(約24時間未満)に顕著かつ驚くべき影響を及ぼす。そのような実施形態では、比較的小さい粒子径の硫酸カルシウムを使用することにより、若材齢での圧縮強度がより速く発現する。これらの実施形態において、硫酸カルシウムの好適な平均粒子径は、約1〜100ミクロン、より好ましくは約1〜50ミクロン、特に好ましくは約1〜20ミクロンの範囲である。

ある実施形態において、組成物は、初期混合後、上記の驚くべき性能特性の1つまたは複数を提供しつつ、自己平滑化挙動も示す。材料の自己平滑化態様は、多様な状況および用途(床用自己平滑化下張り、コンクリートトッピング、精密コンクリート製品およびパネルの製造、高強化建築要素へのスラリー流し込みなど)において有用である。これらの実施形態の組成物は、本発明の反応性粉末に対して約0.15〜約0.4、より好ましくは、0.17〜0.35、さらにより好ましくは0.20〜0.30の重量比で、水と初期混合した後に、自己平滑化する。あるいは、他の実施形態において、組成物は、初期混合後、同様に1つまたは複数の改善された性能特性を提供しつつ、造形可能な粘稠なペースト様の堅牢度でも提供することができる。

自己平滑化および修復組成物に適した配合は、フライアッシュを約65〜約95重量%、アルミン酸カルシウムセメントを約2〜約30重量%、および硫酸カルシウムを約0.2〜約15重量%含む。いくつかの実施形態において、本発明のジオポリマーセメント質組成物は、基材の表面に広げることができ、この場合ジオポリマーセメント質結合剤は、自己平滑化生成物として混合されて、約0.02cm〜約7.5cmの有効厚さで注ぎ込まれる。

そのような生成物の物理的特性は、これらの実施形態の利益の良い例、すなわち寸法安定性、空間的移動および物理的損傷に対する耐性、ならびに摩擦および摩耗に対する高い表面耐性を示し、商業地域、産業地域、および他の交通量の多い地域での使用に適している。時間も費用もかかる基材表面処理手段(研掃処理、掘り起こし、水噴射、衝撃剥離、またはフライス加工など)を、用途に応じて、最小限にするまたは完全に回避することができる。

本発明の他の態様において、好適な実施形態は、特定用途に適合可能な凝結時間、良好な若材齢強度発現および終局圧縮強度および他の強度特性、改善された表面pH、改善された基材との引張接着強さ、ならびに他の利益を持つ、寸法の安定したセメント質組成物を作る方法を提供する。ある好適な実施形態において、本方法は、熱活性化アルミノケイ酸塩(好ましくは、C級フライアッシュ由来)、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム、およびアルカリ金属化学活性化剤からなる驚くほど効果的な相乗作用混合物を調製する工程を含む。

そのような方法のある好適な実施形態において、上記のような成分を用いて、好適な混合物を調製することで、熱活性化C級フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、ならびに硫酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム半水和物、無水硫酸カルシウム、およびそれらの混合物からなる群より選択される硫酸カルシウム(好ましくは粒子径が約300ミクロン未満の細粒形)を含むセメント質反応性粉末を形成する。

これらの実施形態において、混合物に、乾燥型または液状のいずれかで化学活性化剤がさらに添加され、化学活性化剤は、アルカリ金属塩または塩基、好ましくは有機酸アルカリ金属塩、アルカリ金属水酸化物、およびケイ酸アルカリ金属塩からなる群より選択されるものを含む。後に続く工程において、水の添加および任意選択で流動化剤、特にカルボキシル化可塑剤材料の添加により、ジオポリマーセメント質製品に適した用途に使用可能な安定なスラリー混合物が形成される。

好適な方法において、混合物は、約0℃〜約50℃の初期温度、より好ましくは約5℃〜約40℃の初期温度、さらにより好ましくは約10℃〜約35℃の初期温度、特に好ましくは周辺温度である約25℃の初期温度で調製される。そのような実施形態において、混合物全体の初期温度は、セメント質反応性粉末;活性化剤、および水が初めて混合物中に全て存在する状態になってから最初の1分間に測定される。もちろん、混合物全体の温度は、この最初の1分間の間にも変わる可能性があるが、そのような好適な実施形態において;スラリーの温度は、好ましくは、列挙した範囲内にある。

いくつかの好適な実施形態において、スラリーは、比較的少ないエネルギーを用いて混合することができ、それでも依然として十分に混合された組成物を得ることができる。そのような好適な方法のいくつかにおいて、スラリーは、低速ハンドドリルミキサーまたは約250RPM以上の速度を有する等価なミキサーが提供するものと等価なエネルギーで、混合される。したがって、そのような好適な実施形態のジオポリマー組成物は、最終組成物を形成するのに用いられるスラリーを作るのに用いられる水の量が比較的少量であるにも関わらず、混合が容易である。

多くの実施形態において、セメント質反応性粉末と見なされない他の添加剤を、スラリーおよびジオポリマーセメント質組成物全体に組み込むことができる。そのような他の添加剤とは、例えば、高性能減水剤(上記の流動化剤など)、凝結促進剤、凝結遅延剤、空気連行剤、発泡剤、湿潤剤、収縮制御剤、粘度調節剤(増粘剤)、再分散可能な膜形成重合体粉末、膜形成重合体分散物、着色剤、腐食制御剤、アルカリ・シリカ反応減少混合剤、分離型補強繊維、および内部養生剤である。他の添加剤として、フィラー、例えば1種または複数の砂および/または他の骨材、軽量フィラー、ポゾラン鉱物、鉱物フィラーなどを挙げることができる。

上記で別々に説明してきたものの、本発明の好適なジオポリマー組成物および混合物のそれぞれは、先行技術のジオポリマーセメント質組成物と比べて上記の際立った利点(ならびに、本明細書中のさらなる記載、実施例、およびデータから明らかであるもの)の少なくとも1つを有し、またそれら利点の2つ以上を組み合わせて有することができる。

本発明の実施形態のほとんど全てではないにしても、その多くが、環境的に持続可能であり、主要な原材料源として製造過程で生じる不要物を含むフライアッシュジオポリマーを利用する。このことは、製造品の製品寿命にわたる二酸化炭素排出量および製品寿命に具体化されたエネルギーを大幅に削減する。

本発明の好適な実施形態におけるジオポリマーセメント質組成物は、他のセメント質材料が用いられる場面、特に、凝結時間および作業可能時間の柔軟性、寸法安定性、圧縮強度および/または他の強度に関する性質が重要であるまたは求められる用途に用いることができる。例えば、様々なコンクリート製品用途に用いることができ、そのような用途として、床、スラブ、および壁用の構造用コンクリートパネル、床仕上げ材(セラミックタイル、天然石、ビニルタイル、VCT、およびカーペットなど)を設置するための壁および床の下張り、高速道路上敷きおよび橋の修復、歩道および他のスラブ敷き地面、外装のスタッコおよび仕上げ用しっくい、自己平滑化する吹き付けおよび表土下張り、土台、山腹、および採鉱場の土および岩を固定するためのガナイトおよび吹き付けコンクリート、亀裂、穴、および他のでこぼこな表面を埋めてならすためのパッチ修復モルタル、内装用および外装用の彫像および壁画、ならびに道路、橋の路面、および他の交通および重量荷担面用の舗装材料が挙げられる。

他の例として、プレキャストコンクリート物品、ならびに優れた湿度耐久性を持つ建築用品(セメントボード、組積用ブロック、レンガ、および敷石)への利用が挙げられる。用途によっては、固定されたまたは移動する型に注ぐのに、または連続移動するベルトにかけるのに適した凝結時間となる条件下で、そのようなプレキャストコンクリート製品(セメントボードなど)を作ることができて好適である。

本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマー組成物は、特定の比率で空気を含ませるための様々なフィラーおよび添加剤(発泡剤および空気連行剤を含む)と合わせて用いることで、軽量セメント製品を作ることができ、そのような製品として、膨張性が良好で収縮しない、プレキャスト建築要素、建築修復用製品、交通支持構造体(道路構成品など)が挙げられる。

本発明の様々な実施形態の他の利点、利益、および態様を、以下に説明するとともに添付の図面で図示する。それらは、以下のより詳細な開示から、当業者に理解されるだろう。本明細書中のパーセンテージ、比、および比率は全て、特に記載がないかぎり重量基準である。

比較例1の経過時間と収縮の結果についてのグラフである。

実施例1のスランプの写真である。

比較例2のスランプの写真である。

比較例3のスランプの写真である。

比較例3の経過時間と収縮の結果についてのグラフである。

比較例4の混合物1および混合物2のスランプの写真である。

アルミナセメント、フライアッシュ、およびクエン酸アルカリ金属塩を含む混合物に関する、比較例4の混合物1の収縮挙動についてのグラフである。

実施例5の2種類の混合組成物のスランプパテの写真である。

実施例5のセメント質組成物の収縮についてのグラフである。

実施例6の混合組成物のスランプパテの写真である。

実施例6の本発明のジオポリマー組成物の収縮挙動についてのグラフである。

実施例6のジオポリマー組成物のスラリー温度上昇についてのグラフである。

実施例7の組成物の収縮についてのグラフである。

実施例8の本発明の組成物(混合物2〜4)の収縮についてのグラフである。

実施例9の組成物の収縮についてのグラフである。

実施例9の組成物のスラリー温度上昇についてのグラフである。

実施例10の組成物の収縮についてのグラフである。

実施例11の組成物の収縮についてのグラフである。

実施例12の組成物の収縮についてのグラフである。

実施例14の組成物の収縮についてのグラフである。

実施例15の組成物の収縮についてのグラフである。

実施例16の組成物の収縮についてのグラフである。

実施例17の組成物の収縮についてのグラフである。

実施例18の組成物の収縮についてのグラフである。

表Aは、本発明のいくつかの実施形態における寸法の安定したジオポリマーセメント質組成物の組成を示し、個別成分または集合成分の重量部(pbw)で表してある。

表Aは、本発明のいくつかの実施形態における寸法の安定したジオポリマーセメント質組成物が、2成分、すなわち反応性粉末成分A(本明細書中、「セメント質粉末材料」とも称する)および活性化剤成分Bで構成されることを示す。本発明にとってのセメント質粉末材料とは、熱活性化アルミノケイ酸塩、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム、およびこれら列挙される成分に添加される限りにおいて任意の追加の反応性セメントと定義される。以下の表において、反応性粉末成分Aは、C級フライアッシュを含む熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、アルミン酸カルシウムセメントを含むセメント、および硫酸カルシウム、を含む材料のブレンドである。活性化剤成分Bは、1種のアルカリ金属化学活性化剤またはその複数の混合物を含み、粉末であっても水溶液であってもよい。反応性粉末成分Aおよび活性化剤成分Bは、1つにまとめられることで、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマーセメント質組成物の反応性混合物を形成する。

表Bは、表Aの組成物および他の成分を組み込んだ完全密度(好ましくは100〜160ポンド/立方フィートの範囲の密度)の配合物を表す。

表Cは、表Aの組成物および他の成分を組み込んだ軽量密度(好ましくは10〜125ポンド/立方フィートの範囲の密度)の配合物を表す。

表Dは、表Aの組成物、粗骨材、および他の成分を組み込んだ軽量密度または完全密度(好ましくは40〜160ポンド/立方フィートの範囲の密度)の配合物を表す。

本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマーセメント質組成物混合物の長期自由収縮は、混合して水性混合物を形成してから1〜4時間後に収縮測定を開始して、約0.3%以下、好ましくは約0.2%未満、より好ましくは約0.1%未満、特に好ましくは約0.05%未満である。既に述べたとおり、本発明のいくつかの実施形態に従って適切な量で用いられる、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、アルミン酸カルシウムセメント、適切に選択されたソースおよび量の硫酸カルシウム、および適切に選択されたアルカリ金属活性化剤の間の相乗的相互作用は、材料収縮を最小限に抑えるのに役立つ。

非常に驚いたことに、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマーセメント質組成物中のアルミン酸カルシウムセメントの量は、材料の初期凝結後に測定される材料収縮の度合いの制御に大きな影響を及ぼすことがわかった。同じく驚いたことに、所定の実施形態において、アルミン酸カルシウムセメントがある量を超えると、材料の初期凝結後に生じる材料収縮の量が増加し始めることもわかった。

表D1は、成分量を示す。

混合物中にアルミン酸カルシウムセメントに比例して存在する硫酸カルシウムの量が、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマーセメント質組成物の材料収縮の度合いに大きく影響することも、期せずしてわかった。

表D2は、本発明のいくつかの実施形態での成分量、アルミン酸カルシウムセメント100部あたりの硫酸カルシウム量を示す。

本発明のいくつかの実施形態における組成物に所定量のアルカリ金属活性化剤および他の成分が含まれる場合、硫酸カルシウム二水和物の使用が、材料収縮を最小限に抑えるのに最も効果的な制御手段となることがわかった。無水硫酸カルシウム(無水物)および硫酸カルシウム半水和物の使用も、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマーセメント質組成物の材料収縮を低下させるのに優れた制御手段となる。硫酸カルシウム二水和物および無水硫酸カルシウム(無水物)は、本発明のいくつかの実施形態における硫酸カルシウムの好適な形である。より好ましくは、硫酸カルシウム二水和物は、細粒石膏粉の形状をしている。

驚いたことに、アルカリ金属活性化剤の量が、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマーセメント質組成物の材料収縮の度合いに大きく影響を及ぼすことがわかった。表D3は、このことを達成するのに好適な、セメント質材料(すなわち熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、アルミン酸カルシウムセメント、および硫酸カルシウム)の重量に対する、アルカリ金属活性化剤の量パーセンテージについて、成分量を示す。

好ましくは、組成物は、ポルトランドセメントを含まない。実際、非常に驚いたことに、ケイ酸カルシウム系水硬性セメント(ポルトランドセメントなど)を本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマー組成物に組み込むことは、得られる材料の寸法安定性に悪影響を及ぼすことがわかった。本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマー組成物に添加されたポルトランドセメントの量が増加すると、得られる組成物の収縮が増加する。ポルトランドセメントの存在下では、たとえ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム、およびアルカリ金属化学活性化剤が組成物中に存在していても、材料収縮の増加が起こる。例えば、驚いたことに、本発明のいくつかの実施形態における反応性粉末組成物に約6%、約14%、および約25重量%のポルトランドセメントを組み込むと、材料の初期凝結から8週後に測定される材料の自由収縮が、それぞれ、約0.1%、0.16%、および0.47%増加することがわかった。このように、ポルトランドセメントの添加は、本発明のいくつかの実施形態において、基本の4つの反応性成分(C級フライアッシュを含む熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム、およびアルカリ金属化学活性化剤)の間の相乗的相互作用に悪影響を及ぼす。したがって、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマーセメント質組成物は、好ましくはポルトランドセメントを含有しない。

本発明のいくつかの実施形態における組成物を形成するには、反応性粉末成分A(熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、アルミン酸カルシウムセメント、および硫酸カルシウム)、活性化剤成分B(アルカリ金属化学活性化剤)、および水を混合して、約0℃〜約50℃、好ましくは約10〜約35℃の初期温度(成分が初めて全て混合物中に存在して最初の1分の間の温度)のセメント質スラリーを形成する。結果として、ジオポリマー化反応が起こり、アルミノケイ酸塩ジオポリマー反応種の形成ならびに得られる材料の凝結および硬化がもたらされる。同時に、アルミン酸カルシウム相およびケイ酸カルシウム相の水和反応も起こり、得られる材料の凝結および硬化がもたらされる。

本発明のいくつかの実施形態における寸法の安定したジオポリマー組成物は、新鮮な状態で作業可能な混合物を得るために、および硬化した状態で強く耐久性のある材料とするために必要とする水が極端に少ない。

本発明のいくつかの実施形態における寸法の安定したジオポリマーセメント質組成物の、好適な水/全固形分重量比は、粗骨材が存在しない場合、約0.04〜約0.25、好ましくは約0.04〜約0.20、より好ましくは約0.05〜約0.175、さらにより好ましくは約0.05〜約0.15である。本発明のいくつかの実施形態における寸法の安定したジオポリマーセメント質組成物の、好適な水/全固形分比は、粗骨材が存在する場合、好ましくは約0.125未満、より好ましくは約0.10未満、さらにより好ましくは約0.075未満である。全固形分には、セメント質材料、骨材(砂または他の骨材など)、フィラー、および無水を基本とする他の固形添加剤が含まれる。

最少量の水を加えて、化学的水和およびアルミノケイ酸塩ジオポリマー化という反応を達成する。好ましくは、本発明のいくつかの実施形態のスラリーにおいて、水対セメント質材料の重量比は、約0.17〜約0.4、より好ましくは約0.2〜約0.35、さらにより好ましくは約0.22〜約0.3である。水の量は、セメント質組成物に存在する個々の材料の必要に依存する。本明細書中使用される場合、「セメント質材料」は、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、アルミン酸カルシウムセメント、および硫酸カルシウム、ならびに反応性混合物に添加することのできる任意の追加セメントと定義される。

組成物の凝結は、ASTM C266試験手順に指定されるGilmore針を用いて測定されるとおりの、凝結開始時間および凝結終了時間により特性決定される。凝結終了時間は、コンクリート製品(例えば、コンクリートパネル)が十分に硬化して取扱い可能になる時間にも相当する。

熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物(フライアッシュなど)のジオポリマー反応は、発熱反応である。本発明のいくつかの実施形態において、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム、およびアルカリ金属化学活性化剤が、ジオポリマー化反応の要素として互いに相乗的に相互作用することで、発熱反応を起こしている材料から放出される熱の発熱率および量が非常に大幅に減少することが、期せずしてわかった。硫酸カルシウムの種類の適切な選択およびその量、アルミン酸カルシウムセメントの量、ならびにアルカリ金属化学活性化剤の適切な選択およびその量は、その後の発熱反応により放出される熱の発熱率および量を減少および最小限にするために重要であり、根本を成している。

熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物(フライアッシュなど)のジオポリマー反応は、非常に高速で進行し、材料の極端に速いゲル化および凝結をもたらす。典型的には、先行技術に従ってフライアッシュが単独でアルカリ金属化学活性化剤と反応する場合、水性混合物の形成から2〜3分以内で、材料のゲル化が始まり、10分経たないうちに凝結終了に到達する。熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物(C級フライアッシュなど)、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム、およびアルカリ金属化学活性化剤は、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマー化反応の要素として互いに相乗的に相互作用することで、得られる材料のゲル化時間および凝結終了時間を顕著に速めることが、期せずしてわかった。硫酸カルシウムの種類の適切な選択およびその量、アルミン酸カルシウムセメントの量、ならびにアルカリ金属化学活性化剤の適切な選択およびその量は、得られる材料のゲル化速度および期間ならびに凝結終了時間を延長するのに有効である。所定量のアルカリ金属活性化剤が組成物に含まれる場合、硫酸カルシウム量の増加は、本発明のいくつかの実施形態において得られるジオポリマーセメント質組成物のゲル化時間および凝結終了時間を延長することがわかった。加えて、所定量のアルカリ金属活性化剤が組成物に含まれる場合、硫酸カルシウムの粒子径の拡大は、本発明のいくつかの実施形態において得られるジオポリマーセメント質組成物のゲル化時間および凝結終了時間を延長することがわかった。そのうえさらに、所定の粒子径の硫酸カルシウムおよび所定量の化学活性化剤が組成物に含まれる場合、硫酸カルシウム二水和物は、ゲル化時間および凝結終了時間を最も長く延ばし、無水硫酸カルシウムは最も速いゲル化時間および凝結終了時間をもたらす。本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマーセメント質組成物に関して、ゲル化期間は、20〜60分の範囲であり、このとき凝結終了時間は約30〜約120分である。ゲル化時間および凝結終了時間が長くなると、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマーセメント質組成物のオープンタイムおよび作業可能時間を長くすることができる。

組成物の若材齢強度は、約3〜約5時間の養生後に圧縮強度を測定することで特性決定される。若材齢で圧縮強度が比較的強いことは、セメント質材料にとって有利となり得る。なぜならば、そのような材料は、応が大きくなってもそれほど変形せずに持ちこたえることができるからである。初期に高い強度を達成することにより、製造品が扱いやすくなり、また使用しやすくなる。さらに、初期に高い強度を達成するおかげで、その材料および構造体は、若材齢で、道路の開通を可能にしたり、非構造および構造負荷を支持できるようになったりする。当業者には当然のことであるが、養生反応は、凝結終了時間に達した後も長時間継続する。

本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマーセメント質組成物は、極めて高い若材齢圧縮強度および終局圧縮強度を発現することができる。例えば、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマーセメント質組成物は、1〜4時間後に約500psi〜約4000psi、24時間後に約1500〜約5000psi、および28日後に約3,500〜約10000psiの圧縮強度を発現することができる。

驚いたことに、硫酸カルシウムの種類も、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマーセメント質組成物の若材齢圧縮強度(≦24時間)の発現に非常に大きな影響を及ぼすことがわかった。若材齢圧縮強度が最も大きく向上するのは、無水硫酸カルシウム(無水物)を用いる場合であり、続いて、硫酸カルシウム半水和物、その次に硫酸カルシウム二水和物となる。

いくつかの実施形態において、硫酸カルシウムの粒子径が小さくなるほど、若材齢(≦24時間)での強度発現が速くなることがわかった。強度発現の速度が極めて速いことが望ましい場合、硫酸カルシウムの好ましい平均粒子径は、約1〜約30ミクロン、より好ましくは約1〜約20ミクロン、さらにより好ましくは約1〜約10ミクロンである。

セメント質反応性混合物 本発明のいくつかの実施形態におけるセメント質反応性混合物は、反応性粉末成分A(本明細書中、セメント質粉末材料としても既知である)および活性化剤成分Bを、表Aに示すとおりの好適な範囲で含む。反応性粉末成分Aは、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、アルミン酸カルシウムセメント、および硫酸カルシウムを含む。活性化剤成分Bは、アルカリ金属化学活性化剤を含む。

好ましくは、セメント質反応性混合物は、石灰を約10〜約40重量%含有する。しかしながら、この石灰は、石灰として添加されたものである必要はない。それよりも、石灰は、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の化学成分の1種として含まれている場合がある。

熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、アルミン酸カルシウムセメント、および硫酸カルシウムに加えて、セメント質反応性粉末は、任意選択のセメント質添加剤(ポルトランドセメントなど)を約0〜約15重量%含んでいてもよい。しかしながら、ポルトランドセメントを組み込むと材料収縮が増加して材料の寸法安定性が落ちてしまうので、ポルトランドセメントは不在であることが好ましい。

C級フライアッシュおよび他の熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物 いくつかの実施形態において、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物は、フライアッシュ、高炉スラグ、熱活性化粘土、頁岩、メタカオリン、ゼオライト、泥灰土、赤泥、岩盤、および粘土地盤のれんがからなる群より選択される。好ましくは、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物は、Al2O3含量が約5重量%より高い。好ましくは、粘土または泥灰土が、約600℃〜約850℃の温度で熱処理されることにより熱活性化した後に用いられる。本発明のいくつかの実施形態において好適な熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物は、組成中の石灰(CaO)含量が高く、好ましくは約10重量%超、より好ましくは約15%超、さらにより好ましくは約20%超である。特に好適な熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物は、C級フライアッシュ、例えば、石炭火力発電所で生成するフライアッシュである。フライアッシュは、ポゾラン性質も有する。

ASTM C618(2008)は、ポゾラン性材料を「ケイ酸含有またはケイ酸およびアルミニウム含有材料であって、それ自身はセメント値をほとんどまたは全く持たないが、微粉化された形で水分が存在すると、常温で水酸化カルシウムと化学反応して、セメント性質を有する化合物を形成することができる材料」と定義する。

フライアッシュは、本発明のいくつかの実施形態のセメント質反応性粉末ブレンドにおいて好適な熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物である。酸化カルシウムおよびアルミン酸カルシウム含量が高いフライアッシュ(ASTM C618(2008)規格のC級フライアッシュなど)は、以下で説明するとおり好適である。

フライアッシュは、石炭の燃焼で生じる微粉の副生成物である。市販されているフライアッシュのほとんどは、微粉炭を燃やす発電所事業用ボイラーで生成される。こうしたフライアッシュは、主に、ガラス質の球状粒子、ならびに、赤鉄鉱および磁鉄鉱の残渣、チャー、および冷却中に形成されたいくつかの結晶相からなる。フライアッシュ粒子の構造、組成、および性質は、石炭の構造および組成、ならびにフライアッシュが形成される燃焼過程に依存する。ASTM C618(2008)規格は、コンクリートに使用するフライアッシュの2つの主要な級、C級およびF級を認識している。これらの2つの級のフライアッシュは、概して、異なる種類の石炭に由来するものであり、石炭が異なるのは複数の地質時代期間を経て生じる石炭形成過程における違いの結果である。F級フライアッシュは、通常、無煙炭または瀝青炭の燃焼で生成され、一方C級フライアッシュは、通常、亜炭または亜瀝青炭の燃焼で生成される。

ASTM C618(2008)規格は、F級およびC級フライアッシュを、まず第一に、それらのポゾラン性質により区分する。したがって、ASTM C618(2008)規格において、F級フライアッシュとC級フライアッシュの仕様の主な違いは、組成中のSiO2+Al2O3+Fe2O3の最小限度である。SiO2+Al2O3+Fe2O3の最小限度は、F級フライアッシュについては70%であり、C級フライアッシュについては50%である。したがって、F級フライアッシュは、C級フライアッシュよりもポゾラン性が強い。ASTM C618(2008)規格では明確に認識されていないものの、C級フライアッシュは酸化カルシウム(石灰)含量が高いことが好ましい。

C級フライアッシュは、遊離石灰(酸化カルシウム)のおかげで、ポゾラン性質の他に、通常、セメント性質を有する。F級は、水だけと混合したときに、ほとんどセメント性にならない。酸化カルシウムを高含量で含むことにより、C級フライアッシュはセメント性質を有し、水と混合したときに、ケイ酸カルシウムおよびアルミン酸カルシウム水和物の形成をもたらす。以下の実施例からわかるとおり、C級フライアッシュは優れた結果をもたらすことがわかった。

熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物は、C級フライアッシュを、好ましくは、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100部あたり約50〜約100部のC級フライアッシュを含み、より好ましくは、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物は、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100部あたり約75部〜約100部のC級フライアッシュを含む。

他の種類のフライアッシュ(F級フライアッシュなど)も使用することができる。好ましくは、セメント質反応性粉末に含まれる熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の少なくとも約50重量%はC級フライアッシュであり、残りはF級フライアッシュまたは任意の他の熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物である。より好ましくは、セメント質反応性粉末に含まれる熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の約55〜約75重量%はC級フライアッシュであり、残りはF級フライアッシュまたは任意の他の熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物である。好ましくは、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物はその約90〜約100%がC級フライアッシュである、例えば、100%C級フライアッシュである。

本発明のいくつかの実施形態における熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の平均粒子径は、好ましくは約100ミクロン未満、好ましくは約50ミクロン未満、より好ましくは約25ミクロン未満、さらにより好ましくは約15ミクロン未満である。

好ましくは、本発明のいくつかの実施形態における混合組成物は、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100部あたり最大で約5部のメタカオリンを含む。好ましくは、本発明のいくつかの実施形態における組成物は、メタカオリンを含まない。メタカオリンが存在すると、混合物が必要とする水が増加することがわかっているので、メタカオリンの使用は、本発明のいくつかの実施形態のジオポリマー組成物において望ましくない。

フライアッシュによく見られる鉱物の中でも特に多いのは、石英(SiO2)、ムル石(Al2Si2O13)、ゲーレン石(Ca2Al2SiO7)、赤鉄鉱(Fe2O3)、磁鉄鉱(Fe3O4)である。また、岩石で通常見られる多形のケイ酸アルミニウム鉱物、例えば珪線石、藍晶石、および紅柱石(この3種は全て分子式Al2SiO5で表される)もフライアッシュにおいてよく見られる。

フライアッシュは、硫酸カルシウムまたは本発明のいくつかの実施形態における混合組成物に含まれることになる別の硫酸イオン源も含むことができる。

フライアッシュの粉末度は、ASTM試験手順C−311(2011)(「ポルトランドセメントコンクリート用鉱物混合物としてのフライアッシュの試料採取および試験の手順」)のとおりに試験して、325メッシュのふるい(米国シリーズ)に残るのが約34%未満であることが好ましい。本発明のいくつかの実施形態におけるフライアッシュ材料の平均粒子径は、好ましくは約50ミクロン未満、好ましくは約35ミクロン未満、より好ましくは約25ミクロン未満、さらにより好ましくは約15ミクロン未満である。このフライアッシュは、自己凝結性質があるので、好ましくは、回収および使用は乾燥状態で行なう。

亜瀝青炭から生じたC級フライアッシュは、表Eに示す以下の代表的な組成を有する。このフライアッシュは、自己凝結性質があるので、好ましくは、回収および使用は乾燥状態で行なう。

適切で好ましいF級フライアッシュは、以下の表Fに示す組成を有する。

水硬性セメント 本発明にとっての水硬性セメントとは、水と接触したときに化学的凝結反応を起こし(水和)、水の存在下で凝結(養生)するだけでなく、耐水性生成物を形成するセメントである。

水硬性セメントとして、ポルトランドセメントのようなケイ酸アルミニウムセメント、アルミン酸カルシウムセメント、スルホアルミン酸カルシウムセメント、およびフルオロアルミン酸カルシウムセメントが挙げられるが、これらに限定されない。

アルミン酸カルシウムセメント アルミン酸カルシウムセメント(CAC)は、本発明の実施形態における反応性粉末ブレンドの一成分を成す水硬性セメントである。

アルミン酸カルシウムセメント(CAC)は、一般に、含アルミニウムセメントまたはアルミナセメントとも呼ばれる。アルミン酸カルシウムセメントは、アルミナ含量が高く、約30〜45重量%であることが好ましい。それより高純度のアルミン酸カルシウムセメントも市販されており、そのセメントでは、アルミナ含量の範囲が、約80重量%にまで上り得る。こうした高純度アルミン酸カルシウムセメントは、比較的高価になる傾向がある。本発明のいくつかの実施形態における組成物に用いられるアルミン酸カルシウムセメントは、細かく粉砕することで、アルミン酸塩が水相に入りやすくなっており、そのためエトリンガイトおよび他のアルミン酸カルシウム水和物の迅速な形成を起こすことができる。本発明の組成物のいくつかの実施形態で有用である可能性があるアルミン酸カルシウムセメントの表面積は、ブレーン表面積法(ASTM C 204)で測定した場合に約3,000cm2/グラム超、好ましくは約4,000〜6,000cm2/グラムである。

複数の製造方法が登場してきて、アルミン酸カルシウムセメントは世界中で製造されるようになった。典型的には、アルミン酸カルシウムセメントの製造に用いられる主な原材料は、ボーキサイトおよび石灰石である。アルミン酸カルシウムセメントを製造するため米国で用いられてきた製造方法の1つは、以下のとおり記載される。ボーキサイト鉱石を最初に破砕および乾燥し、次いで石灰石とともに粉砕する。次いで、ボーキサイトおよび石灰石を含む乾燥粉末を回転炉に供給する。粉砕低灰分石炭を炉の燃料として用いる。炉内でボーキサイトと石灰石の反応が起こるので、溶融生成物を炉の下端から収集し、底部に設置されたトラフに流し込む。溶融クリンカーを水でクエンチして、クリンカー顆粒を形成させ、次いで、この顆粒を備蓄場所に搬送する。次いで、この顆粒を所望の粉末度まで粉砕して、最終セメントとする。

アルミン酸カルシウムセメントの製造課程中に、複数のアルミン酸カルシウム化合物が形成される。形成される化合物で主要なものは、アルミン酸カルシウムセメントの1種に含まれるアルミン酸モノカルシウム(CaO・Al2O3、CAとも称する)である。別の種類のアルミン酸カルシウムセメントにおいて、12CaO・7Al2O3(C12A7、またはヘプタアルミン酸ドデカカルシウムとも称する)が、主要アルミン酸カルシウム反応相として形成される。アルミン酸カルシウムセメントの製造中に形成されるその他のアルミン酸カルシウムおよびケイ酸カルシウム化合物として、CaO・2Al2O3(CA2またはジアルミン酸カルシウムとも称する)、ケイ酸ジカルシウム(2CaO・SiO2、C2Sとも称する)、アルミナケイ酸ジカルシウム(2CaO・Al2O3・SiO2、C2ASとも称する)が挙げられる。酸化鉄を比較的高い比率で含有する他の化合物も複数形成される。そのような化合物として、カルシウムフェライト(CaO・Fe2O3またはCF、および2CaO・Fe2O3またはC2Fなど)、およびカルシウムアルミノフェライト、例えばテトラカルシウムアルミノフェライト(4CaO・Al2O3・Fe2O3またはC4AF)、6CaO・Al2O3・2Fe2O3またはC6AF2)、および6CaO・2Al2O3・Fe2O3またはC6A2F)などが挙げられる。アルミン酸カルシウムセメントに存在する他の微量成分として、マグネシア(MgO)、チタニア(TiO2)、硫酸塩類、およびアルカリ類が挙げられる。本発明のいくつかの実施形態に有用で好適なアルミン酸カルシウムセメントは、上記相の1つまたは複数を有することができる。主要相としてアルミン酸モノカルシウム(CaO・Al2O3またはCA)および/またはヘプタアルミン酸ドデカカルシウム(12CaO・7Al2O3またはC12A7)を有するアルミン酸カルシウムセメントは、本発明のいくつかの実施形態に特に好適である。さらに、アルミン酸カルシウム相は、結晶形および/または非晶質形で利用できる。Ciment Fondu(またはHAC Fondu)、Secar 51、およびSecar 71は、主セメント相としてアルミン酸モノカルシウム(CA)を含有する市販のアルミン酸カルシウムセメントの例である。Ternal EVは、主要セメント相としてヘプタアルミン酸ドデカカルシウム(12CaO・7Al2O3またはC12A7)を含有する市販のアルミン酸カルシウムセメントの例である。

好ましくは、本発明のいくつかの実施形態における組成物は、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100pbwあたり約1〜200重量部、好ましくは約2〜100重量部、より好ましくは約5〜75重量部、さらにより好ましくは約10〜50重量部のアルミン酸カルシウムセメントを含む。

スルホアルミン酸カルシウム(CSA)セメント 本発明のいくつかの実施形態に、スルホアルミン酸カルシウム(CSA)セメントを任意選択で用いることができる。CSAセメントは、アルミン酸カルシウムセメント(CAC)ともケイ酸カルシウム系水硬性セメント(例えば、ポルトランドセメントなど)とも異なるクラスのセメントである。CSAセメントは、アルミン酸カルシウム(CACセメントの基礎成分である)でもケイ酸カルシウム(ポルトランドセメントの基礎成分である)でもなく、スルホアルミン酸カルシウムに基づく水硬性セメントである。スルホアルミン酸カルシウムセメントは、主相としてイェーリマイト(Ye’elimite)(Ca4(AlO2)6SO4またはC4A3S)を含むクリンカーから作られる。このスルホセメントに存在する他の主要な相として、以下の1種または複数を挙げることができる:ケイ酸ジカルシウム(C2S)、テトラカルシウムアルミノフェライト(C4AF)、および硫酸カルシウム(CS)。スルホアルミン酸カルシウムセメントはポルトランドセメントと比較して石灰の必要量が比較的少ないことにより、セメント生産におけるエネルギー消費および温室効果ガス排出が低下している。事実、スルホアルミン酸カルシウムセメントはポルトランドセメントより約200℃低い温度で製造可能であり、したがって、エネルギーおよび温室効果ガス排出がさらに低下する。本発明のいくつかの実施形態において有用なスルホアルミン酸カルシウムセメントに存在するイェーリマイト相(Ca4(AlO2)6SO4またはC4A3S)の量は、好ましくは約20〜約90重量%、より好ましくは30〜75重量%である。本発明でスルホアルミン酸カルシウム(CSA)セメントが用いられる場合、それらは部分的にアルミン酸カルシウムセメントと置き換えてもよい。本発明のいくつかの実施形態における組成物中のスルホアルミン酸カルシウムセメント置き換え量は、アルミン酸カルシウムセメントおよびスルホアルミン酸カルシウムセメントの凝集重量の上限約49重量%まで可能である。

ポルトランドセメント 本発明のいくつかの実施形態における組成物は、フライアッシュ100重量部に対してポルトランドセメントを合計で約0〜約15重量部含有する。

石灰石、頁岩、および他の天然の鉱物が、低コストでかつ広く入手可能であることから、ポルトランドセメントは、前世紀にわたって世界中で広く使用された最も低コストの材料のうちの1つとなっている。本明細書中使用される場合、「ポルトランドセメント」は、ケイ酸カルシウム系水硬性セメントである。ASTM C 150は、ポルトランドセメントを「基本的に水硬性ケイ酸カルシウムで構成されるクリンカーを粉砕することで製造される水硬性セメント(水と反応して硬化するだけでなく耐水性生成物を形成するセメント)、通常、同時粉砕添加物として1種または複数の形態の硫酸カルシウムを含有する」であると定義する。本明細書中使用される場合、「クリンカー」は、所定の組成の原料混合物を高温に加熱すると生成する焼結材料の団塊(直径は、約0.2〜約1.0インチ[5〜25mm])である。

しかしながら、非常に驚いたことに、アルミノケイ酸塩鉱物、アルカリ金属化学活性化剤、アルミン酸カルシウムセメント、および硫酸カルシウムを含む本発明の寸法の安定した組成物に、ポルトランドセメントを添加することは、得られる組成物の収縮挙動に悪影響を及ぼすことが発見された。本発明のジオポリマー組成物にポルトランドセメントを添加すると、得られる組成物の収縮が大きくなることがわかった。得られる組成物中のポルトランドセメントの量が増えるとともに、観測される収縮の大きさも増える。

この結果は、まったく予期しない驚くべきものであり、本発明の寸法の安定したジオポリマー結合剤組成物に他の種類のセメントおよび/または化学添加剤を導入した場合に生じる化学相互作用の極度に複雑な性質を強調するものである。この認識に基づいて、本発明のいくつかの好適な実施形態ではポルトランドセメントを組み込まない。しかしながら、収縮挙動が多少大きくなっても許容可能である状況で使用することが望まれるいくつかの実施形態において、多少の量のポルトランドセメントを使用することが考慮に入っている。ポルトランドセメント量の実用限界は、収縮挙動に対する悪影響の許容可能な範囲に依存するが、本発明のいくつかの好適な実施形態において、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100重量部あたりに含まれるポルトランドセメントは、15重量部以下である。

フルオロアルミン酸カルシウム フルオロアルミン酸カルシウムは、化学式3CaO・3Al2O3・CaF2を有する。フルオロアルミン酸カルシウムは、石灰、ボーキサイト、およびホタル石を、得られる生成物の無機分が3CaO・3Al2O3・CaF2となる量で混合し、得られる混合物を約1,200℃〜1,400℃の温度で燃焼することにより製造することが多い。フルオロアルミン酸カルシウムは、任意選択で、本発明に使用することができる。

硫酸カルシウム 硫酸カルシウムは、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマー組成物の一成分となる。硫酸カルシウム(例えば硫酸カルシウム二水和物)は水と反応するものの、耐水性生成物を形成しないので、硫酸カルシウムは、本発明にとっての水硬性セメントとは見なされない。本発明のいくつかの実施形態で有用な硫酸カルシウムの種類として、硫酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム半水和物、および無水硫酸カルシウム(無水物)が挙げられる。これらの硫酸カルシウムは、天然物であってもよいし、産業合成品であってもよい。硫酸カルシウムは、本発明のいくつかの実施形態におけるセメント質組成物のその他の基本成分と相乗的に相互作用し、それにより、最終材料に他の有用な性質を付与しつつ、材料収縮を最小限に抑えるのを助ける。

形態学的に異なる種類の硫酸カルシウムを、本発明の様々な実施形態で有益に使い分けることができる。本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマー組成物および複合体の性質は、使用した硫酸カルシウムの化学組成、粒子径、結晶形態、ならびに化学および熱処理に基づき、その硫酸カルシウムの種類に大きく依存することがわかった。本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマー組成物のいくつかある性質の中でも特に、凝結挙動、強度発現速度、終局圧縮強度、収縮挙動、および亀裂耐性は、適切な硫酸カルシウム源を選択して配合することにより、希望どおりにすることができる。したがって、本発明のいくつかの実施形態において使用される硫酸カルシウムの種類の選択は、最終用途に求められる性質の釣り合いに基づいて行なわれる。

本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマー組成物では、2種またはそれよりおおい種類の硫酸カルシウムのブレンドを用いる。そのようなブレンドを用いる場合、使用される硫酸カルシウムの種類は、それらの化学組成、粒子径、結晶の形 と形態、および/または表面処理に依存して変わり得る。

硫酸カルシウムの粒子径および形態は、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマーセメント質組成物の若材齢強度および終局強度の発現に大きく影響することがわかった。一般に、硫酸カルシウムの粒子径が小さいほど、若材齢強度の発現が速くなることがわかった。強度発現速度が極めて速いことが望ましい場合、硫酸カルシウムの好適な平均粒子径は、約1〜約100ミクロン、より好ましくは約1〜約50ミクロン、さらにより好ましくは約1〜約20ミクロンの範囲である。そのうえさらに、硫酸カルシウムの粒子径が小さくなるほど、いくつかの実施形態で材料収縮が小さくなることがわかった。

さらに、所定量のアルミン酸カルシウムセメントが他の原材料成分とともに存在する場合、硫酸カルシウム量の増加(ただし過剰な増加ではない)は、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマー組成物の若材齢での圧縮強度の向上をもたらすことがわかった。若材齢での圧縮強度の最も劇的な向上は、硫酸カルシウム量がアルミン酸カルシウムセメントの約10〜約50重量%であるときに起こる。

3種の形態の硫酸カルシウム(主に半水和物、二水和物、および無水物)は全て、本発明のいくつかの実施形態における4反応性成分混合物に有用であり、以下の比較例1〜4よりも長い凝結時間および強い圧縮強度という利益をもたらす。3種の異なる形の硫酸カルシウムは、本発明の様々な実施形態において、凝結時間および圧縮強度に対してそれぞれ互いに異なる驚くべき効果を有することがわかった。

硫酸カルシウムでもっとも溶解性の高い形は半水和物であり、続いて比較的溶解性が低い形態が二水和物であり、さらに比較的不溶性の形態が無水物であることは、よく知られている。これら3種の形態は全て、それら自身、水性媒体中、適切な条件下で凝結する(二水和物の化学的形のマトリクスを形成する)ことが知られており、凝結形の凝結時間および圧縮強度は、それらの溶解性の順序に従うことが知られている。例えば、その他全てが同じなら、唯一の凝結する材料として単独で用いられる場合、通常、半水和物の凝結時間が一番短く、無水物の凝結時間が一番長い(典型的には、非常に長い凝結時間である)。

極めて驚いたことに、用いた硫酸カルシウムが主にまたは全て半水和物である実施形態は、凝結時間が最も長く、それに対して、用いた硫酸カルシウムが主にまたは全て無水物である実施形態は、凝結時間が最も短いことがわかった。同じく驚いたことに、様々な実施形態において、用いた硫酸カルシウムが主にまたは全て無水物であるものは、主に二水和物の形態を用いたものよりも初期圧縮強度が強いことがわかった。主に半水和物形を用いる実施形態は、主に無水物形を用いる実施形態と同様な初期圧縮強度を有する。

他の実施形態のジオポリマー組成物において、2種またはそれより多い種類の硫酸カルシウムのブレンドを用いて、組成物の凝結時間および初期圧縮強度の性質を、用いた硫酸カルシウムが主にまたは全て単一種である実施形態のものと比べて修飾することもできる。そのようなブレンドを用いる場合、用いられる硫酸カルシウムの種類は、それらの化学組成、粒子径、結晶の形と形態、および/または表面処理に依存して変わり得る。

使用される硫酸カルシウムの粒子径および形態は、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマーセメント質結合剤組成物の若材齢強度および終局強度の発現に大きく影響することがわかった。一般に、硫酸カルシウムの粒子径が小さいほど、若材齢での強度発現が速くなることがわかった。極めて速く強度発現することが望ましい場合、硫酸カルシウムの好適な平均粒子径は、約1〜約100ミクロン、より好ましくは約1〜約50ミクロン、特に好ましくは約1〜約20ミクロンの範囲である。そのうえさらに、硫酸カルシウムは、粒子径が細かくなるほど、材料収縮を抑えることがわかった。

さらに、所定量のアルミン酸カルシウムセメントが他の原材料成分とともに存在する場合、硫酸カルシウム量の増加(ただし過剰な増加ではない)は、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマー結合剤の若材齢での圧縮強度の向上をもたらすことがわかった。若材齢での圧縮強度の最も劇的な向上は、硫酸カルシウム量がアルミン酸カルシウムセメントの約10〜約50重量%であるときに起こる。

混合物中のアルミン酸カルシウムセメントに比例して存在する硫酸カルシウムの量が、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマー組成物の材料収縮の度合いに大きく影響することも、期せずしてわかった。好ましくは、これらの実施形態では、硫酸カルシウム量が、アルミン酸カルシウムセメント100重量部に対して約5〜約200重量部である。そのような実施形態においてジオポリマー組成物の材料収縮を最も効果的に制御するためには、硫酸カルシウムの量は、アルミン酸カルシウムセメント100重量部に対して約10〜約100重量部、より好ましくはアルミン酸カルシウムセメント100重量部に対して約15〜約75重量部、特に好ましくはアルミン酸カルシウムセメント100重量部に対して約20〜約50重量部である。

本発明のいくつかの実施形態の組成物においてアルカリ金属活性化剤および他の原材料成分が所定量で存在する場合、硫酸カルシウム二水和物を用いると、材料収縮を最も効果的に制御して最小限に抑えることがわかった。無水硫酸カルシウム(無水物)および硫酸カルシウム半水和物の使用も、そのような実施形態のジオポリマーセメント質結合剤組成物の材料収縮を良好に制御して抑えた。

そのような実施形態の組成物に用いられる硫酸カルシウムを1種類または複数種類選択する場合、その選択は、若材齢での強度発現に望まれる速度、収縮制御、および最終用途に求められる性質の釣り合いに基づいて行なわれる。

硫酸カルシウムの種類は、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマー組成物の若材齢での圧縮強度(≦24時間)の発現に非常に大きく影響することもわかった。若材齢での圧縮強度が最も大きく向上するのは、無水硫酸カルシウム(無水物)を用いた場合であり、続いて硫酸カルシウム半水和物、さらに硫酸カルシウム二水和物となる。本発明のいくつかの実施形態におけるいくつかの組成物で用いられる硫酸カルシウムの種類の選択は、若材齢での強度発現に望まれる速度、収縮制御、および最終用途に求められる性質の釣り合いに基づいて行なわれる。

本発明のいくつかの実施形態の組成物において、硫酸カルシウムの一部または全部がアルミン酸カルシウムセメントの中の添加剤成分として添加されていてもよい。この場合、組成物に独立して添加される硫酸カルシウムの量は、アルミン酸カルシウムセメントに含まれているのと同じ量だけ減らされる。

組成物の実施形態によっては、硫酸カルシウムはフライアッシュに含まれていてもよい。そのような場合、組成物に独立して添加される硫酸カルシウムの量は、減らすことができる。本発明のいくつかの実施形態における組成物に独立して添加される硫酸カルシウムの量は、混合物に存在する他の成分に由来する硫酸イオンがどれだけ利用可能であるかに基づいて調節することができる。本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマー組成物の耐久性を向上させるためには、硫酸カルシウム含量を比較的低レベルに維持することが望ましい。混合物に過剰に硫酸カルシウムまたは他の硫酸イオンが存在すると、材料中に存在する塩の析出および水和により引き起こされる材料の膨張が原因の、化学的損傷を招く恐れがある。

ポゾラン 他の任意選択のケイ酸塩およびアルミノケイ酸塩鉱物で、それら自身は水性媒体中でセメント化する性質を実質的にほとんどまたは全く持たないもの(それらはポゾランである)を、本発明のいくつかの実施形態における組成物に、任意選択の鉱物添加剤として含めることができる。様々な天然および人造の鉱物が、ポゾラン性質を有するポゾラン材料と称されてきた。ポゾラン材料の例として、シリカヒューム、軽石、パーライト、珪藻土、細かく粉砕した粘土、細かく粉砕した頁岩、細かく粉砕した粘板岩、細かく粉砕したガラス、火山性凝灰岩、トラス、および籾殻が挙げられる。これらのポゾラン材料は全て、単独でまたは組み合わせた形で、本発明のいくつかの実施形態におけるセメント質反応性粉末の一部として用いることができる。

フィラー・骨材、無機鉱物フィラー、および軽量フィラー 開示してきたセメント質反応性粉末ブレンドは、本発明のいくつかの実施形態におけるセメント質組成物の急結成分を規定するものであるが、当業者には当然のことながら、組成物の使用目的および用途に応じて他の材料が組成物に含まれてもよい。

1種または複数のフィラー(砂、細骨材、粗骨材、無機鉱物フィラー、軽量フィラーなど)を、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマー配合物の成分として用いることができる。こうしたフィラーは、好ましくは、ポゾランでもないし、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物でもない。

好ましくは、無機鉱物フィラーは、苦灰石、石灰石、炭酸カルシウム、粉砕した粘土、頁岩、粘板岩、雲母、およびタルクである。一般に、無機鉱物フィラーは、粒子径が小さく、本発明のいくつかの実施形態の組成物において、好ましくは、平均粒子直径が約100ミクロン未満、好ましくは約50ミクロン未満、より好ましくは約25ミクロン未満である。スメクタイト粘土およびパリゴルスカイトならびにそれらの混合物は、本発明において無機鉱物フィラーとは見なさない。

細骨材または砂は、平均粒子径が約4.75mm(0.195インチ)未満の無機岩石材料と定義される。

本発明において好ましい砂は、平均粒子径が0.1mm〜約2mmである。平均粒子径が約1mm以下の細砂は、本発明のいくつかの実施形態において好適なフィラーである。最大粒子直径が約0.6mm、好ましくは最大で約0.425mmであり、平均粒子直径が約0.1〜約0.5mmの範囲、好ましくは約0.1mm〜約0.3mmの範囲である砂は、本発明の他の実施形態において有用である。好適な細砂の例として、QUIKRETE細砂No.1961およびUNIMIN5030砂が挙げられるが、これらは主要粒子径がUSふるい番号#70〜#30(0.2〜0.6mm)の範囲にある。

配合物に含まれる砂の粒子径分布および量は、本発明のいくつかの実施形態におけるセメント質組成物のレオロジー挙動を制御する助けとなる。本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマーセメント質組成物に、細砂を、約0.05〜約4の砂/セメント質材料(反応性粉末)比で添加することができる。自己平滑化レオロジーを持つ材料を得ることが望ましい場合、配合物中の最も望ましい砂対セメント質材料の比は、約0.50〜約2、より好ましくは約0.75〜約1.5である。

粗骨材は、平均粒子径が少なくとも4.75mm(0.195インチ)、例えば、0.25インチ〜1.5インチ(0.64〜3.81cm)の無機岩石材料と定義される。用途によっては(例えば、コンクリート舗装など)、1.5インチ(3.81cm)より径の大きい骨材も使用することができる。使用される粗骨材の粒子形および質感は、張っている、きめが粗い、細長い、丸みを帯びた、または滑らか、あるいはそれらの組み合わせが可能である。好ましくは、粗骨材は鉱物(花崗岩、玄武岩、石英、流紋岩、安山岩、凝灰岩、軽石、石灰石、苦灰石、砂岩、大理石、チャート、フリント、硬砂岩、粘板岩、および/または片麻岩など)でできている。

本発明のいくつかの実施形態において有用な粗骨材は、好ましくは、ASTM C33(2011)規格およびAASHTO M6/M80(2008)規格に明示される仕様を満たす。

本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマーセメント質組成物に粗骨材が添加される場合、それらは、好ましくは約0.25〜約5の骨材対セメント質材料(反応性粉末)比で用いられる。本発明のいくつかの実施形態は、粗骨材を、約0.25〜約1の粗骨材対セメント質材料比で含有する。本発明の他のいくつかの実施形態は、粗骨材を、約1〜約3の粗骨材対セメント質材料比で含有する。

軽量フィラーは、比重が約1.5未満、好ましくは約1未満、より好ましくは約0.75未満、さらにより好ましくは約0.5未満である。本発明の他のいくつかの実施形態において、軽量フィラーの比重は、約0.3未満、より好ましくは約0.2未満、特に好ましくは約0.1未満である。対照的に、無機鉱物フィラーは、好ましくは、比重が約2.0を超える。有用な軽量フィラーの例として、軽石、バーミキュライト、膨張した形の粘土、頁岩、粘板岩、およびパーライト、岩滓、膨張スラグ、燃え殻、ガラス微小球、合成セラミック微小球、中空セラミック微小球、軽量ポリスチレンビーズ、中空プラスチック微小球、膨張プラスチックビーズなどが挙げられる。膨張プラスチックビーズおよび中空プラスチック球が本発明のいくつかの実施形態の組成物に用いられる場合、それらは、比重が極度に低いおかげで、重量としては非常に少量で用いられる。

材料の重量を減らすのに軽量フィラーを利用する場合、軽量フィラーは、約0.01〜約2、好ましくは約0.01〜約1のフィラー対セメント質材料(反応性粉末)比で用いることができる。2種またはそれより多種の軽量フィラーの組み合わせも、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマー組成物に有用である。

本発明のいくつかの実施形態は、添加フィラーとして砂のみを含有するが、他の実施形態は、砂および無機鉱物フィラーおよび/または軽量フィラーを含有することができる。他の実施形態は、添加フィラーとして、無機鉱物フィラーおよび軽量フィラーを含有することができる。本発明の他のいくつかの実施形態は、添加フィラーとして、砂、無機鉱物フィラー、および軽量フィラーを含有する。本発明の他のいくつかの実施形態は、無機鉱物フィラーまたは軽量フィラーのみを含有して、砂も細骨材も粗骨材も含有しない。粗骨材を含有する本発明のいくつかの実施形態は、以下のフィラーのうち1種または複数を含むまたは含まないことができる:砂、軽量フィラー、および無機鉱物フィラー。

本発明のいくつかの実施形態は、どのような添加フィラーも完全に含んでいない。

アルカリ金属化学活性化剤 本発明のいくつかの実施形態において、アルカリ金属の塩および塩基は、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物(フライアッシュなど)、アルミン酸カルシウムセメント、および硫酸カルシウムを含む反応性粉末成分Aを活性化する化学活性化剤として有用である。本発明のいくつかの実施形態におけるアルカリ金属活性化剤は、液状でまたは固形で添加することができる。本発明のいくつかの実施形態における好適なアルカリ金属化学活性化剤は、有機酸の金属塩である。本発明のいくつかの実施形態におけるより好適なアルカリ金属化学活性化剤は、カルボン酸アルカリ金属塩である。アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属ケイ酸塩は、本発明のいくつかの実施形態におけるアルカリ金属化学活性化剤の他のいくつかの例である。あるいは、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属ケイ酸塩は、カルボン酸(クエン酸など)と併用することも可能であり、併用することで、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、アルミン酸カルシウムセメント、および硫酸カルシウムを含む反応性粉末ブレンドを化学的に活性化する。

本発明のいくつかの実施形態において、クエン酸アルカリ金属塩(クエン酸ナトリウムまたはクエン酸カリウムなど)を、C級フライアッシュを含む熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、アルミン酸カルシウムセメント、および硫酸カルシウムを含む反応性粉末ブレンドと組み合わせて用いることで、周辺温度またはその付近の温度(約20〜25℃)で原材料を混合した後の流動性が比較的良好で硬化が速すぎない混合組成物が得られる。

クエン酸アルカリ金属塩(例えば、クエン酸カリウムまたはクエン酸ナトリウム)の量は、本発明のいくつかの実施形態におけるセメント質反応性成分(すなわち、反応性粉末成分A)100部に対して、約0.5〜約10重量%、好ましくは約1.0〜約6重量%、好ましくは約1.25〜約4重量%、より好ましくは約1.5〜約2.5重量%、さらにより好ましくは約2重量%である。したがって、例えば、100ポンドのセメント質反応性粉末の場合、合計約1.25〜約4ポンドのクエン酸カリウムおよび/またはクエン酸ナトリウムが存在し得る。好適なクエン酸アルカリ金属塩は、クエン酸カリウムおよびクエン酸ナトリウムであり、特にクエン酸三カリウム一水和物、およびクエン酸三ナトリウム無水物、クエン酸三ナトリウム一水和物、クエン酸水素二ナトリウムセスキ水和物、クエン酸三ナトリウム二水和物、クエン酸二ナトリウム、およびクエン酸一ナトリウムである。

好ましくは、活性化剤はアルカノールアミンを含有しない。同じく好ましくは、活性化剤はリン酸化合物を含有しない。

凝結遅延剤 有機化合物(ヒドロキシル化カルボン酸、炭水化物、糖、およびデンプンなど)は、本発明のいくつかの実施形態における好適な凝結遅延剤である。有機酸(クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グルコン酸、コハク酸、グリコール酸、マロン酸、酪酸、リンゴ酸、フマル酸、ギ酸、グルタミン酸、ペンタン酸、グルタル酸、グルコン酸、タルトロン酸、ムチン酸、トリヒドロキシ安息香酸など)は、本発明のいくつかの実施形態における寸法の安定したジオポリマーセメント質組成物において、凝結遅延剤として有用である。本発明のいくつかの実施形態において、グルコン酸ナトリウムも有機凝結遅延剤として有用である。セルロース系有機重合体(ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース(EC)、メチルエチルセルロース(MEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース(CMHEC)など)も、本発明のいくつかの実施形態における組成物において、凝結遅延剤として有用である。これらのセルロース系凝結遅延剤は、本発明のいくつかの実施形態における組成物に添加した場合に、凝結遅延を引き起こすだけでなく、混合物の粘度を大幅に上昇させる。ホウ酸塩またはホウ酸型の無機酸系凝結遅延剤は、好ましくは、本発明の組成物に使用しない。なぜなら、そうした凝結遅延剤は、混合物のレオロジーを邪魔し、過剰な風解を引き起こし、さらに材料と他の基材との結合強度を落とすことがわかっているからである。

他の任意選択の凝結制御剤 他の任意選択の凝結制御化学添加剤として、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、硝酸カルシウム、亜硝酸カルシウム、ギ酸カルシウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、炭酸リチウム、硝酸リチウム、亜硝酸リチウム、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、アルカノールアミン、ポリリン酸化合物などが挙げられる。これらの添加剤は、配合物の一部として含まれている場合に、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマー組成物の凝結挙動に影響を及ぼすだけでなく、そのレオロジーにも影響を及ぼす可能性がある。

任意選択の材料、繊維、およびスクリム 他にも任意選択の材料および添加剤を、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマー組成物に含めることができる。そのようなものとして、以下からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる:再分散可能な膜形成重合体粉末、膜形成重合体ラテックス分散液、消泡剤および発泡抑制剤、保水添加剤、凝結制御剤、収縮を減らす混合物、発泡剤および空気連行剤、有機および無機のレオロジー制御剤、粘度調節剤(増粘剤)、風解制御(抑制)剤、腐食制御剤、湿潤剤、着色剤および/または顔料、ばらばらの繊維、連続長繊維および補強材、組織補強材、ポリビニルアルコール繊維、および/またはガラスファイバー、および/または他のばらばらの補強用繊維。

複数種のばらばらの補強用繊維を本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマー組成物に含めることもできる。重合体コーティングしたガラス繊維などの材料ならびにポリプロピレン、ポリエチレン、およびナイロンなどの重合体材料でできたスクリムを用いて、セメント系プレキャスト製品を、それらの機能および用途に合わせて補強することができる。

好ましくは、本発明の実施形態におけるジオポリマー組成物は、セメントキルンダストを含まない。セメントキルンダスト(CKD)は、セメントクリンカーの製造中にキルンで生成する。セメントキルンダストは、部分焼結および未反応の原材料、クリンカーダスト、およびアッシュからなる粒子状混合物であり、アルカリ硫酸塩、ハロゲン化物、および他の揮発性成分が豊富に含まれている。こうした粒子は、排気ガスにより捕捉され、粒子状物質制御装置(サイクロン、バグハウス、および電気集塵装置など)に集められる。CKDは、主に炭酸カルシウムおよび二酸化ケイ素からなり、その点ではセメントキルンの供給原料と似ているが、ダスト中のアルカリ、塩化物、および硫酸塩の量は、通常、大幅に増えている。CKDは、由来する3つの異なる種類の操作(湿式ロング、乾式ロング、および前焼結を伴うアルカリバイパス)によって、様々な化学的および物理的特性を有する。湿式ロングキルンおよび乾式ロングキルンで発生するCKDは、キルン供給物が部分焼結した微粒子からなり、アルカリ硫酸塩および塩化物が豊富に含まれている。前焼結キルンのアルカリバイパスから集められるダストは、それらより粗く、より焼結されていて、アルカリ揮発性成分の濃度も高い傾向にある。しかしながら、アルカリバイパスプロセスは、酸化カルシウム量が重量基準で最大になり、強熱減量(LOI)が最少になる。表AA(Adaska et al., Beneficial Uses of Cement Kiln Dust, 2008 IEEE/PCA 50th Cement Industry Technical Conf., Miami, FL, May 19−22, 2008での発表より引用)は、3つの異なる種類の操作についての組成概要を示すもので、比較のため、I型ポルトランドセメントに好適な化学組成も含まれている。

流動化剤および空気連行剤 好ましくは、高性能減水剤(流動化剤)が、本発明のいくつかの実施形態における組成物に使用される。それらは、乾燥した形で添加されても溶液として添加されてもよい。流動化剤は、混合物が必要とする水を減らす助けとなる。流動化剤の例として、ポリナフタレンスルホナート、ポリアクリラート、ポリカルボキシラート、ポリエーテルポリカルボキシラート、リグノスルホナート、メラミンスルホナート、カゼインなどが挙げられる。用いられる流動化剤の種類に応じて、流動化剤(乾燥粉末基準で)対反応性粉末ブレンドの重量比は、好ましくは約5重量%以下、好ましくは約2重量%以下、好ましくは約0.1〜約1重量%になる。

ポリカルボキシラートポリエーテルの化学的性質を利用する流動化剤は、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマー製セメント質組成物の特に好適な化学的減水混合剤である。ポリカルボキシラートポリエーテル流動化剤は、上記で述べたとおりの本発明の様々な目的を達成しやすくするので、特に好適である。

空気連行剤は、本発明のいくつかの実施形態におけるセメント質スラリーに添加されて、in situで気泡を形成する(発泡する)。空気連行剤は、好ましくは、コンクリートに微細な気泡を閉じ込める目的で用いられる界面活性剤である。あるいは、空気連行剤は、本発明のいくつかの実施形態における組成物の混合物に混合操作中に導入されて外部から泡を生じることで生成物の密度を下げることを目的として用いられる。好ましくは、外部から泡を生じるため、適切な泡発生装置中で、空気連行剤(液状発泡剤としても知られる)、空気、および水を混合して、泡を形成させる。泡安定剤(ポリビニルアルコールなど)を泡に添加してから、泡をセメント質スラリーに添加することが可能である。

空気連行剤/発泡剤の例として、特にアルキルスルホナート、アルキルベンゾイルスルホナート、およびアルキルエーテルスルファートオリゴマーが挙げられる。これらの発泡剤の一般式についての詳細は、米国特許第5,643,510号に見ることができる。米国特許第5,643,510号は、参照として本明細書に援用される。

空気連行剤(発泡剤)として、例えばASTM C 260「コンクリート用空気連行混合剤の標準規格」(Aug. 1, 2006)に記載されるとおりの規格に合っているものなどを用いることができる。そのような空気連行剤は、当業者に周知であり、Kosmatka et al “Design and Control of Concrete Mixtures,” Fourteenth Edition, Portland Cement Association, 具体的には第8章の“Air Entrained Concrete”(米国特許出願公開第2007/0079733号に引用されている)に記載されている。市販されている空気連行材料として、vinsol樹脂、スルホン化炭化水素、脂肪酸および樹脂酸、脂肪族置換アリールスルホナート(スルホン化リグニン塩など)、および多数の他の界面活性材料であって通常アニオン性または非イオン性界面活性剤の形態をとるもの、アビエチン酸ナトリウム、飽和もしくは不飽和の脂肪酸およびその塩、テンシド、アルキルアリールスルホナート、フェノールエトキシラート、リグノスルホナート、樹脂石けん、ナトリウムヒドロキシステアラート、ラウリルスルファート、ABS(アルキルベンゼンスルホナート)、LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホナート)、アルカンスルホナート、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルスルファートエステルまたはその塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルホスファートエステルまたはその塩、タンパク質材料、アルケニルスルホスクシナート、α−オレフィンスルホナート、α−オレフィンスルホナートのナトリウム塩、またはナトリウムラウリルスルファートもしくはスルホナート、およびそれらの混合物が挙げられる。

好ましくは、空気連行剤(発泡剤)は、セメント質組成物全体の重量の約0.01〜約1重量%である。

生体高分子および有機レオロジー制御剤 スクシノグリカン、デュータンガム、グアーガム、ウェランガム、キサンタンガム、およびセルロースエーテル系有機化合物は、本発明のいくつかの実施形態において、親水コロイドおよびレオロジー制御剤として作用する生体高分子である。合成有機重合体、例えば、ポリアクリルアミド、アルカリ膨潤性アクリル重合体、会合性アクリル重合体、アクリル/アクリルアミド共重合体、疎水性修飾したアルカリ膨潤性重合体、高水膨潤性有機重合体などは、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマー組成物にレオロジー制御剤および増粘剤として役立てることができる。

レオロジー制御剤および増粘剤は、会合性および非会合性の両方の種類を、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマー組成物に役立てることができる。

本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマー組成物においてレオロジー制御に有用なセルロース系有機重合体の例として、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース(EC)、メチルエチルセルロース(MEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、およびカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース(CMHEC)が挙げられる。

上記の有機レオロジー制御剤および増粘剤は、冷水にも熱水にも溶解する。これらの添加剤は、保水剤としても作用するので、材料のレオロジーを制御するだけでなく、材料の分離および浮き水を最小限に抑える。

無機レオロジー制御剤 本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマーセメント質組成物は、フィロケイ酸塩ファミリーに属する無機レオロジー制御剤も含むことができる。本発明のジオポリマー組成物に特に有用な無機レオロジー制御剤の例として、パリゴルスカイト、セピオライト、スメクタイト、カオリナイト、およびイライトが挙げられる。本発明のいくつかの実施形態において特に有用なスメクタイト粘土として、ヘクトライト、サポナイト、およびモンモリロナイトが挙げられる。異なる種類のベントナイト粘土も、天然のものも化学処理したものも含めて、本発明の組成物のレオロジー制御に用いることができる。これらの添加剤は、保水剤としても作用するので、材料の分離および浮き水を最小限に抑える。無機レオロジー制御剤は、本発明のいくつかの実施形態において、有機レオロジー制御剤の不在下でまたはそれと併用して添加することができる。

膜形成重合体添加剤 好ましくは、いくつかの実施形態において、再分散可能な膜形成重合体粉末は、ラテックス粉末である。これらの重合体粉末は、水に再分散可能であり、重合体水性分散液(ラテックス)の噴霧乾燥により生成する。

ラテックスは、乳化重合体である。ラテックスは、重合体の水性分散液であり、産業用途で広く用いられている。ラテックスは、重合体微粒子が水性媒体に分散した安定な分散液(コロイド乳濁液)である。つまり、ラテックスは、ゴムまたはプラスチック重合体微粒子が水に懸濁/分散している懸濁液/分散液である。ラテックスは、天然物でも合成物でもよい。

ラテックスは、好ましくは、純粋なアクリル共重合体、スチレンゴム共重合体、スチレンブタジエンゴム共重合体、スチレンアクリル共重合体、ビニルアクリル共重合体、またはアクリル化エチレン酢酸ビニル共重合体でできており、より好ましくは純粋なアクリル共重合体である。好ましくは、ラテックス重合体は、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、およびメタクリル酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種のアクリル単量体に由来する。例えば、乳化重合に用いるのに好適な単量体として、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、他のアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、およびそれらのブレンド、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、酢酸より高級のカルボン酸ビニルエステル(例えばVersatic酸のビニルエステル)、アクリロニトリル、アクリルアミド、ブタジエン、エチレン、塩化ビニルなどの単量体、ならびにそれらの混合物が挙げられる。例えば、ラテックス重合体は、アクリル酸ブチル/メタクリル酸メチル共重合体またはアクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸メチル共重合体が可能である。好ましくは、ラテックス重合体は、さらに、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリル酸ウレイド、酢酸ビニル、分岐した第三級モノカルボン酸のビニルエステル、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、エチレン、およびC4−C8共役ジエンからなる群より選択される1種または複数の単量体に由来する。

風解抑制剤 本発明のいくつかの実施形態におけるセメント質組成物に撥水剤(シラン、シリコーン、シロキサン、ステアリン酸化合物など)を添加して、材料の風解可能性を低下させる。有用な風解抑制剤として例を選択して挙げると、オクチルトリエトキシシラン、カリウムメチルシリコナート、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸重合体がある。これらの風解制御剤は、硬化した材料内での水の移行を低下させ、それにより、潜在的に風解を引き起こす可能性がある塩その他溶解性化学物質の移動を最小限に抑える。過剰な風解は、塩の蓄積および塩の水和によって生じる外観の劣化、材料の崩壊、ならびに膨張反応による損傷、ならびに他の基材および表面被覆材との結合強度の低下を導く可能性がある。

消泡剤 本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマーセメント質組成物に、消泡剤を添加することで、連行される空気の量を減らし、材料強度を上げ、材料と他の基材との結合強度を上げること、および表面の美観が重要な基準である用途において無傷の表面を作ることができる。本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマー組成物に有用な適切な消泡剤の例として、ポリエチレンオキシド、ポリエーテルアミン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アルコキシラート、ポリアルコキシラート、脂肪アルコールアルコキシラート、疎水性エステル、トリブチルホスファート、アルキルポリアクリラート、シラン、シリコーン、ポリシロキサン、ポリエーテルシロキサン、アセチレンジオール、テトラメチルデシンジオール、第二級アルコールエトキシラート、シリコーン油、疎水性シリカ、油類(鉱物油、植物油、白色油)、ワックス(パラフィンワックス、エステルワックス、脂肪アルコールワックス)、アミド、脂肪酸、脂肪酸ポリエーテル誘導体などが挙げられる。

初期スラリー温度 本発明のいくつかの実施形態において、温度安定性の改善のため、およびより重要なことにはゲル化および凝結終了時間を約10〜約240分、より好ましくは約60〜約120分、より好ましくは約30〜約90分かかるようにするため、初期混合物スラリー温度が高くなく、最終組成の混合物スラリー温度が上昇しても約50°F(28℃)に到達しない、より好ましくは上昇しても約40°F(22℃)に到達しない、より好ましくは上昇しても約30°F(17℃)に到達しない条件下でスラリーを形成することにより、本発明のいくつかの実施形態における組成物を商業的に利用する場合の作業可能時間がより制御できる。初期スラリー温度は、好ましくは室温程度である。

スラリーの初期温度が上昇すると、反応の進行による温度上昇の速度が上がり、凝結時間が短くなる。したがって、ゲル化時間および凝結時間を短くするために従来のフライアッシュ系ジオポリマー組成物の調製で用いられていた95°F(35℃)〜105°F(41.1℃)という初期スラリー温度は、避けたほうが好ましい。なぜなら、組成物の配合は、混合された組成物が初期スラリー温度から温度を上昇させる挙動を減らすように設計されているからである。初期スラリー温度がすでに比較的高温である場合、本発明のいくつかの実施形態で達成される、初期ゲル化時間および凝結終了時間を延ばし、ひいては、商業的作業性を向上させる熱安定性の利点が、いくぶん損なわれる可能性がある。

初期温度は、セメント質反応性粉末、活性化剤、および水が初めて全て混合物中に存在してから最初の1分間の混合物全体の温度と定義される。当然、混合物全体の温度は、この最初の1分間の間に変化し得るが、好適な温度安定性を達成する目的で、この温度は、約0〜約50℃の初期温度、好ましくは約10〜約35℃の初期温度、より好ましくは約15〜約25℃の初期温度、好ましくは周辺温度の範囲内にとどまることが好ましい。

材料発熱および温度上昇挙動 本発明の組成物は、有利なことに、養生段階中の材料内での発熱が穏やかであり、温度上昇が少ない。本発明のいくつかの実施形態におけるそのような組成物において、材料内で起こる最大温度上昇は、好ましくは約50oF(28℃)未満、より好ましくは約40oF(22℃)未満、特に好ましくは約30oF(17℃)未満である。これにより、材料の過剰な熱膨張およびその結果として生じる亀裂および崩壊を防ぐことができる。この態様は、実際の現場で材料にかなり厚みを持たせて流すことが関わるような材料の使い方をする場合に、よりいっそうの利点となる。本発明のジオポリマーセメント質組成物は、実際の現場で示す温度膨張が少なく熱亀裂の耐性が向上しているので、この特定の態様において有益である。

全ての実施例において、特に指示がない限り、Ciment Fondu(本明細書ではHAC Fonduとも称する)として知られる、ケルネオス社から入手可能なアルミン酸カルシウムセメントをセメント系反応性粉末の成分として用いた。用いたアルミン酸カルシウムセメント(Ciment Fondu)の酸化物組成は表AAに示される通りであった。

実施例のCiment Fondu(HAC Fondu)中に存在する主要アルミン酸カルシウム相はアルミン酸モノカルシウム(CA)であった。

全ての実施例において、特に指示がない限り、フライアッシュは、キャンベルパワープラント社(ミシガン、ウェストオリーブ)のC級フライアッシュであった。このフライアッシュは、約4ミクロンの平均粒径を有した。フライアッシュの測定ブレーン粉末度は約4300cm2/gであった。これらの実施例で使用のC級フライアッシュの酸化物組成は表AAに示される通りであった。

本発明のいくつかの実施形態および実施例で使用の硫酸カルシウムは、細粒硫酸カルシウムを使用する場合、約1〜200ミクロン(マイクロメートル)、好ましくは約1〜20ミクロンの平均粒径を有する。

特に、実施例で用いる硫酸カルシウム二水和物は、本明細書において石膏粉と称する、ユナイテッドステイツジプサムカンパニー社(United States Gypsum Company)から入手可能な細粒硫酸カルシウム二水和物であった。石膏粉は、約15ミクロンの平均粒径を有する細粒硫酸カルシウム二水和物である。

実施例のいくつかに含まれる無水硫酸カルシウム(無水石膏)は、ユナイテッドステイツジプサムカンパニー社から入手可能なSNOW WHITEブランドのフィラーであった。このUSG社のSNOW WHITEフィラーは、硫酸カルシウム、好ましくは石膏の高温熱処理により製造される無水石膏の不溶性形態である。SNOW WHITEは、極めて低レベルの化学的に結合した水分を、好ましくは約0.35%で有する。USG社のSNOW WHITEフィラーの平均粒径は約7ミクロンである。

多数の実施例で使用の硫酸カルシウム半水和物は、ユナイテッドステイツジプサムカンパニー社から入手可能なUSGハイドロカル(HYDROCAL)Cベースブランドの硫酸カルシウム半水和物であった。ハイドロカルCベースは、ブロック様の結晶ミクロ構造および低所要水量を有する硫酸カルシウム半水和物のアルファ形態である。このUSGハイドロカルCベースは、約17ミクロンの平均粒径を有する。

本明細書において粗石膏粉とも称する、多数の実施例で用いられる粗粒硫酸カルシウム二水和物はUSG社デトロイトプラントから調達され、USGベン・フランクリン(BEN FRANKLIN)AGブランドの粗石膏としてユナイテッドステイツジプサムカンパニー社から入手可能である。このUSGベン・フランクリンAGブランドの石膏は、約75〜80ミクロンの平均粒径を有する粗粒硫酸カルシウム二水和物である。

本発明のいくつかの実施形態およびいくつかの実施例で使用のQUIKRETE細粒No.1961細砂およびUNIMIN5030砂は、表BBに示されるような粒径を有した。

クエン酸カリウム又はクエン酸ナトリウムは、本発明のいくつかの実施形態のセメント質組成物に添加されるアルカリクエン酸塩であり、化学活性化剤、レオロジー改質剤および凝結調節剤として作用した。

後出の実施例で報告される凝結開始時間および凝結終了時間は、ASTM C266(2008)規格に準拠し、ギルモアニードルを使用して測定された。

本発明のいくつかの実施形態および実施例のいくつかのセメント系ジオポリマー組成物のスランプおよび流動挙動を、スランプ試験により特性決定した。後出の実施形態で用いたスランプ試験では、一方の開放端を滑らかなプラスチック面につけて垂直に保持した、直径約5.08cm(2インチ)、長さ約10.16cm(4インチ)の中空円筒を利用する。この円筒の最上部にまでセメント質組成物を詰め、続いて上面を切り落として余分なスラリー混合物を除去する。次に、この円筒を垂直にそっと持ち上げるとスラリーが底から出てプラスチック面上で広がって円形のパテを形成する。次に、このパテの直径を測定し、材料のスランプとして記録する。良好な流動挙動を有する組成物ではスランプ値が大きくなる。スラリーの流動は1から10の尺度でスラリーの流動性を評価することで特性決定され、値1は流動挙動が極めて不良であることを表し、値10は優れた流動挙動であることを表す。

本明細書におけるような材料収縮率(本明細書では「収縮率」とも称する)は、ASTM C928(2009)試験規格に準拠して角柱試料の長さ変化を測定することで特性決定される。初期長さの測定を、水を含めた個々の原料成分を合わせてから4時間後に行う。最終測定を、水を含めた成分を合わせてから8週間後に行う。初期測定値と最終測定値との差を初期の長さで割り、100%をかけると収縮率が百分率で得られる。1インチx1インチ(断面)長さ変化角柱試料は本明細書においてバーとも称され、ASTM C157(2008)規格に準拠して用意される。

材料の圧縮強度をASTM C109(2008)試験法に準拠し、2インチx2インチx2インチの立方体の圧縮下での破損を試験することで測定した。これらの立方体は硬化後に真鍮製の型から外され、試験時まで密封したビニール袋内で養生された。立方体を、注型から4時間、24時間、7日および28日目の材齢で試験した。

材料のスラリー温度上昇挙動を、準断熱条件下、スラリーを断熱容器に入れ、熱電対を使用して材料温度を記録することで測定した。

実施例の多くが、熱活性化アルミノシリケートミネラル(フライアッシュ)、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウムおよびアルカリ金属化学活性化剤を含む本発明のいくつかの実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の物理的特性を示す。ここでは、硫酸カルシウムおよびアルカリ金属化学活性化剤と組み合わせてアルミン酸カルシウムセメントを組み込むことが、本発明のいくつかの実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の材料若材齢および長期収縮挙動(化学および乾燥収縮)、若材齢圧縮強度、極限圧縮強度、発熱挙動並びに凝結特性に及ぼす影響を研究した。

実施例の多くが、熱活性化アルミノシリケートミネラル(フライアッシュ)、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウムおよびアルカリ金属化学活性化剤を含む本発明のいくつかの実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の物理的特性を示す。ここでは、硫酸カルシウムおよびアルカリ金属化学活性化剤と組み合わせてアルミン酸カルシウムセメントを組み込むことが、本発明のいくつかの実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の材料若材齢および長期収縮挙動(化学および乾燥収縮)、圧縮強度、極限圧縮強度、発熱挙動並びに凝結特性に及ぼす影響について説明する。

本発明の組成物は、有利なことに、養生段階中の材料内での発熱が穏やかであり、温度上昇が少ない。本発明のいくつかの実施形態におけるそのような組成物において、材料内で起こる最大温度上昇は、好ましくは約50oF(28℃)未満、より好ましくは約40oF(22℃)未満、特に好ましくは約30oF(17℃)未満である。これにより、材料の過剰な熱膨張およびその結果として生じるひび亀裂および崩壊を防ぐことができる。この態様は、実際の現場で材料にかなり厚みを持たせて流すことが関わるような材料の使い方をする場合に、よりいっそうの利点となる。本発明のジオポリマーセメント質組成物は、実際の現場で示す温度膨張が少なく温度ひび割れの耐性が向上しているので、この特定の態様において有益である。

本発明のいくつかの実施形態の組成物は、良好な加工性を得るのに十分な長さの凝結時間も達成した。材料の可使時間(ポットライフ)が短いと、実際の現場での適用時に使用する機器およびツールによる急速凝結材料の加工に著しい困難が生じることから、極端に短い凝結時間はいくつかの用途にとっては問題となる。

実施例1:現行のジオポリマーセメント質組成物の比較例 以下の実施例では、C級フライアッシュおよびクエン酸カリウムを含む現行のジオポリマーセメント質組成物の物理的特性について説明する。試験結果は、表1に挙げたセメント質組成物の収縮挙動、若材齢および極限圧縮強度並びに凝結挙動を示す。3種の混合物は全てクエン酸カリウムで活性化され、また様々な量の砂骨材を含有した。3種の混合物は全て、100重量部のフライアッシュクラスCおよび100重量部の全セメント系材料を有する。セメント系材料は全てフライアッシュクラスC(キャンベルパワープラント社、ミシガン、ウェストオリーブ)およびQUIKRETE商用グレード細砂No.1961であった。

図1Aは、比較例1で調査した現行で最先端のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。

収縮率の測定を、原料を混合し、注型してから4時間の材齢で開始した。アルカリクエン酸塩で活性化させたフライアッシュ組成物が極めて高い収縮量を示したことを観察することができる。測定最大収縮率は75°F/50%RHでの8週間の養生後に0.75%もの高さであると判明した。砂含有量の増加により収縮の度合いは低下したものの、全体としての収縮率は依然として許容できないレベルで極めて高いままであった。このような高いレベルの材料収縮により、この材料は殆どの建築用途にとって不満足なものとなる。殆どの建築用途にとって、0.10%を超える全体としての収縮の大きさは極めて高く且つ望ましくないとみなされることに留意すべきである。

材料の初期流動挙動、スランプおよび若材齢亀裂挙動 表2は、比較例1で調査した現行で最先端のジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプを示す。

アルカリクエン酸塩で活性化されたフライアッシュ組成物は、砂/セメント比0.75%で良好な流動挙動を有した。砂/セメント比を1.50%まで上昇させると、スラリーはその流動度を若干喪失した。最後に、砂/セメント比2.50で、混合物は極端に堅練りとなり、流動特性を完全に喪失した。

図1Bは、比較例1で調査した混合物1についてのスランプパテ写真である。乾燥させると、このスランプパテには著しい亀裂が生じた。パテにおける亀裂の発生は、スランプ試験から30分未満で起きた。亀裂の数および亀裂のサイズは、続く材料の乾燥および硬化に伴って増大した。

凝結時間 表3は、比較例1で調査した現行で最先端のジオポリマーセメント質組成物の凝結挙動を示す。

この実施例のセメント質組成物は、極めて急速な凝結挙動を有した。全ての混合物は極めて迅速にゲル化し、原料を混ぜ合わせて水性スラリーを調製してから5分未満で流動挙動を喪失した。

圧縮強度 表4は、比較例1で調査した現行で最先端のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。全てのフライアッシュ組成物が、28日目で7000psiを越える圧縮強度発現を示した。

実施例2:比較例 この実施例では、フライアッシュおよびクエン酸ナトリウムを含むセメント質組成物を含む好ましくは現行で最先端のジオポリマー配合物の若材齢寸法安定性および亀裂耐性を調査する。表5は、調査した混合組成物の原料組成を示す。混合物はクエン酸カリウムで活性化され、様々な量の砂骨材を含有した。混合物は、100重量部のフライアッシュクラスCおよび100重量部の全セメント系材料を有した。言い換えると、セメント系材料は全てフライアッシュクラスCであった。

この組成物は、QUIKRETE商用グレード細砂No.1961およびBASF社のCASTAMENT FS20高性能減水剤を使用する。

材料の若材齢亀裂挙動 図2は、比較例2で調査した混合物についてのスランプパテ写真である。乾燥させると、このスランプパテには著しい亀裂が生じた。パテにおける亀裂の発生は、スランプ試験から30分未満で起きた。亀裂の数および亀裂のサイズは、続く材料の乾燥および硬化に伴って著しく増大した。

比較例2の組成物の圧縮強度挙動 表5Aは、比較例2の混合物の圧縮強度挙動を示す。組成物の若材齢圧縮強度は相対的に低く、4時間で約500psi未満、24時間で約2000psi未満であった。実施例において後に示されるように、本発明の実施形態のジオポリマー組成物は著しく高い圧縮強度をこれらの同じ若材齢おいて同等の水/セメント比で発現する。本発明の特定の実施形態の実施例において示されるように、本発明の実施形態の組成物で使用する硫酸カルシウムのタイプおよび量、アルミン酸カルシウムセメントの量並びにアルカリ金属活性化剤のタイプおよび量の調節により、若材齢圧縮強度を容易に望み通りのものにすることができる。

実施例3:比較例 この実施例では、フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩を含む比較用セメント質組成物の若材齢寸法安定性および亀裂耐性を調査した。表5は、調査した混合組成物の原料組成を示す。

材料の若材齢亀裂挙動 図3Aは、比較例3で調査した混合物についてのスランプパテ写真である。乾燥させると、このスランプパテには著しい亀裂が生じた。パテにおける亀裂の発生は、スランプ試験から約30分未満で起きた。

比較例3の組成物の圧縮強度挙動 表5Bは、比較例3の混合物の圧縮強度挙動を示す。組成物の若材齢圧縮強度は相対的に低く、4時間で約500psi未満、約1500psi未満であった。本発明の実施形態の後出の実施例において示されるように、本発明の組成物で使用する硫酸カルシウムのタイプおよび量、アルミン酸カルシウムセメントの量並びにアルカリ金属活性化剤のタイプおよび量の調節により、若材齢圧縮強度を望み通りのものにすることができる。

収縮挙動 図3Bは、比較例3のセメント質組成物の極若材齢収縮挙動を示す。

極若材齢収縮率の測定を、原料を混合し、注型してから1時間の材齢で開始した。アルカリ金属クエン酸塩で活性化させたフライアッシュ組成物は、極めて高い収縮量を示した。測定最大収縮率は約75°F/50%RHでの8週間の養生後に約1%を超えることが判明した。このような高いレベルの材料収縮により、この材料は殆どの建築用途にとって不満足なものとなる。殆どの建築用途にとって、約0.10%を超える収縮率は望ましくないほどに高いとみなされる。

実施例4:フライアッシュへの純アルミン酸カルシウムセメントの添加−比較例 この実施例は、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメントおよびアルカリクエン酸塩を含むセメント質組成物の物理的特性を示す。ここでは、アルミン酸カルシウムセメントを組み込むことが、フライアッシュおよびアルカリクエン酸塩を含む、調査対象であるセメント質組成物の収縮率および亀裂耐性に及ぼす影響について研究した。表6、7は、この実施例で調査した様々なセメント質組成物1〜4の原料組成を示す。ケルネオス社から入手可能なアルミン酸カルシウムセメントであるCiment Fondu(HAC Fondu)を、この調査におけるセメント系反応性粉末の成分として利用した。この実施例で調査した様々な混合組成物で使用のアルミン酸カルシウムセメントの量は多様であり、フライアッシュの重量の10重量%および30重量%に等しかった。クエン酸カリウムを、この実施例で調査するセメント質組成物におけるアルカリクエン酸塩のソースとして添加した。使用した硫酸カルシウムは、USG社の石膏粉硫酸カルシウム二水和物であった。QUIKRETE商用グレード細砂No.1961を、アドヴァキャスト(AdvaCast)500(WRグレース社)高性能減水剤と共に使用した。

材料の初期流動挙動、スランプおよび若材齢亀裂挙動 表8は、実施例4で調査したフライアッシュとアルミン酸カルシウムセメントとの2成分ブレンド物の初期流動挙動およびスランプを示す。スランプ試験で観察されたように、調査した混合物は共に良好な流動挙動および大きいパテ直径を有した。

図4Aは、実施例4で調査した比較用混合物1、2についてのスランプパテ写真である。乾燥させると、どちらのスランプパテにも著しい亀裂が生じた。パテにおける亀裂の発生は、原料を混合してからたった5分で起き始めた。亀裂の数および亀裂のサイズは、続く材料の乾燥および硬化に伴って著しく増大した。アルカリクエン酸塩で活性化させたフライアッシュ組成物へのアルミン酸カルシウムセメントの添加は、乾燥および硬化すると過度の亀裂を起こしやすい、寸法安定性を欠いた材料につながると結論づけることができる。

収縮挙動 調査する混合物の収縮挙動の特性決定化を行うために、直方体の試料を注型した。混合物2の角柱試料は、注型から1時間未満で、過度の材料収縮により型内で(離型前)にひび割れた。

図4Bは、混合物1についての収縮挙動を示す。収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を75°F/50%RHで養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。フライアッシュ、アルミナセメントおよびアルカリ金属クエン酸塩の混合物を含有する混合物1の角柱が極めて大きく収縮したことを観察することができる。8週間後の混合物1についての角柱試料の測定収縮率は約1.08%である。

実施例5 表6、7は、実施例5で調査した本発明の2種のジオポリマーセメント質組成物(表6、7の混合物3および混合物4)の原料組成を示す。この実施例の混合組成物で使用のアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の10重量%(混合物3)および30重量%(混合物4)に等しかった。細粒石膏粉を、アルミン酸カルシウムセメントの重量を基準として33.33重量%の異なる量レベルで添加した。

材料の初期流動挙動、スランプおよび若材齢亀裂挙動 表8は、実施例5で調査したフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、細粒石膏粉およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物(表8の混合物3および混合物4)の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。調査した全ての混合組成物が良好な流動挙動を有したことをはっきりと観察することができる。そのような良好な流動特性が0.25と低い水/セメント系材料比であっても得られたことは特に注目に値する。

図5Aは、実施例5で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物についてのスランプパテ写真である。この実施例のスランプパテには、乾燥させても、石膏粉を含有しない比較例4のセメント質組成物の場合のように亀裂が生じなかった。このため、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメントおよびアルカリクエン酸塩を含むセメント質組成物に硫酸カルシウム(細粒石膏粉)のソースを組み込むことで、乾燥させても亀裂に対する優れた耐性を有する、寸法安定性ジオポリマーセメント質組成物が得られる。

収縮挙動 図5Bは、実施例5で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動のグラフである。この調査の主な目的は、硫酸カルシウム(石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩と組み合わせてアルミン酸カルシウムセメントを組み込むことが、本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動に及ぼす影響を研究することであった。

収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を75°F/50%RHで養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。

以下の結論を、この調査および図5Bから導きだすことができる。

硫酸カルシウム(石膏粉)の組み込みは、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメントおよびアルカリ金属クエン酸塩を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物の亀裂耐性および寸法安定性の改善に著しい影響を及ぼした。離型すらしていないのにひび割れた比較例4の比較用混合物1収縮バー(石膏粉を含有しない)とは逆に、硫酸カルシウム(石膏粉)を含む実施例5の収縮バーは完全に安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。

フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物の測定最大収縮率は、フライアッシュおよびアルカリクエン酸塩だけを含有するセメント質組成物(実施例1)のものより著しく低かった。例えば、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物は、フライアッシュおよびアルカリクエン酸塩だけを含有する比較用混合物(実施例1)についての最大収縮率約0.75%に対して最大測定収縮率0.14%を有した。したがって、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメントおよびアルカリクエン酸塩を含むセメント質組成物への硫酸カルシウムの添加は材料収縮率を極めて著しく低下させるのに役立つと結論づけることができる。

凝結時間 表9は、実施例5で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。

実施例5で調査したセメント質組成物は急速な凝結挙動を有し、終了時間は20〜40分であった。フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明の開発されたセメント質組成物は、実施例1で見られるようなフライアッシュおよびアルカリクエン酸塩だけを含むセメント質組成物より相対的に長い凝結時間を有した。実施例1のフライアッシュおよびアルカリクエン酸塩を含むセメント質組成物の場合、終了時間は約15分であった。材料の可使時間(ポットライフ)が短いと、実際の現場での適用時に使用する機器およびツールによる急速凝結材料の加工に著しい困難が生じることから、極端に短い凝結時間は殆どの実際的な用途にとって問題となる。

圧縮強度 表10は、実施例5で調査したフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。

ここでは、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)と組み合わせてアルミン酸カルシウムセメントを組み込むことが、本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の若材齢および極限圧縮強度挙動の両方に及ぼす影響を研究した。データは以下のことを示す。

この実施例で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間の関数として上昇し続けた。

混合物の若材齢(4時間および24時間)強度は、セメント質組成物における石膏粉量の増加に伴って上昇した。

材料の若材齢4時間での材齢4時間での圧縮強度は、本発明の調査対象であるジオポリマーセメント質組成物の成分として石膏粉を使用すると1400psiを越えた。

材料の若材齢24時間での圧縮強度は、本発明の調査対象であるジオポリマーセメント質組成物の成分として石膏粉を使用すると2000psiを越えた。30部のアルミン酸カルシウムセメントおよび10部の硫酸カルシウムを含有する混合物3についての若材齢24時間での圧縮強度が約4150psiと極めて高かったことは注目に値する。

この実施例で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の28日後圧縮強度は極めて高く、混合物3で約6900psi、混合物4で約4000psiであった。

この実施例で示す本発明の実施形態において、予期せぬことに、アルミノシリケートミネラル、アルカリ金属活性化剤、アルミン酸カルシウムセメントおよび硫酸カルシウムを混合すると、得られる反応は2つの別々の反応より発熱が少ないものとなり、またゲル化時間および硬化時間が著しく延びることが判明した。

また、説明の段落で上述したようにアルミノシリケートミネラルおよびアルカリ金属活性化剤をアルミン酸カルシウムセメントおよび硫酸カルシウムと共に反応させると、材料収縮率が著しく低下することが判明した。

実施例6 表11は、表6に示すように、この実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物の原料組成を示す。この実施例の混合組成物で使用のアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の30重量%に等しかった。硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)を、調査した様々な混合組成物において異なる量レベル(フライアッシュおよびアルミン酸カルシウムセメントの重量の5、10、20および30重量%)で添加した。フライアッシュはC級フライアッシュ(キャンベルパワープラント社、ミシガン、ウェストオリーブ)であり、硫酸カルシウム二水和物はUSG社の石膏粉であり、アルミン酸カルシウムセメントはCiment Fondu(HAC Fondu)(ケルネオス社)であり、砂はQUIKRETE商用グレード細砂No.1961であり、高性能減水剤はWRグレース社のアドヴァキャスト500である。

材料の初期流動挙動、スランプおよび若材齢亀裂挙動 表12は、実施例6で調査したフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。

スランプ試験で観察されたように、調査した混合組成物は全て良好な自己平滑化性、流動挙動および大きいパテ直径を有した。高スランプおよび自己平滑化挙動を、0.275と低い水/セメント系材料比で得ることができた。

図6Aは、実施例6における本発明のジオポリマーセメント質組成物についてのスランプパテ写真である。この実施例のスランプパテは、乾燥させても、硫酸カルシウム(石膏粉)を含有しない比較例4のセメント質組成物とは対照的に亀裂を生じなかった。このため、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメントおよびアルカリクエン酸塩を含むセメント質組成物に硫酸カルシウム(石膏粉)を組み込むことで、乾燥させても亀裂に対する優れた耐性を有する、寸法安定性ジオポリマーセメント質組成物が得られると結論づけることができる。

収縮挙動 図6Bは、実施例6で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。図6Bは、硫酸カルシウム(硫酸カルシウム二水和物又は石膏粉)と組み合わせてアルミン酸カルシウムセメントを組み込むことが、本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動に及ぼす影響を示す。

収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を75°F/50%RHで養生しながら、全部で8週間にわたって測定した。

以下の重要な結論を、この調査および図6Bから導きだすことができる。

硫酸カルシウム(石膏粉)の組み込みは、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメントおよびアルカリクエン酸塩を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物の亀裂耐性および寸法安定性の改善に著しい影響を及ぼした。離型すらしていないのにひび割れた比較例4の収縮バー(石膏粉を含有しない)とは逆に、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)を含む実施例6の収縮バーは完全に安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。

フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物の測定最大収縮率は、フライアッシュおよびアルカリクエン酸塩だけを含むセメント質組成物(実施例1)のものより著しく低かった。例えば、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物は、フライアッシュおよびアルカリクエン酸塩だけを含む比較用混合物(実施例1)についての最大収縮率約0.75%に対して最大収縮率約0.13〜0.24%を有した。したがって、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメントおよびアルカリクエン酸塩を含むセメント質組成物への細粒石膏粉の添加は、材料収縮率を著しく低下させるのに役立つ。

この実施例で用いるレベルでの硫酸カルシウム(石膏粉)量における増加は、材料の最大収縮率における全体的な低下を招いた。16.7重量%の硫酸カルシウム(石膏粉)量では、材料収縮率が0.24%(混合物1)であったと観察することができる。硫酸カルシウム(石膏粉)量が33.3重量%および66.7重量%まで増加すると、材料収縮率が約0.13%(混合物2および混合物3)まで低下した。硫酸カルシウム(石膏粉)量が100重量%まで更に増加すると、収縮率が約0.15%まで若干上昇した。

発熱およびスラリー温度上昇挙動 図6Cは、実施例6で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の発熱およびスラリー温度上昇挙動を示す。フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む実施例6のセメント質組成物は、ごく穏やかな温度上昇挙動しか示さなかった。養生段階中の材料内での発熱が穏やかであり、温度上昇が少ないことは、材料の過剰な熱膨張およびその結果として生じる亀裂および崩壊の防止にとって極めて重要である。このことは、実際の現場での適用において材料を厚く流し込む形で使用する場合により一層重要となる。この実施例で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物はこの特定の見地において極めて有益であると開示され、これは実際の現場での適用において熱膨張が小さくなり、また熱亀裂に対してより高い耐性を示し得るからである。

凝結時間 表13は、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む実施例6で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。

この実施例で調査したセメント質組成物は全て、30〜50分の終了時間を示した。対照的に、実施例1のフライアッシュおよびアルカリクエン酸塩を含むセメント質組成物は、約15分の終了時間を有した。

圧縮強度 表14は、実施例6のフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の若材齢および極限圧縮強度挙動を示す。

以下の観察結果を、この研究から得ることができる。

この実施例で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間の関数として上昇し続けた。

材料の若材齢4時間での圧縮強度は、本発明の調査対象であるジオポリマーセメント質組成物の成分として硫酸カルシウム(石膏粉)を使用すると750psiを越えた。

材料の若材齢24時間での圧縮強度は、本発明の調査対象であるジオポリマーセメント質組成物の成分として硫酸カルシウム(石膏粉)を使用すると1500psiを越えた。

この実施例で調査した本発明の全てのジオポリマーセメント質組成物の28日後圧縮強度はより少ない量の硫酸カルシウム(石膏粉)で極めて高く、硫酸カルシウム量の増加に伴って低下した。例えば、硫酸カルシウムが16.7%の混合物1および硫酸カルシウムが33.3%の混合物2の28日後圧縮強度は、それぞれ5221psiおよび4108psiであった。その一方で、硫酸カルシウムが100%の混合物4の場合、28日後圧縮強度は2855psiに低下した。

実施例7 この実施例では、フライアッシュ、硫酸カルシウム(細粒硫酸カルシウム二水和物又は石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含有する混合物において異なる量レベルでアルミン酸カルシウムセメントを含む本発明の組成物を比較する。

表15は、この実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物の原料組成を示す。この実施例の混合組成物で使用のアルミン酸カルシウムセメントの量は、C級フライアッシュの重量の40、60および80重量%に等しかった。USG社の細粒石膏粉の形態の硫酸カルシウムを、アルミン酸カルシウムセメントの重量の30重量%、フライアッシュの13.3、20および26.7重量%の量レベルで添加した。アルミン酸カルシウムセメントはCiment Fondu(HAC Fondu)(ケルネオス社)であり、砂はQUIKRETE商用グレード細砂No.1961であり、高性能減水剤はアドヴァキャスト500(WRグレース社)である。

材料の初期流動挙動、スランプおよび若材齢亀裂挙動 表16は、実施例7で調査したフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。

スランプ試験で観察されたように、調査した混合組成物は全て良好な流動挙動を有した。

収縮挙動 図7は、この実施例における本発明のジオポリマーセメント質組成物7の収縮挙動についてのデータを示す。

収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を75°F/50%RHで養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。

この実施例は以下のことを示した。

離型すらしていないのにひび割れた比較例4の収縮バー(硫酸カルシウムを含有しない)とは逆に、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)を含む実施例7の収縮バーは完全に安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。

フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物は、フライアッシュおよびアルカリクエン酸塩だけを含有する比較用混合組成物(実施例1)についての最大収縮率約0.75%に対して約0.06%未満の極めて低い最大収縮率を有した。

凝結時間 表17は、実施例7の本発明のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。

本発明のジオポリマーセメント質組成物は全て、急速な凝結挙動を示した。しかしながら、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む、この実施例で調査した本発明の混合組成物は、フライアッシュおよびアルカリクエン酸塩だけを含む従来技術のセメント質組成物(実施例1)より相対的に長い凝結時間を有した。フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)およびクエン酸カリウムを含む本発明のジオポリマーセメント質組成物:混合物1、2および3の終了時間は、フライアッシュおよびクエン酸カリウムだけを含有する混合組成物(実施例1)についての約15分という極めて急速な終了時間に対して約30〜約45分であった。

圧縮強度 表18は、実施例7で調査したフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。

以下の観察結果を得ることができる。

この実施例で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間と共に上昇し続けた。

材料の若材齢4時間での圧縮強度は、本発明のジオポリマーセメント質組成物の一部としてアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を使用すると1500psiを越えた。同様に、本発明の組成物の24時間後圧縮強度は1900psiを越えた。

実施例8 この実施例では、表6に示すように混合された、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、細粒無水硫酸カルシウム(すなわち無水石膏)の形態の硫酸カルシウムおよびアルカリクエン酸塩を含む本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の物理的特性について説明する。表19は、この実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物の原料組成を示す。混合物1は実施例8で調査した比較用組成物である。この実施例の混合組成物で使用のアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の0、30、60および90重量%に等しかった。無水石膏(USG社のSNOW WHITEフィラー)を、調査した混合組成物中のアルミン酸カルシウムセメント(Ciment Fondu、HAC Fondu)の重量の33.33重量%並びにフライアッシュの0、10、20および30重量%の量で添加した。QUIKRETE商用グレード細砂No.1961およびBASF社のCASTAMENT FS20高性能減水剤を使用した。

材料の初期流動挙動、スランプおよび若材齢亀裂挙動 表20は、実施例8で調査したフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、無水石膏の形態の硫酸カルシウムおよびアルカリクエン酸塩を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。

スランプ試験で観察されたように、調査した混合組成物は全て良好な自己平滑化性、流動挙動および大きいパテ直径を有した。このような高いスランプおよび自己平滑化挙動を0.25という低い水/セメント系材料比で得ることができたことは特に注目に値する。

無水石膏の形態で硫酸カルシウムを含む4種の混合物全てのスランプパテが極めて良好な状態にあり、また亀裂を生じなかった。

収縮挙動 図8は、実施例8で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を75°F/50%相対湿度(RH)で養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。

以下の重要な結論を、この調査から導きだすことができる。

離型すらしていないのにひび割れた比較例4の収縮バー(硫酸カルシウムを含有しない)とは逆に、アルミン酸カルシウムセメント、無水硫酸カルシウム(無水石膏)およびアルカリクエン酸塩を含む実施例8の収縮バーは完全に安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。

フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(無水石膏)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物は、フライアッシュおよびアルカリクエン酸塩だけを含有する比較用混合組成物(実施例1)についての最大収縮率約0.75%並びに同じくフライアッシュおよびアルカリクエン酸塩だけを含有する本実施例の比較用混合物1の約0.62%に対して0.21〜0.26%の最大収縮率を有する。

最低収縮率が、フライアッシュ量の30重量%でアルミン酸カルシウムセメント、アルミン酸カルシウム量の33.3重量%で硫酸カルシウム(無水石膏)を含む混合物2について得られた。

圧縮強度 表21は、実施例8で調査したフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(無水石膏)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。

この実施例では、無水石膏の形態の硫酸カルシウムと組み合わせてアルミン酸カルシウムセメントを組み込むことが、本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の若材齢および極限圧縮強度挙動の両方に及ぼす影響を研究した。以下の重要な観察結果をこの研究から得ることができる。

この実施例で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間の関数として上昇し続けた。

硫酸カルシウムを含有しない混合組成物(比較用混合物1)の若材齢圧縮強度および極限圧縮強度は共に、硫酸カルシウムを含む本発明のセメント質組成物(混合物2〜4)のものより低かった。

アルミン酸カルシウムセメントおよび無水石膏の形態の硫酸カルシウムを含む本発明のジオポリマーセメント質組成物の若材齢(4時間および24時間)圧縮強度は並外れて高かった。例えば、アルミン酸カルシウムセメントをフライアッシュの60重量%、無水石膏をアルミン酸カルシウムセメントの33.33重量%の量で含む混合物3は、たった4時間で5032psi、24時間で6789psiの圧縮強度を達成した。同様に、アルミン酸カルシウムセメントをフライアッシュの80重量%、無水石膏をアルミン酸カルシウムセメントの33.33重量%の量で含む混合物4は、たった4時間で6173psi、24時間で8183psiの圧縮強度を達成した。

フライアッシュ、アルミン酸カルシウム、無水石膏の形態の硫酸カルシウムおよびクエン酸カリウムを含む本発明の全てのジオポリマーセメント質組成物の28日後圧縮強度は並外れて高く、10000psi(69MPa)を越えた。

したがって、実に驚くべきことに、不溶性の無水硫酸カルシウム(無水石膏又は死焼無水石膏)の使用が、相対的に可溶性が高い硫酸カルシウム二水和物の使用で得られるものより速い凝結、優れた圧縮強度発現速度および高い極限圧縮強度をもたらしたことが判明した(実施例7を参照のこと)。

本発明の実施形態の別の予期せぬ特徴は、凝結挙動および圧縮強度が、本発明の組成物で使用する硫酸カルシウムのタイプに左右されることである。

実施例9 表22は、表6に示すように、この実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物の原料組成を示す。

この実施例の混合組成物で使用のアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の40重量%に等しかった。石膏粉を、アルミン酸カルシウムセメントの重量の33.3重量%、C級フライアッシュの13.3重量%の量で添加した。クエン酸ナトリウム2水和物を、調査した全ての混合組成物においてアルカリ金属化学活性化剤として使用した。この調査で用いる水対セメント系材料比は0.30に等しかった。QUIKRETE商用グレード細砂No.1961およびBASF社のCASTAMENT FS20高性能減水剤。

材料のスランプおよび若材齢亀裂挙動 表23は、実施例9で調査したフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明の実施形態のジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。

スランプ試験で観察されたように、0.75〜1.50の砂/セメント系材料比を有する混合組成物(混合物1、2および3)は良好な流動挙動を有した。その一方で、2.5の砂/セメント系材料比を有する混合組成物(混合物4)はごく堅練りで、流動特性は不良であった。

収縮挙動 図9Aは、実施例9で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。この調査の主な目的は、細粒硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)およびアルカリクエン酸塩と組み合わせてアルミン酸カルシウムセメントを組み込むことが、混合物中に異なる量の砂を含有する本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動に及ぼす影響を研究することであった。

収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を75°F/50%RHで養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。

以下の結論が、この実施例および図9Aから導きだされる。

離型前にひび割れた比較例4の収縮バー(硫酸カルシウムを含有しない混合物2)とは異なり、細粒石膏粉の形態で硫酸カルシウム二水和物を含む実施例9の収縮バーは完全に安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。

フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物(実施例9)は、実施例1におけるフライアッシュおよびアルカリクエン酸塩を含有する比較用混合組成物についての最大収縮率約0.75%に対して最大収縮率0.05%未満の極めて低い収縮を示した。

発熱およびスラリー温度上昇挙動 図9Bは、実施例9で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の発熱およびスラリー温度上昇挙動を示す。フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含むこの実施例のセメント質組成物は、ごく穏やかな温度上昇挙動しか示さなかった。最大温度上昇幅は約100°Fにすぎず、正味の温度上昇幅は30°F未満であった。特にはごく若材齢の養生段階で材料が弱い場合により優れた熱安定性をもたらし且つ温度ムーブメントおよび熱亀裂が起きる可能性が低くなることから、温度上昇度が小さいことは殆どの用途において有益である。

凝結時間 表24は、実施例9で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。

この実施例で調査したセメント質組成物は全て、急速な凝結挙動を有した。フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(石膏粉)およびクエン酸ナトリウムを含むこの実施例の本発明のジオポリマーセメント質組成物の終了時間は、フライアッシュおよびクエン酸ナトリウムだけを含有する混合組成物(実施例1)についての約15分という極めて急速な終了時間に対して約55〜約65分であった。極端に短い凝結時間はいくつかの用途にとっては問題となる。

圧縮強度 表25は、実施例9で調査したフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。

以下の観察結果を、この研究から得ることができる。

この実施例における本発明のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間の関数として上昇し続けた。この実施例で調査した本発明の様々なジオポリマー組成物は十分な若材齢および極限強度発現を成し遂げたと観察することができる。

実施例10 表26は、実施例9と同じ、ジオポリマーセメント質組成物の原材料組成を示す。

この実施例の混合組成物で使用のアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の40重量%に等しかった。硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)を、アルミン酸カルシウムセメントの重量の33.3重量%、C級フライアッシュの13.3重量%の量で添加した。クエン酸カリウムを、この実施例の全ての混合組成物におけるアルカリ金属化学活性化剤として使用した。この調査で用いた水対セメント系材料比は0.25に等しかった。高性能減水剤の量が本発明のセメント質組成物の性能に及ぼす影響をこの実施例において調査した。

材料のスランプおよび若材齢亀裂挙動 表27は、実施例10で調査したフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。

この実施例で調査した本発明の全ての混合組成物が良好な流動挙動を有したと観察することができる。組成物の流動挙動は、混合組成物への高性能減水剤の組み込みにより改善された。高性能減水剤量が0.80%を超えて増加しても流動およびスランプにおける改善は観察されなかった。

収縮挙動 図10は、実施例10で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。この調査の主な目的は、細粒硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)およびアルカリクエン酸塩と組み合わせてアルミン酸カルシウムセメントを組み込むことが、混合物中に異なる量の高性能減水剤を含有する本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動に及ぼす影響を研究することであった。

収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を75°F/50%RHで養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。

以下の結論を、この調査および図10から導きだすことができる。

離型前にひび割れた比較例4の収縮バー(硫酸カルシウムを含有しない混合物2)とは異なり、細粒石膏粉の形態で硫酸カルシウムを含む実施例10の収縮バーは完全に安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。

フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明の一実施形態のジオポリマーセメント質組成物(実施例10)は、フライアッシュおよびアルカリクエン酸塩を含有する比較用混合組成物(実施例1)についての最大収縮率約0.75%に対して最大収縮率0.1%未満の極めて低い収縮を示した。

収縮量は、高性能減水剤の量の増加に伴って若干上昇した。高性能減水剤量が0.4%の混合物2の場合、最大収縮率は約0.05%であったと観察することができ、その一方で、高性能減水剤量が1.2%の混合物4の場合、最大収縮率は約0.08%の値まで若干上昇した。

圧縮強度 表28は、実施例10で調査したフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。

以下の観察結果を、この研究から得ることができる。

本発明のこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間の関数として上昇し続けた。調査した様々な組成物は十分な若材齢および極限強度に達した。

フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物の若材齢(4時間および24時間)圧縮強度は並外れて高く、材齢4時間で2000psiを越え、材齢24時間で3000psiを越えた。

フライアッシュ、アルミン酸カルシウム、硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明の全てのジオポリマーセメント質組成物の28日後圧縮強度は並外れて高く、約4750〜約6750psiであった。

実施例11 表29、30は、この実施例で調査したセメント質組成物の原料組成を示す。

この実施例の混合組成物で使用のアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の40重量%に等しかった。この調査で使用の石膏粉は、アルミン酸カルシウムセメントの重量の33.33重量%の量レベルで添加された。ポルトランドセメントは、混合物1〜混合物3に、全セメント系材料のそれぞれ6.1、14および24.6重量%の割合の量で添加された。水対セメント系材料比は、調査した全ての混合物について0.275に等しかった。C級フライアッシュ(キャンベルパワープラント社、ミシガン、ウェストオリーブ)、USG社の石膏粉、Ciment Fondu(HAC Fondu)(ケルネオス社)アルミン酸カルシウムセメント、ポルトランドセメントタイプI(ホルシム社、アイオワ、メイソンシティ)、QUIKRETE商用グレード細砂No.1961およびアドヴァキャスト500(WRグレース社)。

初期流動挙動およびスランプ 表31は、実施例11で調査したフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(石膏粉)、ポルトランドセメントおよびアルカリクエン酸塩を含むセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。

組成物中のポルトランドセメントの量の増加は、組成物の流動およびスランプ挙動に悪影響を及ぼした。

収縮挙動 図11は、実施例11で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を75°F/50%RHで養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。

以下の重要な結論を、この実施例および図11から導きだすことができる。ポルトランドセメントの組み込みは、調査したセメント質組成物の収縮率を著しく上昇させた。調査した様々な混合物についての極限収縮率の値を、表32にまとめた。

上の説明で詳細に論じたように、この実施例は、ポルトランドセメントを本発明の実施形態に添加して得られる予期せぬ結果が、ポルトランドセメントが組成物の収縮挙動に悪影響を及ぼすことであったことを示す。収縮の大きさは、この実施例により、組成物中のポルトランドセメントの量の増加に比例して増大すると示される。

フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウムおよびアルカリクエン酸塩を含む本発明のセメント質組成物へのポルトランドセメントの添加は、材料収縮率を著しく上昇させる。

この実施形態の試験に基づいて、本発明の寸法安定性ジオポリマー組成物へのポルトランドセメントの添加は推奨されず、その添加はごく少量に制限されるべきであり、好ましくはセメント系材料の総重量の15重量%を越えない。

実施例12 表33は、この実施例12で調査したジオポリマーセメント質組成物の原料組成を示す。

この実施例では、組成物におけるフィラーとしての砂および軽量セラミック微小球の両方の組み込みについて調査した。クエン酸ナトリウムを、全セメント系材料の重量の2重量%の量で添加した。硫酸カルシウム二水和物をフライアッシュの13.3重量%の量で添加し、アルミン酸カルシウムをC級フライアッシュの40重量%の量で添加した。C級フライアッシュ(キャンベルパワープラント社、ミシガン、ウェストオリーブ)、USG社の石膏粉、アルミン酸カルシウムセメント(Ciment Fondu(HAC Fondu)、ケルネオス社)、QUIKRETE商用グレード細砂No.1961、セラミック微小球(キッシュカンパニー(Kish Company)社)およびBASF社のCASTAMENT FS20高性能減水剤。

材料の初期流動挙動、スランプおよび若材齢亀裂挙動

表34は、軽量フィラーを含む、この実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプを示す。

表34に示す結果に基づいて、軽量フィラーを含む本発明の混合組成物は良好な加工性および自己平滑化特性を有すると結論づけることができる。

収縮挙動 図12は、実施例12で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。

収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を75°F/50%RHで養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。

軽量フィラーが組み込まれた本発明のセメント質組成物は、時間の関数として極めて小さい寸法変動(dimensional movement)を示したことが観察される。

pH 表39で言及した、十分に養生したジオポリマー組成物の表面pHをASTM F710−11試験法に準拠して測定し、9.82であると判明した。エクステック(Extech)社のPH150−Cエクスティック(Exstick)コンクリートpHメータを使用して表面pHを測定した。

実施例13 表35は、この実施例13で調査したジオポリマーセメント質組成物の原料組成を示す。この実施例では、組成物にアルミン酸カルシウムセメントおよびスルホアルミン酸カルシウムセメントの両方を組み込む。硫酸カルシウム二水和物をC級フライアッシュの10重量%の量で添加し、アルミン酸カルシウムセメントをフライアッシュの10、20および40重量%の量で添加した。スルホアルミン酸カルシウムセメントを、フライアッシュの20重量%の量で添加した。フライアッシュはC級フライアッシュ(キャンベルパワープラント社、ミシガン、ウェストオリーブ)である。USG社の石膏粉硫酸カルシウム二水和物、(デンカ(Denka)SC1)アルミン酸カルシウムセメント、ファストロック(FASTROCK)500(CTSカンパニー社)スルホアルミン酸カルシウム、QUIKRETE商用グレード細砂No.1961およびBASF社のCASTAMENT FS20高性能減水剤を用いた。クエン酸ナトリウムを、セメント系材料の重量の2重量%の量で添加した。

初期流動挙動およびスランプ 表36は、実施例13で調査したフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態のセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。

表36に示す結果に基づいて、アルミン酸カルシウムセメントおよびスルホアルミン酸カルシウムセメントを含む本発明の混合組成物は、良好な加工性および自己平滑化特性を有する。

圧縮強度 表37は、実施例13で調査したフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。

以下の結論が、この研究から導きだされる。

アルミン酸カルシウムセメントおよびスルホアルミン酸カルシウムセメントの両方を含む本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間の関数として上昇し続けた。調査した様々な組成物は、十分な初期および極限強度に達した。

フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の若材齢(4時間および24時間)圧縮強度は並外れて高く、材齢4時間で約2500psiを越え、材齢24時間で約3400psiを越えた。

フライアッシュ、アルミン酸カルシウム、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態の全てのジオポリマーセメント質組成物の28日後圧縮強度は並外れて高く、約7000psiを越えた。

実施例14 この実施例は、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、細粒硫酸カルシウム二水和物の形態の硫酸カルシウムおよびアルカリクエン酸塩を含む本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の物理的特性を示す。表38は、この実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物の原料組成を示す。混合物は全てアルミン酸カルシウムセメントを含有し、主要アルミン酸カルシウム相はドデカカルシウムヘプタ−アルミネート(12CaO・7Al2O3又はC12A7)であった。このアルミン酸カルシウムセメントは、ケルネオス社から商品名ターナルEV(TERNAL EV)として市販されている。この実施例の混合組成物で使用のアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の10、20、30および40重量%に等しかった。この実施例で使用の細粒硫酸カルシウム二水和物は13ミクロンの平均粒径を有し、商品名USGテラアルバフィラー(USG Terra Alba Filler)としてUSGカンパニー社から入手可能である。硫酸カルシウム二水和物を、調査した混合組成物中のアルミン酸カルシウムセメントの重量の50重量%、フライアッシュの5、10、15および20重量%の量で添加した。

材料のスランプ挙動および若材齢亀裂挙動 表39は、実施例14のフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物のスランプ挙動を示す。

スランプ試験で観察されたように、調査した混合組成物は全て良好な流動度を有した。

細粒硫酸カルシウム二水和物を含む4種の混合物全てについてのスランプパテが極めて良好な状態にあり、また亀裂を生じなかった。

収縮挙動 図13は、実施例14における本発明のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を75°F/50%相対湿度(RH)で養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。

以下の重要な結論を、この調査から導きだすことができる。

離型すらしていないのにひび割れた比較例4の収縮バー(硫酸カルシウムを含有しない)とは逆に、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物およびアルカリクエン酸塩を含む実施例14の収縮バーは完全に安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。

フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物は、フライアッシュおよびアルカリクエン酸塩だけを含有する比較用混合組成物(実施例1)についての最大収縮率約0.75%に対して0.04〜0.08%の最大測定収縮率を有する。

最大収縮量は、組成物中のアルミン酸カルシウムセメントの量の増加に伴って低下した。アルミン酸カルシウムセメントをフライアッシュ量の10重量%で含む混合物1は約0.08%の最大収縮率を有し、その一方で、アルミン酸カルシウムセメントをフライアッシュ量の30重量%で含む混合物3の最大収縮率はたった約0.05%であり、アルミン酸カルシウムセメントをフライアッシュ量の40重量%で含む混合物4の最大収縮率はたった約0.04%であった。

凝結時間 表40は、実施例14で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。

この実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物は全て、急速な凝結挙動を有した。この実施例の本発明のジオポリマーセメント質組成物の終了時間は、フライアッシュおよびクエン酸ナトリウムだけを含有する混合組成物(実施例1)についての約15分という極めて急速な終了時間に対して約69〜約76分であった。極端に短い凝結時間はいくつかの用途にとっては問題となり得ることに留意すべきである。

圧縮強度 表41は、実施例14で調査したフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物およびアルカリクエン酸塩を含む本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。

この実施例では、細粒硫酸カルシウム二水和物と組み合わせてアルミン酸カルシウムセメントを組み込むことが、本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の若材齢および極限圧縮強度挙動の両方に及ぼす影響を研究した。以下の重要な観察結果を、この研究から得ることができる。

この実施例で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間の関数として上昇し続けた。フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物およびクエン酸カリウムを含む本発明の全てのジオポリマーセメント質組成物の28日後圧縮強度は並外れて高く、5000psiを越えた。さらに、本発明の全てのジオポリマーセメント質組成物の56日後圧縮強度はより一層高く、7000psiを越えた。

アルミン酸カルシウムセメントをフライアッシュ量の20重量%で含む混合物2は、材齢56日で9500psiを越える最高極限圧縮強度を示した。

実施例15 この実施例では、異なる形態の硫酸カルシウムが、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウムおよびアルカリクエン酸塩を含む本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の物理的特性に及ぼす影響について説明する。3種の異なるタイプの硫酸カルシウム:硫酸カルシウム二水和物、無水硫酸カルシウム(無水石膏)、硫酸カルシウム半水和物を比較した。表42は、この実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物の原料組成を示す。混合物は全てアルミン酸カルシウムセメントを含有し、主要アルミン酸カルシウム相はドデカカルシウムヘプタ−アルミネート(12CaO・7Al2O3又はC12A7)であった。このアルミン酸カルシウムセメントは、ケルネオス社から商品名ターナルEVとして市販されている。この実施例の混合組成物で使用のアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の20重量%に等しかった。この実施例で調査した様々な混合組成物が含有する硫酸カルシウムのタイプは以下の通りであった:混合物1の硫酸カルシウム二水和物、混合物2の無水硫酸カルシウム(無水石膏)および混合物3の硫酸カルシウム半水和物。硫酸カルシウムは全て、調査した混合組成物中のアルミン酸カルシウムセメントの重量の50重量%、フライアッシュの10重量%に等しい量で添加された。

材料のスランプ挙動および若材齢亀裂挙動 表43は、実施例15で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物のスランプ挙動を示す。

スランプ試験で観察されたように、調査した混合組成物は全て良好な流動度を有した。無水硫酸カルシウム(混合物2)および硫酸カルシウム半水和物(混合物3)を含有する混合組成物が硫酸カルシウム二水和物を含有する混合物(混合物1)より良好な流動度を示したことは注目に値する。

異なる形態の硫酸カルシウムを含む3種の混合物全てについてのスランプパテが極めて良好な状態にあり、また亀裂を生じなかった。

収縮挙動 図14は、実施例15で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を75°F/50%相対湿度(RH)で養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。

以下の重要な結論を、この調査から導きだすことができる。

離型前にひび割れた比較例4の収縮バー(硫酸カルシウムを含有しない)とは逆に、アルミン酸カルシウムセメント、異なる形態の硫酸カルシウムおよびアルカリクエン酸塩を含む実施例15の収縮バーは完全に安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。

フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、異なる形態の硫酸カルシウムおよびアルカリクエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物は、フライアッシュおよびアルカリクエン酸塩だけを含有する比較用混合組成物(実施例1)についての最大収縮率約0.75%に対して最大収縮率0.06〜0.10%を有した。

最大収縮量は、組成物中の硫酸カルシウムのタイプに応じて変化した。硫酸カルシウム二水和物を含む混合物1および硫酸カルシウム半水和物を含む混合物3は、約0.10%の最大収縮率を示した無水硫酸カルシウム(無水石膏)を含む混合物3より低い約0.06%の最大収縮率を有した。

凝結時間 表44は、実施例15で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。

この実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物は全て、急速な凝結挙動を示した。この実施例の本発明のジオポリマーセメント質組成物の終了時間は、フライアッシュおよびクエン酸ナトリウムだけを含有する混合組成物(実施例1)についての約15分という極めて急速な終了時間に対して約42〜約71分であった。極端に短い凝結時間はいくつかの用途にとっては問題となり得ることに留意すべきである。

本発明のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間は、混合組成物の一部として用いる硫酸カルシウムのタイプに左右された。無水硫酸カルシウム(無水石膏)を含む組成物(混合物2)は最速の凝結時間を示し、その一方で、硫酸カルシウム二水和物を含むもう一方の本発明の組成物(混合物1)は最長の凝結時間を示した。

圧縮強度 表45は、実施例15で調査した異なるタイプの硫酸カルシウムを含む本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。

この実施例では、異なるタイプの硫酸カルシウムを組み込むことが、本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の若材齢および極限圧縮強度挙動の両方に及ぼす影響を研究した。以下の重要な観察結果を、この研究から得ることができる。

本発明のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、混合物で使用する硫酸カルシウムのタイプに関係なく時間の関数として上昇し続けた。

異なるタイプの硫酸カルシウム、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメントおよびクエン酸カリウムを含む本発明のジオポリマーセメント質組成物の28日後および56日後圧縮強度は共に並外れて高く、7000psiを越えた。

無水硫酸カルシウム(無水石膏)を含む混合物2は、硫酸カルシウム二水和物を含有する混合物(混合物1)および硫酸カルシウム半水和物を含有する混合物(混合物3)と比較して最も速い圧縮強度発現速度および最高極限圧縮強度を有した。

無水硫酸カルシウム(無水石膏)を含む本発明のジオポリマー組成物の極限圧縮強度は、10000psiを越えた。

実施例16 この実施例では、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム半水和物をアルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム)又はアルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム)と酸(クエン酸)との混合物と共に含む本発明のこの実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の物理的特性について研究する。

表46は、この実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物の原料組成を示す。混合物は全てアルミン酸カルシウムセメントを含有し、主要アルミン酸カルシウム相はドデカカルシウムヘプタ−アルミネート(12CaO・7Al2O3又はC12A7)であった。このアルミン酸カルシウムセメントは、ケルネオス社から商品名ターナルEVとして市販されている。この実施例の混合組成物で使用のアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の20重量%に等しかった。調査した1つの混合物(混合物2)は、化学活性化剤として水酸化ナトリウムだけを含有し、クエン酸を含有しなかった。混合物3、混合物4および混合物5においては、水酸化ナトリウムとクエン酸との混合物を、化学活性化剤として作用するように本発明のセメント質組成物に添加した。同様に、混合物の1つ(混合物1)は、化学的活性化用にクエン酸だけを含有し、水酸化ナトリウムを含有しなかった。

スランプ挙動 表47は、実施例16で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物のスランプ挙動を示す。

クエン酸は含有するが水酸化ナトリウムは含有しない混合物1の場合、ミキサ材料は極端に堅練りであり、混合すると完全に加工不可能となった。その一方で、水酸化ナトリウム(混合物2)又は水酸化ナトリウムとクエン酸とのブレンド物(混合物3、混合物4および混合物5)を含有する混合組成物は、スランプ試験におけるその相対的に大きいパテ直径によっても示されるように加工が容易であった。この良好な加工性は、約0.30という極めて低い水/セメント系材料比であっても得ることができた。標準ポルトランドセメントをベースとした又は石膏をベースとした材料の場合、このような流動特性および自己平滑化挙動は、水/セメント系材料比が約0.45を超えた場合にのみ得られる。

収縮挙動 図15は、実施例16で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を75°F/50%相対湿度(RH)で養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。

以下の重要な結論を、この調査および図15から導きだすことができる。

離型すらしていないのにひび割れた比較例4の収縮バー(硫酸カルシウムを含有しない)とは逆に、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム半水和物、アルカリ金属水酸化物(クエン酸あり又はクエン酸なし)を含む実施例16の収縮バーは完全に安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。

化学活性化剤として水酸化ナトリウムだけを含む本発明のセメント質組成物(混合物2)は、約0.05%未満の極めて低い最大収縮率を示した。化学活性化剤として水酸化ナトリウムとクエン酸とのブレンド物を含む本発明のセメント質組成物(混合物3、混合物4および混合物5)も、約0.10%未満の極めて低い最大収縮率を示した。1%の水酸化ナトリウムおよび最高1%のクエン酸を含有するセメント質組成物(混合物3および混合物4)が約0.05%未満の極めて低い最大収縮率を有したことは注目に値する。1%の水酸化ナトリウムおよび2%のクエン酸を含有する混合物5の場合、最大収縮率は約0.08%まで上昇した。

凝結時間 表48は、実施例16で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。

この実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物(混合物2〜混合物5)は全て極めて急速な凝結挙動を示し、終了時間は約62〜172分であった。水酸化ナトリウムを含有しない混合物1の場合、終了時間は極めて長く、5時間を超えた。その一方で、水酸化ナトリウムとクエン酸とのブレンド物を含有する混合物(混合物4および混合物5)は極めて急速な凝結挙動を示し、終了時間は約1時間であった。

圧縮強度 表49は、実施例16で調査した本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。

以下の重要な結論を、この研究から導きだすことができる。

アルカリ金属塩基(水酸化ナトリウム)を含有しないセメント質組成物(混合物1)は、極めて不良な圧縮強度挙動を示した。この混合物(混合物1)についての若材齢および極限圧縮強度は共に極めて低く、水酸化ナトリウム(混合物2)又は水酸化ナトリウムとクエン酸との混合物(混合物3〜混合物5)を含む本発明のジオポリマー組成物に著しく劣っていた。

水酸化ナトリウムとクエン酸との混合物を含む本発明の全てのジオポリマーセメント質組成物(混合物3〜混合物5)の28日後圧縮強度は並外れて高く、5000psiを越えた。さらに、水酸化ナトリウムとクエン酸との混合物を含む本発明の全てのジオポリマーセメント質組成物(混合物3〜混合物5)の56日後圧縮強度はより一層高く、7500psiを越えた。

実施例17 この実施例では、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム半水和物をアルカリ金属ケイ酸塩(ケイ酸ナトリウム)又はアルカリ金属ケイ酸塩(ケイ酸ナトリウム)と酸(クエン酸)との混合物と共に含む本発明のこの実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の物理的特性について研究する。

表50は、この実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物の原料組成を示す。混合物は全てアルミン酸カルシウムセメントを含有し、主要アルミン酸カルシウム相はドデカカルシウムヘプタ−アルミネート(12CaO・7Al2O3又はC12A7)であった。このアルミン酸カルシウムセメントは、ケルネオス社から商品名ターナルEVとして市販されている。この実施例の混合組成物で使用のアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の20重量%に等しかった。混合物1〜混合物3は化学的活性剤としてケイ酸ナトリウムだけを含有し、クエン酸を含有しなかった。混合物4および混合物5においては、ケイ酸ナトリウムとクエン酸との混合物を、化学活性化剤として作用するように本発明のセメント質組成物に添加した。

スランプ挙動 表51は、実施例17で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物のスランプ挙動を示す。

ケイ酸ナトリウムだけ(混合物1〜混合物3)又はケイ酸ナトリウムとクエン酸とのブレンド物(混合物4および混合物5)を含有する混合組成物は、スランプ試験におけるその相対的に大きいパテ直径によって示されるように加工が容易であった。良好な加工性は、約0.30という極めて低い水/セメント系材料比であっても得ることができた。標準ポルトランドセメントをベースとした又は石膏をベースとした材料の場合、このような流動特性および自己平滑化挙動は、水/セメント系材料比が約0.45を超えた場合にのみ得られる。

収縮挙動 図16は、実施例17で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を75°F/50%相対湿度(RH)で養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。

以下の重要な結論を、この調査および図16から導きだすことができる。

離型前にひび割れた比較例4の収縮バー(硫酸カルシウムを含有しない)とは逆に、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム半水和物、アルカリ金属ケイ酸塩(クエン酸あり又はクエン酸なし)を含む実施例17の収縮バーは完全に安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。

ケイ酸ナトリウム又はケイ酸ナトリウムとクエン酸とのブレンド物を化学活性化剤として含む本発明のジオポリマーセメント質組成物は全て、約0.05%未満の極めて低い最大収縮率を示した。

凝結時間 表52は、実施例17で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。

ケイ酸ナトリウムを含むこの実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物は全て、水酸化ナトリウムを含む、実施例16で調査した本発明のジオポリマー組成物より緩慢な凝結挙動を示した。混合物1〜混合物4は5時間を超える終了時間を有した。ケイ酸ナトリウムとクエン酸とのブレンド物を含む混合物5は最も速く凝結し、終了時間は約3時間45分であった。

圧縮強度 表53は、実施例17で調査した本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。

以下の重要な結論を、この研究から導きだすことができる。

アルカリ金属塩基(ケイ酸ナトリウム)を含有しないセメント質組成物(実施例16の混合物1)は極めて不良な圧縮強度挙動を示した。ケイ酸ナトリウム又はケイ酸ナトリウムとクエン酸とのブレンド物を化学活性化剤として含む混合組成物の極限圧縮強度は、ケイ酸ナトリウムが不在の混合物(実施例16の混合物1)の圧縮強度よりはるかに優れていた。

ケイ酸ナトリウム又はケイ酸ナトリウムとクエン酸とのブレンド物を含む、この実施例で調査した本発明の全てのジオポリマーセメント質組成物の極限圧縮強度は十分なものであり、約4000psiを越えた。

実施例18 この実施例の目的は、アルミン酸カルシウムセメントとスルホアルミン酸カルシウムセメントとのブレンド物が、本発明のジオポリマーセメント質組成物の物理的特性に及ぼす影響を研究することであった。表54は、この実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物の原料組成を示す。混合物は全てアルミン酸カルシウムセメントを含有し、主要アルミン酸カルシウム相はドデカカルシウムヘプタ−アルミネート(12CaO・7Al2O3又はC12A7)であった。このアルミン酸カルシウムセメントは、ケルネオス社から商品名ターナルEVとして市販されている。混合物2〜混合物5は、アルミン酸カルシウムセメントとスルホアルミン酸カルシウムセメントとのブレンド物を含有した。使用したスルホアルミン酸カルシウムセメントは、CTSカンパニー社のファストロック500であった。混合物5は、炭酸リチウムを含む本発明のジオポリマー組成物の性能を示す。

材料のスランプ挙動および若材齢亀裂挙動

表55は、実施例18で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物のスランプ挙動を示す。

調査した混合組成物は全て、スランプ試験で観察されるように良好な流動度を有した。

5種の混合物全てについてのスランプパテが極めて良好な状態にあり、また亀裂を生じなかった。

収縮挙動 図17は、実施例18で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を75°F/50%相対湿度(RH)で養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。

以下の重要な結論を、この調査から導きだすことができる。

離型すらしていないのにひび割れた比較例4の収縮バー(硫酸カルシウムを含有しない)とは逆に、実施例18の収縮バーは完全に安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。

この実施例で調査した本発明の実施形態のジオポリマーセメント質組成物は、フライアッシュおよびアルカリクエン酸塩だけを含有する比較用混合組成物(実施例1)の最大収縮率約0.75%に対して0.10%未満の最大収縮率を有した。

この実施例で得られた結果は、アルミン酸カルシウムセメントとスルホアルミン酸カルシウムセメントとの異なるブレンド物を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物が極めて低い収縮率でもって優れた寸法安定性をもたらすことができることも実証している。

凝結時間 表56は、実施例18で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。

この実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物は全て、急速な凝結挙動を有した。この実施例の本発明のジオポリマーセメント質組成物の終了時間は、フライアッシュおよびクエン酸ナトリウムだけを含有する混合組成物(実施例1)についての約15分という極めて急速な終了時間に対して約66〜約150分であった。極端に短い凝結時間は殆どの実際的な用途にとって問題となることに留意しなくてはならない。

この実施例で得られた結果は、アルミン酸カルシウムセメントとスルホアルミン酸カルシウムセメントとの異なるブレンド物を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物が、十分に長いオープンタイムを維持しながら急速な凝結挙動をもたらすことができることも実証している。

混合物4および混合物5についての結果を比較すると、炭酸リチウムの添加が本発明のジオポリマー組成物のいくつかの実施形態の凝結時間を増大させる効果を有することをはっきりと実証している。この結果は実に驚くべきものであり、リチウム塩(炭酸リチウム)がこの発明のいくつかの実施形態において凝結遅延剤として作用すると観察されるという点で予期せぬものである。観察されたこの挙動が、炭酸リチウム等のリチウム塩がアルミン酸カルシウムセメントをベースとしたバインダ系の凝結挙動に及ぼす影響について当該分野で周知のことに反することに留意すべきである。アルミン酸カルシウムセメントについて、現在最先端の技術では、炭酸リチウム等のリチウム塩は凝結促進剤として作用することから材料の凝結開始および終了時間を短縮すると教示している。この実施例で示されるようなこの発見は当該分野で周知のことから遠ざかることを教示し、また炭酸リチウム等のリチウム塩が本発明のジオポリマーセメント質組成物のいくつかの実施形態の反応(凝結開始および終了時間)の初期段階に対する遅延効果を有することを立証している。

圧縮強度 表57は、実施例18で調査した本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。

以下の重要な観察結果を、この研究から得ることができる。

この実施例で得られた結果は、アルミン酸カルシウムセメントとスルホアルミン酸カルシウムセメントとの異なるブレンド物を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物が、急速な圧縮強度発現速度をもたらすことができることを実証している。アルミン酸カルシウムセメントおよびスルホアルミン酸カルシウムセメントの量並びに本発明のジオポリマーセメント質組成物におけるそれらの相対的な割合の調節により、強度発現速度を望み通りのものにすることができる。

この実施例で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間の関数として上昇し続けた。本発明のジオポリマーセメント質組成物のいくつかの実施形態の28日後圧縮強度は並外れて高く、5000psiを越える結果が得られた。

混合物5についての凝結時間および圧縮強度の結果はここでもまた実に驚くべきものであり、また予期せぬものである。様々な材齢で混合物4および混合物5についての凝結時間および圧縮強度の結果を比較すると、水和反応の初期段階の間、炭酸リチウムが凝結遅延剤として作用するため本発明のジオポリマーセメント質組成物のいくつかの実施形態の凝結開始および終了時間が増大し、その一方で、水和反応の後期段階の間、同じもの(炭酸リチウム)が促進剤として作用するため本発明のジオポリマーセメント質組成物のいくつかの実施形態の強度発現速度および極限強度が上昇すると観察するおよび結論づけることができる。

実施例19 この実施例の目的は、リチウム塩の添加が本発明のジオポリマーセメント質組成物の凝結挙動に及ぼす影響を研究することであった。表58は、この実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物の原料組成を示す。混合物は全てアルミン酸カルシウムセメントを含有し、主要アルミン酸カルシウム相はドデカカルシウムヘプタ−アルミネート(12CaO・7Al2O3又はC12A7)であった。このアルミン酸カルシウムセメントは、ケルネオス社から商品名ターナルEVとして市販されている。混合物2および混合物3は、炭酸リチウムの形態でリチウム塩を含有した。

凝結時間 表59は、実施例19で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。

この実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物は全て、急速な凝結挙動を有した。この実施例の本発明のジオポリマーセメント質組成物の終了時間は、フライアッシュおよびクエン酸ナトリウムだけを含有する混合組成物(実施例1)についての約15分という極めて急速な終了時間に対して約75〜約132分であった。極端に短い凝結時間は殆どの実際的な用途にとっては問題となることに留意しなくてはならない。

この実施例から得られた結果は、炭酸リチウムの添加が本発明のいくつかの実施形態の凝結時間を増大させる効果を有することをはっきりと実証している。この結果は実に驚くべきものであり、リチウム塩(炭酸リチウム)が本発明のいくつかの実施形態において凝結遅延剤として作用することが観察されるという点で予期せぬものである。観察されたこの挙動は、炭酸リチウム等のリチウム塩がアルミン酸カルシウムセメントをベースとしたバインダ系の凝結挙動に及ぼす影響について当該分野で周知のことに反することに留意すべきである。アルミン酸カルシウムセメントについて、現在最先端の技術では、炭酸リチウム等のリチウム塩は凝結促進剤として作用することから材料の凝結開始および終了時間を短縮すると教示している。この実施例で示されるようなこの発見は、当該分野で周知のことから遠ざかることを教示し、また炭酸リチウム等のリチウム塩が本発明のジオポリマーセメント質組成物のいくつかの実施形態の反応(凝結開始および終了時間)の初期段階に対する遅延効果を有することを立証している。

実施例で示された本発明のいくつかの好ましい実施形態のジオポリマー組成物は、数多くの市販品において応用することができる。特に、組成物を以下のものに使用することができる:

実施例5、6、9、10、14、15、16、18および19で開示のいくつかの性質によって示されるように道路補修および道路パッチング製品、交通負担面および舗装道路;

実施例5、6、9、12および14で開示されるいくつかの性質によって示されるように煉瓦および合成石;

実施例9、10、11、14、18および19で開示するいくつかの性質によって示されるように壁、床および天井用の補修材並びに接着モルタル、漆喰並びに表面材;

実施例5、6、14および18におけるいくつかの性質によって示されるように屋根材;

実施例5、6、7、9および15に開示のいくつかの性質によって示されるように土質および岩石安定化に、またライニング材として使用される吹付けセメント系製品である吹付けコンクリート製品;

実施例8、10、13、14、15、16、17および18で開示のいくつかの性質によって示されるように重量支持構造体;

実施例5〜19に開示のいくつかの性質によって示されるように彫像および建築用モールディング;

実施例9、10および12〜19に開示のいくつかの性質によって示されるように自己平滑化性アンダーレイメント。

本発明を実施するための好ましい実施形態について説明してきたが、本開示が対象とする分野の熟練したものならば、本発明にその範囲から逸脱することなく改変および追加を行い得ることがわかる。

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